中国自動車メーカーGeelyがTeslaら対抗でラグジュアリーなEVブランド「Zeekr」を立ち上げ

中国の自動車メーカーであるGeely Automobile Holdings(吉利汽車集団)はTesla(テスラ)や他の中国企業によって独占されてきたラグジュアリーな電気自動車(EV)マーケットのシェアを獲得しようと、プレミアムなEVの新ブランドを立ち上げる。

「Zeekr」という新ブランドの車両は親会社のZhejiang Geely Holding Group(浙江吉利控股集団)によって生産される。2021年第3四半期に出荷が始まる見込みだ。

最初にロイターが報じ、そしてGeelyが現地時間3月23日に認めたZeekrの立上げは、同社が中国でTeslaと勝負しようとしていることを示している。Teslaは中国で成功を収めており、直近の四半期決算によると2019年に29億ドル(約3150億円)だった中国での売上高は2020年に倍以上に増え、66億ドル(約7170億円)だった。しかし世界最大のEVマーケットである中国での競争相手はTeslaだけではない。

Zeekrはラグジュアリーなクルマを展開している中国のスタートアップであるLi AutoやNIOと争わなければならない。Geelyは2020年に販売台数が最も多かった中国ブランドで、4四半期連続で首位を維持したが、3月23日に公開された決算発表では2020年の純利益は32%減少した。

Zeekrブランドの車両はオープンソースのEVテクノロジーSustainable Experience Architecture(SEA)を使ってGeely Holdingが製造する。SEAでの航続距離は435マイル(約700km)でスマートコネクティビティオプションも提供すると同社は述べた。Geelyはこのアーキテクチャを傘下の9つのブランドで展開し、他のメーカーに販売する計画を持っている(GeelyはDaimler AGの少数株主であり、Volvo Carsの親会社だ)。

Geely Holdingの創業者Eric Li(エリック・リ)氏は、他の自動車メーカーがこのアーキテクチャーにアクセスできるようにするつもりだ、と声明で述べた。

SEAプラットフォームは、自らをEV生産とテクノロジーの主要ソースと位置づけるGeelyの計画の1つのピースにすぎない。GeelyとVolvo Carsは2021年2月、合併する計画を打ち切ったが、その代わり全ブランドや他のメーカーのEV向けの次世代のハードウェアとソフトウェアを開発する独立した会社を立ち上げると発表した。2社は新たなコラボの下でバッテリーと電動モーターを共同で調達する。

Geely Holdingはまた他メーカーのための生産でも大きな役割を引き受ける準備をしている。Apple(アップル)のメインサプライヤーである中国企業Foxconn Technology Group(フォックスコン・テクノロジー・グループ)と合弁会社を立ち上げる計画は、自動車メーカーの委託生産を狙っている。中国のテック大手Baidu(百度)とEVを製造するための別の会社で提携し、ここでもSEAプラットフォームを活用するとGeelyは述べた。Baiduは自動運転などインテリジェントな運転テクノロジーを開発していて、これは新会社に貢献することになるかもしれないと話した。

ZeekrはGeelyとGeely Holdingが共同所有し、持株比率はGeelyが51%、Geely Holdingが49%で、共同で20億元(約333億円)投資する。

関連記事:フォックスコンと中国Geelyが提携、次のテスラを目指し自動車メーカー向けに電気自動車、自動運転車、シェアリング車を開発

カテゴリー:モビリティ
タグ:Geely電気自動車Zeekr中国

画像クレジット:GREG BAKER/AFP/Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

BMWと米電気会社がEV充電スマート化のパイロット事業を拡充

BMW Group(ビーエムダブリューグループ)とカリフォルニアの公益事業会社Pacific Gas & Electric(パシフィックガス&エレクトリック)は、電気自動車(EV)が送電網の再生可能エネルギーの統合をいかにサポートできるかをテストして学習するためのパイロット事業を次の段階に進める。

第3段階に入るChargeForwardプログラムは、BMWのEVあるいはプラグインハイブリッドEVに乗っているPG&E顧客向けに展開されている。電気需要が低く再生可能エネルギーの供給が豊富なときに「スマートに充電できる」よう、約3000人のドライバーが任意でサインアップできる。ドライバーはプログラムに参加することで、サインアップ時の150ドル(約1万6000円)と年250ドル(約2万7000円)のインセンティブをもらえる。

このプログラムは、電気会社と自動車メーカーの間で展開されるこれまでで最も長期の提携の1つだ。第1段階と第2段階の参加者はそれぞれ100人と400人で、最新の第3段階では規模をかなり拡大している。内燃機関エンジン販売の漸減に備えている2つの産業にとってこれは賢明な同盟だ。電気会社にとって、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが徐々に増えている送電網に対する顧客需要の大幅増のプランニングを意味する。

画像クレジット:BMW

「誰かが土曜日の午前9時に家でクルマにプラグをつなぎ、その日の午後4時にクルマで出発すると仮定しましょう」とChargeForwardを監督しているBMWのエネルギーサービスマネジャーAdam Langton(アダム・ラングトン)氏は話し、次のように続けた。「ChargeForwardのソフトウェアシステムは車両と通信し、車両のバッテリーが半分以上充電されていて、フル充電するのに2時間必要だと判断します。そしてシステムはその人の家の電気料金のレート、再生可能エネルギーの可用性、周辺の送電網の混雑を評価します。その日、送電網の混雑はなく、太陽光エネルギーが午後に豊富になるとします。するとChargeForwardシステムは車両に午後1時に充電を開始して、午後3時までに充電を完了するよう指示します。そして出発前にバッテリーはフル充電されます」。

電力需要は、太陽光エネルギーのリソースがオフラインになるちょうどのとき、人々が仕事から帰宅する夜の早い時間にピークを迎える「ダックカーブ」型になる傾向がある。そして人々は夜の間にEVを充電しがちだ。この需要に対応するために天然ガスのような化石燃料のリソースが増える。

その結果はどうなるか?温室効果ガスが出る。MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者らがEnvironmental Science and Technologyに発表した研究では、カリフォルニアの夜間のEV充電は、日中の充電より74%多く温室効果ガスを排出していることが示された(送電網によって違いはある。風が強い中西部やテキサス州では、風は夜強く吹く傾向にあるために夜間のEV充電は最も理に適っている)。

ChargePointプログラムは日中利用できるたっぷりとある再生可能リソースのメリットを生かし、その過程での温室効果ガス排出を削減するのが狙いだ。参加する顧客はBMWのChargeForwardモバイルアプリで充電の好みと出発時間を入力する。BMWはまた、顧客のロケーションに基づく再生可能エネルギーの可用性など、送電網についてリアルタイムの情報を受け取る。この情報を理想的な充電時間帯の算出に使い、結果を自動的に車両に送る。顧客はアプリを通じていつでも充電シフトのオプトアウトができる。

カリフォルニア州は野心的なクリーンエネルギー目標を追求していることで知られている。そこには、2045年までに100%再生可能で二酸化炭素排出ゼロの電気を達成するという画期的な目標を法律に成文化するというものが含まれる。また、2030年までにEVを500万台にするという目標も掲げている。同州では交通が最大の温室効果ガス排出源であることを考えれば、そうした目標の設定は驚きではない。

BMWとPG&Eは、EVが送電網に電気を供給できるようにする車両から送電網へのテクノロジーを開発するためにラボで協業もする。そうした双方向の給電機能では、非常事態の場合や、分散する小型発電所が送電網のバランスを終日とれるようにするのに、EVが大きなバックアップ発電機として使われるようになるかもしれない。

ChargeForwardプログラムの第3段階は2021年4月中旬に始まり、2023年3月まで続く。

カテゴリー:モビリティ
タグ:BMW電気自動車再生可能エネルギー

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

2025年までにすべての自動運転車に二酸化炭素排出量ゼロを義務づけるカリフォルニア州の法案

自動運転車を電動化する期限を設定する最初の州が、カリフォルニア州となる可能性がある。

2025年までにすべての自動運転車に二酸化炭素排出量ゼロを義務づける法案が、2021年2月中旬のカリフォルニア州議会にひっそりと提出された。提案されたSB 500法案は、Dave Min(デイブ・ミン)上院議員によって提出され、Union of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟、UCS)が賛同した。この法案は、配車サービス、配送、トラック輸送などのかたちで新たに登場しようとしている自動運転車業界に対して、直接的な影響を与えることが考えられる。

この修正案は、カリフォルニア州で取り組んでいる二酸化炭素排出を削減するさまざまな目標と一致しており、可決されれば自動車に関連する州の法律に加えられる。現在、州の法律では、Clean Vehicle Rebate Project(クリーン自動車補助金プロジェクト)やCharge Ahead California Initiative(電動化促進カリフォルニアイニシアチブ)など、ゼロエミッション車を奨励するプログラムが施行されている。

Gavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事は、今後販売される新車はすべて、2035年までに二酸化炭素排出量ゼロにする意向であると述べている。ただし、商用車は除外される。この法案が否決されれば、この意向が適用されることはない。提案された法案は初期段階にあるため、却下される可能性も十分ある。しかし、急成長する自動運転車業界や、カリフォルニアで自動運転技術を開発および商業化しようとする企業に対して、この法案が一石を投じている。また、電気自動車だけを使用する企業を後押しすることにもなり得る。

「気候変動に積極的に向き合っているカリフォルニアでは、重要な基準を定めてきました。私の提案したSB 500はこのような動きと一致しており、自動運転車が広く普及する前の段階でゼロエミッションを義務づけるための重要な一歩となります」とミン氏はTechCrunchに述べた。

法案の提案者たちは、今後開発されるであろう交通手段にこれまでの技術を活用することを望んでおらず、二酸化炭素を削減するうえで自動運転車が役立つ可能性と役立たない可能性を指摘している。カリフォルニア州では、他の州に先駆けて電気自動車を採用したり、二酸化炭素排出に関連するその他の政策を推進したりしているため、この法案の成否が国全体に波紋を広げる可能性もある。

「配車サービスや配送などの分野で自動運転車が登場するのは間違いないと思います。だからこそ、そのような分野で使用されるのが電気自動車であるというは、非常に重要です。平均的なドライバーは、走行距離が年に1万8000から2万1000kmになりますが、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)のフルタイムドライバーの走行距離は、4万8000kmを超えます」とUCSの輸送担当シニアアナリスト、Elizabeth Irvin(エリザベス・アービン)氏は述べた。

戦略

カリフォルニアの温室効果ガス排出量の半分近くが、交通手段から発生している。スモッグがかかるロサンゼルスの夕暮れはとてもユニークだが、自動運転車の業界に規制を課さないなら、商用車が自動運転となり、その動力源は化石燃料になるのは目に見えていると、法案の支持者たちは考えている。

自動運転車が普及することで楽な生活に慣れると、車に乗る人が大幅に増える結果として、排出量も劇的に増加する可能性があることを示す研究があることを、UCSがこの法案を支持する声明の中で指摘している。2040年時点で自動運転車がワシントンD.C.の都市圏の輸送システムに及ぼす影響を調べた研究によると、自動運転車によって車の走行量が2040年の基準に比べて66パーセントも増加することがわかった。

