個人のキャリア形成を支援する計68の有料サービスをまとめた「有料キャリア支援サービス カオスマップ 2021年版」が公開

  1. 個人のキャリア形成を支援する計68の有料サービスをまとめた「有料キャリア支援サービス カオスマップ 2021年版」が公開

様々な職種・企業のキャリア経験談を直接聞ける「社会人同士のOB訪問」を実現する「キャリーナ」(旧CREEDO)を運営するブルーブレイズは8月4日、「有料キャリア支援サービス カオスマップ 2021年版」を公開した。個人のキャリア形成を支援する計68の有料サービスについて、9つのカテゴリーに分類している。なお、有料キャリア支援サービスとは、個人のキャリア形成にとって有益なサービスで、かつ受益者本人が一部またはすべての対価を負担するものを指す。

同社は、2021年版のハイライトとして以下3点を挙げている。

まず「有識者・経験者相談」カテゴリーに複数の新サービスが登場した点を挙げている。特に、サービスの受益者と提供者である個人間を直接マッチングするC2Cプラットフォーム型のサービス増加が顕著という。受益者側のニーズ拡大に加えて、副業解禁トレンドが提供者側の増加を後押ししたことも背景にあると考えられ、個人のキャリア経験・知見を販売する動きは引き続き活発化する可能性があるとしている。

また2020年より「短期集中型転職支援」「コーチング」「キャリアカウンセリング・コンサルティング」が注目されており、これらカテゴリーへの参入が散見されるという。有料職業紹介事業者(転職エージェント)・人材業界出身者の新規事業として始めやすく、今後もサービス増加が予想されるそうだ。

「キャリア支援付きスクール」カテゴリーにおいて、受講料の支払い手段にISA(Income Share Agreement:所得分配契約)と称される出世払い制を採用するスクールが複数登場している。欧米では、学生ローンの代替として注目を集めており、日本の教育機関においてもISAの採用例が増える可能性があるという。

各カテゴリーの概要

  • 有識者・経験者相談:人事経験者などの有識者や転職経験者から、キャリア選択や職探しに関する助言・情報を得られるサービス群
  • 就活塾:就職活動に挑む学生を対象に、エントリーシートの添削、面接・グループディスカッション練習などを通じて内定獲得を支援
  • スカウト媒体:企業や転職エージェントから転職・副業のオファーを受け取ることができるサービス群
  • 短期集中型転職支援:専任のトレーナーから、2〜3カ月程度の期間で自己分析や企業研究、選考対策などのサポートを受けられる。有料職業紹介事業者(いわゆる「転職エージェント」)とは異なり、企業からではなく求職者から報酬を受け取るビジネスモデルを採用
  • 会社口コミ:従業員・元従業員による企業の口コミ情報を提供するサービス群。同マップでは、求職者課金の仕組みを有している会社口コミサービスをリストアップ
  • メンタリング:プログラミングやウェブデザインといった特定の職業スキルの習得を目的に、スキル習得者から学習方法の助言・疑問解消など実践的な指南を受けられるサービス群
  • コーチング、キャリアカウンセリング・コンサルティング:コーチ、カウンセラーまたはコンサルタントが、キャリアに関する問題解決や目標達成を目的とした援助を行うサービス群。コーチングとカウンセリング、コンサルティングの違いについては様々な解釈がありえるため、原則各サービスの表現に従い分類
  • キャリア支援付きスクール:転職や独立を主な目的としてプログラミングやウェブデザイン、資格といった職業スキルを学べるサービス群。転職斡旋などのキャリア支援が付帯する代表的なスクールをピックアップしている。受講料は月額制または単位制で支払うことがほとんどだったが、ISA(出世払い制)を採用するスクールが登場しており、支払い手段の多様化が認められる

2019年8月設立のブルーブレイズは、様々な職種・企業の社員からキャリアナレッジを直接聞けるオンライン社員訪問サービスとして、キャリーナを展開。2020年3月のサービス開始以来、2021年8月時点で約4500名のユーザーが登録しており、聞けるキャリアナレッジは約2000件になるという。

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コロナ学校閉鎖でEdTech激戦地と化したインドのupGradがユニコーン企業の仲間入り

ベンガルールを拠点とする、高等教育およびスキルアップコースに特化したEdTechスタートアップのupGrad(アップグラッド)は、インド時間8月9日に実施された1億8500万ドル(約204億円)の資金調達ラウンドで評価額が12億ドル(約1324億円)に達した。これは、世界第2位のインターネット市場であるインドで、グローバル投資家が同国の企業に記録的な資金を投入している中でのことだ。

今回の資金調達ラウンドは、シンガポールの政府系ファンドTemasek(テマセク)が主導し、世界銀行の国際金融公社(International Finance Corporation, IFC)とIIFLが参加した。シリーズが特定されていないこのラウンドの最初のトランシェ(約1億2000万ドル、約132億円)は、2021年4月に6億ドル(約661億5000万円)以上の評価額で完了していた。

upGrad共同創業者のRonnie Screwvala(ロニー・スクリューバラ)会長は、声明の中で「資金調達を開始して以来、投資家の方々の関心が高まっていることに満足しています。この60日間で、Temasekから最初の出資を得たのち、続いてIFC、IIFLからも資金調達を行いました」と述べている。

創業6年目のupGradは、ここ数カ月の間に国際市場での展開を推し進めており、ミシガン州立大学、インド工科大学マドラス校(IIT Madras)、インド工科大学デリー校(IIT Delhi)、Swiss School of Business Management(ジュネーブ)などの大学と連携して、データサイエンス、機械学習(ML)、人工知能(AI)、ブロックチェーン、金融、プログラミング、法律などの分野で100以上のコースを学生に提供している。

画像クレジット:upGrad

同社によればこれまでに、40カ国以上から100万人以上のユーザーがこのプラットフォームのコースにアクセスしているという。upGradのウェブサイトによると、6万2000人以上の有料受講者がいるとのこと。これらのコースの費用は3300~6750ドル(約36万〜74万円)で、期間は6カ月~2年だ。

インドではパンデミックによる学校閉鎖の影響で学習のオンライン化が進んでおり、upGradはインドの数多くの教育関連スタートアップの中でも、ここ数四半期で急成長を遂げている企業の1つだ。

ソフトバンクとTiger Global(タイガー・グローバル)が出資するUnacademyは、8月2日に発表した4億4000万ドル(約485億円)の資金調達で34億4000万ドル(約3795億円)と評価された。GGV Capitalが支援するVedantuは、同社がユニコーンの称号を得るであろう新ラウンドの最終調整に向けて交渉が進んでいると、先にTechCrunchが報じている。過去1年ほどで15億ドル(約1655億円)以上を調達したByju’s(バイジュース)は、インドで最も価値のあるスタートアップだ。

スクリューバラ氏は、upGradはこの新たな資金を活用して、M&Aの機会を探ると述べている。同氏は南アジア市場におけるケーブルテレビ事業の先駆者であり、ボリウッドの大ヒット作品もいくつか制作した人物だが、2013年には自身が所有するエンターテインメントコングロマリットUTVを企業評価額14億ドル(約1545億円)でディズニーに売却した。

2020年にユニコーンとなったインドのスタートアップ企業は11社あったが、それから増し、upGradは2021年21社目のインド発ユニコーンだ。最近では、Tiger Global、SoftBank Vision Fund 2(SVF2、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)、Falcon Edge、Temasekなどの著名投資家が、インドへの投資を倍増させている。

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カテゴリー:EdTech
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画像クレジット:SUJIT JAISWAL / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

語学学習のDuolingoが子供向け数学アプリを開発中、CEOが明言

フクロウをモチーフにした語学アプリで知られるDuolingo(デュオリンゴ)が、新たに数学アプリを開発中であるとCEOのLuis von Ahn(ルイス・フォン・アン)氏が明らかした。共同創業者である同氏が先に行われたインタビューの中で、そのアプリについて言及した。同社はインタビューが行われたのと同じ日に、正式に株式市場に上場した。

インタビューの後、TechCrunchはDuolingoにアプリの詳細について問い合わせたが、同社は開発プロセスの「非常に初期の段階」であることを理由に、詳細な情報の提供を断った。だが、同社が毎年開催している無料カンファレンス「Duocon」で、ユーザーは8月末にこのアプリについて詳しく知ることができるかもしれないと述べた。5月に掲載された求人情報によると、同社は「小規模なクロスファンクショナルチーム」と一緒に新しい数学アプリを開発する数学の博士号を持つ学習科学者を募集している。

求人情報によると、このアプリは若い学習者向けのものであるようだ。採用候補者には、K-12(日本の高校3年生に相当)レベルの数学、特に3〜8年生(日本の小学3年生から中学2年生に相当)までの若い生徒を対象とした授業の経験と知識を求めていると記載されている。

Duolingoの現在のユーザーは、Duolingoが数学に参入することについて複雑な気持ちを抱いているようだ。

IPO当日のインタビューでCEOのルイス・フォン・アン氏は、ユーザーはDuolingoが数学アプリを推し進めていくのを目の当たりにするかもしれないと語った。また、今後の買収によっては、言語学習以外の分野にも拡大していくと話した。この発言は、Duolingoがまったく新しいソフトウェアやカリキュラムに大量のリソースを投入するかもしれないという懸念を解消するかもしれない。

「もし他の分野で、誰かがかなり良い仕事をしていて、我々と同じようなミッションを持ち、同じような企業文化を持っていると思われる場合、Duolingoはその会社の買収を検討するかもしれません」とフォン・アン氏はインタビューで語った。

数学に特化したEdTech企業には、Khan Academy、Brilliant.orgPhotomathNumerade、そして最近買収したSymbolabなどがある。

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Duolingoにとってこの数学アプリは、同社の実験の歴史に新たな1ページを加える。同社は創業から10年間で何百ものアイデアを生み出してきたが、その成功の度合いはさまざまだった。

ここ数年は、子ども向けの読み書きアプリ「Duolingo ABC」や「Duolingo English Test」など、コアアプリ以外の製品群を開発してきた。一方で、Duolingoの失敗したアイデアの「墓場」には、撤退したマネタイズ戦略やAIを搭載したチャットボットなどがある。リーダーボードのような人気のある機能は、成功する前にくすぶってしまった。そして数学は、興味深いことに、常にフォン・アン氏の頭の片隅にあった。

Duolingo EC-1でも紹介されているが、フォン・アン氏は、同氏と共同創業者のSeverin Hacker(セベリン・ハッカー)氏が、最終的に語学に特化すると決める前に、Duolingoを数学アプリにしようと考えていたと常々言っている。

「私は数学が大好きですが、数学を学んでも、数学そのものがお金になるわけではありません」とフォン・アン氏は以前のインタビューで話している。「エンジニアになるには物理学を学びますが、そのために数学を学びます。一方、英語の知識は世界のほとんどの国で収入を増やす可能性を直接的な形で向上させます」。

あるユーザーは「数学は学ぶべき重要なスキルだ。これによって、特にアクセスが限られている人たちに、より良いリソースを提供できるかもしれない。一方で、より多くの機会に恵まれている人たちには刺激的であり、同様に魅力的なものとなるだろう」と書いている

また、Duolingoに対し、他の分野への進出を検討する前に、言語学習サービスにもっと投資するよう望む声もあった。「まだまだカバーすべき言語がある(フランス語とスペイン語を除く)のに、数学への進出を検討するのは奇妙だ」とあるユーザーは書いている。

同社が教えられるのは、欧州言語共通参照枠(CEFR)に基づく初級から中級下レベルまでの語学力のみだ。同社が5月に発表した指標によると、Duolingoのコースの約30〜40%がCEFRと整合しているという。

Duolingoの数学アプリがどのようなものか、何を提供してくれるのか、収益化されるのかどうかを想像するのは時期尚早かもしれない。いずれにせよ、このアプリはDuolingoにとって、言語以外の教育分野への初めての正式な進出となる。

同社は、製品だけでなく、この2つのテーマの間に哲学的な重なりを見つける必要がある。語学は文化的な背景やニュアンスによって恩恵を受けられるスキルであり、数学は1つの正解にたどり着くことを目標に進む。しかし、どちらの教育分野でも、几帳面な思考と、答えを導き出すために関数を応用する能力が必要だ。最終的には、どちらもDuolingoが最大の製品だと主張する、アプリを開き、画面で起こっていることに注意を払おうとする動機に依存している。

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カテゴリー:EdTech
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画像クレジット:Duolingo

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

第2四半期のChromebook出荷数は前年同期比75%の増加

2021年第1四半期にChromebookの売上台数は前年同期比275%増の1200万台となった。調査会社Canalysの最新の調査によると、第2四半期はそこまで大きな数字ではないが、それでも前年同期比75%の成長で1190万台を出荷した。

コロナ禍でPC市場全体が成長する中、Chromebookはこの市場の一角を占めるようになってきた。消費者が緊急に在宅勤務の体制を整えなくてはならない状況で一般的なタブレットやPCが堅調に成長する一方、GoogleのOSは学校がリモート学習を始めたことからさらに大きく伸びている。

コロナ禍の発生から1年以上経って多くの学校が再開しているが、Chromebookの売上の伸びは依然として目覚ましい。GoogleはこのOSを教育分野にとどめずさらに範囲を広げて、この成長を足がかりにしようとしていると見られる。

Googleは間違いなくエンタープライズ分野に注目している。デプロイもロックダウンも簡単なシステムはエンタープライズから歓迎されるだろう。

画像クレジット:Canalys

CanalysのBrian Lynch(ブライアン・リンチ)氏は発表の中で「Chromeが教育分野で比較的堅調を維持し、2021年にGoogleは商用分野に大きく乗り出しています。Google Workspaceの『個人用』サブスクリプションや、古いPCを転用して既存のChromebookと共存させるCloudReadyライセンスのプロモーションといった新たなサービスで、スモールビジネス対策を強化していると見られます」と述べた。

AppleもM1ベースのシステムを複数発売してからはビジネス分野に力を入れている。同社は最近、新しいApple at Workのサイトを公開した。

Appleは企業向けITの取り組みについてサイトに次のように書いている。「組織でお使いのデバイスが10台でも1万台でも、Appleは既存のインフラと簡単に統合できます。IT部門はゼロタッチ導入によってリモートで構成と管理を行い、あらゆるチームに合わせて設定プロセスを調整できるので、すべてのMac、iPad、iPhone、Apple TVを、すぐに使い始めることができます」。

2021年後半にはWindows 11が登場し、Microsoftはリモートなども含めた職場での優位性を維持するために独自の主張をしていくはずだ。

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タグ:ChromebookパソコンノートパソコンGoogleCanalys教育オンライン学習

画像クレジット:Boston Globe / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」のWorXが約4000万円調達、10月開校予定

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」のWorXが約4000万円調達、2021年10月開講予定

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」を2021年10月開校予定とするWorXは7月29日、第三者割当増資および金融機関からのデットファイナンスを合わせ総額約4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、日本スタートアップ支援協会、事業会社、エンジェル投資家など。調達した資金は、プロダクト開発および採用・組織構築、マーケティング強化にあてる予定。学びを促進するプロダクト・コンテンツ開発・ラーニング環境を構築し、受講者のキャリアの選択肢を増やし、人生の可能性を広げる支援を行う。

TECH SALES CAMPは、コロナ禍に影響を受けた販売・サービス業従事者を中心に、業界・職種未経験から成長産業の営業関連職へのキャリアチェンジを実現するためのテックセールス養成スクール。テックセールスとは、最先端のB2Bセールスのナレッジ・オペレーションを駆使し、テクノロジーの力を用いて営業活動の効率化や業績向上を実現する次世代セールスパーソンを指すとしている。長期的な成長が見込めるIT・SaaS領域を含む成長産業へのキャリアの選択肢を提供することで、人生の可能性を広げる機会を提供するという。

受講者の対象イメージ

  • コロナ禍で、キャリアチェンジを余儀なくされた販売・サービス業従事者
  • 成長産業(特にIT・SaaS領域)における営業関連職種への就職を目指す方
  • リモートワークなど、地方や遠隔地からキャリアの選択肢を広げたい方
  • 金銭的な理由で、キャリアチェンジのスクールに通うことができなかった方
  • 出産や介護などの理由により、キャリアの再出発を目指す方

学習カリキュラムとしては、営業未経験から、テックセールスになるための網羅的なカリキュラムを用意。学習期間は約3カ月で、累計200時間のカリキュラムを構築しているという。B2Bセールスの基礎・インサイドセールスの実践的なスキルアップに向けた、約60講座のカリキュラムをオンライン完結で提供(Zoomおよびeラーニング活用)。成長産業のセールスには欠かせないSFA・CRMなどのセールステックのデモ利用や、実際に企業に営業活動を実践できる環境を構築する。

同社が採用している出世払い型支払いとは「ISA」(Income Share Agreement)と呼ばれるモデル。教材購入など一部を除き、在学中の学費や入学金などの初期費用負担が一切発生しない代わりに、卒業後に就職した企業の年収に応じて支払金額を決定するというもの。米国では学生が多額の学費ローンを抱えることが社会問題となっており、ISAはそれに変わる新しいモデルとして注目を集めている。

TECH SALES CAMPの場合は、希望の会社・職種での就職決定後に理論月収の10%を一定期間(24カ月)支払う義務が発生する。ISA導入により多くの方に教育機会を提供すると同時に、卒業生および入社後の定着・将来的な活躍に伴走することが可能となるとしている。同社は、本質的なキャリアチェンジの成功を実現する教育機関を目指すという。

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競技プログラミング(競プロ)コンテストサイト「AtCoder」の世界登録ユーザー数が30万人を突破

競技プログラミング(競プロ)コンテストサイト「AtCoder」の世界登録ユーザー数が30万人を突破

AtCoderは7月28日、競技プログラミング(競プロ)コンテストサイト「AtCoder」において、全世界での登録者数が30万人を突破したと発表した。

AtCoderは、31万4070人(うち日本人16万7537人)が参加登録し、毎週開催の定期コンテストに約1万1000人が挑戦するという、日本最大級の競プロサイト。2020年3月以降、コロナ禍により全世界で外出自粛が進んだことが影響し、インド、中国、バングラデシュなど海外の競技プログラマーが急激に増加したという。

また日本国内では、小学校でのプログラミング教育必修化や、コロナ禍で加速した企業のDXなど、プログラミングに関する社会的な関心の高まりに加え、競プロを学ぶ手段が増えたことも影響し、登録者数が例年を上回るペースで増加した。

2012年6月設立のAtCoderは、日本語で競プロを開催する、プログラミングコンテスト運営企業。同コンテスト以外にも、高度IT人材採用・育成事業として、コンテスト参加者の成績を8段階にランク付けした「AtCoderランク」を利用する転職・求職支援サービス「AtCoderJobs」や、IT人材のプログラミングスキルを可視化できる検定「アルゴリズム実技検定・PAST」といったサービスを展開している。

AtCoderが無償提供するオンライン学習コンテンツとして、C++言語を学べる「C++入門 AtCoder Programming Guide for beginners(APG4b)」、またAtCoderユーザー「E869120氏」が企画・製作した競技プロ学習コンテンツ「典型競プロ90問」を公開している。

