Kubernetesの統合開発環境のLensをMirantisが買収

Docker(ドッカー)のエンタープライズビジネスを最近買収したMirantis(ミランティス)は米国時間8月13日、Kubernetes(クーバネティス)のためのIDE(統合開発環境)の1つと言われているデスクトップ環境Lens(レンズ)を買収すると発表した。Mirantisはすでに、Lensをもともと開発していたフィンランドのスタートアップであるKontena(コンテナ)を買収(Mirantisプレスリリース)していた。

とはいえLens自体は、ここしばらくLakend Labs(ラケンド・ラボ)によって所有・管理されていた。なおLakend Labsは自身を「コンテナ(Kontena)の生み出したオープンソースソフトウェアとしての製品の保存と維持に力を注いでいる、クラウドネイティブコンピューティングの熱烈な支持者と技術者の集まり」だと説明している。LakendはLensを数カ月前にオープンソースにしていた。

画像クレジット:Mirantis

「Mirantisのミッションは非常にシンプルです。最新のアプリを大規模に構築できる最速の手段を、企業に提供するということです」こう私に語ったのは、MirantisのCEOであるAdrian Ionel (エイドリアン・アイオネル)氏だ。「わたしたちは企業が常にアプリケーションの構築方法を、次々に最新のものにしようとしていることを知っています。私たちはそうした企業に対して、その実現をお手伝いするようなプロダクトをお届けしたいのです」。

現在、それが意味しているのは、企業が大規模なクラウドネイティブなアプリケーションを構築することを支援するということであり、それはほぼ間違いなく、そうした企業に対して、あらゆる種類のコンテナ基盤サービスを提供するという意味になる。

「しかし、私たちの頭の中では常に別のストーリーが流れています。それは、どのようにすれば、開発者をより中心に据えて焦点を当てることができるのかということです。なぜなら、過去10年間に私たちが目にしてきたように、開発者たちは自分たちが実際に使っていたサービスやインフラとは違うものへの責任を負わされるようになってきたからです」とアイオネル氏は説明した。そこにマッチしたのがKontenaとLensの買収だ。結局のところKubernetesの管理は簡単なものではない。今でも開発者はしばしば、開発したアプリケーションが企業のインフラとどのように相互作用しているのかを、管理し監視する必要に迫られる。

「Lensを使うことで、開発者はKubernetesで作業することや、Kubernetesでアプリケーションを構築ならびにデプロイすることが非常に簡単になります。LensはKubernetesの複雑さによって立ち止まった人びとのために、障害を取り除きより多くの価値を引き出す存在なのです」と彼は付け加えた。

「私たちはこのクラウドネイティブテクノロジーの世界の中に、どのようにLensを組み込むのか、そしてどのように開発者たちの仕事をより楽しくしていくのかに対して、エイドリアンとの共通のビジョンを見いだせたことに、とても興奮しています」と私に語るのは、Kontenaの元CEOで、現在はMirantisのエンジニアリングディレクターのMiska Kaipiainen(ミスカ・カイピアイネン)氏だ。

彼はLensをKubernetesためのIDEとして説明する。カイピアイネン氏は、Lensの機能を既存のツールの組み合わせで実現することは可能だが、それを行うには20もの異なるツールが必要だと主張する。「たとえば監視機能、そしてまた別にログ機能なども必要です。そしてさらにコマンドラインの設定も必要になりますし、その先もキリがありません」と彼はいう。「私たちがLensで試みてきたことは、これらすべてのテクノロジーをまとめて、単一の統一された使いやすいインターフェースで開発者に提供することです。こうすることで開発者は、集中力と彼らが取り組んでいるもののコンテキストを失うことなく、ワークロードとクラスターで作業を続けることができるようになります」。

特にLensには、コンテキストを理解して振る舞う端末機能、クラウドの種類を問わず機能するマルチクラスター管理機能、オープンソースであるPrometheusのモニタリングサービス(Prometheusサイト)などのサポートが含まれている。

MirantisにとってLensは非常に戦略的な投資であり、同社は引き続きこのサービスを開発していく予定だ。実際、アイオネル氏によれば、Lensチームの使えるリソースには基本的に制限はないという。

計画としては、カピアイネン氏は、今後数か月以内にAPIを介してLensに拡張機能を追加することを検討していると語った。「この拡張APIを使用することで、私たちはクラウドテクノロジー業界内の他のテクノロジーベンダーと実際に緊密に連携して作業できるようになります。彼らはLensのUIに直接プラグインしてそのコンポーネントかたのデータをビジュアライズすることができるようになるのです。このことでシステムはとても強力なものになるでしょう」。

アイオネル氏はまた、現在シングルユーザー製品であるLensに、より大規模なソフトウェアチーム向けの機能を追加することに、同社が取り組んでいると付け加えた。結局のところ、すでに多くのユーザーが、非常に大規模な開発チームのコンテキストですでにレンズを使用している。

コアのLensツールは引き続き無料で、オープンソースのままだが、Mirantisは、それらを管理するために必要な集中型サービスを提供する新機能に、課金することになるだろう。しかし、それがどのようなものかはまだはっきりしない。

Lensを試してみたい場合には、Windows、macOS、Linuxのバイナリをダウンロードできる。

画像クレジット: bugto / Getty Images
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(翻訳:sako)

絶好調のテスラが1株を5株に分割すると発表

米国時間8月11日の通常取引の終了後、米国の有名な電気自動車企業であるTesla(テスラ)が1株を5株に分割すると発表した。この分割の発表の前にはテスラの株式の総額が最近の四半期の中で最高の反騰を示した。

同社の株価はこのニュースでさらに急騰し、時間外で8%上がった。

いつも人騒がせな企業であるテスラは2019年に、ささやかに211ドルで取り引きされていた。今日のニュースの後では、それが1485ドルになっているる。時価総額はあっさりと2500億ドル(約26兆6800億円)を超え、テスラは世界でもっとも価値ある企業の一員になった。いうまでもなく、世界で最も価値のある自動車メーカーでもある。

ざっと計算してみると、分割後の価値は297ドル(1485 / 5 = 297)ぐらいだろう。

この株式分割は、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏がテスラの非公開化を検討しており、「資金は確保した」という悪名高いツイートしてから2年後のことになる。そのときテスラはマスク氏が社員に送った彼の発言の根拠を説明するメールを公開したが、わずか数週間後には撤回して公開企業であり続けると発表した。

ツイートは米国証券取引等監視委員会の目に止まり、その後委員会はマスク氏を証券詐欺で告訴した。当事者は不正行為を認めずに和解に至った。

和解案では、テスラは2人の独立取締役を追加することで合意し、マスク氏が3年間会長職から離れることになった。

その後テスラの株価は乱高下を経験したが、この春からの好調期に入った。そしてFord(フォード)やGMのような自動車メーカーの株価が低迷する中でも、テスラの株価は急上昇している。今回の株式分割は、その急速な価格上昇の論理的な結論だろう。

画像クレジット:David Butow/Corbis/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Airbnbが8月中にIPO申請か

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、Airbnb(エアビーアンドビー)は早ければ2020年月中にも非公開で上場申請する可能性がある。記事によると、Airbnbは申請後年内にIPOを目指しているらしい。Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)とGoldman(ゴールドマン・サックス)がIPO手続きを支援すると同紙は報じている。

AirbnbのIPO復活のニュースは、 2019年に2020年の上場を約束した民泊ユニコーンの激動の1年を締めくくることになるかもしれない。同社は新型コロナウイルス(COVID-19)が世界の旅行市場を破壊(未訳記事)し、Airbnbの財政を圧迫する前には、ダイレクトリスティング(直接上場)を考えているといわれていた。

AirbnbはIPO計画についてのコメントを拒んでいる。

旅行者が自宅に留まることになり、同社は大幅な人員削減を余儀なくされ、数十億ドル(数千億円)の資金を用意した。2019年後半における同社の勢いと比べて大きな出費だった。

しかし、一連の打撃の後、Airbnbは同プラットフォームの利用状況か好転し、その結果財務成績も回復してきたことを発信し始めた。

6月にAirbnbは、2020年5月17日から6月6日の期間中に米国でAirbnbの施設が予約された件数は、2019年の同じ時期を上回ったことを発表した(Airbnbリリース)。最近の週末(6月5〜7日)には、2月以来初めて全世界の総取扱金額が前年同時期を超えた。

そして7月、同サービスのユーザーは世界で1日にAirbnb施設を100万泊以上予約した。これは3月3日以来初めてのことだった。

Airbnbがどこまで財務状態を取り戻したのか、正確にはわからない。しかし、同社のレイオフ後の原価基準は、伝統的なIPO基準である収益性のような数値を達成するのに必要な収益基準を下げる可能性がある。近年輝きを失っている数値でもあるが。

しかし地域内の旅行が増え、旅客機の稼働率が徐々に改善し始めた(The New York Times記事)ことは、Airbnbの業績や財政向上を暗示するものではなく、同社は新型コロナ禍でも一定の売上と高い利益率を確保できるように事業を改革すべきだったのかもしれない。

もちろん私はAnbnbのS-1書類を早く見たくてたまらない。新型コロナ禍にユニコーンで何が起きていたのか、非常に興味をそそられる。

Airbnbのほか、DoorDash(未訳記事)、CoinbasePalantirなどが私のIPO候補リストに載っている。

画像クレジット:TOSHIFUMI KITAMURA / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Airbnbが8月中にIPO申請か

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、Airbnb(エアビーアンドビー)は早ければ2020年月中にも非公開で上場申請する可能性がある。記事によると、Airbnbは申請後年内にIPOを目指しているらしい。Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)とGoldman(ゴールドマン・サックス)がIPO手続きを支援すると同紙は報じている。

AirbnbのIPO復活のニュースは、 2019年に2020年の上場を約束した民泊ユニコーンの激動の1年を締めくくることになるかもしれない。同社は新型コロナウイルス(COVID-19)が世界の旅行市場を破壊(未訳記事)し、Airbnbの財政を圧迫する前には、ダイレクトリスティング(直接上場)を考えているといわれていた。

AirbnbはIPO計画についてのコメントを拒んでいる。

旅行者が自宅に留まることになり、同社は大幅な人員削減を余儀なくされ、数十億ドル(数千億円)の資金を用意した。2019年後半における同社の勢いと比べて大きな出費だった。

しかし、一連の打撃の後、Airbnbは同プラットフォームの利用状況か好転し、その結果財務成績も回復してきたことを発信し始めた。

6月にAirbnbは、2020年5月17日から6月6日の期間中に米国でAirbnbの施設が予約された件数は、2019年の同じ時期を上回ったことを発表した(Airbnbリリース)。最近の週末(6月5〜7日)には、2月以来初めて全世界の総取扱金額が前年同時期を超えた。

そして7月、同サービスのユーザーは世界で1日にAirbnb施設を100万泊以上予約した。これは3月3日以来初めてのことだった。

Airbnbがどこまで財務状態を取り戻したのか、正確にはわからない。しかし、同社のレイオフ後の原価基準は、伝統的なIPO基準である収益性のような数値を達成するのに必要な収益基準を下げる可能性がある。近年輝きを失っている数値でもあるが。

しかし地域内の旅行が増え、旅客機の稼働率が徐々に改善し始めた(The New York Times記事)ことは、Airbnbの業績や財政向上を暗示するものではなく、同社は新型コロナ禍でも一定の売上と高い利益率を確保できるように事業を改革すべきだったのかもしれない。

もちろん私はAnbnbのS-1書類を早く見たくてたまらない。新型コロナ禍にユニコーンで何が起きていたのか、非常に興味をそそられる。

Airbnbのほか、DoorDash(未訳記事)、CoinbasePalantirなどが私のIPO候補リストに載っている。

画像クレジット:TOSHIFUMI KITAMURA / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

検索結果でグーグルが歌詞を無断利用した訴訟でGeniusが敗訴

Google(グーグル)がスポーツマン精神に反するような振る舞いをしたとして注目されていた裁判で、原告の訴えを棄却された。訴訟では、グーグルがGeniusから歌詞を盗み取った現行犯とされていた。しかしGeniusにとっては不運なことであるが、その訴えは著作権侵害に相当するとされ、原告が主張したものではないため訴訟は無効になってしまった。

2019年12月に提起されたその訴訟(The Hollywood Reporter記事)は、グーグルがGeniusの利用規約に違反し、後者のサイトから歌詞を切り取って曲を検索するページに不正に表示したと告発していた。例えば「Your Love is Killing Meの歌詞」で検索すると、検索者はGeniusといった歌詞の情報を提供しているサイトへ送られるのでなく、検索結果のページに歌詞が直ちに表示される。

それらの歌詞が、直接または共犯者により許可や出典明記なく、それらのサイトから直接取られたものであるならフェアではない。グーグルがその現行犯的行為を、括弧やアポストロフィ使ったモールス符号を使って偽装したことを、Geniusは証明した。ずるい!

関連記事:検索結果ページで歌詞を紹介するGoogleは今後歌詞提供者のクレジットを明記へ

摘発されたグーグルは、やり方を改めるとしたが、すぐにまた、同じ方法で同じことを行い摘発されている。誰もが「ビッグG」が懲らしめられるのを見たくなり、Geniusはその期待に応えるべくグーグルを訴訟した。

しかし問題は、Geniusがそれらの歌詞の著作権保有者ではないことだ。歌詞をライセンスしているだけだ。グーグルに対する同社の申し立ては、ニューヨーク東部地区判事であるMargo Brodie(マーゴ・ブロディ)氏の決定により、著作権侵害に相当するとされた。そして著作権は、ブロディ氏の管轄外だった。

被告が歌詞を「切り取って」自己の利益のために使ったとする原告の申し立ては、被告が原告による歌詞の書き起こしを無許可で再生し利益を得たという申し立てに相当する。それは、国の著作権法に触れる行為である。

不正な事業行為の申し立てに関しては、ブロディ氏はそれもまた著作権の論議だとした。

原告は被告が何らかの信認義務や守秘の関係に違反した、あるいは被告の企業秘密を不正利用したと申し立てていない。むしろ被告の主張はまさしく、裁判所が従来から一貫して関わってきたタイプの不正行為であり、それらは著作権法の対象になるものである。

申し立てのすべての主因が国の法律に関わるものである以上、州の地裁の判事であブロディ氏には、この訴訟を棄却する以外の選択肢はない。

原告のすべての州法に関わる主張が著作権法に関わるものである以上、また原告は国の法に関連する申し立てを主張していないので、当裁判所はこの告訴を、訴件を申し立ての失敗として棄却する。

グーグルほどの企業が不正に手を染め、さらに無罪解放になったことは、ちょっとがっかりだが、Geniusにも不正の前歴がある。しかし法律のシステムは、上部の横に線がある文字「t」を「i」と読んだり、上に点のある文字「i」を「t」と読むことはできない。誰かが財布を盗んだら、それを横領で訴えることはできない。両者がほとんど同じ窃盗行為であってもだ。

この訴訟ではGeniusのチームは著作権の申し立てをすべきだったが、残念ながら同社は著作権の保有者ではない。著作権法はわかりにくいことで有名で、特にデジタルコピーやライセンスの問題になると、わかりづらさが増す。

Geniusは、グーグルの目の回りに不名誉の黒いあざを作ることには成功したから、今後はまた新たな訴訟を起こすのか、それとも今後の裁判費用を節約するのか。スクレイピング(他サイトのコンテンツを削り取り流用すること)は、最近の議会の反トラストに関する聞き取り調査でも問題になっている。でしかし間違いなく今夜、グーグルの本社で安堵のシャンパンが開けられていることだろう。

画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

トランプ政権が5Gに向けミッドバンドスペクトルのオークションを発表

5Gはワイヤレス接続のクオリティ、帯域幅、レンジ(届く範囲)を劇的に拡大する可能性のある技術としてますます注目を集めている。この技術を実際に展開する際の主な障害の1つは、単純にスペクトルだ。今のところは民間利用に必要とされる技術が不足している。5Gには、建物を透過し、レンジを拡げるために非常に低い周波数のスペクトルが必要だ。また、将来利用される巨大な帯域幅をサポートするには、高い周波数も必要となる。

だが問題の核心はミッドバンドにある。ミッドバンドは、5Gテクノロジーで主に使われるレンジ、レイテンシー(遅延の程度)、帯域幅の組み合わせを支えられる周波数だ。特にレガシーインフラとレガシーデバイスへの橋渡しの役割を果たす可能性がある。

現在、米国におけるミッドバンドのスペクトルは、圧倒的に軍をはじめとした政府機関が利用している。軍はミッドバンドのスペクトルを軍事作戦から衛星接続まであらゆる目的に使っている。これが商用事業者によるこのスペクトルへのアクセスを妨げ、5G展開を阻む要因となってきた。

米国時間8月10日のホワイトハウスの発表が注目に値するのはこうした事情による。ホワイトハウスは、3450~3550MHzの周波数帯がオークションのために正式にFCC(米連邦通信委員会)の管理下に置かれ、民間事業者はオークションに参加すればミッドバンドの周波数帯にアクセスできると発表した。法的手続きの関係上、オークションは2021年12月に行われる予定で、民間利用開始はおそらく2022年になる。トランプ政権高官によると、ミッドバンドの利用にはAWS-3のスペクトル共有ルール(NTIAリリース)が適用されると見込まれる。

ホワイトハウスによると、各軍と国防長官府からの180人の専門家で構成する委員会が編成され、国防総省が利用するどのスペクトルが5Gの民間利用のために解放できるか検討している。

こうした取り組みは、政府機関が5Gにスペクトルを割り当てるプロセスをスピードアップするために議会を通過した法案である「MOBILE NOW Act of 2017」に沿っている。この法律は米政府の通信問題に関する助言機関であるNTIA(米国商務省電気通信情報局)に対して、3450~3550MHzの帯域を2018年の主要な研究分野とするよう指示した(NTIAリリース)。それを受け同庁は2020年1月に、同帯域を民間利用に転換する「実行可能な選択肢(NTIAリリース)」について報告した。

これは、ワイヤレス通信が5Gへ移行する長いプロセスの中で最近みられたポジティブなステップだ。5Gの実現には技術(携帯電話のワイヤレスチップなど)、スペクトルの割り当て、ポリシーの開発、インフラの構築が必要となる。

電気工学の教授であり、高度なワイヤレス技術を研究する学術研究センターであるNYU WIRELESSの創業者のTed S. Rappaport(テッド・S・ラパポート)氏はこう述べた。「これは米国にとって素晴らしいニュースだ。米国の消費者やワイヤレス業界にとっても歓迎すべき動きだ」。

同氏は「業界における既存の知識と研究を踏まえると、特定の周波数の価値が高い」と述べた。「(オークションの対象となる帯域は)今の4Gスペクトルからそれほど離れているわけではないため、エンジニアや技術者が伝播についてすでに十分に理解している。また、電子機器が非常に低コストで簡単に作れるスペクトルだ」。

近年、5Gへの移行が遅いことを巡り、米政府の指導者らに対する圧力が高まっている。韓国や中国などに遅れをとっており(The Wall Street Journal記事)、特に韓国は世界のリーダーだ。通信インフラへの投資と新しいワイヤレスへの移行を先導する韓国政府の積極的な産業政策のおかげで、国内にはすでに200万人を超える5G加入者(RCR Wireless News記事)が存在する。

米国は最大の帯域幅を持つ5Gのミリ波(高周波)スペクトルでは先行したが、ミッドバンドスペクトルの割り当てでは遅れをとっている。本日の発表は注目に値するが、100MHzのスペクトルが5Gを利用する幅広いデバイスをサポートできるのか懸念する声もあり、今回の割り当ては始まりにすぎない。

それでも、ミッドバンドスペクトルが追加されたことは5Gへの移行を後押しする。帯域が決まればデバイスやチップメーカーが自社製品でどうサポートすべきか対応を始めることもできる。米国で5Gデバイスが広く利用可能になり、便利だと感じられるようになるまでには数年かかるかもしれない。ただ、スペクトルの問題は次世代のワイヤレスに到達するには必ず通る門であり、ついにその門は開かれようとしている。

画像クレジット:PAU BARRENA/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

eコマースに焦点を当てたノーコードプラットフォームのParabolaが8.5億円を調達

今日の多くの労働者たちは依然大量の手作業に溺れている。データをスプレッドシートにコピー&ペーストし、毎朝同じ電子メールを送り、それなのにわずかな自動化さえ行えずにいる。なぜならコーディングスキルを持っていないからだ。Parabola(パラボラ)は、簡単なドラッグアンドドロップワークフロー構築を通してその状況を変えようとしている企業だ。同社は米国時間8月11日、800万ドル(約8億5000万円)のシリーズA調達を発表した。

ラウンドを主導したのはMatrix Partnersで、Thrive Capitalをはじめとする複数の個人投資家がそれに参加した。MatrixのIlya Sukhar(イリヤ・スカール)氏が、契約条項に基いて、Parabolaの取締役会に加わる。2018年に行われた220万ドル(約2億3000万円)のシードラウンドと合わせると、これで同社の調達金額は1020万ドル(約10億8000万円)に達した。

また同社は同時に、新しいShopify(ショッピファイ)コネクタも発表した。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響でオンラインショッピングが劇的に増加したために、Parabolaはeコマースベンダーからの、ワークフロー自動化サービスに対する需要の増加を受けており、それをサポートするための機能を追加してきた。

創業者でCEOのAlex Yaseen(アレックス・ヤッセン)氏はこのツールを、(特にスプレッドシートを使って)定期的にデータタスクを扱うすべての人たちに対して、プログラミングのような自動化をもたらす方法だと考えている。「私たちが提供するのはドラッグアンドドロップ型の生産性向上ツールです。そしてプログラミングのパワーをすべての人に提供したいと考えています」とヤッセン氏はTechCrunchに語った。

彼らのツールはその目標を、ワークフローキャンバスにドラッグアンドドロップできる、ビルド済みステップのライブラリを提供することで実現する。そうした各ステップは、これまではExcelやGoogleシートの中で手作業で繰り返さなければならなかったデータタスクを、自動化するために役立つ。

画像クレジット:Parabola

リード投資家のスカール氏は、彼とヤッセン氏は常に、現在一般的になってきたローコードのことをプログラミングレベルの生産性向上スキルをより広範なユーザーに提供する手段とみなしてきた(中でも特に、eコマースに焦点を当てて)と語る。

「本当に大切なことは、適切なユーザーのセット、適切な抽象化、適切なニッチを見つけて始めることです。これがeコマースに私が注目していた理由なのです。だから私は、Parabolaの取ったアプローチを素晴らしくエキサイティングなものと考え、興奮したのです」と彼は語った。

eコマースがパンデミックの中で急増したため、ヤッセン氏はそれにつれてここ数カ月の間、彼のプラットフォームの利用が増えていると語る。小売業者たちがオンラインに移行したり、これまでのオンライン業務を拡大しており、その拡大に追いつくためにより多くの内部プロセスを自動化する手段を見つける必要に迫られているのだ。

同社はまだ開発の初期段階にあり、従業員数は20人程度だが、現在積極的に雇用を進め多様な労働力の構築を目指している。ヤッセン氏は、こうした採用のやり方がコーディング方法を知らない多くの人々にプログラミングレベルのスキルをもたらす、という会社の全体的なミッションに結び付いていると考えている。それを効果的に推進するために、社会を大きく反映した多様な従業員たちを必要としているのだ。

「私たちはこれを核になる価値として語ってきました。そして私たちはこれまでのところ非常に上手くやれていると思っています。テクノロジー業界全体がそうであるように、私たちにも改善の余地はたくさんあると思いますが、私たちは必死で努力しています」と彼はいう。

同社は今回のラウンドからの資金を使って、プラットフォームの設計を洗練し続けて、技術者ではないユーザーにとって、さらに簡単に使えるものにしたいと考えている。「今回のラウンドは、スプレッドシートでのタスクに慣れているユーザーにとって製品を快適なものにするための、開発ならびに設計作業にとても役立ちます。

【略】

そして私たちが製品をより簡単に使いやすくすることで、ますます技術には明るくない方々に採用してもらえるようになるのです」と彼は語った。

関連記事:ParabolaはExcelで苦闘している人々を救う――簡単プログラミング・アプリが220万ドルを調達

画像クレジット: Melpomenem / Getty Images

[a href=”https://techcrunch.com/2020/08/11/parabola-no-code-platform-raises-8m-series-a-as-it-focuses-on-ecommerce/” rel=”noopener”>原文へ]
(翻訳:sako)

Apple watchOS 7をプレビュー

パブリックベータ版が届いた

Apple(アップル)が提供するオペレーティングシステムの中では、watchOSは最も影の薄い存在だ。 macOSが近年で最大の改修を受けるこの1年は、その傾向がますます強くなるだろう。概して、スマートウォッチのユーザーは新しいハードウェアセンサーの追加などに着目する傾向があるため、Apple Watchのソフトウェアは見過ごされがちだ。そんな中で、米国時間8月10日、数多くの重要な新機能と共にwatchOS 7のパプリックベータ版が公開された。どうやらAppleはスマートウォッチメーカーのリストの頂上に君臨していることに、安心しきってはいないようだ。

実際、Appleは特にHuawei(ファーウェイ)やSamsung(サムスン)といった海外勢による競争の激化を目の当たりにしている。おそらく、ソフトウェアの更新だけでは、スマートウォッチへの懐疑論者を引き込むには十分ではないだろう、しかしそれに加えてハードウェアのアップデートや低価格モデルに焦点を合わせる戦略を組み合わせれば、同社の優位な地位を保持する役には立つ。

今回のアップデートには、新しい手洗い支援機能、サイクリングナビ機能、新しいトレーニング機能などが含まれているが、中でも重要なのは数々の睡眠追跡機能が取り込まれたことだ。この最後の機能は、間違いなくWatchへの追加が最も要求されていたものだ。また同時に、Appleが競合他社に比べて遅れをとっていたカテゴリだったという意味で、それは同社にとって譲れない線だった。しかし、必要なハードウェア技術が不足していたからではない。今回提供される睡眠追跡機能は、既存のデバイスにすでに搭載されているセンサーとも連動し、多くのサードパーティソリューションとも組み合わせることができるものだ。

画像クレジット:Brian Heater

それは、Appleが今年後半に投入予定のWatch 6に、追加の睡眠追跡ハードウェアを導入しないという意味ではなく(実際追加される可能性は高いようだ)、これまでもっとも要求が多かった機能が、過去のシリーズ5,4,そして(2017年後半に発表され市場で200ドル(約2万1200円)ほどで取引されている)3のWatchで使えるようになるということだ。

睡眠追跡機能は多面的なものだ。もちろん、その中心となるのは標準的な追跡機能で、加速度計を使用してユーザーが眠りに落ちたタイミングを判断する、この中にはノンレム睡眠に入ったときに遅くなる呼吸の変化などの、微妙な手がかりも含まれている。得られる情報はまだそれほど詳細なものではないが、睡眠時間や心拍数などの重要な情報が含まれていて、それらはすべてAppleのHealthアプリに保存される。

パズルの最も目立つピースの1つはSleep Mode(スリープモード)だ。このモードに切り替えると、WatchがDo Not Disturb(起こさないでください)モードに入って、すべての通知がオフになり、手首が持ち上げられてもWatchのスリープが解除されなくなる。デジタルクラウンを回すことで一時的にモードは解除されるが、ユーザーが眠りに落ちると再びSleep Modeに切り替わる。

なんといっても、この機能はバッテリーを節約するのに役立つはずだ、それはAppleが睡眠に対して真剣になるにつれて、一層重要な課題になるだろう。Appleの説明によれば、現在Watchのバッテリーは18時間もつということだが、昼と夜の両方の追跡に使用したい場合には、これは問題となる。シリーズ6の注目点の1つはバッテリー容量の拡張だが、その一方で起床時には充電リマインダーがポップアップして、外出する前に充電するように促すようになる。また、就寝前に充電レベルが30%を下回った場合にも警告が行われる。

もう1つの大きな要素は、睡眠目標と、就寝時刻ならびに起床時刻を設定できるSleep Schedule(スリープスケジュール)機能だ。デフォルトでは、これは8時間に設定されている。これは、私自身の経験では少々長過ぎるように感じられるが、それが目標点なのだろう。Wind Down(ワインドダウン、鎮静)機能は、瞑想アプリやサウンドスケープなどを使って他のデバイスから離れて眠る準備をするようにデザインされた、就寝前活動の時間枠を設定できる。一方、Wake Up(ウェイクアップ、起床)機能は、iOSのベッドタイムアプリからサウンドを借用し、触覚フィードバックをアラームとして使用する。もしユーザーが設定した起床時刻の30分前に既に活動を始めていた場合には、Watchは目覚ましをキャンセルして一日の活動を始めるのかどうかを尋ねる。

画像クレジット:Brian Heater

手洗い機能の追加は、全くの偶然だ。以前の記事でも述べたように、この機能はAppleが長年取り組んできたものであり、たまたま誰もが手を清潔に保つべきこのタイミングに登場することになっただけだ。この機能はデフォルトではオフになっており、ユーザーが有効にする必要がある。オンにすることで、アニメーション化された泡の数で20秒のカウントが行われ、その時間中ずっと洗い続けることで、ちょっとしたお祝いの音が鳴る。

加速度計が感知する手の動きと、流水と石鹸の音を聞き取る内蔵マイクの組み合わせによって、手洗い動作が検出されて、自動的に機能がトリガーされるようになっている。どうやら手洗いの検出は驚くほど複雑のようだが、この機能は今回のベータバージョンでは、とても良くできている(まあ皿を洗っている時にときどき「偽陽性」で手洗いとして検出することもあったが)。

もう1つの重要な追加機能は、家に着いたときにポップアップするように設定できる手洗いリマインダーだ。これもまた、現在世界中で猛威を振るっている伝染性が高い感染ウイルスの時代に嬉しい追加機能だ。現段階では、独立した手洗いアプリは存在していないが、記録機能がヘルスアプリに直接組み込まれているため、履歴を後から参照することが可能だ。

新しくOSによって追跡されるようになったワークアウトのタイプは4種類存在している。それらはダンス、コアトレーニング、筋力トレーニング、そしてストレッチやその他のワークアウト後のアクティビティを含んだクールダウンの4種類だ。Appleは、Watchをより完全なフィットネストラッカーとして位置付けようとしているので、これらの追加機能は以前のものよりも多少詳細なものになっている。対応するiOSアプリも再設計され、すべてのアクティビティが1つのビューに統合されている。

また今回もいつも通り、新しいウォッチフェイスが追加されている。たとえばChronograph Pro(トップ画像)は、距離測定タキメーターから着想を得たデザインを採用している。私の好みからすると少々ごちゃごちゃしているが、決して見栄えの悪いデザインではない。またX-Largeはこれとは逆方向のものだ。画面の中央に大きくデジタルの時間表示があるだけだ。また、SMSを介して友人とウォッチフェイスを共有できる機能も加わった。

画像クレジット:Brian Heater

ところで最もクールな追加は、あまり時間をかけずに行われた以下の機能かもしれない。他のオペレーティングシステムと同様に、watchOSには翻訳機能が備わっている。Siriを呼び出して翻訳を依頼し、アラビア語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、日本語、韓国語、ブラジルポルトガル語、ロシア語、中国語(北京語)から言語を選択する。単語を話すと、Watchが翻訳結果を音声で読み上げ、画面に表示する。そして、全く異なる文字体系を持つ中国語のような場合には、テキストは中国語とアルファベット表記の両方で表示される。

このプロセスには多少追加の操作が必要だが、昨年のアジア旅行中に携帯電話を相手に手渡したり戻したりを何度も繰り返した誰かさんには、間違いなく役立つ機能だ。特に、自分の電話を本当に誰にも手渡したくないときには役立つ。

その他の機能も名前だけでも挙げておこう。

  • Apple Mapsのサイクリングナビ
  • ヒアリングヘルス/ノイズ指標の改善とヘッドフォンの最大音量を制御する機能
  • iPhoneからインポートされるSiriショートカット

watchOS 7の最終バージョンは今秋にリリースされる予定だ。

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(翻訳:sako)

約240億円の投資を指揮したウェンデル・ブルックス氏がインテルキャピタルの社長を辞任

Wendell Brooks(ウェンデル・ブルックス)氏が2015年にチップの巨人の投資部門であるIntel Capital(インテルキャピタル)の社長に昇格したとき、後継者として重責を担うことが同氏にはわかっていた。同氏は投資部門を創業以来28年間統括してきたArvind Sodhani(アービンド・ソダニ)氏の後を引き継いだ。同社は8月7日、ブルックス氏が社長を辞任したとの報道を認めた。

ウェンデル・ブルックス氏は、新しい機会を求めてインテルを辞任しました。ブルックス氏の貢献に感謝し、将来のご活躍を祈念いた します」と同社の広報担当者はTechCrunchに対し当たり障りのない送別の言葉を伝えた。

M&Aや国際投資を主導してきたAnthony Lin(アンソニー・リン)氏が暫定的に引き継ぐ。興味深いことに、ブルックス氏が昇格したときもM&A担当だった。リン氏がそのまま就任するかどうかは不明だ。

ブルックス氏がソダニ氏から引き継いだ2015年に、筆者はブルックス氏にインタビューしたことがある。その時は確かに目の前にある仕事に向かう準備ができているように思えた。「会社の実績を積み上げるという重責を担う」と同氏は当時述べた。「これはポートフォリオ企業に戦略的価値を提供する方向に重点をシフトする良い機会だととらえている」

同じインタビューで同氏は自身の投資哲学について、セカンダリーインベスターではなく、リードインベスターとなることを好むと述べた。「リードインベスターはビジネスの仮説、市場へのルート、方向性、スタートアップのテクノロジーに関して、パッシブインベスターよりも深い影響を与えることができる」と語った。「また、影響力を行使するために取締役を派遣したい」と付け加えた。

同社を従来のベンチャーキャピタルと比較すると、投資実績の点では同じかそれ以上であり、さらに戦略的投資家としてのメリットもあると語った。「従来のVCの一部は、企業の組織作りに価値を置いている。当社は戦略的なガイダンスを提供し、組織作りの点では他のVCの役割を補完することができる」と述べた。

同社はこれまで1500社以上に合計129億ドル(約1兆4000億円)を投資しており、そのうち692社はIPOか売却でイグジットした。同社は今年、ブルックス氏のリーダーシップの下、2億2500万ドル(約240億円)を投資した。このうち新規投資は11件、既存のポートフォリオ企業への投資は26件だった。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Casaがビットコインを保管するセルフカストディサービス提供へ

コロラドに拠点を置くビットコインセキュリティサービスプロバイダーのCasa(カーサ)は、顧客が購入したビットコインを自分で保管できるマネージドサービスを始める。Coinbase(コインベース)のような外部のカストディア(資産保管事業者)を使うのとは異なる方法だ。

Casaのセルフカストディをハッキングすることは不可能であり、ビットコインを盗むことはほぼ不可能だ」とNick Neuman(ニック・ノイマン)最高経営責任者はメールで述べた。「ビットコインをCoinbaseやその他多数の取引所に置いておくと盗難につながる。ビットコインの盗難や取引所へのハッキングには長い歴史がある」

昨年、大手仮想通貨取引所であるBinance(バイナンス)がハッキングされ、犯人は当時4000万ドル(約42億円)相当のビットコインを奪い去った(未訳記事)。

同社が新しいプロダクトによるアップグレードを提供する前は、ビットコインのトレーダーは取引所でビットコインを購入後、安全のため取引所からビットコインを移動する必要があった。ノイマン氏によると、Casaを使用すれば標準でセキュリティが確保される。

今やユーザーはビットコインをCasa経由で購入し、サービス内のウォレットに直接入金して資金を管理できるようになった。Casaは、プロセスのどのポイントでもユーザーのビットコインを管理することはない。同社によると、これにより取引所を利用するリスクを排除できる。

ドルの価値下落(Market Watch記事)と潜在的なインフレという新時代の到来により、消費者は自然と既存の金融システムの混乱を逃れて安全なアセットクラスを探すようになった」とノイマン氏は声明で述べた。「これまでは、投資家がビットコインのセルフカストディで実現されるセキュリティとコントロールを望んだ場合、複数の手続きを経て取引所に登録して預託金を差し出し、それからビットコインを自分の財布に移す必要があった。Casaがあれば、新しいユーザーがビットコインを最初に購入して保管するときに、非常にシンプルで高速なオプションが選べる」。

画像クレジット:Sarinya Pinngam / EyeEm / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

MOFTが今度はスタンドに変身する巧妙なノートPCスリーブを発表

MOFT(モフト)は賢い製品を作る賢い会社だ。しばらくの間、私は彼らの以前の製品であるノートPCスタンドを見せびらかしていた。私がミーティングでそれを広げると注目の的だった。対面で使ったときもそうだった。だが実際には、私はやがてそれをマシンの底から引き剥がすハメに陥った。しばらくは問題なく使えていたのだが、MacBookの底部からの熱で、最後は溶けてベタつき面倒なことになったのだ。使えている間は楽しめた。

結局のところ、それはデザイン上の欠陥だったと思う。しかし、そうであったとしても、MOFTは成功してほしい企業の1つであり、他のアクセサリメーカーの従来のモデルに対抗した興味深い製品を作り続けてほしい。たとえば、MOFTの別の製品であるラップトップ用折りたたみ式スタンディングデスク(MOFTサイト)を、私が買うかどうかはわからないが、それが存在することは嬉しく思う。

一方、今回のMOFTキャリースリーブは、それよりは私好みだ。これもまた、同社が発表した折りたたみ式スタンドだが、大切なことはそれが接着剤を使っていないということなのだ。そこが私の気に入っている大きな点の1つだ。粘着性のものに頼る代わりに、この折りたたみ式スリーブは、現在市場に出ている多くの折り紙式タブレットケースと同様に機能する。基本的に、折りたたみ可能な角と磁石の組み合わせて使って、さまざまな形状をとらせることができる。

実際、かなりのことはわかったと思う。ラップトップスリーブとしては、私の好みよりは多少かさばる感じだ。私のバックパックに入れるには少し大きい。だが、仕上がり品質は驚くほど素晴らしい。それは非常にリアルなビーガンフェイクレザーで、本物のレザーよりもサステナブルで、引っかき傷に強く耐水性がある。耳寄りな情報もある。カード入れと、多少伸縮する素材で作られたサイドポケットがついているのだ。

ケースは、ちょっと折りたたむことでスタンドに変身し、ノートブックを15度または25度の角度で支え、スライドしすぎないように小さな「フラップリミッター」を手前に備えている。同社は22ポンド(約10キロ)までの重量をサポートできるという。私自身は限界を試していないが、今の所私の15インチMacBookは大丈夫のようだ。また出張を始めたら、はっきりとわかると思う。

画像クレジット: Brian Heater

なにしろ、会社名のMOFTはMobile Office for Travelers(旅行者のための移動オフィス)の頭字語なのだ。もちろん現時点ではそれほど大きなビジネスではないものの、Carry Sleeve Indiegogoで、すでに30万ドルを集めているので、とにかく興味は持たれているようだ。

(注:日本ではMakuakeで扱われている)

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(翻訳:sako)

Uber Eatsはライドシェア事業より大きくなったが、まだ利益は出ていない

米国時間8月6日にUberは第2四半期の決算報告を発表した。その派手な数字の中に、同社が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック中に大きく変わったことを示す驚くべき数字が隠れていた。

Uber Eatsの名で知られているUberのデリバリー事業は、調整後の純収益は同社の創業時からの本業であるライドシェアリング事業よりも大きい。この調整後の純収益は、Uberの進化を物語るごく一部にすぎない。Uberのデリバリー事業の場合は、収益や損失も重要だ。

しかしそれでも過去1年、特に過去2四半期の変化を見れば、Uberの戦略が変わったことは明らかだ。そして今や、すべてデリバリーの方を向いている。

深く掘り下げる前に、決算をざっと見ておこう。

Uberの2020年第2四半期は純損失が17億8000万ドル(約1890億円)で、前年同期の52億4000万ドル(約5550億円)と比べて減少した。2019年に株式を公開したため、さまざまな一度限りの現金支出以外の費用が生じた。同社の損失は1株当たり1.02ドルになる。それでも、アナリストたちが予想した1株当たり0.86ドルの赤字を上回るものだった。

Uberは同四半期の収益性では予想を下回ったが、売上高は投資家たちが予想した21億8000万ドル(約2310億円)を上回った。

デリバリーへの移行

同社のさまざまなビジネスを評価するためには、需要な3つの柱がある。その中の2つが、Uberの経営成績に実質的な影響を与えている。それがモビリティ(ライドシェア)とデリバリー(Uber Eats)だ。この2つは、2020第2四半期においてどうだったのだろうか。

  • モビリティの利用総額:30億5000万ドル(約3230億円)
  • デリバリーの利用総額:69億6000万ドル(約7370億円)

上記のうち純収益(売上)は、

  • モビリティの調整後純収益:7億9300万ドル(約840億円)
  • デリバリーの調整後純収益:8億8500万ドル(約940億円)

そして上記からの調整後利益と調整後損失は

  • モビリティの調整EBITDA:5000万ドル(約50億円)
  • デリバリーの調整EBITDA:-2億3200万ドル(約250億円)

となる。

ご覧のようにUberのフードデリバリー事業は取引量ではるかに稼いでいる。しかしテイクレート(総支出のうち収益として維持できる部分)はライドシェアの方が大きいため、調整後純収益は近い数字となっているが、やはりデリバリーの方がモビリティを上回っている。

調整後の利益となると、Uberの伝統的なコアビジネスであるライドシェアの結果が良く、調整後のEBITDAがプラスになっているが、同じ利益計算方法ではデリバリーは損失になる。

2020第1四半期では、モビリティの利用総額と調整後純収益、および調整EBITDAがデリバリーより大きかった。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が及ぶ第2四半期では、この3つの数字のうち2つの順位が逆転している。今後ライドシェアが回復した場合、この数字がどの程度の速さで変化するかはわからない。しかし今日の決算報告からいえるのは、もはやUberが空港に利用者を連れて行くことよりも、食べ物を運んでくれることを重視していることが明らかであり、米国の企業にとってこれは大きな変化だ。

はっきりしているのは、Uberのライドシェアサービスは今後も継続するということだ。新型コロナパンデミックの荒波を乗り切り、より安定した時代に収益を上げる可能性を強化するために、Uberはデリバリーとライドシェアの2つを頼りにしている。

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、8月6日に「はっきりしてきたのは、2つのコアビジネスには非常に価値あるヘッジがあり、今後の回復シナリオにおいても、それが重要なアドバンテージになる。移動制限が解除されれば、当然モビリティは回復する。制限が継続したり、再度制限される場合は、デリバリーサービスで埋め合わせできるだろう」と語っている。

グラフではこうなる

Uberの第2四半期の本稿関連部分を、Uberが投資家のために作ったスライドを見てよう。

まず、同社のモビリティの数字。

画像クレジット:Uber

そしてこれが、デリバリーの結果だ。

画像クレジット:Uber

関連記事:UberのQ2売上高は29%減の約2365億円、好調の配達事業の赤字幅は縮小

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タグ:Uber決算発表Uber Eats

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

フェイスブックが新型コロナによる在宅勤務措置を2021年7月まで延長

Facebook(フェイスブック)もGoogle(グーグル)と同様に(未訳記事)、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる従業員の在宅勤務を2021年半ばまで認めると明らかにした。

「衛生当局と政府の専門家のガイダンス、そして当社の内部協議の結論に基づき、従業員が任意で引き続き2021年7月まで自宅で働くことができるようにする」とフェイスブックの広報担当はReutersに語った

フェイスブックはまた「ホームオフィス需要」に使える追加の1000ドル(約10万1000円)を従業員に支給するとも述べた。

2020年7月下旬にグーグルは新型コロナ措置のリモートワークを延長した(未訳記事)。2021年6月末まで在宅勤務を続けることができるとしている。

2社とも世界中の多くの都市に大きなオフィスを構えている。パンデミックのために通常よりもかなりフレキシブルな勤務体系を提供せざるを得なくなったにもかかわらず、両社はオフィスを維持し続け、職場の提供をアピールしている。(オフィスをさまざまなことができるプレイグラウンドに変えるのに2社がこれまでいくら費やしたのかを考えた時、これはおそらく驚くことではないだろう。スタッフを長時間留められるよう、オフィスには無料のスナックや食事、昼寝ポッド、ビデオゲームアーケード部屋、健康センターすらも用意されていた)。

例えばフェイスブックは2020年8月初めに、ニューヨークにあるアイコン的なビルにメーンオフィスを確保した(未訳記事)。220万平方フィート(約20万平方メートル)ある既存のオフィスに73万平方メートル(約6万8000平方メートル)を追加するというものだ。グーグルは英国の首都ロンドンのキングクロスエリアでメインオフィスの開発を引き続き進めている。予定しているロンドン「ランドスクレイバー」本部の場所で先月勤務を再開した(The Guardian記事)。

2020年7月下旬にApple(アップル)は少なくとも2021年初めまで従業員がオフィスに戻らないことを明らかにした(San Francisco Chronicle記事)。その際、オフィスへの出社は効果のあるワクチン、あるいは有効な治療が利用できるようになっているかどうか次第だとした。つまりアップルは新型コロナによる在宅勤務が長期にわたることを覚悟しているようだ。

オフィスの将来について疑問が渦巻いているが、人間同士の接触は公衆衛生のリスクだ。逆説的にいえば、資金潤沢なテック大企業は従来の職場をすべて捨てて、オフィスワークをリモートで行える現代テクノロジーに全面移行するつもりはないことを示している。

Twitter(ツイッター)は例外だ。パンデミック第1波の間、同社は完全リモートワークを導入し、5月には望むならずっと在宅勤務を続けることができる、と従業員に伝えた

最近の同社アカウント侵入にリモートワークが影響したかどうかはわからない。ツイッターは、ネットワークアクセスクレデンシャルの入手を目的にスタッフを騙すのに電話スピアフィッシングが使われた、と述べた。

もちろん、多くの従業員がパンデミック期間にリモートで働くことによるリスクについて、セキュリティ懸念を抱いた。リモート環境は会社のファイアウォールの外にあるかもしれず、攻撃に弱い。

フェイスブックの広報は、同社が永久にリモートで働くオプションを従業員に提供するかどうかについて回答しなかった。しかし同社はこれまでのところ、そこに踏み込む準備はできていないようだ。少なくとも、かなりのオフィススペースの新規契約にサインしていることからするとそうなのだろう。

フェイスブックは2020年5月にデンバー、ダラス、アトランタに新たなハブを設けると発表するなど、新型コロナパンデミックを受けてオフィスへのアプローチを修正してきた。

またサンディエゴやポートランド、フィラデルフィア、ピッツバーグなどで、オフィス周辺エリアでの新たな人材探しに注力すると明らかにした。

CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は今後10年内に従業員の半分が完全リモートで働くようになるかもしれない、と述べた(Facebook投稿)。ただしハードウェア開発、データセンター、人事採用、ポリシー、提携などの部門の一部の業務では完全リモートワークはできないと話している。

関連記事:Facebookが社員半数をリモートワークに、シリコンバレー外に複数の拠点開設へ

カテゴリー:ニュース

タグ:Facebook 新型コロナウイルス

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

D2Cのキャットフードのスタートアップ「Smalls」が約9.5億円を調達

犬の飼い主がドッグフードをオンラインで注文しようと思ったらD2Cの選択肢がたくさんあるが、キャットフードにはそうしたスタートアップの波は来ていないようだ。しかしこの状況は変わりつつあるのかもしれない。

2020年3月に筆者はCat Personという企業に関する記事を書いた(未訳記事)。フードをはじめとする猫用の製品を幅広く提供するHarry’s Labsが支援しているスタートアップだ。そして2018年に創業したキャットフードのスタートアップであるSmallsは、米国時間8月5日にシリーズAで900万ドル(約9億5000万円)を調達したことを発表した。

共同創業者のMatt Michaelson(マット・マイケルソン)CEOとCalvin Bohn(カルビン・ボーン)COOは、D2Cのドッグフードのモデルを単純に猫に適用するわけではないと語る。

ボーン氏は「これまでずっとペットケア業界の企業がまず手がけるのは犬で、その後、猫用の製品に手を広げる」という。

マイケルソン氏は、企業は猫の栄養に関するニーズを見過ごしてきたという。特に「我々が本当に成功するためには、もっと幅広い製品が必要だということがわかった。猫は頂点捕食者なので食べ物の好みがうるさい」と同氏は述べる。

そこでSmallsは、ヒューマングレードの新鮮な鶏肉や牛肉、フリーズドライの鶏肉や七面鳥、鴨肉といったバラエティに富んだフードの他、おやつ、そしてトイレ砂やおもちゃなどフード以外の製品も提供している。

マイケルソン氏とボーン氏の出発点は、フードを調理していたニューヨーク市のアパートのキッチンだった。その後、調理系の起業支援をしているThe Brooklyn Food Worksに移った。Smallsは現在、シカゴにある設備でキャットフードを生産している。

猫の飼い主がこれまで支払ってきた代金よりも若干高くなることを両氏は認めている。正確な比較は現在購入している製品のブランドや品質によるので一概にはいえないが、Smallsのウェブサイトで筆者が簡単な質問に答えてみたところ、1日、猫1匹あたり3〜4ドル(約320〜420円)ほどのサブスクリプションプランを提案された。マイケルソン氏は「リテンションは所得と相関関係にない」(つまりSmallsの顧客は裕福な飼い主とは限らない)と説明し、猫にヘルシーなフードを与えることは長い目で見ればお金の節約になると主張する。

同氏は「これを裏付ける研究はまだないが、品質の良いものを食べるのは自分への投資だと考えるのは自然なことだ」という。

ボーン氏は、猫の飼い主がSmallsのフードに乗り換えればすぐに違いに気づくと補足する。「数週間で、猫は夜によく眠り、毛並みのツヤが良くなり、トイレのにおいも改善した」とのことだ。試用したジャーナリストは同意しているようだ(BuzzFeed記事)。

シリーズAにより、Smallsのこれまでの調達金額の合計は1200万ドル(約12億7000万円)となった。シリーズAを主導したのはLeft Lane Capitalで、Founder CollectiveとCompanion Fundが参加した。Left Lane CapitalのパートナーはJason Fiedler(ジェイソン・フィードラー)氏で、これまでにドッグフードデリバリーのThe Farmer’s Dogに投資している。

フィードラー氏は発表の中で「ヘルシーなドッグフードのブランドの大成功が増えている一方で、キャットフード市場は完全に無視されてきた。Smallsはブランド、製品ラインナップ、サプライチェーン、そしてこれまで誰も手がけていない猫に特化した顧客体験を順調に構築している」と述べた。

マイケルソン氏によれば、Smallsのアクティブなサブスク利用者は現在「数千人」で、前年比の4倍に増えたという。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によりサプライチェーンの課題は生じたが、その一方で「ペットの里親が大幅に増加」し、近隣のペットショップに代わるものを探すべきだという飼い主に対する働きかけも起こっている。

マイケルソン氏は「新型コロナウイルスの影響でD2Cは大きく動いていると我々は見ているので、まさにこれを機に急速に成長するチャンスだ」と述べている。

画像クレジット:Smalls

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(翻訳:Kaori Koyama)

今週の記事ランキング(2020.8.2〜8.6)

今週もTechCrunch Japanで最もよく読まれた5つの記事を紹介しよう。今週の1位は、「Apple Watchかと見まがうようなOppo Watchが登場」というニュースだ。他のランキングについても振り返ってみよう。

UberのQ2売上高は29%減の約2365億円、好調の配達事業の赤字幅は縮小

米国8月6日の株式取引開始直後に米国の配車サービス大手Uber(ウーバー)は第2四半期決算を発表した。

同社の売上高は2019年第2四半期、そして2020年第1四半期に比べて減少した。投資家らは新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による減少を懸念し、同社は今年初めにどのような状況であれ同社が2020年の事業費を賄えるだけの十分な現金を持っていると投資家らを安心させるのに時間を割いていた。

第2四半期のUberの利用総額は前年同期比35%減の102億ドル(約1兆780億円)だった。その結果、売上高は22億4000万ドル(約2365億円)で、31億7000万ドル(約3350億円)だった前年同期から29%減った。純損失は、前年同期の52億4000万ドル(約5530億円)から減って17億8000万ドル(約1880億円)だった。同社は昨年上場し、その際1度限りのさまざまな非現金コストが発生した。

同社の純損失は1株あたり1.02ドル(約107円)の損失となった。決算発表に先立ってアナリストは1株あたり0.86ドル(約90円)の損失を予想していた。同社は第2四半期で黒字化を達成できなかったが、売上高は投資家らが予想していた21億8000万ドル(約2300億円)を上回った。

Uberの株価は、決算を受けて時間外取引で4%強下げている。

第1四半期との比較

2020年第1四半期に比べて決算内容がどうだったのかをみてみよう。結論をいうと、よくなかった。

2020年第2四半期にUberは、第1四半期の1株あたり損失が1.70ドル(約180円)で売上高は35億4000万ドル(約3740億円)だったと発表した。第1四半期は29億4000万ドル(約3100億円)の赤字だった。前述したように、第2四半期の1株あたりの損失は1.02ドルとなったが、一方で売上高は22億4000万ドルに減少した。ゆえに売上高は前期比36.7%減となった。

さらに見ると、Uberは第2四半期に配車サービスで7億3700万ドル(約780億円)を売り上げた。第1四半期は16億6000万ドル(約1750億円)だった。利用総額も第1四半期の157億8000万ドル(約1兆6700億円)から35%落ち込んだ。

この猛吹雪のような数字の中にいくつか良いニュースもあった。UberのFreightとEatsの事業は赤字だったが、赤字幅は減少した。

「配達」部門の調整後EBITDA(償却前営業利益)は、第1四半期の3億1300万ドル(約330億円)の損失から、第2四半期には2億3200万ドル(約245億円)の損失へと損失幅が縮小した。Uber Freightの調整後EBITDAは第2四半期に4900万ドル(約52億円)の損失で、第1四半期の6400万ドル(約68億円)よりも縮小した。

変わりつつある事業

Uberの第2四半期は変動期だった。前年同期に比べると、配達事業(以前のUber Eats部門)は調整後純収益が前年同期比162%増と大幅に伸びた。同時に、モビリティ部門(以前のRides部門)の調整後純収益は同66%減となった。

人々が外出を控えたため配車サービス事業は大幅に落ち込んだが、そうした人々はフードデリバリーを注文した。フードデリバリーへの予約のミックスシフトは配車サービスの損失をかなり埋めたが、それでも完全にではない。

かつて黒字化達成の鍵を握っていた配車サービスの第2四半期の調整後EBITDAはわずか5000万ドル(約53億円)だった。これは前年同期より4億6500万ドル(約490億円)少なく、今年第1四半期からも5億3100万ドル(約560億円)少なかった。

「モビリティの回復は明らかに公衆衛生状況次第だ」とCEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は決算会見で述べた。「アジアとインドは回復基調にある。香港とニュージーランドの利用総額は新型コロナ前の最高額を上回っていて、欧州の動向もまた期待できるものだ」

一方、米国の回復は遅れている。同社が世界中で事業を展開しているのはアドバンテージだ、とコスロシャヒ氏は指摘した。そして経済活動が再開したら人々の移動は急激に戻る、とも述べた。

配車サービスが衰えた一方で、にわかに稼ぎ頭となっている配達事業は前年同期、そして前期から赤字幅を縮小した。第2四半期の調整後EBITDA損失は2億3200万ドル(約245億円)で、前年同期の2億8600万ドル(約300億円)の損失から5000万ドル(約53億円)以上少なくなった。2020年第1四半期の配達事業は3億1300万ドル(約330億円)の調整後損失を計上した。

当然のことながら、利用減少の大半はUberの手に負えないものによる。しかしグローバルパンデミックと経済の一時停止が2019年のIPOに多大な影響を及ぼしたことが見て取れる。

Uberの第2四半期の期末残高(現金、現金同等物、短期投資)は78億ドル(約8200億円)で、前期末は90億ドル(約9500億円)だった。

画像クレジット: ANTHONY WALLACE

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(翻訳:Mizoguchi

中国スマホメーカーはトランプ政権の規制策で米国アプリインストール不可に

世界のスマホ販売の3分の1以上が中国のメーカー3社、Huawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)、そしてOppo(オッポ)によるものだ。これらメーカーは中国のサプライチェーンのおかげでコスパの良い端末を提供して成長しているだけでなく、比較的オープンなモバイルエコシステムを享受している。ほとんどの国の消費者はGoogle(グーグル)やInstagram(インスタグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)などに自由にアクセスできる。

そうした自由は、米国・中国間のテック対立が現実のものになるにつれリスクにさらされている。テック対立はどちらの国にも悪影響を及ぼしうる。

トランプ政権の5本柱から成るClean Network(クリーンネットワーク)イニシアチブは、中国のスマホメーカーが米国のアプリをプレインストールまたはダウンロードできないようにすることを目的としている。米国の制裁によりHuaweiはすでにGoogleの主要サービスへのアクセスを失い、これにより中国外でのスマホ販売は大打撃を受けている。もしクリーンネットワークが適用されれば、OppoやVivo(ビボ)、Xiaomi、その他の中国スマホメーカーもHuaweiと同じ苦しみを味わうことになる。

中国は何年もの間、Great Firewall(グレートファイヤーウォール)が西洋のサービスを規制するなどしてインターネットを取り締まってきた。往々にして検閲の理由が明示されることない。いま、米国は中国のアプリを米国のインターネットから遠ざけようとしている。

クリーンネットワークプログラムは「米国市民のプライバシーと米国企業の最も機密性の高い情報を、中国共産党など悪意ある輩による攻撃的な侵入から守る」トランプ政権の取り組みの一環として4月に発表(米政府プレスリリース)された。

中国政府は8月6日、米国による中国テック企業への制限に断固反対すると述べ(Weibo投稿)、米国が自国のテクノロジー覇権を守るためにそうした行動に出ていると激しく非難した。

中国のソーシャルメディアでは多くの人が、トランプ政権のクリーンネットワークを、中国の日常的なサイバースペース取り締り(Weibo投稿)と比較している。中国の当局はポルノ、暴力、ギャンブル、その他の「不法」な動きを一掃する一方で、米国のものは自由なインターネットに終わりを告げるものだとしている。

規制がいつ、どのように実施されるのかは明らかではない。クリーンネットワークプログラムはまた、「信用できない」中国アプリを米国のアプリストアから排除することも目的としている。TikTok (ティクトク)の禁止はMicrosoft(マイクロソフト)による買収検討でなくなりそうだが、他の中国アプリもまた米国で大きな存在となっている。WeChat(微信)やWeibo(新浪微博)のように、多くのアプリが国外に散った中国人コミュニティをターゲットとしているが、中国企業が所有するLikee(ライキー)やZynn(ジン)のようなアプリは地元のユーザーに利用されている。

中国企業はすでに、リスクを回避している。TikTokを含む一部の企業は海外にデータセンターを設置した。また別の企業は他国に企業登録を移して米国オフィスを維持する一方で人件費の安いエンジニアを中国に擁している。全てのアプリについて、中国とつながりがあるかどうか調査するのは純粋に不可能だ。

クリーンネットワークプログラムでは、China Mobile(中国移動通信)のような通信会社は米国の通信ネットワークに接続することは許されない。これにより、中国の通信会社は中国人旅行者に米国でのローミングを提供できなくなる。

クリーンネットワークプログラムではまた、米国企業はAlibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、Baidu(バイドゥー)のような中国のクラウドサービスに情報を保存することを禁じている。中国のクラウドプロバイダーは、Tencentが米国ユーザー向けに提供しているゲームのように、自社のサービスのためにデータを保存するときを除き、米国で多くの顧客を持つことはできない。

最後に、世界と接続している米国の海底ケーブルが「中国による情報収集に利用されない」こともクリーンネットワークプログラムは求めている。

プログラムが実行されれば、広範に及ぶ制限が中国からの報復を招くのは必至だ。しかし中国政府にとって交渉を有利にする材料は何だろうかApple(アップル)とTesla(テスラ)は中国での事業展開にかなり関心をもっている数少ない米国テック大企業だ。

画像クレジット:Jennifer A Smith / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

IoTデバイスに特化した検索エンジンを開発するCensysが約16億円調達

インターネットデバイスの検索エンジンであるCensys(センシス)は、おそらくあなたが耳にしたことがない最大の検索エンジンの1つだ。

Google(グーグル)がウェブ上の情報を見つける検索エンジンなら、Censysはデータをホストするコンピューター、サーバー、スマートデバイスなどのインターネットデバイスを見つける検索エンジンだ。インターネットに接続されたデバイスを探しながら継続的にマッピングを行い、企業のファイアウォールの外側からアクセス可能なデバイスを特定することを可能にする。その目的は、ウェブからアクセスできるシステムを捕捉し、セキュリティの脆弱性のため悪用される可能性があるデバイスを把握する手段を企業に提供することだ。

Censysは、GV(ジーブイ)とDecibel(デシベル)がリードしたシリーズAで1550万ドル(約16億円)を調達した。Greylock Partners(グレイロックパートナーズ)も参加した。

米国ミシガン州アナーバーに本拠を置くインターネットセキュリティのスタートアップの最高経営責任者兼共同創業者であるDavid Corcoran(デービッド・コーコラン)氏は、「当社は一流のセキュリティ人材に積極的に投資する計画であり、営業、エンジニアリング、リーダーシップチームの拡大に向け、来年には従業員数を約50人から100人に倍増させる計画だ」と語った。

「世界一流の投資家から投資を受けたことを大変嬉しく思っている。当社はこの勢いを止めることなく、絶え間なく変化する環境で企業のセキュリティ管理に革命を起こし続ける」とコーコラン氏は述べた。

資金調達はこれ以上ないタイミングで行われた。同社だけがインターネットデバイス検索エンジンというわけではなく、ライバルにはBinary Edge(バイナリーエッジ)やShodan(ショーダン)がいる。しかし同社によると、インターネットマッピングテクノロジーの改善に2年を費やしており、以前よりインターネットらしくなっている。

元々はオープンソースのZMapスキャナーの開発・保守を行っていたチームが構築した新しいスキャンエンジンは、他のセキュリティ会社よりもインターネット上のデバイスが44%多いと同社は主張する。チーフサイエンティストであるZakir Durumeric(ザキール・デュルメリック)氏は、「企業は新しく脆弱なシステムがオンラインになると同時に確認できるようになる」と語った。

Censysはアナーバー地域で成長しているセキュリティ企業の1つ。ほかにも同地域最大級の会社としてDug Song(ダグ・ソング)氏が共同で創業したDuo Security(デュオセキュリティ)がある。同氏はCensysの取締役も務める。

「見えないものを保護することはできない。だが今日のダイナミックなIT環境で多くの組織は、リスクのある全てのシステムとアプリケーションを攻撃者が見つける前に必死に探し出そうとしている」とソング氏は言う。「Censysは防御側が必要とする『可視化の自動化』によって力を貸す。それによりリスクをしっかり理解し、先回りできる。そして小規模なセキュリティチームでも大きなインパクトを与えることができる」

画像クレジット:Censys

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(翻訳:Mizoguchi

国産IoT猫トイレの「トレッタ」が米国進出、ロイヤルカナンを傘下にもつ米大手ペット企業MARS Petcareと提携

カメラや重量計を内蔵するトイレやLINE経由の獣医師への相談ネットワークを構築し、猫の健康をテクノロジーで守るスタートアップであるトレッタキャッツがいよいよ米国進出を果たす。

米国大手ペット産業であるMARS Petcare(マース ペットケア)のイノベーション部門であるKinship(キンシップ)と提携し、2020年秋より米国でパイロットプログラムを開始する。本プログラムを通じて、世界最大のペット市場である米国での事業展開を加速させる。

Kinshipは、1億ドル(約106億円)のベンチャーファンド、スタートアップアクセラレータープログラム、各種パートナーとの連携プログラムを推進しており、トレッタキャッツがその1社に選ばれたかたちだ。

パイロットプログラムではまず、2020年秋より米国の100人の飼い主と猫にトレッタを提供し、医療データとトレッタのデータを組み合わせ、獣医学的観点でビッグデータ分析を実施する。

トレッタキャッツが開発・販売中のIoTトイレのtolettaは、米国での特許も取得しており、今回のパイロットプログラムを足がかかりに、日本の9倍にもなる9000万頭の猫が飼育されている米国への本格進出を狙う。なお現在日本でぇあ、約5000頭の猫がtolettaを利用しているという。

月4万円〜の定額で全国のワーケーション拠点に住み放題、「ADDress」がシリーズBの資金調達

広島県尾道市にオープンした、ADDressの広島県内第1号拠点。室内からは対岸の向島(むかいしま)が一望できる。

月額住み放題の多拠点居住プラットフォーム「ADDress(アドレス)」を運営するアドレスは8月6日、Bonds Investment Group(旧社名:オプトベンチャーズ)をリード投資家とし、山口フィナンシャルグループ傘下の山口キャピタルが運営するUNICORNファンドおよび個人投資家らから第三者割当増資による資金調達を実施したことを明らかにした。

ADDressは月額4万円からの定額で、全国の拠点に自由に住める多拠点コリビング(Co-living)サービスだ。個室を確保しながら、シェアハウスのようにリビングやキッチンなどを共有。空き家や空き別荘のオーナーと契約することで、遊休不動産の活用とコスト抑制を図っている。

5月20日には、ホテル・旅館・ゲストハウスなどの宿泊施設との連携強化を発表。リモートワークやワーケーションといった、コロナ禍を機に拡大する新しい働き方を支援し、職住融合型の滞在個室の提供を図る。

今回の第三者割当増資の引受先は以下の通り。

  • BIG2号投資事業有限責任組合(Bonds Investment Group
  • UNICORNファンド投資事業有限責任組合(山口キャピタル
  • 藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長)
  • 児玉 昇司氏(ラクサス・テクノロジーズ代表取締役社長)
  • 重松 大輔氏(スペースマーケット代表取締役社長)
  • 月岡 隆氏(個人)

ADDressは、広島県の尾道と山口県の岩国にそれぞれ県内第1弾となる拠点を展開。北九州市の門戸港にも進出するという。

本調達は、アドレスにとってシリーズBラウンドに当たる。同ラウンドは継続中で、複数の事業会社やVCなどから追加調達を実施して2020年9月中に完了する予定とのこと。調達金額は非公開だ。