GitHubがセカンダリーラウンドの資金調達をしているらしい、旧投資の部分的清算のため?

Workers install a billboard for GitHub Inc. in San Francisco, California, U.S., on Tuesday, Nov. 11, 2014. GitHub, which provides open-source code hosting services and has raised more than $100 million from investors, is among tech startups boosting demand for billboard space around Silicon Valley. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

いくつかの情報筋によると、GitHubは昨年7月の、評価額20億ドルでの2億5000万ドルの資金調達(プライマリーラウンド)に続き、セカンダリーの資金調達を今進めている、という。しかし噂では、このセカンダリーの資金調達は、投資家または社員の株式現金化(“清算”, liquidation)に備えてだ、とも言われている。

この話には二つの部分がある。ひとつは、この二度目のラウンドでは同社の評価額が最初の20億ドルより低くなる、という説だ。ある筋の推計では、15億あたりだろう、という。ただしこれも正確な数字ではない。しかし別の筋によると、このセカンダリーは普通株のためだろう、という。そうなると、話はややこしくなる。そうすると、優先株はどうなり、投資家はどんな権利を得るのか。そこで評価額の計算もやや曖昧になり、ふつうの意味のダウンラウンドではない、という理屈になるのかもしれない。

しかし、それよりももっとおもしろい噂は、MicrosoftがGitHubの買収を検討している、という説だ。買収ではなく戦略的投資だ、という説もあるが、噂としては大きな違いはない。M社がより深いパートナーシップを求めているのだ、という説もある。GitHubの代表者は、Microsoftによる買収の噂は真実ではない、と言う。Microsoft側は、ノーコメントだ。

このセカンダリーラウンドに誰が参加するのか、投資家なのか社員なのか? しかしいずれにしても、GitHubも今年で8歳だから、これまでの投資の清算があっても不思議ではない。

この種のセカンダリーラウンドは、企業が後期ステージへと成長し、しかしIPOはまだしない、というときに意義がある。GitHubは人も文化もきわめて分散的だから、昔からの社員が何らかの代償を求めてもおかしくない。現状は、入ったばかりの若手と、長年いるベテランとのあいだに、待遇や報酬の差はあまりない。そういう意味でGitHubは、フラットな会社だ。また、代償は引き止め策でもある。投資家たちの一部も、セカンダリーラウンドによる清算(現金化)を期待しているだろう。

GitHubは、世界でいちばん多く採用されているデベロッパーツールだろう。コードを管理するための場所であるだけでなく、オープンソースのエコシステム全体の、もっとも重要な部分だ。オープンソースのプロジェクトを健全かつ活発に維持することは、直接間接に必ずそれらを使っている大きな企業にとって、とても重要だし、オープンソースの寄与貢献者の中から有能な人材をピックアップできる。人だけでなく、多様なアイデアもそこで育つ。しかしデベロッパーが気軽に利用していたリソースも、持続可能なビジネスへ成長するためには、本格的なエンタープライズに自分を拡張する必要がある。それがおそらく、今GitHubが抱えている難問だ。

Microsoftに関しては、Visual Studio Team ServicesというGitHub的なツールがすでにあるので、そこがおそらく今回の噂の出処(でどころ)だろう。

最近IPOしたAtlassianをはじめとして、GitHubをめぐる競争は激化している。Atlassianは、昨年IPOした途端に株価は32%跳ね上がり評価額は58億にもなった。それは、IPOしたときすでに同社が黒字だったせいもある。また、最近元気なGitLabは、GitHub同様、オープンソースのgitをベースとしている。同社は先月、2000万ドルを調達した

〔参考記事: セカンダリーラウンドとは何か。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ゲーム企業Paradox Interactiveがクラウドから$11.8Mを調達…上場ご祝儀の意味も?

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Hearts of Iron, Stellaris, Europa Universalisなどの人気ゲームで有名なParadox Interactiveが、スウェーデンの投資型クラウドファンディングPepinsで1180万ドルあまりを調達した

キャンペーンは最初から強力で、最初の300万ドルをわずか8分で調達し、そのトータルで1億スウェーデン・クローナ(1180万ドル)のラウンドは、ゲーム分野におけるこれまでで最大の投資型クラウドファンディングキャンペーンとなった。

重要なのは、この投資型クラウドファンディングキャンペーンが、同社のNasdaq First North市場への上場の直前に行われたことだ。この市場は、ヨーロッパの比較的小さな急成長企業を対象にしている。金曜日の終値で同社はSEK 51.75で取引され、クラウドファンディングキャンペーンにご祝儀的に多くの人の買いが入る大きな理由となった…彼らはSEK 33で買った。

このキャンペーンは、わずか数か月前にローンチしたPepinsにとっても、大きな勝利となった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Barack Obama「大統領を辞めたらVCになるかも」

US President Barack Obama (R) speaks during a South by Southwest Interactive at the Long Center for Performing Arts in Austin, Texas on March 11, 2016. / AFP / MANDEL NGAN        (Photo credit should read MANDEL NGAN/AFP/Getty Images)

誰がオゥヴァルオフィスのBarack Obamaの椅子を取るのか、今や国中が固唾を呑んでいるが、当の大統領自身は、ホワイトハウスの8年の居住権が切れたあと、どうやって彼の履歴書を正しい手に渡すべきかを検討している(DCの借家法は冷酷だね)。最近のBloombergのインタビューで大統領は、ベンチャー投資がまさに、彼のポスト大統領のキャリアにふさわしいかもしれない、と示唆している。

大統領在職中のObamaは、テクノロジーとスモールビジネスの大シンパで、オースチンのSXSWフェスティバルに記念すべき登場を果たしたり、初めてのホワイトハウスにおけるハッカソンStartup Americaを立ち上げたり、そのほか、いろんなことをやった。彼は大統領としては異例なほど、シリコンバレーや、この国のそのほかのスタートアップクラスターで起きているイノベーションに、関心を示した。

だから、Obamaが残っている休暇のすべてを取り終えて、ビーチでマルガリータを飲んだり、見れなかったGame of Thronesを全部見たあとに、スタートアップ投資の世界に飛び込んだとしても、それほど意外ではない。

“シリコンバレーやベンチャーキャピタルとこれまでに交わした会話から、私の関心は科学と企業に傾き、それらが私に大きな満足感を与えてくれると感じるようになった”、と、アメリカ合衆国のCEO ObamaはBloombergに語っている。“人間のゲノムにおいて突破口を開こうとしている努力や、個人のゲノムを10万ドルではなく1000ドルでマップできるという事実、人間の性向を正しく同定できる可能性、個人の特性に合わせた医薬品の製造や調合、これらは、私が何時間でも聞いたり話したりできる話題の一例だ”。

ここまで言ったことを、彼は後悔するかもしれない。彼のメアドprez@whitehouse.govは、世界中のゲノム配列スタートアップから寄せられるプレゼンのスライドで、いっぱいになってしまうだろう。

それはともかくとして、ObamaならすばらしいVCになれる、とぼくは思う。国を統轄することは、信頼できるアドバイスを見つけ、国民の意見を前にして、一定のリスクを引き受けながら決断をすることだ。その過程で彼は、きわめて難しい質問もうまくさばいてきた。どんなVC企業でも、世界でいちばんよく知られている顔をパートナーに迎えることは、生涯の大事件だ。しかし元大統領のObamaからボイスメールをもらって、それにびびらずに応じる起業家は間違いなく、世界でもっとも、根性と意欲のある起業家だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

熊本発「シタテル」はアパレルの低価格・小ロット生産を実現する、全国の縫製工場と提携で

消費者の趣味が細分化する中、アパレル業に求められるのは多品種・少量生産。そんな時流に乗って、アパレルからじわりと熱視線を集めるサービスがある。オリジナル商品を作りたいアパレルブランドやデザイナーと、中小・零細の縫製工場とマッチングする「SITATERU(シタテル)」だ。

利用しているのは、個人デザイナーだけでなく、ビームスやユナイテッドアローズといった有名セレクトショップに商品を卸すブランド、パリコレに参加するハイブランドまで。会員登録数は前年比300%の約1800事業者と急増し、流通総額は5億円に上る。

中小・零細の繊維工場をネットワーク化

シタテルは全国120以上の縫製工場と提携し、これまで難しかった15〜100枚単位の発注を可能にした。アパレル事業者にとって小ロットの発注は単価が高くつくため、数百枚単位で発注するのが通例だった。

アパレル事業者は、電話かチャットで作りたい服を伝えると、目安の料金がわかる。生地が決まるとシタテル側でパターン(型紙)を作成。その後、サンプルを送ってもらい、問題がなければ本生産に移る流れだ。

アトリエは「マイ・アトリエ」という会員サイトを通じてシタテルとやりとりをする

アパレル事業者は「マイ・アトリエ」という会員サイトを通じてシタテルとやりとりをする

工場とのマッチングは独自アルゴリズムを使う。

データベース上には縫製レベル、対応可能アイテム、料金、リードタイム(発注から納品までの期間)、稼働状況といった情報があり、アパレル事業者の要望に応じて最適な工場をマッチングする。

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ここで気になるのが、縫製品質。メイドインジャパンの縫製技術は海外に比べると高いと言われるが、実際のところはどうなのだろう。この疑問についてシタテルの河野秀和社長はこう答える。

「総じて品質は高いが、工場ごとに差があるのも事実。そのため、工場に提出してもらうサンプルを元に、シタテルが5段階で評価している。これによって、縫製技術の難易度に応じた工場をマッチングできるようにした」

シタテル社内には、アパレル事業者の要望を聞くコンシュルジュや、デザインをCADでデータ化するパタンナーも在籍。すぐに稼働できる工場も把握していることから、通常3カ月かかるリードタイムを最短6日に短縮しているという。

シタテルのメンバー(右から2番目が河野社長)。お揃いのコートはもちろん、シタテルで作ったものだ。おしゃれ感が漂う

シタテルのメンバー(右から2番目が河野社長)。お揃いのコートはもちろん、シタテルで作ったものだ

工場の代わりに新規開拓

大手アパレルが海外に生産拠点を移したことで、国内の縫製工場は仕事が激減。特に営業力がない零細・中小の工場は新たな仕事の受注ができず、苦境にあえいでる。「国内の縫製工場は15年前の1万5000から、5000ほどに減ってしまった」と河野氏は言う。

「最近の円安傾向と中国の人件費高騰で、国内工場への回帰も進んだ。とはいえ、工場には繁忙期と閑散期があり、すべての工場が1年中稼働しているわけではない」

稼働していないなら小ロットでも受注すればいいと思うかもしれないが、工場側からすると効率が悪く、旨味のある仕事ではない。そこでシタテルは、工場が受注時に経由する卸売や企画会社を迂回することで、小ロット生産でも利益を確保できるようにした。

提携工場の中には、ふだんはレディース専門の縫製しかやっていなかったが、その技術をメンズ商品で生かすようなケースが少なくない。営業力のない工場にとってシタテルは、非稼働の時間を埋めるだけでなく、新規顧客を開拓してくれる存在ともいえる。

ディオールやコム・デ・ギャルソンといったハイブランド、有名セレクトショップに卸すブランドが発注する縫製工場とも提携する

ディオールやコム・デ・ギャルソンといったハイブランド、有名セレクトショップに卸すブランドが発注する縫製工場とも提携する

震災復興を後押しする熊本発スタートアップ

シタテルは2014年3月に創業した熊本県のスタートアップだ。

河野氏は熊本出身。前職は地元企業の相談に乗る経営コンサルタントだった。そこで気づいたのが、小ロットで商品を作りたいアパレル事業者が多いにもかかわらず、需要に応える工場がなかったこと。

この構造を変えようと、アパレルと縫製工場をつなぐ、現在のビジネスモデルにたどり着く。創業当初は地元の工場と提携し、全国から注文を受けては縫製を依頼。現在も熊本県内34の縫製工場と提携している。

4月の熊本地震直後は、県内で多くの提携工場が操業を停止したが、徐々に生産を再開。パリコレに参加する世界的な国産ブランド「アンリアレイジ」が県内の縫製工場に依頼するなど、復興を後押ししている。

アンリアレイジがシタテルで作ったコート。生地にはコード(!)が埋め込まれていて、ドットや市松模様、花柄やらが浮かび上がるそうだ。すごい

アンリアレイジがシタテルで作ったコート。生地にはコード(!)が埋め込まれていて、ドットや市松模様、花柄やらが浮かび上がるそうだ。すごい

シリーズA調達でアパレル・工場向けアプリ開発へ

6月17日にはオプトベンチャーズと三菱UFJキャピタルを引受先として、シリーズAとなる第三者割当増資を実施。金額は非公表だが、数億円程度と見られる。

調達した資金では、アパレルと工場が必要事項を入力する専用アプリの開発、双方がやりとりするクラウドプラットフォームの強化などにあてる。

シタテルは2014年10月にも、三菱UFJキャピタル、日本ベンチャーキャピタル、リブセンスから資金調達を実施。リブセンスとクックパッドがスタートアップを支援するプログラム「STARTUP50」の第一号のファンディング先でもある。

機械学習スタートアップ9社がシアトルで行われるMicrosoft Acceleratorでピッチを競う

Seattle Skyline

Microsoft AcceleratorのMachine Learning Demo Day(機械学習デモデー)が、6月2日木曜日からシアトルのShowbox SoDoで開催される。

The Microsoft Acceleratorは3週間から6週間の集中的なプログラムで、起業家たちの会社興しと顧客開拓、そしてグローバルな成長を支援する。アクセラレータは、バンガロール、北京、ベルリン、テルアビブなど世界の7都市で展開される。多くはエンタープライズをターゲットとするスタートアップが対象だが、シアトルのデモデーは機械学習を利用する企業が対象だ。

投資家たちやプレスを前に、天然ガスのパイプラインやオンデマンド医療など、9社がピッチ(売り込み)を行う。デモが行われるのは太平洋時間午後5:40-6:40pmで、本誌もライブで実況する。

[出場順]

OneBridge Solutions — 天然ガスなど有害な液体のパイプラインの予測的分析を行う。

Agolo — ニュースとドキュメントと企業のデータを組み合わせてリアルタイムでサマリーを作る。

simMachine — データ分析の結果を今後の予測や取るべき対策と共に分かりやすく視覚化する。

DefinedCrowd — データサイエンティストたちのためのデータ収集を自動化高速化し、AIの研究者たちとデベロッパーを助ける。

Knomos — 法律知識の管理を強化する。

MedWhat — 仮想医療アシスタント。

Plexuss — 大学の学生募集活動に革命をもたらす機械学習プラットホーム。

Affinio — 関心グラフを利用して今日の消費者文化を理解し、マーケティングインテリジェンスを充実強化する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

好調Snapchat、シリーズFで18億ドル調達―取締役会資料で評価額、売上、ユーザー数も判明

2016-05-27-snapchat-money

今週われわれはSnapchatが資金調達中だという記事を書いたが、このメッセージ・スタートアップに関してもっと具体的な数字が判明した。

今日(米国時間5/26)、 証券取引委員会(SEC)に提出された報告書によれば、Snapchatは最新のシリーズFラウンドで18億ドルの資金を調達している。さらにTechCrunchに対して別途提供された同社の取締役会のプレゼン資料によって同社の売上や将来予測に関する情報を得ることができた。

このプレゼン資料によって、ロサンゼルスに本拠を置くSnapchatは2015年の売上が5900万ドルに過ぎなかったものの、巨額の資金調達を進めたことが明らかになった。しかし資金調達に成功した今は、本格的にビジネスを拡大する準備が整ったことになる。

信頼できる情報源がTechCrunchに告げたところによると、18億ドルを調達した最近のシリーズFのうち、11億5800万ドルは1月以降の5ヶ月で順次調達されたものだという。

同情報源によれば、資金を提供した投資家にはGeneral Atlantic、Sequoia Capital、T. Rowe Price、Lone Pine、Glade Brook Capital、IVP、Coatue Management、Fidelityなどが含まれている。

今回SECに提出されたForm D書式では会社評価額を明らかにする必要がない。評価額についてわれわれが聞いた情報は錯綜していた。情報源の説明によると、投資の一部はプレマネー(投資実行前の評価額)で175億ドルだったという。これに18億ドルを加えれば193億ドルとなり、TechCrunchが報じた「ポストマネーで200億ドル」という目標値にきわめて近いことになる。

ただし、この部分についてもわれわれは矛盾した情報をつかんでおり、実際の評価額はもっと低い可能性があった。TechCrunchに記事が出て数時間後にある情報源から接触があり、プレマネーの評価額は180億ドル以下だという数字が告げられた。今回のラウンドのポストマネーの評価額は160億ドルかそれ以下、プラス18億ドルだったという。

異例だが、同時に可能でもあるのは、一部の投資家が異なる会社評価額で出資したというものだ。われわれは大勢の投資家がSnapchat株式を購入するために特別に資金をプールするファンドが組成されたという噂を聞いていた。

同時にSnapchatの資金調達における会社評価額は「動的」、つまり現実に資金が調達される時点での時価総額に基づくということを聞いていた。これは同社の資金調達に多数の投資家が関与し、数ヶ月にわたるところから来たものだろう。つまりシリーズFラウンドというのは、こうした投資をすべて合計した名称ということのようだ。

記憶を呼び起こせば、昨年Snapchatは160億ドルの評価額で6億5000万ドルの資金調達を試みたことが報じられた。SECへ報告書によれば、このうち5億3700万ドルが調達ずみとなっている。Snapchatは残りの額も含めて全額を調達ずみだ。どうやら6億5000万ドルの出資目標額の残り〔1億1300万ドル〕が今回のシリーズFラウンドの最初の部分になったものらしい。

Wall Street Journalは3月の記事で、同社はFidelity(シリーズFラウンドの参加者)からhis round) から160億ドルの評価額で1億7500万ドルを調達したと報じている。この資金調達は今回SEC報告書に記載されたシリーズFラウンドの一部であったようだ〔そのためにFラウンドにおける会社評価額について異なる数字が流れたのだろう〕。【略】

巨額の資金、さらなる成長

Snapchatの会社評価額は〔160億ドルから〕いっこうに伸びていないと批判する意見もあるが、同社自体はそれどころでない成長を遂げている(TechCrunchが200億ドルという会社評価額をあり得ると考えたのもそれが一因だ)。

われわれの情報源はSnapchatに投資を試みたことがあり、同社のプレゼンのスライドをTechCrunchに提供した。この資料にはこれまで公開されたことがない数字が記載されている。

スライドの日付は2015年の末となっている。この時点でのSnapchatの2015年の売上は5900万ドルだった(ただし、同社が収益化をスタートさせたのは2015年の下半期であり、それ以前はまったく収益化を行っていなかったことは記憶しておくべきだろう)。

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Snapchatでは2016年の売上を2億5000万ドルから3億5000万ドルの間、2017年は5億ドルから10億ドルの間と予測していた。

プレゼンの資料によれば、こうした数字の上限は現実の売上に基づく推定ではなく、セールス部門の強気の目標数値だったとようだ。別の理由もあって売上予測は多少割引して聞く必要がありそうだ。それはこうした予測が同社が現に収益化の努力を始める前の予測であるという点で、広告やDiscoveなどのプロジェクトを始めるとそれなりのコストがかかることが判明した。

資料はまた2015年12月の1日あたりアクティブ・ユーザー〔DAU〕は1億1000万人だとしている。前年同期が7400万人なので50%弱の成長を遂げたことになる。

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もちろん今は2016年の5月であり、現在のDAUの数字は不明だ。しかしSnapchatは最近も目覚ましいスピードで機能を追加しており、ユーザーはテキストだけでなくビデオや音声をさまざまに処理して友達と共有できるようになっていえる。

たとえばke カメラロール中の写真の顔を別の顔と入れ替えたりビデオ中の動く対象にスタンプを貼り付けたりできるようになた。またさまざまな新機能でサービス全体の使い勝手もすっかりアップグレードされた。【略】

Snapchatではサービス内のビデオの視聴は昨年1年で350%増加し、1日あたり100億回となっていると発表している。またユーザーの3分の2は毎日Snapchatの提供する機能を利用してビデオ・コンテンツを作っている。

今回の資金調達に関連して取材した投資家は、こうした精力的な新機能の追加は「この会社のもっとも魅力的な点のひとつだ」と認めた。投資家の1人は「誰にとっても1週間は168時間しかない。 一般ユーザーのインターネット利用を考えると、1人のユーザーが繰り返し使うプロダクトはせいぜい5種類から7種類くらいだ。それ以上使う『帯域幅』はない」と語った。この投資家によれば「Snapchatはすでに一般ユーザーが繰り返し使うプロダクトの一つとしての地位を確立しており、しかもその成長は始まったばかりだ」とした。

この記事の取材にはMatthew Lynleyが協力した。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple株に新たな大型投資家―ウォーレン・バフェット、10億ドルの買いと判明

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今日(米国時間5/16)、著名な投資家、ウォーレン・バフェットの持株会社バークシャー・ハサウェイの証券取引委員会への報告書が公開された。それによると、同社は981万株のApple株式を所有していることが判明した。これは前期末で10億7000万ドルの価値となる。昨年来Appleの株価は大幅に下げていた。

特に最近は52週間で最低の株価を記録している。特に第2四半期の決算がアナリストの期待に反していることが明らかになった際には400億ドルがAppleの時価総額から削り取られた。Apple株の下落は非常に大きかったため、短時間だがGoogleの親会社、Alphabetが時価総額でAppleを抜き返したほどだ(この両社の時価総額は50億ドルくらいしか差がなく、世界トップの座を争っている)。

バークシャー・ハサウェイがApple株を大量に保有しているということは、金融機関が現在のApple株を安いと判断していることを意味する。iPhoneの頭打ちがはっきりするにつれ、Appleの株価は調整局面に入っているが、こうした巨大企業の株価が大きく動く場合、機関投資家が好機と見るのは珍しいことではない。ウォールストリートはAppleに対し「iPhoneをもっと売るか、別のヒット商品を見つけ出せ」と迫っているが、バフェットがApple株を大量に買ったのは同社への追い風となるだろう。

以前もAppleはこうした経験をしている。2013年4月に「もの言う株主」のカール・アイカーンがAppleをターゲットしたことがあった。このときにもアイカーンは10億ドル程度を買い、ティム・クックに株主への配当を増やすよう迫った。現在のAppleの株価だと価値は9億ドル程度に下がっている。

ただバフェット(バークシャー・ハサウェイ)の場合はすぐに方針変更を求めて騒ぎ立てることはなさそうだ。10億ドルの株式といってもAppleにとっては「小さなシミ」に過ぎず、「もの言う株主」(バフェットはおそらく違うだろう)はよほど激しく主張しない限り、クックに考えを変えさせることはできそうにない。アイカーンでさえ、配当増額を強く求めたものの、この数週間でAppleと縁を切ったと述べている。

いずれにせよ、この情報でAppleの株価は上げそうだ。市場が開く前の取引ですでに2%上げているが、これはAppleのような巨大企業にとっては大きな値動きだ。バークシャー・ハサウェイはこれまでテクノロジー株を避ける傾向が強かった。それがこれだけのポジションを取ったということはAppleの将来に対してよほどの確信があるのだろうと推測させる。証券取引委員会への報告書は前四半期末の株式保有状況しか明らかにしていない。もっとも興味ある点は、バフェットが今後もAppleの株を買い進むのかどうかという点だ。

画像: Stephen Lam/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ジョン・マカフィー、新CEOの初仕事は社名に自分の名前を付けること

Computer software pioneer John McAfee speaks with reporters outside his hotel in Miami Beach, Florida December 13, 2012. McAfee, who is wanted for questioning in Belize over the murder of a fellow American, arrived in Miami on Wednesday evening after he was deported by Guatemala, according to fellow passengers on an American Airlines flight. REUTERS/Joe Skipper  (UNITED STATES - Tags: LAW SOCIETY SCIENCE TECHNOLOGY)

John McAfee陣営からちょっと興味深いニュースが飛び込んできた。アメリカの著名な(そして最も楽しませてくれる)サイバーセキュリティー専門家が、新たな乗り物を手に入れた。

ソーシャルゲーミングアプリを所有、運営する会社であるMGT Capital Investments (NYSEMKT: MGT)は、John McAfeeをエグゼクティブチェアマン・CEOに 指名したことを発表した。MGT Capital Investmentの時価総額は1000万ドル以下で、NYSEのスモールキャップ市場で取引きされている。これは、あらゆる面で個人経営的な「公開」企業ではあることを意味している。

そして何よりも、同社は企業名をJohn McAfee Global Technologieに変更すると言っている。

それでMcAfeeはここで何をやろうとしているのか? よく聞いてくれた。新たな地位と「引き換え」に、MGT Capital Investments John McAfee Global Technologiesは、D-Vasiveとの正式な資産購入契約を完了。D-VasiveはMcAfeeのiPhoneアプリで、様々なアプリが内部ハードウェア機能をどのように使っているかを監視することができる。

つまりは、人材付き買収だった!

しかしそれだけではない! ソーシャルゲーミングのスタートアップは、コンサルタント契約をFuture Tense Secure Systemsと結んだことも発表した。このサイバーセキュリティー会社を率いるのは他でもない…John McAfee!

つまり、ある「会社」がMcAfeeを雇い、自らの社名に彼の名を冠し、彼のスタートアップを買収し、さらにコンサルティング費用を彼に払う。おわかりかな。

McAfeeの報酬は公表されていないが、同社は30万ドル、およびMGTの限定株式2380万株(同社の約47%)を、McAfeeの前の会社、D-Vasiveに支払う。

契約は、慣例的な完了条件の対象となり、MGT株主の承認もその一つだが、どうやらこれは、多くの発行済み株式保有者のいる典型的公開企業ではないようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

TBSがC Channelに数億円規模の出資、テレビとスマホ“縦長”動画による協業も

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スマートフォンに特化した女性向け動画を配信するC Channel。サービス開始から1周年を迎えたばかりの同社が4月28日、TBSテレビを引受先とした第三者割当増資を実施したことがあきらかになった。金額は非公開だが、関係者によると数億円程度と見られる。なおTBSグループには「TBSイノベーション・パートナーズLLC」というCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)もあるが、今回は放送事業を行うTBSテレビからの出資となる。

C ChannelはLINE元代表取締役の森川亮氏による動画スタートアップ。2015年4月から動画ファッション投稿サイトの「C CHANNEL」を開始。スマートフォンに最適化した「縦型」フォーマットかつプロによる編集を加えた動画を配信してきた。

当初は自社プラットフォームでの動画配信に注力してきたC CHANNELだが、現在ではいわゆる「分散型」の施策をとっており、FacebookやTwitter、Instagram、YouTube、中国のTUDOUなどのプラットフォームに動画を配信している。同社の発表によると、2015年12月にオリジナルのハウツー動画の配信を強化したことを契機にして再生回数を大幅に伸ばしたそうで、2016年3月には月間の再生回数1億回を突破した。

TBSの本体(といってもTBSグループはホールディングス制なので、あくまで放送事業の本体だけど)出資となると、気になるのは両者の業務面での連携だ。

森川氏は「C Channelが持つスマートフォン向け映像コンテンツの企画制作力および特にF1女性にリーチする媒体力と、TBSの持つコンテンツ企画制作力や発進力とをうまく融合させることにより、国内および海外におけるオンライン動画事業の拡大を図る」としている。またTBSテレビ メディアビジネス局長の仲尾雅至氏も、スマートフォン視聴ならではの動画フォーマットに取り組むことが重要だとした上で、「両者の協業によって、テレビ放送ではリーチしにくい、若者層の、特にプライベートな時間に訴求できるメディアを構築していく」している。

具体的には、時事・芸能情報、番組・イベント情報、モノ・食などのライフスタイル分野の旬な情報を動画で配信していくことになるという。また通販番組と連動した商品情報なども紹介していく予定だ。そのほかスポンサー商品を紹介する動画を制作し、テレビ放送やネット媒体に発信する事業にも取り組むという。そのほか、2016年上期中にはTBSのの番組とC CHANNELのコラボレーションも検討しているという。

会員制宿泊予約サイトの「relux」、運営元がKDDIから5億円を調達——訪日対応さらに強化

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会員制宿泊予約サイト「relux」を運営するLoco Partners。3月にサービス開始から3周年を迎え、同時にミクシィ元代表取締役の朝倉祐介氏を社外取締役として迎えたという発表があったが、今度は大型の資金調達を実施したという。同社は4月18日、KDDIがグローバル・ブレインと運営する「KDDI Open Innovation Fund」を引受先とした5億円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。

先日の記事でも紹介したとおりだが、relux は同社のスタッフや全国の旅館・ホテルに精通した審査委員会のメンバーが厳選した一流旅館・ホテルを紹介する会員制の宿泊予約サイト。満足度保証や宿泊プランの最低価格保証、relux会員限定の特別プランを提供してきた。

KDDIが提供する定額制スマートフォン向けサービスの「au スマートパス」においても、2012年3月からクーポン配布などを実施。現在では、au スマートパス会員向けの優待プログラムを提供しており、今後さらなる旅行サービス拡充を目的として、より広範な業務提携を進めるとしている。ただし今後の具体的な提携については「現在検討中。reluxのリソースをうまく用いた形で、KDDI国内4000万会員に旅行商品を何らか訴求できればと考えている」(Loco Partners執行役員の酒井俊祐氏)とのこと。

また3月時点でもインバウンド需要が急増している(訪日旅行売上比率は10%近くまで増加)と語っていたが、その割合はひと月でさらに増加して現在15%近くまで伸びているという。KDDIとの提携に加えて「さらに伸ばしていくポテンシャルがある。海外事業へも投資し、訪日旅行事業の成長を加速させる。国の訪日外国人数の政策目標(2020年に4000万人)にも乗っかっていければ」(酒井氏)

GREEがVRコンテンツの初期段階のスタートアップを育成するために$12Mのファンドを立ち上げ

Andrew Nicholls demonstrates the latest version of a View-Master, a collaboration between Mattel and Google, at the Mattel showroom at the North American International Toy Fair, Saturday, Feb. 14, 2015, in New York. The new version of the classic toy uses Google's smartphone-based virtual reality solution, Cardboard. (AP Photo/Mark Lennihan)

GREEが今日(米国時間4/13)、初期段階のVRコンテンツ企業に成長資金を提供していくために、1200万ドルのファンド、GVR Fundを立ち上げた。

このファンドは主にVRのコンテンツ企業が対象で、GREE VR Capitalの専務取締役Teppei Tsutsui(筒井鉄平)によると、ファンドはゲームとゲーム以外のVR企業を半々ぐらいで対象にしていきたい、という。

“Oculus, Samsung, HTC, Googleなど業界の主要な選手たちと一緒に仕事をしてきた経験のあるわれわれには、この市場に大きなインパクトを与えうるほどの実力とコネがある”、とTsutsuiは語る。

同社はモバイルの経験が長いので、VRも主にモバイルのプラットホームを探していきたい。GREEはすでにこのファンドから、VRChatへの最初の投資をしている。それはユーザーが独自の仮想現実世界をUnityで作り、それらをまるで巨大なVRチャットルームみたいに公開しシェアしていく、というプラットホームだ。注目すべきは、Colopl VR FundとmixiがこのファンドのLP(Limited Partner)であることだ。

“GVR Fundは、今後伸びていくプラットホームとしての、仮想現実のポテンシャルに対する、GREEのコミットメントを強く印象づけるものである。弊社は、コンテンツのデベロッパーであるだけでなく、投資家でもある、と考えている。われわれが過去に作り出したものと同等の価値を、モバイルのプラットホームが離陸していく今、企業への投資で作っていきたい”、とGREEのSVP Naoki Aoyagi(青柳直樹)が声明文で述べている。

GREEは、この特定のファンドを発表するよりも前に、内部的にVRに向かって動いている。たとえば昨年11月にはGREE VR Studioを作り、同じく昨年のTokyo Game Showでは、同社の初めてのVR作品を披露した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MakeSpace、簡単に使えるレンタル倉庫サービスで1750万ドルを調達

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ニューヨーク拠点のMakeSpaceは、セルフストレージ(小型倉庫レンタル)ビジネスの成長を加速すべく、1750万ドルの資金調達を完了した。

このスタートアップは、従来の貸倉庫に代わる便利なサービスを提供するもので、ユーザーは預けた物を利用するために現地に行く必要がない。MakeSpaceは競争力のある料金を設定し、一切値上げしないことを保証している。

MakeSpaceでは、iPhoneアプリを通じて無料で即日引き取りが利用できる。利用者は品物の写真もアプリで管理することが可能で、選んだ品物を19.99ドルでいつでも配達してもらえる。

「利用者は倉庫まで出かける必要がなく、何を預けたかを忘れることもない」とファウンダー・CEOのSam RoseがTechCrunchに話した。「適正かつ手頃な価格」で「自分のポケットのようにアクセスできる」。

調達ラウンドをリードしたのはHarmony Ventrure PartnersとUpfront Venturesで、シリーズAとシードラウンドの出資者も加わった。現在はニューヨーク、シカゴ、およびワシントンDCでのみサービスを提供しているが、MakeSapceはこの資金を使って新たに5都市に拡大する計画だ。

MakeSpaceは、Public Storageのような貸倉庫ビジネスに代わる近代的サービスを提供することを目指している。チームによると、倉庫業は米国だけで年間270億ドルの規模に達する。

従来の倉庫センターが「Blockbuster Videoなら、われわれはNetflix」とUpfront Venturesの経営パートナー、Mark SusterがTechCrunchに語った。「われわれは優れたサービスを低価格で提供し、この中央集中モデルを根付かせることによって業界を破壊し続ける。Amazonが配送を集中化した時、Barnes & NobleやBordersに何が起きたかを考えてほしい」。

セルフストレージ分野のスタートアップには他に、Box ButlerとBoxbeeがある。

2013年に設立されたMakeSpaceは、これまでに100万ドル以上の資金を、Founders Fund、Carmelo AnthonyのMelo7Tech、Gary Vaynerchuk、その他の投資家から調達している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iSGインベストメントワークスに3人目のキャピタリスト、元CAVの佐藤真希子氏が参画

左からiSGS インベストメントワークス取締役の菅原敬氏、同取締役の佐藤真希子氏、同代表取締役の五嶋一人氏

左からiSGS インベストメントワークス取締役の菅原敬氏、同取締役の佐藤真希子氏、同代表取締役の五嶋一人氏

2015年10月にスタートしたばかりのベンチャーキャピタルがわずか3カ月で社名を変えると聞くのは珍しいケースだが、ポジティブなニュースだ。アイスタイル子会社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)・iSG インベストメントワークスは1月19日、元サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)のキャピタリスト、佐藤真希子氏が参画。取締役 マネージング・ディレクターに就任することを発表した。またこれとあわせて商号を「iSGS インベストメントワークス」に変更することをあきらかにした。いずれも2月1日開催の臨時株主総会で決議する予定だ。

iSG インベストメントワークスは、昨年10月にアイスタイルキャピタルから社名を変更してスタートしている。それまで代表取締役社長を務めていたアイスタイル取締役 兼CFOの菅原敬氏が取締役に異動し、元コロプラの五嶋一人氏が代表取締役社長に就任している。社名のiSGは両氏の頭文字から取ったものだ。今回新たに佐藤氏が参画したことから、佐藤氏の頭文字「S」を付けて「iSGS」と社名を変更するのだという。

佐藤氏はサイバーエージェントの新卒1期生。同期はiemo代表取締役・DeNA執行役員の村田マリ氏などをはじめ、サイバーエージェント内外問わずIT業界で活躍する人物も多い。主に営業を担当した後にCAVへ出向。産休を挟みつつ、足かけ9年投資事業に携わり、2015年に同社を退職した。2012年上場のメディアフラッグ、2013年上場のフォトクリエイトをはじめ、LiB、ビザスク、トークノート、groovesなど多くの投資経験を持つ(ちなみに佐藤氏は元フォトクリエイトで現在スペースマーケットの代表を務める重松大輔氏と結婚している)。

「CAVでは最高の経験をさせてもらった」と振り返る佐藤氏。しかし、キャピタリスト10年目を迎えるにあたって、「今まで以上に自分の判断で自分が決めた人に入れる(投資する)、そして最後まで責任を持ってその人を見ていくということにチャレンジしたい」と思って独立を考えた。プライベートでは3人目の子どもを出産して復帰しており、「女性起業家の活躍が紹介されるように、女性VCのロールモデルになっていきたい。実は女性VCは現場で活躍し続けるよりミドル・バックオフィス業務に移ることが多い。もちろんそれも価値ある仕事だが、結局はダイバーシティ。フロントに立ち起業家と接し続け、色んな見方で事業を見ていかないと見えないこともある」(佐藤氏)と語る。

その後、独立してベンチャーキャピタルの組成、スタートアップのインキュベーション事業の立ち上げに向けて動いていたが、最終的に、退職間もなくから声が掛かっていたiSG インベストメントワークスへの参画を決めた。「ベンチャーキャピタルなのに社名に『ワークス』と入れているのは、『起業家と一緒に汗をかく』という意味がある。メンバー3人とも営業、ファイナンス、買収先の経営まで事業畑を長く続けて来た。私も投資先の営業から、リストラ、経営の再生と泥臭いところまでやってきている。そこに一緒にやって欲しいと声をかけてもらった。1人ではできることの限界があるが、チームで起業家をサポートしていきたい」(佐藤氏)。

同社は現在ファンドの組成中。スキームの詳細は公開されていないが、本業とのシナジーを求めるCVCではなく、独立性の非常に高いファンドになるという。また、投資対象は「インターネット+アルファ」「既存産業+インターネット」が中心。シードからレイターまでのステージのスタートアップに対して、数百万円から数千万円程度の投資を行う。すでに昨日紹介したウィンクルのほか、ヘルスケアスタートアップのサイマックスなどに出資している。また既存ファンドのセカンダリー投資をバルク案件を組成して買い受ける「バルクセール」や、ある企業の株式のVC分を全部、あるいは経営者の分も買い受ける「バイアウト投資」も行う予定。さらに、佐藤氏が参画したことで、スタートアップコミュニティの創造、大企業とスタートアップの連携なども進めて行くという。

グロービスが総額160億円の5号ファンドを組成、年金基金の出資は「VCの悲願」

gcpちょうど1年前の年始、僕はインキュベイトファンドが組成した110億円の3号ファンドについて記事にしたのだけれども、2016年も年始に大型のファンド組成のニュースがあった。

ベンチャーキャピタルのグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)は1月4日付けで第5号となる新ファンド「Globis Fund V, L.P.、グロービス5号ファンド投資事業有限責任組合」を組成した。一次募集(ファーストクローズ)は約140億円。出資するのは三井住友信託銀行、日本政策投資銀行、大同生命保険、マスミューチュアル生命保険株のほか、国内大手企業年金基金を含む国内外の大手機関投資家。ファンド総額は160億円の予定だが、すでにそれ以上の出資要望があるそうで、3月末の最終募集(ファイナルクローズ)を前に、すでに募集が完了している状況だという。

GCPでは1996年に1号ファンド(5億4000万円)を組成。1999年に2号ファンド(200億円)、2006年に3号ファンド(180億円)、2013年に4号ファンド(115億円)を組成。累計120社以上への投資を行っている。直近の投資先上場企業としてはピクスタやイード、カヤック、ブイキューブなど、TechCrunchの読者もよく知るIT企業が多い。

投資領域は「6 Tech」ほか、投資額は1社最大20億円超に

5号ファンドで投資対象とするのは、「6 Tech」(FinTech、HealthcareTech、EduTech、HomeTech、AutoTech、FrontierTechの総称)のほか、シェアエコノミーやAR/VR、IoT、AIなど。GCPパートナーの高宮慎一氏いわく、「IT(Information Technology:情報技術)&IT(Industry Transformation:産業の変革)の領域。2016年に『来る』という領域かどうかに関わらず、ファンドが終了する10年先までを見据えた投資を行う」とのことだ。

投資対象とするのはシードマネーを調達済みで、シリーズA以降の調達を検討しているアーリーステージのスタートアップが中心。GCPというとレイターステージの資金調達を手がける印象が強かったのだけれども、よくよく考えてみると、メルカリやスマートニュースなどもアーリーステージでの投資だ。内訳としては「ざっくり45%がアーリーステージ、35%がミドルステージ、残りがレイターステージ」(高宮氏)なのだそう。具体的には1社あたり数億円〜最大で20億円超の出資を行う予定だという。

昨日はシード特化のVCであるSkyland Venturesの新ファンドのニュースがあった。その中でパートナーの木下慶彦氏が自身の投資スタンスについて、進捗報告のために起業家の時間を取るようなことをしないためにも「ノーハンズオン」だと語っていたが、GCPのスタンスは、バリバリの「ハンズオン」なのだそう。もちろん投資対象のステージも違うし、事業内容によって出資先ごとにVCが支援するべき内容は異なるので、どちらが正しいという話ではない。

GCPのハンズオンの中で特徴的なのは、3R、すなわちIR、PR、HRの業務支援だという。投資担当以外のキャピタリストや親会社であるグロービスのスタッフ、社外のパートナーなどと連携して各種のリソースを提供するのだそうだ。例えば元証券会社の引受担当者がIRまわりのコンサルティングをしたり、グロービスの広報チームがPRの支援をしたりするほか、GCPが投資先企業の人材ニーズをとりまとめてヘッドハンターに共有。一括で広く人材の確保を進めるといったこともしているそうだ。

年金基金からの出資は「VCの悲願」

ファンド組成のニュースはこれまでいくつもあったが、少し珍しいのは、「企業年金基金などの機関投資家が出資している」という内容だ。高宮氏はこれについて、「ある意味では国内VC、ひいてはベンチャー業界の悲願ではないか」と語る。

それはどういう意味か? 100億円超のファンドを組成するとなると出資者1組織ごとに10億円ほどの額を集める必要が出てくる。かといって10億円もの資金を出せるような組織なんてそうそうはない。そこで銀行や保険会社、政府系金融機関などの機関投資家からの出資を仰ぐ必要があるわけだ。そんな機関投資家の中でも、年金基金といえばリスクに対して非常にセンシティブな運用を行ってきたところだ。例えば2015年には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が年金の運用において、四半期での損失を出したと批判を浴びた。もちろん短期的に見れば8兆円近い損失という大きな話だ。だがたった1つの四半期の損失という見方もできる。長期的に見ればGPIFは高い運用成績を上げており、しかもベンチマーク(運用成果を測定し、評価するための基準)と比較しても良い結果となっている。

しかしそういったネガティブな反応を意識する以上、年金の運用はセンシティブにならざるを得ないというのは致し方ないところ。とはいえ年金基金は数千億円を超えるような運用総額を誇っているわけだし、代替資産(株式や債権以外の資産。不動産もVCへの出資もこれにあたる)に長期的視点で腰をすえて投資するプレーヤーであるという意味でも、機関投資家の中でも大きな存在だ。米国においては、年金基金からの資金がVC業界の発展を支えてきた側面が大きいとも聞く。

そんな背景がある中で年金の資金が入ることについて、高宮氏は「もちろん我々の成果が評価されたということや、そのIRを行った結果ではある」とした上で、「それ以上に、ベンチャーというハイリスクハイリターンな領域に、年金の大きなお金が流れ始めたということが大きい。GCPだけの話ではなく、VC業界、ベンチャー業界全体に意味があること」(高宮氏)と説明する。

2015年3月に発表されたJapan Venture Researchのレポートでは、スタートアップの調達額は増加(一方でその社数は減少)というトレンドが紹介されているが、米国と比較すれば国内VCの投資額はまだまだ小さい(2012年度で米国VCの投資額は国内VCの約24倍という数字もある。リンク先はベンチャーユナイテッド チーフベンチャーキャピタリストである丸山聡氏のブログ)。今回の発表は「GCPが大きなファンドを1つ作った」というだけ(もちろん、「だけ」といっても大きなファンドができることは国内のスタートアップコミュニティにとっては大きな意味がある)の話だが、背景を読み解けば「国内VCに流れるお金の変化」という大きな兆しの見える話とも言えそうだ。

Urban.usの$10Mのファンドは、環境浄化など、より良い都市生活を作り出すスタートアップを育てる

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ベンチャーファンドのUrban.usが今年新たに、1000万ドルのファンドを立ち上げて、今年いっぱい、われわれの都市生活の向上に貢献しようとするスタートアップたちに投資していくことになった。テーマは、都市内移動(mobility, 交通ほか)、ロジスティクス(logistics, 総合物流管理)、環境、ユーティリティ(電気、ガス、上下水道、など)、地方行政など、何でもよい。

今年いっぱいといっても、すでに一部の資金は、スマート(電脳)灌漑のRachioや、電気スケボーOneWheel(上図)のFutureMotion、IoTの冷暖房システムFlairなどに投じられている。

このほか、最初のファンド130万ドルは20社にほぼ同額が割り当てられる。今Urban.usのポートフォリオの中にはHandUpBRCKdashRevivnSkycatchなどがいる。投資対象企業は、シード前の段階からシリーズAまでの層だ。そして二度目のファンドは、それまでに成長した企業や、目に見えて公益に貢献した企業への追加投資になる。

Urban.usの協同ファウンダStonly Baptisteはこう語る: “気候変動への対応がこれからの社会の最大の課題になる。中でも、都市の構造や機構を効果的に変えていくことが重要だ。スタートアップはそれに貢献できる”。

つまり世界の都市は現在、国連の都市開発事業United Nations-Habitatによれば、温室効果ガスの約70%を排出している。2050年には都市の人口が今の倍になっていると予想されるので、都市の排ガス量も増える。そこでUrban.usは、5年以内に約100の都市の状況を急速かつ大規模に変えうると思われる技術に、投資しようとしている。

“世界を良くしよう、というこのファンドの方向性はあまりにも対象範囲が広いが、成否は犠牲の大きさにかかっている”、とBaptisteは述べる。“個人レベルでの考え方も、‘そのために自分は何を犠牲にできるか’になるからね”。

BaptisteがとくにOneWheelを気に入っているのも、自然にそれとなく公益に貢献しているからだ(例: 大きな4人乗り自動車に1人で乗らない)。OneWheelのメインの特長は楽しくて便利なことだが、結果的に公益に貢献する。多くの人が一人での都市内移動に、自動車に代えてこれを使えば、都市内の自動車交通量が減る。そして究極的には、都市のCO2排出量を減らす、とBaptisteは説く。

“従来の一般的な概念では、善行と利益追求は一致せず、社会的役割を担うことと人生を楽しむことは一致しない。この考え方を変えて、両者が一致することを人びとが理解できたら、それが最高だ”、と彼は語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Microsoft、ビッグデータのスタートアップMetanautixを買収

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Microsoftは今日(米国時間12/18)、ビッグデータに特化したスタートアップで2014年に姿を現したMetanautixを買収したと発表した。同社はこれまでに700万ドルの資金を調達済みで、著名なベンチャーキャピタル会社、Sequioaも出資している。

買収条件の詳細は明らかにされていない。

Metanautixを紹介したTechCrunchの以前の記事によると、外部資金の大部分は同社が設立された2012年に調達されたものだ。会社の存在が一般に知られたとき、彼らは「ベータ顧客が5社程度[同社の]ソフトウェアを利用している」と言っていた。独立企業としてのビジネスはこれで終る。

MicrosoftはMetanautixを自社の「SQLサーバーおよびCortanaアナリティクススイートを含むデータプラットフォーム」に統合するつもりだ。現時点でソフトウェアの巨人はそれ以上の詳細を公表していない。

Metanautix側はさらに言葉が少なく、自社ブログにわずか175語を書いただけだ。想像以上に短い発言の中でも、CEOは社員への感謝を忘れなかった。「実にスリル満点な乗り物だった。次のエキサイティングな章を始める前に、これまでのすべてを可能にしてくれた素晴らしいチーム全員に感謝の気持ちを表したい」。

わずか700万ドルの資金、それも調達したのは何年も前なので、買収前の段階で現金が不足し、設立当時よりはるかに厳しい資金調達環境であったことは容易に想像できる。

ともあれ、Microsoftは新年に向けてビッグデータの新しい血を手に入れた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Yahooが本体のインターネット事業を売却、との報道で同社の株価は7%急増…残るはAlibabaとYahoo Japanの持ち株のみ

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The Wall Street Journalの記事によると、Yahooの取締役会は、今後の複数の会議において、同社の中核事業の売却を検討する。

そして当然ながら、このニュースのあとの時間外取引でYahooの株価は7%急増した。同社の中核事業はおおむね低迷していたし、同社が保有しているAlibabaの持ち株の方が、Yahoo本来の時価総額よりも高くなっていた。その中での株価急増は、意味が大きい。

WSJの記事によると今後の会議で取締役会は、Alibabaの持ち株と同社のインターネット資産の両方を売るか否かを決定する。売却を提案されている同社のAlibaba持ち株は、税の問題がらみで売るのは容易でないと報道されて以来、今後の取り扱い方針が未定のままにされていた。

一方同社のぱっとしないパフォーマンスにより、今年の株価は30%以上下がっていた。

同社の、AlibabaとYahoo Japanの持ち株を合わせた額に比べると、株主たちの評価による同社の中核事業の実質価値は、ゼロ以下である。つまり会社の将来性に対するポジティブな確信がほとんどない、ということだ。今や株主たちにとって断然重要なのは、Yahoo JapanとAlibabaの持ち株の方だ。

〔ここにグラフが表示されない場合は、原文をご覧ください。〕

[graphiq id=”fg7vHLreF7″ title=”Yahoo Inc. (YHOO) Stock Price – Trailing Year” width=”600″ height=”487″ url=”https://w.graphiq.com/w/fg7vHLreF7″ link=”http://listings.findthecompany.com/l/19200951/Yahoo-Inc-in-Sunnyvale-CA” link_text=”Yahoo Inc. (YHOO) Stock Price – Trailing Year | FindTheCompany”]

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

専用ボックスで1カ月保存可能な総菜を提供する「オフィスおかん」、運営会社がYJキャピタルなどから資金調達

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冷蔵庫や専用ボックスを設置して、1ヶ月保存可能な惣菜やご飯、スープなどをオフィスに提供する、“社食版のオフィスグリコ”とも言えるサービス「オフィスおかん」。サービスを提供するおかんが11月25日、YJキャピタルのほかSMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、シーエー・モバイルの4社を引受先とする第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。金額は非公開。ただし数億円規模の資金を調達したと見られる。

おかんの創業は2012年12月。福井県にある総菜屋チェーンが保有する技術を用いて、冷蔵庫で約1カ月間保存可能な総菜を提供している。もともとは個人宅向けに毎月1回商品を配送するサービスを展開していたが、現在は法人向け事業に注力。東京23区内のオフィス向けにサービスを展開している。

導入企業はすでに200社以上。従業員5人程度のスタートアップから、1000人以上の上場企業まで、導入企業は幅広い。「もともと渋谷からスタートしたこともあって、当初は渋谷周辺のIT系企業への導入がメインだったが、現在では老舗メーカーや建設業、コンサルに士業、結婚式場など幅広く利用されている。社食があるような企業であってもオープンしている時間は限定されているので、それを補完するかたちで導入するというケースもあるし、本社には社食があるが、支社には社食がないので、その不公平感を埋めるために支社に導入するというケースもある」(おかん代表取締役の沢木恵太氏)

現在1カ月に提供している総菜の数は数万食。もともと総菜を製造していた福井県の総菜工場に加えて、ほか全国5カ所の工場と提携。工場の空き時間を利用してオフィスおかんの総菜を製造している。

おかんは今回の調達をもとに、オフィスおかんの規模拡大と新サービスの開発を進める。システムやサプライチェーンの強化を進めるほか、マーケティングや営業の人員を増強するほか、「企業の中に販売チャネルを持っていることを生かしたC(コンシューマー)向けサービスを展開する」(沢木氏)という。東京23区以外へのサービス展開については、「問い合わせも多いので今後は対応していきたいが、配送などもあるため、まずは東京でサービスを展開していきたい」(沢木氏)としている。

好調Facebook、第3四半期売上は45億ドル―世界のユーザーは15億5000万を超える

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Facebookの成長は止まる気配がない。世界のユーザーは15億5000万人を超え、2015年第3四半期の決算によれば、売上はアナリストの予想を上回る45億ドルに達し、1株当たり売上は0.57ドルとなっている。直前の第2四半期の売上は40億4000万ドルだったから、11.3%アップの大躍進だ。

Facebookが毎月発表しているユーザー数は前年同期比で4.02%急増している。 成長率自体、 2015年第2四半期には3.47%だったから今期に入って急増したことになる。

先進国市場ではFacebookのユーザー数が飽和状態に近づいているという観測も出ていたが、途上国を中心に世界でまだまだ多くのユーザーを集めつつあることがわかる。

ウォールストリートのアナリストはFacebookの今期売上を43億7000万ドル、1株当たり売上を0.52ドルと予想していた。

Facebook DAU q3 2015

メディアの注目を集めるのはFacebookの総ユーザー数だが、ビジネスの状態をもっと正確に反映するのは毎日のアクティブ・ユーザー数(DAU)だ。Facebookの毎日のDAUは10億1000万人で、8月末は1億人だった。直前の第2四半期の月間アクティブ・ユーザー(MAU)は9億6800万人だったから、DAIUをMAUで割った値、つまり毎日Facebookを使う月間アクティブ・ユーザーの割合は65.1%ということになる。以前から変わらず続く「近頃のFacebookはださくなった」という大合唱にもかかわらず、大半のアクティブ・ユーザーは毎日Facebookをチェックしていることがわかる。

Facebookの今期のモバイル・ユーザーは13億9000万人で、第2四半期は 13億1000万人だった。 毎日のモバイル・アクティブ・ユーザーは8億9400万人(第2四半期は8億4400万人)なので、モバイル・ユーザーは今やFacebookの全アクティブ・ユーザーの78%を占めるという結果となっている。モバイル・デバイスのみでFacebookを使うユーザーは7億2700万人となっている。

いささか驚くべきことだが、売上をもたらす中心となっている市場、すなわちアメリカとカナダで、Facebookは400万人の新規ユーザーを獲得している。つまりFacebookはさまざまな観測とは逆に、北米市場で、これまでFacebookを使うのをためらっていた層や、高齢者、正規にFacebookを使える年齢に達したティーンエージャーなどの獲得に成功していることを示すものだ。

Facebook Ad Revenue

過去3ヶ月のFacebookの GAAP標準の純利益、つまり実質的純利益は8億9600万ドルで、これも直前四半期の7億1900万ドルを大きく上回っている。この四半期にFacebookがMessengerを強化してパーソナル・アシスタントを全ユーザーに公開する準備として人工知能のために巨額の投資を行ったことを考えると、利益額はいっそう印象的だ。決算の発表と同時に、時間外取引で、Facebookの株価は 2.3%ほど急上昇した。

Facebookが先端的テクノロジーの開発に力を入れながらもコストをコントロールできる能力を示したことで、市場は同社が人工知能や仮想現実といった未来的分野でもリードを続けられるはずだと確信を持ったようだ。

明るい決算発表の中で唯一、暗雲となり得る数字は、総売上に占めるサードパーティーからの支払売上の割合の低下が止まらないことだろう。これはゲームが急速にモバイル化するにつれ、一時Facebookの売上の大きな部分を占めていたウェブ・ゲームのプラットフォームが死滅しかけていることによる。ただしゲームの売上は第2四半期の2億1500万ドルから今期2億200万ドルに低下したとはいえ、Facebookの総売上の5%以下にすぎないので、さほど大きな懸念とはいえなのいだろう。

[アップデート:: D決算説明の電話会議で大きな発表があった。Facebookのユーザーはビデオを毎日平均して80億回再生しているという。今年4月時点では平均40億回の再生だったのでほぼ倍増したことになる。]

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全体としてみると、第3四半期はFacebookが長期的展望に立った戦略的投資に力を入れつつ、世界的に規模を拡大し、新たな収入源を獲得するのに成功した期間といえるだろう。Facebookは今期、
ショッピングビデオ視聴の面でテストに力を入れた。どちらのも将来、重要な収入源となるはずの分野だ。

また広告テクノロジーでCanvasという新しいフォーマットがテストされた。私はインスタント広告(Instant Ads) というネーミングが気に入っている。こうしたリッチ・コンテンツによるマーケティングはFacebookアプリのユーザーの広告クリック数をアップさせる効果がありそうだ。

今や11歳を迎えたFacebookだが、この決算発表を見ると、時の試練に立派に耐えたと評価できるだろう。

Facebook ARPU 2015 Q3

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ラボ型オフショア開発などを手がけるエボラブルアジアが約6.5億円の資金調達

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エボラブルアジアは10月29日、Fenox Venture Capitalおよびヒトトキインキュベーター(日本たばこ産業(JT)とヒトメディアの合弁ベンチャーキャピタルだ)から第三者割当増資と株式譲渡により総額約6億4000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

エボラブルアジアは2007年の設立。オンライン旅行事業やオフショア開発事業などを展開。今回調達した資金をもとにこれらの事業拡大に注力する。

同社はベトナム・ホーチミンに子会社を立ち上げ、プロジェクトごとに一定期間の仕事量を補償してエンジニアを確保する「ラボ型」と呼ばれるオフショア開発なども手がけている。

このラボ型オフショアでは、成果が出たエンジニアチームを発注元の会社が買収したり、エボラブルアジアと合弁会社を作るかたちで独立性を高めたりする、というスキームもあると聞く。ヤフーが4月に立ち上げたベトナムの開発子会社も、同社のラボ型オフショアで開発していたチームがベースになっているそうだ。