E3でMicrosoftがゲームストリーミングのxCloud発表、Google Stadiaとの違いは?

GDCとGoogle I/OでGoogleStadiaをデモした。今回E3でMicrosoftが以前から噂になっていたxCloudを正式発表した。十分な時間とは言えないが両方のクラウドゲームプラットフォームをテストする機会があったので簡単に比較してみたい。

ひとつ重要な点はxCloudについては今のところ情報が異常に乏しいことだ。 E3でMicrosoftはXbox Game Pass8K Xboxハードウェア、Scarlettの紹介に力を入れていた。こうしたXbox関連プロダクトには十分時間が割かれたのに、xCloudについてはほんのわずかしか触れられなかった。

料金、リリーススケジュール、サポートされるデバイス、ネット接続に必要な能力などすべて不明だ。今のところわかっているのは、xCloudは今年後半に一般公開されるということだけだ。つまりStadiaの公開スケジュールとほぼ同じだ。xCloudはゲームクラウドだということ以外、クェスチョンマークの山となっている。

とはいえStadia同様、xCloudもストリーミングサービスであるかぎり、特有の物理的制約を逃れることはできない。光の速度が有限である以上、サーバーからの距離に比例したレイテンシーが存在することになる。この伝達の遅れに対処する方法はMicrosoftもGoogleとほぼ同様だろう。人間の目は驚くほど微細な部分まで見分けることができる。しかしロサンゼルスのコンベンションの舞台にシリコンバレーからストリーミングしてる状態でははっきり感じられるような問題は起きなかった。

しかしシューティングゲームでガンを射ったとき、トリガーを引いた瞬間とマズルフラッシュが表示された瞬間を比較すればレイテンシーの見当がつく。自宅に戻ってテストしたときには遅れが顕著に感じられた。もっともこれは特に注意を払っていたせいもあるだろうし、自宅の接続環境も影響しているかもしれない。しかし十分準備を整えたコンベンションの壇上でのデモは一般ユーザーが実際に使う場合を正しく表現しているとは思えない。

Stadiaでは何度かシステムがクラッシュしたが、リスタートすると復帰した。xCloudではフリーズは経験しなかったが、双方の接続環境はまったく違うのでこれだけで比較はできない。

大きな疑問はXboxがxCloudをサポートする専用コントローラーを発表するかどうかだ。他のデバイスを介さず、コントローラーが直接クラウドに接続できればレイテンシーを減少させることができる。Stadiaはすでに専用コントローラーを準備している。しかしXbox Oneのユーザーは数ミリ秒のレイテンシーを減少させるためにはわざわざGoogleの新しいデバイスを買いそうにない。しかしXboxブランドでxCloud専用コントローラーが出れば事情は違ってくるかもしれない。

Stadiaで4Kゲームをプレイするには35Mbps以上の接続速度が必要だ。xCloudの要求については今のところ情報がないが、Stadiaと大きく変わらないだろうと予想する。

GoogleはStadiaを専用機を代替するものと位置づけているのに対し、xCloudのデモは専用機ゲームをあらゆる場所でプレイできるようにするためのサービスと考えているようだ。

Stadiaにせよ、xCloudにせよ、ストリーミングゲームという考え方はPS4をインターネットを使って遠隔操作するソニーのリモートプレイほど画期的なテクノロジーではない。しかしサポートされるユーザーベースはもっと大きいだろう。xCloudのデモはXbox OneコントローラーをSamsung Galaxyに接続して行われた。今のところこれ以外にどんなデバイスがサポートされるか情報がない。一方Google Stadiaは自社のPixel 3、Pixel 3aしかサポートしない。つまりデバイスの数でいえばMicrosoftはSamsung GalaxyをサポートするだけでGoogleに勝っているわけだ。

もうひとつ重要なのはコンソールゲームをスマートフォンの小さなスクリーンでプレイするとまったく違った体験になるという点だ。モバイルデバイスのプロセッサーは年々強化されてきた。それでもMicrosoftのゲームがスマートフォンの画面にもう少し最適化されていたら良かったのにと感じる瞬間があった。

次は料金の問題だ。ゲーム機の所有者はストリーミングを受けるのは無料だ。Stadiaの場合も、オンラインでゲームを購入した後は、1080pのストリーミングでゲームをプレイするのは無料だ。しかし4Kでプレイしようとすると月額9.99ドルの追加料金を支払う必要がある。xCloudにも同様の制限が設けられるのかどうはまだわからない。

ビジネス面で重要な点はxCloudがXboxのゲームタイトルすべてをサポートするかどうかだ。もしそうであれば、Stadiaが追いつくのは難しいだろう。ことにマルチプレイヤーゲームにはネットワーク効果が強く働く。ユーザーは既存プラットフォームから飛び出して友だちがほとんど入っていない新しいプラットフォームに移ろうとはしない。いかにGoogleといえどもネットワーク効果が十分に働く規模のユーザーをゼロから集めるのは至難の技だ。この点でXboxは何年も先行している。

まとめると、重要な疑問点はxCloudの料金、専用コンソールの有無、Xbox Game Passとの連携の詳細などだ。ただし、ストリーミングゲームはマーケットとしてまだニッチかもしれない。「今やゲームはストリーミングにシフトした、専用機は時代遅れだ」というのは少し早まった判斷だろう。しかしMicrosoftがxCoudを発表したことで、この分野でのStadiaの一人勝ちの可能性はなくなったと思う。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトがPsychonauts開発元のDouble Fine Productionsを買収

昨年と同じく、Microsoft(マイクロソフト)はE3のXboxキーノートにて、自社のゲームコンテンツの拡大の動きを発表した。

プレスカンファレンスにて、Xbox Game Studiosはマイクロソフトが2000年にLucasArtsのTim Schafer氏によって設立された、サンフランシスコベースのDouble Fine Productions(ダブルファインプロダクションズ)買収したと発表した。以前の買収と同じく、Xbox Game Studios傘下に入ったDouble Fine Productionsは、今後も主に外部ディベロッパーとして運営されるようだ。

 Double Fine ProductionsはKickstarter(キックスターター)で、後に「Broken Age」と呼ばれるゲームタイトルの開発にて300万ドル(約3億3000万円)の資金募集に成功した。クラウドファンディングにてゲームの開発費を集めるのは、2012年当時は斬新なものだった。もちろん、現在は多くの同様のプロジェクトが存在する。

Double Fine Productionsの最初のタイトル「Psychonauts」(サイコアンツ)は2005年にリリースされた。また買収の発表とともに、同社はXbox Game PassとXbox One、PC向けにリリースされる「Psychonauts 2」のトレーラーを公開している。

小規模なインディーズゲームスタジをの買収は、Xbox Game Passにおいてコンテンツを構築し、それをオリジナルコンテンツとして提供するマイクロソフトの戦略のようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトのゲームストリーミングxCloudは10月にプレビュー版登場

Google(グーグル)が長らく待たれたStadia詳細を明かした数日後、Microsoft(マイクロソフト)はプレスカンファレンスにて、その競合サービスとなるProject xCloudの追加情報を公開した。

昨年10月の発表によれば、このゲームストリーミングサービスはハードウェアに依存しないゲーム経験を提供する。またグーグルのものとは異なり、マイクロソフトには最新のゲームコンソールがある。つまり、ユーザーは自分のXbox Oneをパーソナルクラウドサーバーとして利用できるのだ。またその他のユーザーは、マイクロソフト独自のサーバーを利用することになる。

xCloundのプレビューは今週、E3参加者に公開される。TechCrunchはシステムのラグなど、実際の使用感をレポートする予定だ。そして一般向けには、発表から1年後となる10月にプレビューがローンチされる。

なお、価格などの詳細は近日明かされるはずだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフト、PC版Xbox Game Passの価格詳細を公開

Microsoft(マイクロソフト)はE3のキーノートに先立ちPCユーザーが人気ゲームのライブラリにアクセスできるXbox Game Passの月額プランを明かした。このサービスは月額4.99ドル(約540円)と非常に廉価にスタートする(ただしこれは”初期価格”だと説明されており、希望小売価格は月額9.99ドルになる)。

このWindows 10向けのサービスはコンソール向けのものと非常に似ており、サブスクリプション契約にてゲームタイトルがプレイできる。購読者はゲームを無制限にプレイでき、また20%のディスカウントでタイトルを購入することも可能だ。

さらに公式ローンチ前ではあるが、月額1ドルにて現在用意されている10タイトルほどを遊ぶこともできる。このベータ版は、米国時間6月9日より利用可能だ。

なお、公式ローンチ時には100タイトルにアクセスできるようになり、『Halo: The Master Chief Collection』『Gears of War 5』『Forza Horizon』などの大作が用意されるという。

興味深いのは、PCゲームにフォーカスしたこのサービスに、Xboxのブランドが採用されていることだ。また、XboxコンソールとPCの両方で利用できるサブスクリプション「Xbox Game Pass Ultimate」も月額14.99ドル(約1630円)にて提供されることが発表された。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトが史上最強モデル8K Xboxを予告紹介

Microsoft (マイクロソフト)はゲーム専用機の次の時代を見据えて、これまでで最強となるXboxを開発している。E3カンファレンスで披露されたXboxの次期ハードウェアは次世代にふさわしいものだった。

同社が「Project Scarlett」と呼ぶその製品について、重要な事実情報をいくつかほのめかした。新しいゲームコンソールは8K対応で、フレームレートは最大120 fps、SSDストレージの採用によってロード時間を短縮する。リアルタイムでレイトレーシングできるほど強力なハードウェアだ。

「この世代は、これまでのどの世代よりも大きく飛躍した」と新ハードウェアを紹介するビデオは言う。Microsoftによると、新ハードウェアの性能はXbox One Xの4倍だという。

この次世代コンソールは2020年の年末商戦に向けて登場予定だ。同時にHaloの新作「Halo Infinite」も発売される。

「ゲームコンソールは設計、製造、最適化のすべてがゲーミングという1つの目的に向かうべきだ」とXbox責任者のPhil Spencer氏が発表イベントの壇上で語った。

次世代PlayStationの計画についてもすでにいくつか情報があり、SSDへの移行と第3世代AMD Ryzen CPUが話題の中心だ。

詳しい情報がわかり次第、両システムを比較してみたい

プレステ4のアーキテクトが次世代機プレステ5SSD搭載と語る

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

E3でMSがXbox Game Pass Ultimateを発表、月額約15ドルでPCでもプレイ

先ほどE3カンファレンスでMicrosoft(マイクロソフト)は、Xbox Game Pass Ultimateを発表した。このゲームサブスクリプションにはXboxコンソールと各種のモバイルデバイスに加えてデスクトップ向けのXbox Game Pass for PCもバンドルされる。月額料金は14.99ドル(約1630円)。

Xbox Game Passは多数のXboxゲームを自由にダウンロードできるマルチプラットフォームのプロダクトだが、今回のUltimateは手頃な価格でパソコンも利用できるようになった。思わず手を出したくなるプロダクトだ。これによってMicrosoftはゲームビジネスの中心となることを狙っている。

Ultimateに先立って発表されたXbox Live Goldはオンラインのゲームサービスだがサブスクリプションにはエクストラの無料ゲームやストアでの割引が含まれる。Xboxの熱狂的ファンを増やし、人当たり売上も最大にするという長年のMicrosoftの戦略は健在だ。 Game Passには専用機で大ヒットしたゲームを含めて100タイトル以上のクラシックゲームが含まれる。

Live Goldの料金は月額9.99ドルで、すでにMicrosoftのサブスクリプションに加入している多くのユーザーがこちらにも参加したいと考えるのは間違いない。

【Japan編集部追記】MicrosoftのE3ライブビデオ録画。画面下部に表示されるタイムスタンプがゼロになったところから開始する。

キアヌ・リーブス本人がCyberpunk 2077のプロモーションに登壇して会場から喝采を浴びていた。こちらはドラゴンボールZカカロットのワールドプレミア。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトとオラクルがクラウド相互接続を発表

MicrosoftOracleは今日、ユーザーがそれぞれのクラウドで作業しているものやデータをシームレスに両社のクラウドで動かせるよう、クラウドをネットワークで直接つなげるという新たな提携を発表した。この提携は単につなげるという以上のものであり相互運用性を含んでいる。

この手の提携は、本質的には競合するクラウド業界にあってどちらかといえば一般的ではない。しかしOracleはこの業界で主要プレーヤーになることを望んでいるが、AWSやAzure、Google Cloudのような規模をすぐに展開できないということを認識している。Oracleにとってこの提携は、OracleのユーザーがOracleのクラウド内にあるOracleデータベースを使いながら、Oracle E-Business SuiteやAzure上のOracle JD Edwardsのようなサービスを展開できることを意味する。そのうえで、Microsoftはワークロードを展開し、Oracleもこれまで通りのものを展開する(AzureユーザーはまたAzureクラウドの中でOracleデータベースを引き続き利用できる見込みだ)。

「Oracleクラウドは売上、サービス、マーケティング、人事、財務、サプライチェーンなどのアプリを統合した完全サービス、そしてOracle Autonomous Databaseというかなり自動化されそして安全な第二世代インフラを提供する」とOracle Cloud Infrastructure (OCI)の副社長であるDon Johnson氏は発表文で述べている。「OracleとMicrosoftは何十年にもわたり顧客である企業のニーズに応えてきた。今回の提携で、両社の顧客は再構築することなく、そして多額を投資することなくすでに抱えているアプリケーションをクラウドに統合できる」。

当面は、2つのクラウドの直接の相互接続はAzure US EastとOracleのAshburnデータセンターに限定される。2社はこの提携を将来は他の地域にも広げたい考えだが、詳細については明らかにしていない。おそらく、JD Edwards EnterpriseOne、E-Business Suite、PeopleSoft、Oracle Retail、そしてAzureのHyperionのようなアプリケーションをRAC、Exadata、 Oracle Autonomous DatabaseといったOracle データベースとのコンビネーションでサポートする。

「Fortune 500社の95%超がAzureを使っているという、企業に選ばれるクラウドとして、我々は常に顧客がデジタル移行で成功するように取り組んできた」とMicrosoftのクラウド・AI部門副社長であるScott Guthrie氏は語った。「Oracleは企業を得意としていて、今回の提携は自然な選択だ。2社が共有する顧客が企業アプリケーションとデータベースをパブリックのクラウドに統合するのを加速させるものとなる」。

今日の発表は、他の企業向けサービスを展開している大企業と提携するという最近のMicrosoftの傾向に沿うものだ。MicrosoftはこのほどSAPやAdobeとオープンデータ提携を結び、ソニーとは異例のゲーム面での提携を結んでいる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Skypeが画面共有機能をiOSとAndroid向けにローンチ

Skypeはデスクトップ版で最も人気がある「画面共有機能」を、モバイル版に導入する。米国時間6月4日、同社はiOS版とAndroid版にてそれぞれの画面を共有できる画面共有機能が、ベータテストを終了したと発表した。

この機能は、Microsoft(マイクロソフト)が以前に提案していたように、パワーポイントのプレゼンテーションを共有するなど仕事関連で利用できる。しかしそれだけでなく、デートアプリで友達と盛り上がったり、あるいはオンラインショッピングにも活用できる。特に、家族へのスマートフォンの技術的なサポートに役立つことだろう。

モバイル向けの画面共有機能はまず4月にテスター向けにベータ版が導入され、現在はすべてのユーザーが利用できるようになった。この機能はSkypeアプリの「…」のメニューから利用できる。ここでは、通話録音やサブタイトルなど、最近リリースされたその他の機能も見つけられる。

また最新版のモバイル向けのSkypeでは、通話コントロールがワンタップで解除できるように通話画面のデザインが変更されている。2回タップするとすべてのコントロールが消え、ビデオ通話がフォーカスされる。また、もう1回タップすればコントロールが復帰する。

Skypeは古参アプリだが、依然として月間3億人のユーザーを抱えている。WhatsAppやMessenger、Snapchatのようなチャットアプリ、あるいはiMessageやFaceTimeのような内蔵コミュニケーションサービスにて数多くのメッセージがやり取りされる時代になっても、Skypeが存在感を確保するために新機能の追加をやめることはない。

なお、すべての変更が成功したわけではなく、以前にはSnapchatのようなカラフルすぎるデザインを撤回したこともある。一方で、HD動画やSignal Protocolによる暗号化、通話録音など、便利な機能も導入されている。

モバイル向けの画面共有機能はAndroid 6.0とそれ以降、あるいはiOS(iPhoneとiPad)のiOS 12かそれ以降で利用できる。機能の利用には、アプリを最新版へとアップデートする必要がある。

なお画面共有機能は、Linux、macOS、Windowsと、Skype for Windows 10(バージョン14)でも利用できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトが大小多様なフォームファクターをサポートする新しいOSを開発中

AMDIntel(インテル)、そしてQualcomm(クアルコム)が重要な発表を行った今週、台北で行われたComputexカンファレンスではMicrosoft(マイクロソフト)、ややおとなしいキーノートを述べた。新製品の発表はなく同社は、同社が目指す現代的なオペレーティングシステムについて軽く触れた。しかも興味深いことに、そのキーノートに関するMicrosoftのブログ記事にはWindowsへの言及がなく、同社が今新しい「超安全な」OSを開発中、という憶測が裏付けられた。

同社の営業担当副社長Nick Parker氏が書いたそのブログ記事によると、現代的なオペレーティングシステムはさまざまなタイプのデバイスに統合できる柔軟性を持った「フォームファクター・アジリティ」(さまざまな形状サイズへの機敏な対応)を可能にするものでなければならない。たしかに昨年同社は、Surface系列の新しい機種をほのめかした。当時は、それはスマートフォンだろうという憶測もあった。いずれにしても、フォームファクターの多様化という伏線は、すでにそのときからある。

Parker氏によると、現代的なOSは、アップデートがユーザーの心と手を煩わせずバックグラウンドで勝手に自動的に行われるものでなければならない。ユーザーは、アップデートのためにいちいち仕事やコンピューターを中断しない。セキュリティはデフォルトで完璧で、マシンのステートとオペレーティングシステムの隔離、そしてアプリケーションとコンピュートの隔離により攻撃を防止する。

現代的なOSはLTE 5Gに常時接続、AIを使ってアプリケーションの効率化を助けるだろう。そしてペン、音声、タッチ、目の動きなど多様な入力を受け付ける。タッチと目の動きが出てくるあたりに、この新しいOSが何らかのモバイル製品に載って登場する、という憶測の根拠がある。例えばそれは、Surface Phone(Surfaceスマートフォン)か? もしくは、軽量デュアルスクリーン(2画面)のラップトップかもしれない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトの新アプリはスマホカメラとコンピュータビジョンで英単語を学べる

マイクロソフトの8人のインターンが、新しい言語学習ツールを開発した。スマートフォンのカメラを使って身の回りの語を学び、成人の英語の識字能力向上を図るものだ。Read My Worldと名付けられたこのアプリを使い、スマートフォンで写真を撮って、1500語以上のライブラリから語を学ぶことができる。実際の物体の写真でも、書類の中の文字列でもいいとマイクロソフトは説明する。

このアプリは、授業を補うものとしても使えるし、言語習得のクラスに通う時間やお金がなかった人が語を学ぶ方法としても使うことができる。

授業に参加しなくても、毎日の生活の中で出あうものの写真を撮って学ぼうということだ。

このプロジェクトのソフトウェア開発インターン、Nicole Joyal氏は「もともとは授業のようなスタイルのアプローチを考えていましたが、調査と研究の結果、スイスアーミーナイフのようなもののほうが役に立つと考えました。何かを教えるツールよりも、生活の中で常に役立つツールを作ろうと思ったのです」と語る。

Read My Worldは、Microsoft Cognitive ServicesとComputer Vision APIを組み合わせることで、写真に写っているものを特定する。すると語の綴りが表示され、読み上げられる。特定された語の写真を保存し、アプリの中の自分専用の辞典としてあとで参照することもできる。

さらにこのアプリには3種類の語彙ゲームも含まれていて、ユーザーが新たに学んだ語を練習できるようになっている。

1500語の語彙では少ないと感じるかもしれないが、実はこれは外国語学習者が従来の学習方法で身につけることのできる語数に近い。たとえばBBCの報告によれば、言語学習者の多くは何年も学習しても2000〜3000語以上は習得が難しいという。台湾のある研究では、外国語を9年間学習した学生でも利用頻度が最も高い1000語を習得できなかったという。

この報告では、毎日使う語を身につけるのが最も大切であることも強調されている。

目にするものに焦点を当てているアプリなので、正式な教育に置き換えられるかというと限りがある。初期バージョンをテストした教員と学生からのフィードバックを集めた結果、チームは書類中の語も検出できるようにした。書き言葉を翻訳するGoogleレンズのような使い勝手ではなく、アプリが特定した一部の単語をハイライト表示し、その語の発音を聞いたり写真を見たりすることで、その語が何を表しているかがわかるようになっている。

たとえば学生の持ち物リストにアプリを向けると、鉛筆、ノート、はさみ、バインダーなどの語がハイライトされる。

このアプリはマイクロソフトの社内インキュベーター、Microsoft Garageのプロジェクトで、はじめはテストとフィードバックのために一部の組織に提供される。NGOや非営利団体で低識字率のコミュニティに携わっている人は、フォームから参加を申し込むことができる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

GitHubのSponsors機能はオープンソースにお金で支援参加できる新たな寄付形式

GitHub(ギットハブ)は米国時間5月22日、オープンソースのデベロッパーに誰でも経済的な支援ができるツールSponsorsを立ち上げた。デベロッパーは自分のGitHubリポジトリにある「Sponsor me」ボタンを押し、オープンソースプロジェクトへの支援モデルを選ぶ。それはデベロッパーへの個人的な支援でもいいし、あるいはPatreonやTidelift、Ko-fi、Open Collectiveなどを利用するかたちでもいい。

GitHubの言うそのミッションは「オープンソースへの参加や構築の機会を拡張すること」だ。お金を出すことも参加と見なす。

一部のオープンソースデベロッパーは、金で人の仕事を左右されるのは嫌だとか言うだろう。それに、金のことなど考えずに自分にとって面白い、やりがいのあるプロジェクトをやっていたデベロッパーが、経済的な支援を得やすいプロジェクトに乗り換えたりすることがあるかもしれない。この件をGitHubに聞いてみたが、まだ確答は得られていない。

この支援事業はオープンソースのデベロッパーだけが対象だ。デベロッパーがこの制度に参加してから最初の1年は、GitHubと親会社のMicrosoft(マイクロソフト)も最大5000ドルを寄付する。さらに次の1年を過ぎるとGitHubは手数料を課金する。

支払いはGitHub自身がビジネスをしている国ならどこでも得られる。「そのチームに参加する機会を増やすことが中心的な目的だから、世界中のデベロッパーがこのツールを利用できるようにしたことを、誇らしく思う」と同社は言っている。

なお支援対象はコードとデベロッパーだけでなく、オープンソースへのいろんなコントリビューター、たとえばドキュメンテーションを書いたり、新人デベロッパーの指導やメンター役をしたりする人たちも含まれる。それらの人たちもGitHubのプロフィールがあれば、支援対象になる。

支援を受けやすくするためにGitHubは、「Community Contributors」と名付けた浮遊カードで、例えばあなたが使っているアプリケーションが依存しているコードを書いた人(デベロッパー)をハイライトする。

さて、コミュニティはこのSponsorsツールにどんな反応を示すだろうか。このアイデアは完全に新しいわけでもないし、すでにGitHubはBeerpayのような寄付アプリケーションを統合している。でもオープンソースがお金を得られる従来のルートは、プロジェクトに協賛するであろう企業に正社員またはパートタイムで就職することだった。

Sponsorsのほかに、GitHubは新しいセキュリティ機能をいくつか導入した。まず、今日買収を発表したDependabotは、プロジェクトがつねに最新のライブラリを使ってるようにするツールだ。GitHub Enterpriseは監査機能を改善して一般公開、またメンテナーはGitHubの中のプライベートスペースという機能のベータにアクセスできる。

これはハッカーに知られたくないセキュリティの話題などを議論できるスペースだ。トークンスキャンニングも一般公開された。これはデベロッパーがうっかり自分の認証情報を、Alibaba CloudやAmazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud、Mailgun、Slack、Stripe、などのサービスからリークするのを防ぐ。

GitHubのエンタープライズエディションも、パーミッションの細粒度化とその一般公開(脱ベータ)などいくつかのアップデートが行われた。Enterpriseアカウントも一般的に供用化、そして内部的リポジトリや組織のインサイトは今回ベータ入りした。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトとソニー、ゲーム界の二巨頭がAzureクラウドをベースに提携

この20年間、ソニーとMicrosoft(マイクロソフト)のゲーム部門は全面戦争状態にあった。両者は価格で、ゲーム機で、ゲームソフトで、特別ボーナスで常にがっぷり組んで相手を叩き潰そうとしてきた。しかし発表された覚書によれば、両者はこれまでの行きがかりを一時棚上げし、カジュアルなクラウドゲームによってGoogleがゲーム市場を席巻するのに備えようとしている。

具体的内容についてはまだほとんどわかっていない。しかし米国時間5月16日に公表されたソニーの吉田憲一郎社長とMicrosoftのサティヤ・ナデラCEOが握手している写真をフィーチャーした公式覚書には、両者がMicrosoft Azureをベースとしてクラウド化で提携したことが明記されている。

両社は将来のクラウドソリューションに関して共同で開発を進めることとした。両社のゲームおよびコンテンツのストリーミングサービスをMicrosoft Azureがサポートしていく。これに加えて、両社はMicrosoft Azureのデータセンターをベースとするソリューションをソニーのゲームおよびコンテンツのストリーミングサービスに適用する可能性を追求する

ソニーがゲームその他のオンデマンドサービスで他の多数のクラウドを利用できることは疑いない。実際、 Playstation Nowはその例だ。しかしここ数年のうちにゲーム界を激震が襲うことが予想されている。これはインターネットの浸透により消費者の多くがいわゆるコードカッターとなってケーブルテレビを解約しはじめたことと比較できる。Netflixなどのストリーミングサービスの躍進により、これまでテレビ番組や映画の視聴で圧倒的な勢力を誇っていたケーブルテレビ企業は一気に苦境に追い込まれた。ゲーム企業がこうしたクラウド化に対応するためには巨額の資金とノウハウを必要とする。

最も警戒すべき挑戦者はなんといってもGoogleだ。今年3月、GDCで発表されたStadiaゲームストリーミングサービスは、Googleの技術力、資金力、世界的認知度に加えて、検索とYouTubeという入り口を押さえている。これまでGoogleはゲームではさほど強くなかったが、今後は別だ。ブラウザでゲームを検索し、好みのゲームを発見すれば文字通り5秒後にそのブラウザ内からゲームがプレイできるというのは脅威だ。しかもこういうことができるのは現在Googleしかない。

これだけでも容易ならぬ暗雲だが、Microsoftとソニーに手を握らせることになった理由は他にもあるかもしれない。Switchの世界的大成功による任天堂の復活はその1つだ。「いつでも、どこでも、誰とでも」をキャッチフレーズとし、据え置き、携帯両対応でインターネットとモバイル接続に強く依存するSwitchは従来のゲーム専用機を時代遅れにしつつある。Apple Arcadeもあまり魅力が感じられないお仲間だが、正直こちらは誰も気にしていないようだ。

ソニーとMicrosoftの間には秘密のホットラインがあり、「休戦。まずGoogle Stadiaを撃滅。できればNvidia(エヌビディア)も」というようなメッセージがやり取りされたのだろう。

もっとも、想像をたくましくする必要はない。ソニーの吉田憲一郎社長は発表でこう述べている。

Microsoftとソニーはある分野では激しく競争してきたが、長年にわたってもっとも重要なビジネスパートナーの1つでもあった。今回のクラウド開発における両社のジョインベンチャーはインタラクティブなコンテンツのサービスを前進させる上で極めて大きな役割を果たすだろう。

世界的テクノロジー企業であるソニーはストリーミングサービスを手がける技術力もノウハウも持っている。しかしクラウドサービスをゼロから自前で立ち上げるより、すでに地位を固めているMicrosoft Azureの上で展開するほうが有利であるのは明らかだ。

MicrosoftにしてもAzureにソニーのような巨大企業を迎え入れることができればハッピーだ。ともあれソニーとMicrosoftがゲーム分野でライバルだったことはGoogleという両社のゲームビジネスの存立にかかわる脅威に比べれば何ほどのこともない。Microsoftもソニーと戦い続けるよりパートナーとなることが有利と見たはずだ。

ライバルと手を組むという複雑な関係ではソニーのほうが経験を積んでいる。ソニーは以前から撮像素子を始めとするカメラテクノロジーを多くのスマートフォン、デジタルカメラのメーカーに提供してきた。これはソニー自身のプロダクトとバッティングするわけだが、単に売上だけでなく、顧客メーカーからさまざまなノウハウのフィードバックを受けることがソニーが映像業界において不動の地位を確保する上で役立ってきた。

画像業界といえば、両社はソニーの撮像素子とMicrosoftの人工知能を統合した新しいテクノロジーの開発に向かっている。プロダクトとしてはロボティクス、自動運転車となる可能性が高い。この分野の競争は激烈だが、今のところ両社ともにこれというプレゼンスがない。提携の背後にはこの事情を変えていこうという野心もあるかもしれない。

画像:Christian Petersen / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アクセシビリティに取り組む7つのスタートアップをマイクロソフトがサポート

マイクロソフトは「AI for Accessibility」プログラムの対象となる7つのスタートアップを選出した。選出された団体は、求職活動やてんかんの発作の予測などを手がけ、障がいのある人々が技術とインターネットのエコノミーを活用できるようにすることを目指す。

選出された7団体は、Azure AIの専門レベルのリソースとサポートにアクセスでき、データ収集と処理にかかる費用を支援されることに加え、マイクロソフトのAI、プロジェクト管理、アクセシビリティの専門家に相談することもできる。

プログラムの対象となる団体はオンラインで募集され、マイクロソフトのアクセシビリティとマーケットのエキスパートチームが応募団体の影響力、データポリシー、実現可能性などを審査した。このプログラムは2018年に始まり、マイクロソフトは5年間で2500万ドル(約27億円)を投じる。対象となった団体は年に数回、進捗状況の評価を受ける。毎年、5月の第3木曜日(今年は5月16日)はGlobal Accessibility Awareness Dayだ。この機会にアクセシビリティについて考えてみよう。

今回選出された団体のひとつ、Our Abilityは、生まれつき四肢が欠損しているJohn Robinson氏が設立した。同氏は職に就き、働き続けることの深刻な難しさに常に直面してきた。障がいがあって職に就けない人の割合は、障がいのない人の2倍だ。障がいによってはフルタイムの仕事にはほぼ就けない。

プロジェクト管理の素質やコーディングのスキルを有している人にとってはチャンスはある。しかしそれでも、職を見つけるのは難しい。Robinson氏は企業と障がいのある求職者を結びつけるサイトの運営に取り組んでいる。

Robinson氏はTechCrunchに寄せたメールの中で次のように書いている。「雇用する価値を高めている障がい者を企業が理解し活用できるようにすること、それが私たちの目標です。雇用した障がい者の離職率は低く、士気と生産性を向上させることは実証済みです。インクルーシブな企業文化への取り組みが社内で始まるからです。企業がこうした取り組みを加速させることは、これまではなかなかできませんでした。求職ツールの多くが障がい者を考慮した設計ではなかったからです」。

Our AbilityのJohn Robinson氏

マイクロソフトは、障がいのある応募者からチャットボットで必要なデータを集めるというRobinson氏のアイデアを高く評価した。「今さらチャットボット?」と言う前に考えてみてほしい。フォームやウェブサイトを容易に操作できる人にとってチャットボットは時代遅れかもしれないが、それが難しい人もいるということを。チャットベースのインターフェイスはシンプルでアクセスしやすく、基本的なテキスト入力以外はユーザーに要求されることはほとんどない。

同じく対象団体となったPisonには有益なテクノロジーがある。運動機能に障がいがある人にとっては、マウスやトラックパッドの操作が難しい場合がある。同社の設立者のDexter Ang氏は、母親がALSの影響でこうした状態になるという経験をした。

Ang氏のソリューションは、病気の影響で制限を受けている動きを筋電図アームバンドで検出し(アームバンドのMyoをご存じの方もいるかもしれない)、マウスの動きに変換するというものだ。起業してからの数年間、開発とALS患者によるテストを実施している。テストに参加しているALS患者はわずか数分でこの技術を使えるようになるという。

Voiceittは発話に困難がある人にフォーカスした音声認識エンジンだ。障がいや脳卒中の後遺症などがあると、友だちや家族が話し言葉を聞き取るのが難しくなる。このような比較的難しい音声認識は、これまで開発されてこなかった。

Googleも最近「Project Euphonia」で同様の問題に取り組んでいる。同社はほかにもアクセシビリティに取り組んでおり、先週のGoogle I/Oの発表で注目された。

ほかの選出団体も紹介しよう(紹介文はマイクロソフトによる)。

  • シドニー大学(オーストラリア):7500万人いるといわれるてんかん患者の発作を予測して管理し、より自立した生活を目指すための、ウェアラブルのセンサー搭載警告システムの研究
  • バーミンガム市立大学(英国):運動に制限のある人が音声コマンドと目の動きでデジタルプラットフォームを操作するシステムの開発
  • Massachusetts Eye and Ear(米国、ボストン):視覚障がい者にとってより使いやすい位置情報とナビゲーションのサービスを提供するモバイルアプリの研究
  • カリフォルニア大学バークレー校(米国、バークレー):周囲の状況を字幕と音声の説明で視覚障がい者に伝えるモバイルアプリの作成

ところで一番上の写真は、iTherapyのInnerVoiceというアプリのものだ。InnerVoiceはコミュニケーションが難しい子どもが撮影した写真をAIで解析して説明をつけるアプリだ。これは、最新のテクノロジーを最適な場所で活用することによって、多くの人を少し助けるのではなく、少しの人を大いに助ける好例といえる。

マイクロソフトはここ数年アクセシビリティをしっかりサポートし、望ましいことにさらに力を入れてきているようだ。同社のプレジデントのBrad Smith氏は昨年のブログで多くのことを語り、強くコミットしていると思われる。

画像:iTherapy

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(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトは量子コンピュータ用開発ツールをオープンソース化

Microsoft(マイクロソフト)の量子コンピュータは、まだ量子ビットが実際に動作するところまではできていないかもしれない。それでも同社は、将来の量子コンピュータをプログラムするためのツールの開発に熱心に取り組んできた。ここ数年の間に、量子コードを書くためのプログラミング言語Q#、その言語のためのコンパイラ、そして量子シミュレータなどを発表してきた。そして米国時間の5月6日、Microsoftはこれらの成果を今後数カ月のうちにオープンソース化すると発表した

Microsoftによれば、この動きは「量子コンピューティングとアルゴリズムの開発を容易にし、デベロッパーにとって透明なものにする」ことを意図したものだという。さらに、オープンソース化によって、学術機関がこれらのツールを利用するのも容易になるはず。そして、もちろんデベロッパーは、自分たちのコードやアイディアを貢献できるようになるだろう。

当然のことながら、これらのコードはMicrosoftのGitHubページに掲載されることになる。実はMicrosoftのチームは、すでにいくつかのツールや使用例、さらには量子化学計算のサンプルのライブラリをオープンソース化していた。しかし、このプラットフォームのコア部分をオープンソース化するのは初めてのことだ。

「この業界の困難な問題を解決するための当社のアプローチには、新しいタイプのスケーラブルなソフトウェアツールが必要です。Quantum Development Kitが、まさにそれです。私たちの開発プロセスのすべてのステップをサポートしてくれるはずです」と、1QBitの共同創立者兼CEOのAndrew Fursman氏は、今回の発表の中で述べた。「私たちは、先進材料および量子化学の研究を加速する2つの重要なコードサンプルを提供することにワクワクしています。1つはVQE(Variational-Quantum Eigensolver)に関するもの、もう1つはDMET、つまり密度行列埋め込み理論を実証するもので、私たちのQEMISTというプラットフォーム上で動作しています」。

とはいえ、量子コンピュータに関するコードをオープンソース化するのはMicrosoftが最初というわけではない。例えばIBMは、量子コンピュータのプログラムを開発するためのオープンソースフレームワークQiskitを公開している。これにはAerというシミュレータも含まれている。またRigetti Computingも、同社のツールの多くをオープンソース化している。

ちょうど1カ月ほど前、MicrosoftはQuantum Development Kitが10万回以上ダウンロードされたと発表していた。その際には、Jupyter NotebookにQ#プログラミング言語のサポートも提供した。

このようなソフトウェアについての取り組みは、どれも賞賛に値するものながら、Microsoftの量子コンピュータのハードウェアに関する努力はまだ実を結んでいない。同社は量子コンピューティングに関して斬新なアプローチを取っている。それは長期的に見れば、競合他社に対して優位をもたらすかもしれない。しかし短期的には、すでに競合の何社かは、制限があるとは言え、現実の、物理的な量子コンピュータをデベロッパーに提供し始めている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Google アシスタント対応ヘッドホンの開発キット、GoogleとQualcommがローンチ

Qualcomm(クアルコム)は米国時間5月9日、Google(グーグル)と提携し、Google アシスタント対応Bluetoothヘッドフォンを開発するためのリファレンスデザインと開発キットを作成すると発表した。

従来、このようなヘッドフォンを作るのは簡単ではなく、多くのハードウェアやソフトウェアスタックを構成する必要があった。大手メーカーならいざしらず、そうでないヘッドフォンメーカーが自分のデバイスにボイスアシスタント機能を追加することを妨げていたのだ。

GoogleのTomer Amarilio氏はリリースにて「ヘッドフォンやイヤホンのようなワイヤレスBluetoothデバイスの人気が高まるにつれ、多くのヘッドセットで同じく素晴らしいアシスタントの経験を簡単に得られるようにする必要がある」と言及している。

「Qualcomm Smart Headset Development Kit」と名付けられたこの製品は、Qualcommの「QCC5100シリーズ」Bluetoothオーディオチップを搭載し、新しいヘッドセットを開発したり、Googleアシスタントとやり取りするための完全なリファレンスボードを提供する。

興味深く、またQualcommにしては珍しいことに、同社は完全なリファレンスデザインとして独自のBluetoothイヤホンも作っている。搭載機能では、例えばボリュームボタンなどをホールドしてGoogleアシスタントのセッションを開始できる。

本体にはUSBポートが搭載されかつ武骨で、通勤で使いたくなるようなスタイリッシュなヘッドフォンではない。しかし、メーカーが独自のデバイスを作るためのデザインを提供するのだ。

このリファレンスデザインは開発者がGoogle アシスタントを統合しやすくするだけでなく、GoogleのFast Pairテクノロジーにも対応している。新しいヘッドセットをAndroidスマートフォンに接続する際の、面倒な煩わしさを伴わない。

Qualcommでプロダクトマーケティングとボイスアンドミュージックを担当するシニアディレクターのChris Havell氏は、「外出先でのボイスコントロールとアシスタントの利用にたいする需要は、消費者市場全体で急速に高まっている」と述べた。

「Smart Headset Platformと組み合わせることで、このリファレンスデザインはGoogleのクラウドベースのサービスを利用し、大いに差別化されたユーザー体験を提供したいメーカーに柔軟性を提供するのだ」。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトが点字ディスプレイ付きXboxコントローラーを検討中か

Microsoft(マイクロソフト)は近年、ゲームにおけるアクセシビリティ向上に力を入れており、操作しやすいコントローラー「Adaptive Controller」などを発表している。そして同社の点字ディスプレイを組み込んだXbox向けコントローラーの特許は、障がいがあるゲーマーへの新たな配慮を示唆している。

想像できるように、視覚障害者がゲームを楽しむことや、その困難を完全に解決するのは難しい。例えば、画面上にテキストで表示されるプレーヤーの状態やアイテム、ダイアログや指示などは、どのようにしたらそのようなゲーマーが読み取ることができるだろうか。

多くの場合、スクリーンリーダーが視覚障害者用に用意されるが、そのテキストはオーディオ形式で提供されることが多く、ゲーム内では魅力的とはいえない。ゲームに熱中しようとしている時に、誰がコンピューターの音声で鎧のレベルやアイテムの取得を知りたいと思うだろうか。

またこの問題を解決するための点字ディスプレイはすでにいくつか存在するが、ゲームメーカーが用意するものに勝るものはなく、またそのためにMicrosoftは点字を内蔵したコントローラーの特許を出願したのだ。

 

今回の特許は昨年提出され、最近公開されたものをオランダ語サイトのLet’s Go Digitalが発見した。現時点で正式な発表はないが、6月に開催されるE3のことを考えれば興味深い。もちろん特許が必ず製品化につながるわけでないが、着目する価値はあるだろう。

特許で言及されている点字コントローラーは、普通のXbox Oneのゲームパッドとよく似ているが、背面には突起が飛び出してくる複雑な機構が組み込まれている。これは点字ディスプレイで、プレーヤーが指で読み取れる機械的な飛び出しを再現するドットマトリクスと、入力と出力の両方が可能なパドルのセットで構成されている。

 

6本のパドルは点字コードの6個のドットに対応しており、ユーザーはそれらを利用してコードやテキストを入力したり、あるいは指をパドルから離さずに文字を読み取ることができる。もちろんこの機構は、方向の指示や振動のような周囲環境のエフェクトを触覚フィードバックとして再現することもできる。このような機構がコントローラーに存在していても、私は気にならない。

もちろん、ゲームには視覚的なデータを聴覚的なデータに変換し、あるいはその逆を行うメタデータ層が必要となるだろう。このようなアイデアは誰もが考えているが、Microsoftはさらに一歩先をいこうとしている。同社の動きが、他の開発者やメーカーを説得するのに役立つのを祈るばかりだ。

E3の会場では、我々TechCrunchチームもMicrosoftへと、このコントローラーのデザインやその他のアクセシビリティの改善について尋ねるつもりだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトが労働時間の短縮を支援へ

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月6日、MyAnalyticsプラットフォームのアップデートとOutlookの新機能を発表した。これはユーザーの労働時間を短縮し、より重要な作業に集中しつつ、休暇を増やすことが目的だ。

従業員のプロダクティビティを追跡するMyAnalyticsではこれまで、勤務時間外にどれだけの時間を使っているのかの情報を提供していた。しかし、これだけでは不十分だ。今後、MyAnalyticsは従業員が勤務時間後に電源を落とし、午後8時にメールチェックや文章を作成しなかった時間を追跡する。その目的は、従業員が時間外にどれだけ働いたのかではなく、実際の数字に注目するようになることだ。

Microsoftで広報担当を務めるFrank X.Shaw氏は記者会見にて、「顧客からは、1日中ミーティングに時間を費やし、差し迫ったタスクやプロジェクトに費やす時間がほとんどないという訴えを聞く」と語っている。

この問題を解決するため、Microsoftは「フォーカス・タイム(focus time)」機能を本日ローンチした。機能の一つは、毎週フォーカス・タイムを設定できること。そして、仕事が終わろうとうしている時に同僚にアラートを発するMicrosoft Teamsの機能もある。

残念ながら、同僚はあなたの仕事のフローを気にせず、また不必要な会議を予約する傾向がある。MicrosoftはAI(人工知能)を利用したOutlookのプラグインをローンチし、フォーカス・タイムを再設定し、特定のToDoタスクに集中する時間を見つける手助けをする。

また将来的には、ウェルビーイングやネットワーキング、コラボレーションプランも導入される予定だ。

フォーカスプランはMicrosoft 365とOffice 365ユーザー向けに今後数ヶ月以内にプレビュー版として提供され、E5プランの顧客が最初に利用できるようになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトとRed HatのコラボでイベントドリブンのKubernetesオートスケーリングツールをローンチ

今やどんなデベロッパーカンファレンスでも、必ずKubernetesのお話がある。そこで当然ながら米国時間5月6日に開催されたMicrosoft(マイクロソフト)のBuildカンファレンスでも、このコンテナオーケストレーションサービスをめぐるいくつかの新しい機能に光が当てられた。

それらの多くは比較的ささやかなもので、Azure Policyのサポートの改良や、コンテナの構築とデバッグのための新しいツール、Azure Containerレジストリのアップデートなどが紹介された。レジストリは、ユーザーがHelmチャートを使ってCI/CD(継続的インテグレーションとデプロイメント)のワークフローを自動化できるようになった。

しかし今回いちばんおもしろいのは、Red HatとMicrosoftのコラボレーションによるオープンソースのコラボレーションツールKEDAで、それはサーバーレスでイベントドリブンなコンテナのデプロイを助ける。KEDAはKubernetes-based Eevent-Driven Autoscaling(Kubernetesベースのイベントドリブンなオートスケーリング)の略で、これによりユーザーは、自分のイベントドリブンアプリケーションをKubernetes上に作れる。KEDAがトリガーを処理し、他のサービスで起きたイベントに応答して、必要に応じワークロードをスケールする。

KEDAは、パブリッククラウドでもプライベートクラウドでも、そしてオンプレミスでも使える。クラウドはベンダを特定しないが、もちろん当然Azure Kubernetes ServiceやRed HatのOpenShiftでもよい。KEDAがあるとデベロッパーは、MicrosoftのサーバーレスプラットホームAzure FunctionsをKubernetesクラスターの中のコンテナとしてデプロイできる。それは、OpenShift上でもいい。

画像クレジット: Ron Miller

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトがWord Onlineの文書作成支援にAIを導入

Microsoft Word Onlineで文章を書いている人は、まもなくAI内蔵エディターを使えるようになる。米国時間5月6日に同社が発表したところによると、Wordに近々「Ideas」という新機能が加わり、文書作成のあらゆる支援を提供する。

書くことが苦手な人にとって、Ideasの最重要な機能は簡潔で読みやすいテキストを書くことの支援に違いない。文法チェッカーの強化版だと思えばいい。ツールは明らかな間違いを直すだけでなく、文章をよりよくすることに焦点を当てる。例えば、複雑なフレーズを使いこなせないとき、機械学習を使って別の書き方を提示してくれる。差別のないインクルーシブな文章を書くための機能もある。

クラウドベースの同ツールは読み終えるまでの予想時間や略語の説明なども提示してくれる。そのために、Microsoft Graphにあるあなたの会社のデータを利用する。

Ideasは文書の要点を自動的に抽出することもできる。ただしおそらくこれは、書き手よりも読み手にとって興味のある機能なので、誰かが67ページのニュースサマリを送ってきたときに使うのだろう。

Microsoft(マイクロソフト)によれば、Ideasは「Word Designer」なる機能も提供するとのこと。表など、文書のさまざまな部分のスタイル設定を支援する。新機能は6月からOffice Insiderプログラム参加者に提供され、秋には全ユーザーに公開される予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトが「React Native for Windows」を公開

米国時間5月6日、Microsoft(マイクロソフト)は、React NativeのデベロッパーがWindowsをターゲットにするための新しいオープンソースプロジェクトを発表した。「React Native for Windows」と自然に名付けられたそのプロジェクトは、MITライセンスの下でReact Nativeを「性能を重視して」実装することを目指す。

Facebook発のクロスプラットフォーム開発フレームワークであるReact Nativeを使ってWindowsをターゲットにするのはこれが初めてではない。デベロッパーがJavaScriptでコードを書き、AndroidとiOSで動かすことのできるこのフレームワークには、Windowsおよび macOSをターゲットにするためのプラグインと拡張機能がすでにある。

React Native for Windowsでは、MicrosoftがReact Nativeを再実装し、多くのコンポーネントをC++で書き直すことによって最大の性能を引き出そうとするものだ。デベロッパーは、PC、タブレット、Xbox、複合現実端末などさまざまなWindows 10デバイスをターゲットにできる。プロジェクトをMicrosoftがバックアップしていることで、デベロッパーはより高性能で柔軟性の高いアプリをユーザーに提供できるようになる。

プロジェクトはGitHubですでに公開中で、デベロッパーはテストが可能。完成度の高いバージョンが近いうちに提供される予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook