人工知能でスーパーマーケットの陳列棚はどう変わるか

(編集部注:本稿を執筆したJoseph Byrumは、Principal Financial Groupのチーフ・データサイエンティストだ。彼は遺伝学の博士号を保有している)

人工知能は、AlexaやSiriに「電気をつけて」とお願いしたり、「後で牛乳を買う」といった用件をリマインダー設定したりするためだけのものではない。

実際、人工知能や機械学習が本領を発揮するのは、それまで少数の専門家しかできなかったようなことを、誰でもできるようにすることにある。その結果、無人自動運転の車でスーパーマーケットに行くと、そこでは高品質の食材がこれまでにない低価格で売られている、というようなことになるかももしれない。

それは、膨大な量のデータを取り込んでパターンを見つけ出し、どういう行動をとればよりいい結果が得られるのかを統計学的に考えることで実現する。

例えば、Googleの自動運転車は路上で起こり得るあらゆることを分類するのに機械学習を用いている。車が走っているレーンの前方に、搭載するセンサーがゴミ収集トラックを認識したとき、多くの場合はウィンカーで合図を出すことなくトラックを避けるためにレーンを変更する。そうしたパターンをGoogleの自動運転車は情報として蓄積する。そして、ウィンカー合図なしのレーン変更が招くかもしれない事故の可能性を最小限に抑えようと走行レーンやスピードなどを調整するようになる。

危険を予知しながらの運転は、多くの人にとっては当たり前のものだ。しかし、数年前までこうした技術を機械に持たせることは考えられなかった。ハンドルを握る人の運転レベルはさまざまで、交通よりスマホに注意を向けているドライバーだっている。そうしたカオスを呈している交通状況に、機械はいま強力なアルゴリズムで対応できるようになった。

人工知能と農業

驚くかもしれないが、機械学習を農業に応用することは桁違いに難しい。例えば、交通網であれば地図という確固とした情報がある。頻繁に変更されることはなく、アルゴリズムはこの情報をもとに判断を下せる。

だが農業ではそうはいかない。素人目には問題ないように見える小麦畑でも、実際のところはカオスだ。天候は予測がつかず、土壌の状態も変わるし、いつ害虫や病害が発生するかわからない。同じ畑の中でも場所によってコンディションは変わってくる。当然のことながら、農家は最終的に収穫するまでどれくらいの収量になるかわからないのだ。

農業向けAIシステムは成長の可能性大

ある作物のタネをアイオワの畑にまくとしよう。そして同じタネをブラジルにもまく。その栽培結果はおそらくまったく異なるものになるだろう。もし同じだったとしても、次に実験すると結果は違うものになるかもしれない。作物栽培には土壌の栄養状態、天気、降水量、気温、害虫の有無といったさまざまな要素が絡んでいるためだ。

そうしたカオスをさばくのに機械学習は力を発揮する。畑に設置したリモートセンサーは、畑がどういう状況にあるのか統計データとして情報収集する。そのデータをアルゴリズムにかけると、最も考えられる収穫結果を予想する。

こうしたAIアルゴリズムを利用すれば、農家は収穫量を増やすために適宜手を加えることができる。育種家であれば、作物の品種改良にAIアルゴリズムを活用することができる。結果として、スーパーに並ぶ商品の価格を下げることにつながるはずだ。

農業の専門的ノウハウを誰でも使えるように

今までの農業のあり方を考えると、AIの活用は変革と言ってもいいだろう。何世紀にもわたり、農家は作物を栽培するのに勘に頼ってきた。長年の経験に基づいて、何が最善の策なのか直感的にわかるのだ。農家がコンピューターを活用したがらなかったのではなく、当初コンピューターは完全に役に立つものではなかった。二値論理をとる初期のコンピューターは、極めて流動的な要素を抱える農業に適していなかったのだ。

それゆえに、農家は経験に頼らざるを得なかった。しかし、もし経験のない農家でも状況に応じて正しく判断し、栽培できるようになったらどうなるだろう。これは、経験を積んだ農家が少ない発展途上国においては特に重要な意味を持ってくる。

管理型農業の導入の高まりは、機械学習のメリットを広く浸透させることにつながるだろう。リモートセンサー、衛星、無人航空機を使えば、作物の状態、土壌のコンディション、気温、湿度など、農地の情報を24時間いつでも収集できる。情報は膨大な量となるが、アルゴリズムがそれらを処理し、使えるデータにしてくれる。

次の課題は、集めたデータを活用し、どうすれば収穫量を確実なものにできるか、その答えに導くようなアルゴリズムを開発することだ。これが実現すれば、栽培にかかるコストを抑制でき、結果として消費者が恩恵を受ける。

AIで品種改良も

農業においては、何世紀にもわたって作物が干ばつや害虫に強くなるよう、品種改良が行われてきたが、この分野にも機械学習アルゴリズムを応用できる。これまでの品種改良といえば、作物の外観や、日持ち、味をよくするために、一番いい品種を掛け合わせるというものだった。しかしAIを活用すると、強い品種を選ぶため、それに伴い収穫量も増える。

機械学習は、どの作物を植え、どの新品種をテストすべきかといった面でもアドバイスしてくれる。人間が試行錯誤するプロセスをアルゴリズムは短縮することができ、改良した作物が実際に栽培され、そしてスーパーに並べられるのがこれまでになく早くなる。繰り返しになるが、機械学習の活用で作物は高品質になり、値段は下がる。

農業分野でのAIシステムはかなり成長する可能性を秘めている。アルゴリズムが賢くなればなるほど、その恩恵はスーパーに現れるはずだ。

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(翻訳: Nariko Mizoguchi)

グリーが総額40億円の「VTuberファンド」開始、1号案件は米国の3Dアバターライブ配信サービス

つい先日バーチャルYouTuber(VTuber)市場への参入を発表し、今後1〜2年で100億円規模の投資をしていくと発表していたグリー。具体的な取り組みの第1弾はバーチャルYouTuberを育成し、動画番組を制作するプロダクション事業だったが、第2弾として投資プロジェクトを始めるようだ。

グリーは4月17日、国内を中心にバーチャルYouTuberに関連するクリエイターやスタートアップ企業へ投資する「VTuberファンド」を開始することを明らかにした。規模は総額40億円の予定。なおVTuberファンドはあくまでプロジェクト名であり、投資組合の組成や子会社設立を伴うものではない。

VTuberファンドでは、市場拡大に向けてイラストレーター、声優を中心とするクリエイターの支援に力を入れていく方針。直接的な支援だけでなく、収録・配信スタジオの提供やバーチャルYouTuberプロダクションなどへの出資、協業先企業などとのジョイントベンチャー設立にも取り組む。

また1号案件として米国に拠点を置くOmnipresenceへ出資することを発表。同社はスマホのカメラから3Dアバターを使ったライブ配信ができる「Facemoji」を開発するスタートアップだ。Yahoo!出身の元プロゲーマーとAdobe出身のメンバーが2017年3月に共同で創業した。

海外では拡大するゲーム実況市場において3Dアバター実況への期待もあり、Facemojiはその領域でサービスを展開。今後はAR/VRなど多方面にも広げていく予定で、グリーでは日本国内におけるサービス開発での提携も検討していくとしている。

グリーはバーチャルYouTuber特化型のライブエンターテインメント事業を担う新会社「Wright Flyer Live Entertainment」を4月13日に設立。冒頭でも触れたとおり、今後バーチャルYouTuberの発掘・育成や関連事業へ100億円規模を投資するとしていた。そのうちの40億円を今回のVTuberファンドへ投じ、市場拡大を目指す。

アプリで作れるVisaプリペイドカード「バンドルカード」に後払い式「ポチッと」チャージ機能追加

スマホアプリからチャージ式のVisaプリペイドカードが発行できる「バンドルカード」。4月17日、カンムが提供するこのサービスに、カードへのチャージが後払いでできる「『ポチッと』チャージ」が新機能として追加された。

バンドルカードは、生年月日と電話番号さえアプリに登録すれば、誰でも“最速1分で”ネット決済専用のバーチャルカードが作れるサービスとして2016年7月に発表された。当初はiPhone版のみ、同年冬にAndroid版もリリースされた。クレジットカードと違って先にチャージを行うため、与信審査が不要。10代の学生や主婦、高齢者でもすぐにカードが発行できて、ネットでの買い物に使うことができる。また希望者は、リアル店舗で使えるプラスチックのカードを持つことも可能だ。

クレジットカードの加盟店で使えるプリペイドカードは「au WALLET」(Master)や「ソフトバンクカード」(Visa)、「LINE Payカード」(JCB)などの登場で知られるようになり、利用が広がっている。一方で「チャージが面倒という点がプリペイドタイプのカードの課題だ」とカンム代表取締役の八巻渉氏は言う。

「『1分でカードが作れる』とは言うものの、バンドルカードはチャージをしなければ使うことはできない。コンビニに行かなければチャージできない、という面倒さが、カードの発行や利用のハードルとなっている」(八巻氏)

そのハードルを取り払うために導入されたのが、今回の「ポチッと」チャージだ。バンドルカードアプリで生年月日・電話番号に加えて氏名とメールアドレスを登録することで、1回あたり最大2万円までならその場でチャージが完了。チャージした金額に手数料を加えた額を、後からコンビニやATMなどで払う、後払い方式のチャージサービスである。

「ポチッと」チャージの導入により、バンドルカード新規発行からチャージまでが180秒で完了するようになると八巻氏は話す。

「EC市場の伸びにより、カードでの支払いの機会は増えているが、20代の男性の75%はクレジットカードを持っていない。またクレジットカードを持っていても、あまり使わないという人も多く、日本のクレジットカード利用率は実は半分以下という調査もある。その理由は『使い過ぎが気になる』『セキュリティなど安全性に不安がある』など『クレジットカードは怖い』という認識から来ているものだ」(八巻氏)

八巻氏は「プリペイドタイプのカードなら、使い過ぎの心配がない。また支払いに利用するとアプリでプッシュ通知が来る仕組みにすることで、金額の管理も簡単になるし、他人に使われてもすぐに分かり、キャンセルや利用停止の届け出もすばやくできる」とバンドルカードのメリットを述べる。

さらに「ポチッと」チャージ導入により、シンプルな決済体験の提供と、日常で少し足りないお金のニーズを満たすことによる経済活性化への貢献を実現したい、と八巻氏は言う。

「バンドルカードの20〜34歳までのユーザーに調査を行ったところ、回答者の約6割が『月に自由に使えるお金は3万円以下』、そのうちの4割が『自由に使えるお金が足りていない』と回答している。足りない金額は2万円以下という少額ニーズが大半だ。このことから、2万円以下の足りないお金のニーズを即満たすことに意義があると考えた」(八巻氏)

また日本の最低賃金の平均は848円に上がり、失業率も3%を切る状況となっていることに触れ、八巻氏は「ほとんどの人が1日8時間、3日働けば2万円強のお金を手に入れることができるのが、今の日本の環境。『タイムセールで見つけた服を今買いたい』とか『すぐ売り切れるチケットや限定品を手に入れたい』といったニーズに対して、『ポチッと』チャージで背中を押すことで、お金の流れを健康的にして、経済の活性化に貢献することができると考える」と話している。

「ポチッと」チャージの手数料は、1万円までのチャージで500円、1万1000円から2万円までのチャージで800円。チャージした翌月末までにコンビニやATM、ネットバンキングで支払う必要がある。

「ポチッと」チャージの決済部分を提供するのは、フリークアウト・ホールディングスグループ傘下のリスク保証サービス企業、Gardiaだ。カンムは既に4億円の出資を受けているフリークアウト・ホールディングスと、1月31日に包括的資本・業務提携を締結。その際に業務提携内容のひとつとして「Gardiaによるカンムの事業にともなうリスクの保証」が挙げられていた。

(ちなみに同じ1月31日に経営統合が発表された、オンライン決済サービスのコイニーとオンラインストア運営のストアーズ・ドット・ジェイピー(旧ブラケット)の持株会社ヘイとも、フリークアウト・ホールディングスは資本業務提携を実施。フリークアウト、カンム、ヘイの3者でFinTechサービスに取り組むことを決めている)

Gardiaはカンムから手数料を受け取って、後払いのための与信・決済機能を提供する。バンドルカードでは、これまでにもNTT docomoやソフトバンク、ワイモバイルなどの携帯キャリア決済でチャージする手段を備えているが、これらキャリアと同じ立ち位置にGardiaが新たに加わる形となる。

Gardiaでは、同社の展開する保証サービスにまつわるデータが蓄積される中で、さまざまな傾向を分析し、新しい与信・決済システムの構築につなげることを目指している。「ポチッと」チャージでカンムと連携することで、その流れを加速させたい考えだ。

写真左からカンム取締役COO 竹谷直彦氏、代表取締役社長 八巻渉氏、Gardia代表取締役社長 小山裕氏

カンムは、4月現在で40万強のバンドルカードのダウンロード数を、2018年中に150万に伸ばすことを目指すとしている。

八巻氏は「長期的には、スマホ上のペイメント普及による『お財布2.0』を目指す」と語る。「アメリカの支払いでの現金比率は16.7%。また北京のコンビニでの支払いデータなのでバイアスはあるかもしれないが、中国ではAlipayやWeChat Payなどのスマートペイメントが普及しており、現金比率は11%となっている。一方、日本の現金での支払い比率は51.9%と過半数。まだまだスマートペイメントの伸びしろはある」(八巻氏)

「『お財布2.0』にはスマホ決済、個人間送金、信用保証の3つの領域があるが、カンムではたまったユーザーデータを活用し、信用保証の仕組みを提供していきたい」と八巻氏は将来の展望について述べている。

ライブコマース「PinQul」が7人の投資家から2700万円調達、“接触数”を増やすべくメディア性の強化へ

ライブコマースプラットフォーム「PinQul(ピンクル)」を提供するFlattは4月17日、7人の個人投資家を引受先とする第三者割当増資により総額2700万円を調達したことを明らかにした。

今回のラウンドに参加したのは、Fablic代表取締役CEOの堀井翔太氏、メルペイ代表取締役の青柳直樹氏、個人投資家の三木寛文氏を含む7人。Flattでは2017年5月にもヘイ代表取締役社長の佐藤裕介氏やペロリ創業者の中川綾太郎氏らから数百万円を調達。同社に出資する個人投資家は合計で11人になったという。

今回調達した資金を元に取り扱い商材の拡大、インフルエンサーの起用、流通の最適化に加え、関連サービスの新規開発やWeb版の開発を進める。

Flattの創業メンバー。左からCCOの豊田恵二郎氏、代表取締役CEO の井手康貴氏、COOの綾部翔太氏、エンジニアリングマネージャー の町田公佑氏

ユーザーとの接触数を増やすための“メディア性”がキモ

冒頭でも触れたとおり、PinQulはインフルエンサーがライブ配信をしながらお気に入りの商品を販売できる、ライブコマースプラットフォームだ。ライブコマースは中国で一足早く普及し、2017年の1年間で日本でも一気に広がった。2018年に入ってもKDDIとエブリーが共同で事業開発に取り組むと発表するなど、すでに複数の企業が新規で参入。引き続き注目を集める市場になりそうだ。

PinQulの正式リリースは2017年の10月。コアなファンを抱える「マイクロインフルエンサー」を地道に開拓し、限られた配信者のみがライブ配信をできる仕組みとして運営してきた。11月中旬からはプライベートブランド「P.Q. by PinQul」を提供、2018年2月にはTOKYO BASEが手がける新ブランドのライブ販売を実施。合わせてPinQulを活用したい企業のサポートや、配信者の公募も始めている。

Flattの代表取締役CEOを務める井手康貴氏によると、プロダクトリリースからの約半年間は最低限の仮説検証のため、さまざまなことに取り組む期間だったという。今回の資金調達はその結果をもとに一層アクセルを踏むためのものだといえそうだ。

「ライブコマースについて良い点も悪い点も明確に見えてきた。悪かった点は改善しつつ、今後は取り扱い商材の拡大やインフルエンサーの起用を継続しながら関連サービスの新規開発にも取り組み、事業の拡大を目指していく」(井手氏)

井手氏の話では今後のPinQulで特に重要テーマとなるのが「接触数、視聴数を増やすための場所の確立」だ。配信ごとのCVR(購入率)やPBの売り上げが順調な一方で、ライブ配信だけではユーザーとの接点が限られる。今後スケールさせていく上では、いかにユーザーと接触する機会を増やし、PinQulへ誘導できるかがキモになる。

「最初はアーカイブ動画をコンテンツとして残しておくことで接触数を増やせるのではないかと考えていたが、実際はあまり上手く機能しなかった。今は別の手段でメディア性をもたせることを考えている。具体的には常に見ていて楽しいコンテンツをアプリ内もしくは外部のプラットフォームとして育て、相性のいいものをライブで扱うといったスキームだ」(井手氏)

Flattでは最近PinQulのAndroid版をリリースし、現在はWeb版の開発にも取り組んでいる。同時にサイトの設計も商品情報をベースとした「ECっぽい感じのUI」に変えていく予定。あくまでも軸はコマースの部分におきつつもメディア性を加え、その中で最適なライブの見せ方を模索していくという。

企業との取り組みを強化しキャッシュポイントを作る

またキャッシュポイントを作るという観点では、今後法人との取り組みも一層強化する方針。キーワードになりそうなのはリアル店舗とPBだ。

「日本のEC化率はまだまだ今後伸びる余地がある中で、リアルも含めた購買行動の設計を考えている。ポップアップショップにライブコマースとインフルエンサーを絡めた取り組みなど、具体的に話を進めている段階だ」

「扱う商品としては既存の商品よりもPBに注力していく。たとえばYouTuberなど影響力のあるインフルエンサーとPBの相性がいいことはわかっている。今後は『PBの請負人』のような形で、インフルエンサーがオリジナルの商品を作って売りたいと思った際に選ばれるポジションもとっていきたい」(井手氏)

最近資金調達をした「ShopShops」のように、配信者がブランドの店舗でライブコマースを行うというプロダクトも海外では登場し始めている。これはあくまで例にすぎないが、リアル店舗×ライブコマースという切り口はまだまだ発展の余地がありそうだ。

今回井手氏の話の中で、Flattとして将来的にはコマース領域以外でも複数の事業を展開し、多角化を図っていきたいという話もあった。とはいえまずはEコマースに注力し「10年以内にEコマースで最大のプラットフォームになる」ことを目指していくという。

アドフラウド対策ツール提供のPhybbitが6500万円を調達、検出を自動化し担当者の負担を削減

クリックやインストールを不正な方法で作り出し、広告収益を得るアドフラウド。人工的ないしbotを使って広告費を搾取するこの手法は「広告詐欺」などとも呼ばれ、広告主や広告配信事業者を悩ませている。

そのアドフラウド検出における業務を自動化・可視化することで、アドフラウド対策の敷居を下げる「SpiderAF」。同サービスを提供するPhybbitは4月17日、大和企業投資フリービットインベストメント、川田尚吾氏、佐伯嘉信氏を引受先とする第三者割当増資資により6500万円を調達したことを明らかにした。

調達した資金をもとにSpiderAFの営業やサポート体制の強化、マーケティングの強化を進める方針だ。

多様化するアドフラウド、近年はアプリ広告がターゲットに

冒頭でも触れたように、ネット広告の課題としてアドフラウドが取り上げられるシーンが増えてきた。Phybbit代表取締役の大月聡子氏によると、近年ではアプリ広告に対する不正行為が目立つという。

「アドフラウドの手法もどんどん多様化している。アプリ広告ではインストール単価が1000円を超えるものなどもあり高額。その一方で新しい手法ということもあり対策が十分に進んでいない」

「ばらつきはあるが、平均して(配信した広告のコンバージョンの)1〜2割はアドフラウド。条件によっても大分変わるが、海外でも2割くらいになっている」(大月氏)

広告配信事業者としては、月々数10~100TBを超える広告データを担当者が逐一分析するというのは難しい。加えて巧妙なアドフラウドに対応するには、相応のノウハウも必要になる。仮に不正なアカウントを発見できたとしても、アカウントを変えて再び不正を受ければ毎回同じ作業を続けなければならない。

このように担当者がアドフラウドに人力で対応するには、かなりの時間とナレッジが必要になりハードルが高かった。

アドフラウドの検出を自動化し対策にかかる負担を削減

SpiderAFはそんな業務を自動化し、非エンジニアでもアドフラウド対策をできるようにサポートするサービスだ。配信された広告のログを自動で収集、解析するとともに広告が配信されたサイトのコンテンツを監視する。これらを不審なIPなど独自のブラックリストと照合し、広告出稿先ごとにスコアを付与。この数値が高くなるほどアドフラウドの可能性が高くなる。

現在PhybbitではWeb広告用の「SpiderAF for web」とアプリ広告向けの「SpiderAF for app」を提供。たとえばSpiderAF for appではスコアの他にインストール件数、データセンター経由の有無、端末の種類なども確認できる。

「一定数のインストールがあっても、それが全てデータセンターからきていれば人間がインストールしていないことがわかる。ほかにも日本国内で販売されていない端末がインストールの大半を占めている場合、国内向けのアプリなのに言語設定が英語になっていたり文字化けしていたりする場合はアドフラウドのケースが多い」(大月氏)

この広告枠から発生しているインストールの端末言語設定では、多くが文字化けと英語で、日本語は1件だけ。これは海外のクリックファームによる不正の可能性がある。

SpiderAFではこれらの作業を自動化しつつ、スコアリングのブラッシュアップにはAIも活用。スコアが低い場合などは人間が目視で確認、フィードバックを重ねていくことで学習し、スコアリングの精度を向上させていく。

競合プロダクトにはリアルタイムでデータを解析するものもあるが、SpiderAFでは、蓄積されたデータを用いてアドフラウドを判定している。もちろんリアルタイムにアドフラウドを検出できるに越したことはない。だが、一定期間のデータをまとめて解析しないと検出しにくいアドフラウドがあるからだという。また、コスト面でもリアルタイム検出に比較して安価に提供できるとしている。

「広告をクリックしてからアプリストアに接続後、インストールして起動する。その間がわずか10秒しかかかっていない場合などもあるが、これは明らかにおかしい。最近では夜は寝ているかのように偽装したりなど、不正の手口が高度化していて判別が難しくなってきている。ただ1ヶ月など一定のスパンで解析してみると、実は5秒おきにクリックしていることがわかるなど、怪しい挙動を判別できる」(大月氏)

この広告枠の例では、6秒ごとにクリックが発生しているのを確認できる。このような周期的なパターンは、ボットなどによる不正なクリックだと考えられるという。

2018年内に50社、2019年内に200社の導入を目指す

今後の方向性としては特にSpiderAF for appの拡大に力を入れていく方針。これまでは広告配信事業者向けに提供を進めてきたが、これからは広告主向けのサービス展開も強化する。

Phybbitは2011年の設立。大学院で原子物理学の研究をしていた大月氏が卒業後に仲間とともに立ち上げたスタートアップだ。当初は受託開発に取り組んでいたが、アドテク企業のデータ解析や開発を引き受けていた際に、アドフラウドの課題を知ったそうだ。

それまで属人的に行っていた広告ログの解析、異常値の抽出作業をシステム化したところ、反響があったために製品化。2017年6月にSpiderAF(現在のSpiderAF for web)を、2018年2月にSpiderAF for appをリリースしている。Phybbitでは引き続きプロダクトの改良を重ねながら2018年内に50社、2019年内に200社の導入を目指すという。

人の代わりにAIが採用面接してくれるサービス「SHaiN」の運営が3000万円を資金調達

人間の代わりにAIが採用面接をする、と聞くと、あなたはどう感じるだろう。ちゃんと人間性まで見てくれるのか不安に感じる人も、中にはいるかもしれない。一方で、一定の基準に従って公平に見てくれそう、と期待を持つ人もいるだろうか。

AI面接サービス「SHaiN」を提供するタレントアンドアセスメントは4月16日、三菱UFJキャピタルが運営するファンドを引受先とした第三者割当増資を実施し、3000万円を調達したことを明らかにした。

タレントアンドアセスメントは2014年10月の設立。2017年10月に正式リリースされたSHaiNは、同社が独自開発した「戦略採用メソッド」をもとに、スマートフォンアプリなどを介してAIが面接を行うというサービスだ。

SHaiNを利用することで、候補者一人ひとりが面接で話す時間は従来より長く取れて、24時間いつでも、世界中のどこからでも面接に参加することができる。また、企業が求める人物像や採用基準に沿って、AIが応募者の資質を分析して診断結果データを出してくれるので、採用担当者のほうは一次選考に使っていた時間や労力を削減でき、本来行うべき採用業務に充てる時間を確保することができるようになる。

また人による評価のばらつきが改善されるほか、候補者が他社選考とバッティングして参加できない、といった機会損失を減らすことができる。

SHaiNはリリースから半年で、大手から中小まで20社以上の企業で導入され、検討の引き合いも増えているという。大学でのキャリア教育への活用や、地方行政での導入も始まっているそうだ。利用価格は標準プランで面接評価レポート料金1件当たり1万円となっている。

タレントアンドアセスメントでは調達資金について、SHaiNの機能増強や管理システムの充実化、評価判定AIの開発などに充てるとしている。

売り手市場の拡大で応募が特定の企業に集中し、かえって面接の機会が得られない学生が増えている状況に対し、同社はAI面接によって、全ての学生が公平に面接を受けられる機会を提供したいという。今後、面接のビッグデータ活用、中途採用や企業内面談などでの活用も検討。海外展開も視野に入れ、多言語対応などのサービス拡大も図っていく考えだ。

“求人へ応募”ではなく“企業をフォロー”から始まるタレントコミュニティ、「TalentCloud」公開

「今の採用市場は空前の人材不足状態で、多くの企業が人材採用に苦労している。売り手市場と言われることも多いが、実際は求職者側も多くの応募者の中でふるいにかけられるなど、双方が幸せになれていないのが現状。その原因のひとつが、応募者を募っていることにあるからだと考えた」—— タレントクラウド代表取締役の寺師岳見氏は、現在の採用市場の課題についてそのように話す。

そんな同社が本日リリースしたのが、求人へ応募するのではなく、企業とユーザーが「フォロー」という関係で継続的に繋がれる採用サービス「TalentCloud」だ。

企業にとっては、自社に関心を持った採用候補者の母集団を作れる場所。ユーザーにとっては、タイムラインやチャットを通じて気になる企業の最新情報を手軽に収集できる場所。TalentCloudが目指しているのは、企業とユーザーをつなぐそのようなコミュニティだ。

ユーザーはエリアや職種、希望する働き方といった条件で企業を検索。すると該当するポジションの採用情報やブログ記事が出てくる。ここまでは既存の採用サイトの仕組みと変わりはない。ただ大きく違うのは個別のページに進んだ際、設置されているのが「応募ボタン」ではなく「フォローボタン」であることだ。

フォローした企業の情報はユーザーのタイムラインに表示されるようになるほか、企業との間でチャットが開設され気軽にコミュニケーションがとれるようにもなる。就職活動や転職活動が本格化する前からじっくりと情報収集できる点が特徴だ。この点はSNSで企業のアカウントをフォローする感覚に近いかもしれない。

個人ユーザー側の画面(デモ版)

企業としては、将来的に自社の仲間になる可能性のある母集団を構築する際に活用できる。応募者ではなくフォロワーを集めるため、「いずれ必要となるポジション」を前もって掲載することも可能だ。

寺師氏によると、タレントクラウドではもともとタレントプールの構築から採用管理までに対応した企業向けのSaaSを1年半ほど提供していたという。ただ「タレントプールの候補者が集まらないという中小企業や、採用手法を変えるのが大変という大企業の課題にも直面し、興味を持ってもらっても導入まで至らないことも多く苦労した」(寺師氏)そうだ。

その中で企業の要望としてでてきたのが、タレントプールの土台となる候補者を集められるサービス。そこで企業側だけでなくユーザー側の目線も加えた“タレントコミュニティ”として、TalentCloudを立ち上げた。

もちろん集まったフォロワーの管理機能も搭載していて、特徴やステータスごとにユーザーを検索したり、チャットを通じて一括でメッセージを送ったりすることもできる。ユーザーは完全に無料で利用可能。企業は無料、月額2万円、5万円、10万円の4プランから選ぶ。タレントプールの構築自体は無料で、プランごとに閲覧できるユーザープロフィールの上限数が異なる(無料プランだと5名まで)。

企業側のダッシュボード(デモ版)

最近は「採用広報」という形で、企業がオウンドメディアやSNSを通じて積極的に社員のインタビューなど情報発信をしている。WantedlyのFeed機能を活用する企業も多く、それこそ同サービスにはフォローという概念もあり似ているようにも思う。

その点について寺師氏は「最終的な目的が応募なのか、フォローなのかの違いは大きい。TalentCloudは応募の一歩手前にいるフォロワーを集める、タレントプールを構築するという点に特化したサービス。まだ募集し始めていないポジションや一旦募集を終了したポジションも含めて、事前に候補者の母集団を作り関係性を構築できる」と話す。

通常はユーザーが求人に応募した後で初めてコミュニケーションをとれるようになる(Wantedlyなどは企業からのスカウトを起点に会話をすることも可能ではある)。TalentCloudの場合はフォローというもう少し手前の段階から相互に交流できるため、そこが1番の違いと言えそうだ。

今後はイベント機能や企業からユーザーをフォローできる機能、AIを活用した高度なレコメンド機能などの実装、各種SNSとの連携を進めていく予定。「『ふるいにかけない、いつでも採用』をテーマに、企業とユーザーの繋がりを深められる、新しい切り口の採用サービスを目指していく」(寺師氏)という。

タレントクラウドは2016年5月の設立。代表の寺師氏はマーケティングリサーチのプラットフォームを手がけるベンチャー企業の出身で「企業がマーケティングにSNSやコミュニティを活用するように、それを人材採用にも活かせるのではと思ったこと」がタレントプールサービスを立ち上げた背景にあるそうだ。

なお同社は、2017年のTechCrunch Tokyoスタートアップバトルに登壇した企業の1社でもある。

VR空間のモノに触れるデバイス「EXOS」開発のexiiiが8000万円を資金調達

VR/AR空間でバーチャルなモノに触れることができる、触覚ウェアラブルデバイス「EXOS」を開発するexiii(イクシー)。同社は2017年7月に大成建設と共同で、遠隔操作システム開発を発表。また今年2月には「CADデータに触れる」3Dデザインレビューシステム開発と、ビジネス向け開発者キット「EXOS DK1」の受注開始を発表している。

そのexiiiが4月16日、グローバル・ブレインが運営するファンドを引受先とした第三者割当増資の実施を明らかにした。調達金額は約8000万円だ。

2月に発表された3Dデザインレビューシステムは、VRにEXOSを組み合わせることで、視覚と触覚を合わせた直感的なレビューを目指したもの。製作に時間のかかるモックアップに代えて、データでデザイン検証ができるようになるもので、日産自動車のグローバルデザイン本部による活用検討が明らかになっている。

またEXOS DK1シリーズでは、手のひらを前後・左右に動かしたときの力触覚を提示してVR内のオブジェクトに「触れる」感じを再現する「EXOS Wrist」と、指の開閉の力触覚を提示することでオブジェクトを「つかむ」感じを再現する「EXOS Gripper」の2種類を製品として提供。製造・シミュレーション・エンターテインメントなど、さまざまな分野でパートナーデベロッパーを募っている。

「EXOS Wrist」(左)と「EXOS Gripper」(右)イメージ

exiiiは今回の資金調達で、EXOS DK1の販路拡大と、中長期的な触覚再現のための研究開発体制強化や次世代デバイスの開発を視野に、グローバル・ブレインと協力していくという。

exiii代表取締役社長の山浦博志氏は、「今後ますます普及していくVR/ARにおいて、触覚提示は人間とコンピューティングをより直感的に繋ぐために不可欠な技術。触覚デバイスを世界の当たり前にできるよう、チーム一同一層精進していく」とコメントしている。

Slackの会話データで社員のエンゲージメントを可視化、Laboratikが8000万円調達

写真左がLaboratik代表取締役の三浦豊史氏

Slackなどのコミュニケーションツールから得た会話データをもとに、社内のエンゲージメントを可視化するボットの「A;(エー)」を提供するLaboratikは4月16日、Archetype VenturesみずほキャピタルエルテスキャピタルZeroth AI、ほか個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施した。調達金額は8000万円だ。

Slackと連携して利用するエンゲージメント可視化ボットのA;は、自然言語処理を介してチャット中の会話を解析し、チームのエンゲージメント(関与度や熱意)を可視化するサービスだ。会話のポジティブ/ネガティブ度を解析したり、メンバーのチャット上での発話数や、メンタルのバイオリズムを把握したりすることができる。

また、Slackを経由してGoogleカレンダーやGitHubなど他サービスとも連携でき、スケジュールや開発進捗を自動で記録することも可能だ。現在、A;は日本語と英語の2言語版が提供されている。Laboratikは2017年6月よりA;のオープンβ版を公開している。

A;は現在までに約800社の企業をβ版のユーザーとして獲得。これまでに蓄積した会話データは100万件を超える。Laboratikはこれらの会話データの組織名、チーム名、日時など匿名化した状態で保存し、解析にかけているという。

今回の調達を期に、同社はA;の次期バージョンの開発を進める。現在、A;が連携しているコミュニケーションツールはSlackのみだが、次期バージョンでは主に大企業で使われることの多いという「Microsoft Teams」との連携をめざす。また、サーベイ機能を追加し、会話データから得た定性データとサーベイから得た定量データを組み合わせることで新たなインサイトを提供する。

Laboratikは2015年7月の創業。同社は以前に行なわれたエンジェルラウンドで3000万円の資金調達を実施しており、今回を含む累計調達金額は1億2000万円となる。

LINE Payが「3万円台の店舗用キャッシュレス端末」のネットスターズとタッグ。コード決済促進

eng-logo-2015LINEとLINE Payは4月11日、QR/バーコードで決済できるStayPay端末の開発・販売を行っているネットスターズと資本業務提携契約を締結したと発表しました。

LINE Payとネットスターズは、2017年10月に加盟店開拓・業務管理に関する提携を締結しており、StarPay端末でのLINE Pay決済が利用可能となっていました。この提携以来、多数のLINE Payコード支払いの導入実績ができたことから、協業体制の強化と、今後の包括的な取り組みを目的に業務資本提携に至ったとのこと。

今後は、店頭ブランディングの一環として、LINE PayのロゴとブランドカラーにカスタマイズしたStarPay端末を導入。LINE Payの普及を促進する考えです。

StarPay端末は、LINE Pay以外にも国内の他のQR/バーコード支払いサービスに対応するほか、微信支付(WeChat Pay)、支付宝(Alipay)、Bitcoin決済にも対応可能なマルチ決済端末。価格は3万5000円と、クレジット決済端末と比較して低コストで導入でき、インバウンド需要にも対応できるのが特徴です。

これまでクレジット決済やモバイル決済の導入が難しかった小規模な店舗や、訪日観光客を取り込みたい観光施設などへの導入が期待されます。

LINE Payは、利用できる店舗を2018年内に100万店舗に拡大する目標を掲げており、ネットスターズとの協業体制は「これに向けた着実な一歩」だとしています。

Engadget 日本版からの転載。

スクラムベンチャーズと任天堂が共同プログラム、Switch活用したテクノロジー広く募る

サンフランシスコを拠点とするVCのスクラムベンチャーズは4月12日、任天堂と共同で、同社が販売する「NIntendo Switch(以下、Switch)」を活用した新たなテクノロジーを発掘するプログラム「Nintendo Switch + Tech」を開始する。スクラムベンチャーズは、対象となる技術の募集・選考を含めた運営全般を、任天堂から委託を受けて担当するという。

Nintendo Switch + Techでは、ハードウェア、ソフトウェアなどの形式、テクノロジーの分野は問わず、Switchのプラットフォームに採用の可能性があるテクノロジーを募集対象とする(ただし、ゲームソフトは対象外)。

本プログラムでは4月12日〜6月9日までアイデアの募集を受け付ける。今年夏から行なわれる選考を通過したチームは、2ヶ月間のメンタリングを経て、今秋にも任天堂に対するピッチを行う。選考に通過したチームは非公開となる予定だ。また、本プログラムでは採用チームへの出資は行わないとしている

任天堂の取締役上席執行役員である塩田興氏は、「当社は常にエンターテインメントを進化させる方法を探求しており、その取り組みの一つであるScrum Venturesが運営するプログラムを通じて、Nintendo Switchの体験を一層豊かなものにするユニークなテクノロジーに出会うことを楽しみにしています」とプレスリリースで述べた。

宮田拓弥氏が率いるスクラムベンチャーズは、これまでにもパナソニックと共同で新事業創出を目的とした新会社を2018年3月に立ち上げ、大企業のオープンイノベーションを支援する「Scrum Studio」事業を手がけていた。

ヤフーが仮想通貨とブロックチェーン事業参入へ、子会社がビットアルゴ取引所東京へ資本参加

ヤフーは4月13日、100%子会社であるZコーポレーションを通じて、ビットアルゴ取引所東京へ資本参加することを明かした。

Zコーポレーションではビットアルゴ取引所東京からの第三者割当増資と、親会社であるシーエムディーラボからの株式譲渡を引き受ける。出資額は非公開だがZコーポレーションでは株式の40%を取得する方針。ビットアルゴ取引所東京は同社の持分法適用会社となる。出資時期は2018年4月中の予定だ。

ビットアルゴ取引所東京はすでに仮想通貨交換業者として登録を認められている企業の1社。ヤフーでは同社に資本参加することで、ブロックチェーン関連領域と仮想通貨事業に参入する。まずは同社が持つサービス運営やセキュリティのノウハウを活用して、ビットアルゴ取引所東京による取引所サービスを強固にしていく方針。サービスの開始は2018年秋の予定だ。

つい先日マネックスがコインチェックを36億円で買収したニュースを報じたばかり。GMOグループやDMMグループのようにすでに自社で事業を展開しているケースもあるが、一方では大企業が仮想通貨事業を運営するスタートアップへの資本参加を通じて、新たに参入してくるケースが増えていくのかもしれない。

なおZコーポレーションは、ヤフーの既存事業とは異なる領域へ挑戦するために設立された子会社。宮坂学氏が代表取締役を務めており、2018年3月にはシェアサイクル事業を展開するOpenStreetへ出資することも発表済みだ。

山登りの地図アプリ「YAMAP」が12億円調達、業界で連携し登山者の裾野を広げる

登山者向けの地図アプリ「YAMAP」を運営するヤマップは4月13日、ICI石井スポーツや九州広域復興支援ファンドなど合計14社を引受先とする第三者割当増資を実施した。調達総額は12億円だ。

投資家リストは以下の通り:

YAMAPは、電波が届かない山の中でも、スマートフォンのGPSを使って現在地が確認できる登山者向けアプリだ。道中であった出来事や危険な場所などを日記のように残し、他のユーザーに共有するというSNS的な機能もある。YAMAPでは、国土地理院の地図データにユーザーの軌跡データを重ねて”山専用”の詳細な地図を独自に作成。これにより、自分が山のどの部分にいるのか、コース上のどの辺りにいるのかを確認することが可能だ。下にあるちょっと奇妙な見た目の写真は、YAMAPが対応する山を日本地図上にマッピングしたもの。これを見ていただくと分かるように、国内にある山の大半はカバー済みだ。

2013年のTechCrunch TokyoファイナリストでもあるYAMAPのダウンロード数は、現時点で80万件を超え、アクティブユーザー数は50万人、月間のPV数は1億回に達した。ユーザーが投稿する活動日記の数は約155万件だ。

YAMAPはフリーミアムのマネタイズモデルを採用していて、地図アプリやSNS機能など基本的な機能は無料で提供している。月額480円〜の有料会員では、フルカラーの立体プレミアム地図を利用できたり、「YAMAP年次総会」という名のリアルイベントに参加できるなどの特典がある。

特徴的なのは、ヤマップはこの有料会員制度のことを、まるでサッカーチームのファンクラブのように「YAMAPサポーターズクラブ会員」と呼んでいることだ。ヤマップ代表取締役の春山慶彦氏によれば、登山という趣味をあつかうYAMAPでは、よりコミュニティ性を持たせた現在の呼び方の方が良いと判断し、2017年8月に「プレミアム会員」から名称を変更したという。実際、いまの名称に変更したあと課金率が上昇したのだとか。

取材のなかで春山氏は、「登山業界は高齢化が進んでいる。若い登山者を増やし、登山業界の裾野を広げるためには、業界で連携しながら登山の良さを伝えていかなければならない」と、登山業界が抱える課題について触れた。

本ラウンドの投資家リストには、地銀系のベンチャーキャピタルが多く名を連ねている。登山は観光と結び付けられることが多く、地銀と連携することで得られる地方の観光団体とのコネクションが重要だと判断したようだ。そのほか、登山グッズを取り扱う大手スポーツ用品店のICI石井スポーツと手を組み、両社の会員連携や割引特典などを用意する。おしるこやラムネなど、登山者に重宝される食品を取り扱う森永製菓とは、「食×登山」という文脈で連携を進めるという。

ヤマップは今後もこのように業界内外との連携を進め、登山業界の活性化、ひいてはYAMAPのユーザー基盤の拡大をめざす。

各生徒へ最適な問題を提案するAIタブレット学習教材「Qubena」、提供元が6億円を調達

人工知能型タブレット教材「Qubena(キュビナ)」を開発するCOMPASSは4月13日、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により総額6億円を調達したことを明らかにした。

今回のラウンドには伊藤忠テクノロジーベンチャーズ新生企業投資加賀電子といったVCと事業会社に加え、個人投資家として本城慎之介氏と髙濱正伸氏が参加している。本城氏は楽天の共同創業者であり、現在は2016年に設立した軽井沢風越学園準備財団の理事長を務める人物。髙濱氏はこれまで学習塾「花まる学習会」や進学塾「スクール FC」を設立、現在は算数オリンピック委員会の理事も担う。なお本城氏については、今回COMPASSの社外取締役にも就任している。

COMPASSは2015年6月にインフィニティ・ベンチャー・パートナーズと個人投資家から4000万円、2017年3月に7人の個人投資家から2.2億円を調達。今回調達した6億円も含め、累計の調達額は8.6億円となった。

COMPASSが手がけるQubenaでは、生徒が入力した回答データやそれに至るまでの操作ログ、計算過程を解析。つまずく原因を特定し、各生徒に適切な問題へ自動的に誘導することで効果的な学習をサポートする。これにより同社が運営する学習塾では、中学校数学の1学年分の学習範囲を平均3か月(32 時間)で修了するといった効果もでているそうだ。

現在は小学生〜中学生の「算数・数学」に特化していて、学習塾への導入や提携を推進。たとえば北海道を中心に学習塾を展開する練成会グループでは今月から全校導入が決まっているなど、「具体的な数字は明かせないが、万単位のアカウントが動くことになる」(COMPASS担当者)という。

小中に関してはオリジナルの教材を提供している一方で、高校数学の学習教材についても河合塾と共同で開発中。また直近ではB2Cのサービスとして、Qubenaをベースとしたオンライン家庭教師サービス「Qubena Wiz」も始めている。

今回の資金調達を踏まえ、COMPASSではQubenaのコンテンツ拡充や新たな教科・教材の開発を加速させるほか、新規事業への積極的参入などを視野に入れて事業拡大や人材採用を強化するという。

アジア人特化のマッチングサービス「EastMeetEast」が約4億円を調達、東南アジアで新サービスも

英語圏在住のアジア人に特化したマッチングサービスを提供するEastMeetEastは4月13日、DG Daiwa Venturesモバイル・インターネットキャピタルセプテーニ・ホールディングス朝日メディアラボベンチャーズAPAMANグループなどを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達総額は400万ドル(約4億円)だ。

「サービスを始めたきっかけは、自分自身の婚活経験からきている」と、EastMeetEast代表取締役の時岡真理子氏は話す。時岡氏はロンドンに拠点を置く教育アプリ「Quipper」の共同創業者兼COOを務めた人物。スタートアップの経営で毎日忙しく働いていた彼女は当時、プライベートでは真剣に結婚相手を探していたという。

時間の制約があるなか、時岡氏が選んだのは大手のマッチングサービスだった。時岡氏が結婚相手として望んでいたのは、両親と会話ができ、食の好みも共通する日本人男性だった。しかし、海外のマッチングサービスでは、日本人や韓国人、インド人などを“アジア人”として一括りにしてリコメンドされるという課題があったそうだ。

「そもそも単一民族の日本とは異なり、人種のるつぼである欧米では、結婚の価値観の合う人を見つけるのが難しい。そのため、海外ではユダヤ人向けのJDate.comやインド人向けのShaadi.comが成功している。私と同じく婚活に苦労しているアジア人女性を助けたいという思いでEastMeetEastを立ち上げた」(時岡氏)

そんな思いで作られたEastMeetEastは、アジア人が同じ人種やバックグランドをもつパートナーを探しやすいように設計されている。人種や言語、移民した年齢などで細かく検索できる機能を備えるほか、学歴や職歴を重視するアジア人の特性に合わせてプロフィール項目の内容を調整した。

ニューヨークに本社を構えるEastMeetEastの主戦場はアメリカだ。同サービスは現在、ニューヨークやロサンゼルスなどの米国主要8都市でよく利用されている。カナダやイギリスなどの他の英語圏に住むユーザーも多い。国籍は、多い順から中国人、ベトナム人、フィリピン人、韓国人、日本人だという。ユーザー数自体は非公開であるものの、時岡氏によれば「2016年1月から2017年12月までの約2年間でユーザー数は800%、売上は1200%」伸びたという。

EastMeetEastは今回の調達を期に、フィリピンでリリースした新サービス「WestEastDating」の展開を進めていく。同サービスは、アジアの文化や言語などに興味のあるユーザー全員を対象とした、異人種間マッチングサービスだ。「アジア地域の人口は現在45億人を超え、世界人口の60%を占めている。そういった巨大なマーケットで恋活・婚活を支援することにより、弊社のビジョンである、より多くのアジア人に幸せなご縁をもたらすということが実現できると考えている」と時岡氏は話す。

WestEastDatingは今後、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムなど他の東南アジア諸国での展開をめざす。

孫の動画を実家のテレビに自動配信、「まごチャンネル」のチカクが野村HDらから1.2億円を調達

スマホアプリで撮影した動画や写真を実家のテレビに直接送信できる「まごチャンネル」。同サービスを提供しているチカクは4月13日、野村ホールディングスのCVCと既存株主であるインキュベイトファンドを引受先とした第三者割当増資により、1.2億円を調達したことを明らかにした。

チカクは2017年12月にインキュベイトファンドから1.5億円2016年12月には500 Startups Japanおよび個人投資家から総額1億円を調達するなどしていて、累計の調達額は4.1億円となる。

過去の記事でも紹介してきたように、まごチャンネルはインターネットやスマホの利用が得意ではないシニア世代でも使いやすいように設計されたIoTサービス。離れて暮らす孫の動画や写真を、自宅のテレビを通じて楽しむことができる。

操作に必要なのはテレビのリモコンだけ。家族がスマホから専用アプリから撮影した動画と写真が自動配信される。データをアップロードすると祖父母宅のデバイスが光り、彼ら彼女らが視聴すればアプリに通知が届く仕様で、お互いの距離が近く感じられる点が特徴だ。

チカクではWebサイトや通販サイト経由でプロダクトを販売するほか、他社との連携も強化。今回の調達先である野村ホールディングスとは、同社のアクセラレータープログラム「VOYAGER」を通じてテストマーケティングを行ってきた。

具体的には野村証券の支店も巻き込み、営業員がシニア顧客を対象にまごチャンネルをプレゼント。一緒に動画や写真を見て関係性を深めた事例など、金融商品の提案以外で関係性を育むきっかけにもなっている。

チカクでは今回の資金調達を受け「引き続きシニア世代の生活を豊かにするサービスの提供を行って参ります」としている。

おつり投資の「トラノコ」が楽天、東海東京FHなどから資金調達、異業種間での連携進める

買い物のおつりで投資ができる「トラノコ」を運営するTORANOTECは4月12日、楽天キャピタル東海東京フィナンシャル・ホールディングスだいこう証券ビジネスパラカ東京電力エナジーパートナーを引受先とする第三者増資を実施したと発表した。金額は非公開(2017年6月のサービスリリース時の資本金1億3100万円から、現在は7億3788万円に増えている)。

先日、20代後半で同年代の友人たちと話していたら、「資産運用は、必要なのは分かるけど、難しいよね」という話になった。トラノコは、そんな資産運用のハードルを下げてくれるサービスだ。

トラノコでは、クレジットカードや電子マネーなどを使った買い物の“おつり”を、最低5円から1円単位で資産運用にまわすことができる。このおつりは仮想的なもので、サービスであらかじめ設定した金額(100円、500円、1000円)から、実際の支払額を引いた金額を資産運用に回せるという仕組み。たとえば、設定額が100円で、10円のお菓子を買ったら90円だ。

実際の資産運用は、100%子会社のTORANOTEC投資顧問が行う。同社はユーザーのリスク特性に応じて3種類のファンドを用意。組み入れアセットも米国株式や新興国債券など多岐にわたり、気軽に分散投資ができるようになっている。トラノコの利用料金は月額300円。そのほか、投資ファンドの運用に対する信託報酬の年率0.3%、ファンドの監査費用などの手数料(年率0.1%が上限)、ファンドの組み入れ証券の売買委託手数料がファンド資産から控除される。

事業会社との連携進める

今回の資金調達ラウンドで特徴的なのは、投資家リストに多くの事業会社を含む点だ。証券会社である東海東京フィナンシャル・ホールディングスなどをはじめ、コインパーキングのパラカ、東京電力エナジーパートナーなど、異業種の事業会社の名前もある。

TORANOTECはこれまでにも、ANAとのコラボレーションNTT東日本との提携など、異業種とのパートナーシップを積極的に推進し、トラノコユーザーに限定で割引特典を提供するなどのメリットを打ち出してきた。今回の資金調達後も、そのようなサービス連携がさらに進むことが予想される。

TORANOTEC代表取締役のジャスティン・バロック氏は、「「事業間協力および事業連携は、フィンテックの成功には欠かせない重要な要素。資産形成を人びとの日々の生活の一部にしていく上で、様々な業種の事業会社および金融機関との連携を幅広く深めていくことが大いなる力を発揮するものと確信している」と語る。

AI活用で「報道の機械化」進めるJX通信社、テレビ朝日やフジらから数億円を調達

AIニュースサービスを展開する報道ベンチャーのJX通信社は4月12日、テレビ朝日ホールディングスフジ・スタートアップ・ベンチャーズ、既存株主等を割当先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。具体的な金額は非公開だが、数億円規模の調達になるという。

JX通信社が現在力を入れているのが「FASTALERT」や「News Digest」など、ニュース速報の分野でAIを活用した事業だ。FASTALERTはSNS上の事件、事故などの緊急情報をAIが自動収集・解析するサービス。従来は報道機関が警察や消防に取材をして集めていたような情報を、SNSを通じてよりスピーディーに収集できるのが大きな特徴だ。

すでに在京の民放キー局とNHKが導入しているほか、地方のテレビ局でも活用が進んでいる状況。JX通信社の代表取締役を務める米重克洋氏によると「(具体的な数までは言えないが)全国の大半のテレビ局に採用されている」という。

もうひとつのNews Digestは報道価値の高いニュース速報をAIが検知、配信するアプリ。速報スピードがウリだ。JX通信社ではこれまでも報道現場でのAI活用を進めてきたが、今後も世論調査の自動化や記事の自動生成など「報道の機械化」に向けて各社と連携して取り組む方針だ。

「報道産業は何から何まで人間がやるビジネスという側面が強く、労働集約的になりがちだった。実際のところデジタルシフトも遅れていて、現場ではコストの削減とともに付加価値をあげた収益性の向上が求められている」(米重氏)

米重氏の話では、速報レベルの情報はかなり機械化できる要素があるという。記者の業務には人間が仕方なくやっているものも多いのが現状。これらをシステムに任せることができれば、コストを下げることに加えて、記者が本来やるべきことにより多くの時間を使えるようにもなる。

JX通信社はこれまでも共同通信社や、大手金融情報サービス事業者QUICKらから資金調達を実施。今回のラウンドで、新たに民放キー局が2社株主に加わった。

「今回の調達は組織基盤の強化の目的もあるが、報道機関との連携をより強めていきたいという意図が大きい。報道の機械化というのは、現場の理解があってこそ実現できる。今後はもっと報道の現場に貢献できる総合通信社を目指してチャレンジを続けていきたい」(米重氏)

ソニー「Xperia Ear Duo」4月21日発売決定、LINE Clova対応の遮音しない左右独立イヤホン

eng-logo-2015ソニーモバイルは「Xperia Ear Duo」を4月21日に国内発売します。ソニーストアにおける販売価格は税別2万9880円です。カラバリはブラック・ゴールドの2色展開。

Xperia Ear Duoは、外界の音を遮断しない「デュアルリスニング技術」を搭載した左右独立型スマートイヤホンです。外の音と曲のサウンドの両方がクリアに聞こえるので、ジョギングなどの運動中や仕事中、人と会話をしながらでも、問題なく利用できるといいます。

さらに、ソニー独自の高音質化技術「ClearPhase」も採用。外界の騒音レベルに合わせて、自動的にイヤホン音量を調節する「アダプティブ・ボリューム・コントロール」も搭載します。

●まるで”耳にはめるスマートスピーカー”

Xperia Ear Duoは、いわば耳に装着するスマートスピーカーでもあります。Androidスマートフォンと連携すれば、LINEの音声AI「Clova」や、「Google Assistant」を利用可能。Clovaを使えば声だけでLINEメッセージも送受信したり、LINE Musicの音楽を再生することも可能です。なお、iPhoneと連携した場合、アップルの音声アシスタンス「Siri」のみ利用できます。

マイクは左右に2つづつ、合計4つ搭載。騒がしい環境でも声を拾い、ハンズフリー通話やボイスコントロールも快適に行えるといいます。

連続音楽再生時間は4時間。付属のケースはバッテリーを兼ねており、最大3回分の充電が行なえます。

●法人展開めざしJALと実証実験も

Xperia Ear Duo、およびXperia Earで最大5台までリアルタイムグループ会話できる「Anytime Talk」機能も搭載。ソニーモバイルは同機能の法人展開をめざし、JALと提携。機内での客室業務員のコミュニケーションを補助するデバイスとしての用途について、実証実験を行うとしています。

関連:ソニーの左右独立スマートイヤホン Xperia Ear Duo、遮音性『ほぼゼロ』の開放感が魅力

Engadget 日本版からの転載。

スマホ特化の短尺縦型動画「30」運営のFIREBUGがAOI TYOなどから資金調達

コンテンツプロデュース事業やスマホ向け短尺動画の制作・配信を行うFIREBUGは4月11日、AOI TYO Holdingsアカツキ、読売新聞東京本社を引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達金額は非公開(増資後の資本金は前回資金調達時の1億8940万円から2億8120万円に増えている)。

FIREBUGは2016年2月の設立。代表の佐藤氏は吉本興業でマネージャー業を経験した後、2015年1月にクリエーターのエージェント会社であるQREATOR AGENTを立ち上げた(同社は現在FIREBUG子会社)。2017年7月にはRKB毎日放送およびエイベックス・ベンチャーズ、個人投資家などから、数億円規模の資金調達を行っている。

FIREBUGでは設立後、テレビ番組やウェブ動画、イベントなどの企画やプロデュース、PRなどを手がけていたが、2017年9月に新事業として、スマートフォン向け短尺縦型動画配信サービス「30(サーティー)」を開始し、アプリを公開した。またFIREBUGでは、企業のブランド向上を目的とした、オウンドメディアやYouTube、SNS広告掲載用の短尺動画制作も行っている。

30は、その名の通り30秒ほどの短尺の縦型動画を配信する無料の動画アプリ。ユーザー登録不要で利用できる。バラエティやニュース、マンガ、ライフスタイルといったカテゴリでコンテンツを展開。オリジナル動画を月間数百本配信している。スマホに特化した動画を短尺で配信することで、ユーザーの「スキマ時間」の視聴を狙う。

30では、動画の視聴率や視聴完了率などのデータを蓄積しており、時間帯やユーザーの操作、位置情報により、ユーザーごとのコンテンツ編成が変化する。このコンテンツ配信システムと配信方法は、現在特許出願中という。

今回の資金調達でFIREBUGは、30事業の運営体制を強化し、システム開発やコンテンツ制作の充実を図る。また、今回投資を行う各社とは、30だけでなく、既存のコンテンツ制作事業の分野でも共同制作をはじめとした事業提携を行っていく予定だ。