ウェブ接客ツール「KARTE」提供のプレイド、5億円の資金調達—キャンペーンの売上7割増の事例も

プレイド代表取締役社⻑の倉橋健太氏

プレイド代表取締役社⻑の倉橋健太氏

ウェブ接客ツール「KARTE(カルテ)」を提供するプレイドは8月3日、Fidelity Growth Partners Japanおよび既存株主のフェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資を実施し、合計5億円の資金調達を実施した。また今回の調達にあわせて、Fidelity Growth Partners Japanのデービッド・ミルスタイン氏が同社の社外取締役に就任する。

2014年9月にクローズドベータ版を公開し、2015年3月に一般にサービスを公開したKARTEは、リアルタイムにECサイトの来訪者を分析し、その状況にあわせてメッセージを配信したり、クーポンを発行したりという「接客」をすることでコンバージョンを促すツールだ。

導入費用は月額5000円から。接客数に応じて料金が発生する従量制課金制となっている。ユニークユーザー(UU)10万人以上の場合は定額のエンタープライズプランも用意する。ネットショップ作成サービスのカラーミーショップなどはワンクリックで導入ができるなど、外部サービスとの連携も積極的に進めている。

導入企業はアパレル・コスメ・家電といった各種ECサイトをはじめ、ホテルや人材紹介、不動産、英会話などに拡大。処理するページビューは月間10億以上。また累計UUは2億人以上で、一般公開した2015年3月以降、前月比40%増の成長を続けているという。「想像以上に著名なECサイトに使って頂けている。ECサイトは結局これまで来訪者がちゃんと見えないままサービスを提供してきた。ユーザーの行動や心理状況までをリアルタイムで見られるツールはほかにないと思っている」(プレイド代表取締役社長の倉橋健太氏)

 

その具体的な実績はというと——例えばアパレルECのベイクルーズでは、購入金額の合計が一定額を超えるとノベルティをプレゼントするキャンペーンを実施していたのだそう。その際、カート内の商品の合計金額が下回る場合にのみ「あと少しの金額を購入すれば貴重なノベルティがもらえる」という旨のバナーを表示した。これによって昨年比でキャンペーンの売上が69%も増加するという結果が出たそうだ。

ベイクルーズの事例

ベイクルーズの事例

 

またコスメECのコスメ・コムでは、共通の特徴を持った商品に興味を持った来訪者に対して、より詳細な情報をまとめた比較コンテンツに誘導して情報提供(接客)を行ったという。その結果、接客を実行した来訪者は接客されていない来訪者と比較して、購入率がPCで約6%、スマートフォンで約25%向上したという。

プレイドでは、今回調達した資金をもとに、エンジニアを中心とした人員を強化。サポート体制についても拡充する。「サービスの稼働率を上げるためにはサーポートとコンサルの両方が大事。顧客の分からないことを解決するだけでなく、次はさらに何ができるかを知ってもらうためのチームを強化したい」(倉橋氏)。また今夏をめどに、さらに大きな機能も提供することを検討中だという。さらに今後はグローバル展開を見据えた準備も進めるとしている。

DIYショップやECサイト運営をする“創業78年のベンチャー”大都、GCPなどから4.5億円の資金調達

体験型DIYショップ「DIY FACTORY」やDIY用品のECサイト「DIYツールドットコム」を運営する大都は7月27日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)およびみずほキャピタルを引受先とする総額約4億5000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。また今回の資金調達にあわせてGCPの仮屋園聡一氏が同社の社外取締役に就任する。

工具の卸問屋からスタート、創業78年のベンチャー

大都は1937年(昭和12年)にスタートとした、創業78年の会社だ。もともと工具の卸問屋として創業したという同社が、今回のように資金を調達し、ベンチャー的な事業展開をするきっかけとなったのは、3代目となる現・代表取締役の山田岳人氏が入社したことなのだという。

大都代表取締役の山田岳人氏

大都代表取締役の山田岳人氏

当初大阪のリクルートで勤務していた山田氏は2代目代表取締役の娘と結婚したことを契機に大都に入社。社員15人ほどの工具問屋だった同社で、自らトラックを運転し、問屋やメーカー、ホームセンターを自ら回っていたのだという。「その頃初めて決算書を見たが真っ赤な状態。問屋業だけでは売上は出るが収益も悪化する一方だった」(山田氏)

そこで2002年頃にオンラインで商品の販売を開始。楽天市場に出店するところからスタートして、山田氏が問屋業の合間に対応するというところから1年半でやっと年商100万円を達成。そこからは専任の担当者も採用した。

それでもECの売上で業績を変えられる状況ではなく、問屋業の収益悪化から2006年にはいよいよ廃業をするかどうかという状況になった。そこで先代の代表と話して「(潰れるくらいなら)好きにやっていい」ということになり、当時の社員を全員解雇するという苦渋の決断をする。そして問屋業を縮小させ、EC化を進めた。

商品点数の拡大が成長の契機に

EC事業は徐々に成長するが、2009年前半に売上が鈍化した。「それまでは商品数1万8000点で日本最大級のDIY用品のECサイトをうたっていたが、問屋として持っていた10万点の商品データベースへの対応を進めた。アイテム数が増えて価格と納期が明確であれば、商品は売れる」(山田氏)。現在では実に90万点という商品数を誇っている。

増える発注に対応すべく、メーカーへの発注のシステムも2010年に内製した。「DIY用品のメーカーだとPCすら持っていないというケースも多かったが、売上がついてくれば認めてくれる。現在では86%がオンライン化されている」(山田氏)

DIYの楽しさを伝えていくためのリアル店舗

商品数の増加によって売上は伸びたが、それでも2013年頃からまた鈍化した。山田氏がそこで考えたのは、「競合も出てくる中で、我々がやりたいことは何なのかと考えた。日本にはDIYの文化はそれほど根付いていない。そうであれば、工具の使い方や、作る楽しさを未来に向けて伝えないといけない」ということ。それを形にしたのがDIY用品を購入できるだけでなく、ワークショップを通じてDIYの体験ができるリアル店舗だ。同社は2014年、大阪・難波に体験型DIYショップのDIY FACTORY1号店をオープンした。

DIY FACTORY2号店の店内

DIY FACTORY2号店の店内

店舗には、メーカー向けに月額5万円の壁面展示スペースを25カ所用意した。「メーカー向けにショースペースを提供することで、メーカーは自分たちの好きな商品を出す場所を確保できる。実は日本一のペンチメーカー、ドライバーメーカーなどは(同社の本社がある)大阪にあるのだが、そんなものは多くの人に知られていない。そういうモノを紹介する場所を提供することでメーカーは認知を高め、ユーザーはいい工具と出会え、我々は売ろう売ろうとしなくても収益を担保できる、という三方よしになるように考えた」(山田氏)

メーカー向けに提供する展示スペース

メーカー向けに提供する展示スペース

実際、このスペースの収入もあって、店舗は初月から黒字運営を実現している。2015年には東京・二子玉川の二子玉ライズに2号店をオープン。休日には7000人以上が訪れることもあるそうだ。

店舗を運営してはじめて理解したことも少なくない。「『電気ドリルを下さい』なんていって店舗に来る人はいない。たとえば『洗濯機の上に棚が欲しい』とかみんなやりたいことがあって店舗にくる。だからそのために商品や使い方を説明しないといけない。これは店舗を出してやっと分かったことだ。ユーザーが欲しがっているのは『モノ(商品)』ではなく『コト(体験)』」(山田氏)。これを受けて、ECサイトでも「やりたいこと」を基準にした検索機能を実装した。

店舗運営、ECサイトに加えてハウツー動画サイトを展開

大都が今回の資金調達を契機に進めるのは、店舗の拡大、ECサイトの強化・改善、ハウツー動画サイト運営の3点だ。

まず店舗については、都心部を中心に複数店舗を出店。DIYやセルフリノベーション向けのワークショップを積極的に開催する予定。「ABCクッキングスタジオのDIY版といった立ち位置を取っていく」(山田氏)。次にECサイトについては、在庫商品を増やして即納体制を強化。さらにシステム面での機能強化を予定する。さらにDIYのハウツーを動画で紹介するサイト「MAKIT!」を展開する。以下はMAKIT!で実際に紹介されている動画の一部だ。

人工知能がユーザー好みのファッションアイテムを紹介する「SENSY」、開発会社が1.4億円の資金調達

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最近人工知能関連のニュースが増えているが、今度はファッション領域に人工知能を利用するスタートアップの資金調達が発表された。カラフル・ボードは5月14日、ACAが運営するアジアグロース2号投資事業有限責任組合などを引受先とした第三者割当増資を実施。総額1億4000万円の資金調達を実施したと発表した。

カラフル・ボードが手がけるのは、ファッションセンス学習人工知能AIロボットアプリ「SENSY」。2014年11月にリリースされたこのアプリでは、ユーザーが画面に表示される提携ブランドの服を、気に入れば右に、気に入らなければ左に、とTinderライクにフリックして選択していくことで人工知能が感性を学習し、そのユーザーの感性に合ったファッションアイテムを提案してくれるというもの。気になるアイテムは提携ブランドのECサイトで購入できる。提携ブランドは2015年4月時点で2465ブランドとなっている。

アプリに搭載される人工知能「SENSY」(アプリ名と同じ)は、同社と慶應義塾大学、千葉大学で共同開発している。カラフル・ボードでは今後、ユーザーと同じ感性を持った、いわば「クローン」のAIロボットネットワークを構築。ユーザーに代わって情報収集したり、人と人がAIロボットを介して知識、経験、感性などを共有し合う世界観を目指すとしている。

また、Amazon.com傘下のShopbop.comのほか、イタリアのYOOX Groupと提携。今後は韓国、台湾など東南アジアへの展開を進めるとしている。

レジャー予約サイト運営のアソビューがJTBと資本業務提携、6億円の資金調達

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遊び・体験の予約サイト「asoview!」を運営するアソビューは4月22日、JTB、YJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、ジャフコを引受先とする総額約6億円の第三者割当増資を実施した。JTBとは出資とあわせて業務提携も締結している。

asoview!は2012年にスタートしたアクティビティ予約サイト(当初はサービス名が「あそびゅー!」、社名はカタリズムだった)。2013年10月にYahoo!トラベルと連携。2014年3月にはグロービス・キャピタル・パートナーズとジャフコを割当先とした約2億円の資金調達を実施している。ちなみに創業期には現在YJキャピタル取締役を務める小澤隆生氏がエンジェルとして投資をしている。

同社によると、この1年間でasoview!の提携店舗数は3倍以上の約2700社に増加、申込数は非公開ながら、約5倍に拡大しているのだそう。今回の資金調達をもとに、サービスの改善と予約管理システムの機能拡充を図るほか、サポート体制の強化をすすめる。さらにインバウンド(訪日外国人観光客)向けコンテンツを整備。さらに地域行政・観光協会向けのソリューション提案人員を拡充するとしている。

またJTBとの業務提携では、以下の5分野を中心に、着地型商品(アウトドアアクティビティや文化体験など、旅行目的地側が企画・運営する観光商品のこと)の企画・販売などを進める。

Web販売:JTB」及び「るるぶトラベル」とasoview!の相互商品提供及び連携等

・エリアプロモーション:地方自治体及び観光協会向けの着地型コンテンツを利用したプロモーションサービス及び販売等

・インバウンド:訪日旅行オンライン予約サイト「JAPANiCAN.com(ジャパニカン)」におけるasoview!コンテンツの販売等

・法人ソリューション:着地型商品を活用した企業向けの体験型研修事業の企画・販売、企業向けプロモーション事業での企画・販売等

・福利厚生サービス:会員制福利厚生サービス「えらべる倶楽部」サイトにおけるasoview!コンテンツの提供等

ツイキャスがECに参入、まずは電子チケットから—配信中に売れれば手数料は無料

4月に入ってすぐ、ユーザー数1000万人突破を発表したモイの動画ストリーミングサービス「TwitCasting(ツイキャス)」。その発表の際にも、コマース関連の機能が提供されると報じたが、その姿がいよいよ明らかになった。同社は4月22日より、EC機能のキャスマーケット」の提供を開始する。

このキャスマーケットでは、ツイキャスの公式グッズのほか、キャス主(動画配信者)の電子チケットの購入が可能になる。また、配信者はツイキャスの配信画面からもチケットの販売が可能だ。なお、ツイキャスの配信中および配信終了1時間以内にチケットが売れた場合、チケットの手数料は無料になる(通常は販売価格の8%)。当初はアーティストや法人など、ユーザーを限定して機能を公開するが、今後は利用可能なユーザーを拡大していく予定。

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前回の記事でも「ツイキャスで女性誌のモデルがおすすめした化粧品が翌日にはAmazonで売り切れになるといった現象も起きている」という話を紹介したのだけれども、ほかにも「iTunesでシングルがリリースするタイミングでツイキャスを配信し、配信中にランキング1位を獲得」「配信中に予約用の電話番号を紹介し、100枚以上のチケットを販売」といった事例も出てきているそうだ。

具体的な割合は教えてもらえなかったが、ツイキャスではアーティストを始め音楽関連の配信者はかなり多いらしい。そこで「彼らの収益のためにお手伝いできないか。ツイキャスで人を集めて、その次の支援ができないかと考えた」(モイ代表取締役の赤松洋介氏)のだそう。「チケット売るのはなかなか大変。EC機能についてそこまで多くの要望があったわけでもないが、せっかくファンが見てくれているのにもったいないと思っていた」(赤松氏)。

同社の公式グッズを除いては、電子チケットの販売のみに対応するとのことだが、今後は物販についても検討しているそう。「商取引のルールを整理するには時間がかかると思っている。まずはフローを確認する意味でも試験的に公式グッズのみ物販を行う。ユーザーとファンがソーシャルでつながっている場所で売買をする場合、さまざまなリスクがある。今回はメールアドレスすら共有せずに売買可能な仕組みを用意している」(赤松氏)

配信で自分のアイテムを紹介して、それをフリマ感覚で販売するなんて世界もちょっと考えたのだけれども、「フリマって知らない人だから(値引き交渉を含めて)成り立つ取引だったりするのでそこは考えていない」(赤松氏)とのこと。さらに、「売ること」自体が配信の中心にならないように配慮したいと赤松氏は語る。「配信者が『売りたい』と思った時にチケットなどを販売するのはいいが、ただ売り子になってしまうのは辛い。ツイキャスはあくまでコミュニティ。ビジネスビジネスしないようにしたいし、あくまで楽しめる範囲で使って欲しい」

ちなみにこの電子チケットは、モイが独自に提供するもの。配信者はチケットの在庫を登録して、購入されればコードを発行。それを当該のイベント会場などでチェックするという仕組みになっている。

物流アウトソーシングのオープンロジが海外発送に対応、手続きは国内発送同様の手軽さで

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物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を運営するオープンロジ。

3月に資金調達を発表した際にも、月次売上400%増という数字を聞いたりもしたのだけれど(といっても母数は非公開で、規模もまだこれからだとは思うが)、早速次の一手を打ってきた。同社は4月20日より、EMS(国際スピード郵便)を利用した海外発送に対応する。

オープンロジは、中小および個人EC事業者向けの物流アウトソーシングサービス。ECで取り扱う商品をオープンロジのサイト上で登録し、同社が提携する物流会社の倉庫に送付すれば、倉庫にて商品サイズや重量を計測した上で入庫。オンラインでの入出庫管理が可能になる。出庫時には倉庫のスタッフが梱包の上、配送までを行う。

今回の海外発送対応も、EC事業者はあらかじめ商品を登録・入庫した上で、オンラインで出庫処理をするだけ。もちろん出庫処理の際、国名や住所などの入力は必要になるが。ちなみに国ごとに禁制品(輸出入を禁止している商品)があるが、管理画面で国を選択した際に確認できるようになっているそうだ。料金はEMSの料金に準じるが、1個口500円の作業料が加算される。複数商品を同梱する場合はさらに追加料金がかかる。配送可能な国は120カ国(こちらもEMSに準じる)。

「EMSを利用する場合、インボイス(伝票)を3枚、4枚と英文で書き、強度を考えた梱包をした上で郵便局に商品を持ち込んだり、集荷をしたりする必要があった。だがオープンロジではそういう手間がなくなるので、海外発送のハードルが下がると思う」(オープンロジ代表取締役社長の伊藤秀嗣氏)。

海外発送に加えて、オープンロジではAPI公開を進めている。すでに一部EC事業者に限定してAPIを公開しており、今後その範囲を拡大していくという。

KDDIがECサイトLUXA運営のルクサを子会社化——商品調達力に期待

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KDDIは4月14日、セレクト・アウトレット型ECサイト「LUXA(ルクサ)」を運営するルクサの発行済株式の取得について、同社の株主と合意したと発表した。取得額や株式の割合等は非公開となっているが、株式取得後はKDDIの連結子会社となる予定だ。

ルクサは、人材サービスを手がけるビズリーチの一事業として2010年8月にスタート。当初はいわゆる“グルーポン系“のフラッシュマーケティングの手法を用いたECが乱立していた時期だったが、ルクサはそこで飲食店やエステサロンへの焼き畑農業的な営業をかけることよりも、メーカーや問屋との関係作りに注力していたと聞く。例えば食料品や飲料であれば賞味期限があるし、家電であれば型落ちしていくわけだが、そういった商品を取り扱ういわばアウトレットモールのような立ち位置を作っていたそうだ。

KDDIでは、2013年9月にグローバル・ブレインと運営する「KDDI Open Innovation Fund」を通じてルクサに対して出資。auスマートパス会員向けにサービスを提供するなどの提携を進めてきた。またルクサは、2014年に立ち上げたスマートフォンポータル構想の「Syn.」にも参画した。

KDDIでは「今回の資本関係強化により、これまで以上に両社の持つ様々な資産を最大限活用し、新たなショッピング体験をお客様に提案していきます」とコメントしているが、KDDIに聞いたところだと、「一番期待しているのはルクサの商品調達力」だそう。今後はルクサ上だけにとどまらず、広い範囲でサービスを連携していくとのことだ。

「検索と商品だけ並べたモールはやらない」BASEがEC連動のブログポータル「BASE Mag.」を公開

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誰でも手軽にネットショップを開設できるサービス「BASE」を提供するBASE。同社は3月にリリースしたショップ向けのブログサービスをEC連動ブログポータル(BASEでは「ネットショップモール」と銘打っている)「BASE Mag.」を公開した。

BASEでは、「ショップロゴ作成機能」「商品撮影サービス」「納品書ダウンロード機能」など約30種類の拡張機能を「BASE Apps」という名称で提供している。3月にはショップ向けのブログを開設できる「ブログApps」も追加した。BASEのユーザー(店舗数)は現在約15万店舗。このうち数千店舗がすでにブログで商品の紹介などのエントリーを書いており、「3、4分に1回は投稿がある状態(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)なのだそう。

今回提供するBASE Mag.は、これらのブログからBASEが選んだエントリーを紹介していくブログポータルだ。エントリーには商品ページへの導線も設けるほか、カテゴリでの検索も可能だという。

僕は創業当時からBASEを取材しているのだが、代表取締役の鶴岡裕太氏にほぼ毎回する質問が「BASEはネットショップのモールを作らないのか」というものだった。毎回「作らない」と答えていた鶴岡氏だが、BASE Mag.について「2年考えて……やっぱり、検索と商品だけ並べたこれまでのようなモールは、BASEのように小さなショップにとっては正解じゃないなと思った。 基本的にBASEは『販売者=生産者』。ブランディングとか情報の発信から支援しないといけない」と語った。

リブセンスが越境・CtoCコマースを展開するwajaを子会社化

リブセンスは3月25日、wajaの発行済株式の71.7%を取得して子会社することを発表した。

wajaは自社にフルフィルメント機能を持ち、CtoC・越境ECの「waja」などを展開。wajaは世界60カ国のバイヤーが現地で仕入れた商品を販売する。

取得株式は429個。議決権ベースで71.7%。取得額は3億9300万円。同社は現在メディア向けのブリーフィングを開催している。詳細は追ってレポートする予定。


メルカリとヤマト運輸が連携、全国一律価格で配送実現-今後は匿名配送も

左からヤマト運輸執行役員の小菅泰治氏、メルカリ取締役の小泉 文明氏

注目の集まるCtoCコマース。僕も何度か使ってみたのだけれど、商品次第では、それこそ数分とか驚くようなスピードで売れてしまう。売買自体は非常にお手軽なのだけど、手間がかかるのが梱包や配送といった手続きだ。

フリマアプリ「メルカリ」を手がけるメルカリは、そんなCtoCコマースの課題に対して、物流の巨人であるヤマト運輸と組むことで解決の手段を提供する。スタートアップと巨人の連携という意味でも注目だ。両社は4月1日より、ヤマト運輸の営業所に商品を持ち込めば全国一律の配送料金で配送を依頼できる新サービスを展開する。

アプリでQRコードを発行し、ヤマト営業所に持ち込むだけ

新サービスでは、メルカリのデータベースとヤマトのデータベースを連携。メルカリの出品者に対して、出品した商品が購入されるとQRコードを発行する。その後商品をヤマト営業所に持ち込み、発行したQRコードを店頭端末「ネコピット」で読み込むと、配送伝票を自動で印刷。その場で配送の手続きを完了できる。猫ピットは全国4000カ所のヤマト営業所に設置している。

料金は現時点では非公開だが、全国一律の料金設定となる予定で「他社サービスと比較して競争力のある価格設定」(メルカリ取締役の小泉文明氏)になるという。

通常ヤマトを利用する場合、4月1日スタートの「ネコポス」(これまであったメール便が終了して、新たに始まるサービスだ。角形A4サイズ、厚さ2.5kg以内、重さ1kg以内の荷物をポストに投函(とうかん)する。荷物追跡にも対応。ただし法人のみ利用可能)で上限378円、「宅急便コンパクト」(縦25cm×横20cm×厚さ5cmの専用ボックスもしくは縦24.8cm×横34cmの専用薄型ボックスを利用。手渡しで、荷物追跡にも対応)で354〜594円(ボックス代65円を除く)となっているが、メルカリ経由で利用する場合、ネコポスであれば100円台から利用できるという。

1年越しでサービス連携が実現

メルカリによると、1年ほど前からヤマトに対して提案を進めてきたのだそうだ。そんな折、信書の問題もあってヤマトがメール便を廃止。4月から新サービスを提供することになり、それに合わせるかたちでメルカリとの連携に至った。

実はヤマトは3月3日時点で、宅急便コンパクトとネコポスのサービスを発表しているのだが、そのプレスリリース内で「弊社とご契約のあるフリマサイトなどでは、従来の宅急便に加え、『宅急便コンパクト』と『ネコポス』がご利用になれます」なんてすでにうたっていたのだ。両社ともエクスクルーシブな提携というワケではないようなので、今後はメルカリ以外でもこういったサービスを利用できるようになる可能性がある。

メルカリは先週、新しいテレビCMと同時に1100万ダウンロードを発表したばかり。以前にも紹介した数字ではあるが、月間流通額は数十億円(ZOZOTOWNで100億円程度なので、かなりの規模と考えていいだろう)、出品数は多いと1日で数十万品にもなっているのだそう。ヤマトを含む物流のプレーヤーは、1品あたりの単価が低く、小さいトランザクションが多く発生するフリマの領域に興味を示しているという話も聞く。

両社は今夏をめどに、配送伝票の表示もQRコードのみに変更。出品者と購入者が相互に個人情報を開示することなく匿名で売買できる仕組みも導入する予定だ。

物流ではLINEが先行

フリマと物流の連携というところで先行するのはLINEだ。2014年7月に「LINEモール」向けにフェリシモと連携。「LINE配送」というサービスを始めている。

料金は3辺の大きさで60cmまでの商品の場合650円からで、サイズに合わせて全国一律の価格設定と、メルカリでは現状実現していない匿名での配送をすでに実現している。

ただし、フェリシモが拠点を置く兵庫県・神戸の物流センターを活用しているということで、例えば東京から東京といった配送であっても、一度わざわざ神戸まで送られると聞いている。この点に関しては、全国4000カ所の拠点を持つヤマトの配送のほうがスピード面で有利になってきそうだ。


月次売上400%増の物流アウトソーシング「オープンロジ」、IVPとコロプラ千葉氏から6000万円を調達

オープンロジ代表取締役社長の伊藤秀嗣氏

2014年11月に開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2014」のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」にも登壇してくれたオープンロジ。これまで自己資本でサービスを展開してきた同社だが、3月4日にインフィニティ・ベンチャーズLLP (IVP)およびコロプラ取締役副社長の千葉功太郎氏(個人投資家として)を引受先とする総額6000万円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。

今回の増資に伴い、IVPの小林雅氏が社外取締役に就任するほか、元アエリア取締役で弁護士ドットコムやクラウドワークスの監査役を務める須田仁之氏が監査役に、不動産会社のスター・マイカ代表取締役会長の水永政志氏が経営顧問にそれぞれ就任する。

オープンロジは2013年12月の設立。代表取締役社長の伊藤秀嗣氏は雑誌のオンライン販売を手がける富士山マガジンサービスの出身で、創業期から同社のロジスティクス(物流)網の構築に携わってきた人物。2014年10月に物流のアウトソーシングサービスの「オープンロジ」を開始した。

このサービスは、ECを手がける中小企業や個人事業主をターゲットにしたもの。ユーザーがECで取り扱う商品をサイト上で登録し、提携する物流会社の倉庫に入庫すれば、オンラインで商品の入出庫といった管理が可能になる。出庫時には倉庫にて梱包の上、配送までを行ってくれる。

大手ECサイトでは独自にロジスティクスのシステムを持ったり、物流事業者と個別に契約したりするが、中小規模のECサイトではそういったことをするのは難しい。オープンロジは物流事業者と独自に提携。そのスペースを商品数の少ない中小規模ECサイトが利用できるようにしている。シンプルな操作で入出庫できるウェブと、通常の宅配サービスと比較して安価な価格設定が強みとなっている。

ニーズにぴったりはまった—売上は1カ月で400%増に

サービス開始から5カ月程度だが、伊藤氏いわく「ターゲットとして想定していた中小規模のEC事業者や副業でECを手がけるような個人事業主のニーズにぴったりとはまっている」とのこと。ベースの金額はまだまだ小さいとは言え、2015年1月から2月で比較すると売上高は400%増加している。「黒字化にはまだ時間がかかるが順調なペースだ。切実なビジネス課題があったところをうまくとらえられたのではないか」(伊藤氏)

オープンロジでは今回の資金調達をもとに、人材採用や経営基盤の強化を進める。伊藤氏いわくサービスは好調だが、まだまだ運用上の課題も多く、その改善にも注力するという。「物流の業務は複雑で、実際に人が動くので、ピッキング、パッキング、配送などそれぞれの過程でいろいろなトラブルが発生する。(さまざまなECサイトが利用することもあって)商品も画一化されていないため、ある程度想定して動いていても、実際に運用しないと気付かない課題も多い。今まさに運用改善の最中だ」(伊藤氏)

同社では今春をめどに、海外発送にも対応する予定。またその後はAPIを公開して、ECサイトの構築サービスなど、各種の企業と連携していくとしている。また年内にも億単位の資金調達を検討。IVPも「事業の進捗を見て数億円の追加投資を行う予定」としている。


ネットショップ開設サービスのBASEが決済に参入–「PAY.JP」を今春提供

ウェブの知識をあまり持たないユーザーでも、メールアドレスを持っていればネットショップを無料で開設できるサービス「BASE」。同サービスを提供するBASEが、オンライン決済事業を今春から提供する。同社はすでにオンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを2014年12月に買収しており、「PAY.JP」の名称で今春にもサービスを開始する。

今夏にはID決済も提供

PAY.JPでは当初、米国のStripe、国内のYahoo!ウォレットFastPayWebPayなどと同様にウェブサイトにコードを埋め込むことで、クレジットカード決済を導入できる決済サービスを提供する。なお、BASEの決済についても今春PAY.JPに変更される予定。PAY.JPの決済手数料などは現時点では公開されていないが、「どこと比較しても分かりやすいもの、選ばれるものにする」(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)ということ。

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

PAY.JPでは、まずはEC事業者向けにカード決済サービスを提供するが、今夏をめどにEC利用者向けのID決済サービスも提供していくという。PayPalなどを利用していると想像できると思うが、PAY.JPの決済サービスを導入するしているECサイト上では、PAY.JPにログインするだけで、(あらかじめ登録しておいたカード番号や住所を使って)決済が可能になるというものだ。

