Googleの自動運転車ユニット、Waymoとして独立―クライスラーと提携して事業展開も

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Googleは自動運転車事業を独立の企業としてスピンアウトさせる。今日(米国時間12/13)、GoogleからWaymoという新会社の名称が発表された。この会社名は「移動のための新しいやり方(a new WAY forward in MObility)」を開発するという使命を表したものだという。

「われわれはAlphabet傘下の独立企業となった」とWaymoのCEO、Jon Krafcikは今日開催されたプレスイベントで述べた。Krafcikによれば、Waymoは「公道の日常の状況下でハンドルもペダルもない完全な自動運転車を走らせた世界最初の会社」だという。これは昨年のオースティンの市街地で行われた実験を指している。

この走行ではWaymoの上級エンジニアのNathaniel Fairfieldの友人で、視力を失っていることが法的にも認定されているSteve Mahanが単独で自動運転車をオースティンの公道で走らせた。 Mahanはそれ以前にも Googleの自動運転車のテスト走行を行ったことがあるが、いつも警察のエスコートを受けていた。しかしこのときはいっさい警察の保護を受けなかった。自動運転車はこの走行で4ウェイストップ(4方向一時停止)の交差点に正しく対処し、歩行者を避け、狭い道路を通過するなどの成果を挙げた。

Googleは自動運転車ユニットのCEOに元現代北アメリカの幹部、Krafcikを任命し、元Airbnb、元TripAdvisorのShaun Stewartも採用した。こうした動きは自動運転テクノロジーを技術的実験から収益事業の柱の一つに格上げするため、自動車会社を新規に立ち上げるなどの現実のビジネス経験がある人材を必要としたものと受け止められている。

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Krafcikは今日のイベントで、「われわれは公道ですでに200万マイル(360万キロ)以上の走行実験を行った。これから次の100万マイルに向けて走行中だ。しかし重要なのは現実の走行距離だけではない。われわれはコンピューター・シミュレーションで10億マイル以上走っている。[…]またマウンテン・ビュー、オースティン、フェニックスなどでゲストを乗せた走行を1万回も行っている」と述べた。

Waymo(これまではGoogle X所属だった)は膨大な実験を繰り返してきたが、テクノロジーのトップ、Dmitri Dolgovによれば、適切な地図の製作、 挙動のスムーズさの改善、雪や大雨などの過酷な気象条件下での走行などまだ克服すべき課題がいくつも残っているという。

Waymoの企業としての方向性についてKrafcikはいくつもの可能性を挙げた。

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「 [このテクノロジーは] 共有経済にも、交通機関にも大きな影響を与える。自動車メーカーだけでなく、トラック運輸などの公共輸送産業を変革するだろう。ロジスティクスにおける『最後の1マイル問題』を解決し、ゆくゆくは個人にも利用されるかもしれない。自動運転車はこうしたカテゴリーすべてにとってすばらしい意味を持つ」とKrafcikは述べた。

Krafcikによれば新会社の努力の中心はテクノロジーの開発であり、必ずしも自動車自体の製造ではないという。これはGoogleの自動運転車戦略に関する従来の報道とも一致する。

「われわれは自動運転テクノロジーの会社であり、自動車メーカーを目指してはいないということはこれまでも繰り返し明確にしてきたつもりだ。ときにはこの点について多少の混乱〔した報道〕が見られたが、われわれのビジネスは良い車を作ることではない。われわれのビジネスは良いドライバー〔システム〕を作ることだ」とKrafcikは付け加えた。

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Krafcikによれば、Waymoのビジネスは現在新しい「ビルド」の段階にあり、次世代のセンサー関連技術はクライスラー・パシフィカの最新モデルに搭載されるという。【略】

Bloombergの火曜日の記事によれば、Alphabetに新しく誕生する自動運転車ユニットトは独立企業となり、自動車の共有利用事業でクライスラーと提携する。半自動運転によって乗客を輸送するサービスの展開には、手頃なサイズのミニバンであるパシフィカが利用される予定であり、2017年末には実用化が計画されているという。

Googleはパシフィカをベースにした自動運転車のプロトタイプを100台製造することを発表していた。しかし今回の計画はそれより幅広いもので、自動運転車に必要とされるテクノロジーも一層高度なものとなるだろう。クライスラーの親会社であるフィアットはラスベガスで開催される今年のCESでパシフィカ・ベースの電気自動車を発表する計画だ〔現在のパシフィカはハイブリッド〕。この電気自動車がGoogleのWaymoとの提携のカギを握るハードウェアかもしれない。オンデマンドの自動運転車サービスを展開するならば、通常動力よりもEVの方がはるかに実用的だろう。

Alphabetグループ内の独立の事業会社となったことで、Waymoはテクノロジーの進展や収益性について、これまでよりさらに直接的に外部の風にさらされることになる。他の企業との戦略的提携や販売、ライセンスなどのビジネスモデルについて今後の動きを詳しく観察していく必要があるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleは自動運転車の自社開発をやめたらしい、今後は自動車メーカーとのパートナーシップを重視

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一部の報道では、Googleは長年取り組んできた自動運転車の開発計画を棚上げし、既存の自動車メーカーとのパートナーシップの道を選ぶ、という。

The Informationの記事によると、Googleの自動運転車部門…社内コードChauffeur…は今、一部の自動運転機能を含むがハンドルやペダルは残る自動車の名前(ブランド名)を検討している。そのために今同社はFiat Chryslerと協働しており、両社のパートナーシップは5月に発表されたが、しかしそれは、今後のそのほかのパートナーシップを匂わせる兆候だったかもしれない。

その記事によると、Googleは最初、ハンドルもペダルもない自動運転車を追究したが、その後、AlphabetのCEO Larry PagとCFO Ruth Poratが、その最初のやり方を“非実用的”と判断した。なんとその判断は、Googleが自動運転車で公道上の200万マイルのテスト走行を成し遂げたあとに、下(お)りているのだ。

Googleがペダルのない自動運転車を放棄したとしても、The Informationに情報を提供した筋によると、同社はその野心的なプランをふところに抱(いだ)いたまま、2017年内には自動運転タクシーを発表するべく、その開発を進めている。Googleは前から、オンデマンドカーの市場に参加する、と噂されている — 現に同社はそのWaze事業によりカープーリング・サービスを提供しているが、それは結局、Uberと直接的に競合することになるだろう。一方Uberは今年ピッツバーグで、自動運転タクシーの試行を始めた。そしてさらにNutonomyという若い企業はシンガポールボストンで、同様の試行を行っている。

Googleとしては、先行している彼らに追いつきたいのだ。

同社は火曜日(米国時間12/14)にカリフォルニアで、自動運転車に関するメディアイベントを行うので、そこで詳しい情報が得られるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

一般道と交差点を颯爽と駆け抜ける、自動運転のTesla

Teslaはこの先、生産するすべての車を、将来完全な自動運転を実現するために必要な全てのハードウェアを搭載したものにするという発表を行い、同時にプロトタイプソフトウェアの短いデモビデオを公開した。今度の新しいビデオは、自動運転のTeslaが、混雑した道や沢山の交差点を完璧に駆け抜ける様子を描いている。

ビデオはドライバーの視点で提供され、ハンドルの前に座る人間(法律の規制により座っている)が、ハンドルにもブレーキにもアクセルにも一度たりとも触れていない様子をはっきりと写している。ビデオはまた、Teslaの光学カメラが運転中に見ているもの全てを3つの分離したビューで示していて、そこにはオンボードコンピューターが路上の物体や車線として認識したものが色付きでオーバーレイ表示されている。

Autopilotの完全自動運転バージョンが動作している様子は真に印象的である、そして創業者兼CEOのイーロン・マスクの語った、Teslaによる来年の後半に行う米国横断テストドライブという目標の達成が、可能なのではないかと思わせることに役立っている。

なおBGMの黒く塗れが少々胃にもたれる読者のために、ベニー・ヒルバージョンのビデオも用意されている。

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(翻訳:Sako)

Intelが今後2年間で自動運転車分野に2億5000万ドルを投資していくと発表

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Intelが同社にとって初の自動運転車に関するキーノートを発表したとき、彼らは大胆な行動にでた。今朝、Intel CEOのBrian Krzanichはロサンゼルスで開かれたLos Angeles Auto Showの自動運転車イベントに登壇し、IntelグループのVCであるIntel Capitalは今後2年間で自動運転分野に合計2億5000万ドルを投資すると発表した。

投資対象となるのは、クルマのIT化、コンテキストアウェアネス、ディープラーニング、セキュリティといった分野だ。自動運転車としてのゴールとは、ヒューマンエラーを極限まで減らすことで運転の安全性を高めることである。そのためには車両とデータを安全で、信頼あるものにする必要がある。

Intel製のプロセッサーの力が発揮されるのは、自動運転車に必要なデータの処理を行うときだ。Krzanichは、自動運転車にはすでに各種のセンサーやカメラ、そしてデータを収集したり送信するための制御機能が搭載されていると指摘する。彼によれば、これからはすべてのクルマが毎日4テラバイトのデータを生み出すようになり、自動車業界はそれに対応するための準備をしておかなければならないと話す。

Intelがこの発表の場にLA Auto Showを選んだという事実は、今ではテクノロジーと交通手段が大きく交わる世の中になったことを表している。世界最大の消費者向けエレクトロニクスの展示会である「CES2016」では、世界各国から自動車メーカーの代表者が集まった。North American Auto Showが主催するテクノロジーに焦点を合わせた専用展示会であるAutoMobili-Dの第一回展示会は2017年1月に予定されている。LA Auto Showが主催するテックイベントであるAutomobilityが初めて開催されたのも今年だ。

クルマが運転できる(または自動運転の)デバイスとなるにつれて、そしてデバイスがバイク・シェアリングや公共交通機関などの様々な点において世の中の交通手段と統合されるにつれて、テック系の企業と自動車メーカーの交流はもはや「標準的な交流」とは呼べなくなってきた。それは、必要不可欠な交流なのだ。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

自動運転車と共有モビリティが保険に与えるインパクト

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【編集部注】著者のSeth Birnbaum氏は、米国最大のオンライン自動車保険市場EverQuoteのCEO兼共同創業者である。

「次の5から10年の間には、わたしたちが過去50年の間に見てきたものよりも大きな変化に出会うことになるでしょう」GMのCEOであるMary Barraはこのように言っていた 。この発言から1年が経ったが、その内容は正しいままだ。車の所有形態が変化しつつあり、自動運転車は次の10年で実用化される。保険業界に影響があるのはどれだろうか:自動運転車(self-driving cars)なのか、共有モビリティ(shared mobility:移動手段の共有)なのか?

自動運転車

Googleの自動運転車のうちの1台が、最近これまでで最も損傷の大きな自動運転者衝突事故の1つに巻き込まれた。これは自動運転車のせいではなく、側方から赤信号で突っ込んできた別の人間の運転する車が、自動運転車の側面に衝突し、エアバッグが動作したというものだ。しかし、このシナリオは車自身がどのように避ければよいかを知らないものだった。

ドライバが運転を引き継ぎブレーキを踏んだが、衝突を回避するには遅すぎた。

自動運転車は、一旦広く受け入れられてしまえば、人間が運転するする車よりも遥かに安全になると思われるが、まだ人間が路上で運転している状況の中で本当により安全でいられるのだろうか?どのように複雑でとらえどころのない「人間要素」を考慮すれば良いのだろうか?

これは私たちに疑問をもたらす:この状況の中に保険が持ち込まれたらどうなるのか?自動運転車が通過する前の6秒の間前方の信号は緑だった、にもかかわらず側面からぶつけられてしまった。

自動運転車産業は今後20年間で飛躍的に成長すると予測されており、保険会社も一緒に泳ぐことを学ぶ必要がある。さもなければ沈んでしまう。

自動車保険は、長期的にだけでなく、近い将来この差し迫った技術に適応しなければならない。。自動運転車は事故を9割減らすことを期待されている一方、米国人の81パーセントは自分で運転するよりも、自動運転車の方が安全だろうと感じている。もしそのように感じているのなら、ドライバー達はその技術に喜んでより多くのお金を支払うだろうか?Volvoは最近、彼らの自動運転技術は、既存の車に1万ドルほどの上乗せが必要になると発表している。

消費者のためらいやその他の法的障壁によって、自動運転車が完全に採用されるまでには、何十年もかかるだろう。その結果、保険会社が計画を練る必要のある、より切迫した移行期間が出現するだろう。その移行期間の間、自動運転車と人間の運転する車が入り混じって路上に存在しているのだ。

自動運転車は、1台の車を複数のドライバーが利用する状況よりも、大きな変化を保険会社に迫るだろう。

自動運転車が一般に普及していくにつれ、大衆がテクノロジーに適応していく過程で「人間要素」が関係する事故が出現するだろう。保険会社は短期的には、こうしたタイプの衝突をカバーする必要がある。おそらくGoogleの自動運転車の事故のようなものを。将来的には、保障しなければならない新しいリスクも出現するだろう。センサーの損傷、衛星の故障、その他の新しいテクノロジーなどだ。

おそらく、保険は無過失保険の形式になるだろう、そこではどちらの側も過失を問われず、それぞれの車のオーナーの保険がそれぞれの車両をカバーすることになる。あるいは、保険は走行距離や使用形態に基づくプレミアムコストの乗った、光熱費のような基本コストになるかもしれない。自動運転車のハッキングあるいは、サイバーセキュリティ上のリスクも考えられる。保険会社はサイバーセキュリティ問題をカバーするのか、あるいは製造者がその責任を負うのか?

 これらの疑問に対する答は、今全て決めることはできないが、保険会社はこのパラダイムシフトに早いうちに対応する必要に迫られることになるだろう。火災、動物、洪水、盗難、地震、破壊行為のための包括的なカバレッジは依然として必要で、そうした保険の種類は、費用の調整を除いて、大きく変更する必要はないだろう。

交通インフラストラクチャは、自動運転車が容易に利用可能になるにつれ変化することが期待される、そしてこれは保険が運用されるやり方にも影響を与えるだろう。現在は、すべての道路がきれいで目に見える道路ラインと共に、平らに舗装されているわけではない。雪やその他の気象条件ではどうだろうか?自動運転車が、完全にラインが引かれ、地図に掲載された道だけではなく、何処でも行けるようになるまでには、あとどれ位かかるのだろう?自動運転車がSAE Level 5に相当する完全自動に達するまでには、まだ長い時間がかかるだろう。しかし、一旦そのレベルに達したならば(そしてもし安全性に関する主張が正しいとするなら)、保険のコストはおそらくドライバと保険会社の両者に対して安くなるだろう。

共有モビリティ

車は95パーセントの時間を駐車状態で過ごしている。そのため、および利便性の理由で、相乗りサービスが近年爆発的に増えている、その結果とても利益率が高く革新的な産業が生まれている。Uberは現在ほぼ630億ドルと評価され、Lyftも最近記録的な成長を見せている。車の共有モビリティはこの先、相乗りサービス(1台の車に乗り合いで複数の人が乗る)を通して成長することが期待されているが、同時にカーシェアリング(1台の車を時間差で複数の運転手が利用する)を通しての成長も期待されている。

複数のドライバが同じ車両へのアクセス行うカーシェアリングは、おそらく今後数年の間に人気が高まるだろう。MavenZipcarのような、ドライバーと空き車両をマッチングするサービスは、成長を続けると思われる。何故なら競争と経済規模が成長していくからだ。顧客のセグメントに焦点をあてた共有モビリティがより多くの場所で提供されるにつれて、より多くの移動ニーズが満たされるようになる。時間が経つにつれて、各家庭での車両所有の必要性は減っていくだろう;この結果、これまで複数の車を持っていた家庭も、1台だけの車で済ませるようになるだろう。最終的に、人びとは全く車を所有しない決定をするようになるかもしれない。

共有モビリティはいつかは自動運転車とオーバーラップする点が出てくると思われるが、一方車の所有権が変化することにより、保険産業に異なる影響を与えるようになるだろう。

共有モビリティは、保険業界にもっと直接的な影響を持つことになる。車は頻繁に使用すると、より早く磨耗し、複数のドライバーが使うことにより、より多くの事故に遭うかもしれない。保険会社は、同一世帯や家族に属しておらず、またいつでも同じ車を運転するとは限らない複数のドライバをカバーするように適応する必要がある。

その結果、保険がカバーする範囲は、使い方に基づく保険(どのような運転をするかによって支払いを決める)を伴わせた運転習慣により焦点を当てたものになるか、運転距離に連動したものに基づくものになるだろう。MetroMileのような企業は既にこのモデルを利用していて、カーシェアリングの成長と共に人気も高まろうとしている。あなたの車が駐車されているいる間にも保険料を払う代わりに、運転した距離に応じて保険料を払うのだ。

遠隔通信デバイスがより正確かつリアルタイムに、誰が車両を運転していて、どれほど安全なドライバーなのかを検知できるようになるにつれ、共有モビリティの世界でインシュアランステックが大きな役割を果すようになるだろう。

自動運転車あるいは共有モビリティ?

共有モビリティが、保険業界にもっと直接的な影響を持つことになる一方で、自動運転車は確実に保険業界全体により大きなインパクトを与える。自動運転車は、1台の車を複数のドライバーが利用する状況よりも、大きな変化を保険会社に迫るだろう。

とはいうものの、この2つはある時点でオーバーラップすることになる。自動運転機能は相乗りサービスの中に組み入れ続けられ、やがて最終的にはカーシェアリング業界でも実現されるだろう。この時点で、2つのセクタは衝突し、保険は新しく登場するリスクに適合を続けることになる。自動運転車と共有モビリティは保険産業に破壊と革新を迫るだろう。あとは時間の問題なのだ。

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(翻訳:Sako)

自動運転車に関するアメリカ運輸省のガイドラインが不十分な理由

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【編集部注】執筆者のCarl Herbergerは、Radwareのセキュリティソリューション担当ヴァイスプレジデント。

FordやGM、トヨタ、VWは、今後5年間で自動運転車を実用化しようとしている自動車メーカーのほんの一部でしかない。さらにUberやTeslaに話を聞けば、既にドライバーレスの車は誕生していると答えるかもしれない。つまり、ハッカーにとって格好の標的となる自動運転車を守るためのルール作りの時間は限られているのだ。

TeslaJeep三菱の例に見られるとおり、自動車をハッキングするのは簡単なことだ。自動運転車が一般に普及すれば、サイバーセキュリティリスクは急激に増大することになる。コンピュターがハッキングされても、ほとんどはお金で解決できるが、自動車のハッキングは命に関わる。

アメリカ合衆国運輸省(Department of Transportation=DoT)が最近発行した自動運転車に関するガイダンスは、サイバーセキュリティに関する問題への取り組みとしては良い出発点だが、まだまだ改善の余地がある。その証拠に、DoT自身も技術的な専門知識が欠けていることを認め、自動運転車周りのセキュリティ専門家を雇うための特別な採用ツールを探している。

一方で、今よりも厳しい規制が導入されるまで待っている余裕もない。「ベストプラクティス」や「指導」、「〜すべき」といった言い回しでは、解釈に幅が生まれてしまい、自動運転車を守ることができないのだ。この記事では、他の業界での例をもとに、ドライバーの安全を守りながらも自動運転テクノロジーの進歩をとめないために、DoTができることについてまとめている。

なぜ自動運転車には厳しいサイバーセキュリティのルールが必要なのか

セキュリティ関連法案が急速に進化するテクノロジーについていけないことはよくある。さらにテクノロジーの多くは、標準的なプログラミング言語で記述され、オープンシステムや広く知られたシステムの上に構築されているため、ハッカーが侵入しやすいつくりになっている。自動運転車もこのカテゴリーに含まれており、普通の犯罪者からテロリストまで、悪意を持った人であれば誰でも簡単に侵入して、車をコントロールできるようなソフトが自動運転車には導入されている。

NSA(アメリカ国家安全保障局)の情報漏えいや、DNC(民主党全国委員会)のハッキング被害など、これまで政府は国家ぐるみのサイバーアタックには太刀打ちできないというイメージを国民に与えてしまっていることから、今こそサイバーセキュリティへの取り組みをアピールするには絶好のタイミングだといえる。さらに、これまで完璧とは言えない行いが明るみに出ている自動車業界にとっても、厳しいルールが導入されれば、消費者の信頼を少しは回復できるかもしれない。利用者の安全よりも経済的な利益を優先した企業のせいで、これまでイグニッションスイッチやエアバッグなどで、とんでもない品質問題が起きている。

自動運転車に関するこのような難しい問いには、できるだけ早く答えを出していかなければならない。

自動運転車がテロリストやハックティビスト、はたまたその他の犯罪者の手に渡ったときのことを考えてみてほしい。自動運転車を乗っ取った瞬間に、彼らは2トンの自走ミサイルを手に入れたようなもので、何百人もの命が脅かされることになる。また、ランサムウェアがさらに進化すれば、身代金を支払うまでハッカーが車を乗っ取っるといった事件が発生するかもしれない。車内の会話や行動範囲などが遠隔でモニタリングされる、プライバシー侵害の可能性については言うまでもない。

DoTのルールに記載されるべき事項

「ベストプラクティス」では大衆の安全を守ることはできない。私たちに必要なのは、現代の強力なハッキングを防ぐことのできる、安全で頑丈なシステムやソフトが自動運転車に搭載されていることを保障する法規制や検査なのだ。

まず、自動運転車には航空機と同じくらい厳しい検査基準が課されるべきだ。アメリカ連邦航空局が実施する新しい機体の検査の様子を見たことがある人であれば、彼らは翼を壊れるまで伸ばしたり、窓に向かって大きなものを発射したりすることで、機体の限界点を調べているのを知っているだろう。政府はこれと同じくらい厳しい検査を、自動運転車のサイバーセキュリティに関しても行わなければならない。例えば、新しい車を全てDDoS攻撃やAPT攻撃にさらして、どこまで耐えられるか検査するというのは一案だろう。ハッカーに依頼して、彼らがシステムに侵入できるかや、どこに虚弱性があるのかを確認するというのも手だ。厳しい検査が導入されれば、私たちは自動運転車が一般に普及する前に安全を確保することができる。

自動運転車の実用化がはじまったら、次は更新型の認証システムが必要になる。普通の車に対して、排ガス検査や機械的な安全性に関する検査を行うように、自動運転車にもサイバーセキュリティに関する検査を行うべきだ。一旦検査に合格したとしても、サイバーセキュリティの世界はすぐに変化するため、継続的な更新が必要になる。定期的な検査や再認証がシステム化されれば、最新のパッチをインストールしていない車から、乗客や歩行者、路上を走る他の車の安全を守ることができる。また、認証システムにベンダーを巻き込むことで、自動運転テクノロジーやサービスを提供する企業にも、自動車メーカーと同じレベルのセキュリティ水準を求めることができる。

そして基準を満たしていないメーカーに対して、政府は厳しいペナルティを課さなければいけない。金融業界では、倫理綱領やその他の規制措置への違反は、罰金や民事・刑事訴訟などの厳しい懲罰を意味する。「ベストプラクティス」には何の効力もない。もしも政府が自動運転車を規制したいと考えるならば、安全を侵すような違反には厳しい罰を与える必要があり、特に1番の心配事項であるサイバーセキュリティについてはそのような取り組みが必須だ。

同時に、DoTが規制しなければいけない事項にはグレーエリアも多く含まれている。ガイダンスでは自動車メーカーの倫理が問われている一方で、それだけでは乗客や周りの人の安全は守ることができない。もしも自動運転車がハッキングにあって歩行者をひいてしまったら、その責任は誰にあるのだろうか?車の持ち主なのか、メーカーなのか、それとも自動運転車に乗っていた人なのか。駐車場やトンネルなど、電波の届かないところでは何がおきるのか?自動運転車に関するこのような難しい問いには、できるだけ早く答えを出していかなければならない。

自動運転車にとっての規制強化のメリット

自動運転車の進歩のために、この段階ではあまり規制を強めないほうが良いと言う人も中にはいる。イノベーションを制限したり、テクノロジーの進歩にブレーキをかけたりしたくないという主張だ。そのような主張に対しては、ブレーキをかけるのは良いことだと反論したい。もしも車にブレーキがなければ、時速90マイル(時速145キロ)で運転しようとは思わないだろう。つまりブレーキがあるからこそ早く動くことができ、必要に応じて速度を緩めることもできるのだ。

自動運転車に伴うリスクは、これまでのテクノロジーとは比較にならない。ほとんどの人にとって、Yahooの情報漏えいはそこまで大きな問題ではなく、パスワードを変更してクレジットレポートを注意して見ておけばいいくらいだった。個人情報の盗難にあった人や、ランサムウェアに感染してしまった人は、もっと破滅的で甚大なダメージを受けたかもしれない。しかし自動車に関して言えば、ハッキングは生死を分ける問題なのだ。

自動運転車は、より安全で便利で効率的な交通手段となる可能性が高いが、それを実現するために、私たちは安全性の確保に向けて、できることを全てやっていかなければならない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Uberのライバル「Zoox」のバリュエーションは15億ドル

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自動運転車の競争が激化している。いまだ秘密の多いスタートアップであるZooxは、まだ最初のプロダクトを発表する前にもかかわらず、15億ドルの価値があると判断されたようだ。

TechCrunchは、先日Zooxが香港のヘッジファンドであるComposite Capitalから5000万ドルを調達したという情報の裏付けを取ることに成功した。この資金調達の情報を最初に報じたのはThe Wall Street Journalだった。この資金調達は、10億ドルのバリュエーションで2億ドルを調達した前回の資金調達から1ヶ月も経たないうちに行われている。

Zooxはクルマそのものを消費者に販売するのではなく、Uberのライバルとなるようなサービスを創りあげようとしている。私たちが聞いたところによると、このサービスのベータ版は来年にもローンチされる予定だという。どのマーケットでローンチするかはまだ未定だ。

同社を立ち上げたのは、スタンフォード大学で自動運転車の研究グループを指揮するJesse Levinsonと、オーストラリア人起業家のTim Kentley-Klayだ。Menlo Parkを拠点とするZooxが設立されてからまだ2年といったところだ。それにもかかわらず、同社はすでに100人以上の従業員を抱えており、その中にはTeslaやAlphabet、Apple出身の者もいる。

今年初めにGeneral Motorsが自動運転のCruise Automationを10億ドルで買収したことで、自動運転車に関連するスタートアップのバリュエーションが引き上がっている。今回の情報の提供者によれば、自動車企業は今もこういったスタートアップの買収を検討しているという。

すでにUberは自動運転車による配車サービスのテストをピッツバーグで開始している。さらにはOttoの買収も完了し、彼らの自動運転車の開発チームはさらに強化されることとなった。

しかし、いまだに自動運転車に対する規制は多い。Comma.aiがそういった規制の多さに白旗をあげたばかりであり、失意の真っただ中といったところだ。

Zooxは以前にもDFJ、Lux Capital、Blackbird Venturesなどから資金を調達している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

光に頼らないOryxのナノアンテナは自動運転車の視界能力を大幅に高める

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写真和訳: [自動運転の視覚の欠陥/今の技術はソフトウェア脳の要件レベル3以上に対応できない/視界カメラ(単眼/立体),ライダー,レーダー,超音波…センサー群/小動物・都市の混雑・夜の視界・まばゆい日射し・霧,雪,雨・高速時視程/ソフトウェア脳の処理能力]

Oryx VisionのCEO Rani Wellingsteinによると、同社は、自動運転車の奥行き知覚を改善するコヒーレントな光学レーダーシステム(coherent optical radar system, 仮訳: 可干渉光学レーダーシステム)を開発した。イスラエルの同社は、シリーズAの資金調達を契機にステルスを脱し、既存のライダーシステムに挑戦する技術、と自らを位置づけている。

Wellingsteinが指摘するのは、これまでのライダーが光電子センサーで光を、すなわち光のエネルギーを検出することだ。しかしOryx Visionは、同社がナノアンテナ(nano antennas)と呼ぶものを利用して、電磁波を検出することにより、もっと多くの情報にアクセスする。

そのアドバンテージは、自動運転車の視程と感度の増加であり、それにより、自分のまわりの物や動きをより正確に知ることができる。Oryxのアンテナは10ミクロンの波長で動作し、ライダーと違って、霧を透視でき、また強い陽光で盲目化することもない。

Oryxの技術者たちがライダーの欠陥の克服、という課題に着手したのは、およそ6年前だ。プロトタイプの完成までに1年半を要し、ようやく、実用レベルの撮像能力に達することができた。

Oryxによると、同社のアンテナは、今の最高性能の自動運転車に使われているライダーシステムよりも安価である。同社のシステムが使っている撮像機構のコストは、スマートフォンのカメラと同じぐらいだ。そしたさらに同社は、“地球上で最も安価な最も平凡なレーザー”を使用している。そのシステムは光学系がきわめてシンプルで、操舵、回転などの要素がなく、また光線をいっさい利用しない。

Oryxの社員は20名ほどだが、資金調達を機にイスラエルとシリコンバレーとドイツに人を増やし、自動車メーカーや自動運転技術の革新的スタートアップたちの需要に応じていく。将来的には、今多用されている人間運転者をアシストするシステムではなく、完全な自動運転車への採用を目指したい、とWellingsteinは語る。

“AppleやGoogleなど、これまでこの分野に意欲的に取り組んできた選手たちが、今や撤退しつつある。技術の完成度が、まだ十分ではない、と私は思う。自動運転は視覚と意思決定に関する技術だ。しかし現状では、この二つのもののあいだに、空隙がある。そのギャップを埋めるためには、別の技術、ライダーではない別のセンサーが必要だ、でも今の選手たちの多くが、“別の技術”に無関心だ。しかしわが社が志向するものは、まさにそれなのだ”、とWellingsteinは抱負を語った。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Comma.ai、自動運転機能を付加するComma Oneの販売を取り止め

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著名なiPhoneハッカー出身で起業家であるGeorge Hotz(通称geohot)は、自身が設立した自律走行車のスタートアップの最初の製品であるComma One aftermarket add-onの販売を取り下げた。この製品は特定の市販車に対し、高速道路での自律走行的なアシスタント機能を後付けで付与するものだ。

HotzがComma.aiの公式Twitterアカウントで発表したところでは、今回の中止決定は米国運輸省(NHTSA)からの手紙を受けてのものだ。NHTSAからの手紙の内容は、その米国内での交通安全を確保する責務に基づき、Comma Oneが一般向けに販売可能になるのに先立って、その製品が種々の規制に準拠していることを確認する必要があるということを説明するものだった。

そして、NHTSAはComma.aiに対して「特別命令」を発し、同社がComma Oneに関しての15の質問に詳細に答えるように求めた。その質問とは、その製品のデザイン、テストの方法と安全性試験に関する情報、対象となる車種と販売に至るまでの予想されるスケジュールに関してだった。これらの質問は、たとえ使用条件が限定されるにしても、運転手から運転を引き継ぐことを目的とした装置を販売することを考えれば、至極真っ当な要件事項に思われる。

HotzがComma.aiの公式アカウントからツイートしたところでは、同社は要求された質問に答える代わりに、Comma Oneの販売を完全に中止し、今後「他の製品とマーケットに」軸足を移して行くという。Hotzによれば、その理由とは、「規制当局と弁護士に対処するような生活など、その価値もない」ということだ。Hotzが記しているように、彼は中国の深圳からツイートしており、彼はそこでComma Oneの製造に何らかの関わりのある仕事を行なっていた可能性もある。

Comma Oneが最初にお披露目になったのは先の9月に開催されたTechCrunch Disrupt SFのイベントで、そこでHotzは製品のプレゼンを行い最初の顧客に対しては今年度末までに製品を出荷すると発表した。そのステージで私はHotzに安全性と製品に対する懸念について尋ねたが、彼はComma Oneについてはこれまでの既存のテクノロジーが提供していないことは何もしていないとして、自らの製品に対する自信を表明した。

 Hotzは競合他社が実際に自律走行や運転支援機能を出荷できていないことをステージ上で批判した。また、HotzはテスラCEOのイーロン・マスクと書簡を交わしていおり、その中でテスラ内でのポジションのオファーがあったことの詳細について述べた。
我々はHotzに、Comma Oneの販売中止や同社が他にどんな製品を用意しているのか、また次にComma.aiがどのような市場をターゲットにしているか、に関してさらなる情報を求めてコンタクトを試みたが、この文章を公開する時点で返事は届いていない。Comma.aiが受け取ったNHTSAからの手紙の全文はここで。

[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)

Otonomoが1200万ドルを調達、コネクテッドカーのデータ標準化サービスを展開

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自動運転車が私たちの日常生活に浸透しているとはまだ言えないものの、インターネットに接続された車の数は急速に増えている。

路上を走る車の5分の1、そして世界中で新たに製造される車のほとんどが、2020年までにワイヤレスネットワークに接続されるようになるとGartnerは予測する。一方で、現在世に出ているコネクテッドカーのデータを有効活躍できている組織はほとんど存在しない。

イスラエルのヘルツリーヤ(Herzliya)に拠点を置くOtonomoが、その状況を変えようとしている。

同社のシステムは、数々の自動車・自動車部品メーカーから集めた、車両やドライバーに関するデータを収集し標準化している。そのため、さまざまな企業がそのデータを利用してドライバーについて学んだり、新しい製品やサービスをドライバーに提案したりできるのだ。

Otonomoはこの度1200万ドルを調達し、この資金は同社のテクノロジーや事業の拡大に利用される予定だ。Bessemer Venture Partnersがリードインベスターとなった今回のラウンドには、StageOne VenturesManiv MobilityLocalGlobeが参加した。

資金調達のほかにもOtonomoは、元GM副会長のSteve Girksyと元OnStarジェネラル・マネージャーのMary Chanを顧問として迎えたと発表した。さらに、元AT&T Business Solutions CEOのAndy Geisseも同社の取締に就任した。

Bessemer Venture Partnersでヴァイスプレジデントを務めるAmit Karpは、車メーカーのほかにも保険、スマートシティ、交通・輸送、ファイナンスといった自動車の周辺業界は、Otonomoのサービスを新しい製品やサービスの開発に利用することができると話す。

OtonomoのCEO兼共同ファウンダーであるBen Volkowは、ディベロッパーや企業が扱いやすいデータを提供することで、コネクテッドカーから収集したデータがさまざまな場面で有効活用されるようになると話す。

例えば市役所であれば、大都市のドライバーの行動を研究することで、電子標識や信号の利用法を最適化し、より安全な道路環境を築くことができる。また、スターバックスやダンキンドーナツ、マクドナルドといった企業であれば、長時間運転を続けていて、どこかの店舗の近くにいるドライバーに対してクーポンを届けることができる。また、保険査定員であれば、ドライバーのセルフレポートを待つのではなく、車から直接データを入手することで、事故が起きた時の請求処理がスピード化する。

「ある企業やディベロッパーが、コネクテッドカー向けのサービスを開発したいと考えているとしましょう。通常彼らは、直接自動車部品メーカーを訪れて、入手したデータを標準化してから車メーカーと契約を結ばなければいけません。しかし、Otonomoがその間に立つことで、彼らの手間を省くことができるんです」とKarpは語る。

さらに彼は、Otonomoの存在をオンラインペイメントのStripeや、通信のTwilioに例えていた。

Otonomo CEOのVolkowによれば、今回の調達資金は、増員や研究開発、主要自動車・自動車部品メーカーとの関係強化に使われる予定だ。

コネクテッドカーから入手したデータを第三者に提供する上で重要なのが、地方自治体や州、国家レベルの法律・規制、さらにはさまざまな企業のポリシーに沿った形で情報を公開するということだ。

「Otonomoのポリシーエンジンには何百種類ものルールが設定されているほか、弁護士との協業を通して私たちは関連規制・法律も心得ています。外部へ積極的に情報公開を行っている自動車メーカーであれば、私たちは全てのパラメーターをチェックし、詳細をぼやかして匿名性を高めますし、限定的な情報公開しか行っていない場合でも、誰のプライバシーも侵さず、法規制に則った形で情報提供を行います」とVolkowは話す。

さらに、自動車メーカーがユーザーデータのテコ入れを行う中、Otonomoはそれを補助するような役割を担っているため、各メーカーが同社と仕事をしたがっていると彼は語る。またVolkowによれば、GoogleやAppleといった大手テック企業が自動運転車や関連システムの開発に力を入れている一方、Otonomoが提供するサービスは自動車メーカーの中核事業とは競合しない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

BlackBerryがFordとパートナーして、同社のまれな孝行息子QNXの多方面的車載利用を推進

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BlackBerryのQNX部門は、このカナダの企業の希少な明るい材料だ。このソフトウェア制作部門が作っているオペレーティングシステムQNXは、多くの自動車メーカーが車載インフォテインメントシステムの中核として採用している。BlackBerryによると、現在、6000万台あまりの自動車の上でQNXが動いており、そして今度からそれは、Fordのインターネット接続車にとって、さらに重要な存在になる。

FordとBlackBerryがこのほど署名した協定によると、FordはBlackBerryのQNXとセキュリティソフトウェアの、インターネット接続車における利用を拡大する。それまでFordは、車載インフォテインメントシステムSYNC 3のOSとしてQNXを使用し、広く欠陥が批判されているMicrosoftの最初のSyncとその後継システムをはねつけていた。

BlackBerryによると、同社は今後、Ford専任チームを設けて、FordによるQNXの多方面的利用を支えていく。ただしその具体的な内容や費用等は、非公開だ。

この契約により、少なくともFordとQNXは直接的な関係になり、あいだに入る業者等はありえなくなる。これでBlackBerryはFordの第一層サプライヤーになるが、それまでは直接ではなく、Fordに納めている機器等のメーカー、たとえばPanasonicなどが、相手だった。

プレスリリースは自動運転車には触れていないが、QNXのソフトウェアは自動運転車への適合条件をクリアしている。そしてFordは自動運転技術の追究に熱心だ。だからBlackBerryのソフトウェア(QNXほか)がそれらの計画に関与することも、十分ありえる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

新しい自動車メーカーの誕生

編集部注:本稿はAdvanced Telematic Systemsの創業者兼CEOであるArmin G. Schmidt によって執筆された。同社は自動車業界のソフトウェア開発を支援する企業だ。彼はこの他にも、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどにある数多くのイノベーティブなテック企業で役職をもつ。

 

フランスのMulhouseという街にあるCité de l’Automobileは素晴らしい場所だ。スイス人のHansとFritz Schlumpf兄弟の自動車に対する強い愛情のおかげで、この場所には多くの自動車が展示されている。展示されている自動車を集めるための費用は、彼らが立ち上げたビジネスから得た収益で賄われた。彼らはウール製品向けの紡績工場を経営していた。面白いことに、「Schlumpf」をドイツ語にすると「smurf」となる。アニメの「Smurf」を覚えている読者であれば、The Cité de l’Automobileを見て「Smurftastic(最高に素晴らしいという意味の造語)」と言うことだろう。

Schlumpf兄弟の自動車に対する過剰な愛情と、1970年代に布製品の生産がアジア国々にシフトしていった事が理由で、ついに彼らのビジネスは破産してしまった。そこで彼らはフランスを離れ、故郷のスイスに戻ることにした。その頃までには、彼らの自動車コレクションの価値はとても高くなっており、フランス政府は彼らのコレクションには歴史的な希少価値があるとして、それを破壊したり輸出したりすることを禁止する命令を出した。そして1978年、彼らのコレクションはCouncil of Stateによってフランスの歴史的記念物として認定されることとなったのだ。

数年前、今では世界最大の自動車博物館となったCité de l’Automobileに訪れる機会を頂いた。まさに自動車の栄光の時代にタイムスリップしたような感覚だった。何百もの自動車で埋め尽くされた巨大なホールを歩いていると、その多くはかつての「スタートアップ」(過去の起業家にも現代の用語を当てはめることは可能だろう)がゼロから自動車を創り出し、ブランドを確立し、誕生したばかりの自動車市場でのシェアを奪い合っていた時代に製造されたものだということに気付くだろう。馬によって移動することはもはや時代遅れとなり、それが理由で私たちは乗馬を贅沢な趣味として認識するようになった。

新しいテクノロジーが誕生して産業が革新的な発達を遂げたことにより、当時のスタートアップは限られた資本でも自動車を製造することができるようになった。第一次の自動車ブームが始まったのだ。例えば、1920年代には自動車はボディ・オン・フレームという製造方法で製造されていた。この方式では別々のサプライヤーから供給される部品をモジュールとして組み合わせることが可能になる。その後、開発予算のあるハイエンドのクルマ向けにユニボディ構造が採用され、高精度に一体化された車両が開発されるようになった。この構造はボディ・オン・フレームは開発コストはかかるが、大規模に生産することができれば開発コストを下げることも可能となる。現代の電気自動車のなかにはボディ・オン・フレームというコンセプトに回帰したものもあり、例えばBMW i3の頑丈なフレームの中にはドライブトレイン(クランクやチェーンなど自動車を前に動かすためのパーツの総称)とバッテリーが組み込まれている。

これから挙げる自動車ブランドのリストはCité de l’Automobileに展示されている自動車のほんの一部だ。もしあなたがこの中の3つ以上のブランドを知っているとすれば、正真正銘の自動車エキスパートと名乗ることもできるだろう。もしそれが本当ならば、今度会う時にはお酒を一杯おごろうではないか。 ABC、Amilcar、Arzens、Aster、Ballot、Bardon、Barraco、Barré、Baudier、B.N.C、Bollée、Brasier、Charron、Cisitalia、Clément de Dion、Clément-Bayard、Clément-Panhard、Corre La Licorne、Darracq、Decauville、 De Dietrich、 De Dion-Bouton、 Delage、 Delahaye、 Delaunay-Belleville、 Dufaux、 Ensais、 Esculape、 Farman、 Fouillaron、 Georges Richard、 Gladiator、 Gordini、 Horlacher、 Hotchkiss et Cie、 Hotchkiss-Gregoire、 Jaquot、 Le Zèbre、 Lorraine-Dietrich、 M.A.F.、 Mathis、 Maurer-Union、 Menier、 Minerva、 Monet-Goyon、 Mors、 Neracar、 O.M.、 Panhard & Levassor、 Pegaso、 Philos、 Piccard-Pictet、 Pilain、 Ravel、 Rheda、 Richard-Brasier、 Ripert、 Rochet-Schneider、 Sage、 Salmson、 Scott、 Sénéchal、 Serpollet、 Sizaire-Naudin、 Soncin、 Turicum、 Vermotel、 Violet-Bogey、 Zedel.

この優秀なスタートアップたちが自動車を製造していた時代は、まだクルマの燃焼機関が参入障壁として機能していなかった時代だった。その後、GM、Ford、Mercedes、Toyota、BMW、VWなどのメーカーが40年以上もの間マーケットを独占することになる。これにより、これらの大規模メーカーとMcLarenやLotusのような小規模メーカーとの間に巨大な壁が生まれたのだ。

もちろん、DeLoreanやFisker、Artegaのようなスタートアップが誕生したことは事実だ。しかし、燃焼機関を搭載したクルマを製造開発し、マーケティングを行って製品を販売し、そして言うまでもなくディーラーのバリューチェーンを維持するというビジネスは、大規模で資金力のある企業が常に勝利する試合だった(今でもそうだと主張する者もいる)。自動車業界でスタートアップを立ち上げて成功させるのは簡単ではない。1億ドル以上の資金を調達できないスタートアップはすべて、遅かれ早かれ倒産の道をたどることになるだろう。特に、大半の投資家はこの業界を触れてはいけないもののように扱っている。非常に大きなリスクを伴うのにもかかわらず、成功する確率が低いからだ。

次世代のクルマや商用車、そして他のタイプの交通手段を開発することを目的としたスタートアップが次々に誕生しつつある。

しかし、2004年に台湾に現れた1人の男がすべての常識を覆した。Elon Muskだ。その時彼は、台湾だけでなく様々な場所で資金を調達するために奔走していた。彼が開発した第一号モデル「Roadster」をローンチするための資金だ。当時このクルマに使われていた部品の大半は、人口2300万人の島国である台湾で製造されたものだった。この国は世界中に存在するPCやノートパソコン・メーカーの8割に部品を供給しているだけでなく、iPhoneで使われているマイクロチップのすべてを生産していることでも有名だ。また、Foxconn、Pegatron、Wistronなどの台湾出身の巨大メーカーの存在もよく知られている。

Teslaが2006年にローンチした当時、同社のプロダクトに搭載されたエンジンは台湾にあるTeslaの工場で生産されていた。その当時から、Elon MuskはITと自動車の世界は交わることになるだろうと確信していたのだ。初めての資金調達を完了したあと、彼は野望を抱き始めるようになる。「専門家」と呼ばれる人たちのアドバイスは聞かなかった。2009年までにTeslaは1億8000万ドルを調達し、147台のプロダクトを販売した。

その数年後、その時すでに何十億ドルもの追加資金を調達していたTeslaに世界は注目し、Teslaであればそれまで誰もが避けてきたことを成し遂げることができるだろうと考えるようになった。伝統的で巨大な自動車メーカーへの攻撃だ。コンピューターの処理能力の発達し、業界を進化させるというモメンタムが大きくなっている今、時代は「イノベーションのジレンマ」と呼ばれる新たな1ページに差し掛かろうとしている。ハーバード大学教授のClayton Christenseが提唱したこの理論は、新しいテクノロジーによって優良な大企業が没落する過程を説明している。そして何より、これまで競争力のあるプロダクトが創り出したプレミアムを享受してきたAudi、BMW、Toyota、Mercedesのような企業は、この理論を真剣に受け止め始めている。

豊富な資金力と技術によって構築された巨大な壁は崩壊しつつある。VC業界はこの絶好の機会に歓喜し、自動車業界を攻撃し始めた。過去5年の間に自動車メーカーは2200億ドル以上もの資金をM&Aに費やしている。

洗練された生産技術を必要とする、燃焼機関などのプロダクトによって構築された参入障壁は今後消え去ることになる。電子部品が業界の主流となりつつあるのだ。例えば、今ではE-ドライブトレインの製造はMagnaなどのODM製造業者にアウトソースされており、今後はこの分野のFoxconnとも言えるような企業が生まれることになるだろう。

より重要なことには、Teslaは機械学習という分野において有利な立場にいるだけでなく、彼らのクルマには従来の自動車システム(内部燃焼エンジンなど)が搭載されていないことから、より大規模で成長著しいマーケットに競合他社よりも素早く参入することが可能なのだ。従来のモデルから転換してインターネットにつながれたコンピューターを搭載するクルマをつくるという動きは、いずれ人々が自動運転車を所有し、共有し、そして自動運転車がオンデマンドで配車されるという世界を生み出すだろう。

新しいクルマや商用車、そして他のタイプの交通手段を開発することを目的としたスタートアップが次々に誕生しつつある。以下のような企業だ: NextEV、 Atieva、 ThunderPower、 GogoroNavya、 Borgward、 Local MotorsZMP Faraday Future、 Starship、 Varden Labs Easy Mile Auro Robotics、 Gaius Automotive、 ElioLeEconuTonomy、 Dyson、 Mission Motors、 Boosted、 Lit MotorsRenovo Motors、 Inboard Technology、 Future Motion、 GLM、 Dubuc Motors、 Dagmy Motors、 Newton VehiclesALTe Technologies、 Lumen Motors、 Barham Motors、 Highlands PowerMyers Motors、 Tratus、 Virtus Motors、 AC Motors、 Scalar Automotive、 Fenix Vehicles、 Marfil、 Esco Motors、 Lithos Motors。今後数年間のうちに何百ものスタートアップが新しく生まれることだろう。

近い将来、レッドブルのロゴが塗装されたクルマが道を走っていたとしても驚かないように。

どんなにイノベーティブな交通手段のコンセプトでも、最終的には人を乗せる「乗り物」が必要となる。未来の乗り物は今日のものと比べて異なる要素を持ち合わせていたり、異なる材料から製造されていたり、電源の供給の仕方や制御の方法も違うかもしれない。しかし、誰かがその乗り物を開発し、製造し、販売し、品質の維持をしなければならない。現存する自動車メーカーはまだその部分においては競争能力を持っており、要素が変化すればそれに徐々に適応していく能力も持っている。現在のクルマのように複雑で、耐久性があり、安全性が高いプロダクトを製造しているにもかかわらず、そこから利益を得る知恵やプロセスを彼らは持ち合わせているのだ。しかも、彼らにはビジネスの規模を拡大させる能力もある。それに加え、彼らのブランド力や評判、そしてカスタマーロイヤリティが今後しばらく色焦ることはないだろう。

現状のマーケットで力を握る自動車メーカーは、今後も一定の間は優位に立つことができるだろう。資金が豊富で身軽な新参企業でもそれは同様だ。また、ニッチな市場にフォーカスするブランドや企業が現れる可能性は高い。将来のクルマを開発していくうえで、まだ解答されていない問題が残っている。新しいクルマはどのように利用されるのか。都市部と地方の移動手段はどう異なるのか。電気自動車や自動運転車はいつ業界の主導権を握り、そして受け入れられるのか。規制機関は新しいクルマの開発を加速するのか、または減速させるのだろうか。

自動車を選ぶ消費者にとって、ブランド力はいまだに重要な要素の1つである。そのため、ポルシェなどの高級車ブランドはそこから大きな恩恵を受けることができ、マスマーケット向けのブランドに比べれば業界の変化によって受ける影響の度合いは小さいだろう。FenderとVW Beetle、Paul smithとMini、GucciとFiat 500のように、今後も新しいファッションブランドや既存のファッションブランドとクルマとのコラボレーションが生れるだろう。近い将来、レッドブルのロゴが塗装されたクルマが道を走っていたとしても驚かないように。

また、たとえ自動運転車がより賢くて安価になったとしても、ブランドがもつ力が衰えることはない。航空業界で言えばeasyJet、Virgin、RyanairなどのLCCも、みずからのポジションを確立した立派なブランドだ。航空券を選ぶとき、消費者が選ぶのはサービスのプロバイダー(航空会社)であって、メーカーではない(航空機)。この航空業界の状況は自動車業界にも当てはまるかもしれない。

Cité de l’Automobileに展示されているクルマのブランド名が書かれたリストを覚えているだろうか?スタートアップたちはこの世に誕生しては消え、博物館にその遺産を残していったのだ。それと同じように、この記事で紹介した現代の自動車メーカーの中のいくつかが今後数年間のうちに消えていくのは明らかだ。しかし、その中に私たちの毎日を支える自動車という分野で独占的な地位を占める企業がいるのは確かだ。

今では6.4兆ドル規模(McKinsey調べ)とも言われるこの業界では、非常に多くのブランドやイノベーションが新しく誕生している。彼ら全員がクルマを製造しているわけではなく、死亡事故を失くして安全な交通を実現するための、まったく新しい交通手段のアイデアを持つ者もいる。

いつか将来、Schlumpf兄弟のCité de l’Automobileのような博物館に私たちが良く知る現代のクルマが並ぶ日が来るだろう。コレクターがこれから新しく誕生するクルマ(究極のモバイルデバイス)を集めてつくった博物館を見られる日が来るのを楽しみにしている。私たちの子どもや孫はその博物館に興味津々になることだろ(Smurfと関係しているからということではない)。歴史は常に繰り返すのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

「生物的なコンピュータービジョン・システム」Chronocamが1500万ドルを調達

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私たちは視界に入ってくるものすべてに注目するわけではない:ほとんどの場合、継続して変化しているものに私たちの目は注目するのだ。

パリを拠点とするChronocamはこのコンセプトをコンピューター・ビジョンの分野に適用し、自動運転者向けに最適化された新しいカメラ技術を開発している。

本日、ChronocamはシリーズBで1500万ドルを調達したことを発表した。リード投資家はIntel Capitalで、その他にもRobert Bosch Venture Capital、iBionex、GmbH、360 Capital、CEAi、Renault Groupも本ラウンドに参加している。前回行われたシードラウンドでは85万ドルを調達している。

インテルは長い間コンピュータ・ビジョン分野に力を入れてきた。先月、インテルは低消費電力のVPUの開発などで有名なMovidiusを買収したことを発表している。また、インテルのRealSenseチームは自動運転車、ドローン、VRシステム向けのセンサーの開発で大きな成果をあげている。

コンピューター・ビジョンの分野で今増えつつあるのが、画像処理をクラウドで行うのではなく、デバイス上で完結させるというというアプローチだ。これによってデータ処理のスピードをできる限り速くしようという狙いがある。Chronocamはこのデバイス上で完結する画像処理に強い。同社のシステムが必要とするデータの量は標準的なカメラ・システムに比べて約20倍も少ないからだ。

同社のカメラに取り込まれた画像はピクセル単位で分析される。デバイスに取り込まれた情報のうち、その大部分は重要な情報ではなく、そこに変化が加わることで初めてその情報の重要度が増すのだ。自動運転車を例にすると、カメラに写り込む空の広さや明るさ、色などの情報が重要なわけではなく、そこに嵐が突然現れたり、ひょうが降ってきたという情報こそが重要なのだ。

「コンピューター・ビジョン分野で一般的に採用されているアプローチは、新世代のビジョン・システムに適したものではありません」と共同創業者兼CEOのLuca Verreは語る。「例えば、自動運転車がより広範な状況下でも走行するためには、より速度のはやいセンシング・システムが必要です。IoTを例にすれば、消費電力量の限界、要求される帯域幅、センサー・ネットワーク内での統合といった様々な理由によって、現存するビジョン・テクノロジーは非実用的で、非効率的なものになりつつあると言えます」。

Chronocamは同社のビジョン・テクノロジーによって実用可能なシステムを完成させ、来年のリリースを目指している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

UberのOtto自動運転トラックの最初の積み荷はビール5万本

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近い将来、人間のドライバーに混じって自動運転車が路上を走るようになることを疑っている向きは上の写真をよくご覧いただきたい。

Uberの子会社Ottoは自動運転トラックによる最初の配送を行った。このセミトレーラーは高速道路を長時間走行したが、写真のドライバーは実際に運転席を離れている。最初の配送ではコロラド州フォート・コリンズからコロラド・スプリングスまでバドワイザー5万本が無事に運ばれた。

初の配送では熟練したプロのドライバーが市街地を運転し、交通信号、複雑な交差点、犬を散歩させる歩行者といった困難な障害を避けた。その後トラックがインターステート25号に乗ると、道路状況ははるかに簡単にになり、この高速道路部分120マイル(約190キロ)はOttoのトラック自身が運転した。その間、人間のドライバーは運転席を離れることがあった。このトラックはLevel 4自動運転基準を完全に満たしているので、高速道路では自律運転が可能だった。トラックは前車との間隔を十分に取って走行し、システムがやむを得ないと判断したときを除いて、ほとんどレーンチェンジをしなかった。

Ottoのテクノロジーには3万ドル相当の後付けハードウェアが含まれる。このハードウェアは自動運転対応の各種大型トラックに取り付け可能だという。サンフランシスコ地域には6台のテスト車両が配置され、ソフトウェアをさらに改良するための実験走向が繰り返されている。運送業界は深刻な問題に直面している。最新の推計によれば、適切な資格のあるトラック・ドライバーの数は実際の需要と比較して5万人近く不足しており、しかもこのギャップは拡大しつつあるという。Uberの試みはこの問題の解決を目指すものだ。

UberがOttoを買収したのはこの8月のことで、「Ottoは(Uberとは別の)独自ブランドとして運営される」と発表された。一般の乗用車に比べてトラックの自動運転化はずっと早いだろう。近くわれわれは自動運転トラックを路上で頻繁に見ることになるはずだ。

Wiredから

〔日本版〕 Wiredの記事には独自取材のビデオがエンベットされている。Ottoの自動運転トラックはアメリカで標準的な18輪セミトレーラーで、運転者は高速道路部分では実際に運転席を離れてキャビン後部のスペースで休憩している。フォート・コリンズはコロラド州デンバーの北100km、コロラド・スプリングスはデンバーを挟んで南側。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Teslaが自宅から勤務先まで自動運転―ドライブの一部始終をビデオで見られる

Teslaは水曜日の夜、本日以降製造される全てのTesla車は、自動運転に必要なハードウェアを最初から搭載すると発表した。ただし自動運転に必要なソフトの発表は先になる。また自動運転でアメリカを横断する野心的なデモも2017年に実施が計画されている。

もちろんTeslaはこれに先立って社内でのテストを進めており、上のビデオではTesla車がユーザーの自宅を出発して都市部、高速道路を経由して勤務先までナビゲーションも含む完全自動運転でドライブする様子が映されている。

このTesla車は自分でガレージを出て、市内を抜け、高速を乗り降りし、Tesla本社に到着し、所定の場所に駐車する。人間のドライバーが運転席に座っているがこれは安全規則を遵守するためだという(カリフォルニア州の法律では市街地の道路では人間が運転席にいることが要求される)。この間、道を横断する歩行者の手前で一時停止するなどしている。Tesla車は最後まで人力を借りず、「運転者」を無事に目的地で降ろした後、自動で縦列駐車している。Teslaのファウンダー、CEOのイーロン・マスクは「この車は障害者専用スペースに駐車するのを避けている。ここに駐車するには許可証が必要だが、Tesla車は自分が許可証を持っていないことを認識しているからだ」とツイートした。

初期段階の実験とはいえ、大いに注目される。Teslaの自動運転システムは市街地という困難な道路事情に対応してみせた。高速道路の自動運転は比較的容易だ。道路は直線区間が多く、信号や標識に従って不規則に停止する必要もほとんどない。ブラインドコーナーも歩行者も存在しない。ところが市街地ではそうした不規則で困難な状況が満載だ。 自動運転ソフトウェアにとっては非常にハードな挑戦となる。

このTeslaが出荷されればオーナーは自動車をスマートフォンのアプリでアイコンをタップして車を「呼ぶ」ことができるようになるとマスクは語った。このTeslaソフトウェアはたとえオーナーがアメリカ大陸の反対側にいても自動運転でTesla車を呼び寄せることができるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自動運転シャトルバスの仏Navyaが3400万ドルを調達、バリュエーションは2億ドル超との噂

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自動運転車といえば、自家用車の発展に関する話が中心となるが、実はシャトルバスのようなカテゴリーでも大きな進化が起きている。

最新のニュースによれば、ドライバーレスのシャトルバスを製造するフランスのスタートアップ・Navyaが、人員・テクノロジー・営業力を増強するために3400万ドル(3000万ユーロ)を調達した。公共交通運営企業のKeolisおよび自動車パーツを製造するValeoグループという2社の戦略的投資家のほか、カタールの投資会社Group8も今回のラウンドに参加した。

Navyaはバリュエーションを公開していないが、Funderbeamのレポートによれば、本ラウンド後の額は2億2200万ドルに達するという。これまでにNavyaは、仏投資会社のGravitationやCapDecisif、Robolution Capital(ロボット関連企業専門の投資ファンド)から450万ドル(410万ユーロ)を調達していた。

Navyaは10年かけてフラッグシップ機・Armaの開発を行い、2015年10月にようやく同製品はローンチされた。Armaは完全電動・無人で、最大15人の乗客を乗せて最高時速45km(時速28マイル)で走行することができる。既に政府の交通プロジェクトのもとでArmaはリヨン市内の路上を走行しており、その他にも名前の明かされていない戦略的契約が複数結ばれている。さらにNavyaは、Group8とのパートナーシップを通じて、中東向けにもArmaを製造していく予定だ。

地方行政機関や、A地点からB地点に移動するのに交通手段が必要になるほど大きな敷地を有する企業のニーズを満たし、Navyaは今年中に30台の自動運転車を顧客のもとへ届けようとしている。

これが実現すれば、Navyaは自動運転シャトルバス市場で躍進を遂げるであろう一方、他のプレイヤーも同じゴールにむけて動きを加速させている。

今年の夏、Local Motors製のミニバスOlliにWatsonが採用され、IBMは自動運転車の世界にはじめてその足を踏み入れた。メルセデス・ベンツ製の自動運転バスも、12マイルを走りきってマイルストーンを達成した。ロシアの検索サービス大手で、最近はモバイルや機械学習分野へのリポジショニングを図っているYandexでさえ、シャトルバスの開発を行っている。

どうやら競争の激化をひとつの理由としてNavyaは資金調達を行ったようだ。しかも普通の投資ではなく、同社の成長を支えてくれるような戦略的パートナーからの投資だ。

「徐々に競争が激化している市場で成長を持続させるため、戦略的提携という道を選びました。今回の提携を通じて大手交通会社のリソースを利用することで、コストを抑えて競争力を保つことができると同時に、私たちの自動運転ソリューションであるNavya Armaを、効率的に世界各地へ流通させることができます」とNavya社長のChristophe Sapetは声明の中で語った。

「販売台数が一定のラインを越えれば、インテリジェントな自動運転車を整備したいと考えている街や企業が支払うコストが下がり、Navyaの成長スピードが上がります」

今回のラウンドに参加した投資家の中には、自動運転の分野で実績を持つ企業も含まれている。

Keolisは地方自治体と契約して交通システムの建設を行っているが、今後は同じ顧客からもっと持続可能で効率的な移動手段を求める声が挙がるだろう。そしてValeoは製造面だけでなく、実用面でもKeolisをサポートすることができる。というのも同社は、最近カリフォルニアでの自動運転車テストの許可を得たところなのだ。

こちらのビデオで実際にArmaが動く様子を見ることができる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

自動運転車、イギリスでも公道テストを開始

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オクスフォード大学からのスピンオフにより生まれた自動運転車のスタートアップであるOxboticaが、自動運転技術を搭載したルノーにてイギリスでの公道実験を開始した。イギリス公道上を自動運転車が走るのは初めてのことだ。場所はイングランドのミルトン・キーンズで、走行速度は時速5マイルだとのこと。まだ試験段階ではあるものの、自動運転車は広がりつつある。世界中の自動車が、歩行者をみかけると勝手にハンドルを切ったりブレーキを踏むようになりつつあるわけだ。

今回行われたテストは、英国政府の肝いりで行われているものだ。ロイターが報じるところによると、2020年の実用化を目指しているのだとのこと。技術的に難しいテストを次々に行うよりも、まずは一般社会の信頼を得ようとして、安全重視でのテスト開始になっている模様だ。実験はまったくの初期段階にあるとも言えそうだが、しかし地元政治家や議会などとも連携を密に、走行地域の詳細な地図作成なども含め十分な安全対策を講じているとのこと。

自動運転車の開発競争は世界中で加熱しつつある。アメリカでは、たとえばUberもピッツバーグにて大規模なテストを行なっているし、カリフォルニア州では、ハンドルなど人間が運転するための仕掛けを持たない車を走行させる際の法整備などにも着手している。

Oxboticaの自動運転車に搭載されているソフトウェアは、オクスフォード大学の開発したSeleniumというものだ。可視スペクトルカメラとLIDARを用いて周囲の状況を把握するようになっている。実験は、ミルトン・キーンズおよびコヴェントリーにて40台規模の実験を行いたいとするLUTZ Pathfinderプロジェクトの一環として行われているものだ。

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(翻訳:Maeda, H

Googleの自動運転車、走行距離200万マイルに到達

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Googleの自動運転車が、新たなマイルストーンに到達した。200万マイルの走行を達成したのだ。公道でのテスト走行距離は、平均的個人による年間運転距離に換算すると300年分にもなるのだそうだ。

Googleの自動運転向けソフトウェアの開発をリードするDmitri DolgovがMediumに投稿した記事によれば、「運転技術のうち90%は学習が比較的容易なものなのです」とのこと。フリーウェイを走行したり、空いている都市部を運転したり、交差点の通行などが、この「比較的容易な90%」に含まれるのだとのこと。しかし混雑して、偶発的な事態が数多く発生するような場所での通行には、やはりさまざまな困難があるそうだ。

Googleによるここしばらくのテスト走行も、この「困難な10%」に対処するために行われてきたものだ。Dolgovの言うところでは、自動運転技術の進化については、依然として困難は残っているものの、「満足できるレベル」にあるとのこと。「進化」は歩行者や他の自動車が通行中に示す「意志」を解釈して、それに適切に対応するといった「ソーシャル」の面にも及んでいるのだとのこと。

「困難な10%」のうち、どれだけを克服したのかという数値は発表されていないようだ。しかし現在開発中の第4世代の自動運転車により、日常的に自動運転車を利用する世界が現実味を帯びてくるだろうとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

決断が難しい道路状況で運転者の倫理観をテストするゲームMoral Machine、果たして自動運転車は?

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高齢者をたくさん乗せた自動運転車は、横断歩道上の子犬たちを避(よ)けるために、障害物に衝突すべきか?(上図左)。一人の医師を救えるなら、二人の犯罪者を轢(ひ)いても構わないか? どちらの命が重要か?7歳の子どもたちか、高齢者たちか?

この、MITの研究者たちが作った“Moral Machine”というゲームは、有名な“トロッコ問題”の決断を迫り、あなたの倫理観をテストする。今エンジニアたちが、このような状況における決定を、自動運転車に実装しようとしているなら、問題はさらに深刻だ。その選択の責任を、誰が追うべきか? 運転に関わっていない乗客か? AIを作った企業か? それとも誰も責任を追わないのか?

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Moral Machineがつきつける選択は、そもそもAIは、より多くの人名を救えるなら介入すべきか、それとも、誰かの死がAIの責任にならないために、積極的には何もすべきでないか?という問だ。

しかしこのシナリオの状況は、もっと難しい。乗客は本質的に危険な、高速の金属箱に、それと知りつつ乗っているのだから、歩行者の方を救うべきか? 無防備な歩行者に突っ込むよりは、エアバッグなどの安全装置に期待して障害物に衝突すべきか?

こんな単純で分かりやすい状況でも、人間にとって決断が難しいなら、混乱した路上における自動運転車にとっては、なおさらだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

NvidiaのSoC新製品Xavierは自動運転車のAIを支えるスーパーコンピュータだ

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自動運転車技術のリーダーを目指して頑張るすNvidiaが、今日(米国時間9/28)もまた新しいSoCをローンチ、それはのGPU Technology Conference Europeで発表されたXavierと呼ばれるチップだ。そのXavier SoCは、毎秒20兆回の演算を行い、電力は20ワットしか消費しない。

Xavierは自動運転車専用のチップで、とくにそのAIの部分を担当する。NvidiaのCEO Jen-Hsun Huangはカンファレンスの来場者に向かってこれを、“これまでで最高のSoC”と呼び、それはNvidiaのようにきわめて長年、シリコンをいじくるビジネスに没頭してきた企業だからできることだ、と言った。

車載用チップとしてXavierは、ISO 26262の安全性基準を満たし、実際に路上を走行する車の中で使われる電子製品に求められる、国際的規格に準拠している。このSoCの製造プロセスは16nm、Nvidiaの現行の車載コンピューターDRIVE PX 2を、その構成も含めてリプレースできる。ちなみにPX 2は二つのモバイルSoCと二つの単体GPU(ディスクリートGPU)から成り、それでも消費電力は少ない。

Xavierの主な市場ターゲットは、自動車メーカー、部品等供給業者、研究機関、そして独自の自動運転車の開発をねらっているスタートアップたちだ。ただし、実際の実車搭載は至近ではない。最初のサンプルの発売が、来年の第四四半期だそうだ。

自動運転車とAIとNvidia…NvidiaはTomTomとパートナーして、自社のAI技術とTomTomの地図データを結びつけ、ローカライズされた地図データを路上の車にリアルタイムで提供することを計画している。またNvidiaは、自社製のAIベースの自動運転車を研究製品としてすでにデモしており、それは、人間運転者の運転行為を観察して学習した、と称されている。

というわけで、今のNvidiaが自動運転技術に完全にはまっていることは確かであり、グラフィクスハードウェアの専業メーカーという企業イメージも、やがて薄れるのかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))