身の回りの音(会話)を録音し続け、タップひとつでスマートフォンに保存するウェアラブルマイクのKapture

またしてもKickstarterの話題で恐縮だが、毎度、面白いプロジェクトが出てくる。今回紹介するのは、リストバンド風デバイスで、マイクが内蔵されている。「ウェアラブル」と「Quantified Self(QS)」(身体データの数値化)の動きに乗ろうとするプロダクトだと言えるかもしれない。リストバンド内蔵マイクは直近60秒の音声を録音し続け、iOSないしAndroidアプリケーションを使って、簡単に共有することができる。

コンセプトはHeardというアプリケーションと同様だ。こちらも自分の周りの音を録音するもので6月にデビューしている。録音時間は無料版で12秒となっており、アプリケーション内購入によってアップグレードすることにより、直近の5分間の音を録音できるようになる。一番大きな違いは、もちろんKaptureがハードウェアであるという点だ。リストバンド風ハードウェアをタップすることで、外部デバイス(スマートフォン)に録音音声を保存するように指示を出すことができる。

Kaptureは本体が耐衝撃性プラスチック製。ストラップはシリコン製になっている。バッテリー持続時間は24時間を上回る程度とのこと。マルチカラーのLEDを搭載しているが、画面はない。バイブレーション機能は搭載しており、防水加工がなされており、そして無指向性マイクを装備している。プロトタイプ段階ではBluetooth 2.1経由でスマートフォンに接続するようになっているが、製品版ではBluetooth 4.0を使う予定だ。他には充電用のマイクロUSBおよびモーション検知のための加速度計も搭載されている。

Kaptureを生み出したのは、Procter & Gambleで10年以上のプロダクト製造の経験を持つMike Sarow、プロダクトプレイスメントを担当してきたマーケティング担当のMatthew Dooleyたちだ。Kaptureの出荷のため、15万ドルの調達を目指している。調達をサポートしてくれる人へのプロダクト提供価格は99ドルだ。この価格で提供されるのはブラックあるいはホワイトモデルとなっている。他にもいろいろな色が用意されているが、そちらは110ドルからの提供となっている。

Heardと比較すると、Kaptureの方がよりコンセプトに相応しい設計になっていると言えるのではないだろうか。録音時間は60秒で、スパイ的な用途に使われる可能性は低い。まさに自分が記憶しておきたい瞬間が時の中に流れ去っていくことを防ぐためのデバイスとして位置づけられているわけだ。また、専用のハードウェアであるという意味で、録音品質などについえてゃアドバンテージがあるものと思われる。手首に取り付けるようになっていることも、音質面では有利に働くだろう。

もちろん問題点がないわけではない。バッテリーのもちが24時間少々というのは短いように思う。また、手首をタップして直近60秒を保存するという動作は、自然の流れの中で行える動作ではなく、慣れるのに時間もかかるかもしれない。また、下の写真にある「You being you.」というコピーは、自らのファッション性を訴える意味もあるのだろうが、同意しかねると考える人もいそうだ。

取り敢えず、ライフロギングツールのひとつとして面白い試みであるとは思う。無骨な、いかにも機械然としたものでないのも良い点だろう。但し、人間の手首の数には限りがあることも問題となってくるかもしれない。Samsungなどのビッグネームも同じ場所を狙ってスマートウォッチをリリースしてきている。デザインはまずまず面白く(異論はあるだろう)、コンセプトも時代の流れに則ったものだと言えそうだ。但し、非常に限られた利用者層しか想定できないという面も忘れてはならない。いずれにせよ、身の回りの音や会話など、有効に活用しようとする一つの試みとして評価できるものであると思う。

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(翻訳:Maeda, H)


SaaS事業を成長させる8つの手法

ネット関係の仕事をしている人なら聞いたこと位はあるではあろうSaaSという用語、Software as a Serviceの略で、ネット経由でソフトをサービスとして提供する形態のことです。個人的にはASPという言葉の方が馴染みがありますし、両者の違いが未だにわかっていませんが(SaaSが今のバズワードであるということ以外)、いずれにしてもSaaS形式のビジネスを展開しているネット企業も多くあることと思います。今回は、そんなSaaS事業をウェブを活用して発展させる手法についてまとめた技術には強くてもマーケティングは初心者なスタートアップ企業向けの記事をThe Next Webから。 — SEO Japan

最高のSaaS製品を築いたあなたは、今すぐ市場に出ていく準備が整っている。すでにプロダクト/マーケット・フィットは到達していると仮定して、今あなたの最大の課題は、自分の製品を見込み客の目に触れさせることだ。

ここでは、無料トライアルの登録を獲得した後にそれを有料アカウントにコンバートするのを手助けするフィールドサービスソフトウェアのスタートアップMhelpdeskにおいて、私たちが使用して成功した8つの成長テクニックを紹介する。

1. フォーラム(掲示板/BBS)

企業は、自分の業界にいる他の企業や顧客とコミュニケーションを取るためにネット上のフォーラムを使用する。これは、スタートアップが露出するには最高のソースだ。がしかし、それは簡単にはかなわないし、適切に実行されなければならない長期的戦略だ。それは、信頼を得ることと、戸別訪問をするセールスマンではなく尊敬に値するコミュニティメンバーになることが全てだ。

フォーラムのスポンサーになって、サイトオーナーとの強固な関係を築き始めるのだ。多くの場合、サイトオーナーは、広い人脈を持った影響力のある人たちだ。フォーラムのスポンサーをすることによって、そのサイト・モデレータに収益を生み出し、あなたの業種に関連した投稿があった時にはあなたのことを一番に頭に浮かべることになる。

また、サイトオーナーに無料アカウントを提供することが有益であることも分かっている。適切に実行されれば、これは、たくさんの見込み客の目に触れる非常に効果的な方法だ。一般的に、彼らは業界内の信頼のおける友人のアドバイスを聞き入れる。現在、私たちは、フォーラムから毎月150件の新規登録を獲得している。

2. マーケットプレイスの一覧

これらのサイト上で大きな注目を集めるのは難しい場合があるが、企業が自分たちのアプリをリストに入れることができるオンライン・マーケットプレイスはたくさんある―中には、何千万人ものオーディエンスを持つマーケットプレイスもある。私がいくつかお薦めするのは、SalesforceIntuitWixConstant ContactGoogle Apps MarketplaceChrome Web Storeだ。これらのいずれも毎月何百というインストールとサインアップを提供してくれる。

3. 条件を満たしたリードの購入

リードを購入することは、少量高額な提案ではあるが、条件を満たした見込み購入客を特定する素晴らしい方法でもあるのだ。私たちは、彼らが検索結果で上位に表示されるということも発見した。私は、CapterraSoftware AdviceGet Appをお勧めする。彼らは全て、あなたの基準に基づいて電話検証したリードを提供する。これらのリードは大量のログインを持つ傾向があるため、結果として1件の顧客につき毎月225ドルの収益をもたらしている。

また、オーガニック検索によるリードは、平均すると3つのログインで毎月およそ90$の収益になる―間違いなく獲得コストをかける価値がある。

4. オーガニック検索

オーガニック検索の順位を上げることは、大きな報酬を伴う当然の選択だ―現在私たちは、毎月平均して500件の新規登録を8パーセントのコンバージョン率で獲得している。役に立った戦略の1つは、自分がターゲットとしているキーワード(例:“computer software repair”や“repair tracking software”など)に対して、上手に構成されたこぎれいなランディングページを作ることだ。そして、自分と同じ業界内のランキング上位のサイトで良質な言及をされることが、常にプラスになる。

5. 携帯電話会社

あなたが確立できる最も成功するパートナーシップの1つは、VerizonやAT&Tのような携帯電話会社とのものだ。彼らは、ソフトウェア会社が公認ベンダーになることができるパートナーシッププログラムを用意している。そして、携帯電話会社の外部の営業陣(何千もの担当者で構成される)が、あなたの製品をエンドユーザーに勧めることができるのだ。

それは携帯電話会社にとってもプラスだ―彼らの商品を備え付けてあなたのソフトウェアを使用する10個のデータプランと一緒に10台のiPadを販売する理由ができたのだ。携帯電話会社があなたに代わってお金を請求するかもしれない。もしそうならば、あなたのソフトウェアの料金は、彼らの製品の二番手になる。

6. パートナーシップ

あなたが対象とするオーディエンスの注目をすでに得ている企業とパートナーになるのだ。手始めは、オンライン辞書やインターネットイエローページ(IYP)だ。どちらも、彼らのウェブサイト上で広告を載せるか、彼らのオンラインリスティングを獲得している小企業をたくさん所有する。また、クロスEメールキャンペーンを提案すること。これは、あなたのセールスファネルのトップに送り込まれるが、あなたはこれらのリードをコンバートすることに少し頑張って取り組まなければならない。

7. Adwords

Google Adwordsはそれ自体が素晴らしい。ここで大切なのは、新規顧客を獲得するための真のコストを決定することだ。顧客獲得費用が生涯価値よりも低い限りは、そのキャンペーンを続けてできる限り多くのお金をそれに注ぐのだ。私たちが初めてAdwordsキャンペーンを始めた時には、1件の無料トライアルの登録を生み出すのにおよそ90ドルのコストがかかった。

私たちの無料トライアルの約8パーセントは有料アカウントにコンバートしていた。つまり、新規有料顧客の獲得コストは1,125ドル程だった。有料顧客の生涯価値は2,500ドルだったため、私たちはこれらのキャンペーンにできる限り多くのお金を注いだのだ。

8. リターゲティング広告

リターゲティング広告は、ウェブサイト訪問者のコンピュータにクッキーを落として、一定期間、外部サイト上のバナー広告を使って彼らを追いかけ回す。すでに私たちのサイトを訪問したことのある人をコンバートするのに効果的だ。もちろん、コンバージョンの量は、あなたのサイトの現在のトラフィックによって異なる。私たちは、リターゲティング広告にはAdrollを使用している。

* * *

さあ、やるのだ―これらの戦略を試して、何が自分にとって機能するのかを見つけ出すのだ。長期的に考え、信頼できる関係を築き、一貫して定期的にリードを生み出すようなチャンネルを設置することが大切だということを頭に入れておこう。

Ryan Shankは、小企業が自分たちの仕事やスケジューリングや請求書を管理するのを手助けするフィールドサービスソフトウェア会社、MhelpdeskのCOOだ。

Young Entrepreneur Council (YEC)は、世界で最も有望な若い起業家から成る招待制の組織だ。最近YECは、Citiと共同で、無料のバーチャル・メンターシップ・プログラム#StartupLabをローンチし、ライブビデオチャットや専門家のコンテンツライブラリやEメールレッスンを介して、何百万人もの起業家が事業をスタートして成長させるのを手助けしている。

画像クレジット: Thinkstock


この記事は、The Next Webに掲載された「8 methods to grow your SaaS company」を翻訳した内容です。

SEO Japanにしては珍しく基本的な記事を久々に紹介した気がしますが、、、改めて初心に戻ってウェブマーケティングに取り組んでみたくなりました。リード購入は日本では微妙な気もしますし、携帯会社との提携も実績が相当ないと難しいと思いますが、SEO、検索広告、リターゲティング広告は鉄板ですし、かつSaaSのような事業はコミュニティの一員となり信頼を築いていくことが中長期的には最重要ともいえます。スマホ、ソーシャルブームも一段落し、今後新たなSaaS事業が登場してくる気がしなくもないスタートアップシーン、この記事が少しでも参考になれば幸いです。 — SEO Japan [G+]

Dash Robotics、高速走行虫型ロボットを開発。Arduino互換標準DIYモデルの価格は65ドル

Dash Roboticsが、クラウドファンディングを利用して、ロボット愛好家のためのプロダクトを世に出そうとしている。素材、デザイン、および製造過程に工夫を凝らし、最先端の技術を安価で提供しようとするものだ。このロボットはスマートフォンでコントロールでき、虫のように駆けまわる。発送時はごく薄いパッケージにおさめられ、購入者が「オリガミ」風に組み立てるようになっている。

このDashはバークレーで博士課程に学ぶNick Kohut、Paul Birkmeyer、Andrew Gillies、およびKevin Petersonの手になるものだ。彼らはMillisystems Labにて小型ロボットの研究を行った。そして実験のためのプロトタイプモデルを、迅速かつ安価に組み上げる手法を編み出したのだった。そしてできたモデルを人に見せてみると、多くの人が心の底から驚き(どのようなものなのかは、下に掲載したビデオを見てみて欲しい)、満々の購入意欲を示したそうだ。

「Dashはなかなか魅力的に仕上がっているようです。子供たちに渡すと、親が引き離すまで何時間も遊んでいるのです」とKohutは言う。商品の完成度だけでなく、他にも欲しがられる理由があると主張する。「Dashは非常な低価格で提供されます。『安価』なロボットといえば、150ドル程度のものを指すことが多いようです。しかしDashの価格はキット価格で65ドルしかしないのです。従来の『安価』の半値以下です。製造工程を工夫したこともあり、安価な素材を活用することができるようになっているのです。また実際の動物の形状を取り入れることで、安価でありながらも、自然に学んだ最適パフォーマンスを実現することもできたわけです。

Dashは、一番安価なアルファタイプが、キット価格で40ドルで提供される(真っ直ぐ走る程度で、他に大した機能はない)。操縦可能で拡張性をもたせたベータタイプが65ドル、そしてファウンダーによって組み立てを行ったモデルが100ドルとなっている。KohutによるといずれもArduino互換で、ソフトウェア的に改造ができる(hackable)ようになっているとのこと。すなわちDashにやらせることの限界は、購入者のイマジネーションに依存しているということだ。ロボットは秒速5フィートで走り、また一度の充電で1マイル以上を走行することができる。

Dash Roboticsは、この昆虫型ロボットに続いて他にもさまざまなタイプを出していくつもりなのだそうだ。アクセサリー類も含めて、幅広い主力製品群を用意したいとKohutは述べている。

「博士課程での研究途上で、ロボットに羽や尻尾、あるいはヤモリ風の足を装着したりしてきました」と、Kohutは言う。「たとえばDashにヤモリ風の足をつけることができたら、それも非常にクールだと思うのです。走り回るだけでなく、壁も登れるようになるわけです。また、ロボット同士が会話できるような機能も登載したいと考えています。これにより、ロボットが集団行動をするなどの可能性が広がってくるでしょう。レースをしたり戦わせたり等、協力して何かをやらせることも、あるいは競わせることもできるようになるわけです」。

長期的には、「趣味」のレベルに留まらない発展も考えているようだ。小さくて軽く、そしてさまざまな足場に対応しつつコストをおさえることができれば、たとえばレスキュー用途などにも使えるようになるとKohutは考えているそうだ。1000体ものDashロボットが群れをなして、倒壊したビルを動きまわり、呼吸により排出される二酸化炭素を検知することにより、被災者を見つけ出すなどということができるようになるのかもしれない。あるいは地雷除去なども用途として考えられそうだ。

Dash Roboticsは、自らをAdafruitなどの属する、メーカーコミュニティーの一員として位置づけている。今回Dashが利用しているクラウドファンディングのための仕組みであるDragon Innovationもその一画を担うものであるとのこと。メーカーおよび、そのメーカーによるプロジェクトを専門的に対象とするクラウドファンディングサービスを提供している。尚Dashは、製品を大規模生産にもっていくべく、従来風の投資にも関心をもっているとのこと。また、UC Berkeley発のハードウェアアクセラレーターであるThe Foundry @ CITRISの支援も受けている。

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(翻訳:Maeda, H)


ソフトウェア技術者を巡る雇用ミスマッチ解消のため、実践的コーディング・ブートキャンプを運営するHack Reactor

失業低賃金の問題がアメリカ経済界に広がる中、シリコンバレーおよびテック産業においては人材不足を嘆いているという状況になっている。企業は、ソフトウェアやウェブプロダクトの開発を担う、比較的高給となる職に見合ったコーディングスキルをもった人材を十分に確保できずにいるのだ。さまざまな高度教育の機会が用意されてもいるのだが、ソフトウェア開発の面でいうと、トレーニングギャップとでもいうものが存在してしまっているようだ。

こうした状況の中、実際的に役立つプログラミング技術を学びたいという人と、そしてぜひとも優秀な人材を雇いたいと考えているたくさんの企業との間を橋渡しするための仕組みを提供するのが、サンフランシスコに拠点を置くHack Reactorというスタートアップだ。厳しい、12週間にもおよぶプログラムを提供する。スクールというよりもプログラミング・ブートキャンプとでも言うべきもので、きつい授業と、プロジェクトに取り組む実践を、週に6日、午前9時から午後8時までの時間で行う。

料金の方も、安くはない。3ヵ月コースの平均的授業料は1万7780ドルとなっている(但し、奨学金を利用することもできる)。それでも料金に見合うものであると言えるのかもしれない。Hac Reactor曰く、卒業生全員が、平均6桁の賃金にてソフトウェアエンジニアの職を得ているそうなのだ。Hack Reactorとしては、提供しているプログラムを、新しい時代のコンピューターサイエンスの学位なみに、権威あるものとしたいのだそうだ。

既存の大学教育に対抗するような形で、コーディング・ブートキャンプのプログラムを提供するというのは一種のはやりのようにもなっている(変革に時間がかかりすぎたという意見もある)。TechCrunchではHack Reactor HQに立ち寄り、実際のところはどのようなものかを見てきてみた。冒頭に掲載したビデオでは、Hack Reactorの共同ファウンダーであるShawn Drostや、実際に学んでいる生徒たちに、いろいろと話を聞いている。

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(翻訳:Maeda, H)


マイシェフは3,000円から利用できる女性のための出張シェフサービス

仕事に家事に忙しい女性にとって嬉しいサービスがローンチされた。場所と日時、好みのシェフを選ぶと1あたり3,000円程度の低価格で自宅にプロのシェフが来てくれるというサービス、マイシェフがオープンした。

このサービスが特徴的なのは食材選びから、調理、食事後の後片付けまで全てを行ってくれることだ。もちろん事前に苦手な食材などを伝えるとそれを考慮したメニューを提供してくれる。現在は主に東京(関東)で利用でき、対応エリアの一覧はこちらから確認できる。

さて、実はこのサービス/会社を運営しているのはSEOツールなどを提供しているGinzametrics Japanのカントリーマネージャーを務めている清水昌浩氏なのだ。なぜ、彼は女性向けのシェフ出張サービスを始めたのか。清水氏は「女性は出産により環境が大きく変わり、お友達と会う時間や美味しいものを食べる機会は減ってしまう(お子さんのために少し我慢されている)」ことが課題だと感じ、子供持ちの女性が友達と会う場を気軽に実施できるよう、美味しくオシャレな料理を提供することで、彼女らがもっと楽しく過ごせるようにとマイシェフを立ち上げたという。

米国では似たようなサービスとしてKitchitがあるほか、シェフの料理をデリバリーするタイプとしてGobbleMuncheryといったサービスも存在している。これらのサービスはは2011年に資金を調達したり、ローンチしたりと賑わっていた。

とはいえ、これまで女性にフォーカスしたものは日本でも米国でも無かったのでマイシェフの試みは興味深い。男性が注文することは現時点では出来ないが、Webサイト上には男性向けサービス開始時にお知らせを受け取るためのフォームが用意されているので、将来的には利用できそうだ。なお、女性が注文した際に男性が同席する分には構わないとのこと。

今後は、「ちゃんとした料理を食べたいと思ったらレストランに出向くのが一般的であったが、3年後にはシェフが家庭に訪問するスタイルを一般的な選択視の1つになっている」ようにしていきたいそうだ。


入院患者の健康回復は「歩く」ことから。歩行支援機器を提供するMobilizer Inc.は順調に成長中

入院患者の多くの人にとって、退院時期をはやめ、また血栓や褥瘡性潰瘍などのリスクを低下させる最善策は、とにかく「歩きまわること」であったりもする。

しかし酸素吸入を受けていたり、静脈点滴などいろいろなものが繋がっている状態では、看護師に手伝って貰っても準備に20分ほどもかかることになる。病院全体でみると、毎週数百時間もの無駄が生じることになったりもする。

病院としてはすべての患者の面倒を見る必要があり、せっかく歩行活動準備が整っても、病室のドアまでいってすぐに引き返すことになってしまったりもする。

この問題を解決しようと考えているのがMobilizer Inc.だ。医療機器関連のスタートアップアクセラレーターであるZeroTo510の出身だ。このMobilizer Inc.は6輪の歩行トレーニング支援機器を開発した。ここには各種医療機器を搭載することができ、したがって迅速な準備を行って、これまでよりもはるかに簡単に歩きまわることができるようになる。

Mobilizerのスタートは5月で、Innova MemphisおよびMB Venture Partnersから30万ドルの資金を調達している。また、来年中には40万ドルの資金を追加調達予定でもあるとのこと。CEO兼共同ファウンダーのJames Bellによると、機材の価格は1台あたり5000ドル弱で、これまでにMass General HospitalおよびVanderbilt University Medical Centerが購入しているとのこと。

Bellの予測によるとMobilizerは、本年末にはネットキャッシュ・フローでプラスになる見込みらしい。これまでの販売台数は合計で100台程度になるそうだ。

Mobilizerなどの医療系スタートアップは、さまざまな付加価値を生み出すこともある。たとえば今回の場合は、経済的な効果もさることながら、病院という仕組みに関わるいろいろな人の負担を減らす一助となる可能性もある。Scanadu SCOUTTeddy the Guardianのような医療用携帯分析装置なども、医療分析を患者本人が行えるようにし、結果として不必要に医者にかかることを防ぐという効果も狙っている。

Mobilizerの場合、患者の血流面からの医療ケアを行うことで、患者の滞在時間を減らすことができ、そして余計な医療費支出を低く抑える効果がある。もちろん医療スタッフも、より効率的に仕事ができるようになる。

医療系テック企業はFDAの承認を得るのに苦労するケースも多いが、MobilizerはFDA 510(k)プロセス免除機器に分類されるもので、一定レベルの品質保証と登録申請を行っておくだけで市場に出すことができるものだ。

Bell曰く、Mobilizerをさまざまな診療科で用いることのできる「プラットフォーム」として育てていきたいとのこと。つまり種々の診療機器を搭載できるようにしようと試みているところなのだそうだ。また病院内に拘らずとも、家庭用の診療機器としての活用も考えられるだろう。また、他の医療系テック企業とのパートナーシップについてもいろいろと考えているところなのだそうだ。

「他企業との関係も深めていこうとしているところです。たとえばMobilizerに搭載するのに適切なサイズであるポータブル酸素吸入器などを開発している企業などと組めば、関係者全員にとってメリットのあるプロダクトを提供できるようになるでしょう」とBellは言っている。

この分野にもやはり競合はある。しかし未だに病院における標準的プロダクトは存在しない。たとえば患者の移動に際して、ある医療センターでは装置を乗せるのにRadio Flyer(訳注リンク:www.radioflyer.com)を使っていたり、あるいはテープを使って酸素吸入器を患者の身体に巻きつけたりしているそうなのだ。もちろんこうした方法は非常に危険なものではある。

未だにそうした医療機関があるという事実だけでも、Mobilizerのようなソリューションが必要とされていることを意味するのだ。

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(翻訳:Maeda, H)


1000億円規模のモバイル企業を作る9つの方法

スマホブームの終わりなんて記事を紹介しておきながら、こんな記事を上げるツンデレ?な展開ですが、モバイルにはまだまだチャンスがある!ということで、米国有名VCのDFJでマネージング・ディレクターとして活躍する筆者がモバイル帝国を築く(もしくは高価格で売り抜く)ためのヒント集を伝授。前職はFacebookのアンドロイド関連プロダクトの開発責任者というだけあり、リスト記事ながら深みは十分な内容、のはず。 — SEO Japan

親友のババ・ムラカが、最近、bubba.vcでブログを書き始めた。現在彼は、DFJのManaging Directorで、@bubbamでツイートしている。DFJの前は、FacebookでAndoroidの取り組みを率いていたため、ソーシャルとモバイルに関するあらゆることのエキスパートだ。彼は、以下の投稿を自分のブログに書き、私がそれをここでクロスポストした。 ― アンドリュー・チェン

“New Mobile”―ワイヤレスブロードバンドとモバイルOSプラットフォームが最高のエンドユーザー体験を可能にしている世界―がやって来ておよそ5年が経つ。デバイス機能の向上は驚くべきものだった。しかし、実のところ、私たちは今もまだ、私たちがする全てのことそしてそれをする全ての場所について再形成しているNew Mobileのファーストイニングにいるのだ。

Facebookを辞めて以来、私は、モバイルエコシステムに関する見解についてますます尋ねられるようになった。New Mobileが今もアーリーステージにいる理由について、私の現在の所見は以下の通りだ:

  1. フィーチャーフォン(ガラケー)―頑強なブラウザや魅力的なアプリケーションエコシステムのない携帯電話―から、私たちのポケットに入る常時接続したタッチスクリーンコンピュータへの移行は、まだまだ長い道のりだ。スマートフォンは、アメリカ国内での携帯電話総販売数の過半数がやっとだ。まして世界レベルにおいては、とんでもない話だ。
  2. 業界は、スマートフォンとタブレットについて、2つの全く異なる生物として見るのではなく、どちらも“モバイル”デバイスとして話す。これは変わり始めていて、私は、“まずはタブレット”という企業の波を目にするのを楽しみにしている―しかし、それを愚かな合言葉にしないで欲しい!
  3. もはや、iOS対Androidが全てではない。今は、どのAndroidバージョン(Gingerbread対Jelly Bean)、どのフレーバー(例:Samsun、Amazonなど)をターゲットにしているのか、そしてその理由というのは、難しい質問だ。別の言い方をすると、Androidのフラグメンテーションと優勢は始まったばかりだ。
  4. モバイル上で決済をするのは、今でもかなり煩わしい(M-Pesaを除いて)。アプリストアとキャリアの支払い手数料があまりにも高すぎて、マージンの高いデジタル用品以外のものにとっては選択肢にならない。サードパーティアプリが使用できる方法でこれを解決する人が、裕福になるだろう。
  5. モバイルデバイスでのコンテンツ作成は、最悪だ。私たちが今日モバイルで消費するコンテンツのほとんどは、キーボードやマウスや専用アプリなど、生成するにはPCの能力を必要とする。PaperVineのような製品は、タッチスクリーンを介したコンテンツ生成に相当の需要があることを示している。
  6. 真のモバイル・マルチタスクキングはまだ開発されていない。スマートフォンの画面は小さく、抽象化されたファイルアクセスを用いて一度に一つのアプリを扱うのにより適している。しかし、私たちは、グローバルなファイルシステムのあるコンピュータで複数のウィンドウやアプリケーションを使って作業することに慣れているのだ。マルチタスキングを可能にするために、新しいUXモデルが、特にタブレット上で、現れるのはいつなのだろう?
  7. パブリッシャーがオーディエンスをマネタイズすることによってよりリッチでより魅力的な体験を築くことに焦点を合わせることを可能にする“モバイルネイティブ”な広告ユニットは存在しない。その代わりに、スタートアップはたくさんの時間をビジネスモデルのイノベーションに費やさなければならない。それももう一つの難しい問題だ。私は、Facebookがこの問題を解決すると賭けている(実を言うと、私はまだ株を大事に取ってあるため、文字通り私のお金がかかっているのだ)。しかし、Yahooが意外な競合相手となる可能性もあると思っている。
  8. スマートフォンで勢いを増してきた有料サブスクリプションサービスは、たった2種類だけだ:RdioPandora Oneのようなコンテンツ・ライセンシングと、Evernoteのようなストレージだ。ユーザーは他にどんなサブスクリプションにスマートフォン上でお金を支払うだろうか?
  9. InstagramやWazeのような数十億ドルのエグジットがあったが、アメリカやヨーロッパでは、ガレージから持続力のある数十億ドルの独立企業になったスタンドアローンのNew Mobile企業はまだ目にしていない(中国では起きているが)。

まだ紐解かれていないものはたくさんあるし、私たちは議論を通して自分たちの集団的な考えに磨きをかけるため、上に挙げた全てのことについて議論する気がある。私が確信している唯一のことは、世の中にあるモバイルに焦点を合わせた最高の企業を特定したり、育てたり、学んだりするのを私が楽しみにしているということだ。


この記事は、@andrewchenに掲載された「9 ways a billion dollar new mobile company might be created (Guest Post)」を翻訳した内容です。

流石にどれもナルホドと思わせる内容でした。さて次のモバイル帝国を夢見るあなたのヒントになったメッセージはあったでしょうか?
— SEO Japan [G+]

都市部で快適。自己資金運営にて大いに売り上げを伸ばす電動自転車のEvelo Ariesに試乗してみた

電動自転車を提供するEveloは、Boris Mordkovichが、チームメイトとともに準備したスタートアップだ。このEvelo、プロダクトリリースの準備が整うと、普通では考えられないキャンペーンを開始した。開発した電動自転車で、ニューヨークからサンフランシスコまでの旅を敢行したのだ。途中で何度もデモンストレーションのために行程をストップし、潜在顧客ないしディーラーへのアピール活動を行った。活動は奏功し、今では3モデルの電動自転車を販売し、2013年の売り上げも百万ドルを超える勢いだ。

Mordkovich曰く「数年のうちにはVCからの投資を受け入れるかもしれません」とのこと。電動自転車の市場は世界的に拡大すると見込まれており、年間84億ドルの売り上げを、2020年までに108億程度に伸ばしていきたいと考えているそうだ。Eveloは、まさにふさわしい時代に、適切なプロダクトを送り出している典型ということなのだろう。

記事で取り上げるのを機会に、Ariesというプロダクトを試してみた。マウンテンバイク風のスポーツバイクの外見だ。但し時速30kmほど(20miles/hour)で走ることができ、かつ65kmほど走ることの出来るモーターを搭載している。TechCrunchのサンフランシスコオフィスの周りを走ってみた。まずは「とても楽しい」というのが感想だ。少々重めのマウンテンバイクに乗っている感じなのだが、サンフランシスコの厳しい坂(汗をかきたくないという人にはとても役立つだろう)では、電力駆動が本当に役にたつ。

妙な期待をする人がいるといけないので言っておくと、Specialized Tuboのような、プロ向け自転車を製造するメーカーがリリースするような格好良い自転車ではない。ただ、Specialized Turboが5900ドルもするのに対して、Ariesは3分の1ほどの1995ドルとなっている。価格も非常に安いこともあって、都市交通手段の候補として、十分考慮に値しそうだ。私自身、ずっとサンフランシスコに住んでいるのであれば、おそらく購入を真剣に考えたに違いない。ぜひとも冒頭に掲載したビデオを見ていただきたい。


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(翻訳:Maeda, H)


リーン・スタートアップはテクノロジー分野を超えて普及するか?

日本でも新しい起業の手法として注目を浴びるリーン・スタートアップですが、どちらかというとまだまだネットやテクノロジー業界を中心に活用されている手法かと思います。一方、米国ではテクノロジー分野を超えて様々な業界でリーン・スタートアップの手法が活用され始めているということで、最新の状況を事例を交えて紹介します。 — SEO Japan

リーン・スタートアップ方法論は、企業が生き残るためには素早くイテレートしなければならないテクノロジー分野に端を発する。しかし、この手法は、私たちが名前を挙げることができるほぼ全ての業界に拡大しつつある。実際、去年のリーン・スタートアップ・カンフェレンスでは、私たちは、政府、運送業、教育、公衆衛生など数多くの他分野からスピーカーを用意した。彼らは、テストと効果測定が、多くの業界にとって本当に便利で成功する製品およびサービスを築くのに役立つ方法であることを示した。

今年のカンファレンス―ディスカウントチケットの新しい束が発売されたばかり―では、さらに追加される業界と共に、リーン・スタートアップが他分野でどのように機能するかにより深く焦点を合わせて、この話は継続していく。去年参加できなかった人のために、2012年からいくつかの講演を紹介しよう。

連邦政府以上にスタートアップに似ていないものはあるだろうか?この国の最高技術責任者Todd Parkは、去年リーン・スタートアップ・カンフェレンスで話した時に、朗らかにそんなことを認めた。しかし、彼は、“政府内のプロジェクトは時々似ている”とも言った。Parkは、連邦政府が、“アメリカ国民に貢献するために、リーン・スタートアップの力を利用する”支援をする。彼は、幅広い分野―健康、エネルギー、教育、公安、財政、非営利―における眩暈がするほどずらりと並んだ構想について説明した。ここで紹介するのは、単なる一つの例だ。FDAは、革新的なメディカルソリューションを評価・承認するための合理化されたプロセスを提供するプログラム、Innovation Pathway 2.0を保有する。

デバイスを作る会社には、これらが、急速に耐圧テストされ、臨床試験の長さをカットし、製品が市場に出るまでの時間を短くしている(および失敗するアイディアをより早くカットする)ということが分かる。特定の課題―例えば、末期の腎臓病を解決するために人工腎臓を試験にかける要求―が、この取り組みを増幅させる。Parkの使命は、動きの遅い政府が、効果的なことに向かって素早くピボットすることを学ぶ手助けをすることだ。

もちろん、Parkが前回の例で触れたMVP(註:minimum viable product / 実用最小限の製品)とプロトタイピングは、リーン・スタートアップの主要ツールであるし、去年私たちは、テックから遠く離れた分野でそれを使用して成功した2人のスピーカーから話を聞いた。Lit MotorsのDanny Kimは、魅力的な小さな乗り物を開発した。それは、彼が言うように“自動車の安全性と効率性と共に、冒険心とバイクの効率性”を備える。それは、基本的には、自動車を半分にカットして運転席の部分だけを残したものだ(それにカッコいいタイヤがプラスされる)。

このアイディアは、持続可能で手頃な価格―彼が言うには、“Model-Tがしたのと同じこと”―が目的だ。自動車のように複雑な製品の大量生産に飛び込むことは難しいため、彼は車を作る前にショールームでテストをすることから始めた。この体験ショールームに足を運んだ人のおよそ16%がその場でお金を払うつもりがあることが分かった時、彼は、個人販売のためにこの乗り物を手作りし始めるだけの十分な市場性をはっきりと示したのだ。そして、Series Aファンディングを獲得する前にこのマシンを売り尽くした。

IDEO.orgのJocelyn Wyattから学んだように、あなたはどんなものについてもMVPを作ることができる。彼女は、人口の72%が室内にトイレを持たない250万人都市、ガーナのKumasiで、手頃な価格の廃棄物除去に向けて取り組んでいる。Wyattの組織は、キャンプ設備のような機能―耐久性があり、下水システムを必要としない―の付いたトイレで、人々が使おうと思うようなものを見つけるために一連のMVPを通してイテレートした。

そして、IDEOはそのような設備を手に入れると、今度はそれを空にするためのサービスオペレーターのシステムも試作した。彼らは、ブランド名とロゴさえも試作してテストし、地元の人が好むと彼らが考えていたものではなく、実際にガーナ人が選んだものを反映した(驚きの違いを動画で見よう)。結果:IDEOは、2年間で150台のトイレから10,000台へと拡大した。

最後の例は、リーン・スタートアップの手法が“テスト”に全く新しい意味を与えている、教育の分野だ。ベイエリアのチャータースクール、Summit Public SchoolのDiane Tavennerは、昨年、“典型的な公立の学校は、リーンやスタートアップの真逆だ―それは、顧客が保証され、利益が保証されている。たとえ顧客を失っている時でも。”と、教えてくれた。

しかし、単に生徒だけでなく学校の手法をテストすることによって、彼女はそれを変えているのだ。そして、1つの大きな原則『自らデザインする』を用いて数学のカリキュラムを始めている。彼女のチームは、幅広い教材―オンラインのコースと宿題、教材のプレイリスト、ゲーム、対面の講義―を用いた数学の指導書を作り、生徒に自分自身のペースで学習することを奨励した。そして生徒は、自分が何をいつテストされるのか決めるのだ。

教師と事務員がデータを収集し、毎日それについて議論するために顔を合わせ、何が効果的かを見るために異なるソリューションをテストして、週に一度のサイクルで返答する。彼らは、自分たちの生徒を4年制大学からの卒業率100%にすることを目指している。現在のところ、すでに生徒の100%が大学に入る権利を得た。ちなみにカリフォルニアの平均は24%だ。Summitの“個別指導バー”がどのようにして講義と置き換わったのかについて知るには、2012年の彼女の講演をチェックしよう:

去年のスピーカーの一部の人は、今年12月のリーン・スタートアップ・カンフェレンスに戻って来て、もっと細かな見解を共有するだろう。私たちは、これらの分野および、USヘルスケアや生命科学や伝統的な自動車製造(リーンの原則が始まった場所)などをはじめとするカンファレンス初参加の分野からもスピーカーを取り入れる予定だ。もし、あなたが要望する特定の業界があれば、コメント欄で教えて欲しい。同時に、覚えていると思うが、ディスカウントチケットは束で販売しているので、1つの束が売り切れると価格は上がる。ちょうど今日、新しい束を開けたばかりだ。12月にあなたと会えるのを楽しみにしている。


この記事は、Startup Lessons Learnedに掲載された「Lean Startup Beyond the Tech Sector」を翻訳した内容です。

どれもなるほどなぁ、と納得できる事例ばかりでした。政府や自治体、公共のプロジェクトも、リーン・スタートアップを活用して失敗のリスクを減らせそうですね。まず予算獲得(多くは年度で)ありきな仕組みもありますし、小規模予算から始めてテスト&効果測定を繰り返しながら徐々に拡大、という発想は難しそうな気もしますが。。。とはいえ、事例を読んでいても確実にその方が効果が高い気もしますし、国の運営の仕方まで改めて考え直してみたくなります。そんなことまで考えさせるリーン・スタートアップ、日本でも様々な分野で普及していってほしい試みです! — SEO Japan [G+]

イラスト制作クラウドソーシングのMUGENUPが1億3000万円を調達、3Dデータ制作効率化も

ゲームアセット等のクラウドソーシングサービスを運営しているMUGENUPが1億3,000万円の資金調達を実施した。MUGENUPにとってシリーズBとなるこのラウンドにはIGPI(経営共創基盤)、SMBCベンチャーキャピタルの2社が参加した。

MUGENUPは主にゲーム内のキャラクターのイラストを取り扱っているサービスでゲーム制作会社とクリエイターを仲介する役割を担っている。現在このサービスに登録しているクリエイターは約1万人となっている。

MUGENUPが特徴的なのは発注者とクリエイターの間に入り、必ず仲介している点だ。クリエイターが自身のポートフォリオを提示するとMUGENUPがスキルのレベルをチェックし、彼らのスキルに応じてタグを登録しておく。そして、発注(コンペ)の際にイラストにも必要なスキルなどのタグが設定されており、クリエイターとイラストのタグをマッチングさせることで受注者を決定させているという。

また、クリエイターとMUGENUPの担当者がコミュニケーションを取るためのグループチャットも用意されており、このチャット上でイラストに赤入れできる機能などを備えている。このように2つシステム–クラウドソーシング、制作プラットフォーム(グループチャット)–を展開している。

だが、ここまでクラウドソーシングサービスを運営するスタートアップだとご紹介してきたが、MUGENUP代表取締役の一岡亮大氏は「クラウドソーシングの会社でも、イラスト制作の会社でもなく、デザインデータを効率よく大量に作ることをテーマにしている会社」だという。

このテーマの入り口の1つとしてクラウドソーシングサービスを提供してきたそうだ。現在MUGENUPでは2Dのイラストが主であるが、最近では3Dのデータも扱っておりグループチャット上で2Dと同様に3Dデータも確認、赤入れできるシステムの構築も完了したところだ。

すでにフィギュア作成も進んでいるようで、今後はこのような需要が増すと予想している。このような3Dデータも含めデザインデータを解析し、市場を効率化していくことが目標だと一岡氏は語る。

というのも、例えばフィギュアを3Dプリンタで出力する際に、キャラクターの羽と体の素材が違う場合などは収縮率も調整しなければならず、その微妙な調整は各社の職人だけが知っている状態であり、非常に効率が悪いそうだ。そのためMUGENUPでは、このようなデータを蓄積/分析し、共有することで効率化を図りたいという。

今後も現状のサービスはもちろん継続するが、今回調達した資金はこうしたデータ解析や3Dデータを扱えるクリエイター確保のためのマーケティングに投下していくとのこと。


クラウドファンディングのキャンペーンを成功させる前に知っておくべきこと

米国ではKickStarterを筆頭に、かなりの普及を見せているクラウドファンディング、日本でも少しずつ盛り上がってきているようです。今回はクラウドファンディングのキャンペーンを成功させるためのティップスをインタビュー形式でまとめた記事をThe Next Webからご紹介。KickStarter等、米国サイトを念頭に置いていますが、日本でも十分参考になる内容。クラウドファンディングの活用を考えている方は是非。 — SEO Japan

多くの起業家と経験豊かなビジネスが次のプロジェクトへの資金供給をするために一様にKickstarterやIndigogoのようなクラウドファンディングに注目しており、これらの新生アイディアを支援するあなたのお金をめぐる競争はこれまで以上に高まっている。

しかしながら、多くの人が挑戦するからといって、彼らがみんな成功するわけではない。一般人に自分のアイディアに対して資金供給をしてもらおうとする際、あなたに必要なことは、何が効果的で何がそうではないかに関する熟練した洞察だ。

そこで、私たちはSpindowsの創設者/CEOおよびKickstarterHacksのクリエイターであるClay Hebertと、8月22日に開催される‘Kickstarterで成功する方法’という彼のTNW Academyのクラスに先立って話し合った。クラウドファンディングのエキスパートである彼は、KickstarterとIndiegogoにおいて26人の起業家が210万ドル以上の資金を集めるのを助けてきた。

このクラスでは、Clayは広範囲に及ぶクラウドファンディングの知識をきちんと共有し、あなたのクラウドファンディングプロジェクトの成功を確実にするための最高の戦略、秘訣、技を網羅するつもりだ。

TNW: KickstarterやIndiegogoのようなクラウドファンディングのプラットフォームは、優れたアイディアを実現しようとしているスタートアップや個人にとって本当に不可欠なツールなのでしょうか?それとも‘古いやり方’でそれをすることはまだ可能なのでしょうか?

CH: それはビジネスのタイプによります。クラウドファンディングには主に2つタイプがあり、それらは全く異なるタイプのスタートアップのためにデザインされています。

KicksterterやIndiegogoのようなプラットフォームは、“報酬ベース”のクラウドファンディングプラットフォームで、支援者はプロジェクトを金銭的に支援する見返りに報酬を手にします(通常は、アルバムや本など生産されるアイテム)。報酬ベースのプラットフォームは主に、通常50000ドル以下のプロジェクトを完成させるために必要なお金を調達することを求めているクリエイティブなプロジェクト向けのものです。

支援者が会社の株式を少しだけ手に入れる“株式ベース”のクラウドファンディングを提供するFundable.comのようなプラットフォームも存在します。株式ベースのクラウドファンディングプラットフォームは、株式と引き換えに、認定された投資家からの通常50000ドル以上の運営資金を求めているスタートアップ向けです。

例外もあり、50000ドルという数字はおおよそのガイドラインでしかないのですが、企業向けSaaS分析アプリケーションを作るために500万ドルの資金調達をするのに対して、ドキュメンタリーを完成させるために10,000ドルを調達することは全く異なるのです。

TNW: Kickstarter/Indiegogoのようなプラットフォームは、なぜこんなにも数多くの支援者を引き付けているのですか?その理由の一部は、‘ゼロから参加したい’という人々の心理なのでしょうか?

CH: アーリーアダプターの心理は間違いなく理由の一部です。人々が興味深いプロジェクトを発見して支援する時、彼らはそのプロジェクトを自分の友人やソーシャルネットワークに共有することが多いのです。そこには面白いものを最初に発見し共有するという要素があります。

慈善寄付のプラットフォームもさることながら、KS/IGは、他の場所では手に入れることができないアイテムを先行販売する独占オンラインストアとして一番うまくいっています。Pebbleウォッチが1,000万ドルを調達したのは、支援者が創設者のEric Migicovskyはいい人だと考えた(実際いい人です)からではありません。彼らが1,000万ドルを調達したのは、支援者がPebbleウォッチを欲しいと思ったからなのです。Pebbleは、最高に素晴らしい製品を作り、その製品のストーリーを鮮やかに伝え広めました。それがクラウドファンディング成功のカギなのです。

TNW: クラウドファンディングプロジェクトを設定する際、人々が犯す最大の過ちは何ですか?

CH: プロジェクト制作者が繰り返しているいくつか重要な間違いがあります。
最大の過ちは、マーケティングは放っておけば何とかなると考えることです。メディアは、莫大な数百万ドルのプロジェクトを取り上げることを好みますが、多くの人はそういったメディアの記事を読み、簡単にプロジェクトを作り出すことができ、そのプラットフォームが30,000ドルもしくは50,000ドルを調達するだろうと仮定します。

実際には、あなたは自分自身でキャンペーンページに大量のトラフィックをもたらす必要があります。KickstarterやIndiegogoは面白いプロジェクトを宣伝することに関していい仕事をするのですが、それでも、視聴数やお金の大部分(通常80~90%)は、他のチャンネルやプラットフォーム外のプロモーションの取り組みからやって来ます。

あらゆる優れたオンラインマーケティングと同様に、あなたは自分のプロジェクトに心底関心のある特定の層を見極める必要があります。もしもあなたの最初の回答が、熱烈な“全ての人!”であるなら、試作段階に戻ることです。全ての人に手を伸ばすことはできません。あなたには、特定のオーディエンスのためのユニークな製品が必要なのです。理想的には、Eメールリストやブログやソーシャルネットワークを介して事前に自分の仲間を築いていることです。

まだ仲間を築いていないのなら、誰が仲間なのか見極めることです。関心のある人々に話をする情熱を持っているのは誰なのか?もしそれがあなたでないのなら、誰がそれをするのかを把握し、興味深いオファーを作り出す必要があります。

これは全て事前に起こるべきことです。あなたはローンチ前にマーケティングプランを築く必要があります。ローンチしてからでは遅いのです。時間は押し迫っているのです。

私が目にしている2つ目に大きな過ちは、どのようにして人々が自分たちの報酬価格に値段を付けるかです。

あなたが直接もしくはZapposのようなサイトで何かを購入する時、顧客リスクはほぼゼロです。Zapposは双方の無料配送と素晴らしいカスタマーサービスに投資をします。リスクがないために、Zapposは製造者の希望小売価格(MSRP)もしくはそれに近い額を請求することができます。あなたはZapposではないのです。多くのクラウドファンディングプロジェクトは生産されず、多くが目標出荷日よりもずっと遅くに出荷されます。クラウドファンディングキャンペーンに貢献することには先天的な顧客リスクがあるのですが、何にせよ私たちはそれをするのです。

支援者に対するこのようなさらなるリスクを補うために、プロジェクト制作者はMSRPより低い価格付けをするべきです。10ドルの‘デジタルのハイタッチ’(MSRPよりはるかに高い)の代わりに、より多くの価値を提供するのです。例えば、Kickstarterプロジェクトの最低報酬では、AJ Leonが、たったの13ドルでエッセイ付きの本を全てのデジタル形式(PDF、ePub、mobi、オーディオブック)で提供しました。それはMSRPよりもはるかに安いのです。

TNW: キャンペーンを設定する際にあなたがいつも奨励する5つの秘訣は何ですか?

CH:

  1. ユニークで面白い製品を用意する。
  2. 事前に(数年とは言わないとしても数か月前に)仲間を築く。それができなかったのなら、関心のある特定のコミュニティを見極め、その人たちに話ができる情熱を持った人を見つける。
  3. 広まるストーリーを伝える。動画は非常に重要。“プロジェクトを支援しないとしても、誰かがこの動画を共有するだろうか?”と自分に尋ねる。
  4. マーケティングプランを立てる。
  5. MSRP以下で値段を付ける。できる限り価格と同じだけの価値を追加する。

TNW: クラウドファンディングは全ての人に適していますか?それを使用すべきでないことは何ですか?

CH: クラウドファンディングは、間違いなく全人向けではありません。Kickstarterには、プロジェクトが適合すべきカテゴリとガイドラインの具体的なリストがあります。もしあなたのプロジェクトがそれらのカテゴリに当てはまらなかったり、それらのガイドラインに適合しなければ、Kicksterterは適切な選択ではありません。Indiegogoはもっとフレキシブルで、他にももっとニッチなクラウドファンディングプラットフォームやセルフサービス方式のプラグインがありますが、全てのプロジェクトがクラウドファンディングにふさわしいわけではありません。

ユニークでない、面白くない、もしくは新しくない製品は、クラウドファンディングキャンペーンの成功に必要な興味を生み出さない可能性が高いです。もしあなたが仲間を築いていなかったり、どんなグループが関心を持つか具体的に知らなければ、あなたのプロジェクトが成功に必要なけん引力を獲得することはないでしょう。

クラウドファンディングは、それがドキュメンタリーを完成させることにしろ、レストランを救うことにしろ、始まりと終わりと定められた結果のある特定のプロジェクトに向いています。

TNW: 単に資金を調達する以外にクラウドファンディングの道を歩く理由はありますか?

CH: もちろん。クラウドファンディングには、ファンドレイジング以上にたくさんの恩恵があります。

PannaのDavid EllnerやPebbleのEric Migicovskyのように、市場の需要を実証するためにKickstarterのようなプラットフォームを使用し、その実証を使ってベンチャーキャピタルを存続して資金調達をした起業家がかなりたくさんいます。

時には、最初は拒否をしたVCが、起業家にとってより好ましい条件で、小切手にサインをしています。

成功するクラウドファンディングは、製品に関する認知や噂を築いてアーリーアダプターを特定する(そして市場に売り出す許可を獲得する)のにも使用されることがあります。

TNW: Canonicalは非常に注目を浴びるIndiegogoプロジェクト(30日間で3,200万ドル)を実施し、物足りない結果に終わっているように見えますが、何か私たちがそこから学べることはありますが?また、異なるアプローチを推奨してもらえますか?

CH: Canonicalは大きなファンドレイジングの成功を祝うべきだったので、とても残念です。彼らは正しいことをたくさんしたし、私は彼らを応援していますが、彼らは2つの決定的な間違いを犯したのです。

彼らはファンドレイジングのゴールをあまりにも高く設定しすぎました。大部分の企業は、クラウドファンディングを介して50万ドルもしくは100万ドルを調達することにワクワクします。Canonicalはたったの8時間で200万ドルを調達しましたが、それはほぼ前代未聞のことです。

残念なことに、彼らはゴールを3,200万ドルに設定しました。それはどんなクラウドファンディングプロジェクトにとっても桁外れに大きな目標です。しかし、彼らの2つ目の過ちは、フレキシブル・ファンディングではなく、固定ファンディングを選択したことだったのです。

常にオール・オア・ナッシングのファンディングモデルのKickstarterとは違って、Indiegogoは、固定ファンディングとフレキシブル・ファンディングの2つの選択肢を提供しています。

固定ファンディングモデルは、Kickstarterのようにオール・オア・ナッシングです。もしゴールを達成しなければ、何も得ることはないのです。

Indiegogoのもう一つの選択肢、フレキシブル・ファンディングは、このプロジェクトにとってパーフェクトな選択だったはずです。たとえCanonicalが目標に達しなかったとしても、Indiegogoからのわずかに大きな手数料を差し引いて調達したお金をキープすることになります(目標を達成したプロジェクトが4%に対して、目標に達しなかったプロジェクトは9%)。

Canonicalは本当に革新的な製品アイディアを持っていました。彼らは、自分たちのストーリーを上手に伝え、とても強力なUbuntuコミュニティを活用することに成功しました。1000万ドルは、どんなクラウドファンディングプラットフォームでも膨大な資金です。もし彼らがフレキシブル・ファンディングを選択していたなら、調達した資金の大部分をキープすることができ、Ubuntu Edgeを市場にもたらすことができたでしょう。固定ファンディングを選択したために(最終週に2000万ドルを調達しなければならない―可能だが、あり得そうもない)、このプロジェクトは資金提供を受けず、20,000人以上の支援者は返金されることになるでしょう。

小さなゴールを設定するか、もしくはフレキシブル・ファンディングを選択していれば、CanonicalとUbuntu Edgeは大きな成功を収めることができたのです。

ヘッドライン画像はThinkstock、Johnの画像はJohn.doより


この記事は、The Next Webに掲載された「Planning a Kickstarter campaign? Read this first」を翻訳した内容です。

こういうノウハウは日本で余り事例が紹介されていないだけに、参考になる点が多かったのではないでしょうか?読むだけで何かクラウドファンディングにチャレンジしたくなってしまうような記事でした。 — SEO Japan [G+]

容量無制限のクラウドストレージBitcasaが日本での展開を本格的に開始

2011年の本家TechCrunch Disruptに出場し、実現可能なのか!?と話題になったスタートアップBitcasaが本日から完全に日本語にも対応した上、東京にローカルキャッシュ機能を持ちファイルアップロードのスピードを向上させるなど日本展開を本格的に開始した。

Bitcasaは月額10ドル(年間99ドル)で無制限の容量を手に入れられるクラウドストレージサービスだ。Dropboxの容量が年間99ドルで100GBということを考えると、Bitcasaの気前の良さに驚く。

しかしながら、普段使っているパソコンやスマートフォンの容量を見てみるとパソコンで数百GB、スマートフォンで数十GB程度で(もちろん、職種によっては数TBの人も居ると思うが)、そのうち、クラウドストレージに保存するのは数GBで十分というユーザーも多いだろう。

だが、米国の調査会社ガートナーによると一般世帯のデジタルコンテンツの保存料は2016年までに3.3TBにまで増加すると予想されており、そのデータ量をデバイスを買い替えるごとに転送することは非効率的だと言える。このような将来的な需要も見越してBitcasaは無制限ストレージを構築しているのだろう。

では実際にどのような技術を用いて無制限の容量を実現しているのだろうか。TechCrunch Disrupt出場時にCEOのTony Gaudaが語ったところによれば、参考にしているのはConvergent Encryptionと呼ばれる論文だという(暗号化界では有名らしい)。

(僕を含め)素人には到底理解できない論文であるが、いくつか重要なポイントを抑えておこう。例えば、Bticasaフォルダに映画を保存するとクライアント側でデータを暗号化しクラウドへデータを送る。この時にBticasaは他のユーザーがアップロードしているデータの中で重複したものが無いかをチェックする。もし、重複したものがあれば映画はBticasa上にアップロードされることはなく、重複したものが無ければアップロードされるという仕組みだ(もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事を参照していただきたい[1] [2])。

このように重複したデータを排除するとユーザーごとの固有データは25GB程度だとTony Gaudaはいう。彼によるとユーザーのデータの60%は複製であるから、月額10ドルで無制限ストレージを提供できるそうだ。これが低価格の理由というわけだ。

なお、本日から日本、およびアジアでの発売を記念して年間79ドルで利用できるプロモーションコードも用意されている「ASIA20」。Bitcasaはブラウザ、iOS、Android、Windoowsで利用できる。


FABtotumは工作マニアの夢―3Dプリンター、スキャナー、カッター、フライス盤などがひとつのボックスに

FABtotumは多様な工作機能がオールインワンになった3Dプリンターだ。カッター、フライス盤、彫刻機、さらに既存のオブジェクトをクローンするための3Dスキャナーなどプロトタイプを作るのに必要な工作機能がすべて含まれている。

ただし、今すぐに現物を手に入れることはできない。このプロジェクトを推進しているイタリーのスタートアップは現在、Indiegogoで5万ドルの資金を調達している最中だ。このチームはクラウド資金調達とは別に本格的な投資家も探している。創立は2011年でこれまでは個人的に調達した資金で運営されてきたという。Indiegogoの資金調達はゴール目前だ。

FABtotumの共同創業者、Marco Rizzutoはこう説明する。

これまでの3Dはデジタル・ファイルから実物を出力するという単一機能のマシンだった。これは柔軟性に欠けるし、プロフェッショナルな目的での利用ではたとえプロトタイピングにせよ、すべてがポリマー素材ですむわけではない。われわれは独自のテクノロジーによる4軸スキャナーでオブジェクトをスキャンするところからデジタル情報と実物をシームレスに融合させてすべての作業がこの一台で完結するようなシステムを目指した。

ユーザーは興味をもったオブジェクトをスキャンしてデータを友だちに送り、友だちはそのまま3D出力してもよいし、3Dデザイン・ソフトで修正、加工してもよい。ユーザーはFABtotumの切削系機能を利用して、スタイロフォームやPCB素材を成形することができる。つまりデザイナーやエンジニア、ホビーイストがプロトタイピングの際に通常行っているような作業がすべてFactotumでできる。

こうした多機能マシンは使い方が複雑になることが避けられないので、一般ユーザーが使いこなせるようになるのは先のことになるだろう。しかし安価にすばやくプロトタイプを作ろうとする熱心な日曜工作家やスモールビジネスからは熱烈に歓迎されそうだ。歓迎の度合いは、FABtotumのIndiegogoキャンペーンが締め切りまであと1月を残して60人の出資者から3万8000ドルを集めていることでも分かる。

Rizzutoによれば、FABtotumの直接のライバルはMicrofactoryのハイブリッド・マシンやAio Roboticsの3D-ファックス/プリンター、Zeus(Kickstarterで来月から資金調達を開始する予定)などだという。しかしFABtotumは価格やカスタマイズ性でライバルより優れているとRizzutoは言う。

FABtotumはレーザースキャン(高速用)、Zプローブによるスキャン(高精細度)の両方を備えている。3Dプリントの精度はZ軸で0.47マイクロメートル。最大出力寸法は210x240x240mmだ。

699ドルの出資で既存の3DプリンターをFABtotum式万能マシンに改造するキットが入手できる。999ドル出資すれば3Dプリンターを含めたフルキット(組立はユーザー)が得られる。早期出資者は849ドルで組み立て済みのFABtotumを入手できたが、この枠はすでに売り切れだ。組み立て済みのFABtotumは1099ドルになる。

〔日本版:FABtotumはfactotum(ファクトータム=雑用係、、何でも屋)の語呂合わせ〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


日本発Google Glass対抗「Telepathy One」が約5億円を調達して目指すものとは?

Google Glass対抗のメガネ型ウェアラブル・デバイス「Telepahy One」を開発するテレパシーが米国時間の8月21日、Firsthand Technology Value FundがリードするシリーズAラウンドで500万ドル(約5億円)の資金を調達したと発表した。新たにシリコンバレーに開設する研究開発拠点で人材の採用を加速するという。2013年秋にSDKを限定公開し、2014年の製品発売を目指す。テレパシーは同時に、アップルでQuickTimeの開発で中心的役割を果たし、MPEG4の標準化にも貢献したピーター・ホディ氏(Peter Hoddie)がアドバイザリボードに加わったことも発表している。

最初に普及するのは汎用的デバイスより、一点突破型

2014年の発売開始が噂されるGoogle Glassとともに市場に並んだ場合、どこにTelepathy Oneの勝機があるのだろうか。モバイル向け汎用OSとしてAndroidの完成度は高まっているし、エコシステムも大きい。Google Glassのようなウェアラブルデバイスに市場性があるかどうかは未知数だが、もしあるとして、オープンな開発環境を当初から備えたGoogle Glassに、Telepathy Oneは対抗できるのだろうか? Telepathy Oneは、少なくともリリース当初は限られたサードパーティしかアプリを開発できないようだ。

セカイ・カメラで一世を風靡した(そして後に期待の分だけ落胆もさせたと個人的には思っているが)、元頓智ドット代表取締役で、現在テレパシーを率いている井口尊仁氏は、こういった新しいデバイスが広まるのは「一点突破」によるのだと汎用指向を切り捨てる。東京・渋谷のオフィスで井口氏はTechCrunchに以下のように語った。

「(開発環境やエコシステムが)オープンというのが勝利につながるわけじゃない。それに、(アプリ開発を自社外に無制限に開放するのは)悪い言い方をすると第三者に使い方を考えてくれって言ってるようなものですよね。アップルのスティーブ・ジョブズがコア・アプリはみなさんに任せますとか最初から言ってたら怒りますよね。どういうふうにコミュニケーションが変わるんですか、という未来想像図をリアルに描いて提示しないと」(井口尊仁氏)

Telepathy Oneはシンプルなデバイスだ。超小型のプロジェクタによる映像が目の前に見え、ディスプレイが視野の一部に浮かんでいるように見える。ここに通信中の相手のカメラが捉えた映像が見える。つまりTelepathy Oneは「見ているものの共有」をするためのデバイスだ。映像を見る方はPCなどほかのデバイスでも構わない。通信が1対1なのか、1対Nになるのかも、まだこれからのソフトウェアの作り込み次第のようだ。

Google GlassとTelepathy Oneの印象はだいぶ違う。斜め上を見上げて画面を確認する感じになるGoogle Glassと異なり、Telepathy Oneでは映像が風景に溶け込む印象だ。ディスプレイ部を小さく保ち、アームもなるだけ視界をさえぎらないよう工夫を重ねているという。例えば光学系を手がけるのは元ソニーのエンジニア、バッテリは元パナソニックのエンジニア、というように日本の製造業のトップ企業からスタートアップの世界にチャレンジしに来たベテランエンジニアが東京のオフィスに机を並べている。

LTE搭載も噂されるGoogle Glassと異なり、Telepathy Oneの通信系はWiFiとBlootoothのみという割り切りで、スマフォなどを通してネットに接続する。コスト抑制やバッテリ持続時間の確保という意味と、いきなりキャリアを開発プロセスに巻き込むと自由度が低くなるという懸念があるという。

「かつてモトローラはRazrにiPodプレイヤーを入れたiPod携帯というものを作っていましたが、あまりにデキが悪くて、それにジョブズがぶちきれてiPhoneを作り始めたという話もあります」

「iPodの音楽プレイヤーのように、キラーアプリ、キラーデバイスがあったことで、iPhoneは弾みがついたわけですよね。iPodに相当するような有効なユースケースがあれば、第2フェーズからでもモバイルキャリアと組めます」

「iPodのクルクル回すホイール状のインターフェースとか、iPhoneのピンチ操作とか、それを触っているだけでも楽しかったですよね。同じように、Telepathy Oneでもジェスチャーという新しいインターフェースで、触っているだけでワクワクするようなもの作っています」

Google Glassが音声中心の操作であるのに対して、Telepathy OneはジェスチャーをUIの主軸とするという。

Telepathy Oneの狙いは「ディスプレイとUIの刷新」という。PCは、机に置いたビットマップディスプレイとGUI、マウスがセットだった。これをiOSは、携帯できる小型ディスプレイとマルチタッチジェスチャーで置き換えた。こうした変革に相当することを、Telepathy Oneではアイウェアとジェスチャーという組み合わせで実現しようとしているという。単眼カメラでジェスチャーを認識できる処理能力やソフトウェア技術が出てきていることが背景にある。「次世代のディスプレイとUI。これをきっちり入れたプレイヤーはiPhoneの次が取れる」(井口氏)。逆にスマートウォッチでは、結局スマフォに従属する便利な表示端末止まりになる。だから井口氏は投資家にスマートウォッチを開発したらどうかと言われても取り合わないのだという。

一点突破の「一点」とは何だろうか? 映像ストリーミング共有?

「動画共有とは違います。われわれは体験共有といっています。大きなビジョンとしては人間のコミュニケーションを変えたいということ。写真や映像の共有はUstreamやInstagramがあるが、そういうものを作りたいのではないのです。共有したいというとき、いかにステップを減らして楽しくやれるか。そうしたものができれば、究極的には電話を置き換えるのではないかと思っています」

説明を聞いても、上のデモ動画を見ても、肝心のコアアプリケーションとなる「コミュニケーション」の具体的な形がまだ良く分からない。本当に広げた風呂敷の大きさに見合うだけの新たな共有体験をTelepahy Oneは見せることができるのか。井口氏が、そこそこ売れるデバイスを目指しているのではない、というのだけは確かなようだけれども。


プレゼン用ウェブアプリ、Bunkrは優れもの―HTML5出力でどんなデバイスでもブラウザだけでスライドが再生可能

フランスのスタートアップ、BunkrはPowerPointキラーになろうという野望を抱いている。

このウェブ・アプリを使うユーザーはビジュアルなコンテンツをさまざまな場所から収集、編集してスライドに仕上げることができる。UIはよく考えられており、デザインも美しい。スライドショーはHTML5ファイルで出力されるので、パソコンでもタブレットでもスマートフォンでも自由に再生できる。またPDF、PPT形式でも出力できる。

共同ファウンダーで最高マーケティング責任者のÉdouard Petitは私の取材に対して「われわれは役立つ情報を収集、分析してクライアントのために戦略を立案するのに使う以上の労力を美しいPowerPointプレゼンを準備するために費やすという本末転倒に陥っている。そこでBunkrではどうやったら最小限の時間でわかりやすいスライドが制作でくるかを追求した」と語った。

その回答はこのプロダクトの2つの側面、情報の収集とプレゼンの制作に現れている。PowerPointでは役に立つ画像や動画をウェブで検索し、ダウンロードして、スライドに体裁よく配置することに非常に長い時間がかかる。また情報の収集と保存にはEvernoteのような別のアプリを使わねばならない。

これに対してBunkrはこのプロセスをすべて引き受ける。 単なるスライド制作ツールではなく、Evernote的なクリッピングと整理のツールでもある。ウェブで役に立ちそうな情報を発見したらブックマークレットでチェックするだけで、Bunkrのアカウントに保存される。ユーザーは画像、ビデオ、ウェブページ、ノート、引用などをこうして処理できる。

Bunkrは伝統的スライドショーを枠組みを守りながらあらゆるデバイスのあらゆるブラウザで自由に再生できる能力を加えた

その結果はテーマごとにPinterest風のグラフィカルなデータベースに保存される。毎日なんらかのプレゼンをしなければならないようなエグゼクティブ―つまりPowerPointのパワー・ユーザーにとっては非常に魅力的な機能yだ。

Petitは「“共同ファウンダーと私は以前、広告代理店に勤務しており、毎日の大半の時間をプレゼンの準備に使っていた。それがBunkrの開発を思い立った理由だ」と語った。

ただしプレゼンの構造に関してはBunkrはたとえば、Preziのように過激に新しくはない。これはPowerPointユーザーには安心できる要素だ。しかしPreziなどのライバルとの最大の違いはBunkrがフルHTML5出力をサポートしている点だ。Flashプログインを必要とせずにブラウザなどのデバイスで再生できるl.スマートフォンで再生するにも専用アプリをインストールする必要がない。ユーザーはプレゼンへのリンクを送るだけで、相手はどんなデバイスのどんなブラウザでも再生できる。またYouTubeのエンベッドも簡単だ。

Google Driveのプレゼンテーション・ウェブアプリと同様、複数のユーザーが同時にスライドを同時に編集できる。サービスを使い始めるのは無料だが、HTML5ファイルやPPTフォーマットでダウンロードせずにオンラインで同時に3つ以上のプレゼンを保存しようとすると、月額2.50ユーロ(日本からは3ドル/月)の利用料金がかかる。現在、7000ユーザーのうち200人が有料契約をしているという。

Bunkrはフランスのルーアンに本拠を置くTheFamilyアクセラレータ参加のスタートアップで、年内にもシード資金調達のラウンドを行う予定だ。しかしプロダクトはすでに完成しており、出来は非常に良い。これだけのデザイン力と技術力があればBunkerが有力なPowerPointのライバルに成長できる可能性は十分ある。まずは試してみることをお勧めする。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


スマホアプリブームの終焉と希望の兆し

世界的に続くスマホ&アプリブームですが、日本でもソーシャルゲームが一時の勢いを失いつつあるようです。海外では元々日本程ブレイクした(=儲かった)ソーシャルゲームサービスはありませんでしたが、それでも世界的なスマホの普及を背景に様々なモバイルアプリやサービス会社が登場し、多額の投資が行われてきました。シリコンバレー在住の著名投資家兼ブロガー、アンドリュー・チェンによると、米国でもモバイル関連の投資は最近一段落しており、その背景にはモバイルビジネスで成功する確率が以前に比べ格段に難しくなっているからということです。今回は彼が考えるその難しさの理由と、将来に対する希望的考察を書き連ねたスマホ関連ビジネスを手がけている人には気になる記事を。 — SEO Japan

モバイルの“古典的な”成長式の崩壊

かつて、モバイルで短期間に急激な成長を遂げるための公式は以下のようなものだった:

  1. 非常に優れたものを作る
  2. 巨大なPRローンチと同時に、Apple/Googleにあなたのことを取り上げてもらう
  3. 自分のアプリがチャートに入るのを見る
  4. それをさらに前へ押し出すために安いインストール広告を購入する
  5. ほら、急上昇だ!(さめのヒレでないことを願う

記憶に残る範囲では過去数年はこれが機能し、物事は上手くいっていた―新しいスタートアップと自営のデベロッパーにとっては特に。しかし、次第にこの古典的な公式は、それに置き換わるものも存在しないままに機能しなくなった。あなたは、よりリッチで大きなモバイルエコシステムがモバイルの成長を達成するための機会を増やすために姿を現したのだと期待するかもしれないが、モバイルにおける最初のけん引力を獲得することはずっと難しくなったのだ。(追伸:もしも、モバイル成長への新しいアプローチを開発することに興味があるなら、私にメールをして欲しい。)

それは単に時間の問題だった。エッセイ‘The Law of Shitty Clickthroughs’の中で私が議論しているように、全てのマーケティング戦略は時間が経つにつれて悪い結果をもたらしていく。マーケティングでは、先行者が勝る(少なくとも最初は)―もしあなたが何か新しいことをすれば、それが新しい種類のクリエイティブだろうと新しい獲得チャネルだろうと、人々は新種の戦術に反応するため、あなたは高いレスポンス率を目にすることになる。しかし、次第にあなたの戦術は業界中の“ベストプラクティス”になるため、顧客はそのテクニックに慣れてレスポンス率は下がる。

モバイルの牽引力をもたらすチャンネルの中で、再び歴史は繰り返したのだ。次のような要因を含め、エコシステムがどのように成熟したのか議論しよう:アプリストアの競争の激化、より高いCPI率、エディトリアル・ダイナミクス、全体的な投資トレンド。

巨大なアプリストアで困難になった製品の差別化

最も明白なことを最初に取り上げよう―アプリの数が非常に増えた。これまで新しいアプリは非消費と戦っていたかもしれないが、全ての主要モバイルカテゴリにおいて、アプリの合計数が非常に増加しているのだ。総数だけを見てみると、2009年~2010年に成功したアプリが、今は4~8倍の競争に直面している。

あなたが写真アプリ、もしくは買い物、メッセージ、ローカル、映画、ニュースのアプリを作っていようと、各カテゴリには2つから3つの非常に質の高い競合相手が存在する。新しいモバイルデベロッパーは、もはやアマチュアの作ったアプリの第一波とは戦っていないのだ。近頃では、それはもっと難しくなっている。

以下は、アプリの数のものすごい増加を示す最近のグラフだ:

インストール毎のコスト(CPI)の増加

最初、アプリインストールにかかる広告費用は比較的安かった。あなたにはたくさんの選択肢があった―モバイルアドネットワーク、やる気を起こさせるインストールプロバイダ、“Free App A Day”サービスやもっと大胆な選択肢まで色々だ。もっと重要なことに、たくさんの企業がそれをしていたわけではなかったので、価格は低かった。

このCPIが、需要の増加と供給の欠如の両方が原因で急上昇したのだ。Appleがいくつかのプロバイダーを禁止したり警告をしたりしたため、ほんの短い間に、有料インストールの供給が縮小した。同様に、モバイルゲームは、iOSとAndroidにおける膨大なマネタイゼーションの可能性を見いだした―彼らは、最大インストールごとに数ドルまで、インストール単価を著しく引き上げた。

以下は、2012年の前半にかけてCPIが上昇するのを示している表だ。ちなみに、今はこれよりも高くなっていると聞いている:

プラットフォーム独自の戦略目標

AppleおよびGoogleストア内のエディトリアルチームは、確実にいくつかのアプリを助けることができるし、実際にそうしている。しかし、それらは、消費者のニーズ、そしてプラットフォームの目標に向けて歪められている。

Appleに関しては、ストア内にある全100万のアプリのニーズを保守点検することよりも、ユーザーがインストールする最初の25のアプリが有名ブランドからの素晴らしい体験であることにより関心を持っているという印象だ。消費者としては、もちろんこれを高く評価するが、それは新しい無名のデベロッパーが市場に参入する助けにはならない。

Googleに関しては、ここ数四半期に彼らと会ったいずれのチームも、彼らがタブレットデバイスに多くの関心をはらっていると言う。彼らは携帯電話でのマーケットシェアを獲得しているが、iPad対Androidタブレットの数字は異なるストーリーを見せている。もしあなたがGoogle Playで取り上げられたいのなら、たとえ市場が小さいとしても、彼らはタブレットアプリを作ることを強く推奨する。また、彼らは、Google+にも多くの関心をはらっているが、それはまた別の話だ。

実験的なモバイルアプリに対する投資が枯渇

投資家たちはモバイル市場全体に対しては今でも楽観的な展望を持っているが、リスクの高い新しい消費者モバイルのスタートアップに資金を展開することには多くの確信があるようには見えない。私の感覚では、‘2009年~2012年の優れた消費者モバイルの実験’が実施され、そこではたくさんのシードキャピタルが幅広いモバイル企業に投入された感じがするが、今そのモチベーションは変化した。

YCombinator Demo Dayの企業の構成がいかに変化したかを見てみるのだ―私が参加した2011年後半のイベントでは、50%以上が消費者モバイルだった。今ではそれは、SaaSやコンシューマーハードウェアや、マーケットプレイスなどだ。モバイルは時々登場するが、もはや主要な焦点ではないのだ。

希望の兆し

上で述べた困難にもかかわらず、私は今でもモバイルの未来に関して非常に楽観的だ。それは今でも、新しい会社を築く上で最高のプラットフォームであるが、私たちは、自分たちが2013年に直面している新しい困難を受け入れて取り組むことを選択しなければならない。過去に機能したことを単に繰り返すだけでは十分ではないのだ―さもなければ、私が以前に書いたように、1999年のように失敗するモバイル企業の新しい世代を持つことになるだろう。

それはますます困難になっているが、モバイルにあるチャンスは今でもコンピュータ業界の始まり以来最大だ。Nielsenが先月(2013年6月)レポートしたように、アメリカ国内のスマートフォン所有は辛うじて過半数を超えている。いくつかのアプリが1億以上のインストールを達成したことは素晴らしいが、数十億のマーケット全体においては、まだ私たちは始まったばかりなのだ。私たちには、今後10年にわたって期待することがたくさんある。


この記事は、@andrewchenに掲載された「Mobile traction is getting harder, not easier. Here’s why.」を翻訳した内容です。

どれも納得ではありますが、よくよく考えるとInstagramやZynga等、一部スマホベースで成功した(Zyngaは微妙ですか)サービスも多いですが、スマホ・モバイル発のビッグ・プレイヤーは余り存在していないですよね。AppleやGoogleがプラットフォームを牛耳っていることもあるでしょうし、FacebookやTwitter等の既存勢力もスマホ化を頑張っていますし。記事では触れられていませんが、スマホ・モバイル初の圧倒的プレーヤーでいえば、LINEやWhat’sApp等のモバイルアプリベースのインスタントメッセンジャーがどこまで成長できるのか、ということでしょうか。記事の最後にもあるようにまだまだ始まったばかりのスマホ・モバイルシーン。今後の展開からまだまだ目が離せません。 — SEO Japan [G+]

Y Combinatorデモ・デー―TechCrunchが選ぶ今年の夏学期の有望スタートアップ8チーム

今日(米国時間8/20)、Y Combinatorの2013年夏学期のデモ・デーが開催され、45のスタートアップがそれぞれ全力で売り込みのプレゼンを行った。われわれTechCrunchチームは25人の著名なベンチャーキャピタリストの意見も聞きながら、もっとも有望そうな8チームを選んだ。今回、普段よりもわれわれの意見が一致したので選ぶのが楽だった。

全45チームのそれぞれについての紹介はBatch 1Batch 2Batch 3の各記事を参照されたい。以下、順不同でわれわれの推薦チームを簡単に紹介する。

SpoonRocketオンデマンドのオーガニック料理宅配サービス

SpoonRocketのデモではフードサービス2.0とか料理のUber とかいったバズワードが飛び交った。しかしこのスタートアップのこれまでの実績を検討するとそれも誇張ではないと思える。このサービスはオーガニック素材の一般向け料理と菜食主義者向け料理を作って宅配する。一種類が6ドルだ。最速10分で配達できるという。その秘密は、まず毎日2種類の料理しか用意しないところになる。これによってコストを大幅に削減できる。配達車は保温装置つきだ。SpoonRocketによれば、通年換算で200万ドル相当の売上実績があり、毎週112%も成長しているという。現在はカリフォルニアのバークレーで営業しているが、学生が夏休みだというのにこの好調ぶりはすばらしい。将来は全米の大都市圏に展開する計画だ。

SpoonRocketについてのわれわれの記事

Panorama Education: 学校のデータ処理

Panoramaには大きな野心がある。生徒、教師、両親から得たビッグ・データを分析して全米の学校jすべてに提供しようというのだ。

ただしスタートはささやかなプロジェクトだった。3人の共同ファウンダーがYale大学の1年生だったときに、地元のニューヘイブン地区の公立学校のデータ分析を手がけたのがきっかけだったという。この5月にファウンダーたちがYaleを卒業したとき、Panoramaはずっと大規模なサービスに成長しており、合計50万ドルの売上を得ていた。現在全米の3600の学校がPanorama Educationにデータ処理を依頼している。Panoramaでは全米から収集したデータを提供することであらゆる学校が教育の質を向上させるのを助けられると期待している。

われわれの記事

Amulyte: お年寄りの安全モニタ

アメリカには2000万人のお年寄りがいる。Amulyteではお年寄りの安全を図るためにペンダント型のオンライン・デバイスを提供しようと試みている。このデバイスはGPS、Wi-Fi、加速度計を利用してユーザーの行動をモニタし、異常を検知した場合は携帯電話網を経由して家族などに急報される。

ペンダントは149ドルで安全モニタ・サービスは月額29ドルだ。現在年金生活者の居住施設と提携して実験を行いサービスの改良を図っている。こうした老人介護ビジネスはアメリカだけで100億ドル市場だ。

AmulyteについてのTechCrunch記事はこちら

Buttercoin: Bitcoinを利用した迅速、低料金の国際送金

国際送金は年間5000億ドルにも上る巨大ビジネスだ。同時に手数料が高額であることで悪名高い。

Buttercoinはbitcoinを利用することで、国際送金を迅速かつ低料金で合法的に実現しようというサービスだ。 Bitcoinを使う新しいテクノロジーのおかげでライバルより20万倍も迅速な送金が可能だという。また各地の免許を持った金融機関と提携することですべての取引が完全に合法的なものになっている。

Buttercoinはbitcoinによる国際送金自体からは手数料を徴収しない。ユーザーが他の通貨とbitcoinと交換する際に少額の手数料を課する。

Buttercoinに詳しい説明はこちら

True Link: お年寄り向けクレジットカード

True Link Financialは認知力に障害のあるお年寄りユーザー向けの支払い手段を提供しようとしている。こうしたユーザーは詐欺やいかがわしい売り込みにひっかかる危険性がある。

True LinkはVisaのネットワークを通じてこのクレジットカードを利用した取引を逐一モニタし、不審な点がないか、ブラックリストに載っている業者との取引がないかをチェックする。アメリカにおける高齢者のクレジットカード利用額は年間19億ドルにもなるという。

詳しい紹介記事はこちら

EasyPost: 発送を効率化する

テクノロジー系企業にとってはUPS、USPS、FedExなどの古臭いレガシーな運送システムは頭痛の種だ。EasyPostは運送業者とテクノロジー企業の間に立って独自のRESTful JSON APIを提供することによってこの問題を解決しようとしている。テクノロジー企業は最も有利な料金を素早く見つけ出せるし、発送した商品のトラッキング情報などもリアルタイムで得られる。料金は1個あたり5セントだが、260億個という膨大な運送商品数の相当部分を取り込もうという野心を抱いている。事実、このサービスは毎月179%の急成長ぶりだ。すでに7万個のトラッキングを実施して、SVAngelを含む投資家から85万ドルを調達している。ライバルにはPostmasterShipHawkなどというサービスがある。

EasyPostについての以前の記事。.

Standard Treasury: 一般銀行向けAPI

Standard Treasuryは一般銀行に対して口座間資金移動のような処理を簡単にするためのAPIを提供しようとしている。現在、アメリカ最大の5行を含む16の銀行と交渉中だという。交渉がまとまれば、200万ドルから1500万ドルの収入となる。

Standard Treasuryについての記事。.

7 Cups Of Tea: 「聞いてあげる」サービス

誰でも一生のうちにはどうして人に悩みを聞いてもらいたいという苦しい状況をに落ち込むものだ。離婚、家族の病気、将来への不安等々だ。このとき選ぶ道は2つある。家族と友だちは無料で話を聞いてくれるが、その忍耐力には限度がある。心理セラピーは効果的かもしれないが料金も敷居も高い。7 Cups of Teaはこの2つの中間のオプションを狙っている。訓練を受けたボランティアの聞き手を見つけることができるオンラインマーケットだ。 料金は無料ないし寸志のお礼でよい。7 Cups自身はやりとりされる料金の40%の分配を受ける。ローンチは8週間前だが、これまで着実な成長を示している。現在活動中の「悩みの聞き手」は160人で毎週1800回ものセッションをこなしているという。

7 Cupsについての記事

この3ヶ月かそれ以上サービスの立ち上げに努力してきたファウンダーたちに健闘を祈る。

この記事の執筆にはColleen Taylor、Kim-Mai Cutler、Ryan Lawler、Jordan Crookが協力した。

〔日本版:Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール(TechCrunch Japanの滑川、高橋共訳)にはY Combinatorの歴史と内幕が詳しく描写されている。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Instagram、関連アプリ名に”Insta”と “Gram” を禁止―打撃を受けるアプリ多数

〔この記事の執筆者はMatthew Panzarino〕

Instagramがブランド・ガイドラインを改訂し、関連アプリ名にInstaないしGram;を使うことを禁止した。それらの単語を含む既存のアプリに対しては「合理的な期間内に改名する」よう要求するメールが送られている。

このメールはこの他、Instagram Brand Guidelinesの改訂部分として、ロゴやInstagramというフル名称を使うことにも制限を設けている。たとえば、 Luxogramの開発チームに送られたメールには以下のようにある(強調は編集部)。

Instagramで写真を共有することを助けるアプリの開発に興味をもっていただき感謝しています。デベロッパーにすばらしいアプリを作ってもらいたいと願う一方で、ユーザーがInstagramとなんらかの公式の関係にかのように誤解するような名称をサードパーティーのアプリに使用することをわれわれは許可できません。

Instagramにとって広く知られたわれわれの商標を保護することが重要なのは理解していだけるでしょう。従来からわれわれは“Instagram”と紛らわしい名称の使用やルック&フィールのコピーは禁止しています。われわれは新しいガイドラインでこの点をさらに明確化し、“INSTA”および“GRAM”をInstagramと連動して作動するアプリの名称に用いることはInstagramブランドの保護に有害であると判断しています。約款によって許可された場合を除きデベロッパーはInstagramに紛らわしい商標を利用することはできないので、独自の名称を採用してください。

もちろんこれまでもInstagramという名称は商標として、またAPIガイドラインによって保護されてきたが、InstaとGramについては特に規定はなかった。それどころか、その使用はAPIドキュメント中でむしろ奨励されていた。つまりInstaまたはGramを使うことはできるが、同時に両方を使ってはならないとされていた。

Instagram(あるいは結局Facebook)はAPIを利用しないアプリについてはこの新しい制限を強制することはできない。しかしAPIを使おうとする限りデベロッパーはこの制限に服すしかないわけだ。われわれはこの件でFacebookにコメントを求めている。

この禁止によって影響を受けるアプリは、StatigramLuxogramWebstagramGramfeedInstadropInstagallery始め多数に上る。StatigramはInstagram自体では分からないようなユーザーのアカウントの統計を提供してくれる非常に便利なアプリだ。

しかもこれらはニッチなアプリではない。Luxogramの月間ユーザーは100万人に上る。Statigramも有望なビジネスだった。Luxogramのデベロッパーは「Instagramの要求をすべて受け入れれば事業の継続は不可能だ。おそらくサイトを閉鎖することになるだろう」と述べた。他のアプリも事情は似ている。

Facebookがブランドを保護することを責めるわけにはいかないのだろう。しかし明らかにInstagramの態度は関連アプリを歓迎した初期の頃とはまったく違ったものになっている。いまやInstagramは成長に他人の助けを必要としない。 すこしでも紛らわしい印象を与えるアプリは断固として取り締まるという方針に転じたようだ。

Twitterの態度の変化を思い出させないでもない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


グロースハッカーごとサービスで提供――、日本発の新A/Bテストの「Kaizen Platform」

コンバージョンレートを上げるためにA/Bテストをしたほうが良いとは分かっていても、コストや運用を考えると難しいというサービス運用担当者は多いだろう。だからここ数年はJavaScriptのスニペットの埋め込みや、モバイル開発向けSDK提供によるビーコンの埋め込み方式などで、クラウドベースのA/Bテストをサービスとして提供するところが増えてきた。

中でもオバマ大統領のキャンペーンにおいて複数のテキストとビジュアル要素の組み合わせ全24パターンをA/Bテストすることで成果を上げたことで知られるDan Siroker氏が共同創業者であるY Combinator出身のOptimizely伸びが顕著なようだ。この市場の動向としては老舗のAdobe(Omuniture)のTest&Targetが市場をリードしていたが、Optimizelyが使い勝手の良さと低価格攻勢で実績を伸ばしているといったところ。Optimizedlyは2009年創業で社員数70人。合計3000万ドル(30億円)以上の資金を調達しているなど「本命感」がある。

Kaizenが80万ドルの資金調達をして9月にも本格始動へ

Optimizelyのデモ動画を見れば分かるが、既存サイトをブラウザで閲覧しつつ、ブラウザ上でボタン位置やテキスト要素を変更してA案、B案、C案……と作っていくインターフェイスは、「これ以上どうやれば簡単にできるのか」というほどよく出来ている。

ところが、そのOptimizedlyでも結局はコストは下がらないとして、新たなアイデアと実行力をもってA/Bテスト・サービスに参入しようとしているのが、日本発のスタートアップのKaizen Platformだ。2013年6月末にリクルートを退社した須藤憲司氏らが立ち上げた野心的なこのスタートアップは、3月にアメリカで法人登記を済ませ、グローバル展開を視野に入れて9月にも一般サービス提供の開始を予定している。Kaizen Platformは今日、グリーベンチャーズ、GMOベンチャーパートナーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズの3社から合計80万ドルのシードファンディングの資金調達を発表した

Kaizen Platformが「planBCD」と名付けた新サービスで解決しようとしている問題は何か? 現在までに3カ月、計10社ほどのクローズドβを経て新サービスに確かな手応えを感じ始めている共同創業者の1人でKaizen Platform須藤CEOに話を聞いた。

本当のコストはコミュニケーションとオペレーション

Kaizen Platformが提供するA/Bテスト・サービス「planBCD」の提供形態は2種類ある。

1つはOptimizedlyと同様のもの。まず既存ページに対して、ブラウザ上で動的にHTMLやCSSを書き換えたり、画像を追加したりしてB案、C案……、と作る。これはKaizen側のサーバに蓄積される。続いて、このページに対してKaizenが生成したJavaScriptを外部から読み込むよう既存ページのヘッダに1行だけHTMLコードを書き加える。ページ来訪者のブラウザは、Kaizenが提供するJavaScriptコードをAWSのCDN(CloudFont)から読み込むことになる。これによって、A案、B案、C案……と、異なるページが一定の割合でページ訪問者に表示されるようになる。ログ集計もKaizen側で行い、十分なトラフィックがあるページであれば、リアルタイムに各バリエーションの表出確率を変動させることもやってくれる。つまり、「ボタンを大きくして上の方に配置したほうがコンバージョンレートが高い」というB案が実際にデータからも確認されれば、1週間程度でB案の表出確率を上げてくれる。

コンバージョンレートというのは、いわゆるランディングページから会員登録ページへ遷移することだったり、資料請求ボタンをクリックすることだったり、ECサイト上なら商品をカートに入れることだったりする。ページ来訪者がビジネスに直結する成果につながるアクションを起こしてくれる率のことだ。

ここまでは、Optimizedlyと同じだ。Kaizen Platformが提供するサービスがユニークなのは、B案、C案の作成と提案を、Kaizenが抱える200人ほどのUI/UXデザイナーに対してクラウドソーシングできてしまうマッチングサービスも提供しているところだ。

「結局、お客さん側でページをいじるハードルが高いのが問題なんです」と須藤氏。たいていの企業では、Webサイト運営はシステム部門の管理下にある。システム部門というところは長らく、社内ITシステムの運用をやってきたために、短いサイクルでA/Bテストを回すといったアジャイル的な開発・運用フローと相性が悪い。せっかくB案を作って比較テストをしようと思っても「デプロイは2カ月後です」という冗談のような事態が発生しがちだ。

OptimizedlyやplanBCDは、ここをゴソッと外出しにする仕組みを作った。デプロイ作業の社内調整や実作業をなくして、JavaScriptによるページ埋め込みを動的に行う。

世界中から改善提案を受けて、A/Bテストを実施

残るのはデザイナやエンジニアの実働およびコミュニケーションのコストだ。どうすればビジネスの指標が改善するのかを考えてB案やC案を提案して、それを実際のページに落とし込むことを社内だけでやろうと思うと、たとえOptimizedlyのようなツールを使ったとしてもコストがかかるというのがKaizenの言い分だ。「実際オペレーションコストのほうが高いのです。ツールの利用料で10万円のテストをやろうと思うと、実際には人件費を入れると月に100万円ぐらいかかったりします。それなりに規模のあるサイトで継続的にA/Bテストを使った改善をやろうとするとエンジニア2人とデザイナ1人を貼り付けたりするので、すぐに月間50万円、100万円とコストがかかります」(須藤氏)。

planBCDでは、このエンジニア、デザイナをクラウドソーシングで外注にできる「Open Offer」をA/Bテストサービスのツールと合わせて提供する。

9月中旬以降に提供を予定しているサービスでは、サイトやページに対して改善案を提示するUI/UXデザイナは現在約200人。120人が国内で、北米が50人、アジアが30人程度が登録しているという。ビジネスの要点を理解して会員数やコンバージョンレート向上に寄与するデザイン上の提案ができる人材は最近「グロースハッカー」と呼ばれるが、こうした人々をクラウドソースできるというのが、planBCDの新しいところだ。問題は単純に人件費だけでなく、エンジニアリングとマーケティングの両面が分かる人材の確保ということもある。

「各デザイナごとに成績を取っています。誰がどれだけコンバージョンを上げたかをモニターし、その成績によってトップ10%のマエストロ、トップ50%のプロフェッショナル、残りをスタンダードとランク分けして、それぞれ月額50万円、20万円、10万円という料金設定にしています。デザイナの取り分は7割で、いまは各国のデザインファームとアライアンスを組み始めているところです。デザインというのは、ある程度は文化に紐付く面があるので、地域ごとにデザイナのネットワークを作っていこうと考えています」(須藤氏)。

グロースの部分を外注にする場合、その成果物や効果測定の結果は、事例としてオープンに共有していくよう推奨しているという。そうしないとデザイナが実績を示しづらいし、知見の共有も進まないからだ。効果的な良いデザインを顧客やデザイナたちが「互いにパクれる」という言い方をするとネガティブなニュアンスがあるかもしれないが、ビジネスの根本ではない非本質的な部分で広く組織の壁を超えて知見を共有するというのはオープンソース的とも言えそうだ。

planBCDの利用料はデザイナへの月額支払のほか、JavaScriptによるコンテンツの配信部分でかかる予定だ。

現在は、社内外でデザイナーやエンジニアの部隊を抱えるエンタープライズ向けのプラットフォームのレンタルから開始しており、月額50万円〜(1500万PVのコンテンツ配信料まで込み)で提供、既に数社の顧客を抱えている。須藤氏は前職のリクルートでアドオプティマイゼーション推進室の室長を務めていて、特に大手の企業ユーザーが抱える問題点やコスト感を良く理解している。「A/Bテストはツール提供のビジネスのように見えるかもしれません。でもわれわれが取り組んでいるのは“試すコストを下げる”ということ。ツールはその一部なんです」(須藤氏)。現状で200〜300万円のオペレーションコストをかけてA/Bテストを回しているエンタープライズ市場の顧客からすれば、planBCDの価格設定は十分に魅力的だという。すでに年内の黒字化は見えていて、年明けにも次の大型の資金調達を考えているという。

今のところWebページだけがA/Bテストの対象だが、ネイティブアプリについてもSDKを提供予定という。例えば最近ネイティブアプリで問題となっているのがアクティベート率。ダウンロードやインストールはしても、その後のアカウント作成まで進まないケースが一般に5割程度。アクティベート率の高いアプリでも8割ほどという。この数字をいかに上げていくかは、起動時のサービス説明画面のデキに依存する面があり、A/Bテストが必要とされる場面だという。また、利用者の性別や年齢、初回訪問か2回目、3回目かなどによってA/B/C案を出し分けるようなサービスも考えているという。例えば通販サイトでは、商品を陳列する1画面内の列数によって購買率が変わったりするが、性別によってウケるUIも異なるからという。

現在、Kaizen Platformはパートタイマーも入れて社員は14人。うち11人がエンジニアという。クローズドβ中の顧客は日本企業だが、法人登記は最初から米国だ。須藤CEOもビザが降り次第、年内にも米国に渡るという。開発は東京中心で行い、顧客開拓も外資系の日本法人をターゲットにするなど足元からのスタートだが、今後はヨーロッパ、アジア、南米に拠点設置を検討しているなどグローバル展開を狙っているという。


起業家のための11のビジネス哲学

米国を代表するカリスマウェブマーケッターの一人、ニール・パテルの上級者向けSEOガイドを絶賛翻訳中ですが、そんなSEOオタクな彼が起業家として成功するためのビジネス哲学を書き下ろした記事を合わせてご紹介。SEOの記事だけ読んでいるとギークを超えた究極ギークにしか思えない彼ですが、そんな彼の起業家としての一面が垣間見え、また何故彼が今日カリスママーケッター、そして成功した起業家でいられるのかも感じ取ることができる興味深い内容です。 — SEO Japan

起業家としてあなたは自分独自の生き方を見つけなければならない…仕事と私生活の両方で。私は、今自分が知っていることを学ぶまでに何年もかかったし、今もまだ学ぶことは終わっていない。

信じられないかもしれないが、私が学んだ最も起業家的な教訓はとてもシンプルなものだ。毎日あなたの目の前にあるのに見逃しているものだ。

それでは、私の起業家人生を変えた11のシンプルな哲学を紹介する:

1.言い訳をせず、改善する。

大抵、物事は自分が思うようにはいかない。売上予測の的を外すことから、時間通りに製品をローンチすることや、取るに足りないことで訴えられることまで。

なぜ物事が思うようにいかなかったのかについて言い訳をするのは自然なことだ。しかし、それでは問題を解決することにはならないため、あなたの役には立たない。

言い訳をする代わりに、問題を解決することに焦点を合わせるのだ。すぐには修正されることはないかもしれないが、あなたが改善をしている限りは、そのうちそこに到達するだろう。

2.自分が疲れた時に止めるのではなく、終わった時に止める。

あなたは起業家であることに疲れ、特に物事がうまくいっていない時には、うんざりすることさえあるかもしれない。長年にわたって私が成功するのに役立ったことは、私が粘り強いことだ。

自分が疲れ切っていようと、今日はもう十分に時間を費やしたと感じようと関係なく、私は物事が終わるまでは止めない。

あなたが止める時は、あなたが失敗する日だ。シュッシュッポッポと音を立てながら進み続ける限り、次第にあなたはゴールに到達するだろう。

3.正直さはとても高価なギフトだ。それをせこい人々に期待するな。

起業家としてあなたは、他の人にフィードバックやアドバイスを期待しなければならない。長年にわたって、私は、一部の人は他の人よりも良いアドバイスをくれるため、全てのアドバイスが同等ではないことを学んだ。

あなたが得ることになる最高のアドバイスは、真実だ。真実は痛みを伴うかもしれないが、それがあなたの時間とお金を節約するだろう。

ただし、あなたの感情を救うことに注意を向ける人々に真実を期待しないこと。それはあなたが自分のゴールを達成するのには役立たないし、単にあなたを引き戻すことになるだけだ。

4.黙って一生懸命働き、成功を自分の胸にしまっておく。

私は、何かを始めた時には見せびらかしたかった。人々に自分の成功について語ったり、友達に見せびらかすためにしゃれた物を購入したり、どうやって“自分がそれを成し遂げた”のかを伝えるのだ。

長期的に見ると、物質的な物の購入は私を幸せにはしなかった。そして、人々に自分の成功について語ることは、私が傲慢であると人々が考える結果となり、さらに悪いことにはそれがより多くの競合相手をもたらした。

自分の成功について人々に語ることについて心配しないことだ。それはあなたの役には立たない。ただ自分の仕事に焦点を合わせ、黙っているのだ。あなたが一番必要としないのは、より多くの競合相手なのだから。

5.順調に進んでいない人々に脱線させられるな。

他の人々によって、脱線させられることは簡単だ。もしも自分の中心となるビジネスモデルに焦点を合わせなければ、あなたは自分が無駄なことをしてどこにも到達していないことに気が付くだろう。

これを避ける一番良い方法は、生活が軌道に乗っていない人々にあなたのビジネスの決定に影響を与えさせないことだ。上手くやりたいのなら、同じような考え方を持った人々と付き合い始める必要がある。生活が軌道に乗っていて成功している人々の周りにいることによって、あなたが脱線させられる可能性は低くなる。

6.全ての成功している人間の裏には、数多くの成功していない時期がある。

人々が私の成し遂げたことに目を向ける時、多くの場合彼らは私が過去数年にわたってそれを成し遂げたように思う。彼らが認識し忘れていることは、私が10年以上起業家をやっているこということだ。

そして、その10年の間に、私は何百万ドルも失い数えきれないほどの間違いをおかし、自分のビジネスに数えきれないほどの時間を注いだ。

大部分の起業家は、最初のスタートアップで大儲けすることはない。多くの人が成功の前に失敗をするのだ。だから、あなたが起業家として前に進み続ける限り、成功の確率は次第に高くなるだろう。

7.誰かがあなたのことを悪く言うとしても、誰もそれを信じないような生き方をする。

ビジネスは現れては消えるが、他の何よりもあなたが守るべきことは、自らの評判だ。あなたの評判は、あなたが将来獲得するかもしれない仕事や新しいビジネスベンチャーに影響を与える。

自分の評判を金よりも価値があるかのように扱うのだ。常に他の人を助け、他の人について決して悪く言わないこと。もし誰かがあなたについて悪く言ったとしても誰もそれを信じないくらいに、親切であり、人の役に立つこと。

8.時に、あなたが自分の夢に従う時、それが他の人が自分の夢に従うことができる扉を開く。

起業家精神はあなたについてのことが全てではない。あなたは、他の人の手助けをせずに自分の夢を叶えることはできない。

あなたが自分の夢に従う時は、あなたがそこに到達するのを手助けしてくれた人々のことを忘れないこと。彼らの夢とゴールが何であるかを見つけ出し、彼らがそれを達成する手助けするのだ。

私とビジネスパートナーは、過去10年にわたって、私たちのチームメンバー全てがそれぞれの夢に手を伸ばすことを継続して手助けしてきた。そして、これが私たちの価値あるチームメンバーの大部分を維持することに役立った。優れた才能を見つけることはとても難しいため、これは重要なことだ…だからあなたも彼らの面倒を見た方がよい。

9.あなたがもがいているからといって、失敗しているというわけではない。

全ての大きな成功は、ある種のもがきを必要とする。価値のあることは簡単ではないのだから、自分の起業家のキャリアが簡単であると期待しないことだ。

あなたは一生懸命に働き、大変な時間を苦労して進み、前に進み続けなければならないだろう。もしも起業家であることが簡単で、どんな困難も必要としないのなら、誰にでもなれる。

だから、あなたがもがいている時には、あきらめずに、トンネルの向こうの光が見えるまで前に進み続けるのだ。

10.開けるのが最も難しいのは、閉ざされた心。

あなたがどんなに優れたセールスマンであろうと、あなたの話を聞きたがらない人もいる。彼らは閉ざされた心を持ち、自分は全てのことを知っていると思っている。

あなたはこのような人々に対して粘り強く挑戦することもできるが、私は開けるのが最も難しいものは閉ざされた心だということを知った。だから、私は自分の時間を無駄にする代わりに、ただ次へと進むのだ

あなたは起業家として、特に始めたばかりの頃は十分なお金や助けてくれる人々もないために、時間に貧窮することになる。だから、いいかい、心を閉ざした人々で自分の時間を無駄にしないことだ。

11.人々が求めるものを手に入れる手助けをすれば、あなたは自分が求めるものを手にすることができる。

私にとって学ぶのに最も長い時間がかかった教訓は、自分が欲しいものを手に入れるためには人々の役に立たなければならないということだ。ビジネスは人間関係が全てで、お返しをせずに人に頼みごとをし続けることはできない。

長年にわたって私は、自分が人々を手助けすると、彼らは私を助けるために全力を尽くしてくれるということを学んだ。そして、もしあなたが見返りを何も期待せずに人々を助けると、人々はあなたを助けるためにさらに多くの力を尽くしてくれるだろう。

全ての人を助けることによって恩送りをし続けるのだ…それが大きな事であろうと小さな事であろうと構わない…。遅かれ早かれ、宇宙がそれを10倍にして返してくれるだろう。

結論

これらは、私が指針としているビジネス哲学のほんの一部にすぎないが、これらがあなたの起業家の旅を通して役に立ってくれると嬉しい。これらは私の人生を変え、実際にそれをもっと素晴らしいものにしたのだ。

あなたはこれらの哲学についてどう思うだろうか?私たちが従うべきその他の哲学はあるだろうか?


この記事は、Quick Sproutに掲載された「11 Business Philosophies to Live and Die By」を翻訳した内容です。

起業家問わず、ビジネスに関わっている人であれば、共感できる部分の多い内容だったのではないでしょうか?成功するには知識や経験だけは足りない、それと同等、いやそれ以上に情熱と信念が重要なんだな、と思わせるアドバイスでした。 — SEO Japan [G+]