産直通販サイトの食べチョクが生産者の直伝レシピ200件を公開、料理に使う食材を探せるレシピ検索機能リリース

産直通販サイトの食べチョクが生産者の直伝レシピ200件を公開、料理に使う食材を探せるレシピ検索機能リリース産直通販サイト「食べチョク」(Android版iOS版)を運営するビビッドガーデンは2月9日、食材をよりおいしく調理するためのレシピ集「生産者直伝レシピ」200件を一挙公開。また、シーンに合わせたレシピと食材を探せる「レシピ検索機能」をリリースした(レシピ検索機能はウェブサイト版のみの機能)。

食べチョクは、6500軒の生産者が約40000点の商品を出品している産地直送の通販サイトで、野菜・肉類・魚介類・加工品など様々な商品を取り扱っている。商品発送時に食材を使ったオススメのレシピを同梱する生産者もおり、そのレシピを活用するユーザーも多くみられるという。

また食べチョクは、「生産者によるいちばんおいしく食材を食べるレシピ集」をテーマにした書籍「#食べチョクごはん」を2021年10月に発売。食材の良さを知りつくした生産者が考案したレシピや、フードコーディネーターによるレシピを60品厳選して掲載しているという。

そういった背景を受け、ユーザーに食べチョクでの商品選びをさらに楽しんでもらうため、生産者オススメのレシピをウェブ上に多数掲載し、各レシピページから食材の購入をしやすい機能を今回新たに追加した。生産者直伝レシピは「ご飯もの」「おかず」「汁もの」「おやつ」などのカテゴリー別で閲覧が可能。レシピページを開くと、そのメニューで使用している食材の販売ページに移動できる。

レシピ検索機能では、定番料理とは違う一工夫を加えた「アレンジレシピ」、15分以内で作れる「時短レシピ」、低カロリー重視の「ヘルシーレシピ」、食材の魅力を引き出す生産者こだわりの「本格レシピ」のカテゴリーを用意。シーンに合わせたレシピを検索できる。

アレンジレシピ例

手羽先とトマトの洋風炊き込みご飯

手羽先とトマトの洋風炊き込みご飯(熊本県:日本一鶏肉研究所)

時短レシピ例

ごまココアもち粉チーズ焼き

ごまココアもち粉チーズ焼き(新潟県:アフコ秋山農場)

ヘルシーレシピ例

にんじんホットケーキ

にんじんホットケーキ(千葉県:大成農園)

本格レシピ例

和梨のタルト

和梨のタルト(千葉県:斎藤農園)

 

独自品種のニワトリを生み出し健康な「チキン」を育てるCooks Ventureが知財保護のために57.8億円調達

チキンは米国だけでなく世界で最も多く消費されている食肉だ。しかしチキンを繁殖し、エサを与えて育てるシステムは、私たちの全体的な幸福にとって信じられないほど有害なものだ。というのも、トウモロコシと大豆を中心とする従来の農業の仕組みを支え、しかも消費者が手にいれるチキンの大半が必然的に近親交配され、遺伝的多様性を欠くシステムを助長している。

小規模だと味の薄い肉になることがあり、しかも、米国におけるチキンの供給がウイルスにやられることは防げない。

Blue Apronの共同創業者であるMatt Wadiak(マット・ワディアック)氏が立ち上げたCooks Ventureは、既存のシステムの段階的な解体を目指し、最初はチキンそのものからスタートした。

Cooks Ventureはまず、10年ほどニワトリの遺伝的性質を研究して、独自の品種系統「Pioneer(パイオニア)」にたどり着いた。同種は選択的育種により、ゆっくりと育ち、強力な免疫系と健康な消化器を持っている。ワディアック氏によると味も良いが、それはこの品種にとっての唯一、あるいは最も重要な長所ではない。

胃腸が強いのでこの品種は生涯一種類の配合飼料で育つ。通常のブロイラーは一生に3種類か5種類の配合飼料を必要とし、そのすべてがトウモロコシと大豆のミックスだ。そのため、雛の群れが生まれるたびに、運送業の大きな負荷が生じることになる。

さらに、Cooks Ventureのニワトリは非常に多様なエサを食べる。これにより全米の農地の97%を耕作している農家に、大豆とトウモロコシ以外の作物を育てる余力が生まれる。

Cooksには自家農場があって、独自のチキン加工工場もあり、少数の小売企業とパートナーしてそのチキンを消費者に販売している。Cooks Ventureのウェブサイトでも購入できる。

Cooksはいずれ、ニワトリの飼料を生産する農家に再生農業に関するIPをライセンスし、より生物多様性に富んだ作物の栽培を請け負い、最終的にCooks Ventureのニワトリのエサにしたいと考えている。一方、収益面では、Cooks Ventureの遺伝子系統の増殖に関心を持つ企業や農家と協力する機会があると考えている。

これらのニワトリは、より多様なエサに対応でき、より強い免疫システムを持ち暑さにも強いため、Cooksは暑い地域や食料不足の地域の農家と提携することができる。

関連記事:農業を根本から考え直すCooks Ventureが約13億円を調達

Cooksはこの度、成長中の技術系企業の知的財産を担保に債務を保証するPIUSから、5000万ドル(約57億8000万円)の債務融資を受けたことを発表した。

同社のチキンは多様な原料の食餌を受け入れるし、免疫系も強いから、熱帯や食糧不足の地域の農家ともパートナーできる。

画像クレジット:Cooks Venture

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)

クックパッド、JR東日本と連携し駅改札で食材を受け取れるサービスをトライアル実施、利用料無料

クックパッドがJR東日本と連携し駅改札で食材を受け取れるサービスをトライアル実施、利用料無料クックパッドは2月2日、生鮮食品ECプラットフォーム「クックパッドマート」(Android版iOS版)で購入した食材を、JR東日本の駅改札で受け取れるサービスのトライアルを開始したと発表した。JR東日本とJR中央線コミュニティデザインとの連携により実現したもので、受け取りサービス利用料は無料。

対象となる駅は、根岸線磯子駅、横浜戦小机駅、南部線稲城長沼駅、南部線・武蔵野線の府中本町駅。今後、横浜駅と川崎駅についても準備が整い順次開始する(決定次第、別途発表)。それぞれの駅ごとに受取可能時間や対象期間が異なるため、以下画像を参照のこと。

受け取りサービスを利用する場合は、クックパッドマート専用アプリを利用し、注文時に受取場所と日付を選択する。いくつか注意事項があり、受け取り可能期間はアプリに表示される日時のみで、受け取り日時を過ぎた場合の再配達はない。また、受け取る駅まで移動が必要な場合、有効な乗車券類が必要となる。列車の運行不能・遅延などにより改札の混雑が発生した場合は、待ち時間が発生してしまう可能性がある。緊急対応や極度の混雑や係員不在といったやむを得ない理由により受け取りができなかった際は、駅ではなくアプリで運営に連絡を入れる必要がある。

不必要なプラスチックを排除したより環境に優しい食料品配送を目指すZero Grocery

Zero Grocery(ゼロ・グロッサリー)は、食料品を2時間以内に、地球を傷つけない方法で届けることを使命としている。

プラスチックを使わない食料品、家庭用品、パーソナルケア用品の配送を行うこのスタートアップ企業は、2年前、廃棄物の削減に焦点を当てたビジネスに対するベンチャーキャピタルの関心について取り上げた企業の1つだ。当時、2019年に起業した創業者兼CEOのZuleyka Strasner(ズレイカ・ストラスナー)氏は、470万ドル(約5億3900万円)の資金を調達したばかりだった。

米国時間2月3日、同社はSway Ventures(スウェイ・ベンチャーズ)が主導する新たなシード資金としてさらに1180万ドル(約13億5500万円)を調達し、Zero Groceryがこれまでに1650万ドル(約18億9400万円)を調達したことを発表した。これは、同社が環境に優しい無料配達を2時間以内に提供する持続可能なオンライン食料品店を立ち上げたことにともなうものだ。

ストラスナー氏はTechCrunchにメールで、前回の資金注入以来、Zero Groceryは「信じられないような旅をしてきました」と、語った。同社はチームの規模を倍増し、ロサンゼルスやベイエリア市場など、サービスを提供する市場の数も倍増させた。

さらに、顧客数も2倍以上に増え、平均注文額と継続率も伸びた。その結果、顧客生涯価値の向上につながり、2021年にはペットボトル3万5000本分、食料品のビニール袋6万枚分が埋立地に捨てられるのを防いだという。

「2022年1月からは、サービスを全面的に刷新し、手数料や会員登録なしで当日2時間以内の配達を実現し、顧客獲得が完全に軌道に乗りました」と、ストラスナー氏は付け加えた。「2022年に成長に投資したドルの回収率は、2021年の平均の3倍になっています」。

画像クレジット:Zero Grocery

資金調達の面ではすばやい成功を収めたが、同社の焦点はより全体的で持続可能なモデルであるとストラスナー氏はいう。これは、コンセプトをすばやく実証し、その後、規模を拡大することで、より少ない労力でより多くのことを可能にするというアプローチによるものだ。

新資本は、Zero Groceryがより多くの地域でサービスを提供するために、新しいハブを開設できるよう、地理的拡大に充てられる予定だ。さらに、規模を拡大するために、新規顧客の獲得にも投資する。会社が大きくなればなるほど、運営上の効率は上がり、ベンダーとの関係も強化され、持続可能な社会の実現に貢献できるとストラスナー氏は言った。

ストラスナー氏は、同社の成功の多くは、市場機会に起因すると考えている。2020年、2021年は、デリバリーサービスが大きく伸びた。実際、それ以前は、米国の食料品販売に占めるデリバリーの割合は10%弱だった。その時、世界的なパンデミックによってニーズが急増したが、その多くは満たされていなかったとストラスナーはいう。

「速く、便利で、手頃な価格で、高品質で、持続可能な、ゲームチェンジャー的なサービスは、より多くの次元でお客様に価値を提供し、同時に複数のニーズを満たします」と、彼女は付け加えた。「このことは、競合他社から多くの顧客を獲得することに容易につながりました」。

オンライン食料品専門店Mercatus(メルカタス)によると、需要により、2022年の食料品売上高1兆1240億ドル(約129兆円840億円)のうちオンライン比率は11.1%に成長し、2026年には1兆2500億ドル(約143兆円5887億円)の20.5%となる見込みと予測されている。

現在、プラスチックはわずか9%しかリサイクルされておらず、その多くが埋め立て地や海へと流れている。つまり、プラスチックのゴミを減らすために個人が行う小さな変化でも、積み重なれば環境に大きなプラスの影響を与えることができる、とストラスナー氏はいう。

「このパンデミックを通して、人々がどのような生活を送りたいか、そして今日の決断が明日にどのように影響するかをより意識するようになったことが大きな特徴です」と彼女は付け加えた。「つまり、オーガニックで、クリーンで、環境にやさしい製品を求めているということであり、Zero Groceryはそれを提供することができるのです」。

画像クレジット:Zero Grocery / Zuleyka Strasner, Zero Grocery founder and CEO

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(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

クラフトビール醸造所向けITサービスのBest Beer Japanが7000万円のシード調達、業務店向けクラフトビールEC事業開始

クラフトビール醸造所向けITサービスのBest Beer Japanが7000万円のシード調達、業務店向けクラフトビールEC事業開始クラフトビール醸造所向けの在庫管理システムと受注システムを提供するBest Beer Japanは2月3日、シードラウンドにおいて、7000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、LaunchPadFund投資事業有限責任組合(Headline Asia)、SocialEntrepreneur3投資事業有限責任組合(PE&HR)、NBCエンジェルファンド2号投資事業有限責任組合(事業創造キャピタル)、オリザリア、デジタルハリウッド大学、南章行氏(ココナラ代表取締役会長)、小林泰平氏(Sun* CEO)、ほか個人投資家。

Best Beer Japanは、クラフトビールの醸造所のバックオフィス業務を管理するためのITツールや物流サービスを手がけるスタートアップ企業。樽の在庫と出荷をリアルタイムで管理できる「樽管理システム」、ビール樽をシェアリングすることで運送コストを抑える「レン樽」などのサービスを開発・運営している。

これまでIT化が進んでいなかったクラフトビール製造業に対して「ビール業界のDX」実現に向けた様々なサービスを提供し、前年比で取引先の醸造所数は2倍に増加。衛生面や酒税・在庫の管理といった作業の負担を軽減し「醸造所がよりビール作りに集中できる環境を作ること」をサポートする。

Best Beer Japanは今回の資金調達を活用し、複数の醸造所からクラフトビールを購入できるプラットフォーム「業務店専用 クラフトビールECサイト」の運営を本格的にスタート。1つのサイト内で醸造所を横断して複数の商品を選ぶことができ、注文・支払いまで完結させるシステムで、すでに事前登録が始まっている。クラフトビール醸造所向けITサービスのBest Beer Japanが7000万円のシード調達、業務店向けクラフトビールEC事業開始

クラフトビール醸造所向けITサービスのBest Beer Japanが7000万円のシード調達、業務店向けクラフトビールEC事業開始

業務店専用クラフトビールプラットフォームのイメージ

消化器系の健康をサポートする機能性炭酸飲料Olipopが34億円調達、カミラ・カベロやグウィネス・パルトロウらが出資

Olipopの共同創業者ベン・グッドウィン氏とデイビッド・レスター氏(画像クレジット:Olipop)

健康に良い、あるいは機能的であるといった目的がある炭酸飲料は、380億ドル(約4兆3300億円)規模の米国のソフトドリンク業界を破壊する新しい波となっている。

3年の歴史を持つOlipop(オリポップ)というブランドの場合、消化器系の健康をサポートする炭酸飲料のラインナップで機能性を追求している。同社は、共同創業者のBen Goodwin(ベン・グッドウィン)氏とDavid Lester(デイビッド・レスター)氏にとって「機能性炭酸飲料」の分野で2番目のベンチャー企業だ。2人は10年近く一緒に仕事をしてきた。

レスター氏はTechCrunchに電子メールで、グッドウィン氏とともに機能性炭酸飲料のカテゴリーを築き上げ、Olipopが現在、このニッチな分野の売上高の3分の2を占めるに至ったと語った。同社の炭酸飲料は、植物由来の食物繊維、プレバイオティクス、その他の植物性原料を使っている。

Olipopが北カリフォルニアの45店舗で発売されて以来、この3年間で同ブランドの人気は高まっている。現在では、Kroger、Target、Whole Foods、Sprouts、Safeway、Wegmansなど、全米1万店以上の食料品店で販売されている。レスター氏は、同社の成功を「1981年にCoca-Cola(コカ・コーラ)がダイエットコークを発売して以来40年以上ぶりに、炭酸飲料カテゴリーに大きな破壊的イノベーションをもたらしました」とアピールする。

「機能性炭酸飲料の基本は2つです。消費者が楽しむカテゴリーで、妥協することなく、おいしい飲み物を提供すること、厳密な科学に裏付けられた最先端の健康効果が2つはあることです」とレスター氏は付け加えた。

画像クレジット:Olipop

チェリーバニラ、オレンジスクイーズ、ジンジャーレモンなど、競合他社もOlipopの味を真似しているが、CEOのグッドウィン氏は、過去16年間にわたるマイクロバイオームと発酵の知識を駆使して同氏が調合したOlipopの味にはかなわない、という。

「厳密な科学に裏打ち」されているという側面は、マイクロバイオームと消化器系の健康分野の研究者が率いる科学諮問委員会を導入したことに由来する。いずれ他の健康の問題にも拡大する予定だ。Olipopは2021年、ベイラー大学およびパデュー大学と試験管内での試験を成功させ、今はヒト臨床を行っている。2022年から2023年にかけて、研究や提携も増えていくとグッドウィン氏は語る。

Crunchbaseのデータによると、Olipopは2018年以降、約1350万ドル(約15億4000万円)を調達した後、2億ドル(約228億円)のバリュエーションに基づく3000万ドル(約34億円)のシリーズBを発表した。このラウンドはMonogram Capital Partnersがリードし、Camila Cabello(カミラ・カベロ)氏、Priyanka Chopra Jonas(プリヤンカー・チョープラー・ジョナス)氏、Nick Jonas(ニック・ジョナス)氏、Joe Jonas(ジョー・ジョナス)氏、Kevin Jonas(ケビン・ジョナス)氏、Mindy Kaling(ミンディ・カリング)氏、Logic(ロジック)氏、Gwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロウ)氏といった豪華な投資家が名を連ねた。また、既存投資家からRocana Venture Partners、Raj Nooyi(ラジ・ヌーイ)氏、Pepsi(ペプシ)元CEOのIndra Nooyi(インドラ・ヌーイ)氏、A-Series Management & Investmentsの創業者であるAnjula Acharia(アンジュラ・アチャリア)氏、ClassPassの創業者であるPayal Kadakia(パヤル・カダキア)氏、Beautyconの共同創業者であるMoj Mahdara(モージ・マーダラ)氏、LANYのリードボーカルであるPaul Klein(ポール・クライン)氏が参加した。

Olipopは、2022年末までに1億ドル(約114億円)のランレート(年換算売上高)の達成を見込む。レスター氏によると、同社は2021年の成長目標を上回り、トップラインの売上高を3倍に伸ばした。同社はまだ黒字ではないが、そこに向かっているという。そのため、新たな資金調達は、同社が流通を迅速に拡大する際の新規雇用、マーケティング投資、製品在庫に充てられるとグッドウィン氏は付け加えた。現在、従業員数は約60人で、前年の30人から増加した。

パンデミックは同社にとって、一定程度追い風となった。消費者の消化器系の健康に対する関心が高まり、また、砂糖の摂取や、従業員と国の両方が緊張下におかれる中、会社がどう運営されるかについての懸念もあり、パンデミック初年度の3000%の成長につながった。

「パンデミックは、大きな挑戦であると同時にチャンスでもあると考えました」とグッドウィン氏は話す。「パンデミックは、顧客によりよいサービスを提供するための強固な消費者直結型プラットフォームを構築するという課題を私たちに与えました。リモート環境下で優れた文化を構築することに力を注がざるを得なかったのです。また、顧客との関係について良いデータを得ることができました。Olipopは、ストレスの多い時代に、健康を維持しながら喜びと安らぎを得ることができる製品であることがわかりました」。

次のステップとして、2021年テストしたメインストリームの流通とマーケティング戦略を拡大し、その急成長を支えるために必要なサプライチェーン構造も構築するとグッドウィン氏は付け加えた。加えて、新しいフレーバーの研究開発にも力を注ぐ予定だ。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

おいしくてハードワークにも最適な次ぎの健康食品を開発、提供するPurely Elizabeth

Purely Elizabeth創設者兼CEOエリザベス・スタイン氏(画像クレジット:Purely Elizabeth)

Purely Elizabethの創業者Elizabeth Stein(エリザベス・スタイン)氏はこれまでの12年のキャリアを歩んできたが、同社の次の段階に進むための計画からするとそのキャリアはまだ始まったばかりのものだ。

ホリスティック栄養学のカウンセラーとしてキャリアをスタートさせたスタイン氏は、当時はまだ現在ほど普及していなかったスーパーフード食材や薬としての食品について学んだ後、2009年に会社を設立した。

「多くの人を助ける製品の市場にチャンスがあると感じました」と彼女はいう。「口に入れるものは、私たちにとって最も重要なものの1つです」。

CEOのスタイン氏は、顧客と仕事をするうちに、グルテンフリーなどの特殊な食品のニーズを感じ、サイドプロジェクトとして始めたブルーベリーマフィンミックスがPurely Elizabethのきっかけとなって、グラノーラに移行する前の最初の製品となり、現在に至っている。

その後、パンケーキ / ワッフルミックスやオートミールも加わり、同社は朝食カテゴリーのトップブランドの1つとなった。製品は非遺伝子組み換えで、古代穀物、ココナッツシュガー、プロバイオティクス(善玉菌を多く含む食品)、MCTオイルなどの原材料を含んでいる。

世界の健康食品の市場は2020年に7331億ドル(約84兆2820億円)ともいわれ、2026年には1兆ドル(約114兆9660億円)に達するという。同社も、ますます混雑してきたこの市場の一員だ。この分野に投資を惹きつける要素は、消費者の関心だ。先に報じたスムージーのKenckoはシリーズAで1000万ドル(約11億5000万円)を調達し、栄養ドリンクのAthletic Greensは12億ドル(約1380億円)の評価額で1億1500万ドル(約132億2000万円)の資金調達を発表した。

スタイン氏によると、市場は彼女がPurely Elizabethを立ち上げたころと比べて大きく変化している。彼女がトレードショーなどに初めて出た2010年には、原料のチアシードやココナッツシュガー、ココナッツオイルなどについて小売企業にいちいち説明しなければならなかった。しかし現在では、消費者の意識と知識が変化、増えたことで、そのような原料は一般の食料品店でも販売されるようになった。健康に良いという知識のためだけでなく、実際においしいからだ。

過去5年間同社は前年比成長率55%を維持し、2021年には1案5000社の小売業者に卸している。彼女によると、2018年には8000店だった。

同社の最初の資金調達は2016年の300万ドル(約3億4000万円)だったが、今回はSEMCAPの食品栄養部門がリードする5000万ドル(約57億5000万円)のシリーズBを完了した。実はこの部門は、この投資でもって立ち上がった部門だ。参加した投資家はSwander Pace CapitalとSEMCAPのパートナーであるFresh Del Monte(フレッシュ・デルモンテ)だ。同社の総調達額は、5300万ドル(約60億9000万円)となった。

スタイン氏は今回の資金で、社員数を現在の30名から2022年内に40名に増やす予定だ。また新製品によるイノベーションにも取り組み、特に2022年はオートミールを使った新しいカテゴリーを開発するという。また、デジタルマーケティングによりブランドイメージの向上にも取り組む。

「すばらしい成長を重ねてきましたが、現在、私たちは曲がり角にいると思います。次の成長の段階を探さなければなりません。それを加速するためには資本とパートナーが必要で、ブランドをさらに進化させて、より多くの消費者にとって楽しい要素を追加し、今後の進化を達成し、次のレベルに進まなければならなりません」とスタイン氏はいう。

以前はGeneral Millsに在籍し、現在はSEMCAPの食品栄養部門のマネージングパートナーであるJohn Haugen(ジョン・ホーゲン)氏は、General Millsのベンチャー部門301 Inc.の創業者でマネージングディレクターだったときにPurely Elizabethの取締役になり、同社への最初の投資をリードした。

そのホーゲン氏によると、スタイン氏の見解と同じく、現在の消費者はハードワークのための食料を求めているが、これからは、まずさを我慢してまで良質な原料を選ぶようなことはしない、という。

「Elizabethには、この新しい最先端のトレンド合わせて、どのような他社製品よりもおいしい健康食品を市場に導入するためのノウハウがあります」とホーゲン氏はいう。

画像クレジット:Purely Elizabeth/Elizabeth Stein, Purely Elizabethの創業者でCEO

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

植物肉スタートアップのDAIZが30億円のプレシリーズC調達、熊本・新工場による生産体制強化と国内外でさらに販路拡大

植物肉スタートアップのDAIZが総額30億円のプレシリーズC調達、熊本・新工場による生産体制強化と国内外でさらに販路拡大発芽大豆由来の植物肉(代替肉)「ミラクルミート」を開発・生産するDAIZは2月1日、プレシリーズCラウンドにおいて、第三者割当増資による総額30億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、日清食品ホールディングス、丸井グループ、三菱ケミカルホールディングス、長谷川香料、物語コーポレーション、東洋製罐グループホールディングスの事業会社6社と、インベストメントLab、三井住友海上キャピタル、グローバル・ブレインなどの金融投資家4社。累計資本調達額は60億5000万円となった。国内のフードテック・スタートアップとしては、最大級の資金調達額。また、植物肉市場の成長が著しい海外での事業展開を見据えており、現地生産拠点の確保のために2022年中に追加で数十億円規模のシリーズCラウンドの資金調達を計画している。

プレシリーズCラウンドで調達した資金は、ミラクルミートの生産体制の拡大と研究開発(R&D)の強化、グローバルでの事業展開、成長を支える人材採用などにあて、さらなる事業基盤の拡充を図る。生産体制の拡大として、2023年の稼働を目指して熊本県内に新工場を建設する計画が進行しており、現在の年間生産キャパシティ4000トンの5倍の年間2万規模になるという。

また、成長資金の獲得と提携企業との協業によりミラクルミートの商品開発や販路拡大、SDGs観点の差別化訴求などを推進する。

DAIZは、独自技術「落合式ハイプレッシャー法」をコア技術とした熊本発のフードテック領域のスタートアップ。DAIZが生み出した環境負荷が小さい次世代の植物肉ミラクルミートは、大手ハンバーガーチェーンや、大手スーパー各社、飲食店など50社を超える採用実績を持ち、味の素やニチレイフーズなどの大手食品メーカーとの共同開発も進めてきた。

大手企業と連携して日本の食品技術を結集させた「オールジャパン構想」のもと、さらに研究開発を重ねることで「ミラクルミート」の価値向上を図っているという。また、2021年5月には米国・ボストンにDAIZ初の海外子会社を設立し、欧米市場へ進出した。

「鼻」でも味わえるBlack Sheep Foodsの植物由来肉、ラムなど植物由来ジビエを開発

植物由来の伝統的ないつもの肉やジビエを製造するフードテック企業Black Sheep Foodsが、特許出願中の風味化合物の開発を継続するため、525万ドル(約6億1000万円)のシード資金を獲得した。

共同設立者のSunny Kumar(サニー・クマール)氏は、TechCrunchの取材に対し、植物由来肉の中には、口で生み出す味に頼っているものがあると指摘する。彼の会社では、鼻で適切なタイミングで感じる味を作り出している。

「口で感じる味は初歩的なものです。私たちは、鼻で感知できる化合物を研究しています。人は狩猟や採集をするときに、鼻を使ったのです」と彼はいう。

2019年からBlack Sheep Foodsは、エンドウ豆のタンパク質と脂肪酸からなる化合物を作り、それをどのように提供するのがベストなのかと研究開発に取り組んでいる。

近年、植物性の鶏肉や牛肉が人気だが、地中海、インド、中東、アフリカの食生活でよく食べられるラムなどのジビエは、このトレンドに取り残されているとクマール氏は考えている。

そんな偏ったトレンドを作り出しているのが、2020年で66億7千万ドル(約7700億円)に達している植物由来肉の世界市場だ。今後、食べ物を意識する人がもっと増えて、サステナブルな方法で生産された食品を求めるようになると、その市場は2026年に167億ドル(約1兆9276億円)になるという。

今回の資金調達により、同社は植物由来の肉類をより多くの消費者、特にラム肉を食べたことがありその味が気に入らなかった人に提供する機会を得た。

Black Sheep Foodsの出資者には、AgFunder、Bessemer Venture Partners、TastybitesのMeeraとAshok Vasudevan、New Crop Capital、Siddhi Capital、Smita Conjeevaramがいる。

同社は2021年、植物由来のラム肉を、ベイエリアのSouvlaなど、ギリシア料理レストランとパートナーして試してみた。それは、Souvlaにとって7年ぶりの新メニューだった。2022年には、同社のミートボールがデルタ航空のファーストクラスとビジネスクラスの機内食で提供される。

2022年1月は、植物製ラム肉がベイエリアのRooh、Chezchez、Beit Rima、Joyride、Mazra、Monica’s、Ettanなどでも提供される予定だ。

クマール氏の計画では、資金は、実際の市場規模を知るためのマーケティングの市場調査にも当てたいという。またR&Dでは合成生物学の分野を追究するとともに、その一環として、イノシシなどその他の風味も実現したい。

「最大のハードルは多くの人にサンプルを試食してもらうことです。2021年は、パートナーのレストランのシェフたちに販売するだけで売り切れになった。競合他社がどれだけ売っているのか知りたいですし、私たちはその数字を超えたいです」とクマール氏はいう。

画像クレジット:Nicola Parisi

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

スムージーやスティックで野菜や果物が摂れるKenckoが約11.4億円調達

植物由来でミキサーを使わないスムージーを提供するKencko(ケンコー)が、新しいカテゴリーに進出するために1000万ドル(約11億4000万円)の資金をシリーズAで調達した。

今回のラウンドは、既存の投資家であるSiddhi Capitalが主導し、Next View Ventures、Riverside Ventures、Silas Capital、Cheyenne Ventures、Shilling Capital、Indico Capital、Mission Point、Gather Ventures、Nextblue Venturesなど、既存および新規の投資家が参加した。今回の投資により、Kenckoの資金調達総額は1350万ドル(約15億4000万円)を超えた。

TechCrunchがKencko(日本語で「健康」を意味する)を最後に取り上げたのは、同社が340万ドル(約3億9000万円)のシードラウンドを実施した2019年のことだった。当時、同社は6種類のフレーバーのフルーツドリンクを販売しており、さらに2つの新商品を発売する準備をしていた。

現在は、オーガニックスムージーには10数種類のフレーバー、ガムドロップには4種類のフレーバーを用意している。フリーズドライ技術により、1食分のグミキャンディのようなスティックで2.5食分の野菜と果物を摂取することができる。精製された砂糖や甘味料、人工的な素材は一切使用していない。

Kenckoは、2030年までには70億ドル(約7971億6000万円)の規模になるといわれる競争の激しい世界の健康 / ウェルネス市場の中で、独自のニッチな位置を占めている。他の企業もベンチャーキャピタルを引きつけているが、例えば毎日の栄養補給を目的とした粉末飲料AG1を開発したAthletic Greens(アスレチック・グリーンズ)は、米国時間1月25日に1億1500万ドル(約131億円)の新たな資金調達を発表し、プレマネー評価額を12億ドル(約1366億6000万円)に引き上げた。

今回の投資のニュースとともに、Kenckoは2月下旬に発売される最新のボウル型加熱式製品を発表した。

共同創業者でCEOのトマス・フローズ氏(画像クレジット:Kencko)

Kenckoは、そのままでは廃棄されてしまう野菜や果物を転用することにも力を入れており、2021年1年間で1000万本以上のフリーズドライのスムージーを出荷することができたが、同社によればこれは約660トンの生鮮食品に相当するそうだ。また、2022年には完全なカーボンニュートラルを目指している。

共同創業者でCEOのTomás Froes(トマス・フローズ)氏は、TechCrunchにメールで、創業からわずか3年で年平均500%以上の成長を遂げていると語った。2021年末のKenckoの会員数は約36万人で、2020年比で173%の伸びを示している。

フローズ氏は、新たな資金を、Kenckoのサプライチェーンおよび自社製造の拡大・最適化に投入したいと考えている。社員数はちょうど100名を超えたところで、今後12カ月間でチームを倍にする予定だ。

フローズ氏は「今回の増資によって、会員の方々にとって手間のかからない栄養補給の機会である『Kencko moments』を増やすことができるでしょう」と付け加えた。「私たちは、より多くの人々が日々の果物や野菜の摂取量を増やすことで、より健康的な生活へと移行できるよう、今後も努力していきます。私たちはエキサイティングな新製品を数多く開発しており、2022年中には実店舗での販売を開始できたらと思っています」。

画像クレジット:Kencko

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

動物性原材料を使用しない「プラントベースフード」ブランド2foodsを展開するTWOがカゴメから5億円調達

プラントベースフードブランド「2foods」(トゥーフーズ)などウェルビーイング事業を展開するTWO(トゥー)は1月21日、第三者割当増資による5億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はカゴメ。調達した資金は2foods事業の展開加速にあてる。

また、カゴメとはすでに2021年4月に包括業務提携を締結しており、双方の強みを活かしたプラントベースフードの新しいプロダクト開発を共同で進行中。カゴメとの共同商品の開発など両社の連携強化によりシナジー創出を図り、店舗展開と加工食品展開の2軸のビジネス戦略で事業成長を加速させることで、立体的なブランドビジネスの基盤を構築する。

2foodsは、動物性原材料を使用しない食「プラントベースフード」を提供するブランドとして2021年4月にローンチ。味覚を刺激するおいしさ「Yummy」と、食べることでカラダを整える健やかさ「Healthy」を併せ持つ「ヘルシージャンクフード」をコンセプトとしている。

現在は都内6店舗とオンラインショップを展開し、すべて動物性原材料不使用、植物由来原料のメニューによる食事やデザート、ドリンクなどを合計50種類提供中。2022年は素材開発・加工食品展開と2軸のビジネスモデルで様々な企業とのコラボレーションやプラントベース素材・商品開発に取り組むという。

2015年12月設立のTWOは、「健康と欲求はトレードオフの関係」という常識を覆し、カラダ、ココロ、そして社会的にも満たされる「真の健康」をデザイン、健康と欲求という相反する2つを同時に享受できるプロダクトやサービスを提供するウェルビーイングカンパニー。

1カートリッジから100種類以上の飲み物を作り出す、世界初の分子飲料プリンターをCana Technologyが発表

ベンチャーファンドのThe Production Board(ザ・プロダクション・ボード)から3000万ドル(約34億円)の出資を受け、Cana Technology(カナ・テクノロジー)は、約4年間の試作期間を経て「世界初の分子飲料プリンター」という製品を発表した。

これはどういうものかというと、要するにsodastream(ソーダストリーム)とコンピュータープリンターを組み合わせたような製品だ。このスマートコネクテッドデバイスは、トースターほどの大きさで、キッチンカウンターに設置しておけば、1つの「プリンター」カートリッジから、家庭の水と化合させることによって、ジュース、コーヒー、カクテルなど、無限の種類の飲料を、タッチスクリーンを使って作り出すことができる。

ここで「分子」の技術が登場する。Canaは、成分の基本的なセットを特定することに注力し、根本的に飲料を分解して、何がその飲料の味を作っているのかを解明した、とCanaのチーフ・サイエンス・オフィサーを務めるLance Kizer(ランス・カイザー)氏はTechCrunchに語った。

水分を取り除くと、実際に飲んでいる飲み物の量は5%から10%程度にまで減少する。そこでCanaはそれらの成分を濃縮して、100種類以上の飲み物を収容することができるカートリッジに装填した。同社では、特定のブランドと提携して飲料を提供する他、独自の組み合わせも作成している。

「飲料で消費している成分と同じものばかりですから、別の何かで再現しているわけではありません」と、カイザー氏はいう。「品質が重要です。私たちは斬新な方法で飲料を作ることに注力しており、これまでに数百種類もの飲料を生み出しました」。

何百種類もの飲み物がいつでも手の届くところにあるだけでなく、砂糖の量を増やしたり減らしたり、アルコール飲料の場合はアルコールの量を増やしたり減らしたりと、自分の好みに合わせてカスタマイズすることも可能だ。筆者はこのデバイスについての説明を聞きながら、コールドブリューコーヒー、ルートビア、ブラックチェリーモヒートなど、いくつかの飲料を試すことができたが、従来の同じ飲み物よりも味が際立っており、全体的に滑らかな仕上がりになっていた。

それぞれのカートリッジには1〜3カ月分の飲料が入っており、カートリッジの残量が少なくなると、デバイスが感知して自動的に再注文が行われる。使用済みのカートリッジは、リサイクルのために送り返されるように設計されていると、カイザー氏は付け加えた。

Canaの目標は、2兆ドル規模の飲料業界を再構築するとともに、埋め立てられる廃棄物と過剰な水の使用を減らすことでもある。CEOのMatt Mahar(マット・マハール)氏は、この試作品では一般的なアメリカの家庭で1カ月におよそ100個の飲料容器を節約できると説明している。Canaの製品が大規模に普及すれば、プラスチックやガラス製容器の使用量、水の浪費量、そして世界の飲料製造工場から排出されるCO2を80%以上削減することができるという。

今回調達した資金は、サプライチェーンと継続的な技術開発に重点的に投資すると、マハール氏は述べている。現在、同社の従業員は35名だが、2022年はその倍になると見込んでいるという。

マハール氏によれば、価格についてはまだ検討中だが、1回あたりの使用料は飲料の小売価格よりも安くなるだろうとのこと。2月末までには、価格と販売開始時期の両方について完全なデータが得られる見込みだという。

The Production Boardの社長兼COOであるBharat Vasan(バーラト・ヴァサン)氏によると、同社のベンチャーファウンドリーは、食品分野の多くの企業に投資しており、Canaのチームが魅力的だったのは、技術に対する野心的な見通しと、ハードウェア、ソフトウェア、科学を組み合わせて、まったく新しい方法で何かを作ろうとしていたからだと述べている。

同氏にとって、Canaのデバイスは「飲料体験のNetflix(ネットフリックス)のようなもの」に感じられたという。また、飲料に使われているのと同じ濃縮技術は、香水や化粧品など、他の多くの製品にも利用できる可能性がある。

「それはモノが作られ、出荷される仕組みを変えるということです」と、ヴァサン氏はいう。「分散型生産は、1カ所で作られて小売店に出荷されます。現在では、サプライチェーンの制約を回避して家庭に直接届けられる別の配送システムがあります。飲料用プリンターはその1つの現れです」。

画像クレジット:Cana Technology / Cana Technology’s Lance Kizer and Matt Maher

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Upward Farmsがペンシルバニア州に広大な垂直農場の開設を計画

ブルックリンに本拠を置くUpward Farms(アップワード・ファームズ)は今週、25万平方フィート(約2万3000平方メートル)の巨大な垂直農場を建設する計画を明らかにした。2023年初頭のオープンを目指しており、場所はペンシルバニア州北東部のルザーン郡に設けられる予定だ。限られた土地の有効活用を謳っているはずの垂直農場としては非常に大きな面積であり、競合他社の施設と比べると数倍の広さだ。この場所はUpwardにとって3番目の農場となる。

この農場では、特にマイクログリーン(若芽野菜)に注力することになっている。マイクログリーンは、他の作物に比べて柔軟性が高く、必要な空間が小さくて済むため、屋内栽培する作物としては人気が高い。競合他社の多くが採用しているハイドロポニック栽培やエアロポニック栽培ではなく、Upwardではアクアポニックスを採用する。これは魚を利用した循環型システムで、天然の肥料を生成して植物を育てるというものだ。

このシステムのおもしろい工夫点は、同社がそのアクアポニックスで育てた農作物だけでなく魚(バス)も販売するということだ。ニューヨークのWhole Foods(ホールフーズ)の一部店舗で農産物を販売するのに加えて、ブルックリンのGreenpoint Fish & Lobster(グリーンポイント・フィッシュ・アンド・ロブスター)で、ストライプバスの販売も始めるつもりであることを、同社は2021年12月に発表した。

画像クレジット:Upward Farms

「この新しい施設により、これまで西海岸から作物を受け取るまで1週間かかっていたのに対し、私たちは全米で最も人口の多い地域の1億人近い米国人に、1日で届けることができるようになります」と、共同創業者兼CEOのJason Green(ジェイソン・グリーン)氏は声明の中で述べている。「これは、食物をどこでどのように栽培するかということについて、世界的に大きな影響を与えるローカルなサクセスストーリーであり、また同時に、次世代の製造技術でもあります」。

Upwardは、2023年の初めにこの農場で穫れた作物の販売を開始する予定だ。2021年のシリーズBラウンドで1億2100万ドル(約138億円)の資金を調達した同社は、2023年にはさらなる市場への拡大も計画している。

画像クレジット:Upward Farms

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

お魚サブスク「フィシュル」で魚の食品ロス削減を目指すベンナーズが3200万円調達、サービス認知拡大目指す

魚の食品ロス削減を目的としたお魚サブスクリプションサービス「Fishlle!」(フィシュル)を運営するベンナーズは1月17日、第三者割当増資による総額3200万円の資金調達を1月14日に完了したと発表した。引受先はアカツキ、セゾン・ベンチャーズ、エンジェル投資家の海野慧氏。

調達した資金は、フィシュルのデジタルマーケティングチャネルの確立とPR強化、ユーザビリティ向上のための商品ラインナップの拡充とカスタマーサポート体制強化、シリーズAラウンドに向けた人材採用強化にあてる。

ベンナーズは、魚の食品ロスを減らすことで「日本における水産業の発展」と「作り手、使い手、社会を豊かにすること」を目的に、お魚のサブスクリプションサービスを2021年3月よりECサイトでスタート。ライフスタイルの変化による消費者ニーズの多様化や、コロナ禍による人々の生活・行動様式の変動に対応し、衰退しつつある日本の魚食文化の再建を目標としているという。

フィシュルは、最適な味付けを施した上で、季節ごとに旬の魚のミールパックを定期便として届けるサービス。形の悪さや十分な水揚げ量がないといった、味には関係のない理由で規格外とされ価値が付かず通常の流通に乗らない「未利用魚」を積極的に利用することで、食品ロス削減と漁業者の収入の底上げも図っているそうだ。

またそうした形で、SDGs12条の「つくる責任 つかう責任 持続可能な方法で生産し、責任を持って消費する」とSDGs14条「海の豊かさを守ろう。持続可能な社会のために、海と海の資源を守る 海と海の資源を持続可能な方法で利用する」への貢献も目指している。

2018年4月設立のベンナーズは、食の三方よし「作り手、使い手、社会を豊かにすること」を目指す、福岡拠点のスタートアップ。フィシュルなどによる魚の食品ロス削減のためのプラットフォーム事業や卸売業を事業としている。

愛犬のおやつ・おもちゃが毎月届くQualumが犬種特化型パーソナライズ機能を正式提供、ヘルスチェック結果を獣医師が監修

愛犬のおやつ・おもちゃが毎月届くQualumが犬種特化型パーソナライズ機能を正式提供、ヘルスチェック結果を獣医師が監修

「豊かな暮らしを届けるためのブランドとサービスを手掛けるライフスタイルカンパニー」であるFrankyは12月23日、愛犬のおやつ・おもちゃなどが毎月届くパーソナライズケアBOX「Qualum」(カルム)において、犬種特化型のパーソナライズ機能の正式提供を開始した。まずは、チワワ、トイプードル、ダックスフンドの3犬種でスタートし、順次犬種を拡大してゆく。

また同社は今後、飼い主をサポートする機能の追加、犬種ごとの最適な各種ケア用品の展開も視野に入れ、愛犬ができるだけ長く飼い主と健康で楽しい時間を過ごせるよう、引き続きプロダクトおよびアイテム開発に取り組むとしている。

Qualumは、国内160犬種の基礎データと100万通りのヘルスチェック結果から、愛犬に必要なものを選んで届けるサブスクリプションサービス。「愛犬ヘルスチェック」で、犬種、性別、アレルギー、運動量、心配事など約10項目のパーソナライズ診断により、愛犬の健康維持に必要な栄養成分やカロリーの目安などが算出される。獣医師が監修した診断データに基づいて提案されるおやつが選択できる仕組みだ。

担当獣医師の寺田かなえ氏は「獣医学・ペット栄養学の観点からはもちろん、生まれ持った犬種特有の悩みや、愛犬それぞれの悩みや健康状態を考慮して、その子に最適なものを選んでいます」と話している。

Qualmは注文内容によって異なるが、料金は月額2980円(税込。送料込み)より。売り上げの一部は保護犬保護猫マッチングサービス「OMUSUBI」を通して保護団体に寄付される。

「生」ドッグフードを開発するMaevが約10億円調達、犬は喜び庭駆け回る

消費者が自身の身体に取り入れる食材についてより高い意識を持つようになるにつれ、同時にペットに与えるものについても意識が向けられるようになっている。世界的なパンデミックによりペットと過ごす時間が増えたことがきっかけとなり、同業界の売上は2020年には1000億ドル(約11兆4000億円)を突破した。

オースティンを拠点とし、人間グレードの「生」ドッグフードを開発しているのがMaevだ。同社はローフード部門のシェアを拡大すべく、米国時間12月10日、Springdale Venturesが主導する資金調達ラウンドで900万ドル(約10億円)を調達したと発表した。同社はこれまでにもVMG Partners、Bolt、Willow Growthの支援を受けた非公開のラウンドを調達している。

同社のD2Cのペットケアブランドの構想は、2018年にCEOのKatie Spies(ケイティ・スピース)氏とChristine Busaba(クリスティン・ブサバ)氏によって発案された。3つの学位を持つスピース氏は、起業前、エンジニアとしてキャリアをスタートさせている。あるスタートアップ企業で製品開発マネージャーとして働いていたものの、やりたいことを模索するため辞職した。やがてドッグウォーカーとして犬の散歩の仕事をするようになった時のこと、同氏はドッグフード分野で何が必要とされているのかを実感することになる。

Maevの創業者兼CEOのケイティ・スピース氏(画像クレジット:Maev)

正式に会社を立ち上げたのは2019年だが、ブサバ氏とスピース氏が生ドッグフードの最初の製品を発売したのは2020年になってからだった。パンデミックがMaevの立ち上げに影響を与えたのだ。4人の従業員とともに、発売計画をずらしたり資金調達ラウンドを延期したりしなければならなかったという。結局はすべてがうまくいき、現在ではビタミンバーやボーンブロスのトッピングなどを製品パイプラインに追加している。

同社の食品は獣医栄養士チームとともに開発されており、健康な犬の栄養のギャップを解決するための臨床テストが行われている。冷凍食品には本物の肉、野菜、果物が使われており、解凍する必要がある他社製品とは異なりMaevの製品は冷凍庫から出してすぐに食べることができるとスピース氏は話している。

「当社は3つの製品からスタートしたのですが、ペットケアの未来を築いていきたいと考えています。この分野にはこれまでイノベーションがほとんど存在しませんでした。中にはすばらしい製品もありますが、ペットの飼い主たちは健康的な製品とは使いにくいものだと諦めていたのです。私たちは、より簡単で愛犬にとってすばらしい製品を作りたいと考えています」。

Maevは定期購入商品として製品を販売しており、コストは1食あたり平均2ドル(約230円)程度となっている。この1年で約2000人の顧客を獲得し、現在の従業員数は16名、募集職種は11枠だ。同社は収益と顧客基盤の両方を拡大し続けており、サプライチェーンへの投資とイノベーションの強化に取り組んでいる。

新しい資本を手に入れたスピース氏は、前月比20%の成長を25%に押し上げるべく「アクセルを踏み込む」計画だ。今後1年間はオムニチャネルで販売し、顧客の囲い込みに力を入れる。同社の92%の顧客が、1箱目を購入後も継続して購入しているという。これは他のペットフードブランドではあまり見られない統計で、業界平均は60%だとスピース氏は説明する。

同氏はこの新たな資本をオースティンへの本社移転、ブランド認知、マーケティングとサプライチェーンにわたる雇用に投資したいと考えている。顧客からの最大の要望の1つが鶏肉製品で、現在3カ月後の発売を目指して計画が進められている。この商品が現在の牛肉商品の売り上げを上回るだろうとスピース氏は見込んでいる。

米国には9500万頭の犬がいるとされており、同社には十分な成長余地があるとスピース氏は指摘する。同氏によると、ここ数年で新たなペットフード会社が112社も誕生しており、新規参入組が市場を揺さぶっている。Maevは、Alpha PawJinxに続いて、この2カ月で新たにベンチャーの支援を得て資金を調達した企業となった。

関連記事:ペットのウェルネスというニッチに進出するAlpha Paw

一方、既存のペットフード企業も健康志向の食品分野に手を伸ばしている。Freshpetは9月にベジタリアンドッグフード「Spring & Sprout」を発売し、Hill’s Pet Nutritionは2021年11月、Bond Pet Foodsと提携し、ペットフードとしての発酵による肉タンパク質の生産を発表した。

「市場の進化を見ることができて、本当におもしろいです。より多くの飼い主が標準的なペットフードの問題点について学び、愛犬に何を与えているのか懐疑的になっているのはすばらしいことです。しかし、最終的に愛犬のために何を選ぶかというのは、健康と長寿のためにとても重要なことです」。

細部へのこだわりとペットへの配慮こそが、同社が多くの投資家を惹きつけている理由である。

VMG PartnersのパートナーであるCarle Stenmark(カール・ステンマーク)氏は、声明で次のように伝えている。「VMGのポートフォリオに加えるブランドを検討する際、私たちは強いこだわりと規範を持っており、象徴的なブランドになるために必要な鍵を持つ企業に対しては、少額ずつかつ戦略的な投資を行うようにしています。私たちは、非常に熱心で意見を持った顧客基盤を持つMaevに惹かれ、また次世代のペットケアの基準を打ち立てているワールドクラスの創業者であるケイティとの連携に胸を躍らせています」。

Springdale Venturesの共同設立者でゼネラルパートナーのDan Graham(ダン・グラハム)氏は次のように付け加えている。「私たちの領域でいう革新とは、単に異なるフォーマットやパッケージの新製品を出すということではなく、消費者の生活に目を向け、彼らの期待を超え、彼らの愛する人やペットの日常生活を向上させる方法を見つけるということです。我々にとってペット分野への投資は初めてのことですが、同社の製品が健康的なペットフードというトレンドの最先端を行くすばらしい製品であることに加え、ペットとその飼い主の生活を変えるというケイティの情熱と決意に対して私たちは心から楽しみにしています」。

画像クレジット:Maev

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(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)

累計650万食販売・会員数5万人の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達

累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発手作りドッグフード(フレッシュぺットフード)「CoCo Gourmet」(ココグルメ)をD2C展開するバイオフィリアは12月22日、シリーズAラウンドにおいて約5億6000万円の資金調達を完了したことを発表した。引受先は、リード投資家のDIMENSION、またSBIインベストメント、三菱UFJキャピタル、ギークス、ユナイテッド、AGキャピタル、他数社および個人投資家。

調達した資金は、ココグルメの新レシピや小分けタイプの開発、事業拡大に伴う人材採用の強化、猫用フード「ココグルメ for Cat」(名称仮)の新規開発、研究開発事業費などにあてられる。累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発

ココグルメは、フレッシュぺットフードとして、総合栄養食基準準拠・獣医師監修の国産ドッグフードを販売するサービス。フレッシュペットフードとは、人も食べられる新鮮な食材を使い食品安全法の基準をクリアした食品工場で栄養素を壊さないよう低温調理されたフードを指すという。

原料となる肉や野菜はすべて国産のものを使用し、保存料・着色料不使用、グレインフリー。製品は食品安全法をクリアした食品工場で製造され、レシピは獣医師、ペット栄養管理士、動物機能栄養学教授の3分野のプロによって監修されている。ペットに対する家族意識や健康志向が高まる中、ココグルメは愛犬家から支持を受け前期売上増加率434%、会員数5万人、累計販売食数は650万食を突破(2kgの愛犬に1日2食与えるものとして換算)。高付加価値訴求型ペットフードのニーズの高まりを受け、事業が順調に推移している。累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発

また同社は、現代の家庭犬に合うフードづくりにより一層注力するため、北海道大学大学院で動物の腸内細菌叢を研究する動物機能栄養学教授・小林泰男氏と共に家庭犬の腸内細菌叢の研究(R&D)を進めるという。研究から得た独自の知見・エビデンスを活かし、畑の土壌や栽培方法・調理方法の改善などを行い、現代の犬の体質や生活環境に、より最適化した安心安全で美味しい「ワンちゃんのため」のフード開発を目指す。

2017年8月設立のバイオフィリアは、「動物の幸せから人の幸せを」を企業理念に掲げ、動物と人間が愛情を持って共存できる社会の実現を目指し、ペット事業に取り組むスタートアップ企業。ペットフードを単なるエサではなく伴侶動物との絆を深める「食事」と位置付け、伴侶動物と飼い主の絆を深めるごはん時間を提供するべく、グローバル展開も視野に入れ尽力するとしている。累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発

作物栽培システム「宙農」で地球の循環型農業の発展と宇宙農業を目指すTOWINGが約1.4億円のプレシリーズA調達

人工土壌「高機能ソイル」活用の作物栽培システム「宙農」で地球の循環型農業の発展と宇宙農業を目指すTOWINGが約1.4億円調達循環型栽培のシステム開発を展開するTOWING(トーイング)は12月20日、プレシリーズAラウンドにおいて第三者割当増資による約1億4000万円を資金調達を実施したことを発表した。引受先は、Beyond Next Ventures、epiST Ventures、NOBUNAGAキャピタルビレッジ。累計調達額は約1億8000万円となった。

調達した資金により、持続可能な次世代の作物栽培システム「宙農」(そらのう)のサービス開発に向けて、愛知県刈谷市に自社農園を立ち上げて宙農の実証を開始する。研究者・農園長・エンジニアの採用による研究開発体制を強化するとともに、事業開発人材の採用により組織体制を拡大し宙農の量産化に向けたシステム開発を進めるという。また今後、月面や火星の土をベースとした高機能ソイルを開発し、宇宙でも作物栽培可能なシステムの実現を目指すとしている。人工土壌「高機能ソイル」活用の作物栽培システム「宙農」で地球の循環型農業の発展と宇宙農業を目指すTOWINGが約1.4億円調達

TOWINGは、人工土壌による宇宙農業の実現を目標としたプロジェクト宙農を手がける名古屋大学発のスタートアップ。人工土壌「高機能ソイル」を栽培システムとして実用化しており、地球上における循環型農業の発展と宇宙農業の実現を目指している。

この高機能ソイルとは、植物の炭など多孔体に微生物を付加し、有機質肥料を混ぜ合わせて適切な状態で管理して作られた人工土壌の名称。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が開発した技術に基づき、TOWINGが栽培システムとして実用化した。「有機質肥料を高効率に無機養分へと変換」「畑で良い土壌を作るためには通常3~5年程度かかるが、高機能ソイルは約1カ月で良質な土壌となる」「本来廃棄・焼却される植物残渣の炭化物を高機能ソイルの材料とするため、炭素の固定や吸収効果も期待できる」の3点を大きな特徴とするという。人工土壌「高機能ソイル」活用の作物栽培システム「宙農」で地球の循環型農業の発展と宇宙農業を目指すTOWINGが約1.4億円調達

規格外・余剰農産物の売却先をオンラインで農家とつなぎ食品ロスの削減を目指すFull Harvest

年間約40%の食料が廃棄されており、食料廃棄は世界で2兆6000億ドル(約294兆円)規模の問題になっている。Full Harvest(フルハーベスト)は、この問題は流通の問題であり、農産物のサプライチェーンをデジタル化することで解決できると考えている。

サンフランシスコに拠点を置く同社の農産物企業間取引市場は、農産物の買い手と売り手が、わずか数クリックで余剰または規格外の作物の取引を迅速に成立させる手段を提供する。農家にとっては新たな収入源となる。

創業者でCEOのChristine Moseley(クリスティン・モズレー)氏はTechCrunchに対し、生産者の大半はいまだにペンや紙、ファックスを使ってビジネスを行っていると語る。

「これは最も重要な産業の1つです。私たちはこの産業を自動化し、オンライン化することで、これまで解決されていなかったことを解決したかったのです」とモズレー氏は付け加えた。「例えば、売買には膨大な事務処理が必要ですが、オンボーディングプロセスを自動化することで、これまで数週間かかっていた作業が数分で済むようになります」。

そこでFull Harvestは、マッチングアルゴリズムや可視性を備えたスポットマーケットプレイスなど、バイヤーがサプライヤーの在庫を確認できる技術の開発に奔走した。また、第三者による監査・検証プロセスを構築し、一貫した仕様を提供することで、本来は救われるはずだが、廃棄されてしまう農産物の平均量を減らすことに成功した。拒否率は、業界平均10%に対し、同社は1〜2%だとモズレー氏はいう。

過去2年間で、Full Harvestの食品廃棄物削減効果は5倍になり、同社はこの勢いを維持するために追加資本を求めることになった。

同社は米国時間12月17日、シリーズBで2300万ドル(約26億円)の資金調達を発表した。Telus Venturesがこのラウンドをリードし、新規投資家からRethink Impact、Citi Impact、Doon Capital、Stardust Equity、Portfolia Food & AgTech Fund、および既存投資家からSpark Capital、Cultivian Sandbox、Astia Fund、Radicle Growthが参加した。今回の投資の一環として、Telusの投資ディレクターであるJay Crone(ジェイ・クローン)氏がFull Harvestの取締役に就任した。

Full Harvestを取材するのは久しぶりだ。TechCrunchは2016年、同社の旅が始まったときに紹介し、2017年に200万ドル(約2億2600万円)を調達した時に再び紹介した。2018年にはシリーズAで850万ドル(約9億6000万円)を追加で調達した。追加の資金調達をあわせると、現在の調達総額は3450万ドル(約39億円)だ。

同社は、Danone North America、SVZ、Tanimura & Antleなど、食品・飲料、加工業界や生産者業界のビッグネームと取引している。

「より持続可能なビジネスを構築することの重要性は、特に食品・飲料分野の企業にとって、かつてないほど明白になっています」とDanone North Americaのギリシャヨーグルト・機能性栄養食品担当副社長であるSurbhi Martin(スルビ・マーティン)氏は話した。「Full Harvestを通じてオンラインで農産物を調達し、通常であれば廃棄されてしまうような果物を当社の製品用に調達することで、より持続可能な食品を求める消費者の要望に応えています」。

Full Harvestのビジネスモデルは、同社のマーケットプレイスで行われるすべての取引の1%を取るというものだ。2020年から2021年にかけて、サプライチェーンに透明性を持たせた結果、売り上げは3倍になったとモズレー氏はいう。2018年当時、Full Harvestの従業員は約8人だったが、現在は35人にまで増えている。また、同社はカナダを含め地理的にも拡大した。

モズレー氏は、新しい資金で技術開発に投資する他、2022年には技術および製品チームの規模を3倍にし、北米での進出地域を引き続き拡大し、農産物の入手可能性、価格、仕様、持続可能性、品質、予測サポートなどのデータと市場インサイトの提供を進めるつもりだ。

食品廃棄物に取り組み、ベンチャーキャピタルから資金を調達しているのは、Full Harvestだけではない。2021年に限っても、企業から次のような発表があった。

このようにプロデュースの分野で技術革新を進めている企業もあるが、モズレー氏は、Full Harvestのユニークな点は、その専門性が持続可能な製品側にあることと、農産物サプライチェーンのデジタル化のリーダーとしての実績があることで、その両面で先行していると話す。

次は、物流技術に関する提携を確保し、さらなるスケールアップと提供可能なSKUの拡大を図る。

「これまで業界ではオフラインだったプロセスの自動化をある程度完了し、当社のテクノロジーとユーザーエクスペリエンスは大きく向上しました」とモズレー氏は付け加えた。

画像クレジット:Max / Unsplash

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

非動物由来のプロテイン製品開発に成功したThe EVERY Co.、卵市場に変化をもたらす

エッグプロテインという非動物由来のタンパク質を作る精密発酵技術を開発したThe EVERY Co.の2021年の業績が好調だ。

以前はClara Foodsとして知られていた同社は、4月にAB InBevの投資部門であるZX Venturesの投資先であるBioBrewと契約を結び、非動物由来のタンパク質を大規模に醸成することに成功した。EVERYの初の非動物性エッグプロテインは、2021年後半に最初の小売顧客との共同ブランド食材として発売される予定だ。

関連記事:「バドワイザーは卵を作る」食料大手が代替タンパク質産業に相次いで参入、投資額も急増

そして米国時間12月7日、募集額以上に申し込みのあったシリーズCラウンドで1億7500万ドル(約198億8600万円)が集まったことを発表した。この投資は、新規投資機関のMcWinと既存投資機関のRage Capitalが共同で行い、ラウンドにはTemasek、Wheatsheaf Group、SOSV、TO Venturesなど、新規および既存の投資機関が参加した。EVERYによれば、Prosus Venturesも今回の資金調達に貢献しており、合成生物学への初の投資となった。

今回の投資により、EVERYの資金調達総額は2億3300万ドル(約264億8200万円)に達した。TechCrunchでは、2015年にEVERYが170万ドル(約1億9300万円)のシード資金を調達した際に紹介した。その後当社は、2019年にはシリーズAでさらに1500万ドル(約17億円)、シリーズBで4000万ドル(約45億4600万円)の資金を確保している。10月にはThe EVERY Co.に社名を変更した。

その際、CEO兼創業者のArturo Elizondo(アルトゥーロ・エリゾンド)氏は、プレスリリースを通じ「私たちの新しいブランディングは、21世紀のフードシステムを根本的に変革し、あらゆる場所のあらゆる人間が、その過程で地球や動物に害を与えることなく、慣れ親しんだ好きな食べ物を楽しむことができるようにするという私たちのビジョンを届けるものになっています」と語った。

The EVERY Co.の創業者兼CEOアルトゥーロ・エリゾンド(画像クレジット:The EVERY Co.)

社名変更に加えて、11月には初の非動物由来のエッグプロテイン「EVERY ClearEgg」を発売し、コールドプレスジュースブランドPressedとのパートナーシップによりEVERYの製品が入ったスムージーを作り、小売デビューを果たした。

エリゾンドは、これは同社の7年間の仕事の集大成だとTechCrunchに語った。そして2019年のシリーズBは技術を証明するためのもので、今回のシリーズCでは、製品を市場に投入し、資本を活用して規模の拡大を推進することができると付け加えた。

また、この2年間でEVERYは、収益予測値だった状態から収益を得るようになり、従業員が30人から60人に増え、すべての製品に対し米食品医薬品局の承認を得て、米国、欧州、アジアで販売するようになった。

今回の資金調達により、同社は生産規模の拡大、パイプラインのさらなる製品の商業化、そして技術の新たな食品用途への拡大を図ることができる。

エリゾンドはこう語る。「私たちは今、導入促進のためのスケールアップに注力しています。B2Cについては多くの報道がなされており、Kellogg’sやGeneral Millsのような企業も追いかけてこの種の製品を発売しようとしていますが、インフラが追いついていません。これらの技術が機能し、変化を可能にするためには、それに見合った規模が必要です。当社では、その配備を始めています」。

一方、卵市場はいまだに動物由来の卵に支配されている。世界で年間1兆3000億個以上の卵が生産されているが、EVERYはその卵市場に変化をもたらそうとしている。当社の調達額の大きさは、その技術が機能し、支持を得ているということを示している。

EVERYは、Simply Egglessや今夏の初めに2億ドル(約226億7600万円)を調達したEat Just、ベルリンに拠点を置くフードテック企業で、2022年第1四半期に鶏を使わないエッグ製品を発表したPerfeggtなど、同様の動物由来でないエッグ製品に取り組んでいる企業の仲間に加わっている。Perfeggtは11月に280万ドル(約3億1700万円)を調達している。

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エリゾンドは、この分野の企業が増えることは、競争ではなく「上げ潮はすべての船を持ち上げる」ものだと考えている。それよりも、認知度を高め、本物の卵と同じ割合で使用されるようにできるかが勝負だ。

「卵はほとんどすべてのものに使われている機能的な食材ですから、ただおいしいだけの製品を作っても上手くいきません。市場を席巻するためには、消費者が代わり、1:1の比率にならなくてはなりません。そうすれば既存の企業と対抗する最大のチャンスになります」と彼はいう。

Rage CapitalのマネージングパートナーであるGabriel Ruimy(ガブリエル・ルイミー)は声明文の中で「100年以上の歴史を持つ業界に革命を起こしたと確信をもって主張する企業は稀です。しかし、EVERYのアルトゥーロやそのチームは、まさにそれを実践しています」と述べている。

また、McWin Food Ecosystem Fundと世界で2300のレストランを運営するAmRestの創業者であるHenry McGovern(ヘンリー・マクガバン)は「レストラン業界は、新しい食品技術をいち早く取り入れ、消費者に紹介します。McWinは、レストランに深く根ざし、代替タンパク質のリーディングカンパニーに多くの投資を行ってきたことから、EVERYの製品を世界中のメニューに導入するという野心的な計画をサポートできる独自の体制が整っています。卵はどこにでもあるものであるだけでなく、代替することが非常に困難なものでもあります。EVERYの革新的な技術には大きな可能性を感じています」と述べている。

画像クレジット:The EVERY Co.

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(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)