次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」開発のAPBが追加調達、福井県での第一工場設立目指す

次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」開発のAPBが追加調達、福井県での第一工場設立目指す

次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」(All Polymer Battery)の開発を行うAPBは12月21日、第三者割当増資により、追加の資金調達を実施したと発表した。引受先は、三洋化成工業、新東工業および三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合。前回(2020年6月30日)および前々回(2020年3月4日)に発表した第三者割当増資と合わせ、累計調達金額は100億円となった。

調達した資金は、現在福井県越前市にて立ち上げを行っている全樹脂電池の第一工場(APB福井センター武生工場)の設立・運営にあてる。全樹脂電池の量産技術の確立、製造販売に向けて事業をより一層加速していくとしている。

APBは、全樹脂電池の製造および販売を行うスタートアップ企業。全樹脂電池は、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成。このような独自の製造プロセスにより、従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現する。

部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特徴としている。これらを活かし、APBでは全樹脂電池を定置用蓄電池や各種モビリティ用途など、様々な用途に展開していくとしている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:APB資金調達(用語)全樹脂電池バッテリー(用語)リチウムイオン電池日本(国・地域)

中南米のフィンテック投資ブームに乗りブラジルのオンライン金融会社Creditasが264億円調達

中南米全域で金融サービスのスタートアップが巨額の資金を集め続ける中、ブラジルでオンライン融資事業を展開するCreditas(クレディタス)は、新たに2億5500万ドル(約264億1000万円)の資金調達を行った。

同社の与信ポートフォリオは10億レアル(約203億円)を超え、これまで5回のラウンドで5億7000万ドル(約590億5000万円)の外部資金調達を行っているため、新たなラウンドでは17億5000万ドル(約1812億8000万円)の企業価値になる。

Creditasは、中南米全域における金融サービス系スタートアップ投資ブームの恩恵を受けた最新の企業だ。CB Insightsのレポートによると、2020年になってから、ラテンアメリカにおけるフィンテック系スタートアップへのベンチャー投資は、2014年の5000万ドル(約51億8000万円)から2020年には139件で21億ドル(約2175億3000万円)を超えるまでに成長しているという。

今回のラウンドの投資家にはLGT Lightstone、Tarsadia Capital、Wellington Management、e.venturesAdvent Internationalの関連会社であるSunley House Capitalなどの新規投資家が含まれている。これまでに出資していたSoftBank Vision Fund 1、SoftBank Latin America DFund、VEF、Kaszek、Amadeus Capital Partnersもまた、同社にさらなる資金を投入するために戻ってきた。

「Creditasは、ブラジルとメキシコの巨大な未開拓の有担保融資市場に参入するための初期段階にあるところです」と、SoftBank Latin America DFundのマネージング・パートナーであるPaulo Passoni(パウロ・パッソーニ)氏は声明で述べている。

同社の成長は、ラテンアメリカ全域における新しい金融商品のニーズと、ラテンアメリカの金融サービスに取り組むスタートアップへの投資で大きな勝利を収めてきたKaszek Venturesのような投資家の洞察力の両方を証明するものだ。

「シリーズAでの投資以来、我々の道のりは本当に素晴らしいものでした。チームはビジョンを実行し、Creditasは顧客の生涯にわたる主要な金融ニーズに応えるアセットライトなエコシステムへと進化しました」と、Kaszek Venturesのマネージング・パートナーであるNicolas Szekasy(ニコラス・セカシ)氏は声明の中で述べている。

レッドポイントのe.venturesファンドも、ここ数年ラテンアメリカへの投資に注力し、成功を収めてきた。

「Creditasは、ブラジル人がリーズナブルなレートで金融ニーズをコントロールできるようにすることで、顧客や投資家に大きな価値をもたらす、愛される消費者向け商品を生み出しています。レッドポイントであるe.venturesを通じてシード段階から関与してきた私たちは、ブラジルのフィンテック業界に変革をもたらすCreditasを、我々のグローバル成長ファンドでサポートできることに興奮を感じています」と、e.venturesの共同設立者でありマネージングパートナーであるMathias Schilling(マティアス・シリング)氏は述べている。

Creditasはこの資金を利用して、住宅ローンや自動車ローンのほか、顧客の給料を担保にするベイデイローンや小売オプションとしての後払いローンなど、サービスの拡大を計画している。

同社は他の市場への進出も視野に入れており、その足がかりとしてメキシコ市場に目を向けている。

2012年にサンパウロのベリーニ通りにある5平方メートルのオフィスで創業したCreditasは、現在では数百人の従業員を擁し、担保付き融資のマーケットプレイスと独立した住宅・自動車融資事業を基盤とした強固な事業を展開している。

また、同社は初めて四半期決算を発表し、前年同期の7,490万ブラジル・レアル(約15億2000万円)から4050万レアル(約8億2000万円)に損失が縮小していることを示した。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Creditasラテンアメリカ資金調達ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:Getty Images under a license

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(翻訳:TechCrunch Japan)

電気自動車を活用した電力需給調整とカーシェアを展開する「REXEV」が約7.4億円調達

電気自動車を活用した電力需給調整とカーシェアを展開する「REXEV」が約7.4億円調達

電気自動車(EV)を活用した電力需給調整およびカーシェアリング事業を行う「REXEV」(レクシヴ)は12月21日、第三者割当増資による総額約7.4億円の資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターのジャフコ グループ、三井住友ファイナンス&リース、エースタート、大阪ガス、京セラ、東芝など。

調達した資金は、さらなる技術開発、MaaSとの連携、地域レジリエンス向上のためのEV活用の検討、サービス開発に利用する。また引受先企業とは、技術面・営業面でも協力していく。

REXEVは、EVが備えるモビリティと蓄電池の二面性に着目し、これらの価値総和を最大化することにより、環境と経済のどちらも持続可能となるソリューションの実現を目指しているという。またe-モビリティへの充電電力を再生可能エネルギーの普及に合わせ転換していくことで、経済的かつ社会全体での環境対策に資する、「Well-to-Wheel」(WtW。油田からタイヤまで。資源の採掘から車が走るところまでの意)の考え方を取り入れた事業展開を行っていくとしている。

REXEVは、持続可能な社会の実現を目指し、エネルギー企業の新規事業開発、企業のコスト削減および環境対策を支援。またカーシェアリングサービス「eemo」(イーモ。Android版iOS版)を神奈川県小田原市を中心に2020年6月に開始。全車EVを採用しており、カーシェアリングで貸し出す一方、貸し出されていないEVは電力の調整力として電力需給調整などに活用している。

小田原市および湘南電力と協定を締結し事業を行っており、再生可能エネルギー利用の最大化と、電力の安定化を目指して独自のエネルギー・マネジメント技術を開発。

また小田原市とは防災に関する協定を結び、災害時にはEVを電源として利用し、避難所などでの電力供給を無償で行う。現時点で小田原・箱根地域で34台が稼働しており、2022年度末までの実証期間中に100台まで規模を拡大する予定。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
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生産者と消費者を直接つなぐポケットマルシェが農林中央金庫から資金調達、生産者の登録促進で連携

生産者と消費者を直接つなぐポケットマルシェが農林中央金庫から資金調達、生産者の登録促進で連携

生産者と消費者をつなぐ国内最大級の産直アプリ「ポケットマルシェ」(Android版iOS版)を運営するポケットマルシェは12月21日、シリーズBエクステンションラウンドにおいて第三者割当増資を実施したと発表した。引受先は、農林中央金庫。

同調達は、2020年8月に行った8.5億円の資金調達に続くもの。シリーズBラウンドは、合計調達額9.9億円で終了し、今回の調達により累計調達額は15.5億円となった。また、あわせて農林中金と連携し、全国の生産者にネット直販の機会を提供していく。

ポケットマルシェは、生産者が消費者に食材をインターネット上で直販できるサービスを提供しており、2020年12月時点で約3800名の生産者と約25万名の消費者が登録している。今回「強い一次産業を実現する」という想いが一致したことにより、農林中央金庫から資金調達を実施するとともに、生産者の登録促進などで連携していく。

調達した資金は、「生産者の登録促進」「生産者の販売力強化」「プロダクトの改善」に使用する予定。生産者の登録促進においては、農林中金と連携し、全国の生産者にネット直販の機会を提供する。生産者の販売力強化では、ネット直販に関する教育コンテンツを充実させ、登録生産者の販売力強化に取り組む。またプロダクトの改善では、生産者および消費者の利便性を高めるべく、UI/UXを中心にプロダクトを改善する。

生産物の価値を発信し、コミュニケーションの中でファンを獲得して安定的な販売を実現するために、インターネットを利用した直販は有効なものの、「消費者にインターネットで直販をしている農家数の割合」は、2019年時点で0.56%と極めて少ない状況にある(「農林水産省 農業構造動態調査 / 確報 平成31年農業構造動態調査結果」)。2019年の農業就業人口の平均年齢である67.0歳(「農林水産省 農業労働力に関する統計」)、2017年の漁業就業人口の平均年齢である55.6歳(「農林水産省 漁業就業動向調査」より各階層の中位数を用いた推計値。65歳以上の場合は「70」を使用)に対して、ポケットマルシェ登録生産者の平均年齢は44歳(「登録生産者数2000名の「ポケットマルシェ」が生産者を対象としたアンケート結果を発表」)という。このことから同社は、特に高齢の生産者によるネット直販実施が進んでいないことが推測されるとした。

ポケットマルシェは、農林中金の持つネットワークを活用し、全国の生産者にネット直販の機会を提供することで、一次産業の成長を促進。高齢の生産者に対するネット直販のサポートも強化していく。またすでに、大分県や鹿児島県で、農林中金と連携して生産者による新規出品を実現しているという。

大分県漁業協同組合中津支店 ひがた美人生産者部会によるブランド牡蠣の出品

大分県漁業協同組合中津支店 ひがた美人生産者部会によるブランド牡蠣の出品。ひがた美人生産者部会に所属する生産者の平均年齢は60代前半で高齢化が進んでおり、大分県漁業協同組合中津支店の職員が出品や発送をサポートしている

ポケットマルシェは、全国の農家・漁師から、直接やりとりをしながら旬の食べ物を買うことができるプラットフォーム。提供は2016年9月。約3800名の農家・漁師が登録し、約9000品の食べ物の出品と、その裏側にあるストーリーを提供。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに消費者の食への関心が高まり、ユーザー数が約4.8倍、注文数はピーク時に約20倍となり、現在約25万名の消費者が登録、「生産者さんと繋がる食」を楽しんでいる。

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カテゴリー:フードテック
タグ:漁業資金調達(用語)食品(用語)農業(用語)ポケットマルシェ(企業)日本(国・地域)

建設業向けドローン用ソフトウェアを展開するCLUEが20億円をシリーズBで調達

建設業向けドローン用ソフトウェアを展開するCLUEが20億円シリーズB調達

建設業向けにドローンを活用したソフトウェアを展開するCLUEは12月21日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資および融資により20億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リード投資家のSTRIVE、日本郵政キャピタル、環境エネルギー投資、モバイル・インターネットキャピタル、デライト・ベンチャーズ、MAKOTOキャピタル、カシワバラ・コーポレーション、みずほキャピタル、キャナルベンチャーズ、DRONE FUND、中村崇則氏(ラクス 代表取締役 社長)、井上英輔氏(ラクス 取締役)。借入先は、あおぞら企業投資、みずほ銀行など。

調達した資金は、既存事業の開発費、SaaS事業において重要である人材の採用費・人件費、およびマーケティング費用に投資し、既存事業の顧客基盤をさらに拡大する。また、ドローンという新技術の社会実装をさらに加速すべく、新規事業開発への投資を行う。

2014年8月設立のCLUEは、「ドローンが当たり前に飛び交う社会に」をビジョンに掲げ、建設業向けにドローンを活用したソフトウェアを展開。業界特化型のSaaS事業として戸建て物件の屋根外装点検をワンタップで実現する「DroneRoofer」(ドローンルーファー)や、建設現場のDXを推進する「ドローン施工管理くん」を提供している。

現場の声に基づいた直感的で使いやすいプロダクト開発とカスタマーサクセスを強みとし、製品導入後は同社サービスを活用したドローンの業務定着を専門スタッフが手厚くサポートする体制を整えている。

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カテゴリー:ドローン
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力仕事をサポートする外骨格テクノロジーのGerman Bionicが2000万ドルを調達、サムスンが主導

外骨格テクノロジーは、人間に取って代わる機械を作るのではなく、身に着けた人間の能力を何倍にも高めるハードウェアを作る、ロボット工学の世界で最も興味深い開発の1つだ。産業および物理的な応用を目的とした外骨格ロボットを設計しているスタートアップ、German Bionic(ジャーマン・バイオニック)は今日、その将来性を明確にする資金調達ラウンドを発表した。同社のCray X ロボットは、重いものを持ち上げて作業する人間にパワー、精度、安全性を提供してサポートする「ネットワークに接続した世界初の産業用外骨格ロボット」だという。

ドイツのアウクスブルクに拠点を置く同社は、2000万ドル(約20億7000万円)の資金調達を達成した。この資金は、同社の事業を継続し、外骨格ロボットのハードウェア技術と、ハードウェアを最適化し、より優れた機能の「学習」を支援するクラウドベースのソフトウェアプラットフォームであるGerman Bionic IOの技術を構築し続けるために使われる。

Cray Xは現在、1度の持ち上げ動作で最大30kgまでサポートすることができるという。

ジャーマン・バイオニックのCEOであるArmin G. Schmidt(アルミン・G・シュミット)氏は声明の中で「当社は人間の動作とIIoT(産業IoT)を組み合わせた画期的なロボット技術により、すぐに利用できる持続可能な方法で、現場作業員を文字通り背後から増強します。このテクノロジーが生産性と作業効率を向上させることは、測定可能なデータによって実証されています。スマート・ヒューマン・マシン・システムの市場は巨大であり、当社は今、将来的に大きな市場シェアを獲得し、多くの人々の仕事と生活を大幅に改善するために最適な位置に立っています」と述べている。

シリーズAはハードウェア大手の戦略的投資部門であるSamsung Catalyst Fund(サムスン・カタリスト・ファンド)とMIG AGが共同でリードした。MIG AGは、初めてグローバルに展開した新型コロナウイルスワクチンを開発した画期的な企業BioNtech(バイオエヌテック)を当初支援した投資会社の1つであるドイツの投資会社だ。

Storm Ventures(ストーム・ベンチャーズ)、Benhamou Global Ventures(ベナムー・グローバル・ベンチャーズ)(Palm(パーム)の創業者兼CEOであり、それ以前は3com(スリーコム)のCEOを務めたEric Benhamou(エリック・ベナムー)氏が設立し率いている)の他、IT Farm(アイティーファーム)も参加している。過去にジャーマン・バイオニックが調達したのは、アイティーファーム、Atlantic Labs(アトランティック・ラブス)、個人投資家が参加したシードファンディングの350万ドルのみにとどまっていた。

自動化とクラウド技術が労働現場を席巻している最中という非常に興味深いタイミングで、ジャーマン・バイオニックが注目を集めている。次世代の産業労働について語るとき、一般には、自動化と生産の様々な段階で人間に取って代わるロボットに注目が向けられる。

しかし同時に、異なるアイデアに取り組んでいるロボット技術者もいる。人間そっくりでありながら、認知やすべての動作の面で人間より優れたロボットを作れるようになるまでは、まだかなりの時間がかかるだろう。そのため、実際の労働者に取って代わるロボットではなく、人間の信頼性が高く細やかな専門知識を維持しつつ人間を補強するハードウェアを作ろうというアイデアだ。

COVID-19の感染拡大により、産業界における自動化の議論はここ最近より緊急性を帯びたものとなっている。工場はアウトブレイクが多い場所であり、ウイルスの拡散を減らすために物理的な接触や近接を減らす傾向にあるからだ。

外骨格ロボットはCOVID-19のこの側面には対処していない。たとえ外骨格ロボットを使用した結果必要なマンパワーが減ったとしても、結局のところ人間がそれを身につけて作業する必要があることには変わりはない。しかし、一般的に自動化に注目が集まっていたことから外骨格ロボットを使用する機会への関心が高まっている。

パンデミックを度外視したとしても、あらゆる状況で人間に完全に取って代わる費用対効果の高いロボットが完成するのは、まだまだ遠い先の話だ。そのためワクチン接種が開始され、ウイルスへの理解が多少深まった今、外骨格ロボットのコンセプトには強力な市場が用意されている。ジャーマン・バイオニックによれば、2030年までに200億ドル(約2兆700億円)の価値を創出する可能性があるとアナリストは予測している。

そういった意味ではSamsung(サムスン)が投資家であるという事実は実に面白い。サムスン自体が消費者・産業用電子機器を提供する世界有数の大手製造業者だが、自社ブランドとして、またHarman(ハーマン)のような子会社を通じて、他社の製造業務に使用する機器も製造している。サムスンの興味が、独自の製造・物流業務でCray Xを使用することなのか、または他社のためにこれらを製造する上で戦略的パートナーになることなのか、どちらにあるのかは分からない。両方という可能性もあるだろう。

Samsung Electronics(サムスン電子)のコーポレートプレジデント兼最高戦略責任者であり、ハーマンの会長でもあるYoung Sohn(ヤン・ソン)氏は声明の中で「ジャーマン・バイオニックの世界をリードする外骨格テクノロジーの継続的な開発が支援できることを大変嬉しく思います。外骨格テクノロジーは、人間の健康、健全性、生産性の向上において大きな可能性を秘めています。マスマーケットに拡大できる可能性がある、変革的な技術になると考えています」と述べている。

ジャーマン・バイオニックはCray Xを、主に持ち上げる動きを強化し、着用者が怪我の原因となる誤った判断を下すことを予防するのを目的とした「自己学習型パワースーツ」であると説明している。工場労働者、倉庫労働者、あるいは地元のガレージで働く個人事業の整備士などに応用できる可能性がある。同社は顧客リストを公開していないが、広報担当者によると「大手物流企業、工業生産者、インフラのハブ」などが含まれているようだ。そのうちの1つとして、シュトゥットガルト空港が同社のサイトに掲載されている。

MIGのマネージングパートナーであるMichael Motschmann(ミヒャエル・モッチマン)氏は声明で、「これまで肉体労働における効率化と健康増進はしばしば相反するものでした。ジャーマン・バイオニックはこの問題を打破しただけでなく、肉体労働をデジタルトランスフォーメーションの一部として、エレガントにスマートファクトリーへと統合させることに成功しました。私たちはこの企業に計り知れない可能性を感じており、経験豊富な起業家やエンジニアからなる一流のチームと一緒に仕事ができることを特に嬉しく思っています」と述べている。

外骨格テクノロジーは、概念としてはすでに10年以上前から存在しており、MITが2007年に重い荷物を運ぶ兵士をサポートすることを目的とした初の外骨格ロボットを開発した例もある。しかしクラウドコンピューティング、ハードウェア自体のプロセッサの小型化、人工知能などの技術が進歩したことによって、外骨格ロボットがどこでどのように人間を強化できるのかというアイデアが広がってきた。産業界以外にも、膝を痛めた人(または膝の怪我を避けたい人)がうまくスキーで滑走できるようにしたり医療目的で利用したりと様々なアイデアもあるが、最近のパンデミックの影響でこういった利用例の一部に制限がかかり、いつ生産が開始できるかは未だ見通しが立っていない。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:資金調達 サムスン 外骨格

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(翻訳:Dragonfly)

Appboxoが110万ドルのシード資金を獲得、開発者に向けたミニアプリのエコシステム構築を目指す

ほぼ4年前にWeChatによって開拓されたミニアプリは、今や中国とインドでよく知られた存在となり、他の市場でも勢いを増している。ミニアプリ、すなわちホストアプリに統合するように設計された軽量アプリは、スマートフォンユーザーが1つのアプリから複数のサービスにアクセスできるようにし、データとストレージ容量を節約する。また、ホストアプリの収益に役立つより多くの方法を提供する。しかし、ミニアプリのエコシステムは現在、ほとんどが特定のアプリや企業と結びついている。シンガポールを拠点とするスタートアップAppboxoは、開発者が自分のアプリを「スーパーアプリ」に変えられるようにすることで、ミニアプリへのアクセスを容易にしたいと考えている。

Appboxoは本日、シード資金で110万ドル(約1億1400万円)を獲得したことを発表した。主導するのは、Founders FundのスカウトファンドのFF APAC Scout、500 Startupsの東南アジアに特化したファンドである500 Durians fund、Plug and Play Ventures、およびAntlerである。今回調達した資金は、製品開発や、Appboxoのエコシステムにミニアプリを追加するために使用される。

同スタートアップは現在、Booking.com、Klook、Zaloraなど約10のホストアプリに対応しており、プラットフォーム上には約80のミニアプリを保有している。ホストアプリがどのようにミニアプリを使ってきたかの例としては、ホテル、レストラン、アクティビティの予約機能を追加した旅行アプリや、保険購入とEコマースサービスを統合したモバイルウォレットなどが挙げられる。

Appboxoは2019年、CEOのKaniyet Rayev(カニェット・レイエフ)氏とCTOのNursultan Keneshbekov(ナスルタン・ケネシュベコフ)氏が、Antler主催のシンガポールインキュベータープログラムに参加して設立した。ラエフ氏がTechCrunchに語ったところによると、両氏は当初、様々な旅行関連サービスを1つのプラットフォームに統合したオールインワンの旅行アプリの開発を考えていたという。

「しかし実際に開発を開始してみると、サードパーティのサービスをプラグインする簡単な方法はないことがわかりました」とレイエフ氏は説明する。そして、開発者がプラグアンドプレイソリューションとしてミニアプリを作成し提供する方法を考え始めた。

ミニアプリ経済は現在サイロ化しており、WeChat、ByteDance、Meituan、Paytm、PhonePe、Grab、Go-jekのようなアプリや企業は、自分たちが使うためのミニアプリを開発するか、ユーザーのためのミニアプリ市場を運営している。しかし昨年、W3CのChinese Web Interest Groupは、ミニアプリを標準化する方法を検討し始めた。Alibaba(アリババ)、Baidu(百度)、Huawei(ファーウェイ)、Intel(インテル)、Xiaomi(シャオミ)、China Mobile(中国移動通信)らから成るこのグループは、プラットフォームを超えて動作するミニアプリを作成する方法に関する白書の最初のワーキングドラフトを2019年9月に発表した。

「この白書をまさに完璧なタイミングで読みました。ちょうどプラットフォームを立ち上げた頃だったのです」とレイエフ氏は続ける。

ミニアプリを追加すると、ユーザーがアプリを通じて様々なサービスにアクセスできる場合、アプリをより頻繁に開くため、エンゲージメントを高めることができる。また、アプリ開発者は、アフィリエイトパートナーシップ、コミッション、取引手数料を通じて収入を得る方法を増やすことができる。

しかし、ネイティブアプリ開発者の多くは、自分自身のミニアプリを開発するためのリソースを持っていない。そこでAppboxoは、SDKを使ってプロセスを簡素化し、プラットフォームのミニアプリを統合できるようにしている。多くのアプリ開発者にとってのもう1つの障壁は、ミニアプリとのビジネスおよび開発パートナーシップ契約を結ぶことであるが、AppBoxoはそのプロセスをガイドすることにも貢献する。

Appboxoはシンガポールを拠点としているため、現在のユーザーの多くは東南アジアにおり、インドもターゲットにする計画だ。ミニアプリは欧州や米国ではそれほど一般的ではなく、大半のスマートフォン所有者は依然として1つのコアサービスを提供するアプリを使用しているが、レイエフ氏は状況は変わりつつあると指摘する。たとえば、Uberは昨年、配車サービスとフードデリバリーサービスのUber Eatsを1つのアプリに統合することを表明し、Snapは数か月前にMinisを発表した。

AppBoxoはすでに欧州にパートナーを有しており、「スーパーアプリのコンセプトが西洋にも浸透しつつあります」とレイエフ氏は付け加えた。「世界の他の地域でも新しいパートナーを確保できたらと考えています」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

非動物性乳製品を開発する英国のBetter Dairyが2.2億円のシード資金を調達

Entrepreneur First(EF)から創業したアニマルフリー(非動物性)の乳製品を開発する英国のスタートアップであるBetter Dairy(ベターデーリー)は、160万ポンド(約2億2000万円)のシード資金を調達した。ロンドンを拠点とする同社は現在、生産プロセスに動物を使用せず従来の乳製品と「分子的に同一」な製品を開発する研究開発段階にある。

このシードラウンドはHappiness Capitalがリードした。この分野の他の投資家も多く参加した。その中には、さまざまな匿名のエンジェル投資家に加え、CPT Capital、Stray Dog Capital、Veg Capitalが含まれている。Better Dairyは2022年初頭までに最初の製品を商品化することを目指しており、研究開発の取り組みを加速するために資金を使用すると述べた。

Better Dairyは、インペリアルカレッジロンドンの卒業生であるJevan Nagarajah(ジャバン・ナガラジャ)CEOとChristopher Reynolds(クリストファー・レイノルズ)CTOが2019年に創業した。2人はEFの企業ビルダープログラムでペアを組んだ。同社はテクノロジーの進歩を利用して、持続可能とはいいがたい乳製品市場に挑んでいる。ナガラジャ氏はRocket Internet、SumUp、Rituaでの仕事や、初期の「ダークキッチン(配達専門の飲食店)」スタートアップのShare Diningの設立など、テクノロジー企業で豊富な経験がある。一方レイノルズ氏は、バイオインフォマティクスと合成生物学の博士号を有し、ポスドクとしての経験も豊富で、化学と生化学にまたがる自然科学の学位も持つ。

ナガラジャ氏は動物ベースの酪農が「持続可能とはいいがたい」と述べ、毎年17億トン以上のCO2を大気中に放出し、わずか1リットルの牛乳の生産に650リットルの水を必要とすると指摘する。「乳製品自体には母牛の搾乳プロセスで使う成長ホルモンや抗生物質などの不必要な汚染物質が含まれているため、人間の消費には最適ではありません」と付け加えた。

植物ベースの代替品が人気を集めているが、ナガラジャ氏はそれらが完全な解決策ではなく、風味、食感、栄養の点で欠点が多いと主張する。乳製品に代わる植物ベースの代替品は市場シェアを獲得できるかもしれないが、既存の7000億ドル(約73兆円)の乳製品業界とサプライチェーンを「根本的に」変えられるとは考えていない。そこでBetter Dairyの登場となる。

「代わりに、酵母の発酵と生物学により、従来の乳製品と分子的に同一の製品を製造しています」とナガラジャ氏は説明する。「私たちはビール醸造と非常によく似たプロセスに従っていますが、私たちの場合、最終的な結果はビールではなく大量の乳製品になります。この製造プロセスは一見未来的ですが、実際にはレンネットなどの食品製造用の酵素の製造や、インスリンなどの多数の医療製品の製造にすでに使用されています。私たちはそれに基づき開発を進めているにすぎません」。

Better Dairyはまだ研究開発プロセスの初期段階にあるが、ラボで最初の乳製品サンプルを作り出すことに成功した。最初の課題は、酵母を操作して最初の乳製品の概念実証を達成することだった。「これにより、私たちは商業的に実行可能な製品に到達するための明確な道を特定できたと信じています」とナガラジャ氏はいう。「私たちのマイルストーンのいくつかは製造能力のスケールアップなどの教科書的なものですが、克服する必要がある主要な課題は、エンド・ツー・エンドの生産プロセスの最適化周りです」。

それは、Better Dairyの共同創業者であるナガラジャ氏が説明するように、乳製品が比較的低コストの商品だからだ。既存の乳製品市場に真の革新を起こすには一定レベルの効率を達成する必要がある。そうしなければ、より良い乳製品の生産を成功させることに関してリスクを抱えながら、全体的としては非現実的な高い価格設定のために失敗することになる。

「私たちは現在、乳タンパク質に注力していますが、範囲を脂肪にまで拡張することも視野に入れています」とナガラジャ氏はいう。「主な乳タンパク質であるホエイとカゼインには多くの構造的および栄養的利点があり、何千もの食品の成分として使用されています。それらはチーズのような乳製品の食感を実現するにあたり重要になりますが、スープや調理済みの食事、焼き菓子やペストリー、チョコレートやスイーツ、パスタやパンにも多用されています。ビーフバーガーやチキンナゲットなどの製品分野にも参入して、タンパク質含有量や食感を高めます」。

「私たちの意図は当初、より良い乳製品という波を作ることでした。私たちの野心は、乳製品と非乳製品のカテゴリーにまたがる乳製品サプライチェーン全体の変革を目標に成長しました。人間が気づかないうちにビーガン(菜食主義者)になる世界を作るというのが私たちのビジョンです」。

カテゴリー:フードテック
タグ:Better Dairy資金調達

画像クレジット:Better Dairy

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(翻訳:Mizoguchi

クラウドソーシングによる宿題サポートプラットフォームを3.5億人に提供するBrainlyが83億円調達

新型コロナウイルスのパンデミックによりバーチャルラーニングが大幅に増えた。リモートに移行した(あるいは留まった)学校もあれば、地域社会がソーシャルディスタンスを保てるよう非常に強力なオンラインコンポーネントを組み込んだ学校もある。その結果、家での勉強を支援するツールが急増した。その1つが12月17日、この市場におけるチャンスをつかもうとグロースラウンドを発表した。

生徒や親が参加し、宿題のアドバイスやサポートが受けられる人気のネットワークを構築したポーランドのスタートアップであるBrainly(ブレインリー)がシリーズDで8000万ドル(約83億円)を調達した。資金は生徒だけでなく家庭にも提供するツールの開発継続と、インドネシアやブラジルなどいくつかの主要な新興市場での拡大に使う。このニュースは同社が劇的な成長を遂げる中で飛び込んできた。同社のユーザーベースは2019年の1億5000万人から今日では3億5000万人に増加した。

資金調達は以前から投資しているLearn Capitalがリードし、同じく過去からの投資家であるProsus VenturesRuna Capital、MantaRay、General Catalyst Partnersも参加した。同社はこれまで約1億5000万ドル(約160億円)を調達した。バリュエーションは開示していないが、CEOで共同創業者のMichał Borkowski(ミーハウ・ボルコウスキー)氏は「間違いなく」アップラウンドだったと強調した。参考情報だが、PitchBookは同社が前回2019年に3000万ドル(約31億円)を調達したシリーズCでのバリュエーションが1億8000万ドル(約190億円)だったと推定している。

このCラウンドはBrainlyが米国で成長するための資金調達だった。現在、米国市場では約3000万人のユーザーを抱える。米国はBrainlyがユーザーから収益を得る唯一の市場だ。他の国ではどこでもBrainlyは無料だ。米国には生徒の宿題を支援する市場で大きな勢いがあるCheggのような手ごわい競合他社がいる。Cheggのユーザー支出の約74%が米国1国に集中している。

Learn CapitalのパートナーであるVinit Sukhija(ビニート・スキジャ)氏は声明で、「Brainlyは世界最大の学習コミュニティーの1つになり、35カ国以上で大幅なオーガニックグロースを達成しました」と述べた。

画像:Brainly

新型コロナウイルスの大流行の前は、生徒、それも主に13〜19歳の生徒を対象としていたとボルコウスキー氏は述べた。生徒は宿題をサポートしてくれる人々とつながるためにこのサービスに目をつけた。たとえば数学の問題や1848年革命につながった一連の出来事を把握することなどだ。プラットフォームはオープンエンドで、宿題のQuora(クォーラ)といった感じだ。人々は興味のある質問を見つけて答えたり生徒に質問したりできる。

しかしこのプラットフォームはバーチャルラーニングへの移行に伴い、まったく新しい側面を帯びてきたとボルコウスキー氏は言う。

「新型コロナ以前、西欧諸国でオンライン教育は大きな投資分野ではありませんでした。今それは大きく変化し、生徒、保護者、教師に広く採用されました」と同氏は説明した。「しかし、オフラインからオンラインへの切り替えという大きな移行に伴い子供たちは格闘しています。先生はやるべきことがありすぎて、以前と同じように専念することができなくなりました」

そのため「homework(宿題)」が「all work(勉強すべて)」になり、結果として家庭学習にこれまで以上に多くの助けが必要となった。そして、多くの親がその差を埋めるべくより深く関わろうとしたが、「親を教師とすることは難しかった」とボルコウスキー氏は付け加えた。親たちがかつて学んだ方法は子供たちのそれとは違うのかもしれない。答えを覚えていなかったり、知らない可能性もある。

Brainlyが気づいたのは、パンデミック以降アプリを使う親が増えたことだ。子供と並んでアプリを使いながら一緒に問題に取り組んだり、子供をサポートする前に自分がまずサポートを得たりしている。13歳未満の子供を持つ親が多数利用している。同氏によると、現在、新規登録全体の15〜20%が親からのものだ。

これまでBrainlyが注力してきたのは、利用する生徒に対し、そして今では親に対し、どのように多くのツールを開発するかだ。これまではそうしたコミュニティーのオーガニックグロースが全てだった。

ただし、より多くの教育関係者に拡大する余地はあることは明らかだ。そうすれば、どのような種類の質問にどう回答すべきかについて、もっとうまいやり方が可能かもしれない。ボルコウスキー氏によると、同社は実際に教育者やカリキュラムを作成している人たちからアプローチを受けている。それにより、回答を、生徒が聞く可能性が最も高い質問と適切に結びつけられるかもしれない。だが今のところ同社は「生徒と親が行き詰まっていることに焦点を合わせ続けたいと考えています」

Brainlyは将来のプロダクトに関して、より多くの個別指導、ビデオ、AIを組み合わせる方法を検討している。AIの側面は非常に興味深いものであり、実際にはAIの利用が、広範なカリキュラムを個別のニーズに結び付けることを可能にする。

たとえば、ある種の2次方程式のテクニックについてヘルプを求めると、同じような練習問題がたくさん提示され、今学んだことを深く理解し、応用する助けとすることができる。より広い範囲を含む数学の試験で、そうした問題と一緒に出題されるような関連するトピックが示されることもある。さらに助けを求めたいなら、家庭教師と会う機会が提供されるかもしれない。

ボルコウスキー氏によると、Brainlyは今、個別指導を静かに試験運用しており、これまでに約15万回のセッションを行った。同氏によると、こうした大規模なユーザーベースを持つことで、サービスを大規模に実行しながら、テストモードをうまく維持することができる。

「生徒が何を勉強しているのか、それは各国のカリキュラムのどの部分なのか、そして生徒を支援するために私たちに何ができるのかを見極めます」とボルコウスキー氏は言う。「しかし、生徒1人1人にあわせ、それが適切に機能するためには膨大な作業と機械学習が必要」だとし、それが全面的に展開されていない理由の1つだと付け加えた。

Brainlyが新しいサービスを積極的にテストしている分野は、個別指導とパーソナライズだけではない。さまざまなテクニックを説明するビデオを追加するためにスペースを増やしている(これは数学のようなものには特に適していると思うが、例えばアートのテクニックにも同様に役立つ)。これはおそらく、同社が多くのビデオツールを導入するために行った2018年の買収が一部ベースになっている。Brainlyの拡大戦略がいかによく考えられているかを示している例だ。

すでに「週に数千件」が追加されているが、個別指導と同様「これは私たちにとってテスト段階です」とボルコウスキー氏は付け加えた。新しいプロダクトは第1四半期にもっと追加されるはずだと同氏は語った。

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(翻訳:Mizoguchi

新興市場向けデジタルバンクのUmbaが2億円超の調達、アフリカ全土に事業拡大へ

アフリカを最初の市場として目指している、新興市場向けのデジタルバンクUmbaは、Stripeの元発行責任者であるLachy Groom(ランシー・グルーム)氏、Ludlow Ventures、Frontline Ventures、Act Venture Capitalなどの新規投資家からシードラウンドで200万ドル(約2億660万円)の資金を調達した。

現在ケニアとナイジェリアで事業を展開している同社は、従来のアフリカの銀行に代わるデジタル金融サービスを提供している。Umbaのモバイルアプリでは、無料の当座預金口座、無料の端末間即時送金、貸付、預金、BillPay、キャッシュバックを顧客に提供する。これはアフリカ諸国の伝統的な銀行に見られる一般的な高コストのハードルの高さとは対照を成す。

現在はケニアとナイジェリアで利用可能であり、両国の人口を合わせると2億5000万人を超える。

Umbaと競合するのは、Kudao、Carbon、Eversend、そして「チップ入りカードまたは現金」支払い方式だ。

UmbaのCEOであるTiernan Kennedy(ティアナン・ケネディ)氏は次のように述べている。「当初から、私たちは複数の市場、通貨、支払いインフラに対応できるようにプラットフォームを構築しました。後からシステムをアップグレードすることは難しくなるため、この柔軟性は非常に重要な考慮すべき事項です。例えば、ナイジェリアでは銀行やデビットカードの普及率が高いため、Umbaはこれらの支払い方法に深く統合されていますが、ケニアと東アフリカではモバイルマネーが主流であるため、当社のプラットフォームもこれらのサービスと密接に統合されています」。

Ludlow VenturesのパートナーであるBrett deMarrais(ブレット・デ・マライアス)氏は次のように述べている。「Umbaは我々がアフリカ市場に投資した最初の企業であり、参加することに興奮しました。Umbaのチームは、顧客のために銀行業務のコストを削減し、アクセスを民主化する優れたサービスを提供しています。物理的な銀行支店のインフラから離れる動きはすでに進行中で、今年に入って加速しています。アフリカ市場が成熟しつつあり、非常に興味深い段階に入っていることは明らかです」。

このニュースの直前、今年10月にはStripeが2億ドル(約206.6億円)でナイジェリアの決済サービススタートアップであるPaystackを買収した。7月にはDPO Groupが2億8800万ドル(約297.5億円)で、8月にはSendwaveが5億ドル(516.6億円)で買収されるなど、アフリカのデジタル決済・送金サービス業界はベンチャーラウンドや買収で記録的な更新が続く盛況を呈している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Umba

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インドのフードデリバリーZomatoが682億円調達、業績は急回復

インドのフードデリバリースタートアップZomato(ゾマト)は2021年の上場に向け、昨年開始した投資ラウンドで6億6000万ドル(約682億円)を調達した。

シリーズJとなる本ラウンドにはTiger Global、Kor、Luxor、Fidelity (FMR)、D1 Capital、Baillie Gifford、Mirae、Steadviewが参加したとZomatoは述べた。ポストマネーでのバリュエーションは39億ドル(約4030億円)だ。同社は以前、シリーズJラウンドの一環でAnt Financial、Tiger Global、Baillie Gifford、Temasekからの2億1200万ドル(約220億円)の調達を明らかにしていた。

Zomatoの共同創業者でCEOのDeepinder Goyal(ディーピンダー・ゴヤル)氏は、創業12年になる同社が第2次取引の1億4000万ドル(約145億円)をクローズする過程にある、と述べた。「取引の一環として、当社はすでに3000万ドル(約31億円)相当の流動性資産を元従業員に提供しました」と同氏はツイートした。

Zomatoはもともと今年1月までに約6億ドル(約620億円)で本ラウンドをクローズするつもりだった。しかし現在も続くパンデミックを含め、いくつかの障害により資金調達が難しくなった。加えて、本ラウンドに1億5000万ドル(約155億円)の出資を約束していたAnt Financialが3分の1の額の拠出にとどまった、とZomatoの投資家であるInfo Edgeが今年始めに明らかにした。

今年初めにUberのフードデリバリーのインド事業を買収したグルガーオンに本社を置くZomatoは、Prosus Venturesが支援するSwiggy(スウィギー)とインドで競合している。サードプレイヤーとしてAmazon(アマゾン)もこの分野に参入した。ただし同社は現在、バンガロールの一部でのみフードデリバリーを提供している。

インドのフードデリバリーマーケットは2022年までに120億ドル(約1兆2000億円)規模に膨らむとBernsteinのアナリストは予想している。マーケットシェア約50%のZomatoが現在この分野のリーダーだとアナリストはレポートに書いた。

Zomatoは今年、財政状況の改善と新型コロナウイルスパンデミックを生き抜くために、何百人もの社員をレイオフした。パンデミックはインドのフードデリバリー産業に著しいダメージを与えた。ゴヤル氏は、フードデリバリーマーケットは「急速にCOVID-19の影から脱しつつあります。2020年12月の販売総額は当社の歴史の中で最高となりそうです。この前にピークだった2020年2月の販売総額を25%超上回っています」と付け加えた。「今後について、そして顧客やデリバリーパートナー、レストランパートナーへの影響について非常に興奮しています」

9月に、ゴヤル氏は従業員に対し、Zomatoが「2021年上半期のどこか」でのIPOに向けて準備を進め、「将来のM&Aへの備えと、競合他社からのちょっかいや価格戦争を撃退する」ための軍資金を調達していると伝えた。

フードデリバリーで儲けることはインドではかなり難しい。バンガロール拠点の調査会社RedSeerによると、配達される料理の1品あたりの価格が約33ドル(約3400円)である米国のような西欧マーケットと異なり、インドでは似たような料理の価格は4ドル(約410円)だ。

「問題は、毎日フードデリバリーを注文するだけの財政的余裕がある人はインドではかなり少ないということです」とIndia Quotient,のベンチャーキャピタリスト、 Anand Lunia(アナンド・ルニア)氏は今年初めのTechCrunchとのインタビューで述べた。

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(翻訳:Mizoguchi

医療従事者版LinkedInを運営するH1が約60億円調達

それはあまりにも単純なアイデアだと思われるかもしれない。ヘルスケア業界に特化したLinkedIn(リンクトイン)のようなサービスを作り上げ、どのような資格を持っている専門家がどこにいるか、すぐに探せるようにするだけでなく、その専門家が行っている研究や専門分野についても知ることができるようにするというのだ。

世界的な感染流行の真っ只中にあり、医療業界の誰もが、世界中に野火のように広がっている新型ウイルスに最も影響を受けている医療の特定の分野の専門家を見つけようとしている今、その単純なアイデアが必要されている。

今年はじめ、米国で新型コロナウイルスの感染蔓延した際に、H1は自らが置かれている状況を認識していた。このスタートアップが、新たな資金調達で5800万ドル(約60億円)を調達した。同社は1月にY Combinatorのプログラムを終了したばかりで、それから現在までの1年未満の間に7000万ドル(約72億円)以上の資金調達を完了している。

同社に対する投資額を倍増させたMenlo Venturesが、成長段階の投資会社IVPと共同で、H1への新たな資金調達を主導している。

彼らの投資の根拠は、H1の爆発的な成長に起因している。同社はわずか12カ月前にY Combinatorからスタートし、現在250人の従業員を擁するまでに成長した。H1は既に米国で事業を展開しているが、2021年にはヨーロッパとアジアへの進出を目指しており、トップ20の製薬会社のうち13社を顧客としている。直近の記録によれば、同社はすでに全世界で900万人以上の医療従事者のプロフィールを持っているという。

H1の資金調達の歴史に詳しいある人物によると、Menlo Venturesは同社の業績に非常に満足しており、数千万ドル(数十億円)の先行融資を申し出たという。

「LinkedInが2000年代初頭に専門的職業従事者を結びつけたのと同じ方法で、私たちはヘルスケアのエコシステムがつながるプラットフォームを作りました。H1のような医療業界と適切な医師を結びつけたグローバルなプラットフォームは、これまでありませんでした」と、H1の共同創業者でありCEOのAriel Katz(アリエル・カッツ)氏は言う。「当社にとって素晴らしいパートナーであるMenloを含む、優れた投資グループと行う今度のラウンドの資金調達は、当社が最大の医療従事者向けプラットフォームとなり、最終的にはより健康的な未来を創造する活動を続けるための助けとなるでしょう」。

Menlo Venturesは確かにそう考えている。

「H1と一緒に仕事を始めたときから、製薬会社や小規模なバイオテクノロジー企業を対象にした初期の 『取っ掛かり』ですでに製品と市場の適合性を示す初期の兆候が見えていました。顧客からのフィードバックは、製品の価値とH1チームのカスタマーサクセスに対するコミットメントの両方において最高のものでした」と、Menlo VenturesのパートナーであるGreg Yap(グレッグ・ヤップ)氏とJP Sanday(JP.サンデイ)氏はブログ記事で書いている。「私たちが紹介したデリジェンスの1つは、数百万ドルの顧客と投資家にまで成長しました。しかし、H1が要求の厳しい大規模な企業顧客をサポートするための成熟の初期段階にあることは明らかでした。現在、シリーズBでは、H1は実行力を高め、上位20社の製薬会社のうち13社を顧客として獲得し、利用継続率、売上継続率、販売効率においてトップティアのベンチャーメトリクスを達成しています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達、医療、新型コロナウイルス、

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フィンランド拠点のリモート物理ゲームサイトSurrogate.tvが約2.6億円調達

筆者がフィンランドのスタートアップSurrogate.tvの事業を知ったのは、2020年にマリオカート ライブ ホームサーキットのトーナメントをサイトで公開したときのことだった。任天堂の人気レーシングタイトルのIRL(現実世界)版は、同社のテクノロジーを示すのにぴったりだった。しかしリモート操作に遅れがあり、コントロールの問題が生じたことも確かだった。

このプラットフォームが提供している体験はもちろんマリオカートだけではなく、ピンボールからロボットバトル、クレーンゲームまでなかなか幅広い。体験の多様性がおそらくこのサービスの最大の強みだろう。

米国時間12月18日、Surrogate.tvは250万ドル(約2億6000万円)のシードラウンドを完了したと発表した。このラウンドを主導したのはSupernode Globalで、PROfounders、Brighteye Ventures、Business Finlandが参加した。同社は2019年にプレシードラウンドで200万ドル(約2億700万円)を調達したことを発表しており、今回はこれに続く調達となる。

同社の成果は、超低遅延のストリーミングとロボティクスの組み合わせにより、ストリーミングゲームサービスとしてユーザーがリモートで現実の物体を制御できるようにしたことだ。最近の例をもう1つ挙げると、Ubisoftとの連携がある。ユーザーはミニチュアのバイキング船を操作して屈強なHafþór Björnsson(ハフソー・ビョルンソン、上の動画に登場する俳優)と戦っている。そう、なぜか2020年に。

画像クレジット:Surrogate.tv

CEOのShane Allen(シェーン・アレン)氏はシード資金調達について「以前はこのような遠隔操作テクノロジーは極めて特殊な、主にエンタープライズのアプリケーションでしか利用できませんでした。この2回目の資金調達により、我々のテクノロジーを活用してこれまでは不可能だった体験を創出するエキサイティングな一連の取り組みを今後リリースできます」と述べた。

Surrogate.tvが自社のエンターテインメントサイトにとどまらず、さらに拡大してその遠隔操作テクノロジーを他社にも提供しようとしていることは間違いなさそうだ。人が集まるイベントが大幅に制限された2020年に、多くの企業がこうしたことを調査してきたはずだ。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:資金調達、Surrogate.tv

画像クレジット:Surrogate.tv

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(翻訳:Kaori Koyama)

時給労働者に柔軟性と福利厚生をもたらすWorkWhileが3.6億円を調達

最近、ギグエコノミーについての議論が盛んに行われているが、Jarah Euston(ジャラ・ユーストン)氏は、労働力のより大きな部分である時給労働者について再考する時期に来ていると主張している。

かつてはモバイル広告スタートアップFlurry(フルリー)の幹部であり、データ運用のスタートアップNexla(ネクスラ、未訳記事)の共同創業者でもあるユーストン氏は、8000万人の米国人が時給制で働いている(BLSレポート)にもかかわらず、現在のシステムは雇用者にとっても労働者にとっても、うまくは機能していないと私に語った。

雇用者側からみた問題は、離職率や欠勤率が高いことで、一方労働者からみたときの問題は、予測不可能なスケジュールに対処しなければならず、希望する時間をすべて割り当ててもらうのに苦労することがよくあるということだ。そこでユーストン氏は、より良いシステムを作るためにWorkWhile(ワークホワイル)を立ち上げ、シードファンディングで350万ドル(約3億6000万円)を調達した。

彼女はWorkWhileを空きシフトと時給労働者をマッチングさせるマーケットプレイスだと説明する。そこでは雇用者が埋めたいシフト時間を指定し、労働者は働きたい時間帯を指定する。つまり、雇用者は必要に応じて労働力を拡大したり、縮小させたりすることができ、一方で労働者は自分が希望する時間だけ働くというということだ。

「労働力をプールすることで…双方が望む柔軟性を提供することができます」とユーストン氏はいう。

画像クレジット:WrokWhile

WorkWhileは、資格と信頼性のある応募者を見極めることを目的として、1対1の面接、身元調査、認知科学に基いたテストを用いて労働者をスクリーニングする。

雇用主はWorkWhileに対してサービス使用料を支払うが、ユーザーにとってはプラットフォーム利用は無料だ。また、スタートアップは労働者たちと長期的な関係を築くことを目指しているため、ユーストン氏は、まずは勤務時に獲得した病欠手当クレジットや、デビットカードへの翌日の支払いなど、追加のメリットを提供することにも投資を行うと述べている。

「自分に合っていて、なおかつスケジュールの不自由さのない仕事を見つけるのは大変です」と声明の中で語っているのは、プラットフォームを利用する労働者のひとりMichael Zavala(マイケル・ザヴァラ)氏だ。「WorkWhileはフルタイムで自分のスケジュールを組み立てることができる、まさに私が探していたものでした」。

このスタートアップは、サンフランシスコ・ベイエリア、ロサンゼルス、オレンジ郡、ダラス・ノースワースで事業を開始している。

パンデミック状況下における広い経済状況や雇用状況を考えると、大勢のひとがさらに多くの仕事を探しているはずだ。一方で、ユーストン氏は、雇用者側の激しい浮き沈みを見ているという。つまり一部の企業は活動を止めスタッフを解雇しなければならない一方で、別の一部の企業は急速に成長している。そうした成長している企業には、たとえばWorkWhileの顧客であるレストランサプライヤーのCheetah(チーター)、食事デリバリーのThistle(シスル)、園芸eコーマスのAnsel & Ivy(アンセル&アイビー)などが含まれる。

今回の資金調達はKhosla Venturesが主導し、Stitch Fix(スティッチ・フィックス)の創業者でCEOのKatrina Lake(カトリーナ・レイク氏)、Jennifer Fonstad(ジェニファー・フォスタッド)氏、F7、Siqi Chen(シキ・チェン)氏、Philip Brenner(フィリップ・ブレナー)氏、Zouhair Belkoura(ゾウヘア・ベルコオウラ)氏、Nicholas Pilkington(ニコラス・ピルキントン)氏が参加している。

「時給労働者の大半は正直で信頼できる人たちですが、中には助けを必要とする困難な個人的事情を抱えているひともいます」とVinod Khosla(ビノッド・コースラ)氏は声明の中で述べている。「多くの企業がそうした従業員を、離職率が高い消耗品のように扱っていますが、そうした従業員も敬意と適切なサポートを与えられれば、より長期的に働ける模範的な従業員になることができるのです。WorkWhileはこの問題を解決する手助けをしたいと考えています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WorkWhite、資金調達、ギクワーカー

画像クレジット:wera Rodsawang / Getty Images
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(翻訳:sako)

遠隔メンタルヘルスケアのLyra Healthが約180億円調達、新型コロナを背景に急成長

新型コロナウイルスの大流行は、世界中で精神衛生上の危機を強め、しばしば悪化させている。リモートワークの普及もその問題の一端を担っている。誰もが自宅に籠もり、人との交流がなく、オフィスでウォータークーラーの周りに集まっておしゃべりすることもできなくなった。

この問題の解決策が求められていることから、需要が高まったテック系メンタルヘルス・ソリューションは多くの資金を集めている。最近の例では、企業の従業員に遠隔メンタルヘルス・ケアを提供するLyra Healthが、22億5000万ドル(約23.2億円)の評価額で1億7500万ドル(約180億円)のシリーズEを調達するための書類を提出したことがわかった。

この書類の内容はPrime Unicorn Indexによって明らかになった。同社がラウンドを終えたかどうかは不明だが、デラウェア州での書類提出は通常、資金調達の一部または全部が確保された後に行われる。Prime Unicorn Indexは、このシリーズEラウンドを取り巻く条件には、「他のすべての優先株式とのパリパス残余財産優先分配権が含まれ、剰余金がある場合は普通株式に参加しない非参加型優先株式」であることに注目。また、Lyra Healthの直近の1株当たりの価格は27.47ドル(約2838円)であり、14.21ドル(1468円)で取引されたシリーズDからのアップラウンドであることにも言及している。

TechCrunchはLyra Healthと投資家に、この書類に対する回答を求めて連絡を取っている。ある投資家は、ラウンドはまだ終了していないと指摘している。

同社の過去の出資者には、Adams Street Partners、Tenaya Capital、Meritech Capital Partners、IVP、Greylockなどが含まれる。

我々は今、最も有望なスタートアップ企業のために、急速に成長するラウンドが連続して調達されている時期にいるようだ。1億ドル(約103.3億円)の資金調達からわずか6ヶ月後に1億ドルのラウンドを確認した(未訳記事)Discordと同様に、Lyra Healthも最近、シリーズDで1億1000万ドル(約113.7億円)の資金調達(Crunchbase News記事)を行い、評価額が10億ドル(約1033億円)を超えた。

これは事実上、このスタートアップがわずか数カ月で評価額を倍増させたことを意味し、急速な成長または重要な検証を示唆している。Forbes(フォーブス)が報じているように(Forbs記事)、Lyra Healthはその前の資金調達の時点で、今年中に約1億ドルの収益をもたらすことが予期されていた。

新型コロナウイルスが大流行している間に、多くのテクノロジーのカテゴリがその使用法で関心を集めた。そして悲しいことに、あるいは見方によってはありがたいことに、この試練の時に我々のウェルビーイング(良好な状態)を支援することを目的とした、メンタルヘルスとウェルネスのスタートアップも、それらの1つだ。瞑想アプリの「Calm(カーム)」が20億ドル(約2066億円)の評価で7500万ドル(約77.5億円)を調達したのは、ちょうど先週のことだ。

カリフォルニア州バーリンガムに拠点を置くLyra Healthは、どこのオフィスでも役に立ちたいと思っている。この会社は、企業が従業員のメンタルヘルスに必要な安全で信頼のおける高い一連のツールを、従業員に提供することを支援する。メンタルヘルスが職場でタブー視され、従業員が雇用主にサポートを求めるのは気が引けるかもしれないことを考えれば、これは難しい分野だ。それでも、オフィス内で人と触れあうことがもはやできなくなっている現在の世界においては、メンタルヘルスはスタートアップの成長を助ける重要な投資となり得るだろう。

契約企業のメンタルに悩みを抱えた従業員に対し、Lyraはまず調査に基づいて一連の推奨事項を作成する。その後、同社は患者を何千人ものセラピストのネットワークにつなぎ、患者は遠隔で予約、相談、および診察を受けることができる。

パンデミックの間、Lyra Healthは8万人の新規ユーザーを獲得し、直近の発表ではユーザー数が合計で150万人に達したという。

新型コロナウイルスの感染拡大が遠隔医療の急増(米国疾病予防管理センターの発表)につながったように、テクノロジーを使ったメンタルヘルスケアは需要が増えている。対面診察は患者にとって感染リスクを招くからだ。実際に、Lyra Healthでは「Lyra Blended Care」を開始した。これは、ビデオ療法とオンラインレッスンや認知行動療法に根ざしたエクササイズを組み合わせたものだ。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:遠隔医療、資金調達、メンタルヘルス

画像クレジット:Varijanta / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

人類を遠い星に連れて行く新推進システム開発のMagdriveが約2億円を確保

新しいタイプの宇宙船推進システムを開発するスタートアップが、スタートレックのような惑星間旅行を現実のものにするかもしれない。Magdrive(マグドライブ)は140万ポンド(約2億円)のシードラウンドを完了した。SpaceXの初期の投資家であるFounders Fundがリードし、Luminous Ventures、7%Ventures、Entrepreneur Firstが参加した。

Magdriveは小型衛星用の次世代の宇宙船推進装置を開発している。同社のエンジンの推力と効率は「ジェネレーショナルリープ(世代を超える飛躍)」であり、他のどんな電気推進装置をも寄せ付けないと同社は述べる。これにより、これまで不可能だった全く新しいタイプのミッションに宇宙産業を開放するという。このエンジンは、より大型かつ高価で、より重い化学推進装置には頼らない。同社は、このエンジンが超低軌道での運用だけでなく、手頃な高速惑星間宇宙旅行を可能にすると述べている。このエンジンはまた、軌道上での製造活動を以前よりはるかに現実的にする。

既存の電気ソリューションは非常に効率的だが推力はかなり低い。化学推進は推力が高いが効率が悪く、取り扱いに危険を伴うため費用がかかる。Magdriveは、同社のエンジンが1つのシステムで高推力と高効率の両方を実現すると言う。

Magdriveのプロトタイプレンダリング。画像:Magdrive

これが機能するなら、Magdriveエンジンは宇宙船をより長く、より速く動かせる。これにより、燃料の節約を心配することなく、複数の高速操縦が可能な衛星(またはXウイング戦闘機?)などの新しい宇宙ミッションに業界を開放できる。現在これを達成するためには衛星に化学推進装置が要るが、打ち上げの際、燃料にかなりのペイロードを必要とする。200kgの衛星は50kgのヒドラジン燃料を必要とし、発射重量だけで135万ポンド(約2億円)のコストがかかる。

共同創業者(およびスタートレックのファン)であるThomas Clayson(トーマス・クレイソン)氏は、プラズマ物理学の博士号を取得し、高度な電磁場の分野に取り組んでいる。同氏は、この分野が惑星間宇宙旅行に必要とされる加速を実現するプラズマ推進開発の基礎になる可能性があることに気づいた。 ロンドンのインペリアルカレッジで、同じように宇宙旅行の夢を持っていた機械エンジニアのMark Stokes(マーク・ストークス)に出会った後、彼らは衛星用の小規模推進装置を作ることに決めた。

だがMagdriveだけではない。他の企業はいわゆる「ホール効果スラスター(推進装置)」を開発している。これは1960年代から存在する技術だ。開発の多くは小型化と重量削減を目的としているが、推力と効率は同じままだ。Busek、Exotrail、Apollo Fusion、Enpusion、Nanoavionicsといった企業が取り組んでいる。一方、Aerojet RocketdyneやMoog ISPなどの豊富な技術ポートフォリオを持つ大規模な多国籍企業は、化学物質の推進力を改善し毒性をなくすことに取り組んでいる。

彼らは技術の適用範囲を拡げて、月や火星など遠距離の目的地に向け、(まずは軌道上の)より大型の有人宇宙船に動力を供給する計画だ。Magdriveのシステムでは燃料費が大幅に削減され再利用も可能なため、化学または原子力ソリューションよりもはるかに手頃な価格で利用できる。

7%Venturesの創業パートナーであるAndrew J Scott(アンドリュー・J・スコット)氏はこう述べる。「7%では『ムーンショット』の野心を持つ創業チームを目指しています。Magdriveを前にすれば、これはもはや単なる比喩ではありません。彼らの革新的なプラズマ推進は間もなく衛星に動力を供給することになりますが、将来的には私たちをより遠い宇宙に連れて行ってくれると思います。衛星の開発に関する英国の知見は世界的に有名ですが、推進力への注目はまだまだ少ないといえます。実際、英国は独自の衛星打ち上げ能力の開発に成功したものの、1970年代に諦めた唯一の国です。開発の中止は間違いなく英国の宇宙部門を停滞させました。ですから、この急成長するセクターで、世界をリードする企業になるというビジョンと野心を持つ新しい世代の英国の宇宙スタートアップの1つであるMagdriveを支援できることに興奮しています」

衛星産業は2020年時点で50億ドル(約5200億円)の規模がある。メガコンステレーション(多数の通信衛星による衛星網)の増加により、2030年までに300億ドル(3兆1200億円)に成長すると予測されている。今後2年間で約5000の衛星が打ち上げられる予定であり、衛星を打ち上げる企業の75%はすでに宇宙で何かを飛ばしている。

Magdriveはオックスフォードのハーウェルにある欧州宇宙機関のビジネスインキュベーションセンターで活動している。

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画像クレジット:Magdrive

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ検査の高速・高信頼化でポーランドのバイオテクノロジー企業GeneMeが6.6億円調達

ポーランドで新型コロナウイルス(COVID-19)検査を提供しているバイオテクノロジー企業のGeneMeが、Robin Tombs(ロビン・トムズ)氏がリードするシードラウンドで520万ユーロ(約6億6000万円)を調達した。トムズ氏はYotiの共同創業者で、以前はGamesysの共同創業者だった。この投資には、そのほかのエンジェル投資家たちも参加した。

同社はRT-LAMP検査のためのユニバーサルプロテイン(ポリメラーゼ)を開発して特許を取得している。これにより、極めて正確で迅速な分子遺伝学的新型コロナウイルス検査を可能にしている。これには3つの分子核酸増幅新型コロナウイルス検査であるFRANKD、SAVDおよびICEDがある。FRANKDはヨーロッパのCE IVD認可およびFDA(米食品医薬品局)のEUA(緊急時使用認可)を適用され、そのソリューションはすでに20か国以上で利用されている。FRANKDは、スコットランド政府による公的な研究で発見され、現在の市場では最も正確で迅速な新型コロナ検査とされている。FRANKDのソリューションはすでに、ヒースロー空港やVirgin Atlantic、テレビ番組「Britain’s Got Talent(ブリテンズ・ゴット・タレント)」などで使用された。

「私たちは健康の問題だけでなく、才能やスポーツの能力、学習障害、カフェインの代謝能力などなど、遺伝的資質にも関心がある。将来的には、誰もが自宅で遺伝子分析をできるようになるだろう」とGeneMeのCEOであるDawid Nidzworski(ダウィド・ニツヴォルスキー)氏と語る。

Yotiの共同創業者であるロビン・トムズ氏は「GeneMeの革新的なアプローチは今後何年にもわたり、高度にディスラプティブであり続け、ますます多くの検査が診療現場で行えるようになり、しかも低コストになるだろう」という投資家としての見解を出している

GeneMeは、独立のバイオメディカル研究機関であるBiotechnology and Molecular Medicineからのスピンアウトだ。

最近同社は、米国のBIOLYPHとのパートナーシップを発表した。後者は凍結乾燥サービスの世界的リーダーで、FRANKDとSAVDを大幅にスケールアップした。

GeneMeが特許を取った技術は、標準の検査機関ベースのRT-PCR検査に比べて、検査手続きの全体を単純化している。RT-LAMP検査はより効果的であり、結果の信頼性が高い。またGeneMeの検査技術は診療現場で実施でき、それにより高度に正確な検査を被検者の職場でできたり、国境などスループットの非常に高いところでも検査できる。

新型コロナウイルス診断のグローバルな市場は2020年で844億ドル(約8兆7200億円)と推計され、2021年から2027年までの年平均成長率は、Grand View Researchによると3.1%と予想されている。

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画像クレジット:GeneMe FRANKD-Test

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ライブ配信によるオークションとトレカ販売が好評なWhatnot、約4.1億円を調達

筆者が2月に初めて記事にしたWhatnot(ホワットノット)は、この数カ月の間に機能面とユーザー数の両面において、急速に成長を遂げている。米国時間12月17日朝、この会社はシードラウンドで400万ドル(約4.1億円)の資金を調達したと発表した。

Whatnotは当初、「FunkoPop!(ファンコ・ポップ)」のビニール製フィギュアを安全に転売することに焦点を当てたプラットフォームだったが、その後は他の収集品、例えばポケモン・カード、スポーツ・カード、FiGPiNなどにも対象を拡大している。

同社はまた、単純な売買の仕組みだけでなく、新型コロナウイルスに襲われる前にすでに人気を博していたトレンドを取り入れ、その後も成長し続けている。ライブストリーミングビデオによる販売とオークションだ。

コレクションにハマったことがない人は、この種の販売を見たことがないだろう。しかし一度ハマってしまったら、なかなか止めることはできない。例えばディズニーのピンバッジ・コレクターのような人達の間で人気のあるライブビデオオークションは…まさにそういうものだ。ホストはライブストリームを起動して、コレクター仲間のファン・グループに販売を報せる通知を送信し、携帯電話のカメラを商品に向ける(多くの場合、商品は状態がよく見えるようにターンテーブルの上で回転している)。ホストの仕事は部分的にオークショナーであり、また部分的に誇大広告マンだ。彼らは売り出されるアイテムについて豊富な知識を持ち、チャットで人々と交流し、そして大抵は見ている人を惹き付けるためにエネルギーを高く保ち続ける。

これらのオークションの多くは、Instagramなどのプラットフォーム上で行われているが、これらのプラットフォームはそのために構築されているものではない。そこでアイテムを販売するということは、手動で買い手とつながり、事後には支払いを計算し、誰も約束を破らないように願うことを意味する。Whatnotはこの用途に特化したいと考え、それに応じたライブ配信ツールを構築するために最近の数カ月を費やした。Whatnotのストリーミングは、出品から支払いまですべてのプロセスが、直接同社のアプリを通じて行われる。私は昨夜、いくつかのストリーミングをランダムに覗いてまわってみたが、いずれも数十から数百人の人が視聴し、Mumm-Ra(マムラ)のFunkoPop!のようなアイテムに入札したり、次に何が出品されるのかと待ち構えたりしていた。

画像クレジット:Whatnot

Whatnotで人気が高まっているもう1つのライブストリーミングのコンセプトは、「カードブレーク」だ。ユーザーたちは皆、トレーディングカードのパックをまるごと一箱買うために自分のお金をプールする。多くの場合、これらのカードはもはや製造されておらず、ボックスで買うためには数十万円の費用が必要になる。各ユーザーは番号を取得し、各番号はそれぞれボックス内のパック(またはパックス)に紐付けられている。各パックはライブストリーム上で開封され、中身のカードはそのパックに割り当てられた番号を持つ(おそらく)幸運なユーザーの手元に渡るという仕組みだ。

Whatnotの共同創設者Logan Head(ローガン・ヘッド)氏は、この数カ月間における会社の成長を「爆発的」と表現し、このライブストリーミングのような付加機能が、最近の「少なくとも月々100%以上」にもなる成長の助けとなったと、私に語ってくれた。

Whatnotのチームも成長している。現在は12人が勤務しているが、さらに積極的により多くのエンジニアを探している。会社の成長に伴い、従業員も増やす必要があるのだ。同社がシードラウンドで調達した400万ドル(約4.1億円)は、Scribble Ventures、Operator Partners、Wonder Ventures、Y Combinator、そして多くのエンジェル投資家から支援を受けたものであるという。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Hibob、ヒューマンリソースへの新たな取り組みに7000万ドルを調達

生産性ソフトウェアは今年大きな見直しが図られており、従業員の雇用、解雇、支払い、管理に使用されるヒューマンリソースプラットフォームも例外ではない。次世代のHRシステムの構想と形成に取り組むスタートアップの1つが本日、大規模な資金調達を発表し、同社の成長とこの分野への注力を表明した。

人事プラットフォームのスタートアップHibob(ハイボブ、「Hi, Bob!」の発音)が、7000万ドル(約73億円)の資金を調達した。同社に近い信頼できる情報筋によると、評価額は5億ドル(約520億円)前後だという。

「HRテクノロジーを近代化することをミッションとしています」HibobのCEOで、Israel David(イスラエル・デヴィッド)氏と共に同社を設立したRonni Zehavi(ロニー・ツェハヴィ)氏は語る。「当社は、今日の人々の働き方を管理するプラットフォームです。リモートまたは物理的な協働のいずれの場合でも、顧客は作業に関する課題に直面します。将来のHRプラットフォームは、ぎこちないシステムや煩わしい巨大なプラットフォームではない、そうあるべきではないと考えています。当社が手がけるのは、記録というよりエンゲージメントのシステムです」。

シリーズBを主導しているのはSEEKとIsrael Growth Partnersで、ほかにはBessemer Venture Partners、Battery Ventures、Eight Roads Ventures、Arbor Ventures、Presidio Ventures、Entree Capital、Cerca Partners、Perpetual Partnersが参加している。2019年の前回のラウンド(シリーズAの拡張)でHibobを支援したのと同じグループだ。これまでの累計調達額は1億2400万ドル(約129億円)に達している。

同社のルーツはイスラエルにあるが、最近では本社をロンドンとニューヨークに置き、資金調達は複数の市場での力強い成長を背景にしている。ツェハヴィ氏はインタビューの中で、Hibobはミッドマーケットの顧客に特化しており、Monzo、Revolut、Happy Socks、ironSource、Receipt Bank、Fiverr、Gong、VaynerMediaを始め、米国、欧州、アジアで1000以上の顧客を確保していると述べている。昨年には前年比で3桁の成長を遂げたという(その数字が何であるかは特定していない)。

ヒューマンリソースが会社の仕組みの中でこれほど注目されたことはかつてなく、時には軽視される存在でさえあった。ところが2020年、HRは新たなスポットライトを浴びることになる。今年はデスクワークを中心にする企業も、よりインタラクティブでアクティブな環境にある企業も、すべての企業がその仕組みを変えなければならない年となった。

これには、全従業員を在宅勤務に移行し、寝室や台所の隅の自宅オフィスからサインインできるようにすることを始め、従業員の働く場所、時間、交流形態という点で従来とはまったく異なる設定の構築が必要とされた。しかし、どのような実装であっても、すべての従業員が連携・管理されている意識を持ちながら協働するチームに属していた。またそうした中で、臨時雇用、一時帰休、解雇が行われた。

この点に注目すると、一部のレガシーシステムの機能様態における問題が明らかになってくる。古いシステムでは、従業員のID番号を作成し、給与計算などの目的でトラッキングする程度のことしか想定されていなかった。

Hibob(ちなみにツェハヴィ氏は売りに出されていた「bob.com」のドメインにちなんで社名を選んだそうだが、実際の製品に名付けられた「bob」も気に入っているという)は、従業員が何をしているかに応じて異なるソフトウェアやアプリをバランスよく配置し、統合することでそれらを連携させるというゼロからのアプローチを取っている。これにはSlack、Microsoft Teams、MercerなどのHR部門で普及しているパッケージが含まれている。

給与、追加報酬、オンボーディング、休暇の管理、福利厚生など、必要なHRベースのすべてをカバーしているが、さらにパフォーマンスや文化など、ユーザーのより大きなプロファイルを構築するのに役立つさまざまな機能が盛り込まれている。同僚、マネージャー、そして従業員自身がフィードバックを提供して、会社との関わりを強化し、会社が組織にどのように適合しているか、将来的に何に注意を払う必要があるかを把握できるようにする。

これらがより大きな組織図や概念図にリンクされ、強力なパフォーマンスを発揮する人々、離職リスクのある人々、リーダーとなる人々などが浮き彫りになる。これらの機能の一部をカバーするスタンドアロンアプリは、HRの領域に他にも多く存在するが(たとえば15fiveは、目標の設定とフィードバックの提供を容易にするプラットフォームの価値を先駆けて捉えた)、ここで注目すべきは、それらが1つのシステムに集約されていることだ。

ここまでの印象としては、HR担当者にとってより有益で使いやすく、意味の通ったよりインタラクティブでグラフィックなインターフェースのように思われる。

投資家にとって重要なのは、製品とスタートアップが可能性や機会を特定し、エンゲージメントをもたらすだけでなく、必要不可欠な機能も備えた強力なソフトウェアを提供しているということだ。

「Workdayとは明らかに異なります」とBessemer Venture Partnersでパートナーを務めるAdam Fisher(アダム・フィッシャー)氏はインタビューで語っている。「私たちの包括的な論点は、HRの重要性が増しているにすぎない、ということです。エンゲージメントはとても重要ですが、その機会だけでは市場を創出するには不十分です」。

目指すところは、今後さらに多くの機能を導入していくことのできるプラットフォームだ。たとえば、企業やB2Bソフトウェアの世界で注目を集めているもう1つの大きな分野に従業員のトレーニングがある。具体的に言えば、企業の学習システムは、人々が仕事の重要な側面を理解できるようにするだけでなく、つながりが逼迫しているときにも参加できるようにするための新たな方法を生み出しつつある。

「SuccessFactorsのようなスタイルのトレーニングは、間違いなく当社のロードマップに含まれています」とツェハヴィ氏は述べ、継続的に新機能を追加していくことを強調した。最近では、能力向上サイクルと称される報酬制度が導入されている。「これは非常に複雑なシステムで、財務とCFOオフィスとより密接に統合する必要がありますが、当社はこれを合理化して使いやすくしました。2か月前にこれをローンチして以来、かなりの手応えを感じています。学習と能力開発の後、さらに数々のモジュールを生成していく計画です」。

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(翻訳:Dragonfly)

オフィスの新型コロナ対策を支援する空気品質監視プラットフォームのOpenSensorsが4.1億円調達

米国時間12月16日、2013年2月に小学校女子学童に起きた喘息発作は大気汚染が原因であったと英国の裁判所が裁定した(The Guardian記事)。これはこの種の裁定として世界初だと思われる。Ella Kissi-Debrah(エラ・キッシ-デブラ)さんが亡くなったわずか1年後、別の母親も自分の娘の喘息に対する空気汚染の影響を心配し、何か行動すべきだと決断した。

そして本日、Yodit Stanton(ヨディット・スタントン)氏は彼女の空気品質監視のスタートアップであるOpenSensorsのシード資金400万ドル(約4億1000万円)を、Crane Venture Partnersほか匿名投資家によるシードラウンドで調達した。当初このスタートアップは、顧客から得た売上による自己資金で設立された。

OpenSensorsは、センサーを使って空気品質と光強度を監視する。しかしそのデータプラットフォームは特別だ。同社のテクノロジーは職場と労働者の環境とパターンを明らかにすることを目的としている。競合にはCondeccoやWorkplace Fabricらがいるが、同社のアプローチの方が「全方位」だ。

現在複合施設をもつ30社以上の顧客が北米、アイルランド、英国およびヨーロッパにいる。業界は保険、金融、テクノロジーなどだ。

画像クレジット:OpenSensors

建物の費用は企業にとって2番目に大きい出費であり、英国の事務所コストは年間200億ポンド(約2兆8000億円)に上るが、スペースの半分は、通常のパンデミック以前の時期でさえ、一日中使われることがなく、利用率はピーク時でも55%にすぎない。また建物は全世界エネルギー利用の36%、二酸化炭素排出量の39%を占めている。OpenSensorsは湿度、二酸化炭素濃度なども測定してウイルス感染を減少させる最適環境へと導くことで、企業が社員と職場の安全を取り戻す手助けをする。

「私たちの仕事や生活のやり方は、誰もが想像できなかった速さで変わっています。いまは持続可能性を考えながら実世界をどのように使っていくのかを考え直し、職場をそこで働く人たちにとってよりよくするための、人類最大のチャンスが訪れています」とスタントン氏は語る。

Crane Venture PartnersのパートナーであるScott Sage(スコット・セージ)氏は「データに基づく予測、実世界における利用状況、および既存顧客の実績をもつOpenSensorshは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)環境下の信頼できるアドバイザーとソリューション提供者であるとともに、新型コロナの蔓延が加速した柔軟な働き方への転換を支援する会社です」と語っている。

スタントン氏は英国の Women In Dataイベントの設立と運営も行なっており、TechCrunchだけにこう話した。「当初は楽しい趣味のプロジェクトとして始まりました。私はIoTをいじっていて、娘が喘息なので近隣の大気品質を測定して、特定の変化が娘の発作と相関があるかどうかを調べてました。しかし、ビルディングを管理できるかとみんなから聞かれるようになった時、本物になったと思いました」。

彼女は、湿度の低下はウイルス伝染を促すという。「だから室内環境では湿度40%前後を保つべきであり、乾燥した空気は人間の免疫システムにも悪影響を与えます」。

これは、空気品質の管理が企業にとって重大問題になったことを意味している。だから、VCがOpenSensorsのような空気品質スタートアップを支援し始めたことは驚きではない。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:OpenSensors資金調達空気監視

画像クレジット:OpenSensors

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook