疾患特化型ソーシャルデータプラットフォーム「Activaid」が1億円の資金調達、“患者向け”に続き“医療機関向け”プロダクトのリリース目指す

疾患特化型ソーシャルデータプラットフォーム「Activaid(アクティヴェイド)」運営のActivaidは2月26日、アーキタイプベンチャーズ、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とする1億円の資金調達を実施したことを発表。

2018年4月に設立されたActivaidのミッションは「人々が医療の発展に参加できる未来を作る」こと。同社は「これからの医療は個人の参加がなければ発展しない」と考えている。

Activaidは2019年2月より、「炎症性腸疾患」に特化した形で、患者向けソーシャルデータプラットフォームのActivaidを運営。Activaidでは、「慢性疾患を抱える患者同士がお互いに支え合い、病気を管理することを通じて、慢性疾患に対する新しい治療法の発見に貢献していく」。

患者向けプロダクトでは、同じ疾患を持つ患者コミュニティでサポートを得ながら情報交換、医師が診療で重視するポイントに沿った疾患管理やメンバー同士による情報の参照ができる。

2019年9月にはActivaidが正式リリースされ、患者が医療の発展に参加できる「臨床試験(治験)のマッチング機能」も提供開始された。Activaidいわく、このマッチング機能により、ユーザーは「日々の疾患を管理する」以外にも、「必要に応じて臨床試験という治療の新たな選択肢を能動的に検討すること」が可能になった。

Activaidでは、利用者がPRO(Patient Reported Outcome:患者の主観的な症状やQOLに関連する指標)を共有し評価する仕組みが整っているため、創薬研究にとって重要な情報となる「患者自身の主観的なデータ」を蓄積することが可能だ。2020年2月現在、3万9千件を超えるデータが蓄積されているという。

そして同社は今回調達した資金1億円を使い、「医療機関向けのプロダクト」の開発を進める。既に患者によって入力されている症状などのPROを中心としたデータを医療機関と共有することで、「QoLの改善」や「医師患者間のコミュニケーションの促進」をサポートするプロダクトとしていく予定だ。

Activaidは2019年6月、ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼所長の北野宏明氏、TomyK代表の鎌田富久氏、その他3名の個人投資家を引受先とする第三者割当増資による、エンジェルラウンドの資金調達を発表。調達額は非公開となっている。

シナモン、フルーツ、ミント味のニコチンガムでLucy Goodsは次のJuulになれるのか?

栄養食品Soylentの共同ファウンダーで、新しいニコチンガムメーカーLucy Goodsの共同ファウンダー・CEOであるDavid Renteln(デビッド・レンテルン)氏は、禁煙しようとしている人々のために、もっと美味しくて、薬っぽくない製品があるべきだと考えている。

レンテルン氏がLucy Goodsを設立し、RRE Ventures、Vice Ventures、FundRXらが既存投資家のYCombinatorとGreycroftとともに、同社の1000万ドル(約11億円)の調達ラウンドに参加したのもそれが理由だ。

「我々の考案したニコチンガムは、味と噛み心地とニコチン摂取速度を改善した」とレンテルン氏は言う。

昨今、禁煙やタバコ製品に関わるスタートアップは、Juulとの比較を避けてを通ることができない。Juulは数十億ドル(数千億円)規模のスタートアップで、ティーンエージャーによるニコチン摂取の高まりの中心にいる。

「Juulとの比較が人々の頭にまず浮かぶことはたしかだ」とレンテルン氏は語る。「しかし、ニコチン製品の間には大きな違いがあることを知っておく必要がある」

レンテルン氏は、食品医薬品局(FDA)の元長官であり、現在はベンチャーキャピタル、New Enterprise AssociatesのパートナーであるScott Gottlieb(スコット・ゴットリーブ)氏の声明を引用し、燃焼式タバコ製品とニコチンガム、ニコチンパッチとの境界線を示した。

「ニコチンはタバコ製品に関連付けられている主要な有害物質ではない」とレンテルン氏は言う。「中毒性はあるが本質的に有害ではない」

Lucy Goodsは、タバコを吸ったときのクラクラ感を再現しようとしている電子タバコとは異なり、ニコチンの放出速度が遅いとレンテルン氏。

「刺激性があり興奮を誘発するが、タバコを深く吸い込んだときほど強くはない」

会社のウェブサイトも若者向けのライフスタイルのマーケティングをイメージしたものではなく、年長の元喫煙者によるLucy Gumを宣伝する証言が載っている。

「年少者にはニコチン製品も薬物も一切使って欲しくない……。フレーバーはずっと続く」

よりよいニコチンガムを作ろうとするレンテルン氏の旅に加わったSamy Hamdouch(サミー・ハムドウチ)氏は、南カリフォルニアの複数のバイオ技術スタートアップでビジネス開発担当幹部を務め、Soylentの調査担当副社長だった人物だ。

両者にとっての目標は、社会的汚名を着せられることなく禁煙できる新製品を市場に出すことだという。

RRE VenturesのJason Black(ジェイソン・ブラック)氏は声明で「喫煙は米国における最大の予防可能な死亡原因で、毎年48万人が亡くなり、直接医療費と生産性の損失は推定3000億ドル(約33兆2700億円)に上る。Lucyは革新的なニコチン製品を市場に送り出すことによって、タバコ関連の害をなくすことに全力を注いでおり、彼らの旅に参加できることを誇りに思う」と語っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

働く女性のヘルスケアを支援する「Maven」が50億円を追加調達

女性の健康と家族計画を支援するサイトであるMavenは、この1年にユーザーベースを拡大し100社を超える企業を取り込んだ。遠隔ヘルスケアサービスには20の専門分野にわたる1700社の事業者が参加し、母乳の輸送、ドゥーラと呼ばれる出産に関するアドバイスや支援を行うスタッフの派遣、卵子凍結、不妊治療、代理母、養子縁組などのサービスを提供している。

ニューヨーク拠点の同社は、個人、医療保険、雇用者などに医療・健康サービスを提供している。このたび新たに4500万ドルを調達し、サービスをさらに拡大しようとしている。

新しい資金の出資者には、 Mindy Kaling(ミンディ・カリング)氏、Natalie Portman(ナタリー・ポートマン)氏、 Reese Witherspoon(リース・ウィザースプーン)氏といった著名人や、Icon Venturesを始めとする機関投資家のほか、Sequoia Capital、Oak HC/FT、Spiring Mountain Capital、Female Founders Fund、Harmony Partnersなどが再出資組もいる。23andMeのファウンダー、Anne Wojcicki(アン・ウォイッキ)氏も同社の出資者の一人だ。

「Mavenは、女性と家族の医療従事者の最大のデジタル医療ネットワークを運営することで医療の重要な欠落部分を埋めようとしている」とIcon Venturesの主要投資家でMavenの取締役に就任したTom Mawhinney(トム・マウィニー)氏が声明で語った。「Mavenはバーチャル医療を始めとするサービスによって、世界の雇用者が働く家族を支援する方法を変革しようとしている。そのために出産育児の改善し、医療費を削減することでより多くの女性を職場に留め、究極的には子育てのあらゆる場面を支援する」。

創業者のKatherine Ryder(キャサリン・ライダー)氏が設立してから6年間でMavenはサービスのために7700万ドル以上(約85億9000万円)を調達し、彼女は男の子2人の母になった。

「子供もつことで人はとてつもなく大きな人生経験を得る。それは実に大きな変革だ」SequioaがリードしたシリーズBラウンドで同社が2700万ドル(約30億1000万円)調達したことを発表したとき、ライダー氏はTechCrunchにコメントした。「キャリアアップの真っ最中(人生のラッシュアワーと人は呼ぶ)に出産するとき、助けてくれる人はだれもいない。「もうやめた、うちに帰る」と言うのは簡単だ。もし仕事を辞める人がいるならそれはかまわない、本人の選択だ。しかし、助けが得られないという理由で辞めることを強いられるべきではない」。

MavenのパートナーであるソーシャルメディアのSnapやデートサイトのBumbleは、Mavenの女性と家族の医療従事者ネットワークを社員が利用できるようにしている。Mavenは産婦人科医、小児科医、セラピスト、キャリアーコーチ、その他家族計画にまつわるさまざまなサービスとユーザーをつないでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

働く女性のヘルスケアを支援する「Maven」が50億円を追加調達

女性の健康と家族計画を支援するサイトであるMavenは、この1年にユーザーベースを拡大し100社を超える企業を取り込んだ。遠隔ヘルスケアサービスには20の専門分野にわたる1700社の事業者が参加し、母乳の輸送、ドゥーラと呼ばれる出産に関するアドバイスや支援を行うスタッフの派遣、卵子凍結、不妊治療、代理母、養子縁組などのサービスを提供している。

ニューヨーク拠点の同社は、個人、医療保険、雇用者などに医療・健康サービスを提供している。このたび新たに4500万ドルを調達し、サービスをさらに拡大しようとしている。

新しい資金の出資者には、 Mindy Kaling(ミンディ・カリング)氏、Natalie Portman(ナタリー・ポートマン)氏、 Reese Witherspoon(リース・ウィザースプーン)氏といった著名人や、Icon Venturesを始めとする機関投資家のほか、Sequoia Capital、Oak HC/FT、Spiring Mountain Capital、Female Founders Fund、Harmony Partnersなどが再出資組もいる。23andMeのファウンダー、Anne Wojcicki(アン・ウォイッキ)氏も同社の出資者の一人だ。

「Mavenは、女性と家族の医療従事者の最大のデジタル医療ネットワークを運営することで医療の重要な欠落部分を埋めようとしている」とIcon Venturesの主要投資家でMavenの取締役に就任したTom Mawhinney(トム・マウィニー)氏が声明で語った。「Mavenはバーチャル医療を始めとするサービスによって、世界の雇用者が働く家族を支援する方法を変革しようとしている。そのために出産育児の改善し、医療費を削減することでより多くの女性を職場に留め、究極的には子育てのあらゆる場面を支援する」。

創業者のKatherine Ryder(キャサリン・ライダー)氏が設立してから6年間でMavenはサービスのために7700万ドル以上(約85億9000万円)を調達し、彼女は男の子2人の母になった。

「子供もつことで人はとてつもなく大きな人生経験を得る。それは実に大きな変革だ」SequioaがリードしたシリーズBラウンドで同社が2700万ドル(約30億1000万円)調達したことを発表したとき、ライダー氏はTechCrunchにコメントした。「キャリアアップの真っ最中(人生のラッシュアワーと人は呼ぶ)に出産するとき、助けてくれる人はだれもいない。「もうやめた、うちに帰る」と言うのは簡単だ。もし仕事を辞める人がいるならそれはかまわない、本人の選択だ。しかし、助けが得られないという理由で辞めることを強いられるべきではない」。

MavenのパートナーであるソーシャルメディアのSnapやデートサイトのBumbleは、Mavenの女性と家族の医療従事者ネットワークを社員が利用できるようにしている。Mavenは産婦人科医、小児科医、セラピスト、キャリアーコーチ、その他家族計画にまつわるさまざまなサービスとユーザーをつないでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

糖尿病管理から肥満解消へ、OurPathがSecond Natureにリブランドし11.2億円を調達

OurPath(アワーパス)は2018年に、英国で糖尿病の問題に取り組むスタートアップとして注目されるようになった。300万ドル(約33600万円)を調達し、スマートフォンのアプリを利用した専門家のアドバイスとトラッキング技術を組み合わせて、顧客が健康的な生活習慣を身につけ体重を落とせるように支援してきた。

同社は「Second Nature」とリブランドし、新たにシリーズAで1000万ドル(約11億2000万円)を調達した。

新たに投資したのは、ヨーロッパの保険グループであるUNIQAのベンチャーキャピタルファンドのUNIQA Venturesと、デジタル糖尿病管理プラットフォームで健康産業超大手のRocheに買収されたmySugrの創業者。

以前に投資していたヨーロッパのシードファンドのConnectとSpeedinvest、アーリーステージのインパクト投資家のBethnal Green Ventures、TransferWise創業者のTaavet Hinrikus(ターヴェット・ヒンリクス)氏などのエンジェル投資家も、このラウンドを支援した。

今回のラウンドの結果、同社のこれまでの調達額は1300万ドル(約14億6000万円)になった。

Second Natureの競合にはWeight WatchersやNoomなどがある。Noomは同様のプログラムを提供しており、これまでに1億1470万ドル(約128億円)を調達している。

Second Natureは、顧客の生活習慣を変えるために他社とは異なる、より厳しい、一人ひとりに合わせたアプローチを提供しているという。同社の顧客のうち1万人が12週間で平均5.9kg減量したことを明らかにしている。同社が公表した査読済みのデータによれば、6カ月後、12カ月後にも減った体重はほとんどリバウンドしていないという。

OurPath時代に同社は糖尿病管理に関し、英国NHS(国民保健サービス)の最初の「生活スタイル改善プログラム」になった。

Second Natureは2015年にChris Edson(クリス・エドソン)氏とMike Gibbs(マイク・ギブズ)氏がOurPathとして創業した。両氏は健康管理のコンサルタントで、生活スタイルを変えるために一人ひとりに合ったサポートを提供するプログラムを設計した。

プログラムの参加者は、アプリとリンクしたスマート体重計とアクティビティトラッカーを受け取る。これにより参加者は減量の進捗と毎日の歩数を管理できる。同時に開始した仲間、15人でサポートしあうグループが組まれる。グループには認定を受けた食事療法士や栄養士がコーチとして付き、アプリを通じて1対1で日々アドバイスやサポートを送りモチベーションを維持させる。12週間のプログラムを通じて参加者は、健康に良いレシピのほか、食事の計画、質の良い睡眠、やけ食いの克服などに関する記事を見ることができる。

ギブズ氏は「Second Natureの目標は、肥満の解消だ。我々は健康に関する誤った情報による混乱を解消し、ほんとうに大切なこと、すなわち生活習慣の改善に関する情報を明確に示したい。新しいブランドと調達した資金で、これを実現していく」と述べている。

Beringeaの投資マネージャーで、Second Natureへの投資をリードし取締役会のメンバーとなったPhilip Edmondson-Jones(フィリップ・エドモンソン・ジョーンズ)氏は「医療制度は、増え続ける肥満やこれに関連する病気への対応に苦慮している。2025年にはこの問題に全世界で年間1兆2000億ドル(約134兆円)の費用がかかると予測されている。生活習慣を変えようというSecond Natureの先進的なアプローチは、こうした状態を解消しようとする人々への支援となる」と述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

全医療データの統合を目指すサンフランシスコ拠点のスタートアップInnovaccer

医療分野で働くテクノロジー企業にとって至高の目標は、全医療データのゲートウェイになることだ。EpicやCernerといった伝統的データプロバイダーは、病院ネットワークにアプローチしてデータをかき集めようと試みている。Google(グーグル)やSalesforce(セールスフォース)も関心を持っている。誰もが医者や病院のための医療データの整備と管理の元締めになりたがっているのだ。米国サンフランシスコのスタートアップで最近7000万ドル(約76億8700万円)を調達したInnovaccer(イノベッカー)もその1つ。

今回出資したのは、Steadview Capital、Tiger Global、Dragoneer、Westbridge Capital、アプダビの投資会社であるMubadala Capital、Microsoft(マイクロソフト)の投資部門であるM12。いずれも資金力がある投資家だが、Innovaccerは病院や医療システムの分野でデータ分析とデータ管理プラットフォームでかなりの実績を上げている。

同社のソフトウェアは、CernerとEpicが生成した医療記録や保険会社、薬局などのデータを集約し、より総合的な患者情報を作りだすと同社は説明する。同社によると、2014年の創立以来、Innovaccerは380万人の患者の医療情報を提供し、医療管理システムの費用を4億ドル以上節約してきたとのこと。

「医療を患者中心にし、情報を整理しアクセスしやすくするためにはやるべきことがまだたくさんある。受診プロセス全体を通じて、患者のデータをシームレスに利用できるようにすることが重要だ」とInnovaccerの共同創業者でCEOのAbhinav Shashank(アビナフ・シャシャン)氏が声明で語ってる。「Innovaccerは素晴らしい顧客が関わっているデータの共用が可能な医療情報システムを利用できる幸運に恵まれた。医療業務を手助けするためのビジョンには、オープンでつながっているテクノロジーのフレームワークが必要だ。我々は、その変革を推進する顧客たちにテクノロジープラットフォームを提供する最先端で働けることを大いに喜んでいる」。

