インドの格安ホテルチェーンOyoが来週にもIPO書類を提出か

インドの格安ホテルチェーンスタートアップOyo(オヨ)は早ければ来週にも新規株式公開の書類を提出する。この件に詳しい人物がTechCrunchに明らかにした。世界第2位のインターネット市場であるインドで株式公開に取り組んでいるひと握りの企業に仲間入りする。

まだ秘匿事案であることから匿名を希望した複数のバンカー情報筋によると、27歳のRitesh Agarwal(リテッシュ・アグルワール)氏が興した創業7年のOyoはIPOで12億ドル(約1320億円)を調達しようとしている。

この内容は今後数日で若干変わる可能性はあり、IPO書類の提出も追加でもう数日かかるかもしれない、と情報筋は話した。

Zomato(ゾマト)、そして Paytm(ペイティーエム)やPolicyBazaar(ポリシーバザール)などを含むいくつかの会社と同様、Oyoはインドの証券取引所に上場する計画だと情報筋の1人は話した。

投資家にソフトバンク、Lightspeed Partners(ライトスピードパートナーズ)、Airbnb(エアビーアンドビー)などを抱え、直近の評価額が96億ドル(約1兆570億円)だったOyoは、3カ月前の時点で銀行口座に7億8000万ドル(約860億円)〜8億ドル(約880億円)を持っていて(このほど開かれた会議でのアグルワール氏の公のコメントによる)、7月にデットで6億6000万ドル(約730億円)を調達した。

Microsoft(マイクロソフト)からの戦略的投資で最近約500万ドル(約5億5000万円)を調達したOyoは約36カ国で事業を展開している。インドで最も評価額の大きな企業の1つである同社は、ホテル経営者がデジタルで予約や支払いを受けられるようにするオペレーティグシステムのようなものを開発した。このテクノロジースタックを使って、同社はホテル経営者が部屋の最適な価格を決めたり、インターネット上でホテルを見つけやすくしたりするのをサポートしている。Booking.comやMakeMyTripといったサードパーティのホテル予約サービスの統合も手伝っている。

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旅行やホスピタリティ産業の大半の企業と同じく、Oyoはパンデミックで大打撃を受けたが、ここ数カ月でかなり回復した。

同社の売上高の大半は、ワクチン接種が進むにつれてロックダウン規制を緩和したインドやマレーシア、インドネシア、欧州などを含む一握りのマーケットからきている。

7月のBloomberg TVとのインタビューの中で、アグルワール氏はOyoが「すでに上場企業のように事業を展開している」と述べたが、すぐに上場するつもりなのかどうか明言は避けた。同社はこれまでのところIPO計画についてはコメントしていない。

画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

アカツキが現地子会社を設立しインド市場に本格参入、日本発アニメやキャラクターの新興国市場展開を開始

ゲームなどIPプロデュースのアカツキが現地子会社設立しインド市場に本格参入、日本発アニメやキャラクターの新興国市場展開開始

「ゲームを軸としたIPプロデュースカンパニー」として事業を展開するエンターテインメント企業アカツキは9月22日、インドでの戦略的事業拠点となる子会社Akatsuki India Privete Limitedの設立を発表した。日本発のアニメやキャラクターを使ったインド市場での事業を開始する。

アカツキでは、エンターテインメント、メディア、ライフスタイル領域のスタートアップを対象としたファンド「AET Fund」を通じて日本とアメリカでの投資活動を行っているが、2018年6月からはインド市場にも力を入れ、インドのコンテンツおよびメディア領域のスタートアップへの純投資を開始した。これまでに20社超への投資を実行している。そして今回、「今後10年以上の長期的視点」に立って、インドでの日本発IP(知的財産)を使った事業展開を本格化する。

インドで予定している事業内容は、日本のコンテンツを現地語にローカライズし、さまざまなメディアで配信する「IPのメディア展開」、現地語でのデジタルマーケティングとソーシャルマーケティングを行う「IPの認知最大化」、インドの消費者向け商品の企画、現地生産、eコマースでの直販販売などを行う「マーチャンダイジング」(商品化)、現地企業と連携した販促品の展開やIPコラボレーション、現地のモバイルゲームなどのオンラインサービスとのIPコラボレーションを行う「プロモーション」となっている。

玩具などの生産は、当面は現地の製造工場との連携で行うが、ゆくゆくは独自の製造拠点を構える予定。また既存のアニメやキャラクターのライセンシングにとどまらず、グローガル展開を前提としたオリジナルIPの創出も進めるという。将来的には、アフリカを含む新興国市場での展開も視野に入れている。

「本取り組みを通じて、日本の魅力的なキャラクターとストーリーを世界に届け、世界中の人びとの人生を彩り豊かにすることを目指してまいります」とアカツキでは話している。

Salesforceがインドの決済ユニコーンRazorpayに投資、世界2位のネット市場インドへの戦略的投資続く

2021年4月の資金調達ラウンドでの評価額が30億ドル(約3285億円)だったベンガルールを拠点とする創業6年のフィンテックRazorpay(レーザーペイ)は、またも著名投資家を獲得した。Salesforce Ventures(セールスフォース・ベンチャーズ)だ。

Razorpayは米国時間9月20日、米大企業Salesforceのベンチャー部門から「戦略的出資」を受けたと明らかにした。資金は「ビジネス取引向けの銀行業務分野でプレゼンスをさらに高める」のに役立つ、とRazorpayは述べた。

Razorpay、Salesforce Venturesいずれも出資の規模は明らかにしなかったが、Sequoia Capital Indiaの支援を受けているRazorpayは、今回の取引が「業界に効果的に貢献し、今後12カ月で十分なサービスが提供されていない零細事業者にサービスの浸透と経済成長をもたらす」と話した。

Razorpayは零細事業者や企業やのためにオンラインでお金を受け取ったり処理したり、支払ったりしている。つまり、Stripe(ストライプ)が米国やその他いくつかの先進国マーケットで行っているすべてのことを引き受けている。しかしRazorpayはそれ以上のものを提供している。同社は近年、法人クレジットカードを発行するためにネオバンキングプラットフォームを立ち上げた。また、事業運転資金も提供している。

世界の大企業Stripeがまだインドに進出していない中で、Razorpayは業界リーダーになるまでに成長し、東南アジアマーケットへ事業を拡大し始めた。

「Razorpayは、インドのデジタルの未来に投資し、新世界のために賢い決済・バンキングインフラを構築するというアイデアをさらに前進させたいと考えています。Salesforce Ventures、Salesforceとインドでさらに広範に提携することをうれしく思います」とRazorpaymp共同創業者でCEOのHarshil Mathur(ハーシル・メイサー)氏は述べた。

「この資金は、既存投資家からのサポートとともに、手間要らずで統合が簡単な決済・バンキングエクスペリエンスのためのエコシステムを構築するのに役立ちます。当社はまた、事業を拡大して新プロダクトを構築し、このエクスペリエンスを東南アジアの事業者にも届けることを願っています」。

今回の取引はSalesforce Venturesにとってインドのスタートアップへの2回目の投資となる。同社は2021年初め、ハイデラバードを拠点とするDarwinboxの1500万ドル(約16億円)の資金調達ラウンドをリードした

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「『現金決済の機会がより少ない』経済に向けた動きはパンデミックで加速しました。デジタル決済における2020年の急速な成長はテクノロジーイノベーションの扉を開け、Razorpayは多くのeコマース事業者に選ばれる企業として頭角を現しました」とSalesforce Indiaの会長兼CEOのArundhati Bhattacharya(アルンダティ・バッタチャリヤ)氏は述べた。

「インドだけでなくグローバルでデジタル金融を変革させようとしているRazorpayをサポートすることを楽しみにしています」と2020年Salesforce Indiaに加わったばかりのバッタチャリヤ氏は付け加えた。

1年前にユニコーンになったRazorpayはこのところ毎月40〜45%成長しているという。情報筋によると、同社は現在、新たな資金調達ラウンドを計画しており、現在を大幅に上回る評価額を交渉している。

Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)などを含む多くの大企業が、世界第2位のインターネット市場であるインドへの戦略的投資を追求し始めた。Microsoftはインドの格安ホテルチェーンOyo(オヨ)と戦略的取引を結んだと2021年9月、明らかにしている。

関連記事:マイクロソフトがインドのOyoへの出資を正式発表、旅行・ホスピタリティ製品の共同開発へ

Tiger Global、Falcon Edge Capital、Temasek、SoftBank Vision Fund 2、Coatue Managementといった数多くの著名なグローバル投資家がインドでの投資のペースを加速させているのにともない、インドは2021年これまでに過去最多となるユニコーン27社を生み出し、2020年の11社を上回っている。そしてユニコーンのリストは増え続けている。また、先にTechCrunchが報じているように、a16zのインド暗号資産スタートアップCoinSwitch Kuberへの投資の交渉はかなり進んでいるという

画像クレジット:Razorpay

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがインドの法務顧問による現地政府当局への贈賄を捜査開始

Amazon(アマゾン)は、インドの同社法務顧問が政府当局に賄賂を送ったという内部告発を、インドのニュース・分析機関であるMorning Context(モーニング・コンテクスト)が現地時間9月20日に報道したことを受け、インドの同社法務代理人の行動に関する捜査を開始した。

報道によると、Amazonは同社が提供する法務費用が政府関係者への賄賂に使われていたかどうかを調べている。記事は匿名の情報源を引用しており政府関係者の個人は特定していない。Amazonは、上級顧問弁護士のRahul Sundaram(ラフール・スンダラム)氏を休職させたと同誌は伝えている

Amazon広報担当者はTechCrunch宛の声明で、会社は「いかなる腐敗行為も許さない」と話したが、捜査の詳細については言及しなかった。

「当社は不正な行動の疑いを深刻に受け止め、徹底的に捜査したうえで適切な措置をとります。現時点で具体的な疑惑内容や捜査状況についてはコメントいたしません」と広報担当者は付け加えた。

インドはAmazonにとって主要海外市場の1つだ。米国のeコマース巨人は、これまでこの南アジア国の事業に65億ドル(約7120億円)以上投資しており、この数年に複数の分野へと積極的に拡大してきた。

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新たな展開は、Amazonが大規模販売業者を密かに優遇し、それらの企業とのつながりを不正確に伝えることでインドの海外投資規則を回避していたとするReuters(ロイター)報道から数カ月後に起きた。

さらにAmazonは、インドで現在進行中の反トラスト捜査の対象にもなっている。同社の上級幹部らは、捜査に異議申し立したが成功せず、同社がPrime Video(プライムビデオ)で配信した政治ドラマが宗教心を傷つけ公衆の怒りを買ったとする疑惑に関して、現地警察から召喚され尋問を受けた。

その後同社はその全9回のミニシリーズを巡り、後に異例の謝罪を行った。

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画像クレジット:Noah Seelam / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルがインドでAndroidの独占的地位を乱用と反トラスト調査で判明

Googleは、インドにおけるAndroidの支配的地位を悪用して、この世界第2位のインターネット市場における競合他社に対して違法に損害を与えていることが、インドの監視当局による2年間の独占禁止法調査で明らかになった。

今回の調査では、Androidメーカーが、Androidの代替バージョン(「フォーク」と呼ばれることが多い)を搭載した端末を開発・販売する能力や意欲を低下させていたことが判明したと、調査結果について説明を受けた2人の関係者は語っている。

さらに、デバイスメーカーに自社アプリのプリインストールを義務付けるというGoogleの要求は、インドの競争法に違反しているとしている。

この調査においては、AmazonやAppleなど5ダース以上の企業がインドの規制当局、Competition Commission of India(インド競争委員会、CCI)の聞き取りに応じた。

インドの規制当局はGoogleがPlay Storeで強制しているポリシーも問題視し、それらは「一方的で一意的でなく不明瞭で偏りがあり恣意的である」と述べている。

Googleによると、同社はCCIと協力して「Androidは競争とイノベーションを促進しこそすれ、阻害することはないことを示したい」という。

調査結果はまだ公式発表の前の段階だが、インドのGoogleにとって最新の挫折となる。同社はその他にも複数反トラスト調査に直面しており、現在成長途上にある国産スタートアップや創業者、投資家などからも攻撃されている。

Alliance of Digital India Foundationは350のスタートアップ、創業者、投資家の集団だが、CCIの調査結果を褒めそやし、報告書の内容はインドのデジタルエコシステムのニーズに沿っている、と述べている。

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画像クレジット:MANJUNATH KIRAN/AFP/Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフトがインドのOyoへの出資を正式発表、旅行・ホスピタリティ製品の共同開発へ

Microsoft(マイクロソフト)は、インドのOyo(オヨ)と「複数年にわたる戦略的提携」を締結し、協力して「次世代」の旅行・ホスピタリティ製品および技術を共同開発することとなった。

米国時間9月9日の発表は、7月下旬のTechCrunchの報道を裏づけるものだ。TechCrunchは、MicrosoftがOyoへの投資を交渉中であり、南アジア市場で最も価値のあるインドのこのスタートアップ企業に自社の技術を提供する方法を検討していると報じていた。

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Microsoftは報道発表の中で、Oyoに対しても戦略的な株式投資を行ったことを確認したが、金額については明らかにしていない。2021年8月の規制当局への提出書類によると、MicrosoftはOyoに500万ドル(約5億4900万円)を投資していた。この投資により、Oyoの評価額は96億ドル(約1兆550億円)となる。

Oyoは、クラウドベースのニーズに対応するためにMicrosoft Azureに切り替え「中小規模のホテルや家庭用の店舗を運営する愛用者に利益をもたらす」ソリューションを共同開発するとしている。「この提携の一環として、Oyoは、Oyoプラットフォームを利用する旅行者向けに、プレミアムでカスタマイズされた室内体験などのスマートルーム体験を開発していきます。MicrosoftのAzure IoTを利用したこの体験には、IoTで管理されたスマートロックやバーチャルアシスタンスに加えて、到着・出発のデジタル登録やセルフのKYC(Know Your Customerの略、本人確認)でサポートされたセルフチェックインが含まれています」。と同社は語る。

Microsoftインドの社長であるAnant Maheshwari(アナント・マヘシュワリ)氏は「Azureのパワーと、Oyoが開発した技術と製品スタックを組み合わせることで、旅行とホスピタリティにおけるイノベーションを加速できることを楽しみにしています。どのようにMicrosoftのクラウドが、Oyoのようなデジタルネイティブに力を与え、業界の変革とイノベーションを加速させ、パンデミック後の時代の課題を未来のチャンスに変えていくのかを見るのは刺激的です」と述べている。

Oyoは、インド、東南アジア、ヨーロッパ、米国に展開する世界最大級のホテルチェーンとして台頭してきたが、積極的な拡大を追求する中で「有害なカルチャー」、ガバナンスの欠如、多くのホテルオーナーとの関係など、いくつかの失策がその成長に傷をつけてしまった。

ホテルオーナーとの関係を改善することを誓った矢先、パンデミックが到来。これを受けてOyoは成長を鈍化させ、2021年初めには世界各国でロックダウンが実施される中、世界中で数千人の従業員をレイオフした。

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パンデミックは、創業7年目のスタートアップに「サイクロン」のように襲いかかったと、CEOのRitesh Agarwal(リテシュ・アガーワル)氏は7月にBloomberg TVに語っている。「何年もかけて作ったものが、たった30日で60%以上も崩れてしまったのです」と述べ、株式公開を検討するかどうかは決めていないと付け加えた。

Airbnb(エアビーアンドビー)に支えられたOyoは、7億8000万〜8億ドル(約857億〜878億9000万円)の資金を持っており、すべての事業の「月次損失」を400万〜500万ドル(約4億3900万〜5億4900万円)に抑えていると、アガーワル氏は最近のオンラインカンファレンスで述べた(同社は、2020年12月には約10億ドル[約1098億円2200万円]の銀行残高があった)。

7月、つまり前述のカンファレンスでアガーワル氏が発言した後、Oyoは6億6000万ドル(約724億8200万円)の負債を受けたと発表した。この件に詳しい人物によると、その負債は以前の負債の返済に充てられたという。

Microsoftとしては、Oyoは同社が国内で行ってきたいくつかの戦略的投資の中で最も新しいものだ。同社は南アジア市場において、ニュースアグリゲーターであり短編動画プラットフォームのDailyHunt(デイリーハント)、電子商取引大手のFlipkart(フリップカート)、物流SaaS企業のFarEye(ファーアイ)など、数多くのスタートアップ企業を支援してきた。

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画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

100万人以上の学生が参加するインドの海外留学プラットフォームLeapが約61億円調達

サンフランシスコとベンガルールに本社を置き、インドの学生が海外で適切な大学を見つけたり、入学試験の準備をしたり、またビザやローンの確保を支援している創業2年目のスタートアップ企業Leap(リープ)は、米国時間9月8日に、複数の著名なEdtech支援者から新たな資金調達ラウンドで5500万ドル(約60億6200万円)を調達したと発表した。

Leapは、Owl Ventures(オウル・ベンチャーズ)が主導する新しい資金調達ラウンドで5500万ドル(約60億6200万円)を調達した。今回のシリーズCラウンドには、ベンチャーファンドの出資者として有名なHarvard Management Company(ハーバード・マネジメント・カンパニー)も参加している。既存の投資家であるSequoia Capital India(セコイヤ・キャピタル・インディア)とJungle Ventures(ジャングル・ベンチャーズ)もこのラウンドに参加しており、2021年3月のシリーズBに続くもので、Leapの累計調達額は7500万ドル(約82億7000万円)を超えることとなった。

Leapの共同創業者であるArnav Kumar(アルナブ・クマール)氏は、TechCrunchの取材に対し、同社が、EdtechとFintechが交差するカテゴリーに位置づけられると語ってくれた。Leapは、インドの学生が海外で入学するのに適した大学を見つけるのを支援し、さらに、留学して生活するためのビザと資本を確保することも支援している。

このスタートアップが開拓しているのは、とてつもなく巨大な市場だ。

毎年、何十万人ものティーンエイジャーや若者が、高等教育を受けるためにインドから異国の地へと旅立っている。Sequoia Capital IndiaのマネージングディレクターであるAshish Agrawal(アシシュ・アグラワル)氏は「インドの学生の海外で勉強したいという願望は、これまで以上に強くなっています」と述べている。

しかし、彼らはさまざまな問題に直面している。その中には、異国の地に降り立った後に現れる問題も含まれている。

彼らは現地でのクレジットヒストリーがないため、ローンやクレジットカードなどのさまざまな金融サービスを利用することができない。もしくは、少なくとも割増料金を支払うことを強いられている。銀行などの金融機関にとっては、外国人客を相手にするとリスクが高まるため、料金が高くなるのだ。例えば、米国に留学しているインド人学生は、13%以上の金利でお金を借りており、これは、現地の学生の2倍近い金利を支払っていることになる。

Leapは、彼らが生成したインド国内でのデータ(代替データと派生データ)を評価し、学生に適正な金利でローンを付与することで、その金融面での問題に取り組んでいる。

しかし、金融は同社が提供するサービスの1つに過ぎない。このスタートアップは、学生が国際的な高等教育を受けられるようにするための、より広範なインフラとも呼ぶべきものを提供できるよう積極的にサービスの拡大を進めている。

Leapは、100万人以上の学生が参加し、学生同士がアドバイスをしたり、方法を模索したりすることができるコミュニティを構築している。Leapによると、コミュニティが過去1年半の間に6万人以上の学生の留学を手助けし、秋には最も好調なシーズンを迎えたばかりだ。

左からヴァイブ・シン氏とアルナブ・クマール氏(画像クレジット:Leap Finance)

前回の取材以降、Leapはさまざまな面で力強い成長を遂げているとクマール氏はいう。そのコミュニティは成長し(毎月10万人の学生が加わっている)、試験準備アプリはますます人気を博し、中核となる金融サービスも急成長しているという。

さらに、留学生が海外の大学に入学した際に、インターンシップの準備や獲得を支援するサービスを拡充することで、留学生が直面するもう1つの課題解決に努めている。

今回の資金調達により、Leapは中東や東南アジアなどの国際市場への進出を計画しており、学生が20カ国で高等教育を受けられるよう支援していくと、以前ベンチャーファンドのElevation Capital(エレベーション・キャピタル)で副社長を務めていたクマール氏は述べている。

「Leapは、学生のための卓越した留学プラットフォームになることを目指しています。海外教育市場は断片的であり、1つですべてが完結するソリューションというのは存在しません」と、Owl VenturesのマネージングディレクターであるAmit Patel(アミット・パテル)氏は声明の中で述べている。

「学生にとっては、どこから準備を始めればよいのか、どの大学をターゲットにすればよいのか、教育費をどのように捻出すればよいのか、非常に混乱していると思われます。Leapは、このような学生の準備や資金調達のニーズをすべて満たす、包括的なプラットフォームを構築しています。Owl Venturesは、Vaibhav(ヴァイブ)氏、Arnav(アルナブ)氏、そしてLeapチームとのパートナーシップを深め、1人でも多くの学生に海外留学を実現していきたいと考えています」と彼は述べている。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

10億件以上の配送実績を持つインド物流システムのデジタル化を進めるDelhiveryが約84億円調達

インドの物流サービス企業であるDelhivery(デリバリー)は、今後2四半期以内に予定されているIPOを前に、さらに1人の著名な投資家から支援を取り付けた。Lee Fixel(リー・フィクセル)氏のAddition(アディション)だ。

グルガオンに本社を置くDelhiveryは、Additionが同社に7640万ドル(約84億円)の出資を行ったことを規制当局に届け出た。市場情報会社のTofler(トフラー)が明らかにしたこの申請書によると、今回の新たな投資はシリーズIラウンドの一部であるという。Delhiveryはこれまでに、Additionの投資額のみを公開している。

10年前に設立されたこのスタートアップ企業は当初、フードデリバリー会社としてスタートしたが、後にインドの2300以上の都市と1万7500以上の郵便番号を対象としたフルスイートの物流サービスにシフトした。同社は、貨物取引プラットフォームを通じて、物流市場における需要と供給のシステムをデジタル化しようとしている数少ないスタートアップ企業の1つだ。

今回の新たな投資は、Delhiveryが2億7700万ドル(約304億6000万円)の資金調達を完了させ、またそれとは別にFedEx(フェデックス)の子会社が1億ドル(約110億ドル)を同社に投資したことが発表されてから、数カ月後に行われたものだ。Delhiveryは2021年前半に、今後6~9カ月以内にIPO申請を行うことを検討していると述べていた。

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Delhiveryのネットワーク 画像クレジット:Bernstein

Delhiveryはインド最大の物流企業の1つである。同社のプラットフォームは荷主、エージェント、そして陸路輸送ソリューションを提供するトラック事業者を結びつける。Delhiveryによれば、そのプラットフォームはブローカーの役割を軽減し、(Delhiveryにとって最も人気のある輸送手段である)トラック輸送などの資産をより効率的に運用して、24時間体制のオペレーションを可能にするという。

このようなデジタル化は、インドの国家経済を長年にわたって停滞させてきた物流業界の非効率性に対処するために非常に重要である。インドでは、需要と供給の計画と予測が不十分であることから、輸送コスト、盗難、損害、遅延が増加していると、Bernstein(バーンスタイン)のアナリストがインドの物流市場について2021年8月発表したレポートの中で指摘している。

Delhiveryの公式ウェブサイトによると、同社には10億件以上の注文を配送した実績があり「インド最大のeコマース企業や大手企業のすべて」と提携しているとのこと。配送の最後の一歩を受け持つ配達員には、2平方キロメートルを超えることのないエリアが割り当てられており、時間を節約しながら1日に何度も配達を行うことができる。

インドの物流市場のTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)は2000億ドル(約22兆円)を超えると、Bernsteinのアナリストは2021年前半に述べていた。このスタートアップは2020年後半、新型コロナウイルス感染が流行する中、オンラインで買い物をする人が増えたことから、増大する注文需要に対応するため、2年以内に4000万ドル(約44億円)以上の投資を行い、配達隊の規模を拡大することを計画していると語っていた。

インドのスタートアップエコシステムで有名なリー・フィクセル氏は、インドに可能性を見出した最初の国際的投資パートナーの1人だ。同氏が過去10年の間にTiger Global(タイガー・グローバル)を通じて行ったFlipkart(フリップカート)への投資は、この世界第2位のインターネット市場におけるスタートアップエコシステムの成長スピードを加速させた。

それに加えて、フィクセル氏が2020年設立したベンチャー投資会社のAdditionは、すでにインドに注目し始めており、ソーシャル・ネットワークのPublic(パブリック)やネオバンクのJupiter(ジュピター)にも出資している。

フィクセル氏はまた、個人的にもインドのスタートアップ企業に出資を続けている。同氏は現在、ベンガルールを拠点とするコーヒーチェーンのThird Wave(サード・ウェーブ)を支援するための交渉を行っていると、関係者2人が語っている。

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画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

顧客体験のリアルタイムデータから企業の進むべき方向を探るClootrack

人の行動や要求は変わるから、顧客の心を知ることは難しい。しかしClootrackは、どうやらこの難題への答えを見つけたようだ。

同社はこのほど、Inventus Capital IndiaがリードするシリーズAのラウンドで400万ドル(約4億4000万円)を調達したことを発表した。これには、既存の投資家であるUnicorn India VenturesとIAN Fund、Salamander Excubator Angel Fund、そして個人の投資家としてJiffy.aiのCEOであるBabu Sivadasan(バブシ・バダサン)氏が参加した。共同創業者のShameel Abdulla(シャミール・アブドゥラ)氏によると、これで同社の総調達額は460万ドル(約5億円)になるという。

Clootrackは、顧客の体験をリアルタイムで分析し、なぜ顧客が定着しているのか、あるいは去ってしまったのかを把握できるようにする。創業者のシャミール・アブドゥラ氏とSubbakrishna Rao(サブバクリシュナ・ラオ)氏はどちらもIT出身だが、2015年に買収されたアブドゥラ氏の2つめの企業であるJiffstoreで数年前に出会い、2017年にClootrackを起こした。

画像クレジット:Clootrack

B2Cや消費者向けのブランドは、ネットプロモータースコア(Net Promoter Score、NPS)といった顧客満足度指数を使って顧客体験を理解しようとすることが多いが、アブドゥラ氏によると、現在の方法では、そうした体験の「why」がわからないし、遅くて費用が高く、しかもエラーが多い。

「チャネルの数が増えているため、現在の顧客は複数の場所でフィードバックを表現し、語っています。しかも今やその言葉の多くがデジタルであるため、調査をする者もオンライン販売の技術をよく理解していなければなりません」。

Clootrackは、ウェブサイトのフィードバックやチャットボットなど、すべてのファーストパーティおよびサードパーティのタッチポイントから得ることができるカスタマーエクスペリエンスデータを、粒度の高い定性的なインサイトに変換する。これによりブランド数カ月後ではなく数時間後に体験の推進要因がわかるようになるため、それらへの対応も早くなり、急速に変化するトレンドの波の頂点に常に立っていられるようになる。

アブドゥラ氏が指摘するデータによると、ブランド乗り換えの最大の要因は、顧客の体験そのものだ。そしてブランド乖離を5%減らすことができれば、利益は25%から最大で95%増加する。

今回得られた資金の多くは、すべての潜在的なタッチポイントからの顧客体験データを集められるように、プロダクトの能力を強化することに投じられる。彼の究極の目標は「B2Cプラットフォームのための唯一のプラットフォーム」になることだ。

現在の同社は、リテールやD2C、銀行、自動車、旅行、モバイルアプリによるサービスなど150社以上の顧客がいる。売上は前年比9倍で伸びている。主な市場はインドだが、米国とヨーロッパにも企業を立ち上げようとしている。

InventusのマネージングディレクターParag Dhol(パラグ・ドール)氏によると、彼はアブドゥラ氏を5年以上前から知っている。かつてアブドゥラ氏の企業に投資しようとしたが、InventusはシリーズAの投資家だったのでやめた。ドール氏によると、米国に比べて相当遅れているため、インドではマーケティングリサーチの改革が必要だという。

「シャミール(・アブドゥラ)は営業の経験が豊富で、連続起業家としても多くを学んでいるためCEOとして完璧だ。そして、サブバクリシュナ(・ラオ)は技術に強い。CMOたちは自分のデータベースにある顧客のレビューなど、非定型データの価値をよく知っているから、リアルタイムのフィードバックに魅力を感じる。だからこの2人は、今後この分野に大きな影響を与えるだろう」とドール氏はいう

画像クレジット:Mykyta Dolmatov/Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

インドのミレニアル世代に投資の機会を与える「Jar」に投資家が注目

インドでは何億人もの人たちが銀行口座を持っているが、金融商品に投資している人はごくわずかだ。

例えば投資信託や株式に投資しているの人は3000万人に満たない。近年いくつかのスタートアップが、ユーザー、特にミレニアル世代のユーザーが投資しやすくなる環境をつくっているが、それでも数字はあまり変わっていない。

そんな中、あるインドのスタートアップがこの課題に挑戦するソリューションを見つけたと信じてサービスを立ち上げ、すでに良い感触を掴んでいる。

モビリティのスタートアップであるBounceの元ディクター、Nishchay AG(ニシュチェイ・エージー)氏と、Marsplay(マーズプレイ、後にFoxyに売却)の共同ファウンダーであるMisbah Ashraf(ミスバー・アシュラフ)氏は、2021年初めにJar(ジャー)を設立した。

公開から3カ月の社名を冠したAndroidアプリを使って、ユーザーは最低1インドルピー(約1.5円)から貯蓄を始めることができる。

Jarのユーザーは複数の方法で投資が可能で、数秒で始められる。アプリは電子決済のPaytm(ペイティーエム)と組んで定期的支払いを設定できる(PhonePe[フォンペ]のサポートも開発中)。同社はUPI 2.0定期支払いをサポートした最初のスタートアップで、貯蓄額は1日あたり1~500インドルピー(約1.5〜753円)の間で設定できる。

Jarアプリは、ユーザーのテキストメッセージを見て、それぞれの取引に応じて微小な金額を貯蓄する。例えばユーザーがある取引で31ルピー(約46.7円)使うと、Jarアプリは金額を10の位に切り上げて(この場合40)差額の9ルピー(約13.6円)を貯める。ユーザーは自分でアプリを立ち上げて自由な金額を投資することもできる。

ユーザーが一定金額をJarに貯めると、アプリはそれをデジタルゴールド(金)に投資する。

同社が金投資を使うのは、南アジア市場の人々がこの資産クラスに絶大な信頼を置いているためだ。

インドの人々には金に魅せられる独特の気持ちがある。地方の農民から都市の労働階級まで、ほぼすべての人がこの黄色い金属を隠し持ち、結婚式で宝石を誇示する。

インドの世帯には推定2万5000トンの貴金属がしまい込まれており、その価値はこの国の名目GDPの約半分にあたる。インドのこうした金需要によって、この南アジアの国は金の世界最大級の輸入国になっている。

JarのAndroidアプリ(画像クレジット:Jar)

「もし、次の5億人に機関投資を勧めることを考えるなら、市場に存在するその他の手段の有効性について説明することが私たちの責務です」とニシュチェイ氏は言った。

「私たちはお客様が最も信頼している道具を提供します、それが金です」と彼はいう。スタートアップはいずれ他の投資方法もいくつか提供する計画だ。

ファウンダーの2人は数年前、MarsPlayとBounceが何かシナジーを起こせないか両者が探っていたときに出会った。彼らは連絡を取り続け、2020年数多くの会話の中で、どちらも投資についてよく知らなかったことに気づいた。

「点と点が繋がり始めたのはその時でした」とミスバー氏はいい、子ども時代の話を語った。「私はビハール州の小さな町、ビハール・シャリーフの出身です。子ども時代、家族は深刻な借金に苦しんでいて、それは誤った金銭判断と貯蓄のないことが原因でした」と彼は語った。

「2人とも、典型的中流家庭がどんな道をたどるのかを理解しました。この階級の人たちは過去に何の手段をもったこともありませんが、その願望には終わりがありません。このため、一度稼ぐようになった人は、すぐに全部使ってしまいます」とニシュチェイ氏は言った。

「市場には、この人たちがスタートを切るのを手助けする製品が必要です」と彼はいう。

米国市場でAcorn(エイコーン)とStash(スタッシュ)がやっていることに似たそのアイデアは、受け入れられ始めている。アプリはすでに約50万ダウンロードを数える、とファウンダーたちはいう。投資家も注目している。

9月1日水曜日、Jarは450万ドル(約5億円)の資金調達を終え、Arkam Ventures(アーカム・ベンチャーズ)、Trive Capital(トライブ・キャピタル)、WEH Ventures(WEHベンチャーズ)らの著名投資家の他、Kunal Shah(クナル・シャー)氏(CREDのファウンダー)、Shaan Puri(シャーン・プリ)氏(元Twitch)、Ali Moiz(アリ・モイズ)氏(Stonksのファンダー)、Howard Lindzon(ハワード・リンゾン)氏(Social Leverageのファウンダー)、Vivekananda Hallekere(ヴィヴェカナンダ・ハレケー)氏(Bounceのファンダー)、Alvin Tse(アルビン・ツェ)氏(Xiaomi)、およびKunal Khattar(クナル・カッター)氏(AdvantEdgeのマネージング・パートナー)らのエンジェル投資家が参加したことを発表した。

「Jarのビジョンは、健全な財政へのミレニアル世代のニーズを、卓越したプロダクトイノベーションでいかに満たすかという当社の命題と共鳴します。ファイナンシャルプランニングと投資の非常に魅力的な市場において、ユーザーの行動を強く駆り立てるJarの能力に感銘を受けています」とラウンドをリードしたArkam Venturesのマネージングディレクター、Rahul Chandra(ラフール・チャンドラ)氏が声明で語った。

Jarアプリの取引量とAUM(受託資産)は毎月350%のペースで増えている、とニシュチェイ氏はいう。近いうちに提供サービスを増やすつもりだと同氏は述べた。

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中国TencentがインドのPocket FMの投資ラウンドをリードへ、最大27億円規模か
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画像クレジット:Jar

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国TencentがインドのPocket FMの投資ラウンドをリードへ、最大27億円規模か

Tencent(テンセント)が、インド・グルグラムに本社を置くPocket FM(ポケットエフエム)の投資ラウンドをリードする交渉が進んでいる。中国の大企業がインドマーケットで消費者インターネットのポートフォリオを拡大する最新の動きだ。

この件を把握している情報筋3人によると、すでにPocket FMに出資しているTencentはPocket FMの2000万〜2500万ドル(約22億〜27億円)のラウンドをリードすることで協議を進めている。提案された創業3年になるPocket FMの評価額は7500万〜1億ドル(約82億〜110億円)だと情報筋2人は述べた。既存投資家であるTimes InternetのBrand CapitalとLightspeedもラウンドに加わる。

ラウンドはまだクローズしていないため、条件は変わり得る。TencentとPocket FMはコメントを却下した。

Pocket FMは、ユーザーにポッドキャストとオーディオブックを英語やいくつかのインドの言語で提供する社名を冠したアプリを展開している。カタログは1万時間超にのぼると同社のウェブサイトにはある。オーディオブックを制作するのに同社は数人のクリエイターと協業している。

アプリはフリーミアムモデルで利用でき、有料のサブスクと広告が入る無料バージョンが用意されている。

今回の投資協議は、幅広いインドのスタートアップがオーディオ部門で事業を開始したり拡大したりしている中でのものだ。たとえばインドのソーシャルネットワークShareChatは2021年初めにClubhouseのような機能を立ち上げた。

Pocket FMはTencentがインドの消費者インターネット分野に賭ける最新の案件だ。Tencentはまた、音楽ストリーミングサービスのGaana、オンデマンドビデオストリーミングプレイヤーMX Playerの主要投資家でもある。

インド政府が中国企業によるインド企業への投資を許可制にする規則を導入したことを受け、Tencentは2020年にインドでの投資のペースを抑制した。ここ数四半期は活発になり、コンバーチブルノート付きの株式の代わりに社債を通じて投資している。

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画像クレジット:Arijit Sen / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

IPOを控えたソフトバンク出資のインド発ホテルチェーン「Oyo」にマイクロソフトが出資

今週明らかになった規制当局への提出書類によると、Microsoft(マイクロソフト)はインドの格安ホテルチェーン「Oyo(オヨ)」に500万ドル(約5億5000万円)を出資した。この投資は、7月のTechCrunchのスクープを裏付けるものだ。

この新たな投資によりOyoの評価額は96億ドル(約1兆540億円)となり、インドのスタートアップである同社が2019年に行った前回の資金調達ラウンドでの暗示的な企業評価、100億ドル(約1兆980億円)をわずかに下回っている。パンデミックの影響でビジネスを大幅に失ったこのスタートアップは、最大の投資家のひとつであるソフトバンクから、最近の四半期ではわずか30億ドル(約3295億円)と評価されていた。

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TechCrunchは以前、この戦略的投資により、OyoがMicrosoftのクラウドサービスの利用にシフトする可能性もあると報じた。この件に詳しい2人の情報筋によると、同社は2021年後半にIPOを申請する予定だという。

インドで最も価値のあるスタートアップ企業の1つであるOyoは、近年、東南アジア、欧州、米国など多くの市場に積極的に進出している。しかし、「有害なカルチャー」、ガバナンスの欠如、多くのホテルオーナーとの関係など、いくつかの失策がその成長を傷つけた。

同社がホテルオーナーとの関係を改善すると誓約した矢先、パンデミックが発生した。それを受けてOyoは成長を減速し、世界各国でロックダウンが実施される中、2021年3月には世界で数千人の従業員を解雇した。

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Ritesh Agawal(リテシュ・アガーワル)CEOは2021年7月、パンデミックは創業7年のスタートアップである同社をサイクロンのように襲った、とBloomberg TVに語っていた。「何年もかけて作り上げてきたものが、たった30日の間に60%以上崩壊しました」と同氏は語り、株式市場への参入については何も決断していないと付け加えた。

Airbnbが支援するOyoは、銀行に7億8000万〜8億ドル(約856億〜878億円)の残高があり、全事業の支出を毎月400万〜500万ドル(約4億4000〜5億5000万円)に削減したと、アガーワル氏は最近のバーチャルカンファレンスで述べた(2020年12月時点で同社の預金残高は約10億ドル[約1098億円]だった)。

7月、アガーワル氏が上記のカンファレンスでコメントした後、Oyoは負債によって6億6000万ドル(約725億円)を調達したと発表した。本件に詳しい関係者によると、その借金は以前の負債の返済に充てられたという。

2社間の取引が実現すれば、Microsoftにとってインドのスタートアップへの最新の投資になる。同社はこれまでにも、ニュースアグリゲーターと短編ビデオプラットフォームのDailyHunt(デイリーハント)、eコマースの巨人Flipkart(フリップカート)、物流SaaSのFarEye(ファーアイ)など、南アジア市場のスタートアップをいくつか支援してきた。

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画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Twitterがインド最大与党のアカウントを停止

Image Credits: Waseem Andrabi / Hindustan Times / Getty Images

Twitterは、インドの最大野党であるIndian National Congressが同社が定めたルールに違反したとして同政党のアカウントを停止した。

Indian National CongressはFacebookのポストでこの件についてコメントした。

「リーダーが投獄されても、我々は臆することがなかった。Twitterのアカウントが停止されたところで、なぜ恐れる必要があるだろうか。我々はIndian National Congressである。これこそが国民に対するメッセージであり、我々は戦い続ける。レイプの被害にあった少女を擁護する声を上げることが犯罪なのであれば、我々はその罪を何百回と犯すことだろう。Jai Hind… Satyamev Jayate(翻訳者注:それぞれインドへの敬礼、真実のみが勝つの意)」。

Congressのソーシャルメディア部門長であるRohan Gupta氏は、今回の件によってTwitterはインド人民党(現在の与党)による統治の容認に傾いたと話した。また、Congressのリーダーたちの中にもTwitterのアカウントが停止された者がいるとも付け加えた。

Twitterは声明を発表し、同社のルールは賢明な判断に基づき、すべてのユーザーに対して平等に適用されているとしている。

Twitterのスポークスパーソンは、「我々が定めたルールに抵触する画像を含んだ数百のツイートに対して、積極的な行動を起こしました。今後もルールに則り同様の対応を行っていきます。プライベートな情報の中には、他者のリスクにつながりかねないものもあります。私たちの目標は、個人のプライバシーや安全を保障することです。私たちはすべてのユーザーに対して、Twitterのルールに精通していただき、それに抵触するものを報告していただくことを強く推奨しています」と話している。

Indian National Congressのアカウント停止によって、米国企業に対する批判が高まった。インドの政党の1つ、全インド草の根会議派のDrerek O’Brien氏は「我々はIndian National Congressやそのリーダーたちのアカウント停止について、強く非難する」とコメントした。

2021年8月にも、TwitterはIndian National Congressの前党首であるRahul Gandhi氏のアカウントを停止した。レイプされ殺害されたとされる9歳の女の子が家族と写した写真をツイートしたためだ。同社はインド法定機関であるNational Commission for Protection of Child Rightsから、同ツイートは被害者のプライバシー侵害にあたるとの指摘を受け、上記の対応を行ったとされる。

多くの米国企業がビジネスを行うインドでのこの一件はTwitterにとって頭痛の種となっている。

インド政府との数か月間に及ぶ協議の末、Twitterは2021年5月から施行されたインドの新しいIT関連法に準拠するとされる

Twitterは新しい法律を遵守するための準備期間として数か月間の猶予を持たせることをインド政府に要求している。この問題に対処するための人員を確保するためだ。インド政府は、500万人以上のユーザーを抱えるすべてのWebサービスに同法律の遵守を求めている。

これにより、これまであったインド政府とTwitter間の緊張は和らぐと考えられている。Twitterは2021年5月、インド与党に所属するSambit Patra氏のツイートを「操作されたメディア」とラベル付けを行った。それに対し、インド警察の対テロ部隊がTwitterがインドに構える2つの拠点を調査し、Patra氏のツイートが「操作された」ものであると結論づけた同社の情報を調査した。当時Twitterは、「インドにいる従業員の安全を危惧するとともに、これが表現の自由を侵害する事象になりうると危惧している」と話していた。

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日本の技術系人材サービス大手テクノプロがインドの老舗アプリ開発会社Robosoftを約119.4億円で買収

インドに本社を置くデジタルソリューションメーカーのRobosoft Technologies(ロボソフト・テクノロジーズ)はインド時間8月10日、日本のITサービス企業であるTechnoPro(テクノプロ)に1億800万ドル(約119億4000万円)で事業を売却することで最終合意に達したと発表した。

1996年に設立されたRobosoft Technologiesは、Macプラットフォームに特化したソフトウェアサービス会社としてスタートし、その後、アプリ開発サービスを提供していた。

Robosoftは、世界で最も早くApple(アップル)からMac OS開発者として認定された企業の1つであり、それ以来、数十年にわたりiPhoneメーカーから繰り返し認定を受けている。

「iPhoneが発売され、App Storeのエコシステムが構築されたことで、モバイルが大きな意味を持つようになると我々は早くから認識していました。それから世界中のクライアントのためにモバイルアプリを作り始め、迷うことなく進んできました」と同社はウェブサイトで述べている。

Ascent Capital(アセント・キャピタル)やKalaari Capital(カラアリ・キャピタル)が出資しているRobosoftは、ゲーム、ニュース、スポーツ、ユーティリティ、ライフスタイルなどの分野で顧客を持ち、さらにプロダクトアドバイザリー、デザイン、エンジニアリング、アナリティクスのためのツールなど、提供するサービスを拡大してきた。

例えば、インドのニュースネットワークであるニューデリーテレビ会社(NDTV)のオリジナルアプリは、Robosoftが開発したものだ。Robosoftのクライアントには、メディア大手のViacom(バイアコム)インドのマクドナルドなどが含まれる。同社は米国や中東にもクライアントを持っている。

2017年以降、Robosoftは自社を「デジタルソリューション」企業として位置づけようとしている。

Robosoftは8月10日に発表した声明の中で、現在の経営陣が引き続き同社を率いていくと述べた。同社の創業者兼マネージングディレクターであるRohith Bhat(ロヒス・バット)氏は次のように述べている。「Robosoftは過去20年間に驚異的な旅をしてきており、その間に飛躍的な成長を遂げました。Ascent CapitalおよびKalaari Capitalとの提携が当社にとって力強い成長期を切り拓いた後に、テクノプロのようなグローバルプレイヤーに会社の手綱を渡すことができて大変うれしく思っています」。

東京証券取引所に上場しているテクノプロ・ホールディングスの代表取締役社長兼CEOである八木毅之(やぎ・たけし)氏は、「テクノプロとRobosoftの間には非常に大きな相乗効果があると期待しており、Robosoftの次の成長段階において、緊密な協力関係を築くことを楽しみにしています」と述べている。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:テクノプロRobosoft Technologies日本インド買収AppleアプリiOS

画像クレジット:Arijit Sen / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

今のツイッターはインドの新しいIT規則に従っていると印政府が発言

Twitter(ツイッター)は現在インドの新しいIT規則に準拠している、米国時間8月10日にインド政府が裁判所に伝えた。米国のソーシャルメディアとその重要海外市場との間に続いていた数カ月にわたる緊張の緩和が期待されている動きだ。

インド政府の代理人を務める弁護士が、Twitterの最近の行動(最高コンプライアンス責任者、ノード担当対応者、および常勤苦情対応責任者の任命)は、同社が新しい規則に準拠していることを「明確に」示すものだと現地の最高裁判所に伝えた。

インドのTwitter広報担当者はテキストメッセージにすぐには返信しなかった。

インドの新IT規則は、2021年2月に発表され、有力ソーシャルメディア企業がこの国における根拠ある懸念に対応する責任者を任命することを義務化した。

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FacebookとGoogle(グーグル)は、この規則が南アジア市場で施行された5月に要件を満たしている

一方Twitterは、インド政府が好ましくないと判断したいくつかのツイートをブロックしなかったことでインド政府から非難されていた。新しい規則に準拠するためにはさらに数カ月が必要であると要求し、その間は必要とされた役割に一時的スタッフを充てた。

数カ月の間に両社間の緊張は高まった。Twitterは2021年5月、与党BJP(インド人民党)の広報官Sambit Patra(サンビット・パトラ)氏のツイートを「操作されたメディア」とラベル付けした。数日後、テロその他の犯罪を捜査していたインド警察は、パトラ氏のツイートが操作されている判定したTwitterの論拠に関する情報を調べるために、同国の2カ所のTwitter事務所を不意に訪れた

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当時Twitterは「インドの当社従業員におきた最近の事象および当社がサービスを提供している人々の表現の自由に対する脅威の可能性を懸念している」と語った。

同社の新IT規則に対する遅々とした動きは、同国における免責措置の喪失という結果を招いたインド政府は語った。また政府はTwitterに対し、同社が新法を「完全に無視」していると警告した。

インターネットサービス会社は、テック・プラットフォームはユーザーが投稿したりオンラインでシェアした内容に責任を問われない、とするいわゆる「セーフハーバー」ルールの恩恵に預かっている。

Twitterはインドの何人かの閣僚からも公に批判を受けた。

「どんなメディアプラットフォームもインドでビジネスを行うことを歓迎します。相手がRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)であれ、私たちの首相であれ、他の誰であれ非難することは可能です。問題はソーシャルメディアの誤った使い方です。中には私たちが米国法に縛られているという人もいます。インドで事業を行い、結構な稼ぎを得ながら、米国法に支配された立場をとる。これはどう考えても受け入れられません」と、2021年7月に辞任するまでインドのIT大臣だったプラサッド氏が7月のバーチャル会議で語った。

新しい規則では、暗号化されたメッセージングサービスを運用する大手ソーシャルメディアは、特別な場合にはメッセージの発信元を追跡できる方法を考案することも要求されている。Facebook傘下のWhatsApp(ワッツアップ)やSignal(シグナル)をはじめとする何社からはこの要求を満たしていない。WhatsAppはこの要求を巡ってインド政府を訴訟した

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterインドSNSソーシャルメディア

画像クレジット:Nina Riggio / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

コロナ学校閉鎖でEdTech激戦地と化したインドのupGradがユニコーン企業の仲間入り

ベンガルールを拠点とする、高等教育およびスキルアップコースに特化したEdTechスタートアップのupGrad(アップグラッド)は、インド時間8月9日に実施された1億8500万ドル(約204億円)の資金調達ラウンドで評価額が12億ドル(約1324億円)に達した。これは、世界第2位のインターネット市場であるインドで、グローバル投資家が同国の企業に記録的な資金を投入している中でのことだ。

今回の資金調達ラウンドは、シンガポールの政府系ファンドTemasek(テマセク)が主導し、世界銀行の国際金融公社(International Finance Corporation, IFC)とIIFLが参加した。シリーズが特定されていないこのラウンドの最初のトランシェ(約1億2000万ドル、約132億円)は、2021年4月に6億ドル(約661億5000万円)以上の評価額で完了していた。

upGrad共同創業者のRonnie Screwvala(ロニー・スクリューバラ)会長は、声明の中で「資金調達を開始して以来、投資家の方々の関心が高まっていることに満足しています。この60日間で、Temasekから最初の出資を得たのち、続いてIFC、IIFLからも資金調達を行いました」と述べている。

創業6年目のupGradは、ここ数カ月の間に国際市場での展開を推し進めており、ミシガン州立大学、インド工科大学マドラス校(IIT Madras)、インド工科大学デリー校(IIT Delhi)、Swiss School of Business Management(ジュネーブ)などの大学と連携して、データサイエンス、機械学習(ML)、人工知能(AI)、ブロックチェーン、金融、プログラミング、法律などの分野で100以上のコースを学生に提供している。

画像クレジット:upGrad

同社によればこれまでに、40カ国以上から100万人以上のユーザーがこのプラットフォームのコースにアクセスしているという。upGradのウェブサイトによると、6万2000人以上の有料受講者がいるとのこと。これらのコースの費用は3300~6750ドル(約36万〜74万円)で、期間は6カ月~2年だ。

インドではパンデミックによる学校閉鎖の影響で学習のオンライン化が進んでおり、upGradはインドの数多くの教育関連スタートアップの中でも、ここ数四半期で急成長を遂げている企業の1つだ。

ソフトバンクとTiger Global(タイガー・グローバル)が出資するUnacademyは、8月2日に発表した4億4000万ドル(約485億円)の資金調達で34億4000万ドル(約3795億円)と評価された。GGV Capitalが支援するVedantuは、同社がユニコーンの称号を得るであろう新ラウンドの最終調整に向けて交渉が進んでいると、先にTechCrunchが報じている。過去1年ほどで15億ドル(約1655億円)以上を調達したByju’s(バイジュース)は、インドで最も価値のあるスタートアップだ。

スクリューバラ氏は、upGradはこの新たな資金を活用して、M&Aの機会を探ると述べている。同氏は南アジア市場におけるケーブルテレビ事業の先駆者であり、ボリウッドの大ヒット作品もいくつか制作した人物だが、2013年には自身が所有するエンターテインメントコングロマリットUTVを企業評価額14億ドル(約1545億円)でディズニーに売却した。

2020年にユニコーンとなったインドのスタートアップ企業は11社あったが、それから増し、upGradは2021年21社目のインド発ユニコーンだ。最近では、Tiger Global、SoftBank Vision Fund 2(SVF2、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)、Falcon Edge、Temasekなどの著名投資家が、インドへの投資を倍増させている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:インドupGradユニコーン企業資金調達オンライン学習

画像クレジット:SUJIT JAISWAL / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インド最高裁がFutureとRelianceの3740億円の取引を停止する判決、アマゾンを支持

インドの最高裁判所は現地時間8月6日、Amazon(アマゾン)を支持し、Reliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)へのFuture Group(フューチャー・グループ)売却を停止する判決を下した。これは、米国の電子商取引大手が海外の重要市場で大きな勝利を収めたことを意味するとともに、インドの大富豪Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏にとっては打撃となった。

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インド最高裁は、シンガポールの仲裁裁判所が2020年下したインドの大手2社間の取引を停止させる判決がインドで強制力と法的拘束力をもつと述べた。

今回の裁判所の命令は、国内第2位の小売チェーンを運営し、資金に飢えているFuture Retailにとって、また1つ後退となった。

インド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテール)は1年前、Future Groupとの間で、同グループの小売・卸売事業および物流・倉庫事業を34億ドル(約3740億円)で買収することで合意したと発表していた。

まもなく事態は複雑になり始めた。2年前にFuture Groupのある部門に出資していたAmazonが、同グループの契約違反を訴え、シンガポールの仲裁人にインド企業間の取引停止を打診したのだ。

AmazonとFuture Retail(フューチャー・リテール)の契約上、AmazonにはFuture Retailの株式に関して優先購入権があったとAmazonは主張している。

これに対しインド企業2社は2020年、シンガポールの裁判所命令は南アジア市場では有効ではないと主張した。さらに、インドの監視機関であるインド競争委員会は、2020年、そのインド企業間の取引を承認した

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Reliance Industriesは当時、Future Retailとの取引はインドの法律に基づき完全に執行可能であり「遅滞なく」取引を完了させるつもりだと述べていた。

インドの400都市で1700の小売店を運営するFuture Retailの株価は8月6日の裁判所命令を受け6%下落し、Reliance Industries(Reliance Retailを経営するコングロマリット)は1.3%下落した。

Amazon、Walmart(ウォルマート)のFlipkart(フリップカート)、そしてインドで最も価値ある企業であるアンバニ氏のReliance Industriesは、インドの小売市場を支配すべく激しい戦いを繰り広げている。

インドの小売市場における電子商取引の比率は3~7%にすぎない。Reliance RetailはAmazonやFlipkartに対抗するために独自の電子商取引事業を立ち上げた。多くの業界アナリストは、報じられているAmazonとReliance Retailとの将来の提携が、Amazonがインドで将来的に成功するために重要だと考えている。

8年前にインドで活動を開始したAmazonは、これまでに65億ドル(約7150億円)以上をインドでのローカルビジネスに投資してきた。

2006年創業のReliance Retailは、インド国内の6500以上の市や町にある約1万2000の実店舗を通じて、(2021年初め時点で)毎週350万人以上の顧客に商品を提供している。

インドで最も裕福な男、ムケシュ・アンバニ氏が経営するこの小売チェーンは、2020年70億ドル(約7700億円)以上を調達した。また、アンバニ氏の別のベンチャー企業であるJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)は2020年、Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)を含む10社以上の著名な投資家から200億ドル(約2兆2000億円)以上を調達した。

カテゴリー:その他
タグ:インドFutureRelianceAmazon裁判

画像クレジット:NOAH SEELAM / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクGも出資するインドのオンライン保険アグリゲーターPolicybazaarがIPOを申請

インドのオンライン保険アグリゲーターであるPolicyBazaar(ポリシーバザール)は、8億900万ドル(約880億円)の資金調達を目指す新規株式公開を申請し、インド市場でこの2カ月の間に公開市場を開拓した4番目のスタートアップ企業となった。

PolicyBazaarは、インドの市場規制当局に提出した書類の中で、5億400万ドル(約550億円)を新株発行によって調達し、残りは既存の投資家による株式の売却によって調達したいと述べている。

SoftBank Group(ソフトバンクグループ)、Falcon Edge Capital(ファルコン・エッジ・キャピタル)、Tiger Global(タイガー・グローバル)、InfoEdge(インフォエッジ)から支援を受ける創業12年目のスタートアップは、IPO前のラウンドで約約1億ドル(約110億円)の調達を検討する可能性があるという。ソフトバンクは2億5000万ドル(約275億円)分の価値の株式を売却する予定で、PolicyBazaarの創業者たちは5270万ドル(約57億4000万円分)の価値の株式の売却を検討していると、書類には書かれている。

PolicyBazaarは、生命保険、健康保険、旅行保険、自動車保険、不動産保険などの保険契約を、従来の代理店を通さずにウェブサイト上で比較・購入できるアグリゲーターとしてサービスを提供している。同社はインドの他中東で事業を展開している。

画像クレジット:PolicyBazaar

インドでは現在、13億人の中で保険に加入している人はごく一部にすぎないものの、このようなサービスを大衆に提供するためには、デジタル企業が重要な役割を果たすとアナリストたちは分析している。格付け会社のICRAによると、2017年の時点で保険商品が行き渡っているのは、インドの人口の3%にも満たないという。

World Bank(世界銀行)によると、平均的なインド人の年収は約2100ドル(約23万円)。2017年に保険商品を購入したことのあるインド人が支払った金額は、平均50ドル(約5500円)に満たないと、ICRAは推定している。

「インドの生命保険市場は、良好なマクロ指標、金融商品やサービスに対する意識の高まり、商品やプロセスのデジタル化と簡素化、オンライン販売網、商品のイノベーションとカスタマイズ、政府の政策や規制による後押しが原動力となり、年率18.8%で成長し、2030年度には31.9兆ルピー(約46兆8000億円)に達すると予想される」と、PolicyBazaarはこの書類の中で述べている。

Bernstein(バーンスタイン)のアナリストは、2021年初めのレポートで、PolicyBazaarはインドのオンライン保険販売市場で90%のシェアを占めていると推定している。このプラットフォームは、インドではAcko(アコ)やAmazon(アマゾン)と競合しており、ローンやクレジットカード、投資信託も取り扱っている。同社によると、毎月100万件以上の保険を販売しているという。

「インドは保険市場が浸透していません。その中で、Policybazaarのようなウェブ・アグリゲーターを通したデジタル販売は、業界の1%未満です。これは大きな成長の余地があるということです」と、Bernsteinのアナリストは顧客に向けて書いている。

7月に上場して見事な成果を収めたZomato(ゾマト)をはじめ、フィンテック企業のPaytm(ペイティーエム)やMobiKwik(モビクイック)も、ここ数週間以内に株式公開を申請している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:インド新規上場PolicyBazaar保険ソフトバンクグループ

画像クレジット:Arijit Sen / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフトがインドのホテルチェーン「Oyo」に投資へ

Microsoft(マイクロソフト)はOyo(オヨ)への出資の最終検討段階に入り、インドのスタートアップを約90億ドル(約9850億円)と評価している、と本件に詳しい筋はいう。提案されている出資規模は不明。契約は7月30日にも締結される可能性がある、とある情報筋は言った。

Oyoは2019年に約100億ドル(約1兆950億円)と評価されたが、同社の主要出資者であるSoftBank(ソフトバンク)は、最近の四半期にインドのスタートアップの評価額を30億ドル(約3280億円)へと減額した。

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提案された取引条件には、OyoがMicrosoftのクラウドサービスに乗り換えることも含まれているという向きもある。いずれの情報筋も本件が非公開であることを理由に匿名を要求している。

MicrosoftおよびOyoのファウンダーでCEOであるRitesh Agawal(リテシュ・アガーワル)氏は 29日時点でコメントを拒んだ。

Oyoはインドで最も価値のあるスタートアップの1つであり、近年東南アジア、ヨーロッパ、米国をはじめとするさまざまな市場に積極的に進出している。しかし、 いくつかの間違い(「有害なカルチャー」、ガバナンスの遅れ、ホテルオーナーとの関係など)が成長に影を落としている。

同社がホテルオーナーとの関係を改善すると誓約した直後に、パンデミックがやってきた。それに対応してOyoは成長を減速し、世界の国々が都市封鎖する中、2021年3月に世界で数千人の従業員を解雇した。

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パンデミックは創業7年のスタートアップをサイクロンのように襲った、と2021年7月初めにアガーワル氏がBloombergTVに話した。「何年もかけて作り上げてきたものがたった30日の間に60%以上崩壊しました」と彼は語り、同社が株式上場の決断をしていないことを付け加えた。

Airbnbが支援するOyoは、銀行に7億8000万〜8億ドル(約854億〜876億円)の残高があり、全事業の支出を毎月500万ドル(約5億5000万円)に抑えていることを最近のバーチャルカンファレンスでアガーワル氏が言った(2020年12月時点で同社の預金残高は約10億ドル[約1095億円]だった)。

7月、アガーワル氏が上記のカンファレンスでコメントした後、Oyoは6億6000万ドル(約723億円)の借入を行ったことを発表した。その借金は以前の負債を支払うために使われたと本件に詳しい人物がTechCrunchに話した。

Oyoは30日の提出書類で、借入の条件に後日株式と交換するオプションが含まれていることを明らかにした。

2社間の取引が実現すれば、Microsoftにとってインドのスタートアップへの最新の投資になる。同社は東南アジア諸国でいくつかのスタートアップを支援しており、その中にはニュース収集と短編ビデオプラットフォームのDailyHunt(デイリーハント)、eコマースの巨人Flipkart(フリップカート)、物流SaaS会社のFarEye(ファーアイ)などがいる。

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カテゴリー:その他
タグ:MicrosoftOyoインドホテル投資

画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドが中央銀行によるデジタル通貨の段階的導入を検討中

インドの中央銀行がデジタル通貨の導入を検討していることが、幹部の発言により明らかになった。これまで調査中としていた中央銀行の意向が初めて明確に示された。

同国の中央銀行であるインド準備銀行(Reserve Bank of India)のT Rabi Sankar(T・ラビ・シャンカール)副総裁は、現地時間7月22日に行われた会合で、インドの中央銀行は、同国で外国為替規則とIT法の改正が行われる間に、国のデジタル通貨を「段階的」に導入することを検討していると語った。

国家に裏づけられたデジタル通貨は、経済の現金への依存度を下げ、より低コストでスムーズな国際決済を可能にし、民間の暗号資産の変動性から人々を守ることができると、副総裁は述べている。

「すべてのアイデアはその時を待たなければなりません。そしてCBDC(中央銀行デジタル通貨)の時は近づいています。我々はリスクを慎重に評価してきました」と、シャンカル氏はシンクタンクのVidhi Centre for Legal Policy(ビディ法政策センター)が開催した会合で聴衆に語った。

シャンカル氏は、インドのデジタル通貨が「世界の決済システムで主導的な地位を繰り返し主張できるように、(計画を)前進させることが中央銀行の努めです」と述べた。

このインド中央銀行トップの発言は、欧州中央銀行が7月中旬に、デジタルユーロの創設につながる24カ月の「段階的調査」を開始し、順調に進めば2025年までに導入すると発表したことを受けてのものだ。

また、同時期に中国の中央銀行は、実証実験を行っているデジタル人民元の取引金額が6月末までに345億元(約5870億円)に達したと発表した。

「各国の中央銀行はデジタル通貨への関心を高めています」と、シャンカル氏は語った。「CBDCは、世界のすべてとまではいかなくとも、ほとんどの中央銀行の武器になるでしょう。そのためには、よく調整された微妙なアプローチが、計画段階でも、ステークホルダーとの協議でも、検討されることになるでしょう」と同氏は述べ、インドの中央銀行は「かなり長い間」国家に裏づけられたCBDCを発行することのメリットとリスクを調査してきたと付け加えた。

「私たちは、世界各国の中央銀行が提案している、卸売および小売市場向けの特定目的CBDCについて調査してきました。人口規模の汎用CBDCの起ち上げも検討しており、インド準備銀行は段階的な導入戦略に向けて取り組み、インドの銀行・金融システムにほとんど影響を与えないユースケースを調査しています」と、シャンカル氏は語った。「しかし、近い将来、卸売および小売市場で試験導入を実施する可能性もあります」。

シャンカル氏は発言の中で、インドの中央銀行がBitcoin(ビットコイン)などの民間暗号資産(仮想通貨)に対する立場を変えていないことも示唆した。

2018年、インド政府の委員会はすべての民間の暗号資産の取引を禁止するよう提言し、違反者には最大10年の懲役を提案した。同委員会はまた、不換紙幣のデジタル版とその導入方法を検討するようにも政府に提案した。

当時、インド準備銀行では、この動きは国内の金融システムの「リングフェンシング(隔離)」を抑制するために必要だと述べていた。また、ビットコインをはじめとする暗号資産は、金属でできているわけでもなく、物理的な形で存在しているわけでもなく、政府によって刻印されているわけでもないので、通貨として扱うことはできないとも主張していた。

「それらは本質的な価値を持たないため、コモディティやコモディティに対する請求権ではありません。金に似ているという一部の主張は明らかに日和見的に思われます」と、シャンカル氏は今回の会合で語った。

2018年の中央銀行による通達は、暗号資産を取引するためのサービスを提供している国内のスタートアップや企業に混乱をもたらした。その後、それらのほぼすべてが、廃業したりあるいは他の市場にサービスを提供するために転業した。

この提案に対し、いくつかの取引所やトレーダーは異議を唱え、最高裁に訴訟を起こした。インドの最高裁は2020年、この禁止令が違憲であると判断し、彼らを支持する判決を下した。この判決は「歴史的」と捉えられたものの、まだ政策レベルでは先の通達に影響を与えていない。その間、インドは民間の暗号資産を禁止する法律を導入する計画があることを示唆している。

2021年初めに下院のウェブサイトで公開された議題では「インドにおけるすべての民間の暗号資産を禁止する」が「暗号資産の基礎技術(ブロックチェーン)とその利用を促進するために、一定の例外を認める」ことを求める法案が提出されている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:インド中央銀行デジタル通貨暗号資産

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)