マスク氏がTesla Model S Plaid+発売に対し正式にブレーキ

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社Model S Plaid+の生産計画を正式に中止した。Model S Plaid+は、2021年6月最初の顧客に提供される電気自動車の次期Plaidバージョンのスーパーチャージモデルだ。

マスク氏は、Plaidが非常に優れているため別のバリエーションは必要ないことをその理由を挙げている。

「Model Sは今週、Plaidのスピードに合わせました。Plaid+はキャンセルされます。必要ありません。Plaidのスピードはとても良いものだから」ととマスク氏は米国時間6月6日にツイートしている。

Tesla Model S Plaidのパワートレインは、0から60mphまで1.99秒で到達し、最高速度は時速200マイル(約322km)、推定航続距離は390マイル(約628km)であると同社のウェブサイトに掲載されている。パワートレインは1020馬力を発揮し、価格は11万2990ドル(日本では1499万9000円)からとなっている。2021年5月下旬、マスク氏は、最後の調整を終えるために、このEVセダンの納車イベントを6月10日まで延期するとツイートしましている。マスク氏は、3つのモーターを搭載したPlaidを運転は、宇宙船のような感覚だと表現した。

中止されているPlaid+は、2022年半ばまで発売されず、マスク氏はその性能と航続距離をさらに向上させると約束していた。価格も15万ドル(日本では1799万9000円)に跳ね上がっており、Teslaはウェブサイトでの予約受付を停止していたためPlaid+は発売されないのではないかという報道や憶測も流れていた。6月6日のマスク氏のツイートは、その説を裏づけるものとなった。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Katsuyuki Yasui)

テスラが「レストランサービス」用途として新たに商標を出願、食事をしながらEVを充電

Tesla(テスラ)は先日、レストランサービスの分野における自社ブランドの新しい商標を申請した。これは、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOをはじめとする同社幹部たちが、少なくとも2017年から公に議論してきたアイデアを実現するために、いよいよ準備が整いつつある可能性を示している。

Electrek(エレクトレック)が最初に報じた5月27日付で米国特許商標庁へ出願された書類によると、テスラは「レストランサービス、ポップアップレストランサービス、セルフサービスレストランサービス、テイクアウトレストランサービス」のカテゴリーをカバーする3つの新しい商標を申請している。この出願は現在審査待ちの状態で、8月27日頃に弁護士による審査が行われる予定だ。

世界で最も影響力のある高級電気自動車会社とレストラン事業が、どのように結び付くのだろうかと、訝しむ人もいるかもしれない。話を2017年に戻そう。当時、テスラのCTOを務めていたJB Straubel(JB・ストラウベル)氏は、フードサービスとテクノロジーのイベント「FSTEC」で、同社がレストラン事業に進出する可能性があると発言した。そのアイデアは、EVの充電ステーションを、食事も提供するフルサービスのコンビニエンスストアにするというものだった。テスラは、このアイデアの縮小版として、カリフォルニア州ケトルマン・シティのSupercharger(スーパーチャージャー)ステーションにあるラウンジのようなものを作った。

イーロン・マスクCEOは2018年1月、このコンビニエンスストアのアイデアを発展させたレストランのコンセプトを、(いつものように)Twitter(ツイッター)で発表。「LAで新たなテスラ・スーパーチャージャーを設置する場所の1つに、昔風のドライブインにローラースケートとロックを組み合わせたようなレストランを併設するつもりです」とツイートした。

その数カ月後、テスラは実際にレストランとスーパーチャージャーステーションの申請を行ったが、それ以来、このビジネスベンチャーの可能性についてはほとんど沈黙を保ってきた。2020年、米国向け広報チームを解散させた同社は、テスラ自身が充電ステーション併設のレストランを開業するのか、それとも他のレストラン事業者がテスラのロゴを使用して同様のビジネスモデルを構築するのかなど、計画に関する情報を求められても答えなかった。

テスラは、レストランでの使用を目的とした商標として、同社のアイコンである「T」のロゴや「Tesla」という言葉そのもの、そしてその言葉をデザイン化したものを、米国特許商標庁に出願している。

テスラは、社名をデザイン化したものをレストランサービスの分野で商標登録出願した

テスラは今回の商標出願によって、食事と充電を行えるステーションを作るというマスク氏の計画を前進させるために必要なステップを踏むことになりそうだ。外食産業と自動車産業が交わるのは、これが初めてというわけではない。星の増減がレストランの明暗を分けるMichelin Guide(ミシュランガイド)は、もともと1900年にAndre(アンドレ)とEdouard(エドゥアール)のミシュラン兄弟が編纂したものだ。彼らは自動車の需要を喚起し、ひいては彼らが製造するタイヤの需要を喚起したいと考え、広範囲にわたるレストランやホテルとその道中にある整備工場やガソリンスタンドなどを網羅したガイドを作成した。これにより、人々は新発明の移動手段を使って、自分の味覚や世界を探求することができるようになったのだ。

テスラのスーパーチャージャーレストランは、そこまで革命的なものではないが、人々に新しいクルマを購入するための新たな誘引構造を提供し、EV業界の競争に創造性をもたらすものだ。たとえその誘引が、過去のノスタルジックな輝きに浸りながら、流行に乗っているように見せるというだけのものであっても。

そこではウェイターが電動ローラースケートでハンバーガーを運ぶようになるのかもしれない。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

AMDがテスラの新しいModel SとModel XがRDNA 2採用とCOMPUTEX 2021基調講演で発表

AMDがCOMPUTEX 2021基調講演でテスラの新しいModel SとModel XがRDNA 2採用と発表

AMD

テスラのアップデートされたModel SおよびModel Xはまるで飛行機の操縦桿のようになったハンドルやレバーを使わないシフト操作など、一般的な市販車の既成概念を打ち破る改変が盛り込まれています。

テスラ車の特徴でもある巨大なタッチスクリーンを採用したインフォテインメントシステムも新モデルではその性能を大幅に向上しており、1月の発表時にはその性能が10TFLOPSにものぼると宣伝されました。10TFLOPSといえば、PS5やXbox Series Xなどが搭載するGPUとほぼ同等の性能。もしやテスラはこの最新ゲーム機と同等のGPU機能を自動車に詰め込んだのでは…という憶測が流れていました。

そしてこのたび開催されたComputexの基調講演で、AMDのリサ・スーCEOは新しいModel S / Xについて語り、それらがAMDのAPU(Radeonグラフィックス機能を統合したCPU)を搭載していることを認めました。さらにそのGPUは憶測どおりRDNA 2を採用しているとのこと。

ただし、車載インフォテインメントシステムという用途上、そのGPU性能は常に利用するのではなく、なにか高負荷な処理が必要とされるときだけ作動するようになっているとのこと。おそらくそれは車内でゲームをプレイするとき…というのがまっさきに思い浮かぶところですが、それ以外にも17インチの巨大なタッチスクリーンに加え、新しいテスラが搭載する後部座席用ディスプレイを同時に使う際などにも活躍しそうです。

ちなみに、ゲーム好きな著名人の中には、移動用の車両の後部座席にモニターとゲーム機を持ち込んでプレイする人もいるそうですが、そのような方々なら経済的な心配はいらなそうなので、多少値が張ってもModel SやModel Xを次に購入する愛車に検討してみても良いかもしれません。

(Source: AMD(Youtube)Engadget日本版より転載)

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財政苦境に直面するイーロン・マスク氏のラスベガスループ地下輸送システム、The Boring Companyに賠償金数億円の可能性

米国ネバダ州の規制当局が課した制限により、イーロン・マスク氏のThe Boring Company(ザ・ボーリング・カンパニー、TBC)は、同氏初の地下交通システム「LVCC Loop(ラスベガス・コンベンションセンター・ループ)」の契約目標達成が困難になっている。

ラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)のLoopシステムは60台以上の完全自律型高速車両を使い、展示ホール間で毎時最大4400人の乗客を輸送することになっている。しかしTechCrunchの取材によると、クラーク郡の規制当局がこれまでに承認したのは人間が運転する車両わずか11台で、さらに厳しい速度制限を設け、Tesla(テスラ)の「完全自律走行」先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」の一部であるオンボード衝突回避技術の使用を禁止しているという。そのようにブランディングされているものの、TeslaのAutopilotシステムは技術的には完全自動運転のレベルには達していない。Teslaとカリフォルニア州の規制当局との間で交わされたやり取りによると、内部的にも、Autopilotは特定の機能を自動化できる先進的な運転支援システムと見なされている。

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LVCCの母体であるラスベガス観光局(LVCVA、Las Vegas Convention and Visitor’s Authority)は、マスク氏にインセンティブを与え、TBCが約束を確実に果たすように促す契約を結んだ。契約は固定価格で、TBCがすべての支払いを受けるためには、特定のマイルストーンを達成しなければならない。この契約では、トンネル掘削完了、全体の作業システムの完成、テスト期間の終了と安全レポート、そして乗客を輸送できるという証明など、プロセスのさまざまな段階で支払いが行われる。最後の3つのマイルストーンは、何人の乗客を輸送できるかに関するものだ。Loopが1時間に乗客2200人の輸送能力を示すことができれば、TBCは440万ドル(約4億8000万円)を受け取ることができ、3300人を達成すれば再び同じ額をもらえる。4400人を達成した場合も同様だ。これらの輸送能力に応じた支払いの総額は、固定契約金の30%に相当する。

