人工知能で入会審査する学生限定SNS「Lemon」が、社会人も参加可能に

人工知能による審査をクリアした大学生・大学院生のみが入会できるSNS、「Lemon」については2015年5月に紹介したが、今日から参加ユーザーの対象を大学生に加えて一般社会人にまで広げた。

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「毎日、学校や職場の人としか会わない。もっといろんな人と交流したい」、「他の業界の友人を作り世界を広げたい」、「職場に出会いがなく、恋人ができない」といった声に応えるべく業界や学校といった枠を超えた交流ができる、というのがLemonの売りだそう。Lemon上でユーザーは、自分の仕事や活動内容を軸にして掲示板やメッセージのやり取りができる。オフ会などもあり、すでにビジネスパートナーになったとか、友人・恋人になったといったユーザーもいるのだという。プレスリリースから、具体的な声を抜き出すと、

「アフリカをテーマに事業立案したいと考えていたところ、Lemonのおかげで当時アフリカインターン中だった仲間と出会い、ビジコンに出場できました!」(京都大学理学部4年)

「イギリス留学に関しての掲示板がきっかけで、お互いの留学経験についてメッセージするうちによく会うようになり、今は付き合っています」(中央大学4年)

というものがある。ちょっと意識が高めだね。ちょっと甘酸っぱいね。

若い人が集まれば、そりゃ恋の1つも生まれるだろうから、これだけで何かが言える気がしないのだけど、ちょっと面白いのは当初想定していたのと異なる気づきがあったという話だ。親和性が高いユーザー同士でコミュニケーションが発生するのかとおもいきや、案外そうでもなかったという知見が出てきてるという。LIP代表社長の松村有祐氏は、次のように話す。

「審査という点では親和性を軸にしたアルゴリズムで入会審査をやってきました。開始時に話題になったこともあって、すごいプロフィールの方々が集まり、結果として審査通過率は思ったよりも高かったです。一方で定性的観点からみると、ちょっとユーザー層が偏ってしまうという結果が見えました。いろいろと目指す方向になるようにアルゴリズムは随時修正しています。で、そもそも親和性ベースでの審査がどうかという点については、Lemon内のユーザー間のコミュニケーションの発生について分析をしました。結果としては、親和性の高低とコミュニケーションの発生については必ずしも全てに相関があるというわけではなく、ユーザーへのヒアリングを続けたところ、むしろ、親和性が低いというか、あまり接点がないユーザーとの交流を求めている人も多いというインサイトが発見されました。それが今回社会人解禁するにあたって、普段接点のない人たちとの交流を推すことにもつながっています。おすすめユーザー紹介機能やメッセージの送受信などの動向を学習しており、もちろん引き続きもっと良いアルゴリズムの開発に取り組んでいきます」

これはアルゴリズムというよりもコミュニティー運営上の理念みたいなものかもしれないけど、もう1つLemonがユニークなのは、どんどん参加者の顔アイコンを小さくしていっている点だ。もともと松村氏は「顔面偏差値」で出会いの成否が決まることが多い、旧来のデーティング・サイトへのアンチテーゼを掲げて起業している面がある。リアルな出会いでは外見以外の内面がすぐ伝わるので、人柄やコミュニケーションの内容も出会いの成否に影響する。それをオンラインに持ち込むことができれば、よりリアルに近いパートナー探しの場が作れるのではないか、という発想だ。といっても、「最終的には異性との出会いというのもあるとは思いますが、Lemonでは最初からそこまで強い欲求を想定していません」といい、「知らない人とまずオンラインで知り合ってオンラインでお互いの内面を知り深める、そんなコミュニケーションを想定しています。だから、どちらかというとダイレクトな出会いのツールというよりは、Lemonの中でのコミュニケーションを楽しんで欲しいですね」と、松村氏は話している。

元アップル社員が手がける「まごチャンネル」は、テレビを使って実家と写真や動画を共有する

「まごチャンネル」のセットトップボックス

「まごチャンネル」のセットトップボックス

チカクは9月14日、テレビと接続して利用するIoTデバイス「まごチャンネル」を発表。あわせて、サイバーエージェント・クラウドファンディングの運営するクラウドファンディングサービス「Makuake」で販売の先行受付を開始した。2016年春にも製品を出荷。サービスを開始する予定。

まごチャンネルは、テレビを利用した動画・写真の共有サービス。その名の通りシニア世代とその孫の世代を結び付けることが主な目的。スマートフォンが利用できなかったり機械に苦手意識があるような、ITリテラシーの低い人であってもサービスを利用できるよう、テレビに「孫の写真・動画専用」のチャンネルができるような体験を提供するという。

サービスはテレビのHDMI端子に接続する「家」をデザインしたセットトップボックスと、専用のスマートフォンアプリ、写真などを保存するクラウドストレージで構成される。利用の準備は、ユーザーがアプリを通じて写真や動画を撮影し、クラウドにアップロードするだけ。写真などはセットトップボックスに自動的にダウンロードされ、そのタイミングで本体が光る(家型の筐体の窓の部分が光る)ので、テレビのリモコンでHDMI入力にチャンネルを合わせれば、最新の写真を閲覧できる。

まごチャンネルの利用イメージ

まごチャンネルの利用イメージ

セットトップボックスのサイズは幅140mm×奥行き140mm×高さ40mm、OSはAndroid。HDMI CECに対応し、テレビのリモコンですべての操作が可能。ストレージは当初8GBを想定すると聞いている。通信にはWi-Fiを利用。スマートフォンアプリはiOSとAndroid向けに用意している。Makuakeでは、30台限定で初期費用(セットトップボックス)と月額使用料3カ月無料(通常月額980円)をセットにして1万2800円から提供する。

チカクは2014年の設立。金額は非公開だが、著名経営者などがエンジェルとして投資を実施している。代表取締役社長の梶原健司氏は、新卒でアップルコンピューター(現:Apple Japan合同会社)に入社。コンシューマー製品のマーケティングなどを担当した人物だ。「アップルでの経験は12年。『ヘタしたら潰れるかもしれない』と言われている中で入社した。そこからiMacやiPodがでて再びアップルは成長を始めたが、その中でマーケティングやセールス、新規事業開発まで、日本で経験できることはすべてやった」(梶原氏)

Steve Jobsが亡くなった2011年に同社を退職した梶原氏。その後友人の会社を手伝うなどしたものの、自分のプロダクトを作りたいという思いが次第に強くなっていったという。

「最初は『アップルにいた人間が作るのだから……』とイノベーティブで格好いいプロダクトを作りたいと考えていた」——そう振り返る梶原氏だが、解決したい課題を考えたとき、真っ先に浮かんだのは、「実家と自分の子どもの写真や動画を共有できていない」ということだった。

勤めていたこともあってありとあらゆるアップル製品も実家に置いたが、リテラシーの高くないシニア世代には、MacやiPadですら操作が難しかった。せっかくDropboxで画像を共有しても、親は操作が分からず見ることができなかったという。周囲の知人に話を聞いてみると、専用機であるデジタルフォトフレームですら操作が難しく、使わなくなっていくシニア世代もいたのだという。

そんなところから、「普段利用する『テレビ』で、しかもリモコンで操作可能」「写真が送られてくると通知があり、自然なコミュニケーションができる」といったコンセプトを持つまごチャンネルの企画を進めていった。「親が孫の写真を見たいと思ったとき、(タブレットなどで)『アプリを立ち上げる』というのは実は大きな課題。それを乗り越えたい」(梶原氏)

チカクの創業メンバー。左から桑田健太氏(ソフト担当)、梶原健司氏、佐藤未知氏(ハード担当)

チカクの創業メンバー。左から桑田健太氏(ソフト担当)、梶原健司氏、佐藤未知氏(ハード担当)

フリマアプリ「メルカリ」で匿名配送が可能に——配送事故や模倣品の補償プログラムも発表

匿名配送機能のイメージ

匿名配送機能のイメージ

 

