Skypeが下書きなどメッセージング機能を拡充

Skypeはビデオ電話のアプリとして最もよく知られているが、対照的にメッセージングの機能はやや未熟だ。米国時間8月30日、同社はそんな企業イメージを一掃すべく、チャット機能に一連の改善を導入し、ライバルとの差別化を強化しようとしている。

それらの中でもっとも便利なのは、メッセージのドラフト(下書き)だろう。

メールの場合と同様にSkypeでも、書いたけどまだ送ってないメッセージを「draft」(下書き)タグを付けて保存できる。あとでそのメッセージを仕上げてから送ればいい。Skype new features 1b

今のビジネスとパーソナルのコミュニケーションはどちらも、メール以外がとても増えているから、ほかのメッセージングアプリも絶対に下書き機能を導入すべきだ。

iMessageでも人々は長年、下書きと送信スケジューリング機能を求めている。一部の頭のいいデベロッパーは、消費者のニーズに答えてアプリごとの工夫を編み出している。その中にはなんと、メッセージのテキストをNotpadに書いておいて、送るべき時に送るという素朴なやり方もある。

これまたメールの真似のようだが、今度のSkypeには重要なメッセージのブックマークがある。モバイルではメッセージを長押しし、デスクトップでは右クリックして、それから「Add Bookmark」(ブックマークを加える)をタップまたはクリックする。そうするとメッセージはBookmarksの画面に加えられ、容易に取り出せる。Skype new features 2

写真やビデオ、ファイルなどは、メッセージで送る前にプレビューできる。有意義な改良だが、革新的というよりほかのコミュニケーションアプリへの追随だろう。Skype new features 4

大量の写真やビデオを一度に送るときは、それらをソーシャルメディアで行われているようにグループ化できる。実際に表示されるのはごくわずかで、プラスボタン「+」をクリックすると残りを次々と見られる。Skype new features 3b

Windows 10ではすでにサポートされていたが、これからはすべてのバージョンのWindowsとMacそしてLinuxで分割ウィンドウがサポートされる。

今でもまだ使われているメッセージングアプリの古顔だが、Skypeはもはや最大でも人気最高でもない。例えば公表している月間アクティブユーザー3億人は、WhatsAppの15億人に遠くおよばない。

でも今なお、こうやってきめ細かい親切な消費者対応を図っているのは偉い。昔やったSnapchatのモノマネはあっさり引っ込めて本当によかった。今でもSkypeを使っている人は、その使いやすさと仕事に便利であることを買っている。今回のアップデートも、その方向を意識している。

Skypeによると、上述の分割ウィンドウの拡張サポート以外では、すべての新しい機能がSkypeのあるすべてのプラットホームに一斉に展開される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AOL Instant Messenger、20年の時を経てサービス停止

チャットの楽しみを世に知らしめたアプリケーションが姿を消すことになった。AOL Instant Messenger(AIM)のサービスが、12月15日をもって終了することになったのだ。世の中に登場したのは1997年のことだった。すくなくとも北米においてはチャットといえばAIMという時代を築き、世紀の変わり目にはたいへん多くの人が使っていたものだった。しかしSMSやFacebookないしWhatsAppなどのソーシャルアプリケーションの台頭により、AIM活躍の場は少なくなっていったのだった。

「1997年以来ずっと、熱心にAIMを使ってくれた方々がいます」と、AIMのヘルプページに記されている。「今後もみなさまに革新的なエクスペリエンスをお届けできるよう、務めていく所存です。一層の注目を集める、世界を驚かせるプロダクトの開発を心がけていきたいと考えています」。

AIM終了の情報は、TechCrunchの読者であるDaniel Sinclairが知らせてくれた。今回のアナウンス以前の3月には、AIMと連携するサードパーティーアプリケーションの動作停止を行なっていた。この度は、MacOS、Windows、iOS、およびAndroid版の公式アプリケーションについても動作を停止することとなるわけだ。

「AIMにを通じて大いに利用されたアウェイメッセージ(離席メッセージ)や着信音などは、いつまでもみなさまの記憶に残るのではないでしょうか」と、利用者に宛てたメールには記されている。AIM経由で送信した写真などは、12月15日までならダウンロードすることができる。アプリケーション自体の新規ダウンロードは直ちに行えなくなるようだ。友達リストなどのエクスポートないし保存はできない様子。

AIMは当初、AOLに付属する機能として実装されたものだった。1997年にスタンドアロンのアプリケーションとなり、離席時などに表示するためのメッセージは、Twitterなどのステータス投稿アプリケーションの嚆矢となるものだった。ICQやYahooないしMicrosoft MSNなどが提供したメッセンジャーと激しい覇権争いを演じたものだった。しかしモバイル対応の遅れなどから、GoogleのGchatやFacebookに利用者を奪われていった。AOL本体も、一時は企業価値が2240億ドルとされていたが、2015年にVerizonにより買収された際には44億ドルに縮小した。同時期、WhatsAppはFacebookに190億ドルで買収されたのだった。

3月には、AOLの元社員の運営するArs Technicaが、AIMの利用者が大幅に減少している旨を伝えていた。OSCARプロトコルの維持もままならない規模であるとのことだった。

TechCrunchもAOL傘下であった。その事実を脇においてもAIMの終了にはほろ苦い思いを感じざるを得ない。12歳の小学生時代、友人関係の築き方や、あるいはロマンスの実現方法を教えてくれたのだった。内気で言葉がなかなか出てこない少年だった私に、キーボードを使って表現する機会を与えてくれたのだ。意見を表明するまえに、見なおしたり書きなおしたりできるのがうれしかった。また、ブラウン管を見つめる目をしばたたかせながら、3日連続の徹夜AIMで最初の彼女となった女性を口説き落としたりもしたのも懐かしい思い出だ。

AIMには「若者のツール」という雰囲気があった。ネットワーク世代にとっての車のような存在でもあっただろうか。AIM体験を通じて、人とのつながり方を変え得るソーシャル・ネットワークの可能性を感じ、そしてついにはソーシャル・ネットワークについて記事を書くことが職業ともなったのだった。

今となっては恥ずかしさも感じるが、私のスクリーンネームはKDog313だった。私のティーンエイジ時代は、AIMの着信音とともにあった。ありがとうの気持ちを伝えたい。

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(翻訳:Maeda, H

Microsoft、Teamsを発表―Slackの強力なライバルはスレッド化できる企業向けチャット・ツール

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今年はMicrosoftにとって忙しい秋だった。1週間前に大掛かりなWindows Surfaceのお披露目イベントを実施したばかりだが、今日(米国時間11/2)はニューヨークでまた大きなニュースを発表した。MicrosoftはOffice 365への新メンバー追加がひどく自慢だったらしく、公式のイベントの開始に先立って紹介ビデオを公開していた。

今日のイベントもまずはこのビデオからはじまった。「われわれは先週も何かやったような気がするが」といったジョークの後、CEOのサティア・ナデラはステージで新しい共同作業ツールについて紹介を始めた。同社によればこれは「チーム・アート」だという。つまり異なるやり方をする異なるグループがオーケストラのように共同して優れたチームワークを発揮するプラットフォームになるということらしい。

ナデラはTeamsを「チャットをベースにしたワークスペースであり…リアルタイムの共同作業を助けつつ、知識を共有するチームが組織されるようデザインされたツール」と説明した。Teamsアプリは会議、打ち合わせ、記録、計画、そしてもちろんチャットといったさまざまな組織的活動をひとつのプラットフォーム上から実行できるよう工夫されている。

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予想どおり、Microsoftのアプリはチャットのスレッド化をサポートしていた。これによりチャットは話題ごとに自動的にグループ化される。またSkypeと密接に統合されており、Teamsアプリ内から音声、ビデオによる通話が可能になっている。.当然ながら、Microsoftの多数の生産性ツール、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteがTeansと連携する。Office 365 Groupsがアプリ利用のベースとなり、ユーザーはMicrosoftのすべてのアプリの情報を共有できる。

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また高度なカスタマイズができることも大きなセールスポイントだ。ユーザーは自分の使い方に従ってタブ上のクラウド・サービスをデザインできる。またMicrosoft
Botを連携させることができる。もちろんTeamsはMicrosoftの生産性ツールの一環だが、ミレニアル世代といわれるような若いユーザーにうけるような機能を盛り込まなければSlackのような先行ライベルと競争はできない。当然、絵文字、スタンプ、GIF、独自のミームなどによる賑やかなカスタマイズが可能だ。

チャット関連以外の機能は画面上部のダッシュボードの一連のタブに集約されている。OneNoteで書かれたメモだろうとウェブサイトにあったグラフだろうと、ユーザーは簡単に異なる種類の情報を引き出すことができる。多種多様な情報を一箇所に集約し、しかも画面をごたつかせユーザーを混乱に陥れないために優れたデザインだろう。

Microsoftは新しいボット・サービスも導入している。その中にはT-Botと呼ばれる集中ヘルプシステムがある。ボットは情報をクロールしてインデックス化し、さまざまな質問に答えるべく準備している。同様にWhoBotは登録メンバーの情報を管理しており、現実の文脈中で生じた疑問について誰に質問したらいいかユーザーに教えてくれる。

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Teamsは広い範囲のモバイル・デバイスをサポートする。MicrosoftはiOS、Android、それにWindows Phoneのアプリを発表した。デモで見た限りではモバイル版やデスクトップ版を小型化したもののように思えた。

デスクトップ版、モバイル版ともにセキュリティーは重視されている。データの暗号化をサポートし、 EUモデル条項、ISO 27001、SOC 2、HIPAAなどの条項に準拠している。「Microsoftの他の商用サービスと同様、われわれは透明性の高い運用モデルを構築しており、われわれが顧客データに継続的にアクセスすることはまったくない」と発表イベントでMicrosoftは述べた。

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現在Teamsアプリはプレビュー版という位置づけで181ヶ国で利用可能になる。正式な一般公開は来年の第1四半期を予定している。また今日からMicrosoftはサードパーティーのデベロッパーに対してこのアプリを公開した。

製品のローンチと同時にAsana、 Hootsuite、Zendeskなど多数の有名企業がユーザーに名を連ねている。またTeamsはTwitterやGitHubといったポピュラーなサービスからの通知を受け取るように設定できる。

〔日本版〕Teamsはプレビュー版。日本のMicrosoftのページには紹介がまだ見当たらないが、Microsoftブログにプレビュー版を利用可能なユーザー、ダウンロード方法などの紹介がある。 

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Duolingoに外国語学習を手助けするチャットボットが登場

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チャットボットのブームであるようだが、実際に役立つものが少ないと感じている人も多いようだ。しかし言語学習の際に利用できれば、それはきっと便利なのではないだろうか。学習した内容を、コンテキストの中で使ってみることができれば、身につく度合いも変わってくることだろう。とくにオンラインで学習している場合、習ったことを試してみる相手が周りにいないケースが多いだろう。そういうケースに対処しようと、DuolingoはAIを活用したチャットボットをアプリケーションに導入することにしたのだ。

2016-10-05_1648今のところ、チャットボットが対応しているのはフランス語、スペイン語、およびドイツ語についてのみだ。またiPhone版アプリケーションのみの対応となっている。ボットはクラウド上に存在するので、利用にあたってはインターネットに接続している必要もある。

ボットとの会話を魅力的なものとするため、Duolingoは複数のキャラクターを用意してもいる。たとえばシェフのRobert、ドライバーのRenée、およびオフィスワーカーのAdaなどのボットが存在する。それぞれに、こちらからの会話に対して異なるリアクションをとるようになっている(過ちの正し方もそれぞれに異なる)。いろいろなキャラクターを用意することで、現実世界に近い状況を提示しようという意図もあるのだろう。

なお、チャットボットが会話時のバリエーションを認めているのもうれしいところだ。言語学習のアプリケーションでは、これができないものが多い。たとえば挨拶の仕方などは何通りもある。しかし決まった表現しか許さない学習ソフトウェアが多いのだ。さらにはどのように答えてよいのかまったくわからない場合には、ボタンクリックでヒントを示してもくれるようになっている。

「外国語を学ぶ際の大きな目標のひとつは、会話をすることだと思います」とDuolingoのCEO兼共同ファウンダーのLuis von Ahnは述べている。「ボキャブラリーや読解力のトレーニングはこれまでのDuolingoアプリケーションでも行うことができました。しかし学んだことをいきなり現実世界で試すというのはいろいろと難しいものでしょう。そういうときに、わたしたちのチャットボットが便利にかつ有効に機能すると思うのです」。

今のところはテキストベースのやり取りしかできない。しかし音声対話も行えるようにしたいと考えているそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

Supershipの「Sunnychat」は5秒動画を軸にしたコミュニケーションアプリ

Supership取締役の古川健介氏(左)、Supership代表取締役の森岡康一氏(右)

Supership取締役の古川健介氏(左)、Supership代表取締役の森岡康一氏(右)

コミュニケーションアプリと言えば、テキストやスタンプでのやり取りを思い浮かべるが、Supershipが8月1日にリリースした「Sunnychat」(iOSAndroidでそれぞれ提供)は、1つの動画(もしくは写真)を友人間で共有するところからコミュニケーションをスタートさせるアプリになっている。

アプリを起動してホーム画面にあるムービーアイコンをタップし、動画や写真を撮影し、アプリ上の友人と共有。共有した友人間でテキストチャットやスタンプによるコミュニケーションができるサービス。動画は最大5秒まで撮影可能。友人の追加はFacebookやQRコード、電話帳連携が可能(Androidのみ。iOSでは現状QRコードでしか友人を追加できないようだ)。今後はTwitter連携にも対応する予定だ。

Sunnychatの画面イメージ

Sunnychatの画面イメージ

サービスを担当するのはSupership取締役の古川健介氏。Supershipは2015年9月にKDDIグループ(厳密にはKDDIの子会社であるSyn.ホールディングスの傘下)のスケールアウト、nanapi、ビットセラーの3社が合併して生まれた。古川氏はnanapiの創業者で元代表取締役だ。

ちなみにSyn.ホールディングスでは、「すべてが相互につながる『よりよい世界』を実現する」というテーマのもと、スマートフォン時代の新ポータル構想「Syn.」を掲げてサービス群のアライアンスを組んでいる。Syn.ホールディングス代表取締役副社長でSupership代表取締役の森岡康一氏は、Sunnychatもこの「繋がり」のテーマに沿った新規事業だと説明する。

古川氏は「テキスト、つまり言語を中心にしたコミュニケーションはネガティブな感情に振れやすい。逆に非言語、動画や写真を軸にしたコミュニケーションはポジティブな感情に振れやすい」と語る(古川氏はチームラボ代表取締役である猪子寿之氏の話としてこれを数年前に語っていた)。

ではポジティブなコミュニケーションを生むにはどうしたらいいか? Sunnychatではまずは動画や画像を投稿することで、それらについてのポジティブなリアクションができるような仕様にしたのだそう。今後はSnapChatSNOWのような顔認識を使ったエフェクト、さらにはARを使ったエフェクトなども導入を検討している。なおKDDIグループのサービスと連携することは現時点では予定しておらず、ユーザーベースを独自に作っていくことを目指すという。また目標ユーザー数などは公開しておらず、マネタイズに関してはまずはユーザーを拡大してから…とのこと。

8月1日にSupership内で開催された会見の質疑では、前述のSnapChatやSNOWのほか、LINEやTwitterなど先行するコミュニケーションサービスとの差別化に関する質問があったが、「いろいろ参考にさせてもらっているが、競合というのは実はあまり考えていない」(古川氏)という。とは言え、ダウンロードして1日、まだ僕の環境(iOS版)では友人招待の方法が限られていることもあって友人があまり居ないので、他のコミュニケーションサービスとの決定的な違いについてはまだちょっとはっきりしていないところもある(例えば動画が自動再生されるので、LINEのように都度ダウンロードして再生するといった手間がない、とかはあるのだけど)。

ところで古川氏といえば、学生時代に受験生向けの電子掲示板「ミルクカフェ」を立ち上げ、また総合電子掲示板「したらば掲示板」を運営(その後ライブドアに売却)した後にリクルートに入社。いくつかのコミュニティサービスを立ち上げた後にnanapi(当時の社名はロケットスタート)を起業。ハウツーメディアの「nanapi」などを提供してきた。会見後、メディアやコミュニティを運営してきた古川氏がどうしてこのサービスを開発したのか尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。

「コミュニケーションをメディア化したものがコミュニティだと思う。そしてコミュニティはいろいろと、『キツい』ことがある。知らない人とのコミュニケーションを許容できる人は、実はそういない。オープンなもの(コミュニティ)も考えたが、それよりも多くの人がコミュニケーションできるようなサービスを作りたかった」(古川氏)

24歳で2度目の起業、コンシェルジェサービス「FAST JAPAN」は訪日観光客にチャットで情報を提供する

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訪日外国人向けチャットコンシェルジェならびにメディアを運営するFAST JAPANは7月15日、2500万円の資金調達を完了した。代表取締役社長の片野由勇岐(かたのゆうき)氏は1992年生まれの24歳。まだ若いが、起業したのは今回が2度目となる。

「例えばインドを旅行するとき、日本語で現地のことが聞けるチャットがあれば便利じゃないですか?」

片野氏のこの発言が、FAST JAPANの根幹となる考えだ。同社が手がける訪日外国人観光客向けチャットコンシェルジュの「FAST JAPAN」では、日本を旅行・あるいは旅行を計画している外国人が、使い慣れたLINE(LINE@)やFacebook Messengerを使い、日本に関するさまざまな質問や予約を行える。例えば「おすすめの観光地はどこ?」「イチオシのお土産は?」「この飲食店を予約してほしい」といった具合だ。

FAST JAPANではメディア「FAST JAPAN」も運営しており、日本の情報も積極的に発信する。対応言語は英語と中国語(繁体字)。ユニークなのは、メディアにもチャットのウィンドウがあり、前述のコンシェルジェサービスを利用できる点だ。これをチャットへの集客に利用するほか、寄せられた質問をもとに、メディアのコンテンツを作成することもできる。つまり、メディアとチャットを組み合わせ、その相乗効果を狙う訪日客向けのツアーサイトというわけだ。

日本の観光情報を発信するメディアは英語・中国語(繁体字)の2言語で運営

日本の観光情報を発信するメディアは英語・中国語(繁体字)の2言語で運営

マネタイズはこれからでその詳細は非公開としている。ただし、あくまでチャットサービスを主軸にする方針だという。メディア事業でもアフィリエイトや記事広告で収益を得るが、こちらは副次的なものになると考えている。

類似するサービスとしては、タイ情報専門のチャットコンシェルジェサービス「Mr.Ask」がある。こちらは英語と中国語に対応。ただFAST JAPANと異なり、メディア展開はしていない。日本には直接の競合サービスはないとしているが、クレジットカード付帯やホテルにあるコンシェルジェが間接的な競合関係になると考えている。

FAST JAPAN代表取締役社長の片野由勇岐(かたのゆき)氏

FAST JAPAN代表取締役社長の片野由勇岐(かたのゆき)氏

冒頭にあるように、片野氏にとってFAST JAPANは2度目の起業。大学在学中に自己資金でソーシャルギフト事業を手がけるスタートアップの経験がある。サービスの概要は、FacebookやLINEで繋がっていれば、住所を知らなくても相手に荷物を届けられるというもの。片野氏はシリコンバレーでインターンの経験があるが、その際日本にいる知人にプレゼントを贈ろうとして苦労したことからこの事業を立ち上げた。結局事業が軌道に乗ることはなかったが、片野氏はこの失敗を次のように振り返る。「自分が作りたいものに合わせて、時代が求めているプロダクトを作ることが大切。それだけで周囲の後押しが全く違う」(片野氏)。FAST JAPANはそんな、時代のニーズに合わせて設計したプロダクトだという。

FAST Japanは2015年11月の設立。創業時にはソウゾウ代表取締役の松本龍祐氏から数百万円規模の出資を受けている。また今回2016年7月にシードファイナンスとして2500万円の資金調達を完了。内訳はエンジェルが1人(非公開)とKLab Venture PertnersとTLMのVC2社。日本でいまだに成長を遂げているインバウンド領域の事業である点、チャット系サービスであることが評価されたという。

同社は今回調達した資金を元手に、コアメンバー、アルバイトを含めて10人程度を想定した人員拡張を行い、チャットオペレーション体制を構築する。さらに、ボット化を含むスケーラビリティのあるチャットサービスのモデル開発にも資金を充てる。2017年前半を目標にシリーズAでの資金調達を目指すという。

Facebookはモバイルウェブからメッセージ機能を削除して、Messengerを押しつけようとしている

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Facebookは、モバイルウェブサイトからメッセージング機能を削除しようとしていることが、ユーザー向けの警告メッセージでわかった。「あなたの会話はMessengerに移動されます」と書かれている。そもそもMessengerがイヤでウェブアプリに切り替えた私のような人々数百万人にとっては願ってもない迷惑な話だ。

現時点では、警告を無視してそのまま使うことができる。しかしこの夏には、警告が貫通不可能な壁に変わり、唯一の選択肢は公式Messengerアプリをダウンロードすることだけになる。

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私は少々心配している。なぜなら、モバイルサイトを使う多くの人たちには、アプリをダウンロードしない正当な理由があるからだ。公式クライントアプリを持っていない人や、OSを最新バージョンにアップグレードできない人は、ウェブ経由でアクセスする必要がある。

そして実際私にとって、これはかなり敵対的なやり方に感じる。以前メインアプリからメッセージ機能を取り去った時と同じだ。もしこの会社の全員がマントラのように、世界をつなぎたいと唱え続けているのなら、アクセス方法の多様性もそこに含まれるべきではないだろうか。

いつもFacebook広報から聞かされている言い訳。会社は可能な限り最高のメッセージ体験を提供したく、Messengerアプリは彼らがそれを提供するために選択したプラットフォームである ― よって混乱を避けるために全員をそこに集結させる(アップデート:実際その通りの声明を受け取った。「最高の体験」とまで言っていた)。

そんなたわ言を真に受ける人など一人もいないだろう。Messengerのように強力なプラットフォームを飾り立て、機能を充実させ、そしてもちろん、収益化するのが簡単なことは誰にでもわかる。一方テキストベースのチャットで、それはほぼ不可能だ。

言い換えれば、あるサービスはユーザーに有用な価値を提供するが、Facebookには価値を提供しない。そんなサービスはいらない!

デスクトップとモバイルではFacebook体験自体が大きく異なる ― それは問題ない。投稿の見え方が違っても、操作方法が違っても、一部の機能かなかったり使いにくかったりしても構わない。メッセージングについてもそうあるべきだ。ただのテキストチャットだけ使わせてくれればいい。ユーザーはそれで感謝するし、Messengerの成長を邪魔することもない。

もちろんMessengerを大きく宣伝すればいいし、テキストベースでは一部のコンテンツが使えないことも言えばいい。Messengerは機能満載だ。ビデオも、スタンプも、そうチャットボットだって使える。しかし、切り替える決断をするのはユーザーであるべきだ。その権利を奪うことは、Facebookが注意深く守るべき信頼を損うことになる。

この際もう一つ言っておきたい。Facebook Liteをダウンロードさせてほしい(ちなみにメッセージングはまだ可能)。いまいましい地域制限をなくすべきだ。ユーザーの中には機能の低い端末を持っている人もいて、彼らは公式アプリと呼ばれる大食らいアプリのペアを走らせたくない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook MessengerとWhatsAppのメッセージ数の合計は全SMSの3倍以上

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今朝(米国時間4/12)の FacebookのF8デベロッパー・カンファレンスでは重要な発表がいくもあったが、メッセージ・アプリの人気と成長を示す興味ある統計も公開された。

CEOのマーク・ザッカーバーグによればMessengerとWhatsAppの双方を合算すると、伝統的なSMSの合計の3倍以上のメッセージが毎日やり取りされているという。具体的にいえばMessengerとWhatsAppでは一日あたり600億のメッセージが送信されているのに対して、SMSでは200億だった。

ザッカーバーグはまたMessengerのユーザーは昨年のF8開催時点で7億人だったのが9億人に成長したと述べた。一方WhatsAppはこの2月にユーザー数を10億人の大台に乗せている。

こうした統計は Messengerプラットフォームでチャットボットをサポートするというような重大なニュースと共に発表された。チャットボットはMessenger上で作動するユーティリティーで、カスタマー・サポートやeコマースなどの企業活動を助ける。ローンチ時点ですでに全国的なギフト花屋の1-800-FlowersやCNNのような有力企業と提携している。同時に天気予報アプリのPonchoやショッピングのSpring.ともパートナーとなっている。

当面チャットボットのサポートはMessengerに限定される。WhatsAppはシンプルにチャットだけを追求するようだ。チャットボットについては上記リンクの他に1月の記事参考になる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LINEでは最大200人の友だちと音声チャットが可能に–ビジネスでも便利に使えそう

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スマートフォンで一度に複数の友だちとチャットしたいことって、あるかな? そんなあなたは、今日(米国時間3/10)から幸せだ。モバイルのメッセージングサービスLINEでこれからは、それできるのだ

LINEで一対一のビデオや音声呼び出しは前からできたが、今度の新しい機能では音声で複数の人を呼び出せる。同時に最大200名まで可能だそうだ。

200人の友だちと同時会話したい人は、あまりいないと思うけど、十分に使い物になるならば、ビジネスの用途はあるだろう。というかLINE自身も、昨年LINEとは別途に、グループ呼び出しアプリをローンチしたときには、一部のエンタープライズ呼び出しシステムをリプレースしたい、という野望を語っていたから、今回やっと、それのLINE本体への統合が実現したのだ。

この機能でLINEは、Facebook MessengerやWhatsAppなどのその他大勢と一線を画すことになるかもしれない。Messengerは、アクティブユーザー数が10億を超えているだけでなく、ビデオと音声を使えるし、WhatsAppは昨年、音声を加えた(噂ではビデオももうすぐ)。しかしどちらも、今現在は多数者同時呼び出しをサポートしていないから、LINEの人気がさらに高くなるかも。

この新しい機能はLINEの四大市場、日本、タイ、台湾、インドネシアを除く世界各国で利用できる。この4つの国は、Lineの月間ユーザー数2億1500万の67%を占めるから、同社にとってすごい負荷だ。そこでこれらの国での新機能の提供は、後回しになったのだ。

日本のLINEは韓国のインターネット企業Naverが創業し、今年は合衆国と日本と両方で同時にIPOする、と噂されている。同社は2014年と2015年には、上場の計画を廃棄している。同社の年商は昨年初めて10億ドルに達したが、ユーザー数の成長は鈍化し、また競合アプリもいろいろ登場しているので、それらが懸念材料となっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

企業向けチャットSlackで元Twitterのエイプリル・アンダーウッドがプロダクト担当副社長に

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急上昇中のロケット、Slackの副操縦士にプラットフォーム部門のチーフ、April Underwoodが任命された。彼女は去る6月にSlackに移る前はTwitterに5年在籍し、最後はプロダクトのディレクターを勤めていた。Underwoodは今回、プロダクト担当副社長になる前、Slackのアプリ・ディレクトリとSlackファンドを実現させている。

プラットフォーム部門のトップを全プロダクトを統括する副社長のポジションに就けたことは、外部デベロッパーに対して職場のニーズに適合したチャット・アプリがSlackの本質であることを強く印象づけることになるだろう。Underwoodの指揮下でチャット・プロダクトがすべての企業の必要性にシームレスに応えるものに拡張されることを期待したい。

ビジネス・チャットの分野のライバルは基本的な機能でSlackに追いつくことは可能かもしれないが、エコシステムをコピーしようとすれば、Slackの持つ驚くべき勢いや評判、8000万ドルに上るデベロッパー向けファンドなどををそのまま真似るのがいかに困難か気づくはずだ。

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CEOのStewart Butterfieldはわれわれの取材に対し、「Aprilはプラットフォームのチーフとして非常に大きな仕事をした。Aprilの影響力がさらに大きなスケールで発揮されるのを見るのが楽しみだ」と語った。Underwoodをップラットフォームの責任者として6月に採用したとき、Stewart ButterfieldはForbesの取材に対して「Apriはビジネスとエンジニアリングの双方の分野で傑出した業績を残してきたが、これは非常に珍しい才能だ」と語っている。

Underwoodは当初、Appleと 3Mでインターンをを勤め、その後Deloitte、Intel、Travelocity、WeatherBillなどで短期間働いた。その後Googleでは2007年から2009年まで上級パートナー・テクノロジー担当マネージャーとして買収の調整と収益化を担当した。この間、Underwoodは#Angelsファンドの共同ファウンダーとなり、ファウンディング・パートナーに就いている。

TwitterでUnderwoodは2010年から2015まで働き、大きな業績を挙げた。UnderwoodはTweetボタン、Followボタンの最初に公開されたバージョンのマネージャーを務め、全ツイートを販売するfirehoseサービスやTwitterのロケーション・サービスの実現にも関与した。APIの開発や広告などUnderwoodの功績は幅広い分野で認められている。

SLack Daily Users

UnderwoodはSlackの膨大なユーザー体験を全面的に利用できるようになった。同社のアクティブ・ユーザーは200万と推定されており、Butterfieldは「ユーザーは平均して1日10時間はSlackeに接続しており、うち2時間は積極的に利用している」と述べている。

Slackは非常にユーザー活動の活発なサービスであり、そのプロダクト担当副社長のなすべき任務は多い。仕事をしている人間は誰もが効率的で使いやすいメッセージ・サービスを必要としている。Slackはアクティブ・ユーザー数からしてもエンタープライズのメッセージ・サービスとしてデファクト標準となるのにもっとも近い位置にいる。チャット分野を制覇すれば、その周辺の有望分野に進出することは容易だろう。

Slack Platform

Butterfieldは「2016年はわれわれにとって再び記念すべき年となりそうだ。Aprilのリーダーシップ、特に才能ある人材のリクルートの能力はSlackの成長にとって欠かせないものとなるだろう」と結論している。

April Underwood がSlackのプラットフォームを改革する

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ご注意! 企業向けチャットサービスのSlackに不具合発生中

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企業向けチャットサービスのSlackに現在不具合があるようだ。

Flickrの共同ファウンダー、Stewart Butterfieldが開発したSlackはエンタープライズ・チャットルームとして最近大人気だ。そのSlackに何か問題があるとTechCrunchの社内で判明したが、その後、Twitterのレポートでも確認された。

@SlackHQは公式ツイートで次にように述べている。

〔Slackに間歇的な接続問題が起きている。われわれは全力で問題の所在を調査し、解決を図っている。すぐにアップデートの予定。〕

Slackのシステム・ステータスのページも同様の内容を述べている。.

困っているのはTechCrunchだけではないようだ。

〔SlackがダウンしてるときにSlackの本社では何を使ってコミュニケーションしてるのだろう?〕

われわれはSlackに問い合わせ中だ。何かわかればすぐにアップデートする。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

IM中、相手が返信するまでの「空き時間」で単語を学習するWaitChatter

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オンラインコミュニケーションの機会は質・量ともに拡大している。しかし、それがために無駄にする時間も増えているのではないかと考える人がいるようだ。すなわち、IMのウィンドウを見ながら無為に過ごす時間が増えているのではないかという意見だ。そして、そういう問題を解決しようとするアプリケーションも生まれてきた。WaitChatterというもので、IM画面前でスタンバイしている時間を、スキル取得のための有効な時間に変えてしまおうというプロダクトだ。Google Chatの利用中、相手が返信してくるまでの空き時間で外国語の単語を覚えることができる。

このアプリケーションはMITのComputer Science and Artificial Intelligence Labの研究から生まれたものだ。調査によるとIMを利用する人は平均して10分ないし15分をアプリケーションの前で無駄に過ごしているのだそうだ。この無駄な時間をボキャブラリービルディングの時間に使おうと考えて作られたわけだ。このWaitChatterは、今のところGoogle Chat(Hangoutsに移行してしまった人は、Google Chatに戻す必要がある。但しこの作業は簡単に行うことができる)用のエクステンションとして提供されている。チャットウィンドウ内に学習用のコンテンツが表示されるようになっている。。

単語学習アプリケーションは数々あれど、意識的に学習時間を作って利用するのは精神的な負担にもなるものだ。空き時間を活用しつつ、そして精神的な負担もなくして学習に役立てようというのが狙いだ。

先行テストの段階では、予め用意された単語リストや、IM中で利用された用語から1日に4つほどの単語が表示させるようになっていたとのこと(訳注:正式リリース版はプライバシーの観点から、チャットメッセージから単語を取得するようなことはしていないようです)。このような方法で外国語がマスターできたり、あるいはネイティブになれたりするわけではない。しかし単語を覚える程度のことにならば、ちょっとした空き時間も有効に活用できるというわけだ。

このWaitChatterを産みだしたリサーチチームは、チャットの場合のみならずメールの読み込み時や、あるいは実生活においてタクシー待ちをしている場合のような「空き時間」を有効に活用する方法を模索しているところだとのこと。

ところでWaitChatterは今のところ、Google Translateが対応しているアルファベット言語に対応している。今後はまず、SkypeやFacebook Messengerなどの他IMプラットフォームにも対応していきたい考えなのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

ビジネスチャットシステムを手がけるChatWork、GMO-VPから3億円の資金調達

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国産のクラウド型チャットシステム「ChatWork」を提供するChatWorkが資金調達を実施した。同社は4月27日、GMO VenturePartnersを引受先とした総額3億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回の調達をもとにエンジニアの採用や新機能開発、プロモーション、アライアンスパートナーの開拓を進める。

ChatWorkは2000年の設立(当時の社名はEC Studio)。これまで一貫して自己資金でサービスを運営し、14年間黒字での経営を行ってきたという。なおプロダクトとしてのChatWorkは2011年3月のリリース。キャッチコピーは「メールの時代は終わりました」というなかなか過激なモノだった。すでに米国にも進出し、子会社ChatWork Incをシリコンバレー置いている。今後は日米あわせて積極的な採用を実施する予定。国内については、現在35人の社員数を2〜3年で100人以上まで拡大するとしている。

ChatWorkは現在、中小企業や大企業、教育機関、官公庁など約6万6000社、世界183カ国で利用されている。とはいえクラウド型のチャットシステムは競合も多い領域。スタートアップだけ見ても海外のSlackHipChat、国内のTalknoteco-meetingなどがある状況だ。