アービン氏がTechCrunchに語ったところによると、カリフォルニアですべての自動運転車に二酸化炭素排出量ゼロを義務づける政策が本格的に導入される前に、その政策を推進する戦略に関して、ソフトバンクが支援する自動配送スタートアップのNuro(ニューロ)や、General Motor(ゼネラルモーターズ)の自動運転子会社のCruise(クルーズ)などのさまざまな利害関係者との話し合いがUCSと重ねられてきた。

「業界のクリーンエネルギーへの移行を推進する取り組みを支持しています。このような取り組みはニューロが掲げる目標や価値と一致しています。自動運転車が自動車業界の礎となることを楽しみにしており、この取り組みが環境にも健康にもやさしい未来につながると考えています」とニューロの広報担当者は述べた。

画像クレジット:Nuro

2020年にOrigin(オリジン)という無人運転車を発表したCruiseも、同じ方向に向かっている。オリジンは、カーシェアリング向けに設計されており、GMが開発した全電動プラットフォームが動力源で、ホンダとの何年にもわたるパートナシップにより生み出された。Cruiseの自動運転車オリジンは、サンフランシスコでのテストが開始されていない。バッテリーのプラットフォームがGMの試験場でテスト段階であるが、自動運転車を本格展開するという熱い思いに変わりはない。テストの初期段階では、全電動のChevrolet Bolt(シボレー・ボルト)を使用する。これは、サンフランシスコの配車サービスや一部の配送サービスで展開される可能性がある。

関連記事:GMとホンダが協業開発した配車サービス用電動無人運転車が登場

「この業界は発足して間もないので、誰でも電気自動車をオプションに入れられます。既存の車両を改造するということではありません。最初に電気自動車を選択すると、現状を維持し続けて後で変更を強いられるということがありません」とCruiseの政府業務担当副社長、Rob Grant(ロブ・グラント)氏はTechCrunchに語った。

ハイブリッド自動車と電気自動車

自動運転車が電気自動車であるとは限らない。Ford Fusion(フォード・フュージョン)のハイブリッドやChrysler Pacifica(クライスラー・パシフィカ)のプラグインハイブリッドミニバンは、Argo AI(アルゴAI)、Aurora(オーロラ)、Waymo(ウェイモ)、Voyage(ボヤージュ)などの自動運転車開発企業に人気のある選択肢だ。

テクノロジープラットフォーム企業のアルゴAIでは、Volkswagen(フォルクスワーゲン)やフォードなどの大手自動車メーカーと共同で自動運転システムを開発している。フォルクスワーゲンのID.Buzz(アイディーバズ)は、同社初の全電動自動運転車になる予定だ。フォードの手法はもう少し慎重で、ハイブリッドのフォード・フュージョンをベースに開発している。

「バッテリーを原動力とする電気自動車に最終的には移行したいと考えていますが、実行可能で収益性が高いビジネスモデルを開発するための適正なバランスも必要です。結果として、手始めにハイブリッド車を開発することになりました」とFord Autonomous Vehicles(フォードオートノマスビークルズ)のチーフエンジニア、John Davis(ジョン・デービス)氏は述べた。

デービス氏が概略した全自動の電気自動車を開発する際の課題には、車載技術で電気を使用することにともなう航続距離の減少、充電にともなう車の使用率の低下、バッテリーの劣化などがある。

「テスト結果よると、バッテリーを原動力とする電気自動車では、自動運転システムの計算処理に航続距離の50パーセント以上が消費されています。加えて、配車サービスでは乗客が快適に乗車できるように、エアコンやエンターテインメントのシステムが必要だと思われます。バッテリーが化学的に向上しており、コスト面でも改善が続いているので、このような問題に前向きに取り組んでいます」とデービス氏は述べた。

 DPAの画像(画像クレジット:Andrej Sokolow/Getty Images)

Waymoはロボタクシーのテスト完了後に、Phoenix(フェニックス)郊外でエリアを調整しながらサービスを開始した。カリフォルニアでのサービス提供に関して、Waymoからの公式な発表はないが、サービスを提供する方針であることを何年にもわたる活動が示している。カリフォルニア州Mountain View(マウンテンビュー)に本拠を置く同社は、サンフランシスコとその周辺で車のテストを周期的に実施しており、電気自動車のJaguar I-Pace(ジャガー・I-PACE)の試験も進められている。Waymoは、ニューサム氏が発出した直近の行政命令を支持すると述べたが、ミン氏の法案で言及されている文言を支持するまでには至らなかった。

「カリフォルニアで将来的にすべての自動車を電動化するという包括的な取り組みである、ニューサム知事が発出した直近の行政命令N-79-20で概略されている目標を、完全自動運転の技術を市場に初めて展開する企業として強く支持します。Waymoには、配車サービスからトラック輸送、地域の配送にわたる事業分野とパートナーシップがあります。電気自動車に関するカリフォルニアの政策が、さまざまな問題や政策の影響を受ける業界に適合したものとなることを願っています。現時点でこの法案は初期段階です。尽力されているミン上院議員と取り組んでいけることを楽しみにしています」とWaymoの広報担当者はTechCrunchに語った。

法案に詳しい業界情報筋の指摘によれば、現在の文言は単語を置き換えただけのかなり簡素な内容で、この会期で大きな進展を見る見込みはなさそうだ。同じ情報筋は賛同者や起草者を批判し、インフラの整備や小型車と大型車の区別に関する計画の規定が滞っていると述べた。自動運転が最初に普及する車種は、貨物を運ぶトラックであると予想されるが、自動運転トラックの開発はカリフォルニアではなく、アリゾナやテキサスなど規制が緩い州で進められている。自動運転の電動トレーラーも開発されてはいるが、テストされているのはディーゼル車がほとんどだ。このため、カリフォルニアで開発を進める企業は、大型車の適用除外を設けるように上院議員に直訴する可能性もある。

「プロセスの進展とともに法案の詳細が決定していくかどうかに注目していますが、この法案の目的が電動化の義務づけとなることが、UCSの願いです」とアービン氏は述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:カリフォルニア二酸化炭素電気自動車ハイブリッドカー

画像クレジット:Cruise

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

新興EV企業のRivianが2023年末までに全米に1万基以上の充電器を設置すると発表

Amazon(アマゾン)やCox Automotive(コックス・オートモーティブ)、T. Rowe Price(ティー・ロウ・プライス)などが出資するEVスタートアップのRivian(リビアン)は、2023年末までに1万台以上の充電器を設置することを計画している。この充電ネットワークには2つの目的がある。1つは高速道路沿いに急速充電器を設置し、同社の電気自動車にすばやく電力を供給すること。そしてもう1つは、都市部から離れた公園や登山口などに隣接した場所にレベル2の充電器を設置し、同社のEVオーナーが冒険やレジャーを楽しんでいる間に、クルマのバッテリーを充電しておけるようにすることだ。

関連記事:RivianがEVピックアップトラック生産開始に向け2753億円調達

Rivian Adventure Network(リビアン・アドベンチャー・ネットワーク)と呼ばれる充電ネットワークは、600カ所以上の場所に3500基以上のDC急速充電器が設置され、Rivianの電気自動車の所有者のみが利用できるようになると、同社は米国時間3月18日に発表した。各場所には複数の充電器が備わり、高速道路や幹線道路沿いを中心に、カフェやショップの側などにも設置されると、同社は公式ブログで述べている。

さらにRivianは、米国とカナダの全域にレベル2のAC充電器も設置しており、こちらは2023年中に1万基を超える予定だという。この「Rivian Waypoint(リビアン・ウェイポイント)」充電器は出力11.5kWで、Rivianのピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」の航続距離を1時間の充電で最大25マイル(約40km)伸ばすことができる。このWaypoint充電器は、Rivianの顧客が通りそうな場所に戦略的に設置される。ショッピングセンター、レストラン、ホテル、キャンプ場、公園などで見かけることになるだろう。このWaypoint充電器は一般にも開放され、J1772プラグを持つ全ブランドの電気自動車が利用できる。まずはコロラド州にある42の州立公園すべてに各2基ずつ、2021年7月より設置が始まると、同社は述べている。

Rivianの創業者でCEOを務めるRJ Scaringe(RJスカーリンジ)氏は、2020年末のTechCrunchのインタビューで、充電、バッテリー、自動運転などについて幅広く語った際に、この2層目の充電ネットワークを追加するという決定は、Rivianの顧客層に直接アピールするものであり、同社のブランドや製品に対する信頼を築くために必要だと述べていた。

関連記事:EVメーカーRivianが独自の充電ネットワークをアクティブなレジャースポットにも展開する理由

RivianのアプローチはTesla(テスラ)と似ているが、いくつか明確な違いがある。テスラは現在、2万基以上のSupercharger(スーパーチャージャー)と呼ばれる急速充電器からなる独自の充電ネットワークを構築しており、その多くは、高速道路や交通量の多い市街地に隣接して設置されている。そして低出力な普通充電器のデスティネーションチャージャーは、高級ホテルやレストランなど、同社のEVオーナーが訪れる可能性のあるスポットに設置されている。

RivianのWaypoint充電器は、テスラのデスティネーションチャージャーと、設置場所の種類は異なるものの、目的は同じだ。しかし、テスラの充電器とは異なり、RivianのWaypoint充電器は一般に公開されており、電気自動車用コネクタの北米規格であるJ1772プラグを使用している。

今回の発表で、Rivianは急速充電器の設置場所を示す地図の画像を公開した。この地図はインタラクティブではないため、正確な位置を知ることは難しいが、ユタ州のグランドキャニオン国立公園やザイオン国立公園の近くに急速充電器が設置されていることが分かる。

画像クレジット:Rivian(スクリーンショット)

Rivian車のオーナーは、車載ナビゲーションや付属のアプリを使って、WaypointやRivian専用急速充電器の位置を確認できる。ドライバーはこのアプリや車内のスクリーンで、充電状況を確認することもできる。

Rivianの車両には、CCS(Combined Charging System、通称「コンボ」)という急速充電用の直流コネクタが採用されている。CCSは近年、欧州や北米で普及しているオープンな国際規格だ。そのため、RivianのトラックやSUVは、アダプターを使用することなく、サードパーティ製のCCS対応充電ステーションを利用することが可能だ。

Rivianは、その充電ネットワーク全体が100%再生可能エネルギーで駆動されることを明示した。これは、ソーラーパネルや蓄電システムを使うという意味ではない。TechCrunchの取材で、Rivianはソーラーパネルや風力発電は設置しないことを明らかにした。代わりに、100%再生可能エネルギーという目標は、電力会社とのパートナーシップによって達成される。Rivianによれば、可能な限り風力や太陽光を利用し、グリーン電力証書によって他の電力源と相殺するという。

これほど大規模なネットワークを構築するには資本が必要だが、Rivianはその調達には苦労していない。2021年1月に同社は、T. Rowe Price Associates Inc(ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インク)が顧問を務めるファンドや口座を中心としたラウンドで26億5000万ドル(約2885億円)の資金を調達した。この投資ラウンドに詳しい人物の話によると、Fidelity Management and Research Company(フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・カンパニー)や、AmazonのClimate Pledge Fund(気候変動対策に関する誓約のための基金)、Cootue(クーティー)、D1 Capital Partners(ディーワン・キャピタル・パートナーズ)などの既存および新規の投資家も参加し、Rivianの評価額は276億ドル(約3兆円)に達したという。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Rivian充電ステーション電気自動車

画像クレジット:Rivian

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンがRivian製の配達EVテストをサンフランシスコでも開始

Amazon(アマゾン)は電気貨物車両を使った顧客への配達をサンフランシスコにも拡大する。同社は2021年に計16都市でRivian(リビアン)製EVを導入する予定であり、その中でベイエリアは2番目の実施となった。

テストを行う2番目の都市としてサンフランシスコを選んだいくつかの理由の1つは、その特徴ある道路と天候だと同社は説明した。Rivianとの提携でデザイン・製造されたAmazonのEVはフル充電で最大150マイル(約241km)走行可能だ。

同社はClimate Pledgeの一環として、2021年2月初めにロサンゼルスで電気貨物車両のテストを開始した。Climate Pledgeにはカスタム電気配達車両10万台の購入が含まれている。同社は2020年10月に初めてこの車両を披露し、2022年までに10万台展開することを目指していると述べた。

ベイエリアでの配達はまずはカリフォルニア州リッチモンドにある同社のステーションから始まる。同ステーションはAmazonが新型EV車両に合うように再設計している多くのステーションの1つだ。サンフランシスコ中心部に立地する新しい配達ステーションへの直近の2億ドル(約218億円)の投資は、同市での配達を大幅に増加させるという同社の意図を示している。

「すでに目にしてきたことから、これは最速の現代商業電動化プログラムの1つであり、非常に誇りに思っています」と同社のグローバル車両・プロダクト担当ディレクターであるRoss Rachey(ロス・レイチェイ)氏は声明で述べた。

街中での短距離配達向け車両の電動化の理論を理解している企業はAmazonだけではない。DHLは展開する車両の20%がすでにゼロエミッションのタイプだと話し、UPSはEV1万台を発注済みだ。そしてFedExは全車両を2040年までにEVに換えることを約束している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:AmazonRivian電気自動車配送トラック

画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Lucid Motorsが中古EV用バッテリーをエネルギー貯蔵システムに再利用へ

Lucid Motors(ルシード・モータース)はラグジュアリーな電気自動車(EV)のバッテリーを2つの用途で使えるようデザインした。商業用顧客と住宅用顧客向けのエネルギー貯蔵システムをすでに実験している同社は電気自動車から出る中古バッテリーを再利用する方法にも目を向けている。

Lucidの初のEVであるラグジュアリーなセダンLucid Airは2021年下半期まで発売されないため、Lucidが数多くの中古バッテリーの処理に取り組まなければならないのは何年も先だ。それでも同社は、まだ展開されていないエネルギー貯蔵事業で中古バッテリーにどのように第2の役割を与えるかすでに計画している。

Lucidによると、同社の車両を動かすバッテリーモジュールはエネルギー貯蔵で使われる予定のものとまったく同じであるため「第2の役割」に適している。同社はすでに300kWhの設置型バッテリー貯蔵システムのプロトタイプをエンジニアリングラボに建設した、と同社の主任エンジニアでプロダクト担当上級副社長のEric Bach(エリック・バッハ)氏はTechCrunchに語った。そのシステムのバッテリーは新しいものだが、それらを中古バッテリーと交換することを妨げるような「テクニカル上の制限」はない、と同氏は述べた。同社のCEO兼CTOのPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏は以前、Tesla(テスラ)が新しいバッテリーを使っているようなエネルギー貯蔵システムをゆくゆくは構築する計画だと述べていた一方、同社がプロダクト向けの第2の役割への応用について言及したのは今回が初めてだ。

バッテリーは通常、一度EVから取り出されると充電容量は約70%となる。つまり、もう10年ほど活用できる可能性があることを意味する。General Motors(ゼネラルモーターズ)やFord Motor(フォード・モーター)、Audi AG(アウディAG)などの自動車メーカーは、残っている価値を引き出す目的で第2の活用パイロットプロジェクトをすでに開始した。

バッハ氏はLucid MotorsのEVで使われるバッテリーを、活用できる期間の終わりに達した後に専門のサービスセンターを通じて、あるいは顧客が車両を新しいものに交換するときに回収すると説明した。バッテリーが戻ってくると、バッテリーパックからモジュールを回収して品質チェックを行う。同社の車両はそれぞれバッテリーパックからモジュールレベルに至るまでのデータを提供するビルトインセンサーを搭載していて、各モジュールの状態を判断するのに使えるとバッハ氏は話した。物理的テストを終えると、モジュールは出荷される製品に配置されることになる。

貯蔵システムには部品が追加される。家庭向けシステムではDCからACへのインバーター、冷却システム、安全スイッチが含まれる。実際のバッテリーはLucidのプロダクトと一貫性がある。

Lucidは再利用のバッテリーを家庭と産業での応用にどのように振り分けるか決めていない。

「個人的には産業向け応用でのモジュール活用がより適していて、簡単だと思います。鍵となるメトリックはkWhあたりの価格ですから」とバッハ氏は話した。

Lucidの車両がクルマの解体業者に持ち込まれた場合、バッテリーパックをLucidに返す解体業者にインセンティブを与えるかもしれない、とバッハ氏は説明した。たとえそうならなくても、EVバッテリーの原材料の価格は上昇し続けているため、解体業者がバッテリーパックを企業やリサイクル業者に販売する事業を展開することは大いにあり得る。

まだプロダクトがなく、販売も少量から中量が予想される現時点で、Lucidは材料リサイクルそのものには着手していない。当面、同社はリサイクル事業を韓国のLG化学のようなバッテリーサプライヤーに委ねる。

「長期的には我々はまだスタート地点に立ったばかりです。数年のうちにバッテリー製造と、該当するエネルギー貯蔵デバイスを作るのに必要なすべてのもののフルバリューチェーンを計画することが想像できます」とバッハ氏は話した。「ですので、将来はボリュームが増えるにつれ必ず理に適います。より多くのサプライチェーンを含めて原材料を回収する持続可能な方法にすることにチャレンジする必要があります」。

LucidはLucid Airにピンポイントでフォーカスしており、家庭用バッテリーシステムを一般の人が目にするのは数年先かもしれないとバッハ氏は述べた。それまでLucid Airには双方向充電能力が搭載される。これにより顧客はクルマから家に給電できる。

「本質的にそれは今後展開される初の家庭バッテリーシステムです」と同氏は話した。

人的に、そして資金的にどれくらいのリソースをLucidがエネルギー貯蔵事業に注ごうとしているかは不透明だ。そうした詳細は同社の正式上場後まで乏しいままだろう。同社は2021年3月に特別買収目的会社であるChurchill Capital IV Corp.との合併を通じて上場会社となることで合意したと発表した。白紙小切手会社と電気自動車スタートアップとのこの手の取引としては最大とされている。

関連記事:EVのLucid MotorsがSPAC合併で上場へ、2021年下期に北米でLucid Airの販売開始

サウジアラビアの政府系投資ファンドが引き続き最大株主となる合併会社の株式価値は117億5000万ドル(約1兆2827億円)となる。PIPE(上場企業の私募増資)取引の価格は1株あたり15ドル(約1640円)で、仮の株式価値は240億ドル(約2兆6170億円)が見込まれる。

調達する資金はLucid AirとSUVのマーケット展開、ならびにアリゾナ州にある工場の拡張に使われる、とローリンソン氏は以前TechCrunchに語った。同社は生産能力を年36万5000台とするために今後数年にわたり3段階に分けて工場を拡張する計画だ。7億ドル(約764億円)かけた第1段階は2020年末に完了し、年間生産能力は3万台だ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lucid MotorsLucid Air電気自動車バッテリー

画像クレジット:Lucid Motors

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

BMWが同社初の完全電気駆動セダン「i4」を公開、航続距離は最長590km

BMWは、2025年までに25車種の電動モデルを、そのラインナップに揃える計画だ。2021年は完全電気自動車(内燃エンジンを搭載せずバッテリーとモーターのみで走行する自動車)のSUV「iX」4ドアセダンの「i4」を発売し、その方向に向けていくつかステップを踏み出すことになっている。このドイツ車メーカーは現地時間3月17日、まずは同社初の完全電動セダンとなるi4の外観を公開し、併せてその予定されているスペックを少しだけ明らかにした。

関連記事:BMWが次世代電気自動車のフラグシップ「BMW iX」を発表

i4には何種類かのグレードが用意されるというが、最上級モデルの最高出力は390kW(530ps)で、停止状態から100km/hの速度まで約4秒で加速するという。

一度の充電で走行可能な航続距離は、欧州のWLTPモードで最長590kmまたは米国環境保護庁基準で最長300マイル(約482.8km)となることを、BMWは約束している。ロサンゼルスからラスベガスまで十分行ける距離だ。この航続距離はiXと同等だが、パワーはi4の方がiXをやや上回る。Tesla(テスラ)や他の競合モデルと比べたら短いが、同じ完全電気自動車のPorsche Taycan(ポルシェ・タイカン)やAudi e-tron(アウディ e-tron)を凌ぐ可能性は高い(両モデルともWLTPモードで500km以下)。

関連記事:アウディが同社初の電動スポーツセダン「e-tron GT」を発表、欧州では約1270万円から

画像クレジット:BMW

「スポーティな外観、クラス最高のドライビング・ダイナミクス、そしてゼロ・ローカル・エミッションを備えたBMW i4は、真のBMWです。BMWブランドの心臓部は、今や電気のみで鼓動するようになりました」と、BMW AGの取締役会メンバーであり、顧客・ブランド・販売部門を担当するPieter Nota(ピーテル・ノタ)氏は述べている。

現時点でi4の価格や詳細なスペックはわかっていない。発売は2021年後半の予定なので、夏頃にはもっと詳しい情報が明らかになるだろう。

「iXは目的に合わせて作られたクルマであり、壮観な、完全に新しいBMW Xシリーズの製品です」と、BMWの開発責任者であるFrank Weber(フランク・ウェーバー)氏は、今週初めのプレスイベントで語っていた。「しかし、人々が待ち望んでいるのは、完全な電気自動車のスポーツ・セダンをBMWが発売することです。【略】そしてi4には、BMW製の本物のスポーティセダンを、完全な電気駆動で実現するために必要なものが、すべて揃っています」。

実際、BMW初の完全電気自動車だった少々風変わりな「i3」とは異なり、i4は標準的な4ドアセダンだ(i3とは異なり、本物の後部座席用ドアを備えている)。これは、既存の4シリーズの精神を受け継ぐBMWのスポーティでなおかつ車内が広々とした電気自動車を求めている顧客に歓迎されるだろう。

BMWはiDrive(アイドライブ)オペレーティングシステムのバージョン8も発表した。この次世代のインフォテインメント・システムには、2枚の曲面ディスプレイを組み合わせた新しいダッシュボードレイアウトとビジュアルデザインが採用される。新型iDriveは、i4とiXに搭載されてデビューする予定だ。

関連記事:BMWが曲面ディスプレイを採用する次世代版「iDrive」インフォテインメントシステムを公開

カテゴリー:モビリティ
タグ:BMW電気自動車

画像クレジット:BMW

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

英国のEVメーカーArrivalが米国で2つ目のマイクロファクトリーを建設、UPS向けEVバンを製造

間もなく上場企業となる英国の電気自動車(EV)メーカーArrival(アライバル)が、米国に2番目のマイクロファクトリー建設を予定している。

Arrivalが北米本社としてノースカロライナ州シャーロットを選んでから数カ月が経過している。この新しいマイクロファクトリーは、空港に近いウェストシャーロットに位置し、サウスカロライナ州のロックヒルにある米国1番目の工場から約32マイル(約51.5km)離れた場所となる。

同社CEOのMike Ableson(マイク・アベルソン)氏によれば、今回発表されたマイクロファクトリーは、米国の顧客向けに2種類のEVバンを生産し、車両群オペレーターのためのゼロエミッションの選択肢を広げることになるという。2022年の第3四半期までには生産を開始する予定だ。Arraivalによれば、この生産センターには約4120万ドル(約45億円)を投資し、年間最大1万台の電動デリバリーバンを組み立てる能力を持つようになる。

シャーロットに新設されるマイクロファクトリーで生産される車両の多くは、UPSの北米での車両群に入ることが期待されているという。UPSは、米国および欧州で、最大1万台の車両をArrivalから購入することを約束している。

一方、ロックヒルにある米国最初のマイクロファクトリーでは、EVバスの組み立てを行う。

Arrivalは、2020年1月に現代自動車と起亜自動車から受けた1億1千万ドル(約120億2000万円)の投資を発表するまで、約5年間秘密主義の電気自動車スタートアップだった。それ以降の14カ月の間に、同社は計画やパートナーについて発表してきたが、そのストーリーのクライマックスは、2021年2月に行われた、特別買収目的会社(SPAC)CIIG Merger Corp.と合併し株式公開企業となる発表だ。SPACとの合併は、2021年の第1四半期に完了する予定だ。

Arrivalのビジネスモデルは、マイクロファクトリーを中心としたもので、化石燃料を使用する商用のバンやバスなどと比較して、価格競争力のある電気自動車を生産することができると主張している。同社によれば、マイクロファクトリーは、従来の工場に比べて設備投資が少なく、設置面積も小さくて済むからだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Arrival電気自動車SPAC

画像クレジット:Arrival

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:sako)

BMWが曲面ディスプレイを採用する次世代版「iDrive」インフォテインメントシステムを公開

現代のクルマでは、ダッシュボードの中央にフォトフレームのような独立したディスプレイを設置するのがデフォルトのようになっている。しかし、BMWは次世代の「iDrive(アイドライブ)8」システムで、このデザイン言語から脱却し、中央のディスプレイをコクピット全体に拡大した「BMW Curved Display(BMWカーブド・ディスプレイ)」と呼ばれるアイデアで、次の段階に進むことを明らかにした。ドライバーの眼前に広がるスクリーンは、実際には12.3インチのインフォメーションディスプレイと14.9インチのコントロールディスプレイを組み合わせたものだが、まるで1枚の曲面ディスプレイのように見える。BMWはそれを「ほとんど浮いているように見える」と表現している。

この新しいカーブドディスプレイを採用した第8世代のiDriveシステムは、2021年後半に発売予定の新型電気自動車「iX」と「i4」に搭載される。

関連記事:BMWが次世代電気自動車のフラグシップ「BMW iX」を発表

BMWは、基盤となる技術スタックの詳細についてはまだ公開していないものの、この新型システムでは従来の20~30倍のデータを処理できると述べている。BMWの開発責任者であるFrank Weber(フランク・ウェーバー)氏は、米国時間3月15日に行われたプレス会談で、技術的詳細を7月以降に発表する予定だと語った。

画像クレジット:BMW

同社は2020年11月にiXを発表した際に、この新しいディスプレイが写っている車内の画像を公開したが、当時は新世代のiDriveシステムについて詳細を明らかにしなった。その核となるのは、当然のことながら、ユーザーインターフェースの全面的な刷新だ。例えば、ドライバーはさまざまなレイアウトを選択できるようになる。標準の「Drive(ドライブ)」レイアウトでは「インフォメーションディスプレイの中央に動的に変化するエリアを設け、個別に選択可能な情報を表示する」ことができる。他に「極めてダイナミックな運転をする状況」に合わせてデザインされた「Focus(フォーカス)」レイアウトや、運転に関する情報を最小限に抑え、メディアソースなどアプリのウィジェットを多く表示する「Gallery(ギャラリー)」レイアウトが用意されている。3つのレイアウトのどれを選んでいても、気を逸らす表示は消して落ち着いて運転に集中したくなったら「Calm(カーム)」モードに切り替えれば、インフォメーションディスプレイの中央に走行速度のみをデジタルで表示し、他にはほぼ何も表示されない状態にすることもできる。

画像クレジット:BMW

「My Modes(マイモード)」と呼ばれるドライビングモードも「Efficient(エフィシェント)」「Sport(スポーツ)」「Personal(パーソナル)」の3つから選択可能。パワーユニットのスロットル特性、ステアリング特性、シャシーの設定など、走りの核となる車両の設定やオーディオの設定を変更することができる。

また、おそらく車内で最も頻繁に使用されるアプリケーションである地図についても、3つの異なるモード(アダプティブ、縮小、拡大)が用意されている。これらはすべて、ドライバー自身がどの程度の情報を見たいかを決められるようにするべきだという基本的な理念に基づいている。

個人の好みに合わせてパーソナライズできる多くのオプションも用意されており、ウェーバー氏もそれを認めているものの、BMWはドライバーに負担をかけないように使いやすくデザインしたと同氏は主張している。多くのドライバーも実際にこの機能を望んでいるという。

「中国で我々のシステムをテストすると、パーソナライズできる機能はいくら用意しても足りないほど、同国の人々はほとんどすべてをパーソナライズしたがります」と、ウェーバー氏は説明する。「その一方で、『私はただクルマを運転したいだけで、そんなものは見たくない』という人もいます。そこで私たちはMy Modesという機能を搭載し、表面上は非常にシンプルにまとめました。My Modesのボタンを押すと、 Sport、Efficient、Personalという3種類のモードに切り替わります。これによって『非常に整理されたものを求めるか』あるいは『すべてをできるだけパーソナライズしたいか』を簡単に決めることができます。このシステムは非常に巧妙な仕組みを備えています。それでいて、非常にシンプルな選択肢も用意されています」。

画像クレジット:BMW

パーソナライゼーションといえば、BMWはパーソナライズされた設定をスマートフォン上の新しい「My BMW」アプリに保存する「BMW ID」という新しいシステムも採用する。

今度のアップデートで、BMWは数年前にTechCrunch Disruptで公開したBMW Intelligent Personal Assistant(BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント)の次世代版も導入する。Microsoft(マイクロソフト)のAzure Cognitive Services(アジュール・コグニティブ・サービス)の上に構築されたこの改良版車載アシスタントは、より自然な対話を通じてドライバーとやり取りできるだけでなく、BMWは音声認識に加えて多くの視覚系コンポーネントを搭載することで、このアシスタントシステムにジャスチャー認識機能も統合させた。これがどのように機能するかは、実際に見てみないとわからない。現時点でBMWは、これらの機能に関して多くを明らかにしていない。

画像クレジット:BMW

「人と人とのコミュニケーションでは、多くの情報が非言語で伝達されます」と、同社は説明する。「そこで、BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントでは、視覚的な表現により重点を置いた改良を施しました。この新しい視覚化アプローチは、大きさと明るさのレベルが異なる光の球体によって、アシスタントに空間認識と新たな表現方法を与えました。この視覚的なイメージは、焦点とジャスチャーによる動きが明確にわかる『顔』にもなっています」と、BMWは述べている。

現行の第7世代iDriveシステムと同様、この新しいオペレーションシステムは、車両に内蔵されたSIMカードと携帯電話通信網(iXでは最大5G)またはMy BMWアプリを介した無線通信アップデートに対応する。

iDrive 7を搭載する現行モデルも、継続してアップデートが行われ、次世代のiDrive 8から移植可能な一部の新機能が搭載される予定があることを、ウェーバー氏は指摘した。

画像クレジット:BMW

「スマートフォンの世界と少し似ていますね」と、ウェーバー氏はいう。「iDrive 8の興味深い新たな機能のうち、iDrive 7に移植可能なものは、すべてiDrive 7にも採用されます。しかし、携帯電話の特定の機能のように、そのすべてが前世代でも利用可能というわけではありません。多くの機能が移植できますが、すべての機能ではありません。しかし確かに、前世代のアップデートには引き続き取り組んでいきます。それをや止めることはありません」。

なお、これは余談だが、ウェーバー氏は一部の自動車メーカーで生産が遅れる原因となっている現在のチップ不足についても言及した。BMWではクリスマス頃から「1日ごとに生産台数を守るように奮闘している」が、まだ1日も生産を休止したことはないという。今後の見通しについては明言しようとしなかったものの、BMWでは技術面における代替案の開発に着手しているという。「これまでのところ、当社では実際にパイプラインを調整することができているので、現時点では生産を停止させる必要はありませんでした」と、ウェーバー氏は語った。

カテゴリー:モビリティ
タグ:BMW電気自動車

画像クレジット:BMW

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォルクスワーゲンが240GWhのバッテリー生産能力を2030年までに欧州で実現

Volkswagen AG(フォルクスワーゲンAG)は世界最大の電気自動車メーカーとしての地位を確立するために、2030年までに欧州で40GWhのバッテリーセル生産工場を6カ所運用する計画を発表した。

これを達成するためにVolkswagenはスウェーデンの電池メーカーであるNorthvoltに10年間で140億ドル(約1兆5300億円)規模の発注を行ったが、これは計画中の6カ所の工場のうちの1つにすぎない。2025年にはドイツの第2工場でも生産を開始する予定だ。

関連記事:EV用バッテリーメーカーNorthvoltがフォルクスワーゲンから1.53兆円の大型契約を獲得

Volkswagenはまた、中国、欧州、米国の充電インフラへの本格的な投資も発表した。欧州ではパートナーであるIONITYとともに急速充電ネットワークを1万8000ステーションに、中国では合弁会社であるCAMS New Energy Technologyを通じて1万7000カ所の充電ポイントに、そして米国では急速充電ステーションを3500に増やすことを目指している。

Volkswagen初となるバッテリー関連のイベントは、Tesla(テスラ)のBattery Dayを記念して行われたものだが、その中には、コストを最大50%削減する斬新的なバッテリーの化学研究も含まれていた。このバッテリーセルは同社が2010年代半ばに予想されている固体電池セルへの移行への道を開くものでもある。Volkswagenは固体電池メーカーのQuantumScapeに多額の投資を行っている。

関連記事:未来のテスラ車のバッテリーは車体と一体構造で剛性、効率、安全性、コストを改善

Volkswagenの新しい 「Unified Premium Battery」 プラットフォームは2023年に発売され、同社のEV車両の80%で使用される予定だ。この新しいバッテリーを最初に搭載した最初のモデルであるAudi Artemisは、2024年に発売される予定となっている。

Volkswagenの大型トラックおよびバスのブランドであるScania ABも、EVシェアの拡大を計画している。水素燃料電池を選択した他の主要なトラックメーカーとは異なり「大型輸送部門の電動化は間違いなく可能である」と同社の代表者らは述べた。

バッテリーの寿命についてVWは、Hydrometallury(ハイドロメタリー)と呼ばれるプロセスにより、バッテリーを最大95%までリサイクルできると述べている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:VW電気自動車資金調達バッテリー欧州充電ステーション

画像クレジット:Volkswagen

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

EV用バッテリーメーカーNorthvoltがフォルクスワーゲンから1.53兆円の大型契約を獲得

2019年にGoldman Sachs(ゴールドマンサックス)とVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)がリードしたラウンドで10億ドル(約1090億円)を調達したスウェーデンのバッテリーメーカーNorthvolt(ノースボルト)は、今後10年にわたるバッテリー製造でVWと140億ドル(約1兆5300億円)の契約を結んだ。

今回の巨額契約により、VWが進める電気自動車(EV)への転換のためのバッテリーをどこから調達するのかという疑問がいくらか解けた。VWは2025年までにEV生産能力を150万台に引き上げる計画だ。

契約では、Northvoltが欧州のVWグループ向けの主要な電池サプライヤーとなるばかりでなく、VWはNorthvoltの株式を追加取得する。

提携の一環として、Northvoltのスウェーデンにあるギガファクトリーは拡張され、またVWは欧州中に電池工場を建設する計画であるため、NorthvoltはSalzgitter(ザルツギッター)の合弁事業株をVWに売却することにも同意した、と両社は明らかにした。

NorthvoltとVWの合意により、Northvoltが10億ドルを調達して以来、同社はこの2年で270億ドル(約2兆9460億円)の契約を獲得したことになる。

「Volkswagenは主要投資家で顧客、パートナーです。VWが急速にEVを展開するのにともない、当社は引き続き地球上で最も環境に優しいバッテリーをVWに提供するという目標に懸命に取り組みます」とNorthvoltの共同創業者でCEOのPeter Carlsson(ピーター・カールソン)氏は声明で述べた。

Northvoltの他のパートナーや顧客にはABB、BMW Group、Scania、Siemen、Vattenfall、Vestasなどがいる。これら企業は欧州最大のメーカーでもある。

2019年にNorthvoltは、電池製造能力が16GWhに達すると見込まれ、2030年までにおおよそ130億ドル(約1兆4180億円)分のバッテリーを販売すると述べた。これは、VWとの契約が拡張されたプロダクト生産ラインのかなりの部分を占めることを意味する。

元Tesla幹部のカールソン氏が立ち上げたNorthvoltのバッテリー事業は欧州連合をSamsung(サムスン)、LG Chem(LG化学)、CATLといったアジア最大のバッテリーメーカーと直接競わせようという意図だった。

Northvoltが10億ドルの投資ラウンドを発表したとき、カールソン氏は2030年のEV販売目標を達成するためにはNorthvoltが150GWhの製造能力にする必要があると述べていた。

スウェーデンにある製造プラントは、大手財務パートナーであるVWとGoldman Sachsに加えて、部分的にはスウェーデンの年金ファンド会社AMF、Folksam、IKEA関連のIMAS Foundationによる支援のおかげで、製造能力は少なくとも32GWhを達成すると予想されている。

Northvoltはここ数カ月忙しかった。2021年3月初めに同社はシリコンバレー拠点のスタートアップCubergの買収を発表している。

この買収でNorthvoltは米国での足がかりを得て高度技術センターを設置した。

また、業界の救世主とされている最新の電池化学、リチウムメタル電池へのきっかけも買収で得ている。

Cubergは、液体電解質にリチウムメタルアノードを組み合わせている、同社がいうところの次世代バッテリーを商業展開するために2015年にスタンフォード大学からスピンアウトした。同社の顧客にはBoeing、BETA Technologies、Ampaire、VoltAeroなどがあり、Boeing HorizonX Ventures、Activate.org、カリフォルニア州エネルギー委員会、米エネルギー省、スタンフォード大学TomKat Centerから支援を受けている。

Cubergのバッテリーは、電動航空機使用向けにデザインされた同程度のリチウムイオン電池に比べて航続距離と容量を70%増やす。声明によると、CubergとNorthvoltは自動車メーカー顧客のあらゆる要件を満たしつつ、2025年に1000Wh/L超のバッテリーを産業化するという野心を持って、このテクノロジーをNorthvoltの自動車・産業プラダクトのポートフォリオに加えられることを願っている。

「Cubergのチームはワールドクラスのテクノロジーを開発する並外れた能力、実証済みの結果、無駄のない効率的な組織での傑出した顧客ベースを示してきました」とカールソン氏は述べた。「こうした強みをNorthvoltの能力、そしてテクノロジーと組み合わせることで、次世代電池のためにコストをさらに下げつつパフォーマンスと安全性の両方を大幅に改善できます。完全EVへのシフトを加速させ、主要自動車メーカーのニーズに応える上でこれは重要です」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:NorthvoltVW電気自動車資金調達バッテリー

画像クレジット:Volkswagen

原文へ

(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

ローズタウン・モーターズのEVトラック予約受注台数偽装を投資会社ヒンデンブルグ・リサーチが指摘

Hindenburg Research(ヒンデンブルグ・リサーチ)がNikola Motor(ニコラ・モーター)を告発した報告書は、米国証券取引委員会(SEC)が調査を行い、創業者が会長職を辞任する事態を招いた。この投資会社は今度、別の電気自動車会社に狙いをつけている。

関連記事:詐欺疑惑渦中の電気自動車メーカーNikola会長が辞任、株価は暴落

今回の標的となったオハイオ州のLordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)は、特別買収目的会社であるDiamondPeak Holdings Corp.(ダイアモンドピーク・ホールディングス)と合併した後に上場し、市場価値は16億ドル(約1744億円)に達している。

ヒンデンブルグ・リサーチは米国時間3月12日の報告書で、ローズタウン・モーターズのショートポジションを取ったと発表。同社の株価は21%急落した。翌日にはわずかに回復し、前日の15%安となった。ヒンデンブルグのショートポジションは「収益と販売可能な製品がなく、その需要と生産能力の両方について投資家に誤解を与えたと思われる」会社であるという根拠に基づく。

この12日に発行された報告書の中でヒンデンブルグは、ローズタウンが電動ピックアップトラックの予約を10万台受注したという2021年1月の発表に異議を唱えている。この空売り投資会社は「広範な調査の結果、同社の注文は大部分が架空のものであり、資本調達と正当性を付与するための小道具として使用されているようだということがわかった」と述べている。ヒンデンブルグはさらに踏み込んで、ローズタウンの創業者Steve Burns(スティーブ・バーンズ)CEOが、Workhorse Group(ワークホース・グループ)を率いていた2016年の時点で、トラックの予約注文が入るごとにコンサルタントに報酬を支払っていたと主張している。

またこの報告書には、1月にローズタウンの試作車が試験運転中に炎上した事件の写真と911番通報も掲載されてる。

TechCrunchがローズタウン・モーターズにコメントを求めたところ、同社広報担当者は12日午後「当社では今後数日以内に完全かつ詳細な声明を発表する予定です。その際には、ヒンデンブルグ・リサーチの報告書に絶対に反論するつもりです」と、eメールで返答した。

バーンズ氏は、Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)へのコメントで、この報告書には「真実と嘘が半分ずつ」含まれており、上場企業として初めての四半期決算報告を前に、ヒンデンブルグがローズタウンの株価に傷をつけようとしたものだと述べている。

このスタートアップは、2019年に生産を休止した旧General Motors(ゼネラルモーターズ)の完成車組立工場を買い取り、その場所であるオハイオ州の町の名を会社名とした。この取引によって、GMはローズタウン・モーターズの少数の株を取得した。

ローズタウン・モーターズは、設立2年に満たない会社としては興味深い歴史を持っている。同社はバーンズ氏のもう1つの会社であり電動輸送機関技術を手がける上場企業のWorkhorse Group(ワークホース・グループ)から分離した会社で、ワークホースはローズタウンの10%の株式を保有している。

ワークホース自体も1998年に設立された小さな会社であり、これまでさまざまな局面で財務的に苦労してきた。最近では、米国郵政公社へ電気自動車を供給する事業の入札に敗れ、そのニュースを受けて株価は15%近く下落した。現在、ワークホースの株価は16.58ドル(約1800円)前後で推移しており、2月4日の記録的な価格である42.96ドル(約4680円)と比べると60%も下がっている。

ローズタウン・モーターズは、2019年にGMから取得したオハイオ州ローズタウンにある620万平方フィート(約57万6000平方メートル)の組立工場で、2021年から年間2万台の電動商用トラックを生産する計画だと言っている。

ローズタウンは2020年6月、派手で政治色の強いセレモニーで、電動ピックアップトラック「Endurance(エンデュランス)」を公開した。だが、同社はその時、生産を計画しているこの電動トラックの内装や性能、バッテリーなどの詳細な情報は明らかにしなかった。この発表イベントの後半はトラックから一転して、特別ゲストとして出席したMike Pence(マイク・ペンス)元副大統領が中心となり、Donald Trump(ドナルド・トランプ)元大統領の雇用と製造業に関する政策、中国や新型コロナウイルスへの対応について25分間の演説を行った。

このように詳細は不明にもかかわらず、バーンズ氏は6月に「2万台の予約注文を受けた」と発表。これは予約した顧客の全員が購入した場合、初年度の生産量が完売することを意味する。ローズタウン・モーターズは当時、多くの潜在的顧客が購入の意向を示す通知を送ってきており、その中にはAutoFlexFleet(オートフレックスフリート) 、Clean Fuels Ohio(クリーン・フューエルズ・オハイオ)、Duke Energy(デューク・エナジー)、FirstEnergy(ファーストエナジー)、GridX(グリッドX)、Holman Enterprises(ホルマン・エンタープライズ)とARI、Summit Petroleum(サミット・ペトロリアム)、Turner Mining Group(ターナー・マイニング・グループ)、Valor Holdings(バローホールディングス)、さらにいくつかのオハイオ州の自治体が含まれると述べていた。

バーンズ氏は後に予約注文が10万件に達したと述べているが、ヒンデンブルグはこれらの主張に異議を唱えている。

以下、ヒンデンブルク報告書より。

我々の調査によると、ローズタウンの受注簿は、その多くが車両フリートを保有してさえいない顧客からの、偽装またはまったく拘束力のない注文で構成されていることが明らかになった。同社の元従業員やビジネスパートナーによると、CEOのスティーブ・バーンズ氏は、顧客の属性を問わず、単に資本調達と正当性を付与するための手段として注文を受けようとしていたという。さらに、同社が企画しているクルマに需要があると主張するため、苦し紛れに顧客に金銭を支払って、価値のない拘束力のない予約注文をさせたこともあった。

また、話を聞いたローズタウンの「顧客」には「購入の意向を示す通知」が「宣伝用」であることを熱心に説明する人や「何も約束していない」と断言する人、そしてローズタウンが記録した予約注文の規模は「まったくあり得ない」と確信を持っていう人もいた。ある「重要な」顧客のCEOは、我々の働きかけで初めてローズタウンとの取り決めを知ったと語った。

バーンズ氏はWSJに対し、ローズタウンがコンサルタントに報酬を支払い、拘束力がないと了解済みの予約注文を作成したことを認めた。同氏は、これが「市場の需要を査定するため」と説明し、このような行為が会社の予約記録を偽るためであるということは否定した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lordstown Motors電気自動車

画像クレジット:Lordstown Motors

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMがバッテリーのエネルギー密度向上でSolidEnergy Systemsと提携

GMのベンチャー部門は5年前にバッテリースタートアップのSolidEnergy Systemsに投資した。今回、GMはMITのスピンアウトを利用してバッテリーにより多くのエネルギーを詰め込もうとしており、これは同社が電気自動車へのシフトを加速させることを目的とした一連の動きの最新のものとなる。

GMのMark Reuss(マーク・ルース)社長は米国時間3月11日に行われたWashington Post Liveカンファレンスでこの提携を発表し、リチウムイオンバッテリーのエネルギー密度を向上する技術によりEVの普及が促進されることを期待していると述べた。合意の一環として、両社はマサチューセッツ州ウォバーンにプロトタイプ製造施設を建設し、2023年までに大容量バッテリーの試作完成を目指す。

SolidEnergy Systems(SES)は、寿命を改善する「アノードを使用しない」リチウムメタル電池を開発した。MITによると、SESのバッテリーは材料の進歩によってエネルギー密度が2倍になり、現在のスマートフォン、EV、ウェアラブル、ドローンなどに使われているリチウムイオンバッテリーに匹敵する安全性を維持しているという。バッテリーパックは小さく、軽量で必要とするスペースも小さくて済む。そのため車両を軽量にできるだけでなく、追加技術を搭載する余裕もできる。

Cairn Energy Research Advisorsの最新レポートによると、この技術とGM自身の知的財産を組み合わせることで、Tesla(最も安価なリチウム電池とEV用バッテリーパックを持つ自動車メーカー)に対する競争力をGMにもたらす。

GMの広報担当者Philip Leinert(フィリップ・ライナート)氏は「リチウムメタル電池に関しては、すでに多くの重要な知的財産があり、49件の特許が付与され、さらに45件が出願中です」と述べている。「リチウム電池のプロトタイプに関するSESとの共同事業で、IPの増加はさらに加速されるでしょう」。

GMには、EVに対して大きな野望がある。同社は2025年までに30種のEVをグローバルに導入し、2035年にEVのみを販売する計画だ。

今回のGMの発表は、同社がEV戦略の心臓部であるバッテリーとセルとモジュールとドライブユニットと電力関連電子回路のすべてを含むバッテリープラットフォームUltiumを発表した1年後のものだ。このUltiumプラットフォームは、「キャデラック」や「ビュイック」「シボレー」そして「GMC」といったGMの多様なブランドにまたがるEVで利用され、2020年に発表された自動運転シャトル「Cruise Origin」にも使用される。全電動の「GMVハマー」は2021年末に生産に入り、Ultiumの第1世代のバッテリーが搭載される最初のモデルとなる。

関連記事
GMが電気自動車戦略のコアとなるモジュラー式アーキテクチャー「Ultium」を公開
GMとホンダが協業開発した配車サービス用電動無人運転車が登場

またマーク・ルース社長は、Ultiumの次世代バッテリーにおけるブレークスルーについても触れた。具体的な話はなかったが、GMはコストを下げつつパフォーマンスを上げることを狙っているという。2020年代半ばにはエネルギー密度を倍増しバッテリーのコストを60%下げることが、同社の目標だ。そのために、SESとのパートナーシップが貢献することを期待しているという。

「EVの普及に必要なのは、低価格と航続距離です。この次世代のUltium化学技術により、エネルギー密度とコストが1世代に1度向上する時代が到来したと考えています。どちらの分野にも改良の余地があり、この分野で他社よりも早く革新を実現するつもりです」とルース氏は述べる。

GMがバッテリー開発の世界に参入するのはこれだけではない。同社は2010年に固体バッテリー企業のSakti 3に320万ドル(約3億5000万円)を投資しており、現在、米国に第2の大規模バッテリー工場を建設するための交渉を行っている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMバッテリー電気自動車

画像クレジット:General Motors

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Canooが仕事や遊びに使える新電動ピックアップトラックを発表

ロサンゼルス拠点のスタートアップCanoo(カヌー)は最新、そして3つめのモデルとなる電動ピックアップトラックを発表した。似たようなトラックや従来のディーゼルピックアップにあるシャープなコーナーや大きなエンジンハウジングをなくし、商用顧客や週末に冒険を楽しむ消費者のための電動車両だ。

市場に出回っているものの中で最もスペース効率がいいとCanooが謳うこのトラックは米国時間3月11日午後に予定されていた正式公開の前のに10日夜にリークされた。

3つのモデルのCanoo車両はすべてデザインランゲージを共有する。しかしCanooの重要な礎石は基礎だ。Canooは同じプラットフォームアーキテクチャーを全車両で使っており、客室やトップハットをモデルごとに変えているだけだ。Canoo独自仕様のプラットフォームは、EVパワートレインの重要な部品を搭載した薄くて平らなスケートボードのようだ。このタイプのデザインでは同社のトラックはよく売れている従来のピックアップのような平台型サイズに近くなる。

Canooのトラックは2021年第2四半期にプレオーダー受付を開始し、早ければ2023年に納車が始まる。

トラックの長さは約467cmだ(比較するとTeslaのCybertruckは約586cm、RivianのR1Tは約553cm)。しかしCanooのモデルが抜きん出ているのは、プルアウト式のベッドエクステンションだ。これはトラックベッドを約182cmから約243cmに伸ばし、車両の長さを競争力のある約541cmにする。また最大600馬力を誇り、航続距離は約321kmを超える。

画像クレジット:Canoo

Canooの他の車両と同様、ピックアップトラックにもさまざまなオプションが用意されている。例えばトラックベッド用の仕切りや、トラックをバンに変えることができるキャンパーシェルがある。ルーフトップテントすらある(少なくとも写真では確認できる)。これはCanooが車両に合うアクセサリーの事業も考えていることをうかがわせる。

また折りたたみ式の作業机や追加のコンセント、折ることができるサイドテーブル、さらにストレージのあるトラックベッドへの隠れた階段、ルーフラックを備えた貨物ストレージエリアもある。

「当社のピックアップトラックは最もタフなそこらのトラックと同じくらい強く、飛躍的にもっと生産的となるようにデザインされています」とCanoo会長のTony Aquila(トニー・アクィーラ)氏は声明で述べた。「このトラックはあなたの役に立ちます。トラックを仕事、週末、アドベンチャーで使う人のためにアクセサリーも作りました。ありとあらゆるものを手がけました。というのもこれはあなたのプラットフォームだからです。まったくすごいヤツです」。

2020年12月、Canooは特別買収目的会社Hennessy Capital Acquisition Corp.との合併取引で上場し、評価額は24億ドル(約2610億円)となった。Fisker Inc.、Nikola Corp.、Lordstown MotorsなどNASDAQに上場するのに従来のIPOを回避した一連のEVメーカーや充電インフラ企業の仲間入りを果たした。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Canoo電気自動車トラック

画像クレジット:Canoo

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

EVサブスクのOntoが充電ステーションへのアクセス拡大でShellと提携

英国の電気自動車(EV)サブスクサービスOnto(オント)は、今後数年で新たなEVがマーケットに投入される動きに備え、ユーザーに充電ステーションへのアクセスを提供すべくShell(シェル)と提携した。Shellが米国時間3月9日に発表したこの提携では、Ontoの顧客はShellが英国内で展開する3400カ所超の充電ポイントと、Shellのネットワーク下の17以上の充電パートナーを利用できる。

「電気自動車の購入は多くのドライバーにとって大きな、恐ろしいスイッチです」とOntoのCEOであるRob Jolly(ロブ・ジョリー)氏は最近のインタビューでTechCrunchに語った。「充電の不安はドライバーにとって問題です。当社はEVをできるだけアクセスしやすく、手頃価格のものにしようとしていて、Shellとの提携でそれがレベルアップします」。

Ontoにとって今回が初めての提携ではない。月額料金にサービス、道路税、保険、充電が含まれる「オールインクルーシブ」サブスクモデルである同社はすでにBP、Teslaとネットワーク提携を結んでいる。Ontoは2021年2月にHyundaiの車両を加え、Tesla、BMW、Jaguar、Renaultといったメーカー以外のプロダクトへも扱いを拡大している。

IEAの暫定見積もりによると、EVやプラグインハイブリッド車の販売は300万台超に上り、マーケットシェアは4%超に達している。4%というのはマーケット飽和とは考えられないが、新しいEVがマーケットに投入されるにつれ、既存のインフラが圧迫されると自動車メーカーや充電ネットワーク企業、エネルギー専門家たちは予測している。2021年に新しいEVの発売を予定している自動車メーカーとしてはVW、GM、Ford、Hyundai、Rivianなどがある。

サブスクエボリューション

英国では新規車購入者の90%超が融資を受け、即金で購入するのが一般的だった10年前から変わっている。ジョリー氏はEVサブスクモデルが自動車マーケットで次の進化になると確信している。特に英国や他の国がガソリン・ディーゼル車禁止に動き、ドライバーがEVを持つのにフレキシブルでアクセスしやすいオールインクルーシブの方法にすり寄っているからだ。消費者へのジョリー氏のPRは、Ontoのサブスク価格はプレミアムな融資取引と競合するが、サブスクには多額の前金はなく、充電場所を探して充電費用を払う必要もない、というものだ。

「英国の人口の40%が敷地内駐車場へのアクセスを持っていません」とジョリー氏は話した。「どうやって、そしてどこで給油するか知っているという状態から、充電がどんなものか知らないという状態へと移行します。彼らは家の近くの通りで車を充電するでしょうか、それとも出勤途中に充電するでしょうか?あるいは職場で充電するでしょうか?それがShellと取り組んでいる野心です。ドライバーが選択できるようにし、我々の充電インフラが可能な限りあちこちにあるようにします」。

Shellの英国でのネットワークには950超の充電ポイントがある。ここにはShell Recharge急速チャージャーとハイパワーチャージャー(それぞれ50kWh、150kWh)が含まれ、電気は再生可能エネルギーで賄われている。そして超ハイパワー(350kWh)の充電ポイントのIonityネットワークも含まれる。顧客はOntoで利用できるすべての充電ステーションをOntoのアプリかオンラインマップで見つけることができる。そして全顧客にShell Rechargeカードが発行され、Shellのネットワークにすぐにアクセスできる。

EVサブスクスタートアップと提携するというShellの動きは、ガソリンスタンドから離れ充電ステーションへ向かうという同社の計画と一致している。ShellはロサンゼルスのEV充電デベロッパーGreenlotsを買収した2019年にこの分野に初めて足を踏み入れた。2021年初め、同社は英国のUbitricityも買収し、今後4年間で50万の新規EV充電ステーションを立ち上げる計画を発表した。

関連記事:Shellが2025年までにEV充電ステーションを50万カ所に設置

カテゴリー:モビリティ
タグ:Onto電気自動車充電ステーションShell

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

アウディの全電動クロスオーバーQ4 e-tronはダイナミックARディスプレイを搭載

広くなったコックピットと収容スペースにアップグレードされたカップホルダーとともに、Audi(アウディ)は近日発売の全電動コンパクトクロスオーバー車「Q4 e-tron」に高度な新技術を導入する。そこにはドライバーの実際の視野に正確に反映される反応の速い拡張現実ヘッドアップディスプレイ(HUD)がある。

米国時間3月9日、Audiは同社ラインアップで5番目の電気自動車であるQ4 e-tronのインテリアを公開した。この車は2025年までにEVとプラグインハイブリッドを30車種以上発売するというドイツ自動車メーカーの計画の一部でもある。Q4 e-tronはかなり前から予定されていたモデルでコンセプトが最初に発表されたのは2019年のジュネーブ国際モーターショーだった。

関連記事:アウディが同社初の電動スポーツセダン「e-tron GT」を発表、欧州では約1270万円から

Q4の生産モデルの外観はまだ隠されているが、サイズはわかっている。大きめのコンパクトSUVに分類される電気自動車で、短いオーバーハングと2.77メートルのホイールベースという組み合わせは少々たくましいルックスであるように感じるが、これによりインテリアは長さ1.8メートルと大型フルサイズクラスSUV並みのスペースを確保している。

基本的な構造は、親会社であるVW(フォルクスワーゲン)のモジュラー電動駆動ツールキットシャシー(MEBプラットフォーム)に基づいている。この柔軟なモジュラーシステムをVWが最初に導入したのは2016年で、さまざまなEVを効率的にコスト効率よく生産するために開発された。さらに、フラットな床のおかげでデザイナーが扱える空間が広くなっている。そのスペースを生かしたデザインによって、センターコンソールにはカップホルダーが2つ、4.4リットルのカバー付き収納コンパートメント、USB-Cソケット2基(オプションで4基)および好みでAudiフォーンボックス(携帯電話をワイヤレス充電し信号を強化する)が配置される。

画像クレジット:Audi

ここでの主役はテクノロジー、中でも最も注目されるのがオプションのAR内蔵フロントガラスだ。このARフロントガラスは、通常のフロントガラスHUDよりも広い視野と正確でダイナミックなアニメーションを実現している。Q4 e-tronは重要な情報を2つのセクションに分けて表示する。1つがステータス、もう1つがARだ。前者はドライバーの約3メートル前方に現れて、速度、道路標識、運転支援システム、およびナビゲーションシンボルを常時表示する。

ARセクションでは、ドライバーには10メートル先に浮かんだシンボルが見える。そこでは車線逸脱警告機能が実際の車線境界線に赤い線を重ねて表示したり、適応クルーズコントロール使用時に前方を走行中のクルマに色つきのストライプを表示したりする。

「ヘッドアップディスプレイは決して新しいものではありません」とAudiはいう。「これは視界を奥に広げることによって、さらに積極的な活用を可能にしただけです」。

ARはナビ情報も表示する。Audiは方向を示す矢印を「drones(ドローン)」と呼んでいるが、おそらく直進している時に矢印が前方に現れては消え、次の行動位置に近づくと再び現れるからだろう。交差点に近づくと、ドローンが方向変更を声で伝え、その後ドライバーを正確な方向へと導く。

画像クレジット:Audi

ソフトウェア面では、Q4 e-tronのAR Creatorと呼ばれる処理ユニットが車の前面カメラ、レーダーセンサー、およびGPSナビゲーションから生データを受け取り、毎秒60フレームでディスプレイシンボルをレンダリングして周囲の環境に適応させて表示する。この、Audiが「picture generation unit(PGU、画像生成ユニット)」(基本的にたくさんの鏡の集まり)と呼ぶ装置の中の特殊なスモークと鏡を経由して表示される映像の品質は、当然ながら現実世界でどれだけこれがうまく働くかを決める重要な要素だ。現在はシミュレーションでしか確認することができないため、Audiがどこまでうまくやっているのかはわからない。広いフレームとダイナミックなシンボルは「現実世界と同じ明瞭さ」で表示されなくてはならない。さもなければドライバーの妨害になり、もし奥行きを正確に表せなければ、ドライバーに不快感を与えることにもなる。

Q4 e-tronは自然言語音声制御も改善され「Hey Audi(ヘイ・アウディ)」という呼びかけで起動できるようになる。さらにハンドルから物理ボタンを排除してタッチ式に変更した。ただし、ハプティック(触覚)フィードバックループによって、ボタンを押しているような感覚を得られる。

同社の2020年の販売台数の約3%、4万7000台が電気自動車のe-tron SUVとe-tron Sportbackだった。高級EVを発売すれば間違いなく増えていく数字だ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Audi拡張現実 / AR電気自動車

画像クレジット:Audi

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソニーが試作EV「VISION-S」を3月28日に一般公開、2021年事業化予定のドローン「Airpeak」も展示

ソニーが試作EV「VISION-S」を3月28日に一般公開、2021年事業化予定のドローン「Airpeak」も展示

ソニーは、開発を進めている電気自動車「VISION-S」試作車両を国内で初めて一般公開します。

VISION-S は、ベンツやBMWなどの開発と生産を請け負うマグナ・シュタイアとソニーが共同開発したEVです。イメージング・センシング技術を搭載し、将来的にはレベル4自動運転の実装を目指しています。

ソニーによると、2020年12月にはオーストリアで公道試験を実施し、今後は他の地域でも順次走行テストを実施するそうです。

一般公開は3月28日に二子玉川ライズのイベントスペースにて行います。同スペースでは、VISION-Sだけでなく2021年に事業化を予定しているドローン「Airpeak」も一般公開します。

また、自律型エンタテインメントロボット「aibo」を展示し、ソニーが推進するAIロボティクス事業の取り組みを包括的に紹介するとしています。

展示概要

  • 名称:「EV:LIFE 2021 FUTAKO TAMAGAWA」
  • 開催日時:3月28日10:00〜19:00
  • 主催:カルチュア・エンタテインメント LEVOLANT(ル・ボラン)編集部
  • 会場:FUTAKO TAMAGAWA rise(二子玉川ライズ) イベントスペース「ガレリア」。東京都世田谷区玉川2丁目21
  • 入場形態:入場無料/雨天開催(新型コロナ感染症拡大防止策を実施)

(Source:ソニーEngadget日本版より転載)

関連記事
ソニーがプロトタイプEVセダン「VISION-S」の技術紹介や走行シーン動画を公開
ソニーがAIロボティクス領域のドローンプロジェクト「Airpeak」始動、2021年春に事業開始
ソニーがフルサイズミラーレス一眼αを搭載するドローン「AirPeak」発表
なんとソニーが自動車「Vision-Sセダン」を発表
消えた自動運転、都市OS覇権へ向けてのアプローチ、CES2020を振り返る

カテゴリー:モビリティ
タグ:Aibo(製品・サービス)Airpeak(製品・サービス)Sony / ソニー(企業)
電気自動車 / EV(用語)VISION-S(製品・サービス)日本(国・地域)

KiaのEV計画の輪郭がEV6の予告画像と新しい命名戦略から見えてきた

Kia(起亜、キア)は、その社名から「Motor Company」(モーターカンパニー)の文字を削除することから2021年のスタートを切り、内燃機関からEV、モビリティーサービス、自動運転車技術へと事業の舵を切る戦略Plan S(プランS)の一環として、新しいロゴとスローガンを発表した。

現在、この韓国の自動車メーカーは、プランSから発売される最初の自動車の詳細を少しずつ流し始めている。米国時間3月9日、Kiaは同社の新しいElectric-Global Modular Platoform(エレクトリック・グローバル・モジュラー・プラットフォーム、E-GMP)上に構築された初めてのバッテリー式完全電気自動車EV6の予告画像数点を公開した。このプラットフォームはHyundai(現代、ヒュンダイ)との共用で、Hyundai Ioniq(アイオニック)5コンパクトクロスオーバーの土台にもなっている。

これはあくまで予告画像であり、完全な姿はわからない。だが、この小出しの画像だけでも、デザインの特長と、EV6に続く今度の電気自動車に採用されるKiaのデザイン言語が十分に見てとれる。

EV6は4ドアのクロスオーバーだ。米国におけるこの車種の人気を考えると、意外なことではない。低いフロントエンドからルーフに流れるラインはクーペを思わせる。LEDのヘッドライトにはセグメントパターンが採用され、内燃機関の自動車にあった伝統的なフロントグリルは廃されている。

画像クレジット:Kia

同社はまた、新しい命名方式も公表した。これは、ユーザーが他の車種とEVラインアップを容易に区別できるようにするためのものだ。バッテリー式の完全電気自動車は、頭に「EV」が付くとKiaは話している。その後に、ラインアップの中の位置を示す数字が続く。そのため、EV6は、将来のラインナップの中間に位置する車であることがわかる。

Kiaは、2021年第1四半期にEV6のワールドプレミアイベントを予定している。

「私たちの目標は、このブランドの物理的なエクスペリエンスをデザインし、大胆かつオリジナルで革新的な電気自動車を創造することにあります」と、Kiaグローバルデザインセンターの責任者であり上級副社長のKarim Habib(カリーム・ハビブ)氏は声明の中で述べている。

だがKiaの戦略は、単に大胆かつオリジナルで革新的な電気自動車を作ること以上に野心的だ。2020年、KiaはEV時代のパイオニアになりたいと語っていた。ミレニアル世代とZ世代に愛される、チャレンジとイノベーションの象徴になろうとしている。こうしたKiaの向上心溢れる方針の背後には、2025年までにEVを11車種投入、世界のEV市場のシェアを6.6パーセント獲得、2026年までに年間50万台の電気自動車を販売、さらに法人顧客向けに特注仕様の電気自動車を提供するという、販売と生産の目標がある。

画像クレジット:Kia

この取り組みは、2025年末までに最大29兆ウォン(約2兆7700億円)の資金投入に支えられることになっている。Kiaは、この期間内に営業利益率6パーセント、株主資本利益率(ROE)10.6パーセントを目指すという。

EV6はプランSの最初の製品だ。これが、Kiaの壮大な計画が実現可能かどうかを株主と顧客に示すこととなる。つまりEV6は、Kiaにとって非常に重要なクルマとなるということだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Kia電気自動車

画像クレジット:Kia

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:金井哲夫)

テスラが荒らしも多かったフォーラムを閉鎖しファンは不満、ソーシャルプラットフォームを新設

Tesla(テスラ)は「Tesla Engagement Platform(テスラ・エンゲージメント・プラットフォーム)」と呼ばれる新しいソーシャルプラットフォームを起ち上げるとともに、ウェブサイトのフォーラムを閉鎖することを計画しているが、この動きが熱烈な支持者たちのコミュニティで怒りを買っている。

Teslaはまず、新しいエンゲージメントプラットフォームを発表し、フォーラムページのトップに次のような通達を掲載した。「3月15日より、テスラフォーラムは閲覧専用となります。テスラコミュニティとの会話を続けるには engage.tesla.com にアクセスしてください」。この変更を最初に報じたのはThe Verge(ザ・ヴァージ)だった。

新しいサイトでは、投稿やスレッドを作成するのではなく、Teslaのオーナーやファンが、同社のパブリックポリシー関連の投稿や、災害救援活動を支援するための呼びかけなど、さまざまなキャンペーンにコメントして参加するようになっている。

フォーラムの閉鎖まで13日間のカウントダウンを発表した3月2日の投稿に対するリプライで「内部情報」を知っているという1人のコメンターが、Teslaはスレッドに頻繁に投稿されるスパムや荒らしに対処するための複数の専任管理者を雇う余裕がなかったため、フォーラムは閉鎖されることになったと主張した。

テスラ・エンゲージメント・プラットフォームはコメントが管理されるため、これらの荒らしはTwitterに移行する可能性が高いと思われる。

今後は閲覧専用のアーカイブとして利用できるフォーラムは、Teslaのファン、投資家、検証済みの所有者が、お互いの質問に答えたり、質問したりする場所だった。しかし、このフォーラムは管理者が不在だったので、ときには最も活発な投稿者が、懸念を表明した人々を攻撃するような環境になってしまった。新たに開設されたマイクロサイトは、訪問者にTeslaの支持活動に参加することを勧めるもので、地元のオーナーズクラブへの入会申請や、同社のポリシーチームと直接フィードバックを交わすこともできるようになることを約束している。

「Engage Tesla(エンゲージ・テスラ)は、Teslaのパブリックポリシーチームとテスラオーナーズ・クラブのための新しいプラットフォームです」と、この新しいマイクロサイトの最初の投稿には書かれている。「その目標は、私たちの全活動のためのデジタルホームベースを作成し、テスラコミュニティのメンバーが、簡単に私たちの関心事を知り、有意義な行動を取り、輪の中に留まれるようにすることです。みなさまのご参加をお待ちしています」。

最初の投稿のコメント欄をざっと見てみると、不満を抱えた多くのユーザーが、フォーラムを存続させるか、少なくとも新しいサイトでも同じようなことができるようになる(管理者つきで)ことを望んでいることがわかる。インターネット上には、Teslaやその他のEV関連のフォーラムがたくさんあるが、Tesla公式サイトのフォーラムは、所有者や潜在的な購入者が、同社の製品の良い部分と悪い部分についての正直な情報を共有する場として賞賛される一方で、毒性の砦としても槍玉に挙げられてきた。

「フォーラムを削除しないでください」と、あるコメンターは懇願している。「これは代わりにはなりません。フォーラムは、(荒らしは別にして)仲間のオーナーが問題を解決するのを助けるために、情報に基づいた議論をもたらしてきました」。

確かに、新しいプラットフォームはその代わりではないようだ。それよりも、業界ニュースやTeslaのイベント、キャンペーンを知らせるためのブログのように見える。Teslaの支持者がすでに行っている活動を1カ所に集め、会社の味方となるさらなる支持を促すための取り組みだ。例えば、シリコンバレーのテスラ・オーナーズ・クラブでは、同社の新工場が建設される地域を囲むテキサス州デル・ヴァジェのコミュニティを支援するために、すでに1万ドル(約108万円)の寄付金を集めている。

誰もが批判者というわけではない。プラットフォームの最初の投稿に寄せられたコメントの多くは、管理者つきのフォーラムを求めるものだが、中には同社のカスタマーサービス部門の改善を提案するものや、公共の充電インフラを支援するためのリソースを求めるものもある。新しいエンゲージメントプラットフォームはまだ始まったばかりだ。Teslaのファンが実際にどのようにエンゲージメントするのか、見守ることにしよう。

関連記事:テスラやライバルのリビアらが団結しEVの直接販売法制定を目指す

カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla電気自動車

画像クレジット:Tesla

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラやライバルのリビアらが団結しEVの直接販売法制定を目指す

Tesla(テスラ)、Rivian(リビアン)、Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)、Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)、急成長する電気自動車市場で潜在的なライバルとなるこれらの4社は、少なくとも8つの州で直接販売を可能にする法律を成立させるために協力しており、2021年はそのための法案が提出される可能性が高い。

この法案が可決されれば、Teslaのような大手EV企業のみならず、まだ市場に車両を投入していない新参メーカーのLucid MotorsやRivianも消費者に直接クルマを販売する道が開けるだろう。しかし、Teslaが協力すれば、一部の州では直接販売による独占を失う可能性もある。

Teslaやその他の増えつつあるEV新興企業は、GMやFord(フォード)、Chrysler(クライスラー)といった伝統的な自動車メーカーとは異なるビジネスモデルを持っている。Apple(アップル)がApple Store(アップルストア)で製品を販売するように、Teslaは自ら直営する店舗で車両を販売しており、フランチャイズ契約によるディーラーを持たない。米国では、既存のフランチャイズ加盟店を持つ自動車メーカーが、自ら直接経営の販売店を開設してフランチャイズ加盟店と競合するのを防ぐための法律が、全50州で長年確立されてきた。Teslaの直接販売形態は、この法律の恩恵を受けている自動車ディーラーの怒りを集めている。Teslaと他の同盟企業は、(競合する)フランチャイズディーラーを持たないのだから消費者に直接販売することを認められるべきだと主張している。

Teslaのシニアポリシーマネージャーを務めるThad Kurowski(タッド・クロウスキー)氏はワシントン州で、下院の消費者保護・ビジネス委員会における証言の中で「我々は、他のEV専門メーカーとその希望を支持します。我々と同様に彼らも消費者に直接販売し、投資し、雇用を創出し、自由にそれを行うことが許されるべきです」と述べた。ワシントン州は、このような法案が検討されている多くの州の1つである。Teslaは同州に6つの販売店を構えている。

同様の法案はコネチカット州、ネブラスカ州、ジョージア州、ニューヨーク州、ウィスコンシン州、ペンシルバニア州、ネバダ州でも検討されている。これらの州の中には、すべてのEVメーカーが顧客に直接販売することを禁止している州もあれば、他の企業を除くTeslaのみに許可を与えている州もある。ただし、その場合も開設できる店舗数に上限を設けている。

市場シェアを求めてお互いに競合するだけでなく、旧来の自動車メーカーとも競わなければならないEVメーカーにとって、これは協力関係を築くことができた稀有な瞬間だ。各社の関係は、常にこれほど協力的だったわけではない。Teslaは2020年7月、企業秘密の窃盗と人材の不正引き抜きを主張してRivianを提訴した。Rivianは、この訴訟における3つの主張の中で2つは同社の評判を中傷するための試みに過ぎないと反論した。

関連記事:テスラがRivianを提訴、営業秘密窃盗と従業員不正引き抜きを主張

Teslaは、直販をめぐる州議会との戦いに関してはベテランだ。アリゾナ州、コロラド州、ユタ州を含む少なくとも十数の州では、新たな法律または裁判所を介して、Teslaが消費者に直接販売することを妨げていた禁止事項を覆してきた。

大手自動車メーカーのGMとFordが本拠を構えるミシガン州は、長い間戦場となっている。

Rick Snyder(リック・スナイダー)前州知事が2014年に署名した法案は、ミシガン州自動車販売業者協会が発起人となり支援したもので、Teslaが同州の消費者に直接販売することを禁止するものだった。その2年後、Teslaはミシガン州がTeslaの自動車販売権を否認したとして同州を提訴した。2020年12月、ミシガン州議会は、最初の車両登録を他の州で行う限り(後にオーナーはミシガン州に登録証を書き換える必要がある)、Teslaのみに直接販売を許可する法案を検討した。しかし、このTeslaの特例は法案から削除され、同州内におけるTeslaにとってのわずかな進展を脅かすことになった。しかし、最終的にこの法案は、Teslaの取り決めをそのまま残して廃案になった。

元Teslaの従業員で、EV新規参入企業のLucid Motorsに公共政策責任者として転職したDaniel Witt(ダニエル・ウィット)氏によると、Lucidは直接販売を許可する法案が検討されているいくつかの州で主導的な役割を果たしているという。この法案は、EV企業の連合、EV所有者やEV愛好家、消費者団体による草の根ロビー活動の努力の結果であるとウィット氏は強調している。また、この法案は環境保護団体やクリーンエネルギー団体からも支持を得ている。消費者の選択とアクセスが容易になることは、内燃エンジン搭載車からEVへの移行を後押しする重要な鍵であるというのが、これらの団体の主張だ。

「Teslaの背後でドアが閉ざされた状況は、同社が市場で優位に立とうとしていたわけではなく、議会における交渉の産物に過ぎない」とウィット氏はいう。「ニューヨークでもワシントンでもコネチカットでも、概ね同じ方向に舵を切っています」。

関連記事:テスラの訴訟は「中傷が目的」だとしてRivianが逆訴訟で反撃

ワシントン州自動車ディーラー協会は、TechCrunchに寄せた声明の中で、フランチャイズディーラーはゼロ・エミッション車への移行を支持しており、各地元でそれらのクルマを販売したいと考えているが、直販法案は「メインストリート対ウォールストリートの戦い」だと述べている。

「電気自動車メーカーは、自ら店舗を構えれば我々と同じコストを負担することになるでしょう。しかし、クルマを販売して得た利益は、地域社会に還元するのではなく、州外に住む億万長者の投資家に流れることになります。ブローカーの神話を永続させるだけです」と、同協会は述べている。

同団体は、RivianがFordから5億ドル(約540億円)もの資金を調達したことを指摘している。現在276億ドル(約3兆円)と評価されているリヴィアンには、Amazon(アマゾンを、T. Rowe Price Associates Inc.(T・ロウ・プライス・アソシエイツ)、Fidelity Management & Research Company(フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・カンパニー)、Coatue(コートゥー)、Cox Automotive(コックス・オートモーティブ)、D1 Capital Partners(D1キャピタル・パートナーズ)など、多数の支援者がいる。

「Fordはディーラーネットワークを放棄し、ディーラーが稼ぎ出す利益を、Rivianの所有権拡大に移すつもりなのでしょうか?GMはEV子会社をスピンオフさせて直販に乗り出すつもりなのでしょうか?何がそれらを止められるのでしょうか?」と、同協会は声明で述べている。

なお、FordもGMも、ディーラー網を放棄する計画を表明したことはない。

電気自動車メーカーには、まだこれから法制化までの長い道のりが待っている。通常、法案が法律として成立するためには、立法委員会を通過し、下院と上院の両方で過半数の賛成票を得てから、知事の机に送られ、署名される必要がある。

関連記事:

カテゴリー:モビリティ
タグ:電気自動車TeslaRivianアメリカ

画像クレジット:Rivian

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)