Mediumがオーディオ学習プラットフォームのKnowableを買収

米国時間11月16日、Mediumが2021年の3件目であり最後となる買収を発表した。買収するのはKnowableだ。Knowableはポッドキャストのようなコースを配信するオーディオベースの学習プラットフォームで、Reddit共同創業者のAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、NASA宇宙飛行士のScott Kelly(スコット・ケリー)氏、フードジャーナリストのMark Bittman(マーク・ビットマン)氏などが登場している。

Mediumは2021年にブラウザベースのグラフィックデザインツール「Projector」とソーシャル読書アプリ「Glose」を買収した。

ポッドキャスティングやライブオーディオの業界が拡大する中で、KnowableはMediumがオーディオ教材を求める人々に応える役割を果たすだろう。Knowable共同創業者のWarren Shaeffer(ウォーレン・シェーファー)氏はオーディオ担当バイスプレジデントとしてMediumにジョインし、同氏以外のKnowableのメンバーもジョインする。シェーファー氏はTechCrunchに対し、MediumとKnowableのチームはすでに補完的な取り組みを始めており、詳細は2022年の早い段階で発表する見込みだと述べた。

シェーファー氏はTechCrunchに対して次のように述べた。「専門家やソートリーダーがKnowableでコンテンツを提供しており、その中にはMediumですでに活躍している人もいます。Mediumは自身の成果を共有する、収益化可能な新しいフォーマットです。Knowableのレッスンはすぐに消え収益化できないソーシャルオーディオと、大変な労力を要するポッドキャストやオーディオブックとの間に位置するものです。Knowableが制作サイドの難しい部分を担当することで、クリエイターはオーディオに不慣れであってもすばらしいコンテンツを提供できます」。

画像クレジット:Knowable

Knowableは2019年に創業し、Andreessen Horowitz、Upfront、First Round、Initializedから資金を調達した。月額9.99ドル(約1100円)で100以上のコースを利用できるが、この買収を記念して年額25ドル(約2800円)のキャンペーンを2021年末まで実施している。買収に伴い、Knowableは独立したプラットフォームとして存続するが、将来的にはMediumのサブスクリプションバンドルに含まれる可能性がある。

シェーファー氏は「人々がポッドキャストを聴く最大の理由としてあげるのは学習です。KnowableとMediumは新しいオーディオエクスペリエンスを開拓し、クリエイターとリスナーの両方に対してこのニーズにさらに応えていきます」と述べた。

Knowableはコースを作りたい専門家やソートリーダーから申請を受け付けている。申請が通ると同社がコース開発に協力する。同社は四半期の収益の30%と紹介したメンバーシップの30%を、コースを公開しているクリエイターに分配する。

画像クレジット:Knowable

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

学習アプリ「クァンダ」を開発した韓国のMathpressoにグーグルも出資

幼稚園児から高校生までを対象としたAIベースの学習アプリ「QANDA(クァンダ)」を開発した韓国のEdtech企業Mathpresso(マスプレッソ)は、新たな投資家としてGoogle(グーグル)が加わったことを発表した。

Googleの非公開の投資は、6月に実施されたシリーズC資金調達の一部ではないとのことで、評価額は明らかにされていない。

今回の追加投資は、5000万ドル(約57億円)のシリーズCから5カ月後のことだ。6月の時点で、同社の総資金調達額は1億500万ドル(約120億円)に達していた。同社にこれまで出資した投資家には、SoftBank Venture Asia(ソフトバンク・ベンチャー・アジア)、MiraeAsset Venture Investment(未来アセット・ベンチャー・インベストメント)、Smilegate Investment(スマイルゲート・インベストメント)、Samsung Venture Investment Corporation(サムスン・ベンチャー・インベストメント・コーポレーション)、Legend Capital(レジェンド・キャピタル)などが含まれる。

Mathpressoは、世界的な市場拡大と技術進歩の両面において、Googleとの相乗効果が生まれることを期待している。

クァンダのユーザーの85%以上は、韓国以外の日本や東南アジアに住んでいる。ソウルに本社を置くこのスタートアップ企業は、東京、ハノイ、ジャカルタ、バンコクにオフィスを構え、英語、スペイン語、韓国語、日本語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の7言語に対応している。

Mathpressoは、1:1のQ&Aサービスプラットフォームとしてクァンダを開発した共同CEOのRay Lee(レイ・リー)氏とJake Lee(ジェイク・リー)氏によって、2015年に設立された。同社は2016年に、詳細な数学の解き方や、各ユーザーのレベルに合わせてパーソナライズされた学習コンテンツを提供するクァンダを起ち上げた。2017年に追加されたAIベースの光学式文字認識(OCR)技術は、ユーザーがわからないテキストや数式の写真を撮影すると、それを認識してわずか数秒でユーザーが解き方を検索できるようにする。

クァンダのプラットフォーム上では、毎日約1000万枚の写真がアップロードされているとのこと。同社の主張によれば、クァンダのアプリは4500万人以上の登録ユーザーと30億の教育データポイントを蓄積しており、50カ国で1200万人以上の月間アクティブユーザーを獲得しているという。

Mathpressoは2021年初め、クァンダに新機能を追加した。それは「ひと口サイズ」の短い動画講義を無制限に提供するプレミアムサブスクリプションモデルや、オンライン学習グループのように共同学習を強化するコミュニティ機能などだ。

「Googleによる投資は、Mathpressoにエキサイティングな好機をもたらし、世界中の学生にサービスを提供する当社の能力を高めることになります」と、MathpressoのCFO(最高財務責任者)であるSoo Nahm(スー・ナム)氏は述べている。「最近のシリーズC資金調達と合わせ、今回の投資によって私たちは、グローバルな市場拡大と技術的な進歩を加速させることができるでしょう」。

クァンダはAndroid、iOSそしてウェブブラウザで利用できる。

画像クレジット:Mathpresso

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(文:Kate Park、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テック系の職を目指す女性にトレーニングやメンターを提供するEdTechスタートアップEntity Academyが約113億円を調達

近年、女性がテクノロジーの世界に大きく進出してきたが、雇用者数、報酬、そしてプロダクト開発において、真に公平な状況に到達するまでにはまだ長い道のりがある。Entity Academyは、女性にデータデサイエンス、ソフトウェア開発などの領域のトレーニングやメンタリングを提供し、最終的にはジョブコーチングを目指すEdTechスタートアップだ。同社は、事業の堅調な成長を背景に、その比率を高めようという野心を抱き、1億ドル(約113億円)を調達した。

この資金は、Entity Academyの授業料(通常1万5000ドル[約169万円])を受講者が調達することへの支援に充てられる。同資金の出資者で自身もスタートアップであるLeif(レイフ)は、EdTechプラットフォームに金融サービスを提供し、学生たちが所得分配契約(ISA、学生が就職するまで学費ローンを返済する必要がない制度)を利用できる機会を創出している。

Entityの創業者でCEOのJennifer Schwab(ジェニファー・シュワブ)氏は、2016年以降、外部からの資金調達を事実上行わずに事業を構築してきた。しかし今回の資金調達で、VCの主導による同社初の、より伝統的な株式投資ラウンドの先駆けを得たと同氏は語る。

Entityはeラーニングコンテンツ自体を制作するのではなく、Springboard(スプリングボード)やLambda School(ラムダ・スクール)、Columbia University(コロンビア大学)などのプロバイダーから提供されるデータサイエンス、ソフトウェア開発、フィンテックエンジニアリング、テクノロジーセールスのオンラインコースを、24~33週の「ブートキャンプ」スタイルのコースに集約している。(大学からのコースは機関が作成したものがそのまま提示される傾向にあるが、他のコースはEntity自身が受講者に合わせてカスタマイズしている)。

Entityのテクノロジーへの関わりは、同社のカリキュラムがテクノロジーにフォーカスしていることに留まらない。EdTechスタートアップから想像されるように、Entityもまた、戦略とビジネスを構築するために収集されるデータに大きく基礎を置く。

このデータは、過去や現在の受講生からのフィードバックや受講生の成果だけではなく、他のチャネルにも基づいている。同社の「コンテンツ部門」のEntity Mag(エンティティ・マグ)は、かなり興味深いことにソーシャルメディア上で急速に拡散し、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)で110万人を超えるフォロワーを獲得しており、エンゲージメント(将来の学生も含まれるだろう)に向けた別の切り口の主要チャネルとなっている。

Entityはこれらすべてを使って、提供するコースやカリキュラムの内容、またその学習を補完する最良の方法についてキュレートする。Entityのコースには現在、テック業界で働く人々による対象を絞ったメンタリングや、求職に向けたキャリアコーチングも含まれている。

Entityのスイートスポットは枝分かれしている、とシュワブ氏はインタビューで語っている。

その分岐要素は、新規の女性(典型的には19~23歳)と、新しいキャリアに再挑戦するかキャリアを再考する女性(典型的には30~39歳)である。どちらのカテゴリーの女性も、テック系の仕事や、より技術的なプロモーションを考えたいが、そのための専門知識が不足していることを認識し、Entityを訪れている。その多くは大学で人文科学やその他の非技術系科目を学んでおり、概して、技術的な役割への扉を開くための文字通りの再訓練を提供するような職場環境でのサポートを得られていない。

加えて、これらの女性の多様性の組み合わせも存在し、そのコホートに異なる種類の課題を提起しているが、課題に取り組む手助けをするEntityにとってはそれが大きな推進力にもなっている。19~23歳のグループの約55%は有色人種の女性であり、30~39歳では62%を占める。Entityは「ラップアラウンド(包み込み)」戦略と同社が表現するように、このような女性たちすべてに対して、テック系の仕事に就く上でのそれぞれの課題に対処するツールを提供することを目指している。

「受講生の多くは、過去にSTEMプログラムを追求したことがないと思います」とシュワブ氏は述べ「そのため、私たちは一からスキルセットを構築しています」と続けた。

受講生の約80%が授業料を支払うために何らかの融資を受けており、Entityがそのための手段を強化している背景がうかがえる。

2016年以降、ほぼすべてが女性である400人余りの受講生が同社のコースを修了している。しかし、当初はかなり短期間のプログラム(6週間)として開始され、すべて対面式で費用は5000ドル(約56万円)であった。現在では8カ月間のコースが多数存在し、すべてがバーチャルとなっており、費用も人数も増大している。シュワブ氏によると、さらに300人が同社のコースを受講中で、来年は1500人になる見込みだという。

Entityの成長は、EdTechの拡大、そして「Future of Work(未来の働き方)」のトレンドと密接に結びついている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、eラーニング業界に思いもよらない、大きな苦労をともなう期待を生じさせた。教育者はリモートでのかつてない需要に突如として直面し、それを支援するためのツールを各企業が構築してきた。この需要は、従来の学習環境のバーチャル化の必要性のみならず、パンデミックのために多くの人々が自ら進んで、あるいはやむを得ず、自分たちの生活で何をすべきかを再考するようになったことにもよるものだ。オンライン教育は、他にほとんど何もできないときに何かをするための重要な手段の1つになっている。

Entity自身のストーリーは、これらのストーリーラインの両方に適合する。

同社は、シュワブ氏が自身のキャリアの初期にErnst & Young(アーンスト・アンド・ヤング)でアドバイザーを務めていたときの経験をもとに、ロサンゼルスで設立された。

「私の当初の目標は、女性のキャリアに対する考え方をグローバルに変革することでした。Ernst & Youngに入社した当時は女性のメンターがいなかったことから、女性をより良くメンターする方法について考えるようになったことが原動力となりました」とシュワブ氏は回想する。同氏は「(馴染みのある場所とは違う)島にいるような感じ」はそれ自体は良くないことだとしながらも、それは(同氏のキャリア上経験のなかった)教育と職業斡旋に向けての漸次的な進化であり、メンタリングと並行して行われたのは「女性がテック系の仕事に就かない理由を(別の理由として)特定した」からだと言い添えた。

2016年に同社がそのコンセプトを最初に具現化したのは、ロサンゼルスの1920年築の建物に設置された実店舗型の学習センターとしてであった。それは説得力を持つセールスだった。学習期間が短く、対面式であるため、完了率は96%で、終了時にはコホートの90%以上に仕事がもたらされた。「個人としての直接的なアカウンタビリティははるかに大きなものがあります」とシュワブ氏は語っている。

パンデミックは、当然ながらEntityをそのモデルから引き離したが、同時に規模拡大のレバーにもなった。2020年にラスベガスの新本社からバーチャルプログラムとして再スタートした際には、受講者数が増加し、コース期間が延長された他、より長期の契約を反映して授業料も増大した。

その一方で、完了率が低下するというマイナス面も生じており、同社が改善に取り組むべき優先事項の1つであるとシュワブ氏は述べている。

同社のプログラムのメンターは、バーチャル化によって拡大した事業の別の側面だ。当初、メンターは全員無給のボランティアで、より多くの女性が業界で優位に立てるように手助けしたいと思っていたか、より便宜的に学生との接触を雇用のための資金源として利用していた。この点についても、オンラインのエンゲージメントとともに進化している。

「今ではメンターに報酬を支払い、プロのモデレーターを雇って、メンター主導のディスカッションを一定のペースで進めています」とシュワブ氏。講演者は奨学金や保育料を寄付することが多いという。受講生グループ向けの講義にフォーカスしているメンターや、通例的には受講生が学ぶ技術的科目に関連している個別対応に従事するメンターなど、現在Entityのネットワークには約250人のメンターが在籍している。シュワブ氏によると、この数字は来年には500人に倍増することが見込まれている。

同社が学びを提供する領域への求職の側面については、おそらくこれまでのところあまり発展していないのだろう。Entityのウェブサイトの下部には、Entity Academyは伝統的な教育に取って代わるものではなく、補完的なものであるという注意書きとともに「仕事の斡旋を保証するものではない」と小さな文字で書かれている。

しかしながら、オポチュニティのポテンシャルもそこには感じられる。その意味では、The Mom Project(ザ・マム・プロジェクト)のように、雇用市場における女性の大きな格差だけではなく、それに対処するための仕組みがあまり整っていないという事実に焦点を当て、明確に女性層をターゲットにするオポチュニティに目を向けている企業もある。ありがたいことに、状況は変わりつつあるようだ。

画像クレジット:AleksandarNakic / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

忙しいテック系起業家のためのオンデマンドビジネススクール「Framework」

ビジネス教育は、率直に言って、3兆ドル(約340兆円)規模の世界的なテクノロジー系スタートアップ経済の活況に追いつくことが難しい状況にある。高成長企業は時間に追われており、それらの経営者も同様だ。だが、彼らに提供される授業は長くて退屈なものも多く、その質もさまざまである。理想を言えば、ビジネス教育はもっとオンデマンドで、ターゲットを絞り、実践的で、バイトサイズ(ひと口で食べられるサイズ)であるべきだ。

つまり、それがFramework(フレームワーク)という企業の考え方の基本だ。同社は「オンデマンドのビジネススクール」を実現するために、200万ドル(約2億3000万円)のシードラウンドを実施した。このEdtechプラットフォームによると、2022年のローンチに向けて、現在すでに2500人以上が予約リストに登録されているとのこと。

そのアイデアは次のようなものだ。Frameworkの会員は、Slack(スラック)、ASOS(エイソス)、Flo Health(フローヘルス)、Netflix(ネットフリックス)といった企業の技術管理者から、1単位15分の「フレームワーク」や、週に一度の「オフィスアワー」ライブセッションを通じて、直接学ぶことができる。メンバー同士で1対1のコネクションを作ることもできる。これは「snackable(間食のように、気軽に楽しめる)」なコンテンツと呼ばれたりする。

Frameworkは、欧州を中心とした世界のエリートテック系起業家のプライベートネットワークであるFounders Forum(ファウンダーズ・フォーラム)が作った9カ月間の「無料の代替MBA」と呼ばれるFounders Academy(ファウンダーズ・アカデミー)からスピンアウトした会社だ。

同社は、Learn Capital(ラーン・キャピタル)のシードファンドであるLearnStart(ラーンハート)、Evio(エヴィオ)、Atomico(アトミコ)やAda Ventures(エイダ・ベンチャーズ)のエンジェルプログラムからも支援を受けている。何人かのエンジェル投資家も参加しており、その中にはlastminute.com(ラストミニット・ドット・コム)やMADE.com(メイド・ドット・コム)の共同創業者であるBrent Hoberman(ブレント・ホバーマン)氏、Ada Health(エイダ・ヘルス)共同創業者のClaire Novorol(クレア・ノボロール)氏、Monzo(モンゾ)の元COOであるTom Foster-Caster(トム・フォスター・キャスター)氏、Lendable(レンダブル)の共同創業者であるVictoria van Lennep(ヴィクトリア・ヴァン・レネップ)氏、NetflixのHRディレクターであるAaron Mitchell(アーロン・ミッチェル)氏などが含まれる。

Frameworkの共同創業者であるAsha Haji(アシャ・ハジ)氏は、次のように述べている。「私たちのミッションは、世界中のスタートアップやスケールアップのための頼りになる学習コミュニティを構築することによって、新世代のテックリーダーを育成することです」。

同じく共同創業者のRiya Pabari(リヤ・パバリ)氏は「有色人種の2人の女性創業者として、VCコミュニティからもっと注目されるべきなのに過小評価されている創業者たちのために、旗を掲げるチャンスでもあります」と付け加えた。

ハジ氏は電話で私にこう語った。「長時間式の学習は、スタートアップ企業で働くほとんどの人にとって、時間的な負担が大きいために利用できません。私たちがやっているのはマイクロラーニングです。本当に毎日やること、実践的な質問をすることが大事です。コンテンツだけでなく、コミュニティも充実しています。お互いに1対1で関わることができます」。

Founders Forumの共同設立者であり、Frameworkの投資家でもあるブレント・ホーバーマン氏は次のように述べている。「Frameworkのバイトサイズのレッスン、実用的なチートシート、魅力的なコミュニティ機能は、業界が待ち望んでいたモダンな学習プラットフォームであり、リヤとアシャはそれに命を吹き込む強力なコンビです」。

画像クレジット:Framework / Framework founders, Riya Pabari and Asha Haji

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフトが教育市場向けに安価なノートPC「Surface Laptop SE」とWindows 11 SEを発表

Microsoft(マイクロソフト)は、新型コロナウイルス流行によって変わった「新しい教室の形」に参入を図るため、Windows 11の縮小版と、Surface(サーフェイス)ブランドの他、いくつかの他メーカー製の安価なノートPCを用意した。同社がこの分野で人気の高いGoogleのChromebook(クロームブック)を視野に入れていることは明らかであり、パートナー企業もこれに賭けることにしたようだ。

詳しい紹介に入る前に、まず、このWindows 11 SEの「SE」が、Windows 98 SEの「second edition(第二版)」、iPhone SEの「special edition(特別版)」、Macintosh SEの「system expansion(システム拡張)」などと違い、特に何かを意味するものではないことを確認しておこう。このSEは「HomeやProなどの他のエディションと明確に区別するためのもの」であるとマイクロソフトはいうが、なぜそれがまったく意味のない頭文字ではなく「Students and Educators(学生および教育関係者)」の略だとはっきりいわないのか、私には理解できない(そう、誰かの真似でも問題ないと思うのだが)。

名前の由来はともかく、今回発表された「Surface Laptop SE(サーフェイス・ラップトップSE)」は、マイクロソフトがこの分野で実現したいと考えていることの観念的な形、あるいはリファレンスデザインと言えるかもしれない。これは基本的な機能を備えた250ドル(約2万8000円)のノートPCだが、リモート授業や修理しやすさを考慮して設計されている。

スペックは誰も驚くようなものではないが、これは4K VFXワークステーションではなく、宿題やリモート学習用のマシンを想定しているのだ。いくつか箇条書きにしてみよう。

Intel Celeron N4020またはN4120シリーズ(グラフィック統合型)

  • 4GBまたは8GBのRAM
  • 64GBまたは128GBのeMMC内蔵ストレージ(拡張不可)
  • 720pのウェブカメラ(「改良された顔認識」機能付き)
  • Wi-FiおよびBluetooth
  • USB-A×1、USB-C×1、3.5mmヘッドフォンジャック

USB-Cを充電に使用する機能が欠けているものの(昔ながらの円筒形の電源コネクター用ポートが別に備わる)、この価格のマシンに期待するような仕様としては過不足ない。

画像クレジット:Microsoft

ただし、画面解像度1366 × 768の11.6インチ・ディスプレイは別だ。もちろん、これは子ども向けを想定したものではあるが、それでもこの価格で買えるChromebookには、1080pのスクリーンを搭載する機種があり、文字の鮮明さと動画の質が大きく向上する。どちらもこのようなノートPCに最適化が求められるものだ。

マイクロソフトによると、高級ノートPCに搭載されている強固なキーボードを、このデバイスにも採用しているとのこと。これは良いニュースだ。また、修理性を重視している点も歓迎できる。「ディスプレイ、バッテリー、キーボード、さらにマザーボードまで、重要なコンポーネント現場で簡単に修理することができるため、IT管理者や学校にとって時間とコストの節約になります」と、マイクロソフトは記している。

マイクロソフトの他にも、Acer(エイサー)、ASUS(エイスース)、Dell(デル)、Dynabook(ダイナブック)、富士通、HP、JP-IK、Lenovo(レノボ)、Positivo(ポジティーボ)から、同様のデバイスが販売されるが、これらのマシンはIntelまたはAMDのチップを搭載しており、スペックにも多少の違いがあると思われる。すべてが新製品というわけではない(例えば、すでにDynabookのE10は2021年前半に発売されている)が、新しいOSに適合している。

これらのノートPCに搭載されるWindows 11 SEは、学校が大量に導入しやすいように設計されたOSだ。上述のハードウェアに最適化されており、Microsoft 365をはじめとする一般的なアプリやサービスがあらかじめインストールされているため、迅速かつ簡単にプロビジョニングできる。学校のIT部門だけがアプリの追加や削除をできるようにしたり、ウェブサイトの閲覧も制御できる。自動更新、クラウド管理といった機能も、すべて揃っている。

マイクロソフトのWindows 11 SEは、2つのアプリを横並びに固定できる。画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトは発表文の中で、必ずしもすべての学生が自宅のインターネット環境に頼れるわけではないと指摘。そこで同社は、内蔵アプリがインターネットに接続できない環境でも動作するようにした。Microsoft 365アプリはオフラインでも使用でき、OneDriveは変更をローカルに保存しておき、Wi-Fiに接続した時点で自動的に同期する。

マイクロソフトは、主力OSの用途限定的な派生版では悲喜こもごもの思いをしてきた。Windows RTは最も有名な失敗作だったが、11 SEはそれとはまったく異なる。確かに、特定のハードウェアで動作するように作られており、多くの基本機能がロックされているものの、実際にそういうものを求める特定の市場を対象にしている。

かつて一時的に人気を博したネットブックも、ほとんど誰の役にも立たないものではあったが、今では必要最低限のPCとブラウザがあれば多くのことができるようになっている。願わくは、これらの控えめなノートPCが生徒たちの手に渡ることで、リモート学習の現状が少しでも改善されることを期待したい。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

シンガポールのエドテックDoyobiは教師を通じて子供たちのSTEM教育に貢献

EdTechブームは主に学生を対象としているが、教師も学ぶ者の1人だ。シンガポールを拠点とするプロフェッショナル開発プラットフォーム「Doyobi(ドヨービ)」は、教育者がSTEM科目(科学・技術・工学・数学)を教えるための新しい魅力的な方法を提供したいと考えている。このスタートアップ企業は米国時間10月21日、Monk’s Hill Ventures(モンクス・ヒル・ベンチャーズ)が主導したプレシリーズAの資金調達で、280万ドル(約3億2000万円)を調達したことを発表した。

今回のラウンドには、Tres Monos Capital(トレス・モノス・キャピタル)、Novus Paradigm Capital(ノーヴァス・パラダイム・キャピタル)、XA Network(XAネットワーク)の他、Carousell(カルーセル)の最高経営責任者であるQuek Siu Rui(クエック・シウ・ルイ)氏、Glints(グリンツ)の共同設立者であるOswald Yeo(オズワルド・ヨー)氏とSeah Ying Cong(シーア・イン・コン)氏、Grab Financial Group(グラブ・ファイナンシャル・グループ)の代表であるReuben Lai(リューベン・ライ)氏などのエンジェル投資家が参加した。

Doyobiのプラットフォームには、教師向けのトレーニングや生徒のためのインタラクティブなコンテンツが含まれており、現在は東南アジア、中東、アフリカの10カ国以上で約2000人の教師に利用されている。その中でも特に大きな市場は、インドネシアとフィリピンの2カ国だ。Doyobiは、教育プラットフォームであるLeap Surabaya(リープ・スラバヤ)やCoder Academy(コーダー・アカデミー)の他、HighScope Indonesia(ハイスコープ・インドネシア)、Mutiara Harapan Islamic School(ムティアラ・ハラパン・イスラミック・スクール)、Stella Gracia School(ステラ・グラシア・スクール)などの私立学校と提携している。

Doyobiは2020年、STEMに特化した教育プログラム「Saturday Kids(サタデー・キッズ)」からスピンオフして設立された。共同創業者兼CEOのJohn Tan(ジョン・タン)氏は、8年間運営してきたSaturday Kidsでは、世界中にSTEMスキルを学ぶ必要のある子どもが何百万人もいるにもかかわらず、年間数千人の生徒にしかリーチできていなかったと、TechCrunchに語った。

「学校で教えられていることと、子どもたちが将来の仕事に備えるために必要なこととの間には、大きなギャップがあります。好奇心、想像力、共感力は、読み書きや計算のスキルと同様に重要です」と、タン氏は述べている。「教師は学習成果を形成する上で非常に大きな役割を果たしているのに、ほとんどのEdTechイノベーションは教室にいる教師を完全に対象から外してしまっています」。

多くの政府が、経済成長におけるSTEMスキルの重要性を理解しているにもかかわらず、カリキュラムにSTEMスキルを組み込むことに苦労していると、同氏は付け加えた。Doyobiは教師を通して生徒にリーチすることで、この問題を解決したいと考えている。

Doyobiは、ライブビデオレッスンなどの教師向け啓発トレーニングに加えて、教育者が子どもたちと一緒に使える独自の仮想学習環境を構築した。これには、新しいスキルの実社会への応用、インタラクティブメディアの使用、Scratch(スクラッチ)を使ったコーディングプロジェクトなどが含まれており、生徒が授業で学んだことを強化することができる。DoyobiはTeachers As Humans(人間としての教師)というオンラインコミュニティも運営しており、そこでは教育者がピアサポート(同じ立場にいる人同士の相互サポート)を受けられる。

Doyobiは今回調達した資金を使って、教育者向けのコースを増やしたり、生徒向けのビデオ、クイズ、プロジェクトなどの教材をさらに充実させていく予定だ。

画像クレジット:Karl Tapales / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

トップクリエイターから学べるライブ動画プラットフォームのBrightが16億円調達

ファンたちがお気に入りのクリエイターや著名人とライブで会話をすることができるライブ動画プラットフォームBright(ブライト)が新たに1500万ドル(約16億円)の資金を調達したと発表した。この調達ラウンドは、同社の共同創設者でタレントマネージャーのGuy Oseary(ガイ・オザリー)氏がAshton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏とともに設立したファンド、Sound Ventures(サウンド・ベンチャーズ)が共同で主導。RIT Capital(RITキャピタル)とRegah Ventures(レガー・ベンチャーズ)も共同主導している。

その他にも、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏のTIME Ventures(タイム・ベンチャーズ)、Globo Ventures(グローボ・ベンチャーズ)、Norwest Venture Partners(ノースウェスト・ベンチャーズ・パートナーズ)、Shawn Mendes(ショーン・メンデス)氏とマネージャーのAndrew Gertler(アンドリュー・ガートラー)氏のAG Ventures(AGベンチャーズ)の他、Twilio(トゥイリオ)のCEO兼共同設立者であるJeff Lawson(ジェフ・ローソン)氏などが同ラウンドに参加している。

さらにBrightによると、Rachel Zoe(レイチェル・ゾー)氏、Drew Scott(ドリュー・スコット)氏、Jonathan Scott(ジョナサン・スコット)氏、Judd Apatow(ジャド・アパトー)氏、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏、Amy Schumer(エイミー・シューマー)氏、Bethenny Frankel(ベセニー・フランケル)氏、Ryan Tedder(ライアン・テダー)氏など、多くのアーティストやパフォーマー、俳優などさまざまな著名人が出資しているという。また、Jessica Alba(ジェシカ・アルバ)氏、Kane Brown(ケイン・ブラウン)氏、Maria Sharapova(マリア・シャラポワ)氏がアドバイザーとして参加している。

5月に誕生したBrightは、マドンナやU2のタレントマネージャーであるオザリー氏と、YouTube(ユーチューブ)初期のプロダクトマネージャーであるMichael Powers(マイケル・パワーズ)氏が共同で設立した会社である(パワーズ氏は以前Google在籍中にYouTubeチャンネル機能を立ち上げた経験もある)。同スタートアップの目的は、成長中のクリエイター経済を活用してクリエイターらがYouTubeのような広告ネットワーク以外でマネタイズできるような仕組みを作り、クリエイター自身でビジネスを成長できるようにすることである。

同社のプラットフォーム自体はZoomを基盤として構築されている。これによりリアルタイム動画の技術をゼロから作る必要がなくなった上、パンデミックによって広く普及したZoomを活用すればその分のメリットがあるというわけだ。

サービスを開始した当初、200名以上の著名なクリエイターが自身のストーリーや専門知識を共有したり、インタビューに答えたり、アドバイスをしてくれるというチケット制のオンラインイベントを開催すると発表した同社。現在では320人以上の著名人が同サービスに参加し、ファンとの交流や自身のブランド構築を続けている。その中にはMadonna(マドンナ)、Naomi Campbell(ナオミ・キャンベル)氏、D-Nice(Dナイス)、D’Amelio Sisters(ダミリオ・シスターズ)、Laura Dern(ローラ・ダーン)氏、Deepak Chopra(ディーパック・チョプラ)氏、Lindsey Vonn(リンゼイ・ボン)氏、Diego Boneta(ディエゴ・ボネータ)氏、Jason Bolden(ジェイソン・ボルデン)氏、Yris Palmer(イリス・パーマー)氏、Cat & Nat(キャット・アンド・ナット)、Ronnie2K(ロニーツーケー)、Chef Ludo Lefebvre(シェフ・ルード・ルフェーブル)氏などが名を連ねている。今後のセッション開催に向けてさらに多くのクリエイターが続々と参加しており、同社は年末までに参加クリエイターの数を倍増させる予定だという。

ソーシャルメディアのクリエイターツールとは異なり、同社のサービスは単に「いいね!」や「フォロー」を獲得するのではなく、知識を共有することに重点を置いている。例えば最初のセッションでは、俳優のローラ・ダーン氏が「自己成長」について語ったり、ストリーマーでオンラインクリエイターのRonnie2Kが「ゲーム界でのキャリア構築」についてシリーズを開催したりしている。つまり、Brightでは単にハリウッドの娯楽やトップアーティストを売りにしているのではなく、彼らの話を聞くためにお金を払ってくれる誰もが顧客になり得るのである。

現在ではクラフト、ホーム、マネー、カルチャー、ボディ、マインドなどの各分野でさまざまな興味やトピックのセッションが行われている。

Brightのセッション例

同社はクリエイターの収入に対して20%の手数料を取ることで収益を得ている。これは従来のマーケットプレイスの30:70(プラットフォーム:クリエイター)という比率よりはやや低いが、手数料なしのダイレクトペイメントを提供するClubhouse(クラブハウス)のような新しいプラットフォームよりは高額な設定となっている。

関連記事:Clubhouseがクリエイター6万人以上に投げ銭機能「Payments」を提供開始

今回の資金調達は、学習セッション、視聴者とのコミュニケーション、収益パフォーマンスを管理するための新しいクリエイターツールセットであるCreator Studio(クリエイター・スタジオ)の展開に使用されるという。これらのツールはファンベースの拡大に加え、ライブセッションによってビジネスを構築しようとしているクリエイターに向けたものである。

まず、9月にクリエイターたちに提供されるのは、今後開催されるセッションの告知を管理したり、チケットや価格を設定してセッションを販売したりするためのセッションリストツールだ。その後、分析機能や参加者に直接メッセージを送るための接続機能、収益をトラッキングするためのウォレット機能などが追加される予定だと同社は伝えている。

同社は今回の資金により、即時投票や学習資料を参加者と共有する機能などのインタラクティブな新機能を追加したり、新しく入ってきた人材のオンボーディングに使用したりすることができるようになるという。

YouTube、Facebook(フェイスブック)、TikTok(ティックトック)、Twitter(ツイッター)などの大手企業をはじめ、オンラインクリエイターにサービスを提供しようとする競合他社が増え続ける中、これらの機能はBrightを際立たせる重要な要素となるかもしれない。しかし今のところは、ビッグネームを呼び寄せることのできるオザリー氏の個人的なネットワークの強みの方がより注目すべき差別化要因と言えるだろう。

「私は生涯学習というコンセプトに深く共感しているため、オーディエンスが最も尊敬するアーティストや専門家から直接学べる類い希な機会を提供するBrightのようなプラットフォームに投資できることを誇りに思います」と新規投資家で監督兼プロデューサーのジャド・アパトー氏は声明内で伝えている。「Brightを通じて作家仲間や監督志望者、コメディを愛する人たちと直接つながり、知識を共有することができるのです」。

Brightは収益の詳細については公表していないものの、1〜2時間のセッションで25ドル(約2750円)から150ドル(約16500円)のチケットを販売しているとTechCrunchに話してくれた。

BrightのCEOであるパワーズ氏は次のように述べている。「著名なアーティストや起業家だけでなく、すばらしい投資家の支援を得ることができ、大変うれしく思っています。憧れの人から直接学ぶことで人生をレベルアップさせたいというBrightのビジョンを全パートナーが共有しています。Brightを通じて著名人は自らの知識を共有し、そのトピックや情熱を前面に押し出すことで、オーディエンスとより真摯に向き合うことができます。我々のプラットフォームとミッションをさらに向上させるための新機能を本格展開できることに胸を躍らせています」。

画像クレジット:Bright

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

フリーランスのマーケットプレイスFiverrが学習プラットフォームのCreativeLive買収

フリーランスのマーケットプレイスであるFiverr(ファイバー)は、米国時間10月7日朝、シアトルを拠点とするオンライン学習企業のCreativeLive(クリエイティブライブ)を非公開額で買収すると発表した。CreativeLiveは、ユーザーが動画、写真、デザイン、ビジネス、マーケティングなどのコースを受講できる起業家向けの学習プラットフォームだ。

企業とオンデマンドのフリーランサーをつなぐオンラインマーケットであるFiverrは、変化する労働環境の中で新しいスキルを身につけることができるCreativeLiveの力が、Fiverrのプラットフォーム上で買い手と売り手の変革を導く役割を果たすと説明している。

「Fiverrは単なる仕事のプラットフォームではなく、フリーランスのライフスタイル全体をサポートするものであると私たちは信じており、それには専門的な教育やトレーニングも含まれます」と、Fiverrの創業者兼CEOであるMicha Kaufman(ミカ・カウフマン)氏は、声明の中で述べている。「今回のCreativeLiveの買収は、この幅広い戦略の一環です。CreativeLiveが提供するコースは、内容の深さと水準の高さが並外れており、それらを私たちのコミュニティ全体に提供できることを楽しみにしています」。

CreativeLiveの掲げる講師陣には、ピューリッツァー賞、グラミー賞、オスカー賞受賞者、New York Times(ニューヨーク・タイムズ)紙のベストセラー作家、著名な起業家など、多彩な顔ぶれが揃っている。魅力的な学習体験を作り上げたCreativeLiveの専門知識は、Fiverrのプラットフォームに自然に適合すると、Fiverrは述べている。

CreativeLiveは、今後も独立したサービスとして存続し、シアトルにある現在の本社でチームを拡大していく。Fiverrが現在提供しているオンライン学習プラットフォーム「Fiverr Learn(ファイバー・ラーン)」は、買収後にはCreativeLiveに統合され、内容の拡大を図ることになる。

「私たちの未来は、創造や革新を成し遂げ、速いペースで仕事をする環境に適応できる人や会社にとって、有利なものになります」と、CreativeLiveの創業者兼CEOであるChase Jarvis(チェイス・ジャーヴィス)氏は、声明の中で述べている。「私たちはFiverrファミリーの一員となり、私たちのコミュニティやFiverrコミュニティ、そして現代の労働人口のために、経済的機会を高めることができる魅力的なコースを増やしていけることを、大変うれしく思います」。

CreativeLiveは「未来における創造性、学習、仕事の交差点に座る」ことを目指し、クリエイティブプロフェッショナルのためのオンラインコースに存在するギャップを埋めるために、2010年に設立された。以来、2000以上のクラスを提供し、1000万人以上のユーザーを獲得している。

同じ2010年に設立されたFiverrは、直近の会計年度において、160カ国以上にわたる400万人の顧客が、同社のプラットフォームに登録しているフリーランサーからサービスを購入したと述べている。同社は2019年にニューヨーク証券取引所へ上場を申請した

Fiverrは2021年2月、従来のプロジェクトごとに支払うやり方を拡大し、3カ月または6カ月のサブスクリプションで購入する方法を導入した。この機能により、Fiverrの売り手であるフリーランサーは、毎月一定の業務を提供することができるようになった。これは買い手(発注主)も売り手(フリーランサー)も、いつでもキャンセルすることが可能で、その場合は残りの月額料金の支払いは発生しない。

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画像クレジット:Fiverr

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】ハイテクとハイタッチのハイブリッドがパンデミック後の教育新時代を築く

パンデミック渦の教育におけるテクノロジーの役割について、これまで多くの議論が繰り広げられてきた。それもそのはずである。デジタルソリューションは、不確実な状況下や休校のような事態にも、学校コミュニティが学習を継続することを可能にしたからだ。

しかしEdTechの台頭は大きな課題と向かい合わせの状態でもある。2020年3月にパンデミックで学校が閉鎖されて以来、教育機関は生徒がコンピューティングデバイスやインターネットにアクセスできるようにするための投資を行ってきた。

テクノロジーに不慣れな教師たちが即席の仮想教室でリモート授業を行う方法を学び、テクノロジーに精通するようになった。しかし、デジタル学習がここまで進展したにもかかわらず、教室での対面式授業という社会的側面が中断された結果、2020年から2021年の学校年度を終えた生徒の読解力と数学の成績は平均で4〜5カ月遅れていることがMcKinsey & Companyの最近の調査で明らかになった。

教師がソフトウェアを使って、指導を差別化したり個人に合わせて行ったりすることができるようになり、デジタル学習の可能性は見えてきた。しかしここで終わらせてはいけないのである。この1年半の間に「テクノロジー」は「バーチャル」とほぼ同義語になり、多くの子どもたちはデバイスの向こう側で孤独を感じ、仲間や教師とのつながりを求めていたのである。

私たちは今、これまでに学んだことを活かして教育の新時代の到来を告げるべきなのである。それは、テクノロジーを有意義に活用しながらも、人とのつながりを中心とした教育であり、魅力的なソフトウェアとすばらしい教師のどちらか1つを選ばなくて良い教育である。この秋新学期が始まるが、これからは最高のテクノロジーと最高の教室体験を融合させていくことが重要なのである。

HMHは先に、毎年恒例のEducator Confidence Reportの結果を発表した。今回の結果はパンデミック後の教室の特徴を示す重要な洞察を描き出している。

全米各地の第一線で働く1200人以上の教育者が回答したこの調査。楽観的な見方は減少しているものの(自分の職業の状況について、やや肯定的または肯定的な見方をしていると回答した教育者はわずか38%)、学習テクノロジーの習得と恩恵に対する自信は上昇しているようだ。

私たちは今、デジタルに関して見通しの段階から証明する段階へと移行しているのである。

激動の1年ではあったものの、テクノロジーに対する教師の現状への見解は、デジタルソリューションをより目的を持って利用するための道を開く明るい材料となった。

教育関係者のEdTech活用に対する自信は、7年前にこの調査を開始して以来過去最高となっており、66%の教員が自分の能力に非常に大きな自信を持っていると答えている。多くの教育関係者がその理由として、2020年3月に「窮地に追い込まれた」経験があったからこそだと答えている。現在ではほぼ満場一致で95%の教師がEdTechの効果を実感しており、77%がパンデミック後もより効果的に教育するためにテクノロジーを活用したいと考えている。

重要なのは、教師がどのようなメリットを感じているかということだ。81%の教師が、生徒のエンゲージメントの向上、差別化された個別指導、教育コンテンツへの柔軟なアクセスの3つの利点のうち少なくとも1つを報告しており、これらはいずれも生徒を中心としたものである。

テクノロジーがより大きな役割を果たし、より効果的になっているにもかかわらず、教育者たちはデバイスやインターネットへのアクセス不足など、アクセスや効果を妨げる重大な障壁が依然として存在すると報告している。57%の教育者が、生徒がテクノロジーに積極的に関与していないことが大きな障壁になっていると指摘しており、また半数以上の教育者が、デジタルリソースを授業に組み込む計画を立てる時間がないことが最重要課題であると答えている。

生徒の心の健康が教育関係者の最大の関心

教育と学習の中心にあるのは、教師と生徒の間に築かれ育まれる強い結びつきであり、それが学業や社会性の成長の基盤となり学習意欲を高めるということは、誰もが認識していることだ。私たちはこのつながりを断ち切り生徒を孤立させるようなテクノロジーによって、この重要な関係を曖昧にさせてはならず、今回の調査データはそれをしっかりと証言している。

教育関係者の58%がパンデミック後に生徒の社会性と情動のニーズが高まることを懸念しており、そのニーズには2021年も引き続き高い関心が寄せられている(これは教師自身の給与や生徒が遅れをとることへの懸念を上回る数字である)。そして82%の教育関係者が、工夫凝らし、完全に統合された社会性と情動の学習(SEL)プログラムが効果を表すだろうと考えている。

「パンデミック後の教育モデル」への移行を開始するためには、テクノロジーの力と従来通りの教室での学習を融合させた、ハイテクとハイタッチ、つまり人間らしい触れ合いが互いに補強し合う、両世界の長所を活かしたアプローチが有効になるだろう。

教育者たちのユニークな経験から見えてくる、未来の教室の姿

テクノロジーだけでは教育の新時代を切り開くことはできない。コミュニティ志向かつ人間のつながりを重視したマインドで、デジタルソリューションを活用していくことが重要だ。

HMHでは、孤立ではなくエンゲージメントを促すEdTech・エコシステムを目指している。単なる「ガラス画面の下の1ページ」ではなく、教師が指導を差別化できるような実用的なデータや洞察を提供するソリューションを提供し、教育者の負担を増やすのではなく、むしろその能力を拡張して、生徒の社会性と情動のニーズに集中する時間を与えるイノベーションを目指している。

教育関係者らが、こういった目標を達成するためのテクノロジーの潜在性を信じているということは、はっきりとわかった。82%の教育関係者が生徒1人ひとりに合わせた学習が将来の学習と教育を変えると考えており、75%の教育関係者が、指導と評価を1つのプラットフォームで行える技術ソリューションが、この変革に不可欠であると考えている。

この1年でEdTechの可能性は飛躍的に高まっているが、教室の未来は単にハイテクだけではなく、ハイタッチでもあるのだ。

教育関係者にパンデミック後に最も楽しみにしていることを尋ねたところ、その答えは明らかで「学生コミュニティと一緒にいられること」だった。80%が学生と直接交流できることを、74%が学生のエンゲージメントが高まることを、63%が学生間のコラボレーション機会があることを心待ちにしている。

対面式学習とデジタル学習をめぐる熱い議論は、デジタルかアナログかという極端な対立を生み出す短絡的なものになりがちだ。しかしこれが対極にあるものという考えをやめ、相互に補完し合うものだという考えを受け入れることができたら、私たちは最大の成功を手に入れることができるだろう。

2020年私たちは多くのものを失ったが、同時に重要なものも手に入れた。そしてこの勢いを継続することは可能である。私たちは社会として、目の前の健康リスクを評価し、職場や地域、そしてもちろん学校も含め、ますますハイブリッドな世界を進んでいく必要がある。

私たちが本格的に校舎に戻るとき、テクノロジーとイノベーションを駆使しながらも、その中心にある教師と生徒のコミュニティによって永遠に定義される、新しい学習の時代の到来を告げる準備ができていると私は信じている。

編集部注:本稿の執筆者Jack Lynch(ジャック・リンチ)氏は、Edtechのベテラン。学習テクノロジー企業HMHのCEO。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Jack Lynch、翻訳:Dragonfly)

コロナ禍の孤立感に応え、心の健康ケアを参加しやすいビデオクラスにするMindLabs

心の健康ケアを日常的なルーティンにすることは難しい。すでに多忙で、ストレスを抱えていたらなおさらだ。MindLabsは、オンデマンドまたはライブのビデオクラスとコミュニティ機能を組み合わせることで、メンタルウェルネスを生活に取り入れやすくしたいと考えている。同社はプレシード資金調達から約11ヵ月後になる英国時間10月7日、350万ドル(約3億9000万円)のシードラウンドを実施したと発表した。

今シードラウンドは、PROFounders Capitalがリードし、Slack Fund、英国の衛星放送大手Sky(スカイ)の前CEOであるJeremy Darroch(ジェレミー・ダロック)会長、そして既存投資家のPassion CapitalとSeedcampが参加した。この発表は、10月10日の世界メンタルヘルスデーの3日前というタイミングで行われ、メンタルヘルスの問題に対する意識を高め、ケアへのアクセスを増やすことを目指している。

今回の新たな資金調達は、2022年の一般公開に向けて、MindLabsの製品やエンジニアリング、コンテンツ、マーケティングのための雇用に充てられる予定とのこと。

MindLabsは2020年、Adnan Ebrahim(アドナン・エブラヒム)氏とGabor Szedlak(ガボール・スゼドラック)氏によって設立された。2人は以前、自動車関連のサイト・コミュニティCarThrottleを立ち上げ運営していたが、そのビジネスは2019年にDennis Publishingに買収された。2020年初めて創業者たちに話を聞いたとき、彼らは次のスタートアップでメンタルヘルスに注力しようと決めたのは、特にパンデミックの間に、うつ病が急激に増加したからだと語った。

MindLabsはこの1年間で、エンジニアリング、プロダクション、マーケティングの各チームにリーダーを採用し、ベータ版アプリを完成させ、現在は16人のインストラクターを擁している。このスタートアップのプラットフォームは、2022年の第1四半期に提供開始される予定だ。エブラヒム氏がTechCrunchに語ったところによると、MindLabsのウェイティングリストには現在数千人のユーザーが登録しており、その理由の1つとして、約6万人のフォロワーを持つInstagramアカウントの成長が挙げられている。

MindLabsは、まず英国で発売され、その後、米国でもローンチされる。エブラヒム氏によれば英語圏以外の国にも展開していく予定で、それはこのプラットフォームは翻訳しやすいと考えているからだという。

同社のアプリには、メンタルウェルネス、心理学、神経科学の専門家が制作した100以上のオンデマンドビデオが用意されている。また、西ロンドンにあるスタジオでは、毎日ライブビデオクラスが開催される。その講師の1人が、瞑想や呼吸法の専門家である「The Breath Guy」ことRichie Bostock(リッチー・ボストック)氏だ。パンデミックの際に人々が経験した孤立感に対応するために、コミュニティ機能も組み込まれている。

また、MindLabsは、健康指標を把握するためのEEGヘッドバンドなどのハードウェアもいずれ発売する予定だ。エブラヒム氏によると、MindLabsはウェアラブルに移行する前にアプリを優先した戦略をとっており、できるだけ多くの人に利用してもらえるよう、手頃な価格のサブスクリプションプランを用意しているとのこと。

同氏はこう述べている。「脳波、心拍数、呼吸パターンなどの心のバイオマーカーを、既存または独自のウェアラブル機器で追跡することに、今でも非常に興奮しています。これにより、ユーザーの気持ちをより正確に、リアルタイムに把握することができ、その結果、ユーザーの気分を向上させるのに最適なビデオレッスンを提供することができると考えています」。

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画像クレジット:MindLabs

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

アップルが小学生向けの新しいコーディングアクティビティガイドを発表

Apple(アップル)は、新しい「Everyone Can Code Early Learners」アクティビティガイドを含む、小学生向けのいくつかの新しいリソースを公開した。この新しいガイドは、Appleのコーディングカリキュラムリソースを幼稚園から大学まで拡張する。今回のロールアウトは、教育関係者や家庭が早い段階で生徒にコーディングを紹介できるようにすることを目的とした、テックジャイアントの「Everyone Can Code」イニシアティブの一環だ。

Appleの教育・エンタープライズマーケティング担当副社長であるSusan Prescott(スーザン・プレスコット)氏は、声明の中で次のように述べた。「コーディングとアプリデザインは、アプリ開発者になるかどうかにかかわらず、学生が批判的かつ創造的に考えるために必要なリテラシーです。Appleは現在、幼稚園から大学までの学習者向けにコーディングリソースを提供しており、みなさんにインクルーシブでユーザーが利用しやすい、すばらしいアプリの設計に挑戦してもらいたいと考えています」。

関連記事:アップルのプログラミング体験集会「Everyone Can Code」が大幅拡張

「Everyone Can Code Early Learners」ガイドでは、幼稚園から小学校3年生までの生徒が、音楽、美術、科学、体育などの複数の科目を通じて、コーディングの中核となる概念の基礎を築くことができる。例えばAppleは、生徒たちがダンスの動きを通してコーディングコマンドについて学べるとしている。また、社会性と情動の学習のために、心を落ち着かせるためのテクニックを生徒たちに話してもらう課題もある。

またAppleは、教育関係者に、新しい1時間のインクルーシブ「アプリデザイン」アクティビティセッションを試してもらうよう勧めている。この新しいレッスンは、アプリをデザインする際に、インクルージョンとアクセシビリティの重要性を忘れないよう、教師が生徒に指導することを支援しようとするもの。セッションは基本的に、生徒がアプリの作成方法について批判的に考えることを促すようになっている。このレッスンでは、生徒たちが情熱を持って取り組める問題を特定し、その解決策を計画することを助ける。

Appleは、同社のSchoolworkアプリの中で「イグジットチケット」と呼ばれるアンケートツールのサポートも追加している。これは、教育者が授業中または授業後に生徒の反応やエンゲージメントを測るための質問を行い、生徒の様子を確認するための方法だ。また、教師は生徒のSchoolworkアカウントをより簡単に作成できるようになった。

「Everyone Can Code Early Learners」ガイドは、Swift Playgroundsアプリ内で利用できる。このガイドは、英語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ノルウェー語、スペイン語で提供を開始しており、今後さらに多くの言語に対応する予定だ。Appleは、Everyone Can Codeプログラムを長年にわたって拡大し、より多くの年齢層が利用できるようにしてきた。2019年、Appleは「Everyone Can Code Puzzles」という、生徒がコンセプトを試してみることを目的したプログラムを提供開始した。2020年、同社は「Everyone Can Code Adventures」という、より高度なアクティビティを行う新しいプログラムを公開した。

関連記事:アップルが教育者向けにSwiftとXcodeが学べる無料のプログラミング教材を拡充

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

アルゴリズムで学習者の理解度に合ったSTEM教育を行うNumeradeのショート動画サービス

現在、注目を集めるEdTech分野の起業家たちは、テストの技術や情報保持の在り方など、現代の学習に関連するほぼすべての要素について、その構造や影響を再定義しようとしている。しかし、最も人気のある製品は、一見シンプルなもの、つまり、オールマイティな個別指導なのかもしれない。2018年に設立されたEdTech企業、Numerade(ヌーマレイド)は、拡張可能かつ高品質な個別指導に挑戦し、1億ドル(約110億円)の評価を受けたばかりだ。

方程式や実験の仕組みを解説する短編動画のサブスクリプションを販売するNumeradeは、アルゴリズムを使って学習者の理解の仕方に合わせた説明を行う。共同設立者であるCEOのNhon Ma(エヌホン・マ)氏によると、コンテキストで説明する非同期型のコンテンツに焦点を当てることで、高品質な個別指導を手頃な価格で提供することが可能になるという。

「本当の教育には、視覚と聴覚だけでなく、生徒が実際に学習する際の言葉で伝えるというコンテキストも含まれます」とマ氏。Numeradeは、Wolfram AlphaのようなロボットQ&Aやステップバイステップの回答プラットフォームではなく、実際に科学をソリューションに統合してユーザーに伝えるプラットフォームにしたいと考えている。

7月下旬、NumeradeはIDG Capital(アイデージーキャピタル)、General Catalyst(ゼネラルカタリスト)、Mucker Capital(マッカーキャピタル)、Kapor Capital(カパーキャピタル)、Interplay Ventures(インタープレイベンチャーズ)などの投資家や、Margo Georgiadis(マーゴ・ジョージアディス、Ancestry(アンセストリー)の元CEO)、Khaled Helioui(ハレド・ヒリオリ、Bigpoint Games(ビッグポイントゲームズ)の元CEOでUber(ウーバー)のエンジェル投資家)、Taavet Hinrikus(ターベット・ヒンリクス、Wise(ワイズ)の創業者)などの戦略的投資家が参加するラウンドで、評価額1億ドル(約110億円)で2600万ドル(約28億7000万円)を調達したことを発表した。

マ氏は「同期型の個別指導には需要と供給のメカニズムの縛りがあります。優秀な家庭教師の時間は限られていて、割増料金を要求されることもあり、全体的に市場の供給側の制約になっています」と説明する。一部の企業では、効率化のために複数の生徒を1人の教師に割り当てるグループレッスンオプションも採用されているが、マ氏は「これは本当に時代遅れで、教師の質を損なうものだ」と考えている。

ライブ授業やWolfram Alphaのような答えを教えるだけのシステムを避けてきたNumeradeだが、第3の選択肢として動画を採用した。動画はEdTechの分野では目新しいものではなく、現在は主に、CourseraやUdemyなどの大規模オープンオンラインコースのプロバイダーや、MasterClassやOutschoolなどの「エデュテインメント(エデュケーションとエンターテインメントを合わせた造語)」プラットフォームが動画を利用している。Numeradeは、教師または教育者主導で「Fundamentals of Physics(物理学の基礎)」の第2章にある問題を中心に動画を作成しようと考えている。

Numeradeの動画で学ぶ学生(画像クレジット:Numerade)

Numeradeには、基礎的な知識を得るためのブートキャンプの動画、手順に焦点を当ててその知識をスキルに変えるステップバイステップの動画、これらの情報がどれだけ理解できたかを評価するクイズという3つの主要製品がある。

しかし、このスタートアップの真の狙いは、どの学生にどの動画を見せるかを決定するアルゴリズムにある。マ氏は「深層学習」や「コンピュータビジョン」「オントロジー」といった言葉を使ってアルゴリズムの仕組みを説明するが、つまりは教育動画にTikTok並みの特殊性を持たせ、ユーザーの過去の行動を利用して、学習スタイルに合うコンテンツを適切に提供したい、ということだ。

Numeradeは、ステップ・バイ・ステップの動画で脳が問題のパターンや多様性を理解することで、最終的には答えをよりよく理解できるようになると考えている。同社のアルゴリズムは主にクイズで利用され、あるトピックに対する学生の成績を確認し、その結果をモデルに入力して、新しいブートキャンプやクイズをより適切に提供できるようにする。

「当社のモデルでは、まず学生の強みと弱みを理解し、次に関連する概念的、実践的、評価的なコンテンツを表示して、主題に対する学生の知識を構築して学生の成長と学習をサポートします。アルゴリズムは、動画の構造化データを解析し、学生ごとのニーズに合わせた教育スタイルを提供することができます」とマ氏。

現在のところ、Numeradeのアルゴリズムは予備的なもののようだ。ユーザーが自分に合うコンテンツの恩恵を受けるためには、有料会員になって、十分な利用履歴を稼ぐ必要がある。それができたとしても、学生が前回のクイズで間違えたコンセプトを再表示する以外に、このアルゴリズムがどのようにその学生に合うコンテンツを提供できるのかは明らかではない。

Numeradeの計画も野心的な前提の上に成り立っている。すなわち、学生はコンセプトを学びたいのであって、先延ばしにしていた宿題を終わらせるために急いで答えを知りたいのではない、というものだ。マ氏は、Numeradeの動画の視聴時間はその動画の長さの2~3倍にもなり、これは学生が単にスキップして答えにたどり着くだけでなく、コンテンツと向き合っていることを意味している、と説明する。

Wolfram Alphaに対抗しようとしているのはNumeradeだけではない。過去1年間、Quizlet(クイズレット)やCourse Hero(コースヒーロー)といったEdTechのユニコーン企業は、AIを搭載したチャットボットやライブ電卓に多額の投資を行ってきたが、Course Heroの手法は主にNumeradeのような企業を買収することだった。これらのプラットフォームは、テクノロジーを駆使した個別指導のセッションでは、人間関係の構築や時間ではなく、スピードとシンプルさを優先すべきだという考えに基づいて構築されている。週に一度、数学の家庭教師のところに行くことを嫌がる学生でも、数学試験の数時間前の真夜中に、丁寧に答えを説明してくれるプラットフォームを利用するかもしれない、という考えだ。

アルゴリズムの進化があまり進んでいるとはいえず、競争も激しい分野にもかかわらず、Numeradeの新しい投資家と、収益をもたらす能力は期待がもてる。具体的な内容は明かされていないが、マ氏によると、同社は年間経常収益が8桁(日本円では10億円)目前だという。現在の加入者ベースで少なくとも1000万ドル(約11億5000万円)以上の年間収益を上げていることだ。マ氏は、Numeradeの最大の競争力は「視点」だと考えている。

「商業的なSTEM(Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Mathematics:数学)教材に対するよくある批判は、モジュール化されすぎている、というものです。教科書では物理を単独で教えています」とマ氏は話す。「私たちのアルゴリズムはそうではありません。私たちはSTEMを連動したエコシステムとして扱います。数学、物理、化学、生物学の概念は全面的に関連しているのです」。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

米連邦通信委員会が子どもたちの「宿題格差」解消へ基金から1320億円を全米の学校に給付

FCC(米連邦通信委員会)は、Emergency Connectivity Fund(ECF、緊急接続基金)から最初の小切手を発送した。この基金は、コンピュータやインターネットサービスの費用を負担し、学校における「宿題格差」を解消する取り組みだ。最初の12億ドル(約1320億円)の小切手は、すべての州とワシントンDC、グアム、プエルトリコの数千の学区に分配され、さらに多くの給付が予定されている。

ECFが解決しようとしている問題は、勉強や宿題、そして今では授業もすべてオンラインで行われるこの時代に、それらに参加するためのデバイスや適切なインターネット接続がない多くの生徒らのことだ。この状況が、すでにある不平等を悪化させている。彼らは、他のリソースにアクセスできず、彼らには非がないのに遅れをとってしまうことが多いからだ。

ECFはこうした状況に対処するために用意され、2021年初めにパンデミック対策法案の一環として資金が積み立てられた。同基金は総額70億ドル(約7700億円)のプログラムだ。学校や図書館が「これだけのタブレット端末やワイヤレスホットスポット、ブロードバンド接続の費用が必要だ」と正式に申請すると、一定期間にわたり資金が分配される。要求が妥当であり、書類が整っていれば、費用を負担してくれるようだ。

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「イリノイ州セッサーのセッサー図書館のような地方の小さな図書館から、ボルチモア市の公立学校のような大規模な学区まで、この第1弾の資金援助により、300万台以上の接続機器が遠隔学習のために提供されます。デジタル格差の最も残酷な部分の1つを解消する大きな一歩となるでしょう」と、FCC議長代理のJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏はニュースリリースで述べた。

均等に分配されるのではなく、受け取った申請書に応じて分配される。金額が最も大きいのはニューヨーク州で2億4300万ドル(約267億3000万円、うち211億2000万円はニューヨーク市)、次いでテキサス州が9700万ドル(約106億7000万円)、カリフォルニア州が7100万ドル(約78億1000万円)となっている。ワイオミング州とサウスダコタ州はそれぞれ10万ドル(約1100万円)以下だった。基金からの2回目の支給に対し書類を提出した地区があった可能性がある。

そのため、米国時間9月28日に、2021年の7月から2022年の6月までに使用される機器やサービスを対象とする新しい申請期間が設けられた。FCCは第1回目の申請をまだ処理していると述べているため、もしあなたの地区の申請に対し回答がなくても、心配する必要はない。まだ申請していない地区は、さっそく申請してみてはいかがだろうか。

地区別・金額別に分類された受領者の全リストは、このリンク先のスプレッドシートで確認できる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがEdTech戦略の強化を目指してオンラインと対面の個別指導プラットフォーム「TakeLessons」を買収

Microsoft(マイクロソフト)は2021年1月に同社のオンラインコラボレーションプラットフォームであるTeamsについて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で多くの学校が一部、または完全にリモートになったことにより利用者の増加が加速し、1億人以上の学生に利用されていることを公表した。そしてここにきて、教育市場における地位を今後も拡大するために買収を実施した。

MicrosoftはTakeLessonsを買収した。TakeLessonsは学生が音楽や語学、学術的なテーマ、職業訓練、趣味といった分野の個人教師とつながり、個人教師はオンラインや対面で提供するレッスンの予約や管理をするプラットフォームだ。

買収の条件は不明で、TechCrunchは取材を続けている。サンディエゴに拠点を置くTakeLessonsはこれまでに、LightBank、Uncork Capital、Crosslink CapitalなどのVCや個人投資家から少なくとも2000万ドル(約22億円)を調達した。TakeLessonsは自社サイト上でこの買収を認めるQ&A形式の短い記事を公開した。この記事によると、当面はこれまで通り運営し、これまで以上に多くの世界中の対象者に向けてプラットフォームを提供するとしている。

買収の時点でTakeLessonsを利用しているアクティブな学生や個人教師の人数は不明だが、関連する数字を挙げると、オンライン個別指導大手の1つであるヨーロッパのGoStudentは2021年前半に17億ドル(約1870億円)の評価額で2億4400万円(約268億4000万円)を調達した。Brainlyなどのオンライン指導企業も数億ドル単位の評価額となっている。

TakeLessonsの調達額がそれほど大きくないところを見ると、評価額はもっと低かったと思われる。買収はMicrosoftにとってインフラを手に入れ、マスマーケットのオンライン教育にもっと積極的に参入する準備のきっかけとなるものだが、他の大手プラットフォームと直接対決していく可能性もある。

現在TakeLessonsは音楽(これが同社のスタートだった)、語学、学術的なテーマ、テスト対策、コンピュータのスキル、手芸など幅広いジャンルの指導を提供している。2006年に創業し、地元で対面指導をする個人教師とつながるためのプラットフォームとして出発した。その後、オンラインレッスンにも進出し、ビジネスを補完している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大でオンラインレッスンに大きくシフトし、現在では同社のプラットフォームで提供されているサービスの大半がオンラインでの指導のようだ。レッスンは引き続き1対1で提供されているが、学生は同社のライブプラットフォームを利用してオンラインのグループレッスンにも参加できる。

世界中で起きているオンライン教育へのシフトが、Microsoftが大きなチャンスがあると見る理由だろう。

世界中の多くの学校が外出禁止や隔離中になんとかリモート学習をしようと急遽オンライン学習のプラットフォームを求め、教育者と家族、学生はさまざまなツールを使うように(そしてお金を払うように)なった。そうした中でMicrosoftはTeamsをこの分野のトップにすべく躍起になっている。

マーケットにおけるMicrosoftの牽引力(と多くの投資や買収)がすでに長年あった中で、こうした動きが続いてきた。

しかし現在の状況下で新たな激しい競争が起きている。例えばGoogle Classroomや、ビデオレッスンのような特定の目的に絞ったソリューション(Zoomが顕著な例)などの台頭だ。他にもレッスンや宿題の計画を立てるアプリ、数学や語学、科学といった特定のジャンルに関してクラスでの学習を補強するオンラインのオンデマンド指導などもある。

プラットフォームにできるだけ多くの機能を取り入れて囲い込み、ユーザーが他のアプリに行かないようにして多くの価値を提供するのがMicrosoftのやり方だ。したがって筆者は、同社がさらに買収をしてもっと多くの機能を提供し、同社の教育用ツールでまだ提供されていないサービスをすべてカバーしようとするだろうと予測している。

(例を挙げよう。筆者の子どもの学校ではオンラインレッスンにTeamsを使っている。その理由の1つは、学校のメールシステムにOutlookを使用しているからだ。学校は宿題の計画に別のアプリを使わないと発表した。先生は宿題を出したり管理したりするのに、これからはTeamsを使う。この学校のように予算が厳しければ、1つのアプリでできることなのに2つのアプリに支払いをしないのは当然だ。子どもたちには評判が良くない。これが、Microsoftが推進するプラットフォーム戦略だ)

TakeLessonsは学校を対象とした教育の戦略と近い位置にある。確かに、個別指導のクロスセルのチャンスがあると思われる学生とその家族は大勢いる。しかしTakeLessonsはマスマーケットを対象としたサービスも提供し、何かを学びたい人すべてに開かれている。Microsoftの教育関連製品をすでに使っている人たちだけが対象というわけではない。

オンライン学習を補完したい学生(これはオンライン個別指導の市場として大きい)だけでなく、何か新しいことを学びたい生涯学習者や消費者、プロフェッショナルも対象になるという点に注目だ。1人で家で過ごす時間が増えたこの1年半は特に学びへの関心が高まっている。

こうしたことから、TakeLessonsにはMicrosoftの世界における新たなチャンスも考えられる。

米国時間9月9日、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とMicrosoft傘下のLinkedInのCEOであるRyan Roslansky(ライアン・ロスランスキー)氏が今後についてオンラインプレゼンテーションを配信した。このプレゼンでは教育、特に職能開発が強調して語られ、LinkedInが新しいラーニングハブを導入することが明らかにされた。

LinkedInは教育ビジネスの構築に長年取り組んでいるだけでなく、自社プラットフォームにもっと囲い込んでビデオが活用されるようにすることも目指している。

TakeLessonsのようなサービスは一石二鳥になるかもしれない。LinkedInのこれまでの教育コンテンツは「ライブ」のオンラインレッスンに特に結びつくものではなかったが、今回の買収はLinkedInが次にしようとしていることとの橋渡しになることも考えられる。

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画像クレジット:Imgorthand / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

ユニコーン企業のオンライン学習プラットフォームQuizletがIPOを準備中

10億ドル(約1099億円)と評価されてから約1年、人工知能で動く個別指導プラットフォームに変わったフラッシュカードツールのQuizlet(クイズレット)は新規株式公開を計画している。この件に詳しい人物によると、Quizletの株式公開の準備はかなり進んでいる。直近の求人情報では、同社は「IPOを目指すのにともない、財務システムとプロセスの構築をサポートする」上級職の人材を求めている。

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TechCrunchへの電子メールで、サンフランシスコ拠点のQuizletはコメントを却下した。同社は具体的な売上高や、収益をあげているかどうかなどについて多くを語らなかった。まだ未公開である同社は2020年、売上高は年100%成長していると述べた。ウェブサイトでは、月間の学習者は6000万人で、2018年の総数から1000万人増えたとしている。

Quizletはシェアするのも使うのも簡単なプロダクトで大規模なビジネスを構築した。同社の無料のフラッシュカードメーカーでは学生が試験に備えるためにトピックの学習参考書を回すことができる。そうした知見はQuizlet Plusにつながっている。Quizlet Plusは同社のサブスクプロダクトで、年額47.88ドル(約5300円)で個別指導サービスを含むその他の機能にアクセスできる。

同社のCEOであるMatthew Glotzbach(マシュー・グロッツバッハ)氏によると、Quizlet LearnというQuizletの個別指導部門は最も人気のサービスだ。学習者がシステムを使っているとき、Quizlet Learnは学習者がどこで間違えたのか、そしてどこで進歩したのかを常に査定する。

「明らかにこれは人間に取って代わっておらず、またそこに近づいてもいませんが、参考書を提供して正しい方向を示し、正しい場所で時間を費やせるようにサポートできます」とグロッツバッハ氏は話す。「目標を定めるのをサポートすることでさえ、学習における重要なステップです」。

直近では同社は、人気の教科書の問題セット向けのステップバイステップの解答ガイドを提供する「説明」の立ち上げを発表した。この機能は「専門家によって書かれ、検証されて」おり、「学生が演習し、学習したことを自分で応用できるよう、練習問題で根拠と思考過程の理解」をサポートすることを目的としていると声明文で説明した。全面的なブランド変更の中で、同社はまた不運な前任者からQを取り戻した

Quizletの新規株式公開に向けた静かな歩みは、ゆっくりとしたものだが着実だった。同社は15歳だったAndrew Sutherland(アンドリュー・サザーランド)氏によって2005年に創業された。2015年までは事業は自己資金で賄われた。その後、YouTubeの幹部だったグロッツバッハ氏が2016年に加わった。同社にはまだCFO(最高財務責任者)がいないようだが、これは株式公開しようとしている企業にとっては珍しいことだ。

Quizletはベンチャーキャピタル6200万ドル(約68億円)の大半をグロッツバッハ氏のもとで調達した。現在、同社の投資家にはGeneral Atlantic、Owl Ventures、Union Square Ventures、Costanoa Ventures、Altos Venturesなどがいる。

Quizletの株式公開の追求は、他のEdTech企業が市場の受容性をこの部門で示している中でのものだ。例えばDuolingo(デュオリンゴ)も消費者向け教育の会社だ。ただしQuizletが幅広い学習内容になっているのに対し、Duolingoは1つの分野にフォーカスしている。Duolingoは7月に株式公開し、現在は始値を上回る1株あたり169.75ドル(約1万8660円)で取引されている。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】音声認識が子供のために使えるようになった、今こそ活用する時だ

音声認識テクノロジーが、ようやく子どもたちのためにも使えるようになった。

1999年に私がScholastic Education(スカラスティック・エデュケーション)で同僚たちと音読支援プログラムのREAD 180(リード・ワンエイティー)を作ったときは違っていた。当時私たちは音声対応アプリの導入を考えていた。子どもがコンピュータープログラムに向かって読むと、流暢さと識字能力をリアルタイムでフィードバックする。そして教員は生徒の進歩状況を受け取る。

残念ながら私たちのアイデアはテクノロジーの20年先を行っていたので、音声認識機能を省いたREAD 180の開発を進めることになった。ドットコムバブルの絶頂期でさえ、教室向け音声認識はまだSF世界の産物だった。

人工知能や機械学習を使っても、騒がしい教室の周囲雑音を遮断するために必要なテラバイトのデータを作ることはできなかった。また、大人よりも声の高さやしゃべるパターンの多い子どもたちの複雑な音声を把握したり、さまざまな方言や訛りを認識し、何よりも、システムを使う子どもたちの予測不可能な行動を操るまでには進化していなかった。

Scholasticでは、子どもたちに彼らの知らない何かを習得しているとは言いたくなかったし、実際には正しいのに何かを間違えたと幼い生徒たちに感じさせてしまうことの奥深い意味を私たちは理解していた。

時は過ぎて今。音声認識は子どもたちの発話を認識、理解して、異なる訛りや方言にも対応できるところまで進歩している。たとえばダブリン拠点のSoapBox Labs(ソープボックス・ラボ)は、にぎやかな校庭や教室で聞こえてくる子どもたちの多様な声をモデルにした音声認識技術を開発した。テクノロジーの高い精度と性能のおかげで、小学校教員はこれを使って生徒の進歩を高い規則性をもって測ることが可能になり、個人にあわせた指導方法をとれるようになった。

こうした進歩は、この上なく重要な時期にやってきた。

パンデミック前においてさえ、経済的に恵まれない家族の子どもたちの80%以上が、小学4年生の読み方習熟度に達していなかった。熟練した教育者から1年間切り離され、大人向けに作られたテクノロジーやデジタル格差と戦いながら、生徒たちは例年の87%しか読み方を習得できていない、とMcKinsey & Co.(マッキンゼー・アンド・カンパニー)は報告している。春季の学校閉鎖によって、彼らは平均3カ月分の学習機会を失った。

想像できるように、読み方能力の欠如は有色人種生徒の多い学校で顕著であり、読み方スコアは過去の平均の77%でしかない。

生徒たちが教室に戻ってきた時、音声認識は教育に革命を起こせる。リモート学習や家庭でのエンターテインメントも含めて、子どもたちがテクノロジーとやり取りする方法を転換することによって変わる。音声を利用した読解、さらには数学、言語のプログラムが、子どもたちの習熟度の測定や基本知識の習得における事務的作業を肩代わりすることによって、現場は専門的作業に専念できるようになる。

例えば音声認識を使って生徒の読み方の進歩に関する有益な観察を定期的に生成し、パターンを見つけたり改善の必要な部分を特定したりできる。教師は音声対応ツールが生成した進捗や評価データを見て、それぞれの生徒にあった学習方法を適用し、失読症などの障害を見つけたり、必要な時に介助できるようにスケジュールを組むことができる。

音声利用読書ツールを使うと、授業時間中にすべての生徒が音読してフィードバックを受けることができる。こんなことは教師1人では実現不可能だった。例えば25人のクラスで生徒1人につき15分を費やすと、1人の教師の時間を6時間以上占める、毎日。この種の個人観察と評価は、新型コロナウイルス(以前から)教師にとって永遠の課題だった。自宅学習が導入され、生徒たちが教育的にも情緒的にも過去に類を見ない問題を抱えて学校に戻ってくることで、問題はいっそう深刻化している。

音声認識技術には、教室の公平性を高める可能性もある。人間による読み方能力の評価は、結局のところ極めて主観的であり、評価者の偏見によって最大18%の偏差が見られたという最近の研究報告もある。現在利用可能な子ども中心で精度の高い音声認識は、訛りや方言によらずどの子どもの声も理解することで、人間の必然的な偏見を排除することができる。

今後数年のうちには、このテクノロジーがあらゆる教室で授業の一部となり、年少者の読み方(および数学や言語)能力を高めるようになるだろう。教育者は、この技術をより戦略的に自らの授業に取り入れられることに気づくだろう。そしてこれは、新型コロナ時代に切実に求められているものへの期待を大きく高める。それは読解能力を著しく改善し、世界的な読み書き能力問題に、深く本格的に取り込むことのできるテクノロジーだ。

編集部注:本稿の執筆者Mergery Mayer(マージェリー・メイヤー)氏は、Scholasticで教育担当プレジデントを25年間務めている。

画像クレジット:Flashpop / Getty Images

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(文:Margery Mayer、翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本でも展開する韓国のクリエイター系オンライン学習プラットフォーム「CLASS101」が約28.5億円調達

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で急速にあらゆるものがオフラインからオンラインモードへと切り替わり、クリエイターエコノミーも好転している。クリエイティブのプロたちは、安定した収入とチャンスを得られるCLASS101などのオンライン教育プラットフォームを通じて自分の才能や知識を収益化する手段を求め続けている。

ソウルを拠点とするオンライン学習プラットフォームのCLASS101は米国時間9月2日、韓国、米国、日本での成長を加速するためのシリーズBで300億ウォン(約28億5000万円)を調達したと発表した。

このシリーズBを主導したのはGoodwater Capitalで、以前に支援していたStrong Ventures、KT Investment、Mirae Asset Capital、Klim Venturesも参加した。

2019年にCLASS101はシリーズAで120億ウォン(約11億4000万円)を調達した。このラウンドを主導したのはSoftBank Ventures Asiaで、Mirae Asset Venture Investment、KT Investment、Strong Ventures、SpringCampが参加した。

CLASS101の共同創業者でCEOのMonde Ko(コ・モンド)氏はTechCrunchに対し、今回の資金で人材を雇用し、韓国の事業の他米国と日本の市場も拡大すると話した。

コ氏と共同創業者4人は2018年にCLASS101を創業した。コ氏によれば、2015年に創業した家庭教師サービスプラットフォームからのピボットだったという。現在は350人の従業員がいる。

コ氏は「我々はクリエイターが才能を収益化する支援をこれからも続けると同時に、クリエイターが我々のプラットフォームを通じてグッズやデジタルファイルなどの商品を販売できるようにすることで収入源を増やしていきます」と述べた。

同業他社との差別化についてコ氏は、CLASS101は必要なツールや教材を揃えた「クラスキット」を受講者に配送することだという。

同社は韓国でイラスト、クラフト、写真、料理、音楽など多岐にわたるジャンルで2000以上のクラスを提供している。米国には約230クラス、日本には約220クラスがある。2021年8月現在、登録しているクリエイターは約10万人、登録ユーザーは300万人だ。

同社は2019年に米国に、2020年に日本に進出した。2020年には韓国で13歳以下の子どもを対象にしたオンラインクラスを開設した。

Goodwater Capitalの共同創業者でマネージングパートナーのEric Kim(エリック・キム)氏は「CLASS101はPatreonとYouTubeの利点を組み合わせ、クリエイターに合わせた支援を提供すると同時にユーザーの『学びのニーズ』を満たしています」と述べた。さらに「個人が自分の情熱を重視し本当に楽しみつつそれで生計を立てるという経済的な現象において」最も成長の早い企業だとした。

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画像クレジット:Class101

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(文:Kate Park、翻訳:Kaori Koyama)

オンライン生放送学習コミュニティ「Schoo」など社会人教育SaaSのスクーが約7億円のシリーズD調達

オンライン生放送学習コミュニティ「Schoo」など社会人教育SaaSのスクーが約7億円のシリーズD調達

大人たちがずっと学び続けるオンライン生放送学習コミュニティ「Schoo」(スクー)を手がけるSchooは8月25日、シリーズDラウンドにおいて、総額約7億円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のBonds Investment Group、インキュベイトファンド、SMBCベンチャーキャピタル、鎌倉投信・フューチャーベンチャーキャピタル、山口フィナンシャルグループ傘下の山口キャピタル。

調達した資金により、Schooや2021年6月に提供を開始した高等教育機関DXプラットフォーム「Schoo Swing(β版)」(スクー スウィング)のサービス向上に向けた人材採用やマーケティング投資を行う。また、地方エリアへの遠隔教育普及によって実現する「未来の暮らし」の確立も推進するという。

Schooは、2012年のサービス開始以来「未来に向けて、社会人が今学んでおくべきこと」をコンセプトとした生放送授業を毎日無料提供している。過去の放送は録画授業として約7200本を公開している。法人向けには社員研修と自己啓発学習の両立を実現する「Schoo for Business」を提供。

また、個人と法人合わせての登録会員数は約65万人にのぼり、導入企業実績は2000社を突破するなど、昨今のデジタル化の影響を受けて事業は急拡大を続けているという。

KaiPod Learningは今後も「ラーニングポッド」が定着すると考えている

「ラーニングポッド」はその登場以来.EdTechの世界で議論の的となってきた。これはマイクロスクール、パンデミックポッド、少人数グループ学習などと同義で、同じ年齢層の子どもが少人数で集まり、そこに指導員がついて、学校教育の代替または補完を目指すものだ。

2020年、学校の授業がビデオ中心になり、働く保護者が子どもにとってもっと魅力的で1人ひとりに合わせた教材で補いたいと求めたことから、ラーニングポッドのコンセプトがスタートした。一部のEdTechの起業家は、在宅で学ぶ子どもたちの新しい波が到来しラーニングポッドを利用できる裕福な家庭に恩恵があるだろうと予測した。Tyton Partnersの推計によると、2020年に700万人が補習ラーニングポッドに申し込み、家庭学習の支出は120億ドル(約1兆3000億円)になったという。

最初のラーニングポッドが登場してからおよそ1年が経った今、Yコンビネーター出身のスタートアップがこの急成長した学習モデルで学校教育のような役割を担い始めている。Pearson Online Learningの最高製品責任者だったAmar Kumar(アマール・クマール)氏が創業したKaiPod Learningは、在宅で学ぶ子どもを対面式の補習ラーニングポッドとつなぐサービスを開始した。

ボストンを拠点とするKaiPodは、対面でのやりとりをカリキュラムに取り入れた、オンラインで学ぶ子どもとラーニングポッドのための頼れるプラットフォームを目指している。同社はまず既存のカリキュラムのテコ入れを必要としている在宅学習の家族をターゲットにする。

KaiPodは、Sora Schoolsのようなバーチャルのマイクロスクールや地域が用意する在宅学習プログラムなど、子どもにとって最適なオンラインスクールを選ぶ保護者のサポートからサービスを開始している。これにより、子どもたちはこれまでの学校の代替として最低限の要件を満たすオンラインスクールを利用できるようになる。さらに同社は、オンラインスクールを利用する子どもにとってのコワーキングスペースのようなサービスを提供しようとしている。

クマール氏は「クラウドで社会性を育むことはできず、クラウドで子育てをすることもできません。これらは保護者が学校に期待することです。すべてをオンラインに移行したためにこうしたことが排除され、優先順位が適切でなかったことが明らかになっています」と述べた。

子どもたちは近隣のKaiPodセンターに行き、そこでラーニングコーチとコミュニケーションをとる。ラーニングコーチとは、教員でありキャンプカウンセラーでもあるとクマール氏が定義する役割だ。

コーチはオンラインの学習課題を通じて支援する一方、学校生活における社会性を取り戻す活動も指導する。ラーニングコーチはセンターでさまざまなカリキュラムを担当するが、KaiPodが成長するにあたってはこのことが品質を保証する上での難題になるかもしれない。

広い意味ではKaiPodはバーチャルスクールで学ぶ子どもが実際の学校に行く支援をしているが、状況に応じて柔軟性と多様性を持たせている。例えばある子どもは別の子どもとはまったく異なるカリキュラムで学んでいるかもしれない。つまり物理的な場所は講義のために使われるのではなく、子どものモチベーションを上げて個別の学びを共有するソクラテス式問答スタイルのゼミに使われるかもしれない。

教育におけるWeWorkなのか

クマール氏はこうしたことをラーニングポッドのインクルーシブなアプローチであると考えている。教育と同時に子育てでもあるからだ。センターは週に5日、朝8時から夕方5時30分までオープンしている。

同氏は、校外の補習モデルが学びの豊かさにつながる例として公文式を挙げた。公文式は1カ所のセンターから始まり、最終的にはフランチャイズモデルによって放課後に指導をする企業として世界最大級になった。

KaiPodの成功に関して重要なのは、コロナ禍によって関心が高まった在宅学習が今後定着するかどうかだ。National Center for Education Statistics(全米教育統計センター)によると米国で2020年から2021年に在宅学習をしている家庭の割合は3倍になったが、この数字は学校に戻ることによる変化を完全に反映しているわけではない。

KaiPod Learningは2021年に8人の子どもを集めたパイロットプログラムをボストンで実施した。クマール氏は、あるラーニングコーチがゲーム中にミドルスクールの生徒1人に学習障害が疑われる兆候を見つけ、これは少人数制で指導者が「講義形式の授業よりも子どもたちと深く関わっている」ことの表れだとした。KaiPodは今後数カ月以内にさらに5〜7カ所のセンターを開設する予定だ。

クマール氏は「我々の知名度が上がれば他の州の起業家も我々のプレイブック(つまりフランチャイズモデル)を利用したセンターの開設を希望すると考えています。愛情を込めて『KaiPod OS』というコードネームで呼んでいる我々のテクノロジーレイヤーでそうした人々を支援できます」と述べた。センターを開設する場所は、KaiPodが誰に販売をするのか、また社会経済学的にさまざまなバックグラウンドの家族が利用するかどうかを示すことになるだろう。

同氏は「現時点では教育におけるWeWorkのようなものになることに関心はありません。センターは家庭が子どもを預け、立ち寄り、ポッドで何をしているかを知ることのできる便利な場所であると考えてください」と語った。

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Kaori Koyama)

今の教育の足りない部分に気づいた教師がリモートEdTechの起業家に転身

教師だったAmanda DoAmaral(アマンダ・ドアマラル)氏はあるとき、テクノロジーの力で教育を良くすることができるはずだ、そんなテクノロジー企業を見つけよう、もしくは作ろうと一念発起した。いまどき、スタートアップの創業者の経歴欄に教師があることは非常に珍しいが、それでも、教育という仕事の体験者である、という有利性はある。彼女が作ったFiveableは「リモートファースト」なども含め、教育の近代化に焦点を当てている。実は、近代化が看過されている重要分野は何かといえば、まさにそれは教育なのだ。中でも重要なのは、児童生徒たちの活発なコミュニティを作り、知識を共有することだ。今の不適切なシステムに対する彼女の不満と、起業家になろうと決心した経緯を、ポッドキャストFoundでぜひ聴いてみよう。

彼女はベイエリアに住んで教えた経験はあるが、起業家としては異色だ。彼女は自分自身の教育と学習の過程、および教師としての経験の両方から、テクノロジーは学校の子どもたちにもっと多くのものを与えることができるのに、そのためのシステムがまだない、という不満を抱いた。そして教育の、特にリモート学習では不十分になりがちな側面に焦点を当てた企業を創って、それを自分のライフワークにした。そして彼女が起業した直後に、パンデミックでFiveableの市場は劇的に拡大した。単なるリモート学習ではなく、きめ細かい配慮に富んだ良質なリモート学習が求められていることが、明らかとなった。

アマンダとのチャットは、とても楽しかったから、TechCrunch読者にも喜んでいただけるだろう。Foundのサブスクライブは、Apple PodcastsSpotifyGoogle Podcasts、あるいはお気に入りのポッドキャストアプリでできる。

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カテゴリー:EdTech
タグ:Fiveable教育オンライン学習ポッドキャスト

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)