reMarkableはきわめて独創的で野心的なデバイスだ

何年か前のこと。私は白黒コンピュータを求めていたが、その奇妙な欲望はいまだに私の中に留まったままだ。誰もまだこの素晴らしいアイデアへと私を連れて来てくれてはいないが、既存のモノクロデバイスは大幅に改善されて来た。まあもちろん、その能力にはまだまだイライラさせられるのだが。だからこそ、reMarkableタブレットが私にとっては、とても嬉しいのだ。これは全面的に電子ペーパーを採用している。

昨年末の発表後、もしこのデバイスを追いかけていたのなら、reMarkableがいわば強化版Kindleだということは知っているだろう。これは可能な限り紙の上への書き込み体験を模倣しようとしたデジタルノートブックだ。もちろん現代技術の利点は備えている。

これまで、様々な場所で行われたハンズオンデモには参加できていいない(太平洋側の北西部で働いていることによる不便な点だ)。なのでreMarkableがその目的をしっかりと達しているかどうかに関する最終的な判断を下すのは、実際の製品を手にしてからにしようと考えている。しかし、ここで私は、彼らを熱心に応援しているのだいう記録を残しておきたい。

私は共同創業者であるMagnus Wanbergならびに、CEO兼デザイン担当役員のMats Solbergにぞれぞれ話を聞いた。彼らには私に近いものを感じることができた。紙の否定できない魅力に郷愁を抱き、電子ペーパーデバイスの可能性に興奮し、そして既存のオプションに失望していた。

「ハードコアな『紙好き』人間としての意見を述べるなら、本当に役に立つものはないですね」とWanberg。「書くにせよ、読むにせよ、スケッチするにせよ、同じような経験とはとても言えません」。

ここ数年の間、彼らは電子ペーパーディスプレイの能力を高めるべく、様々な工夫を重ねてきた。ソフトウェアを改善し、いくつもの対話手段を試みてきたのだ。こうしたことは、各種タブレットやKindleの宣伝文句には謳われて来なかったが、本来課題として取り上げられるべきものだったのだ。私は、世のトレンドに流されることなくこのプロジェクトを押し進める、彼らの決意を多いに賞賛したい。

書き込みに対する応答の遅れ(レイテンシ)が短くなればなるほど、より自然な書き心地が実現される。最終的に、彼らは最新の電子ペーパーディスプレイのレイテンシを約55ミリ秒にまで半減させることができた。ちなみにiPadのペンのレイテンシは50ミリ秒だ。

これは大変な成果であり、このことはE Inkに感銘を与え、両社が共同作業を始めることになった。そして、タブレットの他の側面、例えば傾きと圧力をサポートしたWacomのようなパッシブペン、ドキュメントのレイヤーサポート(重要だ)、思慮を重ねた素材選択なども好ましいものだ。

しかし、私にしてみれば、既存の枠組みには囚われない便利なプロダクトのビジョンに比べれば、技術的な成果は二次的なものだと思う。

reMarkableは、文書を扱い共有しスケッチする為に、白黒デバイスとしてゼロから開発された。Windowsのような厄介さも、Amazonからの執拗な買え買え攻撃もない、心地よい紙のような環境が提供される。モノクロタッチディスプレイの制限の中で、いくつもの特定作業をうまくこなすように作られている。

「このプロダクトで私たちは … いわば紙の限界のなさを表現したいと思ったのです」とSolbergは語る。「ブランドはなく、余分な宣伝文句もなく、そして液晶ディスプレイでもありません」。

これは強化版Kindleではなく、最新版iPadでもない。極めて独特の存在で、他の新しいデバイスたちとは似通ってはいない。

実際にこのデバイスがどのようなもので、本当に私が期待しているくらい使い勝手の良いものになるのかどうかの詳細に関しては、この夏最終的にreMarkableが出荷される前に私が書き上げる予定の、完全版レビューをお待ちいただきたい。現時点では、reMarkableサイトでさらに情報を得ることができ、479ドルでプレオーダーが可能だ。

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(翻訳:Sako)

Turing Tumbleは巧妙なメカニカル・コンピューター―Kickstarterの教育玩具は大人も楽しめる

近頃はなにもかもエレクトロニクス化されてしまったが、それだけにTuring Tumbleのようなボードゲームは楽しい。

プログラマーでミネソタ大学教員でもあるPaul BoswellはTexas Instrumentsの電卓で遊べるゲームを開発したことで有名だが、 今回はAlyssa Boswellと協力して Turing Tumbleという純粋にメカニカルなコンピューターを作り上げた。ボード上で何種類かの小さな部品を正しく組み合わせることによってさまざなパズルを解くことができる。

Boswellはこれまでもプログラミングを学ぶためのゲームをいくつも開発してきた。ミネソタ大学でコンピューティングを教えている際、他の面では優秀だがプログラミングがいっこうに理解できない科学者を大勢発見した。このフラストレーションがコンピューティングの仕組みを説明するおもちゃを開発する動機になったという。

「プログラミングができる化学者や生物学者は珍しい。実のところどんな分野でも珍しい。そうでないのは計算機科学者くらいのものだ。しかしそれでは困る。私は長年学生にプログラミングを教えてきた。その間、学生であれ教授陣であれ、すばらしいアイディアなのに適当なプログラムが書けないためにプロジェクトを諦めてしまうという事態を繰り返し見てきた」とBoswellは言う。

Turing Tumbleは非常にシンプルは構成だ。ボードのてっぺんからビー玉が転げ落ちる。ボードには格子状に多数の穴が開いており、そこに論理部品をはめ込む。ビー玉が最下段まで落下してフリッパーと呼ばれる部品を押し下げると新しいビー玉が供給され、以下同様にサイクルが続く。

「プレイヤーは6種類の論理部品を利用して論理パズルを解く。 Bitは中でも重要な部品だ。ビー玉が落ちてくるたびにこの部品は反対側に向きを変える。この部品は左向きがゼロ、右向きが1を表す。Gear bitは特に面白い部品だ。Gear bitはBitとほぼ同様の機能だが、名前の通り歯車で、他の歯車と組み合わせることができる。ビー玉が一つの歯車を動かすと次の歯車に動きが伝わる。この部品があるためにボードは全体として『チューリング完全』な機械となる」とBoswell。

こうした理論は表に現れず、見たところはメカニカルなパズルゲームというのが重要な点だ。付属の冊子には51のゲームが紹介されており、子どもたちは遊びながらXORなどの論理回路を組み立てることができる。

このプロジェクトはBoswell夫妻の自己資金がまかなわれる予定で、現在Kickstarterで4万8000ドルの資金集めを行っているところだ。

「メカニカル・コンピューターを調べ始めたところ、1960年代に作られたDigiComp IIという玩具に行き当たった。これは落下するビー玉を動力とする計算機で非常に巧妙だった。私はDigiCompから多くの作動原理を借り、自分のアイディアを付け加えて独自のメカニカル・コンピューターをデザインした。3Dプリンターのおかげでプロトタイプを作成することができた」という。

これは素晴らしい教育玩具だが、もしかすると他のコンピューターがなんらかの理由で全滅したときには計算機として実用になるかもしれない。そんな日が来ないとはいえないだろう。

〔日本版〕Kickstarterのページによれば、プレッジ額は一口399ドルで4万8000ドルの目標に対して3万4875ドルがプレッジされている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「空飛ぶ自動車」のKitty Hawk、テストパイロットたちも大満足

Kitty Hawk Flyerは、昔から「空飛ぶ自動車」としてイメージされていたものに近いように思う。「自動車」としての機能はもっていないものの、一種のATV(All Terrain Vehicle:全地形対応車)と呼んで差し支えないように思う。これまでのATVよりも、より一層「全地形」に対応している。と、そのような言葉上の問題はどうでもよかろう。ともかく最新の乗り物であり、Googleの共同ファウンダーであるラリー・ペイジも出資している。単なる「コンセプト」の段階ではなく、「ワーキングモデル」(working prototype)が存在するのも面白い。

このたび、Business Insiderが、Kitty Hawk Flyerのテストパイロットについての記事を掲載していた。記事中ではデモスタッフへのインタビューなども取り上げられている。テストパイロットはさまざまな経歴をもつ人から選ばれ、選考あたっては飛行経験の有無のみならず、スポーツ全般への関心度、パラグライダーなどへの興味/経験などについても考慮したとのことだ。

また、トレーニングについては、個々のパイロットの経験に応じた個別のトレーニングメニューが用意されてもいるとのこと。Business Insiderの記事によれば、操縦自体はXboxのコントローラーを操作するのに似ているのだそうだ。上のビデオでも、パイロットが操縦のノウハウをマスターして自在にコントロールできるようになった際の感動などについて触れられている。

Kitty Hawkはこの乗り物を年内中にも発売したい考えだ。ビデオ中のテストパイロットの様子をみるに、テック系のオタク以外の人たちも、大いに興味を持ちそうに感じられる。

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(翻訳:Maeda, H

Asus、超薄型ノート2機種発表―台北のショーに今年はロボットの姿なし

Zenboという家庭用ロボットを覚えているだろうか? 昨年、台湾のコンピューター・メーカー、ASUSが台北で開催したComputexプレスイベントに登場して話題をさらった。しかし今年のCumputexにはZenboの姿は見えず、ZenFonesスマートフォンとZenBookシリーズの新しいノートパソコンが発表された。その中でもスポットライトを浴びたのはZenBook Flip S、 ZenBook Pro UX550という超薄型のノート2機種だ。

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両機種とも非常に薄く、非常に軽い。AsusによればZenBook Flip Sは「コンバーティブル・タイプのノートパソコンとして世界最軽量」だという。重量は1.1kgで厚さは10.9mmしかない。Asusのプレス資料ではHP Spectre x360の重量1.29kg、厚さ13.8mm、またMacBook Airの重量1.35kg、厚さ17mmという数字と比較されていた。

ZenBook Flip Sは13.3インチのタッチスクリーン4K液晶ディスプレイを備え 360°回転できる。CPUはIntel Core i7-7500U、RAMは最大16GB、SSDは最大1TBだ。このスペックであれば高いパフォーマンスが期待できそうだ。

Asusはこの機種のバッテリーは最大11.5時間駆動可能であり、49分の充電で60%までチャージできるしている。周辺機器の接続にはUSB-Cが1個用意されている。ZenBook Flip Sの出荷は9月、価格は1099ドルが予定されている。

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新しいZenBook Pro UX550は前モデル同様、15.6インチの4Kタッチスクリーンを備えるが、新しい機種はIntelの第7世代のCPU、Core i7-7700HQ クオドコアを装備する。最大16GBのDDR4 RAM、専用グラフィックカードとしてNvidia GTX 1050 Tiを備える。特にこの最後のグラフィックカード装備はゲーマーにとって魅力的だろう。

ZenBook Pro UX550もスリムなノートで、重量1.8kg、厚さ18.9mmだ。来月、6月には1299ドルで出荷が開始されるという。

この他、ZenBook 3 Deluxe(1月のCESで発表ずみ)、499ドルのVivoBook S(CPUにCore i7、Nvidia GTX 940MX GPUを装備可能)、VivoBook(799ドルでCore i7 CPU、Nvidia GTX 1050 GPU装備)もデモされた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、MacBookを近くアップデート――6月5日のWWDCで発表か

Bloombergによれば、AppleはMacBookとMacBook Proのアップデートを近々行う予定だ。Appleはこれを6月5日のWWDCカンファレンスのキーノートで発表するはずだという。

Retinaディスプレイの12インチMacBookがアップデートされたのは1年前だが、このモデルは全体的に優れたデザインなので、新バージョンはスペックの強化程度にとどまるだろう。

もしかするとAppleは第2のUSB-Cポートを追加するかもしれない。現行モデルはポートが1つしかないため、充電しながら別のデバイスを接続することができなかった(ドングルを使えば可能だが、少々煩わしい)。またキーボードも最新のMacBook Proと比較するとやや見劣りがした。

Touch Barを装備したMacBook Proはまだ十分新しいモデルだが、AppleはCPU、RAM、ハードディスク容量などを定期的に拡大してきた。

現行MacBook ProはIntelのKaby Lakeプロセッサを登載するのが間に合わなかった。Skylake CPUでも特に不都合はないが、この機会に新世代CPUが登載されるなら歓迎だ。

むしろBloombergの記事で驚いたのは、AppleはMacBook Airの新モデルの発表も考えているという点だった。タッチバーなしのエントリーモデルの13インチMacBook ProならMacBook Airの新型機にぴったりだろう。重量は13インチMacBook Airと同程度がProはかなり高価だ。

Makbook Airは安価なのがその(少なくとも当面の)存在理由だが、もう少し能力を高めたMacBook Airが後継機になるなら素晴らしい。とはいえMacbook Airが今回のアップデートに含まれることはないかもしれない。.

WWDCはその名称の通りデベロッパー・カンファレンスだ。Appleはこのカンファレンスをデベロッパー・コミュニティー向けにソフトウェアのアップデートを発表する場としている。今年もその点には変わりはない。したがってiOS 11、tvOS 11、watchOS 4、macOS 10.12などについていろいろ聞くことになりそうだ。

もちろんWWDCに集まるデベロッパーは毎日Macを使っているユーザーだ。そこでハードウェアのマイナー・バージョンアップを発表するのは理にかなっている。Macのユーザーは以前からiMacとMac Proの新モデルを待ちわびているが、それらの発表はWWDCには間に合わないようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

シンガポールにスーパーカーの自動販売機ビルがオープン

シンガポールは世界でもっとも生活程度の高い国だ。同時にもっとも土地が狭い国でもある。つまりスーパーカーを吐き出す巨大な自動販売機を設置するのにシンガポール以上に適した国はない。

そう、そのとおり。車の自販機だ。普通のショールームで中古車を販売していたAutobahn Motorsはこのほど15階建ての自動車自販機ビルを建設した。子供のおもちゃ箱に隠されたミニカー陳列棚そっくりだ。

この自販機ビルにはフェラーリ、ポルシェ、ベントレーといったスーパーカーや豪華車が60台格納される。

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車の購入方法がユニークだ。購入希望者はAutobahn Motorsを訪れ、タブレットデバイスの専用アプリで購入手続きを済ませる。支払いが確認されれば2分後に自動車が手元に届く。Covered.Asiaは昨日、オープン前のデモを体験した。

Autobahn Motorsのゼネラル・マネージャー、Gary HongはReutersのインタビューに答えて「われわれは大量の自動車をストックせねばならず、同時に独創的であり優れた想像力を持っていることを印象づける必要もあった」と説明している

自動車の格納方法は大都市でよく使われているパーキングタワーだ。 実はアメリカでもよく似たコンセプトを追求するCarvanaというスタートアップがある(同社は最近上場に成功した)。

まったくクレージーな話に聞こえるが、コンセプトモデルなどではなく、自動車を売る現実のシステムだ。このビルはGoogleマップのストリートビューで見ることができる。

画像:Autobahn Motors / Facebook

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

間近に迫るWWDC。目玉は新iPadおよびSiriスピーカー

信頼できるアナリストであるKGIのMing-Chi Kuoや9to5macの情報によれば、Appleは間もなく開催されるWWDCカンファレンスにて、複数のハードウェアデバイスを新たに発表する予定であるそうだ。ひとつはベゼルを薄くして画面を広くしたiPadとなりそうだ。こちらのデバイスについては、既にさまざまな噂も流れている。また、Amazon Echoの競合プロダクトの登場も噂されている。

ちなみにWWDCはWorldwide Developers Conferenceの略称であり、その名の通り開発者のためのイベントという位置づけだ。これまでのカンファレンスでは、新しいソフトウェアに関する開発者向け情報を発表してきたが、もちろん今年も例外ではないはずだ。iOS 11、macOS 10.13、tvOS 11、およびwatchOS 4などについての情報が発表されるものと思われる。

元来、Appleは新しいハードウェアプロダクト(および新しいオフィスについての発表)については、春のイベントで発表を行なってきた。Ming-Chi Kuoによれば、どうやら春のイベントには間に合わなかったものもあり、今回のWWDCが発表の場となりそうだとのことだ。

Appleは春の段階でiPadのエントリーモデルのパフォーマンスを改善し、価格を下げている。今回新しくなるのはiPad Proだろうか。ただし、しばらく変更されていない外観について、大きな変更はなさそうだとのこと。

従来モデルから大きく変わるのはディスプレイの大きさだ。ベゼルを狭めることで、これまでのモデルとほぼ同じサイズを保ちながら、画面サイズを10.5インチにしたものが発表されるようだ。iPadの解像度バリエーションが増えることになるが、開発者に対してどのような手段を提供していくつもりなのかは、まだわからない。ベゼルが狭まれば、手に持って利用する際には指が画面の一部を覆ってしまうことになりそうだが、それについての対処があるのかどうかについても、今のところは不明だ。

さまざまな噂が流れているスピーカーについてはどうか。AppleはSiriの機能を新しくしてきているが、この面での進化はまだまだ留まるものではないようだ。Appleは高音質かつ高価格のAmazon Echo競合デバイスを発表する予定となっているからだ。ディスプレイも搭載しているとも噂されている。

伝えられるところでは、このEcho競合デバイスは「ハイエンド」デバイスの位置づけであるようだ。音声入力に対応していることは言うまでもない。詳細については不明なことが多いのだが、もし対応する音楽ストリーミングがApple Musicだけだということになれば、こちらの利用者も大幅に増やすことが期待されているのだろう。Siriが使えるということもうりのひとつなのだろうが、Apple Music専用デバイスとしての展開も狙っているのかもしれない。

WWDCは6月5日だ。さまざまな情報がが発表されることになるはずだ。カレンダーに印をつけて当日を待ちたい。

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(翻訳:Maeda, H

AmazonのEcho Show、固定電話の復権を目指す?!

固定電話はまだ使っているだろうか? スマートフォンさえあれば他になにもいらない、と考えている人も多いことと思う。家庭の居間からも、固定電話は姿を消しつつあるようだ。ただし、固定電話はまったく役にたたないものなのかというと、そういうわけでもない。Amazonの新デバイスも、固定電話の有用性に注目したものと捉えることもできそうだ。

新デバイスとはもちろんEcho Showのことだ。230ドルのデバイスには、音声アシスタント機能のAlexaと、パワー十分な2本のスピーカー、そしてカメラ、およびタッチスクリーンが備わっている。

但し、この画面は「操作」に使うことを主目的とするものではない。各種操作については、オリジナルのAmazon Echo同様に音声を使う。音楽を聞きたければ、「Alexa、Beach Houseの音楽を流して」といえば、利用しているストリーミングサービスを通じて、Beach Houseの曲がストリーミング再生される。画面をタッチしてSpotifyを起動するという使い方を想定しているわけではないのだ。

つまり、Echo ShowとはAndroidタブレットのような使い方をするものではないのだ。Echoにインフォメーション・ディスプレイがついたものと考えると良いだろう。もちろん、画面をタップして演奏を中断するようなことはできる。しかし、あくまでも音声がメインの操作インタフェースなのだ。

それでは、新たに搭載されたディスプレイの売りはなにかという話になる。これはずばりビデオ通話機能なのだ。Skypeの機能をいまさらコピーしようとしたわけではない。しかしFaceTimeの登場で、ビデオ通話の魅力が広く知られるようになってきていることに着目したわけだ。

もちろんこれによって電話による通話を、コミュニケーションの主役にしようとする意図はない。今やコミュニケーションの中心はメッセージング、スナップチャット、WhatsAppなどに移っている。個人的にも、テキストメッセージを送信することで、コミュニケーションの量は増えている。しかし通話する機会は大幅に減っている。

このトレンドはますます広まりつつあり、電話のほうが便利だと思う人も少なくなっている。個人的にも、電話で話をするのは母親ぐらいという状況だ。

このようなトレンドの中で、AmazonはNucleusInsensiのように、より簡単に使える電話機を普及させようとしているのだ。。このデバイスコピー影響を強く受けているとも言われている。

おばあちゃんに電話をかけるときには、「Alexa、おばあちゃんに電話をかけて」と言えば良い。画面上におばあちゃんが現れる。もしおばあちゃんが外出中なら、とうぜん電話には応じないことになる。すなわち、スマートフォンで電話をするように、相手が外出先にいるときに邪魔をしてしまうこともないわけだ。

簡単な音声インタフェースを実現したことにより、子供からお年寄りまで誰でも使える点も魅力だ。まだスマートフォンを使っていないおばあちゃんに、スマートフォンをプレゼントして使い方を覚えてもらうより、はるかに簡単にビデオメッセージのやりとりができるようになることだろう。居間やキッチンに据え置いて、家族みんなで使うコミュニケーションデバイスとしての地位を獲得することになるかもしれない。

AmazonはEcho Dotにより、一家に一台のEchoデバイスの導入を目指した。新たにビデオ通話機能を加えることで、今度は「各部屋」への普及を目指そうとしているのだろう。

そしてもちろん家庭内だけでなく、離れて暮らす家族の全家庭にEcho Showを揃えようと促しているわけだ。2台の同時購入で100ドルの割引というセールも行なっている。Amazonはインフラおよびロジスティクス分野での主人公になることを狙っている。いつの間にか、リビングルームにはEchoデバイスが備わっているのが当然であるというような時代になるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H

Apple、「iPhoneカメラの使い方」ビデオを公開

iPhone 7およびiPhone 7 Plusで、写真をうまく撮りたい人は必見だ。Appleが、写真撮影Tipsのビデオを公開したのだ。ビデオはAppleのサイトおよびYouTubeにて公開されている。最初にみたときは、カメラアプリケーション上に現れるボタンの機能説明ビデオのようなものかと思った。しかし単なる機能説明ビデオではなかった。気付きにくい機能や、その機能の有効活用の仕方などを説明する興味深いものに仕上がっている。

一連のビデオは「iPhone 7で写真を撮ろう」(How to shoot on iPhone 7)と題されている。それぞれのビデオで、具体的な撮影シーンに応じたTipsを紹介している。ビデオ中の説明は非常にシンプルでかつ効果的だ。iPhone 7があればカメラなど必要ないとAppleはいうが、それを証明しようとする意欲作になっている。

ちなみに、iPhoneのカメラインタフェースは何年も変わっていない。しかしこれは新しい機能がないということを意味するのではない。さまざまな機能が旧来のインタフェースの中に埋め込まれているのだ。何がしたいのかを意識してこそ、みつかる機能もさまざまに実装されているようになっている。

たとえば、個人的にはシャッターボタンにタッチし続ければバーストモードになることなどすっかり忘れていた。また、ボリュームボタンをシャッターに使えることも忘れていた。フォーカスをロックしたり、手動で露出を変えることもできる。

Appleは、新技術を実現することにも力をいれているが、その技術をいかに使ってもらえるかという点に注力しているように思う。

1980年代のように、Appleのソフトウェアばかりが「わかりやすい」わけではないかもしれない。しかしソフトウェアを使って何ができるかを示す能力は、まだまだAppleが秀でているように思う。Apple発のTipsを知ることで、利用者全員がパワーユーザーであるかのように感じることさえできるのだ。

今回公開されたビデオも、やはりAppleの基本方針にふさわしいものであると思う。SnapchatやInstagramなどが、写真撮影用のアプリケーションとして普及しつつはある。Appleとしては、標準のカメラアプリケーションこそが、もっとも充実した機能をもつものであると示したくなったのかもしれない。サードパーティーのアプリケーションは、iOSのカメラAPIのすべてにアクセスできるわけではない。Snapchatなどでは撮ることのできないバーストモードやパノラマモードの魅力をアピールすることで、Apple謹製アプリケーションの魅力を利用者に伝えているわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

AmazonのEcho Showは画面付きEcho―音声でビデオチャットを起動するビデオ公開

AmazonはさきほどEchoの新製品を発表した。Amazon Echoが第二世代に進化したといってもいいだろう。操作法は多くの点で初代Echoと同様だが、Echo Showには画面が付属しており、さらにいくつか便利な機能が付加されている。

Echo Showの能力は上にエンベッドしたビデオでAmazonが紹介している。もちろんいちばん大きな新機能は音声でビデオチャットをスタートできることだ。
相手方はEcho Showを持っている必要はない。スマートデバイスにAmazon Alexaアプリがインストールされていればよい。ビデオでAmazonは孫と祖父母のコミュニケーションを強調している。たしかにEcho Showはスマートフォンに比べて操作が簡単で、離れた場所から音声で起動できるため水没や破損などの障害を受けにくい。

ビデオには夜、赤ちゃんの様子Echo Showでモニターする場面があるが、こうした使い方をする場合のアプリはまだ発表されていない。Echo Showの出荷は6月28日が予定されているのでそれまでにさらに詳しい情報が得られるだろう。当面は紹介ビデオをよく研究することにしたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ベビーテックも徐々に資金を集め始めている

【編集部注】著者のJoanna GlasnerCrunchBaseの記者である。

親になれば家計の予算は大幅に変化する。夜の外出、流行りの服、手の込んだ料理などへ回される資金が大幅に減ることになる。そして、おむつや、便利な食品、そしてベビーカーからベビーベッド、チャイルドシートに至るまでの、無数の購入リストに、大金をつぎ込むのだ。

ということで、新しく親になった、もしくはこれから親になろうとしている世代は、マーケティング担当者の間では人気が高い。彼らは子供たちに刺激を与えながらも安全で、かつ自分たちの時間を節約してくれるような製品を特に受け入れる。

創業者たちも、その後援者たちも、小さな子供たちを見張ったり、食べさせたり、楽しませたり、そして運んだりすることを徐々にハイテク化することに対して、技術ならびにビジネス革新を適用していくことに興味を持っている。乳児と幼児向けテクノロジーは、全体のスタートアップ資金のなかでは大きな部分を占めるものではないが、それらはシード資金向けには相対的にアクティブで、ハイリターンのエグジットも果たしたものも見ることのできる分野だ。

ベビー市場における資金調達

Crunchbaseのデータ分析によれば、過去2年間で、乳児および幼児を中心としたビジネスモデルを持つスタートアップたちは、シードおよびベンチャー資金を2億6000万ドル以上調達している。彼らは、ロボット式ゆりかごや、病児や未熟児のニーズに合わせてカスタマイズされたバイタルサインと数値を追跡するスマートモニターなど、数多くの製品を開発している(米国に拠点を置く、あるいは販売を行っている、被出資会社のリストはここ)。

かなり大きなラウンドを実施しているスタートアップもある。こうして大規模に資金を調達した会社の1つに、Before Brandsがある。同社は乳児向け免疫システムトレーニングを提供するためにデザインされた食品を開発している。その製品は、普段の食事の一部にアレルゲンを含む食品を摂ることが、免疫力を高めるという原則に基づいている。Bofore Brandsは3月に3500万ドルのシリーズBラウンドを完了し、調達資金の総額は4800万ドルとなった。

もう1つの大きな資金調達企業はOwlet Baby Careで、パルスオキシメトリ(酸素の血中濃度を測定する手法)を用いることで、睡眠中に幼児の心拍数と酸素レベルを測定する「スマートソックス」を販売している。300ドルという価格は、おそらくあなたがこれから購入するソックスの中では、最も高価なものとなるだろう。しかし投資家たちは、親たちがより安心を得るためのに支払いを惜しむことはないと思っているようだ。Owletは昨年11月のシリーズBによる1500万ドルを含め、合計で2400万ドルを調達済だ。

大規模な調達を行い後期ステージのラウンドを行った企業の数は、シードステージのスタートアップに比べると大幅に少なくなる。どれが成功につながるとは確約できないが、以下に示したのは将来の成長が望める可能性が高い投資テーマだ。

スマート化

伝統的子供用のハイテクもしくは「スマート」バージョンを提供しているのはOwletだけではない。たとえば、創業5年のHatch Babyは、スマートなおむつ替えパッド、体重計、そしてナイトライトとサウンドを組み合わせた機械を製造している。また、お腹の胎児の心拍を追跡できるデバイスの予約注文も受けている。スマートなおむつ替えパッドと、おむつが汚れたことを検出するデバイスを組み合わせたい人たち向けには、韓国のスタートアップMonitが、最も初期段階の湿度の兆候で警告を送ってくるBluetooth内蔵センサーを発表した。

一方、ニューヨークに拠点を置くNanitは、目覚まし機能を提供し、睡眠の質の改善について助言してくれるスマートモニターの開発に対して、600万ドル以上を調達した。やや年長の子供たちの健康をモニターしたい親たち向けにも、いくつかのオプションが提供されている。サンフランシスコに拠点を置くGood Parentsは、4歳以上の子供のための健康ウェアラブル開発のために200万ドルを調達した。

良い食事

乳幼児の栄養もまた大きなビジネスだ。さらに言えば、必要な量が少なく、親たちが便利なパッケージで健康的な材料のために余分な支払いを惜しまないことを考えれば、潜在的に高い利益が期待できる分野だ。

これまでも、ベビーフードのスタートアップたちは、投資家たちに対してそれなりの利益を返してきた歴史を持っている。4年前にキャンベルに販売された有機ベビーフードのメーカーPlum Organicsは、好調なリターンを提供している。同時期に、また別の有機ベビーフードスタートアップのHappy Familyは、創業者たちが会社の勝利として賞賛を受けた条件で、Danonに売却された。買収価格は当時発表されなかったが、Happy Familyはその年間収益が6000万ドルを越えていることは公表した。

シード資金の支援を受けたベビーフード会社の中には、包装済み商品と配送スタートアップも含まれる。このリストに含まれるのは、キノアベースの製品を製造するNurturMe、コールドプレスされた冷蔵食やスナックを作っているOnce Upon a Farm、また別の有機食品会社Yumiなどだ。また別の新顔が、ベビーフードの配送サービスを行なうLittle Spoonだ。

ヘルスケア、モビリティ、そしてエンターテインメント

他のシードステージのスタートアップは、乳児や幼児の診察、移動、アクティビティ計画を改善する方法を検討している。ヘルスケア面では、ニューヨーク市の乳児のための家庭呼び出しサービスを提供する事業のために、Baby Doctorがシード資金を調達している。一方、西海岸では、ロサンゼルスに本社を置くHopSkipDriveが子供たちの送迎を行なう認定運転手のネットワークを運営している。子供のアクティビティ計画を行なう分野には、KidPass、The Kids Passport、 Pearachuteなどの、教室を見つけて定期購読するツールを提供するスタートアップが幾つか存在している。

しかし、これまでのところ最大規模のエグジットは、おそらく電子商取引分野からのものだろう。赤ちゃんと子供服のオンライン小売業者Zulilyは、公開後わずか数年後の2015年に24億ドルでQVCに販売された。

現在話題のIPO候補者のリストには、乳幼児に焦点を当てた企業はないようだ。しかし、消費者向けプロダクトの企業や、その他の買収者たちが、この分野への興味を失っているという兆候は見えていない。スマートソックスメーカーOwletのような一部のスタートアップは、300ドル靴下のような製品の利幅を考えれば、投資家に大きな利益を返すための大規模なエグジットは必要としないのかもしれない。

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(翻訳:Sako)

ノスタルジアの限界と任天堂――コンテンツの魅力以外に必要なもの

世界の人々は新たなリンクの冒険を待ち望んでいるのだろうか?まだみんな青い甲羅を投げたがっているのか?そしてレインボーコースをもう1周しようと思っているのか?はたまた、全員ゲットし直そうとするだろうか?もしもあなたが任天堂の経営陣であれば、かつては消費者に崇拝されていたブランドがノスタルジアの限界にぶち当たり、何かとても大きなものが崩れようとしていると気づき始めている頃だろう。

幸いなことに任天堂は次のステップを踏み出す準備ができているようだが、もしもそれが上手くいかなければどうなるのだろうか?

予め伝えておくと、私は熱心な任天堂ファンだ。熱狂的なファンとまでは言わないが、任天堂にはディズニーやDCコミックス、マーベル・コミックと同じくらい文化的な価値があると思っているし、子どもたちにマリオやゼルダについて教えるのは、チェスの遊び方を教えるくらい大事なことだと思っている。任天堂はジェネレーションXの幼少時代を形成したブランドであるばかりか、どの家庭の親も任天堂のフラッグシップゲームであれば、家族全員が間違いないく楽しめると知っている。親は懐かしさから任天堂のゲームをプレイし、子どもは一風変わったディテールや色褪せないゲームの仕組みに魅了されるのだ。これこそ任天堂のゲームを、LEGOやRiskと同じくらい一般家庭に普及させた彼らの魅力だ。

しかし私がもっとも心配しているのは、任天堂キャラクターの新しい冒険を、次の世代の子どもたちが目にしなくなるかもしれないということだ。ARやVRは、私たちが知っているおもちゃや遊び部屋の概念を打ち崩そうとしており、FacebookやHTCはそこで一山当てようとしている。親の立場からしても、Wii Uを起動して引っかき傷のついたディスクをセットするよりも、何世代か前のiPadの前に子どもを座らせる方がずっと楽だ。

任天堂は今いる場所から前進していく中で、いくつかの攻撃を避けていかなければならない。ハードウェアに縛られている同社も、汎用性の高いタブレットやスマートフォンの方が、SwitchやWiiよりもよっぽど人気があるということは理解している。そこで彼らはニンテンドークラシックミニで往年のファンの心をつかもうともしたが、専用ハードウェアというのは消費者が継続的にお金をつぎこむには割高だということを思い知らされた。彼らがiOSやAndroid向けにも人気コンテンツをつくれるということも明らかになったが、4.99ドルでゲームを販売する競合企業がいるオープンな世界で、59.99ドルのゲームを売りさばくことなどできるのだろうか?

昔からのゲームにとっては受難の時期だ。数は少なくとも声の大きい保守層は、任天堂が昔ながらのラン&ガンゲームに少しでも変更を加えると騒ぎ出し、任天堂の手の届かないところでは、次々と新しいフランチャイズが誕生している。そして何より、ハードウェアの出荷という予測しづらい要素のせいで、何百万人もの潜在的なSwitchユーザーが同ハードの購入を諦めており、個人的にはこの状況が休暇シーズンに入っても続くと考えている。

私は不安と喜びを同時に感じながらSwitchをプレイしている。まだワクワクするようなゲームはそれほど出ていない。さらに私はNES(日本で言うファミコン)以来ゼルダシリーズからは離れてしまっており、日本のRPGスタイルのゲームにも過去10年の間ほとんど興味を持ったことがない。Wii Uの成功の立役者である『スプラトゥーン』はSwitchにぴったりのゲームだと思うが、まだSwitch版は発売されていない。似たような機能のもっと安いハードウェアが存在する中、ゲーム用のハードウェアに299ドルを支払って、さらにひとつひとつのゲームのために59ドルを追加で払うというのも納得がいかない。私は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が嫌いだと言っているわけではなく、任天堂はこのようなゲームをもっとたくさんスピーディーにリリースしなければいけないと考えているのだ。

そもそも任天堂は、フルスタックのゲーム会社という珍しい存在で、ゲームの全てを自分たちでコントロールしている。なぜ彼らはソフトウェアやキャラクター、そしてゲーム体験を自分たちのものにできるのだろうか?もちろんそれは、任天堂がつくる素晴らしいハードウェアのおかげだ。Switchはそれ以前のハードウェア同様、頑丈で簡単に操作でき、任天堂がつくるゲームのスタイルにも合っている。しかし、それだけでいいのだろうか?Wii UやXbox、PS4、iPad、パソコン、そして家庭にあるそれ以外の全てのデバイスが、かつてはNESが独占していた子どもの興味をひくために競い合う中、不満顔の親はさらに300ドルものお金をSwitchに使うだろうか?

ゲーム専用ハードから汎用デバイスへの移行で1番苦しむのは任天堂だ。むしろこの移行が起きていないということは、パワーで劣るiOS・Androidデバイス向けに本格的なコンテンツを制作・販売することの難しさを物語っている。人気ゲームにつきまとう経済的な動きも関係しているだろう。ひとたびモバイルデバイス向けのオープンなゲームの制作が一般化すれば、私はこの状況が変わると考えており、興味深いことに現在Switch自体がソフト会社の論理を擁護しようとしているのだ。というのも、消費者にSwitchが使われている限り、ソフト会社も自分たちのプロダクトを60ドルで販売することができる。

クリエイティビティと楽しさへの任天堂のひたむきさが、同社を業界のリーダー的存在にまで引き上げた様子を上手く表現した面白い話がある。1986年に任天堂とタッグを組んでいたSRDのプログラマーは、横だけでなく縦スクロールを取り入れた新しいゲームの仕組みを考案し、デモ版を制作した。詳しい話はこちらの記事を参照してほしいが、結局そのデモは単体のゲームとして発売されることはなく、その代わりに任天堂はマルチスクロール式の『夢工場ドキドキパニック』をリリースした。この作品は日本で大ヒットし、それを受けて(当時のアメリカでは外国製のゲームが日の目を見ることはなかった)任天堂は同ゲームをマリオプラットフォームに移管することを決めた。

任天堂のゲームプロデューサー宮本茂氏は当時、「楽しければ何でもありです」と語っていた。その後同社は『夢工場ドキドキパニック』のキャラクターをマリオシリーズのものに置き換え、『Super Mario Bros. 2』としてリリースする(日本版注:これは日本版の『スーパーマリオブラザーズ2』とは別物で、日本国外で先にリリースされた『Super Mario Bros. 2』は、後に『スーパーマリオUSA』として日本に逆輸入された)。1000万本も売れた同ゲームは、NESソフトの中では異彩を放つかなり複雑なゲームのひとつで、マリオシリーズのストーリーの大部分を固めた作品でもある。

しかし今では全てが”楽しく”なった。『スーパーマリオ ラン』も『Pokémon GO』も楽しいし、『Civilization Revolution』や『Words with Friends』をタブレット上でプレイするのも楽しい。プレイヤーの心を奪うような、ちょっと変わったゲームもさまざまなプラットフォームで楽しめるようになった。”楽しさ”で溢れる世界の中、任天堂のような企業はどのようなポジションにつくのだろうか?

ゼルダやマリオやサトシ、そして任天堂ファミリー全員がこれからもずっと私たちと一緒に時を過ごそうとしているが、それ以外のデジタルワールドのキャラクターによって彼らの存在感が薄れていく中、コンテンツの魅力やノスタルジアだけでプレイヤーを虜にし続けるのは段々と難しくなっていくだろう。家族全員が楽しめるような魅力的なゲームを任天堂がつくれるのは分かっている。ただ結局のところ、今後も全てのプレイヤーが家で座ってゲームを楽しみたいと思うかどうかが問題なのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Qualcomm、iPhoneの米国輸入禁止をITCに提訴へ

QualcommはAppleに予想外の強烈なパンチを見舞うかもしれない。 Bloombergによれば、Qualcommは国際貿易委員会(International Trade Commission) (不公正貿易を排除してアメリカ産業を保護するための独立機関)に対してiPhoneのアメリカへの輸入を差し止めるよう訴えることを検討しているという。これはQualcomm対Appleの法廷闘争に新しい段階をもたらすだろう。

Qualcommは裁判所や他の機関よりITCの審理が迅速なことに着目している。これはQualcommにとって見逃せない有利な点だ。iPhone、iPadは全数が中国で生産されており、Appleはこれらの製品をアメリカで販売するためには中国から輸入しなければならない。

QualcommもITCがAppleに対して輸入の全面禁止の裁決を出すとは期待していないだろうが、Qualcommは時間を稼ぐと同時にその主張をさらに多面的に展開するチャンスを得ることになる。

先週金曜にAppleは金額が不公正であるとしてQualcommに対してロイヤルティーを支払うことを中止した。 これはQualcommにとって四半期で数億ドルの金額となる。QualcommはもちろんAppleよりはるかに小さい企業だ。

Qualcommは世界のスマートフォン・メーカーにとって最重要のチップセット供給者だ。システムチップもLTEモデムもQualcommが多い。Appleは長年Qualcomm LTEチップをiPhoneに組み込んでいる。iPhone 7ではAppleはサプライチェーンのリスクを低減するためにはLTEチップセットの納入企業をIntelとQualcommに分散した。

しかしチップセットの製造はQualcommのビジネスの一部門に過ぎない。同社はワイヤレス・テクノロジーに関し重要特許を数多く保有しており、たとIntelのチップセットを購入する場合でもQualcommにライセンス収入がもたらされる。チップセット製造からの売上がライセンス収入の伸びを上回っているとはいえ、ライセンス料は依然としてiQualcommの売上の3位を占めている。

Appleは「われわれはQualcommに過大なライセンス料金を支払ってきた。QualcommはAppleに不必要な数の特許の使用を強い、iPhoneの売上の一部を抜き取っている」と主張している。Appleは訴訟で10億ドルの損害賠償を求めている。.

QualcommとAppleは互いに提訴と反訴を繰り返しているがこれは巨大企業間での特許訴訟では珍しくない。

両社は互いに相手を真っ向からねじ伏せようとしている。Appleはこの訴訟でライセンス料金を値下げさせようと試みている。逆に Qualcommは特許ビジネスを守らねばならない。もしAppleに対してライセンス料の値下げを認めれば他のメーカーも一斉に値下げを要求してくるのは明らかだからだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Homeyの充電器PowerUpはとても便利だ、どうしてAppleがこれを作らなかったのだろう

昔ながらのUSBポートをすべて捨て去ることのできる十分な勇気があるならば、Appleを信用しよう。しかし私たちの周辺機器の9割は、まだ古いスタンダードを使っていることも忘れないようにしよう。これに対するAppleの回答は、あなたにドングル地獄への片道切符を売りつけることだ。そこにHomeyが、Indiegogoのキャンペーンを引っさげてやって来た。リンゴ商店に、どうすべきだったのかを教えるために。

その売り文句はシンプルだ。1台のUSB-C充電器を買って、3つのUSB-Aポートを手に入れて、そこを介してデバイスはお互いに通信できる。以上。事実上、充電器にもなる小型の給電型ハブを手に入れることになる。あるいは給電型ハブにもなる充電器と呼んでも良い。これらがApple自身のラップトップ用USB-C充電器とほぼ同じサイズに収まっている。そして価格帯もほぼ同じだ。

私の心に疑問が浮かぶ。なぜAppleはこのようなものをラップトップと一緒に出荷しなかったのだろう?少なくとも何故アクセサリーとして販売しないのだろう。

USB-C充電器に、3つのUSB-Aポートを追加して、データハブにする。本当に良いアイデアだと思う。何故これまで誰も作らなかったのだろう。

しばらくの間、PowerUpのプロトタイプを試してみたが、これはしっかりしたエンジニアリングの産物だ。USB-CとUSB-A間の転送速度はリーズナブルだ(同社はUSB3.0だと主張しているが、私が見る限り標準のものよりも少し遅いように感じた)。私が試したのはエンジニアリングサンプルだ、接着剤は取り除かれる予定だ。しかしもし同社が製造規模を上手く拡大できるなら、おそらく確実な勝者になることができるだろう。PowerUpはシンプルな製品だが、結局のところベストな製品とは全てそうしたものだ。

しかし、完璧なものというわけでもない。とりわけ、私は充電器本体とUSB-Cプラグの間のケーブルが短いのは気に入らない。もしいつでも机で作業するならそれにも意味があるだろう(ひょっとしてPowerUpはオフィスに置いておくべきものなのだろうか?)。しかし、もし飛行機の座席や、膝の上でバランスをとりながらラップトップを利用する場合には、充電器本体はUSB-Cポートからぶら下がる形になってしまう…これはあまり良い状態とは言えないだろう。

私が本当に訝しんでいるのは、これを最初にマーケットに投入することができたのが、なぜHomeyなのかということだ。例えば明らかな競争相手であるAnkerは、長い間USB-CおよびUSB-Aの電源ソリューションを作り続けてきたが、そのソリューションの一部にデータ転送を含めてはいない。

Homeyは興味深い会社だ。そのPowerUpプロダクトはIndiegogoでの目標額2万5000ドルを軽々と突破して、キャンペーンはまだ1ヶ月ほど続く。是非ご覧あれ。

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(翻訳:Sako)

Windows 10 Sノートは10 Proにアップグレード可能―学校関係者は無料

今日(米国時間5/2)、Microsoftは新しいOS、Windows 10 Sを発表した。これは学校市場をターゲットにした軽量でセキュリティーを強化したWindows 10だ。同時にMicrosoftはWindows 10を作動させるのに十分なパワーのあるSurface Laptopに10 Sを登載したモデルも市販するという。

今日のプレスイベントでMicrosoftはこの999ドルのノートパソコンを各種のMacBookと比較していたが、これは聴衆の首を傾げさせた。軽量版の、つまり機能が限定されたOSをCore i7登載のノートパソコンで走らせてどうするのだろう? 10 SではPhotoshopは動かない。

Windows 10 SはWindows Storeからダウンロードできるサンドボックス・アプリしか走らせることができない。つまりxxxx.comというようなサイトからアプリをインストールすることはできない。10 SパソコンではGoogle Chromeさえインストールできない。

もちろんMicrosoftはGoogleやAdobeはやがてWindows Store版のソフトウェアをリリースすると期待しているのだろう。GoogleやAdobeのような有力ソフトウェア・ベンダーについてはそうかもしれないが、大多数のデベロッパーにとってWindows Store版を別に開発するのは負担が大きいだろう。

Microsoftは実はこの点に対策を用意していた。189ドルの安いWindows 10 Sノートを買ったユーザーも49ドルを1回支払うだけで、完全版のWindows 10 Proにアップグレードできるという。

安価なChromebookのライバル版のノートを学生、生徒、あるいは管理者が購入した場合はWindows 10 Proへのアップグレードは無料だ。ただし管理者はセキュリティーを確保するためにアップグレードを制限することができる。Windows 10 SにインストールできるソフトをWindows Storeのアプリだけに限定した場合、マルウェアやウィールスに汚染される可能性はほぼなくなる。またメンテナンスも極めて容易だ。多くの学校ではアップグレードに制限を加えそうだ。

ユーザーが学校関係者ではなく、Windows 10 S版のSurface Laptopなどを購入した場合、49ドルでPro版にアップグレードできる。ただしtech specsページには今年末までアップグレードは無料だと書かれている。

ただしWindows 10 Sのアップグレード先がWinows HomeではなくWindows 10 Proである理由についてははっきりしない。MicrosoftがHome版を取り下げようとしてるわけでなないらしいのでますます謎は深まる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Windows 10 Sノートはこの夏出荷、189ドルから

MicrosoftのChrome OSへの回答はWindows 10 Sだと判明した。この新しいOSはWindows 10を軽量化し、学校現場向けにセキュリティーを強化したバージョンだ。アプリはサンドボックス内で作動し、高価なハードウェアを必要としない。

このプロダクトでMicrosoftが非常に優位だったのは多数のメーカーにWindows 10 S向けのパソコンを作るよう説得できた点だろう。Acer、Asus、Dell,、富士通、HP、Samsung、東芝の各社がWindows 10 Sノートを出荷する。

エントリー・モデルは189ドルから。この価格であれば学校は大量に一括購入することができる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Bluetoothデバイスのスマート化を狙うTempow

フランス発スタートアップであるTempowが、Bluetoothスピーカーをより便利に活用する仕組みを開発した。複数のBluetooth機器を同時に使うための、新しいBluetoothプロトコルを実現したのだ。

Bluetoothスピーカーは、プレゼントとしても人気で、コンシューマーエレクトロニクス製品の中でも人気のプロダクトとなっている。複数のBluetoothスピーカーやヘッドフォンを使っている人も多い。ケーブルがいらない点で非常に便利なのだが、同時には1台としか繋げられないという点が不満の種だった。

WiFiを使ったり、Spotify Connectのように独自プロトコルを使って、この不便さを解消しようとするメーカーないしプロダクトも出てきている。Sonosなども、音楽を複数のスピーカーで同時に鳴らせることを売りのひとつとしている。しかし既に手に入れているBluetoothスピーカーを有効に活用するということができなかった。

Tempowが注目したのはその点だ。スマートフォンのBluetoothドライバーを改造することで、同時に複数のBluetoothデバイスを利用することができるようになるのだ。従来のBluetoothチップセットないしBluetooth機器に対応している。

ハードウェアよりの部分における改造を必要とするため、対応しているのはAndroidデバイスのみとなってはいる。ちなみにAppleは独自のBluetoothチップセットをAirPodで採用しており、他のデバイスもこの方向に進化していくものと考えられる。

Tempowを導入したスマートデバイスとBluetooth機器をペアリングすると、1台1台別々にアクティベートすることができる。左右のスピーカーの音源・音量を別々に設定することもできる。Bluetoothスピーカーが、Sonosと同様の機能を持つようになるということになる。

Tempowは、スマートフォンメーカーにこの技術を販売したい考えだ。現在、いろいろな企業とライセンス契約についての話を進めているところなのだとのこと。

こうした機能を持つチップセット開発を行なっている企業は他にもある。たとえばSamsungのGalaxy S8も、2つのBluetoothデバイスで同時に音楽を再生することができる。これはTempowの技術とは異なるアプローチにより実現したものだ。

こうした世の中の動きをみるに、Tempowの目の付け所は時流に乗ったものということができそうだ。スマートフォンメーカーとのライセンス契約を結ぶことができるのかどうかに注目しておきたい。個人的にはスマートフォンメーカーにとってもメリットのある話のように見える。

ちなみにTempowでは、Bluetooth技術に関わる研究開発を、他にも広く行なっているところなのだそうだ。デジタルライフの中心にスマートフォンが位置する中、Bluetooth技術がますます重要なポジションを占めることになるはずだと考えているわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

手のひらサイズのパーソナルアシスタントロボット「PLEN Cube」日本語版が登場

Amazon Echo」や「Google Home」といったアシスタントロボット。海外では一般家庭での利用も進み盛り上がりを見せているが、日本は日常生活に浸透するまでには至っていない。現在、ロボットの活用が進んでいるのは医療、介護現場や商業施設などがメインになっている。

そんな中で、“1人が1台利用するロボット”をコンセプトにしたアシスタントロボットが登場した。それが「PLEN Cube」だ。同プロダクトの開発を手がけるPLENGoer Roboticsは4月27日、サイバーエージェントが運営するクラウドファンディングサイト「Makuake」でプロジェクトを開始した。

PLEN Cubeは2月21日から米クラウドファンディングサイト「KickStarter」でプロジェクトを開始し、3日間で目標金額を達成しているが、こちらは“英語版”。今回Makuakeでプロジェクトを開始したものは“日本語版”になる。

日本語版の価格は5万7000円(Makuakeでは早期割引で3万9900円から販売)。製品の発送は2018年6月を目指すという。

手のひらサイズのハコ型ロボット「PLEN Cube」

PLEN Cubeは、一辺が約7.5cmの直方体で、手のひらに乗るサイズのハコ型ロボット。カメラ、ディスプレイ、スピーカー、マイクといった基本的な機能に加え、フェイストラッキング、音声認識、ジェスチャー認識の機能も搭載されている。

一体、どんなことができるのか。主な特徴は下記の3つだ。

1.フェイストラッキング機能付きのカメラ
2.あらゆる IoT 家電を操作するスマート・リモートコントローラー
3.Webサービスと連結するインターネット・コミュニケーター

1.フェイストラッキング機能付きのカメラ
左右に360度回転するヘッドによってパノラマ撮影が行えるほか、搭載されているフェイストラッキング機能のよってカメラが被写体を認識し、自動で追跡して写真や動画を撮影してくれる。また、撮影された写真や動画は保存、インターネット配信も可能となっている。

2.あらゆる IoT 家電を操作するスマート・リモートコントローラー
Wi-Fi、Bluetooth、赤外線によってテレビや照明、エアコンなどのIoT家電を遠隔操作できる。複雑な入力操作は必要なく、声とジェスチャーで指示するだけでいい。

3.Webサービスと連結するインターネット・コミュニケーター
また、IFTTTやヤフーのmyThingsを介してさまざまな Web サービスを連結させることで、ディスプレイに天気情報を表示させたり、音楽を流したりすることができる。

二足歩行ロボット「PLEN」のノウハウを活かしながら開発

PLENGoerRobotics CEO 赤澤夏郎氏

PLENGoer Roboticsの設立は2016年3月。日本で10年間小型ロボットを開発してきたプレンプロジェクトと、中国でトップクラスの生産技術をもつGoerTekが共同で立ち上げた合弁会社だ。これまでに二足歩行ロボット「PLEN」を開発した実績があり、今回のPLEN CubeにはPLENの開発で培ったノウハウが活かされているという。

「メカ設計と小さい筐体にコンポーネントを収めること、また愛くるしい動きをする。このノウハウを活用してPLE Cubeの開発を進めていきました。我々は『持ち歩きたいロボット』を目指しているので、デザインも溶け込みやすいシンプルなものにしてあります」(PLENGoer Robotics 代表取締役社長 赤澤夏郎氏)

今後、PLENGoer Roboticsは2018年6月の発送に向けて、PLEN Cubeの音声認識精度の向上など、さらなる改善を進めていく予定だという。

ロックンロールキッズ向けLoogギターに新モデル登場

Rafael Atijasという音楽講師の運営するギターメーカーがニューヨークにある。名前をLoogという。売り出しているのは、3歳以上の子供をメインターゲットとした3弦ギターだ。小さな頃にプレイしていたうちの子供たちによれば、Loogは簡単で楽しい楽器であったとのこと。

今回Kickstarterに登場した新モデルは、3歳以上向けのMiniと、8歳以上向けのProだ。Miniの方はウクレレサイズのギターとなっている。Proの方はアコースティックモデルと、ニッキー・シックス(Nikki Sixx)ないしジョン・メイヤー気分で楽しめる(もちろん練習は必要だ)エレキモデルが用意されている。

Kickstarterキャンペーンは始まったばかりだが、すでに目標額の倍以上の金額を調達している。ギターの出荷予定は6月だ。完成品として納入されるので、手に入れればすぐにロックンロールを楽しむことができる。

「12歳の頃に、バンドを始めようと思ったんだ。当時はギターの弾き方すら知らなかったけどね。そして、ギターを習うのには遅すぎるだろうと考えていたね。これから習ったら一生かかると思ったわけさ。弦の本数が少ないベースのほうが簡単なんじゃないかと考えたりもしたね。たぶんそのときから、頭の中にLoog Guitarのアイデアが生まれたんだと思う」と、Atijasは言っている。以来、彼は子供向けに、より小さくて練習も簡単なギターを生み出そうとしてきた。頭にあったのは、弦が少なければ練習も簡単に違いないというアイデアだったわけだ。

「初心者の子供相手に考えたプロダクトだけに、値段はおさえてあるよ。ただデザインは凝っているつもりだ。弾いて楽しくなけりゃ楽器じゃないからね」とのこと。

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ギターにはアプリケーションおよび暗記カードがついてくる。カードはギターのコードを覚えるためのものだ。カラーバリエーションも用意され、Miniの価格は59ドルから、そしてProの方は159ドルとなっている。なお、アコースティック版の方のProは129ドルだ。

The Devil Went Down To GeorgiaやWhile My Guitar Gently Weepsなどに興味を持つお子さんをお持ちなら、Loogギターを渡せばきっと才能を開花させるのではないだろうか。

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(翻訳:Maeda, H

魚群撮影などにも有益な海中ドローンのPowerRay

卵型ドローンのPowerEggの開発社が、新しいプロダクトの注文受付を開始した。新たなプロダクトとは、趣味で利用する水中ドローンだ。名前をPowerRayという。防水メカで、海の中の魚を見つけたり、追いかけたり、あるいはビデオにおさめることができる。水深30mで4時間まで動作することができる。川でも海でも、あるいはプールでも問題なく動作することができる。

PowerRayが最初に発表されたのは2017年1月のCESにおいてだった。もちろんこの時点では、テックおたくを喜ばせるためのギミックとしてのデビューではあった。しかしマリン系の人たちが興味をもつものかどうかをうかがう意味もあったのだ。

基本パッケージには、ベースステーションと繋ぐ50mのケーブルも同梱されている。水の流れに流されてしまうのを防ぐとともに、電源ケーブルおよびビデオケーブルとしても機能するようになっている。PowerRayでは、すべてのモデルで4Kカメラを搭載している。光学パーツはZEISS製だ。

ミッドレベルのパッケージとなるPowerRay Anglerには、魚を捉えるためのツールも付属している。すなわちPowerseeker Fishfinderがライトを照らして魚の注意をひき、Bait Drop Lineを使って餌をまくこともできるようになっている。

Wizardエディションになると、VRヘッドセットも付属している。これを使えばウェットスーツなしに水の中を散歩する気分を味わうことができる。PowerRayの最も安いモデルは1,715ドルで、もっとも高価なモデルが2,250ドルとなっている。まずはヨーロッパでの販売が開始されることとなっている。

ちなみに、海中で動作するドローンはPowerRayのみというわけではない。スタートアップのOpenROVが扱うTridentというモデルもある。

PowerRayがサンフランシスコ湾にて撮影した海洋写真

PowerVisionのアメリカ支部におけるCEOであるChih-Che Tsaiは、PowerVisionは趣味にとどまることなく、実用にも使えるものだとしている。これまでもソナーを使えば地形や魚群を探知することができたが、船に固定するのではなく、自在に動きまわる装置にセンサーを装着することで、新たな可能性を開くことができるのだとのこと。

PowerRayのCEOから話を聞いたのは、サンフランシスコのAquarium of the Bayで行われたローンチパーティーでのことだ。お披露目の行われた水族館では、鮫の遊泳は禁止となっていた。それはすなわち、鮫などがドローンを食べようとするのを防ぐためのことだ。

それでもパーチやバスは泳いでいて、ドローンが近くまで接近する様子を見ることができた。ドローンは流れの中でもきちんと制御されていた。なお、魚たちはドローンから逃げようとはしていなかった。きっと、魚の世界でもドローンなどの人工物が一般化しているということなのだろう。

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(翻訳:Maeda, H