ペンギン、パンダ、ハミングバード、、、SEOに携わっているとついつい様々なアルゴリズムに踊らされてしまいがちですが、大局的にGoogleの動きを眺めれば、必然的にGoogleが向かっている方向性、そして今後のSEOのあるべき姿もわかるはず。などと偉そうにいってみても、私自身も100%確信があるわけではありませんが、コンテンツにオーソリティ、セマンティックと今後のSEOを占うキーワードは想像がつきます。今回はそういった個別のアルゴリズムや専門用語は無視して、今後のSEOの本質を担う要素を考えてみようという深みのある記事を。 — SEO Japan
どんな未来が待ち受けているのかを推測する方法は2つある。魔法の水晶玉をじっと見つめて、何が起きるのか予想する方法が1つ。そして、もう一つは、冷静に論理的な視点で、事実を直視し、そこから明確な結論を導く方法である。
信頼は王
SEOは王女
二人が力を合わせれば、検索の世界で天下を取ることが出来る
SEO業界の急速な変化を理解するため、推理小説に登場する名探偵「エルキュール・ポアロ」に倣い、「人間の心理」…と言うよりも、SEO業界の話なので「グーグルの心理」を考えることから始めたい。
グーグルの考えを把握する
何らかの理由があって、グーグルは様々な取り組みを行っている。その理由は、ありふれた風景に溶け込んでいる。これは、オンライン検索の多数の変更の裏側にある謎を解決する手掛かりとなる。
グーグルの収益の大黒柱は、広告である。グーグルは、ユーザーに検索エンジンを使って、答えを見つけてもらうことで、利益を得ている。自然の検索結果の周りに掲載されたアドワーズの広告をクリックするであろうユーザーが、グーグルにアクセスしなくなったら、どうなるのか考えてもらいたい。
そのため、グーグルは、スパム対策、そして、関連性の低い検索結果の削除を必死で行い、ユーザーが望む場所で、望むタイミングで、望むものを提供している。これは無理難題のようにも思えるが、グーグルは、積極的に解決に取り組んでいる。
そして、少なくても今までは、成功していると言えるだろう。
グーグルは検索結果をどのように改善するのか?
3本柱の戦略をグーグルは採用している。
グーグルは、検索フレーズだけにこだわらず、クエリの本当の意味を求め、ユーザーの意図を把握している。
1. ユーザーのニーズに合わせて結果を調整する: グーグルは、ユーザーに関する膨大な量のデータを抱えており、有効に活用している。セマンティック検索やトラストランク(信頼度)等をカウントして、結果をユーザーのニーズに合わせて調整している。
ウェブ検索クエリが、発見の出発点であることを理解し、グーグルは、セマンティック検索戦略を介して、人間が世の中をどのように解釈しているのかを描写しようと試みている。検索ボックスに入力する用語 — または携帯電話に問いかける用語(会話型検索(日本語)) — からユーザーが何を求めているのかを判断するためだ。
これで終わりではない。
2. 早く結果を提供する: 答えをすぐに提供する — 場合によっては、SERPで直接与える(特にすぐに行動を起こす結果)
グーグルは、SERPの再編成を行い、さらに多くの情報を盛り込んでいる。ソーシャルネットワーク経由の「リアルタイム」のデータと組み合わせると、インターネットユーザーが検索を行う仕組みを大きく変えるポテンシャルを持っていると言えるだろう。
例えば、パリ、または、シドニーで歩いている時に、近くに自分好みのパブや惣菜店があるかどうか知りたい状況を想像してもらいたい。そんな時、親友が薦める店へのルートが、グーグルに助けを求めた数秒後に、スマートフォンに表示されたら、どれだけ便利だろうか?
実はこの取り組みは既に行われている。グーグルが、信頼の置ける正確なデータソースを微調整した暁には、さらに改善されるはずだ。
3. 関連する結果を提供する: 検索データを暗号化し、そして、操作することが難しいシグナルを多用することで、SEOによる結果の操作を最小限に抑える。
グーグルは何を信頼しているのか?
長年に渡り、グーグルは、ユーザーに関する莫大な量のデータを収集してきた -
- 誰が何をクリックしたのか
- ページにどれだけの時間滞在したのか
- 次に何をしたのか
- 何を、どこで買ったのか
- その他諸々
グーグルは、常にユーザーの行動を学んでいる。
なぜグーグルはここまで徹底してデータを集めるのだろうか?
世の中、そして、人物に関するナレッジグラフを拡大して、検索結果を補強し、ユーザーにとってより有意義なサービスにするためだ。グーグルは、人物、場所、ニュース、イベント、セール、そして、データを一瞬で見つけることが出来るように支援している。
ナレッジグラフが拡大し、進化し、そして、学習するにつれ、プログラマーがデザインしたこのアルゴリズムは、世界 — そして、人間の行動を、今まで以上に理解することが出来るようになるかもしれない。
また、サービスのパーソナライゼーションを介して、グーグルは、大勢のユーザーに関する、本質に迫る(そして、相関的な)プロフィールをまとめている。このようなデータは、「トラストランク」のスコアとしてまとめられ、特定のユーザーやリソースに容易に割り当てることが出来る。
グーグルが信頼している対象を挙げていく:
- グーグルが把握している人物
- グーグルが利用することが可能なデータ
- グーグルがコントロールするソーシャルプラットフォーム
だからこそ、グーグルはソーシャルネットワークを立ち上げたのだ。
「ソーシャルネットワークの分野において、フェイスブックを倒すため」ではない。グーグル+はフェイスブックと比較されることが多いが、比較すること自体が誤っている。両者は完全に異なるサービスである。グーグル+は単なるソーシャルネットワークではないが、この点を見誤っている人は多い。
グーグル+は、ソーシャル、ローカル、そして、モバイルのユーザー体験に大きな影響を与える、アイデンティティのプラットフォームである。当然、検索マーケティングにインパクトをもたらす。
検索におけるソーシャルメディアの重要性を言い争っている人達は、グーグルが信頼することが出来るソーシャルシグナルのソースこそが、グーグル+であると言う大事なポイントを見失っている。現段階で、質の低いコンテンツでは、グーグル+を欺くのも、操作するのも難しく、また、居場所のデータとチェックインのスパム対策が実行されれば、このネットワークを操作することは、事実上、不可能になる。
このようにして、グーグルの+1が、ランキングに影響を与えるようになる。数年後には、グーグル+の利用は、上位にランクインする上で、欠かせないアイテムになるだろう。
そしてハミングバードの導入が行われた
2013年9月の下旬に告知が行われた、ハミングバードアップデート(日本語)は、2001年以来、最も劇的なアルゴリズムへの変更であった。検索の「精度とスピードを上げる」ことを目標としたハミングバードは、インデックス内で大量のウェブページをランク付けする前に、グーグルが、検索関連のシグナルを処理する仕組みに影響を与える。
ハミングバードは、ハイパーローカル検索とソーシャルシグナル、モバイル検索とユーザーの意図、そして、トラストランクとナレッジグラフを統合するためのイノベーションであり、究極のアンサーエンジンになるための取り組みが、急ピッチで進んでいる。
既にSEO業界は影響を受けているのだろうか?
その可能性はある。SEOとトラフィックのログのデータを分析した後でなければ、ハッキリしたことは言えない。しかし、サイトのビジターの意図を分析することなく、特定のキーワードに対するランクを上げるための最適化を行っているだけなら、影響を受けている確率はとても高い。
ハミングバードアップデートは、シグナルの処理自体を改善し、スマートフォンやモバイルデバイス経由の音声による「会話型検索」のクエリを含め、検索結果の質と関連性を高めている。このアルゴリズムは、ワードやフレーズだけにとどまらず、その意味を理解することに全力を注いでいる。
以下に、ハミングバードのメカニズムを解説していく。改良が加えられたアルゴリズムは、恐らく次の試みを行うと思われる:
- セッション内で実行された、密接に関連する検索を整理する
- 検索で用いられた用語を分析する
- 用語や類義語を別のワードと置き換えるためのルールを策定する
- 精度と関連性に対して、表示された結果を評価する
- より良い選択肢を反映する最適なページを探す
- このページをSERPで維持し — 残りは却下する
要するに、ハミングバードの恩恵を受けたいなら、最高のユーザー体験を提供しなければならない — そして、そのためには、ユーザーの意図を深く理解する必要がある。その意味において、ハミングバードは、ページを巧みに、あるいは、早くインデックスするよりも、クエリを書き直すことを重要視していると言えるだろう。
上位にランクインするための最適化を行うだけでは不十分である。フレーズに狙いを定めて、ランキングを維持する取り組みに固執するわけにはいかない。手っ取り早くメリットを得る行為、そして、応急処置は、効かなくなる。ハミングバードによって、オンラインとオフラインの間にある壁は、崩れていくだろう。検索戦略をその他のビジネスの領域と統合しなければならない — さもなければ、今後、大打撃を被ることになる。
奇妙に思えるかもしれないが、経験豊かなマーケッターでさえ、この変化に戸惑っている。だからこそ…
SEOは健在だ
…と自信を持って私は言うことが出来る。検索コンサルティングのマーケティングは、無限に広がっている。今までのSEOコンサルタントの取り組みは、この業界のポテンシャルの氷山の一角でしかない。
一歩下がって、全体像を見る必要がある。
かつて、SEO業者は、キーワードを意識して、ウェブサイトを最適していた。その後、ロングテールのフレーズに対する最適化に着手した。当時は、グーグルの検索結果で、コンテンツを上位にランクインさせることだけを考えていた。
しかし、上位にランク付けされたサイトが、ユーザーの質問/問題を解決する上で適切ではないなら、次の関係者にとって、良い傾向だとは言えない:
- 求めている情報を見つけることが出来ない検索エンジンのユーザー
- 質の低い作品に対して、SEOに資金を投じた会社
- 不満を持つユーザーの信頼を失い、マーケットシェアを逸するグーグル
そこで、何かを変える必要がある。
- ハミングバードや枠組みの変化を「活用」し、短期および長期において、メリットを得るにはどうすればいいのか?
- コンテンツマーケティングとインフォメーションアーキテクチャは、この変化した環境において、どれぐらい重要なのだろうか?
- ハミングバードは、リンク構築やコンテンツマーケティング等の「時代を問わない」戦略にどのような影響を与えるのか?
他にも、不安を抱えている、または、熱心なクライアントから様々な質問が寄せられている。適切な答えを与えられるかどうかは、SEOのエキスパートの実力次第だ。 今こそ、検索マーケッターは、検索やソーシャルだけでなく、PR、コミュニケーション、分析のスキルを兼ね備えたハイブリッドなマーケッターに生まれ変わる必要がある。
SEOの技術的な要素は、今後も重要である。しかし、会社から顧客に焦点を移さなければならない。「キーワード」と「リンク構築」中心の戦略から卒業する必要がある。ウェブ上で容易に見つけてもらえる環境を作り、消費者が利用しているスクリーンに姿を現すことが求められる。顧客候補のニーズを満たす取り組みに全力を注ぐ必要があるのだ。
そこで次の問いを自分自身に投げかけてもらいたい:
- 顧客候補はどこにいるのか?
- どのように情報を検索しているのか?
- グーグルで何を見つけるのか?
この問いに対する答えを見つけなければ、暗い未来を迎えることになるだろう。なぜなら、新しいSEOの世界では:
- 信頼が王であり、SEOは女王である。そして、ソーシャルメディアが、戦士を輩出するからだ。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「The New SEO – It’s About People, Intent, & Meaning」を翻訳した内容です。
2012年から続くSEO業界激動の2013年を締めくくり、来年を考える上で、改めて検索エンジンの基本に立ち戻って考えられる良い記事でしたね。ハミングバードについてイマイチぴんと来ていなかったSEOに染まりすぎの方にもその意味と重要性を再認識できる記事だったのではないでしょうか。この記事をベースに考えていけば、今後のSEOも自然に見えてくるはず、、、って結局はセマンテックマークアップ、コンテンツマーケティング、オーソリティ構築、みたいな話になりそうで怖いのですが 汗、全体像を把握し落とし込んだ上での日々の地道な作業が大事ということで。 — SEO Japan [
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