アップルが新コーディングプログラム開始のためBoys & Girls Clubs of Americaと提携

Apple(アップル)は、全米の子どもたちやティーンエイジャーにコーディングの機会を提供することを目的とした新しいプログラムを開始するためにBoys & Girls Clubs of America(ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブ・オブ・アメリカ)と提携した。Appleの「Everyone Can Code」カリキュラムを使用して、Boys & Girls Clubの子どもたちやティーンエイジャーは、活動の中にコーディングを取り入れることになる。Appleによると、この新しいコラボレーションにより、生徒たちはアプリのデザインと開発の基本を学び、創作する機会を得ることができるようになる。このプログラムは、批判的思考と創造的な問題解決に焦点を当てる。

この新しいプログラムは、まずアトランタ、テキサス州オースティン、ワシントンD.C.、フロリダ州マイアミ・デイド郡、ノースカロライナ州ウェイク郡、シリコンバレーなど、10の地域で開始され、その後、コーディングの機会を全国のクラブに拡大していくことを目標としている。すでに、ニュージャージー州アトランティックシティ、シカゴ、デトロイト、テネシー州ナッシュビル、ニュージャージー州ニューアークでサービスを開始している。

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「Boys & Girls Clubs of Americaと協力して、何千人もの学生に革新的なテクノロジーの体験を提供してきました、そして、私たちは、Swiftによるコーディングを国内のさらに多くのコミュニティに提供するためこのパートナーシップを拡大することをうれしく思っています」とAppleの環境・政策・社会的イニシアチブ担当副社長であるLisa Jackson(リサ・ジャクソン)氏は、今回の発表に関するプレスリリースの中で述べた。

この最新の取り組みは、AppleのRacial Equity and Justice Initiative(人種的公平と正義のイニシアチブ)を支援するCommunity Education Initiative(コミュニティ・エデュケーション・イニシアチブ)を通じたBoys & Girls Clubs of Americaとの既存のパートナーシップに基づいている。

Appleの「Everyone Can Code」カリキュラムの最新の拡張は、新しい「Everyone Can Code Early Learners」アクティビティガイドを含む、小学生向けの新しいリソースを発表してから2カ月後に行われた。最近発表されたガイドは、Appleのカリキュラムリソースを幼稚園から大学まで拡大するものだ。「Everyone Can Code Early Learners」ガイドによって、幼稚園から小学校3年生までの生徒は、音楽、美術、科学、体育などの複数の科目を通じて、コーディングの中核となる概念の基礎を築くことができる。

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同社は、Everyone Can Codeプログラムを年々拡大し、より多くの年齢層で利用できるようにしてきた。2019年に、Appleは学生がコンセプトを試してみることを目的としているEveryone Can Code Puzzlesというプログラムを開始した。2020年、Appleは、より高度なコーディングアクティビティを行うプログラムEveryone Can Code Adventuresを開始した

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

過去ではなく未来で判断、学生ローン制度をひっくり返すための手段を講じるStride Funding

住宅ローンや自動車ローンを組もうとすると、銀行は審査用のメガネをかけて、あなたの過去を調べ始めるだろう。当然だ。ローンを返済できるかどうか、それなりに信頼できる指標となるからだ。学生ローンはこれとは少し違う。確かに過去の経歴も関係するが、多くの教育機関では、学位を取得することで将来の収入の可能性が大きく変わり、したがって返済能力も変わってくる。Stride Funding(ストライド・ファンディング)は、現在の学生ローン制度は、金持ちが金持ちを呼ぶ仕組みを永続させるものだという理念のもと、これまでとは異なるアプローチで事業を展開しており、先に1200万ドル(約13億5900万円)を調達した。

同社の中心となっているのは、教育の平等とアクセスの問題だ。これは経済的な上昇の機会を得られるかどうかの最も重要な指標の1つだ。当然のことながら、そこには特権的な要素(親がローンの支払いに協力してくれるかどうか)や、より具体的には制度化された人種差別が存在している。Stride Fundingは、向こう見ずの勇気で、現在1兆6000億ドル(約181兆円)相当のローンが残っている1300億ドル(約14兆円)規模の学生ローン業界に挑む。

2019年にシードラウンドを終了して以来、Strideは学生にコミットした資金を5000万ドル(約56億6200万円)以上に増やし、Silicon Valley Bank(シリコン・バレー・バンク)などの資本提供者は数百億円の追加資金の融資を求めている。同社の主な目的は、特にこれまで融資の確保に苦労してきた集団に対して、教育をより利用しやすくすることだ。

Stride Capital(ストライド・キャピタル)のCEOで設立者のTess Michaels(テス・マイケルズ)は「特に学生向け融資では、資本へのアクセスという点で大きなギャップがあります。プライベートローンの92%は連帯保証人を必要としますが、実際にアクセスできる学生は4分の1以下です」。と述べている。

同社は米国時間12月3日、Firework Ventures(Brigette LauとAshley Bittnerの共同設立者)が主導する1200万ドル(約13億5900万円)のシリーズA資金調達を完了したことを発表した。その他の投資家には、GSV Ventures(GSVベンチャーズ)、Slow Ventures(スロー・ベンチャーズ)、Sinai Ventures(シナイ・ベンチャーズ)の他、Juvo Ventures(ジュボ・ベンチャーズ)Graham Holdings(グラハム・ホールディングス)などのインパクトインベスターが名を連ねている。Stride Fundingのチームは、事業の中核に個人的な使命を持っている。

「私の両親は米国に移住しましたが、教育は経済的流動性を得るための手段でした。教育はドアを開くものです。残念ながら多くの歴史的理由により、多くの人々、特に社会的弱者が市場から取り残されていると思います」とマイケルズ氏は語り、この違いが持てる者と持たざる者の間のギャップをさらに増幅させていることを強調した。「私は、このミッションと非常に密接に結びついていると感じています。私たちは、難民やDACA(若年移民に対する国外強制退去の延期措置)の学生、女性、社会的弱者など、本当にすばらしい、刺激的な学生たちを幅広くサポートしてきました。学生たちからはいつも励ましの言葉をもらい、これはやる価値があることだと確信しています」と同氏は述べている。

画像クレジット:Stride Funding

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

オンライン学習最大手「Chegg」が語学学習スタートアップ「Busuu」を約496億円で買収

NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場されている教育メディアラーニングプラットフォームのChegg(チェグ)は、2008年にヨーロッパで設立されたオンライン学習のスタートアップBusuu(ブスー)を約4億3600万ドル(約495億9000万円)の現金取引で買収した。

Busuuのイグジットまでの調達総額はわずか1610万ドル(約18億3000万円)で、これはヨーロッパの基準でも少額であり、これまでに160か国以上で1億2000万人以上の生徒に届けたビジネスを構築したファウンダーらの強い気概を表している。Busuuは、50万人の有償サブスクライバーに12の言語でコースを提供している。

Busuuの最新ラウンドは2020年5月27日で、GP Bullhoundおよび超富裕層から200万ドル(約2億3000万円)を調達した。それ以前の出資者には、Harold Primat、McGraw-Hill Education、PROfounders Capital、Martin Varsavsky(マーティン・バルサフスキー)およびJohann “Hansi” Hansmann(ヨハン・”ハンシ”・ハンスマン)らがいる(CrunchBaseによる)。

Cheggのプレジデント兼CEOであるDan Rosensweig(ダン・ローゼンスワイグ)氏は次のように語った。「Busuuが加わることで、Cheggは自身のビジネスを拡大するとともに、既存ユーザーにすばらしい付加価値を与えられるまたとない機会を得ました。これによって国際市場へさらに進出し、Busuuの米国市場での成長を加速することが可能になります。Busuuのチームとは長年のつきあいがあり、カルチャー的にも非常に一致しています。彼らには本格的語学学習者向けのすばらしい学習サービスを構築した実績があり、Cheggの仲間に加わってもらうことを大変喜んでいます」。

Cheggは、Busuuの2021年の通年売上を約4500万ドル(約51億2000万円)、対前年比20%増と予測している。現在170億ドル(約1兆9341億2000万円)のデジタル言語学習市場は、今後5年間で3倍に増えると予想されている、とCheggの声明に書かれている。

Busuuの共同ファウンダーであるベルンハルト・ニーズナー氏とエイドリアン・ヒッティ氏

2008年にBernhard Niesner(ベルンハルト・ニーズナー)氏とAdrian Hilti(エイドリアン・ヒッティ)氏が設立したBusuuは、英国・ロンドンおよびスペイン・マドリードにオフィスを構え、精緻化された語学学習モデルとプラットフォームのあらゆる面の改善を繰り返してきたことで、メリーランド大学の学者による研究で、Busuuのユーザーは2カ月間にわずか13時間の学習によって大学の1学期(通常90~105時間の授業)分の成果を上げたことが示されるまでになった。同社は無料および有料のサブスクリプション・サービスを1カ月、1年、および2年のコースで提供している。

Busuuは個人利用だけでなく、企業の語学訓練にも使用されている。2020年同社は、Verblingを買収した後に、ライブ言語指導サービスを加えた。

BusuuのCEO・共同ファウンダーであるベルンハルト・ニーズナー氏は次のように語った。「世界をリードするEdTech企業で、学生を第一に考えるCheggファミリーに加わることは大変光栄であり、楽しみです。このパートナーシップによって、Cheggのとてつもなく広いリーチを生かし、特に米国で当社の拡大を加速する機会が得られます。言語によって世界の全員に力を与えることが私たちのビジョンであり、当社とCheggとの新たな関係によってこのゴールがさらに早く達成されると信じています」。

画像クレジット:Busuu team London HQ

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ByteDanceがインドでのEdTech事業から撤退へ

ByteDance(バイトダンス)がインドでのEdTech事業を停止すると、同社はインド時間11月22日に現地チームに通知したと、この件について直接知る2人の情報筋が語った。

この決定は、インドのチームを欧州のEdTechチームと連携させることも検討した、数週間にわたる話し合いの結果であると関係者は述べている。関係者の1人は、全員とは言わないまでも、ほとんどの従業員が解雇されるだろうと述べている。EdTech部門は、インドで30数名を雇用していた。

ByteDanceの主力製品であるTikTok(ティックトック)は、2020年にインドで禁止されたが、同社の少なくとも2つの事業(教育学習アプリのSnapsolveと音楽ストリーミングサービスのResso)は、インドで引き続き運営されている。ByteDanceは、2020年にインドの従業員の多くを削減したが、同国での音楽事業やEdTech事業のために人材を雇用し続けていた。

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しかし、この件に詳しい関係者によると、両ブランドとも国内では控えめな姿勢を貫いており、従業員はこれらの事業について公に話さないように忠告されているという。

Doubtnut(ダウトナット)と競合するSnapSolveは、6年生から12年生(日本の高校3年生)までの生徒が、数学問題の写真を撮ってアップロードすることで、その問題の解き方を見つけることができるアプリだ。Doubtnutには、Sequoia Capital IndiaやJames Murdoch(ジェームズ・マードック)氏のLupa Systemsが出資している。

ByteDanceは、最近では10月の時点でインドのEdTech事業のためにいくつかの新しい職務を掲示していた。同社にコメントを求めたが、回答は得られていない。

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画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Dragonfly)

島根県、Rubyプログラミングを学べる25歳以下対象のオンライン合宿「Ruby合宿」参加者を募集

ヤフー主催の学生ハッカソン「HACK U 2021」の最優秀作品2点発表、傾向の変化も解説

島根県、Rubyプログラミングを体験できる25歳以下対象のオンライン合宿「Ruby合宿」参加者を募集島根県は11月15日、チームで3Dシューティングゲームを作るというプログラミングのオンライン合宿「Ruby合宿」の参加者募集を開始した。対象は学生や25歳以下の者。開催期間は令和4年(2022年)3月7日~11日の5日間。募集締め切りは2022年1月18日。

これは、2008年から行われている、主に就職前の若者のプログラミングスキル向上を目指した企画だが、今回はコロナ禍によりオンライン開催となった。使用するプログラミング言語はRuby。数名でチームを組み、サンプルプログラムを参考に3Dシューティングゲームを作る。最終日には、発表会で各チームのプログラム作品を披露する。Ruby開発者まつもとゆきひろ氏の講演会や、島根県内のIT企業の視察、IT企業との交流会もある。

「Ruby合宿」概要

  • 募集期間:2021年11月15日~1月18日
  • 開催日時:2022年3月7日~11日
  • 会場:オンライン(Zoom)
  • 対象:学生(大学、高専、専門学校、高校など。25歳以上でも可)または25歳未満(2021年4月1日時点)の求職中の方で、以下の条件をすべて満たす者
    ・チーム開発に興味がある
    ・将来、ソフト系IT産業で働きたいと考えている
    ・主催者が行うメールなどでのアンケートに協力できる
    ・安定したインターネット接続環境がある(固定回線を推奨)
    (ただし、応募多数の場合は島根県在住または島根県出身者を優先)
  • 参加費:無料
  • 定員:30名程度
  • 応募方法:公式サイト「Ruby合宿」より申し込む

また2022年3月1日に、Git入門、プログラム作成のポイントについての事前講義(Zoomを利用)を実施する。詳しくはこちらをどうぞ。

  1. 島根県、Rubyプログラミングを体験できる25歳以下対象のオンライン合宿「Ruby合宿」参加者を募集

  2. 島根県、Rubyプログラミングを体験できる25歳以下対象のオンライン合宿「Ruby合宿」参加者を募集

デジタル教材プラットフォームのLibryがシリーズC累計で約3.4億円調達、プロダクト開発・営業体制強化

中高生向けデジタル教材プラットフォーム「Libry」(リブリー)を提供するLibryは11月17日、LITALICO(リタリコ)を引受先とした第三者割当増資による資金調達を発表した。同エクステンションラウンドを含めたシリーズCラウンドの累計調達額は約3億4000万円となり、2017年のサービス提供開始からの累計調達額は8億円を超えた。

リブリーは、デジタル教材とAIドリルの特性を併せ持つデジタル教材プラットフォームで、全国の高校・中学を中心に600校以上(2021年11月15日現在)で導入されている。大手出版社・教科書会社と提携し、既存の教科書や問題集をそのままデジタル化しているため、教師と生徒が「これまで通りの教材」として利用できるという。1つの端末で複数の教材・問題集を管理できるほか、生徒ひとりひとりの学習履歴に基づいた「類似問題」「苦手問題」機能などで生徒の学習状況や理解度に合わせた個別最適化学習を実現する。宿題の配信・回収・集計を自動で行なう「宿題管理ツール」や、クラスの学習状況をExcelデータで出力できる機能など、教師をサポートする機能も用意している。

日本の学校教育は、コロナ禍の影響もあり、急速にICT化が進んでいる。小・中学校では、2021年3月末までに全国97.6%の自治体でPC・タブレット1人1台環境が整備され、高校でも47都道府県のうち42自治体(89.4%)で生徒1人1台の端末整備を目標としている。そのような状況の中で、リブリーは2021年10月末時点で17社の出版社と提携。数学・物理・化学・生物・地学・英語の6科目で400冊を超えるデジタル教科書・デジタル問題集を提供している。

「一人ひとりが自分の可能性を最大限に発揮できる社会をつくる」をビジョンに掲げるリブリーは、2022年4月に学習者用デジタル教科書への対応を予定。調達した資金により、プロダクト開発・営業体制を強化し、日本の教育のデジタル化を牽引する教材プラットフォームとしてさらなる成長を目指す。今後はLITALICOとの協業の可能性についても検討を開始するという。

イスラエル国防軍出身CTO開発、企業向け標的型攻撃シミュレーション・訓練プラットフォームのAironWorksが9000万円調達

サイバーセキュリティSaaS「AironWorks」を提供するAironWorksは11月12日、第三者割当増資による約9000万円の資金調達の実施を発表した。引受先は、リード投資家のALL STAR SAAS FUND、また日本ベンチャーキャピタル、京都エンジェルファンド。調達した資金により、AironWorksの特徴である企業分析により高度に最適化された標的型攻撃を生成・実行するAIの開発強化と、日本市場でのデファクトスタンダードとなることを目指して事業成長を加速させるとしている。

AironWorksサービスは、イスラエル国防軍「8200部隊」(Unit 8200)出身のエンジニアが開発した、「企業向け標的型攻撃シミュレーション・訓練プラットフォーム」。従来のような標的型メール訓練ではカバーできないSNSやSMS攻撃などの、多様なベクトルからの攻撃に対する訓練が可能。標的に応じて個別最適化された現在のサイバー攻撃に対応できるよう、継続的でより実践的な訓練を行なえるシステムとなっている。

さらに、イスラエル国防軍の教育メソッド+ゲーミフィケーションを活用した「オリジナル教育プログラム」を実装しており、高い教育効果を実現しているという。

AironWorksは、イスラエルと日本を拠点にイノベーションプラットフォーム・アドバイザリーサービスを提供するAniwoによる支援のもと、2021年8月創業。「働く人々・チームをエンパワーメントすること(Enhancing Teams with AI)」 をミッションに掲げ、イスラエルで開発した先進的な技術をコアに、日本から世界市場を目指している。

なお、共同創業者兼CTOのGonen Krak氏は、イスラエル国防軍のインテリジェンス部隊Unit 8200においてサイバーセキュリティ実務に取り組み、複数の重要プロジェクトのマネジメント、若手ハッカーの育成に従事したという。大学在学中に独自アプリ開発、フルスタックエンジニアとしてのスキルも有する。AironWorksでは、コアとなる技術開発、アルゴリズム設計、AIの開発責任者も兼任している。

イスラエル国防軍出身CTOが開発、企業向け標的型攻撃シミュレーション・訓練プラットフォームのAironWorksが9000万円調達

マイクロソフトが教育市場向けに安価なノートPC「Surface Laptop SE」とWindows 11 SEを発表

Microsoft(マイクロソフト)は、新型コロナウイルス流行によって変わった「新しい教室の形」に参入を図るため、Windows 11の縮小版と、Surface(サーフェイス)ブランドの他、いくつかの他メーカー製の安価なノートPCを用意した。同社がこの分野で人気の高いGoogleのChromebook(クロームブック)を視野に入れていることは明らかであり、パートナー企業もこれに賭けることにしたようだ。

詳しい紹介に入る前に、まず、このWindows 11 SEの「SE」が、Windows 98 SEの「second edition(第二版)」、iPhone SEの「special edition(特別版)」、Macintosh SEの「system expansion(システム拡張)」などと違い、特に何かを意味するものではないことを確認しておこう。このSEは「HomeやProなどの他のエディションと明確に区別するためのもの」であるとマイクロソフトはいうが、なぜそれがまったく意味のない頭文字ではなく「Students and Educators(学生および教育関係者)」の略だとはっきりいわないのか、私には理解できない(そう、誰かの真似でも問題ないと思うのだが)。

名前の由来はともかく、今回発表された「Surface Laptop SE(サーフェイス・ラップトップSE)」は、マイクロソフトがこの分野で実現したいと考えていることの観念的な形、あるいはリファレンスデザインと言えるかもしれない。これは基本的な機能を備えた250ドル(約2万8000円)のノートPCだが、リモート授業や修理しやすさを考慮して設計されている。

スペックは誰も驚くようなものではないが、これは4K VFXワークステーションではなく、宿題やリモート学習用のマシンを想定しているのだ。いくつか箇条書きにしてみよう。

Intel Celeron N4020またはN4120シリーズ(グラフィック統合型)

  • 4GBまたは8GBのRAM
  • 64GBまたは128GBのeMMC内蔵ストレージ(拡張不可)
  • 720pのウェブカメラ(「改良された顔認識」機能付き)
  • Wi-FiおよびBluetooth
  • USB-A×1、USB-C×1、3.5mmヘッドフォンジャック

USB-Cを充電に使用する機能が欠けているものの(昔ながらの円筒形の電源コネクター用ポートが別に備わる)、この価格のマシンに期待するような仕様としては過不足ない。

画像クレジット:Microsoft

ただし、画面解像度1366 × 768の11.6インチ・ディスプレイは別だ。もちろん、これは子ども向けを想定したものではあるが、それでもこの価格で買えるChromebookには、1080pのスクリーンを搭載する機種があり、文字の鮮明さと動画の質が大きく向上する。どちらもこのようなノートPCに最適化が求められるものだ。

マイクロソフトによると、高級ノートPCに搭載されている強固なキーボードを、このデバイスにも採用しているとのこと。これは良いニュースだ。また、修理性を重視している点も歓迎できる。「ディスプレイ、バッテリー、キーボード、さらにマザーボードまで、重要なコンポーネント現場で簡単に修理することができるため、IT管理者や学校にとって時間とコストの節約になります」と、マイクロソフトは記している。

マイクロソフトの他にも、Acer(エイサー)、ASUS(エイスース)、Dell(デル)、Dynabook(ダイナブック)、富士通、HP、JP-IK、Lenovo(レノボ)、Positivo(ポジティーボ)から、同様のデバイスが販売されるが、これらのマシンはIntelまたはAMDのチップを搭載しており、スペックにも多少の違いがあると思われる。すべてが新製品というわけではない(例えば、すでにDynabookのE10は2021年前半に発売されている)が、新しいOSに適合している。

これらのノートPCに搭載されるWindows 11 SEは、学校が大量に導入しやすいように設計されたOSだ。上述のハードウェアに最適化されており、Microsoft 365をはじめとする一般的なアプリやサービスがあらかじめインストールされているため、迅速かつ簡単にプロビジョニングできる。学校のIT部門だけがアプリの追加や削除をできるようにしたり、ウェブサイトの閲覧も制御できる。自動更新、クラウド管理といった機能も、すべて揃っている。

マイクロソフトのWindows 11 SEは、2つのアプリを横並びに固定できる。画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトは発表文の中で、必ずしもすべての学生が自宅のインターネット環境に頼れるわけではないと指摘。そこで同社は、内蔵アプリがインターネットに接続できない環境でも動作するようにした。Microsoft 365アプリはオフラインでも使用でき、OneDriveは変更をローカルに保存しておき、Wi-Fiに接続した時点で自動的に同期する。

マイクロソフトは、主力OSの用途限定的な派生版では悲喜こもごもの思いをしてきた。Windows RTは最も有名な失敗作だったが、11 SEはそれとはまったく異なる。確かに、特定のハードウェアで動作するように作られており、多くの基本機能がロックされているものの、実際にそういうものを求める特定の市場を対象にしている。

かつて一時的に人気を博したネットブックも、ほとんど誰の役にも立たないものではあったが、今では必要最低限のPCとブラウザがあれば多くのことができるようになっている。願わくは、これらの控えめなノートPCが生徒たちの手に渡ることで、リモート学習の現状が少しでも改善されることを期待したい。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

5〜15歳対象のオンライン読書教育「ヨンデミーオンライン」のYondemyが1億円調達、教材拡充・保護者向けアプリを開発

スマートニュース子会社スローニュースがノンフィクション特化のサブスク型サービス「SlowNews」で立花隆作品配信

児童向けオンライン読書教育の習い事サービス「ヨンデミーオンライン」を提供するYondemyは11月9日、第三者割当増資による総額1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はXTech Ventures、D4V、W ventures、F Ventures。

調達した資金は、ヨンデミーオンラインへの開発投資と人材採用にあて、児童UX・保護者UXそれぞれの改善と組織体制の強化へと活用する予定。具体的には、児童向けウェブアプリにおける新機能開発や動画コンテンツなどの教材拡充、保護者向けウェブアプリの開発、今後の組織拡大を見据えた人材採用などへと投資し、事業基盤・経営基盤を強化することで、中長期的な成長を加速する。

ヨンデミーオンラインは、5~15歳を対象とした月額定額制のオンライン読書教育の習い事サービス。「児童それぞれの興味・読む力に寄り添った選書指導」「『本の楽しみ方』などが学べるチャット形式の対話型学習コンテンツ」「ゲーミフィケーションやコミュニティを活かしたモチベーション設計」の3点を特徴とする。

また同サービスの「AI司書ヨンデミー先生」では、好み・興味に合わせるだけではなく自然にステップアップしていけるように本を薦めるという。独自分析した1000冊以上の児童書データについて、ヨンデミー講師の選書ノウハウを再現した独自開発アルゴリズムにより活用しているそうだ。これにより、読む前の本を手に取るきっかけ作りから、読んだ後のコミュニティでの感想シェアや親子の会話まで、児童の読書体験サイクルを一気通貫で支え、習慣化をサポートする。

さらに、学校では教わることのない本の楽しみ方や感想の書き方を学べるレッスンを提供。レッスンは選択式のクイズ形式になっており、文字入力の必要がない上24時間いつでも受講可能。読書をより楽しくするため、読んだ本の表紙や獲得したバッジを蓄積することで読書へのモチベーションを高めるゲーミフィケーション要素も備える。ヨンデミー生同士による感想シェアにより、読書意欲を刺激すると同時に、新たな本との出会いも生み出すとしている。

2020年4月設立のYondemyは、「日本中の子どもたちへ豊かな読書体験を届ける」というミッションを掲げる、現役東大生によるスタートアップ。「読書を習う」という新しい文化を広めるとしている。習い事の選択肢として「読書」が当たり前にある社会を作ることで、読書教育を通じて日本中の児童を「自立した読み手」へと育て、1人1人の一生にとって読書がかけがえのない武器となることを目指す。

今後、成功のために必要なプログラミングなどのスキルを教えるインドのBrightChampsが約58億円調達

インドのEdTechスタートアップBrightChamps(ブライトチャンプス)はK12(幼稚園から高校3年生まで)の学校から取り残された学習のギャップをなくそうとしている。このほど同社は、新たな調達ラウンドで5100万ドル(約58億円)を獲得したことを発表した。1年前にゴア州拠点の同社が10カ国以上への進出を目標に開業して以来、総調達額は6300万ドル(約72億円)になった。

Premji Investがリードしたこの調達ラウンドで5億ドル(約568億円)近い評価額を得た同スタートアップは、東南アジア、米国、カナダを含む10カ国以上で子どもたちにプログラミングなどのスキルを教えている、とBrightChampsの共同ファウンダーでCEOのRavi Bhushan(ラヴィ・ブーシャン)氏がTecnCrunchのインタビューで語っている。

自宅で教育を受け、不動産ポータルのPropTigerで最高技術責任者を務めたブーシャン氏は、世界の学校はこの時代で成功するために重要なスキルを子どもたちに教えていないという。「これはインドの問題ではありません。世界中の学校が、Microsoft Wordでテキストのスタイルを変更する方法をテクノロジーの名目で教えていません」。

数十万人以上の登録生徒を集めて黒字化を達成し、年間経常利益が1000万ドル(約11億円)に近づいている同社は「『多人数教育』の武器を作ることで破壊の波をリードして、インドを最新デジタル教育の最大輸出国にしようとしています」とGSV Venturesのマネージング・パートナー、Deborah Quazo(デボラ・クアゾ)氏が声明で語った。GSVはTechCrunchが報じた同社の以前のラウンドをリードした。

全世界で1000人以上の教員がBrightChampsに参加して子どもたちを教えている、とブーシャン氏は言った。「子どもたちは、自分の好きな現地語を選んで学習することができます」と彼は言い、現在提供内容の拡大を進めていることを付け加えた。近くカリキュラムに財政分野を追加する予定だという。

TechCrunchが入手した以前の投資家向けプレゼンテーションのスライド。出資者の中にはFlipkartの共同ファウンダーであるBinny Bansal(ビニー・バンサル)氏の投資会社およびBEENEXTもいる

ブーシャン氏は、スタートアップのこれまでの成長はすべて既存資源によるもので投資家から調達資金は使一切っていないと語った。「私たちは顧客から得た資金のみで成長しています」と彼は言った。

BrightChampsは過去1年間、インドで最も話題になったスタートアップであり、この国最大級のEdTech巨人から買収提案があったという情報もTechCrunchは掴んでいる。

先週、TechCrunchが調達ラウンドを確認するために接触したあと初めて話した時、会社は事業内容と資金調達について2020年発表するつもりだったが、国がパンデミックと戦っている時に節目を祝いたくなかったので延期したと語っ。

ブーシャン氏は、BrightChampsに寄せられた買収提案についてはコメントを拒んだ、スタートアップは非常に長期的なビジョンで作られており、短期的利益は目指していないと語った。「教育は、おわかりのように、私の子ども時代からの情熱なのです」と同氏は付け加えた。

BrightChampsが事業展開しているカテゴリーには大きな空白地帯がある、と新規資金の使い道を尋ねられたブーシャン氏は語った。「1つの分野は、子どもたちが相互に学び合う可能性です。いくつか実験も終えています。次はピアツーピア体験を提供するつもりです」と彼は話し、最終的に子ども向けStack Overflow(スタック・オーバーフロー)のようなプラットフォームを作りたいと付け加えた。「オリンピックやテック・ハッカソンを主催することも考えています」と彼は言った。

BrightChampsは、共通のミッションと感性をもつ会社を買収する機会もうかがっている。

「BrightChampsは開業から1年以内に、分野で最も成長の早いEdTech会社の1つになりました。世界に広がる人材を活用してパーソナライズされた体験を提供し、学習方法を超差別化するその独自の能力によって、BrightChampsはデータの力と学習を組み合わせることで結果を差別化できることを証明しようとしています」とPremji InvestのマネージングパートナーであるT Kurien(ティー・クリエン)氏が声明で語った。

画像クレジット:BrightChamps

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

家族と幼児教育者をつなぎ、子育ての多様な支援も行うラーニングポッドサービス「Guardians Collective」

子育てを楽にする技術的なソリューションの必要性に異議を唱える人はほとんどいないだろうが、その需要に実践が追いついていないのは明らかだ。子育ては大変で、子どもがボタンを誤って食べてしまったときや、リモートでの授業の間うつ病の初期症状が出たときなど、さまざまな瞬間にサポートが必要だ。親が直面する問題の多様性は、顧客サービスにとって悪夢のようなものなのだが、それこそが創業者のSaurabh Kamalapurkar(サウラブ・カマラプルカール)氏がGuardians Collective(ガーディアンズ・コレクティブ)を構築することに強い思いを抱く理由だ。

Guardians Collectiveでは、少人数の家族を集め、その家族と早期学習・開発プログラムでの勤務経験があるか、州の認可を受けてデイケアを運営している専門家である幼児教育者とを引き合わせる。この会社の使命、そしてより大きな目標は、正式なデイケアに頼らざるを得なかった家族にとって、幼児教育者をより身近な存在にすることだ。同社は早朝や深夜も含めたピア・ツー・ピアの学習を、サポート付きで提供している。

米国時間11月5日、Guardians Collectiveは、Impact America Fund(インパクト・アメリカ・ファンド)とGary Philanthropies(ゲイリー・フランソロピー)が参加し、Reach Capital(リーチ・キャピタル)がリードした、350万ドル(約3億9700万円)のシード投資ラウンドを発表した。

私の見解では、Guardians Collectiveは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行初期段階から話題となった「ラーニングポッド」というトレンドに新しい風を吹き込んでいる。マイクロスクール、パンデミック・ポッド、スモールグループ・ラーニングと同義のこの言葉は、学校での学習を代替または補完する目的で、個人指導員とペアを組む同年齢の子どもたちの小さな集団を指す。この傾向は、低所得層の生徒にとっては脅威であり、結果的に学習教材へのアクセスにさらに大きな格差が生じることになると批判されている。

Reach Capital(リーチ・キャピタル)で投資を担当したChian Gong(チアン・ゴン)氏は、Guardians Collectiveは単なる学習ポッドではなく、他の保護者とのWhatsApp(ワッツアップ)グループでもないと考えている。

「WhatsAppはすでに知っている人同士をつなげるものですが、Guardians Collectiveでは3〜5家族と幼児教育者が安全な空間に集まり、他では聞けないような質問をすることができます」とゴン氏は言った。「何千人もの子どもたちと接し、同じ年齢の子どもを持つ他の家族との対話を導くことができる教育者の知恵や洞察力、共感を得ることができるのです」。

画像クレジット:Guardians Collective

ゴン氏は、このプラットフォームの魅力は、専門知識、コンテンツ、コミュニティが一体となっていることだと考えている。ベンチャー企業が出資する幼児分野のスタートアップであるWinnie(ウィニー)は、親が近くのデイケアや幼稚園を探すのに利用できるチャイルドケアのマーケットプレイスだ。KaiPod Learning(カイポッド・ラーニング)は、ホームスクールをしている子どもたちに、地元の、補完的で、社会的な学習拠点を提供するために、数百万ドル(数億円)の資金を調達した

これらのスタートアップ企業は、それぞれ実行方法や戦略が異なるが、子どもたちの能力を高めるためのリソースへのアクセスを提供するという点では同じビジョンを持っているようだ。

Guardians Collectiveの戦略には、より多くの幼児教育者にプラットフォームに参加してもらうことも含まれている。ほとんどの州では、デイケアセンターを運営するためにはライセンスを取得する必要があり、その価格や偏見が、実際にそのプロセスを踏める人に影響を与えることを考えると、これは政治的な問題だ。このスタートアップは、免許を持っていないが何世代にもわたって子どもたちをサポートしてきた人たちと、品質保証のバランスをどうとるかを考えているところだ。

「多くのシステムでは、これらの人々を教育者とは呼びません」とカマラプルカール氏はいう。「しかし、彼らはただのおむつを交換する人なのではなく、教師でもあるのです」。教師の組織は、非同期型の仕事に参加するという考えに同意しており、Guardians Collectiveでは、40人の教育者を募集したところ、数日で470人の応募があった。

これまでにデトロイト、ニューオーリンズ、アラスカ、ナバホ・ネイション、オクラホマ、カリフォルニアのセントラルバレーなどで暮らす家族がGuardians Collectiveのアプリを利用している。カマラプルカール氏は、顧客の半数以上が低所得者であると述べている。このスタートアップでは、利用したい家族に手頃な価格を提供するために、スライディングスケールを用いたサブスクリプションモデルを採用している。

ベンチャー企業の資金を得たGuardians Collectiveは、ユーザーの維持と新たな成長への期待のバランスを取る必要がある。ベイエリアでは700以上の家族が同社のプラットフォームを利用しているが、2020年初頭からの全国的な成長率は16倍に達している。また、ユーザーの維持率は94%で、平日は94%のユーザーが毎日アプリを利用しているとしている。

カマラプルカール氏が注目している大きな指標は、家族が何について話しているのか、どこで会話が行われているのか、メッセージの何パーセントが有益な方法で回答されているのか、という捉えどころのないものだ。

「規模の拡大とは、利用者の数だけでなく、利用者にとって私たちのサービスが何を意味するのかということです」と彼は語った。

画像クレジット:Lisitsa / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Yuta Kaminishi)

2021年第3四半期のChromebook販売が激減、教育市場が飽和状態になったとの分析

市場調査会社Canalys(カナリス)が米国時間11月1日に発表したレポートによると、第3四半期の全世界におけるPC販売台数は2%減少したという。だが、最新のPC市場調査の中で最も驚くべきデータは、Chromebook(クロームブック)の全ノートPC販売台数に占める割合が、前四半期の18%から今四半期はわずか9%に半減したことだ。

市場全体にとって良いニュースは、第3四半期の販売台数が1億2200万台を超え、新型コロナウイルス流行前の水準を上回ったことだが、全体的なサプライチェーンの問題により、今後数四半期の間にPCメーカーの生産状況が悪化する可能性があり、嵐の気配も迫りつつあるようだ。

新型コロナウイルス流行に起因する販売熱がようやく落ち着き、Chromebook全体の販売台数は前年同期比37%減の530万台となった。この数字はChromebook販売の低迷を反映しており、大手Chromebook販売店は大きな打撃を受けている。トップベンダーのLenovo(レノボ)は前年比の20.9%減、2位のHPは66.1%減、3位のAcer(エイサー)は28.6%の減少となった。

Canalysはその原因について、部品不足やその他のサプライチェーンの問題よりも、市場の飽和が影響していると推測している。「第3四半期のChromebookの出荷台数は、前年同期比37%減(前四半期比52%減)となり、Chromebook市場は大きな落ち込みを見せています。これは、米国や日本などの主要な教育市場が飽和状態に達し、公的機関によるデジタル教育プログラムへの資金提供が鈍化しているためです」と、調査会社は述べている。

画像クレジット:Canalys

一方、タブレット端末の全世界における出荷台数は、前年同期比で15%減少。23%増加したアジア太平洋地域を除き、すべての地域で販売台数が減少した。北米では24%の減少となった。

Apple(アップル)は、前年同期の34.4%から上昇して40%のタブレット市場シェアを維持したものの、販売台数は前年とほぼ変わらなかったため、成長率は0%となった。Samsung(サムスン)のシェアは、前年同期の20.4%から今期は19.1%へとわずかな減少だったが、販売台数は2020年比で20.2%減と急激に落ち込んだ。3位のレノボは11.3%のシェアを獲得。前年同期の9.5%から上昇し、成長率はわずかながらプラスの2%だった。

PC全体では、トップベンダーのレノボが4.1%増、2位のアップルは4.6%増、そして3位のHPは5.7%減と、HPは特にChromebookの売上減少の影響を大きく受けたようだ。

CanalysのリサーチアナリストであるBrian Lynch(ブライアン・リンチ)氏は、サプライチェーンの問題があるとはいえ、ホリデーショッピングシーズンには、ある程度の安心感が得られるだろうと述べている。

「第4四半期の売上高は、サプライチェーンの問題にもかかわらず、前四半期比で改善が見られるでしょう。これは主に、ホリデーシーズンに関連して消費者の需要が世界的に高まるためです。この需要は、低コストで材料費の少ないデバイスに向けられるでしょう。消費者はより高性能ではないデバイスを購入する傾向にあるため、部品メーカーへの負担は軽減されます」と、リンチ氏はTechCrunchに語った。ただし、Canalysでは、第4四半期の前年同期比成長率は比較的落ち着くと見ており、2022年以降はわずかながらも安定した成長が期待できるとしている。

なお、Canalysの市場調査方法は、最終顧客への販売ではなく、チャネルへの販売をカウントしたものであることは、記しておく必要があるだろう。つまり、消費者であるユーザーではなく、Best Buy(ベストバイ)やStaples(ステープルズ)のような企業に販売した台数をカウントしているのだ。

画像クレジット:Filipovic018 / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中高生向けIT・プログラミング教育サービス「Life is Tech !」が25億円のシリーズD調達

中高生向けIT・プログラミング教育サービス「Life is Tech !」(ライフイズテック)を手がけるライフイズテックは10月26日、シリーズDラウンドにおいて、第三者割当増資による総額25億円の資金調達を発表した。海外機関投資家から約20億円、クレディセゾンから約5億円という。累積調達額は約55億円となった。

同社は、「中高生ひとり一人の可能性を一人でも多く、最大限伸ばす」をミッションに掲げ、2010年7月に設立したEdTech企業。Life is Tech !は、2021年9月末時点でのべ5.2万人以上が参加するITキャンプ・スクールとなったという。

また2019年には、GIGAスクールや拡大するEdTechおよびプログラミング教育を背景に、学校向けオンラインプログラミング教材「ライフイズテック レッスン」を提供開始。全国のプログラミング教育の格差をテクノロジーを通じて是正する同教材は、提供から1年余りで、全国の300以上の自治体、約1650校の公立・私立学校、約32万人に利用されているそうだ(2021年9月末時点)。

シンガポールのエドテックDoyobiは教師を通じて子供たちのSTEM教育に貢献

EdTechブームは主に学生を対象としているが、教師も学ぶ者の1人だ。シンガポールを拠点とするプロフェッショナル開発プラットフォーム「Doyobi(ドヨービ)」は、教育者がSTEM科目(科学・技術・工学・数学)を教えるための新しい魅力的な方法を提供したいと考えている。このスタートアップ企業は米国時間10月21日、Monk’s Hill Ventures(モンクス・ヒル・ベンチャーズ)が主導したプレシリーズAの資金調達で、280万ドル(約3億2000万円)を調達したことを発表した。

今回のラウンドには、Tres Monos Capital(トレス・モノス・キャピタル)、Novus Paradigm Capital(ノーヴァス・パラダイム・キャピタル)、XA Network(XAネットワーク)の他、Carousell(カルーセル)の最高経営責任者であるQuek Siu Rui(クエック・シウ・ルイ)氏、Glints(グリンツ)の共同設立者であるOswald Yeo(オズワルド・ヨー)氏とSeah Ying Cong(シーア・イン・コン)氏、Grab Financial Group(グラブ・ファイナンシャル・グループ)の代表であるReuben Lai(リューベン・ライ)氏などのエンジェル投資家が参加した。

Doyobiのプラットフォームには、教師向けのトレーニングや生徒のためのインタラクティブなコンテンツが含まれており、現在は東南アジア、中東、アフリカの10カ国以上で約2000人の教師に利用されている。その中でも特に大きな市場は、インドネシアとフィリピンの2カ国だ。Doyobiは、教育プラットフォームであるLeap Surabaya(リープ・スラバヤ)やCoder Academy(コーダー・アカデミー)の他、HighScope Indonesia(ハイスコープ・インドネシア)、Mutiara Harapan Islamic School(ムティアラ・ハラパン・イスラミック・スクール)、Stella Gracia School(ステラ・グラシア・スクール)などの私立学校と提携している。

Doyobiは2020年、STEMに特化した教育プログラム「Saturday Kids(サタデー・キッズ)」からスピンオフして設立された。共同創業者兼CEOのJohn Tan(ジョン・タン)氏は、8年間運営してきたSaturday Kidsでは、世界中にSTEMスキルを学ぶ必要のある子どもが何百万人もいるにもかかわらず、年間数千人の生徒にしかリーチできていなかったと、TechCrunchに語った。

「学校で教えられていることと、子どもたちが将来の仕事に備えるために必要なこととの間には、大きなギャップがあります。好奇心、想像力、共感力は、読み書きや計算のスキルと同様に重要です」と、タン氏は述べている。「教師は学習成果を形成する上で非常に大きな役割を果たしているのに、ほとんどのEdTechイノベーションは教室にいる教師を完全に対象から外してしまっています」。

多くの政府が、経済成長におけるSTEMスキルの重要性を理解しているにもかかわらず、カリキュラムにSTEMスキルを組み込むことに苦労していると、同氏は付け加えた。Doyobiは教師を通して生徒にリーチすることで、この問題を解決したいと考えている。

Doyobiは、ライブビデオレッスンなどの教師向け啓発トレーニングに加えて、教育者が子どもたちと一緒に使える独自の仮想学習環境を構築した。これには、新しいスキルの実社会への応用、インタラクティブメディアの使用、Scratch(スクラッチ)を使ったコーディングプロジェクトなどが含まれており、生徒が授業で学んだことを強化することができる。DoyobiはTeachers As Humans(人間としての教師)というオンラインコミュニティも運営しており、そこでは教育者がピアサポート(同じ立場にいる人同士の相互サポート)を受けられる。

Doyobiは今回調達した資金を使って、教育者向けのコースを増やしたり、生徒向けのビデオ、クイズ、プロジェクトなどの教材をさらに充実させていく予定だ。

画像クレジット:Karl Tapales / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SDGsが募集テーマのMinecraftカップ2021全国大会の第2次地区ブロック審査会が11月開催

Minecraftカップ全国⼤会運営委員会は10月21日、「Minecraftカップ2021全国大会」日本各地の地区ブロック予選(1次審査)を通過した代表選手による2次審査会を開催すると発表した。11月7日より全国を5ブロックにわけて行なわれ、内容は1次審査通過者のプレゼンテーションと審査員による質疑応答となる。その模様はYouTube「Minecraft カップ」にて生配信される。審査基準と日程は以下の通り。続く最終審査会は2022年1月30日にオンラインでの開催を予定している。

作品募集テーマ「SDGs時代のみんなの家、未来のまち」

以下の3つのうち、1つ以上のSDGsの目標を取り入れてワールドを制作する。

  • 3:すべての人に健康と福祉を
  • 7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 15:陸の豊かさも守ろう

審査基準

  • 構想力:既存の枠にとらわれない発想で作品テーマを構想できているか
  • 調査力:テーマに対して様々な調査を行えているか
  • 技術:プログラミングやレッドストーンが活用されているか
  • 計画力:計画を立てて取り組むことができるか
  • 作品完成度:上記をふまえて総合的に作品のクオリティが高いか

開催日時

  • 関西・中国ブロック:11月7日14:00〜16:00(予定)
  • 北海道・東北・その他ブロック:11月13日14:00〜16:00(予定)
  • 四国・九州・沖縄ブロック:11月14日14:00〜16:00(予定)
  • 東京ブロック:11月21日14:00〜16:00(予定)
  • 関東6県・中部ブロック:11月28日14:00〜16:00(予定)

Minecraftカップ2021全国大会は、「ひとりひとりが可能性に挑戦できる場所」をコンセプトに「Minecraft: Education Edition」(教育版マインクラフト)を用いて子供たちにプログラミング教育やデジタルなモノ作りに触れる機会を創出し、子供たちのプログラミング思考の熟成を目指して開催されているイベント。7月12日よりエントリーの受付を開始し、エントリー総数3087人のうち、チーム・個人を合わせて484作品が集まった。

1次審査は北海道・東北・その他関東6県・中部東京関西・中国四国・九州・沖縄の5ブロックに分かれており、10月8~22日までブロックごとの相互投票によって行なわれた。それぞれの作品も公開されている。

2次審査会は、地区ブロック担当のMicrosoft認定教育イノベーター(MIEE)によって行なわれる。内容は1次審査通過者による3分以内のプレゼンテーション動画配信と、2分間の質疑応答によって審査されその模様はYouTubeでリアルタイム配信される。結果は後日公式サイトにて発表される。

ガイアックスが学生のうちに起業体験ができる教育機関をリストアップした「全国起業部マップ」第1弾を公開

ガイアックスが学生のうちに起業体験ができる教育機関をリストアップした「全国起業部マップ」第1弾を公開

ガイアックスは10月20日、起業に興味がある高校生また大学生に向け、「全国起業部マップ」を公開した。同マップでは、学業で専門性を学びながら、部活・サークル活動という形式で起業の経験を得られる教育機関をリストアップしている。また、全国起業部マップ掲載の大学一覧は「全国起業部マップ by GaiaxStartupStudio」で確認できる。

ガイアックスが学生のうちに起業体験ができる教育機関をリストアップした「全国起業部マップ」第1弾を公開

全国起業部マップ掲載の大学一覧「全国起業部マップ by GaiaxStartupStudio

同社調査によると、コロナ禍の影響を受け、Z世代の64%が「自分らしさ」や「変化に強い」進路を目指すと回答しているという。同社ではそのニーズに応えるため、大学のうちから起業の経験を得られる大学リストを作成、また国内で初めて公開したという。同社は起業という選択肢を人生の早い段階から提供する環境作りに貢献することで、新しい未来を作る人材の育成に取り組むとしている。

  • 調査期間:2019年1月〜2021年9月
  • 対象:大学の公式・非公式の起業部またはサークル、その他ビジネスコンテスト運営組織
  • 手法:インターネットリサーチ
  • 調査方法:「全国起業部マップ」は、内閣府「世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」選定地域に拠点を置く大学を中心に、起業部または起業サークルの有無を調査

同社調査では、日本国内のZ世代の約64%が、学生時代に未曾有の厄災を経験したことが「自身の将来選択に影響する」と回答した。将来の選択肢としては、「より安定的な進路を選択したい」(17.5%)という人よりも「より自分らしい進路を選びたい」(43.2%)や「より変化に対応できる進路をもちたい」(21.3%)と回答する人が多いという。

また同調査において、全国の大学で起業部の設立が続いており、2018年より起業部の数が250%増加していたことが明らかになった。ただ、社会人経験が少ない学生が、アイデアと技術だけで起業を選択することは容易ではない。そのため起業を目指す人は、大手企業やスタートアップに就職し、首都圏などに出てビジネス経験を持ち、起業する傾向があるという。

ガイアックスによると、今回一般公開したマップにより学生が起業経験を得られる大学が地方都市にもあるとわかるようになり、潜在的な起業家層となる学生が、首都圏に出ずとも起業を試みることができるとしている。

ミクシィが渋谷区立中学校の「パソコン部」支援で講師派遣やコンテンツ提供、スクリプト言語LuaやPythonに取り組む

ミクシィが渋谷区立中学校の「パソコン部」支援で講師派遣やコンテンツ提供、スクリプト言語LuaやPythonにじっくり取り組む

ミクシィは10月18日、渋谷区立中学校の部活動を地域の企業や団体で支える取り組みシブヤ「部活動改革」プロジェクトに参画すると発表。2021年11月から試験的に開始される初年度では、渋谷区立中学校全生徒が既存部活動に加えて参加できる合同の部活動「パソコン部」の立ち上げに協力し、講師やコンテンツの提供を行う。

渋谷区立中学校では、少子化によって、たとえば2021年度にサッカー部がある学校が8校中4校であったり、学校によって希望する部活動がなかったり、運動部では部員が少なくてチームが組めないなどの問題が生じている。そこで渋谷区は、2021年度「シブヤ『部活動改革』プロジェクト」を立ち上げ、地域の企業や団体の協力によるサッカー部、ダンス部、将棋部など9つの部活動を11月より開始することにした。

ミクシィは、渋谷区立中学校において授業や放課後学習の形でプログラミング教育を2019年度より支援しており、合同部活動としての「パソコン部」においては、まずは2021年11月と2022年2月の2回、それぞれ3日間のプログラミング教室を開催する。11月は、スクリプト言語Luaを使ってゲームのプログラミングを学び、実際にアクションゲームを作ってプレイできるところまでを行う。2022年2月は、プログラミング学習ソフトを使ってPythonを学ぶ。

プログラミング学習ソフトの画面イメージ(Lua)

プログラミング学習ソフトの画面イメージ(Lua)

プログラミング学習ソフトの画面イメージ(Python)

プログラミング学習ソフトの画面イメージ(Python)

ミクシィでは、プログラミング学習の他にも同社のリソースを用いた支援を検討しており、「ESG活動における次世代育成や地域への貢献活動の新しい取り組みとして、渋谷区の部活動改革に協力してまいります」と話している。

アスクルが「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」賛同、大学など教育支援で事業課題やデータ提供・指導員で協力

  1. アスクルが「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」賛同、協力企業として大学などの教育を支援

事務用品の販売などを手がけるアスクルは、10月19日、内閣府、文部科学省、経済産業省が創設した「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」に賛同し、経済産業省の「MDASH SUPPORTERS」の協力企業として大学などの教育プログラムの開発、実施の際に事業課題やデータの提供、指導員の派遣を行うと発表した。

「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」は、内閣府、文部科学省、経済産業省が連携して、これらの分野の教育を奨励するための認定制度。大学院を除く大学、短期大学、高等専門学校の教育プログラムを認定し、支援するというもの。「MDASH SUPPORTERS」とは、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」を支援する賛同企業や団体のこと。富士通、ソフトバンク、NTT DATAなどの大手企業が名を連ねている。

アスクルでは、「MDASH SUPPORTERSとして、数理・統計学を学ばれた若い方々の力が社会で発揮され、日本の競争力が高まることを期待し、本プログラムに協力してまいります」と話している。

バンタンとpaizaが協業し中高生対象のプログラミングセンター試験「P共通テスト」を2022年1月22日に実施

バンタンとpaizaが協業し中高生対象のプログラミングセンター試験「P共通テスト」を2022年1月22日に実施

ITエンジニア向け転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」(パイザ)を手がけるpaizaは10月18日、バンタンと協業し、全国の中高生向けプログラミング共通テスト「P共通テスト」(バンタンテックフォードアカデミー中高プログラミング共通テスト)を開始すると発表した。P共通テストの第1回は、2022年1月22日に実施予定(オンライン開催)。10月18日より受験希望者の申し込みを受け付けている。

バンタンとpaizaが協業し中高生対象のプログラミングセンター試験「P共通テスト」を2022年1月22日に実施

「P共通テスト」概要

受験の流れ

  1. 受験の申込(無料)
  2. paizaラーニング」への登録(無料・任意)
  3. P共通テストサイト(paizaラーニング for TEAM)の登録
  4. サイト内容の確認
  5. 試験の最終案内(12月頃予定)
  6. 試験本番前にログイン

ルール

  • 個人で参加すること
  • テストの開催時間は90分
  • テストの開催中に問題および提出コード、ヒントをブログやSNSなどに掲載するのは不可。ただし、テストの終了後には掲載可能
  • 解答やヒントを教えてもらったり他人のコードを利用するのは不可。ただし、ウェブで検索するなどの調査行為は可能(paizaスキルチェックと同様)
  • 利用できるプログラミング言語は、paizaスキルチェックと同様で、Java、 PHP、Python2、Python3、Ruby、Perl、C、C++、C#、JavaScript、Objective-C、Scala、Go、Kotlin、Swift
  • コード採点時の実行環境もpaizaスキルチェックと同様
  • 問題ごとに、提出するコードのプログラミング言語を選択可能。例えば、Q1はC#で提出し、Q2はJavaで提出するなどが行える

バンタンとpaizaが協業し中高生対象のプログラミングセンター試験「P共通テスト」を2022年1月22日に実施

P共通テストは、プログラミング初学者からITエンジニアを目指して学習している方まですべての中高生を対象に、現在の自分がプロのスキルに対してどのレベルにいるのかを理解できるテストという。問題の作成にあたっては、2022年度から新しく始まる高校の情報科の科目「情報Ⅰ・情報Ⅱ」を考慮しており、今後導入を予定されている「大学共通テスト」に対する実力の参考として活用することも可能(情報Ⅰは、2024年度以降の大学入学共通テストの出題教科となっている)。

全国の中高生のプログラミング能力の向上を目指し、才能ある中高生を社会へつなぐことで、急速に進むデジタル社会が抱えるIT人材不足をサポートするものという。才能のある人材を社会へつなぎ、IT業界が抱える人材不足に貢献するとしている。将来的には、漢字や英語の検定のように、中高生がプログラミングスキルを測る共通テストとして一般に広く定着させていきたいと考えているとした。

今回の協業においては、paizaは問題の監修と採点を担当。同社は、サービス開始以来総受験回数1500万回以上(2021年10月現在)という、転職・就職を希望する方やプログラミングを学習する方の実力を判定する「paizaスキルチェック」を提供している。同システムをバンタンに提供し、中高生向けに出題範囲を設定して出題する。

【コラム】ハイテクとハイタッチのハイブリッドがパンデミック後の教育新時代を築く

パンデミック渦の教育におけるテクノロジーの役割について、これまで多くの議論が繰り広げられてきた。それもそのはずである。デジタルソリューションは、不確実な状況下や休校のような事態にも、学校コミュニティが学習を継続することを可能にしたからだ。

しかしEdTechの台頭は大きな課題と向かい合わせの状態でもある。2020年3月にパンデミックで学校が閉鎖されて以来、教育機関は生徒がコンピューティングデバイスやインターネットにアクセスできるようにするための投資を行ってきた。

テクノロジーに不慣れな教師たちが即席の仮想教室でリモート授業を行う方法を学び、テクノロジーに精通するようになった。しかし、デジタル学習がここまで進展したにもかかわらず、教室での対面式授業という社会的側面が中断された結果、2020年から2021年の学校年度を終えた生徒の読解力と数学の成績は平均で4〜5カ月遅れていることがMcKinsey & Companyの最近の調査で明らかになった。

教師がソフトウェアを使って、指導を差別化したり個人に合わせて行ったりすることができるようになり、デジタル学習の可能性は見えてきた。しかしここで終わらせてはいけないのである。この1年半の間に「テクノロジー」は「バーチャル」とほぼ同義語になり、多くの子どもたちはデバイスの向こう側で孤独を感じ、仲間や教師とのつながりを求めていたのである。

私たちは今、これまでに学んだことを活かして教育の新時代の到来を告げるべきなのである。それは、テクノロジーを有意義に活用しながらも、人とのつながりを中心とした教育であり、魅力的なソフトウェアとすばらしい教師のどちらか1つを選ばなくて良い教育である。この秋新学期が始まるが、これからは最高のテクノロジーと最高の教室体験を融合させていくことが重要なのである。

HMHは先に、毎年恒例のEducator Confidence Reportの結果を発表した。今回の結果はパンデミック後の教室の特徴を示す重要な洞察を描き出している。

全米各地の第一線で働く1200人以上の教育者が回答したこの調査。楽観的な見方は減少しているものの(自分の職業の状況について、やや肯定的または肯定的な見方をしていると回答した教育者はわずか38%)、学習テクノロジーの習得と恩恵に対する自信は上昇しているようだ。

私たちは今、デジタルに関して見通しの段階から証明する段階へと移行しているのである。

激動の1年ではあったものの、テクノロジーに対する教師の現状への見解は、デジタルソリューションをより目的を持って利用するための道を開く明るい材料となった。

教育関係者のEdTech活用に対する自信は、7年前にこの調査を開始して以来過去最高となっており、66%の教員が自分の能力に非常に大きな自信を持っていると答えている。多くの教育関係者がその理由として、2020年3月に「窮地に追い込まれた」経験があったからこそだと答えている。現在ではほぼ満場一致で95%の教師がEdTechの効果を実感しており、77%がパンデミック後もより効果的に教育するためにテクノロジーを活用したいと考えている。

重要なのは、教師がどのようなメリットを感じているかということだ。81%の教師が、生徒のエンゲージメントの向上、差別化された個別指導、教育コンテンツへの柔軟なアクセスの3つの利点のうち少なくとも1つを報告しており、これらはいずれも生徒を中心としたものである。

テクノロジーがより大きな役割を果たし、より効果的になっているにもかかわらず、教育者たちはデバイスやインターネットへのアクセス不足など、アクセスや効果を妨げる重大な障壁が依然として存在すると報告している。57%の教育者が、生徒がテクノロジーに積極的に関与していないことが大きな障壁になっていると指摘しており、また半数以上の教育者が、デジタルリソースを授業に組み込む計画を立てる時間がないことが最重要課題であると答えている。

生徒の心の健康が教育関係者の最大の関心

教育と学習の中心にあるのは、教師と生徒の間に築かれ育まれる強い結びつきであり、それが学業や社会性の成長の基盤となり学習意欲を高めるということは、誰もが認識していることだ。私たちはこのつながりを断ち切り生徒を孤立させるようなテクノロジーによって、この重要な関係を曖昧にさせてはならず、今回の調査データはそれをしっかりと証言している。

教育関係者の58%がパンデミック後に生徒の社会性と情動のニーズが高まることを懸念しており、そのニーズには2021年も引き続き高い関心が寄せられている(これは教師自身の給与や生徒が遅れをとることへの懸念を上回る数字である)。そして82%の教育関係者が、工夫凝らし、完全に統合された社会性と情動の学習(SEL)プログラムが効果を表すだろうと考えている。

「パンデミック後の教育モデル」への移行を開始するためには、テクノロジーの力と従来通りの教室での学習を融合させた、ハイテクとハイタッチ、つまり人間らしい触れ合いが互いに補強し合う、両世界の長所を活かしたアプローチが有効になるだろう。

教育者たちのユニークな経験から見えてくる、未来の教室の姿

テクノロジーだけでは教育の新時代を切り開くことはできない。コミュニティ志向かつ人間のつながりを重視したマインドで、デジタルソリューションを活用していくことが重要だ。

HMHでは、孤立ではなくエンゲージメントを促すEdTech・エコシステムを目指している。単なる「ガラス画面の下の1ページ」ではなく、教師が指導を差別化できるような実用的なデータや洞察を提供するソリューションを提供し、教育者の負担を増やすのではなく、むしろその能力を拡張して、生徒の社会性と情動のニーズに集中する時間を与えるイノベーションを目指している。

教育関係者らが、こういった目標を達成するためのテクノロジーの潜在性を信じているということは、はっきりとわかった。82%の教育関係者が生徒1人ひとりに合わせた学習が将来の学習と教育を変えると考えており、75%の教育関係者が、指導と評価を1つのプラットフォームで行える技術ソリューションが、この変革に不可欠であると考えている。

この1年でEdTechの可能性は飛躍的に高まっているが、教室の未来は単にハイテクだけではなく、ハイタッチでもあるのだ。

教育関係者にパンデミック後に最も楽しみにしていることを尋ねたところ、その答えは明らかで「学生コミュニティと一緒にいられること」だった。80%が学生と直接交流できることを、74%が学生のエンゲージメントが高まることを、63%が学生間のコラボレーション機会があることを心待ちにしている。

対面式学習とデジタル学習をめぐる熱い議論は、デジタルかアナログかという極端な対立を生み出す短絡的なものになりがちだ。しかしこれが対極にあるものという考えをやめ、相互に補完し合うものだという考えを受け入れることができたら、私たちは最大の成功を手に入れることができるだろう。

2020年私たちは多くのものを失ったが、同時に重要なものも手に入れた。そしてこの勢いを継続することは可能である。私たちは社会として、目の前の健康リスクを評価し、職場や地域、そしてもちろん学校も含め、ますますハイブリッドな世界を進んでいく必要がある。

私たちが本格的に校舎に戻るとき、テクノロジーとイノベーションを駆使しながらも、その中心にある教師と生徒のコミュニティによって永遠に定義される、新しい学習の時代の到来を告げる準備ができていると私は信じている。

編集部注:本稿の執筆者Jack Lynch(ジャック・リンチ)氏は、Edtechのベテラン。学習テクノロジー企業HMHのCEO。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Jack Lynch、翻訳:Dragonfly)