サムスンがグーグルとの連携を強化、自社スマートアシスタント「Bixby」を大幅縮小か

最近、Samsung(サムスン)のBixby(ビクスビー)はあまり話題に上がっていない。かつてBixbyはサムスンの巨大なハードウェアエコシステムの中心として売り出し中の存在だったが、最近は輝きを失ってしまったようだ。そして、ここにきて新たに報じられたところによると、サムスンは同社のモバイルデバイスからこのスマートアシスタントを完全に取り除くことを検討しているという。

米国時間7月29日付けのロイターの記事では「連絡文書」を見たと記載されている。詳細は不明で、サムスンは当然、Bixbyへの取り組みを大幅に縮小しているという推測を退けている。サムスンは同社製デバイスからBixbyやGalaxy Storeを削除するという推測について否定した。

サムスン広報はTechCrunchに対し「サムスンは自社のエコシステムとサービスに引き続き取り組む。同時に、Google(グーグル)やその他のパートナー各社と緊密に連携して最高のモバイルエクスペリエンスをユーザーに提供する」と述べた。さらに具体的に「サムスンはこれからもBixbyとGalaxy Storeをデバイス上で提供する。どちらのサービスもGalaxyエコシステムの重要な要素だ」とも述べた。

ロイターの記事によると、サムスンは同社のデバイス上でGoogleアシスタント、検索、Google Play Storeをもっと目立たせるレベニューシェア契約を検討している。これはグーグルがずっと求めてきたことだ。それもそのはずで、サムスンは現在Android市場で最大勢力だ。IDCの調査によると、直近の調査期間での世界の出荷台数のうち21.2%とサムスンが最大のシェアを獲得している。

Huawei(ファーウェイ)が17.8%と僅差の2位だが、これが現在のグーグルにとってどういう状況であるかということは誰もが知っている。サムスンとファーウェイの合計で、世界のスマートフォン市場の3分の1を優に超えている。

サムスンが何を取り込むかについては、Bixbyに何が足りないかということがおそらく重要だろう。これまでのところ、Bixbyの主なセールスポイントは、洗濯機などでも使える比較的汎用性があるということだ。もちろんこれまでのところ、それはサムスン製デバイスの世界の中だけにほぼ限られている。

一般にBixbyへの関心は低いが、これはサムスンの努力不足が原因ではない。同社は長い間、Galaxyデバイスに専用のBixbyボタンを搭載してきた。ただし同社は2017年からこのボタンの機能をユーザーが無効にできるようにしている。また投資不足でもない。同社はアシスタントを充実させるために多額の資金を投じて買収を実施し、Bixbyのロードマップで多くの予定を示してきた。

米国時間8月5日に開催されるサムスンのUnpackedイベントで、Bixbyに関する現在の同社の方向性について何らかの重要な考え方が示されるだろう。

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:Kaori Koyama)

コネクティッドオーディオはよくない選択だった、私の忠誠心の問題もあるが

先週私は、自宅のオーディオシステム選考にかなりの時間を費やした。いま唯一言えるのは、次のシステムはスマートではないということだ。

過去5年の間に、私のシステムはそこそこの有線2.1 ch スピーカーから、ネットにつながるスピーカーの複雑な寄せ集めへと変わった。Google Home Maxを含む少なくとも5種類のGoogleアシスタント搭載スピーカーを始め、ネット接続可能ないくつかSonosスピーカーにHomePodが3台、Facebook Portal+、Chromecast Audio経由でつながった非スマートスピーカー、さらにはその数は神のみぞ知るAlexa内蔵スピーカーを体験してきた。総括すると、近頃私は非常にまずいオーディオの選択をしてきたとはっきり言える。

現行のシステムには山ほどの不満があったが、実際にはそれは、スマートスピーカー市場全体の問題だ。

  • 優れたオーディオ機器は永遠であるべきで、頻繁なファームウェアアップデートが必要で特定オペレーティングシステムを独自にサポートしていたり、統合のサポートがなくなるようなデバイスは論外
  • この手のスピーカーと組み合わせたホームエンターテイメントはとにかくひどいもので、同じメーカーが作った製品同士であってもそうだ。私のステレオHomePodをApple TVに繰り返し接続していると頭がおかしくなる
  • スマートアシスタントは1年前と比べてずっと野心がなくなっていて、イノベーションの天井は著しく下がってきた。サードパーティー製品との統合は期待には程遠く、果たしてこうしたボイスインターフェースに、テック企業がかつて願っていたような明るい未来あるのかどうか、かなり不安になってきた
  • 一時期、このアシスタントたちは自宅のオペレーティングになるはずだったが、今のスマートホーム体験はほとんど失敗としか感がられず、「アイアンマン」に登場するジャービスのようにインターネットにつながるデバイスと仲良く遊ぶ人工知能システムの夢は、まったくの絵空事だった

つまるところ、今私はこの先何十年でもちゃんと使えるシステムに投資する決断を下す時のようだ。

さて私の本当に間違いは「1つのエコシステムに忠誠を誓わなかったことだ」と言いたい人もいるだろう。それは間違いなく正しいが、正確に私のほしいものを提供するメーカーがあるとは思えない。それは、ひどくバラバラなアプローチをとっているからだ。堅牢なSonosのシステムに資金を投入するのがおそらく最も賢い忠誠の尽くし方だったのだろうが、私の忠誠心には問題があり、おそらくその一部はこの目で見てみたいという欲求だ。

新型コロナウイルスによる隔離生活の中、私はホームオーディオシステムと過ごす時間がたっぷりあり、非互換ハードウェアには大いに悩まされた。スピーカーごとに独自のオペレーティングシステムを使っていたり、あるスピーカーが私のお気に入りの音楽ストリーミングはうまくいくのに、ほかでは動かないというのはやめてほしい。長続きするものがほしいのだ。

いくつかのエコシステムを中途半端に使ってみたあと私はもう十分だと感じ、今はちょっといいオールドファッションの有線サラウンドサウンドスピーカーを探していて、ややスマートなAVレシーバーにつなぐつもりだ。私は来年出てくるどんなクールなオーディオガジェットにも手を出さない強い心を持ち、今後も強くいられるよう願っている。よいシステムをつくるアドバイスがあれば教えていただきたい。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ウォルマートが従業員向け音声アシスタント「Ask Sam」をローンチ、商品の価格や位置を声でお知らせ

米小売り流通大手のWalmart(ウォルマート)が、音声技術の利用を広げている。米国時間7月29日、「『Ask Sam』と名付けた従業員用の音声アシスタントを全国5000店あまりの同社店舗の従業員が利用していく」と発表した。このツールを使うと、ウォルマート社員は価格を調べたり、店内の地図にアクセスしたり、製品を見つけたり、販売情報を見たりできる。個人向けのメール機能もある。最近ではAsk Samが、新型コロナウイルスに関する注意情報や安全教育のためのビデオも提供している。

Ask Samは最初、ウォルマートの姉妹店であるSam’s Club(サムズ・クラブ)のために開発され、2019年に全国展開(Chainstore Age記事)された。音声を使うので、小さな画面に質問をタイプすることに比べて情報を得るための時間が早い。しかも社員は、情報の入手に時間を取られないので顧客対応が充実する。新型コロナウイルスの蔓延が始まってからは、もう1つの利点も注目されている。音声アプリは手袋をしていても容易に使えることだ。

値段や製品の場所を調べるといった一般的な機能のほかに、Ask Samからプリンターを使ったり、メールをしたり、スタッフの誕生日などのイベントを調べたりといったことができる。その「緊急通報機能」で、管理職が全社員に対する警報や指示をメッセージで送信できる。「ロックダウンなので店にとどまれ」という指示や「お客さんを正しく誘導して早急に店から出ろ」という指示もありうるだろう。

同店の音声アシスタントは、機械学習の技術を使っているので使い込むにつれて次第により賢く、より正確になる。また、これまでの質問を調べてそのパターンを知ったり、見逃したかもしれないトレンドに気づいたりできる。例えば「最近最も多く検索されたアイテムはなんだろう」など。

同店が音声技術の利用を実験するのはこれが初めてではない。Ask SamもSam’s Clubの店ではすでに利用していたし、昨年はウォルマート自身がGoogleと提携(未訳記事)して、Googleアシスタントを利用する音声発注をトライした。家庭向けの音声技術ではAmazonのAlexaが成功しているが「ビジネス利用ではGoogleアシスタントが十分対抗できる」と考えたのだ。3年前にもウォルマートは、配送サービスのGoogle Expressが閉鎖する前に、GoogleとパートナーとしてGoogle Homeのデバイスを使った音声ショッピングを開発した。

「Ask Samには今後、顧客の便宜のためのバージョンが登場するのか」という問いにウォルマートは答えなかったが、すでに商品の価格や場所といった顧客が知りたい情報も提供しているのだから、近い将来顧客向けのサービスとして提供することは不思議ではない。

画像クレジット: Walmart

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルがヨーロッパと米国を結ぶ専用海底ケーブルGrace Hopper敷設へ

Google(グーグル)は米国時間7月28日に、米国のニューヨークと英国のブード、スペインのビルバオに新しい海底ケーブルを建設する計画を発表(Googleリリース)した。コンピュータ科学者の草分け的存在であるGrace Hopper(グレース・ホッパー)にちなんで名付けられたこの新しいケーブルは、米国と南米を結ぶCurie(キュリー)と米国とフランス間のDunant(デュナント)(未訳記事)、ヨーロッパとアフリカ間のEquiano(エクシアノ)(Googleリリース)など、同社が敷設したさまざまな海底ケーブルに接続される。

この新しいケーブルは2022年に運用が開始される予定で、DunantとCurie間のケーブル工事も請け負っているSubComによって建設される。

画像クレジット:Google

グーグルは近い将来、マドリードにて新しいGoogle Cloudのリージョンの立ち上げを計画しており、このリージョンを自社のグローバルネットワークに接続する最適な方法を検討しているのも当然だろう。グーグルにとってこの新しい専用ケーブルは、スペインへと接続する初のケーブルであり、また英国への初の民間海底ケーブルとなる。

このケーブルは16本の光ファイバーペアを使用する予定で、これはかなり標準的な仕様だが、グーグルのチームが強調しているように、同社がSubComと共同で開発した新しいスイッチングアーキテクチャを初めて使用することになる。この新しいシステムは信頼性を高め、システム停止時のトラフィックの移動を容易にすることを目的としている。

Grace Hopperはグーグルにとって4番目の専用ケーブルとなる。同社はこれらの民間ケーブルの他にも、世界各地で共同でケーブルを運営する複数のコンソーシアムに参加している。グーグルは現在、合計15本の海底ケーブルへの投資を発表しているが、これはイスラエルを経由してインドとイタリアを結ぶBlue-Raman Cableケーブルの一部であるとも報じられている(Haaretz記事)。ただし、同社はこのプロジェクトへの参加についてはまだ表明していない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

グーグルは新型コロナによる在宅勤務を2021年6月末まで認める方針

CNNによる報道を受けて、Google(グーグル)は来年、2021年6月末まで社員の在宅勤務を続けることを認めた。同社がTechCrunchに伝えたところによると、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はこの計画を米国時間7月27日に、従業員にメールで発表したという。

「従業員に先を見越した計画を立てられるように、オフィスにいる必要のない立場のための在宅勤務を、グローバルに2021年6月30日まで延長する」とCEOはメールに記載している。

この動きはグーグルにとって、これまでで最も積極的なリモートワークポリシーの延長となる。他の多くのテック企業と同様に、同社は数カ月後に事態が通常の状態に戻るかもしれないと、慎重ながらも楽観視していた。しかし最近では、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの脅威はすぐになくなるわけではないことが、明らかになっている。

ピチャイ氏は2020年5月に、社会的な距離感を維持し建物の稼働率を約10%に維持しながら、7月には少数の従業員がさまざまなオフィスに戻ることができるようにする計画を声明していた。同月、Twitter(ツイッター)は従業員が在宅勤務を継続できるようにするというメモを送っている

パンデミックがいつまで続くかにもよるが、最大級のテクノロジー企業でさえ、リモートワークへのアプローチを考え直しているようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GAFAの全CEOが出席する米議会の反トラスト公聴会は東海岸時間7月29日に開催

議会とテック企業最大手数社のCEOによる公開対決というレアな出来事は、先週延期された後も順調に進んでいる。当初米国時間7月27日の月曜日に予定されていた下院司法委員会の公聴会は、東海岸時間7月29日正午(日本時間7月30日午前2時)に開催されることが決定した。日程変更は、人権運動のリーダーでジョージア州選出のJohn Lewis(ジョン・ルイス)下院議員の死去を受けたもので、同氏の葬儀は27日に議事堂で執り行われた(The New York Times記事)。

オンラインプラットフォームと市場支配力:Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、およびGoogle(グーグル)の支配力を検証する」と題された公聴会は、テック業界で最強のリーダーが勢揃いした異例の顔ぶれが議会と対峙する。

テック企業のCEO1人(未訳記事)だけでも(バーチャルであれ)ワシントンDCに呼び出すことは注目に値するが、29日の公聴会では4名のCEOが証言する。Amazon(アマゾン)のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏、Apple(アップル)のTim Cook(ティム・クック)氏、GoogleのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏、およびFacebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が、各社のビジネス慣習、および反競争的行為がテック界の重要市場に負の影響を与えている懸念について質問を受ける。

この公聴会は下院司法委員会反トラスト小委員会が2019年に発表し、数多くのテック界最大最強企業に対して進めている反トラスト捜査(米国下院委員会リリース)の最終章である。

「6月以降、当小委員会は少数のデジタルプラットフォームの支配状況、および既存の反トラスト法と執行方法の妥当性を調査してきた」と下院司法委員会のJerrold Nadler(ジェロルド・ナドラー)委員長と反トラスト小委員会のDavid Cicilline(デビッド・シシリン)委員長は共同声明で語った。

「これらの企業が米国市民の生活で中心的役割を果たしている状況を踏まえると、各社のCEOが包み隠さず話すことは極めて重要だ。当初から述べてきたように、彼らの証言は我々がこの捜査を完了するために不可欠である」。

本誌は7月29日の公聴会を詳しく取材する予定だ。また当日、以下のリンクからストリーミング中継を見られるはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NetflixがGoogleのスマートディスプレイNest Hubシリーズでも視聴可能に

スマートスクリーンでの動画再生に関して、Google(グーグル)は以前からAmazon(アマゾン)に大きく水をあけられている。一方で、YouTubeはこの種のデバイスにとって理想的なサービスだ。またアマゾンはEcho Showシリーズで映画やテレビを見るため手段を、自社のPrime Videoという形で提供している。

Google Nestシリーズでは2019年末にHuluも視聴することができるようになったが、米国時間7月21日には最も人気のあるプレミアムストリーミングサービスも追加される。今週からNest HubとNest Hub Maxでも、Netflixのサポートされるようになる。ユーザーはスマートホームデバイスでアカウントを登録し、音声コマンドやタッチ操作で番組を視聴できるようになる。アプリはジェスチャーでもコントロールでき、以前に再生した番組を中断した時点から再開できる。

もちろん、これらのデバイスが長時間の映画やテレビ番組の視聴に向いていないことはいうまでもない。しかし夕食の支度をしているときに、中断していた映画や番組の続きを見られるというのは確かに魅力的だ。そしてNetflixのようなサービスの追加は、間違いなくスマートディスプレイ市場における争いで、グーグルに大きなメリットをもたらす。

この機能は「(Netflixの)サービスとNestデバイスが利用可能な地域」でロールアウトされる予定だが、Lenovo(レノボ)のようなサードパーティー製のスマートディスプレイに対するサポートの有無や時期については、まだ発表されていない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleマップがバイクシェアユーザーに借りるところ、返却する駐輪場を含む全行程のナビを表示

Googleマップが米国をはじめとした10の大都市で、バイクシェアのユーザーの便宜のために地図をアップデートした(Googleリリース)。Googleマップにはすでに、バイクシェアの駐輪場や、自転車のための2点間のナビ案内がある。今回のアップデートでは、徒歩と自転車のナビを統一し、複数の駐輪場間のルートを1回の指定で示せるようになった。

Googleマップはまず最も近いバイクシェアの駐輪場までの徒歩でのルートを案内し、次に目的地に最も近い駐輪場までの自転車による道順、さらにそこから目的地までの徒歩のルートを案内する。つまり「徒歩→最初の駐輪場→最後の駐輪場→目的地までの徒歩」となる。

これまでユーザーは、バイクシェアを利用するために3つの企画を行わなければならなかった。(1)最初のバイクシェアの駐輪場まで、(2)バイクシェア乗り捨てもしくは返却地点、(3)目的地までの3つだ。しかし今度からは、目的地を指定するだけでGoogleマップが最初から最後までの道順を教えてくれる。

また一部の都市では、Googleマップが適当と思われるバイクシェアサービスのモバイルアプリのリンクを表示する。さらにそのアプリから、利用登録や解錠もできる。

この機能は数週間前から10の都市で展開されている。そこでは交通情報サービスのIto Worldと、同社がサポートするバイクシェアサービスとパートナーしている。

  • シカゴ(米国) Divvy/Lyft
  • ニューヨーク(米国) Citi Bike/Lyft
  • サンフランシスコ ベイエリア(米国) Bay Wheels/Lyft
  • ワシントンDC(米国) Capital Bikeshare/Lyft
  • ロンドン(イギリス) Santander Cycles/TfL
  • メキシコシティ(メキシコ) Ecobici
  • モントリオール(カナダ) BIXI/Lyft
  • リオデジャネイロ(ブラジル) Bike Itaú
  • サンパウロ(ブラジル) Bike Itaú
  • 台北と新北市(台湾) YouBike

Google(グーグル)によると、同社は現在、パートナーを増やす努力をしており、数カ月後にはさらに多くの都市をサポートできるという。

この新機能でグーグルは、またApple Mapsをリードした。後者は最近、サイクリストのためにルートを最適化するオプションを加えてグーグルに追いつこうとした。Apple(アップル)の自転車用ナビは、険しい坂道の警告や近くの自転車修理店を表示できる。

Ito Worldは2020年3月にアップルのパートナーになり、Apple Mapsにバイクシェアのデータを統合した(Ito Worldリリース)。これによりiPhoneのオーナーは、179の都市でバイクシェアの場所を見つけることができる。

しかしバイクシェア情報の詳細さでは、相変わらずGoogleマップが上だ。グーグルはすでに数年前から、乗り捨てタイプのバイクシェアやLimeとのパートナーシップにより100以上の都市でのスクーターを統合し、そして一部の都市では、乗り捨てではない駐輪場に返却するタイプのバイクシェアのリアルタイム情報(Googleリリース)で、空き自転車の有無を教えてくれていた。

最近は新型コロナウイルス(COVID-19)のアウトブレイクで旅行や交通も変わりつつあるため、バイクシェアのナビ情報はマップサービスに差をつけるさらに大きな要素になってきた。例えば一部の人は、バスや地下鉄などの公共交通機関から、自転車に通勤手段を変更している。グーグルによると、最近は世界的に「近くの自転車修理店」といった検索が多く、2020年7月は2019年の倍にもなったこともあり、この傾向は世界的なものだという。

また、グーグルによると、アップデートされたバイクシェアのナビ機能は、今後数カ月間で展開されるとのことだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

CloudflareのDNSがダウンし、多くのウェブサイトが接続不能に

大型ウェブサイトおよびサービスの多くが米国時間7月17日の午後、Cloudflareの1.1.1.1 DNSサービス(未訳記事)の不調で接続できなくなった。切断は太平洋時間2時15分ごろから始まり、約25分間で接続は復旧した。Google(グーグル)のDNSにも同じ問題が起きた可能性がある。

アップデート:Cloudflareは太平洋時間2時46分に「原因が特定されたため現在修復中である」と発表した。CEOのMatthew Prince(マシュー・プリンス)氏は、アトランタにおけるルーターの故障が原因と説明している。

@Cloudflareのネットワークの一部に影響を及ぼす問題が生じた。アトランタのルーターにエラーが起きて、バックボーンを経由して不正なルートが発生した。その結果、弊社のバックボーンに接続しているPOPサーバーへのトラフィックが正しくルーティングされなくなった。1/2

同社がメールで発表した声明では、システムへの攻撃ではないと強調している。

「今日の午後、弊社のネットワークの一部が停止した。これは攻撃によるものではない。弊社のグローバルバックボーンルーターが不正なルートをアナウンスし、ネットワークの一部が利用できなくなったものと思われる。根本の原因は解決したと信じており、現在、システムの安定性を監視している。この件に関して、近日中にチームが更新情報を作成する予定だ」。

DiscordやFeedly、Politico、Shopify、League of Legendsなどの大型サイトが軒並み影響を受けていることから、問題の大きさを物語っている。ダウンしたのはウェブサイトだけでなく、警告を提供し停止を追跡するためのステータスページも見られなくなっていた。少なくとも1つのケースでは、ステータスページのステータスページもあった。

DNSすなわちDomain Name Systemは、ウェブの必要不可欠な部分で、TechCrunch.comのようなドメインの名前をそのIPアドレス(例えば152.195.50.33)に接続する。ユーザーやサイトが使っているDNSがダウンしても、それはそのウェブサイトのサーバーの問題ではない。そもそも一般ユーザーはDNSサーバーにアクセスすることすらできない。通常は、ISPが自分のDNSサーバーを持っている。しかしそれらは性能が良くないことが多いので、何年も前からグーグルのような代替サーバーが存在している。Cloudflareが同社のDNSサービスを立ち上げたのは、2018年の後半だ。

Cloudflareはツイートと、運良く無事だった同社のステータスページのアップデートでは「特定の場所におけるCloudflare Resolverとエッジネットワークの問題を調査している。一部地域でCloudflareのサービスを使っている顧客の中にはリクエストが失敗したり、エラーが表示されるという影響を受けた可能性がある」と述べている。

一部地域でCloudflareのサービスに問題が発声している可能性があることを確認しています。現在、調査中です。

一部のサービスやサイトはグーグルのPublic DNSサービス(8.8.8.8)を利用しており、そこでも問題が同時に起きているようだが、TechCrunchは直接そのことを確認していない。グーグルのステータスダッシュボードによれば、同社のサービスに中断は起きていない。

今回の停止の原因について多くの推測がなされているが、悪質なハッキングやDoS攻撃が行われたという証拠はない。

詳細がわかり次第、続報をアップデートしたい。

画像クレジット:mith Collection/Gado / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルがモバイル用動画ショッピングプラットフォーム「Shoploop」をローンチ

Google(グーグル)の最も新しい試みは、90秒以内の動画で新製品を消費者に紹介できる動画ショッピングプラットフォームだ。米国時間7月16日に同社は、Shoploop(ショップループ)をローンチした。これは、新しいアイデアを一般のユーザーベースでテストするグーグルの社内研究開発部門Area 120(エリア・ワントゥエンティー)で生まれたプロジェクトだ。

Shoploopの創設者であるLax Poojary(ラックス・プジャリ)氏は、以前、これもまたArea 120から生まれたオンライン旅行プランナーTouring Bird(ツアリング・バード)に勤務していた。昨年、Touring Birdは、Area 120を卒業してGoogle自身に統合された(Googleブログ記事)数少ないプロジェクトの仲間入りを果たした。

プジャリ氏によれば、この新しいインタラクティブな買い物方法のアイデアは、今の消費者が商品の購入を検討する際に、ソーシャルメディアと電子商取引サイトを併用していることにヒントを得たという。例えば、ユーザーはInstagram(インスタグラム)などのソーシャルメディア・アプリの中を飛び回り、次にYouTube(ユーチューブ)でチュートリアルやデモを見て、その後(気に入れば)実際に購入するといった具合だ。

もちろん、動画でショッピングというアイデアは斬新というわけではない。いくつものスタートアップや、大企業までもが、すでに動画と商品販売とを結び付けている。

画像クレジット:Google

例を挙げると、Amazon(アマゾン)はその販売サイトでライブストリーミング配信プラットフォームAmazon Live(アマゾン・ライブ)を運営(未訳記事)している。YouTubeも、新しい購入可能な広告フォーマットを導入した。動画の下で商品の購入ができる仕組みだ。Facebook(フェイスブック)でもライブショッピングが可能になった。Facebookは2019年にこの分野の企業を買収(Bloomberg記事)している。Instagram(インスタグラム)も、独自のショッピング機能を導入している。

動画を取り入れたモバイルショッピングのスタートアップも数多く存在する。昨年1200万ドル(約13億円)を調達したDote(未訳記事)。1月に300万ドル(約3億2000万円)を調達したPopshop Live(未訳記事)。NTWRKはショッピングとライブイベントを合体(未訳記事)させている。Depop(ディーポップ)はInstagramのように写真と動画の両方を使って販売を行っている。

ほかにも、Yeay(未訳記事)やSpinといったアプリがいくつもある。また、ブランドに技術を提供してこの分野への参入を手助けしているスタートアップもある(Pymnts記事)。ほんの一部の名前を挙げるならば、BambuserMikMakBuywithなどだ。

言ってしまえば、Shoploopは手つかずの新しいトレンドを掘り当てたわけではなく、単に参入しただけのことだ。Shoploopの買い物はインタラクティブだ。ユーザーは画像や文章をスクロールするだけでなく、ネイルステッカーヘアケア製品コスメなどの商品を紹介する動画が見られる。同社によれば、最初は、化粧品、スキンケア、ヘアケア、ネイルといったカテゴリーの商品を対象に、クリエイター、パブリシャー、その市場の店舗オーナーと共同してコンテンツを制作するという。

現在、クリエイターが契約したブランドの商品紹介のための動画コンテンツ制作に勤しんでいる。Shoploopの製品そのものは、収益化されない。

このエクスペリエンスはYouTubeでチュートリアル動画を見るのに似ているが、一番の見せ所に凝縮されており、その意味ではTikTokのほうが近い。デモ動画は、消費者にブランドと商品を現実的な形で感じとってもらえるよう、信頼性の高さを旨とする。ユーザーがその商品を気に入れば、その動画を保存してもいいし、クリックして商品のウェブサイトに移動して購入することもできる。またこのアプリでは、好きなShoploopクリエイターのフォローや、友だちや家族に動画をシェアすることも可能だ。

こうした製品は、大きく注目を集めることができれば、ショッピングに関連するグーグルの大きな使命にとって重要な存在となり得る。同社は最近、ショッピング・バーティカル(未訳記事)のデザイン変更(未訳記事)を行い、ほとんどの無料の商品リスティングを加える方向に切り替えた(未訳記事)。これはAmazonの広告事業が拡大していることへの対応だ。オンラインで顧客とつながる新しい手段を増やせば、このインターネットの巨大企業の収益は上がる。そして、動画とインフルエンサーによって強化されるショッピング・エクスペリエンスは、特に若い顧客層を引きつけることになるだろう。

Shoploopは本日、モバイル用にローンチされ、デスクトップ版も現在準備中だ。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

G Suite向けGmailがChat、Meet、Roomを統合

Google(グーグル)は米国時間7月15日、生産性向上ツールG Suiteのメジャーアップデートをリリース(Googleプレスリリース)した。これにより、ウェブならびにモバイル上で、Chat(チャット)、Meet(ミート)、Rooms(ルームス)とGmailの深い統合が提供されるようになる。

Calendar(カレンダー)、Docs(ドキュメント)、Sheets(スプレッドシート)、Slides(スライド)などのほかのツールの統合も同様だ。この統合は、G Suiteの早期導入プログラムでまず利用可能になる予定で、より広い範囲への展開は順次となる。

G Suiteチームは約1年間このプロジェクトに取り組んできたが、もともと今回のリリースの一部になる予定だったGmailとMeetの統合は、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応も一部理由となって、先行して行われていた。

今回のアップデートの中心にあるのは、電子メール、チャット、音声、ビデオなど、さまざまな通信モードを私たちは常に切り替えて使っているという考えだ。そこで、今回のアップデートでは、Googleは多くのユーザーが既に多くの時間を費やしていることは間違いないGmailを、差し当たりの中心としたものとしてまとめあげようとしている。

Googleはこの動きを「better home for work」(仕事のためのより良いホーム)としてブランド化しようとしている、これが意味しているのは、単にGmailの中でカレンダーを書き込んだりファイルを操作したりして製品同士がより緊密な統合が行えるというだけではなく、1つのウィンドウでリアルタイムに文書を共同編集しながら、もう1つのウィンドウでビデオチャットを行えるようにもなるといったことである。

画像クレジット: Google

G SuiteのVP兼GMを務めるJavier Soltero(ハビエル・ソルテロ)氏によれば、ここでの全体としてのアイデアは、これらのすべてのツール同士を近付けて、ユーザーが行わなければならないタスクの切り替えを減らすことだけではない。

画像クレジット: Google

発表に先立ちソルテロ氏は「我々は、ここしばらく取り組んできたことについて発表します。これは私自身が昨年Googleに入社する少し前から始まっていたことでした。発表したいのはすべてのコミュニケーションとコラボレーションのコアコンポーネントを1つの場所に持ち寄るためにデザインされた、新しい統合ワークスペースです。個別の要素を単に同じ場所に集めただけではなく、部品の合計よりも大きなものも提供できるものです」と語った。「コミュニケーションのさまざまなモード、特にメール、チャット、ビデオ通話、音声ビデオ通話の様々なレベルでの統合を、コラボレーションにおける私たちの既存の強みの上で提供できます」。

ウェブと同様に同社は、 5月にモバイル用Gmailの最新のメジャーアップデート(未訳記事)を最初に発表したときに、計画の一部を明らかにしていた。GmailとMeetを切り替えるために画面の最下部に新しいバーを設置し、Meetとの統合を行ったのだ。そして今回はさらに、ChatとRoomsのサポートも含まれるように拡張されている。ソルテロ氏は、Gmail、Meet、Chat、Roomsの4つの製品を「統合ワークスペースの4つの柱」と見なしていると述べている。これらすべてを1つのアプリに統合することで、それらのすべての通知動作を1カ所で扱えるようになる。しばしば面倒な操作となるモバイル上でのタスク切換えなどが不要になるのだ。

画像クレジット: Google

現時点では、これらのアップデートはG Suiteに限定されているが、Meetを一般消費者に提供するというGoogleの取り組みと同様に、同社はこのワークスペースエクスペリエンスを一般消費者にも提供することを計画している。だがそれが正確にはどのようなものになるのかはまだ不明だ。「現在、我々は本当に集中しています。これを緊急に必要としているのは、生産性向上シナリオに関係している方々です。『the new home for work』(仕事のための新しいホーム)というアイデアは、特にプロフェッショナルの現場、高生産性が求められる仕事の現場のための、コラボレーションに関わるものなのです」とソルテロ氏はいう。

画像クレジット: Google

さらに続くアップデートは

今回GoogleはG Suiteの製品ラインに、その他のいくつかの機能アップデートも発表する。Chatルームでは、ファイル共有とタスクを取り込んで、タスクを割り当てたり、社外のユーザーをルームに招待したりできるようになる。これらのルームでは、まったく別のウェブアプリに切り替えることなく、片方でチャットを開いてもう片方でドキュメントを編集することもできる。

Gmailの新機能としては、メールだけでなくチャットも検索できるほか、重要なルームをピンで固定するための新しいツールや、「do not disturb」(邪魔しないでください)や「out of office」(不在)といった新しい状態設定も追加できる。

これらの新しい統合ワークスペースのさらに気の利いた新機能の1つは、Googleが一部のパートナーたちと協力して彼らのアプリを取り込めるようにしていることだ。特にDocuSignSalesforce、Trelloについては具体的な名前が挙げられている。こうした企業は、Gmailサイドバーとの統合などGmailとの高度な統合をすでに提供しているので、こうしたリストは今後も拡大していくだろう。

Meetも今後数週間でいくつかのアップデートが予定されている。たとえば「ノッキングコントロール」という機能は、一度ミーティングから追い出した人物が再びミーティングに戻って来られなくするものだし、また誰が発言したり出席できるのかをミーティングホストが決定できる安全ロックも用意される。

画像クレジット: Google

関連記事:Google Meet shows up in Gmail inboxes, a few years too late(未訳記事)
トップ画像クレジット: Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:sako)

顔認識のプライバシー侵犯でマイクロソフトやグーグル、アマゾンがイリノイ州住民に告発される

イリノイ州の2人の住民が一連の訴訟で、テクノロジー大手3社が州法に違反して個人の生体認証データを許可なく使用したと主張している。イリノイ州住民のSteven Vance(スティーブン・ヴァンス)氏とTim Janecyk(ティム・ジェーンサイク)氏は「IBMの「Diversity in Faces」データベースに二人の顔が両人の同意なく登場しており、それらがAmazonとMicrosoftと、Googleの親会社Alphabetの顔認識システムの訓練に使われた」と申し立てている(CNET記事)。

3社とも米国西海岸の企業だが、訴訟はこれらのテクノロジー大手がイリノイ州のBiometric Information Privacy Act(BIPA、生体認証情報私権法)に抵触していると告発している。訴訟の原告は両氏だが、イリノイ州の「同じ状況にあるすべての個人」を代表する集団訴訟の資格も求めている。この訴訟で2人の原告は、違法行為1件につき5000ドル(約53万円)の賠償金と、これらの企業がイリノイ州住民の「生体認証識別子」(顔の画像など本人が分かる情報)を使用することを禁じ、保存されている関連の顔データを破壊する裁判所命令を求めている。

ちなみに訴状のマイクロソフト宛ての告発文では、次のように述べている。

その顔認識技術を改良する取り組みにおいて被告であるマイクロソフトは、イリノイ州の生体認証情報私権法に違反し、中でも特に、原告ヴァンスとジェーンサイクおよびそのほかすべての、同じ状況にあるイリノイ州居住者及び市民(以下「集団訴訟の原告」と呼ぶ)の生体認証識別子と情報を、不法に収集し、取得し、保存し、使用し、処理し、利益を得た。

訴訟が依拠している法律は10年以上前に制定され、イリノイ州住民を彼らの生体認証データが明示的な許可なく収集および保存されることから保護することが目的だ。顔認識が一般化し議論の的ともなっている今日では、BIPA関連の訴訟が一定の頻度で発生している。米国にはプライバシーを保護する国の法律はないが、イリノイ州の法が米国人から無断でデータを取り出していた企業に有意な障害を課している。

今年の1月にはFacebookが、BIPA関連の訴訟で5億5000万ドルを払った(未訳記事)。その訴訟はイリノイ州住民を原告として2015年に提訴され「Facebookがユーザーの画像からユーザーへの開示なく顔認識データを収集した」と申し立てられた。そのときは、SnapchatとGoogleとShutterflyも同様の訴訟に直面した。

2019年には連邦控訴裁が、顔認識データは生体認証データに含まれないとするFacebookの主張を退け、「ここで申し立てられているように、同意なくして顔認識技術を利用し顔のテンプレートを開発することは、個人の私事と具体的な関心を犯すものである」と声明した。

これらの企業が顔認識システムの訓練に利用したIBMのデータセットも、それ自身が議論を招いている。昨年NBC Newsが報じたようにIBMは「Diversity in Facesデータセットは『純粋に学術的研究が目的』であり、同社の商業的関心には奉仕しない」と主張した。そしてそのIBMのデータセットは、クリエイティブ・コモンズのライセンスを伴う1億あまりのFlickrの画像から集めたもののようだ。その決定も、企業がオープンライセンスの画像を、フォトグラファーとその被写体である人びとの同意なく利用することが許されるのか、という顔の画像の利用をめぐる独自の倫理的疑問を惹起した。

関連記事: Facebook will pay $550 million to settle class action lawsuit over privacy violations(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルがインドの通信大手Reliance Jio Platformsに約4800億円出資

Google(グーグル)はインドのReliance Jio Platforms(リライアンス・ジオ・プラットフォームズ)に投資する最新の有名投資家となった。同社は45億ドル(約4800億円)を出資してインド最大の通信ネットワークの7.73%の持ち分を取得する。Reliance Industriesの最高責任者であるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が7月15日明らかにした。

今回のグーグルの投資は、グローバルでライバルのFacebook(フェイスブック)が支援している企業に出資するという稀なケースだ。Facebookは4月にReliance Jio Platformsに57億ドル(約6100億円)を出資し、9.99%の持ち分を取得した。Reliance Jio Platformsは創業4年弱で、購読者は4億人を超える。同社にとってFacebookは最大の少数株主だ。

インドで最も価値の高い企業Reliance Industriesの子会社であるJio Platformsは過去4カ月で13の投資家に株式の33%を売って202億ドル(約2兆1600億円)を調達した。参考までに、インドのスタートアップエコシステム全体で昨年145億ドル(約1兆5500億円)を調達している。

グーグルの投資でJio Platformsの株式価値は580億ドル(約6兆2000億円)になった。General Atlantic(ジェネラルアトランティック)、Silver Lake(シルバーレイク)、Qualcomm(クアルコム)、Intel(インテル)、Vista(ビスタ)などの他の投資家は持ち分取得に12.5%のプレミアムを払った。

7月15日の戦略的発表の一環として「グーグルとReliance Jio Platformsは次なる何億ものユーザーのための低コストでローエンドのスマホを開発すべく、カスタマイズされたAndroid(アンドロイド)OSに取り組む」とアンバニ氏は述べた。「そうしたスマートフォンはGoogle Playや未来の無線スタンダード5Gに対応する」とも話した。

「さらに多くの人へのテクノロジー提供はグーグルのミッションの大きな部分を占める」と同社CEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は同日のビデオチャットで述べた。「インドの何百万というユーザーがどうやってスマホを所有できるようになるかをゼロから考え直すことに興奮している。この取り組みは新たな機会を拓き、活気のあるエコシステムにさらに力を与え、新たなインド経済のための成長を生み出すイノベーションを推進する」と同氏。

今回のディールはさらに、音声通話やモバイルデータの料金値引きでインドの通信マーケットに変革をもたらしたJio Platformsに海外投資家がチャンスを見出していることを物語っている。Jio PlatformsがモバイルOSや端末に関心を示したのはこれが初めてではない。同社はKaiOSで作動するJioPhoneを少なくとも4000万台出荷してきた。こうした「スマート機能」電話はFacebookのWhatsAppを含むいくつかのアプリに対応している。GoogleはKaiOSの名称がそのまま社名になっているデベロッパーの投資家だ。

Bernsteinのアナリストは先月、Bharti AirtelそしてVodafone Ideaと競合するJio Platformsの顧客が2023年までに5億人に達し、2025年までにマーケットの半分を手中に収めると予想している、と述べた。Vodafone Ideaは英国大手企業Vodafone(ボーダフォン)0とインドの億万長者Kumar Mangalam Birla(クマール・マンガラム・ビルラ)氏のAditya Birla Group(アディティア・ビルラ・グループ)の合弁会社だ。

インドの全ネットユーザーにリーチしているFacebookと同じように、グーグルも7月13日に今後5〜7年でアジア第3位の経済大国であるインドに100億ドル(約1兆700億円)を投資するための新たなファンドを発表した。本日のJio Platformsへの投資はGoogle For India Digitization Fundの初の案件となる。

Jio Platformsはまた、音楽ストリーミングプレイヤーやビデオ会議アプリなど、さまざまなデジタルサービスを提供している。そして同社は7月15日、最新の商品Jio Glassを発表した。

Jio Platformsの幹部は、Jio Glass装着者はビデオ電話をしたり、24以上のアプリにアクセスしたりできるようになると話した。この新しいガジェットをいつ消費者に販売するのか、いくらになるのかは明らかにしなかった。同社は過去に、デバイスを発表してから消費者の手に渡るまで数年かかったり、静かに葬ったりしたこともある。Jioは昨年似たようなメガネを発表した。

画像クレジット: Jio Platforms via YouTube

一部の投資家らはTechCrunchに対しこの数カ月、Reliance Jio Platformsのオーナーであるインドで最も裕福な人物であるアンバニ氏がインドの与党に近いことも、Reliance Industriesのデジタル部門が多くの投資家を引きつけてきた重要な理由だと語った。

投資家らはJio Platformsの株式を購入すれば、彼らが現在インドで直面している規制上の負担が軽くなると考えている。彼らは政治的な関わりについて公に語ることを望まないため匿名を希望した。

Reliance Jio Platformsに投資した13社のうち1社の情報筋は同社の魅力について「グローバル企業にとって中国への依存や接点を減らす手段となることだ」と語った。

インドと米国はこの数カ月、中国企業への依存を制限するための措置を講じている。インド政府は2020年6月に、中国企業が開発したTiktokを含む59のアプリとサービスを禁止した。Reliance Jio Platformsは興味深いことに、これまで中国の投資家から資金を調達していない。

「Jioは10年以上にわたってインドのテクノロジー面での発展に大きく貢献してきた。通信インフラ、低価格スマホ、手ごろな価格のインターネットを拡大するための同社の投資は、何億もの購読者がニュースや情報を得たり、互いに連絡をとったり、サービスを使ったり、事業を経営したりする方法を変えた。Jioは、インドがいま歴史的に厳しい時期にある中で、経済成長や社会的インクルージョンをサポートする、デジタルサービス、教育、ヘルスケア、エンターテイメントのような分野の発展にますますフォーカスしている」とピチャイ氏は述べた。

石油化学製品が主幹事業であるReliance Industriesは、Jio Platformsともう1つの子会社Reliance Retailを5年以内に上場させる計画(未訳記事)を明らかにしている。今週はインドの企業にとって大きなニュースが続いている。7月14日にWalmart (ウォルマート)は創業13年のインドのeコマース企業Flipkartの12億ドル(約1280億円)の投資ラウンドをリード(未訳記事)した。

画像クレジット: Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Google CloudのBigQuery OmniでGCPとAWSとAzureのデータをクエリできる

米国時間7月14日、Google(グーグル)はオンラインで開催されたGoogle Cloud Next ’20で、同社のクラウドポートフォリオの数々のアップデートを発表したが、今年のこのイベントのハイライトはBigQuery Omniのアルファローンチだろう。グーグルのハイブリッドクラウドプラットフォームであるAnthos(未訳記事)で動くBigQuery Omniにより開発者は、BigQueryエンジンを使って複数のクラウドにあるデータを分析できる。それにはGoogle Cloudと競合するAWSやMicrosoft Azureも含まれるが、当面サポートするのはAWSのみでAzureのサポートは後になる。

単一のインターフェイスを使うため、データセットをプラットフォーム間で移動せずに、データをローカルに分析できる。

Google Cloudのデータ分析技術担当ゼネラルマネージャー兼副社長であるDebanjan Saha(デバンジャン・サハ)「私たちのユーザーは数ペタバイトもの情報をBigQueryに保存しており、またそれが安全で保護されていることも知っている。しかしユーザーがBigQueryで行うデータ分析は極めて多様だ。例えば機械学習を組み込んだリアルタイム分析と予測分析をしているユーザーもいる。……GCPの中でBigQueryを使うことに大変満足しているユーザーから『BigQueryを他のクラウドにも広げて使いたいけど、どうやればいいんだい?』と尋ねられることが多くなっている」と説明する。

画像クレジット:Google

グーグルはかなり前から、未来はマルチクラウドにあるといっている。これには競合他社も賛成すると思う。しかしツールは、データが他のクラウドにあったり別のところで生成されたものであっても、自分たちのツールを使って欲しい。企業がそれらすべてのデータを利用できるようにするためには、結局のところ、そのためのツールとサービスが必要だ。しかもベンダーは、互いの差別化を重視している。そのため、データ分析の専門的技術を抱えるGoogle CloudはBigQueryをマルチクラウド化したい。「BigQuery Omniがあれば、ユーザーは自分がやりたいことができる。彼らはデータ分析したいのだが、そのデータは1カ所にまとまっていない。しかしBigQuery Omniなら、今日かでもすぐに、データがどこにあっても分析することができる」とサハ氏はいう。

画像クレジット:Google

サハ氏によると、Google Cloudが考えているのはこれによってエンタープライズは、複数のデータサイロに分散しているデータでも分析でき、自分のデータから新たなインサイトを得られるようになることだ。しかもそのために開発者やアナリストが使うのは、標準的なSQLのインターフェイスだけだ。

また本日の発表は、Anthosへのグーグルの賭けが実ってきたことの1つの例でもある。顧客がマルチクラウドのデプロイメントを容易に管理できるようになっただけでなく、グーグル自身も自分のプロダクトのリーチを、複数のクラウドにまたがって拡張した。そしてBigQuery OmniがAzureで使えないのは、Anthos for Azureがまだプレビューだからだ。一方、AWSのサポートは4月に一般公開された(未訳記事)。

関連記事:Google Cloudがオンメモリ暗号化のConfidential VMをローンチ

画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Cloudがデータを確実に米国内のサーバーに保管する政府機関向けクラウドシステムをローンチ

Google Cloudは米国時間7月14日、一部の競合他社が「ガバメントクラウド」と呼ぶこともある「Assured Workloads for Government」のプライベートベータ版の提供開始を発表した。

Assured Workloads for Governmentを利用することで、政府機関とその請負業者がすべてのデータを米国内のサーバーに確実に保管できるようになる。また政府機関は市民権や経歴、地理的条件に基づいて、Google Cloudのサポート要員へのアクセスを制限することもできる。 2020年中にGoogle(グーグル)は、これらのユーザーが米国に滞在している米国人からのアクセスであることを確実に保証する新しいサポートオプションを有効にする予定で、応答時間はP1のケースで15分を目標としている。

Google Cloudによると、システムは政府の顧客や請負業者が国防総省、FBIの刑事司法情報サービス部門(CJIS)、Federal Risk and Authorization Management Program(FedRAMP)の基準を満たすよう設計されており、ユーザーは同社のフルサービス群にアクセスできる。

グーグルは他のクラウドが別の政府系クラウドを構築しているのに対して、「政府機関はニーズを満たすために、あまり機能が豊富ではない商用クラウドの強化版で運用しなければならないことが多い」と指摘している。またMicrosoft(マイクロソフト)が最近、通常のAzure Governmentデータセンターに加えて、政府機関がAzure上で機密データを扱えるように特別に2つの新しいリージョンを構築した(CRN記事)ことは注目に値する。同様にAWS GovCloudの場合、AWSは以前からアメリカ国内の2カ所の政府専用リージョンで同様の機能を提供してきた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Google Cloudがオンメモリ暗号化のConfidential VMをローンチ

バーチャルで行われた「Cloud Next ’20」で、米国時間7月14日にGoogle Cloudは新たなタイプの仮想マシン「Confidential VM」を発表した。この仮想マシンはGoogle(グーグル)のConfidential Computingという仕組みを利用しており、データがストレージやネット上にあるときだけでなく、メモリ上で実際に処理されているときでも暗号化されるようにする。

「これまでにもさまざまな隔離やサンドボックスの技術を弊社のクラウドインフラストラクチャの一環として採用し、マルチテナントのアーキテクチャのセキュリティを確保してきた。Confidential VMはそれを次のレベルに進めるもので、メモリを暗号化してクラウド上のユーザーのワークロードをさらに分離する。Confidential VMは、弊社のすべての顧客の機密データを保護するが、特に法や政府などの規制下にある業界で重宝されるだろう」と発表声明に書かれている。

Confidential VMはバックエンドで、AMDのSecure Encrypted Virtualization機能を利用する。それはEPYC CPUの第2世代で利用可能になった機能だ。これにより、データは使われているときにも暗号化されたままで、そのための暗号化キーはハードウェアで自動的に生成され、エクスポートできず、グーグルでもキーにはアクセスすることができない。

画像クレジット:Google

既存のVMをConfidential VMに移行したい開発者は、わずか数クリックで移行できる。グーグルによると、rootkitsやその他のエクスプロイトへの保護を提供しているShielded VMにConfidential VMを構築したという。

「暗号化された安全な仮想化能力を内蔵している第二世代のAMD EPYCプロセッサーは、ハードウェアベースの革新的なセキュリティ機能を提供し、仮想化環境における安全なデータを支える。Google Compute Engineの新しい機能であるN2DマシンタイプによるConfidential VMでは、グーグルと協力して顧客のデータの安全化と、ワークロードのパフォーマンス向上に努めた」とAMDのData Center Ecosystem担当本社副社長であるRaghu Nambiar(ラグー・ナンビア)氏は述べている。

当然ながら、最後のパフォーマンスの部分が特に重要だ。暗号化とその解読処理が増えればパフォーマンの多少のスペナルティは避けられない。グーグルによると、AMDと協力して新しいオープンソースのドライバーを作り、Confidential VMのパフォーマンスの測定値を通常のVMに近づけることができた(AMDリリース)。少なくともグーグル自身が開示しているベンチマークでは立ち上げ時間とメモリリード、およびスループットのパフォーマンスは通常のVMとConfidential VMでほぼ同じだ。

関連記事:Google Cloud’s new BigQuery Omni will let developers query data in GCP, AWS and Azure(未訳記事)

画像クレジット:Krisztian Bocsi/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Chromeに挑戦するThe Browser Companyはブラウザー界のTeslaを目指す

シリコンバレーの著名な投資家数名が、Google Chromeの市場支配に挑戦しようとするソフトウェアスタートアップを支援している。

The Browser Companyというそのスタートアップを率いるJoshua Miller(ジョシュア・ミラー)氏は、オバマ政権のプロダクト担当ディレクターを務め、現在はJosh Kushner(ジョシュ・クシュナー)氏の投資企業であるThrive Capitalの投資家の1人となっている。

情報筋によると、このニューヨークのスタートアップはこれまで500万ドル(約5億4000万円)あまりの資金を調達しているという。同社の支援者の中にはLinkedInのJeff Weiner(ジェフ・ワイナー)氏やMediumのEv Williams(エブ・ウィリアムズ)氏、FigmaのDylan Field(ディランフィールド)氏、NotionのAkshay Kothari(アクシェイ・コタリ)氏そしてGitHubのJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏らがいる。

The Browser Companyは、具体的に何に取り組んでいるのかにを公表していない。同社が作っている新しいブラウザーは、必要最小限の機能だけの簡素なものとは逆に、今日のウェブアプリケーションの柔軟なインタフェイスに積極的に対応しようとする。ブラウザーのバックエンドにはChromeブラウザーの骨格でもあるオープンソースのChromiumを利用して、ウェブの幅広い現在のスタンダードを最初からシームレスにサポートする。

The Browser Companyのサイトには「今のインターネットは複雑すぎる。ブラウザーがそれらをもっとわかりやすくしてくれたら、嬉しいよね」といったメッセージが掲載されている。

ミラー氏に電話でインタビューしたが、あまり詳しい話は聞けなかったが、プロダクトの機能については「競合他社に先を越されたくないので、今はあまり詳しい話はできない」と答えてくれた。

ブラウザー市場に対するChromeの画一的なアプローチに挑戦しようとしている若いスタートアップは従業員6名のThe Browser Companyだけではない。本誌の有料記事であるExtra Crunchで、投資家たちが支援しているそれらの若いブラウザースタートアップを取材している。

関連記事:Investors are browsing for Chromium startups(未訳)

GoogleのChromeがブラウザー市場を完全に支配している。2016年にGoogleは、そのアプリケーションのインストール数が約20億になったと発表した。その後、競合製品であるFirefoxやInternet Explorerのユーザーはさらに減って、Chromeの首位がさらに固まっている。

GoogleはChromeを、世界中の何十億もの人が問題なく使える安全な製品にしようとしているため、ミラー氏が話すように主張や個性がない。彼によると、The Browser Companyの目標はChromeに置き換わることではなく、自分のニーズにさらに満たすブラウザーを求めている特定のChromeユーザーのサブセットを探していることだという。

この点についてミラー氏は「ウェブブラウザの機能に進歩がなくなってから久しいが、その原因はビジネスモデルが広告収入に依存しているからだ。ChromeとSafariはトヨタやホンダだと思う。信頼性があって入手しやすいし、誰もがアクセスできてシンプルだ。しかし、私たちが作ろうとしているのは、ウェブブラウザのTeslaなんだ」。

ミラー氏によると、2020年後半にはThe Browser Companyはユーザーによるベータテストを開始したいと考えているという。

関連記事:Josh Miller Leaves Facebook For The White House(未訳記事)

画像クレジット:The Browser Company

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(翻訳:iwatani、a.k.a.

グーグルがインドの教育事業を強化、100万人以上の教員を対象にツールの提供と訓練の計画も発表

米国時間7月13日、Google(グーグル)はインドの公私立学校を束ねる政府機関であるCBSEとの提携を発表した。2020年中に世界第2位のインターネット市場であるインドの2万2000の学校に「blended learning experience(融合された学習体験)」を提供する。

同じ日に検索の巨人は、インドに1兆円超の投資を5~7年かけて行い、この国の100万人以上の教員を対象に、G Suite for Education(Gスイート・フォー・エデュケーション)、Google Classroom(グーグル・クラスルーム)、YouTubeなどのツールの提供、訓練を行う計画も発表した。 インドは他の国々と同様に新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大防止のために学校が閉鎖され、教育のデジタル化が求められている。

グーグルは、インドの教育システムには課題が3つあると語った。インド言語のデジタルコンテンツの質、教員のデジタルツール対応、および端末とインターネットの普及だ。

「誰もがインターネットを利用できるわけではないことを認めざるを得ない」とグーグルのインド・東南アジア担当マーケティングディレクターであるSapna Chadha(サプナ・チャダ)氏は13日のオンラインイベントで語った。同社はパートナーと協力して上記の課題に取り組み、インターネットを利用できない生徒でもテレビ、ラジオなどのメディアを通じてつながることができるよう努力していると同氏は語っている。

関連記事:Education technology is a global opportunity(未訳記事)

最近数カ月間でグーグルは、Googleミート、Google Classroomなどの教育ツールをPodar、Kendriya Vidyalaya、Nehru World、GD Goenkaなどインドのさまざまな学校に無料で提供してきた。

グーグルの13日の発表は、世界のライバルFacebook(フェイスブック)の同様の取り組みに続くものだ。フェイスブックは2020年7月始めにCBSEと提携し、デジタル安全性と適切なオンライン利用、拡張現実などの認定カリキュラムを学生および教育者向けに提供する。

グーグルはまた、パートナーと協力して恵まれない子どもたちに教育機会を与えるインドの基金であるKaivalya Education Foundation(KEF)に、グーグルの慈善部門であるGoogle.orgから100万ドル(約1億1000万円)の助成金を提供することも発表した。

「このファンドを使って、Kaivalya Education FoundationはCentral Square FoundationおよびTeacherAppと協力して、脆弱な子どもたちが在宅学習できるように70万人の教員にバーチャル教育を訓練する」とチャダ氏は語った。

ほかにもグーグルは、インド最大の国営放送機関であるPrasar Bharatiとも提携して、新型コロナウイルスと戦う企業オーナーが他の企業から学び、長期的未来を計画する手助けをする一連のエデュテイメントシステムを提供すると語った。

そしてグーグルは、2019年にインドで公開した生徒の読書や理解のスキルを開発する教育アプリのBolo(未訳記事)をRead Alongブランドで9言語、180カ国に展開することも発表した。同社は2020年5月にRead Alongの世界展開計画を発表している。

関連記事:グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資

画像クレジット:Sanjeev Verma / Hindustan Times / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資

Google(グーグル)は米国時間7月13日、今後5〜7年でインドに100億ドル(約1兆700億円)を投資すると発表した。主要海外マーケットでデジタルサービスの浸透加速サポートを模索する中での動きだ。

グーグルのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は同日、新設するファンド「Google for India Digitization Fund」を通じてインドに投資すると明らかにした。「株式投資、提携、運用、インフラとエコシステムへの投資などの組み合わせで投資する。インドや同国のデジタル経済の将来に対する我々の確信を反映するものだ」とピチャイ氏はインドにフォーカスした同社の年次イベントでのビデオ会議で述べた。

投資は下記の4つのエリアに焦点を当てる。

  • 全インド国民がヒンディー語やタミル語、パンジャーブ語、その他の言語など自分の言語でアクセスし、情報を得られるようにする
  • インド特有のニーズに応える新たなプロダクトやサービスを構築する
  • デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業のサポート
  • 医療や教育、農業など公益性のある分野へのテクノロジーとAIの活用

インドはグーグルにとって鍵を握る海外マーケットだ。同社の検索、YouTube、Androidなどを含む一連のプロダクトやサービスは同国のネット使用者の多くを取り込んできた。インドの人口は13億人となり、おそらく米国や中国の大企業にとって手が付いていない最後の大きな成長マーケットだ。

現在ではインドの5億人以上がネットを、4億5000万台のスマホが使用されている。「インターネットを10億人ものインド人にとってリーズナブルな価格、そして使い勝手のいいものにするためには、すべきことがたくさんある。音声入力の改善、インドで使用されている全言語向けのコンピューティング、新世代の起業家の育成などだ」とインド生まれのピチャイ氏は述べた。

他の米国テック大企業と同様、世界最大のインターネットマーケットであるインドでのグーグルの売上高はわずかなものだ。しかし米国企業、そして中国企業にとってインドにおいては売上高が最優先事項ではないようだ。企業は発展中のマーケットで何億人もの新たなユーザーを探している。

インドでグーグルやAmazon(アマゾン)のライバルとなっているFacebook(フェイスブック)は2020年4月に、インドの6000万もの零細ストアをデジタル化するために、インド最大の通信会社Reliance Jio Platforms(リライアンス・ジオ・プラットフォーム)に57億ドル(約6100億円)を投資した。

インドで最も価値の大きな会社Reliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)の子会社で創業4年のReliance Jio Platformsは4月以降、著名な12名もの投資家から157億ドル(約1兆7000億円)超を調達した。

アマゾンのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は2020年初めにインドを訪問した際、同国に追加で10億ドル(約1100億円)を投資すると述べた。これにより同社のインドでの累計投資額は65億ドル(約7000億円)となる。

グーグルの13日の発表はまた、インドが中国企業を締め出す動きを見せている中でのものだ。インド政府は2020年6月に、中国企業が開発した59のアプリやサービスを禁止した。禁止されたものにはByteDance(バイトダンス)のTikTok、Alibaba Group(アリババグループ)のUC Browser、Tencent(テンセント)のWeChatなどが含まれる。一部の業界人は、この禁止措置で競合相手が減った米国のテック企業はインドでさらに触手を伸ばせる(未訳記事)と確信している。

2020年4月に、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相率いるインド政府は、中国を含むインドと国境を接する国からの直接投資に政府の承認を義務付けるよう規則を変更した。

中国の投資家が最大の株主となっているZomato(ゾマト)、Swiggy(スウィギー)、Paytm(ペイティーエム)のようなインドのユニコーン企業数十社にとって、政府の対応は将来の資金調達難を招く可能性が高い。

インドでの足がかり構築は、中国でのビジネスから大方締め出されている米国のテック大企業にとって重要性を増している。2020年7月初めにグーグルは、中国で新たなクラウドサービスを提供する計画をキャンセルしたと述べた。

インドの電子情報技術相のRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)氏は、グーグルが「インドのデジタルトランスフォーメーションに相当な額を投資をしようと臨機応変に対応している」と述べた。「グーグルがインドのデジタルイノベーションとさらなる機会を創造する必要性を認識していることを嬉しく思う」とも話した。

グーグルはこれまでインドにおいてバンガロール拠点の超ローカル配達サービスのDunzo(ドゥンゾー)を含むひと握りのスタートアップを支援してきた。ファイナンシャル・タイムズ紙は2020年5月に、インド第2位の通信会社Vodafone Idea(ボーダフォン・アイデア)の株式5%取得でグーグルがVodafone Ideaと協議中(未訳記事)だと報じた。

インドグーグルのトップであるSanjay Gupta(サンジャイ・グプタ)氏は、グーグルの新たな100億ドルもの投資がインドにおける未来のプロダクトやサービスを形成する、と述べた。「真のデジタル国家になるという点においてインドと再び深く提携し、サポートする」と話した。

2004年からインドで事業を開始したグーグルが同国でリーチを広げてきた手法の1つが、地元のスマホベンダーとの提携を通じての低価格スマホの生産・販売だ。これらの低価格スマホはタイムリーかつ頻繁にソフトウェアがアップデートされる。

詳細は明らかにしなかったが、グーグルの決済とNext Billion Users構想を担当する副社長Caesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は「より多くの人が学習し、成長・成功することができるよう、高クオリティ・低コストのスマホを提供する」ことにフォーカスすると述べている。

画像クレジット: Pradeep Gaur/Mint / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

グーグルのFitbit買収はユーザーの健康データを広告に使用しないことへの同意でEUから承認される

Google(グーグル)は、2019年11月にFitbitを21億ドル(約2250億円)で買収するプランを発表した。しかしこの記事を書いている時点では、買収は完了していない。大企業が大企業を買うときは、規制当局の審査も厳しくなるからだ。この種の契約ではEUの規制当局がハードルになることが多いが、今回も同じことがいえるのかもしれない。

ロイターは「近い筋の話」として、グーグルが何らかの譲歩をしなかった場合、同社はEUの独占禁止法違反調査という形の精査に直面する可能性があるとしている。懸念の核心は健康のプライバシーだ。Fitbitなどのウェアラブル企業は、ユーザーの健康に関する情報を大量に収集する。

グーグルは、データと広告に途方もなく投資を行っている企業だ。この買収に批判的な人たちは、Fitbitを買収することで同社はまた新たな鉱脈のようなデータを提供することになると示唆している。そのため今回の買収は、グーグルが広告の販売に健康に関するデータを利用しないという約束にかかっている。

関連記事:GoogleがFitbitを約2300億円で買収

規定は、買収が最初に発表された際にグーグルが交わした約束に沿ったものだ。同社のハードウェア部門のトップであるRick Osterloh(リック・オスターロー)氏は「プライバシーとセキュリティが最優先される。弊社の製品を使用するユーザーは、自分の情報の安全についてグーグルを信用している。私たちはそれがとても大きな責任であることを理解しており、ユーザーの情報を保護し、ユーザーデータのコントロールをユーザーをコントロールし、ユーザーデータに透明性確保するよう努める」と約束している。

今週の報道に対してグーグルは、この買収が競争を激しいものにすると指摘している。Fitbitのシェアはかなり大きいが、同社がスマートウォッで出遅れたためにApple(アップル)やXiaomi、Huaweiなどがこのカテゴリーを支配している。グーグルは2019年1月にFossilからスマートウォッチの技術を大量に手に入れたが、Wear OSによるグーグルの市場参入努力の成果はほとんど上がっていない。

関連記事:グーグルがAndroidウェアラブルの希少恒存種Fossilのスマートウォッチ技術を$40Mで入手

広報担当者は、潜在的な規制への懸念を払拭しようと「弊社はあらゆる機会に、Fitbitの健康とウェルネスのデータをグーグルの広告に利用しないというコミットメントを明らかにしてきたし、データの選択権とコントロールをユーザーに提供する責任も明示してきた」という。

EUの規制当局は7月20日に取引を決定する予定であり、グーグルは7月13日までに譲歩を提示しなければならないと報じられている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa