米上院、国境警察官によるパスワードの要求を禁止する法案を提出へ

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プライバシー擁護派は米国国境でのデジタル詮策を強化する提案に不満を抱いているが、問題は上院で取り上げられることになりそうだ。

オレゴン州選出ロン・ワイデン上院議員は、ジョン・ケリー国土安全保障省長官宛の書簡で、米国税関国境警察官が抑留者の所有するロックされた端末のパスワードを取得しているという報告について説明責任を追求した。ワイデン氏は憲法修正第4条に基づき、その行為は超法規的で相当の理由を欠いておりこのような捜査には令状が必要であるとして一蹴した。

「法執行機関がソーシャルメディア企業やメールプロバイダーからデータを取得する方法については確固たる法的規定がある」とワイデンは書いている。「政府がサービス提供者にユーザーデータの提出を求めるには捜査令状その他の裁判所命令が必要だ」。

国境警察官がログイン情報を直接要求することは、この牽制制度を回避し米国民の権利を侵害するものだとワイデンは指摘する。プライバシーの懸念に加えこうした侵略的政策は海外出張を抑止する恐れもあり、国境での大がかりな「デジタル捜査網」は米国税関国境警備局の本分を逸脱している。

ワイデン議員が提出を予定している法案は、国境警察官がいかなる端末を検査する場合にも令状を必須とすることに加え、法執行機関が旅行者に対してソーシャルメディアの個人情報を提出するよう圧力をかけることを禁止している。同書簡は国家安全保障局に対し、国境でロックされた端末をアクセスしたり、ソーシャルメティアのパスワードを要求した全事例を報告することも要求している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アメリカへの入国にはソーシャルメディアのパスワードが必要になるかもしれない

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近々この国に入るためにはパスワードが必要になるかもしれない。Facebookのパスワードだ。国土安全保障長官のジョン・ケリーは、論争のさなかにあるトランプ大統領の移民拒否問題に関連して、下院国土安全保障委員会にこの方法を提案した。

「パスワードを使って彼らのソーシャルメディアに入りたい。職業は何なのか、どんな発言をしているのか。協力したくない者は入国できない」とケリー氏は委員会で言った。NBC Newsが報じた

これはイスラム主流の7か国(イラン、イラク、シリア、イエメン、スーダン、およびリビア)を指している。大統領令が移民や難民の入国を阻止しようとしている国々だ。長官はこれが公式な政策決定ではなく、その可能性に一定の信頼度があることを示すための報道向けの発言であることを付け加えた。

検証手続の一部にソーシャルメディアを利用するアイデアは新しくない。事実オバマ政権は、日常的な申請用紙に「あなたのオンラインでの存在に関連する情報:プロバイダー/プラットフォーム、ソーシャルメディア個人情報」を任意で入力する欄を追加する提案をした。検討はされたものの、結局パスワードを要求することはなかった。

おそらくソーシャルメディアのプロフィールを深く堀り下げる正当な理由がないからだろう。ケリー長官は後に公聴会で「誰かが『私はこの町から来た、これが私の職業だ』と言えば、政府職員は個人の言葉を受け入れるしかない」と語っている。

もちろん、どのプラットフォープ上でもソーシャルメディアアカウントを偽わったり、他人のアカウントを名乗ったりすることは驚くほど簡単だ。ソーシャルメディアはちょっとした情報を得るには便利だが、正確な事実を抽出しようとした途端、わらをつかんでいるような状態になる。

もちろんこれとは別に、誰かに任意でパスワードを提供させようとすることの、プライバシーやセキュリティーの問題があるが、あまりに明白なので詳しく説明する必要はないだろう。

問題の大統領令の運命はまだ宙に浮いているが、結果がどうなるにせよ、〈この〉提案が実施されないことを願うばかりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twilioはデベロッパーが民主主義をテクノロジーで構築していくためのイニシアチブを創始、参加者を募集中

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昨夜(米国時間2/6)の第10回(2017)Crunchies賞のステージで、“最優秀ファウンダー賞”を取ったTwilioのCEO Jeff Lawsonが、人びとを、自分たちの政治的意思を代表する議員たちとより密接に結びつけるための、新しい企画について語った。Twilio Voices for Democracy(民主主義のために声を)と名付けたそのイニシアチブは、同社の技術を非営利の団体や事業が有効に利用していけるために立ち上げた、Twillio.orgの活動の一環だ。

同企画のサイトによると、活動の内容はTwilio製品の寄付またはディスカウントにより、非営利団体等がテクノロジーを利用して“参加者賛同者を増やし、働きかける対象を増やし、この世界に本物の変化をもたらすこと”、とされている。

Twilio.orgは赤十字とパートナーして、この団体の緊急対応能力を高め、また、人身売買などの防止努力や、子どものための病院の改善などの活動も強化していく。

Voices for Democracyのねらいは、デベロッパーにできることを通じて、人びとを民主主義の過程に、従来よりも深く関わらせることだ。

Lawsonは語る: “今のような政治的緊張がある時代環境においては、どんな意見の持ち主でも、最も重要なのは、自分の考えを自分たちを代表する者に語ることだ。デベロッパーは、人びとのそのための行動を助けていってほしい”。

Voices for Democracyはシリコンバレーのそのほかのテクノロジー企業による活動とも協力して、政治の透明性をより有意義で実効性あるものにしていくための、テクノロジーの有効利用を追究していく。

まだ細部は煮詰め中ということだが、関心と参加意思のあるデベロッパーは、自分のメールアドレスを“TWILIO”へメッセージすればよい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uber CEOのTravis Kalanickが経済諮問委員を辞任

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Uber CEOのTravis Kalanickがトランプ大統領の経済諮問委員会から離脱した、とするRecodeNew York Timesの報道内容をTechCrunchが確認した。Kalanickは、SpaceX CEOのイーロン・マスクも参加している、昨年末に設立された諮問委員会で、アメリカ現地時間の2月3日にトランプとビジネスに関する議論を行う予定だった。トランプと直接仕事をするという彼の決断は多くの批判を浴び、Kalanickとトランプ政権の関係性は、少なくとも最近ソーシャルメディアで巻き起こっている#DeleteUberキャンペーンが発足した理由のひとつとなっている。さらにこのキャンペーンの結果、Uberは初めてライバルのLyftに、人気ナンバーワン配車アプリの座を奪われることになった。

諮問委員辞任のニュースは、Kalanickとトランプの関係性についての不満を公言する人もいた、UberユーザーとUberの従業員どちらにとっても良い知らせとなるだろう。New York Timesが入手した社内メールによれば、Kalanickは従業員に対して、諮問委員会への参加は「トランプ大統領や彼のアジェンダへの支持を表明するものではない」が、「残念ながら」そのように受け取られてしまったと伝えたとされている。また、ニューヨークシティで活動するUberドライバーの独立組織は、2月2日にKalanickの諮問委員辞任を求める嘆願書を提出後、彼が実際にアクションをとったことに「励まされた」とTechCrunch宛のメールで語った。

移民規制に関するトランプの大統領令に対する反応として、Kalanickは2月3日の委員会で、件の大統領令についての懸念事項をトランプ自身に伝えるつもりだと以下のようにFacebook上で語っていた。

各国政府がそれぞれの移民規制策をとっている一方で、アメリカは建国当時から世界中の人々を迎え入れて、アメリカを彼らの新しい母国にするという政策をとってきました。つまり今回の大統領令によって、多くの無実な人々に悪影響が及ぶ可能性があります。私は金曜日にワシントンへ行き、トランプ大統領の初となる経済諮問委員会で、この問題を議題のひとつとして取り上げます。

既に諮問委員を辞任したため、もうKalanickは移民問題を委員会で取り上げることはできないが、2月2日に送られた社内メールで彼は「移民規制の大統領令や、大統領令が持つ私たちのコミュニティへの影響について、トランプ大統領と話をしました」と述べ、さらに諮問委員を辞任する旨をトランプに伝えたと記した。

以下がTechCrunchの入手した、従業員宛のKalanickの言葉だ。

「従業員の皆様へ

私は本日、移民規制に関する大統領令や、この大統領令によって発生する私たちのコミュニティにとっての問題点について、トランプ大統領と話をしました。さらに彼には、私が経済諮問委員会へ参加できないという旨も伝えました。同委員会への参加は、トランプ大統領や彼のアジェンダへの支持を表明するものではありませんが、残念ながらまさにそのように受け取られてしまいました。本件に関して熟考を重ね、私たちの企業文化と照らし合わせた結果、特に関連性が高いと思われた項目は以下の通りです。

Inside Out ー Uber(もしくは私)がトランプ政権のアジェンダを支持しているという憶測によって、Uberの外にいる人のUberに関する認識と私たちの実態の間に、ギャップが生じてしまいました。

Just Change ー 私たちは、アクションを起こし続けることで、最終的に何かを成し遂げることができると信じなければいけません。移民規制に関してだけでも、私たちなりに貢献する方法はたくさんありますが、諮問委員であり続けることがその障壁になると判断しました。今回の大統領令によって、アメリカ中の人々が痛みを感じています。家族は引き裂かれ、移住希望者は海外に取り残され、アメリカはもはや移民を迎え入れる国ではなくなったのではないかという不安が強まっています。

移民や難民の受け入れは、アメリカ、そして正直に言うとUberの成功の鍵でもあります。私はThuanやEmilのように、より良い生活を手に入れようと、難民としてアメリカに移住した人々と直接一緒に仕事ができることを大変誇りに思っています。従業員の皆さんや皆さんの家族、さらには痛ましい経験をした何千人ものドライバーの皆様にとっては、つらい一週間であったとお察しします。

火曜日に皆さんから伺った質問やお話、さらにはドライバーの方々から伺ったお話をうけて、私は立ち直り『Be Yourself(自分らしくあれ)』という私たちが最も大切にする価値観のひとつを思い出しました。私たちが将来への希望を持って安心して自分らしくいられるように、私たちのコミュニティにいる移民の人権のために戦っていきましょう。

Travis」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

日本人の強制収容と戦ったフレッド・コマツがGoogleの記念日ロゴに登場

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Googleは今日、Google Doodle(記念日ロゴ)で、人権活動家Fred Korematsuの、生きておられたら98歳の誕生日を祝った。Korematsuは日本人移民の子としてカリフォルニア州オークランドに生まれた。彼は、アメリカ大統領ルーズベルトが、アメリカに住む日本人を強制収容所に送る、という大統領令を発令したとき、姿をくらました。

Korematsuは自分の意思で収容所に入ることをせず潜伏し、1942年に大統領令違反で逮捕された。彼は終戦まで、ユタ州の収容所に収監された。その後Korematsuはクリントン大統領から自由勲章を授与され、9.11のあとには、アメリカは中東の人びとに対して、第二次世界大戦のときに日本人に対してしたことの轍を踏んではならない、と声を上げた。

Korematsuはまた、晩年、グアンタナモ湾の勾留者に関連した事件で法廷に、被告のための法廷助言書を提出するつもりだった。被告らは、不当で違法な長期勾留の犯罪性を訴え、このような市民的自由の制限はアメリカにおいて正当化できない、と主張していた。

Korematsuの有名な言葉は、“怖がらずに言うべきことは言いなさい”〔”If you have the feeling that something is wrong, don’t be afraid to speak up.”〕だ。それは、何かが間違っているときのための、全アメリカ人への助言だ。

あの週末のあとだけに、これを政治的声明と見なさないことは難しい。Googleは、ドナルド・トランプの移民に対する大統領令と戦う非営利団体に400万ドルを支援した

〔参考記事: 日本語Wikipedia。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Airbnb、入国拒否命令の被害者に無料宿泊を提供

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トランプ氏の大統領令によって、難民や学生やグリーンカード保有者が米国の空港で立ち往生させられている大混乱の最中、Airbnbは影響を受けた人々に無料宿泊を提供する。

この大統領令に対しては法的行動や抗議運動が起こされ、空港で拘束されていた一部の人々が解放された。しかし、税関国境警備局がトランプの命令をどのように遂行するのかは未だ明らかになっておらず、旅行者が米国行きフライトに乗れなかったり、到着時に拘束されるケースは今後もあり得る。。

AirbnbのCEO Brian Cheskyは昨日、トランプの難民受入れ拒否に反対する意見を数多くのIT企業経営者と共に明言した。しかし昨夜Cheskyは、さらに一歩進めて難民やその他影響を受けた人々に宿泊を提供するべく「Airbnbは難民をはじめ米国への入国を許されなかった人々に無料で宿泊を提供する」とツイートした。「今後も情報に注目されたい。緊急に住まいが必要な場合は私に連絡してほしい」。

Airbnbの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、今回の対応には既存の災害対応プログラムを活用するという。自然災害で住居を失った人や支援する人たちに宿泊を提供するようホストに依頼するプログラムだ。近くにホストが見つからないときなどにはほかの物資や情報が必要になるが、Airbnbは今後の計画について近く詳細を発表すると約束した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

科学を黙らせる努力、やりたいようにやってみれば!

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テクノロジーとインターネットは、ビジネスやコミュニケーションと並んで科学にも力を与えてきた。ほかのものと同様にテクノロジーは、科学の努力も、その活動と到達の範囲をグローバルにし、妨害に対して強くし、数十億の人びとがアクセスできるものにした。それは、権力の承諾の有無とは無関係に。そのことは、現在の政権の、科学の研究に口輪をはめようとする努力が失敗する、理由のひとつにすぎない。

オンラインのコミュニケーションを改ざんされたり、即座に閉鎖された国の省庁のリストが、日に日に成長している。環境保護局、国立公園庁、エネルギー省、農務省、運輸省、そして内務省、などなど。その雑でぶきっちょなやり方を見ると、これらの省庁がもっぱら気候変動に関して情報活動を抑圧されたことが明らかだ。うまくいくと、いいけどね!

しかしまず、早とちりを防いでおきたい。今はしょせん、政権移行期だ。模様替えでちょっとした失敗が起きるのは、当然ではないか? ホワイトハウスのWebサイトのスペイン語バージョンが完全になくなったのも、入れ替えに手間取っているだけかもしれない。

しかし、現政権のエネルギー計画に、“solar”や“wind”、“renewable”の言葉がないことは、たまたまではない。

また、Obamaの気候変動政策に代わるものや、まして反証すらもないことは、偶然ではない。

国立公園庁が、気候変動に関するいくつかのツイートのあとで叱責されたのも、

疾病管理センターが気候変動に関する会議を突然キャンセルしたことも、

閣僚指名者たちが何度も繰り返して、気候変動の存在やその危急性を認めることを拒否したのも、

硬軟多様なコミュニケーションの制限を受け取った省庁の多くに、気候変動に大きく影響する、あるいは影響される、担当行政職掌があることも、

環境保護局が気候変動のページを閉鎖され、削除を命令され、そして今では同局の研究を公表前に政府が検査するとなったのも、偶然ではない。

これは移行作業のちょっとしたミスでも、正々堂々とした主張でも、特定の考え方の誇大宣伝でもない。ほかのことは何を語ってもよいが、気候変動はだめ。それは、政府による、政府が危険と見なす話題に関連する情報の、意図的な抑圧だ。

もっと、ふさわしい言葉がある。今日(こんにち)、その言葉は誤用されることが多いが、この場合は正しい使い方だ。それは、検閲である。

検閲志望者にとって不運なことに、そんなものが有効だったのは遠い昔だ。どんなに強力な情報抑止努力よりもStreisand effectの方が強いことは、何年も前から証明されている。でも今回のは、そんなレベルではない。要するに、科学を黙らせることは、誰にもできないのだ。

とくに気候変動は、おとなしく寝かせておくことが難しい厄介者だ。ここ数十年にわたって、世界中の何千×n人もの科学者たちによる研究が、人為起源の気候変動(あるいは、いわゆる“地球温暖化”)という理論(重力や進化が理論だ、という意味での理論)に到達し、それを日々強化している。

それは、どこかの小さな研究室のひとにぎりのインテリたちではない。その膨大な数の科学者たちを、ほかの研究課題へ再配置したり、彼らの膨大な量の論文を小さな学術誌に封じ込めることは、誰にもできない。結果はすでに目の前にある。産業界はすでに、対応努力をしている。かつては議論があった場所の突然の沈黙は、これらの省庁が言うかもしれない文句などよりもずっと大声で語るだろう。それは、誰かに月について語るな、と言うのと同じで、そんなことをやってみようと思うだけでも、十分に異様だ。

しかしさらに加えて、今の科学は何にも増してグローバルであり、そしてテクノロジーに強い。科学のグローバルなコミュニティとテクノロジーおよびインターネットは、今や切っても切り離せない親密な仲だ。どの研究所にも、すべての実験を詳述している小さなブログがあり、そんなブログは何千もある。大学のニュースサービスは教授たちのインタビューを載せ、公刊されている学術誌は新しい研究を誰もがレビューできる形で公開し、Natureのような巨大でグローバルな出版物は、話題を求めて研究者たちの世界を掘りあさり、おもしろい研究結果を載せる。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアも、ほとんど無限にある研究や意見の公式/非公式なアウトレットだ。その一つを切り殺せば、そこに新たな二つが生まれる。

要するに、彼らがやっていることは無駄である。もちろん、今日の人類が直面している最重要な問題への言及は、どの政権にとっても不快にきまっている。それらの言及は、過去の政策を批判し、新しい政策を求めているからだ。たぶん、現政権がやっている気候変動の無視は、ほかでもあったし、現にほかでもやっているだろう。それはとても不幸なことだけれども、でも、言及を削除するやり方は、単なる、途方もないアホだ。

今ではたくさんの気象衛星が地球のまわりの大気を見張り、そのデータを各国に報告している。海洋では多くのブイや船が水温等を調べ、結果を世界中のいろんな機関に共有している。専門の研究機関が世界各地にあって、研究者たちが毎日のようにたくさんのペーパーを発表している。今ぼくらがこうしているあいだにも、海水面の上昇が続き、国全体が水没しつつある。それを黙らせるなんて!

科学者も、自己の情熱というものを持つ個人である。ロボットの改良でも、疾病の治療法の発見でも、そしてこの惑星の気候というミステリーの解明でも。彼らは書き、共有し、友だちと話し合う。彼らは、真実を探求する者たちのグローバルなコミュニティだ。友だちの誰かがひどい目に遭ったら、黙っていないだろう。そのひどい目が、どんなに幼稚で無意味な方法だったとしても。彼らは、自分たちが発見したものに関する知識を、広める方法を見つける。ぼくたちは、彼らを助ける。そして、そう、彼らもワシントンでデモ行進をする

ところで、2016年が記録の上では史上最温暖の年だった、と言っているツイートはすべて消されるかもしれないから、ここでも言っておこう。2016年は記録上最温暖の年でしたd〔NASAのこのページは日本時間1/26 11:54現在、消されていない。〕。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Jack Dorsey、一部のTwitterユーザーがトランプの @POTUSアカウントを強制フォローさせられた件で謝罪

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今日(米国時間1/22)TwitterのCEO、Jack Dorseyは、一部のTwitterユーザーがドナルド・トランプに移管された@POTUSアカウントを知らないうちにフォローしていた件について謝罪した。Dorseyはこれを技術的な問題であるとしている。昨日Sarah Perezが本誌に書いたように、Twitterユーザーはトランプの @POTUSアカウントを強制的にフォローさせられたことに当惑し、多くの人々がTwitterは新政権の命令に従ったと非難した。[訳注:POTUS は Presiden Of The United Statesの略]

Dorseyは自身の弁明を土曜日の午後に発信した(もちろん連続ツイートで)。その頃トランプ政権に抗議するウィメンズマーチが、ワシントンDCおよびこの運動でつながっている全米の衛星都市で行われていた。

Dorseyの話を要約すると、この問題で50万人以上のTwitterユーザーが影響を受け、Twitterは自社の起こした過失について言い訳をしていない。

Dorseyは、ホワイトハウスはオバマ大統領の退任前にソーシャルメディアの移行計画を立て、「組織」アカウントである@POTUSを、フォロワーはそのままに引き渡す予定だった。Twitterは、バラク・オバマ氏の@POTUSアカウントをフォローしていたユーザー全員を、第44代政権の@POTUS44、およびトランプ政権の@POTUSの両方をフォローするよう「移行」させたつもりだった。

しかし、Twitterは移行作業でヘマをやった。@POTUS44をフォローしたユーザーの一部が、一定時間後に@POTUSを自動フォローさせられた。その中にはトランプのツイートをストリームで見たくないために、わざわざ@POTUSのフォローを外していたユーザーもいた。

Dorseyの謝罪はこちらで全文が読める。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トランプ新大統領の活動をモニタリングするTrack Trumpがローンチ

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トランプ新大統領が以前発表した、就任から100日間のアクションリストの進捗具合をモニタリングするTrack Trumpというウェブサイトがローンチした。昨年の10月末に彼は、”ドナルド・トランプの有権者との契約書(Donald Trump’s Contract With The American Voter)”と題されたプランを発表し、クリーンな政府、アメリカ国内の雇用の保護、法治の復興を約束していた。Track Trumpの目的は、プランに記載されていたアクションリストの進捗具合をモニタリングし、新政権に公約を守らせることにある。

共同作成者の1人であるY Combinator社長のSam Altmanによれば、サイトはここ数週間の間に設計・作成された。

Altman以外にも、ヒラリー・クリントンの2016年大統領選キャンペーンに関わっていたAlec Baumや、博士課程で行政学を学んでいるPeter Federman、Mozilla Corpの元社員でReadMeファウンダーのディベロッパーGregory KobergerがTrack Trumpの作成に関わっていた。BaumとFedermanはフルタイムでサイトの作成にあたり、彼らの給与はY Combinatorからではなく、Altmanのポケットマネーから支払われた。

新プロジェクト:http://track-trump.com トランプ自身が明言した就任から100日間のゴールに関する毎日のアップデートと、全体の情報がまとまったダッシュボード

Track Trumpの説明文には、生活に影響を与える政策の変化を、市民がリアルタイムで追って理解することが重要だと作成者は考えているという内容が記載されている。

「新たな政府が今後何をしだすか分からない状況で、多くの人が自分たちの時間やリソースをどのように使うべきか考えあぐねているのではないかと感じたのが、このプロジェクトをはじめたきっかけのひとつです」とAltmanは話し「私たちはただ、新政権の動きをモニタリングする方法をつくろうとしていただけなんです。ダッシュボードを毎日見ていれば、往々にしてトレンドに気づきますからね」と付け加えた。

トランプ政権に責任を果たさせること以外にも、Track Trumpには実際の政策変更と「美辞麗句で飾り付けられた政治劇」をはっきり別けるという目的がある。

既に知られている通り、トランプは現状から何を変えなければいけないかや、彼が何をしようとしているかということをTwitter上で勢い良く公言していたが、言うは易し行うは難しだ。

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そこでTrack Trumpは、彼のツイートや発言内容がうやむやにされてしまわないよう、政策変更という点に注目することで、文書に残された彼の公約と実際のアクションを比較しようとしている。

そしてその進捗具合をダッシュボード上で確認することができるのだ。

「スタートアップの評価に限らず、私はダッシュボードを使った進捗管理がずっと好きでした」とAltmanは説明し、Track Trumpの作成中にはニュースフィードなど他のモデルも検討されていたと話した。

サイト上には、Track Trumpがモニタリングしようとしている8つの政策カテゴリーが、それぞれに対応するアイコンで表示されている。移民、貿易、エネルギーと気候変動、連邦政府、経済政策、教育、健康保険、安全保障がその8つのカテゴリーだ。

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そしてセクションごとに、トランプの就任後100日間の約束で触れられていた個別のアクションアイテムが記載されている。ひとつひとつの内容は元の内容からほとんど編集されておらず、トランプ自身の言葉をほぼそのままコピーしているか、ものによっては同文書からまるまる引用されている。

さらに何か起きるごとに、それぞれの項目の横に設置されたトラッカーの色がグレー(アクション無し)から、イエロー(何かしらのアクションがとられた)、グリーン(政策が施行された)へと変化するようになっている。また、政策が施行されなかったり、その内容が公式に変更されると、トラッカーの色が赤くなる。

個別の項目をクリックすると、現状がポップアップウィンドウ内に表示されるようにもなっている。

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今朝の就任演説の通り、全ての項目はグレーの状態でスタートした。

各項目に関するアップデートや政策に関するニュースのまとめは、これから毎日ブログポストとしてTrack-Trump.comに掲載される予定だ。

作成者たちの政治的思想は左派寄りではあるものの、レポートの形式や、特定の政策変更に関する各メディアの報道の仕方を考えると、バイアスが入る余地はほぼないと言える。むしろTrack Trumpは、単純に何かアクションがとられたり、政策が施行されたり、取り消されたりすればそれを記録するだけだ。つまりこのサイトは行政命令と可決された法律にしか注目していない。

「政治的な思想に関わらず、新政府の活動を偏見なくモニタリングしたいと考えている人たち全員が便利だと感じられるようなリソースを作るというのが私たちの目的でした」とサイトには記載されている。

既に多くの報道機関がTrack Trumpのダッシュボードをニュースで引用していいかと問合せているようで、サイトが今日ローンチされたことを考えると、これはすごいことだ。もしもこの人気が続けば、トランプの就任から100日を過ぎてもサイトを継続するかもしれないとAltmanは話している。

その頃には他のスピーチや文書の内容にも触れるかもしれないと彼は言う。

ツイートはどうだろうか?

「ツイート内容は無視しようと思っています。その話はやめておきましょう」とAltmanは笑いながら言った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ホワイトハウスのWebサイトからLGBTの人権ページが消えた

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そして、権力の移行が始まる。まず、WhiteHouse.govのサイトでは、いくつかのページが変えられたり、完全になくなっている。その中には、レズビアンやゲイ、バイセクシャル(両性指向者)、トランスジェンダー(性転換者)…LGBT…に関するページもある。

Trumpの大統領就任式が終わって1時間後には、whitehouse.gov/lgbtのページがTrumpの政権移行促進ページにリプレースされた。

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アップデート: 移行促進ページもなくなった。ホワイトハウスのLGBTページは完全に消えてしまった。〔404ページのみ〕

Obama政権は、重要な法案の成立と、法廷での歴史的な勝利、そしてゲイや性転換者などのための重要な政策変更を強調するために、ホワイトハウスのWebサイトにLGBTのページを導入した。そのページは、“It Gets Better”などのゲイの人権活動にも光を当て、LGBTの人たちが悩みに悩んで自殺まで考えてしまうことを、防ごうとした。

今その人権活動のページは、“Strengthening Civil Rights”アーカイブされているページへリダイレクトされるが、それも今後変わるかもしれない。なにしろ、LGBTの言及はすべて消え去った:

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Trumpの新しいホワイトハウスWebサイトが完成したときには、そこにTrump独自の、LGBT肯定ページがあるのだろうか? Trumpは共和党内の小グループLog Cabin Republicansから、“共和党の歴史においてもっとも積極的なLGBT擁護派の大統領指名候補者だ”と賞賛されている。でもこの、LGBTを擁護する小グループは、本選候補者としてTrumpを推すことを拒否した。

LGBTのコミュニティはTrumpが大統領になることに懸念を表明していた。とくに副大統領のPenceは、インディアナ州の州知事時代に、LGBTを保護する法律に反対した

関連のニュースとして、気候変動に関するすべての言及が、このサイトの全域から削除されたようだ

ゲイや性転換者などの人権に関するObama政権の業績は、過去のプレスリリースに見ることができる。この問題を今、Trumpの政権移行チームに問い合わせているので、情報が得られ次第、あるいは新しいページが出現次第、この記事をアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ホワイトハウスの公式Webサイトから気候変動への言及がいっさい消え去る

【抄訳】
Trump政権は早くも、人びとの現実認識を危険な方向へ変える動きに出た。新政権はホワイトハウスのWebサイトから“気候変動”(climate change)と“地球温暖化”(global warming)の言葉をすべて消し、気候変動に関するページhttp://www.whitehouse.gov/energy/climate-changeも、完全に削除された。

アップデート: Snopes.comが指摘しているように、政権が変わると前政権のページはアーカイブされるのがふつうだが、新しいホワイトハウスのページに“気候変動”への言及がまったくないことと、新政権が、Climate Action Planのような重要な環境政策の排除を追求する、と具体的に述べているエネルギー政策のページを宣伝している、という事実は残る。

Motherboardによると、この変更は政権移行が正式に発効した東部時間正午に生じた。下図はObama大統領の下(もと)でのclimate-changeのページであり、Wayback Machineによる、このページのライブバージョンがここにある。

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ホワイトハウスの公式Webサイトの“重要問題”(Top Issue)のリストからもClimate Changeは消え、やや関連があると思われる“アメリカ優先のエネルギー計画”(American First Energy Plan)には、アメリカの包括的なエネルギー政策におけるTrumpの目標が述べられている。それは、保護主義者*的な資源利用施策が中心だ。〔*: 保護主義者, protectionist, ‘保護貿易’のような、自国の利益保護を優先する考えの人びと。〕

そのページには次のような悩ましい一節があり、そこでもやはり、気候変動などの、問題を特定する名前はいっさい使われていない:

私たちはあまりにも長く、わが国のエネルギー産業の重荷となる規制に足を引っ張られていた。Trump大統領は、Climate Action PlanやWaters of the U.S.ルールのような有害で不必要な政策を排除することを、確約している。これらの制約がなくなれば、アメリカの労働者を大きく助けることになり、その賃金は今後の7年間で300億ドル以上増加するだろう。

【中略】
〔環境保護局の気候変動ページは健在だが、いずれなくなるだろう。〕
〔グリーン&クリーンテック・スタートアップの将来が不安。〕

ホワイトハウスの公式Webサイト上の、LGBTQの人権問題を扱うページも、政権移行時に削除された(未訳)。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

米司法省、クリントンのメール問題でFBIの対応を調査

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米司法省のマイケル・ホロウィッツ監察長官は今日(米国時間1/12)、2016年選挙に関連するいくつかの事件、特にヒラリー・クリントンのメール問題の扱いに関して、FBIの対応に問題がなかったかを調査中であると発表した。

ジェームズ・コミー長官を筆頭にFBIがこの問題を選挙前の時期に捜査、報告したタイミングとやり方については多くの批判がある。そうした懸念は全く無視されているわけではないようだ。問題の疑惑は「議会監督委員会の議長および有力委員をはじめとする様々な組織や一般市民から寄せられた数多くの要求に答えて」調査が行われることが、司法省の公式声明で報告された。

声明には同省が調査の対象とする案件が具体的に示されている。

第一に、コミー氏が7月5日に訴追せずと結論を下した捜査で、FBIのルールが守られていなかった可能性がある。後にコミー氏が、選挙のわずか数日前に捜査を再開するという扇動的とも言われる決定を下したことや、「一部の基礎調査での判断が不適切な考察に基づいていた」可能性についても見直される予定だ。

司法省およびFBIのメンバーも非公開情報を不適切に公表した件で追求されており、司法省の立法問題次官補については担当を外れるべき理由があった。

また、FBIのアンドリュー・マッケーブ副長官は、妻のテリー・マコーリフがクリントンに近い筋から運動資金を受け取っていたため捜査から外れるべきだったとして調査されている(利益相反を裏付ける証拠はほとんどなく正式な判断はなされていない)。

最後にウィリアム・クリントン基金に対する十年続いている非公開捜査の記録文書を、選挙直接になって公開したことも調査対象になっている。当時は否定されていたが、この公開は単なる偶然ではないと指摘する向きもある。

司法省の調査によって、例えばヒラリー・クリントンを追求するかどうかといったFBIの決定が覆ることはないが、今後さらに問題が発見されれば見直しの範囲が広がる可能性はある。公式発表文書には、影響の可能性や新たな管理体制の中で誰が実施責任をもつか等の詳細は記載されていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ザッカーバーグの「今年の決意」は政治―Facebook CEOのままでの公職就任期間に2年の縛りはない

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マーク・ザッカーバーグがFacebookの経営者でありながら公職に就ける期間は2年間に限られていない(この点について当初誤った解釈が報道されたが、われわれは記事を訂正した)。SEC〔証券取引委員会〕に提出された文書を精査すれば、ザッカーバーグは十分なパーセンテージの株式を保有しているかあるいは取締役会の承認を得るかすれば無期限に公職に就くことができる。

昨日(米国時間1/3)、ザッカーバーグは「今年の決意」を発表した。それによると2017年のザッカーバーグの目標は全米50州すべてを回って人々の声を直接聞くことだという。先のSEC提出文書とこの決意の発表によって「ザッカーバーグは真剣に政治に取り組もうとしている」という観測がメディアに一気に広まった。

2年間という期限がないのであれば、ザッカーバーグはこれまで考えられていたよりはるかに重要性の高い公職に任命、あるいは選出されることが可能になる。任期が2年未満と限定されていては、たとえ閣僚に任命されても表面的な影響しか与えることができない。

もちろん選出されるためには有権者の信頼が欠かせない。最近のフェイク・ニュース事件はこの点について信頼を揺るがすものだった。一部にはザッカーバーグの政治への関心を―慈善活動への巨額の出資にも関わらず―権力の利己的な追求だと考えるものもいるだろう。また一部の公職は歴史的に営利活動から隔離される必要がある。つまりザッカーバーグはFacebookの経営から手を引かねばならない。しかしドナルド・トランプ次期大統領は大統領の地位にあって保持可能な営利企業の持ち分について制限を緩和しようとしている。

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ザッカーバーグとブラジル大統領(上)、イスラエル大統領(左)、メキシコ大統領(右)

訴訟文書が明らかにしたザッカーバーグとFacebookの取締役であるマーク・アンドリーセンとのやり取りについての解釈の混乱はBloombergの記事に端を発しているようだ。株主総会で投票権のないクラスC株を新設する(つまりザッカーバーグがほぼすべての持ち株を慈善事業に移管してもなおかつFacebookの議決権を握り続けることができる)という案に取締役会メンバーを賛成させるためにはどうすればよいかをザッカーバーグとアンドリーセンは密かにテキスト・メッセージで話し合ったとされる。結局、ザッカーバーグはFacebook株のほとんどをザッカーバーグ夫妻が創立した慈善団体Chan Zuckerberg Initiativeに寄付した。

この過程でZuckerbergは 「経営者交代に基づく混乱を最小限に止める」ためのいくつかの施策に同意した。簡単にいえば、万一ザッカーバーグが死亡しあるいはCEOとして経営が継続できない障害を負い、解雇され、自発的に辞職した場合、現在1株につき10議決権のクラスB株にもとづくザッカーバーグのFacebookに対する絶対的支配権をどう取り扱うかを決めたものだ。こうした事態が生じた場合、ザッカーバーグ本人はすでにFacebookを支配していないので、前述のクラスB株は1株につき議決権1票のクラスA株に転換される。これは高い経営能力を持った人物にとってFacebookのCEOの地位の魅力を高めるためだ。

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ザッカーバーグ、サンドバーグとインドのナレンドラ・モディ首相

しかしザッカーバーグはこの「日没自動発動条項(sunset trigger)」に大きな例外を設けることを認めさせた。つまりザッカーバーグは公職に就く場合にはCEOを自発的に辞職ないし休職してもFacebookの議決権を失わないといいうものだ。この条項に付随する条件は次の2項目のいずれかの場合だ。

  • (2016n年)6月にザッカーバーグが公職に就く場合についてFacebookの社外取締役と話し合い、この合意に署名した際に所有していたFacebook株式の30%以上を彼が引き続き所有していること

あるいは

  • ザッカーバーグが所有する株式が30%未満であって、Facebookの社外取締役の過半数の承認を得るかあるいは公職に就く期間が2年未満である場合

Facebookの広報担当者はこの解釈が正しいことを認めた。法律用語で書かれた原文は以下のとおり【略】

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簡単にまとめればこうだ。もしザッカーバーグが十分なFacebook議決権を握っているなら、自由に公職に就くことができる。議決権を持っていない場合は取締役会の承認を必要とする。訴訟で明らかになったザッカーバーグとアンドリーセンのやり取りで言及された「2年間のしばり」はたしかに議論はされたが、実際に署名された文書の条件には含まれなかった。

Bloombergの先月の記事はザッカーバーグの公職就任に2年間という限度があると紹介はしたものの、その限度が適用されない場合については述べていない。Fortune、Vanity Fair、The Guardianを含め他の記事はすべてBloomberg記事の引用、再掲だった。TechCrunchも昨日同様の記事を掲載したが、われわれは不整合に気づいて修正した。

この混乱が正されれば、ザッカーバーグが単にソフトウェア・サービスだけでなく、政府の公職を通じて世界を変えようとしていることの真剣さが分かってくる。ザッカーバーグはたびたびFacebookを「町の広場」、つまり良識を保ちながら多様な声に耳を傾けることができるプラットフォームとして語ってきた。

Zuckerberg leads a town hall meeting at Facebook's headquarters with President Obama in 2011

2011年にFacebook本社にオバマ大統領を迎えて「タウンホール・ミーティング」を主催するザッカーバーグ。

ある意味で、Facebookはすでに国だ。ザッカーバーグはアメリカ全土をめぐり、人々から直かに声を聞き取る共感のツアーを計画している。ザッカーバーグは「私の仕事は世界を結びつけ、すべての人々に声を与えることだ。今年、私はこうした声をもっと直かに聞き取りたい」と昨日書いた。。これは支援者と握手したり赤ちゃんにキスしたりするお馴染みの選挙キャンペーンを思い起こさせる。過去数年、ザッカーバーグは世界を旅し、インド、ブラジル、日本などの重要な国の指導者と会談してきた。今年はアメリカ国内を重点とするのは理にかなっている。

FacebookのCOO、シェリル・サンドバーグは結局政府の職に戻るのではないかという観測が流れている。その一方で、ザッカーバーグの政治を通じて「世界を変える」という野心は2年間という制限の枠に収まるものではないこともはっきりした。ザッカーバーグは波乱も多いが繁栄している18億人のオンライン国の事実上の大統領だ。3億2000万人の現実の国の政治でも大きな成果を収めることができるのではないか?

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ソフトバンク、T-Mobile買収のためにトランプの(やってない)雇用創出のホラを容認

STERLING HEIGHTS, MI - NOVEMBER 06: Republican presidential nominee Donald Trump holds a campaign rally at the Freedom Hill Amphitheater November 6, 2016 in Sterling Heights, Michigan. With less than 48 hours until Election Day in the United States, Trump and his opponent, Democratic presidential nominee Hillary Clinton, are campaigning in key battleground states that each must win to take the White House. (Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

そう、トランプは〈いまだに〉自分と何の関係もない ソフトバンクのファンドの話を持ち出している。

わかりにくい自己宣伝活動を続ける次期大統領は、今月始めのあまり控え目とは言えない発言を繰り返し、SoftBankのVisionファンドを自分の手柄のように語った。Visionファンドはソフトハンクとサウジアラビア政府による新興企業に投資する1000億ドルの共同事業だ。同ファンドは10月に発表され、今後5年間にSoftbankが250億ドル、サウジアラビア政府が450億ドルそれぞれ出資する計画だ。

シリコンバレーが世界の技術イノベーションの中心であることを踏まえれば、資金の多くが米国企業に流れることは、トランプが後から手柄を横取りしようがしまいがわかりきっていたことだ。それでもトランプは、Sprint、OneWebおよびVisionファンドへの投資を通じて米国に5万人分の職を生みだすという、SoftBankの計画は、自分が選挙に勝ったおかげだと言い続けている。

「つい先ほどSprintから連絡があり、5000人分の職を米国に取り戻す計画だと話していた」とトランプは記者団に話した。「仕事は海外から持ってくる。アメリカに戻す・・・さらにOneWebという新会社を作って3000人を雇用する」。

Softbankは ― 代理人を通じてSprintも ― トランプの創造的な誇大広報を喜んでいるようだが、それには相応の理由がある。トランプ政権と親密になることで、噂されているT-Mobileの買収がスムーズになり、米国で3位と4位のキャリアを合体できるかもしれない。

[Masaは、われわれ(トランプ)が選挙に勝たなければこれをすることはなかったと言った]

[日本のMasa(Softbank)米国企業に500億ドル投資して5万人の新しい職を生み出すことに同意した]

12月、Softbank CEO兼Sprint会長の孫正義氏は、トランプ氏との関係について、トランプタワーを訪れ「大統領当選を祝福し協力を約束した。トランプ氏が多くの規制緩和を行う計画だからだ」と語った

SoftbankがT-Mobile買収に関心を持っていることは周知の事実だ。2014年にBloombergのインタビューで孫氏は、Sprintの過半数を買うことは、同社の規摸が拡大して競争力を持たなければ意味がない」と語った。

「米国市場は2社による寡占状態にある。われわれが米国に来たときにゲームはもう終っていた、といつも感じていた。上位2社はそれほど強力なブランドと、強力なネットワークと、強力なユーザー基盤を持っている。しかし、ここは世界一裕福な市場であり、インターネットのイノベーションの中心だ。モバイルサービスは音声中心のサービスからデータ中心へと変わりつつある。これは最後のチャンスかもしれない。もしわれわれに意味のある競合を作る機会があるとすれば、当社のインターネット経験が少しは役立つかもしれない。しかし、そのためには規模が必要だ」。

2014年のその後、Softbankは買収計画を断念したと伝えられた。米国の反トラスト規制に妨げられたからだ。そこでトランプ政権の出番だ。孫氏のT-Mobile買収への関心はおさまっていたのかもしれないが、噂によると2016年末に向けて息を吹き返しているようだ。

トランプ政権になることは、Sofotbankが待ち望んだT-Mobile買収を可能にする規制緩和の期待が再燃することを意味している。通信規制緩和の推進者として知られているBrandt HershmanがFCC長官候補として噂され、トランプ政権移行チームメンバーのMark JamisonにいたってはFCCの存在自体に疑問を投げかけている。

「FCCは当初の設立意義をほとんど失っている。通信ネットワークプロバイダーやインターネットプロバイダーが独占状態になったことはほとんどない。仮に独占があるとしても、連邦政府機関が総出で事前規制に専念するのはやりすぎだろう」。

Softbankによる米国の雇用創出はトランプの手柄だと嘘を言わせておくことは、同社の壮大な300年計画への道を開くためと考えれば小さな代償と言えるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AIの発展および不平等の拡大に関するホワイトハウス・レポート

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ホワイトハウスはAIの今後について記した10月のレポートの続編を公開した。今回のものも、アメリカが人工知能にどのように取り組むべきなのか、そして人々や組織にどのような影響を与えるのかについて分析を行なったものだ。今回とくに力を入れているのは、AIの経済面への影響に関する分析だ。将来を暗いものとして描いてはいないが、取り扱い方を間違えてしまうと、すでに広がっている不平等がさらに拡大していくことになると警告している。

「ここ20年ほどの間で、社会には不平等が広がってしまいました」と、大統領経済諮問委員会(Council of Economic Advisers)のチェアマンであるJason Furmanはレポートの発表説明の場で述べた。「原因のひとつはテクノロジーにあると考えています。テクノロジーの世界で生まれるイノベーションは、より高いスキルをもつ人に役立つものとなる傾向があります。そうして一部の人の利便性にのみ寄与することで、テクノロジーが不平等の拡大を進めてしまったという面もあるのです」。

さらにレポートでは、AIがこのトレンドをますます推し進めるものとなる可能性についても言及している。インターネットないし携帯電話(スマートフォン)の普及に力を注いだように、AIが普及する社会にも、きちんと適応できるようにするための施策が必要であると主張している。

そして、数多くの仕事にもたらされるオートメーションの波が、労働者にとっての不利益に繋がらないために必要な3つの施策について論じている。

AIへの投資。この点については10月のレポートの方に詳しく記されていた。簡単にまとめるなら、アメリカは、発展していくAI分野において他国ないし私企業の後塵を拝するようなことになってはならないということだ。そして問題解決やプランニングを担うことになるAIに多様性をもたせることが大事だとしている。人工知能に偏見などのバイアスを持たせないように注意しなければならないとも言及している。この点につき、オフィシャルなベスト・プラクティスが存在するのか、あるいはガイドラインの策定などを行うつもりなのかを問うてみた。

「データサイエンスおよびコンピューターサイエンス教育の分野に『倫理』を導入すべきと考えています。そうすることで、AIの決定ロジックを考慮する際にも、それが社会にどのように影響するのかを意識するようになるでしょうし、またそうした『倫理』を実装するためのツールなども育ってくると思うのです」とアメリカ合衆国科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy)のEd Feltonが答えてくれた。「ただし、現段階で政府が具体的な方策をもって現場に介入していく予定はありません」とのこと。

将来の職に関する教育とトレーニング。レポートには、今後のアメリカ合衆国のことを考えるにあたり、現在の教育システムについて厳しい意見も記されている。

AIドリブンな社会に適応する教育を、子供にはもちろん大人にも提供していく必要がある。この教育を疎かにすれば、100万単位のアメリカ人がグローバルエコノミー社会において、その立場を失うことに繋がるだろう。

実のところ、これまでに成し遂げた(それなりの)成果を認めて、学校運営やカリキュラムについては肯定的な評価も下している。しかし確立した優位性をさらに伸ばしていかなければ、せっかく獲得した立場を失っていくことになるだろうともしている。

失業者に対する復帰支援トレーニングプログラムも重要であるが、しかしアメリカ国内における対応は後手に回っているとのこと。

fig9whr現在の予算規模を6倍にまで拡大すべきだと、レポートは主張している。失業者に再トレーニングの機会を与えて職場復帰させることができれば、生産性の拡大は十分見合う規模になるはずだとのこと。再トレーニングの機会がなければ、失業してしまった人はずっと再雇用の機会を失うことに繋がる。そうして国力を低下させることに繋がっていくのだ。

セイフティーネットの拡充。テクノロジーの進化が、失業者の増大に繋がってしまうという面もある。社会はそうした状況に対応するために、失業対策ならびにヘルスケアの拡充を行うべきだとしている。そうした施策が充実していれば、次の仕事をみつけたり、あるいは新しい仕事のためのトレーニングをする際にも安心していることができる。

グローバル社会にあっても、個々人を守るための政策を機能させ続けることが大切だ。また、失業者に対しては新しい職につくためのトレーニングプログラムを充実させることも大いに重要になってくる。さらに、消えてしまう職についていたエキスパートに対して、新たな職につく場合に給与保証を行うという政策も有効となるだろうとしている。

すなわち、労働というものの意味を改めて見直すことが必要な時代になりつつある。AIの台頭のみならず、不平等の拡大に対しても対処していく必要がある。最低賃金を引き上げ、時間外労働に対する正当な扱いや、労働組合の役割などに対しても見なおしていく必要があるだろう。

具体策については触れられていないが、レポートには以下のような提言も記されていた。

勝者がほとんどすべての果実をとっていく傾向の強い情報技術社会においては、成功をおさめるプレイヤーはごくわずかということにもなる。生産性の向上が給与の増加にも繋がらず、AIによりもたらされる新しい世界の豊かさは、ごく一部の人のものとなる可能性もある。

AIがすべての人のために働くようにしていかなければ、結局、ごく一部のひとのみが恩恵をうけるような社会になってしまう。そのような未来を招かないために、動き出す時期がやってきているようだ。

レポートの全文はこちら(PDF)で読むことができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Oracleの上級社員がCEOのTrump政権移行チームへの参加に抗議して退職

Safra Catz, co-chief executive officer of Oracle Corp., gestures as she speaks during the Oracle OpenWorld 2014 conference in San Francisco, California, U.S., on Sunday, Sept. 28, 2014. Catz made her first remarks as Oracle co-CEO at the conference when she introduced Intel Corp. President Renee James, who also spoke. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

CEOのSafra CatzがTrumpの政権移行チームに加わり、次期大統領を賛美する言葉を述べたあと、Oracleの上級社員George A. Polisnerは、自らの意思で同社を退職した

本誌TechCrunchも先週報じたように、TrumpはニューヨークのTrump Towerで、テクノロジー業界のリーダーたちと彼の子どもたちによるミーティングを召集した。

そのミーティングに先立ちCatzは声明文を公開し、その中で次のように述べた:

“次期大統領には、私たちが彼と共にあり、できるかぎりを尽くして彼を助ける用意がある、と伝えたい。もしも彼が税法を改正し、規制を減らし、より良い貿易協定を結ぶことができるなら、アメリカのテクノロジー産業は、これまでになく、強い競争力を持つことができるだろう”。

ミーティングのあと、CatzはTrumpの政権移行チームへの参加の招待を受諾した。

エンタープライズテクノロジー技術のベテランで、進歩的な政治思想の持ち主でもあるPolisnerは、これまでOracleでさまざまな職責を担当してきた。とくに1993年以降は、Oracleの製品開発や、クレーム対応、会社の事業の管理、そしていちばん最近では、クラウドサービスの管理を任されていた。

彼は退職を昨日会社に告げ、書簡をLinkedInに送ってそのことを公開した。その中で彼は、Trumpを次の点で批判している: 社会保険や医療保険制度の解体を計画; 戦死者遺族の冷遇; 有色人種やムスリムや移民に対する恐怖と憎悪と暴力の煽動; など。

私は次期大統領Trumpと考えを共にできないし、会社にとどまって彼を何らかの形で助けることもできない。というよりも、彼の政策が憲法違反と犯罪性と道徳的不正の瀬戸際にあるかぎりは、あらゆる合法的方法を駆使して彼に反対したい。

したがって私は、かつては偉大だった会社を退職する必要がある”。

Polisnerはまた、TrumpとCatzの彼の政権移行チームへの参加に対し、公然と抗議したいと考えている他のOracle社員のために、NotWhoWeAre.us(今の私たちは本当の私たちではない)と名付けた署名運動を立ち上げた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

トランプ政権にチーフデータオフィサーが必要な理由

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【編集部注】執筆者のBob MugliaはSnowflake ComputingのCEO。

ほぼ全ての世論調査の結果、民主党候補ヒラリー・クリントンの勝利が確実視されていたにも関わらず、次期大統領ドナルド・トランプがサプライズ勝利を収めたことから、この選挙結果はクリントンだけでなく、ビッグデータの敗北をも表しているという話を聞くことがある。共和党ストラテジストのMike MurphyはMSNBCで「今夜、データは死んだ」とさえ語っていた。

実際のところ、彼の発言は現実をかなり誇張したものだ。もちろん、今回の選挙を受けて、世論調査の価値にはかなりの不信感が生まれ、調査手法の再検討が叫ばれており、これはしかるべき結果だ(これについては後述する)。しかし、ビッグデータがアメリカ中の企業にディスラプションや変化をもたらす原動力であり続けるという事実は、選挙結果をもってもしても変わらない。

IDCは、1年間に生まれるデータ量が、2025年中に180ゼタバイト(=180兆ギガバイト)に達すると予測している。これは今日の数字の18倍にあたる。1ゼタバイトとは、書類がいっぱいに詰まった引き出しが4つ取り付けられたキャビネットを、一列8万台で地上から縦に積み上げて、月に届くくらいのデータ量だ。

さらにIDCは、ネットワークに接続されたデバイスの数が、現在の200億台から2025年までに800億台へと増加すると予想しており、「少しでも価値のあるものは全てインターネットに接続されるようになる」とまで語っている。市場や顧客の分析・予測、ワールドシリーズ制覇の推進力いうのはまだ序の口で、私たちはまだ世界中の全てのデータを利用しはじめた段階にしかない。

ビッグデータは、新たな市場・収入源の発見、ヘルスケアや科学研究分野でのイノベーション、さらには国家単位でのセイバーセキュリティ強化にも大いに役立つ。そのため、アメリカ政府上層部にもビッグデータを推奨するリーダーのような存在がいてもおかしくない。だからこそ、次期大統領のトランプは、アメリカ初のチーフデータオフィサーを設置すべきなのだ。

トランプの根っこはビジネスマンであり、ビッグデータはビジネス面でも目を見張るほどの可能性を持っている。

Twitterの利用を除いては、あまりテクノロジーに関連したイメージを持たれていないトランプも、データ周りの重要な構想を支持することで、雇用を生み出そうとしている前進的な大統領だというイメージを作りあげることができる。

トランプの根っこはビジネスマンであり、ビッグデータはビジネス面でも目を見張るほどの可能性を持っている。

IDCによれば、ビッグデータとビジネスアナリティクスの市場規模は、昨年の1220億ドルから、2019年には50%増の1870億ドルまで膨らむと予想されている。さらにForresterは、ビッグデータ関連のテクノロジー市場が、IT全般の市場に比べて3倍の速さで成長すると考えている

またトランプは、チーフデータオフィサーを任命することで、新政権がテクノロジーを需要な経済成長エンジンとしてサポートしようとしているという意思を国民に伝えることができる。Amazonに対する反トラスト運動や、Appleに対する国内生産の強要といった内容が含まれる彼の公約によって傷つけられたシリコンバレーとの関係性も修復に向かうかもしれない。

次期大統領のトランプが、現大統領のオバマほどシリコンバレーと仲良くなる可能性は極めて低いが、チーフデータオフィサーの指名によって、トランプは現在ほとんどいないであろう、シリコンバレーのファンを増やすことができるかもしれない。トランプ自身は、シリコンバレーでの自分の評判を気にしていないかもしれないが、彼とシリコンバレーが協力する道が見えれば、それはアメリカにとって大きな財産となる。

オバマ大統領は、初めて大統領に就任してからわずか3ヶ月の2009年4月に技術局(Office of the Chief Technology Officer)を設立し、同局は国内の消費者へどのようにデジタルサービスが提供されているかの管理や、テクノロジー関連の研究開発に対する連邦政府投資のコーディネート、STEM分野の発展促進といった機能を担ってきた。そして、Aneesh ChopraTodd ParkMegan Smithの3人がこの組織を率いている。

トランプは同局を保持しつつ、データに特化して業界を監視し、合衆国最高技術責任者とタッグを組むような新しい役職を作るべきなのだ。以下の人々を含め、官民どちらにもチーフデータオフィサーにふさわしい候補者はたくさん存在する。

  • Tyrone Grandison: 前商務省データ担当副局長で、以前に労働省と国勢調査のデータに関して協業していた。
  • Scott Hallworth: Capital Oneでチーフデータオフィサーを務め、過去25年間にわたり、企業のデータ戦略の最前線にいた。
  • Claudia Imhoff: Boulder Business Intelligence Brain Trustのファウンダーで、データインテリジェンス業界における思想的なリーダーとして知られている。
  • Guy Peri: Procter & Gambleのヴァイスプレジデントで、同社のデータ戦略のトップを務めている。

また、チーフデータオフィサーの役職をつくることで、トランプはビッグデータの戦略的な価値や、ビッグデータを使って何ができるかを理解しているということをアピールできると同時に、新しいプロダクトやビジネスモデルの創出を促進することができる。さらには、誤った世論調査の結果生まれた、ビッグデータは過大評価されているという間違った考えを正すことにもつながるかもしれない。

そもそも世論調査のデータ量は、ビッグデータと呼ぶには少なすぎる。典型的な世論調査には、エクセルで分析できてしまうほどのデータポイントしかない。世論調査とビッグデータには、1200世帯を対象にした1960年代の視聴率調査と、ユーザーの日々の視聴動向に関する何百万ものデータポイントを対象にしたNetflixの調査くらいの差がある。

アメリカ大統領選や7月に行われたBrexitに関するイギリス国民投票の結果から分かる通り、回答者の答えと行動は必ずしも一致しないため、信頼できるデータが世論調査から得られるかどうかというのは疑わしい。それとは逆に、顧客がショッピングサイトのどのリンクをクリックしたかに関する調査のように、ほとんどのビジネスデータは実際の行動に基づいている。また、世論調査会社がそれまでの調査をもとに最新のデータに改変を加えることで、調査結果にはさらなるバイアスが生まれてしまう。つまり世論調査の問題点は、データ自体に間違いが含まれているということなのだ。

関係者は今回の結果を冷静に受け止め、現状の世論調査のアプローチには穴があり、改善が必要だと認めている。その解決策として、Facebookのようなソーシャルプラットフォームを利用した現代的な手法をとれば、何千万人もの人々からデータを集めることができ、調査結果の正確さを担保できるかもしれない。ビッグデータは世論調査の失敗を招いたのではなく、むしろ2020年頃には、ビッグデータが解決策となり、世論調査がクラウド化するかもしれない。

ビッグデータは、ビジネスに革新的な変化をもたらす力を持っている。もしもトランプがテクノロジーについてひとつだけ理解する必要があるとすれば、それはビッグデータの力なのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Oracle CEO、サフラ・キャッツがトランプ次期大統領の政権移行チームに参加

Safra Catz, co-chief executive officer of Oracle Corp., gestures as she speaks during the Oracle OpenWorld 2014 conference in San Francisco, California, U.S., on Sunday, Sept. 28, 2014. Catz made her first remarks as Oracle co-CEO at the conference when she introduced Intel Corp. President Renee James, who also spoke. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

OracleのCEO、サフラ・キャッツ(Safra Catz)がドナルド・トランプ次期大統領の政権移行チームに加わることをTechCrunchはOracleの広報担当者に確認した。

昨日(米国時間12/14)、ニューヨークのトランプタワーでトランプ次期大統領は次期副大統領、息子、娘ら側近を伴い、キャッツ他多数のテクノロジー企業のトップと懇談した。会談に先立ってキャッツは「私は次期大統領を支持する。できることあればなんであれ協力したい」と公けに楽観的な見解を述べていた。

キャッツはまた「トランプ氏がテクノロジー産業の利益となるよう税制を改革し、規制を減らし、貿易を再交渉することを期待する」と付け加えた。

政権移行チームで活動する間もキャッツはOracleのCEOの職を保持する。TechCrunchは政権移行チームにおけるキャッツの責務についてOracleに質問した。なんらかの詳細が回答が判明すればアップデートする。

トランプのテクノロジー・サミットには選挙期間中からトランプを強く支持したメンバーも参加していたが、キャッツは選挙期間中は政治的発言はほとんどしていない。また連邦選挙管理委員会(Fderal Election Commission)のデータによれば、キャッツ名義でのトランプへの献金もない。ただしキャッツは議会選挙では民主党、共和党の双方に献金している。

画像:: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

〔日本版〕Oracleによるサフラ・キャッツCEOの紹介

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleが8通の国家安全保障書簡を公開、近く公開専用ページを立ち上げる予定

A Google logo and Android statue are seen at the Googleplex in Menlo Park, California on November 4, 2016.  / AFP / JOSH EDELSON        (Photo credit should read JOSH EDELSON/AFP/Getty Images)

Googleは最新の透明性報告書に一通の国家安全保障書簡(National Security Letter, FBIの命令書)を、とくに騒ぐこともなく含めたが、しかし今日(米国時間12/13)同社は、政府によるGoogleユーザーの監視行為をより多くの人に知ってもらうために、さらに8通のNSLを公開した。

今日公開された8通の書簡は、全国各地のFBI支部からGoogleへ送られた。それらは全体で、約20のユーザーアカウントの内容のほぼすべてにアクセスしようとしている。そのユーザー名は消されているが、FBIがそれを要求しているわけではない。Googleのスポークスパーソンによると、名前を消したのはプライバシー保護のためであり、当の個人には通知が行っている。

これらのNSLは、2010年から2015年までの5年間にGoogleに送られたもので、とくにノースカロライナ州シャーロットのFBI地方支部からのものが多い。そのほか、フロリダ、アリゾナ、ニューヨーク、カリフォルニアからのものがある。

NSLはこれまで、それをもらったことや内容について、無期限の緘口令が布かれていたが、昨年のUSA Freedom Actにより、公開可になった。もらったNSLを最初に公開した大手テク企業が、Yahooだ。同社は3通を6月に公開した。その後、GoogleとInternet Archiveがそれに続いた。

Googleの法執行/情報セキュリティ担当ディレクターRichard Salgadoが、ブログでこう述べている: “弊社はユーザーデータに関する政府の要求に対し、透明性を維持増強することに努めており、今日はその一環として、弊社が受け取った国家安全保障書簡の一般公開を開始した。それは、法と法廷の両者において、弊社の不開示義務が消滅したためである”。

Googleが書簡の公開を争ってきたのは、FBIがそれらを発行するときに事前の法的検討や監督がまったくないためでもある。テク企業の多くもその点を問題視し、彼らが抱えるユーザー情報はなにしろ膨大なので、データが裁判所の承認なしに秘密裏に探索の対象になるべきではない、と主張した。過去数年間でGoogleは19通のNSLに関して法廷で争い、昨年の勝訴では、Wikileaksの社員に、同社のデータを政府から要求された、と言わせることに成功した。

近くGoogleは、その透明性報告書の一部としてNSL公開のため専用のページを設ける、とSalgadoは語っている。それまでは、8つの書簡をここで読むことができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

米商務省、メキシコ、韓国他4ヵ国に「デジタル商務官」を派遣へ

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米国商務省は、同省のデジタルアタッシェ[商務官]プログラムに6つの国際市場を新たに加える。ペニー・プリツカー商務長官がサンフランシスコでTechCrunchに語った。

今年3月に始まったアタッシェ・プログラムは、米国企業がEコマースによるデジタル製品やサービスの輸出、その他のオンライン事業の進出を探っている国々に、担当商務官を派遣するものだ。

今回プログラムを拡大し、韓国、インドネシア、メキシコ、南アフリカ、ドイツ、およびフランスの6ヵ国に商務官を派遣する。これまではASEAN、ブラジル、中国、日本、インド、およびヨーロッパ連合がデジタル商務官プログラムの対象になっていた。

商務省のデータによると、オンラインで提供されたサービスは、米国のサービス輸出の半分以上を占め、米国の全商品およびサービスの1/6に当たる。

この数字は今後も伸びる可能性が高く、その理由は3つの大きなトレンドによる。

1つ目は、モバイルおよびブロードバンドの利用人口が世界で増加していること。2つ目は、従来のアナログサービスからデジタルへの転換が今も進んでいること。3つ目は、完全デジタル産業セグメント、即ちゲーム、メディア、エンターテイメント界で使われているバーチャルリアリティーや拡張現実の躍進だ。

プリツカー氏はデジタル商務官プログラムに追加した6か国について、既に米国企業が輸出やEコマースで大きな取り引きをしているためだと、選択の理由を説明した。

「担当商務官の主な仕事は、米国企業が当地のデジタル環境に馴じむのを手取けすること」とプリツカー氏は言った。

長官の任期はトランプ政権が始まる1月に終了する。新たに就任するウィルバー・ロス長官が、デジタル製品・サービスの国際流通に対してどのようなアプローチを取るのかは不明だが、新長官は海外投資と通信に長い経験を持っている。

在任中プリツカー氏は、4万6000人の商務省員を率いた。40ヵ国を巡り、政府高官と共に米国の起業家を引き連れていくことも多く、厳格なデータローカライゼーション等、デジタル製品やサービスの容易な取り引きの障壁となる政策を変更するよう海外のリーダーに迫った。

プリツカー氏は経済協力開発機構(OECD)と共にセーフ・ハーバー・ルールの交渉にも尽力し、米国と欧州の企業間によるオンラインでのデータのやりとりを可能にした。この協定によって2900億ドル相当の貿易が生まれたと同省は推測している。

海外には、米国企業がコンテンツや製品やサービスを送り込みたい市場が数多く残っているが課題も多い。恐らく最もよく知られているのが、中国の万里のファイアーウォールと検閲システムだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook