Facebookが仮想通貨「リブラ」のバグ懸賞プログラムをHackerOneと準備中

仮想通貨Libra(リブラ)のプロジェクトを進めているFacebookとそのパートナーらは、Libraのブロックチェーン上に作られたアプリケーションのバグ検証プログラムをHackerOneと協力して実施することを発表した。

この発表は、規制当局がLibraの合法性と世界金融システムに与える脅威を評価する間、プロジェクトを中止するよう同社に要求している中で行われた。

関連記事:Congressional testimony reveals some faults in Facebook’s digital currency plans(未訳)

中止要求にもひるむことなく、Facebookとプロジェクトのパートナーたちは、世界金融システムを全面改造することの責任をいかに真剣に捉えているかを示す証拠として、バグ懸賞プログラムを実施しようとしている。

プロジェクトでは、テスト用ネットワーク上で開発されたコードの欠陥を見つけたセキュリティー専門家に賞金最大1万ドルを提供する。

「我々はこのバグ懸賞プログラムを今、Libraのブロックチェーンが公開されるよりずっと早く開始する。世界中の人々がLibraを日々の財務ニーズに使えることがわれわれの願いなので、システム基盤は安全かつ信頼できる必要がある、とLibra Associationのポリシー・コミュニケーション責任者であるDante Disparte(ダンテ・ディスパート)氏が声明で語った。「Libraのブロックチェーンはまだテストネットワーク上にあり、初期段階のバージョンであって最終版とは大きく異なることに留意されたい。われわれは今後時間をかけて適切なシステムを運用することに責任を持って取り組んでいく所存であり、規制面の課題が解決し当局の承認を得られるまでLibraブロックチェーンを公開するつもりはない」。

しかし、承認を得ることはおろか、商用レベルにも達していないテスト段階のシステム向けにバグ懸賞プログラムを実施することは、時期尚早である可能性もある。何人かのプロジェクト関係者がLibraはまだ公開されていないことを強調した。

「Libraの正式公開に向けて、これはLibra Associationがセキュリティーに積極的に取り組んでいることを示す重要なステップだ」とブロックチェーン基盤サービス・プロバイダーで、Libra AssociationのパートナーでもあるBison Trailsの最高技術責任者、Aaron Henshaw(アーロン・ヘンショウ)氏が語った。

今回の行動を過剰な警戒と見る向きもある。あるいは、開始することすら保証されていないシステムのセキュリティーに対する大衆や当局の不安を鎮めるためのスタンドプレイだと指摘する向きもある。

Libra Associationの広報担当者は、Libraのテスト用ネットワークで現在いくつのプロジェクトが動作しているかについても語っていない。

FacebookとLibra Associationのパートナーたちは、バグ懸賞プログラムより、自分たちのプロジェクトが政府や世界金融システムに与えかねないバグの心配をしたほうがいいかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

あなたの行動データと広告のリンクをコントロールできるフェイスブックの新機能

昨年、Facebook(フェイスブック)のCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は、サードパーティのウェブサイトやアプリがFacebookと共有するデータを削除する「履歴消去」機能を開発するつもりだと発表した。その機能がようやく現実のものとなった。現状では特定の地域のみで利用可能となっている。

とりあえず、その機能は「Off-Facebook Activity(Facebook外アクティビティ)」という名前で呼ばれている。Facebookのプライバシーおよびデータ利用チームを率いるプロダクトマネージメントの責任者、デイビット・ベイザー(David Baser)氏は、その名前は「的確にどのような種類のデータ」が見えるようになるのか、誰にとっても明らかなものでなければならない、と語った。

ベイザー氏がビデオでデモしたところによれば、ユーザーに関するデータをFacebookに送信してくるすべてのアプリやウェブサイトのリストがまず表示される。その中から、どれかをタップして選ぶと、そこで実際にどのようなデータが共有されているのかを見ることができる。これは共有されたくない、というデータをみつけたら、それをブロックすることができる。ブロックの指定は、ウェブサイトやアプリ単位でも、全面的にでも可能だ。

Facebookは、当然のこととして、ここ数年にわたってデータ共有に対する厳しい査察を受けている。それは、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のスキャンダルに端を発するもの。また、Facebook上で拡まる偽情報に対する懸念もあって、同社は透明性を確保するため、広告やコンテンツに関するいくつかの新しいツールを開発することにした。

今回のツールでは、ユーザーの行動に関してサードパーティが収集した情報をFacebookが削除しようというのではない。その代わり、そうしたデータと、Facebook上の個人情報との間の接続を切断するのだ。また、そのアカウントに付随する過去のデータも削除される。

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ベイザー氏によれば、Facebookの外でのアクティビティを切断すると、Facebookログインを使用したウェブサイトやアプリから、直ちにログアウトしてしまうという結果を招くという。広い目で見れば、そのような接続を維持することは、消費者と企業の双方にとって利益があるのだという。それによって、より関連性の高い広告の表示が可能となるからだ。もしユーザーが、小売店のウェブサイトで、あるタイプの靴を探していたとする。接続が維持されていれば、Facebookは、そうした靴の広告をタイムラインに表示できるのだ。

またベイザー氏は、「Facebookとしては、こうした活動が行われていることを、人々に知ってもらいたいのです」と述べている。そうしたオプションが、隠しメニューの奥深くにしまわれているのではなく、メインの設定ページからアクセスできるようになっていることに気付いてもらいたいのだと。

また彼は、このような「包括的な画面」を作成して、ユーザーがデータをコントロールできるようにした企業は他にはない、ということも示唆している。Facebookとしては、ユーザーを怖気づかせたり、混乱させたりしない、適切なアプローチを見つけ出そうとしているわけだ。また「この機能は、隅から隅まで、漸進的開示の原則に従って設計されたものです」と説明している。つまり、最初は概要だけが表示されるが、ツールの中を掘り進んでいくと、どんどん詳しい情報が見られるようになる。

Facebookによれば、この機能はプライバシーの専門家と協力して開発されたもの。その舞台裏では、そうしたデータをユーザーに開示し、コントロールもできるようにするために、これまでの保存方法を変更する必要もあったという。

最終的にFacebookは、購入履歴や位置情報など、データのタイプを指定してコントロールできるような機能を実現するつもりがあるのかどうかを尋ねてみた。しかしベイザー氏によれば、そのようなものが使いたいと思うほど、「データについて十分に理解しているのは、ごく少数の人だけ」ということが分かっているという。

「あなたの願望は理解できますが、私たちが得たフィードバックには、そのようなものはありませんでした」と彼は言う。そして、もしユーザーからの強い要望があるなら「もちろん検討してみます」ということだった。

このOff-Facebook Activityツールは、最初はアイルランド、韓国、スペインの各国で利用可能となっており、順次他の国にも展開されることになる。

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Instagramはデータ漏洩事件を受けて報奨金制度を拡充

Facebookは、個人情報の不正使用を可能にするバグ発見に対する報奨金制度をInstagramにも適用する。

Instagramの親会社であるFacebookは、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のスキャンダルをきっかけに、データの不正使用の発見に対する報奨金制度を始めた。そのスキャンダルというのは、数千万人分ものFacebookの個人データが抜き出され、2016年の米大統領選挙で、浮動票をトランプ氏側に有利になるように仕向けるのに利用されたというもの。

この制度の基本は、セキュリティ研究者だけでなくFacebookの一般ユーザーも含め、サードパーティのアプリや、特定の会社が、本来とは異なった目的でFacebookのデータを抜き出し、収集し、あるいは販売していることに気付いたら、それを報告することができるようにするというもの。たとえば、有権者の名簿を作成したり、広範囲なマーケティングの資料を生成したり、といった行為が想定されている。

Cambridge Analyticaによる事件が、世間の注目を集めた後でさえ、Facebookにはユーザーのデータを不正に収集するアプリがあった。

Instagramも例外ではない。Instagramは今月、「信頼していた」マーケティングパートナーを出入り禁止処分とした。その会社が数百万ものユーザーのストーリーや、位置情報、他の数百万のユーザーに関連するデータを抜き出していたことが明らかになったからだ。その結果Instagramは、今後のデータ抜き出しを防ぐため、サービスに変更を加えることを余儀なくされた。これは、今年はじめに起きた他の2つの事件に続いて起きたものだった。1つは、1400万人ぶんにもおよぶInstagramの個人情報が抜き出され、パスワードもかけずに公開状態になっていたデータベース上にさらされているのを、セキュリティ関連の研究者が発見したというもの。そしてもう1つは、別の会社のプラットフォームが、Instagramのインフルエンサーの電子メールアドレスや電話番号を含む個人情報を抜き出していた、というものだった。

昨年Instagramは、Cambridge Analyticaのスキャンダルの余波を受け、プライバシーを保護する姿勢を再確認するため、デベロッパーによるAPIへのアクセス制限を厳しくしている。

InstagramのセキュリティエンジニアリングマネージャーであるDan Gurfinkel(ダン・ガーフィンケル)氏によれば、新たに拡張されたデータの不正利用に関するバグ発見の報奨金制度は、セキュリティ研究者を「その気にさせる」ことを目的としているのだという。

またInstagramは、信頼できるセキュリティ研究者のグループを招待し、Checkout(チェックアウト)サービスを国際的に展開する前に、セキュリティ上の欠陥の発見に努めてもらうつもりだという。もちろん、そこでバグが見つかれば、報奨金が支払われる。

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画像クレジット:Jaap Arriens/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

あなたのインスタストーリーが知らないロシア人に見られているワケ

Instagram(インスタグラム)を使っている人は、ここ数カ月、多くの知らない人が自分のストーリーを閲覧しているのが気になっているかもしれない。それも、自分をフォローしてもいないロシア人と思しき人が。だとしても、それはあなただけではない。

まただからといって、あなたがロシアの偽情報キャンペーンに巻き込まれているわけでもない。少なくとも、たぶんそうではない。しかしなんだか怪しい感じがするのは間違いない。

TechCrunchのイベントディレクターであるレスリー・ヒッチコック(Leslie Hitchcock)が、編集部にこの問題を提起してきた。ここ数カ月、彼女自身のインスタのストーリーが、何の関連もなさそうなロシア人のアカウントによって閲覧されているのが、なんとも「気味が悪い」というのだ。中には、数千人のフォロワーがいるアーティストなど、本物のアカウントもありそうだが、その他は「奇妙」なものにしか見えないという。

Redditのスレッドにも、「私をフォローしていないロシアのモデルが、私のインスタのストーリーをずっと観ているのはなぜ?」といった、現実的な問題を提起しているものがある。残念ながら、その答えは、あなたが期待してしまうような理由からではない。

Instagram自体も、この問題を認識しており対策に取り組んでいると語った。

また、この不当な活動は偽情報キャンペーンなどに関連したものではなく、新たなグロースハッキングの手法によるものだという。つまり、サードパーティにお金を払ってフェイクの「いいね」やコメントを付けてもらったり、フォロワーの数を増やしてもらうことで、自分のアカウントの価値を高めようという行為の一種なのだ。この場合には、本当は何の興味もない人のストーリーを閲覧することで、見せかけの活動を生み出し、それによって本物のアカウントと認められて、より多くのフォロワーを獲得しようというのだ。

不気味と言えば不気味だ。これらのグロースハッカーの中には、おそらく大量のスマホを用意して、実際にはだれも観ていないInstagramストーリーを「閲覧」したことにするのだろう。これは明らかに、ストーリーに広告を掲載するために料金を支払っている広告主にとっても嬉しいものではない。

Hydrogen(ハイドロジェン=水素)という名の英国のソーシャルメディア代理店も6月頃に、この問題に気付いた。そしてブログで「Instagramストーリーの大量の閲覧は、2019年版のフォロワー購入」だと述べている。つまり、Facebook傘下のInstagramが、ボットやフォロワーの売買を禁止した結果、このような新たな手法が登場したというのだ。

つまるところ、偽物をつぶすのは、永遠に続くもぐらたたきのようなものなのだ。これを、ザッカーバーグの苦行と呼ぶことにしよう。

「私たちの研究によって、いくつかの小さなソーシャルメディア代理店が、このテクニックを使って、一般の人々とやり取りしているように見せかけていることが分かりました」と、Hydrogenは書いている。さらに「これはコミュニティを構築するための正しい方法ではありません。Instagramは早急に、これを取り締まることになるでしょう」という賢明なアドバイスも載せている。

Instagramは、これについて対策を講じるよう試みているということを私たちに明かした。つまり、このようなフェイクなストリーの閲覧という新手の不正な活動を防ぐことができるよう、取り組んでいるという。

また今後数カ月の間に、特にストーリーについて、そのような活動を減らすための新たな措置を導入するという。しかしそれがどのようなものになるのか、正確なところは明かさなかった。

私たちは、なぜロシア人なのかということについても質問してみたが、Instagramはなぜ偽のストーリービューの大部分が、ロシアから(愛をこめずに)来ているように見えるのか、その理由についての秘密を明かしてはくれなかった。そう、その部分は謎のまま残っている。

自分のInstagramのストーリーが、無関係な人の注目を集めるための無節操な発信手段として悪用されることを防ぐために、今何かできることがあるだろうか?

今のところ、アカウントをプライベートに切り替えることだけが、グロースハッカーに対抗する唯一の手段だろう。

ただし、それでは、あなたがInstagramのプラットフォーム上で誰にコンタクトできるか、そして逆にだれがあなたにコンタクトできるかを制限することになる。

私たちがヒッチコックに、アカウントをプライベートに切り替えればと提案すると、彼女は肩をすくめて「私はブランドと関わっていたいの」と答えたのだった。

画像クレジット:Aleksander Rubtsov

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookの新広告ユニットは新作映画を通知

Facebookは、映画会社が最新作を宣伝するのに役立つ2つの新しい広告ユニットをローンチしている。

最初のユニットはムービー・リマインダー広告と呼ばれており、その名のとおりの働きをする。通常、映画会社は公開の数カ月前、あるいは数年前から作品のマーケティングを開始するのだが、Facebookの広告では「興味あり」のボタンを内蔵できる。また、映画が公開された際の通知を受けるかどうかが選べる。そして公開週の金曜日には、関心のある映画ファンは上映時間とFandango とAtom Ticketsによるチケット購入オプションが掲載されているページへの通知を受けるのだ。

一方でshowtimeの広告は、映画が公開された後のマーケティングキャンペーンの後半に向けてデザインされている。これらの広告には「Get Showtimes」のボタンがあり、近くのshowtimeとチケット購入リンクを含む詳細ページにユーザーを誘導する。

Facebookが委託したAccentureの調査によると、映画ファンの58%が新しい映画をオンラインで発見し、39%がスマートフォンやタブレットからのものだという。

Facebookのエンターテイメントおよびテクノロジー担当グループディレクターのJen Howards(ジェン・ホワード)氏は、今回の広告ユニットはハリウッドのスタジオ(ディズニーの他にも厳しい夏を味わっている)の自社の広告と、映画のチケット購入をシームレスに結びつけるという。彼女はまた、それが視聴者の関心をふるいにかけ「映画ファンを直接的に消費者へと近づける」としている。

Facebookによると、すでに一部のスタジオが広告フォーマットをテストしているという。例えば、Universal Pictures(ユニバーサル・ピクチャーズ)は「The Grinch」を宣伝するためにshowtime広告を利用しており、その結果Facebookによれば「showtimeでの広告やチケット購入が大幅に増加した」という。

映画のリマインダー広告とshowtimeの広告は、米国と英国のすべてのスタジオが利用できる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Facebookはユーザーの音声メッセージを無許可で書き起こした

「未来はプライベートにあり」。まさに、Facebookに残された道はそれしかない。

Facebookはユーザーの音声データを集めて、それをサードパーティの契約企業を使ってテキストに書き起こしたとされている。同社はユーザーデータのそのような扱い方をめぐって、現在当局に調べられている。

そのことを最初に報じたBloomberg(ブルームバーグ)によると、契約企業は仕事を失いたくないので匿名にしてくれと頼んだそうだ。

その記事によると、音声はMessengerアプリからのものだ。音声の会話を書き起こしと比較対照して、同社の人工知能が正しい仕事をしたか確認していた。

Facebookが音声データを集める方法はMessenger以外にもいろいろあるはずだ。しかし同社のプライバシーポリシーには、音声データを何に使っているのかに関する言及がない。Bloombergの記事は、契約企業がその仕事を「非倫理的」と感じたと書いている。その理由はユーザーの音声をサードパーティがレビューすることを、Facebookが「どこにも明記していない」からだ。その契約企業は前から、ユーザーの携帯から「音声を聴取していない」とするFacebookの主張に反駁していた。

Facebookには、音声を書き起こす理由や、サードパーティによる書き起こしをユーザーに告げない理由などを質問したが、まだ返事はない。しかしFacebookのスポークスパーソンのJoe Osborne(ジョー・オズボーン)氏は「音声データの書き起こしは8月初めにやめた」とコメントした。

ユーザーの音声をサードパーティの契約企業とそのスタッフにレビューさせた件でも、Facebookは目下調べられている。AmazonもAlexaの録音をユーザーの許可なく契約企業にレビューさせたとして非難の集中砲火を浴び、Echoデバイスにオプトアウトを加えざるをえなくなった。

そのほか、Googleは人工知能のテストで、AppleはSiriの録音の契約企業による聴取で、そしてMicrosoftはSkypeの通話を翻訳機能のテストのために聞いたとして、同じくとがめられている。

Facebookには、Alex Stamos(アレックス・スタモス)氏が辞めて以降、すでに1年以上もCSO(チーフ・セキュリティ・オフィサー)がいない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インスタのARフィルタ開発キットをFacebookが公開

FaceApp(フェイスアップ)やSnapchat(スナップチャット)にばかり注目が集まるのは許せない。そうした思いからなのか、Facebook(フェイスブック)は米国時間の8月13日に、これまで限定ベータだったSpark ARを、すべてのデベロッパーに公開し、AR(拡張現実)フィルタを開発してInstagram(インスタグラム)上で共有できるようにすると発表した。

この動きについては、すでに今年はじめのF8の基調講演で発表していた。

Facebookにとって、スマホ用のAR機能自体はとりわけ新しいものではない。すでにマーク・ザッカーバーグ氏が2017年のF8キーノートの前半を費やして、独自のARカメラエフェクトを大々的に吹聴していた。それから2年半後、多くのデベロッパーにもそれを試してみる機会を与える準備が整ったということだろう。

Spark AR Studioで作って共有されたエフェクトをポップアップさせる方法は何とおりもある。Instagram上でエフェクトを共有しているユーザーをフォローしている場合、アプリのカメラセクションにあるユーザーのエフェクトトレイで、そのエフェクトがポップアップ表示される。またInstagramは、ユーザーが新しいフィルターを検索できるようにする新たなEffects Gallery(エフェクトギャラリー)も用意している。Instagramとしては、必ずしもエフェクトギャラリーを中心に据えようとしているわけではない。ユーザーが、Instagramカメラのエフェクトトレイの最後までスクロールすると、ようやく姿を現すので、そこでクリックして起動する。またユーザーは、インスタグラムストーリーに使われているエフェクトを見ることができるようにもなる。これこそが、他のユーザーに対する訴求力を発揮し、Spark ARにいざなう効果を持つものだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

残っていた最後のOculus共同創業者がFacebookを去る

Facebookは2014年のOculus買収に何十億ドルもつぎ込んだ。そしてOculusがFacebookに深く取り込まれるにつれ、Oculusの共同創業者たちは次々とFacebookを離れていった。そして8月12日、最後の1人として残っていたNate Mitchell(ネイト・ミッチェル)氏が社員向けに送った内部メモでFacebookを去ることを明らかにした。

このニュースはThe InformationのAlex Heath(アレックス・ヘルス)が最初に報じた。ミッチェル氏はその後すぐにTwitterで社を離れることを発表した。

我々はFacebookにコメントを求めている。

Redditでのノートでミッチェル氏は、会社を辞めて「しばらくは旅行したり家族と過ごしたり、また充電に時間を当てるつもりだ」と語っている。同氏はバーチャルリアリティのプロダクトマネジメント責任者を務めていた。

ミッチェル氏のFacebookでの役割は、VR組織における何回もの幹部入れ替えで過去数年で幾度か変わった。昨年は、OculusのCEOだったBrendan Iribe(ブレンダン・イリベ)氏がハイエンドプロダクトの将来についてチームと意見が食い違ったためにFacebookを去った。Oculusの中心的な創業者だったPalmer Luckey(パーマー・ラッキー)氏は反ヒラリー・クリントン政治グループに資金を援助していたという奇妙で複雑なスキャンダルを受け、2017年に辞めている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookはいまだに偽レビューを売買するグループであふれている

Facebookは、そのプラットフォーム上で盛んに行われている偽の商品レビューの売買を一掃できていないと消費者団体Which?の調査が明らかにした。

6月にFacebookとeBayは、英国競争市場庁(CMA)から、偽の商品レビュー記事の販売にもっと真剣に取り組むべきだとの警告を受けた。eBayでは、業者が現金と引き換えに、5つ星の商品レビュー記事を大量に提供していた。一方、Facebookのプラットフォームでは、業者が複数のFacebookグループを運営し、商品や現金(またはその両方)と引き換えに偽のレビュー記事を書くライターを募集していた。

Which?によるこの2つのプラットフォームの追跡調査では、5つ星レビューの販売数がeBayでは「劇的に改善」され、CMAの介入後、発見された5つ星レビュー記事の掲載数は1件にまで減ったことが判明した。

しかし、Facebookグループでの偽レビュー販売の予防に関してはほとんど手つかずの状態だ。Which?は、「今なお購買意欲を煽るレビューの執筆を大規模に奨励している」と彼らが指摘するFacebookグループを数十件見つけている。

下の画像は、私たちがFacebookグループを10秒間検索しただけで発見した広告の実例だ(アメリカのレビュー執筆者を求めていた複数の広告の中のひとつ)。

アメリカ限定、レビュー募集、商品代返金、返金+原稿料$?、興味のある方はパーソナルメッセージを

Which?によれば、偽レビューを取り扱うわずか9つのFacebookページで、7月に5万5000件を超える新規投稿を発見したという。つまり、1日に数百の「または数千にものぼる」投稿が生成されていることになる。

Facebookは投稿数を1万件に制限しているため、実際にはもっと数は多いと同団体は指摘している(10グループのうち3つは上限に達していた)。

Which?はまた、偽レビューを売買しているFacebookグループは、30日間にメンバー数が急増していることも突き止めた。そして、「わずか数分の間に疑わしいグループが数十件、怖くなるほど簡単に見つけられる」という。

私たちも、Facebookのプラットフォームを軽く検索してみたところ、商品レビューを募集するグループがいくつも見つかった。

Which?は、10のグループを詳細に調べた(グループ名は公表されていない)が、そのすべてのグループ名に「Amazon」という文字が入っていた。そしてそのすべてが、30日間にメンバーを増やしている。中には急激に増やしているものもあった。

「ひとつのFacebookグループは、30日間にメンバー数を3倍に増やし、また別のグループ(2018年4月に開始された)はメンバーを倍増させて5000人以上に増加した」と同団体は書いている。「あるグループは、1カ月間に4300人が参加し1万人を超えた。2017年4月から存在しているにも関わらず、75パーセントの増加率だ)。

Which?は、Facebookグループのこのメンバー数の急増は、eBayが偽レビュー業者を彼らのプラットフォームから閉め出したための直接の結果ではないかと見ている。

「総計で10件の(Facebook)グループは、8月だけで10万5669人という驚異的な数にまでメンバーを増やしている。そのわずか30日前は8万5647人だったので、19%近く増加したことがわかる」

これら10グループからは、1日に3500件以上もの、購買心を煽るレビュー記事が3500件以上も投稿されていると同団体は話している。またWhich?は、それらのグループに、Facebookのアルゴリズムが「おすすめ」として提示する同類のグループは、偽レビューを売買しているように思えるグループだったとも言っている。

さらに、これらのグループの管理者は同類の別のグループにも参加していて、オリジナルのグループが閉鎖されたときに移れるようにしているという。

Which?の製品およびサービス部門の責任者Natalie Hitchins(ナタリー・ヒチンズ)氏は「私たちの最新の調査は、プラットフォームで今なお偽レビューグループをはびこらせ、毎日何千件もの投稿を許している現状に、Facebookは組織的な対策を行っていないことを示しています」と話している。

「同社がこのまま、人々を騙す不誠実なレビュー記事によってことさら宣伝される粗悪な、または危険な製品を消費者に晒し続けているのは、とても憂慮すべきことです。Facebookは、報告されたグループへの対処のみならず、そうしたグループを積極的に特定して閉鎖し、今後そのようなものが現れないよう対策を行うべきです」。

「CMAは、インターネットで騙されないよう人々を守るための強制的な行動を今すぐ検討しなければなりません。Which?はこの事態をつぶさに観察し、このような偽レビューグループを追放できるよう圧力をかけてゆきます」と彼女は言い加えた。

声明の中でWhich?の調査について報告しつつ、CMAシニアディレクターであるGeorge Lusty(ジョージ・ラスティー)氏はこう話した。「偽レビューを売り込むFacebookグループの再発は、許しがたいことです。Facebookは即座にこれらの情報を削除し、二度と現れないように効果的な対策を取らなければなりません」

「これは始まりに過ぎません。私たちは、インターネット上の、人々を騙す偽レビューとの戦いを強めてゆきます」と彼は話す。「私たちの多くは、ネットショッピングで何を買おうか選ぶときに、レビューを頼りにしています。それが本物たと信頼できることは、とても重要です。誰かが金をもらって書いたものではいけません」。

Facebookは声明を出し、Which?が報告した10件のグループのうち9件は排除したこと、そして「残りのグループも調査中」であることを主張した。

「私たちは、偽レビューを助長または促進する道具としてFacebookを使うことは許しません」とFacebookは述べている。「私たちは今後も、こうした不正を積極的に防止できるよう、ツールを改良してまいります。これには、技術への投資と、安全とセキュリティーを担当するチームを3万人体制にする対策も含まれています」。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookがクリックインジェクションによる不正広告で2人のデベロッパーを訴訟

Facebookは2人のアプリデベロッパーを、同社の広告プラットホームを利用して不正な収益を得たとして告訴した。同社はその法的アクションを、米国時間8月6日のブログ記事で発表した

同社の社則執行および法務担当ディレクターであるJessica Romero(ジェシカ・ロメロ)氏は「そのデベロッパーはアプリをGoogle Playストア上で一般公開し、ユーザーのスマートフォンをマルウェアに感染させた。そのマルウェアはユーザーのスマートフォン上に現れるFacebookの広告で偽のユーザークリックを作り出し、ユーザーがその広告をクリックしたような効果を生じさせた」。

この手口はクリックインジェクションと呼ばれ、ユーザーに知られることなくアプリが不正な広告クリックを作り出すことによって、広告収入を増やす。それは、セキュリティの研究者たちには以前から知られている問題で、デベロッパーは簡単に作れるジャンクアプリを作り、それが何百万回もダウンロードされるとき、ユーザーに知られることなく見えない広告のクリックが作り出される

Facebookによると、今回のケースでは二人のデベロッパー、香港のLionMobiとシンガポールのJediMobiが、同社の広告システムから不正な支払いを受けた。彼らのアプリは、概算で2億700万回以上インストールされたと思われる。そのアプリはGoogleのアプリストアにまだあるが、Googleはそれに関してまだ何もコメントしていない。

Facebookは「被害者の広告主には広告料金相当を返金した」ことを表明したが、Facebookのスポークスパーソンはコメントの要求に応じなかった。

関連記事:File-storage app 4shared caught serving invisible ads and making purchases without consent(ファイル保存アプリ4sharedが不可視の広告で同意なき購入を偽造、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

フェイスブックの国際デジタル通貨Libraはプライバシー対策が曖昧だと監視団体が警告

米国、欧州、アフリカ、オーストラリアから集まったプライバシー・コミッショナーたちは、計画中の暗号通貨プロジェクトLibraに組み込まれるデータ保護のための安全措置をFacebook(フェイスブック)が明確に示していないことを憂慮する共同声明文に署名した。

Facebookは、ブロックチェーン技術を利用した国際デジタル通貨を作るという大きな計画を6に公式発表した。これはFacebookを創設メンバーとするLibra Associationによって運営される。その他の創設メンバーには、Mastercard、PayPal、Uber、Lyft、eBayなど、決済や技術の巨大企業も含まれている。ベンチャー投資企業には、Andreessen Horowitz、Thrive Capital、Union Square Venturesなどが名を連ね、Kiva、Mercy Corpsといった非営利団体も参加している。

同時にFacebookは、この事業を執り行う子会社Calibraの新設も発表した。この会社は、メッセージアプリのMessengerとWhatsAppに来年組み込まれることを想定したスタンドアローンのウォレット・アプリを提供するなど、Libraネットワークのための金融サービスの開発を行うという。しかし、独自のウォレットを埋め込むつもりでいる同族のソーシャルプラットフォームの支配的地位を思うと、「オープンな」デジタル通貨ネットワークと表現されているものを、それが一気に独占してしまうのではないかとの懸念が浮かび上がる。

Calibraを大きく持ち上げた公式ブログ記事では、Facebookは、世界220億人以上のユーザーにそのウォレットを推奨できる能力を使って、どれだけの市場支配力を手にするかについて明言を避けている。だが、プライバシーに関しては、たしかに触れていた。こう書かれている。「私たちは、お客様のプライバシーを守る手順も踏んでいきます」。その根拠は、「アカウント情報と金融データは、Facebookにも第三者にも、お客様の同意なくして」渡すことはないという主張だ。

ただし、「限られた状況」においてはユーザーのデータを渡すこともあると同じ段落に書かれているように、例外を認める場合もある。それは、「お客様の安全確保のための必要性、法律の遵守、Calibraを利用される方への基本的な機能の提供を熟慮」した状況だとブログ記事には書かれている(顧客への誓約を記したCalibra Customer Commitmentには、「詐欺や犯罪行為の防止」などの具体例に加え、もう少し詳しい説明がある)。

これらはすべて、表面的には十分に安心できる説明かも知れないが、Facebookは、ユーザーの「安全」を守るために必要だとする曖昧な見解を、たとえばFacebookユーザーでないユーザーを主要なインターネット空間全域にわたってFacebookユーザーでないユーザーを主要なインターネット空間全域にわたってトラッキングするための正当化の隠れ蓑として利用している。

企業が何かをやるやらないと主張するときは、ほんの小さな部分に悪魔が宿っているものだ。

だからこそ、プライバシーとデータ保護へのLibraの取り組みに関する詳細が示されないことに、世界の監視のプロたちは疑念を抱いているのだ。

「世界中の無数の人々のプライバシーの強化を連帯して担う、データ保護とプライバシーの施行当局からなる国際的なコミュニティの代表者として、私たちは結集し、デジタル通貨Libraとそのインフラがもたらすプライバシーへのリスクに関する共通の懸念を表明します」と彼らは書いている。「その他の行政機関、民主的な政治家もこの計画に懸念を表明しています。Facebook社が関与しており、同社が数億人にものぼるユーザーから幅広い分野のデータを収集していることを考慮すると、そのリスクは金融上のプライバシーの問題に留まらず、さらなる懸念が浮上します。データ保護を担当する行政機関は、他の規制当局と密接に連携していきます」。

この声明文に署名したコミッショナーには、米連邦取引委員会(FTC)のロヒト・チョプラ(Rohit Chopra)氏も含まれている。先月、FTCで行われた採決で、Facebookの50億ドルでの和解命令案が賛成3反対2で可決されたが、そのとき反対票を投じた一人だ。

さらに世界の対象地域では、Libraをプライバシー関連の法律や人々の期待に添わせるにあたり、次の人たちがFacebookの透明性に対して懸念を表明している。カナダのプライバシーコミッショナーのDaniel Therrien(ダニエル・セリアン)氏、欧州連合データ保護監督官Giovanni Buttarelli(ジョバンニ・バタレリ)氏、英国情報コミッショナーのElizabeth Denham(エリザベス・デナム)氏、アルバニア情報およびデータ保護コミッショナーのBesnik Dervishi(ベスニク・デルビシ)氏、ブルキナファソ情報技術および市民の自由のための委員会委員長のMarguerite Ouedraogo Bonane(マグリート・ウートラウゴ・ブナン)氏、オーストラリア情報およびプライバシー・コミッショナーのAngelene Falk(アンジェリーン・ファルク)氏。

共同声明の中で、彼らは「Libraネットワークのグローバルなプライバシーに期待すること」として、次のように書いている。

今日のデジタル時代においては、組織は透明性を保ち、個人情報の取り扱いに責任を負うことがきわめて重要です。適切なプライバシーの管理とプライバシーバイデザインは、イノベーションとデータ保護を実現する鍵であり、そらは互いに排斥し合うものではりません。今日までに、FacebookとCalibraは、プライバシーに関する公式声明を公表しましたが、個人情報の厳重な管理と保護に用いられる情報の取り扱い方法に関しては、明確に述べてはいません。さらに、LibraとCalibraを性急に実施しようとする現在の計画を見るにつけ、私たちはいまだ詳細情報が提示されないことに驚き、不安を募らせています。

Libra Associationの創設メンバーとしてFacebook社が参加しているため、これは世界中の消費者の間に急速に普及する可能性があり、それにはデータ保護の法律が施行されていない国々の人たちも含まれます。ひとたびLibra Networkが稼働し始めれば、それは即座に無数の人々の個人情報の管理者となります。金融情報を含む膨大な個人情報と暗号通貨が組み合わされば、Libra Networkの構造や、データ共有に関する取り決めのプライバシー上の心配は増幅します。

彼らがLibra Networkに提示した質問のリストを下に転載する。「提案やサービスの内容に進展があったとき」に各機関が質問を追加することになっているため、彼らはこれを「すべてではない」と記している。

ユーザーのデータが何に使われるのか、その使われ方をユーザーはどこまで管理できるかを明らかにすることが、彼らが答として求めている詳細情報に含まれている。

また、ユーザーのプライバシー保護の力を弱め侵害するようなダークパターンが使われる危険性が、別の懸念として示されている。

コミッショナーたちは、ユーザーの個人情報の共有について、どのタイプのデータが共有されるのか、どのような非特定化技術が使われるのかを明確にすることも求めている。非特定化技術に関しては、たとえば、売買された匿名の個人情報から、わずか一握りのデータ点を使ってクレジットカードの利用者の再特定が可能になることを実証する研究が数年前から公表されている。

以下が、Libra Networkに送られた全質問のリストだ。

1. 国際的なデータ保護とプライバシーの施行機関が、Libra Networkはネットワークユーザーの個人情報を守る頑強な手段を持っていると確信できるようになるには、どうしたらよいか?特にLibra Networkは、参加者が以下のことを求めてきたときにどう対処するか?

a.個人情報がどのように使われるかに関する明確な情報(プロファイリングとアルゴリズムの使い方、Libra Networkのメンバーと第三者との間で共有される個人情報を含む)を、その件に特定された納得の上での同意をユーザーが適宜できるよう提示してほしい。

b.個人情報を第三者へ提供するよう促す、またはプライバシー保護を弱体化するナッジやダークパターンを使用しない、プライバシーを守るためのデフォルト設定がほしい。

c.プライバシー管理のための設定を目立たせ、簡単にできるようにしてほしい。

d.製品またはサービスに必要となる最低限の個人情報だけを、使用目的を明示した上で収集・処理をしてほしい。また処理の合法性を確保してほしい。

e.すべての個人情報を適切に保護してほしい。

f.アカウントの削除や要求を誠実に適時引き受けることを含む、プライバシーの権利を行使するための簡単な手段を人々に与えてほしい。

2. Libra Networkは、インフラ開発の際にプライバシーバイデザインの原理をどのように組み込むのか?

3. Libra Associationは、どのようにしてLibra Network内のすべてのデータ処理を確実に特定し、それぞれのデータ処理の規定に従わせるのか?

4. Libra Networkは、データ保護の影響調査をどのように実行するつもりなのか。そしてLibra Networkは、その調査をどのようにして確実に継続的に実施するのか?

5. Libra Networkは、データ保護とプライバシーに関する方針、基準、管理を、すべての対象地域で、どのようにしてLibra Networkの運用全体に一貫して適用させるのか?

6. Libra Networkのメンバー同士でデータを共有する場合、

aどのようなデータ要素が含まれるのか?

b.どの程度まで非特定化され、どのような手法で非特定化されるのか?

c.誰のデータが共有されたかを法的な強制力のある契約上の手段の使用を含め、データが再特定化されないことをLibra Networkはどのように保証するのか?

私たちはFacebookにコメントを求めている。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

FacebookとInstagramがダウン(現在は復旧)

日本時間の8月4日夜、FacebookInstagramのユーザーから「トラブルが起きている」という報告が相次いだ。日本時間7月5日午前4時45分にFacebookは「問題は解決した」と発表 。

FacebookはTechCrunchに次のようなコメントを寄せた。

今日、ネットワーク上の問題によって一部のユーザーのFacebook系サービスへのアクセスに障害が出た。我々は問題を解決しており、運用は完全に正常な状態に戻っている。ご不便をおかけしたことにお詫びする。

モバイルアプリがロードしないユーザーが多数出ており、Twitterを利用して問題を訴えていた。. #facebookdownと#instagramdownというハッシュタグが用いられ、両方のタグともTwitterの人気トップのタグになっている。

【Japan編集部追記】 Facebookは日本でも昨夜障害に見舞われた。読み込みと表示は正常にできるものの投稿ができない状態が続いた。現在は復旧しており投稿も正常にできる。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

株取引アプリのロビンフッドがパスワードを平文で保存していた

米国時間7月24日、株取引アプリのRobinhood(ロビンフッド)が、一部のユーザーのパスワードを含む資格情報を社内システムに平文で保存していたことを明らかにした。これはきわめて深刻なセキュリティ上の誤りだが、同社はデータに不適切にアクセスされたことを示す証拠はないとしている。とはいえ、ユーザーが危険にさらされた恐れがある。念のため、今すぐパスワードを変更しよう。

パスワードや個人情報といった扱いに注意を要するデータは、通常、常に暗号化して保存される。最悪、侵入されてデータベースが流出したとしても、攻撃者にはわけのわからないデータだ。しかし残念ながら、このルールが守られていなかったようだ。

多くのユーザーがRobinhoodから次のようなメールを受け取った。CNETJustin Cauchon氏もそのひとりだ

お客様がRobinhoodのアカウントのパスワードを設定する際、弊社では業界標準のプロセスに従って、社内で誰もパスワードを閲覧できないようにしてきました。7月22日の夜、弊社は一部のお客様の資格情報が読める状態で社内システムに保存されていることを発見しました。その中にはお客様のパスワードも含まれていたことをお知らせします。

弊社はこの問題を解決しました。また徹底的に調査した結果、弊社対応チーム以外からのこの情報へのアクセスは認められませんでした。

本当に「業界標準」だったら、他社もパスワードを平文で保存していることになる。そう考えれば、GoogleFacebookTwitterなどにも最近同様の誤りがあったことの説明がつくかもしれない。

Robinhoodの担当者は、この問題に迅速に対応したことを強調した。しかし、問題が発見された経緯、平文で保存されていた期間、この問題の原因となった業界標準からの逸脱、影響を受けたユーザーの数はコメントしておらず、今後これらの点について回答するかどうかも明らかにしていない。同社は次の声明を出した。

我々は速やかにこの情報の記録の問題を解決した。徹底的に調査した結果、弊社対応チーム以外からのこの情報へのアクセスは認められなかった。念のために、我々は影響を受けた恐れのある顧客に通知し、パスワードをのリセットを促した。我々は顧客に対する責任を真摯に受けとめ、顧客の情報の安全に全力を尽くす。

もしあなたがRobinhoodからのメールを受け取ったらアンラッキーだ。パスワードを変更しよう。もし受け取らなかったら……。それでもパスワードを変更しよう。気をつけるに越したことはない。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Facebookが連邦取引委員会の捜査を受けていることを公表

Facebookの株主たちは、同社がFTCから課せられた50億ドル(約5400億円)の罰金が株価に影響を与えたことには動揺しなかったが、反トラスト問題を巡って現在もFTCの捜査を受けていることを認めたことは驚きだった。

Facebookは第2四半期の決算リリースで、同社が巨額の罰金を支払い、一定のプライバシー条項に同意したことを詳しく説明したが、リリース文には、同社のFTC問題が継続する可能性についても短く書かれていた。

「当社を含め、オンライン技術業界は前四半期に規制当局から厳しい監視を受けた」とリリースに書かれていた。「2019年6月、当社はFTCから反トラスト捜査を開始する旨を通知された。2019年7月には、司法省が主要オンラインプラットフォームに対して反トラスト調査を開始すると発表した」

つい昨日、米国司法省は同省の反トラスト局が、国内大型IT企業に対する捜査を開始したことを発表した。

関連記事:米司法省は巨大IT企業の独禁法違反に対する調査に着手

近く行われる同社の決算会見で詳細がわかる見込みだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米司法省は巨大IT企業の独禁法違反に対する調査に着手

米司法省は、世界最大級のIT企業がどのようにして今の立場を確立したのか、またそのビジネス手法が競争を阻害したり、消費者に不利益をもたらしていないか、反トラスト局が調査中だと発表した。

米司法省は、その声明の中で「検索、ソーシャルメディア、オンラインの小売サービスについて、消費者、企業、起業家が表明している広範な懸念」について考察することになると述べた。

この言い回しは、明らかにAlphabet(Googleの親会社)、Facebook、そしてAmazonを念頭に置いたものと考えられる。

先週、そうしたIT企業の代表者が議会に招集され、各社の方針や慣行について証言した。その際、彼らのビジネス手法について、議場のあちこちから威圧的な批判が注がれた。

Amazonは、データ収集と自社ブランドの商慣行について詰問された。Googleは、広告ビジネスと検索結果の操作について、またFacebookは、現在の事業と計画中の事業について、その視野と拡張の範囲など、あらゆることを厳しく問われた。

そのような状況を受けて、米司法省が行動を起こそうとしているは当然のことだろう。

「有意義な市場ベースの競争という規律がなければ、デジタルプラットフォームは消費者の要望に応じることなく活動するものになってしまうでしょう」と、反トラスト局の司法次官補、Makan Delrahim氏は述べた。「当局の独占禁止法の調査では、こうした重要な問題を追求します」。

米政府は、その効果には疑問があるとしても、すでにかなり特別な措置を講じて、巨大IT企業を追い立ててきた。今月初めにFacebookは、FTC(連邦取引委員会)との同意条項に違反したとして、50億ドル(約5400億円)の罰金を科されている。

この金額は、これまでIT企業に対して突きつけられたものとしては最大のものだったが、Facebookの収入と比べれば取るに足らない金額であり、同委員会の一部の委員がFacebookに対して課すことを狙っていた懲罰を骨抜きにしたものだった。

FTCは、Mark Zuckerberg氏本人に説明責任を負わせることと、Facebookの活動を制限するための行動に力を入れることを望んでいた。Facebookの方針では、プライバシーと個人データの保護に関して不十分であると、多くの上院議員が考えているからだ。

「もしFTCが、法律に違反することで利益を得ている企業にスピード違反の切符を手渡している警察官と同じようなものだと見られているなら、Facebookやその他の企業は、ますます事業を拡大し続けるだろう」と、コネチカット州出身の民主党上院議員、Richard Blumenthal氏と、ミズーリ州出身の共和党上院議員、Josh Hawley氏は、今月はじめ、FTCに宛てた共同書簡で述べている。

関連記事:米連邦取引委員会がフェイスブックに制裁金5400億円のゆるい罰

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookが直接答えるLibraの税金と詐欺対策の仕組み

Facebook(フェイスブック)は、Libra(リブラ)が合法であることを示す新たな情報をTechCrunchに提供した。トランプ大統領がLibraは「違法な活動」を助長する可能性があると指摘したことを受けたもの。FacebookとLibra Associationの幹部は、Libraでは売上税と、キャピタルゲインに対する税金を負担することになると主張している。Facebookが一般のコンビニエンスストアや両替所とも協議して、Libraを一般の通貨と交換する際に、資金洗浄を防ぐためのチェックが可能となるよう、検討していることも明らかにした。またQRコードによって、個人がLibraを購入したり、売却したりもできるようにするという。

Facebookの広報担当者は、トランプ氏のツイートに直接反応するつもりはないと述べたが、Libra Associationは消費者とやりとりしたり、銀行として機能することはないとしている。また、Libraは既存の金融システムを補完するものになるはずだと付け加えた。

トランプ氏は、以下のようにツイートした。「規制されていない暗号資産は、麻薬取引やその他の違法行為など、非合法な活動を助長する可能性がある。したがって、FacebookのLibraという『仮想通貨』が、地位や信頼を築くとも考えにくい。もしFacebookや他の企業が銀行になりたいのであれば、銀行の設立許可を取得して、国内外の他の銀行と同じように、すべての銀行規制の対象とならなければならない」。

Libraの仕組みを理解するための入門資料としては、TechCrunchのビデオを観るか、以前に掲載した「Facebook announces Libra cryptocurrency: All you need to know」の記事をお読みいただきたい。

今回の広範囲に渡ったインタビューの中で、Libra Associationの政策責任者であるDante Disparte氏、Facebookのブロックチェーン担当の主任エコノミストChristian Catalini氏、およびFacebookのブロックチェーンプロジェクトの子会社Calibra(キャリブラ)の副社長、Kevin Weil(ケヴィン・ワイル)氏が、Libraの規制に関する質問に答えてくれた。それによって分かったのは以下の通り(明瞭さのために答えを短縮した場合もあるが、編集は加えていない)。

もし米国での規制によってFacebookのCalibra Walletが禁止された場合でも、どこか他の国で公開するということはあるのか?

ワイル氏:私たちは、スマホさえあれば利用でき、誰にとっても安い手数料で、かなり広範囲からアクセスできる金融エコシステムを構築することが、人々にとって有益だと信じています。そして、そのシステムを世界中の、できるだけ多くの人に届けたいのです。しかし、保管ウォレットとしての規制があり、それに準拠することになるので、認可が得られる市場でのみ営業することになります。

それでも、できるだけ多くの市場で営業したいと考えています。そのために、実際に製品として公開するかなり前に発表したのです。規制当局との交渉には長くかかりますから。人々が安全に利用できるものにするために努力していること、そしてどこでもわずかな手数料で利用できる金融サービスの登場によって、各国の人々に価値がもたらされることを理解してもらうため、私たちは規制当局との話し合いを続けています。

TechCrunch:でも、もし米国で禁止されたらどうなりますか?

ワイル氏:それについて包括的な答えを出すのは気が引けます。しかし、一般的に言って、Libraは人々にとって有益だと信じているので、できるだけ広範囲で使えるようにしたいと考えています。もし米国が禁止することになれば、他の国の規制当局も懸念を抱かざるを得ないと思っています。これを実現するために、私たちが渡らなければならない橋だと考えています。しかし、これまでのところ、規制当局とは率直でオープン、かつ誠実な議論ができています。そして間違いなく来週には、Davidの証言があります。私としては、Libraが禁止されてしまうようなことにはならないことを願っています。なぜならLibraは多くの人にとって、多くのメリットをもたらすことができると考えているからです。

TechCrunchの分析:米国下院の小委員会は、規制当局が慎重に検討して行動を起こすことができるようになるまで、LibraとCalibraの開発を中止するよう要請する書簡を、すでにFacebookに送付している。Facebookは、米国がLibraやCalibraを禁止するようなことになれば、他の主要な市場でも、ドミノ倒しのように同様の動きが広がると懸念しており、そうなれば公開を正当化するのは難しいと考えているようだ。そのため、米国時間7月16日と17日に行われるLibraについての議会公聴会の成り行きが、FacebookのCalibraの責任者であるDavid Marcus(デヴィッド・マーカス)氏にかけるプレッシャーは、かなり大きなものとなる。

ユーザー個人は、どのようにしてLibraに入金したり、逆に引き出したりするのか?

すでに分かっているのは、CalibraというFacebook独自のLibra用ウォレットがあり、MessengerとWhatsAppに組み込まれる。さらに専用の独立したアプリも用意されること。そこでは、接続された銀行口座と政府発行のIDを持っている人は、KYC(Know Your Customer=顧客確認)による不正取引と資金洗浄を防止するためのチェックを受け、Libraを売買できる。しかしLibraの最終的な目標は、銀行口座を持たない人々を、最新の金融システムに取り込むことなのだ。それをどうやって実現するのだろうか?

ワイル氏:Libraはオープンなエコシステムなので、両替業者や起業家は、Libra Associationの関係者や同協会のメンバーから許可を得たりすることなく、現金の出し入れをサポートする業務を始めることができます。ただ始めさえすればよいのです。今日、新興市場には、LocalBitcoins.comのように、暗号通貨を現金に、またはその逆に交換する相手をマッチングするサービスがいろいろありますが、そうしたサービスはLibraにも登場すると思います。

2番目に、地元の両替商、コンビニエンスストア、あるいは入出金を扱う他の業者と協力することで、Calibraとのやり取りを容易にして、促進することができます。Calibraアプリや、Messenger、WhatsAppを使った交換の方法は簡単です。現金を出し入れしたい場合、まずその付近で交換可能な場所を示す地図をポップアップ表示させます。その中から、近くのものを選択し、金額を設定すると、QRコードが表示されます。後はそれを提示するだけで、取引することができるのです。

そうした協力関係にある業者のほとんどは、Libraの扱いを広範囲に拡めてくれるものと期待しています。そうした取引が実際に始まれば、Calibraだけでなく、Libraを扱うすべてのウォレット、エコシステム全体に利益をもたらすでしょう。

TechCrunch:Western Union、MoneyGram、Walgreens、CVS、7-Elevenといったコンビニエンスストアの運営会社や、両替業者との取引を開拓しているのでしょうか?すでに交渉を始めているのですか?

ワイル氏:個別の取引についてはコメントを控えますが、考えていらっしゃるようないろいろな人たちと話をしています。なんと言っても、Libraと各国の通貨の間で自由に交換できることは、初期の普及と有用性を推進する上で非常に重要だからです。銀行預金との間なら、話は簡単です。私たちが本当にLibraを使ってほしいのは、銀行預金ではなく現金でやりとりしたい人たちですが、そうした人にとっても手続きが簡単になるよう、懸命に取り組んでいるのです。

TechCrunchの分析:Calibraは、こうしたアプローチによって、複雑で誤りの発生しやすい人手によるKYCや、直接現金を支出するプロセスの大部分を避けることができる。責任と負担を外部の業者に丸投げにできるからだ。

Libraは、IDや銀行口座を持たないユーザーにも対応しながら、どうやって詐欺や資金洗浄を防ぐことができるのか?

ワイル氏:IDを持っていなくても、非常に重要な集団に属する人がいます。たとえば、難民キャンプの人たちがそうです。私たちはLibraを、そうした人たちにも役立つものにしたいのです。Libraのエコシステムに参加したいと考えている人にとって、Calibraが唯一の選択肢ではない、ということは重要ですが、これがその理由の1つです。そうしたものには、各国、各所の業者によって運営されるものもあるでしょう。そうした業者は顧客と個別に面接してサービスを提供したり、KYCを実行することもあります。そうしたことを、私たちがすることはないでしょう。私たちは唯一のウォレットになるつもりはありませんし、そうなりたいとも思っていないのです。

これは、当初から複数のNGOがLibra Associationのメンバーになっていた理由の1つです。というのも、私たちは身元確認のプロセスを収益化することを推奨したいと考えているからです。そのためには、政府が発行した認証情報を利用する場合も多いのですが、身元確認や認証のために新たなタイプの情報を使うことも想定しています。このプロセスが、いわゆる最後の1マイルの問題を解決することを願っています。

非保管ウォレットの場合、ユーザーは誰も信用していません。規制当局が対応してきた方法ですが、話し合いを続けているうちに、どんどん進展しています。暗号通貨の世界に入ったり、そこから出たりすることは規制の対象となり、そうした業者は顧客と直接やりとりします。そのため、ユーザーをKYCする義務があります。私たちの場合は、保管ウォレットになります。KYCも行います。BitcoinやEthereumのエコシステムには、複数のウォレットがあります。それらはユーザーと直接の関係を持たない非保管ウォレットです。彼らは、どうにかしてBitcoinを手に入れなければなりません。通常は、交換によるものです。またそのプロセスの一環としてKYCの確認を受けています。

多くの新興市場には、LocalBitcoins.comがあります。そこでは、どのような市場であっても対面して現金をBitcoinに交換してくれる代理店や仲介業者を見つけることができます。そして彼らは、全員に対して確実にKYCを実行するようにし始めたところだと思いますが、本人と対面して確認しています。そして今やっているのとは違う方法が、いくらでも考えられるはずです。それを実現するための方法はたくさんあると思います。そしてLibraはオープンなエコシステムなので、それに関して何かしらの新規事業を起こす余地は十分にあるでしょう。

政府発行のIDを持っていても、今日の金融エコシステムから、十分な恩恵を受けることができないでいる人は非常に多いのです。そのため、全員にKYCプロセスによる確認を要求するとしても、現在の金融エコシステムではカバーできない多くの人にサービスを提供できるはずです。私たちは、KYCできない人たちをサポートする方法を見つけたいと考えています。そこで重要なのは、Calibraが他のウォレットと完全に相互運用できるようになるということです。そこには、ローカルな市場にいる人たちも含みます。その方が各自のニーズにうまくマッチするからです。

TechCrunch:その相互運用性を利用して、非保管ウォレットを持っている人がLibraを受け取り、それをCalibraウォレットのユーザーに送った場合、それはKYCを通っていないユーザーからCalibraにLibraが送金されたということになるのではないでしょうか。それによって資金洗浄ができるのではないのでしょうか?

ワイル氏:それは話し合いが進むにつれて持ち上がってきた、規制の対象となる検討項目の1つです。トラベルルールと呼ばれているものがあります。一定の金額を超える送金の場合には、送り手と受け手の両方が誰なのかを明らかにしなければならないというものです。送金者が保管ウォレットを利用している場合には、当然明らかになるわけです。規制は徐々に厳しくなりつつありますが、規制の内容が固まれば、もちろんそれに確実に準拠するつもりです。

TechCrunchの分析:Calibraは、最良のアプローチを手探りで探すような規制ではなく、厳密に遵守することができるような規制を求めているようだ。しかし、非保管ウォレットと保管ウォレットとの間の送金、あるいは対面での現金化などについて、具体的な規則がいつ制定されるのかが明確になっていないことを考えると、FacebookとCalibraは独自の強固なプロトコルを確立する必要があるのではないだろうか。さもなくば、トランプ大統領が言う「違法行為」を許したとして罪に問われる可能性がある。

Libraは、どのように課税されるのか?

LibraのDante Disparte(ダンテ・ディスパート)氏:デジタル資産への課税は、地方レベルおよび司法レベルの両方で、現在設計中となっています。私たちの世界観では、どんな形のお金でも、どんな形の支払いや銀行業務でも、税制度を遵守するという責務は、個人のユーザー、そして消費者について回るものです。そしてここにも広く同じことが当てはまるでしょう。

私たちは、Libraブロックチェーン上で何らかのソリューションを開発している多くのウォレットや金融サービスの提供者が、今よりもはるかに簡単に使えるツールを提供してくれることに期待しています。デジタル資産や暗号通貨に関する税金を計算して申告できるようなツールです。今から、Libraが市場に登場するまでには、まだかなりの時間があります。そのときまでには、サービスの提供者の間で、司法レベルでのより厳密な取り決めができるでしょう。

TechCrunchの分析:やはりここでも、Facebook、Calibra、Libra Associationは、納税に対するすべての責任を負うことを避けたいと望んでいる。取引の際にVisaカードで支払おうが、銀行の小切手を使おうが、あなた自身が率先して税金を支払わなければならないのだから、Libraについても税金を払うのはあなた自身だ、というのが彼らの考え方なのだ。

TechCrunch:米国では、政府がLibraの取引に課税するように要求するのは理にかなっていると思いますか?

ディスパート氏:デジタル資産に対する税務上の取扱いは、世界中のどこを見ても、広く完全に明確にされているわけではありません。このプロジェクトと、それを取り巻くエコシステムが、その部分を明確にするのに役立つことを、私たちも願っています。

税務当局は、Libraからは消費レベル、および家計レベルで恩恵を受けますが、一部の暗号通貨には、実際に現金化するまでは税の支払いを回避しているものもあります。しかし、その性格、投機性の低さ、その設計からすれば、伝統的な通貨に対するものと同じような、軽微な課税措置を適用すべきだと考えています。

FacebookのChristian Catalini(クリスティアン・カタリーニ)氏:暗号通貨は、今でも売却時の損益に基づいて、毎回課税されています。Libraは交換のための媒体として設計されているため、そうした利益や損失は、身近な通貨に比べてかなり小さいものになる傾向があります。売上税は、Libraに対しても、現在クレジットカードで支払う場合とまったく同じように課税されるはずです。

公開時に現在の規制のままだとすると、Calibraウォレットは米国のユーザーのすべての購入と売却を追跡しなければならないでしょう。そしてその差額は、申告時に報告しなければなりません。BitcoinのCoinbaseアカウントを持っている人が今日していることと同じように、損失を取り扱うことができます。米ドルに対比して考えると、それが非常に小さな損益だとしても。

私が思うに、売上税については、今日のいろいろなデジタルの支払いとまったく同じように適用されるでしょう。違いはないはずです。Libraを使って商品やサービスを購入すれば、別の支払い方法を選択した場合と同じように、売上税を支払うことになります。今日と同じように、購入の合計金額に対する比率で、売上税がかかるのです。

ディスパート氏:おそらく、世界中で税金というものがどのように機能しているかを把握する最良の方法は、それを決めるのがLibraでも、Calibraでも、Facebookでも、それ以外の会社でもない、ということを理解することでしょう。それは規制当局と官庁に委ねられているのです。

TechCrunch:Calibraでは、売上税の扱いについては、すでに計画を立てているのでしょうか?

ワイル氏:それについても、ちょうど今、規制のエコシステムの中で、かなり急激に進展している部分です。今まさに進行中の議論なのです。私たちは、規則当局が必要だと指摘することは、何でもするつもりです。

TechCrunchの分析:こうして私たちは、今回のインタビューから確かな答えを得ることができた。Facebook、Calibra、Libra Associationが考える税金に対する適切なアプローチとは、まずLibraの取引には国の伝統的な売上税が適用されること、そしてウォレットに保管しているLibraにも、Libraのステーブルコインとしての米ドルに対する価値に応じて課税されなければならない、というものだ。ちなみにLibraステーブルコインの価格は、複数の国際通貨のバスケットに連動する。

もしLibra Associationが、すべてのウォレットと取引に関して、こうしたルールの適用を推奨し、Calibraがその際の税金を簡単に処理する機能を意識して開発されるなら、政府は少なくとも、Libraは税金を回避する手段であると難癖をつけることはできないし、誰もが公平に支払を分担することになるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

脅しに出たFacebook、我々がやらなければ中国に乗っ取られる

Facebookは、中国が権威主義的な社会的価値観を輸出するという懸念を、事業の分割や抑制を求める圧力への反論の材料にし始めた。Facebookの幹部たちは口々に、もし米政府が企業規模の制限、企業買収の妨害、暗号通貨の禁止などに出れば、そうした制約のない中国企業が海外で勝利し、巨大な力と膨大なデータを中国政府にもたらすようになると主張している。CEOのマーク・ザッカーバーグ氏、COOのシェリル・サンドバーグ(Sheryl Sandberg)氏、コミュニケーション担当副社長のニック・クレッグ(Nick Clegg)氏はみな、この立場を表明している。

この論点は、米国時間7月16日と17日の米議会によるLibra(Facebookが主導し2020年前半に運用開始を目指しているデジタル通貨)に関する公聴会で改めて具体的に語られた。Facebookのブロックチェーンを扱う子会社Calibraのデイビッド・マーカス(David Marcus)氏は、米下院金融サービス委員会のために用意した意見書で、こう述べている。

「米国は、デジタル通貨と支払いの分野ではイノベーションを主導できず、他国がそれを行うようになると私は考えています。もし行動を起こせなければ、たちまち、まったく価値観が異なる別の者にデジタル通貨を支配されるようになるでしょう」。

2019年7月16日、ワシントンD.C.の連邦議会で開かれた上院銀行住宅都市委員会公聴会で証言するFacebookのCalibra代表デイビッド・マーカス氏。同委員会は「Facebookが提案するデジタル通貨とデータプライバシーに対する考察」に関する公聴会を開いた(写真: Alex Wong/Getty Images)

マーカス氏は、昨日開かれた上院銀行小委員会でも、こう話している。「このまま動かずにいれば、10年15年後、世界の半分はブロックチェーン技術に依存した社会となったときに、我々の国家安全保障の手段が及ばない事態になりかねません」。

この議論は、下院が検討している「巨大ハイテク企業の金融業参入を禁止する」法律に対抗するものだ。ロイターの報道によれば、この法案は、Facebookなどの年間収益が250億ドル(約2兆7000億円)を超える企業は「デジタル資産の設立、維持管理、運用を行うべきではない。これらは交換媒介物、勘定単位、価値の保存など同様の機能に広く使われることを想定している」とのことだ。

Facebookは、暗号通貨は避けて通れないとのメッセージを伝えようとしている。Libraの禁止は、良心を欠くいい加減な企業にこの技術を支配させるチャンスを与えるだけかも知れない。しかし、Facebookのこの主張は、暗号通貨のためだけではない。

関連記事:Libra上院公聴会まとめ(未訳)


この考えは、ちょうど1年前、ザッカーバーグ氏がRecorde誌のカーラ・スウィッシャー(Kara Swicher)氏のインタビューに応えたときに固まった。「この質問は政策的な観点からのものだと思います。つまり、米企業を世界に輸出したいか?」。

「私たちはこの国で育ち、ここでとても大切に感じている多くの価値観を共有していると思います。そうすることは、安全保障の面でも価値観の観点からしても、総じてとてもいいことだと思います。なぜなら、それとまったく異なるのが、率直に言って、中国企業だからです。もし私たちが、『オーケー、ボクたちは国家として、それらの企業の羽根を切って、他の場所での活動を難しくするよに決めよう。そこでは小さくなるからね』というスタンスを受け入れたとしましょう。すると、たくさんの企業が私たちがやている仕事に参入を望むようになり、またそれが可能になります」。

それはとくに中国企業のことを指しているのかと質問すると、ザッカーバーグ氏はこう強調した。

「そう。それに、彼らの価値観は我々のものとは違います。選挙妨害やテロリズムのことを政府が把握したとしても、中国企業は我々ほど協力的にはならず、その国の利益のために力を貸すなんてことは、絶対にないと思います」。

2018年4月10日、ワシントンD.C.キャピトルヒルにあるハート上院オフィスビルで開かれた上院司法および商業の合同委員会で証言するFacebook共同創設者、会長、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏。ザッカーバーグ氏(33歳)は、8700万人のFacebookユーザーの個人情報がイギリスの政治コンサルティング企業Cambridge Analyticaに渡った事件とトランプ氏の選挙キャンペーンとの関係が報道された後に証言を求められた

今年の4月、ザッカーバーグ氏は、人権に関する実績に乏しい国々でのデータローカライゼーション規制にFacebookが反対する理由を述べた際に、さらに一歩踏み込んでいる。彼は、外国にデータが保管されることの危険性を説いている。規制当局がFacebookの活動や、各地でのイノベーションの発生を阻止すれば、まさにそれが起きる。哲学者ユヴァル・ハラリ氏に、ザッカーバーグ氏はこう話した。

「将来を考えるとき、非常に不安になることに、私が示してきた価値観(インターネットとデータに関するもの)が、すべての国に共通する価値観ではないという問題があります。どこかのとても権威主義的な国で、ヨーロッパやその他の多くの地域で用いられている規制の枠組みからかけ離れたデータ政策が話題になり導入される。GDPRのような、人々の自由や権利を尊重する規制を各国が受け入れる、という形とは違うものとしてすぐに思い浮かぶのが、現在広まりつつある権威主義的なモデル、つまり各国が全員のデータをその国のデータセンターで管理するという方法です。もし私が政府の人間で、そこへ軍隊を送り込めば、監視や軍事のための欲しいデータにいくらでもアクセスできてしまうのです。

それは非常に暗い未来です。インターネットサービスを構築する人間として、または単に世界の市民として、進んで欲しくない方向です。もし、政府があなたのデータにアクセスできるようになれば、あなたが何者かを特定し、あなたとあなたの家族を捕らえ、傷つけ、本当に深い身体的危害を与えることが可能になります」。

Facebookがこのほど雇い入れたコミュニケーション部門の責任者ニック・クレッグ氏は、1月、記者団に対してこう話した

「これらはもちろん、道理に適った質問ですが、驚くほどの頭脳と、私たちが大西洋を挟んで要求しているプライバシーやデータ保護に関する法律や規制の制約を受けずに大規模にデータを処理できる能力を合体させた中国については、あまり語られていません。(そしてそのデータは)論議を呼んでいる中国政府の社会信用システムのような、さらに陰湿な監視に悪用されます」。

Facebookの共同創設者クリス・ヒューズ(Chris Hughes)氏の、Facebookは分割させるべきという主張に対して、クレッグ氏は5月にこう書いている。「Faebookは分割してはいけない。しかし、責任は果たさなければいけない。インターネットの世界で私たちが直面している難題を心配するのなら、成功している米企業を解体するのではなく、インターネットの権利に関するルールに従うことを考えるべきだ」。

その翌月ベルリンでのスピーチの中で、彼はこう力説した。

「もし、私たちヨーロッパと米国がホワイトノイズを切って協力を始めなければ、インターネットがもはやユニバーサルな空間ではなく、それぞれの国が独自のルールと権威主義的な体制で、市民の自由を制限する一方で吸い上げた市民のデータの貯蔵庫が立ち並ぶ世界となったとき、私たちは夢遊病者のように、そこをさまようことになります。私たち西側諸国が、ただちに、徹底的にこの問題に取り組まなければ、その答は、我々の手から離れてしまいます。地球上の私たちの側に共通のルールを作れば、それが好例となり、残りの世界も追従します」。

COOのシェリル・サンドバーグ氏は、5月に行われたCNBCのインタビューで、かなり直接的にこの問題点を突いている。

「分割は可能ですし、他のハイテク企業も分割できるでしょうが、人々が心配している根底の問題は解決されません。人々がハイテク企業の規模と権力を心配する一方で、米国では中国企業の規模と権力、そして中国企業は今後も分割されないことを知り、心配が持ち上がっています」。

2018年9月5日、ワシントンD.C.米連邦議会で開かれた外国による影響工作におけるソーシャルメディア・プラットフォームの使用に関する公聴会で証言するFacebook最高執行責任者シェリル・サンドバーグ氏。TwitterのCEOジャック・ドーシー氏とFacebookのCOOシェリル・サンドバーグ氏は、外国の工作員が、どのように彼らのプラットフォームを使い、世論に影響を与え操ろうとしているかという質問に晒された(写真:Drew Angerer/Getty Images)

脅しの戦法

事実、中国は個人の自由とプライバシーに関して、米国とは異なる価値観を持っている。そしてそう、Facebookを分割すれば、WhatsAppなどの製品が弱体化し、中国の巨大ハイテク企業TencentのWeChatなどの急速な増殖を招くだろう。

しかし、Facebookの問題を回避できたとしても、オープンで公正なインターネットにもたらされる中国の影響がなくなるわけではない。この問題を「規制強化は中国に利する」という枠にはめれば、誤った二元論を生む。ザッカーバーグ氏がウェブを通して自由を輸出しようと真剣に政府と協力する意志があれば、もっと建設的なアプローチが考えられる。さらに、適切な規制がない中で犯された過ちにより積み重ねられたFacebookへの不信感が、米国的な理想が米企業によって広められるという認識を、間違いなく大きく傷つけたということもある。

Facebookの分割は、特にそれが今後の不正を防ぐための理路整然とした理由ではなく、Facebookの不正行為に基づいて行われるなら、答えにはならないだろう。結局のところ有効なアプローチは、大規模に、または急速に成長するソーシャルネットワークの今後の買収を止めること、本当の意味でのデータのポータビリティーを保証させ、競合他社に乗り換える自由を現在のユーザーに与えること、プライバシーに関するポリシーの適切な監視を行うこと、そして、Libraの運用開始を、ユーザーを混乱させないよう、テロリストに悪用されないよう、世界経済を危機に陥れないよう、いろいろな段階でのテストを重ねる間、遅らせることだ。

脅しの戦法は、Facebook自身がそれを恐れていることの証でもある。長年、安全戦略で成長を続けてきた結果、ついにそこへ辿り着いてしまったのかも知れない。米連邦取引委員会による50億ドル(約5400億円)の制裁金が課されても、1四半期の収益がそれを超える企業にとっては、ちょっと手首を叩かれた程度のことでも、分割となればダメージは大きい。恐怖を振りまくことより、悪用を防ぐことに集中して規制当局と誠意をもって協力することが、Facebookの利益になる。中国の脅威を持ち出し、政府当局者の不安を煽るのが、政治的にはうまいやり方であって、もしかしたら有効なのかも知れない。しかし、それは間違っている。

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(翻訳:金井哲夫)

FacebookはLibraのプライバシー保護監督を依頼したと証言した規制機関に連絡していなかった(CNBC報道)

CNBCの報道によると、Facebook幹部のDavid Marcus氏が上院銀行委員会で同社の暗号通貨のデータ保護を監督すると証言したSwiss Federal Data Protection and Information Commissioner(FDPIC、スイス連邦データおよび情報保護委員会)は、同委員会に監督を依頼しているとされるFacebookから未だ何も聞いていない。

CNBCに寄せられた声明の中でFDPICの広報責任者、Hugo Wyler氏は次のように述べた。

Facebookの新会社Calibraの責任者であるDavid Marcus氏が、Libraのデータ保護を当委員会が監督する旨の発言をしたと聞いている。今日に至るまで委員会はLibra関係者から連絡を受けていない。われわれはしかるべき時が来たらFacebookあるいはその代理人から具体的な情報が提供されることを期待している。そうなって初めて、われわれは委員会の法律顧問および監督責任者としての任務を遂行することができる。いずれにせよ、われわれは公開討論における同プロジェクトの進展を見守っていく」

Facebookによる国の通貨政策を回避しようとしている行為は、すでに米国をはじめ世界の立法者たちから批判を浴びている。

「暗号通貨を作る計画を発表したFacebookは、同社のユーザーたちの生活に対して、歯止めのない侵入を続けている。同社が過去に起こしてきた問題を踏まえ、私はFacebookに対して、議会および規制当局が諸問題を調査し行動を起こすまで、暗号追加の開発を一時停止するよう要求する」と、下院金融サービス委員会委員長のMaxine Waters議員がFacebookの暗号通貨発表当日の声明で語った。

FRBのJerome Powell(ジェローム・パウエル)議長もFacebookとその暗号通貨計画に苦言を呈した。「Libraはプライバシー、マネーロンダリング、消費者保護、金融安定性などに多くの深刻な問題を引き起こす」と先週Powell氏は語った。

日頃は民間企業の自由競争的アプローチを擁護しているSteven Mnuchin(スティーブン・ムニューチン)財務長官でさえ、Libraに関してPowell氏と同様の懸念を表明している。

「ビットコインをはじめとする暗号通貨は、サイバー犯罪、脱税、脅迫、ランサムウェア、違法薬物、人身売買など数十億ドル規模の違法行為に悪用されている」とMnuchin氏は昨日(米国時間7/15)の記者会見で述べた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Libraはスイスの規制下に入るとFacebookが米国議会で証言予定

ブロックチェーンを扱うFacebookの子会社Calibraの代表のDavid Marcus(デヴィッド・マーカス)氏は、米国時間7月16日、17日に予定されている米国連邦議会での証言に先立ち、その内容を公開した。これによると、Libra Associationは、本社を置くスイスの政府による規制下に入るとのことだ。それまでの間は、Libra AssociationとFacebookのCalibra Walletは米国の税制、反資金洗浄規制、不正防止に関する法律に準拠するという。

「Libra Associationは、認可を受け、規制に従い、監督当局による監視の下に置かれることを期待しています。Libra Associationはジュネーブに本社があるため、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)の監督下に置かれることになります」とマーカス氏は記している。「私たちはFINMAと予備会談を行いました。そして、Libra Associationのための適正な規制の枠組みの中で彼らと関わっていくことになります。またLibra Associationは、FinCEN(米国財務省の金融犯罪捜査網)に金融業者として登録する意向があります」

関連記事:Facebookは暗号通貨Libraを発表:知っておくべきこと(未訳)

米国の資金洗浄対策(AML)や顧客確認(KYC)の法律にLibraがどう準拠するかについては、マーカス氏はこう説明している。「Libra Associationも、規制当局、中央銀行、議員と同じように、資金洗浄やテロへの資金供与などをなくすための努力を行っています」。さらにマーカス氏はこう話す。「またLibra Associationは、AMLおよび銀行秘密法を尊重し、その政策と手続き、その他の国際的な安全保障上の法律を守り、テロリズムへの資金供与と戦います。Libraネットワークで金融サービスを提供したいと考える人たちにも、それに準拠してもらいます」

彼は、犯罪者は法の取り締まりを避けるために現金で取り引きを行うため、「Libraは、摘発と法の執行を後退させるどころか、強化します」と主張している。「不正行為が横行する紙幣取り引きのネットワークから、デジタルネットワークへの移行を促進します。そこでは、適正な顧客確認(KYC)の実行による出入り口の管理が機能し、法執行機関や規制当局にはオンチェーン取り引きの独自の分析を可能にする手段が与えられます。したがって、金融犯罪の監視と取り締まりの効力は増大します」

Facebook自身については、マーカス氏はこう書いている。「Calibraウォレットは、 米外国資産管理局(OFAC)が定めたAMLおよびCFT(テロ資金供与対策)プログラムのためのFinCENの規則に従っています。同様に、Calibraも銀行秘密法を遵守し、世界で採用されているKYCおよびAML、CFTの手法を採り入れます」

こうした答えは、金融法にうるさい人たちをなだめる役に立つかも知れないが、私は、議会からもっと主観的な質問がなされることを期待している。ケンブリッジ・アナリティカ事件のような、プライバシー上の約束を破ったりフェイクニュースを流すといった10年間にわたり不祥事を続けてきたFacebookを信頼できるかどうかだ。

そのため私は、Facebookがコミュニケーションの形を変革したとするマーカス氏の以下の声明で、その変革によって社会が混乱したと怒る議員たちと仲良くやれるようになるとは思えない。「私たちは、数十億の人々のための無料で無制限のコミュニケーションを数多く民主化してきました。同じことがデジタル通貨と金融サービスにも起きるよう、支援したいと思っています。しかし、ひとつだけ重要な違いがあります。私たちは、私たちが育ててきたネットワークと通貨の支配権を放棄します」。議会は「民主化」を「混乱」と解釈するだろう。だから、それがお金の世界でそれが起きることを、快く思わない。

FacebookとCalibraは、銀行口座を持たず、銀行や送金業者から多大な手数料を搾取されている貧困家庭を救済するという前向きな意図があるのかも知れない。しかし、Facebookは純粋な利他主義で動いているわけでもない。Facebookは大きく3つの方法でLibraから利益を得ることにしているが、それはマーカス氏の証言には示されていない。

  1. Facebookは、従来の通貨による、Libraの担保として保有するLibra準備金から得られた利益の一部を受け取る。Libraの人気が高まれば、数十億ドル単位にまで膨れ上がる。
  2. Libraを使えば簡単に安価にネット決済ができるため、マーケティング予算はFacebookやGoogleなどのチャンネルに効率的に変換されるようになり、インターネットでの商取引が増大し、Facebookの広告の売り上げも伸びる。
  3. Calibraを通して新しい金融サービスを販売する。可能性としては、Facebookデータを統合すればローンやクレジットを格安に利用できるサービスをユーザーに提供することで、債務不履行が減少し、他のプレイヤーよりも多くのマージンをFacebookが獲得できるようになる。

現実には、フォトシェアリングなどよりずっと大きな賭になる。規制当局の認可にも、適正で詳しい検査が必要になる。FacebookがLibraの所有権からいかに遠ざかろうとしても、それを立ち上げ、育ててきたFacebookが、今も引き続きプロジェクトを主導している。もし議会が、「大きいことは悪いこと」であり、LibraがFacebookをさらに肥大化させるとすでに信じ込んでいたのなら、FacebookとLibraを切り離して、その暗号通貨の利点とリスクを認識することは難しくなる。

マーカス氏の証言の全文は以下のとおり。

Libraの仕組みに関する詳しい解説は、下の記事をお読みいただきたい。

関連記事:Facebookは暗号通貨Libraを発表:知っておくべきこと(未訳)


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(翻訳:金井哲夫)

米連邦取引委員会がフェイスブックに制裁金5400億円のゆるい罰

米連邦取引委員会(FTC)が、Facebookのプライバシー問題に関して続けてきた調査で50億ドル(約5400億円)の制裁金を科す方針を固めたと報道されている。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、共和党が大多数を占めるFTCの委員5人が投票を行い、3対2で制裁案への賛成が上回り、制裁は今後司法省の民事部で最終決定される。

50億ドルというのはかなり巨額のように思えるが、Facebookはすでに和解のための費用として30億ドルを引き当てていて、年間売上高の4分の1にも満たない額で不足分を補うことができそうだ(同社の直近の会計四半期の売上高は約150億ドルだった)。実際、同社は政府の調査を終わらせるために最大50億ドルを支払うことが予想されると4月に述べている。

和解にはまた、Facebookがいかにユーザーのプライバシーを扱うかについて政府による規制も含まれる、とWSJは報道している。

我々はFTCとFacebookにコメントを求めていて、返事があり次第アップデートする。

制裁案をめぐっては共和党と民主党の委員の間で意見が分かれ、結局、FTCの会合では共和党の委員が民主党の委員のソーシャルメディア大企業をさらに監視すべきとの意見を抑えた。

Cambridge Analyticaによって不正にデータが集められ、2016年の大統領選挙期間中に何百万人というFacebookユーザーの個人情報が不正に扱われていたことが明らかになって以来、議会はFacebookに対してさらに厳しい行政監督を一貫して要求してきた。Facebookを分割するよう求める動きもあった。

FTCは具体的には、ユーザーデータのプライバシー保護をしっかり行うとしていたFacebookの2012年の同意に関する法令にデータ流出が反したかどうかを調べていた。

FacebookのトラブルはCambridge Analyticaの件で終わらなかった。以来、Facebookはユーザーの情報の使用と悪用をめぐる数々の暴露非難を受け続け、そして巨大になるばかりのこのテック企業の分割を求める声が出た。

Facebookは、独禁法違反につながる可能性がある調査と、政府の金融政策から漏れているFacebookユーザーのためのデジタル通貨とされているLibra(リブラ)という暗号通貨についての公聴会に直面していることもあり、和解はまた同社にとってさらに厳しい監視を受け入れることになるかもしれない。

FTCのために議員が提案した制裁案にはFacebookの役員会に対するプライバシー監視の強化と、トラッキングデータの削除、特定の情報収集の禁止、ターゲット広告の制限、Facebook傘下の他の事業部門とのユーザーデータ共有の禁止などが含まれる可能性があると報道されている。

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(翻訳:Mizoguchi)