LGが地図技術のHEREとパートナーして自動運転技術向けテレマティクスに活路を求める

LGは、自動運転技術の勃興を自らの機会として、同社のエレクトロニクス事業を拡張しようとしている。そのために同社は今、ドイツの自動車メーカー連合傘下の地図サービス企業HEREと共同で、自動運転アプリケーションのためのテレマティクス製品を開発している。この共同開発体制により、LGのテレマティクス技術とHEREの位置サービスおよび高解像度地図技術を組み合わせて、自動車メーカーが全自動/半自動車のコミュニケーションハブとして利用できるものを作っていく。

LGはテレマティクス分野の異邦人ではなく、自動車の安全技術やエンターテインメント技術において2013年ごろから業界のリーダーだ。しかし同社は今、さらに高度な先進運転支援システム(ADAS)と次世代型自動運転技術を目指して、HEREと提携した。HEREは今年、Audi, BMW, Daimlerなどから成る自動車メーカーのコンソーシアムに買収され、もっぱらこの分野の技術に奉仕していくことになった。

LGが提供するものはGPS, Bluetooth, Wi-Fi, 今後の5Gも含むモバイルネットワークなどの通信コミュニケーション技術が主体で、自動運転車とほかの自動運転車や、さまざまな情報システム、社内ナビゲーションシステム、そして技術センターなどとの通信を支える。多くのセンサーからの融合データや、クラウドソーシングされる情報、そして既存のテレマティクス情報などが、自動運転システムの主要な構成成分となる。

自動車の分野で自動運転技術の重要性が増すにともなって、今回のLGの例のように、既存技術のサプライヤーや、自動車産業の専門企業ともパートナーすることが、機会を前向きに活かすために必要になってくる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

高速道路ではレベル4が走り、駐車場は不要になる――2020年の自動運転と都市のモビリティー

11月25日、僕たちTechCrunch Japanは「TechCrunch Tokyo 2017 x CarTech @BMW Group Tokyo Bay 〜自動運転と都市のモビリティーを考える」と題して、CarTechをテーマにしたトークイベントを開催した。

イベント当日はビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル氏が基調講演を行い、その後に米Drivemode共同創業者の上田北斗氏、ティアフォー取締役の二宮芳樹氏、そしてビー・エム・ダブリュー株式会社テクノロジーオフィス・ジャパン研究員/テクノロジースカウトである山下祐作氏の3名をお招きしてパネルディスカッションを行った。その様子をお伝えしよう。

自動運転に切り替えてテレカンする近未来

ビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長のペーター・クロンシュナーブル氏

2016年、日本におけるBMWグループの販売台数は約7万5000台となり輸入自動車のなかではトップの成績を記録した。クロンシュナーブル氏は日本市場について、「この市場には大きなポテンシャルがあり、私たちもその大きさを実感してきている」と話す。また、クロンシュナーブル氏は自動車業界の将来を担う4つのキーワードについても言及した。“Autonomous, Connected, Services, Electrified”だ。

その4つのキーワードを体現するのが、BMWが2021年に投入予定の新型車種「iNEXT」だ。iNEXTの自動運転技術は運転手との協調性に重点を置いているようで、当日流されたコンセプトムービーでは、普段は人間が運転しながらも、テレビ電話中は自動車が代わりに運転したり、運転手を目的地まで届けた後はクルマが自分で帰っていく様子も映されていた。さながらSF映画の世界のようだが、それが実現する日はもう間近に迫っている。

自動運転で街の景色が変わる

ティアフォー取締役の二宮芳樹氏

自動運転技術によって街のあり方も大きく変わると話すのは、ティアフォー取締役の二宮芳樹氏だ。自動運転が普及すれば、人が見るための標識もいらなくなり、狭い道路でもこれまでと同じ量の交通量を維持できるようになる。それに、iNEXTのようにクルマが自分で目的地から自宅に帰るようになれば、広い駐車場もいらなくなるだろう。

また、クルマを所有するのではなく、クルマによる移動サービスを消費する“MaaS(Mobility as a Service)”ビジネスも加速するだろうと二宮氏は語る。「運転をクルマに任せるようになると、車内が会議室やリビングルームに変わる。パッセンジャーエコノミーという移動中に何かをするというサービスの経済が大きくなる」(二宮氏)

アメリカにおける自動運転のメディア騒動は「PR戦略」の面も

Drivemode共同創業者の上田北斗氏

アメリカではGoogleが2009年から自動運転車の研究開発を進めていることで有名だが、実際のところ、アメリカの経済界や一般消費者は自動運転をどう捉えているのだろうか。日本人の両親を持ちながらアメリカ生まれアメリカ育ちであり、クルマの中で使えるスマホのUIやアプリを開発するDrivemodeをシリコンバレーで立ち上げた上田北斗氏はこう語る。

「メディアでは大きく取り上げられていて、一般の人たちの期待感も大きいと思う。だが、これは自動運転業界のPR戦略でもある。自動運転は技術的な問題だけでなく、クリアしなければならない法律やインフラ関係のハードルもある。法整備のスピードを加速させるために、『今にでもできるぞ!』とアピールすることはシリコンバレーの戦略だ」(上田氏)

一方の二宮氏は、「低スピードの自動運転車はすぐにも出てくるだろう。人間が運転するスピードと同程度で走る自動運転車をGoogleがいつ出してくるのかがポイントになる」と話す。

自動車業界のオープンイノベーション

ビー・エム・ダブリュー株式会社テクノロジーオフィス・ジャパン研究員/テクノロジースカウトの山下祐作氏

自動運転やEVをはじめとする新しい技術が自動車業界に大きな影響を与えている。そうした技術を取り入れようと、大手の自動車メーカーはスタートアップを巻き込んだオープンイノベーションに積極的だ。

これまでにBMWは20社以上のスタートアップに投資済みだ。同社のオープンイノベーションの取り組みについて、山下祐作氏は「BMWとスタートアップによる協業の成功例の1つがモービルアイだ。同社はもともと小さなスタートアップだったが、親密に関係を持ちながら協業を重ねていった。最終的に同社はインテルに買収されたものの、今でもそのコミュニケーションは継続している」と話す。

登壇者たちが想像する2025年とは

最後に、今回のパネルディスカッションに登壇頂いた3名の未来予想図を紹介しよう。

「早ければ、高速道路ではレベル4の自動運転車が走っているだろう。MaaSという観点で言えば、自動運転シャトルバスなどはその頃にはすでに始まっていると思う。個人的には、Google的な自動運転車、つまりクルマだが人が乗っていないものがどれだけ出ているのかに興味がある」(二宮氏)

「マーケットは二極化するのではないか。高級車のカテゴリーでは自動運転車が浸透する一方で、それ以外の人々はベーシックな装備のクルマに乗りながら、従来のコネクテッドデバイス(スマホなど)を使っているだろう」(上田氏)

「2020年を過ぎると、BMWはiNEXTを投入する。そして2020年代前半には7シリーズも投入予定で、私たちの自動運転技術はさらに加速するだろう。2020年代前半というのが、自動車メーカー各社のターゲットだ」(山下氏)

”走るリッツカールトン”――アメリカで話題の寝台バスCabinに乗ってみた

寝台バスのCabinが目指すのは、車輪がついたリッツカールトンホテルだ。

先々週、サンフランシスコ―ロサンゼルス間をCabinのバスで移動したので、その様子を以下にお伝えしたい。まずサンフランシスコの乗り場に到着すると、笑顔の乗務員が私を迎え、チェックインを済ました後に荷物を持っていってくれた。いざバスの中に入ってみると、乗車後すぐに寝たくない人のために設けられた談話ラウンジが目に入ってきた。

しかし私はそこを素通りし、まずは上階に上がって自分のベッドを選ぶことに。避難口付近の1番上に設置されているカプセルが今日の私の寝床だ。避難口横に並んだカプセルは、他のものに比べてスペースにゆとりがある。それぞれのカプセルには耳栓や水、メラトニンサプリ(睡眠導入剤)などバスで夜を過ごすのに必要なものが備え付けてある。寝床を選んでから少しすると、近くの人が写真を撮ろうかと聞いてくれたので、もちろんお願いした。

寝台バス仲間が撮ってくれたくつろぐ私の図

サンフランシスコからの出発時間は午後11時だったので、仕事を途中で切り上げる必要はなかった。さらに到着時間はサンタモニカに午前7時なので、土曜日をまるまるロサンゼルスで過ごせた。復路はロサンゼルスを日曜の午後11時に出発し、月曜の朝7時にサランフランシスコに到着というスケジュールだった。

SF―LAの往復で料金は230ドルだ。この料金には寝具、Wi-FI、水、紅茶、コーヒー、耳栓、メラトニンサプリが含まれている。バスの下部にはひとり2つまで荷物を預けることができ、自分のカプセルに収まるサイズの小さな荷物は1つだけ持ち込める。

Cabinは決して価格重視の交通手段ではない。BoltやMegaBusを使えば、SF―LA間を50ドルくらいで往復できる。もちろん飛行機という選択肢もある。移動にかかる時間は飛行機が1番短いし、(いつ頃チケットを予約するかにもよるが)そこまで高いということもない。

「ロサンゼルスまで行くのに1番安い選択肢ではない、ということは正直に伝えています」とCabinの共同ファウンダーで社長のGaetano Crupiは言う。彼は私たちと一緒に、初運行となるCabinに乗っていた。

とはいっても、Cabinがもっとも快適な選択肢であるのは間違いない。SF-LA間を50回以上往復している私が言うのだから信じてほしい。ただ、ベッドが装備されたカプセル自体は快適なのだが、デコボコ道が問題だ。往路ではなかなか寝つけなかったが、それが昼寝のせいなのか、デコボコ道のせいなのかはよくわからない。朝”目が覚めた”ときに、本当に自分は寝ていたのかわからなくなるような感覚を味わった。

それに比べて復路はかなりよかった。乗車後すぐに眠りに入って一晩中ぐっすり休め、寝台バスに乗っている夢まで見た(なんとメタな夢だ……)。朝を迎え、ラウンジがある下階へ向かうと、乗務員がエスプレッソを勧めてくれた。そしてモーニングコーヒーを飲み終えるころには到着時間が迫っていた。

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SleepBusからCabinへ

正式なサービスを開始する前に、CabinはSleepBusという名前で、LA―SF間を移動する寝台車を運行していた。このパイロットプロジェクトのチケットはすぐに売り切れ、4000人以上があぶれてしまったとCrupiは話す。Crupiともうひとりの共同ファウンダーTom Currierは、資金調達を行った後に何がそこまで好評だったのかを考え始めた。

「ただバスの中で寝たいなんていう単純なものではありません」とCrupiは笑いながら言った。「それが顧客の心に響いた理由ではありませんし、それではプロダクトにも成りえません」

そこでふたりは実際に顧客の一部から意見を聞き、全ては時間が理由なのだという結論にたどり着いた。しかし彼らはただの寝台バスではなく、ホステルのようなサービスを提供しようと考えたのだ。

「私たちの考えが反映されているのはここからなんですが」とCrupiは続ける。「今やどの会社も自動運転技術の開発を行っているため、将来的にこの技術はコモディティ化していくと思います。では車内で2時間過ごすとして、運転に気を使わなくてよくなったら、そもそも従来の車と同じかたちをしている必要もありませんよね?」

そんなCabinが目指すのは「リッツカールトンのような空間」だとCrupiは話す。さらに彼は、アメリカの長距離交通網の問題にも触れ、「本当にひどい状態」だと語った。また彼は、今後自動運転技術が発展するにつれて、高速道路を利用した長距離交通網が発達していくと考えている。

「私たちが考える未来は、”高速道路を走る電車”です」とCrupiは言う。「そして『顧客は車内に7時間いることになる』と考えると、デザインやサービスの重要性がわかってきますよね」

だからこそCabinは、乗務員やプライベートな空間、アメニティといった細かなところにまで気を配っているのだ。最終的にはコーヒーやお茶などの車内販売も考えているという。

「私たちは自動運転車のエクスペリエンスを、将来ではなく今提供しているんです」と彼は続ける。

Cabin設立当初から、CrupiとCurrierは常に自動運転車のことを考えており、将来的にはエクスペリエンスだけでなく本当の自動運転寝台バスを提供するようになるかもしれない。

Crupiいわく「私たちは、自動運転車が人の生き方にどのような影響を与えるか、ということにとても興味を持っています。通勤にエネルギーを使わなくてもよくなれば、都市部への人口集中が緩和され、子どもを自然の中で育てられるなど、街づくりや住む場所と働く場所の考え方に関し、さまざま良い変化が生まれるでしょう」

自動運転技術の実用化にはまだ時間がかかりそうだが、CrupiとCurrierは今の時点で自動運転車のエクスペリエンスを顧客に提供したいと考えたのだ。「車に乗って寝て起きたら目的地に到着している、というアイディアにずっと魅了されています」とCrupiはその理由を説明する。

走るホテルの運営にあたって

夜間に運行できるよう、Cabinはこれまでに3台の寝台バスを製造した。SF→LA、LA→SFに1台ずつを走らせ、もう1台をバックアップとして使っている。さらにこれから9月1日までに、だんだんと運行数を増やしていく予定だ。

先述の通り、私が乗ったのはCabinとしては初めて運行されたバスだった。先週末には2度目の運行が行われ、今後徐々に洗濯物やゴミ、排泄物の処理といったオペレーションのすり合わせが行われる。

「バスは常に動き回っているので、どこかと協業しないと運営していけません。洗濯物はどこかで回収してもらって、またどこかでピックアップしなければいけませんし、燃料についても同じです。その一方で、空港のような場所が要らないというのは、Cabinのような交通手段の大きなメリットのひとつとも言えます」とCrupiは語る。

営業時間外のCabinはさまざまな場所に停まり、乗客を拾うときはツアーバスの乗り場を使っている。サンフランシスコとサンタモニカでは運営許可を取得しているので、法的な準備も万全だ。

「多くのスタートアップは『規制対応は後から』という姿勢ですが、私たちは警察に没収されるかもしれない資産を使ってビジネスを行っているので、サンタモニカの都市設計部門から路線の許可をとりました。コンプライアンス面はバッチリです」とCrupiは話す。

彼によれば、次の四半期の間にCabinはホスピタリティの部分にさらに力を入れる予定だが、カプセルの大きさや見た目についても試行錯誤を重ねていくようだ。

路線拡大に関しては、ポートランドとラスベガスを次なる進出先として検討しているとのこと。その一方で、アメリカ中部にも「大きなチャンスが眠っている」とCrupiは関心を寄せている。

「線路が要らない高速道路網を使えば、割高でも利用したい人がたくさんいるというのに気づいたのは大きかったですね。限られたインフラを使って、ヨーロッパ旅行のような体験をアメリカ国内で提供しているようなものです」と彼は話す。

最近Cabinは330万ドルを調達し、新しい都市への進出を考えている。Crupi自身、Cabinは何億ドルという資金を調達できるようなタイプのビジネスではないと認めているが、今のところ同社には「十分に利益が見込めるビジネスモデルと、私たちに新たな洞察をくれる顧客ベースがある」と彼は言う。

FAQ

  • 車内で眠れた?
    往路に関しては多分。復路はしっかり寝られた。
  • カプセルに鍵は付いてる?
    付いていないが、特に不安は感じなかった。
  • 車内で騒いでる人はいた?
    ラッキーなことにいなかった。むしろ皆かなり早い段階で寝始めたので、物音さえほとんどしなかった。例え眠れない人がいても、ラウンジが用意されているのでそこまで問題になることはなさそう。
  • トイレは汚かった?
    全く!バスのトイレとしては綺麗な方だったと思う。タンポンも完備!
  • 飛行機の方が安いのでは?
    チケットを購入するタイミングにもよるが、ほとんどの場合飛行機の方が安い。
  • もう1度乗りたいと思う?
    長距離移動するとき、私は何かと不安に感じることが多い。フライトだと空港に遅くとも1時間前には着かなければいけないし、ようやくセキュリティゲートを抜けたとしても、天候やその他のくだらない理由(サンフランシスコ国際空港の滑走路の工事など)で遅延することもある。車での移動だと、何時間も起きていないと行けないし、助手席に乗っていたとしても脚は完全に伸ばせない。しかしCabinだと、出発10分前に乗り場に着けばよく、コンパクトながらもちゃんとしたベッドで寝られるのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Vayyarが車内状況をモニターする3Dセンサーをローンチ、自動運転車両でも活躍が期待される

自動運転産業の部品サプライヤーたちによって開発されている多くのセンサーは、車両の外で何が起きているかに関する明瞭な画像を得ることに注力している。しかしVayyarの新しい3Dセンサーは、乗客に関する情報などを含む、車内の詳細な情報を提供する。この3Dセンサー技術はまた、光学画像キャプチャを使用しないため、カメラに比べてプライバシーの観点からも優れており、また結果的にどのような照明条件下でも動作することができる。

これらのエンベデッドセンサーは、他のセンシングソリューションに比べて小型で低コストであり、乗客のバイタルサインや、運転手がハンドルの前で居眠りしかけていないかなどの車内の様子を、リアルタイムにモニターすることができる。これはレベル2またはレベル3の自動運転の実現のために利用される可能性はとても大きい、なぜならこれらのセンサーは運転手の注意力をモニターし、車と路上を積極的に人間が見なければならない場合に、しっかりと通知が行われるように、補助をおこなうことができるからだ。

自動運転車はまた、この技術を、実際に車両に乗っている乗客とその位置に合わせて、適切にエアバッグを開くといった形で、安全性の最適化向上のために利用することもできる。未来の自動運転車における車内サービスも、こうした技術を利用することができる。たとえば車内ディスプレイ上に表示される情報内容を調整し、車内環境を調整するといったことだ。

Vayyarはまた、事故の際に、車内の生存者に関する情報の収集と送信も可能だということを指摘している。これによって救急隊に早期の情報を与えることができる。

車内状況のモニタリング以外にも、Vayyar社によって作られた3Dセンサーは、車両の直ぐ近くを監視し(同社によれば)「すべての死角を取り除く」アプリケーションを提供している。光の量に関わりなく、また霧や炎天下といった障害に関係なく動作する特性は、既に指摘したように、光学的センシングハードウェアよりも有利な点を持っている。

Vayyarのプロダクトを支える強力な専門的後ろ盾としては、元Intelのアーキテクチャグループの副社長でありWorldwide Mobile Wireless GroupのGMだった、CEO兼共同創業者のRaviv Melamedも控えている。

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(翻訳:Sako)

NvidiaとBaiduが、クラウド、自動運転、リサーチ、そしてスマートホームにまたがる包括的なAI協業提携を行った

本日(米国時間7月5日)BaiduとNvidiaは、人工知能についての包括的な協業提携を行ったことを発表した。適用分野はクラウドコンピューティング、自動運転、教育と研究、および民生機器を介した家庭内での利用にまたがる。これはNvidiaにとって、急成長する人工知能ビジネスの中で、これまでで最も包括的なパートナーシップであり、今後数年にわたりNvidiaのGPU事業を大きく拡大する可能性がある。

今回のパートナーシップには、Baidu CloudでNvidiaのVolta GPUを使用する契約や、複数の中国の自動車メーカーと提携して自動運転車を市場に投入しようとしているBaiduの取り組みに対して、Drive PXを適用することなどが含まれている(今朝発表されたBaiduの自動運転車向けApolloプログラムとその野望、詳細はこちらから )。さらに、BaiduとNvidiaは、Baiduが開発した、Nvidia Volta用オープンソース深層学習フレームワークであるPaddlePaddleの最適化に向けて協力を行なう。そしてその成果は広く研究者や研究機関などに提供される予定だ。

消費者サイドに目を向けると、Baiduは今年初めにハードウェアをアップグレードしたAndroid TVベースのセットトップ・ストリーミングボックスであるNvidia Shield TVに、DuerOSを追加する予定だ。DuerOSは、SiriやGoogle Assistantに似た仮想アシスタントで、以前スマートホームスピーカーやデバイス向けに発表されていたものだ。Shield TVは今後のアップデートによって、Google Assistantのサポートを受ける予定だ。Nvidiaはまた、最終的に家庭内に展開可能なスマートホームマイクを提供して、DuerOSでも動作可能な機能を提供する。

これはNvidiaにとって大きな勝利であり、現代のAIコンピューティングにおける最も重要なパートナーシップの1つが出現する可能性がある。両者はこれまでも協業してきたものの、今回の提携はAIの将来の成長が見込まれる潜在的な分野すべてにパートナーシップの幅を広げるものだ。

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(翻訳:Sako)

ヤフーが「SBドライブ」へ出資し自動運転へ本腰、既存事業との連携やデータ活用へ

自動車業界のみならず、通信業界やIT業界の企業もこぞって注目する「自動運転」。また新たに1社、IT業界の雄がこの領域に本腰を入れることが明らかになった。3月24日、ヤフーはソフトバンクは自動運転技術を活用したスマートモビリティーサービスの事業化を目指すSBドライブへ出資したと発表した。出資金額はヤフーが約4.9億円、ソフトバンクが約1.9億円。ソフトバンクについては追加出資となり、累計の出資額は約5.1億円に上る。

SBドライブは、ソフトバンクと自動運転技術を研究・開発する先進モビリティの合弁会社として2016年4月に設立された企業だ。これまでも両社やヤフーの協力を受け、自動運転技術を活用した路線バスといった地域公共交通サービスや、大型トラックの隊列走行による輸送効率化などに取り組んできた。2016年に北九州市、浜松市、鳥取県八頭町、長野県白馬村とスマートモビリティーに関する連携協定を締結しており、2018年度後半には公道での完全自動運転による実証実験を計画している。

以前からSBドライブに協力をしてきたヤフーだが、今回の出資により自動運転分野に本腰を入れる形になる。今後は「Yahoo!地図」などの既存サービスとの連携や、自動運転車を通じて取得できるビッグデータをYahoo! JAPANサービスで活用することで、地域や移動に関するユーザーの課題を解決する「UPDATE MOBILITY」の実現を目指していくという。

ヤフーに限らず、国内でもIT系の大手企業が続々と自動運転を含むコネクテッドカーの領域に参入していることは、TechCrunch Japanの読者のみなさんならすでに知っているだろう。

たとえば2015年5月にZMPと合弁会社「ロボットタクシー」を設立し精力的に自動運転車開発に取り組んでいたDeNAは、2017年1月にZMPとの提携を解消。新たに日産とタッグを組み、2017年内に日産製の自動運転車両を用いた技術的な実証実験の開始、2020年までに無人運転による交通サービスプラットフォームの検証を目標に掲げている。

2017年3月にクラウドAIプラットフォーム「Clova」を発表し注目を集めたLINEに関しても、タクシー配車アプリ「LINE TAXI」を提供しているし、親会社である韓国NAVERが手がける自動運転車はすでにレベル3の段階にあるという。

 

Alibabaが車向けARダッシュボードメーカーのWayRayに投資

昨年その最初の自動車を発表して以来、Alibaba(阿里巴巴)は自動車業界へ深く入り込みつつある。この中国のインターネットならびに電子商取引の巨獣が、スマートカーテクノロジーの開発企業であるWayRayの1800万ドルに及ぶシリーズBラウンドで、トップ投資家となったことを、WayRayが発表した。

2012年に設立されたWayRayは、ホログラフィックナビゲーションシステムを製造している。その資金調達に関する発表によると、WayRayは前回調達した1000万ドルを既に、運転者が見る道路の視野上に指示や様々な情報を表示するARダッシュボードであるNavionの技術開発のために費やした。同社は消費者が手にすることのできるNavionを、2017年中に出荷する計画だ。

事前に用意されていた発表文書の中で、Alibabaグループのシニア投資ディレクターであるEthan XIeは「拡張現実のような先端技術の開発には巨大な可能性があり、様々な分野への応用、例えば自動車分野におけるWayRayのARナビゲーションのような応用があると信じています。拡張現実の可能性がその分野をエキサイティングで有望な分野にするのです」と述べている。

Alibabaは昨年の夏に、SAIC(上汽集団:中国の4大国有自動車製造会社の1つ)と共同開発したスマートカーRX5のプレオーダーを開始し、自動車業界へのデビューを果たした。RX5はAlibabaのYun OS(雲OS)を使っているが、同社はこの車をIoTエコシステムの一部にすることを狙っている。このエコシステムには同社の他のハードウェアや、Alipayなどのインターネットサービスが含まれている。

しかし、Alibabaのスマートカーには既にいくつかのライバルが現れている。例えばまた別の中国の巨大テクノロジー会社であるLeEchoが「初めての車両移動式エコシステム」として電気自動車のLeSeeを売り込んでいるし、またBaidu(百度)は、また別の中国4大国有自動車製造会社の1つであるBAIC(北汽集団)と共同でスマートカー技術と自動運転車を開発している。

WayRayはまた、AlibabaグループとSAICによるジョイントベンチャーであるBanmaテクノロジーズと提携を行うと発表している。Banmaによって2018年にローンチされるARナビゲーション並びに車内エンターテイメントシステムを開発するためだ。WayRayはこれは「世界初の、車向け量産ホログラフィックARヘッドアップディスプレイだ」と主張している。

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(翻訳:Sako)

中国のDidi Chuxingが、AIならびに自動運転技術の開発を行う米国研究センターをオープン

中国におけるUberのライバルDidi Chuxing(滴滴出行)が、米国研究センターを正式にオープンした。この新センターは、特にAIと自動運転の分野に向けて、中国内での人材プールを超えて、才能を吸い上げようとすると動きの一部だ。

研究センターの存在そのものは新しいものではない。昨年の9月、TechCrunchは、DiDiが米国に拠点を置く2人の経験豊富なセキュリティ専門家を雇用したことを報告した、Fengmin GongならびにZheng Bu両博士である。2人は2015の終わりに中国にオープンした他の拠点と緊密に連携する研究センターをリードするために雇用されたのだが、このたび研究センターが正式にオープンしたということだ。

Gong博士はマウンテンビューの施設を指揮し、彼のチームの「最先端のデータサイエンティストと研究者たち」の中には、元Uber研究者のCharlie Millerも含まれる。Millerを有名にしたのは、2015年に彼は10マイル離れた場所からラップトップを使ってジャーナリストの車両をハッキングしたことだ、これはコネクテッドカーの脆弱性を実証するために、事前にアレンジの上実行された離れ業だ。

本日(米国時間2月8日)Millerが書き込んだツイートによれば、Millerの役割はUberでのものと似通ったものになるようだ。彼の転職は注目に値する。なぜならこれはDidiがUberに対して行った最初の主要な引き抜き工作だからだ。そしてUberが強力に推進している自動運転に関わる案件でもある。

私の仕事は、Didiによって開発されて利用される運転支援ならびに自動運転システムが、外部からの攻撃や脅威を防御できるようにすることだ。

Didiは自動運転車に関連したUdacityとのパートナーシップを通じて、シリコンバレーで早期に影響を与えることを目指している。両者は、人間の運転する車両ならびに自動運転車のための運転安全性を向上させるための、ASAPS(Automated Safety and Awareness Processing Stack:安全と注意の自動処理スタック)を開発するためのチームを募集する、合同コンテストの開催をアナウンスした。選ばれた5つのファイナリストたちは、10万ドルの一時金を受け取り、DidiとUdacityの自動運転プロジェクトと密接に仕事をする機会を得ることができる。

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(翻訳:Sako)

スバルがカリフォルニア州での自動運転車試験ライセンスを取得

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カリフォルニア州車両管理局(DMV)は、スバルを州内の路上で自動運転技術をテストすることができる基準を満たす、最新のメンバーとして追加した。これで限定クラブのメンバー数は合計22となった。スバルは日本の富士重工業の自動車生産部門で、人気のフォレスターやアウトバック(日本ではレガシィの一部)シリーズを作っている。

スバルはすでに高度なドライバー支援機能を「アイサイト」という名のオプションで提供しているが、渋滞時(最高時速40マイルまで)の自動ナビゲーションとスアテアリングなどを含む、新しい機能の導入を検討している。同社はまた、高速道路上での半自動運転を2020年までに提供することを目指している。これはカーブに沿った運転や車線変更などを含むものである。

近い将来に自動もしくは半自動運転機能を提供したいと考えている多くの企業にとって、カリフォルニア州は格好のターゲットになっている。この理由はDMVによって導入された認可プログラムが、公共の高速道路、市街地での試走を可能にするものだからだ。要件を満たした自動車メーカーと技術提供企業なら、ささやかな料金の負担でそれが可能になる。

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(翻訳:Sako)

TeslaがAppleのSwift開発責任者を、自動運転担当副社長として引き抜いた

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Teslaは自動運転の取り組みを率いる新しい副社長を獲得した。Chris Lattnerだ。そのAppleからの離職は本日(米国時間10日)の早い時間に発表されたばかりだ。LattnerはAppleで11年働いた。その主な貢献はAppleの最新のプログラミング言語であるSwiftの開発である。Swiftは初心者がmacOS、iOSその他のアプリを作成する際に、比較的選びやすく使いやすい言語だ。

これからLattnerがTeslaで担当する役割は、これまではSpaceX 社のソフトウェア担当副社長であるJinnah Hosseinによって担当されていたものだ。HosseinはこれまでTeslaとSpaceXの両社で同じ役職を担っていた(Elon Muskが両社でCEOを兼ねているのに近い)。Teslaはその転職を発表したブログ記事の中で、「自動運転の未来を加速する」ことができるLattnerの能力に「興奮している」と書いている。

Lattnerの経歴にはClangコンパイラーの作成やLLVMコンパイラー最適化インフラストラクチャの設計が含まれている。彼はまた、Objective Cの進化に大きく貢献し、iPhone開発時はAppleのソフトウェア開発ツールXcodeを担当しいてた。彼はまた、明らかに美しい木製家具の作り手でもある。

TeslaにとってLattnerの獲得は、ソフトウェア開発と専門知識における彼の影響力の幅広さを考えると、とても重要な勝利である。Teslaは2016年後半に、この先の全車両が完全な自動運転に必要なすべてのハードウェアを搭載することを発表した。またElon Muskは、Tesla車による西海岸から東海岸への完全自動運転の準備を、今年の末までに整えることを目指している。LattnerはMuskの典型的な攻撃的タイムラインの中で、そうした野心を実現するための大きな力になることだろう。

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(翻訳:Sako)

DeNAが自動運転でZMPとの提携を解消、新たに日産との協業が明らかに

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DeNAは本日、ロボットタクシーを共に手がけるZMPとの業務提携解消を発表した。ZMPはコンシューマ向けのロボットの開発・販売を手がける企業で、2015年5月にDeNAと合弁会社「ロボットタクシー」を設立した。ロボットタクシーでは、DeNAのネットサービス運営ノウハウとZMPの自動運転に関する技術を連携させ、自動運転車両による旅客運送事業を確立する計画だった。

解消の理由についてDeNAは「このたび、ロボットタクシーの運営方針の違いから、両社は別々の取組みを行うことが最善であるという考えに至り、業務提携を解消する運びとなりました」とリリースに記している。

ZMPは自動運転制御開発車両プラットフォーム「RoboCar」や車載コンピューターなどを開発する成長企業で、DeNAと業務提携を発表した頃から上場目前と噂されていた。実際2016年11月にはマザーズ市場への上場を発表したが、翌月にはインターネット上に一部顧客情報が流失したことにより、上場手続きの延期を発表している。

ZMP側のコメントは以下の通りだ。

このたび、ロボットタクシーの運営方針の違いから、両社は別々の取組みを行うことが最善であるという考えに至り、業務提携を解消する運びとなりました。

ロボットタクシーは、当社代表の谷口が「高齢者や子供たち、障害を持つ方など、運転ができない方々に移動手段を提供したい。交通弱者を交通楽者にしたい。」との想いから 2012 年に生み出した「ロボットタクシー」構想を実現するために設立した会社です。当社としましては、今後も「ロボットタクシー」構想を実現のため、新たな枠組みで尽力していく所存です。

ロボットタクシーでの合弁は解消したものの、DeNAは自動運転領域での攻勢をゆるめるつもりはないようだ。本日DeNAは新たに日産と自動運転車両の交通サービスプラットフォームの開発を発表した。年内には日産の自動運転車両を用いた実証実験を実施し、商業利用を目指すという。

Uberが人工知能のスタートアップGeometric Intelligenceを買収し、AI Labを設立

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タクシー配車サービスは競争力を保つためにも、機械による知性を必要としている。Uberが人工知能分野のスタートアップを戦略的に買収したことは意外なことではないだろう。Uberは、AIに知見のある学術研究者が共同創業したスタートアップGeometric Intelligenceを買収した。Geometric Intelligenceは、Uberがサンフランシスコ本社に新設したAI研究所の中核チームになる。

Uberがピッツバーグに置く研究チームでも、すでに機械学習の研究に取り組んでいる。ただ、ピッツバーグのチームが注力するのは自動運転に関連した問題だ。今回の新しいチームは、より広範に適用できるAIについて研究する。例えばルート検索など、AIを適用可能な広い分野に影響する基礎的な研究だ。UberはGoogleやApple、Microsoftといった1つの領域以外にも関心を持つ大手テック企業と肩を並べることを視野に入れているのだろう。

Geometric Intelligenceの創業チームにはニューヨーク大学の認知科学の研究者Gary Marcus、ケンブリッジ大学で機械学習の教授を務めるZoubin Ghahramani、セントラルフロリダ大学のコンピューターサイエンスの教授Kenneth Stanley、ニューヨーク大学の神経言語学の博士Douglas Bemisらを含む。Geometric Intelligenceの社員は15名で、データサイエンスや人工知能の領域で高名な学者が揃っている。契約では、社員はそれぞれが所属する学術機関とのキャリア面でのつながりも保持することができる。

GIが主に研究しているのは、通常のAIで必要となるデータより少ない量で物や景色の認識ができるAIシステムやエージェントを作成する方法だ。これまで大量のデータセットを解析する処理能力を持たせることでAIシステムを進化させてきたが、Uberの新チームは別の角度から問題をみている。限定的なデータ入力でシステムを賢くする方法だ。これはUberにとって解析するのに十分なデータセットを持っていない分野のプロダクトでも、その効果を素早く高める助けになるだろう。

UberのチーフプロダクトオフィサーJeff Holdenはブロク投稿に、会社のビジネスのどの分野を見ても「現実世界との交渉」という共通した課題があり、それは「高次の知性の課題」であると記している。基礎的な研究でAIの能力を高めることは、どの分野の問題を解決するために最も効果的な方法だろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Sinovation Venturesが狙うのはAIだ

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Sinovation Venturesを創業したKai-Fu Lee博士の中国製SNSのアカウントには、5000万人ものフォロワーがおり、彼はそこで中国のテクノロジーの将来を予測する賢者のように扱われている。TechCrunch Beijing 2016で彼は、中国のスタートアップ業界の重要なトレンドについて私たちに話してくれた。

Sinovation Venturesは先日、中国とアメリカのファンドから6億7500万ドルを調達しており、現在では300社以上の企業に出資している。Kai-Fu Leeは「1社につき1500万ドルまで投資ができる規模になった」と話している。

そして、これからのSinovation Venturesにとって最も重要な分野となるのが人工知能だ。自動運転技術は大勢から注目されている分野だが、Kai-Fu Leeはそれに加えて、画像認識技術、人工知能の金融分野への応用技術、そしてAIを利用したヘルスケア・スタートアップに狙いを定めている。ここ数年でSinovation Venturesが出資した企業うち、その約半数はAI関連企業だ。

「AIはあらゆる職業や業界に変化をもたらしました。AIが関与していない分野など無いといっても過言ではありません」とKai-Fu Leeは話す。「例えば、AI技術の教育分野への応用は想像がしやすいでしょう。従来の教育のほとんどは、AIによる教育に切り替えられる可能性があります。医療や医薬品分野もAIが活躍する分野です」。

もちろん、AIにはまだ根本的な問題が残されている。AIが人間に取って代わることで、人間の職が奪われてしまうのだろうか?Kai-Fu Leeもこの問題に気づいてはいるが、それに対しては楽観的な意見を持っている。

「AIはとてもよく働くだけでなく、それにかかるコストは非常に低い。それによって人類全体はこれまでより多くのリソースを持つことができ、AIのおかげで全ての人々に経済的な保障を提供することができるかもしれません」と彼は語る。「生産性が低い繰り返しのタスクをこなすことが、人類が地球上に存在している理由ではないでしょう」と彼は続けた。

彼によれば、人工知能の誕生によって最も影響を受けるのは貨物運輸の分野だという。その中でも、まず初めに影響を受けるのがトラックの運転手だ。「だからこそUberがOttoを買収したのです」と彼は話す。

一方で、彼はヘルスケアに関してより慎重な考えを持っており、AIがヘルスケア分野で利用されるようになるまでには時間がかかり、変化は徐々に進んでいくだろうと話す。「この分野が少し特殊なのは、そこに人の命が関わってくるからです。この分野でAIが使われるとすれば、それは人間のアシスタントとしての役割でしょう」う。

彼らはAI分野に力を入れてはいるが、複雑なテクノロジーだけにフォーカスしている訳ではない。Sinovation Venturesはこの他にも、エンターテイメント分野やコンテンツ制作系の企業にも投資をしている。様々なTV番組にも投資しており、これはVCとしては珍しいことだ。

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「米国ではより小さい規模の投資をするようにしています。そうやって市場に入り込むことで、彼らから学ぶことができるからです」とKan-Fu Leeは話す。ハードウェアや玩具の分野に投資することも考えられるだろう。

最後に、Kai-Fu Leeは中国の消費者製品の動向について話してくれた。「モバイル・インターネットという分野では、中国は米国よりも進んでいると思います。なぜなら、これまで米国に遅れをとっていた中国は、いざ前に進むときに階段を数段抜かしすることができたからです」と彼は話す。「中国の人々は現金の支払いからモバイル・ペイメントに直接シフトしていきました。モバイル・ペイメント、モバイル・ゲーミング、モバイル・コミュニケーションなどの分野では、中国が主導権を握っています」。

今後数年のうちは、中国の企業が国外で大きな成功を収めるとは思いません。

— Kai-Fu Lee博士

彼の意見によれば、GoogleやFacebookなどの企業は、WeChatなどの中国のコンシューマー向けサービスと争うべきではないという。時すでに遅し、とのことだ。

「FacebookやGoogleといった企業は、中国企業が持っていないようなテクノロジーにフォーカスできるのです」と彼は話す。「例えばFacebookにはOculusがあり、Googleにも中国の競合企業には無い技術を持っています。もし私が彼らであれば、そういった技術を中国でもローンチしようとするでしょう」。

だが、米国市場を狙う中国企業にとってもそれは当てはまる。「米国市場においてWhatsAppはすでに独占的な地位を確立しており、中国企業がその分野に参入するのは難しいでしょう」とKai-Fu Leeは話す。「今後数年のうちは、中国の企業が国外で大きな成功を収めるとは思いません」。

つまり、これまで通り中国企業は中国で、米国企業は米国でそれぞれ独占的な力を持つということだろう。Uberが中国市場から撤退したことからも分かるように、真のグローバル・リーダーになるのは難しいということだ。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

新しい自動車メーカーの誕生

編集部注:本稿はAdvanced Telematic Systemsの創業者兼CEOであるArmin G. Schmidt によって執筆された。同社は自動車業界のソフトウェア開発を支援する企業だ。彼はこの他にも、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどにある数多くのイノベーティブなテック企業で役職をもつ。

 

フランスのMulhouseという街にあるCité de l’Automobileは素晴らしい場所だ。スイス人のHansとFritz Schlumpf兄弟の自動車に対する強い愛情のおかげで、この場所には多くの自動車が展示されている。展示されている自動車を集めるための費用は、彼らが立ち上げたビジネスから得た収益で賄われた。彼らはウール製品向けの紡績工場を経営していた。面白いことに、「Schlumpf」をドイツ語にすると「smurf」となる。アニメの「Smurf」を覚えている読者であれば、The Cité de l’Automobileを見て「Smurftastic(最高に素晴らしいという意味の造語)」と言うことだろう。

Schlumpf兄弟の自動車に対する過剰な愛情と、1970年代に布製品の生産がアジア国々にシフトしていった事が理由で、ついに彼らのビジネスは破産してしまった。そこで彼らはフランスを離れ、故郷のスイスに戻ることにした。その頃までには、彼らの自動車コレクションの価値はとても高くなっており、フランス政府は彼らのコレクションには歴史的な希少価値があるとして、それを破壊したり輸出したりすることを禁止する命令を出した。そして1978年、彼らのコレクションはCouncil of Stateによってフランスの歴史的記念物として認定されることとなったのだ。

数年前、今では世界最大の自動車博物館となったCité de l’Automobileに訪れる機会を頂いた。まさに自動車の栄光の時代にタイムスリップしたような感覚だった。何百もの自動車で埋め尽くされた巨大なホールを歩いていると、その多くはかつての「スタートアップ」(過去の起業家にも現代の用語を当てはめることは可能だろう)がゼロから自動車を創り出し、ブランドを確立し、誕生したばかりの自動車市場でのシェアを奪い合っていた時代に製造されたものだということに気付くだろう。馬によって移動することはもはや時代遅れとなり、それが理由で私たちは乗馬を贅沢な趣味として認識するようになった。

新しいテクノロジーが誕生して産業が革新的な発達を遂げたことにより、当時のスタートアップは限られた資本でも自動車を製造することができるようになった。第一次の自動車ブームが始まったのだ。例えば、1920年代には自動車はボディ・オン・フレームという製造方法で製造されていた。この方式では別々のサプライヤーから供給される部品をモジュールとして組み合わせることが可能になる。その後、開発予算のあるハイエンドのクルマ向けにユニボディ構造が採用され、高精度に一体化された車両が開発されるようになった。この構造はボディ・オン・フレームは開発コストはかかるが、大規模に生産することができれば開発コストを下げることも可能となる。現代の電気自動車のなかにはボディ・オン・フレームというコンセプトに回帰したものもあり、例えばBMW i3の頑丈なフレームの中にはドライブトレイン(クランクやチェーンなど自動車を前に動かすためのパーツの総称)とバッテリーが組み込まれている。

これから挙げる自動車ブランドのリストはCité de l’Automobileに展示されている自動車のほんの一部だ。もしあなたがこの中の3つ以上のブランドを知っているとすれば、正真正銘の自動車エキスパートと名乗ることもできるだろう。もしそれが本当ならば、今度会う時にはお酒を一杯おごろうではないか。 ABC、Amilcar、Arzens、Aster、Ballot、Bardon、Barraco、Barré、Baudier、B.N.C、Bollée、Brasier、Charron、Cisitalia、Clément de Dion、Clément-Bayard、Clément-Panhard、Corre La Licorne、Darracq、Decauville、 De Dietrich、 De Dion-Bouton、 Delage、 Delahaye、 Delaunay-Belleville、 Dufaux、 Ensais、 Esculape、 Farman、 Fouillaron、 Georges Richard、 Gladiator、 Gordini、 Horlacher、 Hotchkiss et Cie、 Hotchkiss-Gregoire、 Jaquot、 Le Zèbre、 Lorraine-Dietrich、 M.A.F.、 Mathis、 Maurer-Union、 Menier、 Minerva、 Monet-Goyon、 Mors、 Neracar、 O.M.、 Panhard & Levassor、 Pegaso、 Philos、 Piccard-Pictet、 Pilain、 Ravel、 Rheda、 Richard-Brasier、 Ripert、 Rochet-Schneider、 Sage、 Salmson、 Scott、 Sénéchal、 Serpollet、 Sizaire-Naudin、 Soncin、 Turicum、 Vermotel、 Violet-Bogey、 Zedel.

この優秀なスタートアップたちが自動車を製造していた時代は、まだクルマの燃焼機関が参入障壁として機能していなかった時代だった。その後、GM、Ford、Mercedes、Toyota、BMW、VWなどのメーカーが40年以上もの間マーケットを独占することになる。これにより、これらの大規模メーカーとMcLarenやLotusのような小規模メーカーとの間に巨大な壁が生まれたのだ。

もちろん、DeLoreanやFisker、Artegaのようなスタートアップが誕生したことは事実だ。しかし、燃焼機関を搭載したクルマを製造開発し、マーケティングを行って製品を販売し、そして言うまでもなくディーラーのバリューチェーンを維持するというビジネスは、大規模で資金力のある企業が常に勝利する試合だった(今でもそうだと主張する者もいる)。自動車業界でスタートアップを立ち上げて成功させるのは簡単ではない。1億ドル以上の資金を調達できないスタートアップはすべて、遅かれ早かれ倒産の道をたどることになるだろう。特に、大半の投資家はこの業界を触れてはいけないもののように扱っている。非常に大きなリスクを伴うのにもかかわらず、成功する確率が低いからだ。

次世代のクルマや商用車、そして他のタイプの交通手段を開発することを目的としたスタートアップが次々に誕生しつつある。

しかし、2004年に台湾に現れた1人の男がすべての常識を覆した。Elon Muskだ。その時彼は、台湾だけでなく様々な場所で資金を調達するために奔走していた。彼が開発した第一号モデル「Roadster」をローンチするための資金だ。当時このクルマに使われていた部品の大半は、人口2300万人の島国である台湾で製造されたものだった。この国は世界中に存在するPCやノートパソコン・メーカーの8割に部品を供給しているだけでなく、iPhoneで使われているマイクロチップのすべてを生産していることでも有名だ。また、Foxconn、Pegatron、Wistronなどの台湾出身の巨大メーカーの存在もよく知られている。

Teslaが2006年にローンチした当時、同社のプロダクトに搭載されたエンジンは台湾にあるTeslaの工場で生産されていた。その当時から、Elon MuskはITと自動車の世界は交わることになるだろうと確信していたのだ。初めての資金調達を完了したあと、彼は野望を抱き始めるようになる。「専門家」と呼ばれる人たちのアドバイスは聞かなかった。2009年までにTeslaは1億8000万ドルを調達し、147台のプロダクトを販売した。

その数年後、その時すでに何十億ドルもの追加資金を調達していたTeslaに世界は注目し、Teslaであればそれまで誰もが避けてきたことを成し遂げることができるだろうと考えるようになった。伝統的で巨大な自動車メーカーへの攻撃だ。コンピューターの処理能力の発達し、業界を進化させるというモメンタムが大きくなっている今、時代は「イノベーションのジレンマ」と呼ばれる新たな1ページに差し掛かろうとしている。ハーバード大学教授のClayton Christenseが提唱したこの理論は、新しいテクノロジーによって優良な大企業が没落する過程を説明している。そして何より、これまで競争力のあるプロダクトが創り出したプレミアムを享受してきたAudi、BMW、Toyota、Mercedesのような企業は、この理論を真剣に受け止め始めている。

豊富な資金力と技術によって構築された巨大な壁は崩壊しつつある。VC業界はこの絶好の機会に歓喜し、自動車業界を攻撃し始めた。過去5年の間に自動車メーカーは2200億ドル以上もの資金をM&Aに費やしている。

洗練された生産技術を必要とする、燃焼機関などのプロダクトによって構築された参入障壁は今後消え去ることになる。電子部品が業界の主流となりつつあるのだ。例えば、今ではE-ドライブトレインの製造はMagnaなどのODM製造業者にアウトソースされており、今後はこの分野のFoxconnとも言えるような企業が生まれることになるだろう。

より重要なことには、Teslaは機械学習という分野において有利な立場にいるだけでなく、彼らのクルマには従来の自動車システム(内部燃焼エンジンなど)が搭載されていないことから、より大規模で成長著しいマーケットに競合他社よりも素早く参入することが可能なのだ。従来のモデルから転換してインターネットにつながれたコンピューターを搭載するクルマをつくるという動きは、いずれ人々が自動運転車を所有し、共有し、そして自動運転車がオンデマンドで配車されるという世界を生み出すだろう。

新しいクルマや商用車、そして他のタイプの交通手段を開発することを目的としたスタートアップが次々に誕生しつつある。以下のような企業だ: NextEV、 Atieva、 ThunderPower、 GogoroNavya、 Borgward、 Local MotorsZMP Faraday Future、 Starship、 Varden Labs Easy Mile Auro Robotics、 Gaius Automotive、 ElioLeEconuTonomy、 Dyson、 Mission Motors、 Boosted、 Lit MotorsRenovo Motors、 Inboard Technology、 Future Motion、 GLM、 Dubuc Motors、 Dagmy Motors、 Newton VehiclesALTe Technologies、 Lumen Motors、 Barham Motors、 Highlands PowerMyers Motors、 Tratus、 Virtus Motors、 AC Motors、 Scalar Automotive、 Fenix Vehicles、 Marfil、 Esco Motors、 Lithos Motors。今後数年間のうちに何百ものスタートアップが新しく生まれることだろう。

近い将来、レッドブルのロゴが塗装されたクルマが道を走っていたとしても驚かないように。

どんなにイノベーティブな交通手段のコンセプトでも、最終的には人を乗せる「乗り物」が必要となる。未来の乗り物は今日のものと比べて異なる要素を持ち合わせていたり、異なる材料から製造されていたり、電源の供給の仕方や制御の方法も違うかもしれない。しかし、誰かがその乗り物を開発し、製造し、販売し、品質の維持をしなければならない。現存する自動車メーカーはまだその部分においては競争能力を持っており、要素が変化すればそれに徐々に適応していく能力も持っている。現在のクルマのように複雑で、耐久性があり、安全性が高いプロダクトを製造しているにもかかわらず、そこから利益を得る知恵やプロセスを彼らは持ち合わせているのだ。しかも、彼らにはビジネスの規模を拡大させる能力もある。それに加え、彼らのブランド力や評判、そしてカスタマーロイヤリティが今後しばらく色焦ることはないだろう。

現状のマーケットで力を握る自動車メーカーは、今後も一定の間は優位に立つことができるだろう。資金が豊富で身軽な新参企業でもそれは同様だ。また、ニッチな市場にフォーカスするブランドや企業が現れる可能性は高い。将来のクルマを開発していくうえで、まだ解答されていない問題が残っている。新しいクルマはどのように利用されるのか。都市部と地方の移動手段はどう異なるのか。電気自動車や自動運転車はいつ業界の主導権を握り、そして受け入れられるのか。規制機関は新しいクルマの開発を加速するのか、または減速させるのだろうか。

自動車を選ぶ消費者にとって、ブランド力はいまだに重要な要素の1つである。そのため、ポルシェなどの高級車ブランドはそこから大きな恩恵を受けることができ、マスマーケット向けのブランドに比べれば業界の変化によって受ける影響の度合いは小さいだろう。FenderとVW Beetle、Paul smithとMini、GucciとFiat 500のように、今後も新しいファッションブランドや既存のファッションブランドとクルマとのコラボレーションが生れるだろう。近い将来、レッドブルのロゴが塗装されたクルマが道を走っていたとしても驚かないように。

また、たとえ自動運転車がより賢くて安価になったとしても、ブランドがもつ力が衰えることはない。航空業界で言えばeasyJet、Virgin、RyanairなどのLCCも、みずからのポジションを確立した立派なブランドだ。航空券を選ぶとき、消費者が選ぶのはサービスのプロバイダー(航空会社)であって、メーカーではない(航空機)。この航空業界の状況は自動車業界にも当てはまるかもしれない。

Cité de l’Automobileに展示されているクルマのブランド名が書かれたリストを覚えているだろうか?スタートアップたちはこの世に誕生しては消え、博物館にその遺産を残していったのだ。それと同じように、この記事で紹介した現代の自動車メーカーの中のいくつかが今後数年間のうちに消えていくのは明らかだ。しかし、その中に私たちの毎日を支える自動車という分野で独占的な地位を占める企業がいるのは確かだ。

今では6.4兆ドル規模(McKinsey調べ)とも言われるこの業界では、非常に多くのブランドやイノベーションが新しく誕生している。彼ら全員がクルマを製造しているわけではなく、死亡事故を失くして安全な交通を実現するための、まったく新しい交通手段のアイデアを持つ者もいる。

いつか将来、Schlumpf兄弟のCité de l’Automobileのような博物館に私たちが良く知る現代のクルマが並ぶ日が来るだろう。コレクターがこれから新しく誕生するクルマ(究極のモバイルデバイス)を集めてつくった博物館を見られる日が来るのを楽しみにしている。私たちの子どもや孫はその博物館に興味津々になることだろ(Smurfと関係しているからということではない)。歴史は常に繰り返すのだ。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Uberの自動運転車がピッツバーグで走行開始、早速乗ってみた

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今日から、ピッツバーグのUberユーザーの中には、配車を依頼する時、自動運転車に乗る選択肢が登場するので驚くかもしれない。

Uberがカーネギーメロン大学のロボティクスセンターから何十人もの研究者を採用し、技術開発を進めてから1年半経ってからの発表だった。

Uberは火曜日、レーダー、カメラを始めとするセンサー機器を搭載した14台のFord Fusionの一部を少数の記者に公開した。これらの車は、ピッツバーグのダウンタウンから北東に位置するUberのAdvanced Technologies Campus (ATC)に並んでいた。

私は街中を45分かけてこの車を試乗した。これは、Uberの初となる完成形自動運転車のローンチではない。まだ走行検証の一環だ。Uberは、自動運転車が現実世界にどのように反応しているかを学び、技術を高めたいと考えている。車が歩行者にどのように反応するか、そして歩行者が車にどのように反応するかを確認する。

「自動運転車の隣を走行するドライバーはこの車を見てどのように反応するでしょうか?乗客が初めて自動運転車に乗り、Uberのハードウェアとソフトウェアの完成形を体験する時、何を感じるでしょうか?そしてそれは何を意味するでしょうか?」とUber ATCのディレクターを務めるRaffi Krikorianは調査内容を説明する。

彼らが私と同じようなら、まずはそれに魅了され、続いて退屈さを感じることになるだろう。

自動運転車に乗る

私はUber社員からスマホを受け取り、そのスマホのUberアプリから自動運転車を呼んだ。数分すると、Ford Fusionが現れた。Uberのエンジニアが前の2席に座っていたので、私はドライバーの後ろに座った。

乗車してから、私は座席に設置されたタブレットのボタンを押した。出発の準備が整ったという合図だ。タブレットには、車が見ている景色が映し出される。道路の部分は青く、他の物体は赤く表示される。このドライブでは、ピッツバーグのローレンスビル地区にあるATCのビルからダウンタウンに行き、9th Street橋を通ってノース・ショアに向かう。まるで幽霊が操っているかのように、ハンドルが勝手に動いて車が発進した。

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ドライバー席に座るエンジニアはドライブの間、ずっと道路を注視していた。ハンドルに手をかざし、足もペダルをいつでも踏めるように準備していた。車線を他の車が完全に塞ぎ、自動運転車が停止した場合は、ドライバーはマニュアルモードに切り替え、車線変更を行ってそこを回避する必要がある。Uberの自動運転車はまだこの操作を行うことができないからだ。もう一人のエンジニアは、助手席に座ってラップトップを開いていた。通常の運転時には、ドライブの様子をメモしているのだという。

初めて自動運転車が障害物に直面した時、相当な緊張感があった。1台のSUVがバックしながら道路に入ろうとしていた。車のハンドルをロボットに預けるまで、普通のドライブでも予期せぬことがこんなに起きているなんて気づきもしないだろう。自動運転車にとっては、そもそも橋の上でどこを走行するかを決めるのが難しいタスクだが、橋を渡っていた時、走行していた車線に大型トラックが停車していた。ドライバーはマニュアルに切り替えて車線変更したが、その時、市の職員がトラックの前から飛び出し、私たちが乗っている車の前に垂れ幕が落ちた。

車のハンドルをロボットに預けるまで、普通のドライブでも予期せぬことがこんなに起きているなんて気づきもしないだろう。

もし、その時自動運転モードだったのなら、この車がどのように通行人や垂れ幕に反応していたかは分からない。これ以外では、自動運転車が周囲の状況に反応している様子が見て取れた。乗客の乗り降りのために停止しているバスの後ろに止まり、バスが右に曲がろうとしている時も止まった。信号を読み取った。1回だけ黄色信号で止まったが、他の黄色信号では走行を続けた。交通ルールも守った。あまりに普通のドライブだったので、少し退屈になるほどだった。緊張感は早々になくなっていた。

目的地に到着し、エンジニアは、今度は私がUberのキャンパスまで「運転」してみることを勧めた。ダッシュボードに青い光が付いて、コンソールにある銀色のボタンを押すと車は自動運転に入る。ブレーキを踏んだり、加速したり、あるいは赤いボタンを押すとドライバーが自分で運転を行うことができる。道中、車線にバンが停車していたので、その時だけ自分で運転を行った。

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自動運転中は何もしなくて良いのだが、周囲の状況を注視しなければならない。これは奇妙な感覚だった。他のことを考えたいという誘惑があり、ハンドルに手を添えなくともいいかなとさえ思ってしまう。自動停車や駐車と完全な自動運転にするかどうかという線引きが曖昧になってしまうのは分かる話だ。

私はもう一人のエンジニアと席を交代し、もう一度街中の周回した。今回はピッツバーグで交通量の多いStrip Districtを通る。道には多くの車が駐車していた。道に並ぶ商店やレストランに配達をするため、バンがひっきりなしに停車したり、発車したりしている。自動運転車は、駐車スペースから飛び出して停車している車に気が付くと、少しだけ左に避けた。大抵の場合は、滞りなく道を進んだ。途中で、特徴的なLidarを屋根に乗せたUberの自動運転車がもう1台すぐ近くを走行していた。白いSUVが2台の自動運転車に挟まれる状況だったが、白いSUVがそれを気にしている様子は特になかった。

そのあと、別の橋で渋滞につかまった。数十メートルづつ進んでは止まりを繰り返した。自動運転車は緩やかに止まる時もあれば、急停車することもあった。Uberの地図は目的に到着したと告げるまで、ドライブはほとんど人が運転している車に乗っているのと同じ感覚だった。

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予期せぬ事態に備えて

Uberが乗客に配車する自動運転のFord Fusionは、ほとんどの部分で通常車と同じだ。一見して分かる違いは、屋根の乗っているいくつものセンサーを搭載した器具だ。他にもセンサーは車の側面に内蔵されている。

Lidarユニットは、1秒間に140万の地図ポイントを収集し、車の周り360度分のイメージを生成する。カメラとGPSシステムが、それにさらに情報を加えている。

試乗を終えて、私はこのテクノロジーに安心感を覚えた。自動運転車は周りの物、人、さらに道路のくぼみまで検出し、賢く対応することができた。予期できることは、すでに対応できる。Uberにとってより大きな課題は予期せぬ事態にどう対応するかだ。

Uberはピッツバークのいくつかの地区で自動運転車の配車サービスの提供を開始する。数週間内には、空港と北部の地区にも展開するという。ゆっくりと展開するのは、Uberは車が走行する道を予め地図に落とし込む必要があるからだ。カーネギーメロン大学の研究者 Aaron Steinfeld(Uberとは関係していない)によると、これは普通の工程だという。自動運転車が事前に速度制限や汎用的な情報などを収集した地図データを受け取ることで、車はリアルタイムに変化する、例えば通行人といった要素を検知することに注力することができる。

Uberは全てのロードテストのログを残し、そのデータを元に、車が特定の状況下ではどのように反応すべきかを調整しているという。例えば、車が十字路に差し掛かった際は、十字路に到着した順に車が走行するルールだ。しかし、他の車がその順番に従わなかった場合はどうだろうか?車が飛び出してきたら自動運転車は止まることを知っているが、もし別の車が渡るのに時間がかかり過ぎるようなら走行するという判断を覚えておく必要がある。

人は運転する時、様々な社会的サインを感覚的に読み取っている。他のドライバーとアイコンタクトをするし、ジョギングしている人の細かなボディーランゲージを読み取って、道を渡ろうとしているかどうかが分かる。Uberの車も通行人が道を渡ろうとしているかどうかを予測することができるが、こうした社会的サインを読み取ることに関してはまだ目標のままだ。

次の半年内に、Uberはエンジニア1名が共に乗車するプランに切り替える予定だ。最終的にそのエンジニアもリモートのヘルプセンターにする計画でいる。車が未知の状況に直面した時、乗客はヘルプセンターの人と連絡することができる。Uberはまた、渋滞などで身動きが取れなくなるなどの突発的な状況に陥るのを防ぐ方法、そして道に多くの歩行者がいる場合にどのように対応すべきかを検証している。

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ピッツバークから開かれる可能性

Uberはエンジニア人材に惹かれてピッツバーグにやってきた。カーネギーメロン大学には高名なロボティクス教科があり、アメリカ中の自動運転開発チームのメンバーを輩出している。

この都市は支援にも積極的だ。市長のWilliam Pedutoは、Uberを利用していて、都市に新しいサービスや雇用を生み出す革新的な会社を迎い入れると話す。

「ピッツバーグ、特にカーネギーメロン大学は何十年にも渡って自動運転車の研究を牽引してきました。そのため、これは合理的なステップなのです」とPedutoは言う。「州法により、免許を持つドライバーがハンドルの前に座っていれば自動運転車はペンシルベニア州の公道を走行することができます。Uberのサービス展開時にもドライバーはいます」。

私たちを会場まで送ったUberのドライバーでさえ、関心を寄せているようだった。彼女は、自動運転車の検証期間中に自分も自動運転車の付き添い運転手となる機会があるか気になると言っていた。

Uber社員は、ピッツバーグで自動運転車を検証するのは気候的にも有利と話す。Googleは自動運転車をシリコンバレーで試運転をしているが、そこではあまり雨は降らない。ピッツバーグには四季があり、いびつな格子状に道が走る古い都市には橋もあり、道には多くのくぼみもある。

「ピッツバーグは運転におけるアルペンスキーのような難しさと言っています」とATCのKrikorianは言う。「ピッツバーグでの運転を完全に攻略できれば、世界中の他の都市でも同じように攻略できると自信を持って言えるでしょう」。

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自動運転車のリトマス試験紙

今回の発表でUberは、現在のテクノロジーがマス向け展開できるとは一切示唆しなかった。Googleと同じように、カーネギーメロンや他の研究所でも自動運転テクノロジーの開発を行っていて、何時間ものロードテストを丁寧に記録している。Uberのチームも、自動運転車を公道に解き放った時に直面するだろう膨大なシナリオを少しづつ検証している。

「シミュレーションをどれだけしようと、全てを掌握することはできません。だから実際の道をたくさん走行することが重要なのです。Googleの車も道路のデータを大量に集めています」とSteinfeldは言う。「実世界の現場で研究を行うこの重労働の検証はこの世界の伝統なのです。ロボティクス学術協会で見るものは全てこういった検証を元にしています」。

人々が自動運転車にどのような反応を示すかは近い内に分かるだろう。Uberの自動運転車の一部である、14台のFord Fusionsを公道でみかけたドライバーは、ロボットの隣を走行することにオプトインしたわけではない。Uberのユーザーは自動運転車に乗車することに対してオプトインすることはできるが、彼らにとっても新しい体験だ。また、Uberの既存ドライバーがどのように思うかも分からない。自動運転車の付き添いエンジニアになるかもしれないし、自動運転車に仕事を奪われることになるかもしれない。

世界は初めて、1つの都市にこれだけ多くの自動運転車の連帯が登場したのを目撃することになるとSteinfeldは話す。人々の関心と興味が十分に高まり、それは人々が持つ自動運転車に対する見方を変える力になるだろうという。

「自動運転に対して、多くの人は少し落ち着かない気持ちでいるでしょう」とSteinfeldは言う。「しかし、一度体験すれば親しみを持ち、徐々に許容されるようになるでしょう。ピッツバーグでの検証は、アメリカ中で自動運転に対する人々の許容を得られるかどうか、社会全体がどのように捉えるかを理解することにつながります」。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Mobileye、Teslaへの供給は現行のEyeQ3プロセッサで終了

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26日朝の四半期収支報告で、自動運転技術企業のMobileEyeは、現在Teslaの車両で使用され、Teslaの運転支援自走技術を可能にする画像分析インテリジェンスを提供しているEyeQ3プロセッサ以降のTeslaとの協力関係を延長しないと発表した。

同報告においてMobileyeのCTOを務めるAmnon Shashua氏は、Teslaの自動車で使用されているEyeQ3の性能改善に関しては同社が引き続きTeslaと協業していくことを説明し、直接言及こそしなかったものの、明らかに先日起きた自動運転時の死亡事故を念頭にMobileyeの技術安全性に関する評判に関する懸念を示した。提携関係の終了を申し入れたのが、Mobileye側なのかTesla側なのかは明らかにされていない。

Shashua氏は、さらにMobileyeは真の自主性を実現するには、クライアントがサポートやサービスを購入する「通常のサプライヤーとしての関係」を超えることが必要であり、自動車メーカーとMobileyeのような自立した技術企業との真のパートナーシップが必要である、と述べた。

「EyeQ3の出荷は今後しばらくは継続し、長い期間にわたる可能性もあります」とShashua氏は報告会の中で説明した。「自動運転の将来のためにリソース配分を決定した結果、今回の決定に至ったのです」

報告会では、アナリストがShashua氏に対し、協力関係の解消を申し入れたのがどちら側だったかを問いかける一幕もあったが、同氏は当初の発表以上の情報の公開を避け、Mobileyeが今後開発を進めないことを決定した旨を繰り返したのみだった。Mobileyeはまた、Teslaの事業は全体的な同社の収益に占める割合で収支において「重大な影響を及ぼさない」とした。

TeslaのMusk会長と自動運転の独立エンジニアでGeohotの名で知られるGeorge Hotz氏が、Teslaが独自の自動運転供給スタックを開発するのを支援するべくHotz氏が同社に加わるというEメールを交わしたという報道と考え合わせると、協力関係がどのように破たんしたのかが具体的に示されなかったという事実は興味深い。TechCrunchでは、Teslaに対してMobileyeとの提携関係の終焉に関して問い合わせ中であり、詳細が判明し次第追加情報を公開する予定だ。

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(翻訳:Nakabayashi)

Teslaの次のステップ、貨物トラックとバスの自動運転車両を開発へ

PALO ALTO, CA - NOVEMBER 05:  A sign is posted at a Tesla showroom on November 5, 2013 in Palo Alto, California. Tesla will report third quarter earnings today after the closing bell.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

TeslaのファウンダーでCEOのElon Muskは 「マスタープラン」の第2部を本日発表した。プランの2つの大きなニュースは新型車の発表だが、コンシューマーモデルではない。Teslaは大型セミトラックと、都市部でバスの役割を果たすために運用する「多くの乗客に対応する都市交通手段」だという。

今では有名になったマスタープランの次のステージについての記事では、MuskはModel Xとは別のコンパクトSUVと、「新種のピックアップトラック」を含むコンシューマー向け車両を手がけることについて触れた。どちらもMuskが以前からほのめかしていた内容だ。しかし、これらのコンシューマー向け車両とは別に2つのタイプの電気自動車が「必要」という。セミトラックと都市交通手段と銘打つ車両は、どちらも早ければ来年の早い段階に公開する準備が整うとMuskは言う。

TeslaのSemi(このトラックに付けたマスクの呼び名)が必要なのは、貨物輸送にかかるコストを劇的に削減する助けになるためという(燃料がトラック輸送のコストの大部分を占め、そのコストは最終的にコンシューマーが担っている)。また、Teslaによる輸送は安全性を高めるのと同時に、車両のオペレーターが「楽しく運転」できるようになるためとMusk。

複数人が乗車可能な車両について、マスクは電気バス以上に野心的な目標を描いているようだ。彼は最終的にバスの運転手を車両の連隊を管理するマネージャーに変えることを目論んでいる。自動化を持って、1人の人が1台を管理するのではなく、複数の車両を管理することができるようにする。この設計により、乗客は固定の停留所ではなく、任意の目的地に直接移動することができるという。そして、車両を呼ぶにはスマホ(アプリ経由の可能性が高い)を使うか、従来のバス停に設置されたボタンを使うようになる。

もちろんこれを実現するためには、都市における公的交通機関で現在可能な技術より、高いレベルの自律走行が求められる。Muskのビジョンでは、自動運転Tesla車の連隊を成立させるために、自動運転車のカーシェアリングサービスに必要な車両の確保においてオーナーが一部を負担することも視野に入れている。複数の乗客のための都市交通機関はそのビジョンより近い未来に実現できそうではあるものの、どちらも現実のものにするためには多くのステップを踏まなければならないだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

英調査会社、「世界でもっとも『つながった自動車の』メーカーはTeslaとトヨタ」―MITのリストにもランクイン

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イギリスの調査企業、Visiongainが発表した「もっともインターネットにつながった自動車メーカー、世界のトップ20」というレポートは、VolvoFordHondaTeslaToyotaその他、こうした調査では常連の有力自動車メーカーを網羅している。Visiongainは「つながった車」の市場規模が2016年だけでも357億ドルに上ると推計しているが、 TeslaとToyotaはここでもトップ10に入っている。

MIT Technology Reviewが発表した「2016年のもっともスマートな企業」リストの50社のうち、自動車メーカーとして取り上げられたのはトヨタとTeslaのみだった。Teslaは4位にリストされ、よく知られているように先進的なオートパイロット・システムを組み込んだ電気自動車であるモデルS、モデルXを作っている。最新のモデル3は50万台近い予約を集めている。トヨタは17位にランクされているが、自動運転のための人工知能を研究するToyota Research Instituteをアメリカに新設するために10億ドルを投資することが注目された。

しかしトップ10を占めたのはこの2社の完成車メーカーばかりではない。「自動運転のためのドライバー・アシスタント・システムのリーダー」であると評価されてMobileyeがMITのリストの6位となった。同社の600人の従業員は完全自動運転で走行する車両の人工知能を訓練するための大量の画像を作成している。Googleの親会社であるAlphabetは8位だった。取り上げた理由の一つとして、同社がすでに自動運転車で16億マイル(26億キロ)走行させていることが上げられている。

リストには他の分野から自動車産業という巨大かつオープンな分野に参入を図る企業も含まれている。たとえば、NVIDIAはリストの12位にランクされているが、グラフィックス処理用の強力プロセッサーを自動運転車向けに供給している。21位には中国版のUber、Didi Chuxing〔滴滴出行〕が入っている。同社は今年にはいってAppleからの100万ドルを含む70億ドルの資金を調達している。23位に24Mが入っているのは偶然とはいえ面白い。23MはA123 Systemsからのスピンオフ企業で、現在よりも効率がよく、さらに重要な点だが安価なリチウムイオン電池の開発に取り組んでいる。これは一般の電力網にも、電気自動車にも利用可能だ。Improbableは自動運転のシミュレーションを行うVRソフトを開発している。

リストにはMicrosoftとBoschも載っている。これはら先進的な自動車システムを開発している。いずれにせよ、自動車運転―自動運転にせよ、Uberのような共有経済のドライバーによる運転にせよ―に変化が起きれば、アメリカの文化そのものを変容させることになる。この2つのリストに掲載されたメーカーはそうした変換にかろうじて追随するのではなく、まさにその変化を起こそうと準備しているといっていいだろう。

Featured Image: Kristen Hall-Geisler

〔日本版〕MITの「2016年でもっともなスマートな企業」のリストによると、Amazon、百度、Illmina、Tesla Motars、Aquion Energyが1位から5位を占めている。IllminaはDNAシークエンシング、AquionEnergyは電池のメーカー。日本企業ではトヨタの他にファナックが27位、LINEが38位に入っている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自動運転時代の自動車保険について専門家はこう考える

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人間のドライバーを必要とせず、自動運転車に行きたい場所を告げるだけでどこへでも自由に行けるようになるというユートピアの実現までにはまだ長い時間がかかりそうだ。しかし自動運転車の時代は確実に近づいている。

VolvoHondaAudiTeslaその他ほぼあらゆる自動車メーカーに加えて、 Googleは(おそらくはAppleも)自動車に組み込める高度ドライバー援助システム(ADAS)をすでに開発している。

自動車を運転する役割が次第にコンピューターが移行するにつれて、損保ビジネスにどういう影響が出るのかが問題にされ始めた。将来、自動運転の楽園が来るとしても、それまでの間に事故は何度も起きる。保険会社は誰に責任があるかに強い関心を持っている。たとえばVolvoはこの点で一歩を進め、自車が自動運転モードで事故を起こした場合はVolvoが責任を持つとしている。しかし今のところVolvoは珍しい例外だ。

危険が迫ったときに人間がシステムに介入しないことは人間の責任になるのだろうか? 自動車メーカーが十分なテストしなかったという責任、あるいはセンサーを納入したティア1サプライヤーの責任、ティア1サプライヤーにセンサー部分を供給したサプライヤーの責任、等々も問題になるだろう。どかの時点で保険会社はパニックに陥るに違いない。

保険比較サイト、Compare.comのファウンダー、CEOのAndrew Roseは「(損保会社は)自動運転車という未来を恐れるべきだが、今のところは安全だ」と述べている。私の電話インタビューに答えてRoseは「30年後には現在の自動車保険ビジネスの大部分は消滅しているだろう。自動運転車の事故率は次第に減り、保険会社が請求できる保険料もそれに応じて少なくなる。つまり自動車保険のビジネスは縮小する」とこう説明した。Roseはまた「しかし保険会社は当面リラックスしていい。自動運転がその段階に達するには長い時間がかかるはずだ」と付け加えた。

Compare.comは世界有数の自動車損害保険会社、Admiral Groupの傘下にある。 たまたまAdmiralの英国本社を訪問していたRoseは、TechCrunchのインタビューに備えて、本社の担当者にこれまでの自動運転車の関係するすべての事故の保険請求に関する情報を尋ねてみたという。しかしその答えは「そんな請求を受けたことは一度もない」だった。Admiral Groupの保険に入っている自動車はイギリスで何百万台もある。「今のところ自動運転車関係の保険請求は出ていない。しかし水平線上にその可能性が覗いている」とRoseは述べた。

保険金の請求が来ていない理由の一つは自動車メーカーがきわめて慎重な姿勢を取っているからでもある。メーカーは自動運転テクノロジーを一般消費者向け市場に適用する際に誤りを犯した場合に影響が巨大になることを知っている。Volvoが自動運転テクノロジーの研究を始めたのは10年以上前になる。事故の責任を引き受けるという決断はこの長年の経験に基づくものだろう。「ささいな応用なら間違いもささいなことですむ。しかしACC〔定速走行・車間距離制御可能なクルーズ・コントロール〕が誤作動すれば、致命的な結果をもたらしかねない」とRoseはいう。

われわれの多くは完全な自動運転が実現する未来を望んでいる一方、保険会社は事故の責任をまず自動車メーカーに求めようとするだろうという。Roseによれば、「われわれは誰かに〔事故の損害を〕払ってもらわねばならない。Volvoは自動運転モードで起きた事故はVolvoの責任だとしている。しかしそうなると厳密に交通法規を守らねばならない。自動運転車は時速65マイルの区域では決して65マイルで走らない」という。

この点がやっかいな問題を引き起こすことになりそうだ。すべての自動車が自動運転に切り変わるには時間がかかる。その間、自動運転車は自分で事故を起こすことはほとんどないだろうが、事故をもらう可能性は高い。「しばしばぶつけられることにあるだろう」とRoseは予測する。自動運転車は交通法規の字句に厳密に従うからだ。事実、Googleの自動運転車がバスと衝突したのはまさにこれが原因だった。「非常にこんがらがった問題だ。この問題はその一つにすぎない。自動運転車が増えて、自動運転車が出会うのが他の自動運転車ばかりになれば問題はずっと簡単になるだろう」とRoseは語った。

画像:e Kristen Hall-Geisler

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

IBM Watsonを乗客インターフェイスに利用した電気ミニバス、Olliが運行開始へ

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今日(米国時間6/16)、IBMは自動運転分野に大々的に参入したことを明らかにした。ただし実際に自動車を作るのではなく、自動運転に興味深い機能を提供する頭脳としての役割だ。

IBM Watsonの人工知能が電気自動車のOlliの乗客インターフェイスのベースとなる。Olliは12人乗りのミニバスで、アリゾナの自動車メーカー、Local Motorsが開発した。

Olliの製造にあたっては3Dプリントなどの最新のテクノロジーが利用され、これまで少量生産に付きものだった高コストが克服された。このミニバスは当初ワシントンDCで走るが、今年中にマイアミ・デイド郡、ラスベガスに運営が拡張される予定だ。 IBMによれば、マイアミ・デイド郡は自動運転車を利用して乗客をマイアミの各所に実際に移動させるパイロット・プログラムをスタートさせるという。

Local Motors、IBM、それにIntelは以前もRally Fighterというコンセプト・カーの開発などで協力したことがある。Olliはこの提携が産んだ最初の商用プロダクトのようだ。

詳しくいえばOlliは自動運転車のアプリ向けに最適化されたカスタム版のWatsonを用いており、自動運転機能のすべてを担当しているわけではない。IBMの声明によれば「乗客の利用体験を改善する」ことに主眼が置かれている。

「WatsonとWatson IoTを含むIBMのテクノロジーはOlliの操縦やナビゲーションではなく、乗客の体験を改善することに用いられている。Watsonによって乗客はバスと自然に意思疎通ができるようになる」と声明は述べている。

ただしこれは第一歩にすぎないようだ。Local Motorsの共同ファウンダー、John B. Rogersは声明でこう述べている。

「長年待ち望まれてきたスマート、安全、かつビジネスとして長期に運営可能な公共交通機関をOlliは実現する。Watsonを利用するOlliはわれわれの考える自動運転車の世界へのドアだ。パートナーとLocal Mortorsのコミュニティーはこの1年、静かに開発を続けてきた。ごく近い将来、われわれが開発したテクノロジー・ポートフォリオはあらゆる自動車に適用できるようになるだろう。われわれは採用のための努力を加速していく。高度な自動車テクノロジーの分野において、われわれのオープン・コミュニティーが貢献を行うことができる大きな可能性には興奮させられる」

Olliは4つのWatson APIを利用している。具体的にいえば、音声をテキスト化するSpeech to Text、自然言語のクラス分類を行うNatural Language Classifier、 固有表現を抽出するEntity Extraction、逆にテキストを音声化するText to Speechだ。これらの機能を用いて、Olliは車内の30以上のセンサーから収集される膨大な情報を適切に処理することができる。

IBMによれば「A地点からB地点に移動中に、乗客はOlliと自然な会話を行うことができる。乗客はOlliにバスの目的地だけでなく、作動の仕組や今なぜそのような運転操作を行ったのかを尋ねることができる」という。さらにOlliは食事をするのに適したレストランや付近の観光地に関する情報も教えてくれる。ただしWatsonは自動運転そのものを担当するわけではない。

【IBMの声明は原文参照】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+