1時間に4000人以上の乗客を運ぶどころか、制約されたシステムでは1000人以下のキャパシティに制限される可能性があり、TBCは契約目標を達成できなかった場合、多額の違約金を支払うことになる。TBCは乗客から料金を徴収して収益を得ることはない(乗車は無料)。

【更新】本記事の公開直後にラスベガス観光局のSteve Hill(スティーブ・ヒル)代表は、今週行われた数百人規模のLoop試験で、予定されていた1時間あたり4400人の乗客を輸送できるキャパシティが実証されたとツイートした。これにより、後述の追加建設資金が確保される可能性がある。TBCは罰金を避けるためには、今後数カ月の間に実際のカンファレンスでこの数字をまだ達成しなければならない。TechCrunchは記事公開に先立ち数週間にわたり、LVCVA、クラーク郡、そしてTBCと何度も報道内容を共有した。実質的な回答をしたのはLVCVAだけで、キャパシティの問題や、子どもやモビリティの問題を抱える乗客についての未解決の質問については回答を得られなかった。

例えばTechCrunchが新たに入手した管理契約によると、CESのような大規模なトレードショーの際には、LVCCはTBCがシステムを運営・管理する1日ごとに3万ドル(約330万円)を支払うことになっている。しかし、2019年にTBCが締結した当初の契約書には、TBCが1時間あたり約4000人を輸送できない大規模なイベントごとに、30万ドル(約3300万円)の賠償金が課されると明記されている。

つまり、3~4日間のイベントで、TBCはシステムの運営費に加え数十万ドル(約数千万円)の損失を被ることになるのだ。パンデミック前の通常の年であれば、LVCCではこのような大規模なイベントを年12回ほど開催している。なお、TBCが車内広告などによる別の収益手段を計画しているかどうかは不明だ。

このキャパシティの問題は、すでにTBCにコストをかけている。契約では、TBCがパフォーマンス目標を大幅に下回った場合、マスク氏の会社は建設予算のうち1300万ドル(約14億3000万円)以上を受け取ることができないとされている。LVCVAはTechCrunchの取材に対し、契約に基づきTBCが1時間に数千人を輸送できる能力を実証するまで、建設費を保留していることを確認した。

年間20回ほど開催されるより小規模なイベントの場合、キャパシティ賠償金は適用されないが、契約によればTBCに支払われる1日あたりの使用料は1万1500ドル(約126万円)へと激減する。また、コンベンションの数にかかわらず、TBCは毎月16万7000ドル(約1830万円)の支払いを受けてシステムの稼働を維持することになっている。

米国時間5月25日に行われたLoopのキャパシティテストに参加したのはわずか300人と報じられているが、LVCVAの担当者は、1時間あたり4400人という数字は「十分に達成可能な範囲」と述べた。

管理契約によると、TBCは人間のドライバーチームの他にも、オペレーションセンター、メンテナンス・充電施設にスタッフを配置し、制服を着たカスタマーサービススタッフ、セキュリティスタッフ、フルタイムのレジデントマネージャーを提供しなければならない。

この料金体系は「予想される自律走行への移行」を考慮して、2021年末までにおそらく下方修正されることになっている。

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衝突警告システムは使用不可

Loopの初期運用に関する制限事項のいくつかは、クラーク郡の建築消防局に提示されたものだ。その内容は、ルート全体での制限速度を時速40マイル(時速約64km)に抑える、Loopの3つの駅構内では時速10マイル(時速約16km)に減速する、車両を11台までに制限することなどである。

クラーク郡消防局のWarren Whitney(ウォーレン・ホイットニー)副消防局長は、TBCからLoop内でTeslaの衝突警告システムを使用することは許可されていないと聞いている、と述べている。クラーク郡が米国時間5月27日に発行した交通システム運営ライセンスでは、Loopは「非自律走行」で「手動運転」の車両を使用しなければならないと規定されている。このライセンスは、計画されている62台の車両に対して発行された。クラーク郡当局およびTBCのいずれも、この運用制限に関する詳細な質問には回答しておらず、いつ、どのような場合に解除されるのかについても言及していない。

トヨタは以前、レーダーを使った衝突警告システムがトンネル内で正しく機能しない可能性があると警告していた。

衝突警告レーダーを欠いたTeslaが安全に「完全自律走行」できるかどうかは定かではないが、マスク氏は、車両からレーダーセンサーを取り除いてカメラのみを使用することを提案し、現在その計画を実行している。Teslaは2021年5月から、レーダーセンサーを搭載していない「Model 3(モデル3)」と「Model Y(モデルY)」の納車を開始した。レーダーセンサーがないことを受けて、米国道路交通安全局は、2021年4月27日以降に製造されたModel 3とModel Yには、自動緊急ブレーキ、前方衝突警告、車線逸脱警告、ダイナミックブレーキサポートについて、同局の認定がなくなると発表した。またこの決定を受け、Consumer Reports(コンシューマー・レポート)はModel 3をトップピックとして掲載しなくなり、米国道路安全保険協会はModel 3のトップセイフティピック+指定を外す予定だという。

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同消防局は他にも、何時間も続く可能性のあるバッテリー火災など、トンネル内での緊急事態への対応に懸念を抱いていた。ホイットニー氏はTechCrunchに次のように述べている。「電気自動車が事故を起こさずに炎上したケースは過去ありました。今のところ我々の計画は、まず人々を避難させ、その後、撤退して火が燃え続ける間待つことです」。

ホイットニー氏は、Loopシステムには多くのカメラや煙探知機が設置されていることに加え、毎分40万立方フィートの空気をトンネル内の両方向に移動させることができる「強力な」換気システムを備えていることを指摘した。これにより、乗客やドライバーは車の周りを歩いて脱出できるはずだという。TBCはそれほど深刻ではない事故のために、故障した車両を回収するための牽引車(これもTesla)を用意している。

TechCrunchの問い合わせに対し、TBCとクラーク郡はいずれも、Loopが車イス利用者、通常はチャイルドシートが必要な子どもや幼児、その他のモビリティの問題を抱えている人々、ペットや介助犬などの動物の輸送を許可するかどうかについては答えなかった。

消防隊員たちは、駅から遠く離れた場所で、2〜3台の他の車両が行く手を塞いでいるような事故を想定した地下システムでの訓練をすでに何度も行っている。ホイットニー氏は「11台であれば問題ありません」という。「しかし、クルマの数が増えてくるとそれは問題かもしれません。TBCは営利企業であり、効率を最大限に高めたいと考えていますから、キャパシティを増やそうとした時に、さらに議論が必要になるかもしれません」とも。

拡張計画

TBCは、既存のLoopでより多くの車両を使用したいと考えているだけでなく、すでにシステムの拡張を計画している。2021年3月末、TBCはクラーク郡に対し、LVCCの1駅から新しいResorts World(リゾート・ワールド・ラスベガス)ホテルまでの延長工事に着工したことを報告し、近くにあるEncore(アンコール・アット・ウィン・ラスベガス)までの同様の延長工事の許可も得ている。

さらにTBCは、ラスベガスのストリップやダウンタウンの大部分をカバーし、40以上の駅で数多くのホテルやアトラクション、そして最終的には空港を結ぶ交通システムを構築したいと考えている。そちらのシステムはTBCが資金を提供し、チケット販売によって支えられることになる。

このような拡張が可能かどうかは、TBCが比較的シンプルなLVCC Loopで約束した技術や運用をどれだけ早く実現できるか、また、トンネル内のタクシーがマスコミに書かれる量と同じくらい収益を上げられると実証できるかどうかにかかっている。

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(文:Mark Harris、翻訳:Aya Nakazato)

テスラが車内カメラでAutopilot使用中のドライバーを監視

Tesla(テスラ)は、同社の電気自動車「Model 3(モデル3)」と「Model Y(モデルY)」のドライバーが先進運転支援システム「Autopilot (オートパイロット)」を使用する時、車内に設置されたカメラがドライバーを監視できるようにした。

テスラはソフトウェアアップデートで「バックミラーの上部に設置された車内カメラが、Autopilot作動中のドライバーの不注意を検知し、警告することができるようになりました」と告げている。ただし、同社によれば、カメラで撮影した画像が車外に出ないように、データにはクローズドループシステムが採用されているという。データ共有が有効になっていない限り、システムは情報を保存したり転送したりすることはできないとのこと。このファームウェアアップデートの説明は、多くのテスラ車オーナー、業界ウォッチャー、ブロガーたちによってTwitter(ツイッター)で公開されている。

テスラは、オーナーがAutopilotシステムを悪用しているという証拠があるにもかかわらず、車内のドライバー監視システムを作動させていなかったとして批判を浴びてきた。YouTube(ユーチューブ)やTikTok(ティックトック)には、テスラ車のオーナーがAutopilotシステムを悪用している動画が数多く投稿されており、中には後部座席に座って高速道路を走行している自分の姿を撮影している人もいる。Autopilot作動中のテスラ車でいくつもの死亡事故が発生していることから、同社の対応を求める圧力が高まっていた。

これまでテスラは、車内に搭載されたカメラは使用せず、ステアリングホイールのセンサーでトルクを測定することによって、ドライバーが運転中にハンドルから手を放していないと判定していた。しかし、ドライバーの中には、センサーを騙して人間がハンドルを握っていると思わせる方法を発見し、それをソーシャルメディアで公開している人もいる。

Brian Krause@bak112233

納車はどうでしたか?

緊急自動ブレーキや前方衝突警報が無効になっていませんでしたか?

納車時に特別なソースのソフトウェアのバージョンが適用されていませんでしたか?

Kevin Smith@spleck

納車はとてもスムーズでした。Summon(サモン)と車線逸脱防止機能は今のところ無効になっていて、追従距離は長く、ハードキャップは時速75マイル(時速約120キロメートル)で、自動ハイビームを使うにはAPの解除が求められ、ドライバー監視のための車内カメラ……まだ予想外のことは何もありません。

Consumer Reports(コンシューマー・レポート)の自動車テスト担当シニアディレクターであるJake Fisher(ジェイク・フィッシャー)氏は、TechCrunchに次のように語った。「コンシューマーレポートは何年も前から、テスラのAutopilotのような運転自動化システムには、カメラを使ったドライバー監視システムが必要であると訴えてきました。テスラの現行のシステムは、ハンドルに掛かっているトルクを感知するもので、ドライバーが道路を見ているかどうかは判断できません。この新しいシステムが有効であることが証明されれば、ドライバーの注意散漫を防ぎ、安全性を大きく向上させることができ、ひいては人命を救う可能性があります。他のモデルもすぐにアップデートされることを我々は期待しており、それらを評価することを楽しみにしています」。

テスラは、このドライバー監視システムの詳細(例えば、視線または頭の位置をトラッキングしているのかなど)や、これが手放し運転を可能にするために使われるのかどうかについては明らかにしていない。GMのSuper Cruise(スーパークルーズ)やFord(フォード)のBlue Cruise(ブルークルーズ)は、高速道路の特定の区域で、手放し運転を可能にする先進運転支援システムだ。これらのシステムでは、地図データ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーに加え、運転者を監視するドライバーアテンションシステムを搭載し、ドライバーが運転に注意を払っているかどうかを確認している。

テスラのクルマには、運転支援システムのAutopilotが全車に標準装備されており、さらに1万ドル(約110万円)の追加料金を払えば、FSD(フル・セルフ・ドライビング)と呼ばれるシステムにアップグレードすることができる。これはElon Musk(イーロン・マスク)CEOが「いつかは完全な自動運転を実現する」と約束している機能だ。FSDは何年も前からオプションとして提供されているが、価格と機能が年々着実に向上している。

しかし、今のところ、テスラのクルマは自動運転車ではない。FSDには、駐車場などで無人のクルマを呼び寄せることができる「Summon(サモン)」機能や、高速道路の入口から出口まで、インターチェンジや車線変更を含めて車両の走行を導くアクティブガイダンス運転支援機能「Navigate on Autopilot(ナビゲート・オン・オートパイロット)」機能が含まれている。この機能はドライバーが車載ナビゲーションシステムでルートを設定する度にオンになる。

今回の動きは、テスラが北米向けのModel YとModel 3にレーダーの搭載をやめたとツイートしてから、わずか1週間後のことだった。これは、Autopilotやその他のアクティブセーフティ機能をサポートするために、レーダーなどのセンサー類を用いず、カメラと機械学習を組み合わせたものだけを使用したいというマスク氏の要望を実現したものだ。

自動車メーカーは通常、レーダーとカメラ、さらに場合によってはLiDARさえも組み合わせ、周囲の交通状況に合わせて車両の走行速度を調整するアダプティブ・クルーズ・コントロールや、車線維持および自動車線変更など、先進運転支援システムの機能を実現するために必要なセンシングを行っている。しかし、以前からマスク氏は、カメラといわゆるニューラルネット処理のみで、車両を取り巻く環境で起きていることを検知・認識し、適切な対応を行うシステムの可能性を喧伝してきた。このシステムにはブランド名を冠した「Tesla Vision(テスラ・ビジョン)」という名称が付けられている。

車両にレーダーを搭載しないという決定は、同社にいくつかの反発をもたらした。Consumer Reportsは、消費者に推薦できると評価した「Top Pick(トップ・トピック)」からModel 3を削除し、米国道路安全保険協会はModel 3から最高評価「Top Safety Pick+(トップセーフティピック+)」の指定を外す予定だと語っている。米国高速道路交通安全局は、2021年4月27日以降に製造されたModel 3とModel Yには、自動緊急ブレーキ、前方衝突警告、車線逸脱警告、ダイナミック・ブレーキ・サポートに同局のチェックマークが付かなくなると発表した。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラの大型蓄電システム「Megapack」が日本初上陸、茨城県・高砂熱学イノベーションセンターで稼働開始

テスラの大型蓄電システム「Megapack」が日本初上陸、茨城県で稼働開始Tesla(テスラ)は、大型蓄電システム「Megapack」(メガパック)が高砂熱学イノベーションセンター(茨城県つくばみらい市)に設置され、2021年4月より稼働を開始したと発表した。システム規模は429kW / 2964kWh。日本におけるMegapackの導入は今回が初。

同センターは、オフィス棟、ラボ棟、展示スペース、プレゼンルームで構成され、建物全体に省エネソリューションが施されており、オフィス棟ではZEB(ゼブ。Net Zero Energy Building)を、また敷地全体でNearly ZEBを目指しているという。ZEBとは、快適な室内環境を実現しつつ、建物で消費する年間の一次エネルギーが正味ゼロまたはマイナスの建築物を指す。Nearly ZEBは、建物で消費する年間の一次エネルギーを75%以上削減する建築物。

Megapackは、同センターにおける発電設備にあたる超小型木質バイオマスガス化発電、太陽光発電約200kWにより発電した電気を施設内の需要に合わせて適切に蓄電・放電することで、施設全体のエネルギーの自立化、電力の安定供給に貢献しているという。

テスラの大型蓄電システム「Megapack」が日本初上陸、茨城県で稼働開始

Megapackの特徴の1つにはオールインワンで現地における省施工を実現できる点にある。筐体には、蓄電池、パワーコンディショナー、温度管理システム、制御機構をすべて内蔵している。現地での施工はACとLANを接続するだけという。現場作業が少ないため、施工期間も短いとしている。

また、蓄電池・パワーコンディショナーなどのハードウェアだけでなく、システム設計・試運転・カスタマーサービス・ソフトウェアまですべてをテスラが提供。テスラ自社開発のソフトウェアによりプロジェクトに最適なシナリオで運転・制御でき、設置後にはデータを継続的に収集し、将来のパフォーマンスも予測する。また、稼働状況も簡単に確認できるウェブインターフェイスも提供している。

テスラの大型蓄電システム「Megapack」が日本初上陸、茨城県で稼働開始

標準仕様(2021年5月時点)

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テスラが20万台目の家庭用蓄電池「Powerwall」設置完了を発表、この1年間で2倍に

Tesla(テスラ)は、同社の家庭用蓄電池製品である「Powerwall(パワーウォール)」の20万台目の設置が完了したことを、米国時間5月26日のツイートで発表した。テスラのCFO(最高財務責任者)を務めるZachary Kirkhorn(ザッカリー・カークホーン)氏は、2021年4月の第1四半期決算説明会で投資家に、テスラは「Powerwallの数四半期分の受注」の処理に追われていると語り、今後数カ月の間に設置台数が急増することを示唆していた。

テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、この決算説明会で、今後はPowerwallなしで同社の「Solar Roof(ソーラールーフ)」パネル製品のみを販売することはしないと述べた。太陽光発電パネルと家庭用蓄電池(もちろん、テスラ製)の設置が広がれば、すべての家庭が分散型発電所になると、同氏はいう。

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「Powerwallが設置されている住宅やアパート、あるいはどんな建物でも、それ自体が電力会社になります。近所の照明がすべて消えてしまうような停電時でも、電力を確保できるのです。これは人々にエネルギーの安全性を提供します。また電力会社と協力し、Powerwallを使って地域全体の電力網を安定させることもできます」とマスク氏は語った。

2月にテキサス州で発生した未曾有の冬の嵐では、記録的な電力需要と相まって、何百万人もの人々が凍えるような寒さの中で電気を失ったことにマスク氏は言及。このような状況になった場合、電力会社はPowerwallを設置している顧客と協力して、蓄えた電力を送電網に戻し、需要を満たすことができると提案した。

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「電力網がより多くの電力を必要とする場合、もちろん同意が必要ですが、住宅所有者と電力会社が連携して、Powerwallに蓄えられた電力を電力網に開放し、ピーク時の電力需要に対応することができるのです」と、マスク氏は語った。

テスラが初代Powerwallを発売してから5年後の2020年4月に、Powerwallの設置台数は10万台を超えた。これはつまり、同社が5年をかけて達成した販売数が、この1年間で2倍になったことを意味する。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラがアップルと同じく中国のユーザーデータを現地サーバーで保管すると発表

中国で活動する外国のテック企業にとって、中国におけるユーザーデータの取り扱いはデリケートな問題となっている。Apple(アップル)が中国の顧客データを同国の国有企業のクラウドサービスが管理するサーバーに保管するという動きは、長年にわたって欧米で論争を巻き起こしてきた。最近のニューヨークタイムズ紙の調査では、この設定により中国政府が同国内のAppleユーザーデータに容易にアクセスできる可能性があることが判明したが、Appleは顧客およびそのデータの「安全性を危険にさらしたことはない」と述べている。

中国で多額の収益を上げている数少ない米国テック企業の1つであるTesla(テスラ)も、同様のデータ計画を検討している。電気自動車メーカーの同社は、中国にデータセンターを設立して「データ保存の現地化」を進めており、将来的にはさらにデータ施設を増やす予定であると、マイクロブログプラットフォーム「Weibo(ウェイボー、微博)」の公式アカウントを通じて発表した。中国本土で販売されたTesla車から発生するすべてのデータは、中国内で保管されるとのこと。

Teslaの動きは、カメラやセンサーを搭載した自動車メーカーがデータを収集・利用する方法を規制するために中国政府が2021年5月に発表した新しい草案に対応したものだ。要件の1つには「個人的なデータや重要なデータは、(中国)国内に保存されるべきである」とある。

中国当局がTesla中国の顧客に対してどの程度のデータアクセス権を持っているのかは不明だ。Appleの場合、中国のユーザーのデータを保護する鍵は同社の管理下にあるとしていた

Teslaは最近開催された上海モーターショーで、ある顧客が同社の欠陥パーツに抗議し広く同情を集めたことで、中国のメディアや世間の支持を失った。また、世界水準のデザインや自律走行技術に多額の投資を行っているNio(ニオ、上海蔚来汽車)やXpeng(シャオペン、小鵬汽車)といった中国国内のライバル企業との競争も激化している。

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米国の企業であるTeslaは、同社の2つ目に大きな市場である中国の政府のご機嫌をとりたいと考えているようだ。数日前には同社は、中国のサイバーセキュリティ監視当局が提案した新しい自動車政策について論じる業界シンポジウムに、Baidu(バイドゥ、百度)、Alibaba(アリババ)、そして研究機関やシンクタンクとともに登場した。

中国のインターネット規制当局が定義する自動車が生成する「重要なデータ」には、軍や政府の施設内の交通状況、政府が公開している以上の測量や地図データ、充電グリッドの状況、顔、音声、車のナンバープレート情報など、国家安全保障や公共の利益に影響を与えると判断されるデータが含まれる。

この規則では、自動車サービス事業者に対して、デフォルトでユーザーを追跡しないこと、さらに収集されるデータの種類とその理由をユーザーに通知することが求められる。また、データが収集された場合、情報は匿名化され「最小限の期間」のみ保存されるべきであるとある。

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

テスラの北米向けModel 3とModel Yがレーダー非搭載に

北米の顧客向けに製造されるTesla(テスラ)の「Model Y(モデルY)」と「Model 3 (モデル3)」には、レーダーが搭載されなくなる。これは、機械学習を組み合わせたカメラのみを使用して、同社の先進運転支援システムやその他のアクティブセーフティ機能をサポートするようにしたいという、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOの意向を反映した変更だ。

センサーの使用をやめるという決定は、多くのテスラの動向と同様に、業界の標準的な考え方に反している。今のところ、レーダーなしのテスラ車は、北米のみで販売される。テスラは、中国や欧州の顧客向けに製造される車両から、レーダーセンサーを削除する時期やその可能性については言及していない。

自動車メーカーは通常、レーダーとカメラを(さらにはLiDARも)組み合わせ、周囲の交通状況に合わせて車両の走行速度を調整するアダプティブ・クルーズ・コントロールや、車線維持および自動車線変更など、先進運転支援システムの機能を実現するために必要なセンシングを行っている。

しかし、以前からマスク氏は、カメラといわゆるニューラルネット処理のみで、車両を取り巻く環境で起きていることを検知・認識し、適切な対応を行うシステムの可能性を喧伝しており、このシステムにはブランド名を冠した「Tesla Vision(テスラ・ビジョン)」という名称が付けられている。

ニューラルネットとは、人間の学習の仕方を模倣した機械学習の一種で、一連の接続されたネットワークを使用してデータのパターンを識別することにより、コンピュータが学習することを可能にする、人工知能アルゴリズムの洗練された形態だ。自動運転技術を開発している多くの企業は、特定の問題を処理するためにディープニューラルネットワークを使用しているが、彼らはこのディープネットワークを壁で囲い、ルールベースのアルゴリズムを使って、より広範なシステムに結びつけている。

Whole Mars Catalog@WholeMarsBlog
ピュア・ビジョンの考え方について、もう少し詳しく教えてください。

レーダーを使わないのは時代に逆行するという意見もありますが、なぜ使わないほうがいいと判断したのでしょうか?

Elon Musk@elonmusk
レーダーと視覚が一致しないとき、あなたはどちらを信じますか? 視覚認識の方がはるかに精度が高いので、複数のセンサーを組み合わせるよりも視覚認識を倍に増やした方が良いのです。

テスラは更新したウェブサイトでレーダーからの移行について詳述し、2021年5月から切り替えを開始したと述べている。このカメラと機械学習(特にニューラルネット処理)を組み合わせた方式は「Tesla Vision」と呼ばれ、同社の車両に標準装備されている先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」と、そのアップグレード版で1万ドル(約109万円)の追加料金が必要な「FSD(フル・セルフ・ドライビング)」に使われる。テスラのクルマは自動運転ではないので、人間のドライバーが常に運転に関与し続ける必要がある。

レーダーを搭載していないテスラ車では、当初は運転支援機能が制限される。例えば、Autosteer(オートステア)と呼ばれる車線維持機能が使える速度は最高時速75マイル(時速約120キロメートル)までに制限され、最小追従距離も長くなる。また、緊急車線逸脱回避機能や、駐車場で自車を自分の側まで呼び寄せることができるSmart Summon(スマート・サモン)機能は、納車当初には利用できない可能性があると、テスラは述べている。

同社では、今後数週間のうちにワイヤレス・ソフトウェア・アップデートによって、これらの機能を復活させることを計画しているという。ただし、テスラはその具体的なスケジュールを明らかにしていない。他のAutopilotやFSDの機能は、(注文した仕様にもよるが)納車時にすべて有効になっているとのこと。

一方、Model S(モデルS)とModel X(モデルX)の新車や、北米以外の市場向けに製造されるすべてのモデルには、引き続きレーダーが搭載され、レーダーを使ったAutopilotの機能も利用できる。

テスラは「よくある質問」の中で「Model 3とModel Yは、当社の製品の中でも生産台数が多いモデルです。これらのモデルを先にTesla Visionに移行することで、膨大な実世界におけるデータを短時間で分析することが可能になり、結果的にTesla Visionをベースとした機能の展開を早めることができます」と書いている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラがノルウェーでの判決を受け最大約243億円の補償金支払いに直面

ノルウェーの調停委員会は、Tesla(テスラ)の電気自動車「Model S(モデルS)」がソフトウェアのアップデートによって充電時間が長くなったことが判明したため、テスラに対しモデルSの所有者に1人あたり200万円を超える補償金を支払うように命じたと、ノルウェーのオンライン新聞「Nettavisen(ネッタビースン)」が報じた。この判決により補償の対象となったオーナーは、各々13万6000クローネ(約243万円)を受け取ることになる。

2020年12月、テスラの車両を所有する30人のドライバーが、同年のソフトウェアアップデート後に充電速度が遅くなったとして、調停委員会に苦情を申し立てた。この性能低下は、2013年から2015年に製造されたテスラ モデルSに生じている。

テスラはこの期間に、ノルウェーで約1万台のモデルSを販売した。これはつまり、テスラが全体で最大13億6000万クローネ(約243億円)の支払いに直面することを意味する、とNettavisenは述べている。

テスラは判決が出る前にはこの苦情に応じていなかった。罰金の支払期限は5月30日までとなっている。同社は6月17日までに、判決を不服としてオスロ調停委員会に訴えることができる。

テスラが充電速度に関する苦情で訴えられたことは、今回が初めてではない。2019年には米国のあるテスラ車オーナーが、ソフトウェアのアップデート後に航続距離の減少や詐欺行為があったとして、カリフォルニア州北部地区の連邦裁判所にこのEVメーカーを提訴した。

ノルウェー道路交通情報評議会(Opplysningsradet for Veitrafikken)によると、新車販売台数に占めるEVの割合がノルウェーは欧州で最も多く、2020年に同国で販売された全新車のうち、54.3%がバッテリー電気自動車だったという。販売台数が最も多かったのはAudi(アウディ)の「e-tron(eトロン)」で、2番目がテスラの「Model 3(モデル3)」だった。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラがカナダ企業の特許を使い安価で環境に優しい新バッテリーを開発中

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は2020年9月にTesla(テスラ)のBattery Dayのステージに立ったとき、リチウムイオンバッテリーの価格を半分にすると約束し、ニッケル金属電極を作る際の汚れた、そして複雑な過程を最初から作り直すことで価格を抑制できると主張した。

「溝を掘って、溝を埋め、そしてまた溝を掘ってと、とてつもなく複雑です」と同氏はイベントで述べた。「それで我々は全体のバリューチェーンに目をやり、どうやってこれを可能な限りシンプルにできるのか、と言いました」。

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最もシンプルなルートにはカナダの小さなバッテリースタートアップ、あるいは少なくとも同社の特許出願が含まれているようだ。

公開記録によると、Battery Dayの2週間前、Teslaはトロント近くに拠点を置く小さな会社Springpower International(スプリングパワー・インターナショナル)から数多くの特許出願を計3ドル(約330円)で購入した。

それらの特許出願の1つは、Teslaの上級副社長Drew Baglino(ドリュー・バッリーノ)氏がBattery Dayにカリフォルニア州フリーモントにある同社工場に設けられたステージで描写したものに似ている、イノベーティブなプロセスの詳細をつづっている。特許出願の購入は、特許そのものが最終的に2021年1月認められたとき、特許にはSpringpowerの記載はなく、Teslaに発行されたことを意味する。

電気自動車バッテリー向けの電極製造は従来、かなりの量の汚染水を生み出す。電極材料1トンを製造するのに、アンモニアや金属粒子、有毒な化学物質を含む4000ガロンもの汚染水が出る。Springpowerのプロセスは費用のかかる水処理を排除し、賢くも薬液を再循環させる

バッリーノ氏のプレゼンテーションでも、水を再利用し、排水を作らない手法が述べられた。事業費の75%以上の抑制に加え、同氏は次のように述べた。「当社はまた、同じプロセスをリサイクルされた電気自動車とグリッドストレージバッテリーから出る金属粉の消費に持ってくることができます」。

TeslaはSpringpowerの知的財産以上のものを獲得したようだ。Battery Dayの1週間前に、Springpower Internationalのウェブサイトは1つのホールディングページに変わった。それから数カ月して、何人かのSpringpowerの研究者は彼らのLinkdInプロフィールを変えた。それからするに彼らは現在、Teslaで働いているようだ

Springpower InternationalのCEOであるMichael Wang(マイケル・ワン)氏はコメントの求めに応じず、同社の電話交換台へのコールにも応答がなかった。同氏のLinkedInのページには現在、Teslaのスタッフ(バッリーノ氏含む)からの何十ものアップデートが表示されている。

電話で連絡をとったSpringpower Internationalの上級役員はTeslaによる買収を認めも否定もしなかったが、TechCrunchにTeslaの広報チームを案内した(Teslaは広報担当者を置いておらず、同社に送ったメールに返事はなかった)。

Springpower Internationalは、部分的には中国のバッテリー会社Highpower Internationalによって、Springpowerの子会社の研究部門として2010年3月に深圳で創業された。しかしHighpowerは6カ月もせずして、Springpower Internationalのテクノロジーが商業化から程遠いと判断して10万ドル(約1090万円)の投資を取り消してSpringpower Internationalと手を切った。

カナダ政府が出資したプログラムの「客員起業家」であるJames Sbrolla(ジェームズ・スブローラ)氏が、創業されて間もなかったSpringpower Internationalを指導するために介入した。同氏は同社が少額の補助金を、そして最終的に2018年に340万カナダドル(約3億円)の持続可能テクノロジー賞を獲得するのを手伝った。しかし同氏は2020年後半以降、Springpower Internationalの誰とも連絡をとっていないとTechCrunchに語った。

スブローラ氏は同社が買収されたかもしれないと聞いても驚かなかった。

「スマートな人たちのグループです。それについて疑う余地はありません」と同氏は話した。「Springpowerのもののようなテクノロジーは環境への負荷の削減で大きなメリットがあります。そして大企業を引きつけることでずっと早く、そしてより簡単にスケール拡大できます」。

ありそうなことだが、Springpower InternationalがTeslaによって買収されたのなら、2019年に同じように密かに買収された別のカナダのバッテリー会社Hibarを含む12社ほどの企業の仲間入りをしたことになる。

マスク氏はリチウムイオンバッテリーの専門的な部分に関しては長らく国境の北に目を向けてきた。2015年にTeslaはカナダ・ノバスコシア州にあるダルハウジー大学の主任バッテリー研究者で教授のJeff Dahn(ジェフ・ダーン)氏と5年間の独占的パートナーシップを結んだ。ダーン氏の名は同社の数多くのバッテリー特許に掲載されており、2021年1月に同社はダーン氏とのパートナーシップをさらに5年間更新した。

マスク氏は自社バッテリー生産を実現し、現在のサプライヤー(パナソニック、LG化学、 CATL)への依存を小さくしようと取り組んでいる。「いま当社はこのプロセスを手にしていて、独自の電極の設備を北米に建てようとしています」とバッリーノ氏はBattery Dayで述べた。

マスク氏はTeslaの新しいバッテリーテクノロジーの複合的なメリットによって2万5000ドル(約270万円)の車両が実現するかもしれない、と付け加えたが、あまりに多くをすぐには期待しないよう警告した。「こうしたアドバンテージを実現させ始めるのにおそらく1年から18カ月、完全に実現するのに3年ほどかかるでしょう」。

おそらくそれまでにSpringpower Internationalの役割はもう少し明らかになるだろう。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Mark Harris、翻訳:Nariko Mizoguchi

「街の電動化」を目指すRevelが50台のテスラ車で全電動配車サービスを開始予定

Revel(レベル)は2018年、ニューヨーク市ブルックリン区でドックレス方式による電動モペットのシェアサービスを開始した。後にそれは、クイーンズ区、マンハッタン区、ブロンクス区、さらに米国内の他の都市にも拡大された。2021年になり、同社はニューヨーク市内で電動自転車の月間サブスクリプションサービスを立ち上げ、同時にブルックリン区のベッドフォード・スタイベサント地区に電動車両用充電ハブを建設する計画を発表した。そして今、Revelは全電動、全Tesla(テスラ)の配車サービスをマンハッタン区に展開しようとしている。

かつては、方向性が定まらず、いろいろな形態の交通手段に場当たり的に手を出しているように思えたRevelだが、ニューヨーク市を手始めに、各都市に独自の電動化インフラを展開するという、計算された戦略がようやく見えてきた。これは、創設者でCEOのFrank Reig(フランク・レイグ)氏が当初から力強く宣言していたことだった。

「創設初日から、我々のミッションは街の電動化でした」とレイグ氏はTechCrunchに語った。「そのために私たちは、都市で必要とされる電動交通手段を提供し、その実現に必要となる電動車両インフラの構築を行ってきました」。

50台のRevelブランドのTesla Model Yを使って2021年5月末に開始を予定している新配車サービスは「都市内の移動をことごとく電動化する」という目標への次なるステップとしては、ごく自然な流れだとレイグ氏は話す。利用者は、電動モペットの予約に使うアプリで、そのまま配車サービスも受けられる。同社によれば、開始当初はマンハッタン42番街より南の地区で展開され、第1フェーズの需要とデータを見ながら、次第に対象地区を広げていくという。

Revelの配車サービスの立ち上げは、3年前に電動モペットのシェアサービスを開始したときと似たアプローチをとっている。共同創設者のPaul Suhey(ポール・スーイ)氏の話によれば、それはまずは小さい地域から始めて、街全体をカバーするという最終目標に向けて徐々に広げてゆくというものだ。

同社はまだ、ニューヨーク市タクシー・リムジン委員会に認可事業者の申請を出しているところだ。Revelは第一の認可は得たものの、正式な許可証を取得するまでには、まだいくつかの手続きが残されている。

「正式な許可証が交付されて準備万端整うのを待たずに、この段階で計画を公表した理由に、ドライバーの募集があります」とスーイ氏はTechCrunchに話した。「ドライバーを雇い入れるには、まず情報を広めなければなりません。私たちは今の時点で、ドライバーを雇って確保しておきたいのです」。

Revelの対顧客相場は、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)と同等になる予定だとレイグ氏は話すが、ドライバーはギグワーカーに頼ることはせず、全員を雇用するという。

「同じ料金で、私たちは完全な電動化を実現し、同時にニューヨーカーを雇用することで、ぎりぎりの生活費でやっているニューヨーク市民に保険リスクと資産減価償却のすべてを押し付けるようなことはしません」とレイグ氏。

給料で支払うかたちは、Revelの利他主義によるものだけではない。ドライバーを雇用することが、TeslaにRevel向け仕様の車両を製造させる大きな条件になるため、理に適っているのだ。Revel向けModel Yは「Revelブルー」で塗装され、室内の温度や音楽をコントロールできる客席用のタッチスクリーンが装備される。助手席は新型コロナの社会的距離ガイドラインに従うためと、後席の乗客が脚を伸ばせるように取り外される。

だが、もっと重要なこととして、カリフォルニア州のProposition 22(住民立法案22号)の問題がある。Uber、Lyft、Postmates(ポストメイツ)といった企業は2億ドル(約217億円)のキャンペーンを展開してカリフォルニア市民に賛成の投票を呼びかけた。この法案とは、アプリベースの企業は労働者を福利厚生が受けられる従業員として扱わなくてよいとするものだ。法案は通過した。しかしレイグ氏には、その金があれば、幻滅したドライバーが抜けた欠員を埋めるために常に人材募集し続ける必要はなくなり、堅実な働き手を惹きつけ確保できたはずだとの持論を掲げている。

「車両に関して言えば、それが安全対策にもなります」とレイグ氏。「私たちが車両を保有しているため、加速、速度、ブレーキングなど、車の詳細な情報を常に把握できるのです。私たちが雇用し訓練したドライバーには、各シフトの終わりに安全スコアが示されるので、運転技術を磨くことができます。さらに、保険費用と保険責任を減らすことにもつながります」。

Revelは、街の電動化を進めつつ、そのビジネスモデルをその先の展開の足場にしようと考えている。配車サービスの提供は、新しい事業の構築という意味に留まらない。これは同社の充電事業の創設を加速する意味も持つ。Revelは、電気自動車のニワトリとタマゴの問題を解決して、独占的な電動化事業を確立を目指している。ニワトリとタマゴとはつまり、電気自動車の潜在的購入者は充電スタンドが拡充されたなら買いたいと考えている一方で、充電スタンドの展開を計画する企業は、電気自動車がもっと売れたなら建設できると考えているという問題だ。

「私たちが企業として行っているのは、都市における電気自動車の導入推進と、利用できる電動交通手段の拡大に尽きます」とスーイ氏。「それが電気自動車、電動自転車、電動モペットであれ、いろいろな形での利用を人々は願っています。私たちは、都市の電動化を、もっと幅広いものとして考えているのです」。

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タグ:RevelTesla配車サービスProposition 22電気自動車ギグワーカー

画像クレジット:Revel

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:金井哲夫)

テスラにとってビットコインはすばやく現金にアクセスできる重要な金融ツール

Tesla(テスラ)のBitcoin(ビットコイン)に対する気持ちは戯れではないようだ。同社のCFO(最高財務責任者)で「Master of Coin(コインの達人)」との肩書を持つZach Kirkhorn(ザック・カークホーン)氏が、米国時間4月26日の決算説明会で述べたコメントによると、テスラはビットコインの変動性にもかかわらず、その長期的な価値を信じているという。

テスラは今四半期に15億ドル(約1624億円)をビットコインに投資し、そのあとポジションを10%切り下げたと、同社の四半期決算説明会でカークホーン氏は語った。その売却により、第1四半期の同社の収益に1億100万ドル(約109億3000万円)の「プラスの影響」があったと、同氏は続けた。テスラは顧客がビットコインで車両代金や予約金を支払うことも可能にしている。

テスラがビットコインに目をつけたのは、現金の保管場所としてすぐにアクセスでき、しかも中央銀行がバックアップする伝統的な安全資産よりも優れた投資収益率を可能にするからだ。もちろん、変動の激しいデジタル資産がもたらす高い利回りには、高いリスクがともなう。

連邦準備制度理事会(FRB)のJay Powell(ジェイ・パウエル)議長は、2021年3月に国際決済銀行がバーチャル開催したサミットで、暗号化された投機的な資産は変動が激しく、価値の保存には適さないとFRBは考えていると指摘したが、このような警戒を高める風潮にテスラは反対している。通貨の基本的な機能は価値を保存する能力であるため、FRBの警告は重要なことだ。また、パウエル議長はデジタル通貨には何の裏づけもないことを指摘し、ドルではなく金に例えた。

カークホーン氏は以下のように述べている。

Elon(イーロン・マスク氏)と私は、すぐに使わない現金を保管する場所を探していました。ある程度のリターンを得ながら、流動性も確保したいと私たちは考えていました。特にオースティンとベルリンに新設した工場の稼働を控え、半導体や港のキャパシティに不安がある中、すぐに現金にアクセスできることは、今の私たちにとって非常に重要なのです。

そしてご存知のように、そのようなことができる伝統的な機会は多くありません。特に余計なリスクを負うことがなく、流動性も犠牲にしないとなると、少なくとも私たちは見つけることができず、他の人に聞いても良い答えは得られませんでした。当時、ビットコインは日常業務にすぐに使用しない、あるいは年末まで必要としない現金を保管する場所に適しており、ある程度のリターンが見込めるように思われました。これまでのところ、その判断が正しかったことが証明されています。

テスラはこのデジタル通貨を注視しており、多くの楽観的な材料があるとカークホーン氏は述べている。

「企業財務の観点から考えると、ビットコイン市場の流動性の高さには非常に満足しています」と、同氏はいう。「最初のポジションは非常に早く構築できました。3月下旬に売却を行った際も、非常に迅速に実行することができました。このように、リスクマネジメントの観点から事業に対するグローバルな流動性を考えると、市場に現金を出し入れできることは、当社にとって非常に重要なことだと思います」。

テスラは2021年3月にポジションを縮小したものの、同社の意図は手持ちのビットコインを長期的に保有し、顧客が車両を購入する際の取引からビットコインを蓄積し続けることだと、カークホーン氏は付け加えた。同社の「Technoking(テクノキング)」を名乗るMusk(マスク)氏は、3月にテスラが米国での支払い手段としてビットコインを受け入れると発表した。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Tesla暗号資産Bitcoinデジタル通貨決算発表イーロン・マスク

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Rebecca Bellan, Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラはすべての家庭を分散型発電所にしようとしている

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社の製品だけを使ってすべての家庭を分散型発電所にし、エネルギーの生成、保存そして電力の電気会社への売り戻しさえできるようにしたい、と考えている。

同社はもう何年も前から太陽光発電や蓄電製品を販売しているが、太陽光発電と蓄電製品を組み合わせて販売するという新たな方針と米国時間4月26日のマスク氏の発言を電力会社にアピールすることで、Teslaによるこれらの事業の拡大戦略を明らかにしている。

マスク氏は投資家向けて「これはテスラにとっても、電力会社にとっても繁栄する未来だ。それができなければ、電力会社は顧客への奉仕に失敗するだろう」と述べた。その際、彼は2020年夏にカリフォルニア州で計画された停電や、最近、テキサス州で起きた停電を例に挙げ、電力網の信頼性に対する懸念が高まっていることを証拠として示している。

先週、同社はウェブサイトを変更し、顧客が太陽光発電と電力貯蔵製品である「Powerwall」のみを購入するのではなく、代わりにシステムとしての購入を勧めた。その変更を発表するツイートでマスク氏は「太陽光発電はPowerwallにのみ供給される。Powerwallは電力会社のメーターと家のメインブレーカーパネルの間にのみ接続され、設置が非常にシンプルなものとなり、停電時に家全体をシームレスにバックアップすることができる」と述べている。

マスク氏の主張は、電力会社自身が再生可能エネルギーとストレージを使って脱炭素しようと思ったら、今よりももっと多くの送電線と発電所と変電所が必要になるというものだ。それに対してテスラの製品を使う分散居住地区システムならもっと良い方法を提供できる、と彼は考えている。マスク氏の主張は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の最近の研究にも裏づけられている。MITの研究では、米国は送電容量を2倍以上増やすことでゼロ・カーボン・グリッドに到達できるとしており、プリンストン大学の研究では、ネット・ゼロ・エミッションを達成するには2050年までに送電システムを3倍にする必要があるという。

マスク氏は、現在のCalifornia Independent System OperatorやElectric Reliability Council of Texasといった独立した事業者により集中的に管理・運営されているものとは根本的に異なる電力網システムを思い描いている。これは官僚主義とロジスティクスな課題が多いビジョンだ。電力会社と規制当局は、住宅の屋根に設置されたソーラーパネルなど、いわゆる「分散型エネルギー資源」が大量に流入した場合に、どのように対処するかを解決する必要があるが、これは電力会社の長年のビジネスモデルとは相反するものだ。

さらに重要なのは、再生可能エネルギーとストレージの組み合わせでエネルギーグリッドの脱炭素化が可能かどうか、議論の余地があることだ。

多くの専門家は、自然エネルギーの土地利用の問題、貯蔵の必要性、断続性の問題などから、自然エネルギーが国の主要な電力供給源となることは夢物語だと考えている。しかし、マスク氏は以前から自然エネルギーと蓄電のモデルに強気で、2020年7月には「物理学的には電気輸送、定置用蓄電池、エネルギー生成には太陽光や風力が有利だ」とツイートしている。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Tesla再生可能エネルギーイーロン・マスク電力

画像クレジット:Tesla

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラの第1四半期売上高は74%増の1.1兆円、EV生産台数も大幅増

米国時間4月26日の株式取引開始直後に米国の電気自動車会社Tesla(テスラ)は2021年第1四半期決算を発表した。その後、同社の株価は下げた。

ここ数カ月多くのSPAC(特別買収目的会社)との合併を模索してきた電気自動車(EV)・バッテリースタートアップのマーケットにとって、一般的にポジティブなTeslaの決算はこの分野のハードウェアに対するマーケット需要が続いていることを強調し、業界にとって大きな恩恵となり得る。

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数字に目を向けると、2021年第1四半期にTeslaは103億8900万ドル(約1兆1237億円)を売り上げ、粗利益は22億1500万ドル(約2396億円)、純利益は4億3800万ドル(約473億円)だった。

修正後純利益は10億5200万ドル(約1137億円)で、非GAAPベースで希薄化後の1株あたり利益は0.93ドル(約100円)となった。マーケットは売上高102億9000万ドル(約1兆1132億円)、修正後の1株あたり利益は0.79ドル(約85円)を予想していた。同社が収支を発表した後、同社の株価は時間外取引で約1%下げている。

Teslaは前年同期に比べ急激に成長した。前年同期は売上高59億8500万ドル(約6475億円)で、純利益はわずか6800万ドル(約73億円)だった。2021年第1四半期の売上高は前年同期比で74%成長し、車部門の粗利益率は1%近く(0.95%)改善した。粗利益総計の改善はわずかに少なかった(0.70%)。純利益は1850%増と爆発的に増え、修正後純利益も304%増と驚くべき成長を見せた。

第1四半期にTeslaの営業活動によるキャッシュフローは16億4100万ドル(約1775億円)だった。同社はキャッシュを生み出すペースで快適に自社で資金をまかなうことができる。これは、現金・現金同等物計171億ドル(約1兆8501億円)で第1四半期を終えたという事実によって強調されている。

売上高75%成長を分析すると、自動車生産の売上高は76%成長した。同社は18万338台を生産し、前年同期の10万2672台を大きく上回った。納車台数は前年同期比109%増の18万4877台だった。

Teslaの太陽光発電・蓄電事業もしっかりと成長した。太陽光発電の展開は163%増の92MWで、蓄電の方は71%増の445MWhだった。

同社はスライドで投資家に対し「今後複数年にわたって納車台数は平均年50%増となると予想しています」と説明した。同社はまた、Tesla Semiの納車が2021年始まり、複数展開しているプロダクトに加わることで売上ソースが追加される、とも述べた。

今後について、投資家は調整後の希薄化後1株あたり純利益0.99ドル(約107円)、売上高113億9000万ドル(約1兆2323億円)を予想している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla電気自動車決算発表

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

批判が高まる中、テスラが中国向けの新車両を検討中

Tesla(テスラ)は、その電気自動車の品質に関する苦情の衝撃が中国のインターネット上で広がる中で、中国の消費者に合わせた車両の開発に取り組んでいる。

Teslaの副社長であるGrace Tao(グレース・タオ)氏は、今週開催された上海モーターショーの中で、中国のビジネスニュースの21st Century Business Herald(21世紀ビジネスヘラルド)に対して、Teslaが中国向けにゼロから設計した新製品を検討していると述べた。この中国で開発された車両は、世界でも販売される予定だと彼女は付け加えた。

中国時間4月19日に開催された同イベントでは、1人の女性がTeslaのブースに現れ、Tesla車の上によじ登って、同社製のブレーキに欠陥があると叫んだ。その後、この女性は車両を傷つけたとして拘束されたが、TeslaはマイクロブログプラットフォームWeibo(ウェイボー、微博)上で、彼女のクルマが事故を起こしたのは品質上の問題ではなく、制限速度を超過したためだと書き込んだ

しかし、その様子を撮影した動画がネット上で拡散されたため、当の抗議者は多くの人の共感を集めることになった。それに乗じて多くのユーザーが、Teslaの問題を訴えたのだ。「Tesla stand turned into stage for defending rights」(Teslaのブースが権利を守る舞台となった)というハッシュタグを付けた投稿が、Weibo上で2日間に2億2千万回以上の閲覧回数を記録した。

Tesla中国は、事件を受けてWeiboに掲載した声明の中で「私たちは当初から、国や権威ある第三者機関と協力して、みなさまから寄せられた問題を徹底的に検証したいと考えています。そのようにすることで、消費者のみなさまのご安心いただきご理解いただきたいと願っています」と述べている

「しかしながら、まだその願いは叶えられていません。それは、お客さまとの私たちのコミュニケーション方法に問題があるのだと思われます。また、お客様がこれらの問題をどのように解決なさりたいのかを、私たちが決めることはできないのです」。

欧米同様、中国でもTeslaはカルト的な人気を博している。また同社は、Apple(アップル)と並んで、中国で確固たる地位を築いている数少ない米国のハイテク企業の1つだ。2020年Teslaは、全世界で約50万台の自動車を出荷し、中国は同社の収益の20%を占めている。

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しかし、その一方で、中国国産車メーカーたちとの競争も激化している。Xpeng(シャオペン、小鵬)、Nio(ニオ)、Li Auto(リオート、理想汽車)などの資金力のあるスタートアップや、Huawei(ファーウェイ)などのハイテク企業の支援を受けた既存の自動車メーカーが、Teslaの市場を奪う準備をしている。中国でデザインされた車両はすでに、愛国心の強い人たちの間で受け入れられつつある

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中国政府がTeslaに対してより厳しい目を向けていることも同社にとって不利な材料だ。2021年1月には、中国内で数万台のリコールを実施した直後に、品質問題の件で現地の規制当局に召喚されている。中国政府は、国家安全保障上の懸念から、軍事施設でのTeslaの使用を制限していると、2021年3月にThe Wall Street Journalが報じている。それを受けてElon Musk(イーロン・マスク)氏は、もし自社のクルマがスパイに使われたら、会社は閉鎖されるだろうと述べた

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(文:Rita Liao、翻訳:sako)

運転席に誰も乗っていないテスラ車が事故を起こし後部座席と助手席の2名が死亡

米国時間4月17日、テキサス州ヒューストン郊外で、誰も運転席に座っていない状態で走行していたTesla(テスラ)の車両が立木に衝突し、男性2人が死亡した事故について、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は調査を開始した。

地元CBS系列のKHOU-TVが報じたところによると、この2019年型Tesla Model S(テスラ・モデルS)は、ゆるいカーブを曲がり切れず道路外に飛び出したという。ハリス郡第4分署のMark Herman(マーク・ハーマン)保安官は、このような事故は前例がないと地元記者に語った。

「我々の署では、このような事故現場を経験したことがありません」と述べた同氏は「通常、消防隊が到着すると、車両火災は数分で鎮圧されますが、今回は4時間近くも続きました」と続けた。この長時間の火災は、電気自動車のバッテリーが再発火を繰り返していたためと報じられている。

消火には11万リットル以上の水が使われた。犠牲者の1人は助手席に、もう1人は後部座席に座っており「事故当時、(運転席には)誰もいませんでした」とハーマン氏は述べている。

事故当日、テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社が2021年第1四半期の安全報告書を発表した際のニュースをリツイートし「Autopilot(オートパイロット)を作動させたテスラは現在、平均的な車両よりも事故の確率が10分の1近くまで減少しています」と述べた。テスラは、Autopilotを「一連の運転支援機能パッケージ」と表現し「積極的なドライバーの監視」が必要だとしている。

「NHTSAは、テキサス州ヒューストン郊外で発生したテスラ車の悲劇的な事故を認識しています」と、広報担当者はTechCrunchに語った。「NHTSAは直ちに特別事故調査チームを起ち上げ、この事故を調査しています。我々は、地元の法執行機関およびテスラ社と積極的に連携し、事故の詳細を調べており、より多くの情報が得られ次第、適切な措置を取る予定です」。

TechCrunchはテスラにコメントを求めており、同社からの回答があれば記事を更新する。

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画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラ車オーナー向けアプリ「TezLab」を使えば充電する電力の「クリーン度」がわかる

Tesla(テスラ)の電気自動車オーナーは、自分のクルマに供給されているエネルギーの種類を正確に把握することが可能になった。テスラ車のためのFitbit(フィットビット)のような無料アプリ「TezLab(テスラボ)」に、エネルギーミックス(化石燃料による発電と再生可能エネルギーの種類と正確な割合)を表示する新機能が加わったのだ。これを使えば、米国内のSuperchargers(スーパーチャージャー)やサードパーティの充電ネットワークから供給される電気が、どのように発電されたものなのか、その種類と割合を知ることができる。

「私たちはエネルギーに関連するデータの出所を追跡しているため、ツーソンやブルックリン(あるいはどんな場所でも)で充電した時、その電気がどこから供給されているのか、そのエネルギーミックスはどうなっているのか、知ることができます」と、TezLabのCEOで共同設立者であるBen Schippers(ベン・シッパーズ)氏は最近のインタビューで説明している。「その結果、自宅で充電しているか、スーパーチャージャーで充電しているか、またその充電量に応じて、どれだけの炭素が大気中に排出されているかを知ることができるのです」。

Tomorrow(トゥモロー)のプロジェクトであるElectricityMap(エレクトトリシティマップ)がエネルギーデータを提供し、TezLabはそれを消費者向けアプリに組み込んだ。このアプリはダウンロードすると、テスラのオーナーがいつ、どこで充電しているかを認識することができる。そして新たにアプリに追加されたエネルギーミックス機能が、その電気のクリーン度や汚染度などの全体的な情報を、オーナーに提供する。

例えば、ラスベガスにあるテスラのLinq High Roller Supercharger(リンク・ハイ・ローラー・スーパーチャージャー)は、V3スーパーチャージャーで、1台当たり最大250kWのピーク充電レートに対応している。また、テスラのソーラーパネルとPowerpack(パワーパック)エネルギー貯蔵システムを使用し、充電器を作動させるのに必要な電力を生成・貯蔵していることで注目を浴びている充電施設だ。

TezLabのデータによると、この充電器で供給される電気のエネルギーミックスは、太陽光による発電が1.7%。再生可能エネルギーの主なものはフーバーダムによる水力発電で65.6%。残りの約33%が天然ガスによる発電だ。

カリフォルニア州ホーソーンにあるテスラのスーパーチャージャーは、いち早くソーラーパネルを設置したが、そのエネルギーミックスは、太陽光0.2%、原子力5.5%、天然ガス13.3%、石炭27%、風力49.9%となっている。

ワシントン州のセントレア、レブンワース、モーゼスレイク、シアトルなどの「最もクリーンな」スーパーチャージャーのトップ10は、水力発電のおかげでこの目標を達成できた。太陽エネルギーを最も多く利用しているスーパーチャージャーは、いずれもカリフォルニア州の同じ電力網に位置しており、バーストウ、オックスナード、カバゾン、サンディエゴ、モハーベ、イニョカーン、サンマテオ、シーサイド、サンタアナにあるスーパーチャージャーでは、太陽光が22.7%、風力が15%となっている。残りのエネルギー構成は、蓄電池0.2%、バイオマス2.9%、地熱5.6%、水力6.3%、原子力6.6%、天然ガス40%だ。

TezLabを作り出したHappyFunCorp(ハッピーファンコープ)は、モバイル、ウェブ、ウェアラブル、モノのインターネットデバイス用のアプリケーションを構築しているソフトウェアエンジニアリング会社で、その顧客には、Amazon(アマゾン)やFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)をはじめ、数多くのスタートアップ企業が含まれる。同社共同設立者のシッパーズ氏(現会長)とWilliam Schenk(ウィリアム・シェンク)氏をはじめとするHFCのエンジニアたちは、テスラの主にソフトウェア主導型のアプローチに惹かれた。特にテスラのAPIのオープン性から生まれるチャンスに興味を持ったという。テスラのAPIは、技術的にはプライベートなものだが、エンドポイントは部外者でもアクセスできる。リバースエンジニアリングすると、サードパーティのアプリがAPIと直接通信することが可能になる。

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2018年に配布が始まった当時、TezLabはオーナーが電力消費率や総走行距離を記録したり、ドアの施錠・解錠や冷暖房など、車両の特定の機能を制御できる機能を備えていた。その後、テスラのオーナーがスーパーチャージャー・ステーションを評価できる機能など、主にコミュニティの構築に焦点を当てた機能がさらに追加された。

これらのデータはすべて匿名で集約されている。TezLabはそのデータを販売するつもりはないという。同社はこれらのデータから得られた見解をウェブサイトに掲載しており、例えば、モデル別の所有者の内訳、平均走行距離、平均充電時間などを知ることができる。

TezLabは他の電気自動車の発売に合わせて、Ford Mustang Mach-E(フォード・マスタング・マックE)などをアプリに追加している。

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タグ:TezLabTeslaエネルギー再生可能エネルギー温室効果ガス電気自動車炭素アプリ

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ティム・クック氏が自動運転技術とApple Carについてヒントを出す

Apple(アップル)のCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は、米国時間4月5日に公開されたインタビューで、大きな期待を集めるApple Carと、その重要な機能となるであろう自動運転技術の方向性について遠回しに語った。

「自動運転そのものがコア技術だと私は考えます」とクック氏はポッドキャスト「Sway」(スウェイ)でKara Swisher(カラ・スウィッシャー)氏のインタビューに応えて話した。「一歩下がって見れば、このクルマ、いろいろな意味でロボットです。自動運転車はロボットなのです。そのため自動運転では、いろいろなことができます。そこに、Appleがするべきことが見えてきます」。

多くを語らないよう言葉を控えるクック氏は、Appleが自動車を生産するのか、あるいはその車載技術を開発するのかというスウィッシャー氏の質問には正面から答えなかった。ただ同氏は、Project Titan(プロジェクト・タイタン)は中間地点に達していることをほのめかした。

「私たちは、ハードウェアとソフトウェアとサービスを統合して、その交差点を探し出すことを身上としています。そこに魔法が起きるからです」とクック氏。「そして私たちは、そこに関わる主要技術をぜひとも手にしたいのです」。

これに対してスウィッシャー氏はこう尋ねた。「よろしければ、自動車に関してその点をお聞かせ願えませんか。自動車のことが知りたいのです」。

私も知りたい。

マイクロモビリティー業界では、電動スクーターは車輪がついたiPhoneみたいなものだと考える人間が多い。だが、Apple Carは、もっと実質的に車輪つきiPhoneになるはずだ。Appleは、ハードウェアとソフトウェアのすべてを所有することでよく知られている。そのため、Apple Carの開発のためにAppleのエンジニアが自動車メーカーと密接に作業を進め、いつかその中間業者を排除して自分たちが自動車メーカーになったとしても、別段驚きはしない。

いわゆるProject Titanは、2019年の大量一時解雇のために、一般の目に触れる前に頓挫する危機に瀕しているかに見えた。しかし、最近の報告によれば、プロジェクトは現在も健在で、2024年までに自動運転電気乗用車を生産する予定に変わりはないという。

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2021年の初め、AppleとHyundai(現代自動車)傘下のKia(起亜自動車)は、ジョージア州ウェストポイントにあるKiaの工場でAppleブランドの自動運転車を生産するための契約を間もなく締結するとCNBCが伝えた。AppleがHyndaiに興味を示している件に詳しい情報筋は、Appleは、クルマに搭載されるソフトウェアとハードウェアの主導権を握らせてくれる自動車メーカーと提携したいのだと聞かせてくれた。

この契約は合意に達することなく、2021年2月に交渉が打ち切られたとを複数メディアが伝えている。しかし、Appleは日産などの自動車メーカーや、さらにはスタートアップも含むサプライイヤーと、以前から繋がりを作っているなど、Appleとその計画に関する大量の噂や報道が、それで止まることはなかった。

Apple Carがどのようなかたちになるかはまだ不透明だが、ロボタクシーや配送トラックではなく乗用車ということで、Tesla(テスラ)などと競合することになるのだろう。

「彼が作り上げた企業には大きな賞賛と尊敬の念を抱いていますが、イーロンに話を持ちかけたことはありません」とクック氏。「Teslaは、EV分野の主導権を確立しただけでなく、実に長い期間それを維持するという快挙を成し遂げました。なので私は、彼らを大変に評価しています」。

Project TitanはDoug Field(ダグ・フィールド)氏が率いている。彼はTeslaでエンジニアリング上級副社長を務め、Model 3発売の立役者となった人物だ。

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タグ:AppleTim Cook自動運転EVApple CarTesla

画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:金井哲夫)

テスラがEV販売でビットコイン決済を米国で受け付け開始、2021年中に他国でも

Tesla(テスラ)は2021年初めにBitcoin(ビットコイン)を大量に購入し、大きく報道された。2021年2月初め、当時の価格で約15億ドル(約1633億円)分を購入した。その際、同社は取引を報告する米証券取引委員会への文書の中で、ゆくゆくは車両を購入する顧客から決済として仮想通貨を受け付けるかもしれないと記していた。そして今、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はそれを現実のものとした、と話している。少なくとも米国の顧客はビットコイン決済を選ぶことができ、同社は支払われたビットコインを「ホードル(売らずに持っておく)」する計画だという。

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ビットコイン決済を受け付けるインフラに関しては、同社はサードパーティーのネットワークやウォレットに頼っていない。「内部のオープンソフトウェアだけを使い、直接ビットコインのノードを操作する」とマスク氏はTwitterで述べている。そして顧客がビットコインで支払う際は不換通貨に換金せず、仮想通貨のまま残すとも語った。

Teslaがビットコインの購入を明らかにした2021年2月、傍観者たちは現金残高転換への同社の新たなアプローチを称えたり、かなりの価格変動をともなう資産への連結のために同社の計画を批判したりした。また多くの人が、カーボンフットプリントを考えたとき、ビットコインのマイニングコストがTeslaの全体の使命と相容れないと指摘した。コメンテーターたちは今日、電気自動車のために送電網に負荷をかける仮想通貨を受け付けるという皮肉を指摘し、こうした懸念を繰り返した。

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ビットコイン決済のプロセスがどのように機能するかについては、Teslaはよくある質問コーナーで詳細を説明している。顧客は自身のビットコインウォレットから決済手続きを開始する。クルマの価値はまだ米ドルで設定されており、現在のレートに基づいて車両のデポジットの正確な額を入力する。Teslaはさらに、返金の場合、米ドルに連動する価値が購入の時と返金の時では変わり得ることに注意するようにも書いている。

マスク氏はまた、このビットコイン決済を「2021年後半」までに米国外にも拡大する計画だと述べた。マーケットによっては規制に関する手続きをともなうかもしれないが、明らかにマスク氏は取り組む価値があると考えている。一方で3月24日朝に明らかになったこのニュースを受けてビットコインはわずかに上昇している。

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タグ:Tesla仮想通貨Bitcoin

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi