病気概要など医師の定型説明箇所を動画で効率化するインフォームド・コンセント支援クラウドのコントレアが1.4億円調達

病気概要など医師の定型説明箇所を動画で効率化するインフォームド・コンセント支援クラウドのコントレアが1.4億円調達動画を活用したインフォームド・コンセント支援システム「MediOS」(メディオス)を提供するコントレア(Contrea)は11月16日、プレシリーズAラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権発行による総額1億4000万円の資金調達を完了したと発表した。引受先はCoral Capital、千葉道場ファンド、個人投資家。調達した資金は、システムおよび動画コンテンツの開発強化、営業・マーケティング体制の強化にあて、2024年の医師の働き方改革に向けた医療現場のDXを推進する。

インフォームド・コンセント(医療従事者が患者に診療目的・内容を説明し患者の同意を得ること)の内容には、病気の概要や治療方法、合併症など前提となる知識を伝える「講義」の部分と、患者の気持ちのサポートや意思決定の支援、質疑応答などの「対話」の部分にわけられるという。

医師はどちらも口頭で説明するものの、医療知識を有さない患者への説明では多くの時間を要するため、がんなどの場合では1時間以上かかることも少なくないそうだ。その結果、厚生労働省の調査では医師の時間外労働の発生原因の第3番目に「患者への説明対応」が挙がるなど、全国的な課題として顕在化している。

一方、患者側は時間をかけて説明を受けても、「講義」の部分は専門性が特に高く一度で理解することは容易ではない。「対話」の部分にたどり着く頃には頭が「パンク」していることがあり、その場では質問が浮かばずに帰宅してから聞きたいことが出てくることもある。コントレアは、インフォームド・コンセントにおいて、医師・患者の双方に課題があると指摘する。

同社のMediOSは、「講義」ではなく、患者との「対話」に注力できるようにするための、医師・患者間のコミュニケーション支援システムという。病気の概要や治療方法・合併症などの「講義」に該当する部分は患者個別性が少なく、医師にとっては標準的で繰り返しの説明となるため、MediOSが「講義」部分をアニメーションを用いた動画でサポートする。

病気概要など医師の定型説明箇所を動画で効率化するインフォームド・コンセント支援クラウドのコントレアが1.4億円調達

医師は、患者の病状や治療法に応じて動画を組み合わせることで、患者ごとにカスタムされた動画を発行できる。また患者側は、医師から発行された動画を自分の都合のいい場所・時間に何度でも繰り返し視聴可能だ。さらに、システム内において事前に質問を登録できるため、医師への質問や疑問点の伝え忘れを防止できる。患者の自宅や病院内の待ち時間などでMediOSを利用することで、診察室を拡張可能としている。

患者の理解度が高まった状態で医師との対面の説明にのぞむことで、医師の「講義」の効率化、またより本質的な「対話」に注力できるようになり、信頼関係の強化にもつながるという。コントレアは、これまで人力に頼っていた領域にデジタルのエッセンスを加えることで、医療現場の効率化と患者エンゲージメント向上を両立できるプロダクトを目指しているとした。

MediOSは2021年1月にβ版をローンチし、大学病院を始めとした200~700床の病院で導入済みという。導入効果として医師の説明時間が患者1人あたり33%短縮された。また、高齢者が多い中にあっても7割以上の患者が自力で動画視聴を完了し、理解度も4.6点(5段階中)を取得するなど、医師および患者の双方に効果が出ているそうだ。

北海道大学、太陽電池とプラズモンを結合させ光学的変化を電気的に検出するバイオセンサーを開発

糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達
北海道大学、太陽電池とプラズモンを結合させ光学的変化を電気的に検出するバイオセンサーを開発

太陽電池-プラズモン結合型バイオセンサー略図。ある条件で表面プラズモンが誘起されるとシリコン膜内を光が往復しないために電流値は小さい。抗体に抗原の新型コロナウイルスのタンパク質が結合すると、屈折率が変化し表面プラズモンが誘起されなくなり、シリコン膜内を光が往復して強い光電流が流れる

北海道大学は11月11日、太陽電池とプラズモンを結合させて光学的変化を電気的に検出する新原理を開発し、バイオセンサーの大幅なコンパクト化と高感度化を同時に実現したと発表した。抗原検査、抗体検査の両方に対応でき、ウェアラブル・バイオセンサーへの応用が期待されるという。

北海道大学電子科学研究所の三澤弘明特任教授と、同大学大学院理学研究院の上野貢生教授らによる研究グループは、石油科学や医薬品などの研究開発を行うイムラ・ジャパンと共同で、シリコン薄膜太陽電池内に閉じ込めた光とプラズモンとの相互作用を利用して電子信号を変化させる原理を発見し、革新的なバイオセンサーを開発した。

プラズモンとは、金属中の自由電子が集団的に振動することで生じる電子の波のこと。金の薄膜に抗体を配置しておくと、光が当たったとき、抗体だけのときと抗体に抗原が結合したときとでは、光の反射率が変化する。この原理を利用した表面プラズモン共鳴(SPR)センサーは、アレルギーやインフルエンザの検査などに使われているが、装置が大型になるという課題点があった。研究グループは、プラズモンを太陽電池と結合させ、金の被膜に光が当たったときに生じる屈折率の違いを発電量の変化として捉えることに成功。そのため、コンパクトなバイオセンサーへの道が拓かれた。

このセンサーでは、SPRの励起(エネルギーを高めること)にプリズムを使っているが、「センサー表面に規則的に配列したナノグレーティング構造を配置」することでも励起が可能であることがわかり、将来的にはLEDによるSPR励起と集積可能な電気検出を組み合わせたウェアラブルなバイオセンサーも可能になると期待されている。

スイス大研究チームがヒトデの幼生から着想を得たマイクロロボットを超音波で動かすことに成功

マイクロロボットは、業界の多くの人々にとって長年の関心事だった。このようなテクノロジーは、最終的に多くのアプリケーションを提供できる可能性があり、その中にはヘルスケア分野における有用な機能も含まれる。例としてよく挙げられるのが、薬の薬物送達やマイクロサージャリーなどだ。

このテクノロジーで生じる最大の疑問は、移動性をどうやって確保するかだ。具体的にいうと、バッテリーやその他の技術を搭載せずに、どうやってロボットを動かすかということである。よく提案されるのは磁石を使う方法だが、スイス連邦工科大学チューリッヒ校のチームは、超音波を使ったまったく別の方法を研究している。

髪の毛の直径よりも小さいこのロボットは、 写真現像技術を応用して微細なパターンを生成するフォトリソグラフィーという技術によって作られた。その外部は、ヒトデの幼生を覆っている繊毛を人工的に模したもので覆われている。ヒトデの幼生は、この超微細な毛のような構造体が、周囲の水を叩いて小さな渦を作ることによって、水の中を移動する。つまり、この構造は、実質的に水を押し出すか引き込むか、そのどちらかを行うのだ。

研究チームによると、超音波を当てることでこの小さなロボットに同様の推進力を生み出し、直線的に泳がせることに成功したという。画像や動画の中でロボットの周りに見えるものは、プラスチック製のマイクロビーズを水に入れ、ロボットの周りでどのように円状に動くかを表したものだ。

薬物送達は、ここで最も広く議論されている応用法である。具体的には、胃の腫瘍などの部位にマイクロロボットを使って直接薬物を送達できるようにする。そうすれば、薬をより効率的に使用でき、潜在的な副作用も軽減できる。

「しかし、このビジョンを実現するためには、イメージングという大きな課題が残っています」と、同校は書いている。「小さな機械を適切な場所に誘導するには、鮮明な画像がリアルタイムで生成される必要があります。研究者たちは、超音波による医療用画像処理ですでに使用されているような造影剤を組み込むことで、マイクロロボットをもっと見えやすくすることを計画しています」。

画像クレジット:ETH Zurich

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

治験・臨床研究文書の共有・管理クラウドを手がけるアガサが総額3.6億円調達、組織力とプロダクト強化

国立がん研究センターが8K腹腔鏡手術システムによる遠隔手術支援の有用性を確認

治験・臨床研究の文書をクラウド上で共有・管理するサービス「Agatha」(アガサ)を提供するアガサは11月4日、総額3億6000万円の資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターのOne Capital、ダブルシャープ・パートナーズ、既存株主のモバイル・インターネットキャピタル、GMO VenturePartners。累計調達額は8億8000万円となった。今回調達した資金は、Agathaを一層強化するためのプロダクト開発・アガサの組織力強化に充当される予定。

Agathaは、医療機関と製薬企業の利用者が、治験・臨床研究の文書をプロジェクト単位で共有・保存・管理できるクラウドサービス。日本並びにグローバルで提供されており、日本国内では臨床研究中核病院の8割で利用実績がある。コロナ禍の影響で、治験・臨床研究の現場でも医療機関への訪問制限やリモートワークの実施が進んだことを背景に、従来の紙ベースでの業務を電子化して管理するシステムへのニーズが加速。国内利用者数は1万名以上増加している。

2015年10月設立のアガサは、医療機関、製薬企業、医療機器企業、CRO(医薬品開発受託機関)、SMO(治験施設支援機関)、臨床検査会社などにAgathaを提供することで、治験・臨床研究の効率化・省力化に貢献することをミッションに掲げるスタートアップ。

将来の日本の子どもが、日本の生活、文化、技術、医療が世界一と信じられる、誇りと感じられる世の中を作ること、そして日本中の研究機関から、新しい治療法や薬が創出される仕組み・基盤を作り、日本の技術や産業によって、世界中の人々の健やかな人生に貢献することをビジョンとしている。

認知機能障害検出のソフトウェアを開発するBrainCheckが約11億円調達

世界的に高齢化が進むのにともない、脳の健康に関する研究が進んでいて、スタートアップがテクノロジーを活用して認知障害を軽減する方法を模索している。

ヒューストンとオースティンを拠点とするBrainCheck(ブレインチェック)は、認知障害の検知とケアを専門とする医師をサポートする認知ヘルスケアソフトウェアの開発を手がけている。同社はアルツハイマー病や関連する認知症に対する新しいデジタル治療法の研究開発と市場開拓のために、シリーズBで1000万ドル(約11億円)を調達した。

このラウンドは、Next Coast VenturesとS3 Venturesがリードし、Nueterra Capital、Tensility Ventures、True Wealth Venturesが参加した。さらに、UPMC EnterprisesとSelectQuoteが戦略的投資家として加わった。今回の資金調達により、2016年の300万ドル(約3億4000万円)のシードラウンド、2019年の800万ドル(約9億1000万円)のシリーズAを含め、BrainCheckがこれまでに調達した資金総額はおよそ2100万ドル(約23億9000万円)となる。

BrainCheckの技術は、患者と米国内の約1万2000人という限られた数の神経内科医との橋渡しをする。対面または遠隔(スマートフォン、タブレット、コンピューターを介して)で行う10〜15分のテストを通じて、認知機能障害を早期かつ正確に検出することができる。

検査結果に基づき、患者にはCognitive Quotient(CQ)スコアが割り当てられ、これをもとに数分以内にパーソナライズされた認知機能ケアプランが作成される。現在、400以上の神経科、プライマリーケア、老年医学の診療所がこの技術を使用していて、マウントサイナイの臨床医も新型コロナウイルス感染症による認知障害の追跡と管理に活用している。

BrainCheckの共同創業者でCEOのYael Katz(ヤエル・カッツ)博士は、パンデミックがヘルスケアのエコシステム全体のすべてを変えた、とTechCrunchに電子メールで語った。

同社は、シリーズAの2年後に新たな資金調達を行うことを常に考えていたが、世界的な大流行がその方針にどのような影響を与えるかを見極めるために一旦停止したとカッツ氏は話した。しかし、新型コロナが人々の医療に対する認識に光を当て、リモートケアに慣れてきたことで、継続する機会を見出した。

今回の資金調達により、同社はチームの拡大と研究開発への投資を継続することができる。同社はすでに、患者との関係を深めるためのいくつかの新しい取り組みを行っており、これらは間もなく市場に投入される予定だと同氏は付け加えた。

BrainCheckは2020年、前年比で3倍という収益増を達成したが、カッツ氏は2022年も同様の成長を見込んでいる。今回のシリーズBでは、2年前と同じように成長させることを目標としている。

「リモートワークへの移行やメンタルヘルスの重要性の高まり、予防医学への投資、高齢化社会への対応など、これらすべての要因が重なって、私たちが行っていることが重要であり、今後も重要であり続けることが証明されました。医師がBrainCheckのようなツールに投資して患者の治療の質を向上させることが、かつてなく重要になっています」と述べた。

画像クレジット:Jorg Greuel / Getty Images

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

国立がん研究センターが8K腹腔鏡手術システムによる遠隔手術支援の有用性を確認

高度医療ロボのリバーフィールドが約30億円調達、執刀医にリアルタイムで力覚を伝える空気圧精密駆動手術支援ロボの上市加速

国立がん研究センターは11月2日、8K映像システムを使った腹腔鏡手術のリアルタイム映像を送受信して手術指導を行う世界初の実証事件により、その医学的有用性が確認されたことを発表した。また、遠隔支援(指導)により外科医の内視鏡技術が向上し、手術時間が短縮されることも確認できた。

これは、日本医療研究開発機構(AMED)「8K等高精細映像データ利活用研究事業」の支援による、国立がん研究センターとNHKエンジニアリングシステムなどによる共同研究。実験では、NHKエンジニアリングシステムと池上通信機が共同開発した小型の8K内視鏡カメラと、オリンパスが開発した8K腹腔鏡手術システムが使われた。手術室を想定した千葉県の実験サイトで、動物の直腸切除手術を行い、その様子を光ファイバーや5Gなどによるブロードバンドで京都府の京阪奈オープンイノベーションセンターに送信。外科医3名で手術を行ったが、遠隔支援がある場合とない場合との手術技術の改善度を評価した。

超高精細映像の「本物に迫る立体感」で、遠隔地でも手術状況を詳細に把握でき、質の高い手術支援が提供できたことで、外科医の内視鏡技術が向上し、手術時間が短縮された。また、映像伝送においては、転送レート80Mbps、遅延時間約600ミリ秒を達成し、十分な性能を確認できた。

これにより、少数の医師での治療が可能になり、若手育成、外科医の偏在の解消などが期待される。今後は、外科医を1名減らした場合の評価、「4K8K高度映像配信システム」への手術映像のアーカイブの開発などを進め、近い将来の社会実装に向けた具体的な計画を策定するとのことだ。

睡眠中の脳卒中を早期に警告するZeitのウェアラブル、実用化に向けシード約2.3億円調達

睡眠中の脳卒中を早期に警告するシステムを開発しているZeit Medicalは、Y Combinator(Yコンビネータ )のSummer 2021コホートを卒業した直後に、シードラウンドで200万ドル(約2億2800万円)を調達した。同社の研究によると、脳モニタリング用ヘッドバンドは、脳卒中の可能性を数時間前に警告することで命を救うことができると考えられており、今回の資金調達は、実用化に向けた推進力となる。

同社のデバイスは、軽量の脳波計(EEG)が内蔵されたソフトなヘッドバンドだ。スマートフォンのアプリと連動して、脳の活動を分析し、人間の専門家によって訓練された機械学習モデルを使って、差し迫った脳卒中の兆候を監視することができる。

共同創業者でCEO(そして現在はFerolynフェロー)のOrestis Vardoulis(オレスティス・バルドゥリス)氏は、使用状況の調査で、CPAPマシンを使用している人も含め、90%の夜にヘッドバンドを装着して、装着感や快適性に関する不満はほとんどなかったと述べている。脳卒中の影響を軽減するという目標を達成するためには、継続して使用することが重要であり、不快なヘッドバンドやかさばるヘッドバンドは確実に悪影響を及ぼす。

「当社は、製品を最終的に完成させ、今後の研究でテストできるようにすることに加えて、入院患者へのAIのさまざまな応用を試してきました。集中治療室の患者の多くは、綿密な虚血モニタリングを必要とします」とバルドゥリス氏は語る。本来であれば専門家や専用のシステムでなければ診断できないような様々な状態を、Zeitが作成したモデルで警告できる可能性がある。「くも膜下出血の患者を脳波でモニターしているいくつかの大規模な国立学術センターに、当社の技術が許容可能なアプリケーションであるかどうかを確認するためにアプローチしました」とも。

バルドゥリス氏によると、脳卒中患者のコミュニティはこの装置に非常に興味を持っており、我々の以前の記事でも、コメント欄にこの装置が自分にどれほど役に立つかを指摘する人がいたという。ZeitはFDA(米国食品医薬品局)の認可に向けて進んでおり、「Breakthrough designation(ブレイクスルー指定)」という一種のファストトラックを取得しているが、広く普及するまでにはまだ1〜2年かかるかもしれない。

これは、医療機器としては非常に短いリードタイムであり、投資家たちは明らかにこの製品がインパクトとROIの両方をもたらす機会であると考えた。

200万ドル(約2億2800万円)のラウンドは、SeedtoBとDigilifeが共同で主導し、Y Combinator、Gaingels、Northsouth Ventures、Tamar Capital、Axial、Citta Capital、そしてエンジェルのGreg Badros(グレッグ・バドロス)氏、Theodore Rekatsinas(テオドール・レカツィナス)氏をはじめとする医療関係者数名が参加した。

この資金はご想像のとおり、事業の継続と拡大、チームの構築、FDAの検討と承認に必要な研究のために使用される予定だ。運がよければZeitのデバイスは、早ければ2023年には、脳卒中のリスクを抱える人々に標準的に使われることになるだろう。

画像クレジット:Zeit

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Aya Nakazato)

AIを使った超音波分析の拡大を目指すイスラエルのヘルステックDiAが約15億円調達

独自の光超音波3Dイメージング技術を手がけるLuxonusが約4.3億円調達、2022年に医療機器の開発・生産および薬事申請準備

イスラエルに拠点を置くAIヘルステック企業DiA Imaging Analysisは、深層学習と機械学習を利用して超音波スキャンの分析を自動化している。同社はこのほど、シリーズBのラウンドで1400万ドル(約15億3700万円)を調達した。

DiAの前回の資金調達から3年後に行われた今回の投資ラウンドには、新たにAlchimia Ventures、Downing Ventures、ICON Fund、Philips、XTX Venturesが参加し、既存投資家としてCE Ventures、Connecticut Innovations、Defta Partners、Mindset Ventures、Shmuel Cabilly(シュムール・カビリー)博士らが名を連ねている。同社のこれまでの総調達額は2500万ドル(約27億4500万円)に達している。

今回の資金調達により、DiAはプロダクト範囲の拡大を継続し、超音波ベンダー、PACS / ヘルスケアIT企業、リセラー、ディストリビューターとのパートナーシップの新規構築や拡充を進めるとともに、3つの地域市場でのプレゼンスを強化していく。

このヘルステック企業は、AIを利用したサポートソフトウェアを臨床医や医療従事者に販売し、超音波画像のキャプチャと分析を支援している。このプロセスを手動で行うには、人間の専門家がスキャンデータを視覚的に解釈する必要がある。DiAは、同社のAI技術を「今日行われている手動および視覚による推定プロセスから主観性を取り除く」ものだと強調している。

同社は、超音波画像を評価するAIを訓練して、重要な細部の特定や異常の検出を自動的に行えるようにしており、心臓にフォーカスしたものを含む、超音波分析に関連する各種の臨床要件を対象とした広範なプロダクトを提供している。心臓関連のプロダクトには、駆出率、右心室のサイズと機能などのアスペクトの測定と分析の他、冠動脈疾患の検出支援などを行うソフトウェアがある。

また、超音波データを利用して膀胱容積の測定を自動化するプロダクトもある。

DiAによると、同社のAIソフトウェアは、人間の目が境界を検出して動きを認識する方法を模倣しており「主観的」な人間の分析を超える進歩につながるもので、スピードと効率の向上も実現するという。

「当社のソフトウェアツールは、正しい画像の取得と超音波データの解釈の両方を必要とする臨床医を支援するツールです」とCEOで共同創業者のHila Goldman-Aslan(ハイラ・ゴールドマンアスラン)氏は語る。

DiAのAIベースの分析は、現在北米や欧州を含む約20の市場で利用されている(中国ではパートナーが自社のデバイスの一部として同社のソフトウェアの使用の承認を取得したと同社は述べている)。DiAは、チャネルパートナー(GE、Philips、コニカミノルタなど)と協力して市場開拓戦略を展開しており、チャネルパートナーは自社の超音波システムやPACSシステムに追加する形で同社のソフトウェアを提供している。

ゴールドマンアスラン氏によると、現段階で3000を超えるエンドユーザーが同社のソフトウェアへのアクセスを有している。

「当社の技術はベンダーニュートラルであり、クロスプラットフォームであることから、あらゆる超音波デバイスやヘルスケアITシステム上で動作します。そのため、デバイス企業およびヘルスケアIT / PACS企業の両方と10社以上のパートナーシップを結んでいます。当該分野には、このような機能、商業的牽引力、これほど多くのFDA・CE対応のAIベースソリューションを持つスタートアップは他にありません」と同氏は述べ、さらに次のように続けた。「現在までに、心臓や腹部領域のための7つのFDA・CE承認ソリューションがあり、さらに多くのソリューションが準備されています」。

AIのパフォーマンスは、当然ながら訓練されたデータセットと同等である。そして、ヘルスケア分野での有効性は特に重大な要素である。トレーニングデータに偏りがあると、トレーニングデータにあまり反映されていない患者群で疾患リスクを誤診したり過大評価したりする、欠陥のあるモデルにつながる可能性がある。

AIが超音波画像の重要な細部を突き止めるためにどのような訓練を受けているのかと聞かれて、ゴールドマンアスラン氏はTechCrunchに次のように答えている。「私たちは多くの医療施設を通じて何十万もの超音波画像にアクセスできますので、自動化された領域から別の領域にすばやく移動する能力があります」。

「各種のデバイスからのデータに加えて、異なる病理を持つ多様な集団データも収集しています」と同氏は付け加えた。

「『Garbage in Garbage out(ゴミからはゴミしか生まれない)』という言葉があります。重要なのは、ゴミを持ち込まないことです」と同氏はいう。「当社のデータセットは、数人の医師と技術者によってタグ付けされ、分類されています。それぞれが長年の経験を持つ専門家です」。

「また、誤って取り込まれた画像を拒否する強力な拒否システムもあります。このようにして、データがどのように取得されたかに関する主観的な問題を克服しています」。

注目すべき点は、DiAが取得したFDAの認可が市販前通知(510(k))のクラスII承認であることだ。ゴールドマンアスラン氏は、自社プロダクトの市販前承認(PMA)をFDAに申請していない(また申請する意思もない)ことを認めている。

510(k)ルートは、多様な種類の医療機器を米国市場に投入する承認を得るための手段として広く利用されている。しかし、それは軽薄な体制として批判されており、より厳格なPMAプロセスと同じレベルの精査を必要としないことは確かである。

より大きなポイントは、急速に発展しているAI技術の規制は、それらがどのように適用されているかという点で遅れをとっている傾向があるということだ。巨大な展望が確実に開かれているヘルスケア分野への進出が増えている一方、まことしやかなマーケティングの基準を満たすことに失敗した場合の深刻なリスクもある。つまり、デバイスメーカーが見込んだ展望と、そのツールが実際にどれだけの規制監督下に置かれているかということの間には、依然としてギャップのようなものが存在している。

例えば、欧州連合(EU)では、デバイスの健康、安全性、環境に関するいくつかの基準を定めているCE制度において、一部の医療デバイスはCE制度の下での適合性についての独立した評価が必要になるが、実際にはそれらが主張する基準を満たしているという独立した検証が行われることなく、単にメーカーが適合性の宣言を求められるだけの場合もある。しかし、AIのような新しい技術の安全性を規制する厳格な制度とは考えられていない。

そこでEUは、来るべきAI規制法案(Artificial Intelligence Act:AIA)の下で「高リスク」と見なされたAIのアプリケーションに特化して、適合性評価の層を追加することに取り組んでいる。

DiAのAIベースの超音波解析のようなヘルスケアのユースケースは、ほぼ確実にその分類に該当するため、AIAの下でいくつかの追加的な規制要件に直面することになる。しかし現時点では、この提案はEUの共同立法者によって議論されているところであり、AIのリスクの高いアプリケーションのための専用の規制制度は、この地域では何年も効力を発揮していない状態にある。

画像クレジット:DiA Imaging Analysis

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

バーチャルアシスタントが慢性疾患に関する質問に答える仏Wefight、約13.2億円調達

Wefightはフランスのスタートアップ企業で、慢性疾患に苦しむ人々を支援するために10種類以上のアプリを開発している。基本的なチャットボットのインターフェースを使って、人々は自分の病気について質問し、答えを得ることができる。

同スタートアップはこのたび、Digital Health VenturesとImpact Partners、そして既存の投資家であるInvestir&+とBADGEのビジネスエンジェルから1160万ドル(1000万ユーロ、約13億2000万円)の資金調達を実施した。

Wefightは、慢性疾患ごとに異なるアプリを開発した。それらはすべて、Vikという同じバーチャルアシスタントをベースにしている。現在、うつ病、喘息、複数のタイプのがんなどに関するアプリが10数種類ある。

Vikは基本的に、患者とWefightのコンテンツとの間のインターフェースとして機能する。自然言語処理技術から、Wefightが新しいアプリを作るために活用するフレームワークまで、すべて自社で開発している。

患者が質問をするたびに、このサービスは質問の意味を理解しようとし、知識データベースから関連する情報を見つけ出す。

そして、コンテンツを中継して患者に提供する。コンテンツはプロの薬剤師によって書かれており、できるだけ情報を提供し、中立的な立場であることを心がけている。これにより、必ずしも次の診察日を待たずに、自分が持っている質問のリストを見ていくことができる。

共同設立者兼CEOのBenoit Brouard(ブノワ・ブルワール)氏はこう語った。「Vikは、ケア経路の誰かを置き換えるものではありません。ギャップを埋めるためにあるのです」。

ギャップがあるのは確かなようだ。これまでに、40万人以上の人がこのサービスを利用している。Vikは500万件の回答を配信しているという。Wefightでは今、70人のスタッフが働いている。Wefightは、患者団体とつながることで、新しいユーザーを見つけようとしている。

ビジネスモデルとしては、製薬会社と協力して新しいアプリに資金を提供している。治療法を商業的に成功させるためには、患者が自分の患っている慢性疾患を特定できるようにする必要がある。そして、Vikはトップオブファネルのコンテンツプロバイダーとしての役割を担っている。

「当社は、臨床的惰性(Clinical Inertia)を減らします。臨床ラボが『Vik Asthma』への融資を決定した場合、そのラボは私たちが作成するコンテンツに影響を与えることはありません」とブルワール氏はいう。「そうしたラボ(製薬会社)は、喘息に苦しむ患者さんに呼吸器科医の診察を受けてもらいたいと思っているのです」。

そうすれば、特定の薬を購入する可能性のある患者の数が増える。製薬会社にとっては複雑な販売戦略だが、Vikのような方法は、患者の生活の質を向上させる可能性がある。

10月25日の資金調達により、同社はベルリンに新しいオフィスを構え、他の国への進出を計画している。Wefightは、新しい市場でアプリを発売するたびに、現地の医療従事者を雇用し、現地の患者団体と関係を作る。長いプロセスだが、そうやってWefightは世界中の患者に正しい情報を提供することができるのだ。

画像クレジット:Wefight

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

脊椎の成長を促すスマートインプラントを開発するIntelligent Implantsが約10億円を調達

気弱な人は、脊椎の手術など受けられたものではない。しかし、Intelligent Implants(インテリジェント・インプラント)が750万ユーロ(約9億9000万円)を調達し、脊椎手術の苦痛を軽減する。同社のスマートインプラントの最初の用途は、脊椎固定術だ。これは、2つ以上の椎骨を永久的に結合し、安定性向上、変形の矯正、痛みの軽減を図る。世界中で100万件以上の手術が行われているが、合併症のリスクや手術後の継続的な痛みのため、一般的には最後の手段とされる。

Intelligent Implantsは、ワイヤレスのインプラント用電子機器により、骨の成長を促進・誘導・監視する。現在の最先端の術後管理によったとしても、理学療法や鎮痛剤に長期間依存する可能性があると同社は指摘する。同社はこの市場に参入し、より技術的に優れたソリューションを提供する。

同社のスマートでアクティブなインプラントは、この領域で最初の機器ではない。ペースメーカーや人工内耳は、それぞれ1950年代と1970年代に発売されており、ご存知の方も多いだろう。同社の革新性は、ワイヤーやバッテリーを必要としないソリューションを生み出したことにある。この製品は、現在の非アクティブなインプラントと同じ標準的な手術方法で椎骨の間に設置する。

このインプラントは、携帯電話のワイヤレス充電パッドのように、誘導によって外部から電力を供給する。これにより電界が形成され、骨の成長が促進される。

Intelligent ImplantsのCEOであるJohn Zellmer(ジョン・ゼルマー)氏は「誰に対してもこの手術をすることは避けたいと思っていますが、しなければならないのであれば、結果はできるだけ良いものにしなければなりません」と話す。

刺激を与えるための電極は、センサーとしても使える。この機器は、標準的な整形外科用インプラントに、さらにいくつかの魔法を組み込んだものだ。この場合の魔法とは、骨の成長を助けるニューロモデュレーションのための多数の電極と、それを制御するためのアンテナや電子機器のことだ。脊椎固定術の後、患者はすべてを正しい場所に固定するためコルセットを装着するが、これが機器の電源と制御ユニットの格納に便利な場所となる。

Intelligent Implantsは、骨の成長を促すことの副次的効果として、センサー側の機能が使えるとゼルマー氏は説明する。このデバイスでは、インピーダンス測定ができるという。骨は導電性に乏しいため、移植材が体内で徐々に骨に置き換わると、電気信号が変化し、その過程で骨の成長を測定できる。

Intelligent Implantsの共同創業者であるErik Zellmer(エリック・ゼルマー)氏、John Zellmer(ジョン・ゼルマー)氏、Martin Larsson(マーティン・ラーソン)氏(画像クレジット:Intelligent Implants)

同社の製品「SmartFuse」は、FDA(米食品医薬品局)からBreakthrough Device(革新的機器)の指定を受けたばかりだ。この指定は「そのデバイスが、人間の生命を脅かす、または人間を不可逆的に衰弱させる病気や状態の、より効果的な治療または診断を提供する」とFDAが考えていることを意味する。同社は、このプログラムに参加するため、羊を使った大規模な動物実験を完了した。この実験で、骨の成長が3倍になり、固定までの時間が50%短縮されたという。

「前臨床試験のデータに基づいてBreakthrough Device Designation(BDD)を取得するのは非常に珍しいことです」とゼルマー氏は話す。BDDのほとんどがヒトでの試験に基づいているという。「このニュースを聞いて、私たちはオフィスで小躍りしました」。

同社は、これまでの臨床試験では羊を使用してきた。整形外科領域の臨床試験で使用される動物としては、羊またはヤギが一般的だ。同社は2023年に最初のヒト臨床試験を行うことを目指している。

「家族の1人の術後が悪く、私たちはこの難しい問題に取り組むことにしました。チームがこの領域に関する豊富な知識を持ち、長期的にコミットし、今日の外科医の実践(スタンダード・オブ・ケア)に私たちの技術を適合させることができなければ、私たちのソリューションが機能しないことはわかっていました」とゼルマー氏は語る。「当社は現在、半分以上の時間を、SmartFuseという製品を市場に投入するために費やしています。FDAの決定は当社のアプローチが健全であったことを裏付けるものです」。

同社は、SOSVHAX技術プログラムに参加した後、卒業し、10月22日にシードラウンド完了を発表した。EUのEIC AcceleratorとSOSVから合わせて450万ユーロ(約6億円)を、そしてスウェーデンのエンジェル投資家グループから300万ユーロ(約4億円)を調達した。

「SOSVのパートナーであるBill Liao(ビル・リャオ)氏とは2015年に出会い、それ以来ずっと支援を受けています。それからの時間は、ベンチャーキャピタルとしては長い期間です。彼らはオペレーション面での支援だけでなく、それ以降のすべてのラウンドでの支援など、本当にすばらしい仕事をしてくれています」とゼルマー氏は語る。「これはすばらしいことだと思います。私たちは本当に難しいことに取り組んでいます。これはクラス3の機器であり、刺激促進システムを備えたアクティブなインプラント機器です。私たちの試みはまったく新しいもので、それを整形外科分野に持ち込んだことは、先見性と勇気の証しだと思います」。

「移植可能な技術を開発することは非常に困難ですが、Intelligent Implantsは極めて着実に進歩しています。数百万人の患者さんを助け、数年後には90億ドル(約1兆円)に達すると言われている市場に貢献するため、彼らの旅を支え続けることを誇りに思います」とSOSVのゼネラルパートナーであるリャオ氏は述べた。

画像クレジット:Intelligent Implants

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nariko Mizoguchi

ナノテクを用いた針不要の血糖値モニターのためにGraphWearが約23億円調達

血糖値のモニタリングに対し、針不要のアプローチを追求するGraphWearは、シリーズBラウンドで2050万ドル(約23億円)を調達した。このシリーズBラウンドは、GraphWearのアプローチ、つまり「皮膚をまったく傷付けずにブドウ糖のような体内の重要な指標を監視する手法」に対する投資家の信任投票のようなものだといえる。

GraphWear Technologiesは2015年、Rajatesh Gudibande(ラジャテシュ・グディバンデ)氏とSaurabh Radhakrishnan(サウラブ・ラダクリシュナン)氏によって創設された。2人はともにペンシルベニア大学でナノテクノロジーの修士号を取得している。具体的にいうと、GraphWearはグラフェン(この材料については後で詳しく説明)で作られた皮膚表面レベルのウェアラブルを開発している。このセンサーは小さく、Apple Watchと同じサイズだが、中核となる重要なテクノロジーは実は裏側部分にある。薄いグラフェン片をウォッチの裏や、下腹部に貼るステッカーの上に設置して使用する。

グディバンデ氏によると、このシリーズBは、同社が以前行ったこのウェアラブルの検証研究を踏まえ、極めて重要な試験を完了し、FDAへの承認申請を提出することに焦点が絞られている。このラウンドはMayfieldが主導し、MissionBio Capital、Builders VC、VSC Venturesが参加して行われた。

「追求すべき重要な課題は、皮膚に穴を開け血液を取るための道具を使わず、血液の中でなにが起きているかを本当に知ることができるのか、ということでした。GraphWear は進歩を遂げつつあり、何百万という人にお届けできる製品を実際に作り出す最初の企業の1つになる可能性があると考えています」とMayfieldの工学生物学投資部門の共同リーダーであるUrsheet Parikh(アーシート・パリク)氏は述べた。

持続血糖モニタリングは、糖尿病関係者の中で注目を集めている。2017年にFDAに承認を受けたFreeStyle Libreなど、いくつかの持続血糖値モニターが近年承認されている。このデバイスは現在でも血糖値を計測するのにアームパッチに取り付けられた皮下フィラメントを利用している。

これらのデバイスは1型糖尿病の糖尿病患者(体がインスリンをほとんどまたはまったく生成しない人々)にとって明確なメリットがある。そうした患者は米国だけでも160万人  いる。米国糖尿病学会は、定期的にインシュリンを注射しているほとんどの患者に対し、持続血糖モニターを含め、血糖値を自己監視できるテクノロジーの使用を「促すべきである」と同学会発行の2020年ガイドラインの中で、述べている。

2型糖尿病の患者(米国では3400万人)、または定期的にインシュリンを注射していない患者の場合は、議論が行われている。一部の人々は、これらの患者にとって、、モニターを用いて定期的に血糖値をモニタリングすることは(これこそ持続血糖モニターが行うことであるが)、それほど意味がないと主張している。例えば、2017年に行われたJAMA Internal Medicineが行った調査によると、患者が血糖値を定期的に自己監視して1年経過しても、患者の A1cレベル(糖尿病の重要なバイオマーカー)は改善しないことが判明した。しかしこの調査は非侵襲的な血糖値モニターではなく、指から血を採血するフィンガースティックテストを定期的に使用していた患者を対象にした調査であった。

しかし、米国糖尿病学会は、インスリン治療と組み合わせて適切に持続血糖モニターを使用することができれば、2型の人々にとってもこのツールは有用になり得ると 述べている

GraphWearの持続血糖モニターのセンサーには、ナノテクノロジーに基づくアプローチが取られている。このデバイスは、小さな引き込み式フィラメントやフィンガースティックを必要とする他の持続血糖モニターと異なり、皮膚をまったく傷付けずに済むとグディバンデ氏はいう。

「グラフェンには分子を引き上げる電場があります。約200の分子が対象になります。次にグラフェンはそれを『吟味』し、電気信号に変換し、Bluetoothを介してユーザーの携帯電話に転送します。携帯電話は、血糖値を持続的にグラフ化して表示することができます」。とグディバンデ氏は説明する。

これらのセンサーは血液中のブドウ糖ではなく、実際には間質液中にあるブドウ糖を計測している。しかし、米国糖尿病学会の2020年のガイドラインによると、間質液中の血糖値は「血漿ブドウ糖とよく相関している」という証拠があるため、この方法で測定された値は糖尿病の患者にとって臨床的に適切なものである。グディバンデ氏は「私たちの経験的臨床データでも同様のことが示されています」と付け加えた。

GraphWearはすでに1型と2型の両方について、40人の患者を対象にこのウェアラブルセンサーの実行可能性調査を実施した。同社は、静脈血から収集した血糖値とこのデバイスがモニタリングした値を比較する検査をしたのだが、結果はまだ公表されていない。しかしグディバンデ氏によると、GraphWearの精度は従来のセンサーの精度と「同等」だったとのことである。

ブドウ糖のモニタリングはさておき、GraphWearについて語る際に、他に注目すべき点は、センサーの素材であるグラフェンだ。

グラフェンは単一原子からなる薄いカーボンシートであり、大変よく電気を通し、強く、軽く、柔軟性がある。グラフェンが2004年に発見されて以来、この素材は大変な注目を集め、まだ完全にそうなってはいないが、次なるシリコンになるだろうと喧伝された。

英国、中国、EUはグラフェンの生産に大々的な投資を行っており、グラフェンを使った製品が少しずつ市場に登場するようになっている(2019年のレビューペーパーで強調されていたいくつかの用途をあげれば、自転車、靴、センサー、テニスラケットがある)

グディバンデ氏によると、GraphWearは、センサーの中で使用されているグラフェンを「新品の状態」に保つことができるため、グラフェンのブドウ糖分子に対する感度を非常に高い状態に保てるという。同社は大規模にその素材を製造することもでき、またナノテクノロジーを用い、ブドウ糖のセンサー以上に有益な新しい用途を開発中である、とパリク氏は述べた。具体的には、同社は分極化された液体をトランジスタとして用いる方法で特許を取得している。

「ブドウ糖分子が皮膚上にあれば、それは一時的なトランジスタのように立ち表れて作用します。これは新しいカテゴリーのトランジスタで、本格的なイノベーションといえます」とパリク氏。

しかし、血糖値モニタリングは GraphWearにとって賢い最初の一歩と言える。というのも承認への道筋がはっきりしているからである。GraphWearの重要な試験が他の持続血糖モニターと同類であることを示せば、同社はFDA 510(k) 承認を求める可ことができる。ただしグディバンデ氏が認識しているように、予測できない落とし穴がいくつかあるかもしれない。例えばGraphWearの非侵襲的なアプローチのために、このデバイ氏が独自のカテゴリーに分類されてしまうことも考えられる。

「ですから、私たちが510(k)になるのかどうかわからない、というリスクはあります。しかし、いずれにしてもそのプロセスは6カ月から14カ月ほどです。当社のゴールは試験を通過して規制機関に承認をもらえるよう申請することです」とグディバンデ氏はいう。

GraphWearがグラフェンプラットフォームを用いて他のバイオ分子を計測できる製品を実現できれば、そのプラットフォームを利用して他の分子を検出したり、あるいは体内でなにが起こっているかを持続的にモニターすることができる。しかしこのシリーズBラウンドは「臨床的に評価された、グラフェンを用いたセンサー」という最初のステップを実現することに焦点をあてている。

画像クレジット:GraphWear

原文へ

(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

従業員コンディション分析のラフールが医療従事者向け特化サーベイ「LAFOOL SURVEY for Medical Workers」提供開始

従業員コンディション分析のラフールが医療従事者向け特化サーベイ「LAFOOL SURVEY for Medical Workers」提供開始

組織や従業員の状態を可視化するツール「ラフールサーベイ」(Android版iOS版)を提供するラフールは10月21日、医療従事者向けに特化したサーベイ「LAFOOL SURVEY for Medical Workers」の提供を開始した。

東北大学が発表した、病院に勤務する看護職1万名を対象とした調査によると、約42%の看護職が、コロナ禍の影響で「看護職の仕事を辞めたいと思った」「自信がなくなった」と回答しており、コロナ禍が看護職の離職を促す可能性が懸念されている(「新型コロナウイルス感染症流行下における看護職の精神健康ケアの必要性増」)。

さらに、新型コロナウイルス感染症の程度の大小にかかわらず、看護職の精神健康の状態が悪化やネガティブな影響をもたらしていることが明らかになったという。

同社は、創業当初より企業や企業で働く人のメンタルヘルスケアを支援しきた実績やパートナーである精神科医、大学の知見を元に医療従事者に力添えができるよう、医療従事者向けに特化したサーベイの提供を開始したという。

医療従事者向けに質問をカスタマイズ

LAFOOL SURVEY for Medical Workersは、同社ラフールサーベイをベースに医療従事者向けに質問のカスタマイズを実施しており、メンタル不調予防対策やエンゲージメントの低下を未然に察知することが可能という。

従来のストレスチェック(57項目)に職場環境を把握できる設問を追加し、計141項目により状態把握・要因分析を行い、対策リコメンドをワンストップで導き出せる。また、ストレスやフィジカルの状態の良し悪しを図る「状態把握」の項目をはじめ、なぜストレス状態が悪いのか理由を特定するための「要因分析」の項目を加えることで、分析が可能となっている。

職員のセルフケアを促すマイページを⽤意

従来のサーベイツールでは、施設や指示者側が職場を変えるため、「職場の状態を可視化する」ことを重視したサービスが⼀般的という。⼀⽅「医療従事者向けメンタルヘルスサーベイ」では、「働く個⼈の意識を変える」ため、サーベイを回答した職員⾃⾝の結果を閲覧できるマイページなどを⽤意している。⼼⾝の健康状態やエンゲージメントなど、⾃⼰認知の向上やセルフケアの促進の⼀助となるとしている。

職場課題の要因特定から課題解決の施策をレコメンド

LAFOOL SURVEY for Medical Workersでは、職員の状態の可視化と合わせ、個⼈の体調やメンタルが悪化している要因を分析する機能を採用。また、課題に対しての施策をレコメンドするため、どのような施策を⾏うべきか思い悩む必要がないという。施設や指示者が施策を⾏う上での⼯数を削減し、職場課題に直結した施策を実施することでコスト削減や業務効率の向上を実現するとしている。

新型コロナウイルスを検出するバイオセンサーを東海大学・豊橋技術科学大学・中部大学・デンソーが共同開発

新型コロナウイルスを検出するバイオセンサーを東海大学・豊橋技術科学大学・中部大学・デンソーが開発

東海大学・豊橋技術科学大学・中部大学デンソーは、日本医療研究開発機構(AMED)の支援のもと、新型コロナウイルス検査機器の開発に取り組んでおり、新しい仕組みのバイオセンサーを開発し、新型コロナウイルスの検出に成功したと発表した。今後は、感染症の早期診断に貢献することを目指し、実用化に向けた開発を加速する。

感染症の拡大および医療のひっ迫を防ぐには、感染症の早期診断、早期隔離によるウイルス拡散の未然防止が重要とされる。しかし現在、新型コロナウイルス感染症の診断には、PCR検査・抗原検査などが利用される一方、それら検査では検出したウイルスの感染力の有無を示す「ウイルスの感染性」が評価できないことが課題となっている。

また、PCR検査はウイルスの検出感度は高いものの前処理など医療従事者への負荷が大きく、抗原検査は簡便な検査であるが検出精度にバラツキがあるなどの課題があり、「ウイルスの感染性」を評価する高感度かつ簡便な検出方法の開発が求められている。

東海大学、豊橋技術科学大学、中部大学、デンソーが共同開発を進めているバイオセンサーは、「ウイルスの感染性」を高感度かつ迅速に定量検出する臨床検査機器としての活用を目指したもの。PCR検査や抗原検査とは異なり、感染のきっかけとなるウイルス表面のスパイクタンパク質を、半導体センサーとアプタマー(人工的に合成した核酸分子。特定の物質に結合する性質を備える)で検出することが可能という。

この技術は世界で初めてものとしており、今回同手法を用いて新型コロナウイルスを高感度で検出することに成功した。

新型コロナウイルスを検出するバイオセンサーを東海大学・豊橋技術科学大学・中部大学・デンソーが開発

新型コロナウイルス検出イメージ

半導体センサーは、ウイルス量を電気信号で定量的に計測できるため、高い精度での感染状況の把握や、治療の有効性の確認などへの活用が期待できるという。また、アプタマーはサイズが小さく、さまざまなタンパク質と選択的に結合する性質を持つとともに、設計が容易であり短期間での量産も可能であることから、未知のウイルスの検出に応用することも可能としている。

3大学とデンソーは、同バイオセンサーが、新型コロナウイルスの感染性が把握できることに加えて、PCR検査と同等レベルのウイルス検出感度を持ち、抗原検査と同等レベルの簡便な検査となることを目指し、さらに基礎技術を固めていくとともに、実用化に向けた開発を加速する。

各機関の役割およびコメント

  • 東海大学:感染制御と検査の専門医の立場から、感度・特異度に優れ、感染性の有無がわかる操作が簡便かつ迅速な検査機器の開発を切望している。世界に誇る技術力で開発された検査機器についてニーズに対応する仕様と性能、信頼性と精度の確保を目指す
  • 豊橋技術科学大学:ウイルス量を電気信号に変換できる半導体センサーを製作して、同プロジェクトに提供。半導体技術を使うと、米粒大のセンサーにより、1種類のウイルスだけではなく、症状が極めて似て区別がつきにくい場合でも1回の検査で区別できるようになる
  • 中部大学:半導体センサーの性能を評価するため、様々な種類のウイルスを準備し提供。同バイオセンサーは、従来のPCR検査だけでは把握できない「感染力を有するウイルス」を短時間で検出できる技術。体内に入ったウイルスが増殖の真っただ中なのか、終息に向かっているかなどの現状認識が可能になれば、隔離解除のタイミングが明確になり、安心した社会復帰の実現が期待できる
  • デンソー:快適な車室内空間を作るための先行研究の1つとして行っていた、様々なウイルスやバイオマーカー検出の研究開発の中で得た知見を生かし、より感度高く半導体センサーでウイルスを検出するためのバイオ技術を提供。これまで培ってきたバイオと半導体技術を生かし、実用化を目指した開発を加速する

家庭用治療器で脳卒中患者のリハビリに変革をもたらすBrainQが44億円調達

肘を痛めた場合は手術が効果的で、脚を失った場合は義足という手段がある。しかし脳に問題があった場合の治療は非常に難しく、脳卒中の場合リハビリは身体の修復メカニズムに委ねられることが多い。そんな中、脳の損傷部分に刺激を与えて自己修復を促進する装置でこの状況を変えようとしているのがBrainQだ。試験で十分な改善が見られたため、FDA(米国食品医薬品局)から画期的医療デバイス指定を受けたこの装置。同社は最近、この製品を市場に投入するため、4000万ドル(約44億円)を調達した。

最初に言っておくが、脳波を発する奇跡のデバイスの効果を疑うのは当然のことだ。実際、BrainQの創設者であるYotam Drechsler(ヨータム・ドレクスラー)氏と話した時、2017年に我々が対談した際に筆者が「強い疑いの念を表明した」と同氏が思い出させてくれたのも事実である。

悪気があったわけではない。当時の技術はほとんど概念的なものだったと同氏も認めるほどだ。しかし、以来チームは研究を続け、資金を調達し、当時は単なる有望な論文とされていたものが、実際のデータと臨床結果に裏付けられたものに変わったのである。このようにして完成したシステムは、ここ数十年あるいはそれ以上変わることのなかった、脳卒中治療を大きく改善するものになるかもしれない。

関連記事:AIを利用して神経障害を治療するBrainQが$5.3Mを調達、世界最大の脳波データベースを持つ

脳卒中になると、握力や調整能力などさまざまな障害を招くが、当然、損傷は手や足そのものではなく、それらの部位を司る脳内のネットワークに起きている。しかし、医学的にはそのネットワークを直接再構築する方法はなく、脳は自分の力で、自分のペースで再構築していかなければならない。

これをサポートするため、定期的な理学療法と脳の健康診断を時には何年も続けて行い、脳がまだ働いているかどうか、体の各部分自体が衰えていないかどうかを確認するのである。

近年このプロセスに加えられた改良の中でも最も興味深いのは、例えばバランスが片側に偏っていることなどを即座にフィードバックし、それを修正することを目的とした刺激を提供するテクノロジーである。ただしあくまでもこれはフィジカル・セラピーである。

関連記事:音楽を利用して脳卒中患者の歩行能力を改善させるMedRhythms

ドレクスラー氏とBrainQの問題の捉え方はこれとは少し違う。脳卒中は単なる怪我ではなく、脳が慎重に培ってきたホメオスタシス(恒常性)を乱し、それに対抗する手段を持たない状態であると考え、脳卒中を怪我ではなく、早産で生まれた赤ちゃんが体を温めることができない状態にあることに例えている。このような場合何をすべきか。より低い温度で活動できるように体を「修理」したり、熱の生産活動を増強したりするのではなく、その子どもを保育器に入れて、すべてを正常に機能させようとするのが通常である。

これと同様に、脳内の環境を変化させることで脳の働きを良くしようとしているのがBrainQのデバイスだ。

「健康な脳とそうでない脳のチャンネルをマッピングして比較します。これらを見つけたら低強度の磁場療法で脳に共鳴させ、内因性の回復メカニズムを促進させるのです」とドレクスラー氏は説明する。

このような刺激は、中枢神経系が自らを再プログラムする能力である神経可塑性を向上させることが他の状況でも明らかになっている。脳卒中の患部に絞って刺激を与えることで、BrainQのデバイスは患部の神経可塑性を促進し、早期の回復を目指すのである。

しかし「脳卒中の影響を受けたのは右後頭葉の腹側半分だから、そこに磁石を当てたら良い」というわけではない。脳は複雑なシステムであり、脳卒中は特定のエリアだけでなくあらゆるネットワークに影響を与えてしまう。BrainQでは機械学習と膨大なデータを駆使して、これらのネットワークをどう狙えば良いのかを理解しようとするのである。

脳がどう機能するかについてここでは深く掘り下げないが、脳波を測定すると、特定のネットワークが非常に特殊なスペクトルサインや周波数で局所的に機能していることがわかる。例えば左手と左足が運動皮質の同じ領域を占めていても、手は22Hz、足は24Hzで動作していることがある。

「問題はこのサインをどうやって見つけるかということです」とドレクスラー氏はいう。説明するのはやや難しいので、対談後に同氏自身の言葉で書いてもらうことにした。

BrainQの治療法は、データに基づいてELF-EMFの周波数パラメータを決定するところに特徴があります。パラーメータを選択する際、中枢神経系における運動関連の神経ネットワークを特徴づける周波数や、脳卒中やその他の神経外傷後の障害に関連する周波数を選択するというのが弊社の目指すところです。そのために、健康な人とそうでない人の大量の脳波(電気生理データ)を解析しました。弊社のテクノロジーは説明的な機械学習アルゴリズムを用いて、自然なスペクトルの特徴を観察し、独自の治療的インサイトを導き出します。これらはBrainQの技術によって、損なわれたネットワークを回復するために使用されます。

この治療のために開発された同デバイスは一風変わった様相である。全脳磁界発生装置のため、かなりかさばる円筒形のヘッドピースが付いているが、その他の部分は背中のブレースとヒップパックのようなものに収まっている。一般的な脳磁気イメージング技術であるMRIとは異なり、発生する磁場や電流が非常に小さいためこういったデザインが可能となったのだ。

画像クレジット:BrainQ

「通常の脳活動と同程度の、非常に低強度のものを使用しています。活動電位や活動のジャンプを起こすのではなく、回復メカニズムに適した条件を整えるのです」とドレクスラー氏は話している。

この刺激に関する結果は、小規模(25人)ながらも決定的な研究結果として証明され、近日中にレビューと出版が予定されている(査読前の原稿の抄録はこちら)。通常の治療に加えてBrainQの治療を受けた患者は、バランス感覚や筋力の改善などの指標である回復評価が大幅に改善し、92%が通常の治療に比べて大幅に改善し、80%が回復と呼べる結果を得ることができた(ただし、この言葉は正確なものではない)。

一般的には、1度の治療につき約1時間、デバイスを装着したままさまざまな運動を行い、それを週に5日、2カ月ほど繰り返す必要がある。ヘッドセットが患者のパターンをBrainQのクラウドベースのサービスに送り込み、必要な処理とマッチングを行ってオーダーメイドの治療パターンが作成される。操作はすべてタブレットアプリで行われ、外来看護師などの介護者が操作することも、内蔵の遠隔医療プラットフォームを利用することも可能だ。

関連記事:考えるだけで操作できる脳モニタリングデバイス「Cognixion One」、重度障がい者の円滑な意思疎通をアシスト

ドレクスラー氏によると、このアプローチは初期の段階では評判が悪かったという(筆者だけではなかったようだ)。

「2017年、私たちは患者がどこにいても治療できる、クラウド型の治療機器の基盤を整え始めました。当時は病院という管理された環境の外で患者を治療することについて、意欲的な人などどこにもいませんでした。しかし2020年に新型コロナウイルスが登場しすべてが変わりました」。

今回のパンデミックにより、通常であれば病院で定期的なケアを受けることができた脳卒中の患者の多くが、同様のケアを受けることができなくなった(未だできていない人もいる)と同氏は話す。低リスクで大きな成果が期待できる在宅療法は、現在脳卒中から回復しつつある何千人もの人々にとって非常に有益なものである。そして重要なのは、既存の治療計画を変更することなく、その結果の改善に寄与することができるという点だと同氏はいう(「我々は誰の邪魔をするつもりもありません」と同氏)。

通常であれば「しかし、FDAが保険適用を承認するまでにはまだ5年かかるかもしれない」というような内容をここらで書くだろう。しかしBrainQは先日、画期的医療デバイス指定を取得したのだ。これは迅速承認プロセスで、2021年に入ってからはメディケアの適用を受ける資格も与えられている。つまり、BrainQは1〜2年先にはこのデバイスを出荷できている可能性があるということだ。

次のステップとして同社はより大規模な試験を行おうと考えており、最近の資金調達額の大部分(Hanaco Venturesが主導し、Dexcel PharmaとPeregrine Venturesが参加した4000万ドル)をこの試験に充てる予定である。

「これだけの資金を集めたのは、12の施設でとてもユニークな研究を行おうとしているからです」とドレクスラー氏は話す。提携先の病院や研究機関の名前はまだ公表できないようだが、基本的には脳卒中リハビリテーション分野のトップレベルの施設であり「これらトップレベルの施設が同じ研究に参加してくれて、これ以上のことは望めません。何か新しいことが起こるのではないかという大きな期待に胸を躍らせています。脳卒中の回復分野においてはこの20~30年ほとんど進歩がなく、理学療法が200年前から標準的に行われてきたのです」と話している。

もちろん保証はできないが、このような研究は障害を軽減するだけでなく、元に戻すための医学につながる可能性があるため、その価値には計り知れないものがあると同氏は期待に胸を膨らませている。

「2016年の自分のピッチデッキを見返していました。CEOとしての初期段階では大きな夢を持っていましたし、プロセスの初期には多くの懐疑的な意見を聞きましたが、その夢の多くが今、実現しつつあることを心から誇りに思います」とドレクスラー氏は語っている。

画像クレジット:BrainQ

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

AIを使った超音波分析の拡大に注力するイスラエルのヘルステックDiAが約15億円調達

イスラエルに拠点を置くAIヘルステック企業DiA Imaging Analysisは、深層学習と機械学習を利用して超音波スキャンの分析を自動化している。同社はこのほど、シリーズBのラウンドで1400万ドル(約15億3700万円)を調達した。

DiAの前回の資金調達から約3年後に行われた今回の投資ラウンドには、新たにAlchimia Ventures、Downing Ventures、ICON Fund、Philips、XTX Venturesが参加し、既存投資家としてCE Ventures、Connecticut Innovations、Defta Partners、Mindset Ventures、Shmuel Cabilly(シュムール・カビリー)博士らが名を連ねている。同社のこれまでの総調達額は2500万ドル(約27億4500万円)に達している。

今回の資金調達により、DiAはプロダクト範囲の拡大を継続し、超音波ベンダー、PACS / ヘルスケアIT企業、リセラー、ディストリビューターとのパートナーシップの新規構築や拡充を進めるとともに、3つの地域市場でのプレゼンスを強化していく。

このヘルステック企業は、AIを利用したサポートソフトウェアを臨床医や医療従事者に販売し、超音波画像のキャプチャと分析を支援している。このプロセスを手動で行うには、人間の専門家がスキャンデータを視覚的に解釈する必要がある。DiAは、同社のAI技術を「今日行われている手動および視覚による推定プロセスから主観性を取り除く」ものだと強調している。

同社は、超音波画像を評価するAIを訓練して、重要な細部の特定や異常の検出を自動的に行えるようにしており、心臓にフォーカスしたものを含む、超音波分析に関連する各種の臨床要件を対象とした広範なプロダクトを提供している。心臓関連のプロダクトには、駆出率、右心室のサイズと機能などのアスペクトの測定と分析の他、冠動脈疾患の検出支援などを行うソフトウェアがある。

また、超音波データを利用して膀胱容積の測定を自動化するプロダクトもある。

DiAによると、同社のAIソフトウェアは、人間の目が境界を検出して動きを認識する方法を模倣しており「主観的」な人間の分析を超える進歩につながるもので、スピードと効率の向上も実現するという。

「当社のソフトウェアツールは、正しい画像の取得と超音波データの解釈の両方を必要とする臨床医を支援するツールです」とCEOで共同創業者のHila Goldman-Aslan(ハイラ・ゴールドマンアスラン)氏は語る。

DiAのAIベースの分析は、現在北米や欧州を含む約20の市場で利用されている(中国ではパートナーが自社のデバイスの一部として同社のソフトウェアの使用の承認を取得したと同社は述べている)。DiAは、チャネルパートナー(GE、Philips、コニカミノルタなど)と協力して市場開拓戦略を展開しており、チャネルパートナーは自社の超音波システムやPACSシステムに追加する形で同社のソフトウェアを提供している。

ゴールドマンアスラン氏によると、現段階で3000を超えるエンドユーザーが同社のソフトウェアへのアクセスを有している。

「当社の技術はベンダーニュートラルであり、クロスプラットフォームであることから、あらゆる超音波デバイスやヘルスケアITシステム上で動作します。そのため、デバイス企業およびヘルスケアIT / PACS企業の両方と10社以上のパートナーシップを結んでいます。当該分野には、このような機能、商業的牽引力、これほど多くのFDA・CE対応のAIベースソリューションを持つスタートアップは他にありません」と同氏は述べ、さらに次のように続けた。「現在までに、心臓や腹部領域のための7つのFDA・CE承認ソリューションがあり、さらに多くのソリューションが準備されています」。

AIのパフォーマンスは、当然ながら訓練されたデータセットと同等である。そして、ヘルスケア分野での有効性は特に重大な要素である。トレーニングデータに偏りがあると、トレーニングデータにあまり反映されていない患者群で疾患リスクを誤診したり過大評価したりする、欠陥のあるモデルにつながる可能性がある。

AIが超音波画像の重要な細部を突き止めるためにどのような訓練を受けているのかと聞かれて、ゴールドマンアスラン氏はTechCrunchに次のように答えている。「私たちは多くの医療施設を通じて何十万もの超音波画像にアクセスできますので、自動化された領域から別の領域にすばやく移動する能力があります」。

「各種のデバイスからのデータに加えて、異なる病理を持つ多様な集団データも収集しています」と同氏は付け加えた。

「『Garbage in Garbage out(ゴミからはゴミしか生まれない)』という言葉があります。重要なのは、ゴミを持ち込まないことです」と同氏はいう。「当社のデータセットは、数人の医師と技術者によってタグ付けされ、分類されています。それぞれが長年の経験を持つ専門家です」。

「また、誤って取り込まれた画像を拒否する強力な拒否システムもあります。このようにして、データがどのように取得されたかに関する主観的な問題を克服しています」。

注目すべき点は、DiAが取得したFDAの認可が市販前通知(510(k))のクラスII承認であることだ。ゴールドマンアスラン氏は、自社プロダクトの市販前承認(PMA)をFDAに申請していない(また申請する意思もない)ことを認めている。

510(k)ルートは、多様な種類の医療機器を米国市場に投入する承認を得るための手段として広く利用されている。しかし、それは軽薄な体制として批判されており、より厳格なPMAプロセスと同じレベルの精査を必要としないことは確かである。

より大きなポイントは、急速に発展しているAI技術の規制は、それらがどのように適用されているかという点で遅れをとっている傾向があるということだ。巨大な展望が確実に開かれているヘルスケア分野への進出が増えている一方、まことしやかなマーケティングの基準を満たすことに失敗した場合の深刻なリスクもある。つまり、デバイスメーカーが見込んだ展望と、そのツールが実際にどれだけの規制監督下に置かれているかということの間には、依然としてギャップのようなものが存在している。

例えば、欧州連合(EU)では、デバイスの健康、安全性、環境に関するいくつかの基準を定めているCE制度において、一部の医療デバイスはCE制度の下での適合性についての独立した評価が必要になるが、実際にはそれらが主張する基準を満たしているという独立した検証が行われることなく、単にメーカーが適合性の宣言を求められるだけの場合もある。しかし、AIのような新しい技術の安全性を規制する厳格な制度とは考えられていない。

そこでEUは、来るべきAI規制法案(Artificial Intelligence Act、AIA)の下で「高リスク」と見なされたAIのアプリケーションに特化して、適合性評価の層を追加することに取り組んでいる。

DiAのAIベースの超音波解析のようなヘルスケアのユースケースは、ほぼ確実にその分類に該当するため、AIAの下でいくつかの追加的な規制要件に直面することになる。しかし現時点では、この提案はEUの共同立法者によって議論されているところであり、AIのリスクの高いアプリケーションのための専用の規制制度は、この地域では何年も効力を発揮していない状態にある。

関連記事
欧州がリスクベースのAI規制を提案、AIに対する信頼と理解の醸成を目指す
心電図読み取りAIを開発するCardiomaticsが約3.5億円を調達

画像クレジット:DiA Imaging Analysis

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

【コラム】何千年も前から続く人類と「乳がん」との戦いにAIはどう貢献するのか

この40年、毎年10月の「乳がん啓発月間」は、地球上で最も多く発生する癌であり、毎年約25万人の命を奪っている「乳がん」の認知度を高めることに貢献してきた。

乳がんは、古代エジプトにまでさかのぼる記録があるにもかかわらず、何千年もの間「口に出せない病気」と考えられてきた。女性は黙ったまま「尊厳」を持って苦しむことが求められていたのだ。

このような偏見が教育上の無知を助長し、ほんの数十年前まで乳がんは比較的研究が進んでいない病気だった。20世紀のほとんどの期間、他のがん治療が発展する一方で、乳がんを患った女性は、放射線治療や手術を受けることになるのだが、しばしば根治的な手術が行われたものの、大した効果が得られないまま、患者が傷つくことも多かった。

乳がんの死亡率は、1930年代から1970年代までほとんど変化がなかった。しかし、フェミニストや女性解放団体の努力により、乳がんの研究と治療は、男性優位の病院や研究機関の中で、正当な地位を得られるまでになった。その治療法は、一世代でがらりと変わったのだ。

1970年代には、乳がんと診断された女性が、その後10年間を生き延びられる確率は、およそ40%に過ぎなかった。それが今では、新薬や最先端の検診法、より繊細で効果的な手術のおかげで、その確率がほぼ2倍に伸びた。

このような変化に不可欠なのが、早期診断の重要性だ。乳がんの発見が早ければ早いほど、治療はしやすくなる。人工知能は、この乳がんの発見において、ますます重要な役割を果たすようになっている。2021年、英国の国民保健サービス(NHS)は、AIを用いて乳がんをスクリーニングする方法の研究を発表した。この方法は、人間の医師に代わるものではなく補完するものだが、放射線技師の不足を解消するのにも役立つ。新型コロナウイルスの影響からNHSが抱える検査の滞りを解消するためには、さらに2000人の放射線技師が必要とされているという。

いくつかのスタートアップ企業も、AIを使ってこの人手不足に取り組んでいる。英国のKheiron Medical Technologies(ケイロン・メディカル・テクノロジーズ)は、AIを使って50万人の女性の乳がんをスクリーニングすることを計画している。スペインのthe Blue Box(ザ・ブルー・ポックス)は、尿サンプルから乳がんを検出できる装置を開発中だ。インドのNiramai(ニラマイ)は、農村部や準都市部に住む多くの女性のスクリーニングに役立つ低コストのツールをてがけている。

しかし、生存率を高めるためには、再発のリスクが高い患者を特定することも同じくらい重要だ。乳がん患者の10人に1人は、初期治療後に再発し、生存率が低下すると言われている。

そのような患者を早期に特定することは、これまで難しかった。しかし、筆者のチームは、フランスのがん専門病院であるGustave Roussy(ギュスターヴ・ルシー)と協力して、再発のリスクが高い患者
の10人に8人を発見することができるAIツールを開発した。AIは、患者が必要とする治療を早期に受けられるようにすると同時に、リスクの低い患者が頻繁に不安な検診を受けなくて済むためにも役立つ。一方、製薬会社はリスクの高い患者をより早く募集することによって、乳がんの治験を加速させることができる。

だが、患者のデータのプライバシーは、迅速な研究の妨げとなる可能性がある。病院はデータを外部に送信することに慎重であり、製薬会社は貴重なデータを競合他社と共有したくない。しかし、AIはこのような問題の解決に役立ち、新しい治療法をより早く、より安全に、より安価に開発することを可能にする。

Federated learning(連合学習)は、データを病院から集約することなく、複数の機関のデータを使ってトレーニングを行う新しい形のAIで、研究者が必要不可欠でありながらこれまでアクセスできなかったデータにアクセスできるようにするために、欧州全域で使用されている。

我々はまた、最も侵攻性の高い乳がんがなぜ特定の薬剤に耐性を示すのかについて、AIを用いて理解を深め、化学療法よりも健康な細胞と腫瘍細胞との識別に優れた、新しい個別化された薬剤の開発に役立てている。

AIの影響力はますます大きくなっているものの、成果を向上させるために同じくらい重要なことは、医療は基本的に人間が行うものであるという認識である。どんなアルゴリズムでも、患者の最も暗い瞬間を慰めることはできないし、どんな機械でも、すべての患者が病気に打ち勝つために必要な回復力を植え付けて鼓舞することはできない。

私だけでなくすべての医師は、病気の治療と同じくらい患者を理解することが重要であると知っている。臨床医の共感は、患者の満足度の高さや苦痛の少なさに関係し、患者が困難な治療コースを続ける動機となり得る。ありがたいことに、乳がん治療にますます役立っているAI技術は、医師の能力を補完し、高めてくれる。

毎年、乳がんと診断される何百万人もの人々にとって、乳がんはもはや「口に出せない」病気ではない。10月の始まりを告げるピンクリボンの海は、最古の敵の1つである乳がんとの戦いにおいて、私たちがどれだけ進歩したかを示している。私たちは現在、この戦いに打ち勝ちつつあるのだ。乳がんを完全に根絶することはできないかもしれない。しかし、AIが患者の早期診断を助け、治療法の迅速な開発を可能にすることによって、数十年後には、もはや「乳がん啓発月間」の必要性がなくなるかもしれない。

編集部注:本稿を執筆したThomas Clozel(トーマス・クローゼル)医学博士は、Owkin(オウキン)の共同設立者兼CEOであり、パリのHôpital Henri-Mondr(アンリモンドール病院)の臨床非血液学の元助教授、ニューヨークのWeill Cornell Medicine(ワイル・コーネル・メディスン)のMelnick(メルニック)ラボの元研究員でもある。

画像クレジット:NYS444 / Getty Images

原文へ

(文:Thomas Clozel、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

脳卒中のAI予測診断を救急医療サービス「Smart119」に実装、千葉消防局が実用化へ

脳卒中のAI予測診断を救急医療サービス「Smart119」に実装、千葉消防局が実用化へ

千葉大学発の医療スタートアップSmart119は10月18日、脳卒中AI予測診断アルゴリズムの研究論文がイギリスの科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されたことを発表した。この論文は、急性期の脳卒中にAI予測アルゴリズムを確立し、有効性を実証したことを報告している。

三大疾病の1つである脳卒中は、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、主幹動脈閉塞などが含まれ、突発的に発病する傾向が強い。救命はもちろんのこと、片麻痺などの後遺症を抑えるためにも緊急の治療が求められる。しかし、救急隊員の判断は医療機関と共有されず、病院に到着してからの診断によって病状が特定されるのが現状だ。

そこでSmart119は、救急隊員の判断の精度を高め、専門医や設備を持つ医療機関での的確で迅速な治療を実現するために、救急隊と医療機関とで診断結果が共有できるAI予測診断を開発した。これは、容態、疾患履歴、気象状況など、患者の個別の背景条件から脳卒中の症状を診断できる。

実験では、千葉市内の医療機関と千葉市消防局の協力で、脳卒中の可能性のある救急患者約1500人の、容態、年齢、性別、気象状況のデータを収集。そのうち約1200人分(80%)のデータは機械学習の分類アルゴリズムモデルの設計に利用され、残る約300人(20%)のデータはテストに用いられた。分類アルゴリズムをテスト用300人のデータで検証した結果、評価指標AUC(Area under the curve)値で高い精度(0.980)が示された(AUCは、分類のアルゴリズムの精度を示す曲線値。閾値「0.8」を上回ることで高精度とされる)。

このアルゴリズムは、本年度中に緊急医療情報サービス「Smart119」に実装される予定とのこと。これを導入している千葉市消防局の救急車に装備されているタブレット端末アプリで利用できるようになる。

掲載した画面写真はデモ版のため、正式リリースでは変更になる場合がある

救急隊員は、患者に脳卒中の可能性がある場合に「脳卒中診断ボタン」をタップし、診断専用ページで患者の容態を選択肢に従って入力する。すると、AI予測診断で病状が確定し、受け入れ先の自動選択とともに、受け入れ要請が実施される。受け入れ先病院では、この情報を基に、救急車が到着する前に専門医の召集や緊急手術に関する準備を整えることができる。

このアルゴリズムは、他の病状への応用も期待されている。またこれは、Smart119により特許申請がなされている。

【ロボティクス】パンデミックの影響、看護支援ロボットDiligent Robotics CEOとの興味深い話

筆者はここ数日、大きなプロジェクトに関わっていた(詳細については近日公開予定)ため、残念ながら最新ニュースにしばらく目を通しておらず、ロボティクスに関する今週の大きなニュースについてまったく把握していなかった。そこで、このコラムでその遅れを少し取り戻したいと思う。

そのニュースを取り上げる前に、少し別の話を紹介しよう。筆者は、パンデミックの期間中にユニークな経験をした興味深いロボティクス企業と対談する機会があった。

Diligent Robotics(ディリジェント・ロボティクス)がシリーズAを発表したとき、世界はそれまでとはまったく違ってしまったと言っていいだろう。2020年3月は今からそれほど遠い昔ではないが、現在に至るまでパンデミックによって世界中の医療機関は非常に大きな負担を強いられ続けており、その影響がこれほどまでに広範囲かつ長期間に及ぶとはほとんど誰も予想していなかった。病院スタッフの過労と人手不足の傾向は、新型コロナウイルス感染症の流行以前にも見られたが、流行後にはその傾向が顕著になり、同社の看護支援ロボットMoxi(モキシー)の需要が急激に増加した。

2020年実施された1000万ドル(約11億円)の資金投入がディリジェントの成長に貢献したことは間違いないが、同社は在宅勤務に移行する際に誰もが遭遇する課題に対処しながら、生産能力を高めるという難しいタスクに取り組んでいた。

2017年にVivian Chu(ヴィヴィアン・チュー)氏とともにディリジェントを設立した、Interactive Computing at Georgia Tech(ジョージア工科大学インタラクティブ・コンピューティング学部)のAndrea Thomaz(アンドレア・トマス)准教授は筆者たちと今週会い、2020年経験したユニークな課題と機会について話してくれた。

ロボティクス業界とディリジェントが、パンデミックによって受けた影響の度合いは?

さまざまな業界で労働市場が実に劇的に変化した。これはロボティクス業界とディリジェントの両方に言えることだが、この劇的な変化は、多くの従業員が退職しようとしていること、すなわち何か別のことを始めようとしていることと関係しているように思える。そして実際、多くの人が職を変えている。この傾向はあらゆる技術的な職業に見られ、我々の業界や医療業界で多くの事例が上がっている。とにかく、多くの人が何か別のことを始めようと考えている。パンデミックが始まる前も労働力に関する課題はあったが、今やそれが危機的なレベルになりつつある。

技術的な仕事に就きたいと思う人は常に少ないが、技術的な仕事の需要は常に高い。これはある意味、危機的な状況と言えるだろう。

この傾向はパンデミック前から始まっていた。パンデミックでそれが顕著になったに過ぎない。この傾向は、医療保険改革法(オバマケア)に端を発している。より多くの人が医療を受けられるようになったということは、病院に行って医療を受けられる人が増えたことを意味する。これが高齢化と相まって、必要な医療を提供するスタッフのさらなる不足を引き起こしている。

パンデミック発生の時点でロボットを採用していた病院の件数と、需要がその後どのように急増したかという観点から、需要を把握することはできるか?

我々はまだその情報を公開していない。来年の前半までには、その規模についてより具体的な数値を発表できるだろう。ただし、四半期ごとにロボットの出荷台数を2倍に増やしていることは確かだ。

そのようなロボットの運用に至るプロセスはどのようなものか?

これは、病院市場に関して非常に興味深いテーマであると考えている。このプロセスは、倉庫や製造における従来の自動化とは異なる。ロボットを運用する環境では、看護師や臨床医が働いている。ロボットは、そのような環境で人と一緒に作業をしなければならない。我々は、まず初めにワークフローを評価する。つまり、その環境で現在どのように業務が行われているかを評価するのだ。

画像クレジット:Diligent Robotics

パンデミックは企業の成長にどのような影響を与えたか?

パンデミック前は、製品の市場適合性が満たされていた。我々の研究開発チームの作業は、製品に変更をわずかに加えるだけの非常に小規模なものだった。製品を顧客に見せて価値を示すだけでよかった。しかし現在は契約の締結と納入が重要で、最短期間で導入し、耐久性を最大限高めることを考えることが必要だ。特にハードウェアの面では、製造プロセスと信頼性に関してどのように設計すべきかが大切だ。現在、当社のロボットが現場で1年以上稼働しており、以前と比べて信頼性が高まっている。今や、ロボティクスのロングテール現象が起こりつつあり、今後が楽しみだ。

パンデミックによって、ロボティクスの分野で驚くべき機能や需要が生まれたか?

当社の顧客のどの現場でも「そのロボットはコーヒーを持ってこられるようになるか」と看護師は口を揃えていう。モキシーがロビーのStarbucks(スターバックス)に行き、みんなのためにコーヒーを買ってくることを看護師たちは期待している。自分たちはスターバックスに行って並ぶ時間がないから、時間の節約になるというわけだ。実現できないわけではないが、積極的に試してみようとは考えていない。

つまり、モキシーにエスプレッソマシンを搭載する計画はないということか?

その計画が来年のうちに実現することはないだろう。

近い将来、資金をさらに調達する予定はあるか?

現在、増資の計画中だ。今のところ順調だが、顧客からの需要が非常に高まっているため、チームを増強してロボットの出荷台数を増やすのは、やぶさかではない。

現時点では米国市場に注力するつもりか?

当面はその予定だ。当社では、世界的に展開する戦略について検討を始めている。2022年中に当社の製品が世界中に行き渡るとは考えていないが、すでに多くの引き合いが来ている。現在、販売パートナーを選定中だ。世界各地のクライアントから、1カ月に何件も問い合わせが来ている。今のところ、それらのクライアントと積極的に進めているプロジェクトはない。

画像クレジット:Tortoise / Albertsons

資金調達とコーヒーの配達については、別の機会に取り上げよう。今週は、配送関連で注目の話題がいくつかあるので紹介しよう。まず、過去に何度も取り上げたTortoise(トータス)だが、同社のリモート制御による配達ロボットのチームに追い風が吹いてきた。米国アイダホ州を拠点とするKing Retail Solutions(キングリテールソリューションズ)との取引によって、ラストワンマイル配送用に500台を超えるトータスのロボットが米国内の歩道に導入される。

CEOのDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェベレンコ)氏は「未来の姿がニューノーマルになるというこの新しい現実に、誰もが気づき始めている。ラストワンマイル配送で時給20ドル(約2300円)稼ぐスタッフを動員しても、想定されるどんな状況でも消費者の期待に応え続けるということはできない。単純計算は通用しないのだ」と語る。

先に、Google(グーグル)のWing(ウィング)は、同社による提携を発表した。ウィングは、オーストラリアの小売店舗不動産グループであるVicinity Centres(ビシニティ・センターズ)と提携し、ドローンを使用した配達プログラムの範囲をさらに拡大する。ウィングは、10万件の配達を達成したという先日の発表に続き、オーストラリアのローガン市にあるグランドプラザショッピングセンターの屋上からの配達件数が、過去1カ月間に2500件に達したと発表した。

ローガン市の住民は、タピオカティー、ジュース、寿司を受け取ることができる。今や美容と健康に関する製品まで配達できるようになった。ウィングは「一般的な企業の建物には屋上があるため、当社の新しい屋上配達モデルによって、ほんの少しの出費とインフラ整備だけで、さらに多くの企業がドローン配達サービスを提供できるようになる」と語る。

画像クレジット:Jamba / Blendid

ジュースといえば(といっても、まとめ記事で筆者がよく使う前振りではない)、米国サンフランシスコのベイエリアを拠点とするスムージーロボットメーカーのBlendid(ブレンディド)は先に、Jamba(ジャンバ)のモールキオスク2号店に同社の製品を導入すると発表した。このキオスクは、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡のダウニー市のモールに今週オープンした。ちなみにダウニー市は、現在営業しているMcDonald’s(マクドナルド)の最も古い店舗がある都市でもある(Wikipediaより)。

これは時代の波だろうか。それとも何かのトリックだろうか。答えはどちらも「イエス」だ。

ジャンバの社長であるGeoff Henry(ジェフ・ヘンリー)氏はプレスリリースで「Jamba by Blendid(ジャンバ・バイ・ブレンディド)のキオスク1号店オープン後に、Stonewood Center(ストーンウッド・センター)に試験的にキオスク2号店をオープンして、モールの買い物客に新鮮なブレンドスムージーを販売できることをうれしく思います。ジャンバ・バイ・ブレンディドでは最新の非接触式食品提供技術を採用しているため、当社の現地フランチャイズ店は、ジャンバ好きのファンにスムージーを簡単に提供できます」と述べている。

画像クレジット:Abundant Robotics

ここで、フルーツに関するビジネスの果樹園サイドに注目しよう。Robot Report(ロボットレポート)に今週掲載された記事には、Wavemaker Labs(ウェーブメーカーラボ)が今夏に廃業したAbundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)のIPを取得したことが紹介されている。残念ながら、アバンダントのリンゴ収穫ロボットが復活するわけではなさそうだ。どうやら、ウェーブメーカーのポートフォリオスタートアップ企業であるFuture Acres(フューチャー・エーカーズ)のロボティクスシステムに、このIPが組み込まれるようだ。

最後に、アームに搭載されたRFアンテナとカメラを使用して紛失物を探す、MITが研究しているロボットを簡単に紹介しよう。以下はMITの発表からの引用文だ。

このロボットアームは、機械学習を使用して対象物の正確な位置を自動で特定し、対象物の上にある物を移動させ、対象物をつかみ、目標とする物体を拾い上げたかどうかを確認する。RFusionにはカメラ、アンテナ、ロボットアーム、AIが包括的に統合されており、どんな環境でも的確に機能する。特別な設定は不要だ。

画像クレジット:Diligent Robotics

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

過敏性腸症候群の患者を食事制限から解放するバイオテック企業Kiwi Bio

過敏性腸症候群(IBS)は、20人に1人が患っていると言われている。腸の働きに関係する一般的な疾患で、腹痛やトイレ利用にともなう困難など、さまざまな症状を引き起こす。

腸内環境を整えるには、特定の食品を避けることが有効だが、食餌療法の多くは非常に制限が厳しい、とAnjie Liu(アンジー・リュー)氏は話す。同氏は、ボストンのバイオテクノロジー企業であるKiwi Bio(キウイバイオ)の共同創業者で、過敏性腸症候群とともに生活することの難しさを身をもって知っている。

「食後にお腹が痛くなって医者に行き、その医者が専門家を紹介してくれる、というのがIBSのたどる典型的な道筋です。どこが悪いのか自分でわかる人はいません」とリュー氏はTechCrunchに話した。「IBSに悩む人は10〜15%ですが、正式な診断を受けるのはそのうち半分だけです」。

自らの体験から、リュー氏はDavid Hachuel(デビッド・ハウエル)氏と組み、同じくIBSに苦しむ4000万人の米国人のために、食事を苦痛のない行為にする方法を開発することにした。Kiwiの最初のプロダクトであるFODZYMEは5月に発売された。FODZYMEは、特許出願中の酵素を使って、共通の消化器系の誘因を分解する。

そして米国10月14日、Kiwi Bioは150万ドル(約1億7000万円)のシードラウンドを発表した。同ラウンドには、Y Combinator、North South Ventures、Surf Club Ventures、Acacia Venture Capital Partners、Emily Leproust(エミリー・レプロスト)氏が運営するファンドSavage Seed、Goldenの創業者であるJude Gomila(ジュード・ゴミラ)氏などの投資家が参加した。

6年前にIBSと診断されたリュー氏は、多くの人が最初は薬を試してみるものの、普段摂っている食品の半分をカットする以外に症状を抑える方法がないことに気づくという。「低フォドマップ食」と呼ばれるこの食餌療法は、医師の80%が処方する。だが「実践が非常に難しく、結果的に順守度合いが低くなってしまう」と同氏は付け加えた。

多くの人にとって、これはニンニクやタマネギなどの食品を避けることを意味する。3年近く食餌療法を続けたリュー氏にとって、それは人生や食の楽しみを失うことでもあった。FODZYMEの最初の製品があれば、ニンニク、タマネギ、バナナ、小麦などの食品に粉末を振りかければ食べることができる。

同氏は、カプセルよりも粉末の方が食品になじみやすいという理由から、粉末を採用したと説明する。

「臨床試験の結果、カプセルは酵素を届ける方法としては最悪の部類に入ることがわかりました」と同氏はいう。「カプセルは人間の腸まで届きません。実際にユーザーに作用する場所は腸です。当社の製品が食品に直接かける粉末タイプなのはそのためです」。

また、Kiwiはチュアブルタイプや、糖アルコールの働きを抑えるサプリメントも開発した。FODZYMEに含まれるすべての成分は、米食品医薬品局によって安全性が認められていると同氏は付け加えた。

同社の顧問の1人で、ブルックリンにあるニューヨーク州立大学ダウンステート校の小児消化器科医であるThomas Wallach(トーマス・ワラック)氏は、Kiwiの仕事は、証明されていないコンセプトに頼っている他の消化器系の健康分野の企業や、IBSや腸の不調におけるプラシーボ効果が非常に強いという事実とは異なると考えているとメールで述べた。

「正直なところ、安全な製品で調子が良くなるのであれば、それは何の問題もありませんし、私にとってもうれしいことです」と同氏は話す。「しかし、Kiwiは本当の治療薬の導入を目指しています。IBSから腸管運動機能不全、短腸症まで、いくつかの症状に応用できる可能性があります。斬新で刺激的なアイデアであり、この研究に携われることをとてもうれしく思っています」。

ワラック氏は、過敏性腸症候群などの腹痛症を専門とする臨床医であり、腸管上皮のホメオスタシス専門のトランスレーショナル・リサーチャーでもある。同氏は、ガスが張りを悪化させると説明する。私たちの腸内細菌叢はフォドマップを食べ、多くの細菌がそれをガスに変える。低フォドマップ食は、ガスを減らすことを目的としており、特に関節過可動や自律神経失調症の人には非常に良い成功率を示しているという。

低フォドマップ食は制限が多いというリュー氏の話に加え、ワラック氏は、食物繊維が多く摂取できないため、結果的に細菌叢が悪影響を受ける可能性があると付け加えた。Kiwiは「食物繊維のためのラクチド」であり、IBS患者は多少の準備があれば自由に食べられるという。

「結局のところ、食物繊維は体に良いものであり、それを食事から取り除くことは持続可能ではありません」とワラック氏は付け加えた。「Kiwiの酵素パッケージは、フォドマップを事前に消化し、理想的には、食物繊維の排除や栄養制限を避けながら、大腸に至るフォドマップを減らすことができます。彼らが経験的検証に重点を置いていることに非常に感銘を受けました。彼らは、試験管内モデルシステムでの試験と、臨床試験への迅速な移行を計画しています。臨床試験に移行できるのは、Kiwiの酵素パッケージが一般的に安全な物質とみなされているためです」。

一方、Kiwiにとってこの夏は忙しかった。リュー氏とハウエル氏は、Y Combinatorの夏のコホートに参加し、Kiwiの在庫は今夏2回も完売した。FODZYMEは1本39ドル(約4300円)で、30日分または60日分を購入することができる。同社は現在、600人以上の顧客にサービスを提供しており、毎週18%のペースで成長している。

同社は、製品の拡大に向け、サプライチェーンの強化に取り組んでいる。また、成長部門の責任者と、コミュニティエンゲージメントおよびサクセス担当マネージャーを採用した。

今回の資金調達により、同社はFODZYME製品を成長させ、未解決のフォドマップ群に効く新しい酵素など新製品を開発するとともに、計画中の臨床研究を支えることができる。

「資金調達の過程で、Kiwi Bioは、従来のバイオテック企業の型にも、従来の消費者製品、食品、消費財企業の型にも当てはまらないことがわかりました」とリュー氏は語る。「私たちは、当社を構成するすべての要素を支援できる投資家の適切な組み合わせを見つけなければなりませんでしたし、特に分岐点で考えるのが得意な投資家を見つけなければなりませんでした」。

画像クレジット:Kiwi Bio co-founders David Hachuel and Anjie Liu/Kiwi Bio

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

ヘルスケアデータを構造化するScienceIOがステルス状態から脱出

Gaurav Kaushik(ガウラブ・カウシク)氏は、混乱した医療データの世界を整えるために今回立ち上げたステルス事業の数年前からすでに、より良い視覚化が医療結果にどのような影響を与えるかについて、少しずつ構想を深めていた。2018年にこの新進起業家は、ボストンのがん研究企業ならびにFlatIron Health(フラットアイアン・ヘルス)と協力して、がん患者、がんの変異、健康状態の結果のすべてがどのように関連しているかを調べていた。

最終的には、特に有色人種の女性に酷い結果をもたらすトリプルネガティブ乳がんの患者が、免疫療法によく反応するという分析結果を得た。

カウシク氏は、整理されていない患者データを治療計画に結びつけることのインパクトを理解して、元ティールフェローでDorm Room FundのマネージングパートナーであるWill Manidis(ウィル・マニディス)氏と共同で、新しいスタートアップScienceIO(サイエンスIO)を創業した(マニディス氏がCEOを務めている)。このスタートアップは、自然言語処理とデータ分析を用いて患者データの巨大なデータベースを構築し、関係者が患者をよりよく理解し、総合的に治療することに役立てようとしている。

「地図がなければ旅ができないのに、医療には地図がないのです。例えば、どの患者さんが切実で満たされていないニーズを抱えていて、特別な配慮や新たなソリューションを必要としているのか、あるいは希少疾患に対する新しい治療法を見つけようとしているのかなどの、基本的なことを理解しようとすると、何千時間もの労力と何年もの期間が必要になるのです」とマニディス氏は述べている。

ヘルスケアデータの状況をなんとかしようとするスタートアップは、ScienceIOが初めてではない。そして、それはおそらくこれが最後のものでもないだろう。だが、このスタートアップの差別化ポイントは、何年もかけて、最も代表的なデータを集めたデータベースを構築してきたことだ。

カウシク氏は「私たちは過去2年間をかけて、この種のものとしては初のヘルスケアAIプラットフォームを構築しました。私たちは、データファーストのアプローチを人工知能に適用し、バラバラのヘルスケアデータを高品質で計算可能なデータに変えるために必要な技術を開発しています。ヘルスケア分野では、データを活用したソリューションを構築する機会が非常に多く、当社のプラットフォームや幅広い自然言語処理ルネッサンスから恩恵を受ける、企業のエコシステムが生まれることを期待しています」という。

関連記事:断片化された医療データの統合で患者の命を救え

NLP(Natural Language Processing、自然言語処理)とは、人間の音声をコンピュータが理解しやすくするための最新技術だ。同社は、ソーシャルメディアの投稿を見て、その投稿を行った人間がどのように感じているかを予測する技術であるセンチメント分析に、NLPがどのように利用できるかを説明した。ScienceIOのNLPアプリケーションは、機械学習と組み合わせられることで、900万以上の医療条件、薬剤、機器、遺伝子を潜在的な手がかりとして、患者の健康に影響を与える変数を見つけ出す。

ScienceIOの動作画面(画像クレジット:ScienceIO)

幅広いというのは、その製品がさまざまな潜在的顧客に適用できるということを意味する。例えば臨床医が患者の背景に基づいて患者の全体像を把握できるようになると、カウシク氏は考えている。

「扱う患者さんにはさまざまなヘルスケアイシューがありますので、それに対してがんをよく理解しているとか、社会経済状況を別途理解しているというだけでは十分ではないのです」とカウシク氏はいう。「あらゆる分野に驚くほどの深さがありますし、そうした問題を最小化することなく患者全体を把握することが必要なのです」。

さらに彼は「3年間、世間には公表しないままこのデータセットを構築してきた理由は、患者をバイオリスクに還元するのではなく、患者を医師が見るべきものとして表現するためだったのです」と付け加えた。

マニディス氏は、保険会社が毎日、莫大な数の医療プランや、請求コード、コスト、症状などのデータを受け取っていることを例に挙げた。

マニディス氏は「そこでは、請求をどのように優先させるか、裁定に回すか、不正行為の検出などを行うかで常に悩まされています。そこでScienceIOを使えば、データを構造化し、請求内容を理解して、患者への保険金をより早く、正確に支払うことができます」という。

注目すべきは、ScienceIOはトラッキングを行うのではなく、データをより検索しやすくし、有用な洞察を生み出すことのできる分析結果を作成するのだということだ。ScienceIOは、現在いくつかの顧客とパイロットプログラムを行っているということだが、具体的な名前は明かしていない。カウシク氏によれば、これらのパイロットの結果によって、一般公開までの現実的なスケジュールが左右されるということだ。

これまでの進展によって、これまで秘密裏に行われていたビジネスが、800万ドル(約9億1000万円)のシード資金を調達することができた。今回のラウンドには、Section 32やSea Lane Venturesなどの機関投資家の他、Lachy Groom(ラッチー・グルーム)氏やJosh Buckley(ジョシュ・バックリー)氏といった起業家も参加している。

関連記事:Healthcare is the next wave of data liberation

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:sako)