スマートなピルボックスを目指すMemo BoxがKickstarterキャンペーン中

ケンブリッジ大学の学生が、スマート・ピルボックスのクラウドファンディングキャンペーンを展開している。キャペーンを行なっているのはKickstarter上で、目標額は£30,000($48,000)だ。プロダクトの名前を「Memo Box」といい、Bluetoothによる接続機能をもったピルボックスとなっている。2年間をかけて開発してきたものを、いよいよ市場に出そうとしているそうだ。

このピルボックスはスマートフォンと接続する。ピルボックスを忘れて外出しようとしたときなど、AndroidないしiPhoneアプリケーションを通じて通知してくれるようになる。また蓋の開けられた時間などを記憶して、予定時刻になっても蓋が開かないような場合、飲み忘れているのではないかとオーナーに警告を送ってくれたりもする。

共同ファウンダーのMeichen Lu曰く、アラームもインテリジェントになるべきだと話している。たとえばいつもピルボックスを開くのと近い時間に開いたのなら、おそらくは薬を飲んだのだろうと考えられる。それであれば、設定時刻になったからといってもアラームを鳴らさないようにすべきだと言うわけだ。

もちろん蓋を開けたから薬を飲んだのだろうというのは仮定に過ぎない。薬を箱から出したけれど飲むのを忘れてしまったというような事態には対処できない。命に関わるような薬について、このピルボックスのアラートを完全に信頼するのは危険なことなのかもしれない。しかし、日常的なダイエットサプリメントなどの場合については、十分なインテリジェンスを持つものだと言って良いように思う。

「ダイエットサプリメントなどの飲み忘れを防ぐのに使って貰えればと思います。このMemo Boxは利便性と正確性のバランスをとったところでの機能を提供しているものなのです。薬を飲んだかどうかの判断にはベイズ推定モデルを使っていて、ピルボックスを開いたならば薬を飲んだのであろうと判断するようになっています」とLiuは言っている。「たとえば、いつもの時間よりも1時間はやくピルボックスを開けた場合にも、おそらくはちょっとした時間のぶれであるだろうと判断するようになっているのです。もちろん、正確を期すために、利用者に確認をとる場合(利用者側の操作はワンクリックのみ)もあります」とのことだ。

薬の(無用な)再摂取を防ぐ目的でも利用できる。近い時間にピルボックスを開けている場合(システム的には薬を一度摂取したと解される)、その旨を利用者に通知することができるのだ。また、インターネットに繋がっているので、薬を飲んでいないことを他の人に通知するといったこともできる。すなわち、家族がきちんと薬を飲んでいるのかどうかを確認するようなこともできるわけだ。

このMemo Boxを作ったふたりは「less is more」をコンセプトにプロダクトを生み出したようだ。薬を飲んだのかどうかについて、蓋然性に基づく判断をするための仕組みをつくりあげている。正確性を求めて高価なセンサーを用いるデバイスの対極をいくものとなっているわけだ。

「正確性を多少増すために、バランスを無視して高価なセンサーを搭載するようなことは正しいアプローチではないと思うのです」とLuは言っている。「この2年間の開発期間を経て、他プロダクトとは異なるアプローチもあるのだということを学びました。性能が高くても使い勝手の悪いものを作るよりも、自分でも実際に利用するようなプロダクトを作ってみようと考えたのです」とのこと。

Memo Boxにはボタンもついている。ボタンを押すと、アプリケーション上で次に薬を飲む時間を通知するようになっている。

さらに、さまざまなタイプの薬を入れられるようにも工夫されている。クラウドファンディングによる資金調達がうまくいけば、より大きなものも作るつもりであるとのこと。35万ポンド以上が集まれば、希望者に対してはより大きなものを提供するようにしたいとのこと。

価格は早期割引で£25となっている。出荷開始時期は来年の5月を予定している。本稿執筆時点では43日を残して58人から£1,687ポンドを集めている状況だ。

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(翻訳:Maeda, H


Googleもついにフィットネス・アプリをローンチ―Play Storeで公開中

Googleが自製のフィットネス・アプリをPlay Storeに公開した。今年6月のGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスで発表されたAndroidデバイス向けのGoogle Fit SDKを利用したモデルケースとなる。このフィットネス・アプリはごくシンプルだが、ユーザーのヘルス、フィットネス情報を一箇所に集めて簡単に閲覧、共有できる機能を備えている。

Google Fitアプリはデバイスのセンサーを利用して歩行、ジョギング、サイクリングなどの活動をモニタして記録する。ユーザーは身長と体重、それに自動的にモニタされない運動をマニュアルで入力することができる。 Android Wearスマートウォッチのようなデバイスを利用すれば心拍データもインポートできる。Appleのヘルス・アプリのライバルといえるが、UIはシンプルさを最優先してしており、アプローチとしては対照的だ。

Google Fitはまたウェブ上にFitの専用ページを用意しており、ユーザーはこのページで自分のデータを表示したり設定を変更したりできる。今後はGoogle Fitをプラットフォームとしてサードパーティーのデベロッパーが開発に参加し、さまざまな機能が追加されていくことになるだろう。次世代のAndroid OS、5.0 Lollipopとそれを搭載した新しいデバイスのリリースが来週に予定されている。おそらくはヘルス関連でもなんらかのニュースがありそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Google[x]、ナノ粒子を飲んでガン細胞を早期発見する画期的検査方法を開発中

近い将来、カプセルを飲むだけでガン細胞を発見することができるようになるらしい。Wall Street JournalのDigitalカンファレンスで、Googleのライフサイエンスの責任者、Andrew ConradはGoogleの秘密研究所、Google[x] がナノテクノロジーとウェアラブルデバイスを結合した疾病検査テクノロジーを開発中であることを発表した。

「われわれは受け身の検査から能動的な検査への転換を図ろうとしており、そのためのツールを開発中だ」とConradは説明した。このナノテクノロジーによる医学的検査はGoogle[x]のライフサイエンス部門として、糖尿病患者の血糖値をモニタするスマートコンタクトレンズ、Parkinson病患者の手の震えを軽減するデバイスに続く3つ目のプロジェクトだ。

このシステムでは疾患特有の細胞と結合する抗体で覆われたナノ粒子を利用して疾患の早期発見を行う。検査を受ける人はカプセルに入れた粒子を経口服用する。吸収された粒子は体内を循環し、異常な細胞があればそれと結合する。粒子はその後専用のウェアラブルデバイスによって「呼び戻され」、分析されて疾患の有無、種類が判定される。

「ナノスケールの『自動運転車』のようなものだ。われわれはこの粒子をコントロールして望む場所に駐車させようとしている」とConradはGoogle[x]のもうひとつのさらに大規模なプロジェクトを引き合いに出して説明した。Conradによれば、現在の医療システムは「エンジンが焼き付いて壊れてから初めてオイル交換をするようなもの」と述べた。

Bikanta’s tiny diamonds luminesce cells in the body.

Y Combinatorが支援するBikantaが開発中のダイヤモンドのナノ粒子を用いたガンの早期発見システムと同様、Googleのナノ粒子もガン細胞をMRIスキャンに写りやすくする特性を持たせることができるという。これにより今までよりずっと早期にガンを発見できるようになる。

またこのテクノロジーの応用範囲はガンの発見にとどまらず、医療のあらゆる分野に及ぶ。今日(米国時間10/28)のGoogle[x]のコメントによれば、 「動脈壁に蓄積したプラークが発する酵素を検知して心筋梗塞や脳卒中の早期発見に役立てることができるだろう。またサードパーティーがガンの手術や化学療法を受けた患者に対して感度の高い再発監視システムを開発するかもしれない。これは非常に需要の高い分野だ。付言すれば、われわれはこのテクノロジーの実用化を自ら行うことはせず、医療分野の専門企業にライセンスする計画だ。特定の疾病の検査手法の開発や安全性を確認する臨床検査などはすべてそのサードパーティーが実施することになる」という。

Conradによれば、われわれは病院に出向いて尿や血液を医師に提出する必要はなくなるという。Googleのナノ・ピルを服用し、専用デバイスを身に着けて結果を日々モニタすればよい。そのデータはクラウドにアップロードされ、医師が判定を行う。すると医師は「これまでは順調でしたが、2月ほど前からこれこれの病気の兆候が現れています」などと診断することになる。

医療分野ではプライバシーとセキュリティーがことの他重要になる。Googleはこのところアメリカ政府の要求に応じて情報を引き渡したとして非難されている。Conradは上記のように、Googleは実施面にはタッチせず、サードパーティーの医療専門企業が実用化を行うことを強調した。「(X線装置を製造している)GEが患者のX線写真を扱わないのと同じだ」とConradは例を挙げた。

ナノテクノロジーに関してはアメリカ政府もきわめて熱心で、2013年には200億ドルを研究開発に投資している。

Conradはこのナノ検査テクノロジーが10年以内にすべての医師が利用できるようになると期待している。またConradのチームは単に異常細胞を検知するだけでなく、そうした細胞を破壊する薬剤を運搬できるナノ粒子の開発も目指している。「ただし、正しい細胞を破壊するのでなければ危険なので、一層慎重な研究が必要になる」とConradは付け加えた。

現在、Google[x]では医学、物理学、化学、電気工学などの専門家100人がナノ粒子プロジェクトに携わっている。Conradは「不必要な死をできるかぎり退けるのがわれわれの目標だ」と語った。

画像:Flickr USER bfishadow

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


食物中のアレルゲンの有無を調べる一般消費者向けデバイスで6SensorLabsが$4Mを調達

合衆国では1500万人が食物アレルギーである。しかしこれまでは、食事の中に彼らが食べてはいけないものが含まれていないかを調べる簡単で確実な方法がなかった。そこで、食物アレルギー関連の症状で病院を訪れる人たちは、年間20万を超えている。

6SensorLabsはこの状態を変えるために、食物中のアレルゲンの有無を素早く簡単にチェックできる安価なデバイスを作ろうとしている。また、ユーザが自分がテストした結果をほかの人たちと共有して、どのレストランの✕✕✕なら安心よという情報を広めるための、モバイルアプリも作る予定だ。

検出すべきさまざまなアレルゲンのうち、6SensorLabsはまずグルテンを対象にする。同社のアレルゲン検出装置Canaryは来年の初めに発売され、セリアック病患者や、なんらかの理由でグルテンを避けなければならない人たちを助けるだろう。

そのセンサ装置は価格150ドル未満を予定しているが、器具の先端に取り付ける食品成分感知ユニットは毎回交換しなければならない。そっちの方の価格は、まだ未定だ。

また同社は、そのセンサ装置とペアになるモバイルアプリも提供する。そのアプリを使ってユーザは、食品を調べた結果をほかの人たちと共有し、ブランド物の加工食品や有名レストランのメニューなどの安全性を、すべての人が自分で調べなくても分かるようにする。

同社の協同ファウンダShireen YatesとScott Sundvorは、MIT在学時にこのプロジェクトを始めた。Yatesはこれまでの長年、グルテン忌避だったが、毎回一つ一つの食品を調べるのが、たいへんな作業だった。そこで彼女は、簡単なテスト器具を作ることを思いつき、化学工学のPhD Jonathan Kielの協力を求めた。

SundvorはMITで機械工学を専攻し、Yatesと組む前はJohnson & Johnsonで製品開発の仕事をしていた。二人はサンフランシスコに移り、あるハードウェアアクセラレータのところでプロトタイピングを開始した。スタートアップの初期段階を助ける投資家Lemnos Labsが彼らを支援した。また化学工学PhDのKielは、同社のアドバイザーになった。

その後同社は複数の投資家から400万ドルのシード資金を獲得し、発売を早めるために、製品開発を加速した。このシードラウンドはUpfront Venturesがリードし、SoftTech VC、Lemnos Labs、Mitch Kapor、SK Ventures、 Xandex Investmentsらが参加した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Garmin、スマートウォッチ機能を融合した新たなウェアラブルとなるVívosmartを発表

Garminがフィットネストラッキング分野に参入することは当然の流れだが、以前に投入したvivofitについて言えば期待はずれだとの評価が多かったのではなかろうか。競合するデバイスとの差別化要素が見当たらなかったのだ。そのGarminがvivosmartという新機種を投入してきた。こちらはなかなか野心的なプロダクトだと言うことができるかもしれない。

vivosmartは、外見のスマートさおよびフィットネストラッキングの性能、そしてスマートフォンとの密な連携を1台のデバイスにまとめたプロダクトだ(面白いが価格がネックだろうか)。

気になる価格は169ドル。単なるリストバンド型デバイスにも見えるが、一体型のOLEDディスプレイも搭載している。フィットネスレコードを記録するだけでなく、心拍計やアクションカメラなど、他のガーミンデバイスと連携させることもできる。

さらに、スマートフォンと連携した通知デバイスとしても動作する。すなわちテキストメッセージやメール、電話着信、カレンダーのリマインダーなどがあれば、それを通知する役割も果たしてくれるのだ。

以前のプロダクトと比して、なかなか魅力的な仕上がりになっているように思う。正直に言えば、Garminはvivofitの発売は見送り、こちらのデバイスを早期に出した方が競合優位を獲得することができたように思う。販売開始時期は11月を予定しているとのこと。価格は単品で169ドル、ないし心拍計とのセットで199ドルとなる予定だそうだ。

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(翻訳:Maeda, H


アルツハイマー病患者のためのウェアラブルでYbrainが$3.5Mを調達

アルツハイマー病患者のためのウェアラブルを作っている韓国のYbrainが今日(米国時間8/27)、Stonebridge Capitalが率いるシリーズAの投資ラウンドで350万ドルを調達し、調達総額が420万ドルになった、と発表した。協同ファウンダのSeungyeon Kimが本誌に語ったところによると、資金は同社のウェアラブル製品の臨床試験と製造に使われる。

同社は2013年に、California Institute of Technology(カリフォルニア工科大学, カルテック)で学んだ神経科学者Kyongsik Yunと、Samsung出身の技術者たちによって創業された。

Ybrainは今、韓国のSamsung Medical Centerで臨床試験を行っている。

Kimによると、同じくウェアラブルデバイスを作っているSoterix Medicalが、Ybrainの至近で直接の競合企業である。PfizerやNovartisなどの製薬企業は間接的な競合企業だ。彼によるとYbrainは、ウェアラブルの健康器具でアルツハイマー病のための臨床試験を行っている唯一の企業だ。

Ybrainのウェアラブルデバイスは一種のヘッドバンドで、前面に二つのセンサがあり、それらが2ミリアンペアの電子的信号を発して脳を刺激し、アルツハイマー病の症状を抑える。患者は自宅にいながら、このデバイスを一日に30分、週に5日装着する。このヘッドバンドは、軽度の認知症に対しても有効である。

これまでの臨床試験によると、同社のウェアラブル製品は、アルツハイマー病に対する従来の投薬治療よりも20ないし30%は効果が高い。“それが投資家を前向きにした”、とKimは語る。

臨床試験が終わり、合衆国のFDAや韓国のKFDAが承認すれば、同製品はオンラインあるいは病院で買えるようになる。

Stonebridge CapitalのアナリストFortune Sohnは、声明文の中でこう言っている: “アルツハイマー病のエキスパートの多くが、新薬の登場は2025年以降になる、と予測している。Ybrainの世界で初めての、アルツハイマー病患者のためのウェアラブルは、優れたソリューションになるだろう”。

[出典: BeTech]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


AppleはHealthKitで人間の福利全般をプラットホームのアドバンテージにする気だ

AppleのHealthKitがiOS 8にやってくるが、このソフトウェアの現在のベータバージョンに関する報道の多くは、これを空の容器として描写している。この入れ物にいずれデベロッパが、ユーザの健康データを何らかのハブに結びつけたり、ほかのアプリから提供されるデータを利用したり、ユーザの医療健康ソフトウェアやフィットネスソフトウェアに情報を提供したりするためのフックを構築していく、というのだ。しかしAppleは、誰かが何かを構築することを待ってはいない。すでに楽屋裏で同社は、Mount SinaiやThe Cleveland Clinic、Johns Hopkins(大学病院)などの大病院や、EHRプロバイダのAllscriptsなどとの話し合いを開始している、とReutersの最新の記事は報じている。

AppleはこのプラットホームのパートナーとしてこれまでにもMayo ClinicやEHRソフトウェアのメーカーEpicを発表している。しかしAppleが上位のヘルスケアプロバイダたちとの協議を、それよりもさらに拡大している現状は、AppleがHealthKitの内容についてきわめて真剣であることを物語っている。’NikeFuel’などのフィットネスデータでその空の容器を満たしても、人間の健康にそれほど本格的に貢献するわけではないからだ。

Appleが本格的な医療機関や研究機関をパートナーにしたがっていることは、大きな課題を同社にもたらすだろう。医師をはじめ、これらの専門機関の職員たちの多くがすでにiPadのユーザだが、今後iPadがますます、本格的な医療情報デバイスになってくれば、政府の規制という名の傘の下に入らなければならないし、また顧客や患者のデータを保護するための安全ネットも要求される。たとえばAppleのHealthKitが本物の医療記録を保存し、ほかのアプリに提供するようになれば、当然、HIPAAへのコンプライアンスが必要になる。

スタートアップたちが保健医療関連のソフトウェアやサービスでイノベーションを実現しにくいのも、こういったハードルがあるからだ。議会への影響力も強く、1600億ドルのキャッシュをはじめとしてリソースにも恵まれているAppleが、どこまでのイノベーションを実現できるだろうか。

そもそもHealthKitは、保健医療関連の規制に触れる部分を今および今後あちこちに分散させたくない、一箇所に閉じ込めたい、という動機から設計された。その初期にAppleがFDAと協議したのも、HealthKitに政府方面から要求されるであろう要件について、打診するためだった。

HealthKitが本格的な医療目的に役立つようになるためには、今後の時間と投資が必要だが、そうなったときにAppleが獲得する利益は巨大だ。Googleなどの競合他社がせいぜいフィットネスのハブのような機能(Google Fit)を提供している中で、Appleはユーザに、そんなささいなものではない、生涯の本格的な福利(wellbeing)のためのデバイスとシステムを提供できることになる。そうなるともう、カメラが良いとか、画面が大きいとかの、従来までの競合要因は、どうでもよいものになってしまうのだ。

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ベッドのマットレスでスタートアップしたCasperがついにシリーズA、$13.1Mを獲得

ベッドのマットレスの作り方と売り方を抜本的に変えたい、と考えているCasperが、New Enterprise Associatesが仕切るシリーズAのラウンドにより1310万ドルを調達し、総資金額が1500万ドルになった。

成功しているeコマーススタートアップの定石に倣ってCasperも、良質なマットレスを中間コミッションなしでなるべく安く売りたい、と考えている。

Casper社を作った連中は、共同作業所のような環境でソフトウェア開発の仕事を体験し、ほかの人たちと同じく、寝られないという体験をした。それはハッカソンなどで徹夜のプログラミングをやったせいかもしれないが、そんな環境こそ、ちょっとでも良く寝れるということが、健康と仕事の効率の両方にとって重要だ。

Casperのマットレスは、メモリフォーム(形状記憶気泡材)の上にラテックスフォームを重ねて、両方の素材の良い点を利用する。スプリング等がないので、圧縮すると嘘みたいに小さくなり、送料が安くなる。Casperは、送料無料だけど。

完全に、Made in USAである。

CEOのPhilip Krimは語る、“Casperを、透明性の高いマットレスのブランドにしたい。正直な価格、消費者を混乱させる、多様性のための多様性にすぎないSKUのバラエティがないこと、ビジネスのやり方全体を通して、消費者の目に隠された部分がないこと”。

Casperは、高品質なマットレスを安く売るだけでなく、マットレスを買う人たちのための顧客サービスの体験から、今後のための貴重な情報を得たいと考えている。だからCasperのマットレスは、100日間の無料試用、という形で買うこともできる。

Casperは売上を公表していないが、立ち上げ後の最初の28日の売上が100万ドル、そして4月以降は毎月、前月を上回っているそうだ。

最近は同社の投資家Ben Lererを、取締役会に加えた。

今後は、そのほかの睡眠関連製品、枕カバーや枕、目覚まし時計なども作っていきたい、と考えている。

“寝室にあるものなら何でも、それを作ってくれと言われたことがある”、とKimは言う。“マットレスにつぎ込んだのと同じユニークなイノベーションを、今度の資金でほかの製品にも試み、機会を探究することができる”。

Casperについてもっと知りたい方は、ここへどうぞ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


YC育ちのBikanta…ダイヤモンドの粉塵が微小段階の癌を正確に見つける

【抄訳】

Y Combinatorが支援するバイオテク企業Bikantaは、小さな蛍光性のダイヤモンドを体内に入れることによって、がんをその発生箇所で退治することを目指す。オックスフォード大学で生物医学工学の博士号を取ったドクターAmbika Bumbが創始したこのスタートアップは、ナノサイズのダイヤモンドを使って、がんのうんと初期の時点で分子レベルの異状を見つけ、その拡大を抑止する。

Bumbはオックスフォード大学における博士課程終了後の特別研究を、国立衛生研究所(National Institute of Health, NIH)との共同研究として行っていたが、そのときに、現在のがん検診技術の限界に不満を抱いた。現在の方法では、やがて微小転移腫瘍に導くような小さな腫瘍、いわゆる遊離腫瘍細胞を見つけることができない。しかしそれを見逃すと、やがてそれはがんとして体のほかの部分にも広がるのだ。Bumbによると、そういう微細レベルの発見ができない原因として、信号の損失ないし喪失、背景的な妨害要素が大きいこと、有効な試薬の毒性が許容レベル以上であること、などが挙げられる。たとえばBumbの方法以外にも二つある蛍光光学方式の一つである量子ドット(quantum dots)は、カドミウム系の化合物を使うため有毒である。

世界保健機構(World Health Organization, WHO)によると、世界のがん患者は今後の20年間で57%増加する。したがってがん検診の受診者は年間1400万人から2200万人に増加する。それらのがん検診で毎年、小さな遊離腫瘍細胞が見逃されれば、防げたはずの死者が発生する。それはもっぱら、今の方法ではそんな腫瘍細胞が形成された時点で、見つけることができないからだ。

【中略】
〔これまでの光学的方法や蛍光素材の限界や制約〕

ナノダイヤモンド(ナノサイズのダイヤモンド)に関してBumbは、不完全なダイヤモンドをダスト(粉塵状)に破砕すると蛍光を発し、その反射により分子の異状を目立たせることができることを、発見した。“それはまるで体の中にフラッシュライトを入れたようなもので、しかも永続性がある”、とBumbは言う。永続性のある無毒な光源物質は、これまでの市場には存在せず、したがって画期的だ。

ナノダイヤモンドには磁気に感じる性質*もあり、その性質は組織内部の画像をより精細にとらえることに利用できる。初期のテストでは、蛍光性のナノダイヤモンドを使用すると、インヴィヴォ(生体内)でのSN比が従来の素材の100倍に改良された。利用技術の完成度が上がればSN比はもっと上がる、とBumbは言う。今この技術はリンパ節の視覚化に利用されているが、それはこれまでの画像技術では可視化が不可能だった。〔*: magnetic sensitivity, この記事の原文にはBumb本人がこの件でコメントを寄せている。〕

ナノダイヤモンドの精細な可視化特性は、がんの発見を超えて、精密な機械化手術にも利用できる。もちろんそのような手術は、がんの破壊にも利用できるだろう。これまで研磨材などに使われていたナノダイヤモンドには固まる性質があったが、Bikanta社のものは分離状態を維持し、液中での浮遊分散も安定している。しかも目的物質(アプタマーや抗体など)との結合性が良い。ということは、将来的には何らかのナノダイヤモンド製剤によりいろんな疾病の発見ができる可能性がある。今ナノダイヤモンド素材は体内の分子レベルの異状の発見に役立とうとしているが、今後は異状の予防にも貢献するだろう。

Bumbは曰く、“一人のお医者さんが一日に10人の患者を救っているとすると、100人のお医者さんの役に立つ技術を作り出す技術者は、一日に1000人の患者を助けることになる”。

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「職場エクササイズ」は普及するか? デスク下でペダル運動をするCubii登場

椅子に座った状態でデスクワークばかりを行うのは非常に身体に悪いのだそうだ。しかしスタンディングデスクに移行するのもさほど簡単ではない。自分ではスタンディングデスクを利用しているが、確かに座っている方がらくに感じる。しだいに慣れてくるものではあるが、それでも1日中立っているとふくらはぎや足の裏なども疲れてしまう。

そんなあれこれに対処するために登場してきたのがCubiiだ。オフィスで使っているデスクの下において使う、ペダル型のエクササイズマシンだ。仕事中でも単に座っているのではなく、ペダルを踏んでエクササイズを行おうとするものだ。

このCubii、見かけも仕組みも非常にシンプルなものではあるが、確かに機能デザイン的には十分な配慮もなされているようだ。たとえば一般的なペダル型エクササイズマシンと異なり、あまり膝を高くあげる必要がないようになっている。これはもちろん、仕事用デスクを裏から蹴飛ばしてしまったりしないようにと考えてのことだ。

またBluetoothにも対応していて、専用アプリケーションと通信を行うようにもなっている。すなわち、現代のフィットネスデバイスらしく、行ったエクササイズはきちんと計量できるようになっているのだ。

製作したのはシカゴのメーカーで、Kickstarterでのキャンペーンに持ち込んだ。まだ若干のキャンペーン期間を残しているが、無事に目標出会った8万ドルの資金を調達し、市場投入への第一歩を踏み出している。

Kickstarterでの早期割引は279ドルだったが、これはすべて申し込み終了となっており、現在の価格は299ドルとなっている。出荷開始は来年の1月を予定しているとのことだ。新年の誓いを忘れないうちにフィットネスを始めることができるかもしれない。

技術的にはとくに細かくみておく必要がある部分はなかろう。新しい仕組みを採用しているというわけでもない。ウォーキングデスクの導入は考えられないが、しかし職場でもエクササイズをしたいという人を対象としたデバイスだ。もちろん座り続けることの健康被害は意識しつつ、しかし一日中ずっと立ってはいられないという人にむけたソリューションでもある。

ところで以下は余計な話だ。Cubii製作チームが言うように、スタンディングデスクには高価なものが多い。しかしそれはおしゃれなメーカー品を望むからだとも言える。たとえば19ドルでイケアのコーヒーテーブルを買って、足の長さを調整して既存の机の上に乗せて使ったりしても良いわけだ。これであれば予算はかからず、なかなか快適に使うことができる(写真は私のスタンディングデスクだ)。

スタンディングデスク化すれば、机の下を物置に使うこともできるのが便利な点だ。たまりにたまったガジェット類をダンボールに詰めて、それを置いておくのにベストな場所だと思う。

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(翻訳:Maeda, H


Google、製薬大手のNovartisと提携―血糖値測定コンタクトレンズなどを5年以内に実用化へ

Googleは大手製薬会社のNovartisに対して血糖値を測定できるスマート・コンタクトレンズのテクノロジーをライセンスしたことを発表した。このコンタクトレンズが実用化されれば、糖尿病患者が苦痛なしに連続的に血糖値をモニタできるようになる。今後の開発はNovartisのAlconアイウェア事業部が担当する。NovartisのCEO、Joe JimenezはFinancial Timesのインタビューに答えて、「商用化に5年以上かからないよう期待している」と述べた。

GoogleとNovartisはまた別種のスマート・コンタクトレンズの開発でも協力していくという。これは現在、2焦点の遠近両用眼鏡を必要している人々がコンタクトレンズを利用できるようにする自動焦点調節機能を備えたコンタクトであるらしい。

有力テクノロジー企業が次々にヘルス、医療分野に参入する中で、今回明らかになったGoogleのアプローチは全く異なるものだった。NovartisのCEOはFTに対して、Googleの支援によって開発される血糖値測定や自動焦点調節機能を備えたスマート・コンタクトの市場は年間100億ドルから10年後には500億ドルにも上るだろう(アメリカの糖尿病患者数は増加を続けている)と述べた。

Googleの血糖値測定センサーとワイヤレス・チップの研究はマスコミに大きく取り上げられたが、本当に巨大な市場となる可能性が高いのは視力補正のスマート・コンタクトだ。もしGoogleが現在のデジタルカメラに備わっているようなオートフォーカス機能を備えたコンタクトレンズの開発に成功するなら、遠視、近視など目の焦点調節能力の障害の度合いに応じて、また読書や運転など用途に応じて多種類の固定焦点レンズを必要とする現在の不便が一挙に解消される。誰もが一種類のコンタクトレンズですむという理想的な解決策が得られる。

視力補正アイウェアは現在アメリカで100億ドルの市場となっている。Novartisとの提携でGoogleはこの市場で強力な地位を築くことを狙っているようだ。

〔日本版〕ラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリンがGoogleを語る―ヘルス分野は規制が重荷、手を広げすぎた方が実は効率的という記事で、ラリー・ペイジは「ヘルス分野は規制が煩瑣過ぎる。参入するするには苦労が大きい。私が長時間を費やしたいようなタイプの仕事ではない」と述べたため、Googleのヘルス医療分野に関する今後の戦略に注目が集まっていた。Googleは規制のクリアや販売、サポートという膨大な手間のかかる非テクノロジー的作業にリソースを費やすことを避け、十分なノウハウを蓄積したNovartisのような有力パートナーにそれを分担させるというアプローチを取ったようだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


薬の服用を忘れないようにする警報機能つき薬瓶のAdhereTechが$1.75を調達

電脳薬瓶(スマートピルボトル)を作っているAdhereTech が今日、シリーズAで175万ドルの資金を調達したことを発表した。投資家の名前などは、公表されていない。

同社はこの資金を同社の保健医療サービスの規模拡大に充てる。また、次世代の、より小型のピルボトルを開発する。それは、従来製品よりも小さくて安くて大量生産がしやすい製品になる、という。

AdhereTechが特許を保有するデジタルピルボトルは、患者が薬の服み忘れをしないようにする。薬を飲み忘れたら同社のWebサーバからテキストメッセージが送られてくるし、それでもだめならライトが点滅したり、チャイムが鳴ったりする。そういうアラートやメッセージへの患者の対応がおかしかったら、ケースマネージャが駆けつけるようにも設定できる。携帯やスマートフォンだけでなく、固定電話で通知が来るようにもできる。

AdhereTechは昨年から、The Walter Reed National Military Medical Center(国立ウォルター・リード陸軍病院)で、患者が臨床的に参加する薬学研究のためのパイロット事業を開始した。この夏その事業は拡大され、製薬企業や有力な研究機関も参加する。

また同社はアラバマ大学と共に、スマートピルボトルに対する2つ目の特許を取得して、それにより送信系を改良し、製品の知財保護をより強化できることになった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


すべての種類のエクササイズ/トレーニングに使えるジムトラッカーBeastがIndiegogoで資金募集中

最近は、ジムでやるトレーニングの状態や成果を教えてくれるハードウェアがいろいろある。たとえばPushStrength本誌記事)やGymWatchは、あなたがウンウン言いながら筋トレのためにウェートを持ち上げているときの、いろんな種類の測度を教えてくれる。

新たに登場したBeastは今、 Indiegogoで6万ドルを募集している。

これまでの類似製品と違うのは、このちっぽけなデバイスが、何種類かの〜〜ではなくて、すべての種類のエクササイズに使えて、状態や結果をリアルタイムで表示することだ。だからこれは、あなたのモチベーションを上げ(あるいはキープし)、またリフトなどをするときの間違った体の動きを防ぐ。

イタリアのミラノで生まれたこのセンサデバイスは、磁石で各種のウエート(ダンベルなど)やジムのマシンに貼りつき、またボディエクササイズのときは、ユーザは特製のBeast Vestを着用する。データはスマートフォンに送られて表示や記録をされる。

Beastは、あなたが今やってることの各種測度(スピード、パワー、重量、回数、体の動く方向、などなど)をリアルタイムで教えてくれる。スマホに表示させたい測度を、ユーザは指定できる。休憩時にそれまでの結果をチェックするためのアプリも、同梱されている。それを見て、いろんな反省ができる。Beastとそのアプリを使えば、ウエートの重量なども、今のあなたの状態に合ったものを教えてもらえる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


植物卵のHampton Creekが世界最大の植物データベースを構想: “これまでの農業や食品産業は植物の知識が貧しすぎる”

Hampton Creekが作っている植物性の卵”Just Mayo”が、今週から1ドルショップ〔≒100円ショップ〕Dollar Treeでも買えるようになり、まずそれはサンフランシスコ都心の9万平方フィートのお店に登場する。それだけでなく同社はこのほど、Googleの中心的なデータサイエンティストDan Zigmondをスカウトした。その理由は?食品産業の全体をかきまぜる(スクランブルする)ためだ。

Zigmondは過去8年間、YouTubeとGoogle Mapsで複雑なデータと格闘してきた。彼がこれからやりたいのは、Hampton Creekで世界最大の植物のデータベースを作ることだ。そしてそれが結果的に、アメリカ人の食生活に大きな変革をもたらす、と彼は考えている。そこで、まず…

Google Mapsのスペシャリストとアメリカ人の肥満と何の関係があるのか?

Googleの本職のデータサイエンティストとマヨネーズ会社が“アメリカ的食生活”(Standard American Diet, SAD)を変える、といっても、ぴんとこない人が多いと思われるが、Hampton CreekのCEO Josh Tetrickによると、Zigmondにはそれができる、という。“Danは膨大な量のデータを分析して、そこからいろんなリアルな関連性を見つけ出す天才だ”。彼の言う“リアルな関連性”とは、そのデータベースを見るとどの植物がわれわれの惑星上に起きている変化に影響を及ぼしているのかが分かる、という意味だ。

私たちは、ジャンクフードを食べ過ぎている。もっと、植物を摂らないとだめだ! 最新のUSDAの調査〔合衆国農務省〕によると、アメリカ人は畜肉、精製穀物、そして不健康な脂肪の摂り過ぎだ。

アメリカ人の肉類の消費量は減っている、という研究データもあるが、でも世界全体では肉の消費は増えている。それは世界人口の底辺部分の栄養状態が良くなり、世界の経済が良くなりつつあることの兆しでもあるが、しかし同時にそれは、環境への負荷と健康被害が増大していることを意味している。 アメリカなど先進国の畜産業も、この点では威張れない。Wired誌の上記の記事が描いている動物虐待やアニマルライト(animal rights, 動物の権利)の問題をしばし忘れるとしても、われわれのハンバーガーの中にある1/4ポンドのビーフパティを作るために5〜6ポンドのコーンと52ガロンの水と、1000BTU以上の化石燃料が必要であることを、考えてみよう。

コーンや大豆製品の過剰消費がアメリカ人のウェストラインを大幅に増やしている。健康的な有機栽培の果物よりも、精製食品や加工食品の方が安いから、そうなるのかもしれない。20世紀前半の大恐慌時に制定された合衆国農業法は、農家によるコーンや大豆など特定作物の増産を奨励している。この法は、りんごではなく、ポテトチップやキャンディーバーの味方だ。

肥満と低所得との相関性は、否定できない事実だ。スーパーで安く買える食品はカロリーばかり高く、全体的な栄養価は低い。そういう食品は、農業法が奨励しているコーンや大豆が原料であることが多い。合衆国では成人の1/3が肥満だから、およそ1億あまりの人びとが糖尿病や心臓病の高いリスクを抱えている。2008年には、国民の年間の医療費の合計が1470億ドルという天文学的な額に達した!

世界最大の植物のデータベースを、こういった問題の解決に資する形で作ることは、けっして容易ではない。世界中の既知の植物種は870万以上ある。種(species)の下の変種(variety)のレベルで数えると、その数はもっと膨大だ。

世界最大の植物データベースと世界的飢餓との関係

国連の食糧農業機構(Food and Agriculture Organization, FAO)によると、毎晩飢えてる状態で床につく人は10億人以上いる。人間が家畜に与えている食糧の量は、この人たちが食べている量よりも多い。多くの土地を、家畜のための食糧ではなく人間の食糧のために使えば、途上国の人たちも主食となる食糧を、安く豊富に手に入れることができる。

工場的農業は食糧生産の大企業による独占や寡占状態を作り出し、大量の廃棄物と、主に除草剤による土壌汚染と、労働者たちの低賃金労働と、抗生物質が効かない病原を作り出し医療費高騰の原因にもなっている。Hampton Creekがこのデータベースの効用として構想しているのは、世界各国の農家や農業行政担当者たちの植物知識の増大と詳細化により、新たな換金作物がたくさん見つかり、農業地域における作物種生態系の多様化、すなわち自然環境の健康化をもたらし、ひいては地球全体の環境を良くしていくことだ。今のアメリカの農業のような大規模単作(膨大な土地面積がコーンならコーンだけとか)とは、対極の姿だ。そうなれば多様な農作物の低コストで健康的な栽培が可能になり、世界中の農家が家族を養えるようになり、小規模農家のコミュニティが栄え、しかも、消費者の健康にも貢献する。

データを読み解く

同社の研究チームは、これまでに4000種の植物を調べ、Hampton Creekの今の製品に適した粘稠度、味、および低費用性を備えた13種を選び出した。Tetrickはこう言う: “卵をスクランブルするんじゃなくて、植物をスクランブルして、正しい性質をもった種を探した”。

Hampton Creekは主にマヨネーズで知られているが、卵抜きクッキーの生地も売っている。近く、スクランブルエッグの味のするスクランブルピー(pea, 豆)も売り出す予定だ。 Tetrickによれば、その世界最大の植物データベースがあれば、今のような卵代替製品だけでなく、もっと製品を多様化できる。たとえば、砂糖の摂取量を減らすことのできるおいしい甘味料も、まだ市場に出ていないさまざまな植物から作れる。

同社のもう一つの目的は、安価に買えて日常的に常食できる食品を提供することだ。しかもそれの栽培〜生産が地球の環境に貢献するものでなければならない。“今回100円ショップに出したのも、そのためだ。うちのおやじなんかが、いつでも気軽に、何も考えずに買えなければ、いくら健康的とか言っても意味ないからね”、とTetrickは言う。“今のような、値段の高い健康食品は、多くの人の健康に貢献していない”。

データを売る

Zigmondを招いて世界最大の植物データベースを作ることになれば、Hampton Creekは、植物の食品適性に関する膨大で詳細な知識を入手することになる。だから今後の製品開発においても、断然有利だ。直接の商品化適性だけでなく、ほかの動物や環境への影響についても、分かるようになる。

たとえば今のTetrickは、カナダ黄色豆のある変種が、同社の植物卵に合った物理性を持っていることを、知っている。つまりその豆は、粘稠度が同社の製品に合っているのだ。でも、そんな豆の存在をたまたま知るのではなく、世界中の種からいろいろ見つけ出すことは、今の同社にもできない。カナダ黄色豆だけでも、変種は2000種類以上あるのだ。

すべての植物の食物(食品)適性について、網羅的な知識が得られるようになると、より安くて、より安全で、より健康的な製品を作りやすくなる。大企業が大金を投じてそんな知識を取得するのではなく、それは世界中のどんな農家でもアクセスできる情報でなければ意味がない。Tetrickはすでに、いくつかの食品大企業と、そのデータベースのライセンスについて話し合いを始めている。

“どこかの大企業がうちに10億ドルを出して、そのデータベースの権利を買い取ろうとしても、ノーと言うだろう”。同社の研究資金はすでに3000万ドルを、Bill Gates FoundationやFounders Fund、Google Venturesなどから得ている。現在の同社は、すでに経営が黒字だ。 同社の”Just Mayo”製品は、全米のWhole Foods、Safeway、Costco、それに今度からはDollar Treeで売られている。

中でもとくにDollar Treeが、“うちのおやじでも気軽に買える”という意味で、同社のねらいにぴったり合っている。Tetrickが、大手食品企業に対して情報を積極的に開示しているのも、健康的な食品の安価な日常化大衆化が彼の中心的なビジョンだからだ。Tetrickはその植物データベースに、日常的な食品に含まれている植物のデータも入れたい、と考えている。今のように、健康と財布を秤にかけながら健康食品を買うのではなく、究極的にはすべての食品が安価で健康的な食品になるために、その網羅的悉皆的な植物データベースが、全農業、そして全食品産業のために、役立つだろう。“世界を変えるほどでっかいものを作りたいんだ”、というTetrickと、そしてZigmondは、どちらもそれにぴったりの役柄だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


三代目歯医者が睡眠時無呼吸症候群の理想の治具を開発、自己の人生観もポジティブに

1800万人以上のアメリカ人が睡眠時無呼吸症候群の患者だと言われる。それは睡眠中の呼吸障害だが、睡眠の質を損なうだけでなく、脳卒中や心筋梗塞、 鬱血性心不全、高血圧症などのリスクを増す。

手術以外の治療法としては、持続的気道陽圧法(シーパップ(CPAP)療法)、一種の固定具のような口内器具などがある。しかし口内器具の多くは大きすぎて、耳の下の側頭下顎骨関節に苦痛をもたらす。

ソウルの歯科医Seungkyu Leeは、それまで多くの睡眠時無呼吸症候群患者の悩みや苦しみを見てきて、もうちょっとましな口内器具を作ろうと思いたち、10年間におよぶ研究開発の結果、QT33と呼ばれる十分に小型の器具を完成させた。そしてLeeのスタートアップdomobioは最近SparkLabsのアクセラレータ事業を終了し、合衆国での発売を目指してFDAの承認を待っている。QT33はすでにカナダではSNR.Xという名前で200の診療所が採用している。

QT33は韓国と中国とヨーロッパで特許を取得しており、素材として歯科矯正用の樹脂を使用、チタン合金製の小さなファスナーが前歯の裏側にある。患者が口を開けたり、顎を横にずらすと、そのファスナーは外れるが、ファスナーが閉じているときには、下顎を睡眠時に正しい呼吸ができる位置にキープする。

QT33を作る前にLeeは、患者に対して当時人気の高かった口内器具SomnoMedを使っていた。しかし一部の患者が顎の痛みを訴えたので、もっと薄くて簡単にカスタムメイドできる器具を作ろうと決意した。QT33の作成のために患者は、10分間のセッションに二回付き合うだけだ。最初は、歯の型を取る。そして次は、出来上がった器具が自分に合うことを確認する。一人の技士が1日に3つのQT33を作ることができる。そのほかの口内器具は、1日に一つがせいぜいだった。

QT33の現在のバージョンは約2000ドルするが、韓国ではすでに1500名の患者が使用している。

多くの睡眠時無呼吸症候群の患者に出会ってQT33を作ろうと決意する前のLeeは、歯科医は単なる仕事だ、と思っていた。父も祖父も、同じ職業だったのだ。

“親子三代90年も歯科医をやってる家だから、歯医者は生きていくための仕事にすぎなかった。でも睡眠時無呼吸症候群の患者に接するようになってからは、本当の、心からの感謝に出会って、考えが変わった”、とLeeは語る。

“夜寝ることなどは、当たり前のこと、と思っている人が多い。でも、それが当たり前ではない人もいるんだ”、と彼は言う。“睡眠時無呼吸症候群の患者は、すごく苦しんでいる。生活のクォリティを傷つけられているから、生きてること自体がつらいんだよ”。

QT33について詳しく知りたい人は、Leeにコンタクトを: sk.lee@domobio.co.kr

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Fitness関連アプリケーションの利用率は、他ジャンルを87%上回る速度で成長中

最近リリースされたFlurry Analyticsのレポートによると、2014年になって、健康およびフィットネス分野のアプリケーションが他ジャンルのものと比べて急速に伸びているのだそうだ。調査は6,800のiPhoneおよびiPadアプリケーションを通じて行われた。その調査によると、全体の利用率の伸びが33%であるのに対し、健康およびフィットネス分野のものは62%の伸びを示しているのだそうだ(セッション数比較)。成長速度が、他ジャンルのアプリケーションに比べて87%上回る計算になる。

AppleおよびGoogleも、フィットネス系アプリケーションとウェアラブルを連携させるエコシステムの拡大を目指している。HealthKitGoogle Fitを通じて、ウェアラブルデバイスのデータは簡単にシェアできるようになり、さらにそのデータを加工するアプリケーションなどが作りやすくなる方向性がある。

今年の後半になれば、そうしたプラットフォームを活用したプロダクトが登場することとなり、さらに関連アプリケーションの開発が進むことになるだろうと思われる。但しAppleはiOS 8で利用可能となるHealthKitおよびHealthの登場を待つだけでなく、最新の広告では、既に利用可能な健康管理ないしフィットネス関連のアプリケーションを紹介している。

Flurryのレポートでは、健康およびフィットネス分野アプリケーションの利用者につき、さらに詳細な分析を試みている。それによると中年女性が主要なターゲットであると言えそうで、全体の平均よりも3倍の頻度でこの分野のアプリケーションを利用していることがわかる。主要利用者層のうち62%が女性で、とくに25歳から54歳の層が平均より多く利用している。

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(翻訳:Maeda, H


匿名で皮膚病(および性病)の診断を受けることのできるFirst Derm

First Dermは皮膚の様子を写真にとり、それに基づいて匿名で医師に相談することのできるアプリケーションだ。

スウェーデン発のこのアプリケーションが最初にリリースされたのは2009年で、当初は性病(STD)を対象とするものだった。発疹、腫れ物、できものなどや、あるいは痣などの写真を撮って報告するものだった。

ただ、性病専門のアプリケーションでは、口コミによる展開があまり期待できないという状況もあった。そうした状況を受けて、First Dermは性病以外の皮膚病にも対応することにしたのだ。

但し、ファウンダーのAlexander Borveによると、今でも70%以上が下半身関連の相談なのだそうだ。

病状を相談するには、2枚の写真を撮影する。ひとつはクローズアップで、ひとつは全体が入るようにしたものだ。そしてオンラインで提供される投稿フォームに必要事項を入力して送信する。するとデータはFirst Dermと提携する医師に送られ診察してもらうことができる。費用は40ドルだ。

実のところ、値段は保険に入っている場合の自己負担額より高額だ。費用には匿名で受診できるメリットと、病院に出かけて行って待合室ですごさなければならない時間の分も含まれていると考えれば良いだろう。

診療結果は、ほんの数時間で得られることもある。First Dermは、24時間以内に診療結果を戻すことを保証している。これまでの相談内容では、70%程度が適切な薬品を利用することで治るもので、30%ほどが対面による医師の診断を必要とするものだった。

アプリケーションを利用するのに、個人情報を入力して利用者登録をする必要はない。メールアドレスやFacebookを利用したログインも必要ない。外部サービスと何ら連携することもなく、匿名で利用することができる。

アプリケーションのダウンロード数はこれまでに1万件に達し、1月に提供を開始して以来、1000件の診療が行われたそうだ。

どのような病気が診療の対象となっているのかについては、こちらに一覧が掲載されている。

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(翻訳:Maeda, H


Appleのスマートウォッチは10月デビューか―2.5インチ曲面ディスプレイでワイヤレス充電

Reutersの記事によると、Appleは早ければ10月にスマートウォッチを発売する。これに備えて7月にも量産が開始される。このスマートウォッチのスクリーンは直径2.5インチ、やや角ばった形状で、バンドから少し浮き上がったアーチ型だという。またタッチ機能、ワイヤレス充電機能も備える。

記事によれば、Appleは発売後最初の1年で5000万台の販売を予定している。OEM生産に当たるのは台湾のQuantaコンピュータ社で、同社は現在小ロットの試作を行っている。試作バッチのディスプレイはLGが供給している。このスマートウォッチはSamsungのGear 2のものに似た心拍計を備えているという。

Appleがこの秋にスマートウォッチの発表を準備しているという情報は業界に広く知れ渡っているが、今回権威あるニュースメディアによるさらに具体的な報道が追加された。今月、日本の大手経済紙、日経もAppleはスマートウォッチを10月に発表すると報じた。この記事では曲面OLEDディスプレイが採用され、健康モニタ関連の機能が提供されるとしていた。これはReutersの記事の「アーチ型のディスプレイ」という情報と一致する。

一般的に言って、Appleが新製品の発表を控えて量産に入ると、製品の詳細に関する情報が次々にリークされる。新しいiPhoneのローンチの際も同様だった。そうした前例も考慮すれば、最近のAppleのスマートウォッチに関する情報もかなり確度が高いと考えられる。

Appleが角型のディスプレイを採用したというのが事実ならそのデザインはこれまでも噂されてきたように、NikeのFuelBandに近いのかもしれない。しかしデザインに関してはまだ十分に信頼できる情報は出ていない。ただし、スマートウォッチがAppleが秋に一般公開を予定しているiOS 8のHealth機能と連携することは間違いないだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Apple CEO、ティム・クックはiWatchの細部に興味がない(NYT紙)

Apple CEO Tim Cookは、今日(米国時間6/15)のNew York Timesにその人物像が取り上げられ、彼の経営者として、および人権・環境問題への取り組みに関する背景が詳しく紹介された。しかし、そこにはさらに、噂されるiWatchプロジェクトに関する情報も載せられている。どうやって作られているのか、いつ販売されるのか。

Cookは、前CEO、スティーブ・ジョブズと比べと、製品開発に直接口を出さないと言われている。ジョブズは、新デバイスのごく些細な部分にさえ狂気じみた関心を示したことで知られている。iWatchについて、NYTの情報源は、Cookは製品開発の細部に関する責任を、他の幹部、例えばデザイン責任者のJony Ive等に委譲することを好むと言う。

そしてCookは、心拍等の重要な生命信号の監視能力や、どうやってそれが、医療を情報に基づいた効果的なものにするのに役立つか等、iWatchの「巨視的意味あい」に集中していると言われている。これを踏まえれば、HealthおよびHealthKitが、消費者にiWatchが届けるものの中で重要な部分を占めると予測することは理にかなっている。

Apple自身はその開発の事実さえ認めていないが、来たるべきiWatchに関する最新情報が記事に書かれている ― NYTの情報源によると、第4四半期中に発売されるらしい。これは、9月に新しいiPhoneハードウェアと共に発売されるとする予想や、日本のビジネス紙、日経による10月単独発売説などの過去の噂とも符合する。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


肥満の犯人である飲み物をチェックする電脳コップVessyl

あなたは、痩せる努力をしたけど効果がなかった、という経験をしたことある? 言われたとおり、お肉もチーズもパンも減らして、とっても健康的になったけど、体重は1ポンドも減らなかった、なんて。そうなる犯人は、飲み物であることが多い。そもそも、飲み物がカロリー源であることを自覚しない人が多いし、だから毎日飲み物から何カロリー摂っているかなんて、誰も考えない。

というわけで、Vessylが登場する。CEOで協同ファウンダのJustin Leeは、7年間の研究開発の成果として、飲み物用の電脳コップを作った。それは、あなたが消費した飲み物の量だけでなく、その飲み物に含まれていたカロリーも計測する。

この、センサをたくさん搭載したコップは、その中身を分子レベルで測定し、マックフルーリーと水とコーヒーとワイン、などなどの違いを教えてくれる。私はシロップも試してみたけど、まあはんぱじゃなかったわね。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

Vessylにはカロリーの測定のほかに、Prymeと呼ばれるユニークな機能がある。これはユーザの一日の水分摂取量(補水量)とエネルギーレベルを測る。コップの側面のLEDが、水の摂取量が足りないとか、ちょっと冷たいものを飲んでもよい、などと教えてくれる。

VessylのデザインにはYves Beharも関わった。彼のことは、聞いたことがあるだろう。Jawbone UpやJamBoxのデザインにも加わり、現代を代表するデザイナーの一人だ。

Vessylを作っている会社Mark Oneの今後のプランは、コップだけでなく、お皿、お椀、ワイングラスなどなど、食器一式をすべて電脳化することだ。 そして家族全員を測定する。今のところは、Vessylの売り込みで手一杯だが。

Vessylの予約価格は99ドル、発売後には199ドルになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))