「Guardian」のオーナー企業がサブスクやメンバーシップ用に設計されたNFTプロトコルUnlockに投資

クリエイター経済における収益化は大きな課題であると同時にチャンスでもある。だがクリエイターがその価値を実体化するためには、Patreon(パトレオン)のようなプラットフォームに閉じこもるしかないのが現状だ。だがもっと良い方法は、複数のプラットフォームにまたがるクリエイターのための会員制システムを作ることだ。

このたび、GMG Ventures(「The Guardian」の親会社)が、コミュニティのメンバーシップを収益化・管理するために設計された、イーサリアムベースのオープンソースプロトコルの開発者であるUnlock(アンロック)に投資を行った。

今回の400万ドル(約4億4500万円)の資金調達ラウンドは、Betaworks、Cygni Labs、GMG Ventures、Metacartel Ventures ChinaなどのVC企業が主導し、初期投資家たちも参加している。

Unlockによれば、そのメンバーシップ / マネタイズソリューションは、アーティスト、ミュージシャン、ゲーム開発者(Decentralandも含まれている)、ライター、Discordコミュニティなどに利用されているという。また、同社のプロトコルを採用している大手メディアブランドとの提携も予定している。

UnlockのCEOであるJulien Genestoux(ジュリアン・ジェネストゥ)氏は「これまでに調達した資金で、Unlockは目標を達成するために、最も完全なオープンソースのプラットフォームになるための成長を続けます」と語る。

ジェネストゥ氏は、Medium(メディウム)が買収したRSSフィードAPIであるSuperfeedr(スーパーフィーダー)を開発した経験を持つ。

2018年に設立されたUnlockは、イーサリアムのブロックチェーンにすべての取引を記録するNFTベースのプロトコルだ。考えられる利用例としては、たとえばWordPressのプラグインを使うことで開発者が会員制 / 購読制のオプションを追加することができたり、コミュニティが作成したShopifyのプラグインを使えば小売業者は自分のウェブサイトにUnlockを利用した購入オプションを追加することができたりする。

Cherry VenturesのThomas Lueke(トーマス・ルーケ)氏は「Unlockが開発するクリエイターコミュニティメンバーシップためのオープンソースプロトコルは、今後数年間でクリエイターがファンと交流し、成長していく方法を再定義するものとなるでしょう」という。「私たちは、この分野での活躍を続けるUnlockの成長を祝えることを楽しみにしていますし、同社に投資できたことをうれしく思っています」。

画像クレジット:Julien Genestoux, Unlock Protocol

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(文:Mike Butcher、翻訳:sako)

クリエイターが食べていくためのコミュニティ立ち上げと成長の場を提供するMighty Networkが約54億円調達

創設者およびCEOのジーナ・ビアンチニ氏(画像クレジット:Mighty Networks)

クリエイターやブランドにコミュニティの立ち上げと成長の場を提供するプラットフォームMighty Networks(マイティー・ネットワークス)は、Owl Venturesが主導するシリーズB投資ラウンドで5000万ドル(約54億円)を調達した。

このラウンドにはZiff Capital Partnersと LionTree Partnersも加わり、以前からの投資者であるIntel Capital、Marie Forleo(マリー・フォーレオ)氏、Gretchen Rubin(グレッチェン・ルービン)氏、Dan Rosensweig(ダン・ローゼンズヴァイク)氏、Reid Hoffman(リード・ギャレット・ホフマン)氏、BBG Ventures、Lucas Venture Groupも参加している。この投資により、パロアルトを拠点とするMighty Networksの2017年創設からの総調達額は、6700万ドル(約72億5000万円)となった。

Mighty Networksを、Tim Herby(ティム・ハービー)氏とThomas Aaron(トーマス・アーロン)氏とともに創設したCEOのGina Bianchini(ジーナ・ビアンチニ)氏は、 コミュニティ構築のための育成環境には前からよく通じていた。以前、Ning(ニング)を共同創設しCEOを務めていたビアンチニ氏は、3年間でNingで構築されるネットワークを300万件に拡大し、全世界で1億人のユーザーを擁するまでに成長させた。

Mighty Networksでビアンチニ氏は、会員制コミュニティ、イベント、ライブオンライン学習を基礎とする「クリエイター中流階級」の構築を目指す。

「基本的に私たちのプラットフォームでは、オンラインショップを開設するようにコミュニティを立ち上げることができます」と彼女はTechCrunchに話した。「つまり、Spotify(スポティファイ)が電子商取引に対して行っているように、私たちはコンテンツだけでなく、何かおもしろいことや重要なことも同時にマスターできるコミュニティを中心としたデジタルサブスクリプションとデジタル決済を行っているのです」。

同社の主力製品であるThe Business Plan(ザ・ビジネス・プラン)は、デジタルサブスクリプションを簡単に立ち上げられる方法を新米クリエイターに提供するものだとビアンチニ氏は話す。すでに確立されているブランド、団体、成功しているクリエイターは、同社のMighty Pro(マイティー・プロ)プランが使える。ここでは、独自ブランドのiOS、iPad、Androidアプリで、Mighty Networksが提供するあらゆるサービスが利用可能になる。

パンデミックはこの事業の追い風になった。おかげで2020年はライブイベントも立ち上げた。

「私たちはヨガスタジオ、企業幹部のスピーチ教室、コンサルティングなど、数多くの事業にオンライン上ですばやく行動するための手助けができました。世界が戻りつつある今、ユーザーは、プラットフォームに組み込まれたさまざまな機能を使って、身近なメンバー、イベント、グループの発掘、さらに、ウェブだけでなくモバイルアプリを通じてあらゆるものの制作が可能になります」とビアンチニ氏はいう。

同スタートアップのゴールの中には、クリエイターとして成功するために大量のフォロワー(たとえばTikTokで100万人とか)を集める必要はないこと人々に知らしめるというものがある。1人あたり年間1000ドル(約10万8000円)のサブスクリプション料を集めるクリエイターの場合、30人の会員がいれば年間3万ドル(約325万円)になる。大儲けとは言えないが、相当な金額ではある。それが、同社が構築を目指す「クリエイター中流階級」というわけだ。

Mighty Networksには、有料で利用しているクリエイター、ブランド、コーチが現在1万人いる。会員の中には、著名なYouTubeスターのAdriene Mishler(アドリーン・ミッシュラー)、Xprize(エックスプライズ)、シンギュラリティ大学創設者Peter Diamandis(ピーター・ディアマンディス)、作家のLuvvie Ajayi Jones(ルービー・エイジェイ・ジョーンズ)、コメディアンのAmanda Seales(アマンダ・シールズ)、Girlboss(ガールボス)の創設者Sophia Amoruso(ソフィア・アモルーソ)、 そしてブランドでは、 TED(テッド)や健康管理プラットフォームMINDBODY(マインドボディー)などが名を連ねる。

「コンテンツのみではクリエイター経済は崩壊します」とビアンチニ氏。「活発なクリエイターのムーブメントは、コンテンツの作家が大手テック企業のプラットフォームからオーディエンスを借りるような、身を削る不公正な力学からは決して生まれません。そこでは、クリエイターはコンテンツを絶え間なく制作し続けるよう強要され、仮に報酬があったとしてもほんの小銭程度という世界です。クリエイターは、自分自身のコミュニティをインターネット上に持つべきです。そこでメンバー同士が集い、成果を上げて、改革が推進されます」。

Owl Venturesの専務取締役Amit Patel(エイミット・パテル)氏は、直接出会う以前から、 Mighty Networksには社として感銘を受けていたという。

「この業界で、彼らほど誠実で情熱的な信念を持つ企業はありません。Mighty Networksでクリエイターたちが有料会員制コミュニティを立ち上げ、たった30人の会員を相手にオンライン学習を提供している様子を初めて見たとき、そんなクリエイター中流階級の規模を100万人レベルに拡大する手助けをしたいと痛感しました」とパテル氏は声明で述べている。

同社は今回調達した資金を、数々のメディアタイプ、決済方式、新規市場への拡大に向けた製品開発にあてる予定だ。

2021年4月初め、オンラインクリエイターやメディア企業の収益化と顧客データ管理を支援するニューヨークのスタートアップPico(ピコ)が、プラットフォームのアップグレード版をローンチし、650万ドル(約7億円)の新たな資金調達を発表した。基本的に同社は、クリエイター市場のためのオペレーティングシステムと思われるものを開発している。

関連記事:収益化ツールを統合したクリエイター向けCRMのPicoが7.1億円調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Mighty Networks資金調達クリエイターオンライン学習プラットフォームコミュニティ

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:金井哲夫)

貸付ファンドオンラインマーケット「Funds」のファンズが20億円超を資金調達、新たに地方創生関連ファンドの構想も

中央がファンズの藤田雄一郎代表

貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds(ファンズ)」を運営するファンズは4月27日、第三者割当増資によりシリーズCラウンドで総額約20億2556万円の資金調達を行ったと発表した。2016年11月に設立したファンズの累計調達額は32億円となる。

引受先は既存株主のグローバル・ブレインとB Dash Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、AGキャピタルで、新規引受先はANRIと日本郵政キャピタル、メルペイなどとなる。

今回の資金調達で、貸付ファンドの拡充や人員体制の増強、マーケティングなどに充てていく。また、ファンズは2021年度中にESGや地方創生に関する新たなファンドも出す考えだ。ファンズの藤田雄一郎代表にサービス概要や新たな取り組みについて聞いた。

貸付ファンドオンラインマーケットプレイス「Funds」

「Fundsは資産形成をしたい個人投資家と、資金調達をしたい、または個人投資家と接点を持ちたい企業をマッチングするプラットフォームです」と藤田氏は説明した。

個人投資家はスマホ経由で1円から、企業が事業資金調達のために組成したファンドに貸付投資ができる。貸付投資とは、このファンドと企業間の貸し付けに対し、個人投資家が出資することとなる。

Fundsへのユーザー登録費用や貸付投資の手数料、口座開設費用は掛からない。ファンズ自体は、Funds上で資金調達を行うファンドから業務委託料を徴収し、利益を得ているかたちだ。

ファンドはFundsで得た出資金を用いて借り手企業に貸し付けを行い、元本とそこから生まれた収益を個人投資家に分配する。

Fundsに参加する企業は、上場企業または監査法人などの監査を受けていることが前提だ。実際にFundsで資金調達を行う企業の85%は上場企業となる。

さらに藤田氏は「上場していても無条件でOKという訳ではありません。当然我々でも財務状況や事業計画などについて厳密に審査をします。審査の結果、事業の継続性に疑義があるなどの理由から、上場していてもお断りするケースもあります。このため個人投資家の方からは『資産形成をする上で安心度合いが高い』といった評価もいただいています」と話した。

全ファンドの8割が3時間以内に満額達成

2019年1月にFundsをリリースして以来、約2年で投資家登録数は3万人を超えている。これまで上場企業を中心とした29社が組成する約73のファンドを募集し、全ファンドの8割が3時間以内に満額申込を達成している。また、2021年3月末時点で分配遅延・貸し倒れは0件となっている。

Fundsにある案件では予定利回りが1~3%台が中心で、運用期間は平均で1~1年半となっている。貸し倒れのリスクなどを判断しなければならないが、個人投資家はファンドの募集時に予定利回り・運用期間が決められているため、先を見通したミドルリターン・ミドルリスクの資産形成ができるようになる。株式投資やFXのようにチャートにくぎ付けになり、値動きを追わなくて済むのだ。

藤田氏は「現状、日本において予定利回り型の金融商品は多くありません。サービスローンチ当初はボリュームを作ることに苦労しました。ですが最近は大手企業の参加やリピーター企業も増えました。実際に参加した企業の約7割がリピートするかたちです。地道に積み上げてきた実績によって、ファンドのボリュームも拡大し、2021年3月は公開ファンドの資金募集額が単月で10億円を超えました」と規模拡大に自信をみせる。

投資を通じたファン作りを支援するFCM

企業とってのメリットは、Fundsによって銀行融資や社債などだけでなく、資金調達の方法を多様化できる点だ。社債は信用格付けなどが必要だが、Fundsでは疑似的な社債として担保や信用格付けの取得はいらず、手間を省いてすばやく資金を調達できる。

さらに企業はこれまで顔の見えなかった個人投資家との接点を得るメリットもある。ファンズは2020年8月に電通と、投資を通じて個人投資家と企業との関係構築を支援するため「FinCommunity Marketing(フィンコミュニティマーケティング、FCM)」を共同開発した。

ファンズは現在、FCMをFundsの基本的な機能として提供している。企業はただファンドを組成して資金を集めるだけではなく、FCMを通じて個人投資家との交流会・イベントの企画や、出資者限定の優待券を設定するなど、企業へのファン化を促す戦略を練ることができるようになった。

FCMの取り組みに企業も乗り気だ。Fundsに参加する企業のうち約3割が、第一の目的を資金調達としていない。その3割の企業は「投資を通じたファン作り」を目的としているという。FCMによって企画したイベントなどを通じて、企業はFundsに登録する約3万人の個人投資家とのタッチポイントを得ることに重要性を見出しているのだ。

新たなファンドによる展開も

ファンズが三井住友信託銀行と進めているESG関連のファンド組成支援にも力を入れていく。

藤田氏は「グローバルではESG債、SDGs債というのはとても活況になっています」という。しかし、ESG債、SDGs債は格付けや認証取得における企業側のハードルが高く、いわゆる超大手企業が中心に発行している。買い手も主に機関投資家となり、幅広い企業や個人投資家が参入しづらい状況になっているという。

この課題を解決するため、Fundsで2021年度内に、ESG認証を行う外部機関の正式な認証を受けた貸付ファンドを出していく。企業はFundsで数千万円から数億円といった規模感でESG関連の貸付ファンドを組成でき、個人投資家からすればこれまでよりサステナブルな事業に対する出資へのハードルが低くなるのだ。

この他、ファンズは大手企業と手を組み、地域に貢献する貸付ファンドの募集も始めていく考えだ。

藤田氏は「全国展開を目指す地場の企業を支援するような、または地元の人が地元企業に投資できるような、地産地消型の地方創生貸付ファンドを考えています。こちらも2021年度内にいくつか出していきます」と新たな事業展開を語った。

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タグ:Funds資金調達日本投資プラットフォーム

画像クレジット:ファンズ

貯金箱はもういらない、Till Financialの子ども用出費管理アプリがメリンダ・ゲイツ氏の支援を獲得

現代は、子どももティーンエイジャーも、出費管理の権限を広げたいと思っている。

今でも、その年齢層のための節約と出資を目的とした金銭管理サービスやアプリは数多い。とりわけよく知られている人気アプリの代表にGreenlight(グリーンライト)があるが、そこへ別の角度からアプローチするスタートアップが登場した。子どもたちの出費管理能力の改善を目指す企業だ。

Till Financial(ティル・ファイナンシャル)は、子どもたちを賢い消費者にするための家族向け連帯金銭管理ツールだと自らを称している。ニューヨークを拠点とする同社のバンキング・プラットフォームは、親子間で「オープンで正直」な話し合いを促すようデザインされている。このほど500万ドル(約5億4000万円)を調達し、そのゴールに一歩近づいた。

このラウンドには大勢の投資家が集まった。Elysian Park Ventures、Melinda Gates(メリンダ・ゲイツ)氏のベンチャーファンドPivotal Ventures、Magnify Ventures、Afore Capital、Luge Capital、Alpine Meridian Ventures、The Gramercy Fund、Stadium Goods(ステイディアム・グッズ)の創設者とCEOらによるファミリーオフィスSM Ventures、Lightspeed Venture PartnersのScout Fundなどだ。また、フィンテック企業Petal(ペタル)の創設者たち、酒類マーケットプレイスDrizly(ドリズリー)の創設者たち、Transactis(トランザクティス)の社長、1-800-Flowers(ワン・エイトハンドレッド・フラワーズ)の社長といったエンジェル投資家も参加している。

Tillの目標の1つに、子どもたちが「実践で学ぶ」手助けをして、自信を持って出費の判断ができるように育てることがある。同社は子どもに銀行口座と、デジタルと実際のデビットカードを与え、目標に基づいた節約を行わせる。たとえば、ある十代の若者がiPadを買いたいと思ったとする。Tillは、iPad購入のためのお金を貯められる銀行口座を開設し、おじいさんやおばあさんなどの家族に、その口座に同じ金額か、それ以上の資金援助ができるようにする。また、Netflix(ネットフリックス)やSpotify(スポティファイ)の利用料など、継続的な支払いも行えるようにして、毎回決まった日に必ずお金を払うというのはどんな感じかを体験させる。

「両親も現在の銀行のサービスも、節約という面に限れば重要な部分が欠けています。私たちは第一に、節約と出費を手助けして、子どもたちが『賢くお金を使う人』になるための準備を整えます」と、Tom Pincince(トム・ピンシンス)氏とこの会社を共同創設したTaylor Burton(テイラー・バートン)氏は話す。「Tillでは、子どもたちはしっかり考えて目的のあるお金を使う方法を学び、同時に両親は、透明性と信頼性によって信用を深めることができます」

ピンシンス氏は、この市場は明らかに手薄だと感じてる。

「旧来型の銀行は、子どもたちにはまったく関心がなく、初期のデジタルプレイヤーたちも、そこをまったく見落としています」と彼はいう。

子どもをターゲットにしたアプリは山ほどあるが、正しいプレイヤーのための空間が大きく残されているとピンシンス氏は考えている。

「現実に8歳以上18歳未満の子どもたちは、銀行口座を持たない最大の集団だということです」と彼は話す。「私たちは、お子さんの財布を握ろうと必死になっているのではありません。その財布の中の最初の製品になろうとしているのです」

たしかに、これは大きな市場だ。米国の平均的な中流家庭では、子ども1人あたり18歳になるまでにかかる費用は28万4570ドル(約3070万円)にのぼる

このプラットフォームは、すべての家族が無料で利用できる。これは早々にPayPal Ventures(ペイパル・ベンチャーズ)の運営パートナー兼COOのPeggy Mangot(ペギー・マンゴット)氏の目に留まった。彼女は個人的に、Tillのシードラウンド投資に参加している。PayPal以前、マンゴット氏は、子どもたちに責任ある出費の習慣を身につけさせることを目指したWell Fargo(ウェル・ファーゴ)の手数料なしのモバイル・バンキング・アプリGreenhouse(グリーンハウス)の開発を率いていたこともある。

マンゴット氏には3人の子どもがあり、子どもたちがオンラインで買い物をするときには彼女自身のクレジットカードを渡していたと振り返る。また、店に買い物に行くときや友だちと会うときには、現金を渡していた。

「しかしそれでは、子どもたちにお金の意味が伝わりません。モノの値段を本当に理解する機会がなく、所有している意識も芽生えません」と彼女は話す。「現金やカードを渡すのが私だけだからです」

マンゴット氏がTillに惹かれたのは、子どもたちの「尊厳を重視し介在してくれる」からだという。

また彼女は、お金に関する大切な教訓を小さい時期から学ばせることで、世の中にはもっと責任感のある大人が増えると信じている。

「早い時期から子どもたちにそうしたツールを持たせることで、独立して小切手や請求書を自分で管理しなければならなくなる前に、何年もかけて体験を重ねられます」とマンゴット氏はTechCrunchに話した。「これが広く受け入れられたなら、金銭的な意識と自信と管理能力に満ちた若者が、これまでになく増えることになるでしょう」

Tillは、交換手数料で収益を得ることはせず、ユーザー特典としての商品を提供する業者との提携で利益を出そうとしている。また、ユーザーが大人になり、別の必要性が生じたときに金融機関を紹介する紹介料で利益を得ることも考えている。

「お子さんたちの生涯の銀行になろうとは思っていません。私たちは最初の銀行になりたいのです」とピンシンス氏はいう。「なので、彼らが大人になったとき、私たちは彼らをハイタッチでプラットフォームから送り出し、最初の大学の学資ローンや最初のクレジットカードの契約へと導くことになります」。

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タグ:Till Financial子ども10代資金調達

画像クレジット:Till Financial

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:金井哲夫)

中小企業のマーケティングとセールスを自動化するActiveCampaignは評価額3200億円で260億円調達

世界に名前を知らしめようと各企業が新しいデジタルツールの導入を続けるなか、中小企業向けのセールスとマーケティングのためのプラットフォームを構築するスタートアップが大型ラウンドによる資金調達を発表した。ActiveCampaign(アクティブキャンペーン)は「顧客体験オートメーション」と同社が説明するシステムを構築し、デジタルキャンペーンのみならず、その後の処理を自動化してセールスとマーケティングの効率化を行う企業だ。同社は、2億4000万ドル(約260億円)の投資ラウンドをクローズした。このシリーズC投資により、シカゴに拠点を置くこのスタートアップの評価額は30億ドル(約3200億円)となった。

これを主導したのは、新規のビッグネーム投資企業Tiger Global。そこに新規の支援者としてDragoneerと、以前からの投資者であるSusquehanna Growth EquityとSilversmith Capital Partnersが参加している。

この資金調達により、ActiveCampaingは大きく飛躍することになる。同社は2020年1月に1億ドル(約108億円)を調達したばかりだ。それ以前は、2003年の2000万ドル(約22億円)が唯一の調達だった。

だが、他所でも多く見られたように、パンデミックにより、オンラインでもっといろいろな、ずっと多くのことができるという関心が企業間に広がった。特に大勢の人たちが家に引きこもるようになったこともあり、顧客の生活はインターネットに移行し、ActiveCampaingの顧客ベースは、16カ月前の9万件から14万5000件に拡大した。

これが示すのは、同社がパンデミック以前にかなりの急成長を遂げていたのもさることながら、むしろ多くの企業が新世界で事業を展開するためのツールを求めるようになった流れに、うまく乗ったということだ。

この成長は、ActiveCampaingが事業開発に大量の資金を投入した結果ではないと、創設者でCEOのJason VandeBoom(ジェイソン・バンデブーム)氏はいう。「それは成功を求める人たちによるネットワーク効果です。今でも、自発的な口コミが主原動力です」。

同社のツールは、ビジネス界の幅広いトレンド全体に適合するものだ。新しいクラウドベース技術の上に構築される自動化システムが、経営上の退屈な反復作業を肩代わりするものとして導入され始めている。

セールスの場面では、ActiveCampaingが提供するであろう事例として、ログイン中の(つまりすでにアカウントを持ちサインインしている)顧客が、すでに検索やクリックしていながら、さらにはカートに商品を入れながら、それを買うことなくサイトから「離れてしまう」の時期を特定するというものがある。このときは、顧客にその商品の追加情報を添えてリマインダーを送る。買う気が失せたか、考え直している場合なら、説得できる可能性があるからだ。

ユーザーはそれを拒否できるが、関連性のない大量のお知らせや、判断を迷わせる大量の選択肢など、商品を見て回るときの気持ちを散漫にさせるオンラインの本質を考えると、便利な点もある。実際ActiveCampaignは、850種類ものアプリを統合し、オンラインの世界がどれほど細分化されているか、注意力を散漫にさせる要因がいくつあるか、または視点によって注目度が変わるものがどれだけあるかを測定している。

放棄されたカートは企業の負担になる。積み重なれば、大きな損失となる。しかし、その追跡は、通常は貴重な人材を専任させてまで行うことではない。そこに、ActiveCampaingのような企業の出番がある。

セールスおよびマーケティングのキャンペーンでは、これに加えて500ほどの作業がある。バンデブーム氏は、これを「レシピ」と呼んでいるが、その一部はActiveCampaing自身のユーザーによって提供されており、それが同社のプラットフォームの基盤を形成している。

マーケティングとセールスの自動化市場は、現在、数十億ドル(数千億円)の価値があると見積もられている。ソーシャルメディアが台頭したおかげで、また単にオンラインで過ごせる場所が多く(そしてオンラインで過ごす時間も長く)なったことで、2027年には80億ドル(約8600億円)規模を超えると予測されている。そのため、収益性が高く、よく利用されているオンラインビジネス用ツールが強く求められるようになる。もちろん、そこに目を付けた企業は他にもある。例えば同じ問題に別の角度からアプローチするShopify(ショピファイ)などがそうだ。Shopifyは現在、ActiveCampaingの重要なパートナーになっていると、バンデブーム氏は私の質問に答えて話していた。

これはActiveCampaingにとってターゲティングを継続する大きなチャンスであるだけでなく、それ自体をターゲットにする可能性をももたらす。つまり買収だ。

もう1つ、ActiveCampaingの成長を支えた要素として注目すべき点に、顧客に関連するものがある。その顧客ベースには、地元シカゴの科学産業博物館のような有名どころも含まれているが、中小企業を重視する同社は、その他におよそ200カ国にわたり、およそ14万5000社の企業と取り引きがある。

中小企業は、世界のあらゆるビジネスの大部分を占める。これが集まって、彼らを顧客として捉えるテック企業に大成功をもたらしている。しかし伝統的に、中小企業は難しいセクターであることが知られている。その理由の1つに、非常に多くの垂直市場をカバーしているため、同業の大企業に比べて、いろいろな意味で価格に敏感である点がある。

そのためActiveCampaingは、多くの中小企業が納得できる価格を含め、大きなトラクションを得る方法を探り当てた。それはまた同社が、勝ち馬に乗ろうと目を光らせる投資家の興味を引く要因にもなったようだ。

同社は資金調達をする必要はなかったのだが、バンデブーム氏はこう話している。「垂直でもロケールでもなく、顧客体験のためのアイデアを意図的に追究することを投資家は好むと話すパートナーを、もっと増やせるチャンスだと見たのです」。

「私たちは、この旅が始まった当初から最前列の席に着けたのが幸いでした。まさに息を呑むような体験でしたが」とSilversmith Capital PartnersのマネージングパートナーTodd MacLean(トッド・マクリーン)氏はTechCrunchに宛てたメッセージで述べている。「他の急成長を遂げた企業と比較しても、その勢いと資本効率は類い稀です。しかし、ジェイソンは稀少な起業家であり、イメージどおりのチームを築き上げました。まだやるべきことは山積みですが、私たちは唯一、この市場機会の表面に爪を立てられたと信じています。ジェイソンとそのビジョンを強力に支援できることに、私たちは大きな喜びを感じています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ActiveCampaignTiger Global資金調達

画像クレジット:AlexSecret / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:金井哲夫)

死別の悲しみに暮れる家族のためのデジタルアシスタント「Empathy」が14億円調達

死は、人生において絶対に避けられない出来事であると同時に、非常に複雑で厄介な問題でもある。感情的あるいは宗教的な複雑で不安な気持ちに圧倒されるなか、多くの遺族はお金や、対処すべきさまざまな問題にも悩まされる。米国時間4月6日、Empathy(エンパシー)というスタートアップが、そうした課題に正面から取り組み、遺族の心の傷を部分的に肩代わりすることを目指して、ステルスモードから姿を現した。同社は、AIベースのプラットフォームを使い、亡くなった家族に関連して行うべき作業や手続きの取りまとめを行ってくれる(したがって、遺族による大変な事務手続きを間接的に支援できる)。

「遺族は、亡くした家族に関連するさまざまな作業に平均500時間を費やしています」と、Yonatan Bergman(ヨナタン・バーグマン)氏と同社を共同創設したCEOのRon Gura(ロン・グラ)氏は話す。「遺族を励ますためのネイティブアプリのかたちでデジタルコンパニオンを提供します」と同氏は述べ、Empathyを「家族を亡くしたばかりの遺族のためのGPS」だと説明した。

同社はイスラエルのスタートアップなのだが、VCs General CatalystとAlephが共同で主導した投資ラウンドで1300万ドル(約14億円)を調達し、まずは米国市場でローンチする。

米国では、平均して年間約300万人が亡くなっている。この数は、このところの新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で跳ね上がった。遅かれ早かれ誰もが遭遇する、ある意味最も自然で予測のつきやすい問題ではあるが、その準備を整えている人は少ない。その理由は、恐れであったり、宗教上の問題であったり、単にそうした不吉なことは考えたくないという感情によるものであったりする。皮肉なことにこの問題は、自身のためのものであれ、人に代わって提供するものであれ、それに対処すべく構築されたサービスが逆に激しく忌み嫌われるという事実によって、あまり改善されていない。

しかしスタートアップ企業にとってこれは、まさに教科書どおりの好機を意味する。

「数年間、私はこの話に取り憑かれてきました」とグラ氏はいう。同氏はバーマン氏とともにThe Gift Project(ザ・ギフト・プロジェクト)で働いていたが、この会社があるソーシャルギフトのスタートアップに買収された後は、イスラエルのeBay(イーベイ)に移った。「死は、イノベーションがまだ及んでいない最後の消費者セクターです。その原因は、技術的な問題でも、規制による障壁の問題でもありません。それは、私たちに内在する楽観主義と、死や死ぬことという避けられない事実を語りたがらない人類の本質によるものと思われます。そのため、今日では多くのセクターが取り組んでいるトランスフォーメーションに取り残された、暗黙のセクターでもあるのです」。

さらに、死は人々の心を大きく挫くため、それを商売とする企業は嫌われるという理由もあると私は推測する。

そこに手を貸そうというのがEmpathyのアプローチだ。そうした考え方の周囲に、できる限り透明なビジネスを構築しようとしている。同社は、最初の30日間は無料でサービスを提供する。それ以降は65ドル(約7100円)の料金を1度払えばずっと使えるようになる。5カ月、5年(もっと長くても)と長期に利用しても料金が上がることはない。

個人的な事情に関する詳細事項をいくつか書き込むと、人の死去にともなうさまざまな手続きや作業をステップ・バイ・ステップでガイドしてくれる。

これには、人々への告知の方法(および告知)、葬儀やその他の儀式の手配、必要な書類の入手、遺書の対応、故人の身元の保証、遺品整理、遺言検認の手配、福祉手当や銀行口座や請求書やその他の資産や税金に関連する決済、また必要ならば遺族のカウンセリングの手配など、まず早急にやらなければならないことも含まれる。多くの人は、気持ちが動転しているばかりでなく、このような手続きを行った経験を持たないため、すでに感情の位置エネルギーによるローラーコースターに乗っている人間がこれだけのことを熟すには、非現実的なカーブを描く学習曲線に立ち向かわなければならない。

Empathyの考え方は、一部にはユーザー自身で対処しなければならないものもあるが、プラットフォームが「デジタルアシスタント」の役割を果たして、次にするべきことを促し、それを乗り切るためのガイダンスを提供するというものだ。他の業者を紹介したり、他のサービスを宣伝したりすることはなく、今後そうする予定もない。プラットフォームにもたらされる個人データは、やるべきことを済ませるための作業の外では、一切使われないとグラ氏は話している。

Empathyは、この分野に興味を持ち、この分野に挑戦して少しずつ成長を見せているスタートアップの一団の中では、先発ではなく後発となる。同社の他には、自分で遺書を書きたい人を支援する英国のFarewill(フェアウィル)、死とその準備に関する話し合いを促すLantern(ランタン)、遺産計画のスタートアップTrust & Will(トラスト・アンド・ウィル)などがある。競争は起きるだろうが、少なくとも現段階では、これらのテクノロジーが、人生で最も難しいこの分野で役に立つことを示すものとなるだろう。

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「終末期業界は、他のあらゆる業界ではすでに起きているデジタルトランスフォーメーションが、未だに手をつけていない大きなセクターです」と、General Catalystの共同創設者で業務執行取締役のJoel Cutler(ジョエル・カトラー)氏は声明で述べている。「Empathyは、死別にともなう悲しみと複雑な事務処理の両面に対処する点がユニークです。このテクノロジーとエクスペリエンスは、すべての家族に恩恵をもたらすと私たちは確信します」。

「Empathyのスタッフは、消費者向けソフトウェアでの幅広い経験を駆使して、死にともなう膨大な負荷の対処方法を大幅に改善しています」と、Alephのパートナーであり共同創設者のMichael Eisenberg(マイケル・アイゼンバーグ)氏はいう。「悲しみに暮れる遺族に、数々の作業や事務手続きに対処する余裕などありません。金融テクノロジーと同情心を組み合わせることで、Empathyは、思いやりを柱とした近親者のための製品を構築しました」。

長期的には、このプロセスの別の面にもEmpathyで挑戦したいとグラ氏は話す。それは例えば愛する人が亡くなる前に物事を整えておくサービスだ。さらには、同様に事後に膨大な処理作業を残す離婚など、その他の問題にも同氏は目を向けている。

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タグ:Empathy資金調達DXイスラエルお葬式遺言資産管理終活プラットフォーム

画像クレジット:Dilettantiquity Flickr under a CC BY-SA 2.0 icense

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:金井哲夫)

「ゲームクリエイターのマルチバース」を構築するManticore Gamesは約110億円調達

今ほどゲーム分野が熱い時期はなかった。既存の巨大企業よりも早く潮流の変化に乗れる新星に大枚を投じようと構える投資家たちは、これまでになく強い期待を寄せている。

サンフランシスコ湾岸地区を拠点とするManticore Games(マンティコア・ゲームズ)は、市場の勢いに乗って構築されたかに見える二層構造のゲーミングプラットフォームの1つだ。同スタートアップはTechCrunchに、1億ドル(約110億円)のシリーズC投資ラウンドをクローズしたと語った。これで総調達額で1億600万ドル(約177億円)に達した。このラウンドは、XNが主導しソフトバンク、LVP、さらに既存の投資者であるBenchmark、Bitkraft、Correlation Ventures、Epic Gamesが参加している。

2019年9月にシリーズBラウンドをクローズしたとき、投資家たちはRoblox(ロブロックス)とゲーム分野を以前よりも真剣に注目するようになったが、パンデミックの襲撃により、ゲーム市場への彼らの期待は本格的に膨らんだ。「ゲームは今や正真正銘のスーパーカテゴリーです」とCEOのFrederic Descamps(フレデリック・デスキャンプス)氏はTechCrunchに言った。

ManticoreのCore(コア)ゲームプラットフォームの考え方は、Robloxのものによく似ているが、Robloxを卒業すると見られる13歳以上のユーザーに向けたゲームとクリエイターのためのプラットフォームを急速に拡大しようと考えている点が大きく違っている。課題は、Robloxが自身の野心を拡大するよりも早く、またこのほど12億ドル(約1330億円)の評価額で資金調達を果たしたRec Room(レクルーム)のように、ベンチャー投資家の支援を受けて同じレースで競い合うゲームスタートアップに先取りされる前に、そのユーザー層を惹きつけることにある。

他のプレイヤーと同様、Manticoreはゲームを探せるプラットフォームをゲームエンジンに直接埋め込んでいる。同社はエンジン技術を一から開発したわけではない。Unreal Engine(アンリアル・エンジン)を開発し、2020年Manticoreに1500万ドル(約16億6000万円)を投資したEpic Games(エピック・ゲームズ)と密接に協働している。

Coreプラットフォームが最も力を入れているのは、本当の意味でのドラッグ・アンド・ドロップでゲーム制作が行える場をクリエイターに提供することであり、目玉は「リミックス」だ。すでに作られている環境をピックアップし、すでにレンダリングされた3Dアセットを利用し、ゲームモードを選択してウェブでパブリッシュできるというものだ。新しいメカニズムやアセットを導入したい場合は、それなりの技術的ノウハウが必要になるものの、そのハードルを下げて新人クリエイターを招き入れ、彼らがこのプラットフォームとともに成長できるようにしたいとManticoreのチームは考えている。同社の最大の売りは、エンジンの柔軟性にある。大手アプリストアでは認められないような、独自のメカニズムやユニークな収益化方式を作り出せる可能性を目当てに、クリエイターたちがこのプラットフォームに集まることを彼らは期待している。

「クリエイターは、独自スタイルのアプリ内課金方法を実装できます。そこで私たちが望んでいるのは、次なるバトルパスに相当するイノベーションがここから生まれることです」と、共同創設者Jordan Mynard(ジョーダン・メイナード)氏はTechCrunchに話した。

これにはさらにコストがかかる。ゲームクリエイターが受け取るのは、自分のゲームの収益の50パーセント。もっと稼げる可能性があっても、それは手数料に取り込まれてプラットフォームに送られる。Manticoreは、アプリストアに直接出すことよりも、こちらの形に依存している。それでも、この収益分割方式は、Robloxなどのプラットフォームで得られる収入と比べて、ずっとクリエイターに優しい。

クロスプラットフォーム型の二次的ゲームプラットフォームの構築は、数々の難題を同社に突きつけている。ここに接続するPC以外のプラットフォームでは、レベニューシェアの分配金の処理を行わなければならない。だが一部にはどうしてもこれを嫌うハードウェアがある。特に、ソニーがプレイステーションで強くこだわっている部分だ。こうしたプラットフォームが長期的に成功していくには、ますます独立性に依存せざるを得なくなる。コンソールとモバイルのエコシステムでは、そんなことが成り立つとはとうてい思えない。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Manticore GamesRobloxプラットフォーム資金調達

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(文:Lucas Matney、翻訳:金井哲夫)

憧れのタレントからサプライズでビデオメッセージが届くサービス「heyhey」日本上陸

タレントとファンを繋ぐheyheyが日本上陸

タレントとファンを繋ぐheyheyが日本上陸

タレントとファンを繋ぐ新たなプラットフォームサービス「heyhey(ヘイヘイ)」を提供するheyhey Japanは3月4日、日本でのサービス開始を発表した。日本以外ではすでにインドでサービスが始まっている。heyheyは、ユーザーがタレントにリクエストを送ると、タレントがリアクションムービーを送り返すといったシンプルな仕組みだ。また、サービスによる収益の一部を社会貢献活動金として拠出するなど、慈善活動としての役割も担っている。

2020年に世界規模で蔓延した新型コロナウイルスの影響により、多くの人々が当たり前だと考えていたライフスタイルは一変した。コロナ禍でアーティストのコンサートやスポーツ観戦、音楽フェスなどは軒並み延期又は中止になり、人々が娯楽として享受していたコンテンツは今まで通りには楽しめなくなった。そのような中で、タレントとファンのこれまでにない関わり方としてheyheyが生まれた。

heyheyは、誕生日や記念日、結婚式、受験といったライフイベントで家族や友人を喜ばせたり、驚かせたりする「サプライズプレゼント」としての利用を想定している。特徴は「パーソナライズしたメッセージ」だ。一人ひとりの思い出やエピソードの共有を起点にすることで、タレントとファンがより深い関係を築く「サプライズ&ソーシャルリターン型コミュニケーションプラットフォームサービス」となる。

タレントとファンを新たなカタチで繋いでいく

タレントとファンを新たなカタチで繋いでいく

ユーザーは、サービスページ内のラインナップからタレント(hey!Star)を選び、専用フォームからどのようなメッセージがほしいのかを記載して送信する。その後、タレントが撮影したビデオメッセージはユーザーのメールアドレスへ直接届き、本文内のリンクをクリックするとビデオを再生できるようになっている。

また、heyhey Japanは3月4日に開いた「heyhey 」ジャパンローンチ発表会で、今後は国内だけでなく海外セレブリティのhey!Starラインナップ追加も視野に入れ、サービスを拡大していく考えを示した。

なお、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から 10 年を迎える2021年3月には、3月5日から3月28日の期間で「みんなで頑張ろう、東北!」をテーマにしたチャリティーキャンペーンを行う。サービスの利用で生まれた収益の50%を東日本大震災復興支援財団に寄付する。

ソフトバンクが支援する旅行プラットフォームKlookはコロナ禍に207.5億円を調達

Klookの共同創設者エリック・ノック・ファー氏、イーサン・リン氏、バーニー・ション氏

ソフトバンク・ビジョンファンドが支援する香港の旅行体験プラットフォームKlook(クルック)は、シリーズE投資ラウンドを2億ドル(約207億5000万円)でクローズしたと発表した。これで今日までの同スタートアップの調達総額は7億2000万ドル(約747億円)となった。

アジア太平洋地区を中心に活動する投資ファンドAspex Managementが、このラウンドを主導した。その他、以前からの支援者であるSequoia Capital China、Softbank Vision Fund 1、Matrix Partners China、Boyu Capital、さらに新規の投資者もいくつか参加している。

世界経済が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに打ちのめされる中での大型投資は、喜ばしいことだ。いうまでもなくKlookは新型コロナの影響をもろに受けた産業に属している。アジアの利用者を中心に、海外での体験活動を手配するこのスタートアップは、旅行制限が課された最初の3カ月あまりで、数百万件の予約を失った。そこで同社はすばやく組織再編を行い、ステイケーションと、チケット販売、流通、在庫管理、マーケティングなど地元で活動する業者のためのサービスとしてのソフトウェアに舵を切った。すると予約は戻ってきた。

「家でできることがあります。旅行できるときに地元で行えることもあります」と共同創設者で最高執行責任者のEric Gnock Fah(エリック・ノック・ファー)氏は2020年7月のTechCrunchインタビューで話した。「今、パンデミックは、新しい側面を追加するチャンスを私たちに与えてくれています」。

今回の資金獲得はタイムリーだった。Klookは、2020年7月にはいくつもの市場で利益を出していたが、全体としてはまだ積極的な拡張モードにあると、同社は当時TechCrunchに話していた。2014年に創設されたKlookは、2018年には評価額が10億ドル(約1037億5000万円)に達しているが、資金調達後の評価額は公表を控えている。だがユニコーン企業に到達したときよりも増えていることは、確かなようだ。現在のところ上場の予定はないと、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。

シンガポール、香港、台湾は、新型コロナによる制限が緩和されつつあり、地元での活動への出費が増えているとKlookは話している。予約も新型コロナ以前のレベルに回復しつつある。パンデミックが頂点に達したころ、Klookは2019年の同じ時期と比べて体験活動の数を150%増やしている。

現在、KlookのSaaSソフトウェアは、世界2500社以上の業者の予約を支えている。今回の投資資金を使って、同社は今後も商業向けSaaSソリューションの開発と展開を続けていく予定だ。

「今回の新しい資金で私たちは主導的立場をさらに強化し、国内旅行が広く行われるようになるのにともない海外旅行も次第に戻ってくる中、守りから攻めに転じます」とKlookの共同創設者で最高責任者のEthan Lin(イーサン・リン)氏は話していた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Klook旅行プラットフォーム資金調達

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(翻訳:金井哲夫)

寄付やボランティアなど現在の社会に対して行うべき活動を教えてくれるプラットフォームactionable

前回の米大統領選挙が行われ、世界がまるで異次元になったかのように思われた2016年、Jordan Hewson(ジョーダン・ヒューソン)氏はSpeakable(スピーカブル)というプラットフォームを立ち上げた。そこでは、ニュース記事の読者が、気になった課題や問題点に対してニュースを読んでいるその場で行動が起こすことができる。同社はパブリッシャーやNGOと提携して、パブリッシャーのサイトに「アクションボタン」を設けた。

そして現在、気になる課題に対して人々はずっと積極的になった。そこでヒューソン氏は、actionable(アクショナブル)という新製品を立ち上げることにした。数十種類の課題にわたり行動が割り当てられた、行動のライブラリーだ。最も気になる問題に対して自分に何ができるかを、ハッキリと提示してくれる。

このプラットフォームでは寄付も行動の1つだが、他の行動も紹介している。例えばボランティア、地元議員との接触、嘆願書への署名などだ。

「私たちは2016年の選挙の前に設立されました」とヒューソン氏。「Speakableは、簡単に行動が起こせなければ人は行動しない、という仮説に基づいています。しかし、政治的にも社会的にも、本当にたくさんの変化がありました。今この現状を打開するために自分に何ができるかを、人々は本気になって探しています。そこで私たちは、やるべきことが積極的に探せて、コミュニティ体験を深めることができるプラットフォームをユーザーに提供したいと心底思ったのです」。

同プラットフォームが扱う問題点は教育、平等の権利、環境、健康、移民、政治、貧困、人種間の平等など数多い。1つの問題をクリックすると、それに対して取ることができる行動が寄付、ボランティア、嘆願書の署名といったタイプごとに示される。またここは、各団体の活動内容を掘り下げて、資源がどのように使われているかが明確にわかるようにもしている。

Speakableがオープンした当時、急いで規模を拡大する目的でサービスを無料提供していた。現在は、このプラットフォームを通じて行われた寄付に対して、3%の手数料を徴収している。しかしヒューソン氏は、それを同社の主要な収入源とは考えていない。

むしろSpeakableでは、提携ブランドがアクションボタンのスポンサーとなり、それぞれの目標に沿った取り組みに役立てている。キャンペーンやスポンサーと、特定の問題に取り組む地元議員につながる能力とのマッチングというかたちをとり、提携ブランドに代わってキャンペーンや運動の拡大を図ることで、Speakableともどもパブリッシャーにも新たな収入源をもたらすとヒューソン氏は説明している。

同社は現在、米国で活動するおよそ90社のパブリッシャーと提携し、APIを介して、すべての非営利団体の登録を目指している。

おもしろいことにactionableは、プラットフォーム内での非営利団体のランク付けやキュレーションはあまり行っていない。非営利団体に対して中立的な立場を保つためだとヒューソン氏はいう。

Speakableは設立以来250万ドル(約2億6000万円)の資金を調達した。これまでに1000万件の活動を支援しているが、その大半は2020年に始まったものであり、今年は520万件の活動が実施された。実際、つい先週もSpeakableは、朝の情報番組「Today」でフードバンクの非営利団体Feeding America(フィーディング・アメリカ)への寄付を、たった1日で130万ドル(約1億3500万円)以上集めた。

同社のスタッフはおよそ15名。女性創設者のこの企業で働く60%が女性。20%は有色人種、10%はLGBTQ+となっている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:actionableチャリティープラットフォーム

画像クレジット:Actionable

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(翻訳:金井哲夫)

Ethel’s Clubの創設者が有色人種向けソーシャル・プラットフォームSomewhere Goodを開設

現実とデジタルのサブスクリプション型コミュニティーEthel’s Club(エセルズ・クラブ)の創設者でCEOのNaj Austin(ナジ・オースティン)氏は、白人以外の人たちのためのワンストップのオンラインショップSomewhere Good(サムホエア・グッド:どこかいいところという意味)の開設準備を進めている。ここには有色人種の人たちがつながりを作るという他に、人々に本来の自分でいられる安全な場所を提供するという役割もある。

「Somewhere Goodについて投資家に説明するときによく話すのが、私たちのアイデンティティーが中心になる世界という考え方です」とオースティン氏は私に話してくれた。「Somewhere Goodのビジョンは、ポケットから電話を取り出せば、黒人として、または有色人種として必要なすべてが、そのひとつの場所で間に合うというものです」。

つまり、健康、アート、音楽、映画などに関連するコミュニティーにアクセスでき、それらのグループを通じて経済活動ができるということだ。なにも、そうしたコミュニティーがこれまで存在していなかったというわけではない。存在はしているが、小さく断片的にウェブの中に埋もれているため、簡単に出会える状態ではないということだ。

健康コミュニティーEthel’s Clubを運営中、オースティン氏は、たとえば80年代のジャズや、子どもを産みたくない黒人女性に特化したスペースなど、もっと限定的な黒人と有色人種のための場を知らないかと利用者に尋ねられることが多かった。

「無数にあるのです」とオースティン氏。「私たちに必要なのは、そうした場所を自分で探せるようにするプラットフォームなのです。そこで、有色人種のための場を提供する会社を設立するという私の信念の核心部分に立ち戻ります。より多くの場を提供できているか。より多くの有色人種の人たちに活力を与えているか。そこに私は全力を傾けています。それらの答が「イエス」である限り、手段はなんでもいいのです」。

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1月、Somewhere Goodがベータ版でローンチされたとき、利用者は自分のおおまかな情報をインプットすれば、興味のあるセクションを選択できるとオースティン氏は話していた。たとえば、犬を飼っていてパン屋で働いている絵が好きな母親、といった具合に自分を表すことができる。

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「すると私たちは、その人に最適と思われるコミュニティーを見繕って紹介します」とオースティン氏。

それによりSomewhere Goodは、利用者にもうひとつ上のレベルでのつながりをもたらすことが可能になるとオースティン氏は言う。その新たなレイヤーを構築するひとつの方法として、マッチングツールが考えられる。

「私たちは、人々のつながりに、もっと実感を伴った動機を与えたいと考えています」とオースティン氏は話す。「両方とも黒人というだけではなく」。

現在はMighty Network(マイティー・ネットワーク)に属する有色人種のための健康プラットフォームEthel’s Clubも、Somewhere Goodの中の数あるコミュニティーのひとつに過ぎない。彼女たちは、他のコミュニティーのメンバーを、黒人と有色人種を中心としたこのプラットフォームに誘い込もうと計画している。そこから、それらのコミュニティーの人たちがSomewhere Goodで独自のコミュニティーを築いてゆくことをオースティン氏は思い描いている。

「すでにコミュニティーを形成している人たちに場所を提供し、コミュニティーのための場が欲しい人たちにその機会を与え、やがてはその他の参加者たちも、やる気が湧いてきたときに、自分たちのコミュニティーを構築できるようにしたいのです」と彼女は話す。

今のところは、Somewhere Goodにアクセスし「Take me somewhere good」(どこかいいところへ連れて行って)をクリックすると、黒人や有色人種向けのブランドが、たまたま見つけたような感覚で示される。現在このサイトには、黒人向けヘアーブランドNappy Head Club,、黒人デザイナーの紹介サイトBlack Fashion Fair、シリアルとカルチャーのブランドOffLimitsなど、100件を少し超える数のブランドが登録されている。

私たちはみなさんを箱に閉じ込めたりしない。箱はシリアルのためにあるもの(画像クレジット:OffLimits)

例えば、OffLimits(オフリミッツ)は、まだコミュニティーが作られていないものの、食品を見直すという観点を中心にしたブランドだとオースティン氏は言う。だが「情緒的に不安定なカウンターカルチャー的漫画のキャラクター」の物語を掲載するなどしているOffLimitsも、プロダクトデザインや食品を中心としたコミュニティーをSomewhere Goodで立ち上げて運営することが可能だ。彼女はまた、化粧品ブランドのFenty(フェンティー)がスキンケアを中心としたコミュニティーを作って欲しいと期待を寄せている。

Somewhere Goodのコミュニティーには、それぞれにモデレーターが付き、すべてのメンバーはSomewhere Goodの行動規範に従わなければならない。このプラットフォームでは、ヘイトスピーチ、嫌がらせ行為、いじめやその他の暴力行為を一切禁止している。

「私たちの行動規範に違反した者は、誰であれ即座にSomewhere Goodプラットフォームから追放される」と同プラットフォームの綱領に書かれている。

Somewhere Goodは一切の広告を入れず、データを売却することも決してないと話している。そのビジネスモデルは、利用者が支払うコミュニティー参加料から徴収する一定割合の手数料に依存している。

「そのため私たちには、人々にコミュニティーを作りたいと感じさせる魅力的な機会を作り出す必要があります」と彼女は言う。

Somewhere Goodでは、ゆくゆくはコミュニティーが、ライブストリーミング・イベントで収益を得たり、製品を販売したり、いろいろなタイプのピアツーピア取引が行えるようにもしたいと考えている。

Somewhere Goodは先週、ツイートを投稿してソフトローンチを行い、会員の募集を開始した。すでに2500人以上が予約リストに登録されている。

これは、オースティン氏がEthel’ Clubで用いた戦略に通じるものだという。Ethel’s Clubでは、ローンチされるまで、彼女はその製品の機能性に十分な確証がなかったのだが、人々が関心を示すかどうかを確かめるために、まずは話を持ちかけた。そして関心があるとわかるや、Ethel’s Clubはそのコミュニティーを受け入れ、彼女たちが望んでいた製品の構築に協力してもらった。彼女はそれと同じ枠組みを、Somewhere Goodでも利用しているという。

Ethel’s Clubは、そもそもブルックリンで発足した現実のコミュニティーだったのだが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響でデジタル世界に進出した。現在は、Dream Machine、Shrug CapitalCanvas Ventures、Color、Debut Capital、そしてKatie Stanton(ケイティー・スタントン)氏、Roxane Gay(ログザーヌ・ゲイ)氏、Hannibal Buress(ハンニバル・ブレス)氏といったエンジェル投資家から100万ドル(約1億600万円)を調達している。

デジタル世界に移行したことで、Ethel’s Clubの会員は1500人を超えた。しかし最大の問題は、人々がもっと多くを求めていることだったとオースティン氏は話す。Somewhere Goodは、まさにそれに対応するためのものだと彼女は言う。それは、たった1箇所で有色人種の人々があらゆるものに出会えるプラットフォームを目指している。

画像クレジット:Naj Austin

カテゴリー:ネットサービス
タグ:フラットフォームコミュニティ

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(翻訳:金井哲夫)

Gillmor Gang:プラットフォーム


今回の共和党大会では、党のプラットフォーム(政策綱領)は採択されなかったものの、多くのことが行われた。メディアはこれをトランプ・カルト現象への屈服だとみなしたが、「現状を打開するために立候補しているのだから、当然じゃないか…」という意見については巧みにはぐらかした。しかし、メディアによる枠作りの水面下で、重要な疑問が生まれている。我々が現在直面している毒気に満ちた状況から抜け出すには、いったいどのようなプラットフォームが必要なのだろうか。

数年とは言わず、ここ数か月だけでも、テクノロジー業界は前例を凌ぐ新しいプラットフォームを作ろうと躍起になってきた。WindowsやPCというデスクトップの世界からモバイルへのシフトは、そのような新しいプラットフォームへの根本的なシフトの例だろう。Google(グーグル)とApple(アップル)という二大勢力による高性能スマホの支配は、破壊的なパンデミック発生に合わせたような完璧なタイミングで、通知と動画ストリーミングの新たな言語を作り出した。我々が使うデバイスは今や、愛する人たち、経済、将来のために生き続けるという闘いの最前線に欠かせないものとなっている。

Zoom(ズーム)はもちろんその代表格だ。モバイルが実現できることとできないことを示している。在宅勤務という考え方は、もう少し掘り下げると、何を家(ホーム)とするのか、仕事とホームとの違いは何なのか、という問題になると思う。我々の生活は、スマホ、スマートウオッチ、iPad、ノートパソコン、テレビとの関わりを中心に形成されている。筆者の場合、起きてから最初にやることは、夜のうちに海外から(そして朝方には東海岸から)配信された通知の山を確認することだ。そのペースは日によって変わる。週末の休み気分が消えていく月曜日は通知の数が非常に多く、週中は特定の話題にフォーカスした、中身のあるものが多い。金曜日になると「やっと週末だ」という雰囲気になる。通知の種類は、Eメール、テキストメッセージ、メディア最新情報、仕事用スケジュールのリマインダーなどだ。

新しいプラットフォームとは何だろうか。市民メディア、インフルエンサーネットワーク、はたまたロイヤル・オポジション(主権を尊重したうえでの反対意見や立場)と呼ばれることもある発信元から配信されるライブストリーム通知である。このロイヤル・オポジションとはつまり、主流メディアを信用しないということだ。これは筆者だけが感じていることかもしれないが、番組司会者が主要ニュースのヘッドラインを繰り返しアナウンスし続け、関係者の映像、医療関係の宣伝をエンドレスで流し続けるケーブルテレビ型の番組を観ていると、はじめは音声をミュートにし、そのうちにテレビのスイッチを切ってしまいたくなる。そうして筆者は通知の山に戻る。新しく契約するかどうかは、リンクをクリックするかどうか、または、そもそも通知の配信を許可するかどうかで決まる。

前述のような新しいメディアは、1つまたは複数でネットワークを形成し、「クリックするだけで参加可能」という手軽さを前提としてZoomを皮切りに普及した世界規模のクラウドサービスの数々を使って情報を発信している。加えて、いわば有名ネットワークであるFacebook Live(フェイスブック・ライブ)、Twitter(ツイッター)/Periscope(ペリスコープ)、YouTube(ユーチューブ)があり、もしあなたがBrent Leary(ブレント・レアリ―)みたいな人で先行招待を受けていればLinkedIn(リンクトイン)もある。さらに、Restream(リストリーム)やStreamYard(ストリームヤード)から、JustStreamまで(Just Streamは筆者が勝手に作った架空企業)、複数のプラットフォームに同時配信できるストリーミング・アクセラレーターも数多くある。これらの同時配信サービスは、以前であれば何千ドルもかけて無数のケーブルを設置しないとできなかったことを、ソフトウェアとわずかなハードウェアだけで実現している。今はまだ初期段階ではあるが、メディア大手による買収が進んでいけば、従来メディアに取って代わる存在になる日も近いだろう。

そんなことは起こり得ない、と思うだろうか。ストリーミングがテレビ業界や音楽業界をどれだけ揺るがしてきたか考えてみてほしい。また、ポッドキャストやニュースレターが今、再び勢いづいているし、デジタルコマースやマーケティングのツールとしてメッセージアプリが急速に成長している。パンデミックのせいで、劇場は閉鎖され、イベントや旅行ができなくなり、経済活動の大部分や、生活の中で感情的な支えとなるものに、壊滅的な影響が及んだ。しかし、デジタル改革を推進するウイルスの力をあえて止めずにその役割をまっとうさせるなら、進化と順応の新たな混合状態から勝者が台頭するのを後押しすることになる。

テクノロジーはこれまで、人間味のない冷たいものだとみなされることが多かった。しかし今、我々は、非接触型ショッピングのためにロボットと仲良くならなければならない。今回のGillmor Gang動画の冒頭でFrank Radice(フランク・ラディス)が、トランプ政権が政治的な目的のためにワシントン記念塔という米国のシンボルを乗っ取ったことに驚いていた。しかし終盤では、今とは違う結果になるかもしれないと、希望を持っている様子だった。我々は今、自分の意見を発信するためにさまざまな方法を活用できる時代に生きている。フェイクニュースや抑圧に負けずに、花火で自分の名前を宣伝するという方法もある。「抑えるのはウイルス、投票ではない」。これが我々のプラットフォームだ。

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Gillmor Gang出演者:Frank Radice(フランク・ラディス)、Michael Markman(マイケル・マークマン)、Keith Teare(キース・ティアー)、Denis Pombriant(デニス・ポンブリアント)、Brent Leary(ブレント・レアリ―)、Steve Gillmor(スティーブ・ギルモア)。2020年8月28日(金)にライブ撮影。

制作・監督:Tina Chase Gillmor(ティナ・チェース・ギルモア)@tinagillmor

@fradice、@mickeleh、@denispombriant、@kteare、@brentleary、@stevegillmor、@gillmorgang

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(翻訳:Dragonfly)