VMwareがついにクラウドサービスを提供、しかもAWSとのパートナーシップのもとで

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AmazonのAWS部門とVMwareが今日(米国時間10/13)晩(おそ)くサンフランシスコでパートナーシップを発表する。しかしVMwareが誤って、今日の発表声明をポストしたために、今日の午後を待たなくても、内容が分かってしまった〔下にその英文の全文〕。

AWSとしては、エンタープライズの顧客獲得でなお一層優位に立ちたい。一方VMwareは、仮想マシン技術におけるリーダーシップを失いたくない。そこでVMwareとAWSは、VMwareのソフトウェア定義データセンターのソフトウェアを、‘VMware Cloud on AWS’という呼び名で、AWSへ持ち込むのだ。

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これにより、VMwareのインフラストラクチャソフトウェア、vSphere, VSAN, NSXなどがAWS上で動くことになる。そのサービスは現在、テクノロジープレビューの段階で、2017年の初頭には招待制のベータへ移行する。ベータの終了は、2017年半ばを予定している。

サービスの運用と販売とサポートはAWSではなくVMwareが行うが、ストレージ、データベース、アナリティクスなどの周辺的サービスはAWSを利用する。

発表声明の中でAWSのCEO Andy Jassyはこう述べている: “顧客の要望でつねに多いのが、既存のデータセンターへの投資とAWSを、より容易に両立併用したい、というものだ。多くの企業がすでにVMwareを使って仮想化を行っているが、このたびVMware Cloud on AWSが提供されることによって初めて、既存のVMwareツールをAWS上で使うことにより、一貫性があってシームレスなハイブリッドIT環境を運用できる。そのためのカスタムハードウェアの購入や、ソフトウェアのリライト、運用モデルの変更などは、いっさい必要ない”。

今日の発表イベントで両社は、初期の顧客を数社紹介した。その中にはWestern DigitalやSyscoがいる。

両社は、これがあくまでも共同で構築したサービスだ、と強調し、“両社からの技術、運用、および営業の各面における大きな投資の成果だ”、という。それはAWSが用意し、“この目的のために特製した”、専用のインフラの上で動く。VMwareのCEO Pat Gelsingerも今日、このサービスの構築における両社の緊密な協働を強調し、これがVMwareのメインのパブリッククラウドソリューションになる、と持ち上げた。

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VMwareのMark Lohmeyerは、今日の発表声明でこう書いている: “現在はテクノロジープレビューであるVMware Cloud on AWSは、VMwareのエンタープライズ級のソフトウェア定義データセンターのソフトウェアをAWSのクラウドに載せ、顧客がvSphereベースのプライベート/パブリック/ハイブリッドの多様なクラウド環境を横断して、どんなアプリケーションでも動かせるようにする。それをVMwareがオンデマンドの柔軟性に富むスケーラブルなサービスとして運用、管理、および販売し、併せて顧客は、デベロッパーツールやアナリティクス、データベースなど、AWSのサービスを利用できる”。(この発表文は、その後削除されている〔後述〕。)

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企業が自前のデータセンターとパブリックなクラウドサービスの両方を利用する、いわゆる“ハイブリッドクラウド”を、MicrosoftやIBMなどは重視しているが、Amazonはその市場をほとんど無視してきた。

VMwareはこれまで、企業のオンプレミスのデータセンターの多くを支配してきたが、それらの企業のハイブリッド指向を支えるパブリッククラウドサービスが自分にはない。一方AWSは、そのサービスのオンプレミスバージョンを提供していない。この二つの企業がタッグを組むのは、きわめて理にかなっている。

VMwareも発表声明の中で、このパートナーシップが可能にするハイブリッド方式を強調し、“データセンターとAWSのクラウド両者間における、VMの完全な互換性と、ワークロードの全面的なポータビリティを実現する”、というメリットを述べている。

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なお、AWSはすでに、仮想マシンを管理するためのVMware vCenterの部分的サポートを提供している。そのおかげでvCenterのアドミンはかなり前から、VMwareの仮想マシンを管理するときと同じソフトウェアを使って、AWS EC2のクラウドコンピューティングインスタンスを管理できている。既存の仮想マシンをEC2に移動させることが比較的容易なのは、このサービスがあるおかげでもある。

今日の発表に先立つ一連のメールでIBMは、VMwareとIBMはすでにチームを組んでおり、そのパートナーシップは2月に発表した、と述べている。しかし内容豊富なのは、今回のAWSとのパートナーシップだろう。

VMwareがブログで勇み足した発表はいったん削除されたが、今日の午後、AWSのプレスカンファレンスがスタートすれば再掲されるだろう。以下が、そのブログ記事の全文だ:

〔以下、英文ママ(主要な概要は上記記事で紹介されている)〕

By Mark Lohmeyer, Vice President, Products, Cloud Platform Business Unit, VMware
Today, VMware and AWS are announcing a strategic partnership that brings the two leaders in Enterprise IT together to deliver a vSphere-based cloud service running on AWS. This service will make it easier for customers to run any application, using a set of familiar software and tools, in a consistent hybrid cloud environment.

The Power of VMware on AWS

Currently in Technology Preview, VMware Cloud on AWS, will bring VMware’s enterprise class Software-Defined Data Center software to the AWS cloud, and will enable customers to run any application across vSphere-based private, public and hybrid cloud environments. It will be operated, managed and sold by VMware as an on-demand, elastically scalable service and customers will be able to leverage AWS services such as developer tools, analytics, databases, and more.
This jointly architected service represents a significant investment in engineering, operations, support and sales resources from both companies. Designed to deliver a great customer experience, the service will be optimized to run on dedicated AWS infrastructure purpose-built for this offering. It will deliver the power of VMware’s SDDC infrastructure software across compute, network, and storage (with vSphere, VSAN, and NSX) while providing access to advanced AWS services, backed by an integrated customer support experience. Invite-only betas are expected to start in the beginning of 2017 with availability expected to be in the mid-2017 time-frame.

Customer Benefits

Customers can realize significant benefits from this service that combines the best of VMware and AWS, including:
  • Best-in-class Hybrid Cloud Capabilities: Enterprise class application performance, reliability, availability and security with the best-in-class VMware technologies, all optimized to run on AWS, the leading public cloud provider.
  • Operationally consistent with vSphere: With VMware Cloud on AWS, your private data center integrated with the AWS public cloud can be operated using the same vCenter UIs, APIs and CLIs you already know. There’s nothing new to learn, and with vCenter Enhanced Linked Mode, you will have a single pane of glass for managing on-premises and VMware Cloud resources on AWS.
  • Operated and supported by VMware: The service will be operated, sold and supported by VMware. All software components of the service will be fully certified and supported by VMware.
  • Seamless integration with AWS Services: Virtual Machines running in this environment will have access to leverage AWS’s broad set of cloud-based services including storage, database, analytics and more. This will enable a new set of solutions only possible with VMware environments co-existing on the same infrastructure as AWS cloud-based services.
  • Seamless workload portability: Full VM compatibility and total workload portability between the datacenter and the AWS cloud. No complex and time consuming application re-platforming is required. Whether you want to use the cloud as your disaster recovery site, migrate a whole data center, or simply burst to the cloud – you can be confident that your applications will just work.
  • Elastically scalable: The service will let you scale capacity according to your needs. You can scale capacity up and down by adding or removing hosts.
  • No patching or upgrades: The service will remove the burden of managing the software patch, update and upgrade lifecycle for the user. Operating “as a service” means that VMware will take responsibility for ensuring that your environment is always up to date. This means more time to focus on what matters to your business.
  • Subscription-based consumption: Customers will be able to purchase dedicated clusters that combine VMware software and AWS infrastructure, either on-demand or as a subscription service.
If you would like to learn more, please check out additional details at
If you are interested in applying for the beta, please fill out this interest form.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ローカルホストの退場―クラウド移行でIT部門とデベロッパー部門の対立は解消する

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〔編集部〕この記事はCRUNCH NETWORKのメンバーでCodenvyのCEO、Tyler Jewellの寄稿

5年前にマーク・アンドリーセンがソフトウェアが世界を食い尽くすと言ったときにはまだその言葉を疑うものもいた。しかし今やほとんどすべてのビジネスがオンラインで提供されるソフトウェアの上で動いている。

こうしてクラウド・コンピューティングは小売から運輸、通信、メディアまであらゆる産業を支える事実上の標準となった。ところがクラウドの進出を拒む基本的な領域がまだ存在する。皮肉にもそれはソフトウェア開発ビジネスだ。クラウドのすべてはソフトウェアで可能になった。ところがそのソフトウェア自体は大部分がオフラインで開発されている。

しかしこの状態も近く変わるだろう。Amazon Web Serviceが最近Cloud9を買収したことでも明らかなように、デベロッパーはクラウドベースのIDE(統合開発環境)に殺到している。クラウド開発はすでにソフトウェア開発の重要部分となりつつあり、非常に控え目な推計によっても60億ドルの産業だ。AmazonからMicrosoft、Googleまでこのことに気付いている。そこでローカルホストからクラウドへのシフトという流れの原動力は何なのか、どんなチャンスが隠されているのか考えてみようと思う。

IT部門とデベロッパー部門の深い溝

ソフトウェア開発がクラウドに移行する原因はIT部門に古くから内在する根本的な対立から生じた。つまりIT部門と開発部門の対立だ。IT部門は安定性、セキュリティー、統制可能性を何よりも重視する。それに対してStephen O’Gradyが「新たなキング・メーカー」 と呼んだ開発部門は、言語、フレームワーク、プロセスを自由に選択することを要求する。この対立は、開発のためのサーバーや新たなソフトウェアに用いられるプログラミングの規格を誰が支配するのかをめぐって強い緊張状態を生む。開発部門がどんな作業にも効率的なマイクロサービスの採用を主張するのに対して、IT部門は長年にわたって試され安定しているが固定的なテンプレートを維持しようとする。

この問題は誰がシステムのルート権限を持つのかというところから発している。開発がオンプレミスで、つまりローカルホスト上で実行される場合、デベロッパーが言語、コンフィグレーション、フレームワークの選択の権限を持っている。しかしローカルホストの能力は規模の拡大や共有の面で限定的だ。そのため大規模なチームや全社的なシステムの構築には適さない。

これまでポピュラーだった代替策は、IT部門が管理する中央集権的なVM(virtual machine)サーバーの利用だ。代表的な例はVDI(Citrix)、Vagrant(HashiCorp)、Skytapなどだろう。しかしVMは高価で大規模な設備となりがちで、共有が難しく共同作業に向かない。誰でもいいがデベロッパーに共有環境の2GBのメモリしかないVMイメージで開発するのはどれほど楽しいか尋ねてみるとよい。

デベロッパーは簡単に拡張できないような環境に置かれるとコンピューターであれコードであれ開発資産を必要以上に貯めこむ傾向がある。しかし現在は 簡単に共同作業の環境を得て生産性をアップさせる方法がある。クラウド・ソリューションの普及により開発作業、資産、プロセスを共有することが以前よりはるかに簡単になった。

われわれはクラウドの「最後のフロンティア」に突入したところだ。この分野で勝つための戦いは始まったばかりだ。

GitHubは共有コードのデファクトの発表先となっている。開発したコードを秘密に保管しておくのではなく、オープンにしてすべてのデベロッパーからのフィードバックを待つことが推奨されるようになった。
プロジェクト管理に問題が起きた場合、AtlassianのJIRAはプロジェクトを共有化することによって解決を図る。【略】

クラウド開発が普及しつつある

Dockerを代表とするようなコンテナ・テクノロジーの発達がバックエンドの開発をアジャイル化に適合させ、大幅に加速している。ワークスペースやランタイムを含めて、今やすべてがクラウド上にある。開発環境のすべてがデスクトップにあったこれまでとはまったく違う。

AWSの最近の動向を見るまでもなく、主戦場はクラウド IDEだ。この分野は延べ数百万のユーザーと莫大な資金を惹きつけている。コンテナをベースにエンベッドされたブラウザ・ツールとホストされたランタイムが利用可能となり、IT部門がコンピューティングのルート権限を維持すると同時にデベロッパーがDockerその他の開発ツールを用いて必要に応じて自由に開発環境を構築することを可能にする。つまりIT部門とデベロッパー部門の理想的な形での分離が実現する。【略】

さらにこうしたトレンドの存在はオープンソースのクラウド開発の普及によっても証拠だてられる。 AmazonはCloud9を通じてAWSで独自のクラウド開発環境を提供する。Google、Microsoft、 Red Hat、SAP、Samsungなどのソフトウェアの巨人は既存の硬直的な開発環境をEclipse CheEclipse Orionを通じて柔軟なオープンソースに置き換えることを検討している。

Red HatはOpenShiftに、SAPはHANA に、SamsungはARTIKにクラウド開発環境をそれぞれ標準として組み込んだ。一方、クラウド開発をさらに柔軟なものにするためにMicrosoftとRed Hatは共同して.netとASP.Netのコアをオープンソース化し、あらゆるプログラマーがプログラミング言語とそのIDEに自由にアクセスできるようにした。こうした有力ソフトメーカーは一見したところではパートナー関係を結びそうに見えなかったが、結局のところカスタマイズ可能な統合された低価格の開発環境が得られる利益の方が競争よりも利益が大きいと悟ったもののようだ。

こうした活動はアジャイル開発という新しい時代の到来を示すものだ。これによって IT部門とデベロッパー部門の長く続いた矛盾が解消され、双方の利益になる。コンテナ化とオープンソース化が開発とテストの効率をアップさせ、共同作業を強力なものにする。

そろそろlocalhostに死亡を宣告していいころだ。 われわれはクラウドの「最後のフロンティア」に突入したところだ。この分野で勝つための戦いは始まったばかりだ。.

画像: Thomas Cole – Clouds, ca. 1838 (modified)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、配送ビジネス化ならライバルに大脅威―AWSの運送事業版はあり得る

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今日(米国時間8/31)のBloombergの長文記事はAmazonの配送事業の拡大ぶりを詳しく描写している。eコマースの巨人は配送処理の中心となる基地、大口航空輸送、「最後の1マイル」の配送手段まであらゆる要素を統合して、史上最大かつもっとも効率的なグローバル運輸ネットワークを完成させようとしている。

「現在でも表面的にはAmazonはFedExやUPSなどの輸送事業者の大口顧客だが、最終的にはロジスティクスのインフラをビジネスに転換するのではないか」とBloombergは推測している。

当初Amazonが自社のeコマース事業のために開発したしたコンピューティングのインフラをAmazon Web Servicesとしてビジネスに転換したのと同じようなことが起こるかもしれない。AWSは今やオンデマンドのコンピューティング市場の大きな部分を占めるビッグ・ビジネスに成長しただけでになくAmazonの事業においても稼ぎ頭となっている。

UPSやFedExなどの運送会社はAmazonのeコマースの急成長から大きな利益を得てきた。しかしその間、輸送能力拡充のために巨大な投資をせざるを得なかったし、Aamazonからの強い値下げ圧力にさらされてきた。一方でAmazon自身も配送の迅速化を求めるプライム・サービスの会員からの圧力を受けている。これはAmazonに配送過程のすべてを独自化させる力となって働いている。

Amazonはこの8月、航空貨物部門としてPrime Airを正式にスタートさせた。40機の機材はAtlas AirとATSG〔Air Transport Services Group〕から2年契約でリースを受けたものだ。 それだけはなく、Amazonは独自の貨物運送用トレーラー開発やFlexと呼ばれるプログラムを推進している。Flexは誰であれ一般のドライバーを「最後の1マイル」の配送に参加させるのが目的だ。

長期的にみると、現在はAmazonのパートナーである運送事業者にはさらに大きな懸念がある。Amazonがドローン配送の実現に向けて力を入れていることは有名だが、自動運転車にも強い関心を寄せており、フィアット・クライスラーその他のメーカーと提携している。

Amazonは巨額の投資を行った事業については、自社内で利用するだけでなく急速に外販に進む。Amazonのビジネス化の能力を軽視するのは危険だ。Amazonは配送に関してますます社内の能力を重視するようになっている。

これは科学的な調査とはいえないだろうが個人的な経験をお話しておこう。Amazonの通販を日頃利用しているが、この数週間、2日以内に無料配送という条件のAmazonプライムで注文した製品はすべてAmazon独自の配送要員が届けてきた。以前はこうした配送はUPSやCanada Postが担当するのが普通だった。

画像: Amazon

〔日本版〕Etheringtonはカナダ中部のウィンザー在住。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AWSの新しいロードバランサーはユーザーによるきめ細かいコントロールが可能

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ニューヨークで行われたAmazonの顧客向けイベントで今朝(米国時間8/11)、AWSのCTO Werner Vogelsが新しいロードバランサーを発表した。それはコンテンツを複数のサーバーに分散する場合、もっときめの細かい分散の仕方をデベロッパーや管理者が指示できる、という負荷分散ツールだ。

それはAWS Application Load Balancerと呼ばれ、これまでの(2009年からある)Elastic Load Balancingツールのように、何をどこに置くかということをロードバランサーが自分のアルゴリズムで勝手に決めるのではなく、人間管理者が決められる。

この新たに加わった制御方式は、これまでのアプリケーションを動かしているだけのユーザーにはあまり関係ないかもしれないが、複数のコンテナに収めた現代的なタイプのアプリケーションを使っているユーザーには、プロセスに対するより強力なコントロール能力を与えるだろう。コンテナ化したアプリケーションは複数のマイクロサービスで構成されることが多いので、個々のマイクロサービスごとにトラフィックを制御できた方がありがたいのだ。

Vogelsはこう言う: “これにより、ユーザーのシステムの個々の部位ごとに、トラフィックの送り方を完全に制御できる”。

たとえば、APIコンテンツ(のリクエスト)はすべてそれ専用のサーバーへ行かせ、モバイルコンテンツは別の専用サーバーが担当する。この新しいツールを発表しているブログ記事は、こう述べている: “こうやってリクエストをルーティングしてやれば、複数のマイクロサービスから成るアプリケーションをそれぞれ個別に、独立的に動かし、またスケールできる”。

ユーザー(デベロッパーや管理者)にはElastic Load Balancing Consoleというコンソールが提供されるので、その上で新しいロードバランサーを使うのか、従来ので十分か、を決めて指示できる。

技術的には、新旧の違いは大きい。前のツールは“Layer 4”のロードバランサーといって、ネットワークプロトコルのレベルで動作し、ネットワークのパケットの内部で起きていることを表す詳細な情報にはアクセスできない。そこでこのツールは今後、Classic Load Balancerと呼ばれることになる。

そして新顔のApplication Load Balancerツールは“Layer 7”のロードバランサーと呼ばれる。それはパケットの内部を覗くことができ、より詳しい情報へのアクセスにより、より高度な仕事ができる。たとえば、パケットの性質に基づいて行き先を仕分けする、といったことも可能だ。

また新しい情報に伴う測度も、CloudWatchメトリクスをはじめ、新しいより詳しい測度だ。たとえばトラフィックはGBで表され、現在のアクティブコネクションの数や、毎時のコネクションレート(1時間あたりの接続数)なども分かる。

この新しいロードバランシングツールは、WebSocketとHTTP/2をサポートしている。これらはどちらも、ネットワークトラフィックを扱うためのより現代的な方法を提供しているから、一部のユーザーにとっては、ありがたいだろう。

Application Load Balancerは今すでに可利用であり、機能が増えているにも関わらず料金は従来品より10%安い。課金の単位は、使用した時間プラス、Load Balancer Capacity Unitsと呼ばれるややこしい測度で、それは毎秒の新しい接続の数や、アクティブコネクションの数、ユーザーが送信するデータの量、などをベースとする単位だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleのクラウドプラットホームはプリエンプティブルVMの料金を最大33%値下げ

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これまでGoogle, AmazonそしてMicrosoftの三社は、クラウドコンピューティングの値下げ競争に邁進してきたが、このところようやく、沈静化したようだ。しかし今日(米国時間8/9)は、Googleがまた新たな爆弾を投げ込み、同社のプリエンプティブル仮想マシン(preemptible virtual machines)の料金を最大で33%値下げした。

プリエンプティブルVMは、AWSのスポットインスタンスのGoogle版で(Microsoft Azureにはまだ相当タイプがない)、Googleに先買権のあるリソース、言い換えるとGoogleにとってそれが遊休リソースである間はユーザーに安く使わせてあげるよ、というVMだ。GoogleやAmazonは、このやり方でリソースの利用率を常時高めたいのだが、彼らのシステムサイドの需要が混み合ってくるとユーザーは、通常のプールのユーザーへと自動的に‘格上げ’され、料金も上がる。

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Amazonはこれらの遊休VMをオークション方式でユーザーに提供するが、Googleの方式では定価制だ。それでも、同社の通常のVM提供物に比べると最大で80%ぐらい安くなる。

Googleのプラットホーム上では、これらのVMは最大で24時間しか使えないから、どんなワークロードにも使えるわけではない(AWSではスポットの入札価格が上がるまで使える)。でも柔軟性のあるワークロードなら、このタイプのVMを使ってかなりの節約ができる。

GoogleのプロダクトマネージャーMichael Basilyanが、今日の発表声明で書いている: “顧客はプリエンプティブルVMを使って、データの分析やムービーのレンダリング、衛星画像の処理、遺伝子データの分析、金融市場の理解、メディアのコード変換、さまざまなビジネスやエンジニアリングタスクの完遂、などを行っている。プリエンプティブルVMの値下げによって、コンピューティングの機会がさらに広がり、科学やビジネスの分野における興味深い問題への挑戦が可能になる、と信じている”。

運が良ければ、Googleの今日の値下げに刺激されて、Amazonも値下げを行うかもしれない。

ところで、プリエンプティブルマシンに向かないワークロードを抱えている方は、Googleが新しく設けた“VM Rightsizing Recommendations”(VM適正サイズ推奨)を検討してみてはいかがだろうか。このツールはユーザーのVM利用状況を分析して、ニーズに合った最適のスケールアップやダウンを推奨する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWSのElastic MapReduce 5.0.0は16種のHadoop関連プロジェクトをサポートしてビッグデータ処理の実用性を増強

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Amazon Web Services(AWS)が今日(米国時間8/2)リリースを発表したElastic MapReduce(EMR) 5.0.0は、16種のHadoop関連プロジェクト(派生プロジェクト)をサポートする。

AWSはつねに、顧客がクラウド上の多様なエンタープライズ機能を管理するための、さまざまなツールのアップグレードに努めているが、今回のものは、Hadoopでビッグデータプロジェクトを管理しているデータサイエンティストやその関連部署に向けられている。

この分野に強いForresterのアナリストMike Gualtieriの言葉を借りると、Hadoopとは基本的に、“大きなデータ集合を保存し処理するためのインフラストラクチャ的ソフトウェア”だ。

従来のデータ処理ソフトウェアと違ってHadoopは、データの保存と処理を複数のノード(数千に及ぶこともある)に分散して行い、それにより大量のデータ処理を効率化する。

しかもそれは、Apacheのオープンソースプロジェクトとして、きわめて人気が高い。かわいいマスコットまである(上図)。Hadoopを軸に大きなエコシステムができていて、プロジェクトの改良充実にたえず貢献している。また、そこから生まれる派生プロジェクト(“Hadoop関連プロジェクト”)も多い。

今のHadoopはそれらの派生プロジェクトを積極的に取り入れて、ユーザーによる大量のデータ集合の管理を助けている。たとえばHiveはHadoopのためのデータウェアハウスであり、HBaseはスケーラビリティの高い分散データベースだ。AWSは、どちらもサポートしている。

Hadoopによるシステムの実装やデータ処理を助ける企業も続々生まれていて、有名なところとしてはCloudera, Hortonworks, MapRなどが、Hadoopの独自の商用化バージョンを提供している。

AWSは昨年の7月以来、AWS本体ツールの継続的アップデートとともにHadoop関連プロジェクトのサポートのピッチを上げ、顧客の選択の幅を広げようとしている(下図)。

[EMRの更新履歴(4.7.0まで)とHadoop関連プロジェクトのサポート]

Chart showing updates to EMR tool since January, 2016.

図表提供: AWS.

AWSは、もうひとつのApacheオープンソースプロジェクトBigtopも使ってきた。これは、プロジェクトのページによると、“Hadoopのビッグデータコンポーネントの、インフラストラクチャのエンジニアやデータサイエンティストによるパッケージングとテストと構成を助ける”、という。AWSのブログ記事によると、AmazonはBigtopの開発のペースアップに協力し尽力してきた。

以上は、データサイエンティストと、クラウド上の大型データ集合を扱う社員たちにとって、良いニュースだ。今回のリリースではオプションの数がぐっと増え、AWS上で有用なHadoop関連プロジェクトを、より見つけやすくなったと言えるだろう。

ビッグデータは今やAWS上の重要なユースケースだから、Hadoop本体はもちろんのこと、ストレージやコンピューティングを効率化するためのさまざまなツールを必要とする。〔そしてそのニーズの多くをさまざまなHadoop関連プロジェクトがサポートする〕。ユーザーから見ると、AWSのようなクラウドベースのインフラストラクチャは文字通りエラスティック(elastic, 伸縮自在)であり、オンプレミスの場合のように、扱いデータの増加とともに新たなリソースの手配をいちいち心配する必要がない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWS上のサーバーのセットアップと管理が超簡単になるCloud With Meのらくちんサービス

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AWSについて、使いやすいという声を聞いたことは、過去に一度もない。Amazonのクラウドコンピューティングプラットホームはとても強力で、毎日のように機能がアップデートされているが、そのパワーとともに大量の複雑性を抱え込んでいる。一台のマシンにWordPressをインストールしベーシックなセットアップをする、という一番単純な使い方でも、AWSの管理コンソールは初心者を十分にびびらせる。

Cloud With Meはこのプロセスを、わずか数クリックで済ませてくれる。自己資金だけでスタートした5人のチームは、仮想マシンによるホスティングサービスという古い世界とクラウドを、橋渡しする。Cloud With MeのファウンダーでCEOのGilad Somjenは、こう説明する: “古いホスティング企業とAWSのあいだにはギャップがある。みんなクラウドへ移行したがっているのだが、それが彼らには難しすぎるのだ”。

Cloud With Meのインタフェイスからユーザーはまず、自分のサーバーを置くリージョンと、サーバーのインスタンスタイプ、一緒にインストールしたい関連ソフト(アドオンソフト)を指定する(WordPress, Drupal, Magento, メールサーバー, データベース, FTPサーバー, などなど)。AWS上のドメイン取得という面倒な作業も、ドメインネームを指定するだけで、あとはCloud With Meがやってくれる。そしてそのほかのAWS関連の情報を入力してやれば、サーバーの起動準備は完成する。いったん動き出したサーバーの管理も、お望みならCloud With Meに任せてもよい。

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Cloud With Meのダッシュボードは11の言語で提供されていて、AWSの管理コンソールよりも多い。

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AWSの課金は、AWSからユーザーへ直接来る。Cloud With Meは、いっさい関与しない。同社自身の収益は、WordPressなどアドオンソフトのインストールサービスへの課金だ。その単価が、月額3ドル99セント。本誌の読者が’tc30’というコードで7月31日までにサインアップすると、その料金が30%引きになる。

しかしもちろん、アドオンソフトのインストールはあとで自分でやってもよい。アドオンをまったく使わないアプリケーションも、ありえる。Cloud With Meの無料プランでは、サーバーのみを最大5台まで管理できる。

Cloud With Meのアドオンライブラリはまだかなり限られているが、Somjenは、今後どんどん増やす、と言っている。

Somjenによると、AWS自身は大規模なエンタープライズユーザーがメインの顧客だから、自分ではCloud With Me的なサービスを提供する気がない。“AWSにとっては、WordPressのサイトをひとつだけ動かしているようなクライアントは、眼中にないんだね”、と彼は言う。

数か月前にひそかにローンチしたCloud With Meだが、それでもここで新たにAWSのアカウントを作ったユーザーが3000名/社近くいる。AWSも同社を無視できなくなり、今ではCloud With MeはAmazonの公式パートナーだ。

Cloud With Meは、サーバーのセットアップを肩代わりしてくれるけど、ぼくの個人的感想としては、毎月の課金に大きな影響を与えるリージョンやサーバータイプの選択も手引してくれるとありがたい。こういう指定にすると、これぐらいの課金額になるよ、という試算もやってくれると、嬉しいけどね。

セットアッププロセスの第二段階、AWS情報の入力とか、Cloud With Meに自分のAWSサービスへのアクセス権を与える段になると、初心者にはちょっと難しくなってくる。Somjenは、この部分ももっと簡単にしたい、と言っているが、今のところは、第一段階の超簡単さに比べて、AWSのアクセスキーを見つけるとか、Cloud With Meのためのパーミッションを作るなんてあたりは、AWSについて何も知らなかった人ならびっくりするかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

TwilioがAWSとコラボレーション、AWSのSMSメッセージング機能を高度化か

LONDON, ENGLAND - DECEMBER 08:  Co-Founder & CEO at Twilio Inc. Jeff Lawson during TechCrunch Disrupt London 2015 - Day 2 at Copper Box Arena on December 8, 2015 in London, England.  (Photo by John Phillips/Getty Images for TechCrunch) *** Local Caption *** Jeff Lawson

Twilioが今日、AmazonのAWSプラットホームとの新たなコラボレーションを発表した。発表によると同社は、“AWSがそのAmazon Simple Notification Service(SNS)によりSMSメッセージの配信ができるようにする“、とあり、今後SNSのユーザーは、バルクメッセージを送るなど、Twilio体験が提供する便益を享受できる、という。

具体的にはどういうことか? よく分からないので問い合わせてみると、Twilioのスポークスパーソンはこう語った: “関係の具体的な詳細は明かせないが、言えるのは、AmazonのSNSがTwilioのSuper Networkを利用して世界の200あまりの国にSMSを配信できるようになることだ”。

ということは要するに、SNSのメッセージングサービスが今度からは部分的にTwilioのネットワークを利用してメッセージを送信する、ということか。どんなユーザーのどんなメッセージがそういう扱いになるのか。SNSにはすでにSMSをグローバルに送る機能があるので、多くのユーザーにとって重要な変化が直ちにあるとは思えない。

ただしAmazonのSNSには現在、ショートコード(やロングコード)など、いくつかの高度な機能が欠けている。SNSはコードのプールを使ってメッセージングを送出するから、同じ会社からのメッセージでも受信側で番号が違ったりする。Twilioには、これらの高度な機能があるので、今回のコラボレーションによってSNSのSMSがより高度になる、ということかもしれない。

TwilioのCEOで協同ファウンダーのJeff Lawsonは、今日の発表声明でこう述べている: “この最新のコラボレーションによって、コミュニケーションのエコシステムをスケーラブルで効率的なツールで強化し、メッセージの配布における最良のオプションを確実に可利用にする”。…ここにもやはり、詳しい説明はない。

なお、Amazonは上場前のTwilioのシリーズEで投資しているし、TwilioはAWSのクラウドコンピューティングサービスを大々的に利用している。

今、詳細をAmazonに問い合わせているので、情報が得られ次第この記事をアップデートしたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

WordPressホスティングサービスのMedia TempleがAWS上でサービスのエンタープライズバージョンを展開

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Media Templeが今日(米国時間5/17)、新たにエンタープライズクラスのWordPressホスティングサービスを立ち上げる。ここで興味深いのは、この今やGoDaddyがオーナーである企業が、AWSの上でサービスをホストすることだ。

つまりこのプロダクトには、同社の(mt) Oneによるきめ細やかなWordPress運用サービスと、サポートサービスのCloudTech Premier、およびAmazonのクラウドコンピューティングサービスのスケーラビリティが組み合わされている。

Media Templeのようなホスティング企業が自前のサーバーではなくAmazonのプラットホームからサービスを提供するのは奇妙に思えるかもしれないが、実は同社はすでに、AWS上の管理サービスを伴うクラウドホスティングを、前から提供している

Enterprise WordPress by MT

MediaTempleのプロダクトマネージメント担当シニアディレクターBrendan Fortuneによると、“Media Templeのサーバーも悪くはないけど、仮想プライベートサーバーではできないことがAmazonの技術ならできる、という場合もある”、という。たとえばAmazonのサーバーレスコンピューティングサービスLambdaとか、EC2 Container Serviceによるロバストなコンテナサポートなどだ。Fortuneによれば、Amazonのコンテナ管理サービスを利用した方がMedia TempleもWordPressのデプロイを、ニーズに応じて迅速にスケールアップ/ダウンできる。

そしてそれは同時に、ユーザーに安心感を与える、ということでもある。たとえばユーザーは専用のアカウントマネージャーを持ち、いろんな問題を解決できるとともに、ユーザーとMTが共にプロアクティブに仕事ができる。WordPressのインストールそのものはMedia TempleのCloudTechのチームが行うが、そのときモニタリングシステムを使ってインストールの過程を見守ることもできる。

セキュリティ問題の監視やWordPressインストールのパッチの自動化などはMedia Templeが本来的に提供するが、同時にAmazonのDDoS防御システムCloudFrontの利用もできる。

ただしユーザーへの課金に、AWSの料金が直接現れることはない。Media Templeとしてのプランは2つあり、ひとつは月額2500ドルのエンタープライズ標準プランで、サイトは5つ、クラウドストレージは1TB、月間最大1.5TBまでのCDN利用、コンテナを使用するEC2インスタンスは最大10まで、AmazonのRDSデータベースの利用、などがセットとなる。

もうひとつの、“最大パフォーマンスプラン”は、カスタムメイドのプランなので、料金はその構成によって異なる。

料金を見てもこの新しいエンタープライズホスティングサービスが、巨大企業までは行かない中〜大企業をねらっていることが分かる。一見高い料金のようだが、従来の同社の、管理サービス付きWordPressホスティングサービスPagelyも、ハイエンドのプランではこれぐらいの料金になる。

Fortuneによると、AWS以外にAzureやGoogle Cloud Platformなども検討したが、チームが比較的よく知っている技術であることと、AWSのコンテナサービスを使いたい、というところからAmazonに決まった。

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分散PostgresデータベースのCitusがAWSと組んでクラウドバージョンCitus Cloudを立ち上げ

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分散データベースのCitusは、最近ちょっとニュースが多い。二週間前に同社は、そのPostgres起源のデータベース製品をCitus 5にアップグレードしたが、もっと大きなニュースはそれをオープンソースにするという大胆な発表だった。そして今日同社は、それをクラウド化した新製品Citus Cloudを発表した。Database as a Serviceの誕生だ。

Citus 5では、メモリと処理能力のスケーリング能力が強化されたが、大量のビッグデータを扱わなければならない今日では、スケールアップの費用も大きい。しかしデータセンターを自前で持たずにクラウドサービスに依存するなら、最近のクラウドは“エラスティックな”リソース割り当てを提供しているから、無駄なリソース費用は、発生しない(はずだ)。

スケーラビリティだけでなく、管理も問題だ。企業が自力でデータベースの世話をするとなると、その時間と費用が相当な量になる。クラウドからのサービスとして提供されるCitusなら、その重荷がない。メンテナンスの責任が顧客からCitusへ移り、継続的なアーカイビングと災害復旧能力により、事故時にもデータベースの健康が維持される。

スケーリングは、クラウドの場合も、サーバーの費用は増えるが、データベースの管理をデータベースの専門企業がやってくれることは、顧客企業から重い負担を取り除く。

Citusの顧客はこれまでも、AWSの上でCitusを使っていることが多いので、今回始まるクラウドサービスも、AWSとのパートナーシップのもとに行う。将来的には、そのほかのクラウドサービスからの提供も考えているが、リソースに制約のあるスタートアップとしては、まず世界でもっともポピュラーなIaaSから始めて、その後、ほかのオプションも検討する。

この新しいクラウドサービスは、6月か7月までをベータ期間とするが、でもファウンダーでCEOのUmur Cubukcuによると同社は、顧客のためにできるだけ多くのものを自動化したいので、ベータの参加企業の協力を得て、要望されている機能のほとんどすべてを実装していきたい、という。そしてそのあとに、Citus Cloudは一般公開される。

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AWS Lambdaをフル活用した無駄のないリソース管理ツールCloud CustodianをCapital Oneがオープンソース化

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Capital Oneは巨大な組織で、金融サービス企業であることに関連したコンプライアンスの問題も多い。同社はたまたまAmazon Web Servicesの顧客でもあり、AWSの使い方に関するルールやポリシーを効率的に設定するためのツールを必要としていた。

昨年の7月に同社が開発を始めたツールが最終的にCloud Custodianとなり、今日(米国時間4/19)同社はシカゴで行われたAWSのイベントで、そのツールをオープンソースとしてGitHub上で提供する、と発表した。

Cloud Custodianプロジェクトの主席デベロッパーKapil Thangaveluは、こう語る: “Cloud Custodianはルールエンジンであり、AWSをより良く管理していくためのポリシーを、これを使って定義する。企業にはインフラ関連のリソースが数多くあり、どの企業にもそれらのリソースに関して達成すべきポリシーの集合がある”。

ポリシーの定義を整然と組織的なやり方で行うようになってから、同社のAWSリソースの使用量がそれまでの25%減り、Capital Oneのような巨大企業ともなると、その経費節減額はとてつもなく大きい。Cloud Custodianを開発する前は個々の要件ごとにスクリプトを書き、その全体を監督する者はいなかった。Cloud CustodianはCapital Oneに、中央集権的にポリシーを作ってモニタし管理するための手足を与えた。それまではポリシー政策に中央的管理というものがなく、複数のツールを適当に使っていた。

Cloud Custodian dashboard from Capital One.

Cloud Custodianのダッシュボード。写真提供: Capital One

このツールは、AWSの二つの新しいサービスによって可能になった。まず、何よりも便利だったのがCloudWatch Events(CWE)だった。これは1月にリリースされ、イベントのモニタリングが前よりもずっと効率的にできるようになった。アクションの有無を知るためにしょっちゅうAPIをポーリングするのではなく、ユーザーが関心を示しているイベントが生起したらCWEがリアルタイムで通知をくれるのだ。

もうひとつの突破口がLambda サービスで、昨年のAWS re:inventで発表されたこのサービスは、CWEのイベントトリガに対応して、一連のリソースを一定のルールに基づいてローンチする。“それを何秒間動かせ”といった、時間も指定できる。CloudWatch EventsとLambdaを組み合わせてCapital Oneは、超効率的なルールエンジンを作ることができ、それがCloud Custodianになった。

Lambdaが使えるとAWSのユーザー企業は、それほど頻繁ではないイベントのためにわざわざサーバーをセットアップしなくてよい。イベントがあれば、CWEがそのイベントに対応するLambdaのプロセスをトリガする、それだけだ。しかもそのプロセスが終われば、あとには何もない。それが、このシステムの独特の美学だ。必要がないときでもサーバーをしょっちゅう動かしていることに比べれば、リソースのオーバヘッドが相当大きく減る。

アドミニストレーターは、何のためにどんなルールがあるか、よく分かるようになり、ひいてはAWSのクラウドインフラストラクチャの全体がよく分かるようになり、詳細で確実なコントロールができる。そうするとすべてのインスタンスのコンプライアンスが確保され、使ってないリソースに金を払っている、という状態がなくなる。

同社がCloud Custodianをオープンソースにすることに決めたのは、これまでずっとオープンソースソフトウェアのお世話になってきたので、そのお返しをしたい、と考えたからだ。第二の、もっと実践的な動機はたぶん、ツールをオープンソースにすれば、自分たちだけでなくコミュニティがコードを見たりいじくったりするようになる。コメントも寄せられる。ソフトウェアのメンテナンスという肩の荷が、より多くの人の肩で担(かつ)がれるようになり、社内チームの負担がそのぶん軽くなる。

Capital Oneは、Cloud Custodianがオープンソースのプロジェクトとして離陸し、熱心なファンができることを期待している。今日の発表はそのための第一歩であり、ツールを軸とするコミュニティ作りの努力の始まりだ。

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サーバーが何台あっても足りないDigitalOceanが$130Mの資金を銀行融資に仰ぐ

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DigitalOceanは、ユーザーにとっては低料金で気軽に利用できるクラウドホスティングプラットホームでも、そんなサービスを作るためには相当なお金が要る。同社はこれまで1億2000万ドルあまりを調達し、そのほかにも随時、銀行からの融資を仰いで、その成長を支えている。

クラウド(雲)という言葉は曖昧だが、その実態はサーバーの集合だ。サーバーは、買うのもデータセンターの一部を借りるのも、安くはない。

今同社は、12のデータセンターを利用して70万のユーザーに常時、仮想プライベートサーバーを提供しているから、同社が管理するラックキャビネットの数は膨大だ。

DigitalOceanの全ユーザーがブートしているクラウドサーバーの数は1300万に達する。中にはサービスをもはや提供していないサーバーもあるが、とにかくすごい数であることは確かだ。

そんな同社にとって、クレジットラインの利用には二つの意味がある。第一に、DigitalOceanは今でも同社のインフラストラクチャへの投資額が大きいこと。既存のユーザーがサーバーをアップグレードしたりリプレースすることも多いし、同社自身がインフラの規模を拡大することもある。

第二に、DigitalOceanは小さなデベロッパーにとってありがたいプラットホームだが、でも、営利企業として、超大手のAmazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどと伍して大型クライアントを獲得していくためには、インフラの充実努力がコンスタントに必要だ。そしてそのためにはもちろん、お金が要る。

でも、今日のようなスタートアップ環境の中で、大金を貸してくれる銀行〔banks, 複数形〕を同社が見つけられていることは、たいへんめでたい。つまり銀行も、投資家たちと並んで、同社の将来性をポジティブに評価している、ということだ。

〔訳注: タイトルにある融資獲得累計額$130M(1億3000万ドル)の件は、本文中にない。〕

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Appleはインフラストラクチャ多様化の一環としてGoogleのCloud Platformを使用か

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今日(米国時間3/16)飛び交っている噂によると、Appleは同社のクラウド事業の一部をAWSからGoogleのCloud Platformに移しつつある。本誌も独自に調べてみたが、確かにAppleはiCloudのストレージの多様化に努めているようで、その事業用としてGoogleも利用するようだ。

これは、いちばん控えめに言っても、Googleにとってはまた一つの大勝利で、AWSにとっては敗北だ。これまでも、Dropboxは合衆国におけるストレージ事業の相当量をAWSから自社内へ移したし、Spotifyはそのビジネスの少なくとも一部をAWSからGoogleへ移した。

これまでの試合経過を見ると、今月はGoogleにとってとくに良い月だった…とりわけ、同社のクラウドビジネスの新しいトップDiane Greeneにとっては。SpotifyやAppleのような有名企業が顧客なら、そのほかのエンタープライズ顧客もますますGoogleに魅(ひ)かれるだろう。GoogleのCloud PlatformはGoogle自身のデータセンターの技術がベースだが、しかしそのことはこれまで、AWSやMicrosoftのAzureに対する有利な競合要因になっていない。AWSには古顔の有利性があり、Azureの背後にはMicrosoftの強力な営業力とハイブリッドクラウド技術への特化がある。ただしAzureは、バックにいくら強力なMicrosoftがいても、クラウドビジネスではずーっと後方の二位だ。

まだ、プラットホームの移行に関するApple自身の意思決定の内容は不明だ。AWSやGoogleも、この件に関しては口をつぐんでいる。

某匿名情報筋によると、Appleは今確かに、複数のパブリッククラウドベンダ、中でもとくにMicrosoft AzureとGoogleを、自社のオプションとして検討している。しかしまだ、最終的な意思決定は行われていない。、なおAppleはすでにiCloudサービスやメディアのサービングにおいて、AzureとAWSを使っている。

要するに事態が本当に(今日の噂どおりに)‘AWSからの離脱’なのか、その辺も明確でない。ただしAppleが、クラウドのサプライヤーのポートフォリオの中身を多様化しようとしていることは、確かなようだ。

状況のもうひとつの側面として、今Appleはオレゴン州プラインビルのデータセンターを拡張中であり、合衆国とヨーロッパで新しいデータセンターも作るらしい。そして、これに今回の話が絡むのなら、AWSからGoogleへ、Googleからさらにプラインビルへ、という線はないだろう。新しいデータセンターの竣工を、単純に待つだろうから。

もしもAppleが、単純にインフラストラクチャの多様化を目指して、これまでのAzure、AWS、および自社データセンターに加えてGoogleも使う、ということなら、無理のない線だ。また、AppleがGoogleのクラウド上の特定のサービスを使うつもりなら、データ分析プラットホームBigQueryあたりが、ねらい目だろう。

われわれにとって既知の事項のひとつは、Akamaiの最近の決算報告だ。Akamaiはその中で、同社の最大のクライアントのうちの2社が、多様化しつつある、と言っている。“過去数年間にわたり、中でもとくに弊社の最大の二つの顧客 が、Akamaiの全体的な売上の約13%を占めてきた”、とAkamaiのCEO Tom Leightonが述べている。“2016年を展望するならば、これら二つのアカウントが依然として弊社の最大のメディア顧客であり続け、弊社の総売上の約6%に貢献するだろう。貢献率のこの7ポイントの変化は、彼らのDIY努力の増加がその原因であり、それは、今後の2四半期における、低い前年比売上増加率が予想される主な理由でもある”。

Akamaiの最大のクライアントがAppleであることは衆智だから、上の言葉は、AppleがCDN(Content Delivery Network)事業の一部も自社化しようとしていることを、意味している。

Googleは来週サンフランシスコで、大規模なクラウドイベントGoogle Nextを開催する。もしも(←これは確かにビッグな“もしも”だが)同社が、同社の新しい顧客について何かを発表するつもりなら、それはたぶん、このイベントにおいてだろう。

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AWSがイタリアのNICEを買収してハイパフォーマンスコンピューティング部門を強化

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AWSは、これまで続けてきたハイパフォーマンスコンピューティング部門を強化していく過程の一環として、今日(米国時間2/12)は、イタリアのソフトウェアおよびサービス企業NICEを買収した。買収の価額等は、公表されていない。

NICEには、AWSが欲しがるような一連のツールと技術がある。またその顧客展開も国際的だ。したがってAWSとしては、ハイエンドなコンピューティングサービスを求める顧客の集合を獲得できるメリットもある。

買収を発表するブログ記事でAWSのJeff Barrがこう書いている: “これらのプロダクトにより顧客は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)と視覚化のワークロードを最適化および中央集権化でき、また、モバイルデバイスを利用する分散ワークフォースに合った絶好のツールを利用できる”。

NICEが保有する技術の中でも、とくにDesktop Cloud Visualization(DCV)と呼ばれる便利なツールは、2Dや3Dのアプリケーションへのリモートアクセスを提供し、エンジニアやゲームデザイナーなどが自分のデザインとハイエンドのハードウェアにアクセスして、それらをクラウドから提供できるようにしていく。その際、重要なのはあくまでもクラウドからの提供物なので、自分が使っているデスクトップやラップトップの性能は問われない。

またNICE EnginFrameと呼ばれる技術は、AWSにとってとくに魅力的かもしれない。顧客はこれを標準のブラウザーから使って、HPCのクラスタのようなハイエンドコンピューティング環境やデータ、ライセンス、バッチ、対話的アプリケーションなど、クラウド上のリソースを利用できる。

Constellation ResearchのファウンダーR Ray Wangは、今回AWSは良い買い物をした、と見ている。

Wangは曰く、“NICEの買収はAmazonに相当量の知財を与える。また、良質なクライアントとヨーロッパや中近東、アフリカ(EMEA地区)における良質なプレゼンスも与える。これらの知財はパフォーマンスの向上を助け、一部の新しい機能はAmazonの全体的なプラットホームに便益を与える”。

彼によると、ここで言う知財にはパフォーマンス向上のためのアルゴリズムも含まれる。

なおAWSはヨーロッパではすでにかなり前から、大きなプレゼンスを有しており、NICEのあるイタリアも含め、EU各国に事業所(オフィス)を展開している。

しかしこの買収はAmazonに、より強力なコンピューティング能力を求めるクライアント集合へのアクセスを与える。昨年Amazonは、ハイパフォーマンスコンピューティングの環境をクラウドに求める企業のために、C4インスタンスをローンチしたばかりだ。そのとき本誌のFrederic Lardinoisはこう書いている:

Amazonによると、この新しいインスタンスはCPUの性能がきわめて重視されるアプリケーション向けに設計されている。それらはたとえば、“トラフィックの多いフロントエンド集合、MMOゲーム、メディア処理、コード変換、HPC(High-Performance Computing)アプリケーションなど”、だ。

当面AWSは、NICEのブランドと顧客とチームの現状を維持し、今後徐々にAWSの機能を高めるためのソリューションを実装していく予定だ。

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高価なGPUやFPGAなど特殊ハードウェアをクラウド上で安価に利用できるBitfusionのCloud Adaptorサービス

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今年の本誌主催TechCrunch Disrupt NYのStartup BattlefieldでデビューしたBitfusionは、アプリケーションが高性能なハードウェアの上で走る場合、ジェネリックで平凡なコードを実行させず、そのハードウェアの性能をフルに使って動けるようにする。デスクトップの場合はもちろんだが、これからは、特殊で高性能なコンピューティングクラウド(“スーパークラウド”)上でもそれができる。

同社の最初のプロダクトBoostは、ライブラリをマシンのハードウェアに合わせて最適化することによって、既存のアプリケーションを高速化する。これまで非公開アルファだったBoostはこのほどベータに移行したので、誰もがここで登録できる。

Bitfusionの協同ファウンダでCEOのSubbu RamaとCTO Maciej Bajkowskiによると、初期のユーザは機械学習やデータサイエンスのプロジェクトにBoostを使ってみて、感激している人が多いそうだ。今のところBoostが対応しているアプリケーションは、Blender, ImageMagick, Octave, Matlab, Torchなどだけだが、今後はもっと増やしたいと同社は言っている。

同社は、Boostをメインのプロダクトと見なしているが、これまでBitufsion Labsの実験的プロジェクトだったCloud Adaptorは、さらにエキサイティングなプロダクトだ。

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デベロッパがCloud Adaptorを利用すると、本来ローカルマシンのために書いたアプリケーションが、クラウドの上でもGPUやFPGAにアクセスできる。アプリケーションは自分が高度なハードウェアを揃えたラップトップの上で実行されていると思い込んでいるが、実際にはそれらのデバイスはクラウドにある。

Ramaは語る、“Cloud Adaptorはわれわれにとって、Boostの次に当然取り組むべき課題だった。Boostはインノード(in-node)のアクセラレーションを提供するが、でも自分のマシンに適正なデバイスがなかったら、そこでお手上げになる”。

しかしCloud Adaptorのコマンドラインツールを使えば、デベロッパはたとえばAWSやRackspace、SoftlayerなどのクラウドのGPUにアクセスでき、またRackspaceと共同開発したBitfusionのクラウド上のFPGAにもアクセスできる。

ふつう、デベロッパがAltera FPGAにアクセスするのは容易ではないが、このサービスを利用するとクラウド上のそれらを簡単に利用できる。あるいは、IntelがAltera FPGAを内蔵したXeonチップを出すまで待つか、だ。

もちろん、違いがはっきり現れるのは、デベロッパがそういう特殊なハードウェアをフルに利用するアプリケーションを書いた場合だ。デベロッパは、APIの呼び出し回数に応じて課金される。

RamaとBajkowskiによると、これまでのデベロッパはGPUやFPGAsの利用を前提とするコードを、書くことはできてもテストすることができなかった。でもこのCloud Adaptorを利用すれば、高価なハードウェアを買わなくてもクラウド上で自分のアプリケーションを動かせる。

このサービスによって、高度なハードウェアを利用するアプリケーションを書くデベロッパ人口が一挙に増える、とBitfusionは期待している。

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Amazonが多様なIoTシステムを構築/稼働/管理できる総合IoTプラットホームAWS IoTを立ち上げ

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物のインターネット(Internet of Things, IoT)に、また大物がやってくる。今日(米国時間10/8)はAmazonが、ラスベガスで行われたデベロッパカンファレンスre:Inventで、誰かが首を長くして待っていたAWSのIoTプラットホームを発表した。

Amazonによるとそれは、いわゆるマネージドクラウドプラットホーム(管理サービスを伴うクラウドプラットホーム)で、その上で“インターネットに接続したデバイスが容易にかつセキュアに、クラウドアプリケーションやそのほかのデバイス”と対話をする。まだベータだが、最終的には何十億のデバイスと何兆ものメッセージをサポートし、“それらのメッセージを処理してAWSのエンドポイントやそのほかのデバイスに高い信頼性とセキュリティを伴って送ることができる”、という。

AWS IoTはAWS LambdaやAmazon Kinesis、Amazon S3、Amazon Machine Learning、Amazon DynamoDBなどを統合してIoTアプリケーションを作り、インフラストラクチャを管理し、データを分析する。

“インターネットに接続しただけで便利になるわけではない”、とAmazonのCTO Werner Vogelsは今日のキーノートで語る。そしてその言葉のとおりAmazonは、さまざまなオブジェクトのためのさまざまなサービスが複合した、総合的なプラットホームを目指している。そこに複数のオブジェクトが集まって協調的に動き、企業にトラフィックと売上をもたらすだけでなく、もちろんまとめ役のAmazonにも利益をもたらす。

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Vogelsによるとこのプラットホームには、デバイスゲートウェイ、ルールベースのエンジン、デバイスに関するデータを保存するレジストリ、そしてAmazonがDevice Shadowsと呼ぶ機能が含まれる。それは、デバイスのオフライン時のデータを記録しておき、再びオンラインになったときにシステムに送り返す、という機能だ。扱うデバイスは特定されない。Vogelsはジョーク混じりに、“この会場にあるすべてのデバイスがうちのプラットホームに乗ってもよい”、と言った。

同社はIoTプラットホーム2lemteryを今年の前半に買収したから、今日の発表はそれほど意外ではない。しかも、クラウドサービスで競合するMicrosoftが、やはりIoTをクラウドコンピューティングの要(かなめ)のひとつにする、と発表したばかりだ。

デベロッパがこのプラットホームを利用すると、デバイスからのデータを、標準性のあるゲートウェイと、MQTTやHTTPSなどのプロトコルを使って取り込むことが、容易にできるようになる。

AWSのそのほかのサービスと同じく、IoTプラットホームの料金も完全従量制で、基本料金というものはない。この場合何の量かというと、デバイスとAWS IoT間を行き来するメッセージの量だ。ユーザの、AWSエコシステム内での居心地を良くするために、メッセージをほかのAWSサービスに送るのは無料だ(Amazon S3, Amazon DynamoDB, AWS Lambda, Amazon Kinesis,Amazon SNS, Amazon SQS)。

AWS IoTには無料プランもあり、1か月のメッセージ(往+来)が25万までは無料だ。その後の料金は、下表のようになる:

[リージョン] [百万メッセージあたりの料金(ドル)]

Region Price
US East (N. Virginia) $5 per million messages
US West (Oregon) $5 per million messages
EU (Ireland) $5 per million messages
Asia Pacific (Tokyo) $8 per million messages

ところで、上の料金体系が想定している一つのメッセージのサイズは、512バイトである。

このIoTサービスにはすでに多数のパートナーがおり、それらは、Beaglebone Green and Grove IoT Starter Kit, Dragonboard IoT Starter Kit, Intel Edison and Grove IoT Starter Kit, Marvel EZ-Connect MW300 IoT Starter Kit, MediaTek Linkit One IoT Starter Kit, Microchip IoT Starter Kit, Renasas IoT Starter Kit, Seeeduino Cloud and Grove IoT Starter Kit, TI LaunchPad IoT Starter Kit, そしてWICED B4343W IoT Starter Kitだ。

この記事の制作に協力した人: Frederic Lardinois

AWS re:Invent 2015

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モバイルアプリのバックエンドプロセスの開発を容易にするAWS Mobile Hub、AWS Lambdaがベース

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Amazonが今日(米国時間10/8)のre:Inventデベロッパカンファレンスで、モバイルデベロッパがアプリのバックエンドプロセスを作りやすくするための、AWS LambdaベースのツールAWS Mobile Hubのローンチを発表した。

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AmazonのCTO Werner Vogelsは今日のキーノートで、AWSはかなり前から、モバイルアプリのバックエンドを動かすために必要なすべてのサービスを提供してきたが、しかしその中には使いにくいものもあった。“われわれが痛感したのは、モバイルデベロッパが自分のデバイスはとてもよく知っているが、彼らにとってバックエンドが難関であることだ。モバイル開発をもっとシンプルにするためには、われわれは何をすべきか、と考えた”。

プラットホームごとにいろんなツールをセットアップするのではなく、今度のMobile HubではAndroidとiOSのデベロッパが自分のアプリのために必要なサービスを選んで構成し、Amazonはそれらの機能をLambdaで動かす。提供されているオプションには、ユーザログインのセットアップ、ユーザデータのストレージ、アプリのアナリティクスなどがある。

モバイルバックエンドのセットアップでデベロッパを助けるだけでなく、このサービスはバックエンドの構築とテストとモニタも楽にしてくれる。Amazonによると、わずか10分で、このサービスをセットアップして使えるようになる。

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AWS re:Invent 2015

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AmazonがAWSのユーティリティとしてBI(ビジネスインテリジェンス)サービスQuickSightをローンチ、ユーザアプリケーションから利用可

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今年のre:InventデベロッパカンファレンスでAmazonは、AWSのサービスの一環としてビジネスインテリジェンス(BI)サービスを発表した。そのサービスはQuickSightと呼ばれ、AWSのユーザがデータの視覚化を短時間(最大で60秒以内)で行うことができる。

Amazonは、このサービスの使いやすさをとくに強調している。対象となるデータは、ユーザがすでにAmazonの各種サービスの上に保存しているデータだ(S3、RedShift、DynamoDB、Kinesisなど)。ユーザはデータの分析結果を他と共有でき、視覚化をビデオのようにアプリケーションに埋め込んだり、 ライブのダッシュボードを作ったりできる(Web上とiOS/Androidのネイティブアプリ上)。

このサービスはAmazonのインメモリクェリエンジンSPICE(Super-Fast Parallel In-Memory Computation Engine)が駆動し、Amazonのそのほかのクラウドサービスも使われる。Amazonによると、そのコストは他社の同種サービスの1/10ぐらいだ、という。

AmazonはBIという競争の激しい市場に参入するわけだが、そこではIBMやMicrosoft(Power BI)、それにTableauらのスタートアップが勢力を拡大している。しかしSPICEは、Tableauのようなサードパーティでも利用できる。

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Amazon AWS、73億ドルヒジネスに。アクティブ企業顧客100万社を超える

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今日(米国時間10/7)AmazonのAWSは、同社の大規模カンファレンス、Re:Inventで、クラウドベースのデータサービス分野を同サービスが支配していることを示すデータを公開した。AWS担当SVP、Andy Jassyは今日、AWSのアクティブ顧客数が100万を超えたと言った ー これは企業数であり個人ではない。AWSの売り上げも急増している。AWSは現在73億ドルのビジネスとなり、データベースビジネスだけで,年間10億ドルのペースで売れている。

同社によると、AWSは対前年比81%成長した ー クラウドベースのストレージ、データ処理、その他データベースサービスを提供する会社の中でも「圧倒的に成長が早い」とJassyは言った。他に、AWSのEC2ビジネスは95%、S3が120%、データベースが127%、それぞれ成長した。

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しかし、ライバルクラウド企業の一社は、自分たちの方がAWSより大きいと、すかさず反論した。

[第2四半期現在、IBMの過去12ヶ月間のクラウドビジネスは 87億ドルだった   ー IBM Facts]

AWSの成長ぶりを示す証として、AmazonはQ2に、AWSの売り上げ18億ドル、利益3.91億ドルを計上した。

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AWSは、データサービスに対して同社のEコマースビジネスと同様のアプローチをとることで大企業、中小企業の間に数多くの波を起こした。安値で市場に切り込み、スケールの経済を元にビジネスを築く。そしてこれは、今も同社がサービスの発見を続けているやり方だ。

Jassyはまた,現在800社のソフトウェアベンダーが、25のカテゴリーにわたってAWSと統合していることも指摘した。

AWS re:Invent 2015

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSが外部に一般供用するKinesis FirehoseはIoTなどのセンサデータをクラウドへ直接送る

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今日(米国時間10/8)のAmazon AWS re:inventで、センサなどからのデータストリームをクラウドに直接送るサービスKinesis Firehoseが紹介された。

AWSのSVP Andy Jassyによると、Amazonがこの種のストリーミングデータをゲットするためにKinesisをローンチしたのは数年前で、すでにこれを使ってデータを処理するカスタムアプリケーションをいくつか作ってきた。そしてAmazonは顧客を待たせすぎであることに気付き、そしてまた、一部の顧客はそんなデータストリームユーティリティを自分で作るためのリソースを欠いていた。

このFirehose as a service(FaaS)を使えば、ユーザ企業はデータストリーミングのためのアプリケーションを自分で作る必要がなくなる。Jassyによると、APIを一回呼び出すだけで顧客はデータをAmazon RedshiftやS3に置くことができ、ただちにそのデータを使って仕事を開始できる。

このシステムはもちろんエラスティックで、データの量が多ければそのぶん、多くのストレージを使える。データはKinesis上で圧縮および暗号化され、ユーザはデータアップロードの時間間隔や、一回のデータ送付量のリミットを指定できる。

そしてデータがシステムに入ってしまえば、顧客はその暗号を解いてデータをHdoopのクラスタなどにロードし、処理や分析を開始できる。

これには、AWS側に二つのアドバンテージがある。ひとつは、AWSがそのビッグデータ関連サービスをIoT分野にも拡大できること。そしてそれにより、S3などストレージサービスの利用量が大幅に増えることだ。

顧客は自分のアプリケーションのあるAWSにデータを送って利用できるし、Amazonは客単価を増大できる。まさにwin-winの関係だ。

AWS re:Invent 2015

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。