2021年こそ5Gがスマホ販売を救う年になる

2020年は5Gの年になるはずだった。スマートフォン業界のいくぶん困難に満ちたマクロトレンドをひっくり返すのに、少なくとも出血を止めるのに次世代ワイヤレステクノロジーが手を貸す年になるはずだった。

しかし最良の計画は、計画のままだった。今年も残すところ1週間となり、2020年は大半の人が望んでいた通りにいかなかったといってもいいだろう。ここにはもちろんスマホ市場の大部分も含まれる。スマホ販売にとって2020年がいかに悪い年だったかは、Gartnerがこのほど発表したレポートを見るだけで十分だ。

2020年第3四半期は前年同期比5.7%減という散々たるものだったが、それでもいいニュースに入るうちだ。通常の年であれば、蝋管(初期の蓄音機)とアスベストの産業を除き、多くの業界にとってこの数字はいいニュースとはならない。しかし2020年は通常の年ではなかった。ゆえに我々は、5.7%減は第1四半期や第2四半期の20%減よりもかなり目立たない落ち込みだったという事実に甘んじなければならないだろう。

ここに至るまでには前振りがある。パンデミックによって事態が急変する以前に、2020年のモバイル業界の滑り出しは順調ではなかった。2019年に筆者は「今年のスマホ販売はグローバルで2.5%減となる見込み」「スマホ販売が予想通り第2四半期に再び前年割れ」といった見出しの記事をいくつか書いた。そうした記事は前年からの流れの続きだった。

販売減の原因は、今ではすっかりおなじみのものだ。1つは、プレミアムな端末は高価になり1000ドル(約10万4000円)超えが当たり前になった。これにともない、端末の品質は向上した。しかしここでは、顧客にとって良いニュースは必ずしもメーカーにとって良いニュースとはならない。アップグレードのサイクルは従来の2年からかなり長いものになった。また経済停滞にも直面し、これも低成長の一因となった。

2020年3月、筆者は「5G端末は2019年に米国で購入されたスマホの1%にも満たなかった」という記事を書いた。おそらく、何年もの5G誇大広告の後に、ある程度の認知的不協和があったのだろう。これに関しては多くの要因が絡んでいる。まず、2019年は米国でさほど多くの5Gモデルが提供されなかったことだ。2つめにネットワークの展開が完了とは程遠いものだったことだ。そしてもちろん5GのiPhoneもなかった。

筆者はその記事を以下のように結んだ。

もちろん新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がどのように販売に影響するかは、今後明らかになる。我々の暮らしのあらゆる面と同様に、高価なスマートフォンを購入する人の数にかなりの影響を及ぼすと考えても間違いないだろう。スマホの購入などは、グローバルパンデミックのようなものに直面しているときには重要性は低くなる傾向にある。

今考えると、答えは「大いに」だ。3月12日に記事を書いたとき、パンデミックがどれほどひどいものになるか、どれくらい続くのか筆者はさっぱりわかっていなかったことを認める。パンデミック初期に世界が直面した大きな問題はサプライチェーンだった。アジア(特に中国)が最初に打撃を受け、それにともなって製造崩壊のエピセンター(震源地)となった。中国と同国の製造は、目覚しい速さで通常に戻った。

その数カ月の間に需要は大打撃を受けた。繰り返しになるが、この理由はたくさんある。まず、人々はそれほど外出しなくなった。リモートワークにシフトするにつれ、電子機器の購入に充てていたお金はPCのようなものに向かった。そして別の大きな問題は懐事情だ。かなりの人が仕事を失い、そして暮らしが見通せなくなり、スマホは再びラグジュアリーなものという位置付けになった。

しかし、希望を持てる理由もある。いつになるか断言するのは難しいが、5Gはゆくゆくは大きな助けとなるはずだ。それは、2021年にいかに早期に「ノーマル」に戻れるかによるところが大きい。しかしさしあたって、iPhone販売の初期データは前向きなものとなっている。Apple(アップル)は今年5Gに総力を上げ、分析によると(おそらく驚くにあたらないが)新しいiPhoneは10月の5G端末販売台数でトップに立った。

Appleは1月に発表する四半期決算の中で(これまでになく重要な年末商戦も含め)より具体的な全体像を明らかにするだろう。少なくとも今は、物事はようやく正しい方向に向かっている。願わくばこうしたトレンドが継続してほしいものだ。新年には数多くのAndroid端末の発売が控えている。

おそらく2021年は5Gの年になる。なぜなら、2020年が明らかにそうではなかったからだ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:5G

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オムニチャネル小売ソフトウェアのBrightpearlが業務拡大で34億円調達

小売業者が売上アップを図るために業務を合理化することができるようサポートするオムニチャネル小売ソフトウェアBrightpearl(ブライトパール)が業務拡大のために3300万ドル(約34億円)を調達した。このシリーズCラウンドはSageがリードし、Brightpearlに2300万ドル(約24億円)を投資した。既存投資家のCipio Partners、Notion Capital、そしてVerdaneも参加し、計1000万ドル(約10億円)を投じた。

英国ブリストル拠点のスタートアップBrightpearlは財務管理、CRM、フルフィルメント、在庫・受注管理、購買・サプライヤー管理、倉庫管理、ロジスティックのためのプラットフォームを展開している。

Sageは今回、Brightpearlに役員1人を送り込んだ。声明文の中で同社は以下のように述べている。「SageとBrightpearlはともに、小売とeコマースの顧客がクラウドファイナンスや小売管理ソリューションのベスト・オブ・ブリード(最適なものの組み合わせのこと)を最大限活用できるようにしてデジタル化をサポートします。Brightpearlとの提携は、Sageの高成長中のクラウドベースのソフトウェアアプリケーションに補完的に投資するための広範な戦略に合ったものです」。BrightpearlはShopify、eBay、Amazon(アマゾン)とも提携している。

BrightpearlのCEOであるDerek O’Carroll(デレック・オキャロール)氏は以下のような声明文を出した。「小売業の顧客を一層サポートし、SageとBrightpearlが英国と米国で持つ強固な基盤をさらに確固たるものにするために、Sageと新たな提携を結ぶことをうれしく思います。Brightpearlのソリューションは、小売プロセスを自動化することで大きなメリットをもたらし、世界中の業者は時間を節約し、実に優れた、そして迅速なエンド・トゥー・エンドの顧客エクスペリエンスを提供することができます」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Brightpearl資金調達

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中小企業向けの組み込み融資業者Liberisがさらに97.9億円を負債で調達

英国を拠点とするフィンテックで、従来の銀行融資や当座貸越の代わりとなる方法(未訳記事)で中小企業に融資するLiberis(リベリス)が財源として7000万ポンド(約97億9000万円)の資金を補充した。同社は内訳の開示を拒否したが、このラウンドはベンチャーとそれ以外からの負債のミックスだった。したがって、Liberisが実行する融資を賄うための負債と考えてよいと思われる。

融資したのは以前からの投資家であるBritish Business Investments、Paragon Bank、BCI Europe、そして新しいパートナーであるSilicon Valley Bank(SVB)だ。Liberisが調達した資金の累計は2億ポンド(約279億6000万円)となった。この中には株式による調達額が5000万ポンド(約68億9000万円)超が含まれる。「新しい資金は会社の成長促進、新製品と新市場の立ち上げ、新しい顧客融資ソリューションを提供するために使用されます」と同社は述べた。

2007年創業のLiberisは、これまで欧州、米国、英国の1万6000の中小企業に5億ポンド(約699億2000万円)以上を融資してきた(このプロダクトは米国、フィンランド、スウェーデン、チェコ共和国、スロバキアの5つの新しい国で利用可能)。しかし最近、貸し付けはますます増加しており、過去2年間だけで2億5000万ポンド(約349億6000万円)が貸し出された。

Liberisはクレジットカードとデビットカードの予想売上高に基づき、中小企業に1000ポンド(約14万円)から30万ポンド(約4200万円)を融資する。ただしスマートなところは、融資の返済が事業のデジタルトランザクションのうち事前に合意した割合となる点だ。いい換えれば、合意された最低月額支払い額を除き、返済スケジュールはカード取引の規模とペースに直接リンクしている。

注目すべきことに、同社の市場戦略はB2B2B、つまり「組み込み融資」にシフトしている。同社は現在、主にマーケットプレイス、ソフトウェアプロバイダー、FISのWorldpayやGlobal Paymentsなどのアクワイアラ(加盟店契約会社)と提携している。こうしたパートナーはLiberisと一体となり、借入する1社1社にあわせ事前承認された売上ベースの融資をエンドカスタマーに対し実行する。

「Liberisのコアビジネスはパートナーが顧客に対し組み込み融資を実行できるようにすることです」とLiberisのCEOであるRob Straathof(ロブ・スターソフ)氏はTechCrunchに語った。「2015年に、FISのWorldpayと世界初の1つとなる法人向け組み込み融資パートナーシップを開始しました。そしてGlobal Payments、Opayo(Sagepay)、EPOS Now、Worldpay U.S.など、過去数年間で世界中にパートナーシップを大幅に拡大してきました」。

スターソフ氏は、Liberisの法人向け融資プラットフォームをパートナーの既存のエコシステムとカスタマーエクスペリエンスに統合することで、同社がパートナーおよびサポートする中小企業に対し「即座に価値」を提供できると述べる。

「当社は単一のAPI統合を通じてパートナーから守秘性の高いデータを受け取り、中小企業1社1社にしっかり合わせた事前承認融資を提供できるようにします」と同氏は説明する。「融資を中小企業にとって直感的でアクセスしやすく、1社1社にあったものにします。それにより、エンゲージメント、満足度、ロイヤルティを向上させ、パートナーがより大きな顧客価値を引き出すことができるようになり、解約率を減らします。究極的には誰にとってもメリットがあります」。

SVBのEMEAウェアハウスファイナンスの責任者であるFolake Shasanya(フォレイク・シャサーニャ)氏は次のようにコメントした。「Liberisの新しい資金調達パートナーになり、テクノロジープラットフォーム、決済プロバイダーなどにファイナンスソリューションを組み込むことができる同社の能力に感銘を受けました。SVBのDNAにはイノベーションへのサポートが組み込まれています。当社のウェアハウスファイナンスとベンチャーデットプロダクトを通じてこのグローバルな成長の機会をLiberisに提供できることをうれしく思います」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Liberis資金調達

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ユーザー数5億人に迫るインスタントメッセージアプリTelegramが2021年に広告プラットフォーム導入

インスタントメッセージアプリTelegram(テレグラム)のユーザー数は5億人に「近づいて」おり、事業を存続させるために2021年から売上を生み出す計画だと創業者のPavel Durov(パヴェル・ドューロフ)氏が米国時間12月23日に述べた。

ドゥーロフ氏は、創業7年になるTelegramの事業資金はこれまで個人の金で賄ってきたが、事業が拡大したため収益化の方法を模索していると述べた。「我々のサイズのプロジェクトだと事業を継続するために少なくとも年数億ドル(数百億円)が必要」と説明した。

2020年4月にアクティブユーザー数が4億人超となったTelegramは、パブリックの一対多数チャンネルに自前の広告プラットフォームを導入する。「ユーザーフレンドリーで、プライバシーを尊重し、サーバーとトラフィックの費用をカバーすることができる」とドゥーロフ氏は自身のTelegramチャンネルに書いている。

「広告プラットフォームを通じた大規模なパブリックの一対多数チャンネルで収益を上げれば、こうしたチャンネルのオーナーはそのチャンネルのサイズに応じて無料のトラフィックを受け取ります」と同氏は書いた。Telegramがサービスで収益を上げられる別の方法は、「より表現性のある機能」があるプレミアムなステッカーを使うものだと同氏は説明した。「この新しいタイプのスティッカーを制作するアーティストも収益の一部を受け取ります。Telegramを使う何百万というクリエイターや零細事業者が繁栄し、全ユーザーのエクスペリエンスを豊かなものにしてほしいと考えています」

一部のアナリストは、Telegramがブロックチェーントークンのプロジェクトでプラットフォームを収益化できると期待していた。しかしプロジェクトは遅延し、また規制当局とのトラブルを受けてTelegramは2020年5月、ブロックチェーントークンのプロジェクトを中止することを決めたと発表した(未訳記事)。

このプロジェクトのために、ドバイに拠点を置くTelegramは2018年に投資家から17億ドル(約1760億円)を調達した。ブロックチェーンのソフトウェアを開発後、グラムと呼ばれるトークンの流通を計画した。Telegramは2020年初め、投資家に12億ドル(約1240億円)のリターンを提供した。

「Telegramはソーシャルネットワーキングの側面を持っています。当社の膨大なパブリックの一対多数チャンネルはそれぞれ何百万という購読者を持つことができ、Twitter(ツイッター)フィードのようなものです。多くのマーケットでそうしたチャンネルの所有者は、ときにサードパーティの広告プラットフォームを使って稼ぐために広告を表示できます。表示した広告は普通のメッセージのように見え、往々にして侵入的です。当社は独自のAd Platformをパブリックの一対多数チャンネルに導入することでこの問題を解決します」とドゥーロフ氏は書いた。

同氏によると、既存の機能はすべて無料のままだ。同氏はFacebook(フェイスブック)が所有するWhatsApp(ワッツアップ)を最も批判している人の1人で、プライベートの一対一チャットやグループチャットに広告を導入するのは「悪いアイデア」であるとし、Telegramは決して導入しないことを約束している。

「WhatsAppの創業者のように、我々は会社を売却することはしません。世界はユーザーがリスペクトされ、高品質のサービスが確保されるところとしてTelegramを必要としています」と同氏は書いた。「Telegramは来年から収益を上げ始めます。当社の価値観、過去7年で約束してきたことに沿って取り組みます。現在の事業規模のおかげで、当社は非侵入的な方法で収益化することができます。大半のユーザーは変更にほとんど気づかないでしょう」。

Telegramはまた、12月23日に新しいグループ音声チャット機能をアプリに加えた。この新機能は、数千人の参加を許容するDiscord(ディスコード)のalways-onルームに似ている。

カテゴリー:ネットサービス
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東南アジアの金融インフラ構築を進めるシンガポールのFinantierがY Combinatorから支援を獲得

「underbanked」であることは、金融サービスへのアクセスがない人を意味するわけではない。その代わり、従来の銀行口座やクレジットカードを持たないことを往々にして指す。しかしインドネシアのようなマーケットでは、多くの人がデジタルウォレットやeコマースプラットフォームを使っている。これは運転資本や他の財務ツールを確保するのに役立つユーザーデータの別のソースになっている。シンガポール拠点のオープンファイナンススタートアップFinantier(ファイナンティア)は、ユーザーデータへの金融サービスアクセスを提供する1つのAPIでそうしたデータを合理化したいと考えている。ここにはクレジットスコアやKYC(与信審査)の認証を可能にする機械学習ベースの分析も含まれる。

20超のクライアントを抱え、現在ベータ版を展開しているFinantierは正式立ち上げに向けた準備で忙しい。同社は米国時間12月22日、Y Combinatorの2021年冬季スタートアップとして受け入れられたと発表した。同社はまた、額は非公開ながらこのほどプレシードの資金を調達した。本ラウンドはEast Venturesがリードし、AC Ventures、Genesia Ventures、Two Culture Capitalなどが参加した。

Finantierは2020年初めにDiego Rojas(ディエゴ・ロハス)氏、Keng Low(ケン・ロウ)氏、Edwin Kusuma(エドウィン・クスマ)氏によって設立された。3人とも新興マーケットでオープンファイナンスを可能にすることを目的としたフィンテック企業向けのプロダクト構築の経験がある。

オープンファイナンスは、オープンバンキングから生まれた。PlaidとTinkが構築されたのと同じフレームワークだ。これは、ユーザーの金融データを銀行や他の機関の中に格納する代わりにユーザーがよりコントロールできるようにすることを意図している。ユーザーは自身の銀行口座やクレジットカード、デジタルウォレットなどを含むオンライン口座の情報へのアクセス権をアプリやウェブサイトに付与するかどうかを決定できる。オープンバンキングは主に決済アカウントと称されるが、その一方でFinantierが専門とするオープンファイナンスは商業融資、住宅ローン、保険引受などを含むさまざまなサービスをカバーする。

Finantierはまずシンガポールとインドネシアに注力するが、他の国にもサービスを拡大し、Plaidのようなグローバルフィンテック企業になる計画だ。すでにベトナムとフィリピンに目をつけていて、ブリュッセルで提携も結んだ。

Finantierを興す前にロハス氏はP2Pの融資プラットフォームLending ClubやDianrong向けのプロダクトに取り組み、東南アジアのいくつかのフィンテックスタートアップでCTOを務めた。同氏は多くの企業が他のプラットフォームや銀行からのフェッチデータを統合したり、異なるプロバイダーからデータを購入したりするのに苦戦していることに気づいた。

「人々はオープンバンキングや埋め込み型金融などについて話し合っていました」とFinantierのCEOであるロハス氏はTechCrunchに語った。「しかしそれらはもっと大きなもの、すなわちオープンファイナンスの構成要素です。特に大人の60〜70%が銀行口座を持たない東南アジアのような地域では、消費者や事業所が複数のプラットフォームに持っているデータを駆使するのをサポートしていると確信しています。それは絶対に銀行口座である必要はなく、デジタルウォレットやeコマースプラットフォーム、その他のサービスプロバイダーだったりします」。

消費者にとって意味するところは、クレジットカードを持っていなくても、たとえばeコマースプラットフォームでの完了した決済のデータを共有することで信用力を構築できるということだ。ギグエコノミー労働者は、毎日の乗車や他のアプリを通じてしている仕事についてのデータを提供することで、より多くの金融サービスやディールにアクセスできる。

東南アジアの金融インフラを構築する

東南アジアに注力している他のオープンバンキングスタートアップにはBrankasやBrickがある。ロハス氏はFinantierがオープンファイナンスに特化していること、エンドユーザー向けのサービスを構築するために金融機関向けのインフラを作っていることで差異化を図っていると述べた。

金融機関にとってのオープンファイナンスのメリットは、より消費者に適したプロダクトを作ることができ、売上高共有モデルの機会を得られることだ。これは東南アジアでは銀行口座などをもたず、さもなくば金融サービスへのアクセスがない人々にリーチできることを意味する。

Y Combinatorのアクセラレータープログラムに参加する一方で、Finantierはインドネシア金融サービス庁の規制緩和制度にも参加する。このプログラムを終了したら、大手機関を含むインドネシアのさらに多くのフィンテック企業と提携することが可能になる。

インドネシアには、銀行口座を持たないなど金融サービスを十分に利用できていない大人が1億3900万人いる、とEast Venturesの共同創業者でマネジングパートナーのWilson Cuaca(ウィルソン・クアカ)氏は話した。

インドネシアを専門とする同社はEast Ventures Digital Competitiveness Indexという年次調査を行うが、金融排除が現在存在する最大の格差の1つだと指摘した。ジャカルタが立地するジャワのような人口の多い島で利用できる金融サービスの数と、他の島々のものとではかなりの差がある。

金融インクルージョンを促進し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの経済影響を軽減するために、政府は1000万の零細・中小企業が年末までにデジタルに移行するという目標を打ち出した。オンラインで販売する零細・中小企業は現在800万で、インドネシアの零細・中小企業のわずか13%にすぎない。

Finantierに出資するというEast Venturesの決定について、クアカ氏は「金融サービスへの平等なアクセスを提供することは、インドネシア経済に乗数効果を及ぼすことができます」とTechCrunchに語った。「現在、金融サービスを多くの人に提供するために何百という企業が独自のソリューションに取り組んでいます。そうした企業がより多くのプロダクトやサービスを、金融サービスを活用できていない人々に提供するのをFinantierがサポートすると確信しています」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:FinantierY Combinator資金調達東南アジアシンガポール

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米大手オンラインメディア企業IACがビデオツールのVimeoを独立上場企業としてスピンオフへ

IACは米国時間12月22日、Vimeoを独立した上場企業にする計画だと発表した。

IACのCEOであるJoey Levin(ジョーイ・レヴィン)氏は2020年11月、株主に宛てた手紙中で持株会社が「Vimeoの株主へのスピンオフを熟考し始めた」と述べている。2021年第1四半期に株主の承認を得る手続きを行い、実際のスピンオフは第2四半期になるという計画からすると、熟考の段階を超えてその先に進んでいるように聞こえる。

「Vimeoの目覚ましい成長、確固たる主導的な地位、巨大なマーケット機会の組み合わせは同社の見通しを明るいものにしました」とレヴィン氏は12月22日の声明文で述べた。「Vimeoが羽を広げ、素晴らしい独立した上場企業になるときです」。

Vimeoはかつて消費者ビデオの行き着く先としてYouTubeと競っていたが、近年、同社の戦略は事業所向けのビデオツールの提供へとシフトしていた。11月に同社は有料会員150万人とクライアント企業3500社を抱えていると明らかにしている。そして、直近の四半期はEBITDAで黒字を確保し、前年比の売上高は44%成長したと述べた。

発表では、IACからスピンオフする企業はVimeoで11社目になり、持ち株をIACの株主に配分するプロセスだとしている(Match GroupのIACからの分離は今夏に完了した)。

「当社は、世界中のあらゆるチームや組織がコミュニケーションをとったりコラボしたりする方法として、オペレーションにビデオを統合するのをサポートするという稀な機会を手にしています」とVimeoのCEOであるAnjali Sud(アンジャリ・スド)氏は声明文で述べた。「以前はプロ品質のビデオは時間やコストがかかり、また複雑であるために手が届かないものでしたが、当社のオールインワンのソリューションはそうした障壁をかなり低いものにしました。当社は次の章に向けて準備できています。ビデオ作成をもっと簡単なものに、そしてこれまで以上に効果的なものにすることにフォーカスします」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:IACVimeo

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オンラインチェックアウトの支配をめぐる戦いが続く中、BoltがシリーズCで78億円を追加調達

小売業者にオンラインチェックアウトテクノロジーを提供するスタートアップであるBolt(ボルト)は米国時間12月21日、シリーズCラウンドで更に7500万ドル(約78億円)を調達し、累計では1億2500万ドル(約130億円)を調達したと発表した。

WestCapとGeneral Atlanticが新しいトランシェをリードした。BoltのCEOであるRyan Breslow(ライアン・ブレスロウ)氏がTechCrunchに語ったところによると、バリュエーションはシリーズCの約2倍になった。PitchBookは、同社のシリーズCでのバリュエーションをポストマネーで5億ドル(約520億円)とした。つまりシリーズC1では約10億ドル(約1040億円)の評価だったということだ。

同社は最新の小切手を「シリーズC1」と呼んでいる。なぜシリーズDといわないのか。ブレスロウ氏によるとBoltの将来のシリーズDははるかに大きくなるという。

Boltが創造的に区切ったシリーズC1は興味深いが、今回の資金調達イベントは足元でのチェックアウトの分野全体の成長度合いと整合している。ある特定のeコマースの問題点の解決のために多額の資金が使われている。

競合するオンラインチェックアウトのソフトウェアプロバイダーであるFast2020年3月に2000万ドル(約21億円)を調達した(未訳記事)。そして6月、英国に本拠を置くが世界各国にもオフィスを持つCheckout.comが55億ドル(約5720億円)のバリュエーションで1億5000万ドル(約160億円)を調達している(未訳記事)。

Boltは7月、シリーズCの最初の5000万ドル(約53億円)を発表した。従い、今年のC1イベントは同社への4番目の主要な投資となるだけでなく、今や普通のトレンドになった「2020年に2回資金調達を行った急成長中のスタートアップ」の1つにもなった。Welcome(未訳記事)、Skyflow(未訳記事)、AgentSync(未訳記事)、Bestow(FinLedger記事)などの会社も今年その偉業を成し遂げた。

しかし、この市場について語るのはこれで十分だろう。Boltが何を開発していて、なぜそれが再びトラックいっぱいのキャッシュの受け取りにつながったのか掘り下げてみたい。

シリーズC1

Boltは、チェックアウト、決済、ユーザーアカウント、不正防止の4つのコネクテッドサービスを提供している。

同社のコアサービスはチェックアウトのプロダクトだ。同業の平均よりも速く、コンバージョンレートも高いと同社は主張する。同社の決済および不正防止サービスは、チェックアウトの世界で取引が本物であり支払いが受け入れ可能であることを保証する。最後に、Boltのユーザーアカウント(買い物客は最初に何かを購入する際、同社の技術によりユーザーの認証情報を保存するよう求められる)は、この技術を使用してオンラインでチェックアウトする人が将来再びそうする可能性を高める。こうしてBoltのサービスにより顧客がメリットを得られるようなる。

Boltは買い物客を多く引き付けるほど市場でより多くのアカウントを持つことになり、より多くのデータを不正防止ツールとチェックアウトパーソナライズテクノロジーに供給することができる。

そしてBoltはより多くのオンライン購入者にリーチしている。2020年に同社のサービスでアカウントを作成した人数は約10倍になったと同社は主張する。ブレスロウ氏によると、2019年12月時点でその数は約45万人だった。現在は約450万人であり、来年には3000万人に達すると同社は予想する。

想定する新規アカウントの規模が非常に大きいため、TechCrunchはブレスロウ氏に信頼区間について尋ねた。同氏は、Boltと提携しているAuthentic Brands Group(ABG)のおかげで、90%だと述べた。この提携は同社が先月発表した(PRWeb記事)取引だ。ブレスロウ氏はABGが5000万人の買い物客を抱えると述べた。おそらく3000万という数字は可能だ。

チェックアウトテクノロジーの配布は、酸素のようなものだ。そのため、この分野の競合企業は普及について語るのが大好きだ。たとえばここに、WooCommerceからサポートを受ける(PRWeb記事)Fastの話が先週からある。Fastはこの発表後、TechCrunchに処理件数に関する成長指標を開示することを拒否した。

Boltのこれまでの買い物客数の成長は、総取引数を通じリターンをもたらしている。同社はTechCrunchに対し、2020年は約10億ドル(約1040億円)の取引を処理し、2019年の流通取引総額(GMV)の約3.5倍に増えたと語った。おおむねその成長ペースは、2019年のBoltのGMVが約2億8600万ドル(約300億円)だったことを意味する。同社が2021年にその数字をどこまで拡大できるかが、ABGとの提携がどれだけうまく機能したかを測る主要な指標になる。

ブレスロウ氏はTechCrunchに、Boltは2021年にGMVが3倍になると予想していると語った。これはおよそ30億ドル(約3120億円)という数字を意味するとTechCrunchは解釈する。

ただしその数字を鵜呑みにせず、決済処理の割合を考慮した上でBoltの売上高を見積もってほしい。同社は決済だけでなく、詐欺防止などの他のサービスの料金をSaaSベースで請求することで収益を上げている。したがってBoltは決済とソフトウェアのハイブリッド企業であり、これはますます人気が高まっているモデルだが、特定のカテゴリーではソフトウェアの採用が遅れている。

GMVを3倍にし、買い物客のネットワークを大幅に拡大するというBoltの計画を支えているのは新しい資金だ。同社によれば、7500万ドル(約78億円)の新しいキャッシュが市場の需要に対応し、アップマーケットとエンジニアリングを動かしているという。要するに、より良いチェックアウトテクノロジー、つまりすべてのベンチャー活動に対して市場内の需要が多く、大規模な顧客はより多くのカスタマイズと販売サポートを必要としている。Boltは資金をそれらに使うつもりだ。

Boltが再び資金調達したばかりであることを考えると、FastやCheckout.comが2021年の第1四半期または第2四半期にさらに多くの資金を調達したとしても驚くにあたらない。

関連記事:企業投資の獲得争いが激化する中、支出管理のRampが約31億円調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Bolt資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

企業投資の獲得争いが激化する中、支出管理のRampが約31億円調達

企業の支出管理スタートアップであるRampが新しいラウンドでさらに3000万ドル(約31億円)を調達したと米国時間12月17日に発表した。TechCrunchは2020年初めにRampのプロダクト立ち上げ(未訳記事)を取り上げ、その時点までに同社が約2300万ドル(約24億円)を調達したことも詳しく述べた。

直近では2020年8月のラウンドで資金を調達した。6月に調達を開始したようだ。新しい資金は、Rampが2019年8月のシードラウンドで800万ドル(約8億3000万円)相当を調達して以来2回目のラウンド、または2020年2月に1500万ドル(約16億円)を調達後最初のラウンドで調達したことになる。D1とCoatueが新規投資家としてこの新しい投資に加わった。既存の投資家も参加した。

RampのCEOを務めるEric Glyman(エリック・グリマン)氏は、新しいエクイティはシリーズ A3といったところだといい、新しい価格が付いたにもかかわらず、前のラウンドの資料を効果的に再利用したと述べた。ベンチャー企業の歴史に関する純粋主義者なら、同社の新しい資金調達はシリーズB(シード以降2番目のバリュエーション更新ラウンド)であったか、同社のシードラウンドが2000年代ではAに相当することを踏まえシリーズCであったというだろう。

とにかく、Rampは資金を必要としていたわけではない。グリマン氏によると、同社が最後に小切手を受け取ったとき、銀行にはまだシードラウンドの資金が残っていた。これは、2020年8月の時点で同社の現金が4500万ドル(約47億円)を超えていたことを意味する。

グリマン氏は必要がないのになぜ資金を調達したのかと聞かれ、新しい投資家は「まったく信じられないほどの」投資実績を持っていた、とTechCrunchに語った。そして同氏は、ラウンドで魅力的な価格がついたため希薄化を抑えることができたと付け加えた。同氏はまた、新しい資金を持つことでRampが自信を持ってより積極的に採用に向かえると述べた。

今回のラウンドはある程度興味深いが、さらに興味をそそるのはRampが競う分野だ。そこで、ソフトウェアの力について、そして同社と競合他社が展開するコードに関して料金を請求できる可能性が出てくる時期について議論したい。

ソフトウェア

Rampは、企業の支出管理という市場のシェアをめぐり競争している。ベンチャーキャピタルの支援を受ける多くのプレーヤーがしのぎを削る領域だ。プレーヤーの密度が競争を生み出した。競争は、クレジットカードとチャージカードが企業によって利用されるために必要な基本ルールを書き直した。テーブルの賭け金は、このニッチな領域でこれまで以上に高くなっている。

なぜか。消費者や企業にクレジットカードやデビットカードを発行すること自体は大部分がコモディティ化してしまったため、決済を介し企業支出の一部を狙うスタートアップは自社の既存プロダクトを中心により強力なソフトウェアを開発しようとしている。派手なカードで新しい顧客を引き付けることができないなら、支出そのものを対象にデジタルツールを多く開発し、企業が現金の流出を管理・制限するのを支援してはどうか、ということだ。

このトレンドの例は無数にある。たとえばBrexは現金管理ソリューションと経費管理ツールを開発した。Ramp自体は2020年、独自の経費管理ソフトウェアを世に出した(未訳記事)。Divvyは他のカード関連ソフトウェアツールとともに同じようなサービスを提供している。

ベンチャーキャピタリストらはRampに5500万ドル(約57億円)を、Brexに我々の計算では負債を除き4億ドル(約420億円)強を、Divvyには2億5000万ドル(約260億円)以上を注ぎ込んだ。法人カードに関してより強力なソフトウェアを開発するゲームは注目に値する。この分野の主要なプレイヤーにベンチャーが賭ける金額の規模が非常に大きいからだ。

Rampは資金調達のニュースの中、新しいコードを書き進め上述の点を裏付けた。同社は最近、ベンダー管理ツールを加えた。また現在、同社のカードで支払わなかった経費に関して従業員が精算できるように、経費精算機能を追加した。

3社のうちどれが最高のソフトウェアを持っているのか。いずれの会社もそれぞれ「自分たちがそうだ」と思っていると我々は考えている。

Rampとその競合他社がカード関連のプロダクトを中心にソフトウェアを開発しようと努力した結果、顧客数は急速に成長した。Divvyは今週、自社の指標に関してTechCrunchに、2020年には顧客数が120%増加し、プラットフォームにおける経費の合計は2020年に100%増加したと語った。Brexは成長に関する指標の開示を断った。

Rampは自社のニュースの1つとして成長率を発表した。創業後最初の18カ月でプラットフォームにおける経費が1億ドル(約103億円)に達したこと(GAAPの時間軸ではないことは認める)、同社が企業のためにサポートした総経費の4分の1は過去30日間に記録されたことなどだ。

スタートアップが調達可能な資金が潤沢にあるのと同じように、スタートアップが成長するための市場も豊富にあるようだ。

最後に質問。企業の支出管理スタートアップがスイッチを切り替え、一連のソフトウェアへの課金を開始するのはいつか。現在、3社は主に決済から収益を稼いでおり、自社のカードがサポートする小さな取引を集めている。これは拡張性が高く、新規顧客による登録のハードルを低く抑える。結局のところ、無料の金融ツールを望まない人などいるだろうか。

だがいつかはソフトウェアの料金を請求することになる。SaaSに基づく収益の評価は高すぎて、もはやついて行けない。だがどこかの時点で。おそらくその日に「企業の支出」というロゴで顧客を引き寄せる時代が終わり、この分野のソフトウェアの成熟が始まる。その時点で新しい競合他社が次々に芽を出し、このサイクルが繰り返されることになると予想する。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Ramp資金調達

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新型コロナで絶好調のPelotonが業務用フィットネスマシンメーカーPrecorを434億円で買収へ

Peloton(ペロトン)は世界最大の業務用フィットネスマシンサプライヤーの1社であるPrecor(プリコー)を買収する意向を発表した(Pelotonリリース)。もしあなたがホテルや商業ジムで過ごしたことがあるのなら、Precorブランドを知っているはずだ。だからこそ、特殊な時期にあってホットになっている在宅ワークアウトブランドがPrecorを買収するのはかなり理に適っている。

Precor買収は、同社のバリュエーションを4億2000万ドル(約434億円)とするディールとして進められる。買収によって商業事業の拡大に加え、トレッドミルやバイクといったハードウェアに対する需要が新型コロナパンデミックのために、かつてなく大きくなっているまさにこの時に製造能力アップを図れる。Precorは米国ですでにかなりの製造オペレーション、専門のR&Dチーム、施設を展開している。Pelotonは、買収によってPrecorのノースカロライナ州ウィットセットとワシントン州ウッディンビルにある製造施設の計62万5000平方フィート(約5万8000平方メートル)が加わることになる、とプレスリリースで述べている。

承認が得られれば2021年にクローズする見込みであるこの買収は、短期的には顧客へのマシーン配達のスピードアップに役立ち、長期的には業務用マーケットが成長路線に戻ったときにPelotonが同マーケットでシェア拡大を図るのに貢献する。Pelotonの在宅用マシーンとフィットネスサブスクサービスがパンデミックの恩恵を受けたのは明らかだが、その一方でジムのチェーンやホテル経営は壊滅的なダメージを受けた。つまりこれはPrecorの主要事業が過去数カ月、大打撃を受けていることを意味する。

今回の買収はPelotonにとって過去最大となるが、比較的お買い得価格でPrecorを手に入れることは可能だ。PrecorのオーナーであるAnta Sports(アンタスポーツ)は約5億ドル(約517億円)でのPrecor売却を模索していると2020年11月に報道されていた。Pelotonは買収の一環として、Precorの会長Rob Barker(ロブ・バーカー)氏を業務部門のゼネラルマネジャーとして迎える。これは、人々がパンデミック後にジムに戻るようになったときに世界中の商業ジムへのコネクテッドマシーン浸透を加速させるのに大きな助けとなるはずだ。

関連記事:Pelotonがエクササイズバイク上位モデルBike+とトレッドミルTreadを発売、価格はいずれも約26万円

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Peloton買収

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米国の新型コロナ追加経済対策にHuaweiとZTEの機器排除費1965億円が含まれる

待ち望まれていた米国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)救済策がようやく議会の承認を得た。主なものには、9カ月にもおよぶ事業閉鎖で極度の負担を感じている人々を支える策が含まれる。600ドル(約6万2000円)の現金給付が最も注目されているのは理解できる。しかし、9000億ドル(約93兆円)の対策には掘り下げるべきものがたくさんある。

TechCrunchがカバーする領域で最も関連のあるものは、数十億ドル(数千億円)が割り当てられたブロードバンド関連だ。ここには、低収入世帯のブロードバンドへのアクセスを支援するための70億ドル(約7240億円)も含まれる。下院議長Nancy Pelosi(ナンシー・ペロシ)氏と、上院院内総務Chuck Schumer(チャック・シューマー)氏は、予算は「何百万という学生、家庭、失業者のパンデミック下で必要とされるブロードバンド使用料支払いをサポートする」のに充てられると声明を出した。ここには、要件を満たした家庭向けのブロードバンド使用のための月50ドル(約5170円)が含まれる。

インターネットアクセスは数え切れないほどの問題点の1つだった。新型コロナ感染拡大を抑制するために、米国中の学校が閉鎖された。確固としたインターネット接続の欠如はリモート教育を著しく阻害する。

また、ロイターの報道によると、ZTEとHuawei(ファーウェイ)の設備を「取り除き置き換える」ために19億ドル(約1965億円)を拠出する見通しで、こちらも注目に値する。特にHuaweiは長い間、米政府のターゲットとなってきた。中国のテック大企業であるHuaweiは2019年に、米商務省のエンティティリスト(禁輸リスト)に加えられた。より正確にいうと、禁輸リスト入りはHuaweiやZTEのような企業がその数カ月後にさまざまな困難に直面することを意味した。

2020年初めの立法では、米国企業がHuaweiとZTEから通信設備を購入することを禁じ、そして既存のサービスを「排除して置き換える」プロセスを開始する計画が続いた。新法案には、米国のネットワークから排除される設備に代わるものの購入も含まれるようだ。

Huaweiの広報担当は「通信ネットワークから当社のプロダクトの排除を強制しています。この過度な措置は、信頼できる通信が必要不可欠なパンデミック下にあって、特にサービスが十分に提供されていない地方において米国市民をリスクにさらします」と指摘した。

しかし、HuaweiやZTEのような企業が次期バイデン政権でどのように扱われるかはまだわからない。米商務省はこのほど、中国の大企業DJIやSMICを含む77社をエンティティリストに追加した。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:HuaweiZTEエンティティリストアメリカ
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ロックダウンを追い風に急成長中のリトアニア発ゲーミングマーケットプレイスEnebaが8億円調達

ゲームや他のプロダクトを販売するゲーマーのためのマーケットプレイスEneba(エネバ)がPractica CapitalとInReach Venturesから800万ドル(約8億3000万円)を調達した。この資金調達はシードラウンドとシリーズAラウンドの「合体」だと形容されている。リトアニア発のEnebaの資金調達にはまたFJ Labsや、VintedのCOO、Mantas Mikuckas(マンタス・ミカッカス)氏のようなエンジェル投資家も参加した。この資金調達は、またもテックエコシステムにおけるバルト地方の存在感を際立たせている。これより前に、リトアニアは同国初のユニコーンであるVinted(ヴィンテッド)を輩出し、エストニアは同国のユニコーンリストにPipedrive(パイプドライブ、未訳記事)を加えた。

パンデミックでデジタルエンターテインメントへの移行が加速する中で、Enebaは米国でトラフィックを増やしてきた。学生時代の友人同士だった2人のリトアニア人であるVytis Uogintas(ヴィティス・ウーギンタス)氏とŽygimantas Mikšta(シギスムンド・ミクスタ)氏が2018年に立ち上げたEnebaは、「購入するのにワンクリック」のゲーマーエクスペリエンスと指紋テクノロジーといったセキュリティ機能でユーザー2600万人を獲得した。Enebaはまた、その地域でトレンドとなっているゲーミングプロダクトを表示するためにローカライズされたゲーミングエクスペリエンスを最適化している。Enebaのプラットフォームはリスクのある取引を減らし、返金プロセスを簡単にし、詐欺の脅威に対処するようデザインされている。

共同創業者でCMOのミクスタ氏は「先行きが不透明な時代にあってEnebaは多くの新規ユーザーを獲得しました。ユーザー数が10倍以上になったことは喜ばしい一方で、需要に応えるのに困難な点もありました。ユーザーの増加に適切に対応するために、チームを急いで130人に拡大しなければなりませんでした」と話した。

ゲームに関連するバーチャル商品やサービスがかなり詐欺や窃盗の影響を受けやすいことから、オンラインゲーミング分野でセキュリティは喫緊の課題となっている。Amazon(アマゾン)やeBay(イーベイ)、そしてGamestop(ゲームストップ)やGame.co.ukのような小売とEnebaは競合するが、同社はゲーム世界で売買する人のためにリスクのある問題を解決しつつ、ゲーマー向けにより良い、あつらえのオンライン購入エクスペリエンス提供してきたと考えている。

Practica CapitalのパートナーであるDonatas Keras(ドナタス・ケラス)氏は「ヴィティスとシギスムンドを支援することを楽しみにしています。事業を急拡大するにあたってそうしたかなりのスピードで実行できるEnebaの能力、そしてユニークな価値プロボジッションで信じられないようなプロダクトを展開する能力に感銘を受けてきたました」と述べた。

InReach Venturesの共同創業者であるRoberto Bonanzinga(ロベルト・ボナンジンガ)氏は「欧州ではゲーム分野で成功を収める企業を輩出する伝統を持っています。Enebaが無名で目立っていなかったときにAIプラットフォームのおかげで同社を発見できたことにかなり興奮しています。創業者2人が短期間の間に構築できたものに非常に感銘を受けました」と述べた。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Eneba資金調達

画像クレジット:Eneba

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ウォールマートがTikTokでのライブストリーミング販売をテスト、若年層への販売拡大を狙う

Walmart(ウォルマート)とTikTok(ティクトック)は米国時間12月17日朝、TikTokのソーシャルビデオアプリを使った新たなライブ販売の試験で提携すると発表した。覚えている読者もいるかと思うが、トランプ大統領令によってTikTokが米国事業を米国企業に売却しない限り米国マーケットでの事業を禁止すると脅された際、ウォールマートはTikTokへの出資を計画した。その事業禁止令はいくつかの裁判所の判断を受けて現在、棚上げされている。しかしながらウォールマートのTikTokへの関心は衰えていなかった。ソーシャルネットワークと不釣り合いなようにみえるウォールマートは、若い世代のオンライン消費者を動画、特にライブストリーミングの動画を通じて引きつけることに可能性を見出した。

それがTikTokで行う新たなテストだ。

TikTokの新しい「shoppable product(買い物できるプロダクト)」のテストでは、ウォールマートライブストリーミングの間、TikTokユーザーはTikTokアプリを離れることなくウォールマートのファッションアイテムを購入することができる。ファッションアイテムそのものは10人のTikTokクリエイターによるコンテンツの中で特集される。クリエイターのグループはMichael Le(マイケル・ル)氏が率いる。同氏のTikTokダンスは4300万人超のファンを獲得している。他のクリエイターにはDevan Anderson(デヴァン・アンダーソン)氏、Taylor Hage(テイラー・ヘイジ)氏、Zahra Hashimee(ザハラ・ハシミー)氏ら新進気鋭のスターが含まれる。

クリエイターらは「Holiday Shop-Along Spectacular」というTikTokで開催される特別イベントに参加する。このイベントは米国東部時間12月18日午後8時にウォールマートのTikTokプロフィールで展開される。

画像クレジット:Walmart

イベントの間、クリエイターはそれぞれのスタイルでお気に入りのウォールマートファッションを披露する。一部のクリエイターはファンにクローゼットの中を垣間見せ、また別のクリエイターはリビンングルームをファッションショーの花道に仕立てたり、ファッショナブルなダンス披露したりするかもしれない、とウォールマートは話す。

TikTokユーザーが特集されたファッションアイテムを購入する方法は2通りある。

プロダクトがスクリーンに表示されると、ユーザーがタップしてアイテムをカートに入れられるピンが登場する。そしてユーザーはモバイルチェックアウトへと誘導される。あるいは、イベント終了時にショッピングカートのピンをタップして特集されたアイテムをチェックし、購入したいものを選ぶこともできる。

イベントを閲覧できなくても、TikTokユーザーはイベント終了後にウォールマートのTikTokプロフィールからアイテムを購入することが可能だ。

「当社の顧客のために買い物エクスペリエンスを刷新する方法を我々は常に模索しています」とウォールマートの米国担当マーケティング責任者William White(ウィリアム・ホワイト)氏は声明文で述べた。「顧客にさらに良いサービスを提供する新しい方法を探すために、我々はこれまで以上に迅速に動いています。当社のコミュニティのためにこのイベントを作り出しました。多様なクリエイターの暮らしや情熱、スタイルが反映されるため、視聴者は誰であれ、どんな服装を好むかにかかわらずイベントを楽しめるでしょう」と付け加えた。

ウォールマートは、TikTokプラットフォームで1年以上ブランドを展開していて(実際、ModernRetailがこのほど詳細に報じたレポートによると、ウォールマートはTikTokビデオの制作を従業員に課したりした)、モバイルショッピングで提携するというアイデアは直近の買収交渉の結果出てきたものではないと述べた。

ウォールマートはまたTechCrunchに対し、今回は合同テストという位置付けであり、アプリを通じての販売でTikTokとの売上高の共有はなく、手数料も発生しないと述べた。

画像クレジット:WalmartのTikTokプロフィール

TikTokが買い物できるビデオを手がけるのは今回が初めてではない。

同社は最近、この分野を開拓しており、2019年はハッシュタグに買い物の要素を加えたHashtag Challenge Plusを立ち上げた。ビデオ視聴者をTikTok内の買い物サイトに導くものだ。今年は、消費者がTikTok上に投稿されたリンクを通じて購入できる「Shop Now」ボタンをLevi’sのようなブランドが展開した。そして2020年秋の大きなディールとして、TikTokはソーシャルコマースでShopifyと正式に提携した。この提携によりShopifyの販売業者はShopifyのダッシュボードから直接TikTokマーケティングキャンペーンを展開することができる。

若いユーザーは楽しむため、そして買い物するためにインフルエンサーやオンラインビデオに目を向けていて、ライブストリーミング販売は急成長中の儲けが多いマーケットでもある。

程度の差はあるが主要なテック企業もこの分野に投資している。Facebook(未訳記事、フェイスブック)とInstagramで積極的に推進しており、Google(グーグル)はR&D部門を通じて、Amazon(アマゾン)はQVC(24時間テレビショッピング放送チャンネル)のようなAmazon Liveで、Alibaba(アリババ)はAliExpressで、またJD.comやPinduoduo、WeChat、そしてTikTokの中国版アプリDouyinなども投資している。

しかし、TikTokはインフルエンサーがすでに彼らのお気に入りのアイテムやファッション、スタイルを見せびらかしている場所であるために、TikTokにとってライブストリーミング販売は自然な流れだ。

「TikTokではコミュニティにクリエイティビティを与え、喜びをもたらし、価値を加える新たな方法を常に模索しています」と同社のグローバルビジネスソリューション担当副社長Blake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏は話した。「クリエイターとブランドはTikTok Liveを通じてオーディエンスとつながるためにクリエイティブな場所を見つけました。我々のコミュニティが好きなブランドを発見してそれに関わることができるようにするために、このインタラクティブなエクスペリエンスをさらに刷新することを楽しみにしています」。

そして「ブランドは今年1年を通してコミュニティに大きな影響を及ぼしました。ウォールマートが有意義にコミュニティに従事するためにTikTokのクリエイティビティとこの手のものとしては初となるエクスペリエンスを受け入れることに心躍らせています」と語った。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:WalmartTikTokネットショッピング

画像クレジット:TechCrunch

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不正会計の中国「ラッキンコーヒー」が罰金186億円支払いで米証取委と和解

多くの問題を抱えた中国のコーヒーデリバリースタートアップであるLuckin Coffee(ラッキンコーヒー)は、売上高や経費、損失を数億ドル(数百億円)水増しした件で1億8000万ドル(約186億円)の罰金を支払うことに同意して米証券取引委員会(SEC)と和解した。

SECが米国時間12月16日夜に発表した(WSJ記事)。Luckinの不正会計は2020年初めに米投資会社のMuddy Waters(マディ・ウォーターズ)が最初に指摘した。疑惑に対し、Luckinは4月に内部調査を立ち上げると話した。6月にはSECがLuckinの上場廃止を検討すると述べ、7月にLuckinは粉飾を認めた(未訳記事)。

一連の騒ぎのわずか1年前にLuckinはNASDAQ上場を通じて6億5100万ドル(約670億円)を調達した(未訳記事)。同社は2017年10月に創業され、スタートアップから最速で上場企業となった企業の1社だった。

Starbucks(スターバックス)の中国におけるかなりのシェアの一部を取り込もうとしていたLuckinは、少なくとも2019年4月から2020年1月にかけて売上高を3億ドル(約309億円)超水増しした疑いがある、とSECは発表した。一部の従業員が、同社の経費を1億9000万ドル(約196億円)超を水増し、「事業データベースを捏造して、虚偽の売上高を反映させるために会計・銀行記録に手を加えた」ことも発覚した。

Luckinは、ニューヨーク州南部地区地方裁判所に提出された訴状にある疑いを肯定も否定もしていない。和解は裁判所の判断次第であり、証券保有者への資金振込は中国当局の承認が必要だ。

Luckinの不正会計の事実が調査で明らかになったことを受け、中国の当局は9月にLuckinと同社の不正に関わった45社に計900万ドル(約9億円)の罰金を科している(Reuters記事)。

詐欺スキャンダルにもかかわらず、Luckinの事業は現在も通常通り展開されている。同社と店舗のオペレーションは現在「安定かつ普通」だと同社は12月17日の発表文で述べた。

「Luckinは引き続き当局に協力し、コンプライアンスを優先します。一方で経営陣と従業員は社の安定経営に努めます」。

空売りを行う投資会社は2020年、米国で上場している中国企業を追いかけ回した。Wolfpack Research(ウルフパック・リサーチ)はレポートでBaidu(バイドゥ)が出資する中国の大手ビデオストリーミングサービスiQiyiが決算を粉飾していると指摘し、SECが調査する事態となった(CNBC記事)。中国のオンライン塾運営会社GSX Techeduも、Citron Researchによる不正会計の指摘を受けて同様にSECの調査を受けた(WSJ記事)。

「外国企業とその役員、ディレクターに米国の企業や役員と同じような責任を持たせることに多くの課題がある一方で、外国企業が連邦証券法に違反したときは投資家を保護するために我々は利用できるあらゆるリソースを今後も活用します」とSECのディレクターであるStephanie Avakian(ステファニー・アヴァキアン)氏はLuckinについての声明文の中で述べている。

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カテゴリー:その他
タグ:Luckin Coffee米証券取引委員会中国

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MessageBirdがリアルタイム通知とアプリ内メッセージングプラットフォームのPusherを36億円で買収

2020年10月のシリーズCラウンドで30億ドル(約3120億円)と評価された(未訳記事)オムニチャネルクラウドコミュニケーションプラットフォームであるMessageBird(メッセージバード)は、ロンドンを拠点とするリアルタイムウェブテクノロジー企業Pusher(プッシャー)を買収した。

買収価格は3500万ドル(約36億円)で、Pusherの共同創業者でCEOのMax Williams(マックス・ウィリアムズ)と25人のPusherチームはアムステルダムに本社を置くMessageBirdに加わる。Pusherは2018年、TechCrunchに60人のチームを持つと語っていたことから、近年明らかにコストを削減した。

Pusherのプロダクトは、既存の顧客に対してはこれまで通り維持される。一方、アプリ内通知が特徴であるPusherの技術と「プッシュ」を中心に構築された開発者向けAPIとSDKはMessageBird独自のコミュニケーションプラットフォームとのギャップを埋めるのに役立つ。MessageBirdのプラットフォームはFacebook Messenger、WhatsApp、Line、WeChatなどのメッセージ中心のチャネルやSMSで強みを発揮する。具体的には、Pusherがアプリ内メッセージング、プッシュ通知、位置追跡などの機能をもたらすといわれている。

「この取引により多くの新しいツールと機能が生まれます。MessageBirdの顧客は、以前よりもさらに多くの方法で彼らの顧客とコミュニケーションをとることができます」とMessageBirdは述べる。

2011年創業のPusherは、ウェブサイトやアプリにリアルタイム機能を組み込みたい開発者の障壁を下げることを目標としていた。それは元々、汎用のリアルタイムAPIとそれをサポートするクラウドインフラを介して提供されていた。アプリ開発者はリッチプッシュ通知、ライブコンテンツの更新、さまざまなリアルタイムコラボレーションおよび通信機能などをより簡単に開発することができた。

しかし同社は最近、特定のリアルタイム機能専用の追加サービスの展開を始めた。まず、チャット機能をアプリまたはサービスに追加するために必要な多くの面倒な作業を担うAPIおよびSDKであるChatkitを開発した。これはその後、チャート、位置追跡、地図を加えて拡張された。PusherはGitHub、Mailchimp、CodeShip、The Financial Timesを顧客に抱える。

一方、MessageBirdは当初、米国を拠点とするTwilio(トゥイリオ)の欧州または「その他の地域」での競合企業と考えられていた。音声、ビデオ、テキスト機能をすべてAPIにまとめてサポートするクラウドコミュニケーションプラットフォームを提供しているが、その後自社を「Omnichannel Platform-as-a-Service」(OPaaS)に位置づけ直した。企業や中小企業が選択した任意のチャネルで顧客と簡単にコミュニケーションできるというのがその構想だ。

従来の常識を破り、MessageBirdはWhatsApp、Messenger、WeChat、Twitter、Line、Telegram、SMS、eメール、音声のサポートを含む。顧客はオンラインで始めると、サポートリクエストやクエリをお気に入りのモバイルメッセージングアプリなどのより便利なチャネルに移動できる。もちろん、モバイルメッセージングアプリもMessageBirdと一緒に使用できる。これはすべて、MessageBirdの創業者でCEOであるRobert Vis(ロバート・ビス)氏の大きな賭けの1つだ。同氏は、顧客とのやり取りの未来はオムニチャネルにあると考えている。

従ってPusherの買収は全体として適切に見える。ロンドンとアムステルダムは地理的にもタイムゾーンも近いが、MessageBirdはとにかくリモートファーストの会社に変身しつつある。また、間違いなくプロダクトには相当の重複があるが、十分に統合する前に埋めるべき正真正銘のギャップもある。

MessageBirdのCEOで創業者であるビス氏は短い電話でPusherの技術とチームについて話した。同氏は、イグジットするスタートアップが単に買収されて跡形もなく消えるのではなく「良い家」を見つけることが重要だという信念を打ち明けた。同様に、MessageBirdが真のオムニチャネルを目指すなら非常に優れた「プッシュ」APIと品揃えが必要だ。そこで買収か開発かという意思決定の機会があり、今回はPusherとチームを組むことが最善の方法であると判断した。

ビス氏は筆者に、オムニチャネルおよびメッセージングプラットフォームの分野でさらに多くのM&Aが見込まれるとの見方を示した。IPOの可能性があるMessageBirdからだけでなく、競合他社が買い手になる可能性もある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:MessageBirdPusher買収

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クロスボーダーeコマースの税務コンプラプラットフォームTaxdooがシリーズAで21.7億円調達

クロスボーダーのeコマース企業を対象に「金融コンプライアンスのために自動化されたプラットフォーム」と呼ばれるものを構築するスタートアップTaxdoo(タックスドゥー)が2100万ドル(約21億7000万円)の新規資金を調達した。

シリーズAラウンドをリードしたのは、ベンチャーキャピタルファンドのAccelで、Visionaries Club、20VC、それに既存投資家からHTGFが参加した。資金は、国際的な展開を含むTaxdooの成長や、増える雇用、研究開発、販売、顧客サポートに投資する。AccelのHarry Nelis(ハリー・ネリス)氏がTaxdooの取締役会に加った。

Harry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏の20VCが含まれていることは注目に値する。ポッドキャスターからVCに転向した同氏は当初、同氏のマイクロファンドがさまざまなステージの米国のスタートアップをターゲットにしているため、欧州のVCであるStrideのパートナーとしての同氏の役割とは競合していないと述べていた。Taxdooはドイツのハンブルクを拠点としている。「20VCは基本的に、米国に対して主に投資しますが、英国とパリ以外の欧州のどこでもStrideが投資しない場所なら投資できます」とステビングス氏はWhatsAppのメッセージで明らかにした。

創業は2016年5月。3人の創業者であるChristian Koenigsheim(クリスチャン・ケーニヒスハイム)氏、Matthias Allmendinger(マシアス・アルメンディンガー)氏、Roger Gothmann(ロジャー・ゴスマン)氏がハンブルク大学で財務の博士号を取得した後だ。Taxdooは自動化により、Amazon(アマゾン)、eBay、Shopifyなどのさまざまなマーケットプレイスやプラットフォームで販売活動を行うクロスボーダーのeコマース企業が直面する税金とコンプライアンスの負担に対応したいと考えている。企業は、複雑さを増す付加価値税、会計、その他のコンプライアンス上の要請に直面しているが、データは複数のオンラインシステムにまたがってサイロ化されたままだ。

Taxdooはそのデータを1つの場所にまとめ、独自の技術によりトランザクションレベルのデータの取り込み、税金計算、欧州各国での申告を自動化する。顧客はプラットフォームを介して税理士と協力し、イントラスタット申告(物流に関する統計申告)を含むその他のコンプライアンスの負担を軽減することもできる。

「マーケティングと物流の観点から、欧州で国境を越えて製品を販売することがますます容易になっていますが、結果として生じる会計や付加価値税などのコンプライアンスの義務は販売業者にとって悪夢です」とTaxdooのクリスチャン・ケーニヒスハイム氏は筆者に語った。

「スプレッドシートを使用してこうした問題に手作業で取り組めばトラブルの元になります。この問題を解決するため、社内の専門知識を使って、データの収集からさまざまな国での付加価値税申告書の提出や販売業者の会計システムへの取引の統合まで、プロセス全体を自動化しました」。

ケーニヒスハイム氏によると、典型的なTaxdooの顧客はさまざまな市場や自社店舗で製品を販売しており、年間売上高は約500万~1000万ユーロ(約6億3000万~12億6000万円)だ。「私たちの最大の顧客は、年間売上高が1億5000万ユーロ(約190億円)以上のグローバルな消費者ブランドです」と同氏はいう。

例としては、air upやYFoodなどのD2Cブランド、eコマース企業のOmniDealやsellvinなどがある。「とりわけ私たちは、税務専門家、ERPシステム会社、eコマースエージェンシーと提携して、クライアントのこうした複雑な問題の処理を支援しています」とケーニヒスハイム氏は付け加えた。

「私たちの秘訣は、ワークフロー全体をエンドツーエンドで自動化することです。これは、自動化されたコネクターを使用して、マーケットプレイス、ショップ、ERPシステムなどのさまざまなチャネルからのデータを集約することから始まります。私たちのシステムが、適用されるすべての規制の下でデータを分析し、EU全体で必要な申告書を作成します。そして、私たちが作成した便利なソフトウェアソリューションにより、税務パートナーの国際ネットワークが申告書を提出します」。

Taxdooのデータは、販売業者の会計システムにエクスポートすることもできるため、販売業者は地域の税理士と容易に協働できる。

対象となる市場は急速に成長している。パンデミックによるデジタル化の加速とeコマースの成長が一因だ。Taxdooは、西ヨーロッパとスカンジナビアのeコマース取引全体に占めるクロスボーダー取引は現在約25%であり、さらに増加していることを示すデータを引用している。

AccelのHarry Nelis(ハリー・ネリス)氏は声明でこう述べている。「eコマースは活況を呈しており、あらゆる規模の企業が自社の製品とサービスを国境を越えて販売しようとしているため、統合された金融および税務コンプライアンスツールが早急に必要とされています。Taxdooの創業者は、税務、財務、ソフトウェアの交差点で独自の経験を結集しています。Taxdooをカテゴリーを定義する会社に育てるために彼らと協力できることをうれしく思います」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Taxdooeコマース資金調達

画像クレジット:Taxdoo

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MotionalとLyftが提携し2023年から米国主要都市でロボタクシー展開へ

自動運転車の商業化を目的とするAptiv(アプティブ)とHyundai(現代自動車)の40億ドル(約4140億円)の合弁企業であるMotional(モーショナル)は、Lyft(リフト)の配車ネットワークを使って完全ドライバーレスのロボタクシーサービスを2023年に米国の主要都市で立ち上げる計画だ。

Motionalが、ロボタクシーサービスの立ち上げ時期を具体的に示したのは初めて。LyftはラスベガスでMotionalのパートナーだったが、LyftがMotionalの商業化計画で主要パートナーとなると言及があったのも初めてのことだ。

今回の発表に先立ってネバダ州は2020年11月に、Motionalに完全ドライバーレスつまり運転席に誰も乗っていない車両の公道テストを許可していた。

MotionalとLyftが提携して3年になる。この提携は当初、2018年CESテックショー期間中にLyftのネットワークの自動運転車両で乗車を提供するという、1週間ほどの試験プログラムとして始まった。

MotionalとLyftの提携は、現代自動車との合弁会社設立よりも前に結ばれた。当時、MotionalはAptiv Autonomous Mobility Groupとして知られていた。常に人間のセーフティードライバーが乗り込んで展開されてきた実験は期間が延長され、現在も続いている。このプログラムでは2020年2月時点で、Aptiv(現在のMotional)の自動運転車両を使って10万回超の有料の乗車があった。

乗車回数が増えるにつれ、Aptivのラスベガスでの投資は拡大した。同社は2018年12月、自動運転車両を収容し、ソフトウェアとハードウェアシステムのR&D、認証、マッピングを専門とするエンジニアリングチームを置くために、13万平方フィート(約1万2000平方メートル)のテクニカルセンターをラスベガスに開所した。

Motionalは米国時間12月16日の発表について、提携の「飛躍的進歩」と表現する。ロボタクシーサービスは現代自動車の車両プラットフォームをベースにした次世代の車両を使用する。完全ドライバーレス走行、リモートでの車両アシストのために車両にはセンサーやコンピューター、ソフトウェアが搭載される。現在BMW 5シリーズとChrysler Pacifica Hybridミニバンを使用しているMotionalは、車両が「かなり」増えるだろうと話した。

ロボタクシーサービスをどの都市で展開するか、展開する車両の規模など詳細は明らかにしなかった。Motionalはボストン、ラスベガス、ピッツバーグでテストを行っている。Lyftとのロボタクシーサービス提携が初期に立ち上げられた都市以外でも展開される、とMotionalは明言した。ただし、Lyftが唯一のパートナーではない。2020年初め、Motionalはオンデマンドシャトル企業のVia(ビア)と2021年上半期に米国の都市で一般向けにシェアリングロボタクシーサービスを立ち上げることで契約を結んだ。目的はオンデマンドのシェアリングロボタクシーの青写真を描き、こうしたドライバーレスの車両が大量輸送機関に統合できるかを確かめることにある、と両社は述べた。

「この提携は、ドライバーレステクノロジーにおける我々のグローバルリーダーシップの証となります。我々は交通機関イノベーションの最先端にいて、ロボタクシーを研究から道路へと動かしています」とMotionalの会長でCEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は声明文で述べた。「目的は安全で信頼できる、そしてアクセスしやすいドライバーレスの車両を作るだけでなく、そうした車両を大規模に展開することにあります。これを実行するためにLyftと提携します」。

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タグ:MotionalLyftロボタクシー自動運転

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Facebookがユーザーを監視するVPNアプリ「Onavo」を使用したと豪州が提訴

Facebook(フェイスブック)にまたも頭痛の種ができた。オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は、商業目的でユーザーを監視するOnavo(オナボ)のVPNアプリを2016年と2017年に使ったとしてフェイスブックを提訴する。

ACCCは、フェイスブックがOnavo Protectアプリを奨励し、多くのオーストラリアの消費者に対して虚偽、ミスリーディングあるいは欺瞞的な行動を取ったと主張している。同アプリは、フェイスブックの事業をサポートするためにデータを集めていたとき、ユーザーの個人アクティビティデータをプライベートに保って保護し、他の目的では使わないとうたっていた。

「Onavo Protectを通じてフェイスブックは何千人ものオーストラリアの消費者のかなり詳細で価値ある個人アクティビティデータを商業目的で収集し、使っていました。これは、フェイスブックがこのアプリ奨励の中心に据えた、保護と秘密保持、プライバシーという約束に完全に反しています」とACCC会長のRod Sims(ロッド・シムズ)氏は声明文で述べた。

「消費者はオンラインプライバシーを気にかけているため、往々にしてVPNサービスを使います。これはフェイスブックのプロダクトが提供するといっていたものです。しかし実際は、Onavo Protectはかなりの量の個人アクティビティデータをそのままフェイスブックに送っていました」。

「そうした行為は、フェイスブックとOnavoが個人アクティビティデータを収集して使用していると知らされる機会をオーストラリアの消費者から奪ったと確信しています」とシムズ氏は付け加えた。

ACCCは、2016年2月1日から2017年10月までフェイスブックと同社の子会社Facebook Israel Ltd、Onavo, Incがダウンロード無料のOnavo Protectアプリの機能を偽って表示することでオーストラリアの消費者をミスリードしたと主張している。

裁判上の命令と罰金を模索していると当局は話している。

裁判についてフェイスブックの広報担当は「人々がOnavo Protectをダウンロードしたとき、当社は収集する情報について、そしてどのように使用するかについて常にクリアにしていました」と述べた。

そして「当社はこの件についてのACCCの調査にこれまで協力してきました。ACCCの訴状をレビューし、この件に対する当社の考えを引き続き主張していきます」と語った。

フェイスブックは2019年、ユーザーを詮索するために2013年に買収したOnavo Protectアプリをいかに使用してきたかについて激しい反発を浴びたのちに、同アプリを閉鎖すると発表した。

合法の証拠収集で入手されたフェイスブックの内部資料では、フェイスブックのユーザーがどのサードパーティのアプリをダウンロードして使っているかを知ろうと、商業目的の情報分析ソースとしてOnavoのチャートをフェイスブックが使っていたことが示されている。この資料は英国議会がオンライン誤情報についての調査の一環として押収し、2018年に開示された(未訳記事)。

Onavo経由で集められたデータでは、WhatsApp(ワッツアップ)がフェイスブックのMessenger(メッセンジャー)アプリの脅威となりそうなことが明らかになった。このマーケット洞察を得て間もなく、フェイスブックはライバルのWhatsAppを買収するために190億ドル(約1兆9700億円)という大金を払った(未訳記事)。

フェイスブックは現在、米国で膨大な独禁法訴訟に直面している。2020年12月初めに46州が独占的な事業慣行を通じて競争を抑制していたとしてフェイスブックを提訴した。独占的な事業慣行の主な例としてInstagram(インスタグラム)とWhatsAppの合併を挙げた。

米連邦取引委員会と議員らはそうした合併の解消とフェイスブックのソーシャル帝国の解体が不可欠だと要求している。

このほか、フェイスブックはドイツでも訴訟を抱えている。連邦カルテル庁(FCO)は、所有するサービス間でフェイスブックがいかにデータを統合できるか、制限を設けることを検討している(未訳記事)。

FCOはまた、新規のOculusユーザーはキットを使うためにフェイスブックアカウントを持っていなければならないと指摘したうえで、フェイスブックが最新のOculus VRキットの使用をFacebookアカウントと紐付けている件も調査していると2020年12月に発表した。今夏、フェイスブックは既存のOculusアカウントのサポートを2023年までに終了すると明らかにしている。

関連記事:Facebookが全米46州からの大型反トラスト訴訟に直面

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タグ:FacebookOnavoオーストラリアプライバシー訴訟

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スパやサロンにクラウド管理ソリューションを提供するインドのZenotiが約166億円調達しユニコーンに

スパ、サロン業界向けのサービスを開発する創業10年のスタートアップZenoti(ゼノティ)がユニコーンの仲間入りを果たした。ワシントン州ベルビューに本拠地を構えるSaaSスタートアップである同社はシリーズDラウンドで1億6000万ドル(約166億円)を調達し、このラウンドで「10億ドル(約1035億円)を優に超える」額で評価された、と創業者でCEOのSudheer Koneru(スドヒア・コネル)氏は今週初めのTechCrunchとのインタビューで述べた。本ラウンドはAdvent Internationalがリードし、Tiger GlobalとSteadview Partnersが参加した。Zenotiの累計調達額は2億5100万ドル(約260億円)だ。

インド発のZenotiはヘルス・ウェルネス産業向けのクラウド管理ソリューションを構築した。同社のプラットフォームでは顧客が予約を入れた後にモバイルアプリから直接支払いできる。また、顧客が店舗に入るときにその旨をプロバイダーに知らせる。

Zenotiを利用するクライアントは、予約やデジタル決済の受けつけ、給与支払い、バックエンド在庫管理、顧客が渡すチップのスタッフの銀行口座への直接送金などができる。Zenotiは2010年に設立されたが、2012年にサービスを構築してから事業を開始した。

ZenotiのプラットフォームはERP(基幹系情報システム)とCRM(顧客管理)のツールを組み合わせている。これはヘルス・ウェルネス産業の実情を示している。この業界はZenotiが参入するまではそうしたサービスを十分に受けられておらず、サービスの提供が必要とされていた、とAccel(アクセル)のパートナーShekhar Kirani(シェカール・キラニ)氏はTechCrunchとのインタービューで説明した。

AccelはZenotiに最初に出資した投資家だった。さまざまな業界の人が使用する「水平的」サービスを構築したMicrosoft(マイクロソフト)やNotion(ノーション)といった企業のプロダクトと異なり、スパとサロンの業界は直面している問題を解決することに専念する「垂直的」プレイヤーを必要としていた、と同氏は説明した。Zenotiはそれを実行した。

早い段階でZenotiがインド国外の顧客を獲得できることはかなり明確になった。そして早期の賭けは正しいことが証明された。同社の売上高の60%は米国でのもので、その次に多いのが英国だ。Hand & StoneやGene Juarezなどを含む50カ国にまたがる1万2000超の事業所がZenotiのサービスを使っている。同社はハイエンドな事業所と協業している。

キラニ氏はZenotiの成功をインドにおけるSaaSの成長だと表した。世界第2位のインターネット市場であるインドはFreshworks、Zoho、MindTickle 、Chargebeeといったスタートアップを輩出したが、そうしたスタートアップの顧客の大半はインド国外だ。

パンデミックによって企業が事業の一部をデジタルに移行するようになり、Zenotiのサービスはここ数カ月でその有用性をこれまで以上に証明した。以前はデジタルサービスに対応していなかったスパやサロンのチェーンが次々とモバイルアプリを展開し、現金に頼らなくなった。

「サービス強化に役立てようと事業所はZenotiのテクノロジーを使っています。また同社が昨年達成した成長に感銘を受けています」とAdvent InternationalのマネジングディレクターEric Wei(エリック・ウェイ)氏は声明で述べた。

パンデミックにもかかわらずZenotiは2020年、これまでで最大となる100%の成長を達成し、顧客になりたがっている事業所は数多くある、とコネル氏は話した。同氏はこの勢いを来年も維持したいと考えている。またZenotiの従業員はスパ、サロン産業の労働者に25万ドル(約2600万円)を寄付している。

約550人を雇用するZenotiはエンドカスタマーから儲けているわけではなく、事業所にサブスク料金を課している。以前、マイクロソフトで働き、オフラインのスパ事業に投資していたコネル氏は、Zenotiが現在のところまだ黒字化を達成していない一方で、利ざやは改善し、売上高の成長は加速していると述べた。具体的な数字は明かさなかった。

Zenotiは新たに調達した資金をグルーミングなどの部門へのサービス拡大に使う予定だ。ここ数カ月で、同社はジムやフィットネスセンターなどへのサービス提供も開始した。また、M&A機会の模索にも前向きだとコネル氏は話した。そうした買収がテクノロジー・タックの拡大ではなく同社の顧客成長の原動力になることが理想だ、とも語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ZenotiSaaS資金調達

画像クレジット:Manny Carabel / Getty Images

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Airbnbが2025年末までに社員の20%をマイノリティにする目標を発表

このほど上場して1000億ドル(約10兆円)企業になった、ホームシェアリングと体験の事業を展開するAirbnb(エアビーアンドビー)が、社内の多様性を向上させるための目標を設定した。その理由について「現状は満足するに程遠い」からだ、と同社はブログ投稿に書いている

2025年末までに、Airbnbは米国の社員の20%を過小評価されているマイノリティの人にする目標だ。ここには米国先住民、アラスカ先住民、黒人、アフリカン・アメリカン、ヒスパニックあるいはラテン系、ハワイ先住民、太平洋諸島の住民が含まれる。現在、同社における過小評価されているマイノリティ社員の割合は12%にすぎない。

2つめの目標は2025年末までに女性の割合を50%にまで増やすことだ。現状では、グローバルで46.9%だとAirbnbは話す。だが、同社は2018年の数字を非公開とした2019年以来、ダイバーシティフルレポートを発表していないことは記すに値する。

これらの目標を打ち出す前の2020年6月、同社は2021年末までに役員会や経営陣の20%を有色人種にすると約束していた。現在、Airbnbの役員会には黒人のKenneth Chenault(ケネス・シェノールト)氏が、経営陣には黒人でグローバルダイバーシティの責任者Melissa Thomas-Hunt(メッリッサ・トーマス-ハント)氏がいる。

Airbnbが目標を設定したのは今回が初めてではない。2016年に同社は過小評価されているグループの従業員の割合を2017年までに9.64%から11%に上げると約束した。そして同社はその目標を達成した。これはDEI(Diversity・equity・inclusion、多様性・平等・インクルージョン)を高めるのに目標設定が有効との主張を裏付けている。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Airbnb

画像クレジット:Stefanie Keenan / Getty Images

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Klimaは一般消費者が二酸化炭素排出量を簡単に把握できるカーボンオフセットアプリをリリース

Klima(クリマ)は消費者が二酸化炭素排出量を把握し、相殺(オフセット)することを支援するアプリだ。共同創業者であるAndreas Pursian(アンドレア・プルシアン)、Markus Gilles(マークス・ジル)、Jonas Brandau(ジョナ・ブランドー)の3氏は、最初に起業家としてHyperで成功を収めた。

彼らが開発したモバイル雑誌出版ツールキットは2017年にMicに売却されたが、それは10年近く前から始まった一連のコラボレーションの最新の成果にすぎなかった。

Klimaの最高経営責任者であるジル氏は2020年初めのインタビューで「私たちはテクノロジーや、社会を改善するためにできるあらゆる素晴らしいことに魅了されました」と述べた。

2020年12月に立ち上げられたKlimaは、ある意味その努力の集大成だ。

ジル氏とプルシアン氏は最初大学で出会い、後にブランドー氏も合流し、最初のアプリであるPinoを立ち上げた。これは、ドイツのAngela Merkel(アンゲラ・メルケル)首相もプラットフォームの初期の寄稿者として参加した、モバイルベースのビデオ論説ページだ。

政治やメディアとのつながりはMicに売却された出版プラットフォームHyper、そしてKlimaでも継続された。このアプリで3人の共同創業者は、メディアに精通した強みを消費者の行動の変化とオフセットにより二酸化炭素排出量を削減および中和させる目的に利用した。

「私たちが社会を再建している間、私たちにはオフセットという救済手段が与えられ、時間を稼ぐことができます」とジル氏はいう。「今後10年間で50%の排出削減を達成する必要がありますが、これは非常に困難な作業です。あらゆる気候変動の解決策をただちに駆使する必要があります」。

Klimaは他のアプリと同様に、排出量を削減する重要な個人的なステップの1つが食事だと考えている。クルマを自転車や電気自動車に置き換えたり、ファストファッションを減らして古着を購入したりすることもインパクトがある。

Klimaのアプリには二酸化炭素計算機が含まれており、カーボンフットプリントを測定し、ユーザーはパーソナライズされた月額サブスクリプションをカーボンオフセットに使える。同社のアプリは、排出量を削減するためのライフスタイルのヒントも提供する。最後にこのアプリはソーシャルシェアリング機能も提供し、気候変動の戦士の候補が温室効果ガスの排出と気候変動を減らすための戦いへ参加することを可能にする。

「私たちはいま、特別な状況に置かれています」とジル氏はいう。「私たちが創業者として行っていること。私たちは、パンデミックだからといって気候危機が一時停止しているわけではないことを知っています。私たちは、パンデミックが終わったときに、なおそこにいるために十分な資金を調達しました」。

同社にはWoogaの創業者であるJens Begemann(イェンス・ベグマン)氏、Blinkistの共同創業者であるNiklas Jansen(ニクラス・ジャンセン)氏、Pitchの創業者であるChristian Reber(クリスチャン・レーバー)氏、そしてe.ventures、HV Holtzbrinck Ventures、468Capitalなどの機関投資家が投資している。

これまでにKlimaは580万ドル(約6億円)を調達した。同社はユーザーに3種類のオフセットを提供している。1つ目は、植樹プロジェクトのような自然の解決策。2つ目は、太陽光発電設備のような技術ベースの解決策。3つ目は、薪ストーブを家庭用の電気ストーブまたはガスストーブに置き換えるなどの社会的解決策だ。

「これまでのところ、このアプリは大きく前進しています」とジル氏は述べた。同社のアプリは現在、米国、カナダ、豪州、ニュージーランドを含む18カ国で公開されており、現在市場に出回っている気候オフセットアプリの中で最大のユーザーベースを持っていると同社は語った。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Klimaカーボンオフセット環境問題

画像クレジット:Klima

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