グループアプリの「Rallyhood」から10年ぶんの個人データを流出

Rallyhoodは、データは「機密で安全です」と言う。しかし、時としてそうではないことがある。グループによるコミュニケーションを支援するためのこのソーシャルネットワークが、ユーザーデータを保存しているクラウドストレージバケットを露出状態にしていたのだ。Amazon Web Services(AWS)がホストしているそのバケットは、パスワードによる保護はなく、容易に想像できるウェブアドレスを知るものなら誰でも、10年ぶんのユーザーデータのファイルをアクセスできた。

Rallyhoodは、ユーザーにはガールスカウトおよびボーイスカウトの隊や慈善団体のKomen、Habiatat for Humanitites、あるいはYMCA関連団体などがいると誇らしげに語っている。ほかにも、地域のバンド、スポーツチーム、芸術クラブ、組織委員会など何千もの小グループが同社のサービスを利用している。昨年Verizon(TechCrunchの親会社でもある)が、Yahoo Groupsの閉鎖を発表したとき、RallyhoodはYahoo Groupsからのメンバー移行を受け行けると宣言し、多くのユーザーが同サイトに群がった。

問題のバケットには、2011年から先月までのグループのデータが入っていた。アップロードされたデータの総量は4.1TBに上り、これはユーザーファイル数百万件に相当する。

TechCrunchが確認したところ、一部のファイルにはシェアされたパスワードのリストや契約書、その他の承認書類や合意書などの機密性の高いデータが含まれていた。守秘義務契約書類など、公開されることを意図していない文書もあった。TechCrunchは、情報が露出したユーザーの中で連絡先情報のわかったものついて連絡をとり、データの信憑性を確認した。

バケットを発見したのは、Timelessというハンドル名のセキュリティー研究者で、バケットやファイルを保護できるように、TechCrunchに通知した。Rallyhoodの技術責任者であるChirs Alderson(クリス・アルダーソン)氏に連絡を取ったところ、当初そのバケットは「テスト用」でありユーザーデータはすべて「セキュリティーの高いバケット」に保管されると言っていた。しかし後に、移行プロジェクトの期間中に「誤ってパーミッションが開放されていた期間が短時間あった」ことを認めた。

Rallyhoodがこのセキュリティー過誤についてユーザーに通知するつもりがあるかどうかはわかっていない。本稿執筆時点で、Rallyhoodはこの事案について、同社ウェブサイトでもソーシャルメディアのプロフィールでも一切言及していない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米海軍でTikTokが使用禁止に、国家安全保障上の懸念から

TikTokは、インターネットの歴史の中でも、最も急速に成長しているソーシャルネットワークかもしれない。しかし急速に大きくなっているのは、むしろセキュリティ上の脅威であり、米国の対中国強硬派による攻撃の的となってきた。

その最新の展開は、米国海軍が発行した通知から知ることができる。その内容は、ロイターサウスチャイナ・モーニング・ポストが報じた。それによれば、TikTokは、もはや米軍人のデバイスにインストールすることは許されず、米軍のイントラネットから排除される可能性もあるという。

これは、この非常に人気のあるアプリが直面している災難の直近の一例に過ぎない。最近、ミズーリ州選出のJosh Hawley(ジョシュ・ホーリー)上院議員が率いる議会は、中国などの外国政府とデータを共有する可能性のある他のハイテク企業とともに、TikTokと、Sequoiaが支援する親会社ByteDanceに対して、国家安全保障に関する査察を要求した。機密通信の漏洩に対する懸念により、米国政府は最近、同性愛者のソーシャルネットワークアプリGrindrを、買収先の中国企業、Beijing Kunlunから買い戻すことも要求した。

太平洋を挟んだ両国の関係の悪化によって、両国間でIT企業をうまく運営することは、ますます困難になっている。私が最近TechCrunch上で議論したように、Shutterstockは、同社のストックフォトプラットフォーム上で、中国政府が難癖をつけそうな写真を検索することを、意図的に難しいものにしてきた。重要な収入源を失わないようにするための方策だ。

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同様の試練は、Googleと、同社の中国に特化した検索エンジン、Poject Dragonflyにも見ることができる。もちろんNBAの問題もしかりだ。

ここで興味深いのは、両国の企業が、それぞれ両国政府の政策に苦労していること。ByteDanceのような中国企業は、標的にされることが多くなり、米国市場から追い出されようとしている。そして米国企業も、中国で足場を築くのに長いこと苦労してきた。以前に比べれば平等な競争の場になってきてはいるかもしれないが、そうであるべきほど自由な市場にはなっていない。

中国と米国との貿易摩擦が続く中、両国の政治家が設定した境界線内にうまく収まることのできない企業には、ますます損害が降り掛かっている。将来、このような分断を埋めることができるIT企業が登場するかどうかは、残念ながら、今のところ不透明だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

サブスクベースSNSのMeWeはプレミアム機能とビジネス版を導入

MeWeは、サブスクリプションベースのSNS。プライバシーを重視し、アンチFacebookを自認する。今回、プレミアムレベルのサービスをリリースし、新たにビジネス向けの製品の売り込みも強化する構えだ。これは、Slackのようなエンタープライズ向けのネットワーキング、コミュニケーションツールに対抗するもの。

MeWeは、自身をソーシャルメディアというコンセプトの初期の提唱者だと自負する社交好きの経験豊かな起業家であるMark Weinstein(マーク・ウェインステイン)氏によって創立された。Facebookに代わるものを標榜し、すでに数百万人のユーザーを集めている。

Elloに遅れてMeWeを立ち上げた際にウェインステイン氏は、Elloが経験している苦難を目撃することでSNSを支配するFacebookに対抗するものを彼自身が作り上げるための貴重な教訓を得ることができたと語っていた。

「Elloが高い目標を掲げて出発し、その後現実に引き戻されたころ、私たちは設計段階でした。彼らは2100万人に刺激を与えたかもしれませんが、サーバーはそれを処理できませんでした。彼らはデスクトップ版しか用意しておらず、そのプロジェクトは時期尚早だったのです」と、ウェインステイン氏は語った。

MeWeは、フリーミアムモデルで運営されており、ニュースフィード、カスタムカメラ、短命のコンテンツ、8GBのストレージ、音声やビデオによるメッセージ、カスタムステッカーなど、すべて無料で利用できる。企業ユーザーは、月額1.99ドル(約218円)を支払うことで追加機能を利用できる。

「ソーシャルメディアは監視資本主義のために発明されたわけではありません」と、ウェインステイン氏は言う。MeWeは発言に関しては比較的寛容だが、ウェインステイン氏によれば、ヘイトスピーチの投稿、暴力の誘発、いじめに関しては、ルールがあるという。それは、「私たちはあなたを検閲するつもりはありません。なぜなら、あなたが話しているのは、私たちが同意するかどうかに関係のない、政治的な見解だからです」というもの。

SNSとしてのMeWeのプレミアム機能とは別に、同社はエンタープライズ向けのコラボレーション用製品も立ち上げた。

ウェインステイン氏によると、エンタープライズ向けツールキットには、すでに数千人のユーザーがいて、ベータ版から脱却したとのこと。機能としては、エンドツーエンドで暗号化されたチャット、Windows 360との統合、タグ付け、アンケート、カスタムカメラ、音声およびビデオ会議、といったものが、一連のサービスとして組み込まれているという。

プレミアムレベルのMeWeは月額4.99ドル(約545円)だ。プロフェッショナル向けのサービスには2段階があり、価格はそれぞれ3.99ドル(約436円)と7.99ドル(約873円)となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Friendedは現実を重視する新しいSNS

ソーシャルメディアの世界は、数社のメジャーなプレーヤーに支配されている状態だが、それでも消費者は常に新しい何かを求め続けているようだ。TikTokもその1つだろう。

そして、また新しいソーシャルアプリがリリースされた。このFriendedと呼ばれるアプリは、人々をオンラインでつなぐことについて、これまでとはまったく異なった戦略を採用している。Friendedは、Thumbの共同創立者でCEOのダン・クラニ(Dan Kurani)氏が始めたもの。ユーザー同士のつながりが、より深く、意義のあるものになることを目指している。同社はそれが不可欠だと考えている。

Friendedのユーザーは、自分が考えていることや感じていることについて、コミュニティに投稿できる。しかし、街の集会所的なスタイルのグループ会話を育むのではなく、コミュニティのメンバーが、投稿者本人に個人的に応答し、洞察、逸話、アドバイスなどを伝えることができる。

つまり、デリケートな1対1の関係に置かれたときにどう感じるか、ということを共有する機会を作ろうという考え方だ。私自身、しばらくこのアプリを使ってみた。その際には、ニューヨーク市で友達を作る方法とか、自分が他の人について気にかけているほどには、他の人は自分のことを気にかけてくれないと感じるのはなぜか、といったことについて人々と会話してみた。

スレッドには誰でも応答でき、そのスレッドに加えたコメントには、投稿者や応答者が「いいね」を付けることができる。しかし、応答が来た瞬間から、その会話は1対1のプライベートなものになる。

「人々は、これまでにないほど孤独を感じています」とクラニ氏は言う。「その責任の一端は、ソーシャルメディアのアルゴリズムにあります。広告インプレッションを稼ぐために、ユーザーの注目度を高めようとしているだけだからです。みんなが幸せそうにしているのを見れば孤独感は強くなります。そのくせ何か微妙な問題について話そうとすると誰も応答しないのです。それに、完璧であろうとするプレッシャーもあるので、自分を開いて感情を共有するのもかなり難しいものです」。

Friendedでは、常に誰かと話すことができる場所になることを目指しているので、収益源としての広告を排除した。その代わり、一部を有料化する実装に取り組んでいる。現在では、ユーザーは会話のスターターを8時間に1回だけ投稿できる。プレミアムユーザーは、週4.99ドル(約540円)を払えば、好きなだけ投稿できるようになる。また、近所にいる人に話しかけるなど、いくつかのプレミアム機能も使えるようになる。

Friendedは、Jonah Goodhart(ジョナ・グッドハート)氏、Lara Otte(ララ・オッテ)博士、Jared Fliesler(ジャレッド・フライスラー)氏、Bobby Goodlatte(ボビー・グッドラテ)氏などの投資家から50万ドル(約5450万円)のシードラウンドを達成している。同社は毎月のアクティブユーザー数を公開していないが、ベータ期間中に50万人の登録ユーザーを集め、1アクティブユーザーあたり、1日平均11のセッションが開始されたことを明かした。先月だけで、250万件以上のメッセージが送信されたという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

FacebookがConnect 6カンファレンスでOculus利用のVRレイヤーを予告

Facebookは仮想現実アプリのデベロッパー向けに6回目のOculus Connectカンファレンスを開催した。キーノートでは新しいハイエンド製品のプロトタイプが発表されると同時に、Facebook本体にOculusを利用した新しいVRレイヤーが準備されていることが明かされた。

OculusのMegan Fitzgerald(メーガン・フィッツジェラルド)氏はカンファレンスで「今年中に『Oculus on the Facebook』という新しいプラットフォームがスタートする。これはOculusのVR能力を生かしたまったく新しいFacebookの利用体験となる」と述べた。

近くFacebookへのログインで同時にOculusへもログインできるわけだ。つまりVRヘッドセットを通じてFacebookにアクセスし、Facebookへの投稿も含めたソーシャルネットワーク体験が可能になる。ユーザーはOculusを利用している友達だけでなく、他のVRヘッドセットを使っている友達ともVR体験を共有し、Oculus内からイベントを作成し友達を招待することもできるという。

Facebookサイズの巨大なVRコミュニティが作られるらしい。 つまりFacebookの機能が全面的にOculusエコシステム内からアクセス可能になる! OculusはとことんFacebook化されるのだろう。チャット、イベントその他さまざまな機能がOculusから利用できるようになるに違いない。

Destinationsと呼ばれる新機能ではゲーム体験をFacebookを通じて公開・共有できる。ブロードキャスト機能ではゲームタイトルそのものにリンクしており、簡単にアクセスが可能となる。つまりチャット内でボタンを押してゲームにアクセスし、ヘッドセットを使って友達とVRゲームができる。Oculusの普及にあたっていちばん重要なのはフリクションと呼ばれる目的を達成するまでの手間を最小限にすることだが、クリック1回でゲームが開始されるのもこの点を狙っているのだろう。

Facebookログインで同時にOculusデバイスにもログインする機能はいまのところオプションだが、FacebookではOculusからしか利用できない新機能を追加することに力を入れている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

大統領選後の暴動でインドネシア政府がインスタなどFacebook系SNSをブロック

ソーシャルメディアに厳しい態度を取る国にインドネシアが加わった。大統領選挙後に起きた暴動で死傷者が出たことを受けてインドネシア政府はInstagram、WghatsAppの利用を一部制限した。

米国時間5月22日、インドネシア居住の多数のユーザーがテキスト以外の町メディアのメッセージをWhatsAppで送ることが難しくなっていると報告している。WhatsAppは同国でもっともポピュラーなチャットアプリだ。またFacebookのメディアも規制のターゲットなっている。#instagramdownというハッシュタグがTwitterユーザーの間で急上昇しているところをみるとInstagramもへの投稿も困難となっているようだ。

政治、法律、セキュリティー調整担当大臣のWiranto氏は記者会見でインドネシア政府はソーシャルメディアへのアクセスを制限しており、「事態の平静化を確保するため(SNSの)一部の機能を無効にしている」ことを確認したとCoconutsが報じている。

Rudiantaraコミュニケーション大臣は、以前からFacebookのメディアに批判的だったが、「ビデオや写真をWhatsAppにアップロードしようとすると相当時間がかかるだろう」と警告している。

WhatsAppとInstagramの双方を所有しているFacebookはまだインドネシア政府によるブロックを公式に確認していない。ただし「インドネシア政府と話し合いを続けている」ことは認めた。TechchCrunchの取材に対し政府のスポークスマンは次のように回答した。

インドネシア政府はジャカルタで治安上の問題が発生していることを認識しており、対処中だ。われわれはあらゆる機関を動員して家族友人との会話その他重要な情報への公衆のアクセスとコミュニケーションの確保に務めている。

インドネシア在住の多数のWhatsAppユーザーがTechCrunchに述べたところによれば、写真、ビデオ、ボイスメールなどテキスト以外のメッセージを投稿することができなくなっている。ただしWi-Fi網またはVPN経由ならこの制限にかからない。

インドネシアでは5月21日に、大統領選挙の結果が発表さた後政治的緊張が高まっていた。現職のジョコ・ウィドド氏がプラボウォ・スビアント氏を破ったことについて、スビアント氏はこの選挙結果を不当とてし憲法裁判所に訴えると述べた。

昨日、ジャカルタ州の抗議行動が暴動に発展し、少なくとも6人の死者と200人以上の負傷者が出た。地元メディアによれば、この暴動にはソーシャルメディアを利用して拡散されたフェイクニュースが大きな役割を果たしたという。

5月22日のジャカルタ暴動で警官隊に投石するデモ参加者(写真:ADEK BERRY / AFP)

サービスが当局によって強制的に遮断される経験はFacebookにとってもはや珍しいものではなくなっている。同社のサービスは多くの地域でフェイクニュース拡散の有力チャンネルの1つとなりっており、4月にはスリランカでも利用制限を受けた。 このときはテロリストの攻撃を防ぐためにサービスは数日間完全に遮断された。今週インド政府は、総選挙に関連して、Facebookがフェイクニュースの拡散防止に充分な努力を払っていないとして懸念を表明した。WhatsAppはインド最大のチャットサービスで月間ユーザーは2億人だという。

Jakarta Post(ジャカルタポスト)の記事によれば、先週、ルディアンタラ情報通信大臣は議会の委員会で次のように証言している。

Facebookは「政府の指示を遵守している」と言う。しかし我々が削除を要請した無数の記事のうち、実際にFacebookが削除した記事はほんのわずかだ。Facebookは間違いなく最悪だ。

画像: ARUN SANKAR / Getty Images(画像に編集あり)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

いいね!1回で1円もらえるSNS「Poplle」が公開

Twitterにしろ、Facebookにしろ、Instagramにしろ、ユーザーが何らかのコンテンツを投稿して楽しむSNSの多くには、お互いの投稿内容に対して「いいね!」とリアクションできる機能が搭載されている。通常このいいね!は金銭的な価値を伴うものではないが、もし「いいね!でお金がもらえるSNS」があったらどうだろうか。

本日2月26日にローンチされた「Poplle(ポップル)」はまさにそのような思想から生まれたサービスだ。

少なとくも現時点におけるPoplleの機能はかなりシンプル。写真や動画といったコンテンツを投稿できるほか、フォローをすることで他のユーザーのコンテンツをタイムライン上で楽しめる。少し言い方は良くないかもしれないけれど、ごく普通のSNSだ。

そんなPoplleのウリは、いいね!を通じてお金がもらえること。具体的には1いいね!= 1円換算で、500いいね!(500円)が貯まると振込申請をしてお金を引き出せる。

他ユーザーからもらったいいね!はもちろん、自分が送ったいいね!も対象。リリース時点では1日に自分からできるいいね!の上限は5回までで、自身の投稿に押すことはできないという。

またアカウント作成時にSMS認証が、振込申請時に身分証明がそれぞれ必要になるため「1人で複数のアカウントを作り、相互にいいね!をし合って荒稼ぎする」こともできない。投稿できるコンテンツ数も1日30件までとなる。

Poplleを開発したのは、“検索不要”のサロン予約アプリ「requpo(リクポ)」や自撮りが売れるSNS「selmee(セルミー)」を手がけるリクポ。同社代表取締役CEOの木崎智之氏によると「多くの人が結構な時間をSNSに割いている。それならSNSをやるだけで少しでもお金を稼げて、(そこで稼いだお金を)他のことに使えると楽しいのではないか」という考えが根本にあるようだ。

2018年11月にリリースしたselmeeは「自撮り」にフォーカスを当てることで、その考えを実現しようとしたサービス。1ヶ月目の流通総額は数十万円に及ぶなど一定数のユーザーに利用されたものの、課題も見つかった。

「特にある程度の影響力のあるユーザーが投稿すると、確かに買われる。ただヒアリングをすると『買ってくれる人の負担が大きくなる』『投稿しすぎるとお金が欲しいだけとの見え方が強くなる』といった理由で投稿数をセーブするように気をつけているという声が多かった。そもそも自撮り以外のコンテンツについてはバンしないといけないこともあり、自撮りを売る以外の方法で、かつ誰もお金を減らさずにすむ仕組みを作りたいと考えた」(木崎氏)

selmeeでは一部肌の露出の多い写真や動画が投稿され、運営側のチェックにより非表示にしていたものもあったそう。それも踏まえてPoplleでは投稿時の自動画像認識の技術を取り入れ「エログロ等の不適切なコンテンツは自動で認識して投稿されない仕組み」を作った。

ちなみにいいね!をもらった人だけでなく、送った側もお金をもらえる同サービス。どうやって収益を上げるのかが気になるが、マネタイズの手段は広告とのこと。ただし一般的なSNSの広告に加えて、Poplleだからこそできるオリジナルの広告モデルを検討しているそう。こちらについては特許も出願中だという。

正直、僕はPoplleがどのくらいのユーザーに使われるのか、予想がつかない。今までもたくさんのSNSが登場してきたが、実際にそれなりの数のユーザーに日々使われているサービスはほんの一部だ。いいね!でお金をもらえることが使われ続ける理由になるのか、疑わしい部分もある(もちろんもらえる金額にもよるのだろうけれど)。

ただ、今世に広がっているプロダクトだって、必ずしもローンチ当初から多くの人の共感を得られていたわけではない。「お金をもらえるSNSと、そうでないSNS。せっかくならお金をもらえる方を使おう」と思う人も一定数いるのかもしれない。

この辺りは木崎氏自身も「確証はないので、(機能面や細かい仕様を含め)ユーザーの反応を見ながらブラッシュアップしていきたい」とのこと。「フックとして『いいね!でお金がもらえる』機能を訴求しつつも、仮にお金がもらえなくても使ってもらえるくらいのUXを提供していきたい」という。

Facebookはいかにしてフェイクニュースと戦うべきか:フェイクニュースの発信者から利益を得る方法

(日本語版注:本稿は、Amber Caseによって執筆された。Amber CaseはGeoloqiの元CEOであり、SXSWiとTEDでは基調演説を行った。著書には「Calm Technology: Designing for Billions of Devices and the Internet of Things」(O’Reilly Media)がある。現在はハーバード大学のBerkman Center for Internet and Societyのフェローを務める)

 

Facebookを始めとするプラットフォームでは、今でもSNSに投稿される虚偽的な内容の怪しい「ニュース」の蔓延と戦っている。

先日、Cambridge AnalyticaとFacebookの企業対応の遅れが発覚したことで、現在進行形の、同程度に深刻な問題から人々の目がそらされてしまった。それは、Facebookをしばらく使っていると、かならず怪しスポンサー記事広告が画面に現れるというものだ。とりわけ、重大な事件が発生し、影響力を持つアメリカ国内外のネットワークがリーチを拡大しようと競い合いを始めたときに、とくに多く見られる。簡単なユーザーアンケートによってこの危機に対処するという、先に発表されたFacebookの計画は、どうも信用できない。

その根底にあるのは、経済というよりは思想の問題だとよく言われる。Facebookのようなサイトは広告収益に依存しており、メディア企業はFacebookの広告を利用して自分たちのウェブサイトに人々を導き、そこで利益を得ている。こうした活動的なメディアでは、評判が良いメディアでさえ、そこから配信されるものには、クリックを促すための、本題よりも優先される暗黙の誘因が仕込まれている。

道義心の低い業者は、さらに一歩進んでいる。そう信じたいと願っている人々の感情に的を絞って、嘘とまでは行かないがいい加減な、あるいはまったくのでたらめな記事をでっち上げるのだ。事実、2016年の大統領選挙期間中に流された政治関連の嘘ニュースのほとんどは、ロシアの諜報機関が流したものではなく、政治勢力をゆがめようと偽情報をまき散らす怪しい連中の仕業だった。こうした問題の拡大は、一企業であるFacebookには大きな負担だ。ファクトチェックを行う人財を大量に雇い入れて、自らのプラットフォームで広告として掲載されている怪しい記事をすべて審査するなど、現実的ではない。

Facebookには、もっとよい、確かで、費用対効果が高い方法が使えると私は信じている。Facebookユーザーの集合的な観察力をテコにして、嘘ニュースを炙り出し、それを出した広告主の責任を追及して、そのような手口で利益を得ようという考えを改めさせるのだ。

まずは、ユーザー主体のコンテンツ審査がある。数多くのインターネット・サービスですでに採用され成功している手法だ。たとえば、ドットコム時代のデートサイト「Hot or Not」では、デートサービスを開始した時点で節度が乱れる問題にぶち当たってしまった。そこでHot or Notでは、ユーザーの節度を管理するモデレーターを多く雇用する代わりに、一部のユーザーを選び出して、アップロードした写真が不適切なもの(ポルノやスパムなど)でないかどうかを判断させることにした。

ユーザーはペアになり、写真の可否について、同意に至るまで投票を続ける。大多数のユーザーから不適切と指摘された写真は削除され、その正しい判断を下したユーザーには報償ポイントが贈られる。意見が分かれる写真のみがHot or Notの審査担当者に送られ、最終判断が下される。通常、そこへ送られる写真は、全体のほんのわずかな割合だ。

Facebookは、もっと有効に、こうしたシステムを採り入れられる立場にある。ユーザー数が格段に多く、その人たちの粒度の細かい情報を把握しているからだ。Facebookは、ユーザー層や思想の違いに基づくユーザーの小さなサブセット(数十万人規模)を簡単に選ぶことができ、コンテンツの審査を依頼できる。報酬が得られるならば、ユーザーはモデレーターとして適切に対応してくれるはずだ。

  • 真偽の怪しい記事を含むFacebook広告の問題に対して、この審査方式は次のように進められる。
  • ニュースサイトが記事や動画の広告料金をFacebookに支払う
  • Facebookは料金を第三者預託とする
  • Facebookは、その記事に信頼性があるか否かの判断をボランティアとして行う選ばれたユーザーに広告を表示する
  • その人たちの大半(60パーセント以上)が信頼できると判断すれば、その広告は自動的に配信され、Facebookは広告料を受け取る
  • 60パーセント以上の人が信頼できないと判断したものに関しては、Facebookの内部審査委員会に送られる
  • 審査委員会が信頼できると判断すれば、その広告はFacebookに掲載される審査委員会が信頼できないと判断すれば、その広告は掲載されず、Facebookは広告料金のほとんどを広告主に払い戻し、10〜20パーセントを審査手数料として受け取る

(Photo by Alberto Pezzali/NurPhoto via Getty Images)

私は、嘘ニュースの一貫性のある特定が幅広いユーザー層によって行われ、Facebookの労働時間と人件費は大幅に削減されるものと信じている。さらに、私のこのシステムを導入すれば、企業は政治的な偏見による非難から身を守ることもできる。マーク・ザッカーバーグは正直にこう言えばいい。「アレックス・ジョーンズさん、申し訳ないが、あなたの嘘ニュース広告の掲載を拒否したのは私たちではない。ユーザーたちなんですよ」と。おそらく、さらに重要なこととして、Facebookは人件費を抑えることができるだけでなく、嘘ニュースを排除することで利益を上げられるはずだ。

この戦略は、他のSNSにも採り入れることができる。とくに、TwitterとYouTubeだ。この流行病に本当の意味で打ち勝つには、Googleを代表とする主要なインターネット広告主も、同様の審査方法を採り入れるべきだろう。ユーザーの同意によるフィルター・システムのレイヤーは、個人やグループが自発的に発信し、またはボット・ネットワークによって拡散される怪しいコンテンツにも応用できる。

民主主義的制度における私たちの信頼を損なわせようと必死になる軍勢との激しい戦いの中で、この方法が唯一、私たちに勝ち目を与えてくれるものだと私は確信する。毎週のように、新しい記事の見出しが私たちの想像を超える規模で増えている。私がこの記事を書いた目的は、シリコンバレーが行動を起こさない言い訳としてよく使う言葉に反論するためだ。彼らはこう言う。「スケーラブルじゃない」と。しかしこの場合、スケールこそソーシャル・ネットワークが持つパワーなのだ。それが最大の防御力となる。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

「MixChannel」生みの親の新たな挑戦は“車”のコミュニティ「CARTUNE」、1.1億円の調達も

10代の女子中高生を中心にして人気を集めるライブ・動画コミュニティアプリの「MixChannel」。このサービスを手がけた元Donutsの福山誠氏。同氏が立ち上げた新会社のマイケルが1月10日、経営共創基盤(IGPI)を引受先とした1億1000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。なおマイケルではシードラウンドでもIGPIから資金を調達しており、同社のパートナー 取締役マネージングディレクターである塩野誠氏が社外取締役に就任している。

福山氏はグーグルを経て2011年にシンクランチを設立。ランチマッチングサービス(現在は就活生に特化している)の「ソーシャルランチ」を立ち上げ、1年4カ月後となる2012年12月にはソーシャルゲームなどを手がけるDonutsに会社を売却。その後Donutsで新規事業として立ち上げたのがMixChannelだった。

「(もともとは)『女子高生向けサービス』というくくりではなかったが、2012年頃に10代が使う『動画×コミュニティ』で作ったサービスがMixChannelだった。ユーザーがコミュニティを動かしてくれて、だんだんと今のかたちになっていった。やはりコミュニティを作るのが好きで、運営も楽しい。新会社も本質的にはコミュニティの会社だ」(福山氏)

そんな福山氏がDonutを退職後、2016年12月に立ち上げたのがマイケルだ(ちなみに人名のような社名だが、「マス向け、幅広いユーザー向けのサービスを作りたい」という思いから、ユーザーとしても存在するであろう人名のような社名にしたということだった)。同社は現在、車に特化したコミュニティアプリの「CARTUNE」を展開している。

CARTUNEは、車を趣味にするユーザーに特化したコミュニティアプリ。ユーザーはTwitterやLINE、Facebookなどのアカウントでログインし、愛車の車種と写真を登録すればユーザー登録が完了(所有車を登録しないとログインできないが、他のユーザーの投稿を閲覧することはできる)。愛車の写真やカスタム・ドレスアップパーツの写真や動画を投稿したり、他のユーザーの投稿を閲覧したりできる。投稿はInstagramライクなUIで表示されるが、車種別やタグ別で閲覧できるのが特徴となっている。ちょっと面白いのは、ナンバープレートの自動加工機能。車の写真を撮影するとどうしても移ってしまうナンバープレートを自動認識し、ナンバーが分からないように加工することができる。

CARTUNEは2017年5月にスタートしたが、現在10万ダウンロードを達成。20代から30代を中心にユーザーを拡大している。実数は公開していないが、WAUも上昇中。ちなみに男性比率は99%なんだそう。

「『若者の車離れ』とはよく言われるが、手段としての車ではなく、車自体を楽しんでいる人達は集まるところには集まっている。(テック業界で)車と言えば、『自動運転』『EV』といったトレンドを思い浮かべる。だが違う軸もある。車はある意味で『嗜好品』としても残り続ける」(福山氏)

福山氏がそう考える根拠は大きく3つだ。1つ目は「活発なパーツ売買」。フリマアプリやオークションサービスでは、車のパーツの取引は非常にアクティブなのだそう。パーツの中古売買市場は、約600億円で、直近の3年で10%成長。またワンオフ品と言われるような一品モノのカスタムパーツなどは今CtoCでの取引が多いという。2つ目は車を趣味にする人達が「イベント・リアル体験文化」を持っていること。例えばアフターパーツの商業イベント「東京オートサロン」には、3日で32万人が来場するし、カスタムカーの展示イベント「スタンスネイション東京」には、1000台の出展があり、単日で2万人が来場している。

そして3つ目が「名車のリバイバル」。メーカー側も往年の名車の純正パーツを再販売するなどしているそうで、ファンの付いている車種に関しては「長く乗る」というカルチャーがあるという。「あくまで趣味としての車好きだけで言っても250万人ほどの規模。そういう人達の情報交換の場を作るのがCARTUNEの目標だ」(福山氏)

車のコミュニティとしては、カービューが2004年から提供する「みんカラ」が先行している。みんカラは月間約4億2000万PV、MAU約750万(2016年10月~2017年3月までの平均値)と大きい。福山氏はCARTUNEでスマホ時代のコミュニティ作りをしていきたいと語る。

マイケルでは今回調達した資金をもとに、CARTUNEの運営体制を強化し、プロモーションを拡充する。今後はオフ会の実施や、中古パーツの売買情報のサポートなどを行っていくとしている。

マイケル代表取締役社長の福山誠氏

悩みは直接経験者に聞く、美容整形の術後経過を写真とテキストで共有できる「トリビュー」

「美容整形は数万円からの投資と、ちょっとした勇気で人生を変えられるもの。でも顔に注射を打ったり、メスを入れたりすることを怖いと思う人は多い。周囲には相談しにくいし、SNSや掲示板ネットでの情報収集にも課題がある。それならば、経験者に話を聞ければいい」——トリビュー代表取締役の毛迪(もう でい)氏はこう語る。同社は10月15日に美容整形の術後経過の記録・投稿アプリ「トリビュー」(iOS/Android)を正式にローンチしたばかり。

トリビューは美容整形の実施前から、術後経過、完成までの写真や体験談を投稿できるアプリだ。ユーザーは手術単位で日記を作成し、施術の内容やクリニック、写真、体験談などを投稿できる。写真や体験談は施術から「○日目」というかたちで経過日数とともに投稿できる。他のユーザーは各投稿に対して「いいね」をしたり、コメントをつけたりできる。

9月からベータ版として一部のユーザーに限定してサービスをローンチ。すでに600枚以上の写真が投稿されている。仲間と繋がりたい投稿者、情報収集のニーズが強い閲覧者ともに、モチベーションが高いそうで、テスト時には(母数は少ないとは言え)、3分の1のユーザーがダイレクトメッセージを送って、投稿者に質問するなどしていたという。

サービスを提供する毛氏は、中国出身で5歳から日本で育った。新卒でリクルートに入社したが、父親、親戚に起業家の多い家庭で育ったため、もともと将来の起業を考えていたという。そこでスタートアップ投資や新規事業コンサルなどを手がけるアーキタイプに転職。約1年後に同社を退社して2017年7月にトリビューを設立した。9月にはアーキタイプのほか、エウレカ共同創業者の赤坂優氏、ペロリ創業者の中川綾太郎氏など9人の個人投資家から合計数千万円の資金を調達している。

トリビュー代表取締役の毛迪(もう でい)氏

実は毛氏自身、10代からレーザー照射や注射といったプチ整形を受けてきたのだという。もちろん施術の程度は人それぞれだが、冒頭で語られた美容整形の課題は毛氏自身が経験してきたものでもある。「病院の口コミや料金補償、(施術後の)腫れや痛みも調べたいとなると、経験者の発信する情報がメインになる」(毛氏)。ちなみにトリビューのメンバーは、フルタイムとパートタイムあわせて5人。エンジニア1人を除いて全員が女性で、美容整形経験者もいるという。

トリビューでは今後、エンジニアを中心に人材を強化。サービスの開発と同時にクリニックへの送客などでのマネタイズを進める。「美容整形は年間2500億円の市場。単価は25万円程度で、売上の30%が広告宣伝費として使われている」(毛氏)。なお中国ではすでにSoYoung Technology(Tencent Holdingsなどが出資)やBeijing Wanmei Creative Technology(Sequoia Capital China Advisorsなどが出資)などが先行して同種のサービスを展開している。

自治体の緊急警報も配信、ご近所限定SNS「マチマチ」が渋谷区と業務提携

マチマチ」は近所の住民とその地域の病院やお店、幼稚園などの情報をやり取りできる実名制SNSだ。マチマチを運営するProper本日、渋谷区との業務提携を発表した。渋谷区との連携により、区が地域の住民に情報発信などができる「マチマチ for 自治体」の提供を開始する。

マチマチのローンチ時点でサービスの詳細をお伝えしているが、マチマチは実名制のご近所限定SNSだ。登録ユーザーは、近所の人とコミュニケーションを取ったり、地域のお店や保育園、病院といった情報交換に役立てることができる。

同じマンションに住んでいる他の住民のことを知らない人も多いかもしれない。マチマチを使うことで例えば、同じ年代のお子さんがいるママ友と知り合ったり、新しくその地域に越してきた人が近所のお店や病院などの情報を見つけたりすることができる。コミュニケーション機能以外には、ユーザーはその地域のイベント情報やニュース、物件情報なども配信している。

Properが今回新たに提供する「マチマチ for 自治体」は自治体がその地域の住民にリーチすることを支援するサービスだ。マチマチは地域のあらゆる情報を可視化することを目指しているが、住民にとって重要な行政や自治体の配信する情報もサービス上に加えたい考えだ。そして今回、渋谷区が「マチマチ for 自治体」を利用することが決まった。

マチマチが2016年3月、最初にサービスをローンチしたのも渋谷区だった。そこから1年が経ち、渋谷区のコミュニテイーで300人以上の住民、商店街、NPOが参加するようになったとProperの代表取締役CEOを務める六人部生馬氏は言う。

これまで自治体は町の掲示板のチラシやお知らせなど紙で住民に情報を発信することが多かったが、マチマチを活用することで、公共サービスやお知らせをデジタルで配信することが可能になる。有事の緊急警報や防犯や防災の注意喚起も配信することができる。

左から渋谷区長の長谷部健氏、Proper代表取締役CEO六人部生馬氏

また、自治体の町会に参加している住民の高齢化も課題になっている。渋谷区長の長谷部健氏は、マチマチと提携した理由について「マチマチは1年近く運営している中で実績を出していて、次世代とつながる方法になると考えています」と説明している。

渋谷区は2017年2月より、LINEでも住民に情報配信する取り組みを行っている。

自治体は無料で「マチマチ for 自治体」を利用することができる。マチマチのマネタイズについて六人部氏は、将来的にはFacebookと似たように広告モデルでマネタイズしていく考えと説明している。

Properは2015年10月に設立した。また、六人部氏はメガネECの「オーマイグラス(Oh My Glasses)」の共同創業者でもある。2016年6月には6000万円の資金調達を実施している。

 

Twitterなどの動画をAIで収集・配信するSpecteeがAP通信社と提携、世界へ動画配信を開始

事件や事故、災害など、SNSに投稿された動画や画像を、報道機関がニュースなどで取り上げることが増えている。その影には、TwitterやFacebookなどの動画・画像をAIを使って自動収集し、権利処理も行った上で、報道機関向けにいち早く配信するサービスがある。日本ではデータセクションJX通信社、そしてSpecteeがこうしたサービスを提供している。

そのSpecteeが6月7日、世界規模のニュース配信ネットワーク、AP通信社と動画配信に関して事業提携したと発表した。APが展開する映像配信サービス「AP Video Hub」を通じて、世界のテレビ局や新聞社などの報道機関に、Specteeが収集した映像を提供していくという。APへの映像提供では、国内唯一のコンテンツ・プロバイダーとしての契約になる。

Specteeは、SNSなどに投稿される情報をリアルタイムに収集し、配信するサービス「Spectee」(旧サービス名・Newsdeck)を、現在約100社の報道機関向けに提供。今回のAPとの提携により、権利処理を行った動画を、国内の提携先報道機関だけでなく、世界の報道機関向けに提供可能となる。

Specteeではこれまでにも、日・英・スペイン語など複数言語で、世界中の投稿者との交渉や権利処理、事実確認を行ってきたノウハウがあるとのことで、配信動画は国内のものだけでなく、海外の動画も対象。「世界の報道機関に、安全に迅速にUGC(User Generated Contents・一般ユーザーによるコンテンツ)動画を届けていく」とリリースでコメントしている。

また今後、Spectee独自のネットワークで収集し、自社制作した動画もあわせて配信を予定しているそうだ。

Facebookのエンタープライズ版SNS「Workplace」、日本でも正式にサービス開始

Facebookと言えばもともとユーザーが個人、プライベートで使うSNSだが、テック業界のユーザーを中心にして、Facebookページやグループ、メッセンジャーを仕事で使うケースも増えているのではないだろうか。僕も取材の調整をはじめとして、ビジネスの場面でもFacebookを使うことが増えている。

Facebook自身もそんなユーザーのニーズをくみ取っているようで、2016年10月からエンタープライズ版SNSである「Workplace for Facebook(Workplace)」を提供している。海外では、Starbucks Corporation(スターバックス)やBooking.comをはじめとして1万4000社がサービスを導入。日本でも2016年春頃から先行してエウレカやfreeeなど一部の企業が先行的にサービスを導入していたが、これまでにコロプラやビズリーチなど300社が導入しているという。TechCrunchでは、4月に開催されたFacebookの技術カンファレンス「F8」で発表されたWorkplaceのアップデートについても紹介しているが、いよいよ日本でも正式にサービスが始まった。

Facebookを踏襲した「Workplace」の画面イメージ

WorkplaceはFacebookをベースにしたエンタープライズ版のSNSだ。見慣れたFacebookのUIUXを踏襲しつつ、セキュリティを強化。モバイルでの利用(メッセンジャー含む)ももちろん可能だ。Facebookを利用していなくてもWorkplaceだけを利用することができる。エンタープライズ版らしく、カスタマーサポートや管理者向けの分析機能も提供する。前述のF8で発表されていたが、チャットボットを利用して承認フローなどを作ることもできる。また、ユーザーが所属する会社内でのコミュニケーションを想定しているが、「会社間グループ」を作ることで、ビジネスパートナーなど他社のユーザーともグループを作ることもできる。一方で、広告や友人・家族の投稿、ゲームのアクティビティなど仕事に関係のないであろう情報は表示されない。

「Workplace」の機能について

企業ごとにさまざまな利用方法があるというが(僕が聞いたある国内企業は、Slackで即時性の高い内容を共有し、全社・所属部門全体へのアナウンスなどでWorkplaceを活用しているということだった)、面白い事例だと思ったのはスターバックス。同社ではすでに世界2000以上の店長、店舗スタッフ、経営幹部がWorkplaceに参加。CEOのメッセージも動画でリアルタイムに発信する(そしてFacebook同様、リアルタイム動画に「いいね!」などリアクションがついたりする)といったグループ全体へのアナウンスにも利用。また、あるスタッフが新しいドリンクの楽しみ方をWorkplace上で共有。それが各国に広がって、結果として公式メニューに取りこむというようなことも起こっているそうだ。

5月17日に開催された説明会では、Facebook Workplace事業 アジア太平洋地域責任者のNakul Patel(ナクル・パテル)氏が、Workplaceについて(1)FAMILIAR:使い慣れたFacebookのプラットフォームを採用していること、(2)MOBILE FIRST:PCを使わなくても、モバイルだけで利用できること、(3)HEART OF THE BUSINESS:ビジネス上クリティカルな告知などもできる、ビジネスの中心となるサービスであること、(4)SEPARATE&SECURE:プライベートと切り分けられており、なおかつセキュアなプロダクトであること——の4点を強みとして挙げた上で、Facebook CEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の「Workplaceを利用することは単にツールを導入するというよりむしろ、ビジネスを運営することに近いと考える」という言葉を紹介した。またフェイスブックジャパン代表取締役の長谷川晋氏も、「Facebookのカルチャー、働き方そのものを具現化したツール」だと説明する。

Workplaceの価格は、基本機能のみを提供する「スタンダードプラン」は無料。「プレミアムプラン」は1000人までがアクティブユーザーあたり3ドル、それ以降の9000人までは同2ドル。それ以上のユーザーに関しては同1ドルとなっている。ただし9月30日までは無料でプレミアムプランの利用が可能となっている。

フェイスブックジャパン代表取締役の長谷川晋氏(左)、Facebook Workplace事業 アジア太平洋地域責任者のNakul Patel氏(右)

10代女性の写真投稿、平均3回“盛って”いる——電通総研のSNS利用実態調査

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若年層のSNS利用実態のキーワードは「消える短時間動画」「盛り」「ライブ配信」──。

電通総研メディアイノベーション研究部は2月13日、「若年層のSNSを通じたビジュアルコミュニケーション調査」の調査結果を発表した。電通総研では2015年より、若年層スマホユーザーの写真や動画アプリを使用したコミュニケーションをテーマに研究を継続。今回は特にSNS上の動画利用実態に注目して、15〜34歳の男女を対象に定量・定性調査を行った。

調査によると、動画世代のスマホユーザーは、「SnapchatやInstagramなどで採用されている、一定時間後に消える動画や短めの動画で手軽に動画をシェア」「Snowなどの加工アプリで盛って投稿」「SNS上のライブ配信で“いま”にフォーカスした情報発信を好む」といった傾向があるという。「盛り」に関していえば、10代の女性では1回の投稿で写真加工アプリを平均3個使用しているそうだ。

1日当たりでユーザーが「いいね!」を押す平均回数は、Facebookで9.3回、Instagramで10.3回。ファッションやセレブの情報など、ビジュアルがキーとなるテーマでは、若年層はネット検索よりSNS検索を利用する傾向があり、およそ4人に3人の割合で、SNSの他のユーザーの写真や動画の影響で何らかの購買・消費行動を取ったことがあると回答している。

SNSで発信するモチベーションは、1位「自分自身の体験のストック」、2位「つながり、コミュニケーション」、3位「生活のアピール/演出」となっていて、コミュニケーションや自慢のためというよりは、ビジュアライズされた日記やアルバムとして自分のために利用している人が多いようだ。

電通総研「SNSの利用実態」のインフォグラフィックス

電通総研「SNSの利用実態」のインフォグラフィックス

パーソナライズしたFacebookフィードの弊害

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Facebookバブルは弾けた。未だにアメリカ合衆国の半分はショックから立ち直れていない。アメリカ大統領選に至る月日の間、人々は住んでいる世界とは合致しない情報を見ていたということが分かった。現実だと思っていたものは崩れ去った。

それがFacebookという世界だ。

このソーシャルメディアネットワークは、私たちの周りで起きる出来事を理解するツールを提供する巨大なプレイヤーだ。しかし、しばらく前から、他者の意見や違う視点で物事を見る場合におけるFacebookという声が反響する小部屋の弊害も指摘されていた。だが、今日ほどその影響力の強さを意識した日はなかった。

Facebookのユーザーはこの出来事を災難か、あるいは国が前進するために起きた記念すべきことか、どちらか一方のストーリーを受け取っている。Facebookのユーザーはトランプ氏の勝利は確実、あるいはクリントン氏の当確は決定的、といういずれかのストーリーしか見ていない。Facebookでは、ユーザーが持つ見解がそのまま記事の「いいね!」となり、シェアとして映し出される。Facebookでは、誰かの叫び声は全員に届くか、あるいは誰にも届かないかのいずれかなのだ。

大声で叫ぶほど、Facebookを閲覧する時間は長くなった。それに伴いFacebookの収益も増す。

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Facebookはユーザーの見解を反映しただけではない。センセーショナルな記事、さらには頻繁に誤った情報で見解を誇張し、歪めていた。しかし、Facebookにそれを追及しても両手を上げて、「私たちはメディアではありませんから」と言い逃れをしてきた。

Facebookは誰でも常識の範囲内で好きな情報をシェアできる中立的なプラットフォームであると主張している。彼らのコンテンツの検査官はポルノや銃器、薬物といった違法なものや他に禁止している内容のコンテンツがないか注視している。しかしそれ以外の壁の内側にあるコンテンツの内容に関しては目を瞑る。

Facebookはコンテンツの真偽に対する責任を負っていないと主張する中でも、虚偽のニュースサイトがいくつも並びでっち上げのニュースがネットワークに溢れかえって誤った情報がバイラルに広がった。

さらには、Facebookは「トレンド」セクションを管理していたニュース編集者を解雇し、公平だが、間違いを犯すアルゴリズムにそれを任せるようになった。人の判断を完全に排除したFacebookのニュース配信マシーンの登場は、選挙という最悪な時期に重なった。

Facebookのプラットフォームで人気の高いセクションに虚偽のニュースが入っていることを報じている記事には、アルゴリズムがトレンド入りさせた「明らかに間違った」記事をトラックしている。

Facebookのトレンドには9/11は内部の人間の犯行としたタブロイド記事やFox NewsのキャスターであるMegyn Kellyがクビになったという嘘の情報 、大学がキャンパスから祈っていた人を締め出したという噂が誤りと情報開示する声明文もある。さらには、アラジンの魔法のランプように使えるiPhoneの偽記事を、その名も「FakingNews(偽ニュース)」というサイトから取り上げていた。

Facebookはこれらの批判に対し間違いであったと認め、改善していくとして火消しを行った。

しかし、Facebookはコンテンツの精査ではなく、パブリッシャーがいかに彼らのネットワークで簡単に記事を共有できるようにするかに注力している。Facebookは文字や広告で埋もれがちな記事を読むのに最適な形式を追求し、素早くロードするインスタント記事の開発など技術的な発展に投資してきた。Facebookはユーザーがより長くサイトに滞在する方法を探していて、ユーザーがさらにターゲット広告をクリックするよう、フィードのパーソナライズに力を注いでいる。

もちろんユーザーのエンゲージメントを高める1つの方法は、ユーザーがFacebookを開いた時に良い気分になることだ。そして、Facebookはユーザーの気分を操作する方法を知っている。なぜなら、大規模な調査を行っていたからだ。

Facebookは2014年、68万9000人のユーザーのページを対象に、投稿を改変することでユーザーの気分をポジティブ、あるいはネガティブに変えることができるかの調査を実施したことについて謝罪している。

その調査結果から、ユーザーの気分を変えることができると判明している。

Facebookはそうやって集めたデータを使って、ユーザーがサイトを見続けるために良い感情を想起させるフィードだけを配信するようになるのではないかと人々は懸念した

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何か思い当たる節があるだろう。

WSJは「Blue Feed, Red Feed」のグラフィック記事で、政治分野におけるこの影響を取り上げた。Facebookはユーザーが聞きたいことだけをスプーンに乗せて与え、もう一方の見解への露出は最小限に留めていたということが分かる。

これは、少なくともFacebookにとって有益だった。2016年9月の月間アクティブユーザーは17億9000万人に登る。 前四半期には70億ドルの収益を得た。そのうち利益は23億7900万ドルで、前の四半期の20億5000万ドルより16%増加した。前年同期比では160%の増加だ。

Facebookバブルの問題は、ユーザーがアルゴリズムに騙されるということだけではない。ニュース配信においてFacebookが大きな役割を担っていることが問題を大きくしている。

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2016年5月のPew Researchの調査結果から、現在アメリカの成人の過半数(62%)がFacebookを始めとするソーシャルメディアからニュースを得ていることがわかった。

そして、Facebookはその中でも最大のSNSであり、アメリカの成人の67%にリーチしている。

Facebookユーザーの3分の2(66%)がこのSNSでニュースを得ている。Pew Researchのデータによると、それは全人口の44%に相当するという。2014年時点から30%増加している。

さらに事態を悪化させているのは、ソーシャルメディアは別の主張を理解を促すのには適していないプラットフォームであることだ。 別のPewによる調査から、社会的、政治的な問題についてソーシャルメディアの情報を見て意見を変えた人はたった20%だった。ソーシャルメディアを見て選挙の立候補者への見解を変えたというのはそれよりさらに少ない17%にとどまった。

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Pewは意見を変えた内容についてもさらに詳しく調査した結果、ソーシャルメディアは人々をよりネガティブな方向に変える傾向にあったという。つまり、クリントン氏について意見を変えた人々は、彼女に対してネガティブな意見を持つ傾向が3倍高く、トランプ氏から意見を変えた人は彼に対してネガティブな印象を持つ傾向が5倍高かった。

さらにSNSユーザーの82%はソーシャルメディアを見て立候補者に対する意見は変えたことはないとし、ソーシャルメディアへの影響で社会的、政治的問題に対しても79%が意見を変えないとした。つまり、誰かに何かを説得しようとする際、Facebookはそれに適した場所ではないということだ。

私たちはしばらくの間Facebookを使用しているが、今回ほどその影響力の強さを感じたことはないだろう。ユーザーにパーソナライズしたフィードで、見たいことだけが表示されるのは素晴らしいことのように思える。実際はそうではないという状況が目の前に突きつけられるまでは。

昨夜から今朝にかけて人々は、これまで見ていた情報源の情報の質が低いということに気づき始めた。見ている情報がそもそも間違っているか、偏っているかだ。そして最も重要なことは、人々が変わった同郷の叔父だと思っていた彼は異端な少数派なのではなく、怒りを抱え、不満を募らす国民の過半数を代弁する存在だということに気づいたことだ。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

YouTubeがコメント機能をアップグレード、コメント管理がさらに効率化

A picture shows a You Tube logo on December 4, 2012 during LeWeb Paris 2012 in Saint-Denis near Paris. Le Web is Europe's largest tech conference, bringing together the entrepreneurs, leaders and influencers who shape the future of the internet. AFP PHOTO ERIC PIERMONT        (Photo credit should read ERIC PIERMONT/AFP/Getty Images)

本日YouTubeは、コメント機能のアップグレードを行った。アップグレードの目的は、フィード内のどのコメントを目立たせるかに関して、クリエイターにもっとコントロールを与えること、そしてクリエイターと視聴者やファンとの交流をさらに促進させることだ。フィードのトップにコメントを固定表示(ピン)する機能や、不適切なコメントをレビューされるまで非表示にする機能が新たに盛り込まれたほか、今後はコメントへの返信時にクリエイターのユーザーネームがハイライトされるほか、クリエイターが目立たせたいコメントにハート(お気に入り)マークをつけて、視聴者の目を向けさせることができる。

YouTubeによれば、今回のアップグレードの背景には、クリエイターと彼らのコミュニティの繋がりを強化することや、クリエイターがもっと近い距離でファンと交流できるようにするという考えがある。

YouTubeは、成長を続ける同社のビデオ共有プラットフォームにソーシャル性を加えようと、9月にYouTube Communityをローンチした。これによって、チャンネル画面に新たなタブが追加追加され、クリエイターは画像やGIFと共にニュースなどのテキストベースのコンテンツを投稿することで、ファンとの交流を深めることができるようになったのだ。しかし、ファンとクリエイター間の交流には、依然主にコメント欄が使われている。

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YouTubeの発表によれば、クリエイターは固定表示機能を使うことで、視聴者に見て欲しいコメントをフィードの1番上に固定できるようになる。しかし、固定表示できるのはひとつの動画につきひとつのコメントのみだとYouTubeは話す。

近年コメント機能の評判が悪化する中での今回のアップグレードは、YouTubeがコメント機能の改善のために行っている施策のひとつに過ぎない。これも9月のことだが、同社はコメント内容を精査するため、モデレーター向けに、彼らが不適切なコメントのフラグ立てやその他のタスクをこなすことで、ポイントを稼いで新しい機能を優先的に使えるようにする新たなプログラムを開始した

しかし、それ以前にもYouTubeは、ビデオに付いている公開コメントの削除を含む、チャンネルのコメント欄の管理を行うモデレーターを直接選ぶ権限をクリエイターに付与していた

さらに2013年以降はブラックリスト機能も準備されており、クリエイターは特定の単語やフレーズを含むコメントを公開前にチェックすることができる。

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そして本日、YouTubeは新しいコメントレビュー機能のベータ版を導入し、希望者は新機能をテストすることができる。この機能を使えば、新たなアルゴリズムが自動的に不適切な可能性があるコメントを選び出し、クリエイターがそのコメントをレビューするまで公開が保留される。クリエイターは、選び出されたコメントをチェックした後に、そのコメントを承認したり、隠したり、必要に応じて通報したりすることもできる。

YouTubeはまだ開発段階にあるこのシステムについて、問題のないコメントが不適切なコメントとして選ばれたり、その逆に不適切なコメントが探知されずに公開されてしまう可能性もあると注意を呼びかけている。しかし時間が経つにつれて、レビュー結果が反映され、アルゴリズムの性能は向上していくだろう。

ハート機能とユーザーネームのハイライト機能

その他に本日からローンチされた、ハート機能とユーザーネームをハイライトする機能には、コメントを介してクリエイターと彼らのコミュニティの交流を促進する狙いがある。ハート機能は世界中の人が理解できるようなシンプルな機能で、クリエイターは視聴者に感謝の気持ちを表現することができる。そして、ユーザーネームのハイライト機能は、クリエイターからのコメントを目立たせるだけのものだ。

ハイライト機能によって、クリエイターのユーザーネームが色付けされ、視聴者はスレッドにクリエイターが参加しているかどうかがひと目で分かるようになる。尚、現在YouTubeは、チャンネルのイメージカラーにハイライトの色を合わせられるようカスタマイズ機能を開発中だが、まだこちらは公開されていない。一方で、TwitterやFacebookといった他のSNSのように、認証済みアカウントには名前の横にチェクマークが記載されるようになる。

youtube-google-plus-tran上記のような機能は、実質的に今日のウェブ上にあるほぼ全てのSNSやコミュニティサイトに備えられているということを考えると、YouTubeが同様の機能を導入するのに、これほどまでに時間がかかったというのはいささか驚きだ。しかしソーシャルな分野は、Googleが最も得意とするものではない。

過去にGoogleは、ソーシャル機能をメインとするGoogle+とYouTubeを連携すれば、ユーザーは実名でコメントを投稿しなければならず、結果的に不適切な行動が減るのではないかと考えていた。

しかし、このシステムは反発を受けることとなった。その理由として、Google+にYouTubeが強制的に統合されてしまうということのほかに、Googleアカウントやウェブ上で公になっている自分の情報とは切り離された別のアイデンティティを持っていたい、と考える人がYouTubeのユーザーには多くいたということが挙げられる。

本日発表された新機能は、Google+への統合ほどびっくりするようなものではなかったが、コメント管理に関するYouTubeのもっと現実的な見解が反映されていると言える。どのウェブサービスでも言われている通り、システムによる自動化と人間による管理が組み合わさったものこそ1番上手く機能するようだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

匿名画像投稿サイトから画像SNSにピボットした「Pictory」、中高生人気を集めて月間1億PVを突破

以前にTechCrunchで紹介したカクテルの運営する匿名画像共有アプリ「Pictory」。2014年1月のサービス開始から約2年半……時間はかかったが、サービスが好調だという。10〜20代を中心にしてユーザーを拡大。2014年4月時点で月間200万だったページビューは、2016年8月に1億ページビューにまで成長した。

Pictoryは、Android向けアプリとウェブサイトでスタート。ユーザーが自らの持つ写真にエフェクトを付け、テキストを入れて「作品」として仕上げて匿名で投稿するサービスだった。ローンチ当初から10代を中心としたユーザーが多く、若いユーザーによる「ポエム」的な投稿が中心になっていった。

「Pictory」のトップ画面。さまざまなカテゴリの画像を投稿できる

「Pictory」のトップ画面。さまざまなカテゴリの画像を投稿できる

ページビュー数こそ増えたが、2015年半ばまではユーザーがあまり増えない状況に苦しんだ。「新規のユーザーが入っても、そのまま同じほどの数のユーザーが翌日離脱するような状態」(カクテル取締役CTOの天野仁史氏)だった。そのため約1年をかけて、完全匿名の画像投稿サイトから、ユーザー同士のコミュニケーションが可能な「画像SNS」へのピボットを進めた。

Pictoryの生まれた2014年頃といえば海外ではWhisperやSecret(すでにサービスを終了)といった、匿名で画像やテキストを投稿できるサービスが流行の兆しを見せていた時期。Pictoryも当初はそういったサービスを狙っていたのかも知れない。だが前述の通りで、結果的にできあがったのは、10代を中心にした小さいながらも濃いユーザーのコミュニティだった。

「当時は匿名で書きやすい、投稿しやすいというもの……いわば『今風の2ch』を目指していた。だが結果的に、狙った訳ではないがサービスが若者に受け入れられた。若者は自分の周囲、家族などに言えないことを投稿する。そんな内向的な投稿は匿名との食い合わせが悪かった。若者の『熱さ』はすごくあるが、読む人には価値がないということもあった」(天野氏)——そんな背景もあって、若いユーザーの熱量をより生かせるサービスへ転換を図った。

ピボット後、月間1億PVを達成

画像SNSへのピボットは成功。ユーザー数は非公開ながら、10代を中心にしたより大きなコミュニティが生まれつつあるという。ユーザーの8割は女性。また、全体の7割が中高生だ。夏休み期間でもある2016年8月には月間の画像投稿数60万件、登校への「いいね!」数は1億8000万回(Pictoryの仕様上、1人複数回のいいね投稿が可能。ユニーク数では約900万回)、月間1億ページビューを達成した。

Pictoryのアクティブユーザー数(実数は非公開)

Pictoryのアクティブユーザー数(実数は非公開)

投稿される画像はセルフィ(自撮り)のほかライフログ(外出時、食事時、購入物などライフスタイルに関する画像)、友達と撮影した写真(プリクラなど。コスプレしてプリクラを撮る「コスプリ」、ファッションを友人と合わせた「双子コーデ」なんていうものが人気だ)など。画像投稿するユーザーのフォロワー数は平均100以上。1万人超のフォロワーを抱えるユーザーも数多いという。ちなみに全ユーザーの3割が画像を投稿しているという。

「リニューアル後は継続率を純粋に追いかけていった。『いいね!』も(1つの投稿に対して)何度でも押せるようにすることで、ユニークユーザーが増えた」(カクテル代表取締役の水波桂氏)。「(いいね!を何度も押せる設計について)批判はあるかも知れないが、ポジティブなアクションを気軽にするのは正しいと思う。例えばFacebookで一番いいのは、『いいね!』ボタンによってコメント以外でも気軽にリアクションができることだ」(天野氏)

新規ユーザーの反応も好調だ。「(投稿がサイト上に露出される)評価軸をさまざまにしている。新しいユーザーでも面白い画像を投稿したならトップに表示される仕組み」(水波氏)。ネガティブな投稿に対しても抑止力が出てきたという。「ユーザーは名前を出すほどに悪口を言わなくなる。ここはコンテンツの見せ方ひとつで変わるところなので、調整を日々やっている」(天野氏)

今後は広告でのマネタイズも

カクテルは2012年の設立。これまでにインキュベイトファンドやメルカリ代表取締役の山田進太郎氏のほか、East Ventures、iSGS Investment Works、ベンチャーユナイテッドなどから約1億円の資金を調達している。

1年間作り込んだサービスの手応えを感じ始めたというPictory。今後は人材を拡大し、開発をさらに強化していく狙いだ。マネタイズについても広告の導入を検討しているが、「単なるバナーでなく、『テキスト+文字』でどんな広告ができるかチャレンジしていく」(天野氏)という。将来的には動画投稿についても検討中だ。

カクテル代表取締役の水波桂氏(左)と取締役CTOの天野仁史氏(右)

カクテル代表取締役の水波桂氏(左)と取締役CTOの天野仁史氏(右)

 

興味あるのは「SNS」、一番怖いのは「固定化すること」——取締役・舛田氏が語るLINEのこれから

B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏(左)、LINE取締役CSMOの舛田淳氏(右)

B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏(左)、LINE取締役CSMOの舛田淳氏(右)

10月17日から18日にかけて北海道・札幌で開催中の招待制イベント「B Dash Camp 2016 Fall in Sapporo」。初日最初のセッションにはLINE取締役CSMOの舛田淳氏が登壇。B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏とのセッションを繰り広げた。

日本、NY同時上場の意味

2016年7月に日本(東証1部)、ニューヨーク(ニューヨーク証券取引所:NYSE)に同時上場したLINE。渡邊氏は舛田氏に改めて同時上場の意図を尋ねた。

「2016年の年頭までは悩みに悩みまくっていた。東証とNYSE両方なのか、東証だけに上場するのか。テクニカルなこと(株価上昇など)をしたかったという観測もあったが、全然そんなことはない」

「仮に今の経営陣がくたばったとしても——呪詛のように『LINEという会社は世界を意識しないといけない。10年後20年後にもそういう意識を持たさないといけない』と考えた。普通に考えたら『日本だけでいいんじゃないか』と(今後)我々以外の経営者が言うかも知れない。それでは困るのでニューヨークとの同時上場をした。これまで無茶をしてきたので、(上場も)無茶をするのがLINEらしいところもある。海外の投資家の理解度も高い。Twitter、Facebookと同じようなポテンシャルで見てもらっている」(舛田氏)

同時上場については、決定しなければいけない期限まで話し合ったのだという。「明日決めるという日の前日も、仕事の帰り際に出澤(LINE代表取締役社長CEOの出澤剛氏)と『どうする』と話していた。全ての選択肢は持ち続けた」(舛田氏)

そして迎えた7月15日の日米同時上場。ニューヨークで上場を迎えた舛田氏は、その様子を振り返る。

「同時上場ではなく、アメリカで上場するのもアリだと思う。文化の違いというのもあるが、チャレンジする人がサクセスするということ対して、『ウェルカム』と言ってくれる国だ。上場日、マーケットの前で車を下りた瞬間から、ある種のショーが始まっている。映画のように掃除をする人や警備をする人から『今日はいい日になるといいね』言われたり、ハイタッチされたりする」

「(取引所も)もう全てシステム化されているので、本来はディールの場に人が必要ない。ただ初値が付くまでは、(スタッフが)『40ドルだ。(LINEの株価は)そんな価値ではない』と言ってくれる。我々がしびれを切らすと『大丈夫だ。水を飲め』と語りかけるなど、エンターテインメントとして演出してくれる。TIMES SQUAREのショーなども決して我々が仕込んだのではない。セレモニーをやってもらった」(舛田氏)

一方で東証での上場については、出澤氏はじめとして参加者から「少し寂しかった」という声が出たそうだ。舛田氏は「ちょっとした演出でチャレンジする人(のモチベーションが)上がる。その日1日誇れれば、継続して成長するプライドも持てるのではないか」と提案する。

LINEは上場して何を目指す?

LINEは上場以降、「スマートポータル」という構想を掲げてサービスを展開している。渡辺氏はその進捗について舛田氏に尋ねる。舛田氏は次のスライドをもとに現状を語る。

LINEの「スマートポータル」構想

LINEの「スマートポータル」構想

「コンテンツやメディアの領域で1番成長著しいのはLINE NEWS。10代、20代はYahoo! ニュースに迫る勢い。MAUは4100万人で、スマートポータルのメディア戦略の中核中の中核。LINE LIVEは動画プラットフォーム。よく比較されるのはAbema TVだが、全然違うことを考えている。我々はスマホらしいプラットフォームを考えた時に、縦(縦向き動画のUI)だろうと考え、縦向きでコミュニケーションしやすいプラットフォームとして舵を切った。LINEのプッシュ通知などもあるので視聴も配信も増えてきた」

「(サブスクリプション型音楽配信サービスの)LINE MUSICも着実に伸びている。通常のサブスクリプションだとなかなか厳しいところがあったので、LINEの呼び出し音などに(利用できるように)力を入れたところ、サブスクライバーの数も売上も伸びてきた」(舛田氏)

このほか、インフラの面でも、LINE Payやメッセージング、BOT APIなどの提供も進めている。舛田氏は、LINEの本質は「カンバーセション」の会社だと続ける。「日本もタイも台湾もだが、そこで(メッセージングサービスの)リーディングカンパニーは間違いなくLINE。そこにUI、データ、カンバセーションといったものをOSのようにしてさまざまに展開しようとしている」(舛田氏)

スマートポータル構想について語る舛田氏。だが、渡辺氏からはより具体的な戦略について知りたいという質問が飛ぶ。

「さっきニュース(LINE NEWS)の話をしたが、ポータルサイトで必要なコンテンツというのはいろいろある。だが(ポータルと)スマートフォンを掛け合わせた時に必要なバーティカルなコンテンツやサービスはまだLINEにはない」(舛田氏)

LINEにまだ欠けているコンテンツやサービス、その1つの答えが先日発表された「出前館」運営の夢の街創造委員会の株式取得だろうか。舛田氏は「(コンテンツと比較して)サービスに近いところだがそうだ」と語る。

さらに、「コンテンツやメディアはまだ(LINEに)ない」として、他社との提携、株式の取得、協業などに力を入れていくとした。同時に、内製して開発していた内容についても、テクノロジー系のスタートアップと組んで補完していくと語った。「出資もするし、必要であれば100%(LINEの)中に入ってもらうものもある」(舛田氏)

舛田氏はLINEの戦略は分かりやすいと語る。「引いたところから見ると、光が強い(注目しており、サービスを提供しているという意味)ところ、弱いところがある」(舛田氏)。そしてまだ光が当たっていない領域については、すでに外部と連携に関する話をしていたりするとした。ビジネスとしては広告事業にも注力していくが、さらにLINEらしい非連続のチャレンジも続けていくという。

「例えば『NEXT LINE』というところにも張っていこうとしている」(舛田氏)

一番怖いのは「固定化すること」

その「NEXT LINE」としてチャレンジする領域の1つが「SNS」だという。LINEは現在、動画SNSのSNOWに出資したり、写真SNSの「B612」を提供したりしている。舛田氏は「LINEは基本的な連絡をすべてやっているのでアクティブ率は落ちない」とした上で、InstagramやSnapchatを例に挙げつつ、「ただ、(LINEが)みんなにリーチしてるからこそ、逃げたくなるようなもの(コミュニケーション)もある。そういうニーズをどうくみ取るかが大事」と語る。今後もこの領域でのチャレンジがあるということだろうか。

「社内で言っているが、一番怖いことは固くなること、固定化すること」——舛田氏はこう続ける。LINEは1兆円規模の会社になったが、ここまでのプロセスでの強みが、今後は弱点になることはある。そうやって終わっていく企業は多い。なのでどこまで固くならず、変な前提を持たず、新しいことにチャレンジできるのか(が大事)。IPOしたからこそ、きちんとやるべきだと思う。

Facebookは間もなくエンタープライズ市場の難しさに気づくだろう

The silhouette of an attendee is seen looking at a smartphone ahead of the global launch event of "Workplace" at the Facebook Inc. offices in London, U.K., on Monday, Oct. 10, 2016. Workplace is meant to help employees collaborate with one another on products, listen to their bosses speak on Facebook Live and post updates on their work in the News Feed. Photographer: Jason Alden/Bloomberg

FacebookはWorkplace(旧Facebook at Work)のリリースで、今週正式にエンタープライズ市場へ参入した。コンシューマー向けツールとしてのFacebookの成功は言うまでもないが、異なるニーズを持つエンタープライズ市場は別世界だ。

対象となった1000社にWorkdplaceを無料提供したベータテストの結果、特に社内SNSに関して、エンタープライズが求めるものはコンシューマーとは全く異なることがわかった。Facebookが目指していたのは、既存のコンシューマー向けサービスとの親和性だった。つまりプライベートでFacebookを使っていれば、職場でWorkplaceにもすぐ慣れることができるという考えだ。この戦略は間違いではないものの、リリースのタイミングがあまりにも遅かった。

しかしBOXのCEO Aaron Levieは違った見方をしている。Workplaceのリリースについてのブログポストを読むと、彼はこのサービスに秘められた可能性に本心から期待しているようだった。「FacebookのWorkplaceがリリースされれば、企業や開発者は、私たちがプライベートな連絡や人との繋がりで日頃使うようになった手段を、職場でも有効活用できるようになる」と彼は綴っている。

ちょっとおかしいのは、オンラインソーシャルツールを職場で利用するというエンタープライズ2.0の考え方は、10年ほど前からすでに存在しており、YammerやJive、Confluenceといったソフトは”エンタープライズ用Facebook”として売り出されていたのだ。それでもFacebookはこれまで何の動きも見せなかった。

もしかしたらFacebookはSlackの成功に圧倒されていたのかもしれない。Slackのこれまでの調達資金は5億ドルで、バリュエーションは40億ドルに達しており、ようやくエンタープライズ2.0のゴールを達成するサービスになると思われていた。しかしFacebook以上に上手くその役を担える企業が存在するだろうか?

エンタープライズ版のFacebookをつくるというアイディアは机上では素晴らしいものに見えるが、コンシューマー向けとエンタープライズ向け製品の間には大きな違いがある。というのも、エンタープライズはコンシューマーとは全く違ったニーズを持っているのだ。

Dow Brook Advisory Servicesでアナリストを務めるLawrence Hawesは、エンタープライズ向けソーシャルサービスの動向を追っており、2015年1月のFacebook at Work発表の際に、Facebookはエンタープライズ市場で苦しむことになるかもしれないと話していた。以下が当時の彼の見方だ。

Facebookは、購買担当者の信頼を得るために、安全性や信頼性などをエンタープライズレベルまで引き上げなければならず、さらに、フリーミアムモデルに頼りきるのではなく、ボリュームに基いた課金モデルへ移行しなければいけないとHawesは話していた。そもそもどれも難しい問題である上、既存プレイヤーがいる市場では、これらのアドバイスを実現するのは困難を極める。

しかし、TechCrunch記者のIngrid Lundenが月曜日に報じていた通り、Facebookは自分たちの問題を理解しているようで、これまで利用してこなかったMAU(月間アクティブユーザー数に基づく課金システム)の採用を含め、問題解決に向けて動いていることが当初の発表から伺える。さらにローンチ直後の目を引く契約について、以下のように発表している。

初期段階からWorkplaceのユーザーとなった企業として、3万6000人の従業員を抱えるTelenor、10万人のRoyal Bank of Scotlandなどがある。そして今日、Danone(従業員10万人)、Starbucks(23万8000人)、そしてBooking.com(1万3000人)などの企業がユーザーに加わったことを新たに発表した。

しかし、Facebookは今後もこの調子で顧客数を増やしていかなければならず、SaaSの運営はコンシューマー向けSNSの運営とは事情が違う。Saasには顧客を1番において彼らのニーズを聞くという、もっと高いレベルでの顧客中心の考え方が必要とされるが、これまでFacebookはコンシューマーとも上手く関係を構築できていない。

エンタープライズ向けFacebook自体は確かに的を射たアイディアではあるものの、Facebookがエンタープライズの要望に応えつつ、SaaSベンダーとしてやっていけるかという点についてはまだ疑問が残る。これはWorkplaceが成功しないということではなく、Facebookは今後慣れない顧客のニーズに応えるため忙しくなるということだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

GoogleがTwitterを買収するなら、YouTubeと統合するのがベストだ

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最も早いタイプのSNSと最も遅いタイプのSNSを組み合わせたら、それはみんなが見るような、忘れらないSNSになるだろう。

YouTubeには短く、頻繁に更新されるコンテンツはないが、YouTubeの動画とそれに付随する視聴者は多額の利益をもたらす広告を惹きつけることができる。Twitterはグロースとマネタイズに苦戦しているが、それは地球の鼓動を体現し、無数のリアルタイムのコンテンツとエンゲージメントを生んでいる。

Kara Swisherが伝えところによると、買収額300億ドルという。この金額をGoogleが支払うことに意欲的なのなら、両者はきっと強力なチームになることができるだろう。

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YouTube’s new Twitter-esque Community tab

CNBCTwitterが売却を検討していると報道した。TechCrunchでもTwitterは他にVerizon、Salesforce、Microsoftと買収の話をしていると伝えた。また、Disneyも入札を検討しているようだ。

これらの買収先の中では、Googleが一番合っているようにみえる。GoogleはTwitterと連携しやすいプロダクトをいくつか所有している。それにGoogleはYouTubeを買収以後、成功するソーシャルネットワークを作れていない。そして、Googleは検索広告というありえないほど利益をもたらすビジネスを保有しているので、財務的に不安定なTwitterを支援することができるだろう。

GoogleはTwitterの買収で、大量のデータ入力を期待でき、世界の情報を整理するという目標に向かって前進することができる。GoogleのAIが、世界で何が起きていて、人々がそれにどのような反応をしているかの理解することの助けにもなるだろう。それに加え、GoogleのAdwordsやAdSenseで知り得た全てのデータを合わせることで、効率的なマネタイズも実現できるかもしれない。

しかし、最も良い戦略はYouTubeの散発的な動画コンテンツとTwitterの定常的なおしゃべりを組み合わせることだと私は思う。YouTubeとTwitterが深く連携することで、YouTubeチャンネルには洗練された動画と無加工のツイートが揃い、熱狂的なファンのためのワンストップサービスになることができる。それは、コンテンツ・クリエイターのチャンネルに視聴者が再訪する率を高めることが期待できる。

Googleはつい最近、YouTubeにTwitter風機能YouTube Communityを実装したばかりだ。これを本物と置き換えることができるだろう。

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YouTube Community はYouTubeのチャンネルのサイドバー/タブにあり、クリエイターがテキスト、写真、GIF、リンクなどを共有することができる機能だ。これにより、クリエイターは視聴者とさらに深い関係性を築くことができる。クリエイターが週に2、3回、新しい動画を投稿した時だけユーザーがサイトを訪れるのではなく、もっと頻繁にYouTubeへの来訪を促すことが目的だ。YouTubeのアルゴリズムによる提案を駆使すれば、そういった視聴者に他の動画や、ユーザーのお気に入りのスターの過去動画を紹介したりすることができるだろう。

これができればYouTubeは、Facebookと競争する力を補強できる。Facebookはユーザーが新しい動画を発見できる仕組みを組み込むことで多くの視聴者を得ている。ユーザーは友達の近況を知るためにニュースフィードを訪れるが、気がつくとランダムに流れる動画を視聴している。この環境では、ユーザーは特定の見たい動画があって視聴しているわけではないため、Facebookには高額な動画広告を差し込むチャンスが生まれる。YouTubeはこれまで、ユーザーが特定の動画を見たり、フォローするクリエイターの最新の動画クリップを見るために訪れるサービスとして発展してきたのだ。

一方Twitterは、YouTubeのメインストリームやティーネイジャーの観衆への露出があることで多大な恩恵を受けられるだろう。Twitterにサインアップする動機がまだいまいち理解できていない人もいる。公人でなく、ツイートだけで大きな観衆を作ることができないユーザーは特にそうだ。しかし、YouTubeに実装されるなら、ユーザーにスターや業界の聡明なリーダーなどをフォローしたり、返信したりできるようになる。自分自身でオリジナルのツイートをしなくとも楽しめるTwitterの隠れた良さを伝えることができるかもしれない。

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Googleが買収するならTwitterは、自分たちで直接マネタイズする圧力から解放されることにもなるだろう。Twitterの収益の伸び率は芳しくなく、急速に縮小している。Twitterが提供する「スポンサードツイート」などの広告商品は、ユーザーの目に止まりにくいという問題もある。

人々は、Twitterのタイムラインのツイートを全て細かくチェックしているのではなく、飛ばし読みしていることが多い。Twitterの広告は、Facebookの広告より飛ばされやすい。それはFaebookの投稿はアルゴリズムでソートされ、リアルな友達の投稿はじっくり読むことが多く、その合間に出てくる広告も視聴しやすい環境にあるからだ。Twitterの最も効果的な広告形態は動画で、YouTubeが提供する体験と広告主とのつながりは、Twitterの広告を促進させる力があるだろう。

いずれにしろTwitterは変わらなければならない。ただ、Twitterの売却で資金を得たい投資家は前向きではないかもしれない。株価はどんどん下がっている。決算発表がある度に、ユーザーグロースの問題が収益グロースの問題へと発展し、希望が失われているように感じられた。新たなマネジメントを迎え、クロスプロモーション施策に実績のあるGoogleのようなテクノロジー企業の後ろ盾があれば、Twitterはその翼を治すことができるかもしれない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website