米国居住者がChromebookを購入するとDisney+が3カ月無料

Googleは、大人気の新しいストリーミングサービス、Disney+のサブスクリプションをオマケに付けて、ホリデーシーズンのChromebookの売上を加速させたいと考えているようだ。米国時間11月25日、Googleは米国に居住する人がChromebookを新たに購入するとDisney+を3カ月間無料で利用できると発表した。

この特典は、2019年11月25日から2020年1月21日まで、Chromebookの購入者が所定の人数に達するまで適用される。2020年1月31日までに特典利用の手続きをする必要がある。

購入者はChromebookのキャンペーンサイトで申し込み、プロモーションコードを受け取る。ChromebookでPlay StoreからDisney+アプリをダウンロードし、アカウントを作成してDisney+のサブスクリプション規約に同意する。そして「Redeem Code」(コードを使う)をクリックして手続きをする。

ここでサブスクリプションの継続に同意していることに注意してほしい。無料の3カ月間だけ利用するつもりなら、自動更新される前にキャンセルする必要がある。

このキャンペーンは、Chromebookの売り上げをテコ入れするためだけのものではない。

マーケティングでこのように協力すれば、ディズニーは短期間で顧客に新しいストリーミングサービスを利用してもらうことができる。また、このような仕組みは、利用者が毎月の費用を支払うサブスクリプションの最初のハードルを下げることにも役立つ。今は無料なのだから。そしてもちろんディズニーは、利用者がキャンセルするのを忘れて支払いをしてくれることを、あるいは無料期間が過ぎても費用を支払う価値を見出してくれることを願っている。

Disney+のサービス開始後、大きなキャンペーンを実施するのはこれが初めてではない。ベライゾン(TechCrunchの親会社)と連携して、Verizon Wirelessの無制限プランを利用する新規および既存の顧客向けに、Disney+を1年間無料で利用できる大規模な特典を提供している。

こうしたキャンペーンはすでに成果を挙げている。

ディズニーによれば、世界中でのサービス開始初日だけで1000万人がDisney+にサインアップしたという。これはCBS All Access + Showtime、ESPN+、HBO NOWなどのストリーミングサービスの利用者より多いとCNBCが指摘している。

Apptopiaの最新の数字によれば、Disney+アプリは今月前半の公開以降、1550万回ダウンロードされた。1日平均100万人以上がサインアップしていることになる。Apptopiaは、アプリ内購入からApp Storeの手数料を引いた売上が500万ドル(約5億4600万円)に達したと予測している。Sensor Towerの分析ではこれらの数字はさらに多く、同期間で1980万インストール、アプリ内購入が2420万ドル(約26億4000万円)と見ている。

ホリデーシーズンを迎え、Googleはサイト上で200ドル(約2万1800円)を切るベーシックモデルから999ドル(約10万9000円)のハイエンドのPixelbookまで、さまざまなChromebookを販売している。Disney+の特典を利用できるのは新品のChromebookの購入のみだ。オンラインの広告で限定的に紹介された再整備品や中古では、この特典は利用できない。

無料期間終了後のDisney+の料金は、1カ月6.99ドル(約760円)だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

顧客体験プラットフォーム「KARTE」のプレイドがGoogleから資金調達

顧客体験(CX)プラットフォーム「KARTE」を提供するプレイドは11月27日、Googleから資金調達を実施したことを発表した。調達金額は非公開だが、関係者からの情報によれば数億~十数億円とみられる。

KARTEはウェブサイトやアプリを利用するユーザーの行動をリアルタイムに解析。ユーザーを「データ」でなく「人」として分析し、個々に合った顧客体験を提供するためのコミュニケーションプラットフォームだ。プレイドでは2015年3月にKARTEを正式ローンチ。ECのほか、人材や不動産、金融などの業種でも導入されていて、現在の年間流通解析金額は1兆円超だという。

プレイドは、2018年12月にGoogle CloudがSaaSパートナーを支援するプログラム「Google Cloud SaaS イニシアチブ」への参加企業として、日本では初の認定を受けた企業の1社でもある。今回の資金調達に加え、プレイドではKARTEへのGoogle Cloudの機械学習やAI技術の統合でもGoogleと協業していくとのこと。より高機能で拡張性の高い、安全なクラウドプラットフォームを企業に提供することで、エンドユーザーのパーソナライズと顧客体験の向上を目指すとしている。また、両社は日本のクラウド市場拡大に向けても協業していく予定だという。

プレイド代表取締役CEOの倉橋健太氏は、「今回のGoogleからの出資をきっかけに、両社がより踏み込んだ多面的かつ戦略的なパートナーシップが始まります。より良いCX/顧客体験の創出と、プロダクトのパフォーマンス強化、そして圧倒的な事業成長に向け、共に取り組めることを楽しみにしております」とコメントしている。

プレイドの創業は2011年10月。これまで、2014年にフェムトグロースキャピタルなどから約1.5億円を調達、2015年にFidelity Growth Partners Japan(現Eight Roads Ventures Japan)とフェムトグロースキャピタルから約5億円を調達。2018年4月にはフェムトパートナーズ、Eight Roads Ventures Japanと三井物産、三井住友海上キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルなどを引受先とする第三者割当増資と、みずほ銀行などからの借入れにより、総額約27億円の資金調達を実施している。

無期限休職中だったGoogleの活動家社員が解雇

Google(グーグル)がRebecca Rivers(レベッカ・リバース)氏を解雇した。同社は活動家社員である彼女を今月、無期限休職に置いていた。解雇については米国時間11月25日の午後、リバース氏自身がツイートした

Googleはコメントを拒否したが、Bloomberg(ブルームバーグ)が公開した社内メモの内容は確認した。それによるとGoogleは、同社のデータセキュリティポリシーへの違反で計4名の社員を解雇した。

今月初めにGoogleは、同社のポリシーに違反したとしてリバー氏とLaurence Berland(ローレンス・バーランド)氏を休職にした。そのときGoogleは「1人は自分の仕事に関係のない秘密文書を検索して共有し、他は一部のスタッフの個人的カレンダーを見た」とコメントしていた。

しかし抗議者たちは米国時間11月22日に、Googleはバーランド氏とリバーズ氏を、彼らが同社を非難する意見を述べたから罰したのだ、と主張した。両人も参加した抗議集会は、彼らの休職措置に抗議した。

Rebecca Rivers: さきほどGoogleから私が解雇されたと知らされた。< /blockquate>

その抗議集会の前に中心メンバーは、「リバーズとバーランドへの対応はテクノロジーに透明性と説明責任を求めるすべての人々への攻撃だ」と述べた。彼等は、リバーズ氏がGoogleの税関国境警備局との契約を廃棄するよう求める請願書の作成に加わったことと、バーランド氏が、ヘイトスピーチに発表の場を与えているYouTubeがに抗議するなどの社員たちの活動に加わったことを指摘した。

彼らによると昨年11月の大規模ストライキ以来、Googleは団体活動の規制を何度か試みている。7月には、抗議集会の中心人物だったMeredith Whittaker(メレディス・ウィテカー)氏が、4月の報復措置の報道のあとGoogleを去った。彼らは「リバーズ氏とバーランド氏は『オープンに共有されている社内情報を見ただけで』休職にされた」と表明している。

「この一連の休職や解雇騒動の直前にGoogleは、反労組企業であるISI Consultantsを雇った」とThe New York Timesが報じている。NYTに情報を提供した匿名のGoogle社員は、社内のカレンダーに書かれていた記載から、GoogleとISIの関係を知ったという。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロボットの日常化を目指すAlphabetのXがゴミ分別ロボットを公開

Alphabet(アルファベット)の、かつてGoogle Xと呼ばれていた子会社、X(エックス)は、野心的な“新たな挑戦”に取り組むことを専業としている。商品開発ではなく、SFの話だと思われそうなテクノロジーの応用方法の研究だ。そのひとつに、オフィスのゴミを分別するロボットがある。

エックスは他のアルファベットの子会社とは違い、何をしているかを、ある程度進展するまでは公言しない。そんなエックスが、「この数年間」頑張ってきたEveryday Robot Project(日常ロボットプロジェクト)がそのレベルに達したと発表した。プロジェクトリーダーのHans Peter Brondmo(ハンス・ピーター・ブロンドモー)氏は、11月22日のMediumの記事でそれを語り、このプロジェクトの意味や、何を目指しているのかを説明した。

ブロンドモー氏は現在のロボティクスを、実用化はされているが、専門教育を受けた決められたコンピューター・オペレーターが、特別な場所で専門的な目的のためだけに使えるものだった1950年代から60年代のコンピューターとを比較している。そこで彼らの挑戦だが、コンピューターの時代と同じように、ロボットの時代を招こうというものだ。言い換えれば、普通の人たちが日常的にロボットと暮らし関われる世界を築こうとしている。

それは、みなさんが思う以上に平凡で複雑なチャレンジだ。ロボットは、私たちが日常的で当たり前と感じているものすべてを備えなければならない。周りを人々が歩き回ったり、あるときは角に置かれていたゴミ箱が翌日は消えていたり、家具があちらこちらに移動したり、気象条件が変化したりと、日常生活で私たちがまったく当たり前であり、それでいて毎日の予測が難しいあらゆる物事だ。ロボットは、特定性と正確性が高い仕事を得意とする。とくにプログラミングにおいてはそれが顕著だ。

日常ロボットプロジェクトは、それを踏まえ、実際の人間が日常生活で本当に便利だと感じるロボットを作ろうと即座に決意した。その鍵となったのが、「プログラムすること」ではなく「教えること」だとブロンドモー氏は言う。つまり、Google AIのチームと共に、まずは研究室で、次に外の世界で研究を進めているということだ。そして今回、その段階に達したロボットの詳細が発表された。エックスのオフィスで出たゴミを分別をするロボットだ。

このロボットは、シミュレーションや強化学習など、さまざまな技法で訓練され、実際に廃棄物汚染の度合いを、およそ20パーセントから5パーセント未満にまで低減することができた(たとえば、所定のゴミ箱に間違ったゴミを入れてしまったら、そのゴミ箱の中身全体がリサイクルされることなく埋め立てられてしまう)。公的機関からグリーンな職場と認定されたビルで働いたことのある人なら、全般的な影響力として、どれほど素晴らしいことかわかるだろう。

大きなオフィスから出たリサイクルゴミが埋め立てに回されてしまう量を減らせることとは別に、今回の成果によって、ほぼすべての人にロボットを日常化するといエックスの究極の目標が実現可能であることが証明された。私たちが毎日持ち歩いているスマートフォンを一般化されたコンピューターの姿とするなら、ロボットがごく当たり前の相棒になる日までにはまだ遠い道のりがあるものの、その方向に一歩踏み出したと言える。

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(翻訳:金井哲夫)

Google社員が労働者への報復の撤回を求める抗議集会を開催へ

Google(グーグル)がまた社員の扱い方で非難されている。米国時間11月22日、一部のGoogle社員が抗議集会と記者会見で、2人の社員を無期限休職とした同社の決定に反対する意思を示す。

今月始めに同社は、1人の社員を解雇し、Laurence Berland(ローレンス・バーランド)氏とRebecca Rivers(レベッカ・リバーズ)氏の2人の社員を、会社のポリシーに違反したとして休職にした。グーグルによると、1人は自分の仕事とは無関係な秘密文書を検索して共有し、あと1人は一部のスタッフの個人的カレンダーを見た。バーランドとリバーズの両人は米国時間11月22日の抗議集会で話す予定だ。

このニュースは米国時間11月21日の朝、ForbesのJillian D’Onfro(ジリアン・ドンフロ)記者が報じた。同社の労働者団体はプレスリリースで「会社はカレンダーやドキュメントを見たためだと主張しているが、それは日常誰もがやっていることだ。彼らが罰せられたのは自分たちやほかの人たちのために声を上げたためであることを我々は知っている。我々は、グーグルが即刻これらの労働者を復職させることを要求する」とコメントしている。

彼らは「バーランドとリバーズへのグーグルの対応は、テクノロジーに透明性と説明責任を求める人びと全員に対する攻撃である」と続ける。抗議活動を組織したメンバーは、グーグルの税関国境警備局との契約の破棄を求める請願の起草にリバーズ氏が関与した経緯を述べている。またバーランド氏は、YouTubeがヘイトスピーチの発表を手助けしたことなどに反対する労働者の抗議活動に複数回参加したという。

抗議活動の中心メンバーは「これは労働者を黙らせ、意図的な人種差別やセクハラ、有害な技術、私たちのプラットホーム上でのヘイトスピーチ、そして人権侵害に参加している団体との事業関係などの問題に抵抗することを困難にするための、力づくの脅しである」と語る。

中心メンバーによると、昨年11月の大規模な職場放棄以来、グーグルは今後の団体活動を抑えようとしてきた。7月にそのストライキを組織したMeredith Whittaker(メレディス・ウィテカー)氏が、4月に報復に関する報道が出たあと、7月に会社を去った。同社は新しいポリシーを制定して、その人が知る必要のないデータへのアクセスなども解雇の理由にしようとしている。バーランドとリバーズの両人は「オープンに共有されている社内情報を見ただけで休職にさせられた」と主張している。

抗議集会はグーグルのサンフランシスコオフィスで11月22日午前11時に始まる。今同社にコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートする。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

人権NGOのAmnestyがFacebookとGoogleの事業モデルは「人権侵害」と批判

人権NGOのAmnesty International(アムネスティ・インターナショナル)が監視資本主義を批判している。最新のレポートの中で、マーケットを支配しているFacebook(フェイスブック)とGoogle(グーグル)のプラットフォームが「かなりの規模で人権を侵害している」と指摘し、「監視大企業」のビジネスモデルを非難している。

「彼らが提供するサービスの真の価値にもかかわらず、GoogleとFacebookのプラットフォームには全体的なコストが伴っている」とAmnestyは警告する。「2社の監視を基本とするビジネスモデルでは、ファウスト的な選択を人々に強いている。人権侵害が行われることを前提にしているシステムに従うことでしか人権を享受できない。まず前例のない規模でプライバシー侵害が展開され、さらには表現の自由から思想の自由、差別を受けない自由に至るまで、あらゆる人権を脅かす連鎖反応が起きている」。

「これは人々が使おうと思っているインターネットではない」と書かれている。このレポートで最も印象的なのは、議論の慣れについての指摘だ。監視を基本とした意思決定には、今やかなりの一致した批判が向けられている。アップルのCEOを務めるTim Cook(ティム・クック)氏、そしてShoshana Zuboff(ショシャナ・ズボフ)氏やZeynep Tufekci(ゼイネップ・ツフェクチ)氏といった学者、さらには国連まで指摘している。2社のプラットフォームが広告をベースとした操作や利益のために人々の情報を同意なしでハイジャックしていて、これによる個人や社会の被害のルポがあふれている。

このコアパワーの不均衡は、自分たちで決めたポリシーによって展開されている。ポリシーは本質的にせいぜい反人道主義のシステムの端でいじられているにすぎない。こうしたプラットフォームは魔術のPRに熟練した一方で、現在のシステムを実際に変更することなく、最近メディを賑わせているデータのひどい扱いについては耳を貸す振りをしてきた。そうした監視資本主義のひどいやり方は、それを真似するよう政府をそそのかしさえしている。市民を束縛するためにデータ主導のコントロールシステムを開発することでその手法を真似るという心底ぞっとするものだ。

しかしデジタル監視に関する議論では、モラルの失敗の根底にあるものを改善するよう規制当局が強制していない、というのがもっぱらの見方だ。これこそが、西欧社会の民主主義の基礎を大きく揺るがしている。

「GoogleとFacebookは、プライバシーと表現の自由への影響を和らげるためにポリシーと手順を定めた。しかし、監視を基本とするビジネスモデルがプライバシー権の真髄を傷つけ、さまざまな権利にリスクを与えていることを考えると、2社は全体論的なアプローチを取っているわけでもなければ、彼らの現在のビジネスモデルそのものが人権を尊重するための責務にそぐうものかどうか自問もしていない」とAmnestyは書いている。

「FacebookとGoogleの監視を基本とするビジネスモデルのコアとなっているプライバシーの侵害は、2社のプライバシースキャンダルの長い歴史に如実に表れている。プライバシーを尊重するという約束にもかかわらず、ビジネスを展開する中で数多くのプライバシー侵害がみられる」。

FacebookとGoogleがAmnestyの評価に同意しないというのは言うに及ばない。しかし今後も、同意しないと言うつもりだろうか。

Amnestyのレポートには、ネット広告業者からデータブローカーに至るまで、これら2社に協力している監視産業があるとも記されている。「インターネットとつながるために世界の大半が頼っている主要なチャネル」をFacebookとGoogleが支配していること自体が害でみあるとも指摘する。この支配が監視大企業2社に「人々のオンライン上の生活に関する未曾有の力」を与えている。

「インターネットの主要プラットフォームにおけるGoogleとFacebookのパワーは人権をリスク下においている」とレポートは警告する。「大方の人にとってGoogleとFacebookの全てのサービスを避けながらインターネットを使うことは不可能だ。独占的なインターネットプラットフォームが多くの社会でもはや“オプション”ではなくなり、それらの使用は現代生活を送るのに不可欠なものになっている」

Amnestyは「テック部門における自制の時代が終わりに近づいていることが今や明らかだ」と結び、さらには政府による規制が必要になるとも言及している。監視企業を御するために議員たちが人権に基づくアプローチをとることを求めている。

レポート全文はPDFにまとめられている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Androidのバグ発見にGoogleが1.6億円超の賞金

GoogleがAndroidのバグ発見に賞金をかけるプログラムを2015年にスタートさせたとき、得られる最高額は3万8000ドル(約412万円)に過ぎなかった。

しかしAndroidの市場が拡大するにつれ、賞金も上がり、セキュリティ専門家が賞金稼ぎの仲間に加わるにつれて脆弱性の発見も続いた。米国時間11月21日の朝、Googleは賞金最高額を一挙に150万ドル(約1億6300万円)にアップした。といってもどんなバグにも100万ドル(約1億800万円)以上が支払われるわけではない。

最高賞金額の対象となるのは 「リモートから実行してPixelデバイス上のTitan M セキュリティシステムを定常的に迂回できる」ような方法を発見した場合だという。つまり攻撃者がデバイスに物理的に近づくことなく実行でき、かつ実行後にデバイスが再起動されてもPixelのセキュリティチップを無効化できるような方法ということだ。

そのような方法を発見したセキュリティ専門家は100万ドルの賞金を手にすることができる。かつその手法が「Androidの特定のプレビューバージョンでも実行可能」であることを示せれば、さらに50%のボーナスが支払われる。つまりトータルで150万ドルだ。

GoogleはTitan MセキュリティチップをまずPixel 3に導入した。Googleがここで説明しているように、このチップはAndroidのさまざまなクリティカルな作業をモニタして不審な動きがないかチェックする。ブート時にはファームウェアのシグネチャーをチェックし、ロックスクリーンのパスコードを処理する。またマルウェアがOSを古いバージョンにロールバックさせてセキュリティパッチを無効化させようとするのを監視する。Titan MはPixel 4にも用いられている。

たったひとつのバグの発見に150万ドルの賞金というのはすごい額だ。これはGoogleが過去1年間に支払ったバグ発見の賞金総額に等しい。Googleによれば今年のバウンティハンターのトップは16万1337ドル(約1752万円)を獲得したという。これはPixel 3デバイス上で「ワンクリックでリモートコードを実行してデバイスを乗っ取る」テクニックだった。一方賞金額の平均値は1件あたり3800ドル(約41万円)だった。

Titan MはGoogleが独自に開発したチップでAndroidのセキュリティを画期的に強化するとされている。このチップに重大な脆弱性が発見されるなら150万ドルの賞金が出るのは当然かもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleが仮想マシンをAnthosクラウドに移行させるテクノロジーを公開

Googleは11月20日からロンドンで開催されているCloud Nextカンファレンスで、エンタープライズコンピューティングのAnthosプラットフォームへの移行を助けるための重要なアップデートをいくつか発表した。また各種Cloud Codeツールも一般に公開された。これらはGoogle CloudないしKubernetesクラスターをサポートする環境で作動するモダンアプリケーションを構築するために役立つという。

モダンアプリケーションの開発、移行プラットフォームであるAnthosは、最近Googleがスタートさせたサービスの中で最も重要なものだろう。これはGoogleのエンタープライズビジネスをGoogle Cloudの外、つまりクライアント企業のデータセンターにに拡張するものだ。やがてエッジコンピューティングにもAnthosプラットフォームが浸透していくことになりそうだ。

20日のイベンドでGoogleはAnthos MigrateをベータからGA(一般公開)に移行させた。簡単に言えば、Migrateはエンタープライズが既存のVMベースの処理をコンテナ化するツールだ。オンプレミス、AWS、 Azure 、Google自身のCompute Engineなどすべてのワークロードはコンテナ化され、容易にAnthos GKE、Kubernetesをサポートする環境で作動するようになる。

取材に対し、Googleのプロダクト・マネジメント担当のバイスプレジデントであるJennifer Lin(ジェニファー・リン)氏は「Anthos Migrateはカスタマーの期待に答えて画期的な進歩をもたらすツールだ。既存の仮想マシンを維持しつつ、Kubernetesの利点をフルに活かせる。カスタマーは当初からすべての業務をクラウド・ネーティブのコンテナで処理できるとは限らない。カスタマーにとって重要なのはオペレーションのパラダイムの一貫性と継続性だ」と語った。

Anthos自体についてリン氏は「Googleは有望な手応えを感じている」と述べた。Googleはいくつかのクライアント企業のユースケースを紹介したが、その中にはドイツの空気圧縮機の大手、Kaeser Kompressorenやトルコの銀行、Denizbankが含まれていた。

リン氏によれば、多くの金融機関がAnthosプラットフォームに関心を示しているという。「データ駆動型アプリケーションでは複雑な処理が多数必要とされる。Kubernetesはこのような場合にうってつけだ。つまりデータ駆動型業務では分散した複数のデータベース、ウェブサイト、モバイル・デバイスからの入力を処理しなけれならない。多様なデータセットを対象にしなければならないため、単一のアプリケーションでは処理できないのが普通だ。しかも分析結果はリアルタイムで求められる。成果物はウェブブラウザやモバイルアプリで表示できなければならない。しかしこうした作業はGoogleの得意とするところだ」。

さらに今回のイベントでCloud Codeのベータ版が外れて一般公開された。 これはVisual Studio CodeやIntelliJなどのIDE向けのGoogleのエクステンションで、でロッパーがクラウドネーティブのアプリをコーディング、デバッグ、デプロイするのを効率化する。もちろん最終的な狙いはコンテナをビルドすることを助け、Kubernetesで利用できるようにすることだ。.

一般公開されたツールにはApigeeハイブリッドも加わった。 これはデベロッパー、オペレーターがAPIのトラフィックを管理することを助ける。 APIのホスティングにオンプレミス、クラウド、マルチクラウド、ハイブリッドを選択できるという。最近のエンタープライズではこのような複数の環境を利用することが珍しくなくなっている。これによりApigeeのAPIランタイムをハイブリッド環境で利用することも簡単になる。その場合でもApigeeクラウド上のモニター、分析ツールはフルに利用できるしAnthosにデプロイすることも可能だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Google CloudがBare Metal Solutionで顧客機によるベアメタルサービスを提供

Google Cloudは米国時間11月20日、Bare Metal Solutionと名付けたベアメタル(物理サーバー)サービスを発表した。ただしそれは、Google Cloudが直接提供するベアメタルサービスではなく、Googleが認定したハードウェアを企業がGoogleのデータセンターに置き、そこでそれら専用のワークロードを動かし、Google Cloudの一連のサービスにも直接接続できるというものだ。このようなセットアップがふさわしいワークロードはデータベースだとGoogleは表明している。具体的にはOracle Databaseだ。

Bare Metal Solutionは、その名が示すとおり、この種のインフラストラクチャをセットアップするための完全に統合された、そして完全な管理を伴うソリューションだ。ハードウェアのインフラストラクチャも、サーバーだけでなく電源や冷房までも含むその全体が完全に管理される。Google Cloudとのサポート契約や課金はGoogleのシステムが扱いSLAもある。それらのマシンにデプロイされるソフトウェアは、Googleではなく顧客が管理する。

全体としての考え方は、特殊なワークロードを抱えた企業が容易にクラウドへ移行できるようにし、それによって、クラウドからのサービスがこれらのシステムのデータに便利にアクセスできるようにすることだ。機械学習がそんなワークロードの典型的な例だが、Googleの考えではこれによって企業が徐々に自己の技術的インフラストラクチャを現代化していける。ここで現代化とは、クラウドへの移行という意味だ。

Googleは「そういう特殊なワークロードは認定されたハードウェアと、ライセンスやサポートに関する複雑な協定を必要とする場合が多い。今回のソリューションはアプリケーションのインフラストラクチャの全体構造を現代化する経路を与え、それと同時に既存の投資とアーキテクチャを保全できる。またBare Metal Solutionで特殊なワークロードをGoogle Cloudに持ち込むことができ、各種のGCPサービスに最小のレイテンシーでアクセスおよび統合できる」と説明する。

このサービスはGoogle Cloudと同じ場所にあるので、同じリージョンのBare Metal SolutionとGoogle Cloudの間のデータの出入りは課金されない。

このソリューションで使うサーバーは、Oracle Databaseをはじめさまざまなアプリケーションの実行に関して認定され、構成は最小でも2ソケット16コアでメモリー384GB、最大は112コアでメモリー3072GBの4ソケットサーバーとなる。料金は月額制で、推奨契約期間は36か月だ。

もちろんこれは、完全に自力で用意するシステムではないから、その料金なども含めて、Googleの営業と話し合うことが第一歩になる。今、いろんな手段やサービスでエンタープライズ対応を手厚く進めているGoogle Cloudにとって、当然予想できたサービスだが。

関連記事:Google makes converting VMs to containers easier with the GA of Migrate for Anthos(GoogleはMigrate for AnthosでVMのコンテナ変換をサポート、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルがレガシーアプリをクラウド上で共存させるCloudSimpleを買収

ほんの数カ月前、Google(グーグル)はCloudSimpleとの提携を発表し、より多くの企業チームがオンサイト業務をクラウドに移行できるよう支援した。そして現在、GoogleはCloudSimpleを買収すると発表した。

そもそも、CloudSimpleとは何なのだろうか。企業はVMWare vSphereのワークロードをクラウド上で実行できるようになり、既存のツールやデータベースを最小限の修正でGoogle Cloudに接続できるようになる。

TechCrunchのFrederic Lardinois(フレデリック・ラルディーノア)記者は、最初の提携の際に以下の記事を出している。

関連記事:Google CloudがVMwareのレガシーアプリケーションをクラウド上に共存させるツールを発表

Googleはすべての企業がコンテナに移行して、Anthosハイブリッドクラウドサービスを利用することを望んでいることは確かだが、現在大企業の多くはVMwareを使用している。企業はワークロードをパブリッククラウドに移行したいと考えているようだが、長年使用してきたツールを廃止する準備ができていない。

CloudSimpleはGoogle Cloudに加えて、Microsoft(マイクロソフト)のAzureプラットフォームもサポートしている。このサポートが買収後も継続されるかどうかは不明だ。TechCrunchはこの詳細についてGoogleに問い合わせているが、同社はコメントを避け、今回の発表に関するブログ記事へのリンクを提示している(ただし、Azureについての言及はない)。

また、買収の条件はまだ明らかにされていない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルとグーグルで活躍した3人のチップ開発者がNUVIAを設立、シリーズAで58億円調達

かつてそこは、ベンチャー投資家が踏み込んではいけない領域だった。半導体の分野に新規参入するには、長い開発期間と技術面での高いリスクを覚悟しなければならないからだ。だが今やそこは、企業やデータを対象とするベンチャー投資家の、もっともホットな場所に変わった。

例えば、スタートアップのGraphcore(グラフコア)は1年前にシリーズD投資のおよそ2億ドル(約220億円)を獲得してユニコーン企業に発展し、Groq(グロック)はSocial Capital(ソーシャル・キャピタル)で知られるChamath Palihapitiya(カマス・オアリハピタイヤ)氏から5200万ドル(約57億円)の投資を決め、Cerebras(セレブラス)は、初の1兆個以上のトランジスター数のチップを製造したことを発表し、Benchmark(ベンチマーク)などの投資会社から1億1200万ドル(約122億円)を調達した(同社については夏に記事を書いている)。

米国時間11月15日、またひとつ偉大なる技術チーム率いる新規参入企業が登場した。それは、米国カリフォルニア州サンタクララを拠点とするスタートアップであるNUVIA(ヌビア)だ。同社は本日朝、Capricorn Investment Group(カプリコーン・インベストメント・グループ)、Dell Technologies Capital(デル・テクノロジーズ・キャピタル:DTC)、Mayfield(メイフィールド)、そしてWRVI Capital(WRVIキャピタル)からシリーズA投資5300万ドル(約58億円)の調達したことを発表した。これにはNepenthe LLC(ネペンシー有限責任会社)も参加している。

年初にスタートしたばかりにもかかわらず、同社はおよそ60名の従業員を抱え、加えて、誘いに応じ、移籍の準備段階にある人たちが30名いる。年末までには従業員数が100名を超える勢いだ。

ここで起きていることは、コンピューター業界の2つのトレンドの合体だ。現在は、データ量が爆発的に増大した。その延長線上に、複雑な機械学習アルゴリズムにそのすべてのデータをバリバリと食わせたいという私たちの欲求の加速度的な増大があり、データセンターはそのデータをすべて保存することが要求されている。しかし残念なことに、ムーアの法則は鈍化し、コンピューターの計算能力はそれに追いつけなくなっている。Intel(インテル)などは物理的な限界に達し、演算密度を継続的に向上させる今の我々のノウハウも限界に来ている。それが、この分野の新規参入者と新しいアプローチに場所を提供することになった。

やる気満々のドリームチームの探し方と作り方

NUVIAの物語は2部構成になっている。最初は、John Bruno(ジョン・ブルーノ)氏、Manu Gulati(マニュ・グラティ)氏、そして後にCEOとなるGerard Williams III(ジェラード・ウィリアムズ3世)氏の3人の創設者の話だ。3人は、何年もの間、同時にアップルに在籍していたことがある。彼らはそこに、それぞれの異なるチップ開発のスキルセットを持ち寄り、アップル独自SoCのAシリーズなど、iPhoneとiPadを支えるさまざまな独創的プロジェクトを主導した。NUVIAの広報資料によれば、3人の創設者はApple在籍中に合計で20個のチップを開発し、シリコン関連で100以上の特許を取得している。

グラティ氏は2009年、Broadcom(ブロードコム)を経て、マイクロ・アーキテクト(SoCアーキテクト)としてアップルに入社し、その数カ月後にウィリアムズ氏がチームに加わった。グラティ氏は、インタビューの中で私にこう教えてくれた。「私の仕事はチップを組み立てるといったもので、彼の仕事はもっとも重要な部分をそこに入れ込むことでした。つまりCPUです」。

グラティ氏によれば、ブルーノ氏が加わったとき、彼はシリコン担当と期待されていたのだが、その役割は即座に広がり、iPhoneとiPadのチップセットは、エンドユーザーに何を届けるべきかを戦略的に考える立場になったという。「この世界のシステムレベルのあれこれや、競合分析や、どのようにして他の人たちと張り合うか、この業界で何が起きているのかを、彼はしっかりと吸収していきました」と彼は話す。「3人の技術的な経歴はまったく違いますが、私たちは3人とも手を動かすことが大好きな、とにかく、根っからのエンジニアなんです」。

2017年、Googleでモバイル・ハードウェアに関連する大きな仕事を引き受けることにしたグラティ氏は、ブルーノ氏をアップルから引き抜いてともに移籍した。やがて2人は、The Informationが5月に初めて報じたとおり、今年前半にGoogle(グーグル)を去った。一方、ウィリアムズ氏はアップルに10年近く留まり、今年の5月に退社した。

関連記事:アップルにARMの主席CPU設計者が入社

開発、製造、そして市場展開までに何年もかかるのが普通のシリコン業界で、彼らが何をしているのかは明らかにされていない。とはいえ、3人の創設者たちはみなモバイル用チップセットの経歴を持ちながら、データセンター(クラウド・コンピューティグなど)に力を注いでいると広く考えられている。また、機械学習のワークフローの温暖化対策のコストと、計算集約型の処理に立ち向かうことができるエネルギー効率の高い方法の探究が、その行間から読み取れるところが面白い。

「エネルギー効率は、私たちの思考回路に組み込まれたものなのです」とグラティ氏は私に話してくれた。

お金を出してくれる投資家の組合を作る

創設者の話とは別に、NUVIAにはテーブルを囲んだ投資家たちの物語もある。どの投資家も技術職の豊かな経歴を持つばかりか、新規のシリコン系スタートアップの技術的リスクに対処できるだけの十分な財力がある。

カプリコーンは、特にTechnology Impact Fund(テクノロジー・インパクト・ファンド)と呼ばれる、世界に好影響を与える技術を扱うスタートアップへの投資に特化したファンドから出資している。同社の説明によれば、そのポートフォリオには、Tesla(テスラ)、Planet Labs(プラネットラブス)、Helion Energy(ヘリオン・エナジー)も含まれている。

一方、DTCは、デル・テクノロジーズとその関連企業のベンチャー部門だ。企業活動とデータセンターに豊富な経験がある。とりわけ同グループのDell EMCなどのサーバービジネスから得た知見が深い。今のところNUVIAは役員会の顔ぶれは公表していないが、DTCを率いるScott Darling(スコット・ダーリング)氏はNUVIAの役員会に加わっている。メイフィールドを率いるNavin Chaddha(ナービン・チャダー)氏は、正式に電気技師の教育を受けた人物だが、HashiCorp(ハシコープ)、Akamai(アカマイ)、SolarCity(ソーラーシティ)といった企業に投資している。そしてWRVIは、企業活動と半導体企業を扱った長年の経験を有している。

私はDTCのダーリング氏に、このチームと彼らのデータセンターの展望をどう見るかについて、少し聞いてみた。それぞれの創設者に好感を抱いていることに加え、ダーリング氏は、チームの結束は大変に強いと感じたという。「もっとも驚かされるのは、集団としての彼らを見たときに、専門技術を有していることです。そして、その幅の広さにも息を呑みます」と彼は話していた。

同社が広い意味でデータセンターのプロジェクトに取り組んでいることを彼は認めたが、製品開発の間は、彼らの特別な戦略に基づいて身を低くしているという。「具体的な話はできません。競合他社から免疫反応を引き起こしてしまうためです。なので、しばらくの間は静かにしているのです」とのこと。

「ものすごく謎めいた言い方」を彼は謝っていたが、製品に対する彼の視野から得られる投資テーマは「データセンター市場は、データセンターの外で展開する技術改革に敏感に反応するようになり、そのためデータセンターに素晴らしい製品を提供できるようになる」というものだ。

この言葉を、グーグルとアップルで培った創業者たちのモバイル向けチップ開発の経験から補足すると、特にデータセンター所有者が抱える電力消費量と気候変動の心配が高まっている今、モバイルでのエネルギー対性能の比率の制約がデータセンターに役立つことは明らかということだ。

DTCは、これまで何度も次世代シリコンに投資してきた。2016年のグラフコアのシリーズA投資にも参加している。DTCは、このスペースに野心的に投資してきたのか、または様子を伺う方針なのか、ダーリング氏に聞いてみたところ、シリコンレベルには一定量の投資が行えるよう努力していると答えてくれた。「シリコンへの投資に対する私の考え方は、逆さピラミッドのようなものです。いや、シリコン投資を大量にやろうというのではありません。調べればわかりますが、私が行ったのは5つか6つです。それらは、基礎的なものだと私は考えています。その上に、新しいものが大量に構築されてゆくのです」と彼は説明した。このスペースへの投資はどれも、製品を開発して展開するために必要とされる仕事に対して“高額”だ。そのためこの種の投資は、企業を長期的に支援する意思を持って、慎重に行わなければならない。

この説明は、私がグラティ氏に、彼と彼の共同創設者たちが、なぜこの投資家組合と契約を交わすことにしたのかを尋ねたときの答と重なる。3人の名声があれば、シリコンバレーのベンチャー投資家から簡単に資金が調達できたはずだ。彼は、この最後の投資家についてこう語った。

こうしたものを組み立てるのは簡単なことではなく、すべての人のためのものでもないことも、彼らは理解しています。ここに好機があることは誰でもわかるでしょう。しかし、実際にそこに資本を投入して、チームを組織して仕事にあたらせるというのは、誰にでもできるものではありません。同じように、すべての投資家が取り組めるものではないと、私は考えています。彼らは、私たちの物語を信じるだけでなく、自分たちの側にビジョンを持っていなければなりません。そして、支援したいという気持ちを抱き、資金を投入し、長期にわたってそこに留まることを戦略的に行う必要があります。

長期戦になるだろうが、「友だちに囲まれて仕事ができることは、本当に素晴らしいと日々感じます」とグラティ氏は話している。おそらく、今年の年末には従業員数は100名に達する。銀行にはすでに数千万ドルがある。自前の軍事費があり、出撃準備を整えた軍隊もある。いよいよ、楽しい(そして苦しい)ところに入る。そして私たちは、その結果を見ることになる。

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(翻訳:金井哲夫)

Android端末にプリインストールされているアプリはセキュリティホールだらけ

Androidのスマートフォンを買ったことのある人は、立ち上げた途端に、頼んだ覚えのないごみがすでにロードされているのを、きっと見つけたことがあるだろう。これらの、最初からインストールされているアプリは、おおむね不細工で削除も面倒で、めったにアップデートされず、しかもセキュリティホールだらけのことが多い。

セキュリティ企業のKryptowire(クリプトワイヤー)は、大量のAndroidデバイスを自動的にスキャンしてセキュリティの欠陥の兆候を見つけるツールを作り、国土安全保障省の助成事業で29社のスマートフォンを調べた。多くの人が名前すら知らなかったメーカーがほとんどだが、中にはAsus(エイスース)、Samsung(サムスン)、 ソニーなどの有名ブランドもある。

Kryptowireは、ありとあらゆる種類の脆弱性を見つけた。ほかのアプリのインストールを強制するアプリもあれば、ユーザーを騙してオーディオを録音したり、システムの設定を黙って変えるのもある。事前にインストールされているアプリがないと動かない悪者アプリなどは、いわば特定のサプライチェーンを悪用しているアプリだ。また、ユーザーが何かのアプリをインストールした途端に悪事を働く悪者アプリもある。

Kryptowireが見つけたすべての脆弱性のリストがここにある。タイプ別メーカー別に分類されている。同社は全部で146の脆弱性を見つけた。

Wired誌の指摘によると、この最初からロード/インストールされているアプリの悪質性を、Googleもよく知っている。2018年に同社が立ち上げたBuild Test Suite(BTS)という一連のテストは、パートナーのOEMが必ずそれに合格しなければならない。BTSはデバイスのファームウェアをスキャンして、予めインストールされているアプリに隠れているセキュリティの問題を探す。そして悪者アプリにはPotentially Harmful Applications(PHA、有害の可能性のあるアプリケーション)の烙印を押す。Googleは2018年のAndroidセキュリティレポートにこう書いている:

OEMは彼らの新しい、またはアップデートしたビルドイメージをBTSにアップロードする。するとBTSは一連のテストを行なって、そのシステムイメージにセキュリティの問題を探す。これらのセキュリティテストの一つは、システムイメージに最初からインストールされるPHAがないかスキャンする。ビルドにPHAを見つけたら、OEMと協働して矯正を行い、PHAをビルドから削除してユーザーの手に渡るようにする。

最初の1年でBTSは、242のビルドから、エコシステムへのPHAの侵入を阻止した。

BTSが問題を見つけたときにはいつでも、OEMパートナーと協働して矯正行為を行い、そのアプリケーションがいかにしてビルドに含まれたのかを探る。このチームワークにより、エコシステムに対する意図的な脅威を見つけて抑止することが可能になっている。

でも、たった1つの自動化システムがすべてを捕らえることはできない。問題がこっそり忍び込んできたときには対応するフィックスやパッチはまだないことが多い。長期的なサポートがおろそかになりがちな、ローエンドのマシンでは特にそうだ。上記のレポートに対するGoogleのコメントを求めたら、こんな談話をくれた:

弊社と協力して責任ある態度でこのような問題の修復と公開を行っている研究者たちの仕事に感謝する。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google検索で「quokka」の発音がよりわかりやすく

Google(グーグル)は単語の発音を検索する際に便利な新機能を、検索結果に追加した。これにより正しい発音が聞けるだけでなく、「quokka」の正しい発音を練習し、即座にフィードバックを得ることができる。このようなツールは必要ないと思うかもしれないが、語学学習者にとっては素晴らしいツールだ。

もちろん、この機能は機械学習によって実現されている。Googleの音声認識ツールは録音を処理し、それを個々の音に分解して、それを専門家の発音と比較する。

この新しい発音機能に加えて、Googleは辞書や翻訳機能により多くの画像を追加している。今のところ、これは英語かつ名詞でのみ利用可能だ。副詞や動詞に適した画像(またはGIF)を見つけるのは、かなり難しい。

「音声認識と機械学習の進歩は、言語学習の方法の改善につながる」と、Googleは米国時間11月14日の発表で伝えている。「これらの新機能によって、新しい単語を練習したり、視覚化したり、覚えたりするための、創造的で効果的な方法が提供されることを願っている。今後は、これらの機能をより多くの言語、アクセント、地域に拡張していく予定だ」。

quokkaの愛らしい生態については、下の動画を参考にしていただきたい。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

グーグルがCurieケーブルの設置を完了、パナマへも展開へ

Google(グーグル)は米国時間11月14日、プライベートなケーブル設備のCurieの敷設とテストを完了したと発表した。これにより米国とチリを結ぶCurieは、同社の3番目のプライベートなケーブル設備となる。その後、米国とヨーロッパポルトガルと南アフリカを結ぶDunantとEquianoも発表された。全長1万500kmのこのケーブルの総通信容量は72Tbpsで、2020年第2四半期に稼働する予定だ。現在Googleのチームは、このケーブルを自社のネットワークに接続する作業に取り組んでいる。

さらにGoogleは同日、Curieのパナマへの展開も発表した。「これが稼働すれば、中央アメリカへの接続性と帯域が向上し、さらには地域内の他のネットワークへの接続性が向上する。これにより、グローバルなクラウドインフラに回復力がもたらされる」。

Curieのパナマ展開のために、Googleは残りのケーブルを構築するのを助けたエンジニアリング企業のSubComと再び協力する。SubComはDunantでもGoogleと提携している一方、南アフリカへのEquianoケーブルの敷設ではAlcatel Submarine Networksと提携した。

Googleは別のテクノロジー企業とも提携し、他のケーブルの帯域幅を共有しているが、これらのプライベートなケーブル設備によって、同社はすべてのリソースを制御できる。Googleはまた、自社のケーブルを所有し運用することで、セキュリティに新たなレイヤーが加わると主張している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GoogleがAndroid MessagesアプリでのRCSサポートを米国にて追加

Google(グーグル)は米国時間11月14日、米国の全ユーザーを対象に、Android MessagesアプリでRich Communication Services(次世代のSMSともいえる)メッセージをサポートすることを発表し、またここ数カ月で少数のユーザーを対象にテストを実施していたことを明かした。

Googleにとって、このRCSの推進はApple(アップル)のiMessages(エンド・ツー・エンドの暗号化はサポートされていない)とより効果的に対抗する方法であり、またGoogleがこのロールアウトをキャリアからほぼ奪ったことで、ユーザーがこのサービスにアクセスする際に電話会社ではなく同社が決定権を持つことになった。英国とフランスでは今年からすでにサービスが開始されており、GoogleはRCSにおいて経験がある。

またGoogleのメッセージング分野における戦略は、少なくとも消費者にとっては混乱したままであり、Hangoutsも未だ広く使われている。少なくともモバイルデバイスでは、これまでSMSクライアントだったMessagesがその役割を引き継ぐことを同社は期待している。他のメッセージングサービスと同様、MessagesでのRCSのサポートでは、Wi-Fiやモバイル通信を介して友人と会話したり、写真や動画を送信したりできる。また既読通知やタイプの通知、通常のメッセージ機能なども提供される。

Googleがサービス展開の主導権を握ったことで、同社はこのネットワークを運営し続ける責任を負うことになり、キャリアではなく同社がこれを独占することへの懸念もある。しかし一方で、通信事業者は自社のRCS展開において混乱を生み出しており、Googleは自ら行う以外の選択肢がなかった。Androidユーザーにとっては、iPhoneに送ったメッセージが緑色(iMessageではない)のバブルが表示されるとしても、これは良いニュースだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アマゾンとグーグルがスマートディスプレイ販促でレシピ機能を強化

Amazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)は、AlexaとGoogleアシスタントで動くそれぞれのスマートスピーカーデバイスの確たる活用法を見つけ出した。レシピだ。

2社は今週、ユーザーが音声アシスタントで案内されながらハンズフリーで料理できるようにする新たなプロダクト機能を発表した。アマゾンはこの新機能を今週提供し始めた。BuzzFeedのレシピサイトTastyとの提携のもと、音声とビデオによるステップバイステップのインストラクションをAlexaユーザー提供する。一方、Googleは起業家でシェフのAyesha Curry(アイシャ・カレー)氏と組み、彼女のレシピをGoogleアシスタントで提供する。

カレー氏のレシピもまた、Googleアシスタントで動くNest Hub Maxのようなスマートディスプレイで、料理方法がステップバイステップで案内される。

TastyのレシピはEchoデバイスで利用できるが、Echo Showデバイスではクッキングビデオも閲覧できる。

この新機能で興味深いのは、サードパーティの専用スキルの代わりに両社ともコンテンツのパートナーシップを結んでいることだ。実際、カレー氏は彼女の新しいレシピ(ブラウンバターアップルを使った鋳鉄鍋でつくるブレッドプディング)をGoogleアシスタントユーザーのために提供している。

音声アプリの成長は過去数年めざましく、Amazonはこの秋、スキルの数が10万を超えたと発表した。しかしレポートによると、この勢いは減速しているようだ。デベロッパーの熱狂がなくなりつつあるからかもしれない。

音声アプリの難点は、音声コマンドという手段だけでは見つけるのが難しいことだ。そして正常に立ち上げるには定められたシンタックスを使う必要がある。もちろんユーザーは素晴らしい天気アプリやゲームを見つけるだろう。しかし、もしその名称を記憶できなかったら、次回同じものにたどり着かないかもしれない。別の難点は、初期の音声アプリの多くがデベロッパーによって作られていて、一部のデベロッパーはユーザー体験デザインの知識に欠けているために、結果としてなんとも使いづらいものになっていることだ。

最後に、スマートスピーカーやスマートディスプレイの所有者が定期的に音声アプリを使っているかどうかわからない点も挙げられる。AmazonとGoogleはスキルの数をユーザーにアピールする傾向があるが、それらを使っている人の数は表に出てこない。

提携によるコンテンツの統合では、こうした問題を回避できる。

コンテンツの統合は物事を単純化し、AmazonとGoogleを元のようにユーザーエクスペリエンスのコントロールに専念させることになる。それでいて、ユーザーがサードパーティーのアプリを立ち上げることなくして欲しいものを手にすることができるようにする。

レシピはまた、極めてわかりやすい。材料のリストや調理法など、いくつかのパーツだけで構成されている。それらを利用するためのコマンドはシンプルで、「アレクサ」または「ヘイ、グーグル」と話しかけてから「〇〇からのレシピを見せて」と言うだけ。いたってシンプルだ。

レシピの展開は、「アレクサ、材料」「アレクサ、次のステップ」「アレクサ、レシピを開始」といった基本的なコマンドのおかげで、他の音声アプリより簡単だ。

スマートスピーカーはまた、「ヘイ、グーグル、1カップはテーブルスプーンいくつぶん?」「ヘイ、グーグル、ブラウンバターの作り方を見せて」といった料理に関する一般的な質問に答えることができる。

Tastyと提携する前、Amazonはガイド付きの料理機能を立ち上げてデバイスの売上を伸ばそうと、レシピの模索に着手した。この機能はEcho ShowとEcho Spotのユーザーが、スキルをインストールすることなしに料理するとき、Allrecipes、Epicurious、Food52、TheKitchn、そしてSideChefからステップバイステップの指南を受けられるというものだ。

加えて、Alexaはつい最近、Discoveryの新しい購読サービスであるFood Network Kitchenのための音声プラットフォームをデビューさせた。レシピやビデオだけでなく、ライブによる料理長との料理クラスも提供する。

Googleにとっても、アイシャ・カレー氏との提携が初めてではない。これまでにBon Appetite、The New York Times、Food Network、その他のレシピをGoogle Homeで提供してきた。今年、スマートディスプレイ向けに「Picks for You」機能を立ち上げ、ユーザーへのレシピの提案がパーソナライズされる、と発表した。

AmazonとGoogleのレシピ機能はいずれも現在利用できる。

使うには「ヘイ、グーグル、アイシャ・カレーのレシピを見せて」と言ったり、Alexaに材料や料理名、それから「アレクサ、Tastyでチキンを使ったレシピを見つけて」などと状況に基づいてTastyのレシピをお願いするだけでいい。

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(翻訳:Mizoguchi)

Googleがシティと提携して当座預金口座サービスを来年から提供

テック大企業が銀行業務や個人金融サービスに参入する動きが相次いでいるが、Googleはその最新ケースとなる。同社は消費者に当座預金口座サービスを提供する準備を進めている。最初にWall Street Journalが報じ、それによると来年にも開始する見込みだ。GoogleはこのプロジェクトをCacheと呼んでいて、当座預金口座を提供するために銀行、そして信用組合と提携する。口座に関する金融・コンプライアンスなどの業務は銀行が受け持つ。

GoogleのCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は新たなイニシアチブについてWSJに語っていて、すでに金融プロダクトを展開している他のテック企業よりも、Googleが金融機関パートナーを消費者の真正面に据えることを模索する、と明らかにしている。たとえば、Apple(アップル)はApple CardというクレジットプロダクトでGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)と提携しているが、クレジットカードは間違いなく主にアップルのプロダクトとして扱われている。

では、実際の金融業務の多くを従来の金融機関に任せるのなら、テック企業はなぜあえてこの分野に進出するのだろうか。預金口座にアクセスすることで、Googleは明らかに多くの貴重な情報や顧客の行動に関する知見を得ることができる。預金口座は日々の金融状態を示す。Googleはまた、基本的な金融サービスに加えてロイヤリティ・プログラムなど、消費者と銀行の両方にとってお得なプロダクトを提供するつもりだ、と話している。またセングプタ氏によると、サービス利用料を課すかどうかまだ検討中だ。もし課さなければ、既存のほとんどの当座預金口座よりメリットは大きい。

GoogleはすでにGoogle Payを提供していて、Google Walletでは個人間で送金できるなど、単に支払いを追跡する以上の機能を有している。一方、Appleを含むライバルもまた支払いプロダクトを導入していて、Appleはつい最近、Apple Cardでクレジット業界に参入した。Facebookもまた今週初めに自前のデジタル支払いプロダクトを導入した。それから、今年初めにはパートナーと共にLibraという独自のデジタル通貨を構築する考えを示した。

Googleが組む当面の金融機関は、Citigroup(シティグループ)とStanford Federal Credit Unionだ。WSJの報道によると、これら金融機関にとっては、日々の暮らしをオンラインツールで管理するデジタルに詳しい若い世代の顧客を開拓して引きつけるのが狙いだ。セングプタ氏のコメントからするに、金融機関はGoogleが多量のデータを扱い、価値を付加したプロダクトに変える能力からもメリットを得ることができる。しかしGoogleの幹部はまた、広告のためにGoogle Payのデータを使っておらず、広告主とデータの共有も行なっていないと話していた。それでも、日々の暮らしにおいてセンシティブな部分にGoogleがアクセスできるよう消費者を説得するのは、難航するかもしれない。特に、テック大企業を取り巻く現在の政治的、社会的状況を考えた時には簡単なものではなさそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

遅いウェブサイトをGoogle Chromeが識別して教えてくれる

ウェブページが遅いのか、それともネットワークの接続状況が悪いのか? 将来、Google(グーグル)のウェブブラウザーChrome(クローム)は、その答を教えてくれるかも知れない。グーグルは本日(米国時間11日)、いつも読み込みに時間がかかるウェブサイトを特定してラベルを付ける計画を発表した。さらに同社は、ユーザーのデバイスやネットワーク環境が原因で読み込みが遅くなるウェブサイトも識別できるようにすると話している。

遅いウェブサイトを具体的にどのようにラベル付けするか、グーグルはまだ決めていないが、もっとも納得のいく方法をいくつか実験することになるという。

たとえば、読み込みの遅いウェブサイトの場合は、警告アイコンと「常に読み込みが遅い」といった文章が入った“Loading…”(読み込み中)ページを表示するなどだ。それに対して、速いウェブサイトでは、青ではなく緑色のプログレスバーをページのトップに表示する。

リンク先が遅い場合は、リンクのコンテキストメニューでユーザーにその旨を知らせ、クリックするかどうかをユーザーが選べるようにする。

左:遅いサイトで表示される読み込み中ページ。右:速いサイトで示される緑色のプログレスバー。

長期的な目標としてChromeは、“高品質”な体験を提供するウェブサイトを特定して記章を与えることを目指している。その場合は、読み込み速度以外にもいくつかの要素が判断材料になる。それがなんなのかはグーグルはまだ明らかにしていないが、選定には、今後徐々に公表される予定の厳格な基準が使われるという。ともあれ、その目的は、“良質なユーザーエクスペリエンス”を、すべてのウェブ開発者が目指せるようにすることにある。

それまでの間は、サイトのパフォーマンスに特化したグーグルの情報源を参考にするよう、ウェブ開発者に推奨する。それには、学習プラットフォームweb.dev./fast、最適化のための提案を行うオンラインツールPageSpeed Insights、パーソナル化された助言ツールLighthouseがある。

速くて使いやすいウェブサイトは、グーグルにも利益をもたらす。同社がメインに据えているモバイルユーザーに、よりよいサービスが提供できるからだ。2015年以来、グーグルのユーザーの大半が、検索をモバイルデバイスから始めるようになった。しかしその変化のために、インデックスやページのランキングの新しい形が求められるようになり、通信速度が異なるユーザーや、貧弱なデバイスしか持たないユーザーへの対応を迫られるようになった。

現在グーグルでは、モバイルユーザーがより早く情報を得られるように、ページをインデックスするときにはウェブサイトのモバイル版を使用し、高速なAMPページを提供している。そのため、今度はグーグルがウェブサイトのオーナーに高速化を迫り、さもなければ“遅い”ウェブサイトのレッテルを貼られるリスクをちらつかせる段階に至ったことは理解できる。

これは、インドのように、十分なバンド幅の確保が難しく、ローエンドのスマートフォンが普及している急成長市場のグーグル・ユーザーには、とくに有難い機能になる。

「スピードは、最初からChromeの中核的な原則でした。ブラウズすれば瞬間的に体験できるよう、私たちはつねに努力してきました」とChromeのブログ記事に書かれている。「とは言え、早く読み込めると思っていたのに、もっと改善できるはずだと感じさせられる結果に終わるウェブページを数多く見てきました。ウェブページにも改善の余地があると思っています……」と続く。

この計画は、Chrome Dev Summit(開発者サミット)にて、開発者向けの最新情報などと共に発表された。そこでは、電子メール、FTP、さらにはUSBなどさまざまな形式を跨いでウェブコンテンツを配信できるようにするAPI、Web Bundlesも発表され、さらに、これまでGoogle I/Oと紹介されていたウェブ・エクスペリエンスPortalsが、当初からのパートナーであるFantangoと共にデモンストレーションされていた。

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(翻訳:金井哲夫)

YouTubeがUIをリニューアル、ユーザビリティー重視、クイックリスト復活

YouTubeがトップページのリニューアルを発表した。同社は米国時間10月7日、メジャーアップデートを行い、使いやすさを優先したシンプルなデザインを採用した。

これまでYouTubeのトップページは情報過多でゴチャゴチャした印象だったが、これが整理され視認性が向上した。またAdd to Queue(キューに追加)というクイックリスト作成機能が復活した。ビデオをこのキューに追加していけば、YouTube側のお勧めが次々に再生されてしまうことはない。

新デザインはデスクトップPCとタブレット端末をターゲットとしており、本日から公開が始まっている。YouTubeによれば、ウェブ、アプリともモバイル版には変化はないという。

YouTubeの親会社であるGoogleはすでに検索ページをコンパクトにし、テキスト、画像とも一見してコンテンツが理解しやすいレイアウトに変えてきた。例えば、7月にはGoogle検索でニュースのタブのデザインがアップデートされ、密集した大量の見出しから見やすいカードになった。 こうしたアップデートは可読性を大いに改善したが、一方ではスクロールせずに一見して読める情報量の減少も招いている。今回のYouTubeのデザイン変更にも同じきことが言えそうだ。

新デザインでは各行に表示されるビデオの数が減少している。そのかわりタイトルも詳しくなり、サムネールも大型化されてどんなビデオなのかわかりやすくなっている。

プレビューの精細度もアップされ、ビデオ下部のチャンネルアイコンも目立つデザインになった。ユーザーはお気に入りのクリエーターの作品であることがすぐに見てとれる。

こうしたアップデートにともなってページのレイアウトにも変更が加えられている。YouTubeによれば、 チャンネルやトピック別の表示部分をいくつか削除したという。新デザインでもビデオが所属するチャンネル、トピックは表示されるが、それぞれにグループ化はされない。新デザインでは「新着ビデオ」「トップビデオ」という分類となる。

一方、YouTubeのデスクトップ版の新しいオプション、Add to queueはビデオのサムネールに付加されたアイコンで、クリックすると従来どおり「後で見る」に追加できると同時に、新オプションであるクイックリストにも追加できる。

Add to Queueアイコンはビデオ視聴中はページの隅に最小化されているが、随時クリック可能だ。

「キューに追加」するというのは簡単にいえばクイックリスト作成機能だ。その場で簡単にプレイリストを作れるのはとても便利だ。ただしここで作られるリストは一時的ななもので、本来のプレイリストを代替するわけではない。つまりクイックリストをすべて再生してしまえばリストは消滅する。YouTubeではデスクトップのクイックリストはブラウザを閉じたときクリアされるという。つまりテレビやタブレットなど別のデバイスでビデオを見たい場合は、従来どおり「後で見る」リストに追加する必要がある。

さらに今回、モバイルのみの機能のいくつかがデスクトップに追加された。今年に入って、YouTubeはいくつかのアップデートを行ったが、これはこれはアルゴリズムによりトップページのサムネールや「次のおすすめ」としてビデオが選択される際に、ユーザーのコントロールを大きくしようとするものだった。モバイルでは「次に再生」をキャンセルすることが可能なった。

この「チャンネルのおすすめ」のキャンセルがデスクトップにも移植されたわけだ。.これはトップページのビデオのタイトル右横の「…」メニューに含まれる。5番目のオプションをクリックすると、そのチャンネルに属するビデオはトップページに表示されなくなる。ただし、これは完全なブロックボタンではない。検索結果や人気急上昇には表示されるし、そのチャンネルを訪問しても表示される。

これも今年のアップデートだが、YouTubeのAndroidアプリではユーザーが好みのトピック選ぶことでビデオのフィードをカスタマイズできる機能が導入された。この機能はデスクトップ、タブレットの各アプリにも近く導入されるというが、今回のアップデートには含まれていない。

新デザインによって見通しがよくなったことは確かだが、クリエーター側から見ると副作用もなくはない。サムネール、キャプションが大きくなり視認性がアップしているが、トップページの情報密度は減った。つまりスクロールせずに表示されるビデオの数、つまりはクリエーターの数も減少したわけだ。

ヘイトスピーチやフェイクニュースの拡散をアルゴリズムが手助けしているという批判が強まっているが、一方ではどんな内容であれ、多くの人々見ていればアルゴリズムはそれを取り上げる。

ヘイトスピーチや人々の過激化にYouTubeがどの程度責任があるかというのが激しい議論の的となっている。ニューヨークタイムズの主張とは逆にWiredは人々の過激化にアルゴリズムはほとんど関係がない、責任があるのはむしろオンライン上で積極に活動するグループだと報じている。これは判断が難しい問題だ。孤独な若者がたまたま目にしたYouTubeビデオをきっかけにさらに暗い迷路に迷い込み過激化して最後にはそうしたコミュニティーに加わるというコースもなくはないだろう。

YouTubeではこうした批判に対し、(少なくともある程度)言論の自由を擁護しつつ、人々に「見たくないものを見ない」ですむような裁量権を増やそうとしているようだ。今回のアップデートもこの流れに沿ったものだろう。

「見たくないものは表示しない」(「おすすめ」キャンセル)機能の導入はYouTubeに限ったことではなく、最近はビデオサービスの標準となりつつある。Facebookでも他人のスレッドに反対意見を書き込む人間は「いやなら読むな」と言われがちだ。YouTubeも「良識あるコメント」を心がけるようユーザーに注意している。インターネットではますますユーザー個々の責任が重要となっている。

YouTubeによればこのアップデートはデスクトップ(Android、iOSのタブレット・アプリを含む)ですでに公開を始めたところだというという。すぐにユーザー全員が利用できるようになるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

モバイルセキュリティ企業数社と協力してGoogle Playから悪質Androidアプリを駆除

Googleはモバイルのセキュリティ企業ESETやLookout、およびZimperiumとパートナーして、Google Playのアプリストアに出没する悪質なAndroidアプリの被害と戦おうとしている。

その発表は米国時間11月6日に行われ、各社は新たに作られた連盟であるApp Defense Alliance(アプリ防衛同盟)に参加したことを確認した。Googleによると、同社はこれらの企業と協力して「悪質なアプリがユーザーのデバイスに到達する前に停止する」ことに努力する。

同社はここ数年、悪質なアプリとの戦いで苦戦している。「アプリはGoogle Playで掲載される前にマルウェアなどの悪質な部位の存否を審査されるが、それが十分ではないので、ユーザーのデバイスに入り込む悪質なアプリを根絶できていない」と批判されている。

Googleは今年の早い時期に、Google PlayからダウンロードされるAndroidアプリのうち、有害と思われるのは0.04%にすぎない、と発表した。しかし今のGoogle Playストアでは、0.04%は約3000万に相当する。すなわち、問題は解決していない。

ESETLookoutZimperiumは近年、Google Playで数百の悪質アプリを発見し削除することに貢献した。しかし、今回各社が正規のパートナーになって、Androidが内蔵しているマルウェア対抗エンジンであるGoogle Play Protectの技術を各社のスキャンニングエンジンと統合すれば、その集団的取り組みによって、ダウンロードが承認される前のアプリをより厳格にフィルタできるようになる。

「モバイルアプリの脅威は日に日にひどくなっているから、知識の共有と業界全体の協力体制が重要だ」とGoogleは説明している。

関連記事:Tibetans hit by the same mobile malware targeting Uyghurs(ウイグル族を狙った同じモバイルマルウェアがチベット人を攻撃、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa