日本酒ECの酒ストリートと菊の司酒造が共同開発した醸造アルコール添加工程を体験できる酒セット販売、エシカル・スピリッツCTOの山口氏監修

日本酒ECの酒ストリートと菊の司酒造が共同開発した醸造アルコール添加工程を体験できる酒セット販売、エシカル・スピリッツCTOの山口氏監修

日本酒ECサイトなどを展開する酒ストリートは2月12日、純米酒と焼酎を自分の手でブレンドして醸造アルコール添加の日本酒を作ることができる「すごい!!アル添(あるてん)」を数量限定で販売開始したと発表した。通信販売サイト酒ストリート公式オンラインストアで購入できる。直販価格は6480円(税込・送料込)。

同製品は、創業400年を超える老舗酒蔵・菊の司酒造と共同開発したも。ブレンドの監修は、ジン製造スタートアップ「エシカル・スピリッツ」CTOとして商品開発や蒸留などの技術責任者を務める蒸留家・山口歩夢氏が行っている。

「アル添」とは、「醸造アルコール添加またはアルコール添加の日本酒」の略称。醸造アルコールとは、サトウキビなどを原料とした糖蜜から作られた蒸留酒で、「大吟醸」「吟醸」「本醸造」といった酒の香りや味わいを深め、よりよい酒質を作るためにも使われている。酒ストリートによると、アル添のお酒は「品質が低い」「増量目的」といったネガティブなイメージが深く根付いているものの、現在国内で製造されている酒の約77%、また日本酒コンテスト「全国新酒鑑評会」では出品酒の約78%・入賞酒の約91%はアル添酒という(国税庁「清酒の製造状況等について(平成30酒造年度分)」、酒類総合研究所「平成30酒造年度 全国新酒鑑評会出品酒の分析について」より算出)。

今回発売のすごい!!アル添は、純米酒と焼酎を自分の手でブレンドし、酒に醸造アルコールを添加する工程を疑似的に体験できる商品。こだわりの日本酒と焼酎、それらをブレンドしたアル添のお酒を作ることで、おいしく楽しんでもらうために考案された。商品には計量ショットグラスとスポイトが付属。同梱のリーフレットには、山口歩夢氏によるブレンド解説とペアリングの提案、酒ストリートによるアル添の解説が掲載されており、手軽にアル添のブレンドを試すことができる。

日本酒ECの酒ストリートと菊の司酒造が共同開発した醸造アルコール添加工程を体験できる酒セット販売、エシカル・スピリッツCTOの山口氏監修

共同開発の菊の司酒造は、創業400年を超える岩手県盛岡市の老舗酒蔵。伝統的な製法と革新的な酒質を両立させる高い技術を持ち、国内外で多くの受賞歴を誇る。また同社はは日本酒だけでなく、自社で醸造・蒸留する焼酎「だだすこだん」を製造。その広範な知識と技術をもとにすごい!!アル添の共同開発に至った。

酒ストリートは、すごい!!アル添を通して日本酒の7割以上を占めるアル添酒のおいしさを多くの人に体験してもらいたいという。杜氏や蔵人の技術に触れ、アル添酒を身近に感じてもらうことで、アル添酒に対するイメージを変革したいという。

EC・SaaS企業に収益ベース融資で資金を提供する仏SilvrがシリーズAで約171.5円調達

フランスのスタートアップ「Silvr」は、シリーズAラウンドで1800万ユーロ(約23億7500万円)の資金を調達するとともに、同社の活動のために1億1200万ユーロ(約147億8000万円)のデット調達も実施した。Silvrは、eコマース企業やSaaS企業に新たなクレジット機会を提供したいと考えている。基本的にSilvrが目指しているのは、米国のPipe(パイプ)やカナダのClearco(クリアコ)のような経験をヨーロッパに導入することだ。

中央ヨーロッパ時間2月8日の資金調達ラウンドには、XAnge、Otium、Bpifrance、Eurazeo、ISAIが参加した。また、Alexandre Prot(アレクサンドル・プロット)氏、Steve Anavi(スティーブ・アナビ)氏、Raphaël Vullierme(ラファエル・ヴァルリエム)氏、Louis Chatriot(ルイ・シャトリオ)氏、Pierre Dutaret(ピエール・デュタレ)氏などのビジネスエンジェルも出資している。

2020年にスタートしたSilvrは、Cuure、French Bandit、Almé Paris、Emma&Chloéなど、すでに100社に出資している。VCファンドとは異なり、Silvrは資本を提供するが、株式は取得しない。また、従来の銀行とは異なり、Silvrは資産を持たないリスクの高いビジネスにも融資することができる。

企業がSilvrにクレジットを申請すると、企業は銀行口座、Google Analytics、Shopify(ショッピファイ)などのECプラットフォーム、Stripeなどの決済に使用しているプラットフォームなど、さまざまなデータソースへのアクセスを許可する。

Silvrは独自のスコアリングアルゴリズムを開発しており、これらのデータに基づいて意思決定を行う。同社は今のところ、主にeコマース企業とSaaSスタートアップに焦点を当てている。そうすることで、過去の売上をもとに将来の収益を予測しやすくなるからだ。

平均して、クライアントはSilvrから何らかの融資を受けた2カ月後には、収益が64%増加している。また、Silvrのクライアントの35%がVCファンドから資金を調達していることからわかるように、Silvrは必ずしもVC資金に取って代わるものではない。

Silvrは、さまざまな資金の受け取り方を提供している。従来の電信送金に加えて、このスタートアップはバーチャルカードを提供したり、パートナーに直接支払うこともできる。たとえば、新しい広告キャンペーンのためにSilvrを利用したい場合、Silvrが直接請求書を支払うことも可能だ。

返済に関しては、クライアントは従来の月払いプランで返済することもできれば、収益の一部を返済に充てることもできる。

欧州でCapital-as-a-Service(CaaS、キャピタル・アズ・ア・サービス)に取り組んでいるのはSirvrだけではない。Karmenはフランスで、Uncappedは英国で、それぞれ同様の製品に取り組んでいる。

画像クレジット:Image Source / Getty Images

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

リモートでカットの指示が出せる撮影プラットフォームのSoona、シリーズBで約40.1億円調達

eコマースの劇的な成長と並んで、一部ではパンデミックが追い風となり、販売業者がオンラインビジネスに参入することを容易にするサービスの需要も増加した。Soona(スーナ)というスタートアップは、シリーズBで追加調達した3500万ドル(約40億1000万円)の資金をバックに、このマーケットに参入している。Soonaのプラットフォームでは、写真や動画の「仮想」撮影によって、ブランドのeコマース用ウェブサイトやマーケティングのコンテンツを作成できる。つまり、Soonaのテクノロジーを使えば、販売業者は別の場所で写真撮影を行うためにアイテムを送付してその結果を待つ代わりに、リモートかつリアルタイムでブランドの写真撮影プロセスに参加することができるのだ。

「私たちはブラウザで写真撮影に招待します。Zoom(ズーム)の会議に参加するのとそれほど変わりません」と、Soonaの共同創業者兼CEOであるLiz Giorgi(リズ・ジオルジ)氏は説明する。「カレンダーの招待をクリックすると、写真撮影の様子がブラウザに表示され、リアルタイムでキャプチャされる写真やビデオクリップをすべて確認できます。それらのアセットは操作できるので、お客様やチームはアセットのフィードバックをカメラマンに提供することができます」。

画像クレジット:Soona

Soonaの顧客は、構図の変更や、シーンの小道具の追加・削除、写真撮影のその他調整など、要望に応じてカメラマンとやり取りができる。その上、販売業者にとってサービスの前払いをしなくていいのはありがたい。写真1枚につき39ドル(約4470円)、ビデオクリップ1つにつき93ドル(約1万700円)を支払って、実際に必要なアセットだけ購入すればいいのだ。選び終えると、写真や動画は24時間以内に納品され、ウェブサイトやマーケティングチャネルにアップロードする準備ができる。また、いつでも過去の撮影記録にアクセスして追加のオーダーをすることもできる。

ビジネスの成功によって今回新たな資金の調達にこぎつけたSoonaは米国時間1月24日、Bain Capital Ventures(ベインキャピタルベンチャーズ)の取りまとめによって3500万ドル(約40億1000万円)の資金を新たに調達したとアナウンスしている。前の投資者であるUnion Square Ventures(ユニオンスクウェアベンチャーズ)、Matchstick Ventures(マチスティックベンチャーズ)、Starting Line Ventures(スターティングラインベンチャーズ)、2048 Ventures(2048ベンチャーズ)、Range Ventures(レンジベンチャーズ)もラウンドに参加し、Soonaの合計調達額はこれまでに5100万ドル(約58億5000万円)に達した。

ジオルジ氏のバックグラウンドは専門的なメディア制作だ。Soonaを始める前は、インターネットビデオ制作のMighteor(マイテアー)という自分の会社を経営し、その前はメディアおよびテレビの制作会社で働いていた。そうした経験を通して、コンテンツの作り方、特に美しいコンテンツの作り方を見定める目が養われた、と氏は述べている。一方、氏の共同創業者、Hayley Anderson(ヘイリー・アンダーソン)氏のバックグラウンドはアニメーションにあり、マイテアーのクリエイティブディレクターだった。マイテアーは後に、クリエイターネットワークのStandard(スタンダード)に買収された

ヘイリー・アンダーソン氏とリズ・ジョルジ氏(画像クレジット:Soona)

2人は2019年にSoonaを設立し、その年に最初の商品を発売した。最初の頃、Soonaの業務では、顧客に写真や動画の撮影のために実際のスタジオに来てもらい、ソフトウェアを使用して映像をすぐにアップロードして、顧客がすぐに購入できるようにしていた。しかしパンデミックのために、Soonaは再調整して仮想モデルに切り替えることを余儀なくされた。結果的には、このモデルを採用したことがビジネスの成長に役立った。パンデミックの最中に直接接触をともなう活動ができなかったときだけでなく、リモートワークが普通のビジネス環境になってからもそうだ。Soonaの収益は、2020年から2021年にかけて400%増加し、2021年から2022年にかけてさらに300%増加した。Soonaは年間収益の数字を公開しないが、ビジネス上の評価基準は非公開ながらも競争上の優位性に言及している。(参考までに)。

Soonaは現在、約1万の販売業者にサービスを提供しており、Wild Earth(ワイルドアース)、Lola Tampons(ロラタンポン)、The Sill(ザシル)、SNOW(スノー)、Birchbox(バーチボックス)などの顧客がいるが、サブスクリプションモデルではなく、取引ベースのビジネスをしている。ジオルジ氏は、これが商品市場に適していることが明らかになったと考えている。2021年は月ベースで、収益の63%はリピート客から得た。顧客の約60%は100万ドル(約1億1500万円)から500万ドル(約5億7300万円)のeコマースストアであり、その多くはShopify(ショッピファイ)を利用している。ショッピファイは化粧品、美容、健康、ファッション、履き物に強く、現在は消費者向けパッケージ商品や栄養商品の分野の成長が大きい。

「私たちのビジネスモデルは繰り返し型ではないかもしれませんが、ブランドでこうしたアセットが必要とされる頻度は高いレベルにあります。それで、こうした視覚的なアセットにいつどのようにお金を使い、投資するか、選択できるようにすることで、本当に簡単にSoonaを使い続けることができるようにしました」と、ジオルジ氏は述べている。「しかし、サブスクリプションを検討の対象から外しているわけではありません」。

現在、リモートでの写真撮影のために販売業者が商品を送付できるようにしている企業は、Pow Photography(パウフォトグラフィ)など他にもあるが、Soonaのようにリアルタイムではない。従来のeコマースサイト向けに「白地に商品」の写真、つまり白い背景の商品画像に主に重点を置いているライバルもいる。これは、たとえばリビングルームやキッチンセットの写真ショットで商品とモデルを組み合わせて作るリッチコンテンツなどとは逆である。一方、どちらかといえば市場方式で業者とカメラマンを直接結びつけようとする競合他社もある。

画像クレジット:Soona

しかし、Soonaの独自テクノロジーでは、オンラインでの写真撮影を計画するために必要なものをすべて顧客に提供する。人とペット両方のモデルやスタイリストを使用することもできる。モデルは、他のギグエコノミーの仕事と同様、契約ベースで働く。しかし、Soonaのカメラマンは、ギグワークとして仕事を請け負うか、フルタイムの従業員に移行することができる。現在、カメラマンは、フルタイムのスタッフとして約35人、請け負いで100人ほどいる。

Soonaは追加の資金を得て、モデルのサービスの市場を拡大することを目指している。この市場は現在、Soonaのビジネスで最も成長の速いセグメントの1つであり、実際、2021年のビジネス全体の20%を占めた。Soonaは、2022年にこのプラットフォームの規模を3倍にして、さまざまな人材のタイプを増やし、販売業者の顧客のために商品の見栄えをよくする新しい方法を取り入れることを計画している。また、精選したビジネスデータと販売業者の目標について尋ねることで、ブランドのためにどんなタイプの写真撮影をすればよいかに関する提案を増やすのに役立つテクノロジーにも投資する。Soonaはすでに、Amazon(アマゾン)およびInstagram(インスタグラム)推奨の撮影を始めており、類似のことをTikTok(ティックトック)で始める計画を立てている。

また、この会社は、APIプラットフォームを拡張して、ショッピファイ以外にも統合を拡大することも計画している。ショッピファイは現在、顧客ベースで55%を占めている。計画を進めるにあたり、Soonaは、たとえばKlayvio(クラビヨ)やBigCommerce(ビッグコマース)など、他のeコマーステクノロジー企業との統合に狙いを定めている。

この会社は、デンバー、オースティン、ツインシティーズに拠点を持っており、ミネアポリスの現在のチーム以外のエンジニアを増やすことで、エンジニアリングチームも3倍にする。商品チームも拡大する。

ジオルジ氏はSoonaの現在の評価額について話すことを避けたが、Soonaは女性が創業した次のユニコーンになる「道を歩んでいる」と考えている。「私たちは間もなくそこに到達します」と氏は断言した。

画像クレジット:Soona

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

ソフトバンクとゴールドマン、インドの小規模小売店プラットフォームElasticRunにユニコーン出資

ソフトバンクが世界第2位のインターネット市場における商業的な賭けをさらに強化する中、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)は、ElasticRun(イラスティックラン)の3億ドル(約345億2000万円)の最新ラウンドをリードした。

ElasticRunがインド時間2月7日に規制当局へ提出した書類によると、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)と既存投資家であるProsus Venturesも、プネーに本社を置く同社のシリーズEラウンドに参加した。今回のラウンドで、ElasticRunの評価額は15億ドル(約1727億円)となった。

TechCrunchは1月初め、ソフトバンクとゴールドマン・サックスがElasticRunを支援する交渉を行っていると報じていた。

ElasticRunは、インドの数百の市町村にある数十万の小規模小売店が、トップブランドの在庫や運転資金を確保できるよう支援している。ElasticRunは、eコマース企業やその他の大手ブランドとの協業をサポートすることにより、これらの近隣店舗の収益向上を支える。EC企業やブランド側は、これまで参入が難しかった巨大な市場へのアクセスを得ることができる。

今回のラウンドにより、ElasticRunの累計調達額は4億3000万ドル(約495億円)以上となり、これまでのすべての資金調達を合わせた額よりも多くの資金が同社にもたらされた。

ElasticRunはクラウドソーシングにより、近隣店舗(キラナとして知られているパパママストア)にサービスを届けるパートナーの物流ネットワークを構築してきた。ElasticRunと協力してこのネットワークを利用している大手企業には、Amazon(アマゾン)、Tata Consumer Products(タタ・コンシューマー・プロダクツ)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、PepsiCo(ペプシコ)、インド最大の小売チェーンであるReliance Retailなどがある。

このスタートアップは、ソフトバンクがインドのコマース市場で行ってきた一連の賭けの中で最も新しいものだ。ソフトバンクはこれまでにも、Flipkart(Flipkart)やソーシャルコマースのスタートアップであるMeeshoなどを支援している。

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

ネット印刷・集客支援などのラクスルがダンボール・梱包材専門通販ECサイトのダンボールワンを完全子会社化

ネット印刷・集客支援などのラクスルがダンボール・梱包材専門通販ECサイトのダンボールワンを完全子会社化

ネット印刷・集客支援プラットフォームなどを手がけるラクスルは2月1日、ダンボール・梱包材専門通販ECサイト「ダンボールワン」を運営するダンボールワンを同日付で完全子会社化したと発表した。

ラクスルは、同社事業の成長戦略として、オフィス・産業資材への印刷領域の拡張を推進しており、当該領域におけるサービスとの相乗効果を目的に、2020年12月にダンボールワンの株式を取得し関連会社化。2022年2月1日付で追加取得が完了し完全子会社化した。

ダンボールワンは、ダンボール・梱包材専門通販ECサイトとして業界最大規模のダンボール製造会社・梱包材メーカーのネットワークを活用した、低コストかつ小ロットの商品提供の仕組みを構築している。提携後、ラクスルのシェアリング・マーケティングノウハウの活用や両社の顧客基盤の拡大など、協業関係により互いにシナジー効果を創出してきたという。

そのような取り組みを通じて、ラクスルは、同社の事業拡大への期待とセグメントのさらなる成長の観点から、企業価値最大化に資すると判断し、株式を追加取得して完全子会社化することに合意した。今後は組織拡張、プラットフォーム力の活用、開発投資などを通して両社のシナジーを生かしさらなる成長につなげるとしている。

ラクスルグループは、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」という企業ビジョンのもと、印刷や物流、広告といったデジタル化が進んでいない伝統的な産業にインターネットを持ち込み、産業構造を変えることで、より良い世界にすることを目指している。現在では、ネット印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」をはじめ、物流プラットフォーム「ハコベル」、広告のプラットフォーム「ノバセル」を提供するノバセル、コーポレートITの「ジョーシス」のサービスを提供するジョーシスを運営している。

PinterestのARショッピング機能が家具やインテリアにも拡大

Pinterest(ピンタレスト)の新機能は、拡張現実(AR)を使って、家具やその他のインテリア用品が自分の家でどのように見えるかを、消費者が確認できるようにする。同様の技術は、Amazon(アマゾン)、IKEA(イケア)、Wayfair(ウェイフェア)などの大手小売業者や、Houzz(ハウズ)のような住宅デザイン分野の企業によってすでに実用化されている。Pinterestの場合、Crate & Barrel(クレート&バレル)、Walmart(ウォルマート)、West Elm(ウェストエルム)、Wayfairなどの米国の小売業者と協力して、オンラインの買い物客がPinterestアプリの「Lens camera(レンズカメラ)」を使って自宅に仮想的に商品を配置できるようにする。そして、ユーザーが気に入れば、小売店から直接商品を購入することができる。

このインテリアのバーチャルショッピング体験は、米国で8万以上のショッパブルピンで開始され、Pinterestにとってこれまでで最大のARショッピングへの投資となる。

また、これは、Pinterest が過去2年間に発表した「Try On(トライオン)」の3つ目の製品でもある。最初の試みは美容市場で、消費者がさまざまな口紅の色合いやアイシャドウを仮想的に試すことができるトライオン機能で、合計1万4000のショッパブルピンを提供した。Pinterestはまだ、部屋の中に直接商品を置くことはやっていなかった。つまり、ユーザーの顔の上にだけ商品を置いていたのだ。これまでと同じ技術ではないが、Pinterestのトライオン体験はすべて、商品のインスピレーションを購買につなげるという同じ目標を掲げている。

iOSまたはAndroidでこの機能を利用するには、米国のユーザーは、サポートされているホームデコレーションのピンをクリックし「Try in your Space(トライ・イン・ユア・スペース)」をクリックすると、カメラレンズを通してバーチャル製品を見ることができる。ユーザーは、自分のスペースで製品を調整し、価格などの製品情報を閲覧することができる。購入する場合は、再度ピンをクリックし、販売店のウェブサイトのレジに進む。

画像クレジット:Pinterest

このように、消費者の気軽なブラウジングを小売の取引につなげる試みは、Pinterestが長年にわたって力を入れてきたものだ。しかし、同社は、例えば、買い物のインスピレーションとして、静止画像から動画への移行など、さまざまな市場の変化への対応が少なくとも最近までは遅れていた。2021年、同社は遅ればせながら、動画優先のデビュー商品「アイデア・ピン」をリリースしてこの分野に参入し、以来、オンラインインフルエンサーが自分のコンテンツから収益を上げられるようにするためのクリエイターツールに投資している。

Pinterestはまた、家具やインテリアのショッピングのための新しいAR機能で、明らかに市場に先駆けているわけではない。しかし、ARショッピング市場はまだ初期段階だ。この市場では、Apple(アップル)のARKitのように、AR開発者が利用できるツールによって初期の導入が制限されており、時間の経過とともに着実に改善され、エンドユーザー体験が煩雑でなくなってきているのだ。また、アプリメーカーは、ARショッピングを消費者にアピールする方法をまだ探している段階だ。例えば先に、Snapchat(スナップチャット)は自社の AR 機能をアップグレードし、消費者が複数の商品をリアルタイムの価格で一度に閲覧できるショッピング・レンズが追加された

ARショッピングの初期の実験のいくつかは、よりギミック的なものに感じられたが、ARをうまく使えば、小売業者のコンバージョンを増やすのに役立つという兆候もある。そして、このような体験に対する消費者の需要もあるのかもしれない。例えば、2019年のGoogle(グーグル)の調査では、66%の人が買い物の際にARを使ってみたいと答え、ARに対する消費者の関心が示されている。実際の調査やコンバージョンに関するデータはより限定的なものだった。しかし、eコマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)は、自社の社内データを引用して、ストアに3Dコンテンツを追加しているマーチャントは、平均で94%のコンバージョン上昇を確認していると共有した。そして、ARで3Dモデルを使用した一部のマーチャントは、最大250%もコンバージョン率が上昇したとShopifyは述べている。また、同社は、Vertebrae(ヴァータブレイ)による2020年の調査を引用し、ARを利用する顧客は利用しない顧客と比較してコンバージョン率が90%上昇することを明らかにした。

一方、Pinterestは、自社のユーザーが「トライオン」可能なピンから購入する確率は、通常のピンの5倍であると述べている。また、2021年の検索クリック数は33.7億回で、ホームデコレーションがサイト内のトップカテゴリーであると述べている。そのため、この最新のARの取り組みは、ARビューティーショッピング機能よりも多くの利用者がいる可能性があるものとなっている。同社は、ビジュアル検索機能の利用が前年比126%増加したことをアピールしたが、総検索数については明確な数字を示さなかった。

「パンデミックが始まって以来、何百万人もの人々が意思決定プロセスの一環として、購入前に試したり、パーソナライズされたレコメンデーションを見たり、情報収集するための仮想およびモバイルオプションを期待しており、これまで以上にデジタルに精通した買い物客が増えています」と、Pinterestのエンジニアリング担当SVP、Jeremy King(ジェレミー・キング)氏は発表で述べている。「これらの行動は、毎日Pinterest全体で起こっています。だからこそ、私たちはAR Try Onのような技術を進歩させ続け、Pinterestを、アプリ内のどこでもインスピレーションから購入まで人々を導くフルファネルの買い物先にするのです」。

同社はTechCrunchに対し、現在、ARショッピング機能を収益化していないと語った。しかし、この取り組みにおける小売パートナーは、すでにPinterestでオーガニックと有料広告の両方の成功を収めているブランドであり、消費者が有機的に商品を発見するための別の方法を利用しようとしている。

ARショッピング機能は、発売当初はiOSとAndroidで米国のみだが、後にグローバル市場にも展開されるとPinterestは述べている。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

ワシントン州による調査後、「Sold By Amazon」での価格操作に対してアマゾンは2.6億円を支払い、プログラムも終了

Amazon(アマゾン)は、225万ドル(約2億6000万円)を支払い、中断していた販売プログラムを永久に停止しなければならない。同社が実質的な価格操作を行っていたとする、ワシントン州司法長官による調査および訴訟を受けたものだ。

「Sold By Amazon」は基本的に次のような仕組みだった。Amazonがサードパーティの販売者と連絡を取り、商品の最低価格について合意する。Amazonがそれ以上の値段でその商品を売れば、利益を分配する。ある意味、卸売りで大量に仕入れて転売するのとあまり変わらない。しかし、Amazonがストアで商品の価格や見せ方を激しく変えるその手法のために、実際にはまったく異なったことが起こった。

州司法長官室の説明によると、Amazonは結局、他の小売業者に合わせてその商品の価格を上げ、売り手が割引を提供するのを防いでいた。その結果、購入者は、Amazonが好きなように価格を設定できるAmazon自社ブランドの購入に走ることが多かった。

Sold by Amazonに登録されている商品の大半は、価格が人為的に高く設定されたままになっていた。

価格が上昇すると、一部の販売者は、プログラム対象製品の売上とそれによる利益が著しく減少した。価格上昇に直面したネットユーザーは、Amazonの自社ブランド商品、特にプライベートブランド商品を購入することを選択することもあった。その結果、消費者が「Sold by Amazon」プログラムに登録された商品に高い値段を払うか、あるいはAmazonで提供される同一または類似の商品を購入するかにかかわらず、Amazon自身の利益が最大化されることになった。

これは売り手にとって不利な取引に聞こえる。だが、より根本的には、ワシントン州のBob Ferguson(ボブ・ファーガソン)司法長官は、この行為は州の反トラスト法に違反していると主張した。Amazonは店舗かもしれないが、自社の商品も販売しており、問題のサードパーティの販売業者とは競合関係にある。そして、競合する2社が商品のコストをコントロールする密約を結ぶことは、価格操作の定義とほぼ同じだ。

Amazonはファーガソン司法長官の見解に反論し、すべては顧客のためであり、完全に対等だと述べた。また「司法長官の調査とは無関係なビジネス上の理由」でプログラムを停止したと主張している。「私たちはプログラムが合法的であったと強く信じていますが、この問題が解決されることを歓迎します」と同社はTechCrunchに声明で述べた。

それにしても、2018年から拡大していたプログラムが、独禁法当局が嗅ぎ回った直後にほぼ停止してしまうとは、何という偶然だろうか。「調査は2020年3月に開始し、Amazonは6月にプログラムを停止した」と、州司法長官室のDan Jackson(ダン・ジャクソン)氏は述べた。おそらく、単にタイミングの問題だったのだろう。

とにかく、Amazonは法廷で争うよりも、225万ドルの支払い(これは州司法長官室の反トラスト部門の財源に直接充てられる)と、同社がこのプログラムの再開をいかなる形であっても禁じることを求める同意協定に同意した。

「Amazonのような巨大企業が利益を上げるために価格を固定すると、消費者が損をします。今日の措置は、製品の革新と消費者の選択を促進し、ワシントン州および全米の販売者にとって市場の競争力を高めるものです」とファーガソン司法長官は述べた。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

化粧品ECプラットフォームNOINを運営するノインが累計約10億円のシリーズC調達、化粧品業界DXに向けた事業を拡大

化粧品ECプラットフォームを運営する「NOIN」が累計約10億円のシリーズC調達、化粧品業界DXに向けた事業を拡大

化粧品ECプラットフォーム「NOIN」(Android版iOS版)を運営するノインは1月28日、シリーズCラウンドにおいて、累計約10億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、Sony Innovation Fundや博報堂DYベンチャーズ、新日本製薬、マイナビなど。調達した資金により、EC事業などで培った独自のデータベースとその分析に基づいた独自ノウハウを基に、化粧品業界DXに向けた事業を拡大する。

NOINは、自分に合う化粧品に、誰でも当たり前に出会えるための化粧品ECプラットフォーム。

テクノロジー・文化の進展により、日常生活で使用するものをネットで購入することが一般的になっているが、化粧品市場におけるオンライン購入率は約6%にとどまっているという。同社は、多くの商品数と販売チャネルの中から自分に合った化粧品と出会うのは至難の業と指摘。その現状を打破するべく「明日の自分に、ドキドキしよう」を理念に掲げ、「自分に合う化粧品に、あたりまえに出会える世の中」を作るため、化粧品メーカーと消費者を最短距離でつなぐ化粧品ECプラットフォームとしてNOINを運営しているという。

NOINでは、バリエーション豊かな商品を展開しており、新商品や気になっていた化粧品の購入をはじめ、メイクアップ術やメイクの悩みを解決するオリジナル動画や記事といったコンテンツ、ユーザーとのコミュニケーションなどを通じて、最も自分に合った化粧品を見つけることができる世界の実現を目指している。

ロボット工学と統合されたeコマース配送プラットフォーム「Paack」が約257億円調達

Paack物流センター・マドリードの仕分けロボット(画像クレジット:Paack)

今や多くの人が、Amazon(アマゾン)などの広大なスペースに設置された倉庫ロボットを見慣れていることだろう。特にAmazonは、この技術のパイオニア的存在だった。しかし、2021年の今、倉庫ロボットとソフトウェアロジスティクスプラットフォームの連携は、もはや一企業の専売特許ではなくなっている。

後発のスタートアップで、このアイデアで「成功」しているのが、現代の物流業務に不可欠なロボット工学と統合された高度なソフトウェアプラットフォームを持つeコマース配送プラットフォームのPaack(パアック)である。

Paackは、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD資金調達ラウンドで、2億ユーロ(約257億円)を調達した。この資金は、製品開発とヨーロッパでの事業拡大に充てられる予定だ。

このラウンドには、Infravia Capital Partners(インフラビア・キャピタル・パートナーズ)、First Bridge Ventures(ファーストブリッジ・ベンチャーズ)、Endeavor Catalyst(エンデバー・カタリスト)も新たに参加した。また、Unbound(アンバウンド)、Kibo Ventures(キボ・ベンチャーズ)、Big Sur Ventures(ビッグ・サー・ベンチャーズ)、RPS Ventures(RPSベンチャーズ)、Fuse Partners(フューズ・パートナーズ)、Rider Global(ライダー・グローバル)、Castel Capital(キャステル・キャピタル)、Iñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)といった投資家も参加している。

今回の資金調達は、本国スペインで収益性の高いポジションを確立した後に行われたが、Paackは、英国、フランス、ポルトガルなど、ヨーロッパ全域で同様の目標を達成する予定であると主張している。

Fernando Benito(フェルナンド・ベニート)氏、Xavier Rosales(シャビエル・ロサレス)氏、Suraj Shirvankar(スーラジ・シルヴァンカー)氏の3人が設立したPaackは、現在150の海外顧客から毎月数百万の注文を受け、1サイトあたり1時間に1万個の小包を処理しているという。そのうちの17社は、スペイン最大級のeコマース小売業者である。

同社のシステムは、eコマースサイトと統合されている。そのため、消費者はチェックアウトの際に配送スケジュールをカスタマイズすることができる、と同社はいう。

CEO兼共同設立者のベニート氏は「便利でタイムリーで、よりサステナブルな配送方法に対する需要は、今後数年間で爆発的に増加すると思われ、Paackはその解決策を提供しています。私たちはテクノロジーを使って、消費者に配送のコントロールと選択肢を提供し、配送にかかる二酸化炭素排出量を削減します」と述べている。

SoftBank Investment Advisers (ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)の投資ディレクターであるMax Ohrstrand(マックス・オルストランド)氏は「eコマース分野が繁栄を続け、消費者にとって当日配送がますます当たり前になる中、Paackはその技術とサステナビリティへの取り組みの両面において、カテゴリーリーダーになるための好位置につけていると考えています」。と述べている。

世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、ラストマイル・デリバリー事業は2030年までに78%成長し、そのうち3分の1近くで、CO2排出量が増加すると予想されている。

そのため、Paackは、電気自動車を使用し、環境負荷を測定することによって、すべての小包をカーボンネットゼロで配送することを目指していると主張している。現在、カーボントラストと国連の認証取得を目指している。

ベニート氏はインタビューで「私たちは、短期的なビジョンとして、ラストワンマイルデリバリーのための、おそらく最も先進的な技術によるデリバリープラットフォームを通じて、ヨーロッパにおける持続可能なeコマースデリバリーをリードすることを目指しています。例えば、当社のCTOは、Google Cloud(グーグル・クラウド)のCTOであり共同設立者でした」と答えている。

「最高の配送体験を実現するために、倉庫の自動化、時間帯、ルーティングの統合など、あらゆるものを開発しています」と語る。

Paackによると、複数のロボットパートナーとの提携が可能だが、現在は中国企業GEEK(ギーク)のロボットを使用している。

同社は、ヨーロッパのDHL、Instabox(インスタボックス)、La Poste(ラ・ポステ)のような大規模な既存企業に対抗できるようにしたいと考えている。

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

米FTCが星4つ以下のレビューを隠していたオンラインショップに約4.8億円の罰金

ネットのレビューは当てにならないということは周知の事実だが、一般的には平均星4.5の製品は平均星3.5の製品よりも優れていると考えたいものだ。しかし、それも間違っているかもしれない。あなたが見ているサイトは、悪いレビューの掲載すら許可していないかもしれないのだから。FTC(連邦取引委員会)から420万ドル(約4億7800万円)の和解命令を受けたばかりのFashion Nova(ファッション・ノバ)のように。

何が起こったのか説明しよう。まず、Fashion Novaは、サードパーティ製のレビュー管理ツールを使っていた。ユーザーが購入した商品をレビューできるサイトを運営する者にとっては、きっと当たり前のことなのだろう。しかし、その後、彼らはひどいことをした。2015年から2019年まで、4つ星と5つ星のレビューをサイトに自動的に表示させ、それ以下のものは承認が必要になるようにしていたのだ。そして、何十万件も承認せず、サイト上の商品の品質が高く見えるよう、人為的に操作していたのだ。

「Fashion Novaは、サイト上のレビューが、サイトにレビューを投稿したすべての購入者の意見を正確に反映していると偽っていました。和解案は、同社の欺瞞的行為に対処するための規定を設け、消費者が被った被害に対して420万ドル(約4億7800万円)の支払いを命じるものです」と、FTCは状況を説明するブログ記事で記している

この件に関するさまざまな文書は、こちらで見ることができる。

FTCは、このような詐欺がサードパーティ製のレビュープラットフォームを装って行われていることを察知したようで、その後、レビュープラットフォームを運営する他の10社(元の会社同様、無名)に対して警告状を送っている。そして10月には、偽のレビューや偽の推薦文に関して、「見ていなさい」と告げるかのようなより広範な警告を行った。

Fashion Novaが無実の犠牲者だと心配する人のためにいっておくと、同社が連邦当局と関わるのはこれが初めてではない。2020年には、怪しげなキャンセル・返品ポリシーに関して900万ドル(約10億2500万円)の支払いに同意している(残念なことに、この罰金が全額支払われるかどうかは誰にもわからない)。

関連記事:ロボットを使った詐欺広告業者の業務は止められるが、その罰が非道さに見合わない現実

これとは別に、おそらくこの発表と時期を同じくして、FTCは、オンラインレビューにお金を払ったり勧誘したりしようとするマーケティング担当者のためのガイドラインを更新した。例えば、透明性を保ち、一度募集したレビューには肯定的なものも否定的なものも表示されるようにするなど、正しいやり方がある。そして、他の方法も……。また、レビューを公開するプラットフォームに対し、レビューの出所やインセンティブ、可視性を自分たちに有利になるように操作することについて、よく考えるべきだという新たなガイダンスを発表している。

偽のレビューはオンライン経済の疫病だが、今のところ誰もこの問題を解決していないか、小売業者にとって、多くの作業を必要としたり、さまざまな有利な取り決めが崩れたりするために、治療法が実はその病気よりも悪いかのどちらかだ。FTCのこのちょっとした対応が、小売業者を正しい方向へ導いてくれるかもしれない。

画像クレジット:Kiyoshi Hijiki / Getty Images

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Akihito Mizukoshi)

日本のお菓子をサブスクで届けるBokksuが25億円調達、伝統的なアジアの食料品配達事業も拡大

Bokksu(ボックス)のCEOであるDanny Taing(ダニー・タン)氏は、常に日本の食と文化に夢中で、大学卒業後に東京に移り住み、そこで4年間暮らした。タン氏は大好きな日本のお菓子をスーツケースにたくさん入れてニューヨークに戻り、友人たちと分け合った。そして、他の米国人も日本のお菓子が大好きなのに、米国でそれを見つけたり購入したりする方法がないことに気づいた。

タン氏は2015年にBokksuを設立し、2016年に日本のお菓子のサブスクリプションサービスを開始した。100カ国超の顧客に100万個以上の日本のお菓子のサブスクリプションボックスを届けたBokksuは、2018年にプレミアムな日本のライフスタイル製品のデジタルマーケットプレイスBokksu Marketを立ち上げた。また、2021年にはオンライン食料品店Bokksu Groceryをオープンし、誰もが簡単に本物のアジア食材を見つけて購入できるようにした。

「100万個の(サブスクリプション)ボックスを届け、他の方法では決して試すことのなかった食品を発見して食べることを顧客がどれほど愛しているかを目の当たりにしました。私は本物のアジアのメーカーがさらにリーチを広げるのをサポートするために、より多くの方法を見つけようという気になりました」と、タン氏は話した。

ニューヨークと東京に拠点を置くBokksuは現地時間1月25日、アジアの伝統的な製品が世界中の人々に届くよう支援し、文化の架け橋となるべく、評価額1億ドル(約114億円)での2200万ドル(約25億円)のシリーズAを発表した。このラウンドはValor Siren Venturesがリードし、Company VenturesSt. CousairWorld Innovation Lab(WiL)、Headline AsiaGaingelsが参加した。

「今回の資金調達により、Bokksuは創業時をはるかに超える水準で資本を増強することができ、提供する製品の迅速な拡大や納期の改善を図るとともに、チームを増強することができます」とタン氏は話した。

調達した資金でBokksuはサブスクリプション、マーケット、グロサリーという主要なビジネスラインを加速させることができる。同氏によると、Bokksuは食料品を米国とカナダに出荷しているが、サブスクリプションとマーケットサービスは、米国、カナダ、英国、オーストラリア、ドイツ、シンガポール、スウェーデン、オランダを含む100カ国以上に提供しているとのことだ。

Bokksuは2018年から連続して前年比100%の成長を遂げており、今後も継続的な成長が期待できる、とタン氏はTechCrunchに語った。

画像クレジット:Bokksu

Bokksuが競合他社と異なるのは、日本で何十年も生産しているスナックメーカーのストーリーを伝えることにこだわっていることだとタン氏は話す。また、100社超のスナックメーカーと独占的提携を結んでいて、つまり顧客は他では手に入らないスナックをBokksuのプラットフォームで見つけることができる。

同氏はまた、Bokksuを始めた当初、日本の伝統的なスナックメーカーがその技術を世界に伝える手助けをすることが目標だったと語った。米国とアジアの両方で暮らした経験から、多くの米国人は日本について、芸者やポケモン、寿司といった表面的な理解しか持ち合わせていないことに気づいた。そして、Bokksuを通じて、日本の豊かな文化や歴史をもっと多くの人に知ってもらいたいと考えた。

Bokksuの食料品サービスは、UmamicartやWee!、そしてHMartやSunrise Martといった既存の食料品店と競合する。Bokksu Groceryは全国配送と適正価格の両方を提供すると同氏は述べた。

「最も興奮しているのは、最近のBokksu Grocery立ち上げです。これは、民族性や場所、アジア料理に関する知識などに関係なく、すべてのアメリカ人がアジア食材をより身近に感じられるようにするものです」。

World Innovation Labのゼネラルパートナー兼CEOである伊佐山元氏は「大都市圏を中心に展開する競合他社と異なり、Bokksuは全国配送を通じて幅広いファンに本物のアジアの商品と体験を届けています」と述べた。「多くのアジア系eグローサリープラットフォームは主にアジア人によって利用されていますが、Bokksuの忠実な顧客層の大半はアジア料理についてもっと知りたいと思っている非アジア人であり、Bokksuにはより大きな獲得可能市場があります」。

オンライン食料品部門は過去数年間成長し、大規模な投資を集めてきた。伊佐山氏は「eグローサリーマーケットは、スピードと利便性に重点を置き、食料品購入をより手間のかからないものにすることに注力してきました。今後、eグロサリー企業は、顧客が新しいもの、例えばスナックやフレーバーを探求し、食を通じて個々の栄養ニーズを満たすことをサポートするようになると予想しています」とTechCrunchに語った。

Valor Siren Venturesのパートナー兼ファンドマネジャーのJon Shulkin(ジョン・シュルキン)氏は「Bokksuが事業を拡大するにあたり、パートナーとして協力できることをうれしく思っています」と述べた。「Bokksuのチームは、短期間のうちに本物かつ目的志向のブランドを構築しました。厳選された商品とグルメ体験を日本から世界へ提供する彼らの成功により、Bokksuはアジア食品のためのプレミアムな目的地となる、破壊的なD2C食料品プラットフォームを構築する潜在可能性を持っていると確信しています」

Bokksuのサブスクは月額49.95ドル(約5690円)で、米国などほとんどの国で送料無料だ。また、複数月の前払いでさらにお得になるオプションもある。3カ月プランは月44.95ドル(約5120円)、6カ月プランは月42.95ドル(約4890円)、12カ月プランは月39.95ドル(約4550円)だ。

画像クレジット:Bokksu

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

米実業家マーク・キューバン氏、ジェネリック医薬品を低価格で提供するオンライン薬局を開設

Mark Cuban(マーク・キューバン)が先週末に発表した、100種類以上のジェネリック医薬品を原価に近い価格で販売するオンライン薬局は、まったく思いもよらないものだったが、薬を買うのに苦労している何百万人もの人々に歓迎されることだろう。この億万長者はTechCrunchの取材に対し、このビジネスモデルは清々しいほどシンプルだと語った。「低価格化が患者のストレスを減らし、それが顧客の増加につながるのです」。

このCost Plus Drug Company(コスト・プラス・ドラッグ・カンパニー)の目的は非常にシンプルで、できるだけ多くの一般的な医薬品を、ジェネリック医薬品として、できる限り低価格で提供することである。すべて現金で、IP取引も保険会社も使わず、製造コストに15%を加えた価格で薬を購入するだけだ。

ROI(投資収益率)について質問されたキューバン氏は、それほど高くないことを認め、これは意図的なものであると答えた。

「薬を買える人の数を最大限に増やしながら、損益分岐点を超えたい」と、キューバン氏は語った。「まあ、少しでも利益が出て、他で売られているジェネリック医薬品の価格を大幅に下げることができれば嬉しいね」。

「私たちの課題は、価格を下げ続けること」であり、誰かと競争することではないと、同氏は続けた。「私たちのKPI(重要業績評価指標)は、ジェネリック医薬品を購入する患者のストレスをどれだけ軽減できるかです。人々は薬代を大幅に節約できたら、同じ問題を抱えている知人に教えることがあるでしょう。 そのような口コミが、私たちの成長に最も影響を与えます」。

同社は現在、偏頭痛の薬からHIV、避妊薬まで、あらゆる薬のジェネリック医薬品を提供しているが、扱う薬には、より安く提供できる、あるいは提供すべきであるということ以外、特に優先順位はないと、キューバン氏は説明する。また、どのよう症状に対する薬を次に扱うかということを決める委員会のようなものもない。

「プロセスとしては、世の中に出回っているものよりも安い価格で提供できる薬を選ぶだけです」と、キューバン氏は簡単に答えた。「これはどんなビジネスでも同じです」。

中間業者を排除し、実績のある製品を誰よりも安く提供するという極めてわかりやすいビジネスプランは、今では古めかしく感じられるが、キューバン氏は自分のやっていることを、よく理解している。少なくとも全般的(ジェネリック)には。オンライン薬局に参入しようとしているスタートアップ企業へのアドバイスを求められたキューバン氏は、肩をすくめるように答えた。「私には何もありません。私はまだ学んでいる最中ですから」。

画像クレジット:BRENDAN SMIALOWSKI/AFP

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Shopifyと中国JD.comがクロスボーダー販売業者の取り込みで提携

世界最大のeコマース企業2社が手を組む。中国の大手オンライン小売JD.com(JDドットコム)は、世界のブランドが中国の膨大な輸入品に対する需要を開拓し、また中国の販売業者の海外販売を支援することを目的に、オタワに拠点を置くShopify(ショッピファイ)と戦略的パートナーシップを結んだ。

このニュースは、中国のクロスボーダーeコマースコミュニティで注目を集めている。提携により、JDとShopifyの同盟はまずAlibaba(アリババ)と直接競合することになる。JDの宿敵は大きな輸入事業を抱え、取り扱うブランドは直近では世界3万5000にのぼる。2021年は6000超のブランドがAlibaba経由で中国に進出した。

JDは何年も前から中国に商品を輸入しているが、既存のブランドオンボーディングプロセスは1年もかかることがある。JDは物流に多額を投資してきたため、しばしば中国のAmazon(アマゾン)と呼ばれているが、Shopifyを採用しているブランドが最短4週間でJDの5億人のアクティブバイヤーに販売を開始できる高速トラックを構築する予定だ。プラットフォームでは、販売者側の準備を整えるのに自動翻訳や価格交渉などのツールを使い、まずは米国と中国を結ぶ貨物航空便で商品を輸送する。

JDは、ブランドの中国でのマーケティングと販売を支援することだけを意図しているわけではない。同社はShopifyのストアオーナー向けに、JD Sourcingと呼ばれるサプライヤーソーシングサービスも展開している。販売者はJD Sourcingを通じて商品のリクエストを出し、JDがその商品の在庫を確認すると、商品を倉庫から取り寄せ、Shopifyストアに掲載し、ドロップシッピングで消費者に送る準備を整える。

今回の提携のもう1つの目的は、Shopifyの消費者直販ソリューションを通じて中国製品を海外に届けることだが、これは非常に競争の激しい分野だ。Amazonは、中国の輸出業者のためのゲートウェイとして自らを成長させ、中国内でスタッフを雇用して販売業者の精査と管理を行っている。同社が最近行った偽レビューの取り締まりは中国のeコマース業界に衝撃を与えたが、同社はその市場支配力のおかげで、輸出業者にとって非常に魅力的なチャネルであることに変わりはない。

関連記事:米Amazonから中国の大手販売業者が消える、不正レビューが原因か

より厳しいプラットフォーム規約に対応するため、多くのAmazon出品者は商品デザインやブランディングにますます投資するようになっている。また、Amazonのロールアップと呼ばれるブランドアグリゲーターからの買収オファーを受けることを選択する販売者もいる。

JDとShopifyのコラボレーションは、中国の輸出業者に新しい選択肢を提供する可能性がある。Shopifyは長い間、ブランドを拡大したい人のためのオプションだったが、自動化にはより多くの仕事がともない、販売者はマーケティングと物流により手をかけなければならない。

JDはShopifyとの提携を通じて「欧米市場の消費者に訴求する中国のブランドや販売者のためのアクセスとコンプライアンスを簡素化」し「Shopify を通じてDTCチャンネルを立ち上げる」ことをサポートすると約束している。クロスボーダーの配送はJDが担当する。

このeコマース大手2社は、Shopifyが商品の幅を提供し、JDが広範なグローバル倉庫と配送インフラを提供するというように、互いにうまく補完し合っているようにみえる。注目すべき提携だ。

画像クレジット:composite by TechCrunch

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Nariko MIzoguchi

eコマースのカスタマーサービスで繰り返される作業の自動化をサポートするZowie

Zowieの共同創業者マット・シオレック氏とマヤ・シェーファー氏(画像クレジット:Zowie)

顧客サービスの内容は、ほぼ数種類に限定される。まず返品、そして返金、そして品質管理部門に対する質問だ。これらは、同じ内容が繰り返されることも多く、また、もっと複雑な話題で顧客エンゲージメントを深めるための時間はなかなか得られない。例えば情報をプロダクト部門へつないだり、顧客にとってベストのプロダクトを探す手伝いをするといったことはできていない。

Zowieを創業したMaja Schaefer(マヤ・シェーファー)氏とMatt Ciolek(マット・シオレック)氏は、繰り返されることが多いサービスは自動化できると考えている。同社を興した2019年、2人はプロダクト開発と、顧客調査の仕事をしていたeコマース企業での経験をブレンドしようと考えていた。

CEOのシェーファー氏は「顧客サービスは、既存のソリューションで解決する問題ではないということを私たちは悟りました。それらのソリューションはどれも実装がとても難しいからです。実装には数カ月も必要で、さらにその後、メンテナンスが困難になります」という。

2人は、繰り返し行われる仕事の解決策としてチャットボットをクライアントに提案し、数週間でその構築を任された後、Zowieのアイデアを思いついた。

顧客サービスにAIによるチャットボットを使うやり方は、新しいものではない。2021年1年でも、ForethoughtHeydayCognigyLandbotHeyflowなどが、この分野で資金調達を発表している。

しかし、競合他社の中には、回答などのワークフロー情報をツールに入力する必要があるものもあるとシェーファー氏はいう。その代わり、ZowieのZowie X1テクノロジーは、製品やブランドに特有のリクエストワークフローを最初から自動化する。同社は数分でデータを分析し、Zowieがサポートできるサポートチケットの割合(場合によっては50%)を顧客に伝えることができる。

シェーファー氏は、チャットボットの導入により、エージェント1人あたり1日2時間程度が解放され、チャットボットが回答しない質問を受け付けたり、より複雑な問題を解決したり、より多くのサポートを売上につなげたりすることが可能になると見積もっている。平均して、顧客は最大45%の売上増を実現することが可能だと、彼女はいう。

2020年から2021年にかけて売上が3倍になった同社は、資金調達を目指すことを決め、Gradient Venturesと10xFoundersが主導し、LatticeのCEOであるJack Altman(ジャック・オルトマン)氏、GiessweinのCEOであるMarkus Giesswein(マルクス・ジースバイン)氏、以前の投資家であったInovo Venture Partnersが参加してシードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)を調達した。

ZowieはGiessweinを含む約100社の顧客と取引している。彼女は今回の資金を製品開発、マーケティング、販売、米国および北米全域の商業チームの成長に充てたいという。同社の従業員は現在36名で、2022年中にチームを倍増させる計画だ。

Zowieが拡大しようとしている製品機能には、ウェブサイトから電子メール、WhatsAppまで、できるだけ多くのチャネルでの自動化、および営業サイドでカスタマージャーニーをナビゲートできるような機能の実現が含まれている。

Gradient VenturesのジェネラルパートナーであるDarian Shirazi(ダリアン・シーラーズ)氏は、短期間で大きな収益を上げたことと、創業者たちが築いているビジネスに惹かれたこともあり、Zowieを選んだと語る。

「Zowieを見ていて感じた差別化の1つは、ナレッジベースを生成してくれるeコマース向けの初のAIチャットボットであることでした。他は質問に答えるためのナレッジベースを用意しなければならず、そんな時間がない企業もあります。私たちはチャットボットの期待していますが、巨大でバーティカルなeコマース向けにうまくやった人はいませんでした」とシーラーズ氏はいう。

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フォードがeコマースを拡張するためにオンライン決済Stripeと5年契約を締結

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、自動車関連のeコマースおよび決済体験を拡張するため、オンライン決済プラットフォームのStripe(ストライプ)と5年間の契約を締結した。Stripeは車両を注文・予約する際の決済手続を円滑にするだけでなく、フォードの法人顧客のために融資オプションを提供したり、顧客がウェブサイトから支払いを行った場合、それを地元のフォードや(同社の高級車ブランドである)Lincol(リンカーン)のディーラーに正しく伝達する役割を果たすことになる。

フォードによると、同社は2022年後半よりStripeの技術を導入する予定で、まずは北米から始めるが、欧州で展開することも計画しているという。Stripeは2021年、評価額950億ドル(約10兆9000億円)で6億ドル(約690億円)の資金調達ラウンドを実施しており、その資金を欧州への事業拡大に充てると述べていた。

関連記事:決済サービスStripeが評価額10兆円超で約655億円調達、欧州事業の拡大に注力

Stripeとの提携は、フォードが2025年までに300億ドル(約3兆5000億円)の投資を予定している電動化と成長戦略の大規模な再建計画「Ford+(フォード・プラス)」の一環だ。この戦略的な決定は、特に新型コロナウイルスの影響で自動車メーカーが顧客の要求に応える能力が低下したため、自動車業界の多くが短期的にリターンを得られる可能性の高い技術に投資しようとしている動きと軌を一にしている。フォードとリンカーンは、最近ではAmazon(アマゾン)のFire TVのような、多くのサブスクリプションサービスを追加しようとしており、この自動車メーカーが強固なデジタル決済プラットフォームを確立しようとすることは理に適っている。

関連記事:2022年、Amazon Fire TVがもっと多くのクルマに搭載される

「成長と価値創造に向けたFord+計画の一環として、強力な専門知識を持つプロバイダーをどこに導入するか、そしてお客様のためになる差別化された常時接続型の体験をどこで構築するかということについて、私たちは戦略的な決定を行っています」と、フォードの金融サービス部門であるFord Motor Credit Company(フォード・モーター・クレジット・カンパニー)のMarion Harris(マリオン・ハリスC)EOは声明で述べている。「Stripeが開発してきたユーザー体験の強力な専門技術は、当社のお客様に簡単で直感的かつ安全な決済プロセスを提供するために役立ちます」。

他にもDeliveroo(デリバルー)、Shopify(ショッピファイ)、Salesforce(メールスフォース)などの著名顧客を持つStripeのプラットフォームは、フォードの製品やサービスの技術スタックにおいて重要な部分を占めることになると、同社では述べている。この決済処理システムは、電気自動車の充電サービスを含め、フォードのさまざまな電子商取引上の決済において、さらなる効率化を促進させるはずだ。

これまでのところ、投資家はFord+計画に肯定的な反応を示している。2021年には、Tesla(テスラ)やGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)、さらには新たに上場して過度に騒がれたRivian(リビアン)を抑え、フォードは最も優良な自動車株となった。先週、フォードの時価総額は初めて1000億ドル(約11兆5000億円)を超えた。

画像クレジット:Ford Motor Company

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

植物由来の素材を使ったヘアエクステンションを開発・販売するスタートアップ「Rebundle」

Rebundle共同設立者のDanielle Washington(ダニエル・ワシントン)氏とシアラ・イマニ・メイ氏(画像クレジット:Curtis Taylor Jr.)

米国時間1月17日朝、髪を専門とするスタートアップ企業でセントルイスに拠点を置くRebundle(リバンドル)は、プレシードラウンドで140万ドル(約1億6000万円)を調達したと発表した。この資金調達イベントを主導したのは、中西部を地理的に重視するベンチャーキャピタルのM25だ。Rebundleは、このプレシードラウンドに先立ち、6桁相当の助成金およびその他の非流動的な資金を調達していたことを、CEO兼共同創業者のCiara Imani May(シアラ・イマニ・メイ)氏はTechCrunchによるインタビューで語った。

Rebundleは、植物由来の素材を使ったヘアエクステンションを開発・販売している企業だ。ヘアエクステンションに関する筆者の知識は乏しいが、メイ氏はいくつかの重要なポイントを説明してくれた。まず、市場は大きく、かつ多様で、低価格なもの(プラスチック製)から高価なもの(人毛)まで、無数の価格帯があること。そして2つ目は、プラスチック製のエクステンションは頭皮に炎症を起こす可能性があるということだ。

Rebundleを設立する前から、メイ氏はより持続可能な生活に関心を抱いていたという。プラスチック製のエクステンションが引き起こす炎症についても認識していた。彼女のスタートアップ企業が生み出したものは、製品からプラスチックを取り除くことで顧客の頭を快適にし、廃棄物を減らすことで環境に貢献できるという、両方の可能性を持っている。

Rebundleは、バナナ繊維を芯材に使って製造したさまざまな色のエクステンションを販売している。また、海外ではなく、米国内に新たな生産拠点を建設していることにも注目すべきだろう。

今回の資金調達に話を戻すと、この資金はチームとサプライチェーンへの投資に充てられると、CEOは語っている。これまでRebundleの製品は、1時間以内に売れ切れてしまっていた。つまり、適切に事業を拡大するためには、今まで調達した資金では足りなかったのだ。そこで、ベンチャーキャピタルに支援を求めることにした。

RebundleはDTC(消費者に商品を直接販売する)企業であり、自社ウェブサイトを通じて製品を販売している。筆者はメイ氏に、ヘアエクステンションを使用している人が年に何回くらい新しいエクステンションに交換するのかを訊いてみた。多い人で年に5回と彼女は答えた。つまりRebundleは、定期的に購入される物理的な商品を独自のチャネルで販売しているということだ。

エクステンション市場の粗利益率がどうなっているのか、今ここで私たちにはわからないが、定期的にエクステンションが売れる可能性があるということを考えると、Rebundleは興味深いビジネスケースと言えるだろう。

継続的に購入される仕組みを持たない製品のDTCモデルに山ほどのベンチャーキャピタルが投資し、この実験がさまざまな結果をもたらしたことを思い出して欲しい。

製品のサブスクリプション(定期購入)について尋ねると、共同創業者は具体的な説明を避け、このアイデアには「遊びの余地がある」とだけ述べた。現在のエクステンションの顧客が、通常のサブスクリプションで製品を購入することはないと、メイ氏は説明した。もし、Rebundleが国内製造を拡大し、製品構成に定期サービスを導入できるようになれば、2022年中に同社が再び資金調達を行っても、私は驚かないだろう。

しかし、その必要はなさそうだ。同社のCEOがTechCrunchに語ったところによると、今回のラウンドはローリング・クローズで行われたが、この資金によって少なくとも18カ月、おそらくそれ以上のランウェイが確保されるという。そのため、同社が近い将来にさらなる資金を必要とすることはないだろう。しかし、資金が必要にならないからといって、スタートアップ企業が資金を提供されたときにそれを受け入れるのを躊躇することあまりないはずだ。

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新型コロナで加速、小売商の決済インフラ管理を支援するオーケストレーションプラットフォーム「Gr4vy」

小売企業では決済処理やルーティングを自動化するために独自の「オーケストレーション」プラットフォームを構築することが多い。だが、それらの保守は複雑になりがちであるため、Spreedly(スプリードリィ)のような企業が求められるわけだ。2021年、米国で設立された新たなスタートアップ企業であるGr4vy(グレイヴィ)は、より迅速な方法でこれを実現すると主張している。

Gr4vyは、そのために2021年1110万ドル(約12億7000万円)のシリーズA資金調達を実施したが、米国時間1月13日、March Capital(マーチ・キャピタル)が主導するシリーズA拡張ラウンドで、さらに1500万ドル(約17億2000万円)を調達したことを発表。同社のシリーズAステージにおける資金調達総額は(過去のシード資金調達も含め)2720万ドル(約31億2000万円)に達した。これにより、同社の評価額は2倍の1億1500万ドル(約131億8000万円)になったとされている。

サンマテオに拠点を置く同社は、Nyca Partners(ナイカ・パートナーズ)、Activant Capital(アクティヴァント・キャピタル)、Plug and Play Ventures(プラグ・アンド・プレイ・ベンチャーズ)からも出資を受けている。

オーケストレーションプラットフォームとしては珍しく、Gr4vyのクラウドネイティブなペイメントオーケストレーションプラットフォーム(POP)は、クラウド上で小売商のインフラストラクチャを供給するインスタンスも提供している。Gr4vyは現在、GoCardless(ゴーカードレス)、Banked(バンクド)、Akoova(アクーヴァ)などの企業と提携している。

Gr4vyの創業者兼CEOであるJohn Lunn(ジョン・ラン)氏は、筆者に次のように語った。「新型コロナウイルス感染拡大は困難な状況をもたらしましたが、すべてがオンラインになったことで、大きなチャンスにもなりました。多くの企業や小売業者のシステムは、こんな状況に向けて準備が整っていなかったり、目的に適合していませんでした。それまでオンライン取引は全体の5%に過ぎず、それ以外はすべて店舗で処理していたのが、突然100%オンラインになったわけですから。新型コロナウイルスの影響で部分的にデジタル化が加速したことは、大きな利点になったと私は思います」。

コンサルティング会社のMcKinsey(マッキンゼー)では、2025年までに世界の決済収入は2兆5000億ドル(286兆5000億円)に達し、2024年までに電子商取引による小売売上は、全世界の小売売上の21.8%を占めるようになると予測している。

March CapitalのパートナーであるSolomon Hailu(ソロモン・ハイル)氏は次のように述べている。「現代のデジタル決済の方法は、かつてないほど多様化しており、その結果、小売商は圧倒されるように感じています。【略】このeコマース戦略が重要な時期に、クラウドネイティブで使いやすいオーケストレーションプラットフォームを提供することで、小売商が決済インフラを簡素化し、管理できるようにするジョンとGr4vyのチームとパートナーシップを組めることに、Marchは興奮しています」。

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

英アマゾン、「英国で発行されたVisaカードの取り扱いを停止する」との脅迫を撤回

Amazon(アマゾン)は、決済手数料をめぐる論争で、英国でのVisa(ビザ)カード決済のサポートを終了すると公に脅していたが、撤回したようだ。

同社は現地時間1月17日、Amazon.co.ukのユーザーに電子メールを送り、1月19日に予定されていた「見込まれる変更」が、同日から実施されないことを知らせた。

ただ、AmazonとVisaが手数料について持続的な条件に達したかどうかはまだ明らかではない。

「Amazon.co.ukでのVisaクレジットカードの使用に関して予定されていた変更は、1月19日には行われなくなりました。当社は、顧客がAmazon.co.ukでVisaクレジットカードを使い続けられるような潜在的な解決策について、Visaと緊密に連携を取っています」と、Amazonは英国のユーザーに宛てた電子メールに書いている。

「Visaクレジットカードに関連する何らかの変更を行う場合は事前にお知らせします」と続け「それまでは、Visaクレジットカード、デビットカード、Mastercard、American Express、Eurocardを現在同様に使い続けることができます」と付け加えた。

AmazonとVisaにコメントを求めたところ、この動きを認めたが、それ以上の詳細については説明しなかった。

Amazonは、今のところ何も変わらないというユーザーへの簡潔な声明以上のコメントを却下した。

Visaの広報担当者も「潜在的な解決策」が実際に何を意味するのかについては詳しく説明しなかった。「Amazonの顧客は、我々が合意に達するために緊密に協力している間、1月19日以降もAmazon.co.ukでVisaカードを使用できます」と記した声明の中で、手数料に関する交渉が続いていることを暗に示している。

2021年末にAmazonは英国のユーザーへの電子メールで、Visaのクレジットカード決済に課す高い決済手数料を理由にVisa決済のサポートを終了し、Amazon.co.ukでの買い物の支払いに代替手段を用意するよう警告していた。

関連記事:英Amazonで1月19日から英国発行Visaクレジットカードが使えなくなる

その際の大量の電子メール送信というやり方は、Amazonが自社の市場パワーを利用してVisaからより良い条件を引き出そうとしたように思われた。

それが功を奏してVisaにクレジットカード手数料を引き下げさせることができたのか、それともAmazonが英国の買い物客に大きな混乱をもたらす瀬戸際から一歩下がることにしたのかは不明だ。

後者であれば、Amazonはすでに、Visaベースの支払い方法に依存する英国のユーザーに、近い将来、同社のサイトで買い物を続けられるかどうか、数カ月にわたって不安を与えていたことになる。

Visaは2021年11月に、Amazonが「将来的に消費者の選択肢を制限すると脅している」ことを残念に思うと述べ「消費者の選択肢が制限されて得をする人はいない」とも主張していた。

Visaは当時、Visaカード保有者が英国で発行されたVisaクレジットカードを引き続きAmazonのウェブサイトで使用できるよう、解決に向けてAmazonとともに取り組んでいると述べていた。

それから数カ月経ったが、Amazonが英国発行のVisaカードの利用を停止する期限が迫っている中でも交渉は続いているようだ。

Amazon.co.ukでのVisa決済の手数料上昇は、英国のEU離脱と関連している。ブレグジットにより、英国と欧州経済領域 / EU間の取引で課される手数料の上限が撤廃されたからだ。

しかし、この問題はおそらく、Amazonが英国のビジネスをどのように構築しているかという点にも関わっている。同社は、英国の顧客にEU拠点の法人を通じて請求し、英国のウェブサイトを通じて計上した収益をルクセンブルグの欧州本社に移しているためだ。

City AMの2021年8月のレポートによると、Amazonはこの企業構造によって、かなり高額な英国の税金の支払いを免れることができたという。しかし、同じ「利益移転」構造によって、AmazonはVisa「税金」をかなり多く負担しているようだ(というか、負担してきた……)。

画像クレジット:David Ryder/Stringer / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

翌日配達のスタートアップVehoが144億円のシリーズAに続き企業価値1148億円の評価を受ける

翌日配達の技術を提供するスタートアップVehoは、配送のラストワンマイル(最後の1マイル)、つまり配送センターから注文客の自宅玄関までの荷物配達の問題解決を目指している。また、同社は顧客がいつ、どこへ、どのように荷物を配送してもらいたいか、そしてプロセス全体を通してリアルタイムのコミュニケーションにより配送に透明性を提供するという、ユニークな才能を利用してそれを実行したいと考えている。

ニューヨークに拠点を置くVehoの収益は2020年夏のシードラウンドの資金調達から40倍増加し、従業員数も15人から400人に増えたと、Vehoの共同設立者でCEOのItamar Zur(イタマー・ツア)氏はTechCrunchに語った。

同社はすでに米国の14の市場で事業活動を行っているが、2022年末には50市場に増やす計画である。チームを増員し、再配達対策プログラムを導入および拡大して、それに向けて技術開発に投資するために、同社はシリーズAの資金調達が1億2500万ドル(約144億円)に上り、企業価値が10億ドル(約1148億円)と評価されたことを発表した。

General Catalyst(ゼネラル・カタリスト)がラウンドを率いConstruct Capital (コンストラクト・キャピタル)、Rachel Holt(レイチェル・ホルト)、Bling Capital(ブリング・キャピタル)、Industry Ventures(インダストリー・ベンチャーズ)、Fontinalis Partners(フォンティナリス・パートナーズ)、Origin Ventures(オリジン・ベンチャーズ)が参加した。直近の資金調達ラウンドではVehoに対してこれまで合計1億3000万ドル(約149億円)が集まったとツア氏は述べた。

いったいなぜ、新興企業がそれほどの資本を事前に集めたのか疑問に思うかもしれない。しかしツア氏は、Vehoが「しっかりとしたプラットフォームであり、現時点で小さな事業ではない。急成長を維持したいと思っている」と回答した。

「最大のeコマース革命の最中にチャンスがあります。パンデミックを通して急成長した後もそれは終わりません」と付け加えた。「顧客体験は私達の目前で変化しています。スピードとコミュニケーション以外に、ブランドが提供したいのは可視性とデータです。より多くの資本を取り入れ驚異的なスピードで成長を続けるには完璧なタイミングだと考えています」。

もちろん、Amazon(アマゾン)はラストワンマイル市場の約50%を抱え込んでおり、ここでは、アマゾンがうまくやっているかは議論するまでもない。ツア氏もそれを否定しないが、7~10営業日かけるより早くサービスを提供したいと考えているeコマース企業の50%に、同種の配送サービスを提供する好機を見出している。

Vehoの技術は、有資格のドライバーパートナーがいることにより宅配の需要と一致するとともに、顧客が配達中でも実際の到着時間を知らせることができる。リアルタイムで配達スケジュールを変更したり、届け先を変更したり、個人的な配達指示を出すことも可能だ。

Vehoチーム(画像クレジット:Veho)

同社のアイデアはツア氏自身の経験から来ている。ビジネススクール在学中に食事配達のサブスクリプションに入ったが、初めて注文した品が届かなかった。ツア氏は配送会社に連絡を取った。そして40分待った後、電話はつながらなくなった。彼はサブスクリプションをキャンセルしたが、それは荷物の到着が遅れたり受け取れなかったりすることに我慢できない他の客と同じである。

「ますます競争的なeコマース分野において、多くの企業がアマゾンと同様のすばやい配達を求めているが、そうするほどの規模に欠けています」とツア氏はいう。「Vehoはそのようなブランドのために公平な条件を作っています。逃した最大の機会は、前もって包装されていることと、ブランドがよりロイヤルティを作り、顧客を長く引き止めてもっと頻繁に購買してもらえるような配達の、点と点をつなげることである」。

ラストワンマイルの問題解決だけに取り組むのはVehoだけではない。他にもそのアプローチのために資本調達をする企業が世界中にある。例えば、過去6カ月間でZoomo(ズーモ) Cargamos(カルガモス)Coco(ココ)Deliverr(デリバー)Bringg(ブリング)が新たなラウンドを発表した。Walmart(ウォルマート)も夏にWalmart GoLocalプログラムを導入し、リテーラーがリテール大手の配送網に入り込めるようにした。

ツア氏は、Vehoがデリバーなどの他社と競合しているとは見ていないが、国有の運送会社を競合と考えている。そのような国有企業の技術はeコマースのない「旧世界」のために設計されており、それがそのセクターが今後10年でいかに成長するかという展望とともに「完全にeコマース顧客のニーズに基づいて」創設されたVehoとの違いだ。

世界のラストワンマイル配送市場は2020年に約1080億ドル(約12兆3993万円)と評価され、今後4年で1469億6000万ドル(約16兆8720万円)増加する。テクノロジーおよび調査会社のTechnavio(テックナビオ)によると、北米がその成長の39%を占める。

購買におけるeコマースへの移行にともない、物流および宅配便セクターは競って需要に追いつこうとしている。彼らは2020年のホリデーシーズンにおける、ハルマゲドンならぬ「shipaggedon(シッパゲドン)」から、半導体の製造と出荷の遅延、入港まで、ここ数年で大きな挫折も味わっている。

Vehoは、顧客が戻ってきて注文してくれるような、顧客とeコマース企業間の信頼を促進する真にすばらしい配送体験を作り出したいと考えている。ツア氏はアパレルとアクセサリー、食品雑貨類の販売を行う顧客に言及し、従来の配送会社から箱を受け取っていた顧客と比べて、すでに顧客の再購入で20%の増加、顧客生涯価値で40%の増加、ネットプロモータースコアで8ポイントの増加がみられたことを付け加えた。

一方で、ゼネラルカタリストのKyle Doherty(カイル・ドハーティ)氏は、8000億ドル(約91兆8516万円)のeコマース市場を狙う多くの企業にとってチャンスがあると述べた。その半数が米国にあり、毎年全体で約1000億ドル(約11兆4815億円)ずつ成長することが予測される。

ツア氏と同じくドハーティ氏も、サンフランシスコの自宅で荷物を受け取る際に失望してきたが、そこでは荷物の盗難が起きているという。

「どうしようもなく感じますし、状況を管理できません」と彼は付け加えた。「我々は最前線でeコマースの使用と、ストレスを受けるサプライチェーンにおける劇的な加速を見てきました。コンピューター技術が物流業者に優れた体験をもたらすことができると信じてきました。私がイタマーさんに紹介されたとき、すぐにわかりました。彼も顧客体験について業者と消費者に共感している。それがよくわかりました」。

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)

オンラインチェックアウトテックのBoltが405億円調達、評価額100億ドル超えのデカコーンに

チェックアウトテクノロジー企業のBolt(ボルト)は、新たな資本を引き寄せ続けている。同社は現地時間1月14日にシリーズEラウンドで3億5500万ドル(約405億円)を調達したと発表し、同社に近い情報筋によると、評価額は110億ドル(約1兆2565億円)に達したという。

Boltのワンクリックチェックアウトの製品は、Amazon(アマゾン)が1997年以来採用していることで知られているのと同じ技術を企業に提供することを目的としている。と同時に、取引が本物であることや支払いを受け付けられることを保証する決済および詐欺防止サービスを組み込んでいる。さらに、買い物客は一度アカウントを作成すれば、そのクレデンシャルを何百ものBoltネットワークブランドのネットワークで使用することができる。

今回のラウンドは、シリーズDで3億9300万ドル(約448億円)という大規模な資金調達を行ったわずか3カ月後に行われた。シリーズEを含めると、Boltのこれまでの資金調達総額は10億ドル(約1142億円)近くになる。創業者でCEOのRyan Breslow(ライアン・ブレスロー)氏は、評価額はシリーズD時のほぼ2倍になった、とTechCrunchに語った。

Boltの調達総額が10億ドル近くまで増えたことについて、Boltは実際に数千億ドルの価値がある競合企業が存在する分野で事業を展開している、とブレスロー氏は説明した。ソースによると、Stripe(ストライプ)、Shopify(ショッピファイ)、Checkout.com(チェックアウト・ドットコム)のような企業と競合している。

「多くの資金を手にしたように見えるかもしれません。しかし、実際には違います。これは競争力を高めるための資金なのです」とブレスロー氏は付け加えた。「競合他社と肩を並べるだけでなく、もっと上を目指したいと思っています。この資金で優秀な人材を獲得し、戦略的な買収を行い、当社にとって重要な欧州への進出を実現することができます」。

国際展開という点では、2021年11月から乗り出した。Benefit CosmeticsとPrestaShopの両方と契約を締結し、そして初めて買収を行った(あらゆるデジタル画面でのダイレクトチェックアウトを可能にするスウェーデンの技術会社Tipserだ)。

ブレスロー氏は当時「TipserがBoltにとっていかに重要な存在になりうるか、我々は理解していました」と述べた。「彼らは10年前から組み込み型コマース技術を完成させており、唯一手ごわい存在でした。我々が苦手とする分野で、Tipserは当社を上回っていました。Tipserをチームに迎えたことは、非常に戦略的なことです」。

買収から2カ月、BoltのネイティブチェックアウトとショッパーエクスペリエンスにTipserの組み込みコマース技術を統合させる作業は続いており、すでにいくつかの大口顧客と契約しているとブレスロー氏は話す。

一方、シリーズEは、BlackRockが運用するファンドや口座がリードし、既存投資家のActivant CapitalとMoore Strategic Venturesに加え、新たにSchonfeld、Invus Opportunities、CreditEase、H.I.G. Growthが参加した。

Invus Opportunities のパートナーのBen Tsai(ベン・ サイ)氏は「eコマースを取り巻く状況はオンラインチェックアウト体験を改善する大きなチャンスを提供していて、小売業者は結果として顧客を失っていることに気づきつつあります」と電子メールで述べた。

「拡大するBoltの小売店ネットワークの中で、ワンクリックで簡単にチェックアウトできる恩恵を受けている数百万人もの買い物客のネットワークを同社は有しています」と同氏は付け加えた。「ライアンと野心的なBoltチームを支援し、Boltがディスラプトしている業界に大きなチャンスがあることをうれしく思います」。

Boltは2021年に加盟店あたりの流通取引総額を80%成長させ、アカウントは2020年比で180%増え、取引は前年比で200%成長した。また、今後18カ月で買い物客1億人がBoltのネットワークに参加する見込みだという。

最後に、企業が人間優先の職場文化を作ることを目的としたプレイブック「Conscious Culture」を2021年5月に発表した後、現在では80社近く、数百の顧客を抱えている。

Boltの従業員は550人を超え、200以上の都市でリモート勤務している。今回の資金調達により、人材採用、買収、国際展開に加えて、2022年中に多数の新製品を発表するという目標に向けた取り組みを加速させる。

構想にはソーシャルコマースのような分野への重要な投資が含まれており、ウェブサイト、チャットボット、店舗、ビデオストリーム、ゲームなど、あらゆるチャネルでネイティブの組み込み型コマースを実現できるようになる。これにより、Boltのチェックアウト機能があらゆるところに配置されることになるとブレスロー氏は予想している。また、Boltのネットワーク上で客がより効率的に買い物ができるよう、消費者向け製品の拡大にも資金が投入される予定だ。

将来的には、Boltが新製品を発売する際に「Amazonゴールドスタンダード」と呼ばれる購入体験を分解し、どんなビジネスでもワンクリックでチェックアウトできるだけでなく、シームレスな注文追跡、迅速な返品、迅速な配送、会員特典など、Amazonが早期に優位に立った技術をすべて利用できるようになるとブレスロー氏は見ている。

上場が近いか、という質問に対し、同氏は当面の目標でもなければ最終目標でもないと答えた。

「目標はただ1つ、史上最高の会社を作ることです」と付け加えた。

画像クレジット:Bolt

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi