オープンソースのデータパイプラインプラットフォーム「Airbyte」

大量のデータを扱っている企業であれば、アプリケーションやAPIやデータベースなどのデータ発生源からのデータをデータウェアハウスやデータレイクにコンスタントに送っているだろう。データの抽出、ロード、変換を行うプラットフォームとして、FivetranStitchdataなどがある。

Airbyteは、オープンソースのデータパイプラインプラットフォームを開発している。FivetranやStitchdataのオープンソースによる代替システムが興味深いのは、コネクタの作成とメンテナンスに大量のリソースを必要とするためだ。とりあえずデータパイプラインを作ったが、大きなチームがない、という状況ならエントリーは難しい。

確かに既存のデータパイプラインも、SalesforceやStripe、Marketo、SendGridといった多くの人気ソースや、RedshiftやSnowflake、BigQueryといったデスティネーションとの何十という統合をすでに提供している。

しかし従来型のデータパイプラインプラットフォームでは、サポートされていない小さなサービスがたくさんある。それらすべてをインポートできないのであれば、ビジネスの部分的な姿しか把握できないかもしれない。

そこで多くの企業が、自分たちのアプリケーションのためにカスタムされたコネクタを開発し、提供している。Airbyteはオープンソースのアプローチにより、ユーザーのコミュニティを育て、何千というオープンソースのコネクタを作ってメンテナンスできると考えている。ある会社がカスタムされたコネクタを作ったら、別の会社がそれを利用し、改良して、それをコミュニティに還元する。

共同創業者でCEOのMichel Tricot(ミシェル・トリコット)氏は「誰かがコネクタを使っていてそれが壊れていることに気がついたら、それをコミュニティ全体のために直すことができる」と語る。

当初、Airbyteのチームは、マーケティングデータにフォーカスしたプロダクトからスタートした。Y Combinatorを受講し、その後、新型コロナウイルスのために方針を変更している。「新型コロナの世界では、マーケティングの予算もない」と共同創業者のJohn Lafleur(ジョン・ラフルール)氏はいう。

AirbyteのコネクタはDockerのコンテナの中で動くため、それぞれが互いに独立している。コネクタのアップデートやリフレッシュはマニュアルでスケジュール可能で、それらを個々にモニターすることもできる。

現在、46のコネクタがある。Airbyteはそれらの認証作業に取り組んでいる。250社が現在Airbyteを利用している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Airbyteオープンソース

画像クレジット:Samuel Sianipar/Unsplash

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleがVRペイントアプリ「Tilt Brush」の開発終了とオープンソース化を発表

Facebook(フェイスブック)やApple(アップル)がAR / VRの世界でより多くのプロジェクトに点火を始めている中、Google(グーグル)は2020年、その領域における既存のプロジェクトのほとんどをシャットダウンしてきた。

そして米国時間1月26日、Googleは「Tilt Brush」の積極的な開発を終了したと発表した。Tilt Brushは、ユーザーが仮想現実空間の中でコントローラーをブラシとして使用し、デジタル彫刻や3Dの情景を創作できるVRペイントアプリ。仮想現実ソフトウェアで初期にヒットしたものの1つだった。

Googleは今後、アプリのアップデートは行わないものの、開発者が独自に改変・配布できるようにコードをオープンソース化して、GitHub上で公開すると発表した。同社によれば、Tilt BrushはVRヘッドセット向けのアプリとして、引き続き各アプリストアに並べられるという。

「私たちはみなさんの手に委ねることで、Tilt Brushを使用しているアーティストをサポートし続けたいと考えています」と、Googleのブログ記事には書かれている。「これはTilt Brushをオープンソース化し、私たちがどのようにプロジェクトを構築したか、すべての人が知ることができるようにしてTilt Brushを自分好みの方向に持っていくことを奨励するという意味です」。

Tilt Brushの開発元は、Googleが2015年に買収したSkillman & Hackett(スキルマン&ハケット)という小さなスタジオだった。

2021年1月初めには、Tilt Brushの共同開発者であるPatrick Hackett(パトリック・ハケット)氏がGoogleを退社し、VRタイトル「Space Pirate Trainer」を手がけたゲームスタジオのI-Illusionsに加わることが発表されていた。LinkedInによると、もう1人の共同創業者であるDrew Skillman(ドリュー・スキルマン)氏は、2018年にTilt Brushの開発から離れており、現在はGoogleのStadia(ステイディア)チームの一員となっている。

Googleは2020年12月、Tilt Brushで作成したデザインを含むデジタルアートをユーザーが共有できる3D素材ライブラリ「Poly」を閉鎖すると発表している。

Googleの広報担当者は、これ以上のコメントを断っている。

 

そして#TiltBrushコミュニティのみなさんへ
みなさんにはいつも刺激を受け、励まされてきました。私はすてきなみなさんのことを愛しています。この数年間で多くのすばらしい友人ができました。みなさんには永遠の恩を感じています。

私は、将来のためにしっかりとした計画を持って、Tilt Brushを離れることにしました。
これからもよろしくお願いします。

続きはこちら。
https://opensource.googleblog.com/2021/01/the-future-of-tilt-brush.html

ある人にとっては、これがTiltBrushの終わりのように見えるかもしれません。私にとって、TiltBrushは不滅です。

これまで助けてくれたチームに乾杯!

関連記事:Googleの3Dコンテンツプラットフォーム「Poly」閉鎖へ、2021年6月30日終了

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:GoogleVRTilt Brushオープンソース

画像クレジット:Google

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(翻訳:TechCrunch Japan)

iMessageなど15種のメッセージをまとめて送受信できるPebble創業者が開発したアプリ「Beeper」

数十年前、Trillian(トリリアン)と呼ばれるソフトウェアプログラムは、インターネットユーザーがICQ、AIM、MSN Messenger(MSN メッセンジャー)など複数のIM(インスタントメッセンジャー)ネットワークと1つのウィンドウでやり取りする方法を取り入れた。

現在、Pebble(ペブル)の創設者で Y Combinator(Yコンビネータ)のパートナーであるEric Migicovsky(エリック・ミンコフスキー)氏は、このコンセプトを再検討しているが、今回は現代のチャットアプリケーションへのアクセスを集中化することに焦点を当てている。

新しく立ち上げられたアプリ「Beeper(ビーパー)」を通じて、ユーザーはWhatsApp(ワッツアップ)、Telegram(テレグラム)、Signal(シグナル)、Instagram(インスタグラム)、Twitter(ツイッター)のDM、Messenger(メッセンジャー)、Skype(スカイプ)、Hangouts(ハングアウト)などを含む15種類のメッセージングサービスに接続することができ、さらにはちょっとした裏ワザを使えばiMessage(アイメッセージ)にも接続することができる。

ミンコフスキー氏は、スマートウォッチの先駆的企業だったPebbleが、Fitbit(フィットビット)に買収される前、同社で働いていた時にユニバーサルチャットアプリのアイデアを最初に思いついたという。

「本当はPebbleでiMessageを送信できるようにしたかったのですが、iMessageのAPIがないため、その方法を見つけることができませんでした」と、ミンコフスキー氏は説明する。しかし、同氏は2年前にMatrix(マトリクス)というプロトコルを知り、Beeperのアイデアが頭に浮かんだという。「BeeperのすべてはMatrixの上に構築されています。Matrixはオープンソースの暗号化されたメッセージングプロトコルです」と、同氏はいう。

ミンコフスキー氏はMatrixのことを、ほとんど「ハッカーのもの」と表現しているが、開発者の間では、Matrixの人気が出始めていると、同氏は考えている。Matrixは基本的に、開発者が「bridge(ブリッジ)」を使用して他のチャットネットワークに接続することができるAPIを提供している。このブリッジと呼ばれるソフトウェアを介して、1つのメッセージングサービスから別のサービスへ、メッセージを送受信できる。

「私はそれを知ったとき、『Matrixを使ってTrillionを作ることができるんじゃないか』と思いました」と 、ミンコフスキー氏は語っている。

画像クレジット:Beeper

ミンコフスキー氏は、Matrixのチャットルームで知り合ったMatrixのコントリビューターであるTulir Asokan(チューリル・アソカン)氏と、サイドプロジェクトとしてBeeperに取り組み始めた。

Beeper(以前はNovaと呼ばれていた)をすべての異なるチャットアプリで動作させるために、彼らは各アプリをつなぐ「ブリッジ」を構築しなければならなかった。このコードはオープンソースで、Gitlab.com/Novaでも公開されている。

「どんなコードを実行しているかを知ることは、人々にとって非常に重要だと我々は考えています。だから、すべてオープンソースなのです。人々はそれを調べることができます」と、ミンコフスキー氏は述べている。「そのおかげで、人々はサービスへのアクセス料として月額10ドル(約1040円)をBeeperに支払う必要もなくなります。自分たちが何をするのかわかっていれば、自分たちのサーバーでブリッジを動かすことも可能です」。

Beeperでは、すべてのメッセージングプラットフォームごとにそれぞれ独自の設定が必要だが、iMessageを動作させるのが最も複雑だった。その解決策は次のように、控えめにいっても少々ややこしい。

それは実際、Beeperがユーザーに古い脱獄済みのiPhone 4S(iPhone 4Sは安いので)を送付し、それをブリッジとして機能させるというものだ。iPhoneにインストールされたコードは、iMessageが保存されているデータベースファイルを読み書きする。iPhoneはメッセージを自分の秘密鍵で暗号化し、Beeperのネットワークを介して送信するため、Beeper(会社)は、ユーザーが送信したメッセージを読み取ることはできない、とミンコフスキー氏はいう。

このプロセスによりAndroid、Windows、LinuxのユーザーもiMessageを使うことができるようになる。しかし、BeeperがiMessageを利用できるようにした方法はこれだけではない。常時接続のデバイスを持っているMacユーザーは、iPhone 4Sを使う代わりに、Beeper Macアプリをインストールしてブリッジとして機能させることもできる。

ミンコフスキー氏は、Apple(アップル)による強制シャットダウンや訴訟を恐れていないという。

「彼らに何ができるでしょうか?」と、ミンコフスキー氏は修辞疑問文で尋ねた。

Appleが何らかの方法で、Beeperがユーザーに脱獄済みのiPhoneを提供することを阻止したとしても、同社は顧客をコミュニティサイトのCraigslist(クレイグスリスト)にリダイレクトし、そこで同社から古いiPhoneを手に入れるようにすることができる。一方、ソフトウェア自体はオープンソースであり、ユーザーの自宅のiPhone上で実行されている。だから、実際にBeeperがiMessage自体に「ハッキング」しているわけではない。

「メッセージングの自由という現在の状況を考えると、Appleが自分たちのユーザーとケンカを始めるのは正気の沙汰ではないと思います」と、ミンコフスキー氏は付け加えた。さらに同氏は、欧州委員会がGDPR(EU一般データ保護規則)と同じように、すべての企業が他のプラットフォーム向けにメッセージングをオープンにすることを義務づける法案に取り組んでいることに注目する。

「この法案が通れば、法的にBeeperが行うようなことをする人をブロックできなくなります」と、ミンコフスキー氏は指摘した。

画像クレジット:Beeper

Beeperはもちろん、iMessageのロックダウンを突破しようとすることに注力した最初のスタートアップでもなければ、唯一のスタートアップでもない。たとえばAirMessageweMessageのように、過去には他のアプリがこれを試みてきた。しかし、これらのアプリは限られた適用に留まっている。また、チャットアプリケーションを一元化しようとしているのも、Beeperだけではない。Texts.comも同様のシステムを開発している。

そうはいっても、Beeperの登録者数は、ミンコフスキー氏が予想していたよりも多かったと同氏はいう(具体的な数字は明らかにしなかったが)。その結果、ユーザーの登録に時間がかかっているという(そのため、我々は実際にBeeperを使用できておらず、その使い勝手や要望などは語ることができない)。

競合他社と比べて、Beeperが優位に立つ可能性があるのは、何が優れたユーザーエクスペリエンスになるのかを理解していることだろう。Pebbleは最終的に、200万本以上のスマートウオッチを販売した

Beeperは現在、検索、スヌーズ、アーカイブ、リマインダーなどの機能を備えており、MacOS、Windows、Linux、iOS、Androidで動作する。

長期的には、他のチャットアプリのようにテキストやメディア、ステッカー、絵文字を共有するだけでなく、それ以上のことができるプラットフォームを、ミンコフスキー氏は構想している。チームは、人々がBeeperの上に、より多くのツールやアプリを構築できるプラットフォームを作ろうとしている。それはGmailのプラグインのようなシステムだ。たとえばユーザーがチャット内からカレンダーにイベントをスケジュールできるツールや、あるいはClearbit(クリアビット)のように、特定のユーザーとの最近のメッセージを複数のプラットフォームにまたがって表示できるツールも可能かもしれない。

ミンコフスキー氏は、Beeperの開発資金の詳細についても言及しなかったが、Beeperは彼にとって次のステップ、つまり新しい会社としてそこで働く可能性があるのではないかと尋ねると、「そうなるかもしれません」と答えた。

「今のところ、私はYC(Yコンビネータ)での時間を楽しんでいます。すばらしい仕事です。YCで一緒に働いているすべての企業から刺激を受けています。ベンチャーキャピタルの仕事の一部は、クールなものを作り上げてそれを起ち上げたすべての起業家たちと話をすることです。私は少し嫉妬しています」と、同氏は認めた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:メッセージチャットツールオープンソースBeeperPebble

画像クレジット:Beeper

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(翻訳:TechCrunch Japan)

chaintopeが佐賀市ごみ発電の環境価値をブロックチェーンで記録・電子証書化するシステムを開発

chaintopeが佐賀市ごみ発電の環境価値をブロックチェーンで記録・電子証書化するシステムを開発

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年1月10日~1月16日の情報から。

chaintopeみやまパワーHDは1月12日、佐賀県佐賀市における「地域循環共生圏」構想の一環として、佐賀市内でのエネルギーなどの地域内循環を可視化し、ごみ発電電力の地産地消による環境価値を電子証書化するシステムを試作し、「地域循環共生圏」の具体化可能性の検証作業を行うことを発表した

2050年脱炭素社会の実現を推進する佐賀市は、2010年に環境都市宣言を行い「地域循環共生圏」を推進。「資源循環」「炭素循環」「人の循環」「経済循環」をキーワードに、地域の資源や可能性について再考・有効活用しながら環境・経済・社会を改善し、資源を融通し合うネットワークをつくろうと、市民と共に取り組んでいる。

みやまパワーHDとchaintopeは、このような地域循環共生圏内での価値の循環を、ブロックチェーン技術により可視化し、さらに多くの市民の行動変容を促し、脱炭素と地域経済活性化につながることを期待し、同検証作業の実施を行っていく。

chaintopeが佐賀市ごみ発電の環境価値をブロックチェーンで記録・電子証書化するシステムを開発

佐賀市は、ごみ処理を佐賀市清掃工場に集約し、清掃工場で生み出されるごみ発電による電気(再生可能エネルギー)の量を増やした。ごみ発電による再生可能エネルギーは、市内の公共施設に供給できるようになっており、「電力の地産地消」を行っている。ちなみに清掃工場で生み出される電力量は平成30年度実績で3203万kWh/年、そのうちの1568万kWh/年が佐賀市内の小中学校および公共施設112カ所にて利用され、1700万kWh/年は他に売却されたという実績をあげている。

また、同清掃工場は、ごみを焼却した際に発生する排ガスから二酸化炭素(CO2)のみを分離回収する設備を設置。回収したCO2を利活用する日本初CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)プラントという。CO2を野菜や藻類培養に利用する「炭素循環」も行っている。

再生可能エネルギーの発電・利用実績をブロックチェーンに記録し、電力が地産地消された証明として「資源循環証書」を発行

しかし、こうした活動によって生まれた環境価値は、誰が見ても正しいと認められる形で公開することが難しいのが課題という。そこで、Chaintopeが開発したブロックチェーン「Tapyrus」(タピルス)を用いて、誰もがその真正性を確認できる電子証書として公開する取り組みを開始する。環境価値を電子証書として公開することで、環境価値取引などの新しいビジネスの創造や、将来は地域通貨との連携による地域経済活性化につながることも見込まれるとしている。

chaintopeが佐賀市ごみ発電の環境価値をブロックチェーンで記録・電子証書化するシステムを開発
同取り組みは、第1段階として、佐賀市清掃工場でのCO2排出削減量の見える化、価値化から開始する。具体的には、清掃工場による再生可能エネルギー発電実績と公共施設での再生可能エネルギー電気供給サービス利用実績をブロックチェーンに記録し、佐賀市内にて電力が地産地消された証明として「資源循環証書」を発行する実証実験を行っていく。

またChaintopeは、資源循環証書の実証実験を足がかりに、将来的には、地域循環共生圏づくりにおける「炭素循環」「人の循環」「経済循環」の取り組みについてもTapyrusを利用した地域通貨の仕組みなどを使い、持続可能なまちづくりへの貢献を目指す。

「J-クレジット制度」との連携も視野

さらに、国家の新たな成長戦略として位置づけられたエネルギー・環境分野における「J-クレジット制度」との連携も視野に入れていく。J-クレジット制度は、再生可能エネルギー設備や省エネルギー機器の導入などによる、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。同制度により創出されたクレジットは、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボンオフセットなど、様々な用途に活用できる。

エンタープライズ向けブロックチェーン「Tapyrus」(タピルス)

今回の取り組みで活用するブロックチェーンTapyrusは、Chaintopeが独自に研究開発をしてきたエンタープライズ向けブロックチェーンおよび、最先端のブロックチェーン関連技術を統合的に利用できるシステム開発プラットフォーム。同社はTapyrusをオープンソースとして提供しており、ソースコードはGitHubで公開している。

Tapyrusは、誰でもネットワークに参加でき自由に分散台帳を閲覧できる透明性を持つパブリックチェーンでありながら、複数法人で共同運営するコンソーシアムの方針に合わせて、新しい記録を分散台帳に書き込む際のルールを設計できる。また、開発者はTapyrusプラットフォームの各種サービス(特許技術を含む)を利用し、ブロックチェーンの複雑な要素技術を意識することなく、安全かつ高信頼のアプリケーションを開発できるという。

chaintopeが佐賀市ごみ発電の環境価値をブロックチェーンで記録・電子証書化するシステムを開発

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:オープンソース / Open Source(用語)環境問題(用語)再生可能エネルギー(用語)J-クレジット
Tapyruschaintope日本(国・地域)

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年1月3日~1月9日の情報から。

ブロックチェーン証明書発行SaaS「CloudCerts」(クラウドサーツ)を運営するLasTrust(ラストラスト)は1月7日、CloudCertsの管理者用画面「Manager」のローンチを発表した。学位証明書や資格情報、社員証などあらゆる「証明」をデジタル化できるサービスCloudCertsの新機能として、発行済み証明書を一元管理できるウェブ管理画面Managerの提供を開始する。

CloudCertsは、あらゆる「証明」をセキュアにデジタル化できるブロックチェーン証明サービス(オープンソースのブロックチェーン証明書規格Blockcertsに準拠)。紙の証明書やJPEG、PDFなどの画像データをセキュアなデジタル証明書へ変換できる。耐改ざん性を持つブロックチェーン技術で、教育機関等発行元の電子署名を含んだ「原本性を持ったデジタル証明書」の発行が可能。また、証明書の発行における業務フローの効率改善とコストの圧縮を実現する。

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

同社は今回、CloudCertsの新機能として、管理者向けにウェブ管理画面Managerを追加した。通常の証明書は、発行・封入・郵送など煩雑な手続きが発生するが、Managerではそれらの作業をウェブ管理画面からボタン操作で可能となり、作業効率の改善を実現する。証明書の発行から送付まで、全行程を非接触・非対面で行える仕様になっている。

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

Managerにて追加された機能は以下の通り。

  • 数百枚の証明書のメール一括送付
  • 管理画面上で証明書の内容を確認
  • 証明書の取り消し操作
  • 受取人が証明書を紛失した際の再発行

デジタル証明書のオンライン一括送付は、コロナ禍において窓口業務が難しくなった通常業務をサポートするというもの。また、学生など証明書を受け取る側は、証明書を採用担当者などへオンラインで提出可能なほか、PDF出力機能を使い、コンビニ発行も可能になるなど、証明書を受け取りのための不要不急の外出を低減できる。教育機関においても、接触機会を減らすことができ、緊急事態宣言下のクラスタ対策にも有効という。

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

CloudCertsは、学習者が主体的に自らの学びを社会にアピールできるよう設計されており、証明書はURLで表示可能で、メール添付による採用担当者への送付、ウェブやSNSなどのプロフィールページへの表示など、学習実績を訴求できるデジタルならではメリットがある。

また、CloudCertsのコア部分は、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究機関Media LabとHyland Credentials(旧:Learning Machine)とが共同開発したブロックチェーン証明書のオープンスタンダード規格Blockcerts(ブロックサーツ)に準拠している。第三者機関による証明書発行システムの信頼性・透明性検証などにも耐えるなど、留学生向けに海外へ証明書を送る場合にも活用できるグローバル仕様としている。

2019年8月創業のLasTrustは、CloudCertsと、クレデンシャルの管理ウォレット「Skill Wallet」のふたつのプロダクトを提供するデジタルクレデンシャル専業のスタートアップ。

デジタルクレデンシャル(Digital Credentials。デジタル証明/認証)とは、修了証書、学習履歴、有資格証、社員証、人事評価、様々なプラットフォームでのレビュー評価など、ヒト・モノの社会的評価や属性を担保するデジタルデータを指す。

LasTrustは「個人の見えざる価値を可視化する」というビジョンのもと、個人が持つ多面的な実績・技術をデジタル化し、オープンなブロックチェーンに記録することで、個人の社会的資産として生涯利用できるようにするという取り組みを進めている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:オープンソース / Open Source(用語)デジタルクレデンシャルBlockcertsLasTrust日本(国・地域)

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンスの実証実験

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月27日~2021年1月2日の情報から。

日立製作所みずほフィナンシャルグループは2020年12月28日、みずほ銀行みずほ情報総研Blue Labと共同でブロックチェーン技術を活用した物流業界の輸配送代金の早期資金化に関する実証実験の開始を発表した。5社は2021年1月より、金流・商流・物流の一体管理およびサプライチェーンファイナンスの高度化を目指して共同実証実験を開始する。

現行の物流業界は万年のドライバー不足が大きな課題となる中で、労働環境の整備、煩雑な帳票管理の解決に向けて、見積・受発注管理、配車・運行管理業務、請求管理などのデジタル化が加速しているという。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響から運送会社の資金繰りが火急の課題となっており、輸配送代金の早期資金化は、物流業界の発展に寄与する重要なテーマになっている。

物流業界では、荷主からの受注後、物流経路などに応じて複数の運送会社に運送事業を委託する多重構造の商流が存在するが、同実証実験では、これら物流データと連携したファイナンス提供を行い、輸配送代金の早期資金化の実現を目指す。

実証実験では、関東圏の物流企業の営業所、運送会社が参加する。実際に物流の発注・納品・支払に関わるやり取りを、パソコンやスマートフォン上で操作する実証用システムを使い、業務フローイメージの具体化とともにその受容性を検証していく。ニーズ調査として、運送会社へのアンケートやインタビューも実施するという。

日立とみずほグループは、これまでもサプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の活用促進と新規事業の創出に向け、ブロックチェーンを活用し、リアルタイムでの真正性を確保した取引情報を基とする、高度なサプライチェーンファイナンスの実現を目指し、共同で検討を重ねてきた。

具体的には、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立のデジタル技術を活用したソリューション・サービス「Lumada」で開発を進める「サプライチェーン決済プラットフォーム」上で、みずほが開発する新たな「ファイナンス決済スキーム」を金融付加価値機能として提供していく。

また今後は、日立は同プラットフォームの開発を進め、金融以外の業種とのサービス連携も含め、幅広い展開を検討していく。みずほは、新たなファイナンス決済スキーム確立に向け、技術面以外にも、法律・会計などに関する整理を行い、物流業種以外の業種へのニーズ調査なども含めて、ビジネス化に向けて検証を実施していく。みずほは、2021年度内のサービス開始を目指す。

日立のサプライチェーン決済プラットフォーム

日立のサプライチェーン決済プラットフォームは、ブロックチェーン技術を活用して複数事業者間での決済取引を支援する決済プラットフォーム。事業者間で共有・活用するデータをトークンとして扱い、真正性かつ耐改ざん性を確保し管理していく。利用企業は取引情報を活用した金融サービスを享受でき、資金繰りの改善、運転資金確保ができるほか、金融機関は取引情報を分析し、各種金融サービスへの活用が可能になる。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

また同プラットフォームは、日立の「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用。これは、非営利団体The Linux Foundationが運営するクロスインダストリー(異業種連携)共同開発プロジェクト「Hyperledger」によるブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」の利用環境をマネージド型クラウドサービスとして提供するというもの。

同社は2020年10月、Hyperledgerが認定するベンダー資格を有する企業の1社に認定されている。

みずほの新ファイナンス決済スキーム

みずほの新たなファイナンス決済スキームは、サプライチェーンにおける川上企業が将来の売上見合い(将来債権)を川下企業の信用力で割引可能とする邦銀初の金融サービス。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

新スキームでは、発注時点で将来債権をトークンとして表象させ、債権者は物流工程の進捗により判断される信用力によりトークンを割り引くことが可能となる。利用企業は、サプライチェーンの商流を裏付けとした将来債権の資金調達により、資金繰りの改善や迅速な運転資金確保が可能になる(特許出願中)。データ管理にはブロックチェーン技術を適用し、サプライチェーン内の債権・債務を一元管理する。

みずほは、物流と金流を連動させ、資金決済の事務負担となっていた照合管理業務などを省力化することも想定しているという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:オープンソース / Open Source(用語)サプライチェーン(用語)商流新型コロナウイルス(用語)Hyperledger Fabric日立製作所物流 / ロジスティクス(用語)ブロックチェーン(用語)Blue Labみずほ銀行みずほ情報総研みずほフィナンシャルグループLinux Foundation日本(国・地域)

マイクロソフトとEYがブロックチェーン基盤のXboxゲーム用著作権・ロイヤリティ管理システムを本稼働

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暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月20日~12月26日の情報から。

会計・税務関連サービスを提供するEY(アーンスト・アンド・ヤング)Microsoft(マイクロソフト)は、「Quorum」(クォーラム)ブロックチェーンを基盤とする、マイクロソフトのゲームに関する著作権・ロイヤリティ管理プラットフォームを機能拡張した。日本法人EY Japanが12月25日に報じた

同ブロックチェーンプラットフォームに関しマイクロソフトは、ゲームブランド「Xbox」のパートナー、アーティスト、ミュージシャン、ライター、その他コンテンツクリエーターのネットワーク向けに、ロイヤリティ契約の締結から支払・照合までを網羅する財務記録システムとして活用していく。EYは、契約関連の計算や取引処理を自動化できるようサポートする。

両社は共同で、2018年6月よりデジタルコンテンツの著作権とロイヤリティを管理するためのブロックチェーンプラットフォームを開発し、マイクロソフトおよび、マイクロソフトとパートナーシップを組むゲームパブリッシャー向けに、試験提供を続けてきた。

著作権やロイヤリティを多数扱うゲーム業界では、著者、作詞・作曲家、プロダクション関係者、ソフトウェアデベロッパーなど支払先が複数存在する。毎月、何万件・数十億ドルにのぼるロイヤリティが支払われている中、従来のロイヤリティ計算は、一般的にオフラインのデータソースを使用し、手作業で行われていたという。

両社が開発を進めてきたブロックチェーンプラットフォームは、他社に知的財産や知的資産をライセンス供与する企業や、ロイヤリティ契約に基づきクリエイターに対価を支払う業態の企業など、広範囲に適用できるよう設計。支払処理に時間を要するゲーム業界の著作権やロイヤリティの管理システムを合理化し、コストの削減を目指してきた。プラットフォームには、スマートコントラクトが組み込まれており、リアルタイムにロイヤリティを計算できるよう設計している。

ネットワーク基盤は、コンセンシス(ConsenSys)がオープンソースソフトウェアとして公開しているEthereum(イーサリアム)基盤のコンソーシアム型ブロックチェーンQuorum、Microsoft Azureのクラウドインフラ、ブロックチェーン技術を組み合わせ、合意内容の機密性が関係者全体で確保できるよう構築。

さらに拡張された今回のブロックチェーンプラットフォームでは、Microsoft Azureをベースにした人工知能(AI)を活用し、契約書のデジタル化を加速し、より迅速な契約書作成が可能になった。また、明細書と請求書をシームレスに生成し、それらをERP(総合基幹業務システム)に統合することで、ロイヤリティ決済の処理スピード、可視性、透明性を向上させている。拡張されたプラットフォームにより、ゲーム開発パートナーとの契約をすべてデジタル化し、ほぼリアルタイムでロイヤリティ計算を行うことで、処理時間を99%短縮する。

このブロックチェーンプラットフォームは、ソフトウェア業界で「ソークテスト」と呼ばれる、膨大なトランザクション下でのパフォーマンスをサポートするためのテストが行われ、1日あたり200万件の取引を処理できることが実証されているという。

今回の機能拡張により、マイクロソフトのグローバル・ファイナンス・オペレーションのゼネラルマネージャー Luke Fewel氏は「今回の拡張ソリューションの本稼働は、ブロックチェーンとスマートコントラクトのテクノロジーを活用したロイヤリティ決済の明るい第1歩となりました。これによって、拡張性を備えた財務およびオペレーションプロセスの合理化と、膨大な手作業によるスタッフの負担軽減、ゲームパートナーのエクスペリエンス向上が可能になります。引き続き、ロイヤリティ・エコシステム全体に本ソリューションを浸透させてプロセスの改善を図り、現代に即したファイナンスジャーニーを積極的に進めていきたいと思います」と語っている。

また、EYのグローバル・ブロックチェーン・リーダー Paul Brody氏は「ブロックチェーンは今後、企業間のやり取りのデジタル化になくてはならない重要な要素となるでしょう。今回、私たちは契約のデジタル化から財務上の未収金の計上に至るすべてのアクティビティの自動化とサイクルタイム短縮を進めました。この拡張バージョンの本稼働は、ブロックチェーンを活用したデジタル化の道のりにおいて大きな1歩となりました。このようなブロックチェーンソリューションは、ポイントツーポイントの統合からエコシステムレベルの自動化へとレベルアップする一助となります」と述べている。

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LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月20日~12月26日の情報から。

ジェーシービー(JCB)LayerXは12月22日、複数企業間をつなぐ次世代「BtoB取引履歴インフラ」に関する共同研究の開始を発表した。共同研究において両社は、プライバシーに配慮した利用者主体の商流情報の流通を実現し、それらを活用した高度なサービスを可能にする新たなデジタルサプライチェーン構築を目指す。

近年、中央銀行デジタル通貨(CBDC。Central Bank Digital Currency)をはじめデジタル通貨による決済プラットフォーム構築に向けた動きが活発化している。これらデジタル通貨に関する試みおよびメリットのひとつに、「様々な機能・ロジックを付加できるお金」という側面があり、こうした新形態のお金は「プログラマブルマネー」と呼ばれている。契約・請求・支払いなど一連のオペレーションのデジタル化・効率化、さらには自動執行が期待される。

これを受け共同研究では、JCBの強みを生かし、地域金融機関、BtoB決済に関わるソリューションプロバイダーなどとの協業も視野に入れ、BtoB取引履歴インフラの新モデルを検討していく。次世代インフラは、オペレーションの効率化に留まらず、業種・業界を超えたサプライチェーンプラットフォームならではの、商流情報を活用した高度なサービスの実現を目指すという。

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始

また、異なる業種・業界間における取引情報の共有においては、ブロックチェーン技術を用い取引情報を記録することで改ざん困難かつ確かなデータ流通が可能になるものの、両社はこれだけでは不十分という。社会実装においては、データ保護・プライバシーの観点から、情報主体(利用者)それぞれが「金融機関など業務上必要のある事業者には開示する」「不必要な事業者には開示しない」など取引情報の閲覧権限を柔軟に設定できるデータコントロールの仕組みが、情報提供者に対して求められる。

さらに与信情報の照会・確認などでは、データを秘匿したままデータ演算を行うといった高度なプライバシー技術を必要とする。

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始今回の共同研究では、TEE(Trusted Execution Environment)を応用しLayerXが開発したソリューション「Anonify」(アノニファイ)とブロックチェーンを組み合わせ、取引情報の秘匿性・信頼性を担保し、利用者による開示情報の取捨選択を実現する。

TEEは、PCやスマートフォンが搭載するプロセッサーのセキュリティ機能にあたり、アプリケーションを安全な実行環境で動作させるための技術。ユーザーであってもアクセス不可能なデータ領域を端末に構築し、アクセス制限をハードウェアレベルで保証する。これにより同環境下では、クラッキングやマルウェアによる攻撃などの脅威を防ぐことができる。

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始Anonifyは、TEEを活用した、ブロックチェーンのプライバシー保護技術。ブロックチェーン外のTEEで取引情報の暗号化や復号を行い、ビジネスロジックを実行することで、ブロックチェーンの性質を活かしながらプライバシーを保護する。複数の企業や組織が共同で利用する共通基盤において、秘匿性と監査性を両立させたアプリケーションを構築可能という。詳細は、ホワイトペーパーAnonify Book(JP)ソースコードをはじめ、LayerXサイトのAnonifyに関するページを確認してほしい。

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始JCBは、デジタルによる取引が増えていく社会の中で、デジタル取引・送金の履歴を蓄積し、必要に応じて取り出して参照できるインフラの必要性が高まると考え、同共同研究に挑む。両社はBtoB決済におけるトランザクションの記録・活用に加えて、デジタル通貨を用いた国内外送金などの金融取引に関するマネーローンダリング(資金洗浄)防止(AML。Anti-Money Laundering)およびテロ資金供与対策(CFT。Counter Financing of Terrorism)強化に向けたトランザクション識別と追跡性担保を可能にするといった、今後は必要不可欠となるインフラへの応用も視野に入れて、研究開発に取り組んでいく。

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The Sandboxがイーサリアム基盤のデジタル不動産オークションによりユニセフ暗号資産ファンドに寄付

The Sandboxがイーサリアム基盤のデジタル不動産オークションによりユニセフ暗号資産ファンドに寄付

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月13日~12月19日の情報から。

中国・香港拠点のゲーム開発会社「Animoca Brands」(アニモカブランド)は12月18日、ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」において、NFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)にあたるデジタル不動産を販売するチャリティーオークションを開催した

収益は、UNICEF(ユニセフ。国連児童基金)暗号資産ファンド(UNICEF CryptoFund)に寄付され、UNICEF Innovation Fundを介し子どもや若者に影響する可能性があるオープンソース技術・デジタル公共財への資金提供に使用される。

チャリティーオークションは、12月18日午後10時(日本時間)より3日間開催。The SandboxのユーティリティトークンSANDのみの入札に限定されており、最終的に70万SAND相当のデジタル不動産が落札された。落札時点のSAND相場価格で換算すると、落札価格は約3万2373米ドル(334万円相当)になる。

The Sandboxは、ブロックチェーン基盤のメタバース(仮想空間)にあたる、コミュニティ主導型ゲームおよびゲーム作成プラットフォーム。すでに過去に仮想空間内のLANDを販売する複数回のプリセールが行われており、The SandboxのLANDは人気のNFTとなっている。今回のチャリティーオークションでは、Animoca BrandsがNFTマーケットプレイス「OpenSea」(オープンシー)と提携し、12×12(144個)のLANDで構成されたエステート(土地)と呼ばれる区域を出品した。土地はThe Sandboxの中心にあたる人気かつ需要の高いロケーションが出品された。

オープンソース技術とデジタル公共財の開発を支援する、UNICEFの暗号資産ファンドおよびイノベーションファンド

今回のチャリティーオークションの収益はすべて、UNICEFの暗号資産ファンドに寄付され、UNICEF Innovation Fundを介して世界中の子どもや若者に影響する可能性があるオープンソース技術やデジタル公共財への資金提供に使用されるという。

UNICEFは暗号資産ファンドを2019年に設立。この2020年6月などにも新興国のテクノロジー企業に法定通貨と暗号資産による投資を実施しているものの、ブロックチェーン技術を基盤としたNFTを慈善事業に活用するのは今回が初の試みという。

UNICEF フランスのエグゼクティブディレクターSebastien Lyon氏は「UNICEFは暗号資産ファンドを持つ最初の国連機関であり、最先端の技術を活用し、慈善事業に役立てています。Animoca Brandsのようなパートナーと、世界中の子どもたちの生活を向上させる手段として、オープンソースで革新的なソリューションを生み出す暗号資産を利用できることを誇りに思っています」と語っている。

The Sandboxとデジタル不動産「LAND」

The SandboxのユーティリティトークンSANDは、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン上で発行されたERC-20準拠トークンで、メタバースにて利用できる主要トークンとなる。暗号資産取引所BinanceのIEOプラットフォームBinance Launchpadを通じ、300万ドル(約3億1700万円)相当のSANDが販売され、すでに上場も果たしている。

これらによりThe Sandboxユーザー(コンテンツ制作者)は、アセットを使用しゲームを作ったり、他人の作ったゲームをプレイしたりできる(ゲーム体験)。また、所有する土地(LAND)やキャラクター、アイテムなどデジタルアセットについても、NFTとしてマーケットプレイスにて売買可能(収益化可能)となっている。

LANDは、Ethereum上で発行されたNFT(ERC-721)。The Sandboxにおけるデジタル不動産であり、プレイヤーはその上にエクスペリエンス(デジタルアセット)を構築するために購入できる。発行上限が16万6464LANDと決まっており、すでに多くのLANDがプレセールによって販売済みになっている。

より早くプレセールに参加してLAND所有権を得たユーザーは、The Sandbox内の限られたLANDの中でも人気のロケーションを確保可能。LAND所有者は、The Sandboxでゲームプレイに参加できるほか、自分のLANDにおいて他のプレイヤーに対して独自のゲーム体験を提供できる主催者になれる。さらに、LANDの一部を他のプレイヤーにレンタルをしてSANDを稼ぐことも可能という。

また、メタバースガバナンスに参加できるといった様々な権利を得られるほか、それら権利をNFTマーケットプレイスなどで売買できる。

プレシーズン0のリリース予定を変更、具体的な開始日を2021年1月に発表予定

なお、The Sandboxは現在開発中で年内にローンチ予定だったが、公式ブログにおいてプレシーズン0のリリースを2021年の初めに行うと、予定を変更した。具体的な開始日は、2021年1月に発表するという。

現在、The Sandboxはプラットフォームの一部として3Dボクセル(ブロック)アセットを作成できる「VoxEdit BETA」と、VoxEditで作成されたゲーム内アセットを取引できる分散型マーケットプレイスを公開。メタバース内で3Dゲームを作成できるビジュアルスクリプトツールボックスGame Makerのアルファ版も提供している。

プレシーズン0へのアクセスは、LAND所有者のみの限定公開となる。開始タイミングは事前登録をすることでメール通知を受けることができ、事前登録をしたLAND所有者に対して、順次アクセスを可能にしていくという。

プレシーズン0では15日間のイベントが開催され、プレイヤーは$SAND賞品のほか、NFTを含むその他の限定賞品を獲得できる。

また、ソーシャルハブ、派閥レベル、ギャラリーやGame Makerファンドで制作された「UGCゲーム」40以上が公開され、プラットフォーム制作、戦闘、謎解き、調査、探検、タイムアタック、収集など、ゲーム性を持った体験もプレイ可能という。

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カテゴリー:ブロックチェーン
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コミュニティ体験プラットフォームを提供するOrbitが約4.2億円調達

独自の商品やオープンソース商品の周囲にコミュニティを構築したい企業や団体のためのツールを提供するスタートアップOrbit(オービット)は、米国時間12月2日、Andreessen HorowitzのMartin Casado(マーティン・カサド)氏が主導するシード投資ラウンドで400万ドル(約4億1800万円)を調達したことを発表した。このラウンドには、以前からの投資者であるHeavybitとHarrison Metalに加え、Chris Aniszczyk(クリス・アニズィック)氏、Jason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏、Magnus Hillestad(マグナス・ヒルスタッド)氏といったエンジェル投資家、さらに16zのCultural Leadership Fundも参加している。

同社はそのサービスを「コミュニティ体験プラットフォーム」と説明している。現在Orbitは、企業のデベロッパーリレーションズ担当部門とコミュニティ担当部門に加え、オープンソースのメンテナンス担当部門に焦点を絞っている。しかし、その全体的なフレームワークがあらゆるコミュニティに深く対応可能であることを思うと、その他の垂直市場へ手を広げられない理由はない。

Orbitのメンバー。パトリック・ウッズ氏、ニコラス・グテイ氏、ジョシュ・ジラク氏

Orbitの共同創設者Patrick Woods(パトリック・ウッズ)氏が私に話したところによると、コミュニティの管理者は、そのコミュニティに大きく貢献してくれる人をなかなか探し出せず、大変に苦労してきたという。なぜなら、貢献はいろいろな形でなされるものであり、さまざまなプラットフォームにわたって行われることが多いからだ。さらに、販売やマーケティング部門は、コミュニティが企業の総合的な収支に与える影響をあまりよく理解していないという問題もある。Orbitは、プラットフォーム間に分散されているあらゆる貢献を収集する。

「いかにしてコミュニティが市場開拓やビジネス価値にインパクトを与えることに関して、理解が欠如しています」とウッズ氏は、このアイデアの出所について私が尋ねた際に答えていった。「そこに関与する手段という点で、大きなギャップがあります。コミュニティが重要であることは多くの企業も認めていますが、今日、コミュニティ販売機に投入した1ドルが、どんな結果として現れるかを知るのは困難です。半分にになるか、100ドルの結果を生むか?それが、あらゆる規模の企業を通じて、私たちが認識した総合的な課題です」。

画像クレジット:Orbit

特にオープンソースのコミュニティでは、大きな価値を生み出しているにも関わらず企業との商業的なつながりを一切持たない人たちが必ずいるものだ。たとえ企業が、事業の成長にコミュニティは必須だと理解していたとしても、このことが、コミュニティによるインパクトの数量化をさらに難しくしている。そこでOrbitはこう説明する。「コミュニティは新しい形の先行販売」だと。

企業としてのOrbitの中核をなすのが、オープンソースコミュニティのフレームワークOrbitだ。共同創設者でCEOのウッズ氏とCTOのJosh Dzielak(ジョシュ・ジラク)氏は、彼らが「High gravity community」(引力の強いコミュニティ)と呼ぶ、新規参入者を惹きつけ、既存メンバーを離反させないコミュニティを構築する最良の方法と、その評価方法を企業に理解してもらうためのフレームワークを開発した。詳しいコンセプトはこちら(GitHub)をご覧いただきたい。

Orbitモデル。LOVEはコミュニティメンバーの活躍の大きさREACHはコミュニティメンバーの影響力の大きさ。4 傍観者、3 参加者、2 貢献者、1 提唱者(画像クレジット:Orbit)

「私たちは、このリードからどれだけの価値を引き出せるかというような、抽出型の世界観から引き離して、対話を再構成しようと考えています。コミュニティのメンバーからどれだけのLOVE(愛)を生み出せるか、といったほうがいいかも知れません」とウッズ氏。「これからやりたいことに関連する文化を考えることは、根本的にクリエイティブで生産的な作業です。そこで私たちの目標の真意は、価値の抽出よりも価値の創出を重視できるように人々を手助けすることにあります」。

とはいえ、コミュニティ構築の作業にどのような哲学がともなっていたとしても、最後には投資利益率を測定して、一部のコミュニティメンバーを有料会員にする必要が生じる。それを行うために、現在Orbitでは、GitHub(ギットハブ)やTwitter(ツイッター)やDiscourse(ディスコース)といった情報源からデータを引き込んでいる。Slack(スラック)やその他のツールにも間もなく対応する。そうすることでこのサービスは、コミュニティ内で何が起きているか、誰が参加しているかをコミュニティ管理者が簡単に把握できるようにしている。

画像クレジット:Orbit

専用のダッシュボードに加え、Orbitでは収集したすべてのデータをサードパーティーのサービスに統合するためのAPIも提供している。

「Orbitのビジョンを推し進める上で重要となるのは、コミュニティは単なる情報集めの道具ではなく、コミュニティ作りは忠誠を求めるものでもなく、人と人のつながりを作るものだと理解することです。対話と関わり合いを醸成し、オープンで互いに貢献し合い、価値を捕らえるのではなく作り出すことです」と16zのカサド氏は書いている。「このモデルは非常に効率的であることが証明されています。Orbitは現在、その周囲に製品を作り上げました。開発者に重点を置いた企業を立ち上げようとする人たちにとって、Orbitは必須の製品になると、私たちは確信しています」。

同社はすでに、150社弱の企業とPostman(ポストマン)、CircleCI(サークルシーアイ)、Kubernetes(クバネテス)、Apollo GraphQL(アポロ・グラフキューエル)といった顧客たちと協力している。

数週間前にクローズしたばかりの投資金の使い道はいろいろある中で、同社は、市場開拓事業の構築や、さらに大きな統合のための開発を行う予定だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Orbitオープンソース

画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

6.8型液晶ディスプレーも搭載、ライズバイ3内蔵のキーボード一体型PC「DevTerm」が2021年4月発売

液晶ディスプレーも搭載、ライズバイ3内蔵のA5ポータブルPC「DevTerm」が2021年4月発売

Clockwork Techは11月20日、Raspberry Pi コンピュートモジュール 3+(CM3+ LITE)を内蔵可能なキーボード一体型小型PC「DevTerm」のプレオーダーを開始した。6.8インチIPS液晶ディスプレーを搭載し、発売は2021年4月予定。組み立てキットの体裁になっており、12歳以上対象としている。

価格は、Raspberry Pi CM3+ LITE搭載モデル「DevTerm Kit RPI-CM3 series」が219ドル(約2万2746円)。ARM Cortex-A53など搭載の独自コアモジュール搭載/1GBまたは2GBメモリーモデル「DevTerm Kit A04 series」が249ドル(約2万5861円)。58mm感熱式(200dpi)サーマルプリンター付きの独自コアモジュール搭載/2GBまたは4GBメモリーモデル「DevTerm Kit A06 series」が319ドル(約3万3131円)。

液晶ディスプレーも搭載、ライズバイ3内蔵のA5ポータブルPC「DevTerm」が2021年4月発売

DevTermは、Raspberry Pi コンピュートモジュール 3(Raspberry Pi CM3)をセット可能なclockworkPi v3.14モジュールを内蔵。6.8インチのIPS液晶ディスプレーを搭載するほか、無線機能としてW-Fi(11ac)およびBluetooth 5.0をサポート。別売のリチウムイオン二次電池「18650電池」をセットすることで、バッテリー駆動も可能。

液晶ディスプレーも搭載、ライズバイ3内蔵のA5ポータブルPC「DevTerm」が2021年4月発売

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液晶ディスプレーも搭載、ライズバイ3内蔵のA5ポータブルPC「DevTerm」が2021年4月発売

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独自コアモジュール搭載の場合、OSとしてはDebian 9 ARMhおよびLinuxカーネル 5.2を基盤とするclockworkOS(GameShell OS)を利用。Raspberry Pi CM3+ LITE搭載の場合は、OSはRaspberry Pi OSとしている。このほかにも、Ubntuなどが利用可能という。

Clockworkは、デバイスドライバー、独自コアモジュール含めモジュール類の回路図と設計資料について、GPL v3ライセンスのもとGitHubに公開予定。受動的なメディア消費デバイスではないとうたい、オープンソースハードウェア、オープンソースを強く打ち出している。

  • ClockworkPi v3.14メインボード
  • コアモジュール
  • Ext. モジュール(拡張モジュール)
  • 6.8インチIPSスクリーン(1280×480ピクセル) モジュール
  • clockwork QWERTYキーボード(67キー+ゲーム用キー、トラックボール)
  • バッテリーモジュール(「18650電池」は別売)
  • デュアル スピーカー
  • 58mm 200dpi サーマルプリンター
  • シェルおよびブラケットシステム(筐体など)
  • clockworkOSまたは搭載16GB TFカード(microSDカード)
  • USB-C充電ポート

計4種類のコアモジュール、Raspberry PI CM3+ LITEと、clockworkPi v3.14モジュール

DevTermは、CPUや搭載メモリーの異なるA-0401~A-0604の計4種類のコアモジュールまたはRaspberry PI CM3+ LITEをclockworkPi v3.14モジュールにセットして利用するというモジュラーデザインを採用。コアモジュールを含め、ユーザーが異なる種類のモジュールに差し替えることで、機能をアップグレードできるようにしている。

液晶ディスプレーも搭載、ライズバイ3内蔵のA5ポータブルPC「DevTerm」が2021年4月発売

コアモジュールのイメージ

液晶ディスプレーも搭載、ライズバイ3内蔵のA5ポータブルPC「DevTerm」が2021年4月発売

コアモジュールのラインナップ

液晶ディスプレーも搭載、ライズバイ3内蔵のA5ポータブルPC「DevTerm」が2021年4月発売

clockworkPi v3.14モジュール

コアモジュールについては、FPGA+ARM、RISC-V、x86アーキテクチャなど、より多くのCPUアーキテクチャの評価とテストも行っており、よりエキサイティングなコアモジュールを間もなくお届けできるとしている。

Ext.モジュール(拡張モジュール)

Ext.モジュール(拡張モジュール)は、冷却用ファン、USB-Aインターフェース、カメラインターフェース(MIPI-CSI)などを搭載。Ext.モジュールについては、AIアクセラレーター、4G/5Gモジュールなどの構想が存在するという。

Ext.モジュール(拡張モジュール)

Ext.モジュール(拡張モジュール)

キーボードおよび制御ユニット

キーボード制御ユニットはArduino STM32との互換性を備えるArm Cortex-M3を採用。Micro USB-UARTポートを介して、キーボードのファームウエアをカスタム化可能としている。

67キー+ゲーム用キー、トラックボール

67キー+ゲーム用キー、トラックボールを搭載

キーボード制御ユニット

キーボード制御ユニット

バッテリーモジュール

バッテリーモジュールは、「短絡・逆極性保護」機能を搭載。別売のリチウムイオン二次電池「18650電池」を2本セット可能としており、信頼できる販売店から18650電池を購入するよう呼びかけている。

また18650電池1本でも動作するものの、不安定になる可能性があるという。長期間使用しない場合は電池を取り外すこと、18650電池を購入時に安全な利用方法を確認することを推奨している。

別売のリチウムイオン二次電池「18650電池」をセット可能

バッテリーモジュールは、別売のリチウムイオン二次電池「18650電池」をセット可能

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中国のオープンソソースソフトウェアに投資家が殺到しZillizが約45億円を調達

長年にわたり、中国の企業創設者や投資家はオープンソースソフトウェアにはほとんど興味を示さなかった。収益性の高いビジネスモデルとは思われていなかったからだ。だが、Zilliz(ジリズ)が資金調達した最新のラウンドを見ると、そうした態度に変化が起きていることがわかる。創立3年目になるこの中国のスタートアップは、非構造化データの処理を行うオープンソースソフトウェアを開発しているが、先日、4300万ドル(約45億円)のシリーズBラウンドをクローズした。

今回の投資により、Zillizの現在までの調達額は5300万ドル(約55億円)を超え、オープンソース企業としては、世界的にも大きない規模となる。歴史的に名高いプライベートエクイティーファンドHillhouse Capitalが主導し、Trustbridge Partners、Pavilion Capital、そして以前から投資を行なっている5Y Capital(元Morningside)とYunqi Partnersが参加している。

オープンソースが効率的なソフトウェア開発戦略であることに投資家たちが気づき始め、Zillizを支援するようになったのだと、Zillizの創設者でCEOのCharles Xie(チャールズ・シェイ)氏は、深圳で開かれたオープンソースミートアップにてTechCrunchに話した。このイベントでは、彼はLinux Foundation(リナックス財団)傘下の LF AIの中国人初の取締役会会長として講演を行なっていた。

「投資家たちは、この数年、Elastic(エラスティック)からMongoDB(モンゴディービー)まで、世界のオープンソース企業の好成績なエグジットを成功させています」と彼は語る。

「スターロード(シェイ氏のニックネーム)は、まず私たちに、未来のデジタル時代におけるデータ処理に関する彼のビジョンを話しました。私たちはクレイジーな考えだと感じましたが、信じることにしたのです」と、5Y Capitalのパートナー、Liu Kai(リウ・カイ)氏はいう。

この分野への投資には、1つ注意点がある。最初の3年か5年で利益を期待してはいけないということだ。「しかし、8年から10年のサイクルで見れば、これらの(オープンソース)企業は1000億ドル (10兆円)規模の評価額を得るまでになる」とシェイ氏は考えている。

Oracle(オラクル)でソフトウェアエンジニアとして6年務めた後、シェイ氏は米国を去り、故郷の中国に戻ってZillizを立ち上げた。近ごろの中国人起業家のご多聞に漏れず、シェイ氏はそのスタートアップの社名を英語にして、「創設当初からグローバル」だという信念をそこに刻み込んだ。Zillizは上海で設立されたが、目標は今後12カ月以内に「確固としたテクノロジーと製品」を提供できるようになり、本社をシリコンバレーに移すことだとシェイ氏は語る。中国は、有能なエンジニアの人件費が安く、分子構造から人々の購買行動、音声情報、動画コンテンツに到るまで、非構造化データが爆発的に増加しているという両面において、理想的なスタート地点だった。

「この地域の非構造化データの量は、人口と経済活動のレベルに比例しているため、中国が最大のデータソースである理由が簡単にわかります」とシェイ氏は話す。

同時に中国では、モバイルインターネットとAIの開発が急速に進んでいる。特に実生活での応用が顕著に発達していることから、中国がデータ処理ソフトウェアに最適な実験場なのだとシェイ氏は主張する。

いまのところ、Zillizのオープンソース製品Milvus(ミルバス)は、GitHub(ギットハブ)で4440回以上「スター」付けされ、コントリビューターおよそ120人、世界中の法人ユーザー約400社を惹きつけている。その半数は中国国外のユーザーだ。同社は広告費をまったく使わず、むしろGitHubやReddit(レディット)など、開発者のオンラインコミュニティーで積極的に活動することによりユーザーを獲得してきた。

今後Zillizは、新たな資金を使って海外で人材を集め、オープンソースエコシステムの拡大、クラウドベースの製品とサービスの研究開発を行う予定だ。2021年後半の収益化の開始にともない、いずれこれらが収益を生み出すことになる。

関連記事:世界を手中に収めたオープンソースソフトウェア

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Zillizオープンソース中国

画像クレジット:Zilliz founder and CEO Charles Xie

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(翻訳:金井哲夫)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.11.8~11.14)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.11.8~11.14)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年11月8日~11月14日の情報をまとめた。岩手銀行のマイナンバーカードとスマホによる電子契約実証実験、GaudiyとMantraがブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムを共同開発、大手オリーブオイルブランドがトレーサビリティにIBM Food Trustを採用について取り上げる。

岩手銀行、マイナンバーカードとスマホによる電子契約実証実験にIBM Blockchain Platformを採用しブロックチェーン技術を拡充

岩手銀行は11月13日、ブロックチェーン技術を活用したマイナンバーカードとスマートフォンによる電子契約の実証実験を開始したことを発表した。法人、個人を問わず幅広い顧客を対象とする、マイナンバーカードを活用した電子契約環境の構築を目指し、その有効性の検証を行っていく。

菅新政権の発足により高まるペーパーレス、押印レス、非対面ビジネスへの社会的ニーズに対応するため、岩手銀行は、政府が普及促進を進めるマイナンバーカードを活用した電子契約環境の提供を目指す。

実証実験は、フィッティング・ハブ(FTH)日本IBM日本電気(NEC)が提供する電子契約実証実験環境において行われる。FTHが実証実験のスキーム全体を管理し、電子契約にはHyperledger FabricをベースにIBMが提供するIBM Blockchain Platformと、NECが提供するマイナンバーカード認証サービスを利用する。

電子契約にブロックチェーン技術(スマートコントラクト)を活用し、スマートフォン上で契約可能とするマイナンバーカードで法人契約を実現する。法人と法人、法人と個人の契約、各種申込など、幅広い契約形態に対応する。実証実験の環境構築を2020年11月から2021年3月までに行い、2021年4月から検証を実施する予定となっている。

マイナンバーカードを活用した法人契約では、法人から特定の個人(法人代表者など)へ電子契約権限を委任する。委任された個人のマイナンバーカードによる電子署名で法人契約を締結し、契約者の厳格な本人確認も同時に行うという。

電子契約は、金銭消費貸借契約などの当事者の一方だけが相手方に対して債務を負う片務契約、当事者双方に履行責任が発生する売買契約、請負契約などの双務契約に対応する。法人と法人、法人と個人など、顧客相互の契約や各種申込にも利用できる。片務契約スキームに対応することで、各種サービス申込など幅広い電子化にも対応可能という。

実証実験では、従来のICカードリーダーに替えてスマートフォンアプリでも電子契約を実現する。PCとスマートフォンアプリの連携により、必要に応じてPCで細かな契約内容を確認するなど、よりスマートな契約手続きが行えるようになる。

電子契約にブロックチェーン技術を活用することで、スマートコントラクトによる契約処理が可能になる上、契約の改ざんが極めて困難になり、契約当事者以外の第三者による閲覧を防止できるという。

今回の実証実験では、具体的には「事業性融資における金銭消費貸借契約証書」「個人ローンにおける金銭消費貸借契約証書」「法人、個人間(お客さま間)の双務契約」に対応するという。マイナンバーカードによる電子契約に関する法的課題解決に向けたシステム要件を検証する。また、ペーパーレス融資スキームの実現可能性、その他の各種契約の実現可能性を検証していく。

岩手銀行は、ICカードや電子証明書の管理を不要とする独自のスキームを提唱し、他行、他社、関係機関への参加を広く呼びかけ、検証を進めていく予定という。

岩手銀行、マイナンバーカードとスマホによる電子契約実証実験にIBM Blockchain Platformを採用しブロックチェーン技術を拡充岩手銀行と日本IBMは、ブロックチェーン活用の実証について2017年から共に取り組んでおり、電子交付サービスにおいてブロックチェーン技術を活用している。今回の実証実験は、電子書類の署名付与にマイナンバーカードを利用する方式を検証するもの。

IBM Blockchain Platformは、エンタープライズ用途を意図したオープンソース・ブロックチェーン。Hyperledger Fabricの商用配布として、SLA(サービス品質保証)と24時間365日サポートを提供する。また開発向けに、Visual Studio Code(VS Code)拡張機能を使用し、スマートコントラクト開発とネットワーク管理をスムーズに統合。スマートコントラクトは、JavaScript、Java、Go言語で開発できるという。

GaudiyとMantraがブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムを共同開発、日本のマンガの多言語翻訳と海外販売のコストを低減

エンターテインメント業界のDXを推進するGaudiy(ガウディ)は11月12日、マンガ特化の機械翻訳技術やマンガ専用の多言語翻訳システム「Mantra Engine」を開発するMantra(マントラ)との業務提携を発表した。AIとブロックチェーンを活用し、マンガの多言語翻訳と海外販売を低コスト・高速に実現するサービスの共同開発を開始する。

Gaudiyは、週刊少年ジャンプ(集英社)で連載された人気マンガ「約束のネバーランド」へのブロックチェーン活用の公式コミュニティサービスの提供など、人気マンガや有名キャラクターなどIP(Interllectual Propery。知的財産権)独自のコミュニティを提供する事業や、ブロックチェーンを活用したNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)電子書籍を展開している。

GaudiyとMantraがブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムを共同開発、日本のマンガの多言語翻訳と海外販売のコストを低減
今回の業務提携では、GaudiyはマンガAI翻訳技術を持つMantraと共同で、コミュニティを活用したマンガ翻訳サービスの共同開発を開始する。日本のマンガは、アジア・欧州・米国など海外で人気が高まっているものの、現状、翻訳される作品は一部の人気マンガのみ、かつ翻訳言語も英語が中心であり、海外では海賊版の翻訳マンガが多く出回っているという。これは、日本のIPビジネスとしても大きな機会損失であることから、両社はどんな作品でも即時性の高い多言語翻訳と海外販売が簡単に実現できる仕組みを構築し、日本のIPビジネスのさらなるグローバル成長の後押しを目指すとした。

共同開発するサービスの概要

GaudiyとMantraがブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムを共同開発、日本のマンガの多言語翻訳と海外販売のコストを低減
両社の目指すサービスは、マンガAI翻訳技術とトークンエコノミー(コミュニティ)を通して、即時性の高い、マンガの多言語翻訳と海外販売までを一貫して実現するという。

固有名詞が多く、また作品特有の言い回しが多いマンガの翻訳は、通常の翻訳よりも難易度が高く、Mantraが提供するMantra Engineの翻訳精度でも30~70%程度のため(言語や作品にもよる)、修正が欠かせないそうだ。そこで同プロジェクトでは、コミュニティを通して、海外ファンが様々な形で翻訳結果の修正に参加・協力できる仕組みを作り、Mantra Engineの精度を向上させていくという。

さらに、翻訳に貢献したファンには、マンガの販売収益の一部を貢献度に応じて分配するなど、トークンエコノミーを活用する。ブロックチェーンを活用し、適正な価値還元を実現させていく、海外ファンが販売にも積極的に参加・貢献が可能なエコシステムを構築する。

Gaudiy-DID-System

これらの貢献は、Gaudiy提供の「Gaudiy-DID-System」において、個人の貢献スコアにも反映されるという。

Gaudiy-DID-Systemは、ブロックチェーンを活用した分散ID(DID。Decentralized IDentity)管理システム。Gaudiy-DID-Systemを導入しているサービスの場合、新規システム開発などを行うことなく異なる企業・サービス間の相互連携が可能になり、特定のIPコンテンツのクロスメディア施策を実施できる。また、IPが提供する他サービスにおいても貢献スコアに応じた異なる体験が提供可能という。

Mantraは、出版社やマンガ(コミック)の制作・配信事業者を対象にした法人向けクラウドサービスMantra Engineを開発・提供するAIスタートアップ。東京大学情報理工学系研究科出身で、機械翻訳や自然言語処理が専門の石渡祥之祐CEOと、画像認識が専門の日並僚太CTOが、2020年1月に設立した。

法人設立前の2019年には、東京大学FoundX Founders Program、IPA未踏アドバンスト事業、東大IPC 1st Round(東京大学協創プラットフォーム開発の起業支援プログラム)、AIスタートアップの登竜門であるHONGO AI 2019ファイナリスなどに採択・選出された。

2018年5月設立のGaudiyは、「IPコンテンツがライフインフラになる『ファン国家』を共創する」をミッションに掲げ、エンターテインメント業界にイノベーションを起こすことを目指す、ブロックチェーンスタートアップ。音楽・ゲーム・マンガ・アニメ・アイドルなど、日本の代表的なエンタテイメント領域のDXを推進し、日本が誇るIPコンテンツから世界規模のビジネス展開を目指している。

両社は共同で、多言語翻訳と海外販売を低コスト化するサービスを提供し、日本のIPビジネスを海賊版から守り、さらなる海外市場の発展と成長を目指していく。

大手オリーブオイルブランドが、トレーサビリティ・真贋・品質の保証のため、ブロックチェーン利用の食品追跡システム「IBM Food Trust」を採用

オリーブオイルブランド大手、スペインのConde de BenaluaとアルゼンチンのオリーブオイルサプライヤーRolar de Cuyoは11月11日、ブロックチェーンを活用したIBMの食品追跡システム「IBM Food Trust」を利用し、オリーブオイル製品のトレーサビリティ・正規品であること(偽造品ではないこと)を示す真正性(Authenticity)・品質などの情報を消費者に提供するサービスの提供開始を発表した

IBM Food Trust

IBM Food Trustは、IBMとWalmart(ウォルマート)の取り組みによりスタートした食品トレーサビリティシステム。ブロックチェーン技術であるHyperledger Fabricをベースに開発された。国内でも伊藤忠が同システムを用いたコーヒー豆のサプライチェーンに利用するなど、様々な食品の由来と流通経路を明らかにするために用いられている。

オリーブオイル業界では、「TERRA DELYSSA」ブランドを製造するチェニジアを拠点とするCHOと、2020年に参加したイタリアの製油工場I Potti de FratiniがすでにIBM Food Trustを活用しており、両社はこれに追従する形になる。グローバル展開をするオリーブオイル大手ブランドは、ブロックチェーン技術を用いて自社オリーブオイルに対する消費者の信頼を高め、より効率的で透明性の高いサプライチェーンの構築に取り組み始めているという。

大手オリーブオイルブランドが、トレーサビリティ・真贋・品質の保証のため、ブロックチェーン利用の食品追跡システム「IBM Food Trust」を採用

消費者は、各ボトル付属のQRコードをスキャンするだけ

IBM Food Trustにより、消費者は、オリーブオイルの各ボトルに付いているQRコードをスキャンすることで、オリーブの栽培場所、オイルに加工した製油工場、流通経路、販売店舗といった、オリーブオイルの生産・流通行程を確認できる。また、オリーブがどこで収穫され、搾油されたかを画像で見ることが可能なほか、農家や作業員などの生産者を知ることもできる。

さらには、各ボトルに入っているオイルがどのような基準を満たしているかを確認できる。例えば、オリーブがエキストラバージンオリーブオイルのラベル付けに必要な基準に沿って加工されているかどうかや、オーガニックであることなどをトレース可能だ。

生産者側のメリット

IBM Food Trustは、生産者側にもメリットがある。サプライチェーンメンバーは、より信頼性と効率性を高めた協力作業のもと、取引の永久的なデジタル記録を作成し、許可された関係者間で情報を共有可能となる。IBM Food Trust内のデータを共有することで、食品の鮮度保証、保管時間の管理、無駄な廃棄物の削減に活用可能になるという。

Bolar de Cuyoディレクター、Guillermo Jose Albornoz(ギレルモ・ホセ・アルボルノス)氏は「私たちの使命は、消費者に高品質のオリーブオイルを提供し、本物の健康的な製品を楽しんでいただくこと。我々がブロックチェーン技術を利用する目的は、世界中のオリーブオイルパッカーの信頼を得て製品を選んでもらうようにすることです」と述べている。

また、IBM Food Trustを先行導入したCHOアメリカのセールスマネージャーであるChris Fowler(クリス・ファウラー)氏は、「年初にQRの付いたトレーサブル・オリーブオイルのボトルを店頭に並べるようにしてから、当社プレミアム・オリーブオイルのTERRA DELYSSAブランドは需要が急増している。米国とカナダの消費者は現在、1万軒を超える食料品店やオンラインショップでTERRA DELYSSAのプレミアムエキストラバージンオリーブオイルを購入できるようになった」と語っている。

最近のIBM Institute for Business Valueの調査によると、73%の消費者が、購入製品の完全な透明性にプレミアムを支払うことを明らかにしているという。

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暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年10月25日~10月31日の情報をまとめた。

トヨタシステムズとディーカレット、デジタル通貨による福利厚生に関する実証実験をトヨタシステムズ社内で実施

トヨタグループのITソリューション企業「トヨタシステムズ」と、暗号資産取引所「DeCurret」運営のディーカレットは10月26日、デジタル通貨に関する実証実験を共同で開始したことを発表した

今回の取り組みは、トヨタシステムズ全社員2500名が参加する大規模なもの。ディーカレットが構築する「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」を活用し、同実証実験用の独自デジタル通貨を発行。トヨタシステムズは、同社社員向けの福利厚生における決済処理や自動化にこのデジタル通貨を利用する。実験では、決済業務の効率化・迅速化におけるデジタル通貨、ブロックチェーンによる決済やそのデータの記録・管理、スマートコントラクトの基本機能による自動実行などの技術検証を行う。

トヨタシステムズは、トヨタ自動車とそのグループを支援するするITソリューションおよびシステム開発の中核企業として、企画・提案から開発・運用まで一貫したトータルサービスを提供。今回は、新たにブロックチェーンやデジタル通貨を活用したソリューション研究のために、技術的な実証実験をディーカレットと共同で実施することにしたという。トヨタシステムズとディーカレット、デジタル通貨による福利厚生に関する実証実験をトヨタシステムズ社内で実施具体的には、同社社員に対して、実証実験専用カタログギフトや福利厚生ポイントへの交換に利用できるデジタル通貨を福利厚生として付与。この交換には、全社員に用意した専用ウォレットから商品・ポイントのウォレットに対して、取引額に応じたデジタル通貨が即座に送付される仕組み・スマートコントラクトを採用しており、その検証とともに有効性を確認する。ブロックチェーンにおけるスケーラビリティの課題や、大規模な実験参加者による業務運用性課題などを検証していく。

実証実験に利用されるデジタル通貨の有効期間は6ヵ月以内。また、実証実験ではデジタル通貨と日本円との交換は行えない。

デジタル通貨発行プラットフォームを提供するディーカレットは、暗号資産取引所の開業を目標に、2018年1月設立。2019年3月に金融庁の認定を受け、4月に暗号資産交換業者として開業した。同社は暗号資産取引所の運営にとどまらず、新しい時代の金融プラットフォームサービスを目指している。

デジタル通貨発行プラットフォームについては、2020年2月よりKDDI、auフィナンシャルホールディングス、ウェブマネー、ディーカレットの4社で、ブロックチェーン上に発行したデジタル通貨の処理を自動化する共同検証の実施を開始している。デジタル通貨の発行から、流通、償却になど業務プロセスの一部と決済処理をスマートコントラクトにより自動化し、検証・実証実験を続けてきた。これらの共同検証は、ディーカレットの「デジタル通貨ビジネスの推進および新たな顧客体験価値の創出」に関する取り組みの一環となる。

カンボジア国立銀行がソラミツと共同開発の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を正式運用開始

カンボジア国立銀行(NBC)ソラミツは、2019年7月よりカンボジア全土でパイロット運用を行ってきた中央銀行デジタル通貨(CBDC)「バコン」の正式運用を発表した。10月28日より、カンボジアのリテール決済および銀行間決済の基幹システムとして運用を開始済み。カンボジア国立銀行がソラミツと共同開発の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を正式運用開始バコンは、カンボジアの法定通貨リエルをトークン化したデジタルリエル(KHR)または米ドル(USD)を使用し、即時および最終的な取引を可能にするCBDC決済システム。NBCが、ソラミツのブロックチェーン技術「Hyperledger Iroha」(ハイパーレジャーいろは)を採用し、ソラミツと共同開発したもの。

テスト運用では、カンボジア最大の商業銀行アクレダを含む9行と決済事業者を接続し、日間数千人程度のユーザー送金や決済を処理してきた。その後、従来の決済システムと連携し、シームレスかつ安全に機能している。2020年第3四半期の時点では、カンボジア全土の18の金融機関がすでにバコンを採用している。

カンボジア国民にとってバコンは、送金手数料不要かつ安全でより速く支払いを行えるデジタル通貨となる。カンボジア国内の電話番号を持ち、スマートフォンアプリを使用できれば、デジタルリエルまたは米ドルのウォレットを保有することで、電話番号の指定またはEMVCo互換QRコードをスキャンし、個人間や法人間での送金や店頭などでの支払いが行える。

ちなみにEMVCoとは、American Express、Discover、JCB、MasterCard、銀聯(UnionPay)、Visaによるカード決済の安全と普及促進を推進する団体で、新しいグローバルなQRコード決済仕様などを定めている。

NBCは、古代クメール帝国の州立寺院「バコン寺院」にちなみ命名したプロジェクトバコンを2016年に発足、CBDCの検討を進めてきた。その目的は、デジタル決済システムによる金融機関の効率改善、負担軽減、自国通貨リエルの使用促進という。

そして何よりも重要なのは、自国内の金融サービスの行き届いていない国民の金融包摂を強化する可能性を探るためだったという。日本のように、国民のほとんどが銀行口座を持つ国はまれであり、そうした国々では銀行口座を必要としない金融システムが必要とされている。

システムの概要

バコンは、NBC運営のバコン・コア、金融機関に割り当てた決済ゲートウェイ、金融機関が個人・企業などに割り当てたウォレットで構成される。金融機関はデスクトップアプリを経由してバコン・コアにアクセスし、個人・企業はiOSアプリまたはAndroidアプリを介してウォレットにアクセスする。カンボジア国立銀行がソラミツと共同開発の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を正式運用開始

バコン・コアは、許可型のコンソーシアム・ブロックチェーンであるソラミツのブロックチェーン技術Hyperledger Irohaを利用しており、複数のノードに格納されている改ざん不可能な時系列チェーンにすべてのトランザクションを記録する。バコン・コアはNBCが管理するノード上の分散台帳に記録されるとともに、同一の分散台帳が特定金融機関と共有され、冗長性と強靭性が保証される。

Hyperledger Irohaは、一部のノードに障害がある場合や信頼できないノードがある場合でも、元帳の安全性を保証する独自のコンセンサスアルゴリズム「YACコンセンサス」を備え、分散台帳全体のトランザクションを検証し、不正のリスク、二重支払いの問題、およびカウンターパーティのリスクを排除する。カンボジア国立銀行がソラミツと共同開発の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を正式運用開始

マクロ経済の観点から、現在のバコンは中立という。デジタルリエルは現金に取って代わるものではなく、利子もない。デジタルリエル・ウォレットは従来の銀行口座に裏打ちされているため、取り付け騒ぎと流動性リスクは抑えられるという。

また、金融機関は従来の金融システムと同様、デューデリジェンス(Due Diligence)を実施し、本人確認(KYC)規制を遵守する。バコンは多要素認証の本人確認システムをサポートしている。基本はスマホのSMS検証を使用して少額決済が可能なバコン口座を開設できるが、高額決済可能なバコン口座の開設には、政府IDを登録し厳格な本人確認を行う必要がある。

ソラミツの「Hyperledger Iroha」

ソラミツは、オープンソースの許可型ブロックチェーンプラットフォームであるHyperledger Irohaのオリジナル開発者であり、中心的開発貢献者。企業や金融機関のデジタル資産管理の支援を目的としたHyperledger Irohaは現在、Linux Foundation運営のクロスインダストリー(異業種連携)共同開発プロジェクト「Hyperledger」の一部となっている。またこのHyperledgerプロジェクトにおいて、Hyperledger Fabricなどに続いてバージョン1.0リリースに到達した4番目のブロックチェーンプロジェクトとなっている。

Hyperledger IrohaはC++で記述されており、高いパフォーマンスと信頼性が必要なユースケースや組み込みシステムに最適とされる。

ソラミツは、Hyperledger Irohaを使用し、デジタル資産、ID、契約を管理するためのモバイルアプリケーションなど、ユーザー向けのサービスを作成している。Hyperledger Irohaを活用することで、より安全で効率的な社会の構築に貢献していくという。Hyperledger Irohaのオリジナル開発者・主要な貢献者として、今後もHyperledger Irohaの技術およびビジネスサポートについても提供していく。

ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」がゲームを作成できるツールの完成を発表

中国・香港拠点のゲーム開発会社「Animoca Brands」(アニモカブランド)の子会社TSB Gamingは10月31日、ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」でゲームを作成できるツール「Game Maker」の完成を同社ブログにおいて発表した

ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」がゲームを作成できるツールの完成を発表The Sandboxは、ブロックチェーンベースの仮想空間(メタバース)にあたる、コミュニティ主導型ゲームおよびゲーム作成プラットフォーム。現在開発中で、2020年後半にローンチ予定だ。TSB Gamingは、その一部として3Dボクセル(ブロック)アセットを作成できる「VoxEdit BETA」と、VoxEditで作成されたゲーム内アセットを取引できる分散型マーケットプレイスを公開しているほか、メタバース内で3Dゲームを作成できるビジュアルスクリプトツールボックスGame Makerのアルファ版を公開していた。

また、The Sandboxは、ユーティリティトークンSANDを利用可能。SANDは、暗号資産Ethereum上で発行されたERC-20準拠トークンで、メタバースにて利用できる主要トークンとなる。暗号資産取引所BinanceのIEOプラットフォームBinance Launchpadを通じ、300万ドル(約3億1700万円)相当のSANDが販売され、すでに上場も果たしている。

これらによりThe Sandboxユーザー(コンテンツ制作者)は、アセットを使用しゲームを作ったり、他人の作ったゲームをプレイしたりできる(ゲーム体験)。また、所有する土地(LAND)やキャラクター、アイテムなどデジタルアセットについても、NFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)としてマーケットプレイスにて売買可能(収益化可能)となっている。

ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」がゲームを作成できるツールの完成を発表Game Makerは、無料で3Dゲーム体験を作ることができるツールという位置付けだ。

Game Makerでは、初めてゲームを作る際にイチからすべて作ることも可能だが、テンプレートとして用意されているアセット組み込み済みLANDも利用できる。ゲーム体験の規模に合わせて、LANDのサイズや湖、砂漠、低地、草原、南極、ジャングルといったテーマの選択が可能だ。

また、ゲームとして重要な要素となるルールや出現するアセットとその希少性、勝利条件など、細かい設定も行える。ゲームには欠かせないNPC(ノンプレイヤーキャラクター)も設定できる。NPCは、味方や単なる住民・農家などゲームに応じたキャラクターを用意できるほか、NPCを利用したクエストの作成や、NPCに設定するセリフによる質問なども可能であり、作り込めば作り込むほど本格的なゲームを制作できるという。NPCは必ずしも友好的なキャラクターとは限らず、敵対するNPCの設置も行える。

ゲームの主人公となる自分のアバターについても、強いあるいは弱いアバター、動きが速いもの、ジャンプ力のあるものなど、様々なパラメターを設定可能。その他にも、ゲームに必要なアイテム集めなど、あらゆる要素が用意されているので、詳しくはブログをチェックしていただきたい。

The Sandboxは、Game Maker以外にも、The Sandbox内で使用できるアセットとして有名キャラクターとの提携についても発表を行っている。10月29日には、世界的に有名なキャラクターである「The Smurfs」(スマーフ)との契約の締結を発表したばかりだ。

ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」がゲームを作成できるツールの完成を発表ユーザーはThe Sandbox内のスマーフのLANDにてゲームをプレイできるほか、スマーフをテーマにしたアセットを購入し、独自にゲームが作れるようになるなど、新たなゲームの世界が登場する予定。

The Sandboxは、いずれもSANDトークンを中心にした新しいゲーム体の世界が構築できる、これまでにはないプラットフォームになることは間違いなさそうだ。

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IBMが量子コンピューターの競技型オンライン・プログラミング・コンテスト開催、慶応大とコラボ

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IBMは11月2日、慶應義塾大学量子コンピューティングセンターとのコラボレーションのもと、量子コンピューターの競技型オンライン・プログラミング・コンテスト「IBM Quantum Challenge」を開催すると発表した。期間は日本時間11月9日9時から3週間(11月30日午前8時59分59秒まで)。高校生以上なら誰でも応募可能だが、参加枠2000名限定となっているため早めの登録を呼びかけている。また事前にIBMアカウント(IBM id)へのアカウント登録(無料)が必要。

なお、参加登録を完了した人すべてに参加権が与えられるわけではなく、参加確定者には、本番開始前までに確定通知とともに本番サイトから参加方法を案内する。

  • IBM Quantum Challenge
  • 開始: 11月8日19時00分(米国東部標準時)、11月9日9時00分(日本時間)
  • 終了: 11月29日午後6時59分59秒(米国東部標準時)、11月30日午前8時59分59秒(日本時間)
  • 参加枠: 2000名限定
  • 応募方法: 「Hello, quantum world」または「IBM Quantum Experience」より応募。IBMアカウント(IBM id)へのアカウント登録(無料)が必要
  • 参加確定者には、本番開始前までに確定通知とともに本番サイトから参加方法を案内

IBM Quantum Challengeは、初心者から経験者までコンテスト形式チャレンジに参加することで、量子コンピューティングに関する基礎から応用まで学べるというもの。

今回のチャレンジは第3回にあたり、参加者には量子コンピューティングの可能性をさらに押し広げ、次の重要なハードウェアのマイルストーンを達成するために新たな課題に挑戦してもらうという。より大規模な量子システムを考えるときに不可欠な要素となる量子データ構造について学び、探求することになる。

2019年9月実施の「IBM Quantum Challenge 2019」では、世界中から初心者と経験者を問わず参加(量子アルゴリズム開発のスタートアップ「QunaSys」チームが準優勝)。2020年5月の第2回チャレンジでは、45ヵ国から1745人が参加し、1日で、18台のIBM Quantumシステム上で10億回路以上の実行に成功した。

IBM Quantum Challenge

IBM Quantum Challengeでは、オープンソースの量子コンピューター向けPython用フレームワーク「Qiskit」を用いて、毎週新しい演習問題に取り組むことで、量子コンピューティングの知識とスキルを向上させることができる。

Qiskitについては、「Qiskit 0.23.0 documentation」の日本語版が公開されている。

  • 1週目: 最初の週の演習セットは、初心者に向け量子計算の基礎を学べるよう設計。また、有名な量子アルゴリズムであるグローバーのアルゴリズムを学習し、その特性を探る。経験者にとっても、第1週目は第2週に備えるための良いウォーミングアップとなる
  • 2週目: 近未来の量子システムを想定した量子データ構造の実装を学習し、グローバーのアルゴリズムを使って解く量子ゲームソルバーを設計する方法を学ぶ。この演習は、第1週で学んだ知識を活かしながら、第3週(最終週)の準備にもつながる
  • 3週目: 参加者はより複雑なデータ構造を扱うことを求められ、前の週に学習したグローバーのアルゴリズムを使って問題を解くことが求められる。経験豊富な量子プログラマーにとっても、難しく感じるはず

なお、前回および今回のチャレンジは、慶應義塾大学量子コンピューティングセンターとのコラボレーションのもと、開催。出題問題の作成を中心とする、佐藤隆貴彦氏と西尾真氏の貢献も挙げられている。

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オープンソースによる総務省「住民記録システム標準仕様書」準拠のシステム開発が開始

オープンソースによる総務省「住民記録システム標準仕様書」準拠のシステム開発が開始

川口弘行合同会社(Hiro KAWAGUCHI Laboratory)は11月2日、総務省が2020年9月11日に公開した標準仕様(住民記録システム標準仕様書【第1.0 版】)に準拠する住民情報システムの開発に着手し、その成果をオープンソースとして公開する取り組みの開始を発表した。

同社は、この開発における基本コンセプトとして、「オープンソース」「既存製品の選択的活用」「疎結合アーキテクチャの採用」「コンテナなどを活用した柔軟な拡張性」「ハイブリッドクラウド対応によるセキュリティ・可用性・コストの両立」を掲示。期待される成果としては、以下3点を挙げている。

  • プログラムソースコードをオープンソースとすることで、自治体が主体的に開発事業者以外のシステム保守要員を確保できる
  • システム構築事業者選定の幅を広げ、自治体が健全な競争環境の下で投資対効果の高いシステムを調達できる
  • ソフトウェアに対する透明性を高め、自治体が安心してシステムを運用できる

自治体の情報システムは、これまで各自治体が独自に構築してきた結果、その維持管理や制度改正対応などについても各自治体が個別に対応しており、人的・財政的負担が生じているとされる。

一方、自治体の人口構造が変化する中で、住民サービスを維持・向上させるには、これらの負担を軽減する必要がある。そうした問題意識から、自治体システムを標準化・共同化し、これらの負担を軽減させる取組みが求められている。

そのような中、総務省は共同化を促す取組みのひとつとして住民記録システム標準仕様書を策定し、2020年9月11日に公表した。

しかし、今後各社からリリースされる住民記録システムがこの標準仕様書に準拠していることを客観的に検証する手段が存在しない。

さらに、この標準仕様書が「標準」であるなら、前提となる知見を持たない開発者でもこの仕様書で実装可能であることを検証できる必要がある。

同時に、特定少数のシステム開発事業者による寡占を抑止するためにも必要となることから、同社は、標準仕様書を忠実に参照し実装する取組みは意義があるものと考えているという。また、この取り組みによる成果は広く自治体に還元していくとしている。

2017年12月設立の川口弘行合同会社(​Hiro KAWAGUCHI Laboratory)は、電子政府・電子自治体のスペシャリストとして全国の自治体(都道府県・区市町村)の支援を行う企業。支援対象分野は、情報化計画立案、調達支援、セキュリティ対策などのコンサルティング業務、情報技術を用いた新たな行政サービスの立ち上げなどのシステムインテグレート業務を実施。

自治体向けファイル無害化ソフトウェア「サニタイザー」は、財政的に厳しい状況下にある自治体を中心に全国で100団体以上の自治体で採用されているという。

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