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カテゴリー:EdTech
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AIで生徒への指導を個別最適化する学習システムのatama plusがテマセクなどから51億円調達

AIでそれぞれの子どもに最適化した学習システム「atama+」を提供するatama plusは7月21日、シリーズBラウンドで約51億円の資金調達を実施した。既存投資家であるDCMベンチャーズ、ジャフコ グループに加え、新たにシンガポール政府系ファンドであるテマセク・ホールディングス傘下のPavilion Capital、米運用会社大手のティー・ロウ・プライスなどを引受先とする。今回の増資により、2017年4月の創業以降、金融機関からの融資を含む同社の累積調達額は約82億円となった。

苦手単元をAIで克服できる学習アプリ

atama plusは「基礎学力」習得にかかる時間を短くし「社会でいきる力」を養う時間を増やすことを目指し、AIで学習を個別最適化する「atama+(アタマプラス)」を全国の塾・予備校に提供している。駿台グループやZ会グループ、城南進学研究社などで導入され、2017年7月の提供開始から4年で導入教室数は2500以上となった。

atama+では、つまづいた原因を分析し、苦手ポイントの克服に本当に必要な単元を洗い出していく仕組みを導入している。2020年10月時点では生徒の累積問題解答数が1億件を突破しており、AI強化用データの積み上げを行なっている。

新型コロナウイルスの影響もあり、自宅でも使える「atama+」ウェブ版を開発。2020年7月にはオンライン模試の提供を開始し、12月には立命館とともにatama+の学習データを活用した入試企画を検討する共同研究会を立ち上げている。

今回の資金調達により、プロダクト開発の速度向上、顧客支援体制の強化を行い、UI/UXの改善を図るとともに、マーケティング活動への投資により、atama+の認知・利用拡大を目指すという。

代表取締役の稲田大輔氏は「教育を新しくすることで社会の真ん中から新しくしていきたいが、達成度はまだ0.1%くらいだと思っており、これから仕かけていく挑戦がたくさんあると感じている。今回の調達を機に、より多くの仲間とともに『基礎学力の習得にかかる時間を短くし、そのぶん増える時間で社会でいきる力を伸ばす』というミッション実現を加速させていきたい」と語っている。

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カテゴリー:EdTech
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インドのオンライン学習プラットフォームSimplilearnの過半数株をBlackstoneが約274億円で取得

Blackstone(ブラックストーン)はベンガルールとサンフランシスコに本社を置くEdTechスタートアップSimplilearn(シンプリラーン)の過半数の株式を2億5000万ドル(約274億円)で取得する。

Simplilearnは、データサイエンスやAI、機械学習、クラウドコンピューティング、その他マーケットで需要のあるスキルを学習できる、社名を冠したオンラインブートキャンプを展開している。

同社はインド工科大学カンプール校、カリフォルニア工科大学、パデュー大学などを含む大学やカレッジと提携しており、同社のサービスに申し込んでコースを終了した学生はこうした教育機関から修了証を取得できる。

毎月1000ものライブ授業を提供している創業11年のSimplilearnはこれまでに150カ国の200万人超のプロフェッショナルや、Facebook、Microsoft、Amazonといった企業2000社にサービスを提供したと話す。

2016年のシリーズCラウンド時に8000万ドル(約88億円)と評価されたSimplilearnの初期投資家にはBrand Capital、Kalaari Capital、Helion Venture Partners、Mayfieldなどが含まれる。分析プラットフォームTracxnによると、これまでにSimplilearnは約3440万ドル(約38億円)を調達した。

今回のBlackstoneの取引では、この件に詳しい情報筋によるとKalaari Capital、Helion Venture Partners、Mayfield Fundは持分を売却したが、Simplilearnの経営陣は保持する。

「パンデミックは デジタルスキルの必要性を一層加速させました。そして業界は、オンラインでのアップスキルの準備が完全に整っていることを示しました。世界最大のデジタルスキリング会社を築くための旅においてさらに大きく飛躍する絶好のタイミングです」とSimplilearnの創業者でCEOのKrishna Kumar(クリシュナ・クマール)氏は声明文で述べた。

「Blackstoneは当社に莫大な価値を加えることができると確信しています。というのも、Blackstoneはスケール、事業構築への献身、そしてグローバルネットワークを有し、世界中に事業を拡大する中で企業や大学と提携を結ぶことができます」。

今回の過半数の株式取得の数カ月前には、Blackstoneが出資するインドでコーチングセンターを運営しているAakash Education Servicesが、インドで最も価値の大きいスタートアップであるByju’sに10億ドル(約1094億円)近くで買収された。BlackstoneはまたByju’sにも出資している

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「これはBlackstoneにとってコンシューマーテクノロジー分野におけるアジアで初のプライベートエクイティ投資になります。成長を加速させ、世界有数のデジタル学習会社に育てるために、クリシュナ・クマール氏、そしてSimplilearnの一流の経営陣と提携することを楽しみにしています。アジアでのこうした投資は今回が初となります」とBlackstoneのアジア担当責任者のAmit Dixit(アミット・ディキシット)氏は声明文で述べた。

カテゴリー:EdTech
タグ:インドSimplilearnオンライン学習Blackstone

画像クレジット:Mark Abramson / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

55歳以上対象少人数グループでの「ソーシャル学習」プラットフォームLeapが約3.4億円を調達

55歳以上の人々がソーシャルのやりとりを通じて学ぶプラットフォームのLeapが、シードラウンドで310万ドル(約3億4000万円)を調達した。このラウンドを主導したのはヨーロッパのアーリーステージ投資家のCreandumとサンフランシスコを拠点とするSouth Park Commonsで、他にLearn Start/Learn Capitalと、Peanut創業者のMichelle Kennedy(ミシェル・ケネディ)氏、Sahil Lavingia(サヒール・ラヴィンギア)氏、Tim Tuttle(ティム・タトル)氏といったエンジェルも参加した。

Leapによれば、共通の関心を持つメンバーが少人数のグループになってオンラインで集まり「ともに学び、つながり、成長する」という。ユーザーは音声とビデオでつながり、グループは5〜10人で構成される。現在のベータでは、専門に採用したメンバーが運営する対話とクラスがある。

Leapを創業したのは、スウェーデンの起業家で子ども向け学習アプリを開発するスウェーデンのToca BocaのCEOだったCaroline Ingeborn(キャロリーン・インゲボーン)氏と、2015年にSlackに買収されたScreenheroの共同創業者でCTOだったVishal Kapur(ビシャル・カプール)氏だ。2人はLeapにつながるコンセプトの多くを実践する意図的学習コミュニティのSouth Park Commonsで出会った。

発表の中でインゲボーン氏は次のように述べている。「この年代の人々のために作られたオンラインサービスを見ても、有意義なつながりを特に促進しているようには思えませんでした。『少人数』と称されるグループは人数が多すぎることが多く、エクスペリエンスは薄っぺらくて無計画であるように感じました。たいてい、1人ずつがたくさんいるだけのようでした。そこで私はもっと参加者に合う親密なものを作ろうと考えたのです」。

CreandumのゼネラルパートナーであるFredrik Cassel(フレドリック・カッセル)氏は次のように述べている。「Leapは社会の中で興味深い層をターゲットにしています。テック系の開発者がほとんど見落としていた、最も裕福で人数が急速に増えつつある定年退職者です。この世代はかなりの時間とエネルギーがあり、スマートフォンを使いこなせます。多様性のある創業者チームは、本当に魅力的なプロダクトを作るという決意とユニークなエクスペリエンスで私たちを納得させました」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

料理を学びたい人向けミールキット宅配「シェフレピ」がレシピと動画のみ版「#シェフレピアーカイブ」を期間限定で提供

料理を学びたい人向けミールキット宅配「シェフレピ」がレシピと動画のみ版「#シェフレピアーカイブ」を期間限定で提供

本格的な料理を学びたい人向けのミールキット宅配サービス「シェフレピ」を展開するefoo(イフー)は7月12日、レシピと動画のみを販売するサービス「#シェフレピアーカイブ(β版)」を期間限定で開始すると発表した。購入できるのは「シェフレピ」で過去に発表した全10品と、正式公開前の9月に発売されたレシピ10品の計20品。

シェフレピは、家事労働の軽減やメニューの質の向上を目的とした「家事改善型」とは異なり、「シェフのテクニックや食材の知識といった知的財産」の習得に特化した「スタディ型」のミールキット・サービス。2021年4月からサービスを開始したが、5月は売上げ前月比1.35倍(販売初日から20日間の売り上げで算出)、6月は前月比1.93倍(月初から月末の売り上げで算出)と大きく成長しているという。しかし、相次ぐ緊急事態制限で内食需要が高まり、またミールキットの配達区域外の人から、レシピと動画だけでも販売してほしいとの要望を受け、食材のつかない「#シェフレピアーカイブ(β版)」をスタートさせた。

販売期間は7月12日12時から8月22日23時59分まで。購買者には、レシピのPDFデータと調理動画のURLを記載したメールが送られてくる。販売レシピは次のとおり。価格はそれぞれ1500円(税込)。

煮込み特集

  • 米沢豚のトムセップ風|h.b.(フリーランス料理人)
  • 牛ホホ肉の赤ワイン煮込み|大森雄哉(TOYO Tokyo)
  • ウサギ肉のバスク風シードル煮込み|清水和博(エチョラ)
  • ブランケット・ド・ヴォー(仔牛肉のクリーム煮込み)|白竹俊貴(ペルティカ)

ラム肉特集

  • 水煮羊肉片(スイジュウユイロウピェン)|東浩司(AUBE)
  • ラム肩ロースのラグーと手打ちカバテッリ パスクア(復活祭)風 グリーンピースと木の芽添え|田淵拓(サッカパウ)
  • ごまとクミンで香りを付けたラムチョップのロースト ひよこ豆のピュレ添え|福田浩二(プルマン東京)
  • 仔羊背肉のローストと骨つきバラ肉のブレゼ|宮島由香里(フランス料理人)

スパイス×肉特集

  • スパイスをまぶした鴨ムネ肉のエギュイエット 焼きリンゴとゴボウのチップス|h.b.(フリー料理人)
  • 石黒農場ホロホロ鳥のバロティーヌ馬告とスモークパプリカ|小泉敦子(フランス料理人)

また同時に、正式リリース前の9月に販売していた、以下の「幻」のβ版レシピも販売。価格はそれぞれ1400円(税込)。

「幻」のβ版レシピ

  • 海水のフィロ|竹矢匠吾(フリー料理人)
  • 季節の果物とオレンジのグラニテ|竹矢匠吾(フリー料理人)
  • 蟹のグラタン~バスク風~|清水和博(エチョラ)
  • 鶏肉のバスク風煮込み|清水和博(エチョラ)
  • 豚肩ロースとムール貝のフヌイユ風味|h.b.(フリーランス料理人)
  • 羊肉のクスクス|h.b.(フリーランス料理人)
  • 麻婆豆腐|yuccho(フリーランス料理人)
  • 四川風ごまだれ雲呑(ワンタン)|yuccho(フリーランス料理人)
  • ラザニア|表原平(ペルトナーレ)
  • ネチっと食感のパンナコッタ~季節の果物のソース~|表原平(ペルトナーレ)

今回の取り組みは、緊急事態宣言で苦しむ料理人たちを応援する目的もあり、レシピが1つ売れるごとに、それを考案したシェフに1000円が還元される仕組みになっている。以前にミールキットを購入した人が、シェフを応援する目的で再度購入する場合は500引き(β版は400円引き)クーポンが発行される。この場合も、考案シェフには1000円が還元される。

「お力をお借りしているシェフのみなさんに『いつか』お返しをしなければ」と思い続けてきた共同創設者・代表取締役の山本篤氏は、今こそ応援すべきときだと、まだ準備が不十分ながらβ版として「#シェフレピアーカイブ」の販売に踏み切ったという。シェフレピには、本格的な料理を指導するという目的以外に、「シェフのレシピで料理をする」文化を創出してシェフの存在感を高め、「シェフの知的財産」に価値が付けられるような未来を創造することも掲げていると、山本氏は話している。

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Engageliがコラボレーション型の動画ベース教育プラットフォームに約36.3億円を確保

学校が再び対面学習の機会を増やす動きを見せる中、2020年は多くの教育機関が重要な学びを得た。物理的体験を断絶しなければならない状況でこそ、リモートで教えるための優れたツールを持つことが極めて重要だ。しかし優れたテクノロジーがあれば、物事が「通常に戻る」時も、教育者と学生ができること、そして教育を受ける人自身を強化することができる。現在、あるスタートアップが高等教育における仮想学習に力を入れ、それを提供するためのイノベーションに投資している。そしてその事業を引き続き強化するために新たな資金調達を告知している。

Engageliはオンラインの教育プラットフォームを基礎から構築しており、授業を行い会話を可能にする独自の内蔵型の動画テクノロジーだけでなく、学生が学習グループに「参加」し共同作業ができるようにするツールや、講義メモを共有したり注釈を付けたり、クイズを受けたりする機能を提供している。同社は今回3300万ドル(約36億3000万円)の資金調達を行った。

CEOのDan Avida(ダン・アヴィダ)氏は妻のDaphne Koller(ダフニー・コラー)氏(Courseraの共同設立者)、Serge Plotkin(セルジュ・プロトキン)氏とともに会社を共同設立した。アヴィダ氏は、同社がより多くのツールの構築を続け、プラットフォームを拡張し、より多くの学校、特に顧客としてターゲットとしている高等教育を行うカレッジや大学といった層に広げることに慣れるだろうと述べた。このような教育機関はライブセッションを提供する優れた動画ツールの将来性を享受し、Engageliの動画プラットフォームに関するさらにオンデマンドな機能や他の機能を開発し続けているからだ。

「当初は優れた同期体験が優先されていた」。アヴィダ氏はインタビューで、リモート学習に関する大学の優先順位について話す。「今は全員がマルチモダリティに大きな注目を置いているわけではない」。

シリーズAの資金調達はMaveronや別の(無名の)投資家が共同で行い、Corner Ventures、Good Friends、 Educapital、そしてEngageliが「個人のテクノロジーエグゼクティブ」と呼ぶ人物も数名参加している。

特に、このスタートアップが2020年10月にステルスモードを脱してからたった7カ月で資金を調達し、同時に発表した1450万ドル(約16億円)のシードラウンドの投資家も参加している。現在4700万ドル(約51億8000万円)以上の資金を調達しているが、その企業価値評価額は公開していない。

教室以外の場所での学習を助けるツールが数十ないし何百とある中、Engageliは教育目的を念頭に置いて基礎から動画ベースのプラットフォームを構築することにより、他とは少し違う手法を採用している。

それに関しては、MicrosoftのTeams、Google Classroom、Zoomなどの同類のサービスからの大きな変革である。この3つの動画プラットフォームは教育の場で最もよく使われているが、元々は企業や全般向けに構築されたテクノロジーに基づいている。

そのためEngageliは動画体験を強化するだけでなく、教育者と学習者にとって合理的な方法でそれを強化するツール、つまり両者が直感的に使用できるツールにより、プラットフォームの拡張に取り組んできた。

  1. Engageli_learners_gallery

  2. Engageli_Learners_Experience

  3. Engageli_Educator_tools2

  4. Engageli_Educator_Tools

  5. Engageli_hybrid_class

これまで、学生同士や学生が教師と交わす会話、そしてクイズ、ダウンロードして書き込めるノート、質疑応答など教師が学生に積極的に参加してもらうための手段が重視されてきた。現在Engageliは独自のテクノロジーの確立に焦点を置いているが、そのうちいかにプラットフォームが教育機関によりすでに定期的に使用されている大きな学習管理システムや他のツールと連携して開発されるかを目にするようになるだろう。

アヴィダ氏は、Engageliがまだエンゲージメント時間、顧客数やユーザー数、他の数字について何も測定基準を公表していないと語った。今のところこのスタートアップは米国、英国、イスラエル(設立者たちの出身地。初めに国の軍事部隊でテクノロジーの確認済み)の大学の顧客を選んでおり、授業ではすでに「何百人もの」学生に利用されている。

また、多くの学校が対面学習に戻っていること、秋学期に新たなユーザーの増加が期待できると付け加えた。リモート学習が後退することはなくなり、その効果が持続しているためだ。

「パンデミック前でさえ何千万人もの学生がオンラインで授業を受け、学生の半数が何らかの形でオンラインコースをとっていた。私たちはこれがオンラインでの日常の買い物や遠隔医療と同じようにもっと発展すると予想している」。と彼はいう。「ある教授がこんな風に説明した。『幻滅の谷』 とはガートナーのマジック・クアドラントの可視化を参考にしたものだが、『それがここでは非常に浅い。私たちが後戻りすることはない』」。

これは教育者が選びそうな意見でもある。

「一度エンゲージメントのレベルを上げると、後戻りすることは難しい。Engageliの体験は現実の教室とほぼ同じレベルになっている。学生は机を前に着席し、私は彼らが何をしているか見られる。彼らは他の学生に質問できるし、おしゃべりしたり交流したりしている」。と、ロンドン大学クイーンメアリー校のTheodora Christou(テオドラ・クリストウ)博士はいう。「私は意義あるグループワークや事例研究をついに簡単にオンラインでできるようになった。大学で提供される既存のツールよりも、Engageliを選ぶだろう」。

学習のデジタルモードを受け入れるため、また多くの場合はオフライン、そして若年層でも起きていることを補完するため、より多くのツールの大量採用と開発を実際に目にしている今、会社の資金調達と成長が生じる。

先にKahootは米国のCleverを買収し、多くのK-12学校がオンライン学習のインタラクションを管理するために使用する人気のプラットフォームを取り入れる。そしてStuDocuは大学の授業ノートをクラウドソーシングし、レーティングし、共有するプラットフォームのために資金を調達した。このプラットフォームは現在1500万人の学生が利用し、非常に速い成長を見せている。これらはすべてEngageliも参戦を望む将来の優れたテクノロジーへの高い期待を集める。

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「ダン・アヴィダ氏と、教授陣、才能あるテクノロジスト、熟練したEdTechのエグゼクティブを含むEngageliのチームは、一部の対面授業よりも優れた教室および機能のように感じるデジタル教育ソリューションを構築することに他に例を見ないほどに適している」。と、Maveron のパートナーであるJason Stoffer(ジェイスン・ストファー)氏は声明で述べた。「パンデミックがあろうとなかろうと、すべての学校が、学生が全日リモート授業を受けたり、柔軟さが必要な時はデジタルを選択したりしながら優れた成果を導き出すためにEngageliを求めている。私たちは高等教育の現場のレベルを高めることに情熱を燃やしている。Engageliのユニークプラットフォームは、教育機関があらゆるタイプの学生のニーズを満たしサポートするのを助けるだろう」。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

子どもがCEOになって実際にオンラインショップを経営、様々なことも学べるプラットフォーム「Mighty」

子どもたちがある年齢に達するまで、充実したプログラムは学校、スポーツ、キャンプなどに限られており、お金を稼ぐ機会はほとんどない。

しかし現在、 創業1年のロサンゼルス拠点のMighty(マイティ)というスタートアップが、子ども向けのShopify(ショッピファイ)のようなプラットフォームを構築し、子どもたちに新たな選択肢を提供しようとしている。同社は、GOOD誌を創刊した創業者のBen Goldhirsh(ベン・ゴールドハーシュ)氏と、Etsyに5年近く在籍し、Sidewalk Labsのアドバイザーを務めたDana Mauriello(ダナ・マウリロ)氏が率いていて、フィンテック、EdTech、エンターテインメントが交わるところでサービスを提供しているとファミリーにアピールする。

よくあることだが、コンセプトは創業者自身の経験から生まれた。コスタリカに住んでいたゴールドハーシュ氏は、生徒6人という小さな学校に通う2人の娘のことが心配になり始めた。勉強が米国の学校に比べて遅れをとっているのではないかと懸念し、ソフトウェアプラットフォームであるKhan Academy(カーン・アカデミー)を使って放課後に勉強させ始めた。しかし、娘たちの反応は決して良いものではなかったという。

「彼女たちは、『ふざけないでよ、お父さん。学校から帰ってきたばかりなのに、また授業を受けさせる気なの』という感じでした」。

どうすればいいのかわからず、同氏は子どもたちが作っていたブレスレットをオンラインで販売することを勧めた。そうすれば、必要な数学のスキルを身につけることができるだけでなく、起業資金やビジネスプラン(それを書かせた)、マーケティングについても学ぶことができると考えたのだ。この「プロジェクトベースの学習」が成功したことを友人に話すと「うちの子にもやってくれないか」と頼まれるようになったという。

ゴールドハーシュ氏はマウリロ氏がEtsyに入社する前に運営していたクラウドファンディングのプラットフォームに投資していた。時が経ち、ゴールドハーシュ氏とマウリロ氏は、今はまだベータ版のスタートアップMightyの舵取りをし、Mightyは3000人の「CEO」のホームになっている。

この関心は驚くべきものではない。子どもたちは、歴史上最も多くの時間をオンラインで過ごしている。かつて子どもたちを雇っていたような実社会的なビジネスの多くは、規模が縮小している。ベビーシッターや街角でのクッキー売りを除けば、高校以前に仕事を見つけるのは困難だ。米労働省の公正労働基準法(Fair Labor Standards Act)では、14歳以上を雇用の対象としているからだ。それでも、多くの雇用者は、若い従業員は割に合わない仕事をしているのではないかと心配している。

投資家はこれがかなり堅実な考えだと思っている。Mightyは最近、Animo Venturesがリードする650万ドル(約7億2200万円)のシード資金を調達した。ラウンドには、Maveron、Humbition、Sesame Workshop、Collaborative Fund、ファミリーオフィスのNaHCO3などが参加した。

しかし、子ども向けのプラットフォームを構築するのは難しい。まず第1に、11歳の子どもたちの多くは、自分のビジネスを長期にわたって維持するために必要な粘り強さを持ち合わせていない。ゴールドハーシュ氏は、このビジネスを「21世紀のレモネードスタンド」に例えているが、午後の終わりに消滅しないビジネスを運営するというのとはまったく異なる命題だ。

ゴールドハーシュ氏は、どんな子どもでも、自分のビジネスに「努力」しなければならないとか、一定の軌道に乗せなければならないということを聞きたがらないとを認める。だが、起業家精神が旺盛で、継続的に活動している人もたくさんいると話す。実際、ゴールドハーシュ氏は、今回のシード資金によって、若いCEOたちを満足させるためにやるべきことがたくさんあるという。

例えば、多くの人が不満に思っているのは、自分の手作りの商品をMightyで売ることができないことだ。その代わりに、帽子やトートバッグ、ステッカーなど、自分でカスタマイズしたアイテムを販売してもらい、それをMightyの現在の製造パートナーであるPrintfulが製造し、最終顧客に発送する(Mightyユーザーは、Mighty同様に売上の一部を受け取ることができる)。

また、Mightyは、ナショナルジオグラフィックでも販売を行っているインパクトマーケットプレイスのNovicaと提携し、世界の職人が作った商品を販売することもできるようになった。

最初の段階では、できるだけ摩擦の少ないプロセスを導入することを考えていたが「顧客たちは怒りました。私たちにもっと多くを要求してきました」とゴールドハーシュ氏は述べた。同氏によると、Mightyは今後、小規模な起業家が自分で作った商品を販売できるようにする他、現在はサポートしていないサービスも提供していく予定だという。

収入源としては、売上高に基づく取引手数料の徴収に加えて、まだ公にする準備は整っていないがサブスクリプションサービスを導入することを計画している。

全体的に興味をそそられるが、MightyはShopifyのような既存のプレイヤーとの競争に勝たなければならないかもしれない。また、Mightyがやろうとしていることに対して、子どもの擁護者とまではいかなくても、親たちが反発することも考えられる。結局、起業というものは、気分を高揚させたり、意気消沈させたりするものだ。それは、一部の人が幼い年齢の子どもを乗せたがらないかもしれないローラーコースターだ。

しかし、マウリロ氏は、今のところそのようなフィードバックはないという。例えば、Mightyは最近、若いCEOたちがお互いに励まし合ったり、営業のヒントを交換したりできるオンラインコミュニティを立ち上げ、彼らはそこに積極的に関わっているという。

また、マウリロ氏は、スポーツや楽器を習うように、Mightyでお店を作ることで学べることがあると主張する。ストーリーテリングや売り方もそうだが、重要なのは、若い顧客が「失敗しても立ち直って、またチャレンジすればいい」ということを学んでいることだと同氏は話す。

ゴールドハーシュ氏は「『思っていたよりも難しい』と感じている子どもたちは絶対にいます。ただサイトを立ち上げてお金が入ってくるのを見ていればいいというわけではありません。それでも、子どもたちは、自分たちが目にする成功が、自分たちで稼いだものだという事実を気に入っていると思います」と付け加えた。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

学費出世払い方式のプログラミングスクール「Microverse」、世界188カ国の生徒が参加

入学費も授業料もゼロで、世界中からプログラミングを学べるMicroverseは、生徒の就職後の所得シェアに収益を依存している。その同社が、新たな投資家を見つけたようだ。

同社はこのほど、Northzoneがリードする1250万ドル(約13億9000万円)のシリーズAを完了した。参加した投資家はGeneral Catalyst、Iron Ventures、そして多くのエンジェルたちだ。先にTechCrunchは、General CatalystとY Combinatorによる同社のシードラウンドを取り上げたが、今回のラウンドで同社の調達総額は1600万ドル(約17億8000万円)近くになる。

最近、大手テクノロジー企業は地理的な境界や複数のタイムゾーンをまたぐリモートワークを積極的に採用しているため、Microverseのビジョンはいかにもパンデミックの時代らしい吸引力の高さを得ている。同社のレッスンは現在、世界の188カ国からの英語を話す生徒を受け入れている。

CEOのAriel Camus(アリエル・カマス)氏は以前のチャットで、今では同社のおよそ300名の卒業生がMicrosoftやVMWare、Huawei(ファーウェイ)などのテクノロジー企業に就職している、と語った。これまで、同社の卒業生が卒業から6カ月以内に雇用される率は95%よりも高て、生徒を米国だけに限定した所得シェア型のスクールのように、肝心の卒業生の就職という問題で行き詰まることがない。

Microverseで目立つのは、同業のLambda Schoolなどと比べて、学費の徴収が厳しいことだ。私が前に書いた記事は、その違いを次のように説明している。

Lambda Schoolの所得共有協定(ISA)では、就職した生徒の年収が5万ドル(約555万円)を超えたら、その後の24カ月間、3万ドル(約333万円)を上限として毎月の給与の17%をLambda Schoolに払う。Microverseは、生徒の月額給与が1000ドル(約11万1000円)を超えたら、その額の15%を要求する。上限はなく、生徒は1万5000ドル(約167万円)を完済するまで支払いを続ける。両社とも、生徒が払うのは彼らが学んだことの関連分野で雇用されたときに限る。しかしMicroverseでは、ISAの期限切れがないため、学習内容に関連する分野で職に就いたら、ずっと返済義務を負う。Lambda SchoolのISAは、最長の延べ払い期間が5年で、それを過ぎると債務は消滅する。

立ち上げ以来、同社はそのフルタイム10カ月のレッスンで生徒たちが本当に有能になるためにプログラムの合理化に努めている。たとえば生徒たちがあまり時間の余裕がなくても内容を習得できるために、レッスンを短い時間へと濃縮する工夫も行っている。カマス氏によると毎月、数千の応募はあるが、同社自身が早くから負荷が大きくなりすぎないように、そのごく一部だけを受け入れているという。2021年は、年間の受け入れ生徒数は1000人だ。

同社の将来計画は非常に大きく、卒業後の生徒がより円滑に就職できるように、日頃からテクノロジー企業と密接に協力していきたいと考えている。

「テクノロジー企業とのパートナー事業は、まだ行っていませんが、スケジュールにはあります。これにより生徒の受け入れ先は現在の5倍になるでしょう。世界人口の90%が高等教育を受けることができないこの時代に、

それによってうちの生徒たちの受け入れ口は今の5倍に大きくなるだろう。世界人口の90%が高等教育を受けられない世界で、年間1万人の学生獲得は、正直なところ、それほど難しいことではないと思います」とカマス氏は語る。

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画像クレジット:oatawa/Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

TIME誌「2020年のベスト100発明」の1つ、VirtiはVRでスキルを教え知識保持率を230%向上させる

パンデミックが発生したことで、トレーニングスタッフは「バーチャル化」を余儀なくされた。一般的には、それは私たちがよく知っていて「大好きな」既存の企業トレーニングソリューションに頼ることを意味していた。他の方法はないのだろうか?

2018年、外傷外科医のAlex Young(アレックス・ヤング)医学博士は、手術のようなストレスの多い場面で必要とされるトレーニングをVR環境に適用することにより、ラディカルで効果的なトレーニングアプローチを導き出したという。

彼のデジタルトレーニングプラットフォーム「Virti」は今回、IQ CapitalがリードするシリーズAラウンドで1000万ドル(約11億円)を調達した。LAのCedars-Sinai Medical Center(シダーズ・サイナイ医療センター)と、英国を拠点とする新しいEdTech系VCファンドDescenture Capitalも今ラウンドに参加した。さらに、Oracle(オラクル)からKurt Kratchman(カート・クラッチマン)氏がCROとして、Mark Ashworth(マーク・アシュワース)氏がCFO兼COOとしてVirtiに加わった。

英国ブリストルで設立されたVirtiプラットフォームは、モバイルやデスクトップデバイス、またはVR / ARヘッドセットで動作し、3つすべてのデータをキャプチャして、従業員のパフォーマンスを分析、測定、フィードバックし、主観的に評価されがちな多くのスキルを、より客観的で測定可能なデータに変える。Virtiはパンデミック中に最前線で働く人々の役に立ったとして、TIMEマガジンが選ぶ「2020年のベスト100発明」の1つにも選出された。

Virtiは、その深層学習技術によりトレーニングの成果を最大230%向上させ、同社によれば、収益を978%向上させたとしている。また、クラウドベースでノーコードのシミュレーション作成スイートを持っており、組織は独自のオーダーメイドのトレーニングモジュールを構築できるという。

Virtiの創業者兼CEOであるヤング博士は次のようにコメントしている。「Virtiの目標は、体験型学習を誰もが手頃に利用できるようにすることで、人間のパフォーマンスを最大化することです。対面式のトレーニングは常に高価で、eラーニングはユーザーをエンゲージするのに効果的ではない場合が多くあります。そして研究によると、従業員はそうした一時的なトレーニングの80%以上を忘れてしまうそうです」。

IQ CapitalのマネージングパートナーであるMax Bautin(マックス・バウティン)氏は次のように述べた。「eラーニングは過去5年間で大きな成長を遂げており、新型コロナウイルスによるリモートワークへの移行で需要はさらに何倍も膨れ上がりました。Virtiのディープテック体験学習プラットフォームは、世界でも断トツに優れています」。

Virtiは、通常のデスクトップベースのトレーニングソリューションとも競合している。しかしVRサイドでは、5100万ドル(約56億4000万円)を調達したStriVRや、3510万ドル(約38億8000万円)を調達したMursiunとの間で、より一層の競争が繰り広げられている。

筆者との電話でヤング博士はこう語ってくれた。「当社のシステムはアナリティクスに関する特許を取得しており、VRヘッドセットを装着した人が何を見ているか追跡することができます。そのため、マーケティングプラットフォームで見られるヒートマップデータのように、深いエンゲージメント指標を引き出すことができるのです。これらの環境下で人々がどのように交流し、意思決定などを行っているかを組み合わせることで、現実の環境でどのようにパフォーマンスを向上させることができるかを予測し、それをレポートダッシュボードで共有できます。また、練習をしていないと、学習内容の80%を忘れてしまうという側面もあります。当社のシステムはモバイルやVR、ARヘッドセットでアクセスできるので、最新の情報や学習を得ることができ、スキルアップや情報の記憶をより長く保持することが可能なのです」。

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カテゴリー:EdTech
タグ:VirtiVR資金調達eラーニング

画像クレジット:Virti

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

住宅建築の技能をビデオで学べるプラットフォーム「Copeland」

職業専門学校は目新しいものではない。しかしCopeland(コープランド)という新しいスタートアップは、配管や塗装、家具製作などについての教育を、業界のプロや専門性を持つ教育者が登場する高品質の事前収録されたオンライン授業で提供することで大きな事業を構築できると考えている。

建設関係のMasterClassと感じたら、それは偶然ではない。CopelandはMasterClass(企業価値はいまや25億ドル[約2740億円]と報じられている)に最初に小切手を切った有名な投資家Michael Dearing(マイケル・ディアリング)氏のアイデアで、技能などが十分に生かされていない米国人を、十分な働き手を確保できない住宅建築業者と結びつけることにチャンスを見出した。一方、Copelandの共同創業者でCEOのGabe Jewell(ゲイブ・ジュウェル)氏は創業前、クリエイティブディレクターとしてMasterClassで約4年間過ごした。

コンテンツに料金を課しているCopelandは、職業専門学校に加えて建築や解体に関する数限りないハウツービデオを無料で閲覧できるYouTubeビデオとも競合している。それでもベイエリアで設立されたばかりの6人の会社であるCopelandはこれまでに9つの異なるコンテンツを制作した。同社の見通しに胸躍らせている投資家もいる。実際、ディアリング氏による初期の投資に加え、同社はシードラウンドでDefy.vcとCollaborative Fundから500万ドル(約5億5000万円)を調達し、累計調達額は700万ドル(約7億7000万円)となった。

米国時間6月3日午後に筆者はCopelandが何をしようとしているのか、住宅所有者や野心的な技能職の人がターゲット顧客なのかどうか、ジュウェル氏に話を聞いた。Copelandはある教育者にちなんだ名称だ。ジュウェル氏との会話は以下の通り。

TC:技能職の人や建築・建設分野で働く意欲がある人を教育しようとしています。この分野は労働力が不足し、ノウハウを持っている人を必要としています。あなたの顧客がトレーニングを受けたことを雇用主が認められるよう、証明書を付与する計画ですか。

GJ:適正証明あるいは、アセスメントをしっかりパスした場合の修了証明書を検討しています。ライセンスの方はというと、(一括請負建設業者の)ライセンスは地域で発行されるため複雑です。誰かの家を燃やしてダメにしてしまわないよう、認可された電気工事業者である必要がありますが、通常そのライセンス取得には4年かかります。ですので当社は現在、一般的な教育とサポートに注力しています。

TC:好奇心からお聞きしたいのですが、1カ所で多くの人に対応するプラットフォームであることを考えたとき、どうやってユーザーをテストするのですか。

GJ:建設の数学をテストすることが考えられます。角度や面積などをどう計算するのかを知っていることを確認するアセスメントを通じて行います。他のテストは一般的な知識についてとなるかもしれません。オンラインテストではあなたがすばらしい家具を作ることを確かめることはできませんが、他にもテストの方法は簡単に考えられます。

TC:MasterClassはセレブやそれぞれの分野のスターに頼っています。話題となるために、DIYタイプの番組からセレブ的な建築業者や技能職の人を先生として引っ張ってきますか。

GJ:それについても協議しています。やっていることをシェアするプロの建築業者による健全なオンラインコミュニティがあり、彼らは当社を温かく迎えてくれました。当社にとって最も重要なことはインストラクションの質を本当に高くすることです。

TC:私は昨日、煉瓦の壁をどのように解体するかについてのビデオを観ました。それで、ふと思ったのですが、Copelandのプラットフォームに住宅所有者向けのコンテンツは登場するのでしょうか。

GJ:DIY初挑戦という人にもコンテンツを提供するつもりです。例えばデッキ作りは雇用につながるスキルで、プロの作り方として学べるものを教えることができます。と同時に、もしあなたが自分のデッキを作ることを真剣に考えているなら、教え方を知っているプロ以外の誰から学ぶのでしょうか。

当社はまた、そうしたオーディエンスが集える方法を考えています。そこで壁を解体する方法を学ぶことができるかもしれませんが、信頼できるリソースとしてチェックできるプロの改造業者を見つけるためにCopelandを利用することもできます。

TC:プログラミングの各ピースをつくるのにどれくらいの時間がかかるのですか。

GJ:コースを合体させるのに数カ月かかります。各コースは大体が1〜2時間ですが、今後はもっと幅が出てくるでしょう。

TC:建築業者や、現在追い詰められている商業不動産デベロッパーとの提携はありますか。

GJ:住宅建築業者との提携を確立しているところです。いくつか進行中で、さらにコンテンツを制作してライブラリーに追加するとともに、そうした面を成長させることについてワクワクしています。

TC:コンテンツを制作するなかでサブスクも視野に入れていますか。

GJ:はい。現在は1コースあたり75ドル(約8200円)で、無期限にアクセスできます。また企業は人数分や回数で購入することもできます。ライブラリーを拡大するにつれ、価格体系はよりフレキシブルになるでしょう。

TC:どのようなタイプのコンテンツが今後登場しますか。

GJ:現在、大工仕事や家具製作、設計図読みのような実践的な技能をともなう住宅建築にフォーカスしていますが、配管や塗装、そして契約やリスク管理など一般的な請負業者のスキルなどを加えることでコンテンツを引き続き拡大していきます。当社はまた、現場とオフィスの中間のスキルを主に扱う、大学の教授による商業建築管理のライブラリーも制作しています。経験のある職人でリーダーシップスキルを学ぶ必要があったり、小売から建設の分野に移ってきた、あるいはオフィスの収容能力に取り組んでいどうやって結論を導き出すかを学ぶ必要がある、という人向けです。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

競プロ「AtCoder」が東京海上日動火災保険主催のプログラミングコンテストを発表、6月12日開催

競プロ「AtCoder」が東京海上日動火災保険主催のプログラミングコンテストを発表、6月12日開催

日本最大級の競技プログラミング(競プロ)コンテストサイト「AtCoder」を運営するAtCoderは6月4日、東京海上日動火災保険主催の個人戦コンテスト「東京海上日動プログラミングコンテスト2021」(AtCoder Regular Contest 122)の開催を発表した。コンテスト時間は6月12日21時~23時(120分間)。

総合順位1位の者には10万円分のAmazon ギフトカードなど、順位ごとの賞品が用意されている。また学生の場合は、大学生・大学院生・短大生・専門学校生・高専生・高校生・中学生を対象としており、別途順位および賞金を用意している(未成年の参加者は、賞品の受け取りについて保護者の同意が必要)。

同コンテストは、6月12日21時~23時(120分間)の開催時間中に出題されるプログラミング問題に対するソースコードを提出し、獲得した得点を競うというもの。誤答を提出するたびにペナルティが加算される(同コンテストの場合は5分間)。また、参加者のレベルを表すレーティング更新対象は0~2799となっている(レートが2799以下の参加者は、コンテスト結果によってレートが変動)。

東京海上日動は、創業以来140年間、データを基とした数理モデルで事故や災害などのリスクを見える化し、社会に求められる新しい保険商品・サービスを提供し続けてきたという。なかでも、東京海上グループのIT戦略を支える中核会社「東京海上日動システムズ」では、新たなビジネスモデルの構築や既存ビジネスのトランスフォーメーションを推進するなど、最先端のデジタル技術を含め、ITを駆使した付加価値の高いシステムを開発しているそうだ。

ただ、昨今の技術革新や社会構造が高度にデジタル化していく中で、これまで以上のスピード感で変化していくことが求められていると指摘。最先端のデジタル技術、IoT機器や人の行動から生まれた複雑なデータを有効に活用することで、より安心・安全な社会を実現するには、従来以上に高度なアルゴリズム構築力やプログラミング力を持った人材がキーになると考えているという。

そこで同社は、コンテスト参加者が先端技術や複雑化したデータを駆使して、安心・安全な社会の実現に向けた新たなビジネスを生み出している、あるいは誰かの挑戦を後押ししているといった未来を思い描くため、コンテストを主催するにいたったと明かしている。

なお活用できる技術・歓迎する言語としては、フロントエンドの場合はVue.js、React、HTML、CSS、またサーバーサイドの場合はNode.js、Java、C#、Kotlin、Objective-C、Python、R言語、Ruby、SQLを挙げている。

AtCoderは、競技プログラミングコンテストサイト「AtCoder」を運営。20万名超(うち日本人は11万名以上)が参加登録し、毎週開催される定期コンテストには約1万名以上が挑戦するという。

また、高度IT人材採用・育成事業として、コンテスト参加者の成績を8段階にランク付けした「AtCoderランク」を利用する転職・求職支援サービス「AtCoderJobs」や、IT人材のプログラミングスキルを可視化できる検定「アルゴリズム実技検定・PAST」といったサービスを展開している。

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タグ:AtCoderオンライン学習 / eラーニング / オンラインレッスン(用語)エンジニア(用語)教育 / EdTech / エドテック(用語)競技プログラミング / 競プロプログラミング(用語)日本(国・地域)

中東・アフリカ地域のアラビア語話者向け動画学習プラットフォーム「Almentor」が7.1億円調達

世界には4億人以上のアラビア語話者がいて、その数が減ることはない。アラビア語は、ほとんどの人にとって難しい言語であり、話者にとってさえもそうだ。Duolingo(デュオリンゴ)によると、アラビア語エジプト方言が堪能な人でも、アラビア語イエメン方言話者のいうことを完全には理解できないという。方言の違いが著しいためだ。

個人が複数の方言を操ることは難しくないが、完全カスタマイズされたアラビア語による日常生活に不可欠なコンテンツを見つけるのは容易ではない。

Dr Ihab Fikry (イハブ・フィクリー博士)とIbrahim Kamel(イブラハム・カメル)氏は、アラビア語話者向けオンライン学習コンテンツの不足を補うためのオンラインビデオ学習プラットフォームAlmentor.net(アルメンター・ドット・ネット)を2016年に設立した。数百人の指導者、教育者、専門家らの協力を得て、同プラットフォームは、健康、人文科学、テクノロジー、起業家精神、ビジネスマネージメント、ライフスタイル、ドラマ、スポーツ、コーポレート・コミュニケーション、デジタルメディアなどさまざまな分野のコースと講演を提供している。

Almentorは2016年に350万ドル(約3億8000万円)のシードラウンドを完了し、3年前にはエジプトのSawari VenturesのリードによるシリーズAで450万ドル(約4億9000万円)調達した。このドバイ拠点のEdTech企業は、今回のシリーズBで総調達額を1450万ドル(約15億9000万円)とした。サンフランシスコとパリに拠点を持つベンチャーキャピタル、Partechがラウンドをリードし、他にSawari Ventures、シリーズAでも出資したEgypt Ventures、およびSango capitalが参加した。

Almentorはアラブ圏学習者に、職業経験と個人生活を高めるために不可欠なスキルを提供する。同プラットフォームは、地域で最大の持続学習ライブラリーを持っていて、世界でも最大規模だと言っている。ドバイ、カイロ、およびサウジアラビアで提供している同社の動画コンテンツは、社内で開発されアラビア語と英語が使われている。

「Almentorを立ち上げた構想と理由は、1億人以上がいるこの地域で、90%の人々はアラビア語以外の言語を満足に学習できないことを、私が理解していたからです」とフィクリー氏がTechCrunchに語った。「だから私たちは、人々の思想を変え、彼らが客観的になって集中して学ぶことのできるテーマに焦点を当てられるような最先端技術を駆使したプラットフォームを作りたいと思いました」。

Almentorのような新規製品では、投資家と顧客の両方を集めるのが大変だ。CEOのフィクリー氏によると、最初の課題はMENA(中東・北アフリカ)諸国に対して、Almentorがビデオ学習の新しい産業を作ろうとしていて「地域のサービスを強化する数多くの可能性がある」と説得することだった。

Almentorのビジネスは、教育とメディアとテクノロジーの交点にある。提供するサービスは3つに分けられる。主力のB2Cプロダクト、優良企業向けのホワイトレーベルB2Bモデル、そしてフィクリー氏が政府向け「スペシャルプロジェクト」と呼ぶものだ。

B2CプロダクトとしてAlmentorは、20~30ドル(約2190〜3280円)でコースを販売し、ユーザーは永久に使い続けることができる。フィクリー氏は2021年6月に、同社の1万2000種類の動画コンテンツを、100万人以上の登録ユーザーが定額で無制限に利用できるサブスクリプション型モデルの導入を計画しているという。

B2Bモデルでは、Almentorが同社のライブラリーを企業に開放し、利用する企業は社員向けにコンテンツをカスタマイズできる。動画の内容は主として、職場で成功するために必要なチュートリアルまたは教育で、2016年以来Almentorは提携企業と78件の契約を結んだ。

そして、スペシャルプロジェクトは、Almentorが政府と仕事をするためのモデルだ。かつて同社はエジプト政府と提携して、国の映画産業のスキル向上を実施した。同社は5年前の創業以来同じようなスペシャルプロジェクトをあと11件実行している。

3つのモデルを通じて、Almentorは200万人以上に学習体験を届けることに成功した。今回の投資は、コンテンツの制作と品質を強化し、MENA諸国の人々に何故このプロダクトが必要かを知ってもらうために使うと同社は言っている。

「現在当社はアラブ地域の持続学習業界をリードしていますが、私たちにはAlmentorの野心以上のことを行う責任があります。現在の責務はアラブ地域全体として業界を向上することであり、そのための唯一の方法は、プラットフォームが提供するコンテンツの価値と専門技術と公平性に対するアラブ学習者の信頼を勝ち取り、世界の学習トレンドに沿って事業を進めていくことです」。

PartechのゼネラルパートナーであるCyril Collon(シリル・コロン)氏は投資について次のように語った。「初めて出会った時から、イーハブとイブラハム氏に大いに魅せられています。使命感の強いすばらしい起業家である2人は2016年以来大胆な構想を実行し、中東・アフリカをリードするアラビア語自己学習コンテンツプロバイダーを作りました。私たちはこの会社が4億3000万のアラビア語人口に役立ち、最先端のオンデマンド個人学習・啓発の利用を拡大するための次期成長フェーズを支援できることを楽しみにしています」

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タグ:Almentorオンライン学習アラビア語資金調達ドバイ

画像クレジット:Almentor

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tencentが中国本土から海外の教育サイトローディングをスピードアップするサービスを展開中

新型コロナウイルスパンデミックが引き続き世界中の暮らしと航空網を一変させている中、海外の学校に入学した数十万もの中国人学生が行き詰まっている。中国の自宅で学習しながら、彼らはみな、ある1つの問題に直面している。学校のウェブサイトや他の教育リソースのローディングが耐え難いほどゆっくりなのだ。これは、すべてのウェブトラフィックが通称「グレート・ファイアウォール」という中国の検閲システムを通過しなければならないためだ。

そこに好機を見いだしたAlibaba(アリババ)のクラウド部門は、米国のサイバーセキュリティソリューションプロバイダーFortinetとのバーチャルプライベートネットワーク(VPN)手配を通じて、中国の学生を海外の大学のポータルへと結びつけたとロイターは2020年7月に報じたが、Tencent(テンセント)も似たようなプロダクトを展開しているとも指摘していた。

Tencentのサービスの詳細が明らかになった。「Chang’e Education Acceleration」というアプリはAppleのApp Storeに2021年3月に登場した。選ばれた海外の教育サービスのローディング時間をスピードアップするというものだ。Tencentはアプリについて「在宅でそして海外で学ぶ学生や研究者にインターネットアクセラレーションと教育リソースの検索サービスを提供することを目的とした、Tencentからのオンライン学習無料アクセラレーター」と簡潔に説明している。

教育使用のためのAlibabaのVPNと異なり、Chang’eはVPNではない、とTencentはTechCrunchに語った。VPNをどのように定義づけているか、あるいはChang’eがテクニカル的にどのように機能しているかTencentは説明しなかった。同社は2020年10月にアプリのオフィシャルウェブサイトでChang’eの提供が始まったと述べた。

「VPN」という言葉は中国では隠れた意味を持つ。往々にして「グレート・ファイアウォール」を不法にバイパスすることを意味する。人々は婉曲表現「アクセラレーター」あるいは「サイエンティフィックインターネットサーフィングツール」と言及する。TechCrunchが行ったテストでは、Chang’eがスイッチオンになると、iPhoneのVPNステータスは「オン」と表示される。

TencentのChang’eウェブサイト「アクセラレーター」はリモート学習を余儀なくされている中国人学生が学校のウェブサイトを早く取り込めるようにするのを手伝っている(スクリーンショット:TechCrunch)

ウェルカム画面では、Chang’eはユーザーに「アクセラレーション」のための国を米国やカナダ、英国を含む8カ国から選ぶよう尋ねる。また、各地域のレーテンシータイムとどれくらいスピードアップするかの予想も表示する。

国を選ぶと、Chang’eはユーザーがアプリのビルトインブラウザーで訪ねることができる教育リソースのリストを表示する。そこにはトップの大学79校(大半が米国と英国)のウェブサイト、Microsoft Teams、Trello、Slackのようなチームコラボツール、UDemy、Coursera、Lynda、Khan Academyといったリモート学習プラットフォーム、SSRNやJSTORなどの研究ネットワーク、Stack Overflow、Codeacademy、IEEEなどのプログラミングとエンジニアリングのコミュニティ、世界銀行とOECDが出している経済データベース、PubMed、Lancetといった医学生のためのリソースが含まれる。

これらのサービスの多くは中国でブロックされていないが「グレート・ファイアウォール」下にある中国本土でのローディングはゆっくりとしたものだ。ユーザーはリストに含まれていないサイトをリクエストすることもできる。

Chang’eを通じてスタンフォード大学のウェブサイトにアクセス(スクリーンショット:TechCrunch)

Chang’eはユーザーのスマートフォンの全トラフィックではなく、選んだサイトだけを自由にアクセスできるようにしているようだ。中国で禁止されているGoogle、Facebook、YouTube、その他のサイトはChang’eを通じても利用不可だ。AndroidとiOSの両方で無料で利用できるChang’eは現在のところユーザーに登録は求めていない。オンラインでの行動が厳しく規制されている中国では珍しい方針であり、ほとんどのウェブサイトはユーザーに実名での登録を求めている。

Chang’eを通じて利用できるサービス(スクリーンショット:TechCrunch)

AlibabaとTencentによるサービスは、違法あるいは中国の国益を損なうと思われる情報をブロックするための中国政府の検閲システムによって引き起こされた迂闊な結果だ。大学、研究機関、多国籍企業、輸出業者は往々にして、当局が無害だと考えるもののために検閲回避アプリを探すことを余儀なくされる。

VPNプロバイダーは中国で合法的に運営するために政府の承認を得る必要があり、ライセンスを取得したVPNサービスは中国の国家セキュリティを危険にさらすウェブサイトのブラウジングが禁止されている。2017年にAppleは中国政府の命令を受けて何百もの無認可VPNアプリを中国のApp Storeから削除した。

2020年10月にTechCrunchは、VPNアプリとブラウザーのTuberは中国のユーザーがFacebook、YouTube、Googleといった世界のインターネットエコシステムを垣間見れるようにしていると報じたが、記事の掲載からほどなくしてアプリは削除された。

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タグ:Tencent中国オンライン学習留学グレート・ファイアウォールVPN

画像クレジット:GREG BAKER/AFP / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

建築学生向けサービス「BEAVER」を運営するArchiTechが3500万円を調達、利用者数3000人突破

建築学生向けサービス「BEAVER」を運営するArchiTechが3500万円を調達、利用者数3000人突破

設計作品共有・建築ソフト学習・就活支援などを包括する建築学生向けサービス「BEAVER」(ビーバー)を提供するArchiTech(アーキテック)は5月24日、第三者割当増資による総額3500万円の資金調達を5月17日に実施したと発表した。引受先はTHE SEED。

調達した資金は、学生ユーザーのさらなる増加と定着を図るためのマーケティングとサービス開発体制、また企業とのマッチングを生み出し続けるためのBtoBサポート体制の構築にあてるとしている。

BEAVERは、「建築学生に必要な全てがここに。」をテーマに、建築を志す学生が学生期間中常に傍らにおいて使えるウェブサービスとして2018年11月にリリース。2021年5月現在で利用ユーザー数は3000人を突破し、日本最大級の建築学生コミュニティとなっているという。

同サービスでは、建築ITソフトのチュートリアル学習サービス、自身の設計作品の投稿や全国の学生の作品を閲覧できる作品共有サービス、自身の実績をまとめたウェブポートフォリオを基に企業とのマッチングを図る就活支援サービスを提供している。

2018年11月設立のArchiTechは、「愛される建築が生み出され続ける世界を実現する」をミッションに掲げる建築系スタートアップ。BEAVER、建築学生と建築系企業のマッチングサービス「BEAVER CAREER」(ビーバーキャリア)、建築CGイメージや3Dモデルの制作を行う「THE PERS」(ザ・パース)などの事業活動、またデザイン評価の可視・定量化に関する京都大学の共同研究事業を行っている。

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すでに70万人の教師が利用するインドのオンライン教育プラットフォームTeachmintが約18億円

2020年のグローバルなパンデミックの発生後に生まれたインドのスタートアップが3度目の資金調達ラウンドを完了し、世界で2番目に大きなインターネット市場の何十万人もの先生たちが、クラスをオンラインで運営して生徒たちに提供できるようにしている。

ベンガルールのTeachmintによると、同社は現地時間5月4日、シリーズAのラウンドで1650万ドル(約18億円)を調達した。ラウンドをリードしたLearn Capitalはサンフランシスコのベイエリアに本社があるベンチャーキャピタル企業で、特にEdTech企業にフォーカスし、CourseraやUdemy、Nerdy、Minerva、Brainlyなど、世界で最も将来性に富むオンライン学習プラットフォームを支援してきた。

CM Venturesと、まだ登記もしていない時点のTeachmintに最初に投資したBetter Capital、そして同じく前からの投資家であるLightspeed India Partnersも新たなラウンドに参加し、同社の調達総額は2000万ドル(約21億8000万円)に達した。

Teachmintは、AndroidのスマートフォンやiPhone、あるいはウェブのアプリから、先生たちのオンラインによるクラス管理をサポートする。アプリは自由度が高いプロダクトであり、教師はクラスをリアルタイムで開始し、生徒たちの疑問に答えるセッションを行い、出席を取り、ウェビナーを行い、料金を集めたり、新入生を見つけ、電話によるサポートを提供、そしてテストを行うなどの機能がある。

Teachmintの共同創業者でCEOのMihir Gupta(ミヒル・グプタ)氏は、TechCrunchのインタビューに対して、次のように語っている。「パンデミックが発生したとき、教師たちはGoogle MeetやZoomなどの限られたツールだけでなくYouTubeやFacebook Liveのようなツールまでも使い、苦労してオンライン授業を、またテストにはGoogle Form、通信にはWhatsAppを利用していました。しかし、どのツールも教育用に作られてはいなかったため、それは多くの教師にとって困難で統一性のないものでした。そこでTeachmintの創業者たちは、教育に焦点を合わせた、モバイルファーストでビデオファーストなソリューションを作ろうと決意したのです」。

グプタ氏によると、プロダクトはインド国内の10言語で利用でき、インド固有のニーズに合わせて高度にローカライズされているという。

またグプタ氏によると、Teachmintの立ち上げから10カ月ほどで、1500あまりの市や町の教師たち70万名以上が、このプラットフォームの登録会員になったとのことだ。

Learn CapitalのパートナーであるVinit Sukhija(ヴィニット・スキーヤ)氏は声明で次のように述べている。「数カ月前にLearn CapitalのチームはTeachmingの共同創業者らと初めてのミーティングを行いました。そこで彼らのチーム全員が、エンド・ツー・エンドかつマルチモードで、この分野における最良のソリューションで、インドの教師たちが短時間かつシームレスに自分のクラスをデジタル化できるよう、細心の配慮でシステムを設計していることがわかりました」。

また「70万人以上の教師が登録しているTeachmintは、今やインドで最良のオンライン教育プラットフォームです」とスキーヤ氏は述べている。さらにLearn Capitalは、今後Teachmintがインド国外にもサービスを拡張していくと信じている、という。

グプタ氏によるとTeachmintは現在、同社のプロダクトを収益化していないが、近い未来にそれをする気もないという。なぜなら目下の最優先事項はインドでもっと多くの教師たちに同社のサービスを届けることと、プロダクトそのものを拡張することだからだ。

同社はマーケティングにあまり投資をしていないため、教師たちは主に友人からの口コミでTeachmintのことを知っている。小規模なスタートアップの戦略的買収については、今後積極的に検討していくそうだ。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)