弱小でも人気の高いホスティングサービスDigitalOceanが、CoreOSをサポートして大規模クラスタにも対応

わずか数年前に開業したDigitalOceanは、早くも、誰もが気軽に使える仮想サーバを提供するホスティングサービスとして、有名になってしまった。しかし同社自身は、個人のためにWordPressのブログをホストするとか、デベロッパのために月額5ドルのテストサーバを提供するといったレベルには満足せず、次のステップとしてCoreOSのサポートをこのたび発表した。CoreOSはコンテナを前面に打ち出したLinuxディストリビューションで、アプリケーションの大規模な展開に適している。

DigitalOceanの協同ファウンダでCMOのMitch Wainerは今日(米国時間9/5)の声明文で次のように述べている: “CoreOSにはコミュニティの熱気がある。デベロッパが今すぐにでもCoreOSを使い始められることを、ここに発表できることは、とても喜ばしい。CoreOSの高い障害耐性と大規模なスケール能力を、みなさまにご享受いただきたい”。

DigitalOceanによれば、CoreOSもうちで使えば気軽なお値段で試用できるし、コンテナはどのクラウドサービス上のものでも使える、という。

CoreOSのクラスタを動かすことは、一台のサーバの上でUbuntuの最新バージョンを動かすことほど単純ではないので、DigitalOceanで使用ないし試用する場合でもいくつかの作業が必要だ。まず、新しいサービス(DigitalOceanの用語では“ドロップレット(droplet)”)を作るときには、構成ファイル(コンフィギュレーションファイル)が必要だ。つまりCoreOSは、自分がどことどこのサーバにアクセスするのかを、知る必要がある。構成ファイルを作るのは難しくはないが、それほど些細な作業でもない。

CoreOSのサポートを加えたことによってDigitalOceanは、単なるベーシックな仮想サーバの提供者から脱皮しようとしている。しかし今後AWSやGoogle Cloudなどと真剣に競合していくためには、それも欠かせぬステップの一つだ。

同社の協同ファウンダのBen Uretskyがこれまで何度も言っていたように、同社は増大する需要に対応していくのが精一杯で、基本的な製品開発、たとえばサポートするディストリビューションの種類を増やすといったことが、どうしても後回しになりがちだった。しかし最近DigitalOceanは巨額な資金を獲得してスタッフも増員したから、今回のCoreOSのサポートのような、新しいことにも、十分、注力していけるのだ。

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DockerがPaaSプラットホームのdotCloudをcloudControlに売ってコンテナビジネスに専念

オープンソースのアプリケーションコンテナ技術Dockerの開発とメンテナンスを行っているDocker, Incが、同社のPaaSビジネスdotCloudをベルリンのcloudControlに売却したことを発表した。これによりDockerは、本業のコンテナソフトウェアに、より集中できることになる。

DockerのCEO Ben Golubは本誌TechCrunchに、これからは同社のビジネスのDockerの部分に集中したい、と語った。“これまでの18か月でDockerのユーザ数は急増した。今ではそれは、わが社が全力を上げてそれに集中しなければならないほどのレベルだ。そこでdotCloudには、もっと顧客のためになる新居を見つけてあげることになった”。

Golubによると、一定の厳しい条件を満たす買い手を探すのに苦労をした。まずそれは、すでに市場で高く評価されているPaaSベンダであること。そしてdotCloudプラットホームのメンテナンスを継続できる力量があること。つまり、dotCloudの500あまりの既存の顧客をぶんどることが、ねらいではないこと。

dotCloudのWebサイトでデベロッパサポートマネージャAndrew Rothfusが、“dotCloud PaaSプラットホームが、合衆国に進出しようとしているドイツのPaaSプロバイダcloudControl GmbHの合衆国の子会社に買収されたことを発表できることは、欣快至極である”、と述べている。

そのブログ記事はさらに、dotCloudの名前の存続と、顧客の事業の継続性(現状維持)を約束している。そしてそのために、新しい親会社とのスムーズな統合化のために、あらゆる努力を惜しまない、と。

Golubはこう付言する: “cloudControlはヨーロッパでは大手であり、合衆国進出もねらっているぐらいだから、能力は高い”。

Dockerは今とても人気の高いコンテナ技術であり、デベロッパたちの想像力をとりこにしている。本誌TechCrunchの6月の記事は、Dockerについて次のように述べている:

“Docker 1.0はGoogleが開発した新しいコンテナ技術の実装系の一つで、アプリケーションを、これまでのように変更を加えたり、開発サイクルの新しいステージに入るたびに、まったく新たな再インストールや再構成を必要とせず、安全に配布できる”。

dotCloudはもともと同社のミッションの一部ではないので、今回の売却は好機であった。またベルリンのcloudControlにとっても、意義のある買収だった。どちらもPaaSを主力とする企業であり、どちらも顧客のアプリケーションをクラウドに展開〜管理〜スケールすることが技術の中心だ。両社はいわば“似た者夫婦”であり、dotCloudはcloudControlに、既存の顧客によるインスタントな成長を与え、また合衆国市場におけるインスタントな足場も与える。

そもそも会社がDocker, Inc.に名前を変えてから以降、dotCloudには不安定感があった。そして今回の買収によりdotCloudの顧客企業はむしろ、このプラットホームのPaaSとしての長期的な存続に関して、より安心感を持てるようになった、と言える。

Golubによると、今Dockerの社員は50名で、うち4名がdotCloudを担当していた。彼らは今後もDockerの社員として、所有権の移行期90日間はdotCloudのサポートにあたり、その後はDocker本体の仕事に移行する。

Golubは買収の価額等を公表しなかったが、目的はお金ではなく、あくまでも、dotCloudの顧客たちに良き新居を見つけてあげることにあった、と言っている。“それはおもしろい取り引きだったけど、主な狙いは顧客たちに良い家を見つけてあげて、われわれが安心してDockerに専念できるようにすることだった”。

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Microsoft、パートナー・カンファレンスでクラウド戦略を説明―「未来ではなく今の話だ」と強調

今朝(米国時間7/14)、Windowsパートナー・カンファレンスMicrosoftは会場のクライアントに向かって多様なクラウド・サービスを利益と顧客を増加させる有力な手段であると説明し、「クラウドは未来の話ではない。現在の話だ」と強調した。

今回のMicrosoftのプレゼンでは、市場の支配者というより、むしろ古い市場を捨てて新しい市場のシェアを獲得しようとする新参の反逆者のような表現が注目された。

ハードウェア

COOのKevin Turnerは「パソコンのエコシステムは依然として3億台の規模だ。Microsoftはそのうちの90%のシェアを握っている。しかしモバイルを含めた全デバイス市場ではわれわれのシェアはそれよりはるかに小さく、14%に過ぎない。現在Microsoftが全力を挙げているのが、このより広いデバイス市場でのシェアを獲得することだ」と述べた。

Turnerはさらに「90%のシェアを握っている場合、その姿勢は守りになる。しかし14%のシェアしか持っていない場合、ものの見方は少々変わってくる」と指摘した。

カンファレンスの全体を通じてMicrosoftは新しいデバイス、サービスに関するアグレッシブな姿勢を貫いた。プレゼンではSurface Pro 3、Windows Phone、OEMのWindowsタブレットなどのモバイルデバイス、Office 365、CRMツール、Sharepoint、Windows Azureなどのクラウドベースのソフトウェアが終始強調された。

ソフトウェア

TechCrunchが1年近く前に指摘したように、クラウド化、サービス化にともなってMicrosoftのビジネス構造には大きな重心の変化が起きている。Turnerによれば、Sharepointの売上は20億ドルに達しており、Office 365は「われわれの商用プロダクト中で最速の成長ぶりを示している」という。またAzureは2014年度に入って新たに4万2000のユーザーを獲得し、現在毎日1000件の新規契約があるという。

Turnerは「この変革への対応な容易なことではない」と認めた。たとえば「9インチ未満のスクリーンのWindowsデバイスにはロイヤリティを課さないという決断は辛いものだった」という。しかし「この新方針のためにメーカーがWindowsベースの小型のデバイスを開発する動きが加速された」とTurnerは述べた

戦略

ある分野ではMicrosoftはクラウド化をリードしている。Office 365はエンタープライズ・ソフトウェアの分野における大ヒットとなった。Azureも好調だ。だが新しいデバイス分野における競争では依然として遅れをとっている。モバイル戦略の中心となるWindows Phoneも成長はしているが、十分な速さとはいえない。これが「全デバイスを通算すると14%」という残念な数字の原因になっている。Windowsタブレットも市場を支配するようなシェアは獲得できていない。Microsoftはこの状況を打開するために、Windows搭載の低価格のノートとタブレットを今年後半に市場に投入する計画だ。

Microsoftの新プロダクトは非常に多岐にわたっているので、点数を付けるのは難しい。しかし同社の戦略ははっきりしている。Microsoftはあらゆるプラットフォーム上でクラウド・サービスを販売しようとしている。同時に、向こう5年程度で、ハードウェア、ソフトウェア双方でMicrosoft独自のプラットフォームを構築するというビジョンを抱いている。

下は今回のプレゼンの最後に表示された「2015年度のわれわれの攻勢計画」と題されたスライドだ。

〔日本版〕 1:クラウドに全力、2:モバイルで勝利、3:各分野で挑戦者に、4:顧客満足度向上 という目標を掲げている。

今日のイベントはマイクロソフトと提携してプロダクトを開発、販売するパートナー企業が対象だった。Microsoftは依然として伝統的なチャンネルを通じて伝統的なプロダクトを販売し、膨大な売上を得ている。しかしMicrosoftは、今後はサービスを販売することで、より多くの収益を得られるものと考えており、現在そのことをパートナーに納得させようと努力しているところだ。

画像; FLICKR USER ROBERT SCOBLE UNDER CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN CROPPED)

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


AWSは、開発ツールから脱皮しようとしている

Amazon Web Servicesは、様々なことで知られているが、そのいずれもがクラウドコンピューティングのインスタンス、データベース、およびストレージ等のデベロッパー向けサービスに関連するものだった。しかし最近AWSは、徐々にエンドユーザー向け生産性ツールになりつつある。

Amazonがこの市場へ参入した最初の試みはAmazon Cloud Driveだった。これは去る2011年にスタートしたが、正確な利用者数は知られていないものの、多くの消費者が登録したとは思えない。今 ― おそらくFire Phoneの発売に合わせて ― 同社はこの取り組みに拍車をかけるべく、AWSの名前の下、エンタープライズユーザーを引き込もうとしている。

Cloud Driveの後、この分野ではおよそ静かだったAmazonだが、昨年になってAmazon WorkSpacesの限定ベータテストを開始した。これはエンタープライズ向けのバーチャルデスクトップで、今年3月に一般公開された。Workspaceを使うために、依然として管理者はAWS管理コンソールで設定する必要があるが、ユーザーにとっては単純明快な体験だ。

このプロジェクトは、もちろん実際のウェブアプリケーションよりもバーチャル化が主な目的だった。しかし、今回Amazonが発表したZocaloは、Google Drive for WorkやDropboxと競合するフル装備のサービスで、ウェブベースのインターフェースが用意されている。ここでも対象は主としてエンタープライズであり、消費者向けの無料サービスは提供されない(ただし、5ドル/ユーザー・月という通常価格は実に意欲的だ)。しかし、ひとたび軌道に乗れば、Amazonが企業だけを相手にするとは考えにくい。

Amazonは、これまでにも電子書籍や音楽サービス向けにある種のウェブアプリを長年提供してきたが(おそらくAmazon.comもウェブアプリだとする考えもあるだろう)、Zocaloは、AWSにとって全く新しい方向への一歩だ。そしてこれは、スタートアップ各社が心配すべき事柄でもある。例えば、DropboxはAWS上でスタートした。しかし、Amzonも自らこの市場を取りに来るとしたらどうだろうか?

Fire OSで、同社はデザインもできることを示した。Zocaloのデザインが一部Fire OSに似ているのは偶然ではないだろう。

消費者向きではないが、AWSの新しいモバイルアプリ分析サービスも、同じように同社のプラットフォーム上に作られた他の分析サービスと競合する立場にAmazonを置くものだ。機能的にはまだ、Flurryの分析サービス並みとはいかないが、豊富な無料サービスは多くのデベロッパーにとって十分かもしれない。

現時点でAWSは、モバイルであれウェブであれ、デベロッパーがアプリ開発に必要なものを、ほぼすべて提供している。同サービス上には新機能が急速に追加されているが、その殆どは段階的なアップデートだ。同社がAWSを新しい(あるいは少なくともAmazonにとって新しい)分野にどう展開していくかを模策中であり、その多くがデベロッパー向けサービスやAPI以外に向けられていることは理にかなっている。

Amazonの取り柄は何をおいてもその積極性であり、最近のFire Phoneや数々の新ウェブサービスの発表がそれをよく表している。その結果各分野のライバルたちをいら立たせることがあるとしても、おそらくそれはAmazonがさほど心配していることではないだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ユーザが複数のベンダから自由に構成を編成できる未来型IaaS、Massachusetts Open Cloudプロジェクト

【抄訳】

今日のクラウドインフラストラクチャ市場は、AmazonやGoogle、Microsoftなどひとにぎりの大企業が支配している。 Massachusetts Open Cloudプロジェクト(マサチューセッツオープンクラウドプロジェクト, MOC)と呼ばれる産・学・民のパートナーシップは、オープンコンピューティングのマーケットプレースを作ることによってこの状況を変えようとしている。このマーケットプレースは、いろんなインフラサービスがここに出店をして、ユーザは自分のニーズに応じてそれぞれ最適のサービスやプロダクトを選び、自己システムを構成する、というものだ。

このプロジェクトのローンチを支えたノースイースタン大学のPeter Desnoyers教授は、Amazonなどのサービスはたしかに便利だが、限界がある、と述べる。

第一に、大学など学術研究というニーズの視点から見ると、彼らのはすべてクローズドなシステムだ。つまり、直接のユーザである研究チームはそのシステムにアクセスできるが、共同研究ないし類似の研究を行っている別の大学のチームなどが論文の参考にするためにそのシステムを研究したいと思っても、できないことが多い。カンファレンスなどで当の研究チームのプレゼンを見たり、論文を入手することはできても、システムの深い知識は得られないのであまり役に立たない。

さらにまたAmazonなどのIaaSベンダは、フォード自動車の始祖“ヘンリー・フォード”方式でIaaSプロダクトを提供している。初期のT型フォードは、たとえば色は黒しかなかった。Amazonなどのプロダクトも、一定のパッケージ製品が提供されているだけだ。しかしユーザはそれぞれ、きわめて特殊な要求を抱えていることが多い。そしてそういう特殊なサービスは、既存のベンダからは得られなかったり、得られるとしても高すぎて使えなかったりする。

Desnoyersによれば、しかし複数のベンダが出店するマーケットプレースを作れば、ユーザはその場ですぐに、必要なものをピックアップして揃えることができる。コンピューティングはA社、ストレージはB社、メモリはC社、といった具合に。ベンダもこの方式が気に入ったようで、すでにCiscoやJuniper、Intel, Red Hatなどなどが参加意思を表明している。

プロジェクトに参加している大学は、Harvard、MIT、 UMass(マサチューセッツ大)、Amherst、Boston University、そしてDesnoyersが在籍するNortheasternだ。

マサチューセッツ州もこのプロジェクトのパートナーとして、同州HolyokeにあるMassachusetts Green High Performance Computing Centerにオフィスを提供する。

ベンダが機器装置類や技術面の人材を提供し、MOCそのものをオープンソースベースの商用プロジェクトとして完成させる。

このプロジェクトに参加しているベンダの一人としてRed HatでCTOの配下にいるシニアコンサルティングエンジニアJan Mark Holtzerは、このプロジェクトからは、ユーザの多様な用例からRed Hat自身も多くを学べる、と言う。とくに、構成の自由なそして可変なカスタマイズに加えて、大量のリソースをすぐに使え、用が済んだらすぐにそのリソースを開放する使い方ができる点が、このプロジェクトの魅力だ、と彼は言っている。

【中略】

今、クラウドインフラストラクチャの選択肢は数多く提供されているが、ユーザが構成や価格をベンダと交渉でき、複数のベンダの製品でユーザシステムを構成できるマーケットプレースはこれまで存在しなかった。未来のIaaSの姿も、このような、完全な自由が最後までユーザの手中にあるという、非常に柔軟な形に変わっていくと思われるので、MOCはそのような未来のいわば先鞭をつけた、と言えるだろう。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


月額2980円で士業に相談し放題の法人向けQ&Aサービス「Bizer」、登記用の書類も自動作成

Q&Aサービスと言えばオウケイウェイヴの「OKWave」から、スマートフォンに特化したLINEの「LINE Q」、nanapiの「Answer」などを思い浮かべるかも知らないが、企業を支援するQ&Aサービスも存在する。弁護士ドットコムの「弁護士ドットコム」もそうだし、walkntalkの「Visasq(ビザスク)」もそう、今回紹介するビズグラウンドの「Bizer(バイザー)」もそういったサービスの1つだ。

Bizerは、会社運営に関する手続きについて税理士や社労士、行政書士、司法書士といった士業の人々にオンラインで相談できるサービスだ。価格は月額2980円で、相談回数は無制限となっている。

サービスを開始したのは5月。現在はユーザーの8割が10人以下のスタートアップだそうだが、数十名規模の中小企業まで約100社がサービスを利用している。相談は基本的に24時間以内に回答するとしているが、現在1〜2時間程度で回答が来ることがほとんどだという。回答する士業の人数は30人程度。現在のリソースで1000社程度のユーザーまでカバーできるそうだ。ビズグラウンドで実際に自社の登記変更を依頼するなどしてテストをして、信頼できる人物のみを採用するという徹底ぶりだという。

Bizerはユーザーと士業の相談に加えて、士業への仕事の発注までをサポートする。Bizer上で金銭のやりとりは発生しないが、士業はユーザーから発注された金額の20%を利用料としてBizerに支払っている。「個別具体的な話が多い。また地域によっては業種を理解している士業の人にリーチするのが難しかったりもする。そういった課題を解決したい」(ビズグラウンド代表取締役の畠山友一氏)。

これを聞いてしっくりきたのだけれど、最近地方発のあるスタートアップが、起業の際にあった課題の1つとして「ITを理解している税理士が近所に居なかった」と話していたことがあった。Bizerでも、実際に地方のITスタートアップとITを理解している都内の税理士が仕事をするといった事例が出てきているそうだ。

そんなBizerが6月30日、役所提出書類の自動生成機能を公開した。この機能を利用すると、あらかじめBizerに登録しておいた情報をもとに、公証役場の委任状、法務局の登記申請書など、会社設立時や設立後に必要な16の書類を自動で作成できるようになる。

ただこれを聞いて疑問に思ったのだけれども、この機能、士業の仕事を奪うようなものではないのだろうか?畠山氏はその可能性を認めた上で、「書類作成はあくまで単純労働のようなもの。そういったものではなく、士業でないとできない付加価値のある仕事に集中できるようにしてほしい」と語る。2013年の株式会社の登記件数は約8万件とのことだが、Bizerでは今度その1割に当たる8000社の利用を目指すとしている。また、Bizerは登録された情報などをもとに、新たなサービスも提供していけそうだ。

なおビズグラウンドは、インキュベイトファンドの運営するファンド「インキュベイトファンド2号投資事業有限責任組合」から出資を受けている。金額は非公開だが、数千万円程度とみられる。


Dropboxが日本市場へ本格参入、東京支社設立に向けカントリーマネージャーを募集中

Dropboxが東京支社設立に向けて、カントリーマネージャーを探している。来日中のDropbox COO、デニス・ウッドサイド(Deniss Woodside)氏によれば、今回来日の目的はズバリ、日本法人立ち上げの第1号社員を見つけることだそうだ。

法人設立時期や規模については明言しなかったが、カントリーマネージャーとなった人物に組織作りを任せるということで、その後に他社とのパートナーシップやディストリビューターとの契約も進めるという。東京に支社設立となると、シドニー、ダブリンに続いて3番目。ヨーロッパやアジア、南米でも拠点設置を検討しているそうだ。

「日本、とくに東京への投資をします。日本は世界第3位の経済大国ですし、Dropboxのユーザー数で言っても日本はトップ5に入っています。これまで日本では特にPR活動も何も行なってこなかったのに、すでにユーザー数は800万以上います」

Dropboxは過去18カ月でユーザー数が1億人から3億人へ増えていて、このうち70%が北米以外の海外ユーザー。日本市場もかなり大きいようだ。なかでも企業向けの「Dropbox for Business」の日本市場での伸びは大きく、「この領域だけで過去1年で2倍に伸びています」という。「どんな業態であっても、10%から20%の従業員がすでにDropboxを業務用途で使っているのです。CIOは誰がどのファイルに対して何をしているのかといった可視化を求めるので、Dropbox for Businessがソリューションとして浮かび上がってくるという形です」

コンシューマー市場で広く受け入れられた使い勝手の良い製品が、企業内個人というべき個人レベルから企業内へ広がる動きは、BYOD(Bring Your Own Device:自分のデバイスを持っておいで)なんて言われてる。この動きが顕在化したのはiPhoneで、その流れは今、サービスでも起こっている。

2007年創業のDropboxは登場当時としてはクラウドストレージとして後発だったものの、瞬く間に市場を席巻。その後、Google(2012年)やApple(2011年)など大手もクラウドストレージをリリースしていて、競争は激化している。企業向けではBoxも北米市場で伸びていて、先日日本市場に参入している。ストレージ単価については、Google Driveが月額9.99ドルで1TBの容量を提供したりMicrosoftが企業向けは1TBとするなどパワーによる殴り合いの様相。さらに、Googleはマイクロソフトのオフィス製品をシームレスにクラウドに統合してしまうなど、クラウドストレージ専業のDropboxは、かつてほど安泰ではないように見える。

容量無制限をうたうDropbox for Businessは別として、個人向けのストレージ単価でみれば、Dropboxは現在100GBで9.99ドルと、かなり割高となってしまっている印象もある。この点についてウッドサイド氏に聞いてみたところ、「スマフォを買うときと同じで、価格だけが決定的要因ではありません。最も重要なデータを預けるのですからね。サービスの違いを消費者もビジネスユーザーも理解してくれます」とのこと。競合と比べた時のDropboxの良さは、「信じられないほど直感的で使い勝手の良さ、いつでもちゃんと問題なく動くということ、エレガントなデザインなど、そうしたこと。それから、消費者向けとしてもビジネス向けとしても、どちらもちゃんと動くということです」との回答だった。

個人向け市場でみれば、クラウドストレージの入り口といえるのは、もはやスマートフォン。写真、そして次に来るのは動画だ。そうだとすると、Androidを持つGoogle、iPhoneを持つAppleにどう対抗していくのか? Google Photoだと単語による検索(「自転車」で検索すると、自転車の写った写真がでてくる)ができたり、自動修正や自動アルバム化機能、連写したスチル写真を認識してアニメーション化して見せてくれる機能まであるなど、アップロード後の機能が極めて充実してきている。

「ユーザーにDropboxを選ぶ理由を聞いたところ、特定のプラットフォームに紐付いていないことという答えが多くありました。これは非常に大きな価値です。特定企業のクラウドだと、どうしても自社サービスにロックインするように最適化することになりますからね」

これはその通りで、たとえばGoogle Photo上の写真で「共有」ボタンを押すと、出てくるのはGoogle+への投稿画面のみ。Facebookで共有するという選択肢がなくて驚く。ユーザーのデータはユーザーのものと言っていられないGoogleの焦りすら、ぼくは感じる。

「デジタル写真については、まだまだ解くべき多くの課題があります。まだこれから多くのイノベーションが起こるでしょう。(Dropboxが先日リリースした写真管理・共有アプリの)Carouselは、まさにそうしたプロダクトです」

Carouselは、Dropboxが2013年に買収したメールアプリ「Mailbox」のチームメンバーの一部から出てきたプロダクトだそうだ。買収を通して優秀な人材を確保する「アクハイヤー」(acqhire)だったのか聞くと、「そうとも言えますね。技術系企業の買収が成功だったかどうかが分かるのには数年かかることもあります。ただ、どんなテック企業でもアクハイヤーは戦略的に組み込まれているものですよ」だそうだ。


Google I/O:ビジネス向けクラウド・ストレージ、Drive For Workは月額10ドルで容量無制限

今朝(米国時間6/25)開会したI/Oデベロッパー・カンファンレンスで、Googleはドライブをメジャー・アップデートしたのに加えて、Drive for Workを発表した。これはビジネス向けのクラウドストレージと生産性ツールのスイートで、セキュリティも大幅に強化されている。また特筆すべき特長は、保存容量が無制限であることだ。

しかしGoogleの動向を注意深く追っていたものにとってはショックではない。Googleは今年に入ってドライブの料金を大幅に引き下げた。この際、ドライブのプロダクト・マネジメントの責任者、Scott Johnstonは私の取材に答えて「企業のIT部門は今後ストレージ容量の心配をする必要がなくなる」と語った。

ユーザー1人当たり月額10ドルというDrive for Workの登場で、IT部門はストレージ容量だけでなく料金の心配もする必要がなくなったといえるだろう。またアップロード可能なファイルサイズの最大限を5TBに引き上げたことでもGoogleが「容量無制限」に真剣に取り組んでいることが分かる。正気の人間なら5TBのファイルをGoogleドライブにアップロードしようとは(当面)考えないだろうが、やろうと思えば出来るというのは心強い。

ユーザー1人月額5ドルの既存のGoogle Apps for Businessアカウントも存続される。

容量無制限というのがやはりいちばん人目を引くが、Drive for Workにはそれ以外にもビジネス・ユースに不可欠な多くの機能が用意されている。たとえばGoogle Apps Vaultは法の定めや会計業務のため、改ざんがないことを証明できるかたちでメールその他のデータを保管する機能だ。

またDrive for Workの管理者にはどのユーザーがいつ、どのファイルにアクセスしたかを確認できる監査機能が提供される。またGoogle はAudit APIを公開したので、企業は独自の監査ダッシュボードを作成できる。

Googleによれば、Drive for Workは大企業に対し、SSAE 16/ISAE 3402 Type II、SOC 2-audit、ISO 27001、Safe Harbor Privacy Principlesなどのコンプライアンスと監査のレベルを提供できるという。まだ医療分野のHIPAAのような業種別のセキュリティー要求もサポートする。

アクセス・コントロールは企業ごとの必要に応じてきめ細かく設定できる。たとえば一部のユーザーをファイル同期の対象から除外するようなことも可能だ。

Johnstonは「Drive for Workは、大企業向けのVaultのような機能を含め、スモールビジネスから中小企業まであらゆる企業のニーズに応えられるサービスとなっている。企業が成長した場合に必要になるような機能もそろっているので安心だ」と強調した。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


AmazonもEBSでSSDストレージをローンチ―料金はGoogleより安く、3000 IOPSをサポート

GoogleがSSDベースのクラウド・ストレージリリースした翌日の今日(米国時間6/17)、 Amazonもこれと非常によく似たSSDストレージを発表した。Elastic Block Store (EBS)においてこの新しいGeneral Purpose SSDボリュームは、標準的なHDDベースのボリュームとすでにSSDを導入している高価なProvisioned IOPSボリュームの中間に位置づけられる。

EBSはパーシステント・ストレージを提供するAmazonサービスで、そのボリュームはEC2クラウド・コンピューティングのインスタンスから利用できる。

今回新設されたGeneral Purpose SSDボリュームはProvisioned IOPSと異なり、入出力に関して追加料金ないし前払い料金を一切必要としない。データセンターはオレゴンとバージニアが利用でき、料金は1月1GBあたり0.10ドルから。他のリージョンからの料金はこれよりやや高くなるが、それでもGoogleのSSDストレージの1月1GBあたり0.325ドルよりずっと安い。

Amazonはこのタイプのストレージはボリュームあたり 毎秒3000回の入出力(IOPS)バーストを30分にわたってサポートできると約束している(ボリュームのサイズにはよらない)。Provisioned IOPSボリュームは48000 IOPSが可能だが、これはほとんどのアプリケーションで過剰性能だろう。新しいgeneral-purposeボリュームはAmazonがProvisioned IOPSのために開発したのとと同一のテクノロジーを用いているという。

Amazonによると、SSDベースのボリュームはHDDベースに比べて10倍のIOPSを処理でき、レイテンシーは10分の1、パフォーマンスの安定性も高いという。またこの新しいSSDベースのボリュームはバーストモードで3000IOPSを処理できるため、HDDにくらべてブート時間が半分になるとしている。

Amazonは今後SSDストレージをEBSの標準オプションとしていく方針のようだ。これまで標準であったHDDベースのストレージは今後はEBSMagneticボリュームと呼ばれる。”

昨日、SSDストレージを発表した際にGoogleは「入出力に対して追加料金を課さない」ことを強調した。Amazonが新しいSSDストレージでも入出力に料金を課さず、単純なストレージ容量のみの従量制ととしたのはおそらく偶然ではないだろう。デベロッパーはこれまでもAmazonの料金システムが複雑過ぎると不満を漏らしてきたが、SSDストレージの料金システムはAmazonが今後より単純な従量制に移行する前触れなのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Microsoft、Azure MLを発表―クラウドベースの機械学習プラットフォームは未来を予測する

最近急速にクラウド化しているMicrosoftが、今日(米国時間6/16)、クラウドベースの機械学習プラットフォームを発表した。このAzure MLはクラウド上でビッグデータを利用することにより、単に過去を分析するのではなく、将来の事象を予測するアプリやAPIを作ることができる。

Azure MLはXboxやBingですでに使われている機械学習機能を利用している。またデベロッパーが未来予測アプリを開発するために使うテンプレートとワークフローも用意される。これによって機械学習アプリを開発するスピードは大幅に加速されるという。サービスのプロバイダはAzure MLプラットフォーム上で各種のウェブサービスを開発できるだけでなく、APIを公開することも可能になる。

Microsoftのコーポレート・バイスプレジデントでAzure MLの責任者、Joseph Sirosh(Microsoftに移る前は長年Amazonに在職)は、「このプラットフォームを利用すればユーザー、パートナーは未来を予測するビッグデータ・アプリケーションを開発することが可能になる」と述べた。

Siroshは「過去の分析ではなく未来を予測し、それを変えることができるのがAzure MLの傑出した特長だ」という。

「既存のデータ分析システムも未来の予測ができる。しかし機械学習は未来を書き換えることができる」とSiroshは説明する。 つまりビッグデータを分析してパターンを発見し、製品の需要や病気の流行を予測したり、エレベーターが故障する前にメンテナンスが必要だと教えたりする。さらには犯罪の発生を予測して防犯に役立てることもできるという。

Siroshによれば、こうしたことを可能にしてゲームのルールを変えたのはクラウド化だという。もしユーザー企業が独力で実行しようとすれば何週間も、それどころか何ヶ月もかかるような膨大な処理がクラウド上ではごく短時間で実行できる。

またSiroshは「クラウドは最後の1マイル問題も解決した」という。以前このようなサービスではまずデータ・サイエンティストがビッグデータを分析してパターンを見出し、IT部門がそれに応じてアプリケーションを開発するという手順を踏む必要があった。このプログラムのコーディングがきわめて手間のかかる作業であり、何週間、何ヶ月もかかっていた。しかしAzure MLならアプリケーション開発は数時間ですんでしまうという。

また多くのデータ・サイエンティストが利用している統計処理言語Rのオープンソース・プロジェクトから300以上のパッケージが利用できる。

またSiroshは多くのユーザーがAzure MLプラットフォーム上でアプリやAPIを公開することによって好循環が始まることを期待している。「ユーザーがデータをAzure MLに持ってきてアプリやAPIを公開する。するとさらに多くのユーザーそのアプリをAPIを利用してさら多くのデータをAzure MLに持ち込むようになる」とSiroshは説明する。

Azure MLは現在、秘密にプレビューされている。しかしMicrosoftはいくつかの実例を明かした。その一つはMirosoftのパートナー、Max451が開発しているシステムで、これは小売業者が消費者の好みを分析することによって商品の売れ行きを予測するサービスだ。小売業者はもっとも売れそうな商品の在庫を増やすなどして利益を増大できる。

またカーネギーメロン大学はキャンパスの建物でのエネルギー消費を抑えるためにAzure MLを使って学内の活動パターンの予測手法を開発中だ。

しかしこの分野を手がけているのはMicrosoftばかりではない。IBMは昨年冬、Watson人工知能をクラウド・サービス化した。また先週はErsatz Labsというスタートアップがディープラーニング人工知能のクラウドプラットフォームをローンチしている。

Azure MLは来月に公開プレビュー段階に入るという。正式リリースの日程は明らかにされていない。

写真: (c) Can Stock Photo

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MicrosoftのCEO、サトヤ・ナデラ、「われわれはポストPCのさらに先の時代に入る」

MicrosoftのCEO、Satya Nadellaは「Microsoftは現在のポストPC時代のさらに先を見据えている。来るべき時代には企業も個人もひとつのデバイスに縛り付けられることなく、クラウドとモバイルを主要な環境とするようになる」というビジョンを語った。

第1回のCODEカンファレンスでNadellaは「われわれは今、ポスト・ポストPC時代の入り口に立っているのだと思う」と述べた。

NedellaはMicrosoftのCEOに就任してからまだ3ヶ月だが、大いに多忙な3ヶ月だった。Nadellaの就任後、MicrosoftはOffice for iPadをリリースし、 72億ドルでNokiaを買収し、ハードウェアではSurface Pro 3を発表して大きな反響を呼んだ。

もちろんこうしたプロジェクトの多くはNadellaの就任以前からスタートしていた。しかし30年を超えるMicrosoftの歴史でBill GatesとSteveBallmerに次いで3人目のCEOとなったNadellaはこの会社を再定義するという使命に取り組んでいる。これまでのMicorosoftはソフトウェア・ベンダーだったが、Nadellaはこれをデバイスとサービスの企業に変身させようと懸命だ。

クラウドとエンタープライズ担当の執行副社長であったNadellaはその任務にまさに適任だといえよう。

Microsoftはかつてなくハードウェア事業に力を入れている。その理由のひとつはポストPC時代の本格的な到来と共に、パソコン向けソフトウェアのライセンス事業の上にあぐらをかいていられなくなったという事情だ。

AppleのiOSとGoogleのAndroidがモバイル開発の主要プラットフォームとして地位を確立してしまったため、Microsoftはモバイル分野における独自の地位を守るためにWindowsのモバイルデバイスの93.5%を製造しているNokiaを買収せざるを得なかった。

独自ハードウェアと同時に、Microsoftはクラウド・ベースのサービスも次々に発表した。これをよく象徴するのがMicrosoftのクラウド・インフラを最大限に利用したNokia Lumia 930だろう。

Nadellaが果たしてMicrosoftを救えるほど素早くポスト・ポストPC時代への変身を完了できるかに.強い関心が集まっている。

さらに取材中。

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Box、大躍進―GEの全社員30万ユーザーのためのクラウド・ストレージ契約を獲得

今朝(米国時間5/8)、Boxは巨大な顧客を獲得したことを発表した。

ゼネラル・エレクトリック(GE)は、全社的クラウドストレージとしてBoxを採用することを決定した。

Boxによると、全世界170カ国、 30万人の社員がこのサービスを利用することになるという。GEはこのクラウドストレージによって社員の共同作業の効率がアップし、モバイル化にもより良く対応できるようになると期待している。

現代の企業はモバイル、ソーシャル、クラウドなどの新しいテクノロジーにビジネス環境を適合させる強い圧力を受けている。GEは社員がさまざまなコンテンツを保存、共有、共同作業するためのプラットフォームとしてBoxを選んだ。

GEとの契約の成立を伝える今朝のブログ記事でCEOのAaron LevieはGEはこれまでも新しいテクノロジーを積極的に採用して組織に変革をもたらしてきたと書いている。GEはiPhoneとiPadを最初に採用したFortune 500企業だった。またGEのCIO、Jamie MillerはIT部門だけでなく全社的な革新のために新しいテクノロジーを採用する旗振り役を長く務めてきた。

2週間ほど前にS-1上場申請書を提出したことに伴って、Boxは情報発信を制限される期間に入った。情報の空白が生じたため、そこをあれやこれやの(たいていは否定的な)推測が埋めることになり、Boxはさんざんな目に合っている。わずか1週間ほどでBoxのイメージはクラウドの寵児から失敗者へと転落してしまった。しかし現実はそのどちらでもないのだろう。

GEとの契約は大成功だが、BoxはすでにSchneider Electricで6万5000ユーザー、P&Gで3万ユーザーの大型契約をすでに得ている。Boxがこの調子で今後も大口ユーザーの獲得に成功するなら、悲観論を撃退して投資家を納得させることができそうだ。

写真 BY FLICKR USER BOB JAGENDORF. USED UNDER CC BY 2.0 LICENSE.

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Googleジャパン卒業生が手がけるクラウド予約管理サービス「Coubic」

クービックは4月10日、クラウド予約管理サービス「Coubic(クービック)」を公開した。

Coubicは、スモールビジネス向けのクラウド予約管理サービス。ホームページ作成から予約・顧客管理までの機能をワンストップで提供する。作成したいページのURLやメールアドレスなどを登録するだけでページの作成が可能。あとはショップの紹介文を書き、予約の登録をすればいい。スマートフォンアプリを利用すれば予約をプッシュ通知で知ることもできる。

無料プランのほか、予約数や表示件数にあわせて月額980円の「ベーシックプラン」、月額4980円の「プレミアムプラン」を用意する。7月までの期間限定ですべての機能を無料で利用できる。

クービックによると、これまで50社でのトライアル運用を続けてきたとこのことで、ヨガスタジオからネイルサロン、エステサロン、マッサージ、英会話教室、試乗会、セミナー、採用活動など多様なビジネスシーンをサポートするとしている。こちらのテスラモーターズの試乗会予約ページもCoubicを利用したものだ。

クービックは2013年10月の設立。Google、グリー、クックパッドなどで開発に携わってきたメンバーが創業した。代表取締役の倉岡寛氏もGoogleの出身だ。

実はこのクービック、本日記者説明会を開催する予定だったが、入居するビルで火事があり、説明会がキャンセルされてしまった(幸い同社の社員などに被害はなかったと聞いている。本当によかった)。というわけで、是非とも近日中に詳細を聞いてみたいと思っている。


大企業におけるクラウド利用の一元管理(コスト削減など)を助けるCloudyn

ITをクラウドに移行させつつある企業はとても多いが、クラウドのモニタリングと最適化サービスを提供しているCloudynに言わせると、クラウドは各部の勝手な差配で使われている場合が多く、それらの支出額も含めて総合的に管理されていないことが圧倒的に多い。しかしクラウド全盛の今日では、トップが企業全体のクラウド利用を詳細に把握して無駄を防止し、また、個々の部などの視野からは防げないセキュリティ事故などを、未然に防ぐべきである。

Cloudynが今日(米国時間4/8)ローンチするEnterprise Chargeback Editionサービスは、企業のIT部門と財務部門が協力して、各部が使用しているクラウドの費用や展開配置の現状を総覧できるようにする。それによりITと財務の双方がそれぞれの立場から、クラウド利用の全社的な最適化を企画推進できるようになる。

このツールを使うと、企業の各部が自分のクラウドアカウントの状況を一望でき、その使い方やコストを管理できる。また財務やITや管理部門は、各部ごとに費用を分析して、無駄の防止などを指摘指導できる。

CloudynのCEO Sharon Wagnerは曰く、“クラウドの料金体系はベンダによってまちまちだから、全社的なコスト管理が難しい。したがってぜひ、この業界初のソリューションをお使いいただき、明確な現状把握のもとに、クラウドへの投資を最適化していただきたい”。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、クラウド・プラットフォームで全面攻勢―大幅値下げ、新サービスをローンチ

今日(米国時間3/25)、Googleはサンフランシスコで開催したCloud Platform Liveイベントクラウドプラットフォームに関して多数の重要な発表を行った。Amazon Web Service(AWS)が依然としてデファクト・スタンダードとなっているこの分野で、Googleが競争力を大きく高めるべく攻勢に出たという印象だ。

しかし「攻勢に出た」というだけでは言い足りないかもしれない。Googleはクラウド系のほぼすべてのサービスで劇的な料金引き下げを発表した。

たとえば、クラウドコンピューティングのCompute Engineの料金はすべてのサイズ、リージョン、クラスにわたって32%値下げされた。クラウド・ストレージは68%引き下げられ、オンデマンドのGoogle BigQueryに至っては85%の値下げとなっている。

Googleはクラウド・サービスの料金はムーアの法則でハードウェアの価格が低下するのに歩調を合わせて来なかったと指摘した。しかし今後Googleはムーアの法則に合わせて料金を引き下げていくという。実はこれまでGoogleのクラウド・サービスの料金は他のベンダーと比較してそれほど安くなかった。しかし今後は料金の引き下げ競争でもトップを走る構えだ。

Googleはまた料金体系を単純化した。Amazonの料金体系は複雑なことで悪名高い。Googleはその反対を目指すという。たとえばAmazonの場合、割引を受けるためには前払いでインスタンスを予約する必要があるが、今回Googleは長期利用割引というシステムを導入した。これはユーザーが1ヶ月の25%以上の期間にわたってクラウド・サービスを利用すると自動的に割引が適用になるというものだ。

さらにGoogleはバグのトレーシング機能やクラウド・コンソールから直接アプリケーションを修正できるオンライン・コード・エディタなどデベロッパーの生産性を向上させる新たなツールを多数発表した。

Managed Virtual MachinesのローンチによってGoogleはクラウド上での開発に一層の柔軟性を与える。GoolgeのApp Engineはスケール性は高いが、機能に制限があり、Compute Engineには事実上、機能の制限がないが、管理運用にスキルが必要だった。これに対してデベロッパーは新たなバーチャルマシンを利用することで双方の「いいとこどり」ができるという。

GoogleはまたAmazonのRoute 53のライバルとなるクラウドDNSを発表した。Googleによれば、Google Cloud DNSはサービスとしての権威DNSサーバを提供するものだという。Googleクラウド・サービスのユーザーはネットワーク・インフラを運営するためにすでに利用しているコンソールからDNSも管理できるようになるということだ。

またCompute EngineではWindows Server 2008 R2の限定プレビューも開始され、Red Hat Enterprise LinuxSUSE Linux Enterprise Serverがラインナップに加わった。

エンタープライズや多量のデータ処理を必要とするスタートアップのためのBigQueryも今日から料金が85%引き下げられる。このプラットフォームは毎秒最高10万行のデータを処理でき、その分析結果はほぼリアルタイムで利用できる。Amazonがすでにリアルタイムでのビッグデータ処理サービスに力を入れており、しかも大量データ処理はGoogleが得意中の得意とする分野であるにもかかわらず、Googleは今までこの種のサービスにあまり力を入れていなかった。

クラウド・サービスに対してGoogleがどこまで本気なのかという一抹の疑念があったとすれば、それは今日のイベントで完全に払拭されたといってよいだろう。Googleは多少出遅れたとはいえ、既存のビジネスモデルに固執しているわけではないことが示された。一度動き出せばGoogleは圧倒的な技術力と巨大なリソースにものを言わせて小規模なベンダーがとうてい太刀打ちできないようなサービスを提供する。今回のGoogleの動きのもっとも大きな影響は、AmazonやRackspaceを始めとする既存のプレイヤーにさらなるイノベーションを迫ることになった点だろう。

Googleが今日のイベントを3月26日にやはりサンフランシスコで開催されるAmazonのAWSサミット・カンファレンスの直前に設定したのはもちろん偶然ではない。 当然Amazonも大きなサプライズを用意していることだろうが、Googleのたくみな動きはAmazonを後手に回らせた印象を与えること成功した。

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WinZip、ZipShareでクラウドに参入。あらゆるストレージのファイルを圧縮、管理、共有できる

WinZipは、90年代初期に公開されたファイル圧縮ツールだが、今でも年間3000万回以上ダウンロードされている。今日そのWinZipがクラウドに参入した。同社は、ZipShareという、ファイルのZip、管理、暗号化、および共有サービスをスタートし、主要なファイルホスティング・プラットフォームとも連携する。

現在ZipShareは、ファイルの圧縮と共有を、ユーザーのパソコンからだけでなく、Box、Dropbox、Google Drive、OneDrive、SugarSync、HighTail、CloudMe等からも行うことが可能で、他のプラットフォームも追加予定だ。しかし、ZipShareが面白いのはそのファイル管理機能だ。

はっきりさせておくと、ZipShareは自身で新たなクラウドストレージ・サービスになろうとはしていない。むしろ同社のねらいは、多くのユーザーがファイルの作成、保存、共有のすべてをオンラインで完結させている今日の世界で、WinZipのテクノロジーをより重要な位置付けにすることにある。、

もちろんWinZipは以前からクラウドが自社ビジネスに与える影響を認識している。WinZip バージョン17を2012年10月に公開した時、Dropbox、Google Drive、Microsoft SkyDriveをはじめとするクラウドサービスを追加サポートした。しかし、レビュー結果は、あまり芳しいものではなかった

WinZipは、モバイルアプリでも少ないながらクラウドサービスを統合してきたが、これも対象ファイルホスティングサイトの拡大と共に変わっていくだろう。

しかし、これまで同社のソフトウェアはそれぞれのバージョンが特定の環境でのみ動作していた。WinZipの製品担当ディレクター、Jacques Lamontagneがこう言っている。「われわれは、プラットフォーム無依存の製品を作りかった。そのためにはウェブアプリを作る必要があった」。さらに彼は、同社が圧縮機能以上に、WinZipの共有機能により重点を置きたかったことも説明した。

つまり、ZipShareにファイルをアップロードする際、ユーザーはファイルの最終目的地としてどのクラウドストレージを使うかを指定できる。ファイルはアップロードの最中にZip圧縮されながら、ユーザーお気に入りのサービスに保存され、オプションでパスワード保護を追加することもできる。これによって、ストレージサイトが既に保護機能を導入している場合にも、第2のセキュリティー層として働き(AES-256暗号を使用)、侵入に対してファイルがより安全になる。

アップロードが完了すると、そのzipファイルをメールまたはfacebook、Twitter、LinkedInなどのソーシャルネットワークでシェアすることができる。ZipShareは受け手にURLを発行し、それをクリックすればzipファイルをダウンロードできる。同サービスはファイルのダウンロードも追跡するので、送り手はファイルがアクセスされたかどうか知ることができる。

こうして、ウェブ、デスクトップ、モバイルいずれからもファイルをすばやくアップロード、zip圧縮できることに加え、ZipShareの “My Files” セクションを使えば、ユーザーの好きなクラウドサービスを横断してファイルを管理できる。つまり、ZipShareを使って、異なるファイルホスティングサイト間でファイルを移動したり、クラウド上のファイルを削除、zip、unzipしたりできる。

クラウドに保存したファイルをzipできる機能は、ストレージサービスの容量を最大限に活用したいユーザーにとっては朗報だ。「(各社が提供する無料ストレージを)合計すれば、空き容量は40~50GBになる。無料ユーザーはそれが一杯になるまで使い続けられる」とLamontangeは言った。

現在サービスはベータ版で、モバイル版の最適化を完成させている段階だ。今春中に正式スタートの予定。

ベータ期間中は、共有、追跡、暗号化、ファイル管理の全機能が提供されているが、正式提供後は基本的ファイル共有のみ無料で利用てきる。WinZipはプロバージョンを年間39.95ドルで提供する計画だが、今後変わる可能性があるとのこと。他に9.95/月のビジネスモデルも検討中で、1社あるいは複数のクラウドストレージ会社との提携も視野に入れている。

興味のあるユーザーは、ここでサインアップできる。

写真提供:Flickr user theaucitron under a CC by-SA 2.0 license

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


AWSのパフォーマンスモニタリングで好調なStackdriverがシリーズBで$10Mを調達

Stackdriverは、クラウドから提供されるアプリケーションをモニタするサービスだが、今日(米国時間9/18)はシリーズBとなる1000万ドルの資金調達を発表した。このラウンドはFlybridge Capital Partnersが仕切り、既存の投資家Bain Capital Venturesと数名のエンジェル投資家が参加した。ボストンに本社を置く同社は、昨年シリーズAで500万ドルを調達したが、協同ファウンダのIzzy AzeriとDan Belcherが今月初めに語ったところによると、今回の資金は営業およびマーケティング努力の拡大と、分析サービスのタイプを増やすことに充てられる。

彼らによると、同社は新たな資金調達にそれほど熱心ではなかったが、昨年のシリーズAの完了以降に数社のVCからアプローチされた。すでに同社のサービスの顧客は相当増えていたから…約400社、有料顧客はSmugmug、99designsなど数十社…、今回のラウンドもやることに決めた。FlybridgeはMongoDBの初期の投資家でもあるので、今回のラウンドのリーダーとしてふさわしいと思われた。

Stackdriver自身は今のところAmazonのクラウドサービスのパフォーマンスの測定が主だが、起業時の目標は一般的なmonitoring-as-a-service、何でもモニタするMaaSだった。でも実際には、デベロッパはもっぱらパフォーマンスを気にする生き物であった。同社のファウンダたちによると、大きなチームが大量のリソースをパフォーマンスモニタリングに投じているところも多く、そういうところはモニタリングをStackdriverに任せて楽になるべきである、と。

Stackdriverはリソース単価8ドルで、パフォーマンスの測定結果を視覚化するダッシュボードを顧客に提供する。リソースとは、ひとつのデータベース、ひとつのEC2インスタンス、ひとつのDynamoテーブル、などなどのことだ。また同社のモニタリングアルゴリズムは、サーバの異状をデベロッパに警告する。サービスの利用料金は、10名未満の開発環境なら無料だ。

Smugmugのオペレーション部長Andrew Shiehが今日の声明文の中で、“Stackdriverが登場するまでは、ダイナミックな…動的にたえず変化していく…クラウド環境をモニタできるソリューションがなかなか見つからなかった”、と言っている。“今日ではStackdriverを利用することによって、弊社のシステムとインフラストラクチャのパフォーマンスを数百万のユーザが期待するレベルに維持できる。クラウドモニタリングのためのプロダクトを弊社で作るとしたら、まさにStackdriverと同じものになるだろう”。

既存の同種サービスに比べてとくに優れていると自負しているのが、アラートだ。これまでのデベロッパは4種類か5種類のモニタリングシステムを使っていたから、アラートが多すぎてアラート疲れになっていた、と同社は言う。

Stackdriverは目下AWSとパフォーマンスに絞っているが、今後は新しいツールも加えたい、と考えている。たとえばユーザは、コストのモニタリングもしたい、と望んでいる。また、外部リソースについてもモニタしたい。ただし同社のチームが前から考えていたスレッド検出ツールは、当面棚上げとなっている。

AWSのほかに、Rackspaceのクラウドのモニタリングも提供しているが、利用者は同社の全顧客の中でごく少数であり、だから、こんな記事など向けにあまり強く謳うべきではないと考えている。

〔参考: 関連記事。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazonのクラウド・ドライブ・アプリがビデオのアップロードをサポート―Androidデバイスで再生もできる

モバイル・デバイスから写真をAmazonのクラウド・ストレージにアップロードするアプリ、Amazon Cloud Drive Photosが新たに動画もサポートした。ビデオはマニュアルでファイルごとにアップロードすることも可能だが、デバイスにオートセーブを設定すれば、自動的にアップロードが行われる。

写真の自動アップロードは今年初めのアップデートで可能になっていたが、ビデオのアップロードはマニュアルだろうと自動だろうとこれまでサポートされていなかった。Amazonによればアップロード/ダウンロード可能なビデオは1ファイル最大2GB、最長20分だという。

これはYouTubeのデフォールトの設定である15分よりやや長い(ただしYouTubeでもアカウント認証を受ければこれより長いビデオがアップロードできる)。いずれにせよ20分というのはペットや子供、パーティー、旅行記録などほとんどの個人ユーザーの目的には十分な長さだろう。

ひとたびファイルがAmazonのクラウドに保存されると、Kindle Fire HDを始めとしてAndroidデバイスで再生可能となる。Amazon’s Web Servicesブログによれば、ファイルの保存にあたってはAmazon’s Elastic Transcoderサービスが用いられ、20種類のファイル・フォーマットと40種類のビデオ・コーデックがサポートされる。Amazonは「あらゆるビデオをアップロード後15分以内にコード変換処理を終えるのが目標だったが、さいわい、多くのファイルはアップロード後、1、2分で再生できる」としている。

AmazonはAmazon Cloud Drive PhotosアプリのiOS版も提供しているが、今回ビデオのアップロード機能がサポートされたのはAndroid版だけだ。AmazonのKindleタブレットがAndroidベースであるし、Androidアプリの方がいち早く2012年11月にローンチされていることから考えてもこれは順当だろう。

iOS版はやっと今年の5月に登場した。手頃な利用料金でAppleのiCloud同期サービスに対するライバルとなりつつある。5GBまで無料、 10ドル/年で20 GB、25ドル/年で50GB、等々で最大は500/年で1TBだ。ただしこうした大量nストレージ容量を提供しているのは、Amazon Cloud Storageが単に写真(と今回はビデオも加わったが)だけを対象としたサービスではないからだ。これはGoogleDriveや Dropboxのライバルであり、音楽やドキュメントなどを保存し、ユーザーはAmazon Cloud Playerを通じてストリーミング表示させることができる。

つまり今まもユーザーはAmazon Cloud Storageにビデオをアップロードすることはできた。ただCloud Drive Photosアプリからのアップロードが初めて可能になったわけだ。

Cloud DriveアプリはGoogle PlayとAmazon Appstoreですでに公開されている

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デベロッパがクラウドを生かす; その逆ではない–Oracle/Salesforce批判

今週(米国時間6/23-29)はOracle/Salesforceの連携を契機にクラウドの話題が盛り上がったが、でもそれは、クラウドの実態から見ると、かなりずれた話ばかりだった。クラウドを支えているのはデベロッパであり、その逆ではない。

大物たちが手を組むのも、今やそうせざるを得ないからだ。それは既存の顧客にサービスを提供していくための、守りの姿勢だ。それは、老いたる王たちが新しいソフトウェアのライセンスで稼ぎを増やす、という前向きの話ではない。合従連衡してクラウドからレガシー技術を提供していくのは、まあそんなクラウドの使い方もあるね、という程度の話にすぎない。

彼ら独特のクラウドの定義によると、大きなITを抱える大企業が旧タイプのデータベースの新しいバージョンを手に入れて、10年も15年も前にインストールしたソフトを動かす、という筋書きになる。デスクトップやクライアント/サーバの時代に作られたオペレーティングシステム*を、クラウドサービスとして新たに鋳込むことはたしかにできる。古手のSaaS企業(ここではSalesforce)がオンプレミスの旧敵(ここではOracle)と組んで、過去14年間順調に動いていたものが次の二世代およびそれ以降もそのまま良好に使える、と嬉々として語るのもよい。何かをしなければならない会社は、牛がいればカウベルをつけたくなるものだ、それにはきりがない。〔*: operating system, ここではコンピュータのOSではなく、ITオペレーション(DevOpsのOps側に相当)のベースとなるシステム。具体的にはRDBMSを軸とする業務系システムのインフラ。〕

しかし、このような、レガシーデータベースによるオペレーティングシステム(業務系)とCRMが手を組む動きは、イノベーションではない。それは単にステータスクォーを保全し、彼らがこれまで数十億ドルを稼いできた源泉であるパンとバター(ご飯と味噌汁)的な定番的事業を提供するにすぎない。真のイノベーションは、新しいジャンルのデータベースにあり、デベロッパフレームワークに、ソーシャルなコーディングサービスに、データ分析によりコンテキスト対応力を持ったAPIに、などなどにある。クラウドに価値がない、と言っているのではない。価値なら、たくさんある。クラウドは、その価値ゆえに買われる。計算処理とストレージの費用低減、という価値だ。Joyentの料金は、今や月でも年でもない、秒単位だ。

しかしそのインフラストラクチャの底の方を見ると、そこにすらデベロッパの仕事のきざしがある。たとえば、ソフトウェア定義データセンターの話題が盛り上がっている。それは、金属製のスイッチではなくソフトウェアがデータセンターを構成し、そのAPIがすべての要素を結びつける、というコンセプトだ。APIが、ネットワークと、データストアと、ありとあらゆる形のクライアントやデータベースや等々を結びつける。今や、ネットワークの働きでアプリケーションが構成され機能する。昔とは逆だ。

そうやって巨大なマシンもパイプも抽象化され、その変化をデベロッパが引っ張る。あの小さなスマートフォンが、今やサーバだ。JoyentのProject Mantaが示しているように、大きなストレージとネットワークマシンがオペレーティングシステム*の一部になりつつある。計算処理とストレージが一体となり、インメモリデータベースが分析を瞬時に行う。〔*: operating system, 前記訳注参照。〕

Just.meのファウンダKeith Teare(本誌TechCrunchのファウンダの一人)が、今週のGillmor Gangで、クラウドは定数だが、やることは毎回同じとはかぎらない、と言っている。たしかに、最近のクラウドの使い方は変わりつつある。クラウドの消費のされ方が、変わってきた。クラウドを使うアプリケーション、デバイス、クラウドにプッシュされ〜〜からプルされるデータが。クラウドはデータのインテグレータ(メッセージバス)でありデータストアだが、今ではブラウザだけから消費されるものではなくなっている。

Andreessen HorowitzのパートナーPeter Levineが先週のインタビューで、15〜20年前にはMicrosoftとWinAPIがすべてだった、あらゆるプログラムやAPI呼び出しがWindows詣でをした、と言った。しかし今では、APIはおびただしく多様化している。今は、何をするにもそのためのAPIがある、と期待する。そしてそのことが、開発を加速する。

今年は、デベロッパの年だ。GitHubの会員が一日に約1万ずつ増えている。Levineの説では、クラウドという雲を高みに押し上げたのは、この、噴火して盛り上がるようなデベロッパたちの軍勢だ。クラウドのプロバイダたちは、その価値を提供してデベロッパの関心に沿い、するとデベロッパはますます多くのアプリケーションを作る。アプリケーションが増えれば、ますます多くのクラウドサービスが必要になる。スマートフォンのメーカーやキャリアも、充実したデベロッパコミュニティを育てることに関心がある。デベロッパの作品が増えれば、彼らのデバイスや時間の売上も増えるからだ。Levineは、上流がデベロッパ、下流がアプリケーション等のユーザ/ユーザ企業だ、と言う。

だから、今度また、レガシーのプレイヤーたちが嬉々としてクラウドはすばらしいと宣(のたま)う記事を見たら、よく考えてみよう。レガシーのクラウド化もそれなりにすごいことではあるけど、でもそこに、新しいクールなものを作るデベロッパがいなければ、無意味だ。ポケットにあるスーパーコンピュータが、われわれを世界につなぐのは、デベロッパが作りだすイノベーションがあるからだ。

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AndroidアプリがGoogle App Engine上の各種サーバ機能をクラウドサービスとして簡単に利用できるMobile Backend Starter

Googleが今日(米国時間6/1)、Mobile Backend Starterのローンチを発表した。Androidデベロッパはこのサービスを使って、GoogleのApp Engine上で動く自分のアプリのクラウド展開ができる。すなわちこのサービスにより、ワンクリックでモバイルのバックエンドや、ストレージサービスを伴うクライアントサイドフレームワークの展開、それにGoogle Cloud Messaging継続的クェリ、Googleの認証認可機能にアクセスできる。

Googleの主張によると、今成功しているモバイルアプリの多くがサーバのインフラが持っている機能を利用して自分のサービスを動かしている。しかしそれは多くのモバイルデベロッパにとって、面倒な雑務になってしまう。そこで今回のツールは、デベロッパがバックエンドのコードを1行も書かずにサーバのインフラサービスを利用できる方法を提供する。しかもそれはApp Engine本体の上で動くので、そのバックエンドはスケーラビリティやアプリからの負荷耐性が完璧である。

利用を始めるためには、デベロッパはまずMobile BackendのサンプルアプリケーションをセレクトしてからApp Engineの新たなプロジェクトをスタートし、ここに書かれているインストラクションに従う。Googleは“ワンクリック”の簡便性を強調しているが、バックエンドの展開に関しては確かにそうでも、プロジェクト全体が快調に動くようになるまでには、いろいろとやることがある。

Googleがこのツールを初めて紹介したのは先月のI/Oデベロッパカンファレンスだったが、今日やっとリリースされたようだ。プロジェクトのソースコードはGitHub上で入手でき、またI/Oのときのこのツールに関するセッションは、下のビデオで見られる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))