eコマースサイトがなるべく少ないメールで実買率を上げるサービスBizzy

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混雑したインボックス(受信トレイ)ほど、いやなものはない。個々のeコマースサイトは、お客様に嫌われたくてメールを送ってるわけではないが、結果的には最悪の嫌われ者になっている。

今Y Combinatorで特訓中のBizzyは、eコマースのサイトが、なるべく少ないメールでお客にインパクトを与えられるようにする。

Bizzyは顧客の購入履歴を調べて、今その人にメールを送るとしたらどんなメールを送るべきか、を判断する。

ユーザのeコマースサイトは、まず、Bizzyの顧客データベースにアクセスする。するとBizzyは顧客を複数のバケツに分類する。これまで何も買わなかったお客や、昨日何かを買ったばかりの人、数か月前に買ったけどその後音沙汰のない人、などなど。

そして、それらの顧客のタイプに応じて、今のその人の状況や気持にぴったり、と思われるメールを送る。売り出しキャンペーンが単色一律でなく、顧客タイプに応じて個人化される。

もちろんユーザであるeコマース企業は、Bizzyが生成したメールを目的に合わせてエディットできる。

BizzyはY Combinatorで6週間前にローンチし、MailChimpやMad Mimi、SpringBot、 InfusionSoft、Push Marketなどなどから乗り換えたユーザを抱えている。それらのユーザによると、Bizzyにかえてから売り出しメールの成功率(実買率、コンバージョンレート)が最大で1200%アップしたそうだ。そして従来のやり方に比べて、メールの送付数は60%少なくなった(半分以下になった)。

今このサービスは、Shopifyのユーザしか使えないが、今後Etsyなどにも対応していく予定だ。しかもメールだけでなく、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークや広告ネットワークに対しても、広告〜コマーシャルメッセージの最適化を推進していきたい、という。

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GetScaleは中国などの工場に工程監視+工員指導システムをインストールして不良品の発生を完全に防ぐ

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GetScaleのカメラは、一見すると工場内のふつうの監視カメラのようだが、実は、技術者と組立ラインの労働者を直接コミュニケーションさせてお互いの仕事をやりやすくし、さらに製造工程の全体を記録に残すことが、同社のサービスなのだ。

たとえば開発チームが合衆国にいて、ハードウェアの製造工場が海の向こうにあっても、GetScaleを使えば製品の質が維持され、問題が起きて不当にも工場の労働者が責められる、ということがなくなる。

2014年1月にGetScaleを作ったJonathan FriedmanとColton Piersonは、電子回路部品を作るサービスCircuitHub(ここもYC出身、3年前にFriedmanらが創業)にいたのだが、そこで頻繁に見たOEMたちと工場とのあいだの問題を、解決したいと思った。GetScaleは社員が今9名で、オフィスはカリフォルニアのRedwood Cityと深圳と上海にある。約20社の顧客の中には、iCrackedNeurolabware、それにNapwellなどがいる。同社が過去半年にモニタしたユニット(一つの工程の仕上がり品)の数は、のべ25万だ。

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FriemanはGetScaleを立ち上げる前に、中国の工場の寮に住みこんで彼らの労働条件の理解に努めた。

そこで彼が知ったのは、ラインの労働者に対する法的保護がほとんど何もないことだ。工程で問題が起きると、その損失は、責任が工員にない場合でも彼らの賃金カットや減給という形で埋め合わせられる。たとえばFriedmanが訪ねたある工員寮では、社員たちが法外な水道料金を払わせられていた。

しかし製造業は競争が激しいので、ほとんど不可能のような納期や価格を提示して受注しているところも、少なくない。サプライチェーン上のサードパーティのプロバイダたちにも、問題がある。しかもそれは、契約企業や会計事務所、複数のメーカー、セールスエンジニア、プロセスエンジニア、ゼネラルマネージャ等々と、やたら数が多い。

GetScaleのモニタリングシステムがあると、ハードウェアのエンジニアたちは、あいだに人を介さず直接、工員たちに詳しい指示を与えることができる。コミュニケーションが改善され、工程がスピードアップされる。

“中国の工場で不良品ができる原因は、二つしかない。モラルが低くて不正やごまかしをやること…こちらはそんなに多くない。もうひとつは、発注者が何を求めているのかを、よく理解していないことだ”、とFriedmanは語る。

彼の定義では、GetScaleは監査役だ。OEMたちは、撮影モニタ+指導用ディスプレイ一台あたり最少で月額110ドルを払い、GetScaleはそれを協力工場と分有する。工程や試験工程で問題が生じたときの、罰金のようなものはない。

“工場が完全に期待どおりのことをやってくれれば、報奨金のような仕組みがあってもよいし、またその工場の評判が広まる仕組みもあるべきだ”、とFriedmanは言う。“でも今の彼らのやり方では、そんな余裕がないね”。

GetScaleの顧客はそのWebアプリケーションを使って、工程を監視し指導するための戦略を作る。それを中国語に翻訳し(もうすぐスペイン語も)、GetScaleはモニタリングステーションを工場にインストールする。工員のすぐそばに置かれたディスプレイに詳細な指示が表示され(上図)、カメラは工程(と最後の検品過程)を撮影して記録する。一つ一つのコンポーネントのバーコードや、完成したユニットのシリアルナンバーも記録される。

すべての情報はGetScaleのサーバ上に恒久的にアーカイブされ、問題が生じたとき、やみくもに現場の工員のせいにされることは、なくなる。また検品が撮影記録され、発注者に完動品が渡っている証拠にもなるから、ありえない不良品で製造企業が訴訟されることもない。

FriedmanとPiersonはハードウェアスタートアップに投資しているインキュベータやVCたちとパートナーして、この監視指導システムのユーザを増やしたい、と考えている。また、彼ら工場のサプライチェーン上に、同社の良い噂が広まることも、期待している。

システムではなく、単なる工程監視機器なら、KeysightやAgilentなどが作っているが、それらはいずれも一台25万ドル以上もして、高い。

GetScaleの、カメラ+ディスプレイ、ワンセット月額110ドルは、ハードウェアメーカーにとっても、手を出しやすい価格だ。

“つい先日も、あるアメリカの製造企業が、数社の得意先大企業が製造工程のオーディットトレイルを要求している、と言ってきた。彼ら得意先は、本来ならきみたちが工場を毎月訪れて視察してほしい、と言っているのだ”、とPiersonは語る。

“そこでその企業は、GetScaleが記録したすべての製品と工程の監視データを見せた。それがあれば、はるばる中国の工場に出張する必要もなく、また、一つ々々のすべての製品の工程を詳細にチェックできる。CEOは、きみたちのおかげで中国に出張せずにすんだよ、と感謝の言葉を述べた”。

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モバイル時代のパニックボタンWitnessがアプリとして完成、App Storeに登場

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モバイル時代のパニックボタンとして使えるライブのストリーミングアプリWitnessは、今年のTechCrunch Disrupt NY 2015のハッカソンでデビューし、最後には大賞を獲得した。今やそのアプリがAppleのApp Storeで入手できるようになり、ユーザはあらかじめ指定しておいた複数の緊急時連絡先に自分の現在位置と、音声とビデオを自動送信できる。Twitterの自撮りビデオPeriscopeのプライベートバージョンが、身の危険を感じるような緊急時に友だちや家族に、ヘルプ信号として送られるアプリ、という説明でもよいかもしれない。

これを作ったデベロッパのMarinos Bernitsasは、それまでニューヨークでやっていたアルゴリズム取引の仕事を辞めて、かねてからやりたかったモバイルアプリの制作を始めた。Witnessは最初、夜道を一人で歩いて家に帰るなど、危険な状況で使うアプリとして構想された。

しかしハッカソンのオーディエンスや審査員たちは、警官の暴力行為など、公務員の違法行為を証拠として記録できる可能性に、関心を寄せた。このアプリが披露されたころは、警察が批判されるそんな事件が多かったのだ。

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実際に、ティーンたちが警官にやられたテキサス州の事件では、複数の目撃者が警察の行為を自分のモバイルフォーンに記録していた。そのおかげで後日、問題の警察官は訴追された。Witnessアプリは、まさにこれと同じことができるし、しかも現場記録だけでなく、リアルタイムで事件の映像を愛する人たちに送信+録画できる。

ハッカソンのときは機能も単純で、ユーザが事前に緊急時連絡先のリストを自分のスマホに入力しておくと、受信した側では自動的に録画を開始し、ユーザにはテキストメッセージで着信を知らせる。おもしろいのは、Witnessが動いているときは画面が真っ黒で、送信や録画が行われていることを他人に隠せることだ。

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App Storeで入手できるようになったWitnessアプリは、デフォルトでは真っ黒画面にならないが、事前にそう設定しておくこともできる。作者のBernitsasは、今後はいろんな初期画面を用意してユーザが選べるようにしたい、とも言っている。

今のWitnessはレイアウトもきれいになったし、Witness同士の送受信だけでなく、映像などの情報をメールでも送れるようにした。事前に設定した緊急時連絡先リストだけでなく、メールのアドレス帳との統合もできる。誤操作防止機能も、ついた。一秒間、画面のどこかを押しているとWitnessが起動して、リアルタイムの映像とメッセージをメールなどで送り始める。

受信した側は、Witnessアプリが動いていなくても、テキストメッセージ中のリンクをWebブラウザで見れば、地図上で被害者の動きが分かる。受信側の信号の状態が悪ければ、Witnessはすべてをローカルに保存して、受信側の状態が良くなったときにアップロードする。犯人〜加害者が被害者のスマートフォンを破壊した場合でも、情報は完全にWitnessのサーバ上に残る。そしてもちろん、証拠等として利用できる。

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Bernitsasはアプリを発表する前に少人数のグループでテストしてみたが、83%が緊急時にこれを使いたいと答え、91%が、これが自分のスマホにあれば安心だ、と答えた。

今のところ収益化計画はなく、アプリも無料で、とにかく世の中で実際にどんな使われ方をするか、それを知りたいのが今のBernitsasの本音だ。

“これまでの、ありとあらゆる仕事と違って、これだけは、最初からビジネスとして考えていない。ぼくにとってこれは、24時間で作れる、友だちや家族のためのクールなユーティリティ、でしかなかった。Disruptで賞を取りたい、という考えすらなかった”、とBernitsasは説明する。

“その後、いろんな人からWitnessが役に立つという話を聞いて、その話にとても感動した。そんな声を聞いたからこそ、できるだけ早くアプリとして完成させてApp Storeに出したい、という気持になった。でも、まだ、改良の余地はたくさんある。Witnessは、今後まだまだ良くなるよ”、と彼は付言した。

このアプリは無料で、iTunesからダウンロードできる。

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Knotableは一箇所に何でも放り込んでコラボレーションできる“グループのためのEvernote”

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Amol Sarvaはほぼ10年前ぐらいから、クールなものをいろいろ作ってきた。PeekHaloなどのデバイスをおぼえておられる方が多いと思われるが、でも今度の彼の会社Knotableは、ブラウザの上で使うクールな生産性ツールを作っている。パートナーのEdward Shenderovichと共に立ち上げたそのサービスはKnotable Note Instantlyと呼ばれ、Chromeブラウザの中でノートを取ったりタスクリストを作ったりできる。

同社にはすでに、Bloomberg Betaや500 Startups、それにエンジェルのTom Glocer、Thomas Lehrman、Dave Lerner、そしてJeff Waldらが投資している。

“みんなが同じページに集まって仕事ができるようにしたい。これまでは、ストレージはDropbox、チームのコミュニケーションはSlack、プロジェクト管理はTrelloというように、ばらばらのソリューションを、あっちへ行ったりこっちへ来たりしながら使う必要があった。Knotableなら、ドキュメントでもリンクでもメッセージでも埋め込みでも、何もかも一箇所に放り込んで、そこに各人がアクセスすればよい。みんなが同じページの上で、ひとつのテーマに集中することができる”、とSarvaは語る。

使い方は従来のノート取りアプリケーションと同じで、画面をクリックして新しいノートを書き加えたり、データを入力する。投票ボックスとか、トゥドゥリスト(to-do list)などを作れるし、ファイルや画像のアップロードもできる。ノートは今動いているどのChromeからでもアクセスでき、Dropboxなど、ほかのサービスにエクスポートもできる。ひとつのKnotableに複数のユーザを設定して、リアルタイムでコラボレーションできる。いわば、グループのためのEvernoteだ。

今はChromeのみだが、プラットホームはWindowsでもOS Xでもモバイルでも何でもよい。このアプリケーションの目的は、ユーザの考えや発想のすべてをインターネットに接続された場へダンプすることだ。小さなアイデアでも大きなアイデアでもよい。ちょっと気に入ったGIFや漫画などを投げ込んでおくと、意外な発想のきっかけになったりするだろう。

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MediumがAndroidアプリをローンチ、最初は非公開ベータで

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Twitterの二人の協同ファウンダ*が3年前に立ち上げた、一般参加型のブログMediumが、同社の発表どおり、まず非公開ベータでAndroidにやってくる。〔*: Evan WilliamsとBiz Stone。WilliamsはTwitterの元CEOでMediumでもCEO。〕

それはまだ試行時期のようなローンチで、最初の一定期間にダウンロードした人だけが利用できる。iOSアプリのローンチは昨年だったが、それは読むことしかできず、最近やっと記事の投稿ができるようになった。Android版は近く提供する、と毎日のように言っていたが、今となってもそれは、Google Play Storeで簡単に入手できるようなしろものではない。

Androidのオーナーはまず、MediumのGoogle+のコミュニティページに参加する必要がある。参加を承認されたら、このリンクからアプリをダウンロードする。

MediumはベータテスターからのフィードバックでAndroidアプリを磨いてから、本番ローンチするつもりだ。Mediumの大ファンで、しかもAndroidデバイスから利用したい人は、大急ぎでベータの貢献者になられるとよろしかろう。

#原注: ファウンダのEvan Williamsによると、Mediumはパブリシングのためのプラットホームではない、と言うが、その考えは少数派だとぼくは思う。*

情報をありがとう、@Peter_Bix

〔*: Williamsは、Mediumはパブリシング(書いたものを単に発表する)の場ではなくて、ネットワークだ、と主張する。多くのブログがライターを限定しているが、Mediumでは良質な記事なら誰でも書ける。コメント欄がなくて、応答(response)欄があるのも、互いに責任を担うネットワークの形成を意識している。〕

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LINE MUSICは「シェア」と「価格」で音楽ビジネスを再構築する

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サイバーエージェントとエイベックスが5月27日にスタートした「AWA」、日本は未確定ながらも6月30日に世界150カ国で開始する「Apple Music」と、国内でも定額制音楽配信サービスがにわかに盛り上がりつつある。そして、紆余曲折を経て「LINE MUSIC」がついにベールを脱いだ。

LINE MUSICはどのようなサービスなのか? 一言でいえば、LINEは「シェア」という仕組みと、若者を意識した「価格体系」を武器に、音楽ビジネスを本気で再構築しようとしているように思える。スタートまでの紆余曲折を紹介した前回の記事に引き続き、LINE MUSICの舛田淳社長と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長に狙いを聞いた。

二段階+学割で「若者の音楽離れを止めたい」

LINE MUSICの特徴は、まず「価格」だ(表参照)。時間にも機能にも制限のない「プレミアム」の価格は、業界の標準ともいえる価格帯だが、機能制限はなく20時間まで聞ける「ベーシック」が用意されていること、さらに双方に「学割」が用意されているところが特徴だ。

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舛田氏(以下敬称略):私どもの思いとして、若者の音楽離れを止めたい、というものがあります。ですから「学割」を用意します。二つの価格帯双方に用意し、1000円が600円、500円が300円になります。これによってエントリーのハードルを下げて音楽に触れていただき、音楽を好きになってもらいたいのです。

サービスの発表から開始まで時間がかかりましたが、この価格帯を実現するために時間がかかった、というところに近いです。世界が「ストリーミング・ミュージックは1000円だ」と言っているさなかで、我々は「もっとエントリーポイントを下げましょう」という話をさせていただいたわけです。

渡辺氏(以下敬称略):重要なのは、「でも、フリーではない」ということです。

舛田:まさに。フリーではない。フリーは(音楽ビジネス側から見ると)機会損失が大きい。ものすごい数の機会損失を生んでいるんです。実際、(無料の)ストリーミングとダウンロードで収支のバランスが取れているかというと、そうではありません。ですから無料はやるべきではない、と判断しました。その上で、プロモーションのために無料にしたい、というアーティストがいれば、それはそれで、プラスアルファの設計をすればいいだけです。なので、今回は2つの価格帯です。

LINE MUSICの舛田淳社長

LINE MUSICの舛田淳社長

LINEならではの音楽「シェア」機能とは

サービスは有料なのだが、「無料」で打ち出すところもある。それが、音楽の「シェア」である。

舛田:もうひとつは、会員登録がなくても、各曲30秒の試聴用の音楽だけは聴ける、ということです。トークルームとかタイムラインに好きな曲を送り合えます。LINEのスタンプはコミュニケーションの中に溶け込みますよね? それと同じように、音楽を送り合えるような設計にしています。プレイヤーから「シェア」を選べば、LINEのトークとタイムライン、その他TwitterやFacebookに送れます。(注:LINE以外のサービス経由で試聴する場合には、LINE MUSICアプリのダウンロードが必要。会員登録は不要)

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LINE MUSICにはiPhoneとAndroid向けに専用のスマホアプリが用意され、会員は通常そちらで音楽を楽しむ。

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だが、音楽がLINEでシェアされた場合には、LINE MUSICのアプリは必要ない。LINEのスタンプのように、最小限の機能を持った音楽プレイヤーと音楽が一緒に送られてくるので、それをタップすれば楽曲が聴ける。

会員なら曲全体が聴けるが、会員でない場合には、各曲30秒間は無料で聴ける。サブスクリプション型なので、会員側はスタート時150万曲以上というカタログから何曲、どれを選んでも追加料金はかからない。シェアされる側も負担はない。

ネット時代の「音楽を語り合う放課後」を作ろう

音楽の「シェア」は、LINE MUSICのサービス設計の根幹をなす部分である。そこには舛田氏を初めとする、LINE MUSIC開発陣の強い思いがあった。

舛田:例えば、グループトークをしている時に、「BGMはこれだよね」みたいにシェアできますし、「ハッピーバースデー」ミュージックみたいなこともできます。そうですね……告白ミュージック的なものもできますね(笑)。生活の中のコミュニケーションというか、感情を伝える手段として使えるわけです。

昔、彼女にカセットテープを作って送ったりしたじゃないですか。それと同じ環境をどうやって作るか、そしてデジタルの時代に応じて進化させるか、というのが我々のテーマでした。

音楽に出会うポイントって、年齢を重ねる毎に減るんですよ。先日は、33歳で新しい音楽との出会いは止まる、なんていう記事もありましたよね。

学生時代が一番音楽を聴いていて、放課後はひたすら音楽について話し込んだりしていたじゃないですか。そういう世界を、30になろうが40になろうが60になろうが、続けられるような世界を作りたかった。「ずっと放課後」を作りたかったんですよ。

音楽をコミュニケーションアイテムに

音楽レーベルと連携したのも、こうした新しい聴き方が、音楽市場拡大につながるのではないか、という発想からだった。

舛田:結果、音楽の楽しみ方が、次のステージに行けるかもしれません。音楽は一人で聴くもの、という感覚が強いのですが、そうじゃなくて、みんなでコミュニケーションアイテムとして使う、という新しい価値を提供することで、今音楽から離れようとしているユーザー達に、「音楽って素晴らしいよね」と伝えられるかもしれない。

アーティストの方々から見ても、新しい表現手段だと思います。もしかすると、トークに合った楽曲を作っていただけるかもしれない。それがヒットするかもしれない。

新譜と違い旧譜って、出会うきっかけがないじゃないですか。でもコミュニケーションの中で、「このシーンならこの曲でしょ」「このトークの流れなら、この曲が鉄板でしょ」というものを見つけてきて流すこともあるかもしれない。そういうコミュニケーションがLINEらしさです。

ラジオ型ではなくオンデマンド型サービスを選んだ理由

サブスクリプション・ミュージックには、楽曲を1つずつ再生する「オンデマンド型」と、ラジオや有線放送のように流しっぱなしにする「ラジオ型」がある。LINE MUSICはオンデマンド型だが、それを選らんだのも、シェアをやりたいがゆえだった。

舛田:なぜオンデマンド型サービスにこだわったかというと、コミュニケーションの要素を入れるためでした。ラジオのチャンネル1つをシェアされても、困る。コミュニケーションにはならないんです。コミュニケーションにストーリー性を持たせるのであれば、一曲一曲である方がいいだろう、という判断です。ラジオ型はオンデマンドではないので、一曲一曲のシェアが難しいんです。

正直この辺は、かなり社内でも検討しました。楽曲の配信許可許諾については、ラジオ型の方が料金も安くなりますし、簡単です。ラジオとオンデマンド配信では文化が異なっているため、そのような慣習になっています。

しかし今回は、あえて茨の道を行きました。各社と調整し、口説き落としながら進めていったんです。「未来はこっちですよ」と。

「着うた」と「LINE MUSIC」の類似点

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺氏は、そうした新しい要素と「着うた」の類似性を指摘する。

渡辺:着うたは、他の国々にはなかった日本のデジタルならではの盛り上がりで、すごくユーザーにも支持されたものです。一つの時代を作ったサービスだったな、と思います。特に、若い世代が音楽に触れるための道具としてワークしました。

着うたは、一種のアイデンティティです。ガラケーの中で、自分のテーマソングを決めるようなところがありました。その中での遊びだったと思います。

しかし今回のサ−ビスは、スマホになってLINEさんと組むことで、考えられる以上の遊びが考えられます。そこがまた音楽を盛り上げるきっかけになると思います。

着うたの時もユニークなユーザーが、最盛期には約2000万人くらいいました。LINE MUSICをはじめとしたストリーミング・ミュージックが2000万人くらいのユーザーに楽しんでもらえるようになれば……と思います。非常に大きなデジタルでの音楽マーケットができるのではないか、と期待しています。

2000万人に楽しんでもらえるような市場になれば、アーティストへの分配も、着うた時代以上に可能になるでしょう。新しいサービスがユーザーに支持されれば、着うた時代のように対価を払うことになんら抵抗がない、その分楽しんでいただけることになる。ストリーミング・ビジネスに対する懐疑論については、「2000万ユーザー」といった数字になってくれば、状況がまったく異なってくる、と期待しています。

そうなると、音楽ファンからアーティストファンへの移行もあるでしょうし、「所有」するような商品への需要も広がるでしょうし、ライブに行ってアーティストに触れるビジネスも広がります。ベースがあれば、その先はいくらでも計算できます。音楽ファンのベースを作るのが優先で、そこからつなげていけます。

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長

前回の記事にて、「アーティストのファン向けのビジネスから、音楽ファンのビジネスへ」という、渡辺氏のコメントをご紹介した。これは、シェア機能の存在を前提にしている。無料でシェアできるよう広げていくことで、音楽を使ったコミュニケーションで「遊ぶ」人々が増え、結果、人々が音楽に触れる裾野が広がることを期待しているわけだ。

「LINEが旨味を独占するわけではない」

一方、こうした仕組みを「LINEが旨味を独り占めする」ととられたくはない、と舛田氏は話す。

舛田:実は私、LINE MUSICという名前から「LINE」を外すことも検討したんですよ。このビジネスをやるのは「この座組だから」であって、音楽業界全体のプラットフォームになれたら、と思っているんです。LINEという冠があると狭く思われてしまうのではないか、と。

でもみなさん「いやいや、LINEでしょ」と(笑)

思いとしては、LINEの中に止めるつもりはないんです。プレイリスト機能などについては、LINEの中以外に公開できるようにすべきだと思います。まずはLINEのタイムラインの中とか、公式アカウントを持っているアーティストがオフィシャルブログや公式アカウントでプレイリストを公開する、というところから始めますが。しかし、TwitterやFacebookでもいいですし、プレイリスト用のAPIを公開して、キュレーションメディアのようなものを作れる……といったところまでやるべきだと考えています。

LINEの他のサービスとも連携して広げていくべきだと考えています。

カタログの量と「サービスとしての完成度」は前提条件

LINE MUSICの魅力が「シェア」にあるのは間違いない。しかし、それは支持されるサービスになる一つの要素である。舛田氏は「通常のオンデマンド型サブスクリプション・サービスとして、素晴らしいものでなくてはならない、ということが大前提」と話す。

舛田:まずは音楽ファンを満足させるものでなくてはなりません。やはりカタログ数が重要です。主要なレーベルにご参加いただきました。第一弾として、二十数レーベルに参加していただき、新しい楽曲も出していただきます。カタログ数は今後も増やしていきますが、要はありとあらゆる楽曲を用意するつもりでやります。インディーズも含めてです。最初の段階では、日本の主要な楽曲は入っているのではないかな、と思います。

まずはスマホアプリですが、BGMとして、作業しながら聴く、ということはあると思いますので、ちょっと遅れることにはなりますが、PC版も用意します。

そして次に重要なのが価格です。こちらはいうまでもありません。音楽との出会いは人それぞれです。トップページで見つける方もいれば、専門家が作るプレイリストみたいなものを聴いていただくこともあるでしょうし、一般の方が作ったもので出会うこともあるでしょう。データによるレコメンドもあります。ユーザー同士のコンテンツ共有もあります。

プレイリストのイメージ

プレイリストのイメージ

音楽と出会うためにすべての手を打つ

舛田:これ、すべてがないとダメだと思うんです。そうでないと浅くなります。私は元々検索をやっていた人間で、検索には限界があると思って「NAVERまとめ」を作ったんです。かといってNAVERまとめですべてが完結できるわけではないです。そこは、すべてがハイブリッドでなくてはいけないです。現在は「音楽と出会うきっかけがない」のが問題なのですから。考えられるすべての手を打ちます。

いくら楽園があっても、そこへ到達できなければ意味がないんです。ですから、ユーザー間のシェアを大切にします。メーカーやアーティストが自分で情報発信していけるようにもなります。そうすれば、タッチポイントは必ず増えていきます。

今年、2015年は多数のストリーミング・ミュージックサービスがスタートするとみられています。まさにダムが決壊するがごとく、この2015年というのが、日本の音楽市場にとってターニングポイントになるのではないか、と。いや、そう「したい」と思っているんです。

その中で我々がどういう地位を占めたいか、というと、当然多くのユーザーに使っていただきたいと思っています。そしてその時は私たち(LINE)だけでなく、音楽業界全体のプラットフォームになっていきたい。それが目指すべき方向です。コミュニケーションと音楽を結びつけるというのが、私たちがやるべきこと。若い人達に音楽を聴いてもらって、感動してもらうのが、私たちがやるべきことです。

定額制音楽配信サービスの勝者は?

LINE MUSICがスタートした背景には、各種ストリーミング・ミュージックがこの時期に向けてスタートの準備を進めており、同様の条件交渉が必要なLINE MUSICについても、結果的に同じようなタイミングになった……という部分があるようだ。ライバルが増えることになるが、舛田氏は悲観していない。むしろ「今がチャンス」とみている。

海外のネット事情に詳しい人や、熱心な洋楽ファンにとっては、ストリーミング・ミュージックは「日常」であってなんら珍しいものでもない。だが日本では、舛田氏の言うとおり、多くの人が「本物のストリーミング・ミュージックを体験してない」状態であり、市場開拓はこれから。短期的には、競い合って認知度が高まることが望ましい。

一方、どのサービスが本命になるかは、読むのが難しい。

集客の点では、現在公称会員数300万人で、トップシェアであるNTTドコモの「dヒッツ」と、LINE MUSICが有利だ。dヒッツは、NTTドコモのスマートフォン販売戦略と連携しており、店頭での拡販が強み。一方LINEは、メッセージングサービスとしての圧倒的認知度がある。

Apple Musicは、音楽ファンには一番注目度が高い。ダウンロード販売では強いiTunes Storeとの連携が強く、「すでに持っているライブラリとの統合」は魅力的だ。Androidでの展開は秋になるものの、iOS機器に加え、PCやMacでもスタート時点から使えるため、「マルチデバイス展開」でも一歩先を行っている。海外では当たり前である水準をきちんとカバーしており、システムとしての完成度は一番高そうな印象を受ける。

価格面でも、上記2サービスは強い。LINE MUSICは「学割」をはじめとした施策でハードルを下げているし、dヒッツは税込み540円で、視聴時間制限がない。自分がまだ学生だと想定すると、毎月1000円近い金額が「音楽のためだけに出て行く」のは確かにちょっとつらい。だから、500円まででの戦いが主流になるのではないか、という予想もできる。一方、Apple Musicは1人向けのディスカウントはしないものの、「家族6人までが14.99ドルで使える」という、ファミリーアカウント制度を用意する。親に支払ってもらう想定ならば、実質的にはかなり競争力がある。

そうなると競争軸は、「音楽との出会いのプロセス」になるだろう。LINE MUSICのように「シェア」を軸に、友人との関係から利用者を広げる手法もあるだろう。Apple Musicは、国内で楽曲調達やiTunes Storeの「店舗設計」を日夜担当している音楽の目利きが、プレイリスト作成や楽曲提案の中心になる。「音楽がわかる人々からの伝播」という、ある意味古典的な「ラジオから流れる音楽」と同じモデルだ。他のサービスは、「シェア」「音楽発見」について凡庸な印象で、特徴が薄い。

「無料で音楽を楽しむ人々」を引きつけることが本命の条件だとすれば、「聴ける」以上の要素がカギになる。だからこそ、「Spotifyなどが日本への参入を果たしていない」という前提に立てば、LINE MusicとApple Musicの対決になるのでは……というのが、筆者の見立てある。どちらにしろまず、目の前にある「無料モデルからの脱却」が最大のハードルであり、「どこが勝つか」はその先にしかないのだが。

中高生に人気爆発のメッセージングアプリJottはデータプラン不要のメッシュネットワーク

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【抄訳】
FacebookやYikYakなどが若いユーザを増やそうと努力している中で、あるスタートアップが10代のユーザの重要な属性…お金がないのでデータプランを使えない…を利用して急成長している。

データプランやWiFi接続の要らないメッセージングアプリJottが、中学生や高校生にうけている。協同ファウンダのJared Allgoodによると、アクティブユーザ数は2月の15万から3月には50万へと、大きく伸びた。

彼によると、その後もユーザ数は1日に15000〜20000名ずつ増えている。より客観的と思われるApp Annieでもそんな数字だ。4月半ばには、iOSのソーシャルネットワーキングアプリ(合衆国のみ)の上位75にランク入りした。

Jottを使うと、データプランのないティーンたちがiPodやiPadを使って、学校から100フィートの範囲内ならクローズドなネットワークの上でテキスティングできる。お互いの電話番号も不要だ。

Pew Researchによると、13-17歳層の88%が携帯やスマートフォンを持っているが、その全員がデータプランを使えるわけでもないし、学校でインターネットにアクセスすることもできない。テキストで、無限に長時間おしゃべりをしたい年頃なのに、それができない。

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テキストメッセージは通常、電話機から至近のセルタワーへ行く。それから、そのほかのセルタワー(複数)を経由して、相手に届く。しかしJottは、セルサービスを使わずにデバイスからデバイスへ直接、メッセージを送る。ただし、お互いの距離が十分に近いことが条件だ。

Jottの仕組みは、物理的にはBluetooth Low Energy(Bluetooth LE)や、各ユーザから100フィート以内にあるルータを利用するメッシュネットワークだ。それは、グループメッセージングアプリFireChatと同じだが、Jottはネットワーク内の個人にメッセージできる。

この、ひとつのネットワーク内で直接、ピアツーピアでメッセージングできる機能が鍵だ。FacebookやSnapchat、Instagramなどもティーンのあいだで人気のソーシャルネットワークだが、しかし何と言ってもダントツはテキスティングだ。右のデータによると、ティーンの87%が毎日テキスティングしているのに対し、次位のFacebookを使っているティーンは61%だ。

テキスティングが好まれる理由は未だによくわからないし、客観的な調査データのようなものもない。友だちにメッセージを送る方法として、いちばん簡単だからか? 理由はともあれ、なにしろ多い。大人より多い。Pewの調査では、女子は毎月平均3952通のテキストメッセージを送っており、男子は2815通で、これも少なくはない。

はっきりしているのは、iPodなどよりもスマートフォンを持ってるティーンの方が、激しくテキスティングしていることだ。2012年のPewの調査によると、ヘビーなテキスターの41%、ほどほどのテキスターの33%がスマートフォンを持っているが、軽度のテキスターでスマートフォンの保有者は19%にすぎない。

しかしJottがとくに中学生に人気があるのは、彼/彼女らは高校生に比べてスマートフォンを持ってる者が少ないからだ。Jottを使うと、スマートフォンやデータプランのない者でもテキスティングでき、友だちとメッセージングできる。

“データプランのない子はいても、iPodはほとんどの子が持っている”、と10代前半の娘のいるAllgoodは語る。

【後略】

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「本物の定額制音楽サービスを見せる」 LINE MUSIC仕掛け人、狙いを語る

LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役CSMO最高戦略・マーケティング責任者舛田淳氏(左)と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長(右)

いよいよ「LINE MUSIC」が始まる。5月28日にティザーサイトを開設し、近日中にサービスを開始することを公表した。音楽配信を主体とする事業会社、LINE MUSICに共同出資するエイベックス・デジタル、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ユニバーサルミュージックの音楽レーベル3社と共同でビジネスを開始する。

LINE MUSICのティザーサイト

LINE MUSICのティザーサイト

それにしても、スタートまでに紆余曲折があったものである。LINEは幾度も音楽配信への参入宣言をしているが、具体的な動きをなかなか出せずにいた。そもそも定額制音楽サービスは、日本では芽が出ていない。海外大手「Spotify」も近日中の日本参入を公表しつつも具体的な動きが見えない状況にある。きょう未明には、Appleが月額9.99ドルの「Apple Music」を世界100カ国で6月30日に開始すると発表。日本でもまもなく登場することが予想される。

今回LINEはようやくサービス開始にこぎつけたわけだが、スタートが難航した理由はなんだったのか。そしてLINE MUSICは、どうやって日本に定額制音楽配信を根付かせようとしているのか。LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役 CSMO 最高戦略・マーケティング責任者である舛田淳氏と、音楽レーベル側の代表として、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長に話を聞いた。

残念ながら、この記事が公開される段階では、LINE MUSICのサービスは開始されていないため、料金体系を含めたサービスの詳細は明かすことができない。そのため、ビジネス状況や戦略を中心に説明していただいた。サービスの詳細を含めた戦略と展開については、別途近日中にインタビューの第二弾を公開する予定である。

LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役CSMO最高戦略・マーケティング責任者舛田淳氏(左)と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長(右)

LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役CSMO最高戦略・マーケティング責任者舛田淳氏(左)と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長(右)

4度目の正直だったLINE MUSIC

――LINEは音楽事業への参入にかなりこだわってきたように見えます。LINE MUSICはなかなかスタートできなかった。これまでの経緯を教えてください。

舛田氏(以下敬称略):LINEがまだ生まれる前のネイバージャパンの時代……2010年頃に検索サービスを日本で立ち上げた時代から、「検索と音楽」であったり「まとめと音楽」であったりというものが何かないかと考え、「NAVER MUSIC」という企画を立てました。「まとめ」というキュレーションメディアにストリーミングをくっつけたり、検索にストリーミングメディアをくっつけたりというモデルをしたかったんです。

その時、企画書をもって色んな音楽メーカー・レーベルを回らせていただいたのですが、一言でいえば「ダメ」でした。市場の環境がまったく整っていなかった上に、私どもも「検索サービス」という意味ではパワーがまったく足りませんでした。「NAVERまとめ」も成長の過程にあった状態でしたし、この企画自身はなくなりました

さらにそれ以降、本日に至るまで3回くらい、過去に「LINEは音楽をやります」と宣言してきました。第一弾は2012年のカンファレンスにて、話をさせていただいて、その時は大手音楽配信サービスとのパートナーシップを検討していました。しかしこれも、私たちが思い描くサービスができそうになかった。サービスとして十分ではないものは出さない、という判断をして、企画をまた白紙にしました。

次は私どもが単独で、2013年に「LINE MUSIC」を立ち上げて、そこに対して、各メーカー・レーベルさんに参画いただく、という形で準備を進めました。我々は「LINE MUSIC 1.0」と呼んでいるんですが、これは予定日の1週間前になって、サービスのローンチを止めました。ちょうど1年前でしたが、アプリマーケットの審査も通しましたし、記者会見の場所すら押さえていたんです(笑)。

でも「1.0」はアプリごとつぶし、ゼロにしました。そして、それを経て出来上がったのが、今のLINE MUSICです。

「腹をくくって一緒にやろう」

――ローンチ直前まで進んでいた「1.0」を捨てた理由は? どんなきっかけがあったのですか?

linemusic04舛田:今、思い返せば、実は私も迷いながら、GOを出そうとしていたんです。市場環境が整わないなら、まず出してみて、そこから変えていこうと。

日本において「ユーザーの音楽体験を変える」「海外と同じように、ダウンロードからストリーミングに変えていく」には、いくつかの条件があると思っているんです。それは「主要メーカーが参加しているか」や「豊富な楽曲数」であるとか「新譜があるか」であるとか、「手に入りやすい価格帯か」「オンデマンドであるか」「ユーザーにデリバリーする仕組みとして特徴があるか」、あとは「アーティストから見てプロモーション力があるか」といったところでしょうか。こういったところが、「LINE MUSIC 1.0」は、高いレベルになかった。

ローンチ前の段階でも、楽曲をご提供いただくことについて、最後の最後の段階で返事をいただけていなかったレーベルさんもいたんです。ソニー・ミュージックさんなんですが(笑)「前向きなようだが、まだGOは出ていない」という話だったので、ある種の直談判ということで、ソニー・ミュージックさんを訪ねていったんです。

日本の音楽市場の未来、問題点、アーティストのモノ作りへの想い、LINEとしての構想など、お互いに素直に話をさせていただいたのですが、その時に、ソニー・ミュージックの村松(俊亮社長)さんに思ってもみない言葉を言われました。「今よりも、もっと腹くくって一緒にやらないか?」と。

——渡辺さんにおうかがいします。ソニー・ミュージックはなぜ「腹をくくって一緒にやろう」とLINE側に言ったのですか?

渡辺:レコード会社は、音源を作り、ユーザーに届けるのが仕事です。当時も今も大きいのは「パッケージメディア」。特に日本はパッケージの売り上げが多いのが特徴です。ですからビジネスプランもそこが中心になります。

その一方で現在は、映画業界のように「ウィンドウ」的にサブスクリプションを捉えていかなくてはいけない時代です。ファースト・ウィンドウはパッケージとダウンロードで、どちらかといえばアーティストのファンに向けて売っていく。その後にウィンドウをつけてサブスクリプションに持っていく……というプランが、当時の構想でした。

ただ僕たちが重要だと思ったことがあります。アーティストのファンはもちろん大切なんですが、やはり「音楽ファン」に広くアプローチして、そこからアーティストのファンになっていただきたい。そういうやり方はウィンドウ戦略とはまた違うものです。

そういう発想でいくと、やっぱり一番一緒にやりたいのはLINEだよね、と社内で話していたのですが、そこにLINEからサブスクリプション型の提案がきていました。ならば、僕たち側からも逆提案しよう、という形になったんです。

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舛田:LINE MUSICを立ち上げる前に、ユーザーアンケートをとりました。「音楽は好きですか?」「音楽は聴きますか?」という問いに対しては、9割以上の方々が「聴きます」「好きです」と答えるんです。音楽はいつの時代も皆が好きで、魅力的なコンテンツなんです。

ただ、今の市場環境としては、パッケージ販売が落ちてきています。ある種、世界の中で希有な存在とされてきた日本のパッケージ市場ですら、ダウントレンドに入ってきた。それを埋めるはずのダウンロードも世界ではダウントレンドに入ったと言われています。

音楽は好きだが、そこにお金を払う、という状況から離れ始めた、というのが今の状況です。

日本のユーザーの多くは「本物のサブスクリプション・サービス」を知らない

――LINE MUSIC 1.0は、音楽レーベルとLINEの双方で「これじゃない」という思いがあったようですが、具体的に何が足りなかったんでしょうか。

舛田:今の時点に至るまで、日本のユーザーの多くは「本物のサブスクリプション・サービス」を知らないんですよ。カタログが揃っている、と言える状態には一回もなったことがない。なおかつ、手に入りやすい価格でもなかった。いままでもいくつか出てはいますが、多くのユーザーを熱狂させるものには、なれていなかった。

LINEが「1.0」として出そうとしていたものも、「業界標準価格の1メニューだけで、メジャーレーベルも参加せず、カタログも不十分」という形でした。その当時の判断として、これでは熱狂させる「本物のサブスクリプション」にはなっていない、という判断をしました。

逆にいえば「カタログが揃っている」「手に入りやすい価格である」のが、これからスタートするLINE MUSICである、と言えます。

フリーミアムモデルは音楽市場の成長につながらない

――海外のストリーミングサービスは、無料の機能制限版+広告の無料会員と、月額10ドル程度の有料会員の2階建ての「フリーミアムモデル」が主流です。LINE MUSICはどのような料金体系なのでしょうか?

舛田:まだ詳細はお伝えできませんが、日本のLINE MUSICに関していえば、一般的なフリーミアムモデルを採用しません。海外でフリーミアムのストリーミングはここ数年伸びていますが、今年に入り「本当に大丈夫?」という声もアーティスト側から聞こえてきています。市場を本当に成長させてくれるの? という疑問が出てきていますね。テイラー・スウィフトがフリーミアムサービスには楽曲を提供しないと発言したのは印象的でしたね。今後世界でのフリーミアムモデルの環境変化には、注目しています。

――フリーミアムモデルは無料で音楽を聴く人が増えすぎて消耗戦に陥っている、との批判があります。音楽業界側からは無料型ではなく「有料型」で、という意見が強いのですが、LINE MUSICもそれに倣うということでしょうか。

舛田:日本のユーザーは素晴らしい。これまでも音楽に価値を認め、お金をお支払いいただいているわけです。グローバルでフリーミアムが流行っているからといってそれを闇雲に日本のサービスに持ち込むべきでない、という部分は、コンテンツ側からの要請ではなく、私自身も「そうすべきだ」と思っているからです。コンテンツ、国、市場によって、それぞれ最適なモデルにしていくべきです。

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コミュニケーションに音楽を取り込む

舛田:昔はレコード店で楽曲を買いました。情報はテレビ・ラジオなどのマスメディアで仕入れる。それがデジタル化し、次は「検索」や「ポータル」で知るようになりました。今はさらに時代が変わり、「ソーシャルメディア」で知るようになりました。ソーシャルメディア・サービスが人のコンテンツとの出会いを演出するメディアになったんです。

しかし一方、一般的なSNSは密接なクローズドなコミュニケーションの中には入り切れていません。我々が目指すところであり、求められていることは、LINEが担っているリアルな人間関係の中のリアルなコミュニケーションの中に音楽の話題を入れていくことです。

学生時代は、とにかくたくさん、友人と音楽のことを話していたはずです。でも今はそんなにしなくなっている。「好きなのに」「聴くのに」です。

そこに矛盾が生まれ始めている。ユーザーにとっても、提供するプラットフォーム側にとっても、音楽を提供する側にとっても、です。今回は、我々のコミュニケーションプラットフォーム上に音楽コンテンツを置くことで、コミュニケーションの中でもう一回音楽を採り上げていただく環境を作る、ということが、一つの大きな方向性です。

「着うた」以上の巨大市場を期待するレコード会社

――音楽レーベルとしては、LINE MUSICでどのくらいのユーザー数を獲得したいと考えていますか?

linemusic02渡辺:着うたの時もユニークなユーザーが、最盛期には約2000万人くらいいました。LINE MUSICをはじめとしたストリーミング・ミュージック全体で、2000万人くらいのユーザーに楽しんでもらえるようになれば……と思います。非常に大きなデジタルでの音楽マーケットができるのではないか、と期待しています。

2000万人に楽しんでもらえるような市場になれば、アーティストへの分配も、着うた時代以上に可能になるでしょう。特に日本においては、フリーミアムによる広告モデルでのレベニューシェアでは、そうした規模のビジネスは非常に難しいと思います。

日本で定額音楽配信サービスはブレイクするか?

定額制音楽配信の多くは、音楽をPCやスマートフォンなどにダウンロードせず、ストリーミング形式で再生する。すでに海外では、CDやダウンロードをしのぐ勢いである。アメリカ・レコード協会(RIAA)の発表によれば、2014年のアメリカの音楽事業では、ストリーミング・ミュージックの売り上げは18億7000万ドル。ついに、CDの売り上げ(18億5000万ドル)を越えてきた。

しかし、日本ではどうも伸びない。日本でも「KKBOX」や「レコチョク Best」、「dヒッツ」などの先行サービスはあるものの、ブレイクするには至っていない。海外の大物を含め、「本命」と呼べるサービスが不在であるから……ともいえる。

5月27日には、エイベックスとサイバーエージェントが共同出資する「AWA」がスタートして話題になったが、メッセージングの分野で圧倒的なシェアを持つLINEが参入するとなれば、注目されるのも当然といえる。

LINEとしてはもちろん、定額制音楽配信の中でトップを狙う。競合となるサービスも今年中に続々スタートするとみられており、舛田氏は「2015年というのが、日本の音楽市場にとってターニングポイントになるのではないか。いや、そう”したい”」と意気込みを語る。

では、具体的にどのようなサービスになるのか? それはどういう狙いで組み立てられたものなのか? そうした点は、サービスがスタートした段階で改めて解説していくこととしたい。

ブラウザから使えるSkypeの公開ベータがまず合衆国とイギリスから提供開始

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Skypeのビデオ/音声通話とIMが、Webから使えるようになる。その、Webアプリケーション版Skypeのブラウザ上のクライアントを、今日から公開ベータで使える、と同社が発表した。この人気絶大なるチャットと通話サービスのWebバージョンが出たのは昨年の終わりごろだったが、これまではアクセスを招待者に限定していた。それが今日からは、合衆国とイギリスのユーザを皮切りに、誰もが利用できるようになる。

対応ブラウザはInternet ExplorerとChromeとSafariとFirefoxだが、Chromebookはノー。音声とビデオによる通話は上記ブラウザのみ、OSはWindowsとOS X。いずれも、ブラウザ用のプラグインをインストールする必要がある。

Web上のSkypeにはローカルのクライアントにない利点がある。旅先で出会った見知らぬコンピュータでも、SkypeアプリケーションはなくてもWebブラウザは確実にあるだろう。何でもWeb上でできる時代にわざわざネイティブアプリケーションをインストールしない、という主義の人もいる。動機は何であれ、機能の完備したSkypeをWebから使えるのは、なにしろ良いことだ。

Chrome OSがサポートされないのは、ちょっと残念だ。Skypeが使えない==日常のコンピュータとして使えない、という人が多いからね。

WebバージョンSkypeの詳しい使い方は、Skype.comへ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Re:questは、Apple WatchやiPhoneで素早く返信を送るためのアプリ

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簡単な質問を友人に聞きたいだけにも関わらず、長いやりとりになってしまうことがある。iPhoneとApple Watch用の新しいアプリRe:quest はそんな状況に手を貸したい。出口の見えない回りくどい会話を無くすため、Re:questでは質問とそれに対応するいくつかの回答の選択肢を友人に送ることができる。友人は特定の回答をタップして返信する。このメッセージクライアントは特にApple Watchで使用するのに適しているだろう。友人はわざわざ回答を大声に出して端末に読み込ませる必要がなく、具体的な回答をすぐに返信できるからだ。

このアプリではメッセージの受信者は、提示された選択肢の中から一つを回答として選ばなければならない。テキストでの長い会話の代わりに、今聞きたいことに対する具体的な返信が期待できるだろう。

例えば、誰かに「夕飯は何にしたい?」と聞きたい場合は、選択肢として食べ物や料理のリストを合わせて提示する。あるいは、パートナーに帰宅時間を尋ねる場合は、「一時間内には」「夕食前には」「遅れています」やユーザーが適当だと思う返信をアプリに入力し、受信者はその中から回答を選ぶ。

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iPhoneベースのモバイルメッセンジャーのインターフェイスはとてもシンプルで、インボックスの画面では、質問に対しては素早く回答を返信し、相手から返信された回答の確認もできて機能的だ。加えて、コンタクトリクエストの承認や2つしか選択肢のない質問に対しては、iPhoneのロック画面の通知を左にスワイプするだけで返信ができる。

ただRe:questは、iPhoneよりApple Watchのデフォルトのメッセージアプリの代替として最も効果的に使用できるだろう。WatchだけでもRe:questを使いこなすことができる。質問は音声入力で行い、過去の回答を閲覧したり、通知から質問に対する返信を行ったり、友人からのコンタクトリクエストの承認もできる。

Apple Watchのこれに似た「スマート返信」機能では、会話に適切と判断された文言が用意され、テキストの返信を素早く行う方法が紹介されている。(例えば、「今は話せない」「まだ分からない」「はい」「後で話そう」などが表示される。)しかしRe:questでは、それ以上に素早く返信することができ、また質問に対してより具体的な回答ができる。

もちろん、このアプリを利用するには友人もこのアプリを持っていなければならない。このアプリは、ユーザーのアドレス帳をスキャンすることはなく、代わりに、ダウンロードリンクを友人に送る、あるいは友人の「ID」(アプリが提供するコード)を入力すると、サービスの利用が可能となる。

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Re:questは、MartianCraftのチームによって製作された。Martian CraftはNews Corp、Rhapsody、オバマ大統領のキャンペーン 、IBM、NASA、APなどのブランドのコンサルティングサービスを行うスタジオで、自社のアプリも開発してきた。

MartianCraftのマネージングパートナーであるRob Rhyneは、このアプリはスマートフォンを取り出さなくても返信を素早く送受信したいと思ったことから生まれたという。「忙しい伴侶やパートナーに仕事の後にどこに行きたいかを聞いてもなかなか連絡が取れなかった事がある人は、このアプリを使ってみてほしい」と彼は話した。

Re:questは、サービスのバックエンドをほとんど無料で提供するAppleのCloudKitのフレームワークで製作された。Rhyneは、これにより月々の運営コストはゼロに近いと話す。多くの人にこのアプリを使用してほしいと彼らは考えているため、Re:questは App Storeで無料で提供している。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

MorpholioのCritはデザインなどヴィジュアルな作品にリアルタイムで書(描)き込みコミュニケーションができる

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Morpholioの新しいiPhone/iPadアプリCritを使うと、デザイナーや建築家、写真家などのクリエイターたちが、文字や言葉ではなくアップロードした画像そのものの上で、ヴィジュアルに、リアルタイムでコミュニケーションできる。

たとえば若手の写真家が作品をどこかのクリエイティブ・ディレクターに送ると、後者はその画像の上に自分の指などでマークアップを入れて、ここをこーしろ、などの伝達ができる(上図中央)。

Critは最初、Morpholioのサービスの部品のような機能だったが、このほど別のアプリとして独立し、それと同時に、描画機能(マークアップ…添削…機能)やコメント機能を充実させた。

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ゆうべMorpholioのチームがデモを見せてくれたが、ぼくも以前はデザイナーだったから、便利なことはわかった。UIはクリーンで分かりやすく、それは同社の言うとおりだ。デザインに関して批評をやりとりするには、iPadバージョンの方が便利そうだが、急ぎのときや旅行中にはiPhoneが便利だろう。どっちもある、というのが良いね。

生産性という点では、これで忙しいアートディレクターやクリエイティブ・ディレクターにデザインのコンセプトを見てもらうのは、ちょっと厳しいかもしれない。むしろ、会話をしながらでもどんどん仕事を進めている、という、動きのある現場環境が合っているのではないか。そんな環境なら、ディレクターからの指示をリアルタイムで生かせるだろう。

スタイラスでマークアップできるのは良いけど、もっと複雑なWebデザインや、精密な青写真、ワイヤフレームなどでは、ちょっと難しいかな。

でも、かなりラフなマークアップでもお互いの意思が十分伝わることもあるから、忙しいときには何もないよりましだ。だから、精度など物理的側面にぜいたくを言わなければ、マークアップツールとして十分使えるのではないか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Quickieは久々に本当に好きになったメッセージングアプリ…そのワケは?

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メッセージングアプリの大流行で、デベロッパに二つのことが起きている。第一は、途方もない数のデベロッパが、メッセージングなら必ず当たると信じてメッセージングアプリを作っている。第二は、WhatsAppやSnapchatなどなどを追い抜くと称して、ありとあらゆる小細工が氾濫している。“うちのは違う”、と声高に主張しながら。

それらの95%は、世の中にとっても誰にとっても、目に見える利点は何一つない。ぼくはネガティブな人間ではないが、本誌TechCrunchの非公式のメッセージングアプリ担当記者なので、使用体験者からの情報をいろいろ入手しているのだ。

メッセージングアプリはもっぱら上記のような状況だが、でも久しぶりに、ある新しいメッセージングアプリを本当に好きになった。誰かが今、ずっこけたような音がしたが?

そのアプリの名前はQuickieで、iOSAndroidのアプリで、短命なメッセージを送れる(テキスト、写真、ビデオ、落書きなど)。それは、自己破壊型(self-destructing)メッセージ、とも呼ぶ。

先週ずっと楽しめたのは、とにかくすごくシンプルで軽いから。

アプリを開いて画像をさっと送れる。裏、表、どちらのカメラでもよい。メッセージを書いたり、お絵かきをしたり、その場ですぐビデオを撮ったりして、友だちに送れる。相手がそれらのメッセージを見たら、すぐに消える。取り戻す方法はない。

つまり、そんなアプリ。

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短命メッセージのスクリーンショットをとることは意外と難しい

毎日、その日のほとんどをメッセージングアプリの中でぼくは過ごす。仕事ではSlack。個人用には、Facebook MessengerもWhatsAppもLineもWeChatもそのほかも適当に使うが、それが仕事関連のメッセージのこともある。すべてのメッセージアプリのユーザ数を合計すると数億人、という説があり、たしかにそれは、メールなど従来のコミュニケーション手段を駆逐した。だから逆に、メッセージングが前と違ってシリアスになった面もある。

だから軽くてシンプルなアプリが、単純に楽しめるから好きになったのかもしれない。お絵かきの機能はとくに、わが家の4歳と6歳が気に入ったようだ。もちろん、短命でないふつうのメッセージングにも、お絵かきはあるけどね。

Snapchatを使いづらいと感じる人は—あのごたごたしたインタフェイスはなんだっ!!—Quickieを気に入るだろう。でも、好みには個人差があるし、しかも、このアプリを使ってる友だちが何人かいなきゃだめだよ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

CAVが出資するOneteam、メールやSlackより“使える”コミュニケーションツールを今夏より提供

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テック企業ではSlackやChatworkをはじめとした社内向けコミュニケーションツールの話題が盛んだが、これらのツールの利便性を非テック企業にも提供しようとしているのがOneteamだ。同社は5月15日、サイバーエージェント・ベンチャーズを引受先とした6000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

同社が開発するのは、非ITテック企業向けのコミュニケーションプラットフォーム「Oneteam」。チャット機能に加えて、企業や組織の一人一人が自己紹介ページを持って自分の趣味や志望動機、職歴情報を登録できるほか、電話番号や社員番号などの連絡先を調べることができる。スマートフォンアプリとウェブでの提供を予定している。コンセプトは「手のひらにチームを持ち歩く」とのことで、代表取締役の佐々木陽氏いわく、機能的には「GithubとSlackを組み合わせたようなツール」だという。

サービスは現在開発中で、2015年夏に正式リリースの予定。ただしプロフィールや連絡先共有など一部の機能については、6月上旬から「Profile Book」の名称でベータ版として提供していく。すでにベトナム、フィリピン、インドネシア、タイの人材会社や旅行代理店など複数企業(それも100〜300人規模とそれなりに大きな組織も含まれているそう)が導入を予定しているとのことだ。同社では初年度100社1万アカウントの導入を目指すとしている。

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「Slackのようにフローの情報は常に座席にいるエンジニア企業には向いているが、外出する営業マンや経営者は最適情報にたどり着くまでがストレスになる。一方で電子メールはやりとりを重ねるうちにタイトルと本文の不一致、過剰なCCによる当事者意識の低下なども起こる。イシューベースでチャットコミュニケーションが出来る状態でないといけないと考えた」—佐々木氏はサービス開発の経緯をこう語る。

日常的に使う仕組み、プッシュとUIへのこだわり

メールや他のコミュニケーションツールより“使える”サービスとのことだが、この手の非テック企業向けツールで気になるのは「どうやってそのツールを日常的に使うようになるか」という点だ。僕は導入企業数なんかより、DAUのような日々の利用度合いのほうが気になる。

Oneteamでは、スマートフォンのプッシュ通知(さらに未読の場合の再通知も)で未読を解消するほか、誰でも分かりやすいユーザーインターフェースを心がけているのだそう。「UIでは『見慣れないもの』を排除することが必要だと思っている。また、今後は利用のシーンや事例をコンテンツとして拡充していくことが重要だと思っている。ベータ版を提供することで、実際の利用シーンと効果を検証したいと考えている」(佐々木氏)

スマートフォン革命に取り残された人のためのタッチフリーモバイル端末

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編集部記:Oded Ben Dovは、触らなくても使用できる世界初のスマートフォンSesame Enableの共同ファウンダーでCEOだ。このスマートフォンは、障害者が障害者の為に制作した端末だ。

旅行中で休むための時間にも関わらず、ひっきりなしに来るメールやテキストで鳴り続けるスマートフォンを海に捨ててしまいたくなる衝動にかられたことはないだろうか?

私たちの多くが接続した世界から離れたいと思い、今では「デジタルデトックス」のための旅行市場まで誕生している程だ。しかし、私たちとスマートフォンの関係は愛憎が拮抗するものでも、最終的には愛が勝つ。

1日、2日以上電源コードから離れることは想像できないだろう。モバイルでの接続は、現代社会で生きるために必要不可欠になっている。ビル&メリンダ・ゲイツ財団の 調査から、毎日2ドル以下で生活している人たちでさえ、必要であれば食費を抑えてでもモバイル端末を保有するそうだ。

スマートフォンはもはや私たちの身体の一部といっても過言ではないが、一部の人たちはこの流れに取り残されてしまった。大勢の身体が不自由な人たちのコミュニティー、例えば、四肢麻痺、ALS、脳性麻痺を患っている人たちだ。この人達は、スマートフォンでFacebookに投稿したり、ゲームをしたり、アプリをダウンロードするのもそうだが、通話やテキスト、ネットを見たり、メールを読んだりすることも難しい。

モバイル端末は、収入レベル、年齢、性別に関わらず、私たちの社会生活、キャリアの形成に必要なものとみなされている。エンターテイメントに関しては大部分を占めている。言葉を変えれば、モバイル端末は、もはや通話のためのものだけではなくなったということだ。

一本の電話が私の人生を変えた

3年ほど前、私の電話が鳴った。電話は、私のキャリアの道筋を大きく変える声の持ち主とつながっていた。その当時、私はゲームの開発をしていて、ジェスチャーだけで遊べるiPhone用のゲームを紹介するためにテレビ番組に出演した。

電話相手は、実質的に私に電話をかけることは不可能だった。彼は電話を持つことも電話番号を押すこともできず、それをするには誰かの助けが必要だった。Giora Livneは自己紹介で、7年前の事故がきっかけで四肢麻痺になったことを説明した。電気技師をしていたGioraは、私をテレビ番組で見かけ、このジェスチャー技術は、彼のような人たちの助けになると気がついた。

「唐突なお願いかもしれません」とGioraは、彼と一緒に世界初のタッチフリースマートフォンを開発しないかと私を誘った時に言った。その後数ヶ月で、Sesame Enableを企画し、ローンチした。このスマートフォンは手を使わずとも、頭の動きだけで操作ができる。手が麻痺している、あるいは動きが限定されている人でもスマートフォンを使用できるのだ。

Gioraからの電話を受けるまで、スマートフォンは贅沢品だと私は思っていた。

私たちの多くは、デジタル消費の飽和点まで到達し、接続を切りたいとまで感じている。Microsoftのシニア調査員で作家のDanah Boydは「How to Take an Email Sabbatical(Eメールから休憩を取るには)」でアドバイスをしているし、Randi Zuckerbergは「デジタル休み」を支持 している。多くの人は、電源を抜く方法を考え、常に接続されている時代から自分を隔離する方法を探す一方、Gioraのような人はその世界に接続する機会すら与えられていなかった。

ギャップは広がるばかり
テクノロジーが私たちの身近になるほど、不自由な人はどんどん取り残されている。

モバイルコミュニケーションは、私たちの社会を構築する要素だ」とミシガン大学で通信についての研究を行う教授Scott Campbellは言う。Scottは、スマートフォンを持つことで得られるメリットを3つ上げた。安全と安心感、毎日の活動を整理する能力、そして社会的な活動をする機会だ。

ベータ版のテストユーザーから、最後の要素が最も重要であることが分かった。当初私は、患者の多くは実用的な理由からモバイル端末を使用したいのだと考えていた。それもその通りだと彼らは話してたが、最も彼らにとって重要だったのは、誰かとプライベートで通話をすることだった。Gioraもプライベートな通話を何年もすることができなかった。私が出会ったティーネージャーや子どもたちは他の友達のようにCandy Crushを遊んだり、(ベータ版のテストユーザー、Oriの笑顔は何事にも代えがたい。)Facebookを使いたかったのだ。

この分野でのイノベーションも進んでいる。

昨年、耳が聞こえない人のコミュニケーションを円滑にするMotion Savvy Uni が登場した。手話を音声に変換し、音声をテキストに変換する、この分野で初めてのタブレット用ソフトウェアだ。Uniの音声認識技術は人が話している言葉を、耳が聞こえない、あるいは聞くのが難しい人のためにテキストに変換する。そして耳が聞こえる人向けには、ジェスチャーのモーション認識技術で手話を音声に変換する。

何万人もの需要を認識し、Project Rayは目が見えない人のための視覚を必要としないスマートフォーンを開発した。このスマートフォンは触覚と声と音でコントロールすることができる。彼らのためにデザインされたこのモバイル端末は、目が不自由でも電話をかけたり、テキストメッセージやEメールのやりとりしたりできる。更には、カレンダーのリマインダー設定、GPSのナビ、リモートアシスタンス、色認識ツール、絵画の説明などの機能も使用することができる。

多くの人はモバイル端末に苛立ちを覚え、接続を切ったり、離れることを望むが、私はGioraと出会い、たくさんの人にとってスマートフォンやタブレットは、ただの不必要な贅沢品ではないことに気がつくことができて光栄に思っている。ここ10年で最も私たちの生活を変えたテクノロジー端末は、物理的に触れることが困難な人を含め、誰もが使えるものになるべきだ。彼らが最もそれを必要としているのだから。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

CiscoがコミュニケーションAPIのプロバイダ(Twilio的な)Tropoを買収

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Ciscoといえば、誰もがネットワーキング機器のメーカーだと思う。でもCiscoには、WebExで知られるように、通信(コミュニケーション)やコラボレーションの側面もある。そのCiscoが今日(米国時間5/7)は、Tropoの買収を発表した。TropoはTwilioに似たコミュニケーションプラットホームで、デベロッパはここのAPIを使って、電話やメッセージングなどのコミュニケーション機能を自分のアプリケーションに加えることができる。

昨日(きのう)も書いたように、今のデベロッパはAPIを利用することによってアプリケーションにさまざまな機能を簡単迅速に加えられる。中でもデベロッパにいちばん人気があるのが、コミュニケーションの機能だ。先週行われたTechCrunch Disruptのハッカソンでも、何か重要なことが起きたらテキストメッセージを発信する、という機能をアプリケーションに持たせていたものが多かった。

コミュニケーションAPIのプロバイダとしてはTwilioがいちばんよく知られているが、でもTropoを買ったことによってCiscoは、20万あまりのデベロッパのコミュニティにアクセスできるようになる(数はCiscoの発表による)。Tropoはそのプロダクトをデベロッパに無料で提供しているが、アプリケーションのユーザがそのアプリケーションのコミュニケーション機能(==TropoのAPI)を使うたびに、課金が発生する(それをユーザでなくデベロッパが払うなら‘無料’とは言えない)。Ciscoがどういう料金モデルを採るのか、それはまだ明らかでない。

Tropo workflow chart.

Tropoのチームは、CiscoのCollaboration and Communications Groupに加わる。大企業の傘下に入ったチームとその熱心なコミュニティが、独立時代の活気を失わないようにすることが、Cisco側の重要な課題だろう。大が小を買うときには、いつもこの問題がつきまとう。

今年の初めにIBMがAlchemyAPIを買収したときも、同じ問題を抱えた。ITの巨大老舗企業に買収されたこの機械学習ツールにも、大きな熱心なコミュニティが形成されていたのだ。

CiscoはTropoのチームを歓迎するブログ記事の中で、この点に触れている: “両者が協力してCiscoのプラットホームを拡張し、現代的なAPIを通してサードパーティのエンドポイントやアプリケーションに奉仕し、Ciscoがデベロッパのコミュニティにより良い貢献をできるようにしていきたい”。もちろんこれは、今の事実ではなくて、あくまでも目標だ。

一方でTropoのユーザであるデベロッパたちは今後、Ciscoのより大きなエコシステムの一員になり、その多様なリソースにアクセスできるようになる。Ciscoのような成熟企業が小企業の買収を成功させるためには、この側面を強調することが重要だろう。

なお、買収の価額等は公表されていない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アプリに簡単にメッセージング機能を組み込めるLayerがWebアプリケーションのサポートを開始、ユーザ増大のためにエンジェル的なファンドを立ち上げ

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【抄訳】
TechCrunch DisruptのBattlefieldに2年前に登場して優勝をかっさらったLayerは、デベロッパが自分のアプリケーションに、わずか10行足らずのコードでメッセージング(テキスト、音声、ビデオ)やファイル共有の機能を組み込める、というコミュニケーションプラットホームのサービスだが、今日(米国時間5/6)は2年前の約束どおり、モバイル(iOS、Android)だけでなくWebアプリケーションもサポートする、と発表した。

また同社は、なるべく多くのデベロッパにLayerを使ってもらうための投資資金として、The Layer Fundと名づけたファンドを立ち上げた

The Layer Fundの提供によってLayerが投資先企業の部分的オーナーになるのではなく、その企業が成長してLayerをますます使ってもらえるための、成長資金として資金が提供される。

LayerのファウンダでCEOのRon Palmeriは、“Layerの成功はLayerを使うアプリの成功にかかっている”、と述べる。

Layerはこれまで、モバイルのアプリデベロッパのためのツールを提供していたが、そういう顧客企業からマーケティングや宣伝PR、資金調達などの相談を受ける機会が少なからずあった。

Layerはそういう顧客企業と一緒に問題解決に取り組んできたが、The Layer Fundを立ち上げたことによって、お金の面でも援助できることになった。

このファンドはBloomberg BetaのRoy Bahatから提案され、AnthemVPやCrunchFund 、SV Angel、Promus Ventures、Data Collective、MkII Ventures、Jean Pigozziなどが投資者として参加した。AngelListからも利用できる。5万ドルから10万ドルまでのきわめて初期的な投資案件を年に5件、という事業規模を想定している。

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なおLayerは、Layerを利用するアプリのためのiMessageふうのGUIツールキットAtlasを提供していたが、このたび、OpenStreetMapをベースとする地図サービスMapboxとパートナーして、地図表示を伴う位置機能もアプリ/アプリケーションのLayer層の中で利用できることになった。

【中略】

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2013年のTechCrunch Disrupt SFでローンチしたLayerは、今では、これを利用しているアプリの数が1万近くあり、デベロッパは全世界の1360の都市に分散している。Webアプリケーションのサポートが加わったこれからは、‘アプリ’ではなく‘アプリ/アプリケーション’という面倒な書き方になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ニコ動ライクなスマホ向け掲示板アプリ「festy」—ニックネーム制でネガティブ投稿を抑止

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グリーを1年で退職してWakuTech(ワクテク)を設立した起業家が提供するのは、「2ちゃんねる越え」を目指すiOS向け掲示板アプリ「festy」だ。

festyはiOS向けの掲示板アプリ。ユーザーはニックネームを設定すれば、掲示板にスレッド(festyでは「ポスト」と呼んでいる)を投稿したり、投稿内容にコメントしたりできる。画像の添付も可能で、お気に入りの投稿にはFacebookの「いいね!」のような「粋」を付けることができる。ちなみにこの粋のボタンは太鼓のアイコンになっているんだけれども、タップするたびに「ドドン」と太鼓の音が鳴る(最大5回まで連続でタップ可能だ)。

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特徴的なのは人気のポストを表示するトップ画面。投稿されたコメントがニコニコ動画のように右から左に流れていく。「盛り上がっている感を大事にしている。非同期だが一緒に話しているような感覚になればいいと思った」(蒋氏)

掲示板には「おもしろネタ」「マンガ・アニメ」「ドラマ・バラエティ」「アイドル・芸能」「ゲーム」「スポーツ」の6つのカテゴリを用意する。今マンガ・アニメ系の投稿ではちょっと権利関係のまずそうな画像もあるのだけれど、「規約で注意を促しており、問題があれば対応する」(蒋氏)のだそう。

二度のピボットから誕生

WakuTech代表取締役CEOの蒋詩豪氏と取締役COOの白土聡志氏の2人は、2013年4月に新卒でグリーに入社。それぞれ将来は起業することを考えていたそうだが、「思いの外早いタイミングで気の合う創業者を見つけた」とのことで、丸1年でグリーを退社。2014年4月にWakuTechを創業した。

当初企画していたのはオタク特化のフリマアプリ。だが開発が後半に差し掛かったところでjig.jpの「オタマート」、セブンバイツの「A2Mart(アニマート)」など“ガチ競合”なサービスが続々とリリースされたことからピボット。今度はオタク向けのニュースキュレーションアプリを開発するも、ディー・エヌ・エーから「ハッカドール」がリリースされるなど、二度も競合サービスに先を越されてしまったのだそうだ。

「マンガやアニメ、ゲームといった領域で勝ちたいと思っていたが、起業して8カ月くらいまでは迷走していた。それで、新卒時代に創業メンバー2人で意気投合した『インフラを作る』ということを振り返って、Festyを作った」(蒋氏)

WakuTechでは、festyの開発に当たり、ANRIから1500万円の資金調達を実施。2月末にアプリをリリースし、4月以降サービスを本格化させた。

ちなみにこのアプリにもすでに競合サービスが存在している。NTTドコモ・ベンチャーズのインキュベーションプログラムである「ドコモ・イノベーションビレッジ」の卒業生、SODAの「doyo」だ。こちらもスマートフォン特化の掲示板アプリ。ただしFestyと違って匿名での投稿が可能で、より2ちゃんねるライクなサービスとなっている。

Festyをニックネーム制にした理由について蒋氏らに聞いたのだけれども、「完全匿名だと、ネガティブな話題ばかりになる可能性があるので、誰の発言かは特定できるようにしている。ただしなれ合いにはしたくないので、フォロー機能などは持たない」とのことだった。

 

“今電話に出れるか出れないか”をブロードキャストするアプリでAppleが特許を取得

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AppleInsiderによると、このほどAppleが認可された特許は、いくつかの状況的な情報からユーザが今電話に出られるか出られないかを判断して、その結果を友だちなどのスマートフォンに表示する。用いる情報は、現在の時間帯、呼び出し音をoffにしているか、電池寿命、位置、それにセルネットワークのネットワーク強度(信号の強さ)などだ。

そのほかに、今機内モードであるか、呼び出しを振動だけに設定しているか、などの情報も用いる。こういう多様な情報や信号を組み合わせて、おや、今は会議中かな、なんてことを判断する。いや、今エクササイズ中だから、電話に出たくないのね、とか。

設定は相手ごとにできるから、この特許アプリが、今電話に出られないと判断した場合でもその情報を相手に送らないこともできる。誰と誰に設定しているかは、iPhoneのコンタクトカードに表示される。恋人とか仕事の上司なんかには、“出られない”情報が送られない方がよいかもしれない。

これは、とってもクールなアイデアだよね。しかも長く使い込めば、このユーザが電話に出られない時間帯や状況などが、より正しく判断されるらしい。オプトインのサービスだしFind My Friendsのように厳しい共有コントロールができるから、誰もが気軽に使うだろう。

もちろん、出られないという情報が送られても相手がそれを無視することはできるし、また正しくない情報が送られる可能性もある。また、アプリが両方で動いてないとだめだから、それも面倒かもしれない。特許が出願されたのは2012年だが、Appleが実用化に向けて動きだすのは、まだかなり先かもしれないな。

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アプリケーションのためのコミュニケーションAPI(電話、テキスト)を提供するTwilioからWebRTCによるビデオチャットが

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Twilioは長年、デベロッパが自分のアプリケーションに音声電話テキストメッセージングの機能を持たせるためのAPIを提供してきたが、今日(米国時間4/14)からはそのメニューにビデオチャットが加わる。その新しいTwilio VideoサービスはWebの標準規格の一環であるWebRTC — Twilioはそれをすでに一部のオーディオ機能に使っている — を使っていて、今はベータで利用できる。

TwilioのCEO Jeff Lawsonによると、ビデオはもうかなり前から、SkypeやFaceTimeのようなスタンドアロンの消費者アプリケーションや、ビデオ会議のようなビジネスツールの一部になっていた。今回のTwilioのねらいは、ビデオ通話機能をどんなアプリケーションにも容易に組み込めることだ。事故に遭って、保険会社に電話をしたい場合など、ビデオ機能があれば、口頭で説明するだけでなく、車の被害状況を映像で見せられる。

WebRTCはそもそも、そのためにあるものだが、これまでは主なブラウザがサポートしているだけで(Internet Explorerももうすぐ)、一般的なアプリケーションがスケーラブルにそして効率的に利用するためには、個々のデベロッパにいきなりWebRTCのプログラミングをやらせるというより、それを使いやすい形で提供するプラットホームが必要だった。またWebRTCだけではファイヤーウォールを通らないことが多いので、Twilioや、それと競合するTelefonicaのTokBoxのようなサービスがネットワーク横断の面倒を見る必要があった。

Twilio Videoでデベロッパは、最大4人までのビデオ電話と、無制限のビデオ接続、Twilioのデータセンターを介するレイテンシの低いリレー、そしてiOSとAndroid用のSDKにアクセスできる。

Lawsonによると、同社はこれまで2年がかりでビデオのサポートに取り組んできた。長くかかったのは、“P2Pのビデオ通話は速くないといけない”からだ。ただし、“グローバルに低レイテンシである必要はないけど”。チームは自社のオーディオの実装からWebRTCについて多くを学んだ。それは今年あたり、10億分の通話時間をサポートするだろう。

Twilio Videoの利用はデベロッパにとって、かなりやさしいはずだ。TwilioのAPIを過去に使ったことのある人なら、なおさら。ほんの数行のコードを書くだけでビデオを組み込めるし、ベータでは無料だ。料金は未定だが、Lawsonは、多くの他社のように分単位の課金にはしたくない、と言っている。

Twilio Videoを試してみたいデベロッパはここでベータに登録するとよい。

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デベロッパのためのWebRTCサービスAPI集Respokeは接続管理機能も提供

オープンソースのPBXソフトウェアAsteriskで人気のDigiumが今日(米国時間2/23)、デベロッパのためにWebRTCサービスのバックエンド(API集)を提供するRespokeを立ち上げた。Respokeは、類似のサービスBistriやTelefonicaのTokBoxなどの仲間だ。いずれも、デベロッパのためにWebRTCによる通信/コミュニケーションプラットホームを提供している。

RespokeのAPIを使ってデベロッパは、ビデオ通話、リアルタイムチャット、画面共有などの機能を自分のアプリケーションに加えられる。今はWebで使うためのJavaScriptライブラリとREST APIを提供しているが、今春内にAndroidとiOSのSDKも提供する。Internet ExplorerとSafariは現在、WebRTCをサポートしていないが、Respokeはそれらのためのプラグインをリリースする予定だ。

WebRTCは優れた技術だが、現状では1対1のピアツーピア通信が中心だ。そのような直接接続は、ファイヤーウォールやネットワークの構成によって妨害されることもある。そこで、Respokeのようなバックエンドサービスの出番になる。それらのサービスは、上記のような問題をメディアリレーを使って回避するだけでなく、WebRTCの規格にないログイン認証やアイデンティティ、プレゼンスなどの管理機能も提供する。デベロッパがコミュニケーションのアプリケーションを作ろうとすると、どうしてもそれらの機能が欲しくなるからだ。

Respokeを使うとデベロッパは、アプリケーションのユーザに電話との通話もさせられる。つまり同社の伝統は電話技術だから、Asteriskベースの電話システムを容易に統合できるのだ。

Digiumの社内スタートアッププロジェクトRespokeは、数か月かかって孵化した。数か月前にベータに入り、その後、そのフィードバックで求められた、入呼起呼の処理(電話通話)、画面共有などの機能を実装した。

Respokeの料金は、ユーザが望む並行接続の最大数、メディアリレーの帯域、電話番号の数と電話使用時間で決められる。5つの並行接続でメディアリレイが5GBの帯域までは、無料だ。有料プランは月額50ドル(50接続、帯域50GB、電話番号1、通話時間500分)から始まる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))