Snapchatの初期メンバーが女性のためのソーシャルストーリーテリングアプリ「Yoni Circle」を開始

Snapchat(スナップチャット)の初期メンバーで「Our Story」機能を設計したChloë Drimal(クロエ・ドリマル)氏が、自身のソーシャルアプリ「Yoni Circle(ヨニ・サークル)」を立ち上げた。会員制のコミュニティとして誕生した同アプリは、ライブビデオの他、いつでも聴くことのできる事前録音のストーリーなどを用いたストーリーテリング通してすべてのWomxn(女性)を結びつけることを目指している。

同社は2020年4月よりベータテストをひっそりと行っていたが、公開に向けてついにその姿を現した。

ドリマル氏がソーシャルストーリーテリングアプリのアイデアを思いついたきっかけは、同氏がSnapchatで「Our Story」製品に取り組んでいた際に感じたストーリーテリングの将来性の高さも一部あるという。

「ストーリーテリングが人々を繋げてくれるのを目の当たりにしました。大晦のイベントやメッカへのハッジ巡礼のようなグローバルな経験を目にし、私たちがいかに人としてつながっているのかを肌で感じることができました。ストーリーテリングのおかげでSnapchatユーザーが世界と結びつきを感じることができ、いかにユーザーが影響されているのかを見てとることができました」と同氏は振り返る。

Snapchatで別のプロジェクトに取り組むため、「Our Story」製品の担当から外された際の同氏の個人的な経験も同アプリ誕生の背景にある。キャリアにおいて困難と孤独を感じていた当時、さまざまな女性に相談を求めた同氏。その多くは自らの経験を共有してくれた年上の女性たちだったのだが、彼女らと話をすると自分は思っていたほど孤独ではないことに気づかされたという。

「彼女たちのストーリーは、私が人生の次のステージへと進むための力を与えてくれました。また24、5歳の私がキャリアの終わりだと悲劇的に感じていたのは間違いで、むしろキャリアの始まりにすぎないと気づかされました。ストーリーテリングが持つ癒しの力だけでなく、他人が心を開いてくれた時のすばらしさに気づくことができました」と同氏はいう。

その後Snapchatにて女性に向けた取り組みを運営した後、ドリマル氏はより構造化されたストーリーテリングサークルに焦点を当てた対面式のコミュニティを開始した。このコミュニティが現在のYoni Circleアプリへと進化を遂げ、ベータ版はSnapchatの元エンジニアのAkiva Bamberger(アキヴァ・バンバーガー)氏によって構築された。バンバーガー氏は現在Yoni Circleのアドバイザーとなっている。

画像クレジット:Yoni Circle

現在、同アプリには2つの主要機能が存在する。参加型の「Storytelling Circles(ストーリーテリング・サークル)」とより受動的な「Yoni Radio(ヨニ・ラジオ)」である。

前者では60分間のガイドつきライブビデオチャットに最大6名のメンバーが参加することができ、互いのストーリーを聴き合うことで繋がりを持つというものだ。セッション中には訓練を受けた「Salonniere(サロニエール)」と呼ばれるガイドがセッションの紹介や呼吸法の指導を行い、その後「感謝にまつわるストーリー」や「驚きについてのストーリー」など、特定のテーマに基づいたストーリーテリングへと誘導する。

Salonniereはボランティアではなく、セッションをリードするためのトレーニングを受けた有給の請負業者である。いずれはメンバーを集めてヨガクラスやブッククラブ、料理教室など、ウェブベースの有料イベントを開催する予定だという。

画像クレジット:Yoni Circle

Storytelling Circlesのセッションには、「ストーリーは持ち帰っても、名前は持ち帰るべからず」という基本ルールがある。つまりメンバーが公に共有することを希望しない限り、セッションで共有されたものは部外秘であるということだ。このルールに違反したメンバーはアプリから追放される。

シンプルに話す、エゴを捨てて互いの個性を尊重するといった姿勢もメンバーに求められる要素だ。事前にトピックが知らされることはないため、自身のスピーチを練習したり「パフォーマンス」したりすることもできない。信頼性と正直な心がセッション参加への第一条件ということだ。

セッション中、各参加者は順に自分の話を共有し、そしてその他のメンバーの話を聞く。「トーキングピース」が回ってきた際にのみ話すことができ、他のメンバーのストーリーにはスナップアイコンをクリックすることにより反応することができる。

グループセラピーのような高揚感を体験することもできるが、これらのセッションは心理的な問題の解決に焦点を当てているわけではない。ドリマル氏によると、メンバーたちはこうしたセッションを「パジャマパーティーとマインドフルネスのクラスをかけ合わせたようなもの」と捉えている。

それでもやはり、メンバーの多くは「参加することがセルフケアになる」とも感じているようだ。

「気持ちが軽くなります。他の人の話を聞いて自分と照らし合わせると、自分の人生の良い時期も悪い時期も、これで普通なんだと感じさせられるからです」とドリマル氏。

画像クレジット:Yoni Circle

メンバーは自分のストーリーを録音し、Yoni Circleのプロフィール上で公開したり非公開に設定したりすることもできる。同社のチームが厳選した公開ストーリーは、アプリのホームでハイライトとして共有され、またこれらの公開ストーリーは「Yoni Radio」でもフィーチャーされる。

同社はこれまで録音されたストーリーを試験的に週毎に放送していたが、今後は「本日のストーリー」としてのトライアルを開始していくという。

Yoni Circleのベータ版アプリは、新型コロナウイルスのパンデミックが米国内で始まったばかりの2020年4月に開始した。人々が友達や家族、社会的な関わりから孤立することを余儀なくされたため、新たな社会的体験への需要が高まった。

しかしYoni Circleは、Clubhouse(クラブハウス)やTwitter Spaces(ツイッタースペース)を筆頭とする最近開発されている新たな対話型のモバイル市場とは一線を画しているように見える。

画像クレジット:Yoni Circle

「市場にすでに存在するものとは別の何かを切り開いたと思っています。心が弱くなっている時にも安心して訪れることができる親密な場所を、私たちは作り出しました。ここで共有するようなことは決してClubhouseでは共有できません。そのため、このコミュニティを拡大していく方法に細心の注意を払っています。もちろん何百万人ものメンバーの獲得を目指していますが、非常に慎重になっているのも確かです」とドリマル氏は語る。

現在Yoni Circleは自身を女性と認識するすべての人々に開かれているが、申請時には自己紹介文とこのアプリでの経験に何を求めているかなどを共有しなければならない。長期的な目標は、同プラットフォームを誰にでも開かれた安全な空間へと進化させることである。

パンデミックによりアプリへの関心が高まったこともあり、現在は80カ国1000都市にメンバーが存在する。しかしポストコロナの市場において、同スタートアップは対面式のイベントを開催してメンバー同士をさらに結びつけていきたいと考えている。

Yoni Circleは現在iOSで無料で利用可能だ。将来的にはCircleのセッションへのアクセスを提供するAudible(オーディブル)のようなクレジットモデルで収益化していく予定だ。

ロサンゼルスとニューヨークを拠点とする7人の同社は、BoxGroup(ボックスグループ)が主導する130万ドル(約1億3700万円)のプレシード資金により支援されている。投資家には、Cassius Family(カシウスファミリー)、Advancit(アドバンシット)の他、Rent the Runway(レントザランウェイ)の共同創業者Jenny Fleiss(ジェニー・フレイス)氏、Mirror(ミラー)の創業者兼CEOのBrynn Putnam(ブリン・パットナム)氏、Beme(ビーム)CTOのMatt Hackett(マット・ハケット)氏、Snap(スナップ)の初期エンジニアDaniel Smith(ダニエル・スミス)氏などのエンジェル投資家が名を連ねている。

同社は今後数週間以内にシードラウンドの調達を計画しているようだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Yoni Circle音声ソーシャルネットワークSNS

画像クレジット:Yoni Circle

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

セルフケアに焦点を当てた音声ソーシャルネットワークQuiltが3.7億円調達

音声ソーシャル1.0の時代が本格的に到来しつつある。これまでポッドキャストやClubhouse(クラブハウス)がリードしてきたこの分野に、他の音声ソーシャル系スタートアップの参入が相次いでいる。ウェルネスとコミュニティに焦点を当てた音声ソーシャルネットワークであるQuilt(キルト)は、Mayfield Fund(メイフィールド・ファンド)が主導するシードラウンドで350万ドル(約3億7000万円)を調達。同ファンドのRishi Garg(リシ・ガーグ)氏が取締役会に参加している。

Quiltは、Ashley Sumner(アシュリー・サムナー)氏が設立したコミュニティプラットフォームとしてスタートした。当初は、同じ地域に住む他の人を自宅に招くという形式だった。サムナー氏はNeueHouse(ノイエハウス)の創設チームの一員であり、物理的な空間を通してコミュニティを構築することにキャリアを費やしてきた。何千ものQuiltの会話が人々の家で交わされていたが、それも2020年3月に新型コロナウイルス感染が発生する前のこと。結果として、このスタートアップは存亡の危機に陥いることになった。

サムナー氏はただちにQuiltをZoomに移行したが、ビデオチャットでは対面で行われている魔法を完全に獲得することはできないとすぐに気づいた。また、Quiltを特別なものにしていた種類の会話を促進するには、ビデオチャットは適切な媒体ではないことも立証された。

彼女は新しいQuilt 2.0となる音声アプリの開発に取り組み、2021年1月末にApp Storeで公開した。

Quiltでは、誰でも会話のための部屋を作ることができ、話したいテーマを説明するテキストを1行か2行ドロップするだけでいい。このアプリはウェルネスに焦点を当てており、部屋を次の3つの異なるカテゴリーに分けている。1つ目はスピリチュアルや個人開発(瞑想、占星術、ヒューマンデザインなどを中心とした会話)、2つ目はキャリアと目的(「目的とリンクさせることが非常に重要でした。これはネットワーキングイベントではありません」とサムナー氏は述べている)、そして3つ目が、人間関係、セックス、家族についてだ。

画像クレジット:Quilt

このプラットフォームは、コンテンツ制作者と消費者の間で、エンゲージメントレベルのバランスを取ることに特に力を入れている。Quiltによると、ホストの98%が他のホストの会話に参加し、ユーザーの50%以上が会話の中で発言しているという。

20年近く新興メディアと関わってきたガーグ氏は制作者、消費者、そして「傍観者」のエンゲージメント比率が、メディアや製品の選択によって、ソーシャルソーシャルプラットフォームごとにどれだけ違うかということについて語っている。

「YouTubeでは、有名な数字は、1%が制作者、9%が積極的に参加している人、そして90%が見ているだけの人でした」とガーグ氏はいう。「Twitterでは、興味深いことに10%、30%、60%でした。Clubhouseなどでは、平行化がすでに起こっているのが見られます。それは有名人を中心にした構図です。Quiltについて私たちが興奮したのは、誰でも部屋を始めることができるということでした。実際、私たちは消費者から制作者になるまでの道のりに注目しました。Quiltではユーザーがルームを作ったりホストを始めたりするまでが、他のどのソーシャルメディアプラットフォームよりも短いのです」。

それを可能にしているのは、Quiltコミュニティ内の規範によるところが大きいと彼はつけ加え、セレブリティ主導のプラットフォームやトップヘビーなプラットフォームではハードルがあると述べている。消費者はコミュニティによって設定された基準を見て、自分は十分に有名ではない、もしくは貢献できるほど大きなコミュニティを持っていないと感じてしまうとガーグ氏はいう。

「Quiltの魔法の1つは、誰もが人に何かを提供できるだけの何かを持っていると感じることができることです」とガーグ氏は説明する。「有名人だけで構築されたエコシステムよりも、はるかに拡張性が高く、脆弱性が低いと思います」。

Quiltは初期の頃からの存続率も高いようで、登録者の80%が毎週会話に戻ってきているという。同社はまた、会話の約60%は計画的に宣伝された「イベント」ではなく、自然発生的に始まっていると述べている。

サムナー氏によると、Quiltは広告による収益を得るつもりはなく、フリーミアムを採用するという。

今回のラウンドには、既存の投資家であるFreestyle VC(フリースタイルVC)のJenny Lefcourt(ジェニー・レフコート)氏や、Upside Partnership(アップサイド・パートナーシップ)のKent Goldman(ケント・ゴールドマン)氏とChristina Hunt(クリスティーナ・ハント)氏をはじめ、Houseparty(ハウス・パーティ)のCEOであるSima Sistani(シマ・シスターニ)氏、The Mini Fund(ザ・ミニ・ファンド)の創設者で元Discord(ディスコード)のCMOでもあったEros Resmini(エロス・レスミニ)氏、元Knotel(ノーテル)のマーケティング責任者であるAllison Stoloff(アリソン・ストロフ)氏などの新規投資家も参加している。

Quiltのチームは現在8人で構成されており、そのうち50%が女性、25%が黒人以外の有色人種である。20%がLGBTで、10%がノンバイナリーだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:QuiltSNS資金調達音声ソーシャルメディア

画像クレジット:Quilt

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

登録者数200万人超、最大12名のグループ通話を楽しめる音声SNS「Yay!」が5.5億円調達

登録ユーザー数200万人超、グループ通話を楽しめる音声SNS「Yay!」が総額5.5億円調達

通話コミュニティサービス「Yay!」(イェイ。Android版iOS版)を運営するナナメウエは2月12日、Yay!運営強化を目的とする5億5000万円の資金調達を発表した。エクイティおよびデットファイナンスを活用し実行した。引受先はNOW、TLM、個人投資家。借入先は三井住友銀行、千葉銀行、群馬銀行、武蔵野銀行、金融政策公庫。

2013年5月設立のナナメウエは、「すべての人に居場所を」というコンセプトを掲げ、2020年1月にYay!を開始。同SNSでは、世代や趣味趣向が同じ人達がアルゴリズムによってマッチングされ、そのコミュニティの中でリアルタイムのグループ通話を楽しめる。2020年12月には登録ユーザー数が200万人を突破した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:音声SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)資金調達(用語)ナナメウエ(企業)Yay!(製品・サービス)日本(国・地域)

大統領選に再出馬してもトランプ元大統領はTwitterから永久追放

Donald Trump(ドナルド・トランプ)元大統領への2度目の弾劾裁判が展開される中、同氏にはもう1つ悪いニュースがある。CNBCのSquawk Boxでの新しいインタビューの中で、Twitter(ツイッター)の最高財務責任者であるNed Segal(ネッド・シーガル)氏は、同社がトランプ氏のTwitterアカウントを長期的にどのように扱うかについて決定的な発言をした。

トランプ氏が再び出馬して当選した場合はどうなるのかという質問に対して、シーガル氏は言葉を濁さなかった。

「当社のポリシーではユーザーがプラットフォームから削除されると、元に戻ることはできません。あなたがコメンテーターであろうと、CFOであろうと、元、現役の公務員であろうとです」とシーガル氏は述べた。

「私たちのポリシーは、人々が暴力を扇動していないことを確認するように設計されていることを忘れないでください。もし誰かが暴力を扇動したら、私たちはサービスから彼らを排除しなければなりません。また私たちのポリシーでは、戻ってくることを許可していません」。

ツイッターは1カ月前、「暴力をさらに扇動する危険性がある」という懸念を理由に、トランプ氏をプラットフォームから追放した。米国連邦議会議事堂への致命的な攻撃を扇動した同氏の役割は、彼の支持者を結集し、陰謀を増幅し、批判者をこき下ろす4年間を過ごしたプラットフォーム上で、最終的にその運命を閉じた。

関連記事:Twitterがトランプ大統領のアカウントを永久停止(米議会議事堂暴動から追放までの経緯まとめ)

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitterドナルド・トランプSNS

画像クレジット:Justin Sullivan / Erin Schaff – Pool / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

中国で人気が出すぎたClubhouseがつかの間の検閲回避を経て利用禁止に

人々が1週間の旧正月休暇を迎える準備をしていた中国では、現地時間2月8日夜、数千人におよぶユーザーがに突然Clubhouse(クラブハウス)にアクセスできなくなったことに気づいた。WeChatグループ内では、Clubhouseのユーザーが慌てて状況を報告し、最新のライブオーディオアプリにまたアクセスする方法を求めて助け合おうとした。

ドロップイン音声チャットのスタートアップClubhouseは、このところ中国で急速に勢いを増しており、早い段階から多くのユーザーがさまざまなトピックについての会話をしていた。しかしこのアプリは、他の米国ベースのアプリやサービスと同じ運命をたどる可能性が高いと思われる。それは、当局による禁止だ。2月8日の時点で、Clubhouseが直面しているのは確かにその状況だとTechCrunchは確認した。アプリのウェブサイトはブロックされていないままだが、中国のユーザーは、Clubhouseアプリにアクセスできなくなった。中国のインターネット規制に準拠するためにアプリのモデルをどれだけ変更しなければならないか考えると、アプリが同国に戻ってくる可能性は低い。

現地時間2月8日夜、中国のユーザーがClubhouseにアクセスしようとすると通知が出て、アクセスできなくなった

Clubhouseは本拠地の米国でも、効果的なモデレーションと虐待防止が実践されていないという批判に直面してきた。それを考えると、政府が不適切と判断した情報の拡散を抑止するための措置をより厳格に実施している中国の法に触れたことは、さほど驚くことではない。同アプリはまた、正式にApple(アップル)の中国のApp Storeを介して利用可能ではなかった。しかし、ユーザーが自分のデバイスにアプリをインストールしていた場合、アプリとそのオーディオルームへのアクセスは、これまではVPNを使用することなく自由に利用可能だった。

以前、TechCrunchが報じたように、同アプリは9月のグローバルローンチ後、中国のApp Storeでも短期間利用可能だったが、10月に削除された。その際Clubhouseがアプリを削除したのか、Appleが削除したのかは不明だ。

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中国で検閲を監視する団体であるGreatFire.orgのキャンペーンとアドボカシーディレクターであるBenjamin Ismail(ベンジャミン・イスマイル)氏はこう語っている。「これはAppleのやっていることではありませんが、彼らはおそらく板挟みの窮地を脱して喜んでいるんじゃないでしょうか。Appleの関与によるApp Storeからの削除から、当局によるサーバーのブロッキングへと議論が移りますから」。

Clubhouseは中国のApp Storeに掲載されていなかったため、中国本土からどれだけの人数がプラットフォームを利用していたのかは不明だ。中国ではタブー視されている1989年の親民主化運動「天安門 事件」を議論するルームでは、禁止前の2月8日の午後、参加者数が最大5000人に達した。同じトピックに焦点を当てた別のルームには、2000人以上のユーザーが集まった。

北京時間の2月8日午後7時頃には、ClubhouseのAPIがブロックされたとGreatfire.orgがTechCrunchに伝えた。一部のユーザーはWeChatグループ内で、中国の電話番号で検証コードを取得できなくなったと報告しており、障害のレベルに手がかりを加えている。中国の多くのユーザーは中国の電話番号を使ってサインアップしており、これは国から発行される実在のIDとリンクしているため、警察が彼らを特定するのが容易になる可能性がある。

過去2週間で、Clubhouseは中国本土のいくつかのコミュニティ内で人気が急上昇し、スタートアップ、投資、アカデミック、または海外体験のバックグラウンドを持つ人々などがそれに含まれていた。彼らの多くは、無料で政治的な議論がプラットフォーム上で頻繁に行われていることを考えると、同アプリは中国で長く続かないだろうと認識していた。「Clubhouseは中国でどのくらい続くのか」、または「Clubhouseを利用しているために、お茶を飲みましょうと誘われたことがあるか」というタイトルのClubhouseルームは、多くのユーザーを引きつけていた。「お茶を飲む」というのは、取り調べを受けるために警察に連行されることを意味する隠語だ。

禁止される数時間前、中国の国営新聞であるGlobal Timesは「Clubhouseは『言論の自由がある天国』ではないと中国本土のユーザーは語る」という記事を掲載し、このアプリを「反中国」コメントが盛り上がっているプラットフォームだと説明するユーザーの言葉を引用した。

TechCrunchが米国時間2月6日に報じたように、今回の禁止に先立つClubhouseの初期の成功は、すでにドロップイン音声SNSを中心に設計された多くの国産の代替アプリの誕生を促している。しかし、オリジナルのアプリ自体が国内でアクセスできなくなったのと同じ理由で、これらの似たような取り組みが、中国でのClubhouseの人気を再現するのは難しいかもしれない。

TechCrunchの得た情報によると、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)のようなグレート・ファイアウォール(GFW)の迂回ツールを使って、中国本土の一部のユーザーはClubhouseへのアクセスを取り戻すことに成功したという。一部の機能では、VPN経由でルームに入っている限り、VPNをオフにした状態でも音声を聞いたり話したりできるようになっている。TechCrunchは以前、米国と中国を拠点とするAgoraが、Clubhouseのライブオーディオインタラクションが利用するSDKを提供していると報じている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ClubhouseSNS中国

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor

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(文:Darrell Etherington、Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

ミャンマーの新軍事政権がFacebookに続きTwitterの遮断も命令

ミャンマーの新軍事政権は国内の通信会社、インターネットゲートウェイ、他のインターネットサービスプロバイダー(ISP)にTwitter(ツイッター)とInstagram(インスタグラム)を遮断するよう命じた。この数日前には、国の「安定」を確保するために同様の措置をFacebook(フェイスブック)にも取っていた

関連記事:ミャンマー軍事政権が通信事業者にフェイスブックの一時的ブロックを命令

ミャンマーで事業を展開する最大の通信会社の1社であるノルウェーの通信大手Telenor(テレノール)は、政府がISPに「追って通知するまで」TwitterとInstagramを遮断するよう命じたと述べている。

ミャンマーの一部のユーザーは、Twitterにアクセスできないことを確認した。世界のインターネット使用状況を追跡しているNetBlocksは、ミャンマーの複数のネットワークが米国のソーシャルネットワークを遮断し始めていると明らかにした。

ミャンマーの運輸・通信省は現地時間2月5日、TwitterとFacebook所有のInstagramは公衆へのプロパガンダと誤情報の流布で悪用されており、これは国の安定にとって脅威だと主張した。同省は今週初め、2月7日深夜までのFacebookの一時的禁止を命令したときも同様の説明を行った(NetBlocksによると、ミャンマー最大の通信事業者である国営のMPTは、すでにInstagramとWhatsAppのネットワークを遮断しているという)。

2月5日の命令は、民間人指導者Aung San Suu Kyi(アウン・サン・スー・チー)氏や先の選挙で大勝した国民民主連盟の民主的に選出されたリーダーたちを拘束することで権力を掌握した新軍事政権に抗議するために、何千人というミャンマー人がTwitterの利用を2021年2月第1週に始めたことを受けてのものだ。

関連記事:ミャンマーでインターネット接続が急速に低下、国軍がスー・チー氏ら与党幹部を拘束

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ミャンマーSNSTwitter

画像クレジット:Aung Kyaw Htet / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インド当局がTwitterによる同国農民の抗議運動に関するツイートのブロック解除に警告

インドが、Twitter(ツイッター)に通知を出した。その内容は、この米国のソーシャル企業が、ニューデリーの命令を遵守し、インドの農民による抗議運動に関連するアカウントやコンテンツをブロックすることを求めるもので、「裁判を想定したり、命令の不遵守を正当化しないように」とある。命令に従わない場合は、Twitterに対する罰則措置を求めることができると、この通知は警告している。

この警告の数日前に、Twitterはニューデリーの要求に従ってインドで知名度の高い数十のアカウントをブロックしたが、後に解除している。

Twitterは「裁判を想定し、不遵守を正当化することはできません。媒介であるTwitterは、情熱を喚起し、公の秩序に影響を与える扇情的なコンテンツについて、当局の求めに応じて指示に従う義務があります。公の秩序を乱す潜在的な影響についての当局の求めに対し、Twitterは上訴することはできません」と、通知には書かれている(TechCrunchはその概要のコピーを確認した)。

インドの電子情報技術省はまた、軽蔑的で事実に反するとみなしたツイートやハッシュタグが、今週インドで拡散していることに懸念を表明している。「問題のあるツイート / ハッシュタグはパブリックドメインに残っており、公序良俗に対する危害や損失および犯罪の遂行を扇動する危険をともないながら、何度もツイートやリツイートされていたに違いないことは明らかである」と、通知は述べている。

Twitterはコメントを拒否した。

3カ月以上にわたり、インドでは数万人の農民(に限らないが)が、2020年にNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相の政府によって可決された農産物取引の自由化を目指す3つの法律に抗議してきた。

インドで7500万人以上のユーザーを抱えるTwitterは、この問題に対して意見を述べようとする人々の唯一最大のオンラインフォーラムとなっている。インドの俳優や政治家よりも多くのフォロワーを持つ歌手Rihanna(リアーナ)は、現地時間2月2日、インドの抗議行動を伝えるCNNのニュース記事を投稿し、「なぜ私たちはこのことについて話をしていないのか」とツイートした。

リアーナ
なぜ私たちはこのことについて話していないの!?

グレタ・トゥーンベリ
私たちはインドの#農民運動と連帯して立ち上がります。

Akshay Kumar(アクシャイ・クマール)氏、Ajay Devgn(アジャイ・デブグン)氏、Karan Johar(カラン・ヨハール)氏、Ekta Kapoor(エクタ・カプール)氏など、複数のインドの政治家や著名な俳優は、現地時間2月3日水曜日に「プロパガンダ」にだまされないようにとインド人に注意を促した。

アクシャイ・クマール
農民は我が国にとって極めて重要な存在です。そして、彼らの問題解決に向けた努力は明らかです。紛争の種を生み出す人に注目するのではなく、円満な解決に向けて支援していきましょう。

非営利のインターネット擁護団体Access Now(アクセス・ナウ)のシニア国際弁護士でアジア太平洋政策ディレクターのRaman Chima(ラマン・チマ)氏は、一連のツイートの中で、インドの電子情報技術省は、ソーシャルメディアプラットフォームを脅すのではなく、「なぜハンドル全体をブロックしたり、ハッシュタグの禁止を求めたりすることがインドの憲法に違反しないのかを説明する必要がある」と述べた。同省は透明性も権利も尊重していない、と同氏はいう。

「このような懸念と暴挙には反対、訂正、嘲笑、あるいは従事することのいずれかを自分で選ぶことができます。そのような議論を禁止、事前検閲するように求めることは、インドの憲法と国際人権法の茶番です。これは21世紀のインドが許すべきことではないし、我々の創設者たちが想定していたことでもありません。電子情報技術省は、実際の命令と政府の決定の背後にあるすべての文書を公開し、Twitterや他のソーシャルメディアのプラットフォームでこの問題を議論するべきです。隠すのではなく、これが違憲ではないことを説明し、正当化してください」。

関連記事:Twitterがインド政府からの「法的要求」を受け、同地の著名人アカウントを停止

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterインドSNS

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Twitterがインド政府からの「法的要求」を受け、同地の著名人アカウントを停止

Twitter(ツイッター)は米国時間2月1日、インドで数十のアカウントへのアクセスをブロックした。そのうちのいくつかは、著名人のものだ。この動きは「法的要求」を遵守するためとされており、説明を求めるユーザーたちの間に混乱と怒りを巻き起こしている。

インドで停止されているアカウントには、調査報道を行うニュース誌のCaravan(キャラバン)、政治評論家のSanjukta Basu(サンジュクタ・バス)氏、活動家のHansraj Meena(ハンスライ・ミーナ)氏、俳優のSushant Singh(スシャント・シン)氏、公共放送局Prasar Bharti(プラサール・バラティ)の最高経営責任者Shashi Shekhar Vempati(シャシ・シェカール・ヴェンパティ)氏などが含まれている。

デリー連邦直轄地を統治するAam Aadmi Party(アーム・アドミ党)の少なくとも2人の政治家、Preeti Sharma Menon(プレティ・シャルマ・メノン)氏とJarnail Singh(ジャルナイル・シン)氏のアカウントも公開停止されている。

インドで進行中の農民による抗議活動に関連した、Kisan Ekta Morcha(キサン・エクタ・モルチャ)とTractor2Twitr(トラクター・トゥー・ツイッター)という少なくとも2つの人気アカウントも制限されている。

現地時間2月1日では、誰がこの法的措置によって、Twitterにインドでこれらのアカウントを制限するように促したのかは未確認のままだ。これらのアカウントは、国外のユーザーからは引き続きアクセスできる。少なくとも、政治評論家のバス氏の場合、Twitterはインド当局が彼を含むいくつかのアカウントに対して法的要求を出しているため、話し合いを行っていると、同氏に伝えていたという。

政府筋からの情報として、AFP通信のジャーナリストBhuvan Bagga(ブワン・バガ)氏は、インドの電子情報技術省(Ministry of Electronics and Information Technology)が、ハッシュタグを使って週末に虚偽、脅迫的、挑発的などの疑いがある投稿をした、約250のツイートやアカウントをブロックするよう、Twitterに指示を出したと、現地時間2月1日の朝に報じていた。「暴動への扇動は、公の秩序に対する重大な脅威であり、したがって電子情報技術省は、情報技術法のセクション69Aの下で、これらのTwitterアカウントやツイートのブロッキングを命じました」と、同氏はつけ加えた。この件に詳しい人物がTechCrunchにこの主張を裏づけた。

Twitterの広報担当者は声明の中で、次のように述べている。「多くの国には、ツイートやTwitterアカウントのコンテンツに適用される可能性のある法律があります。世界中の人々が当社のサービスを利用できるようにするための継続的な努力の中で、権限のある機関から適切な範囲の要請を受けた場合、特定の国においてある種のコンテンツへのアクセスを保留する必要がある場合があります。表現の自由を守るためには透明性が不可欠であり、当社では保留されたコンテンツへの通知ポリシーを設けています」。

Caravanの編集長であるVinod Jose(ヴィノッド・ホセ)氏は、TwitterはCaravanの出版社にアカウントを保留していることを通知していないと述べている。

Twitterがキャラバンの公式アカウントを停止しましたが、本誌へのアクセスはWebサイトから可能です。定期購読をしていない方はこちらから。caravanmagazine.in/subscribe

インドは今、これまで以上に果敢で公正なジャーナリズムを必要としています。

ということで、@thecaravanindiaのTwitterアカウントはインドでは停止されています。

信頼できるメディア、俳優、農民の擁護者など、何十ものTwitterアカウントがインドで今日ブロックされました。彼らに共通していたのは、政府の農民に対する扱いを批判することだったようです。

「セクション69A条とITブロッキング規則は、Twitterのような媒介がアカウントやツイートのブロッキングに関する情報を開示することを禁じています。ITブロッキング規則の16条の下に定められた秘密保持要件では、市民はオンラインコンテンツのブロッキングに抗議する権利を持っていますが、法的命令に訴える手段を持っていないため、それができないという奇妙な状況を作り出します」。ニューデリーを拠点とする権利擁護団体「Internet Freedom Foundation(インターネット・フリーダム・ファウンデーション)」は、市民がインド国内で直面するこの法律の限界を説明している。

今回の件は、数人のインド人ジャーナリストが、先週の農民による抗議行動に関する報道やソーシャルメディアへの投稿をめぐり扇動罪で告発されている時期に行われたものだ。訴えられているジャーナリストの中には、注目度の高いニュースキャスターのRajdeep Sardesai(ライディープ・サルデサイ)氏や、前述のCaravan編集長ヴィノッド・ホセ氏などがいる。

インドで約7500万人のユーザーを持つTwitterは、同国内での運営方法について長い間批判に直面してきた。

米国とは異なり、Twitterはこれまで、悲惨なことにインドでコンテンツの最低限の節度を保つ取り組みに失敗してきた。インドのほとんどのトレンドトピックは作為的なもの、集金目当てのもの、下品なもの、罵倒的なもの、役に立たないもの、時代遅れのもの、危険なもののいずれかであり、時にはそのすべてが表示される。

Twitterや他のプラットフォーム企業が、これと同じようなことを米国、フランス、ドイツで行いAtlantic、Nouvel Obs、Spiegelなどの投稿を隠して、法的な要求を受けたことについてきちんと説明を行わないなんて事態が想像できるでしょうか?

プラットフォームの運営に深遠な不平等が見られるのは困ったことです。

8月からインターネットが遮断されているカシミールについてのこの部分の「トレンド」はどうなっているのか非常に興味があります。広告というレッテルが貼られていません。ここで何が起こっているのですか、 @Jack?

【更新(インド時間2月1日午後11時30分)】Twitterはインド国内のユーザーのアカウントを制限してから12時間以上が経過した月曜日の夜(現地時間)、静かにそれらのアカウントを復活させた。同社は声明を発表していないが、事実確認サイト「Alt News(オルトニュース)」の共同創設者であるPratik Sinha(パトリック・シンハ)氏の以下のツイートが、この日の出来事を正確にまとめている。

何十ものアカウントを保留にした上で、ひっそりと元に戻したTwitterの不均衡な行動。いつものように、きちんとした説明はないでしょう。先日、右派は「lath bajao」としてデリー警察に農民に対する暴力を求めたが、Twitterはその間、すやすやと寝過ごしていました。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国のSNSで盛んな「自媒体」セルフメディアの独立系ニュースを当局が新ルールで抑制

中国では厳しいメディア規制が行われてきた歴史があるにもかかわらず、Tencent(テンセント)のWeChat(ウィーチャット、微信)やByteDance(バイトダンス)のToutiao(トウティァオ、今日頭条)のようなソーシャルメディアプラットフォームでは、組織化されていない個人メディアの産業が栄えている。これらのセルフパブリッシャーは、中国のネット用語では「We Media」(中国語では「自媒体」)と呼ばれ、市民ジャーナリストやコンテンツクリエイターの独立した力を表している。

一方で、セルフメディアの発信者は常に投稿内容に注意を払わなければならず、内容を違法または不適切と判断する検閲者のターゲットになる危険性がある。

彼らが扱うトピックは、ファッションや食べ物から、政治や時事問題まで多岐にわたる。自媒体の主要な行き先であるWeChatは、昨年7月に2000万人の「公開アカウント」を保有していることを示唆したが、これは個人がコンテンツを発信し、企業の場合は顧客にリーチするためのプラットフォームだ。2020年には3億6000万人のユーザーがWeChatの公開アカウントで発信された記事を読んだと、WeChat創業者のAllen Zhang(アレン・チャン)氏は最近明らかにした

中国のTwitterに相当するSina Weibo(新浪微博)は、長い間、市民ジャーナリストを引き付けてきた。新型コロナウィルス(COVID-19)の初期には何百万人もの中国のユーザーが、武漢での経験を記録した作家のFang Fang(方方)のようなアカウントから発信される事実を求めてWeiboに殺到した。

そして今、中国のインターネット規制の新たな展開が、中国の数千万人の自媒体、セルフパブリッシャーをさらに制限しようとしている。

中国のインターネット監視機関である中国サイバースペース管理局(Cyberspace Administration of China、CAC)が現地時間1月22日に発表した新規則(英文翻訳はこちら)によると、「国民にオンラインニュースサービスを提供する公開アカウントは、インターネットニュース情報許可証およびその他の関連メディアの認定を取得しなければならない」とのこと。

その後、WeChat、Baidu、Sohuなどのオンライン情報サービスは、新ルールの告知を開始した。「あなたのアカウントが関連する認定を欠いている場合は、政治、経済、軍事、外交情勢、その他の主要な時事問題に関するニュースの編集、報道、公表、コメントをしないように推奨いたします」とWeChatから送られた通知にはある

「WeChat公開アカウントプラットフォームは、ユーザーのみなさんに地球に優しく健全なオンライン環境を提供することを常に約束します」 とそのメッセージは付け加えている。

ニュース機関認定の要件は、ジャーナリストとしての役割を担ってきた独立系のソーシャルメディアパブリッシャー、特に政治を取材しているパブリッシャーにとっては弔いの鐘となるだろう。「公式の報道機関や、他に類を見ないリソースと背景を持つ組織でない限り、簡単に取得できるものではない」と、あるWeChatアカウントの自媒体パブリッシャーはTechCrunchに語った。

米中関係などのセンシティブな話題を避けるのは常に当たり前だが、プラットフォームごとに越えてはならない一線は微妙に異なると、金融に特化した自媒体パブリッシャーは語った。「時には自分で試してみる必要があるでしょうね」と、その人物はいう。

中国のニュース規制はインターネットの隅々にまで及んでおり、マイクロブログやライブストリーミングなどの新しいメディアの発展のスピードに、規制当局は常に追いつこうとしている。

2017年から2018年にかけて、サイバースペース管理局は合計761件の「インターネットニュースサービス」に報道許可を与えており、これらは合わせて、743のウェブサイト、563のアプリ、119のフォーラム、23のブログ、3つのマイクロブログ、2285の公開アカウント、1つのインスタントメッセンジャー、13のライブストリーミングサービスを運営していた。言い換えれば、これらのカテゴリーのインターネットサービスでは、ニュースライセンスを持たずに運営されている場合、ハードニュースは禁止ということになる。WeChatやWeiboのようなプラットフォーム運営者がどのようにこのルールを実施していくのか、注目されるところだ。

オンライン情報の監視を強化することは、誤報との戦いという面ではメリットがあるかもしれない。新規則はまた、フェイクニュースを根絶するために、クリエイターのブラックリストのようなメカニズムを設定することを事業者に求めている。しかし、この規制は全体的に中国の表現の自由に悪影響を及ぼす可能性があると、国際ジャーナリスト連盟(International Federation of Journalists、IFJ)は警告している

「曖昧に定義された新規則は、中国で『セルフメディア』が大流行し、ジャーナリストがそうしたプラットフォームを利用して、所属組織によって出版を止められた著作物を発表し始めていた中で施行されました」と、IFJは中央ヨーロッパ時間1月28日に発表した声明で述べている。

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(文:Rita Liao、翻訳:Nakazato)

イーロン・マスク氏がClubhouseに登場、ファンがYouTubeへライブストリーム、途中からRobinhood CEOへのインタビューに

米国時間2月1日の深夜、今、シリコンバレーで最もホットな音声SNS「Clubhouse」にElon Musk(イーロン・マスク)氏が現れた。その様子は現在(日本時間2月1日20時)でも、ここここで聞くことができる。

Clubhouseでのやりとりを要約すると、マスク氏はClubhouseを利用し、宇宙旅行や火星のコロニー、Bitcoinなどした暗号通貨など「彼のベース」となるものについて話をした。いくつかのテーマにおいてマスク氏は、彼の「オリタナティブ」な見解に関するいくつかの神話を覆すことができた。時折、いつもはミームで煽るTwitterのフィードよりもはるかにニュアンスのある発言をしたが、これはマスク氏がまじめだったからではなく、単にフォロワーと楽しんでいただけなのかもしれない。彼はほぼ「私は救世主ではない、ただのいたずらっ子だ」と言っているようだった。

これまで行われてきた火星での生活の可能性に関する説明とは対照的に、マスク氏はそれに対するバラ色のビジョンは描いていなかった。人類が火星で生存し続けることに価値はあるが、そこでの生活は厳しいと語った。

また、マスク氏はAIから新型コロナウイルスワクチンに至るまで、多くのテーマについて話した。

最後の4分の1になり、RobinhoodのCEOであるVlad Tenev(ウラジミール・テネフ)氏がステージに上がった時に、話は大きく転換した(明らかにマスク氏によるものだが、裏で調整が行われた気配があった)。

マスク氏は突然、インタビューアーになり、テネフ氏に人気株取引掲示板のWallStreetBetsの騒動で、最後に何が起こったのかを明らかにさせた。

その後、Clubhouseのroomは、Robinhoodに大口投資家であるa16zによる大規模なPR行為と呼ばれるものに変わった。5000人の参加者、何百人ものジャーナリスト、そしてYouTubeのライブストリームの視聴者は期待の熱いイベントに集まった。テクロノジーに関する公の議論の中でジャーナリストたちのの間に割って入ろうとするa16zの新しいメディア「定刻」が広がり始めている姿を私たちは目の当たりにすることができた。

【TechCrunch Japan編集部】
Clubhouseにおけるイーロン・マスク氏の発言やRobinhoodのCEOであるウラジミール・テネフ氏へのそれぞれ質問は、US記事で読むことができる。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Twitterが、コミュニティによるノートを付加して誤情報を防ぐ「Birdwatch」の試験運用を開始

Twitter(ツイッター)が、「誤情報に対するコミュニティベースのアプローチ」を開始した。

この「Birdwatch(バードウォッチ)」プロジェクトは、新機能発見の達人であるJ(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏によって、昨年秋に初めて明るみに出た。現在、TwitterはBirdwatchのウェブサイトを介してパイロット版の運用を米国で始めている。

その目的は、Twitterの製品担当副社長Keith Coleman(キース・コールマン)氏のブログ記事で説明されているように、既に同社が物議を醸したり潜在的に誤解を招くようなツイートに適用している「ラベル」を超えた誤情報防止システムを作ることだ。コールマン氏によれば、ラベルが付けられるツイートは「何物かが我々の規則を破ったり、広く世間の注目を浴びる状況」に限定されているという。

Birdwatchのアプローチは「この問題に取り組む声の範囲を広げるだろう」と、コールマン氏は書いている。これらの問題に対してより多くの視点がもたらされ、単なる「このツイートは本当か?」という質問を超えたものになる。だが、この取り組みはTwitterから、個々のコンテンツについてユーザーがその内容をチェックしたり評価付けしたりする熱気を奪うかもしれない。

ユーザーはBirdwatchのサイトにサインアップして、誤解を招くと思われるツイートにフラグを立てたり、ノートを使って文脈を追加したり、他の投稿者が書いたノートを参考にして評価したりすることができる。これらのノートは、今のところBirdwatchサイト上でのみ表示されるが、それらをメインのTwitterで体験できるようにすることが、同社の目標であるようだ。

「このアプローチは、誤解を招くような情報が拡散した際に、人々が信頼し価値の認められる文脈を加えることで、迅速に対応できる可能性があると考えています」と、コールマン氏は言う。「最終的には、世界中のTwitterオーディエンスがノートをツイート上で直接閲覧できるようにして、広範で多様な投稿者から同意が得られるようにすることを目指しています」。

ツイートから多くの議論や反論が広がる可能性を考えると、Twitterがどのように混乱や収拾が付かなくなる状況を避け、あるいは一部の反論に意見が集中することを防げるか、注目されるところである。同社によると、Birdwatchはアルゴリズムによる「評価と合意システム」に基づいてコンテンツのランク付けを行い、コードは公開されているという(Birdwatchに投稿されたすべてのノートはダウンロード可能)。初期のランキングシステムについての詳細はこちらで読むことができる

「このようなコミュニティ主導のシステムを構築するには、多くの課題があることを我々は知っています。特定のグループによる操作を防ぐことから、単純な多数派意見に支配されないようにすること、投稿者の分布が偏らないようにすることまで、試験運用期間中はこれらのことに注力していくつもりです」と、コールマン氏は語っている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

人気の次世代音声SNS「Clubhouse」がクリエイターへの支払い計画を発表、Andreessen Horowitz主導の新ラウンド準備中

音声によるライブチャットを利用したSNSであるClubhouseは新しい資金調達ラウンドを準備していることを確認した。ただし具体的な金額は明らかにされなかった。シリーズBラウンドをリードするのはAndreessen HorowitzでパートナーのAndrew Chen(アンドリュー・チャン)氏が担当する。この発表の直前にThe Informationが「Clubhouseは評価額10億ドル(1038億円)で資金調達中」という記事を公開していた。TechCrunchは今回のラウンドの評価額、調達予定額を確認しようとしている。それと別に我々は、Cubhouseがサブスクリプション、チップ、チケット販売などにより、クリエイターがプラットフォームで収入を得る機能を導入する計画を確認している。

シリーズBラウンドによる資金はこの「クリエイター助成プログラム(Creator Grant Program)」にも充てられる。Clubhouseブログによればのプログラム「プラットフォーム上で人気を得つつあるクリエーターをサポートする」ための仕組みだという。Clubhouseのモバイルアプリはセレブや政治家などをクリエイターとして引きつけることに驚異的な成果を挙げている。クリエーターが収入を得られるようにすることは現在のクリエーターの関心を持続化させると同時に、新たな関心を刺激してメンバーへの参加を促すのに役立つことは間違いない。YouTubeやTikTokでインフルエンサーのようになれるというのは魅力的な可能性だ。

もちろん、ユーザーの収益化と同時にClubhouse自身の収益化も追求されるはずだ。今のところ、このプラットフォームはすべてのユーザーに無料で提供されており、ユーザーに課金するプラン、方法はまだない。広告もサポートされていない。メンバーがクリエーターに支払いを行う方法が追加されれば、Clubhouse自身がその一部を手数料として保持する機会が得られるはずだ。

クリエイターのための収益化機能の開発スケジュールは、現時点ではまだ十分に厳密に決定されていないようだ。Clubhouseは3つの分野(チップ、チケット、サブスクリプション)について「この数カ月間 」に最初のテストを開始すると述べている。YouTubeなどのクリエーターに収益化の機会を提供するPatreonのような機能をClubhouseプラットフォームに組み込むことを考えているのかもしれない。この中で「チケット」は独特で、座談会形式のClubhouseイベントと相性の良いオプションだ。チケットの導入は バーチャルイベントを開催したい企業などがClubhouseを利用することを後押しする可能性がある。

同社のアプリは今のところiOS版のみだが、Android版の開発を開始し、ニーズの急増に対応できるようバックエンドのスケーリングにも投資する。人材の獲得、不正利用を検出し排除するためのツールの開発にも力を入れていくと発表した。Clubhouseは、過去に悪用の防止に関して失敗があったと批判されたことがあったので開発のこの側面には各方面の関心が集まるだろう。同社はまたユーザーグループ(アプリの用語では「クラブ」)を検索、表示する方法の改良も行う。

Clubhouseがホストしている公開のクラブ「タウンホール」でファウンダー、CEOのPaul Davison(ポール・デビッソン)氏は同社には週あたり200万人のアクティブユーザーがいることを明らかにした。また現在同社の投資家は180を超えるとと述べていることも注目だ。シリーズB段階のスタートアップにしては大きな数だが、その多くは小規模な独立投資家で投資も少額だろうと思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米国時間1月20日の新大統領就任式での暴力の脅威がソーシャルメディアに長い影を落とす

米国は今、南北戦争以降最大の民主主義の危機に瀕している。その中でソーシャルメディア企業は、決して訪れないとこれまで考えていなかったような事態に対して、つぎはぎの守りを構築しようと苦戦している。

メジャープラットフォームの多くは1月第3週に緊急措置として、米国の大統領をプラットフォームから排除し、陰謀理論や暴力による脅し、および武装暴動の動きに対して突然厳しい規則を設けた。こういった暴力に関する動きや気配は、何年も前からこれらのソーシャルメディア上で増殖していた。しかし1週間も経たずしてAmazon(アマゾン)やFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Apple(アップル)そしてGoogle(グーグル)などはすべて、米国の安定と体面のために、歴史的な意思決定をした。またSnapchatやTikTok、RedditさらにPinterestさえも、それぞれ自分たちなりのアクションで、各プラットフォーム上でテロ計画が孵化することを防ごうとした。

現在は待機モードだ。トランプ支持派の破壊的な暴徒たちが米国立法府を象徴する議席を襲ってから1週間以上にわたって、インターネットはずっと息を潜めていたが、強力に防備を固めた就任式セレモニーの日が迫ってきた。

画像クレジット:SAUL LOEB/AFP/Getty Images

今もしぶとく残っているもの

先週、世界最大のソーシャルネットワーク上では、先の続きとなるイベントを示唆する画像が氾濫した。Facebook上のあるデジタルフライヤーは「国会とすべての州の議会を目指す武装行軍」をそそのかし、2020年の大統領選挙は盗まれたとする危険で偽りの陰謀論を強く主張した。

Facebookによると、同社はISISやアルカイダのテロリストのコンテンツを削除するときに使った同じデジタル指紋処理で、「Stop the Steal(盗みを止めろ)」と呼びかけるフライヤーの出どころを探っている。同社がこれまで見たフライヤーは、1月17日に全国的なイベントを呼びかけるものと、1月18日にバージニア州で、就任式当日にワシントンD.C.でイベントを起すことを呼びかけているものだ。

Facebookの新しい取り組みは、一部効果を上げている。同プラットフォーム上でTechCrunchが確認した人気フライヤーの1つは、今週某ユーザーのフィードから削除された。また、2020年12月に目にした複数の「Stop the Steal」グループも、同社のさらに強制的なアクションに続き、今週初めにいきなりオフラインにされた。しかし前兆のように多くのグループが大量の時間を投じて、自分たちの名前を宣伝したり、他のフォロワーを仲間に取り込もうとしたりしている。

大統領が代わる日はもう目の前に迫っているのに、極右グループであるQAnonを宣伝する頭字語だらけの長広舌や、トランプ支持派による常軌を逸した陰謀理論の主流派たちのコレクションは、そのまま残っており簡単に見つかる。2500のフォロワーがいるあるページでは、QAnonの信者が、国会議事堂を攻撃したのは反ファシストたちである、というすでに支持されていない説を強調し、(議会議事堂襲撃が行われた)米国時間1月6日は「罠だった」と主張している。

画像クレジット:Win McNamee/Getty Images

別のQAnonグループは「この猿芝居を終わらせる方法を見つけた!あなたがたの命はもう終わりだ!」という議会に対して不吉なポストを投じている。この凝りに凝った陰謀説のフォロワーは、議会議事堂のすさまじい暴徒たちの中にもかなり存在していた。大きな「Q」の字とTシャツのマニアックなスローガンでわかった。

Facebook上の過激主義者たちについて同社は、現在、テロのエキスパートおよび法執行当局と協力して「公衆への直接的な脅威を防ごう」としていると述べた。またパートナー数社とも協力して、他のプラットフォームを起源とする暴力的コンテンツも注視している、と同社は述べている。

Facebookの取り組みは遅くてムラがあるが、これまでの同社に比べればマシだ。トランプ支持派にとっては、それは大手ソーシャルネットワークから受けた措置であり、しかも極右ソーシャルネットワークのParlerGabもなくなってしまったため、シリコンバレーに頼らずに別の道を探さざるをえない。

ソーシャルメディアの人口移動

プライバシーを保護することができるメッセージングアプリのTelegramやSignalへの、大移動が今週起こったが、それらのユーザー体験(UX)はFacebookやTwitterとかなり違っている。ソーシャルネットワークをウォッチしている一部のエキスパートによると、その移動は一時的であり永久ではないという。

たとえばYonderのCEOであるJonathon Morgan(ジョナソン・モーガン)氏は「多くのユーザーがGabやMeWeやParlerのようなソーシャル体験に定住するだろうし、戻る先も移動する先もTwitterやFacebookである人が多い」と語る。

YonderはAIを使ってソーシャルグループのオンライン上の結びつきや、彼らの話題を分析している。中には暴力的な陰謀理論などもある。モーガン氏によると、プロパガンダをばらまく「行動的なインターネット戦士たち」が、ネット上で大量のノイズを発生させている。しかし彼らのパフォーマンスは、オーディエンスがいなければ成り立たない。もっとひっそり、もっと恐ろしい脅威を志向している者もいるという。

「議会議事堂の襲撃を見ると、そのエンゲージメントのタイプの違いから、これらのグループの分裂状況がよくわかる。過激派に対して歓呼している大集団は議会議事堂には入らない。パフォーマンスを目的とする行動的インターネット戦士たちは、自撮りに夢中だ。武装集団はフレックスカフ(簡易手錠)を携行している。多くのソーシャル会話でいわれていた「結束バンド」は間違いだ。簡易手錠は人質を拘束するためだろう」とモーガン氏はいう。

「ユーザー(大集団)の多くに行き先があるとすればParlerだ。また、TwitterやFacebookのソーシャル体験を模倣するMeWeのようなアプリへ行く者もいる」。

モーガン氏によると、調査では過激派や陰謀説拡散者にとって、それでもなおプラットフォームからの締め出しが効果的な手法だという。それにより「AirbnbやAWSなどテクノロジー企業は、今後暴力がのさばるチャンスを減らせるだろう」。

そうやってプラットフォームを掃除すれば、危険な考えを語るメッセージを追い払うことができるが、モーガン氏によると、この方法が過激派の狂信を強化することもあるという。最近のプラットフォームの変化で分断し多様化したグループが、あちこちに散らばっている。そして彼らの行動は、ますます自暴自棄で予測不可能なものになっていく。

プラットフォーム追い出しは有効だがリスクもある

Anti-Defamation League(名誉毀損防止同盟)のCEOであるJonathan Greenblatt(ジョナサン・グリーンブラット)氏によると、ソーシャルメディア企業はそれでもまだまだ、就任式の週には多くの備えが必要だという。「議会の暴動への対応として、ソーシャルメディアプラットフォームの懲罰的態度ぐらいでは全然効果がない」とグリーンブラット氏は述べる。

彼の警告によると、さまざまな変化は必要だが、我々が備えなければならないのは、オンラインの過激派がもっと分裂したエコシステムに進化していくことに対してだという。彼らのエコーチェンバーはますます小さく、声高になり、大規模で組織的な脅威は減少しても、小集団の脅威はむしろ激しくなる。

このような分裂によって、人びとが互いに暗号化アプリで通信するようになるだろうとグリーンブラット氏がいう。外部に漏れない閉じた通信で互いの結びつきが強化され、暴力的な考えも安全に話せるようになり、今後のイベントの組織化や暴動の計画なども立てやすくなる。

過去数週間、ソーシャルメディア企業は彼ら独自のスタンダードに基づいて重大な措置を取ってきたが、ソーシャルネットワークは、現在、米国では政治的暴力に関心をよせているが、海外で暴力のための便宜を提供してきた長い歴史がある。

グリーンブラット氏が何度も訴えるのは、各社がもっと多くの人間モデレーターを雇用することだ。過激主義対応の専門家も、しばしばこの提案をしてきた。グリーンブラット氏によると、ソーシャルメディアは就任式の週に備えて、ストリーミングを遅らせるといった対策をとることができる。緊急対応チームはそんな措置に助けられて、個々のコンテンツにその都度対応するのではなく、もっと多くのアカウントを停止することもできる。

「ソーシャルプラットフォームは先週の議会に対する暴力から学んだことに関する(外部、一般社会への)透明性を、まだ何も提供していない」とグリーンブラット氏はいう。

「彼らがやるべきことと、できることの最小限のことはわかっている。これらのプラットフォームがそれらを通じて得たことへの透明性と洞察を提供すれば、我々はおそらくもっと強力な、提案ができるだろう」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SNSでのオンラインハラスメントや虐待に対抗するBlock PartyがTwitterでサービス開始

米国時間1月15日、PinterestのエンジニアだったTracy Chou(トレイシー・チョウ)氏は、ソーシャルメディア上で人々がより安全に感じられるようにすることを目的としたアンチハラスメントのスタートアップBlock Partyを設立した。同社のサービスは現在、Twitter(ツイッター)でのみ利用可能で、人々が自分が見たくないコンテンツをフィルタリングして、Block Partyが「ロックアウトフォルダ(Lockout Folder)」と呼ぶものに保存するというものだ。それは、ユーザーが後でそれを確認したい場合にフィルタリングされたコンテンツのすべてを見つけられる場所となる。

「(そうしたくなくても)これらの人々が存在することを認めるのは重要だと考えています」とチョウ氏はTechCrunchに語った。

存在しないふりをしていると、有益な情報や本物の人脈を逃してしまうかもしれない。

「そこには、失われてしまうかもしれない良いものがたくさんあり得ます」と彼女はいう。「私たちが、Twitterのような公共のプラットフォームを使うのには理由があります」。

よりネガティブな側面があるとすれば、と彼女は説明を続けた。それでもあなたは、あなたの物理的な安全を脅かす誰かがいるかどうかを確認するために定期的にチェックする必要があるかもしれない、と。

「ヘルパー」は、Block Partyのユーザーエクスペリエンスの中で大きな役割を果たしている。ユーザーは信頼できるヘルパーにロックアウトフォルダへのアクセスを許可して、彼らはそこに何か役に立つ情報があるかどうかを知らせたり、単にトロールをブロックしたりすることができる。

「誰か他の人が処理するのを助けてくれたり、懸念される情報にフラグを立ててくれたりすることで、とても気が楽になります。その負担を共有できるのは良いことです。ほとんどのプラットフォームの現在の設計では、虐待を受けている人だけに対処の負担を強いることになっていますから」と彼女は語った。

ロックアウトフォルダは、会社や弁護士などにハラスメントの証拠を提示する必要がある場合に記録を残すツールとしての役割も果たしている。

画像クレジット:Block Party(スクリーンショット)

「人々の生活をより楽にしようとしているのです」とチョウ氏はいう。「報告書を提出するたびに、再び虐待を見なければならないのは、とてもつらいことです」。

Block Partyは、Facebook(フェイスブック)やQuoraのようなプラットフォーム企業で働いていたチョウ氏自身の経験そして、テック業界における多様性とインクルージョンのため積極的に発言する活動家としての彼女の経験から生まれた。Quoraでは、ブロックボタンは、プラットフォーム上で嫌がらせを受けた後、彼女が最初に作ったものの1つだったとチョウ氏は筆者に話してくれた。

「内部にいて、製品やエンジニアリングチームがどのように動いているかを見てきたという視点もあります。」とチョウ氏は語る。「しかし、DEI(Diversity・Equity・Inclusion、多様性・公平・インクルージョン)の活動家としての経験から、チームがマイノリティーを欠く場合に製品の決定にどのように影響を与えるかを見てきました」。

Block Partyは今のところTwitterユーザーだけが利用できるが、目標は他のプラットフォームを追加して、複数のプラットフォームで自分をターゲットにした嫌がらせに対処できるようにするという。またBlock Partyは現在無料だが、サブスクリプションプランを導入する予定だ。それでも, チョウ氏は、無料版が常に存在することを想定していると述べた。

現在までにBlock Partyは150万ドル(約1億5000万円)弱の資金調達を行っている。プレシードラウンドは、Precursor VenturesのCharles Hudson(チャールズ・ハドソン)氏が主導した。他の投資家には、元TechCrunch共同編集長のAlexia Bonatsos(アレクシア・ボナトソス)氏、元RedditのCEOであるEllen Pao(エレン・パオ)氏、Facebookの元セキュリティ最高責任者Alex Stamos(アレックス・ステイモス)氏などがいる。

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タグ:Block PartyDEI資金調達SNSハラスメント

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(翻訳:Nakazato)

米政権交代と大統領就任式時のTwitterの対応が明らかに

Twitter(ツイッター)は、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が第46代米国大統領に就任し、Kamala Harris(カマラ・ハリス)氏が副大統領になる米国時間1月20日水曜日の就任式に向けた計画を明らかにした。

Twitterはトランプ政権の終焉にともなう政権移行をプラットフォーム上でどのように扱うか詳細をつづったブログ投稿の中で、「今年、複数の困難な事情により、ほとんどの人はこの歴史的なセレモニーをバーチャルで体験することになります」と述べた。

「Twitterはこの政治イベントを人々が視聴して語り合うための場所を提供し、また公式な政府コミュニケーションチャンネルの移行で主要な役割を果たします。当社は、人々がTwitter上でどんなものを目にするべきなのか、明確にしておきたいと思います」。

もちろん就任式は報道機関や公式の就任式アカウント、@JCCIC(大統領就任合同委員会)、そして@BidenInauguralなど複数のアカウントによってTwitter経由でライブストリームされる。

Twitterはまた就任式を同社のUS Elections Hubでもストリーミングする。このハブではキュレートされたモーメント、リスト、フォローすべきアカウントをシェアする、としている。

就任するとバイデン氏とハリス氏は、@POTUSと@VPのTwitterアカウントを運用できる。就任式の日に新政権に移行する他のアカウントには@WhiteHouse、@FLOTUS、@PressSecといったものが含まれる。

Twitterはまた、ハリス氏の夫であるDouglas Emhoff(ダグラス・エムホフ)氏が@SecondGentlemanという新しい公式アカウントを使うことも明らかにした(なぜ「SGOTUS」ではないのかは明らかではない。それはそうと、この頭字語は魅力的ではない。

【更新】Twitterの広報担当は「@SecondGentleman」アカウントは本人の選択によるものだとTechCrunchに語った。

オバマ大統領がオフィスを去ったときにそうしたように、Twitterはトランプ政権の現在の組織アカウントを米国立公文書記録管理局(NARA)に移す。つまり、同政権の奔放なツイートとアカウント履歴は公開されたままとなる(アカウントのユーザーネームはアーカイブ用ステータスを反映したものに変わる。たとえば@POTUSは@POTUS45として保管される)。

しかしながら、すべて大文字で怒鳴ったり、習慣の自己憐憫を吐き出したりと政治的な棍棒として頻繁に使われたトランプ大統領の個人アカウントはすでに削除された。行動規範を繰り返し破ったとしてTwitterは先週トランプ大統領を永久停止にした。なので、NARAに保管されるトランプ大統領のアーカイブとは大きな違いがある。

「アーカイブ化と移行プロセスは公式の政府Twitterアカウントでのみ行われます」とTwitterは認めた。

@POTUSと組織アカウントの移行では、前政権のフォロワーを自動的に引き継がないことを我々は2020年後半から知っていた。しかしそれがなぜなのか、Twitterは明らかにしていなかった。

米国時間1月15日、@POTUSと他の公式アカウントの現在のフォロワー(3330万人)は、アカウントの新しい持ち主をフォローする「オプション」を含むアーカイブプロセスについてのノーティフィケーションを受け取る、とTwitterは繰り返した。

これはトランプ大統領が当時のオバマ大統領の@POTUSから1400万人のフォロワーを受け継いだ2017年から大きな変更だ。

この件についてTechCrunchが尋ねると「フォロワーの移行について、このブログにある以上のことはコメントしません」と広報担当は述べた。

奔放な大統領のサポーターが議事堂と議会下院で大混乱を起こそうと警察の警戒線を破り、米議会議事堂で起こった米国時間1月6日のカオス的な事件を考えると、恐怖をともなう2021年の政権移行でテックプラットフォームが自社のツールを別の歴史的暴動(あるいはより悪いもの)をライブストリームするのに使われないようにするのは当然だ。

暴動後もトランプ大統領は、不正投票によって選挙が盗まれたと虚偽の主張を展開し続けた。

しかしトランプ大統領は今週初めのTwitterによる個人アカウント停止を、自身が語る新しい動画を公式の@WhiteHouseアカウントに投稿することで出し抜いたとき、大きな嘘への直接的な言及は避けた。

大統領は動画で「議事堂襲撃」と表現し、「先週目の当たりにした暴力をはっきりと非難する」と主張し、団結を呼びかけた。しかしTwitterは大統領の投稿を削除することなく、プラットフォーム上で大統領が発言できることに厳しい制限を設けた(また公式の@POTUSチャンネルへの投稿も制限した)。なのでトランプ大統領は発言に関する紐をかなりきつく縛られている状態だ。

また大統領は動画で、「直近にあった自由なスピーチへの前代未聞の暴力」と表現したアカウント停止に対する言葉による攻撃をいくつかの発言に制限している。発言ではテックプラットフォームの検閲を「間違って」いて「危険」とし、「今必要とされているのは互いに耳を傾けることであり、黙り込むことではない」とも付け加えた。

この文言にはいろいろとあるが、トランプ大統領の苦痛と譲歩、最後の結束の求めが、自分から力が失われているのを感じているときに出てきたということを見逃すべきではないだろう。

最も注目すべきは、力のあるテックプラットフォームが大統領のヘイトメガフォンを無効にした後に結束の要求があったことだ。プラットフォームはトランプ大統領が民主党全国大会をラフに扱い、市民の規則を破ることを許してきた特別免除の日々に終止符を打った。

2021年の大統領就任式がいかにこれまでと異なるものになるか推測したり、Twitterのようなプラットフォームが最初から一貫してトランプ大統領にルールを適用していたらどうだっただろうかと思い巡らしたりするのはかなりおもしろい。

我々はロックダウンという状況にあり、バイデン氏が政権を握るまでの日を数えている。そして何よりもスムーズな政権交代を願う。

TwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は今週、Twitterは「健全な会話を促進する」というミッションで失敗したと述べたが、それは極めて正しい。Twitterは何年もの間、オンライン上の有害性についての警告を無視してきた。少なからず、トランプ大統領は有害で分裂的なプロダクトだった。

Twitterの政権移行対応についてブログ投稿の中の「公共の会話の保護」というタイトルのわずかな部分で、同社は今後しばらく「暴力の扇動、攻撃の計画、選挙結果についての誤情報の故意的なシェア」のためにプラットフォームが使われるのを防ごうと取っているステップを提示した今週初めの投稿に言及している。

こうした対策には、主にQAnon陰謀論に関連するコンテンツ共有のための7万ものアカウントの停止、市民活動の阻害に関するポリシーの一層の強化、ラベルを貼ったツイートに関するインタラクションの制限の適用、トレンドや検索に登場する暴力的なキーワードの阻止が含まれる。

「法執行当局とのコミュニケーションを含め、こうした取り組みは就任式まで続き、必要に応じて状況の変化にリアルタイムに対応します」と付け加え、さらなる騒ぎの可能性に備えている。

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トランプ大統領がTwitter永久停止の網を抜けてツイート

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、先週の支持者による米国議会議事堂での暴動を受け、Twitter(ツイッター)や他のオンラインサービスからの包括的に締め出された後、「議会議事堂での惨事」に触れたツイートをビデオアドレスのかたちで出すことに成功した。そこではもちろん、プラットフォームから追い出されたことについても語っている。

その動画でトランプ氏は非米国的な暴力を避けるように彼のフォロワーに指示しており、「私の真の支持者は決して政治的暴力を支持することはない」と述べている。それは議会議事堂を破壊した暴徒を「偉大な愛国者」と呼び、「我々はあなた方を愛している。あなた方は非常に特別な存在だ」と口にした数日後のことだ。

その呼びかけから数分後、トランプ氏は歴史的な2度目の非難を受けた後、自分にとってほぼ間違いなく重要なことのために態度を変えた。それは彼の主な統治の道具、すなわちTwitterを禁じられることだ。

「私はここ数日に見てきた言論の自由に対する前代未聞の暴行についてもひと言いいたい」と、トランプ氏は語っている。アカウント停止などの措置は、すべてプラットフォームのルールに違反することが立証されているにもかかわらず。「私たちの仲間である市民を検閲し、取り消し、ブラックリストに載せようとする努力は間違っており、危険です。今必要なのは、相手を黙らせるのではなく、相手の声に耳を傾けることです」。

Twitterによって@realdonaldtrumpのアカウントが停止させられた後、トランプ氏は別のいくつかのアカウントを使ってツイートしようとしたが、それらも迅速にシャットダウンされた。誰もがParler(パーラー)に参加するのではないかと考えたが、それもうまくいかなかった。Amazon(アマゾン)のAWSをはじめとするインターネットインフラ企業にホストを拒否されたParlerは、永久にオフラインになる可能性があると警告されたからだ。

ところでトランプ氏は、そもそもTwitterの強硬な排除にかかわらず、この投稿をどうやって滑り込ませることができたのだろうか。我々はこれに好奇心をそそられた。

以下はTwitterによる回答だ。

このツイートはTwitterルールに違反していません。以前にも明らかにしたように、@WhiteHouseを含む他の公式アカウントは、明らかに禁止を回避したり、Twitterルールに違反するような内容を共有したりしない限り、ツイートすることが許されています。

つまりトランプという人物は禁止されたが、行政機関のトップであるトランプ氏は、彼が在任している残り1週間の間は、米国民にとって重要な事柄を伝える手段としてTwitterを利用する権利を持ち得るということだ。

このことは何が価値のある発信で、何が民衆に暴力を扇動する発言であるかを決定する立場にあるTwitterが、権力側にあるようないささか残念な印象を与える。このアカウントでトランプ氏がやっていることが禁止回避とみなされるかどうか、それをどのように判断するのか、Twitterに明示してもらいたい。

一方、トランプ氏のサプライズツイートとほぼ同時に、Twitter創業者のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、この状況について13ツイート分の考えを明らかにした

これはTwitterにとって正しい判断だったと私は思います。私たちは異常で手に負えない状況に直面し、すべての行動を公共の安全に集中させざるを得ませんでした。オンラインによる言論がオフラインでの危害を巻き起こすことは明らかに現実であり、それが何よりも私たちのポリシーと執行の原動力となっています。

とはいえ、アカウントを禁止することは、現実的かつ重大な影響を及ぼします。明確で明白な例外もありますが、健全な会話を促進するためには、最終的なアカウントの禁止は我々の失敗だと私は感じています。そして、私たちの運営と私たちを取り巻く環境を反省する時でもあります。

ジャック氏は本当の結論には達していないし、新たな計画も明らかにしていない。だが、彼がこのことについて真剣に考えていることは明らかだ。しかしながら、彼が指摘しているように、Twitterやインターネット全般のストレッチ目標のようなものとして彼が思い描いている「1つの人類がともに取り組む」を確立するには、多くの作業が必要になるだろう。

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Twitterに続きSnapchatもトランプ大統領のアカウントを永久停止

Snap(スナップ)が米国時間1月7日にトランプ大統領のSnapchat(スナップチャット)アカウントを無期限停止すると発表してからかなりの動きがあった。Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)の大統領のアカウントが一時停止となり、そしてTwitter(ツイッター)はアカウントを永久停止した後、Snapは大統領のSnapchatカウントを永久停止することを決めた。

ユーザーとしてトランプ大統領のソーシャルメディア好きは明らかだが、大統領の選挙活動にとってSnapchatは若いユーザーに訴える格好のサービスだった。大統領は主要なソーシャルプラットフォームの大半から締め出され、アカウントの永久停止は間違いなく大統領の今後のビジネスや政治的野心の未来を複雑なものにするだろう。

プラットフォームからのトランプ大統領排除は、大統領に扇動されたサポーターの暴徒たちによる米国時間1月6日の議会議事堂での暴動を受けてのものだ。それ以来、多くの企業がトランプブランドとのつながりを断ち、その一方でソーシャルプラットフォームは大統領として残された日々と今後におけるトランプ大統領の存在を最小限化しようとしてきた。

Snapは、過去数カ月にわたってトランプ大統領のアカウントが繰り返し同社のコミュニティガイドラインを破ってきたことから今回の決断に至った、と話している。

「先週当社はトランプ大統領のSnapchatアカウントの無期限停止を発表しました。以来、どのような長期的対応がSnapchatコミュニティにとって最善なのか検討してきました。治安のために、そして明らかに当社のガイドラインに反する、誤情報、ヘイトスピーチ、暴力の扇動を広めようとする大統領の企てに基づいて当社は大統領のアカウントを永久停止することを決めました」とSnapの広報担当はTechCrunchに語った。

Snapによる大統領アカウントの永久停止は最初にAxiosが報じた。

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(翻訳:Mizoguchi

米国民の3分の1が定期的にFacebookでニュースを見ている

ピュー研究所の最新の調査によると、米国民の約3分の1が定期的にFacebook(フェイスブック)からニュースを入手している。同調査は米国における現在のメディア情勢を理解する目的で行われた。レポートの中で同研究所は、米国民の成人の約半分、53%がニュースを入手するのに「頻繁に」あるいは「時々」ソーシャルメディアを使っていると答えた、という。使用メディアは多岐におよんだが、Facebookが最上位にきた。

米国民成人の36%がニュースを入手するのに「定期的」にFacebookにアクセスしている。この数字は他のどのソーシャルメディアプラットフォームよりもかなり大きく、唯一YouTube(ユーチューブ)が23%とそこそこの割合だった。

それ以外のメディアの数字は比較的小さい。Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領が(つい最近まで)発信手段として好んでいたTwitter(ツイッター)ですら15%だ。

おおよそ10人に1人かそれ以下の割合の人が他のソーシャルメディアプラットフォームから定期的にニュースを得ていると回答した。その内訳はInstagram(インスタグラム)11%、Reddit6%、Snapchat4%、LinkedIn4%、TikTok3%、WhatsApp3%、Tumblr1%、Twitch1%だ。

ニュースソースとしてこうしたサイトを使っている人の割合が低いのは、これらサイトを使っている米国人がかなり少ないという事実と大いに関係している、とピュー研究所は指摘する。

しかし各プラットフォームの視聴者数の割合が小さいとしても、サイトのユーザーはニュースにかなり関心を持っているかもしれない。たとえばTwitterは米国民の成人の25%しか使っていないが、Twitterユーザーの半分超(59%)が同プラットフォームでニュースを得ているとしている。これに比べて、Facebookでニュースを得ているユーザーの割合は54%だ。一方、RedditのユーザーベースはFacebookよりかなり小さいが、Redditユーザーの42%が同サイトで定期的にニュースを得ている。

いい換えると、「トップニュースプラットフォーム」のリストは、米国人成人のうち何人がサイトでニュースを得ているかではなく、各ソーシャルメディアのユーザーのうち何人がそのプラットフォームからニュースを得ているのかを考えると、やや異なるものになる。

そうした考え方でとらえると、順番はTwitter、Facebook、Redditが上位にきて、YouTube、Instagram、TikTok、Snapchat、LinkedIn、WhatsApp、Twitchと続く。

加えてピュー研究所はソーシャルメディアでニュースを得ている人の人種構成も調査し、FacebookやRedditのようなサイトで定期的にニュースをチェックしている人の大半は白人だった。一方、黒人とヒスパニックはInstagramの定期的なユーザーの4分の1ずつを占めた(それぞれ22%と27%)。またニュース取得のためにFacebookを使っているユーザーは女性に偏っている(63% vs 35%)。その一方で、Redditは男性に偏っていた(67% vs 29%)。

このレポートで興味深いのは、米国民がニュースを得るのに広くソーシャルメディアを使っているにもかかわらず、大半(59%)がソーシャルメディアのニュースは「大部分は不正確だ」と考えていることだ。この数字はここ数年かなり一貫性がある。2018年の57%から上昇し、2019年は2020年と同じだった。

ソーシャルメディアユーザーの半分近くが、ソーシャルメディアでニュースを読むことは最近の出来事を理解するのにさほど役立っていないと答えた。

この結果は、ソーシャルメディアサイトそしてユーザーの関心や考え方に合わせてニュースをパーソナライズするアルゴリズムがオンライン上で人々を急進化させているというレポート研究と矛盾するようだ。先週、その結果が丸見えになった。多くの場合、誤情報や陰謀論に何年も触れていた人々の暴徒が2020年の大統領選挙の結果をひっくり返そうとして失敗した試みの中で米議会議事堂に乱入した。

しかしながら、ピュー研究所の調査は自己申告データに基づいていることを忘れてはならない。なので、調査に参加した人がソーシャルメディアの投稿はニュースを「理解」するのに役立たないと主張したとしても、そうした人たちはそれら投稿の力と影響力を過小評価しているかもしれない。

ピュー研究所はこうした調査を定期的に行っている。たとえば同研究所は2020年、ソーシャルメディアニュースの消費者が米大統領選挙や新型コロナウイルスといった主要ニューストピックに関する事実についてあまり関心を寄せず、知識を持ち合わせていない傾向にあるという調査結果を報告した。同じ調査では、ソーシャルメディアニュースの消費者がより頻繁に陰謀論にさらされやすいことも明らかになった。

プラットフォームそのものは、基本的なファクトチェックを追加する以外、誤情報の拡散を防ぐのにさほど役立っていない。FacebookがQAnonグループを禁止するまで何年もかかったが、一掃後もまだ多くがプラットフォームに残っていた。ハッシュタグや他の暴力扇動についての似たような取り締まりの後も、「Stop the Steal(選挙を盗むのはやめろ)」の陰謀論グループはプラットフォームに残っていた。

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(翻訳:Mizoguchi

私は言論の自由の擁護者だがその意味がわからなくなった、技術と言論の自由に待ち構えているものとは?

米国の大統領はおそらく世界最強だといわれている。その彼がTwitter(ツイッター)に投稿できない。そしてFacebook(フェイスブック)にも。それだけでなく、先週私たちが目撃したように、その他の多くのソーシャルネットワークに対してもだ(まあ彼はまだ核ミサイルの発射コードを手にしているので、それはそれで熟考すべき興味深い力だが)。

先週行われた禁止の数々は異例のものだった。しかし、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領だって異例だ。今世紀にはもう、ホワイトハウスの現在の占有者のような口調で、公にわめき立てる大統領は登場しないかもしれない(少なくともそう願うことができるだけだが)。しかし、トランプ大統領の危機全体が本当に例外的なものであるならば、それは単に無視することができる。ルールというものは、言論の自由に関するルールでさえも、例外的な状況に対処するための例外を常に持っていたのだ。大統領が暴力的な抗議を挑発して、その結果追放される。米国の行政リーダーシップ史における、ユニークな瞬間であることは間違いない。しかし、主役は別として、最高裁の判例の下で、暴力的な脅迫が何十年もの間禁止されてきたテック業界や出版社たちの反応は特に異例なものではない。

では、なぜそれを私たちは無視しないのか?何か大きなものが足元に埋まっていることを、実感しているからではないだろうか?私たちの世界の情報アーキテクチャ全体が変化して、現代の米国を支配してきた言論の自由をめぐるルールの構造を、完全に覆してしまったのだ。

言論の自由は、科学と合理性と実証主義をともなう人間の進歩主義と、深く絡み合っている。「marketplace of ideas(アイデアを公開討論する場)」の目的は、議論が相互の対話として行われ、自分たちの事実と推論が検証され、悪いアイデアがより良くより実績のあるものによって洗い流されるようにすることだ。もちろん時には論争になることもあるが、最終的には挑発よりも解明を目的としたポジティブな論争なのだ。

私が言論の自由に対する「絶対主義者」なのは、そうした人類の進歩を信じているからであり、「アイデアを公開討論する場」という概念が、世界を探求し自己を内省するために、人類が種として歴史的に構築してきた最良のメカニズムであると信じているからなのだ。だが、先週の出来事を目撃した今、私たちの情報共有地がうまく機能しているふりを続けることもできない。

どうやら、それは矛盾しているようなのだ。私は言論の自由を支持しているものの、「真の意味」では支持していないのだ、という意見は理解できる。それでも、システムの何かの間違いに対して、いくつかのより深い、より基礎的な質問をするためにの合理的な判断一時休止をすることはあるだろう。私の苦しみは、ACLU(米国自由人権協会)が公式声明で見せた苦しみと同じものだ。

それは「我々は(トランプ大統領を)非難するが、(ネット企業の対応も)懸念している」というような、生ぬるいどっちつかずの意気地なしの反応だ。言論を取り巻く環境が急速に変化する中での穏当な対応の1つではある。同じいい方をするなら、私は「アイデアを公開討論する場」の強い擁護者だ、しかし残念ながら、それはもう今は潰えてしまった「アイデアを公開討論する場」の「1つ」に過ぎなかったということだ。ともかく、うまくいってないことを全部考えてみよう。

  • 情報が多すぎて、どんな合理的な人間でもすべてを処理することは不可能だ
  • 溢れる情報の多くはゴミであり、明らかな詐欺であり、さらに悪いことにそれが配布されている情報システムそのものを、混乱させ弱体化させるためにデザインされた秀逸な心理的プロパガンダの断片だったりする
  • 私たちはこれまで、これほどまでに多くの人たちが、公共の場所に対してこれほど制限もほとんどなしに信念や、戯言や、侮蔑を撒き散らすことを許してこなかった
  • 対話の中にアイデアはほとんど残されていない。構成主義的な思考と同様に、協調関係は死にかけている。今や「ストア」は同じ公共の広場の中ではなく、それぞれの個人のフィードの中に置かれているので、もはや「公開討論する場(marketplace)」は存在しない
  • ひと握りの支配的な独占プラットフォームからの強制的な誘導がコミュニケーションのやり方を荒々しく傷つけ、慎重な議論や論争よりも、有力な「クリックベイト」の方を奨励している
  • テックプラットフォームで見られるユーザーのエンゲージメント数が非常に多いことを考えると、大多数の人がこれを気に入っているようだ

私たちは、何十年も前からこうした事態が訪れることには気がついていた。人間が処理できない、現代の工業化された世界の複雑さをテーマにした、Alvin Toffler(アルビン・トフラー)の「Future Shock(未来の衝撃)」が出版されたのは1970年のことなのだ。1980年代から1990年代にかけてのサイバーパンク文学やSFは、この迫りくる猛攻撃に向かって広範囲に応戦してきた。インターネットが急速に拡大する中で、Nicholas Carr(ニコラス・カー)の「The Shallows(ネット・バカ)」のような本が、インターネットがいかに私たちが深く考えることを妨げているかを問いかけていた。それが出版されたのは10年前だ。現在は、地元の書店に行けば(もし書店がまだ存在していて、読者が実際に1000ワード以上の文章を読む能力がまだあるとするなら)、メディアと通信の未来を分析し、インターネットが認知的に私たちに何をしているかを分析しているさまざまな書籍を見つけることができる。

私の「言論の自由」に対する絶対的な信念は、米国で言論の自由がどのように機能すると考えられているかに対する、いくつかの明確な仮定に基づいていた。残念ながら、それらの仮定がもはや成り立たないのだ。

私たちはもはや、市民が自分たちが直面している問題について、おそらく怒りながらでも議論を交わすことができるような、おなじみの公共の広場があると仮定することはできない。私たちはもはや、クズ情報が編集者によって、または出版社によって、または読者自身によってフィルタリングされると仮定することはできない。私たちはもはやメッセージを携えて私たちに接触してくる人たちが、ある程度身辺調査済で、真実や事実を基に語っていると仮定することはできない。

私たちはすでに公開討論の場のあらゆる場所が、ありのままに機能しているのだと仮定することはできないのだ。

それこそが仕事の場でも生活の場でも、言論の自由の権利に日々頼っている私たちにとって、この時代を厳しいものにしているものなのだ。そうした基本的な仮定がなければ、言論の自由の権利は、私たちが期待しているような、人間の進歩主義と合理性の砦とはならない。私たちの情報共有地は、必ずしも最高で質の高いアイデアが最上位に浮上し、私たちの全体的な議論を推進してくれることを保証してはくれない。

私は寛容な米国人の感覚として、言論の自由を心から信じている。なので私と同じように、私たちの「公開討論の場」の危険な状態を本当に心配している友人も多い。しかし私たちはみな、目の前にある現実に直面する必要がある。システムは現実として本当に壊れていて、単に「言論の自由を!」と叫ぶだけでは、それを変えることはできない。

今後とるべき道は、言論の自由をめぐる会話を、私たちの世界の情報アーキテクチャをどのように改善していくべきかというより広い問いかけへと転換させることなのだ。クリエイターや、アイデアを生み出す人や、それらを分析する人が、適切な経済状況の下にそれを行うことを保証するにはどうすればよいのか?それは、作家、映画製作者、小説家、研究者、その他のすべての人が質の高い仕事ができるようにすることを意味する。おそらく長期間にわたって、収入が減らないようにするために「トップに留まり」続けようと、新しい写真や考察を10分ごとにアップロードしなくてもいいようにするということだ。

事実と「真実」が常にすぐにではないにしても、徐々にでも最終的には勝利をおさめることを確実にするためには、コミュニケーションの各階層におけるインセンティブをどのように整えていけば良いのだろうか?情報の大量流通にともなう力が、正確性や合理性に対する公の義務という概念を少なくとも何らかのかたちで体現している人たちによって、きちんと持たれるようにするにはどうすればよいのだろうか?

何よりも重要なのは、読者や視聴者の1人ひとりが、自分の目にした情報を処理する能力を高め、主体的な行動を通じて合理性に向かって議論を進めていくにはどうしたらよいのだろうか?賢く勤勉な顧客がいなければ、どのような市場も生き残れない。情報のための市場も例外ではない。人々が嘘を要求するならば、世界は彼らにそれを与えるだろう。すでに私たちが目にしたように容赦なく。

テクノロジーだけではこの問題を解決することはできないが、テクノロジーがその解決の一部となることは絶対にできるし義務づけられてもいるのだ。適切なインセンティブを備えた代替プラットフォームは、人類が世界を理解する方法と、現在、起こっていることを完全に変えることができる。これは非常に重要で知的に興味深い問題であり、野心的な技術者や創業者にとっては取り組むに値する魅力的な対象となるはずだ。

言論の自由は必ず守る決意だが、今、目の前にあるような状態のシステムでは擁護できない。ならば唯一の防御策は、このシステムの再構築を行い、上手く機能し続けているコンポーネントを強化し、機能していないコンポーネントを修理または交換することだ。魂の救済への道筋が誤った情報で埋めつくされているべきだとは思わない。私たちはみな、このシステムをあるべき姿にするための道具と力を持っているのだ。

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(翻訳:sako)

Facebookは「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」関連投稿を全面排除の方向へ

先週の米連邦議会議事堂での破壊行為の余波を受け、Facebook(フェイスブック)は米国時間1月11日、「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」という文言に関連するコンテンツを同プラットフォームから排除するという、一歩踏み込んだ措置に出た。これは民主的な米国の選挙が操作されているという誤った主張に基づく、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏の権力を維持するためなら手段を選ばない右派のキャンペーンで使われるスローガンだ。今や、暴動もその手段に加わった。Facebookは2020年11月、すでに「Stop the Steal」を最初に訴え出した一部の団体を排除し、暴力行為を奨励するなど規約に違反するページ、グループ、イベントの削除を約束していた。

TechCrunchでもお伝えしたが、Facebookは2020年11月の選挙にまつわる陰謀論のハッシュタグ(#sharpiegate、#stopthestealなど)の阻止に踏み切っている。これらを検索しても、結果にグループや投稿は示されない。

だがこうした浄化作戦もFacebookが公言し、我々が期待していたほど大規模ではなく、長続きもしなかった。今これを書いている時点でも、たとえば「Stop the Steal」を公然と訴えるFacebookグループが複数活動している。

Facebookは、今回の強い措置は米国での暴力行為を煽る声の高まりに対処するための判断だと述べている。

「私たちは、選挙結果に関する実のある対話を認めてきましたが、それは今後も継続します」と、Facebookの品位担当副社長Guy Rosen(ガイ・ローゼン)氏とグローバルポリシー管理担当副社長Monika Bickert(モニカ・ビカート)氏の共著によるブログ記事で説明している。「しかし、暴力行為の誘発につながりかねない米国大統領選挙の結果に反対するイベントページを立ち上げようとする今なお止まない試みや、ワシントンD.C.での1月6日の暴力行為でも叫ばれていた文言の使用に関しては、大統領就任式に至るまでの間、この追加措置で対応します」。

「この新しい措置の施行には多少時間がかかることも考えられますが、すでに大量の投稿が削除されています」と彼らは訴えた。

Facebookは、米国の首都で起きた暴動の首謀者たち御用達のプラットフォームと見られることを、明らかに嫌っている。実際、Facebookの最高執行責任者Sheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏は、米国時間1月11日に、Reuters(ロイター)のインタビューに応えて、あの暴動は、Facebook以外のインターネットサービスによって「大半が組織された」と主張している。Facebookは、QAnon(Qアノン)、Proud Boys(プラウドボーイズ)、Stop the Steal関連組織のような怪しいグループによるコンテンツ、および暴力を呼びかけるあらゆるコンテンツを削除してきたと彼女は話している。

規約違反のコンテンツを積極的に削除している大手ソーシャルプラットフォームは、Facebookだけではない。それは、ソーシャルメディアの比較的寛容な方針が、暴力的な抗議行動から、さらにはクーデターや人の殺害の企てを招くという思わぬ結果をもたらしたことへの対処だ。

米連邦議会が大統領の弾劾を検討し始める中、ソーシャルメディア企業には、プラットフォームからトランプ氏排除するところも出てきた。その一方で、それらに対抗するソーシャルネットワークParler(パーラー)に協力するアプリストアウェブサービスのプロバイダーは、Parlerから発信されるヘイトスピーチや暴力を増長している。

Facebookは、少なくとも1月22日までは、リアルタイムで危機を監視し対応できるよう、Integrity Operations Center(品位ある運用センター)に24時間体制でスタッフを常駐させると話している。FBIは、1月20日のJoe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領の就任式まで、50の州都とワシントンD.C.で武装抗議行動を企てないよう警告を発したと、今朝、APが報じたが、Facebookが定めた期間は、それに準じたものと思われる。そのためにこの数日間は、Facebookの品位ある運用センターの対応が非常に重要視される。

同センターはジョージア州の決戦投票と、議会の選挙人団による投票の集計よりも前からすでに活動していたが、その活動範囲は、議事堂での抗議活動を受けて拡張されたとFacebookは話している。

さらに同社は今後も法執行機関と協力して、コンテンツの削除、アカウントの凍結、ユーザー個人情報の法的要請への対応を継続するとのことだ。

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(翻訳:金井哲夫)