移動するだけでお得なポイントゲット、環境に優しい方法ならさらに倍々なアプリ「Miles」が日本上陸

米国シリコンバレー発のアプリ「Miles(マイルズ)」が本日、日本でもローンチされた。2019年に米国でサービスが正式にスタート、現在、140万人以上がアプリに登録したという「Miles」は、1マイル(1.609km)の移動に対して1マイルのポイントを貯めるサービスだ。

「Miles」の特徴として、移動手段で貯まり方に違いがあるという点がある。徒歩やランニングは10倍、自転車は5倍、バス・電車・スキーは3倍と、環境に優しい方法ほどよりより多くポイントが貯まる(ちなみにクルマの相乗りは2倍、クルマは1倍、飛行機は0.1倍)。ユーザーの移動手段はスマホのデータに基づきAIが自動で判定する。

貯まったマイルはギフトカードや割引クーポン(ファミリーマートやJALグループのアンカーやGarminでのプレゼントや割引。Amazonギフトカードへの交換など)や各種サービスの抽選(DAZNの6カ月ギフトコードなど)、そして寄付(森林保護や日本赤十字社などへ)として使うことができる。本稿執筆時で108も用意されている。

また、今後、一定期間内に「徒歩」「ランニング」「自転車」のいずれかで移動を一定距離移動した人を対象に特典を提供するイベントなども予定しているとのこと。さらに自治体と連携、渋谷区の清掃活動参加者にボーナスを付与する取り組みなども行うとのことだ。

新型コロナの流行による緊急事態宣言も解除され、十分な注意は必要であるものの外出しやすくなってきた。リモートワークになり、通勤の機会は少なくなったものの健康のためウォーキングをする人も増えている。「Miles」はその都度アプリで設定しなくても、インストール、登録さえしていれば、スマホを持って移動するだけでマイルを貯めることができるのはうれしい(バックグラウンドでの更新をオンにしている場合)。知らず知らずのうちに貯まることになる。

また、「Miles」はいつ、どこに、どのように行ったのか、トラッカーとしても使うことができる。

アプリはiOSAndroidともに配信中。誰でも無料で利用できる。

Birdスクーターが危険な歩道走行を正確に検知し、ゆっくり停止させる新機能を発表

共有型マイクロモビリティを運営するBird(バード)は、スクーターのADAS(先進運転支援システム)化に乗り出した。Birdは、3年間の研究を経て、スクーターの歩道走行を検知し、ゆっくりと停止させることができる新技術を発表した。

この新技術は、現在、ミルウォーキーとサンディエゴで数百台のスクーターに搭載して試験的に運用されており、2022年初頭にはマドリッド、さらに数カ月後には世界の他の都市にも導入される予定だ。Birdのチーフ・ビークル・オフィサーであるScott Rushforth(スコット・ラッシュフォース)氏は、すべての新車にこの技術が搭載されることになり、現在から2022年初めにかけて「数万台から数十万台」の歩道検知機能付き車両が製造ラインから出荷されるだろうと述べている。

この新機能は、世界中の都市で最も不愉快で危険な、共有型マイクロモビリティの問題を解決するために設計されたもので、無線半導体や高精度測位モジュールを製造するスイスのu-blox(ユーブロックス)との提携により実現した。Birdによると、両社は共同でu-bloxのZED-F9Rモジュールの独自バージョンを開発し、特に共有型マイクロモビリティ業界のニーズに合わせて調整が施されたという。

ラッシュフォース氏はTechCrunchの取材に対し「このモジュールはGPSセンサーからの入力情報を用います。またデュアルバンドのGPSセンサーを使用しているため、GPSの中でも最も優れた性能を誇ります。その上に加えたのがRTKと呼ばれるシステムで、これはリアルタイムキネマティクス(real-time kinematics)の略です。さらにその上に、センサーフュージョンを用いたシステムを追加しました。このシステムは、車輪の移動距離やスクーターが傾いている角度など、車両自体からのデータだけでなく、これらすべてのデータを取得し、GPSの位置情報と融合させることで、GPS信号がうまく機能しない場合でも、車両の位置を極めて正確に把握することができるのです」と語っている。

歩道を走っているライダーは、モバイルアプリケーションと新しい16ビットのカラーディスプレイを介して、違反行為を音声と映像で警告されることとなり、その後スクーターはスロットルを外してスムーズに停止する仕様だ。

Birdは、2019年からさまざまな歩道検知技術を検討してきたというが、それは決してBirdだけではなかった。マイクロモビリティのライダーアシスタンスシステムの世界では、2つのグループがあるようだ。1つ目のグループは、超精密な測位とセンサーフュージョンに頼って、悪質な乗車行動を検出し、それをリアルタイムで修正する技術に頼るグループだ。Superpedestrian(スーパーペデストリアン)は最近Navmatic(ナブマティック)を買収し、同社の代表的なソフトウェアを同様の方法で活用している。

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もう一方のグループでは、Spin(スピン)Voi(ボイ)、そして最近ではHelbiz(ヘルビズ)などが、Drover AI(ドローバーAI)やLuna(ルナ)などのスタートアップと協力して、歩道や自転車レーン、歩行者などを検知するカメラを搭載している。

コンピュータビジョン企業は、位置情報を利用したスクーターのADASは、都市の峡谷や地下駐車場のようなGPSのない場所では役に立たないとしばしば主張してきたが、ラッシュフォース氏はその主張に反対している。同氏によると、u-bloxのモジュールは進化したデッドレコニング(推測航法)機能を搭載しているという。これは、基本的には以前にとらえた位置を使用して移動体の現在の位置を計算するプロセスだ。GPSが出発点となる可能性が高いため、車両が衛星の受信を完全に失った場合でも、他のセンサーに頼って、どの方向にどれだけ進んだかを判断することができる。

Birdによると、このモジュールは、車輪の速度、加速度、空間的な方向性、運動学などのデータを処理し、それらを融合することで「恐ろしいほど正確な」位置情報とセンチメートルレベルのマッピングを導き出すそうだ。これらの情報は、車両の回路基板を経由して、同社独自のOSであるBird OSに送られ、Bird OSがデータをどう扱うかを判断する。

これにより、Birdの車両は、市が定めたエリア内に正確に留まることができるだけでなく、高い位置精度を持つことで、関連するさまざまな他の機能にも対応することができる。

「もし、このような追加技術なしで、GPSだけでエリアにいると、駐車場の外にいるのに、車両はその中にいると認識してしまうかもしれません。だからこそ、このように高い精度が得られれば、駐車場での体験が確実に向上するはずです」とラッシュフォース氏はいう。

また、マイクロモビリティ企業の最大のコストの1つであるオペレーションも、車両の位置を正確に把握することで、ゴミ箱の後ろに隠れているかもしれない車両を探す時間や、GPSでは北西に位置しているのに実際には南西の角に位置しているかもしれない車両を探す時間を削減することができ、大きなメリットを得ることができるだろう。

「車両の位置を正確に把握することで、我々のビジネス全体が測定可能な形で改善されると言っても過言ではありません」とラッシュフォース氏は語る。

Birdによると、カメラを使ったものやウルトラワイドバンド(無線技術の一種で、短距離・広帯域の無線通信を行う)など、いくつかのソリューションも検討したが、拡張性の点でこのソリューションが最適であると判断したという。

ラッシュフォース氏は「これで、あまり訓練をしなくても済むソリューションができました。バックエンド側で歩道の位置データを表示するだけで、すぐに拡張することができ、1台あたり10~12ドル(約1100〜1300円)程度の追加費用で済みます」。と語る。

一方、カメラを使ったソリューションでは、ハードウェアとサービスのコストが車両1台あたり約200ドル(約2万2000円)になり、時間の経過とともに1台あたり80ドル(約9000円)まで落とせる可能性はあるが、利益を上げる方法をまだ見いだせていないビジネスにとっては、かなりの金額だ。

「もし私が未来を読める水晶玉を持っているとしたら、今後24カ月の間に誰もがこの方法を真似するだろうというと思いますよ。費用対効果を考えれば、これしかありませんから」とラッシュフォード氏は語っている。

画像クレジット:Bird

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】プライバシーを侵害しないモビリティデータの共有

近年、米国の各都市では、歩道に電動スクーターや自転車が並んでいるのがよく見られるようになった。

電動スクーターの市場規模は、2025年には400億ドル(約4兆4500億円)を超えると予想されており、米国人は2010年以降、3億4200万回以上もシェアサイクルや電動スクーターで移動している。

マイクロモビリティサービスは、潜在的に機密性の高いユーザーの正確な位置情報を含む大量のモビリティデータを生成する。モビリティサービスから得られるデータは、交通政策やインフラ政策の指針となる貴重でタイムリーな情報を提供するが、企業間や政府機関との間で機密性の高いモビリティデータを共有するには、まずプライバシーや社会的信用の問題が解決されなければ正当化することはできない。

革新的なモビリティオプションは、交通機関の隙間の移動に関するラストマイル交通問題を解決する機会を都市に提供しており、これらのサービスから得られるデータはさまざまな生産的な用途がある。

これらのサービスから得られるデータは、都市計画者が利用者の安全を確保するために、保護された自転車レーンなどの交通改善を設計するのに役立つ。また、モビリティデータにアクセスすることで、地域の支援者や政府関係者は、特定の地域にどれだけのモビリティデバイスがあるかをほぼリアルタイムで知ることができ、その地域が過密状態やサービス不足にならないように制限を設けることができる。また、これらのデータは、企業と市政府間のコミュニケーションを効率化し、モビリティサービスが都市のイベントや緊急事態に迅速に対応することを可能にする。

しかし、デジタル化されたモビリティサービスが収集し、政府との共有を要求できるデータの粒度と量については、プライバシーに関する確かな懸念がある。

例えば、ロサンゼルス市交通局とロサンゼルス市を相手取った最近の訴訟では、市がMobility Data Specificationを通じて電動スクーターの走行データを収集していることが、米国憲法修正第4条とカリフォルニア州電子通信プライバシー法に違反していると主張している。下級裁判所はこの訴訟を棄却したが、電子フロンティア財団と北カリフォルニアおよび南カリフォルニアのアメリカ自由人権協会(ACLU)は最近、連邦控訴裁判所にこの訴訟の復活を求めている。

さらに、最近カリフォルニア州議会に提出された法案では、モビリティデータを公的機関や契約者と共有する前に、特定の条件を満たすことが求められている。この法案では、データを共有できるのは、交通計画を支援するため、または利用者の安全を守るために限られている。また、この法案では、共有できる移動データは24時間以上経ったものでなければならないとしている。

ほぼリアルタイムの位置情報データは、安全性や規制強化の目的を果たすために必要とされることが多いが、このデータは個人の生活の親密な部分を明らかにする可能性があるため、非常にセンシティブなものである。位置情報データのパターンは、個人の習慣、対人関係、宗教上の慣習などを示す可能性があるからだ。

特定の個人やデバイスに関連付けられた位置情報データを「非識別化」することが可能な場合もあるが、正確な位置情報の履歴を持つデータセットを完全に匿名化することは非常に困難だ。大人数のパターンを高度に集約した位置情報データであっても、意図せずにセンシティブな情報が漏えいする可能性はある。

2017年には、フィットネスアプリ「Strava」のユーザーの動きを示す「グローバルヒートマップ」によって、機密扱いの場所に配置されている軍人の位置情報が誤って公開された。位置情報データは、たとえ非識別化または集計されたものであっても、データが保護され、非公開であることを保証するために、チェックとコントロールの対象であるべきだ。

地方自治体やモビリティ企業は、ユーザーのプライバシーに関するこうした問題に真剣に取り組んでいる。この数カ月間、Future of Privacy Forumは米国自動車技術者協会(SAE)のMobility Data Collaborativeや官民の関係者と協力して、プライバシーに配慮した方法でモビリティデータを共有したいと考えている組織が考慮すべき点に焦点を当てた、交通機関に合わせたプライバシー評価ツールを作成した。

モビリティデータ共有アセスメント(MDSA)は、官民を問わず、組織がデータ共有のプロセスにおいて、慎重かつ綿密な法律とプライバシーの検討を行うための運用ガイダンスを提供する。このツールを使ってモビリティデータを共有する組織は、モビリティデータ共有契約の設計に、プライバシーと公平性への配慮を組み込むことができる。

MDSAの目的は、個人のプライバシーを保護し、地域社会の利益と公平性を尊重し、一般市民への透明性を促進する責任あるデータ共有を可能にすることだ。オープンソースで、相互運用性があり、カスタマイズ可能で、ガイダンスを含む自主的なフレームワークを組織に提供することで、モビリティデータの共有に対する障壁を減らすことができる。

これはMDSAツールの最初のバージョンであり、特に地上のモビリティデバイスと位置情報に焦点を当てている。電動スクーターなどのモビリティ・ビークルには車載カメラが搭載されていて、将来的には、MDSAがモビリティデバイスによって集められたイメージやビデオについてのガイダンスを追加することも可能だ。

MDSAツールはオープンソースでカスタマイズ可能なので、この種のモビリティデータを共有する組織は、画像を含むセンサーやカメラのデータを共有する際のリスクとメリットを考慮して編集することができる。

マイクロモビリティサービスは、仕事、食料、医療へのアクセスを向上させる上で重要な役割を果たす。しかし、企業や政府機関がモビリティデータを他の組織と共有する際には、共有するデータの精度、即時性、種類など、考慮すべき複数の要素がある。企業は、バイアスの可能性を考慮した上で、これらの要素を、慎重かつ構造的に評価しなければならない。

それが、都市をより安全かつ迅速に移動できるよう、短期的にはサービスのメリットを最大化し、長期的にはインフラを構築する、モビリティデータの活用の鍵となる。

編集部注:執筆者のChelsey Colbert(チェルシー・コルベール)氏はFuture of Privacy Forum(FPF)のポリシーカウンセル。自動運転車、ライドシェアリング、マイクロモビリティ、ドローン、配送ロボット、モビリティデータ共有などを含むモビリティと位置情報に関するFPFのポートフォリオを担当している。

画像クレジット:Anna Lukina / Getty Images

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(文:Chelsey Colbert、翻訳:Yuta Kaminishi)

グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化

Instagramがアプリを利用する未成年者の保護の強化を展開して数週間経過し、Google(グーグル)もGoogle検索、YouTube、YouTube Kids、Google Assistantなどのサービスにも同様の措置を講じることとなった。同社は米国時間8月10日、オンライン上の若年層を非公開にして保護された状態を維持できるようにサービスおよびポリシーを変更すると発表。広告ターゲットを制限する変更も行う。

関連記事:Instagramが10代ユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に、広告や望まない大人からの接触を制限

Googleのサービスは1つのアプリに限定されるものではないので、Instagramの発表よりもさらに広範囲で、同社のサービス全体にわたる変更になる。

米国議会は、Googleをはじめとするハイテク企業に対し、企業のサービスが未成年者に与える悪影響を排除するよう圧力をかけてきたが、Googleは、法律で要請される以上の変更を行うという。

Googleの広報担当者は、TechCrunchの取材に対し次のように話す。「今後の規制に対応するアップデートもありますが、私たちはGoogleとYouTubeを利用するティーンエイジャーを保護するために、法律が要請する以上のことを行ってきました」「これらの変更の多くは、現在および今後発生し得る単体の規制を超えるものです。私たちは、世界中の子どもたちやティーンエイジャーに向けて、一貫性のあるエクスペリエンスとユーザーコントロールを提供する方法を検討しています」。

つまり、Googleは、現状に対応するだけでなく、業界の将来を考慮したアップデートを行うというのだ。

YouTubeでは、13~17歳のユーザーを対象に、デフォルトのアップロード設定を、最も限定的なものに「徐々に」変更していくという。これにより、動画の公開範囲は、一般ユーザーではなく、ユーザー本人と、本人が直接共有する相手に限定されることになる。アップロード設定を「公開」に変更することは可能だが、その際には明確かつはっきりとした意思を持つ選択が必要だ。Googleはこの場合、YouTubeに、自分のビデオの公開範囲を示すリマインダーを設置するとしている。なお、今回の変更はYouTubeの新規アップロードにのみ適用され、現在公開されている動画を遡って非公開にする予定はないとのこと。

また、YouTubeは、13~17歳のすべてのユーザーに対して「休憩」と「おやすみ」のリマインダーをデフォルトで有効にし、自動再生を無効にする。繰り返しになるが、これらの変更は、デフォルトの設定に関するものであり、ユーザーはDigital Wellbeing(デジタルの健全な利用)機能を無効にすることができる。

YouTubeの子ども向けプラットフォーム「YouTube Kids」には、自動再生オプションが追加される。このオプションはデフォルトでは無効になっており、子どもに自動再生機能を使わせるかどうかは保護者の判断になる。この変更は、子どもの安全支援団体や一部の国会議員による、アルゴリズムを使った機能に問題があるという指摘に対応し、選択を保護者の判断に任せるというものだ。保護者はデフォルトの選択をロックすることもできるようになる。

YouTube Kidsからは「過度に商業的なコンテンツ」も削除される。これは長らく「YouTubeは子どもたちによる消費(正確には、親にお金を使わせてくれと頼むこと)を助長している」と主張してきた消費者保護団体や子どもの専門家からの圧力が高まったことを受けた措置である。

許容できるコンテンツと「過度に商業的な」コンテンツの線引きは明確ではないが、例えば人気のある「開封の儀」動画のような、商品のパッケージに焦点を当てた動画は削除するとしている。この変更は、YouTubeで子ども向けの動画を制作している大手クリエーターの中でも、非常に高額な収入を得ているRyan’s Toy Review(ライアンズ・ワールドのおもちゃレビュー)のようなクリエーターに影響を与える可能性がある。同社は商品パッケージの他にも「視聴者に商品の購入を煽る」コンテンツや「商品の過剰な収集や消費に焦点を当てたコンテンツ」の削除も検討するとしている。

画像クレジット:YouTube

YouTube以外でも、未成年者を対象とする変更が展開される。

今後数週間のうちに、Googleは、18歳未満のユーザーまたは保護者が、Google画像検索の検索結果から自分の画像の削除を要請できるようにする新しいポリシーを導入する。これは、欧州ですでに実施されている「忘れられる権利」のプライバシーポリシーを拡張するもので、子どもとティーンエイジャーを守る新しいサービスと制御方法が全世界で展開されることになる。

また、18歳未満のユーザーアカウントについても、さまざまな調整を行う。

YouTubeの変更に加えて、Googleファミリーリンクで管理している13歳未満のすべてのユーザーに対してセーフサーチフィルタリングをデフォルトで有効にして、アダルトコンテンツへのアクセスを制限する。また、18歳未満のすべてのユーザーに対してセーフサーチを有効にし、新たにアカウントを作成するティーンエイジャーにもセーフサーチをデフォルトで適用する。Googleアシスタントでは、スマートスクリーンやウェブブラウザなどの共有デバイスで、セーフサーチの保護機能がデフォルトで有効になる。先の発表のとおり、Google Workspace for Educationを使用している学校の設定でも、セーフサーチがデフォルトになり、ゲストモードやシークレットモードのウェブブラウジングへの切り替えもデフォルトで無効になる。

位置情報の履歴はすべてのGoogleアカウントでデフォルトで無効になっているが、今後は管理対象のアカウントを利用している子どもたちについて、位置情報の履歴を有効にすることはできなくなる。この変更は全世界の18歳未満のユーザーに適用される。法的に成人するまで位置情報を有効にすることはできない、ということだ。

また、Google Playでは、アプリがファミリーポリシーに従っているかどうかを保護者に知らせるセクションが新設され、アプリ開発者は、自分のアプリがどのようにデータを収集・利用しているかを開示することが必要になる。これらの機能は、Apple(アップル)の「App Storeのプライバシーラベル」に一部ヒントを得たもので、すでにAndroid開発者向けに詳細が発表されている

Googleのペアレンタルコントロールツールも拡充される。ファミリーリンクを利用している保護者は、アシスタント機能を搭載したスマートデバイスで、ニュース、ポッドキャスト、ウェブページへのアクセスをフィルタリングしたり、ブロックしたりすることができるようになる。

広告主にとっても重要な変更がある。

Googleによると、年齢制限のある広告カテゴリーがティーンエイジャーに表示されないようにするための保護機能を拡充し、18歳未満のユーザーに対しては、年齢、性別、興味や関心などの要素に基づく広告ターゲティングをブロックするという。ティーンエイジャーや子どもをターゲットにする際に「興味や関心」のデータを利用しないという点は、Instagramが導入した広告の変更に似ているが、Instagramは年齢や性別によるターゲティングを許可している。Googleは年齢や性別によるターゲティングを許可しないことになり、この変更は「今後数カ月のうちに」全世界に展開されるとのことだ。

GoogleとYouTubeにおけるすべての変更は、今後数週間~数カ月の間に全世界で展開される予定である。

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米国政府がグーグルに要求した令状の4分の1がジオフェンスに関するもの
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画像クレジット:Nicolas Economou / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

米国政府がグーグルに要求した令状の4分の1がジオフェンスに関するもの

Google(グーグル)が初めて、これまでに当局から受け取ったジオフェンス令状の数を公表し、以前から議論が多いこの令状の発行頻度などがわかるようになった。

その数字は米国時間8月19日に公表され、Googleが2018年以降の各四半期に数千件のジオフェンス令状を受け取ったことを明かしている。それは、Googleが受け取る米国の令状の約1/4を占めることもある。そのデータによると、ジオフェンス令状の大半は地方や州の当局が入手しており、国の法執行機関はこのテクノロジー大手が従ったすべてのジオフェンス令状のわずか4%を占めるにすぎない。

データによると、Googleは2018年に982件のジオフェンス令状、2019年には8396件、2020年には1万1554件を受け取った。しかしこれらの数字は受け取った令状の総数をざっと示すだけで、個々の要求の詳細はなく、またあまりにも広範な要求を断った例についても記述がない。Googleの広報担当は、この件についてコメントしなかった。

数十にも及ぶ人権団体がこの数字の公表をロビー活動によって求め、その活動のまとめ役だったSurveillance Technology Oversight Project(STOP)の事務局長Albert Fox Cahn(アルバート・フォックス・カーン)氏は、Googleが数字を公表したことを称賛している。

カーン氏は「ジオフェンス令状はその適用範囲の広さが憲法違反に相当し、侵害的であり、私たちとしてはそれが完全に違法と見なされる日まで活動を続けたい」と述べている。

ジオフェンス令状は、犯罪が行われたときに現場近くにいて関心を持っていた人びとを探そうとするので「リバースロケーション」令状(reverse-location warrants)とも呼ばれる。逮捕状などと同じく警察は、裁判所にGoogleにリバースロケーショを命じることを求める。Googleにはその広告事業の運用のために膨大な量の位置データがあり、令状に従って、ある地点から半径数百フィート以内にいた人の情報を警察に渡して、容疑者候補の特定を助ける。

Googleは長いアダ、これらの数字の公開を避けてきた。その理由の一端は、ジオフェンス令状がGoogleだけの案件であるためだ。法執行機関は以前からGoogleのSensorvaultと呼ばれるデータベースにユーザーの大量の位置データがあることを知っており、The The New York Timesが2019年にそのことを初めて明かしている

Sensorvaultには世界中の少なくとも数億台のデバイスの詳細な位置データがあると言われており、それらは、ユーザーがAndroidデバイスを使っていて位置データを有効にしている場合に収集される。あるいはGoogleマップやGoogleフォトといったGoogleのサービスを使っていてもよい。Google検索の結果ページでもOKだ。2018年のAssociated Press(AP)の報道では、ユーザーが自分の位置履歴を「停止」にしていても、Googleはそのユーザーの位置を取得できる。

しかし批評家たちは、当局はGoogleに、同じ地理的領域内にいる者全員のデータを渡すよう強要するから、ジオフェンス令状は憲法違反と主張してきた。

しかも、その令状によって完全に罪のない人でも罠にかけてしまうからだ。

TechCrunchは2021年初めに、ミネアポリス警察がジオフェンス令状を使って、2020年警察がGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏を殺害したときに騒動を起こした人物を特定しようとしたと報じた。現場で撮影し抗議活動を記録しようとしていた1人が、暴力に近い場所にいたとして警察に位置データを要求された。NBC Newsの報道によると、フロリダ州ゲインズビルの住民が、その情報を住居侵入事件を捜査していた警察にGoogleによって渡されていたが、その時間にはフィットネスをしていたことがスマホに残っていたため無罪を証明できた。

関連記事:ミネアポリス警察がGoogleにジョージ・フロイド氏抗議行動者特定のため個人データを要求

裁判所はまだ、ジオフェンス令状の合法性について広く審議していないが、一部の州はそれを禁ずる州法を準備している。ニューヨーク州の州議が2020年、ジオフェンス令状を禁止する法案を提出した。それは、ミネアポリスであったように、警察が抗議活動への参加者をターゲットにするためにそれを利用するかもしれないという危惧からだ。

そのときの法案作成を手伝ったカーン氏は、今回公表されたデータにより「この技術を違法化しようとする議員たちの動きが活発になるだろう」と述べている。

「はっきりさせておきたい。ジオフェンス令状の数はゼロ件であるべきなのだ」と彼は言っている。

関連記事:ミネアポリス警察がGoogleにジョージ・フロイド氏抗議行動者特定のため個人データを要求

画像クレジット:TechCrunch/file photo

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「オルタナティブデータ」とは何か?KDDIらデータ分析のキーパーソンが語る金融業界における位置情報活用

金融業界ではこれまで、財務情報や経済統計といったデータを元に経済分析を行ってきた。そして現在、位置情報やクレジットカード情報といったオルタナティブデータを活用する動きも出てきている。オルタナティブデータの可能性はどこにあるだろうか。クロスロケーションズ代表取締役小尾一介氏、ナウキャスト代表取締役CEO辻中仁士氏、KDDIパーソナル事業本部サービス統括本部データマネジメント部データ戦略Gグループリーダー杉本将之氏、KDDIパーソナル事業本部サービス統括本部データマネジメント部データ戦略G課長補佐瀧本祐介氏が、データ活用場面の効果と課題、国内のオルタナティブデータの市場と今後の展開についてディスカッションを行った。モデレーターは技研商事インターナショナル執行役員マーケティング部部長市川史祥氏。

本記事は位置情報DXカンファレンス 2021July中のセッションを編集・再構成したものとなる。

オルタナティブデータとは?

オルタナティブデータとは、位置情報、決済情報、POSデータ、クレジットカードデータ、ニューステキスト、衛生画像など、多様なデータを指す。

ビッグデータを活用したデータ分析サービスを提供するナウキャストの辻中氏は「オルタナティブデータは多様です。だからこそ、お客様からの要望は『この種類のデータが欲しい』という形ではなく、『こういうことを知りたい』という形で出てきます。その要望に合わせて提供するデータを特定することが、現状のオルタナティブデータ活用の1つの形です」と話す。

オルタナティブデータの活用例として、辻中氏は「高齢者のコロナワクチン接種によって消費が回復したのか?」という問いを提示した。

辻中氏が使用したクレジットカードの決済データによると、高齢者を中心に百貨店、アパレルの消費が回復している。しかし、これには注意点がある。コロナワクチン接種の状況、進捗には地域差があり「高齢者を中心に百貨店、アパレルの消費が回復している」と決済データから読み取ることができても、それだけではコロナワクチンの接種が回復に影響しているのかどうか結論を出すことができないのだ。この場合、位置情報を組み合わせることで、より精度の高い結論を出すことができる。

ナウキャストでは、KDDIが提供する位置情報データを分析した。そこからわかったのは、東京駅、銀座駅、梅田駅を比較すると、60代以上の人の外出がその他世代よりも多く、特に梅田駅でその傾向が強いことだった。

辻中氏は「これはおそらく5月後半まで大阪エリアでコロナウイルスの感染者が多かったものの、6月以降感染が落ち着き、『外に出よう』という動きが他のエリアより大きく出たと考えることができます。こうした分析はクレジットカードの決済情報や、他のオルタナティブデータではなかなかできません。この場合は位置情報が重要だったわけです」と語った。

オルタナティブデータの具体的な使い方

ここモデレーターの市川氏は「オルタナティブデータ活用のその他の具体的ユースケースはありますでしょうか?」と質問した。

小尾氏は、自身が所属するクロスロケーションズがニッセイ基礎研究所と共同で開発した「オフィス出社率指数」を例に挙げた。これは、位置情報のAI解析データを使って開発したもので、東京のオフィスエリアをいくつかに分け、それぞれのエリアの出社率を分析するものだ。オフィスワーカーの出社状況を把握することで、オフィスの賃貸やオフィス建設に関わる業種の企業に有用なデータを得ることができる。また、オフィスワーカーをターゲットにした飲食業やコンビニ業界も活用できる可能性がある。

小尾氏はもう1例挙げた。あるヘッジファンドがクロスロケーションズが提供するLocation AI Platformを導入して2万拠点以上の上場企業の店舗や工場、オフィスなどを登録し、稼働や売り上げの状況を推測したのだ。

「今後は天気や決済情報などと掛け合わせて検証することで有益な情報が得られるだろうと考えております」と小尾氏は語った。

KDDIの杉本氏は「オルタナティブデータの活用と言っても、クライアントのニーズはさまざまです。クライアントに依頼された種類のデータを提供し、クライアント自身がデータのメンテナンスを行う場合もありますが、それもそれでクライアントにとっては負担になることもあります。また、データを扱う知見がクライアントにない場合もあります。『分析の結果だけ知りたい』というニーズもあります。クライアントに合わせて情報を提供することが重要ですね」という。

同じくKDDIの瀧本氏も「海外のヘッジファンドなどで『自社でデータ加工できるので、生データをください』と言われることもありますし、オルタナティブデータ活用というと、このイメージが強いと思います。ですが、そうでないお客様もいらっしゃいます。実はマーケットのボリュームゾーンにいらっしゃるお客様は加工済みのデータを必要としています。『どう加工するのか』は非常に重要なことです。この加工プロセスには匿名処理も含まれます。市場の予測精度を落とさず統計化することが肝要ですね」と話した。

大切なのは「データの組み合わせ」

市川氏は次に「オルタナティブデータにおける位置情報の課題は何でしょうか?」と質問した。

辻中氏は「やはりデータの組み合わせですね。例えば、百貨店に人が集まっていても、それが売り上げに繋がっているとは限りません。ウィンドウショッピングをしにきた人がたくさんいるだけかもしれません。これはクレジットカードの決済データを見れば答えがわかるでしょう。また、POSデータを見ると、来場者がアパレルを買ったのか、口紅を買ったのかが見えてきます。1つのデータで答を出そうとすることには無理があります。同じ事象でも、データによって見えてくるものが異なるので、組み合わせが重要ですね」と回答。

杉本氏は「私も同感です。例えば、位置情報をみて、ある工場の人流が増加したことがわかったとします。景気が良くて稼働が増え、人が増えたのかもしれませんが、機械化が遅れているから人を増やしている可能性もあります。逆に人流が減っている場合、稼働率が下がって人が減っているのか、機械化が進んで人手が減っているのかまではわかりません。同じ結果でも、意味や原因がまったく異なることがあり得ます。なので、データを活用する人自身のデータを組み合わせて読み解く力が重要です」という。

小尾氏は「データの組み合わせは重要ですが、それはつまりデータを持っている他の企業との協業も重要だということです。例えば、位置データを使ってある商圏を分析した時、西からは人が来るけど東からは来ないことがわかった。ですが、『それはなぜか』を分析するには、位置情報だけでは十分ではありません。自分が持っていないデータを持っている企業との連携も重要です」と語った。

辻中氏は「次の問いはデータをどう組み合わせれば良い分析ができるのか」だという。その鍵は2つあるという。

1つは対象の経済活動に関するドメイン知識だ。例えば自動車の生産は労働集約型であり、自動車の生産を増やす場合には人員の1日の交代回数を増やすことになる。そのため、自動車工場の人流が増えている場合は自動車の生産が増えているとみなせる。しかし、化学産業や鉄鋼、コンビナートのようなところでは機械化・装置化が進んでいるため、生産量の増減と人員の増減の関連性が薄い。

「こうなってくると、位置情報をどう使うのか、どんなデータを組み合わせるのかというコンテクストが大きく変わってきます。なので、ドメイン知識が重要になります」と辻中氏。

2つ目に同氏は「データの癖の理解の重要性」を挙げた。例えば携帯電話の基地局ベースデータは粒度が荒いがデータそのものの数が多い。一方GPSベースデータは粒度が細かいがデータそのものの数があまり多く取れない。さらに、GoogleやAppleのプライバシーポリシーの変更の影響も受けやすい。さらに、デパートの中での人の位置を考えた場合、3Dのデータがなければその人が地上にいるのか、地下にいるのか、高い階層にいるのかもわからない。

「こうしたデータ間のインタラクションを考えた時、当社のようなユーザーとデータプロバイダーの間にいる存在が果たす役割が重要になってくるのではないかと思います」と辻中氏今後の位置情報関連企業の重要性を語った。

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屋外広告でも進む位置情報の活用、広告業界はどうなっていく?

デジタルサイネージを利用した屋外広告全般を指す「DOOH(Digital out of Home)」。それが位置情報の活用によって進化しているという。最新のDOOHの動向はどうなっているのか?今後どう変わっていくのか?unerryでBeaconBank事業部ビジネスプロデューサーを努める一枝悟史氏、エムシードゥコーのマーケティング部マーケティングディレクターである渡仲容子氏、博報堂DYアウトドアデジタルプロデュース部兼屋外&エリアプロモーション部プラナーの​​秦雄治氏、データインサイトとヘキメンでデータサイエンティストを努める神谷啓太氏がパネルディスカッション行った。モデレーターは技研商事インターナショナル執行役員マーケティング部部長市川史祥氏。

本記事は位置情報DXカンファレンス 2021July中のセッションを編集・再構成したものとなる。

DOOHと位置情報、現状はどうなっている?

モデレーターの市川氏はまず「位置情報はどう活用されているのでしょうか?」と渡仲氏に質問した。

技研商事インターナショナル執行役員マーケティング部部長市川史祥氏

渡仲氏は「当社の場合、これまでは自社調査や公共データを活用することが中心でしたが、今では位置情報、地図情報を他のデータと組み合わせて使うようにしています」と話す。

例えば、デジタルパネルのプロファイリング。広告主が宇田川町のバス停に広告を出そうか、二子玉川の高島屋前のバス停に広告を出そうか迷っているとする。イメージだけで言えば、前者には20〜30代の若い層が多そうだ。また、後者には30〜40代の年収の高い層が多そうだ。位置情報を使えば、イメージだけに頼るのではなく、実際にどこで誰が広告を見ているのかというデータを含めて顧客に広告を出す場所を提案できる。

エムシードゥコーマーケティング部マーケティングディレクター渡仲容子氏

渡仲氏は「実際、デジタルパネル広告の分布を見てみると、交通量が多かったり、購買力の強い層がいたり、高所得世帯が多かったり、ショッピング客の多いプレミアムな地域ではデジタルパネルが多く設置されています。こうしたエリアのプロファイルは高頻度で変わるものではないので、国税調査や商業データをベースにしたGISを活用することが適していると言えます」と話す。

データを組み合わせれば多様な知見を得ることができる。ショッピングモールに対しては、位置情報を使って来場者の属性データを供給することができ、レジャー施設に対しては、居住地情報を使って来場者がどこから来たのかというデータを渡すことができる。トラフィックデータを活用すれば、広告の周辺の交通量を広告主に知らせたり、広告料金の根拠を示すのに役立つ。

渡仲氏は「いろいろなデータがあるからこそ、データを難しくしないで、お客様にわかりやすいように情報を伝えることが大切です」と強調した。

広告主に説明できなければ、価値を発揮できていない

秦氏は、ある商業施設で行ったPoC(概念検証)の中で発見した位置情報活用の課題を語った。

博報堂DYアウトドアデジタルプロデュース部兼屋外&エリアプロモーション部プラナー秦雄治氏

このPoCでは、広告媒体の接触状況と、広告主店舗への送客効果を調査した。広告媒体付近と送客先の店舗にセンサーを設置し、広告接触者の接触状況や属性などを4週間かけて計測、分析した。

このPoCの結果、この施設の客層などの特徴を数値で裏付けることができたという。また、送客効果も出ており、狙っていたターゲットの来店率が最も高いことも確認できたという。

しかし課題も3つ見つかった。1つ目は精度。取得したデータを見てみると、広告の前に5時間ほど滞在した人がいたのだ。おそらくこれは店員だが、こうした異常値を弾くロジックの必要性が見えてきた。2つ目は計測期間。このPoCでは4週間計測を行ったが、そこから得られた結果がこの4週間に限った特徴なのか、季節的な特徴なのか、通年の特徴なのかを断定することができなかった。定常的なセンシング機器の設置が望ましいということがわかった。3つ目がデータの解釈。PoCを通して気づきを得てインサイトを抽出できても、なぜそういった事象が起きているのかを広告主に説明できなければ、広告代理店の価値を発揮しきれていないことになる。

秦氏は「逆に言えば、これが説明できれば、広告代理店の価値をわかってもらえるということです。これは重要なポイントになりますね」と語った。

これからのOOHはリーチ時間も大切に

神谷氏は、建物の3Dデータを活用し、特定の建物の特定の壁面はどれくらいの人に見られているのかを分析しようとしている。

ヘキメンの神谷啓太氏

「壁面の大きさと角度のデータをメッシュ人口データなどの位置情報と組み合わせれば、どのくらいの範囲でその壁面が見られているのか、そしてその範囲に1日平均何人がいるのかなどを知ることができます」と神谷氏。

現状、こうした分析を屋外広告の分野で活用しようとしているが、太陽光パネルの設置の可能性や有効性を検討したり、SDGsで注目される壁面緑化の可能性と効果を検討することもできるという。

こうした分析で神谷氏が有用だと考えているのがPlateauだ。Plateauは国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトだ。

実際、神谷氏が所属するヘキメンはPlateauを用いて羽田未来開発と鹿島建設とともにPoCを行い、Haneda Innovation cityのどこに壁面広告を設置すると効果的なのかを分析した。

神谷氏は「こうした分析を行えば、時間帯別にどれだけの人が広告を見るのか、広告を見た人のセグメントはどうなっているのか、見た人たちはどこから来たのか、などを知ることができます」と話す。

こうしたデータは広告の価値、つまり広告の収益性や市場価値に直結している。

「非常に単純化した説明にはなりますが、広告の価値の軸には、何人が見ているのかという『リーチ人数』と、どれだけ長く見ているのかという『リーチ時間』の2つがあります。これまでのOOHはどちらかというと掲載場所や滞在人数や見通しなど、リーチ人数重視でした。しかし、デジタルマーケティングやテレビCM、YouTube広告では、『ちゃんと最後まで広告を見たのか』というリーチ時間がむしろ重要視されます。まだ方法はわからないのですが、広告を見る人の移動速度などを含めたリーチ時間を、今後はOOHの世界でも考慮しなければいけないでしょう」と神谷氏は語った。

広告主とメディアのギャップは恐れずに埋める

一枝氏は「当社unerryはデータ分析プラットフォームを提供しており、メディアと広告主両方の支援をしています。現在、両者がデータ活用をどう発展させるのかを活発に議論しています」と現状を語る。

unerryのBeaconBank事業部ビジネスプロデューサー一枝悟史氏

同氏によると、これまでメディアは広告主に媒体接触人数を提示して広告枠を売り切るモデルでビジネスを行っていた。しかし、今ではプロファイリングや効果分析ができるようになり、メディア自身がメディアの理解を深められるようになってきたという。一方で、広告主もOOHや交通広告の戦略が変わってきたという。

同氏は参考としてunerryがジェイアール東日本企画(以下、jeki)と進めた企画を紹介した。これは、電車の中の窓上のサイネージや、改札のステッカーに接触したユーザーにFacebookやInstagram、LINEで広告を配信するというものだ。

「この企画の狙いは、jekiが持つ窓上のサイネージや、改札のステッカーに接触し人にさらに広告をに接触してもらうという訴求です。デジタルを使ってOOHを拡張するような考え方です」と一枝氏。

これは広告のフリークエンシーを高めるという単純なアプローチではあるが、データ活用が進むまでには取れなかったアプローチでもある。

一枝氏は「この方法なら、SNSで接触した人たちの効果、行動、CPA、CPIも見えます。OOHからDOOHへの変革の参考になると思います」という。

しかし、同氏は広告のデジタル化に関し、問題も提起する。

「データの活用が進み、さまざまな広告の効果をトラックできるようになりましたが、広告運用自体はまだ大きく変わっていません。そこでどこまでデジタルに踏み込んでいくのか、悩む企業もあるでしょう。さらに、広告主が求めることと、メディアが提供することにギャップも出てきているかもしれません。そのギャップを恐れずに、埋めていこうとすることが今後の広告で重要になっていくでしょう」と同氏は語った。

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カテゴリー: その他
タグ:DOOH(Digital out of Home)デジタルサイネージ位置情報広告

Geoloniaがオリジナルの地図を作成できる「Geolonia Maps」正式版を開始、1000アクセスまで無料・10万アクセスまで3万円

Geoloniaがオリジナルの地図を作成できる「Geolonia Maps」正式版を開始、1000アクセスまで無料・10万アクセスまで3万円

Geolonia(ジオロニア)は8月5日、地図作成サービス「Geolonia Maps」の正式提供開始を発表した。従来のベータ版からのアップデートを行っており、デザインやインターフェイスの見直しを行い利便性を向上、正式リリースに伴う有料課金機能を新たに搭載した。ユーザーが持つ住所データをアップロードして地図を作成する機能も近日中に提供予定。

利用料金は、1000アクセスまでは無料、10万アクセスまでは3万円。オープンソースコミュニティ向けには地図を無料で提供しており、地図をGitHub Pagesで利用する場合はアクセス数に関わらず無料となる。ライセンスについては、作成した地図は画像としてダウンロードする、印刷して配布するといった再利用が可能。

また、Geolonia Mapsでは利用に際してCookieを取得しておらず、地図上でのユーザーの行動をトラッキングすることはない。

数万件単位の位置情報データを手軽に扱えるダッシュボードを提供

Geolonia Mapsは、オリジナルの地図を自由に作成できるサービス。地図データは、オープン地図サービス「OpenStreetMap」や日本政府が公開するオープンデータを組み合わせて整備することで、低コストで利用上の制約が少ない、自由度の高い地図プラットフォームを実現した。

一般的に、地図で表示する位置情報データはファイルサイズが数百MBから数GB近い大容量ファイルとなる。位置情報データの需要が高まる昨今、今後はさらに多くの位置情報データが流通し、取り扱うファイル容量がさらに膨大になることが予見される。また、地図に位置情報を表示するためには専用のデータベースが必要であり、カスタマイズには高度な専門知識が必要となる。

そこでGeolonia Mapsでは、数万件単位の位置情報データを手軽に扱える「Geolonia Maps ダッシュボード」を提供し、専用データベースを持つことなく地図を作成できるようにした。

Geoloniaがオリジナルの地図を作成できる「Geolonia Maps」正式版を開始、1000アクセスまで無料・10万アクセスまで3万円

Geolonia Maps ダッシュボード

HTMLの編集で自由にカスタマイズ可能、独自開発のAPIを利用することで地図アプリの開発まで行える

地図の基本的なデザインは、HTMLの編集で自由にカスタマイズできるほか、JavaScript APIを利用することで、自社の店舗一覧、お気に入りの飲食店リスト、観光地の見どころスポットなど、テーマに沿った地図をオリジナルのデザインで作成できる。チュートリアルなど利用方法・作成方法に関するドキュメントの公開も行っている。

Geolonia Maps ダッシュボード

地図のカスタマイズ例

Geolonia Mapsの地図表示については、画像を配信するラスタータイル形式ではなく、データ形式で配信するベクトルタイル形式を採用。地図のレンダリングをサーバーではなくクライアントサイドで行うことで、ラスタータイル形式に比べて高速に動作する上、柔軟なデザインカスタマイズが可能という。地図データの分析や加工、表示方法の変更が簡単に行えることから、デザイン性に優れた地図を作成しやすいそうだ。

またアプリケーション開発者は、Geolonia独自開発のAPIを利用し簡単に地図アプリケーションを開発することも可能。緯度・経度情報に対して住所を返す逆ジオコーダーや、不動産に対してIDを発行する「不動産共通ID」、表記揺れの多い日本の住所表記を正規化する住所正規化APIなど、多彩なAPIサービスを利用できる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:オープンデータ(用語)位置情報(用語)ジオコーディング(用語)Geolonia(企業)地図(用語)不動産 / 不動産テック(用語)日本(国・地域)

急成長中の「ポイ活」アプリ、進むビジネスでの位置情報活用

近年、ビジネスにおける位置情報活用が進んでいる。位置情報関連サービスの中で特に成長著しいのが、移動に応じてユーザーがポイントを貯める「ポイ活」関連のサービスだ。スマホアプリ市場でも注目を集めている。地図DXサービスを提供するData InsightでCAOを務める伊達慶明氏は「主要なポイ活アプリのユーザー数は増え続けています」という。同氏がポイ活アプリの市場動向と主要プレイヤーの動きを解説する。

本記事は位置情報DXカンファレンス 2021July中のセッションを編集・再構成したものとなる。

「ポイ活」とは何か?

位置情報を活用したサービスは数多くある。BtoBではGoogleやゼンリンによる地図提供サービス、広告ソリューション、位置情報の分析 / 解析ソリューション、位置情報で顧客を誘導するOMOソリューション、ビーコンを使ってユーザーにプッシュ通知を送るようなIoTソリューションがある。BtoCでは地図サービス、乗り換えをサポートする交通案内サービス、行った場所を記録する記録サービス、IngressやポケモンGOのようなゲーム、チェーン店の位置情報を提供するマッピングサービス、ユーザーの移動に応じてポイントを付与するポイ活サービスがある。

ポイ活サービスは大きく2つに分けることができる。1つ目は「ショッピングのポイント還元を求める活動」。2つ目は「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」だ。伊達氏は今回、後者を中心にポイ活を解説する。

主要ポイ活アプリのMAU(月間アクティブユーザー)の過去2年ほどのCAGR(年平均成長率)は299%と高い

さまざまな種類があるポイ活アプリ

「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」のポイ活アプリだが、さらに2つのパターンに分かれる。「ユーザーに移動してもらうポイ活アプリ」と「ユーザーにデータを提供してもらうポイ活アプリ」だ。

前者は移動した距離に応じてポイントを稼ぐものと、店舗などの特定の場所に行ってポイントを稼ぐものがある。後者はレシートやイラスト用の画像を投稿することでポイントを集めるもの、アンケートに回答してポイントを集めるものなどがある。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリでは、広告動画視聴やヘルスケア情報の利用でマネタイズを行い、店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリは店舗からの送客フィーでマネタイズし、画像を投稿するポイ活アプリではレシートデータやイラスト用写真を企業に売却することでマネタイズを行う。また、アンケート型のポイ活アプリでは回答を企業に売却したり、マーケティングに活用する。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリには、トリマやaruku&がある。ユーザーには30〜50代の男性が多く、アクティブ率が高い傾向にある。休眠ユーザーは30%程度だ。ユーザーは類似のアプリを併用することが多い。

店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリの例は、楽天チェックだ。こちらもユーザーは30〜50代の男性が多い。しかし、移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリに比べ、アクティブ率が低い。

画像を投稿するポイ活アプリには、ONEやCODEがある。ユーザー層の中心は30代女性。アクティブ率は高く、ユーザーは類似アプリを併用する傾向がある。

アンケート型のポイ活アプリの例としてはマクロミルが挙げられる。中心的ユーザーは40代男性と30代女性。アクティブ率が高く、ヘビーユーザーが30%と多い。こちらもユーザーは類似アプリを併用する傾向が強い。

成功に必要な差別化と併用による共存共栄

伊達氏はポイ活アプリの重要成功要因として「ついで感」と「高還元」を挙げる。中でも成功しているのが「トリマ」と「マクロミル」だ。

同氏によると、トリマはポイントが貯まっていることを視覚的に感じられるタンクのデザインが生かされており「移動中にお金を稼げている」という感覚を感じやすくなっているという。さらに、広告動画視聴でもポイントを付与しており、これが高いアクティブに繋がっていると考えている。また、マクロミルはアンケートに回答するたびに10円分のポイントが付与され、高還元になっている。

伊達氏は「ポイ活アプリ市場は一見魅力的ですが、後発参入者はアプリの差別化が必須になります。とはいえポイ活アプリ市場は急成長しており、主要5アプリの直近1年のMAUは計1000万人以上増えています。また、多くの場合、ユーザーはあるアプリをインストールすると同様のアプリはインストールしませんが、ポイ活アプリユーザーは類似のアプリを併用することが多いので、新規参入者にとっても『共存共栄』できる環境です。成功するポイ活アプリを目指すのであれば、先ほど挙げた『ついで感』と『高還元』を重視し、ユーザーがストレスフリーにポイントを集められる仕組みが重要になるでしょう。主要ターゲットは30代、40代なので、それを意識したUI設計も必要です」と分析する。

これからポイ活アプリに参入するには、差別化が重要になるが、具体的には何が差別化要因になり得るのだろうか。伊達氏は「データと地図の組み合わせ」が鍵になると見ている。その根拠は食べログとInstagramだ。

食べログは2020年、アップデートを行い、地図上で飲食店を検索できるようにした。これにより、ポジティブなレビューが増えてきた。一方Instagramはこれまでハッシュタグが主な検索が方法だったが、人気の飲食店などを地図上で検索できるように2021年5月からベータ版が実装された。この機能はまだ一部でしか利用できないが、話題になっている。これからポイ活アプリに参入しようとしている企業は参考にしてみると良いかもしれない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:位置情報地図ポイ活アプリ

iOS版Googleマップがアップデート、iMessageでの位置情報共有など純正マップのライバルに

Googleマップは米国8月3日、iOS版アプリの3つの新機能を発表した。iMessageアプリでの位置情報のライブ共有、ホームスクリーン用の交通ウィジェット、そしてダークモードを追加することになり、GoogleマップはiOSネイティブアプリであるAppleの「マップ」の強力なライバルとなる。

ライブの位置情報共有はGoogleマップではすでに利用可能だ。あなたの位置を示す青色の点をタップすると、あなたの居場所までの予測所要時間、そしてあなたのスマホのバッテリー残量すら特定の友人と共有できる。しかしGoogleマップのiMessageウィジェットでは、会話から離れることなくあなたの居場所を簡単に共有できる。デフォルトでGoogleマップはあなたの居場所を1時間共有するが、最長3時間に拡大することも可能だ。共有をやめたければ、サムネイルにあるストップボタンをタップする。

画像クレジット:Google Maps

Googleマップの既存のiMessageウィジェットでは、ユーザーはiMessageで自身の居場所のGPS座標を送ることができる。しかし友達と待ち合わせする場合、それはライブの位置情報共有ほどに使い勝手はよくない。Appleのマップはすでに似たような機能をiMessageに組み込んでおり、Googleも対抗しようとAppleを真似ている。Googleマップは長い間、優れたナビアプリだと広く考えられていたが、2018年にAppleがマップをゼロから完全に作り直し、より競争力あるものにした。加えて、iOS 15でAppleマップはAR機能、改善された交通機関乗り換え機能、より詳細になったマップなどを展開する

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Googleマップは2019年にWazeのような交通と事故レポートの機能をアプリに追加し、マイカー通勤者にアピールするものにした。Googleマップによると「最もパワフルな機能は周辺のライブの道路混雑状況をチェックできること」だ。いま、最新のGoogleマップアプリを使っているユーザーは、交通ウィジェットをホームスクリーンに加えることができる。このウィジェットでは周辺の交通状況をすばやく表示する。また、ユーザーは自宅、職場、ガソリンスタンドといった頻繁に利用する目的地をセットでき、タップ1回でそうした場所へのナビゲートが可能になる。GoogleマップアプリはAndroidではすでにダークモードを提供しているが、数週間内にiOSユーザーも利用できるようになる。

GoogleマップとAppleのマップは最も優れたナビゲーションアプリになろうと競合していて、Snap Mapでよりソーシャルなエクスペリエンスを構築したSnapchatとは競合しない。Snapchatは米国時間7月28日、Snap Mapに「私の場所」機能を加え、これによりユーザーは周辺の他のユーザーの行動に基づく訪れるべき新スポットを見つけることができる。Snapchatはまた、2021年第2四半期の売上高とデイリーアクティブユーザー数が、過去4年で最も高いレートで成長したと明らかにした。それでも2020年時点のGoogleマップのユーザーは世界中で10億人超だった。

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カテゴリー:ソフトウェア
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画像クレジット:Kanawa_Studio / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

オピオイド依存症治療アプリがユーザーの個人情報をサードパーティーと共有

広く利用されている多数のオピオイド治療回復アプリがユーザーの個人情報にアクセスしサードパーティーと共有していることが、最近の調査で判明した。

新型コロナウイルス感染症パンデミックとその感染を減らすためのさまざまな取り組みの結果、オピオイド依存症治療を提供するテレヘルスサービス(遠隔医療)およびアプリの人気が急増している。依存症治療施設が予算削減や閉鎖に直面する中で、こうしたアプリベースのサービスが台頭しており、その結果、投資家と政府の両者が、拡大する依存症危機に対する対抗手段としてテレヘルスに関心を向けるようになっている。

こうしたサービスにアクセスする人たちは、自分たちの医療データのプライバシーは保護されているのだろうという合理的な期待を持っているかもしれないが、ExpressVPN Digital Security LabがOpioid Policy Institute and the Defensive Labと共同編纂した最新のレポートによると、こうしたアプリの一部はユーザーの機密情報を収集し第三者と共有していることが判明しており、プライバシーとセキュリティ対策が疑問視されている。

このレポートでは、Android上で入手可能な10個のオピオイド依存症治療アプリ(Bicycle Health、Boulder Care、Confidant Health、DynamiCare Health、Kaden Health、Loosid、Pear Reset-O、PursueCare、Sober Grid、Workit Health)について調査している。これらのアプリは少なくとも18万回インストールされており、投資グループと連邦政府から3億ドル(約3300億円)を超える資金を調達している。

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こうしたサービスは膨大な数のユーザーに利用され、なおかつ機密情報を扱うにもかかわらず、このレポートの調査結果によると、大半のアプリがユーザー端末の一意な識別子にアクセスしており、一部のケースでは、そのデータを第三者と共有していたという。

調査対象となった10のアプリのうち、7つがAndroid Advertising ID(AAID、ユーザー生成の識別子で他の情報に紐付けることで識別可能な個人の詳細な情報を提供できる)にアクセスしており、5つのアプリがデバイスの電話番号に、3つのアプリがデバイスの一意なIMEIおよびIMSI番号にアクセスしている(これらの番号を使用して個人のデバイスを一意に識別できる)。さらに、2つのアプリがインストールされたアプリのユーザーリストにアクセスしている(研究者によると、このリストを使用してユーザーの「指紋」に相当するものを作成し、ユーザーの活動を追跡できるという)。

また、調査されたアプリの多くは、何らかの形式の位置情報も取得している。位置情報と一意な識別子を関連付けることで、個々人だけでなく、その人の生活習慣、日常の行い、接触相手などを監視する能力が強化される。上記のアプリでこれらを実現している方法の1つがBluetoothだ。上記のうち7つのアプリがBluetooth接続を確立する許可を求めてくる。研究者によると、これはユーザーの居場所を実世界で追跡するのに使用できるため、特に懸念されるという。

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「Bluetoothはいわゆる接近度追跡を実行できます。例えばあなたが食料品店にいるとき、特定の通路にいる時間とか、他の誰かとの接近度合いなどを認識できます」と、上記の調査を率いたExpressVPN Digital Security Labの主任研究員Sean O’Brien(シーン・オブライエン)氏はTechCrunchに語った。「Bluetoothは私が非常に懸念している領域です」。

もう1つ懸念される重要な点は、これらのアプリでトラッカーSDKが使用されていることだ。オブライエン氏は、最近実施した調査でこの点について警告している。それによると、数百にのぼるAndroidアプリが詳細なユーザー位置情報データをX-Modeに送信していたことが判明したという。X-Modeは位置情報データを米軍の請負業者に販売していたことで知られるデータブローカーで、現在はアップルとグーグルのアプリストアから追放されている。SDK(ソフトウェア開発キット)とは、アプリに含まれているコード開発用ツールセットであり、これによりアプリは位置情報データの収集といった処理を正しく実行できる。SDKは多くの場合、アプリが収集したデータを返送するという条件と引き換えに無償で提供されている。

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多くの開発者がアプリ内にトラッカーが存在していることに気づいてもいないことから、研究者は、トラッカーを使用しているからといって常に悪意があるとは限らないことをしきりに強調しているが、調査対象の10のアプリのうち7つという高い率でトラッカーSDKが見つかっており、データ共有を行っている可能性があることが判明している。中にはユーザーデータの収集と集計専用のSDKもある。つまり、ユーザーデータのトラッキングがコア機能になっているSDKが存在するのだ。

しかし、研究者は回復支援センターまでのナビゲーションを行うアプリもおそらく1日中ユーザーの動きを追跡して、そのデータをアプリの開発者とサードパーティーに返送しているだろうと説明する。

Kaden Healthの場合、Stripe(アプリ内決済サービスに使用する)で、ユーザーのスマートフォンにインストールされているアプリ、スマートフォンの場所、電話番号、キャリア名、AAID、IPアドレス、IMEI、IMSI、およびSIMシリアル番号を読み取ることができる。

「Stripe(ストライプ)のような大手企業がアプリで上記のような情報を直接共有させているのは本当に驚きです。私が心配しているのは、これらの情報は法執行機関にとって極めて有用であるとわかっているからです」とオブライエン氏はいう。「誰が治療を受けたのかという情報を持っている者が最終的に健康保健と就職に関する意思決定にも関与してくるのではないかという点も懸念されます」。

これらのアプリでこうしたデータ共有が慣習的となるに至ったのは、おそらく、患者情報の扱いと公開に関する指針が不明確な米国の環境でこれらのサービスが開発されていることが原因と思われると研究者は指摘しているが、こうした行為は42 CFR Part 2(第42連邦規則集第2巻、依存症の治療に関する患者情報の公開の厳しい制限について規定した法律)に違反する可能性がある、とオブライエン氏はTechCrunchに語った。

ただし、Legal Action Centerの保健プライバシー担当上級専属弁護士Jacqueline Seitz(ジャクリーン・ザイツ)氏によると、この40年前の法律はアプリに対応できるようアップデートされていないという。

「プライバシーの欠如は、依然として、人々がオピオイド依存症の治療に踏み切れない大きな理由の1つとして挙げられています」とザイツ氏はいう。「42 CFR Part 2は物質使用障害治療における機密保持の重要性を認識してはいるものの、アプリにはまったく言及していません。既存のプライバシー法では、現状にまったく対応できていません」。

「テックコミュニティからリーダーシップを発揮する企業が現れて、基本的な標準を確立することが望まれます。テック企業が、極めて機密性の高い情報を収集していることを認識することで、ヘルス危機でプライバシーポリシーが回避される風潮の中、患者が放置されないようになれば良いのですが」とザイツ氏はいう。

上記の調査に参加したOpioid Policy InstituteのディレクターJonathan Stoltman(ジョナサン・ストルトマン)氏によると、こうした慣習が広まったもう1つの理由として考えられるのは、セキュリティとデータプライバシー人員の欠如だという。「病院のウェブサイトを見ると、物理的なセキュリティとデータセキュリティを担当する最高情報責任者、最高プライバシー責任者、最高セキュリティ責任者が配置されています」と同氏は語る。「上記のどのスタートアップにもそうしたポジションは用意されていません」。

「AAIDを収集しておいてプライバシーについて配慮しているなどあり得ません。しかも、こうしたアプリの大半は最初からそうした行為を行っています」とストルトマン氏は付け加えた。

グーグルはExpressVPNの調査結果を認識してはいるが、コメントは控えている。ただし、上記のレポートが公開された時点で、グーグルはすでに、ユーザーが追跡型広告をオフにできるようにするアップルの最近の取り組みに倣って、開発者によるAndroid Advertising IDへのアクセスを制限するための準備を始めていた。

ExpressVPNはこれらのアプリがプライバシー保護要件に違反している可能性があることを患者に認識してもらおうと熱心に取り組んでいるが、依存症治療と回復アプリがオピオイド依存症患者の生活で中心的な役割を果たしている事実も強調している。もし、自身または家族がこれらのいずれかのサービスを使用しており、機密情報が開示されるのは問題であると判断した場合は、米国保健社会福祉省を介して公民権事務所に連絡し、正式な苦情を申し立てていただきたい。

「肝心なことは、これはアプリエコノミー共通の問題であり、テレヘルスもアプリエコノミーに取り込まれようとしているということです。ですから、私達は今、極めて注意深く慎重になる必要があります」とオブライエン氏はいう。「個人情報の開示は必要ですが、ユーザーはそのことを認識した上で、プライバシー保護の向上を求める必要があります」。

依存症からの回復は可能です。お悩みの方は、機密保持治療に関する相談ホットライン(フリーコール1-800-662-HELP)までお電話いただくか、findtreatment.govにアクセスしてください。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:遠隔医療プライバシーAndroidBluetooth位置情報トラッキング

画像クレジット:Rogier Nell / EyeEm / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Dragonfly)

VUの本人確認技術が普及すれば運転免許証や指紋の提示が不要になる

近い将来、人々は自分のアイデンティティを証明するために指紋や運転免許証を提示する必要がなくなるだろう。そう、VUの思い描くとおりに物事が進めば。

アルゼンチンを拠点に詐欺や個人情報保護の対策をてがける同社は、シリーズBラウンドで1200万ドル(約13億2600万円)の資金調達を行ったと、米国時間7月12日に発表した。投資したのはソフトウェア開発企業のGlobant(グロバント)をはじめ、Agrega Partners(アグレガ・パートナーズ)、NXTP Ventures(NXTPベンチャーズ)、Bridge One(ブリッジ・ワン)、IDB Lab(IDBラボ)、Telefónica(テレフォニカ)など。今回の資金調達により、同社が受けた投資総額は2000万ドル(約22億1000万円)になると、Sebastián Stranieri(セバスチャン・ストラニエリ)CEOはTechCrunchに語っている。

過去20年間、サイバーセキュリティ業界で働いてきたストラニエリ氏は、2007年に彼の祖母がアルゼンチン政府に提出する本人確認手続きの手伝いに何時間も費やし、それが実は2分で済むと判明したことをきっかけに、VUのアイデアを思いついた。

「その経験から、摩擦のないデジタル体験の実現に貢献する会社を作りたいと思うようになりました」と、ストラニエリ氏はTechCrunchに語った。

VUの技術は、位置情報、生体認証、ユーザーの行動分析を用いて人の「オンライン上のペルソナ」を作成し、ユーザーに本人確認を提供する。ユーザーのオンラインとオフラインのペルソナを接続して照らし合わせることで、継続的な認証プロセスを可能にし、アルゼンチンやエクアドルなどの政府機関などに、その人が自分でいうとおりの人物であるかどうか、確認する方法を提供している。

VUは、2025年までに330億ドル(約3兆6500万円)を超えるとAdroit Market Research(アドロイト・マーケット・リサーチ)が予想する世界のデジタルアイデンティティ市場で、不正防止や本人確認にテクノロジーを応用しているいくつかのスタートアップ企業の1つだ。同様の技術で最近投資を獲得した企業には、2021年4月に5000万ドル(約55億2000万円)を調達し、評価額が10億ドル(約1105億円)を超えたSift(シフト)や、シリーズDラウンドで1億ドル(約110億5000万円)の資金調達を発表し、評価額が13億ドル(約1436億円)に達したSocure(ソキュア)などがある。

過去3年間で150人以上の従業員を擁するまでに成長したVUは、中南米と欧州で事業を展開している。顧客の中にはSantander(サンタンデール)やPrisma(プリズマ)などの大手企業や、中南米地域の政府機関も含まれる。同社は米国でも初のオフィスをニューヨークに開設しており、今後1年間で人員が4倍以上に増えることを、ストラニエリ氏は期待している。

同社の収益は前年比85%の平均成長率を示しているが、ストラニエリ氏は2021年もこの傾向が続き、2022年には100%の成長率を達成すると予想している。VUはニューヨークの他にマドリッドにもオフィスを開設し、今後はさらにイタリア、フランス、イギリスにもオフィスを開設する予定だ。

そのため、ストラニエリ氏は今回調達した資金を使って、欧州全土と米国で開発者を雇用する予定だという。

GlobantのVUに対する出資は、パートナーシップとしての役割も担うことになる。GlobantはGoogle(グーグル)、Disney(ディズニー)、Apple(アップル)などの企業にソフトウェア開発を提供しているが、VUのデジタル・エクスペリエンスをパッケージ化し、企業が基本ソフトウェアを購入した後にカスタマイズできるようにすることを考えている。VUの技術は今のところ、銀行の本人確認や、小売店のシステムが購入者を認識して確認するワンクリックのeコマースチェックアウトに適している。

「Globantはデジタル・エクスペリエンスを変革しようとしているので、同社がバックアップしてくれるということは、お客様やパートナーに向けて、我々がうまくやっているというすばらしいメッセージになります」と、ストラニエリ氏はいう。「Globantをはじめ、我々のすべての投資家からの支援は、リスクを顧みず、我々に成長する機会を提供してくれます」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

プライバシーに配慮し家族全員は良い信頼関係を築ける位置情報アプリ「Life360」を著名人投資家も支援

家族のためのコミュニケーション / 位置追跡アプリ「Life360(ライフ360)」が、新たな投資ラウンドを発表した。このラウンドでは、Life360の今後の製品の方向性やマーケティングを決定するために、多くの著名な投資家やインフルエンサーを招き、新たに「ファミリー・アドバイザリー・カウンシル(家族諮問委員会)」を設立する。約210万ドル(約2億3000万円)規模となった今回のラウンドは、故Kobe Bryant(コービー・ブライアント)氏とビジネスパートナーのJeff Stibel(ジェフ・スティーベル)氏が共同で設立した会社であるBryant Stibel(ブライアント・スティーベル)が主導し、Vanessa Bryant(ヴァネッサ・ブライアント)氏、Joanna & Chip Gaines(ジョアンナ&チップ・ゲインズ)氏、Tony Hawk(トニー・ホーク)氏、Chris & Jada Paul(クリス&ジェイダ・ポール)氏、TikTok(ティックトック)のインフルエンサーであるBilly Perry(ビリー・ペリー)氏、Nicole & Michael Phelps(ニコル&マイケル・フェルプス)氏が参加した。

Life360は2年前に上場して以来、オーストラリア証券取引所(ASX)で取引されており、今回のラウンドでは、Life360のサービスに注目を集めることもできる新たな出資者を迎え入れることを重視している。同社によると、195カ国以上で毎月2800万人以上のユーザーに利用されているこのアプリは、2021年度の収益が1億1000万米ドル(約121億5000万円)を超える見込みだという。2021年3月の時点で、91万6000世帯がLife360のサービスに月額料金を支払っている。

Life360は、これらのセレブリティ投資家と同社で「ファミリー・アドバイザリー・カウンシル」を設立し、アドバイザー自身の家族の経験を活かすことで、機能開発や将来の方向性、マーケティング戦略の策定に役立てていくと述べている。

Life360はこのアプリを、子どもを監視するヘリコプターのような親だけでなく、すべての家族が使いたいと思えるものにしたいと考えており、家族の懸念に応えるべく努力してきた。実際に、Life360のChris Hulls(クリス・ハルス)CEOは2020年、TikTokに参加して、プライバシーが守られていないという10代の若者たちの不満を聞き、それを元に「Bubbles(バブルズ)」というプライバシーを尊重した機能を開発した。この機能では、正確な場所を示す青い点ではなく、大まかな場所を示す泡が表示される。これによって、10代の若者は彼らが望む自由が感じられるようになると同時に、親と子がより良い信頼関係を築くこともできる。

「企業への投資やアドバイスは、一般的に大人が行うものであり、子どもと一緒に行うものではありません」と、ハルス氏は今回の投資についての声明で述べている。「私たちは、子どもたちと一緒に製品についてアドバイスできるというユニークな機会を作るようにしています。そのような印象的な支援を得られるということは、家族の安全を守るサービスを提供する主要な企業になるという我々の長期的なビジョンを雄弁に物語っています。Life360は、親と子の両方にとって有意義で適切なブランドを作りたいと考えています。だからこそ、投資家のみなさまにも同じ精神で参加していただくのは当然のことなのです」と、同氏は続けている。

「私の情熱の1つは、子どもたちにとって相応しい機会が得られるようにすることです」と、新たに投資家となったヴァネッサ・ブライアント氏(コービーの未亡人)は語っている。「Life360を使えば、親にとっては子どもの送迎や相乗りが容易になる一方で、子どもたちには勉強や遊び、スポーツの練習をする場所が与えられ、家族全員が安全に守られていると感じることができます。10代の子どもが運転している時には、走っている場所や走行速度、電話の使用状況などを知らせる最新ツールが備わっていることで、親として安心感が高まります。娘が運転していても、助手席に乗っていても、クルマの位置や速度を確認できるのが気に入っています」と、彼女は声明で述べている。

位置情報サービスで有名になったLife360は、携帯電話に標準搭載されている「Find My(ファィンド・マイ)」のようなアプリや、携帯電話会社が提供するサービスとの競争の中で、単なる家族追跡ツールにとどまらない地位を確立しようと尽力してきた。現在、Life360の家族向けツールには、安全運転、緊急支援、個人情報保護などの機能が含まれている。

2カ月ほど前、Life360はウェアラブル位置情報機器メーカーのJiobit(ジオビット)を買収し、幼い子どもやペットなど、携帯電話を持たない家族にもトラッキング能力を拡大することを発表した。

同社によれば、この3700万ドル(約40億9000万円)の買収は約30日後に完了する予定であるという。

今回の新たな投資家を迎える前に、Life360は2021年初めにRandi Zuckerberg(ランディ・ザッカーバーグ)氏を取締役に任命し、2020年にはRussell Burke(ラッセル・バーク)氏をCFO(最高財務責任者)、Jonathan Benassaya(ジョナサン・ベナサヤ)氏をCPO(最高個人情報責任者)として経営陣に加え、ビジネスモードと製品提供に注力してきた。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Life360資金調達位置情報家族

画像クレジット:Life360

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ゼンリンCVCと第1号投資先レイ・フロンティアが創る「地図と位置情報データで住み良い街」

カーナビソフトなど地図データで知られるゼンリンは、2021年1月にCVC子会社としてゼンリンフューチャーパートナーズ(ZFP)を設立、4月に25億円規模の第1号ファンドを組成した。5月には投資第1号案件として、位置情報データスタートアップのレイ・フロンティアに出資を決めた。ゼンリンフューチャーパートナーズ代表取締役社長の松下春喜氏、ゼンリンMaaS企画部部長の藤尾秀樹氏、そして第1号出資先レイ・フロンティア代表取締役CEOである田村建士氏に話を伺った。

現在も協業、出資依頼が多いゼンリン

元々、ゼンリンにはベンチャー企業から協業や出資の提案は多く寄せられていた。ゼンリンは、これまでもM&Aや協業・資本提携により事業領域を拡大してきたが、近年の飛躍的な技術革新に対応し、事業領域を拡大していくためには、より広範かつ多岐にわたる分野・業種のベンチャー企業との協業や資本提携が有効であると判断し、迅速な意思決定や投資実行が可能となるようCVC子会社を設立することにした。

ZFPは合計6名のチームで始まり、60社以上のベンチャーの調査を進めている。事業シナジーを活かして、既存事業の成長と新規事業の創出を目指す。MaaS、物流、防災などへの応用の他、AI、量子コンピュータなどの基礎技術分野など、幅広く業界調査を行なって、投資間口を広くとっている。現在投資決定している第2号案件は、リテール業界におけるビッグデータを利用して個人向けプロモーション分析を行っている企業とのことだ。またベンチャーのステージについても、アーリーからレイターまで幅広く出資を検討する方針だという。

個人利用時に感じた技術力の高さがスピード投資を後押し

レイ・フロンティアとは、以前から長崎での観光型MaaS実証実験において連携するなど協業関係にあったが、事業部門からさらなる連携強化のため、同社への出資についても検討して欲しいとZFPに連携があった。連携を受けたZFPでは、事業シナジー効果の検証に加え、DD実施の上、投資の観点からも検証を行い、同社への出資がさらなる連携強化に資するとの結論に至った。

ZFP設立の当初目的とおり、迅速な意思決定がなされ、事業部門から連携を受けた3月初旬から約2カ月後の5月26日には出資が実現した。

レイ・フロンティアには位置情報を数秒単位での位置情報の取得が可能な位置情報収集技術「Silentlog SDK」、AIを活用した行動分析プラットフォーム「Silent Analysis」の技術があり、ゼンリンの自動車用ネットワーク、鉄道路線、駅構内通路、歩行者用ネットワークなど移動に最適化されたデータベース「Mobility based Network」と組み合わせることでMaaS推進を行っていく方針とのこと。すでに長崎での観光型MaaS実証実験においてスマートフォン向けアプリ開発に取り組んでいるという。

ゼンリンMaaS企画部部長の藤尾氏は「実際にレイ・フロンティアのSilentlogを、自分の移動、旅行遍歴などをトラックするのに使っていました。スマホの消費電力が相対的に少なく、いちユーザーとしてもその高い技術力を感じたことも投資決定に活かされています」という。また、レイ・フロンティアの田村氏は「スタートアップ側からすると地図データの収集は骨の折れる業務。ライセンスの問題もありましたが、、今回の投資、提携で事業が進めやすくなりました」と語った。

ゼンリンは「ZENRIN Maps API」も展開しており、データと地図が組み合わさり、技術成長や官民連携を通して、良い街や生活が実現されることを期待している。田村氏も「実際に、三陸鉄道と提携しリアルタイム運行情報をアプリで提供した事例では、通学学生からの電話などでの問い合わせが激減しました。少しずつでもポジティブフィードバックを積み重ねた先に、住み良い生活が待っていると考えています」という。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:ゼンリンレイ・フロンティア投資位置情報日本地図

ポケGOスタイルの「トランスフォーマー」ARゲームをNianticがタカラトミー・Hasbroと開発中、事前登録開始

Niantic(ナイアンティック)は、ポケモントレーナーや魔法使いとして現実の街を歩き回ることを世界中にうながしてきた。次は何か?今度はトランスフォームする時がやってきた。

80年代に大ヒットとした変形ロボット玩具「Transformers(トランスフォーマー)」は、Nianticとのパートナーシップにより、マッピングを多用したジオロケーション中心のゲームを構築する最新のIPとなる。

詳細はまだ完全に明らかになっていないが、現時点でわかっている限りの情報をお伝えする。

  • タイトルは「TRANSFORMERS:Heavy Metal(トランスフォーマー:ヘビーメタル)」。事前登録のページはこちら
  • このゲームは、Hasbro(ハズブロ)、タカラトミー、そしてシアトルが拠点のゲーム開発スタジオ「Very Very Spaceship」とのコラボレーションで制作される。
  • 発表によると、プレイヤーは「ディセプティコンとの戦いで正義のオートボット(サイバトロン)と結束した人間のグループ」である「ガーディアンネットワーク」の一員となり、1人またはフレンドとともにターン制バトルでディセプティコンと戦う。
  • このゲームは、NianticのARプラットフォーム「Lightship Platform」上に構築されている。Lightshipプラットフォームは「Pokémon GO(ポケモンGO)」や「Harry Potter Wizards Unite(ハリー・ポッター:魔法同盟)」、そして現在開発中の「CATAN(カタンの開拓者たち)」などに使われているのと同じエンジンだ。
  • 発売日はいつ?まだ具体的には決まっていないが、近日中に「一部の市場」でソフトローンチし、その後「2021年の後半」に全世界でリリースする予定だという。このような段階的なリリースは、Nianticの典型的なアプローチだ。「ポケモンGO」はまず日本でスタートし「カタン」は2020年ニュージーランドでひっそりとリリースされた。

これまでに公開されたのはコンセプトアートのみだが、ポケモンGOや「魔法同盟」に似たゲーム性を示唆している。特に右側のバトル画面は、ポケモンGOのバトルによく似ている。

画像クレジット:Niantic

今作は、2016年の夏にポケモンGOが成し遂げたように、世界を席巻するだろうか?そうはいかないかもしれない。当時、斬新さと懐かしさが絶妙にブレンドされたポケモンGOは、ちょうどいいタイミングでツボにはまった。しかし「魔法同盟」は発売から2年経った今でも活発に開発が行われているほど多くのユーザーに支持されており、Nianticはマップを中心としたゲームを増やす余地がまだあると考えているようだ。Nianticの担当者は、このゲームが、同社が現在開発中の10本の現実世界タイトルのうちの1つであることに言及し、市場には多くの余地があると考えていることを示唆した。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:NianticポケモンGO位置情報トランスフォーマーAR

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Aya Nakazato)

位置情報関連ソリューション提供のGeoloniaがMedical DOCの「新型コロナワクチンマップ」開発に貢献

GENOVA(ジェノバ)が運営する医療用プラットフォーム「Medical DOC」(メディカルドキュメント)は6月1日、同プラットフォーム上で「新型コロナワクチンマップ」と「自費PCR検査マップ」の提供を開始した。これを技術面で支えているのが、位置情報関連のソリューションを提供するGeolonia(ジオロニア)だ。

「新型コロナワクチンマップ」は、新型コロナのワクチン接種が受けられる医療機関や施設を地図上で探せるサービス。厚生労働省の公開情報や、GENOVAと協力関係にある医療機関から提供された情報に基づく、日本全国約4万件の医療機関や施設の情報が掲載されている。

地図を広域表示にすると、現在地周辺の医療機関や施設の数が市区町村ごとに赤い円の中に示され(クラスター表示)、どこにどれだけの施設があるかが大まかに把握できる。拡大表示にすると、個々の医療機関や施設の名称と位置が表示され、ひとつを選んでクリックすると、その施設の住所や受付時間などの詳しい情報と、接種されるワクチンのメーカー、接種の予約の可否が示される。可能な場合はその場で予約が行える。

また、同時に公開された「自費PCR検査マップ」に切り替えると、PCR検査が受けられる施設の検索が可能になる。こちらは、各施設の住所や受付時間の他、検査方法、検査費用、証明書の発行の可否なども示される。

Geoloniaは、位置情報に関連する技術やソリューションを提供するスタートアップ。「新型コロナワクチンマップ」と「自費PCR検査マップ」では、地図の画像データのベクトルタイル化とホスティング、JavaScriptの開発で協力している。ベクトルタイルとは、地図の画像データを軽量なベクター形式に変換し、小さなタイル状に分割したパケットとしてウェブに送信する技術。データ量が小さくなるため、約4万件分のデータも軽快に表示できるようになった。また、画像が符号化されることからデータ処理の自由度が高まり、アイコンのカスタマイズ、市区町村ごとの施設のクラスタティング表示、対象外の病院を非表示にするといった設定変更も可能になった。

今後は、ワクチン接種を実施する歯科医やクリニックが順次追加される予定。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:位置情報(用語)新型コロナウイルス(用語)GENOVA(企業)Geolonia(企業)ワクチン(用語)日本(国・地域)

グーグルがAndroidユーザーの位置情報取得に関しアリゾナで訴訟、設定項目を見つけにくくしたと報じられる

グーグルがAndroidユーザーの位置情報取得に関しアリゾナで訴訟、設定項目を見つけにくくしたと報じられる

Alex Tai/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

GoogleがAndroidユーザーの位置情報を違法に追跡ししようとしたとして、アリゾナ州がGoogleに対して起こした訴訟では、ユーザーが位置情報の追跡を完全に無効にするための手順をGoogleが意図的に複雑にしたため、オプトアウトしたつもりでもGoogleが情報を得られるようにしていたことが非難されています。

そして、新たにInsiderが報じたこの訴訟に関する開示文書によると、Googleは位置情報などの設定項目をユーザーにわかりやすく配置したAndroidをテストしたものの、多くのユーザーが位置情報の共有をオフしてしまうことがわかり、Googleはこれを「問題」と考えたとのこと。そして意図的に設定項目を設定メニューの奥深くに配置し、操作に不慣れなユーザーが到達できないようにしたとされます。

また、Googleはユーザーの位置情報収集のために多様な手段を講じており、たとえばWi-Fiや位置情報を使用する第三者のアプリについても、それを使うならば情報をGoogleに共有しなければならないようにし、場合によってはスマートフォンをWi-Fiに接続することさえ求めたとのこと。

さらに、アリゾナ州の弁護士によると、GoogleはLGなどの携帯電話メーカーに対し位置情報の設定がわかりやすすぎるとして、かんたんに目に触れない場所へ埋め込むよう「周到に圧力をかけた」とされます。

Andorid 12ではユーザーのプライバシー設定に改善が加えられ、「プライバシーダッシュボード」の設置や「位置情報サービスの精度」設定をユーザーが行えるようになりました。とはいえ、訴訟の主張が認められるならば、GoogleにはAndroidユーザーの意向に関係なくデータを収集する意図があったと考えられ、Googleには厳しい法廷闘争になるかもしれません。

(Source: InsiderEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Android(製品・サービス)位置情報(用語)Google / グーグル(企業)訴訟 / 裁判(用語)プライバシー(用語)

PelotonとEchelon両社のプロフィール写真メタデータはユーザーの位置情報を流出していた

セキュリティ研究者らによると、ホームエクササイズ大手のPeloton(ペロトン)とその最も近いライバルであるEchelon(エシュロン)は、ユーザーがアップロードしたプロフィール写真からメタデータを除去しておらず、場合によってはユーザーの実世界の位置データを流出していたという。

ほぼすべてのファイル、写真、ドキュメントにはメタデータが含まれている。メタデータとは、ファイルのサイズ、作成日、作成者など、ファイルそのものに関するデータだ。また、写真やビデオには、それらが撮影された場所が含まれていることがよくある。こうした位置データは、オンラインサービスが写真やビデオに「このレストランに行った」「このランドマークに行った」というタグを付けるのに役立つ。

だがこれらのオンラインサービス、特に人々のプロフィール写真を見ることができるソーシャルプラットフォームでは、ファイルのメタデータから位置データを削除するのが通例になっている。位置データはあなたがどこに住んで、どこで働き、どこに行って、誰と会っているか明らかにすることがあるので、他のユーザーがあなたの居場所を盗み見できないようにするためだ。

Pen Test Partnersのセキュリティ研究者Jan Masters(ヤン・マスターズ)氏は、Pelotonの漏洩したAPIの調査の一環として、このメタデータの漏洩を発見した。TechCrunchは、ニューヨークオフィスのGPS座標が入ったプロフィール写真をアップロードし、サーバー上にあるファイルのメタデータをチェックすることでバグを確認した。

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このバグは、PelotonとEchelon両社に非公開で報告された。

Pelotonは2021年5月初めにAPIの問題を修正したが、メタデータのバグを修正し、既存のプロフィール写真から位置データを取り除くためには、さらに時間が必要だと述べていた。Pelotonの広報担当者は、これらのバグが先週修正されたことを確認した。Echelonは、5月初めにバグを修正した。(TechCrunchは両社がバグを修正し、古いプロフィール写真からメタデータが削除されたことを確認するまで報道を控えていた)。

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このバグがいつから存在していたのか、また誰かが悪意を持ってユーザーの個人情報をスクレイピングするために利用したかは不明だ。キャッシュされたものであれスクレイピングされたものであれ、位置データのコピーが存在すれば、自宅の住所や職場、その他のプライベートな場所が特定されてしまうユーザーにとって重大なプライバシーリスクとなる可能性がある。

Parler(パーラー)はユーザーがアップロードした写真からメタデータを削除しなかったため、アーキビストが同プラットフォームのAPIの弱点を突いて全コンテンツをダウンロードした際に、何百万人ものユーザーの位置データが流出したことで有名だ。また、最終的にはそこにたどり着いたものの、Slack(スラック)のようにメタデータの削除を採用するのが遅かった企業もある。

関連記事:Slackがアップロードされた画像のEXIF情報削除を開始

カテゴリー:セキュリティ
タグ:PelotonEchelonデータ漏洩位置情報エクササイズ個人情報

画像クレジット:Ezra Shaw / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

家族追跡アプリのLife360がウェアラブル位置情報デバイスJiobitを40.3億円で買収する

人気の家族追跡アプリLife360(ライフ360)がハードウェアに投資する。同社は米国時間4月27日、シカゴを拠点とするJiobit(ジオビット)を3700万ドル(約40億3000万円)で買収したことを発表した。Jiobitは、幼い子どもやペット、高齢者のいる家庭での使用を想定したウェアラブル位置情報端末のメーカーだ。この3700万ドル(約40億3000万円)は主に株式と債務で構成されているが、買収完了後2年以内に特定の業績指標を達成した場合には、取引価格は最大5450万ドル(約59億3000万円)まで増額する可能性があるとLife360は述べている。

Jiobitが初めて市場に登場したのは2018年だ。主に子供やペットのトラッカーとしての利用が想定されていた。この小型軽量デバイスは、ベルトループや靴ひも、ランドセルなど、子供が身につけたり持ち歩いたりするものに取り付けることができ、特にまだ自分の携帯電話を持てない小さな子どもを、追跡する方法を探していた家族にアピールした。今年初めにはJiobitは、無線(Bluetooth、Wi-Fi、携帯電話、GPS)のほかに、加速度計/歩数計、温度センサー、気圧計などのセンサーを組み合わせたアップデート版(129.99ドル(約1万4200円))を発売した。

この新しいシステムは、学校や店舗、高層ビルなどの厳しい電波環境下でのパフォーマンスを特に向上させるために設計された。また、携帯電話の電波が届かなかったり不十分だったりする地域でのサービス向上のために、LPWA(Low-Power Wide-Area)無線ネットワークを活用している。そして、新しいデバイスは、最大5フィート(約1.52メートル)の水に30分間まで沈められても大丈夫な防水機能(IPX8)を備え、バッテリーの寿命も長くなった。

画像クレジット:Jiobit

Life360は、既存のファミリーセーフティメンバーシップにJiobitを加えることで、Jiobitを装着した家族やペットが、Life360のモバイルアプリの地図上に他の家族と一緒に表示されるようになることを狙っている。Life360の有料ユーザー(プレミアムメンバー)は、サブスクリプションと同時にJiobitを割引価格で手に入れることができる。

Life360のCEOで共同創業者のChris Hulls(クリス・ハルス)氏は、今回の買収について次のように述べている「私たちは以前から、スマートフォンだけでなくウェアラブルデバイスにも進出したいと考えていました。Jiobitはペット、幼児、高齢者向けの市場をリードするデバイスを提供しています」。さらにハルス氏は「買収が完了すれば、Life360は家族向けのハードウェアとソフトウェアの両方の製品で市場をリードする立場となります。今後も、家庭向けデジタル・セーフティ・ブランドのリーダーとしての地位をさらに強固なものにするために、さらなる機会を模索していきます」と付け加えた。

画像クレジット:Life360

サンフランシスコに本社があるLife360のアプリは、親には好かれているものの、10代の若者には嫌われるアプリとして、長年にわたってその名を馳せてきた。とはいえ最近では、ヘリコプターペアレントに見張られてプライバシーの自由がないという10代の若者の批判に応えて、正確な居場所の代わりにおおよその位置を返せるbubbles(バブル)などの新機能を発表している。また、ハルス氏はTikTokを通じて日常的にティーンエイジャーと交流することで、巧みなマーケティング活動を展開している。

2020年末の時点で、Life360は195カ国で2600万人以上の月間アクティブユーザーを獲得したと公表している。

今回の買収は、現在両社の取締役会の承認を待っている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

最も信頼できる位置情報データの情報源を目指すSafeGraphが約49.1億円を調達

物理的な位置情報に関するデータを販売する企業はたくさんあるが、SafeGraphについて同社CEOのAuren Hoffman(オーレン・ホフマン)氏は「データサイエンスチームに位置情報関連データを販売している数少ない企業の1つ」と説明する。

大抵の場合、位置情報データはこれまでマーケッターに販売されてきた。ホフマン氏は「マーケティングの世界では、データが40%か50%ほど事実であれば実にすばらしいことです」という。しかし複雑なモデルやアルゴリズムを構築するためにデータを使うデータサイエンティストにとっては、それでは役に立たない。

そこでSafeGraphは、ホフマン氏がいうところの「非常に厳密なアプローチ」で企業のリスト、歩行者のトラフィック、ビルのポリゴンといったデータを2万種類の情報源からクロールしてまとめている。同氏は、他社はこうしたデータを「本業のかたわらで販売している排気ガス」として扱っているがSafeGraphの収益にとっては「100%」にあたると補足した。

ホフマン氏は筆者に対し、SafeGraphの顧客はGIS(地理情報システム)やマッピング、ローカル検索、金融サービス、ロジスティクスなどさまざまな分野で同社のデータを活用していると説明した。顧客には投資会社のAres Management、食品流通会社のSysco、Choice Hotelsなどがある。発表の中でSyscoのマーケティング・顧客・競合情報担当シニアマネージャーであるBen Anderson(ベン・アンダーソン)氏は、SafeGraphを「最も包括的で実用価値のあるPOIのデータセット」と表現した。

SafeGraphは、同社のデータは7000人以上のデータサイエンティストに利用され、300以上の学術論文に引用されたとも述べている。

画像クレジット:SafeGraph

米国時間3月16日、SafeGraphはSapphire Venturesが主導するシリーズBで4500万ドル(約49億1000万円)を調達し、これまでの調達金額の合計が6100万ドル(約66億6000万円)となったことを発表した。以前に投資したRidge VenturesのAlex Rosen(アレックス・ローゼン)氏、DNX Ventures、Peter Thiel(ピーター・ティール)氏も参加した。

Sapphire PartnerのCathy Gao(キャシー・ガオ)氏は発表の中で「SafeGraphが傑出している点は、地理空間データ業界で主要プレイヤーの位置を短期間で獲得したことです。場所に関する最高品質のデータをデータサイエンスチームに提供することに特に集中して、大手の公的機関や民間企業から信頼を得ています」と述べた。

ホフマン氏は、SafeGraphはこれまで「キャッシュの効率が極めて良く」この2年間の損失はわずか300万ドル(約3億2700万円)だったことと「成長のスピードをもっと上げる」ために資金を調達したことを説明した。成長のための計画には、海外進出も含まれる。SafeGraphはこれまで米国とカナダに集中していたが、2021年4月には英国で事業を開始する計画で、買収の可能性もある。

さらに同氏は、特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大で多くの企業が休業や時短営業を強いられていることから「本当に正確なデータを持つことの重要性がポストコロナの世界では大幅に増していきます」と述べた。

カテゴリー:ソフトウェア
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画像クレジット:Amin Yusifov / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)