米Amazon、無料配送の最低注文金額を49ドルに引上げ

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Amazonは、たとえPrimeメンバーでなくても、一定金額以上の注文で無料(かつ遅い)配送を提供している。最低金額25ドルの期間が最も長かったが、2013年に同社はこれを35ドルに引き上げた。しかし、年間99ドルで無料翌日配送を約束するPrimeメンバーをこのところ強く推している同社は、静かにこの制限を49ドルへと引き上げた。

良い知らせ:本を買う場合の無料配送条件は、25ドルのままだ(その本が無料配送プロモーションの対象である場合)。

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この変更によって、Amazonが顧客にPrimeサービスを契約させようとしていることは明らかだ。翌日配達(Prime Nowが利用できる人なら1時間配達も)のPrimeは、著しく配達が早くなり他にも多くの特典がある。そして、無料配送の下限が50ドルになった今、これまで以上に多くの人たちがPrime料金を払うことに価値を見出すだろう。

Amazonにとってこれは、配送コストをわずかに引き下げ、利益幅を増やせることを意味している。直近の決算報告でAmazonは、同社の発送コストが前年比32.8%増加したと言った。これはPrime Nowサービス拡大も理由の一つだが、もしAmazonが、注文単価を上げるか、通常の送料を払うか、あるいはPrimeに登録するよう人々を説得できれば、利益率向上に役立つことは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「日本のブロックチェーン界隈」の議論を可視化、ブロックチェーンハブの旗揚げイベント

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2016年2月4日に開催された株式会社ブロックチェーンハブの旗揚げのイベント「創業記念講演会」では、果てしなく続く「ブロックチェーン界隈」の議論を目の当たりにした。ここでは私的な印象を切り取って記録しておきたい。

同社は、金融大手を含む“スーツ”族と、ブロックチェーン技術に取り組む“ギーク”族を結ぶ接点(ハブ)となることを目指している。ブロックチェーン技術に関する情報発信、教育(例えば2月12日から始まるブロックチェーン講義)、コンサルティング、人的ネットワーク構築やベンチャー支援を活動内容としてこの1月7日に設立されたばかりだ(プレスリリース)。

ブロックチェーンハブ創業記念講演会から(その1)

斉藤賢爾氏の講演の様子。40人強と限られたメンバーが集まるイベントだったが、金融大手からブロックチェーン界隈のギークまで多様な参加者が集まった。

 

同社の陣容から紹介しよう。代表取締役社長の増田一之氏は、日本興業銀行からキャリアを出発し、インターネット証券取引システムのファイテック社長を経て、現在はベンチャー支援の活動を続けている。取締役CMOの本間善實氏は「日本デジタルマネー協会」の活動を2年続け、ビットコイナー、ブロックチェーン関連の人脈が豊富だ。取締役CTOの志茂博氏は、ブロックチェーン技術Ethereumを活用した実証実験などに引っ張りだこの技術者だ。技術情報の蓄積が進んでいるQiita(関連記事)でブロックチェーン技術に関するポストを調べてみると志茂氏のポストばかり出てくることに驚く(例えばこの記事)。

乾杯の挨拶は日本IBM相談役の北城恪太郎氏だ。1993年から99年まで日本IBM社長を勤めあげ、財界での活動歴も長い。北城氏はブロックチェーンハブのアドバイザーの一人でもある。北城氏は挨拶の中で、朝日新聞が報じた三菱東京UFJが開発中とする仮想通貨の話題を取り上げ、この分野は一般紙が取り上げる話題となったことを強調した。

北城氏による挨拶から想像できるように、日本の有力企業のスーツ姿の紳士と、“ブロックチェーン界隈”のギークを結びつけることがイベントの狙いだ。増田氏は「4大メガバンクはもちろん、多くの有力企業の方々に来ていただいた」と顔をほころばせる。

「株式会社の後を継ぐイノベーションは何か」を問いかける斉藤賢爾氏

最初の講演は慶應義塾大学SFC研究所上席所員の斉藤賢爾氏。斉藤氏は、ブロックチェーン技術Orbと、減価の概念を組み込んだ地域通貨を発行できるシステムSmart Coinを推進するOrb株式会社CTOでもあるが、この日は「慶應の斉藤として話します」と前置きして講演は始まった。

斉藤氏はまず「世界史に名を残す会社を挙げてください」と語りかける。客席から上がった名前は世界初の株式会社である東インド会社である。斉藤氏はもう1社、日本初の株式会社的な組織である海援隊の名を挙げる。株式会社は、事業リスクを複数の株主で分担しながらより大きな経済的リターンを目指す組織であり、人類史上に残るイノベーションだった。では、次の世代のイノベーションは何か。それが現在ブロックチェーン技術の上に構築されつつあるDAO/DAC(Destributed/Decentralized Autonomous Corporation/Organization)ではないか。例えば、ビットコインのエコシステムは、法や契約ではなく分散したノード上で動くアルゴリズムにより組織が機能している例といえる。株式会社とは異なる原理で、分散化/非集権化したコンピュータネットワークの上で動くアルゴリズムにより、人々の集団が事業を営む基盤を作れるのではないか。ここで斉藤氏は、このような考え方はEthereumが目指している世界観そのものだと指摘する。

斉藤氏は、ソフトウェア技術により経済活動そのものを変革するアイデアを持っているのが自分だけではないことを示したかったのだろう。斉藤氏はビットコイン登場以前から仮想通貨を研究し、経済活動の基盤となる「地球規模OS」という概念を提唱している(例えば角川インターネット講座第10巻『第三の産業革命 経済と労働の変化』の第9章「インターネットと金融」を参照)。

斉藤氏は、自分自身は「アンチブロックチェーン派」だと話す。例えばビットコインのブロックチェーンは取引の確定が完全には決定できないファイナリティ(決済完了性)の問題があると指摘する。ビットコインではブロックチェーンの分岐により取引がくつがえる可能性がわずかにある。そこで6回の確認を約60分かけて実施することにより取引を確定しているが、斉藤氏は、これが決済の整合性を証明するとはいえないと指摘する。また、「ドローンで運んできた缶入り飲料を購入して落としてもらう」との例を挙げ、ブロックチェーンの動作には現実世界で求められるリアルタイム性が欠けていることを指摘する。なお、斉藤氏が取り組むOrbでは決済のファイナリティ問題の解決とリアルタイム性の追求を試みているのだが、今回の講演ではそこまでは触れなかった。

ブロックチェーン技術をめぐる百家争鳴状態を可視化

ブロックチェーンハブ創業記念講演会から(その2)

パネルディスカッションから。ビットコインマキシマリストと、アンチビットコイナーの対決。

 

斉藤氏の講演の後は、ビットコインによる支払いシステム「ビットクダイレクト」を提供する「Bi得」の創設者兼CEOのJerry Chan氏が「ブロックチェーンとコンセンサスレジャー」と題して講演。予定されていた演題は「ビットコインなしのブロックチェーンに価値はあるのか」だった。ビットコインと技術投入を含めたそのエコシステムの価値を高く評価するのがJerry氏の立場だ。続いて、Metaco社CTOのNicolas Dorier氏(.NET Frameworkによるビットコイン実装で知られる)、株式会社ソーシャル・マインズ創設者のEdmund Edger氏、Open Assets Protocolにより使用権をブロックチェーンで管理するスマート電源プラグを開発するNayuta代表取締役の栗元憲一氏がショートプレゼンテーションを行った。

Nicolas Dorier氏は、「ビットコイン9つの神話」について話した。ビットコインに対する「スケールできない」「プライベートな取引に使えない」などの批判の多くは、Dorier氏の立場から見れば解決済みだったり見当違いだったりするそうだ。

Edmund Edger氏は、当初はビットコインのブロックチェーンを手掛けていたが、その後Ethereumの方が有望だと鞍替えした。一方、Nayutaの栗元憲一氏は、Ethereumからブロックチェーン技術に入ったが、技術的に安定しているOpen Assetsの方が有望だと感じた。ブロックチェーン技術は複数あり、選択に際しての評価と判断は、おそらくプロジェクトの内容、目的により変わってくる。そうした立場の違いを可視化する講演者の配置だったといえる。

最後の企画は、パネルディスカッションである。斉藤賢爾氏、Jerry Chan氏、新たな合意形成プロトコルPoI(Proof of Importance)を取り入れた暗号通貨NEMの開発者である武宮誠氏が登壇し、本間善實氏が司会に回った。Jerry Chan氏はビットコインの価値を信じるビットコインマキシマリストの立場に立ち、斉藤賢爾氏と武宮誠氏はビットコインの弱点を克服する新技術(斉藤氏はOrb、武宮氏はNEM)を作る立場に立っている。

ビットコインやブロックチェーンに関しては、こうした異なる立場にある人々どうしのディベートが活発に行われていて、この日はその一端に触れることができた。武宮氏は、「ビットコインは面白いが大きな欠点がたくさんある。例えばマイニングは本当に必要なのか」と指摘し、「これが決定的なインフラになるとは思えない」と主張する。データベース製品がたくさんあるように、ブロックチェーン技術も複数あっていい。例えばNEMは最近Mosaic Tileという新機能を取り入れたが、このような新技術を積極的に試していけることは、新しく作った技術ならではの特徴だ。もちろんJerry Chan氏も黙ってはいない。Chan氏は、ビットコインのブロックチェーンにこそ最も大きな価値があると考えている。

ところで、この日に不在だったのにも関わらず存在感があったのは、プライベートブロックチェーン技術mijinに関する業務提携の発表を立て続けに行ってきたテックビューロだ(関連記事)。mijinやそのユースケースに関する情報が不足していることから(これは私たち報道側が、もっとがんばらないといけないところだ)、パネルディスカッションではプライベートブロックチェーンに対する疑問の声も上がった。「一つの組織内で閉じたブロックチェーンに意味があるとすれば、それは会社を畳んだ後にも事後的に監査に使えることではないか」と斉藤氏は意見を述べた。なおmijinのベースとなったNEMの開発者の1人である武宮誠氏は以前はテックビューロでmijinのために働いていたが今は離れている。現在のmijinは、武宮氏以外のNEM開発者を軸に開発を進め、この2月には誰でも参加できる公開ベータテストが始まった。情報不足は今後解消されていくことを期待したい。

議論を続け、しかし決して合意に至らない彼らの姿は、おそらく現実のブロックチェーン界隈の射影だったはずだ。この状況に似ているのはなんだろう……強いていうなら、異なるプログラミング言語の使い手どうしの論戦に似ていることに気がつく(つまり日本で毎年開催されるLL(Lightweight Language)イベントと少しだけ似ていた)。プログラミング言語にも、長年にわたる蓄積を取るか言語設計の新しさを取るか、仕様の安定を取るか新技術の取り入れの早さを取るか、こうした決して相容れない議論がある。

もちろん例え話が当てはまらない部分もある。ソフトウェアの利用者は開発に使われたプログラミング言語のことは気に止めない。だがブロックチェーンは資産価値や信用など重要な「なにか」を刻みつける対象なので、利用者にとっても重大な意味を持つ。資産を蓄積するプラットフォームという点では、OSに近い……いや、ひょっとすると国家にも匹敵する意味を持つかもしれない。

そんな事を考えるうちにも、立ち話の議論はいつまでも続き、イベントの夜は更けていった。ブロックチェーン界隈はあまりにも情報量が多く、あまりにも動きが速い。追いかけるのは大変だが面白い。このイベントの参加者それぞれが異なる印象を持ったことだろうが、「何か重要な事が起こっている」との感触は共有できていたのではないだろうか。

「チケット化」と「継続販売」で需要を喚起するクラウドファンディング「ENjiNE」

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日本でクラウドファンディングといえば、新製品のマーケティングかチャリティー的な支援が中心。2014年に資金決済法が改正されて投資型のクラウドファンディングも始まったが、利用はまだこれからというところだろう。

そんな中でスタートしたReLicのクラウドファンディングサービス「ENjiNE(エンジン)」。彼らは「チケット」という概念を持ち込むことで、より手軽にクラウドファンディングを利用できるようにすることを考えているという。

ENjiNEは、先行する他社のクラウドファンディングサービス同様、サイト上に掲載されているプロジェクトに対して支援を行うというモノだ。支援の対価として製品やサービスを得られる、いわゆる「購入型」と呼ばれるサービスに分類される。

だがENjiNEがこれまでの購入型クラウドファンディングサービスと違うのは、これまでであれば、「お金を払って支援を行う」としていたユーザーのアクションを「電子チケットを購入する」というものに変えたことにある。プロジェクトが終了して、その製品やサービスが提供されるタイミングになれば、電子チケットを使用(ENjiNE上でコードを入力する)することができる。

ReLic代表取締役CEOの北嶋貴朗氏

ReLic代表取締役CEOの北嶋貴朗氏

クラウドファンディングの仕組みを知っている読者は「そこに何の違いがあるのか?」なんて思うかも知れない。だがReLic代表取締役CEOの北嶋貴朗氏は、この「チケット」こそが国内で購入型クラウドファンディングの市場を成長させる鍵になると語る。

「チケット化」でECの市場を取りに行く

「日本のクラウドファンディングの市場は20億円程度と欧米に比べればまだまだ小さい(米国のクラウドファンディング市場規模は2014年度で1億ドル程度だという)。それは投資や寄付という文化が欧米のように根付いていないから。だが見方を変えれば購入型のクラウドファンディングは実態としてはECと同じ仕組み。であればECの市場を取っていける仕組みにしていけばいい」(北嶋氏)

ではクラウドファンディングをECのように使ってもらうにはどうすればいいか? そこで考えたのがチケットという概念だという。「プロジェクトへの支援」と考えるよりも面白い商品を買うという動機を作るだけでなく、購入後に友人などにプレゼントすることもできる(ENjiNEのアカウントが必要になる)。そのための不正防止の仕組みも導入しているという。

それに加えて、ENjiNEで楽天市場やYahoo!ショッピングといったショッピングモールのアカウントを取得。ENjiNEに掲載されたプロジェクトのオーナーは、今後ENjiNEに運用を任せるかたちでショッピングモールで商品を販売できるようになる(モールによっては「チケット」が販売できないケースもあるため、商品の予約販売にする、製造後に販売するなどの対応を行う)。通常のクラウドファンディングであれば、プロジェクトが終了した時点までしか支援できないが、この仕組みを使って継続した商品の販売が可能になる。このあたりはヤフーとソニーが組んだ「First Flight」の発想に近い。

オープン時点ではフォトウエディングサービスを手がけるスタートアップのFamarryによる家族写真撮影のプロジェクトや、スタッズを使った革小物を扱うTheTHIRDによる展示会出展プロジェクトなどが並ぶ。システムの外部提供も決まった。サザビーリーグの主催するビジネスプランコンテスト「Lien PROJECT2016」と連携。3月に開催されるイベントでは、プレゼンの最中にリアルタイムにファンディングを行う「ライブファンディング」の仕組みを提供する。

クラウドファンディングの「前後」も支援

実はReLicが手がけるのはこのENjiNEだけではない。すでにピッチイベントや新規事業制度等の応募資料や合否の管理、メール送信などを行うサービス「Ignition」を提供しているほか、今後はマーケティングオートメーション、CRMといった領域のサービスも開発中だという。

北嶋氏は「会社の理念は『志ある挑戦を創造し、日本から世界へ』。プロジェクトの構想(Ignition)から事業化(ENjiNE)、成長(開発中の新サービス)までをカバーしていきたい」と語る。クラウドファンディングはあくまで1つの事業に過ぎないのだと。

北嶋氏は新卒でワイキューブ、プライマルとコンサル会社を経てディー・エヌ・エーに入り、EC関連の新規事業や事業企画、戦略アライアンスなどの責任者としてキャリアを積んできた。2015年7月にReLicを設立。これまでにベータカタリスト(DeNA元会長の春田真氏らの新会社)や個人投資家からシードマネーを調達している。

Amazonが300店〜400店の書店チェーンを立ち上げる説はウソ、物理店の拡大に関心ありはホント?

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昨日(米国時間2/2)掲載されたWall Street Journalの記事は、リテイルの超大手Amazonが、400店もの書店チェーンを展開する、と報じている。その記者は関連する多様な話題にも触れ、書店の衰退を招いた企業が今さら書店を作ることを揶揄し、Amazonと競合する企業の株価の動向にまで話題を広げている。

しかし、一つだけ問題がある。実はその記事は、事実ではないのだ。

Amazonに近い筋の確かな情報によると、Amazonに書店のチェーンをひらく計画はない。WSJの記事は、Amazon Booksとは無関係な筋からの情報に基づく憶測だ、と。

しかし昨日以降、その燃え上がる憶測の火元となったSandeep Mathrani(ショッピングモールの運営会社General Growth PropertiesのCEO)が、自分の言葉の真意を明かした。そのCNBCの記事は、彼の見解はAmazonの計画を反映していない、と言っている。

しかしWSJの記事では、Mathrani氏は火曜日(米国時間2/2)に投資家たちを前にして、“Amazonは300から400の書店をオープンする”、と語っている。

Amazonの‘計画’に関する話が簡単に信じられてしまうのには、理由がある。同社は11月に、シアトルに実際に書店を開店した。それは、オンラインの存在であるAmazonと、オフラインのショッピング行動とを、橋渡ししようとするさまざまな新しい試みの一つだ。

Amazon Booksと名付けられたその書店は、5000から6000ぐらいの本を在庫として抱える実験店舗だ。本の種類は、オンライン書店の売れ行きに応じて頻繁に変わる。つまり、ふつうの一般の書店に比べて、有利な、きめ細かい、在庫調整ができる、というわけだ。

Amazonの新しい事業分野への進出は、ペースがとても遅い場合がある。‘書店’も、そのケースのひとつだろう。Recodeの記事によると、たしかに南部カリフォルニア一帯に書店を増やしていく計画はあるらしい。

でも、その後の展開がどうなるかは、あくまでも初期の成果次第だ。Amazonは、自分がキックオフしたトレンド(下図)の行く末に対して、どれぐらいの確信を持っているのか。

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Amazonは、この記事へのコメントを断った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SNSで見た商品を即購入できるEコマースの実現に向けCuralateが2750万ドルを調達

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PinterestにInstagramにTumblr。ウェブの未来は画像にかかっているのは自明だが、どうやってそれで稼げるのだろうか?ユーザーが投稿する画像に何が写っているかを理解し、ユーザーを画像の商品を購入できる場所とつなげることだ。 Curalateは正にそれに取り組んでいる。この画像認識でマーケティングを行うスタートアップは、NEAがリードする資金調達ラウンドで2750万ドルを調達した。合計調達金額はこれで4000万ドルとなった。

もし、写真が何千語の説明に匹敵すると言うなら、Cralateはブランドがユーザーにストーリーを伝えることを可能にする。

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Curalateは1つのプロダクトを提供しているのではなく、複数のビジュアル・コマースのツールを用意しているため、彼らが何をしているかを理解するのは少しむずかしい。Curalateが用意しているツールの説明を噛み砕くと以下のようになる。

  • Like2Buy_home_cardLike2Buy
    ブランドのInstagramプロフィールのリンクを商品購入のゲートウェイにする。Instagramのどの投稿からでも商品購入が可能となる。
  • Fanreel
    ユーザーが投稿した画像をブランドのウェブサイトに掲載し、画像認識で写っている商品をタグ付けすることで商品購入を容易にする。
  • Visual Insights
    アナリティクスデータを生成し、どのブランドの商品がInstagram、Pinterest、Tumblr、他のSNSで拡散されているかを知ることできる。ブランドは注目されている商品が分かる。
  • Reveal
    ブランドのウェブサイトに掲載されている商品画像にタグ付けして、商品の詳細ページや購入ページにリンクする。
  • Ads
    ブランドがInstagramとPinterestの専用のターゲティング選択ができる広告を購入できる。

ブランドはソーシャル・メディアが上手く機能するように期待して待つだけではなく、Curalateを使うことで自分たちから動いて、計測し、活用し、効果を高めることができるようになる。

画像への転換

共同ファウンダーでCEOのApu Guptaは最初からCuralateの構想があったわけではないという。最初は「駐車と保管場所のAirbnbアプリ」のアイディアでY Combinatorを訪れた。しかし、彼は「これは取るに足らないアイディアであることに気付き、閉鎖することにしました。投資家に資金を返すことを話したのですが、投資家はまた考えて新しいことを試しては、と言いました」と語る。

2011年からCuralateは、大手小売ブランドとソーシャルメディアの有力企業をカスタマーとして迎えてきた。Refinery29、Nasty Gal、Gap、Nordstrom、Neiman Marcus、Sephora、Urban Outfitters、J.Crew、True Religion、BuzzFeedらが含まれている。この成功がNEAを惹き付け、今回のシリーズCの投資ラウンドにつながった。前回から投資しているFirst Round CapitalとMentorTech Venturesも今回のラウンドに参加している。

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「現在ソーシャルチャネルはそれぞれ『購入ボタン』の実装を検証しています。それは、今後ユーザーが商品を発見した時点とユーザーが実際に商品を購入する時点が近づくことを示しています」とGuptaは説明する。「これを実現するための課題は、画像に写っている商品が何かを知ることです」。

ソーシャルプラットフォームは自社サービス経由の購入を簡単にするための取り組みを行っているが、大手ブランドはサポートを必要としている。First Roundのファウンディング・パートナーで有名投資家のJosh Kopelmanは「Curalateはコンシューマーの行動を再構築しているトレンドに沿っていて、名だたるクライアントを惹きつける革新的なプラットフォームを構築しています」。

トレンドの最前線へ

ビジュアル・コマースを実現するために必要な部分を担うツールはたくさんあるが、Curalateの戦略は、それらをまとめて簡単に利用できる月額のSaaSサブスクリプションとして提供している。他の動きの早い競合他社が市場で最良のプロダクトを制作し、追いくリスクはある。今回の2750万ドルの資金調達でそれを防ぐために採用とプロダクト開発に注力する考えだ。

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マーケティングはこれまで、ブランドがカスタマーに購入を強引に勧めるようなトップダウンのものだった。しかし、未来はよりボトムアップの形に近づくだろう。ソーシャルメディアのインフルエンサーはSNSで大量のフォロワーを集めていて、つまらないブランドは敵わない。インフルエンサーがこの商品が好きと言ったり、商品を着たりすると、多大な売上につながる。

Curalateのプロダクトはこの大きな転換に合致するものだろう。ブランドは自社のどの商品がビジュアルのトレンドになっているかを知ることができ、分析結果からソーシャルメディアのスターを採用して、スポンサードコンテンツの制作を依頼することができる。そして、ユーザーをそれらのコンテンツから自社サイトでの商品購入につなげることができるだろう。

スクリーンの大型化、カメラの改良、インターネット接続が早くなったことでソーシャルネットワークはマーケティングの力学を変えた。ブランドの説明書きは必要ない。カスタマー自身が撮影した写真や動画が台頭する。これはビジネスがコントロールすることができない自然な転換だ。しかし、ビジネスはその転換に乗ることはできる。そしてCuralateはそれらブランドの転換をもたらす中継地点になろうとしている。

[写真はBill Leveyから。商品はMikaela Holmes Designsのもので、こちらから購入できる]

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

古いがらくたを売ってくれるサービスGoneがシアトルとベイエリアへ展開、粗利300万ドルを目指す

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古い携帯とかラップトップとか、必要ないものがどんどんたまってしまう。しかもそんなガラクタを始末するのは、意外と容易じゃない。そんなごみを売ってくれるサービスGoneがこのほど、シアトルとベイエリアの両地で同社コンシエルジュサービスのフル展開を開始した。

Goneとは何か?

この単純なコンセプトのサービスは昨年6月に、オースチンでローンチした。ユーザは、自分が売りたい物の写真を撮るだけでよい。あとはすべて、Goneがやってくれる。Gone Concierge(コンシエルジュ)と呼ばれる担当者がうちまでやってきて品物を受け取り、それを梱包し、売り、発送する。めでたく売れたら、メールで通知が来る。

Goneは事業の拡大を早めるために、包装資材と発送用ラベルをユーザに送り、荷造りと発送をユーザにやらせる方式を新たに導入した。

でも、家にコンシエルジュがやってくることが、Goneの最大の魅力だった。郵便局で行列に並ぶなんて、誰もしたくない。

Goneは最初、オースチンとサンフランシスコでは正しくコンシエルジュサービスをやっていたが、しかし今日の発表では、シアトルとベイエリア全域ではコンシエルジュサービスがオンデマンドになる。

同社は今年の粗利益額300万ドルを目指して、年内にニューヨーク、ボストン、LA、マイアミ、シカゴなど10の都市にサービスを拡張する予定だ。

Goneによると、これまでのユーザ一人あたりの売上額は約250ドル、一人のユーザが平均4つのアイテムを売っている。

Goneのことが気になる人は、このホームページへ行ってみよう。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

備品を自動で発注してくれるAmazon Dash対応製品が登場

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家の家電製品は賢くなっている。インクの量が減ったら補充インクを注文するプリンターやいつも適切な洗剤の量を入れ、洗剤を使い切る前に新しいのが届くように手配する洗濯機。これがAmazonの「Dash Replenishment(Dash補充)」に対応している端末が約束している機能だ。AmazonはDashに対応した複数の製品のローンチを本日発表した。BrotherのプリンターGEの洗濯機、そしてGmateのSMART血糖値モニターがDash機能を利用できるようになる。

すでにAmazon Dash Replenishmentに対応可能な端末を購入した人がいるかもしれない。対応端末でもこれまでDash機能を使うことはできなかったが、今後対応プリンター、Gmate端末、GEの洗濯機でDash Replenishment機能を作動させることができるようになる。製造元がプログラムへのアクセスを認証するウェブサイトかアプリから登録することで利用できる。

Brotherのプリンターは今日からDashを利用でき、他の端末は月末から利用できるようになるとAmazonは伝えている。

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Brotherのトナーやインクの量を計測できるインターネット接続プリンターの場合、カスタマーはBrotherのサイトから自動発注にサインアップすることができる。新しいプリンターを購入した場合、プリンターの設定手順の中でサインアップできる。

もちろん、インクの補充プログラムは全く新しいものではない。競合他社もこれに似たサービスを展開している。例えば、HPは「インスタント・インク」の補充サービスを行っている。また、Epsonはこの問題を解決する方法としてインクを補充するインクタンクをカートリッジの代わりに使うプリンターを販売している。(「EcoTank」ブランドのプリンターだ。)

違いは、製造元から直接インクを購入する代わりに、Brotherのインターネット接続のプリンターはユーザーに代わって、Amazonに発注することだ。Brotherは、45モデル以上ですぐにAmazonのサービスを利用できるという。

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GEの新しい洗濯機も似たような機能だ。洗濯ごとに必要な洗剤の量を計測するというような「スマート」機能だけでなく、洗剤を投入し、またいつ洗剤を補充しなければならないかまで分かる。それは洗濯回数だけに基づいたものではなく、カスタマーが連動するモバイルアプリに補充すると設定したタイミングに合わせているとAmazonは言う。

GmateのSMART血糖値測定端末は、スマートフォンと連動した血糖値測定のサービスを提供している。このサービスに試験紙とランセットの在庫が少なくなると補充する機能が付く。

これらの企業とAmazonとのパートナーシップは以前に発表されていた通りだが、これらのDash対応製品がAmazonの自動再発注サービスを利用できる時期については明かされていなかった。

また、Dash Replenishmentのサービス自体は、今日までプライベートベータ期間にあった。それが終了したということは、AmazonのAPIが広く利用可能になったということだ。自社製品をDash対応にしたい場合は、Amazonのサイトに行き、「シンプルなHTMLコンテナとREST APIコールを使った10行程度のコードを入れるだけ」で機能を導入することができるとAmazonは説明している。

これまでAmazonはSamsung、Brita、Oster、Obe、Petnet、Clever Pet、Sutro、Thync、Sealed Airといった製造企業と協力することを発表している。

また今日、Amazonは新たにWhirlpoolと別の製品でも協力すると発表した。Whirlpoolとは以前、彼らのSmart Top Loadブランドの洗濯機と乾燥機にDash Replenishment機能を統合すると発表した。今回、Whirlpoolはスマート食洗機もDash対応するとしている。

Purellという手の消毒液の機器を製造するGOJOも、非接触で消毒液を手に散布するシステムに搭載しているGOJO SMARTLINKをAmazon Dashにつなぐと発表した。現在Dashに対応している他の端末(スマートなペット用ボウルや洗濯機)と違って、非接触の手の消毒機器は個人の家にあるものではない。法人のカスタマーベースにも対応することで、Amazonはオフィス備品を供給する企業とも競うことができるようになる。

AmazonのDash Replenishmentプログラムは、ユーザーの代わりに補充を注文していくれるスマート機器専用ではない。Amazonは、例えばペーパータオルやおむつやガム(!)といった日用品の在庫管理機能と連動する「Dash」ボタンをお手頃価格で販売している。ボタンを押すと、Amazonに発注することができる。

(私もこれをいくつか買ってみたが、まだこれが天才的な発明なのか、恐れるべきものなのかは分からない。ボタンの1つは故障なのか、自意識が芽生えたのか、押してもいないのに商品を注文するようになった。怒った方が良いのだろうけど、結局発注したゴミ袋はいずれ使うのだ。)

AmazonはDash対応端末は今後も増やしていくとしたが、年内に市場で手に入れられる端末の数についてはコメントしなかった。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

300ドルのスタンディングデスクなんていらない。このダンボール製なら25ドルだ

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一日中パソコンの前に座って太りたくないが、スタンディングデスクは高価すぎる? Hootsuite CEOの気の利いたサイドプロジェクトが、あなたの背骨を守りおなかを凹ませてくれるかもしれない。Oristandはダンボール製だ。奇妙なからくりを組み立てて、通常のデスクに載せれば、もう猫背で作業する必要はない。

Hootsuiteでは、すでに一部の社員がIKEAの棚とテーブルをボルトで繋ぎ、安価なスタンディングデスクを作っていた。CEOのRyan Homesは、デザイナーのSteve SuchyとNathan Martellの協力を得て、箱から出してすぐに使える・・・いや、箱そのものを作った。

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重さ2ポンド(0.9 kg)のOristandはノートパソコンを支えるのに十分な強度を持ち、マウスと小型キーボードを置くスペースがある。叩いたりコーヒーをこぼしたりするのには向かないが、この環境に優しいダンボールはしばらくの間生き残るだろう。財布をにも背中にも優しくしよう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

食材流通のプラネットテーブルが1億円の資金調達、サービス提供エリア拡大へ

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食材・情報取引プラットフォーム「SEND(センド)」を展開するプラネット・テーブルがサイバーエージェント・ベンチャーズ、セゾン・ベンチャーズなどから総額約1億円の資金調達を実施した。払い込みは2015年12月、バリュエーションや出資比率は非公開。なお同社は2015年3月にGenuine Startupsと個人投資家から3500万円のシードマネーを調達している。

プラネット・テーブルが提供するSENDは日本全国にいる特徴を持った農畜産水物生産者と、そんな生産者が手がけたこだわりの食材を使いたい飲食店の直接取引を実現するプラットフォーム。取引に関わるオペレーションや保管(東京・渋谷の同社オフィスには業務用冷蔵庫が並んでいる)、配送までを自社でカバーする。また生産者・飲食店間の取引データをもとに需給を予測。流通量の最適化を進めている。2015年8月にローンチし、これまで広尾や恵比寿、六本木など東京都心部の飲食店に限定してサービスを提供してきた。

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現在、約230の生産者(ただし季節により変化。常時数十の生産者が食材を販売)と約200の飲食店がプラットフォームに参加している。プラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏によると、「想定よりも速いスピードで成長している。単価もリピーターも増える傾向にあり、特に9月に畜産物の取り扱いを始めて以降は月額20万円を超える店舗もある」(菊池氏)という。ただしSENDでは流通量が多いものではなく、こだわりの生産物に特化する方針であり、「飲食店の仕入れのすべてを補うのではなく、全体3分の1程度をSENDを通じて提供したい」と説明する。

プラネット・テーブルでは今回の資金調達をもとに営業および開発体制の強化を進めるほか、食料生産支援に向けたサービスを提供していくとしている。また西東京や横浜、千葉など、提供エリアについても拡大する予定。パートナーシップによる地方進出も進めて、2016年度には飲食店1000店舗の利用を目指す。

ちょっと気になったのが提供エリアの拡大について。同社はこれまで、トラックを自社で保有し、配送までを行ってきたという。ではサービス拡大に伴って今度はトラックの数を増やして自ら「物流会社」になろうということなのだろうか? 菊池氏はそれを否定した上で、「例えば飲食店への配送は通常午後2時〜4時くらいが基準になる。その時間帯に稼働していない冷蔵倉庫やトラックも少なくない」とだけ語った。

ここからは僕の想像でしかないが、同社が狙っているのは——毎度おなじみのバズワードで恐縮なのだけれど——「シェアリングエコノミー」の領域だろう。先日ラクスルが発表した物流サービス「ハコベル」のように、リソースの余っている倉庫なりトラックなりをネットワーク化していくのではないか。このあたりは今後また話を聞いてみたい。

プラネット・テーブルでは、食に関するQ&Aサービス「FoodQ」を2015年6月にリリースしているが、こちらについても近くリニューアルする予定だ。

BASEとメルカリがタッグ、最大4.5億円の出資を含む資本業務提携

左からBASE共同創業取締役の家入一真氏、メルカリ代表取締役の山田進太郎氏、BASE代表取締役の鶴岡裕太氏、メルカリ取締役の小泉文明氏

左からBASE取締役の家入一真氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏、BASE代表取締役の鶴岡裕太氏、メルカリ取締役の小泉文明氏

今日から仕事が始まる人も多いだろうが、早速大きなニュースが飛び込んできた。ネットショップ開設サービス「BASE」を提供するBASEは1月4日、フリマアプリ「mercari」を提供するメルカリとの資本業務提携を実施したことをあきらかにした。

今回の提携に伴い、BASEはメルカリを引受先とした最大4億5000万円の第三者割当増資(マイルストーン達成による最大額)を実施する。出資比率は非公開。また元ミクシィ取締役CFOで、現在メルカリ取締役を務める小泉文明氏がBASEの社外取締役に、メルカリ プリンシパルエンジニアの長野雅広氏がBASEの技術アドバイザーに就任する。

サービス面での連携も検討中だというが、具体的には明らかにされていない。BASEでは今後採用活動やマーケティングを強化するとしている。近いうちにも採用向けのイベントなどを共同開催するほか、アプリでの送客やマーケティングなどで協力する予定だという。

同じビルでスタートしたBASEとメルカリ

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏の2人が語ったところによると、両社はもともと非常に近い関係にあった。BASEは2012年に六本木一丁目にあったビルで業務を開始したが、そこはpaperboy&co.(現GMOペパボ)創業者であり、BASEの共同創業・取締役である家入一真氏が当時手がけていたプロジェクト「Liverty」や、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」のハイパーインターネッツなど、家入氏が関わるスタートアップが数多く入居していた。

2012年にZynga Japanを退任し、約1年かけて世界一周を旅行。再び起業の準備をしていた山田氏もそのビルを拠点にしていた。また両社はともにベンチャーキャピタルのEast Ventures(EV)から出資を受けることになる。そのためビルの取り壊しが決まった際の移転先も同じ、六本木にあるEVのインキュベーションオフィスだった。

もともと家入氏と山田氏は同世代(家入氏は1978年生まれ、山田氏は1977年生まれ)の起業家として、また個人投資家として親交が深かったが、これに鶴岡氏も加わるかたちで「ときどき事業の相談をしたり、お互いが人の紹介をしたりしていた」(鶴岡氏)のだという。創業当時22歳だった鶴岡氏からすればひとまわり年上で、起業家経験の長い山田氏はメンター的な存在の1人だった。今回の発表も、もともとVCなどからの資金調達に動いていた鶴岡氏が山田氏に相談したことがきっかけなのだという。

BASEの店舗数は現在20万店舗。流通総額で見れば、年間数十億円後半の規模にまで成長した。「これまで出店者を増やすことに注力してきたが、2016年からは購入者を集めるフェーズになる。購入者を集めるノウハウを持っているのがメルカリ。彼らの持っているノウハウで学べるモノがあればなんでも学んでいきたい」(鶴岡氏)。メルカリは2013年からの2年半で日米2700万ダウンロードを達成。この短期間でテレビCMを含むマーケティングも経験している、この速度で成長を遂げたスタートアップはそう多くない。

メルカリ、今後はスタートアップ出資を加速

メルカリについては、2015年12月に黒字化を達成していることを報じたばかりだが、本格的な出資はこれが初めて。山田氏は今後、スタートアップへの出資や買収を「積極的にやっていきたい」と語る。

CtoCコマースだけでなく、BASEのようなスモールBtoCのコマースを自社でやる可能性はなかったのかとも思ったのだが、メルカリの山田氏は「現在リソースの9割をmercariの米国展開に使っている。またCtoCといっても、サービスCtoCのような領域もあって幅が広い。なのでBtoCについては連携してやっていくのがいいと思っている」と語る。

またBASEについては、代表同士だけでなく、経営陣や社内のキーマンらに親交があり、文化的にも近い(小泉氏いわく「ミクシィやフリークアウト、paperboyなど出身の『ネット大好き企業』の集まり」だそう)ことも出資の動機になったという。なお今後BASEを買収する可能性についても聞いたのだが、「BtoCとCtoCなので実は全然サービスが違うし、ブランディングも違う。権限や責任を与えて自走できるのが筋肉質な組織を作ると考えている」(小泉氏)とのことだった。

グループ購入サイトMassdropではユーザが“理想の製品”を設計してメーカーがそれを作る

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Massdropの投資家たちは、グループeコマースのサイトは単なるマーケットプレースであるだけでなく、むしろコミュニティであるべきだ、と主張してきた。そのMassdropが最近始めたMassdrop Collabsと呼ばれる企画は、そんなコミュニティ化努力の一環だ。

同社はこれまで、いくつかの専門的なコミュニティを築いてきた。オーディオ愛好家や機械式キーボードのファンなどがそれぞれ作ったコミュニティに、グループ購入の特典などを与えてきた。しかしMassdrop Collabsは、協同ファウンダでCEOのSteve El-Hageによると、コミュニティが実際に製品を創造する機会を提供する。

これまでMassdropは、Infinity Keyboard Kitなどでそんな共同設計による製品を作ってきたが、しかしMassdrop Collabsはそれを、もっと定常化し一般化する。

たとえば同社はオーディオ愛好家のコミュニティから選んだ人たちにヘッドフォーンを設計ししてもらい、それを電子製品のメーカー企業Fostexに持ち込んで、Fostex x Massdrop TH-X00を完成させた。コミュニティが指定した要素は、音質の特徴やマホガニー製のイヤーカップなど、15項目に上(のぼ)る。El-Hageはこの過程を、“とても多くの人びとの共同作業”と呼んでいる。

“誰もが、何か一つは貢献している。個々のコンポーネントを投票で決めるのではなく、すべてのアイデアを容れたデザインを完成させ、製品化した”、と彼は言っている。

El-Hageはこのやり方を、今はなき共同発明サイトQuirkyと比較する。そこはユーザが新製品の発明過程に参加するのだが、Massdropは発明家のサイトではない。El-Hageによると、“1840年以降、合衆国にプロの発明家はいない”そうだ。むしろMassdropは、スペシャリストたちが集まって設計に参加し、“こんなのだったら自分も買う”というプロダクトを構想する。

上記のヘッドフォーンの場合は定価399ドルで、発売直後の48時間で100万ドル売れた。これまでに3167名のMassdropユーザに売れている。

Massdrop Collabsの対象は、ヘッドフォーンだけではない。来年は、メンズファッションや日用携帯品(everyday carry, EDC)などを予定している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

クリスマスの前の週でAmazonのPrimeの会員が300万増えたそうだ(クリスマスの週については不明)

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Amazonのプレスリリースは、具体的な情報がないことで有名だ。今年の感謝祭のときもそうだった。しかしそれでもたまには、同社は数字を発表することがある。それによると、今年のクリスマスの前の週にはPrimeの会員が300万名あまり増えたそうだ。

でも、例によって、同社の発表を鵜呑みにしてはいけない。

AmazonがGeekwireに対して確認しているところによると、この数字は実際に会費を払ったユーザと試行期ユーザの両方を含む。だから、その後の推移によって確定した正規会員数は、もっと少ないかもしれない。とくにApple Musicのように、トライアルから入ることの多いサービスでは、それが顕著だろう。

また、同社が発表した数字は12月の第三週、つまりクリスマスの前の週のものだ。だから、比較すべきふだんの週の数字がないと、どれぐらい盛況だったのか分からない。もちろん、クリスマスの当日近くになると、“送料無料”や“お急ぎ便”などを使えるPrimeのユーザが増えたと思うけど。

なお、昨年のAmazonの発表では、いわゆる“ホリデイシーズン”の全期間で、Primeの会員は1000万名増えたそうだ。

もうひとつ、例によってAmazonは、Prime会員の総数を公表していないから、増加率も分からない。“記録破りのホリデイシーズンだった”、と言ってるだけだ。

“Amazon Primeの会員は成長を続けており、今では全世界で数千万人の会員がいる”、と同社は述べている。

でももちろん、300万という数字は、このサービスの人気の一端を覗かせている。

99ドルの年会費を払ったPrimeの会員には、一部商品の送料無料などの特典があり、一部のビデオを無料で見られる。

ビデオではAmazonのライバルとなるNetflixは、世界60か国に6900万の顧客がいる。Amazon Prime Videoは、合衆国とイギリス、オーストラリア、ドイツ、そして(最近加わった)日本だけだ。本体のPrimeサービスは、もっと多くの国で提供されている。

ホリデイシーズンに関するAmazonのそのほかの発表は、例によって隔靴掻痒だ:

  • 今年のホリデイシーズンではAppleの顧客の70%近くがモバイルデバイスを使って買い物をした — 昨年は60%弱だったが、Amazonを訪れた人と、モバイルで実際に何かを買った人との内訳は分からない
  • Prime Videoで最高の視聴率を稼いだのはThe Man in the High Castleで昨年比4.5倍、ホリデイシーズンにおけるPrime Videoの総視聴時間は昨年比で倍増した
  • Amazon Devices(Kindleなど)は、昨年のホリデイシーズンの記録的な売上の、さらに倍を達成した
  • 今年のホリデイシーズンでPrimeの送料無料で発送された品目は2億を超えている
  • クリスマスイブのPrimeの繁忙も今年が最高だった
  • Amazonは今年のホリデイシーズンで185か国へ発送した

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Alibaba、上海のレストランの宅配スタートアップ、Ele.meに12億5000万ドル出資か

2015-12-27-alibaba

Alibabaグループは上海の料理宅配サービス、Ele.meに12億5000万ドルを出資する方向だと中国のニュースサイト Caixin〔財新〕が報じている〔URLは中国語記事〕。この投資が行われればAlibabaはこのスタートアップの株式の27.7%を握り、最大の株主となる。

われわれの Crunchbaseによると、Ele.meはこれまでに10億9000万ドルのベンチャー資金を調達している。投資家のリストにAlibabaのライバルであるTencentとJD.comが含まれている点が注目だ。Ele.meが実施した最大の資金調達は今年8月に発表された6億3000万ドルに上るシリーズFラウンドだった。

TechCrunchはAlibabaとEle.meにコメントを求めている。

この投資が実施されればAlibabaのO2O戦略は大幅に強化されるはずだ。 O2Oというのはオンラン・トゥー・オフライン、ないしオンラン・トゥー・オンラインの頭文字で、eコマースのプレイヤーはオンラインで金を使う顧客にオフラインでも金を使わせようと努力している。逆に、というか、同時に、普段は実店舗で買い物をしている顧客をオンライン消費に引き込む努力でもある。

Alibabaの他のO2O分野での投資には中国最大のモバイル支払サービス、Alipay、eコマース・チェーン、Suning〔蘇寧電器〕、タクシー配車アプリのDidi Kuaidi〔快的打车〕などがある。

画像: aaron tam/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クリスマス・ショッピングのテクノロジーと消費者行動の変化を考える

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長年にわたってアメリカ的生活の不可欠な一部とみなされてきたクリスマス休暇のショッピングも最近大きく変わった。

1947年に公開された映画、『34丁目の奇跡』〔日本語版:メイシーズ・デパートを舞台にしたドラマ。その後何度もリメイクされている〕に代表される巨大デパートでのショッピングは今や少し風変わりで決定的に前世紀の遺物である習慣とみなされるようになった。

ブラック・フライデーにステーションワゴンに家族全員が乗り込んで最寄りのショッピング・モールに向かうというアメリカ的行動も不便であり時代遅れだとして今や風前の灯火だ。

クリスマスを控えた季節には、ますます多くの消費者が夜遅くパジャマ姿で半分寝ぼけたままノートパソコンやスマートフォンに向かい、われわれの時代のサンタクロースであるAmazonプライムの画面に向かって願い事をするようになっている。

消費者行動が時代と共に変わるのは珍しいことではない。しかし盛大なバッカス祭り的なわれわれの年末ショッピングの変化は、多分に消費者側に原因を持つ内発的なものだ。各種の統計もこの見方を支持する。不動産仲介業者は年間売上の5分の1がクリスマス休暇の時期に集中することに気づいている。2015年の年末のショッピングはアメリカで過去最高となる6300億ドルに達するものと推測されている。この額はアメリカの全軍事予算ないしスイスやサウジアラビアのGDPに匹敵する。レゴブロックやデジタルテレビでこれだけの売上があるというのは驚くべきことだ。

しかし、特に注目すべきなのは2015年には年末休暇の売上のほぼ15%、 1050億ドルがオンライン上で生じると推計されたことだろう。これは対前年比でも大幅なアップになものとみられる。 最近得られた実際の統計数値はこの予測さえ控え目に過ぎるのではないかと思わせる。
2015年の感謝祭からブラック・フライデーサイバー・マンデーにかけてのオンライン売上は記録破りの750億ドルを記録した。同期間中に ブリック・アンド・モーターの実店舗での販売額jが5から10%下落したことはトレンドがどちらに向かっているかをはっきり物語る。

単独で見れば、古き良きショッピングの伝統が薄れていくことに反感を覚えるのは簡単だわれわれオンライン消費者は年ごとに新しいアイテムをますます簡単に、かつ無考えに購入するようになっている。

買い物といえば中心街のデパートに出かけるものだった過去を懐かしむのもいいが、ワンクリックでフルフィルメント・センターから欲しいものが届く現在のインフラの効率性を否定するのは困難だ。こうしたオンライン消費はコミュニティー行動の不可欠な一部となって休暇時のショッピングをも律している。

消費者行動は効率性のより高い方向を目指して変化を続ける

ネットワーク・テクノロジーが発達した現代社会では、進歩もトレンドのフラグメンテーションも速度が極めて速い。すべてはめまぐるしく動く。 消費者行動は効率性のより高い方向を目指して変化を続ける。だがテクノロジーは効率性とは別の要素ももたらしてわれわれの生活のバランスを取る。

ネットワークの発達により、クリスマス休暇のような短い期間でまずこのコミュニティー的共同体を形成することが可能となった。感謝祭を機に生まれたチャリティー運動、Giving Tuesday〔感謝の火曜日〕は 最近のすばらしい例だ。アメリカ人の5人に1人(つまり6000万人)がサイバー・マンデーやブラック・フライデーを知っているといわれるが、こうした言葉が生まれたのは非常に新しい。2012年にニューヨーク市の名門チャリティー団体、92nd Street Y.が使い始めたのがきっかけだ。

われわれを勇気付ける別の例として、各種の専門分野において消費者行動の環境に与える悪影響を、季節を問わず、最小限に止めようとする新たなマーケットプレイスの登場がある。

ローカル・コミュニティー同士を結びつけ新たなサービスを産み出すネットワーク・テクノロジーの発達も共同消費経済の優れた例として見逃せない。こうした努力によって売上がコミュニティー内に還流し、地元のアーティストや個人を潤し、オンライン経済をさらに拡大することになる。人々を結びつけるこうしたトレンドはわれわれのポケットに収まっているスマートフォンを主たる推進力とするものだ。スマートフォンは権力者が生活を遠隔操作するための道具となるという一部の人々の予言はだいぶ違った形で実現されている。

ここでて述べてきたようなレンドは私の子供たちがティーンエージャーになり、さらに大人になる頃にはまったく普通のこととして忘れ去られているのかもしれいない。それどころか、子供たちは父親の世代が、深夜パジャマ姿で目を赤くしてノートパソコンを広げ、プレゼントを買おうとしきりにクリックを繰り返していた時代をジョークのタネにするのかもしれない。いずれにせよ、私はこのトレンドがさらに進んでいくことを信じている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

この2.7メートルのiPhoneケーブルは究極のホリデーギフト、しかもたったの12ドル

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ベッドから乗り出したり、空港の床に座ったり、その他あらゆる不快な姿勢から友達や家族を解放してあげよう。このAnker 2.7m iPhone/iPad lightningケーブルを買う。通常のケーブルの約3倍の長さだ。

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なぜこれが完璧なギフトなのか:

  • 安価だがもらった人は毎日これを大喜びで可愛いがる
  • 通常のiPhoneケーブルは必ず端がほつれて壊れるが、これは超頑丈だ
  • iPhoneケーブルは簡単になくなるので、いくつあっても足りない
  • もし相手がiPhoneを持っていなければ、持っている誰かに再ギフトできる

われわれは皆、電子に中毒している。このケーブルは遠方から注入してくれる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Yahoo取締役会、Alibaba株を売却しないと決定―会社は2社に分割

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アメリカのYahooは今日(米国時間12/9)、中国のeコマースの巨人Alibaba株を売却する計画を撤回したというテレビ報道事実であると確認した。このニュースを受けて、市場が開く前の時間外取引だが、Yahoo株は上昇中だ。

今月初め、Yahoo取締役会がAlibaba株の売却という選択肢を検討中だという報道が行われた。この噂で Yahoo株は一時、7%アップした。

CEOのMarissa Mayerはこの7月、eコマースのAlibaba資産を分離し、会社を分割する計画を発表していた。.

しかし最近、数週間、320億ドルもの資産の行方について不透明性が高まっていた。この問題に関するアメリカ内国歳入庁の見解が不明なため、投資家は巨額の課税が行われる可能性を恐れたものとみられている。「もの言う株主」は Yahooを訴える構えをみせていた。

今日、Yahooの発表によれば、「取締役会は、わが社の長期的な株主価値の最大化を図るための最良の方策を慎重に検討した」という。その結果、Yahoo取締役会は「Alibaba資産を新会社に移して売却する」案を全員一致で棚上げすることとした。

Yahooによれば、同社は今後「逆オプション」を検討していくことになる。これはYahooは別会社を設立しここにAlibaba関連以外の本体の資産と債務(つまりインターネット事業のすべて)を移管するという計画だ。その結果、Yahooは相互に独立な株式公開企業2社に分割される。

この「逆分割」案は、Alibaba株を売却した際に課せられるおそれのある巨額の課税に対する投資家の懸念に配慮したものと思われる。

ただし今回の2社分割案もまだ多くの第三者の承認を必要とする。株主の承認はもちろんだが、SEC(証券取引委員会)への申請書の提出と承認が求められる。すべて順調にこうした承認が得られたとしても、会社分割の完了には1年以上必要とするだろうとYahooは述べている。

CEOのMayerはこの決定にコメントし、「 Alibaba資産を分離することはわれわれが継続中であるビジネスの改革の重要な一部をなす」と従来からの見解を繰り返した。【略】

しかし、Yahooから高価値のAlibaba資産を分離することは本体事業を買収しやすくする効果もありそうだ。ただしこれは本体に従来Yahoo傘下にあったどの事業資産が継承されるかによって大いに変わってくる。

Finacial Timesの記事によれば、いくつかの未公開株式会社とメディア・インターネット関係の広告会社がYahooの買収に興味を示しているという。今週月曜にはVerizon(注)が「仮に可能なのであればYahoo買収に関心がある」と述べている。

インターネット事業が分離されればYahooは現在とはまったく異なる性格の企業になるだろう。他国の巨大eコマース事業の15%の権利を保有するもものの、自らは積極的なインターネット事業者ではなくなるわけだ。

Mayerは2012年7月に GoogleからスカウトされてYahooの CEOに就任した。【略】3年後の現在もYahooのサービスは生き残りのために苦闘を続けている。特にモバイル・サービスのイノベーションでは出遅れぎみだ。また広告売上ではGoogleやFacebookなどの企業に厳しい戦いを迫られている。それでもMayerはこの秋、Googleとの検索広告契約をさらに3年延長する契約をまとめることに成功している。

今回のYahooの新しいプランについて、 Gartnerグループのリサーチ担当副社長、Andrew Frankはわれわれの取材に対して、「Yahooのコアビジネスには依然として成功の可能性があると思う。Yahooは多様なデジタル・メディアを抱える独立の企業として発展することができる。しかしこの道を選ぶとなると、株主からの相当の圧力を受ける覚悟が必要だろう」と述べた。

Frankはまた「これは以前からの私の持論だが、Yahooはテクノロジーの革新者というよりもメディア企業としてうまくやっていける可能性が高い。しかしメディアとして成功するためにはポートフォリオのコンテンツのブランド価値の向上と管理の努力が必要とされる。もし独立企業としてこれが難しいなら、他の巨大企業の傘下に入り、自身としてはコンテンツの配布、広告、新規ユーザーの獲得などの分野に専念するというオプションも有望だろう」と付け加えた。

(注):VerizonはTechCrunchの親会社AOLのさらに親会社となる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

eコマースのためのメールマーケティング自動化ツールBluecoreがシリーズBで$21Mを調達

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eコマースのためにデータに基づくマーケティングサービスを提供するBluecoreが今日(米国時間12/2)、シリーズBで2100万ドルを調達したことを発表した。ラウンドをリードしたのはGeorgian Partners、これに既存の投資家FirstMark CapitalやFelicis Venturesなどが参加した。

eコマースのサイトは、適切なタイミングで適切な消費者にメールによる案内を送って、より高いコンバージョンレートを確保したい、と考える。Bluecoreは、データに基づいてメールの送り先や送る時期の決定を自動化する。

データといっても、これまでのマーケターたちは、たとえばショッピングカートに入れたけれども結局買わなかったものに基づいてリコメンデーションを決めたりしてきた。Bluecoreを利用するとマーケターは、特定の品物を見たユーザに、それの値下げや新規入荷の情報を自動的にメールできる。

マーケターがBluecoreを利用するにあたってやることは、Webサイトのコードに一行追加して、さらに、どんなメールをどんなとき誰に送る、という“レシピ”を指定するだけだ。そのあとのことはいっさい、Bluecoreが自動的にやる。マーケターはシステムの稼働時にでも、バックエンドに対し変更を指示できる。

Bluecoreは創業からまだ2年足らずだが、すでに150あまりのWebサイト上の180のeコマースブランドに利用されている。

同社は今回の資金で機能をより豊富にし、チームを増員したい、と考えている。同社がこれまでに調達した資金の総額は、2820万ドルに達する。

BluecoreのWebサイトは、ここだ

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ブラックフライデーのネットショッピング総額の36%をAmazonが占め、次位Best Buy(8%)以下を大きく引き離す

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独自の荷物追跡アプリケーションでeコマースのデータを集めているSlice Intelligenceによると、今年の11月27日、いわゆるブラックフライデーにおけるeコマースの売上の35.7%をAmazonがごっそりといただいた。二位はAmazonのずっと後方を走ったBest Buyの8.23%だった。三位以下はMacy’s 3.38%、Walmart 3.35%、Nordstrom 3.11%等となる。

Amazonが唖然とするほど高いのには、Sliceのユーザの特性も寄与していると思われるが、しかしAmazon自身も今年は記録的な売上だったと自慢している。具体的な数字は挙げていないが、とくに、Amazonブランドの製品(Kindle, Fireなど)が好調だった、という。

同じくSliceのデータによると、ブラックフライデーにおけるeコマースの売上は前年比で7%増加し、売り出しの開始日を早めたところも多かったので、ブラックフライデーの前日の売上が14%伸びた。中でも家具調度品のWayfairは、ブラックフライデーにおいて前年比315%増という最大の売上増加率を達成した。

売上の好調は、サイバーマンデー(Cyber Monday)と呼ばれる月曜日まで続き、eBayは金土日月の4日間で12%の売上増を達成した

eBayのマーチャンダイジング担当VP Jay Hansonは、“今年のネットショッピングの主役はモバイル、彼らはふつうの日以上に熱心にお買い得品やギフトの好適品を探した”、と述べている。

同社によると、ExxonMobileのギフトカードを7000枚、ホバーボードを7500台売り、おもちゃのトップセラーはロボットだった

最近eBayから独立したPayPalも大きなトラフィックを経験し、サイバーマンデーには一時的にサービス不能状態になった。

PayPalもモバイルからの買い物が増えていることを目撃し、今年とくに伸びた品目は、ファッション、電子製品、化粧品、そして玩具だった。

“PayPalのデータから言えるのは、今や年末のショッピングシーズンが9月の30日から始まっていること。ブラックフライデーの2か月も前だ”、とPayPalのグローバルイニシアチブ担当シニアディレクターAnuj Nayarは語る。“年間を通じ、PayPalがオンラインショッピングでいちばん忙しいのは今年も同じくサイバーマンデーだが、感謝祭以降はモバイルからのショッピングが年々増加傾向にある”。

売上の数字の多くは驚異的だが、同じくeコマース企業のBlueSnapとPYMNTSが行った調査によると、多くのネットショップが、チェックアウト処理がボトルネックになっているため、あり得た売上の36%を失っている、という。買い物の完了までの手続きが、複雑だったり時間がかかったりすると、完了まで行かずにバイしてしまう消費者が多いのだ。

“彼らは何百万ドルという大金をドブに捨てているが、どうしたらいいか分からないのだ”、とBlueSnapのCEO Ralph Dangelmaierは語る。“しかもサイバーマンデーの売上などを見ると、今や一部の製品は物理店よりもネットがメインの販売チャネルだから、チェックアウトで手間取ってお客とお金を失う現状を、早急に解決する必要がある”。

オンラインショッピングが急増している今の状況の中では、効率の良し悪しが今後ますます成功のための重要な鍵を握るだろう。

〔訳注: 小売支出全体や、消費支出全体の中でのネット利用の比率、いわゆるEC化率は、eMarketerや連邦準備銀行などのデータが参考になります。物理店は、まだまだ圧倒的に強いです(それも当然)。〕

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Cards Against Humanityがブラックフライデーに稼いだ7万ドルの使い道はこれだ

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米国では感謝祭休みに多くの人々が自分や誰かのために買い物に出かけていたが、反人道的ゲーム Cards Agaist Humanity は、5ドルで「無」を売る独自のブラックフライデーキャンペーンを展開した。

本当に。

ゼロ。

そして購入者たちは(1万1248人全員が)喜んでいる。

今日(米国時間11/28)チームは、彼らが一日で総計7万1145ドルを集めたことを報告し、苦労して集めたその現金で何を買うつもりかを教えてくれた。これをチームの早期年末ボーナスと呼びたい:

今年われわれは、究極のブラックフライデー体験を顧客に提供した ― 5ドルで「無」を買う権利。全ストアを閉鎖し、簡単な支払いフォームをでみんながわれわれに5ドル払えるようにした。

1万1248人の人たちが5ドルを払い、1199人は複数回フォームに書き込んで5ドル以上払ってくれた。一人の熱狂的ファンは100ドルもくれた。最終的にわれわれは、思いがけない7万145ドルの収入を得ることができた。

われわれCard Against Humanityは慈善活動で知られている ― 2012年以来、400万ドル近くを、Worldbuilders、Sunlight Fuoundation、EFF、DonorsChoose.org、Wikimedia Foundation、Chicago Design Musium等、大好きな団体のために集めてきた。科学の学位を取る女性のために、50万ドルの全額支給奨学金制度も開始した。

当社がブラックフライデーで得たお金をどう使うかについて多くの臆測が飛び交っているが、ここに慎んでご報告したい。全部自分たちで使った。買ったのはこれだ。

– Max, Ben, Josh, Eli, David, Daniel, and David

彼らはこの経験から何を学んだのだろうか?

チームのメンバー一人ひとりが買いたい物のリスト書きいていて、その多くが慈善団体への寄付だ。慈善事業への寄付が彼らに行動を起こさせたのはもちろんこれが初めてではない。私のお気に入りはこれ:

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[・Arm & Hammer ネコトイレ用の砂760ポンド(345 kg) 500ドル。
私の2匹のネコはたくさんウンチをする
・Tree House Humane Societyに寄付 803ドル。]

うちのネコたちもたくさんする。彼らが買った物の全リストはこちら

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

人道に反するカードゲームCards Against Humanityがブラックフライデーに「無」を売って6万ドルを稼ぐ

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全国の小売店が大も小も、ネットでも物理店舗でも、あなたに物を買わせようとして頑張っている。しかしその中に一つだけ、完璧な無を売ることに決めたブランドがある。

無を一個5ドルで。

あのすばらしい伝説のカードゲームCards Against Humanityを作った連中が、今年のブラックフライデーに、クレジットカードによる支払いを受け付ける黒い画面(下図)を、彼らのサイトに載せた:

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[Cards Against Humanityに5ドルを払って何も受け取らないことを理解します。]

なぜ、Cards Against Humanityに5ドルを払って、何も受け取らないのだろう? 多くの人は、これはジョークであり、その作者に5ドルのチップを払ってあげよう、と思うのかな。あるいは、笑わせてくれたことへのお礼、または、彼らがあのカードゲームで長年楽しませてくれたから。

どっちでもいいけど、すごいね(↓54005ドル)。

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アップデート: 太平洋時間午後6時(米国時間11/27)が、これだ(↓63635ドル)。

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[無は今後、値上げされるのかな?]
[市場はわが社の価格戦略を認めたようです。]

FAQが笑わせる:

このすばらしいお買い得企画について

–御社に5ドル払ったら、それと交換に何かいただけますよね?
ご質問、ありがとうございます。お答えは、ノーです。

–なぜ無を売ってるのですか?
ブラックフライデーにはどこでも何かを売ろうとしています。わが社は、無を買うという、より優れたブラックフライデー体験をご提供する唯一の企業です。

–でも、本当は、何かいただけるんでしょう?
いいえ、弊社はあなたの送り先住所すら記録しません。わが社がご提供するものは、無だけです。

–でも、御社のゲームを買いたいのですが。
無をお買いになる方が、Cards Against Humanityを買うよりも良い場合がございます。今回も、そんな機会のひとつです。

–払った5ドルを御社はどうなさるのですか?
それを知ってるのが弊社、それを見つけるのがあなたです。それは、もうすぐ発表いたします。

–なぜ、みんな、5ドルを払うのですか?
なぜなら、ブラックフライデーのもっともすばらしいギフトが、無を買うことだからです。5ドルは、最低ぎりぎりの低価格です。このすばらしいお買い得の機会を、お逃しにならないようにお願いします。

カスタマサポートも、楽しんだ:

[弊社のカスタマサービスチームは今日、炎上しています。]

天才的なジョーク。“いい仕事”してるぜ。この企画が終わったら、5ドル払った人に何か送るのか、それともどこかへ寄付するのか。それとも、このままか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。