実はBASEの競合サービスであるブラケットの「STORES.jp」は、2014年にIDサービスを導入している。このIDサービスを利用する意味はいくつかあるのだけれども、その1つにSTORES.jp上で商品購入をする際、都度クレジットカード番号や住所を入力することなく決済できる、ということがある。

PAY.JPも同様の機能を提供することになるが、その機能はBASEで作ったショップに閉じたものではなく、PAY.JPの決済サービスを導入するすべてのECサイトに対応するものになる。ただしBASE内のショップに限定して、早期にサービスを導入する予定だ。「BASEは簡単にショップを作ることができるという世界を作ってきたが、PAY.JPでは簡単にモノを買うことができる世界を作っていきたい」(鶴岡氏)

BASEが買収したピュレカは2012年7月の創業。代表取締役の高野謙一氏は決済関連のスタートアップに携わったのちに起業。Purecaは国際セキュリティ基準(PCIDSS)に準拠した決済サービスで、まもなく正式リリースだったそうだが、もともと面識があった鶴岡氏の率いるBASEに合流してサービスを提供するに至ったそうだ。

BASEは「単なるショッピングカート」を目指していない

創業期からこれまで、鶴岡氏は一貫して「単なるショッピングカートを目指していない。決済までをやっていきたい」ということを取材の際に話していた。今回その決済サービスを提供することになったが、今後はどんな目標があるのだろうか。鶴岡氏は「個人の与信情報をためて、個人をスコアリングすることで、価値と価値の交換をなめらかにする。オンラインで行う経済活動のプラットフォームになりたい」と大きな構想を掲げる。

とはいえ、決済はスタートアップにとって非常にハードルの高い事業だと聞く。鶴岡氏も「既存事業者が強いのか、スタートアップの信頼性がまだまだないのか…」とその理由を分析するが、僕も実際に先行する決済関連スタートアップが苦戦している話はよく聞くし、鶴岡氏自身も「なぜ決済をやるのか」と問われることが多いのだそうだ。

だが鶴岡氏はこう語る。「決済は難しい。それは理解しているが、『こういう世界になるよね』と描けるところに挑戦するのが一番楽しい。BASEもサービス開始時点では、決済手数料も含めてまったく利益はなかった。でもここまで来れた。PAY.JPもいろいろ言われるが、まずはやってみないと分かからない。BASEの事業がある程度伸びることが見えたのなら、チャレンジしないと後悔する」

BASEの流通総額は年間数十億円後半に

なおBASEは現在年間の流通総額が数十億円後半、数カ月以内には100億円も見込める数字になる状況だという。店舗数は15万店舗で月間で1万店舗ほど新規ショップも増加している、現在カードの決済手数料のみをユーザーから取っているが、「リッチな機能を提供して課金するなど、収益化しようと思えばできるフェーズにまできている」(鶴岡氏)。


2周年を迎えたメルカリ、ダウンロード数は1000万超に

メルカリが運営するフリマアプリ「メルカリ」が2月1日に1000万ダウンロードを突破した。同社は2013年2月1日に「コウゾウ」の社名でスタートしたが、まる2年での達成となる。またこれにあわせてインフォグラフィックも公開している。さらに人員拡大に伴い、3月にはオフィスを六本木ヒルズに移転する。

メルカリ代表取締役の山田進太郎氏

メルカリはスマートフォンで自分の持つファッションアイテムや家電などを撮影して商品の価格を設定して出品し、他のユーザーに販売できるフリマアプリだ。Fablicの「Fril」など先行するアプリがある中で2013年7月にサービスを開始。2014年3月には14億5000万円の大型資金調達を実施して5月にテレビCMを実施。9月には米国に進出、さらに10月には23億6000万円を調達すると同時にテレビCMの第二弾を実施。11月には東京・お台場にて、2万6000人が参加するフリーマーケットも開催した。

テレビCMをきっかけに好循環

インフォグラフィックを見るとあきらかだが、テレビCMの効果は顕著で、CM実施月以降のダウンロード数は大幅に伸びている。メルカリ代表取締役山田進太郎氏は、「テレビCMで(ダウンロード数の折れ線グラフの)角度が5月に上がっているが、それ以降も上がっている。第二弾のCMについても同じ」と語る。CMによって認知率が上がり、安心感も出てくる。それが検索やダウンロード数に反映され、さらにはユーザーが多くなるほどに商品数も購入希望者も増え、結果として「出品したらすぐ売れる」という好循環ができあがっているそうだ。

1月27日時点での累計出品数は約6296万品。1日の平均出品数は数十万品で、1年前の約8倍という数字だ。キャンペーン時には、1分あたり最大出品数3409品という数字を記録したそうだ。また販売のスピードも速い。売れた商品の20%が出品から1時間以内に取引成立している。

出品される商品をカテゴリ別に見ると、レディースファッションやベビー・キッズ用品、コスメ・香水・美容といった女性向け商品が約半数を占めるものの、エンタメ・ホビー、メンズファッションと幅広い。

メルカリでは、商品名やブランド名などの検索結果を保存しておけるので、そのキーワードを検索するために1日複数回アプリを立ち上げるユーザーが多いそう。それもあってユーザー1日あたりの平均滞在時間は43分と非常に長い。山田氏は「(ブランド名などを)ウォッチしている人が結構多い。よくAmazonや楽天との違いを聞かれるが、メルカリは『何かないかな』といったウィンドウショッピング感覚で使われている」と説明する。

DAU(1日のアクティブユーザー)やMAU(月間のアクティブユーザー)について山田氏に聞いてみたのだが、「非公開。ただしかなり大きい数字」とのことだった。こちらはすでに公開されている額だが、月間流通総額は数十億円。複数の業界関係者の話では、すでに月間流通総額で60億円超という数字も聞く。山田氏は、「在庫を持つ一般的なECとフリマを同じように考えるかは別として」と前置きしつつ「トランザクションで言えば、楽天、Amazon、ヤフオクというグループがあって、次にあるZOZOTOWNなどがある。その次のグループくらいにはなっている」と語る。

米国展開は今後半年で本格化

社員数は米国を含めて130人。そのうち約60人がカスタマーサポートを担当している。また米国のスタッフは20人程度で、こちらもカスタマーサポートが中心。プロジェクトマネージャーやデザイナーは在籍するものの、基本的には開発は日本に集中している。米国ではこれまでシェアオフィスに入居していたが、2月からは独自にオフィスを構えるそうだ。

米国でもダウンロード数や出品数などは順調に伸びているということだが、これまではカスタマーサポートの拡充や想定される詐欺などトラブルへ対応など、体制作りに注力してきたそう。今後半年をかけて本格的にサービスを展開していく。山田氏も米国拠点を中心に活動することになる。米国では競合サービスのPoshMarkなどが先行しているとのことだが、「(競合を)そこまで参考にしているわけでもない。どちらかというと、米国で受け入れられるものをどう作るか。機能を真似するというものでもない」(山田氏)という。またすでにヨーロッパなどでのリサーチも開始したが、「まだ視察レベル」だそうで、こちらは1年ほどかけてサービス展開の是非から検討していく。

メルカリは「シェアリングエコノミー」のサービス

米国での競合の話をPoshMarkなのかeBayなのかと聞いて聞く中で山田氏が語ったのは、メルカリが個人にフォーカスした「シェアリングエコノミー」のサービスだということだった。他のフリマアプリはさておき、日本ではヤフオクの置き換えではないし、米国ではeBayの置き換えではない、個人間の新しい市場を開拓したと説明する。

シェアリングエコノミーというキーワードだと、UberやAirbnbといった急成長を遂げたサービスが思い浮かぶが、個人間売買も同じような規模のニーズがあると山田氏は語る。「知り合いでシェアリングエコノミー系のサービスをしている人間もいるが、すごい伸びている。メルカリは決済と流通がしっかりしていたから日本で始めたが、5年後、10年後を見ると途上国でもフリマアプリは普通に使われているんだろうな、という世界観がある。その中でメルカリが使われているポジションを考えている。自動翻訳が実現すればクロスボーダーな取引も加速する。その時のトランザクションは大きい。そこを取っていく」(山田氏)

また詳細は明かされなかったが、新規事業やサービス拡張、人材採用など、今後数カ月で同社からいくつかの発表を予定しているとのこと。「結構面白いものが出てくると思う。これでさらに加速できる」(山田氏)


EC販促支援ツールを手掛けるSocketがB Dashから資金調達、元ミクシィ朝倉氏をアドバイザーに

Socket代表取締役の安藤祐輔氏(左)と朝倉祐介氏(右)

年初にEC業界の2014年総括・2015年予測の寄稿をしてもらったが、その中で2015年のキーワードとして出てきたのが「ウェブ接客」だった。その動きがいよいよ活発になってきたようだ。スマートフォン向けEC販促プラットフォームの「Flipdesk」を提供するSocketは1月20日、B Dash Venturesが運営するB Dash Fund 2号投資事業有限責任組合を割当先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。金額は非公開だが数千万円になるという。

また今回の資金調達に合わせて、元ミクシィ代表取締役社長の朝倉祐介氏をゼネラルアドバイザーに起用する。朝倉氏は現在米国を拠点に活動中だが、すでにメッセージやメールなどで密にコミュニケーションをとっているそうだ。詳細は明らかにされなかったが、朝倉氏も同社に出資をしているという。

Flipdeskはスマートフォン向けサイト上で、実店舗での接客のような体験を提供する販促プラットフォーム。予めサイトにタグを埋め込み、ユーザーの行動を自動で解析。訪問者状況に応じてクーポンを発行したり、キャンペーン告知などをしたりできる。例えばある商品ページに複数回訪問するのに商品購入に至らないユーザーに対してはクーポンを発行して購入を促す、特定の商品を購入したユーザーに対してはキャンペーンの告知をするといったように、ユーザーの行動に合わせて購買意欲を高める提案をして、購買率を上昇させるという。

Flipdeskでクーポンを出すイメージ

サービスは2014年9月に開始。すでに100社以上が導入を決定しており、うち40社程度が実際に導入済み。東急ハンズやWEGO、丸善&ジュンク堂ネットストアなどの大手ECサイトから、外資系のECサイトや人材情報サイトまで幅広い。

価格はトラフィックに応じた従量課金制で、平均で月額5万円程度となっている。またオプションでコンサルティングサービスも提供する。すでにROI(利用料金に対して得られた粗利益)で1000%を超えるサイトもでてきているそうだ。

Socketは2010年12月の設立。代表取締役の安藤祐輔氏は、高校を卒業してから消防士になり、その後筑波大学に入学。そして学生起業するというちょっと珍しいキャリアの持ち主だ(今回アドバイザーに就任した朝倉氏も、競馬騎手を目指したのち、東大に入学し学生起業するというこれまた異色のキャリアだったが)。

大学在学中に体育会系の部活をする学生向けの就職支援サイトを立ち上げて売却。その後ケンコーコムの外部コンサルとして海外拠点の立ち上げを支援するなどしてからSocketを創業した。Socket創業後も、メディア事業やライターネットワーク事業を立ち上げて売却するなどしてきたが、「これまで資金調達をするようなことはなかったが、業界に8年いてきっちり勝負をかけたい。やるならECと思っていたが、人の商材を売るとなると自社でコントロールできないところが大きい。であればASPをやろう」と考えたそうで、現在はFlipdeskの事業に注力している。

実は安藤氏と朝倉氏は共通の知人がおり、以前から面識自体はあったのだという。そしてレレレが手掛ける「TimeTicket」で朝倉氏が「相談に乗る」というチケットを販売した際に安藤氏がそのチケットを購入。資金調達などのアドバイスを求めたそうだ。そこから徐々に相談の機会が増えていたため今回正式にアドバイザーとなったという。ちなみに朝倉氏は、SSocket以外にも個人でエンジェル投資やスタートアップの相談などに乗っているとも語ってくれた。ただしあくまで「友人ベースで」とのことだ。

同社は今回の調達で人材を強化し、サービスのさらなる開発を進める。


Apple、App Storeのダウンロードボタンを「無料」から「入手」に変更。EC対策か?


iTunesおよびMac App Store全体で、AppleがiOSやMacのアプリをどうマーケティングするかに関する、小さいが注目すべき変化があった。無料アプリのダウンロードボタンのラベルが、「無料[FREE]」から「入手[GET]」になった。この変更は、欧州委員会からの度重なる圧力によるものである可能性が高い。EUは今年の夏Googleに対して、アプリ内購入を推めるアプリのラベルを変更させることに成功している。

EU諸国内でGoogleは、”Top Free Apps”[トップ無料アプリ]の名称を”Top Apps”[トップアプリ」に変更し、”Top Free Games”セクションも、”Top Games”に変更しており、これは新しいガイドラインに準拠したものだ。

欧州委員会は、「無料」とラベル付けされたゲームには、実際に関わってくるコストを、消費者に誤解させかねない問題があるため、子供に直接アプリ内購入を薦めたり、親に追加機能をねだらせるべきではない、と言っている。

当時Appleは、いずれ変更を行うこと約束すると共に、特にアプリ内購入については既にいくつかの保護対策を施していることを主張した。Engadgetに提供された声明で同社は「…昨年来、利用者のアプリ内購入が可能なアプリにはそのことを明示させてきた。また、App Storeには13歳未満の子供たち向けにさらに保護を強化したアプリのための、キッズセクションを設けている」と書かれている。

iOS 8では、さらに保護を強めた機能を提供していくとAppleは言っている。

Appleは「無料」アプリに関して、EUに特化した変更を行わないことにしたようだ。代わりに、デスクトップおよびモバイルのApp Store全体について、アプリ内購入の有無にかかわらず、ダウンロードボタンを「入手」に名称変更した。

おそらくこれで、地域別対応が容易になると共に、一部アプリの特質に関して、多少なりとも誠実になった。ユーザーは〈入手〉できるが、必ずしも〈無料〉ではない。

現時点で、Appleのトップチャートは変更されていない ― 従来通り、両ストア共表示は「トップ無料APP」および「トップ有料APP」となっている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


物流アウトソーシング「オープンロジ」がサービス開始――中小事業者や個人をターゲットに

今スタートアップで注目を集めるキーワードというと、シェアリングエコノミーやIoT、ヘルスケアなどとあわせて、ロジスティクスを挙げる人が多い。CrunchBaseによると、ロジスティクス分野のスタートアップへの投資は、2012年後半から増加しているようなのだけれども、2014年第1四半期には3200万ドルと急増している。

米国では日用品のリアルタイム配送を実現する「Instacart」やCtoC向けの配送サービス「shyp」などの名前を聞くが、国内でもロジスティクス分野のスタートアップが徐々に登場している。その1社がオープンロジだ。同社は10月21日から物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を開始する(サービス開始前の動画インタビューはこちら)。

中小規模のEC事業者や個人までが利用できるロジスティクスのアウトソーシングサービスだ。ユーザーがECで取り扱う商品をサイト上から登録して、同社が提携する物流会社の倉庫に入庫すれば、倉庫にて商品1点1点にバーコードの貼り付けをして管理を実施する。入出庫情報はオンラインで閲覧可能。また商品が売れた際などは、倉庫で梱包の上で配送までを行ってくれる。配送の際には同梱明細書がつき、時間指定も可能。代引きにも対応する。

このサービスの強みは簡略化された商品管理とシンプルな価格設定にある。オープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏によると、これまでの物流アウトソーシングサービスでは、まずは問い合わせ窓口から連絡すると、事業に関するヒアリングを行った上で見積もりを出して…と最短でも1カ月程度の時間を要するケースがほとんどだそうだ。

また、月額料金や保管料は「一坪いくら」という形で設定しているため、商品点数にかかわらずコストがかかるということも少なくない。そのため、小規模なEC業者や個人が利用することも難しかった。

そこでオープンロジでは、老舗の物流事業者と組み、商品数の少ない中小規模の事業者の商品をとりまとめて管理することで、シンプルな業務フロー、料金設定を実現しているのだという。また最短2日でのサービス利用を実現。さらにはシンプルな管理画面も独自に開発しており、個人でもPCで手軽に入出庫管理できるという。

オープンロジの管理画面

価格は、入庫料が一律15円、保管料がサイズにより1日0.2円〜10円、配送料が220円〜780円までとなっている。価格面での競合優位性について伊藤氏に尋ねたところ、Mサイズ(商品の縦、横、高さの合計が60cm以内)を関東圏に送る場合、ヤマト運輸の宅急便を利用すると756円。これがオープンロジだと1カ月の保管料や入庫料込みで486円と36%の割引になる。もちろん発送の回数や個数、保管期間にもよるが、オープンロジを利用することで安価かつ作業負荷が下がるというケースは多そうだ。

オープンロジではここ数カ月、ユーザーを限定してテストを行ってきたそうなのだけれども、その反応も上々だそうだ。ネットオークションを手がける個人は、梱包も含めて業者が行うため、落札者からの評価も高いと語っているそう。副業であれば平日に梱包作業なんてできないので、そういった面でも利便性を感じているということだった。

ちなみに伊藤氏は富士山マガジンサービスを創業期から支え、その物流網の構築を手がけてきた人物。「物流は成長分野にも関わらず、アウトソーシング先の体質は変わっていない。そこを効率的に変えられるのではないか」という思いから起業したのだそうだ。


メルカリがWiLと既存株主から23.6億円調達–テレビCMやリアルイベントも

3月に14億5000万円を調達したメルカリだが、またもや大きな資金調達を実施したようだ。同社は10月9日、World Innovation Lab(WiL)および既存株主であるグローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、GMO Venture Partners、East Venturesから総額23億6000万円の第三者割当増資を実施したと発表した。出資比率は非公開。バリュエーションも非公開だが、「200億円以上ではないか」(関係者)といった声も聞こえてくる。

メルカリが手がけるフリマアプリ「メルカリ」は、5月に展開したテレビCMの効果もあり、これまでに500万ダウンロードを達成。月間流通額は数十億円、出品数は1日10万件に上る。9月には米国向けにもサービスを開始している。また10月に入って、これまで無料だった手数料を有料化(代金の10%)している。ちなみに有料化を9月中にアナウンスしたところ、駆け込み需要で9月最終週の出品・購入額が通常の約3倍程度まで拡大したそうだ。有料化1週間の手応えとしては、天候(おもしろいことに、台風で外出を控えるなど可処分時間が多くなるような状況だと、サービスの利用者が増えるそうだ)などの影響でブレもあるが、「評価としては、すごいクレームになっているといったことはまずない」(メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏)という状況だそう。

前回実施した14億円超の資金調達も大きな金額だったが、メルカリでは今回調達した資金をもとに、日米双方での積極的なプロモーションを展開する。まず日本については、10月11日〜26日、11月8日〜23日に書けて首都圏を中心に全国でテレビCMを展開する。前回のCMに出演した菅谷哲也さん、筧美和子さんのほか、ダンディ坂野さんが新たに出演する。またパートナー企業と組んで、11月8日〜9日に東京・お台場でリアルなフリマイベントを実施する。

CtoCコマース市場ではすでに撤退するサービスも

フリマアプリをはじめとしたCtoCコマースの競争は激化しており、すでに撤退する企業も出てきている。そんな中でメルカリはスマートフォンに特化したオールジャンルのCtoCコマースとして「トップランナーになった」(メルカリ取締役の小泉文明氏)と説明する。以下は同社が掲げるポジショニングマップだ。なお、資料には「Confidencial」と書かれているが、メルカリから公開の許可を得ているものとなる。

そんな中で国内ユーザーの更なる拡大と、9月からスタートしたばかりの米国向けサービスを強化するため、23億円超の大型調達を実施したという。「まずは1000万ダウンロードを目指す。DAU(デイリーアクティブユーザー)や購入額はダウンロード数に比例して上がっており、増やして利用率が下がるとは思っていない。どこまで伸びるかは底が知れない」(山田氏)

 

 

海外展開はヨーロッパも視野に

今回の資金調達では、日本と米国に拠点を置くWiLが新たに株主になっているが、「WiLが(投資の)リードという考え方ではないが、米国展開のサポートを期待しているのは事実」(小泉氏)だと説明する。

米国での展開は、組織面も含めて「本当に何から何まで違う」(山田氏)状況だそうだが、サービスに関しては「思ったより受け入れられている」(山田氏)という。App Annieのデータを見る限り、米国でのアプリのランキングは500位前後を行き来しているようだ。現在はFacebook広告を中心に集客しているが、今回の調達を受け、米国でのマーケティングも本格化していく。またヨーロッパ展開も視野に入れており、年末までに市場を調査して参入を検討していくという。

 


アプリ1つで写真ケーキを注文–BAKEが手がけるPICTcake

オンラインでケーキを販売するBAKE。同社はこれまで「クリックオンケーキ」の名称で、通常のケーキと、食用プリンターでケーキの表面にプリントを施した「写真ケーキ」を販売してきた。現在では写真ケーキを中心に年間3万個を販売。注文の翌々日には全国どこにでも冷凍のケーキを届けることが可能だという。

そんな同社が10月2日、サービスを刷新。ブランドも写真ケーキに特化した「PICTcake」にあらため、iOSアプリも公開した。アプリでは、スマートフォン上で写真撮影からケーキのデザイン、購入までが可能。

BAKEは2013年4月の設立。代表取締役である長沼真太郎氏の前職は流通業、そして実家は日本で一番の売上を誇るという老舗の宅配ケーキ屋「きのとや」だ(長沼氏の出身地である北海道では、雪のために物流面でのトラブルがつきものなため、宅配ケーキが人気なのだそうだ)。そんな長沼氏は現在、チーズタルトやシュークリームの専門店を経営しつつ、PICTcakeの事業に取り組んでいる。すでにチーズタルトの事業はすでに年商1億円程度になっているそうだ。

僕も友人の誕生日会などで写真ケーキを見かけることはあったのだけど、実はこれ自体は15年ほど前からあるものらしい。しかし食用プリンター自体がまだそれほど普及していないため、製造できるケーキ屋も限られているそうだ。それをオンラインで年間3万個販売しているということで、長沼氏は「ものすごいニッチな分野だがニーズはある。我々は写真ケーキでは多分世界一ではないか」と語る。ちなみにデコレーションケーキの市場は年間1400億円だが、そのうちで写真ケーキが占めるのは、10億円程度なのだそう。

ケーキの価格は17cm×17cm(5-10名用)が4320円、22cm×22cm(10-20名用)が8640円。今後は結婚式などのイベントでも利用できるような大きなサイズにも対応していくとしている。そのほか、IP、つまり版権もののキャラクターなどとのコラボレーションに関しても積極的に行っていくそうだ。製造は前述のきのとやに委託しているが、現在東京でも製造工場と提携を進めている。


フリマアプリFril運営のFablicがクックパッド、コロプラ、ジャフコから10億円調達–まもなくテレビCMも

フリマアプリ「Fril(フリル)」を手がけるFablicは9月25日、クックパッド、コロプラ、ジャフコを割当先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。出資比率やバリュエーションは開示していないが、関係者などの話を総合すると、金額的には3社がおおよそ3分の1ずつ出資しており、バリュエーションは100億円程度になるという。

Frilは2012年7月にサービスを開始したフリマアプリ。ユーザーを女性に限定しているのが特徴で、ファッションアイテムやハンドメイドの小物などが個人間で売買されている。現在のダウンロード数は200万件弱。ユーザーは都市部に住む10代後半から20代の女性が中心となっている。売買される商品の平均単価は2000〜3000円程度だという。月間の物流総額(実際に売買されている金額)は7月時点で5億円と発表されていたが、現在は「5億〜10億円のあいだ」(Fablic代表取締役社長の堀井翔太氏)だそうだ。

割当先に事業会社が2社いるが、この理由について堀井氏は、「特にクックパッドなどはユーザー属性も近いためシナジーもある。だがそれ以上にいい応援をしてくれる人、熱い思いを持った経営陣が居るから」と説明する。

フリマアプリのプレーヤーを見てみると、メルカリの手がける「メルカリ」が500万ダウンロードを達成。これまでの資金調達ではグローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)、GMOベンチャーパートナーズ、ユナイテッド、イーストベンチャーズなど、ベンチャーキャピタルを中心に広く資本を受け入れて“応援団”を作っている状況だ。またテレビCMを展開して大きくユーザー数を伸ばした。

こういった状況を踏まえて、堀井氏は「今はプロダクトを磨くだけでなく空中戦(マーケティングなど周辺領域での勝負)になっている。いかに周囲が応援してくれるかが重要。そんな中で『燃料はどんどん投下するから戦え』と言われることも増えたが、それとは違ったアドバイスをもらえる会社に出資してもらっている。優秀な経営者に気軽に相談できるし、IRやマーケティングにも強いチームがいる」と語る。

今後Frilは、CtoCをビジネスの中心にしつつ、BtoCの事業も強化する。8月からは「公式ショップ」という形でアパレルブランドが出店し、商品を販売できる仕組みを開始している。「現在は検証もかねてサービスを始めたところ。将来的には会員への課金や広告など、マネタイズの方法はあると思っている」(堀井氏)

前述のメルカリやLINEの手がけるLINE MALL、さらにはヤフオク!まで、(広義で)競合が多いスマホ向けのフリマ市場。Frilでは、今後も女性に特化したサービスを展開していく。「彼ら(競合)はオールジャンル、オールカテゴリ。そこはポジショニングを分けて差別化していきたい。お金(手数料のこと。ちなみにメルカリはこれまで手数料無料でサービスを展開してきたが、10月からFrilと同様に商品価格の10%の手数料を取得する)がかかっても使ってもらえるのはそこがあるから。これからも独自の世界を作っていきたい」(堀井氏)。サービスを支える約30人のカスタマーサポートは全員がFrilのユーザーで、きめ細かい対応を実施。さらにはバックグラウンドでのスパム検知、本人確認の仕組みにも注力しているという。

Fablicでは2015年度の物流総額200億円を直近の目標とする。また将来的には海外展開も検討しているようだが、「やるのであれば台湾などアジア圏。法律や物流の違いもあって翻訳だけして展開できるとは思っていない。場所によって戦略やアプリそのもののチューニングが必要だと思う」(堀井氏)とのことだった。


数百万ストア開設の第一歩に–STORES.jpがフォロワー機能を導入

先週アドオン機能の提供で大企業や中堅企業向けにサービスを拡大すると発表したばかりのオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。ショップオーナーの拡大施策の次は、そのショップのユーザー拡大のための施策を実施する。同社は9月17日、STORES.jpにフォロー機能を導入した。

この機能は、Twitterや各種SNSにある「フォロー」と同様に、STORES.jpのオンラインストア同士でフォローしたり、STORES.jpのIDを持つユーザーがお気に入りのストアをフォローしたりすることができるというもの。フォローしたストアの更新情報はタイムライン形式で閲覧できるため、お気に入りのストアの新着商品などを時系列に閲覧することができるようになる。利用にはSTORES.jpのIDが必要となる。なお、IDを作ると、自動的にストアが開設できる状態になる。

ブラケット代表取締役の光本勇介氏

STORES.jpは、どうしてECなのにフォロー機能を導入したのか? ブラケット代表取締役の光本勇介氏は、これが「STORES.jpのストア数を大きくジャンプさせるための施策になる」と説明する。

1人1アカウントの世界を目指す

光本氏はSTORES.jpを開始した頃から、「FacebookやTwitterのように、STORES.jpのストアのアカウントを1人1つずつ持つようにしたい」ということを語っていたのを覚えている。

現在STORES.jpのストア数は12万件。確かに数字的にはすごいのだけれど、当初語っていた1人1アカウントの世界はまだ遠い。そこで、まずはフォロー機能でお気に入りのストアの更新情報を閲覧できるといった利便性を提供することで、ID(STORES.jpはIDがあればいつでもストアをオープンできる)やトラフィックを増やし、最終的にストアの拡大を狙うという。

IDを利用するメリットは何もフォロー機能に限った話ではない。ユーザーがSTORES.jpで作られたストアで商品を購入する際、IDを持っていなければ買い物の都度配送先の住所や氏名を入力する必要があったのだが、IDと紐付けて保存すれば、一度入力した配送先情報をすべてのストアで自動入力できるようになる。

最近ではSTORES.jp同様にオンラインストア構築サービス「BASE」を展開しているBASE代表取締役の鶴岡裕太氏が、国内のストア数を30〜40万店舗、海外あわせて100万店舗といった具体的な数字の目標を各種イベントやインタビューで語っている。光本氏はこういった数字を意識しているようで、「(フォロー機能の導入は)40万店舗を市場の天井にするか、何百万店舗にするかの勝負の始まり。まずはSTORES.jpのカルチャーを作らないといけない」と語った。