セレブによる特別講座を提供するMasterClassが107億円調達、コンテンツ拡充へ

著名人が教える講座(クラス)を販売するスタートアップであるMasterClass(マスタークラス)がシリーズEラウンドで1億ドル(約107億円)を調達した。本ラウンドは、Fidelity Management & Research Companyがリードし、新規投資家としてOwl Ventures01 Advisorsが、既存投資家からはNEA IVP Atomico NextEquity Partnersが参加した。

同社が間もなく資金調達するとのニュースを今月初めにスクープしたBloomberg(ブルームバーグ)によると、本ラウンドでのバリュエーションは8億ドル(約860億円)となる。同社は新たなバリュエーションの公開を却下したが、8億ドルを上回るとは述べた。

MasterClassは、コンテンツライブラリーへのアクセス料金として年間サブスクリプションとして180ドル(約1万9000円)を課している。同社の売上高にサブスクリプションが占める割合は2018年に80%だったが、いまは100%だ。

同社は、エンターテイメントと教育が交差するところに自社は位置するとの認識だ。同社はこれまでにセレブや専門分野の「名人」が教える85講座を制作した。同社のプラットフォームは著名人を引きつけてきた。いかに事業を成長させるかについて語ったAnna Wintour(アナ・ウィンター)氏、料理法について話したGordon Ramsey(ゴードン・ラムゼイ)氏、ユーモアであることについてがテーマだったDavid Sedaris(デイビッド・セダリス)氏など、そうそうたる名前が並ぶ。講座の予告は「トレイラー」と呼ばれている。

著名人がどのように考えて取り組んでいるのか、人々が生まれながらに持っている好奇心をくすぐる。そうした好奇心に少し応えつつ、根本的に「デジタル化」はあり得なかった講座を提供している。かなり接触するスポーツ、例えば、Serena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏のテニスのレッスン、Steph Curry(ステフィン・カリー)氏のバスケットボールのレッスンを考えてみてほしい。あるいは、RuPaul(ルポール)氏の自己表現についての考えや、Neil deGrasse Tyson(ニール・ドグラース・タイソン)氏の科学的な考えとコミュニケーションといった一般教養など。

燦然としたスターぞろいにもかかわらず、MasterClassはセレブへのアクセスではなく、セレブたちの取り組みの一部を販売する。セレブたちは日常的に生徒と交流しないし、まったく交流しないセレブもいる。

コンテンツがプラットフォームにアップされた後はセレブは特に大きな責任は負わない。もちろんコンテンツ制作はMasterClassが声をかけた人が対象となる。サイトには数多くのレッスンが用意されており、20〜30分のビデオとダウンロード可能なワークブックに分けられる。各講座の生徒はコミュニティハブに集ってバーチャルのクラスメートと話すことができる。セレブたちが生徒と交流する機会はあるが、それは契約には含まれていない。

同社では「セレブが自分の講座でお気に入りを選ぶという例外がある」とも宣伝している。電子音楽プロデューサーであるDeadMau5(デッドマウス)氏は一緒に曲を録音するためにMasterClassの生徒の1人を招待したとされている。セリーナ・ウィリアムズ氏も生徒の1人と試合をしたようだ。

セレブにどのように払っているかについては同社は明らかにしなかった。売上高はというと昨年倍増した。同社はコンテンツがかなり魅力的なために、カリー氏のバスケットボールのワークショップ目的で登録した人が、その後ラムゼイ氏の料理セッションものぞくというふうになっていると話す。

何百万という人がやることなく家で過ごしている最中に同社は資金を調達した。CEOで共同創業者のDavid Rogier (デイビッド・ロジャー)氏は「講座の中で最も視聴されているものは、前FBI交渉官Chris Voss(クリストファー・ボス)氏による戦術的な共感について考えを語るものだ」と話した。

この逸話を紹介した後、ロジャー氏はMasterClassの使用が新型コロナウイルス(COVID-19)が始まってからどのように変化したかを示すデータを共有することは繰り返し却下した。エドテック業界の競合他社が最近騒がしいため、MasterClassの沈黙は目立つ。リモート教育への移行は、エドテック企業の資金調達をあと押ししていて、新たなユニコーン(未訳記事)の誕生につながったものもあればシードステージでの調達(未訳記事)だったものもある。

沈黙はまた、MasterClassが純粋に教育にフォーカスしているというより、エンターテイメントの要素が大きいコンテンツと位置付けているからかもしれない。同社はクオリティーの高いドキュメンタリースタイルのコンテンツを制作している。そのため、新型コロナウイルスによる活動停止でエンターテイメント業界(外部英文記事)が現在直面しているように、制作面で困難を抱えているのかもしれない。

ただ、他のエドテック企業と同様、MasterClassは新たな資金調達は必要に迫られてというより機会に恵まれてのものだったとしている。

資金は生徒向けの新しい講座の制作、そして1週間に1つの講座という制作ペースにアップするのに使う、とロジャー氏は話した。同社はまた音声のみのモード、短いバージョン、拡張現実(AR)も試している。「想像してみてほしい。ステフィン・カリーの講座があるが、もしスマホにARがあったら、実際にどこに足を置くべきかがわかる」とロジャー氏は述べた。

MasterClassのマーケティング戦略は、現在アグレッシブに展開されていることから、このところ話題となっている。YouTubeビデオを観るたびに、コマーシャル時間にMasterClassの広告が入るという感じだ。

ロジャー氏はマーケティング予算を明らかにしなかったが、戦略は手応えのあるもののようだ。MasterClassはYouTubeと競合せず、YouTubeプラットフォーム上に広告を出している。人々はクオリティの高いセレブによる講座を望んでいて、そのために喜んで払うのは確かだ。「もし広告をより頻繁に目にしていたら、それは広告が機能しているからだ」と同氏は話した。

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ禍でのテクノロジー各社四半期決算まとめ

Equityにようこそ。これはTechCrunchの記者が株式市場やスタートアップの資金調達をテーマに話合うポッドキャストだ。今回は公開企業の四半期決算のトレンドを扱った。スタートアップに対するベンチャーキャピタルの投資についてはこちらを見ていただきたい。

残念ながら新型コロナウイルス(COVID-19)の流行が続き、各社とも影響を受けている。全体として市況は大きく下げ、1%でもアップしていれば十分な成長とみなされる。ともあれこのポッドキャストを続けることができたのは幸いだ。参加してくれたDanny Crighton(ダニー・クライトン)、Natasha Macaranhas(ナターシャ・マカラニャス)、それにポッドキャストのプロデューサーのChris Gates(クリス・ゲイツ)に感謝する。

  • SaaSとエンタープライズは好調:TechCrunchではMicrosoft(マイクロソフト)の決算についてこちらの記事で報じたが、収入が15%アップという四半期決算の発表を受けて株価は大きく上げた。その他ZendeskやServiceNowについても検討した。トレンドとしては大企業向けSaaSの第1四半期は好調だった。しかし各社とも将来動向については慎重だ。影響の出方はばらつきが大きいだろう。
  • サブスクリプションも伸びたSpotifyの第1四半期も好調で、月間アクティブユーザーはなんと31%も伸びている。 Netflixhは第1四半期でアナリストの予測を大幅に上回る加入者数の伸びを示した。Danny CrightonによればSpotifyの純利益の報告はかなり奇妙なものだった。しかしNetflixは「(グレイウハウンドの競争の囮となる)檻から飛び出したウサギなみの猛スピードで規模を拡大した」という。 皆がどれほどポッドキャストを聞くようになるかかは別として、新型コロナウイルスの脅威が続く間は家にこもっていなければならない以上、サブスクリプションサービスが伸びることは間違いない。
  • 広告はまだら模様:広告ビジネスが大打撃を受けたことは周知だが、テクノロジー系の広告ビジネスはそこそこ持ちこたえている。Facebook(フェイスブック)はいつものとおりアナリストの予測を蹴散らし、株価を10%以上アップさせた。四半期決算で投資家に「4月は3月よりさらに好成績」だと言っている。ただしQ2では新型コロナウイルスのパンデミックの影響が出るかもしれない。Snapも急成長を続けており、収入は5割アップしたが、株価はわずかにダウンした。株価がアップしなかった原因はなかなか黒字化が達成できないためだろう。 売上の伸びに比べて、コスト構造にはかなり問題がある。大手SNSの中ではTwitter(ツイッター)はバスに乗り遅れて苦闘中だ。月間アクティブユーザーは1億6600万アカウントと新記録を達成したものの財務では再び赤字に転落した。同社は3月に続いて4月も新型コロナウイルスの影響を受けるとしている。Alphabet(アルファベット)はGoogle(グーグル)の好調により、パンデミックをものともせず収入をアップさせた。1株あたり利益がアナリスト予想に届かなったことを嫌ってわずかに売られたが、株価はその後戻している。

なにかと話題を提供しているTeslaだが、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は「株価など知ったことか」と言っていたこともあり、今回は取り上げなかった。Apple(アップル)についてもちょっと触れただで中身のある話はしていない。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

規制業界のスタートアップを支援、サブスク型法律サービス「TOPCOURT」

法律×テクノロジーで既存産業の大幅な効率化や改革を狙うリーガルテックは、日本にも徐々に浸透してきている。2月に10億円を調達したLegalForceやGVA TECHが提供するAI活用による契約書レビュー支援や、IT担当大臣の発言で注目を集めた電子契約関連サービスなど、契約書にまつわるサービスが多い印象だが、そのほかにも専門書を横断的に利用できる「Legal Library」など法務担当者・法律家向けサービス、商標検索・登録などの知財まわりのサービスも立ち上がっている。

ところが、先んじて既存業界のディスラプトが進んでいるかのように見える米国のリーガルテック業界では、道はそう平坦なものではないようだ。3月には、定額サブスクリプションモデルで「法律家+スタートアップ」のハイブリッド型法律サービスを提供してきたAtriumが、法律事務所のみを残し、スタートアップとしてのサービスを閉鎖している。

そんな状況下で今、あえて日本にサブスクリプション型で法律事務所のサービスを展開しようという動きが現れた。

サブスクリプション型法律サービス「TOPCOURT」を提供するのは、トップコート国際法律事務所。代表弁護士の伊澤文平氏は、集団訴訟プラットフォーム「enjin(エンジン:事業譲渡後、現在はサービス終了)」を作ったClassAction(クラスアクション)の創業者で、LegalTech協会を発足、代表理事を務める人物だ。最近では共同創業で、2019年12月に未払い養育費を請求・回収できるサービス「iCash」をローンチした、連続起業家でもある。

サービスを4月27日にスタートさせた伊澤氏に、サブスク型法律サービスやリーガルテックの可能性、同事務所がこれから何を目指すのかについて、話を聞いた。

SaaSとしてではなく法律事務所にリーガルテックを実装

TOPCOURTは、テクノロジーそのものを企業や法務担当者・法律家に提供するサービスではない。彼ら自身の法律事務所にテクノロジーを実装することで、弁護士の労働集約型ビジネスモデルを転換し、報酬体系を青天井のタイムチャージからサブスクリプションモデルへ変えようとするものだ。

伊澤氏は「法律サービスは報酬が高い、というイメージは誰もが持っている。また弁護士は法務の専門家ではあるがビジネス感度は低い人も多く、相談しても有意義なアドバイスが得られないことがある」と話す。「大手事務所に相談する大企業でも、街の弁護士に相談する中小企業でもこうしたペインはあるが、TOPCOURTでは特にスタートアップを対象として、サービスを提供していきたい」としている。

伊澤氏は、米国の先行事例であるAtriumがうまくいかなかった要因として「エクイティファイナンスによる資金調達」「法律業界への理解不足」「ニーズのずれ」の3つを挙げ、以下のように語る。

「Atriumは、AIが単体で弁護士サービスを提供できるというような想定で、エクイティファイナンスによる資金調達を行っていたが、アナログのデジタルへの置き換えはそれほど簡単なものではない。これがデットファイナンスであれば耐えられたかもしれないが、投資家から急がされる環境で、時間軸的に耐えられなかったのではないか」(伊澤氏)

実際Atriumは、テクノロジーによるサービス提供に軸足を置いて、サービス閉鎖の2カ月前にあたる今年1月の時点で、法律サービス部門の弁護士を解雇。ソフトウェアスタートアップとしてのピボットを試みていることをAtrium CEOのJustin Kan自身も明かしていた。

Justin Kanはもともと「Justin.tv」「Twitch」の創業でも知られるテクノロジー寄りの起業家で、法律業界にそれほど明るいわけではなかった。弁護士でもある伊澤氏は「法律サービスを売るには、業務・業界に関する知識がかなりなければ難しいのではないか」として、「仮に弁護士から詳細にヒアリングを行っていたとしても、プロダクトの作り手がピンと来なければ、ペインが解消できないと思う」と述べている。

一方で伊澤氏は「ビジネス、特にスタートアップの資金調達ロジックを理解している人は、法律家にはほとんどいない」とも語っている。「日本だけでなく米国でもこれは同じだろう」と伊澤氏は述べ、「Atriumに対しては法律サービスよりも、資金調達支援に関するニーズ、Justin Kanの持つ起業・調達ノウハウへのニーズの方が高かったのではないか」と分析している。

では、日本で同種のサブスク型サービスを展開して、うまくいくのか。この問いに伊澤氏は「ゴールによる」と答えている。

そもそも伊澤氏は「弁護士業務の効率化を図るため、AIは活用するが、AIで全てが実現できるほど進化しているかというと、そこは疑問視している」という。「日本語の壁もあり、今、AIだけで対応できるのは、ごく一般的な定型の契約書レビューぐらいだろう。クライアントの側も100%AIのサービスには不安を覚えている。技術の進歩の問題なのか、人の意識の問題なのか、どちらが先というわけでなく両方の問題があって、クライアントにそのままAI活用システムを提供するのは、まだちょっと早いと考えている」(伊澤氏)

そこで、LegalForceやAI-CONのようなSaaSとしてではなく、TOPCOURTでは「弁護士としてサービスを提供する」と伊澤氏。「ただし効率化によりフィーを安く提供できるよう、その部分にテクノロジーを導入する。時間をかければかけるほど高額化する弁護士の労働集約型ビジネスモデルをテクノロジーにより効率化し、青天井のタイムチャージから固定費用のサブスクモデルに転換することができると考えている」と語る。

「Atriumが目指していたような、弁護士が要らないサービスは、現状では完全には実現できない。ただ、時間をかければ工数を8割カットすることはできるのではないか。ケーススタディや契約書レビューをAIである程度クリアしておくことや、相談業務の一部を置き換えることなどは、今でもできる。一方、ビジネスモデル構築の際の法的整合性やリスクのチェックといった、クライアントになるスタートアップや新規事業を興す人たちが必要とする法律サービスは、行政との交渉なども入るので、システムに任せることは難しい。その部分は人が担っていく」(伊澤氏)

工数8割カットを最終形として目指す過程の第1歩として、今回、タイムチャージをなくしたTOPCOURT。料金は下記図のとおりで、法律相談や契約書レビュー、利用規約等の作成といった業務についてはプランごとに、定められた回数利用できる「チケット制」のような形で提供される。

「弁護士に高い費用を払ったのに大した結果が得られない、というペインを解消したい。テクノロジーでどこまで安くできるかはチャレンジだが、この料金を今後もっと落とせるとは思っている。職人としての弁護士業務でなく、法律サービスをパッケージ化して、コモディティ化し、ITサービスのようにしていきたい」(伊澤氏)

スタートアップを法律で支援、ファンド設立も目指す

TOPCOURTにはDeep30から出資を受けるAIスタートアップ、コーピー CEOの山元浩平氏が技術顧問として参画。伊澤氏は「具体的にはAI、RPA、CRMといった技術の導入で、弁護士業務を効率化しようとしている」と述べている。

AIについては他社サービスでも採用されているが、主に法人向け業務の多くの割合を占める契約書レビューに活用する。上述したとおり、TOPCOURTでは「あくまで弁護士のアシストとして」AIを採用。「段階的に弁護士の業務を3割から7割までは減らす計画だ」と伊澤氏は言う。

伊澤氏が「結構、効率化のキモになると考えている」のは、CRM、顧客管理の部分だそうだ。「日本にいる4万人の弁護士が活用しているシステムとしては、サイボウズ(のようなグループウェア)が今の最先端。それでも約2%の1000人ほどしか使っていないとみている。それ以外の98%の弁護士は、オンプレミスで、やり取りはWordとExcelで行っている。これでは事務作業に時間がかかるのは当然。実際、法律事務所の業務のうち、3〜4割の時間を占めるのが、この部分だ」(伊澤氏)

データ管理や案件管理、膨大な資料の管理といった文書管理に加えて、請求書や領収書は今でも紙で発行され、郵送されているというのが、法律事務所の実態だという伊澤氏。これらは弁護士自身の業務になるとは限らないが、事務局の人件費としてコストになる部分だ。

また、伊澤氏は「クライアントの不安を解消するために、進捗を可視化する仕組みも取り入れる」と話す。実は弁護士が案件の途中で進捗を報告することは、ほとんどの法律事務所で習慣化されていない。このため、例えば契約書レビューなど、依頼した案件が今、どこまで進んでいるのかが分からないことが顧客のストレスになっているという。また弁護士の側でも、都度「アレはどうなった?」とせっつかれることがストレスになる、と伊澤氏はいう。

そこでTOPCOURTでは顧客と進捗管理の状況を共有するシステムを用意し、まずはWebベースで提供。依頼した案件を担当しているのが誰で、どこまで進んでいるのかがパーセンテージのメーターで可視化されるようになる。顧客はいちいち問い合わせる必要がなくなるし、もし聞きたいことが出たとしても、このシステム上に搭載されているチャット機能を使ってシームレスに問い合わせることが可能だという。

写真左から3人目:トップコート国際法律事務所代表弁護士 伊澤文平氏

伊澤氏はサブスク型法律事務所サービスの提供について「スタートアップが好きという個人的な趣味も含まれている」と語る。

「スタートアップにとって、費用を考えなくてよいのであれば、外部の専門家はいた方がいい。ただ、スタートアップのビジネスに理解ある法律家はあまり多くない。起業家のニーズとしては『行政に向けた意見書を書いてほしい』といったものが多いにもかかわらず、『それはできない』『あれはできない』といったアドバイスしかされないことも多い。TOPCOURTのサービスを使うことで、スタートアップがもっとスケールでき、やりたいことができる環境にしたい」(伊澤氏)

TOPCOURTでは法律サービスを核に、スタートアップスタジオとしてアイデア創出やKPI設定、事業計画の策定を通じた資金調達支援や開発支援などのスタートアップ支援も行っていくと伊澤氏はいう。今後、法律事務所と並列してリーガル面に軸足を置いたファンドを組成し、ベンチャーキャピタルとしての機能も持ちたいと構想する。

「スタートアップ支援の大きな部分を調達支援が占める。やはりお金は大事。ファンド設立に法律サービスをあわせて、プレシード時点のゼロから事業をつくれる環境を用意し、お金もリソースも提供して、スタートアップスタジオとして、自分たちで0→1がつくれるようにしたい」(伊澤氏)

伊澤氏は「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、スタートアップ界隈でも新規事業の立ち上げ支援に対するニーズは高まっている」という。「外出自粛で顧客開拓などの取り組みに代わり、種まきが増えているものと見られる。当事務所にも、3週間で80件、通常の4倍ほどの相談が来ている」(伊澤氏)

TOPCOURTでは、アーリーステージで、規制が強く参入障壁の高い領域を対象にしたスタートアップ支援を中心に考えていると伊澤氏。製造業や法律、金融など、法的知識が求められる業界のスタートアップのサポートを目論む。

SaaSやサブスク事業者の業務効率化と収益最大化をサポートするアルプが3.15億円調達

近年、さまざまな業界に「サブスクリプション」の波が押し寄せている。

SaaS型のプロダクトが増えてきたソフトウェア産業や月額定額サービスが浸透しつつあるエンタメ産業はもちろん、自動車や製造業など歴史ある業界も例外ではない。トヨタの「KINTO」などはこの時代の変化を示す事例の1つであり、売り切り型のビジネスモデルを採用していた企業からも、サブスク型のサービスが生まれてきている。

本日3月23日に3.15億円の資金調達を発表したアルプは、そんなサブスク事業者の“業務効率化と収益最大化”を実現しようとしているスタートアップだ。昨年10月にリリースした「Scalebase」を通じて、契約管理や請求管理などサブスクにまつわる業務を一元管理できる仕組みを提供し、担当者を複雑なオペレーションから解放する。

今回の資金調達はScalebaseのさらなる拡大に向けて、エンジニアやカスタマーサクセスを中心に人材採用を加速させることが主な目的。DNX Ventures、 電通ベンチャーズ、ANRI、PKSHA SPARX アルゴリズムファンドから出資を受けた。

なおアルプは2019年3月にもANRI、PKSHA SPARX アルゴリズムファンド、DNX Ventures、千葉功太郎氏、片桐孝憲氏から1.5億円を調達済みで、今回はそれに続くプレシリーズAラウンドでの資金調達となる。

サブスク事業における複雑な契約請求管理業務をシンプルに

Scalebaseはプライシング、商品管理、顧客管理、契約管理、請求書の発行・送付、クレジットカード決済・口座振替などの決済、各種データ分析、前受金管理、仕訳登録など“サブスク事業で必要となる複雑な業務”を一元管理・自動化するSaaS型のプロダクトだ。

たとえばSaaS事業者の契約請求管理業務を例に考えてみよう。多くのSaaSでは複数の料金プランが設けられていて、プロダクトの進化とともにさらに新たなプランが加わったり、料金が値上げされたりすることも珍しくない。

その結果、サイト上では3つの料金プランしかないように見えても裏側の契約管理や請求管理の工程では十数パターンが存在する、といったことが起こる。さらに「ある顧客はディスカウントの対象で一定期間は特別料金」「別の顧客は年間契約で1年分を前受けしている」など、契約単位で細かい料金モデルや請求サイクルが異なる場合もある。

サブスク型のビジネスにおいては事業が成長して顧客との接点が増えるほど、このように顧客の契約形態も多様化し、それに伴うオペレーションも複雑になりがちだ。裏を返せば、事業の急拡大に耐えうるほどのオペレーション体制が構築できていなければ、それが成長を止める足かせにもなってしまう。

だからこそアルプでは「SaaSやサブスクビジネスにおいて収益成長と業務効率化は表裏一体の関係」と考えていて、一連の業務をシンプルにすることの価値も大きいという。

サブスク事業における複雑な契約請求管理業務をシンプルに

ではScalebaseを使うと何が変わるのか。まずサブスク事業の成長を加速させるためのアップセルやクロスセルのオペレーションが円滑に進むようになる。

簡単な画面操作で価格変更や新規オプションなどの商品設計を調整でき、割引キャンペーンや無料トライアルなども柔軟に設定可能。プランのアップグレードも「契約のバージョン管理」によってシンプルに実現される。

商品金額や請求タイミングは契約単位で細かくカスタマイズができ、請求データに関しても自動で料金計算が行われ、データを生成。「マネーフォワード クラウド請求書」など請求発行サービスとAPI連携をしておけば、請求書データの郵送やメール通知も請求日に合わせて自動化される。担当者が毎月契約内容や請求金額を確認して1件1件請求する手間も不要だ。

請求発行サービスに限らず、CRMや電子契約、決済、会計ソフトなど国内外のSaaSと広く連携しているのもポイント。2月にリリースされた「Scalebase Connect for Salesforce」を使えばリアルタイムにサービス間でデータを同期でき入力の手間を最小限に抑えられるほか、クラウドサインや請求発行サービス、会計ソフトなども連携することで、見積作成から契約締結、請求・入金管理までのプロセスが圧倒的になめらかになる。

Scalebaseには必然的にサブスク事業で重要な情報や細かい支払いステータスが蓄積されていくため、リアルタイムでMRRや解約率といった指標をチェックしたり、分析したりする際にも効果的だ。

「プランを複数設定したり、価格を上げていくこと自体はScalebaseがなくてもできるが、自分たちはそれをいかにやりやすくするかを追求している。価格変更や関連する管理業務が簡単になれば、実験的な取り組みもしやすい。オペレーションの摩擦係数を限りなくゼロに近づけることで、企業がポテンシャルを最大限発揮し、収益を最大化する支援をしていきたい」(アルプ代表取締役の伊藤浩樹氏)

150社以上の事業者にヒアリングしてわかったこと

顧客管理についてはSalesforceなどのCMSによって効率化が進む一方、契約管理や請求管理については今でもエクセルやスプレッドシートを用いて対応している企業が多く改善の余地が残されているようだ。

アルプが150社以上のサブスク事業者にヒアリングを実施したところ、これらの業務に関しては6割以上の企業が課題を感じていることがわかったという。

「事業者の1番のペインとなっているのが契約管理と請求管理。特にSaaS企業では売上を伸ばすためにどんどんプロダクトを変えてプランを改定したり、キャンペーンなど多様な売り方をしたりすることでバックオフィスのオペレーションが複雑化する。その結果『請求書が送れていなかった』『間違った内容で送ってしまった』といったことが多くの企業で発生してしまっている」

「Scalebaseはそのような課題を契約データと請求データを正しく持つことで解決していくだけでなく、オペレーションを最適化することで、今後もバックオフィスを気にせずプロダクトをアップデートできる基盤を提供する」(アルプ共同創業者で取締役の山下鎮寛氏)

この領域のプレイヤーとしては米国発のZuoraが特に有名だ。山下氏によると機能面では近しい部分も多いと言うが、Scalebaseでは日本発のプロダクトとして代理店管理や前受金管理など“日本の商習慣”に合わせた機能を複数搭載。導入して終わりではなくハイタッチなサポートが求められる領域のため、業務整理なども含めてカスタマーサクセス体制にも力を入れてきた。

またプライシングも異なる。Scalebaseは国内ではまだエンタープライズのSaaS事業者が少ないこともあり、中堅規模の企業でも導入しやすいように月額15万円から提供。MRRが1000万円以下のスタートアップ向けには、月額固定料金ではなく完全従量料金で提供するプランも用意した。

みんなが同じ課題を持っているならSaaS化する価値は大きい

アルプは2018年8月にIT業界出身の3人が共同で創業したスタートアップだ。

代表の伊藤氏はモルガンスタンレー、ボストンコンサルティンググループを経てピクシブに入社し、同社では代表取締役社長兼CEOも務めた人物。取締役の山下氏はヤフーを経てジョインしたピクシブでサブスクサービスのPMやビジネス開発統括を経験、もう1人の取締役である竹尾正馬氏も前職のサイバーエージェント時代に子会社で動画広告配信事業の開発責任者などを担った。

3人で事業ドメインを模索した際、最終的にScalebaseに行き着くきっかけの1つとなったのが、伊藤氏や山下氏がピクシブ時代にサブスク型のプレミアムプランに携わった際に感じた課題だ。

「決済手段やプランを増やすだけでも、エンジニアの工数が数人月かかり負担が大きかった。日本のC向けのサブスクを見渡してもNetflixやAdobeのようなレベルで決済周りをやれている会社はほとんどいない。誰もやれていなくて、みんなが同じような課題感を抱えているのなら、その解決手段をSaaSとして提供できれば価値があるのではと考えた」(山下氏)

また伊藤氏はピクシブ時代にさくらインターネットと共同で法人向けの画像変換SaaSを運営していた経験もあり、その際にも「コアでない業務はどんどんSaaS化できてしかるべきだと感じた」という。

「Scalebaseでは決済基盤や請求基盤を提供しているが、顧客としては本来サービス側のコアな部分により多くの人の力を投資したいと思っている。だからこそ基盤の部分はSaaS化のニーズもチャンスも大きい」(伊藤氏)

創業から最初の半年はほぼコードを書かず、約100社へのヒアリングに時間を投じた。その結果、当初はC向けの事業者を主なターゲットに考えていたが、実はSaaSなどB2B事業者の方がより大きな課題を抱えていることを発見。どちらにも対応はしているが、プロダクトに対しても今のところSaaS事業者の方がより反応がいいという。

今後は調達した資金を活用しながら組織体制を強化した上で、Scalebaseの機能拡充を進める。他社サービスとのAPI連携に引き続き取り組みつつも、Scalebase側でできることも順次増やしていく計画だ。

月額6300円で約400冊の法律書籍を自由に閲覧・検索、弁護士ドットコムが新サービスでリーガルリサーチを効率化

弁護士ドットコム」や「クラウドサイン」など、リーガル領域で複数のプロダクトを展開してきた弁護士ドットコム。その同社が弁護士や企業法務担当者などが日々行なっている「リーガルリサーチ」をスムーズにする新サービスを立ち上げた。

本日3月17日にスタートした「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」は、月額6300円(税別)でサイト上に登録されている約400冊の法律書籍や雑誌を自由に閲覧・横断検索できる定額制のサービスだ。

主要な法律系出版社12社(ぎょうせい、三修社、新日本法規出版、税務経理協会、第一法規、中央経済社、日本加除出版、日本能率協会マネジメントセンター、法律文化社、有斐閣、レクシスネクシス・ジャパン、労働新聞社)とタッグを組み、メインターゲットとなる法務担当者向けに書籍をセレクト。ユーザーはネットが繋がる環境であれば“いつでも、どこからでも”これらの情報にアクセスし、リサーチ業務を進めることができる。

キーワードベースで複数の書籍を横断検索

今のところはかなりシンプルなプロダクトだが、ユーザーにとって特に使い勝手がいいのが「キーワードベースで複数の書籍を横串で検索できる機能」だろう。たとえば取締役の利益相反について調べたいと思った場合、「取締役 利益相反取引」などと検索すればそれについて記載のある書籍がパパッと出てくる。

これまでは紙の書籍の中から人力で探すしかなかったので、そもそも自分が欲しい情報がどの書籍に記載されているのか把握するまでに時間と手間がかかっていた。通常は弁護士事務所や法務部にあるライブラリの中から該当する書籍がないかをまずチェックし、それでも足りなければ書店に足を運んで探すこともある。

そのような作業を一瞬でやれるのがBUSINESS LAWYERS LIBRARYの特徴だ。細かいニーズに応えるためにはある程度の書籍数を網羅していることが前提にはなるが、必要な情報にたどり着くまでの時間を圧倒的に短縮することで「本質的な考察や分析により多くの時間を使えるようにしたい」(弁護士ドットコム取締役の田上嘉一氏)という。

また紙の書籍を持ち運ぶ必要がなくなり、どこからでも自由にアクセスできる点も大きなメリット。これは僕自身も法学部出身なので学生時代に経験があるのだけれど、法律の専門書籍はたいてい分厚くて重たく、1冊だけでもカバンのスペースをかなりとる。要は持ち運ぶのが面倒なわけだ。

BUSINESS LAWYERS LIBRARYではそんな苦痛から解放されるとともに、自宅で作業している際や出張中など「すぐにオフィスのライブラリに行けないような時」にでも場所の制約を受けず、手軽にリサーチできる。田上氏の話では先進的な法務部ではリモートワークやフリーアドレスを取り入れている企業もあるそうで、そういった柔軟な働き方にもマッチしやすい。

法務担当者の声から生まれたプロダクト

弁護士ドットコムでは2016年3月より企業法務のポータルサイト「BUSINESS LAWYERS」を展開してきた。現在は約3.8万人が会員登録し、月間セッションも最大で100万弱を記録する規模に成長。サービス開始から4年かけて約1800のコンテンツを配信することを通じて、少々ニッチな領域ではあるものの、そのネットワークを広げてきた。

今回の新サービスは、既存ユーザーが課題に感じていることをヒアリングした結果「情報収集が大変なので、リーガルリサーチをもっとスムーズにできる仕組みが欲しい」という声が多く寄せられたことがきっかけで生まれたものだ。

「担当者は何か法的な問題や課題があって、それに対して法務部としての見解を出すためにリサーチをする。本来は分析や考察に多くの時間をかけるべきだが、見落としがあってはダメなので網羅的にリサーチをする必要があり、“どの書籍のどの箇所に、どんな論点が書かれているのか”を調べる作業に毎回時間がかかっていた」

「近年はグローバル化や新しい技術の登場などの影響で、法務部がキャッチアップしなければならない法律や専門知識が増えている。触れるべき情報量が増えスピード感も求められる時代だからこそ、その業務を少しでも簡単に、効率的に進められるツールが必要だ」(田上氏)

この事業を進めていく上ではコンテンツプロバイダーである出版社の協力が不可欠だ。田上氏によると「思っていた以上に協力的な企業が多かった」そうで、リリース時点で12社とのタッグが実現した。

目指すのは「ユーザーがリーガルリサーチをより快適に進められ、コンテンツプロバイダーもきちんと収益を得られる仕組み」を作ること。レベニューシェアモデルで出版社に収益の一部を分配する仕組みを採用しているほか、書籍ページにECサイトへの導線を設けることでサービス上からすぐに書籍を購入できるような設計にした。

「インターネット上に様々な情報が溢れる時代になったが、法律の分野においては専門性の高いコンテンツの価値はこれからも変わらない。出版社の手がける専門書籍は質が高く、届け方を変えていくことでもっと多くの人に訴求できるチャンスがあると考えている」(田上氏)

BUSINESS LAWYERS LIBRARYでは法務部門の担当者をメインターゲットとして今後もコンテンツ数を拡充させつつ、今春には弁護士が一般民事事件等(離婚や相続、交通事件、債務整理等)を手掛ける際に参照する実務書を掲載した「弁護士向けのサブスクサービス」も公開する予定だという。

近しいサービスとしては昨年12月にリリースされた「Legal Library」などもあるが、これらのサービスが普及すればアナログな要素の多かったリーガルリサーチのやり方もアップデートされていきそうだ。

サブスクのパスワードを友人と安全に共有するJamのニーズと合法性

Netflix 、HBO、Spotify、その上Disney +まで利用する余裕はないって? そこで登場したのが、認証情報を安全に保ちながらも、パスワードを友だちに教えることができるアプリのJamだ。合法性が疑わしいこのサービスは米国時間2月10日朝からプライベートベータを開始した。創業者のJohn Backus(ジョン・バッカス)氏は、TechCrunchの最初のインタビューで「Jamはユーザーにログインの詳細をローカルな暗号方式で保存させ、選んだサービスのパスワードにアクセスできる友人を追加し、自分のサブスクリプションに相乗り可能なサービスを友人たちにブロードキャストさせるものだ」と説明している。

Jamは、急速に伸びているウェイトリストにユーザー追加を始めたばかりだが、ユーザーがサービスにアクセスすると、無償で利用できるようにデザインされている。将来的には、Jamは友人同士がサブスクリプションのコストを分割できるようにすることでビジネスを生み出すことができるだろう。そこには明らかに需要がある。 Hubによる2000人以上の米国消費者への調査によれば、13〜24歳の80%以上が、誰かのオンラインテレビパスワードを教えたり利用したことがあるという。

「Jamの必要性は明白でした。元ガールフレンドのルームメイトが、私のアカウントを再利用していることを知りたくはありませんからね。誰もがパスワードを共有していますが、消費者が安全にそれを行う方法はありません。どうしてなのでしょうか?」 とバッカス氏は問いかける。「エンタープライズの世界において、チームパスワードマネージャーの機能には、複数のユーザーが同じアカウントに定期的にアクセスする必要があるという現実が反映されています。それなのに消費者は同様のシステムを持っていません。それはセキュリティとコーディネーションにとって悪いことなのです」

ありがたいことに、バッカス氏はセキュリティに関して素人ではない。スタンフォード大のコンピューターサイエンス中退組でThiel Fellowでもあるバッカス氏は、ID検証のスタートアップCognitoと、分散型クレジットスコアリングアプリBloomを創業した経験を持つ。「Bloomで暗号を扱い、Cognitoで機密データを扱ったことで、暗号をコアとする安全な製品を構築した経験が豊富なのです」

またバッカス氏は、Jamに保存されているものはすべてローカルで暗号化されているので、彼でさえそれを見ることはできず、たとえ会社がハッキングされても何も漏洩することはないと語った。1Passwordと同様のプロトコルを使用しており「プレーンテキストのログイン情報は決してサーバーに送信されず、ユーザーのマスターパスワードも送信されることはない」そして「公開鍵暗号方式を素直に使用している」と彼は言う。ただし、あなたの友人がアカウントをジャックしてあなたをロックアウトしようとする可能性があることは、常に意識しておく必要はある。そして、彼らのプロトコルは強化されるかもしれないが、Jam内でそれらが完璧に実装され、完全に安全かどうかは、TechCrunchは確認することができない。

パスワードの共有を促進することが合法であるかどうか、そしてNetflixやその仲間たちがJamを破壊するために弁護士の軍隊を派遣するかどうかは、まだわからない。私たちは、いくつかのストリーミングサービスに対してコメントを求めた。バッカス氏は、ユーザーが利用規約に違反することをJamが助けることについて、Twitter上で質問されたとき、次のように主張した「多くのウェブサイトが(様々なレベルの制約を課しながらも)アカウントを他のユーザーと共有することを許可しています。しかし多くのユーザーがこうした規則を知りません

とはいえ通常、共有が行われるのは、顧客自身のデバイス間または家庭内であり、ファミリープランの支払いも想定されている。Netflix、Hulu、CBS、Disney、Spotifyにコメントを求めたが、報道に向けたコメントは受け取れていない。だがSpotifyの利用規約では、他の人にパスワードを提供したり、他の人のユーザー名とパスワードを使用したりすることは明示的に禁止 されている。Netflixの利用規約は「アカウント所有者は、サービスへのアクセスに使用されるNetflix対応デバイスの管理を行うものとし、アカウントに関連付けられているパスワードや支払い方法の詳細を誰にも明かしてはならない」と強調している。

Jamが、オリジナルコンテンツクリエイターたちから盗みを働こうとしているのだとみなす者もいるだろう、しかしバッカス氏は「Jamは誰のポケットからもお金を奪おうとはしていません」と主張する。「Spotifyは(同じ屋根の下にいる人たちのためのファミリープランを)提供していますし、他の多くの企業も同様のバンドルプランを提供しています。ユーザーはこうしたプランを十分に活用していないと思いますし、(それを使いこなすのは)完全にフェアなゲームだと考えています」

10月にNetflixの最高製品責任者は、同社はパスワード共有をモニターしており、「消費者に優しいやり方で、限界を押し広げようとしています」と述べている。一方、Netflix、Disney、Amazon、Comcastおよび主要な映画スタジオを含むAlliance For Creativity and Entertainment(創作と娯楽のためのアライアンス)は、「不適切なパスワード共有や不適切な暗号化を含む不正アクセスを促進するもの」を含む「著作権侵害」に対処するためにメンバー同士が協力していくことを発表した

これは、Jamにとって高くつく法的トラブルにつながる可能性がある。「私が過去に創業したスタートアップが順調に進んだおかげで、ありがたいことにいまのところJamを自己資金でまかなえています」とバッカス氏は語った。しかし、訴訟が発生した場合やアプリが人気を博した場合には、外部の投資家を見つける必要があるだろう。「わずか5時間前にローンチしたところですが、今言えるのはサインアップの増加によりデータベース部分のアップグレードをすでに進めているということだけです」

バッカス氏はパスワード共有ブラウザーのような競合相手が課金を行うのではと想像しているが、最終的に、月々のサブスクリプションを通した収益化が目標ではない。その代わりに「Jamはユーザーがお金を節約する手助けをして収益を得ます。毎月終わりにその差を精算できるように、ユーザーが何を誰と共有しているかを追跡しやすいものにしたいのです」とバッカス氏は言う。「ユーザー間の貸し借りの自動決済と引き換えに少額の料金を請求したり、より効率的な共有設定を推奨することでユーザーが節約できた料金の一部を請求したりできる可能性があります」。将来的には、ネイティブモバイルアプリを構築する傍らで、人びとのネットワーク全体でアカウント管理を最適化するための推奨事項を提供するチャンスも見すえている。

「Jamは、これまでも異なる形で何度も現れてきた人びとのインターネット利用法の潮目に、完全に一致するタイミングでやってきたと思います」。特に若い人たちにとってそうだ、とバッカス氏は言う。Hubによれば、米国の全消費者の42%が他人のオンラインTVサービスのパスワードを使用しており、特に13〜24歳では69%がNetflixを他人のパスワードで利用しているという。「人気と排他性が、あいまいで時には存在しない場合もある合法利用規則と組み合わされると、それは契約者にとって友人や家族と楽しさを分かち合うことへの招待状となるのです」 と語るのはHubの主幹であり報告の共著者であるPeter Fondulas(ピーター・ホンジュラス)氏だ。「ウォールストリートはすでに、その不快感を顕にしていますが、それにもかかわらず、パスワード共有は、依然としてとても活発です」

そうした観点からは、Jamは性教育に喩えることができるだろう。パスワード共有に対してただ禁欲を求めてもその失敗は明らかだ。人びとは、少なくともそれを安全に行う方法を学ぶべきなのだ。

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(翻訳:sako)

月額1480円からのコーヒーサブスク「PostCoffee」は“自分に合った”コーヒーが定期的に届く

何も考えずに、自分が美味しいと感じるコーヒーを常に飲んでいたい——もしあなたがそんな願望を持つコーヒー愛好家なら、本日2月6日に正式公開された「PostCoffee」をチェックしてみるといいかもしれない。

このスペシャルティコーヒーのサブスクリプションサービスは、Web上で10個の質問に応えるだけで「自分に合った3種類のコーヒー豆」をピックアップし、特製のコーヒーボックスに入れて定期的に自宅まで届けてくれる。「時間をかけて選ぶのは面倒だけど、味にはこだわりたいしマンネリ化も避けたい」というユーザーとは特に相性が良いだろう。

コーヒーのラインナップは30種類以上。PostCoffeeを象徴するブレンド1種と、その他は単一の農園で栽培されたシングルオリジンから構成される。スペシャルティコーヒーのシングルオリジンでの種類数は国内最大級の品揃えになるとのことだ。

10個の質問に答えれば自分に合ったコーヒーを提案

PostCoffeeでコーヒーを頼みたいユーザーは、まずオンライン上で「コーヒー診断」を行う。

ライフスタイルや嗜好に関する10個の質問に答えていくと各ユーザーのコーヒーライフを診断。コーヒー豆3種類に加えて、オススメの淹れ方やオプション(砂糖や粉末ミルク)などをカスタイズして提案してくれる。

質問の内容は「オープンしたばかりのアイスクリーム屋でどんなフレーバーを選ぶか」「1週間の休暇をどこで過ごすか」といったように、一見コーヒーとはあまり関係のなさそうなものも多い。ただそこにも明確な狙いがあるという。

「これまでも業界内でコーヒーの味を科学する取り組みは行われてきたが、すごく嗜好性が強い飲み物なので、どんなに美味しくても人によっては気に入らなかったりする。それを踏まえてコーヒーの味を科学するというよりは、個人の嗜好性やライフスタイルを科学することでコーヒーの好みを導き出すというアプローチを取っている」(下村氏)

自分向けにカスタマイズされたコーヒー豆はオプションやフィルターをセットにしたコーヒーボックスとして定期的に自宅に届く。3種類のコーヒー豆をそれぞれ3杯分 (計約140g)ずつが基本となるが、コーヒーを頻繁に飲むような人の場合は5杯分に変更することも可能。頻度も1ヵ月ごと、または2週間ごとで選べる。

月額料金は1480円からとなっていて、オプションの内容や量、頻度によって変わる仕組み。飲んだコーヒーについてフィードバックをすることで、次回以降届くコーヒーをどんどん自分好みのものにアップデートできるのが特徴だ。また各コーヒー豆は単品で購入することもでき(1280円/150g)、最短で翌日にポストへ投函してくれる。

もともとPostCoffeeはオンデマンド型のコーヒー豆ECアプリとして2019年3月にスタート。当初からサブスクモデルのマンスリープランを提供していたものの、コーヒー診断の仕組みなどもなく、シンプルなプロダクトだった。

正式版の提供にあたっては、ベータ版から蓄積してきたデータやユーザーインタビューの結果を基に開発したパーソナライズ機能を搭載。コーヒー豆の種類も拡充した上で、各ユーザーが自分に合ったコーヒーライフを発見できるサービスを目指した。

「『たくさんの選択肢の中から自分に合ったものを探すのは大変だけど、一方でマンネリ化はしたくない』『コーヒーが無くなった時には、すぐに届けてくれる仕組みが欲しい』といったユーザーさんの声をミートアップなどで耳にする機会が多かった。無思考型のUXとも言われるように、自分でわざわざ考えなくても美味しいコーヒーが定期的に自宅へ届く体験を作っていきたい」(下村氏)

目黒にサービス体験型のリアル店舗をオープン

今回PostCoffeeでは正式版のリリースと合わせて、東京都目黒区の目黒通り沿いに焙煎所を併設したオフライン店舗を開設したことも明かしている(一般オープンは2月10日から)。

このリアル店舗ではコーヒー診断をした上でバリスタと一緒にコーヒーの試飲や飲み比べ、ハンドドリップによる抽出などを無料で体験できる。いわゆるサービス体験型の店舗のため、イートインやテイクアウトはなし。PostCoffeeが気に入った場合は診断結果を基にその場でサブスクをスタートすることができ、1回目のコーヒーボックスはそのまま持ち帰ることも可能だ。

店舗ではバリスタと一緒に自身のカルテ(診断結果)を見れるなど、既存ユーザーでも楽しめる要素を取り入れてるそう。PostCoffeeではオンラインだけでなくオフラインの体験も改善しながら、サービスの拡大を目指していく計画だ。

POST COFFEEは2018年9月の設立。昨年10月にはセレス、朝日メディアラボベンチャーズ、インキュベイトファンド、スタディーズから総額約5000万円の資金調達を実施している。

クラスがオフィス家具サブスク強化、「交換し放題サービス」で急成長するスタートアップを支援へ

月額400円から使える家具のサブスクリプションサービス「CLAS」を展開するクラスは1月27日よりオフィス家具・什器の「交換し放題サービス」を開始した。

同サービスでは、オフィスや店舗に配置する家具・什器・家電を月額500円から利用・交換できる。現時点でデザイン性の高いチェア、デスク、ソファをはじめ、実用性の高いロッカー、書ける天板を利用したディスカッションテーブル、木目調のホワイトボード、家電、プロジェクターなど50種類以上のアイテムが対象。2020年春には100種類まで拡大する予定だ

最低利用期間は3ヶ月となっていて、それ以降であれば利用期間を自由に設計可能。交換時に配送料がかかるものの、契約金額の範囲内であれば回数や期間の制限なしでアイテムを“交換し放題”である点が特徴だ。

従来のCLASと同様、通常使用の範囲であれば汚れや傷がついてしまったアイテムも無料で交換でき、メンテナンスの費用や手間もない。また家具選定やレイアウト設計に関してはコーディネーターが無料でサポートする。

クラス代表取締役の久保裕丈氏によると、個人向けにはリペアしやすいPB製品を中心に交換し放題の仕組みを作れていたが、法人向けにはできていなかったそう。法人向けPB製品のラインナップが整ってきたことでオフィス家具においても交換し放題が実現したという。

今回のオフィス家具サブスクは、急成長するスタートアップ企業や生産性の高いオフィスづくりを目指す企業のサポートをすることが目的だ。新メンバーがどんどん加入する段階のスタートアップでは、その度に家具の購入やレイアウトの変更、不要になった家具の廃棄などが必要になる。クラスでは家具や什器をサブスク型で提供し、その負担を軽減することを目指す。

また交換し放題であるため“A/Bテスト”のような感覚で何度も家具やレイアウトを変更でき、理想のオフィスづくりに強いこだわりがある企業とも相性が良さそうだ。

「オフィス向け”交換し放題プラン”は、規模の大小は問わず、スタートアップの企業様に体験いただきたいと考えています。スタートアップは、人員の増減、組織体制・カルチャーの変化、短期間でのオフィス移転など、急激な変化が起こります。少ない管理部門と資金で運営しているスタートアップでは、こういった変化に伴うオフィス什器に関する悩みは枚挙にいとまがありません」

「『人員の急激な増減に、什器の調達・廃棄が間に合わない』『購入したはいいけど、移転/レイアウト変更で1年も使わず什器を廃棄する羽目に』『買い替えや廃棄にまつわる手間や初期投資が重たい』『社員のために導入したものの、全く使われない空間がある』こういった一切のお悩みをサービスを通じて解決していきたいと考えています」(久保氏)

交換し放題サービスの事例

CLASは個人を主な対象とした月額500円からの家具レンタルサービスとして2018年8月にリリース。家具のラインナップを増やすだけでなく、家電やベビーカー、観葉植物など家具以外のアイテムにも対象を広げてきた。2019年12月には関西の一部地域への対応もスタートし、提供エリアも拡大中だ。

運営元のクラスでは昨年12月にギークスを含む複数の事業会社などから総額約2億円を調達。それ以前にもANRIやキャナルベンチャーズを始めとした投資家より複数回に渡って資金調達を実施している。

家具のサブスク・レンタルサービスは個人向け、法人向けを含めて、ここ数年で国内でもいくつか新しいサービスが出てきた。TechCrunch Japanでも過去に「airRoom」や「subsclife」、「Kaggレンタル」などを紹介している。

サブスクベースSNSのMeWeはプレミアム機能とビジネス版を導入

MeWeは、サブスクリプションベースのSNS。プライバシーを重視し、アンチFacebookを自認する。今回、プレミアムレベルのサービスをリリースし、新たにビジネス向けの製品の売り込みも強化する構えだ。これは、Slackのようなエンタープライズ向けのネットワーキング、コミュニケーションツールに対抗するもの。

MeWeは、自身をソーシャルメディアというコンセプトの初期の提唱者だと自負する社交好きの経験豊かな起業家であるMark Weinstein(マーク・ウェインステイン)氏によって創立された。Facebookに代わるものを標榜し、すでに数百万人のユーザーを集めている。

Elloに遅れてMeWeを立ち上げた際にウェインステイン氏は、Elloが経験している苦難を目撃することでSNSを支配するFacebookに対抗するものを彼自身が作り上げるための貴重な教訓を得ることができたと語っていた。

「Elloが高い目標を掲げて出発し、その後現実に引き戻されたころ、私たちは設計段階でした。彼らは2100万人に刺激を与えたかもしれませんが、サーバーはそれを処理できませんでした。彼らはデスクトップ版しか用意しておらず、そのプロジェクトは時期尚早だったのです」と、ウェインステイン氏は語った。

MeWeは、フリーミアムモデルで運営されており、ニュースフィード、カスタムカメラ、短命のコンテンツ、8GBのストレージ、音声やビデオによるメッセージ、カスタムステッカーなど、すべて無料で利用できる。企業ユーザーは、月額1.99ドル(約218円)を支払うことで追加機能を利用できる。

「ソーシャルメディアは監視資本主義のために発明されたわけではありません」と、ウェインステイン氏は言う。MeWeは発言に関しては比較的寛容だが、ウェインステイン氏によれば、ヘイトスピーチの投稿、暴力の誘発、いじめに関しては、ルールがあるという。それは、「私たちはあなたを検閲するつもりはありません。なぜなら、あなたが話しているのは、私たちが同意するかどうかに関係のない、政治的な見解だからです」というもの。

SNSとしてのMeWeのプレミアム機能とは別に、同社はエンタープライズ向けのコラボレーション用製品も立ち上げた。

ウェインステイン氏によると、エンタープライズ向けツールキットには、すでに数千人のユーザーがいて、ベータ版から脱却したとのこと。機能としては、エンドツーエンドで暗号化されたチャット、Windows 360との統合、タグ付け、アンケート、カスタムカメラ、音声およびビデオ会議、といったものが、一連のサービスとして組み込まれているという。

プレミアムレベルのMeWeは月額4.99ドル(約545円)だ。プロフェッショナル向けのサービスには2段階があり、価格はそれぞれ3.99ドル(約436円)と7.99ドル(約873円)となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

オープンソースプロジェクトを収益化するサブスク方式のプラットフォーム「xs:code」

オープンソースは、デベロッパーにとって無料で手に入る優れたツールの供給源だ。しかし、その中のプロジェクトが拡まり、人気が出ると、作成者は成功したものを収益化する方法を模索したくなることもある。その場合に問題となるのは、サブスクリプションベースのデュアルライセンス方式で運営するのが難しく、ほとんどの開発者は、どこから始めればよいかさえわからない。そこに登場したのが、イスラエルのスタートアップであるxs:code。このような問題を解決するために開発者を支援するプラットフォームだ。

画像クレジット:Luis Alvarez/Getty Images

「xs:codeは、オープンソースプロジェクトを収益化するプラットフォームです。現在非常に人気のある寄付方式のプラットフォームとは異なり、xs:codeでは、オープンソースの開発者は支払いに対して付加価値を提供できます。無料で提供しているものに追加できるのです。追加するのは、異なるライセンス、付加機能、サポートのサービス、その他、考えつくもの何でもかまいません」と、xs:codeの共同創立者兼CEOであるNetanel Mohoni(ネタネル・モホニ)氏はTechCrunchに語った。

そのようにしても、オープンソースとしての性格が失われることはない。自分の仕事を収益化したいと考えている開発者にプラットフォームを提供しているだけだ、とモホニ氏は言う。「多くの企業が、コードにアクセスするためにお金を払っています。自分たちの仕事に対して対価が得られることで、モチベーションも高まった開発者が作成し、品質も向上したソフトウェアを利用できるからです。私たちの方法では、コードが確実にオープンソースであり続けるようにするため、開発者は引き続きコードへの貢献を受け入れることができます。そのため、コミュニティはこれまで以上に優れたコードを利用できるのです」と彼は説明した。

写真:xs:code

さらに、プロジェクトのオーナーが望めば、コミュニティの貢献者に、サブスクリプションから得た資金を分配することもできる。それにより、プロジェクトの改善を手助けしてくれた貢献者に報いる方法を提供できるのだ。

一般的にうまくいくのは、オープンソース開発者がデュアルライセンスのモデルを作成する方法だ。1つのライセンスは、純粋なオープンソースコードとし、もう1つは営利目的のライセンスにする。後者には、顧客がサブスク方式で料金を支払いたくなるような追加機能や、サポートを含めることができる。

開発者はGitHub上にプライベートリポジトリを作成し、有料版にアクセスするためのxs:codeへのリンクも張っておく。ユーザーは、そのペイウォールにアクセスしてサブスクライブする。xs:codeは料金を徴収し、開発者があらかじめ指定した方法で支払う。同社は、プラットフォームを維持し、料金を徴収するための手数料として25%を受け取る。

このプラットフォームは、米国時間12月10日からベータ版として初公開される。登録は無料だ。xs:codeは、これまでに50万ドル(約5400万円)の事前シード資金を調達している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

家具の月額レンタルサービスのCLASが関西進出、返却手数料無料キャンペーンを開始

家具や家電を月額定額、いわゆるサブスクリプションで利用できるサービスを提供するクラスは12月9日、サービスエリアを大阪府・京都府・兵庫県・奈良県の2府2県に拡大することを発表した。従来の東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県とあわせて1都2府5県で利用可能になる。対象地域拡大に伴い、2019年12月25日までの期間限定で関西の対象地域に住んでいる利用者に向けて、利用4カ月目から返却手数料が無料と2000円ぶんポイント贈呈という2つのキャンペーンを実施する。同社は、2020年末までに関西地域で会員登録数20万人を目標にする。なお、対象エリアは今後も拡大していく予定とのこと。

上記のキャンペーンに応募するには、専用ページ https://clas.style/contents/27から会員登録を済ませて家具を借りるだけでいい。会員登録すると2000円ぶんのポイントが自動的に付与され、利用開始から4カ月目が経過した家具は解約時の返却数料が無料になる。なお返却数料は通常、1年以上の利用で半額、2年以上の利用で無料となる。

関西エリアの具体的な対象市町村は以下のとおり。

  • 大阪府:岬町、阪南市、泉南市、泉佐野市、貝塚市、南河内郡、泉南郡、泉北郡、豊能郡豊能町を除く全域
  • 京都府:京都市、亀岡市、宇治市、向日市、長岡京市、八幡市、京田辺市
  • 兵庫県:神戸市、姫路市、西宮市、尼崎市、明石市、加古川市、宝塚市
  • 奈良県:奈良市、生駒市、橿原市、大和郡山市、天理市、香芝市

WordPress.comサイトにサブスクを受け付ける「定期支払い」機能が登場

サブスクリプションモデルは、アーティスト、クリエイター、ニュースメディア、ゲーム開発者、エンターテインメントプロバイダなど多くのビジネスを支えている。パブリッシングプラットフォームのトップであるWordPress.comは、クリエイターやウェブパブリッシャーがより簡単にサブスクリプション機能をウェブサイトに追加できる機能を公開した。ウェブサイトのオーナーは自分たちのサポーター、読者、ファン、顧客から継続的に費用を受け取れるようになる。

この機能は有料プランのすべてのWordPress.comサイトで利用できるほか、Jetpackを使っているセルフホストのWordPressサイトでも利用できるという。そしてかなり柔軟だ。

この機能を有効にすると、WordPress.comのWebサイトのオーナーは、週刊のニュースレターへの課金、毎月の寄付の受付、独占コンテンツへの1年間のアクセス権の販売などができる。ほかにも、自分たちの支援者から一定のスケジュールで集金したいものなら、何にでも利用できる。

WordPress.comはこの新機能に関してインターネット決済業者のStripeと提携した。そのため、WordPress.comのブログパブリッシャーは、定期支払いを利用する前にStripeのアカウントも設定する必要がある。設定したらWordPress.comの「収益の獲得」ページで「Connect Stripe to Get Started」(Stripeと接続して始める)をクリックし、セットアップに進む。

ユーザーは支払いプランを何とおりでも作って、複数の通貨や支払いの頻度、名前に対応することができる。顧客や読者、ファンを分類したり、サブスクリプションの種類を複数用意したりできる機能だ。ウェブサイトに「定期支払い」ボタンを設置することもできる。

そして定期契約者は、サブスクリプションをWordPress.comのアカウントからいつでもキャンセルできる。短時間で簡単にウェブサイトにサブスクリプションを追加できるとなれば、手数料や分配金の負担を減らすために、サブスクリプションプランをPatreon(パトレオン)などの大きなプラットフォームから引き上げるクリエイターも出てくるかもしれない。しかしそうすると、ほかのプラットフォームのリソースを失ってしまうことになる。そのため、サブスクリプションの売上を増やすために、単純にWordPress.comを新たなチャネルとして追加する人々が多いかもしれない。

この機能はクリエイター専用ではない。クラブや組織が定期的な会費や手数料を集めるなど、定期的な集金を簡単にしたい人なら誰でも利用できる。WordPress.comは、定期支払いの機能を家賃の徴収に利用する例もあると紹介している。

この機能の登場は、WordPress.comが広く使われていることを考えると、サブスクリプションの普及に大きな影響を与えるかもしれない。米国時間11月12日にWordPress.comは、毎月このプラットフォーム上で4億900万人以上が200億ページを閲覧し、パブリッシャーは1カ月におよそ7000万件の新規投稿を公開していると述べた

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(翻訳:Kaori Koyama)

Mac用アプリの定額制サービス「Setapp」が企業向けプランを開始

SpotifyのMacアプリ版ともいえるSetappが、企業内のチーム向けに作られた新しいサブスクリプションプランをスタートした。現在は公開ベータとして提供されている。Setappは、160種類のMacアプリ用を固定のサブスクリプション料金でダウンロードできるサービス。アップデートも無料でアプリ内課金もない。

Setappは月額9.99ドルで誰でもサインアップ利用できる。年間契約なら月額8.99ドル。ユーザー3名、Mac5台まで利用できるファミリープランは月額19.99ドルだ。

「Setapp for teams」は企業向けに設定されたサービスで、価格は1ユーザー当たり月額8.99ドル。使用できるアプリは個人向けでもビジネス向けでも変わらない。

新しいサービスを使うとソフトウェアライセンスの管理が簡単になる。料金はまとめて請求され、ユーザーの追加削除を行える管理パネルもある。

利用できるアプリは、Ulysses、PDFpen、ForkLift、Mindnode、iStat Menusなど。Setappは、Mac App Storeのミニ版のような位置づけで、有料ダウンロードはない。特定の作業を行うアプリが必要になったら、Setappを開いてアプリライブラリを探して目的にあったものを見つけてダウンロードする。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Disney+は公開前に100万人超の米国内加入者を獲得か

ディズニーの新しいストリーミングサービスであるDisney+は、11月中旬まで開始されない。しかし、分析会社のJumpshotが発表した新しい調査結果によると、すでに米国内で100万人以上のユーザーと契約している可能性があるという。この会社は、オンラインの消費者のパネルからデータを集め、実態を洞察する。そして、ディズニーの新しいストリーミングサービスは、最初から成功が見込まれると予測している会社はほかにもある。

10月中旬、UBSのアナリストは1000人の消費者を対象にしたアンケートから「86%がDisney+について聞いたことがある」と答えたことを明らかにした。さらに、44%は加入する可能性が「高い」と回答している。この数字は、Disney+が2024年までに米国内で2000万から3000万人の加入者を獲得するというディズニーの予測を上回るもの。一方ディズニーは、その時点までに、世界中で6000万から9000万人が加入しているものと期待している。

調査会社のJumpshotも、comScoreと同様に1億台のデバイスのパネルを対象として消費者の動向を推測している。同社は、Amazon、Netflix、Googleといった、データを公開していないサービスも含め、消費者による検索、クリック、購買活動などに関するデータを調査できるとしている。

Disney+の場合、JumpshotはDisney+のサインアップページへのアクセス数を分析し、その後どれくらいのユーザーが実際の申し込みにまで至ったかを追跡した。また、そのデータを統計的に補正して、米国の全インターネット人口に対する数字を算出している。これは米国内に限定されたもので、8月25日から10月14日までの事前申し込み期間における、モバイルおよびデスクトップからのウェブ経由の申請が対象となっている。

Jumpshotは、初期のDisney+の加入者について、その構成に関する情勢を分析した最初の企業にもなった。同社によれば、Disney+の加入者の31%は、Amazon、Hulu、Netflixなど、強大なプラットフォームのうち、少なくとも1つとすでに契約しているという。そのうちの、19.4%がAmazon Prime、9.1%がHulu、18.5%がNetflixに加入済みとも算出している。

また、そのうち12.5%はすでに複数のプラットフォームのサービスに加入しているので、Disney+はさらにそこに加えられることになるという。

Jumpshotのデータは参考になるが、米国におけるDisney+に対する消費者の関心の全体像を描くには至っていない。米国の消費者の多くは、Verizonを通して簡単にDisney+にアクセスできるようになる。Verizonはディズニーと提携して、既存の4G LTEおよび5Gの容量無制限のワイヤレスユーザーに、1年間の無料アクセスを提供するからだ(編集部注:VerizonはTechCrunchの親会社、Verizon Media ServiceはVerizonが所有している)。もちろん、実際にサービスが始まってからサインアップする人もいるだろう。そしてその多くは、Disney+のウェブサイトではなく、なんらかのTVプラットフォームのアプリから申し込むことになるだろう。

Jumpshotのデータは消費者のアクティビティを追跡して得たものであり、アンケートには頼っていないが、他の調査でもDisney+には強い関心が集まっていることが確認されている。実のところ、ライバルとなるほかのいくつかの新しいストリーミングサービスよりも関心は高い。例えば、HarrisXによるアンケート調査では、米国の全世帯の21%がディズニーのストリーミングサービスにサインアップしようと考えているのに対し、HBO Maxはわずか11%だった。同様に、Hub Entertainment Researchによるアンケート調査では、米国のテレビ視聴者の4人に1人がDisney+に加入すると回答した。それに対してApple TV+は6%に過ぎなかった。

一方、TV TimeとUTA IQによる調査ではブランド認知度が調査された。その中で、今後登場するサービスとしては、Disney+とApple TV+が、いずれも高い認知度を示し、それぞれ88%と63%だった。それに続くのは、HBO Max(37%)と、NBCUのPeacock(28%)だった。

この調査結果から読み取れるのは、Disney+が子供のいる家族にとってだけ魅力的というわけではないこと。子供のいる家族の方が、いない家族よりも特に加入率が高いという傾向は見られなかった。これはディズニーが、Star Wars(スター・ウォーズ)やMarvel(マーベル)といったフランチャイズによって大人にもアピールするのに成功していることを示している。

Disney+、Apple TV+、HBO Max、Peacock、Jeffrey KatzenbergのQuibiが、すべて米国でサービスを開始した後、ストリーミング戦争がどのように展開するか、まだ予断を許さない。結局のところ、ほとんどの消費者には、サブスクサービスに費やせる金額に上限がある。そして、音楽、ニュース、ゲームなど、さまざまなサブスクサービスが揃う現在において、テレビもそのうちの1つに過ぎないのだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Apple CardユーザーはiPhoneを無利息分割購入可能に

まだ「Apple Prime」とまではいかないが、これは相当魅力的だ。Apple(アップル)は米国時間10月31日に、Apple CardユーザーがiPhoneを購入する際、24カ月無利息で融資を受けられるサービスを開始した。これは、iPhoneの最新モデルへと頻繁にアップグレードするが、そのために借金することの多い消費者へのアピールを狙ったサービスだ。

「Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス) のApple Cardを持っているiPhoneユーザーは、新たな選択肢を手に入れることになり、伝統的クレジットカードのような利息や手数料はかからない」とアップル。加えて、Apple Cardはアップルからの購入に対して3%のキャッシャバックを行っているので特典はさらに魅力的になる。

このプログラムは、最終的にアップルの大規模サブスクリプション商品、通称「Apple Prime」になると一部の人たちが信じているものの土台作りになる。Apple Primeという仮称は、迅速な無料配達に加えてさまざまな特典を提供しているAmazon Primeになぞらえたものだ。

アップルのハードウェアサブスクリプションとは、最新のアップルハードウェアを使えるだけでなく、AppleCareなどのサービスがついてくるもので、現在あるiPhoneアップグレードプログラムと似ている。ただ後者の場合利息は0%だが手数料がかかる。しかし、真のApple Primeには、iCloud、Apple Music、Apple TV+、Apple News+、Apple Arcadeなどのサブスクリプションサービスがバンドルされることになる。

アップルはすでにサブスクリプションバンドルの実験を始めている。たとえば今週学生向けバンドルとして、Apple MusicとApple TV+の両方を、Apple Musicの学生プラン(月額480円)と同じ料金で提供開始した。またある意味でアップルはすでに、ストリーミングサービスのApple TV+をハードウェアにバンドルしていて、同社製ハードウェアを新規に購入するとApple TV+を1年間無料で利用できる。

このところアップルは、さらに本格的なiPhoneサブスクリプションプログラムに向かって着々と進んでいる。数年前から実施しているiPhoneの下取りプログラムは、新しいiPhoneの購入価格を引き下げるわかりやすい方法だ。

例えば9月のiPhone 11イベントでアップルは、この仕組みを使ってiPhone 11の低価格を強調するスライドを見せた。iPhone 8を下取りに出せば、iPhone 11は最低価格の699ドルではなく、最低399ドル、月当たり17ドルで手に入る。iPhone 11 Proは、iPhone Xの下取りで月額25ドルに、Pro Maxは Xの下取りで月額29ドルになることもアップルは表明した。一連のプロモーションは功を奏しているようで、以前よりも多くのアップルユーザーが下取りを利用している。

「下取りプログラムは非常に好調で、1年前と比べて5倍も利用されている」とアップルでCFOを務めるLuca Maesti(ルカ・マエスティ)氏が決算会見で語った。

長期的な展望は、アップルのの顧客ベースにiPhoneを高価な一時の買い物ではなく、毎月請求される支払いの1つと思わせることだ。保証やメディアやエイターテイメントのオプションをいくつか足してやれば本物のiPhone主導サブスクリプションが出来上がる。それこそがApple Primeだろう。そして、Apple Cardのおかげで、アップルはユーザーに直接アップルから商品を買うインセンティブを与える方法を手に入れた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

肌診断を軸にカスタマイズした美容サプリをサブスク型で提供、「FUJIMI」運営が1.5億円を調達

肌診断を軸にしたカスタマイズサプリ「FUJIMI」を展開するトリコは10月23日、ポーラ・オルビスホールディングスとXTech Venturesを引受先とした第三者割当増資により1.5億円を調達したことを明らかにした。

同社では調達した資金を活用してFUJIMIのさらなる販売促進と認知拡大を目指していく計画。ポップアップストアやリアル店舗などオフラインチャネルの開設に加えて、新商品の開発やメディア事業にも力を入れていくという。

トリコは2018年4月の創業。今回の資金調達はプレシリーズAラウンドに当たるもので、今年4月にはXTech Venturesとバルクオム代表取締役の野口卓也氏から3000万円を調達している。

約20問の肌診断で、肌に合ったサプリをカスタマイズ処方

冒頭でも触れた通り、FUJIMIは肌診断の結果を基にユーザー1人1人の肌に合わせた美容サプリをカスタマイズ処方し、サブスクリプション形式で提供する。

使い方は簡単で、ユーザーはオンライン上で「ほおに触れた時の肌の感触は?」「化粧のノリは?」など約20問の質問に答えていくだけだ。FUJIMIではビタミンACE、ビタミンB、コラーゲン、プラセンタなど11種類のサプリを用意していて、肌診断の結果からユーザーごとに5種類をピックアップ。それを1袋5粒入りのパック(1日分)にして、30日分を1箱にまとめて届ける。

料金は1ヵ月分が6400円の定額モデル(単発で購入することも可能)。現時点でユーザー自身がサプリの内容を選ぶことはできないけれど、肌診断をやり直すことでその時々の肌の状態に合わせたサプリを購入することができる。

トリコ代表取締役社長の藤井香那氏によると「くすみや乾燥、ニキビ、シワ、シミなど人ごとに様々な肌の悩みを抱える中で、適切なアプローチができるようにサプリの開発や種類の絞り込みにはかなり時間をかけた」そうで、開発前には120人以上の女性にヒアリングして悩みを研究してきた。

その上で米国ISNFサプリメントアドバイザー資格を持ち、機能性表示食品検定協会の理事を務めるサプリメントの専門家をアドバイザーとして迎え、1万以上ある国内外の肌に関する研究論文などをもとにしながら11種類のサプリを調合。肌診断のアルゴリズムについても同様に専門家の知見を借りながら開発を進めてきたという。

現在のメインターゲットは美容に気を使う30〜40代の女性。年齢と共に肌の状況が変わり、スキンケアの方法もステップアップが必要になる中で「外側だけでなく内側からのケア」に意識を向けている層に訴求をしていく。

「そもそも何を飲めばいいかわからないという人にとっては、肌診断を通して自分の肌に合ったサプリが見つかるのが特徴。美容意識が高く自身でビタミンやミネラルなどのサプリを取っている場合でも、それぞれボトルが分かれているので毎回何箱も開けて飲むのは大変だし、自分に合うものを何種類も試しながら探すのは手間もかかる。FUJIMIでは必要な5粒のサプリを1日分ごとに包装しているので持ち運びやすいし、飲みやすい」(藤井氏)

診断を実施するとその結果に合わせた5つのサプリのほか、肌の状態を示したチャートやアドバイスなどが表示される

今年の4月からスタートしたサービスのためまだまだ認知度は限られるものの、実際に使ったユーザーの翌月継続率は90%以上。参考までに、これまで提供してきたサプリの数は累計で100万粒を超えているそうだ。

トリコではInstagramで12万人以上のフォロワーを抱えるメディア「SkieNa(スキーナ)」も展開していて、同メディアも強化しながらより多くのユーザーにアプローチしていくことを目指す。

今後は新商品の開発やオフライン展開を強化

FUJIMIのアイデアはもともとトリコで美容系のメディアを展開していた時に生まれたものだ。

藤井氏は学生時代に「ヘアラボ」などメディア事業を手がけるアラン・プロダクツ(当時の社名はゴロー、2016年にユナイテッドが子会社化)でインターンをした後、ユナイテッドにジョイン。同社の社内起業支援制度を活用して子会社の代表を務めた経験もある。

トリコのメンバー。前列左から2番目が代表取締役社長の藤井香那氏

自己資本で立ち上げたトリコでは化粧品やダイエット食品、健康食品などの情報を扱うWebメディアから事業をスタート。そのサイトでたくさんの商品の記事を書くうちに「美容への興味が高まる一方で、自分自身が本当に買いたいという商品があまりなかった」ことから、それならば自分で作ってしまおうとFUJIMIの構想が生まれた。

「スキンケアに関する商品は外側からつけるタイプのものが多いが、それだけでは0.02ミリの角質層までしか届かずケアとしては足りないのではないかと体感的に思っていた。ビタミンやオイルといった必要な美容成分を(サプリを通じて)内側から取れることを勉強して、『内側からのスキンケア』は市場としてもまだ空いているし、チャレンジできる余地があると考え開発を進めてきた」(藤井氏)

グローバルで見ると、サプリのパーソナライズD2Cとしてはゴールドマンサックスなどから累計で4000万ドル以上を調達している「Care/of」のようなプレイヤーも出てきていて、トリコでもベンチマークの1つとしているそうだ。

商材としてもパーソナライズ化やECでのサブスクリプションモデルとの相性が良いこともあり、現在のビジネスモデルを採用。構造はシンプルだが、その分プロダクトの設計やデザインにはかなりこだわりを持って作ってきた。

トリコは藤井氏を含めて3人の共同創業者が全員デザイナーで、プロダクトやWebサイトなどのクリエイティブは全て社内のメンバーが担当。「サプリメントについては『ダサい』『胡散臭い』などマイナスなイメージを持っている人もいるが、ビジュアルを変えて『持っているだけで女性のテンションが上がるようなもの』を目指している」(藤井氏)という。

まずは美容領域からスタートし、今後はFUJIMIブランドの商品ラインナップを増やしていく方針。すでに現在の肌診断結果を用いてサプリとは別の商品を提案するための準備も始めている。

またトリコではラインナップの拡大と合わせて、ポップアップストアやリアル店舗の出店などオフラインでの顧客との接点作りも進めながら、強固なブランドの確立を目指していく。

「OEMで工場にお願いして作ってもらっているので、他社が似たような商品を開発することもできる。そういう意味では中長期的に独自のブランドを確立させていくことが重要。今はまだブランドにもなっていないので、まずは今回調達した資金も活用しながらブランド化に繋がるような取り組みに力を入れていきたい」(藤井氏)

月額1280円のコーヒーサブスク「PostCoffee」が5000万円調達、自分に合ったコーヒーが見つかる機能強化へ

コーヒーのサブスクリプションサービス「PostCoffee」を運営するPOST COFFEEは10月1日、セレス、朝日メディアラボベンチャーズ、インキュベイトファンド、スタディーズより総額約5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

PostCoffeeはスペシャルティコーヒー(品質の良いコーヒー)を自宅で気軽に楽しめるサービスだ。

現在はエチオピアやケニア、コロンビアなど世界各国から厳選した10種類のシングルオリジンにオリジナルブレンドを加えた全11種のコーヒー豆を用意。これをアプリ上から手軽に注文できる形で提供する。

各パッケージは約10杯分に相当する150gで一律1280円。ユーザーは注文時に豆のままか挽いたものかを選ぶ。

豆が無くなりそうなタイミングに合わせて「アプリからワンタップ」で注文できるのが特徴。最短で翌日ポストに投函されるので不在時でも心配はない。個別で購入することもできるが1280円からの月額会員になると送料が無料になるほか、登録後に3種のコーヒーを飲み比べられるスターターキットを無料で試せる。

このキットではオリジナルドリッパー、3種のコーヒー豆(各1杯ずつ)、ペーパーフィルターがセットになっているのでマグカップとお湯を用意するだけでOK。2週間のトライアル期間が設けられているから、スペシャリティコーヒーを楽しんでみたい人はここから始めるのもありだろう。

POST COFFEEで代表を務める下村氏は、同社を立ち上げる前に渋谷区富ヶ谷でコーヒースタンドをオープンし、2年半ほどバリスタを兼務していたという珍しい経歴の持ち主だ。

近年日本でもブルーボトルコーヒーの上陸などで「サードウェーブコーヒー」の注目度が増しつつあるが、スペシャリティコーヒーの流通量はまだ限定的。下村氏によると販売チャネルが限られるため、都内でも手に入れにくい状況だという。

「質の高いコーヒーとユーザーの距離を最大限縮めることが目標だ。コーヒーはそもそも種類が多く、生産地や焙煎度合いによっても味が異なり、自分に合ったものを選ぶのも大変。まずは手に入りにくいスペシャリティコーヒーをワンタップで、オンデマンドで注文できる仕組みから始めた。ゆくゆくはユーザーの好みとテイストのデータを基に1人1人に合ったコーヒーを提供できるようにしていく」(下村氏)

3月のサービスローンチから約半年、現在のアプリダウンロード数は数千件。徐々にではあるけれど、コーヒー好きのユーザーを中心に有料会員として継続的にPostCoffeeを活用する人も増えてきた。

下村氏の話ではユーザーからのフィードバックなども踏まえて年内を目処に大型のアップデートを加えた新バージョンをリリースする計画。今回の資金調達もそれに向けた人材採用や環境整備が主な目的だという。

「パーソナライズ」機能で個々に合ったコーヒーライフを提案へ

POST COFFEEは2018年9月の設立。創業者の下村氏はもともと兄弟でデジタルクリエイティブスタジオを立ち上げ、デザイナー兼エンジニアとして16年にわたり同社を経営してきた。

スタートアップにCTOとして参画した経験もあるなどテック業界での経験が豊富な一方で、上述したように2年半ほどコーヒースタンドのバリスタを務めコーヒーの知見もある。

PostCoffeeを作った理由の1つは「実際にローカルコーヒー店を経営する中で、その商圏の狭さを経験したから」。そもそも日本ではあまり広がっていないスペシャリティコーヒーをもっと多くの人が楽しめるように、「場所問わずスマホがあれば簡単に良質なコーヒーを手に入れられる仕組み」を作ることからチャレンジを始めた。

左からPOST COFFEE代表取締役の下村領氏、取締役の下村祐太朗氏

今後PostCoffeeではさまざまなアップデートを行っていく予定だが、キーワードは「コーヒーのパーソナライズ」だ。

ライフスタイルやユーザーの好み、好きな食べ物などの質問に応えることで、コーヒーの淹れ方からコーヒー豆の種類、頻度、量、価格といった様々な要素をパーソナライズした上で提供。飲んだコーヒーのフィードバックを繰り返していけば自宅に届くコーヒーもより最適化されていくという。

「(ライフスタイルや好きなスイーツなど)コーヒーに直接関係ない部分も含めて好みを把握し、個々にあったコーヒーを提供する。ユーザー自身が必ずしも直接豆を選ばなくていいような仕組みを作ることでハードルを下げ、より多くの人にスペシャリティコーヒーを楽しんでもらいたい」(下村氏)

ローンチ時から「AIバリスタ」機能についても言及していたが、まずは第一ステップとしてチャットボットのような形で対話しながらコーヒーのパーソナライズを行う。コーヒー豆の種類も30種ほどに増やす予定で、料金もライトなものを追加していくとのことだ。

並行してWeb版とAndroid版の開発も進めていく方針(現在はiOS版のみ)。コーヒー豆については直接農園から手配したものをユーザーにダイレクトに届ける「D2Cモデルのコーヒーブランド」にも取り組むほか、オフライン店舗や新しい焙煎所の開設、リアルなイベントの実施などにも着手する。

「現在はシェアロースターを使って焙煎しているが、今後自分たちで焙煎機を導入して独自の焙煎場を立ち上げる予定だ。近い将来ユーザーが立ち寄れるオープンな場所を開設したいと考えていて、新しい味を体験したり、コーヒーについての理解を深めたりできるような空間を目指す」(下村氏)

GoogleがYouTube Musicを今後出荷のAndroid 9/10端末にプリインストールへ

ストリーミングが音楽マーケットの主流になってきた現在、Google(グーグル)はすべてのAndroidデバイスに音楽アプリをプリインストールすることで一気にライバルに追いつこうとしている。これがYouTube Musicをめぐる動きだ。

米国時間9月28日、Googleは同社のPixelシリーズを含め、今後発売されるAndroid 10とAndroid 9スマートフォンにYouTube Musicプリインストールすると発表した

実際、Googleの音楽戦略は根本的な再編成を必要としていた。2015年11月にYouTube Musicをスタートさせて以後、Googleの音楽サービスは2本立てになっていた。一方は2011年開始のGoogle Play Musicだ。さらに事態をわかりにくくさせていたのは、YouTubeが有料のサブスクリプション、YouTube Premiumも始めたことだ。このサービスはGoogle Play MusicとYouTube Musichの双方にアクセスできる。逆にGoogle Playの有料サブスクリプションメンバーはYouTube Premiumもカバーしている。さらにややこしいことに、今年5月にはYouTube Musicのみのサブスクリプションも始まっている。

Googleの音楽サブスクリプションの全体像は飲み込めただろうか?Googleのチャットアプリの現状は混乱を極めているが、音楽サービスもわかりやすいとはいえない。

4月にGoogleは、Google Play MusicをYouTube Musicに1本化するつもりであることをとうとう認めた。これはGoogle PlayのArtist Hubをシャットダウンするのはもっと大きな音楽サービスの再編の一環なのだという説明だった。

しかしYouTube Musicが今後発売されるAndroidにプレインストールされるという本日の発表の後でもGoogle Play Musicはまだ健在だ。

ただし新しいAndroid 10デバイスにGoogle Play Musicはプリインストールされず、必要とするユーザーはアプリをPlay Storeからダウンロードしなければならな。逆にYouTube MusicがプリインストールされていないAndroidデバイスのユーザーも、Play Storeからダウンロードすることになる。

YouTubeの音楽ストリーミングはApple MusicやSpotifyといった市場リーダーと比較してもそこそこ充実したサービスだ。ユーザーの視聴傾向から新しい音楽を推薦する機能もあり、これには楽曲だけでなくアルバムやライブ、リミックスも含まれる。サブスクリプションであればYouTube Musicは広告が入らないし、オフライン再生もできる。最近はSpotifyの毎週のお勧め、Discover Weeklyに対抗して、Discover Mixもスタートしている。

しかしYouTube Musicはユーザーがダウンロードしなければならないため、iOSのApple Musicのようなプリインストールサービスに比べて不利だった。さらにGoogle Play Musicのユーザーは長年かけて蓄積したプレイリストをYouTube Musicにインポートインポートできないのも痛かった。

5月にYouTube Musicは、有料定期購入者が1500万人に達していた。一方Spotifyの発表によれば、6月末の時点でのSpotifyの月間アクティブユーザー2億3200人うち、1億800万人が有料定期購入者のアカウントだという。Apple Musicの有料定期購入者は6月に6000万人の大台に載せた

Googleによれば、Google Play MusicのYouTube Musicへの統合は作業中だという。つまりまだ実現していない。

YouTubeの広報担当者はTechCrunchの取材に対し、「以前発表したとおり、我々は最終的にはGoogle Play MusicをYouTube Musicで置き換える。この再編の一環としてYouTube MusicがAndroid Q以降のデバイスにプリインストールされる」と確認した。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

FABRIC TOKYOがオーダーメイド洋服のサポートをサブスクサービスとして提供開始

オーダースーツなどのD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)は9月26日、月額制サポートのサブスクリプションサービス「FABRIC TOKYO 100(ハンドレッド)」の提供を開始した。

同日、東京・渋谷で行われた新事業戦略発表会で、FABRIC TOKYO代表取締役CEOの森雄一郎氏は「D2Cは世界の潮流」とした上で、「D2Cの先には小売のサービス化、モノを売るだけでなく、サービスを付加価値として提供するRetail as a Service(RaaS)がある」と述べ、FABRIC TOKYOとして3つの領域でRaaSに取り組んでいく考えを示した。

RaaS取り組みの1つ目が冒頭で紹介したサブスクリプションサービス、FABRIC TOKYO 100のリリースだ。同社が展開する「FABRIC TOKYO」は、店舗で採寸してもらってデータを登録しておくと、必要なときにマイページから欲しいスーツやシャツが注文できるというD2Cのオーダーメイドスーツブランドなのだが、そのオーダー商品に関するユーザーの悩みに応えるサポートサービスを、月額398円(税込)で提供する。

従来も、FABRIC TOKYOで注文した商品を受け取ってから、50日間は無料で1回まで作り直すサイズフィット保証が用意されていたが、FABRIC TOKYO 100を利用することで作り直し期間が100日間に延長される。また、体型の変化によるサイズ直しについては、作り直しにならない範囲で何度でも対応。スーツ購入後にありがちな「先にスラックスだけが擦れたり破れたりして、上下で着られなくなる」という悩みにも対応し、補修用スラックスの生地を最大2年間保管し、生地代は無料、仕立代のみでスラックスを購入することができる。

さらに10月以降、順次サービスを拡充し、日々の着こなしのサポートやクリーニング・保管サポートなどもサブスクリプションサービスとして提供していくということだ。

RaaS取り組みの2つ目は、「スマートファクトリー」のプロデュースだ。アパレル事業所数が減少し続け、IT化したくてもノウハウがなく、設備投資ができない縫製工場の現況に触れ、森氏は「日本の繊維業にはスマート化が必要」と述べる。FABRIC TOKYOでは、デジタルトランスフォーメーションを進め、IoTをフル活用したスマートファクトリーを実現すべく実証実験を行っているとのこと。第1弾として10月にIT化、データ可視化をした工場を西日本のとある場所で実際に稼働させるという。

また、11月には製造プロセスを顧客に見える化し、オーダー中の商品が今どの工程にあるか、メールやアプリのプッシュ通知で知らせるといった実証実験を開始。2020年には、これらの仕組みをパッケージ化してノウハウを他工場に展開するB2Bビジネスもスタートさせるもくろみだ。

IoT活用では、12月に「FABRIC TOKYO TOUCH」(仮称)の実証実験開始も予定しているという。これは「洋服が情報を持ち、インターネットにつながる」という“コネクテッドアパレル”構想のもと、サイズや着こなし、手入れなどの情報を洋服にタグなどの形で持たせようという試みだ。

RaaS取り組みの3つ目は、サーキュラーエコノミーに関するもの。世界では毎年9200万トンの服が廃棄されており、日本でも年間100万トン、33億着に及ぶ服がアパレル業界から廃棄されているという現状がある。FABRIC TOKYOは不要な洋服を顧客から回収し、日本環境設計との提携により、再生生地を生成。「服から服を作る」ことで従来廃棄されていた洋服を循環させる事業を行っていくという。

洋服の回収は、9月26日からFABRIC TOKYOの全店舗で開始、ユーザーにはオーダーの際に使えるポイントをプレゼントする。他社製の洋服でも引き取るということだ。同社では、2020年には再生ポリエステルで作られた商品のリリースを開始。2021年にはすべての梱包資材を循環型素材に切り替えるなどして、2023年以降、すべての洋服をサステナブル素材にする計画だ。

発表会には、今年5月にFABRIC TOKYOと資本業務提携を行った丸井グループ代表取締役社長CEOの青井浩氏も登場した。「デジタル・ネイティブ・ストア」戦略を掲げる丸井グループの青井氏は「オンライン化が大手企業中心で進む小売業で、一極集中は便利な面もあるが面白くない」と述べ、「個性ある、ユニークなサービスが提供される多様で豊かな世界の方が望ましい。それを実現できるとしたら、それはD2Cではないか。D2Cのエコシステムを作るべく、店舗という場に加えて、データや決済、人材交流、工場や生産管理のノウハウ、取引先を引き合わせることも含め、資本だけでなくFABRIC TOKYOのような企業をサポートしていく」と語った。

「EC対小売、という構図の戦いはもう終わっている。一般消費者にとって、いまやオンラインとオフラインを分けることはできない。買い物にあたっては誰もがオンラインもオフラインも駆使しているし、最終的な購入に関しては、オンラインの方が便利だったりもする。双方が融合しているのにビジネスとして2つを分けるのは不可能だ。どう融合させたビジネスモデルを作れるかが、これから鍵となる」(青井氏)

また森氏は「D2Cは小売業のスタンダードな手法になっていく」として、D2CカンパニーとしてのFABRIC TOKYOが「トップランナーとして主体的に小売業界を盛り上げ、楽しい業界になるよう、これからもエコシステムに貢献していきたい」と語っていた。

FABRIC TOKYO代表取締役CEO 森雄一郎氏

Googleが350種以上のゲームをサブスクで楽しめるPlay Passをいまだけ月約2ドルで開始

Apple Arcade好評のようだが、米国時間9月23日にGoogleもサブスクリプションのモバイルゲームストアを発表したGoogle Play Passは今週中に米国で利用できるようになるが、近く多数の国に拡大される。 ゲームを中心とする350タイトルが登録されており、サブスクリプション契約すればすべて自由にダウンロードして利用できる。Apple Arcade同様、アプリ内課金や広告は一切ない。 スタート当初の割引プロモーションがあり、月額1.99ドルで1年間利用できる。

料金は1年後に月額4.99ドルの通常料金に戻される。偶然かどうか、これはApple Arcadeと同額だ。スタート割引はが提供されるのは 今年10月10日までだという。

Apple ArcadeとGoogle Play Passはコンセプトも仕組みもよく似ている。両者とも多数のプレミアムコンテンツを月額サブスクリプションで提供するオンラインストアだ。しかし当然だが差異もある。

たとえばApple Arcadeは独占配信だ。つまりここに登録されるゲームはAndriodでは入手できないが、 Google Play Passの場合はAndroidでもiOSデバイスでも利用できるアプリが含まれる。Play Passのカタログにはustwo gamesのMonument Valleyをはじめ、クロスプラットフォームのタイトルが多数ある。

またPlay Passのローンチタイトルにはゲームだけでない。AccuWeather、Facetune、Pic Stitchなどの人気アプリの広告が表示されないプレミアムバージョンも利用できる。

スタート時のタイトルにはMonument Valleyに加えて、スターウォーズのゲームであるKnights of the Old Republic,、 Stardew Valley、 Hasbro(ハスブロ)の外交ゲーム、Risk、ゲーム・オブ・スローンズのReigns: Game of Thronesなどが含まれる。それほど有名ではないが、LIMBO、Lichtspeer、Mini Metro、Old Man’s Journeyなどのカジュアル・ゲームも登録されている。This War of Mine、Cytusは近日追加されるという。学齢期以前の子供むけタイトルもToca BocaやMy Townなどのシリーズが用意される。

pph realistic

プラットフォーム独占配信ではないため、Google Play PassのカタログにはApple Arcadeの3倍以上のタイトルが含まれる。とはいえ、Apple Arcadeのゲームには高品質なよくできたゲームが多い。一方Play Passは上で触れたように気象予報などの便利なアプリのプレミアム版が多数含まれる。

Play Pass ticket logo

Apple Arcadeと同様、Google PlayのアプリにPlay Passに登録されていることを示すアイコンが付加される。Apple Arcadeの場合、個々のゲームを検索するにはArcadeタブを開く必要があるが、Google Play PassのタイトルはPlay Storeのトップから直接検索できる。この点ではGoogleのほうがゲームを探しやすい。

これもApple Arcadeと同様、Play Passをサブスクリプションすると本人を含めて家族6人がプレイ可能だ。これにはファミリーマネージャーに必要な情報を設定する必要がある。

GoogleがApple Arcadeのライバルを準備している情報はしばらく前から流れていた。またGoogle自身も最近、これを確認するツイートをしていた。今回明らかになったのはローンチの日時と価格だ。

Google Play Passは今週、Androidデバイス向けに公開される。当初は米国のみだが、すぐに多数の国がカバーされるという。当初のサブスクリプションは月額1.99ドルで、本契約の前に10日のトライアルが可能だ。通常料金は月額4.99ドルで、プロモーション料金で契約した場合も1年後には通常料金に戻る。

AppleもGoogleもデベロッパーとの関係についての情報は明らかにしていない。ただし Googleは「多くの人々がPlay Passのタイトルをダウンロードすればそれだけデベロッパーの収入が増える」としている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook