NFTやDeFiにとっても逆風?米国のステーブルコイン規制の最新情勢と論点整理

NFTやDeFiにとっても逆風?米国のステーブルコイン規制の最新情勢と論点整理

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

今や220兆円を超える市場に成長した暗号資産ですが、2022年、業界全体を揺るがしかねない問題として注目されているのが、ステーブルコインに関する規制です。ステーブルコインに対して厳しい規制がかけられれば、最近ブームとなっているNFT(ノン・ファンジブル・トークン)やDeFi(分散型金融)にとっても逆風になるという見方もあります。

本稿では、クラーケンの本社がある米国におけるステーブルコイン規制の最新情勢と論点の整理を行います。

そもそもステーブルコインとは?

ステーブルコインは、暗号資産エコシステムにおける潤滑油的な存在です。ビットコイン(Bitcoin)のような資産性はありませんが、機関投資家が暗号資産取引を行うときに入れる担保であったり、NFTやDeFiといった新たなサービスにおける決済や担保手段として使われています。

代表的なステーブルコインは、米ドルと連動するUSDT(テザー)とUSDC(USDコイン)です。ブロックチェーンデータ企業CoinMetricsによりますと、ステーブルコイン市場は1400億ドル(約21兆円)。そのうちUSDTとUSDCは90%近いシェアを持っています。

NFTやDeFiにとっても逆風?米国のステーブルコイン規制の最新情勢と論点整理

ステーブルコインの市場規模

「銀行並み」の規制

2021年から米国ではステーブルコインに対する規制の必要性を訴える声が多く聞かれるようになりました。例えば、米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は、2021年9月、ステーブルコインについて「ポーカーのチップのようなもの」と独特の表現でリスクに警鐘を鳴らしました

そして2021年11月、大統領直下の金融市場ワーキンググループ(PWG)がステーブルコインに関するレポートを公開してから、規制をめぐって雲行きが怪しくなりました。PWGのレポートは、米議会議員に対してステーブルコインの発行体を「銀行のような機関」として規制する法律を通すように提案しました。その中で特に注目されているのが、保険加入金融機関(IDI)のみにステーブルコインの発行を許可するという部分です。

2022年2月、PWGレポートの主な執筆者である財務省の幹部が、上院の公聴会で、ステーブルコイン発行体に対する銀行並みの規制案に関して、柔軟に対応すべきであると発言し、これまでのスタンスから軟化したといわれていますが、詳細は明らかになっていません。

暗号資産業界の反応

2021年11月のPWGレポート公開後、米国の暗号資産関連の業界団体ブロックチェーン協会(Blockchain Association)は、すぐにPWGレポートの分析レポートを公表しました。同協会は、ステーブルコインの流動性の向上や担保となる資産の証明といった観点から規制を歓迎する一方、ステーブルコイン発行体を保険加入金融機関として規制することには明確に反対しました。理由として、数多くのステーブルコインがある中で特定のステーブルコインを規制面で優遇することになること、大手銀行などが競争上の優位性を持ってしまうことを挙げています。

「そのような規制はイノベーションを窒息させて、新しいステーブルコインプロジェクトが米国に来なくなり、現在のフィンテック企業に対する規制の流れと逆行することになるだろう」

この他、PWCによる規制案は「ステーブルコイン発行体に必要不可欠な活動をするすべてのエンティティ」も規制の対象としていますが、同協会は、この定義はあいまいであり、「マイナーやソフトウェア開発者」も含まれてしまうのではないかと懸念しています。

クラーケンは、ステーブルコイン規制の動向を注視しています。グローバル市場でUSDT、USDC、DAI、PAXGという4つの主要ステーブルコインを取り扱っており、ステーブルコインの暗号資産市場における役割の大切さを実感しています。ブロックチェーン協会同様に、「古いルール」を新しい市場に無理矢理導入するといったような拙速な対応はするべきではなく、まずはステーブルコインついて正しく理解することが先決と考えています。

また、米国以外で英国やEUでもステーブルコインの規制が検討されていますが、国ごとに異なるルールと基準が設けられる「つぎはぎの規制」を避けるため、国際的な協調関係の強化が重要になるとクラーケンは考えています。

2021年末から日本でもステーブルコインの発行体に対する規制について議論があり、2022年の通常国会に資金決済法改正案の提出を目指すと報じられ、2022年3月に入り実際に提出されました。ただ、米国をはじめ世界各国では規制当局と業界側の対話が続いている状態であり、日本でもステーブルコインの発行体や暗号資産交換業を含む様々なステークホルダーの意見を取り入れて議論を続ける必要があると考えています。

画像クレジット:Tezos on Unsplash
CoinMetrics

EUが半導体生産強化に約56兆円投じる「欧州半導体法」を加盟国に提案、2030年までに世界半導体市場シェア20%が目標

EUが半導体生産強化に約56兆円投じる「欧州半導体法」を各国に提案、2030年までに世界半導体市場シェア20%が目標

Thierry Monasse via Getty Images

EUが、半導体不足を解消するために430億ユーロ(約56兆円)を投じて、欧州における半導体生産を強化するEuropean Chips Act(欧州半導体法)制定をEU各国に提案しました。これは半導体研究や製造といった分野で欧州の強みを生かしつつ、生産面でアジアに強く依存している状況を軽減するための方策です。

ただし、この計画はEU加盟国と欧州議会の承認が必要であり、国および民間企業からの投資によって将来的に今日のようなチップのサプライチェーンの混乱が発生しにくくすることが期待されます。EUは2030年までに世界の半導体市場において20%のシェアを握ることを目標とするとのこと。

また「短期的にはサプライチェーンの途絶を予測、回避ができるよう市場の動きを監視し、供給不足のへの耐性を高め、中期的には欧州がこの分野で業界のリーダーになる」と、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はしました。

この動きは、ジョー・バイデン大統領が米国での半導体生産量を増やすために、520億ドルを投じて半導体部門への投資を推進したことに続くものであり、とある専門家は、EUの半導体法はパンデミックが世界経済をいかに再構築しつつあるかを浮き彫りにしていると述べています。

パンデミックの影響はいまも特に中国に現れており、世界最大の貨物港である寧波・舟山港がある浙江省では、当局が数万人の住民を隔離して港を閉鎖。多くの船舶が航路変更を余儀なくされたと伝えられています。

物流業界は台風や火災の発生といった、自然災害でもこれまでによくある類のものなら対処方法も用意していたものの、パンデミックの長期におよぶ影響はとても予測できるものではありませんでした。新型コロナの影響により地政学面の変化や、ナショナリズムの台頭、気候変動も絡み合い、政府の対応のしかただけでなく民間企業もビジネスのあり方を見直さざるをえなくなっています。

欧米でそれぞれ半導体に関する法案が成立すれば、こんどは欧州、米国、アジアそれぞれで半導体製造企業の呼び込み合戦が展開されるようになるかもしれません。それでも、この計画は最終的に世界の半導体生産を押し上げ、医療機器、電気自動車、PCパーツ、ゲーム機などの入手性を改善することになるはずです。

(Source:European Commission。Via The GuardianEngadget日本版より転載)

米議会下院、対中競争力維持に向け半導体不足対策に約6兆円織り込んだ法案を可決―上院との妥協案を模索へ

米議会下院が対中競争力維持に向け半導体不足対策に約6兆円織り込んだ法案を可決、上院との妥協案を模索へ

Lim Huey Teng / Reuters

米議会下院は2022年度アメリカ競争法を可決しました。この法案には世界的な不足が続く自動車やコンピューター向けの半導体不足を脱するため、また中国に対する半導体製造面での優位性を維持するため520億ドルにのぼる補助金を計上し、さらに研究開発のために3000億ドルという巨額の予算を設定しています。

ナンシー・ペロシ下院議長は「サプライチェーンの面で米国の自給自足を実現し他国への依存をなくすことが法案の目的」だと述べました。最終的に法案が成立すれば、技術的・産業的優位に立ちつつある中国に米国が対抗するための包括的な試みになるはずです。

下院での可決により、この法案は上院との間で妥協案を模索する交渉に入ることになっています。ただ、このままでは予算が最終的に承認されるかどうかはわかりません。下院は民主党がやや優勢だったため法案が通ったものの、共和党はたとえばこの法案でに織り込まれた、発展途上国を支援するためにパリ協定で設立された緑の気候基金(Green Climate Fund)への拠出金80億ドルをはじめとして気候変動への対処に余分な条項が多すぎると主張しています。またこの法案では中国の責任を追及するのに不十分とも述べています。

交渉は早くて数週間、時間がかかれば数か月になると予想され、ジーナ・ライモンド商務長官は「数日の遅れが寄り大きな遅れになり、それは国内国家安全保障上のリスクを増加させるだろう」として交渉の迅速な決着を求めました。またバイデン大統領もこの法案が「重要なものである」と述べ「米国には待っている余裕はない」ています。大統領が法案に署名して法律として成立させるには、上下院の摺り合わせによって両院を通過しなければなりません。

今回の法案に対する投票は、北京冬季オリンピックの開会式の数時間後、議会で中国でのオリンピック開催を決めた国際オリンピック委員会に対する批判が出ているなか行われました。人権団体は以前から中国の人権に対する姿勢を批判していますが、中国はその主張を否定しています。

また今回の可決に対する自動車業界の反応としては、たとえばフォードの最高政策責任者兼法務顧問のスティーブン・クローリー氏はこの法案が成立すれば「フォードが世界的な半導体不足による生産の制約を緩和し、製造ラインの稼働を維持し、顧客が求めるエキサイティングな機能を備えたコネクテッドカーや電気自動車を提供するために役立つ」とコメント、フォード、GM、ステランティスを代表する米自動車政策協議会も上下院の「意見の相違を迅速に解決」することを議会に求めました。

一方、IT産業ではインテルが先月、オハイオ州に200億ドルを投じて半導体製造工場を建設すると発表しており、その際にこの法案から業界に追加支援があれば、今後10年間で新工場に1000億ドル規模の投資を行う可能性があるとしていました。またこの法案では、ほかにアップルや台湾TSMCのアリゾナ工場など、半導体製造施設の新設(すでに着工したものを含む)のために390億ドル(約4兆5000億円)の補助金を盛り込んでいます。

(Source:New York Times。Coverage:Automotive NewsEngadget日本版より転載)

インド、暗号資産とNFTの所得に対する30%の課税案を発表

インドは、この世界第2位のインターネット市場において、暗号資産を法定通貨として認める方向で動いており、2023年までにデジタル通貨を立ち上げ、暗号通資産とNFTに課税する計画を現地時間2月1日に発表した。

Nirmala Sitharaman(ニルマラ・シタラマン)財務相は、仮想資産の譲渡による所得には30%の課税を行うと2月1日に発表した。このような暗号取引の詳細を把握するために、彼女はまた、仮想資産の購入に関連する支払いについて1%の源泉徴収控除を提案した。

「このような所得を計算する際には、取得原価を除き、支出や手当に関する控除は認められないものとします。さらに、デジタル資産の譲渡による損失は、他の所得と相殺することはできません。仮想デジタル資産の贈与も、受取人の手元で課税されることが提案されています」とニューデリーで最も注目すべきテクノロジーとビジネスに焦点を当てた連邦予算の1つで彼女は述べている。

この提案は、インドにおける規制の不確実性にもかかわらず暗号資産とNFTの購入が急速に進出しているタイミングで行われた。

Binance(バイナンス)傘下のWazirX(ワジールX)は2021年12月、同社のプラットフォームにおける年間取引量が2021年に430億ドル(約4兆9400億円)を超え、2020年から「1735%」の成長率になったと発表した。

暗号トークンの人気の高まりは、この分野で革新を目指すスタートアップ企業群の出現にもつながっている。しかし、彼らの積極的なマーケティングキャンペーンには多くの人々が眉をひそめている

関連記事:インドが高利益を約束する無責任な暗号資産の広告禁止を検討

Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)は2021年、暗号資産取引所CoinSwitch Kuber(コインスイッチ・クーバー)を支援することで、インドで初めての投資を実施した。

「これらの取引の規模と頻度から、特定の税制を規定することが不可欠になっています」と彼女は述べている。

インドの中央銀行も、次の会計年度にデジタル通貨を導入する予定だという。同国の中央銀行は、国内で数カ月間、多くの対照試験を通じてCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)をテストし、銀行・金融システムへの影響を検証してきた。

「中央銀行デジタル通貨の導入は、デジタル経済に大きな弾みをつけるでしょう。また、デジタル通貨は、より効率的で安価な通貨管理システムにつながるでしょう」と述べた。ニューデリーはプレスノートの中で、その中央銀行発行デジタル通貨は紙幣として扱われると述べている。

関連記事:インドが中央銀行によるデジタル通貨の段階的導入を検討中

インドの隣国である中国は2022年1月初め、中国人民銀行がCBDCの試験の一環として、1億6000万ドル(約183億4300万円)以上に相当するデジタル人民元の取引を300万件以上処理したと発表した(中国は、記憶に新しいところでは、2021年、国内のすべての個人の暗号関連取引を違法とするレッテルを貼ったこともある)。

関連記事:中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

インドの今日の提案は、ニューデリーが暗号資産にどう取り組むつもりなのか、起業家、ベンチャーキャピタル、そして一般市民の間にやや混乱を生じさせた。

暗号関連の取引に税制を導入することで、ニューデリーはこのような仮想資産を法定通貨として認めるか、あるいは、ある投資家が声に出して疑問に思ったように「すべての行動から自分たちの肉を奪う」かのどちらかだと思われる。

ツイートで、野党議会党のスポークスパーソンRandeep Singh Surjewala(ランディープ・シン・スルジェワラ)氏は「財務大臣、国民に教えてください。暗号資産に課税することになるため、暗号資産法案を提出しなくても、暗号資産は今や合法なのでしょうか?その規制当局についてはどうでしょうか?暗号取引所の規制はどうなっているのでしょうか?投資家保護はどうなっているのでしょうか?」と訪ねた。

更新:ニューデリーは、現在「規制のための情報収集を行っている」と明らかにした

「しかし、今回の最大の進展は、暗号の課税に関する明確化でした。これにより、求められてきたように、インドの暗号エコシステムがより認知されるようになります。また、この開発によって銀行が曖昧さを取り除き、暗号業界に金融サービスを提供できるようになることを期待しています。「総じて、これは我々にとって良いニュースです。細かい部分を理解するためには、予算の詳細を見ていく必要があります」。とWazirX(ワジールX)のCEOであるNischal Shetty(ニシャル・シェッティ)氏は声明で述べている。

「税制が明確になったことは歓迎すべきことです。全体として、政府がイノベーションの方向に進むという進歩的なスタンスをとっていることがわかり、大きな安堵感を覚えます。税制を導入することで、政府はこの業界を大いに正当化することになります。これまで不安から傍観していた大多数の人たち、特に法人が暗号に参加できるようになります」。

ニューデリーはまた、国の農村部におけるインターネットとデジタル銀行の普及範囲を拡大することを約束した。

その他、注目すべき発表がいくつかある。

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

テクノロジーへの取り締まりが、今後の米国・中国間の競争の運命を握る

TechCrunch Global Affairs Projectは、テックセクターと世界の政治がますます関係を深めていっている様子を調査した。

今、テクノロジー大手は苦境に立たされている。野心的なテクノロジー企業はかつて、中国で比較的独立して活動できる数少ない企業の1つだった。以前、Alibaba(アリババ)のJack Ma(ジャック・マー)氏やDidi(ディディ)のJean Liu(ジーン・リュー)氏のようなテックリーダーは、ダボス会議で主役級の存在感を放つ、中国イノベーションの世界的なシンボルとなっていた。しかし今は違う。

2020年マー氏が中国の規制当局を批判する発言をした後、Alibabaの記録的なIPOは延期され、また同氏は数カ月間、事実上「行方不明」となっていた。Tencent(テンセント)は反トラスト法違反で多額の罰金を科せられている。2020年以降、両社はそれぞれの企業価値の約20%を失い、その総額は3000億ドル(約35兆円)以上に達している。Didiの株価は中国のアプリストアからの削除命令を受けた後、40%も下落している。最近では中国の規制当局がEdTechやゲーム業界に新たな規制を課し、さらには暗号資産を全面的に禁止している。

米国テクノロジー業界の重鎮らは自由を手にしているようにも見えるが、実際は彼らや彼らのビジネスも政府の監視下に置かれている。Lina Khan(リナ・カーン)氏、Tim Wu(ティム・ウー)氏、Jonathan Kanter(ジョナサン・カンター)氏といった反トラスト法を擁護する有力者たちがいずれもバイデン政権で要職に就いており、また米国議会ではプライバシーや年齢制限など、テクノロジー企業を規制する新たな法案が検討されている。

北京でもワシントンでも(そして何年もテクノロジー企業と戦ってきたブリュッセルでも)「大手テクノロジー企業はあまりにも強力になりすぎて責任を取れなくなっている」というコンセンサスがますます明確になってきている。政府はイデオロギーの違いを超えて、公共の利益の名のもとに何らかのコントロールを行わなければならないと考えている。今、創業者、経営者、投資家にとって、政治的リスクがかつてないほど高まっているわけだ。

しかし、表面的には似たような取り締まりに見えても、両国の反トラスト法戦略の意味するところはこれ以上ないほど相違している。中国では、反トラスト法の取締りは与党である共産党の指揮棒に運命が委ねられている。しかし米国の反トラスト法のムーブメントは一様ではない。

米国がまだ始めたばかりのことに対して中国は断固たる行動を取っている。しかし、データプライバシーや子どものスクリーンタイムの制限を謳う中国政府の取り組みは、その真の目的である政治的・経済的な完全支配のための布石にすぎない。事実上独立した市民社会が存在しない中国では、テクノロジー産業は共産党以外に権力を持つことができる数少ない場所の1つとなっていた。しかしこれまで以上に抑圧的な習近平政権では、このような独立した力の源が受け入れられることはない(香港を参照)。党の方針に従わなければ中国国家の強大さに直面するぞというメッセージは明確である。

さらに、中国はパワーの拡大を目指している。中国はかねてより次世代技術の支配を目指しており「China Standards 2035」プロジェクトの一環として、5GやAI、再生可能エネルギー、先進製造業など、数多くの重要な産業や分野の標準化の設定を積極的に進めている。これを実現するための主要戦略として、中国は国際的な基準設定団体を水面化に支配しようと試みていたのだが、北京はこれらのテクノロジーを開発する企業をコントロールすることも同様に重要であると気づいたのである。Huawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)、TikTok(ティックトック)の3社は、欧米の政治家が懸念しているような積極的なスパイ活動は行っていないかもしれないが、彼らの利用が広がれば広まるほど、中国の規格が世界のデフォルトになっていくことになる。

関連記事:国際的な技術標準での優位性を狙う中国の次の計画

ジャック・マー氏の運命と中国の5GリーダーであるHuaweiの創業者一族の運命を対比してみるといい。Huaweiは中国のテクノロジーを世界の多くの国でデフォルトの5Gキットとすることに成功。これにより中国の技術的信頼性が高まり、いくらマー氏が共産党員でもこの功績の比較にはならない。Huaweiは当然北京との親密さを売りにしており、Huaweiを選ぶことは中国への信任投票の代名詞となっているが、その分のリスク存在する。米国は、Huaweiと中国の治安機関との関係を懸念して同社に対する反対運動を実施。その結果、Huaweiが米国の対イラン制裁に違反したとして、同社創業者の娘でCFOのMeng Wanzhou(孟晩舟)氏がカナダで逮捕されるに至ったのである。

しかし、忠誠心が報われないわけではない。北京は2人のカナダ人を逮捕し、彼らの拘留を利用して晩舟氏の釈放に向けた取引を成功させた。例えHuaweiが以前は北京に忠誠を誓っていなかったとしても、今は確実に誓っているだろう。中国の他のテクノロジー大手にとっての教訓になったのではないだろうか。

中国の弾圧により投資は冷え込み、人材は浪費され、恐らく中国の強力なテクノロジー部門を築いてきた起業家精神も失われたことだろう。しかし、権力を振るってテクノロジー企業を屈服させることには間違いなく成功している。

北京が国益のためにテクノロジー大手を弾圧する一方で、米国が自国のテクノロジー大手を取り締まっている理由は一体何なのだろうか?米国の独禁法取締官はテクノロジーパワーの肥大化を懸念しているかもしれないが、より競争力のある部門がどうあるべきかという戦略的ビジョンを持っているとは信じ難い。米国の大手テクノロジー企業はその規模が米国の競争力に不可欠であるという主張をすることがあるが、彼らも政府も、自分たちが「アメリカンパワー」の作用因子であるとは考えていない。実際、米国議会がテクノロジー企業と中国のどちらをより敵視しているのか、判断に迷うほどである。

反トラスト法を支持する人々は、Google(グーグル)やApple(アップル)といった企業を解体するか、少なくとも規制することで全体的な競争力が高まり、それが政治や米国のテクノロジー分野に広く利益をもたらすと信じている。AmazonからAWSを、 Facebook(フェイスブック)からInstagram(インスタグラム)を切り離すことで、消費者にはメリットがもたらされるかもしれないが、これがテクノロジーに関する米国の優位性を維持することにどうつながるだろうか?それはまったく不明である。

これまでの米国におけるハンズオフ型の資本主義システムは、オープンでフラット、民主的であり、世界の歴史上最高のイノベーターを生み出してきた。同産業は政府が支援する研究の恩恵を受けてきたが、政府との関係の「おかげ」ではなく、むしろ政府との関係があったにもかかわらず、成功を遂げることができたのだ。米国企業が世界的に信頼されているのは(ほぼ)そのためであり、政権の動向に左右されることなく、法の支配を遵守することが知られているからなのである。

テクノロジーにおける米国と中国間の競争は、この前提を根底に検証されなければならない。政府から独立して運営されている分散型かつ非協調的な産業が、超大国によって編成された一産業に対して優位性を維持できるのか?

筆者はそれでも米国の(そして同盟国の)イノベーションは、これまで通り成功し続けると楽観視している。開放性は創意工夫を生むのである。米国の研究とスタートアップはどの国にも劣っておらず、そして競争に適切に焦点を当てることで、発展が到来するのである。

しかしだからといって、少なくとも限定的な国家戦略がまったく不必要というわけではない。米国に中国のような産業政策が必要だと言っているわけではない。結局のところ、中国のトップダウンモデルは壮大な無駄を生み出し、それが何十年にもわたって中国経済を圧迫することになる可能性があるのだ。企業を強制的に壊してしまうような露骨なやり方では、かえって害になることが多いだろう。

その代わりに米国の議員たちは、反トラスト法に関するヨーロッパの見解に賛同しつつある今、大西洋をまたいだグローバルな競争基準の賢明なフレームワークを開発すべきだ。新設されたU.S.-EU Trade and Technology Council(米欧通商技術評議会)とQuad(日米豪印戦略対話)のテクノロジーワーキンググループが協力を促進し、フェアプレーを維持する善意の民主的テクノロジーブロックを作るための基礎を築くべきなのである。

商業的なアウトカムに影響を与えることなく、政府が支援を行うというこのような中間的な方法には前例がある(冷戦時代に生まれたシリコンバレーの例など)。米国のテクノロジー産業の起業家精神を阻害することなく、ガードレールを提供するためにはこの方法が最適だ。

議会や行政がテクノロジー競争をどう扱うかを検討する際、現在の弊害を是正するだけではなく、米国のテクノロジーそのものの未来を描くことを念頭に置くべきである。なんと言っても米国経済のリーダーシップがかかっているのだから。

編集部注:本稿の執筆者Scott Bade(スコット・ベイド)はTechCrunch Global Affairs Projectの特別シリーズエディターで、外交問題についての定期的な寄稿者。Mike Bloomberg(マイク・ブルームバーグ)の元スピーチライターで、「More Human:Designing a World Where People Come First」の共著者でもある。

画像クレジット:Anson_iStock / Getty Images

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(文:Scott Bade、翻訳:Dragonfly)

世界最大級の暗号資産取引所Binanceのチャンポン・ジャオCEO、規制とアフリカでの活動について語る

「CZ」ことChangpeng Zhao(チャンポン・ジャオ)氏は2017年にBinance(バイナンス)を立ち上げたが、一部の情報によると同社はわずか180日で世界最大の暗号資産取引所へと成長した。

Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)によると、Binanceの1日の取引額は760億ドル(約8兆6331億円)で、これはライバル4社の合計額を上回るものである。

2021年上半期、Binanceはアフリカと中東から1億5100万回、ナイジェリアから1100万回のクリックを集めたとWSJは伝えている。Chainalysis(チェイナリシス)によると、2020年7月から2021年6月までに1056億ドル(約12兆円)相当の暗号資産がアフリカ内で取引されており、アフリカにおける暗号取引の活発さがうかがえる。

額面としては1200%以上の成長を遂げているにもかかわらず、この期間に取引された世界中の暗号のうちアフリカはまだ2%しか占めていない。暗号資産、ブロックチェーン、分散型金融がアフリカ大陸で定着しつつある中、Binanceはこれらの活動を推進するリーダーになりたいと考えている。

しかしそれを実現するためには、アフリカ大陸で直面するであろう規制上の課題を考慮する必要がある。ナイジェリアとケニアという特に暗号が盛んな2つの国で、暗号活動が禁止されてしまったからだ。

米国、中国、英国、日本、マレーシア、タイ、EUの規制当局は、近年の無秩序な成長に懸念を抱いており、同社はすでに打撃を受けている。

今回のTechCrunchとのインタビューで、ジャオ氏は、アフリカでの暗号の使用と導入、Binanceの活動、規制に対する同社のスタンスなどについて語ってくれた。

このインタビューはわかりやすくするために編集されている。

TechCrunch:暗号は複数の政府が規制しようとしている産業の1つです。これについてどう思われますか?暗号は規制されるべきでしょうか?

ジャオ氏:規制は暗号産業にとって不可欠であり、この分野に関心を持つ消費者や機関との信頼関係を構築する上で大きな役割を果たします。結局のところ、暗号の大量導入を実現するためには適切な規制が必要不可欠です。私たちは現地の規制当局と積極的に協力し、ユーザーの利益と保護という共通の目的に向かって業界を導くことで、健全な形でこれを促進できると信じています。

当社の考えでは、10%、20%、80%、99%の(暗号)採用を目指すために規制当局が入って来るのは良いことだと思っています。しかし規制が暗号の成長を妨げるのではなく、補完することも同様に重要です。全体的に見て、効果的な規制は消費者を保護すると同時に成長とイノベーションを刺激しますが、一方で、不適切な規制政策は成長を阻害し、時代遅れで効果のないプロセスや制度を保護します。

世界最大の取引所であるBinanceは、なぜ米国やヨーロッパ、中国で多くの規制問題を抱えているのでしょうか?また、それらに対処するためにどのような措置をとっていますか?

どの暗号資産取引所も世界中の規制当局と密接に連携していると思います。業界のリーダーとして、多くの人がこの業界の代名詞のようにしてBinanceを見ています。模範となり、規制当局と連携して共通の目標を前進させる機会を得たという事実を、私たちは軽視することはありません。

私たちが最大の暗号化取引所であるのは、ユーザーが私たちを信頼してくれているからです。ユーザーを守るためのあらゆる決断と行動によって、その信頼を私たちは獲得してきました。私たちは、世界中の業界や規制当局とベストプラクティスを共有したいと考えています。それがより健全な業界の形成につながると信じています。

各国の規制ガイドラインへの対応の一環として、FATF(金融活動作業部会)の定める国際規制「トラベルルール」に対応するためのShyft NetworkのVeriscopeや、ユーザーが個人の納税義務を迅速に果たせるようにするためのTax Reporting Tool APIなどの新製品を発表しました。

また「Futures Leverage for New Accounts」を更新し、複数の市場でアクセスを制限したり、プラットフォーム全体でKYC(顧客確認)の義務化を開始したりするなど、既存のサービスを見直しました。また最近、コンプライアンスに精通したトップクラスの人材を数名採用しました。

私たちは最近、リーダーシップの一例として、標準的なKYC/AML(アンチマネーロンダリング)処置に加えて、業界のプレイヤーの長期的活動を推進し始め、創業者トークンのロック解除のスケジュールを、2~4年から8~10年に延長するよう働きかけています。どこかの規制当局に求められたわけでないのですが、これが業界の健全化につながると信じています。私たちは、ユーザーを保護する方法を常に模索しているのです。

政府はこの取り組みを正しく行っていると思いますか?また、政府はこの新産業についての知識を持ち、その優位性に磨きをかけることができているでしょうか。

ここには絶対的な正解や間違いといったものはなく、キャリブレーションとバランスが重要になります。暗号だけでなく、暗号への規制も新しい概念であり、多くの政府がこの分野をより明確にしようと試みています。

規制当局は、消費者を保護すると同時にイノベーションを促進するという同じミッションを私たちと共有しています。規制当局が業界との最も効果的な関わり方を模索する中、当社は全世界で100%のコンプライアンスを実現することを約束し、すべてのチームがこの実現に向けて休むことなく取り組んでいます。

暗号資産の導入と発展は、自動車のそれと多くの類似点があります。自動車が発明された当初は、道路交通法も信号機も、シートベルトさえもありませんでした。車が道路を走りながら法律やガイドラインが作られていったのです。今日、私たちが当たり前のように使っている枠組みや法律があるからこそ、この強力なテクノロジーが広く安全に使われることができるのです。

暗号は誰もがアクセスできるという点で似ていますが、誤用や悪質な行為を防ぐためにはフレームワークが必要です。業界の継続的な成長のためには、最初の基準を明確にして構築することが重要です。Binanceはそこに積極的に貢献していきたいと考えています。

暗号の規制が懸念されているアフリカに対してBinanceが強気に出ているのはなぜでしょうか。

アフリカ大陸は、暗号資産の導入と発展のためのユニークなチャンスを秘めているため、私たちは常にアフリカに強気で臨んでいます。暗号は国境を越えた支払いや送金(アフリカ国内や国外への送金)、通貨の切り下げなどの問題を解決してくれます。

多くのアフリカ諸国は高い失業率に悩まされていますが、暗号とブロックチェーンは、この若く優秀な大陸に革新的な雇用機会を提供し、アフリカの人々の経済的自由の獲得をサポートしています。

Binanceがローンチしたその初日からアフリカのユーザーが存在しましたし、実際に彼らは比較的アクティブでした。私がウガンダ、トーゴ、ナイジェリア、そしてエチオピアを訪問したのは2018年の初めだったと思いますが、市場のことを少しでも知っておこうと思ってアフリカを少し回りました。そのあとすぐにBinance Ugandaを開設して、これが最初のフィアットゲートウェイになりました。

アフリカでの利用で特に興味深いのは、多くの人は伝統的な金融サービスにアクセスできないため、銀行口座を持つ人の数がかなり少ないということです。しかしだからこそ、暗号が魅力的なのです。

確かに魅力的ですが、アフリカの中央銀行がここ数カ月間、暗号ユーザーを標的にして、銀行が取引を促進するのを禁止しているのはそのためかもしれません。米国や中国などと同様に、彼らが代わりにBinanceを狙い始めたらどうなるでしょうか?

Binanceは規制を歓迎していますし、規制当局や政府と協力してこの新興産業をナビゲートするアプローチをとっており、コンプライアンス義務を重じています。変化し続けるこの分野の政策、規則、法律を積極的に把握するよう常に取り組んでいます。

関連記事:ナイジェリアが中国の足跡を追ってデジタル通貨を試験的に導入

このように、Binanceは規制当局を支援し、公正な競争条件を設定するための最適な方法を見つけたいと考えています。消費者保護は私たち全員にとって重要なことです。私たちは組織として飛躍的に成長してきましたが、規制当局の要請に応じて、特定のプロセスやプロトコルの更新を行っています。

Binanceやその他の暗号プラットフォームが世界中で政府の規制を受けた場合、暗号の採用や成長は鈍化すると思いますか?

いいえ、そうとは思いません。スマートな規制はイノベーションを促進し、ユーザーの安全を守ります。また、規制とイノベーションは相反するものではないということを理解するのも重要です。暗号ユーザーは、NFT、ステーブルコイン、ステーキング、イールドファーミングなどの新しいテクノロジーや手法に安全にアクセスする権利があるのです。

これについては先日発表した「10 Fundamental Rights for Crypto Users(暗号ユーザーの10の基本的権利)」で触れています。暗号の規制は避けられませんが、ユーザーには、自分が選択したブロックチェーンプラットフォームで業界をどのように進化させるべきか、声を共有する権利があります。

アフリカでの暗号化導入を後押ししているものは何だと思いますか?

さまざまな要素が重なり合っているのだと思います。アフリカは独特の課題を抱えたユニークな大陸です。例えばアフリカの多くの国は、常に通貨の切り下げに悩まされているため、ユーザーは切り下げに対する防衛や価値の保存として、暗号やステーブルコインを使用する傾向があります。

送金や海外送金、決済など、国を越えた支払いはかなり困難ですが、暗号はこれを簡単にしてくれます。

アフリカの多くの人々は、富の創出と経済的自由を求めて暗号を始めます。東南アジアやラテンアメリカと同じく、何百万人もの人々が貧困ラインの下で暮らしています。そのため、富を生み出すための革新的で非伝統的な方法を求める人が増えるというのは自然なことです。

アフリカの総人口のうち、銀行口座を持っているのはわずか11%という報告もあります。銀行口座を持たない人の多くは、銀行を通さずに携帯電話を銀行として利用し、直接暗号にアクセスしているのです。

数字つながりの話ですが、最近のWSJの記事によると2021年上半期、ナイジェリアではBinanceに1100万回のクリックがあったそうです。これはアフリカ大陸におけるBinanceユーザーの数ですか?

ウォールストリート・ジャーナルは当社のシステムやユーザー情報へのアクセス権を持っておらず、第三者が提供した推測に基づく統計データを引用しています。外部の第三者が行った推測に基づく分析について、当社はコメントできません。

より多くのアフリカ人がこれまで以上にP2Pを利用するようになった今、Binanceはどのようにしてアフリカのユーザーがプラットフォーム上で暗号資産を安全に取引していることを確認しているのでしょうか?

アフリカの人々が確実に十分な教育を受け、守られていると確信を持てるようにするため、弊社にとってこれは大きなフォーカスになっています。

特にBinanceのP2Pでは、ユーザーの保護と安全が最優先されます。8月時点で40万人以上のアフリカ人を対象に、ユーザー保護からブロックチェーンでのキャリア構築まで、さまざまなテーマで無料の暗号クラスを提供しました。

最近では暗号エスクローサービスなどの新しいリスク管理手段を導入し、またユーザー保護を強化するためにグローバルKYC要件を拡充し、悪質な業者によるシステムの悪用を防ぐために新しいP2P機能を実装しました。

アフリカなどの新興国にとって、暗号資産やブロックチェーンにはどのような変革の可能性があるのでしょうか?

可能性は無限にあり、新興国ではそれがさらに顕著になります。新しい金融インフラ、システム、プロセスが構築され、人々の生活を変え、経済的自由の可能性を生み出します。

また個人的には、GameFi、Sports Fan Tokens、NFTなど、最近主流になっているイノベーションにも大きな可能性を感じています。これらが非常に大きな変革をもたらすことができるのではないでしょうか。

画像クレジット:Binance team

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

ケニア政府、デジタル金融機関のデータプライバシー問題で厳重な取り締まり

2021年10月下旬、ケニアの国会で新しい法律が可決された。同法は、顧客の守秘義務に違反した事業者の許可を取り消す権限を金融規制当局に与える条項を追加している。これにともない、デジタル金融機関は、融資不履行者の個人データを第三者と共有することで、同国において免許取り消しのリスクを負うことになる。

典型的に融資アプリは、連絡先を含む借り手の電話データを収集し、メッセージへのアクセスを要求してモバイルマネー取引の履歴をチェックする。クレジットスコアリングやローン支払いの要件として参照されるものだ。悪質な金融機関はその後、借り手が債務不履行に陥った際に、実行された融資を回収する目的で、収集された連絡先情報の一部を使用する。複数の報道によると、デジタル金融機関は、友人や家族に電話をするなどして借り手に借金の返済を強要するような、デット・シェイミング(debt-shaming、債務の状態をさらしあげることによって、はずかしめたり、非難するような行為)手法に訴えているという。

今回の法改正は、高額の無担保ローンを提供する悪質なデジタル金融機関から市民を保護するためにケニアの議員が講じている多数の対策に追加されることになる。これにより、規制当局であるCentral Bank of Kenya(ケニア中央銀行)は、一定の自主規制期間の後、独立したデジタル金融機関(銀行と提携していない)の業務を監督する権限が付与される。今後は、ケニアで事業を行うにはライセンスを取得する必要が出てくる。これまでは登録するだけだったが、それが悪質なアプリの急増を招くことになった。

このケニア中央銀行に関する2021年改正法案では、規制当局に対し、金利に上限を設けたり「データ保護法または消費者保護法の条件」に違反したデジタル金融機関のライセンスを一時停止または取り消す権限も与えている。

ケニアのデータ保護法では、企業はデータを収集する理由を顧客に開示するよう義務付けられている。また、借り手の機密情報が不正な第三者によって侵害されないよう保証する。この動きの背景には、消費者向けロビー活動が、顧客情報をデータやマーケティング企業と共有しているとしてローンアプリを非難していることがある。

デジタル金融機関はまた、プロダクトに関するすべての情報を開示することが求められ、これには価格設定の詳細、債務不履行者に対する罰則、債務回復の手段などが含まれる。これは、プロダクトやサービスの購入に関するすべての条件を消費者に開示することを販売者に義務付けている消費者保護法に沿ったものだ。ほぼすべての融資アプリが、ケニアでの借金を回収するためにデット・シェイミング手法を用いていることが明らかになっている。

ケニアにはおよそ100ものモバイル融資アプリがあり、その中には中国の大手ブラウジング企業Opera(オペラ)が所有するOkashやOpesaも含まれている。両社ともケニアで略奪的な融資戦術を用いているとの主張に直面している。OkashやOpesaをはじめとする数十のローンアプリが、法外な金利と搾取的な条件を設定していたことが判明した。例えば、Google Play Storeのポリシーでは60日ローンと規定されていながら、OkashやOpesaは30日ローンとなっていた。中国の2つのローンアプリの金利は法外で、年間876%に達している。銀行の年間金利にしても20%は滅多に超えない。サンフランシスコに拠点を置くBranch International Ltd.(ブランチ・インターナショナル)やPayPal(ペイパル)が支援するTalaなどの他のアプリでも、年利がそれぞれ156~348%、84~152.4%と、恐喝的なレートが使われていることが判明した。

月額約4000万ドル(約45億円)を支出する25のデジタル金融機関を代表する金融機関ロビー団体がTechCrunchに語ったところによると、メンバーは金利の上限設定について懸念を表明したが、特に彼らのフィードバックが受け入れられたことを受けて、新しい法律には満足しているという。同団体は、最低資本金規制や預金割り当ての撤廃、新技術や新プロダクトの規制権限の委譲を求めてロビー活動を行ってきた。

Digital Lenders Association of Kenya(ケニアデジタル金融業協会)の会長であるKevin Mutiso(ケビン・ムティソ)氏は次のように述べている。「この分野が規制され、中央銀行(規制当局)へのアクセスが可能になり、紛争規制の仕組みも導入されることを喜ばしく思っています。しかし、私たちが懸念しているのは価格統制であり、これにはあまり感心していません。金利の上限を設定した瞬間に融資は行われなくなります。私たちは神経質になっていますが、それは公正なことです」。

しかしムティソ氏によると、規制が整備されれば、金融機関は規制当局をはじめとするパートナーと協力して融資をより強固なものにすることができ、同国の融資市場の拡大に役立つという。

「規制の欠如は市場を予測不能にしていました。今なら私たちに何ができ、何ができないかがわかります。また、私たちはより良い債務回収慣行を持つことになります」とムティソ氏は語る。

「この法律により、ケニアは世界でナンバーワンのフィンテック市場になると私たちは考えています。なぜなら金融機関や借入者から期待されることなど、今はすべてが明らかだからです。私たちはまた、顧客、特にMSME(零細・中小企業)にとってより良いプロダクトを目にすることになるでしょう」と同氏は続けた。

これらのアプリは無担保ローンを提供しているため、当座の現金を求めている借り手や、口座履歴などの前提条件により銀行から締め出されることが多い借り手にとって魅力的なものとなっている。

デジタルクレジットは簡単に利用できるが、保有期間が短いために高額である。また、アクセスが容易なために複数のアプリからの借り入れが発生し、債務の逼迫やクレジットスコアの低下につながり、将来的に銀行からクレジットを取得する借り手の能力に影響を与える。

Kenya Bankers Association(ケニア銀行協会)の調査によると、利便性とアクセスの容易さが、クレジットにアクセスするプラットフォームを決定する際に顧客が考慮する主な理由であることが示されている。

この調査では、自営業者は通常のクレジットよりもデジタルを好むことが明らかになった。これは、彼らが業務を行っている間に経験する流動性の変化に起因するものであり、緊急時にもローンアプリが好まれることが指摘されている。

新しい法律では、規制当局に対し、クレジットコストを設定する際にデジタル金融機関が準拠する価格パラメータを決定する権限が与えられている。

法外な金利はケニアに限ったことではない。インドでは、融資アプリに週当たり60%もの高い金利が設定されていることが判明した。南アジアの国では、融資回収業者による嫌がらせの後に自殺した人々の報告があった。

西アフリカ諸国でも、地域最大の市場の1つであるナイジェリアを含め、融資アプリが急増している。

調査と政策提言を行うConsultative Group to Assist the Poor(CGAP、貧困層支援協議グループ)の報告書でも、タンザニアの2000万人もの借り手のデジタルローンのデフォルト率と延滞率が高いことが明らかになった。ほとんどの借り手は緊急事態や投資のためではなく、日々の必要性のために融資を利用している、と同報告書には記されている。

「これらの数字を減らすために規制当局ができる最も重要なことの1つは、融資条件の透明性を向上させ、顧客が情報に基づいた意思決定をしやすくすることです」とCGAPは述べている

同組織は、融資アプリを管理するためのより厳格な規則について勧告し、金融機関に融資条件の透明性を呼びかけた。

画像クレジット:Tala

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(文:Annie Njanja、翻訳:Dragonfly)

テック大企業をターゲットにした米国初の独禁法案が現実味を帯びてきた

テック企業が自社の製品やサービスを優遇することを防ぐ米上院の大型の法案が、議会における重要なハードルを通過し、法制定に一歩近づいた。

上院司法委員会は米国時間1月20日「American Innovation and Choice Online Act(米国のオンラインでのイノベーションと選択のための法案)」を採決し、注目を集める反トラスト法案を上院本会議での採決へと前進させた。この法案は、5人の共和党議員が上院民主党議員に加わって法案を推進し、16対6で委員会を通過した。

同法案は、テックプラットフォームが「自社の製品やサービスを優遇したり、ライバル企業に不利益を与えたり、プラットフォーム上の競争に重大な損害を与えるような形でプラットフォームを利用する企業を差別したり」することを禁止する。また、支配的なプラットフォームが他のサービスとの相互運用性を妨げたり、プラットフォーム上の他社のデータを活用して競合することも禁じられる。

こうした目的を達成するため「American Innovation and Choice Online Act」は、反トラスト法執行機関に「強力で柔軟な手段」を与え「民事罰、広範な差止命令、緊急暫定措置、役員報酬の没収の可能性」などを認めている。

上院司法委員会競争政策・反トラスト・消費者権利小委員会の委員長Amy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員(民主・ミネソタ州選出)は、この法案を「インターネットの夜明け以来」上院議場に向かう初のテック大企業競争法案だと称賛している。この法案は、1月20日には進行を妨げなかったものの、最終的な文言に影響を与える可能性がある、いくつかの修正で変更が見られるかもしれない。

混み合い、ほとんど失速している立法議題に盛り込むために上り坂をのろのろと進んでいる一方で、法案の勢いは顕著で、これを受けてGoogle(グーグル)とApple(アップル)は今週初めにコメントで意見を述べている。

「毎日、何百万人もの米国人が新しい情報を見つけて、物事を成し遂げるためにGoogle検索、Maps、Gmailのようなオンラインサービスを使用しています」と Alphabet(アルファベット)のグローバル問題担当社長兼最高法務責任者Kent Walker(ケント・ウォーカー)氏はブログ投稿に書いた。「……下院と上院で議論されている法案は、そうしたサービス、他の人気オンラインサービスを壊す可能性があり、その結果、今ほどに有用かつ安全なものでなくなり、そして米国の競争力を損ないます」。

Appleはまた、上院司法委員長Dick Durbin(ディック・ダービン)氏、共和党の有力委員Chuck Grassley(チャック・グラスリー)氏、反トラスト小委員会委員長クロブチャー氏と小委員会の有力メンバーMike Lee(マイク・リー)氏に手紙を書き、介入を模索した。

「ソーシャルメディアに関する複数の論争、長い間無視されてきた子どもへのリスクに関する内部告発、重要なインフラを妨害するランサムウェア攻撃を目撃した激動の年を経て、議会が米国人の個人デバイスのプライバシーとセキュリティの保護をはるかに困難にする措置を取るとしたら、それは皮肉です」とAppleの政府問題担当シニアディレクターのTim Powderly(ティム・パウダリー)氏は書いている。「残念ながら、これらの法案はそうなりそうなものです」。

2社は、別の法案「Open App Markets Act(オープンアプリ市場法)」とともに、この法案が消費者セキュリティに害を及ぼすと主張した。オープンアプリ市場法案は、OSを管理する企業にサードパーティーのアプリやアプリストアを認めさせ、開発者が消費者に対して、同じソフトをより安い価格で入手できる場所を教えることを認めるというものだ。

関連記事:モバイルアプリのアプリストア支配の打破で上院が新法案

1月17日の週に、Yelp(イェルプ)、DuckDuckGo(ダックダックゴー)、Sonos(ソノス)、Spotify(スポティファイ)、Proton(プロトン)、Match Group(マッチグループ)、スタートアップアクセラレーターのY Combinator(Yコンビネーター)を含むテック企業グループと、ベンチャーキャピタル企業のInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)が、反自社優遇法案への賛成を表明した。

「米国や世界各国の政府の調査から、支配的なテック企業が、競争、消費者、イノベーションを阻害するゲートキーパーの地位を獲得して市場に定着させるために、多くの反競争的な自己優遇戦術を使用していることが明らかになっています」と、各社は記している。「The American Innovation and Choice Online Actは…デジタル市場の競争を回復し、消費者が望むサービスを選択できるよう、障壁を取り除くために自社優遇をターゲットにしています」。

テック産業の規制は、議会で超党派の協力を促す珍しい問題であり、そうした法案の進捗がまだ這うようなものだとしても、テック産業がそのビジネスに対する新しい規制を予想すべきものだ。

この法案は、上院議員のエイミー・クロブシャー氏(民主・ミネソタ州選出)とチャック・グラスリー氏 (共和・アイオワ州選出)が提出し、Dick Durbin氏 (ディック・ダービン、民主・イリノイ州選出)、Lindsey Graham氏(リンゼイ・グラハム、共和・サウスカロライナ州選出)、Richard Blumenthal氏(リチャード・ブルーメンソール、民主・コネチカット州選出)、John Kennedy氏(ジョン・ケネディ、共和・ ルイジアナ州選出)、Cory Booker氏(コリー・ブッカー、民主・ニュージャージー州選出)、Cynthia Lummis氏(シンシア・ルミス、共和・ワイオミング州選出)、Mark Warner氏(マーク・ウォーナー、民主・バージニア州選出)、Mazie Hirono氏(メイジー・ヒロノ、民主・ハワイ州選出)、Josh Hawley氏(ジョシュ・ホーリー、共和・ミズーリ州選出)、Sheldon Whitehouse氏(シェルダン・ホワイトハウス、民主・ロードアイランド州選出)およびSteve Daines氏(スティーブ・デインズ、共和・モンタナ州選出)が共同スポンサーになっている。

下院版の法案は、下院反トラスト小委員会の委員長David N. Cicilline氏(デイビッド・シシリー二、民主・ロードアイランド州選出)と有力委員のKen Buck氏(ケン・バック、共和・コロラド州選出)が主導し、すでに委員会を通過して投票の準備が整っている。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

英国の暗号資産ブームに影、マーケティングと利用に関する制限を検討

広告によって盛り上がりを見せている英国の暗号資産取引ブームは、大幅な速度制限に向かうようだ。同国の金融監視当局は、暗号資産をカバーするために規制当局の権限を拡大することを政府が現地時間1月18日に確認したのに続き、暗号資産のマーケティングに関する規則を強化し、利用対象に制限を設ける可能性もあると述べた。

近年、暗号資産の広告がロンドン中のビルボードに貼られ、取引ブームを煽っているが、広告基準監視当局から何度か叩かれている

広告規制局は2021年12月、「消費者の経験の浅さを無責任にも利用し、投資のリスクを説明しなかった」として7つの暗号資産広告を禁止し、暗号資産の広告に関する新しいガイダンスを作成することを望んでいると述べた。

しかし、金融監視当局の介入が、英国の暗号資産バブルを大幅に減衰させることになりそうだ。

金融行動監視機構(FCA)は、2021年に発表した「消費者投資戦略」に沿って、ハイリスク投資の「容易さとスピード」についての懸念に対応するため、今回の変更案を発表した

FCAが2022年夏までに明らかにするという新しい暗号資産規則の計画には、 暗号資産のマーケティングと利用に関する制限案が含まれている。

「FCAは、適格な暗号資産を『制限付き一般向け投資』に分類する計画で、消費者は制限付き、富裕層、洗練された投資家に分類される場合のみ、暗号資産の金融プロモーションに対応することができる」と規制当局は書いている。

「このようなプロモーションを行う企業は、明確で公正、かつ誤解を招かないという要件など、FCA規則を遵守しなければならない」と付け加えている。

規制当局は、3月23日を回答期限として、この提案に関するコンサルティングを行っている。

FCAの市場担当エグゼクティブディレクターであるSarah Pritchard(サラ・プリチャード)氏は「あまりにも多くの人々が、理解できない商品に投資させられています。それはリスクが大きすぎます。消費者が安心して投資するためには、明確で公正な情報と適切なリスク警告が必要であり、これは我々の消費者投資戦略の主要目的です」と述べた。

政府は1月18日、誤解を招く広告に対処するため、暗号資産のプロモーションを金融プロモーション法の範疇とするよう立法することを確認し、次のように書いている(あるいは、警告している)。「これは、適格な暗号資産のプロモーションが、流動資産、株式、保険商品などの他の金融プロモーションと同じ高い基準でFCA規則の対象となることを意味します」。

財務大臣のRishi Sunak(リシ・スナック)氏は声明の中で「暗号資産は、人々に取引や投資の新しい方法を提供し、刺激的な新しい機会を提供することができます。しかし、誤解を招く主張で消費者に製品が販売されないことが重要です」と付け加えた。

「消費者の保護を徹底すると同時に、暗号資産市場のイノベーションを支援しています」。

FCAが2021年夏に発表した暗号資産消費者調査によると、(英国人口約5200万人のうち)約230万人が暗号資産を所有しており、これは英国人の4.5%弱に相当する。2020年にFCAは、約190万人の英国人が暗号資産を保有していると発表しており、つまり前年比21%増となっている。

暗号資産を保有する英国人についての他の推定値は、ここ数カ月の暗号資産宣伝によってさらに大きなものとなっている(しかし、暗号資産取引宣伝はそれ自体がしばしば宣伝バブルの内側にある)。

英国では暗号資産取引に関するマーケティングが盛んで、人々の間の認知度は高まっているようだ。FCAは、成人の78%が暗号資産について聞いたことがあると報告しており、これは2019年の42%、2020年の73%から増えている。

しかし、FCAは、認知度の上昇にもかかわらず、暗号資産に対する理解度は低下していることも確認し「一部の暗号資産ユーザーは、自分が何を購入しているのかを十分に理解していない可能性がある」ことを示唆した。本当にそうなのだろうか。

FCAの調査では、暗号資産をギャンブルと考える暗号資産ユーザーは減少し(47%から38%に減少)、主流の投資の代替または補完と考えるユーザーが増え、暗号資産ユーザーの半数がより多く投資するつもりだと回答している。

つまり、無知な英国人が、輝かしい暗号資産のマーケティングに包まれたねずみ講のようなものにお金をつぎ込むのを阻止するために、英国政府と金融規制当局が、そろそろ規制強化に踏み切るときだと判断した理由は理解できなくはない。

他の国も同様の措置を取っている。

ちょうど今週、シンガポールの金融規制当局が暗号資産マーケティングに対する独自の締め付けを発表した(Nikkei Asiaより)。

さらに進んでいる国もある。中国インドでは暗号資産の禁止が計画されている。

自由奔放な取引お祭りはまだ終わっていないが、世界中の規制当局が暗号資産ランドのギャング・パラダイスに徐々に迫っている。

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画像クレジット:Cory Doctorow / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

米民主党議員、ターゲティング広告を大幅に制限する新プライバシー法案を提出

米連邦議会の民主党議員3人が米国時間1月18日、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)、大量に蓄積した個人情報を活用しターゲティング広告で収益を上げているその他のデータブローカー企業に不利益をもたらし、オンライン広告のあり方を劇的に変えようとする新しい法案を提出した。

この法案「Banning Surveillance Advertising Act(監視広告禁止法)」は、カリフォルニア州のAnna Esho(アンナ・エシュー)議員とイリノイ州のJan Schakowsky(ジャン・シャコウスキー)議員によって下院に、ニュージャージー州のCory Booker(コリー・ブッカー)議員によって上院に提出された。テック企業がユーザーに広告を提供する方法を大幅に制限し、個人情報の使用を全面的に禁止するものだ。

この法案が可決された場合「人種、性別、宗教などの保護された区分情報、およびデータブローカーから購入した個人データ」に基づくターゲティングはすべて禁止される。ただしプラットフォームは、都市や州レベルの一般的な位置情報に基づいて広告を表示することができ、また、ユーザーが利用しているコンテンツに基づく「コンテキスト広告」も認められる。

この法律が施行されれば、米連邦取引委員会(FTC)と州検事総長が違反行為を取り締まる権限を有することになり、故意に違反した場合には1件につき最高5000ドル(約57万円)の罰金が科される。

エシュー議員はこう述べている。「『監視広告』のビジネスモデルは、広告ターゲティングを可能にするために個人情報を収集し囲い込むという不適切な行為を前提としています。この悪質な慣行は、オンラインプラットフォームが社会に多大なコストをかけてユーザーのエンゲージメントを追い求めることを可能にし、誤った情報、差別、ライバル陣営を支持する有権者の弾圧、プライバシーの侵害など、多くの害悪を助長しています」。

本日、私は「監視広告禁止法」を@RepAnnaEshooと@RepSchakowskyとともに提出しました。この法律により、広告主は個人のオンライン行動を利用して利益を得ることを止めざるを得なくなり、その結果、私たちのコミュニティはより安全になります。

ブッカー上院議員は、ターゲット広告モデルを「略奪的で侵略的」と呼び、ソーシャルメディアプラットフォーム上で偽情報や過激主義を悪化させる慣行であると強調した。

また、検索エンジンのDuckDuckGo(ダックダックゴー)や、ProtonMailを開発したProton(プロトン)など、プライバシーに配慮した企業が、Electronic Privacy Information Center(EPIC、電子プライバシー情報センター)、Anti-Defamation League(名誉毀損防止同盟)、Accountable Tech、Common Sense Media(コモン・センス・メディア)などの団体とともにこの法案を支持した。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

ByteDanceが戦略投資チームを再編し中国テック業界がパニック、政府の規制強化への対策か

中国のテック業界にとって、何と目まぐるしい日だったのだろう。TikTok(ティクトック)の親会社ByteDance(バイトダンス)が戦略投資チームを解散し、他社への投資によって積極的に拡大してきた他のインターネット大手に憂慮するようなメッセージを送った。

ByteDanceは2022年初めに「事業のニーズ」を見直し「最重要ではない分野への投資を減らす」ことを決定したと、同社の広報担当者は声明で述べた。

しかし、ByteDanceは外部投資を全面的に中止するのではなく、投資チームを「再編」し「事業の成長をサポートするためにさまざまな事業ラインに統合する」予定だ。

言い換えると、中国のスタートアップデータベース「IT Juzi」によると、これまでに169社に出資した(一部の案件は非公開)戦略投資チームの一部のメンバーは他の事業部門に配置され、そこで投資を継続することになる。

この「再編」は、それでもやはり業界にパニックを引き起こした。ロイター通信は情報筋の話として、中国のサイバー部門を管理する規制当局が「インターネット巨大企業」に投資や資金調達を行う前に承認を得ることを義務づける新たなガイドラインを起草したと報じた。また、一部の中国メディアも同様の規則案を報じた。

ロイターの情報筋によると「巨大企業」とは、ユーザー数が1億人以上、または収益が100億元(約1800億円)以上のインターネットプラットフォームを指すという。これが本当なら、この規則によりTencent(テンセント)から、Alibaba(アリババ)、Pinduoduo(ピンデュオデュオ)、JD.com(JDドットコム)、Baidu(バイドゥ)まで、中国のインターネット大手の多くが、投資活動で監視下に置かれることになる。特にTencentは「中国のソフトバンク」と呼ばれるほど、投資先が豊富なことで有名だ。

驚くべきことに、中国のサイバー分野を管理する規制当局は「インターネット企業のIPO、投資、資金調達に関して噂されているガイドラインは事実ではない」と発表している。さらに当局は「法律に基づき、関連するデマを広げた者を調査し、責任を追及する」とのことだ。

ByteDanceのチーム再編の動機は、確かに外部投資と内部事業の間でより多くの相乗効果を生み出すためかもしれない。確かなことはまだわからない。しかし、インターネット界の寵児に対する中国の独占禁止の措置は、終わりには程遠いようだ。

Tencentは最近、最も重要な盟友である中国のオンライン小売企業JD.comとシンガポールのビデオゲームとeコマース複合企業Seaのかなりの株式を売却した。売却の原因として独占禁止の圧力は挙げられなかったが、中国が最大のインターネット・プラットフォームの独占パワーを鈍らせ続けているとの憶測が飛び交っている。プラットフォームのいくつかは、反競争規則違反でさまざまな額の罰金を受けたが、投資ゲームの停止はより大きな結果をもたらすだろう。問題は、次にくるのはどの企業か、ということだ。

関連記事:Tencentは投資を続けつつも緊密な提携企業の株式を売却、中国政府のご機嫌とりか

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

米連邦通信委員会がデータ漏洩に関する企業の報告義務を厳格化する規制改正案を発表

米連邦通信委員会(Federal Communications Commission、FCC)は、データ漏洩に対する企業の責任を強化しようとする次の米国の規制当局となった。Jessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)委員長は米国時間1月12日、データ漏洩の報告に関するより厳しい要件を導入するための規制改正案を発表した。最も注目すべきことは、新規制では「不注意による」データ漏洩が生じた場合も、影響を受ける顧客へ通知することが義務づけられるという点だ。データの漏洩を放置していた企業は、サイバー攻撃の被害者と同様に、顧客に伝達しなければならない。

また、データ漏洩の発覚から顧客へ通知するまでに現在設けられている1週間の待機期間も廃止される。一方、通信事業者は、FBIやシークレットサービスに加えて、FCCにもデータ漏洩に関する報告すべき情報を開示しなければならない。

ローゼンウォーセル委員長は、情報漏洩の「進化する性質」と被害者にもたらすリスクを考慮すると、より厳しい規則が必要だと主張。より大規模で頻繁に発生する事態から、人々を守るべきだと述べている。つまり、規制は現実に追いつく必要があるということだ。

FCCは、この改正案がいつ投票にかけられるかについては言及していないが、FCCの次回の公開会議は1月27日に予定されている。FCCがこの新しい改正案を承認するという保証はない。しかし、このような規則改定が進められることになっても、まったく不思議ではない。現在、企業は情報漏洩を開示する傾向にあるものの、顧客への通知に時間がかかったり、まったく通知されなかったりする事件が何度か発生して注目を集めている。この新たな規制が採択されれば、顧客に通知されるまでの時間が短縮され、人々がデータ保護や不正行為防止の対策を講じられる可能性が高まるはずだ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター、

画像クレジット:JuSun / Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テック企業のロビー活動を行ってきた米国のInternet Associationが解散

シリコンバレーの大手企業を代弁する業界団体が解散することになった。テクノロジー業界がワシントンで規制監視の新時代に突入する中でのことだ。

Internet Association(インターネット協会)は、過去9年間、ワシントンでテック企業の利益のために戦ってきたロビー活動グループだ。Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Airbnb(エアビーアンドビー)、Uber(ウーバー)、Twitter(ツイッター)、eBay(イーベイ)、Spotify(スポティファイ)、Zillow(ジロウ)など、特に知名度の高い大企業から下位の企業まで、合わせた利益を発展させるために議員に働きかけてきた。この団体が店仕舞することになったと、Politico(ポリティコ)が最初に報じた

「インターネット協会が10年近く前に設立されて以来、私たちの業界は驚異的な成長と変化を遂げてきました。この進化にともない理事会は2021年末に組織を閉鎖するという困難な決定を下しました」と、同グループが発表した声明文には記されている。「【略】インターネット協会は、自由でオープンなインターネットを通じて、イノベーションを育み、経済成長を促進し、人々に力を与えるという使命において、大きな進歩を遂げてきました」。

近年、インターネット協会のメンバーの中には、ポリシーに関する問題で直接対立している企業もある。この不和は、インターネット協会で最大の企業同士でさえ、特徴的な題目に関しては拡大しているようだ。インターネット協会は、通信品位法(Communications Decency Act)の第230条を現状のまま維持することを支持しているが、インターネット協会のメンバーで現在のFacebookの親会社あたるMeta(メタ)は最近「第230条の保護を得る」ために、法律を変えることに前向きであると議員に語っている。

この団体はAI、ブロードバンド、コンテンツ・モデレーション、プライバシーなどの問題についてメンバー企業を代理しているものの、業界の最近の歴史の中では最も関連性が高く、結果的に重要なポリシーを巡る対話になる独占禁止法についての議論に対しては、明らかに避けていた。

議員たちがテック企業に新たな規制を課そうとしている独占禁止法についての問題は、テクノロジー業界の大手企業と、市場支配に関する懸念を指摘する中小企業の両方に影響を与えるような、他のほとんどのポリシーに関する懸念を凌駕し続けることだろう。

2014年にインターネット協会に加盟したYelp(イェルプ)は、かつて意見の相違により同団体を脱退した。「この団体は、何年も前に時価総額が5億ドル(約5700億円)を超える企業(GAFA)を追い出すことで、自らを救うことができたはずです」と、Yelpのシニア・パブリック・ポリシー・バイスプレジデントであるLuther Lowe(ルーサー・ロウ)氏はツイートした。「数年前に協会の上層部にこの提案をしたのですが、却下されたので脱退しました」。

Yelpは、独占禁止の問題について議会で証言し、以前はインターネット協会で仲間だったGoogleが、不当に自社製品に検索結果を優遇させる独占的企業であると主張している。

2020年、インターネット協会の会長を長年務めてきたMichael Beckerman(マイケル・ベッカーマン)氏は、退任してTikTok(ティックトック)のパブリックポリシー責任者に就任した。先月にはMicrosoft(マイクロソフト)とUberが同協会を脱退している。これは現在のテクノロジー業界におけるポリシーの問題に関しては、インターネット協会の有用性が薄れていることを示している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】強力な商業プラットフォームに対する欧州のデジタル規制は、ウィキペディアのような非営利協働型サイトも縛る

2020年に新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中に急速に広まる中で、世界中のみんなが信頼できる情報を渇望した。科学者、ジャーナリスト、医療関係者からの情報を集約して、一般の人々がアクセスできるようにするために、ボランティアのグローバルネットワークがこの課題に取り組んだ。

そのうちの2人は、お互いから3200km近く離れた場所に住んでいる。その1人Alaa Najjar(アラア・ナジャー)博士は、ウィキペディアのボランティアであり、医師でもある人物だ。彼は救急病院での勤務の合間を縫って、アラビア語版のサイトにおける新型コロナの誤報に取り組んでいる。もう1人、スウェーデン在住の臨床神経科学者で医師のNetha Hussain(ネサ・フセイン)博士は、オフの時間に新型コロナの記事を英語とマラヤーラム語(インド南西部の言語)で編集し、その後、新型コロナワクチンに関するウィキペディアの記事の改善に力を注いだ。

ナジャー博士とフセイン博士、そして28万人以上のボランティアのおかげで、ウィキペディアは 新型コロナに関する最新かつ包括的な知識を得ることができる最も信頼できる情報源の1つとなり、188の言語で約7000の記事が掲載されるまでになった。ウィキペディアがもつ、主要な病気についての情報提供から学生のテスト勉強の支援までをカバーする世界規模での到達性と知識共有の可能性は、ひとえにボランティア主導の協力的なモデルを可能にする法律があってこそ実現されている。

欧州議会は、デジタルサービス法(DSA)のようなパッケージを通じて、ビッグテックのプラットフォームのウェブサイトやアプリで増幅される違法コンテンツの責任を追及することを目的とした新しい規制を検討しているが、彼らは同時に公共の利益のために協力する市民の働きを保護しなければならない。

多くの国で違法とされているコンテンツを含め、身体的・心理的な被害をもたらすコンテンツの拡散を食い止めようとしている議員たちの姿勢は正しいものだ。彼らが包括的なDSAのためのさまざまな条項を検討している中で、私たちは、プラットフォームのコンテンツモデレーションがどのように機能すべきかについての透明性を高めるための要件などを含む、提案されているいくつかの要素は歓迎している。

しかし、現在の草案には、利用規約をどのように適用すべきかについての指示的要件も含まれている。一見すると、それらはソーシャルメディアの台頭を抑制し、違法コンテンツの拡散を防ぎ、オンライン空間の安全性を確保するために必要な措置のように思える。しかし、ウィキペディアのようなプロジェクトはどうなるのだろうか?提案されている要件の中には、人びとの力を取り上げてプラットフォーム提供者に移管させる可能性のあるものも存在している。これによって大規模な商業プラットフォームとは異なる運営をしているデジタルプラットフォームが阻害される可能性があるのだ。

ビッグテックのプラットフォームは、ウィキペディアのような非営利の協働型サイトとは根本的に異なる方法で機能されている。ウィキペディアのボランティアによって作成されたすべての記事は、無料で利用可能で広告はなく、読者の閲覧習慣を追跡することもない。商業プラットフォームのインセンティブ構造は、利益とサイト滞在時間を最大化することで、そのために詳細なユーザープロファイルを活用したアルゴリズムを使って、利用者に対して影響を与える可能性の高いコンテンツを提供する。彼らは、コンテンツを自動的に管理するために、より多くのアルゴリズムを導入しているが、その結果、過剰規制と過小規制のエラーが発生する。例えば、コンピュータープログラムは、芸術作品風刺を違法なコンテンツと混同することが多く、プラットフォームの実際のルールを適用するために必要な人間のニュアンスや文脈を理解することができない。

ウィキメディア財団と、ウィキメディア・ドイツのような特定の国に拠点を置く関連団体は、ウィキペディアのボランティアと、ウィキペディアに存在すべき情報とそうでない情報について決定を下す彼らの自律性を尊重している。オンライン百科事典ウィキペディアのオープン編集モデルは、どの情報をウィキペディアに載せるかは利用者が決めるべきだという信念に基づいており、中立性と信頼性の高い情報源に対して、ボランティアが開発して確立された規則を活用している。

このモデルでは、ウィキペディアのどんなテーマの記事でも、そのテーマについて知っている人や関心のある人が、そのページでどのようなコンテンツが許可されるかを決めるという規則が適用されるのだ。さらに、プラットフォーム上での編集者間の会話はすべて公開されているため、コンテンツ管理は透明性が高く説明責任が果たされている。これは完璧なシステムではないが、ウィキペディアを中立的で検証された情報の世界的な情報源とするためにはほぼ機能している

ウィキペディアを、読者や編集者への説明責任を欠いた、トップダウンの権力構造を持つ商業プラットフォームのように運営せよと強いることは、コンテンツに関する重要な決定からコミュニティを排除することであり、DSAの真の公益的意図を覆すことになるといっても間違いではない。

インターネットは変曲点を迎えている。民主主義と市民の空間は、ヨーロッパをはじめ世界中で攻撃を受けている。私たち全員が今まで以上に、新しい形の文化、科学、参加、知識を可能にするオンライン環境を、新しい規則が妨げるのではなく促進するにはどうすれば良いかを注意深く考える必要がある。

議員たちは、私たちのような公益団体と協力することで、より包括的で、より適用可能で、より効果的な基準や原則を策定することができるだろう。だが、最も強力な商業インターネットプラットフォームのみを対象としたルールを課すべきではない。

私たちは、より良い、より安全なインターネットを手にすることができるべきだ。私たちは議員に対して、ウィキメディアを含むさまざまな分野の協力者ともに、市民がともに改善できる力を与えるような規制を策定することを求めたい。

編集部注:著者のAmanda Keton(アマンダ・ケトン)氏はウィキメディア財団の顧問、
Christian Humborg(クリスチャン・ハンボルグ)氏は、ウィキメディア・ドイツのエグゼクティブ・ディレクターである。

画像クレジット:KTSDESIGN/SCIENCE PHOTO LIBRARY/Getty Images

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(文: Amanda Keton、Christian Humborg、翻訳:sako)

パリ、スクーターシェアリングサービスに時速10kmまでの制限を要請

パリでスクーターに乗ることは、もうすぐ信じられないほど遅く感じるようになる。パリ市は、スクーターのシェアリングサービスが、最高速度を時速10kmに制限するべきだと発表した。この決定は、スクーターと歩行者の負傷事故が多発したことを受けたものだ。

パリは、スクーターシェアリング企業にとって重要な市場だ。パリは自転車専用道路のネットワークがある密集した都市だ。また、パリを探索するためのさまざまな方法を探している多くの観光客がいる。

そういった理由から、少し手に負えない状況になっていた。ある時点では、16の異なるスクーターのスタートアップが、パリでスクーターを運営したがっていた。結局、パリは3社を選び、一連のルールを導入した。Dott(ドット)、Lime(ライム)、Tier(ティアー)の3社は、2年間、電動スクーターの共同運行の許可を得た。

それ以来、この3社の活動は順調だ。2021年だけでも、Dottは8500万ドル(約96億2600万円)を株式と資産担保付きの負債で調達し、Tierは最近2億ドル(約226億5100万円)を負債と株式で調達し、Limeは5億2300万ドル(約592億3300万円)を転換社債とタームローンで調達した。ただし、スクーターは利用者だけでなく、道を歩いている人にとっても公共の安全に関する問題となった。AFP通信によると、スクーターは2021年だけで298件の事故を起こしている。329人が負傷し、2人が死亡している。

特に、2021年6月に衝撃的な出来事があった。2人の女性が夜のセーヌ川の近くでスクーターに乗っていた。2人は歩行者をはね、そのまま放置した。その数日後、はねられた彼女は病院で亡くなった。

この事故の後、パリ市とスクータースタートアップの関係は、決して元に戻ることはなかった。7月1日、パリはチュイルリー公園やパレ・ロワイヤル庭園、バスティーユ広場やレピュブリック広場など、歩行者の密度が高い12のエリアをリストアップした。スクーターシェアリング会社は、リアルタイムのジオロケーションを利用して、これらのエリアでは最高速度を時速10kmに制限することに合意した。

2021年9月に、パリ市は各区役所にスクーターの最高速度を時速10kmに制限すべきエリアのリストアップを依頼した。その結果は、700のスローゾーンのパッチワークだった。そして、スクーターのスタートアップ企業は、それぞれのサービスでこれらのゾーンを導入することに合意した。

しかし、パリ市はそれよりもさらに先を目指している。自転車、スクーター、その他のマイクロモビリティのための広い車線を持ついくつかの通りを除いて、街全体がスクーター・スタートアップにとってスローゾーンになった。もちろん、自分のスクーターを持っている人は、その制限は個人のデバイスには適用されない。スクーターのシェアリングサービスに対する新たな規制は、12月前半に実施される予定だ。

唯一の朗報は、スクーターの入札が半年間延長されたことだ。Dott、Lime、Tierは、2023年2月までスクーターの許可証を維持する。しかし、今日の新しいルールは、パリでの利用にいくつかの重要な影響を与える可能性がある。

モペッドの規制

その他のニュースとして、パリ市は自由に浮遊する電動モペットの規制も行う予定だ。現在、パリではCityscoot(シティスクート)、Cooltra(クールトラ)、Lime、Yego(イエゴ)、Troopy(トルーピー)の5社が運行している。その他の企業もパリでの発売に向けて動いている。

パリでは、モペッドを許可制にしたいと考えている。これは、スクーターの許可証と同じような仕組みだが、許可証の有効期限は5年になる。パリでモペッドを走らせることができるのは、2か3社に限られる。新システムは2022年9月1日に開始される。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Yuta Kaminishi)

アルファベットCEOピチャイ氏がテック業界の規制とサイバーセキュリティへの投資を米国に要求

WSJ Tech Liveカンファレンスで行われたリモートワークの未来からAIの革新、従業員の政治活動、さらにはYouTubeにおける誤情報にいたるまで幅広い話題に及んだインタビューで、Alphabet(アルファベット)CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、米国における技術革新の現状と新たな規制の必要性について自身の考えを述べた。特にピチャイ氏が強調したのは、米国の連邦レベルのプライバシー基準の創設で、ヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)に類似するものだ。さらに同氏は、中国の技術エコシステムが欧米市場からさらに切り離されていく中、米国がAI、量子コンピューティング、サイバーセキュリティなどの分野で有意を保つことがより一層重要であると提起した。

ここ数カ月、中国はテック企業の締め付けを行っており、テック企業による独占の阻止、顧客データ収集の制限、およびデータセキュリティを巡る新たなルール制定など、新たな規制がいくつも施行されている。Google(グーグル)を含め多くの米国テック企業は中国で中核サービスを提供していないが、提供中のいくつかの企業は撤退を始めている。たとえばMicrosoft(マイクロソフト)は2021年10月、LinkedIn(リンクトイン)を中国市場から引き上げた

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

ピチャイ氏は、こうした欧米テック企業の中国との分離は今後増えていく可能性があると語った。

またピチャイ氏は、米国と中国が競合する分野で先行することが重要だと語り、AI、量子コンピューティング、サイバーセキュリティなどを挙げて、Googleによるこれらの分野への投資が、政府による「基礎研究開発財政支援」がやや後退したタイミングで行われたことを指摘した。

「政府のリソースは限られているので焦点を絞る必要があります」とピチャイ氏は話した。「しかし私たちが恩恵を受けているのは20~30年前の基礎的投資からです。現代テクノロジーの多くがこれに基づいており、少々慣れきっているところもあります」と彼は語った。「だから私は、半導体サプライチェーンと量子コンピューティングでリードするために、政府は重要な役割を果たすことができると考えています。それは政策面だけでなく、私たちが世界中から優れた人材を集めたり、大学と協力して長期的な研究分野を作り出すことを可能にすることです」とピチャイ氏は付け加えた。それらの分野は民間企業が最初から焦点を当てられるものではないかもしれないが、10年20年かけて実行できると彼は言った。

国境を超えるサイバー攻撃が増加する中、ピチャイ氏は、サイバーワールドのための「ジュネーブ協定」のようなものが必要な時が来たと語り、政府はセキュリティと規制の優先順位を上げるべきだと付け加えた。

同氏は米国における新たな連邦プライバシー規制に賛成する意見を明確に表明した。これはGoogleは過去何度にもわたって強く要求してきたもので、ヨーロッパのGDPRのようなものを想定している。

「GDPRはすばらしい基盤となっていると私は思います」とピチャイ氏は言った。「私は米国に連邦レベルのプライバシー基準ができることを強く望んでおり、州ごとにバラバラな現在の規制を懸念しています。そのために複雑さが増しています」と彼は続けた。「大企業はさまざまな規制に対応して自らを守ることができますが、小さな会社を始めるためには大きな障壁です」。

これは、Facebook(フェイスブック)CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が規制を求めた際にも再三指摘された問題だ。米国テック業界の規制が強化されることは、FacebookやGoogleのように規制のハードルを超えるためのリソースをもつ大企業に有利に働く。しかし、国が単一の基準を定めることによって、巨大テック企業はただ1つの規則と戦い、米国各州に点在する多くの規則に対応する必要がなくなる。

ピチャイ氏は消費者のプライバシーをセキュリティに結びつけ「プライバシーの最大のリスクはデータが不正アクセスされること」であるとも指摘した。Google最大のライバル、Amazon(アマゾン)のゲーム・ストリーミングサイトであるTwitch(トゥイッチ)がわずか数日前にハックされた後だけに興味深い発言だ。

テック業界の規制でどこに線を引くのかについてピチャイ氏は、法律はオープンインターネットを侵害すべきではないと語った。

「インターネットがうまくいっているのは、相互運用可能で、オープンで、国境を越えた利用が可能で、国境を越えた取引を推進しているからだと私は思っています。だから私たちがインターネットを進化、規制していく上で、こうした特性を維持していくことは重要だと考えています」と同氏は話した。

CEOは他にも、パンデミックが企業カルチャーに与える影響、従業員の政治活動、YouTube上の誤情報などAlphabetとGoogleが直面しているさまざまな問題に関する質問に答えた。

YouTubeの問題についてピチャイ氏は、体験の自由に対する誓約を表明しつつも、最終的には、会社がコンテンツクリエイターとユーザーと広告主のバランスを取ろうとしていることに言及した。同氏は、多くのブランド広告主が自分たちの広告がある種のコンテンツと並んで表示されることを望んでいないと語った。本質的に、YouTubeの広告を基盤とする経済には、誤情報問題の解決に役立つ可能性があることを同氏は示唆した。

「自由市場ベースで考えれば、自分の広告がブランドを損なうと思うコンテンツと並ぶことを広告主は望まない、ということができます。ある意味で、エコシステムのインセンティブが時間とともに正しい判断を後押しすることが実際にあるのです」。

しかしピチャイ氏は、YouTubeは自らがコンテンツの判断を下すことで、パブリッシャーのように振る舞っているのではないか、というインタビュアーの質問はかわした。

ピチャイ氏はパンデミック下におけるAlphabetの企業カルチャーとオフィスへの復帰についても語り、3-2モデル(3日対面と2日リモート)がよいバランスをもたらすと言った。対面勤務日によって共同作業とコミュニティが可能になり、リモート勤務日によって社員は長時間通勤など対面勤務につきものの問題をうまくやりくりできる。しかし、インタビューの別の部分では、ピチャイ氏は少なくなった自身の通勤時間を懐かしんだ。そこは「深く考える」ための空間だったと彼は言った。

従業員の積極活動について。近年多数かつ多様化した従業員が幹部の下した決定と対立する意見を共有することが頻繁に起こり、多くの積極的活動が見られている。ピチャイ氏はこれをビジネスにおける「新常態」だという。しかし、これはGoogleにとってまったく新しいことではないとも指摘した(たとえば数年前、Google従業員は会社が中国市場向けに検閲機能付き検索エンジンを開発していることに抗議した)。

「最近慣れてきたともいえます」とピチャイ氏は語り、会社としてできる最善のことは、決定したことを説明しようとすることだと語った。

「私はこれを会社の強みと考えています、高いレベルで。会社のやっていることをそこまで深く気にかけるほど熱心な従業員がいるのですから」と彼は言った。

画像クレジット:Kenzo Tribouillard / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook