高額落札で注目を集めたNFT「Bored Ape」、2022年のゲームリリースを発表

2021年には、100万ドル(約1億1400万円)規模のNFT(非代替性トークン)プロフィール画像プロジェクトの台頭ほど、魅力的で苛立たしいものはなかった。手順どおりに生成された1万枚のJPGファイルのコレクションは、一見すると剥き出しの投機の手によって数億ドル(数百億円)の時価総額を獲得し、懐疑的な人々を当惑させ、崇拝者たちを豊かにしている。

これらのプロジェクトの多くは、十分な資金とコミュニティのサポートがあれば、エーテルから文化やブランドを生み出すことができると期待されている。中でもBored Ape Yacht Club(BAYC、ボアード・エイプス・ヨット・クラブ)は、そのサルの画像を購入しようと競い合うユーザーが増え、入札価格が数十万ドル(数十億円)レベルにまで高騰したことで2021年に注目を集めたNFTプロジェクトだ。

その価値の一部は、BAYCが文化的な試金石になるという信念を軸としている。同グループは米国時間12月13日、その目標に向けて大きな一歩を踏み出した。ブロックチェーンゲームのユニコーン企業であるAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)と提携し、Bored Ape(ボアード・エイプ)をテーマにしたゲームを来年リリースすると発表したのだ。

このゲームには、非常に高価な参入障壁を持つコミュニティを中心に、メインストリームのゲームを構築するという、明らかに険しい課題がある。NFTプロジェクトの核である独占性と、堅固なユーザーベースを構築するために必要な資産の民主化との間でバランスを取ることは、まだ達成されていないどころか、大規模な試みすら行われたことがない。

この件について同社のプレスリリースには、このゲームがいわゆる「Play-to-earn(遊んで稼ぐ)」の仕組みを取り入れたものになり、2022年第2四半期のリリースを目指しているということ以外、詳細はほとんど書かれていなかった。ちなみに、BAYCの制作元であるYuga Labs(ユガ・ラボ)は、このプロジェクトに関連したトークンを開発中であることを以前に明らかにしている。

2021年10月、香港を拠点とするAnimoca Brandsは、22億ドル(約2500億円)の評価額で6500万ドル(約74億円)を調達した。

画像クレジット:BAYC

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】マイニング業界の転換で訪れる、暗号資産のグリーンな夜明け

気候変動は現代における主要な問題だ。政策立案者から個人まで、誰もが持続可能性とグリーンな行動が社会に浸透するために自らの役割を全うする責任を持っている。

事実、米国から中国まで世界中の政府が気候変動に積極的に取り組んでおり、最近行われた2021年国連気候変動会議、COP26は、 パリ協定の目標に向けた気候変動対策の推進力となっている。

企業もまた大きな責任を負うべく前進を続けており、今や多くの投資家が、財務実績だけでは成功の指標に足り得ないと考え始めている。ESG(環境・社会・ガバナンス)指標、即ち負の外部性(negative externalities)が、社会に役立つ事業活動の真の価値を決めるためにいっそう考慮されるようになった。

その中で、金融インフラを再活性化させるプロセスがますます注目を集めている。Bitcoin(ビットコイン)をはじめとするデジタル資産は、ESG基準をどの程度満たしているのだろうか?この疑問は暗号資産の利用がいっそう幅広い層に行き渡るにつれ、これまでになく重要になってきている。米国では複数のBitcoin先物ETF(上場投資信託)が取引されおり、機関投資家の関与も最高水準に達し、 Standard Chartered(スタンダードチャータード)、 State Street(ステート・ストリート)、Citibank(シティバンク)をはじめとする多くの世界最大級の金融機関が、静かにこの分野で準備を進めている。

規制の明確化も世界でさまざまな人々の参加を可能にし、それぞれのデジタル資産戦略を加速させている。EUの広範囲にわたるMarket in Crypto-assets(暗号資産市場、MiCA)規制フレームワークは、欧州議会で法制化手続きが進められている。一方米国でも、Gary Gensler(ゲイリー・ジェンスラー)氏率いる証券取引委員会が、ステーブルコインと分散型金融(DeFi)のためのフレームワークを明確化する意志を表明している。

デジタル資産が真に主流となり、全世界の投資家のポートフォリオで地位を固めるためには、各国政府と企業が従うべきものと同じ厳格なESG基準の対象にならなくてはいけない。業界が徐々にこの要件を受け入れ、高まる受け入れに呼応して環境自主規制のプロセスを強化していることは特筆すべきだろう。

Bitcoin Mining Council(ビットコイン・マイニング協議会)などの組織は、報告基準を高めることで業界の透明性向上に取り組んでいる。多くの暗号資産ネイティブ組織も、Crypto Climate Accord(暗号資産気候協定)に参加して、暗号資産関連活動にともなう電力消費の2030年までの排出量実質ゼロを誓約している。

しかし、こうしたあらゆる活動にとって、おそらくデジタル資産のエネルギー効率化における唯一最大の貢献は、業界の制御がまったく届かないところで決定されている。2021年5月、中国国務院は暗号資産のマイニングおよび取引を全面的に禁止した。かつて全世界Bitcoinマイニングハッシュレートの44%を占めていた暗号マイニング(採掘)の世界拠点でのこの決定は、採掘者の他の司法権の下への大量脱出を呼び起こした。

これはBitcoinマイニング業界のエネルギー効率化にとって極めて大きな意味をもつ動きだ。電力の石炭依存が高い中国経済を離れ、再生可能なエネルギー形態の多い他の地域へ移動することを意味しているからだ。

北米はこの動きの大きな受益者であり、マイニングハッシュレートの米国シェアは、 4月の17%から8月は35%へと上昇した。カナダのマイニングハッシュレート、9.5%を加えて、今や北米は世界供給の50%近くを占め、全世界マイニングハッシュレートを支配している。

米国のエネルギー生産は全州に分散しているが、この転換はBitcoinマイニングの持続可能性にとって朗報だ。米国は再生可能エネルギーが豊富であることに加えて、大規模なマイニング会社は薄利な業界で競争しており、主要な変動コストはエネルギーであることから、インセンティブは最安値のエネルギー源に移行することであり、その大部分が再生可能エネルギーだという事実がある。

たとえばニューヨーク州はBitcoinハッシュレートで最大級のシェアをもつ州の1つであり、Foundry USAのデータによると、州内エネルギー生成の3分の1が再生可能資源によるものだ。同じくBitcoinマイニングハッシュレートで高いシェアをもつテキサス州も再生可能エネルギー生産の割合を高めており、2019年には電力の20%が風力によるものだった。

さらに、Bitcoinマイニング業界には、電力網にまだつながっていない孤立した再生可能エネルギー源を使用することにインセンティブを与えるという独自の仕組みがある。再生可能エネルギー生成の収益化手段となることで、Bitcoinマイニングが再生可能エネルギー構築をいっそう加速する可能性を秘めている。

こうした再生可能エネルギー源への転換は、反対派に対して、Bitcoinを含むデジタル資産業界全体が持続可能性の精神と一致しながら成功できることを示し始めている。ただしそのような変遷はただちに起きるものではなく、大規模のマイニング事業が新たな地域で再構築するためには長い時間がかかるだろう。

つまるところ、暗号資産の提供する価値がそのエネルギー消費に見合っていることを世に知らしめられるかどうかは、デジタル資産サービスプロバイダーにかかっている。2021年だけでも、デジタル資産の炭素排出量削減は大きな進展を見せており、今後も暗号資産が持続可能性の旅を続けていけば、企業や機関投資家の参入も後に続くだろう。

編集部注:本稿の執筆者Seamus Donoghue(シーマス・ドノヒュー)氏は METACO(メタコ)の戦略的アライアンス担当副社長。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Seamus Donoghue、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitch創業者ジャスティン・カン氏がソラナ基盤のゲーム系NFTマーケットプレイス「Fractal」を発表

OpenSea(オープンシー)がすでにNFTマーケットプレイスのトラフィックの大半を占めているように見えるが、競合するストアフロント各社はまだニッチを見つけようと努力しており、NFTが取引可能なJPG以上の意味を持つ未来に備えている。

Fractal(フラクタル)は、シリアルアントレプレナーのJustin Kan(ジャスティン・カン)氏が共同設立した新しいNFTマーケットプレイスで、新興のネットワークであるSolana(ソラナ)ブロックチェーン上でその機会を捉えようとしている。

このプラットフォームは、ゲーミングおよびいわゆるPlay-to-earn(ゲームして稼ぐ)タイトルにおける機会を中心に構築されており、ユーザーはアバターやデジタルグッズを購入することができる。同プラットフォームはローンチに先立ち、既存の暗号ゲームのサポートを強化することに重点を置いているが、カン氏とFractalのチームは、このプラットフォームをブロックチェーンゲームのキックスターターのようなものにしたいと考えている。そのモデルでは、ユーザーはプレセールで独占的なNFTを購入することができ、その収入はゲームの制作資金になる。

カン氏をはじめとする同社チームは、今後数週間のうちにFractalプラットフォームを公開したいと考えている。

暗号分野の他の多くのネットワークと同様に、Solanaにとっても過去1年は良い年だったが、同ネットワークに結びついた通貨の価値が2021年2ドル(約227円)以下から250ドル(約2万8395円)以上に膨れ上がるのを見てきたこのブロックチェーンの支持者にとっては、他の多くの人よりもさらに良い年だった(ただし、この通貨はここ数カ月で大幅に調整されている)。このネットワークは、Ethereum(イーサリアム)ネットワークのモジュール性と動きの鈍い中央基盤が、Web3のユーザーベースのニーズに追いつけない未来に賭けるものだ。推進派は、低料金で広帯域な構造がNFTプロジェクトを構築するのに理想的な場所だと考えている。

「私はSolanaがゲーミングの未来であると信じています」とカン氏はTechCrunchに語っている。

カン氏はTwitch(ツイッチ)の共同設立者であり、Amazonへの売却によりエグジットしたことでも有名だ。最後のスタートアップであるAtriumを閉鎖して以来、同氏は、起業家精神に特化したYouTubeチャンネルやポッドキャスト、パートナーのRobin Chan(ロビン・チャン)氏と共同で設立したインキュベーター / 投資ファンドのGoat Capitalに注力してきた。Fractalは、このインキュベーターから生まれた製品であり、カン氏は共同設立者兼社長として参加することで、創業者スターパワーを吹き込みたいと考えている。また、チャン氏は、Fractalの他の共同設立者であるMike Angell(マイク・アンゲル)CTOとDavid Wurtz(デビッド・ウルツ)CPOとともに、事業開発の責任者を務める。

Fractalはある意味、消費者に優しいブロックチェーンとスケーリングソリューションにより、手数料や出品の摩擦が解消されるブロックチェーンの未来において、キュレーションが果たす重要性に賭けている。その一方、これまで、Ethereumの高価なリスティング費用は、スパマーが既存のマーケットプレイスに何千もの低労力のNFTを氾濫させるのを阻止する数少ない要因の1つだった。

画像クレジット:Fractal

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

クロスチェーンインフラを手がけるRouter ProtocolにCoinbase Venturesなどが出資

暗号資産の分散型取引所や、レイヤー1とレイヤー2のブロックチェーンソリューション間における通信を容易にするクロスチェーンインフラストラクチャを構築しているスタートアップ企業が、Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)から支援を受けることになった。

シンガポールに本社を置くRouter Protocol(ルーター・プロトコル)は米国時間12月10日、戦略的資金調達ラウンドを実施し、Coinbase Ventures、Alameda Research(アルマダ・リサーチ)、Polygon(ポリゴン)、Woodstock(ウッドストック)、Wami Capital(ワミ・キャピタル)、QCP、De-Fi Capital(ディーファイ・キャピタル)、Maple Block(メープル・ブロック)、TeraSurge Capital(テラサージ・キャピタル)、Wintermute(ウインターミュート)、Shima Capital(シマ・キャピタル)、および複数の起業家から、410万ドル(約4億7000万円)を調達したと発表した。同社は2020年のシードラウンドでも、48万5000ドル(約5500万円)を調達している。

近年、同様の問題を解決しようとするレイヤー1ブロックチェーンネットワークが急増している。これらのレイヤー1プロジェクトが支持を集めると、好みのブロックチェーンの上にレイヤー2ソリューションを構築している開発者コミュニティを引き寄せることができる。

Router Protocolの創業者兼CEOであるRamani Ramachandran(ラマニ・ラマチャンドラン)氏は、TechCrunchによるインタビューに「ブロックチェーンは都市のようなもので、無限に拡張することができますが、接続インフラを構築しない限り、誰もそこに行こうとはしません」と語った。「このようなブロックチェーンが続々と登場してきましたが、しかしそれらの間には接続性がありません。それがRouter Protocolの発端になりました」。

2020年設立されたRouter Protocolは、これらのレイヤー1ブロックチェーンネットワークの多くが今後も運営され、さらに多くのブロックチェーンネットワークが参入してくると確信している。同社が提供するサービスは、開発者が流動資産をチェーン間でシームレスに移動させることを可能にする。「おそらく約50ほどのブロックチェーンが存在し、50の異なるコミュニティと独自のエネルギーを持っています」と、ラマチャンドラン氏は語る。

「レイヤー1のスケーリングソリューション、つまりこの世界のPolygon(ポリゴン)や、Aave(アーベ)やSolana(ソラナ)のような 『Ethereum(イーサリアム)キラー』、そしてTerra(テラ)やAlgorand(アルゴランド)のようなEVM以外のプレイヤーが、さまざまな観点から登場してくるでしょう。それに加えて、この分野には豊富な資本が存在しています。これらのプレイヤーはみな、莫大な軍資金を持っています。誰も10億ドル(約1135億円)以下の話はしていません。この戦いはすぐには終わらないでしょう」。

Router Protocolが提供するも1つのサービスはDfynで、これはPolygonの上に構築されたUniswap(ユニスワップ)やPancake Swap(パンケーキ・スワップ)のような分散型取引所だ。「Dfynと呼ばれるたくさんの空港ターミナルがあって、これらのDyfnネットワークを結ぶ航空路線があるようなものです。しかし、それらは他の空港にもつながっています。それが、このモデル全体の美しさです」。

ラマチャンドラン氏は、2022年にはクロスチェーンソリューションが普及すると予想しているという。「例えば、あなたがSolanaブロックチェーン上にいて、Ethereumを売りたいと思っているけれど、Binance Smart Chain(バイナンス・スマート・チェーン)の方がはるかに良い価格が見られるとします。Routeを利用すれば、ワンクリックでBinance Smart Chainの最高値を取得し、それをあなたのネイティブブロックチェーンであるSolanaに戻すことができるのです」と同氏はいう。

現在、Router Protocolで最も利用されているユースケースはトレーディングだが、ラマチャンドラン氏は、将来的にはさらに多くのアプリケーションが登場すると予想している。「境界を越えて会話ができるようになれば、トレードだけでなく、借りたり貸したり、クロスチェーンガバナンスを行うことができます。例えば、Sushi(スシ)には15のチェーンがあり、15の異なるコミュニティが存在します。これらのチェーンでコミュニティ投票を行うには、15の異なるスナップショットを行う必要があり、まるで悪夢のようです。それを我々が解決できるのです。あるチェーンから借りて、別のチェーンで貸すことができるのです」と、同氏は語った。

Router Protocolは、今回調達した資金を製品提供の規模拡大のために投入し、また複数のセキュリティ監査に投資することも計画しているという。

「ブロックチェーン同士を効果的に通信させることは、今後のDeFiにとっての聖杯であり、Router &Dfynのチームと協力し、この問題を解決する彼らのユニークなアプローチをサポートできることをうれしく思います」と、QCP Capitalの共同創業者であるDarius Sit(ダリウス・シット)氏は、声明の中で述べている。

「我々は、多目的かつアプリケーションに特化したいくつかのブロックチェーンにまたがる将来のWeb 3.0の活動を予想しています。RouterのXCLPは、チェーンをまたいだ流動資産の流れを可能にする重要なクロスチェーン・インフラストラクチャ・ソリューションとなるでしょう。我々は、この方向性に対するRouterチームの取り組みを支援し、サポートできることに喜びを感じています」。

画像クレジット:Router Protocol

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーサリアム基盤の分散型ミドルウェア「DEVプロトコル」がWeb3シフトを支援するコミュニティパートナーを発表

イーサリアム基盤の分散型ミドルウェア「DEVプロトコル」がWeb3シフトを支援するコミュニティパートナーを発表

オープンソースかつイーサリアム(Ethereum)ベースの分散型ミドルウェア「DEVプロトコル」(Dev Protocol)を開発するフレームダブルオーは12月13日、ブロックチェーン技術を基盤とする分散型インターネット「Web 3.0」(Web3)の正しい理解と普及を図り、クリエイターの成功の一助となることを目的にコミュニティパートナーを開始したと発表した。オープンソース(OSS)のアルゴリズムライブラリー「The Algorithms」やCode for Japanなどの開発者コミュニティが参画を表明している。

DEVプロトコルは、2018年よりオープンソースとしてプロトコル開発を開始し、2020年のローンチ開始よりコミュニティとの共創を促進してきた。2021年9月からコミュニティ主導による「Web3 Community」がスタートしており、世界各地から300名を超えるOSS開発者が参加。Web3に関するナレッジ共有や経験を向上させているという。今回のコミュニティパートナーでは、これらのナレッジや開発体験をオープンにし、コラボレーションを促進して、OSSエコシステムにおけるプロジェクトの成長を加速することを目指す。

「Web3およびブロックチェーン技術がOSSに与える影響、変化に関するナレッジの共有」「Web3入門、Propertyトークンを活用した収益化、コミュニティガバナンスのサポート」「Web3開発者コミュニティのコラボレーション」といった取り組みを実施するという。

DEVプロトコルは、クリエイターの活動を証明し、持続可能性を実現するオープンソースの分散型ミドルウェア。「OSSのトークン化」(Propertyトークン。ERC-20準拠)、「セキュアな認証」(Khaos Oracle)、「持続可能なサブスクリプション」(Staking)といった機能を採用しているという。なお、ステーキング総額は2億5000万円超(2021年1月時点)となっているそうだ。

このうちPropertyトークンとは、プロジェクトのオーナーシップの証明・収益化・収益分配をブロックチェーン上で自動化できるものという。DEVプロトコルを使うと、Propertyトークンを発行することで自身のエコノミーを構築し、コミュニティを通じて成長させられるとしている。

またDEVプロトコルは、完全分散型、オンチェーンガバナンスのミドルウェアプロトコルのため、様々なDapps(Decentralized Apps。Web3アプリ)を開発して、誰もがエコシステムに参加できる。

コミュニティパートナー参加プロジェクト(抜粋)

  • The Algorithms:オープンソースのアルゴリズム・ライブラリー
  • Web3Community:Web3に特化したオープンソースコミュニティ
  • Microsoft For Startups:マイクロソフトのスタートアップ企業向けの支援プログラム
  • Experify:3Dプリント/3Dスキャンサービス
  • intlify:ソフトウェアの国際化におけるDeveloper Experience向上プロジェクト
  • Code for Japan:市民主体の社会課題へのアプローチやシビックテック活動を促進しているコミュニティ

NFTサービスとブロックチェーン開発基盤を手がけるKyuzanが2.6億円のシリーズA調達

NFTサービスとブロックチェーン開発基盤を手がけるKyuzanが2.6億円のシリーズA調達

NFTサービスとブロックチェーン開発基盤を手がける「Kyuzan」は12月10日、シリーズAラウンドにおいて総額2億6000万円の資金調達を発表した。同ラウンドより新たにZ Venture Capital、ANRIを引受先としている。

2018年4月設立のKyuzanは、ブロックチェーンとNFTを活用したサービスと技術基盤を開発。GameWithと共同開発しているNFTゲーム「EGGRYPTO」(エグリプト)は、モバイルネイティブのNFTゲームとして2020年4月にサービスを開始した。MAUは1年で5倍と急成長し、直近の新規ユーザーの比率において日本よりも海外のユーザー比率が高くなっているという。

また、2021年4月からNFT開発プラットフォーム「Mint」(ミント)の提供も行っている。Mintは、独自のブランドの世界観を表現可能なオリジナルのNFTショップを構築できる。

調達した資金は、EGGRYPTOとMintの成長に向けて、プロダクト開発と人材採用に投資する予定。EGGRYPTOは、グローバルに急成長するNFTゲームになることを目指し、新たにPlay-to-Earnのゲームモードの開発と、マーケティングを強化する。Mintは、ブランドやコンテンツホルダー企業によるNFT導入支援を強化するため、プラットフォームの機能開発と導入サポート体制を強化する。これにより、日本をはじめとして、グローバルで利用されるNFT発行プラットフォームを目指す。

Ledgerが暗号資産デビットカードを発表

Ledger(レジャー)は、暗号資産ウォレットに直接接続するデビットカードの開発に取り組んでいる最新の暗号資産企業だ。同社は「Ledger Op3n(レジャー・オープン)」カンファレンスで「Crypto Life(クリプト・ライフ)」カードと呼ばれる独自のデビットカードを発行する計画を明らかにした。

ハードウェアウォレットで有名なLedgerだが、同社は「Ledger Live(レジャー・ライブ)」と呼ばれるソフトウェア分野にも力を入れている。デスクトップやモバイル向けに用意されているLedger Liveアプリを使うと、ユーザーは暗号資産の送受信に限らず、サードパーティ企業との統合により暗号資産の売買も可能だ。

Ledger LiveはChangelly(チェンジリー)、Wyre(ワイヤ)、ParaSwap(パラスワップ)、1inch(ワンインチ)など、さまざまなパートナーを通じたステーキングやスワップにも対応している。取引の確認は、すべてハードウェアウォレットに統合されて残る。

Ledgerのデビットカードは、Baanx(バーンクス)との提携によって作られたもので、英国、フランス、ドイツでは2022年の第1四半期中に発行が予定されている。米国在住の人は2022年第2四半期に入手できるようになる。

カードを受け取ると、Ledger LiveアプリからBTC、ETH、USDT、EURT、USDC、XRP、BXX、BCH、LTCでカードにチャージすることができる。このカードを使って買い物をすると、購入時に暗号資産が瞬時にフィアット金額に変換される仕組みだ。

また、カードの所有者は、給与をカード口座に直接振り込むことも可能になる予定だ。給与を受け取るたびに、給料の一定割合をBTCやETHに変換することもできるようになる。

さらに、財産のほとんどを暗号資産で維持したいと考えるLedgerユーザーは、カードで現金を受け取れる与信枠(クレジット)を設定することもできる。この機能を使うためには、一定の暗号資産量を担保として預ける必要がある。

一般的にDeFi(分散型金融)融資プロトコルは過剰担保であり、つまりユーザーは自分の暗号資産ウォレットにある金額よりも少ない金額しか借りることができない。そのため、Ledgerのクレジット機能が有効になった際にはどのように機能するのか、興味深いところだ。

Ledgerは、Coinbase(コインベース)、Bitpanda(ビットパンダ)、Binance(バイナンス)、Crypto.com(クリプト・ドットコム)などのデビットカードと競合することになる。しかし、すでにLedgerの製品を利用している人であれば、デビットカードを選ぶ際に、Ledgerのエコシステムとうまく統合されたカードを持つことは、特に重要になるだろう。

画像クレジット:Ledger

画像クレジット:Ledger

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Visaが暗号資産アドバイザリー業務開始、金融機関の商品開発をサポート

世界最大のカード会社であるVisa(ビザ)は、暗号資産市場の獲得に向けてさらに力を入れている。同社は米国時間12月8日、Visa Consulting and Analytics(VCA)部門で、顧客やパートナー向けに暗号資産アドバイザリー業務を開始したことを発表した。

このニュースは、同社の暗号資産責任者であるCuy Sheffield(クイ・シェフィールド)氏が、11月のフィンテックカンファレンスで資産クラスが「クール」になったと宣言してから数カ月しか経っていない中でのものだ。決済大手のVisaは2021年8月にCryptoPunk NFTを買収して話題になったが、専門の暗号資産コンサルタント部門を設立する動きは、混み合っている分野で暗号資産市場のシェアを獲得しようとする試みがマーケティング上の演出にとどまらないことを示している。

Visaの暗号資産プラットフォームとの提携は過去18カ月で倍増した、とシェフィールド氏はTechCrunchのインタビューで述べた。また、消費者はVisaの暗号資産連動型カードプログラムを利用して約350万ドル(約4億円)を費やしており、7月の100万ドル(約1億1000万円)から増加していると同氏は話した。

Visaはまた、暗号資産に関する消費者の態度について実施した新しいグローバル調査の結果を発表した。それによると、6000人超の回答者のうち40%が、メーンバンクを暗号資産商品を提供する銀行に変更する可能性があることがわかった。

シェフィールド氏によると、Visaは暗号資産を自社のサービスに統合しようとしている「何百もの顧客やパートナー、従来の金融機関から、信じられないほど多くの問い合わせ」を受けているという。Visaのコンサルティング部門には約700人の従業員がいるが、そのうち何人が暗号資産業務に携わることになるのかは明らかにしていない。

「Visaは、暗号資産に関する深い専門知識を備えたグローバルな中立ブランドとして、これらの新技術の複雑さを解消し、銀行が中核商品に導入するのを支援するのに適した立場にあると考えています」とシェフィールド氏は話す。

そのために、Visaは12月7日に発表された6000万ドル(約68億円)のシリーズBに参加してブロックチェーンコンプライアンス企業であるTRM Analyticsに投資した。この資金調達には、American ExpressとCitiも参加した。Visaは、決済の新たな基盤となり、手数料に依存したビジネスモデルを脅かしている暗号資産の分野に参入しようと躍起になっている数多くのカード会社の1つにすぎない。

この点に関して、Mastercardは2021年10月にBakktをデジタル資産の管理人として暗号資産報酬プログラムを開始した。Visaも直接、暗号資産を管理しているわけではなく、この機能を提供するためにAnchorage Digitalと提携している。この会社はVisaが2019年に初めて投資した会社だ。シェフィールド氏によると、VisaはAnchorageの上に暗号資産APIプラットフォームを構築し、他の銀行がその管理サービスにアクセスできるようにしている。

同氏は、Visaの暗号資産連動デビットカードプログラムの他、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のようなユースケースの成長を見込んでいる。The Atlantic Councilによると、これまでにCBDCを開始した国はわずか7カ国だが、さらに87カ国が検討中だ。

Visaは、銀行がCBDC関連商品を開発するのを支援することで、この関心を利用したいと考えている、とシェフィールド氏は話す。

「私たちは、CBDCが消費者の体験のためにどのようなインフラを使用し、消費者がどのように関わり合うかについて、多くの時間をかけて研究してきました。多くの国がこのルートを歩むことになると考えていて、専門知識と中央銀行との連携を活かして、銀行が役割を検討し始めて準備するのを支援しています」とシェフィールドは述べた。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

LyftのCFOを長年務めたブライアン・ロバーツ氏が退社、NFTマーケットプレイスOpenSeaのCFOに就任

Lyft(リフト)のCFOを長年務め、同社を上場させたBrian Roberts(ブライアン・ロバーツ)氏は、2014年に入社したこのライドシェア企業を退社し、NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)で同じ役割を担うことになったと、米国時間12月6日に発表した。同氏は以前の報道をTwittert(ツイッター)への投稿で正式に認めたかたちだ。

今回のロバーツ氏の退社は、大手ハイテク企業の「伝統的な」名簿から、いわゆるWeb3.0暗号資産スタートアップに向けて、幹部やエンジニアがどれほど移行しているかを示す新たなシグナルといえる。OpenSeaは、過去2年の間に何十社ものユニコーンを生み出したベンチャーキャピタリストから再び注目されている暗号資産の分野で、急成長しているスタートアップ企業の1つだ。

OpenSeaは、活況を呈するNFT(非代替性トークン)業界の申し子のようなスタートアップだ。同社の評価額は2021年の夏に15億ドル(約1700億円)に達したが、テクノロジー系メディアのThe Information(ジ・インフォメーション)は2021年11月、OpenSeaが100億ドル(約1兆1360億円)の評価額で調達のオファーを受けたと報じている

NFTは、2021年に特に熱く盛り上がった。多くの人が、2021年はじめのブームの後には活動が鈍る冬がくると予測していたが、この代替資産クラスは、オンラインにおける会話や推測の避雷針としての役割を果たしながら、熱狂の積み上げと取り崩しを繰り返している。非常に活発な秋が過ぎた後、OpenSeaのビジネスは少し冷え込んだが、しかし同社のマーケットプレイスでは、過去30日間に24万以上の有効な暗号ウォレットアドレスで、19億ドル(約2160億円)近い取引が依然として行われている。

画像クレジット:Michio Morimoto Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インドのレイヤー2ブロックチェーン「Polygon」への投資をVCが検討中

Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インド)、Steadview Capital(ステッドビュー・キャピタル)をはじめとする数多くの投資家が、Ethereum(イーサリアム)互換ブロックチェーンネットワークを構築、接続するためのフレームワークを運営するPolygon(ポリゴン)へのトークン購入を通じた出資を検討している、と本件に詳しい3つの筋から情報を得た。

投資家らは5000万から1億5000万ドル相当のトークンを購入しようとしている、と匿名を条件に情報筋は言った。この種のトークン取引では一般的だが、投資家はコインをやや割引された価格で購入できる(過去1カ月間のMATICの平均価格に対して20%割引、と私は聞いている)。

交渉は進行中のため、条件は変わるかもしれない。先週は誰からもコメントがなかった。

Polygonは以前Matic(マティック)の名前で知られていた会社で、最も人気のあるレイヤー2ソリューションとしての地位を確立してきた。同社の時価総額は140億ドル(約1兆5900億円)以上で、1日に750万件以上の取引を処理し、数千の分散型アプリが高額な手数料を払うことなくEthereumを決済レイヤーとして使用することを可能にしている。

Polygonは、Aave(アーベ)、Sushi Swap(スシ・スワップ)、Curve Finance(カーブ・ファイナンス)といった代表的優良プロジェクトを擁し、最大級のデベロッパーエコシステムを作り上げてきた(一部のレイヤー1のブロックチェーンと比べても引けを取らない)。

画像クレジット:Polygon

この数年、南アジア市場の著名ベンチャーキャピタルの支援を受けることに苦闘してきたインド拠点のPolygonにとって、1件の投資が同社に対する投資家の認識を変えるだろう(インドの多くのVCも、数四半期前までWeb3分野を積極的に追いかけていなかったことも注目に値する)。さらにPolygonは、弱気サイクルの際に初期出資者の一部が資金の返還を求めたという事例が少なくとも1件ある、と状況に詳しい人物2名が言っていた。

同社はいくつかの投資家に資金を返還し、生き延びた。「それはPolygonチームのテーマの1つです。彼らの忍耐強さはレベルが違います」と元従業員の1人は言った。

Polygonは2021年、起業家で投資家のMark Cuban(マーク・キューバン)氏の支援を受け、Ethereumの支配が続くことに期待する何十というサイドチェーンやロールアップネットワークの1つとして、Polkadot(ポルカドット)やMulticoin Capital(マルチコイン・キャピタル)とA16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)の出資を受けているSolana(ソラナ)など、多数のレイヤー1プロジェクトがひしめく中、この生まれたばかりで急成長中のデベロッパー・エコシステムでの成功を伺っている。

2021年、暗号資産ポッドキャストのBanklessで、Polygonの共同ファウンダーであるSandeep Nailwal(サンディープ・ナルワール)氏は、現在のWeb3デベロッパーエコシステムはEthereumを中心に回っており、ネットワーク効果はなくならないと期待していると語った。同じポッドキャストでナルワール氏は、もう1人の共同ファウンダーであるMihailo Bjelic(ミハイロ・ビェリック)氏とともに、Polygonは今後も提供サービスをさらに拡大してブロックチェーン基盤を作っていくつもりだと語った。

画像クレジット:Polygon

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックの暗号化部門責任者デビッド・マーカス氏が年内に退任

Facebook(フェイスブック)の親会社Meta(メタ)は、暗号化を率いる幹部を年内に失うことになった。

暗号化ユニットNovi(ノビ)の責任者で、以前は同社のMessenger(メッセンジャー)ユニットを舵取りしていたDavid Marcus(デビッド・マーカス)氏は、2021年中に会社を去ることを米国時間12月1日に発表した。マーカス氏は2014年にFacebookに入社した。同氏の辞任はFacebookにとって、9月に勤続13年の後に退社を表明したCTO、Mike Schroepfer(マイク・シュローファー)氏に続く重要人物の離脱となる。

元Upwork(アップワーク)のCEOで、Noviのプロダクト責任者だったStephane Kasriel(ステファン・カスリエル)氏がマーカス氏に代わって組織を率いる。

マーカス氏は、かつてPayPal(ペイパル)のプレジデント時代にBitcoin(ビットコイン)などの暗号資産(暗号資産)を最初に進んで取り入れた数少ないテック・リーダーの1人で、以来暗号化コミニュティーの重要人物として長年知られている。以前マーカス氏はCoinbase(コインベース)の取締役を務めていた。

彼がFacebookの暗号化責任者として在任中、同社の暗号資産プロジェクトDiem(ディエム)が業界と規制当局から大きな反発を浴び、会社は暗号資産分野参入の規模を縮小せざるを得なくなり、マーカス氏は挫折を味わい続けた。2021年初め、Facebookは暗号資産ウォレット、Noviの小規模なパイロットを開始し、米国とグアテマラのユーザーが同アプリを使ってステーブルコイン暗号資産の交換ができるようにした。

マーカス氏は近々自身でベンチャー事業を立ち上げる可能性を示唆した。

「Noviは公開直後でまだまだやることはたくさんあり、今私は決済と金融のシステムが変化する必要性をかつてないほど強く感じていますが、私の起業家精神DNAは、毎朝毎朝それを無視するようにと、私を肘でつつき続けています」とマーカス氏はツイートのスレッドに書いた。

個人的なお知らせ:Metaで7年間を過ごしたあと、私は難しい決断を下し、2021年末に会社を去ることにしました。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブロックチェーンサービス開発プラットフォームのGincoが5.7億円調達、組織体制・プラットフォーム強化

Gincoは11月30日、第三者割当増資による総額約5億7000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はみやこキャピタル、DBJキャピタル、三菱UFJキャピタル。調達した資金は採用・組織体制の強化およびブロックチェーン開発プラットフォーム構築にあてる。

Gincoの提供するブロックチェーンサービス開発プラットフォームは、インフラストラクチャ構築の複雑さとコストを軽減し、急速に拡大しているブロックチェーン市場へのアクセスを簡易化するという。

昨今、価値流通のデジタル化を背景として、暗号資産・NFT・セキュリティトークンといったデジタル資産市場が急成長していると同時に、ブロックチェーン技術の活用需要も増加傾向にある。だが需要が高まる一方で、ブロックチェーンサービスの開発では技術の複雑性や要求されるセキュリティ水準が参入の障壁であるうえ、参入後も企業がサービスの企画運営に集中できない要因となっている。こうした問題を解決するのがGincoのサービスとしている。

さらに同社は、開発プラットフォームだけではなくそれぞれのビジネス領域で求められる業務用システムパッケージの提供も行っている。このパッケージはセキュリティと利便性を高水準で両立したエンタープライズ品質を有し、暗号資産交換業者などに提供する業務用暗号資産ウォレットの分野では高い実績を挙げているそうだ。これらにより開発リソースに悩む企業でも迅速なサービス開始と業務体制構築が可能となるという。

2017年12月設立のGincoは、価値流通に革命を起こすブロックチェーン技術の社会実装を推進し、価値や権利を自由にやり取りできる「めぐりのよい経済」の実現に取り組むスタートアップ。創業以前より培ったブロックチェーン技術への知見、業務との親和性を高めたプロセス設計力、複数のシステム間の簡易接続や簡易な機能追加を可能とするシステム設計力を駆使して、暗号資産やデジタル証券、NFTなどのデジタルアセット活用に取り組む事業者を支援している。

フィナンシェとコインチェックがIEOによる資金調達に向けた契約を締結、2022年夏までに実現を目指す

フィナンシェコインチェックは11月29日、IEO(Initial Exchange Offering)による資金調達を実現するための契約を締結したことを発表した。この契約のもと、2022年夏までに実現を目指す。

IEOは、企業やプロジェクトがユーティリティトークンを活用した資金調達を行う仕組みであるICO(Initial Coin Offering)のひとつ。特徴としては、暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査およびトークンの販売を行う仕組みとなっており、資金を調達できるだけでなく、トークンを活用することでコミュニティの形成・強化がしやすいことが挙げられる。

実現の暁には、すでに100以上の個人や団体のトークンの発行・販売、企画・運用を行っているフィナンシェが「フィナンシェトークン」の発行を担い、コインチェックが2021年7月に提供を開始したIEOプラットフォーム「Coincheck IEO」において販売を担当する予定。コインチェックにとっては、今回のIEOは第2号案件となる。

今回のIEOにより発行されるフィナンシェトークンは、クラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を利用して発行したクラブトークンやNFTを横串に活用するプラットフォームトークンとする計画だという。また同IEOにより、フィナンシェでは調達した資金の一部をFiNANCiEおよびNFT事業のさらなる拡大にあてる予定。

フィナンシェトークンは、記事執筆時点ではホワイトペーパーなど詳細は公開されていない。イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上で発行され、FiNANCiEユーザーへのインセンティブ付与やエコシステム全体におけるガバナンス参加を促すという。FiNANCiEで発行されているコミュニティトークン同士をつなげ、長期的なトークン価値を向上させるためのプラットフォームトークンとして、FiNANCiEエコシステムにおける「ユーザー主体の運営」の実現を目指すそうだ。

フィナンシェは、2019年1月に設立された「10億人の挑戦を応援するクリエイターエコノミーの実現」をミッションに掲げている企業。ブロックチェーン技術を活用したNFT事業やFiNANCiEを展開しており、トークン(FTおよびNFT)の発行、企画・運用により新しい価値を生み出すトークンエコノミーの実現を目指している。現在は湘南ベルマーレやアビスパ福岡といったプロサッカークラブをはじめ100名以上の発行者(個人、クラブ、プロジェクト)のトークンの発行・販売・企画・運用を行っている。

複数の暗号資産取引所のデータを検索・比較できるモバイルアプリ「TabTrader」

当面は主要な暗号資産(仮想通貨)の多くが史上最高値付近で安定しているように見えるため、もう少し変動の大きいトークンに投機したいと考えているユーザーは、取引所を横断しながら良い情報を探している。

アムステルダムを拠点とするスタートアップ企業のTabTrader(タブトレーダー)は、このユーザーの動きに便乗し、数十にわたる取引所の価格とトークンの入手状況を集約したプラットフォームを提供している。ユーザーが取引所間のトークン価格を横並びに見ることができるプラットフォームは他にもあるが、その多くはデスクトップ用に最適化されたものだ。一方、TabTraderは、iOSとAndroid向けのモバイルアプリが大きな存在感を放っている。

新しいトークンの導入については取引所ごとにアプローチが異なるため、暗号資産トレーダーは複数の取引所のアカウントに登録して、複数のアプリで価格を追跡し、それぞれに複数の通知を設定しているケースが増えている。TabTraderが多くのユーザーに利用されているのは、特定のトークンが一定の値を超えたときや下回ったときにユーザーに通知する、取引所間を横断した価格アラート機能があるためだ。多くの取引所が独自のアプリ内でこの機能を提供しているものの、これらのプッシュ通知の信頼性やカスタマイズ性には一貫性がなかった。

CEOのKirill Suslov(キリル・スースロフ)氏がTechCrunchに語ったところによると、TabTraderアプリには40万人以上のアクティブユーザーがいて、特に欧州とアジアで強い存在感を示しているという。

このスタートアップ企業では、トークンの価格を集計して、ユーザーがアプリで購入する際に取引所からリベート手数料を受け取るという、旅行検索・料金比較アプリのKayak(カヤック)と同じようなモデルを採用している。ユーザーは自分のウォレット情報をアプリに入力しておくことで、接続された取引所で簡単に購入することができるが、スースロフ氏によると、TabTraderがユーザーの資金にアクセスすることはないそうだ。

これらのリベートの他に、TabTraderは、有料版の月額12ドル(約1370円)のサブスクリプションや、広告によっても収益を得ている。スースロフ氏によれば、同社の20人のチームは、有料のマーケティングを一切行わずに、現在の利用者を獲得するまでに成長したという。

何千万人ものユーザーがCoinbase(コインベース)やBinance(バイナンス)のような中央集権的な取引所にアカウントを作っている一方で、TabTraderの最大の好機は、ユーザーが他のユーザーとトークンを迅速に交換できるUniswap(ユニスワップ)のようないわゆる分散型取引所を受け入れることかもしれないと、スースロフ氏は語っている。

スースロフ氏の話によると、各取引所はバックエンドで優れた技術を構築しているものの、フロントエンドのインターフェースはユーザーにとってあまり使いやすくないため、TabTraderのようなアグリゲーターがユーザー体験を合理化することで、ユーザーが初めて分散型取引所を探索できるようにする余地があるとのこと。TabTraderでは、Serum(セラム)、Raydium(レイディアム)、Orca(オルカ)などのSolana(ソラナ)基盤の取引所から始めているという。

「(分散型取引所は)2021年の最もホットな話題です」と、スースロフ氏はいう。「我々はこのロケット船に乗るために賭け金を上げました」。

スースロフ氏はTechCrunchに、TabTraderが100X Ventures(100xベンチャーズ)、Hashkey Capital(ハッシュキー・キャピタル)、Spartan Capital(スパルタン・キャピタル)、SGH Capital(SGHキャピタル)、SOSV、Artesian Venture Partners(アーテシャン・ベンチャーズ・パートナーズ)から、シリーズA資金として580万ドル(約6億6000万円)を調達したと語った。

画像クレジット:TabTrader

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メガバンク3行など参加のデジタル通貨フォーラムが「プログラムを書き込める」円建てデジタル通貨DCJPY(仮称)概要公開

メガバンク3行など参加のデジタル通貨フォーラムが「プログラムを書き込める」円建てデジタル通貨「DCJPY」(仮称)概要公開

Matteo Colombo via Getty Images

メガバンク3行やNTT・KDDIら通信企業、JR東日本、関西電力、ヤマトホールディングスなど国内74の企業および団体が参加する「デジタル通貨フォーラム」が、ブロックチェーン技術を使った日本円連動型デジタル通貨「DCJPY」(ディーシージェイピーワイ。仮称)の概要(ホワイトペーパー)を公開しました。

デジタル通貨フォーラムは「民間預金との競合といった問題を回避することができ、また、これにより民間主導のイノベーションを促し、コスト削減や効率化に貢献できる」とそのメリットを説明しています。一方でBitcoinやEthereumなどのいわゆる暗号通貨が銀行との関連を持たない独立した「暗号資産」であるのに対し、DCJPYは民間銀行が発行する「デジタルな通貨」だという点には注意が必要です。

具体的には、DCJPYは「預金(つまり銀行の債務)という形をとることで円建てでの価値を安定化し、共通領域を通じた相互運用性の確保、付加価値領域を通じたさまざまなニーズへの対応」を実現することを想定しているとのこと。共通領域とは、デジタル通貨DCJPYの発行や償却といったやりとりが行われる領域のこと。各銀行は現実の預金口座にひも付けられた共通領域口座を用意し、預金口座から処理に必要な金額を引き落として、共通領域の口座に入金します。そして共通領域内にある他の顧客の口座へと送金処理を行うことで決済処理を完了します。

一方、付加価値領域とは「決済と物流・商流等とのリンクや、モノやサービスと資金との同時受け渡しなど」といったニーズに対応するためにカスタマイズした「プログラムの書き込みを可能とする」領域と説明されます。たとえば企業が特定のサービスのために専用の送金プラットフォームを用意でき、ユーザーは付加価値領域上の口座で取り引きを行います。付加価値領域口座は共通領域の口座と対応しており、実際には付加価値領域で送金の指図が発行されると、それに同期して共通領域でDCJPYによる送金が処理される格好になるとのことです。そのため「付加領域における移転の記録は、共通領域内に存在する付加領域用口座のDCJPYの移転を行うための指図の記録」を意味することになります。

と、ここまで力を振り絞って難解な説明を読んでいただいた読者の方々には感謝しかありませんが、とりあえず、このデジタル通貨がすぐにもわれわれの日常生活での買い物などに関わってくるかといえば、そうでもなさそうです。

DCJPYはどちらかといえば企業間、銀行間の決済をよりスムーズかつ円滑化、低コスト化するためのシステムと言えます。年度内に概念実証実験を開始し、早ければ2022年度のうちにも実用化と伝えられているものの、その実証実験は、まずは電力取引などを対象に行うとされています。

ただ将来のDCJPYの利用シーンとしては、産業流通における決済から、電子マネー連携、地域通貨への活用、サプライチェーンでの活用、エンタメ領域との連携などといったアイデアが出ているとのことなので、いずれはわれわれ一般市民にも関わりが増えてくるかもしれません。

ちなみにDCJPYは民間銀行が発行するデジタル通貨ではあるものの、フォーラムのオブザーバーには金融庁、総務省、財務省、経済産業省、そして日本銀行が参加しています。

また日本銀行は2020年10月9日付の中央銀行デジタル通貨(CDBC)の取り組みに関する公表資料において「CDBC発行の計画はないが、今後のさまざまな環境変化に的確に対応できるようしっかり準備しておくことが重要」とし、その上で「一般利用型CBDCを発行する場合、中央銀行と民間部門による決済システムの二層構造(「間接型」発行形態)を維持することが適当」と述べていました。さらに「システム的な実験環境を構築しCBDCの基本機能を検証する」概念実証実験についても「2021年度の早い時期の開始を目指す」としています。メガバンク3行など参加のデジタル通貨フォーラムが「プログラムを書き込める」円建てデジタル通貨「DCJPY」(仮称)概要公開

(Source:DCJPY(仮称)ホワイトペーパーデジタル通貨フォーラムプログレスレポート。Coverage:日本銀行Engadget日本版より転載)

インド政府が「一定の例外」を除き「すべての民間暗号資産」を禁止する法案提出へ

インドは冬の会期の立法議題によると、国内の「すべての民間暗号資産(仮想通貨)」を禁止する法案の提出、評価、施行を計画している。

インド政府は現地時間11月23日夜、提案されている法律は、暗号資産の基盤となるテクノロジーとその応用を促進するために「一定の例外」を認めると述べた。

この法案は「Cryptocurrency & Regulation of Official Digital Currency Bill 2021」と呼ばれ、同国の公式デジタル通貨の創設に向けた「促進的な枠組み」も構築すると、立法議題は付け加えている。

この法案の説明は、ニューデリーが前回の会期で挙げたものと同じであることは指摘しておくべきだろう。国会の冬期会期は11月29日から始まる。

インドの議会は数四半期前から、暗号資産取引のリスクを議論し、中央政府が支援するデジタル通貨を試行している。

株式市場やその他の資産クラスに投資したことのないインド人の多くが、ここ数四半期の間に暗号資産の取引を始めており、一部の人々の間では資産を失うことになるのではないかという懸念が広がっている。

同国内の暗号資産取引所では、2021年に入ってから取引量やユーザー数が増加し、著名な投資家から記録的な資金を調達している。B Capitalが支援するCoinDCXと、a16zやCoinbase Venturesが支援するCoinSwitch Kuberは、2021年ユニコーンになった。

インドのNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相をはじめとする複数の議員や業界関係者が、暗号資産分野や最近の動向について話し合うために、このところ何度か会合を開いている。

この件に詳しい情報筋によると、インドの少なくとも1人の大臣が最近、著名なベンチャーキャピタリストと会談し、中国が暗号資産の取引と採掘を禁止する決定をしたことを受けて、インドがイノベーションを支援する法律を策定する可能性があることを示唆した。

一方で多くの議員は、暗号資産取引所が掲載する広告の性質についても懸念を示している。その会議では、暗号資産に投資することで消費者に荒唐無稽な利益を約束するこれらの「無責任な広告」は、国内の若者を惑わすものであり、止めなければならないというコンセンサスが得られたと、TechCrunchは先に報じた。

伝説的な存在であるAmitabh Bachchan(アミターブ・バッチャン)氏をはじめ、Ayushmann Khurrana(アーユシュマーン・クラーナー)氏、Ranveer Singh(ランヴィール・シン)氏など、同国最大のブロックバスターに複数出演しているボリウッドのスターたちが、テレビや新聞の広告で暗号資産取引を宣伝している。

また、議員たちは、マネーロンダリングやテロ資金調達のために暗号取引の手段が悪用される可能性についても懸念を示している。

インド準備銀行(中央銀行)であるReserve Bank of India(RBI)のShaktikanta Da(シャクティカンタ・ダス)総裁は、先に暗号資産の問題についてもっと深い議論をする必要があると述べた。

「中央銀行が、マクロ経済と金融安定の観点から深刻な懸念があるというとき、そこにははるかに深い問題が含まれています」と、ダス氏はあるイベントで述べた。「これらの問題について、公共の場で真剣で十分な情報に基づいた議論を目にすることはまだない」とも。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Coinbaseが暗号資産ウォレットBRDを人材獲得買収

暗号資産の推進者たちが新世代のユーザーを獲得しようとしている中、消費者を誘導する主要な入口となっているのが、洗練されたインターフェースを持つ消費者向けウォレットアプリの数々だ。

Coinbase(コインベース)は米国時間11月24日、2014年に初めてモバイルウォレットを発表した暗号資産ウォレットのスタートアップであるBRDのチームを迎え入れることを発表した。BRDのチームはCoinbaseに移るが、BRDのユーザーには当面何の変化もなく、ウォレットは通常通り運営され、ユーザーの「資金は安全でセキュア」だとBRDの共同創業者は話している。

BRDは、モバイル暗号資産ウォレットの分野では初期のプレイヤーで、ユーザーがビットコインを保管する場所としてスタートしたが、トークンの幅広いネットワークをサポートし、取引所とのパートナーシップのおかげで暗号資産の売買や交換ができるまでに成長した。同社のユーザー数は1000万人を超えているという。

Coinbase WalletのTwitterアカウントのツイートには「このチームは、暗号資産ウォレットの保護預かりに関する深い専門知識をWalletに持ち込み、より多くの人々が安全かつセキュアに分散型の暗号資産の世界にアクセスできるようWalletをサポートします」と書かれている。

BRDはこれまでに、SBI Crypto InvestmentやEast Venturesなどから約5500万ドル(約63億円)のベンチャーキャピタル資金を調達した。

CoinbaseとBRDは、今回の買収の条件は明らかにしなかった。

共同創業者のAdam Traidman(アダム・トライドマン)氏とAaron Voisine(アーロン・ヴォワザン)氏は、ユーザーがウォレットの中身をCoinbase Walletアプリに移すための「移行経路」を構築する予定だが、それはユーザーにとって完全に任意となる、と話している。

画像クレジット:BRD

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFT音楽著作権のスタートアップRoyalが、アンドリーセン・ホロウィッツCryptoの主導で63.1億円を調達

NFT(非代替性トークン)音楽著作権のスタートアップのRoyal(ロイヤル)は、Founders FundとParadigmが主導した1600万ドル(約18億4000万円)のシードラウンドを発表してから3ヶ月も経たないうちに、こんどはAndreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)の暗号資産投資部門Crypto(クリプト)から大規模なシリーズAとして5500万ドル(約63億1000万円)を調達した。

Royalはミュージシャンと提携し、そのアーティストの作品の集団的所有権を表すNFTをユーザーが購入できるようにする。このプロジェクトは、3LAU(ブラウ)という名前で活動しているEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)アーティストのJustin Blau(ジャスティン・ブラウ)と、住宅購入スタートアップ企業Opendoor(オープンドア)の共同創業者JD Ross(JD・ロス)氏が指揮をとっている。Royalは、ビジュアルアートやゲームの分野以外に対してNFTの機能を適用する、非常に初期の段階ではあるものの有望な試みだ。

先月ブラウ氏は、自身の最新曲のストリーミング権の50%を保有するこのプラットフォームを通じて、数百個のNFTを配布した。スタートアップによれば、それらのトークンの二次販売がすでに60万ドル(約6890万円)近く行われており、新シングルの暗黙の評価額は600万ドル(約6億8900万円)に達しているという。ブラウ氏のような暗号資産に熱心なミュージシャンたちは、NFTを通じて保有資産を多様化しようとしている暗号資産保有者からすでに数百万ドル(数億円)を調達しており、同時にブロックチェーンの市場機会を拡大するプロジェクトを支援している。

Royalのような境界を越えたプロジェクトは、アーティストと共に成長する機会を提供しつつ、証券取引法を遵守するという点で、宣伝活動上微妙な境界線上を歩かなければならない。

この投資は、a16z Cryptoの共同リーダーで、Coinbase(コインベース)やNFTマーケットプレイスOpenSea(オープンシー)の取締役を務めるKatie Haun(ケイティ・ホーン)氏が指揮をとっている。Cryptoは、ロス氏が以前手掛けたOpendoorを支援したこともあり、すでにRoyalの経営陣と深い関係を築いている。また、アンドリーセン・ホロウィッツの元パートナーで、同チームのTalent X Opportunity Fundを率いていたNaithan Jones(ネイサン・ジョーンズ)氏も、9月にGrowth(成長)部門の責任者としてRoyalに入社した。

A16z Cryptoには、The Chainsmokers、Nas、Logic、Kygoなど、多くの音楽アーティストが参加している。このラウンドには、CAAとNEAのConnect Ventures、Crush Music、Coinbase Ventures、Founders Fund、Paradigmも参加している。

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画像クレジット:Royal
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(文: Lucas Matney、翻訳:sako)

【コラム】米議会はインフラ法案が暗号資産に与える影響を明確にしなければならない

先日、Joe Biden(ジョー・バイデン)米国大統領が署名した1兆ドル(約114兆円)規模のインフラ法案には、暗号資産取引に課税する条項が含まれており、これによって米国政府は年間約28億ドル(約3200億円)の税収を得ることになる見込みだ。

率直に言って、これは大した金額ではない。

問題は、この法律の暗号資産税の部分が明確に記されていないことだ。米国政府は急成長している経済の一部を潰してしまう恐れがある。

このインフラ法案では「ブローカー(仲介者)」に税務報告義務が課せられるとしている。しかし、ブローカーを介さなくてもスマートコントラクトを締結することはできる。その場合の報告義務は誰が負うのだろうか? 採掘業者がブローカーとみなされるのだろうか?

あるレベルにおいては、他の投資利益と同様に、暗号資産取引で得た利益に政府が課税するべきであることは疑いの余地がない。一般的には、暗号資産を清算するとき、あるいは譲渡するときだ。しかし、この法律の曖昧さは、取引プラットフォームが米国市民のアクセスを排除したり、あるいは単に小規模な暗号資産投資家が市場に参入または残留することを妨げる危険性がある。

以前にもこんなことがあった。FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が施行された際に、一部の金融機関は、リスクと潜在的な利益に比べてコンプライアンス法の負担があまりにも大きいため、米国市民のサービス利用を拒んだのだ。

単純なものから複雑なものまで、考えなければならないシナリオをいくつか紹介しよう。

  • ビットコインを使って自動車を購入する場合、自動車を購入するためにビットコインを使った時点で課税されることになる。これは簡単なことだ。
  • 暗号資産取引所でドルを使ってEther(イーサ)を買った場合、どうやって課税するかを考えるのは簡単だろう。これもわかりやすい取引だ。
  • 他の人が購入するNFT(非代替性トークン)を保持するために、自分が使用しているスマートコントラクトに自分の暗号資産を転送する場合。物事はあっという間に面倒になり、個人が法人取引のような複雑な税金に対処するリスクが発生する。

その最低額は1万ドル(約114万円)で、これは銀行秘密保護法から引き継がれたものだ。この金額以下の取引には課税されないが、1万ドルというのは複雑な税務処理が必要になるにしてはかなり低い金額だ。

取引プラットフォームや投資家にとっては、税金の申告が大変なものになり、さらなる投資意欲を削ぐ可能性がある。それによって、最終的には課税が無意味になるか、少なくとも推定よりもはるかに少ない税収しか得られなくなるかもしれない。

そしてIRS(米国内国歳入庁)にとっては、これは複雑な監査対象となる可能性が高い。IRSには、IDとこれらの取引を結びつける方法が必要になる。これは、Coinbase(コインベース)のような取引プラットフォームではすでに行われているが、個人の採掘者は通常行っていない。

この法案で注目すべき点は、多くの税法は当初は問題があっても、時間の経過とともに明確になっていくことがほとんどだが、今回のインフラ法案はその逆を行っているように思えることだ。議会はまずインパクトのある数字(1.1兆ドル、約125兆6000億円)を提示し、それに見合うだけの税金を生み出す方法を探ろうとした。

これはいくつかの意味で異常なことだ。しかし、おそらく米国の現在の政治状況を示しているのだろう。これまでの政治家は、まず資金を供給したい具体的なプログラムを考え、そのコストをできるだけ小さくしようとしたものだ。今回は、どちらの政党も、自分の政党が政権を取ったときに、より多くの数を約束するために戦っていた。Trump(トランプ)元大統領は、2兆ドル(228兆円)規模のインフラ法案に取り組んだものの、結局それが法律として成立されることはなかった。

米国では政治的に少々奇妙な時代になっている。マイアミやニューヨークの市長をはじめ、さまざまな自治体の長が給与を暗号資産で受け取ることを提案している一方で、国レベルでは、連邦政府の長期的な計画における明確な指針はない。

最終的には、暗号資産は何らかのかたちで存続することになるはずだが、連邦政府は経済学者や研究者、暗号資産プラットフォーム開発者などの専門家と話をして、アプローチを真剣に考える必要がある。

編集部注:本稿を執筆したChristopher MortonはCognito(コグニート)のCOO。

画像クレジット:hamzaturkkol / Getty Images

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(文:Christopher Morton、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「ブロックチェーン技術拡大のためのサービス」を展開するAlchemy、半年で評価額7倍の3990億円に

共同創業者でCEOのニキル・ヴィスワナサン氏とCTOのジョー・ラウ氏(画像クレジット:Alchemy)

半年前に5億500万ドル(約575億円)の評価額で8000万ドル(約91億円)を調達したSaaS(Software as a Service、サービスとしてのソフトウェア)スタートアップ企業、「Alchemy(アルケミー)」。ブロックチェーンおよびWeb3の開発を手がける同社は、このたびシリーズC資金調達ラウンドで2億5000万ドル(約285億円)を調達し、評価額は35億ドル(約3990億円)となった。

詳細を知る関係筋によると、Andreessen Horowitz (アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)が主導したこの資金調達には、多数の大手ベンチャー企業がラウンドに参加するだけでなく、主導することを求めて群がり、非常に競争の激しいものとなった。

今回の資金調達は、Alchemyの評価額が半年間で7倍という驚異的な伸びを示したことの他にも、いくつかの点で注目を集めている。1つは、a16zがこれまでに実施したWeb3 / ブロックチェーン関連の投資の中でも最大規模のものであること。a16zは、2021年6月に22億ドル(約2500億円)の暗号化ファンドを発表し、この分野に本格的に取り組んでいることを示した。参考までに、Web3とはブロックチェーンを中心とした一連のプロトコルのことで、インターネットのバックエンド機能に改革を起こすことを意図するものである。

さらに興味深いのは、Alchemyが多くのスタートアップ企業にとってなかなか実現できないもの、つまり収益性を達成したことである。

AlchemyのCEOで共同設立者のNikil Viswanathan(ニキル・ヴィスワナサン)氏によると、同社は「実際に非常に収益性が高い」という。この数カ月間で、同社の提供するサービスに対する需要が爆発的に増加し、前回4月の資金調達時と比べて収益が15倍になったことで高い収益性を実現できたそうだ。CTOで共同設立者のJoe Lau(ジョー・ラウ)氏は「シリーズBラウンドで調達した8000万ドル(約91億円)には手をつけていない」と話す。

「(シリーズBの)資金はすべて銀行に残っています」とラウ氏。「資金は必要ではありませんでしたが、私たちは、ブロックチェーンの分野で深い技術的専門知識を備えたチームを所有するホロウィッツ氏のようなすばらしいパートナーと手を組むことに価値があると考えました」。

簡単に説明すると、AlchemyはAWS(Amazon Web Services)がインターネットで実現したものを、ブロックチェーン / Web3で実現したいと考えている。Alchemyの目標は、ブロックチェーン上のサービスを検討している開発者のスタート地点となること、すなわちブロックチェーンアプリケーションのメインストリームになることである。Alchemyの開発者ツールは「必須の」開発者ツールを使ってアプリケーションを改良することで、インフラ構築の複雑さを解消し、コストを下げることを目指している。Alchemyは2020年8月にサービスの提供を開始した。

現在、Alchemyは、金融機関、取引所、1000億円規模の分散型金融プロジェクト、ユニセフを含む多国籍組織など、ほぼすべての業界におけるブロックチェーンのさまざまな取引を強力にバックアップしている。同社のテクノロジーはMakersPlace(メーカーズプレイス)、OpenSea(オープンシー)、Nifty Gateway(ニフティゲートウェイ)、SuperRare(スーパーレア)、CryptoPunks(クリプトパンクス)など、あらゆる主要なNFTプラットフォームを支える技術としても急速に普及している。その他にも、Dapper Labs(ダッパーラボズ)、Axie Infinity(アクシーインフィニティ)、最近契約したAdobe(アドビ)のようなブロックチェーン上に(サービスを)構築しているフォーチュン500企業、PricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース)などが顧客として名を連ね「DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)の大部分」にもサービスを提供している。

4月の増資時は300億ドル(約3兆4100億円)であったAlchemyと世界中の企業との取引は、現在450億ドル(約5兆1200億円)以上に増加。同社がサポートするブロックチェーンの数も拡大している。

「私たちのプラットフォームは、多少なりともEthereum(イーサリアム)に絞って対象としていましたが、多くの需要に支えられ、ポリゴン、アービトラム、オプティミズム、フローにまで拡大しています」とラウ氏は話す。

画像クレジット:Alchemy

ヴィスワナサン氏は新しい開発者も増えている、と指摘する。

同氏は次のように続ける。「Alchemyに参加するチームや企業が増え、チームや企業ごとに多くの開発者が私たちのプラットフォームを利用するようになりました」「つまり、すべての方面で成長しているのです」。

爆発的な成長にもかかわらず、Alchemyはまだ小規模なチームである。現在の従業員数は37名、本社をサンフランシスコに置き、ニューヨークオフィスの他、世界各地でリモートスタッフが業務にあたっている。

Alchemyは、新たな資本のほとんどを、ブロックチェーンを中心としたコミュニティの構築への投資に利用する予定である。同社の幹部は、市場がまだ小さく、この分野が持つチャンスが不透明だった2017年という適切な時期に事業をスタートさせることができた、と考えている。

ラウ氏は次のように話す。「私たちの究極の目標は、ブロックチェーンが持つ可能性を実現することです」「リソースを増やして、開発者がこの分野に参入し、より効果的かつ迅速にブロックチェーン上のサービスを構築できるようにすることで、これを実現したいと考えています」。

ヴィスワナサン氏は「Alchemyは近年のブロックチェーンの盛り上がりと人気に重要な役割を果たしている」と考えている。

同氏はTechCrunchの取材に対し、次のように話す。「ブロックチェーンの成長とともにAlchemyが成長しただけではありません。私たちはブロックチェーンのエコシステムの成長にも貢献しています」「私たちが良いツールを提供すれば、開発者はもっとサービスを作りやすくなります。それをより多くのユーザーが利用し、さらに多くの開発者がサービスを開発し、私たちはさらにツールを改良する……好循環ですね。Alchemyはこのサイクルの回転を支援している、と考えています」。

画像クレジット:Alchemy

a16zのジェネラルパートナーであるAli Yahya(アリ・ヤヒヤ)氏は、Alchemyをブロックチェーン / Web3の成長における「重要な推進者である」と表現し、AlchemyはすでにWeb3の「事実上(デファクト)の開発者プラットフォーム」であると話す。

ヤヒヤ氏はメールに「Microsoft(マイクロソフト)やAWSがコンピューターやインターネット業界をサポートするプラットフォームを構築したように、Alchemyのプラットフォームは、世界中で何百万、何千万もの人々が利用するブロックチェーンサービスの構築を可能にします」と記し、Alchemyの成長は関連するすべての指標で「驚異的」だと付け加えた。

Alchemyの前回のラウンドに投資した、Google(グーグル)の会長であり元スタンフォード大学学長のJohn L. Hennessy(ジョン・L・ヘネシー)氏は、ヤヒヤ氏の意見に同意し、さらにもう1つ、注目すべき比較を行った。

ヘネシー氏は「Alchemyは、AWSがクラウドを実現したのと同じように、ブロックチェーン業界の成長を後押ししています」「Alchemyのテクノロジーに対する興奮を見ていると、Googleの初期の頃を思い出します」とメールに記す。

シリーズC資金調達ラウンドには、Lightspeed Venture Partners(ライトスピードベンチャーパートナーズ)とRedpoint(レッドポイント)も新たな投資家として参加した。すでに投資を行ってきたCootue(クートゥー)、Lee Fixel’s Addition(リー・フィックセルアディション)、DFJ(ディーフェフジェー)、Pantera Capital(パンテラキャピタル)は、Alchemyへの投資を倍増させた。Alchemyは2017年の設立以来、合計で約3億4500万ドル(約393億円)を調達したことになる。

Alchemyにはこれまで、Chainsmokers(チェインスモーカーズ)のMantis(マンティス)ファンド、俳優のJared Leto(ジャレッド・レト)、Glazer family(グレイザー家、タンパベイ・バッカニアーズやマンチェスター・ユナイテッドFCのオーナー)、ヤフーの共同設立者で元CEOのJerry Yang(ジェリー・ヤン)、Coinbase(コインベース)、SignalFire(シングルファイヤー)、Samsung(サムスン)、スタンフォード大学、Charles Schwab(チャールズ・シュワブ)、LinkedInの共同設立者Reid Hoffman(リード・ホフマン)などが出資を行ってきた。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)