アマゾンとの入札競争に勝ったマイクロソフトは米国防総省の1兆円相当のクラウドを作る

米国防総省は米国時間10月25日、Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI、防衛基盤統合事業)クラウドの入札競争でMicrosoft(マイクロソフト)が契約を勝ち取ったと発表した。それは10年間で最大100億ドルにもなる事業契約だ。これに関しマイクロソフトは、ペンタゴンの事業とミッションの実施の双方でインフラとプラットホームサービスを提供する。

国防総省のCIO(情報担当最高責任者)を務めるDana Deasy(ダナ・ディジー)氏は、関連する発表で「(2018年の)国家防衛戦略は、我が国の制服を着た女性と男性に現代的な技術能力を開発装備する速度と実効性を向上すべきことを命じている。国防総省の(2019年の)デジタル近代化戦略は、この至上命令を支持するために作成された。今回の契約裁定は、デジタル近代化戦略の執行における重要段階である」と述べている。

マイクロソフトはこの巨額な入札競争の最終ラウンドでAmazon(アマゾン)を破った。それより前のラウンドではIBMやOracle(オラクル)のような競合企業が2社に敗退した。多くの識者は、アマゾン有利と見ていた。

アマゾンのスポークスパーソンは「この結果は意外である。AWSは明確にクラウドコンピューティングのリーダーであり、互いに競合する分野の詳細比較では、これとは異なる結果に導いていた。弊社は今後も、このまだ新しいデジタルの戦場のためのイノベーションに深く関わっていくつもりであり、そこではセキュリティと効率と自己回復力とリソースのスケーラビリティが成功と失敗を分かつであろう」とコメントしている。

ここに至るまでの過程は「複雑でない」とはとうてい言えない。さまざまな訴訟があり、土壇場の棄権あり、 そのほかの論争や議論もあった。ある時点では大統領の介入もあった。

まだ残っている問題は、マイクロソフトの社員がこれにどう反応するかだ。昨年は、何人かの社員が、会社がこの入札に参加しないことを求める公開書簡を発表した。さらに最近では、GitHubの総額20万ドルと比較的小額な、合衆国移民関税執行局との契約に同社の社員が抗議した。こんな背景がある以上、同社がペンタゴンの契約を勝ち取ったことも同様の抗議に遭うだろう。

関連記事
Microsoft continues to build government security credentials ahead of JEDI decision(Microsoftがセキュリティに関する政府の信用を獲得中、未訳)
米国防省は1兆円超のJEDIクラウドの最終候補にMicrosoftとAmazonを選定、Oracleは選外

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトの2019年9月締め四半期は絶好調だがAzureの成長率は下降が続く

Microsoft(マイクロソフト)の2020年会計年度の第1四半期(2019年7〜9月)の結果はアナリストの予想を大きく超えたが、しかしAWSと競合するAzureの成長率は引き続き減少している。

第1四半期の同社の売り上げは前年同期比で14%伸びて331億ドル(約3兆6000億円)になった。純利益は21%増の107億ドル(約1兆1600億円)、1株あたり1.38ドル(約150円)だ。

Office製品やLinkedInなどを含むMicrosoftのProductivity and Business Processes(生産性とビジネスプロセス)部門の売り上げは13%増えて111億ドル。LinkedInの売り上げは25%増加した。

一方、同社のIntelligent Cloud(インテリジェントクラウド)部門の売り上げは27%伸びて108億ドルだ。サーバープロダクトとクラウドサービスは30%伸びた。同社によると、Azureの売り上げは59%増加したが、この成長率は前年同期の76%に比べると落ちている。成長率はそれ以降落ち込みが続き、前四半期の成長率64%よりさらに下がっている。パーソナルコンピューティング部門は4%増加して111億ドルの売り上げだった。

同社の予想では、第2四半期(2019年10〜12月)0の売り上げは351億5000万ドル(約3兆8200億円)から359億5000万ドル(約3兆9000億円)の間だ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルはG Suite責任者に元マイクロソフトのバイスプレジデントを指名

Google(グーグル)はGmailやHangouts、Google Drive、Docs、Sheetsといったビジネスツールを含む、プロダクティビティと共同作業のためのバンドルことG Suiteの責任者として、Microsoft(マイクロソフト)のCortana(コルタナ)部門とOutlook部門のバイスプレジデントを務めたJavier Soltero(ハビエル・ソルテロ)氏を迎えた。

ソルテロ氏は米国時間10月21日に、「チームと協力して、世界中の人々の生活に大きな影響を与える製品を開発することは、本当に光栄だ」とツイートした。

ソルテロ氏は、5年前にMicrosoftがモバイルメールアプリケーションのAcompliを2億ドル(約220億円)で買収した後に移籍し、昨年末まで同社に在籍していた。彼のLinkedInのプロフィールは現在、2019年10月からG Suiteのバイスプレジデントに就任していると記載されている。

CNBCがGoogleからのメールとして報じた内容によると、ソルテロ氏はGoogle CloudでCEOを務めるThomas Kurian(トーマス・キュリアン)氏(Dianne Green:ダイアン・グリーン氏が昨年辞任し後任となった人物)の直属となる。

現在は広告&コマース担当シニアバイスプレジデントを務めるPrabhakar Raghavan(プラバカール・ラガヴァン)氏が、以前はプロダクティビティのバンドルを担当し、Google AppsとGoogle Cloud担当バイスプレジデントを務めていた。しかし、Googleは今回G Suite専用のバイスプレジデントの地位を用意した。おそらくは、ソルテロ氏を次の大きな業界の動きに呼び込み、マイクロソフトと直接競合することになるだろう。

この動きは、マイクロソフトがユーザーを製品の単体購入からOffice 365のようなサブスクリプションベースのクラウド版に移行させようとしていることに呼応し、同社への対抗を意図しているようだ。

今年の夏、GoogleでCEOを務めるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はクラウド事業部門の年間収益予想が80億ドル(約8700億円)で、2018年初めの40億ドル(約4300億円)から上昇したと発表した。しかし、マイクロソフトのAzureクラウドには遅れをとっている。

ピチャイ氏は、Googleが今後数年間でクラウド製品の販売規模を3倍にする計画だと付け加えた。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Surface ProはUSB-Cとチップで大幅アップグレード、そのほかの新味はなし

第1世代のSurface Pro 2-in-1が発表されたとき、このデバイスが実際に人々が使用したいものなのかどうか、私は確証が持てなかった。しかしMicrosoft(マイクロソフト)は明らかに何かを企んでいた。それは、コーヒーショップの引き出しにSurface Proがあるのが増えているのを見れば明らかだ。今月初め、 Microsoftは第7世代のSurface Pro 7Surface Pro Xを発表した。XのほうはこのところのSurface Proの動きの中で最も興味深いアップデートかもしれない。スリムでスクリーンが大きく、そしてベゼルは狭くなっていて、たくさんの新しい仕様も加わっている。しかし749ドル(日本では10万9780円)からで米国時間10月21日に発売されるSurface Pro 7は、既存ユーザーがまさに欲しかった機能を搭載している。

Surface Pro 7の新要素をまとめるのはたやすい。新たな第10世代Intel(インテル)チップ、そして充電やアクセサリーの取り付け用にUSB-Cポートを搭載した。Surface Penと取り外し可能なキーボードはやや高価で、引き続きオプションという位置付けだ。ただマイクロソフトによると、大方のユーザーがタイプカバーキーボードを購入するが、ペンを求める人はキーボードほど多くはないとのこと。

これらアクセサリーには新色が登場した。ポピーレッドとアイスブルーだ。ポピーレッドはマイクロソフトが私に提供したテストデバイスの色で、かなりの赤色だった。タイプカバーは少し硬く感じるが、硬さを測るのは難しい。

インテル最新のCore i3とCore i5チップを搭載するモデルはファンなしだが、Core i7搭載モデルはファンが付いている

そのほかは似ている。近頃はやや厚すぎのように感じるベゼルや、サイドにある通気口の薄いストラップなど、全体的なデザインはそのままだ。キックスタンドがそのまま備わっているのは驚きではない。USB-Cポートを1つ加えた一方で、SurfaceコネクターのプラグはSurfaceを充電したりドッキングステーションにつなげたりするためにそのまま残されている。

出先ではほとんどProを使うため、USB-AとUSB-Cが1つずつというのは大きな問題ではないように思う。もし家で使う場合は、199ドル(日本では2万7940円)のSurface Dockを入手するのがよさそうだ。

デザインに関しては、USB-Cポートを重視しないのなら、Pro 7と最近のSurface Proの間に大きな差は見い出せないかもしれない。その他の点ではほぼ一緒だからだ。

私はこのほど旅先で、Core i5で動くSurface Pro 7を使った。マイクロソフトは、新しいインテルチップが前世代の倍速く作動することを約束している。そうした数字は人工的なベンチマークでのものだろう。日常使いにおいては、私がテストした過去の同じ価格帯のSurfaceよりも少しスムーズに動くように感じた。私はほとんどペンを使わないが、使用する場合はほとんどにおいて目立ったラグはなく、使い勝手はいたってシームレスだ。

マイクロソフトはバッテリーが1日中持つことを約束しているが、実際に体験して確認した。私はSurfaceを使って飛行機の中で数時間にわたって記事を書き、乗り換えの際にネットサーフィンをし、夜にNetflixを観た。

もしSurface Proに興味があるのなら、これは明らかに買いだ。もしSurface Pro 5か6を持っていてそのパフォーマンスに満足しているのなら、アップグレードする理由はない。ユースケースにもよるが、Surface Pro Xはいずれ入手すべきものかもしれないが、発売までにまだ2週間ある。実際の性能がどのようなものなのか、999ドル(約11万円)からという高価格に値するものなのか見極める必要がある。2週間後にTechCrunchでまた紹介するのでお楽しみに。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

マイクロソフトがペアレンタルコントロールにアプリごとの時間制限を追加

米国時間10月8日、Microsoft(マイクロソフト)はペアレンタルコントロールのソフトウェアに、アプリやゲームごとの利用時間の制限を設けた。この点でアップルとグーグルに差をつけられていたが、追随した形だ。マイクロソフトは、Windows 10とXbox One、そしてAndroidではMicrosoft Launcher経由でスクリーンタイムを制限できるようにしていた。しかし競合他社とは異なり、子供が特定のアプリやゲームに費やす時間を制限する機能はまだ実装していなかった。

これまでのコントロール機能で制限していたのは、画面を見ている時間の合計だけだった。保護者は、その時間の使い方は子供に任せるか、デバイスレベルで制限するか、どちらかを選ぶことができた。例えばXboxの使用は1時間だけで、PCはもっと長時間使っていいというような制限だ。

しかし、スクリーンタイムをすべて非生産的で不健康なものとして管理するのは、現在のトレンドではない。中毒性が高く子供の時間を食いつぶしてしまうアプリやゲームを制限し、その一方で教育に役立つツールにはあまり制限を設けないという方向になっている。

ティーンエイジャーやその少し下の世代では、TikTokやInstagramなどのソーシャルメディアアプリが問題になりやすい。さらにその下の世代ではRoblox(ロブロックス)やFortnite(フォートナイト)といったバーチャルな世界に「入りびたる」ものに熱中して時間を使ってしまう。これはかなり深刻な問題だ。モバイルゲームは、ガチャのようなギャンブル性のある方策で子供たちを引きつけようとしていると非難されている。フォートナイトは、スロットマシンのようなメカニズムと変動制の報酬が子供の脳に悪影響を及ぼし、中毒性があるとして、訴訟を起こされている。

問題となりそうなアプリ自体を制限するのでなければ、子供は設定されたスクリーンタイムのすべてを夢中になっているアプリやゲームに費やしてしまうだろう。

アップルはiOS 12ですでにアプリごとにスクリーンタイムを制限できるようにしていた。グーグルは9月にファミリーリンクソフトウェアをアップデートし、新しいAndroidデバイスにプリインストールして、同様の機能を実現している。

今回のアップデートで、マイクロソフトでも同等のことができるようになった。

アプリやゲームの制限を保護者が設定すると、Windows 10、Xbox、Microsoft Launcherが動作しているAndroidデバイスのすべてにわたってその制限が適用される。つまり子供は、デバイスを変えても決められた時間以上はゲームをすることができない。

保護者は、例えば週末は平日より長く使えるようにするといった設定もできる。

この機能を使うには、保護者はファミリーグループと子供用のマイクロソフトアカウントを作成する必要がある。

この設定を有効にすると、制限時間の15分前に警告が表示され、さらに5分後に警告される。子供は「あともうちょっとだけ」とおねだりしがちなので、保護者は自分のAndroidスマホでメールかMicrosoft Launcherの通知を見て、時間の延長を許可するかどうかを簡単に決められるようになっている。

アプリごとの時間制限は、マイクロソフトのファミリー設定でプレビュー機能として公開されている。

マイクロソフトは発表の中で次のように説明している。「我々の最終的な目標は、アプリやゲームを制限する機能を、家族ごとに異なるニーズに応じて柔軟にカスタマイズできるツールにすることだ。何が子供に最適かを知っているのは保護者だ。テクノロジーがその代わりになれるわけではない。しかし我々は、このようなツールが適正なバランスを保つために役立つことを願っている」。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトのナデラCEOが「コンピューティングの未来はエッジにある」と講演

Microsoft(マイクロソフト)のCEOであるサティヤ・ナデラ氏は、ワシントンで開催されたカンファレンス「Microsoft Government Laders Summit」で講演し、Azureクラウドを「世界のコンピューター」だとしたものの、「エッジコンピューティングこそ未来だ」と述べた。

Amazon(アマゾン)やGoogle(グーグル)などクラウドコンピューティングを主力業務とするライバルは「Windowsを持つマイクロソフトのポジショントークだ」と反論するかもしれないが、多くの企業はクラウドに完全に移行してはいない。

ナデラ氏は「コンピューティングはまずローカルで実行され、抽出されたデータがAIや機械学習のような強力な能力を必要とする処理のためにクラウドに送られる」からだとその意味を説明した。情報はクラウドに出て行く前にローカルに入ってこなければならない、ということだ。

実際、ナデラ氏が指摘するように、コンピューティングの将来は「ローカルかクラウドか」というように二分できるものではない。エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングは相互に補完する関係にある。ナデラ氏は「新しいコンピューティングのパラダイムはインテリジェントクラウドとインテリジェントエッジによって動かされる」という。

ナデラ氏はこう述べている。

エッジ・コンピューティングのコンピューティング全般に与える影響を真に理解するめには2030年までにインターネットには500億のデバイスが接続されることになると予測したレポートを吟味する必要がある。これは驚くべき数字だ。現在我々のWindowsマシンは10億台ほどある。スマートフォンが数十億台あるだろう。これが2030年には500億台になっているだろうというのだ。

この調査が予測する500億台の大半はIoT(Internet of Things)デバイスだろう。こうしたデバイスが莫大なデータを生み出す。こうしたデータの奔流を処理するためには従来とは全く異なる方法を考え出さねばならないだろう。ナデラ氏は「エッジデバイスは我々の身の回りのあらゆる場所に存在することになるため、あらゆるビジネスプロセスにおけるコンピューティングについての考え方を大きく改める必要がある」という。ナデラCEOは「ユースケースが(聴衆の多くが関わっている)公共部門であるか民間ビジネスであるかどうかにかかわらず、データの生成が爆発的に増加するにつれて、人工知能による処理が必須となる」という。

ナデラ氏はこれによって人工知能の新たなユースケースが出現するだろうとして次のように述べた。

もちろん、豊富なコンピューティングリソースが利用できるなら、データとAIを組み合わせた新しい処理アセットを構築するできる。これは単一のアプリケーション、単一のエクスペリエンスであってはならず、既存のAIに頼ったものであってもいけない。つまり、大量のデータを処理してそこからAIを構築する能力が必要とされる。

ユーザーがこのような処理にAzureやWindowsなどMicrosoftのプロダクトを使ってくれるならナデラ氏は大いにハッピーだろう。エッジツールであれば、IoTからのデータをローカルに集約するData Box Edgeが2018にリリースされている。実際、マイクロソフトのプロダクトをするかどうかに関わらず、ナデラ氏の見通しは正しいものと思われる。

コンピューティングがエッジにシフトするにつれ、ベンダー企業が提供するテクノロジーやサービスがいかに広範囲であれ、ユーザーが単一のベンダーに縛られることは少なくなるだろう。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Surfaceイベントでマイクロソフトが発表した製品まとめ

米国時間10月2日のSurfaceのイベントは「flow」(フロー)がテーマだった。Microsoft(マイクロソフト)はニューヨークのステージで、何十回もこの言葉を口にした。同日のテーマは主に、デバイス間のエコシステムと、最後に披露されたサプライズとなる2つのデュアルスクリーン製品に関するものだった。

多くの噂は正しかった。Surface Laptopの新バージョンには15インチモデルが追加され、プロセッサがアップデートされ、待望のUSB-Cポートが追加された。Surface Proにも同様のアップデートと、改良されたスタジオマイクが搭載されてた。新しいSurface Pro Xには、Qualcomm(クアルコム)のアーキテクチャをベースとしたマイクロソフトによる新しいSQ1チップが採用されている。

噂があったにもかかわらず、マイクロソフトはいくつかの本物のサプライズを提供した。まずは、本当に奇妙なSurface Earbudsだ。マイクロソフトがApple(アップル)やGoogle(グーグル)、Samsung(サムスン)などの製品と差別化を図るポイントは、生産性の向上だ。大きくて丸いイヤホンは、音声変換やPowerPointのスライド操作、リアルタイム翻訳などの機能を含む、Office向けに設計されている。価格は249ドル(約2万7000円)だ。

さらに興味深いのは、Surface Neoの登場だ。このデュアルスクリーンPCにはクールなキーボード機構が搭載され、新OSのWindows 10Xを搭載した、来年のホリデーシーズン(年末)に発売される実に魅力的な製品になるはずだ。2020年のホリデーシーズンには、デュアルスクリーンのAndroid端末 「Duo」 が登場し、マイクロソフトはモバイル分野に復帰する。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトが折り畳み式デュアルスクリーンスマホ「Surface Duo」を発表

さまざまな情報がリークしていたものの、Microsoft(マイクロソフト)は米国時間10月2日のSurfaceイベントにて、最後まで大きなサプライズを残していた。同社は「Surface Duo」でスマートフォンに復帰する。しかも折り畳み式のデバイスだ。しかし同時発表されたモバイルデバイス「Surfac Neo」と同様、DuoにもGalaxy Foldのような折り畳み式ディスプレイは搭載されていない。ZTE Axon Mのように、2画面のディスプレイが接続されている。

これは、2つの画面の間に若干の隙間があり、マイクロソフトがイベントで語った「flow」(流れ)のすべてに制限があることを意味する。ただ、それは必ずしも悪いことではなく、異なる経験を意味する。Galaxy Foldとは異なり、セカンドスクリーンは映像ではなく、タイピングやコントロールなどのために設計されている。

興味深いことに、マイクロソフトはDuoにてGoogle(グーグル)と協力している。同社はWindows 10を移植したり改造したのではなく、Androidが動作するようにしたのだ。プロダクトマネージャーのPanos Panay(パノス・パナイ)氏は、Duoは「スマートフォンではなくSurfaceだ」と強調した(一方、NeoにはWindows 10Xが導入されている)。

Neoと同様、この製品も来年のホリデーシーズン(年末)までは発売されない。そのためマイクロソフトは、デュアルスクリーン体験のためのユニークなアプリを開発者に開発してもらう時間を得た。また現時点で発表されたということは、同社が当面はリークを恐れる必要がないということになる。

もちろん、今は回答よりも多くの質問がある。そして1年以上前もって発表される他のデバイスと同様、製品名などの多くの要素が変更されることが予想される。マイクロソフトは、Neoよりもさらに詳細を明かしていない。

製品が実際に発売されるとすれば、ユーザーがより一般的な折り畳みデバイスをどのように受け入れていくのかが興味深い。デュアルスクリーンには折り畳み式に比べて、両方向に折り畳めるといった利点がある。

Neoとは異なり、サードパーティーとの連携については言及されていない。また、他社のOSを採用しているため、リファレンスデザインモデルは実際には動作しない。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトがARMベースのSurface Pro Xを発表

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間10月2日、1年ぶりのSurfaceイベントにて、長らく噂されてきたARMベースのSurfaceを発表した。これは、同社によるARMベースのプロセッサを内蔵した初の製品となる。13インチのラップトップはQualcomm(クアルコム)のSnapdragonとAIアクセラレータをベースとするマイクロソフト独自のSQ1カスタムチップを搭載し、またAIエンジンを内蔵した初のSurfaceとなる。マイクロソフトとクアルコムは、ARM版Windows 10が動作するSurface Pro X向けにカスタムGPUコアも開発した。

Surface Pro Xは11月5日に999ドル(約11万円)から発売され、予約は本日より始まる。

マイクロソフトは数年前からARMベースのデバイスに取り組んでおり、HP(ヒューレット・パッカード)やASUS(エイスース)といった複数社から、バッテリーが1日持ち、ほとんどのWindowsアプリケーションが動作しつつ、intel(インテル)の下位プロセッサと同等の性能を持つARM搭載ラップトップが発売された。Microsoftはx86命令をARM64に変換するバイナリトランスレータを使用し、ネイティブなWindows10ライブラリのほとんどをARMアーキテクチャ向けにコンパイルした。

マイクロソフトの他の新型Surfaceデバイス同様、13インチでARMベースなSurface Pro XもUSB-CポートとLTE接続機能を用意している。ディスプレイは1400:1のコントラスト比と2880×1920ドットの解像度を実現し、4K解像度も選択できる。本体の最も薄い部分は厚さ5.3mmで、重さは1.68ポンド(約0.77kg)だ。また、Surfaceシリーズでは初めて取り外し可能なハードドライブを搭載している。

前述のようにマイクロソフトはクアルコムと協力し、独自のカスタムプロセッサことSQ1を設計した。マイクロソフトは、AIエンジンがチップに統合されていることを強調している。

同社はまた、Surface Pro X向けにスリムな新型Surface Penを発表した。これは、新しいType Coverに収納できる。

ARMが自社のチップをノートPCやデスクトップ、サーバ向けに提供するために注力していたことは、周知の事実だ。新世代の製品が登場するたびに、同社は多くのシーンで十分なパフォーマンスを発揮できるこれらの環境に、より多くのチップを搭載したいと述べていた。今回のマイクロソフトとの提携により、ARMは明らかにその目標に近づいている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトのワイヤレスイヤフォンはOfficeと連携する

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間10月2日、同社の優れたSurfaceヘッドフォンの続編を発表した。これは、特にOfficeと連携するように設計されている。249ドル(約2万7000円)と高額なこのワイヤレスイヤフォンには、PowerPointのスライド操作、音声書き換え、ライブ翻訳(60言語)など、生産性を高める機能が搭載されている。

このイヤフォンは、ひと言でいえば巨大だ。紹介動画でも、ステージ上のデモンストレーションでも大きかった。充電ケースはSamsung(サムスン)のワイヤレスイヤフォンとほとんど同じデザインだが、Surface Earbudsの本体は大きく完全に丸い形状だ。

他社のイヤフォンと同様、Surface Earbudsはワンクリックで簡単にペアリングできる。また、生産性を向上させる機能に加え、Spotifyといった一般的な音楽ストリーミングアプリとも連携する。なお、このイヤフォンはホリデーシーズン(年末)に発売される。

これは、実に興味深い動きだ。Apple(アップル)やGoogle(グーグル)、サムスン、ソニーを含む無数の企業が争うこの分野で、マイクロソフトはなにか違うことを試みている。また、自社の強みも生かしている。独自のモバイルデバイスもなければ、それほどクリエイティブなアシスタントもないマイクロソフトは、自社のプロダクティビティ製品とうまく連携する製品を提供し、原点に立ち帰ろうとしているのだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトのSurface Pro 7が遂にUSB-Cを搭載、10月22日発売

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間10月2日のハードウェアイベントにて、新モデルとなるSurface Pro 7を発表した。新型のSurface Proは、ついにUSB-Cポートを同社のコンバーチブルラップトップに追加した。これは、普及しつつある接続規格を待ち望んでいたファンにとって歓迎すべき変更である。

最新モデルのSurface Proは10月22日に発売され、価格は749ドル(約8万円)から。今日から予約注文が始まる。

これまでのSurface同様、Surface Pro 7も角度調整が可能な折り畳み式キックスタンドを備えた12インチのタブレットだ。キーボードカバーは取り外し可能で、スタイラスのSurface Penを使って書き込んだり絵を描いたり、メモもできる。

また、Surface Proには 「studio mics」(スタジオ・マイク)も搭載されており、これは新しいSurface Laptopにも採用されている。

「Studio micsはあなたの声と環境に完璧にチューンされ、周囲の音ではなくユーザーの声をキャプチャする」と、イベントで新デバイスを発表したデバイス担当コーポレートバイスプレジデントを務めるRobin Seiler(ロビン・セイラー)氏は伝えた。これは、通話やメッセージにおいてスマートフォンとコンピューターとを接続する機能を搭載した、WindowsアプリのYour Phoneでも利用される。

セイラー氏によると、Surface Proは市場で最も人気のある2 in 1製品で、Fortune 500企業の75%以上がSurfaceデバイスを購入しているという。

Microsoftは、Connie(コニー)というアーティストがデジタルペイントにPenを使っている動画で、Surface Proのクリエイティブな可能性を強調し、また2 in 1デバイスでのOfficeのさまざまな機能のライブデモで、生産性をアピールした。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトの新Surface Laptopは13/15インチの2モデル

米国時間10月2日朝のMicrosoft(マイクロソフト)イベントに関する噂は正確だった。ニューヨークのイベントで最初に披露されたハードウェアは、同社の優れたSurface Laptopの最新バージョンで、おそらくこの製品ラインで最も強力な製品だ。

以前のリーク情報によると、Surface Laptop 3には13.5インチと15インチのモデルがあるとされていた。興味深いことに、チーフプロダクトオフィサーのPanos Panay(パノス・パナイ)氏は登壇時間の大部分を費やして、そのキーボードを紹介した。どうやらApple(アップル)の最近のMacBookにて発生している問題を意識しているようだ。Surface Laptop 3のキーボード部分は簡単に取り外し可能で、修理や製品部品へのアクセスも容易だ。

13インチモデルには、第10世代のintel(インテル)製4コアプロセッサが搭載されている。パナイ氏によると、これは最新MacBook Airよりも3倍強力だ。一方、15インチモデルにはAMDの Radeonチップが搭載されている。また、待望のUSB-Cポート、スタジオクオリティのノイズキャンセリングマイク、サンドストン仕上げが採用されている。

Surface Laptop 3は10月22日に発売され、価格は13インチモデルが999ドル(約11万円)、15インチモデルが1199ドル(約13万円)だ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

幻の2画面PC「Courier」再び?10月2日深夜のSurfaceイベントでマイクロソフトが発表するモノ

ハードウェアの季節になり、Microsoft(マイクロソフト)の番がやってきた。同社は米国時間10月2日の午前(日本時間10月2日深夜)に、米国ニューヨークにてSurfaceの大イベントを開催する。昨年を含めいつものイベントのとおりであれば、数多くの新製品がビッグアップルで披露されるはずだ。

昨年のこの時期、マイクロソフトはSurface Pro、Surface Laptop、Surface Studioという新モデルを発表し、さらにオーバーイヤーヘッドホンをラインアップに加えた。今年もすでにいろいろなリーク情報がビッグな「サプライズ」を指し示している。

Surface ProとLaptopはいずれも改定されると言われている。Surface Pro 7のアップデートはIntel  (インテル)プロセッサーの変更や2019年の大流行、USB-Cポートなどおそらくイベントで最も地味なものになるだろう。一方Surface Laptop 3は、13インチと15インチの2モデルになり、新たにAMDプロセッサーが導入される可能性がある。

まったくの新しい話として、マイクロソフトはARM for Windows 10をSurface製品のプラットフォームとして、ついに採用すると思われる。噂によれば、ARMベースの2 in 1マシンがイベントで発表されるらしい。特徴は小型化とバッテリー持続時間の長さで、どちらもポータブル機器にとって重要だ。

そしてショウ最大の呼びモノは、待望のたデュアルスクリーンSurfaceだ。幻の「Courier」(クーリエ)から10年、マイクロソフトは新たなフォームファクターをラインアップに加えるかもしれない。では、カスタムメイドのWindows 10(名前はWindows 10Xと少々ややこしい)を搭載し、今年中の発売の可能性も指摘されている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトのOneDriveパーソナルVaultが日本でも利用可能に

2019年6月Microsoft(マイクロソフト)はOneDriveに新たなセキュリティレイヤーを追加した。この機能はOneDrive Personal Vaultという名前で、ユーザーは2段階認証、指紋認証や顔認証、またメールやSMS、Microsoft Authenticatorで送信されるPINコードまたはワンタイムコードでファイルを保護することができる。ただし公開当初は、この機能を利用できるのは一部の国に限られていた。米国時間9月30日に全世界への公開が始まり、加えて新しいストレージプランも開始された。

【訳注】OneDriveの日本語環境では「パーソナルVault」と「個人用Vault」の名称が混在しているが、本稿では「パーソナル Vault」と表記する。

マイクロソフトは、当初はオーストラリア、ニュージーランド、カナダでパーソナルVaultを公開するが、年末までには全世界のOneDriveユーザーが利用できるようにすると発表していた。

今回の範囲拡大はぎりぎり9月末で、当初の予定より少し早まったことになる。

OneDriveユーザーは誰でもパーソナルVaultを利用できるが、一部に制限がある。

OneDriveを無償、またはOneDriveのみの100GBストレージプランで利用しているユーザーは、パーソナル Vaultに最大3つのファイルを保存できる。Office 365サブスクリプション利用者は、ストレージ容量いっぱいまでいくつでもファイルをパーソナルVaultに保存できる。

認証の強化がパーソナルVaultの重要なセールスポイントだが、ほかにもセキュリティ保護機能がある。「Scan and Shoot」(スキャンと撮影)は、モバイルデバイスで書類や写真を撮影し、デバイス上のカメラロールなどではなく、直接パーソナル Vaultに保存する機能だ。また、パーソナルVaultは非アクティブ状態が20分続くと自動でファイルをロックし、意図せずファイルを共有してしまうことを防ぐ。また自動でファイルをWindows 10 PCのドライブ内にあるBitLockerで暗号化された領域に同期する。

マイクロソフトは、パーソナルVaultを全世界で公開するのと同時に、OneDriveの新しいストレージプランと、PCのバックアップやダークモードも公開した。

Office 365サブスクリプション利用者のストレージプランは、月額224円で200GBずつ追加できる。

PCのバックアップは、Windows PCの「ドキュメント」「画像」「デスクトップ」フォルダーをOneDriveにバックアップする機能だ。ライバルであるDropboxやGoogle Driveのデスクトップアプリなどと似ている。このオプションは、Windows 7、8、10のPCで利用できる。 Windows 10では、Windowsのセットアップやアップデート時にこの機能を使うかどうかを選択できる。

そしてOneDriveは、iOS 13のダークモードに対応した。

パーソナル Vaultは全世界ですでに公開されている。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがWindowsの脆弱性パッチを緊急リリース、ユーザーは即刻適用を

Microsoft(マイクロソフト)はWindowsユーザーに対して米国時間9月23日リリースした緊急セキュリティ対策を実行するよう強く要請している。

同社の説明によれば、これは一部のIE(Internet Explorer)でリモートでコード実行が可能になる脆弱性が発見されたことに対処するものだという。攻撃者が作成したウェブベージを訪問したり、悪意あるメールにより攻撃者のサイトへのリンクを開くなどした場合、ユーザーのWindowsはそれと気づかぬまま乗っ取られる可能性がある。

マイクロソフトは「この脆弱性の利用が成功した場合、攻撃者はWindowsの支配権を奪うことができる」と警告している。同社によればこの脆弱性は「現に利用されている」と分類され、被害者も出ているという。ただし詳細は明らかにされていない。

最近のデータによれば、ブラウザユーザーの7%以上が脆弱性のあるIE 9/10/11を利用しているという。IEに脆弱性がある場合、それをサポートするすべてのWindows 7/8.1/10クライアントおよびWindows Serverも被害を受けることになる。

この脆弱性はJScript(マイクロソフト製のスクリプト言語)のリモート実行に関するものであるため、JScript.dllへのアクセスを制限するためマイクロソフトが公開しているコードを書き加えることでも回避できる。

マイクロソフトはWindows標準のマルウェアスキャナー「Windows Defender」もアップデートもした。IEの脆弱性が利用された場合、DoS(サービス拒否)攻撃を受けた状態となりシステム防御が正しく機能しなくなる可能性があったためという。同社ではWindows Defenderの脆弱性は修正済みでありユーザーは特に何もする必要がないとしている。

マイクロソフトが月例のアップデート以外に緊急にパッチをリリースするのは異例だが、前例がないわけではない。同社は毎月第2週の火曜日にセキュリティパッチをリリースしており、「セキュリティ・チューズデイ」と呼ばれていた。しかし重大なセキュリティ上の問題が発見された場合はこれによらず随時、緊急パッチを発行してきた。

米国の国家安全保障省は独自のアドバイザリーで危険を警告している(情報処理推進機構もパッチを適用するよう推奨)。

【Japan編集部追記】このセキュリティパッチは9月の月例Windowsアップデートには含まれておらず、別途マニュアルでダウンロードし、独立のアップデートとしてインストールする必要がある。

Windowsメニューから「システム」を開き、使用OSのバージョンを確認する。次にMicrosoftのセキュリティ・アップデートの当該ページを開き、内容を確認する。下にスクロールして「ソフトウェア更新」の一覧の「ブラットフォーム」欄で先程チェックしたバージョンに相当するパッチを選択する(「Windows 10 Version 1903 for x64-based Systems」などと表示されている)。「ダウンロード」欄をクリックし、「Microsoft Update カタログ」を開く。サーバー/クライアント、64/32で4種類のパッチが表示されるので適切なものを選び、ダウンロードする。

プログラムを開くとアップデートのインストーラーが開くので指示に従ってインストールする。最後にWindows Udateから「更新の履歴」を開き「品質更新プログラム」にさきほどのパッチが「正しくインストールされました」と表示されていることを確認する。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ウォルト・ディズニー・スタジオが映画製作をクラウド化 、Azureと提携

最近では、あらゆるものがクラウドに移行しているようにも思える中、映画制作が取り残されているのはなぜなのか?米国時間の9月16日、ウォルト・ディズニー・スタジオは、Microsoft(マイクロソフト)と今後5年間の提携を発表した。コンテンツ制作をAzureクラウドに移行する方法を模索するための、イノベーションラボの設立に関するもの。

このプロジェクトでは「Walt Disney StudioLAB」という名前の実験的なワークスペースを設ける。そこではディズニーのスタッフが、さまざまなワークフローのクラウドへの移行を試してみることができる。ここには、映像制作ソフトウェアの会社であるAvid(アビッド)も一枚噛んでいる。

このような3社が協力して動くことで、創造的なクラウドベースのワークフローが生み出されることが期待されている。それにより、この高名な映画制作会社であるディズニー・スタジオのイノベーションサイクルを加速できるはずだ。大企業はどこも、コアとなるビジネスの種類に関係なく、革新する方法を模索している。ディズニーも例外ではないということ。

映画制作には、非常に膨大なコンピューティングリソースが必要となるため、クラウドは、そのための最適なモデルと考えられる。シーンのレンダリングやSFXの追加など、必要に応じてリソースのスケールを増減することができるからだ。ディズニーのCTOであるJamie Voris(ジェイミー・ヴォリス)氏が言うように、そうしたプロセスを効率的なものにすれば、コストを下げ、製作期間を短縮することができるはずだ。

「今回のマイクロソフトとのイノベーションを目指した提携により、私たちのプロセスの多くを最適化することができるでしょう。それにより、私たちの才能のある映像作家が自分の得意なことに集中できるのです」とヴォリス氏は声明の中で述べている。これは、一般的に大きな組織が求めているのと同様の、クラウド化のための価値提案となる。日常的なタスクを自動処理に任せることで、市場導入までの機関を短縮しようというわけだ。

この提携は、すでにマイクロソフトがAvidと結んでいる協力関係の上に成り立つもの。そこでは、Azure上でAvidのソフトウェアソリューションを利用し、映画製作会社向けにクラウドベースのワークフローを開発することに取り組んできた。ディズニーは、そこに独自の要件を追加する。そして、5年間のパートナーシップを通じて、より近代的なクラウドコンテキストの中で、必要なワークフローを最適化することを目指している。

画像クレジット:Chris Pizzello/Invision/Getty Images

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookが10億円超を投じてディープフェイクの識別に賞金

一般に「ディープフェイク」と呼ばれるディープラーニングを利用してデジタル画像、動画を捏造するテクノロジーは我々の社会に対しすでに深刻な脅威となっている。こうした捏造を退治するためには我々自身が捏造を見破る能力を保たねばならない。火をもって火と戦うというわけだ。

Facebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)などのトップテクノロジー企業は共同で、デープフェイクを識別する機械学習システムを開発中だ。こうした努力の一環としてFacebookが興味深いプロジェクトを立ち上げた。

ディープフェイクは比較的新しいテクノロジーだが、我々はすでに捏造力と識別力の軍拡競争に投げ込まれている。毎日新たな、ますます真に迫ったディープフェイクが登場している。大部分は無害なものだが、誰かの映像を細工して極めて不都合な場面を捏造することが可能だ。そしてリベンジポルノのように悪用するものがいる。政治家、俳優を含めて多くの著名人がすでにディープフェイクの被害にあっている。

FacebookはMicrosoft、オックスフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、マサチューセッツ工科大学などで構成されるAIパートナーシップに参加している。Facebookはその一環としてディープフェイク識別テクノロジーの改善のために大型プロジェクトを立ち上げた。Facebookの最高技術責任者であるMike Schroepfer(マイク・シュレーファー)氏は米国時間9月4日の電話記者会見で次のように述べた。

最近のAIテクノロジーの進歩に関連して興味ある点はAIの達成レベルを計測するためにベンチマークとなるデータセットが用意されるようになったことだ。画像認識テクノロジーをテストするためには数百万件の画像のセットが用意され、音声テキスト化のためにも異なった音声のサンプルが何時間分もデータセットとして利用できる。しかしディープフェイク識別の場合はそのようなデータセットが存在しない。

今年初めに開催されたロボティクスとAIについてのTechchCrunchセッションで我々はすでにこの問題を取り上げている。下のビデオでは私(Coldeway)がバークレーのAlexei Efros(アレクセイ・エフロス)教授、ダートマスのHany Farid(ハニー・ファリド)教授にインタビューしている。

ビデオの冒頭でディープフェイクのサンプルとしてバラク・オバマ大統領のビデオを加工して「言っていないことを言わせる」ビデオが流される。ディープフェイクが民主主義に与える脅威が容易に想像できるだろう。

こうした脅威に対抗するため、Facebookは1000万ドルのリソースを投入してディープフェイク識別コンテストを開催する。FacebookはAIパートナーシップのメンバーと協力してまず大量のディープフェイクのサンプルを作ることにしたという。上の電話記者会見でSchroepfer氏は次のようにその背景を説明した。

ディープフェイクを識別するためのベンチマークとなるデータベースを作るのは非常に困難な事業となる。その理由のひとつはディープフェイクのターゲットなった人物がデータベース化に同意している必要があるからだ。そうでないとベンチマークに使われたことに抗議される可能性がある。現実にインターネットに拡散されたディープフェイクの場合、被害者になんらの同意も求めていないのが普通だ。このため少なくともアカデミックな研究に用いることはできない。

まず必要になるのはディープフェイクのソースとなるビデオ素材だ。次にその画像に重ねる人物の各種の特徴を記録したデータでベースだ。そこからディープフェイクの実行となる。ここでは最新、最強のディープフェイク技術をして現実には存在しなかったビデオや音声を作り上げる。

ではFacebookはその素材をどこから入手するのかと疑問を持つ読者も多いだろうが、安心していい。素材には報酬を支払ってプロの俳優を起用している。

dfdc

ディープフェイクのデータセットはディープフェイク識別テクノロジーを進歩させる能力、意思のあるグループに提供される。結果はリーダーボード形式で共有される。識別力に応じて賞金が提供されるというが、詳細はまだ発表されていない。賞金の額によっては大学や各種組織の研究者の間に健全な競争を巻き起こすかもしれない。

メリーランド大学のRama Chellappa(ラマ・チェラッパ)教授はプレスリリースでこう述べている。

マルチメディアの捏造という深刻な脅威に対抗し識別力を高めるためには研究者コミュニティの全面的な協力が必須だ。ディープフェイクについての知見を深め発見のためのシステムを構築するためのオープンな環境とシステムが求められる。特に必要なのは現実の素材とそれを加工した素材の大規模なコーパスだ。(Facebookから)発表されたチャレンジは研究者コミュニティにエキサイティングな刺激を与え、一丸となってこの脅威に立ち向かうきっかけを与えるに違いない。

ディープフェイク識別のためのデータセットは、まず10月に予定されているコンピュータビジョンに関するカンファレンス、ICCV(International Conference on Computer Vision)で発表される。さらに12月に予定されているニューラル・コンピューティングのカンファレンス、NeurIPSでさらに詳しい発表があるはずだ。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Skypeが下書きなどメッセージング機能を拡充

Skypeはビデオ電話のアプリとして最もよく知られているが、対照的にメッセージングの機能はやや未熟だ。米国時間8月30日、同社はそんな企業イメージを一掃すべく、チャット機能に一連の改善を導入し、ライバルとの差別化を強化しようとしている。

それらの中でもっとも便利なのは、メッセージのドラフト(下書き)だろう。

メールの場合と同様にSkypeでも、書いたけどまだ送ってないメッセージを「draft」(下書き)タグを付けて保存できる。あとでそのメッセージを仕上げてから送ればいい。Skype new features 1b

今のビジネスとパーソナルのコミュニケーションはどちらも、メール以外がとても増えているから、ほかのメッセージングアプリも絶対に下書き機能を導入すべきだ。

iMessageでも人々は長年、下書きと送信スケジューリング機能を求めている。一部の頭のいいデベロッパーは、消費者のニーズに答えてアプリごとの工夫を編み出している。その中にはなんと、メッセージのテキストをNotpadに書いておいて、送るべき時に送るという素朴なやり方もある。

これまたメールの真似のようだが、今度のSkypeには重要なメッセージのブックマークがある。モバイルではメッセージを長押しし、デスクトップでは右クリックして、それから「Add Bookmark」(ブックマークを加える)をタップまたはクリックする。そうするとメッセージはBookmarksの画面に加えられ、容易に取り出せる。Skype new features 2

写真やビデオ、ファイルなどは、メッセージで送る前にプレビューできる。有意義な改良だが、革新的というよりほかのコミュニケーションアプリへの追随だろう。Skype new features 4

大量の写真やビデオを一度に送るときは、それらをソーシャルメディアで行われているようにグループ化できる。実際に表示されるのはごくわずかで、プラスボタン「+」をクリックすると残りを次々と見られる。Skype new features 3b

Windows 10ではすでにサポートされていたが、これからはすべてのバージョンのWindowsとMacそしてLinuxで分割ウィンドウがサポートされる。

今でもまだ使われているメッセージングアプリの古顔だが、Skypeはもはや最大でも人気最高でもない。例えば公表している月間アクティブユーザー3億人は、WhatsAppの15億人に遠くおよばない。

でも今なお、こうやってきめ細かい親切な消費者対応を図っているのは偉い。昔やったSnapchatのモノマネはあっさり引っ込めて本当によかった。今でもSkypeを使っている人は、その使いやすさと仕事に便利であることを買っている。今回のアップデートも、その方向を意識している。

Skypeによると、上述の分割ウィンドウの拡張サポート以外では、すべての新しい機能がSkypeのあるすべてのプラットホームに一斉に展開される。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトはexFATをLinuxのカーネルに含めたい

exFAT、すなわちExtended File Allocation Tableは、Microsoft(マイクロソフト)が2006年にローンチしたフラッシュドライブやSDカード用のファイルシステムだ。これは同社の独自規格なので、Linuxマシン上にマウントするためには専用のソフトウェアをインストールする必要がある。しかし米国時間8月29日、MicrosoftはLinuxカーネルにexFATを加えることをサポートすると発表し、exFATの技術仕様書を公開した

本日の発表声明で同社は「Linuxのコミュニティが、Linuxカーネルに含まれているexFATを安心して利用できることが重要だ。そのために私たちは、exFATのMicrosoftの技術仕様書を一般公開して、それに準拠した相互運用性のある実装開発の便宜を図りたい」とコメントしている。

MicrosoftはexFATがLinuxカーネルに含まれることだけでなく、その仕様がOpen Invention Networkに(OIN)おけるLinuxの定義にも含まれること、すなわち特許を主張しないことを望んでいる。それについて同社は「OINの3040件あまりのメンバーとライセンスの防御的パテント管理の恩恵を受ける」としている。

MicrosoftとLinuxはお互いに宿敵と見なされ、Linuxコミュニティの一部は今でもMicrosoftをオープンソースの敵と考えている。しかし最近ではMicrosoftは明らかにオープンソースとLinuxを受け入れ、LinuxはAzure上のもっとも人気のあるオペレーティングシステムであるとともに、Windows Subsystem for LinuxによりオプションでWindows 10にも含まれている。しかし今回の提案に、コミュニティはどう反応するだろうか。Microsoftの「受け入れて拡張して消滅させる」戦略の苦い後味が、まだコミュニティの舌の上には残っている。MicrosoftとLinuxの関係は、今後果たしてどうなっていくのだろうか。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Microsof Azureのクラウドリージョンがスイスでビジネス向けにオープン

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間8月28日、スイスにおけるクラウドリージョンのローンチを発表した。同社は2018年に、チューリッヒとジュネーブに近いスイスの2つの地域に「Switzerland North and West」を開設する計画を初めて発表した。今年に入ってMicrosoftは、これらの地域、特にデータ常駐の規制に対処する必要がある業界の企業から、多くの関心が寄せられていると表明している。

新しいリージョンでは、コアとなるクラウドコンピューティングサービスのAzureのほか、Office365 、Dynamics 365、Power Platformがサポートされる。今回のローンチにより、Microsoftはクラウドサービスを世界56地域で提供することになり、これは同社のAzure戦略の大部分を占めている。

「スイスの新しいリージョンなど、特定の地域で提供されるMicrosoftのクラウドサービスは、スケーラブルで利用しやすく、耐障害性に優れたクラウドサービスを提供すると同時に、企業や組織がデータ常駐、セキュリティ、およびコンプライアンスのニーズを満たすのを支援する」と、MicrosoftのAzure Global担当コーポレートバイスプレジデントであるTom Keane(トム・キーン)氏は、今日の発表で述べている。「我々は、業界で最も広範なコンプライアンス認定・証明書を提供することにより、世界中の顧客が広範なセキュリティプライバシー要件に対応できるよう、データ保護に関する高度な専門知識を備えている」。

現在の顧客にはUBS Group、Swiss Re Group、Swisscom、BKW、City of Zug、die Mobiliar、Exploris Health、Skyguideなどの企業が含まれている。

一方、AWSは現在スイスではサービスを提供していないが、Google Cloudはチューリッヒ近郊に3つのアベイラビリティゾーンによるリージョンを運営している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter