映画館の再開に伴いチケット販売アプリ開発のAtom TicketsがSnapchatのミニアプリ提供を開始

カリフォルニア州サンタモニカ拠点のチケット・売店購入アプリ開発のAtom Ticketsが、Snapchatでのチケット販売を開始する。

Atom Ticketsの新しい映画チケットは、Snapchatアプリ内で直接サービスを提供するために、Snapの新しいミニアプリ配信プラットフォームを利用する。好みにアプリには、瞑想アプリのHeadspaceなどがある。

Atom Ticketsは、ミニアプリは今夏の初めに発売する予定だったが、新型コロナウイルスの感染蔓延の影響で全国の映画館が閉鎖されたため、その計画は頓挫していた。現在は映画館が再開し、「Tenet」「Bill and Ted Face the Music」「Wonder Woman」「The New Mutants」などの新作が銀幕に登場する中、新サービスを売り込むのに適した時期になったようだ。

「場所の安全対策と映画に戻ることを熱望する映画ファンと、我々はタイミングがSnapchat上でAtomのチケットの経験を起動するために右だった知っていた “マシューBakal、共同創設者とAtomチケットの会長は、声明の中で言った。”私達は映画ファンが欲しいものを与える安全な、無接触のデジタルサービスを提供して幸せである-映画を脱出し、楽しむ少しの時間。私たちは、社会的なプラットフォームとしての私たちの既存のDNAに基づいて構築された新しいMovie Tickets by Atom Miniが、映画を見に行くことをより簡単にし、友人を一緒に連れてくることを確信しています。”

Atom Ticketsの共同創設者で会長のMatthew Bakal(マシュ−・バカル)氏は声明で「安全対策が整っており、映画ファンが映画館に戻りたがっていることから、SnapchatでAtomのチケット販売体験を開始するのは適切なタイミングだと考えました」と述べた。「私たちは、安全で非接触型のデジタルサービスを提供することで、映画ファンは欲しいものを手に入れられます。Atom Miniの新しい映画チケットは、我が社の既存のDNAをベースにしたソーシャルなプラットフォームによって、映画をより身近にして友達を結びつけるものです」と続ける。

Snap Miniは、Snapchat内で提供されるミニアプリサービスで、同社のメッセージングインターフェースからアクセスできるのが特徴だ。Movie Tickets by Atomでは、ユーザーはチケットを購入し、ダイレクトメッセージ、グループチャット、ストーリーで詳細を投稿して共有、友人が近くの席を見つけられるようにリンクを含めることもできる。

SnapのプラットフォームパートナーシップのディレクターであるAlston Cheek(アルストン・チーク)氏は「Movie Tickets by AtomがSnapchatに登場することに、これ以上の喜びはありません。Atom Ticketsは、Snapにミニアプリとしてシームレスなeコマース体験を構築し、北米のSnapchatユーザーに最高のものを提供するでしょう」と声明で述べている。

Atom Ticketsは、AMC Theatres、Cinemark、Harkins Theatres、National Amusements’ Showcase Cinemas、CMX Cinemas、Landmark in Cinemas of Canada、Studio Movie Grill、Malco Theatres、Landmark Theatres、ArcLight Cinemas、Larry H. Miller Megaplex Theatresなど、新しくオープンしたばかりの映画館と提携している。

画像クレジット:Sunil Ghosh / Hindustan Times / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Snapchatがトランプ大統領の投稿をDiscoverタブに掲載しないと発表

Snap(スナップ)は米国6月3日朝、先週のトランプ大統領のTwitter(ツイッター)投稿を受けて、大統領のコンテンツをDiscoverタブに掲載しないと発表した。ツイートの中で大統領は「抗議する者は『獰猛な犬』と『不吉な武器』に直面するかもしれない」と脅した。

Snapchat(スナップチャット)の対応は多くの理由で注目に値する。中でも、ソーシャルメディアプラットフォームは人気のアカウントがプラットフォーム利用規則を破ったら注意するだけにとどまる傾向にあったことを考えると、かなり興味深い。Snapchatユーザーは、トランプ大統領のフィードを購読したり、アカウントを検索したりすればコンテンツにアクセスできる。今回Snapは単に大統領のアカウントをオーガニックリーチに限定し、Snapが管理するフィードから排除しているだけだ。

「我々は人種暴力や不平等を煽動する人にDiscoverでの無料宣伝を提供することでそうした人の声を拡散させることはしない」とSnapchatの広報担当は声明で述べた。

Snapchatの対応について、トランプ大統領の陣営は「有権者の抑圧に積極的に関与している」と非難(トランプ大統領のウェブサイト)した。

SnapchatのパーソナライズされたDiscoverフィードは、ニュースメディアやSnapchat上のアカウントのコンテンツをソースとしているが、TwitterのMomentsスレッドのような競合するプロダクトに比べてよりエンターテイメントのニュースに偏っている。一方、Momentsはニュース速報に重きを置いている。

今週はじめに、SnapのCEOであるEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏は最近の抗議についてのレターを共有し、その中で「米国の黒人と有色の人の扱いに心を痛め、憤りを感じた」と記した。Snapのサイトに投稿されたレターの中で、シュピーゲル氏はまた「真実、調停、賠償に関する多様で、党派に属さない委員会」の設置を求めた。

Snapの決断は、Twitterが「暴力の称賛」を禁止するTwitterのルールを破っているとしてトランプ大統領のミネアポリスの抗議についてのツイートの1つを非表示にしたことを受けてのものだ。Twitterはその前に郵送投票に関連するトランプ大統領の2つのツイートに「要事実確認」の警告を表示した。

Facebook(フェイスブック)はCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がTwitterに投稿されたのと同じコンテンツをニュース価値があるとして同プラットフォームからの削除を却下し、同社は今週内部からの批判を浴びた。一部のFacebook従業員がリモートでのストを実行し、ザッカーバーグ氏を含む経営陣にこの件について社内会議を開催するよう要求する事態に発展した。

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Scanpchat開発元が多額の債券発行により800億円超の資金調達を目指す

好調な決算報告を終えたばかりのSnap(スナップ)は米国時間4月24日、新たに7億5000万ドル(約810億円)の資金調達を検討していると発表した。SnapはSnapchatを提供している。

2025年5月1日に満期となる7億5000万ドルの転換社債で構成される今回の債券発行は、適格な機関投資家を対象とした第三者割当増資であり、Snapは将来的に1億1250万ドル(約121億円)相当の社債を確保するオプションを買い手に提供することも視野に入れている。

Snapの第1四半期の収益は投資家に好印象を与えたが、同社は依然として多額の現金を失っており、デジタル広告市場の低迷の影響が第2四半期の収益に影響することは明らかだ。Snapは今週火曜日に、同四半期の売上高が4億6250万ドル(約497億円)、純損失が3億600万ドル(約329億円)だったと発表した。

新型コロナウイルス(COVID-19)危機は、民間企業や上場企業にバランスシートを厳しく精査するよう促している。有利な立場にある企業にとって債務の調達は、迫り来る市場の不確実性に対処するための魅力的な選択肢である。

Snapが社債発行を検討するのは、これが初めてではない。同社は2019年8月に、11億ドル(約1182億円)の債務募集を発表している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Snapchatは自分の顔でディープフェイクできるCameoをテスト中

Snapchatはビデオクリップの人物の顔を自分のセルフィーに入れ替えられる機能を準備中だ。このCameo機能は簡単にいえば、現在話題になっているディープフェイクの簡易版で、テンプレートのショートビデオから簡単に自分の顔のGIFを作って共有できる。いわばBitmojiのビデオ版というところで、エモーティコンとして自分の感情や状況をユーモラスに表現できる。Cameoが一部フランスのユーザーに公開されていることをSnapのウォッチャーである@Mtatsisが発見した。

Snapchat Cameoであなたもビデオ・スターになれる

TechCrunchがSnapに取材したところ、同社はCameo機能を一部の外国でテスト中であることを認めた。Snapは「Cameoはまだ一般公開の段階ではないが、近く世界デビューする。期待していただきたい」と述べた。以下にフランスのSnapユーザーからのツイートを紹介する。

Cameoを使うにはまず自分のセルフィーを撮ってSnapchatに「自分がどんなふうに見えたいか」を教える。ここで男性または女性ぽい体型を選べる。

Cameoはメッセージ・キーボードのBitmojiボタンからオプションとして選択できる。Snapchatではテンプレートとなるサウンド入りビデオクリップを多数用意しているので好みのビデオを選ぶ。Snapchatは先ほどのセルフィーから得た顔情報をビデオクリップの顔に埋め込む。ビデオクリップの俳優の顔がユーザーの顔に置き換わるわけだ。ユーザーは他のエモーティコンを送信するのと同様、状況に合わせて好みのテンプレートを選ぶだけでよい。

CameoはSnapchatがアメリカでインスタント・メッセージの首位を守るために重要な手段になるだろう。FacebookグループのInstagramとWhatsAppがSnapchatがパイオニアだったストーリー機能をコピーして大成功を収めているため、Snapとしては急追するこうしたサービスとの差別化を図る必要に迫られていた。

もっともCameoのケースはSnapは中国の顔交換アプリ、Zaoをコピーしたと言われるかもしれない。これは中国で大人気となったセルフィー・ビデオをスターやセレブの顔に変えるディープフェイク・アプリだ。またJibJabが何年も前に導入したクリスマスの妖精のGIFにユーザーのアバターを貼り付ける機能も方向としては似ている。

Snapは最近ソーシャル・ゲーム中のSnapchatに広告を導入して収益化を図り始めた。 SnapはARレンズと同様の仕組みで広告主にCameoクリップを販売して収益化を試みるかもしれない。

Cameoはショートビデオの人物の顔を自分の顔に入れ替えて面白い効果を上げようとするテクノロジーだ。 しかしディープフェイクはフェイク情報の拡散やネットいじめにも利用されやすい。ポルノや政治家のビデオなどを自由に加工させるのではなく、Snapでは無害なビデオだけをテンプレートとして提供することで危険を避けようとしている。SnapchatのCameoはディープフェイクのユーモラスな利用法として成功するかもしれない。

画像:Jeff Higgins]

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Snapchatの第3四半期は収入50%アップで躍進、株価はわずかに下落

一時困難が伝えられていたSnapchatのカムバックが続いている。 このほど発表された親会社、Snapの3四半期決算(pdf)の収入はアナリスト予想を大幅に上回ったが、株価はわずかにダウンした。

好調の原因は、今四半期のDAU(1日あたりアクティブユーザー)がプラス700万人となり、前年比13%増の2億1000万人に達したためだ。これにより売上は4億4600万ドルを記録、対前年比50%増となった。1株当たり0.04ドルの損失だ。ブルームバーグによればウォールストリートのアナリストの予想は、4億3790万ドルの収益、1株当たり0.05ドルの損失だったからこれを大きく上回る結果となった。

Snapは損失も削減され、収益性の改善が続いている。 純損失は、前四半期の2億5500万ドルから2億2700万ドルに改善された。赤字も2018年第3四半期に対して今期は9800万ドル減少した

CEOのEvan Spiegel(エヴァン・スピーゲル)氏は用意された声明で市場はSnapchatの株価をさらに高く評価すべきだとして「我々は急成長企業であり、営業力は強力であり、収益性への明確な道筋を持っている。将来に対するビジョンも明確で、長期的成長のための投資能力も有する」と述べた。

好調な四半期だったにもかかわらずSnapの株価は4%ダウンの14ドルの終値となった。時間外取引では4.6%ダウンの13.35ドル(現在は13.18ドル)で、上場時の17ドルを依然下回っている。しかし今年に入っての成長が目覚ましいために昨年12月の底値4.99ドルから大幅に回復している。

Snapchat DAU Q3 2019

黒字化がなかなか達成できない原因の一部は、ユーザーあたりの売上と比較してSnapの成長にかかる平均コストが高いためだ。ユーザー数はすべての地域で成長したが、700万人の新しいユーザーのうち500万人が米国以外からで、北米とヨーロッパでの増加は100万人に過ぎなかった。

リニューアルされたAndroidアプリの成長とユーザー保持率が予想を上回ったのはグッドニュースだった。インドではヒットした。しかしSnapchatは高解像度ビデオコンテンツにあれほど力を入れているにもかかわらず、米国以外の地域における平均収入はわずか1.01ドルしかない。同社は引き続きARPU(ユーザー1人当たりの売上)を成長させると同時に、米国以外での売上を伸ばしていく必要がある。

Snapchatの決算報告では以下のような点も目立った。

  • 2019年第3四半期の営業キャッシュフローは、対前年同期で5600万ドル改善し、7600万ドルの損失
  • フリーキャッシュフローは、対前年同期で7500万ドル改善し、今期は8400万ドルのプラスとなった
  • 手元現金および有価証券は23億ドルだった

Snapchat ARPU Q3 2019

スピーゲル氏が「今期、Snapchatのユーザーアクティビティが前年比で増加したが、これにはストーリーの投稿と閲覧の増加も含まれている」と述べたのは興味深い。Snapchatはこの2年間というものStoriesの成長について触れることがなかった。今年に入ってカムバックするまでSnapchatが縮小サイクルに落ち込んだのはInstagram Storiesなどのクローンによる激しい攻撃が大きかった。

StoriesはSnapchatの広告売上にとって非常に重要な部門なので、今後アナリストはさらに詳しいデータを知りたいと望むだろう。 Snapはアプリの利用回数について、2018年7月の1日25回から1日30回に増加した述べた。これをみればSnapchatのユーザーエンゲージメントは高く、写真などを連続送信する会話に強く好まれていることが推測できる。

Snapchatの他の主要広告分野の1つはDiscoverで、総視聴時間は対前年比で40%増加した。今四半期には、数少ないヒットでビューを稼ぐのではなく、100件以上のDiscoverチャンネルで1カ月あたり1000万人以上の視聴者を得た。InstagramのIGTVは失敗だったが、DiscoverはSnapchatのサービスを差別化する優れたプロダクトとなり、売上に貢献している。同社は今後もDiscoverの改善とプロモーションに力を入れていくべきだろう。

またInstagramは「親しい友達限定」のサービス、Threadでチャットに力を入れ始めた。Snapchatも「メッセージがすぐに消えるチャットサービス」を売り物にしていくだけでは差別化が難しくなるだろう。
3 TikTok Ad

TikTokのSnapchat広告はユーザーを奪おうとする試みか?

ライバルがSnapchatで広告を出し続けることができる理由について尋ねられたとき、スピーゲル氏は「TikTokは間違いなく友人だと考えている」と述べたのには驚かされた。たしかにこれらのアプリは別物だ。Snapchatがメッセージ交換に特化し、ユーザーの日常の一部となるソーシャルメディアであるTikTokは事前によく準備されたビジュアルエンタテインメントを拡散することに重きを置いている。

しかしこの「友情」はSnapchatにとって高くつくものとなりかねない。TikTokはユーザーがSnapchatのDiscoverに滞在する時間を盗むかもしれないからだ。TikTokがソーシャルエンタテインメントで地位を確立すればSnapchatはそこから締め出されるだろう

第4四半期について、決算報告のガイダンスはは「DAUは2億1400万から2億1500万人、収入は5億4千万から5億6千万ドル」としている。また調整後EBITDAについては、ブレークイーブンからプラス2000万ドル程度を期待している。クリスマス商戦を含む第4四半期の予測について、Snap自身のガイダンスがアナリスト予測を下回っていたことが株価低迷の一因となった。

Snapの黒字化まで道のりは、まだかなり長い。黒字化を達成できれば、長期的ビジョンに基づくプロジェクト、特にカメラ内蔵メガネのSpectaclesにもっと投資する資金が得られる。スピーゲル氏は「拡張現実メガネがメインストリームのプロダクトとして消費者に受け入れれられるまでには10年はかかるだろう」と述べている。つまり、Snapがこの分野で、Apple、Facebook、Magic Leapなどの有力ライバルと戦いたいなら、まずそれだけの期間を生き残らねばならないということを意味する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Snapが約1100億円のプライベート・デッドの調達を検討中

Snapchatの親会社であるSnapは、新たに提案されているプライベートな10億ドル(約1100億円)の転換可能なシニア債を通じて、現金を調達することを検討している。発行期限は2026年8月1日だ。Snapによると、この債務は事業運営に関わる一般的な運用費用に使用されるが、「保管的な事業、製品、サービス、技術を買収する」可能性があり、また将来的には株式が買い戻される可能性もあるという。しかし、現時点では具体的な計画はない。

事業や買収の資金調達のために債務を調達することは、上場企業にとっては珍しくはない。例えばNetflixは、定期的に資金調達をおこなっており、ますます高価になるコンテンツ制作費用をまかなっている。今のところ、市場はSnapによる資金調達の決定には否定的に反応しており、時間外取引での価格は下落している。

しかしながら、Snapは基本的に株式市場では好調に推移しており、7月末の好調な四半期決算により株価が上昇し、初めてIPO価格を上回った。現在は再びIPO価格を下回っているが、年初からみれば大幅に改善されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

好決算を受けたSnapの株価がIPO価格を上回る

Snap(スナップ)はニューヨーク証券取引所でもはや笑い者ではない。最新のユーザー数の増加と四半期決算の内容を受け、Snapの株価は水曜日、18.68%アップの17.60ドルで引けた。終値がIPO価格の17ドルを上回ったのは昨年3月以来のことだ。

Snapの株式公開はかなり期待され、2017年3月の上場初日、株価は44%上昇した。しかし、上場後初の決算で、ユーザー数の成長が減速したことが明らかになり(その後しばらく低迷することになる)、Snapの株価はすぐさま急落した。株価がデビュー価格17ドルを下回ったのはわずか数か月後のことで、2018年の初めにはデビュー価格を上回ったりもしたが、12月末には4.82ドルにまで下がった。

Snapが昨日発表した2019年第2四半期決算は、急激に投資家に見放されてここ数カ月、幹部やエンジニアの確保に苦しんでいるとされる同社にとってターニングポイントになるかもしれない。第2四半期の決算ではSnapの経営陣は、デイリーアクティブユーザー数が前年同期比1300万増え、18〜24歳のユーザー数で盛り返したと強調した。

そうした成長を維持できるかどうかは、直近の四半期だけで700〜900万の新規ユーザー獲得につながったARレンズのような、プラットフォームにユーザーを呼び込めるヒットを続けて出せるかにかかっている。
今回の回復によりSnapはオリジナルコンテンツの戦略、そしてゲーム開発やARプラットフォームのような野心的な取り組みに力を注ぐことができそうだ。

イメージクレジット: BRYAN R. SMITH/AFP

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(翻訳:Mizoguchi)

フェイスブックを超える大きなデジタルドリーム「オープンブック」

大手ソーシャル系技術企業は、自身の強力なプラットフォームが持つ特性と、的確な舵取りと価値の創出に失敗したこと(自ら設定したと主張する規定にすら準拠できていないことが明らかになっている)の結果の両方によって生じたと反社会的な魔物と格闘を続けているが、それでも、よりよい方法があると夢見ている人たちがいる。人の怒りを食べて成長する広告技術の巨人、フェイスブックやツイッターを超えるソーシャルネットワークだ。

もちろん、「よりよい」ソーシャルネットワークを作る試みは数多くあったが、そのほとんどは沈没している。成功や利用度には差があるものの、今でも使われているものもある(スナップチャット、エロー、マストドンの3つは元気だ)。だが当然ながら、ザッカーバーグの王座を強奪できる者はいない。

その原因は、そもそもフェイスブックがイスンタグラムとワッツアップを買収したことにある。フェイスブックはまた同様に、自分たちよりも小さな成功の芽を持つライバル企業を買収して潰している(tbh)。そうやって、ネットワークのパワーと、そこから流れ出るリソースを独占することで、フェイスブックはソーシャルの宇宙に君臨している。それでも、もっと良いものを想像する人々の気持ちは止められない。友だちが作れて、社会に大きな影響を与えることができる、倫理的に優れ、使いやすいプラットフォームだ。

そんな、二面性のある社会的使命を持った最新の夢想家を紹介しよう。オープンブック(Openbook)だ。

彼らの理想(今はそれだけなのだが、自己資金で立ち上げた小さなグループと、宣言と、プロトタイプと、間もなく終了するキックスターター・キャンペーンと、そしてそう、希望に満ちた大志がある)は、ソーシャルネットワークを再考して、複雑で不気味なものではなく、より親しみやすく、カスタマイズができるオープンソースのプラットフォームを作ることだ。

営利目的のプラットフォームとしてプライバシーを守るという彼らのビジョンは、常に利用者を監視する広告やトラッカーは使わず、公正な料金設定(そしてプラットフォーム上で通用するデジタル通貨)によるビジネスモデルに立脚している。

彼らの中核にある考え方は、とくに新しいものではない。しかし、巨大プラットフォームによる大量にして目に余るデータの不正利用にさらされていると、その考え方が理にかなっていると思えるようになる。そのため、おそらくここではタイミングがもっとも重要なエレメントになる。フェイスブックは、度重なる舵取りの失敗、知覚評価の低下、さらに退陣する幹部役員のなかの少なくとも一人が、人を操作することに長け倫理に無関心であることから営業哲学が攻撃されるなど、これまでにない厳しい調査にさらされ、利用者数の伸び悩み知覚価値の低下を招いている。

より良い方向を目指すオープンブックのビジョンは、Joel Hernández(ジョエル・ヘルナンデス)が描いたものだ。彼は2年間ほど夢想を続けている。他のプロジェクトの傍らでアイデアのブレインストーミングを行い、周囲の似た考えを持つ仲間と協力して、彼は新しいソーシャルネットワークの宣言をまとめた。その第一の誓いは、正直な関与だ。

「それから、データスキャンダルが起きて、繰り返されるようになりました。彼らはチャンスを与えてくれたのです。既存のソーシャルネットワークは、天から与えられたものでも、不変のものでもありません。変えたり、改良したり、置き換えることができるのです」と彼はTechCrunchに話してくれた。

Hernándezによるとそれは、ちょっと皮肉なことに、昼食時に近くに座っていた人たちの会話を聞いたことから始まった。彼らは、ソーシャルネットワークの悪い点を並べ立てていたのだ。「気持ち悪い広告、ひっきりなしに現れるメッセージや通知、ニュースフィードに何度も表示される同じコンテンツ」……これに推されて、彼は宣言文を書いた紙を掴み取り、新しいプラットフォームを実際に作ろうと(というか、作るための金策をしようと)決意した。

現在、この記事を執筆している時点では、オープンブックのキックスターター・キャンペーンのクラウドファンディングは残り数日となったが、集まっているのは(控えめな)目標額の11万5000ドル(約1270万円)の3分の1程度だ。支援者は1000人をわずかに超える程度しかいない。この資金集めは、ちょっと厳しいように見える。

オープンブックのチームには、暗号文の神と呼ばれ、メール暗号化ソフトPGPの生みの親として知られるPhil Zimmermann(フィル・ジマーマン)も加わっている。開始当初はアドバイザーとして参加していたが、今は「最高暗号化責任者」と呼ばれている。そのときが来れば、プラットフォームのために彼がそれを開発することになるからだ。

Hernándezは、オランダの電気通信会社KPNが内部的に使うためのセキュリティーとプライバシー保護用のツールをZimmermannと一緒に開発していたことがある。そこで彼はZimmermannをコーヒーに誘い出して、彼のアイデアに対する感想を聞いたのだ。

「私がオープンブックという名前のウェブサイトを開いた途端、これまで見たことがないくらいに彼の顔が輝いたのです」とHernándezは話す。「じつは、彼はフェイスブックを使おうと考えていました。家族と遠く離れて暮らしていたので、フェイスブックが家族とつながるための唯一の手段だったのです。しかし、フェイスブックを使うということは、自分のプライバシーをすべて捧げるということでもあるため、彼が人生をかけてきた戦いで負けを認めることになります。だから、彼はフェイスブックを使いませんでした。そして、実際の代替手段の可能性に賭けることにしたのです」

キックスターターの彼らのキャンペーンページに掲載された動画では、Zimmermannが、営利目的のソーシャルプラットフォームの現状について彼が感じている悪い点を解説している。「1世紀前は、コカコーラにコカインが含まれていて、私たちはそれを子どもに飲ませていました」とZimmermannは動画の中で訴えている。「1世紀前の私たちの行動はクレイジーです。これから数年先には、今のソーシャルネットワークを振り返って、私たちが自分自身に何をしていたのか、そしてソーシャルネットワークで互いに傷つけ合っていたこと気づくときが来るでしょう」

「今あるソーシャルネットワークの収益モデルに代わるものが、私たちには必要です」と彼は続ける。「深層機械学習のニューラルネットを使って私たちの行動を監視し、私たちをより深く深く関わらせようとするやり方を見ると、彼らがすでに、ユーザーの関わりをさらに深めるものは、激しい憤り以外にないと、知っているかのようです。そこが問題なのです」

「こうした憤りが、私たちの文化の政治的な対立を深め、民主主義制度を攻撃する風潮を生み出します。それは選挙の土台を崩し、人々の怒りを増長して分裂を拡大させます。さらに、収益モデル、つまり私たちの個人情報を利用する商売で、我々のプライバシーが破壊されます。だから、これに代わるものが必要なのです」

Hernándezはこの4月、TechCrunchの情報提供メールに投稿してくれた。ケンブリッジ・アナリティカとフェイスブックのスキャンダルが明るみに出た直後だ。彼はこう書いていた。「私たちは、プライバシーとセキュリティーを第一に考えたオープンソースのソーシャルネットワークを作っています」と。

もちろん、それまでにも似たような宣伝文句は、ほうぼうから聞かされていた。それでも、フェイスブックは数十億という数の利用者を集め続けていた。巨大なデータと倫理のスキャンダルにかき回された今も、利用者が大挙してフェイスブックから離れることは考えにくい。本当にパワフルな「ソーシャルネットワーク」ロックイン効果だ。

規制は、フェイスブックにとって大きな脅威になるだろうが、規制を増やせば、その独占的な地位を固定化することになるだけだと反対する人もいる。

オープンブックの挑戦的なアイデアは、ザッカーバーグを引き剥がすための製品改革を敢行することにある。Hernándezが呼ぶところの「自分で自分を支えられる機能を構築すること」だ。

「私たちは、プライバシーの問題だけで、今のソーシャルネットワークから多くのユーザーを引きつけることは不可能だと、率直に認めています」と彼は言う。「だから私たちは、もっとカスタマイズができて、楽しくて、全体的なソーシャル体験ができるものを作ろうとしているのです。私たちは既存のソーシャルネットワークの道を辿ろうとは思っていません」

この夢のためであったとしても、データの可搬性は重要な材料だ。独占的なネットワークから人々を乗り換えさせるには、すべての持ち物とすべての友だちをそこに残してくるよう言わなければならない。つまり、「できる限りスムーズに移行ができるようにする」ことが、もうひとつのプロジェクトの焦点となる。

Hernándezは、データ移行のためのツールを開発していると話している。既存のソーシャルネットワークのアーカイブを解析し、「そこに自分が持っているものを開示し、何をオープンブックに移行するかが選べる」ようにできるというものだ。

こうした努力は、欧州での新しい規制が助力になっている。個人情報の可搬性を強化するよう管理者に求める規制だ。「それがこのプロジェクトを可能にしたとは言わないけど……、以前の他の試みにはなかった特別なチャンスに恵まれました」とHernándezはEUのGDPR(一般データ保護規制)について話していた。

「それがネットワーク・ユーザーの大量移動に大きな役割を果たすかどうか、私たちには確かなことは言えませんが、無視するにはあまりにも惜しいチャンスです」

製品の前面に展開されるアイデアは豊富にあると、彼は話している。長いリストを広げるように教えてくれたものには、まず手始めに「チャットのための話題ルーレット、インターネットの課題も新しいコンテンツとして捉え、ウィジェット、プロフィールアバター、ARチャットルームなど」がある。

「馬鹿らしく思えるものもあるでしょうが、これはソーシャルネットワークに何ができるかを見極めるときに、現状を打破することが狙いなのです」と彼は付け加えた。

これまでの、フェイスブックに変わる「倫理的」なネットワーク構築の取り組みが報われなかったのはなぜかと聞くと、みなが製品よりも技術に焦点を置いていたからだと彼は答えた。

「今でもそれ(失敗の原因)が支配的です」と彼は示唆する。「舞台裏では、非常に革新的なソーシャルネットワークの方式を提供する製品が現れますが、彼らは、すでにソーシャルネットワークが実現している基本的な仕事をするための、まったく新しい技術の開発にすべての力を注ぎます。数年後に判明するのは、既存のソーシャルネットワークの機能にはまだまだ遠く及ばない彼らの姿です。彼らの中核的な支持者たちは、似たような展望を示す別の取り組みに乗り換えています。そしてこれを、いつまでも繰り返す」

彼はまた、破壊的な力を持つ取り組みが消えてしまうのは、既存のプラットフォームの問題点を解決することだけに集中しすぎて、他に何も生み出せなかった結果だと推測している。

言い換えれば、人々はそれ自身が大変に面白いサービスを作るのではなく、ただ「フェイスブックではないもの」を作ろうとしていたわけだ(しかし最近では、スナップが、フェイスブックのお膝元で独自の場所を切り開くという改革を成し遂げたことを、みなさんもご存知だろう。それを見たフェイスブックがスナップの製品を真似て、スナップの創造的な市場機会を潰しにかかったにも関わらずだ)。

「これは、ソーシャルネットワークの取り組みだけでなく、プライバシーを大切にした製品にも言えます」とHernándezは主張する。「そうしたアプローチが抱える問題は、解決した問題、または解決すると宣言した問題が、多くの場合、世間にとって主流の問題ではないということです。たとえば、プライバシーがそうです」

「その問題を意識している人にとっては、そうした製品はオーケーでしょう。しかし、結局のところ、それは市場のほんの数パーセントに過ぎません。この問題に対してそれらの製品が提供する解決策は、往々にして、人々にその問題を啓蒙することに止まります。それでは時間がかかりすぎます。とくに、プライバシーやセキュリティーの問題を理解させるのは、そう簡単ではありません。それを理解するためには、技術を使いこなすよりも、ずっと高度な知性が必要になります。それに、陰謀説論者の領域に入って実例を挙げなければ、説明が困難です」

そうして生まれたオープンブックの方針は、新しいソーシャルネトワークの機能や機会を人々に楽しんでもらうことで、そしてちょっとしたおまけとして、プライバシーが侵害されず、連鎖的に人の怒りの感情に火をつけるアルゴリズムも使わないことで、世の中を揺さぶろうというものとなった。

デジタル通貨に依存するビジネスモデルも、また別の課題だ。人々に受け入れてもらえれるかは、わからない。有料であることが、すなわち障害となる。

まずは、プラットフォームのデジタル通貨コンポーネントは、ユーザー同士の不用品の売り買いに使われると、Hernándezは言っている。その先には、開発者のコミュニティーが持続可能な収入を得られるようにしたいという展望が広がっている。すでに確立されている通貨のメカニズムのおかげで、ユーザーが料金を支払ってコンテツにアクセスしたり、(TIPSを使って)応援したりできる。

つまり、オープンブックの開発者たちが、ソーシャルネットワーク効果を使い、プラットフォームから発生する直接的な支払いの形で利益が得られるという考えだ(ユーチューブのクリエイターなど、広告料金にだけ依存する形とは違う)。ただしそれは、ユーザーがクリティカルマスに達した場合だ。当然、実に厳しい賭けとなる。

「既存のソリューションよりも経費が低く、素晴らしいコンテンツ制作ツール、素晴らしい管理機能と概要表示があり、コンテンツの表示方法が細かく設定でき、収入も安定して、予測が立てやすい。たとえば、毎月ではなく、5カ月に一度といった固定的な支払い方法を選んだ人には報償があるとか」と、現在のクリエイターのためのプラットフォームと差別化を図るためのアイデアを、Hernándezは並べ立てた。

「そんなプラットフォームが完成して、人々がその目的のためにTIPSを使うようになると(デジタルトークンの怪しい使い方ではなく)、能力が拡大を始めます」と彼は言う(彼はまた、計画の一部としてデジタル通貨利用に関するその他の可能性についてMedium誌に重要な記事を書いている)。

この初期のプロトタイプの、まだ実際に資金が得られていない段階では、彼らはこの分野での確実な技術的決断を下していない。誤って反倫理的な技術を埋め込んでしまうのも怖い。

「デジタル通貨に関しては、私たちはその環境への影響と、ブロックチェーンのスケーラビリティーに大きな不安を抱えています」と彼は言う。それは、オープンブックの宣言に明記されたグリーンな目標と矛盾することになり、収益の30パーセントを「還元」プロジェクトとして、環境や持続可能性への取り組み、また教育にも役立てるという計画を、絵空事にしてしまう。

「私たちは分散化した通貨を求めていますが、じっくり調査するまでは早急に決めるつもりはありません。今はIOTAの白書を研究しているところです」と彼は言う。

彼らまた、プラットフォームの分散化も目指している。少なく部分的には分散化させたい考えだ。しかしそれは、製品の優先順位を決める戦略的決断においては、第一の焦点ではない。なので、彼らは(他の)暗号通貨コミュニティーからファンを引き抜こうとは考えていない。もっとも、ターゲットを絞ったユーザーベースのほうがずっと主流なので、それは大きな問題にはならない。

「最初は、中央集権的に構築します。そうすることで、舞台裏を支える新技術を考え出す代わりに、ユーザー・エクスペリエンスと機能性の高い製品の開発に集中できます」と彼は言う。「将来は、特別な角度から、別のもののための分散化を目指します。アプリケーションに関することで言えば、回復機能とデータ所有権です」

「私たちが注目しているプロジェクトで、私たちのビジョンに共通するものがあると感じているものに、Tim Berners LeeのMIT Solidプロジェクトがあります。アプリケーションと、そこで使われるデータを切り離すというものです」と彼は話す。

それが夢なのだ。この夢は素晴らしくて正しいように思える。課題は、独占的なプラットフォームの権力によって競争の機会が失われ、別のデジタルな現実の可能性を信じられる人がいなくなったこの荒廃した市場で、十分な資金と幅広い支援を獲得することだ。これを「信念の価値」と呼ぶ。

4月上旬、Hernándezはオープンブックのオンライン・プライバシーに関する説明と、技術コミュニティーから意見を聞くための簡単なウェブサイトへのリンクを公開した。反応は、予想どおり悲観的なものだった。「返事の90パーセントは批判と、気持ちが折れるような言葉で占められていました。夢を見ていろとか、絶対に実現しないとか、他にやることはないのか、とかね」と彼は話す。

(米議会の公聴会で、独占していると思うかと尋ねられたザッカーバーグは、「自分ではそんなつもりはない!」とはぐらかした)

それでも、Hernándezは諦めていない。プロトタイプを作り、キックスターターで資金を募っている。ここまで辿り着いた。そしてもっともっと作ろうと思っている。しかし、より良い、より公正なソーシャルネットワークが実現可能だと信じる人を必要な数だけ集めることは、何よりも厳しい挑戦だ。

しかしまだ、Hernándezは夢を止めようとはしない。プロトタイプを作り、キックスターターで資金を集めている。ここまで辿り着いた。もっともっと作りたいと彼は考えている。しかし、より良い、より公正なソーシャルネットワークの実現が可能だと信じる人たちを十分な数だけ集めることは、これまでになく大変な挑戦となる。

「私たちはオープンブックを実現させると約束しています」と彼は言う。「私たちの予備の計画では、補助金やインパクト投資なども考えています。しかし、最初のバージョンでキックスターターを成功させることが一番です。キックスターターで集まった資金には、イノベーションのための絶対的な自由があります。紐付きではありませんから」

オープンブックのクラウドファンディングの詳しい説明は、ここで見られる

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(翻訳:金井哲夫)

Snapchat、第一四半期のユーザー数の伸びは過去最低—株価は15%ダウン

Snapchatの2018年第一四半期(1〜3月期)決算はまったく芳しいものではなかった。デザインの試行錯誤やFacebookとの競争を展開する中で、前四半期からの復活はならなかったようだ。1日あたりの平均利用者数は1億9100万人に達し、前期の1億8700万人より増えたものの、成長率は2.13%に落ち込んだ。これは、2017年第四四半期の5.05%、最悪だった同年第三四半期の2.9%に比べても、最も低い成長率だ。一株当たりの損失は0.17ドルで、収益は2億3070万ドルだった。市場は一株当たり損失を0.16ドル、収益を2億4450万ドルと予測していた。

前四半期に北米マーケットでユーザー数を100万人増やして急激に成長したのは、どうやらまぐれだったようだ。実際は見かけ以上に厳しい状況にある。CEOのEvan Spiegel氏が前もってしたためていた意見では、「四半期の平均利用者数は1億9100万人だった。3月の平均ユーザー数は低かったが、第四四半期の平均は上回っている」としている。Snapchatの利用者数が落ち込んでいるというのは、投資家の心理を冷やすものだ。

Snapchatのクローン的存在であるInstagram Storiesの1日平均利用者数は3億人、WhatsApp Statusは4億5000万人。Snapchatが抱える問題は大きなものになりつつある。市場はSnapchatのユーザー数の成長が弱かったことを嫌忌し、Snapの株価は時間外取引で12ドルと15%も下げた。

一方で、Snapの損失額は前四半期の3億5000万ドルから3億8570万ドルへと膨らんだ。経費削減のために一時解雇したのはまさにこの損失額をなんとかしようとしたものだったが、これはあまりにも遅く、また対策としても不十分なものだった。COOのImran Khan氏は「前年同期比の収入成長率を考えるとき、第二四半期での成長率は第一四半期のものより落ち込むことが予想される」としている。これも投資家の心理を悪化させている要因だ。

今回の決算発表の中で数少ない明るい話題の一つが、事業所やクリエイター向けのSnap Proの展開だ。これは有名人や事業所のためのものだ。Khan氏は「このSnap Proではプロフィールの管理やコンテンツの作成・公開、反応の分析が簡単になる。結果として広告獲得につながる」としている。しかしこのSnap Proは展開してまだ日が浅い。

Snapはまた、北米におけるユーザー1人あたりの平均収入で前代未聞の減少にも直面した。第四四半期というのはクリスマスなどの休暇時期を抱えるため、通常は第一四半期に比べ書き入れ時だ。しかしSnapの北米でのASRPU(1契約あたりの売上値)は、第四四半期の2.75ドルから2.1ドルへとあまりに大きく落ち込んだ。第三四半期の2.17ドルからも減少している。これは第一四半期で広告閲覧減少による収入の確保が厳しくなっているという深刻な問題を意味している。

Spiegel氏は「デザインの変更によりユーザーを戸惑わせることになってしまい、また広告主にも懸念を抱かせることになり、これが今四半期の収入では向かい風となってしまった」と認めている。だからこそ、Snapchatは、StoriesをDiscoverページの中に押し込むといった大きなデザイン変更を展開している。しかし、残念ながらこの変更はオリジナルより良くないようだ。私が思うに、Snapに必要なのは日付順にメッセージを並べたり、表示されている友達に関連するStoriesを表示したりするタブであり、Discoverセクションにプロ向けコンテンツをもってくることなどだろう。

Snapchatは第一四半期、アプリのデザインを徹底的に見直す一方で、FacebookがCambridge Analyticaスキャンダルに見舞われている間に収益を上げようとした。当初のApp storeのレビューはかなりネガティブなものだったが、初インストール数とApp storeでのランクは上昇した。セレブのSnapchat離れや一部での使用減はデザイン変更に踏み切らせ、その変更には古いバージョンへの回帰もあったようだ

Snapは先日、カメラ付きサングラスSpectaclesの2代目をリリースした。これが収入につながるかは、次の四半期で明らかになる。問題は、120人超の一時解雇による悪影響が今後出るかどうかだろう。

Spiegel氏は、クリエイターを他のユーザーと分けることで、クリエイターにとってSnapchatがコンテンツを展開するのにお気に入りの場所となるよう、閲覧環境を整えることができるとしている。しかし、クリエイターのDiscoverページを改善したとしても、InstagramやWhatsAppに対抗するのは難しい。CFOのDrew Volero氏は「Snapの収益をトントンにもっていきたいが、いつ達成できるかは描けていない」としている。四半期で収入を3億8500万ドル増やすのは、ユーザー数が激増でもしない限りかなり難しい。ましてや、一時解雇で社員も減っているという現状がある。

年初に書いたように、欧米の若者の間でSnapchatは人気があることを考えると、Snapchatが一晩でなくなるとは考えにくい。しかし、Snapchatがなくなることは現実味を増していて、この業界を牛耳ることなく世界に影響を与えたサービスだった、ということになりかねない。

正直、Snapの経営はかなり厳しい状況にある。成長率は今までで一番低く、ユーザーあたりの収入は減少し、会社の存続をゆらがしかねないほど損失は膨れている。仮にユーザーが徐々に新デザインに馴染むとしても、その時までにInstagramやWhatsAppがSnapの世界展開のチャンスの多くを吸い取ってしまうだろう。また、本格的なARメガネはまだ先の話ということでSpectaclesが売れたとしても、Snapが社の存亡危機を回避できるかはまったく予断を許さない。

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(翻訳:Mizoguchi)

Twitter、時価総額でSnapを一時追い越す――決算の結果はどちらも好調

すでにいろいろと意外なことが起きている2018年だが、今やTwitterが時価総額でSnapchatを運営するSnapを追い越した。 発表された決算は両社とも好調だったが、Twitterがついに利益を出し始めたことが株価に反映された。

Twitterは四半期決算を発表し、とうとうGAAPベースで利益を出した。これを受けて今朝(米国時間2/8)の株価はロケットのように25%も急上昇した。どちらも苦闘しているソーシャルメディア企業であるもの、 2017年にはSnapの方が時価総額で高く評価されていた。しかしTwitterの時価総額は250億ドル台となり、Snapは240億ドル台にとどまった。僅差には違いないが、それでもTwitterが上回ったのは大きい。

そこでグラフを見てみよう。この1年ほどのTwitterの値動きだ。

こちらはSnap。

Snapも今週、第4四半期の決算を発表したが、十分に好成績だった。これによりSnapの株価も上昇した。そこで最初の疑問に戻る。四半期決算で示された好調な広告売上は今後もFacebookやGoogleと対抗していける内実を備えているのだろうか? これはまだ試されていない。しかしFacebookやGoogleとは異なる独自の特長を備えた広告プロダクトを開発することができるというストーリーが実現することを期待したい。

TwitterとSnapの2社は2017年の暮にはほぼ同サイズだった。Snapは2017年にいささか花々しさに欠けるもののそこそこ成功した新規上場を行い、これを追い風として多数の会社が上場するきっかけを作った。ところが今回の決算発表後、市場が開くとSnapの株価は7%以上ダウンし、Twitterに追い越されてしまった。Twitterの株価は20%(ある時点では25%以上)上昇した。

今日の両社は時価総額で抜きつ抜かれつの競争を続けている。現在のところTwitterが優位だが、明日は(あるいは夕方にも)逆転しているかもしれない。その先となればまったく分からない。ただしこうした日々の値動きは別として、ソーシャルメディア企業のパフォーマンスを長期的に測るものは規模の拡大と広告ビジネスの成長の可能性だというのは間違いない。

〔日本版〕記事にもあるとおり、営業終了時点での時価総額はSnapがわずかに逆転し、Twitterが224.18億ドル、Snapが233.51億ドルとなっている(Google検索とYahoo! Financeでは数字に若干違いがあるがいずれもSnapが上回った)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snapchatの新しいフィルターは、頭上の空を置き換える

Snapchatの最新AR(拡張現実)機能は、写真を撮る時に顔ではなく、世界に向かって働く新技術だ。”Sky Filters” と呼ばれるその機能は、画像内の空を自動的に検出し、全く別の景色に書き換えてしまう。

この新しいフィルター群は今日からiOSとAndroidで配布されるとSnapchatは言っている。毎日エフェクトが入れ替わり、バーチャル天気、日の入り、星空、虹、暗雲など様々な空のフィルターがある。

このフィルターは、Snapchatがフレーム内に空があることを認識すれば、ほかのフィルターと同じように使うことができる。

Snapchatは、様々なARの新機能を投入しており、最近では周囲とやりとりするアニメーション3D Bitmojiや、ユーザーのまわりにバーチャル物体やエフェクトを追加するWorld Lensesも今年公開した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Snap、Q2決算発表後、株価12%ダウン――売上も成長も予測に届かず

チャット・サービスのSnapchatを運営するSnapの第2四半期の決算が発表された。ユーザー数の伸びはライバルのInstagramの圧力を受けて鈍化し、このソーシャルメディアはまたしても下り階段を経験することとなった。

SnapはDAU(1日当たりアクティブ・ユーザー)を730万人追加し、1億7300万とした。これは4.2%の成長率で、第1四半期の成長率、5%を下回った(このときのDAUは1億6600万人)。Snapは売上、1億8160万ドル、1株あたり利益は0.16ドルの損失となり、これも予測を下回った。アナリストの予想は1億8580万ドルの売上、1株あたり0.14ドルの損失、ユーザー数1億7500万だった。

Snapの今期の損失は4億4300万ドルとなり、 前年同期の1億1600万ドルの4倍近くに急増した。つまり売上が伸び悩む中でマーケティングとセールスのコストは大きく膨張していることになる。

TechCrunchが取材した投資家は「DAUの伸びが少なくとも500万、総数で1億7100万に届き、ユーザー当たり売上は1.05ドルから1.10ドル程度」となることを期待していた。しかし現実には、ユーザー当たり売上は1.05ドルだった。ただし第1四半期からは16%という健全な伸び率を示した。前年同期比では売上は153%のアップとなり、第1四半期の1億4960万ドルからも21%の成長となっている。こうした売上の増大にもかかわらず、ユーザー数の頭打ち傾向は投資家を失望させていた。

今日(米国時間8/10)の四半期決算発表前のSnapの終値は13.69ドルだったが、発表を受けて時間外取引の株価は12%急落して12ドル台となった。

Snapは売上の「その他」の内訳を示していない。これには例のサングラス・タイプのカメラも含まれる。つまりは開示する必要があるほどの売上を確保することはできなかったのだろう。

明るいニュースはSnapchatが売上への貢献がもっとも期待できる北米市場で400万の新規ユーザーを得たことだ(前の2半期の増加は300万)。またSnapは「それ以外の地域」におけるARPU〔ユーザーあたり平均売上〕 を前期の0.19ドルから今期は0.29ドルへと大きく増やすことに成功している。つまりSnapは帯域幅の狭い途上国でもマネタイズを図る方法を学んでいることになる。

投資家はSnapのユーザーベースの頭打ちは一時的なものであるよう願っている。Snapは2016年の第2四半期にはDAUの伸び率17.2%を記録したものの、InstagramがStporiesのクローンをリリースして攻勢を開始すると第4四半期には成長は3.2%にまで劇的に減速した。今期も第1四半期の5%成長を上回ることができず、株価の足を引っ張ることとなった。【略】

Snapが上場以前に資金を調達した際の会社評価額220億ドルや上場直後の株価上昇による314億ドルの時価総額の水準を取り戻したいなら多数の抜本的対策が必要だろう。ユーザー別に適切なフィードを表示するアルゴリズム、外部ブランドや有力なインフルエンサーとの良好な関係などを構築し明確な成長戦略を打ち出すことによってFacebookの影を打ち払う必要がある。ただし、こうした改革にはSnapがここまで成長した原動力となってきたプロダクト哲学と反するものが含まれるかもしれない。

Snapの改革案についてはわれわれの記事、 8 ways to fix Snapchat(Snapchat改革のための8つの方法)を参照。

画像: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleは昨年300億ドルでSnapchat買収を試みた――報道を受けてSnapの株価アップ

Googleがソーシャルメディアで失敗を繰り返してきたことはよく知られている。今回は同社がSnapchatの買収を試みていたことが報じられた。2016年にGoogleはSnapが最後の最後のベンチャー資金を調達する前(もちろん今年の株式上場以前だ)に同社と話し合いを行い、300億ドルという買収金額が示唆されたという。Business Insiderの Alex Heathのスクープによれば、この買収申し出はSnap社内では「公然の秘密」だったという。

しかし独立心が強いことで悪名高いSnapのCEO、Evan SpiegelはGoogleであろうと誰であろうと売却にまったく興味を示さなかったようだ。Snapは上場当初の5月に時価総額300億ドルとなったものの、その後株価は下落を続けて、現在は150億ドル程度に下がっている。

しかしGoogleがSnapに興味を抱いていたというニュースはSnapの株価を2.3%アップさせた。SnapchatクローンのInstagram Storiesの成功に加え、Snap関係者の株売却を禁じたロックアップ期間が 7月で満了し大口の売りが出る可能性が警戒されたことなどからSnapの株価はこのところ下落を続けていた。

Business Insiderの記事に対してGoogleはコメントを避けた。SnapはTechCrunchの取材に対して「噂は真実ではない」と答えた。GoogleのSnap買収の試みがごく予備的な段階であり、Snapのトップにまで達していなかったという可能性はある。

写真はSnapのCEO、Evan Spiegel(左)、Googleの会長、Eric Schmidt(右)

2016年の買収交渉が実を結ばなかった後でGoogleはグロース・ステージ投資組織、CapitalGから200億ドルの会社評価額でSnapに投資を行った。GoogleのEric SchmidtはSnapのSpiegelと以前から親しく、Snapのアドバイサーを務めていた。一方SnapはGoogleのクラウドツールを利用する他、Snapchatが向こう5年間に20億ドルをGoogle Cloudの使用料金として支払う契約を結んでいる。

2016年5月の段階ではSnapにはInstagram Storiesという強敵は現れていなかった。しかし昨年8月2日にStoriesがリリースされ、あっという間に普及し始め、これ以後Snapに対する市場の見方は完全に変化した。

GoogleがSnapを買収できれば、Google+、Buzz、Waveの失敗の後できわめて大きなメリットを得ただろう。Snapの膨大なユーザーの行動データを得て有効なソーシャルグラフを構築する役に立ったはずだ。またSnapも資金力豊富な親会社の下にあれば世界のソーシャルメディアの買収や巨額の投資を必要するARテクノロジーの開発にも有利だったはずだ。人工知能視覚やGoogle検索はSnapのビジネスを改善するために重要な役割を果たしただろう。

両者が力を合わせれば、ハードウェアではGoogle GlassとSnap Spectaclesを統合し、強力かつ魅力的なARデバイスを普及させることができたかもしれない。またGoogleの広告システムはSnapの収益化にとって有益だったはずだ。しかし逆に両者の全く異なる企業文化が破壊的な衝突を起こした可能性もある。

いずれにせよ買収が現実となることはなかった。結局Spiegelがつまづきの石だった。Spiegelと共同ファウンダーのBobby MurphyはSnapの議決権を完全にコントロールできるように会社を組織しており、他の株主の発言権は一切認めていない。つまり当時他の大株主がこぞって300億ドルを受け取ってGoogleグループに加わるべきだと望んでいたとしてもそれをSpiegelたちに強いる方法はなかった。Spiegelはそもそもマーク・ザッカーバーグの買収提案を蹴ったことで有名だ。

われわれがSnapの上場前に書いた記事のとおり、Snapに賭けることは良かれ悪しかれSpiegelに賭けることを意味する。Spiegelは外部の意見を聞かず、自らの第六感に従って行動することで知られている。この第六感は「消えるチャット」という驚くべきプロダクトを生み出した。また買収にも冴えをみせ、Snap BitmojiやAR顔フィルターを実現させている。しかしFacebookという巨人の攻勢にあってSnapが溺れそうな現在でもSpiegelは浮輪につかまることを拒んでいるようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Instagram Stories、1周年を迎えてトップに立つ――チャットサービスのDAU数でSnapchatを超える

Instagram Storiesは去年の8月2日にスタートしたときはSnapchatのクローンなどと評されたものの、1年目の誕生日 を迎えてオンライン・ビジュアル・コミュニケーションの分野で世界最大のサービスとなった。Instagramに登録している企業の半数は先月Storiesにも投稿している。Storiesアプリについては、25歳未満のユーザーの1日あたり利用時間は32分、25歳以上のユーザーでは24分と大幅に利用時間が伸びている。

SnapにストップをかけるというFacebookの戦略が成功したのは、主としてInstagram Storiesの功績だ。SnapchatのMAU〔月間アクティブ・ユーザー〕の成長率は四半期あたり17.2%からわずか5%へと急落した。これに伴ってSnapの株価も上場売り出し価格の17ドルから現在の13ドルまで落ちている。

Instagram StorieのDAU〔1日当たりアクティブ・ユーザー〕は2億5000万人であるのに対してSnapchatは1億6600万人だ。1日当たりの利用時間についても、 Instagramは「平均30分以上」としたSnapchatを上回っているようだ。Snapの上場申請書によれば25歳以上の利用時間は20分ということだが、この点でもInstagramが勝っている。

[アップデート:InstagramのDAUがSnapchatを抜いたというニュースはSnapの株価をさらに下げ、12.67ドルの新安値がついた。

ユーザーがInstagramに集まる理由はわかりやすい。もともと大きなユーザーベースがある上にSnapの主要な特長と人気の機能をコピーしたからだ。
Instagramでいちばん人気がある拡張現実による顔フィルターは子犬の耳だが、これはSnapのものとほぼ同様だ。 Instagramの顔フィルターで3番人気はウサギ耳、5番人気はコアラ耳だが、これもSnapの犬の顔フィルターからヒントを得たのは間違いない。一方でInstagramは着実に新機能を追加し続けている(下の画像はInstagram Storiesの最初の誕生日を祝うスタンプ)。

InstagramはまたSnapchatのコピーも能率的だ。InstagramがStories自体を開発するには3年近くかかったものの、Snapchatで人気の「スタンプを自作できる」キットを作るにはわずか4ヶ月しかかからなかった。

InstagramはSnapchatのコピーするばかりでなくStoriesの機能を拡張するのも素早かった。Snapchatの「消えるメッセージ」の対抗策として出発したInstagram Directはフル機能のメッセージ・システムに成長した。 Instagram DirectはDAU〔月間アクティブ・ユーザー〕は3億7500万人に達している。Snapは逆にInstagramのチャット機能にスポットライトを当てる結果となり、InstaramはWhatsApp、Messenger、WeChatに次ぐ世界有数のチャットサービスとなっている。企業がInstagram Storiesに投稿するメッセージの5通に1通はDirect Messageを通じて返事を受け取っているという。つまり顧客と非公開でメッセージのやり取りをしたい企業にとってInstagramは非常に魅力的だ。【略】

ありとあらゆることを投稿できるアプリの氾濫は一部のユーザーにある種の「投稿疲れ」を引き起こしている(少なくとも私はそうだ)。何種類ものアプリとそれぞれのユーザーに生活の一部始終を投稿するのというのは面倒な作業だ。私などは「こんなことに時間をかける価値があるのだろうか?」と思ってしまう。FacebookがInstagramでStoriesフォーマットをさらに拡大していくならある種のオープン化を図るかもしれない。ユーザーがチャットに嫌気がさすにせよオープン化されるにせよ、Facebookに対するSnapの脅威は取り除かれることになる。

右はSnapchatを象徴する「花輪の顔フィルター」、左はInstagramによる大変よくできたコピー

今後Snapがユーザー数の増加を取り戻し、四半期決算の内容を劇的に改善するのでないかぎり、株式市場はSnapの将来をTwitterと比較し始めるだろう。しかしInstagramはSnapの復活を妨げるためにあらゆる手段を使うはずだ。

わずか1年前、Snapchatはソーシャルメディアの新たな王者となる途上にあるように見えた。Snapchatのフルスクリーンの共有窓は友達の生活をありのままに実感するのにこの上ないチャンネルだった。これを打ち負かすのは不可能だと思われた。しかしFacebookとInstagramは打ち負かそうなどとは考えなかった。単にSnapchatをコピーしたのだ。後はInstagramという年齢によらず誰もが使っていて馴染みのある場所にその新機能を付加するだけでよかった。

Featured Image: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ロックアップ期間終了はSnapの株価に悪いニュースか

ここ数ヶ月不安定な値動きを見せてきたSnapだが、いよいよ7月31日から一部関係者の株の売却が可能になった。

これはロックアップ期間と呼ばれる仕組みで、社員や初期からの投資家は上場後一定期間、保有する株式の売却を禁じられる。この禁止期間は上場ごとに異なるが、Snapの場合、最初の公募売り出しに関しては上場後150日がロックアップ期間と定められた。第2回の売り出しは8月に予定されている。

Snapchatの運営会社の株価はこのところ急降下しているが、その理由の一つがロックアップ期間の終了だ。ただし社員などの関係者の株式が売却可能になったからといって実際に売却されるとは限らない。

Stifel NicholasのアナリストScott Devittは市場の反応は大げさだと考えている。7月始めにDevittはレポートで「投資家の反応は過剰」と述べ、関係者は株を売らないと予想した。その結果、DevittはSnap株を「買い」推奨に格上げした。Morgan Stanleyは逆にイコール・ウェイト〔投資判断中立〕に格下げした。

新規に上場した企業にとってよくあることだが、Snapも長期の投資に適した企業だと市場を納得させるのに苦労している。一部の投資家はSnapは第2のFacebookだと考えているが、別の投資家はTwitterのような不安定な投資対象になるのではないかと懸念している。

なるほどSnapchatは短期間に1億6600万人の1日あたりアクティブ・ユーザーを集めることに成功した。しかしFacebookのクローン、Instagram StoriesはあっさりSnapchatを追い抜いた

Snapの先週の終値は13.81ドルだが、3月初めの上場時の株価は17ドルだった〔高値は3月3日の27.09ドル〕。

画像: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snap株価、初めて上場価格を割る

いやはや。

Snapchatを運営する企業、Sapは株式市場でいささか苦しい状況にある。今日(米国時間7/10)の終値は16.99ドルだった。つまり上場価格17ドルを初めて公式に割り込んだことになる。

これは重大だ。なぜなら3月の上場以後、市場でSnapを買った投資家は全員が損失を被ったことになるからだ。 「損をさせられた」という評判はきわめて具合が悪い。

しかし社員や上場以前の投資家にはまだ希望がある。希釈後の時価総額は依然として238億ドルほどある。これは上場前のSnapの希釈後の会社評価額200億ドルより上だ(ここで希釈後というのはストックオプションを含めた発行済全株式という意味)。

Snapのロックアップ期間は150日だった。つまり社員や投資家は7月31日から株式の売却を始めることができる。しかし投資家の一部には投げ売りによってますます株価が下がるのを恐れる声もある。

Snapの最初の四半期決算は5月に行われたが、投資家には不満を抱かせる内容だった。次の四半期決算は8月の予定だが、その内容は株価に大きな影響を与えそうだ。

最近上場したテクノロジー企業で株価が低迷しているのはSnapだけではない。Blue Apronも先月末に上場したものの、株価は上場価格を下回っている

7月にはテクノロジー企業の上場はあまりなさそうだ。Redfinが唯一の上場となるかもしれない。

画像: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snapは第2のTwitter化している―ポリシーの根本的見直しが必要

Twitterは2013年にユーザー数が急激に頭打ちになったときにビジネスとして行き詰った。TwitterはFacebookを始めとするライバルからいくつもの機能をコピーしたが、これはかえってユーザーが求めるコンテンツを発見することを難しくした。選択を加えない単純な新着順のTwitterのフィードはもともとユーザーが望みのコンテンツを発見しにくかった。次の四半期にもユーザー数の伸びの低下が続くとTwitterの株価は18%下落した。

今日(米国時間5/10)、上場後最初の四半期決算の発表を受けてSnapchatの株価は暴落した。Facebookと激しく競争する中、Snapの選択を加えない単純な新着順のフィードも望みのコンテンツを発見しにくかったからだ。Snapの株価も24%下落した。

しかしTwitterは株価急落から4年経って再び成長し始めた。Twitterは根本的なプロダクト・ポリシーの一つを捨てることをとうとう決断した。それは「選択を加えいない単純な新着順フィード」だ。Twitterはフィードの表示に単純な新着順を廃止し、アルゴリズムを導入した。フィードはユーザー別にもっとも適切な投稿がトップに表示されるようカスタマイズされることになった。親しい友だちの投稿など関心が高いはずの投稿が目立つ位置に表示される。その結果、2017年の第1四半期にTwitterは久々に成長を回復し、900万人の新規ユーザーを加えることに成功している。

今日Snapは今期800万の新規ユーザーを獲得し、成長率は5%だったと発表した。残念ながらこれは2016年第4四半期のユーザー数158万、成長率3.2%という数字とほとんど変わらない。この間、 InstagramはStoriesをコピーしSnapchatの成長を妨げた。株式市場はSnapの現状に対して強い不満を表明している。

SnapchatとCEOのEvan Spiegelはそろそろ歴史から教訓を得るべきだろう。 なるほどSnapの反Facebook哲学は「消えるメッセージ」を産み出した。Facebookのチャットがメールに似て恒久的であるのに対してSnapchatのメッセージは24時間でタイムラインから消滅する。しかし手を加えない単純な新着順のStories表示はユーザーにとって非常に使い勝手が悪いものになっている。セレブや知り合いなどフォローしている相手の投稿の洪水に本当の友達からのメッセージが埋もれてしまう。
Snapchatのアルゴリズムを使わないフィードはユーザーを窒息させてしまうと先月私は警告した。

なるほど昨日発表された消しゴム機能、Magic Eraserや最近の3D拡張現実、World Lensesなどはよくできている。しかしそうした新機能ではSnapchatが使い難くなっているという根本的な問題の解決にはならない。世界のティーンエージャー、あるいはそれより上の世代のユーザーに対してSnapchatを使いやすく再び魅力的なものにするためには根本的なサービス哲学の見直しが必要だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snap、初決算は期待外れで株価急落―上場後の値上がり帳消し

Snapの上場は成功したと考えられている。しかし最初の四半期決算はウォールストリートの期待に遠く及ばず上場の成功は完全に吹き飛んでしまった。

Snapの発表によれば、同社の2017年第1四半期の売上は1億4960万ドルで、1株あたり2.31ドルの損失だった。この損失は株式ベースの報酬によるものが大きかった。一方でアナリストは1億5800万ドルの売上に対して0.16ドルの損失を予想していた。簡単に言えば成績は悪かった。同時にユーザー数の伸びも鈍っていた

この結果を受けて、株価は延長取引時間に20%以上下落し、18ドルを割り込んだ。これは上場後の値上がりを帳消しにして当初の売り出し価格17ドルぎりぎりに戻ったことを意味する。

四半期決算の内容を考えれば株価の急落は当然のことと受け止められている。上場後最初の決算はビジネスの詳細が公になる最初の機会だ。そこで成長余力とコスト管理の能力に関して深刻な疑問が持ち上がった。Snapのサービスがクラウド上で運営されていること、FacebookがSnapでもっとも人気のある機能を積極的にコピーして戦いを挑んでいることも悪材料となった。FacebookはSnap的な機能をInstagramに導入している。Instagramはすでに億単位のユーザーを擁しており、Snapのユーザーの伸びへの影響が懸念されていた。これが事実そうであるかどうかは分からないものの、株価にとっては「そのように見える」だけで十分だ。

Snapの赤字は昨年同期の1億40万ドルから今期は22億ドルに膨らんだ。ただし このコストの大部分は株式ベースの報酬だ。決算報告によれば、Snapの株式公開に伴って社員への報酬として計上されたRSU(制限付き株式ユニット)が20億ドルに上っている。つまりこのRSUの分を除けば事態は一見したほど悪いものではないとも言える。しかしRSU分を除外してもSnapの赤字は前年同期比で2倍になっている。

なるほど上場後最初の決算というのはどんな企業にとって波乱の体験となることが多い。Snapはまったく新しいジャンルの広告ビジネスであり、ウォールストリートは営業成績の予測にあたって2年あまりのデータしかなかった。ビジネス自体は急成長している―2015年から2016年の間に6倍にもなった。しかしコストもそれに比例して急騰した。今後ウォールストリートはSnapについてユーザー数、コスト、売上構造など、あらゆる変化をきわめて注意深く研究することになるだろう。

〔日本版〕SnapはAWSクラウド上で運営されており、上場申請書によればAWSに対して毎年10億ドルを支払う契約をしている。RSUはストックオプションと似ているが株式自体を給与の一部として定期的に支払うことを約束する制度。Wikipediaに解説がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snap、上場初日の株価40%急騰―時価総額300億ドルに

2017-03-03-snapchat-spectacles

新規上場初日のSnapの株価は売り出し予定価格を40%以上上回って取引が開始された。 ニューヨーク証券取引所(NYSE)の初値は1株当たり24ドルだった。

ここしばらく投資家の期待と焦燥を一身に集めたSnapだったが、今朝の値動きは投資家がいかにSnapの将来に期待しているかを明らかにしただけでなく、ウォールストリートにとっても新規上場の理想的な前例となった。今年はテクノロジー企業の上場の動きが加速しそうだ。Snapにとっては、新規上場で株価が急騰したことはそれ自体で良いことであるだけなく、投資家全員を満足させる結果となった。

昨日、Snapの売り出し価格は17ドル、時価総額240億ドルが予想されていた。17ドルという株価自体、2月にSnap(とウォールストリートの証券会社)が設定した売出し予定価格の上限を上回っていた。Snapは上場によって34億ドルの資金を調達することに成功した。Snapの急成長は同時にコストのアップをもたらしているいるが、この収入は十分にそれをまかなえるだろう。

24ドルをつけた後、株価は一時25ドル以上に上げたが、その後はほぼ安定している。現在の株価による時価総額は300億ドル以上となっている。ちなみにTwitterの時価総額は110億ドルだ。

ここまでのSnapの上場が成功だったことは疑いないが、今後に向かっては複雑な問題を抱えている。複数のレポートはSnapの上場に予定価格を上回る大量の市場資金が流れこんでいることを指摘している。Snapは今後もさらに株式発行によって資金を調達できるだろうが、そのつど今朝のような取引価格のアップを必要とする。上場が成功しているイメージを維持すると同時に投資家にも利益を確保できなければならない。

もちろん24ドルという初値はSnapがかなりの金額を取り逃がしたということでもある。2億株の売り出し価格と取引価格の差は10億ドル以上にもなる。そうであってもSnapの上場は大成功という印象を与えたことは確かだ。

しかしSnapの上場はいろいろな面でかなり異例だ。投資家が購入した株式には議決権が付属していない。つまり投資家はSnapが今後さらに巨大な企業に成長するだろうという期待を買ったことになる。CEOのEvan SpiegelとSnapのチームが長期的にもSnapの運営に成功するだろうという期待だ。共同ファウンダーのSpiegelとBobby Murphyはほぼ完全にSnapの議決権を握っている。つまり2人はSnapの経営にあたってウォールストリートの顔色をうかがう必要はない。しかし株価が好調であれば社員の士気にも新たな人材の獲得にも有利に働くことは言うまでもない。

新規上場による資金調達は資金繰りの健全化と同時に企業買収その他の大型の経営イベントに対する手当でもある。Snapは運営に数億ドルを必要としている。今後5年間で総額でAmazonには10億ドル、Googleに20億ドルを支払う必要がある。Snapは企業買収にも非常に積極的だ。こうしたことからも資金需要はきわめて高い。

将来に向けて残る疑問は、SnapはFacebookがこれまで実現してきたような健全な成長を続けられるだろうかというものだ。Twitterの株価は頭打ちで先行きは不透明だ。Snapのユーザー数の成長は失速し始めている。逆に広告ビジネスは急成長中だ。Facebookのライバルの地位をウォールストリートに認めさせるためには今後いくつかのハードルを越える必要があるだろう。

Snapは上場企業となった。つまりこれまでよりはるかに透明性の高い環境でライバルと広告ビジネスの競争をしなければならいということでもある。Snapは有望なスタートアップとして企業の広告予算のうち「先物買い」の部分を集めることに成功した。しかし今後は広告予算のメインの部分を安定して占めるようになる必要がある。それにはFacebookが提供できないような機能がこれであるとはっきりさせねばならない。ともあれウォールストリートはユーザー数の頭打ちや経営権の偏りといった懸念には目をつぶり将来性に賭けたようだ。

〔日本版〕Snapの値動きはこちらでリアルタイムで表示されている。高値は26ドル、日本時間で午前6時は25ドルちょうど。The Wall Street Journalの記事によればエヴァン・スピーゲルの婚約者でスーパーモデルのミランダ・カーがNYSEでセルフィーを撮影している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SnapchatによってL.A.がテクノロジーの中心地へと進化する

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編集部注: 本稿を執筆したJustin ChoiはNativoのCEOである。

もしあなたがシリコンバレーの歴史を書き表すとすれば、まずはそこにあるコミュニティの数々を観察することから始めることだろう。Google、Yahoo、Oracle、PayPalなどの企業は、何年ものあいだ優秀な人材をこの場所に惹きつけてきた。そういった企業が成熟期に達したり、買収やIPOなどを行う時期に達すると、彼らが抱える優秀な人材は分散し、次の世代を担う企業で芽を出しはじめる。

実った果実は、母となる木から遠く離れて落ちることはない。新しい企業は、自分たちの先輩企業の近くで会社を立ち上げ、成長させようとする傾向がある。そのおかげでベイエリアのコミュニティを維持する良い循環が生まれ、この地域は今でも起業家やテクノロジーの最初の目的地として機能しているのだ。

そして今、Snapchat(正確には、親会社のSnap)がIPOを行うと報じられ、2017年3月頃には約250億ドルかそれ以上の企業価値を持つ公開企業が新たに生まれる可能性がでてきた。「Snapchatマフィア」たちが2020年台にシリコンバレーのようなコミュニティをLAで創り上げていく可能性は大いにある。どんな企業でも南カルフォルニアと北カルフォルニアが分断された状況を一手に作り変えることはできないものの、SnapchatのIPOが実現する時期は、LAを将来のスタートアップコミュニティの中心地に変えるような、他の大きなトレンドと並行して起きるのだ。

SnapchatマフィアたちはFacebookやPayPalの後を追うのか?

シリコンバレーの起源はいつかと人々に尋ねると、「8人の反逆者たち」がShockley Semiconductor Laboratoryを離れ、Fairchild Semiconductorを創業した1957年だと答える者がほとんどだ。同企業の出身者はその後、IntelやAMDなど数々の企業を立ち上げている。

近年の最も有名なマフィアといえば、もちろん、PayPalマフィアたちだろう。Elon Musk、Peter Thiel、Max Levchin、Jeremy Stoppelman、Reid Hoffman、David Sacks、Dave McClure、Chad Hurleyなどがその例だ。このマフィアが立ち上げた企業は、Tesla、SpaceX、SolarCity、Yelp、LinkedIn、YouTube、Palantir、Yammer、Clarium Capital、The Founders Fund、500 Startupsなど、数えればキリがない。PayPalの出身者たちが創出した価値の大きさは計り知れず、このようなマフィア集団がもう一度誕生することは想像しがたい。

だが、規模は小さいながら同じようなマフィア集団は他にもある:Facebookの出身者たちはPath、Quora、Asanaや数々のVCを立ち上げた。Yahoo出身者が創り上げたのは、WhatsApp、Chegg、Slack、SurveyMonkey、Clouderaなどの企業だ。Instagram、Foursquare、Pinterest、Twitterの創業者たちはGoogleの出身者である。

今、そのような真のテック・スーパースターたちはLAにいる。優秀な人材を惹きつける力を持つ企業がその街にあるのだ。1億5000万人のデイリーアクティブユーザー数と巨額のバリュエーションを誇る、Snapchatだ(参考のために言えば、Facebookが100億ドルの企業価値に達したのは、ほんの7年前だ)。

もしあなたが野心と才能に溢れた若者であれば、どこに行こうとするだろうか。すでに急激な成長とイノベーションのステージを終えたFacebookだろうか。それとも、あなたの仕事が企業の成長に直結する、Snapchatだろうか?すでに何人かは心を決め、古巣を離れている。Facebookの元プロダクト部門長であるSriram Krishnanがその1人だ。彼に続く者はこれからもっと現れるだろう。

コンテンツ:王の帰還

もちろん、Snapchatがもつ人材がLAに留まっているのは、そこにあるコミュニティが不活発であるからではない。

「コンテンツは王様だ」という言葉は、Hollywoodの重鎮たちが長く語り継ぐマントラだ。しかし過去20年間、コンテンツ製作者は王様と呼ばれるには程遠い存在だった。コンテンツの販売や流通という分野は、テクノロジーを駆使するプレイヤーがディスラプションを狙う分野だったのだ。今日もこの状況は当てはまる。そして、そのようなプレイヤーの多くはBay Areaの出身者だ。

まず初めに、インターネットの急激な普及により、多くの新聞にとっての利益の源泉だったクラシファイド広告業界が破壊された。その後、2000年台前半に誕生したAppleのiTunesとiPodが、音楽業界を玉座から引きづり下ろす。近年ではソーシャルメディアの普及により、従来のオンライン広告モデルが倒れ、新たにクリッカブルでシェアラブルなコンテンツ広告が誕生している。そしてもちろん、Netflixなどのオンデマンドビデオ・ネットワークを忘れてはならない。そのようなサービスによって映画館や映画製作スタジオ、従来型のテレビ制作会社は敗走を重ねているのだ。

この20年間で、コンテンツ配信のあり方は大きく変化した。従来型のメディアネットワーク通じたコンテンツ配信に取って代わり、テクノロジーを駆使したプラットフォームを通じたPC、タブレット、モバイル端末へのオンデマンド配信が生まれたのだ。多くの点において、このことは21世紀のコンシューマー・テクノロジーを語る上で欠かせない要素である。伝統的なメディア企業がもつ、コンテンツ配信手段の破壊の物語だ。

プラットフォーム誕生の時代は終わり、プラットフォーム戦争の時代に突入した。

トレンドは今にも変わりつつある。コンテンツに力のバランスが移りつつあるのだ。Facebook、Apple、Amazon、Google、Netflixなど、メディアのパラダイムシフトを引き起こした破壊的なプラットフォームがその主役となる。人々がコンテンツを消費する方法が完全に変わった今、このような企業が争う相手は伝統的なメディア企業ではない。これからは彼ら同士が争うことになる。プラットフォーム誕生の時代は終わり、プラットフォーム戦争の時代に突入したのだ。今後は、古い企業が新しいプレイヤーと妥協案を結ぶという場面ではなく、そのような新しいプレイヤー同士が争う場面こそがゲームの中心となる。

その争いはコンテンツをめぐる戦争だ。コンテンツこそがプラットフォーム間の差別化の要因であり、彼らはコンテンツのクオリティを高めるために巨額の投資をしている。今年、Netflixはコンテンツ製作のために60億ドルを費やし、Amazonは30億ドルを費やした。AppleはTime Warnerの買収を検討していると報じられている。TwitterはNFLを初めとするスポーツの生配信に望みをかけ、ミュージック・プラットフォームをもつApple、Spotify、Amazon、Tidalなどは音楽アルバムの限定リリース権をかけて互いに争っている。

このような現状はすべて、コンテンツ・クリエイターの聖地であるL.A.にとっては良いニュースである(この街にとって唯一のライバルはニューヨークだ)。Facebook、Google、Twitterなどの企業から離れてSnapchatにやってきた優秀なテック系人材と、コンテンツ・クリエイターが共存するこの南の大地には、スタートアップ・ルネサンスを加速するための土壌があるのだ。

テクノロジーに特化したモノカルチャーに代わる、L.A.の活気のある文化

サンフランシスコに住む私の友人たちは、街に根付くテクノロジーに特化したモノカルチャー(単一的な文化)に不満をもらす。私には彼らの言い分がよく分かる。かつてのサンフランシスコは、様々なバックグラウンドをもつ、クリエイティブで一風変わった人材を惹きつける街だった。美しく、安価で、(良い意味で)奇妙なこの街を彼らは気に入っていたのだ。テック系スタートアップにそこまで興味がない人々にとって、最近のサンフランシスコは、物価が高くなっただけではなく、多様性に欠けたつまらない街となってしまった。まさしく、現在のBay Areaは誰もが気に入るような地域ではなくなった。

その一方でL.A.は広大で、活気に溢れている。様々なバックグランドを持つ人々が住み、隣を見れば自分とは違うタイプの人がいる。そして彼らは、それぞれが違った目的や興味を追いかけている。この街のテックシーンも成長しつつある:この街での資金調達や人材の獲得は、以前よりもずっとやり易くなった。だが恐らく、L.A.のスタートアップシーンがもつ最大の特徴とは、業界の文化によって街全体がもつ文化が塗り替わることがないという点だろう。多くの人がこの特徴を魅力に感じている。

この街の文化と多様性によって恩恵を受けるのは、人々の生活の質だけではない。Google GlassとSnap Spectaclesを比べてみることにしよう。Spectaclesには、Glassにはないファッション性がある。プロダクト開発にかかわる様々な意思決定は、企業が属する環境に影響を受ける。L.A.に拠点を置くSnapchatでは、どのような物が「クール」なのか、消費者にとって何が一番重要なのかという点が重視される。一方で、シリコンバレーでは技術的に達成可能なものは何かを考え、文化的な側面にフォーカスすることは少ない。

Snapchatは南カルフォルニアのPayPalになる可能性がある:L.A.で解き放たれたSnapchatのモメンタムと将来性によって、これから誕生するスタープレイヤーたちは、この街を彼らが向かう候補地の1つとして考えるようになるだろう。テクノロジーの物語における次の章では、コンテンツが重要な役割を担うことになる。そして、そのコンテンツこそが、L.A.文化の根幹となる要素なのだ。Evan Spiegelに刻み込まれたL.A.のDNAがSnapchatに与えた影響をすでに理解している人もいるだろう。

Bay Areaの階級闘争やモノカルチャーに疲れきった起業家にとって、L.A.は魅力的な選択肢だ。この街での生活の質の高さと、比較的安価な生活費も、この街に移住する理由の一つになるだろう。Snapchatこそが、そのトレンドを加速し、この街のテックカルチャーに活気をもたらす存在なのだ。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter