Kodiak Robotics、Ceva Logisticsを顧客に迎えた自動運転トラック貨物輸送の商業運用を発表

自動運転トラック輸送のスタートアップ企業であるKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)は、Ceva Logistics(シーバロジスティクス)と提携し、ダラス・フォートワースとオースチン間およびダラス・フォートワースとオクラホマシティ間で、自動運転走行による貨物輸送を行うと、米国時間3月9日に発表した。KodiakにとってCevaは、初めて公に発表した顧客となる。

これは、Kodiakの技術を公道でテストするための実証実験や試験的な契約ではない。CevaはKodiakの有料顧客の1つであり、Kodiakは事業を継続するための収益を得る。Kodiakは11月に1億2500万ドル(約145億円)のシリーズB資金を調達したばかりだが、Waymo(ウェイモ)やAurora(オーロラ)といった競合と比べると資金が圧倒的に少なく、この分野ではまだ小さなプレイヤーの1つだ。

Cevaとの提携は、Kodiakが商業化への道をさらに進むということを示すだけでなく、Cevaの貨物業務に関する貴重な洞察をKodiakにもたらすことになると、Kodiakの共同創業者でCEOのDon Burnette(ドン・バーネット)氏はTechCrunchにメールで語った。

「これには、Kodiak Driver(コディアック・ドライバー)を、Cevaの既存インフラに最も効果的に統合する方法についての洞察も含まれます」と、バーネット氏はいう。「パートナー企業と貨物輸送を行うことは、物流業界の顧客が実際に望む製品を作り上げるために、非常に重要であると私たちは考えています」。

自動運転システムの背後にある技術は、公道で展開する準備がすでに整っているか、ほぼ整っている。ほとんどの業界の専門家たちは、貨物輸送が自動運転技術にとって最初の大規模な商業用途になると考えている。そのため、物流会社、荷主、輸送業者との提携をめぐり、業界では争奪戦が始まっている。

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転トラック輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ビア)は、2022年1月にJ.B. Hunt(J.B.ハント)を同社の完全自動運転貨物輸送の最初の顧客とすることを発表し、続いて翌2月にはC.H. Robinson(C.H.ロビンソン)と提携して試験運用を開始することも発表した。Auroraは自動運転トラックのテストを行うためにFedEx(フェデックス)と契約した他、Uber Freight(ウーバー・フライト)の顧客のために貨物の運搬も始めている。

「顧客と一緒に仕事をすることで、私たちはロジスティクスビジネスを深く理解し、彼らやその他の企業とシームレスに事業を展開することができます」と、バーネット氏は語っている。「私たちの顧客は高い要望を持っています。現実世界のシナリオで貨物輸送を行うということは、最適な時間帯や最適なルートを選んで運行することができません。そのため、当社のシステムはより強固なものになります」。

米国内における自動運転輸送のほとんどは、テキサス州で行われている。オクラホマ州では、州議会が完全自動運転車の公道における無人運転走行を認める法案を、先日可決したばかりだ。KodiakとCevaは同州で率先して自動運転による公道走行を始める企業となる。

もっとも、KodiakのトラックはまだWaymoやAuroraと同様に、運転席に人間の安全オペレーターが乗り込み、常に運行を監視することになる。ドライバーはルートの高速道路部分を自動運転モードで運行する。Kodiakはいかなるポリシーの離脱も行わないため、特定の定められた状況では、人間が介入して手動でトラックの運転を引き継ぐ必要はないだろう。

「私たちは、Kodiak Driverが高速道路で遭遇する状況に対応できると期待しています」と、バーネット氏は述べている。「人間のドライバーは、必要と感じた時にはいつでもシステムを解除する権限を持っています」。

2021年11月以来、Kodiakはダラス・フォートワースとオースティン間の200マイル(約322km)の貨物レーンで、Cevaのために毎週荷物を輸送している。この提携は2022年2月、ダラスのCeva施設とオクラホマシティの配送地点を結ぶ、州間高速道路35号線をオクラホマ州へ向かうルートにも拡大された。Kodiakによると、どちらのルートでも、長距離トラック用に作られたコディアックの自動運転トレーラーヘッドが、荷物を詰めたCevaのトレーラーを引っ張るという。

「Cevaでは、イノベーションとはビジネスに影響を与える新しいアイデアの実行であると定義しています。Kodiakとのパートナーシップは、特に現在のサプライチェーン危機や進行中のドライバー不足の観点から、当社の顧客にさらなる事業価値を提供することになるでしょう」と、Cevaの北米事業部で社長兼マネージングディレクターを務めるShawn Stewart(ショーン・スチュワート)氏は、声明で述べている。

Kodiakは、Cevaのために運行している2つのルートに加え、2019年からダラスとヒューストンの間で、そして2021年からダラスとサンアントニオの間で、毎日貨物輸送を行っている。同スタートアップは韓国のコングロマリットであるSKとも戦略的パートナーシップを結び、同社の技術をアジアで展開する可能性を探っているところだ。また、少数株主であるBridgestone(ブリヂストン)とは、幅広いパートナーシップの一環として、スマートタイヤ技術のテストと開発を行っている。

画像クレジット:Kodiak Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

セルフ型トラックレンタルマーケットプレイスFetchが事業拡大で約4億円調達

昔、筆者はトラックを所有していた。そのトラックが大好きだった。しかし、実際にトラックとして使うことはさほどなく、結局、そのトラックを売って、もっと日常的なニーズに合ったものを購入した。より「実用的」なものだ。今でもあのトラックが恋しい。

現在、年に数回、トラックをトラックとして使う必要があり、その場合、友達を説得して34回目の借用をさせてもらうか、大型ハードウェア店でレンタルを試みるしかない。店に着くまでに使えるトラックがあることを願い、列に並び、書類に記入し、保険証を忘れたために車まで走っていき、また列に並び直す。

数年前にTechCrunchが初めて紹介したFetch(フェッチ)は、このプロセスを少し簡単にする。近くにあるトラック(またはバン!)を探し、アプリで予約し、歩いて行って携帯電話からロックを解除すれば、すぐに出発することができる。今週、Fetchはチームと事業を拡大するために350万ドル(約4億円)を調達したことを発表した。Fetchを実現するために、とも言える(編集部注:Fetchは行って取ってくる、の意)。

Fetchは今のところ、いくつかの都市で事業を展開しているが、そのリストは急速に増え始めている。最初に地元アトランタで開始し、最近ではボルチモア、フィラデルフィア、ダラス、ワシントンDCに事業を拡大している。Fetchの共同創業者Adam Steinberg(アダム・スタインバーグ)氏によると、2022年末までに「さらに12都市」に進出する予定だという。

同社のビジネスモデルも、前回取り上げたときからかなり拡大している。以前は、Fetchで利用できるトラックはすべてFetchが所有していたが、最近は、空きトラックを持つ人なら誰でも貸し出せるマーケットプレイスとなっている(車両を抱える企業でも、空き車両を持つ個人でも、週7日レンタルに貸し出せれば利用できる)。

登録を済ませると、トラックの所有者は、承認された借り手が車両のロックを解除し、トラックを使えるようにするためにFetchのハードウェアを取り付ける。借り手は自分で保険に加入する必要があるが、Fetchはその保険契約を補うための二次保険も提供している。

レンタル料金は、サイズや運転距離など求めるものによって若干異なり、時間や日単位、あるいは必要な期間に応じて借りることもできる。例えば、アトランタで全長6フィート(182センチ)のピックアップトラックは、現在サイトでは1時間19ドル(約2200円)で、あるいは走行距離50マイル(80キロメートル)までなら1日70ドル(約8000円)で提供されている。

他にオンデマンドレンタカーサービスがある中で、なぜこのようなサービスを立ち上げたのだろう。理由はターゲット層だ。重量1000ポンド(約453キロ)の木材を動かしたり、古い机をオフィスから運び出したりしたいときに、休暇用のレンタカーアプリに飛びつくのは、ちょっと変な感じがする。「私たちの理想の顧客は、中小企業の経営者です」とスタインバーグ氏はいう。「ケータリング業者やイベントプランナーなど、定期的にトラックを必要とする中小企業です」。

スタインバーグ氏によると、同社は「レンタル1台あたりの収益性も達成」している。そして、現在「数百台のトラックをマーケットプレイスで稼働させていて」、その約半数がアトランタ地域にあるとのことだ。また、Home Depot(ホームデポ)とも提携し、一部の地域で同社のレンタル業務を受託している。

次の動きは?チームの拡大だ。同社の従業員は現在12人で、今後3カ月ほどで倍増させる計画だ。

今回の資金調達ラウンドはNextView Venturesがリードし、Knoll Ventures、Zeno Ventures、Nassau Street Ventures、その他多くのエンジェル投資家が参加した。

画像クレジット:Fetch

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Nariko Mizoguchi

Nikola、EVトラック量産に向けた進捗と厳しい損失を報告して激動の2021年を締めくくる

SPAC経由で上場した電気トラックのスタートアップNikola Corp(ニコラコーポレーション)は、過大な約束、納期の遅れ、投資家への虚偽説明での創業者取り調べといった過去を経て、商業活動に近づいている。

米国2月24日に発表された第4四半期決算で、Nikolaは最近のマイルストーンの数々と、さらに重要なことに電動大型トラックの量産を開始する計画を強調した。

投資家にとっては、2020年半ばの最高値以来、株式市場でNikolaの価値の多くが失われたため、この進展は冷ややかな慰めにすぎないかもしれない。それでも、同社CEOのMark Russell(マーク・ラッセル)氏が第4四半期決算のダイジェストで書いているように、この上場企業は「車両を納入し、収益を上げる」ことに向けて非常に熱心に取り組んでいる。

サプライチェーンの制約による遅延と証券規制当局の調査に悩まされてきたNikolaは、3月に電気トラックの量産を開始すると発表した。同社によると、生産準備が完了したバッテリー電気トラック「Tre」300〜500台を2022年第2四半期に顧客に届ける予定だ。

この見通しは、若干の進展を示している。強調しておくが、若干だ。重要なのは、Nikolaが、2件の証券詐欺と1件の通信詐欺で米連邦検事局に起訴され物議を醸した同社の創業者で前CEO兼会長のTrevor Milton(トレバー・ミルトン)との間にようやく一定の距離を置くことができたことだ。同社は2021年12月、米国証券取引委員会との和解の一環として、1億2500万ドル(約145億円)の罰金を支払うことに同意した。同社は分割で支払っており、ミルトン前会長に弁済を求めると投資家向けのアップデートで述べている。

ロシアのウクライナ侵攻、中国と台湾の緊張、新型コロナウイルス感染症の大流行などを受け、世界中で株式市場が苦戦した日にNikolaは注目すべき決算を発表し、同社の株価は7%超上昇している。

同社のバラ色の見通しは、電気トラックNikola Treのプロトタイプから量産への移行だけではない。2022年中にアリゾナで同社初の水素製造ハブの建設を開始し、カリフォルニアでの2つ以上のディスペンサー・ステーションのパートナーを年内に発表する予定だと明らかにした。

Nikolaはまた、Anheuser-Busch(アンハイザー・ブッシュ)やTotal Transportation Services Inc.(トタル・トランスポーテーション・サービス)といった顧客とのパイロットテスト、Proterra(プロテラ)とのバッテリー契約の確保、トラックの資金調達を支援するCorcentric Fleet Funding Solutions(コーセントリック・フリート・ファンディング・ソリューションズ)との協力など、商業化に向けたより注目すべき進展も報告した。

Nikolaは、3カ月にわたるパイロットプログラムの一環として、カリフォルニアのTTSIに最初のTre BEV(バッテリー式電気自動車)2台を納車したという。これらのトラックは、1日に複数の荷物を運搬し、合計4500マイル(約7240キロメートル)超を走行し、1回の充電で204マイル(約330キロメートル)走行した。これは、TTSIがテストしたどのBEVよりも長い航続距離だと同社は述べている(読者のみなさんへ: あなたが好きな非GAAPベースの結果は何だろう。ソーシャルメディア企業のMAU/DAU比率か、EVに関する走行距離か)。

Nikolaはまた、Anheuser-Buschと燃料電池電気トラックTre FCEVの試験運用を開始した。Nikolaによると、2台のNikola Tre FCEVアルファが、Anheuser-Buschの南カリフォルニアの流通網で3カ月間の日常的な試験運転を行っている。

しかし、上記のポジティブな取り組みには共通点がある。それは、いずれも2021年には利益を生んでいないということだ。そのため、Nikolaの2021年第4四半期および通年の決算は大赤字だ。

決算内容

Nikolaは2021年第4四半期中、あるいは2021年のどの時点でも収益はゼロだった。つまり、売上高ゼロ、営業費は1億6270万ドル(約188億円)で2021年を締めくくった。したがって、同社の通年の営業損失はまさに1億6270万ドルだ。

この結果は、1億4680万ドル(約170億円)とやや控えめだった2020年の営業損失よりも大きく、したがって悪化した。しかし、この指標には約1440万ドル(約16億円)の減損費用が含まれていて、同社の経費増加ペースは営業損失の額面から見えるよりも大きく、経費増加ベースは収益性(またはその欠如)に重大な影響を及ぼしている。

はっきりさせておくと、これはTechCrunchも市場も予想していたことだ。Nikolaは、前述のように成長に向けた加速モードのままだ。つまり、経費は増加し、収益は将来期待されていて、潜在的な利益ははるか未来にあるということだ。これらの損失は2022年に拡大し続けるかもしれないが、最初の生産用トラックの納車が始まり、これは実際の資本、つまり収益が同社に流入し始めることも意味するはずだ。

それでも、同社の決算報告には、2021年第4四半期の損失が予想より少なかったという良いニュースもあった。Nikolaは同四半期にすべてのコストを考慮に入れると(GAAP)1株当たり0.39ドル(約45円)の赤字だったが、調整後の1株当たり純損失はわずか0.23ドル(約26円)で、これは主に株式による報酬費用と規制費用の財務的影響をコスト構成から除外した結果だ。市場は、調整後ベースで1株当たり0.32ドル(約37円)の赤字になると予想していた。これは、同社の商業的な進展と相まって、励みになると解釈されるかもしれない。

良いニュースかどうかは別として、同社は米証券取引委員会との和解に関連する支払いを前倒ししており、収益はゼロで、経費は増加している。トラックを大量に、しかもポジティブなユニットエコノミーで販売できるかどうかは、依然として不透明だ。それでも、投資家は本稿執筆時点でNikolaを30億ドル(約3470億円)と評価している。これは、同社のトラックが今後走り出し、そして走り出したときに利益が発生する、というかなり大きな賭けだ。

画像クレジット:Nikola Corp.

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(文:Kirsten Korosec、Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

スウェーデンのVoltaが全電動トラック生産開始に向け562億円の評価額で約300億円調達

スウェーデンの電気自動車スタートアップVolta Trucks(ボルタトラックス)は、ガソリンを大量に消費し、不恰好な既存のトラックよりも安全で二酸化炭素排出量が少ない、より優れた都市部用の配送車両やその他のトラックを製造できると考えている。同社は、2022年後半のVolta Zeroトラック商業生産開始に向けた大詰め作業を行うために、大きな資金調達を完了させた。

同社はシリーズCラウンドで2億3000万ユーロ(約300億円)を調達した。同ラウンドでは同社を4億9000万ドル(562億円)強と評価したと思われる。健全な顧客リストを持つVoltaはこの資金を、最初のトラックが組立ラインを離れる前にエンジニアリングと事業運営に充てる予定だ。都市部の貨物輸送用に設計された初の全電動商用貨物車両になると同社がうたうVolta Zeroの予約受注額は現在12億ユーロ(約1562億円)を超え、台数にして5000台超と発表している。Voltaの広範な事業戦略は、トラックの販売とトラッキング・アズ・ア・サービスモデルによる車両の提供の両方に基づくものとなる。

2021年9月の同社の3700万ユーロ(約48億円)のシリーズBをリードしたニューヨーク拠点のLuxor Capitalが、今回のラウンドも主導している。不動産投資会社のByggmästare Anders J Ahlström(Volta同様ストックホルムに拠点を置いている)、サプライチェーンサービス大手のAgility、B-FLEXION(旧Waypoint Capital)も参加した。Voltaは評価額を公表していないが、Pitchbookのデータによると現在4億9000万ドル強で、この数字は今回、同社に近い関係者にも確認したものだ。

Voltaの成長と、同社がこれまでに3億2500万ドル(約373億円)超という多額の資金を調達したことは、自動車業界における大きな変化の一部だ。新しい製造技術、新しいバッテリー技術、新しいエネルギーインフラに取り組むスタートアップは、より安全でクリーンな技術で現状をディスラプトする新しい自動車を製造する絶好の機会を目にしている。

おそらくTesla(テスラ)が乗用車で収めたような電気自動車分野での成功に驚いた投資家は、これらのベンチャー企業に資本と、そして潜在的な顧客に信頼性を与えるべく資金を投入している。これらはすべて、自動車を次の技術革新の波に乗せるために不可欠な構成要素だ。技術革新で、Voltaのようなトラックは、車両やそれを利用する企業が新たなレベルの生産性を発揮できるよう、膨大なデータを収集・処理できるハードウェアプラットフォームとなる。

少なくとも理論上はそうだ。そこにたどり着くプロセスは、どうしても当初のバラ色のプロジェクトより遅くなり、コストも高くなる。これこそが、この分野の企業にとって大規模な資金調達を行い、市場投入のために戦略的投資家を集めることが重要である理由だ。

Voltaの2022年のロードマップには、Volta Zeroの設計を検証するためのプロトタイプ製造のエンジニアリングと生産事業への投資が含まれる予定だ。

交通渋滞、狭い道路、自転車などのマイクロモビリティ利用者の急増のために、配達トラックは珍しくないが危険なものでもあるロンドンやパリのような都市で行う試験運行を早期顧客に展開する。そうした環境のためにこれらの都市はVoltaのトラックにとって理想的なマーケットだ。同社は、ガス排出量が減るだけでなく(初の車両の電動航続距離は150〜200キロメートルで、2025年までに120万トンのCO2を削減するとしている)、ドライバーの視界も大幅に改善される(ドライバーが前席中央に座った場合220度)。ただし、当初は自動運転機能は搭載されないようだ。

「将来的には自動運転も視野に入れていますが、街中で使用する配達車両として設計していて、車内の荷物を車両から最終目的地まで届ける必要があります。そのため、この車両の目的には常に人の関与が必要で、自動運転はこのタイプの車両にはあまり関連性がありません」と広報担当者は述べた。

Voltaは、今回調達した資金の一部を使って、引き続き7.5トンおよび12トンの小さめの完全電動Volta Zero派生モデル(最初のモデルは16トン)の開発を行い、そしてゆくゆくは18トンの大型モデルも開発する。

同社はオーストリアに生産施設を建設中で、2023年に5000台、2024年に1万4000台、2025年には最大2万7000台のトラックを生産する計画だ。

Volta TrucksのCEOであるEssa Al-Saleh(エッサ・アルサレー)氏は声明で「応募者多数で成功したシリーズC資金調達ラウンドの終了は、外部が当社の旅路を肯定的にとらえていることを示しています」と述べた。「商用車分野の革新者および破壊者として、当社は業界をリードするペースで取り組み、大きな野望を抱いています。本日、シリーズC資金調達ラウンドを終了し、2億3000万ユーロを調達しました。これにより、当社がスタートアップから完全電気トラックメーカーに移行する中で、すべての目標を達成するための財務的な余裕が生まれました。5000台を超える車両と12億ユーロを超える受注は、当社の先駆的な製品とサービスの提供が、顧客から求められ、必要とされているという確信を当社と投資家に与えるものです」。

画像クレジット:Volta Trucks

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

Ibex Inversterの最新のファンドはモビリティ革命に賭けている

Ibex Investors(アイベックス・インベスターズ)のファウンダー、CEOであるJustin Borus(ジャスティン・ボラス)氏が運輸業界とそこに迫りつつある技術変革に目を向けた時、彼は人生最大のチャンスを見つけた。そして今、アーリーステージモビリティ企業向けの1億1300万ドル(約130億円)のファンドでチャンスに賭けようとしている。

「次の5年から10年の間に、過去100年以上の変化が起きるでしょう」とボラス氏は、自動運転車へのシフトをはじめとする輸送業界における変化について語った。「私はこのファンドを1996年か1997年のインターネットファンドと同じように見ています」。

Ibex Investorsは、コロラド州デンバー拠点で、ニューヨークとテルアビブにオフィス構える会社で、2003年に「マルチステージ」と「マルチストラテジー」の投資戦略を掲げて設立された。これが意味するのは、シードステージからIPOまであらゆる段階で、企業に投資する会社だ。

この会社の構造は、伝統的ベンチャーキャピタルとは異なる。厳密には、Ibexは投資アドバイザーとして登記されているが、投資銀行ではない。Ibexはいくつかの特化したVCファンドを保有しており、イスラエル拠点のあらゆる分野のスタートアップを対象にした1億ドル(約115億円)のアーリーステージファンド、イスラエルに焦点を絞ったヘッジファンド、モビリティに特化した株取引を主とするヘッジファンドなどがある。他にもIbexは、Revel(レベル)のような後期ステージのモビリティスタートアップへの1回限りの投資も行っている。全体で同社は、約12億ドル(約1382億円)の資産を管理している。

今回の最新のファンドはアーリーステージのモビリティスタートアップに焦点を当てているが、イスラエルやその他の地域には限定していない。これによってIbexは、新たに膨大な数のモビリティスタートアップに門戸を開く。

Autotech Ventures(オートテック・ベンチャーズ)から最近Ibexに移ったJeff Peters(ジェフ・ピーターズ)氏は、ファンドはシェアリング、コネクティビティ、電動化、および自動運転のスタートアップを対象にしていると語った。

ずいぶん広いカバー範囲だ。Ibexはこのファンドの開始にあたって2件の投資を行った。その1つのAifleet(アイフリート)は、テキサス州オースチン拠点のスタートアップでトラック輸送の待ち時間をなくすためのソフトウェアを開発した。もう1つの投資先、Visionary AI(ビジョナリーAI)は、イスラエルのデジタル画像処理会社だ。ボラス氏は、トラック輸送は自動運転技術が最初に破壊的変化を起こす分野の1つだと信じているとTechCrunchに語った。

Aifleetの共同ファウンダー、CEOであるMarc El Khory(マーク・エル・コーリー)氏は、Ibexに惹かれた理由の1つは、この会社のリミテッドパートナーだと語った。

「彼らは、自動車業界のかつての幹部に私たちを紹介してくれました」と語り、その1人は大手トラック製造メーカーの元社長だったことを明かした。「私たちはテクノロジー企業ですが、トラック輸送事業も行っているので、あのようなつながりは会社にとって驚くほど価値があります」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

自律走行トラック輸送のWaymo Via、新たな提携で20万の荷主・輸送業者へのアクセスが可能に

Waymo(ウェイモ)の自律走行型トラック輸送・貨物部門であるWaymo Viaは、商業化に向け長期的な戦略パートナーをまた1つ確保した。

Waymo Viaは、荷主と輸送会社をつなぐ貨物物流技術サプライヤーであるC.H. Robinson(C.H. ロビンソン)と、今後数カ月以内にC.H. Robinsonの顧客の1社向けに、Waymoの試験車両がテキサス州で貨物を輸送する試験運用を開始すべく準備を進めている。

この試験運用は、あらゆる運送業者が利用できるWaymoのAV技術と、C.H. Robinsonの300万超のトラック運送レーンに関する物流データおよび約20万の荷主と運送業者のネットワーク(その多くはWaymoが関心を寄せる中・小の運送業者)へのアクセスを組み合わせることを目的とした、両社のより大きな提携の一部だ。

「この提携は、北米全域でAVがどのように、どこで発展し、どのように運送業者をサポートするかに影響を与える可能性を秘めています」とWaymoの広報担当者はTechCrunchに語った。「Waymo Viaは、安全性と効率性を最適化する自律型ソリューションを提供します。C.H.Robinsonは、物流業界特有のニーズのために技術を進化させ、荷主と運送業者にとって最も利益があるところに適用するのをサポートするために、十分な物流の専門知識とデータをもたらします」。

Waymo Viaは1月、運送会社のJ.B. Hunt(J.B.ハント)が、Waymoが今後数年以内に実現すると予想している完全自律型貨物輸送ルートの最初の顧客になると明らかにした。2021年末にWaymo ViaはPeterbiltの大型トラックでUPSの貨物を輸送するという延長されていた試験運用を終了した。

2月16日に発表されたこの最新の提携では、今後数年にわたってC.H.Robinsonの顧客と複数の試験運用を実施する予定だ。WaymoもC.H. Robinsonも、使用する車両台数、試験運用の開始時期、期間など、初期パイロットに関する具体的な情報は共有しなかった。ただし、試験運用はダラスからヒューストンへの輸送レーンに沿って行われると述べた。

C.H. Robinsonとの提携は、Waymoに新しいビジネスモデルであるDriver-as-a-Service(ドライバー・アズ・ア・サービス)を柔軟にする機会を与える。ここには、WaymoのAVシステムであるWaymo Driver向けに設計・装備されるトラックを製造する、Daimler Truck(ダイムラー・トラック)などOEMとの提携が含まれる。目標は、輸送業者やフリートがこれらのトラックを購入することだ。このトラックには、自動運転トラックに必要なすべてのハードウェアが搭載され、Waymo Viaはハードウェアとソフトウェアの継続的なサポートとサービスを提供する。

要するに、Waymoはフリートを組み立て、所有し、運用しようとしているのではない。Waymo Viaのトラック事業商業化責任者であるCharlie Jatt(チャーリー・ジャット)氏は2月15日の記者会見で「Waymo Driverを搭載したトラックを、業界のオプションとして提供したい」と述べた。「そして、C.H. Robinsonのような貨物・物流の専門企業が本当にその技術を活用してビジネスを改善し、荷主顧客へのサービス提供でそれらの資産を運用することができるようになります」。

Waymoは、フェニックスでのロボタクシーサービスを通じて、完全自律走行車を商業的に実行可能な規模にした経験があるが、Waymo Driverを貨物に適用するのに最も適した場所については、まだ学ぶべきことがたくさんある。そのためC.H. Robinsonとの提携は有益だ。両社は長距離トラック輸送は、特に人間のドライバーを確保するのが難しいため、自律走行ドライバーを最も必要としている分野だという仮説を立てており、C.H. Robinsonのデータはその仮説を確かめるのに役立つ。

C.H. Robinsonにとっては、Waymo Viaとの提携は単に技術のためのAV技術導入にとどまらない。C.H. Robinsonの最大の関心事は、運送会社がビジネスの効率性を見出すのを支援することであり、それはドライバー不足の影響で苦労している自社の顧客にさらなる効率をもたらす。

C.H. Robinsonの最高コマーシャル責任者であるChris O’Brien(クリス・オブライエン)氏は、記者会見で次のように述べた。「年末に運送会社と行う典型的な会話は、『C.H. Robinson、来年のキャパシティはどうなっているのか』というものです。そして、その約束に基づいて、運送会社は雇用、そしてトラクターやトレーラーのリースや購入を決定するのです。ですから、我々は自律走行を、他とは違う、効率的で省力化され、ドライバーを短距離輸送に充てることができるオプションを提供できる、もう1つの方法だと考えています」。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

物流J.B. HuntがWaymoの自動運転貨物輸送の最初の顧客に、提携を拡大

自律走行車両企業のトラック輸送・貨物輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ヴィア)は、物流企業のJ.B. Hunt Transport Services(J.B. ハント・トランスポート・サービス)との既存の提携を、試験から長期戦略提携に拡大する。

この契約の一環として、J.B. HuntはWaymo Viaの完全自律走行のドライバーレス貨物輸送の最初の顧客となる。Waymo Viaは今後数年以内にドライバーレス輸送を達成すると見込んでいる。

WaymoとJ.B.Huntは2021年に、米国内で最も交通量の多い貿易回廊の1つであるテキサス州のヒューストン・フォートワース間のI-45で「試験走行」を開始した。Waymoによると、Waymo Driver自律走行プラットフォームを搭載したWaymoのDaimlerトラックは、試験終了までに86万2179ポンド(約391トン)の貨物を輸送し、衝突やスピード違反などはなく、100%の定時集荷・配達を行い、貨物は100%無傷だったという。試験走行には毎回、商業免許を持つトラックドライバーとソフトウェア技術者が同乗してオペレーションを監視した。

J.B. Huntのサステナビリティ最高責任者兼執行副社長であるCraig Harper(クレイグ・ハーパー)氏は声明で「2021年行ったWaymo Viaとの試験走行は、自律走行技術を当社の業務内でどのように導入できるかを実際に理解する上で本当に役に立ちました。この戦略的提携はその勢いを継続し、顧客にとって価値あるソリューションとするために詳細をさらに模索していきます」と述べた。

画像クレジット:Waymo

2022年以降、両社はテキサス州の同じルートでさらにいくつかの試験を開始し、ドライバーレスの自律的オペレーションに備えるつもりだ。

Waymoは、J.B. Huntとの次の試験で達成したい具体的な目標について、ドライバー・アズ・ア・サービスモデルを固めるということ以外は共有しなかった。ここには、WaymoがDaimlerなどのOEMと提携して、Waymo Driverを搭載した自律走行トラックを製造することが含まれる。これらのトラックは、J.B. Huntのようなフリートや運送業者が直接購入し、Ryderのようなパートナーによってサービスが展開されることになる。

Waymoの広報担当者であるJulianne McGoldrick(ジュリアンヌ・マックゴールドリック)氏は「これは長期的なビジョンです」とTechCrunchに語った。「そうしたビジョンにスケールアップするまでの間、我々はトラックのテストフリートを有し、そうした車両と当社の自律走行専門家とで行う試験は、当社が完全に自律走行オペレーションに到達した時に、J.B. Huntのような顧客のために人間のドライバーなしで貨物輸送するためのすべての基盤が整っているよう、その運用慣行を得るためにあります」。

提携中にWaymoとJ.B.Huntはまた、自動運転トラックを使用した集合的進歩についてより多くを学ぶために、共同で運用および市場調査を行うことを計画していて、さらにはJ.B. Huntのデジタル貨物マッチングプラットフォームであるJ.B. Hunt 360との技術統合を検討する。

もちろん、テキサス州などの道路を走る自動運転トラックは、Waymoのものだけではない。Waymo Viaの競合相手の1社であるTuSimple(トゥシンプル)はこのほど、初のドライバーレス自律走行トラックを完成させ、その技術は事実上、より進歩的なマイルストーンだ。Aurora(オーロラ)とKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)も、テキサス州で試験的に貨物を運んでいる。

そうしたことについて、Waymoは心配していない。Alphabet傘下の同社の戦略は、自律走行に必要な条件を満たすことよりも、パートナー企業とより緊密に連携することだと、マックゴールドリック氏はいう。

「この業界における多くのパートナーシップやコラボレーションは、主に単発の試運転や試験が中心で、あまり肉付けされていませんでした」と同氏は指摘した。「今回の複数年の契約はすべてをカバーするものであり、単に試験のための試験を行うのではなく、パートナーとの協力関係を深いものにすることを示しています。完全な自律走行がどのようなものか、パートナーと一緒に作り上げ、準備が整ったときにできるだけ成功するようにしているのです」。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動ピックアップトラックのRivianは2021年に1000台超を生産

米国時間1月10日、米国の電気自動車メーカーRivian(リビアン)は2021年に1015台の車両を生産したことを報告した。2021年12月に同社が下方修正した予測と一致している。

Rivianは2021年末までに920台を配車したとこの日に発表されたリリース文に書かれている。同社のピックアップトラック R1Tには7万1000台以上の「事前注文」(すなわち返金可能な予約)が入っていると、2021年12月の株主宛てレターに書かれていた。

当初Rivianは、年内に1200台の車両を生産することを目標としていた。2021年12月に同社は、CEOのRJ Scaringe(RJ・スカレンジ)氏をはじめとする幹部が、予測の下方修正を発表し、サプライチェーン問題およびバッテリー生産の課題により、出荷車両が数百台減る可能性が高いと語った。

12月の決算会見でスカリンジ氏は、生産について複雑なオーケストラに2度なぞらえた。

「この種の生産システムをまとめること、これは前にもいいましたが、本当に複雑なオーケストラのようです」とスカリンジ氏は言った。「何千ものパーツを納める何百というサプライヤーがいて、生産施設では数千台のロボットが稼働し、数千人のチームメンバーが働いて車体を組み立てています」。

目標を引き下げたにもかかわらず「ほぼ予定通り伸びている」とスカリンジ氏は決算会見で話した。

「バッテリーの制約は、高度に自動化されたラインがもたらした人為的な結果にすぎません」と同氏は12月にいう。「こちらも先にお話したように、私たちにとってこれは長期的課題ではありません。まもなく第二の生産ラインができて、バッテリー・モジュール生産は工場の他の部分よりも能力的にはるか先をいくようになります」。

Rivianが生産を強化する一方で、既存自動車メーカーのGM(ゼネラル・モーターズ)とFord(フォード)は、自社の電動ピックアップトラックの発売に向けて準備を進めている。Fordは1月4日、近日発売予定の電動ピックアップトラックF-150 Lightningの生産能力を2倍近く引き上げ、2023年半ばまでに年間15万台にして顧客需要に応えると発表した。F-150 Lightning最初の納車は2022年春となる予定だ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォード、電動ピックアップトラックF-150 Lightningの生産能力を倍増へ

Ford(フォード)は米国1月4日、顧客の需要に応えて2023年半ばまでに、次期電動ピックアップトラックF-150 Lightningの生産能力をほぼ倍増させて年間15万台とすると発表した。

F-150 Lightningトラックは、税制優遇措置適用前の仕向け地費用を含まない基本価格が3万9974ドル(約464万円)で、ミシガン州ディアボーンのルージュ電気自動車センターで生産される予定だ。

この新しい電動ピックアップトラックに約20万件の予約(実質的には車両購入前の返金可能なプレースホルダー)が入っていることを受け、同社はこの決定を下した。こうした需要が本物かどうかが試されるのは、同社が今週末、予約権保持者の第一陣にトラックの注文を呼びかけるときだ。

予約は段階的に解除され、今後数週間から数カ月でより多くの顧客が注文の機会を知らされるはずだと、同社は述べた。招待状はEメール、またはFord.comのアカウントにログインすることで送られてくる。

生産がさらに増えるということは、当然部品も増えるということだ。Fordはバッテリーセル、バッテリートレイ、電気駆動システムなど、EVに必要な部品の生産能力を高めるために、主要サプライヤーや自社の製造施設ローソンビル部品工場、ヴァンダイク電気パワートレインセンターと協業しているという。

画像クレジット:Ford

一方、F-150 Lightningの開発は進んでいる。同社によると、Lightningは今週、2022年後半の量産開始に向けてプリプロダクションの最終段階に入ったとのことだ。これらの生産レベルのトラックは、実環境でのテストに使用される。顧客に販売するF-150 LightningおよびF-150 Lightning Proの最初の納車は今春始まる予定だ。

今回の発表の数週間前に、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は2023年までに現在の生産能力の3倍を目標に、2022年に電気自動車のMustang Mach-Eを増産する計画だと述べていた。

Fordは2021年11月に、電気自動車の生産能力を2023年までに世界で60万台まで引き上げると発表した。この目標はMustang Mach-E、F-150 Lightning、商用E-Transitバンに分散される見込みだ。Fordがこの60万台という数字を達成すれば、今後2年間に生産する予定の台数の2倍になる。

同社は、2025年までに電気自動車に300億ドル(約3兆4810億円)超を投じると明らかにした。この投資には、SK Innovation(SKイノベーション)と共同でバッテリー工場を新設するための114億ドル(約1兆3230億円)も含まれている。テネシー州に1つ、ケンタッキー州に2つある工場では、次世代Ford車とLincoln車の動力源となるリチウムイオンバッテリーを生産する予定だ。

画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

FedExが初の完全電気自動車GM Brightdrop配送バンを受領、カーボンニュートラル実現に向けまた一歩

FedEx(フェデックス)は、500台の注文のうち、最初の5台のGM(ゼネラル・モーターズ)製電気配送バンを受け取ったと発表した。この動きは、2040年までに世界中で配送車両をすべて電気自動車にし、カーボンニュートラルを実現するというFedExの目標にとって重要なランドマークとなるものだ。

「初めてのBrightdrop(ブライトドロップ)EV600の納入は、米国を代表する2つの企業のコラボレーション精神から生まれた歴史的瞬間です」と、FedExのMitch Jackson(ミッチ・ジャクソン)サステナビリティ最高責任者は述べた。「当社の集配車両を電気自動車に切り替えることは、2021年初めに発表した当社の野心的なサステナビリティ目標の達成に不可欠です」。

画像クレジット:FedEx

FedExは、BrightDrop EV600バンの主要顧客として発表され、ここしばらくはBrightdropの電動パレットEP1をテストしてきた。Chevrolet(シボレー)とCadillac(キャデラック)を所有するGMは、2021年初めまでBrightdropのビジネスユニットを引き伸ばしていた。「EV600は、従来のバンとステップインバンの長所を1台にまとめ、ドライバーの安全性、快適性、利便性を第一に考えています」と、BrightdropのCEO、Travis Katz(トラビス・カッツ)氏は述べた。「また、GMの歴史の中で、コンセプトから市場に出るまで最も早く作られた車でもあります」。

全輪駆動のEV600は、600立方フィート(約17立方メートル)の荷室空間を持ち、一回の充電で最大250マイル(約400km)走行することができる。車内では、カーゴエリアのセキュリティシステム、オートロックドア、モーションセンサー付き室内照明が装備されている。また、自動緊急ブレーキや駐車支援機能も備えている。EP1は、店舗や倉庫でよく見られるトロリーの一種で、23立方フィート(約0.65立方メートル)のスペースと電気モーターを備えており、重いものを簡単に移動させることができる。

最初の5台のEV600は、カリフォルニア州イングルウッドにあるFedExのエクスプレス施設に導入される。FedExはこの車両をサポートするため、カリフォルニア州内にすでに設置されている500基の充電ステーションを含め、同社の施設ネットワーク全体に充電ステーションを建設中だ。また、電力会社と協力し、充電インフラに必要な電力網の容量を評価している。

FedExが、GMと共同で電動配送車を導入する一方で、ライバルのUPSは英国のArrival Ltd.(アライバル)に1万台の電動配送車発注している。一方、Amazon(アマゾン)はRivian(リビアン)の電動配送車10万台を発注し、さらに同社の株式を20%保有している。AmazonはFedExとUPSの両社に先駆けて、すでにロサンゼルスサンフランシスコの両都市でRivianの電動配送を開始している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Steve Dentは、Engadgetの副編集長。

画像クレジット:FedEx

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

Canooが自動車製造VDL Nedcarとの欧州EV委託生産契約を終了、VDL Groepと米国生産に向け提携へ

EV(電気自動車)スタートアップのCanoo(カヌー)は、米国時間12月15日に米証券取引委員会に提出された書類によると、オランダの自動車製造会社VDL Nedcarとの欧州における製造委託契約を終了するという。別の提出書類では、Canooは同じくオランダの自動車製造会社であるVDL Groepと、米国での車両生産に関する新たな契約を模索することも明らかになっている。

「VDL Nedcarが当社に製造委託の選択肢を提供するために投資した数カ月の努力に感謝します。ただ、米国での製造が、当社の使命と、当社と同じくハイテク製造に投資している地域社会や州に投資するという当社が現在注力する点に合致していると判断しました。それが、米国の雇用とイノベーションを生み出します」とCanooのCEO、Tony Aquila(トニー・アクィラ)氏は提出書類の中で述べている。「オクラホマ州とアーカンソー州からの支援により、多くの面でより早く、より少ないリスクで商業生産を開始することができます」。

提携解消の一環として、VDL NedcarはCanooからの前受け金3040万ドル(約34億6560万円)を返還し、また新しい提携の一環として、VDL GroepはCanooの株式を840万ドル(約9億5760万円)で取得する。

このニュースが発表される1カ月前に、Canooは本社と先進的な製造施設をWalmart(ウォルマート)の本社もあるアーカンソー州ベントンビルに移転する計画を発表していた。アクィラ氏は第2四半期決算発表で、VDL NedcarによりCanooの「Lifestyle Vehicle」が2023年には最大2万5000台生産されると予想していたが、今後はアーカンソー州で生産することになるようだ。

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Canooはオクラホマ州でも「メガ・マイクロファクトリー」を建設中で、2023年後半の稼働を目指している。同工場では、Canooのピックアップトラックや多目的配送車などを生産する。同州は、Canooの工場と製造の次の段階を支援するために、3億ドル(約342億円)の、希薄化のない金銭的な優遇措置を約束した。Canooは、アーカンソー州が提供する同様の優遇措置に関する情報提供の要請に応じなかったものの、それが存在する可能性は高いと思われる。SECへの提出書類によると、Canooは、VDL Nedcarとの委託製造の協議が終了した今、オクラホマ州とアーカンソー州の優遇措置を活用することができ、欧州で製造した場合にかかる25%の関税なしで、第4四半期に間に合うよう車を納入する能力を得ることになる。

バイ・アメリカン法を含む1兆ドル(約114兆円)規模のインフラ法案が正式に署名されたため、Canooは連邦政府との契約やその他の政府優遇措置を狙う可能性がある。この法律は、非国産品の用途を制限し、最終製品は米国内で製造されなければならないとするもので、米国内で使用され、連邦政府との契約に関わる製品に適用される。

「加えて、私たちの製造は100%米国で行われることになります。また、部品の96%を米国とその同盟国から調達するという、もう1つの大きなマイルストーンを達成したことを誇りに思います」とアクィラ氏は語った。

提出書類によると、製造パートナーを変えることで、Canooはサプライチェーンの脆弱性を減らし、市場投入のスピードを上げ、さらなるイノベーションと知的財産の創出をより安全にコントロールし、地域社会における高度な製造業の雇用を増やし「保証リスク、関税、海外輸送コストを排除」して1台あたり数千ドル(数十万円)を節約することが期待されるという。

また、Canooは12月15日、精緻化した2022年から2025年までの製造戦略と生産ロードマップに関するアップグレードされたガイダンスを発表した。来年は3000~6000台(従来見込みは500~1000台)の生産を目指す。2023年には、1万4000~1万7000台(従来見込みは1万5000台)、2024年は4万~5万台、2025年は7万~8万台の生産を目標としている。

画像クレジット:Canoo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

軍用自動運転車両開発Robotic Researchが約258億円調達、商用分野に進出

過去20年間にわたり米国防総省向けにオンロードおよびオフロードの自律走行車を開発してきた自動運転技術企業のRobotic Research(ロボティック・リサーチ)が、シリーズAラウンドで2億2800万ドル(約258億円)を調達した。同社は、SoftBank Vision Fund 2とEnlightenment Capitalがリードした今回のラウンドで得た資金を商業分野での事業構築に使う。

Crescent Cove Advisors、Henry Crown and Company、LiDAR企業のLuminarもこのラウンドに参加した。

Robotic ResearchのCEOであるAlberto Lacaze(アルベルト・ラカゼ)氏によると、同社の商用部門ブランドのRR.AIは現在、AutoDriveと呼ばれるあらゆる車両で使える自動運転キットを米国、カナダ、オーストラリア、欧州、サウジアラビアの道路を走っている約150台の大型輸送バス、大型長距離トラック、ヤードトラックに搭載している。今後は規模の拡大が課題となる。

Robotic Researchはこれまで、米陸軍や海軍のトラックを自動化してきた。地図に載っていない、GPSも良い通信機能もない、そして道路も整備されていない地域で活動するトラックだ。また、同社の自律走行スタックには、ステレオやStructure from Motion(一連の2D画像から3D構造を推定するレンジイメージング技術)など、通常の商用自律走行車が使用しないセンサーも追加されている、とラカゼ氏は話す。その結果、悪天候の道路で自動運転トラックを走らせることをいまだに恐れている競合他社よりもRobotic Researchは優位に立っていると考えている。

「ほとんどの人は、ロボティクスを魔法のようなソフトウェアだと思っています」とラカゼ氏はTechCrunchに話した。「実際には、ロボティクスは切手収集のようなものです。滑りやすい道路や埃にまみれ線が見えない道路など、さまざまなエッジケース(特殊な問題をともなう可能性がある状況)を集めなければなりません。私たちはたくさんの切手を集めました。ある意味、軍事用アプリケーション向けの一般的な日が、商業用アプリケーションのエッジケースです」。

RR.AIはすでにその技術を広く展開していて、今回の資金提供は特に商用アプリケーションの拡大と産業化を目的としている、とラカゼ氏は話す。

Robotic Researchは2020年、コネチカット州交通局との契約を獲得した。この契約では、長さ40フィート(約12メートル)の電動バス3台を自動化し、CTfastrakの回廊を走行させる。計画は、自動化されたバス高速輸送ライン、バス隊列走行、精密なドッキングへとスケールアップしていく。バスはレベル4の性能を持っているが、安全のために人間のオペレーターが乗車するとラカゼ氏は説明する(SAE、自動車技術者協会の定義では、レベル4の自律性とは人間の介入を必要としないが、特定の条件下でのみ動作可能なシステムを指す)。

トラック輸送の分野では、RR.AIはカナダの製材所と協力して丸太の運搬を行っているが、米国関連の大きな発表を間もなく行うとしている。また、数カ月以内に農業分野でのパートナーシップも発表する予定だ。

RR.AIの市場戦略は「low hanging fruits」、つまり規制が少ない、あるいは規制を回避しやすい分野に焦点を当てることだ、とラカゼ氏はいう。

カメラ、LiDAR、レーダーなど、自動運転に必要なセンサーはまだ非常に高価なため、大型で耐久性の高い車両に搭載することで、センサーのコストを長期的に償却することができると指摘した上で「現コストでのセンサーを使って生産し、利益を生み出せるような分野に取り組みたいと思っています」と同氏は話す。

「オートノミー分野で創業以来、利益を出し続けている企業は、おそらく当社だけでしょう。それができたのは、小さな市場に専念してきたからですが、その間、そうした市場が現在の収益をもたらしてくれました。2025年までトラックの配備を待つ必要がないので、より早く成長し、より早く走行距離を伸ばせます」。

将来ロボットタクシーで運用することはRR.AIにとって問題外ではないとラカゼ氏はいう。同社の戦略は、規制環境が改善され、センサーのコストが下がるのを待ってから、新たな分野に進出するというものだ。しかし、RR.AIが快適な産業で規模を拡大しようとするとき、市場には十分な数の自動車が存在しないかもしれない。

「自社で自動車を生産していないため、自動車メーカーの生産に頼っています」とラカゼ氏は話す。「我々は、規制の観点から今すぐ配備することが理に適っている地域で利用可能な車両を見つけるために、あらゆる手段を用いて慎重に検討しています」。

画像クレジット:Robotic Research

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

CO2排出量も抑えた自律走行ポッドとEVによる貨物輸送サービスのスウェーデンEinrideが米国進出

スウェーデンの運送テクノロジー企業Einride(アインライド)が米国での事業展開を開始すると発表した。同社は正式に、GE Appliances (GEアプライアンス)、ブリヂストン、Oatly(オートリー)などのパートナーと協力して、同社の輸送ソリューション(自律「ポッド」、電気トラック「Saga」オペレーティングシステムなど)のテストを開始する。

Einrideはまた、米国の道路事情と規制に対応した同社ポッドの米国版を導入することも発表した。さらには、造船所からのコンテナ輸送など、広範な運搬ニーズに対応するよう設計されたモジュール車両である平台型ポッドの導入も発表した。

Einrideは欧州で最大の電気トラック保有台数を誇る運送会社だ。運転席がなく、安全管理者用のスペースもない同社の自律走行ポッドも電気自動車だ。Kodiak Robotics(コディアクロボティクス)TuSimple(ツーシンプル)Waymo(ウェイモ)など、自律輸送分野の他の大手企業は、必ずしも電気自動車のみによるアプローチを追求していない。

「世界のCO2排出量の7~8%は陸上重量貨物輸送によるものです」とEinrideのCEO兼創業者のRobert Falck(ロバート・フラック)氏はいう。「Einrideを起業したのは、陸上貨物輸送の最適化と自律化をディーゼル車ベースで進めることで、却ってCO2排出量が増えるのではないかと心配したからです。ディーゼル車のほうがずっと安価に最適化と自律化を実現できますから」。

Einrideは、GEアプライアンスとの提携により、7台の自律走行電気トラックを配備し、ケンタッキー州ルーイビルにあるGEAの約3平方kmのキャンパス、およびテネシー州、ジョージア州にあるその他のロケーションを走行させる予定だ。これにより、GEAは今後5年以内にCO2排出量を870トン削減する予定だ。EinrideはGEAとの提携を今後数年で急速に拡大して電気トラックの配備台数を増やしていくという。

ブリヂストンとの提携はどちらかというと技術寄りの提携で、持続可能モビリティソリューションを共同開発し、クラス8の電気自律運転車両の実現を目指す。

「ブリヂストンとの協力により、Einrideは、ブリヂストンのスマートセンシングタイヤから安全性と効率性に関する新たなデータを収集できるようになります。ブリヂストン側も同社の先進のモビリティテクノロジーをEinrideに搭載されているオンボード車両プラットフォームに組み込むことができます」とEinrideの広報担当者はいう。「当社はブリヂストンとのサブスクリプション契約の下で、同社の米国輸送物流ネットワーク向けに、接続された電気トラックとデジタルサービスを提供することで、2025年までにブリヂストンの陸上輸送ニーズの大半を電化することを目指しています」。

オーツミルク企業であるOatly(オートリー)は、すでに欧州でEinrideと提携しており、その提携関係を米国にも拡大しようとしている。Einrideは米国への進出について詳細を明らかにしていないが、フラック氏によると、2020年からオートリーの欧州の輸送のデジタル化と電化を進めたのと同じような形で事業展開していくつもりだという。Einrideは欧州で、オートリーに電気トラックとSagaプラットフォームを提供することで、電化を迅速に推進し、特定経路におけるCO2排出量を87%削減したという。米国でも同様にしてオートリーの電化を進めていくことになるだろう。

Einrideの米国進出と同時に、Sagaプラットフォームのアップデートも実施される。Saga(ノルウェー語で「すべてを知っている」という意味)は、Einrideの電気トラックおよびポッド全体で稼働するIoTシステムだ。同社はこのシステムによって経路を最適化し、大規模電気トラック集団を稼働している。Einrideは、Sagaを、重量輸送産業に変革をもたらし、企業の保有車両の電化を推進する普遍的なオペレーティングシステムしたいと考えている。

「現在のトラック輸送産業は極度に分断化されていおり、連係が進んでいません」とフラック氏はいう。「電動化を進めるのは簡単ではありません。電動化の範囲とか実際の導入度といったことが目的ではないのです。当社のSagaプラットフォームとオペレーティングシステムを使えば、既存のテクノロジーを利用して、競争の激しいビジネスケースにおける米国の陸上貨物輸送システムの最大40%を電動化できます。どちらかというと、ハードウェアを改善するというよりも、新しい考え方を導入するといったほうが近いと思います」。

Einrideのポッドは安全管理責任者が同乗しないため、レベル4の自律性の達成方法について新しい考え方を取り入れている(米国自動車技術者協会によると、レベル4とは、車両が、特定の条件の下で人間の介入なしに運転のあらゆる側面を処理できることを意味する)。

Einrideの全システムは、安全管理ドライバーが存在しないため、異なる方法で構築する必要がある、とフラック氏はいう。他の運送会社は前の座席に人間のオペレーターを同乗させて距離を稼いでいるが、Einrideはフラック氏が「よちよち歩き式アプローチ」と呼ぶ方式を採用している。この方式では、ハイハイ、ゆっくり歩きという具合に車両に運転を教えていき、徐々に機能を高めていく。

「当社は従来のレベル4から開始し、自律運転とリモート運転機能を組み合わせてアプリケーションの使い勝手を向上させました。その結果、柔軟性、および自律運転、人間のアジリティ、意思決定の利点の両方を獲得できました」とフラック氏はいう。

Einrideは2019年から欧州で公道での自動運転システムの試験走行を開始しているが、米国での試験開始日はまだ決まっていない。

「車両に安全管理ドライバーを同乗させず、ドライバーの席もないため、規制を通過するには異なるアプローチを取る必要があります」とフラック氏はいう。「規制は国や州によって異なりますが、基本的には、アプリケーション自体の安全性が保証されているかどうかという問題です。当社も創業以来、ドライバーを同乗させずにすべてのアプリケーションで安全性を確認できるようにするというアプローチを取ってきました」。

リモートトラックドライバー、すなわち「ポッドオペレーター」は、Einrideのポッドを監視し、状況によっては運転を引き受ける。フラック氏によると、Einrideではレベル5の自律性(基本的に自動運転車のほうが人より運転能力も思考能力も優れているとするレベル)を信用しておらず、アジリティと意思決定能力を高められるように、いつでも人間がシステムに介入できるようにすることを目指しているという。

「マシンはまだ人のために働いています」とフラック氏はいう。「業界はレベル5の自律性を備えたAIを15年以上追求してきましたが、まだそのレベルには程遠い状態です。運送業界においては、自律運転の利点が活かされる場面も数多くありますが、人が介入することによる利点もあります。例えば別のゲートに戻ったり、周辺のドライバーとやり取りしたい場合などです。人間の意思決定を介入させられるのは大きな利点であり、ビジネスへの影響も最小限で済みます」。

Einrideは、トラック業界での経験があり、トラック運転免許を持っている最初のポッドオペレーターを採用した。詳細は、2021年後半のイベントで明らかにするという。

Einrideは米国に進出するだけでなく、ニューヨークに正式に米国本社を設立する予定で、一部の経営幹部がニューヨークを本拠に活動することになる。また、オースティン、サンフランシスコ、東南アジアにも支社を設置する予定だ。米国での工場建設予定は今のところはない。

画像クレジット:Einride

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

GMC、EVで復活するハマー第1弾「Edition 1」トラックは12月に納入開始と発表

初の電動版Hummer(ハマー)は、このホリデーシーズンに新しいオーナーのもとに届けられる。Autoblogによると、GMC(ジーエムシー)のボスであるDuncan Aldred(ダンカン・アルドレッド)氏は、11万2000ドル(約1290万円)以上の価格で購入できるEVトラックモデル「Hummer Edition 1(ハマー・エディション1)」の納車を12月から開始すると発表した。Edition 1のEPA航続距離は329マイル(約529.5 km)で、当初予想されていた350マイル(約563.3 km)より若干短いことも今回のコンファレンスで明らかになった。

重量が4トンあるGMCの電気トラックは、3つのモーターによって生み出される最大1000hpのパワーと1590kgmのトルクにより、ゼロ発進から時速60マイルまで3秒以内で到達する能力を備えている。また、7500ポンド(約3402 kg)の牽引と1300ポンド(約590 kg)の運搬が可能だ。このトラックは、GMが今後数年間に自社ブランドの数十のモデルを電動化するために開発したプラットフォームであるUltium(アルティウム)バッテリーパックを使用している。

2021年12月に出荷が開始されると、「Edition 1」Hummer EVは、Rivian(リヴィアン)のR1Tと並んで、市場で最初の電気トラックの1つとなる。Tesla(テスラ)もEVピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」の開発に取り組んでいるが、同社は8月に発売を2022年に延期した。Autoblogによると、Hummer EVの予約の80%以上はEdition 1の注文だが、他のEVバージョンも2023年に登場する予定だという。それらの中には、より安く、航続距離が長いものもあるとのこと。GMCは、Hummer EVのSUVバージョンも2023年に納入を開始する。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:GMC

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

自動運転トラック界、最後の非上場企業として投資家の注目を集める「Kodiak」

シリコンバレーで最後の株式非公開企業の1つであるKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)が、新たに1億2500万ドル(約142億円)の資金を調達した。この資金は、商業化に向けて従業員を倍増させるために使用される。

募集を超えた応募があった今回のシリーズBラウンドは、出資者の数が非常に多いことに加え、主導した投資家の名前が公表されていないことが特徴的だ。TechCrunchが耳にした話によると、ある貨物・物流会社が、このラウンドの戦略的主導投資家として、特別利害関係者向けの金融機関を設立したとのこと。

それ以外の投資家には、新たに加わったSIP Global Partners(SIPグローバル・パートナーズ)、Muirwoods Ventures(ミュアウッズ・ベンチャーズ)、Harpoon Ventures(ハープーン・ベンチャーズ)、StepStone Group(ステップストーン・グループ)、Gopher Asset Management(ゴーファー・アセット・マネジメント)、Walleye Capital(ウォールアイ・キャピタル)、Aliya Capital Partners(アリヤ・キャピタル・パートナーズ)などが含まれる。また、既存投資家であるBattery Ventures(バッテリー・ベンチャーズ)、CRV、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)も参加した。2021年6月にKodiakへの戦略的投資を発表していたBridgestone Americas(ブリヂストン・アメリカス)とBMW i Venturesは、今回のラウンドで資金を転換した。

Kodiakは、2018年の創業以来、合計で1億6500万ドル(約188億円)を調達している。同社は評価額を公表していない。

多くのスタートアップ企業と同様に、この資金はより多くの人材を雇用するために使われる。Kodiakでは、従業員数を現在の90人から、来年末までに約170人に増やすことを目指している。

創業者兼CEOのDon Burnette(ドン・バーネット)氏によれば、今度の採用は社内のすべての部署に及ぶという。新たに調達した資金は、業務の拡大と保有車両の拡充に充てる予定だ。Kodiakでは、少なくとも15台のトラックを追加し、合計25台以上の自動運転走行車を展開する計画だ。

「私たちは規模を拡大する必要があり、規模の拡大には会社全体の成長が伴います。より多くのドライバー、オペレーター、エンジニアが必要になります」と、バーネット氏はTechCrunchによるインタビューで語った。「研究開発が資金の主な使途であることは間違いありませんが、車両フリートの規模拡大も大きな課題です。当然ながら、この分野を見ていると、商業的な牽引力、顧客、パートナー、走行距離、自動運転貨物輸送ネットワークの規模などへの関心が、ますます高まっていることがわかります。私たちはこれらすべてに対する取り組みを拡大していくつもりですが、それにはお金がかかります」。

今回のシリーズBラウンドは、Kodiakの非常に重要な時期に実施された。同社の規模は、他の自動運転技術企業でトラック輸送を目指しているAurora(オーロラ)やWaymo(ウェイモ)などと比べたら数分の一に過ぎない。しかし、はるかに規模が大きくて資金力のあるライバル企業よりも、Kodiakは資本効率が高いと、バーネット氏は主張している。

これはKodiakが永遠に資金調達を求め続けるという意味ではない。経営の規模が大きくなれば、同社はさらに資金を求め、公開上場や非登録証券市場という選択肢を検討することになるだろう。バーネット氏は合併は考えておらず、買収も求めていないと述べている。

自動運転技術業界の資金調達について、バーネット氏は「今後の展開が非常に興味深い」と語っている。「投資欲求をそそるかという観点から考えると、今回のラウンドが非常に多くの応募を集めたことは、投資家の関心がまだ高いことを示していると思います。競合他社の多くが株式を公開しているため、非公開市場では、Kodiakは大きな進展が見られる最後の非上場の自動運転トラック企業の1つとして位置づけられます」。

10月にKodiakは、第4世代となる自動運転走行トラックシステムの詳細を明らかにし、自社の保有するPACCAR(パッカー)製クラス8トラックを15台、増車すると発表した(現在は10台のトラックが導入されている)。この第4世代のトラックには、フロントルーフラインに設置されたセンターポッドと、両サイドミラーに組み込まれた左右のポッドに、モジュール式のセンサー群が搭載されている。

画像クレジット:Kodiak Robotics

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Rivianはアマゾンとの「独占契約」を超えて他社とのEVデリバリーバンのフリート事業に進出

電気自動車のスタートアップRivianは、Amazon(アマゾン)だけでなく一般に対してもフリート事業を始めることになった。同社はAmazonが20%の株式を保有しているが、その電動デリバリーバンの一般からの受注を2022年に開始し、納車は2023年以降になるとRivianのウェブサイトに登場したページで述べている。

デリバリーバンのAmazonへの10万台の納車とそのための生産は2024年までかかるとされ、2021年内には最初の10台を納車できるだけだ。RivianのIPO関連文書によるとその契約は一般販売契約ではなく独占契約とされているが、新たな情報によると、同社は2024年以前でも一般販売を行なうとなっているため、Amazonとの契約にはやや余裕があるということだろう。この件に関して、AmazonもRivianもコメントはない。

数名のRivian社員が、米国時間11月5日にアップされたウェブページをツイートしている。その中で、顧客は2021年初頭から、Rivianのネット上の構成計画書に記入してオーダーできる、納車はさらにその翌年からとある。

この量産・量販の対象になるのは電動ピックアップR1Tと電動SUV R1Sの量販車であり、これによりRivianが狙っていた一般消費者のドライブだけでなく、より広い層が顧客になり、RivianはFordの全電動ピックアップトラックなどとまともに競合するようになる。後者はすでに、商用車として一般的に発売されている。そのウェブサイトでは、今回のフリートビジネスと関連した他のプロダクトとして、FleetOSと呼ばれる管理プラットフォームや充電のインフラについても触れられている。

Rivian、そしてAmazonは販売網をより大きく広げることによる利益増を狙っている。「私たちの事業における成功は、大量の顧客を吸引し保持することにかかっている。それができなければ、収益を達成できない」とRivianのIPO文書では述べられている。しかしR1Tの生産を開始したばかりのRivianにとって、一般顧客の獲得に関して、リスクと未知数の両方がある。

イリノイ州ノーマルのRivianの工場は現在、年間最大15万台の生産能力がある。その内約6万5000台はR1ピックアップとSUV、8万5000台がRCVと呼ばれる商用のデリバリーバンだ。ただしそれは、Rivianがその生産能力をひと晩で達成できるという意味ではない。IPO文書の修正でRivianは、現在予想される生産能力では、2023年の終わりまでに消化できる受注残はおよそ5万5400台のR1だという。

Rivianのフリートビジネスへの参入は、同社の上場数日前に発表された。RivianはそのIPOで650億ドル(約7兆3360億円)の時価総額を予想されていたが、一部の投資家はそれほど楽観的ではない。フリートビジネスの発表数日前の投資調査ソフトウェア企業New Constructsの記事によると、Rivianの株は過大評価されているので、今週同社が上場しても投資家はそれを買うべきではないという。

「 Rivianはまだ有意な台数を生産していないので、資金状態の良い電気自動車のスタートアップや既存メーカーと競合する立場にない。特にGMやBMWのような競合他社には、EVの生産を拡大することができるだけの数十年におよぶ経験と数十〜数百億ドル(数千億〜数兆円)レベルの資本力がある」と記事にある

そうであるにもかかわらず、多くの投資家はこの新興企業とその将来性に強気だ。今回の最新情報は、これまで懐疑的だった投資家に、Rivianが以前考えられていたよりも柔軟性とパワーがあることを示唆する可能性がある。

画像クレジット:Jordan Stead / Amazon

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(文:Rebecca Bellan, Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

EVトラック開発Nikolaが米証券取引委への制裁金支払いに142億円を準備

EVトラック開発のNikola(ニコラ)は、米証券取引委員会(SEC)と、1億2500万ドル(約142億円)の民事制裁金支払いに関して協議中だと第3四半期決算発表で明らかにした。SECは、同社が投資家をミスリードしたかどうかを調査中で、制裁金はその一環だ。

同社は第3四半期決算発表で、支払いは分割して行う予定であり、解決を見越して資金を確保していたと述べた。

2021年10月にSECとの協議が進んだことを踏まえ、同社は「2021年9月30日において発生済みの偶発債務の最善の見積もりとして、1億2500万ドルの損失を計上した」と決算発表で明らかにした。

一方、苦境に立たされている創業者のTrevor Milton(トレバー・ミルトン)氏は、自身の刑事訴訟の防戦に忙しい。同氏は異なる2件の告発に直面している。1つは証券取引法違反の疑いでSECから、もう1つは証券詐欺2件、通信詐欺1件の刑事訴訟で米連邦検事局からだ。

Nikolaは引き続きミルトン氏の弁護士費用を負担しており、2021年9カ月間で約1260万ドル(約14億円)に上る。同社は同氏に対し「政府および規制当局の調査に関連した費用および損害」の弁済を求めると述べた。9月末時点で、同氏は同社の株式を約16%保有している。

当会計年度は、同社にとって苦難の連続だったと言っても過言ではない。2020年9月にGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)と20億ドル(約2240億円)の戦略的提携を発表したときには、飛ぶ鳥を落とす勢いだった。提携の内容には、当時スタートアップだったNikolaにGMが11%を出資することと、Nikolaの燃料電池トラックの生産条件が含まれていた(この燃料電池トラックはその後つぶれた)。しかし、そのわずか1カ月後、空売り投資家であるHindenburg Research(ヒンデンブルク・リサーチ)の報告を受け、SECが調査を開始した。その後、GMは契約を解消した

SECに1億2500万ドルを支払う決定は、まず規制当局の承認を得なければならない、とNikolaは投資家に述べた。

画像クレジット:Nikola Motor Company

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードがクラシックカーを電気自動車化するためのモーターキットを約44万円で発売

ヴィンテージカーを電動化するためにアフターマーケットのEVモーターを販売しているのはChevy(シボレー)だけではない。Ford(フォード)が米国時間11月2日に発表した「F-100 Eluminator(F-100イルミネーター)」と呼ばれるコンセプトトラックは、1978年型の古いピックアップトラックに、同社が新たに「Eluminator」の名前で発売するクレート(単体売り)モーターを車体の前後に搭載してアップグレードした車両だ。

このパワープラントは、2021年型の電気自動車「Mustang Mach-E GT Performance Edition(マスタング・マックE GTパフォーマンス・エディション)」に搭載されているものと共通で、最高出力480馬力と最大トルク860Nmを、旧いF-100ピックアップ・トラックに与えることになる。フォードはその加速性能や航続距離などの詳細な数値を明らかにしていないものの、これだけのパワーがあれば、いくつものスポーツカーを置き去りにできると考えていいだろう。

Ford Performance(フォード・パフォーマンス)がショーケースとして製作したこのトラックには、モーター以外にも、Mach-Eの縦型センタースタックタッチスクリーンを取り付けるなどの改造が施されている。足元にはForgeline(フォージライン)社製のカスタムアルミホイール、インテリアにはJJR Fabrication(JJRファブリケーション)社製のビレットアルミダッシュ、MDM Upholstery(MDMアップホールスタリー)社製のアボカドタンニングレザーなどのカスタマイズも見られる。外観はクラシックなトラックでも、中身もそうであるとは限らない。

ご想像どおり、このコンセプトトラックを購入することはできない。代わりにフォードは、このEluminatorモーターを3900ドル(約44万円)で販売し、自分のクルマを改造する人に利用してもらいたいと考えている。最終的にはバッテリーやコントローラー、トラクションインバーターなど、EV化の改造に必要なものをすべて提供することを計画しているというが、現時点でモーターを購入したいと思う人は、残りのパズルを自分で完成させるだけのリソースが用意できる場合のみだろう。しかしこれは、我々の愛する多くの内燃機関の自動車が、EV化によって第二の人生を得るという未来を垣間見せてくれる。

画像クレジット:Ford

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Jon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Ford

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォードの電動ピックアップトラック「F-150 Lightning」の予約が16万台突破

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、全電動ピックアップトラック「F-150 Lightning」の予約が16万台を突破したことを明らかにした。

同社はF-150 Lightning発表以降、返金可能な前金100ドル(約1万1000円)での予約を受け付けている。予約開始初日には2万件を受け付け、その数は2日目には4万4千件となった。6月末までに12万件の予約が入り、同社は消費者の関心の高さを目の当たりにした。

6月に行われた第2四半期決算説明会で、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は、そうした予約の75%近くが新規顧客だと述べた。

また、内燃機関搭載のトラックを下取りに出す予定の人が約40%いたことから「フルサイズトラック(バッテリー搭載の電気自動車)への移行が、我々の楽観的な想定よりも少し早く進むことを示しています」と述べた。

こうした予約状況を受けて、Lightningの年間生産能力を向上させるために、2億5000万ドル(約285億円)を追加で投入し、450人の人員増強を行うと発表した。Lightningは2022年春に販売される予定だ。

Lightningは4種類のモデルが用意されており、車両の大部分を電気自動車に移行するという同社の戦略において重要な役割を果たす。9月にR1Tトラックの生産を開始したRivian(リビアン)のような新規参入企業と同様、Fordはピックアップトラック部門に狙いを定めている。F-150は、米国で最も売れているトラックだ。同社は2020年に78万7422台のFシリーズトラックを販売したと明らかにした。Lightningの基本バージョンは3万9974ドル(約455万円)から、ミッドシリーズのXLTモデルは5万2974ドル(約603万円)からだ。

関連記事:【レビュー】Rivianから待望の電動トラック、2022 Rivian R1Tにはたくさんのお気に入り機能と工夫が溢れている

画像クレジット:Ford

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】GMC Hummer EVにしびれる。3つのモーターと四輪操舵ですばらしいスピードとハンドリングを実現

11万ドル(約1230万円)のGMC Hummer EV(ジーエムシー・ハマー・イーブイ)は、最高のオフローダーであるとともに、高級セダンの快適さとスポーツカーのスピードを併せ持つ、欲張りなマッシュアップだ。そしてトラックとしての荷台を備える。GM(ゼネラルモーターズ)は、この車をスーパートラックと呼ぶが、そのとおりだろう。

GMのテストコースでHummer EVを運転してみて、いくつかのことがすぐにわかった。まず、この巨大なHummer EVは、十分なパワーと優れた四輪操舵のおかげで、運転が楽しい。次に、インフォテインメントシステムと運転席のメーターパネルは美しいが、非常に込み入っており、時折表示に遅れが生じる。最後に、Hummer EVは、GMの「Ultium(アルティウム)」プラットフォームが、いかに新規性のある機能や特徴を車に持たせることができるかを示す、絶好の例となっている。

GMの広報担当者は、筆者に運転させる前、あまり大きな期待は抱かせなかった。GMは、Hummer EVの運転や操作の仕方についてのみ説明し、具体的な車両の仕様、性能、入手状況などについては答えられないとしていた。カメラの使用は禁止され、筆者の携帯電話にセキュリティテープを貼るほどだった。筆者がHummer EVを運転したのはわずか30分だけで、すべてミシガン州ミルフォードの僻地にあるGMの試験場奥地でのことだ。

留意すべきは、その試走は量産前の車両で行われたということだ。必要なものはすべて揃っているといわれたが、一部の内装材や付加的な騒音防止材など、いくつかの部材が欠けていた。

Hummer EVで岩場を越えたり、未舗装の道路を突っ走ったり、GMの高速テストコースで時速95マイル(時速約153 km)を叩き出したりした。そして、いろいろなことがわかった。Hummer EVは、どこへでも行けて、何でもできるクルマだ。岩場を登ることも、狭い駐車場に入れることも、大人5人とその荷物を快適に運ぶこともできる。3秒で時速60マイル(時速約97 km)に達し、四輪操舵のおかげで、見た目よりもずっと小回りが利く。

GMCHummer EV、2021年9月25日土曜日、ミシガン州ミルフォードにあるゼネラルモーターズのミルフォード試験場にて(画像クレジット:Steve Fecht for GMC)

四輪操舵が最高

Hummer EVには、楽しい仕掛けがある。この大きな幅広の車は、道路上をのろのろと走り出すが、それはあっという間に軽快な走りに変わる。電気モーターと四輪操舵により、ピックアップトラックよりも軽快に走り、大型クロスオーバー車よりも応答性が良い。つまり、Hummer EVはピックアップトラックではなく、頑丈で幅広のスポーツカーのような走りをする。

往年のハマーは、耐久性のあるトラックのように、圧倒的なパワーが感じられた。このHummer EVもやはり止めることのできない感じがあるが、今では高速道路でも山奥の小道でも同じように快適に走ることができる。購入者は、Hummer EVの性能のために快適さを譲歩する必要はない。過去のハマー(そして現在のJeep[ジープ]や4Runner[フォー・ランナー])は、オフロード性能のためにオンロードでの乗り心地を犠牲にしていたが、Hummer EVでは何も失われていないように見える。あるボタンを押せば、岩場を登り、別のボタンを押せば、ほとんどのスポーツカーを凌駕する走りを見せる。

その公式は、3つの電気モーター+四輪操舵だ。これは秘密の公式というわけではなく、Tesla(テスラ)のCybertruck(サイバートラック)にも同じ組み合わせが搭載されている。

Hummer EVの四輪操舵のインパクトは簡単には語れない。後輪は最大10度まで舵角を変えることができ、全モデルに標準装備されている。「CrabWalk(クラブウォーク、カニ歩き)」と呼ばれる最も極端な使用例では、四輪操舵により、まるで氷の上のように左右に滑るように動き、5人乗りのピックアップトラックというよりも後輪駆動のフォークリフトのような感覚で走行することができる。

後輪操舵は1980年代に登場したが、当時はスポーツカー以外にはほとんど採用されなかった。しかし、2000年代初頭から再度使われ始め、GMは2002年から2005年までハーフトントラックのSuburban(サバーバン)とSilverado(シルバラード)に搭載していた。現在では、いくつかのセダンに搭載されており、一部のモデルでは2~3度、超高級モデルでは最大10度の転舵が可能だ。これらのシステムは、一部の購入者に向けた高価なオプションだが、Hummer EVでは標準装備されており、その機能と魅力に欠かせないものとなっている。

また、この四輪操舵により、Hummer EVは同等のサイズの車よりもはるかに小回りが利く。転回は速く、バックも楽になり、大型SUVというよりファミリーセダンのように扱えるピックアップトラックだ。回転半径は37フィート(約11 m)で、フルサイズピックアップのシボレー・シルバラードよりもコンパクトカーのシボレー・ソニックに近い。

このシステムを試せたのはほんの数分だけだったが、四輪操舵に慣れが必要ということもなく、タイトな転回を補うために自分のドライビング感覚を調整する必要もなかった。自然に機能し、自然に感じられた。後部座席ではこの違いを感じられるかどうか気になるところだ。

四輪操舵は、デフォルトでアクティブになっているが、オフにすることもできる。高速道路を走行しているときには、Hummer EVの前輪と後輪は同位相で動くため、けん引するトレーラーの揺れがなくなり安定するという(検証する機会があるとよいのだが)。

この四輪操舵機能により、Hummer EVは斜めに走ることができる。クラブウォークを作動させるには、ドライバーが車を止めて、いくつかのメニューボタンをクリックする必要がある。一旦作動させると、前輪と後輪が連動して転舵するようになり、今までにない感覚で車を横へ向かって走らせることができる。ハンドルを左に切れば、車体は左斜めに滑るように移動する。車の前部が左に向くのではなく、車両全体が左に流れて行くのだ。四輪操舵はスピードを出すためのものではなく、駐車やロングドライブを快適にし、見る者を感動させるためのシステムだ。そして、これまでにはない感覚だ。

デトロイトで開催された2021年のWoodward Dream Cruise(ウッドワード・ドリーム・クルーズ)においてGM社員がHummer EVの能力を示す熱いデモを行っている。その様子は以下の動画をご覧いただきたい。

Watts to Freedom=WTFモード

Hummer EVは、本気を出せば、とんでもない加速を見せる。Watts to Freedom(ワッツ・トゥ・フリーダム、WTF)モードと呼ばれる発進モードはすばらしく、ドライバーは3秒で時速60マイル(時速約97 km)に達する。これは超絶な速さだ。標準的な車両モードでの普通の発進でも、Hummer EVはスムーズに加速するが、WTFモードのようにドライバーをシートに貼り付けるほどではない。

どのような車でもこの加速があるだけですばらしいことだが、5人乗りのピックアップトラックでそれを実現するのは、さらに衝撃的だ。この四輪駆動のピックアップは、余裕の駆動力によりロケットのような勢いで飛び出していく。これは、テスラのModel X(モデルエックス)など、他の電気自動車からも受けるスタート感覚に似ている。

通常の走行モードでは、Hummer EVのトルクは抑えられているが、それでもなおドラッグレースにも足りる十分な速さがある。加速はモニターされた上で制御されており、このチューニングの精度は評価に値する。

Hummer EVのワイドなボディは、安定した乗り心地につながっている。試験場の裏道でHummer EVを走らせ、砂利道ではテールを振ってみた。アグレッシブなコーナリングでは、車体はしっかりとフラットを保ち安定している印象を受けた。バンクのあるテストコースでも、他の車と同じようにしっかりとした頑丈さが感じられた。トラックの底部に詰め込まれたバッテリーにより、重心は低く保たれ、Hummer EVは、以前のガソリンモデルのようにトップヘビーになることはなかった。

高速周回コースでは、何もしなくても時速90マイル(時速約145 km)に達した。無理をしている様子はなく、アクセルを踏めばあっという間にスピードに乗る。Hummer EVは、ラングラーの35インチ(約89 cm)の巨大なタイヤで道路を疾走し、最高のクルーズを提供する。また、タイヤノイズも気にならない。

Hummer EVは静かではない。アクセルを踏むと、2つの音が聞こえてくる。3つの電気モーターがうなる音と、より鈍重で電気ノイズのように聞こえる人工的な回転音だ。オフロードモードでは、増えたロードノイズをかき消すほど、人工的な音が大きくなる。しかし結局のところ、不快ではないと感じた。これらの音は激しくなく、常にバックグラウンドに溶け込んでいる。GMのエンジニアは、ドライバーが音によるフィードバックを必要とし、無意識のうちに期待していると同社は判断したと説明する。

筆者はHummer EVで数十の大きな岩を乗り越えるボルダリングを試した。乗り越えられたか?もちろん。難なく?そうでもない。Hummer EVは岩の上を滑り、トラクションを維持するのに苦労した。念のためにいっておくと、今回の試走は、GMがビーチボール大の岩を多数敷き詰めたテストコースで行われ、10フィート(約3 m)のセクションを試すことができた。Hummer EVのオフロード性能を結論づけるには、今回の体験だけでは足りないだろう。

工業製品的な使用感

インフォテインメントシステムについては、あまり詳しく見る機会がなかった。それでも、いくつかの発見はあった。1つは、Epic(エピック)のUnreal(アンリアル)グラフィックエンジンのおかげで、このシステムが美しいことだ。ビデオゲーム用に開発されたUnrealエンジンのこの特別なビルドを使用したのは、Hummer EVが初めてだ。このシステムは美しいが、量産前のテスト車両ではラグがあり、入力に反応するまで、常に数秒を要した。これは、画面上でオプションを選択しても、機械的なコントローラー(テレインセレクトのダイヤルなど)を使用しても同じだった。

また、インフォテイメントのデザインは、表示は美しいものの、複雑で込み入っており、いかにも人工的な工業製品のようだ。GMのエンジニアは、大げさなアイコンやメニューを多数使ったインターフェイスにより、画面のグラフィック能力を誇示しようとしたのではないだろうか。グラフィカルな要素は、使いやすさよりも見た目の美しさを重視しているように見える。

GMは、Hummer EVのカメラの性能のデモに熱心だった。車両には18台のカメラが搭載されており、そのうちの数台は車体の下に取り付けられている。これは、不整地を走行するときやトレーダージョーズで駐車するときにドライバーをサポートするためのものだ。これらのカメラは公表されている通りに機能し、一部のカメラには汚れを除去するクリーナーが内蔵されている。

また、GMがエアコンのボタンをタッチスクリーンのメニューに含めるのではなく、物理的なボタンとして残しているのはうれしいことだ。テスラやRivian(リビアン)など、他のEVメーカーは、温度設定ダイヤルやシートヒーター、さらにはベントの向きのコントロールさえもタッチスクリーンに追いやっているが、Hummer EVでは、そうした操作のためにロッカースイッチが並んでいる。

運転席からの視界はすばらしく、ドライバーは、遠くまで見渡すことができる。運転席と助手席の足元と上部には十分なスペースが確保されており、広々としている。後部座席は足元が若干狭くなっているが、それでもワイドボディのおかげで余裕がある。フルサイズSUVといえば、前は広く、後ろは狭いというものだろう。

新しい電動パワートレイン

GMは、Hummer EVのパワートレインの詳細を公表している。Hummer EVエディション1は、ユニボディのフレームに24モジュールのバッテリーシステムを搭載している。これは、GMが2020年3月に発表したUltiumプラットフォームを、同社で初めて採用したものだ。

関連記事:GMが電気自動車戦略のコアとなるモジュラー式アーキテクチャー「Ultium」を公開

3つのモーターを搭載するメリットはいくつかある。これらの電気モーターにより、ハマーの前後輪両軸に電子制御式のディファレンシャル機構を装備することができ、低トラクション時に効果を発揮する。前輪には「eロッカー」を搭載し、後輪の2つのモーターは物理的には接続されていないがソフトウェアによって仮想的にロックされており、トルクベクタリングにより4輪のトラクションを制御でき、各タイヤの駆動や停止はミリ秒単位で制御できる。

Hummer EVのバッテリーについて、バッテリーが原因で二度のリコールを行ったChevy Bolt(シボレー・ボルト)に使用されているバッテリーパックと同様のものではないかと聞いてみた。GMの広報担当者は、GMはLG(エル・ジー)と共同でセルを開発しているが、Hummer EVのパックはミシガン州デトロイトのブラウンズタウン工場で製造しており、このバッテリーはボルトに使われているものよりも新しいセル化学を採用していると説明した。最終的には、オハイオ州ローズタウンにLGと共同で設立した施設でUltium電池を製造する予定だという。

残る疑問

Hummer EVには、筆者が試乗や使用できなかった機能が満載されている。例えば、GMの自動運転モードの最新版である「スーパークルーズ」では、高速道路での車線変更が可能になった。また、自動でタイヤの空気を抜く機能や、26インチ(約66 cm)の水深でも走行できる機能、100マイル(約161 km)の走行に必要な充電を10分で行う機能なども搭載されているという。残念ながら、ルーフパネルを外したり、いわゆるフランクに収納された状態を見たりすることはできなかった。また、インフォテインメントシステムも詳しく見てみたい。没入感は得られそうだが複雑そうでもある。

GMは、Hummer EVのいくつかの点について公表しておらず、今回の試乗でもほとんど何も明かされなかった。価格の詳細と入手状況は未だ不明だ。EPA(米国環境保護庁)の公式な航続距離評価は未発表であり、牽引力や運搬能力もまだわからない。

日頃から大型トレーラーを牽引している筆者には、Hummer EVは運搬や牽引のために作られたものではないように感じられた。パワーはあるが、ユニボディのフレームとエアサスペンションが、シボレー・シルバラード1500やFord(フォード)F-150よりも低い牽引力を物語っている。Hummer EVの牽引力は、ハーフトン・ピックアップ(8000~1万2000ポンド[約3600~5400 kg])よりもフルサイズSUV(6000~8000ポンド[約2700~3600 kg])に近いと推測している。もしそうであれば、Hummer EVはATV(四輪バギー)や小型ボートのトレーラー、そしてカーゴトレーラーなどは牽引できるということだ。しかしその仕様では、トラベルトレーラーについては小型か超軽量タイプ以外を牽引することはできないだろう。また、荷物を運ぶことがバッテリーの航続距離にどう影響するのかについても不明だ。

電気自動車革命

ここからは実際の状況だ。GMはナーバスになっている。Hummer EVは2020年10月に発表され、2021年秋にはディーラーに並ぶ予定だった。2021年10月現在、自動車産業に影響を与える世界的なサプライチェーンの危機に加え、同社のもう1台のEVであるシボレー・ボルトのバッテリーのリコールに思いの他注力しなければならない状況だ。関係者によると、GMは、シボレー・ボルトにおいて2回のバッテリーリコールを行ったことにより、消費者からの信頼について神経質になっているという。

ハマーのEV劇場の主役は、GMのUltiumプラットフォームだ。GMが2020年にEVの青写真を発表した際には、後輪駆動、前輪駆動、全輪駆動など、バッテリーと駆動ユニットの組み合わせにより19種類の構成で車両を作ることができるとしていた。また、400ボルトと800ボルトのバッテリーパックも用意するとし、このデザインはこのアメリカ最大の自動車メーカーに多くの選択肢を与えることを意味している。ハマーのEVは、そのUltiumプラットフォームの能力を実地で示す概念実証だ。もしそれが、Hummer EVの圧倒的なスピードと優れた操縦性を実現するのであれば、ロードスター、クロスオーバー、または7人乗りのファミリーカーに何が提供できるかも明白だ。

Hummer EVは、GMの仰々しく、注目を集めるスーパー電気自動車として成功している。最新のHummer EVは、これまでのハマーと同様に法外であり過剰だ。GMが何か特別な電動ピックアップトラックを作ったことは、ほんの数分でわかる。大きくて、重い電気自動車でありながら、とてつもないスピード、本格的なオフロード性能、充実した荷室容量など、すべてを備えている。Hummer EVにはすべてが詰まっている。

画像クレジット:GMC

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(文:Matt Burns、翻訳:Dragonfly)