【コラム】2008年、AnimotoがAWSを追い詰めた日

現在、Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス、AWS)は、クラウドインフラストラクチャサービス市場を牽引する企業であり、600億ドル(約6兆6000億円)と圧倒的なビジネス規模を誇る。しかし、2008年当時のAWSはまだ日が浅く、クラウドサーバーの需要拡大に対応するために奮闘していた。実際、AWSがAmazon EC2(アマゾンEC2)のベータ版を発表したのは、15年前、2006年8月25日のことだ。それ以来、AWSはスタートアップに無制限のコンピューティングパワーを提供し、当時、主力のセールスポイントとなった。

EC2は、大規模なエラスティックコンピューティング(必要に応じてスケールアップし、不要になったら削除するサーバーリソース)を販売するための、最初の本格的な試みの1つだった。2008年、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がスタートアップを対象とした初期のセールスプレゼンテーションで「雷が落ちても大丈夫なように準備をしておかないと、大いに後悔することになるだろう。もし雷が落ちたときに準備ができていなかったら、その状況に対処するのは難しい。だからといって、雷が落ちなかったときのことを考えると、非現実的に冗長な物理的インフラを準備するわけにもいかない。だから、(AWSは)その難しい状況を手助けする」と語っている。

2008年、この価値提案に試練が訪れた。AWSの顧客であるスタートアップAnimoto(アニモト)が、South by Southwest(サウス・バイ・サウスウエスト)でFacebook(フェイスブック)アプリを発表した直後、ユーザーが4日間で2万5000人から25万人に膨れ上がった時のことだ。

当時のアニモトは、ユーザーが写真をアップロードして、それをBGM付きの動画にできるという、一般消費者向けのアプリを提供していた。今となっては大したことのないサービスに聞こえるかもしれないが、当時としては最先端の技術であり、1つの動画を作るのにかなりのコンピューティングリソースを使用していた。Web 2.0のユーザー生成コンテンツというだけでなく、モバイルコンピューティングとクラウドの融合という、今日では当たり前のことをいち早く実現していたのだ。

2006年に設立されたアニモトにとって、AWSを選択することはリスクの高い提案だったが、サービスへの需要がダイナミックに変化することから、自社でインフラを運営することは、それ以上のリスクをともなうことに気づいた。自社でサーバーを立ち上げるには、莫大な設備投資が必要だったのだ。アニモトは当初、最初の資金を集める前にサーバーを構築していたため、AWSに注意を向ける前はそのような方法を取っていたと、同社の共同創業者兼CEOのBrad Jefferson(ブラッド・ジェファーソン)氏は説明する。

「当社では、何らかの方法でコンセプトを証明する必要があると考え、自分たちでサーバーを構築し始めた。その結果、概念実証の段階でさらに弾みが付き、ある程度のユーザーにサービスを利用してもらえるようになった。そのため、一旦一歩下がって、失敗に備えるだけでなく、成功に備えるには何が必要なのか、考えてみることにした」と同氏はいう。

AWSの採用を決断することは、現在の状況を考えれば簡単なことのように思えるかもしれないが、2007年当時としては、ほとんど実績のないコンセプトに、会社の命運を託すことを意味した。

「AWSとEC2の躍進には眼を見張るものがあるが、当時としては本当にギャンブルだった。何しろ、eコマース企業と『インフラの運営について』話していたのだ。Amazonは、自分たちがそういったサーバーを持っていて、それが完全に動的に利用できるということを納得させようとしていた。今にして思えば明らかなことだが、当時、当社のような会社がAWSに賭けるのはリスクがあった」とジェファーソン氏は話す。

アニモトは、AWSが謳っていることの実現を信じるだけでなく、自社のソフトウェアをAmazonのクラウド上で動作するように半年間かけて再設計する必要があった。しかし、ジェファーソン氏が収支を計算してみると、この選択は理に適っていることがわかった。当時のアニモトのビジネスモデルは、30秒の動画は無料、それ以上の動画は5ドル(当時約600円)もしくは1年あたり30ドル(同約3600円)というものだった。このモデルを実現するために必要なリソースレベルをモデル化しようとしたところ非常に難しかったため、同氏と共同創業者たちは、利用者が急増したときでも対処できることを期待し、AWSに賭けるという決断を下した。

そのテストは、翌年のサウス・バイ・サウスウエストで行われたが、アニモトがFacebookアプリを発表したことで需要が急増し、結果として当時のAWSの能力の限界を押し上げることになった。同社が新しいアプリを発表した数週間後には、関心が爆発的に高まり、Amazonは同社のサービスを継続的に運営するために必要なリソースの確保に奔走することになったのだ。

現在、AmazonのEC2担当副社長を務めるDave Brown(デイブ・ブラウン)氏は、2008年当時、エンジニアとしてチームに参加していたが「(アニモトの)すべての動画は、個別のEC2インスタンスを起動し、処理し、終了させることで対応していた。ところが、前の月は、1日あたり50~100インスタンスを使用していたのに、火曜日のピーク時には約400、水曜日には900、そして金曜日の朝には3400インスタンスが使われるといったことが起きていた」と語る。AWSが急増した需要に必要なリソースを提供できたため、アニモトはその需要に対応することができた。アニモトの使用量は最終的に5000インスタンスに達したが、その後落ち着き、エラスティックコンピューティングが実際に有益であることを証明した。

しかし、ジェファーソン氏によると、その時点でアニモトは単にEC2のマーケティングを信用していただけではなく、AWSの幹部と定期的に電話で話し、需要が増えてもサービスが破綻しないことを確認していたという。「話の要点は、もっとサーバーを用意してくれ、もっとサーバーが必要だ、ということだった。AWSが自分たちのウェブサイトや他のサイトから処理能力を奪ったのかどうかはわからないが、AWSのおかげで、当社が必要としていた処理能力を確保することができた。そして、その急上昇を乗り越えることができ、その後は自然と落ち着いていった」と同氏は語る。

アニモトをオンラインにしておくというコンセプトは、同社の最大のセールスポイントとなり、友人や家族以外でこのスタートアップに投資したのは、実はアマゾンが最初の企業だった。その後同社は、2011年に最後の資金調達を行い、合計3000万ドル(当時約24億円)を調達した。現在、同社はどちらかというとB2Bの事業を中心としており、マーケティング部門が簡単に動画を作成できるよう支援している。

ジェファーソン氏は、具体的なコストについては言及しなかったが、多くの時間休眠しているサーバーの維持にコストをかけることは、同社にとって許容できる方法ではないと明言する。クラウドコンピューティングが最適なモデルであるとわかり、同社は今もAWSを利用していると同氏はいう。

クラウドコンピューティングは、必要なときに必要なだけのコンピューティングを提供することを目的としているが、当時の特殊な状況において、その概念が大々的に試されることとなった。

現在、Amazonでは毎日6000万インスタンスを処理していることを考えると、3400インスタンスの生成に苦労したというエピソードは古臭いものに思えるが、当時としては大きな挑戦であり、エラスティックコンピューティングの考え方が単に理論に留まらないものであることをスタートアップに示した功績は大きい。

画像クレジット:EThamPhoto / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

PayPal元COOの「ソーシャルポッドキャスティング」アプリCallin、ライブ録音を保存しポッドキャストに編集可能

ライブオーディオの人気が高まる中、共同創業者のDavid Sacks(デビッド・サックス)氏(PayPalの元COOおよびYammerの元CEO)とAxel Ericsson(アクセル・エリクソン)氏は、ソーシャルオーディオとポッドキャスティングを1つのシームレスなアプリに統合することを目指した。その結果生まれたアプリCallinは先に、Sequoia、Goldcrest、そしてSacksが設立しパートナーを務めるCraft Venturesが共同で主導したシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億2400万円)を調達したことを発表し、iOS上でローンチした。

ClubhouseやTwitter Spaces(Twitterスペース)のようなライブオーディオプラットフォームでは、ルームが終了するとオーディオは消えてしまう。Callinにも似たようなライブオーディオ機能があるが、ユーザーが自分のライブ録音を保存してポッドキャストのエピソードに編集できるという点で他と一線を画している。

「私は何年も前からポッドキャストをやろうと思っていましたが、あまりにも複雑で障壁が高すぎるためにまったく取り組めていませんでした」と、ロックダウンの中でポッドキャスト「All In」を始めたサックス氏は語る。「スタジオにはポッドの全エピソードのポストプロダクションに6時間費やす担当者がおり、私たち全員がマイクとハードウェアを手に入れる必要がありました【略】編成が大変でした」。

Callinは、初めて番組を制作するポッドキャスター志望者の参入障壁を軽減するとともに、ユーザーがアプリ上で作成したコンテンツの所有権を保持できるようにする。録画を開始するには、ユーザーがプライベートまたはパブリックのルームを開くだけで、ゲストを招待して会話に参加させたり、1人で録画したりできる。またライブルームでは、ホストがクラウドを管理しやすくなるよう、オーディエンス参加のためのキューがより簡素化されている。

画像クレジット:Callin

録音後にポッドキャストを編集する場合は、アプリが録音と同じくらいの時間でトランスクリプトを生成する。その後、テキストのブロックをタップするとポッドキャストから切り取ることができる。「um(えーと)」や「uh(うーん)」といったつなぎ言葉も分離可能だ。今のところ、AIが特定したテキストのブロック中の個々の単語やフレーズをカットすることはできないが、アプリの編集システムは引き続き構築されていくとサックス氏は語っている。またCallinは、録音の開始時または終了時に「デッドエア」をカットするプロセスも自動化する。編集が終わると、ホストは録画したものをアプリ上で制作する番組のエピソードとしてアップロードすることができる。ユーザーは自分のオーディオをエクスポートして他のポッドキャストホスト上で共有することも可能で、将来的にはRSSフィード経由でコンテンツをシンジケートできるようになるとサックス氏は述べている。

「ですが、ポッドキャストアプリを介してそのコンテンツを消費することは、Callinでそれを体験することとは異なるでしょう。Callinでは会話が行われたときのルームをインタラクティブに再生できるからです」とサックス氏はいう。「誰が話しているかのアバターを見ることができ、それをクリックしてフォローしたり、プロフィールを閲覧して彼らが他に何に興味を持っているかを見ることができます。それは単なるフラットなオーディオファイルとは異なる体験です」。

画像クレジット:Callin(TechCrunchによるスクリーンショット)

ポッドキャスターたちはまだトランスクリプトを公開できない、つまりほとんどの自動トランスクリプトと同様に100%正確ではない状態ではあるものの、Callinが取り組んでいるこの機能は、Clubhouseに依然として欠けている待望のアクセシビリティを生み出す可能性がある。Clubhouseと同様、Callinはまだライブキャプションをサポートしていない(Twitterスペースはサポートしている)。しかしサックス氏は、ホストがトランスクリプトを共有できるように拡張されれば、ライブキャプションは「ロードマップ上にある」と語る。

「ルームで使えるアプリもあれば、トランスクリプト0を編集できるアプリもありますし、ソーシャル発見やハイライトを行うアプリも存在しますが、これらの要素をすべて1つの体験にまとめたものはありません」とサックス氏。「私たちは、オーディオ番組の制作を考えているすべての人のために、この完全な垂直スタックを作ろうとしています。そのため、その体験のあらゆる側面をイテレートしていくことになるでしょう。ポッドキャスティングスタジオでできることで、私たちのアプリではできないことは何1つないようにしたいのです」。

それでも、App Storeに登場した現在のCallinには、オーディオ録音の品質の編集、効果音や音楽の追加、コンテンツのより正確な編集などを行うツールはない。さらに、iPhoneで録音されたポッドキャストでは、プロが制作した番組や、コンシューマー向けUSBマイクで録音されたホビイストのポッドキャストほどの音質は得られなかった。しかし、ライブオーディオアプリの成功は、リスナーが高品質のポストプロダクションやサウンドデザインを求めているのではなく、単に興味のある話題について話したいと思っていることを示すものだ。Callinとその投資家たちは、人々が事前録音されたClubhouseのルームを聴きたいと思うことに賭けている。

サックス氏は自身のアプリを使って、ソフトウェア企業の創業者向け番組「Sacks on SaaS」や、インターネット上で非常に悩ましい歴史を持つフレーズをタイトルにしたインタビュー番組「Red Pills」などを制作している。アプリ上の他のユーザー作成コンテンツには、NFL、ベルリンのスタートアップ、料理などに関連した番組がある。サックス氏によると、Callinはベータ版の段階で、100を超える番組を創出した「数千人」のユーザーを擁していたという。

コミュニティガイドラインによると、Callinは「人々が発言する場であり、私たちのプラットフォームで発言が制限される場合は常に正当な理由が存在するものとする」。Callinが制限するのは、会場のホストによる制約、AppleやGoogleなどの「基盤となるテクノロジープラットフォーム」による制約、そして「米憲法修正第1条で保護されていない危険な言論」による制約のあるスピーチだけである。

Clubhouseのようなライブオーディオプラットフォームではコンテンツモデレーションが課題となっており、人種差別的で反ユダヤ主義的な発言が報告された後、コンテンツモデレーションの基準の精緻化に苦慮している。Callinのコミュニティガイドラインでは、AppleやGoogleストアからアプリを起動させないユーザー生成コンテンツはすべてCallinがホストすることになっている。最近Parlerが、ソーシャルプラットフォームがコンテンツをモデレートすることを拒否したためにアプリストアから削除された例として注目を集めたが、その後何カ月にもわたって繰り返された末に復活している。

関連記事:保守派お気に入りのソーシャルメディアアプリParlerが数カ月の禁止を経てアップルのApp Storeに復活へ

1200万ドルのシリーズAラウンドで、CallinはAndroid版とウェブ版のアプリをサポートしたいと考えている。最終的にCallinは広告や番組のサブスクリプションを通じて利益を得ることも考えられるが、サックス氏によると、収益化の選択肢を検討する前にまず規模を拡大する計画だという。

「これは、私がこれまで取り組んだ中で最高のプロダクトだと思います」とサックスは語る。「つまり、Yammerよりも優れていますし、PayPalさえも上回ると思います」。

画像クレジット:Callin

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

Yahooが新しいカレンダーアプリ「Day」を開発、Sunriseの共同創業者をデザインに起用

オンラインカレンダーやカレンダーアプリといえば「Googleカレンダー」や「Outlook」などのサービスが、世界中に数億人のユーザーを抱え、圧倒的なシェアを誇る。だが、この分野に新たな企業が参入しようとしている。TechCrunchは、Yahoo(ヤフー)が新しいスタンドアロンのカレンダーアプリ「Day」を開発していることを確認した。情報筋によると、同社はJeremy Le Van(ジェレミー・ル・バン)氏をデザインに起用した。同氏はカレンダーアプリ「Sunrise」を共同で立ち上げ、最終的にMicrosoft(マイクロソフト)に1億ドル(約110億円)以上で売却している。MicrosoftはSunriseを自社の大人気カレンダープラットフォーム「Outlook」のバックボーンに据える目的だった。

多くの人がSunriseの終幕を嘆いたが、今回、いわばSunrise 2.0を手に入れるチャンスが巡ってきたと言えそうだ。

(免責事項:YahooとTechCrunchを所有している会社は同じ)。

「我々は消費者により良いサービスを提供するためのさまざまな方法を模索しており、それにはモバイルファーストの時間管理、カレンダー、イベントに関する新しいアイデアも含まれています」とYahooの広報担当者はTechCrunchの質問に答えた。

このサービスは現在、招待者限定のクローズドアルファ版で、本格的なサービス開始に向けて準備を進めている(サイト上でサインアップすることもできる)。

カレンダーは、仕事でもレジャーでも、多くの人が日々の生活を送るための基盤となっている。そして間違いなく、私たちの活動やその計画がデジタルプラットフォームに移行すればするほど、カレンダーもより強力なものになるだろう。

つまり、プラットフォームにとって、カレンダーの機能やアプリをより大きなサービスの一部として提供することは、ユーザーをより広いプラットフォームに引き留める良い方法であり、プラットフォームがユーザーの行動についてより多くの知識を得る方法でもある。例えば、Googleのカレンダーは、Googleが提供する生産性向上や情報提供のためのサービス群と非常に密接に、そして多くの場合自動的に統合されており、ユーザーを引き留めるための1つの手段となっている。

また、この分野で何かを推し進めることに興味を持っているのはYahooだけではない。Facebook(フェイスブック)が2018年にRedkix(レッドキックス)を買収したのは、Workplaceにカレンダーなどの生産性向上ツールを増やすためだと言われている。結局、Workplaceはサードパーティが提供する既存のサービスと統合したため、独自のスタンドアローンのカレンダーアプリを持っていない。Facebook自身も消費者向けメインアプリの中に独立したカレンダー機能を持っていない。しかし、人々はFacebookの中にあるものを使ってさまざまなプランを立てているため(Facebookの「Events」だけでなく、Instagram、WhatsApp、Messengerなど)、この分野もいずれ進出が可能だと思われる。

実際、Yahoo自身も、Yahooメールでアクセスできる簡素なカレンダーウィジェットをすでに提供している。それがどの程度普及しているのかはわからない。というのも、最近では、メールと他のほとんどのカレンダーアプリとの統合が非常に簡単になっているからだ。

問題は、Dayがどのようにして差別化を図り、どのようにして競争に勝つのかということだ。

Google、Microsoft、あるいはYahoo自身でさえ、カレンダー機能を幅広い生産性スイートに統合している。対照的に、TechCrunchが理解しているところでは、YahooがDayでとっているアプローチは異なる。

このアプリはメールチームのメンバーによって開発されたが、オペレーション上は「スタートアップのように」扱われており、独立して開発するためのライセンスが与えられていると聞いている。また、Yahoo傘下での特別なブランディングもなく、Yahooとの統合も一切ない。多くのカレンダーアプリとは異なり、分離独立させておく計画だ。かつてのSunriseがそうだった。アプリストアに存在し、ユーザーが利用する他の電子メールやその他のツールと統合できるものにすることを目指している。そのうちに、いまだに約2億人のユーザーを持つ「Mail」を利用して、Dayの販売を支援する取り組みも行われるかもしれない。

今回の動きは、検索、メール、動画、広告などの分野でGoogleに事実上負けているYahooが、適切なアプローチをとれば、プレイヤーが多いこの市場でまだ革新の余地があると考えていることを裏づけている。メッセージングのように、他の分野でそれを実現しようとして失敗した経験があるにもかかわらずだ。

しかし、TechCrunchがCalendly(約3300億円規模のスタートアップで、会議のスケジュールしなければならない人々にとってのビッグヒットになった)についての最近の記事で述べたように、カレンダーアプリは別の理由で難しいものになっている。カレンダーは決して目的地ではなく「いつ」「どのように」「誰と」行くかを記録する場所にすぎない。その基本的な機能をもっと高める方法はないものだろうか。

Yahooは、そのような方法があると信じているようだし、人々はそのようなアプリを使いたいと思うだろう。

画像クレジット:day.co

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

第3四半期の全世界のアプリダウンロード数は360億回、支出額約3.8兆円でともに過去最多に

アプリ経済に関する新たな予測では、第3四半期にアプリとゲームに費やされる額は過去最多となることが見込まれている。App Annieは、世界の消費者が同四半期にアプリとゲームに前年同期比20%増の340億ドル(約3兆7650億円)を費やすと推定している。この増加は、人々が現在エンターテインメント、買い物、仕事、教育などのためにアプリをどのように使っているかという点において、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが消費者行動にまだ影響を及ぼし続けていることを示している。

App Annieに関しては、初期に秘密の情報源を使って情報を人為的に操作し、証券会社のクライアントに不正確な情報を伝えていたことが先にニュースになったことを記しておくべきだろう。同社はそうしたことを防ぐために内部コントロールで統計的にモデル化してきた。証券会社が投資判断を下すのに操作されたデータを使ったため、App Annieは証券詐欺で1000万ドル(約11億円)超の罰金を支払うことで米証券取引委員会と和解した。

しかしこうした操作にもかかわらず、App Annieのデータは今日でもモバイルマーケットをかなり正確にとらえており、かなりのアプリ会社、マーケッター、投資家にモバイルエコシステムに関する情報を提供している数多くのトップ企業の1社だ。

第3四半期のアプリ売上高に最も貢献したのは、引き続きゲームでの支出とモバイルサブスクリプションだとApp Annieは指摘した。モバイルサブスクは、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)がアプリストアプラットフォームを通じての購入で手数料を徴収する権利を保持しようとする中で、訴訟や増えつつある規制の焦点となっている。ゲームは引き続き消費者支出の大部分を占めているが、ゲーム以外の支出もサブスクのおかげでここ数年割合を増やしてきた。

関連記事:アップルは控訴決着まで「フォートナイト」のApp Store復帰認めず、Epicが通告メール公開

また、ダウンロード数では引き続きAndroidがiOSを凌いでいるが、消費者支出額では逆の構図であるのも変わらない。

画像クレジット:App Annie

第3四半期のダウンロード数は前年同期に比べて10%増え、過去最多の360億回に達した。この増加は主にGoogle Playによるもので、特にインドやブラジルなどの新興マーケットでのダウンロードが貢献した。増加幅が最も大きかったのはブラジル、フィリピン、メキシコで、中南米マーケットは今や世界のアプリ会社の注目を集め始めていて、成長の可能性を秘めている。

ダウンロード数の成長を支えた産業は、旅行、教育、医療だ。この3部門はパンデミックの影響を受けた。旅行アプリのダウンロードは Google Playで前年同期比35%増、iOSで同15%増だった。ワクチン接種が広がる中で夏の旅行シーズンを迎えたことが貢献した。もちろん医療と教育のアプリもパンデミックに結びついていて、ユーザーはオンライン学習や診察、新型コロナ検査やワクチン接種の予約でモバイルテクノロジーを活用した。

モバイルアプリの売上高となるとiOSが優勢で、過去4四半期でもそうだったが世界のアプリストアの消費者支出の65%を占めた。

画像クレジット:App Annie

iOSアプリでの消費者支出額は前年同期比15%増の220億ドル(約2兆4360億円)に達し、Google Playでは同15%増の120億ドル(約1兆3290億円)だった。売上高の大半はゲームアプリによるもので、両アプリストアでの支出額の66%を占めた。非ゲームアプリ部門では、消費者支出の76%がiOSでのものだった。どちらのアプリストアでもゲーム以外の部門での成長のほとんどはエンターテインメント、写真・ビデオ、ソーシャルメディア、デートのアプリによるものだった。

消費者支出額においては米国と中国が最大のiOSマーケットで、日本、米国、台湾で最も増加した。Google Playでは、米国、日本、韓国の消費者支出額が最大だったが、日本、ロシア、オーストラリアが成長を牽引した。

売上高やダウンロード数の調査はこれまでモバイル経済の全体図を把握するのに役立ってきた一方で、マーケットが成熟するにつれ、アプリをデバイスにすでにインストールした消費者のアプリエンゲージメントにもかなりの関心が寄せられている。

App AnnieのライバルSensor Towerが9月23日に発表した調査結果では、ゲームアプリと非ゲームアプリのアクティブユーザー、セッション、リテンション(保持)の数字を分析している。同社によると、世界のトップ500のアプリの平均の月間アクティブユーザー数は9170万人で、この数字は第2四半期に前年同期の8460万人から8.4%増えた。

画像クレジット:Sensor Tower

ビジネスアプリは2018年第1四半期から2021年第2四半期の間に約42%という最も高い複合年間成長率(CAGR)を見せた、とSensor Towerは指摘した。一方、消費者は2021年第2四半期にエンターテインメントアプリで最も多くの時間を費やし、トップ100の各アプリの使用時間は平均1日あたり約29分だった。

画像クレジット:Sensor Tower

ゲームの中では、ジャンル別に「PUBG Mobile」や「Garena Free Fire」などのシューティングゲームのデイリーアクティブユーザーが第2四半期に最も多く、このジャンルのトップ50のゲームのデイリーアクティブユーザーは平均760万人だったが、ハイパーカジュアルゲームがトップだった。

Sensor Towerはまた、ロックダウン中に人々がモバイルデバイスを頻繁に利用するようになり、初期のアプリ全般のアクティブユーザー数の増加は新型コロナパンデミックによるものとしている。しかし2020年第3四半期でわずかに減ったのち、アクティブユーザー数はいまパンデミック前のレベルに戻った、と指摘した。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

チリのOcular Solutionはカスタマージャーニーにビデオチャットを取り入れるスタートアップ

「コロナ禍によって、カスタマージャーニーに欠けているものがあることが可視化されました」。そう語るのはチリのアーリーステージのスタートアップOcular SolutionのCEOであるFernando Moya(フェルナンド・モヤ)氏だ。

モヤ氏は、人はオフラインと同じように顧客担当者と顔を合わせて話したがたるのでライブチャットやチャットボットでは不十分であることが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって明らかになったという。

そこでTechCrunch DisruptのStartup Alleyに参加したOcular Solutionは、クライアントのサイトにビデオチャットの要素を追加しHubSpotやPipedriveなどの既存のツールと統合するプラットフォームで、デジタルの世界におけるこうした問題を解決しようとしている。

ビデオチャットはカスタマーサポートに便利だが、オンボーディングやセールスにも便利だ。進み具合に応じてエンドユーザーが質問に答えてもらうことを希望するようなコンサルティングセールスに向いているサービスの場合は、特に有用だ。

実際に人と話したいという要望が、eコマースにとって大きな問題であるカート離脱率を減らすのにビデオチャットが効果的だとモヤ氏が考える理由だ。UXの調査機関であるBaymardは44種類の研究からデータをまとめ、オンラインショッピングで実証されている平均カート離脱率は70%近いと推計している

サイト訪問者が顧客にならない理由はたくさんあるが、Ocularはビデオチャットを導入するとコンバージョン向上につながることをつきとめた。モヤ氏がTechCrunchに語ったところによると、同社の顧客はサービス関連のネットプロモータースコアが平均8点を誇り、チリのeコマース促進イベントであるサイバーデーの期間中に最初は15%だったコンバージョン率が最高で250%に達した。

Ocularはチリでスタートした。モヤ氏はチリで以前にWingsoftという別の企業を共同で創業したことがあり、Ocularはそこからスピンアウトした。しかしOcularはすでに国境を越えている。チームは小規模なハイブリッドの拠点を持ちながらもリモートで業務を続ける予定で、クライアントはラテンアメリカ各国にわたっている。

ラテンアメリカのeコマースは北米や西ヨーロッパほどには浸透していないが、売上は他の地域よりも早いペースで伸びている。新たにオンラインを利用するようになった消費者は、おそらく対面でのショッピングに似たエクスペリエンスを求めている。モヤ氏は「ビデオでのサポートを求める人の数は、急激に増えています」という。

顧客満足度や売上とは別に、Ocularはクライアントの社内プロセスを改善したいとも考えている。その結果、同社はカスタマーサービスに関する重要な指標の追跡に役立つデータを顧客に提供し、接客担当者の業務を支援している。同社のサイトでは「当社は貴社の接客担当者をトレーニングしますので、担当者は最高のサービスエクスペリエンスを提供し、ツールを最大限に活用できます」と説明されている。

モヤ氏は次のように語った。「当社のテクノロジーを利用するにあたり、接客担当者は重要な役割を果たしていると思います。カスタマーサービスの新しいチャネルに人間らしさをもたらすのは担当者だからです。したがって当社は楽しくやりがいのある環境で担当者の日々の業務を改善し、モチベーションを上げて、優れたパフォーマンスの結果として利益を生み出すツールを作ることに力を入れています」。

モヤ氏は、ビデオチャットの担当者を希望する人が増え、この分野での「ウーバー化」が到来すると予測している。そうなれば、増えつつあるカスタマーサービスの需要に対する答えとなるかもしれない。「ビデオサポートのユースケースはさまざまで、新しい使い方が毎日出てきています」という。

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(文:Anna Heim、翻訳:Kaori Koyama)

数百万のHTTPSサイトが利用するLet’s Encryptのルート証明書が期限切れ間近、古いデバイスやOSは要注意

HTTPS証明書の最大手プロバイダーの1つであるLet’s Encryptは、来週、古いルート証明書の使用を中止する。つまり、デバイスが壊れないようにアップグレードする必要があるかもしれないということだ。

Let’s Encryptは無料で利用できる非営利団体で、あなたのデバイスとより広いインターネットとの接続を暗号化する証明書を発行し、転送中のデータを誰にも傍受・盗用されないようにしている。Let’s Encryptを利用しているウェブサイトは数百万に上る。しかし、セキュリティ研究者のScott Helme(スコット・ヘルメ)氏が警告しているように、Let’s Encryptが現在使用しているルート証明書(IdentTrust DST Root CA X3)は、9月30日に期限切れを迎える。それ以降、コンピュータやデバイス、ブラウザなどのウェブクライアントは、この認証局(CA、Certificate Authority)が発行した証明書を信用しなくなる。

関連記事:HTTPSの証明書を無料で発行するLet’s Encryptが三歳の誕生日、これまで380Mの証明書を発行

大多数のウェブサイトユーザーにとっては、何も心配することはなく、9月30日はいつもと変わらない日となる。しかし、古いデバイスでは、5月にAddTrust External CA Rootの期限が切れたときのような問題が発生する可能性がある。その際には、Stripe(ストライプ)、Red Ha(レッドハット)、Roku(ロク)の3社で障害が発生した。

ヘルメ氏はブログ記事の中で、今度の期限切れについてこう警告している。「Let’s EncryptとAddTrustの相対的な規模の違いを考えると、IdenTrustのルートの期限切れは、より多くの問題を引き起こす可能性があると感じています」。

証明書の期限切れによって影響を受ける可能性が高いデバイスは、自動的にアップデートされないように設計されている組み込みシステムや、何年も前にリリースされたソフトウェアを実行しているスマートフォンなど、定期的にアップデートされないものだ。また、古いバージョンのmacOS 2016や、(Service Pack 3を適用している)Windows XPを使用しているユーザーは、OpenSSL 1.0.2以前に依存しているクライアントや、新しいファームウェアにアップグレードされていない古いPlayStationとともに、問題に直面する可能性が高い。

Let’s Encryptの言葉を借りれば、Androidには「従来からよく知られているOSアップデートに関する問題」があるが、同団体は、大多数のスマートフォンが期限切れの影響を受けないようにするための回避策を用意している。同団体は2021年、2035年まで期限が切れない独自のISRG Root X1証明書に移行した。Let’s Encryptは、この証明書を信用していないAndroid端末(Android Nougat 7.1.1以前のバージョン)が多い中、署名ルートよりも長い有効期間を持つ独自の証明書のクロス署名を取得したため、ほとんどのAndroidデバイスはあと3年は壊れないはずだ。

Let’s Encryptによると、一部のAndroid端末ではまだ問題が発生する可能性があり、Android(Lollipop)5.0を使用しているユーザーにはFirefoxのインストールを推奨している。

Let’s Encryptはこう説明している。「Android端末の内蔵ブラウザでは、信頼できるルート証明書のリストはOSから提供されていますが、これらの古い端末では古くなっています。しかし、Firefoxは現在、ブラウザの中でもユニークな存在で、独自の信頼できるルート証明書のリストを同梱しています」。

2014年の設立以来、9月初旬時点で20億以上の証明書を発行しているLet’s Encryptは、TechCrunchに対し、ユーザーは影響を受けたバージョンのOpenSSLや何年も前のOSを使用しているクライアントの数を調べるべきだと述べている。アップグレードできない人へのアドバイスとしては「新しいクロス署名で証明書チェーンを提供することが理にかなっているかどうかを検討してください」とのこと。

9月30日に何が起こるかを予測することは困難だが、ヘルメ氏は次のように述べている。「少なくとも、どこかで何かが壊れることになるでしょう」。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックがアップルのプライバシーポリシー変更による広告事業への影響を報告

Facebook(フェイスブック)は米国時間9月22日、Apple(アップル)のプライバシーに関する変更が同社の広告事業にどのような影響を与えているかについての最新情報を提供した。すでに同社は、第2四半期の決算発表時に、第3四半期までに広告ターゲティング事業にさらに大きな影響が出ることが予想されると投資家に警告していた。同社は今回、その点を改めて強調するとともに、iOSのウェブコンバージョンを約15%過少に報告していたため、広告主にその影響が予想以上に大きいと思われていたことを指摘した。

Facebookのビジネスブログに掲載された発表によると、その正確なパーセンテージは、個々の広告主によって大きく異なる可能性があるとのこと。しかし、売上やアプリのインストールなどを含む実際のコンバージョンは、広告主がFacebookのアナリティクスを使って見ている数値よりも高い可能性があると述べている。

このニュースを受けて、Facebookの株価は4%近く下落している(記事執筆時点)。

Facebookが誤解を招くような測定値を公開したことは、今回が初めてではない。過去には動画広告の測定基準を水増ししていたにもかかわらず、すぐに問題を修正しなかったため、集団訴訟に発展したこともある。しかし、今回のケースでは、評価指標の問題はFacebookを実際よりも良く見せるのではなく、むしろ悪く見せてしまっていたということだ。Facebookは、広告主コミュニティから、ネットワーク上の広告投資に計画していた以上の影響が見られるという声を聞いており、懸念が高まっていると言及した。

そこでFacebookは、この新時代にキャンペーンの影響とパフォーマンスをよりよく理解するためのヒントをいくつか広告主に提供することにした。これまでのように毎日評価するのではなく、最低でも72時間、あるいは最適化ウィンドウがいっぱいになるのを待ってから、パフォーマンスを評価することを、同社は提案している。また、推定されるコンバージョンが遅れてレポートされる場合があるため、広告主は可能な限りキャンペーンレベルでレポートを分析すべきだとも述べている。さらに、広告主のコアビジネスに最も合致したウェブイベント(購入や登録など)を選択することなどを勧めている。

この測定値に関する問題に対処するため、Facebookはコンバージョンモデルの改善に取り組んでおり、レポートのギャップを解決するための投資を加速させ、ウェブコンバージョンを追跡する新機能を導入し、すでにインストールされているアプリ内のコンバージョンを測定する機能を拡張すると述べている。さらにバグを発見したら迅速にその修正に取り組むとしており、最近では約10%の過少報告につながっていたバグを修正し、広告主には共有済みだという。

Facebookは8月に、アップルとGoogle(グーグル)のプライバシーに関する変更と新たな規制の状況に照らして、パーソナライズド広告事業を適応させるためにどのように取り組んでいるかを説明したが、こうした取り組みには時間がかかると述べていた。

広告技術のアップデートだけでなく、Facebookは広告主がアプリを閲覧する消費者に、より効果的にアピールできるような新製品も開発している。例えば先週には、ビジネス向けツールのラインナップを刷新し、いくつかの新機能の導入や、消費者が企業を発見する機会を増やすための小規模なテストを拡大すると発表したばかりだ。すでに米国の一部ユーザーを対象に行われていたこのテストでは、ニュースフィードの投稿の下に、関連した他の企業やトピックを表示し、ユーザーを直接導こうとするものだ。他にも、企業がInstagram(インスタグラム)のプロフィールにWhatsApp(ワッツアップ)のボタンを追加できるようにしたり、InstagramユーザーをWhatsAppのビジネスチャットに誘導する広告を作成できるようにしている。

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Facebookは以前から、モバイルユーザーがiOSアプリ上で追跡されることをオプトアウトできるアップルの新しいプライバシー機能が、同社の広告ターゲティング事業の一般的な運用に問題をもたらすと広告主に警告してきた。Facebookはまた、アップルの変更が、Facebook広告に依存して顧客を獲得している小規模な店舗などの事業に影響を与えると繰り返し主張もしてきた。そしてこの変更が実施されると、Facebookの懸念は妥当であることが確認された。iOS上でトラッキング許可を選択している消費者はほとんどいないという調査結果が出たのである。

画像クレジット:Sean Gallup / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンがインドでNetflixやディズニーと戦うためPrime Videoチャンネルを提供開始

Amazon(アマゾン)は、インドで「Prime Videoチャンネル」の提供を開始した。これにより、Discovery+やMubiなど8つのストリーミングサービスを1つのハブ(Prime Videoのウェブサイトまたはアプリ)で利用することができる。これは同社が南アジアでの顧客獲得のために行なっている最新の取り組みだ。

Amazonによると、この新しいサービスにより、ユーザーは追加のストリーミングサービスへのログインや支払いが容易になるという。さらに魅力的なことに、各サービスを初年度は割引価格で利用できるとしている。Discovery+は年間4ドル(約450円)、Mubiは27ドル(約3000円)、Hoichoiは8.2ドル(約900円)、DocuBayは6.8ドル(約750円)、ErosNowは4ドル(約440円)、Lionsgate Playは9.5ドル(約1050円)、manoramaMaxは9.5ドル(約1050円)、ShortsTVは4ドル(約440円)となっている。

現在、インドでいくつかの論争の中心となっている同社は、ストリーミングサービスからどれだけの収益を得ているのか、また、独占的ではないパートナーシップの期間については明らかにしていない。インドは、AmazonがPrime Video Channelsを開始した12番目の市場だ。

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現地時間9月24日の開始は、サードパーティのストリーミングパートナーにとって、より有益なものとなりそうだ。現在、すべてのパートナーサービスは、同国への進出に苦戦している。例えば、Discovery+アプリの2021年8月のインドでの月間アクティブユーザー数は400万人に満たなかった。モバイル調査会社のApp Annieによると、他のすべてのアプリの月間アクティブユーザー数は100万人未満で、中には20万人にも満たないものもあった(このデータは業界幹部がTechCrunchに伝えたものだ)。

Amazon Prime Video IndiaのカントリーマネージャーであるGaurav Gandhi(ガウラヴ・ガンジー)氏は、声明の中で次のように述べている。「Prime Video Channelsの開始により、インド初のビデオエンターテインメント市場を作り出すことで、私たちはこの国を楽しませるための次の大きな一歩を踏み出すことになります。この市場は、より多くのエンターテインメントの選択肢を提供することでカスタマーに楽しみを与えるだけではなく、Prime Videosの配信、リーチ、そして技術インフラで協力しているOTT チャンネルパートナーにもメリットがあります」。

AmazonのPrime Videoは、インドで5500万人以上の月間アクティブユーザーを獲得しており、Netflix、ディズニーのHotstar、Times InternetのMX Playerと競合している。HotstarとMX Playerは、インドでPrime Videoよりも大きなリーチを確立しており、Netflixは最もエリートな顧客層を獲得している。

Amazonは、権利の大半をまだHotstarが所有しているクリケットの試合の権利を確保することで、より多くの視聴者を獲得しようとしており、さらに広告付きの無料ストリーミングサービスも開始した。

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(文:Manish Singh、翻訳:Yuta Kaminishi)

FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

Facebookが再度苦しい立場に追い込まれる。

ウォール・ストリート・ジャーナルは先にFacebookに関する複数パートからなるシリーズ記事を発表した。この記事では、著名人をホワイトリストに登録して水面下で特別扱いする同社の慣行から、Instagramが10代の少女の精神衛生に重大な打撃を与えることをFacebookが把握していた、といったことまで、内部文書から得られた内容が報告されている。

相次ぐ調査記事により、Facebookがすでに指摘されていた問題について表向きに口にしてきた言葉と、裏で同社が実際に把握していたこととが、必ずしも一致していないことが明らかになった。Facebookは何年にもわたって自ら種を蒔いてきたさまざまな社会的病気について素知らぬふりをしてきたわけだが、それでも今回発表された記事は衝撃を与えた。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebookが2016年の選挙に影響を与えたという考えを「ばかばかしい」として否定したことを覚えておられるだろうか?Facebookが長いこと取ってきたPR戦略は、仮に調査によって問題が社内で明るみに出ていても、その危険性を隠し、社会への負の影響を把握していることを表向きには否定する、というやり方である。

このやり方は、誰かが内部調査報告書を入手するまではまったく問題なかったかもしれない。

WSJのレポートで明らかになった重大な問題の1つは、 Instagramが10代の少女たちの精神衛生に重大な危険を及ぼしていることをFacebookが把握していたことである。2019年の内部調査結果を報告するスライドには「我々は、3人に1人の割合で10代の少女の身体イメージに関する問題を悪化させている」と書かれていた。同社は現在、さらに年若く影響を受けやすい年齢層にもサービスを拡大する計画 を立てており、こうした事実を知っていたことは衝撃的である。

ついこの間の5月、InstagramのAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、同アプリが10代のユーザーに与えるマイナスの影響について「ごくわずかである」として、懸念を否定したばかりである。

しかし、内部で把握していたことは、これとは異なるようである。WSJによると、2019年から2021年まで、同社はオンライン調査、日記研究、フォーカスグループ、大規模なアンケート調査などを通し、10代の若者の精神衛生について徹底的な調査を実施した。

ある内部スライドによると、この調査で、10代の少女の32%がInstagramによってマイナスの身体イメージを植え付けられたと報告していることがわかった。自殺念慮を持ったことのある調査参加者のうち、英国の10代の若者の13%、および米国の10代の若者の6%が、自殺への関心を直接Instagramと結びつけていた。

別の内部スライドには次のような記載があった。「10代の若者は、不安やうつ症状の増加に関しInstagramに原因があるとしている。この反応は自発的なもので、すべてのグループ層で同じ傾向が見られた」。

WSJのレポートを受け、Marsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン、共和党・テネシー州選出)上院議員およびRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンタル、民主党・コネチカット州選出)上院議員が、Facebookについて、Instagramが10代の若者に与える深刻で致命的な危険について示した内部調査に対する同社の対応が透明性に欠けるとして、調査を実施することを発表した。上院の消費者保護・製品の安全・およびデータセキュリティ小委員会が調査を近々開始する。

「私達は、Facebookの内部告発者と連絡を取り合っており、Facebookがどのようなことをいつ頃知ったかについて、さらに詳しい文書を探すことや証人喚問も含め、あらゆるリソースを使って調査します。ウォール・ストリート・ジャーナルの衝撃的なレポートは氷山の一角に過ぎない可能性があります」と、ブラックバーン、ブルメンタル両上院議員は書いている。

ブラックバーン氏とブルメンタル氏だけがこのレポートに危機感を覚えた米国議員ではない。Ed Markey(エド・マーキー、民主党・マサチューセッツ州選出)上院議員、Kathy Castor(キャシー・カスター、民主党・フロリダ州選出)下院議員、Lori Trahan(ロリ・トゥラハン、民主党・マサチューセッツ州選出)下院議員もFacebookに別途書簡を送り、子ども向けのInstagramの立ち上げ計画を思いとどまるよう要求した。この書簡の中で「子どもと10代の若者は、オンラインによる害を特に受けやすい層であり、さまざまな知見により、Instagramが若者の心身の健康に著しい脅威をもたらすアプリであることを明確に衝撃的な形で示している」と彼らは述べている。

5月、44名の州検事総長が連名で書簡を送り、13歳未満の子どもにInstagramを提供する計画を放棄するよう同社に働きかけた。「Facebookはニーズに応えているのではないように見えるが、実はニーズを作り出しているのである。このプラットフォームは主にそれが存在しなければInstagramアカウントを持たない、または持たないであろう年齢層の子ども向けのものだからである」。と州検事総長らは書き、子ども向けInstagramは「有害だとする理由が数え切れないほどある」と警告している。

4月には、民主党の議員がやはり連名でInstagramが若年層のユーザーの心身の健康に与える影響について「深刻な懸念を」表明したほか、消費者擁護団体連合も子ども向けInstagramの立ち上げを再考するよう同社に要求している。

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WSJが入手した文書をもとに考えると、これらの懸念はすべて非常に妥当に思われる。広範な内部調査を実施しそこから重大な問題があることを把握していたにも関わらず、また規制当局が同社に対し何を実際に把握しているか知らせるよう定期的に求めていたにも関わらず、Facebookは表向き同社が持っている知識を過小に見せてきた。

Instagramのモセリ氏が先に、ソーシャルメディアと自動車についてしゃれにならない比較をしたことで、事態はさらに悪化したのではないかと思われる。モセリ氏はRecodeのポッドキャストでPeter Kafka(ピーター・カフカ)氏に「自動車があるために事故で亡くなる方がいますが、おしなべて考えれば、自動車はそうしたマイナスの要素よりもずっと大きな価値を世界にもたらしています。私はソーシャルメディアもこれに似ていると思います」と述べたのだ。

モセリ氏は、ソーシャルメディアの中毒性が十分な調査によって判明しているにもかかわらず、ソーシャルメディアと薬物、またはタバコとの類似性を否定し、かわりにソーシャルプラットフォームと自動車産業とを結びつけた。当然のことながら、同社を批判している人々はこの発言に飛びつき、ソーシャルメディアと死との関連性、および自動車産業はソーシャルメディアと異なり厳しい規制を受けているという事実を指摘した。

画像クレジット:Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

ツイッター「ビットコインのチップ」「NFTの認証」「スペースの録音」、クリエイター向けファンド」など新機能ラッシュ再開

Twitter(ツイッター)の新サービス発表の勢いが止まらない。米国時間9月23日、同社は暗号資産によるチップ、NFTの認証、参加したばかりのユーザーに会話の状況を説明する実験など、同プラットフォーム上の会話とコミュニティのサポートを強化するための新たな取り組みを多数導入した。さらに同社は、オーディオクリエイターに経済的、技術的、マーケティングのサポートを提供する独自のクリエイターファンドを数週間以内に発表する予定であることも話した。

Twitterはまだファンドの金額や対象範囲などを詳しくいえる状態にないが、参加クリエイターについて見ると、ソーシャルオーディオサービス最大のライバルであるClubhouse(クラブハウス)を牽制するものであることは明らかだ。Clubhouseは自身の クリエイター向け「アクセラレーター」で、参加者にブランド契約を紹介し、あるいはプログラム参加中毎月5000ドル(約55万2000円)を提供している。

関連記事:Clubhouseがクリエイター向けアクセラレータープログラム開始、スポンサー紹介もしくは月54.6万円の収入を保証

同様に、Twitterも自社のクリエイターファンドの目的を、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Snap(スナップ)といったライバルのファンドのようなクリエイターが作るコンテンツに対する報酬ではなく、Twitterスペース上でクリエイターがオーディオ制作を始めるための支援だと考えている。

画像クレジット:Twitter

「真の目的は技術とマーケティングの専門知識を提供することです」とTwitterのクリエーター収益化のプロダクト責任者であるEsther Crawford(エスター・クロフォード)氏は説明する。「私たちはこれを、応急援助的ソリューションのようなものと考えています。クリエイターのみなさんには別の長期的収益化機能に取り組んでもらいたいと思っています。私たちはそのための初期ブーストを与えるだけです」と彼女は話した。

Twitterスペースのホストは自分のプログラムの録音と再生もできるようになる。これは録音機能を差別化要素として謳うライバルプラットフォームの脅威に対する反撃に違いない。この機能は「数カ月」以内に公開されると同社はいう。

この日、Twitterは、いくつかの新たなサービスと最近公開した機能の拡張も発表した。

その1つが、NFT(非代替性トークン)を利用するクリエイターの利便性を高める機能で、ブロックチェーンに保存されたデジタル資産の認証を行う。現在アーティストたちは自分たちの作品のNFTを作り、そのNFTはOpenSea、Rarible、Foundation、SupeRareなどのNFTマーケットプレイスを通じて販売されている。

画像クレジット:Twitter

Twitterは、NFT認証のサポートを「近々」実施する計画だという。これによってNFTクリエイターは自分の暗号化ウォレットをTwitterと接続し、プラットフォーム上で自分のNFTの管理と展示ができるようになる。この計画はまだ初期段階にあり、Twitterはその仕組みについて明確な説明ができていない。同社は、認証済みコレクションをもっているクリエイターが、もっビジュアルに目立つ方法をいくつテストしていると語った。おそらく、プロフィールバッジや形の異なるアバターなどのことだろう。

長期的のNFTロードマップについて質問を受けると、Twitterはコメントを拒んだ。

他の暗号資産関係の新機能では、Bitcoinチップがある。Twitterは2021年5月にベータプロダクトとして「Tip Jar」機能を導入し、ユーザーがPayPal(ペイパル)、Venmo(ベンモ)、Patreon(パトレオン)、Cash App(キャッシュ・アップ)、Bandcamp(バンドキャンプ)などのサードパーティサービスを使って1回限りの支払い / 受け取りができるようにした。この度、その機能が拡大され、全世界のiOSとAndroidユーザーに近々公開される他、Bitcoinによるチップもサポートされる。

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Bitcoinチップにはいくつか使い方がある。ユーザーはBitcoin Lightiningウォレットまたは自分のBitcoinアドレスを追加してBitcoinチップの受け取りを開始できる。Lightiningウォレットは手数料が安いことで暗号化コミュニティのユーザーに人気だと同社はいう。Twitterの実装ではStrike(ストライク)を使用している。これは、Bitcoin Lightning Network上に作られた決済アプリケーションで、ユーザーはBitcoinの送信と受信を無料で即座に行うことができる。

画像クレジット:Twitter

実際この夏、Twitter CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、TwitterがBitcoinブロックチェーン上の1レイヤーであるLightning Networkをプラットフォームでサポートするのは「時間だけの問題」とツイートした。当時、この種のサポートはまず少額支払いサービスで行われるのではという予想がなされたが、今回それが正しかったことが証明された。

Tip Jarには、他にGoFundMe(ゴーファンドミー)とブラジルのモバイル決済サービス、PicPay(ピックペイ)などのサービスのサポートも追加される。

もう1つ、「Heads Up」と(現時点で)呼ばれている新しい実験は、ユーザーが参加する前に会話の雰囲気を感じとるための初の試みだ。

Twitterにとって最も厄介な問題の1つは、プラットフォーム上で人々が安心して自分の思いや意見をシェアするのを手助けする仕組みがないことだ。これが「キャンセルカルチャー」とよばれる問題や、「あらし」集団が、活動家、テック業界の女性(Gamergate論争で知られている)や女性ジャーナリストなどの少数意見や気に入らない発言に襲いかかる温床となっている。

画像クレジット:Twitter

この領域でTwitterは、ユーザーが自分のツイートにリプライできる人を制限する新機能を開発した。それが過去4週間の嫌がらせ報告の減少に貢献している、と同社はいう。

また、セーフティモードのベータ版も開始され、悪用が増大する時期に嫌がらせに対する一種の自動的保護を提供している。これによってユーザーは、ブロックせず静かにフォロワーを解除することが可能になる。そして本日Twitterは、自分がメンションされた会話から脱出できる新機能を近く公開すると発表した。また、”word filters”と呼ばれる新機能を実験中で、ユーザーはTwitterポリシーに反するところまではいかない悪意あるツイートを遮断できる。

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画像クレジット:Twitter

Twitterは、来るべき新規参加者に議論の特質について警告する「Heads Up」機能で、会話の雰囲気をどのように評価するのか、その方法を詳しくは語らなかった。しかし、エモジリアクション(現在まだテスト中)と、人を傷つける可能性のある投稿に対する「返信の警告」機能のデータを活用するつもりだと同社はいう。

関連記事:Twitterが有害なツイートを減らすため「返信の警告」機能の改良版を公開

この数カ月間、Twitterは驚くべきスピードで新サービスを公開しており、オーディオチャットプラットフォームのTwitter Spaceの迅速な改善関心事に基づく「コミュニティ」、クリエイタープラットフォームのスーパーフォロー、Renueの買収によるニュースレター、チップを贈れる「Tip Jar」、プレミアムサブスクリプションサービスのTwitter Blue、クラウドソース利用のファクトチェックBirdwatch、新たなeコマース機能、新しいユーザープロフィールラベル、アカウント検証システムの再開、会話のコントロール、ダイレクトメッセージの改善などの追加や改善を実施してきた。

この日、上記サービスのいくつかについてもアップデートが行われた。

スペースの発見ツールを改善し、タイムラインやアプリのその他の部分でスペースを見つけやすくしたと同社はいう(おそらくモバイルアプリのスペース専用タブのこと)。Ticketedスペース(チケット制スペース)のアクセスも容易にしたほか、ニュースレターの発見機能の改善、クリエイター収益ダッシュボードの新設、アカウントラベルの追加(ブランドや故人のアカウントの記念など)などを行った。

画像クレジット:Twitter

Twitterは、今後のコミュニティ機能内でのモデレーションの扱いについても語り、関心事に基づくコミュニティには専門のモデレーターを配置し、そのコミュニティに即した基準を、Twitterルール以外に設定すると説明した。

「これは、モデレーションを分散化することでTwitterをあなたの場所にする取り組みの第一歩です」と、Twitterの会話安全性のためのプロダクト責任者、Christine Su(クリスティーン・スー)氏は語り、コミュニティはもっと多くの人々に「近いうちに」開かれる予定であることを付け加えた。

Twitterはもっと広く自社の戦略を説明しようとしたが、「throw spaghetti at the wall and see what sticks(スパゲティを壁に投げつけて何がくっつくかを見る=試行錯誤する)」的要素がますます強くなったようで、今まさにそれをやっているのかもしれない。

「今後も私たちがこのビジョンを実験し繰り返すのを見ることになるでしょう」とTwitterのコンシューマープロダクト責任者であるKayvon Beykpour(ケイボン・ベイクプア)氏は説明した。「その間私たちは、過去数年やってきたように会社の進展状況を公表します。また、うまくいっていないものにしがみつくことはありません。Fleetがその例で、今後も他のプロダクトのテストで同じことが起きるでしょう。時々ものごとを終わりにしなければ、大きな賭けはできないと私たちは信じています」と彼は言った。

Twitterの発表は、米国時間9月23日午前の記者会見とQ&Aで詳しく説明があり、一部のニュースはその後公式ブログで公開された。

画像クレジット:Twitter at CES 2020

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Clubhouseが気軽に友達をプライベートルームに誘える新機能「Wave」を導入

Clubhouse(クラブハウス)は米国時間9月23日、友達がオンラインだとわかったときにプライベートルームを簡単に始めるられる機能「Wave(ウェーブ)」の提供を開始した。グローバルでiOS、Androidの両方で利用できるWaveは友達とプライベートルームを始めるのに取って代わるものだ。あなたをフォローしている人となら、一度に複数の人とウェーブすることができ、承諾した人はスピーカーとしてあなたのプライベートルームに参加する。

ウェーブを送るには、右にスワイプするかスクリーン左下にある点のアイコンをタップしてHallwayに移動する。そしてあなたがチャットしたい人の名前の横にあるウェーブボタンをタップする。あなたが選んだ人は、招待の通知を受け取る。そしてリクエストを却下してもあなたがそれを知ることはない。相手が招待を承諾すれば、あなたや招待を受諾した他の人とともにプライベートルームに加えられる。

ウェーブを送ってからつながる友達を待っている間も、アプリ内をブラウズしたり他のルームに参加したりできる。そして誰かがあなたのプライベートルームに参加したときは通知が届く。ブラウズする間、小さなWaveバーがスクリーンに表示され、もしあなたが他の会話に夢中になればここで自身のWaveを簡単にキャンセルできるようになっている。

プライベートルームでも、誰かが規則を破っていたらClubhouseに通報できる。互いにブロックしている人に誰かがウェーブすると、最初にウェーブに参加した人はアクセスできるが、次の人は入ることはできない。

Waveは9月23日から提供が始まっているが、アクセスするにはClubhouseの最新版をダウンロードする必要がある。この機能はアプリ研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏が最初に見つけた。Clubhouseもその発見に追随した

Clubhouseは、毎日70万以上のルームがアプリ上で作られているとブログ投稿で説明したが、FacebookTwitterSpotifyDiscordといった独自のオーディオプロダクトに投資してきた大企業と競争するというプレッシャーがClubhouseにはかかっている。

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Clubhouseは5月にAndroid版を立ち上げ、7月にベータ版を脱した。しかしアプリ分析会社のSensorTowerの推計によると、Clubhouseの8月のグローバルでのインストールはわずか約170万回だった。7月の260万回から35%減だ。ダウンロード数が最も多かったのは2月で、960万回ダウンロードされた。これまでに計3220万回ダウンロードされたとSensorTowerは推定している。

Clubhouseは最近、メッセージ機能のBackchannelや、人が実際の部屋の中にたくさんいるような体験を生み出す空間オーディオのようなアップグレードを明らかにした。しかしライブの字幕はまだなく、耳が聞こえない人、あるいは難聴の人はアクセスできない。Facebook Live Audio RoomsとTwitter Spacesはすでにこの機能を有している。

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画像クレジット:Clubhouse

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

プライバシー重視のBraveブラウザで利用できる非トラッキングのビデオ会議ツールが一般公開

Braveは、社名と同じ「Brave」という名前のトラッキングをしないブラウザで知られるスタートアップだ。同社が提供するトラッキングをしないビデオ会議のアドオンがベータの段階を終了した。誰でもBraveブラウザからすぐにビデオ通話を開始することができる。

Brave Talkというこのツールは、2020年5月からベータテストが実施されていた。同社がTechCrunchに語ったところによると、ベータテスト期間中のDAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)、つまりBraveブラウザのテストバージョンから参加したアーリーアダプターと開発者は1万4000人ほどだったという。

このBrave Talkが一般に公開された。Braveは「プライバシーを重視した」ビデオ会議としてインターネットユーザーにアピールしている。

同社は一般公開を発表するブログ記事の中で「Zoomなど多くのビデオ会議プロバイダーは、通話やメタデータ、画像をモニターしており、こうしたデータの記録はユーザーの同意なしに販売されたり共有されたりすることがあります」と書いている。

ブログ記事はさらに「Brave Talkの通話では複数レイヤーの暗号化を有効にできるので、盗み聞きしようする人がいても聞くことはできず、我々のサーバーにメタデータは保存されません。したがって、ユーザーの同意なく通話、画像、アクティビティが記録されたり共有されたりすることはまったくありません」と続く。

Brave Talkのプレミアム機能(グループ通話や通話の録画など)は月額7ドル(約770円)で利用できる。ただし1対1の通話は無料で無制限だ(AndroidとiOSのBraveアプリは今のところプレミアムにのみ対応しているが「数週間のうちに」無料版も利用できるようになる予定となっている)。

ビデオ通話はBraveブラウザから開始する必要があるが、招待される側は「モダンブラウザ」(Chrome、Firefox、Safari、Edge、Operaなど)ならどれでも参加できる。

Braveは非トラッキングの認証情報であることをZoomなどの主力ビデオ会議ソフトウェアとは異なる利点として売り込んでいるが、Brave Talkは(今のところはまだ)エンド・ツー・エンド暗号化に対応していないことには注意が必要だ。

Braveによれば、Brave Talkは8×8が手がけるオープンソースのビデオ会議プラットフォームであるJitsi as a Serviceを利用している。これはWebRTCオープンソーステクノロジーでブラウザに直接HDビデオを埋め込めるようにするものだ。

暗号化に関しては、設定で複数のレイヤーを有効にできるという。Braveは、Brave Talkの無料版でもプレミアム版でも「Videobridge暗号化」で現時点では最も強力なレベルで暗号化されると説明している。

同社の共同創業者でCEOのBrendan Eich(ブレンダン・アイク)氏は「この設定により、ビデオとオーディオのストリームが参加者によって生成されるキーを使って暗号化され、Videobridgeサーバーで盗み聞きが防止されます。Videobridge暗号化は『Security Options』から有効にできます」と述べている。

同氏はさらにTechCrunchに対し次のように述べた。「『エンド・ツー・エンド暗号化』という言葉がまぎらわしく大げさであると判断したため、Brave Talkではこの設定を『Videobridge暗号化』としました。ビデオ会議に参加する際に、エンド・ツー・エンド暗号化の通話はプライバシーとセキュリティの1つの側面でしかありません。暗号化を利用していても、『大手』のビデオツールの大半は、会話の参加者や開始時刻と継続時間など多くの情報に関して積極的にデータを集め保管しています」。

「Brave Talkが採用している匿名の資格情報システムにより、我々は利用者や会話の相手を知ることはできず、複数のセッションにわたって関連づけることもできません。Brave Talkはユーザーを追跡しない、プライバシー・バイ・デフォルトのツールです」とアイク氏はいう。

Videobridge暗号化とエンド・ツー・エンド暗号化の違いを明確にするために、同氏はTechCrunchに対しさらに次のように述べた。「Videobridge暗号化はオーディオとビデオをBrave、8×8、パッシブに盗み聞きしようとする人のいずれからも暗号化された状態にしていますが、我々が『Videobridge暗号化』と呼び『エンド・ツー・エンド暗号化』と呼ばない理由は、我々と8×8が協力し、会議の参加者を自動で認証してアクティブな攻撃者に対してさらに堅牢にしようとしているからです。この開発が完了すれば、自信を持って完全なエンド・ツー・エンド暗号化と言えるようになります。Zoomでは参加者がセキュリティコードを声に出して読み上げ、エンド・ツー・エンド暗号化されていることを確認しますが、こうしたプラットフォームに対して我々の圧倒的なアドバンテージになります」。

Brave Talk(以前はBrave Togetherと呼ばれていた)を試すには、通話を開始するためにまずBraveブラウザをダウンロードする必要がある。前述の通り、通話を受ける側はBraveでなくてかまわない。

アイク氏によれば、Braveの非トラッキング製品全体でMAUは3600万人を最近超えたという。これには検索エンジンとFirewall+VPNが含まれる。

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画像クレジット:Brave

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Kaori Koyama)

グーグル広告が透明性の向上を目指し変更、 ユーザーが過去30日の広告主の履歴へアクセス可能に

Google(グーグル)は米国時間9月22日、オンライン広告に関する変更を発表した。この変更により、ウェブ検索者は、広告主が誰であるか、なぜその広告が配信されたかだけでなく、その広告主がGoogleで実施した他の広告についても、最新のものから順に確認することができるようになる。今回の変更は、規制当局の監視が強化され、テック業界全体が透明性と消費者のプライバシーを促進する技術にシフトしている中で、Googleが広告ビジネスを広範囲に渡って刷新している改革の一環だ。

2020年開始された広告主身元確認プログラムでGoogleは、広告主が販売している商品の詳細だけでなく、広告主の個人情報(身分証明や、事業を行っている国を確認する書類など)を開示することを求めている。これらの情報開示は、2020年、Googleのネットワークから広告を購入する広告主に対して開始された。これまでに、Googleは世界90カ国以上で広告主の確認を開始したという。

同社は今回の変更により「この広告について(About this Ad)」製品にも、拡張された情報開示を盛り込んでいく。

これらの新しい広告主ページでは、誰でもクリックして広告主の詳細を確認したり、特定の広告主が過去30日間に掲載したすべての広告を見られるメニューにアクセスできるようになる。

Googleは、例えばコートなどの販売商品を見た消費者は、このツールを使ってそのブランドや他の商品について詳しく知ることができると指摘し、消費者の視点からこのツールは有用だと提案している。しかし、広告主の広告履歴が公開されることで、広告エコシステムにおいて悪質な行為を行う可能性のあるトラブルメーカーを特定する手段としても有用であることは明らかだ。

画像クレジット:Google

また、偽造品、危険な製品、不適切なコンテンツ、不正使用、インタレストベース広告ポリシーの違反、ユーザーを騙すような広告、地域の選挙法や規制への違反など、禁止または制限されているコンテンツに関するGoogleポリシーに違反している広告を、ユーザーが報告することも容易になる。

今回の変更は、オンライン広告に対するGoogleのアプローチがシフトしてきた中で行われた。Googleは新たな広告の情報開示について「Google製品上の広告を利用するユーザーに、明確で直感的な体験を提供するための努力の上に構築していくもの」と述べ、より広範な戦略を示唆した。また、3000万人以上のユーザーが毎日のように同社の広告の透明性・コントロールメニューを利用していることにも言及した。これらのメニューにアクセスするためには小さな「i」アイコンをクリックしなければならないという、製品の中では比較的埋もれた機能であるにもかかわらずそれだけ利用されているという事実は、Googleの世界的な規模の大きさを物語っている。

Googleはこれまでに、Chromeに統合された広告ブロック機能を追加したり、政治的な広告のターゲティングに新たな制限を設けたり、サードパーティのCookieを廃止する計画を発表したりと、広告分野でいくつかの重要な動きを発表してきたが、それらはその後延期されている

なお、Googleは、政治的透明性レポートにおいて、選挙広告を引き続き提供するとしている。これらの広告では、誰が広告費を支払ったかをユーザーが確実に理解できるように「資金提供元(paid for by)」という情報開示も表示される。ただし、政治色のないコンテンツはすべて広告主ページに表示されるとのこと。

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画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

YouTubeが動画をブラウザでダウンロード、オフラインでも視聴できる機能をテスト中

YouTubeの動画をmp4のファイルでダウンロードできるサービスで、そのダウンロードボタンのうち正しいものをクリックするのに苦労したことがない人は、立派なインターネットライフを送っているといえるだろう。現在、YouTubeはプレミアムユーザー向けに、そのような海賊版サイトを陳腐化するかもしれない機能をテストしている。

プレミアムユーザーは、10月19日まで、動画をブラウザでダウンロードする機能をテストできる。このテストはモバイル版の機能をウェブに持ち込むもので、YouTubeが現在開発している機能などをプレミアム会員にテストしてもらう企画の一環だ。

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プレミアムユーザーは、デフォルトで動画をダウンロード可能になり、アップローダーにオプトインする必要はない。Chrome、Edg、Operaの最新バージョンを使っている人は、動画を見ているときに「ダウンロード」ボタンをクリックするか、閲覧中に3ドットメニューをクリックする。すると自分がダウンロードした動画にアクセスできるようになる。サイドバーのナビゲーションからもダウンロードフィードにアクセスできるようになる。

画像クレジット:Youtube(TechCrunchがスクリーンショット)

画像クレジット:Youtube(TechCrunchがスクリーンショット)

ただしこれまでのサードパーティのサイトと違って、動画ファイルをユーザーのハードディスクに永久に保存することはできない。

YouTubeによると、ユーザーはキャッシュされたバージョンの動画にアクセスできる。Netflixの番組をダウンロードして、飛行機の上でオフラインで観るのと同じだ。ダウンロードした動画は、オフライン状態でYouTubeのウェブサイトにアクセスすることで観ることができる(オフラインであるというテキストが表示され、ダウンロードした動画が表示する新たなページに移動する)。

この機能はYouTubeのProgressive Web App(PWA)アプリにもある。ダウンロードしたYouTube動画は、ユーザーのインターネット接続が30日以内であれば消えない。

この機能はAndroid Policeが発見した。彼らはYouTube.com/newのサイトの変化に気づいた。この機能の公式提供のスケジュールについてYouTubeは口をつぐんでいるが、一般的なプレミアム会員が実験にアクセスできるのは、プレミアムの新規登録や登録更改のときだ。

画像クレジット:Valera Golovniov/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Uber Eatsが最寄りのピックアップ飲食店を探せる新マップ機能を導入

Uber Eats(ウーバーイーツ)は、ユーザーが周辺のレストランや店を検索できるようにするピックアップマップ機能をアプリに新たに追加する。マップはユーザー向けにローカライズされ、これによりユーザーは言葉や絵文字を入力してどんな店が近くにあるのか、現在地から店舗までの正確な距離などを確認できる。

この新機能は、Uberが黒字化の目標を達成するのに助けとなると信じている部門であるEatsを強化しようという試みの最新例だ。今週初めに同社は予想よりも早い第3四半期に黒字化を達成できるかもしれないと明らかにした。同四半期のグロスブッキング(総取扱高)が最後の投資家説明会で株主に示した予想よりも増加し、また調整後EBITDAも力強いものになりそうだと述べた。

新機能は、近くの飲食店を探すのに他のマップアプリに切り替えていたユーザー10人中8人からのフィードバックに刺激を受けている、とEatsは話す。同社の広報担当によると、マップは世界中で展開されていて、ほとんどのユーザーがすでに使えるようになっているはずだ、とのことだ。

Uber EatsアプリとUberアプリどちらでも、アプリを立ち上げるとトップ部分にデリバリーかピックアップのオプションがくる。ピックアップを選ぶとマップが起動する。バーガーとタイプしたりピザの絵文字を入力したりすると、近くのバーガーショップやピザ屋が案内される。時間を節約でき、そして地域の店を探索するのを楽しめる機能性の向上だと同社は話す。

ピックアップのマップには70万ものレストランや店がある、としている。同社は世界中でピックアップ注文の増加を見込んでいて、顧客のために検索結果をすばやくビジュアル化するのを簡単にしたい、と話した。

関連記事:Uberが第3四半期に黒字化達成か、デリバリーと配車事業が回復

画像クレジット:Uber Eats

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Netflixが「チャーリーとチョコレート工場」などで知られるロアルド・ダール作品の管理会社と作品を買収

Netflix(ネットフリックス)は、Roald Dahl Story Company (ロアルド・ダール・ストーリー・カンパニー、RDSC)ならびに「Charlie and The Chocolate Factory(チャーリーとチョコレート工場)」「Matilda(マチルダは小さな大天才)」「James and the Giant Peach(おばけ桃が行く)」といったクラシック作品を含むロアルド・ダール氏の全作品の権利を買収すると発表した。買収条件は明らかにされなかった(買収は当局の承認次第だ)が、The Hollywood Reporterによると、Netflixは3年前にダール氏の16の作品の権利に「9桁」の額を支払っている。いずれにせよ、同社にとって過去最大の買収の1つになりそうだ。

買収のニュースはBloombergの報道で米国時間9月21日に表面化した。Netflixはダール氏の作品に関して大きな計画を持っていて、ここには「アニメーション、実写版の映画、テレビ、出版、ゲーム、没入型体験、劇場、消費者向けプロダクトなど」でのユニークな世界の構築が含まれていると同社CEOのTed Sarandos(テッド・サランドス)氏、RDSCのマネージングディレクターでダール氏の孫であるLuke Kelly(ルーク・ケリー)氏は声明で述べた。

ディレクターのTaika Waititi(タイカ・ワイティティ)氏と脚本家のPhil Johnston(フィル・ジョンソン)氏が「チャーリーとチョコレート工場」の世界をもとにしたシリーズに取り組んでいる、と両社は明らかにした。Netflixはまた、ソニー、Working Titleとともに「Matilda The Musical(マチルダ・ザ・ミュージカル)」の翻案も手がけている。

買収は、Netflixの過去のコンテンツ取引をはるかに超えているようだ。コンテンツ取引では同社は単にライセンス認可を他社からもらう。ライセンス認可で有名なのが「Marvel(マーベル)」で、Disney(ディズニー)と契約を結べずに「Daredevil(デアデビル)」と他のマーベル作品は結局キャンセルに終わった。当時、DisneyはNetflixのライバルとなるサービスDisney+の立ち上げを計画していた。

ロアルド・ダール氏の作品の買収で、Netflixは「これらの時代を超えた物語を新しいフォーマットでより多くの視聴者に届け、その一方で作品のユニークな精神と、驚きと優しさというユニバーサルなテーマを維持する」ことを約束する、とサランドス氏とダール社は述べた。「若い人々のパワー、そして可能性の物語とメッセージが今ほど適切だと感じられたことはありません」。ダール社は2020年、反ユダヤ主義的なダール氏の過去の発言についてウェブサイトに謝罪文を掲載したとBloombergは報じた。

編集部注:本稿の初出は​Engadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Netflix

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

Zoomがクラウド型電話サービス「Zoom Phone」の国内一般提供を10月から開始

Zoomがクラウド型電話サービス「Zoom Phone」の国内一般提供を10月から開始

Zoom Video Communications(以下Zoom)は、クラウド型電話サービス「Zoom Phone」の日本における一般提供を10月に開始します。

「Zoom Phone」は、法人向けのクラウド型電話サービスです。電話回線を利用して、スマートフォンやPC、卓上電話機で利用可能。47の国と地域でサービスを展開しており、無制限と従量制の通話プランを利用できます。

また、全てあるいは部分的に通話録音をすることも可能。容易に会話を保存し、検索できる機能も用意します。

Zoom Phoneは2019年にサービスを開始し、世界中で200万シートを販売しています。

(Source:ZoomEngadget日本版より転載)

Netflixがケニアで無料プランを開始、東アフリカでの成長を加速へ

Netflix(ネットフリックス)は米国時間9月20日、2000万人以上のインターネットユーザーがいる東アフリカへ展開を進めるため、ケニアで無料モバイルプランを開始すると発表した。

この無料プランは、今後数週間のうちにケニアのすべてのユーザーに提供される予定で、アカウント登録時に支払い情報を提供する必要はないとのこと。18歳以上でAndroidスマホを持っているユーザーであれば誰でも利用でき、広告も含まれない。

世界190カ国以上でサービスを提供しているNetflixは、近年、発展途上国の顧客を獲得するために、さまざまなプランを実験的に導入してきた。例えば、2018年にはインドで3ドル(約320円)のモバイル専用プランのテストを開始し、その後、他のいくつかの国のユーザーに拡大した。

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また、Netflixが自社のサービスを無料で、あるいはほぼ無料に近い形で提供するのは、今回が初めてではない。同社はこれまでにも、多くの市場で無料トライアルをサポートしたり、オリジナルの映画や番組のごく一部を非加入者に提供したりしており、インドでは少なくとも1回、週末にサービスを無料で利用できるキャンペーンを実施したことがある。

しかし、今回のケニアでのサービスは、やはり注目に値する。ロイター通信によると、同社は東アフリカの国で、映画やテレビ番組のカタログの約4分の1を無料プランのユーザーに提供しているそうだ。

Netflixのプロダクト・イノベーション・ディレクターであるCathy Conk(キャシー・コンク)氏は「これまでにNetflixを見たことがない方(そしてケニアでは多くの方が見たことがない)にとって、これはNetflixのサービスを体験するのに最適な方法です」とブログで述べている

「気に入った作品があれば、有料プランに簡単にアップグレードできるので、テレビやノートパソコンでもフルカタログを楽しむことができます」。

同社は、この無料サービスをケニアでいつまで提供するのか、また他の市場への拡大を検討しているのかについては明らかにしていない。

Netflixの経営陣は、過去の決算説明会で、各市場を調査し、すべての人にとってより魅力的なサービスを提供する方法を検討していると主張してきた。支払い情報なしで登録できることは、そのような主張に信頼性を与えてくれる。発展途上国では、クレジットカードやデビットカードを持っていない人が多く、登録時に決済手段を必要とするサービスにはアクセスができない。

モバイルゲームの提供も計画しているNetflixは、2021年6月に終了した四半期において、150万人の有料会員を獲得したのみで、その数字は予想を下回っていた。2億900万人以上の加入者を集めているNetflixをはじめ、Amazon Prime Video(アマゾン・プライムビデオ)などのストリーミングサービスは、より速い成長率を維持するために、米国外の顧客を獲得しようとする動きを強めている。

2021年初め、Amazonはより多くの顧客を開拓するために、インドのショッピングアプリ内に無料で広告付きのビデオストリーミングサービスを導入した。

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画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

チャットボットサービス「BOTCHAN」を運営するwevnalが6億円のシリーズA調達

チャットボットサービス「BOTCHAN」を運営するwevnalが6億円のシリーズA調達

チャットボットサービス「BOTCHAN」を展開するwevnalは9月22日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約6億円の資金調達を発表した。引受先は、ニッセイ・キャピタル、アーキタイプベンチャーズ。

2011年4月設立のwevnalは、デジタルマーケティングを中心に事業を展開。現在SaaS事業への変革期として「BOTCHAN」事業に注力しており、D2C業界を中心に累計500社以上の企業に導入されているという。同社は、BOTCHANをLTVの最大化を実現するためのBX(Brand Experience)プラットフォームと再定義し、調達した資金は、その実現に向けたサービス強化、機能開発、データ整備を行うための人材採用などの強化、事業成長を加速するためのマーケティング強化に活用する。なおLTV(顧客生涯価値)は、1人の顧客が生涯に渡ってどの程度利益をもたらすかを算出した数値のこと。

プレミアムデジタルアート・NFTプラットフォームNiioが約16.4億円調達、サムスンとの戦略的パートナーシップ締結受け

テルアビブを拠点とするデジタルアートプラットフォーム「Niio」は、先週発表されたSamsung Display(サムスン・ディスプレイ)との戦略的パートナーシップにともない、1500万ドル(約16億4000万円)のシリーズAラウンドを調達したことを発表した。

このラウンドは、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)とCatterto(キャタルトン)のジョイントベンチャーであるL Catterton(Lキャタルトン)、Entrée Capital、Pico Venture Partnersが共同で主導したもの。さらに、Saga VCをはじめ、一流のアーティスト、アートコレクター、美術館、ギャラリスト、MoMA(ニューヨーク近代美術館)やGuggenheim(グッゲンハイム美術館)などの機関の評議会委員、オンラインギャンブル起業家であり、NFTにも投資しているShalom McKenzie(シャロム・マッケンジー)氏などが参加した。シリーズAの前に、Niioは最初に戦略的エンジェルから800万ドル(約8億7000万円)を調達し、続いて2017年に機関投資家からシードラウンドを行っていた。

Niioは今回の資金を、アーティストコミュニティの拡大と、アプリ対応のサブスクリプション・購入プラットフォームの拡張に使用するとのこと。ブロックチェーンベースのこのプラットフォームには、NFTやその他のデジタルアート資産の取引が可能なマーケットプレイスが含まれる予定だ。

Niioの共同創業者兼CEOであるRob Anders(ロブ・アンダース)氏は、次のように述べた。「デジタルアートは、NFTの爆発的な成長により市場が加速し、主流のメディアとして受け入れられるようになりました。人々がいま経験している変化は、文化にとってここ数十年で最も社会的に重要な瞬間であり、これまでにない方法で新しい種類のアートにアクセスし、スクリーン上で体験できるようになっています」。

Niioの技術は、ユーザーがデジタルアート作品をあらゆるデジタルスクリーン上でストリーミングすることを可能にし、音楽やエンターテインメントのストリーミングサービスがアルバムや映画に対して行ってきたのと同様に、アートとプラットフォーム構築との間のギャップを埋めるものだ。

前出のアンダース氏とOren Moshe(オレン・モシェ)氏によって2014年に設立されたNiioは、アクセシブルなストリーミング配信サービスと、公開マーケットプレイスや個人間取引を通じて、アーティストやギャラリー、コンテンツ所有者から直接、エディション化されたNFTアートワークを購入できる機能を組み合わせています、とアンダース氏はTechCrunchに語った。

Niioは、2021年末にサブスクリプションサービスを開始し、続いてNFTマーケットプレイスを開設する予定だ。これにより、アートの専門家からなるグローバルコミュニティに支えられたNiioは、デジタルアートメディアのための最も包括的なエンド・ツー・エンドのソリューションとなり、プレミアムデジタルアートに誰もがいかなるスクリーンからでも簡単にアクセスできるようになる。

約6000のギャラリー、機関、アーティストからなるグローバルコミュニティにNiioのツールを提供することで、Niioのプラットフォームとブロックチェーンは、アーティストが自分の作品を配信、管理、収益化、保存することを可能にする。

Niioは、クリエイティブコミュニティとアーティストがライフワークを公開、管理、保護する能力を尊重し、サポートするために、すべてのアーティストが同社のツールを永遠に無料で利用できるとしている。

Niioの共同創業者であるモシェ氏はこう述べている。「当社は、何よりもまずアーティストに力を与え、彼らの作品をデジタルで体験し、世界中で入手できるようにするというプラットフォームのビジョンを実現しました。6000人以上のアーティストが、ライフワークの公開、管理、保護、収益化を可能にする当社に信頼を寄せてくれていることに感謝しています」。

アンダース氏によれば、過去2〜3年の間に、約1万社のグローバル企業がNiioのプラットフォームを利用しているという。それらの顧客はギャラリー、美術館、スタジオ、アートスクールなどのアート関係者から、ラグジュアリーブランド、ホテルチェーン、不動産デベロッパーなど多岐にわたっており、プラットフォーム上で提供されている1万5000点のプレミアム作品から厳選されたアートストリームを、30カ国以上の公共スペースや場所で数百万人に向けて配信していると同氏は述べている。

アンダース氏は「スマートテレビは10億台以上の市場があり、当社のパートナーであるサムスンは市場の30~40%を占めているため、当社は『ラストマイル』提案をすることができます」とも語った。

デジタルアートの市場規模は、2025年には約500億~1000億ドル(約5兆4600億〜約10兆9200億円)になると予測されている。

L Catterton Growth FundのマネージングパートナーであるMichael Farello(マイケル・ファレロ)氏はこう述べている。「デジタルアートは、L Cattertonが長年注目してきた分野です。当社はデジタルアートの将来性に非常に期待しており、この分野を継続的に評価した結果、Niioにたどり着きました。サブスクリプションとNFTの両方を提供する彼らのプラットフォームアプローチと、批評家とアーティストのコミュニティで築かれた評判、そしてサムスンとのパートナーシップによる評価が相まって、彼らを市場のリーダーにすることを確信しています」。

画像クレジット:After Indifference by Siebren Versteeg, Commissioned by Niio

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)