ヤマト運輸と連携し、4月から全国一律料金の配送サービス「らくらくメルカリ便」を開始したフリマアプリ「メルカリ」。サービスを提供するメルカリは9月10日、そのらくらくメルカリ便において、出品者、購入者が互いの住所や氏名を相手に伝えることなく商品を送付できる匿名配送機能を提供することをTechCrunchに明かした。9月中旬より、希望者を抽選して試験的にサービスを開始。ユーザーの反応などを見て数カ月以内にも正式にサービスを開始する。

らくらくメルカリ便は、出品者がヤマト運輸の直営店に配送する商品を持ち込み、直営店にある端末「ネコピット」にQRコード(メルカリで契約成立した際にアプリ上で生成される)をかざすことで送り状が印刷され、サイズ・重さにより全国一律で195円から商品を送付できるというサービス。利用数などは非公開だが、「想定より多い。料金が全国一律で分かりやすく、しかも安い。ヤマト運輸でも新商品を提供するのと同じタイミングでスタートしたこともあって、ヤマト側としても一緒にやりやすかった」(メルカリ取締役の小泉文明氏)のだそう。

今回の匿名配送機能を利用する際も出品者のとるフローは同じだが、ネコピットで印刷される送り状は宛先欄・送付欄が空白のままになる。もちろんただ空白のままではヤマト運輸のドライバーが配送できないのだが、バックグラウンドでメルカリのデータベースとヤマト運輸のデータベースが連携しており、商品にはそれぞれドライバーだけが閲覧できるデータが紙で添付されるが、ドライバー以外が送付先の住所などの個人情報を知ることはないという。

またメルカリでは、この匿名配送機能と合わせて、補償サービス「あんしんメルカリケア」の提供も開始する。

これはらくらくメルカリ便利用時に限り、配送事故により商品が破損・紛失した際の商品代金を全額補償するほか、らくらくメルカリ便の使用に限らず、届いた商品が模倣品だと判明した場合に取引について調査し、その上で商品代金を全額補償するというもの。

メルカリいわく、こういった補償自体はカスタマーセンター(現在仙台約80人、東京約30人が24時間365日稼働し、問い合わせおよび規約違反への対応を行っている)への問い合わせベースで個別対応していたのだそうだ。だが「実質やっているのであればよりサービスへの安心感を持ってもらおうとなった。 2年サービスをやってきた中で財務的なノウハウもたまってきた」(小泉氏)ということで今回正式に発表することになったのだという。

メルカリのアプリダウンロード数は国内外2200万件以上(米国だけで400万ダウンロード以上)。月間の流通総額は数十億円で1日の出品数は数十万件と大きく成長した。そうなるとウェブサービスに不慣れなユーザーの割合も増え、「サービスが難しそう」「何かトラブルがあるんじゃないか」という不安が生まれることになる。前者に対してはアプリ自体の改善を進めるが、後者に対しては今回発表したような安心・安全に向けた取り組みをアピールしていくことで、さらなるサービスの利用に繋げる考えだ。

 

後付け型スマートロック「Akerun」のフォトシンスが4.5億円を資金調達

昨年のTechCrunch Tokyoスタートアップバトルのファイナリストでスマートロック「Akerun」を開発・提供するフォトシンスが、ジャフコ、YJキャピタル、ガイアックス、ベータカタリストの4社からの第三者割当増資による合計4.5億円の資金調達を実施したとTechCrunch Japanに明かした。フォトシンスはTechCrunch Tokyo 2014のファイナリストとして昨年デビューして、今年4月に製品販売を開始。サムターンと呼ばれる指で回すマンションやオフィスなどのロックに対して後付けするIoTデバイスによりスマートロック化する仕組みを提供する。

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フォトシンス共同創業者でCEOの河瀬航大氏によれば、すでにアーリーアダプター層など個人での導入も進んでいるが、「法人で予想以上に反響をいただいている」という。中でも第三者へのカギの受け渡しが多いコワーキングスペースやAirbnb、オフィスで売れているそうだ。

導入する側はITリテラシーが高いケースが多いが、逆に利用側はそうとは限らない。「肝心のスマホを使うゲスト側のリテラシーがまちまちである点が課題かと感じています。特に不動産内覧の実証実験では顕著でした。仲介会社さんは意外とガラケーだったり、スマホであってもアプリの操作が苦手だったりする」(河瀬CEO)こうしたことから、この7月にはガラケー対応もしていて、特に「多くの方が出入りするエリアではフィーチャーフォン対応が必須」と考えているそうだ。Akerunによる解錠が必要な利用者でも、1度きりの場合はアプリのインストールや初期登録をするのは手間だという課題もある。この辺りも7月に発表したAkerun RemoteでURLによるワンタイムの鍵の払い出しなどで対応していくことができそうだ。

国内スマートロック市場では、ソニーとWiLが共同出資する「Qrio Smart Lock」(キュリオ スマートロック)のほか、2014年末に創業して不動産に特化したシステム開発を行うライナフの「Ninja Lock」、海外プロダクトの輸入販売としてM2モビリティーが販売する「danalock」などがある。

ヘルスケアスタートアップのFiNCが個人投資家と銀行借入で6.5億円を調達

finc01利用者個人に最適化したダイエットプログラムと専属の「ダイエット家庭教師」によるダイエットプログラム「FiNCダイエット家庭教師」などを提供するヘルスケアスタートアップのFiNCが今日、個人投資家への第三者割当増資と、みずほ銀行や日本政策金融公庫などの金融機関からの借入を含めて総額6.5億円の資金調達を実施すると発表した。第三者割当増資と借入の比率は非公開。今回参加する個人投資家には、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏やイー・アクセス株式会社創業者の千本倖生氏らが含まれるという。FiNCは2012年4月創業で、2014年9月にも同様のスキームで数億円規模の資金調達をしている。

同社は資金調達により、人工知能を利用したソリューション開発への投資や人材採用、ウェアラブルデバイスの開発などを行う。2015年中にリストバンド型のウエアラブル端末を開発することを予定していて、利用者の歩数や消費カロリーなどのデータを端末で自動記録し、健康指導の効果を高める目的でアプリとの連携を考えているという。また今回の資金調達に合わせて、全国でスポーツジム「ジョイフィット」をを運営するウェルネスフロンティアと提携。ダイエット家庭教師を利用すると2カ月間、全国のジョイフィットを自由に利用できる取り組みも始めるという。

60DAYSグループダイエットプログラム」と名付けられた新プログラムはダイエット家庭教師同様に、食習慣や生活習慣に関するアンケートに基づいてダイエット方法を提案・指導、食事の選び方や食べる順序、トレーニングプログラムなどを60日間スマートフォンを通じてサポートする。これに加えて、これまでのマンツーマンでの指導とは異なり、参加時に専門家と利用者3〜6人をアプリ内のソーシャルコミュニティとしてグループ化。ユーザー同士で専属ダイエット家庭教師からのレビューを共有したり、互いにコメントや励ましのスタンプを送り合ったりすることができるようにするという。

また、FiNCでは従業員の心身の健康増進をサポートする法人向けサービス「ウェルネス経営ソリューション」:も提供しているが、こうした法人サービスでもジョイフィットと連携していく予定だとしている。

freeeが35億円の資金調達ースモールビジネスを支えるプラットフォームを目指す

freee_logo

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クラウド会計ソフト freee(フリー)」などのスモールビジネス向けサービスを運営するfreeeがシリコンバレーの大手ベンチャーキャピタル DCM、リクルートホールディングス、ジャパン・コインベスト投資事業有限責任組合を割当先として、総額35億円の第三者割当増資を発表した。2012年7月の創業以来の累積資金調達額は、52億円超となる。なお、freeeのバリュエーションは投資後で300億円程度と見られる。

freeeは、2013年3月より中小企業・個人事業主向けに、確定申告や会計、経理業務を自動化する「クラウド会計ソフト freee」の運営を開始。2015年8月現在の登録事業者数は38万を超えているという。また2014年5月より「クラウド給与計算ソフト freee」、2015年6月より「会社設立 freee」などの運営も開始している。

マイナンバー制度にも対応

今回の資金調達をもとに、増加している法人顧客向けの更なるサービス提供を行い、スモールビジネスを支えるプラットフォームを目指す。2016年1月のマイナンバー制度開始、電子帳簿保存法の改定(一定条件を満たせば、領収書をスキャナ保管、原本の廃棄が可能となる)などの制度改正に対応するサービスを予定しており、すでに「マイナンバー管理 freee」の事前登録がホームページ上で開始されている。月額980円での提供予定で、「クラウド給与計算ソフト freee」を利用している場合は無料になるそうだ。

マイナンバー制度について簡単に説明すると、社会保障、税金などの行政手続において、国民一人一人に割り振られた番号が用いられることになる。ここでメリットやデメリットに言及する気はないが、これによって企業は雇用保険や健康保険・厚生年金保険関係の書類へマイナンバーの記載が求められることとなり、個人情報の安全管理措置はもちろん、収集、管理システムの対応などが必要となる。「マイナンバー管理 freee」は、従業員のマイナンバーの収集、管理から廃棄まで対応している。まだ詳しい情報は聞けなかったが、従業員はスマホアプリからマイナンバーを登録することが可能で、セキュリティは暗号化通信、保存に加えて、ファイアウォールの設置(コンピュータネットワークの安全を維持するソフトウェア)、侵入検知、脆弱性テストなどを行い、安全管理措置に対応する。

領収書のスキャナ保管

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「クラウド会計ソフト freee」は、現在すでにファイルボックス(領収書や請求書などの書類を用いた新しい経理処理の機能)で、領収書の読み取り機能は提供している。電子帳簿保存法規制緩和に伴い、すでにある機能をグレードアップさせつつ、法の要件(変更履歴の管理やタイムスタンプの付与)に対応させる。サービスは年内に提供開始を予定しているそうだ。

CasterBizは「ハイスペック秘書」にいつものツールで仕事が頼めるサービス(バトル応募企業紹介)

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「CasterBiz」は経理や人事、秘書業務といった細かい仕事をオンラインで依頼できるサービスだ。TechCrunch読者にとって便利そうなのは、FacebookやSlack、チャットワーク、メールなどなど、“いつものツール”を使って作業を依頼できる点。料金は契約期間によって異なるが、最安プランが1年契約で7万円で、月に実働30時間の作業を依頼できる。

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倍率100倍超の採用を通過したオンライン秘書

大きな特徴なのが、作業を担当する「オンライン秘書」の存在だ(CasterBizではオンラインアシスタントという名称)。サービスを運営するキャスターの中川祥太社長によれば、オンライン秘書は倍率100倍超の採用プロセスをくぐり抜けた人員。面談はSkypeを通じて合計3回実施し、主に以下の点をチェックして”ハイスペック秘書”を採用している。

 ・タイピングや使用しているWebツールなど
 ・履歴書、職務経歴書、本人確認証などからの過去の仕事実績
 ・採用媒体を通してのWebコミュニケーションのスピード
 ・模擬タスクに対する採点
 ・性格診断の結果

仕事はオンラインで完結することから、「FacebookやSkypeって何?みたいな人は一度目の面談にも到達できない」と中川氏。ある程度のネットリテラシーを重視しているようだ。6月と7月の応募総数は750件超で、このうち採用に至ったのは4人にとどまる。現在のオンライン秘書は15人で、クライアントごとに3〜5人がチームとなって担当する。そのため、同じ仕事を依頼する場合は以前と同じ説明が不要になるので、依頼するほどに便利になっていくメリットがある。

オンライン秘書に頼めることとは?

月額料金は12カ月契約で7万円、6カ月契約で8万円、3カ月契約で10万円といったプランがあり、いずれも月に実働30時間の作業を依頼できる。オンライン秘書は9時から18時まで待機しているが、頼んだ仕事の分だけ「実働時間」として消化する仕組み。業務委託や人材派遣と違って、”ハイスペック”な秘書を初期コストゼロで導入できるので、中小企業のバックオフィスを強化できそうだ。

実は僕もサービスローンチ前の2014年12月に試したことがある。依頼内容は、2014年にイグジットしたIT・ネット系のスタートアップの情報をまとめてほしいというもの。オンライン秘書とはFacebookを通じてやりとりし、情報はGoogle Spreadsheetで共有した。アウトプットは過不足なく、作業時間は合計12時間だった。

キャスターによれば、こうした調べ物以外にスケジュール調整や店舗予約、データ入力、メール返信代行、ソーシャルメディアの簡単な運用、振込代行といった作業を依頼できる。僕が依頼した仕事は重たい部類に入ると思うが、店選びや予約代行なら0.5時間〜、経費入力代行なら0.5〜1.0時間、振込代行なら1.0時間〜といった作業時間の目安となっている。

オンライン秘書といえば、以前TechCrunchで紹介した「kaorisan」をはじめいくつかのサービスがある。CasterBizはクライアントに対応するスタッフが固定している点、9時から18時であればリアルタイムに対応できる点などが異なると、中川氏は話す。オンライン秘書は市場といえるほどの規模はないが、4兆円といわれる派遣市場のリプレイスを図りたいという。

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実はキャスターは、今年11月18日に東京・渋谷で開催する「TechCrunch Tokyo 2015」の目玉企画、スタートアップバトル(以下、バトル)にエントリーした企業の1社だ。バトルは創業3年未満のスタートアップが、今年ローンチした、もしくはローンチ予定のプロダクトをプレゼンで競い合うというもの。昨年は113社のエントリーがあり、書類審査に通過した12社が決勝に進出した。今年のバトルは現在も募集中なので、我こそはというスタートアップは是非エントリーしていただきたい。

そうそう、バトルのエントリー締め切りは10月2日までだけど、8月24日(月)までにエントリーしたスタートアップには特典も用意している。僕らTechCrunch編集部のオフィスがある東京・末広町(秋葉原から徒歩数分)にある建物「3331 Arts Chiyoda」で8月27日(木)18時から開催するサマーパーティーに無料でご招待したい。パーティーにはバトルにエントリーしたスタートアップのほか、シード期のスタートアップに投資するVCも参加してもらう予定だ。

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スクーとエン・ジャパンが業務提携、転職希望者のスキル育成支援で特別カリキュラムを提供

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オンライン動画学習サービス「schoo WEB-campus」を運営するスクーと総合求人・転職支援サービス「エン転職」などを展開するエン・ジャパンが8月18日、業務提携を発表した。

今回の提携はウェブ・IT業界の人材不足の解消に向けた新しい人材の創出と企業から求められる人材の育成を目指すもの。スキルを持った人材を育成すべく、まず最初の取り組みとして、エン転職のユーザーに「schoo WEB-campus」の「Webデザイナー」(3コース:14授業、計12時間)、「Webプログラマー」(4コース:13授業、計13時間)「Webマーケター」(2コース:12授業、計12時間)の講座を無料で配信する。

これだけであれば、schooのコンテンツの配信先が1つ増えたというだけの話だが、9月からは人材の育成、転職についてより具体的な支援をしていくのだという。具体的には、スクーがエン転職のユーザーに対して、プログラミングやウェブデザインなどの特別カリキュラムを提供し、すべてを受講したユーザーに対して修了認定を行う。終了認定されたユーザーに対してはエン・ジャパンが転職サポートを行うほか、入社後の活躍・定着に向けたフォローを行うとしている。

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ペパボ創業者の家入氏の新会社キメラが始動、East Venturesや個人投資家から1億円の資金調達

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paperboy&co.(現:GMOペパボ)創業者の家入一真氏。29歳の最年少でJASDAQ上場(当時)を果たしたのち、飲食店経営や投資活動、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」運営のハイパーインターネッツやネットショップ開設サービス「BASE」運営のBASEなどの共同創業、果てには都知事選への立候補など——時に騒ぎを起こしつつも活動してきた同氏の新会社キメラがいよいよ本格的に動き出した。

キメラは8月18日、East Ventures、あすかホールディングス取締役会長の谷家衛氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏、ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏など複数の個人投資家、リブセンスを引受先とする総額1億円超の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。資金の調達に合わせて谷家氏が同社の取締役に就任する。キメラでは今回の資金調達をもとに人材の拡充やマーケティング強化、開発環境の整備を進めるとしている。

キメラでは、「新しい働き方の提案や雇用力を強化するサービスを開発する」としており、第1弾のプロダクトとして、タレントマネジメントシステム「LEAN」を開発中だ。キメラ共同創業者で取締役の佐野一機氏(paperboy&co.のブランド戦略などを担当したコンサルタントであり、その後自身でも起業。コスメ事業を立ち上げて売却し、現在サティス製薬取締役も務める)によると、クローズドベータ版サービスの運用はすでに開始しており、9月にも正式にサービスを開始する予定だという。

「最近ではリファラル採用(人材会社を利用しない、人づてでの採用のこと)という言葉も出てきているが、企業のHRに必要なインフロー(採用)、インターフロー(教育、配置)、アウトフロー(輩出)にそれぞれモジュールを提供していきたいと考えている。LEANはその採用のモジュール」(佐野氏)

機能の詳細については聞けなかったが、LEANは採用に向けた情報発信に加えて、入社した人材の属性を一元管理。さらにデータを蓄積していくことで、自社に求められるのがどのような人材であるかを確認できるようなプロダクトだという。海外ではすでにLeverのようなサービスが登場しているし。国内で言えばWantedlyなどが近いだろうか(同様のサービスを提供予定だったハッチは現在活動をストップしていると聞いている)。

キメラのコーポレートサイトでは、社名の由来である「キメラ」について「同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっていること。またそのような状態の個体のこと」という説明があるほか、その語源でもあるギリシャ神話の怪物「キメラ」を例に「獅子の頭、山羊の体、蛇の尾を持つ怪物キメラの様に、わたしたちはひとりひとりが独立した特徴を持つモンスターでありたい」というメッセージが書かれている。このメッセージどおりで、同社では今後LEANに加えて複数のサービスを展開していく予定だという。

マッチングサービス「Omiai」のネットマーケティングがマザーズ上場へ

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オンライン広告やマッチングサービス「Omiai」を提供するネットマーケティングは8月13日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は9月16日で、証券コードは6175。

ネットマーケティングでは上場にともなって、49万株を公募し、108万株を売り出す。ネットマーケティング代表取締役の宮本邦久氏(50万株)、ネットマーケティング取締役の長野貴浩氏(20万3100株)および松本英樹氏が(1万6900株)のほか、ベンチャーキャピタルのRIP2号R&D投資組合(33万株)、DBJキャピタル投資事業有限責任組合(2万株)などが株式を放出する。オーバーアロットメントによる売り出しは23万5500株。

公募・売り出し価格の仮条件の決定は8月27日、ブックビルディング期間は8月31日~9月4日。価格の決定日は9月7日。主幹事証券会社はSBI証券となっている。

同社の2013年6月期の売上高は46億9084万円、経常利益は5557万円、純利益は6140万円。2014年6月期の売上高は66億1864万円、経常利益は2億7314万円、純利益は1億2695万円となっている。

ネットマーケティングは2004年7月の創業。ウェブ広告代理店としてスタートし、アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)などを展開。2012年からはFacebookを使ったマッチングサービスのOmiaiを開始。2015年にはそのOmiaiの仕組みを利用したジョブマッチングサービス「Switch.」も展開している。

バトル応募企業紹介:難病での休職、妻の産休手続き——起業家の経験が生んだ労務支援サービス「SmartHR」

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スタートから5年を数えるOpen Network Lab(Onlab)のインキュベーションプログラム「Seed Accelerator Program」。4月に開催された第10期のデモデイで最優秀賞に輝いたKUFUのサービス「SmartHR」がクローズドベータ版のサービスを開始した。事前に募集をしていた約300社に対して順次アカウントを提供している。あわせて、SmartHRのサイト上で、新規のクローズドベータ版ユーザーも追加募集している。

SmartHRは「入退社の書類作成」「社会保険の手続き」といった労務手続きをサポートするサービスだ。例えば入社時の書類作成の場合、新入社員の氏名や住所などを入力すると、印刷すればそのまま利用できる役所提出書類などを自動で作成。さらに画面上にToDoリストを表示し、必要な作業を指示してくれる。今秋をめどに政府が提供する電子申請システム「e-Gov」と連携し、オンライン上での書類申請も可能になるという。ビズグラウンドの「Bizer」のほか、freeeやマネーフォワードが提供するクラウド会計サービスの機能の一部が競合にあたるだろうか。

自身の病気、妻の産休がサービスのきっかけに

KUFUの設立は2013年1月。代表取締役の宮田昇始氏は、かつてスタートアップで勤務していたが、数万人に1人発症するかどうかという難病にかかって顔面左半分麻痺、聴覚障害、視覚障害という経験をしたのだという。しばらく休職して病気から回復したが、自分の生き方や働き方を考えた上で独立しようとなったのだそう。そこでフリーランスで活躍していたデザイナーやエンジニアと作ったチームが同社の母体となった。

KUFU代表取締役の宮田昇始氏

KUFU代表取締役の宮田昇始氏

受託を受けながらいくつかサービスを企画。その1つを持ってonlabの門を叩き、見事にプログラムに採択されるも、「スタートして1カ月くらい『本当にそこにユーザーの課題があるのか』とヒアリングを続けていた。深掘りして考えて行くと課題があるのか分からず、数えるだけでも9回のピボットをした」(宮田氏)のだという。

そんなタイミングで思い出したのが前職での休職経験。その際、休職時の手当の申請などで社会保険労務士(社労士)にはお世話になったのだそう。また時を同じくして宮田氏の妻が産休をすることになったが、会社で手続きをしてもらえなかったために宮田氏が代行。その面倒さを痛感したという。

「ここにユーザーのニーズがないかと思ってヒアリングしたところ、特に10人程度の会社だと、労務の専任者がおらず代表が労務手続きをしているというケースが多かった。コストが合わないため、労務は面倒だが社労士を雇えないのだという。そういった課題を解決できるサービスを考えた」(宮田氏)

デモが動くようになって各所に話をしたところ、反応が良かったのは小規模の会社だけではなかった。「実は30〜50人規模の会社の反応が一番いい。その規模でも労務専任の人材がおらず、経理や人事が兼任している状況」(宮田氏)。現在はベータ版でサービスを提供しているため、利用は無料。今後は月額課金を中心にしてサービスを提供する予定だが、詳細については現在検討中だという。

同社はOnlabのほか、DGインキュベーションおよび非公開の1社からシードマネーを調達している。金額については非公開となっている。

なお同社は、11月17日、18日に渋谷・ヒカリエで開催予定のイベント「TechCrunch Tokyo 2015」の目玉企画「スタートアップバトル」に応募頂いている。

スタートアップバトルは2日目の11月18日午後に予定している企画で、100社以上の応募の中から書類審査を勝ち残った約10社が投資家や起業家、経営者、スタートアップ関係者、大手ネット企業の事業担当者などを含む観客の前でプロダクトのお披露目をするコンテストとなっている。

もちろんSmartHRが登壇するかどうかは審査が終わるまで分からないが、早く正式版のサービスをお披露目してもらいたいと期待している。

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デジタル素材のマーケットプレイスを展開するピクスタがマザーズ上場へ

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ピクスタのコーポレートロゴ。PIXTA会員のクリエーターがデザインした

写真や動画などデジタル素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」を提供するピクスタは8月10日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は9月14日で、証券コードは3416。

ピクスタでは上場にともなって、18万株を公募し、27万7900株を売り出す。ピクスタ代表取締役の古俣大介氏が5万株、取締役の遠藤健治氏が3万株、同じく取締役の内田広太郎氏が1万3000株、Globis Fund III,L.P.が9万8500株、Globis Fund III(B),L.P.が2万7700株、SocialEntrepreneur投資事業有限責任組合が5万3000株、関西インキュベーション投資事業有限責任組合が5700株をそれぞれ放出する。オーバーアロットメントによる売り出しは6万8400株。

公募・売り出し価格の仮条件の決定は8月26日、ブックビルディング期間は8月27日~9月2日。価格の決定日は9月3日。主幹事証券会社は野村證券となっている。

同社の2013年12月期の売上高は7億8232万円、経常利益は4645万円の赤字、純利益は4698万円の赤字。2014年12月期の売上高は10億6876万円、経常利益は9844万円、純利益は9053万円となっている。

ピクスタは2005年8月の設立(当初の社名は「オンボード」)。2006年よりPIXTAを展開してきた。

PIXTAはプロ・アマチュアのクリエーターがPIXTA上に素材を投稿して販売。代金の一部をPIXTAが手数料として徴収し、クリエーターに報酬を支払うというもの。当初は写真に限定してサービスを展開していたが、現在ではイラストや動画など様々なデジタル素材を購入できる。2014年度の数字では、素材点数が983万点、単品販売の月間購入者数の累計は17万人、平均月間単価は5979円となっている。また2014年からは定額制販売も開始しており、2015年度第2四半期時点の契約件数は435件となっている。

アジアを中心にした海外展開も進めており、2013年には英語版サイト(7月)と中国語版サイト(12月)を開設。同年11月にはシンガポールに現地法人、2015年7月には台湾支店をそれぞれ立ち上げている。

ヒートマップでユーザーの行動を解析する「Ptengine」、開発元のPtmindが約11億円の資金調達

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ヒートマップを軸にしたデータアナリティクスサービス「Ptengine」を提供するPtmindは、同社の持株会社であるPtmind Inc.が中国のCAC Capitalから約11億円(900万ドル)の資金調達を実施したと明らかにした。なおPtmind Inc.は2014年1月にも約6億円(500万ドル、投資家非公開)を調達している。

中国と日本からサービスを開始したPtengineだが、現在は全世界100カ国以上で利用されているという。国内ではディー・エヌ・エーやインテリジェンス、アスクルなどの大手をはじめとして、2万サイト以上の導入実績がある。

Ptmind共同創業者で日本カントリーマネージャーの安藤高志氏いわく、ヒートマップを軸にしたアナリティクスサービスでは最大のユーザー数なのだそう(同社がフリーミアムモデルでサービスを提供しているという理由もあるのだが)。「競合に該当するベンダーは20万円を超える価格でサービスを提供しているが、 我々はオンライン上で決済ができ、かつ価格は10分の1以下で利用可能だ。 予算のある企業だけでなく、小さなベンチャーから利用頂きたいと考えている」(安藤氏)

国内での直近1年間の売上高は、その1年前との比較で約7倍の成長だという。2014年後半からはその他の地域にも事業を展開しているが、現在海外ユーザー比率は全体の約3割なのだそう。2015年内には、米国にも拠点を設置する予定だ。

ピッチイベント「RISING EXPO 2015 JAPAN」、優勝は予約台帳サービスのトレタに

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サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)が主催するスタートアップ向けのプレゼンイベント「RISING EXPO 2015 JAPAN」が8月7日、東京・新豊洲にて開催された。

今回で4回目となるRISING EXPOは、「アジア最大級の資金調達・事業提携の場」と銘打ち、約250人の起業家や投資家を招待するクローズドイベント。イベントでは、一次審査(僕も一次審査員として参加している)を通過した国内外15社のスタートアップがプレゼンテーションを繰り広げた。 グランプリに輝いたのは予約台帳サービス「トレタ」を展開するトレタだった。同社を含め、登壇順にサービスの概要を紹介したい。

オープンエイト

女性特化のスマートフォン動画広告プラットフォーム「Video Tap」を展開。 Video Tapは月間延べ4000万人、女性含有率90%にリーチするプラットフォームとなっている。

広告主が動画広告に求めるのは「高い完全視聴率」「ブランディング効果」。一方でメディアが求めるのは「収益力」「ユーザービリティ」だ。Video Tapではそんな両者のニーズをかなえるべく、独自の動画広告UIを開発している(詳細は過去記事参照)。直近ではコンテンツマッチ型の動画広告も配信可能になった。6月から事業をスタートしたが、すでに資生堂、コーセー、P&Gなどナショナルクライアントによる利用実績があるという。
フーモア

ゲーム向けのグラフィックに特化したクラウドソーシングサービスを展開。登録クリエーターは3000人でその割合は国内7割、海外3割。イラスト制作からはじまり、2Dアニメーションや3DCG、マンガの制作までを担当している。創業4年で、売上は過去3年で前年比500%、230%、140%の成長を実現。

現在はネイティブ漫画広告の制作も実施しているが、この評価が非常に高いそうだ。DeNAのマンガボックスに掲載した漫画広告は完読率97%、(広告を出したサービスの)登録者率500%増、課金額250%増となった。VOYAGE GROUPから電子書籍サービス「Androbook」も購入し、新たなサービスを準備中だという。今後は受託に加えて、メディアでのマネタイズ(ヤフーとの提携が決定している)、オリジナルIPの発信を進める。

VUNO

韓国発のVUNOは、人工知能を活用した医療向けの画像処理サービス「VUNO MED」を開発している。通常、医師や放射線技師などはCTスキャンの画像などを、自身の経験に基づいて診断するが、それでは診断できる画像の数が限られている(一生で1人の放射線技師が診断できるのは1万人とも言われる)し、初見では判断がつかない症状もあるだろう。

そういった経験に依存するところの診断を、人工知能と過去の症例画像の組み合わせによって精度の高いモノにしようというのがVUNO MEDの考えだ。これまでに韓国の民間企業や政府系VCから合計約1億円の資金を調達。8つの病気に対してこの取り組みを進めている。

JOKERPACK

こちらも韓国のスタートアップ。同社が提供する「BeeCanvas」は、「キャンバス」と呼ぶページ上に、動画やウェブページなどさまざまなフォーマットのデータを貼り付けて保存・共有できるサービス。すでに日本語化されているほか、iOS、Android向けのアプリも提供されている。

Lang-8

TechCrunchでも何度か紹介している「HiNative」は、学習したい言語で文章を書き、その言語が母国語であるユーザーと添削しあうことができるサービス。自分の発音を録音して他のユーザーに聞いてもらったり、逆にネイティブが正しい音声を録音して教えてあげたりすることもできる。

外国語学習で重要なのは文法だけでなく文化や習慣も大事だというが、HiNativeではユーザー間でメッセージをやりとりすることで、自ずと文化的な背景も学ぶことができるとしている。現在170カ国で利用されており、国別では中国が42%、米国が23%となっている。これまでの質問は15万件、回答は50万件。

スピカ

ゆめみからスピンアウトしたスピカは、ネイル版のInstagramとも言えるアプリ「Nailbook」を展開している。Nailbookではネイル写真とネイルを作成した店舗情報を紐付けて掲載。現在、ノンプロモーションながら120万DL、73万MAUを達成。これまでに100万枚の投稿が集まっているという。

ネイルサロンの予約はまだ10%しかオンライン化されていないそうで、今後は残り90%の市場を狙ってマネタイズを進めるそうだ。その第一歩として、サロン向けにネイリストと直接メッセージをやりとりしてカウンセリング・予約を行うアプリ「サロンブック」を開発している

トレタ

飲食店の予約台帳サービス「トレタ」を開発。 飲食店では通常紙の台帳を利用して予約管理を行うが、その業務は電話とメールの対応で1日3時間程度にもなるという。これを「紙と同等の簡単さ」「紙を圧倒する利便さ」のアプリで実現するのがトレタだ。

加盟店舗数は3000以上で、その課金継続率98.7%、MAU(月間アクティブユーザー)は95.6%だそう。すでにヤフー、ヒトサラと連携済みだが、今後はグルメサイトとの連携のほか、海外進出や決済連携なども検討している。

Misoca

クラウドで請求書を作成できるサービス。間もなくアプリ版もリリース予定だそう。登録事業者数はこの1年で4倍に成長しているそうだ。リリース後から口コミでユーザーを伸ばし、昨年の資金調達を契機に体制を強化したところユーザー数は急増。利用事業者は5万社、請求発行総額は年間750億円になるという。

同社の強みは3つ。まずエンジニア集団によるUXの高速改善体制を作っていること。そして次に名刺管理サービスからECモールまで、多くのサービスと連携していること。3つ目がバイラル。作成した請求書にロゴが入るので、自ずとサービスが広がっていくのだそう。現在サービスは基本無料。郵送代行などのオプションを有料で提供する。

Wizpra

グローバル企業でも重用される指標であるNPS(Net Promoter Score:顧客のロイヤルティ測定の指標)で顧客の「感動」を定量的なデータにし、企業の収益化の改善ツールとして活用する「Wizpra NPS」を提供する。 代表の今西良光氏いわく「サービスの現場は非効率。気合い、根性、勘の『3K』に頼りがち」なのだそう。それを変えるためこのサービスを開発した。

クラウド上で顧客の声の取得からからNPSに基づいた仮説立案、プランの実行までをカバーする。リリースから約1年で大手企業での導入も進んでいるということで、年度内に100社以上での導入を見込む。 また8月6日にはミクシィ・リサーチとの提携を発表。クレティセゾンとも新しい広告モデルを企画中だという。

A-STAR

ITアウトソーシング市場は国内80万人。ただしこのうち55万人、3兆円規模が多重下請構造の支配下にあり、政府からも「構造不況」と認定されている状況なのだそう。これを変革させようとしているのがA-STARだ。

同社はこの構造不況解決に向け、ITアウトソーシング特化のプラットフォームを展開している。現在登録するIT人材は4800人。案件応募数は月間600件程度だが、「IT人材に特化すると業界トップクラス」になるという。

ZUU

現在金融のバーティカルメディアが主力事業となっているZUU。メディアは1年で17倍に成長しているとのことで、現在250万UU、1000万PV(コンテンツ配信先を含めると2000万PV)。サイトで資産運用に興味のある潜在層を集客し、外部サービスや自社サービスのZUU Signalなどに送客している。

ZUU Signalは、自らの持つ株式銘柄や興味のある株式銘柄の状況や関連するニュースなどを閲覧できるダッシュボード。金融や投資に関する知識があまりないユーザーでも理解できるよう、10のテクニカル分析と4つのファンダメンタル分析をくみあわせた独自のアルゴリズムで、銘柄を信号機のように赤、黄、青のカラーで診断する。

Ayannah Information Solutions

フィリピン発のスタートアップ。同社が手がけるのは送金サービスの「Sendah Direct」は、銀行口座を持たないユーザー向けの送金サービスだ。東南アジアでは日本ほどクレジットカードや銀行口座を持っている人が少ないのだが、Sendahはそういった人向けにウェブ、SMS、スマホアプリを通じて送金できるサービスを提供している。今後はインド、インドネシア、アメリカにも進出を検討する。

Drivemode

Drivemodeはスマートフォン端末の画面を集中して見なくても電話やメッセージなどを利用できるというAndroidアプリ。

電話やメッセージングなどの機能を備えたインターフェースを運転手向けに設計しているので、例えば運転中に電話がかかってきても、道路を見ながらその対応ができるという。音楽アプリだってDrivemode経由で立ち上げることも可能。今後はカメラやハードウェアとの連携も進める。詳細は過去記事を参考にして欲しい。

Anywhere 2 Go

タイ発のスタートアップであるAnywhere 2 Goは、交通事故発生時の保険や事故後のサポートをスマートフォンアプリで実現する。例えば事故が起きたときはアプリを立ち上げ、現場の写真を撮影。相手の居る事故だった場合は、アプリを通じて相手とのやりとりを行うという。これによって、保険会社やユーザーの時間を80%、コストを90%削減できるとしている。

KAMARQ Holdings

グライダーアソシエイツ創業者の町野健氏が代表取締役兼COOを務め、建築家の鄭秀和などが参画するカマルクは、スタートアップの家具メーカーだ。

テスト販売したデザインこたつはヤマダ電機経由で6万5000台を完売して手応えを感じ、サービスを本格化させたという。

第1弾プロジェクトは「家具×自由」をキーワードにカラーやサイズを選べるデザイン家具を販売。さらに今後は「家具×音楽」として、スピーカーとして音が響く出るテーブルやベッドやTVチェストなどを展開。また 第3弾は「家具×安心」をテーマに、センサーで温度や人感を検知するドアを販売する予定。販路はECが中心となる。

グランプリを含む各賞は以下の通り。
グーグル賞:Misoca
住友不動産賞:KAMARQ Holdings
アマゾン賞:KAMARQ Holdings
インテリジェンス賞:ZUU
新日本監査法人賞:オープンエイト
AGS賞:トレタ
SMBC日興証券賞:Misoca
JAL賞:トレタ

イベント終了後に参加者とも話したのだが、各賞を受賞したプロダクトは非常に良くできているのだが、海外スタートアップが1社も賞に選ばれなかったのは少し残念だと個人的には感じた。VUNOは日本だと医療行為になってしまうのかも知れないが、過去のデータから統計的に病気を判定することで、診断の制度を高める素晴らしい試みだし、Anywhere 2 Goのようなサービスは日本でも実現して欲しいところだった。

「内部統制の有効性に関して確認すべき事項を発見」健康・美容メディア運営のリッチメディアが上場取り消し

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東京証券取引所(東証)は8月6日、東証マザーズ市場への新規上場を承認したリッチメディアの上場承認を取り消した。東証では「同社の取締役会において、予定していた新株式発行及び株式売出しの中止が決議され、有価証券上場規程に定める形式要件を満たさないこととなったため」と説明している。

リッチメディアは「ヘルスケア大学」をはじめとする健康・美容情報を取り扱うメディアのほか、ヘアサロン予約サービス「Kamimado」、ヘアスナップSNS「HAIR」などを展開している。これまでにリンクアンドモチベーションやKDDI、日本アジア投資、みずほキャピタルなどが出資をしている。7月6日に上場が承認され、上場を8月10日に控えていた。

ではなぜリッチメディアは上場の要件を満たせなくなったのか? 同社コーポレートサイトでは、以下のようなアナウンスがされている。

平成 27 年7月6日及び平成 27 年 7 月 17 日開催の各当社取締役会において、当社普通株式の株式会社東京証券取引所マザーズへの上場に伴う募集株式発行並びに株式売出しについて決議いたしましたが、当社内部統制の有効性に関して確認すべき事項が発見され、本日開催の当社取締役会において、当該確認に時間を要するものと判断したことから、募集株式発行並びに株式売出しの中止と、それに伴う上場手続きの延期を決議いたしましたので、お知らせ申し上げます。

なお、今後の上場手続きの再開時期につきましては、当該確認の結果を踏まえ、状況を慎重に見極めたうえで総合的に判断する予定です。

こういったケースはそうあるわけではないが、例えば2012年にはジャパンケーブルキャストが「コンプライアンス体制の有効性に関して確認すべき事項が発見され、当該確認に時間を要するものと判断した」として、同様に上場を取り消している。

リッチメディアの発表では「内部統制の有効性に関して確認すべき事項」があったということなので、財務報告の信頼性や法令遵守などに関わる課題が出てきたと見るのが妥当だろうか。

承認後に上場を取り消す理由とは

ここからはリッチメディアの話ではないが、これまでに上場を承認された会社が上場を見送ることになったケースについて紹介しておく。

まずは雇用や労働に関する課題が上場承認後に見つかるケースがある。上場審査の過程では、コーポレートガバナンスや内部管理体制の有効性などが厳しく審査される。しかしその審査を通過しても、あとから元従業員が「以前にこの会社パワハラを受けた」「賃金の未払いがある」なんて内容のメールやファックスが証券取引所や主幹事証券会社に送ればどうなるだろうか。その体制の見直しが求められるだろう。

また、事業上のトラブルに起因するケースもある。2006年にはゲームオンが上場を取り消しているのだが、この背景には顧客情報流出事件があった。同社は上場の約1カ月前、自社で運営していたゲーム情報ポータルサイトにおいて、新規登録ユーザーに対して、本人のメールアドレスとパスワードに加えて他のユーザーのメールアドレス・パスワードを記載したメールを送ってしまい、3900件近い情報が流出したのだという。これを受けて「内容を確認するとともに、投資家に周知徹底することが必要と判断した」とアナウンスし、上場をいったん取り消すことになった。ほかにも2011〜2012年には、東日本大震災や当時の市場状況を鑑みて上場を中止するというケースもあった。

上場後に株価が上がらない企業を揶揄して「上場ゴール」なんて言うことが増えたが、そもそも上場自体が大変なことを忘れてはいけない。市場と向き合うには信頼性や健全性が求められるということだろう。

自動車のビッグデータ解析行うスマートドライブが産革から最大6.6億円の資金調達、アクサ損保と新商品の開発も

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車速やエンジン回転数など150種類にも及ぶ情報を取得するために自動車に用意されている「OBD-IIコネクタ」。ここに専用のデバイスを接続してリアルタイムに運転情報を取得。この”自動車のビッグデータ”を解析し、保険や車輌動態管理、CRMツールなど、さまざまなサービスに利用できるテレマティクス(自動車や輸送車両などに対して、移動体通信を通じてサービスを提供すること)情報のプラットフォームを構築しようとしているのが、北川烈氏率いるスマートドライブだ。同社は8月5日、産業革新機構から最大6億6000万円の資金調達を実施することを明らかにした。

開発中のデバイス

開発中のデバイス

スマートドライブは2013年10月の設立、ベンチャーキャピタルのANRIからシードマネーを調達して自動車向けのデバイスや連携アプリなどを開発していた。2014年8月からは千葉県・柏の葉にて実証実験を実施していた。また総務省主催の新事業創出支援プログラム「I-Challenge!:ICTイノベーション創出チャレンジプログラム」の1号案件にも採択された。

またスマートドライブでは、アクサ損害保険との業務提携契約を締結。資本参加も決定しているという。両社は任意保険のアクサダイレクト向けに新商品および新サービスの開発を進めているという。

新商品・サービスの具体的な内容については明らかにされていないが、リアルタイムに取得する情報をもとに、ドライバーの運転特性に応じて保険料が割引される「テレマティクス保険」を提供することになるのだろう。

米国などではこの動きが先行しているが、国内でもすでにソニー損害保険の「やさしい運転キャッシュバック型」、あいおいニッセイ同和損害保険「つながる自動車保険」といったテレマティクス保険が今春以降登場している。

SnSnapはソーシャルに投稿した写真を印刷できる、オンラインとオフラインをつなぐプロモーションサービス

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SnSnap CEO兼共同創業者の西垣雄太氏

25歳の西垣雄太氏が立ち上げたSnSnapは、ソーシャル上でシェアした写真をイベント会場などに設置した専用端末から印刷できるサービスだ。主にプロモーションやイベントで利用する。今回TechCrunch Japanは、SnSnapを展開するスタートアップ、ドーグスの代表の西垣雄太氏にインタビューを行った。

SnSnapの利用方法は次の通りだ。ユーザーはスマホで写真を撮り、指定のハッシュダグを付けて、Twitter、Facebook、Instagramに投稿する。イベント会場や店舗に設置してある専用端末は、指定のハッシュダグが付いた最新の写真を読み込んでいる。その端末でソーシャル上に投稿した写真を選択すると、端末とつながったプリンターからカードサイズの写真が印刷され、ユーザーはそれをノベルティーグッズとして持ち帰ることができる。

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企業にとってSnSnapの利用は、ソーシャルメディアでのマーケティング効果と共にユーザーをイベント会場へと呼びこむきっかけとなる。また、企業は印刷紙の裏面と余白を自由にカスタマイズすることができる。そこにはブランドのロゴやQRコードを印刷したり、再度来店を促すクーポン券として活用したり、更には広告枠としても利用できる。印刷紙はカードとシールの2つのタイプがある。

アパレル企業のオープニングパーティーやプローモーションイベントの引き合いが多いと西垣氏は話す。7月9日に行われた、日本でも人気のデンマークの雑貨店「Flying Tiger Copenhagen」の名古屋ストアのプレオープニングイベントにSnSnapが登場した。写真の余白部分には、このイベント限定のデザインがあしらわれた。いつもは友人にのみ投稿を表示する非公開モードでTwitterを利用していても、この写真を手に入れるためだけに公開設定に変更する若い女子が続出したそうだ。

ビジネスモデルとしては、SnSnapの端末とプリンターを数日や月単位で貸し出す方式だ。また、端末を借りた企業はSnSnapの余白部分を広告枠として他企業に販売することも可能だ。いずれにしろ企業側が端末と印刷代金を負担しているので、ユーザーは無料で写真を手に入れることができる。

現在、端末のディスプレイは、店舗に設置するのに適した小さめのサイズだが、今後は広いイベント会場でも目立つ大型ディスプレイを導入する予定だと言う。また、観光名所ごとに異なるデザインのカードやシールを発行できるようにし、街興しに活用することも考えているそうだ。

25歳で自己資金450万円から始めたビジネスが順調に軌道に乗っているという話を聞くと、学生時代から起業を目標にこれまでのキャリアを積んできたのではないかと思うかもしれない。その事について尋ねると、西垣氏は昔から起業に強い関心があったのではないと言う。ただ、大学生時代に留学していたワシントン大学で出会った学生の中には10代で起業している人も多く、刺激を受けことが起業を意識したきっかけになったと西垣氏は言う。

西垣氏は留学を経てAppleに就職し、数年後にインターネットを通じて市場調査を行うマクロミルへと転職した。そしてTechCrunchが主催したイベントで、スタジオや会議室などの貸し借りを行うスペースマーケット代表の重松大輔氏との出会いがあり、重松氏のスタートアップに参画した。まだスペースマーケットに在職中の今年5月、自身のスタートアップを立ち上げるに至った。

多くの人を魅了する製品を作るApple、インターネットが始まったばかりの時代にアンケート調査に目をつけたマクロミル、そしてシェアリングコミュニティーを実現しようとするスペースマーケット。それぞれでの経験や人との出会いが起業につながったと話す。社名の「ドーグス」はアメリカの古い言葉で「仲間」や「兄弟」を意味し、「創業日が2015年5月15日なのは、語呂が良いのに加え、大切にしている『一期一会』を表しています」と西垣氏は創業への想いを語った。

未公開ベンチャーの大型資金調達が顕著にー2015年上半期調査レポートをJVRが発表

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このところ、大型の資金調達リリースが増えていると感じる方も多いのではないだろうか。ジャパンベンチャーリサーチ(JVR)が3日に発表したレポートによると、2015年上半期の資金調達総額が624億円に達した。これは資金調達総額が6年ぶりに1000億円を超えた昨年下半期と同額だった。

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調達総額は2014年下半期と並んだが、調達企業数は23%減で326社となり、2014年上半期以降は大幅な減少傾向にある。つまり資金調達の大型化が顕著になったといえる。今回のレポートには含まれいないが、2014のレポートにあるように、引き続きシード・アーリーステージでの投資からシリーズA、シリーズBでの投資に成功するスタートアップが増加しているのが要因だろうか。

投資家別の比率を見ると、事業法人が全調達金額の624億円のうち439.7億円を占めている。このことからも、事業シナジーのある企業へのシリーズA、シリーズBでの投資が増えていること、また最近言われ続けているが、スタートアップのバリエーションの高騰も関係していると考えられる。

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1社あたりの調達額(中央値)はこのように、2014年下半期からほぼ2倍ともいえる1億3000万円となり、過去最高額となった。投資領域としては近年好調のITに加え、ヘルスケア、バイオ、医療が多くを占めており、これらは多額の投資が必要なドメインといえる。投資金額の割合としては、全体の投資額のうち、IT領域が28.6%、ヘルスケア、バイオ、医療領域が19.8%を占めた。

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また注目すべき点は、会社法改正以前の使い勝手の悪さから日本では優先株はほとんど使われないと言われてきたが、ついに76.9%に達したことだ(この比率は、ジャフコ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、日本ベンチャーキャピタル、DBJキャピタル、グローバル・ブレイン、産業革新機構、グロービス・キャピタル・パートナーズ、東京大学エッジキャピタル、サンブリッジ グローバルベンチャーズ、大和企業投資の10社を調査対象としたものだ)。

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優先株とは、普通株式に優先的な条件が付いた種類株式のこと。普通株式での投資は、投資家のリスクが経営者よりも大きかったが、優先株の条件によって緩和される。それゆえ投資家はよりリスクをとって、高いバリエーションで、多額の投資を行うというリスクをとりやすくなる。つまり大型の資金調達は、優先株の使用と表裏一体の関係なので、これらによってシリコンバレーではほぼ全てが優先株というように、日本でもさらに普及する可能性はあるだろう。

経験者の“生の声”もとに子育て情報を提供する「cozreマガジン」、運営元が1億円の資金調達

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子育てや子どもとのお出かけなど、子どもを持つ親をターゲットにした情報を提供するメディア「cozreマガジン(コズレマガジン)」および夫婦向けコミュニティ「cozre(コズレ)」を運営するトウキョウアイトは7月31日、グローバルブレインを割当先とする1億円の第三者割当増資を実施した。また同社は社名を8月1日より「株式会社コズレ(英文表記:Cozre Inc.)」に変更する。

トウキョウアイトは2013年7月の設立。当初はコミュニティサービスのcozreを提供してきたが、2014年4月よりcozreマガジンをスタートした。

cozreマガジンは、子育ての経験がある全国約300人の「ナビゲーター」が「季節のイベント」「食」「おでかけ」など7つのカテゴリに関する情報を投稿。それをトウキョウアイト内の編集者(こちらも子育て経験のある主婦編集者が中心)がチェックして掲載している。また、ナビゲーターとは別に子育て経験者のコミュニティを持っており、彼らに対して定期的にアンケートをとることで、子育てをする人たちの「生の声」を反映して記事を制作しているという。

7月時点のMAU(月間アクティブユーザー数)は125万人。子育てをターゲットにした情報サイトなんて聞くと女性ユーザーが中心というイメージだが、3割は男性ユーザーなのだそう。

同社では、今回の資金調達を契機にcozreマガジンの事業を強化。コンテンツ数の増加や品質向上、ユーザビリティ向上を進めるという。ナビゲーターについては年度内に10倍の規模まで拡大させる予定。またナビゲーターはリテラシーの低い人も少なくないため、容易に投稿や編集が可能な独自のCMSも開発しているという。加えて、現在トライアル中の子育て関連事業社向けマーケティング支援事業も年度内に本格化していく。

【残り半日!】 TechCrunch Tokyo 2015の超早割チケット販売は今日まで

11月17日(火)、18日(水)に東京・渋谷のヒカリエで開催予定の「TechCrunch Tokyo 2015」だが、超早割チケット販売は、本日金曜日の深夜23時59分が締め切りなのでお知らせしたい。当日チケット2万7000円に対して超早割は9000円とだいぶお安くなっている。参加を考えていた方には是非ご検討いただければ幸いだ。

シリコンバレーで起こったスタートアップという大きな波は、バブルだバブルだと言われながらもマクロで見れば、もう全世界的潮流であることは疑いがない。ニューヨークやロンドン、テルアビブ、バンガロール、シンガポールといった都市でスタートアップエコシステムが続々と立ち上がり始めている。言語障壁や英語圏のネットワーク外部性に押しやられて日本のソフトウェアやサービスは世界的に存在感を示せず、なんだか東京が遅れを取っているようにぼくには思える。だけど、日本を含むアジアが次世代のイノベーションのハブにならないわけがない。

最近、IT(アイティー)という言葉よりも「テック」とシリコンバレーの人たちが使うようになってきているのは、もはやInformationを扱うテクノロジーだけのことじゃなく、ロボティクスやバイオ、教育、医療、農業、金融、ファッションと適応領域を広げてきていることを集団意識として感じているのが背景にあると思う。ITという枠を超えてソフトウェア技術やネットワークが多くの領域に入っていくとき、日本は世界に対して大きな貢献ができるようになるだろう。まだ日本のスタートアップエコシステムは胎動期かもしれないが、TechCrunch Japanは、その動きを内外に伝えるハブになりたい。だからオンラインで記事を出すというだけではなく、オフラインのイベントを通して人的交流を積極的に促すことには大きな価値があると信じている。人の顔を見て、声を聞く。ちょっとポエティックなことを言わせてもらうと、心が震えるようなパッションに触れずに大きなエネルギーなんて生まれるわけがないと思うのだ。成功している起業家に対する焦げるような羨望でも、歯ぎしりするような嫉妬でもいい。具体的なビジネスのヒントや学びを得るということも大事だが、どちらか言うと、生の人間に出会って、それで何か感じるものを持ち帰ってもらえればということを思っている。

幸いTechCrunch Tokyoには毎年すばらしい起業家の方々に登壇いただいている。その生の声をお届けできるのはぼくらのようなメディアをやっている人間の本望だ。まだ登壇者やスケジュールについては未発表だけど、今年も国内・国外から話題の起業家やスタートアップ企業の経営者を呼んで、ネット、テック、ビジネス、アントレプレナーシップなどの話題で、各種セッションを繰り広げる予定だ(昨年のイベントの様子)。

ふだんTechCrunch Japanでカバーしているような国内のスタートアップ企業や、未ローンチのプロダクトによるコンテストのスタートアップバトルも例年通り2日目の午後に行う予定だ。すでにたくさんの応募を頂いているが、まだまだこちらもスタータアップ企業からの応募をお待ちしている

TechCrunch Tokyo 2015のチケット代は以下の通り。すべて2日間通しで、どのチケットでも2日ぶんのランチと懇親会の軽食が含まれる。学生さんは、今年はグッと値下げしたので、ぜひ若い人にはたくさん参加してもらいたいと思っている。

・超早割りチケット:9000円(税込み9720円。販売期限は7月31日23時59分まで)
・前売りチケット:1万8000円(税込み1万9440円)
・当日チケット:2万7000円(税込み2万9160円)
・団体チケット:1万5000円(税込み1万6200円)
・学割チケット:2700円(税込み2916円)
・ハッカソンチケット:4600円(税込み4968円)
ハッカソンは別チケット、別会場、別日程なので注意

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