「建設DX」のスパイダープラスが上場、現場出身の創業者「俺にわかるものを作れ」

今、デスクレスSaaSが熱い。物流ラストワンマイルの変革を目指す207は、TechCrunch Startup Battle Online 2020で優勝を飾った。また、製造工場から紙をなくすカミナシは、2021年3月シリーズAで約11億円を調達している。

そして2021年3月30日、「建設DX」を推進するスパイダープラスがマザーズに上場した。SPIDERPLUSは、建設現場の施工管理者(現場監督)の業務を効率化するクラウドアプリだ。

大量の図面をiPadに収める

ビルやマンションといった大型の建設現場では、現場監督がA1サイズの図面(紙)を大量に持ち歩く光景は日常的だ。さまざまな箇所の検査を行う中で、図面にメモを記入したり、記録写真を数百枚から数千枚という単位で撮影していく。現場を巡回し終えると、現場監督は事務所に戻り「どの写真がいつどこで撮影されたものか」などの整理を行い、最後に報告書を作成する。この膨大な「まとめ作業」は深夜にまで及ぶことも珍しくないという。

このような「建設現場の非効率」を解決するのがSPIDERPLUS(スパイダープラス)だ。同アプリは、建築図面をクラウド上で管理することができ「iPad1台」で、現場での業務が完結させられる。大量の図面、記録写真、検査記録をいつでもどこでも参照できるため、現場で起こりがちな「忘れた書類を事務所に取りに帰る」こともなくなる。現場での記録写真やメモは、クラウド上で図面に直接紐づけることができ、後の「まとめ作業」も削減可能だ。つまり、現場監督は1台のiPadで現場での検査からレポートの作成までを一気通貫で完結できるというわけだ。

スパイダープラスの導入効果は明確にあらわれている。同社が行ったアンケートによると、ユーザーの40%以上が月20時間以上の業務時間の削減に成功した。現場監督の残業時間が月間約50時間に及んでいたある電気設備工事業者では、スパイダープラスを導入したことで月100時間近くの業務時間削減に至ったという。

画像クレジット:スパイダープラス

現場出身の創業者

スパイダープラス創業者兼CEOの伊藤謙自氏も、かつては作業着を身にまとい建設現場で働く職人の1人だった。2010年頃に初代iPadが発売された頃「こんな便利なものがあるのに、なぜウチの会社には未だに紙や色鉛筆が転がっているんだ」と疑問に思ったことが、スパイダープラス誕生のきっかけとなった。

伊藤氏は早速、幼馴染でともに上京していたエンジニアの友人に相談。伊藤氏のアプリのアイデアを聞いた友人は「作れると思う」と答え、そこからスパイダープラスの開発が始まった。この友人が、現在同社でCTOを務める増田寛雄氏だというからおもしろい。

建設現場出身であり、同時にSaaS創業者でもある伊藤氏の口癖は「俺にわかるものを作れ」だ。同社はあくまでも現場目線に立った使いやすいプロダクトを作ることで、顧客の支持を獲得してきた。現場でアプリを使うユーザーからは「スパイダープラスはとにかく簡単に使える。ボタンが1つしかないくらいにシンプルだから」との声が聞こえてくるという。

それでも、2011年のリリースからしばらくは顧客に受け入れられない期間が続いた。とにかく現場に足繁く通い、顧客と対話を重ねてプロダクトの改良を続ける他なかったという。転機は2013年の東京オリンピック開催決定だった。建設業界の人手不足が顕在化し、大手企業を中心に「建設DX」を真剣に検討する機運が高まり始めた。このニーズに、それまで「もがきながら」地道に改良を続けてきたスパイダープラスがフィットしたのだ。

スパイダープラスは、2017年から3年連続で契約社数を昨対比200%伸ばし、2021年1月時点で鹿島建設をはじめとする大手ゼネコンやサブコンなど約800社が導入し、約3万5000人のユーザーが利用する。既存顧客の売上継続率を測るNRRは145%、また解約率は0.6%という。

建設DXはスパイダープラスの独壇場というわけではない。Forbes JapanのCloud Top 10に選出されたアンドパッドをはじめ、今後さらに競合が増える可能性は十分にある。しかし、アプリ開発前より行う保温断熱工事業を「祖業」として継続するスパイダープラスの視線の先にあるのは、あくまで顧客だ。同社は「建設業者」として顧客と同じ目線に立ち続けることで、他のSaaS企業との差別化を図る。上場企業となった今こそ、現場を重視するスパイダープラスの姿勢は大きな強みになるだろう。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:スパイダープラス建築DX日本新規上場

新型コロナで見送られた成人式の懇親会を東京・中央区がoViceでバーチャル開催

人生でたった一度しかない成人式。2021年1月に発令された4都県への緊急事態宣言を受け、都内では少なくとも16の区が対面集合形式の成人式の中止を発表した。東京23区では、通常どおり1月10日に新成人をホールなどに集めて開催したのは杉並区のみ。2021年は各区ともに開催方法を模索し、渋谷区、千代田区、中野区などは時期を3月にずらして対面集合形式で実施、その他の区では式典コンテンツのオンライン配信を行い、対面型懇親会は中止という形式で行われた。

東京都中央区も式典をYouTubeでオンライン実施し懇親会を見送った区の1つだが、かつての同級生や恩師とも会えるその機会を少しでも取り戻そうと、同区職員と懇親会の実行委員会により2021年3月14日、oVice上でバーチャル交流会が行われた。中央区では毎年、成人式後に任意で参加可能な「新成人のつどい」という、ゲームや懇親を深める交流会を開催している。オンライン開催にあたって「あつまれ どうぶつの森」のようなアバター形式を利用するのがいいのではないかと探していたところ、oViceに辿り着いたという。

日本のスタートアップoViceが提供する同サービスは、バーチャルコミュニケーションツールの1つ。オフィスやパーティ会場などを模した画面上で、参加者が自分のアバターとなるアイコンを動かし交流を行う。参加者は自分のアイコンを自由に動かすことが可能で、他のアイコンに近づくとその人の声が聞こえてくるという対面コミュニケーションに近い感覚を得やすいところが特徴だ。また、ツール上で動画を共有し、一緒に閲覧することも可能。今回の懇親会では、交流、ゲームなどの催し、動画の共有などがすべて行えるツールということで採用された。oVice側も社会的意義を感じ、全面協力している。

oViceのUI / UXを活かしたマルバツクイズ(画像クレジット:oVice)

オンライン懇親会は、3月14日の14時から16時の2時間で開催された。まず実行委員によるoViceの使い方に関する丁寧なチュートリアルが行われた。14時半からは中央区にゆかりのある芸人コンビが、中央区エリアにちなんだオリジナルコントを披露。15時からは対面型で開催されていたクイズ大会が行われた。そして最後に、地元中学生からお祝いの吹奏楽の演奏が動画で流された。

oVice上で一緒に動画を閲覧(画像クレジット:oVice)

初めての試みということもあり、準備やリハーサルにはさまざまな部署の職員が20〜30名ほど協力している。今回、中央区は、1月に成人式ができなかった代わりに新成人へ記念品(タンブラー)を送っているが、そこに今回の案内を同封。さらに中央区や「新成人のつどい」の公式TwitterやLINEでも今回のイベントに関する告知を行い、YouTubeでもoViceの使い方解説動画を用意するなど、例年以上に事前準備に力を入れていた。

インタビューに答える新成人(画像クレジット:実行委員会)

2021年の「新成人のつどい」には新成人だけでなく教員や実行委員、オンラインの利点を活かして海外在住者も参加している。中学卒業以来、久しぶりに再会をした人たちもおり、開催してもらえてよかったという声も多かった。

中央区民部文化・生涯学習課長の岩田純治氏によると、終了後、練馬区や越谷市から問い合わせがあったという。中央区では、公式SNSの活用、YouTubeでの広報番組や講演の配信といったオンラインツールの活用を進めており、イベントについても引き続きオンライン対応を進める方針だ。

カテゴリー:イベント情報
タグ:東京oVice日本

女性起業家の輩出目指す、世界最大の女子中高生向けアプリコンテストTechnovation Girlsが日本公式ピッチイベント

女性起業家の輩出目指す、世界最大の女子中高生向けアプリコンテストTechnovation Girlsが日本公式ピッチイベント

IT分野のジェンダーギャップの解消を目指すWaffle(ワッフル)は3月24日、世界最大の女子中高生向け社会課題解決型アプリコンテスト「Technovation Girls」(テクノベーション・ガールズ)の日本公式ピッチイベントのオンライン開催(Zoom)を発表した。開催日時は4月25日18時~20時。イベント内容は、日本出場チームによる成果物発表、授賞式、フォトセッションなどで、「Technovation Girls 2021 日本公式ピッチイベント観覧申し込みフォーム」で観覧希望者を広く募集している。

Technovation Girls日本公式ピッチイベント概要

Technovation Girlsは、米国の非営利団体「Technovation」が主催する、次世代の女性IT起業家の育成を目的としたコンテスト。2010年の開始から現在までに世界100か国以上5万人以上の女性が参加しているという。

同コンテストは、10〜18歳の女性を参加対象としており、1〜5人から編成されるチームが約3カ月間をかけて身近な課題を解決するアプリとビジネスプランの制作を行う。プログラミングなどの技術的なスキルだけでなく、社会課題の解決のためのアイディアや、ピッチ(プレゼンテーション)スキル、起業家精神などをチーム形式で競うという。また同イベントの公用語は英語で、公式の情報提供から提出物への記載に至るまで、すべて英語で実施される。

日本国内では、WaffleがTechnovation Girlsの日本公式アンバサダーとして、スポンサー企業とともに日本出場チームのサポートを行っている。各出場チームには、WaffleおよびTechnovation Girlsに賛同する2名の社会人メンターがつき、同コンテストで求められるデザイン思考やプログラミングスキルなどの習得を中心に、総合的なサポートを実施しているという。なお今回日本では、75名23チームが参加しているという。

Waffleは、IT分野のジェンダーギャップの解消を目指す非営利法人。国内の女子中高生向けにオンラインIT(コーディング)コース「Waffle Camp」(ワッフル・キャンプ)の提供、日本国内での「Technovaton Girls」(テクノベーション・ガールズ)のサポート、企業との協働による各種イベントを開催している。

Technovation Girls概要

  • 主催Technovation、Waffle(日本公式アンバサダー)
  • 日程:2020年11月〜2021年8月(予定)

実施内容

  • 2020年11月:参加登録開始
  • 12月:説明会登録および参加登録締締め切り
  • 2021年1月:チーム編成、デザイン思考ワークショップの実施
  • 2月:チームごとの社会課題と解決策の決定、プログラミング学習の実施
  • 3月:ビジネスプランの作成、アプリ開発、ピッチビデオの作成
  • 4月19日:米国本部への応募作品 提出締め切り
  • 4月25日:日本公式ピッチイベント(オンライン) 開催
  • 5月25日:ファーストラウンド審査結果発表(全体の5%)
  • 6月16日:セカンドラウンド審査結果 発表(8チーム)
  • 8月:ワールドサミット(オンライン)の開催

応募資格(日本国内)

  • 世界を変えるために成長する意欲がある
  • 2021年8月1日時点で中学2年生以上、18歳以下
  • 2021年1月から4月の3カ月間に合計30時間ほど、オンライン環境での活動時間を確保できる
  • 日本語が話せること(現時点での英語力は不問)
  • 女性アイデンティティをもつ、またはトランスジェンダー、ノンバイナリー、gender noncomformingの者

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自宅でできる郵送ホルモン検査サービス「canvas」が生理不順・妊娠・更年期の検査キット3種類を発売

自宅でできる郵送ホルモン検査サービス「canvas」が生理不順・妊娠・更年期の検査キット3種類を発売

Vitalogue Health(バイタログヘルス)は3月26日、自宅でできる郵送のホルモン検査サービス「canvas」(キャンバス)を発売した。妊娠を見据えた健康チェックができる「Women’s Fertility Check」、更年期を見据えた健康チェックが可能な「Menopause Check」、ニキビ・生理不順が気になる方向けの検査キット「Women’s General Health Check」の計3種類を用意しており、公式サイトで購入できる。

  • Women’s General Health Check:ニキビ・生理不順が気になる方向けの検査キット。​排卵・ニキビ・体調に関係するホルモンの値から、肌や体調にホルモンがどう影響しているかセルフチェック可能
  • Women’s Fertility Check:妊娠において不利な状況がないかどうかを調べるための検査キット。排卵・卵子の数・体調に重要な役割を持つホルモンの値から、妊娠に向けた身体の状況や現在の体調にホルモンがどう影響しているかセルフチェックできる
  • Menopause Check:排卵と体調に関連するホルモンのバランスから、気になる症状が更年期に関連しているものなのか、他の要因によるものなのかセルフチェック

価格は、Women’s Fertility CheckとWomen’s General Health Checkが税込2万8600円、Menopause Checkが税込1万6500円。また同サイトでは、それぞれ20~40%オフとなる先行販売価格を別途提示している(1カ月限定)。

また企業・団体の福利厚生や共同購入のためのセット割引も用意しており、10個セットで35%オフ、30個セットで40%オフになるセットも用意。個人・法人問わず多くの人が郵送ホルモン検査サービスを利用できるよう、幅広い商品ラインナップを取り揃えている。

canvasは、自己採血することで、自宅で自分のホルモンをチェックできる検査サービス。PMS(月経前症候群)や生理痛、妊娠、更年期と、女性は一生を通してホルモンに大きな影響を受けるため、年齢や月の生理周期によるホルモンの変化について知ることで、ライフスタイルやキャリアプランの選択肢を自分で選び自分で変えていく人を増やしたいと考え、「canvas」を生み出したという。

検査内容は、「排卵機能」「卵巣予備能(卵子の残り数)」「甲状腺機能」に関わる8つのホルモンのうち、気になる悩みに合わせて必要なホルモンを測定するというもの。同社によると、8つのホルモン値を計測し包括的なアドバイスを行うサービスは、canvasが日本初としている。

自宅でできる郵送ホルモン検査サービス「canvas」が生理不順・妊娠・更年期の検査キット3種類を発売

また独自アルゴリズムを確立し機械学習を組み合わせることで高精度で解析できる手法とともに、検査機関と連携しており、検査レポートには最新の医学エビデンスに基づいた医師のコメントを付けているそうだ。

なおWoman’s General Health CheckとWomen’s Fertility Checkでは、同じホルモンを測定しており、主な悩みに合わせて、Menopause Checkも含めて3つのうちから選択できるようにしているという。

利用の手順と検査結果

利用の際は、まずcanvasウェブサイトにおいて、キットに付随するバーコード番号を入力し会員登録を行う。キットが自宅に届いた後は、生理3~5日目に自身で血液を採取し返送すると、検査レポートが10日以内にマイページに届く。

自宅でできる郵送ホルモン検査サービス「canvas」が生理不順・妊娠・更年期の検査キット3種類を発売検査レポートには、最新の医学エビデンスに基づいた医師のコメントを掲載。普段病院では時間が足りずにきちんと理解するのが難しかったホルモンと身体の関係について、マイページにまとめているという。

自宅でできる郵送ホルモン検査サービス「canvas」が生理不順・妊娠・更年期の検査キット3種類を発売

canvasは、検査方法、検査結果、アドバイスの内容について、医師・専門家によるサポートの基開発を行っており、検査結果により病院への通院が必要な場合には連携クリニックを紹介しているそうだ。

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「量子ネイティブ」育成に向けた「Q-LEAP 量子技術教育プログラム」公式サイトが公開

「量子ネイティブ」育成に向けた「Q-LEAP 量子技術教育プログラム」公式サイトが公開

「Q-LEAP 量子技術教育(QEd)プログラム」は3月25日、公式サイトを公開した。同サイトは、経済・社会的な重要課題に対し、量子科学技術(光・量子技術)を駆使して、非連続的な解決(Quantum leap)を目指す文部科学省・研究開発プログラム「光・量子飛躍フラッグシッププログラム」(Q-LEAP)において採択された人材育成プログラムのひとつとして運営されている。研究開発課題名は「量子技術教育のためのオンラインコース・サマースクール開発プログラム」で、研究開発代表者は野口篤史准教授(東京大学総合文化研究科)。

同サイトでは、量子技術や各種の量子実験に関する定期的なオンラインコースと、各機関でのインターンシップ、また集中的なサマースクールを組み合わせたハイブリッド型式による教育プログラムを作成予定。これらコースは開催とともに動画としても公開。内容に合わせた教科書に類する教材も作成・公開予定としている。

またメンバー・講師として、日本を代表する様々な物理系の若手研究者が参画し、最先端の量子技術の講義を行う。

  • 東京大学 飯山悠太郎氏。専門:量子ソフトウェア
  • 大阪大学 生田力三氏。専門:量子通信
  • 東京大学 長田有登氏。専門:冷却原子・強磁性スピン・イオントラップ・超伝導量子回路
  • 理化学研究所 川上恵里加氏。専門:電子スピン
  • 沖縄科学技術大学院大学 久保結丸氏。専門:常磁性スピン・ハイブリッド量子系
  • 東京工業大学 小寺哲夫氏。専門:量子ドット・スピン
  • 沖縄科学技術大学院大学 高橋優樹氏。専門:イオントラップ
  • 東京大学 武田俊太郎氏。専門:光量子計算
  • 東京大学 玉手修平氏。専門:超伝導量子回路
  • 東京大学 寺師弘二氏。専門:量子ソフトウェア
  • 分子科学研究所 富田隆文氏。専門:冷却原子
  • 大阪大学/量研機構 根来誠氏。専門:NMR・量子計測・電子スピン・超伝導量子回路
  • 東京大学 野口篤史氏。専門:量子制御
  • NTT物性科学基礎研究所 橋坂昌幸氏。専門:量子ホール効果
  • 量子科学技術研究開発機構 増山雄太氏。専門:量子計測・超伝導量子回路と冷却原子
  • 理化学研究所 松尾貞茂氏。専門:超伝導・ナノ細線・半導体物性
  • 理化学研究所 山口敦史氏。専門:原子時計
  • 国際基督教大学 山崎歴舟氏。専門:ハイブリッド量子系
  • 東京工業大学 米田淳氏。専門:量子ドット・電子スピン

近年量子技術は新たな展開を迎えており、これまで見ることさえ難しかった量子が測定技術や周辺テクノロジーにより「操作の対象」となってきた。

同サイトは、量子コンピューター・量子シミュレーション・量子インターネット・量子センサーなどの応用が量子技術の成熟によって可能となってきていること、また今後10~30年という間に社会進出してくるものと指摘。

ただし、量子技術また量子を取り巻くテクノロジーを扱う技術者の育成は明らかに遅れを取っているという。同サイトのプログラムを通し、これまでの量子技術を習得するとともに、今後の未来を開拓する新たな知見の探求を呼びかけている。

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マイクロソフトが「Windows 10 Insider Preview」最新ビルドでフォルダーアイコンを刷新

マイクロソフトが「Windows 10 Insider Preview」最新ビルドでフォルダーアイコンを刷新

Microsoft

Microsoftは3月24日(現地時間)、Windows 10 Insider Preview参加者向けの最新ビルド21343をリリースしました。このリリースでは、ファイルエクスプローラーで表示されるシステムアイコンの多くが、新しいデザインに置き換わっています。

Microsoftは2020年から、Windows 10のアイコンデザイン更新を続けており、すでに多くのアプリアイコンが変わっています。新ビルドでのシステムアイコン変更はれに続くもので、Microsoftは、これにより次のステップに進んだ、としています。

Windows 10のアイコンが『脱フラットデザイン』。カラフルな新アイコンに

同ビルドでは、デスクトップやドキュメント、ダウンロード、ピクチャーなどのシステムフォルダも更新され、これにより一目で区別しやすくなったとしています。

たしかに、これまでは黄色いフォルダアイコンの横に個別の機能を示す絵が入ったデザインだったため、ぱっと見では区別が難しいこともありました。とはいえ、新デザインも慣れるまではどれが何のアイコンなのか、悩むことが増えそうです。

マイクロソフトが「Windows 10 Insider Preview」最新ビルドでフォルダーアイコンを刷新

Microsoft

なお、デザイン変更に伴い、黄色いフォルダの向きも縦向きから横向きに変わっています。そろそろ元ネタである紙のフォルダを知らない人も増えていそうですが、当面はこのデザインが続くようです。保存ボタンのフロッピーディスクと共に、1つのデザインとして残っていくのかもしれません。

このほか、ファイルタイプのアイコンやゴミ箱のアイコンも新しいものになっています。Microsoftは今後も、さらに多くのアイコンを更新していくとのことです。

なお、このビルド21343にアップデートすると、クイックアクセスに固定していたものがすべて表示されなくなるとのことなので、そもそもInsider向けとはいえ、導入には注意が必要です。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

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東京農工大が目が自然にピントを合わせられる「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」開発

東京農工大が目が自然にピントを合わせられる「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」開発

実物体にホログラムで発生した画像を重ねてAR表示している様子

東京農工大学の高木康博教授の研究グループが「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」を開発しました。ホログラフィー技術を応用し、コンタクトレンズ内に表示した画像に対して、目が自然にピントを合わせられるようになります。

コンタクトレンズディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイや専用メガネを装着することなく、目の中にコンタクトレンズを入れるだけで、現実世界にデジタル情報を重ねて表示できる『究極のディスプレイ技術』として期待されています。その一方で、表示した画像に対して目がピントを合わせられない課題があります。

この課題を解決するために、コンタクトレンズ内のLEDにマイクロレンズを取り付けて、網膜に光を集光する方法が提案されていますが、目が外界の物体にピントを合わせると目の焦点距離が変化し、集光がうまくいかなくなる問題がありました。

そこで、同研究グループでは、物体が発する光の波面を再現して立体表示を行う「ホログラフィー」技術を活用。目から離れた位置にある物体からの波面を、コンタクトレンズ内の表示デバイスで再現することで、目は実物に対するのと同様に自然にピントを合わせられるようになります。また、同技術を使うことで、さまざまな画像なども表示できるとのこと。

なお、コンタクトレンズは一般的に0.1mm程度と薄いため、この薄さに内蔵できる構造にする必要があります。研究グループによると、光の波面を制御する「位相型空間光変調器」や、光の偏光を制御する「偏光子」は数マイクロメートルの厚さで実現できるといい、「位相型空間光変調器」にレーザー照明するバックライトの厚さを0.1mm程度とすることで、コンタクトレンズ搭載が可能になりました。

東京農工大が目が自然にピントを合わせられる「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」開発

この「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」はコンタクトレンズディスプレイの光学技術に関する課題を解決するものだといい、同研究グループでは今後、表示デバイスや通信デバイスの研究者、および眼科の医師などと協力して、コンタクトレンズディスプレイの実用化に向けて研究を進める予定です。

(Source:東京農工大学Engadget日本版より転載)

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整理不要の情報共有ツール・社内Wiki「Nerve」を手がけるビヘイビアが3500万円を調達

整理不要の情報共有ツール・社内Wiki「Nerve」を手がけるビヘイビアが3500万円を調達

整理不要の情報共有ツール・社内Wiki「Nerve」を提供するビヘイビアは3月25日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資および融資による総額約3500万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はSkyland Ventures、個人投資家、また融資元は日本政策金融公庫など。調達した資金は、プロダクト開発およびマーケティング強化に用いる。

Nerveは、業種・職種を問わず活用できる、クラウドベースの社内向け情報共有ツール。誰でも・いつでも・どこでもノートを書いて共有でき、蓄積された情報はAIが自動で整理するため、整理整頓の手間もなく必要な時にすぐに見つけられるという。

整理不要の情報共有ツール・社内Wiki「Nerve」を手がけるビヘイビアが3500万円を調達

多くのツールが採用するフォルダー型管理は、ひとつのノートがひとつのフォルダーにしか所属できず混沌としがちという。Nerveが採用するネットワーク型管理では、ひとつのノートが複数の「リンク」を持つことができ、さらに自動分類が行われる。

整理不要の情報共有ツール・社内Wiki「Nerve」を手がけるビヘイビアが3500万円を調達

また、整理の手間はノート(情報)を書くことへの敬遠につながっており、整理が滞ると情報を探すことが難しくなっていた。このため自分だけの個人メモで済ませる人が増えてしまい、暗黙知が暗黙知のままになりがちという。

一方Nerveの場合、整理を気にせず書き始められるため、気軽にノートを書き合う文化が生まれるとしている。Nerveならチームの誰もが習慣としてノートを書くようになり、暗黙知の形式知化を加速できるとしている。

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エンジニア採用時のコーディング試験サービス「HireRoo」が3600万円を調達、β版提供も開始

エンジニア採用時のコーディング試験サービス「HireRoo」が3600万円を調達、β版提供も開始

エンジニア採用時のコーディング試験サービス「HireRoo」(ハイヤールー)を提供するハイヤールーは3月25日、第三者割当増資による総額3600万円の資金調達を発表した。引受先は、プライマルキャピタル3号投資事業有限責任組合と富島寛氏(メルカリ共同創業者)。また、HireRooのβ版提供を開始した。

HireRooは、リモート採用下での候補者の技術評価に必要なツールをすべて兼ね備え、課題の自動採点やスクリーニングなどにより、優秀なエンジニア採用を促進するサービス。

調達した資金は、開発体制の強化とCS組織の立ち上げに活用する。今後はコーディング試験サービスであるハイヤールーを基軸に、優秀なエンジニアが集まるプラットフォームの形成や、エンジニア採用の課題に対するソリューションを展開する。

ハイヤールーによると、エンジニアの技術力の定量化は非常に難しく、採用プロセスにおいて大きな課題となっているという。また、技術力の評価だけでなく、指向性やコミュニケーション能力の評価や他の候補者との比較もエンジニア組織づくりには欠かせないとしている。

これら課題に応えるべく、HireRooではGAFAの実践しているエンジニア採用プロセスを低コストで導入できるようにしており、候補者の定量評価・比較・スクリーニングが行えるという。またリモート特化のUI・UXで高いCX(Candidate Experience。応募者体験)を実現しているとした。

またすでに複数社にてβ版の試験導入を実施しており、エンジニア採用に不可欠なサービスとなるべく機能開発・改善に取り組んでいるという。

候補者の技術力を定量化

企業は、用意されている問題を候補者に出題でき、候補者の提出コードについては自動採点のもとパフォーマンスを算出する。定性評価と組み合わせ候補者の技術力をより詳細に評価できるという。IDEと実行環境をすべて用意したオンライン完結型となっており、実施後は技術レポートとして使用可能。GAFAも実践している技術試験を既存選考フローに追加できるという。

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採用コストを下げるスクリーニング

HireRooでは、複数の候補者に同じ問題を出題することによって、自動でレポートを作成し候補者の技術力をランキング化する。これにより従来エンジニアが行っていた、書類選考や時間がかかっていた技術チェックなどが不要となり、クリエイティブワーカーがよりクリエイティブな仕事に専念できる。

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リモート採用特化UI/UXによる高いCX

HireRooは、リモート採用特化型のUI/UXを提供しており、面接官・候補者の両者にとって高いUXを実現する。ドロップインで始まる技術選考や、共同編集が可能なIDE、サーバーを用意する手間いらずのクラウド実行環境など、様々な機能によりCX向上に注力しているという。

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LINEがデータガバナンスに関する現状認識を発表、海外保管のトークデータを完全国内移転へ

LINEがデータガバナンスに関する現状認識を発表、海外保管のトークデータを完全国内移転へLINEは本日(3月23日)に記者会見を開き、今後のデータガバナンスについて説明しました。現時点で日本ユーザーの個人情報に対する中国からのアクセスを完全遮断しているほか、海外で保管しているトークデータの完全国内移転を順次実施します。

LINE側は現状の課題認識について、個人情報にアクセスできる業務を中国拠点に委託していた点、また、トーク上の画像や動画を韓国のサーバーで保管していた点、そして、それらに関してプライバシーポリシーで国名を明示していなかった点を挙げました。なお、本件で個人情報の流出は発生していないといいます。

LINEがデータガバナンスに関する現状認識を発表、海外保管のトークデータを完全国内移転へ

その上で、今後の信頼回復に向けて『安心安全な2つの国内化』を掲げます。

1つ目は、中国拠点に委託していた日本ユーザーの個人情報にアクセスする業務を終了し、中国から個人情報へのアクセスを完全遮断します。なお、中国拠点でアクセスできたユーザーのメッセージは、LINEユーザーがメッセージの内容等を「通報」ボタンで通報したメッセージに限られ、中国拠点ではこれが利用規約違反の対象となるかを確認するなどの業務を行っていました。

LINEがデータガバナンスに関する現状認識を発表、海外保管のトークデータを完全国内移転へ

2つ目は、日本ユーザーに関するトークデータの完全国内移転を掲げ、韓国のデータセンターに保管しているトーク内の画像・動画・ファイルデータの国内移転を2021年6月までに完了させます。また、タイムラインのデータは公式アカウントに関しては2022年6月、一般ユーザー向けは段階的に移転します。

LINEがデータガバナンスに関する現状認識を発表、海外保管のトークデータを完全国内移転へLINEがデータガバナンスに関する現状認識を発表、海外保管のトークデータを完全国内移転へこのほか「2つの透明性強化」を掲げ、プライバシーポリシーでデータの移転先の国名を3月29日に明示します。さらに、有識者による特別検証委員会を実施し、この第1回は本日(3月23日)に開催したほか、国際的外部認証「CBPR認証」の取得申請を行い、米国「NIST」が定める世界トップレベルのセキュリティ基準への準拠をめざします。

自治体向けも『2つの国内化』

政府自治体向けの公式アカウントについても『2つの国内化』を掲げます。具体的には、政府・自治体向けのLINE公式アカウントのデータアクセスを国内のみに制限。さらに、データ保管場所も2021年8月までに国内移転します。加えて、自治体向けの新型コロナワクチン予約システムは現状完全国内化したうえで開始します。

LINEがデータガバナンスに関する現状認識を発表、海外保管のトークデータを完全国内移転へ

LINEの出澤剛社長は同問題について『ユーザー様の感覚で見て、なにかおかしい、気持ち悪い。そこに対して気を回すことを怠っていた』と述べ謝罪しました。

なお、個人情報保護法では個人情報を国外で保管する場合、ユーザーの同意を得ることを義務付けています。LINEはこれまで「パーソナルデータを第三国に移転することがある」とセキュリティポリシーで明記したことを強調し、個人情報保護法に抵触しないと説明していました。

一方、今回の会見では『個人情報保護委員会に報告を出している段階ですので、我々が(適法性)を判断するというよりは、情報をしっかり報告するのが先だと思います』と述べ、法令に違反していたかの言及は避けました。

Engadget日本版より転載)

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日本IBMが量子コンピューター「IBM Q」を神奈川県・かわさき新産業創造センターに設置、2021年中に稼働

日本IBMが量子コンピューター「IBM Q」を神奈川県・かわさき新産業創造センターに設置、2021年中に稼働

日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は3月23日、東京大学とIBMによる「Japan IBM Quantum Partnership」で表明していた「IBM Quantum System One」の国内設置拠点について、「新川崎・創造のもり かわさき新産業創造センター」(KBIC)に決定したと発表した。稼働開始は本年中を予定。

ここに設置される量子コンピューターについては、東京大学とIBMの契約に基づき東京大学が占有権を有する。東京大学はこのシステムを活用し、企業、公的団体や大学等研究機関と量子コンピューターの利活用に関する協力を進める。

かわさき新産業創造センターは、「新川崎・創造のもり」地区に位置する産学交流によるインキュベーション施設。2012年よりIBM東京基礎研究所のサイエンス&テクノロジー・グループが東京大学と共同で社会連携講座を開設しており、次世代ITに関するハードウェア研究を続ける研究拠点でもある。

量子コンピューターの常時安定稼働には電気・冷却水・ガスなどのインフラの安定供給や耐振動環境が必要で、KBICは川崎市の全面的な支援により安定稼働に最適な環境を実現しているという。量子コンピューターを安定稼働させることで、同研究所が現在東京大学と進めている研究活動が加速することが期待されるとしている。

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コロナ禍で苦しむ製薬会社のDXを進める、業界特化型デジタルマーケのフラジェリンが1.5億円調達

長引くコロナ禍を背景に、医療従事者を顧客とする製薬会社は苦境に立たされている。一般市民よりもはるかに厳しい感染拡大対策を行う医療機関では、MR(医薬情報担当者)による訪問営業を受け入れないケースが増えてきているからだ。

そんななか、製薬・医療関係企業向けのデジタルマーケティングツール「Shaperon(シャペロン)」を手がけるフラジェリンが順調に歩を進めつつある。同社はALL STAR SAAS FUNDを引受先とする第三者割当増資によって1億5000万円を調達したことをTechCrunch Japanの取材で明かした。

シャペロンは製薬会社がもつ医療従事者(顧客)の情報を集約・蓄積し、営業やマーケティング活動の生産性向上とデジタル化をサポートするサービスだ。具体的な機能としては、医療従事者とのコミュニケーションのデータ化と顧客管理、OutlookとGmailの連携によるメールの送受信の集約、メール開封やファイル閲覧履歴のトラッキングなどがある。

製薬業界には、顧客のメールアドレスがMR個人の資産となっていて企業として活用できないことや、業界特有のルールやコンプライアンスの制約から、他の汎用マーケティングツールを導入しにくいなどの課題がある。フラジェリン代表の阪本怜氏はそこに目をつけ、自身も薬剤師であり、製薬メーカーのグラクソ・スミスクラインでマーケティング戦略立案やデータ解析に携わった経験を活かし、業界の課題を解決するためにシャペロンを開発した。

フラジェリンにとってコロナ禍も追い風だった。阪本氏によれば、製薬業界はこれまでにも営業・マーケティングのDXで遅れをとっていることを課題として認識していた。しかし従来のアナログなやり方でも長い間ビジネスが成り立っていたことから、その改革の優先順位は低いままだった。そんななか、新型コロナウイルスの感染拡大により、訪問営業の自粛や患者の受診控えによる薬の需要減などの逆風を受けた製薬業界は改革を迫られ、DX推進の優先順位が一気に上がったという。

フラジェリンは2019年9月にシャペロンをリリース。翌10月には上場製薬会社の持田製薬への全社導入が決まった。その他にも、大手製薬会社1社(名称非公開)への導入もすでに進んでいるという。フラジェリンは収益の数字を公表していないが、同社が公表する「シャペロンによるプロモーションメールの配信数」は大きく伸びている。

阪本氏は今後予想される製薬業界の変化について、「MRによる訪問営業が主流だった従来のやり方から、MR活動のデジタル化とインサイド(リモート)セールス部隊によるより多角的な方法へと進化すると予想している。インサイドセールスがリモートで幅広い顧客にアプローチしつつ、詳細を求める医療機関にはMRが直接訪問するなど、製薬業界の営業とマーケティングのあり方は変わっていくだろう」と話す。

フラジェリンはそれを見越し、今後インサイドセールス向けのマーケティングオートメーションツールのリリースを検討するほか、外部の顧客管理システムとのサービス連携などにより、MR活動のデジタル化を1つのツールで実現できるようにシャペロンの機能を拡充していく予定だ。

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HRテックのブルーブレイズが3000万円調達、都築代表が語る社会人同士のOB・OG訪問サービス「CREEDO」の狙い

OB・OG訪問は、学生の就職活動時に行うものだと思われている。しかし、「育児と仕事を両立するコツ」「自身のスキルが企業のチームに合うのか」など、これまでタッチポイントがなかった現場の社員などに直接キャリア相談をし、自身の転職活動やキャリア形成に活かせることもあり、現在、社会人同士のOB・OG訪問にも注目が集まっている。さらに気軽なOB・OG訪問から、社員が知人などを自社に紹介して採用する「リファラル採用」に至るという流れも生まれているという。

社会人同士のOB・OG訪問サービスCREEDO(クリード)を展開するブルーブレイズは3月24日、J-KISS型新株式予約権方式で3000万円の資金調達を行ったと発表した。引受先はディープコアと個人投資家の本間達也氏(ラブグラフCOO)となる。ブルーブレイズは資金調達によって、CREEDOを活用した法人向け採用支援サービスに取り組む。2021年夏から同サービスを提供する見通しで、リファラル採用事業に本腰を入れる。

ブルーブレイズは同サービスに、AI技術によるユーザーと現場社員のマッチング最適化を図るシステムを組み込んでいく。さらにリファラル採用におけるコンサルティングサービスも始める予定だ。

新たな展開を迎えるブルーブレイズ。同社の都築辰弥代表に、サービス内容や起業の経緯、コロナ禍における人材業界の変化、法人向け採用支援サービスなどについて話を聞いた。

「人生の先輩」から聞くキャリア経験談

2019年8月に設立したブルーブレイズは、2020年3月にCtoCオンラインサービスとなるCREEDOをローンチした。CREEDOは、転職や起業、独立といったキャリア選択の岐路に立つ人が、すでにその経験を積んだ、いわゆる「人生の先輩」から話を聞くことができるサービスだ。また「人生の先輩」も自身のキャリア経験談を話すことで、報酬を得る。

キャリア経験談のイメージ

CREEDOでは、ユーザーがキャリア体験談を選ぶとサイト内のチャットルームから相手に連絡できる。ビデオ通話で話ができるなどオンラインで完結するため、連絡先の交換は不要だ。また、CREEDOではなりすましや二重登録などを防ぐため、ユーザー登録はFacebookによるログインのみとなっており、安心して利用できるようになっている。

サービス開始から1年で約3000人のユーザーが登録し、キャリア経験談は1200件を超えるなど急成長しており、リファラル採用を目的にCREEDOを使う企業はすでに100社を超えているとこと。社会人同士のOB・OG訪問領域では国内最大級の規模になるという。

都築氏は「企業は、より専門性が高い即戦力の人材を求めるジョブ型雇用に企業はシフトしています。新型コロナウイルスの流行による社会情勢の変化で、自身のキャリアを見つめ直す人が増え、キャリア形成の多様化が一気に進みました。ジョブ型雇用が注目され、その採用手段としてリファラル採用の重要性は高まっています」と語った。

ソニーへの入社を遅らせて世界を巡り見た景色

中央がブルーブレイズの都築辰弥代表

中央がブルーブレイズの都築辰弥代表

新卒学生の時、都築氏は中学生の頃から憧れていたソニーへの内定が決まっていた。しかし、大学を休学して入社を1年遅らせ、世界一周の旅に出たという。

「イスラエルからパレスチナ自治区に入った時、前日にまさにここで銃撃戦があったと聞きました。そんな場所に自分の足で立ったとき、この問題はソニーで働き、いくら貢献しても解決できないなと、そんなモヤっとした感覚が残ったのです」と都築氏は振り返る。

世界を見て回った後にソニーに入社するが、世界の人々もスコープに入るような仕事がしたいと思い始めたという。モヤっとした違和感から生まれたその想いが、キャリアチェンジのきっかけだった。ソニーに2年半務めたタイミングで都築氏は起業を決断した。

「世界には今もたくさんの課題がありますが、歴史を振り返ると、世界を良くしてきた人は何かしらの課題意識や志を持った人達でした。そんな志を持った人を増やすことができれば、間接的にいろいろな課題にアプローチできるのではないか」と都築氏はいう。

ブルーブレイズは「世界に百億の志を」というミッションを掲げている。多くの人が志を持てるような社会にしていきたいという想いが込められている。

都築氏は「そこでなぜCREEDOなのかといえば、自分のキャリアに納得して楽しいと思える感覚は、志が宿るための必要条件となります。日本では自分のキャリアに対して自信を持つことがまだ根づいていないため、CREEDOを通じて変えていきたいと考えています」と語った。

CREEDOにおけるユーザー増加の戦略

SNSシェア画面

スタートアップがゼロベースでCtoCサービスを始める際、初めのトラクションをいかに出していくかということが課題になる。CREEDOはサービス開始からほとんど広告を打たずに、SNSの口コミでユーザーを獲得していった。

CREEDOでは、ユーザーがキャリア経験談を登録・更新した時に「シェアしませんか」といったウインドウを表示し、ワンタップでSNSにシェアできるようにした。話し手起点で、聞き手を集めてくるようにCREEDOを設計しているのだ。

また、CREEDOでは、1人のユーザーが話し手と聞き手の両方で登録するケースが全体の4割以上を占めているとのこと。この転換率が高ければ1人が2人分のアクティブユーザーとなり、サービスはより活性化していく。

都築氏は「メルカリのようなサービスでも同じですが、1人のユーザーが買い手と売り手になる転換率は、CtoCサービスにおけるグロースの上で非常に重要なKPIになっています。我々も初めからそのKPIをトラッキングしていました」と説明した。

戦略としては、話し手から聞き手への転換は、ユーザーの興味や関心に応じてパーソナライズしたおすすめのキャリア経験談を、CREEDOのトップ画面に表示するようにした。一方、聞き手から話し手への転換は、聞き手としてユーザー登録をした後、キャリア経験談の登録画面を全ユーザーに提示するようにしている。

コロナ禍で見直されたキャリア形成の道

厚生労働省によると、2020年平均の有効求人倍率は2019年と比べて0.42ポイント減の1.18倍だった。有効求職者数は2019年から約12万人増の183万人となったが、有効求人数は約216万人で2019年から約58万人減少している。

コロナ禍で人材業界は大きく変わった。さらに中長期的には、日本の総人口は減少していくこともあり、今後も採用難の状況は変わらない。また、終身雇用制度が崩壊しつつあることや副業解禁といった要因も絡み、ジョブ型雇用は企業に定着しつつある。

ジョブ型雇用が主流になれば、個人はキャリア形成の道を自身で選んで仕事を変えていくため、終身雇用時代に比べて転職回数が増える。企業は1人当たりの採用コスト削減が必要になり、コストがかかる求人広告や転職エージェントサービスから抜け出す動きが出てくる。

ジョブ型雇用が進み、採用の流れが変わっていく中で、リファラル採用への対応は企業にとって大きな課題となっている。

法人向け採用支援サービスで中途採用に本腰

ブルーブレイズは2021年夏を目途にCREEDOを活用した新たな法人向け採用支援サービスを展開し、企業がリファラル採用をスムーズに行えるようにする。気軽なOB・OG訪問をフックにリファラル採用を推進できることで、企業の社員はCREEDO上で人材を待つだけでなく、自ら人材を獲得できるようになる。

また、ブルーブレイズはこれまで、CREEDOにおける個人同士のマッチングをメインのキャッシュポイントとして捉えていなかったが、今後は本格的な収益を法人向け採用支援サービスから獲得していきたいと考えていく。

法人向け採用支援サービスでは、リファラル採用をしたい企業がCREEDOにどういったユーザーがいるかを検索し、職種や経験を見てオファーできるスカウト機能を設ける予定だ。さらに企業がユーザーを探す手間を軽減させるために、AI技術を活用したレコメンド機能も提供していく。

今後、特に力を入れるのがこのAI技術を使ったマッチング精度の向上だ。CREEDOではユーザーがどの職種・キャリアに興味があるか、またOB訪問の実績やキャリア経験談の閲覧履歴など、さまざまなデータを蓄積することができる。データから、キャリア選択を控えるユーザーと、採用企業の現場社員とのマッチング最適化を図るシステムの開発に注力していく。

都築氏は「現場の社員は採用がメインの仕事ではないため、この負荷は最小化されるべきです。少ない時間と労力で、求める人材とマッチングし、継続的にリファラル採用ができる仕組みを作り上げていきます」と意気込む。

さらに同社は、リファラル採用のコンサルティングサービスも2021年夏から始める予定だ。リファラル採用はまだ、企業側の支援体制やインセンティブの仕組みなど、一定のスタンダードが確立されていない。企業も手探りな部分が多い中で、CREEDOにおける知見を活用してリファラル採用の定着を後押ししていく。

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集英社のアクセラレータープログラム「マンガテック2020」採択スタートアップ5社が公開

集英社のアクセラレータープログラム「マンガテック2020」採択スタートアップ5社が公開

集英社の「少年ジャンプ+」編集部と新規事業開発部は3月22日、新たなマンガビジネス創造を目指す「集英社スタートアップアクセラレータープログラムマンガテック2020」(マンガテック2020)採択企業5社の事業プランの一部を公開した。また、成果報告会での発表内容や様子を掲載する特設サイトを4月9日開設予定。

マンガテック2020は、多くのマンガ作品を送り出してきた集英社が、従来のマンガビジネスにとらわれない斬新な事業アイデアを持つスタートアップとともに、新たなビジネスを生み出すための共創プログラムとして企画。

2020年7月に開始したところ334の事業アイデアの応募があり、5社のスタートアップを採択したという。約5ヵ月間にわたるメンタリングを通して事業アイデアのブラッシュアップと協業の可能性の模索に取り組み、3月18日開催の成果発表会において成果を発表した。

EmbodyMe:マンガで感情を表現し、対面を超えるビデオコミュニケーションを 「xpression camera」

xpression camera」は、ビデオチャットでマンガを使った新たな感情表現手段を提供するビデオコミュニケーションツール。コロナ禍で必需となったZoomやTeams、YouTubeなどあらゆるビデオアプリ上で使用でき、自分の外見をAIで置き換え、表情や体の動きに応じてリアルタイムにコミュニケーションをとれる。さらに、喜怒哀楽といった感情に応じて、マンガならではの感情表現を行うことで、対面でのコミュニケーションを超える体験を実現する。

EmbodyMeは、AIを用いた映像生成技術の研究開発を行っている。GANなどのディープラーニングを用いて、誰もが目に見えるあらゆるものを自由自在に作り出す世界を作ることを目標とし、Zoomなどで自分の外見をAIで置き換えるアプリxpression cameraなどを展開している。

ストーリア:勉強×エンターテインメント 「Penbe」

Penbe」(ペンビー)は、勉強する楽しさを実感させてくれるアタッチメント式の学習支援ツール。シャープペンシルなどの筆記具に取り付けて勉強するだけ、スマホのアプリと連動し、自動的に勉強したデータを記録する。さらに、勉強したデータを元にエンターテイメント要素を加え、モチベーションの向上をもたらすという。

ストーリアは、IoT/IT機器の企画・開発を手がけており、最初の製品である「Penbe ~勉強したくなる魔法のペン~」を現在開発中。社名(Stolia)の由来は、ストーリー(story)+場所を表す接尾語(lia)とのことで、テクノロジーで、新たなストーリー(物語)を生み出す場所になることを目指す。

集英社のアクセラレータープログラム「マンガテック2020」採択スタートアップ5社が公開

dot:マンガ作品の世界に浸り過ごす一室のみのホテル 「MANGA ART ROOM(仮)」

「MANGA ART ROOM(仮)」は、世界にひとつしかないオリジナルの作品が飾られた「美術館」を、1日1組限定・貸切で作品を堪能できる体験型ホテル。日本のみならず、自社ブランドホテル「MANGA ART HOTEL,TOKYO」でリーチした世界中のファンを対象としている。

dotは、不在型宿泊施設、ドミトリーを運営するホテルオペレーター。MANGA ART HOTEL,TOKYOほか、10都道府県において累計1200床の運営実績がある。不在型宿泊施設運営実績は8年目、旅館業許可獲得から企画、運営管理まで一貫して行っている。

プレティア・テクノロジーズ:ARを活用したメタバースゲーム 「JIMO」

コードネーム「JIMO」は、ARクラウドを活用したメタバースゲーム。メタバースとは、複数の人々がその中で自由に行動し、生活できる仮想空間を指す。プレティア・テクノロジーズが持つAR技術の強みを活用し、現実世界を拡張して新たなメタバースを生み出すゲーム開発へ取り組む。

プレティア・テクノロジーズは、AR開発者のためのARクラウドプラットフォーム「リソースPretia」、またエンターテインメント領域を中心に各種ARサービスの企画・開発・運営を手がけている。

Mantra:マンガの世界に語学留学 「Langaku」

「Langaku」は、マンガを用いた英語学習サービス。日本の外国語教育における課題として圧倒的な「インプット不足」を挙げており、Langakuでは、思わずどんどん読み進めてしまう大人気マンガを教材として活用し、楽しみながら大量の英文をインプットできるという。マンガを教材に変換するための独自技術を活用し、「難しい単語や表現もスラスラ読める」「マンガなのに聴ける」といった、斬新な学習体験を提供する。

Mantraは、「世界の言葉で、マンガを届ける。」ことを目指し、マンガに特化したAI技術の研究開発およびサービスを提供している。2020年に公開したマンガの多言語翻訳システム「Mantra Engine」は、出版社や翻訳事業者、マンガ配信事業者に導入され、マンガ多言語展開の高速化に寄与しているという。2021年には、独自のマンガ機械翻訳技術が人工知能分野のトップ国際会議AAAIに採択された。

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ディーカレットが67億円調達、民間発行デジタル通貨と企業独自のスマコン実装が可能なプラットフォーム開発目指す

ディーカレットが67億円調達、民間発行デジタル通貨と企業独自のスマコン実装が可能なプラットフォーム開発目指す

暗号資産(仮想通貨)などデジタル通貨の取引・決済を担う金融サービス事業を手がけるディーカレット(DeCurret)は3月23日、第三者割当増資による総額67億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、筆頭株主のインターネットイニシアティブ、KDDI、日本電信電話(NTT)、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行、綜合警備保障(ALSOK)、三菱商事、SBIホールディングス、セコムの計10社。

調達した資金により、民間発行デジタル通貨の実現と企業独自のスマートコントラクトの実装を可能にする二層構造デジタル通貨プラットフォームや、ブロックチェーンを利用したあらゆるデジタル価値の交換プラットフォームの開発体制を強化し、事業加速につなげる。

ディーカレットが67億円調達、民間発行デジタル通貨と企業独自のスマコン実装が可能なプラットフォーム開発目指す

日本におけるデジタル通貨のリーディングカンパニーを目指す同社は、2020年6月よりデジタル通貨勉強会、その後継となるデジタル通貨フォーラム(現在の参加企業数55社以上)の事務局を務め、デジタル通貨実現のための取組みを実施してきた。

世界では中央銀行デジタル通貨(CBDC)や法定通貨を価値の裏付けとした暗号資産の発行など、デジタル通貨の実現に向けた動きが拡大しているという。デジタル通貨プラットフォーム開発や企業とのパートナーシップをさらに強化し、一体となってデジタル通貨の世界を実現するべく、今回の増資を実施した。

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ワンストップでの現場実装と映像エッジAIソリューションを提供するEDGEMATRIXが約10億円を調達

ワンストップでの現場実装と映像エッジAIソリューションを提供するEDGEMATRIXが約10億円を調達

ワンストップでの現場実装と課題解決「映像エッジAIソリューション」を提供するEDGEMATRIX(エッジマトリクス)は3月23日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による約10億円を資金調達を実施したと発表した。引受先は、NTTドコモ、清水建設、SONY INNOVATION FUND (ソニー設立のCVC)、DGベンチャーズの4社。2019年8月のシリーズAにおける約9億円を加え、累計調達額は19億円となった。

2019年4月設立のEDGEMATRIXは、「映像エッジAI」のインフラ製品からプラットフォームサービスをエンドエンドに提供し、現場実装までをワンストップで提供できる体制を整えたスタートアップ企業。

調達した資金により、高精細映像などを現場(エッジ)でリアルタイムにAI処理するデバイス「Edge AI Box」新機種追加、「EDGEMATRIXサービス」新機能開発を行い製品サービスをさらに強化する。また、スマートシティやスマートビルディングにおける各種センサーとの連携開発を行うとともに、道路・鉄道などの公共施設や医療・福祉施設を含む社会インフラへのソリューション提供拡大、製品引き合いが増えているアジア市場から海外展開を加速する。

DGEMATRIXのEdge AI Boxは、街やビルを見守るIPカメラ映像などを現場でAI処理し伝送できる屋内と屋外用小型デバイス。深層学習ベースのAIなどの高速計算処理を行うNVIDIA製GPUとWiFi・LTE・5G通信モジュールを搭載し、カメラ接続などの豊富なインターフェイスを備えている。

ワンストップでの現場実装と映像エッジAIソリューションを提供するEDGEMATRIXが約10億円を調達

EDGEMATRIXサービスは、現場設置の「Edge AI Box」からエンド・ツー・エンドで映像エッジAIを統合管理するプラットフォーム。デバイスの遠隔管理、設置場所を地図表示(マップビュー)する状態管理、現場からのAI処理済映像をブラウザーに多数同時表示する「エッジビュー」などのサービス管理、AIアプリケーションの配信・管理、パートナーが開発した汎用AIアプリケーションを選択購入できる「EDGEMATRIXストア」を提供している。

ワンストップでの現場実装と映像エッジAIソリューションを提供するEDGEMATRIXが約10億円を調達

ワンストップでの現場実装と映像エッジAIソリューションを提供するEDGEMATRIXが約10億円を調達

顧客は、ストアアプリから月額課金のAIアプリを選択するだけで「映像エッジAI」を開始可能という。また、自社でAIアプリを開発する場合は、「EDGEMATRIX Platformサービス」によりプラットフォーム機能だけを利用できる。短時間で効率的な開発を行うための技術文書や画像処理用のソフトウェア開発キット「EDGEMATRIX Stream Toolkit」も提供している。

映像エッジAIソリューションでは、現地調査に始まり、顧客からの要望に応えるカメラ、周辺機器、AIアプリケーション調達や開発、設置工事、設定調整に至る「映像エッジAI」の現場実装と課題解決をワンストップで提供する。

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VR/AR/MR企画・開発のSynamonと三井住友海上が「VR事故車損害調査研修」を共同開発

VR/AR/MR企画・開発のSynamonと三井住友海上が「VR事故車損害調査研修」を共同開発

「VR事故車損害調査研修」イメージ

「XRが当たり前の世界をつくる」をミッションに、VR・ARを含むXR市場の創造に取り組むSynamon(シナモン)は3月22日、MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険(三井住友海上)が実施している「事故車損害調査 基礎研修」にVR技術を提供し、「VR事故車損害調査研修」を共同開発したと発表した。事故車の損害調査ができるバーチャル空間を構築することで、全国どこからでも研修への参加が可能になる。

2021年4月以降にVR事故車損害調査研修」を開催し、7月以降は自然災害の損害調査におけるVR研修を開催する予定。

三井住友海上によると、同社は自動車事故の保険金額の算出過程として、事故車の損害調査を実施しているという。損害調査は同社の根幹業務であり、その意義を全社員が理解する必要があるため、全国にいる数百人の新入社員を千葉にある研修所に集め、毎年研修を実施してるそうだ。しかし、昨年来のコロナ禍により研修の開催が厳しい状況となっているという。

そこで、VR技術を活用し全国どこからでも参加できる研修を創出できないかと考え、Synamon提供のVRビジネス施設「NEUTRANS」を活用し、「VR事故車損害調査研修」のバーチャル空間構築に取り組んだ。

VR/AR/MR企画・開発のSynamonと三井住友海上が「VR事故車損害調査研修」を共同開発

「事故車損害調査 基礎研修」の流れ

  • 部品名称や新品部品の補給形態を学習(VR空間で実施予定)
  • 部品構成・材質や組付け構造を学習(VR空間で実施予定)
  • 事故類型によって異なる損部形態や特徴的な痕跡について学習(VR空間で実施予定)
  • 実車(事故車)を使用して、調査プロセスを学習(VR空間で実施予定)
  • 損傷状態の証拠保全方法を学習(VR空間で実施予定)
  • 見積作成手順を学習

期待される効果

  • 集合研修と同等以上の学習効果:VRは高い没入感を創出できるため、参加者間でアバター姿で身振り手振りを交えての議論や、ホワイトボードや付箋をVR空間で使ったアイデア出しなど、緊密なコミュニケーションが可能。また、仮想空間に配置された自動車のドアやボンネットの開閉、メジャーを用いた測量などの操作も可能で、従来の集合研修と同等以上の学習効果を期待できる
  • 研修時の移動時間やコストを削減:研修場所を仮想空間上に設けるVR研修では、集合研修時のような移動が発生せず、時間短縮につながる。交通費や宿泊費なども削減
  • 三密回避で感染リスクを軽減:コロナ禍で集合研修の開催が困難な中、研修参加者は、三密を回避して各職場・自宅からリモートで参加可能。感染リスクを心配することなく研修を行える

2016年8月設立のSynamonは、「XRが当たり前の世界」を実現するため、VR/ARをはじめとするXR技術を使ったサービス開発や研究開発を行うテックカンパニー。自社開発しているNEUTRANSは、VR技術の活用によって、バーチャル空間であらゆるビジネス活動を可能にするVRビジネス施設という。

世界中どこからでも働けるオフィス、リモートでもリアルのような体験を可能にするトレーニングや開発予定の未来都市を見学できるプロモーションなど、バーチャル空間を活用した次世代事業の創出拠点を目指している。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:教育 / EdTech / エドテック(用語)Synamon(企業)新型コロナウイルス(用語)保険 / インシュアテック / InsurTech(用語)三井住友海上火災保険(企業)日本(国・地域)

東京の宇宙スタートアップAstroscaleが軌道上デブリ除去衛星「ELSA-d」を打ち上げ

日本の宇宙スタートアップAstroscale(アストロスケール)が、軌道上のデブリを捕獲して安全に除去することを目的とする、同社のELSA(End-of-Life Services by Astroscale、エルサ)技術の実証ミッションのために、ELSA-d(エルサd)衛星を打ち上げた。Astroscaleの実証実験パッケージには、2つの独立したペイロードが搭載されている。1つは、未来の本番宇宙船の役目の「捕獲衛星」、もう1つは、将来は顧客の依頼を受けて軌道から除去される役目の「デブリ模擬衛星」だ。

このAstrocaleのペイロードは、18カ国から集められた他の商業衛星38基とともに、カザフスタンを米国時間3月22日早朝に離陸したソユーズロケットを使って打ち上げられた。2013年に日本人起業家の岡田光信氏が創業したAstroscaleの宇宙船が、軌道に乗るのは今回が初めてだ。Astroscaleは、2017年に小規模デブリの測定を目的とした超小型衛星を打ち上げたが、発射ロケットのプログラムにミスがあったため、そのミッションでは18個の衛星すべてが軌道に到達できなかった。

今回のELSA-dミッションは、さらに野心的な取り組みであり、Astroscaleが最終的に商業化を目指している技術の、軌道上での積極的なデモンストレーションを行うものだ。ミッション内容には、捕獲衛星と模擬衛星の間でドッキングとリリースを繰り返す操作が含まれていて、模擬衛星には捕獲衛星のドッキング手続きを支援するための強磁性プレートが組み込まれている。

Astroscaleは、今回のデモンストレーションで、捕獲衛星が顧客役の模擬衛星を探し出して位置を特定し、損傷の有無を検査した上で、上述のようにドッキングを行う。なおその際には、対象が安定した軌道を維持している場合と、姿勢を制御できずに宇宙空間で回転している場合の両方のシナリオを想定している。

英国内に、Astroscaleが設置した地上センターから制御されるこのミッションには、多くのものがかかっている。長期的な商業活動だけでなく、スタートアップはJAXAと提携して、日本の宇宙機関史上初の軌道上デブリ除去ミッションを行うことになっている。このミッションでは、ロケットの使用済み上段ロケットに相当する大きな物体を、軌道上から除去する世界初の試み行う予定だ。

カテゴリー:宇宙
タグ:Astroscaleスペースデブリ日本

画像クレジット:Astroscale

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(文:Darrell Etherington、翻訳:sako)

賃貸不動産の原状回復工事クラウドサービスのREMODELAが5100万円調達、200社超の不動産会社が導入済み

賃貸不動産の原状回復工事クラウドサービスのREMODELAが5100万円調達、200社超の不動産会社が導入済み

内装工事のクラウドサービス「REMODELA」(リモデラ)を開発・運営するREMODELAは3月22日、第三者割当増資による約5100万円の資金調達を発表した。引受先は、ハックベンチャーズ、セゾン・ベンチャーズ、個人投資家の田中邦裕氏(さくらインターネット 代表取締役社長)。

今回調達した資金により、VR関連の新機能開発。内装工事の現場向けに、レーザースキャナーを活用した室内の採寸、見積作成の自動作成機能の開発を行う。現在内装工事の現場では、メジャーを利用し室内を採寸して見積を作成する方法が一般的という。

また同社は、2021年3月現在関西エリア(大阪および京都、兵庫の一部エリア)でのみ展開しており、今後の全国展開を見据えてまずは東京エリアにサービスを広げる。

REMODELAは、賃貸不動産の原状回復工事に関する見積・現地確認・発注、また発注者(不動産会社)と受注者(リフォーム会社や職人)のマッチングなどを行えるクラウドサービス。発注者(不動産会社)は、見積、現地確認、発注までウェブ上で完結でき、また受注者(リフォーム会社や職人)はスマホアプリ(Android版iOS版)から仕事を選んで受注できるため、営業・見積・請求業務などが不要になるとしている。

REMODELAにより発注者・受注者双方の業務が効率化し、より早くより安価で工事が行えるため、2020年2月のリリースから1年、関西圏だけで200社超の不動産会社が導入しているという。

同社によると、賃貸住宅は入居者が入れ替わるたびに内装工事を行うものの、デジタル化が難しい領域のため作業量が多く、発注者・受注者双方が不便を感じる場面が多く残っているという。昨今のVR技術の発展やマッチングサービスのトレンドからヒントを得て、アナログな部分を解決すべくREMODELAを2020年に開発したそうだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:建設 / 建築(用語)資金調達(用語)リフォーム / リノベーション(用語)REMODELA(企業・サービス)日本(国・地域)

「昭和」な方法が残る債権管理・督促業務のDXを進めるLectoが総額1.1億円調達

債権回収のDXを進める

債権管理・督促業務のDXを進めるスタートアップLecto(レクト)は3月22日、第三者割当増資によって総額1億1000万円の資金調達を行ったと発表した。

Lectoは今回の調達で、債権管理・督促回収業務を一貫して支えるSaaS(Software as a Service)プロダクトの開発を進める。金融事業者がユーザーにサービスを提供した後に発生する請求通知や督促連絡、債券譲渡など、さまざまな業務をワンストップで管理できるようにする。また、2021年7月を目途に債権回収を自動化する機能を開発して提供する見通し。

金融事業にはさまざまな業務フローがある

金融事業にはさまざまな業務フローがある

なお、引受先はシンガポールに本社を置くBEENEXTが運営するALL STAR SAASFUNDのほか、East Venturesやラクマ(フリル)創業者の堀井翔太氏、コネヒト創業者の大湯俊介氏らとなる。

Lectoは2020年11月に会社を設立後、2021年1月から債権管理などにおけるハンズオン支援のコンサルティングサービスを提供している。すでにyupナッジに同サービスを提供しており、今後は複数社でのサービス導入が決まっている。

レガシーな金融業界と新たな動き

金融業界では債権管理業務自体をMicrosoft Excelなどのアナログ管理で行っている事業者が少なくない。また、既存事業者には督促回収を電話や個別訪問で行うなど、昭和から続くアナログな方法が残っているという。

金融業界には現在、ITを活用した決済テクノロジーが進歩し、決済サービスなどが多様化している側面もある。このため政府は2021年4月から、改正割賦販売法を施行し、新しい決済テクノロジーやサービスに対応するための環境を整えている。

改正法では、限度額10万円以下となる少額の分割後払いサービス提供事業者に対する登録制度を創設する。また、限度額審査については、AI技術などによる新たなテクノロジーに基づく審査手法を許容するとしている。改正法が施行されれば、少額の分割後払いサービスを提供する事業者が多く金融市場に参入することになる。

Lectoでは、既存事業者に対しては債権管理・督促回収のDXを展開し、スタートアップをはじめとした新規参入事業者にはゼロベースからの債権管理・督促回収の支援サービスを提供していく考えだ。

Lectoは「金融サービスの裏側を変えていくことは一見地味な取り組みだが、我々の取り組みこそが金融ビジネスを成長させるキモだと考えている。債権管理・督促回収のアップデートが金融市場に与える影響は大きく、我々はARR(年間経常利益)で1000億円以上を目指せると試算している」と述べた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:LectoSaaS資金調達日本DX