XTechが地球の歩き方T&Eを買収し、留学や旅行事業に参入へ

元サイバーエージェント役員の西條晋一氏を始め、複数の新規事業を立ち上げてきたメンバーを中心に構成されるスタートアップスタジオのXTech(クロステック)。同社は10月2日、留学事業を手がける地球の歩き方T&Eを買収したことを明らかにした。

今後XTechでは新たに留学事業と旅行事業に参入することを発表している。

XTechについては設立時に紹介した通り、「既存産業×テクノロジーで新規事業を創出する」ことを目的とした企業だ。西條氏が代表取締役を務め、つい先日にはメルカリ執行役員CTOの名村卓氏が技術顧問に就任している。

今回XTechが買収を発表したのは長年留学事業を運営してきた地球の歩き方T&E。同社ではB2C事業として語学留学やワーキングホリデーなど個人向けの留学サポートを実施しているほか、B2B事業として企業・学校法人に対して海外ボランティアやインターンシップの斡旋、体験型プログラムの販売なども手がけている。これまで30年以上に渡って累計で約25万人の留学をサポート。約740校と提携して幅広いプログラムを提供してきた。

XTechでは今回の買収によりB2CとB2B双方の留学事業の拡大を目指すとともに、地球の歩き方T&Eが保有する「第1種旅行業」登録を活用して国内外の旅行事業への本格参入も目指す計画だ。

なおXTechでは先月7日に、子会社のXTech HPを通じてエキサイトの普通株式を公開買付け(TOB)により取得することを発表していた(地球の歩き方T&Eはエキサイトの関連会社)。

作家の小説を声優が“音声化”して届ける「Writone」リリース、NOWらから資金調達も

スマートスピーカーの台頭などもあり、近年“音声”に関する市場やサービスが注目度を増してきている。

本日正式版がリリースとなった「Writone(ライトーン)」もまさに音声に関するプロダクト。少し大雑把な表現をすると、いわゆるオーディオブックに独自の工夫を加え、より民主化したものと言えるかもしれない。

Writoneは作家ユーザーが投稿したオリジナルの小説を、声優ユーザーが音声コンテンツに変えて配信するプラットフォームだ。リスナーは興味のある作品を読むのではなく、音声で聞くことができる。それも声優(声優の卵も含まれる)の声で、だ。

本の内容を音声化して提供するという点では上述した通りオーディオブックの概念にも近い。ただWritoneの場合は元となる作品を誰でも手軽に投稿できることに加え、ひとつの作品に対して複数の声優が参加できることがユニークな特徴となっている。

複数の声優が同じ作品を音声化している場合、リスナーは誰の声で聞くかを選ぶ楽しさも味わえる。もちろん作品から入るのではなく、声優をベースに「この人が配信しているなら買いたい」という理由で作品を発掘するような楽しみ方もできるだろう。

各声優ユーザーは音声化した作品の価格を自由に決めることが可能。現在は作品が売れた場合、価格がいくらであるにせよ売上の80%が声優に、20%が作家に分配される仕組みだ。

Writoneを開発するのは福岡に拠点を構えるLyact。同社は2018年4月の設立で、本日プロダクトの正式リリースとともにNOWとF Venturesを引受先とした第三者割当増資を実施したことも明らかにしている(具体的な調達額は非公開だが、数千万円前半になるという)。

代表取締役社長の古賀聖弥氏は高校生の頃から将来起業することを考えていたそう。卒業後に一度中国電力に就職するもすぐに都内のスタートアップへとキャリアチェンジをし、そこでプログラミングを学んだ。その後福岡でもスタートアップで働いた後、今年の4月にLyactを立ち上げた。

Writoneの着想は「もともと自身が本を読むのが好きだったものの、学生時代に比べて読書に使える時間が減ってしまった」こと。そして「小説家を目指し小説投稿サイトなどに作品を投稿するも、なかなか読んでもらえず課題感を感じている作家が多いと知った」ことからきているそうだ。

「実は当初小説の音声化にはグーグルのCloud Text-to-Speech(テキストを読み上げてくれるサービス)を使うことを検討していた。その段階で家入さんに相談する機会があり、声優や声優の卵がたくさんいて、専門学校を卒業したもののなかなか活躍の場がなくて困っている状況を知ったため、今のモデルにした」(古賀氏)

正式版のリリースに先立ち、作家と声優向けにベータ版を公開。すでに作家ユーザーが約300名、声優ユーザーが約200名登録していて、投稿された小説の数も800冊に及ぶという。

現時点のWritoneの機能はとてもシンプルで、「作家が小説を投稿できる」「声優が小説を音声化して配信できる」「リスナーが気になった音声小説を聞くことができる」といったことに限られる。

古賀氏の話では今回調達した資金も活用して開発体制を強化し、機能を拡充させる計画。たとえばテーマごとにコンテストのようなものを取り入れたり、ひとつの作品を複数の声優が分担して音声化したりできる機能(例えば複数のキャラクターが登場する小説において、キャラクターごとに別々の声優が担当するといたように)を追加したりといったことを検討していく。

「Writoneを通して小説を書くことが好きな作家や、声の仕事をしていきたい声優がより活躍できるような場所を提供していきたい」(古賀氏)

今年に入ってTechCrunchでもオトバンクのオーディオブック聴き放題サービス「audiobook.jp」や声のブログ「Voicy」、音声フィットネスガイドアプリ「BeatFit」といった音声に関するサービスを紹介してきた。

冒頭でも触れた通り、今後も音声に着目したプロダクトはまだまだ増えていきそうだ。

写真1番右がLyact代表取締役社長の古賀聖弥氏

地域のパン屋さんとパン好きをつなぐパンフォーユーがF Venturesなどから資金調達

パンフォーユー代表取締役の矢野健太氏

冷凍食品というと、手抜き、おいしくない、体に悪いといったイメージを持つ人も多いことだろう。だが、おいしいパンが大好きなパンマニア、パン通の間では「きちんと冷凍された冷凍パンなら、むしろ保存料要らずでおいしさが長持ちする」というのが既に常識らしい。

パンフォーユーはそんな冷凍パンを、独自の基準で選んだパン屋さんからオフィスまたは個人へ宅配するサービスを提供するスタートアップだ。同社は10月2日、F Venturesと複数の個人投資家からの資金調達実施を発表した。第三者割当増資の引受先は以下の通りだ。

  • F Ventures Fund 1号投資事業有限責任組合
  • 紀信邦氏(ゆめみ監査役)
  • 佐藤裕介氏(ヘイ代表取締役社長)
  • 正林真之氏(正林国際特許商標事務所所長)
  • 千葉久義氏(エンジェル投資家)
  • 山口豪志氏(54代表取締役社長)

調達金額は非公開だが、関係者の情報および登記情報から総額約1350万円とみられる。

パンフォーユーは2017年1月の創業。群馬県桐生市で、ホテルやレストランなどのプロ向けに冷凍パンを製造・販売する、スタイルブレッドとの合弁会社として設立された。当初はオーダーメイド生産したパンを個人向けにネット販売していたが、サービスを提供していく中で「パン好きの人は、オーダーメイドできる、というよりは、いろいろな種類のパンを食べたがっている」ということが分かってきたそうだ。

パンフォーユー代表取締役の矢野健太氏は、「そこで1社のみから供給していたパン製造を複数社からの供給に切り替え、セレクトした地域のパン屋さんとユーザーをつなぐプラットフォームへと事業を転換することにした」と振り返る。現在パンフォーユーでは、複数のパンを楽しめる「パンセット」を提供するスタイルとなっている。

また一部の顧客で、個人ではなく法人宛に定期的な購入があったことから、福利厚生の一環としてのオフィス向けサービスを2018年5月から試験的に開始。この9月には「パンフォーユー・オフィス」として正式にリリースした。商品補充から在庫管理までお任せの「冷凍庫貸出プラン」とオフィスに既にある冷蔵庫の冷凍スペースを使う「セルフプラン」の2種のプランがあり、従業員は「オフィスグリコ」などの置き菓子サービスと同様に料金を支払い、電子レンジでパンを温めて食べる。

矢野氏によれば、試験導入した企業の評価は高いとのこと。大手企業やスタートアップ、コワーキングスペースなど、10月からの導入企業も含めると15社が利用する予定になっている。

冒頭にも挙げたが、冷凍パンに対するネガティブなイメージは依然として強い。そうした中で「実際に食べてもらえば『おいしい』ということを実感してもらえる」と矢野氏。「まずは食べてもらうところがスタートだ。そのためにもユーザーが手を出しやすい、オフィス向けサービスにも注力していきたい」と話す。「ユーザーからの評判はよく、ポテンシャルはあると自信を持っている。ぜひ気軽に一度、食べてみてほしい」(矢野氏)

事業モデルの変更に伴い、パンフォーユーでは経営陣によるMBOにより、スタイルブレッドとの資本提携を解消。今回の調達資金であらためて、複数のベーカリーを供給元としたサービスの再構築、運営体制の強化を図る。

「現在は7軒、10月には関東圏を中心とした10軒以上のパン屋との取引がスタートする。世の中に知られていないパンは全国、全世界にあるが、今後はそれを開拓していきたい。同時にオフィス販路を開拓することで、法人以外にも利用が広がっていくことを目指していく」(矢野氏)

矢野氏はまた「パン購入者が増え、購入データが増えることで、消費者の好みや、どういうものを食べたときにおいしいと感じるのか、といったデータの蓄積もできれば」とも話している。

ロボアドバイザー「THEO」を提供するお金のデザインが7億円を追加調達——損保ジャパン、凸版印刷から

AIを活用した個人向け資産運用サービス、いわゆる“ロボアドバイザー”の「THEO(テオ)」を提供するお金のデザインは10月1日、損害保険ジャパン日本興亜凸版印刷を引受先とする総額7億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

お金のデザインは2013年8月の創業。2018年6月のシリーズEラウンド・ファーストクローズでは、東海東京フィナンシャル・ホールディングスを引受先とする50億円の第三者割当増資を実施しており、今回の調達はこれに続く追加増資。創業からこれまでの累積資金調達額は109.6億円となる。

お金のデザインでは、損保ジャパンと金融サービス分野で協業を図るほか、「人生100年時代」を見据えた退職者世代の資産寿命延伸をテーマとした新サービス展開も検討していくという。また凸版印刷とも相互に技術・ノウハウを活用したサービス検討を進める意向だ。

同社の主力サービスであるロボアドバイザーTHEOは、ユーザーの年齢や金融資産額、投資傾向などの情報から、それぞれに合ったETF(上場投資信託)を組み合わせたポートフォリオを提案、運用するというもの。20代・30代を中心に、9月末現在で運用者は5万5000人を超えたという。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)サービスの「MYDC」や機関投資家向けチャネル「ARCA GLOBAL ASSET」といったサービスや、地銀各社との協業でロボアドバイザーサービスを提供する「THEO+(テオプラス)」、NTTドコモとの協業でdポイントを使った投資サービス「THEO+ docomo」なども展開している。

サブスク型のランチ“持ち帰り”サービス「POTLUCK」がNOWから資金調達、渋谷から提供開始

月額定額制でさまざまな飲食店のランチをテイクアウトできる「POTLUCK(ポットラック)」。同サービスを提供するRYM&COは9月28日、ベンチャーキャピタルのNOWから資金調達を実施したことを明らかにした。具体的な調達額は公開されていないが、数千万円前半になるという。

POTLUCKの特徴は事前決済、事前予約制を導入することでスムーズにランチをテイクアウトできる点だ。

サブスクリプション型モデルなので注文ごとに毎回決済をする必要もなく、メニューも当日の10時までにオンライン上で気になるものを選んでおくだけ。指定した時間に店舗に行けば、すぐに料理を受け取ることができるので、ランチタイムの混雑に巻きこまれて疲弊せずに済む。

飲食店側にとっても決済の手間がないのは楽だし、事前に注文が決まっているので当日急にバタバタすることもない。テイクアウトの上限数を指定しておくことで、無理のない範囲で始められる。

ランチ時に店内が混み合っている店舗でも、この仕組みを用いてより多くの顧客に食事を提供することが可能。オープンしたばかりの店舗など認知度拡大が課題の場合は、最初の接点を作るための手段としも活用できるかもしれない。

もともとPOTLUCKは“ランチ難民”と言われるような人が抱える問題を解決するとともに、「飲食店とユーザーが継続的に関係性を構築していけるような仕組みを作ること」を目指して開発されたサービスだ。

そのためシンプルな事前予約・事前決済サービスではなく、あえてサブスクリプション型のモデルを採用。デリバリーではなくユーザーが店舗まで訪れるテイクアウトに焦点を当てた。この辺りの詳しい背景などについては、前回RYM&CO代表取締役の谷合竜馬氏に話を聞いているので参考にしていただければと思う。

RYM&COでは今月3日より、まずは渋谷エリアからPOTLUCKのβ版をスタート。現在は同エリアの飲食店約20店舗が対象で、カレーやラーメン、おばんざい、ハンバーガー、トルコ料理などバラエティ豊かなランチを持ち帰ることができる。

1ヶ月あたりのチケット数(注文できる回数)ごとに応じて3つのプランが用意されていて、1食あたりに換算すると600〜680円ほど。各店舗は複数のメニューを設定できるほか、チケットを1.5枚や2枚使うことで購入できるハイグレードのメニューも作れる。

実際の反響を谷合氏に聞いて見たところ、ユーザー側は「受け取り時間がなく、美味しいものを食べられる」点が響いているのだそう。現在は20代後半〜30代前半がメインの利用者層だ。

また各ユーザーが事前にチケットを保有していることもあり、せっかくなら使わないともったいないという心理が働くのか、掲載したばかりの店舗にも予約が入りやすく「(予約が多い店舗では)1日に約20件の予約がある」(谷合氏)のだという。

一方でテイクアウトであるがゆえに店舗数の拡充に関してはまだまだ課題があるようだ。たとえば渋谷と言っても、宮益坂にあるオフィスから道玄坂の飲食店までランチを取りに行くかというと、よっぽど気になるお店があるか時間に余裕がない限り難しいだろう。

基本的には徒歩でさっと行ける所にどれだけバラエティに富んだお店があるかがポイント。これから表参道や恵比寿、代官山などにエリアを広げる予定はあるものの「どんどんエリア拡大をしていくというよりは、各エリア内でどれだけコンテンツを充実させられるかを重視している。そこでのネットワークを深めてコミュニティを育てていきたい」(谷合氏)という。

今回調達した資金はエンジニアの採用や運営体制の整備などに用いる方針。プロダクトの機能改善を進めるほか、少し先ではアプリ版の開発にも取り組む計画だ。

「(POTLUCKという選択肢ができることで)その街のランチタイムの概念やお昼休みの使い方をどのように変えていけるのか。そこのシーンが変わったら、社会的なインパクトも大きいはず。まずは渋谷でしっかりとしたポジションを確立するところから挑戦していきたい」(谷合氏)

中国のDidi Chuxingが10社対象のタクシー呼び出しサービスを日本で展開

中国のDidi Chuxingは自分の国で火消しに追われているが、海外では新しい市場を開拓中で、今度日本ではタクシーの予約サービスを始めることになった。

すでに人口900万の都市大阪と関西国際空港などの周辺地区でサービスを開始しており、そのDidi Japanは乗客を地元のタクシー会社10社のドライバーとリンクする。Didiによるとそれは、AIを利用する配車と車両管理システムにより効率を上げている。

時価総額560億ドルのDidiは、SoftBankとのパートナーシップにより日本に進出した。SoftBankはもちろん、他の投資家たちと共に同社に投資もしている。Didiによると、今後は京都、福岡、東京などの大都市にサービスを拡張する計画だ。

同社のサービスはライセンスを持つタクシーに限定され、私有の車のライドシェアは日本では禁じられている。しかし日本では、従来型のタクシーがビッグビジネスである。売上(取引総額)は130億ドルで、世界第三位のタクシー市場だ。タクシー免許車両はおよそ24万台ある。

Uberも日本で似たようなタクシーサービスを試みているが、この分野はもっと大きな選手がいる。

JapanTaxiは、川鍋一朗が経営するライドシェアスタートアップで、彼は日本最大のタクシー会社日本交通のトップであり、タクシー企業の全国団体全タク連の会長でもある。JapanTaxi株式会社は、最近の6900万ドルの投資ラウンドでトヨタがリード投資家になるなど、ビッグネームの支援者がいる。

さらにまた、人気のメッセージングアプリLineがライドシェアを初めており、そしてアメリカ市場でUberのライバルであるLyftが、日本進出を検討している

Didiは、旅行者と地元民の両方に訴求することによって競合に抜きん出ることをねらっている。日本を訪れる観光客の関心を引くために、外国(中国、メキシコ、オーストラリア、香港、台湾など)のDidiアプリのユーザーが日本の通常のDidiアプリを使える“ローミングパスポート”という機能を作り出した。

SoftBankとDidiは2月に合弁事業を発表したから、日本進出はそのときから匂っていた。そしてこれは、Didiが今年行なう5つ目の拡張だ。同社は昨年末に40億ドルの資金を調達し、その資金をAIと同社のコアテクノロジー、および国際市場に投入した。

Didiのグローバル展開は、ブレーキを踏むことなく着実に行われている。メキシコオーストラリアには支社の形で進出し、またブラジルではユーザーのライバル99を10億ドルで買収、そして台湾はフランチャイズ方式で進出した。そのほか、投資や株式保有の形でのグローバル化もある。それらは、アメリカではUber、インドではOla、東南アジアではGrab、中東ではCareem、そしてヨーロッパとアフリカではTaxifyなどなどだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Web接客ツール「CODE」提供のエフ・コードが2.8億円を調達、マイナビなどと資本業務提携

ウェブマーケティングツール提供とコンサルティング事業を展開するエフ・コードは9月27日、マイナビ、オークファン、そして複数の個人投資家を引受先とした普通株式の発行による第三者割当増資の実施、ならびに日本政策金融公庫による挑戦支援資本強化特例制度の適用を受け、合計約2.8億円の資金調達を実施したと発表した。シリーズAと位置付ける2018年4月以来の資金調達額は累計で約4.2億円となる。

調達した資金をもとに財務基盤の強化を図るとともに、2018年7月(7月17日)にローンチした次世代型Web接客ツール「CODE Marketing Cloud」の持続的な開発による機能拡充、およびこれを軸とした事業の成長促進を加速させる。「CODE Marketing Cloud」に関しては以前に詳しく紹介しているので、そちらを参考にしていただきたい。

マイナビは運営する各メディアにおいて「CODE Marketing Cloud」の活用を検討。メディアの利便性・価値の向上を図るとともに、将来的には互いの強みを生かした新たなビジネス開発も見据え、協働を進めていく。オークファンとも同様に、オークファンのデータ面における強みとエフ・コードの技術の連携により、新たなデータビジネスの構築に取り組む。

「CODE Marketing Cloud」はリリース直後より、大手企業を始めとした数十社への導入が進んでいる。導入した企業は、Webサイト来訪者の訪問回数・訪問ページ等の行動履歴や連携した外部データソースの情報を元に、Webサイト内のユーザー一人ひとりへの接客を最適化することが可能になり、CVR向上やROI向上などの成果が見込める。また、ツールの運用支援コンサルティングを行うことで、マーケターの工数を削減すると同時に、効果的な導入・運用のためのサポートにおいても価値を提供する。

エフ・コード代表取締役社長の工藤勉氏は今回の調達に関して「“データの利活用”に資する機能を中心とした商品開発」が大部分となると話した。同氏は「この先、我々は様々な資本提携を結んで行くと考えている」と話した上で「各事業社間で上手くデータを利活用するようなスキームを我々が間に立って作っていければ良いのではないか」と説明していた。今後も取材を続けたいと思う。エフ・コードが経営理念として掲げる「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」という世界観が今後、更に大きなものになることを期待したい。

仮想通貨税金計算サービスのクリプタクト、ジャフコ、マネーフォワードらから3.3億円を調達

仮想通貨投資家向けの税金計算および資産管理サービスを提供するクリプタクトが、3.3億円の資金調達を発表した。ジャフコ、マネーフォワード、D4V投資事業有限責任組合、ベンチャーラボ、SV-FINTECH1号投資事業有限責任組合、スマートキャピタルらを引受先とする第三者割当増資を実施する。

同社は合わせてマネーフォワードとの業務提携を発表した。まず、セミナー開催など仮想通貨分野の情報提供に取り組む。将来的には、マネーフォワードのサービスから、クリプタクトの仮想通貨投資家向け機能を活用するなどの連携も考えているとのことだ。

調達した資金の使途として、(1) マーケット成長のための情報発信、(2) 新たな仮想通貨投資家向けサービスを含めたワンストップの投資家支援プラットフォームの提供、(3) 人材採用を挙げている。

クリプタクトは、ゴールドマン・サックス出身で金融分野のエンジニアおよび投資家の経歴を持つアズムデ・アミン氏が代表取締役となり設立。2017年12月に最初のサービスとして仮想通貨投資家向けの無償の税金計算サービス「tax@cryptact」を公開した。2018年2月には税理士向けの有償サービス「taxpro@cryptact」(関連記事)を、同3月には仮想通貨のポートフォリオ管理機能サービス 「portfolio@cryptact」(発表資料)をそれぞれ開始。これらを統合して仮想通貨投資家向けのプラットフォーム「grid@cryptact」を提供する。今後は、仮想通貨の情報収集、分析、投資実施までワンストップで行えるプラットフォームの構築を目指すとしている。

クリプタクトのサービスの利用者は、現在約3万人。一方、日本で仮想通貨投資を行っている利用者は350万人とみられている。「そのほぼすべてのユーザーが税金計算サービスtax@cryptactについてはターゲットになる」(クリプタクト)。その理由は、日本の仮想通貨の税制が煩雑なため、税金計算にはツールが必須となるためだ。

今の日本の税制では、仮想通貨の取引ごとに法定通貨建てで実現損益を計算して申告することが求められる。そのため仮想通貨投資家の税金計算の負担は非常に大きい。クリプタクトによれば、「単一の取引所で円建での売買しか取引せず、かつ取引件数が手計算で行えるほど少ない場合を除けば、税金計算ツールの利用は欠かせない」としている。事実上、仮想通貨取引を行っているほぼすべてのユーザーにとって税金計算ツールが欠かせないとの見解だ。

今回同時に発表したマネーフォワードとの提携は、短期的にはセミナーなど情報発信から始める形だが、将来的にはマネーフォワードのサービス内で、クリプタクトの仮想通貨の資産管理や税金計算ができる方向を目指しているとのことだ。

「マネーフォワードとの連携では、仮想通貨の業界をより成熟・健全化していくために協力してく。例えば納税に関するサポートは業界のさらなる健全化につながる」とクリプタクトは説明する。

今、日本の仮想通貨を取り巻く状況は厳しい。その背景には、仮想通貨の大量盗難事件、仮想通貨交換業者に対する相次ぐ行政処分、そして2017年末の価格のピーク時と比べて相場が大幅に下落していることなどがある。規制強化にともない仮想通貨交換業のライセンスのハードルは高くなり、ライセンスを前提としたビジネスを考えていたスタートアップ企業は計画の見直しを迫られている。このような状況のもとで、税金計算など仮想通貨投資家を支援するツールの整備が進むことは、仮想通貨市場の健全化という観点で見ても、また仮想通貨の税制の煩雑さに悩む個々の利用者にとっても良いニュースといえるだろう。

語学力よりつながり重視、多様性をフラットに楽しめる英会話カフェ「LanCul」が5600万円を調達

LanCul代表取締役CEOの阪野思遠氏

語学スクールより気軽に英語での会話を楽しみたい。身に付けた英語を忘れないように話す機会を持ちたい。そうした人たちに向け、最近、都市部を中心に英会話カフェのサービスが増えている。その英会話カフェ事業を展開するLanCul(ランカル)は9月25日、日本ベンチャーキャピタル、DBS、StartPointを引受先とする、総額約5600万円の資金調達実施を発表した。

LanCulは2013年2月の創業。下北沢でカフェと英会話を組み合わせた、いわゆる「英会話カフェ」を開設し、運営してきた。現在は、10月1日にスタートする2店を含めると、都内17店のカフェ・バーでサービスを展開する。1店舗目の下北沢の直営店以外では既存のカフェ・バーと提携し、空席をシェアする形を取っている。

LanCulのサービスは大きく分けて、グループトークの「CONEECT」とマンツーマンレッスンの「FOCUS」の2つ。主要サービスのCONNECTでは、ユーザーは予約不要で全店舗を利用可能。自分が行きたいときに各店を訪れて、ブラウザ上のシステムからチェックインした後は、飲み物や食べ物をとりながら「メイト」と呼ばれる外国人スタッフと自由に英語での会話を楽しめる。メイトの顔ぶれや混雑状況をクラウドで確認して、訪れる店を選ぶことも可能だ。

料金体系はスポーツジムと似ていて、いつでも通い放題のプランで月額1万9800円、平日夕方のみ通い放題のプランが月額1万1980円、平日午後のみ、または土日祝日のみ通い放題のプランでは、それぞれ月額9800円(いずれも税抜価格)。このほかに月4回・月2回利用可能なプランと、単発で1時間だけ利用できるプランがある。

月額制の通い放題各プランでは、規定の日時の範囲内であれば、何回でも、何時間でも通うことができる。また逆に30分だけ顔を出す、といったライトな使い方も可能だ。LanCul代表取締役CEOの阪野思遠氏は「コミュニティとして濃い付き合いができるようなサービス・料金設計をした。週4〜5回通うというユーザーもかなりの割合でいる。友だちとお茶する感覚で利用してもらっている」と話す。

阪野氏は「ユーザーが他の国の人の考え、文化の多様性に触れることができ、利害関係なしで会話できる場として、サービスを提供している。LanCulのグループトークでは、日本人同士でも英語で会話するのだが、年齢や肩書きなどの上下関係なしでフラットに話ができる。そういう会話を楽しむことで元気になってもらい、ユーザーの生活に活力をもたらす、というのが、LanCulで本来やりたいこと」と語る。

情報番組や雑誌、ウェブメディアなどでも話題となる英会話カフェには、競合サービスも多い。阪野氏は「競合には、語学スクールを母体にした英会話カフェが多いが、LanCulは元々の目的、サービスのアプローチが違う」という。「LanCulが目指すのは、会話によって他の文化に触れ、生活が豊かになること。多様性を実感して、人と人とのつながりをつくるために会話ができるようにしよう、というサービスなので、英語の上達そのものを目的にはしていない」という阪野氏。また、スクール発の英会話カフェでは、利用料金は安いがスクールの受講へつなげることを目的とした、客寄せ的なものもあるという。

語学×外国人とのつながりということで言えば、「フラミンゴ」のようにカフェで講師と待ち合わせてレッスンを受けられるような、スキルマッチングの仕組みもある。こうしたサービスについては、阪野氏は「英会話スクールと同じで予約が必要であることと、マンツーマンレッスンなので自分に合う先生を探す手間がかかるということが難点」と話す。「予約なしでも行ける利便性、コミュニティの濃さによる安心感がLanCulの特長。僕は人とのつながりを作るにはコミュニティが一番と考えている。LanCulでは会員同士の会話でもケミストリーが生まれている。『誰かいるから顔を出す』といったコミュニティの濃さは、マンツーマンでは難しい。つながりを育むことができるのがLanCulの価値だ」(阪野氏)

こうした「つながり重視」の考え方の原点は、阪野氏の生い立ちに由来する。阪野氏は上海出身。10歳の時、母の再婚で日本へ来ることになった阪野氏は、まったく日本語が話せなかった。初めは日本語も、日本の文化も受け入れられなかった阪野氏。だが、当時経験した言葉の壁・文化の壁、味わった挫折が阪野氏を「オープンにした」という。

「カルチャーを受け入れて好きになること、知りたいと思う気持ちができたことで、友人もできるようになり、言葉もわかるようになった。オープンになることで、コミュニケーションの“良い循環”ができる」と阪野氏。その後、英語も同じように「好き」「知りたい」というところからスタートすることで、すんなり身に付いたと話す。「コミュニケーションの濃さ、モチベーションの高さが外国語を身に付けるには重要。文法から入る語学教育は面倒くさいし、行きたくない気持ちが生まれて合理的ではないと思う。なぜみんな、違うやり方を続けるのか」(阪野氏)

LanCulでは外国人スタッフの採用でも語学重視ではなく、会話を盛り上げるファシリテーション能力、ユーザーがハッピーになれるかどうかを重視しているという。ユーザー側も最初は「アメリカ英語が学びたい」「イギリス英語が話せる人がいい」など、英語ネイティブによる会話を求めるが、結局は「楽しくなければモチベーションが下がり、続かない」ということで、楽しく会話できるメイトの方が人が集まるそうだ。現在在籍するメイトの数は、フルタイム、パートタイム合わせて約70名。出身国は約30カ国にのぼる。

今回の資金調達は、LanCulにとってシードラウンドにあたる。採用および店舗展開を加速し、2020年末までに関東一円を中心に100店舗までの拡大を目指すという。また、全国展開や東アジアなど海外への進出も検討しているそうだ。

現在は英語での会話ニーズが高いため、英語にフォーカスしているLanCul。だが「さまざまな国の出身者が自分の国や、旅してきた国のカルチャーを自然と伝える形になっている」と阪野氏はいう。今後、多言語展開も視野に入れていると言い、同じモデルで別の言語のサービスも考えているとのことだった。

さらに、よりテクノロジーを活用し、ユーザーに個別最適化された利用環境を整えたいというLanCul。阪野氏は「関連データの蓄積により、データを活用した何らかのサービスの提供にも取り組みたい」と述べていた。

AI活用でマンション売買をスマートにするHousmartが3億円を調達、事業者向けSaaSの開発も

中古マンションをスマートに購入できるアプリ「カウル」を運営するHousmart(ハウスマート)。同社は9月25日、アコード・ベンチャーズ、SXキャピタル、大和企業投資、CAC CAPITAL、フリービットインベストメントを引受先とする第三者割当増資により約3億円を調達したことを明らかにした。

ハウスマートでは調達した資金を活用して、他の不動産会社がカウルの仕組みを活用できるような事業者向けのバーティカルSaaSの開発・提供を進める方針。合わせて新機能の開発や人材採用、マーケティングの強化にも取り組む。

なお同社では2016年11月にもオプトベンチャーズ、BEENEXT、大和企業投資から1億円を調達している。

データから物件の将来価格を推定、おすすめ物件の提案も

カウルは機械学習を含むテクノロジーの活用によって、これまでアナログで人力の要素が多かった中古マンションを購入する仕組みを変えようとしているプロダクトだ。

中古マンションは近年ニーズが高まっている一方で、過去の売買データの整備が進んでおらず、物件の訂正価格など十分な情報を購入検討者が取得しづらいことが課題とされてきた。

この問題の解決策としてカウルでは独自の価格推定機能を搭載。新築時の分譲価格や約1000万件に及ぶ過去の売買・賃貸事例、築年数、物件の広さ、間取り、最寄り駅情報などのビッグデータをAIで分析し、現在から35年後までの推定価格を算出する。

1月にはこの仕組みをベースに“賃貸と購入のどちらがお得か”を瞬時に鑑定する「カウル鑑定」をリリース。同機能の背景や概要については以前TechCrunchでも詳しく紹介した。またユーザーのアプリ内での行動を学習した上で、希望条件と趣味嗜好を基に最適な物件をレコメンドする物件提案機能も搭載している。

とはいえ、ハウスマート代表取締役の針山昌幸氏によるとアルゴリズムにはまだ改善の余地があるそう。特に今はざっくりした要望の顧客に対しては精度の高いレコメンドが実現できていないそうで、今後はアルゴリズムの改良と共により多くのデータを集めることで同機能の強化を図っていくという。

現在は学区からマンションを見つけられるなど細かい条件を指定できる点や、気になる物件が売りに出された際にタイムリーに教えてくれる機能、値下がりした物件を自動で通知してくれる機能などに対するユーザーの反応が良いそう。

これらの作業をリアルタイムに営業マンが人力でやるのは困難で、特に物件の値下がり情報については「(他社物件の値下がりを)営業マンが正確に知る術はなく、毎日レインズ(不動産流通標準情報システム)を見ながら直感的に判断するしかなかった」(針山氏)という。

カウルの場合は裏側でデータベースを構築しているためこれらの作業を自動化できる点が特徴。継続的に会員数を伸ばし、8月には2万人を突破している。

不動産業者向けのバーティカルSaaSの展開も

これまでハウスマートでは社内に営業人材を抱え、直営で顧客のサポートを行ってきた。

ただ春先ごろより他の不動産会社から「カウルの仕組みを使いたい」という旨の問い合わせが増加。新たなニーズに気づくと共に、他業者へカウルを提供することで「もともと創業時から実現したかった『不動産の正解がわかるような世の中』をもっと早く実現できるのではないかと考えた」(針山氏)のだという。

それを機に開発を進めてきたのが、不動産業者がカウルを活用し顧客とのコミュニケーションを改善できるような仕組みだ。

前回も紹介したように、1社の不動産会社が売り主と買い主の双方を担当するのが一般的な不動産売買の構造であり、多くの事業者では売却(売り主側の支援)により多くの時間を使っている。結果的に購入(買い主側の支援)に使える時間が限られるため、ここに機会損失が発生しているのだという。

針山氏が約200社にヒアリングしてみたところ、売買に力を入れている事業者ではだいたい1営業マンあたり月10件くらいの購入問い合わせがあるものの、実際に契約に至るのは1件あるかないかなのだそう。

「本来であれば決まらなかった9人に対して他の物件を丁寧に紹介することができれば、顧客も喜ぶし営業マンも取引のチャンスが増えるはず。ただ売却の方で手一杯のために、そこまでやりきることができない」(針山氏)

写真中央がハウスマート代表取締役の針山昌幸氏

そのような事業者に対してカウルの仕組みを提供することで、営業マンに変わって自動で物件を提案するような環境を構築する。これが現在ハウスマートで開発を進めているプロダクトの特徴だ。

「1営業マンあたりで持てる顧客の数はだいたい20人ほど。この人数をしっかりフォローアップできればいい営業だと言われるが、物件の提案だけでも月に1人あたり5時間ほど、トータルでだいたい100時間はかかる。カウルの仕組みを使えば、この時間をほぼ0にすることができる」(針山氏)

上述したように、カウルでは物件提案を始め毎月のランニングコストの計算や将来のライフシミュレーションなど、従来営業パーソンが人力で行ってきた業務を自動化する。実際にハウスマートでは1人の営業パーソンが通常の約30倍に当たる600人以上の顧客をサポートしているそうだ。

事業者向けのプロダクトはバーティカルSaaSのような形で提供していく方針。現在は数社でトライアル的に導入をしている段階で、正式なリリースは年明けを予定しているという。

シェフ版のWeWorkで“飲食店経営のサービス化”へ――favyがマイナビから10億円を調達

“飲食店が簡単に潰れない世界”の実現に向けて、食領域で複数のサービスを展開するfavy。同社は9月25日、マイナビを引受先とした第三者割当増資により約10億円を調達したことを明らかにした。

favyと言えば6月に約5億円を調達したばかり。そこからわずか数ヶ月で新たに10億円もの資金を調達したことになる。

マイナビとは事業面で連携を深めて飲食店向けのサービスを一気に拡大していく狙いもあるが、どうやら調達した資金を基に新サービスを含むサービス群の拡充と、いわば“シェフ版のWeWork”とも言えるシェフ向けのコワーキングスペースの開発に力を入れていくようだ。

マイナビとのタッグで営業網を一気に拡大

以前から紹介しているように、favyの事業は幅が広い。

月間閲覧者数が6700万人を突破したグルメメディア「favy」を始め、簡単にホームページが作れる「favyページ」やサービスEC「ReDINE」といったWebサービスに加え、自ら飲食店も経営している。

現在もさらなるラインナップの拡充を進めていて、つい先日にはキッチンも客席もシェアするレストラン「シェフのためのコワーキングスペース」を今秋銀座にオープンすると発表したばかり。また本日より前回取り上げた飲食店向けのMAツール「顧客管理ツール」と、favyの導入店舗へ食材や調理器具、サービスを紹介できるプラットフォーム「favy store」の提供も始めた。

冒頭でも触れた通り、favyにとって今回の資金調達のポイントのひとつはマイナビとタッグを組んだことだろう。今年に入ってぐるなび×楽天食べログ(カカクコム)×KDDIRetty×ヤフーといったように、グルメサービスを提供する各社と他業界の大手企業が連携を深めている。

favyのパートナーはマイナビということになったが、特に営業面でプラスの影響が大きいようだ。同社代表取締役社長の髙梨巧氏によると、すでに「マイナビバイト」を運営するマイナビのアルバイト情報事業本部とfavyのサービスの販売協力トライアルを都内で始めているそう。

これまでfavyでは東京と大阪の2拠点で営業を進めていて、顧客となる飲食店もその2地域が中心だった。そこに営業体制1000名以上、60を超える拠点をもつ同事業部のリソースが加えることで全国の飲食店へfavyのプロダクトを一気に広げる計画だ。

高梨氏いわく「B2BのSMB(中小企業)向けのプロダクトは泥臭い営業活動が重要」であり、「現在約50人体制の社内営業チームを大幅に強化し営業の面を作ることで、プロダクトの拡充だけでなく飲食店とのマッチングを進めていく」という。

また採用面に強みを持つマイナビと飲食店向けの採用ブランディングサービスを共同開発し、飲食店の人手不足に関する課題の解決も目指す。

ソフト領域のサービス拡充とハード領域への進出

並行して、調達した10億円を使ってfavyはこれからどんなことに取り組むのか。鍵となるのは「ソフト」と「ハード」という2つの軸だ。

favyではこれまでSaaSのような形で、飲食店の“集客”の課題を解決するプロダクトを軸に展開してきた。本日より提供開始となったMAツールもまさにこの領域のサービスだ。

今回マイナビとタッグを組むことで採用面でのプロダクトも今後強化できるだろうし、多くの飲食店をサポートしたり直営店で貯めたナレッジを活用したりすることで、メニュー開発や企画の面でも飲食店を支援できるだろう。

これまでサービスの拡充を図ってきた中でソフト領域がある程度整ってきたからこそ、「ハード領域にも積極的に取り組んでいくフェーズ」(高梨氏)に変わってきたのだという。

それに向けた動きのひとつが本日スタートしたfavy storeだ。ここには飲食店の「仕入れ」をサポートするプロダクトで、食材はもちろん、調理器具、家具、ユニフォーム、清掃、予約サービス、店舗BGM、アプリなど飲食店経営に役立つツールが掲載される。

メーカーなど出店する企業にとっては、favyを導入する全国3万店舗以上の飲食店に掲載料無料で自社の商品を紹介できるのがメリット。高梨氏によればこのサービス単体で収益化を図る意図はないそうで、サービスの利便性が増した結果「飲食店がfavyを選ぶ理由になればいい」と話す。

まずは100以上のストアがサービス上に並ぶことを目指していて、調達した資金の一部はこのfavy storeやMAツールのシステム開発、エンジニアの採用強化に用いる。

WeWorkがオフィスをサービス化したように、飲食店経営もサービス化

そしてもうひとつ、favyが資金を投じて取り組んでいるのが、シェフが料理だけに集中できる新しい形態のコワーキングスペース兼シェア型レストランだ。

「WeWorkがオフィスをサービス化したのと同じようなことを、飲食店でもできるのではないかと考えている。シェフが自分で飲食店を構え、運営するにはかなりの初期コストがかかる。料理を作る以外の部分をフルセットでサポートすることで、飲食店経営をサービス化したい」(高梨氏)

高梨氏の話す通り、favyのコワーキングスペースではシェフが起業する際の課題となる「出店コスト」「スタッフの採用」「集客ノウハウ」が必要ない。

見た目は1つの飲食店に見える約120坪(120席ほどを予定)の店舗のキッチンには5人のシェフが滞在でき、それぞれに調理機材と収納スペースが用意。客席はもちろん、ホールスタッフも5人でシェアをする(スタッフはfavyが採用)。集客面でもfavyのグルメメディアと、同社が培ってきたナレッジを用いたサポートを受けられるのが特徴だ。

キッチンに立つシェフは定期的に入れ替わり、某アイドルグループの総選挙のように来店者が飲食店を評価し、ランキング化される仕組みを考えているそうだ。

「スタートアップ的な表現をすると、シェフがもっと簡単にPMF(プロダクトマーケットフィット)を図れるようにしたい。一度自分で飲食店を始めると、ピポットをするのも難しい。最初に初期コストを抑えて色々と試し、コアなファンができた段階で自分の店舗を持てばリスクも少ない」(高梨氏)

高梨氏によると以前から飲食店経営のサービス化の構想やシェフ向けのコワーキングスペースのアイデアがあったそう。これまでの期間は、そこに必要なモジュールをひとつずつ仕込んでいた段階だったと言えるのかもしれない。

favyでは今秋を目処に第一弾となるスペースを銀座にオープンする計画。「1拠点を作るのにけっこうなコストがかかる」(高梨氏)そうで、急激に多拠点展開をするという訳ではなさそうだけど、今後全国に同様のスペースを広げていきたいという。

街のおでかけメディアとSaaSでリアル店舗の集客課題解決へ、Patheeが三井物産らから6.5億円を調達

写真左からEight Roads Ventures Japanの村田純一氏、Pathee代表取締役の寺田真介氏、三井物産の大久保忠治氏

徒歩5分圏内の地域情報を検索できるサービス「Pathee(パシー)」を提供するPathee(2018年2月にトライトゥルーから社名変更)は9月25日、既存株主のEight Roads Ventures Japanに加え、三井物産(リード投資家)、地域創生ソリューション、第一勧業信用組合、シークウェル、SMBCベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資により総額6.5億円を調達したことを明らかにした。

Patheeでは今回調達した資金を基にビジネスサイドおよび開発組織の体制強化を進める方針。コンシューマー向けのおでかけメディア「Patheeメディア(Web版のPatheeのような位置付け)」、実店舗のマーケティング課題を解決するSaaS「Patheeパートナー」の拡大を目指す。

なおPatheeにとって今回のラウンドは2017年6月にEight Roads Ventures Japanなどから3億円を調達したシリーズAに続くもの。同社ではそれ以前にも2014年にオプトベンチャーズらから1.3億円を、2012年にはサムライインキュベートから数百万円規模の資金を調達している。

目的に沿ったスポットを探せるローカル情報検索サービス

同社が以前から手がけているPatheeについては何度も紹介しているけれど、個人的には初めて使ってみた際に「周辺のスポット検索に特化した『かゆい所に手が届くGoogleマップ』のようなツール」という印象を受けた。

Patheeは現在地やこれから向かうエリアから「徒歩5分圏内にあるお店やスポット」を検索できるサービスだ。

たとえば急にトイレに行きたくなって現在地付近でトイレを探したい場合、待ち合わせの駅に早く着いてしまったので少し休めるスポットを探したい場合、出先で切らしてしまった文房具を買いたい場合など、目的に沿った場所を検索できる。

この“目的に沿った”というのがPatheeの最大の特徴であり、意外と他のマップツールでは実現できていない価値だ。

たとえば「新宿で少し休憩できる場所」を検索するために、「新宿 休憩」というキーワードでGoogle検索をしてみる。すると休憩所や展望休憩室などスポット名に「休憩」と含まれる場所に加え、たくさんのホテルが表示される。

一方Patheeの場合だとどうなるか。アプリで検索すると出てくるPatheeメディアのコンテンツを見てみると「新宿パークタワー8Fに誰でも利用できる休憩ラウンジがある」とか「小田急百貨店 新宿本館の屋上はベンチ数が申し分なくて子どもが遊べるスペースが充実している」といった密な情報が出てくるのだ。

Patheeメディアのコンテンツはアプリとも連動。該当するコンテンツがある場合はWebだけでなくアプリ上でもチェックできる

Patheeはユーザーの目的がより具体的なほど、そのポテンシャルを発揮する。たとえば前回も紹介したけれど「カレンダー」を探している場合、必ずしも文房具店に絞る必要はないかもしれない。

近年のドラッグストアではコスメやお菓子など医薬品以外の商品が充実しているお店も多いが、近くの店舗で「コスメ」を買いたいユーザーにとって、ドラッグストアでもニーズを満たせる可能性はあるだろう。

「ユーザーは達成したい目的があって検索し、お店に行く。“お店のジャンル”という括り方は時代に合っていない。目的をベースにお店を探せるメディアが求められているが、そこに対してアプローチしているサービスはなかった」(Pathee代表取締役の寺田真介氏)

そもそも飲食店の情報を扱うサービスは複数ある一方で、非飲食店の情報を整理したサービス自体が少ない。その情報をユーザーの目的に沿った形で検索できるようにしたことで、事業の成長に繋がっているという。

寺田氏によるとPatheeメディアは2017年6月の調達時から約1年でMAUが300%成長し、月間のPVも800万を超えたそう。90%がスマホからのアクセスということもあり、出先でお店を探す際に重宝されているようだ。

Patheeと連携したSaaSで小売店舗のデジタルシフトを支援

このPatheeメディアをフックとして、現在同社が力を入れ始めているのが小売店舗のデジタルシフトをサポートするSaaS型のプロダクト「Patheeパートナー」だ。

メディアの成長に伴って店舗からの問い合わせが増える中で、約100店舗へヒアリングを実施。そこで見えてきた店舗側のニーズに応えるべく、4月に同サービスをローンチした。

「Web上でのプレゼンスを高めたいというのはもちろん、特にこだわりのある店舗ではユーザーに対して伝えたい情報はあるけれど、上手く届けられていないという課題があった。突き詰めるとマーケティングに関して課題を感じている店舗が多かったので、そこを支援しようとヒアリングベースで作ったのがPatheeパートナーだ」(寺田氏)

もちろんInstagramやTwitterなどを器用に使いこなす小売店舗もあれど、全ての店舗がデジタル化の波に乗れているわけではない。そもそもホームページがなかったり、あっても更新が止まっている店舗も存在する。

飲食店は食べログやホットペッパーなどのグルメサービスが比較的普及しているが、非飲食店に関してはWebサービスを使いこなすという文化も根付いていない。海外であればYelpがローカルビジネスのレビューサイトとして飲食店以外の情報も広くカバーし、様々な企業が広告を出稿していたりもするけれど、日本の場合はまだ空いている領域と言えるだろう。

そんな小売店舗のマーケティング課題を解決すべく、Patheeパートナーでは「店舗がやらないといけないコンテンツマーケティングを全部カバーする」(寺田氏)プロダクトを展開していくという。

同サービスは簡易ホームページ作成ツールのような機能を備え、そこにインスタを始めとしたSNSやブログの最新情報をウィジェットっぽく自動で取り込むことで、情報を一箇所に集約することが可能。管理画面から複数のSNSやGoogleマイビジネスなど、リアル店舗を運営する際によく使うツールを一元管理することもできる。

そのほかチェーン店向けに店舗情報や権限を管理できる機能のほか、クーポンの発行機能や、Patheeメディアの記事と連携したアクセス統合分析機能などを備える。

各種ツールの運用にかかっていた時間を削減するだけでなく、分析機能を使って「どのような目的を持ったユーザーが店舗ページに来店しているか」を把握し、店舗の運用に活かせる点も特徴。一例をあげると、靴屋が「サンダルを紹介した記事とスニーカーを紹介した記事では、どちらがより多くのユーザーを集めているか」を分析することで、これまで掴めていなかったユーザーのニーズを探るといった具合だ。

寺田氏の話では4月のリリースから約5ヶ月で100店舗近くまで導入が進んでいるそう。今はチェーン店での利用が多く、ジャンルとしてはインスタ受けが良さそうなアパレルや靴、水着、ジュエリーといった「おしゃれ小売」店舗が中心だ。

今後は調達した資金も活用して、PatheeメディアとPatheeパートナーの2軸で事業の拡大を目指す方針。特にPatheeパートナーについては新機能も追加し、リアル店舗がその存在感を高められるような仕組みを整備しながらマネタイズも進めていくという。

「この領域はユーザー側だけをやっていても店舗だけをヨイショしていてもダメで、両軸を良くしていかないと難しい。その意味ではSaaSを通じて小売のデジタルシフトの手助けができれば、その情報を見るユーザーの実店舗での買い物も、もっとしなやかにできると考えている。ここを起点にビジネスも世の中も変えていくチャレンジをしていきたい」(寺田氏)

サイバーの小学生プログラミングコンテスト、初代優勝者は“全てがオリジナルのスマホゲーム”を開発した5年生

2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化される。しかし、サイバーエージェントグループでプログラミング教育事業を行うCA Tech Kidsは「算数・理科などの既存の科目内での限定的な実施となり、経済産業省の試算では2020年に37万人のIT人材が不足する見込みとなるなど、世界的にも日本のプログラミング教育が遅れていることから、民間団体による強化が重要な課題となっている」との懸念を抱いている。

そのような課題の解決に向け、同社は国内最大級の“小学生のためのプログラミングコンテスト”「Tech Kids Grand Prix(テックキッズグランプリ)」を本年、初めて開催した。イベントの司会を務めた代表取締役社長の上野朝大氏によると「子供達がプログラミングを学ぶことに世間の関心が非常に高まっている一方、多くの人がまだその重要さを十分に理解していない」という。

「我々はプログラミングは優れた技術であって、何かを実現するための優れた手段だと考えている。小学生のような子供達であっても、プログラミングを使いこなせば作りたいものを作れたり、困っていることを解決できたりする。それを多くの人に知ってほしいと思い、今回のコンテストを開催する運びとなった」(上野氏)

9月24日、渋谷ヒカリエで行われた決勝プレゼンテーションでは「ゲーム部門」と「自由制作部門」でそれぞれ6名ずつ計12名の小学生が登壇し、自身の開発した自慢の作品を発表した。ファイナリストは国内外より集まった1019件のエントリーの中から選出された強者たちだ。

総合優勝を果たした宮城采生さん

見事に総合優勝を果たしたのは小学校5年生で10歳の宮城采生(みやぎ・さい)さん。デザイン・プログラミング・BGMなど“全てがオリジナルのスマホゲーム”を発表し、ゲーム部門で1位に選出された後、初代グランプリに輝いた。

「オシマル」と題されたゲームを開発した宮城さんは去年の夏から真剣にプログラムに取り組むようになったという。開発にはMac版Unity、素材にはMac付属のソフトとiPadアプリを使ったそう。スタッフとして「ゲーム制作は自分、テストプレイは家族や友人」と説明するなど、“チームでの開発体制”を意識していたのが印象的だった。

ゲームはCPUを相手にした対戦型のもの。自分が左右に操作する“アニマル”を3体ゴールさせることでクリアとなる。キャラクターは数種類あり、「種類によってコストや性能が違う」ので状況に応じて使い分ける。

タイトルは「アニマルブロックが押し合っている印象から」オシマルと名付けたそうだ。タイトル画面も「ゲームの方向性に合うよう密度感を表現した」と説明するなど、かなりロジカルに世界観の表現を追求していた。審査員からの質問に対し「iPad一つで向かい合って勝負ができる」機能を実装したいと今後の展望を話していた。

Tech Kids Grand Prixの審査項目は「掲げる夢や実現したい世界観」「夢を実現するクリエイティブなアイデアとそれを体現した作品」「自身のビジョンやプロダクトを社会に発信していく姿勢」の3つ。若い感性から生まれたユニークな作品はどれも自由で興味深かった。「大好きな“数学”を友達にも楽しんでもらいたい」「僕のソフトで世界を変える」など名言が盛りだくさんのコンテストだったが、その熱い気持ちを忘れず、テクノロジーでより楽しく美しい世界の実現を目指してほしい。近い将来、TechCrunch Japanで取材できる日を楽しみにしている。

テックビューロ、「Zaif」ハッキング被害による仮想通貨流出額は約70億円と判明

9月14日に発生した不正アクセスにより、顧客の預かり仮想通貨を含む仮想通貨が流出したと発表していたテックビューロ。同社は9月21日、前回の発表で「調査中」としていたMONA、BCHの流出額が判明したと発表した。

今回発表された流出数量、損失総額は以下のとおりだ。(レートは、2018年9月18日の終値で計算。BTC:712565円 、MONA:107.7円 、BCH:49795円)。

  • BTC 5,966.1 (円換算で約42億円)
  • MONA 6,236,810.1(円換算で約6億7000万円)
  • BCH 42,327.1 (円換算で約21億円)

以上を合計すると、損失総額は約70億円となる(前回の発表では約67億円と発表されていた)。なお、今回の発表における流出数量は、盗難による送金先のアドレスに入金のあった仮想通貨の数量から推計したものであり、実際の損失総額はこれよりも多くなる可能性がある。テックビューロは「弊社サーバの復旧により正確な数量が判明し次第、場合により訂正のご報告をさせていただきます」とコメントしている。

ユーグレナ、新株予約権の発行により約50億円の資金調達へーー2020年9月期までに売上300億円めざす

ユーグレナは9月20日、同日開催された取締役会においてSMBC日興証券を割当予定先とした第三者割当により新株予約権を発行すると発表した。これにより、新株予約権が行使された場合の資金調達額は約50億円となる。

ユーグレナは2020年9月期までをターゲットに、グループ連結売上高300億円の達成と、国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を掲げた中期経営計画を発表している。同社は今回調達した資金を利用して、シナジーや顧客基盤の強化が見込まれるヘルスケア分野などでのM&A、PR戦略による顧客基盤の強化、新規素材開発などの研究開発を推進するとしている。

同社はこれまでに、健康食品の通販事業を手がけるクロレラサプライ、女性向けサプリメント通販事業のフックなどを完全子会社化している。今後も、ユーグレナ本体の販路の拡大やシナジー効果を最大化するためのM&Aを積極的に行っていく方針のようだ。

なお、ユーグレナは新株予約権の発行という手段を選んだ理由について、「既存株主の利益に配慮
し当社株式の過度な希薄化の抑制や株価への影響を軽減するとともに、当社の資金需要や株価の
状況に応じた資金調達の柔軟性を確保すること、および中期経営目標の実現を図ることが可能な資金調達を行うことに重点を置いて、多様な資金調達方法を比較検討してきた」結果であるとコメントしている。

リンクアンドモチベーションが転職クチコミサイト「Vokers」に22.5億円出資、持分法適用関連会社に

経営コンサルティング事業を展開するリンクアンドモチベーションは9月20日、就職・転職クチコミサイト「Vorkers(ヴォーカーズ)」を運営するヴォーカーズとの資本業務提携を締結したと発表した。今回の出資金額は22.5億円。ヴォーカーズにとって、これが初の外部調達となる。また、今回の出資によりヴォーカーズへの出資比率が20%を超すことから、ヴォーカーズはリンクアンドモチベーションの持分法適用関連会社となる。

Vorkersは、日本最大級の社員クチコミによる就職・転職者向け情報プラットフォームだ。社員クチコミによる評価スコア件数は約630万件、登録ユーザー数は約245万人、1日の新規登録ユーザー数は3000人にのぼる。

今回の業務提携は、Vokersの新サービスである「Vokersリクルーティング」に関わるもの。この新サービスは、Vokersの登録ユーザーと採用したい企業とを直接マッチングするサービスだ。今回の業務提携のスタート段階では、リンクアンドモチベーションがVorkersリクルーティングの販売および運用の一部を担うという。

TechCrunch Japanは本日夕方、リンクアンドモチベーション取締役の麻野耕司氏、およびヴォーカーズ代表取締役社長の増井慎二郎氏にインタビューを実施する予定で、今回の資本業務提携の背景や、期待するシナジーについて聞く予定だ。

1品注文OKで送料無料の生鮮食品EC「クックパッドマート」が本日スタート、まずは学芸大学駅周辺から

過去にTechCrunch Japanでも紹介した、レシピサービスのクックパッドが手がける生鮮食品のECサービス「クックパッドマート」がいよいよ本日9月20日よりスタートする。

クックパッドマートはアプリで必要な食材を選択するだけで生鮮食品が手に入るECサービス。街のパン屋さんや精肉店などの小規模店舗(パートナー)で扱う“こだわりの食材”をアプリで購入することが可能だ。最大の特徴は、クックパッドマートでは1品から食材を注文することができ、送料も無料であるということ。貧乏性の僕は、「〇〇円以上で送料無料」となるとついつい無駄なものを買ってしまったり、買いだめしてしまったりする。でも、食材は鮮度が命。クックパッドマートを使えば無理に買いだめする必要がないのがうれしいところだ。

また、レシピサービスのクックパッドならではの仕組みとして、食材のレシピに必要な食材をまとめて購入できる仕組みもある。

クックパッドマートの仕組みは以下の通りだ。クックパッドはまず、ユーザーから指定された食材をパートナーである精肉店や精魚店で集荷する。そして、食材を集荷した当日中に“受け取り場所”と呼ばれるピックアップ地点まで配送し、ユーザーがその受け取り場所まで自分で食材を取りにいくというシステムだ。

クックパッドマートの受け取り場所

本日のリリース時点でクックパッドマートの受け取り場所として準備されているのは、東京・学芸大学駅周辺にある「なんでも酒やカクヤス 学芸大学前店」「カラオケの鉄人 学芸大学店」の2店舗。一方、食材を提供するパートナーは5店舗でスタートする。

クックパッドはこれまでに、すでに受け取り場所を提供するカクヤス(なんでも酒やカクヤス運営)と鉄人化計画(カラオケの鉄人運営)のほかにも、ツルハドラッグを運営するツルハやY2T STANDを運営するフェシリダージなど計5社との連携を発表しており、今後も受け取り場所とパートナーを順次拡大していく方針としている。

クックパッドマートのiOSアプリは、本日よりこちらでダウンロードできる。

チャットボットの“質問力”で働きたい個人と企業をマッチングする「TeamFinder」

HR Techの中でも、人材採用に関するプロダクトの進化が今年に入って活発になっているように感じる。8月に正式公開されたAIヘッドハンティングの「scouty」、採用面接や履歴書不要で働く人とお店などの求人をマッチングする「タイミー」、人の代わりにAIが採用面接する「SHaiN」、求職者になる前のファン層に、ポジションができる前から働きかけるタレントプール型の人材採用サービス「EVERYHUB」など、これまでの採用情報を告知して人材を募集する「媒体型」とは少し違ったアプローチのサービスが、続々とローンチしている。

NOBORDER(ノーボーダー)が8月20日にリリースした「TeamFinder(チームファインダー)」ベータ版も、新しい採用のあり方を提供しようとするサービスだ。TeamFinderが働きたい個人と採用したい企業・チームを結び付けるのに使うのは、チャットボット。個人ユーザーの回答を独自のアルゴリズムで分析し、条件に合う企業とマッチングする。

NOBORDERの創業者で代表取締役の竹田裕哉氏は、リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)で9年半、情報システムや法人営業、マネジメント職などに携わっていた。その後、HR関連ビジネスの事業部長やベンチャーの取締役を経験。2015年に1社目を起業した後、2018年1月にNOBORDERを設立した。リクルート時代から一貫して考えていたのは「適材適所をつくっていく」ことだと竹田氏はいう。

優秀なエージェントの「質問力」をプロダクトに反映

竹田氏は、TeamFinderにチャット形式を取り入れた理由について「パフォーマンスの高い人材紹介エージェントは、インタビュー能力が高い。そのインタビューをサービスとして再現しようとした」と説明する。

「給与の金額や条件だけでなく、求職者がどんな仕事にやりがいを感じ、どう働ければ幸せなのか、ということまで引き出せるエージェントこそ、よいマッチングを作ることができる。企業人事に対しても、いきなり『年収いくらぐらいの、どういう経歴の人が欲しいですか?』とか聞いちゃうような人は、あまりパフォーマンスが出ない。これはコンサルタント一般、もしくはお医者さんなどでも同じで、よい質問ができる人は課題を見つけやすく、問題を解決する能力が高いと言えるだろう」(竹田氏)

一方で、そうした能力は属人的でもある、と竹田氏は指摘。「当たる人によって得られるサービスが変わってしまう。そこで一流のエージェントが行うインタビューをチャットに落とし込むことで、どの人にも同じパフォーマンスでサービスが提供できるのではないかと考えた」と述べる。

TeamFinderでは、最初の登録時の質問は、最低限必要なものに5問程度答えるだけでよい。職歴などの登録も任意だ。

竹田氏はその理由をこう語る。「20代で転職が初めて、といったユーザーにとっては、あまり細かい質問に答えていくのは面倒くさいもの。また職務経歴書などのフリーフォーマットでは、人によって伝わる情報に差が出る。例えば同じ『営業』とあっても、対法人なのか個人向けなのか、ルートセールスか飛び込みか、などによって、営業に使う“筋肉”は全然違うはず。だから質問は、それよりも重要な情報だけに絞った方がいい」

竹田氏はまた「人材紹介サイトなどで、有名大学卒で上場企業の職歴で登録すると、それだけでスカウトがいっぱいくる。受け取る企業側にしても、バラバラのフォーマットにたくさんの情報が入っている状態になるので、読み取ること自体が大仕事になってしまう。読まれないものに無駄な工数がかかっている状態」とも述べる。

「TeamFinderでは、基本の質問に加えて、さらに回答していくことができる。例えばスタートアップで仕事がしたいといっても、立ち上げ直後で社員数名のフェーズなのか、数百人のフェーズなのかで、全く仕事の内容は変わってくる。どういうフェーズの会社に行きたいか、組織風土や価値観はどんなところがよいのか。プラスの質問で、基本回答の内容を因数分解していくとともに、定性的なことも尋ねて、レコメンドの精度を上げるようにしている」(竹田氏)

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TeamFindeの設問は全部で50問あり、追加の質問では答えたくないものはスキップすることもできる。8割方の質問は選択肢を選ぶだけで回答できるが、いくつか自由回答で答えるものもあるそうだ。竹田氏は「採用の面談の時に、少ない情報だけでは表面的な質問や会話しかできない。TeamFinderでは、企業と個人とで会話を深めるための設問を用意するようにしている。会話のきっかけづくりはUI・UXで実現できると考えている」と話す。

ユーザー登録は新卒・中途採用にかかわらず、誰でも可能。業務委託や兼業・副業での登録もできる。「ユーザーの45%ぐらいが兼業・副業での仕事を探している。そこのセグメントにはこだわらずに使えるようになっている」(竹田氏)

求人する企業側は、レコメンド対象としたい人材を設定することができる。竹田氏は「採用担当者にとって、既存のサービスの問題点は、業務の量が多くなり、効率が悪いこと」という。「採用担当者はよい人材を採るためには『とにかくスカウトしろ』『とにかく人に会え』と量をこなすことが推奨されがちだが、本当は会った人をどれだけ理解できるかが重要。適切な質問をすることで、TeamFinderは採用担当者の業務削減にもつなげられる」(竹田氏)

TeamFinderは、求職者と企業を直接結び付けるわけではなく、アルゴリズムに基づいてレコメンドを出すだけだ。また、恋愛マッチングアプリと同じように、レコメンドされた案件について双方が『気になる』とチェックしないと、連絡が取り合えない仕組みになっている。

採用時の成果報酬は発生せず、月額サブスクリプションモデルでサービスの利用が可能。求人登録を10件まで、人材レコメンドを5件まで、「気になる」アプローチを3件までに制限したフリープランは無料で試すことができる。求人登録数を無制限、レコメンド20件まで、「気になる」アプローチ10件までのエントリープランは月額3万円だ。

「“適材適所”は人材だけでなく、経営資源にも必要」と竹田氏は言う。「資金調達をしたスタートアップが投資する点といえば、マーケティングや採用。でも『採用にお金をかける』といって、現状では求人媒体への掲載料やエージェントへの報酬に費用がかかりやすい。本来なら、プロダクトの開発や、採用した人への給与といったことにお金をかけたいはず」と竹田氏。TeamFinderの価格設定はそうした考えにしたがったものだ。

また求人媒体で起こりがちな課題として「量と質のジレンマ」がある、と竹田氏は述べる。「媒体が大きくなり、閲覧者や求人情報が集まりやすくなればなるほど、見つけたい情報を見つけにくくなる。TeamFinderでは、10万件の案件、100万人のユーザーでもマッチングできるように設計している」(竹田氏)

CtoC、国境を越えたチームビルディングにも展開を予定

8月20日のベータ版ローンチから2週間で約300人がユーザー登録し、マッチングも成立し始めたというTeamFinder。今後、ユーザーインタビューも行いながら、プロダクトの改良を行っていくという。

さらに竹田氏は、起業家などチームビルディングを目指す個人を対象にした個人同士のレコメンドを、TeamFinderで年内にも始めたい、と話している。「個人と法人のマッチングを対象にサービスを開始したが、TeamFinderでは、個人対個人の人脈づくりやチームづくりも実現したかった。サービスを始めてみたら、ユーザーの45%が兼業・副業目的だったことで、CtoCのレコメンドも求められているはず、という仮説が合っていたことを実感した」(竹田氏)

ビジネスでの人脈づくりを目的としたサービスにはyentaなどもあるが、竹田氏は「設問の工夫で、レコメンドの理由も明確になるような形にして、チームづくりができるようなサービスにしたい」と述べている。

NOBORDERは7月にアメリカ・シアトルにも拠点を構えていて、米国法人立ち上げの準備も進めているという。次のステップとして、TeamFinderの海外版ローンチも目指しており、国境を越えたチームづくりができるサービスとしての展開を図っていく。

「アジアや中国へ拠点を作ってオフショアで事業展開する、というこれまでの動きではなく、エストニアで起業をして、セキュリティについてはイスラエル、デザインはサンフランシスコ、開発はウクライナで、といったような、国境を越えて共同で何かを作ることができる仕組みを用意したい」(竹田氏)

NOBORDERでは、2018年3月に複数のエンジェル投資家を引受先として、約3000万円の第三者割当増資を実施。また9月20日には追加の調達を行い、プレシードラウンドとして合計4000万円の資金調達を完了している。

転職を考える人材と“企業のエース”を10分間ビデオチャットでつなぐ「OnePair」

「転職はうっすら考えてはいるが、具体的な行動に移せていない」。「欲しい人材はいるが、現場が求めている人材がなかなか見つからない」。このような人材採用の課題を解決しようとするサービスがあるので紹介したい。本日ベータ版をリリースしたばかりの、転職を考える若者とビジネスの現場で働くキーパーソンとを10分間のビデオチャットでつなげる「Onepair(ワンペア)」だ。

僕を含め、20代も中頃になると「転職」というワードをよく耳にするようになる。周りで転職する人たちが増え始め、自分もなんとなく考えてはいるけれど、日頃の忙しさにかまけて具体的な行動には移していないという人も多いだろう。Onepairはそんな人たちにピッタリなサービスかもしれない。

Onepairを利用するにはまず、アプリをダウンロードして自分の経歴やスキルなど簡単なプロフィールを入力する。すると、採用を行っている企業の方から直接アプローチが来るという仕組みだ。ここまではよくあるダイレクトリクルーティング系のサービスと変わらないのだけれど、Onepairが新しいのはここからだ。

10分間ビデオチャットでお互いを知る

まず、Onepairを通してマッチングする相手は企業の採用担当者(人事)ではなく、事業責任者などの現場で活躍する“エース”たちだ。企業のエースは、Onepairのアプリに毎日表示される5人の候補者のなかから気になる人をピックアップする。すると、ピックアップされた候補者のアプリには彼らを選んだエースの情報が表示される。候補者がそのアプローチにOKと答えれば、まずはマッチングが成立する。

マッチングが成立すると、候補者は企業のエースたちとアプリ上で10分間のビデオチャットを行うことができる。これはいわゆる”面接”ではなく、「まずは一旦話してみよう」というノリのものだと考えてほしい。このビデオチャットは10分間限定だ。時間が経てば強制的にシャットダウンされる。

現場で実際に働く企業のエースたちは、現場に必要な人材がどんな人物なのかを一番よく分かっている人たち。でも、人材採用は彼らの本業ではないので、なかなかそこに時間を割けないのも事実だ。だからこそOnepairは、スマホアプリで完結し、かつ短い時間で効率的に会話できるビデオチャットという仕組みを取り入れたというわけだ。ビデオチャットのスケジュール調整も数タップで完了するから、ビデオチャット以前のコミュニケーションにも時間がかからない。

候補者にとっても、企業のエースたちと直接話せることで、入社後の自分の“ロールモデル”となる人物を見つけることにもつながるだろう。また、ビデオチャットを行った候補者には1回につき3万円の“入社時ボーナス”が付与され、実際にOnepairを通して転職が決まったときにそのボーナスが支払われる(上限は30万円まで)。

この10分間ビデオチャットという仕組みは、「10分間あれば『この人とは一緒に働けない』などのネガティブなスクリーニングすることができる」という仮説のうえで成り立っている。実際のところ、採用面接が始まってからものの数分で「不採用」という結論にいたることは往々にしてあることだと思う。でも、だからといってすぐに面接を打ち切るわけにはいかず、結局ダラダラと予定の時間まで話してしまうという経験をした人もいるはずだ。

Onepair代表取締役の秋原諒氏は、「実際に候補者と会うことで時間が無駄になってしまうリスクを考えて、結局動かないという人も多いように思う。Onepairによって、『動いた方が得』という世界観が作れれば」と話す。

Onepairは企業側からマネタイズする。料金プランは未定だが、数万円程度の月額課金に加えて成果報酬を受け取るというかたちを予定している。Onepairは本日よりベータ版をリリースするが、現在までに10社への導入が決定した。

「ベータ版をリリースすることで、成果報酬の金額をいくらに設定するのかベストなのか、そして、はたして企業のエース側にもインセンティブを用意する必要があるのかなど、仮説検証をしていきたい」(秋原氏)

Onepair代表取締役の秋原諒氏

Google Japan、Pixel 3の国内販売を予告。新ティザーサイトも公開

eng-logo-201510月9日に発表が予定されている、Googleの次期スマートフォンPixel 3 / 3 XL。先日、国内向けと見られるティザーサイトが公開され、日本発売の期待が高まっていました。

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そんな中、Google Japanが国内販売をTwitterで予告しました。先のものとは別のサイトもオープンしており、発売は確実なようです。

実は先のティザーサイトや新しいサイトを含め、Pixel 3の発売を予告しているのは日本だけ。海外ではGoogle Store内にシンプルなティザーページが表示されるのみとなっています。

今回は日本に力を入れているのか、あるいはGoogle Japanが頑張っているだけなのか。海外では、わざわざ予告しなくてももはや出て当たり前、という部分もあるのかもしれませんが。

いずれにしろ、2016年のPixel、2017年のPixel 2と、日本は2年に渡りスルーされていただけに、Pixel 3の日本発売は歓迎したいところです。

Engadget 日本版からの転載。