Apple、関税率次第では中国外でiPhoneを製造するかも

Bloombergの新たな報道によると、Appleは関税とiPhone製造について、いくつかのシナリオを描いている。現段階では、iPhoneは米国と中国の間で展開されている貿易戦争の直接的な影響は受けていない。

しかし米国大統領ドナルド・トランプがスマホへの関税を引き上げると決断すれば、Appleにとっては大問題となりえる。Appleは現在、iPhoneの大半を中国で製造していて、最終組み立てはFoxconnとともに行なっている。

関税の高いいくつかの国では、Appleは中国外のサプライヤーと協働している。たとえば、台湾の製造業者Wistronはインドのバンガロールに組立施設を建設した。当初、計画ではiPhone SEはインドで製造するはずだった。

似たような例として、Foxconnは2011年にブラジルに施設を開所した。しかしその結果は期待外れで、ブラジルでのデバイスの価格は米国よりもかなり高いものになってしまった。

しかし米国はAppleにとって鍵を握るマーケットであり、米国の輸入にかかる関税は重大な結果をもたらすことになりかねない。Bloombergによると、もし米国がスマホに10%の関税をかけることを決めたとしても、Appleは同じサプライチェーンを維持するだろう。関税が25%であれば、製造を中国外へ移すかもしれない。

全ての製造を中国外に移すのか、あるいは米国向けの製造のみを移すのかは定かではない。しかし、今のところ何も変わっていない。ただ幹部が“もし”を想定するゲームで遊んでいるだけだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Apple、ニュース・雑誌購読サービスを2019年初めにスタート(Bloomberg報道)

今日(米国時間12/12)BloombergはAppleのニュースおよび雑誌定期購読サービスの計画に関する以前の報道を続報した。Bloombergは今年、Appleが今年Apple Newsアプリの一環として今春買収したデジタルニューススタンドサービスTextureを再スタートさせると書いた。このたび同誌は、スタート時期を「早ければ来春」と断定した。さらに、業界の反応も紹介しているが、よくても慎重だ。

AppleはThe Wall Street Journal、The New York Timesをはじめとする有料新聞サービスにTextureへの参加を呼びかけているほか、雑誌コンテンツのデザイン変更も進めていると言われている。現在のように紙の雑誌の外観を真似るのではなく、Appleはコンテンツをオンラインニュース記事風に見せようとしている、とBloombergは言った。

記事は出版社らが恐怖を覚えながら検討していることも指摘している。Appleが低価格な条件——月額9.99ドルでニュースと雑誌コンテンツ読み放題のNetflixに似たモデル——を提示しているため、Appleのサービスが自分たちの売上を食うことを心配している。何しろこの10ドルという価格設定は単独の出版物の購読料——たとえばNYTのデジタル購読——より安いケースさえある。

代わりに出版社が望むのは、独自の有料サービスをAppleアプリの中に作れるプラットフォームだ。

しかしAppleの交渉でのポイントは、購読者数が増えれば出版社独自の定期購読収益の減少を補ってあまりあるという可能性だと記事は伝えている。同社はその可能性をApple Musicと対比しており、 Billboardの最新報告によると現在同サービスのユーザーは6000万人近い。

現在Textureは200誌以上の雑誌を提供しており、Vanity Fair、EW、GQ、Vogue、Forbes、Time、People、Rolling Stone、Cosmopolitan、Sports Illustratedのほか、Bloomberg Businessweekなど多数が名を連ねている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Appleが目を光らせるサードパーティ製スクリーンタイムアプリ

アプリの使用時間を追跡したり、ペアレンタルコントロール機能を実現しているいくつかのサードパーティアプリのデベロッパーは、Appleがこの数週間でアプリの審査を厳しくしているのは偶然ではないと危惧している。Appleは、iOS 12に独自のスクリーンタイムの追跡とペアレンタルコントロール機能を組み込んで発売した。それとほぼ時を同じくして、サードパーティ製のスクリーンタイムアプリに対するAppleの審査は厳しくなり、場合によっては不合格となったり、App Storeから削除されたりしている。

それに該当するデベロッパーは、スクリーンタイムを追跡するために、さまざまな方法を駆使してきた。というのも、そのデータを得るための公式な方法が用意されていないからだ。たとえば、バックグラウンドでの位置情報検出や、VPN、さらにはMDMベースのものがあり、複数の手法が組み合わせて使われることもある。

数人のデベロッパーが、ここ2、3ヶ月の間に集まって、自分たちが抱えている問題について話し合った。しかし、その内容を公表しようという人ばかりではない。結局のところ、Appleを公に批判することに抵抗を感じるデベロッパーは多い。特に彼らのビジネスが危険にさらされているときにはなおさらだ。

しかし、彼らの生きる道が閉ざされたと判断したときに、ブログでこの問題について報告した会社も何社かあった。

たとえば10月には、Muteと呼ばれるデジタルデトックスアプリが、App Storeから削除されたことを公表したが、それは他の多くのスクリーンタイム追跡アプリが警告を受けたのとほぼ同時期だった。

その後、3年間も使われてきたスクリーンタイムアプリのSpaceも、11月になってApp Storeから削除されたことを明かした

それだけではない。名前を出されることを望まない他の何社かも、審査不合格に直面していた。

我々が知り得た範囲でも、何社かのデベロッパーは、App Storeのデベロッパーガイドラインの2.5.4条に違反していると告げられている。これは、マルチタスクで動作するアプリが、バックグラウンドで位置検出などを実行してもよい条件を規定したものだ。細かく言えば、そうしたデベロッパーは、「位置情報機能とは関係ない目的で位置情報のためのバックグラウンドモードを濫用している」と指摘されたのだ。

他に、デベロッパーガイドラインの2.5.1条に違反していると言われたデベロッパーもある。それは、公式のAPIを、承認されていない方法で使ってはならないとするものだ。

さらに他のデベロッパーは、彼らがスクリーンタイムやペアレンタルコントロールを実装している方法は、もはや許可されないとはっきり告げられた。

iOS用のSpace

奇妙なことに、SpaceとMuteが公式ブログで不平を表明した後、彼らはAppleから連絡を受け、彼らのアプリはApp Storeに復活することになった。

Appleの担当者は、彼らがデータのプライバシーをどのように扱っているかを尋ね、位置情報ベースのサービスを必要とするユーザー向けの機能がなければ、そのような手法を採用していることを正当化することはできないと念を押したとされる。

SpaceのCEO、Georgina Powellは、「もちろん、Appleが我々の事業を継続できるようにしてくれたことには、大いに感謝している」と言う。

しかし、それらは個別の案件ではないのだ。サードパーティ製のスクリーンタイムアプリの業界では、何年もの間、何の問題なく動いてきたアプリが、精査の対象となりつつある。

iOS上のMoment

しかし、その一方で、審査を通過するアプリもある。まるでAppleは、個別の案件として判断しているかのようだ。

たとえば、TechCrunchがこれまでの4年間に何度も取り上げ、Apple自身がフィーチャーしたこともあるアプリ、Momentも、Appleから連絡を受けたという情報がある。

AppleはMomentにいくつかの疑問を抱いたものの、彼らの答えはAppleを納得させたのだった。このアプリは、削除されていないし、その危険もない。

このように審査が厳しくなっていく状況について不安を感じているかという質問に対し、Momentのクリエーター、Kevin Holeshは「Appleと話をして、Momentの将来が安泰だと感じた」と答えている。しかし彼は、「この問題が進展するについれて、今後どうなっていくのか、ほとんど静観しているところだ」と付け加えた。

ハードウェアデバイスCircle with Disneyと組み合わせたスクリーンタイムアプリのメーカーも、何も影響はないと言われている。(とはいえ、99ドルで購入したホームネットワークのデバイスが突然機能しなくなった場合の消費者の反感も想像してみよう)

すべてのアプリが締め出されたわけではないとしても、AppleはMDM(モバイルデバイスマネージメント)やVPNを利用して動作するスクリーンタイムアプリを問題視しているように思われる。

たとえば、Kidsloxのデベロッパーは、MDMとVPNの組み合わせによって、スクリーンタイムとペアレンタルコントロールを実装していた。このアプリは、デバイスがVPNに接続している時間を監視することで、スクリーンタイム機能を実現していたが、それはAppleがもはやしてはならないと言っている。

KidsloxのCEO、Viktor Yevpakは、スクリーンタイムのためだけにVPNが必要なのではないと説明する。このアプリは、VPNを通して接続することで、ウェブサイトをブラックリストと照合し、子どもたちが安全にブラウズできるようにする機能も備えている。

「どこかに妥協点が必要だ。でなければ、会社全体を殺してしまうことになる、と言ったんだ」と、Appleのアプリレビュー担当者との会話の内容について、YevpakはTechCrunchに明かした。「このアプリには、30人以上の人間が取り組んできた。それでも止めてしまえというのか」とも言ったと。

Kidsloxという1年の実績のあるアプリのアップデートが何度も拒絶された後、そのデベロッパーは、ついに会社の公式ブログという手段を通して、これはサードパーティ製のスクリーンタイム管理の業界の「計画的破壊」であると、Appleを非難した。

実際に話を聞いた多くの人と同じように、彼もAppleの審査が厳しくなったのは、iOS 12が自らスクリーンタイム機能を装備したのと時を同じくしていると、強く信じている。

Kidsloxは今もApp Storeで入手可能だが、そのアップデートは未だ承認されていない。そろそろ時間切れなので、会社のビジネスの方向転換について話し合っているところだと、Yevpakは明かした。

もちろん、Appleはスクリーンタイムの追跡やペアレンタルコントロールのためにVPNが利用されることは意図しておらず、ましてやエンタープライズ向けのMDM技術が、コンシューマベースのアプリに実装されることは望んでいない。そして、そのようなアプリで、これまでそうした利用方法を許してきたということは、Appleはそのデバイスがコンシューマーにどのように使われるかをコントロールすることをあきらめていたことになる。

しかし、そのポリシーはApp Storeの承認と矛盾したものだった。Appleは、何年もの間、ガイドラインに違反するような方法でMDMを使ったスクリーンタイムアプリを通過させてきたが、そのことにはっきりと気付いていたはずだ。

OurPactのルール設定によって、保護者は特定のアプリをブロックできる

その典型的な例の1つがOurPact(特にOurPact Jr.の方)だ。そのアプリは、MDM技術を使って、保護者が子供にスマホの特定のアプリを使わせるかどうか、テキストメッセージをブロックするか、ウェブをフィルタリングするか、その他さまざまなことを、時間帯の指定も含めてコントロールできるようにする。そのアプリは、保護者用に設計されたものも、子供向けのものも、すでに4年間も使われてきた。OurPactによれば、Appleはもはや、そうした目的のためにMDMを利用することを許してくれなくなったという。

「われわれのチームがAppleに確認したところによれば、iOSの純正スクリーンタイム以外のアプリが、他のアプリとコンテンツへのアクセスを管理することは、Apple製デバイスのエコシステムの中では許されない、ということだ」と、OurPactの親会社であるEturi Corp.のAmir MoussavianはTechCrunchに対して文書で明らかにした。「青少年のスクリーンタイムの管理が必要不可欠なものであると認識され始めた今になって、AppleがiOSのペアレンタルコントロール市場を解体することを選択したことは、返す返すも残念だ。」

同社によれば、子供のデバイス用に設計されたアプリ、OurPact Jr.は、この変更による打撃を受けるという。しかし、保護者用のアプリは動作し続けることができそうだ。

Appleが、これらの「ルール破り」のアプリを許可するという寛容性を見せたことは、ある条件ではMDMの利用が暗黙に認められている、というメッセージを、新たにスクリーンタイムの世界に参入しようとするデベロッパーに対して送ってきた。もちろん、Appleによる契約条項にそう書いてあるわけではない。

ACTIVATE FitnessのデベロッパーAndrew Armorは、何年も前から他の多くのデベロッパーがそうしていたのを見て、iOS用のスクリーンタイム管理のためにMDMを導入することを決断した、とTechCrunchに語った。

「私は、このモバイルアプリの開発に、これまでの蓄えのすべてを注ぎ込んだんだ。このアプリは、家庭向けに、スクリーンタイムの管理と運営のためのより優れた方法を提供し、同時に体を動かすことを促すものになるはずだった」と、そのアプリがApp Storeから拒絶されたことについてArmourは語った。「2年もの間、必死の思いで仕事をしてきたのに、ACTIVATE Fitnessを世に送り出すという、私の起業家としての夢は絶たれてしまった。それもAppleの欠陥のある不公正な審査による拒絶のためだ」と、彼は嘆いた。

Appleは、正式なスクリーンタイム用のAPIを公開したり、MDMやその他の技術を使うにしても、スクリーンタイムアプリ用の例外枠を設けたりすることもできるはずだ。しかし、その代わりに、独自のスクリーンタイム機能を実現し、サードパーティに対しては通告するという決断をした。それは、今やApple自身がiOS上のスクリーンタイムの監視機能をコントロールして、サードパーティ任せにはしたくないという意志の現れのように見える。

結局のところ、この決断は一般のユーザーにとってもメリットがない。なぜならAppleが提供する機能は、ペアレンタルコントロールの方に焦点を合わせたMDMベースの方法が提供する機能に比べて劣っているからだ。たとえば、サードパーティ製のスクリーンタイム機能を利用すれば、保護者は特定のアプリを子供のホーム画面から見えなくしたり、そのアプリが動作する時間帯を制限することもできる。

Appleは、この件に関するコメントを拒否した。

しかしながら、Appleの考え方に精通した情報筋によれば、これはサードパーティのスクリーンタイムアプリを狙い撃ちにした締め付けではないという。そうしたデベロッパーに対する差し止めは、進行中のAppleのアプリ審査プロセスの見直しの結果であり、そうしたアプリが違反していたルールは、何年も前から存在していたことに注意すべきだというのだ。

それも一理あるだろう。Appleは、いつでもそのルールの適用を強化することができる。そうしたルールに違反するアプリを開発することは、けっして素晴らしいアイディアとは言えない。特に、Appleが意図していない方法であることを知りながら、デベロッパーが意図的にそうした技術を濫用しようとする場合にはなおさらだ。

とは言え、サードパーティ製のスクリーンタイムやペアレンタルコントロールアプリをApp Storeから駆逐するという決断は、そうしたアプリを実際に使っていたユーザーへの影響を考えると、後味の悪いものになる。

最近の数ヶ月で、FacebookGoogleなどの大手テック企業は、我々が使っているデバイスやアプリには中毒性があり精神的健康に対して悪影響もあるという認識を新たにした。彼らは、この問題に対処するために、さまざまな解決策を提示してきた。シリコンバレー全体が気付く前に、何年も前からまさにこうした問題に取り組もうとしてきたアプリを、今になってAppleが抑え込もうとしているように見えるのは、あまり良いことではない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Apple、ミュージシャンの創作活動を支援するプラットフォームPlatoonを買収

Spotifyは、レコード会社を介さずにアーティストと直接協業するという意味深長な動きをとったが、Appleもオリジナルコンテンツでさらに大きなシェアを確保するために同様のアプローチに目をつけているようだ。

Music Business Worldwideの報道と、我々がこのディールに近いソースに確認したところによると、Appleは主にミュージシャンを、そしてライターのような他のクリエーターも支援しているロンドン拠点のスタートアップPlatoonを買収した。Platoonは、才能を売り出すために分析論を使いながらミュージシャンの作品をつくり(スタジオを持っている)、流通させ、そして販売する。またコンテンツのターゲットの仕方やマーケティングの最善策も考える:A & Rサービスの現代テック版だ。

我々はAppleとPlatoonの両社に買収を確認するために問い合わせている。分析を行う音楽スタートアップAsaiiを買収したときのように、時々Appleのディールは雇用は含まれるが完全な買収ではない、ということもある。しかしながら、彼らからの返事を待っている段階なのにもかかわらず、この件を記事化するのは、我々のソースがこれは“絶対に買収だ”と言っているからだ。

アップデート:Platoonの共同創業者とCEOもまたLinkedInでニュースを認めた

Platoonは2016年にDenzyl FeigelsonとBen Grabiner、そしてSaul Kleinが共同で立ち上げた。

PlatoonのCEOであるFeigelsonは、私が話した別の人物によると、“本物”の音楽業界ベテランだ。彼は以前AppleのiTunesでエグゼクティブを務め、退職後もAppleと良好な関係を保っている。自身のことをApple Musicやライブイベントのような分野においてAppleの“長期的アドバイザー”と表現している。

Appleに15年間在籍する前、Feigelsonは後にKobaltに買収されたAWALー“Artists Without A Label”の略だーを立ち上げた(皮肉にも、KobaltはGoogleがサポートするスタートアップで、ミュージシャンがデジタルストリーミングプラットフォームでロイヤルティーを直接回収するのを手伝う一方で、レーベルサービスも展開する)。

一方、GrabinerとKleinは2人ともVC会社Local Globeを通じてPlatoonと関わった。Local GlobeはPlatoonの唯一の投資家のようだ。PitchBookによると、Platoonはこれまで60万ドルの資金を調達し、最新の評価額は控えめに見積もって378万ドルだった。

GrabinerはPlatoonのGMになるためにLocal Globeを退職し、VCの共同創業者であるKleinはまだLocal Globeにいるものの、Platoonの役員を務める。

Appleの音楽サービスへの関心は、テック業界における同社を取り巻く傾向とも合致する。多くの国で携帯電話市場が飽和状態になっているという世界的なトレンドの一部として、iPhoneの売上は伸び悩んでいる。それに伴い、全体の売上の成長を維持するためにAppleはハードウェアのみに頼るのではなく、より多くのサービスに事業を拡大してきた。

メディア、特に音楽の事業は鍵を握る稼ぎ手で、Apple最大の買収のいくつかがこの事業を成長させている。

そうした買収には、BeatsShazamの件が含まれ、これによりApple Musicがプラットフォーム上でアーティストに提供する権限が、単なる音楽トラックへのアクセスを超えて拡大した(ここにはより多くの分析も含まれる。分析はAsaiiが注力していた分野で、偶然にもAsaiiもまた元Apple社員によって創業された)。

音楽産業の全てのセグメントに本気で取り組むために、Appleが音楽事業にフォーカスすること、最も競合しているSpotifyのサービスに匹敵するものを提供することに、何ら不思議はない。

レーベルー特に大きなレーベルーは覇権を握り続けるが、デジタル配給への大きなシフトとストリーミング台頭で、ミュージシャンはリスナーとつながることができるようになり、またそうした体験を通して金を稼ぐことができるようになった。

ミュージシャンがそうしたかったのは当たり前だ:音楽産業は昨年430億ドルを生み出したが、ミュージシャンの取り分はたったの12%だった。

Appleがアーティストのためのサービスに本格的に取り組むことは、マーケットプレイスの両面に参入することを意味する。

1つの面では、Appleはレーベルが才能あるミュージシャンを売り出すのをサポートする。実に、Platoonが発掘したミュージシャンの多くがいまでは大手レーベルと契約している(ここには、InterscopeのBillie EilishとJacob Banks、Universal/PolydorのStefflon Don、SonyのJorja Smithが含まれる)

別の面としては、レーベル契約に至らなかったミュージシャンに、そしてレーベルと契約したミュージシャンにも、Appleはミュージシャンが作品をつくって配給する幅広いツールを提供することで、彼らにとってのデジタルホームになるルートを確保する。これによりAppleをオリジナルコンテンツのカタログにアクセスしやすいものにし、オリジナルコンテンツがどこかで流されると分け前すら入り、ヒットの可能性ももたらされることになる。

イメージクレジット: Win-Initiative

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(翻訳:Mizoguchi)

AppleのHomePodは来年早々に中国で利用できるようになる

“嘿(ヘェィ) Siri!” AppleのHomePodは来年早々、中国で買えるようになる。Appleの中国サイトにすでに登場し、お値段は2799人民元(約407ドル)とある。アメリカの349ドルよりも17%高い。発売日の明記はないが、2019年の早い時期、とある。

HomePodのライバルAmazon EchoやGoogle Homeは中国で立ち上がっていないが、その代わりAppleのスマートスピーカーには、WeChatを統合しているTencentのTingtingやAlibabaのTmall Genie、Baiduの複数機種、MobvoiのTicHome Mini、XiaomiのBluetoothスピーカーMiなど、中国国内産のコンペティターがとても多い。

しかも、これらのスマートスピーカーのうちいくつかは、HomePodよりすごくすごく安い。たとえばTmall GenieやTingting、そしてBaiduのXiaoduはどれも、約15ドルのディスカウント価格で売られている。しかし相当な高価格のHomePodは、iOSのユーザーにとってはそれでも魅力的だろう。Samsung, Huawei, Xiaomiなどとの厳しい競争にさらされながらも、GartnerによればAppleは、2018年の第二四半期で11.9%のマーケットシェアを中国で確保している

HomePodはまずアメリカとイギリスとオーストラリアで2月にローンチし、その後フランス、ドイツ、カナダ、メキシコ、そしてスペインへと展開していった。〔メキシコ、スペインは10月下旬、日本に関してはまだ発表なし。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iOSの最新アップデートでFaceTime通話時のカメラ切り替えが前のようにワンタップで可能に

iOS 12になってからAppleは、FaceTimeしてるとき前カメと裏カメを切り替えるボタンを隠してしまった。前はワンクリックで済んだことが、突然メニューの中へ押し込まれて、ユーザーが通話時に5,6回は使うもの、ではないものにされてしまった。

この変更が嫌いな人に、良いニュース。Appleはそれをアンドゥーしたのだ。

今日(米国時間12/5)リリースされたiOS 12.1.1では、切り替えボタンがメインの通話画面に戻ってきた。なにしろ、あの変更によって、誰かが必ず、“ちょっと待って。どうやって画面を変えるの? どうなってんだい? あのボタンはどこへ行ったの?”、と言うようになった。だから元に戻ったことによって、おかしな通話はなくなるね。

さらにこのバージョンでは、1対1のFaceTime通話をしてるとき、Live Photoを撮れるようになった。ただし両者がこの機能をonにしてるとき。チャットしてる途中にLive Photoなんか撮りたくないって? そんな人は、FaceTimeの設定でそれを無効にできるんだ。

この二つ以外でも、今度のバージョンでは既存の機能が磨かれている。パッチノートから引用すると: Wi-Fiで通話しているときでもリアルタイムテキストができる; デュアルSIMが新たに追加したキャリアでもサポートされる; iPadのNewsアプリでサイドバーを隠せる; その他のバグフィクスとパフォーマンスアップ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、iPhone XRの純正クリアケース発売開始――これできれいなカラバリを自慢できる

iPhone XRはカラフルな製品だ。ホワイトとブラック以外にブルー、イェロー、レッド、コーラルと6色から選べる。せっかくのカラーバリエーションなのに、平凡な不透明なケースを買ってしまったらバカというものだろう。保護機能は果たすものの、フレッシュなボデイーカラーが見えなくなってしまう。

というわけでAppleは純正のクリアケースの販売を開始している。さすがAppleで要するにスマートフォン用ケースに過ぎないのだが、キャッチコピーはなにかスペシャルなプロダクトだと思わせる。「(XRの)魅力的なデザインを楽しみたいなら、薄くて、軽くて、持ちやすいこのケースがおすすめ」だそうだ。

ボタンやカメラの位置にぴったりフィットするだけでなく、ケースの内外に傷に強いコーティングがされているという。iPhoneをケースに入れたままi充電器の上に置くだけでワイヤレス充電をするのも便利そうだ。

Appleの位置付けではiPhone XRはiPhone XS Maxの下位モデルだが、ケースの価格は39ドル〔日本では税別で4500円〕だ。下位モデルといってもiPhone XRの市販価格は749ドルからと絶対的にはそう安くはない。ちなみに、iPhone XSは999ドルから、iPhone XS Max,は1099ドルからとなっている。.

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滑川海彦@Facebook Google+

Verizonと並びAT&TもSamsungの5G機を来年前半にリリース、もうひとつ別の5G機も

Samsungは昨日(米国時間12/3)、来年の前半に5Gの携帯を市場に投入すると発表し、キャリアとしてVerizonの名を挙げていた。しかし今朝はAT&Tが慌(あわ)ただしく、まだ名前のないそのスマートフォンを2019年の前半に提供開始する、と声明した

翌日版となったそのプレスリリースでAT&Tは、Verizonと同じく、ハンドセットに関する情報よりも、二社が関与したことに関する自画自賛を強調している。AT&Tは5Gの、“まだ誰も見たことのないような技術”を訴え、“顧客には最良のテクノロジーとイノベーションを提供する”と誓っている。

同社はまた、Samsungの無名機は同社が最初に計画していた5Gデバイスではない、と急いで加筆している。その名前は同社が10月に発表したモバイルのホットスポットの名前でもあるらしい。そのリリースの日程は発表されていないが、それもまた2019年の前半と見るのが、妥当なところだろう。

昨日も書いたように、OnePlusやMotorolaも来年の同じ時期に5Gハンドセットをリリースする、とすでに約束している。一方AppleのiPhoneが5Gに対応するのは、2020年だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple MusicがAndoidタブレットでもネイティブ対応

Apple MusicをAndroidタブレットに載せることは、おそらくAppleにとって最優先課題ではなかったのだろうが、Android携帯のサポートを開始してから3年、大画面にも愛が注がれる。

このアップデートを最初に見つけたのは9to5macで、現在はGoogle Groupベータテスターにのみ提供されているが、2.7アップデートが公開されれば広く行き渡るはずだ。タブレット向けの新デザインでは、大画面を活かしたナビゲーションに改訂されている。

Appleは今年9月の主要アップデートでAndroid Autoに対応した。同社がGoogle製品のネイティブサポートを進めるにつれ、Google Homeにはいつ対応するのかが気になってくる。 つい先日同社はAmazon EchoにApple Musicがやってくることを発表しており、Musicサービスを提供するプラットフォームに関して広く受け入れているる様子がうかがわれる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple MusicがAmazon Echoにやってくる

12月中旬、Amazon EchoスピーカーでApple Musicの 曲を流せるようになる。たぶん、ちょっとした驚きだろう。2017年にHomePodを発売して以来、Appleはこの分野のライバルだ。

Amazonも独自の音楽サービスをしばらく提供してきているが、この分野で本格的に戦うことは諦めたように見える——少なくとも今のところは。代わりにEchoスマートスピーカーは、Pandora、Spotify、iHeartRadio、TuneInなどの幅広い実績あるストリーミングサービスにネイティブ対応している。

新しいスキルを使うと、ユーザーは特定の楽曲、ジャンル、プレイリスト、およびBeats 1ステーションをスマートスピーカーで聞くことができる。Apple Musicに対応することで、人気のスマートホーム製品はをまたひとつ急成長のサービス利用できるようになる。

Apple Musicは、今年定期購読者数5000万人を突破した。これでもまだ、7月に有料購読者数8300万人超えを発表したSpotifyには遠く及ばないが、AmazonにとってGoogle Home製品に対する強みが増えた。特にここ米国には大量のApple Musicの定期購読者がいる。

Appleにとっても、この提携によってApple Musicを利用できるデバイスが一気に増える。HomePodは現在349ドルで売られており、入門モデルのEcho Dotと比べて数倍高い。新しいスキルは、12月7日の週にEchoスピーカーにやってくる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

販売不調の報道にApple VP曰く、iPhone XRは今いちばん売れているモデル

先週WSJが報じた、Appleの最新iPhoneシリーズの売れ行きが不調でiPhone XRを減産したというニュースを受け、AppleのVPはXRが現在もっとも売れているモデルであると語った。

これは、Apple VP Greg JoswiakがCNETのインタビューに答えたものだ。あまり内容のある発言ではなく、同機種が「発売以来ずっと最人気iPhoneである」と言っただけだ

JoswiakはWSJの記事について具体的にはコメントしなかった。他のiPhoneモデルと比較したXRの販売状況を言われても、具体的な数字なしではあまり情報はない。

749ドルのXRが現在売られているiPhoneのなかでベストセラーであるとしても驚くには当たらない。低コストでほとんど性能を犠牲にしていない大衆向け製品として発売された製品だ。同社のiPhone XSは999ドルで売られており、前の世代の機種も低価格で引き続き売られている。

このインタビューで興味深いのは、これは従来四半期決算報告書にかかれていた情報の断片にすぎないのだが、Appleは最近今後そのデータをを公開せず、iPhone全体の売上だけを公開すると決定したからだ。言い換えると、これはiPhone売上のモデル別詳細を明らかにする動きなのかもしれない。

同社は今後販売台数を公表しない理由について、つまるところ会社の健康状態を必ずしも反映しないからだとしているが、この発言がなされたタイミングは、アナリストがXRの需要が落ち始めたと確信したときだった。

Appleの株価は最近の決算報告以来約20%急落している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルのAppStoreと30%の手数料は独占禁止法違反?米最高裁にて審議がスタート

eng-logo-201511月26日(米現地時間)、米最高裁にてアップルのAppStoreとアプリ価格の30%もの手数料が独占禁止法違反に当たるか否かを審議する一環として、口頭弁論が行われることが報じられています。

今回の審議は、すでに今年6月に実施が決まっていたもの。議論の入り口は、まず「原告の消費者団体が、独占禁止法によりアップルを訴えられるのか」という当事者適格が問われることになります。

2008年のサービス開始以来、アップルはAppStore以外でのアプリ配信を認めていません。これが独占禁止法違反に当たるとして、初めて訴訟が提起されたのが2011年のこと。原告はアップルがアプリ販売価格の30%もの手数料を徴収していることを、独占権の行使だと主張しています。

2013年にはカリフォルニア州の連邦裁判所は、独占禁止法には当たらないとして訴えを棄却。そして昨年、サンフランシスコの第9巡回控訴裁判所が判決を覆し、アップルが独占禁止法に抵触しているとの判断を下しました。さらにアップルが訴訟の棄却を求めて上訴した結果が、今回の最高裁での審議というわけです。

そもそもアップルが「原告である消費者団体が、独占禁止法に基づいて訴えることができない」と主張する根拠は、1977年の米最高裁によるイリノイ・ブリック判例(Illinois Brick Doctrine)です。

米Reutersによれば、判例に基づくアップルの主張は「独占禁止法違反による損害賠償の訴える原告適格は、直接に代金を支払った者に限られており、間接的に負担した者は含まれない」とのこと。

これは要するに「アップルは開発者を代理してアプリを販売しているが、自らがアプリを買い取って再販売しているのではない」ということです。アップルが徴収した手数料がアプリ価格に上乗せされたとしても、あくまで消費者は開発者からアプリを買っている…..という論理となります。

アップルは、こうした訴訟が米国内で年間数億ドルもの電子商取引を脅かす可能性があるとコメント。さらにトランプ大統領もアップルを支持していることに加えて、全米商工会議所も「訴訟のリスクとコストの増加は、技術革新を減速させ、商取引を阻害し、開発者や小売業者、消費者にダメージをもたらすだろう」との声明を発表しています。

このためアップルが敗訴する可能性は低いと思われますが、今回の訴訟が一部の動きに限られるのか、全世界に渦巻く不満の中で氷山の一角に過ぎないのかは不明です。

2016年にはAppStoreの月額課金制に関して手数料のルールが改訂されましたが、今回の訴訟がアップルのビジネスモデルに及ぼす影響を見守っていきたいところです。

Engadget 日本版からの転載。

AppleはSilk Labsを買収して次世代のAIに焦点を絞る

最近の調査によると、AppleのHomePodは、ホームハブとして市場が倍増している米国内のスマートスピーカーの市場シェアで、AmazonとGoogleから大きく引き離された3位となっている。シェアは、5%にも満たない。そして、そのフラグシップのパーソナルアシスタントSiriも、理解力と精度においてGoogleに遅れをとっていると見なされてきた。しかしAppleは、さらにAIを強化し、次世代の製品の中心に据えることを目指していることがうかがえる。そしてその動きは、買収によって加速されているように見える。

The Informationによれば、Appleはサンフランシスコを拠点とするスタートアップ、Silk Labsを密かに買収したようだ。同社は、ホームハブとモバイル両用の、AIベースのパーソナルアシスタント技術を開発している。

Silkのプラットフォームには、他のアシスタント技術とは異なる、2つの注目に値する部分がある。1つは、時間の経過とともにユーザーのことを(聴覚と視覚の両方を使って)よりよく学習し、振る舞いを修正すること。もう1つは、デバイス単独で動作するように設計されていることだ。つまり、「常時オン」のスピーカーがいつもユーザーに聞き耳を立て、デバイス内で何か処理しているというプライバシー上の心配や、クラウドとネットワーク技術による制約を受けるといった懸念を払拭できる。

Appleは、まだ取材に応じていないが、少なくとも何人かのSilk Labsの従業員が既にAppleで働いているようだ(LinkedInによれば、Silk Labの9人のエンジニアリング系の社員がそれに含まれている)。

つまり、まだこれが完全な会社の買収なのか、人的な買収なのかははっきりしない。もし、新たな情報が得られれば、この記事をアップデートするつもりだ。しかしそのチームを(そしてその技術を)導入するということは、Appleがすでに市場に出回っているようなものとは異なった製品の開発に注力することに関心があり、それを必要としていることを物語っている。

Silk Labsは、Mozillaの元CTOで、結局うまくいかなかったFirefox OSの生みの親、Andreas Galと、Qualcomm出身のMichael Vinesの両氏によって、2016年2月に創立された。ちなみにVinesは、その後2018年の6月、ブロックチェーンのスタートアップ、Solanaに主席エンジニアとして転職している

Silk Labsの最初の製品は、もともとソフトウェアとハ​​ードウェアを統合したものとして計画された。そして、Kickstarterからほぼ16万5000ドルを調達して、Senseというスマートスピーカーを製造し、発売する予定だった。Senseは、接続された家庭用の機器をコントロールし、ユーザーの質問に答え、内蔵されたカメラによって室内を監視し、人間とその行動を認識して学習できることになっていた。

しかし、そのわずか4ヵ月後、Silk LabsはSenseのハードウェアを切り捨て、Silkと呼ばれるソフトウェアに集中することを発表した。それは複数のOEMから、各社のデバイス上でSilkを稼働させることはできないか、という問い合わせを受けていると、Silk Labsが表明した直後のことだった(そして同社はKickstarter以外からも、約400万ドルを調達した)。

Silkには、そうしたOEMに対して、すでに市場に出回っている数多くのデバイスから差別化するため手法を提供する潜在能力はあったのだ。GoogleやAmazonのような製品に加えて、マイクロソフトのCortanaを利用するデバイスなど、そうしたアシスタント機能を搭載したスピーカーはいくつもある。

Silk Labsがハードウェア開発を中止すると発表したとき、一部の商業的なパートナーシップに関して、いくつかの話し合いが進行中だとしていた。また同時に、IoTデバイスを使ったコミュニケーション機能を開発するために、Silkプラットフォームの基本的なバージョンをオープンソースにすることも発表された。

Silk Labsは、そうしたパートナーの名前は明かさなかったが、会社を買収して廃業してしまうことが、技術を1社で独占するための1つの方法であったことは確かだ。

Silk Labsが構築してきたものを、これからAppleの製品、特に同社のスマートスピーカー、HomePodと結合することは魅惑的だ。

具体的に言えば、ユーザーについて学び、インターネットがダウンしていても機能し、ユーザーのプライバシーを保護する。そして特に重要なのは、常時接続された生活において、他のすべてのものを操作するための要となる、より賢いエンジンを提供できることだ。

それは、現在の市場リーダーから、はっきりと差別化できる機能セットを実現するために、おあつらえ向きだろう。特に、最近ますます重要視されるようになったプライバシーを考慮すればなおさらだ。

しかし、現在Appleが取り組んでいるハードウェアやサービスの領域を考慮すると、Silkチームと、その知的財産が、より広範囲のインパクトを持っている可能性を見ることができる。

Appleは、AIに関しては迷走してきた。2011年に音声アシスタントSiriをiPhone 4Sに初めて導入した際は、まだ他に先んじていた。それから長い間、数少ないえり抜きのテクノロジー企業がAIの有能な人材を独占していると人々が嘆くとき、常にAmazonとGoogle(Microsoftはそうでもないが)が引き合いに出された。そうした企業は、他の会社が製品を開発することを検討したり、より大きな規模での開発に関わろうとする余地を、ほとんど残していないというのだ。

さらに最近では、Alexaを搭載した数種類のデバイスを擁するAmazonや、Googleのような会社は、AI技術をコアとし、さらにメインのユーザーインターフェイスとしても採用したコンシューマー向け製品において、完全に他を出し抜いたようだ。Siriは、と言えば、うっかりTouch Barに触れたり、古いモデルのiPhoneのホームボタンを押してしまった場合に起動すると、うっとうしく感じることさえある。

しかし、こともあろうにAppleが、この分野で進むべき道を見失ってしまったと考えるのは、やはり完全に間違っている。この世界最大の会社は、いつも手の内を見せずに密かに行動することで知られているのだ。

実際、いよいよ真剣に取り組み始め、やり方を考え直そうとしている兆候も、いくつかある。

数ヶ月前に、元Google社員のJohn Giannandreaの下でAIチームを再編成した。そのプロセスの中で、若干の才能ある人物を失ったものの、それより重要なことに、SiriとCore MLのチームが、開発ツールからマッピングまで、社内の異なるプロジェクトにも協力して取り組める仕組みができつつある。

Appleは、過去数年間で、大小さまざまな買収を何十と繰り返してきた。それは、拡張現実、画像認識、そしてバックエンドでのビッグデータ処理など、複数の異なる領域で使えるAIエンジンの開発を目指して、有能な人材や知的財産を獲得するために他ならない。さらに、他にもイギリスのVocalIQなどのスタートアップを買収した。ユーザーとのやりとりから「学習」できる、ボイスインターフェイスを専門とする会社だ。

確かにAppleは、iPhoneの販売台数の低減に直面し始めた(単価は高くなっているので収益は減っていないが)。これは新しいデバイスに注力し、さらにその上で動くサービスをより重要視する必要があることを意味するはずだ。サービスはいくらでも拡張し、拡大させることができる。それによって定常的な収益を得ることもできる。それが、Appleがサービスへのさらなる投資にシフトすべき、2つの大きな理由だ。

AIのネットワークが、iPhoneだけでなく、コンピュータ、Apple Watch、Apple製のスマートスピーカー=HomePod、Apple Music、ヘルスケアアプリ、そしてあなたのデジタルライフ全体を支配することが期待されている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Appleのプログレードのビデオ編集ツール=Final Cut Pro X(FCPX)の大きなアップデート

今回のリリースでは、FCPXの多くの部分がより洗練されたものとなっている。中でも最も大きな変更は、さらなる進化を可能にした「ワークフロー機能拡張」だ。これらの機能拡張は、サードパーティのアプリやサービスが、直接FCPXに接続して、ネイティブなインターフェイスと機能を追加できるようにする。

Appleは、以下の3社と協力し、今回のアップデートに合わせて機能拡張を利用可能とした。

  • Frame.io:Frame.ioを使用すると、複数のビデオ制作者の間で、進行中の編集を共有できる。共同作業者は、まとまっていくプロジェクトを見ながら、コメントや、フレーム単位での注釈、思い付いたことを、関連するタイムラインの同期したセクションに書き込むことができる。Frame.ioは、かなり前から、このような機能を独自のアプリで実現していた。この新たなワークフロー機能拡張によって、そうした機能がFCPXに直接組み込まれるので、頻繁にアプリを切り替える必要がなくなる。

  • Shutterstock:撮影するつもりのなかったBロールが必要になった? Shutterstockの機能拡張機能を使えば、ウォーターマークの入った写真/ビデオ/音楽をプロジェクトにドラッグして、仮のものとして使用できる。後でそれらを、ライセンスを受けたウォーターマークのないものに入れ替えるところまで処理してくれる。
  • CatDV:チームとしてCatDVを利用してアセットを扱い、タグ付けしているなら、新しい拡張機能によって、コンテンツカタログに接続し、タグでコンテンツを検索し、プロジェクトに直接取り込むことが可能となる。

FCPXには、以前からプラグイン機能があったが、今回のワークフロー機能拡張は、アプリに組み込まれたインターフェイスと、より密接に結合できるようになっている。サードパーティの拡張機能も、Mac App Storeから直接入手できる。Appleは、新しく用意されたSDKを利用して、誰でもFCPXのワークフロー機能拡張を開発することができるとしている。ただし、今のところは関心のある開発者は直接Appleに連絡するよう求めている。

一方、FCPXには他にも以下のような変更が加えられた

  • 比較ビューアを使用すると、複数のクリップを横に並べて(またはウェブからの参照をドラッグして)色補正やグレーディングの作業が確実にできる。
  • バッチ書き出し機能を使えば、複数のクリップを(あるいは1つのクリップを複数のフォーマットで)同時に書き出すことができる。
  • 新たに開発されたビデオのノイズリダクションエフェクトは、シャープネスを維持したまま粒状感を低減することができる。
  • 想像的なタイニープラネット機能は、360°のビデオを幻想的な球状のビューに変換できる。

Appleはまた、FCPXとは別にApp Storeで販売する2つのアプリ、MotionとCompressorにも同時にアップデートを施した。Motionは、タイトルとトランジションを構築するためのApple製のツールだ。より高度なカラーマネージメントツールを備え、あらゆるグレーディングを適切に調整できるようになった。また、新たなコミックブック調のフィルタや、Final Cutに組み込まれたのと同様のタイニープラネット機能も装備した。Compressorは、ビデオをエンコードして配信するための準備を整えるためのツールとして、Appleが専用に開発したものだ。新しい64ビットエンジンに移行したものの、今のところ32ビットのファイルフォーマットでも動作するようになってる。字幕をビデオに直接焼き込む機能も搭載し、ついにSRTフォーマットの字幕ファイルもサポートした。これは、SRTしか受け付けないFacebookに、FCPXから直接アップロードしたいという人には特に便利だ。

すべてのアップデートは、既存のユーザーには無料で提供される。新規のユーザーには、Final Cut Pro Xは300ドル(訳注:日本のMac App Storeでは3万4800円)、MotionとCompressorはそれぞれ50ドル(同6000円)で販売される。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

「ヘイ、Siri, オーケー Google」でアシスタントを起動できる――ただしプライバシーには十分注意

AppleはライバルがSiriのショートカットをこんなふうに利用するとは予想していなかったに違いない。しかしiPhoneに「ヘイSiri, オーケーGoogle」と呼びかけることでGoogleアシスタントを起動できる。

ただし設定には多少手間がかかる。まずiOS版のGoogleアシスタントをアップデートして最新版にする。次に Google Assistant起動のためのSiriショートカットを作成する。

名前のとおりSiriショートカットを利用すればカスタム・フレーズを録音して音声で特定のアプリないし機能を起動することができる。またSiriのショートカットでプレイリストを再生させたり、誰かにメッセージを送ったりすることも可能だ。もしいくつかの動作を連続して実行させたい場合はAppleが提供するショートカットを使う。

Googleアシスタントの起動はデフォールトでOK Googleに設定されているが、ユーザーは自分の好みで「ねーGoogle」などに変えることができる。フレーズを設定してSiriに呼びかけるとGoogleアシスタントが立ち上がる。

最初のトライでiPhoneまたはiPadのiOSにアプリを開く許可を与える必要があるかもしれない。Googleアシスタントが起動されると自動的にコマンドの聞き取りモードで待機する。アプリが立ち上がってから聞き取り可能になるまでわずかに時間がかかるので、その後で呼びかける。

ここまで手間をかけるユーザーがどのくらいいるかはともかく、「ヘイSiri、オーケーGoogle」でGoogleアシスタントが起動するのはやはり面白い。

ちなみにGoogle Assistantはプライバシーの点からは最悪アプリの一つだ。このアプリは例の 「ウエブとアプリのアクティビティ」を有効にするよう求めてくる。この機能はあらゆるプライベートな情報を収集することで悪名高い。有効になっている場合、Googleは検索履歴、Chromeのブラウズ履歴、位置、クレジットカードの履歴その他ありとあらゆる履歴を集めることができる。.

もし有効にしていない場合、目立つ青いバナーがアプリの下に表示され、「ウェブとアプリのアクティビティを有効にするとアシスタントでさらに多くの機能をアンロックできる」と勧めてくる。心理的トリックでユーザーに特定の行動を取らせることを企むダーク・パターンUIの例だ

クリックするとキュートなアニメが表示されるが気を取られてはいけない。内容が肝心だ。表示されるボタンはMoreしかない。Moreボタンをクリックするといつの間にか「オンにする」に変わっている。たいていのユーザーは左の「今はしない」ボタンに気づかないだろう。

これは古典的なトリックだ。相手が常にイェスと答えるような質問をいくつか続ける。相手はいつの間にかイェスと答えるのに慣れてしまい、最後の質問にもイェスと答えてしまう。これが「スタート」だの「さらに詳しく」だのと表示されたボタンの意味だ。なんども「さらに詳しく」ボタンをクリックしていると最後のボタンの内容に納得していなくてもついクリックしてしまうことになる。もし「無効にする」ボタンを選択すると、「本当によいですか」とうるさく尋ねてくる。

無名のゲーム・アプリからAmazon、Googleまでユーザーを誘導するデザインをひんぱんに使っているので、ことプライバシーに関してユーザーは自分が何をしているのか十分に意識する必要がある。

〔日本版〕日本版iOSでも上記手順で設定できる。手持ちのiPadの場合、電源が接続されている場合は「ヘイSiri」と呼びかけるだけで起動される。接続されていない場合はホームボタンを押して「へいSiri」と呼びかける。Siriが起動した後、「オーケーGoogle」と呼びかけるとGoogleアシスタントが起動する。利用法はGoogle Home/Miniと同様だが、常に身近に置かれるモバイル・デバイスの場合は上記記事のようにプライバシーに注意する必要がある。

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滑川海彦@Facebook Google+

ジョニー・アイヴ、iPhoneのマルチタッチや創造プロセスを語る。「Macを開発した人と確かな繋がりを感じた」

eng-logo-2015MacやiPod、iPhoneなど数々のアップル製品を手がけたジョニー・アイヴ氏が、英ケンブリッジ大学にて講演会を行ったことを海外メディアが報じています。この講演は、今年9月にアイヴ氏がスティーブン・ホーキング・フェローシップを受賞したことを記念したものです。

講演の内容は、アイヴ氏とMacとの出会いや入社後のキャリア、手がけた技術やデザイン、創造のプロセス全般といった多岐にわたる話題に及んでいます。

アイヴ氏は大学でインダストリアルデザインを学んだものの、技術には苦手意識があったとのこと。しかし、アップルのMacとの出会いがすべてを変えたと語っています。

1988年に出会ったMacでは、2つのことを学びました。1つは、実際に使いこなせるということ。Macを使うのが大好きで、デザインや作成に役立つとても強力な道具となりました。もう1つは……デザインを4年も勉強してから分かったと認めるのは恥ずかしいのですが、創られたものは、創った人が何者かを語っていると分かったことです。

製品とは、創った人の価値観や考え方を形にしたものです。私はMacを使って、実際にMacを開発した人たちと確かな繋がりを感じました。初めて、機能的なものを超えて明らかな人間性と思いやりに気づいたんです

そしてアイヴ氏は、初代iPhoneの最重要テクノロジーと言えるマルチタッチの開発に言及。このインターフェース開発が2002年から2003年頃に始まったことから、2008年のAppStoreに至った経緯を振り返っています。

それはマルチタッチと呼んだプロジェクトでした。このインターフェイスを初めて体験したときのことを覚えている人もいるかもしれません。おそらく、それは初代iPhoneやiPadだったでしょう。しかし、元々マルチタッチの狙いは、画像をズームしたり指でフリックできるという風に、コンテンツに直接触れたり対話する機能だったんです。

重要なのは、(マルチタッチが)独自のインターフェイスを持つアプリケーションを作成できる場となったことです(中略)。私達はアプリケーションを具体的で魅力があり、使いやすいものにできました。そうして膨大な数のアプリの可能性が明らかになり、AppStoreのアイデアも浮かび上がってきたわけです

アイヴ氏がアップル製品と出会って30年近くが経ちますが、いまだに衰えを知らない創造への意欲も語られています。

今でも創造的なプロセスには惚れ込んでいますし、畏敬の念さえ抱いていますよ。私は予測不能なことと驚きが大好きなんです。創造のプロセスは、全てがとても恐ろしくて先が見えません。でも、(休み明けの)月曜日には大好きになってる。アイディアも何もなく、会話もなく部屋も静かで、もちろん描かれた絵もない。試作品は、将来にしかないんです。月曜日には何もないが、水曜日には存在している。部分的なものであれ、暫定的なものであれかまいません。問題は、何週目の水曜か?ということです

そしてアイディアを生み出す「好奇心」と、それを製品に導入するための現実的な「解決策」は、得てして矛盾しかねません。そんな創造を巡る葛藤について、アイヴ氏は次のように述べています。

正直なところ、私は仕事の2つの方法、2つの両極にあるやり方について、確たる考えはありません。一方では絶えず疑問を抱き、驚きを愛し、好奇心で夢中になりながら、他方では集中力を振り絞って、たとえ前例や参考になる事柄がなかったとしても、克服不能な問題を解決しようと力を注がなければならない。

そうした好奇心と解決方法を両立するという、難しい問題を解決するためには新しいアイデアが必要となり、アイデアをひねり出すにはオープンな好奇心を持っていなければなりません。数年にもわたるプロジェクトでは、そうした考えの切り替えは1回か2回ではすみませんね。1日に1〜2回は起こることもありますし、「好奇心と解決方法」の2つを行き来するのはとても厄介ですよ

一時はデザインの現場から離れてCDO(Chief Design Officer)職についていたアイヴ氏ですが、2017年末にはデザインチームの陣頭指揮へと復帰。アイヴ氏が設計から建設まで関わっていた新社屋アップル・パークはスティーブ・ジョブズ・シアターをはじめ驚きに満ちていますが、今後は再び目をみはるようなデザインのアップル新製品が登場するのかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

Appleのクリスマス広告は美しい短編アニメだった――内気な少女が分かち合うことの大切さに気づく

Appleはいつもクリスマス・シーズンの広告には力を入れている。今年のクリスマス広告はキュートな短編アニメだった。 ピクサーのアニメにウェス・アンダーソン監督のタッチを加えたような仕上がりだ。

この短編は「贈り物を分かち合おう」(Share Your Gifts)と名付けられている。夢見がちなティーンエージャーの女性が主人公で、MacBookを使って何かを作っている。われわれにはそれが文章なのか詩なのか絵なのかわからない。

ともかく彼女は出来たものが気に入らず、プリントアウトをいつも緑色の箱に入れてしまう。紙が溜まりすぎてとうとう蓋が閉まらなくなる。

冬の寒い夜、彼女の愛犬がうっかり窓を開けてしまう。プリントアウトは窓から飛び出して宙を舞う。人に見られてはたいへんだと主人公は紙の後を追いかける。

最後に主人公は「分かち合う」ことの大切さを知る。美しく描かれているが、実際これは多くのクリエーティブな人々の実感をよく現していると思う。Instagram全盛の時代ではあるが、自分自身を深いところから表現する作品を公開することにはためらいを感じるものだ。

昨年までの広告と比べてサウンドトラックの雰囲気は大きく違う。これは16歳のシンガーソングライター、ビリー・アイリッシュが担当しているからだ。若い世代のアーティストの多くと同様、アイリッシュも両親と暮らす家のベッドルームでMacを使って作曲を始めた。この歌は兄弟の俳優、歌手のFinneas O’Connellとの共作だという。

面白いことに、今年の広告にはiPhoneもiPadもApple Watchも登場しない。 登場するのはMacだけだ。AppleにとってMacはきわめて重要なプロダクトだということを訴えたいようだ。ともあれ、ティム・クックはこの秋のビッグイベントでそう語っていた。

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滑川海彦@Facebook Google+

利上げと貿易戦争の激化への懸念でテクノロジー企業の株価が急落、グローバルなサプライチェーンにも影響が波及

テクノロジー企業の株は、今日(米国時間11/19)の取引でめった打ちにされた。アメリカと中国の貿易戦争が激化し、金利が上がるとの予想から、不安に駆られた投資家たちが売りに転じたためだ。

多くの大手テクノロジー企業の株式が取引されるナスダック総合指数は、219.4ポイント(3%)下げて7,028.48になり、一方ダウ平均は395.8ポイント(1.6%)下げの25,017.44になった。

Facebook, Alphabet(Googleの親会社), Apple, Netflix, そしてAmazonはすべて弱気市場に落ち込み、株価は軒並み20%以上落ち込んだ。CNBCの分かりやすいグラフ(下図)を見ると、そのことがよく分かる。

テクノロジー株の苦境は、貿易戦争だけが原因ではない。Facebookの株は、アメリカの選挙へのロシアの妨害に対する、同社のまずい対応を詳細に報じたThe New York Timesの爆弾記事に叩かれた。投資家たちは、コンテンツ管理の今後の費用増大により同社の利益が縮小することを懸念したらしい。

Appleの株価は、iPhoneの売上が同社が予測したほど明るくないとの報道で下げたが、ホリデーシーズンには盛り返すだろう。しかしThe Wall Street Journalによると、将来の売上の不確実性によりAppleは、iPhoneのすべての新機種の目標値を切り下げたという。

同紙によると、最近の数週間でAppleは、9月に発表した新機種すべての生産発注量を減らし、それの影響がサプライチェーン全域に波及した。たとえばiPhone XRは、当初の7000万台から1/3切られ、サプライヤーへの発注もそのぶん減らされた。

サプライチェーン全域への波及効果により、サプライヤーとコンペティターもその多くが株価を下げた。

しかしアメリカ政府による中国との貿易戦争の拡大は、Appleに限らずテクノロジー産業全体の不安要素であり、高関税がサプライチェーンに及ぼす影響と価格の高騰が懸念されている。

MarketWatchによると、大手経営コンサルタント企業Independent Advisor Alliance(IAA)の投資担当最高責任者(CIO)Chris Zaccarelliの説では、貿易戦争の圧力に金利の問題と成長のグローバルな鈍化が加わって、テクノロジー株を下げている。

Zaccarelliは曰く: “テクノロジー業界は今後も、金利の上昇、グローバルな経済成長への不安、そして貿易をめぐる中国との緊張関係という三重の十字砲火にさらされ続けるだろう。中国との貿易戦争の懸念は大手テクノロジー企業が依存しているグローバルなサプライチェーンに対する重荷になり、さらに経済成長のグローバルな鈍化により、将来の収益も低くなる、との不安が広まっている”。

画像クレジット: Hiroshi Watanabe

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

3GSが「最も儲かるiPhone」だった?アップルの利益率が低下傾向にあるとのウワサ

eng-logo-2015年を追うごとに高価になっている印象のあるiPhoneですが、実はアップルの利益率はピーク時から下がっているとの分析が報じられています。

米テックニュースサイトThe InformationがTechInsightの計算したデータを元に作成したチャートによると、利益率がピークに達したのは2009年に発売されたiPhone 3GSだったとのこと。ここ数年のiPhoneは、小売価格が上がっている一方で利益率は60%前後に横ばいという、興味深い傾向が見て取れます。

The Informationの作成したチャートは、2007年発売の初代iPhoneから2018年のiPhone XSまで、毎年の代表的デバイスの小売価格および部品コストの棒グラフと、その利益率(小売価格-部品コスト/小売価格)の折れ線グラフを併記したもの。年々の端末価格と利益率の変化が分かりやすく確認できます。

このチャートでは、アップルの利益率はiPhone 3GSでの74%を頂点として、全体的には緩やかに低下。そして最低の利益率は、iPhone SEの53%となっています。2016年3月に発売された当時の価格は399ドルで、構成パーツの合計は186.70ドルということで、廉価モデルは利ざやの旨味が少ないようです。

一方、2016年のiPhone 8から2018年のiPhone Xまでの利益率は、およそ60%前後といったところ。つまりiPhone 3GS当時よりも「価格に対して高価な使用パーツ」ということで、製造コストをそのまま価格に反映しているわけではないことが伺えます。

とはいえ、このチャートには「アップルが、各モデルのストレージ容量ごとの差額でどれだけ儲けているか」は反映されていません。たとえばiPhone XS Maxの64GB版と512GB版の価格差は350ドルに対してコストは109ドル増に留まり「1台あたり241ドル余分に儲かる」との試算も報道されていました。

さらに今年2月、投資会社Canaccord Genuityは、アップルのiPhoneが全世界スマートフォン出荷台数の17.9%に過ぎないにもかかわらず、業界全体の87%もの利益を上げていると分析していました。

今回のチャートに反映されていない、製造コストの下がった旧モデルのiPhone(2018年であればiPhone 7やiPhone 8など)が、アップルの高収益体質を根強く支えているのかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

Luna DispayはiPadをMac Miniのメインディスプレイにできる――WiFiアダプターに便利な機能があった

AstropadLuna DisplayはMacbook用のWiFiディスプレイ・アダプターだが、使いみちはノートだけではなかった。この小さなガジェットをMac Miniのポートに挿すとiPadをメインディスプレイにできる。

Luna DisplayはMacbookの画面を拡張するのが主たる目的だ。デスクトップの大きな画面に慣れているユーザーは出先でMacbookを使うと、13インチだろうと15インチだろうと、狭さを感じてしまう。Luna DisplayをMacbookのポートに接続すればiPadを第2のモニターにできる。われわれもテストしてみたが非常に便利だった。

しかしLunaの開発チームはさらに面白いことを考えていた。Mac Miniのユーザーの多くは単独でテレビの下、戸棚の奥、ルーターの近所などにしまってミニサーバーとして使っている。この場合Mac Miniにはディスプレイもキーボードも接続されていない。

操作の必要があるときはスクリーン共有かVNCクライアントの機能を利用することになる。安全な接続のためには情報を暗号化してやりとりするSSHアクセスを利用する必要がある。

しかしLuna DisplayはMac Miniでも期待されるとおり動作する。iPadにLunaアプリをインストールしてからMac MiniのThunderbolt 3ポートにドングルを挿すと、iPadがメインのディスプレイとして機能する。Mac MiniにキーボードとマウスがBluetoothで接続されていれば、その動作もiPad上で見ることができる。

さらにWi-Fi経由でソファに寝転がってMac Miniを操作することも可能だ。iPadがmacOSで動くようになったような使用感だ。Luna Displayは当初、Kickstarterのプロジェクトとして始まったが、現在は80ドルで市販されている。

もちろんMac Miniを毎日何時間も使う予定なら専用のディスプレイを接続すべきだろう。しかしMac Miniの動作をチェックし、簡単な修正を加える程度ならLunaは十分な機能がある。

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滑川海彦@Facebook Google+