2021年のクラウドインフラ市場は前年比36%増の約20.5兆円に急拡大

今さらだが、クラウドインフラ市場は驚異的な成長を続けている。Synergy Research(シナジー・リサーチ)のデータによると、2021年1年間で500億ドル(約5兆7500億円)近いビジネスが追加され、2020年の1290億ドル(約14兆8600億円)から2021年は1780億ドル(約20兆5000億円)に成長した。Canalys(カナリス)も同様の数字を報告している。

四半期に関しては、Synergy Researchの報告によると、市場は500億ドル(約5兆7500億円)に達し、前年比36%増となった。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグ3は、市場が成熟しても、市場での強みを活かして目覚ましい成長を続けている。

MicrosoftとGoogleは同程度の成長率で、四半期で45%前後、Amazonは40%弱の成長率になっている。四半期の売上高は、Amazonが約170億ドル(約1兆9500億円)、Microsoftが約100億ドル(約1兆1500億円)、Googleが約50億ドル(約5700億円)となり、いずれも健全な成長事業となった。

市場の割合による内訳は、2021年から大きく変わっておらず、Amazonが33%でトップ、次いでMicrosoftが21%、Googleが10%となっている。注目すべきは、Amazonのシェアがここ数年頑固に続いているのに対し、GoogleやMicrosoftは時間をかけて着実に成長を続けていることだが、もちろん、市場は拡大を続けており、Amazonの収益もそれなりの伸びを続けている。

実際、Synergy Researchによれば、4年半前にはわずか11%のシェアだったMicrosoftが、18四半期で2倍となり、見事な上昇ぶりを見せているという。Synergy Researchの主席アナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、Amazonのポジションがしばらく変わっていないことについては、あまり心配していない、と述べている。彼はそれをいい問題だと言っている。

「巨大で急速に成長する市場の3分の1を支配することは、はまるのにとてもいい『わだち』です」と、ディンズデール氏は述べた。そして、将来を予測するつもりはないが、急速な成長を一貫して続けることは難しいと指摘した。

「原則として、将来の市場シェアについては、予測もコメントもしません。それは私たちのようなアナリストが超えてはいけない境界線なのです。しかし、数学は強力な力であり、規模が大きくなればなるほど、積極的な成長を維持することは難しくなるとは言えます。それは(企業の)人生の事実なのです」。

画像クレジット:Synergy Research

CanalysのデータはSynergy Researchのデータにかなり近く、四半期で530億ドル(約6兆1000億円)強、34%増と報告されている。Canalysは、年間では、2020年の1420億ドル(約16兆3600億円)から前年比35%増の1917億ドル(約22兆900億円)としている。

四半期の内訳は、Amazonが33%、Microsoftが22%、Googleが9%となっている。繰り返しになるが、この数字はSynergy Researchのものと引き分けと呼べるほど近いものだ。どちらも市場を同じように定義しているので、大きな驚きにはならない。

Canalysは、ホスティングされた専用プライベートインフラストラクチャまたは共有インフラストラクチャのいずれかのサービスと、サービスとしてのプラットフォームを対象としている。Synergy Researchでは、インフラとプラットフォームサービスを対象としています。両社ともSaaSは除外しており、別カテゴリーとしてカウントしている。

事実、市場は急速な成長を続けており、アナリストや予言者が正しければ、クラウドの成長余地はまだ山ほどあると思われる。特に最大手の企業は、派手な収益を上げてこの成長の恩恵を享受しており、ここ数年、四半期ごとに私たちはそれを目の当たりにしている。

市場の底辺であっても、まだまだ儲けはある。MicrosoftやAmazon、Googleのレベルには及ばないかもしれないが、それでも数十億ドル(数千億円)規模のビジネスの積み重ねは可能だ。今後数年間、私たちは急速な成長を見続ける可能性がある。そうでなくなったとき、それは「人が犬を噛む」ような珍しいニュースになるだろう。

画像クレジット:Kwarkot / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Yuta Kaminishi)

2021年のクラウドインフラ市場は前年比36%増の約20.5兆円に急拡大

今さらだが、クラウドインフラ市場は驚異的な成長を続けている。Synergy Research(シナジー・リサーチ)のデータによると、2021年1年間で500億ドル(約5兆7500億円)近いビジネスが追加され、2020年の1290億ドル(約14兆8600億円)から2021年は1780億ドル(約20兆5000億円)に成長した。Canalys(カナリス)も同様の数字を報告している。

四半期に関しては、Synergy Researchの報告によると、市場は500億ドル(約5兆7500億円)に達し、前年比36%増となった。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグ3は、市場が成熟しても、市場での強みを活かして目覚ましい成長を続けている。

MicrosoftとGoogleは同程度の成長率で、四半期で45%前後、Amazonは40%弱の成長率になっている。四半期の売上高は、Amazonが約170億ドル(約1兆9500億円)、Microsoftが約100億ドル(約1兆1500億円)、Googleが約50億ドル(約5700億円)となり、いずれも健全な成長事業となった。

市場の割合による内訳は、2021年から大きく変わっておらず、Amazonが33%でトップ、次いでMicrosoftが21%、Googleが10%となっている。注目すべきは、Amazonのシェアがここ数年頑固に続いているのに対し、GoogleやMicrosoftは時間をかけて着実に成長を続けていることだが、もちろん、市場は拡大を続けており、Amazonの収益もそれなりの伸びを続けている。

実際、Synergy Researchによれば、4年半前にはわずか11%のシェアだったMicrosoftが、18四半期で2倍となり、見事な上昇ぶりを見せているという。Synergy Researchの主席アナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、Amazonのポジションがしばらく変わっていないことについては、あまり心配していない、と述べている。彼はそれをいい問題だと言っている。

「巨大で急速に成長する市場の3分の1を支配することは、はまるのにとてもいい『わだち』です」と、ディンズデール氏は述べた。そして、将来を予測するつもりはないが、急速な成長を一貫して続けることは難しいと指摘した。

「原則として、将来の市場シェアについては、予測もコメントもしません。それは私たちのようなアナリストが超えてはいけない境界線なのです。しかし、数学は強力な力であり、規模が大きくなればなるほど、積極的な成長を維持することは難しくなるとは言えます。それは(企業の)人生の事実なのです」。

画像クレジット:Synergy Research

CanalysのデータはSynergy Researchのデータにかなり近く、四半期で530億ドル(約6兆1000億円)強、34%増と報告されている。Canalysは、年間では、2020年の1420億ドル(約16兆3600億円)から前年比35%増の1917億ドル(約22兆900億円)としている。

四半期の内訳は、Amazonが33%、Microsoftが22%、Googleが9%となっている。繰り返しになるが、この数字はSynergy Researchのものと引き分けと呼べるほど近いものだ。どちらも市場を同じように定義しているので、大きな驚きにはならない。

Canalysは、ホスティングされた専用プライベートインフラストラクチャまたは共有インフラストラクチャのいずれかのサービスと、サービスとしてのプラットフォームを対象としている。Synergy Researchでは、インフラとプラットフォームサービスを対象としています。両社ともSaaSは除外しており、別カテゴリーとしてカウントしている。

事実、市場は急速な成長を続けており、アナリストや予言者が正しければ、クラウドの成長余地はまだ山ほどあると思われる。特に最大手の企業は、派手な収益を上げてこの成長の恩恵を享受しており、ここ数年、四半期ごとに私たちはそれを目の当たりにしている。

市場の底辺であっても、まだまだ儲けはある。MicrosoftやAmazon、Googleのレベルには及ばないかもしれないが、それでも数十億ドル(数千億円)規模のビジネスの積み重ねは可能だ。今後数年間、私たちは急速な成長を見続ける可能性がある。そうでなくなったとき、それは「人が犬を噛む」ような珍しいニュースになるだろう。

画像クレジット:Kwarkot / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Yuta Kaminishi)

米国35州・マイクロソフト・電子フロンティア財団がEpic支持を表明、アップル対Epic裁判はまだまだ続く

アップル対Epic裁判、米国35州・マイクロソフト・電子フロンティア財団がEpic支持を表明

CHRIS DELMAS/AFP via Getty Images

アップルとEpic Gamesが『フォートナイト』のアプリ内課金をめぐって揉めている訴訟はいったんは判決が下されました。が、両社とも判決を不服として控訴したため、法廷での戦いはまだまだ続く見通しです。

この訴訟については、米国35州の司法長官とマイクロソフト、そして電子フロンティア財団が、Epicを支持することを表明しました。各州の弁護士が控訴裁判所に提出した準備書面では「アップルによるApp Storeの管理は独占禁止法に違反しない」とする先の判決を覆すべきだと主張されています。

Epic Gamesがアップルに対して起こした「App Storeの管理が独占禁止法に違反する」ことを問う裁判では、アップルにはアプリ開発者がユーザーを独自の決済システムに誘導することを認めなければならないとの判決が下されました。

その一方でアップルが反訴した「問題は独禁法違反かどうかではなく、EpicがApp Store開発者としての契約に違反して独自の決済システムを使ったこと」に関してはアップルの主張が認められ、Epic側にはアップルが本来得るべきだった手数料の支払いが命じられています

これによりEpicは金銭的には敗北を喫した一方で、アップルに対して「12月9日までに開発者がアプリ内でユーザーを他の決済システムに誘導できるようにしなければならない」との判決が下されたことで、一定の勝利を勝ちえたはずでした。

アップルはこの命令に対して期日延期を要請し、一度は却下されたものの、12月には控訴裁判所が延期に合意したことで先送りに成功しています。つまりアップルとEpicとの控訴審が終わるまで、App Storeアプリ内に外部決済リンクを認めることは何年も先延ばしにされるかもしれないわけです。

さて今回、35の州政府が提出した準備書面では「アップルはiPhone向けのアプリ配信とアプリ内課金ソリューションを独占し続け、競争を抑圧し、年間ほぼ1兆ドル規模のスマートフォン業界で超競争的利益(競争の激しい市場で維持できる利益を超えた利益)を蓄積しています」と簡潔に書かれています。

またMSも準備書面を提出し、同社が隣接する市場で「競争を封じるためにiOSを支配する」ことを可能にすると主張。「アップルがオンラインサービスを持つ全ての企業とiPhoneユーザーの間に介入することが許されるなら、巨大なモバイル経済のほとんどはアップルの干渉と最終的な支配から逃れられられない」と述べられています。

MSは自社のクラウドゲーミングサービスをiPhone向けに展開する上で大きな制約を受けたこともあり、以前からアップルを遠回しに批判していました

アップルはEpicとの訴訟について「(先の)判決が控訴で肯定されることを楽観視している」として、勝利を確信しているとの趣旨をコメント。さらに我々は、App Storeは消費者のための安全で信頼できる市場であり、開発者のための絶好の機会であることを保証するために引き続き取り組んでいきます」と述べています。この声明は、米上院で審議されているアプリストア規制法案へのけん制も兼ねていると思われます。

しかしアプリ課金については、アップルに対して自社システム以外の決済方法を認めるようオランダや韓国ほか世界各国で圧力が高まりつつあります。そこに米国の35州も加わるとなれば、アップルもいつまでも現状を守り続けるのは厳しいかもしれません。

(Source:CNETFOSS PATENTEngadget日本版より転載)

マイクロソフト、Windows 11のAndroidアプリ動作機能のパブリックプレビューを2月リリースと予告

マイクロソフト、Windows 11のAndroidアプリ動作機能のパブリックプレビューを2月リリースと予告

米マイクロソフトが、Windows 11の目玉的機能となる、Androidアプリ動作機能のパブリックプレビューを、2月にリリースすると予告しています。

Windows 11は、すでに市販パソコンへのプリインストールやアップグレードによって幅広く展開されていますが、発表時の特徴として挙げられた機能には、「Amazon アプリストア」で配布されているAndroidアプリが動作するというものがあります。ただし同機能は公式リリースされているWindows 11ではまだ利用できず、ベータ版OSのみが対応していました。

マイクロソフトが1月26日に公開したブログでは、Windows 11の発表時に案内されていたように米アマゾンやインテルとの協力により、Androidアプリの動作機能をパブリックレビューに導入する、と案内しています。なお、現時点ではどれだけのAndroidアプリが動作するのかは案内されていません。

さらに同時期となるWindows 11のアップデートにより、新機能も追加されます。例えば通話のミュート/ミュート解除やウィンドウ共有の簡易化、タスクバーへの天気の表示、メモ帳とメディアプレーヤーアプリへの新デザインの導入などが予定されています。

Windows上でのAndroidアプリの動作環境としては、Windows 11の後にGoogleから発表された「Google Playゲーム」のベータ版も海外にて提供が開始されています。今後も、OSやデスクトップ/モバイルという垣根を超えた、アプリやサービスの提供が進むことが期待されます。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

Activision Blizzard、同社の未来を決める新たなサバイバルゲームを開発中

今でもまだ組織の混乱や組合いじめ、史上最大のゲーム企業買収がニュースの大見出しになってるようだが、当のActivision Blizzardは次のオリジナルゲームで忙しいらしい。

具体的な発表はまだほとんどないが、同社は今週、その「未発表のサバイバルゲーム」は「まったく新しい宇宙におけるサバイバルゲームだ」などと前宣伝している。その発表は求人ページにリンクしており、そこでは新しいゲームのアートをいくつか紹介している。

私たちはまったく新しい宇宙でのサバイバルゲームを作っています。私たちと一緒に次の章を書きましょう。https://t.co/yf7W5p9ERQ

そのアートの中では、毛皮を着て頭蓋骨の兜をかぶったハンターが膝をついて、おとぎ話の国の入り口の近くで何かを追っている。もう1つのコンセプトアートは、2人の人が、その魔法の国の別の入り口を覗き込んでいる現代的なシーンだ(自転車もある)。

このアートからわかることはあまりないが、そのコンセプトにはそそられるものがある。いずれにしても同社は、クリエイティブでシームレスなマルチプレイヤー世界を作るのが得意だ。しかもサバイバルという視点は、Twitchで人気になった「Fortnite(フォートナイト)」や「Rust」のようなゲームのジャンルへの、新鮮でおそらく洗練された参入になるだろう。Blizzardによる最新のフレッシュな大型IPといえば、eスポーツの大ヒットコンテンツ「Overwatch(オーバーウォッチ)」だが、その続編は制作は遅れており、リリースは2023年になるらしい。

「Call of Duty(コール オブ デューティ)」シリーズ、「オーバーウォッチ」「World of Warcraft」などのヒットゲームを発売しているActivision Blizzardは、2021年に同社でのセクハラと差別を主張するカリフォルニア州での訴訟のニュースで明らかになったスキャンダルに巻き込まれたままだ。

同社は証券取引委員会にも調べられており、手始めに2021年後期には従業員が召喚された。一方、この手広い企業を統括するのはCEOのBobby Kotick(ボビー・コティック)氏で、彼は同社の職場における不祥事や、それを放置したことの責任をよく自覚している。Bloombergの記事によるとコティック氏はMicrosoftによる買収が完了すれば現職を辞し、同社でXboxを担当していたPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏がMicrosoft GamingのCEOとして同社を率いる。

この渦中にありながら、いや、だからこそMicrosoftは2022年1月、同社を687億ドル(約7兆8764億円)で買収する計画を発表した。この記録的な金額で複数の大型コンテンツが最大のゲーム機メーカーの傘下になり、国と州の規制当局が、やみくもに独占しようとしているテクノロジー企業に対しれ神経を尖らせているこの時期に、自らの運を賭けることになる。

もうこれ以上、見出しのネタに困ることはないが、しかしActivision Blizzardはさらに、同社の事業部であるRaven SoftwareのQAテスターたちが作った組合を認めないと宣言した。Ravenのグループは1カ月ほど前に、12人の契約労働者を解雇したことに抗議してストライキをしていた。

Twitter上で複数のBlizzardの従業員たちが、オーナーが変われば会社は安定すると楽観視している。もっと良い軌道に乗り、有害な職場文化を後にすることができる、と彼らは期待している。Microsoftによる買収が成立すれば、このゲーム大手は世界でもっとも安定確立したテクノロジー企業が采配を振るうことになり、その成熟と安定が、次の大型IPOを目指す企業にとって害になることはないだろう。

関連記事:マイクロソフト、7.8兆円でゲーム大手Activision Blizzardを買収へ

画像クレジット:Chesnot

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフト第2四半期決算、クラウド事業が好調で純利益は前年同期比21%増・PC関連も15%増

マイクロソフト第2四半期決算、クラウド事業が好調で純利益は前年同期比21%増・PC関連も15%増

マイクロソフトが、2022年度第2四半期(2021年10~12月)の決算を発表し、前年同期と比べ収益が20%増の517億ドル、純利益は21%増の188億ドルに達したことを明らかにしました。

2021年度の第2四半期は、新型コロナによる巣ごもり需要により、PC関連やクラウドビジネスが大幅に収益を伸ばしていましたが、それと比べても順調に業績を伸ばしている様子が伺えます。

その業績を牽引したのは、これまで同様クラウドビジネスで、Intelligent Cloud部門の収益は183億ドルで26%増加。加えて、WindowsやSurface製品を含むMore Personal Computing部門も15%増の175億ドルと好調でした。とくにWindows OEMの収益は25%増となっており、これは2021年10月にリリースされたWindows 11の効果が現れているようです。また、Office関連もコンシューマー向け製品の収益が15%増加し、Microsoft 365の契約者も5640万人に達したとのことです。

なお、ゲーム関連については、ファーストパーティタイトルやXbox Game Passサブスクリプションの成長が、サードパーティタイトルの減少で一部相殺されたとのことですが、それでも前年同期比で10%の増加となっています。

マイクロソフトは、大手ゲームパブリッシャーのActivision Blizzardの買収を発表しており、2023年度(2023年6月まで)に買収を完了すれば、ゲーム関連の収益は大きく異なったものになると考えられます。クラウド事業とならび、ゲーム関連が収益の大きな柱となっていくのかも今後注目したいところです。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

AndroidのゲームをWindows上で楽しめる「Google Play Games for PC」がベータテスト開始、香港・韓国・台湾で

米国時間1月19日、Googlは同社が新たに発表したGoogle Play Games for PCプロダクトの非公開ベータテストを香港、韓国、台湾の3つの海外市場で開始する。PCアプリケーションGoogle Play Gamesは2021年12月のThe Game Awardsイベントで発表され、Google Playのゲームを、これまでのモバイルとタブレットとChromeOSに加えて、Windows PCでプレイできる。対応するPCはラップトップとデスクトップの両方で、Androidスマートフォンなど別のデバイス上で途中でやめたゲームをコンピューター上で再開することもできる。

同社は前に、そのPCアプリにアクセスできる最初の市場を発表しており、その時期は2022年の初めと予想されていた。しかし正確な日付は未発表だった。

ベータにアクセスできたテスターは、人気のモバイルゲーム「モバイルレジェンド:バンバン」や「サマナーズウォー」「State of Survival:The Joker Collaboration」「Three Kingdoms Tactic」などの人気モバイルゲームをトライできる。これらはすでに、1カ月のプレイヤー数が数億に達している。ベータテスターがアクセスできるのは、Googleによると約25のゲームだ。

そのPCアプリは、ユーザーがカタログを閲覧でき、ゲームをダウンロードして大型画面でプレイできる。しかも、マウスやキーボード入力の便利さは失われていない。一方、Googleの発表によると、ユーザーのゲームプレイがどこまで進んだかは複数のデバイス間で同期され、PCでプレイしても前からのプレイポイントは継続される。

 

このPCアプリのローンチの前には、Microsoft(マイクロソフト)によるWindows 11のAndroidアプリ対応があった。それはAmazon(アマゾン)との提携でAmazon独自のAmazonアプリストアを使うやり方で、クロスプラットフォームなゲームプレイの需要と要望の過熱に応える措置だった。しかし今回のGoogle Play Games for PCアプリケーションはMicrosoftとのパートナーシップはゼロで、あくまでもGoogle独自のアプリケーションであり、Google内で開発され配布される。またゲームストリーミングサービスでもない。プレイヤー自身がゲームを自分のコンピューターにダウンロードしてプレイするものだ。

関連記事:マイクロソフトがWindows 11ベータ版でAndroidアプリのテストを開始

ベータ版の公開にともない、GoogleはAndroidの開発者向けに、既存のゲームをWindows PCと互換性を持つように最適化するための詳細を公開するとしており、これによりPCアプリが提供する拡張アクセスを利用できるようになる。Googleは2021年12月、Windowsアプリの登場により、Google Playゲームは、プラットフォームを問わず、25億人の月間アクティブユーザーを抱えるゲームエコシステムに到達することができると発表していた。

Googleはベータ版への参加に関して、開発者向けウェブサイトを開設しベータ版の継続にともなうアップデートを受け取るためのオプトインができるようにしている。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフト、7.8兆円でゲーム大手Activision Blizzardを買収へ

ゲーム大手のActivision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)は、セクハラ問題や経営陣の混乱で投資家から非難を浴びていたが、脱出カプセルのスイッチを押した。Microsoft(マイクロソフト)による687億ドル(約7兆8200億円)での現金買収に合意したのだ。

Activision BlizzardのCEOであるBobby Kotick(ボビー・コティック)氏は、1万人近い従業員を抱える同社でSECの調査やセクハラスキャンダルが続く中で、退任が噂されていた(2021年、現・元社員の2000人以上が、差別訴訟に対する同社の対応を「忌まわしく侮辱的だ」とする書面に署名、さらに最近、1000人以上の社員がコティック氏の退任を求める署名を行っている)。Wall Street Journalは、コティック氏が自社でのセクハラやレイプ疑惑について何年も前から知っていたにもかかわらず、行動を起こさなかったと報じている。だがMicrosoftは、今回の買収でコティック氏がCEOにとどまると述べている。この先Activision Blizzardは、全体としてはMicrosoft Gaming(マイクロソフト・ゲーミング)のCEOでXbox(エックスボックス)の責任者であるPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏に報告することになる。

スペンサー氏は米国時間1月18日のブログで「Microsoftは企業として、社員とプレイヤーの双方を含め、ゲームのあらゆる側面でのインクルージョンを目指すことを約束します」と書き、暗にActivision Blizzardで進行中の騒動に言及しました。「また、創造的な成功や自律性は、すべての人に尊厳と敬意をもって接することと密接に関係していると考えています。私たちはこのコミットメントを、すべてのチームとすべてのリーダーに対して課しています。私たちは、積極的なインクルージョンの文化を、Activision Blizzardのすばらしいチームへと広げていきたいと考えています」。

もしコティック氏がトップの座にとどまるのなら、この買収のニュースが従業員たちの懸念を和らげることはなさそうだ。Activision Blizzardの従業員は、現在進行中の性的不祥事だけでなく「Call of Duty(コール オブ デューティ)」の品質保証担当者の解雇に抗議して、数回のデモを行っている。シニアテストアナリストのJessica Gonzalez(ジェシカ・ゴンザレス)氏は、ABetterABK労働者同盟のリーダーとして登場し、会社の変革を求める最も大きな社内の声の1人として名を馳せていたが、2021年11月末に辞任を表明していた。

ゴンザレス氏がActivision Blizzardの社内Slack(スラック)に投稿し、Twitter(ツイッター)でも公開された辞任メッセージには「あなたの無策と説明責任の拒否が、優れた人材を追い出し、あなたがCEOの地位から解任されるまで、製品は苦労を強いられることになるでしょう」と書かれている。「厳しいことをいうようですが、あなたには文化を修正するための猶予が何年もあったはずです。それなのに現在の会社の状況を見てください」。

11月にスペンサー氏は、Xboxのスタッフに宛てた電子メールの中で、同社に対する疑惑を踏まえ「Activision Blizzardとの関係をあらゆる側面から評価し、継続的に積極的な調整を行っています」と述べている。Activision Blizzard買収のニュースがまだ知られていなかった先週、スペンサー氏はNew York Timesの取材で、汚名を着せられたゲーム大手と自社の関係について質問された。

「私たちXboxにとってこの件は、他社をどうこういうための材料にはなりません」とスペンサー氏は述べている。「Xboxの歴史もまっさらなものではないからです」。2016年のゲーム開発者会議におけるMicrosoftのパーティーで、同社は女子学生ダンサーを雇ったことで、ゲーム業界全体の女性との間に多くの問題を起こしている同じ「男子学生」ノリ文化を露呈したことがあるのだ。スペンサー氏は「あれはXboxの歴史の中でも痛恨の極みでした」と付け加えた。

プレスリリースによれば、この取引によりMicrosoftは、Tencent(テンセント)、Sony(ソニー)に続き、売上高で世界第3位のゲーム会社となる。Activision Blizzardは「World of Warcraft」「Call of Duty(コール オブ デューティ)」「Candy Crush(キャンディクラッシュ)」などのメガタイトルを擁し、Microsoft GamingはXboxコンソールを製造している。Microsoftは、先日2500万人の加入者を達成したクラウドゲーム配信サービスGame Passに、Activision Blizzardのゲームを含めることを発表した。一方、Activisionのゲームは、4億人近い月間アクティブユーザーを誇っている。

Microsoftの数十億ドル(数千億円)を超える規模の買収は、この買収だけではない。2020年末に、Microsoftは、「Edler Scrolls」「Doom」「Fallout 」などの人気ゲームを制作したBethesda(ベセスダ)ゲームスタジオなどの親会社であるZeniMax Media(ゼニマックスメディア)を買収する計画を発表していた。そのため、Activision Blizzardの買収に対しては、Microsoftによる独占への懸念が司法省から示される可能性がある。例えば、Meta(メタ)は現在、成長中のVR事業に関する独占禁止法違反の訴訟を起こされている。しかし皮肉なことに、この買収によって、Metaにとってはバーチャルリアリティの分野での競争が少し激しくなるかもしれない。

Microsoft会長でCEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は「エンターテインメントの世界の中で、現在ゲームはすべてのプラットフォームに対して最もダイナミックでエキサイティングなカテゴリーです。そしてメタバースプラットフォームの発展において重要な役割を果たすことになるでしょう」と述べている。

MicrosoftとActivision Blizzard両社の取締役会は、この買収を承認しているが、買収そのものは、Activision Blizzardの1株当たりの価値を時価を上回る95ドル(約1万1000円)で、2023年に完了する予定だ。

画像クレジット:Troy Harvey/Bloomberg/Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

LinkedIn、インタラクティブなClubhouseスタイルの音声イベント機能を2022年1月開始、動画版は今春登場予定

8億人以上の人々がキャリアを積むために仕事用のプロフィールを掲載しているLinkedInは、次のステップとして、プラットフォームをより多く使ってもらう狙いだ。同社は新しいイベントプラットフォームを展開し、インタラクティブなバーチャルライブイベントの掲載、主催、マーケティングを行う予定だ。まず、音声のみの製品をベータ版として2022年1月に発表し、その後、春に動画版を発表する。最初は、LinkedInをオーガナイザーやホストとして利用しているクリエイターをターゲットにする。

ここ数年の新型コロナ生活の中で、オンラインイベントが多くの支持を得ていることから、現在の計画では、LinkedInの新しいイベント製品はすべてオンラインで提供し、フォーマットをオープンにしてイベントの運営者自身がフォーマットを作ることができるようにする予定だ。

プロダクトマネージャーの Jake Poses(ジェイク・ポーズ)氏はインタビューで次のように答えている。「私たちの理念は、主催する人が管理できるようにすることです。オンラインの円卓会議、炉辺談話などを簡単に開催できるようにしたい。フォーマルなイベントを開催したい人もいれば、インフォーマルなイベントを開催したい人もいるでしょう。また、リスナーとコミュニケーションをとりたい、質問を受けたいという要望もあるでしょう。私たちは、プロフェッショナルな人々にインタラクティブな機能を提供し、サポートします」。

2022年1月開始するオーディオイベント機能には聞き覚えがあるかもしれない。これはClubhouseに匹敵するもので、LinkedInの取り組みが最初に記事となったのは2021年3月だった。LinkedInは2021年、このイベントサービスに追加する可能性のある他の機能を試してきた。例えば、2021年9月にテストを開始した有料のチケットオプションなどだ。しかしポーズ氏によると、今のところインタラクティブイベントは無料サービスとして開始され、現時点ではチケット制にする計画はないとしている。

(LinkedInは近いうちにチケット制を導入すると思われる。私が尋ねたところ、Clubhouseの広報担当者は「クリエイターファーストというマントラの一環として」、当スタートアップ企業は「クリエイターが自分の作品をさらにマネタイズできるよう、チケット制イベントを含む複数の選択肢を模索している」と言っていたが、時期は特定できなかった。また、動画に関しては今のところロードマップにないことも確認した。彼女は「当社は、ソーシャルオーディオ体験に引き続き注力しており、オーディオ中心の新機能がコミュニティの体験をどのように強化できるかを引き続き模索しています」と付け加えた。)

オーディオイベントのモデルはこちら。

2022年1月末に開始されるこの新しいイベントプラットフォームには、他のサードパーティ製のソフトウェアを使用せずにインタラクティブなコンテンツをエンド・ツー・エンドで実行できるツールが含まれる。ホストはLinkedInから直接イベントを記録・実行できる他、オンラインの参加者とホストがライブで会話し、議論を進行できるツールや、イベント開催中と終了後に参加者が互いにコミュニケーションするためのツールが備わる予定だ。また、LinkedInは当然ながらイベントをリストアップし、プラットフォーム間でイベントに関する情報発信のサポートを行う。

これらのイベントのホストについては、まず、LinkedInを利用してすでに多くの人々とつながっている個人、つまり、TikTokなどの他のソーシャルプラットフォームで見られるような独自のクリエイターをターゲットとし、キャリア開発、専門的な話題、その他のLinkedIn中心の専門分野に向けたコンテンツを構築していく予定である。

LinkedInはここ数カ月、より広く、より活発なクリエイターコミュニティの育成に取り組んできた。この目的のために、2021年秋には2500万ドル(約28億6407万円)の資金とインキュベーターを立ち上げた。ポーズ氏によると、現在配信製品であるLinkedIn Liveを利用できるクリエイターは150万人とのことだ。イベントの企画と開催は、その戦略を拡張するための自然な流れといえる。

LinkedInは時間とともに、企業や大きな組織にもLinkedInでイベントを構築してもらいたいと考えているとポーズ氏は付け加えた。しかし大きな組織では、より大きな予算、より高い生産価値を目指したインフラ、そしてチケットやその他のサービスが必要になることが多い。同氏は、必要な人、あるいは希望する人は、サードパーティのアプリケーションやソフトウェアを製品に統合することができるようになると語った。(実際、今のところツールのほとんどはLinkedIn自身で構築されていることも認めていた。LinkedInを所有しているMicrosoftとの統合もあるのは確かではあるが)。

フィードに表示される動画機能のモデルはこちら。

LinkedInがイベントへの尽力により大きな関心を持ったのは、やや時代をさかのぼり、パンデミックの時期より前の2019年に初めてデビューし、対面での集まりに焦点を当てていたEventsハブに始まる。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こってから数カ月後、LinkedInはバーチャルエンゲージメントを目的としたオンライン投票や配信スタイルの動画イベントの開始により、それまでオンラインイベントシナリオで使用されていた方法の一部を公式化した。

同社にとって、これらのイベントは成功を収めている。ポーズ氏は、年間のオンラインイベント作成が2021年1年間で150%増加し、同じ期間にLinkedIn Liveのバーチャルイベント参加者が231%増加したと述べた。取り上げられたトピックは、AIイノベーション基調講演ファイナンシャルプランニングライブ住宅施工メンターシップサイバーセキュリティ授賞式などだ(これらによっても、長期的にLinkedInがこれらのイベントの運営者として個人のクリエイター以上を抱え得る可能性が伝わる)。

LinkedInはまた、その規模と資金力を利用して、イベント分野で活躍する他の興味深い企業への投資や買収も行っている。2021年6月、LinkedInは、オンラインイベントの大企業であるHopin(2021年8月の直近の資金調達ラウンドで77億5000万ドル(約8874億6025万円)と評価された)に投資していることを明らかにした。また2021年8月には、クリエイターがハウツーやその他のメンタリング動画を作成・共有できるJumpropeというスタートアップ企業を買収している。(実際、これがポーズの入社の経緯であり、クリエイター、イベント、動画を網羅する製品をリードすることになった。)

これらのことは、LinkedInのコンテンツ戦略における次の論理的なステップであるだけでなく、パンデミックから2年経った今でも多くの人が在宅勤務をしており、新型コロナウイルス感染症が多くの人にとって脅威であることを考えると、明らかに時代の兆しのように感じられるのである。

だが、オンラインビデオ会議、そして率直に言ってオンラインなものすべてに対して私たちの多くが抱く疲労の影響をLinkedInはどのように受けるのか、また、オンラインイベントの選択肢が1つ増えて、結局多すぎるということが判明した場合、LinkedInは調整できるのかということを考えざるを得ない。

ポーズ氏の答えは、オンラインイベントはさらなる民主化のために必要なものであるが、イベント企画者の中にはハイブリッドなアプローチを取る人もいるかもしれない、というものだった。

オンラインやハイブリッドなものは「この先の時代」かもしれないが、インタラクティブイベントが解決しようとしているものはまったく異なるものだとポーズ氏はいう。

「物心ついたときから、私は講演やミートアップに出かけていました。これらは、社会人がコミュニケーションし、物事を学ぶ方法の主軸です。しかし、これらのイベントには、お金と移動時間、部屋に入って話す勇気、そしてイベントを運営するスペースが必要です。私たちの狙うところは、対面からバーチャルへ移行することで、実際にアクセスを民主化し、より多くの人々にそれを開放することです」と彼はいう。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

マイクロソフト、Armからアップルに移籍した腕利きチップ設計者を引き抜き―独自チップの開発を加速か

マイクロソフト、Armからアップルに移籍した腕利きチップ設計者を引き抜き―独自チップの開発を加速か

HJBC via Getty Images

先日アップルでM1チップ等の開発を主導していた人物がインテルに移籍したことが明らかになったばかりですが、今度はマイクロソフトがアップルからベテランのチップ設計者を引き抜いたと報じられています。

米Bloomberg報道によると、アップルのチップ設計者だったマイク・フィリッポ(Mike Filippo)氏が離職してMSに入社したとのこと。それはご本人のLinkedInプロフィールにも明記されていますが、Bloombergは同氏の移籍を、MSが「自社のサーバーチップへの取り組みを拡大しようとしている」動きだと推測しています。

フィリッポ氏は、10年間Arm社でトップの半導体設計者として活躍した後、2019年にアップルに入社。それ以前はインテルとAMDの両社に在籍したこともあり、Bloombergは「スマートフォンなどにおけるArmの基盤技術の能力を向上させたと評価されている」と実績を説明しています。

iPhoneのAシリーズチップとMacおよびiPad用のMシリーズチップは、Armアーキテクチャをベースにしています。アップルが2019年5月にフィリッポ氏を採用した際には、Mac用プロセッサにおけるインテル製からArmベースAppleシリコンへの移行(Appleシリコン正式発表は2020年6月で、約1年後)に大きな恩恵をもたらすものとして注目を集めていました。

またMSがサーバーやSurface PC向けに独自Armプロセッサを開発しているとの噂はこれが初めてではなく、2020年末に報じられたこともあります。その噂を伝えたBloombergは、インテルへのチップ依存度を下げるためのMSの戦略の一環だと示唆していました。

かたやアップル側から見れば、Appleシリコン開発を支えてきた主戦力が次々と退社し、競合他社に参加する流れにあります。

ここ数年でもM1チップやT2セキュリティチップ開発を主導してきたジェフ・ウィルコックス氏がインテルに移籍したほか、iPhoneのAシリーズチップ開発を率いた人物らがNuviaという半導体スタートアップを立ち上げ、最終的にはクアルコムに買収されました

こうした人材の引き抜きを防ぐため、アップルは2021年末に一部のトップ従業員に稀に見る高額な株式ボーナスを支給したと報じられていました。これらの額は約5万ドル~18万ドルで、ほとんどが4年間で権利確定するように設定されているのこと。

つまり、少なくとも主要な独自チップを開発している最中には離脱しないよう、対策しているのかもしれません。

(Source:BloombergLinkedInEngadget日本版より転載)

VRとARはCES 2022でも「ブレイクの寸前」

最初のOculus RiftがKickstarterで登場してから、信じ難いことにほぼ10年が経った。

10年間の進歩を経て、VRヘッドセットはずいぶん改善された。しかし現時点では、VRの普及は段階的と言っていい。誰もがヘッドセット(VRかAR、あるいはその2つを組み合わせたもの)を顔に装着するようになるとしたら、それは1つの大きな出来事(※)というよりはたくさんの小さなステップの結果だろう。OculusのVRリズムゲーム「Beat Saber」もあれば、Oculus Questで使えるVRフィットネスの「Supernatural」もある。ヘッドセットは徐々により良く、より軽く、より処理速度が速くなっている。職場でのトレーニングでヘッドセットを使うことに慣れている人もいるだろう。ある日突然、誰もがメタバースのあり方に同意するかもしれない。

この少しずつの進歩は2022年のCESでも変わらなかった。VRやARに関するニュースはたくさんあったが、どれも世間を揺るがすようなものではなかった。しかし1つ1つのステップは進歩している。

※もしAppleが積極的にこれから参入し、製品を投下してこのカテゴリーをひっくり返すようなことがあれば、衝撃的な出来事になる可能性がある。これは、ここ最近噂になっていることだ。

2022年CESのVRとARの大きな話題を、ここでまとめよう。

ソニーのPSVR2

画像クレジット:Sony

Sony(ソニー)は2016年にPS VRヘッドセットをリリースし、その後PlayStation 5用の次世代ヘッドセットを開発していることは以前から知られていた。しかし2021年前半に「開発中」であることをちらっと発表し、数カ月後にコントローラの詳細を若干公表したが、詳しい仕様は発表していなかった。

全容はまだ明らかにされていないが、PSVR2という正式な名称と以下の内容が発表された。

  • 解像度は片方の目につき2000×2040
  • 初代ヘッドセットの視野角が96度であったのに対し、110度に拡張
  • リフレッシュレートは90/120Hz
  • 目の動きをトラッキングし、インターフェイスの項目を見るだけで選択されるといったことができるようになる模様
  • 視界の中央にあるものを優先的にレンダリングして処理の効率を上げるフォービエイテッドレンダリングに対応
  • 指を検知し、PS5の臨場感にあふれるアダプティブトリガーを搭載する専用の新コントローラ(下図)を開発中

画像クレジット:Sony

ヘッドセットがどのような外観になるかは、まだわからない。いつ出荷されるかもわからない。しかしPS VRヘッドセットが使いやすさの点でOculus改めMeta Questの数少ないライバルの1つであることを考えると、ソニーが開発を続けているのは好ましい。

HTCのリストトラッカー「Vive」

画像クレジット:HTC Vive

VRの入力に最も適した方法は何だろう。一般的なヘッドセットのほとんどは、両手にそれぞれ何らかのコントローラを持って使う。その代わりに、手そのものをコントローラにするというのはどうだろうか。

もちろん、ハンドトラッキングのアイデア自体は新しいものではない。さまざまな企業がハンドトラッキングに重点的に取り組んでは消えていった

しかしHTCのアプローチはちょっと違う。カメラに完全に頼るのではなく、センサー内蔵のバンドを両手首に巻いて、カメラでは捉えられないものをトラッキングしようとしている。例えば一方の手がもう一方の手を覆い隠しているとか、ゴルフのスイングをしたときに腕が背中側に回るといったケースだ。同社は卓球のラケットやNERFというおもちゃのシューティングガンなどの物体に取り付けたセンサーが動作している様子も披露した。

HTCはこのセンサーを2022年後半に129ドル(約1万5000円)で出荷する予定としている。対象者は誰? 少なくとも現時点では、このセンサーはHTCのVive Focus 3ヘッドセットとの組み合わせのみで動作する。

ShiftallのMeganeX

画像クレジット:Shiftall

近年、VRヘッドセットはかなりすっきりしてきたが、それでもまだゴツい。実際のところ、どれほど小さくできるのだろうか。

Panasonic(パナソニック)の子会社であるShiftallは「超軽量、超高解像度」のヘッドセット「Meganex」を開発している。フレームにスピーカーが内蔵され、ディスプレイは片方の目につき1.3インチ(2560×2560)で、ヘッドセットというよりはスチームパンクの大きいサングラスのように見える。軽量で折りたたみ可能とはいえ、それほど動き回れるわけではないようだ。重いグラフィックスを処理するにはUSB-Cでコンピュータに接続する必要がある。

Shiftallはこのヘッドセットを2022年に「900ドル(約10万4000円)以下」で出荷するとしている。

MicrosoftがARチップに関してQualcommと協業

画像クレジット:Qualcomm

Microsoftは同社のHoloLensヘッドセットにQualcommのチップをすでに採用しているが、この両社がCES会期中にさらに正式な取り組みを明らかにした。Qualcommの基調講演で、両社がARヘッドセット専用チップの開発で協力することが発表された。このチップは両社のAR開発プラットフォーム(Microsoft MeshとSnapdragon Spaces)に対応する。

NVIDIAのOmniverse

画像クレジット:Nvida

派手なハードウェアではないが、ソフトウェア関連としては重要である可能性が高い。NVIDIAは、3Dコンテンツのクリエイターがリアルタイムで共同作業をするのに役立つプラットフォーム「Omniverse」を公開した。

これを報じる記事の中でFrederic Lardinois(フレデリック・ラーディノイス)は次のように述べている。

Omniverseはクリエイターやデザイナー、エンジニアが共同作業でバーチャルワールドを作るためのNVIDIAのプラットフォームだ。NVIDIAや他社アプリのデザインツールやアセットを、ハードウェアとソフトウェアの1つのエコシステムにまとめる。これまでOmniverseとこれに対応するNVIDIAのさまざまなツールはベータ版だったが、米国時間1月4日のCESで同社はベータのラベルを外し、Omniverseはクリエイターに広く公開された。

TCLのARメガネ

これは今のところほとんどコンセプトなので、好きになるにはまだ早すぎる。テレビやスマートフォン、エアコンのメーカーであるTCLがARメガネの分野に参入し、ほぼ普通に見えるメガネにGoogle Glassに似た機能を搭載した製品を紹介している。「ホログラフィック光導波路テクノロジー」により画像をレンズと視界に映し出すもので、上に示したコンセプトビデオではメガネのフレームにタッチ式のコントロールが内蔵されている。

画像クレジット:wacomka / Getty Images

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Kaori Koyama)

米FTC、Log4jの脆弱性を修正しない組織に対する法的措置を警告

Javaで書かれた広く使われているログ記録ライブラリApache Log4jには、Log4Shellと通称されるゼロデイ脆弱性がある。連邦取引委員会(FTC)はこのほど、Log4Shellに対して顧客データのセキュリティを確保していない米国企業に対しては法的措置をとると警告した。

2021年12月に初めて発見されたこの「深刻な」脆弱性は、ますます多くの攻撃者によって悪用されており、何百万もの消費者製品に「深刻なリスク」をもたらすと、FTCは警告している。この公開書簡は、消費者に被害が及ぶ可能性を低減し、法的措置の可能性を回避するために、組織に対して脆弱性を緩和(ソフトウェアの最新バージョンへのアップデート)するよう組織に要請しています。

関連記事:iCloud、ツイッター、マインクラフトなどに使われているオープンソースのログユーティリティにゼロデイ脆弱性が見つかる

「脆弱性が発見され悪用された場合、個人情報の紛失・漏洩、金銭的損失、その他取り返しのつかない損害を被る危険性がある。既知のソフトウェアの脆弱性を軽減するために合理的な措置を講じる義務は、特に連邦取引委員会法およびグラム・リーチ・ブライリー法を含む法律に関係するものである。 Log4jに依存している企業やそのベンダーが、消費者に被害を与える可能性を減らし、FTCの法的措置を回避するために、今すぐ行動することが重要だ」とFTCは述べている。

FTCは、2017年にApache Strutsの既知の欠陥のパッチを怠り、消費者1億4700人の機密情報の侵害が起こったEquifaxの例を挙げている。その信用報告機関はその後、FTCとそれぞれの州に7億ドル(約810億円)を払う示談に合意した

さらにFTCは「Log4jや同様の既知の脆弱性の結果として、消費者データを露出から保護するための合理的な措置を講じていない企業を追及するために、完全な法的権限を行使する意向だ」と述べ、「今後同様の既知の脆弱性」が発生した場合に消費者を保護するために法的権限を適用する計画だと付け加えた。

FTCは、数百万ドル(数億円)規模の罰金を回避したい企業に対して、米国のサイバーセキュリティー・インフラセキュリティー庁(CISA)が発行したガイダンスに従うよう促している。これにより、企業はLog4jソフトウェアパッケージを最新バージョンにアップデートし、脆弱性を緩和するための対策を講じ、脆弱性の可能性があるサードパーティーやコンシューマーに脆弱性に関する情報を配布する必要がある。

このFTCによる警告射撃は、Microsoftが今週、Log4Shellの脆弱性が依然として企業にとって「複雑で高リスク」の状況にあると警告し、「12月最後の数週間、悪用の試みとテストは高いままであり、低スキルの攻撃者と国民国家の行為者が同様にこの欠陥を利用している」と述べたことを受けてのものだ。

関連記事:インターネットを破壊するバグ「Log4Shell」へのパッチ適用競争が始まっている

「現時点では、悪用コードやスキャン機能が広く出回っていることが、顧客の環境にとって現実的な危険であると考えるべきでしょう。影響を受けるソフトウェアやサービスが多く、更新のペースも速いため、修復には長い時間がかかると予想され、継続的な警戒が必要です」とMicrosoftとは述べている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグル、Androidスマホと(一部の)Windows PCの連携を大幅強化

GoogleはIntel、Acer、HPなどと協力して、高速ペアリングによるスマートフォンとWindows PCの接続、Nearby ShareによるAndroidデバイスとWindows PC間のファイル共有、Bluetoothアクセサリーのセットアップ、2つのコンピュータエコシステム間でのテキストメッセージの同期を実現する。

これらの新機能は、2022年後半に一部のWindows PCに搭載される予定で、Googleが「あなたのデバイスがより良く連携するために、より役立つ方法に投資する」という努力の一部だ。

画像クレジット:Google

ここ数年、GoogleとMicrosoftはともに、Android端末とWindows PCの距離を縮めるためにさまざまな取り組みを行っていた。MicrosoftがSurface Phone向けに独自に開発したAndroid Microsoft Launcherもその1つだが、より重要なのは、PCから通話やテキストメッセージを送信できるMicrosoftのMy Phone on Windowsや、Windows 11でAndroidアプリを実行できるWindows用Androidサブシステム(ただし、これはGoogle ではなくAmazonとの協業だが)などのアプリだ。

本日、同社が発表した新機能は、GoogleはMicrosoftをパートナーの1社としても好ましく思っていないようで、一部メーカーの新しいPCにプリインストールされたソフトウェアとして話しをしており、Windows 10や11の新機能についての話ではなかった。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Katsuyuki Yasui)

2021年に知ることになったサイバーセキュリティの6つのポイント

この12カ月間におけるサイバーセキュリティは、暴れ馬のようだった。サイバーセキュリティで何もかもが壊れ、あとはそのことを認めるだけとなり、そして今年、2021年は、特に年末にかけて何もかもが一度に壊れた。しかし、何はともあれ、私たちはこれまで以上に多くのことを知り、この年を終えることになる。

この1年で、私たちは何を学んだのだろうか。

1.ランサムウェアの被害で大きいのはダウンタイムであり身代金ではない

ファイルを暗号化するマルウェアの被害が続いている。2021年だけでもランサムウェアは町全体にオフラインを強いることになり、給与の支払いをブロックし、燃料不足を招いた。企業のネットワークの全体が、数百万ドル(数億円)の暗号資産と引き換えに人質に取られたからだ。米財務省の推計では、ランサムウェアの2021年の被害額は、これまでの10年を合わせた金額よりも多い。しかし研究者たちによると、企業の被害の大半は、生産性の落ち込みと被害後の困難な後始末作業によるものだ。後者には、インシデント対応や法的サポートも含まれる。

関連記事:ランサムウェアが企業に与える莫大な金銭的被害は身代金だけじゃない

2.FTCはモバイルのスパイウェアメーカーに被害者の通知を命じることができる

SpyFoneは、2021年9月の連邦取引委員会(FTC)からの命令により米国で禁止される初めてのスパイウェアになった。FTCはこの「ストーカーウェア」アプリのメーカーを、人目につかない秘かなマルウェアを開発し、ストーカーや米国ないの悪意を持つ者が、被害者のスマートフォンのメッセージや位置情報の履歴などを知られることなくリアルタイムでアクセスできるようにしたと訴えた。さらにFTCはSpyFoneに、同社が不法に集めたデータをすべて削除し、同社のソフトウェアによってスマートフォンをハックされた人たちに通知することを命じている。

関連記事:米連邦取引委員会がスパイウェアSpyFoneを禁止措置に、ハッキングされた被害者に通知するよう命令

3.サイバーセキュリティへのVCの投資は2020年に比べて倍増

2021年はサイバーセキュリティへのVCの投資が、記録破りの年だった。8月には、投資家たちが2021年の前半に115億ドル(約1兆3242億円)のベンチャー資金を投じたことが明らかとなっている。これは2020年の同時期に投じられた47億ドル(約5412億円)の倍以上の額となる。最大の調達はTransmit Securityの5億4300万ドル(約625億円)のシリーズAと、Laceworkの5億2500万ドル(約605億円)のシリーズDだった。投資家たちは、クラウドコンピューティングとセキュリティのコンサルティング、およびリスクとコンプライアンス方面の好調が投資に火をつけたという。

関連記事
パスワードのない世界を目指すTransmit Securityがサイバーセキュリティ史上最大のシリーズAで約601億円調達
クラウドセキュリティのLaceworkが2年連続収益300%増で約545.7億円のシリーズD投資調達

ハイテク企業がユーザーデータの最大の保有者であることは周知の事実であり、意外にも、犯罪捜査のための情報を求める政府のデータ要求の頻繁な対象になっている。しかし、Microsoftは2021年、政府が検索令状に秘密命令を添付する傾向が強まっていることを警告し、ユーザーのデータが調査の対象となる時期をユーザーに通知しないようにしている。

関連記事:米政府による顧客データ要求の3分の1が秘密保持命令をともなう、マイクロソフト幹部が乱用に警鐘

Microsoftによると、法的命令の3分の1は秘密保持条項付きで、その多くは「意味のある法的分析や事実分析に裏づけられていない」と、同社の顧客セキュリティー・トラストの責任者Tom Burt(トム・バート)氏はいう。Microsoftは、秘密保持命令は技術産業全体に蔓延していると述べている。

5.FBIはサイバー攻撃の後処理の一環として、プライベートネットワークへのハッキングを許される

2021年4月にFBIは、この種の操作としては初めてハッカーが数週間前に放置した米国の数百に及ぶ企業のメールサーバーにあるバックドアの削除を開始した。MicrosoftのメールソフトウェアであるExchangeの脆弱性を大規模に悪用して、ハッカーが米国全域の何千ものメールサーバーを攻撃し、連絡先リストと受信箱を盗んだ。非難されているのは中国だ。その犯行により数千のサーバーが脆弱性を抱えたままであり、企業は緊急に欠陥を修復すべきだが、しかしパッチは残されたバックドアを削除しないので、ハッカーが戻ってきて容易にアクセスを取得できる。

関連記事:中国の国家ハッカーがExchange Serverの脆弱性をゼロデイ攻撃、マイクロソフトが警告

テキサス州の連邦裁判所が操作を許可し、FBIはハッカーが使ったのと同じ脆弱性を利用してバックドアを削除した。裁判所による操作許可の根拠は、今後の再犯への恐れだ。それにより、悪人たちによる今後の悪用を防いだ。同様の「ハックとパッチ」操作でボットネットを駆除した国は他にもあるが、サイバー攻撃の後でFBIがプライベートネットワークを効果的に掃除したのは、知られているかぎり、これが初めてだ。

6.詐欺師たちが自動車保険のサイトを襲って失業手当を詐取

2021年は複数の保険企業が、ありえないがますます普通になってきた詐欺のターゲットになった。Metromileによると、保険の見積もりを保存する同社のウェブサイトにバグがあり、運転免許証の番号が盗まれた。そして数カ月後には、Geicoもターゲットになり、同じく運転免許証の番号を盗み取られている。

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米自動車保険スタートアップMetromileがウェブサイトに侵入者が運転免許証番号を取得できるバグがあったと報告
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Geicoのデータ侵犯報告は、盗んだ免許証番号を使って、ユーザーの名前で「失業手当を申請した」詐欺師たちを非難した。米国の多くの州では、州の失業手当を申請する前に運転免許証を必要となる。自動車保険会社ならその番号がわかるので、ターゲットにされたのだ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフトもCES 2022へのリアル出展を中止、インテル、GM、アマゾン、グーグルに続き

GM、Google(グーグル)、Lenovo(レノボ)、Intel(インテル)、T-Mobile(T-モバイル)、AT&T、Meta(メタ)、Twitter(ツイッター)、Amazon(アマゾン)、TikTok(ティックトック)、Pinterest(ピンタレスト)、そして今回はMicrosoft(マイクロソフト)。ソフトウェアの巨人である同社は、開催まで2週間を切っているCESへの現地参加取りやめを発表する最新のビッグネームとなった。

「急速に進化する新型コロナ環境の最新データを検討した結果、MicrosoftはCES 2022での直接参加を見送ることを決定しました」と同社はThe Vergeに送った声明の中で述べた。

2年近く続いたバーチャルショーからのコンシューマーエレクトロニクス業界の復帰とみなされていた同イベントは、オミクロン株に関する懸念がホリデーシーズンの旅行者数の増加と相まって高まる中、この1週間で急速に勢いを失いつつある。

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インテルもCESへの対面式参加見送りを決定、バーチャル体験に転換
GMもCES出展を中止、主催者は今も対面式イベントを計画中

CESの運営団体である全米民生技術協会(CTA)は、物理的な展示会を予定どおり開催するという決定に変わりはないと述べている。米国時間12月23日夜、GoogleとGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ)が相次いで参加中止を表明したことを受けて、CTAはTechCrunchの取材に応じ、同協会の会長兼CEOであるGary Shapiro(ゲーリー・シャピロ)氏から新たなコメントを発表した。

ラスベガスで開催されるCES 2022には、2200社以上の企業が対面で参加することを確認しています。私たちの焦点は今も、テック業界が集結し、対面で参加できない人たちにCESのマジックをデジタルで体験してもらうことです。CES 2022は、規模の大小を問わず、世界中の企業が製品を発表し、ブランドを構築し、パートナーシップを結ぶ機会を提供します。CESにおけるワクチン接種の義務化、マスク着用、PCR検査提供といった包括的な健康対策に加え、参加人数制限と社会的距離対策により、参加者、出展者はラスベガスの会場で社会的距離を置きながら、あるいはオンラインで体験する場合も、有意義で生産的なイベントに参加できると確信しています。

2日前に発表されたCTAの声明では、バックアウトの影響は出展スペースの約7%に止まっているとのことだった。CTAは、大手企業や、同様に慎重な姿勢をとっているより小規模なスタートアップ各社が急速に撤退していることを考慮し、まだ最新の数字を発表していない。

現在、Samsung(サムスン)、LG、BMW、Qualcom(クアルコム )、ソニーなど、多くの大手企業が対面式の参加を続ける姿勢を見せている。

画像クレジット:Akio Kon/Bloomberg / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

EU、マイクロソフトの音声認識技術企業Nuance買収を無条件で承認

欧州連合(EU)の競争当局は、Microsoft(マイクロソフト)が2021年初めに発表した音声認識(文字起こし)技術企業Nurance(ニュアンス)の197億ドル(約2兆2500億円)での買収を全面的に承認した。

EUは12月21日、買収実行にともなうEUでの競争上の懸念はないと結論づけ、条件を付さずに承認したと発表した

この買収は、11月16日に欧州委員会の規制当局に通知された。

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MicrosoftのNuance買収がEUの承認を得た一方で、英国の競争・市場庁は予備調査を開始したばかりだ。まだ精査が続く地域もあるということだ。

EU側では、欧州委員会の調査は、音声認識ソフトウェア市場におけるNuanceとMicrosoftの水平方向の重複を調査し、両社がまったく異なる製品(エンドユーザー向け既製ソフトと、アプリに音声認識技術を追加したい開発者向けのAPI)を提供していると判断した。

また、2社の統合後も、他のプレイヤーとの「強い」競争に引き続き直面することになるとも判断した。

EUは、MicrosoftのクラウドコンピューティングサービスとNuanceのヘルスケア向け下流音声認識ソフトとの垂直的な関連性にも注目したが、この分野で競合する音声認識サービスプロバイダーは、クラウドコンピューティングをMicrosoftに依存していないことがわかった。

また、欧州委員会によれば、この種の音声認識サービスプロバイダーは、クラウドコンピューティングの主要ユーザーでもないという。

同委員会の調査では、Nuanceのソフト(Windows版のみ)とMicrosoftの数多くの製品との複合的な関連性も検討されたが、統合後の企業は、(医療)音声認識ソフト、法人向け通信サービス、CRMソフト、生産性ソフト、PCオペレーティングシステムの市場において競合企業を排除する能力やインセンティブを持たないとの見解に至った。

そして、ここでもまたEUは、統合後の企業が依然として強い競争に直面することになると判断した。

おそらく最も興味深いのは、欧州委員会がNuanceのソフトによって書き起こされたデータの利用について調査したことだ。興味深い理由は、医療データの機密性が非常に高いからだ。Microsoftはアドテク分野では巨大プレイヤーではないが、同分野で事業を拡大する野心を持つ。ちょうど米国時間12月21日、同社はデジタル広告事業を強化するため、AT&Tからアドテク企業のXandr(旧AppNexus)を買収すると発表した

さらに、すでに大規模なデジタルマーケティング事業を展開している巨大テック企業のOracle(オラクル)が、電子カルテシステムを提供するCerner(サーナー)の買収を発表し、同社のヘルスケア分野への壮大な構想を示すことになった。

もちろん、アドテク企業が健康データを手中に収めるという見通しは、プライバシーに関して多くの人々を不安にさせる

しかし、MicrosoftによるNuance買収のデータ面に関する評価は、既存の「契約上の制約」とEU地域のデータ保護規制のおかげで、問題なしとされた。

その分析は主に競争の観点からなされたが、EUの反トラスト法評価で(さらに)データ保護に焦点が当たったことは注目に値する。(先例として、EUがGoogleのアドテクを現在も精査している件がある。欧州委員会は2020年、GoogleのFitbit買収を承認したが、プライバシー擁護派から多くの批判を受けた。このケースでは、承認にあたり、GoogleがFitbitの健康データを広告に利用することを制限するという条件を付した)。

「欧州委員会は、Nuanceが自身のサービスを提供するためにのみ健康データを使用することができると結論付けました」とEUはMicrosoftのNuance買収承認に関するプレスリリースに書いている。「データを他社が利用することはありませんし、契約上の制約やデータ保護法の関係で他の目的には使用できません」。

EUの反トラスト部門はまた、Nuanceのデータへのアクセスは、Microsoftに、競合する医療ソフトプロバイダーを締め出すことができるような優位性を与えることはないと結論付けた。「重要な音声認識情報は、Nuanceの断片的な音声データとは異なり、複数のソースからのデータを組み合わせた電子カルテシステムなどのサードパーティアプリケーションに通常格納されています」。

以上からだけでも、電子カルテシステムのプロバイダーであるCernerのOracleによる買収に関しては疑問が生じる。すなわち、EUの競争規制当局が、ハイテクヘルスケア分野の大型ディールを検討するようになれば、より厳しい質問をぶつけてくる可能性があるのではないかということだ。

ただし、Cernerは2020年欧州のポートフォリオの一部を売却しており、同地域の顧客が比較的少ないため、EUの懸念の範囲は縮小または限定されるかもしれない。

画像クレジット:Kena Betancur/VIEWpress/Corbis / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

長きにわたるマイクロソフトの中国ローカライズの結果

LinkedInの中国向け新アプリ「InCareer」のスクリーンショット

2019年、LinkedInが中国ユーザーの電話番号を求め始めたとき、プロフェッショナルなソーシャルネットワークが同国で異なるルールに従わなければならないことは明らかだった。しかし、中国当局が求める実名認証体制を整えるだけでは不十分で、検閲の要求と表現の自由を謳う「西側の価値」を守ることのバランスを取るという難題が山積していることに気づいた。

解決策は「撤退」だった。2021年10月、Microsoft(マイクロソフト)はLinkedInの中国版を終了させると発表した。中国版LinkedInは、携帯番号認証などの特別な要件を除けば、依然として「グローバル」版とほとんど同じように機能していたのだ。2021年12月13日、Microsoftは中国のApp StoreとサードパーティのAndroidストアで「InCareer」と呼ばれるLinkedInの代替アプリを紹介した。このアプリは求人に特化しており、LinkedInの外観を備えているが、中国のMicrosoftチームによるコンテンツ監視が必要になるため、ソーシャルフィードやコンテンツ投稿のオプションがない。ただ、InCareerは、メッセージング機能は維持している。

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

LinkedInはブログの投稿で、この動きについてこう説明している。

中国の会員が仕事や経済的な機会を見つける手助けをすることに成功しましたが、情報を共有したり、把握したりするような、よりソーシャルな側面では同じレベルの成功は見つけられていません。また、中国での事業環境は非常に厳しく、コンプライアンス要件も厳しくなっています。

中国からサービスを撤退した外国の大手ハイテク企業はMicrosoftだけではない。近年、中国は、インターネット企業が収集できるデータ量から国境を越えたデータ移動の方法まで、すべてを規制する新たなサイバー規制を多数導入している。TechCrunchの親会社であるYahoo(ヤフー)は最近「ビジネスと法的環境がますます厳しくなっている」ことを理由に、中国から撤退している。

LinkedInのアプリを使用している中国ベースのユーザーは、InCareerをダウンロードするよう促されるが、ウェブブラウザとVPNを介してフルバージョンにアクセスすることは可能である。しかし、これらの追加フェンスは、すでに中国でのリーチが限られていたプラットフォームからユーザーを遠ざけることになりそうだ。

LinkedInは、主に外国人や多国籍企業や国境を越えたビジネスに従事する中国人ユーザーの間で人気があったが、一方で地元の競合であるMaimai(マイマイ)の方がより知られている。市場調査会社の iResearch(アイリサーチ)によれば、4月には、中国のユーザーが専門的な SNS アプリに費やした時間の 91% が Maimai によって占められているという。

Microsoftの中国におけるもう1つの生き残りサービスであるBingも、最近困難に直面している。ユーザーからの報告やGreatfire.orgによると、12月20日の時点ではオンラインに復帰したようだが、同検索エンジンが12月18日に中国でアクセス不能になっていたという。TechCrunchは、この状況についてMicrosoftに問い合わせている。

検索エンジンを提供する同社が掲示した告知によると、この出来事は、Bingが「中国の法律に基づいて」中国での検索自動入力機能を30日間停止したことにともなったものだという。同サイトがどの法律のことを指していたのかは不明だ。

Bingは2019年、地元のライバル企業であるBaidu(百度)の評判が落ちた際に、中国で一時的に停止していた。当時は、Bingに大量に移行したBaiduのユーザーが米国のサイトをクラッシュさせたのではないかという憶測が飛び交った。

長年放置されてきた海外のテック企業が、中国の法律にキャッチアップしていく姿は珍しいことではない。Apple(アップル)は、関連する規制が施行された数年後に、中国のApp Storeから無許可のモバイルゲームに対する取り締まりを開始した。Bingの停止は、中国では利用者が少ないために長い間注視されてこなかった同検索エンジンが、ついに抜け道である検閲官の神経を逆なでするような自動入力候補機能を閉じるよう命じられた同様のケースといえるかもしれない。

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Microsoft Teamsのエンド・ツー・エンド暗号化(E2EE)機能が一般提供開始、1対1の通話時に利用可能

Microsoft Teamsのエンド・ツー・エンド暗号化(E2EE)機能が一般提供開始、1対1の通話時に利用可能

Microsoft

Microsoftは12月14日(現地時間)、10月からプレビューとして公開していたMicrosoft Teamsのエンドツーエンド暗号化(E2EE)機能を一般提供開始したと発表しました。

この機能は、1対1の通話時に利用できるもの。ただし、デフォルトではオフになっており、利用するには組織のIT管理者がオプションを有効にし、かつユーザーもチーム設定でE2EEをオンにする必要があります。なお、E2EEが有効になっている場合には、呼び出し画面の左上隅に、暗号化していることを示すインジゲーターが表示されます。

Microsoft Teamsでは、すでに転送中および保存中のデータの暗号化が行われています。これに加えて1対1での通話時にはさらに強力な保護が加わるわけですが、その弊害として、E2EEを利用した通話では、録音、ライブキャプション、通話転送、コールパーク(保留)などの一部機能が利用できなくなります。これらの機能が必要な場合には、E2EEを無効にする必要があるとのことです。

(Source:Microsoft(1)(2)Engadget日本版より転載)

英独禁監視当局がマイクロソフトのNuance買収を調査中

2021年初めに発表された、Microsoft(マイクロソフト)による197億ドル(約2兆2380億円)での音声テキスト化企業Nuance Communicationsの買収は、英国の活発な反トラスト監視当局の注意を引いてきた。そして当局は12月13日、提案されている取引に懸念すべき理由があるかどうかを評価するために第1段階の調査を行っていると発表した

関連記事:マイクロソフトが過去2番目規模で文字起こし大手Nuance Communications買収、ヘルスケア分野のクラウドを強化

競争市場局(CMA)が第1段階の調査を開始するかどうかの決定は追って行われる予定だ。

現在のところ、規制当局がこの決定を下すまでの期間は示されていないが、CMAが利害関係者にコメントを求める協議期間は2022年1月10日までとなっている。

買収案に対する独占禁止法上の監視は何カ月にもわたることがあり、少なくとも取引完了に大きな遅れをきたす可能性がある。

CMAはこの件に関する声明の中で「取引が実行された場合、2002年企業法の合併規定に基づく関連する合併状況の創出につながるかどうか、またその可能性があるかどうかを検討しており、もしそうであれば、その状況の創出が英国の商品またはサービスの市場における競争の実質的な低下につながることが予想されるかどうかを検討している」と述べている。

Microsoftは、4月にNuance買収を発表した際に、ヘルスケア分野でのプレゼンスを強化するために音声テキスト化企業を買収すると述べていた。ヘルスケア分野では、Nuanceが多くの臨床医支援製品を開発している(遠隔診療の記録のためのテック、臨床文書作成のための音声認識ツール、AIを活用した放射線診断レポートなど)。

反トラスト規制当局は、今回の買収計画をさらに精査する必要があると判断した場合、第1段階の調査を開始する。その後、まだ懸念すべき理由があると判断した場合、より詳細な第2段階の調査を開始する可能性がある。

また、いずれかの段階で、懸念される競争上の問題がないと判断し、買収を許可することもあり得る。

逆に、懸念がある場合には、買収を実行する前に救済措置が必要と判断したり、買収停止を命じたりする可能性もある。

Nuance買収計画に対するCMAの予備調査について、Microsoftにコメントを求めている。

Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Google(グーグル)、Microsoft、さらにはFacebook(フェイスブック)などのテック大手は何年もの間、健康状態の追跡やモニタリングなどを行うツールの開発に関心を示してきたが、デリケートな分野への進出は、重要分野のデジタル化が進む中で、企業の支配力や市場力をさらに強めることになるのではないかという懸念がある。

一方、英国では、プラットフォームの力を考慮して国内の競争法を再編成しているところで、「競争促進」の体制を導入し、大企業の市場支配力から中小のイノベーターを保護したいとしている。

競争監視委員会は、CMA内部に設置される新しい部署Digital Markets Unitにハイテク企業を監督する権限を与える法案に先立ち、M&A活動やその他の主要な動き(Googleの戦略的な「プライバシーサンドボックス」計画など)を引き続き監視している。

関連記事:英国でテック大企業を監視する新部署「DMU」発足、デジタル分野の競争を促進

最近では、CMAはMeta(元Facebook)に対し、アニメーションGIFプラットフォームGiphyの買収を取り消すよう命令した。これは、これまでハイテク大手のM&Aに異議が唱えられることがほとんどなかったことを考えると、競争監視において注目すべき出来事だ。CMAは、プラットフォームの力と野心に挑戦する最前線にいることを強調している(命令によって面倒な取引破棄が必要な場合もある)。

画像クレジット:Jeenah Moon/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】Surface Duo 2、前機種よりはるかに洗練されたがいまだ進化の途上

現状に挑戦することが簡単であれば、私たちはもっと多くを知ることができるだろう。それはスマートフォンの世界では、10年半以上にわたりデフォルトになっているフォームファクターの長方形から離れて考える勇気を意味する。スマートフォンの販売が停滞している中、企業は徐々にだが確実にその流れを試している。

近年、進化の行き詰まりがいくつか見られた。ZTEのAxon Mが思い浮かぶ。重大な欠陥があるとはいえ、あらゆる意図と目的において、2つのスマートフォンをつなぎ合わせるというのは勇気ある試みだった。Samsung(サムスン)の折りたたみスマートフォンも、早くから同じような運命にあったようだ。

数世代を経て、同社は状況を好転させてきたものの、プロダクトラインとプロダクトカテゴリ両方の長寿性とメインストリームへの意味合いについては、依然としてあまねく疑問が残されている。GALAXY Z Flip 3は、使ってみて楽しい時間を過ごしたと素直に言える。意図された通りに動作し、他の折りたたみ式デバイスのように扱いにくくはなく、正直なところ、筆者が勧める第一の折りたたみ式デバイスだ。

Samsungと同様、Microsoft(マイクロソフト)もこの分野で優位に立っている。同社はかなり前にメインストリームのモバイル大手になるという希望を捨てた。もちろん努力が足りないからではない。しかし、72億ドル(約8200億円)でNokia(ノキア)を買収したからといって、その夢を実現できるわけではない。代わりに同社はSurfaceシリーズのハードウェアに慰めを見出し、いくつかの真に魅力的なフォームファクターを生み出した中程度の成功を収めた。

画像クレジット:Brian Heater

初代のSurface Duoは、標準的なPC / タブレットのフォームファクターを超えた考え方を誇るプロダクトラインの方針から生まれたものだ。同社は2019年10月のイベントで、デュアルスクリーンのノートPC「Neo」と、より小型化されたデュアルスクリーンのAndroid搭載端末「Duo」を発表した。前者は生産着手には至らなかった。Microsoftは5月にWindows 10Xのリリース計画を断念することを認めたが、Neoにも同様の意向が伺える。

2020年秋に発売されたDuoは2021年最も待ち望まれていたデバイスの1つだった。ZTEと同じように、Microsoftは、2つの画面をヒンジで融合することで折りたたみ式ディスプレイの必要性を回避した。それでも、10年近くにわたってSurfaceのハードウェアを手がけてきた同社は、明らかにこれまでよりはるかにエレガントなソリューションを生み出した。しかしながら、これまでのAxon Mと同様、初代Duoも大いに失望を招く結果となった。

ハードウェアの観点からは失敗ではなかったものの(セールスは違うストーリーかもしれないが)、問題が多すぎて1400ドル(約15万9000円)という提示価格を正当化できるものではなかった。外部カメラがないこと、ソフトウェアにバグがあること、5Gを搭載しないことなどが、課題の多いこのデバイスの主な問題点だった。第一世代の製品は不完全になる。これがアーリーアダプターの窮状だ。

画像クレジット:Brian Heater

しかし、消費者にこれだけの金額を払って新しいデバイスを買ってもらうには、期待される品質のレベルがある。初代Duoが満たせなかったものだ。ただし、Microsoftがこれに耳を傾けたことは称賛に値する。もちろん、最初のプロダクトを購入した少数の人には役に立たないものの、同社は将来の顧客により良いサービスを提供することをコミットしている。そういう意味では、Surface Duo 2は単に初代デバイスをアップデートしただけではなく、前世代の最大の過ちを正そうとする取り組みでもあるのだろう。

最初のDuoがこの新しいモデルに近かったなら、Microsoftはかなりの心痛を軽減していただろうという、かなり説得力のある主張ができる。Snapdragon 888と5Gの追加、背面トリプルカメラの搭載、デュアルスクリーン間のギャップの縮小、ソフトウェアの継続的な改善は、正しい方向への重要なステップである。しかしDuo 2は、ユーザーが心から勧めるようなデバイスというのにはまだほど遠い。Microsoftが今後数世代にわたってこのデバイスに投資を続けていけば、問題が根本的なものなのか、それとも単に継続的な改善が必要なものなのかを判断することになろう。

画像クレジット:Brian Heater

ディスプレイ間の切り替えにまだバグがあるソフトウェアは、後者になる可能性が高い。Microsoftは自社のデュアルスクリーンソフトウェアの開発に加えて、Google(グーグル)がSamsungなどの企業と行ってきた作業の多くを活用し、折りたたみ式ディスプレイで動作するバージョンのAndroidを開発している。もちろん、折りたたみ可能、かつデュアルスクリーンというフォームファクターを開発することは、完全な1対1ではない。しかし、Microsoftの膨大なリソースを考慮するなら、その体験を完全なものすることは、同社がどれだけの時間と資金を投じるかにかかっていると言えそうだ。それはひいては、このデバイスに関心があるという認識の産物でもあるのだ。

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初代Duoは内部カメラでの撮影に依存していたが、Duo 2には背面カメラが3つ搭載されている。これは一見すると確かに良さそうであり、間違いなく改善されている。しかし、カメラアプリは必要最低限のもので、画質はかなり安価なシステムと比較しても常に標準を下回っていた。Duoは混合光と微光の両方で苦戦した。それは2021年に1500ドル(約17万円)のシステムに期待するものを超えるものだった。

画像クレジット:Brian Heater

MicrosoftはSamsung、Apple(アップル)、あるいはGoogleほどモバイル写真撮影に投資していない。そのことは確かにここに表れているが、将来の世代で改善できることでもある。しかし、最終的には、カメラがデバイスの根本的な問題の1つを引き起こすかもしれない。初代Duoが内蔵カメラに依存していた理由の1つに、フォームファクターの実用上の問題がある。つまり、デバイスを開き、一方にカメラ、もう一方にビューファインダーとして機能する第2のディスプレイという構成で、本体を反転させるという点だ。

同社は実際、カメラの突起部分をうまく処理しており、ディスプレイの背面はやや斜めに重なっている。しかし、実際にそれを使うのは厄介だ。撮影した写真を表示するためのセカンドスクリーンがあるのは便利だが、そのプロセス自体は扱いにくく、タブレットを使って被写体を撮影しようとする感覚に近い。

このように避けられないと思われる欠陥がいくつかあるものの、Duo 2はハードウェアとして優れており、5月に初代Duoに搭載されたMicrosoft Penサポートやデュアルスクリーンゲームなどの機能が追加されたことで、プロダクトはあるべき姿に近づいている。Glance Barのように、デバイスを閉じたときに画面の隙間に通知がちらりと表示される便利な機能もあり、Microsoftが自身の保有するフォームファクターで巧みに仕事を続けていることを示している。しかし、継続的な問題と1500ドルという提示価格を考えると、このプロダクトが真の意味でメインストリームになるという見込みは、ひいき目に見ても何世代も先の話になりそうだ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)