レシピやメニューコスト計算機などのツールを一元管理、キッチンのDXを進めるMeez

プロ向けレシピソフトウェアと料理オペレーティングシステムを作成しているMeez(ミーズ)は、引き続きシェフのレシピ管理を支援するツールを開発するために、初のラウンドで650万ドル(約7億5000万円)を調達した。

MeezのCEOジョシュ・シャーキー氏(画像クレジット:エヴァン・ソン)

CEOのJosh Sharkey(ジョシュ・シャーキー)氏は、自身もキャリアの大半をシェフとして過ごし、2015年にニューヨークを拠点とするテクノロジー会社を法人化した。しかし、自身のレシピや調理工程を保存する場所を探すきっかけとなったのは、15年以上前にレシピや料理の作り方を記録していたノートを紛失したことだった。同僚たちは、標準的なGoogleやWord文書、スプレッドシートなどを使っていたが、シャーキー氏はさらにデジタルなアプローチを望んでいた。

「すべてをデジタル化するにはどうしたらいいのか、というアイデアがひっかかりました」とシャーキー氏はTechCrunchに語った。「在庫管理のためのツールや財務ソフトのようなものはありますが、キッチンで使うために作られたものや、私たちが実際に行っていることに関連したものはありませんでした」。

シャーキー氏とそのチームは、コラボレーションツール、レシピキーパー、進行、トレーニング、下ごしらえツールを1つにまとめたMeezを構築した。同氏はそれを「シェフのためのGoogle Drive」と呼んだ。

この技術には2つの構成要素がある。1つはユーザーがレシピをシステムに入れること、そしてユーザーと厨房の同僚の両方がレシピを拡張して使えるようにすることだ。また、成分量や単位換算、メニューコスト計算機、アレルゲンの自動タグ付けや栄養分析など、シェフが日々活用するリソースも備える。

このソフトウェアは2020年に発売され、MeezはすでにJose Andres(ホセ・アンドレス)氏やJean-Georges Vongerichten(ジャン-ジョルジュ・ヴォンゲリヒテン)氏といった大手レストラン経営者や、Institute of Culinary Educationなどの料理学校を顧客に抱える。

今回の資金調達はStruck Capitalがリードし、Craft Ventures、Relish Works、Aurify Brands、Food Tech Angels、Branded Strategic Venturesが参加した。エンジェル投資家には、Snapの元製品責任者Bobby Lo(ボビー・ロー)氏、Shefの創業者でBento Boxの創業者兼CEOのKrystle Mobayeni(クリステル・モバイェニ)氏が含まれる。

Meezのソフトウェア(画像クレジット:Meez)

Meezは2020年12月に20の有料顧客からスタートし、今では高級レストランからファストカジュアル、料理学校まで多様なレストラン750以上に増えていて、シャーキー氏は2023年にこの分野を掘り下げる予定だ。また、この間、同社の売上高は前年同月比22%増と順調に伸びていて、これは同社独自のアプローチとデジタルの導入が厨房に浸透してきたことが要因だとシャーキー氏は話す。

「食の世界で普及曲線が初期段階に達しました」とも同氏は語る。「料理のプロは、より少ない労力でより多くのことを行う方法を認識し始めており、常に労働力に頼ることはできません。パンデミック以前はうまくいっていたことが、今はうまくいかないのです。レシピに頼るだけではもうだめで、コンテンツを運用できるようにするために、他にやらなければならないことがあります。以前はそれをする場所がなかったので、これは役に立つツールであり、必要なものです」。

シャーキー氏は、新しい資本をiOSアプリの開発や、メニュー計画、セルフオンボーディングの自動化などの技術開発に投入し、消費者への直接のレシピ提供の立ち上げとテストなどをするつもりだ。

さらに同社は2022年中に新しいレストランを引きつけ、チームを拡大する。Meezの従業員数は現在17人だが、2022年中に10人増やす予定だ。

「料理のプロは、地球上で最もクリエイティブで独創的な人たちに含まれます。しかし、彼らの仕事は物理的なものであるため、デジタル技術を活用してワークフローや共同作業のためのシステムを改善する方法には、ほとんど注意が払われていません」とStruck CapitalのCEOであるAdam Struck(アダム・スタック)氏は声明文で述べた。「ジョシュはプロのシェフであり、レストラン業界のオペレーターであり、テクノロジーの専門家であるという点で、ユニークな創業者です。彼は、ほぼすべての厨房を悩ませている問題点を、直感的で美しいデザインのプラットフォームに統合し、世界最大かつ最古の産業の1つである厨房の大きな問題点を解決することができました」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

ハウスクリーニングや修理・お手入れサービスなどモノを大切にしたい人と職人をつなぐ「ユアマイスター」が約23億円調達

ハウスクリーニングや修理・お手入れサービスなどモノを大切にしたい人と職人をつなぐ「ユアマイスター」が約23億円調達

ハウスクリーニングや修理・お手入れサービスなど、大切なモノを大切にしたい人と職人をつなぐサービスECプラットフォーム「ユアマイスター」などを運営するユアマイスターは1月6日、第三者割当増資および融資などによる総額約23億円の資金調達を発表した。

引受先は、以下の通り。
・インキュベイトファンド(既存)
・SMBCベンチャーキャピタル(既存)
・ジャフコ グループ(既存)
・みずほキャピタル(既存)
・グロービス経営大学院(既存)
・Z Venture Capital(新規)
・フォースタートアップスキャピタル(新規)
・Ariake Secondary Fund Ⅱ LP(新規)
・Axiom Asia 6, L.P.(新規)
・ほか3社

調達した資金は、「プロダクト開発体制の増強による、UI/UXの大幅改善ならびに顧客感動体験の向上」「出店パートナー事業者のサポート体制の強化による、経営支援の強化ならびに提供サービス品質の高水準での均一化」「マーケティング活動の強化による認知度の向上」「業界自体ならびにパートナー事業者の価値向上、サービス品質向上へ向けた新たな革新的取り組みへの積極的投資」にあてる。

またBtoB向けプロダクト・サービスの提供企業やBtoC向けの新規体験サービスの拡充を図る企業などとのアライアンスも強化する。すでに複数社とのアライアンス案件が進んでおり、2022年1月より、各社プロダクトやサービスと連携する新たな取り組みを随時発表するとしている。

2016年8月設立のユアマイスターは、サステナブルテック企業として、ユアマイスター、ビルメンテナンス業界のDXを実現し生産性・収益性を向上する業務支援サービス「ビルメンクラウド」、大切なモノを大切にしたい人のためのメディア「ユアマイスタースタイル」を提供。パートナー事業のデジタル化をサポートし、経営支援や集客支援、雇用創出に取り組んでいる。

またユアマイスターは、「直す、キレイにする、使い続ける」という消費意識を、「捨てる」「売る」に続く新たな行動して定着させたいと考えているという。この消費意識を持つことが、未来を創るこどもたちが暮らす社会を「大事なものをより大切にする」持続可能な循環型社会へとつなぐとしている。ハウスクリーニングや修理・お手入れサービスなどモノを大切にしたい人と職人をつなぐ「ユアマイスター」が約23億円調達

サービスとしてのガバナンス事業を展開する東京大学発Scrumyが約4500万円調達、プロダクト開発と組織体制強化

サービスとしてのガバナンス事業を展開する東京大学発Scrumyが約4500万円調達、プロダクト開発と組織体制強化

企業のガバナンスを構築・維持・強化するための情報ライフサイクル管理SaaS「Scrumy」を提供するScrumy(スクラミー)は1月6日、シードラウンドにおいて、約4500万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、イーストベンチャーズ4号投資事業有限責任組合と個人投資家。調達した資金で、おもにプロダクト開発と組織体制の強化を行うとしている。

Scrumyは、ガバナンスと情報セキュリティーを強化する「情報ライフサイクル管理」のための総合ガバナンスプラットフォーム。システムやソフトウェア開発の情報を一元管理し、適切な権限管理にもとづいて流動的なステークホルダーとの協働を可能にする安全な開発環境を構築する。システムやソフトウェアの開発工程に「情報ライフサイクル管理」という考え方を取り込むことで、「これまでにない新しい開発文化を創造」するという。

そうした作業を、ScrumyはGaaS(サービスとしてのガバナンス。Governance as a Service)という形で提供している。それは、GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)、需要、リソース、契約、ワークフロー、ドキュメント管理のための総合ソリューションであり、「情報セキュリティ強化」と「業務効率化」を両立させるサービスとのこと。

Scrumy代表取締役CEOの笹埜健斗氏は、東京大学大学院学際情報学府でガバナンスと情報セキュリティを強化するための研究を行ってきた。Scrumyは東大発研究開発型スタートアップだ。企業の持続可能な経営の最大の基盤となるガバナンスに注目しているという笹埜氏は、「無意味な大量の『データ』から、意味のある『インフォメーション』、さらには知恵や文化のレベルにまで高められた『ナレッジ』に変換、さらには循環させていく仕組みをデザインし、企業の情報インフラを構築していくべきだ、というのが私たちの確固たる哲学です」と話している。

法人向け後払いサービスのPayment Technologyが4億円調達、売掛金早期回収サービスや個人向け後払いサービスを公開予定

法人向け後払いサービスのPayment Technologyが4億円調達、売掛金早期回収サービスや個人向け後払いサービスをリリース予定

立替式給与前払いサービス「前払いできるくん」や法人向け後払いサービス「1 month delay payment」などを提供するPayment Technologyは1月6日、第三者割当増資・株式譲渡による総額約4億円の資金調達を行なったことを発表した。引受先は、Branding Engineer、ヤマノビューティメイトグループ、ほか法人および個人投資家。調達した資金は、ウェブマーケティングの強化、システム構築・拡充、営業体制の構築に充当し、上場に向けた多チャンネルでの収益体制の構築を目指す。

調達した資金の用途

  • 法人向け後払いサービス「1 month delay payment」のウェブマーケティングの強化
  • 売掛金早期回収サービス(2022年1月リリース予定)のシステム拡充、営業体制構築
  • 個人向け後払いサービス(2022年3月リリース予定)のシステム構築、アプリ開発、ウェブマーケティングの実施
  • 給料前払いサービス「前払いできるくんLITE」のウェブマーケティングの強化

前払いできるくんは、前払いのための資金をPayment Technologyが直に立て替える給与前払い福利厚生サービス。中・大規模企業向けの通常のプランのほか、従業員1名から利用できる小規模・個人事業主向けの「前払いできるくんLITE」も用意されており、LITEは財務審査なしで利用が可能。社員の前払申請に対し、Payment Technologyが直接立替払いを行なうため、企業のキャッシュフローを圧迫することなく給与の前払い手続きが完了する。

1 month delay paymentは、振込代行サービスとクレジットカード決済を組み合わせることで、BtoBにおける取引先への経費支払いを最大53日まで延長するサービス。Payment Technologyが立替払いを代行し、契約者は後日クレジットカードで同社に立替金と利用料を支払う仕組みとなっている。

専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUが総額5.7億円調達、遠隔医療センターの構築や海外展開を加速

専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUが総額5.7億円調達、遠隔集中治療モニタリングシステムなどの製品化や海外展開を加速

遠隔ICUサポートサービスを提供するT-ICUは2021年12月28日、第三者割当増資による総額5億7000万円の資金調達を発表した。引受先は、パソナグループ、Beyond Next Ventures、SMBCベンチャーキャピタルおよび個人。

調達した資金を用いて、NTT西日本との「遠隔医療におけるエッジコンピューティング技術を活用した情報処理の実現方式に関する共同実験」およびNEDO助成事業「スコアに基づく遠隔集中治療モニタリングシステム」の製品化、地方と都市の医療格差の課題解決に向けた遠隔ICUにとどまらない遠隔医療センターの構築、JICAの受託事業「新型コロナウイルス感染症流行下における遠隔技術を活用した集中治療能力強化プロジェクト」を足がかりとした海外展開を加速させる。

遠隔相談サービス「リリーヴ」

遠隔相談サービス「リリーヴ」は、「全ての病院に集中治療医を」を形にする重症患者診療の支援システム。全国的に専門家が不足する重症患者診療の現場を集中治療医・集中ケア認定看護師で構成されたメディカルチームが24時間365日サポートする。命に関わる重症患者診療を担う医療スタッフの不安に寄り添い、呼吸・循環管理、鎮静・鎮痛、感染症治療などの全身管理を最新の知見と豊富な経験で支援する。専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUが総額5.7億円調達、遠隔集中治療モニタリングシステムなどの製品化や海外展開を加速

遠隔モニタリングシステム「クロスバイ」

遠隔モニタリングシステム「クロスバイ」では、ベッドサイドに配置した高性能カメラによる細やかな患者観察を実現。患者の表情や顔色、呼吸様式の観察も可能で、人工呼吸器を含む各種医療機器と接続することで、多面的な患者情報を院内の離れた場所へ届けることが可能な遠隔モニタリングシステムという。複数の患者を一画面で同時にモニタリングし、医療機器との接続でそのグラフィックモニターを表示することもできる。感染隔離中のCOVID-19診療において非常に有効な手段という。専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUが総額5.7億円調達、遠隔集中治療モニタリングシステムなどの製品化や海外展開を加速

 

NFTマーケット大手OpenSeaの評価額が約1.5兆円へ、わずか半年で約9倍に

NFTオークションマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)は2021年に大ヒットとなり、その結果、同社のプライベート評価額がほぼすべての他のスタートアップよりも急速に増加している。

暗号資産企業の同社は、米国時間1月4日夕方、ParadigmとCootueが主導するシリーズCラウンドで3億ドル(約348億円)を調達したと発表した。この資金調達により、同スタートアップの評価額は133億ドル(約1兆5440億円)となり、ここ数カ月の間に見られた同社の急激な成長を示すものとなった。シリーズCラウンドの詳細については、11月にThe Informationが最初に報じ、5日、Newcomerが追加情報を確認した。

OpenSeaは、過去30日間の取引量が24億ドル(約2786億円)を超え、2021年は数億ドル(数百億円)の手数料を獲得した。この会社の評価額は、わずか6カ月前にAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の暗号資産投資部門から与えられた15億ドル(約1741億円)の評価額から急上昇しており、これはOpenSea自体の取引量の増加だけでなく、2021年に76億ドル(約8825億円)の評価額で資金調達したDapper Labs(ダッパー・ラブス)を含む他の主要なNFT企業の評価額も反映している。

OpenSeaのDevin Finzer(デビン・フィンザー)CEOはブログ記事の中で、2021年に同プラットフォームの取引量が「600倍以上」増加したことを強調している。

OpenSeaは、数十におよぶ他のNFTマーケットプレイスからは追い落とす相手として注目されているが、現時点では主要な競争相手はほとんどいない。ただし、Coinbase(コインベース)はこの機会に注目しており、または他のNFTマーケットプレイスが立ち上がって資金を獲得すれば、状況は変わるかもしれない。2021年にNFT市場は多くの参加を得たが、OpenSeaの価値実現は、同社の継続的な成功と、急成長中の暗号収集品の世界に新規参入者を誘う能力にかかっている。

関連記事:NFTマーケットプレイスのOpenSeaが「ガス代」排除に向け、複数のブロックチェーンに対応を計画

画像クレジット:Tony Hisgett / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

在庫の効率を上げる在庫分析クラウドシステムFULL KAITENを手がけるフルカイテンが計7億円のシリーズB調達

在庫の効率を上げる在庫分析クラウドシステムFULL KAITENを手がけるフルカイテンが計7億円のシリーズB調達

在庫の効率を上げる在庫分析クラウドシステム「FULL KAITEN」を開発・提供するフルカイテンは1月6日、新生銀行からの新株予約権付融資により2億円の資金調達を実施したと発表した。今回の調達は、2021年6月に実施したジャフコ グループを引受先とする第三者割当増資(5億円)のエクステンションラウンドの位置づけにあたり、シリーズBの資金調達は合計7億円で終了した。

同社は、2023年から、サプライチェーンの川下に位置する小売だけでなく、川中(卸売、商社、メーカー)へ遡って余剰在庫の問題を解決できるよう、サプライチェーンの川下と川中に散在する販売・生産・在庫に関するデータを集約するためのプロダクト開発を本格化させるという。

このため、プロダクト開発と採用強化に向けた投資の原資として、シリーズBラウンドの資金調達を2021年に実施。そして今回、エクステンションラウンドとして新生銀行による2億円の新株予約権付融資を完了したという。在庫の効率を上げる在庫分析クラウドシステムFULL KAITENを手がけるフルカイテンが計7億円のシリーズB調達

FULL KAITENは、在庫効率を向上させるための在庫分析機能をクラウドサービスとして提供。これまで提供してきた「プロパー消化率を向上させる、不要な値引きを抑制する、客単価を向上させる、売れ筋商品の追加発注数量を計算する」などの機能は、どれも在庫効率を向上させ売上・粗利・キャッシュフローを増加させるのに有効という。

また、追加リリースしたディストリビュート分析機能は、在庫移動によって最適な在庫配置を実現し、売上・粗利・キャッシュフローを最大化するという、まったく新しい切り口の機能としている。在庫の効率を上げる在庫分析クラウドシステムFULL KAITENを手がけるフルカイテンが計7億円のシリーズB調達

ヒトに有用なカイコ原料の供給を行うMorusが5000万円のシード調達、食・医療・飼料・化粧品分野のプロダクト開発

ヒトに有用なカイコ原料の供給を行うMorusが5000万円のシード調達、食・医療・飼料・化粧品分野のプロダクト開発

ヒトへの有用成分が多く含まれるカイコ原料を供給するバイオスタートアップMorus(モルス)は1月5日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による5000万円の資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターのANRI(ANRI 4号投資事業有限責任組合)、またサムライインキュベート(Samurai Incubate Fund 6号投資事業有限責任組合)。

Morusは、カイコを原料とした食品、医薬品、飼料、化粧品などの開発、生産、販売を行っている。古くから家畜化され、逃げない、共食いをしないといった飼いやすく量産に適した特質を持つカイコには、豊富なタンパク質をはじめ、ヒトにとって有用な栄養成分が含まれており、「現代人のタンパク質不足や不足する栄養分を補う」ことが期待されるという。

今後は、複数の産業向けに製品開発を行うとともに、「カイコの高速品種改良と量産化における研究開発や体制強化」を行うとのこと。これにともない、共同創業者である信州大学繊維学部の塩見邦博教授が社外取締役に就任する。

Morusの代表取締役CEOの佐藤亮氏は、サムライインキュベートから独立してこの会社を起業した。サムライインキュベートは、今回の出資を通して「世界で課題を抱える約9億人の人々を対象とする課題解決を目指して、継続して伴走支援をしてまいります」としている。

スマートコンタクトレンズのMojo Visionがアディダスなどのスポーツブランドと提携、狙いはプロアスリート

ここ数年、Mojo VisionはCESで小規模ながらも存在感を示し、拡張現実(AR)コンタクトレンズの可能性を垣間見せてくれていた。年々、そのビジョンが少しずつ近づいてきているように思えるが、まだまだ遠くでもある。今回のCESでは、コロナ禍の影響でこのカリフォルニアの企業に直接話を聞くことはできなかったが、スマートコンタクトレンズの未来がどのようなものになるのかについて、同社はいくつかの洞察を提供してくれた。

2022年の展示会での大きなニュースは、以下のようなスポーツ分野のブランドとの数々のパートナーシップだ。adidas Running、Trailforks(サイクリング / ハイキング)、Wearable X(ヨガ)、Slopes(スキー)、18Birdies(ゴルフ)など。こうしたパートナーシップにもかかわらず、この技術はまだ市場に出回っていない。他の障害に加えて、FDAの承認を受ける必要があるからである。

しかし同社は、プロアスリートの生活の中で、効果的なアイマウントディスプレイが果たす役割の可能性を示している。

Mojoのプロダクトマネジメント担当シニアディレクターのDavid Hobbs(デビッド・ホブ)氏は、リリースの中でこう述べている。「今日のウェアラブル機器は、アスリートにとって有用になり得ますが、活動の焦点から気をそらしてしまうこともあります。当社は、アスリートのパフォーマンスデータを提供するためのより良い方法があると考えています。既存のフォームファクターにおけるウェアラブルの革新は、限界に達し始めています。Mojoでは、何がまだ足りないのかをよりよく理解し、最も重要なトレーニング中の集中力と流れを妨げることなく、その情報にアクセスできるようにするにはどうすればよいかに興味を持っています」。

つまりMojoは、かさばるウェアラブル端末を持ったり、アスリートに端末を見下ろさせたりすることなく、データを提供できる世界を目指しているのだ。少なくとも今回の提携は、Mojoが視覚障がい者支援などの他の用途に加えて、自社技術の早期市場としてスポーツを狙っていることを明確に示している。

同社はまた、2020年4月の5100万ドル(約59億2000万円)の調達に続き、米国時間1月4日4500万ドル(約52億2000万円)のシリーズB-1を発表した。今回のラウンドには、Amazon Alexa Fund、PTC、Edge Investments、HiJoJo Partnersが参加しており、同社の累計資金調達額は2億500万ドル(約238億円)に達している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

AIの利用が加速するなか、韓国のデータラベリング企業AIMMOがシリーズAで13.8億円調達

人工知能モデルのほとんどは、監視下での学習を通じて訓練される。すなわち、生データへのラベル付けを人間が行う必要がある。データラベリングは人工知能と機械学習の自動化における最も重要な部分であるが、時間のかかる面倒な作業でもある。

韓国のスタートアップAIMMO(エイモ)は、ソフトウェアと人間を使って、画像、ビデオ、音声、テキスト、センサーフュージョン(複数センサーのデータを融合する)データのラベル付けとカテゴリー分けを行なってており、企業が高速でデータラベリングを行えるAIデータ・アノテーション・プラットフォームも開発した。

AIMMOは2022年1月2日、データラベリングテクノロジーの強化と世界進出の加速を目指し、1200万ドル(約13億8000万円)のシリーズAラウンドを完了したと発表した。ラウンドにDS Asset Management、Indsutrial Bank of Korea、Hanwha Investment & Securities、S&S Investment、Toss Investment、Korea Asset Investment & Securities、およびVenture Fieldというは7社のベンチャーキャピタルが参加している。AIMMOは企業評価額を明らかにしていない。

「パンデミックは、非接触テクノロジーへの転換と、情報監視、スマートシティ、無人運転車、スマートファクトリー、ロボティクスなどAIデータが不可欠な分野でのAI利用を加速しました」とAIMMOノグローバルセールス責任者、Doyle Chung(ドイル・チャン)氏はメールインタビューで答えた。「さまざまな方向性や業界がある中、当社の焦点は主として、スマートシティと自動運転です」。

2016年に、CEOのSeung Taek Oh(オ・スンテク)氏が設立したこのスタートアップは、3種類のデータアノテーションツールを持っている。AIMMO DaaSは自動運転車企業向けセンサーフュージョンデータを管理する。AIMMO GtaaSは、ビッグデータのためのターンキー方式のプラットフォーム、そして2020年に公開されたAIMMO Enterprisesは、クラウドアーキテクチャを使ったウェブベースのSaaSアノテーションラベリングツールだ。

同スタートアップは、これらのツールを使うことでデータアノテーションプロセスを効率化し、顧客はAIモデルに集中できる、という。プラットフォームの使用料はなく、コーディングのスキルやAIMMO Enterprisesのインストールも不要で、ユーザーはChromeなどのウェブブラウザーを使ってデータのラベリングができる。AIMMO GtaaSでは、ユーザーが生データをAIMMOに送ると、検査結果が戻される、とチャン氏は話した。

AIMMO DaaSプラットフォームを使ったデータラベリングの件数と売上は2021年に対前年比200%成長した。同社のIR資料によるとAIMMOの2021年の売上は1000万ドル(約11億5000万円)だった。自動運転分野の世界的需要の高まりを受け、2022年の売上が成長することを同社は予測している。

画像クレジット:AIMMOウェブサイトのスクリーンショット

データ収集とラベリングの市場規模は、2021年に16億ドル(約1843億円)で2028年には82億ドル(約9445億円)になるとGrand View Researchの市場分析レポートは予測している

AIMMOは幅広い企業にサービスを提供しており、顧客には自動車メーカーのHyundai Motor(現代自動車、ヒョンデ・モーターズ)、自動車部品製造メーカーのHyundai Mobis(ヒョンデ・モビス)、ライドシェアリングのスタートアップ、Kakao Mobility(カカオ・モビリティー)、カー・シェアリングのスタートアップSoCar(ソーカー)、自動運転貨物輸送デベロッパーのThoreDrive(トアドライブ)などがいる。AIMMOは自動運転車以外でも、ロボティクス、光学文字認識(OCR)、スマートファクトリー、インテリジェント監視、eコマース、ロジスティック業界、通信会社のSK Telecom(SKテレコム)、インターネット巨人のNAVER(ネイバー)、Kakao(カカオ)そして日本のKomatsu(コマツ)などとも仕事をしている。

韓国拠点のスタートアップは、英国、米国、日本、ベトナムに事業所がある。チャン氏によると、2022年にはドイツとカナダにも事業所を開く予定だ。AIMMOのが今後世界市場へ進出していけば、Scale AI(スケール・エーアイ)、Playment(プレイメント)、Understand.ai(アンダースタンド・エーアイ)、Deepen AI(ディープン・エーアイ)などがライバルになる。現在同社には世界で200名の社員と1万人以上のデータ・ラベラーがいる。

画像クレジット:ScreenShot | AIMMO

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(文:Kate Park、翻訳:Nob Takahashi / facebook

小さくて安価なLiDAR技術の生産拡大を目指すVoyantが約17.7億円調達、ロボティクスや工作機械がターゲット

LiDARの未来は、Voyantが望むように、価格と大きさが今の数十分の一にまで下がらないかぎり不確実だ。LiDARがサンドイッチのようなサイズの数千ドル(数十万円)のデバイスであるかぎり、広い普及は望めない。そこでVoyantは、高性能なLiDARを小型化 / 低価格化し、容易に生産できるように資金を調達した。

2019年に同社のシードラウンドをTechCrunchが報じたときの同社の目標は、シリコンフォトニクスを利用してLiDARをサンドイッチから指の爪ほどのサイズに縮小することだった。しかし、どのLiDAR企業でも、その最大の課題は価格を下げることだ。強力なレーザー装置と有能なレセプターとビームの方向を制御する機械的もしくは光学的な手段が合わさると、それをLEDやタッチスクリーン並に安く作って、定価3万ドル(約345万円)未満の車に複数装備することは容易でない。

関連記事:針の頭に載るLiDAR開発のVoyant Photonicsが約4億円超を調達

CEOのPeter Stern(ピーター・スターン)氏は、新型コロナウイルスの初期に同社に加わった。当時同社は、共同創業者のChris Phare(クリス・ファー)氏とSteven Miller(スティーブン・ミラー)氏が開発した有望なプロトタイプを、市販製品として完成させる方法を探していた。基本に戻った彼らが当面の策としてたどり着いたのは、既存の商用半導体工場でも作れる、フォトニクスをベースとする周波数変調連続波(FMCW)システムだった。

「他のシステムはいずれも、高価なものを大量に使っている。私たちのビジョンは、そこらのありふれた半導体のように、大量生産できるチップだ」とピーター・スターン氏はいう。さらにスターン氏は、強力で高精度なレーザーを使わないことが、費用とスペースの大きな節約に貢献していると述べた。「現在、レーザーソースとして使われているものは高額で、組み立てと較正を必要とし、レンズの問題もある。私たちのレーザーソースは、時代遅れのDatacomのレーザーを改造したようなもので、サイズは胡ゴマ一粒ぐらいだ。その価格はおよそ5ドル(約580円)、レーザーパスに30ドル(約3450円)といった程度です」。

このような小型化は、レーダーでよく使われているFMCW方式のおかげだ。光の連続ビームを解読可能なデータパターンでエンコードし、その周波数をコンスタントに調整する。このアプローチは、従来のLiDARの方法にあった多くの問題を回避する。そしてVoyantのやり方では、それを安価でできる。量産で100ドル(約1万1510円)未満になるかもしれない。そして1つのチップの上に、すべての光学系とビームの操作、センシングなどが搭載している。

LiDARチップ上の導波管の一部を接写(画像クレジット:Voyant Photonics)

しかし同社は、Velodyneや自動車分野でしのぎを削っているLuminarやBarajaのような新興のLiDAR企業を相手にしていない。「私たちは資金が少ないため、自動車の開発サイクルにはついていけない」とスターン氏はいう。そして、まさにそれは、参入をトライするだけでも極めて高くつく市場だ。「私たちは安売りをするため、アプリケーションはロボティクスやモビリティ、工場や工作機械などの安全化など、Velodyneのパックを検討しているようなところなら、どこでもいい」とスターン氏はいう。

あなたは、こう問いたくなるかもしれない。「私のスマートフォンにもLiDARが搭載されているが、それとどこが違うの?」。確かに、小型のLiDARはすでにあった。しかしそれらは、能力が極端に限られている。リビングルームをスキャンすることはできても、それより数メートル遠かったり、日射や悪天候の中では信頼性が低い。Voyantは自動車分野には進出しないが、そのスペックはすでに自動車にも搭載できるもので、100m先に対しmm精度だ。時速110kmで走っていても問題ない。

関連記事:元アップルエンジニアによるLiDAR開発のAevaが上場を前に206億円調達

FMCWはAevaのLiDARも使っているが、ポイントが少なく、したがって解像度が低い。しかしそれは、ドップラー速度が瞬間に得られる。ビームを当てたものが、どれぐらい速く動いているのか、それが、スキャンや計算を強力にしなくてもわかる点は明らかに有利なものだ。

競合技術に対してもう1つおもしろい利点は、そのユニットが距離や速度を認識するだけでなく、材質もある程度見分けることだ。光はそれが当たる面の性質によって微妙に変化するが、その偏光と呼ばれる違いをVoyantは計測できる。したがって単一のデータポイントからそのデバイスは、相手が金属か、アスファルトか、木か、衣服か、毛皮かなどを見分けることができる。それは、モノを分類するのにすごく便利だ。毛皮だったら、それは木でもクルマでもなく、野生の動物かもしれない。

LiDARテストキット「Lark」のブロック図(画像クレジット:Voyant Photonics)

1540万ドル(約17億7000万円)のシリーズAは、UP.Partnersがリードし、LDV CapitalとContour Venturesが参加した。同社が計画しているその用途は、本番生産に向かう第一歩として、開発キットをパートナーに提供することだ。2種類の開発キットのうち「Lark」は従来的で、レーザー信号をミラー検流計から反射する。もう1つの「Sparrow」は、2D状にセッティングしたビームを使って、機械的な部品の必要性をさらに減らす。

スターン氏によると、2022年にはパートナー向けのユニットを約200生産し、商用の受注は2023年に開始する。その時点で自動車産業が注目することもありえるが、でもVoyantの戦略がうまくいけば、大きくて高価なユニットを作っている企業にとって産業市場の大きな部分が彼らの手をすり抜けているだろう。

画像クレジット:Voyant Photonics

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

商用車販売特化の中古車EC「トラッカーズマーケット」など手がけるAzoopがシリーズBファーストクローズで9億円調達

商用車販売特化の中古車EC「トラッカーズマーケット」など手がけるAzoopがシリーズBファーストクローズで9億円調達

トラック運送業向けに車両売買プラットフォームや運送業務支援SaaSなど「トラッカーズ」ブランドを展開するAzoopは12月24日、シリーズBラウンドのファーストクローズとして9億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、既存投資家のジャフコグループ、新規投資家のモノフル。累計調達額は13億7000万円となった。2022年2月に追加の資金調達を予定しており、同ラウンドにおける調達額は約13億円、また累計調達額は約18億円となる予定。調達した資金は、人材採用や各プロダクトの開発にあてる。

トラッカーズブランドで提供しているサービスは、商用車販売に特化した中古車EC「トラッカーズマーケット」、商用車買取に特化したオンラインオークション「トラッカーズオークション」、運送業務効率化クラウドシステム「トラッカーズマネージャー」。こうしたサービスにより、古い慣習が色濃く残る物流・運送業界のデジタル化を進め、利益最大化と業務効率化に貢献していくとのこと。

2017年5月設立のAzoopは、トラッカーズのブランドにより「仕組みを変えて、『はたらくクルマに関わる個人と企業』の選択肢と可能性を広げていく」というブランドミッションを実現するとしている。

突然文章が書けなくなる……、Sudowriteの強力なツールがあなたに代わって筆を走らせる

オフィスビルや工場、高層ビルが林立し、光と影が織り成す光景は、夜の街に生命の息吹を感じさせる。この都会のジャングルに生息するのが我々の卑劣なヒーロー、Amit Gupta(アミット・グプタ)だ。彼から漂うのは洗濯物とヘアジェル、そしてかすかなペパーミントの香り。シルクのスーツにはたっぷりのコロンと、革とムスクの柔らかくて暖かな香りがブレンドされている。ウールハットは明るいトーンのベージュ、ネクタイはダークトーンのピンク色だ。スタートアップ創業者である彼の肌は、生まれたての赤子のように柔らかで温かい。握手は力強く、物腰は柔らかである。深い信念を持つ彼の会社の名はSudowrite(スドウライト)だ。共同創業者の名はJames Yu(ジェイムス・ユー)。ユー氏はParse(パース)を設立し、後にFacebook(フェイスブック)に売却した人物でもある。同社は名だたるエンジェルの数々を投資家として持ち、資金調達額は3百万ドル(約3億4000万円)におよぶ。

クルマの騒音、子どもの遊ぶ声、テレビの音、ラジオの音、火災報知器の音、パトカーのサイレンの音、酔っぱらいのつぶやきなど、都会の不協和音と膨大なシンフォニーが流れる中、グプタは血も涙もないニュースを受け取った。白血病と診断されたのだ。彼の人生は完全に狂ってしまった。自分の人生を見つめ直し、自分にとって何が大切なのかを真剣に考える時が来たのだ。彼は深呼吸をしてみる。自分にはもう時間が残されていないのか、それともこれは単なる警告なのか。

Sudowriteにスタートアップとは何かを説明してもらうと、息が止まるほど笑える結果となった。実におもしろい(画像クレジット:Sudowrite)

ドローンのレンタルカメラ用の奇妙なアクセサリークリエイティブな写真マウントのアイデアで知られていた既存のスタートアップ、Photojojo(フォトジョジョ)もいまや昔のこと。会社を売却した彼は、次に何をすべきかを考えなければならなかった。会社を売却して得たお金は、薄い黒い葉のように貧弱で、悪魔の翼のようによじれている。紙のように薄く、煙のように薄く、絹のように薄く、まるで蜘蛛の巣のようだ。

ここまでの記事が奇妙に感じるのは、筆者がSudowriteというツールを使って説明文を書いたからだ。爆笑ものだが、信じられないほど強力なツールでもある。常に意味をなすとは限らないが、重要なのはそこじゃない。このツールはライターに完全に取って代わるものではなく、要約したり拡大したり、時には執筆過程で不足している創造力に火をつけるためのものなのである。この記事の最初の部分が完全に狂っていることからもわかるように、そういう意味でこのツールは非常に良く機能している。

「2014年に病気になり、人生を見つめ直すことになった時にPhotojojoを売りました。私はシリコンバレーを完全に離れて旅に出ました。自分の死ぬまでにしたいことリストにあったことはすべてやりました。しかし移植から5年が経過し、おそらく白血病で死ぬことはないだろうということになったのです」とSudowriteの創業者でCEOのグプタ氏は振り返る。「それで、じゃあこれから人生で何をしようかと考えました。しばらくはコーチングをしていました。そして、ここ数年はSF小説を書いていて、それに夢中になっていました。どん底から這い上がっていくのはとても楽しいことでしたし、私にとってはとても新しいことでした」。

SF作家としての道を歩む中で、グプタ氏はほとんどの作家が経験する問題に直面した。「ライターズブロック」である。書くという作業はここまで難しいことだっただろうか?

「Sudowrite はさまざまな問題を解決してくれると思いますが、その具体的な内容は作家ごとに異なります。私が感じるところの執筆作業における問題点の1つは、非常に孤独であるということでした。すべてが協力的なスタートアップの世界から来たためなおさらでしょうか。役に立っているのかもよくわからない週に一度の読書グループ以外には何の出口もなく、キーボードの前にただ座って行き詰まると机に頭を叩きつけ、とても孤独に感じていました。私たちが最初に考えたのは、隣に座っている創造的なパートナーのような役割を果たすものを作れないか、ということでした。行き詰まったときに彼らに向かって『これが解明できないしうまくいかない。アイデアをくれないか』と相談できる何か。それが当初の目的でした」とグプタ氏は説明する。

創業者のアミット・グプタ氏とジェイムス・ユー氏は、山頂で発見された。彼らは一般的な家猫よりも少しだけ大きく成長することで知られている。墓というよりはゴミ山のような土の中に人骨がごちゃごちゃと横たわっていて、眼窩はまっさらな空を見つめている。創設者らは下駄についた泥を払い、戦いに備えて知恵を絞る。ドラゴンの息づかいがすぐそこに迫っている(写真のキャプションはSudowriteによるもの。キャプションの正確性については確認していない)

「人間のリーディングパートナーのように、うまくアイデアを出し合える相手を作りたいと考えたのです。また、脚本家などのエンターテインメント業界の人々と話をしているうちに、特定のニーズがあることに気がつきました。例えば自分が書いた脚本があって、それの1ページ版と3ページ版を作成しなければならない場合などがあります。非常に特殊な業界の仕事ですが、AIにとってはとても簡単なことです。これはあまりクリエイティブな作業ではないため、Sudowriteのようなツールを使えば彼らがしなければならない嫌な作業を何時間も省くことができるのです。用途はたくさんあると思いますが、インスピレーションを刺激して仕事の流れを良くするのが主な目的です」。

1つの文章をSudowriteによって創造的に膨らませてみた。より細かく描写したものや、心の葛藤を表したもの、またはより簡潔に説明したもの(筆者の最も苦手とするもの)など、AIの力によってシンプルな文章からいくつものバージョンが出来上がる

グプタ氏は作家の孤独感を解消するためにSF小説のライティンググループに参加していたのだが、そこで出会ったのが共同創業者で元Parse創業者のユー氏である。2人はGPT-3をベースにしたアプリの初期バージョンをともに作りあげ、有料の顧客を獲得し始めたところで資金調達を決意した。

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「当初このプロジェクトを立ち上げるために100万ドル(約1億1300万円)程度の資金を集めようと考えていました。最終的には300万ドル(約3億4000万円)を調達しましたが、そのほとんどが個人投資家によるものでした。これは意図的なものです。ベンチャーキャピタルからのプレッシャーを感じることなく、自分たちのペースで実験したり、奇妙なことに挑戦したりするのを許容してくれる人たちが欲しかったのです」とグプタ氏は話している。

同社のエンジェル投資家リストはそうそうたる顔ぶれで、Medium(ミディアム)およびTwitter(ツイッター)の創業者であるEv Williams(エヴァン・ウィリアムズ)氏、Gumroad(ガムロード)の創業者であるSahil Lavingia(サヒール・ラヴィンギア)氏、Parse(パース)の創業者であるKevin Lacker(ケヴィン・ラッカー)氏、WordPress(ワードプレス)の創業者であるMatt Mullenweg(マット・マレンウェッグ)氏、Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)の創業者であるPatrick Lee(パトリック・リー)氏などが名を連ねている。また、Big Fish(ビッグフィッシュ)やAladdin(アラジン)の脚本家であるJohn August(ジョン・オーガスト)氏、Bourne Ultimatum(ボーン・アルティメイタム)やOceans Twelve(オーシャンズ12)の脚本家兼監督であるGeorge Nolfi(ジョージ・ノルフィ)氏など、エンターテインメント界の名だたるメンバーが揃っている。

現在、同社のユーザー数は300人から400人で、プラットフォームの利用料は月額約20ドル(約2300円)だ。今回の資金調達ラウンドにより、創業チームはチーム規模を少し拡張することができたようだ。

「今回の資金調達で実現したことは、何といっても人材の確保です。当社にとって初となる機械学習担当者、開発者、リードデザイナーを採用しました。この3つのポジションを確保することができましたが、しばらくはこの規模を維持するつもりです。当社のユーザーは皆、口コミで集まってきた人たちで、幅広いジャンルの方がいます。小説や脚本を書いている人もいれば、Substack(サブスタック)のニュースレターを作っている人もいます。また、職業として文章を書いているユーザーもいます。変わった使用例もあります。Sudowriteを使って説教を作る宗教指導者や、瞑想のための文書を書く人、また、ロールプレイングゲームを作るユーザーもいます。非常に幅広い層に支持されています」。

Sudowriteは、これまでクローズドベータ版を提供していたが、これからは自身でベータ版に登録して試すことが可能だ。

以下に、グプタ氏が記録したデモビデオを添付しておく。数カ月前のものだが、このツールがどう機能するのかをより詳しくおわかりいたけると思う。

画像クレジット:Sudowrite

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

いつでも家族の思い出を整理・共有できる、プライベートソーシャルアプリ「Honeycomb」

Honeycombの共同創業者Amelia Lin(アメリア・リン)氏とNicole Wee(ニコル・ウィー)氏(画像クレジット:Honeycomb)

Honeycomb(ハニカム)という女性主導のスタートアップが、Stellation Capital(ステレーション・キャピタル)のPeter Boyce(ピーター・ボイス)氏主導によるシード資金400万ドル(約4億5200万円)の支援を受け、家族向けのプライベートソーシャルアプリをローンチする。今回プライベートベータが終了した同アプリは、Facebook(フェイスブック)やグループメッセージといった、写真や動画を見失いやすい、よりパブリックなソーシャルメディアプラットフォームを利用する代わりに、スマートフォンを介してお気に入りの瞬間や思い出を収集し共有する手段を家族に提供する。

注目すべきは、ボイス氏がGeneral Catalyst(ジェネラル・キャタリスト)を去った後に2021年設立した新しい会社Stellation Capitalが支援する最初のスタートアップがHoneycombであることだ。今回のラウンドには、Kyle Lui(カイル・ルイ)氏のDCM、Ben Ling(ベン・リン)氏のBling Capital(ブリング・キャピタル)、Charles Hudson(チャールズ・ハドソン)氏のPrecursor Ventures(プレカーサー・ベンチャーズ)、そしてAncestry(アンセストリー)のCEOであるDeborah Liu(デボラ・リュー)氏、Giphy(ジフィー)の創業者であるAlex Chung(アレックス・チャン)氏、Twitter(ツイッター)のエンジニアリングVPで以前はReddit(レディット)で同職務を務めていたNick Caldwell氏(ニック・コールドウェル)などのエンジェル投資家も参加した。

Honeycomb自身は、Udacity(ユダシティ)とOptimizely(オプティマイズリー)の元CEOであるAmelia Lin(アメリア・リン)氏と、Instagram(インスタグラム)の元プロダクトマネージャーNicole Wee(ニコル・ウィー)氏によって共同設立された。共同創業者たちは、プライベートなソーシャルネットワークを通じて家族をつなぐアプリを作ることに着想を得ていたが、当初はSagaという別のプロダクトでアプローチしていた。この最初のアプリは、家族が自分たちの人生のストーリーを記録できるソーシャルオーディオ体験だった。例えば、祖父母が最初に出会ったときの話や、子どもの誕生日の願い事を後で聞くことができるオーディオ日記のようなものだ。

しかし、このアプリは初期多くメディアに取り上げられたものの、必ずしも家族が望んだものではなかった。その代わりにチームは、アーリーアダプターたちから、音声だけではなく写真やビデオも保存したいという要望を聞いていた。そこでチームはこの秋、アプリの方向性を転換し名称をHoneycombに変更した。

画像クレジット:Honeycomb

この新しい体験は、9月にプライベートベータテストがローンチされたところで、家族がお気に入りの写真やビデオを保存し、それをテキストと組み合わせ、一種のデジタルストーリーに仕立て上げる方法を提供する。現時点用意されている体験は必ずしも、例えばiMessage上のグループチャットと比べてはるかに堅牢だとは言い切れないが、テキストメッセージングを使用するときには難しいような、古いシェアに立ち戻るための簡単な方法を提示している。ユーザーはリマインダーを設定して、その日のお気に入りの思い出のキュレーションを忘れないようにすることもできる。この機能は、赤ちゃんが新しいマイルストーンに達するのを見守りながら、毎日何十枚もの新たな写真をスマートフォンに次々とアップしていくような新米の親たちには最適かもしれない。

画像クレジット:Honeycomb

「その日の最高の思い出を整理していく、とても簡単な日課となるように手助けしています」とリン氏は説明する。「お気に入りを選択すると、自動的にこのストーリーに編集され、家族と共有されるだけではなく、このコレクションに永久に保存されます」。ただし、この体験はGoogle(グーグル)フォトやApple(アップル)の写真アプリ、あるいはDropbox(ドロップボックス)のようなユーザーの既存の写真サービスを置き換えるものではない、と同氏は指摘する。

「私はそれを、家族と交流するような、キュレーションされた美しい場所だとは思いません」とリン氏。「そしてFacebookやInstagram(を持つユーザーもいるかもしれませんが)、それは自分の赤ちゃんの写真をまさに公にさらしているように感じられます」。一方、Honeycombはデフォルトでプライベートだ。

「家族だけがここにいる人を選ぶことができる、それはかなり異なる哲学的アプローチだと思います」とリン氏は語り、次のように言い添えた。「ユーザーの写真やデータをサードパーティに販売するようなことはしていません」。

画像クレジット:Honeycomb

Honeycombは、広告で収益化するのではなく、サブスクリプションベースのサービスになるという点でも、主流のソーシャルアプリとは異なる。ただし同スタートアップは今のところ、新しいアプリを軌道に乗せるという観点から無料提供を行っている。

同社は、家族の年配ユーザーをどのようにプラットフォームに取り込むかについて検討を進めている。コンテンツをエクスポートして他の場所で共有できるようにすることも考えられるだろう。一方でチームは、赤ちゃんや子どもの新しい写真という魅力的な要素が、祖父母たちに対して、テクノロジーに詳しくなくても、スマートフォンにアプリをインストールする方法を理解する必要性を促すだろうと考えている。

ユーザーはHoneycombをダウンロードすると、まず基本的な機能セットへのアクセスを得る。しかしそう遠くない時点で、家族や友人と思い出を共有するためのより魅力的なストーリー形式を含む新しいベータ版へのオプトインを促される。(このオプトインは即時には行われないが、すでに展開されていることを同社は明らかにしている。)

AIではなく人間のキュレーションに立ち返り、ユーザーが最高の写真やビデオを見つけられるようにするという発想は、最近では確かに違いのあるアイデアだ。しかし、人々が日々のスナップ写真を整理したいのかどうか、特に「赤ちゃんが生まれた」という話題が消えた後にそうするのかは、依然として未知数である。

画像クレジット:Honeycomb

さらに、AIが役に立つこともある(おそらくスマートAIなら、筆者がアプリで誕生日の写真アルバムを作成した後、カバー写真としておもちゃの写真ではなく人物の写真をフィーチャーすることを知っていただろう)。AIはまた、照明の弱い写真や露光量が低い写真を廃棄することで、ユーザーが写真を自動的に分類することにも貢献する。

一般的にユーザーが望まないことは、自分の「最高の」写真についての最終決定権をAIに持たせたり、自らの生活や自身が重要だと考えていることに関するコンテキストなしにAIがアルバムを作成したりすることだ。そして自動化された「記憶」を通じて、自分たちが忘れたいと思う時間をAIに思い出させたくはないのである。

だが最良の解決策は、AIと手動キュレーションとのバランスを取ることかもしれない。ただしプライベートな社会的環境で行われるものとなろう。

Honeycombは事実上新しいアプリであるため、同スタートアップはユーザー数を公開していない。ただリン氏によると、Sagaから方向転換して以来、エンゲージメントは3倍になったという。

「Honeycombは、私たちの最も基本的かつ長期的な人間の欲求の1つ、家族の思い出をアーカイブし共有したいという願いを実現するためにテクノロジーを利用する、真にミッション駆動型の企業です」と、Stellationのピーター・ボイス氏はこのスタートアップへの投資について語った。「Honeycombはファミリーアルバムを21世紀にもたらす可能性を秘めています。イノベーションの段階的な機能変更の機に熟している、これほど大きな問題空間を見出すことは希少です。家族は、個人に向けた、親密になることを意図したソーシャルアプリの次の進化への準備が整っています。そしてこのチームはそれを構築しているのです」と同氏は付け加えた。

Honeycombは現在7人で構成されているが、この新たな資金を、同社のサンマテオオフィスで直接働くエンジニアを含む雇用に充てる計画だ。約10人の増員を見込んでいる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

PlanetScaleがエンタープライズデータベースサービスを一般公開、シリーズCで約57億円を調達

YouTubeに技術提供するVitess(ヴィッテス)オープンソースプロジェクトの共同クリエイターにより設立されたサーバーレスデータベース企業PlanetScale(プラネットスケール)は、2021年11月中旬、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)率いるシリーズCの資金調達ラウンドで5000万ドル(約57億円)を調達したことを公表した。既存の投資会社a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)、SignalFire(シグナルファイア)、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)に加え、GitHub(ギットハブ)の前CEOで共同創設者のTom Preston-Werner(トム・プレストン=ワーナー)氏、Lattice(ラティス)のCEOで創設者の Jack Altman(ジャック・アルトマン)氏、Instacart(インスタカート)の共同設立者であるMax Mullen(マックス・マレン)氏もこのラウンドに参加した。これにより同社は2021年6月に発表したばかりのシリーズBの3000万ドル(約34億円)を含め、総額1億500万ドル(約120億円)を調達したことになる。

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さらに、同社はそのホスト型エンタープライズプラットフォームを一般公開したことも発表した。2021年3月の立ち上げからプライベートベータ版のみ利用できていたサービスだが、同社にはすでにYouTube(ユーチューブ)、GitHub、New Relic(ニューレリック)、Slack(巣ラック)、MyFitnessPal(マイフィットネスパル)、Square(スクエア)、Affirm(アファーム)などの顧客がいる。「私達には主要な上位4000のウェブサイトがあり、それがPlanetScaleに移行し、現在PlanetScaleによりベータ版でホスティングされています」と、PlanetScaleのCEOであるSam Lambert(サム・ランバート)氏はいう。「人を寄せ付けずにはいられません。ベータ版もそれを止めませんでした」。

GitHubのエンジニアリング部門の前VP、ランバート氏は、PlanetScaleのチーフプロダクティブオフィサーを9カ月務めた後、7月にCEOの職に就いた。彼は、共同創設者でありチーフストラテジーオフィサーとなって引き続き同社の理事会メンバーを務めるJiten Vaidya(ジテン・ヴァイジャ)氏の後を継いだ。

ランバート氏は、PlanetScaleが急速に拡大し、従業員数が過去6カ月で3倍に増加した。「特にNetlify(ネトリファイ)Vercel(ヴァ―セル)のようなプラットフォームを使用している場合、当社はデフォルトのサーバーレスデータベースとして話題に上っています。サーバーレスは産業の1つとして成長していますが、あまり複雑でない分野で成長していました。【略】サーバーレスの世界でデータベースを組み立てた人が数人いました。しかし私達が現れて、完全に新しい物を持ち込んだのです。地球上で2番目に大きなウェブサイト、YouTube.comのバックエンドとなるデータベースを、サーバーレスの世界にもたらしました」と、ランバート氏は述べた。

Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)のパートナー、Bucky Moore(バッキー・ムーア)氏によると、PlanetScaleのようなトランザクションデータベースは「すべてのインフラストラクチャの中で特別な市場機会」だいう。大手のクラウドプロバイダはこれらのサービスにより何十億ドル(何千億円)も生み出しているが、投資家達は慎重な姿勢を崩さない。「多くの投資家が、率直にいって、この軸のクラウドプロバイダと競争することを躊躇してきました。それが彼らの心と戦略にとって身近で重要なビジネスだからです」とムーア氏はいう。「しかし、それに対する私の考え方はまったく違います。ウェブスケールでソフトウェアを世界のユーザー基盤に提供するにはこの2つのメガトレンドが必要で、もちろんパブリッククラウドがもっと簡単にします。しかし同時に、このデータベースの部分の解決方法についてはそれほど革新が行われていません。そしてもちろん、だからこそヴィッテスがそのような興味深いテクノロジーであり、大変多くの大企業が大規模にそれを運営しているのです」。

その一方で、ランバート氏が議論するのは、サーバーレスがついにクラウドの元の多くの約束を果たすポイントに到達していることである。「クラウドは最終的に、『もうサーバーの電源を差すことはない』段階に移行しました。しかし、企業には人々のチーム、AWSを管理する何百もの従業員がいて、『私達が行くべきところまで行かなかった』。私は、サーバーレスはそれを持ち上げ、それは加速していると思います。半端ないペースです。そしてそれは人類の進歩ももたらします。従業員5人の会社が何十億ドルもの価値を上回るという事実が生まれます。理由はサーバーレスツールを活用するだけ、これらをまとめるだけだからです」。

PlanetScaleはMySQL(マイ・エスキューエル)やVitess(ヴィテス)などのオープンソースプロジェクトの頂点に立つが、ランバート氏もムーア氏も、大手クラウドプロバイダがコードを使って独自の競合を立ち上げることを恐れていない。

「クラウドがクローンできないことの1つはセンスです」。ランバート氏は述べた(そして、ランバート氏ほど多くの熱意と情熱を持つ人はほとんど会ったことがないと書いておくべきであろう。)。「それは間違いなく真実ですよね。みなさんはライセンシングの議論を目にしています。現在のライセンシング戦争です。多くの企業と多くのデータベース企業がBSLライセンシングの陰に隠れています。なぜならクラウドがそのツールを拾い上げるとの恐れからです。人々が私達のセンスを真似ることができても、私達は恐れません。私は大企業がGitHubの競合を作っては閉店させている間、GitHubに留まっていました。そしてそれは、美とデザインと驚くべきセンスを通して人々と感情的に共鳴する、私達の驚くべき能力のおかげです。【略】私達はクラウドの試行を恐れません。なぜなら真に、私達が話にもたらす魔法が非常にユニークだからです」。

同社の将来計画に関しては、ランバート氏は伝えた。これまで、PlanetScaleじゃそのロードマップのために基礎を築いただけだった。彼の見解によると、同社はヴィッテスができることの約10%のみを示したが、チームはログインシステムや監査ロギングのような基本のみを、同社が次のステップでそれらの作業を行えるようになる前に投入する必要があった(しかしデータベースの分岐によって、すでに複数の高度に革新的な機能も立ち上げた)。PlanetScaleチームの見解では、データベースの世界の多数の作業がデータベース自体から作業を取り上げ、データベース外のデータを扱っている。しかし、もしヴィッテスのように堅牢で高度にスケーリング可能なシステムがあれば、アーキテクチャを簡素化し、時間の経過とともに、多くのデータベースシステム外で構築されたプリミティブをそれに戻すことができる。

今日のGAの立ち上げにより、同社はすでに新しいデータベースのインポート機能を提供している。それによりユーザーはたった数クリックで既存のMySQLデータベースをPlanetScaleに移行させることができる。これは新しいユーザーが完全な移行を行う前に独自のデータを用いてサービスをテストすることが簡単になるはずである。サービスは現在新しいPrisma Data Platform(プリズマ・データ・プラットフォーム)にも統合され、開発者がPrisma(プリズマ)でPlanetScaleのデータベースを作ることができる。

画像クレジット:EDUARD MUZHEVSKYI / SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Dragonfly)

「オルタナティブMBA」というビジョンの実現をインドで目指すStoa School

伝統的なMBAのディスラプション(創造的破壊)は、EdTechスタートアップのピッチとして最も多く試みられ、テストされ、微調整されているかもしれない。それもうなずける。ビジネススクールは非常に高価であり、概して、エリート教育に投資するための時間と資金のある選ばれた人々のために用意されている。

そのコードを完璧に解読した企業はまだ存在しないが、Stoa School(ストア・スクール)は臆していない。ゴアに拠点を置くこのスタートアップは、インドの成長するスタートアップシーンが広く注目される中、同国の高等ビジネス教育に代わる高品質な非認定教育機関を設立するために数百万ドル(数億円)を調達した。同スタートアップの最初の資金調達は150万ドル(約1億7000万円)のプレシードのパーティーラウンドで、Udemy(ユーデミー)とMaven(メイブン)の共同創業者Gagan Biyani(ゲイガン・ビヤニ)氏、Better Capital(ベター・キャピタル)の創業者Vaibhav Domkundwar(ヴァイバヴ・ドムクンドワール)氏、Teachable(ティーチャブル)の共同創業者Ankur Nagpal(アンカー・ナグパル)氏、NotBoring Media(ノットボーリング・メディア)の創業者Packy McCormick(パッキー・マコーミック)氏、Dunce Capital(ダンス・キャピタル)の投資家John Danner(ジョン・ダナー)氏、Zivame(ジヴァーム)の共同創業者Richa Kar(リチャ・カー)氏らが参加した。

「人々はスタートアップについてもっと知りたいと思っています。そしておそらく、企業での仕事からの移行を望んでいるのでしょう」と共同創業者のRaj Kunkolienkar(ラジ・クンコリエンカー)氏は語り、インドのスタートアップに対する人員需要はこの1年間で40%増加していると推定する。同氏の共同創業者Aditya Kulkarni(アディティア・クルカーニ)氏は、このスタートアップは自らを「スタートアップの仕事への(に就く)手段」と位置づけており、誰もが「CACとは何か、GTMとは何か、LTVとは何か」ということに精通しているわけではないと付け加えた。

クルカーニ氏によると、Stoaの設立につながった最初の洞察は、インドの学生にはビジネス教育を追求する選択肢が多くないという事実にあった。Indian School of Business(ISB、インド商科大学院)に入学するか、米国に引っ越すしかないのが実情だ。同時に、クンコリエンカー氏はインドのLambda School(ラムダ・スクール)を運営していたが「インドの資金調達と資金回収のインフラは、ISA(Income Share Agreement、所得分配契約)を大規模に運用できるほど発展していない」ことに気づいた。

現在、Stoaは6カ月間のパートタイムプログラムであるStoaMBAを設けており、テクノロジー関連のスキルとビジネスの基本をすべての参加者向けに組み合わせて提供している。ライブプログラミングの大部分は週末に実施され、コホート学習、ビジネスケースのハッカソン、基本的な講義と非同期学習が週を通して行われる。学生は平均して週に12時間、月に3週間をこのプログラムに費やしている。

「私たちのアイデアは、さまざまなビジネス領域の完全な360度の概観を提供することです」とクンコリエンカー氏は語る。同氏の推計では、この24週間におけるプログラムの約30%が、データの扱い方や調査をより適切に行う方法など、基礎的なスキルに重点を置いているという。残りの時間は、デジタルマーケティングの役割やプロダクト戦略のヒントなど、需要のある特定の役割について深く掘り下げるために確保されている。

インドのスタートアップのすべてに向けて空白のセールス職の充足を支援するほどの規模には至っていないことを同社は認識しており、現在はオペレーションとセールスの世界におけるジェネラリストを育成することに注力している。StoaMBAの現在の価格は3400ドル(約38万円)で、ほとんどの学生は前払いである。EMIベースの融資オプションを提供するためのパートナーシップをStoaは有しており、それを利用すると学生は月単位で支払うことができる。

伝統的なMBAに真に代わるものとなるために、Stoaは、カリキュラムの品質保証、測定可能な成果、そして非認定のカリキュラムが生徒の生活に違いを生み出すという持続的な証明にフォーカスしていく必要がある。

非認定マインドセットの理解

求職者とそのテック業界での初めての仕事の間で最初のレイヤーになることで、Stoaは大手企業との競争を回避できるかもしれないが、このオポチュニティは最大の課題でもある。

コホート1と2の間で、100人のうち40人だけがこのスタートアップのキャリアサービスを選択し、そのうちの38人が新しい役割に移行した。共同創業者たちは、60%が参加しなかったのではなく、参加した人たちの成功率を重視していたが、この不均衡は他の市場勢力を表しているのかもしれない。同社は将来的に、本格的な転職を希望する人、テクノロジーの基礎を学んで理解を深めたい人、現在の職務でのスキルアップのために単一のスキルを学びたい人に向けて、別のプログラムを作ろうと試みている。

「Stoaに申し込む人の多くは、明瞭性を求めています」とクルカーニ氏。「人々はある一定の変化を望んでいます。しかしその評価に向けた最初のステップは、私がその変化を真剣に求めるかどうかにあるのです」。

逸話や幸せそうな学生たちがオンライン学習の価値を示す一方で、どのブートキャンプも最終的には、規模を拡大するために投資の見返りを証明しなければならない場所にたどり着く。解雇された人や求職者がテック業界に参入する支援を行うブートキャンプのスタートアップFlockjay(フロックジェイ)は最近、B2B SaaSプラットフォームへの方向転換を進める中で、従業員の半分を削減した。過去数年間、訴訟やレイオフ、資金調達に奔走してきたLambda Schoolは、その就職率に関するずさんなマーケティング戦術について精査されてきた。

関連記事:テック業界への就職を支援するFlockjayがB2B SaaSへの移行で従業員の少なくとも半分を削減

このスタートアップは多様性への取り組みを促進する必要もある。共同創業者たちは現在、学生の75%が男性で、25%が女性だと推定している。インドのスタートアップにおける女性の割合が出産休暇のコストと先天的な偏見のために減少していることを考えると、Stoaは現状を助長するのではなく、現状に疑問を提起するオポチュニティを有している。キャップテーブルは主に男性が占めているようであるから、その背後に女性の代表者を増やすことが戦略に役立つかもしれない。クルカーニ氏は、Stoaは女性にスカラーシップを提供してきたが「やるべきことが確かにある」と語った。

最後に、Stoaはさらに他のことも例示している。未来は非認定のコースにあると信じる起業家と、認定が高等教育において正当性を獲得する唯一の方法であると考える起業家との間の違いが大きくなっていることである。

「私たちは6カ月の学位を設置していますが、インドの規制当局がそのような学位や卒業証書を受け入れることは決してありません」とクンコリエンカー氏は話す。「ここインドで認定されるものには、極めて具体的なルールがあります」。Stoaは「学位方式」を採用しない方向に向かっており、その理由はブランド、カリキュラム、そして変化と反復をすばやく行う能力をコントロールし続けたいからだと同社は述べている。

その結果、Stoaのブランドは、同社の長期的な健全性において実質的に重要な意味を持つことになる。言い換えれば、一定数の人々に認証印を与えることは可能かもしれないが、規制当局のサインがなければ、企業の採用担当者はその証印を気にするだろうか、ということだ。

「インドは明らかに資格主義を重んじる社会、そして文化を形成していますが、Stoaには、MBAが国全体になし得ること、意味すること、提供することを再構築するすばらしいオポチュニティを感じます」とVibe Capital(バイブ・キャピタル)の創業者で投資家のAnkur Nagpal(アンクール・ナグパル)氏は語っている。「同社はブランド構築と卒業生のネットワークを十分に発達させてきましたので、知識のある人たちにとって憧れのブランドになっていると思います」。

On Deck(オン・デッキ)とY Combinator(Yコンビネーター)は、どちらのプログラムも卒業者の威信とコミュニティの存在を示唆するものとなっており、サービスとしてのシグナルをある程度スケールすることが可能であることを実証している。アクセラレーターはビジネスのニュアンスを理解しているインサイダーのためのものだが、Stoaはスタートアップのエコシステムに入りたい人たちを獲得できるだろうと共同創業者たちは考えている。

しかし、テック業界で職を得ることは、起業よりも困難で複雑な場合もある。Stoaの次のステップ、ベンチャーが後押しするものは、希望的観測として、伝統的な門番を排除し、これまでに培ってきた同社の価値を通して教育を行うことで、その困難な状況を打開するものとなるだろう。

画像クレジット:Witthaya Prasongsin / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

コラボで作ったオーディオクリップをソーシャルメディアビジネスにつなげたいBeams、先行きは不明瞭?

ソーシャルオーディオにさらなる追い風ともいえるのだろうか。ベルリンを拠点とし、2019年に設立されたソーシャルオーディオスタートアップであるBeams(ビームズ)は「オーディオベースのソーシャルメディア」と銘打って、小さなひと口サイズのバラバラなオーディオ録音を共有して視聴してもらうためのプラットフォームを構築している。同社はこのたびのシードラウンドを300万ドル(約3億4000万円)で完了。前回のラウンドで獲得した300万ドルと合わせて合計600万ドル(約6億8000万円)を資金調達した。

Beamsの4人の共同創業者(共同CEO)のうち、Alan Sternberg(アラン・スターンバーグ)とRobert Kilian(ロバート・キリアン)の2人は、今、さらに資金を調達する理由を次のように説明する。「私たちは、2020年末に300万ドルを調達しました。テスト段階では、投資家から非常に高い関心と注目を集めていました。そこで、初夏の頃、The Venture City(ザベンチャーシティー)とKal Vepuri(カル・ベプリ)という2人の戦略的投資家を新たに迎え入れることにしました。そして総額600万ドルのシード資金を獲得することができたのです」。

Crunchbase(クランチベース)のデータを見ると、Beamsの、初回のシードラウンドおよびプレシードにおける投資家は、Mangrove Capital Partners(マングローブキャピタルパートナーズ)とRedalpine(レダルパイン)だったことがわかる。

Beamsの創業チームには、Soundcloud(サウンドクラウド)、Spotify(スポティファイ)、N26(エヌトゥエンティフォー)の元社員が名を連ね、同社のPRによると「人々が音声を軸につながる理由を深く理解している」面々だという。

Beamsの大きな目的は「人々が集まり、さまざまなトレンドや関心事について多様な意見を共有できる」プラットフォームを構築することだ(同じヨーロッパ発のAnyone(エニワン、アドバイスに焦点を当てている)Wisdom(ウィズダム)など、さまざまなソーシャルオーディオスタートアップも同様のことをいっていた)。

Beamsのユーザーは、関心事ごとに分けられたグループに参加し、(それぞれのユーザーのタイミングで)トピックベースのスレッドを聞いたり、クリップしたりすることができる。アート、政治、ファッション、グルメ、音楽など、トピックは何でも良い。

Beamsのトピックはまさになんでもござれで、全体的にはかなりランダムな感じがする。視覚でいえば、塗料を飛び散らせたスプラッシュペイントといったところだろうか。

Beamsのスローガンは「Real people, real voices(本物の人、本当の声)」。ラジオをチューニングしてトーク番組を聞く(あるいはClubhouseTwitterのスペースに参加してフォロワーや他の人のおしゃべりを聞く)ことに取って代わるアプリベースの手段について考え出されたスローガンだ。

しかし、ソーシャルオーディオのノイズの中から自分が聴きたいものを見つけることは、本当に難しい。

Beamsのオーディオクリップは90秒が上限だが、録音はもっと短くても構わない(スレッドが構築されると、アプリが音の断片[サウンドスニペット]をつなげてくれる)。つまり、ある程度短いことで手早く聴けるということになる。

90秒未満でも長いという場合は、アプリのボタンで再生速度を最大2倍まで上げることができるので、もっと短く音声を楽しむことができる(0.75倍までのスロー再生も可能)。

Beamsのアプリを見るとコンテンツの作り手がかなり不足していることがわかる。例えば、トップページの特集スレッドの中には1つ、2つのレスポンスしかないものもある。さらにもう少し見てみると、さまざまなスレッドに同じような顔ぶれが投稿していて、その中にはBeamsのスタッフがいることも確認できた。

本来あるべきコミュニティの形成はまだ始まったばかりのようだ。

Beamsによると、当初からのユーザーは、文化的なテーマや過去の出来事についてのストーリーや思い出を投稿する若者、60秒のインタビューを他の人と共有するプロのオーディオコンテンツクリエイター、フォームを使って写真に写っている人の声を伝える写真家、外部で行われたイベントを記録する市民ジャーナリストなど、実に「幅広い」ユーザーで構成されているという。

アプリで確認できるグループやトピックの多くは、例えば「過去に受けた最高のアドバイス」「世界の朝食」といった、コンテンツの生成を促進するためのわかりやすい種(たね)であるように思われる。また「オープンマイク」というラベルの付いたグループも同様で、女性の「UberStories」や「TinderStories」といった特定のテーマのグループやトピックで、ユーザーにストーリーの共有を促している。

メンバー数が最も多かったグループ(~1000人)は、ポッドキャストのアイデアやポッドキャストプロジェクトへの協力を募るオープンピッチだった。

大まかにいえば、メンバー数が非常に少なく、よりテーマを絞ったニッチなグループが多い(例えば、特定の地域の問題を明らかにすることを目的とした「ミネアポリスの警察改革について」といったグループ、あるいは「9.11から20年」のように特定の視点や経験をナレーションで表現するグループ、旅行や料理のヒントとなる「ラスベガスのビーガン向けベストスポット」などのグループが挙げられる)。しかし、なぜこのようなコンテンツをテキストではなくオーディオで提供する必要があるのか、という点は十分に検討する必要がある。

おもしろいと思ったグループの1つ「Young, Black & Fly」(メンバー数59人)は「若い黒人クリエイターのレンズを通して、アート、映画、音楽についてすべての人に向けて語るマイクロポッドキャスト」と称してさまざまなメディアのクリエイターにひと口サイズのインタビューをしている。

一方、NFTについて、あたかも義務であるかのように毎日投稿されるニュースグループ(メンバー数18人)はあまりおもしろいとは思わなかった。

Beamsの短い音声フォーマットでは、グループのホストと招待されたゲストとの間で一問一答形式のインタビューを行うことができる。1つの(長い)インタビューが、見つけやすい、共有しやすいチャンクに分解されることになるのだが、そうすることでポッドキャストやラジオ番組を視聴するよりも夢中になれないという欠点が生じる。

一問一答に近い形式の再現を目的としたオープングループでは、積極的なキュレーションは行っていないので、気が向いたら誰でも口をはさむ(オーディオクリップを投稿する)ことができる。その結果、リスナーの視点から見たスレッドは、内容や品質が均一ではないこともあり得る。

全体的に、Beamsはまだ実験段階にあるように感じられる。

ひと口サイズの「マイクロポッド」は、ラジオ放送世代よりも後の、注意力が続かない世代には向いているのかもしれないが、まだ不透明だ。どちらかというとソーシャルオーディオのノイズを増やしているようにも思える。

Beamsの共同創業者は、アプリのユーザー数を質問され「4万人以上のユニークユーザーが5000以上のグループに参加している」と回答している。ということは、おそらくアクティブユーザーはもっと少ないだろう(グループの運営にはBeamsのスタッフも積極的に関与している)。とはいえ、Beamsは2021年5月にベータ版がリリースされたばかりだ。

ソーシャルメディアの手法として、なぜ尺の短いオーディオに注目したのか?という問いに対し、スターンバーグ氏とキリアン氏は次のように話す。「クリエイターとリスナーの両方の視点から、短尺のオーディオスペースにはイノベーションが必要です」。

「現在ユーザーが利用できる方法で良いオーディオコンテンツを作るには、非常に高いハードルがあります。ハードウェアも必要ですし、話すためには十分な専門知識も必要で、一般向けではありません。一般の人がオーディオコンテンツを作るには、あまりにも多くの障害があります」。

「また、リスナー側にとっても簡単ではありません。例えば、ポッドキャストやライブオーディオセッションが自分にとって役に立つか、おもしろいか、自分の時間を費やす価値があるかどうかを知るには、それを聴くしかありません。聴いてみてどうなるかわからないし「おもしろいところ」にはなかなかたどり着けないし、コンテンツを作っている人を良く知っていて信頼していない限り、聴いてみるのも簡単ではないのです」。

「私たちは、このような状況を打破する革新的なソリューションを構築したいと考えています。皆が簡単に録音したり、他のユーザーの話を聴いたりできるソリューションです」。

とはいえ、純粋に「聴く価値のあるもの」を探し出すには、明らかに「まだまだ」だろう。

90秒ごとに分割された音声(つまり、何回も最初の挨拶と冒頭のセリフを聴かなければならない)と、人の声を2倍速にするボタンは、すばらしいオーディオ音声の提供とは非常にかけ離れている。

これは、多くのコンテンツがスキップされてもやむを得ないと考えていることを意味しているようなものだ。リスナーが退屈な部分を聴かないで済むようにするためのツールなのに、その過程で(音声コンテンツを募集するとか、感想を話すだけとか、品質が考慮されていないような録音など)その場を埋めるためだけのオーディオを生み出してしまうのであれば、全体的なアプローチとしては逆効果のようにも思える(あるいは、Beamsがまだ上手い方法を見つけられていないだけかもしれないが……コミュニティの成長と成熟には時間がかかるものだから。)

Beamsの共同CEOは、現在のオーディオプラットフォームには「人々が直感的につながる方法」が欠けているとも考えていて「(Beams以外に)トピックベースの双方向型のオーディオプラットフォームは存在しない」と主張する。

彼らは、Beamsの目標は「ユーザーが自分の考えをさまざまな方法で簡単に記録し、グループやトピックに分けて共有できる」ツールを構築することであると話し、オーディオを構造化するという目的を強調している。

また、彼らは自分たちが構築しようとしているのは「音楽ストリーミングサービスのように、ユーザーの声をボイススレッドの一部にするための拡張オーディオプレイヤー」であるとも説明する。将来的には音声の書き起こし機能を追加し、Beamsの音声記録を他のソーシャルネットワークにエクスポートして利用できるようにすることも計画しているという。

ボイススレッドを中心に、他の形式のツールを追加することも予定しているそうだ。

オーディオの共有と視聴のための「シンプルで包括的な」ツールを構築することに注力すると同時に、スターンバーグ氏とキリアン氏は(Beamsよりも)閉鎖的な競合他社と比較してもっとオープンにすることで、競争の激しい業界で差別化を図ることも目的としていると話す。

「他のオーディオプラットフォームの多くは、そのアプリの中だけ、あるいはログインしたサービスの中だけですべてを完結させていますが、私たちは、クローズド(閉じた)エコシステムでユーザーとユーザーがつながることを強要したくありません」「私たちはBeamsを、単なるソーシャルメディアネットワークではなく、オーディオソリューションを構築するためのプラットフォームだと考えています。Beamsはウェブ上でも利用可能でオープンです。ログインしなくてもBeamsアプリを持っていなくても利用できます」。

「Beamsの目的は、ユーザーには路上で声を集めて共有する方法を、ジャーナリストやメディアにはストーリーを簡単に埋め込んで共有する方法を提供することです。友人同士なら、WhatsApp、Telegram、Signalなどの自分が好きなアプリで声を共有できますね」。

収益性はどうだろうか。Beamsの共同CEOたちは、まだ収益化のことは考えていないようだ。

「私たちは、コーポラティブな短尺オーディオのためのプラットフォームとコミュニティの構築を目指しています。さまざまなユーザーグループが私たちの製品をどのように使用しているかを注意深く観察して経験を積み、将来的にはコミュニティとBeamsの双方に収益をもたらすことが可能な有意義な方法を導入できると考えています」。

モデレーション機能(投稿やコメントをチェック・評価して不適切な投稿を除外する仕組み)については、彼らは次のように話す。「モデレーションは大きな課題ですが、オーディオコンテンツが録音されていること(と書き起こしのテキスト)があれば、コミュニティを守るためのサービスを構築できます」。

画像クレジット:ChaiyonS021 / Shutterstock

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

評価額が収益の実質「無限大」に

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

この記事を書いている今日(米国時間12月25日)はクリスマスなので、実際に読者が何人いるかはわからない。ということで家族を避けている7人のみなさん、こんにちは。

次回いつものように大勢の人向けの話に戻る前に、今回は2つほどすばやくお話ししておきたい。どうだろう?2021年の終わりにおもしろい話を。ともあれご愛読にお礼をお伝えしたい。感謝している。

さて今週(クリスマスで終わる週)の最高のストーリーは、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏がweb3をバカにしたことではなく、とある資金調達ラウンドだ。ラウンド自体はそれほど魅力的ではなかったが、Airbyte(エアバイト)のラウンドの背後にあるストーリーが魅力的だったのだ。

参考までに、Airbyteとは、顧客のデータ移動を支援するオープンソーススタートアップ(OSS)である。率直に言って、それは大きな市場だ。なぜなら、そこにはたくさんのデータがあるし、単にそこに置かれたままではないからだ。企業はそれをあちこちに移動したいと考えている。そして、それを行うことは一大事だ。必要がないので、読者に「ELT(抽出、変換、読み込み)」についてはとりたてて何かいうつもりはないが、それはAirbyteが競合する一般的な市場である。

ビジネスという観点では、Airbyteはもちろんオープンソース製品を用意し、そして有料サービスを提供している。有料版のAirbyteには、通常のエンタープライズ向けのツールが含まれている。例えばSSO(シングルサインオン)などだ。そしてホスティングも。ということでかなり標準的なOSSではないだろうか?

お金の話に戻ろう。Crunchbaseのデータによれば、Airbyteは2021年初頭にシードラウンドを行っている。その後、5月にはシリーズA調達を実施した。その時点で、同社は2021年3000万ドル(約34億3000万円)以上を調達したが、これは大層な金額だ。

次に来た金額がまた見ものだった。Airbyteは今週、約15億ドル(約1715億4000万円)の評価額で1億5000万ドル(約171億5000万円)のシリーズB調達を行った。おもしろいことに、同社の現在の収益(年間経常収益、つまりARR)は100万ドル(約1億1400万円)未満なのだ。

私はツイッターで、同社がARRの1500倍の価値を生み出したと冗談を言った。このツイートはウケたようだ。

だがそれは中途半端な冗談に過ぎなかったことが判明した。Airbyteのニュースが出された後、収益はおそらく私が最初に考えていた線よりも、さらに下回っていたと聞いた。つまり実際にはAirbyteの評価額は、ARRの1500倍よりずっと多かったことを意味する。

事実上、それは無限大のようなものだ。それは驚くべきことであり、2021年にベンチャーキャピタルが常に目指していた地点だ。結局何を言いたいのかって?つまり次のとおりだ。

  • より大きな資金がスートアップのライフサイクルのますます早い段階に投入されるようになっている。これはより多くの資金を投入して、将来の人気企業に対して多くの取り分を確保するためだ
  • これは、これまで以上に多くのスタートアップがFOMO(Fear of Missing Out:取り残される恐怖)に基づいて巨額の資金を調達できるようになったことを意味している
  • その後、2021年になって、さらに多くのお金が流れ込むようになって、上記の2つの点(多額の資金投入、青田刈りの早期化)はさらに激化した
  • 現在シリーズBラウンドは数十万ドル(数千万円)単位のARRで行われていると耳にしたが、昔(2019年)はシリーズA調達を行うためには、最低でも100万ドル(約1億1400万円)のARRが必要だった
  • そしていまAirbyteの例を見ると、収益ベースと比較した場合には、企業の評価額には実質的な制限がないことがわかる

Airbyteはこの偉業をどのように達成したのか?私の勘では以下のようなものだ。オープンソース企業は、資金を調達しようとするときに、投資家の前にぶら下げることができる、単純に優れた一連の非収益指標を持っている。例えばオープンソースプロジェクトの利用状況と貢献情報などだ。なので、私の推測では、有料プランはまだ初期段階だとしても、Airbyteのコミュニティ内での利用率は非常に高いのだろう。

ではこのAirbyteラウンドは馬鹿げたものなのだろうか?そんなことは誰にもわからない!私たちが言えることは、収益の桁数がはるかに少ないにもかかわらず、投資家が数十億ドル(数千億円)の評価額の下で数億ドル(数百億円)の資本を同社に投入するのに十分なデータがどこかにあったということだ。

これはオープンソースのスタートアップにとって強気の材料ではないか?私はそう思っている。

そして最後に、Juna(ジュナ)だ。

先にJunaの創業者でCEOのPeter Arian(ピーター・アリアン)氏に会い、彼のスタートアップが何をしているのかについて話を聞いた。スタートアップが力を入れているのは、保険会社と協力して、性的にアクティブな人びとに低コストの性的健康診断を提供することだ。それは、若者に対して顧客直接取引と健康技術のハイブリッドモデルを適用し、若者が検査を受ける習慣を、受動的ではなく能動的に行うものへとシフトさせることを狙っている。

すべてを新型コロナウイルス感染症(COVD-19)のせいだというつもりもないが、最近はみんな検査を受けることに少し慣れているのではないかと思う。新型コロナ検査のやり方が変わっていないのら、それは鼻の奥を綿棒でつついて数分でお終いだ。現代生活の喜びとはこんなものだ。

Junaのやり方がスマートだと思う点は、もし私がもっと若くて結婚していなかったら使いたくなるようなクールな製品だということだけではなく、そのマーケティング戦略もすばらしいことだ。ソーシャルメディアを活用して注目を集めるブランドについてはよく耳にすることと思う。そう、JunaはTikTokをそのビジネスのために利用している

アリアン氏によると、同社のアクセスの順番待ちリストは毎月15〜20%の間で伸びており、かなり健全なようだ。Junaは2月のローンチを目指しているため、この先まだ順番待ちリストは長くなるだろう。おそらく、TikTokへの出費は続くのでは?

同社はある程度の資本を集めてはいるが、それはまだ完全には終わっていない。私はアリアン氏が資金調達ラウンドを行い、サービスをローンチしたときに再び話をきくつもりだ。検査はセクシーではないが、検査を受けた人たちのセックスはどうだろう?とか何とか。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

ナイジェリアのEdTechスタートアップTeesasがプレシードラウンドで約1.82億調達

自身の会社Imose Technologies(イモセ・テクノロジーズ)で7年間電子機器製造に携わった後、Osayi Izedonmwen(オサイ・イゼドンムウェン)氏は、以前から温めていたアイデアを実現するために休暇を取り、ナイジェリアでビデオ授業やその他のデジタル教材を提供するEdTechスタートアップ、Teesas(ティーサス)を立ち上げた。

立ち上げからまだ2カ月も経っていないTeesasは、160万ドル(約1億8200万円)のプレシード資金調達に成功したほど、急成長している。イゼドンムウェン氏は、この出資をもとに、新市場への進出を予定している。学習者と個人授業のチューターをつなぐマーケットプレイスの立ち上げ、製品ラインナップの拡充だ。

「2021年8月頃からベータテストを開始し、11月にAndroid版を本格的にローンチしました。すでにTeesasはGoogle Playストアで15万回以上ダウンロードされており、毎週少なくとも20%ずつ成長しています」とイゼドンムウェン氏はTechCrunchに語った。

Teesasのコンテンツはナイジェリアの国家カリキュラムに沿ったもので、月額6ドル(約680円)からのサブスクで、ライブと録画の両方の形式で学習者に配信されている。通常の学校の授業に加え、現地の言語クラスも提供している。

「ライブ授業では、学習者が苦手とする概念を扱います。学習者は10人、15人という少人数の遠隔授業で先生と一緒に授業を受けるので、個人的な取り組みができ、授業もより厳格になります」とイゼドンムウェン氏はいう。

近い将来、Teesasは12歳までの学習者向けにフルカリキュラムのモジュールを提供する予定だ。

「アプリで全カリキュラムをカバーし、中学受験の準備を整えることができるため、子どもたちが対面式の授業に出席する必要がなくなる未来を予見しています」と彼は述べた。

またTeesasは、2022年前半に学習者が自己発見するための準備をするライフスキルのクラスも導入する予定だ。これは、ナイジェリアではいじめが多発しており、死に至るケースもあることから、いじめ防止のための授業に加えられる。

Teesasは今後、チューターのマーケットプレイスを立ち上げ、フランス語圏、東アフリカ、南部アフリカの新市場への参入を計画している。

Teesasは今後、チューターのマーケットプレイスを立ち上げ、フランス語圏、東アフリカ、南部アフリカの新市場への参入を計画している(画像クレジット:Teesas)

製品開発

Teesasの開発は2020年3月に始まり、プラットフォームの設計と開発には、インドの同業他社のEdTechを大いに参考にし、コンテンツ構成やレッスン提供のベンチマークとした。

「インドに目をつけたのは、Byju(ビジュ)のような大企業がEdTech革命を起こしている先進的な国だからです。実際に現地に行き、時間をかけてモデルを理解し、彼らがやっていることを改善する機会も探しました。そして私たちは土着的適応を試みました」と彼はいう。

彼がここで触れた適応とは、その土地の芸術、食物、動物、文化的慣習、言語などを利用して、学習プロセスを補完することだ。

イゼドンムウェン氏は現在、TeesasのCEOを務める傍ら、携帯電話、タブレット端末、インターネットルーター、ノートパソコンなどの電子機器の製造・組み立てを行うラゴスのテック企業、Imose Technologiesの会長も続けている。

「Teesasは、アフリカの教育の未来に最も大きな影響を与えることになるでしょう。そして、その変革の先頭に立つために全力を尽くしたいと思っています。だからこそ、私はそれに完全に集中しています」と、イゼドンムウェン氏は述べ、次の計画の一部として、フランス語圏、東部および南部アフリカの新市場への参入を確認した。

Imose Technologiesを設立する以前、イゼドンムウェン氏はエンジニアとしての教育を受け、石油・ガス会社のExxonMobil(エクソンモービル)に15年間勤務し、出世し、ナイジェリアのオペレーション・マネージャーだった。

Teesasは、最近、新型コロナの追い風を受けて急成長しているアフリカの新興EdTech産業に賭けている投資家から資金を調達しているEdTechスタートアップの成長リストに加わった。

この分野では、ケニアのKidato(キダト)とCraydel(クレイデル)、ナイジェリアのEdukoya(エデュコヤ)とULesson(ユーレッスン)が新たなプレイヤーとして名を連ねている。

Teesasのラウンドは、Tolaram Group(トララム・グループ)のアフリカマネージングディレクターであるHaresh Aswani(ハレッシュ・アスワニ)氏が主導し、アフリカに特化したベンチャースタジオであるOlivegreen Advisory Partners(オリーブグリーン。アドバイサリー・パートナーズ)やその他のエンジェル投資家が参加している。

「私たちは、イゼドンムウェン氏とTeesasのチームが掲げているミッションを信じていますし、アフリカ全域で質の高い教育へのアクセスを向上させるためにテクノロジーを活用するという課題を解決するのに最も適していると確信しています」とアスワニ氏は述べている。

画像クレジット:Teesas founder and CEO Osayi Izedonmwen / Teesas

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(文:Annie Njanja、翻訳:Yuta Kaminishi)

無駄な在庫が激減、ファッション業界向けのキャンセル待ちと予約注文のプラットフォーム英Purple Dotが4.6億円調達

ファッション業界は予測が難しいため、ファッションブランドは製品の需要を当てずっぽうで見積もることが少なくない。需要の予測が外れれば無駄な在庫を抱えることになる。衣服は最終的に焼却処分されることが多く、環境に影響を与える。英スタートアップのPurple Dotは、eコマースの「キャンセル待ちと予約注文」プラットフォームで、ファッションブランドは注文を受けた分だけを製造できるので結果として無駄が減る。

Purple Dotは、米国を拠点とするUnusual Venturesが主導したアーリーステージのラウンドで400万ドル(約4億6000万円)を調達した。以前に投資していたConnect VenturesとMoxxie Ventures、そしてIndeedの共同創業者であるPaul Forster(ポール・フォースター)氏のファミリーオフィスも参加した。

2019年に起業家のMadeline Parra(マデリーン・パーラ)氏とJohn Talbott(ジョン・タルボット)氏がPurple Dotを創業した。Purple Dotはeコマース企業が「売上を最大化するやり方で在庫を早く販売し、ブランドロイヤルティを構築し、需要のデータを早期に得る」プラットフォームだと同社は説明する。同社のキャンセル待ちソリューションを利用すれば、在庫を倉庫に入れる前に販売できる。同社はこうしたことが可能な、市場で唯一のソリューションであるとしている。

Purple Dotの共同創業者でCEOのマデリーン・パーラ氏は次のように述べた。「早い段階での販売は、ブランドが売上を獲得する上でまったく新しい世界を開きます。販売用の在庫を倉庫に置く必要があるというのがこれまでの考え方やテクノロジーでした。しかしPurple Dotを利用すると、販売と出荷を非同期にできるため常に販売できます。これは我々のブランドパートナーにとって驚きの瞬間です。早期販売の戦略を成功させるには、適切なカスタマーエクスペリエンスと社内運用を実現する専用のアプローチが必要です」。

Unusual Venturesの投資家であるRachel Star(レイチェル・スター)氏は次のように述べた。「Purple Dotは単なるeコマース支援ではありません。サプライチェーンの管理とブランドの販売方法を変革しつつあります。予約注文とキャンセル待ちがオンラインショッピングのこれからの形になると我々は考えています」。

画像クレジット:Purple Dotのマデリーン・パーラ氏(CEO)とジョン・タルボット氏(CTO)

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)