同社のテクノロジーは、200以上のAPIを通じて、健康保険、初期治療提供者、薬局、研究所、病院などからデータを集め、それを2万5000カ所の医療機関に提供している。この数値を今後数年のうちに、医療記録1億件以上、医療機関50万カ所以上へと増やすことが望みだ。壮大なゴールだが、それは25億ドルのヘッジファンドであるSeadview Capitalの創業者であるRavi Mehta(ラビ・メタ)氏の心に訴えるものだった。

「つながっているケアフレームワークと、最先端のデータ集約・分析プラットフォームを組み合わせることによって、彼らは患者記録を統合し、医療チームが患者治療の新しいレベルを達成できるようにした」とメタ氏は言った。「我々は,これによって最大限の効率が得られ、よりよい治療が可能になり、将来の医療費全体の削減に役立つと信じている」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

瞑想の医学的有効性を証明するためHeadspaceが100億円調達

米国ロサンゼルスに本拠地を置くマインドフルネスと瞑想の事業を展開しているHeadspace(ヘッドスペース)は、のメンタルウェルネス界のリーダーの座をめぐるCalm(カーム)との競争が膠着状態となり、ポールポジションを奪おうと新たな資金調達に出た。

同社は、多数の投資家からエクイティー(第三者割当増資)とデット(融資)の形で9300万ドル(約102億円)の調達を決めた。これをもとに、マインドフルネスや瞑想の有効性に関するなんとも曖昧な主張を科学的に実証するための、複数の臨床研究を行う。臨床的に効果が実証されれば、さまざまな疾患の治療に活用でき、マインドフルネス治療に政府から補助金も受けられるようになる。さらに、同社がこれを従業員の福利厚生プログラムの有効成分として企業に売り込む際の説得力が増す。

Headspaceは、カーネギーメロン大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、スタンフォード大学など学術界のパートナーと共同で、70もの臨床研究を行うパイプラインを強く売り込んでいた。

Headspaceへの新たな投資には、投資会社blisceを筆頭に、Waverly Capital、Times Bridge(インドのTimes Groupの投資部門)、The Chernin Group、Spectrum Equity、Advancit Capitalが参加している。この5300万ドル(約58億円)のエクイティにには、Pacific Western銀行からの融資4000万ドル(約44億円)が上乗せされている。

「Headspaceは、マインドフルネスの力が、ストレス、不安、その他日常的な問題の緩和に役立つことを数百万もの人々に証明し、同時に、臨床的な有効性の研究によりその分野を発展させてきました」と、Headspaceの共同創設者で最高責任者のRichard Pierson(リチャード・ピアソン)氏は声明の中で述べている。「次の10年、そしてその先を見越して、私たちはこの力を応用し、会員の生活のほかの領域にも適用して、一生続けられる健康的な習慣を身につけさせることに注力しています。それはHeadspaceの消費者向けアプリや、数百名の雇用主を対象に現在行っているワークを通して、または、より身近な窓口として私たちが期待する医療提供者との協力で進めていきます」。

今のところ、同社のアプリは190カ国で6200万回以上のダウンロードを記録している。すでに200万人以上の有料サブスクリプション契約者があり、600以上の企業がHeadspaceの職場用メンタルウェルネス・ツールを利用している。

今回調達した資金は、企業と医療関係者への売り文句を実現するため、そして海外市場への進出のために使われると、同社の声明には書かれていた。同社にはすでにドイツ語版とフランス語版のアプリがあり、Apple(アップル)の経営幹部であったRenate Nyborg(ルナート・ニボーグ)氏を欧州の事業展開責任者に任命した。

新たな資金を手に入れたHeadspaceは、Calmとの顧客争奪戦に予算を投入できるようにもなった。Calmは1年と少し前に8800万ドル(約96億6000万円)の投資を受けている(企業価値を1000億円以上と評価されてのラウンドだった)。

関連記事:瞑想アプリのCalmが97億円の投資を受けユニコーン企業に(未訳)

TPG Capitalとエンターテインメント代理店CAAの支援を受け、Calmは、ロサンゼルス・レイカーズ所属のプロバスケット選手であるレブロン・ジェームズといったセレブとの大きな契約も交わしている。彼はCalmの出資者でもある。

Calmのアプローチは、消費者向けの直販戦略に重点を置いている。ジェームズの他にも、ジョン・マッケンロー、マシュー・マコノヒー、イギリスのコメディアンであり俳優であり作家でもあるスティーブン・フライなどのセレブを起用しているのはそのためだ。

画像クレジット:Joe Maher / Stringer / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

バイオメカニクスを生かしたスポーツ用ウェアラブルデバイス開発のNURVVが9.9億円調達

CES 2020でローンチしたバイオメカニクスのスタートアップであるNURVV(ナーブ)が、スポーツとeスポーツのベンチャーキャピタルファンドのHiro Capitalが主導し、Games Workshopの共同創設者であるIan Livingstone CBE(イアン・リビングストンCBE)氏とLoveCraftsの共同創設者であるCherry Freeman(チェリー・フリーマン)氏が参加したシリーズA投資で、900万ドル(約9億9000万円)を調達した。

同社は、スマートフォンを落としても壊れない方法がわかれば、バスケットボール選手がどれだけ高くジャンプできるかもわかるということを証明した。Jason Roberts(ジェイソン・ロバーツ)氏は、世界トップクラスのスマートフォンのケースのメーカーであるTech21の創業者だ。彼と、彼の共同創業者、そして彼の夫人Ulrica(ウルリカ)は、その知識を応用して、新しいウェアラブル製品を発売した。靴の中にこれを敷くと、足が着地したときの力や跳躍の測定が可能になるというものだ。

このウェアラブルは、32個のセンサーを埋め込んだ軽量な中敷きで、ひとつのセンサーごとに、1秒間に1000回、足裏のデータを取得する。

今回の投資金は、NURVVの最初の製品、NURVV Run(ナーブラン)を国際市場への投入と、さらなる研究開発に使われる。Wired、CNET、Gear Patrolで高い評価を受けたほか、英国立物理学研究所で3年にわたりテストされてきた。

測定できるのは、ケイデンス、歩幅、接地パターン、プロネーション、バランス。このデータをNURVV Runのコーチングアプリに送り、その人のランニング技術を図で示す。これを見ることで、自分の技術とペースが改善できる。

ランニングに関するデータを膨大に収集するのは今でも可能だが、そのデータが見られるのは、いつだって走った後だ。創設者でCEOのロバーツ氏は、NURVV Runはランナーのデータを「アクションがあった時点で足から直接取得し、簡単に理解できるシンプルな方法で走りの改善をリアルタイムでコーチングできます」と話している。

同氏はTechCrunchに対して、この中敷きに組み込まれたテクノロジーは「ステップ数やストライドや消費エネルギーを測定する腕時計よりも正確で、怪我も検知できる」と話していた。彼はこう問いかける。「走っている人のステップ数をリアルタイムで配信することも可能です。バスケットボールでそのデータが見られたら、どうですか?」。

共同創設者のウルリカ・ロバーツ氏はこう付け加えた。「私たちはいつも同じ疑問に立ち返ります。重要な情報は足で発生しているのに、どうしてランニングのデータを腕で計るのかって」。

【中略】

「私たちは専門家を探して、それを実現しました」。

Hiro Capitalの業務執行社員であるLuke Alvarez(ルーク・アルバレス)氏は声明で「Hiro Capitalは、4回目の契約で、初めてのスポーツテックへの投資としてNURVVを支援できたことをうれしく思っています。NURVVの成功は、彼らの事業のすべての点でアスリートの体を中心に据えたことに起因します。NURVVの基礎は、ディープなバイオメカニクスとデータサイエンスを結合させたセンサーの特許技術にあり、これはスポーツ、ゲーム、VRとAR、そして健康全般に革命を引き起こす潜在力があります。ジェイソンとウルリカは、類いまれな起業家であり、この2人とその仲間たちと共に、NURVVを次のレベルに引き上げる手伝いができることに、大変にエキサイトしています」。

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(翻訳:金井哲夫)

自治医大発スタートアップが眼科向けAI診断支援ソリューションを提供開始

自治医科大学発のAIスタートアップであるDeepEyeVisionは2月5日、眼科医の診断速度・精度の向上を目的とした、クラウド型AI診断支援ソリューション「DeepEyeVision」の提供を開始した。

「DeepEyeVision」ソリューションイメージ

クラウド型AI診断支援ソリューションのDeepEyeVisionは、医療機関が診察時に撮影した「眼底画像」をクラウドシステムにアップロードすると、画像診断AIが一次解析を実行。その後、提携している大学眼科所属の読影医がAIの解析結果をチェックした診断結果を、医療機関に回答するという流れになる。なお同ソリューションには、自治医科大学と共同開発した画像診断AIが利用されているとのこと。

健康診断センターや総合病院、眼科クリニックはDeepEyeVisionを導入することで、読影医を確保する手間が省けるため、大幅なコスト削減と業務量の低減を見込めるという。患者にとっては、DeepEyeVisionが普及することで、大病院に通わずとも高度な眼科医療を地元のクリニックで受けられるというメリットにもつながる。

画像診断AIによる解析イメージ。画像はプライバシーに配慮して所定の手続を経たものが使われる

なお2020年1月現在、DeepEyeVisionは自治医科大学附属病院の健診センターや地域健診センター、個人クリニックなど複数の医療機関で先行利用されている。

また同社は、AI系スタートアップを中心に投資しているソフトバンク系のベンチャーキャピタルであるディープコアが運営する「DEEPCORE TOKYO 1号投資事業有限責任組合」、シードに特化したベンチャーキャピタルのINDEE Japanからの資金調達も明らかにした。調達額は非公開。

精子凍結と生殖能力をチェック、男性向け生殖支援スタートアップLegacyが3.8億円を調達

男性の生殖を支援するスタートアップであるLegacy(レガシー)が、Bill Maris(ビル・マリス)氏のサンディエゴ拠点のベンチャー企業であるSection 32や、Y Combinator 、Bain Capital Venturesから資金350万ドル(約3億8000万円)を調達した。Bain Capital Venturesは昨年、Legacyの150万ドル(約1億6000万円)のシードラウンドをリードした企業だ。

TechCrunchはLegacyの創業者でCEOのKhaled Kteily(ハレド・クテイリー)氏に、創業2年、社員5人の同社について、また世界でも有数の男性生殖センターになるという野心について聞いた。我々が最も尋ねたかったのは、Legacyと似たようなスタートアップが、一般的に女性よりも生殖に関心を持たない男性にいかに同社の在宅テストキットやサービスが必要と思わせるかということだった。

「男性は自らの生殖について懸念すべきだ」とクテイリー氏は話した。同氏は以前ヘルスケアとライフサイエンスのコンサルタントを務め、ハーバード・ケネディ・スクールで公共政策の修士号をとっている。「精子の数は過去40年で50〜60%少なくなっている」。TechCrunchのBattlefieldで優勝したことのあるLegacyとのやり取り詳細は以下の通りだ。

TechCrunch(TC):なぜ会社を始めたのか。

Khaled Kteily(KK):精子のキングになりたいと思っていたわけではない(笑)。しかし私はかなりひどいアクシデントを経験した。足の第2度熱傷だ。車の中で4つのStarbucksの紅茶を太腿にこぼしてしまった。そのころ、ケネディスクールでの同僚ががんと診断され、医師は放射線治療を始める前に精子を凍結しておくことを同僚に勧めた。それを聞いて私自身も精子を保存しておくべきだとひらめいた。これを実行するためにケンブリッジに行ったが、その場所は餃子レストランのすぐ隣にあり、すごく変な感じだった。そして高価だった。そこで私は考えた。精子を保存するもっといいやり方があるに違いない、と。

TC:どうやってこのような事業を始めたのか。

KK:RoとHimsがサービスを開始させようとする前のことだ。しかし人々は自宅での精子検査に満足しつつあった。なので私はアイデアの調査を開始した。私は米国生殖医学会に加入し、精子についての授業を受け始めた。

TC:女性は自分の生殖モニターで30代ごろからかなりのプレッシャー下におかれる。あなたの同僚のような特殊な状況を除き、男性は本当に自分の精子のテストを考えるのだろうか。

KK:男性は精子について心配する必要があるし、責任を持つ必要もある。子どもをもとうとしているカップル7組のうち1組では(不妊について)男性も女性と同じように責任があるということを多くの人が知らない。女性は自身の生殖について教えられているが、男性はそうではない。しかも精子の質が劣化しているにもかかわらずだ。精子の数は過去40年で50〜60%減少していもいる。

TC:待って。なんですって、どうして?

KK:(おそらく犯人は)プラスティックや私たちが飲食するものの中に含まれる化学物質、それからライフスタイルの変化だ。我々は体を動かさなくなり、よく食べるようになっている。精子の健康は体全体の健康に関係する。私が思うに、携帯電話も一因だ。さまざまな研究があるが、携帯電話は新たな喫煙だと私は確信していると言って警告したい。どういうことかというと、タバコの使用を続けさせることで利益を得られる企業によって研究が行われたとき、喫煙が危険だということは明らかにならなかった。また精子の質が年々劣化傾向にある。これはまた母親、そして子どものリスク増大にもつながっている。妊娠糖尿病リスクや自閉症の割合、他の先天性の病気などだ。

TC:Legacyは消費者に直接販売している。テストを消費者への全体的なウェルネス提供に組み入れるために他の企業と協力しているのか。

KK:我々はB2Bにかなり投資していて、それが大きな買収チャンネルになることを期待している。まだ企業名は明かせないが、ちょうど先週大企業と契約を結んだところで、ほかにもいくつか進行中だ。これまでのところ、対象はほとんどベイエリアの企業だ。経験を重ね、そして大きな企業を経営する創業者となり、YC卒業生としての経験が貴重なものとなっている。

TC:投資家と話をするとき、マーケットサイズについてどう説明しているのか。

KK:400万組のカップルが不妊に悩んでいる。そしてすべてのケースで男性がテストを受けるべきだと考えている。(我々のキットの)購入のおおよそ半分がパートナーの女性によるものだ。また従軍する男性で任地に赴く前に精子を凍結する人もいる。同性カップルでいつか代理母を活用しようと計画している人、人生を変えるようなプロセスに踏み出す前に生殖を保存したいトランスジェンダーの患者もいる。しかし我々は全ての男性が大学に入る前にテストを受けてもいいと考えていて、投資家は「大きな絵」を目にする。

TC:キットと保存にはいくらかかるのか。

KK:キットは前金で195ドル(約2万1000円)。もし精子を保存する場合、年間145ドル(約1万6000円)。さまざまなパッケージを用意していて、検査2回と10年間の精子保存で1995ドル(約22万円)というものもある。

TC:サンプルは1回もしくは2回で十分なのか。メイヨー・クリニック(ミネソタ州に本部がある有名な総合病院)によると、精子の数はサンプルによって大きく変動し、正確な結果を得るには一定期間かけた精液分析を提案している。

KK:クライアントには複数回の実施を勧めている。結果は変動するだろうが、平均データは得られる。

TC:しかし複数回行うと、それぞれ費用が発生する?

KK:そうだ。

TC:検査では何に着目するのか。

KK:ボリューム、数、濃度、運動性、形態(精子の形)。

TC:実際に誰が分析と保存管理を行っているのか。

KK:分析ではシカゴのAndrology Labs(アンドロジー・ラボ)と提携している。米国でトップの生殖ラボの1つだ。保存に関しては、異なる地域にあるいくつかの冷凍保存プロバイダーと提携している。我々はサンプルを4つに分け、2カ所で2つのタンクに分けて保存する。あちこちのクリニックで起こっているような、アクシデントでサンプルがダメになってしまう、ということがないようにしたい。

TC:サンプルが不適切に扱われるのでは、との懸念があるのは想像に難くない。そうした事態は起こらないと顧客にどのように保証するのか。

KK:信頼と合法性は根幹であり、我々がフォーカスしている重大な分野だ。我々はCPPAとHIPAAに則っている。全ての関連データは、暗号化・匿名化され、全顧客にはそれぞれのIDが発行される(IDは数字で、保存施設側がだれの精子を扱っているのか知ることはない)。我々は余裕をもって対応しており、可能な限り科学的に最も堅牢な方法で、そして安全とプライバシーを確約するやり方でサンプルを取り扱っている。

TC:精子はどれくらいの期間、冷凍保存できるのか、

KK:無期限だ。

TC:収集するデータをどのように活用するつもりか。

KK:研究機関と提携するかもしれない。しかし我々は23andMeのようにデータを売ることはしない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

遺伝子編集ツール開発のMammoth Biosciencesが約49億円調達

1998年、スタートアップのIllumina(イルミナ)は、遺伝物質の特定とマッピングのコストを削減する技術を開発し、ライフサイエンス業界に革命を起こした。

それから20年少し経った今、Mammoth Biosciences(マンモスバイオサイエンス)が遺伝子編集ツールで同じことを目指している。

同社は4500万ドル(約49億円)を調達した。CRISPR(クリスパー)として知られる遺伝子編集酵素の発見に関して先駆的な業績を残したJennifer Doudna(ジェニファー・ドウドナ)氏が共同で創業した同社は、病気を発見できるだけでなく、遺伝物質をより正確に編集するツールを世に出そうとしている。

ドウドナ氏が発見し、Broad Institute(ブロード研究所)が臨床応用のために開発した最初のCRISPR酵素、Cas9の発明と所有権をめぐる特許紛争のような泥沼の事態を避けるため、Manmmothは他の多くのスタートアップ同様、より幅広い特性を持つ新しい酵素の発見を試みている。

「会社設立当初から、診断や編集のための新しい酵素に専念してきた」とMammoth Biosciencesの共同創業者兼最高経営責任者であるTrevor Martin(トレバー・マーティン)氏は述べた。

同社は主にCas14酵素を売り込んでいる。Cas14の多様なDNA配列を狙う能力、高い忠実度、小さなサイズが、プログラム可能な生物学の新しい可能性を開くと同社は主張する。Cas14のそうした特性が、酵素による編集が引き起こす予期せぬ副作用を抑える。Cas9では副作用が課題だった。

「あらゆるケースでベストとなるタンパク質があるわけではない」とマーティン氏は言う。「当社で開発している一つ一つの製品に関しては、幅広いツールボックスがある」。

Cas14酵素は生体内で遺伝子編集を行うことができるため、実験や治療法開発にかかる時間を短縮できる可能性がある。

「20年後にCRISPRと『Cas132013』を使った酵素が承認される頃には、人々はこの特許の戦いを振り返り、『ずいぶんと金の無駄遣いをしたものだ』と思うことだろう」とニューヨーク法律大学院の特許法学者であるJacob Sherkow(ジェイコブ・シェルコウ) 氏は、2018年にWiredに語った。

すでに、英国ケンブリッジを拠点として遺伝子編集技術を開発するHorizon Discoveryは、Mammoth Bioscienceが開発した新しいツールを利用して、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株編集用の新しいCRISPRツールの開発に取り掛かっている。この提携は、Mammothが新しいCas14酵素ラインの商業化と生物工学における役割についてどう考えているかを示す例だ。

「CRISPRタンパク質の完全なツールボックスが必要になる」とマーティン氏は言う。「そうしたツールボックスがあれば、ソフトウェアやコンピューターとやり取りするのと同じことが、生体とも可能になる。第一原理から、企業はプログラムに従って生体に修正を施して病気を治したり、病気のリスクを減らしたりするようになる。それは一種のターニングポイントになるはずだ」。

そのビジョン達成に向け、Mammothはライフサイエンス業界最高の人材を獲得した。Casebia(BayerCRISPR Therapeuticsの合弁会社)の共同創業者で、Mammothに最高事業責任者として加わったPeter Nell(ピーター・ネル)氏、SynthegoとBio-Radの元経営幹部で、最高執行責任者として入社したTed Tisch(テッド・ティッシュ)氏などだ。

今回の4500万ドル(約49億円)の調達ラウンドはDecheng Capitalがリードし、Mayfield、NFX、Verily(Alphabetの子会社)、Brook Byersなどの投資会社が参加した。Decheng Capitalはこれまで7000万ドル(約76億円)以上の資金をMammothにもたらした。

「CRISPRで臨床開発中の製品は十数個ある」とMayfieldのパートナーであるUrsheet Parikh(アーシート・パリク)氏は言う。「おそらくその数はMammothなしでも5〜10は増えるが、Mammothが加われば1〜2桁増える」。

パリク氏にとって、MammothはCRISPR開発ツールの中でも最高の位置にいる。同社は、顧客が遺伝子編集による製品開発のためにライセンス使用できるプラットフォーム全体を構築しているからだ。

パリク氏の考え方こうだ。「この技術が様々な応用を後押しできるなら、基本的にはそれらが市場に出回るようにしたい。物事がそう運ぶなら『アプリストア』を始める」。

「Illuminaと似たビジネスだ」とパリク氏は言う。「ゲノムに関するイノベーションに関わる人なら誰でもシーケンシングを行いたいから、Illuminaのシーケンサーが必要だ。では、編集したい場合はどうか。当社のプラットフォームが適切な編集ツールへのアクセスを可能にする」。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:Mizoguchi

瞑想アプリトップ10は2019年に約213億円の売上達成、2018年から52%の増加

ミレニアル世代の健康とセルフケアへの脅迫観念が、瞑想アプリの活況へとつながっている。アプリ情報企業のSensor Tower(センサータワー)は、既に2018年の第1四半期に、「セルフケア」アプリのトップ10が約2700万ドル(約29億円)の収益を上げ たと報告していた。これが2019年の終わりになると、その数字はずっと高くなった。Sensor Towerの最新データによれば、2019年に売り上げの多かった瞑想アプリのトップ10(すなわち「セルフケア」アプリのサブセット)の合計は、1億9500万ドル(約213億円)に成長している。これは、前年比で52%の増加だ。

瞑想アプリは、2018年の時点で既に、セルフケアアプリ市場をリードしていた、たとえば収益を伸ばしたアプリにはCalm、Headspace、そして10% Happierなどがある。マインドフルネスやヨガに焦点を当てた他のセルフケアアプリも人気はあったものの、その人気は下降線をたどっていった。

2018年の間に、上位10の瞑想アプリだけで1億2800万ドル(約140億円)の収益を上げている。これは、トップ10の瞑想アプリがわずか800万ドル(約8億7000万円)の収益しか挙げていなかった2015年に比べると大幅な増加である。

それが2019年には、トップ10の瞑想アプリの収益が1億9500万ドル(約213億円)に増加したのだ。

ただし、2015年以降、トップ10リストに含まれ続けているアプリは2つだけだ。2019年に9200万ドル(約100億円)を売り上げたと推定されるCalmと、5600万ドル(約61億円)を売り上げたHeadspaceである。どちらも、前年比でそれぞれ46%と33%の収益増となった。

収益の増加は、アクティブなユーザーベースだけでなく、これらのアプリを初めて利用し始めるユーザーたちからも生じている。例えば2019年には、5200万人の新規ユーザーが、トップ10の瞑想アプリの1つをダウンロードしている。これは2018年から15.6%の増加である。CalmとHeadspaceはここでも先導役を果たしていて、2019年にはそれぞれ2400万人と1300万人の新規ユーザーを獲得している。

その人気にもかかわらず、「セルフケア」はApp Storeの最上位カテゴリにはなっていない。その代わりに、こうしたアプリは通常、エクササイズアプリ、ダイエットアプリ、カロリーカウンター、フィットネストラッカーなどとともに「ヘルスケア/フィットネス」カテゴリにリストされている。

しかしそれでもアプリたちはうまくやっている。現在、CalmはApple iOS App Storeの「ヘルスケア/フィットネス」カテゴリの第1位で、Headspaceは第2位だ。

これらのアプリがここ数年高い人気を博した理由はいくつかある。ある程度、それはミレニアル世代のライフスタイルに結びついているからだろう。この世代は、結婚を後回しにして、子供を持つことも遅らせることを選んだ。それにより、以前の世代と比較して、彼らはより自分を中心にして振る舞う時間を与えられた。彼らはまたインターネットアクセスと共に成長し、一般的に健康とセルフケアについてより多くを学ぶことができるようになった。

さらに、常時接続のインターネット接続は、個人がスクリーン時間をどのように使用するかによって、不安と抑うつにつながると報告されている。スクリーン時間だけが害となるわけではないが、その使用方法が問題となり得るのだ。セルフケアアプリ、特に瞑想アプリは、この種の問題を緩和するのに役立つ (ただし、精神的疾患の解決策ではないということは、指摘しておく必要がある)。

アプリたちは、収益の増加という観点から見た場合、サブスクリプションへの移行からの恩恵も受けている。この先時間が経つにつれて、このカテゴリはさらに成長する可能性がある。

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(翻訳:sako)

医療費融資のPrimaHealth Creditが依存症治療も対象に

医療費を支払うための融資を行っているPrimaHealth Creditは、その範囲を拡大して依存症治療センターの利用費用も対象に加える。

現在PrimaHealthは、美容整形やレーシック、歯科手術、歯列矯正などの選択的医療(必須ではない治療)のための融資を提供している。同社による依存症治療への対象拡大は、薬物の乱用と依存(広くはメンタルヘルス治療全般)に対する米国の医療制度がいかに破綻しているかを示すとともに、潜在市場の大きさをあらわしている。

PrimaHealthは、ほとんどの融資(借り手の信用度による)で利子をとっていない。代わりに、治療センターから手数料をとることで収益を得ている。借り手の信用度が低かった場合、年利は19.99%になると同社広報担当者は言っている。

「依存症治療センターは、患者に薦められる融資機関との関係が多くない」とPrimaHealth Creditのファンダー・CEOのBrendon Kensel(ブレンドン・ケンセル)氏は言う。「自己負担額の重荷が患者にのしかかるために、緊急に必要な治療を受けることができないケースが多い」

2020年の米国における薬物乱用治療の費用は421億ドル(約4兆5951億円)に達すると予測されており、そのうち治療とサービスに患者が自己負担する金額は約37億ドル(約4038億円)になると薬物乱用精神保健管理局が報告していると同社は言う。

「自己負担費用は、患者が治療を続けるための主要な障害になることが多い」と、アリゾナ州スコッツデール拠点の依存症治療の大手、A Better Today Recovery Servicesのマーケティング責任者、Fritz Quindt氏(フリッツ・クインド)は言う。「PrimaHealth Creditは、患者が必要としている治療を受けるための資金を援助する新しいアプローチを提供している。同社の使いやすいプラットフォームやカスタマーサポートの成果は明らかだ。

なおPrimaHealthは、選択的手術のために融資した件数についてはコメントしなかった。

PrimaHealthは、借り手の信用度の推定にアルゴリズムを使用して治療センターに支払い管理のソリューションを提供する。200種類の決定要素を取り入れた引受モデルを使って高速で信用調査を行い、借り手ごとに異なる支払いプランを提示する。

医療提供者に対しては管理コストの低減と支払いサービスや売掛金、信用報告などの管理サービスを提供する。PrimaHealthは、自己負担分の徴収や控除といった規制の要求への対応についても依存症治療機関を支援すると言っている。

現在、同社のサービスはアリゾナ、カリフォルニア、テキサスの各州で利用できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

医療業界のプロフェッショナルデータベースを提供するH1 Insights

画像クレジット: grivina / Getty Images

H1 Insightsの共同創業者で最高経営責任者であるAriel Katz(アリエル・カッツ)氏は「個々の研究者と医療従事者のプロフィールを集めるビジネスを作り上げて、業界への販売することが希望です」と語る。

ヘルスケア業界では、信じられないほど細分化されて壊れたシステムからデータをより効率的に引き出せるように、考えられる限りのデータをデジタル化して分析することが使命となっている。カッツ氏にとって、業界に対してその道の専門家たちに関するデータを提供することほど明らかなチャンスはない。

このアイデアは医療専門家向けのLinkedInを作成することのように聞こえるかもしれないが、正確な専門家たちのエコシステムを構築することは、製薬会社、病院、保険会社などの企業、そして最終的には消費者にとって大きな助けになる可能性がある。

カッツ氏にとっては、従来、不透明だったデータセットの透明性を生み出すという、自身の長におよぶミッションを継続することになる。カッツ氏は、最初の会社であるResearch Connection(現在の名称はLabSpot)を、3年前に売却した。その会社は、学生たちがどの学部もしくは大学院の研究に応募すれば良いかを知ることができるように、全国の大学で進行中の研究を知ることができるサービスを提供していた。

会社の売却後、若い起業家はインドでの休暇に出かけ、そこで彼は共同創業者となるIan Sax(イアン・サックス)氏に出会った。「彼はマザー・テレサのもとでボランティアをしていた彼の妻に付いてやってきた人物で、最終的には人材派遣会社を始めました」

2人は友人となり、共同でプロジェクトに取り組むようになった。その中には医学部の学生が仕事を見つけるのに役立つソフトウェアもあった。

議論を重ねるうちに2人は、どの大学でどのような研究が行われているか、どの病院でどのような臨床試験が進行中であるかについての透明性が欠けていることにすぐに気がついた。そして2人は、目に見える専門家たちのネットワークが、医療業界の手に負えないほど多くの問題を解決するのに大いに役立つと考えたのだ。

「医薬品、バイオテクノロジー、および医療機器メーカーは、研究者や病院との提携に年間300億ドル(約3兆2700億円)を費やしています」とカッツ氏は言う。「例えば製薬側のユーザーが、研究者の分類と検索、そしてランク付けと分析をできるようにしたならば、コストを削減し問題を解決する役に立つでしょう」

カッツ氏は、透明性は多くのヘルスケアの医薬品開発ならびに発見の問題を解決するのに役立つという一方で、他の問題を生み出してしまうことを警戒している。H1 Insightsは、データベースの利用方法に関する一連のルールを用意しており、カッツ氏はこれで悪用を制限できることを望んでいる。

「製薬会社のセールスおよびマーケティング部門には販売しません」と彼はいう。考えられるリスクは、これらのセールスおよびマーケティング部門が医師に不当な圧力をかけて、研究をゆがめる可能性があることだ。

H1が収集するデータはすでに公開されているものなので、同社がユーザーが作成するデータを利用してデータセットを構築する必要はない。「すべて公開されているものです。最大の問題は重複を排除することです」とカッツ氏は言う。

同社のデータベースには、すでに35万人の学術研究者と400万人の医療従事者が登録されている。

その知識体系が十分に魅力的だったため、Y CombinatorはH1 Insightを最新の企業グループのメンバーとして受け入れている。

H1 InsightsはYCの支援によって、ビジネスをグローバルに展開し、製薬業界、医療提供者、そして最終的には消費者向けのアプリケーションを開発したいと考えている。

そうした豊富なデータから生まれた最初のアプリケーションは、臨床試験だ。

「臨床試験が失敗する最大の理由は、実施者の募集なのです」とカッツ氏は言う。「隣接領域で臨床試験を成功させた治験主任医師を見つけることができれば」製薬会社は成功の可能性を高めることができる、と彼は言う。

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(翻訳:sako)

慢性的な痛みを自然医療で改善するWholyMeがシードラウンド完了

慢性的な痛みを鎮める「自然製品」を作っているWholyMeが、Financière Saint JamesやV1 Capital、Guiborなどの投資家による50万ユーロ(約6000万円)のシードラウンドを完了した。このラウンドにはニューヨークのVCである Joyance Partnersも参加し、「健康と幸福」を追究する新しい科学にフォーカスしている同社は最近、イギリスとヨーロッパにも投資対象を拡大している。

WholyMeは、今回の資金を使って筋肉と関節のための完全にオーガニックなサプリメントや軟膏の最初の製品群を作っていく。最初の製品は大麻を使用した軟膏で、2020年春の発売を予定している。製品は同社の処方に基づいてヨーロッパで生産され、オンラインで販売される。今後はジムなどと契約して、スポーツ好きなミレニアル世代の傷害を防いでいきたい、と同社はいう。(大麻製品は製品、国、各種スポーツ機関などにより、規制に違いがある。日本は大麻取締法により、概ね不可)

同社と同じく自然製品による健康ブランドを販売している競合他社にはTiger BalmやBetterYouなどがあり、また、同社は一般的な鎮痛剤や鎮痛湿布を販売しているVoltarolやDeep Heatなどとも競合する。

同社製品の差別化要因は「従来の鎮痛剤と違って有害な副作用がないこと」だ。同社製品の原料は有機栽培の植物であり、化学合成物や石油化学製品や遺伝子組み換え作物を使っていない。

WholyMeが狙う市場は確かに大きい。自然薬製品の市場はヨーロッパで160億ユーロ(約1兆9228億円)、最近の5年間では年率7%で伸びている、といわれる。

共同創業者のCeline Ivari(セリーヌ・イヴァリ)氏とQuitterie de Rivoyre(キトリ・デ・リボア)氏は、慢性の炎症で苦しんでいる家族を救うために、WholyMe最初の製品を研究開発した。

イヴァリ氏は、「母がひどい炎症で苦しんでいるとき、鎮痛剤など大量の薬を処方されたが、それらには恐ろしい副作用があった。人間の疾病の遺伝的性質を研究して、痛みを管理する正しい方法があることがわかった。自然療法で、彼女の状態は改善した」。

Joyance Partnersのヨーロッパ担当パートナーPaolo Pio(パオロ・ピオ)氏は、声明で「健康と痛みの管理の限界を押し広げようとしているWholyMeを支援できることができてうれしい。彼らは世界に、より大きな幸福をもたらすだろう」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ジムでのApple Watch活用を促進するプログラムが米国で登場

手首に着けるフィットネストラッカーは、屋外でのエクササイズに適している。一方、ジムのマシンが好きな人たちにとっては微妙だ。GPSによる距離の計測ができないし、エリプティカルのようなマシンを使った運動も計測しにくい。

最近のApple WatchシリーズとwatchOSでは、この問題が解決してきている。ワークアウトの検知が向上したのと、2017年にリリースされたwatchOS 4でGymKitが追加されたためだ。GymKitに関しては、Appleはまずマシンメーカーと連携し、旧式の30ピンのiPodに対応したトレーニングマシンからApple Watchで検知できる新しいマシンへと進化させるよう働きかけた。

今週、Appleはジムと提携して、Apple Watchの取り組みをさらに一歩進めた。4つのジムをパートナーとして、Apple Watch Connectedプログラムを新たに始めるのだ。その4つのジムはOrangetheory、Basecamp、YMCA、Crunch Fitnessで、昔ながらのジムから小規模な特化型のジムまでバラエティに富んでいる。ただ、これまでのGymKitと同様に、マンハッタンやミネソタ州のツインシティーズといった大都市圏に住んでいるのでない限り、近所のジムで使えるようになるにはしばらく時間がかかるだろう。

Apple Watch Connectedプログラムは、ジムの中と外の生活をさらに近づけるためのものだ。プログラムには4つの柱がある。GymKit対応マシン、Apple WatchとAppleが開発したiOSアプリ、ジムがApple Payに対応すること、そしておそらくこれが最も興味深い点だが「インセンティブプログラム」が柱となる。

前述の4つのジムがどのようにこのプログラムに関わるかは、それぞれのビジネスモデルにより異なる。特にGymKit対応マシンは必ずしも使用されるとは限らない。たとえばOrangetheoryのワークアウトはマシンを移動しながらの高強度インターバルトレーニングなので、結局のところGymKitでの記録はあまり意味がない。

インセンティブプログラムも、ジムにより異なる。Orangetheoryでは基本的にアクティビティの成果に応じてNikeやAppleのギフトカードがもらえる。Crunch Fitnessでは会費が2年間で最大300ドル(約3万3000円)割引になる。YMCAでは収益が「コミュニティイニシアチブ」に充てられ、Basecampではジムが提供するGPS付きApple Watch Series 5の費用に充てられる。

トータルで見ると、どの関係者にとっても良い話のようだ。Appleは小規模ながらも成長しているジムに対して積極的に関与できる。ジムはAppleとのパートナーシップを特典のひとつにすることができる。そしてGymKitのパートナーはこれからさらに多くのマシンを販売できる。GymKit対応マシンはすでに5万から10万台が出回っているが、ここには最近公表されたWoodway、Octane、TRUE Fitnessといったマシンメーカーの数字は含まれていない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

会員制の動物病院Small Doorがニューヨーク7番街に正式オープン

会員制の動物病院Small Doorは米国時間1月22日、米国ニューヨーク7番街に正式オープンした。Small Doorは昨年11月から、この場所にソフトローンチしていた。

同社は2019年の4月に350万ドルのシード資金を調達して注目を浴びた。そのラウンドをリードしたのはLerer Hippeau Venturesで、Primary Venture PartnersBrand Foundry Venturesが参加した。また、Flatiron Healthの創業者であるNat Turner(ナット・ターナー)氏とZach Weinberg(ザック・ワインバーグ)氏、Warby Parkerの共同創業者であるDave Gilboa(デイブ・ギルボア)氏とNeil Blumenthal(ニール・ブルメンタール)氏、そしてSweetgreenの創業者であるJon Neman(
ジョン・ネマン)氏、Nic Jammet(ニック・ジャメット)氏およびNat Ru(ナット・ルー)氏らも参加した。

同社は、動物病院に会員制という新しいやり方を採り入れている。その点は、人間のプライマリケアサービスOne Medicalに似ている。

今の動物病院の問題は、獣医の過重労働と低収入だ。そして患者の待ち時間は長く、診療時間は短く、獣医もプロとしての尊厳ある生活を送れない。Small Doorは、会員制の導入によって獣医がペットの患者を診る時間が増え、患者と飼い主の待ち時間が大幅に減ると考えている。

同社は健康的な動物病院にも配慮している。たとえば待合室は広くて、小さな凹みが随所にあり、待ち時間に動物が他の動物の脅威を感じないようになっている。

会費は、サービスの内容によって段階的だ。たとえば月額12ドルの犬の基本メニューでは、当日または翌日診療と専門医への優先アクセス、そして24時間年中無休の仮想ケアが提供される。月額75ドルの特別メニューでは、年2回の健診、重要な予防接種、年1回の血液検査、フィラリアなどの寄生虫の予防と検査と駆除が含まれる。さらに月額89ドルの最高メニューでは、1カ月に一度のノミ、マダニ、フィラリアの予防処置がある。猫には、月額8ドルから74ドルで上と同様のメニューがある。

Small Doorは企業の形態として公益社団法人を選び、獣医とペットの両方が株主だ。今、獣医師の自殺が問題になっている。負債の増大や同情疲労、重労働、飼い主のわがままなどがその原因だ。

創業者のJosh Guttman(ジョシュ・ガットマン)氏によると、ソフトローンチのときには、顧客の55%がミレニアル世代で、70%は女性だったとのこと。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

4万円のヘッドバンド「Muse S」で安眠できるのか実際に試してみた

睡眠はウェアラブル健康機器分野にとって次の戦場だ。スマートウォッチとフィットネスバンドが数年前に挙って手を染めたが、手首でできることには限界があった。

CESには、スマートベッドからアラームクロック、ジェルクーリング・ヘッドバンドまでさまざまなカテゴリーが参加していた。テクノロジー中毒のストレス満載な脳に一生に一度の安らかな眠りを与えるというシンプルな問題に、さまざまな会社がさまざまなフォームファクターでソリューションを見つけようとしている。

そんな中、Muse Sは私が最も注目する1台だ。理由のひとつは昨年発売されたこの会社の第1世代製品(Muse Softband)が驚くほど効果的だったことがある。瞑想が苦手だと自認している者として、この脳スキャン技術は本当に有効だ。瞑想が筋肉をほぐすのに似ているとしたら、Museのヘッドバンドはどの筋肉をほぐすかを知るために大いに役立つ。

Muse Sはその技術を睡眠以外へも拡張した。理にかなった方向だ。睡眠はマインドフルネス瞑想の論理的な延長であることに間違いない。また、両者は相互によく影響を与え合う。いい瞑想はいい睡眠を導き、その逆も真だ。

私はCES前にこの新ヘッドセットを入手し、ショウの最中に使いはじめた。厳しい試練だ。旅先で使ったのでいくつか新しいことが起きた。材質が硬質プラスチック製から布製材料に変わったことは、ヘッドセットをつけてベッドに入れること以上の違いがある(これをつけたまま寝るかどうかは個人の習慣による)。

私にとっての大きな利点は持ち運びやすさだ。分解してバッグに入れられることは私にとって実に大きい。最近出張が多く、飛行機とホテルの部屋を行き来する中、瞑想の時間をとることは容易ではない。頻繁に変わる時間帯も、もともと睡眠習慣に難のある私を大混乱に陥れる。ヘッドバンドを巻き、AirPodsをつけて、ただしばらくじっとしていることはいい習慣だ

Museアプリには、いくつかのガイド付きの瞑想・睡眠セッションがサブスクリプションによって提供されている。既存のサービスと提携するのがウィンウィンだと思うが、昨今どこのハードウェアスタートアップもコンテンツを取り扱う必要がある。セッションは概してよくできているが、個人的には音声ガイドよりも環境音のほうが心地いい。

前機種から引き継がれた欠点のひとつが、瞑想の前に校正作業が必要なことだ。問題、というほどではないが、毎朝のルーティンに余分な時間がかかるのは確かだ。

その独自の瞑想は今も私のお気に入りだ。Museが心の迷走を検知すればするほど、雨音が大きくなる。集中を取り戻すと、雨は鎮まり、鳥が鳴き始める。ゲーム的(うっとうしい用語であり瞑想の話題のなかでは特に聞きたくない)要素もあり、最後に鳥の数が知らされる。奇妙だとは思うが、Fitbitなどのおかげで自分の健康や習慣を数値化することに慣れている時代には多少意味があるのかもしれない。

私にとっては睡眠効果はまだ結論がでていない。数週間してから効果の有無をお伝えできればと思っている。私は今も落ち着かない状態で、ヘッドバンドをつけるのには慣れが必要だ。いくつか考慮が必要な点もある。例えば、ヘッドバンドは電源ライトが下を向いた状態で着用するのがベストだが、そうすると光が目に入ってくる。そこでアイマスクをすることにした。私は毎晩ベッドに入るたび、徐々にダース・ベイダーに変わっていくような気がする。彼は赤ん坊のように寝ていたのでそれもいいだろう。

Muse Sは、安いとはいえないが350ドルで買うことができる。ガイド付き瞑想サービスのサブスクリプションは約100ドル(今は割引で55ドル)。この価格は多くのユーザーにとって法外と感じるだろう。それでも私はしばらく使い続けるつもりだ。もし、薬を使わずに安眠できるようになるなら安い投資だ。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

糖尿病治療のデジタルソリューションOvivaがシリーズBで約23億円を調達

欧州で2型糖尿病治療のデジタルソリューションを提供するヘルステックスタートアップのOviva(オビバ)が、シリーズBで2100万ドル(約23億円)を調達した。MTIPがラウンドをリードした。新規投資家としてEarlybirdが、既存投資家からはAlbionVC、F-Prime Capital、Eight Roads Ventures、Partechが参加した。

Ovivaは、調達した資金を使ってテクノロジーをさらに発展させ、現在治療が受けられない多くの患者にサービスを提供し、欧州で成長を続けると表明した。同社がこれまでに集めた資金総額は3400万ドル(約37億円)となる。

英国、ドイツ、フランス、スイス、アラブ首長国連邦で過去3年間に9万人の患者を治療したと主張するOvivaは、2型糖尿病と肥満の進行を止め、さらに改善する「エビデンスに基づく」デジタルソリューションを提供している。患者は電話で一人一人にあった栄養アドバイスとコーチングを受ける。対面の治療より低コストで、良い結果にもつながると同社は述べる。

「患者の同意を得て、医師がOvivaに診断結果、ラボの検査結果、これまでの経緯、連絡先を送る」とOvivaの共同創業者兼CEOであるKai Eberhardt(カイ・エバーハルト)氏は説明する。「次に、当社が患者に直接会うか電話で連絡を取り、アプリをダウンロードするよう患者に依頼し、患者が登録すると治療が始まる。患者の状態と現地の支払い制度に応じて、通常4〜9か月間治療が続く。それ以降は、自己負担で治療を続けるか、再度医師から紹介状をもらう。ほとんどの国のガイドラインで当社の生活習慣改善のための治療が推奨されているため、通常は保険制度などから毎年支払いが行われる」。

エバーハルト氏によると、Ovivaが現在事業を展開しているほとんどの国で、患者の健康保険から医療費が支払われる。英国ではNHS(国民保健サービス)が支払う。「通常、患者が治療を受けるには医師の処方箋が必要だ」と同氏は言う。「ほとんどの場合、患者のかかりつけ医、場合によっては内分泌専門医などの専門家が紹介状を書く。患者の診断や慢性状態の定期検査の一環として紹介状を書くケースが一般的だ」。

Ovivaが患者の「目標」(体重の減少や血糖値の改善など)を受け取ると、患者は登録を行ったあと、生活習慣と病気に関するすべての重要事項の記録を取り始める。重要事項には、食事、活動、体重、症状の写真などが含まれる。 また、万歩計、体重計、血糖値測定器をアプリに接続できるため、ほとんどのデータを自動的に収集できる。

「治療中に改善したい習慣を栄養士と決める。例えば、野菜や果物の摂取量、ポーションコントロール(1食の食事量の管理)、活動レベルなどだ」とエバーハルト氏は説明する。「患者の栄養士と仲間のグループが目標達成をサポートする。モチベーションや感情面のサポートもするし、例えば低血糖や空腹感を避けるために食事のタイミングやポーションサイズを日々どう設定するのかなど、ニーズに合わせた指導も行う」。

治療過程の「行動変化の旅」の一環として、患者は栄養士とのビデオ通話を予約したり、自分の状態の管理に役立つビデオなどのコンテンツのカリキュラムを確認することもできる。

AlbionVCのパートナーであるChristoph Ruedig(クリストフ・ルーディグ)氏は、デジタル治療が医療制度のコストを削減し、患者の医療へのアクセスとその結果を改善するという説得力のある証拠があるにもかかわらず、米国に比べるとデジタルヘルス分野の「欧州での投資は極めて少ない」と言う。「Ovivaの欧州全土での迅速展開を引き続きサポートできることを嬉しく思う」と同氏は述べた。

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(翻訳:Mizoguchi

Codagenixがインフルエンザワクチンなどの治療開発で約22億円を調達

Codagenix(コーダジェニックス)は、インフルエンザから呼吸器系ウィルス、デング熱までさまざまな疾病のワクチンやウィルス治療を開発している会社だ。このほど新たに2000万ドル(約22億円)を調達した。同社の新しい調達ラウンドをリードしたのはAdjuvant Capitalで、ほかにEuclidean CapitalとTopspin Partners が参加した。

同社は「コドン脱最適化」と呼ばれる手法を用いて毒性の強い病原体を弱毒性の菌株に置き換えることによって、比較的無害な種類のウィルスとウィルス治療法を開発している。新しい資金を使って、RSVおよびインフルエンザワクチンの第一相臨床試験を行い、同社の乳ガン治療の腫瘍学プログラムを第一相臨床試験に移行すると話した。さらに同社は「放置された医療チャレンジ」と自ら呼ぶ新たしいワクチン開発プログラムを2件開始する。

「既存のワクチンのより最適化されより低価格なものを開発できる可能性を追究することでGodagenixは、既存のワクチンが著しい改善を見せながらも望まれる疾病対策をまだ達成できていない、持続する公衆衛生の課題を解決する用意ができている」とAdjuvant CapitalのマネージングパートナーであるGlenn Rockman(グレン・ロックマン)氏は語った。「同じく期待しているのが、Codagenixの技術には他の免疫研究が失敗した分野で成功する可能性があることだ。同社のRSVおよびインフルエンザプログラムの臨床開発を支援できることを誇りに思っている」。

2012年にニューヨーク州立ストーニーブルック大学をスピンアウトして設立されたCodagenixは、国立衛生研究所、農務省、および米国陸軍の支援を受けてデング熱、インフルエンザ、RSV、口蹄疫などのウィルス向けワクチンを開発している。同社はこれまでに民間非営利団体およびベンチャーキャピタル投資家から計3800万ドル、政府補助金として1100万ドルの資金を受けている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook